07/11/13 第4回「児童部会社会的養護専門委員会」議事録 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 第4回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会 議事録 日時:平成19(2007)年11月13日(火) 16:00〜18:15 場所:厚生労働省専用第21会議室(17階) 出席者:  委員   柏女委員長、相澤委員、今田委員、大塩委員、大島委員、奥山委員、木ノ内委員   榊原委員、庄司委員、高田委員、豊岡委員、藤井委員、藤野委員  厚生労働省   高倉総務課長、藤井家庭福祉課長 議題:  1. 開会  2. 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ(案)について  3. 閉会 配布資料:  社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ(案) 議事: ○藤井家庭福祉課長  定刻となりましたので、ただ今から第4回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委 員会を開催させていただきます。委員の皆さま方におかれましては、お忙しい中をお集 まりいただき、厚く御礼申し上げます。本日の委員会の出席者は13名です。松風委員、 西澤委員、山縣委員、吉田委員は欠席と伺っています。なお、奥山委員は1時間ほど遅 れると聞いています。榊原委員はまだ連絡がありませんので、恐らくしばらくすればお みえになると思います。それでは議事に入りたいと思います。柏女委員長、よろしくお 願いします。 ○柏女委員長  ちょうど今、児童虐待防止推進月間で、あるいはその研修会シーズンであったり大会 シーズンであったり、今、藤井家庭福祉課長からもお話がありましたように、お忙しい ところをお集まりをいただき、ありがとうございました。第4回の専門委員会を開催し たいと思います。最初に、本日お手元にお配りしている資料について、事務局の方から 確認をお願いします。 ○藤井家庭福祉課長  それでは資料の確認です。資料として「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員 会とりまとめ(案)」。それから、相澤委員から「社会保障審議会児童部会社会的養護専門 委員会への意見および児童自立支援施設のあり方に関する研究会報告書」。藤井委員から 「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ(案)への意見」をいただい ています。お手元に資料がない場合は、お知らせください。事務局よりお渡しします。 資料の確認は以上です。 ○柏女委員長  大丈夫でしょうか。それでは討議に移りたいと思います。今回は前回までの議論を踏 まえて、事務局から「とりまとめ(案)」を提示していただいていますので、これについ て議論を進めていきたいと思います。段取りは、最初に事務局からこの「とりまとめ(案)」 について一通りご説明いただき、その後、全体について一度さらいたいと思いますがよ ろしいでしょうか。一つずつ区切っていきながら、今日は2時間ありますので、全体を さらいたいと思います。よろしくお願いします。それから相澤委員、藤井委員からご意 見をいただき、ありがとうございます。適宜、その部分においてこの資料等に基づいて ご発言いただければと思います。それでは事務局よりご説明をお願いします。 ○藤井家庭福祉課長  それでは、お手元の「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ(案)」 について、説明をさせていただきます。本専門委員会としては、正式にはまだ「報告書 (案)」という形になります。今日示しているものは、いわばその前段階の「とりまとめ(案)」 ということで、まだ文章の表現あるいは修辞にわたるようなところは、決して十分に練 られているわけではありません。まだいろいろ付け加えなければならないところもある と思いますが、骨子的なところというか、特にこれから講じようとする具体的な施策の 部分については、これまでの議論を踏まえて整理してみましたので、ご意見をいただけ ればありがたいと思います。あらかた読み上げるような形になるかもわかりませんが、 ご容赦いただければと思います。  まず1ページです。「基本的考え方」として、初めの5段落目まではこれまでの経緯 を記していますので、省略させていただきます。下から3段落目には本専門委員会の基 本的なスタンスとして「本専門委員会においては、現行の社会的養護体制は、現在の社 会的養護を取り巻く状況に十分に対応できるだけの質・量を備えているとは言い難く、 その対応は緊急の課題であると考える。このため、次世代育成という観点からも、その 拡充のため、より多くの社会的資源を投入することが求められているという認識の下、 早急に対応を行うことが可能となるよう、できるだけ具体的な対応策について提案する こととした。なお、社会的養護体制については、今回のとりまとめを踏まえた対応を進 めることに加え、今後とも少子化対策全体の財源に関する議論の動向も踏まえながら、 必要な見直しを進めるべきである。また、社会的養護に関するケアの在り方や子どもの 置かれた状況についての中長期的な調査・研究の手法等についても検討を進めるべきで ある」としています。  2ページ目以降が「社会的養護体制の拡充のための具体的施策」です。1回目の専門 委員会で示した検討項目を、それ以前の検討会の中間とりまとめと比べて、さらに絞り 込んだ形で、それぞれの項目についてより掘り下げたというか、具体化に向けた議論を お願いしましたけれども、その検討項目に掲げられた項目それぞれについて、これまで の議論を踏まえて踏み込んだ記述をしてみたつもりです。  まず1番目が「子どもの状態に応じた支援体制の見直し」です。「家庭的な環境にお ける養護を一層推進するほか、子どもの年齢やその状態に応じた自立支援・生活支援や、 心理的なケア等を行う観点から、以下のような項目について施策を推進する必要がある」。 「(1)家庭的養護の拡充」は基本的な認識として「家庭的な環境の下、愛着関係を形成し、 地域の中でその個別性を確保しながら養育を行い、子どもが社会へ巣立っていくことが できるよう支援することが求められているが、現行の社会的養護体制においては、最も 家庭的な環境の下で養育を行っている里親への委託が進んでいない。また、施設におい ても個別的なケアや一定の安定した人間関係の下での養育を基本とすべきであるが、ケ ア単位が大規模であること等から十分なケア体制が整備できていない等の問題点がある。 このような問題を解決するため、里親委託を促進するとともに、家庭的な環境の下で養 育を行う新たな形態として、小規模グループ形態の住居において子どもを養育する新た な仕組みを創設する必要がある」としています。  「(1)里親制度の拡充」では「里親委託を促進し、里親を支援するための体制を拡充す る観点から、以下のような制度の充実・整備を進めるべきである」ということで、具体 的に六つの・で示しています。「『養育里親』と『養子縁組里親』を区別し、養育里親の 社会的養護体制における位置付けを明確化する必要がある」「養育里親となる者の要件に ついて、都道府県が行う研修を修めた者とするほか、欠格事由や取消要件の明確化を図 る等里親認定登録制度を見直す必要がある」「養育里親による養育を社会的に評価する額 へと里親手当を引き上げるべきである」「養育里親の研修、養育里親に関する普及啓発活 動、子どもを受託した後の相談等の業務を都道府県の役割として明確化するとともに、 マッチングのための支援等も含め当該業務の委託先として里親支援機関を創設する必要 がある。里親支援機関については、乳児院や児童養護施設、児童家庭支援センター、NPO、 都道府県里規会等地域で里親に対する支援を行うことができる機関を幅広く活用するべ きである」「専門里親についても、委託可能な児童の範囲に障害児を含める等の拡大や研 修システムの充実を図る必要がある」「施設に措置されている子どもを週末や長期休暇等 に養育里親等の家庭に短期間、定期的に預かるいわゆる『週末里親』や『季節里規』の 仕組みを拡充する必要がある」。  3ページの「(2)小規模グループ形態の住居による新たな養育制度の創設」です。こち らは「小規模グループ形態の住居における養育に関する以下の指摘を踏まえ、小規模グ ループ形態の住居において、家庭的な養育環境の下、適切な支援の質の担保を図りつつ、 一定人数の子どもを養育する事業の制度化を図る必要がある」ということで、「現在、幾 つかの地方自治体において里親が5〜6人の子どもを受託して行っているいわゆる『里 親ファミリーホーム』については、里親だけでは養育や家事等の手が十分ではないとの 指摘がある」「また、こうした多人数を委託される里親は委託された子ども同士の相互作 用を生かしつつ養育を行うことができることから、里親との1対1の関係をつくること が困難である子どもの場合でも、家庭的養護が可能となるとの指摘もある。なお、制度 化を図るに当たっては、当該事業を社会福祉事業とし、里親、施設と並ぶ子どもの養育 の委託先として、当該事業を位置付けるべきである。また、適切な養育の質を確保する ため、同事業を実施する者について、子どもの養育に関する一定の経験を有する等の要 件を課すこと、必要な人員配置として、概ね6人程度子どもが委託されることを想定し、 里親に加えて家事等の援助を行う人員を確保することや地域での連携体制の確保等を定 めることが必要である」としています。  それから「(3)施設におけるケア単位の小規模化等家庭的養護の推進」という項目を一 つ起こして「施設においても、可能な限り家庭的な環境において一定の安定した人間関 係の下での個別的なケアを実現するため、(2)においても言及するようにケア単位の小規 模化をさらに推進する必要がある。その際、必要なケアモデルや方法論についても検討 を進める必要がある」としています。  「(2)施設機能の見直し」は基本的な考え方として「子どもの抱える背景が多様化・複 雑化する中、心理的ケアや治療を必要とする子どもに対する専門的なケアや自立支援に 向けた取組、継続的・安定的な環境での支援の確保、ケア単位の小規模化を推進する必 要があるが、その際、子どもが必要とする心理的ケア等と組み合わせながら、個別的な ケアや継続的・安定的な環境の下でのケアを受けることができるよう、子どもの状態や 年齢に応じたケアが提供できるような体制とするとともに、ケア単位の小規模化を推進 するべきである。このため、施設種別にかかわらず子どもの状態や年齢に応じた適切な ケアを実施できるよう、乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設及び児童自立 支援施設に分類された現行の施設類型の在り方の見直しを検討するとともに、人員配置 基準の引き上げや措置費の算定基準の見直し等を含め、ケアの改善に向けた方策を検討 する必要がある。ただし、このような見直しを具体的に進めるためには、必要な財源の 確保が必要であるとともに、現在施設内で行われているケアの現状を詳細に調査・分析 し、その結果を十分に踏まえて、人員配置や措置費の算定の在り方について検討する必 要がある」。4ページで「したがって、厚生労働省が来年度にかけて行うことを予定して いる『施設ケアに関する実態調査』の進捗状況を見ながら、本専門委員会において、そ の具体化に向けた検討をさらに進めていくこととする。なお、当該調査の実施に当たっ ては、対象となる施設、関係団体や研究者等の全面的な協力が不可欠である。施設ケア の質的な向上につながる重要な調査であることにかんがみ、施設におけるケアの現状が 十分明らかになるよう、本専門委員会としても各関係者の協力を強く期待する。また、 施設類型の見直しに当たっては、障害者自立支援法附則第3条の規定に基づく見直しが 障害児施設について行われることを踏まえ、その動向に十分留意しながら検討を進める 必要がある。上記のような検討を進めるとともに、施設における専門機能の強化や自立 支援策の強化を図るため、以下のような対応を進める必要がある」ということで、4点 ほど挙げています。  一つが「基幹的職員の配置等により、自立支援計画の見直しとその進行管理を適切に 行うとともに、関係機関との連携を図りつつ、児童指導員と心理療法を担当する職員等 の専門スタッフによるチームケアを行うことができる体制を整備する必要がある」「心理 的ケアや治療を必要とする子どもに対し、特に医療機関等との連携を強化するため、そ れぞれの施設における専門スタッフの強化等体制整備を図る必要がある」「施設入所中か ら、施設退所後までを見据えた自立支援に資するケアを計画的に実施する必要があるほ か、ケア単位の小規模化については、子どもの自立支援の観点からも有効な手段である ことを念頭においた検討が必要である」「地域の中における施設の役割の充実を図り、入 所中や退所後の家庭に対する施設からの支援を強化するほか、里親に対する支援を強化 するため、養育里親の研修、子どもを委託する養育里親へのレスパイト・相談等の支援 等を担う里親支援機関について、乳児院、児童養護施設が自ら受託することや、同機関 との連携を図ることを、積極的に検討すべきである」「なお、児童自立支援施設における 学校教育の実施については、既に平成9年の児童福祉法の改正により、児童自立支援施 設に入所する子どもにも学校教育を実施することを義務付けられたところであるが、未 だ多くの都道府県で実現されていない。このため、各都道府県の福祉部局から教育委員 会に積極的に働きかけるほか、国においても厚生労働省と文部科学省で連携を図り、児 童自立支援施設に入所する子どもが学校教育を受けられる体制を早急に整える必要があ る」。この最後のところは、特に遅れているところですので言及をしています。  次に「2.社会的養護に関する関係機関等の役割分担と機能強化及び地域ネットワーク の確立」です。基本的な認識として「子どもに対する適切かつ継続的なケアを行うため には、施設や里親、児童相談所、その他の関係機関の連携を図ることが必要であるほか、 親子分離まで至らないケースや家庭復帰後の支援など、地域において家庭を支援するこ とのできる体制を整備することが求められる。しかしながら、現段階ではこのような体 制は十分ではないと考えられる。このため、関係機関の適切な役割分担と連携強化を図 るとともに、地域において家庭支援を行う体制を強化するため、以下の施策を推進する 必要がある」。  「(1)児童相談所のアセスメント機能等の強化」です。「一時保護を含めた児童相談所 におけるアセスメント機能の充実強化、里親・施設に措置された後の継続的なアセスメ ントとこれに基づくケアを提供することを目的として、児童心理司も含め児童相談所の 体制を強化するとともに、以下の事項についてその標準化を図るため、指針を作成する 必要がある。なお、その際には、既存の研究成果等も十分活用しつつ作成する必要があ る」「一時保護の際のアセスメントの在り方」「措置する際に施設・里親に送付する資料」 「施設や里親への入所・委託中の援助方針の策定、自立支援計画の作成とそれらの見直 しの時期やその手法及びその際の施設等との役割分担」「措置解除を検討する際の保護者 や地域の支援体制に関する適切な評価方法及び施設等との役割分担」「また、一時保護に ついては、生活環境を改善するほか、適切なケアを行うことができる体制について検討 する必要がある」としています。  それから「(2)家庭支援機能の強化」です。「在宅で生活を続ける場合や親子分離を行 った場合における家庭復帰後の子どもの健やかな育ちを支援するためには、保護者指導 を中心とした家庭支援が重要であり、その推進を図る必要がある。このため、児童福祉 司等の人員の確保やその質の向上など児童相談所自体の体制を充実する必要がある。こ れに加え、児童相談所が関係機関と役割分担を図りつつ、保護者指導を行う体制として、 児童家庭支援センターを積極的に活用するとともに、他の一定の要件を満たす機関に対 しても保護者指導の委託を可能とする措置を講じる必要がある。また、児童相談所との 役割分担・連携を担い、家庭支援を行う拠点を増加させるため、施設に附置される場合 だけではなく、一定の要件を満たす医療機関やNPO等、地域で相談支援等を行ってい る機関が児童家庭支援センターになることを可能とすることも有益である」。また「母子 生活支援施設は、母子の関係に着目しつつ生活の場面において母子双方に支援を行う施 設であり、その特性を生かし、母親と子どもの関係性に着目した支援プログラムの研究 を進める等母子生活支援施設の機能強化を図るほか、入所時や入所中の福祉事務所と児 童相談所・婦人相談所との連携を強化する必要がある。さらに、地域における家庭を支 援するためには、住民に身近な市町村の体制整備を図る必要があることから、子育てに 関する情報提供や育児に関する必要な助言等を行うための生後4カ月までの全戸訪問事 業や育児支援家庭訪問事業等の子育て支援事業を幅広く推進し、虐待等の予防にも資す る取組を進める必要がある。また、要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネット ワーク)について、調整機関に一定の専門性を有する者を配置する等の機能強化を進め、 併せて都道府県においても市町村職員に対する研修等の支援を行うなど、市町村の体制 強化を図るための措置を講じることが重要である」。  続いて「3.自立援助ホームの見直し等自立支援策の拡充」です。「社会的養護の下で育 った子どもは、施設等を退所し自立するに当たって、保護者等から支援を受けられない 場合も多く、その結果様々な困難に突き当たることが多い。このような子どもたちが他 の子どもたちと公平なスタートを切れるように自立への支援を進めるとともに、自立し た後も引き続き子どもを受け止め、支えとなるような支援の充実を図るため、以下のよ うな事業の見直し等を進めるべきである。なお、ここでは年長児の自立支援策を中心に 記述しているが、自立支援については、在宅支援の段階及び措置されている間から、退 所後の社会的自立までを見据えて、関係機関がそれぞれ連携し、継続的なケアを行い得 る体制の構築が求められるものである。また、年長児の自立支援策と青少年施策との連 携を進めるほか、現行制度における満20歳に達するまで措置を継続する仕組みについ て、子どもの状況を踏まえつつ、より積極的な活用を図るべきである」。  その上で・が二つ並んでいます。一つは自立援助ホームについて児童養護施設におけ る高校進学率が9割となる等高学歴化が進み、子どもが自立する年齢が上がってきてい る現状を踏まえ、施設退所者等のうち、高校卒業後の者であっても一定期間自立に向け た支援を行うことが可能となるよう、満20歳未満の者まで対象を広げることを検討す る必要がある。また、年長児の自立支援は社会的養護における最も重要な課題の一つで あるため、子どもの主体性を尊重する観点からも子どもが都道府県に対し申込みを行う 仕組みとするほか、児童自立生活援助事業の提供(委託)を都道府県に義務付けることも 検討する必要がある。さらに、現在の補助金による財政的支援ではなく、国や県による 財政的負担により、より確実な財政支援を行うことができる方策を検討する必要がある」。  もう一つは「施設を退所した子ども等の自立生活や就労を継続するための支援を行う ため、生活や就労に関する相談や自助グループによる相互の意見交換等を行う拠点事業 を創設し、自立援助ホームや児童家庭支援センター、NPO等の様々な地域資源を当該拠 点として活用することにより、それぞれの地域の事情に応じた積極的な取組を進めるべ きである」としています。  「4.人材確保のための仕組みの拡充」です。「社会的養護の質を確保するため、以下の ような施策を推進することにより、その担い手となる職員及びその専門性を確保すると ともに、計画的に育成するための体制を整備する必要がある。なお、社会的養護に関す る資格の在り方については、今後、保育士の専門性や質の向上等の在り方を検討する際 に併せて検討する必要がある」としています。  三つ並べていますが、一つは「(1)施設長・施設職員の要件の明確化」「施設長・施設 職員の任用要件を明確化・適正化する必要がある」。二つ目が「(2)基幹的職員(スーパー バイザー)の配置、養成の在り方」「施設において組織だったケアを行い得るようにする とともに、人材育成が可能となるよう、自立支援計画等の作成・進行管理、職員の指導 等を行う基幹的職員の配置を義務付ける必要がある。基幹的職員については、施設にお ける一定の経験を有する者等のうち、一定の研修を受けた者とするべきである」。三つ目 が「(3)国及び都道府県の研修体制の拡充」です。「都道府県において作成する整備計画 に必要な人材を確保するための方策を記載し、これに基づき社会福祉法人間等の人材交 流ができるシステムや研修体制を整備することを含め、計画的に人材育成を進めること が重要である。国において作成する指針(都道府県計画の作成のための指針)にも人材育 成に関する事項を盛り込むほか、国は、人材育成のためのカリキュラムの作成や都道府 県で人材育成を担う指導者に対する研修を実施する必要がある。この際、カリキュラム については、5.にあるような子どもの権利擁護の観点に十分配慮したものとするべきで ある」ということです。  それから「5.措置された子どもの権利擁護の強化とケアの質の確保のための方策」で す。「社会的養護の下にいる子どもたちは、措置によりその生活が決定されること等を踏 まえ、また、近年起こっている施設内虐待等に対応するため、下記のような施策を講じ ることにより、子どもの権利擁護の強化、ケアの質の確保を図る必要がある」。  「(1)措置された子どもの権利擁護を図るための体制整備」です。「客観性・専門性を 有し、子どもの措置に関する一定の権限を有する機関である都道府県児童福祉審議会の 調査審議事項として、措置された子どもの権利擁護に関する事項を明確化するべきであ る。具体的には、都道府県児童福祉審議会に子どもが意見を述べることができること、 調査のため必要に応じて関係者に対し資料の提出及び説明を求めることができることと するほか、当該機関が都道府県に対し、子どもの権利擁護に関し講じるべき措置につい て意見を述べることができること等とする。このような仕組みについては、子どもが意 見を述べやすい仕組みとするとともに、安心して子どもが意見を述べることができるよ う、意見を述べた後も子どもの権利が守られるような仕組みとすることが必要である。 このほか、苦情解決の仕組みとして、施設における第三者委員の設置の推進や社会福祉 法に基づき都道府県社会福祉協議会に設置された運営適正化委員会の活用等を図ること が必要である。さらに、自立支援計画の作成や見直しの際に子どもの意見を聞くほか、 子どもが自分の置かれた状況を可能な限り理解できるように説明をする等、子どもの意 向を踏まえた支援となるよう、さらに運用面での改善を進める必要がある」としていま す。  それから「(2)監査体制の強化等ケアの質の向上のための取組の拡充」です。「都道府 県において、第三者を加えた監査チームを編成する等により、ケアの質について監査で きる体制を整備するとともに、国においても、監査マニュアルの見直し、標準化を進め るべきである。また、養育に関する都道府県、施設、里親の責任の明確化を図る必要が ある。このほか、各施設における自己点検・自己評価やその結果の公表等の仕組みの導 入について検討するほか、第三者評価の受審について引き続き推進する必要がある」と しています。  「(3)施設内虐待等に対する対応」です。「被措置児童に対する児童養護施設等職員や 里親による虐待等に対応するため、児童養護施設等職員、施設長、一時保護所の職員、 里親が行う身体的暴力等を施設内虐待等と位置付け、以下のような対策を講じる必要が ある。また、子ども同士の身体的暴力等を施設職員等が放置した場合は、虐待(ネグレク ト)として位置付けることも検討する必要がある」として幾つか並べています。  まず「施設内虐待等を受けた子どもによる都道府県への届出」「施設内虐待等を発見し た場合の職員等の都道府県への通報義務や第三者の通報に関する努力義務」「届出をした 子ども及び通報した職員等に関する都道府県の秘密保持義務」「通報した職員等に対する 施設による不利益取扱いの禁止」「届出、通報があった施設等に対する立入調査、質問、 勧告、指導、業務停止等の処分及び子どもの保護等都道府県が講じるべき措置の明確化」 「施設内虐待等に関する検証・調査研究、都道府県による施設内虐待等の状況等に関す る公表」「上記に加え、子どもの届出や職員等の通報については、(1)に記載した都道府 県児童福祉審議会に届出等を可能とする。さらに、施設内虐待等が明らかになった後、 都道府県は当該児童養護施設等に入所する子どもへの適切なケアを確保するとともに、 施設の運営改善に向けた助言・指導を継続して行う等施設内虐待等が再び起こることが ないよう対応する必要があるほか、このような取組に対し、当該児童養護施設等や関係 団体はできる限りの協力を行う必要がある」としています。  その次の段落は、こういった施設内虐待に対する対応について、制度の枠組みを作る だけですと現場が混乱するという可能性も多々ありますので、そういった施策が施行さ れるまでの管理について、下から2行目に書いています。「具体的な対応方法について、 その全国的な共有化を図るため、国において各都道府県における施設内虐待等の事例や 具体的な取組等を収集・分析し、その結果を踏まえて、各都道府県における対応方法に 関するガイドラインを作成する必要がある」としています。  最後の「6.社会的養護体制の計画的な整備」は、いわば量的な整備の部分です。「要保 護児童に対し適切な支援を行い得るような社会的養護の提供量を確保するという観点か ら、里親や小規模住居における養育事業、施設、自立援助ホーム、児童家庭支援センタ ー、一時保護所等の供給体制や質の確保策、人材確保・人材育成のための方策及び児童 の権利擁護のために講じる措置等について計画的な整備とその質の向上が図られるよう、 都道府県において社会的養護体制の整備やその質の向上のための計画を作成する必要が ある。なお、計画の策定に当たっては、虐待予防に資する事業や子育て支援事業等、市 町村が実施する事業との関連性も十分に考慮し、市町村と連携を図りつつ作成すること が重要である。国においては、都道府県が計画を策定するに当たっての基本指針を作成 する必要がある。その際、都道府県計画に盛り込まれるべき具体的な社会的養護の必要 提供量の算定方法に関する考え方を示すことが有用である」。  少し長くなりましたが以上です。 ○柏女委員長  これまでの議論をコンパクトにまとめていただいて、ありがとうございました。  それでは、この「とりまとめ(案)」について、残された時間で検討していきたいと思 います。前回、全体をおさらいしたときに取った方法と同じで、「基本的考え方」と1 番、そして2〜4番、最後に5〜6番という流れで分けていきたいと思うのですがよろし いでしょうか。ありがとうございます。そして、できたら最後に10分くらいの時間を 取って、全体についてもう一度補足的なご意見をいただく時間を取りたいと思います。 そうしますと、今から6時までは90分ありますので、各セクションに20〜25分くらい の時間があると思います。大体そのくらいの見当で進めていきたいと思いますが、よろ しいでしょうか。なお、今回の専門委員会の「とりまとめ(案)」は、先ほど藤井家庭福 祉課長にお読みいただいた1ページの下から二つ目の段落にありますように「早急に対 応を行うことが可能となるよう、できるだけ具体的な対応策について提案することとし た」ということですので、こうしたことも踏まえてご意見をいただきたいと思います。  それでは「基本的考え方」と「1.子どもの状態に応じた支援体制の見直し」のところ について、具体的には1ページから4ページの下段、2の手前までについて、どなたか らでもどこからでも結構ですので、ご意見をいただきたいと思います。では、木ノ内委 員、藤野委員の順で。 ○木ノ内委員  確認なのですが「(1)里親制度の拡充」の二つ目の・で「研修を修める」あるいは「欠 格事由や取消要件の明確化を図る等里親認定登録制度を見直す」ということは、国が示 すということをぜひやっていただきたい。ここに具体的に書くことは難しいと思うので すけれども、今の段階ですと研修の水準などが地域によってばらばらなのです。専門里 親はきちんと決められていますが、あのような形である程度国に示していただかないと、 地域によってばらばらな取り組みになる恐れがあるので、できれば研修について一定程 度の水準を示していただきたいと思います。  それから、専門里親について委託可能な児童の範囲の拡大ということですが、これは 心身障害の児童と考えていいのかどうかということをご質問したいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございました。今のことは、まず都道府県が行う研修について、国が一定 のガイドラインを示す必要があるだろうということですね。 ○木ノ内委員  そうです。 ○柏女委員長  これについては、後ろの方にあります「6.社会的養護体制の計画的な整備」の中で、 質の担保を図るということもテーマに入っていて、国がそのためのガイドライン、基本 指針を作るということになっていますから、恐らくこの中にそういうことも含めていけ る形になるのではないかと思いますので、これは事務局の方で十分に書き留めておいて いただきたいと思います。 ○木ノ内委員  わかりました。 ○柏女委員長  それから、2点目の障害児という点についてどのような範囲を含むのかということで すが、何か事務局でお考えがありますか。 ○藤井家庭福祉課長  特段何か、例えば知的障害児だけなどということはとりあえずありませんが、また具 体的にどのような進め方をするのか、まだ詰めた議論はしていませんので、そこはもし ご意見がありましたらいただいて検討します。 ○柏女委員長  何かご意見は。 ○木ノ内委員  実は里親の中で障害を持った子どもの養育をしている里親が非常に多くいます。現実 には大変苦労しながら手探りでやっているということを含めますと、私は専門里親の領 域というか、知識やスキルを持っていないと対応できないことが非常に多いと思います。 特に精神的な発達障害などの傾向を持っている子どもたちが非常に多いものですから、 そういう意味では極力、専門里親の範囲に入っていただいて、手当の面でも報いていた だきたいし、勉強する機会もぜひ設けていただきたいと思っています。 ○柏女委員長  そうしますと、特に障害ということについて限定付きではなく、ここで幅広くとらえ るということですね。 ○木ノ内委員  できれば、そうです。 ○柏女委員長  わかりました。ありがとうございます。  では藤野委員、どうぞ。 ○藤野委員  まず「基本的な考え方」のところで、ここの下の方で先ほどあったように、確かに財 源問題があって、なかなかお金がないからできないというところがあるのですけれども、 この委員会としての意見ということからすると、財源問題まで我々が議論をする立場に はないと思います。「本専門委員会においては、現行の社会的養護体制は、現在の社会的 養護を取り巻く状況に十分に対応できるだけの質・量を備えているとは言い難く、その 対応は緊急の課題であると考える」という、そこは本当に現場は大変な状況なので、そ ういう意味では、例えば30年間変わっていない児童福祉施設最低基準をはじめとする、 そういうものを早急に変える必要があるのだということを、基本的な考え方の中にやは り入れるべきだと思います。例えば未来を担う子どもたちに対して、社会保障費に占め る割合が、保育園なども含めて、わずか3.6%にまで落ちているわけです。そういう状 況から由々しき事態であるということを、「基本的考え方」の中では、やはり言っておく 必要があるのだろうと私は思います。それが一つです。  それともう一つ、3ページの(3)が加わったのはうれしいのですけれども、施設におけ る小規模化等家庭的養護の推進ということで、それこそ実際の施設の現状から言うと、 例えば児童養護施設については70%ぐらいが大舎で、それから進んでいないわけです。 これは、例えば全国児童養護施設協議会等をはじめとする、当事者である施設はずっと 推進してきているのですけれども、そういう小規模ケアや地域小規模などは、定員外あ るいは1カ所などという形でしか行政として認めていないわけで、その辺ではやはり本 気で進める気持ちがあるのかどうかということも含めて、もう少し豊富化してほしいと 思います。  それと「施設機能の見直し」については、ここでは今後検討を深めていくというふう になっていますので、その点では、例えばこの委員会は続けられるのかどうかというこ と。これは要するに、今後そういうことの調査も含めて、さらに議論を深めていくとい うことになるだろうと思いますが、その辺のことをよろしくお願いしたいと思います。 ○柏女委員長  藤野委員の第1点目のご指摘は1ページの下から三つ目の段落のところで「緊急の課 題」と書いてあって、今回はそのうち早急に対応を行うことが可能になるように、そち らの問題に焦点を特化して具体策を提案するという形にしたけれども、財源の投入の問 題あるいは最低基準をはじめとして早急に改善すべきだということを、やはりしっかり と書いておくべきではないかというご意見がありました。これについては、事務局では 何かありますでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  ご意見を踏まえて、少し書き直しをしてみます。 ○柏女委員長  わかりました。ありがとうございます。  それから二つ目ですが、3ページの(3)は、藤野委員にはこれについて少しご意見・ご 要望をいただいたということでよろしいでしょうか。表現ぶりはよろしいのでしょうか。 ○藤野委員  はい。 ○柏女委員長  それから三つ目が4ページの2行目に「本専門委員会において」と書いてあるので、 メンバーはどうかわかりませんけれども、恐らくこの委員会の継続はするのではないか と思います。これは、事務局の方ではどのようにお考えですか。 ○藤井家庭福祉課長  まさに書かれている通りで、事務局として、ここの部分は率直に申して、財源の問題 もまた書いてある通りです。やはり配置基準あるいは措置費の算定基準を考えるに当た っては、実際に今それぞれの施設で、特に子どもから見て、どんなことがどんなふうに、 どれぐらいの量、どれぐらいの質で行われているかという、まず実態をきっちり把握す ることがどうしても必要ではないかと考えています。従って、その辺りの調査をやって いく。その結果等を踏まえて、さらに施設体系の在り方を含めて施設機能の見直しをご 検討いただければありがたいと思っています。その場として本専門委員会はまさに、確 かに柏女委員長がおっしゃるように、このままなのか、あるいは何かワーキングみたい なものが必要なのか、その辺はまた追ってご相談ですけれども、基本的にはこの専門委 員会はそのまま置かせていただいて、引き続きご検討いただければありがたいと思って います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。藤野委員は、それでよろしいですか。 ○藤野委員  すみません。先ほどの(3)はこの表現でいいと言いましたけれども、やはりもう少し具 体的に。例えば小規模ケアや地域小規模などを定員内で複数する等の具体的な施策が必 要であるぐらいの。この委員会での意見としては、できたらもう少し豊富化してほしい と思いますが、いかがでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  少し考えてみますが、私どもとしては、小規模化をどのような段取りでどんなふうに 進めていくのかということも、(2)に書きました「施設機能の見直し」全体の枠で考えて いかざるを得ないのかなとも思います。配置基準あるいは措置費の算定基準にしても、 実際には、やはり小規模化の流れと一緒に考えないと全体として整合性の取れたものに はならないのかなと思っていますので、そういう意味では「施設機能の見直し」の中で そこも読み込んでいるようなつもりで整理しているつもりです。いずれにしても、今の ご意見を踏まえて考えてみます。 ○柏女委員長  わかりました。あまり詳しく書いてしまうと今後の施設再編の見直しに、また影響を 与えてしまうということもあると思いますので、よろしいでしょうか。  では豊岡委員の次に庄司委員ですね。 ○豊岡委員  私は、まず家庭的養護。養育家庭の問題ですけれども、里親制度の拡充はぜひにと思 っていますが、先ほど木ノ内委員からお話がありました欠格事由、取り消し要件は具体 的に示していただければありがたいと思っていること。あとは、現在の里親の支援機関 ということでここに記載されていますが、東京都では、これまであった支援センターを いろいろ改装してきたという経緯もありますので、ぜひ都道府県が実証あるいは新たに 委託する等研修も含めて、いろいろと事業を展開するに当たっては、これまでと同様の 国庫補助のようなものが継続を何とかお考えいただければありがたいと思っています。  それと専門里親は、先ほどご指摘がありましたように知的障害ということだけではな くて、今、新しい発達障害等を含めて、この辺が対象になっていくようなとらえ方がで きる方が私も非常にありがたいと思っています。  それと、東京都ではファミリーホームということで、現在11家庭があるのです。社 会福祉事業として位置付けるということなのですが、東京都の場合には、実は4人から がファミリーホームの要件です。従って多分社会福祉事業と位置付けていったときに5 人などといろいろ出てくるのではないかと思います。この11のご家庭がどういう意向 かということもありますが、この移行期間というか、準備期間なりの調整もありますの で、その辺のご配慮というか、期間的なもの。それから、一度委託をしている今の子ど もが出るまではいいというようにいろいろとあると思うので、細かいところは今日は触 れませんけれども、円滑な移行や選択などができるようなご配慮をぜひお願いしたいと 思っているところです。  それから「(2)施設機能の見直し」のところです。特に現在児童養護施設等も児童自立 支援施設も、知的障害を持つ子どもが結構入所しているという状況もありますので、そ の辺を踏まえた施設類型の検討あるいは人員配置、措置費の算定など、その辺をぜひご 考慮いただければありがたいと思っています。心理的ケア、治療的ケアの医療機関との 連携ということですけれども、ぜひその辺も専門スタッフはどういう職種が必要なのか など、その辺までご検討いただければありがたいと思っています。 ○柏女委員長  ありがとうございます。この提言そのものというよりは、これを実施していくに当た ってのご意見ということで、非常に大事な点を幾つもご指摘いただいたと思います。そ うした点を踏まえて、この提言を政府で実施していただくときにご留意いただきたいと いうことで、ご意見を賜りたいと思います。ありがとうございました。  では庄司委員、どうぞ。 ○藤井家庭福祉課長  1点だけ。 ○柏女委員長  どうぞ。 ○藤井家庭福祉課長  ファミリーホームについて、豊岡委員がおっしゃるように、社会福祉事業に位置付け るとなると基本的な社会福祉法の社会福祉事業たるものの要件ということで、対象者5 人以上というのが確かにあります。もちろん現行の社会福祉事業の枠組み自体を変える、 変えないの議論もあるだろうと思いますが、現在のところは社会福祉事業の大原則です ので、基本的にはそれに従ってこのファミリーホームも設計をするということになりま すと、確かに5人以上という枠がはまってきます。そこをどうするのかという議論もあ るだろうと思いますし、私どもはもう少しいろいろなことを詰めていかなければいけな いと思いますが、いずれにしても豊岡委員がおっしゃるように、少なくとも実際に今や っていらっしゃる方は引き続きやっていただけるような格好にはする必要があるのでは ないかと思いますので、この移行措置というのか、経過措置のようなことはしっかり詰 めていきたいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございました。本当に現場で厳しい条件の中で一生懸命やっている方がい らっしゃるので、その方々の熱意というものが生かされるような形でお願いしたいと思 います。  それでは庄司委員、どうぞ。 ○庄司委員  2点あって、1点目は藤野委員の発言で気が付いたという感じがするのですけれども、 この文章の語尾を見ると、ほとんどが「必要である」「検討する必要がある」などという ことで、必要性はよく認識しているけれども、専門委員会の提言として、それだけでは 少し弱くないか。表現をどのようにしたらいいのかはわかりませんけれども、そんな感 想を持ちました。  2点目は今の豊岡委員のお話とも関係しますが、この「小規模グループ形態の住居に よる」というのが、社会福祉事業となった場合のイメージが少しわきにくくて、要する に里親がやるのか、職員としてやるのか。里親の場合には労働基準法も関係なく24時 間。ただ、社会福祉事業となった場合に、そういったことも可能になるのかどうかとい うようなことの見通しはいかがなのかと思います。 ○柏女委員長  最初のご意見については、実施すべきであるという表現もありますので、これは事務 局で少し精査していただいて、やるものについてはやるという形で書くということにさ せていただこうかと思います。  それから2点目のことですけれども、3ページ目の二つ目の・の後に「なお、制度化 を図るに当たっては」と書いてある。この辺のところについて、少し事務局からイメー ジのご説明をしていただいてもよろしいでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  基本的にはご提言いただいたような、法制的なところも含めて詰めていくということ になりますので、私どももまだ十分局内、課内でも議論が出ているわけではありません が、基本的には必ずしも社会福祉法人ということではなくて、個人あるいは個人の集合 というか、複数の個人が子どもの養育を受託するような仕組みです。社会福祉事業とい えども個人が受託できないわけではありません。従って一つの典型的なパターンで申し ますと、まさに今の、里親のご夫婦が里親ファミリーホームの受託を受けると。ただ里 親と違うのは、例えば3人目の家事等を手伝う職員というのを、そこに張り付けること が義務となるなど。社会福祉事業ですので、これはいわば職業としてやっていただくよ うな格好になりますから、今のような里親手当という格好ではなくて、まさに事務費・ 事業費、措置費という格好で運営費が出されてくるということになるのではないかと思 います。従って里親ファミリーホームで言えば、切り替わった時点で里親ということで はなくて、まさに事業。一つの職業としてやっていただくような格好にはなるのかなと 思っています。 ○柏女委員長  よろしいですか。先ほど庄司委員から労働基準法適用うんぬんのお話がありましたけ れども、それについては。 ○藤井家庭福祉課長  そのような格好であれば、特段労働基準法との関係は問題がないと思います。まさに ある意味では、先ほど申し上げたような里親ファミリーホームが移行するようなパター ンで考えますと、ご夫婦にとってみれば自分の家庭の中に子どもを受け入れるというと ころは基本的に変わらないわけです。特段誰かと使用・被用の関係になるわけではあり ませんので、労働基準法の関係は特段問題にならないと思います。  ただ、それがさらに事業の対象者というか、事業を実施する方をどこまで認めるかと いうのが、やはり別の議論としてあります。例えば社会福祉法人がやる場合、あるいは NPO法人がやる場合など。例えば社会福祉法人との関係で養育受託者が仮に被用者の立 場に立つとすれば、そこにはまた労働基準法が介在してくる余地も出てきますので、そ こはさらに私どもも詰めた整理をしたいと思っています。 ○柏女委員長  よろしいですか。ありがとうございます。  それでは、どうしましょう。相澤委員が早かったのかな。それから大塩委員、奥山委 員、木ノ内委員、藤野委員ということでよろしいでしょうか。今度は次にも移りたいと 思いますので、なるべく手短にお願いできればと思います。 ○相澤委員  「基本的な考え方」のところで、実際に施策を推進するという意味の報告書というこ ともあるだろうと思いますが、やはり現場の子どもたちや職員に対するメッセージとい うこともありますので、現場で非常に苦慮をしていることに対して我々が認識している という言葉が報告書の中に出てくるように、そういうことを考えて書いていただくと非 常にありがたいと。そういう意味で、そういうものを少し「基本的な考え方」の中に盛 り込んでいただくとありがたいと思います。  それから里親制度のところで、やはりこれだけいろいろな施策を拡充するのであれば、 来年4月からNHKで里親についての連続ドラマも放映されるようですし、中間取りま とめにおいても、国民運動を進めるということがありますので、きちんとした広報啓発 としてキャンペーンのようなものをやるようなことについて、盛り込むことができたら、 それも書いていただきたいと思っています。  それから3ページの「施設におけるケア単位の小規模化等家庭的養護の推進」で、「そ の際、必要なケアモデルや方法論についても検討を進める必要がある」ということです けれども、私は多様な地域小規模施設化、例えば乳児院や情緒障害児短期治療施設など でもできるように運営主体についても、もう少し弾力化するということについて(本日 配布した資料の図を参照して下さい。)以前発言しましたが、ここの中にきっと盛り込ま れていると思いますが、それが少しわかりやすく具体的に表現できるのであれば表現し ていただきたいと考えています。  それから「施設機能の見直し」の中で、現場で非常に苦悩しているところで一番手当 をしてあげなくてはいけないのは、やはり夜間の体制で、どうにかしなければいけない と思います。施設再編ということも当然考えていくべきですが、その間、やはり頑張っ ている現場の方々に対する手当みたいなものを考えていかなければいけないと思います ので、夜間体制の拡充ということで、例えば里親や学生ボランティアの活動なども考え られると思います。もし書けるのであれば、夜間体制の拡充についても書いていただく とありがたいなと思っています。 ○柏女委員長  ありがとうございます。一つ一つ検討していく時間的な余裕がないので、ご意見を随 時いただいて、加筆・修正について事務局にお考えいただくという形にしたいと思いま す。  それでは大塩委員ですね。 ○大塩委員  3ページの「(2)施設機能の見直し」の2段落目の「このため、施設種別にかかわらず 子どもの状態や年齢に応じた適切なケアを実施できるよう」というところにいろいろと 施設の名前が並んでいるのですけれども、そこに母子生活支援施設が抜けています。「施 設類型の在り方の見直しを検討するとともに」のところで述べているのだなと思います けれども、母子生活支援施設の子どもたちはDV被害児童であったり、被虐待児であっ たり、発達につまずきがある子どもたちもたくさんいますので、やはり子どもの養育を 支援していく施設ですから、ぜひここに母子生活支援施設も入れていただきたいという お願いです。以上です。 ○柏女委員長  母子生活支援施設は本当に子どもたちの生活施設もありますので、入れていくという ことでよろしいですね。 ○藤井家庭福祉課長  これは正直、位置付けをどうしようかと随分と迷ったところです。5ページの「家庭 支援機能の強化」というところに、母子生活支援施設を一段落設けてあります。だから ポジションというか、こういったことでも書く場所として「施設機能の見直し」のとこ ろに入れてもいいのかもわかりませんが、そんなことを含めて少し整理をしてみます。 ○柏女委員長  もちろん「家庭支援機能の強化」にも入っていいと思いますけれども「施設機能の見 直し」の中にあった方が、やはりより幅広な見直しができるような気がしますので、ご 検討いただければと思います。 ○大塩委員  ぜひお願いします。 ○柏女委員長  では、奥山委員でしたでしょうか。 ○奥山委員  しばらく出席できませんでしたし、本日も遅れての出席となり、浦島太郎のような状 況でお話をさせていただくので、これまでの皆様のご意見と重なっているなどいろいろ なことが出てくるかもしれません。その時には申し訳ありません。  最初の二つはすぐにお答えいただくことではないのですが、少し文章的にわかり辛い 点があると思います。例えば2ページの「家庭的養護の拡充」で、「里親への委託が進 んでいない」とありますが、「委託が進んでいない」とはどういうことなのかという感じ になってしまうので、「委託が増加していない」ということを明確に書いた方がいいので はないかと思います。それから似たようなところでいけば、4ページの真ん中辺りに「基 幹的職員」とあって、後まで読むと、これはスーパーバイザーのことだとわかるのです けれども、やはり最初に出てきたときにスーパーバイザーのことであるというカッコを 付けてほしいと思います。そういったわかりやすい文章にしてほしいというのが一つで す。  それから、どなたかおっしゃったかもしれませんが、里親のことでは実親とのかかわ りというのがかなり問題になってくるので、そこをどうするかという辺りは、できれば 入れておいてほしいと思います。  「施設機能の見直し」で3ページの下から5行目の「人員配置基準の引き上げや措置 費の算定基準の見直し等を含め」というところは、今まで委員会で相当議論してきた中 で、やはりケアの質に合わせた変化をするべきであるということを検討してきているの で、ケアの質に合わせて人員配置の基準や措置費の算定基準や何かを変化させるという ことを明確にしてはいかがかと思います。一律全部をただ上げればいいというものでは なくて、やはりそこにきちんとした基準を設けて上げていくべきであるということを入 れてほしいという意味です。  それから4ページの一番上に「施設ケアに関する実態調査」とありますけれども、実 態調査だけでは今後どうしていいかというのはなかなか出てくるものではないと思いま すので、実態調査やケアの在り方に対する研究と入れていただいた方がいいのではない かと考えます。ケアをどうするのかということがあって、初めて施設機能の見直しが出 てくるのではないかと思います。  それから、その後に「また、施設類型の見直しに当たっては、障害者自立支援法」う んぬんとあります。私が不勉強ですみませんが、これを読んだだけではこの意味があま りよくわからないということがあって、どういう意味なのか、もう少しご説明をいただ ければと思います。  それから四つ目の点で始まる部分の「入所中や退所後の家庭に対する施設からの支援 を強化するほか」というのは、家庭だけではなくて退所した子ども自身への支援も強化 していくべきであると思います。以前からかなり申し上げていた実家機能ということも 含めて、家庭だけでなくて、子どももというか、大人になっているのかもしれないです けれども施設を退所された方への支援ということも入れてほしいと思います。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございます。とても貴重なご意見をいただきました。そして、4ページの 障害者自立支援法の関係の障害児施設類型の見直しについて、事務局で少しご説明をし ていただいてよろしいでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  申し訳ありません。まだ当の障害者自立支援法の見直しの方がまだはっきりとわから ないのですけれども、この附則第3条では障害児施設の施設類型等について見直すよう なことになっています。向こうは障害児施設であるから当然障害児がいるわけですけれ ども、こちらの社会的養護の関係施設にもやはり障害児がいるわけです。まだ全くその 中身がわからないので言いにくいところがあるのですが、向こうがそろそろ見直しの議 論に入ってきますので、そこで障害児施設がどうなるのかということもよく見ながら、 横目で見ていかなければいけないと思います。ちなみにこの障害者自立支援法の附則第 3条は「政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律及び障害者等の福祉に 関する他の法律の規定の施行の状況、障害児の児童福祉施設への入所に係る実施主体の 在り方等を勘案し、この法律の規定について障害者等の範囲を含む検討を加え、その結 果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とされていて、少し歯切れの悪い書き方 しかできなくて申し訳ありません。  今、奥山委員がおっしゃった幾つかの点について、例えば「施設機能の見直し」、3ペ ージの下から5行目辺りの「人員配置基準の引き上げや措置費の算定基準の見直し」等 にいては、まさにおっしゃる通りです。私どもも間違いなく、どんな施設も皆同じよう に配置基準が上がるということはまず考えられないと思いますので、そこはおっしゃる ような趣旨を踏まえて、少し主文を考えたいと思います。  それから、その次の4ページのケアの在り方の研究というところですが、ここは私ど もの気持ちとしては、調査は実態調査ですので、それも踏まえて、まさに今後のケアの 在り方という意味では、それがどう人員配置基準あるいは措置費の算定基準に反映され ていくのかということも踏まえて、本専門委員会で検討していただくのかなという頭の 整理をしています。そこはそのようなことでよろしいでしょうか  それからもう一つ、前後して申し訳ありません。里親の実親とのかかわりのところで すが、これは2ページのところに、何か具体的にどうすればいいかということを入れる ということでしょうか。例えば、どんな具体策を書けばいいのかということは、これま であまり議論がなかったような気がしますので、何かありましたら。 ○庄司委員  こちらに振られましたので、文章としては後でまた提示したいと思いますけれども、 本来的に里親制度というのは、ある期間預かって可能ならば実親の元に帰すというもの で、そこは養子縁組とは違うわけです。やはり今、社会的養護の下にいる子どもはほと んど親がいるわけですよね。里親もそういった意味では同じように、実親とのかかわり も避けて通れないと思いますので、少し相談をして文章を提示したいと思います。 ○柏女委員長  よろしくお願いします。  では木ノ内委員、どうぞ。 ○木ノ内委員  五つほどあるのですが、一つは2ページの(2)の「小規模グループ形態の住居による新 たな養育制度の創設」。 ○柏女委員長  2ページの(2)ですか。 ○木ノ内委員  ごめんなさい。これは違いました。 ○柏女委員長  3ページですね。 ○木ノ内委員 3ページです。3ページのいわゆるファミリーホームの件で「家庭的な養育環境の下」 となっています。他にも随分「家庭的」と出てくるのですがあいまいで、実は私はファ ミリーホームというのは家庭そのものではないかと思うのです。ですから夫婦を前提と するような仕組みであってほしいと思います。そのように考えると、先ほどの2番目の 問題になるのですけれども、ファミリーホームを社会福祉事業にするという場合に、そ れが里親と施設と並ぶ子どもの養育の委託先となるということで、制度的には全く三つ 目の制度ができるというイメージでしょうし、それが職業だと先ほどご説明をいただき ましたけれども、家庭を提供することと、そのサービスの提供が職業であることとの大 変な難しさというか、その辺のところは一体どうなのか。「家庭的な」というと少しあれ ですけれども、要は夫婦が家庭を提供することであって。それは三つ目の問題で言いま すと、(3)の方はまさに「家庭的養護の推進」となっていますが、小規模施設に行きます と、子どもたちは先生と呼ぶし、お弁当も窓口から出るし、いわゆる施設のサービスが 提供されているのです。家庭の、家族の生活のサービスが提供されているとは思えない。 そうすると小規模施設の場合に、果たして家庭モデルを子どもたちが学べることができ るのか。養育の環境としては小規模化しますが、果たして家庭的なのかという疑問があ ります。  それから(2)の中で、施設ケアに関する実態調査をするということですが、できれば里 親に対しても実態調査をお願いしたいと思っています。なぜ増えないのだろうか。どん な問題があるのか。さらに今後里親支援機関を設けるということですから、どういうこ とを里親支援機関が担えばいいのか。そういうことについて、実は里親の実態もよく知 られていないのではないか。増えない、増えないというだけではないかと思います。  それから、この「施設機能の見直し」の中で、いわゆる自立支援のことに書かれてい ます。里親の場合には、自立支援についてあまり声高に叫んでいませんが、実は里親が 負担をしている。例えば進学の問題など、里親が犠牲を強いられているというと何です が、子どものためにいろいろしているので、里親も範囲に入る話ではないかと思いまし た。これが五つ目です。以上です。 ○柏女委員長  「家庭的」の定義をめぐる意見が出ていますが、この辺の表現ぶりを変えることは可 能でしょうか。あるいは適当なのかどうかということも含めて。 ○藤井家庭福祉課長  3ページの(2)のところは、先ほど里親が移行するモデルで話をしましたが、社会福祉 業として一つ立てるときに、夫婦でなければいけないという要件を付けることはまずで きないと思います。そういう意味では言い方が難しいのですが、完全に一つのプライベ ートな家庭として機能しているところに子どもを受け入れるというのは、やはりこれは 里親の世界なのだと思います。ここはそうではない。もちろん里親が並行していますと 実態的には同じような問題になりますが、事業化することで、そこは里親とは一つ別の 線が引かれることにならざるを得ませんので、この事業を実施する方の要件として夫婦 でなければいけないというのは、やはりなかなかできないと思います。そういう意味で 今後、家庭そのものというふうに書くのは少しちゅうちょされるところですので、家庭 的という表現なのかなと思います。  それから先ほどの実態調査については確かにそういう必要性があるかもしれません が、施設のところに書いている実態調査は、あくまで施設の職員の配置基準あるいは措 置費の算定基準など、特に配置の方は実際どうなっていて、それをどのようにすればい いのかを考えるための調査ですので、木ノ内委員がおっしゃった調査とは少し趣旨が違 うと思います。 ○柏女委員長  よろしいでしょうか。 ○木ノ内委員  里親が家庭を提供するというのは、一つに子どもとの信頼関係というか、長い期間に わたって愛着を形成していくということがあります。もう一つは、やはり自立というか、 大人になっていくに当たっての家庭のモデルをきちんと見せてあげるというところにあ ると思います。それが職業というふうに移った場合に、これは仕事という割り切りの中 では、子どもはきちんと家庭モデルを学んで、一人立ちしていくことが可能なのか。施 設に限りなく近づいていってしまうのではないかという懸念を持つのです。その辺が確 かに難しいと思うのですが、私たちが家庭を提供していることは、家庭モデルを見せる ということもあるのです。ところが職業としてこれが福祉の一つの事業になった場合に、 果たして家庭の提供ではなくなるわけで、里親の持っている重要な役割の一つを置いて いくことになるのかな。この辺については十分検討していただきたいと思います。 ○藤井家庭福祉課長  しかし、そこは里親モデルというか、先ほど申し上げたように今の里親ファミリーホ ームが移行するような形であれば、実態として家庭の中に受け入れるような格好が特段 変わるわけではありませんので、私はそういう機能自体が失われるわけではないと。も ちろん夫婦でない形ですると、また違ったものになってきます。そういう意味では今フ ァミリーホームをやっていただいている皆さんが、この枠組みを使うことで同じような 実態・機能を果たしながら、これまでの里親の枠組みよりもきちんとした支援を受けら れるような仕組みとして構想されていると理解いただければありがたいと思います。 ○木ノ内委員  そのように理解すれば問題はないのですが、大規模大舎制があり、小規模化し、これ が第三の施設的に変化していくことは、私たちとしては大変良くないことだなと。いわ ゆる家庭の提供という中で担っていくのが里親であって、非常に里親的な制度が第三の 施設にならないように歯止めをかけていただけないかということなのです。 ○柏女委員長  藤野委員、どうぞ。関連してですね。 ○藤野委員  はい。その点について、私は文章でも出したと思いますが、地域小規模児童養護施設 というものと、里親ファミリーホームというもので、私は里親ファミリーホームは里親 でいいと思うのです。施設ということであれば、地域小規模児童養護施設でいいのでは ないかと思うのです。その辺を明確にしておいた方がいいと思います。それと、例えば 児童養護施設などに自活訓練ホームというものがあります。あれも退所前の1年間は地 域に出てうんぬんということで、しかもそれをやっていたら、例えば地域小規模はやっ ては駄目だとか、とにかくこの際その辺を整理していただきたいと私は思います。 ○藤井家庭福祉課長  そこは、どう言うのでしょうか。今の木ノ内委員、藤野委員のご意見は、いわばこの ファミリーホームの議論を原点に戻すような議論で、私の理解では、この議論はそうい った状況で、そういうご意見があるということをすべての委員に認識していただいた上 で、なお里親ファミリーホームを実際にやっていらっしゃる方への支援のレベルをどう やって上げていくかというところから議論は始まっているわけです。もちろんこの専門 委員会あるいはその前身の検討会が始まる以前からご要望を受けつつ、どんなやり方が あるのかということは予算要求の機会にいろいろと検討してきましたが、私どもとして は、支援のレベルを上げるには里親と切り離して事業化するしかないと考えています。 もし木ノ内委員がおっしゃるように、それがどうしても気持ち悪いということであれば、 こういう仕組みは作らない方がいいということになりますし、また里親に戻っていくこ とになるのではないかと思います。それは藤野委員がおっしゃったことかもしれません が、その関係で言えば、ファミリーホームが仮に今の構想のように出来上がったとして、 地域小規模との役割分担というか、地域小規模はあくまで児童養護施設の一部ですので、 これまでの議論を踏まえて言えば、対象となる子どもの状況あるいはケアの在り方にお いては、まさにより対応の難しい子どもに対応できるような心理的ケアなどが分厚い施 設なりの小規模施設ということになるのだろうと思います。そこの役割分担は何らかの 整理をすると思っていますし、そういう議論の流れだということをぜひご理解いただき たいと思います。 ○木ノ内委員  何も制度化に反対しているのではなくて、ぜひ制度化していただきたいのですが、歯 止めとして夫婦・家族が提供する場であるということをうまく反映できないかという。 いわゆる制度化するには、法律にのっとって施設的に考えなくてはいけないというとこ ろにずれていってしまうという問題があるのではないか。制度として反対しているので はなくて、家庭の提供である里親の延長線上にあるものとしてうまく制度を運用するに 当たって、里親的養育、「…的」がまたわからなくなりますがお願いしたいところなので す。ですからお願いのレベルです。横やりをしているのではないのですが。 ○柏女委員長  ここにも里親施設と並ぶ第三の施設という言い方ではなく、養育の委託先という形に していて、その中にはご夫婦でするものもあるし、全部ご夫婦でなければいけないとい う制度設計は難しいということですから、ご夫婦が中心になるものもあるでしょうし、 それ以外の単身者が中心になるものもあるのだろうという理解では駄目ですか。施設職 員という形になると労働基準法の問題などがいろいろと出てくるので、施設職員が施設 の職員のままでそれをするということについてはこれからの検討ということですが、事 業者としてやる場合にはもちろん里親であるご夫婦が事業者としてもやれる。恐らくそ れが、今の里親ファミリーホームの運営形態で苦労されている方を救っていく大きな道 の一つになるということでいかがでしょうか。理解していただけますか。 ○木ノ内委員  了解です。検討はお願いしたいと思いながら、基本的には。 ○柏女委員長  お気持ちはとてもよくわかるのですが、振り出しには戻りたくないと思っていますの で。  それでは今田委員、どうぞ。そろそろ次のテーマに移りたいと思いますので。 ○今田委員  では一言だけ。4ページの「施設機能の見直し」の続きで、ちょうど真ん中の2番目 の・の「心理的ケアや治療を必要とする子どもに対し」うんぬんの文言の中で、この通 りだと思うのですが、例えば乳児院に入っている被虐の子どもの3分の1は親が精神疾 患を抱えているということがあるので、ここで子どもだけに特定するのではなく親の対 応というか、そういう面もアドバイス等あるいはもう少し踏み込んだ形での親子関係の 治療と、これを二つどうしても並行して行わなければいけないと思います。ここのとこ ろを子どもだけではなくて保護者という形でも入れていただければ、なおありがたいと 思います。これだけです。 ○柏女委員長  子どもや医療的な支援を必要とする保護者に対してという形ですね。ありがとうござ います。  他はよろしいでしょうか。では移らせていただきます。  今、気が付いたのですが、4ページの二つ目の・で今田委員のご意見がありましたが、 その1個上の2行目「児童指導員と心理療法を担当する職員等」は「保育士・指導員」 ではないのでしょうか。主力部隊で保育士さんもいらっしゃるので「保育士・児童指導 員と」うんぬんということになるのではないかと思います。  それでは時間が遅れて申し訳ありませんでした。2〜4番、7ページの真ん中まででご 意見がありましたらお願いします。  では奥山委員、大塩委員、お願いします。それから藤井委員ですね。 ○奥山委員  4ページが2枚あるので2枚目が恐らく5ページになると思うのですが、それでお話 をさせていただこうと思います。5ページ目の、いろいろな児童相談所のアセスメント 機能の強化というところで「指針を作成する」というのですが、アセスメントの在り方 の指針は幾つか出ているし、そのガイドラインも出ているのですが、使いこなせていな いところが問題で、そこをいかにやるのかが問題だろうと思います。  二つ目に「措置する際に施設・里親に送付する資料」というのはあまりな言い方では ないかと思います。送付しないで持っていっても構わないし、いろいろ話し合ってもい いわけだし、これは措置する際の施設・里親に対する情報提供、あるいは内容などとし てそれに関する指針を作ることにした方がいいのではないかと思います。  それから「(2)家庭支援機能の強化」というところが、若干具体性に欠けると思うので す。具体性に欠ける理由としては、いろいろなことを展開していかなければならない分 野であるという背景もあります。施設に保護するのか、あるいは家に置いておくのか、 二者択一しかないところが今一番の大きな問題だと思いますので、以前から私はそこの ところに、例えば治療的なデイケアなどもやってみてはいかがかと、提言してきました。 そういう治療的なデイケアのようなものも含めて、いろいろな工夫をしたものが試行で きるような体制を作るべきであるというふうにしていただきたいと思います。とりあえ ず4までで、5は後ですよね。 ○柏女委員長  5というのは、5ページではなくて。それは後ですね。ありがとうございます。  それでは大塩委員、お願いします。 ○大塩委員  4ページの下から2行目に「親子分離まで至らないケースや家庭復帰後の支援など、 地域において家庭を支援することのできる体制を整備することが求められる」と書いて あります。続いてもう1枚の4ページ、5ページ目の「(2)家庭支援機能の強化」には「在 宅で生活を続ける場合や親子分離を行った場合における家庭復帰後の子どもの健やかな 育ちを支援するためには、保護者指導を中心とした家庭支援が重要であり、その推進を 図る必要がある」と書いてあって、重なっています。ここをやっているのがまさに母子 生活支援施設であって、本当に児童虐待を行ってしまうひとり親の母親に対しての見守 りや、施設から家庭に復帰するまでの親子の再統合の役割を果たすところで、観察を含 めて見守りをしているのが母子生活支援施設です。そういう意味で私たちは今もやって いますが、この母子生活支援施設を虐待の予防なり見守りの機関として、もっといろい ろと利用していただきたいと思っています。  それともう1点は、一時保護をする際にどうしても親と子を分離して一時保護という ことになりますが、そういう意味ではひとり親に限っては、虐待の危険性があるリスク をはらんだ親子に対して、親子で緊急一時保護を行って、それを児童相談所からの緊急 一時保護委託という形で母子生活支援施設が役割を果たしていきたいと思っております。 母子生活支援施設は児童相談所からの委託というものがないので、社会的養護を担う施 設として、そこのところをきちんと書いていただきたいと思っています。以上です。 ○柏女委員長  よろしいですか。今の件で何かありますか。 ○藤井家庭福祉課長  特に後段のところの児童相談所との関係などは、多分私どもももう少し議論をしなけ ればいけないところだと思っていますので、どこまで書き込むのがいいのかというのは、 少し考えてまたご相談をさせていただきます。 ○柏女委員長  よろしくお願いします。では藤井委員、どうぞ。 ○藤井委員  ページ数を切り替えた5ページに「児童相談所のアセスメント機能等の強化」とあり ます。そもそもこのアセスメント機能を強化するだけで、社会的養護体制を整えるため の児童相談所の見直しをかけるという枠踏みが狭過ぎるような感じがします。つまり児 童相談所の在り方そのものが、社会的養護の今後の方向性を決める重要な機関になって いくのではないかと思っています。  今日は意見をまとめてきましたので、幾つかお話しさせていただきたいのですが、一 つは児童相談所の担当する個別ワーカーです。個々のワーカーの資質や専門性の向上と いう辺りの問題が、今後の社会的養護体制を考えたときには非常に重要なのかなと思う のです。個別のケースをどう扱うか。それぞれの個々の担当ワーカーの裁量や判断に任 されるという状況では、その子どもの権利養護や最善の利益という辺りの状況もきちん と確保できるかどうかは少々疑問が残っています。現実的にいろいろな児童家庭支援セ ンターで受ける相談者の中には、児童相談所の方は敷居が高くて相談しにくいというケ ースもあるわけです。なかなか行政機関で措置機関ということもあるので、地域に身近 な存在としての活用が進んでいかないような実態もあるのかなと思います。私は児童相 談所を敵に回そうと思って言っているのではないのですが、その担当職員に向かないワ ーカーも現実的にはいるという実態があるだろうと思うのです。そういう場合には、適 正な配置転換や人員配置が必要不可欠だろうと思います。その担当ワーカーの調整一つ で、現実の問題が解決するかしないかくらいの重要な責任を負っていると思います。そ ういう意味で、措置された子どもが措置されたら施設任せという状況が起こってしまっ ている現状もあると思います。その状況もきちんとやりとりができる体制整備が必要だ と思っています。  2番目に、とにかく児童相談所と施設の協力・連携の関係が本当にしっかりと確認さ れていかないと、施設側にとっては子どものケースの状況に関して、児童相談所が共に 責任を負うという姿勢を本当に持っていらっしゃるのかという疑問を抱かなければなら ないようなケースに出会うわけです。その状況に対して、やはり施設と共にそのケース の責任を負って、問題の解決に当たっていただけるような方向性を示していただきたい と思っています。  それから、児童相談所の現在の状況では、子どもあるいは親からの要望や苦情を調査 する前段階で発言された内容を前提に、全部の調査を進める、苦情処理をしていくとい う形になっているようですが、全国的に統一された苦情に対する定義というか、語法か ら具体的な用語まで全部を一緒くたに扱っている傾向が見られています。その意味で、 どういうものを苦情にするのか。入り口段階からの整理が必要なのかなと思っています。 それは担当者の感覚的なものではなくて、きちんとした虐待の定義と同様に、ある程度 の分類・整理が必要なのかなということを感じています。  それと「(2)家庭支援機能の強化」ということですが、市町村の相談体制がまだ整ってい ないという状況の中で、児童相談所の役割というのが、市町村と児童相談所の関係をつ くっていくときに、どこに今のところ指針が見当たらないかという感じがしています。 児童相談所は各市町村の地区担当を持っていますので、担当ワーカーがせめて各市町村 に協力する体制あるいは市町村窓口の相談受付体制を強化していくなど、市町村ととも にその子どもの最善のケアの在り方を検討して探していくような体制を確保するために、 児童相談所もその市町村の窓口に対して、指導したり助言したりする責任を負っていく ような体制整備が必要ではないかと考えています。以上です。 ○柏女委員長  貴重な運営上の提言がありました。ありがとうございました。  大島委員、先ほど手を挙げられたと思いますが。 ○大島委員  3番でよろしいのですね。 ○柏女委員長  はい、結構です。 ○大島委員  まず自立援助ホームについて項目を立てていただいて、ありがとうございます。この ように安心できる場所の提供で「公平なスタートを切れる」という目的で、自立援助ホ ームというものが設置されてきているのですが、実際には矯正指導が現時点で必要ある いは医療的・心理的ケアの必要な、いわゆる処遇困難あるいはぐ犯性の高い子どもたち が入ってきている。歴史的に見ますと、憩いの家、新宿寮、清周寮、鳥取フレンド、遠 藤ホーム、星の家、非常に献身的に非行児の援助をしてきたことは事実なのです。おか げさまで40カ所を過ぎて、非行児の援助ということになると、それを目的としていま せんので職員の配置もできない。管理もできないような状況の中で、どちらかというと 非常に危なっかしいようなホームも立ち上がってきているのです。これは認可ですから、 皆が非行児の経験を持っているようなホーム長ばかりではありませんので。明後日から の全国大会で、無理して受けなくてもいいのだよということを私も皆さんに言おうと思 うのです。やはり職員がけがをして運営できなくなったという非常に残念なケースも出 ていますので、もう少し基本的には職員が複数配置できるような援助体制を取っていた だきたいということと、もう少し数を増やして、もっと皆がそういう意味で研修ができ るような形。これは運営委員会でも考えていきますが、協議会自体をもっと強くしてい ただくような何か方法を考えていただきたいと思っています。この内容については、あ りがとうございます。 ○柏女委員長  どうもありがとうございます。  では相澤委員、次に豊岡委員、お願いします。 ○相澤委員  まず「児童相談所のアセスメント機能等の強化」です。実際に子ども自立支援計画ガ イドラインが出ていて、その運用の仕方というご発言がありましたが、これは児童相談 所だけではなくて、児童福祉施設の方もきちんとアセスメント実施計画は立てていかな いといけない。共同でやるべきことですので、その辺のことについても、ここできちん と触れていただくとありがたいと思います。  それから「家庭支援機能の強化」は、ここも心理治療的なデイケア事業も出ていまし たが、例えば地域交流スペースを活用するとか、さらに今は家族療法事業がほとんどの 施設でできるようになっていますので、その辺の運用をもう少し拡充していただいて、 例えば親子で少しショートステイをする、トワイライトケアをするということで、少し 家族機能の強化になるようなことができないか。そういう具体的な施策を少し検討して いただくとありがたいかなと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。さらに具体的な改善点について、ご意見をいただきました。  次はどなたでしたでしょうか。豊岡委員でしたね。 ○豊岡委員  藤井委員からご指摘がありましたものですから。私は当然児童相談所として、ワーカ ーの資質や専門性の向上は常について回る問題だと思います。ただ東京での児童相談所 と他県の状況は若干違うように思っています。というのは、ここで細かな中身をどうこ うということではないのですが、ワーカー任せにしているという中では、これは組織と しての決定なり判断ということにならないと思います。そうしますと、児童相談所の在 り方自体を東京ではチームでやり、決定することは当然その児童相談所の判断ですから ワーカーが決めることではないはずなのです。従って、そういうご指摘の面はわかりま すが、そこはきちんと児童相談所が組織として決定をしているのだという前提に立って いただければありがたいと思います。それから東京都の場合には、子ども家庭支援セン ターというものを整備して、市町村と虐待問題を含めて子どもの養育・家庭支援という 体制を作っているのです。従って当然児童相談所が市町村の窓口と一緒に動く、指導す る、助言するということは当たり前で動いているという理解でいます。当然東京だけで はないので、そこを書いていくことに異存はないですし、相対してレベルアップしてい かないといけないということでは、全く異存はないです。 ○柏女委員長  ありがとうございます。時間がかなり押していますので、具体的な文言修正に関する 事項をいただければと思います。  では藤野委員、どうぞ。 ○藤野委員  今の議論に関連して一時保護については、例えば乳児院にしろ児童養護施設にしろ、 どんどん一時保護が施設に来ているわけです。それにきちんと触れた方がいいと思いま す。それを強化してもらわないとやはり無責任になるし、そういう意味で言えば先ほど 言われたように、施設自体のアセスメント機能は非常に重要だと思います。実際、家庭 復帰にしろ自立支援計画の点検にしろ、その都度きちんとしたアセスメントができる体 制を作る必要がある。それと一時保護については現実に受けているのだから、それはき ちんと位置付けて強化する必要があると思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。  では木ノ内委員、お願いします。 ○木ノ内委員  藤野委員に関連していますが、一時保護について最近里親を利用するケースが非常に 増えています。乳児なら任せてという里親もいますし、同じ学区内でしたらずっと学校 にも行けるので、そういう意味ではもっと里親を利用してほしいと思うのです。これは 地域によって違うのかもしれませんが、私のところだと1日1,600円なのです。乳児院 に預けたら多分月数十万円かかるのでしょうし、どうも一時保護についての整備をきち んとルール化することが本当にできているのかという疑いを持つので、きちんと整備し ていただきたいと思います。 ○柏女委員長  5ページの真ん中より少し上の、一時保護についての意見が幾つか出ていましたが、 これは検討するということになっていますので、ここに委託一次保護も含めるというこ とで考えていきたいと思います。次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは7〜9ページのところ、5〜6番について。奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  施設内虐待のところの文章は、かなり児童虐待防止法と絡んで、問題が多いと思って います。一つは、児童虐待防止法は保護者のネグレクトも心理的虐待もすべてを含んで、 それは虐待なのです。ですから身体的暴力等を「施設内虐待等と位置付け」というのは 虐待防止法に任せていい話であって、ここでいちいち定義をする問題ではないのではな いかと考えます。もし書くのであれば、子どもが一番傷付くのは心理的虐待ですから、 それを外すということは考えられません。どうせ入れるのなら全部を入れてほしいと思 います。  それから、その下に「子ども同士の身体的暴力等を施設職員等が放置した場合は虐待 (ネグレクト)として位置付けることも検討する」ではなくて、これは当然のことですね。 特に性的虐待などは児童虐待防止法でも、他人がやったときにそれを放置したらネグレ クトの行為だと具体的に挙がっている話であって、それを今さら検討するという問題で はないと思います。例えば兄から妹が暴力を受けている場合に、母親が放っておいて子 どもが危険になったら当然保護しているはずですから、それを施設がやったら、当然こ れは施設内虐待だと思います。ここは文言が虐待防止法に背いているのではないかと思 います。  それから、施設内虐待が普通の家庭の虐待と違う点が二つあると思うのです。一つは 構造的虐待があるということです。ここに書いてあるのは全部職員が虐待者なのですね。 「施設等職員、施設長、一時保護所の職員」と書いてあります。しかし、例えば一時保 護所などを見ていますと、施設のルール自体が虐待になっているのではないかと思われ るようなところもあるのです。そういう構造的虐待がありますから、その点では家庭と は少し違う形の虐待として位置付ける点もあろうと思います。もう一つは、家庭は素人 なのですが、施設・一時保護所というのは本来福祉の専門家の集まりであるはずで、既 に心が傷付いた子どもたちを預かる専門家の集団としての施設での虐待というのは、家 庭の基準以上に厳しく置くべきであるというのを一言入れていただきたいと思います。  それからもう少し細かいところでは、最初の点で始まる「施設内虐待等を受けた子ど もによる都道府県への届出」だけではよくわからないので、それをどうするかというふ うに書いていただいた方がいいのかなと。きっとここでおっしゃりたいのは、届出を促 進する構造をつくるとかそういうことですね。 ○柏女委員長  こういう制度を作るという。 ○奥山委員  届出の制度を作るということですね。もう一つは5番目の点で始まる「届出、通報が あった施設等に対する」というところは、都道府県だけではなくて第三者機関も含めて やってほしいと思います。  それから「さらに」というところで「施設内虐待等が明らかになった後」という部分 ですが、その状態で、かなり施設内がボロボロになってしまって、つまり、無政府状態 になって、残された子どもたちが大変な状態になったり、施設の職員たちがトラウマを 受けるような状態になって大変になるケースが多いことが経験されています、多いとい うより、ほとんどがなるというふうに複数の経験から思っています。ここが非常に重要 な点だと思います。ですから、例えば最後の方の「当該児童養護施設等や関係団体はで きる限りの協力」ではなくて、ここのところは、「当該児童養護施設等はもとより」と入 れてほしいです。また、関係団体だけではなくて、やはり都道府県もきちんと積極的に 引っ張っていってほしいということなのです。「適切なケアを確保する」とここには書い てあるのですが、取り組みに対して都道府県が中心になるのかならないのかというのは 両方あり得ると思うのですが、都道府県が中心にならない場合でも都道府県は協力する べきであると思います。この場合もやはり第三者委員会を立ち上げるべきであろうとも 思います。つまり、再建委員会の中に第三者をきちんと入れるべきだと思います。以上 です。 ○柏女委員長  ありがとうございます。先ほどの身体的暴力等の定義は、虐待防止法の定義で考えて いてよろしいですね。表現が少しまずかったということで。 ○藤井家庭福祉課長  そうですね。少し書き方を工夫します。 ○柏女委員長  ありがとうございます。それから、その他の意見はとても貴重なご意見だと思います ので、テイクノートしておいていただければと思います。  藤野委員、お願いします。 ○藤野委員  権利擁護の7〜8ページにかけて、7ページの「措置された子どもの権利擁護を図るた めの体制整備」というところは「児童福祉審議会の調査審議事項として、措置された子 どもの権利擁護に関する事項を明確化するべきである」という形で入っているのですが、 表現としては明確化して、子どもの権利擁護委員会なり、あるいは子どもの権利擁護部 会なり、何かそういうものを作るのだということを明確にした方がいいと思います。審 議事項にしますということではなくて、恒常的で専門的な機関を作る必要があると私は 思います。それとその上に立って、8ページのところで、一つは施設内虐待と言われる ものの定義をもう少し厳密にしておく必要があるのではないか。例えば老人虐待防止法 との関連をよく言われますけれども、老人の場合は楽しくゆったりと過ごしてもらった らいいのですが、子どもの場合はそういうわけにいかないのです。将来を担う子どもに 対して、養育ということを大人はきちんと保障する必要があるわけですよね。そういう 意味での権利がある。例えば叱られる権利がある。全然叱られないというのは権利を奪 われているということも含めて、養育というのはある意味でそういうものを含んでいる わけです。その辺をきちんと定義をしておかないといけないと思います。ただ、少し難 しいかもしれないと思いますが。  それと8ページの「施設内虐待等を受けた子どもによる都道府県への届出」は、例え ばせっかく作っていただいた審議会等の権利擁護委員会なり権利擁護部会なりに届け出 るというふうに、明確に書いたらどうなのですかということなのです。それは虐待を発 見した場合にしても、何にしても。私はむしろ都道府県に届けるというよりも、恒常的 にそういう子どもの権利を守る組織を作って、そこに通報したり、そこがきちんと行政 に対する勧告にしろ何にしろ。審議会ですから、それは最終的には知事の権限になるわ けですから指導が可能なわけですよね。神奈川県とか大阪府の例が出ていましたけれど も、多分そういう仕組みになっているのではないかと思ったのですが、いかがでしょう か。 ○柏女委員  どうぞ。 ○藤井家庭福祉課長  そこはおっしゃる通りです。この(1)の第三者機関をどのような格好にするのかという のは、幾つかオプションもあり議論もあるところだと思うのです。もちろん本専門委員 会の議論も踏まえてということですが、都道府県の児童福祉審議会にこのようにして権 利擁護に関する事項をその仕事として明確化をして、ここで受けるような格好にすると、 この審議会は県に対する指導や勧などの権限が持てますので、逆に全く独立したその第 三者機関を新たに作るというふうにしても、そういう権限関係が持てないということが どうしても出てきますので、私も実はこういう形が一番実効が上がってうまい形なのか なと思って、とりあえずこのように整理してみました。  (3)の届出や通報についても、これは少しわかりにくかったかもしれません。また書き の下に六つほど・があって、その下の2行ほど「上記に加え、子どもの届出や職員等の 通報については、(1)に記載した都道府県児童福祉審議会に届出等を可能とする」という ふうにわかりにくかったかもしれません。もう少しはっきり書くべきなのかもわかりま せんので、少し書き方を工夫したいと思います。いずれにしても私どもの整理としては、 そういった児童福祉審議会についても届出や通報ができて、それ基づいてアクションが とれるような格好にしたいと考えています。 ○柏女委員  よろしいでしょうか。高田委員が最初でしたので、高田委員、藤井委員、それから相 澤委員ですね。 ○高田委員  奥山委員の意見を受けてなのですが、放置した場合をネグレクトとするという箇所で すが、「施設職員等」という文言は普通に読むと施設側だけの責任に読めます。また、児 童相談所に報告して児童相談所が動かなければ、当然児童相談所がネグレクトしている ということになりますので、そこを明記していただきたい。  それから、保護に関しても記述はあるのですがあまり目立たない。やはり施設を越え た行政機関がきちんとした対応を行うべきであると書いていただきたい。家庭での虐待 が通告された場合48時間以内に調査するという方針があるのですから、当然施設内虐 待も同様の対応をするべきだと思います。そのところを明記した方がいいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。児童相談所は行政機関ですから、行政機関が必要なことをや らなかった場合は行政上の不作為の瑕疵責任が問われる形になると思います。また別の 体系にもかかわってきますので、それらとの整理も必要になるかと思いますが、ご検討 をいただきたいと思います。  他はいかがでしょうか。では藤井委員。 ○藤井委員  今まで出されてきた意見の中でも、やはり文言で引っ掛かるという部分というか、8 ページの下から2段目の「施設の運営改善に向けた助言・指導を継続して行う等施設内 虐待等が再び起こることがないよう対応する」という話がありますが、その前提にある のは施設の運営改善や具体的な権利侵害に対する対策です。これに対して改善するのは 施設なのかもしれませんが、行政側もきちんと責任を負っているというような文言を入 れていただいた方がいいのかなと思うのです。どうも行政の責任は不明確な状態がいつ もあるのかなと思っています。  それと意見としては書かせていただきましたので、何かの機会があれば取り上げてい ただきたいと思いますが、一時保護所の機能の使い方として、この中で子どもから届出 があった場合に、例えば性的な虐待を受けているような子どもの場合には、その施設に 置いておくことが安全かどうかという判断までしますよね。その場合には緊急で一時保 護をするというようなことも加えていかないと。問題が子どもから出たにもかかわらず、 その子どもはずっとその施設におかれた状態が続くと、このこと自体がもう既に子ども に対する権利侵害になってしまう可能性があると思うのです。ですから一時保護所の機 能を緊急一時保護と、そういった場合のそういう機能をきちんと持たせて、子どもの権 利擁護、子どもの保護をするという本来のところに帰っていくべきだという感じがする のです。特に施設内虐待がありましたという所にそのまま置いておくこと自体を、どこ かで避ける方法を取るべきだと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。最初の意見は高田委員からもありましたが、高田委員、藤井 委員の方から、行政の対応・取り組みについてしっかりと書くべきではないかという意 見がありましたので、これはその方向で少しお考えいただければと思います。  それから後者の点については、9ページの一番上で「各都道府県における対応方法に 関するガイドラインを作成する」という形になっています。この中で、今おっしゃった ようなことは当然大事なことだと思いますので、こうしたことも含めながらガイドライ ン作成を行っていくということにしたいと思います。ありがとうございます。  では相澤委員、お願いします。 ○相澤委員  6番に関係して言わせていただきたいと思います。「社会的養護体制の計画的な整備」 ということです。ここで出てくるものは都道府県と国ということですけれども、やはり 各団体・各施設、可能であれば社会的養護関係団体が共同してということも含めて、ケ アの質の向上のための計画作りというものをきちんと行うべきだと思いますので、こう した内容も加えていただくとありがたいと思います。 ○柏女委員長  これは行政への答申という形になりますけれども、その中に私たちとしては関係団体 に対しても、そういう自らがそうした対策を取るようにここで呼びかけるということで すね。それはよろしいですか。それに関連してですか。どうぞ。 ○庄司委員  それでよろしいのですけども、関係して、前段の構想検討会のときに、自治体間格差 がかなり話題になりましたね。もう一つ、施設間格差もあるわけですけれども、施設間 格差は協議会でかなり頑張っていただくことにして、自治体間格差はこの6番の文章だ けでは自治体に振っているだけで解消するとは見えないです。もう少し国の関与のよう なことを書き込んだらどうかと思います。 ○柏女委員長  具体的に何かありますか。 ○庄司委員  文章はまだです。 ○柏女委員長  その前に、今回は関係団体の方が多いので確認なのですけれども、この6番のところ に関係団体も自主的な取り組みを始める必要があるという文言を、ここで盛り込んでい くということについて異論はありませんでしょうか。ありがとうございます。それでは そのような文言を盛り込んでいくということで。  大塩委員、大島委員、奥山委員ということでお願いします。 ○大塩委員  今の庄司委員の意見に対して私も全く同じように思うのですが、6番の「社会的養護 体制の計画的な整備」の中で、都道府県において「質の確保」「人材確保・人材育成のた めの方策」「計画的な整備とその質の向上が図られるよう」など、質のことが本当にたく さん出てきているのにもかかわらず、後段の「国においては、都道府県が計画を策定す るに当たっての基本指針を作成する必要がある。その際、都道府県計画に盛り込まれる べき具体的な社会的養護の必要提供量」となっています。こだわるようですが、量もで すが質をきちんと国の中でガイドラインを決めていかなければ、自治体によっての格差 がもっと広がっていってしまうので、ここをきちんと書いていただきたいと思います。 ○柏女委員長  それではその部分に質の部分も送り込んで、ここは特にという形で重要量という形で 取り上げたわけですが、質の部分も入念的に必要だということでご意見だと思います。 ありがとうございます。  では大島委員、どうぞ。 ○大島委員  地方の義務ということで、6ページの自立援助ホームのところにも「児童自立生活援 助事業の提供(委託)を都道府県に義務付けることも検討する必要がある」と。今、私た ちの仲間がかなり何カ所かで自立援助ホームの立ち上げを計画して準備もしているにも かかわらず、都道府県の方で新規事業は取り組まないというようなことで、なかなかス タートが切れないところが出てきているのです。国の方でも60カ所はということで予 算化していただいているようですので、何かそういう思いを持って、自立援助ホームを 始める準備をしているところには、ご指導をいただけるような文言を何か入れておいて いただけるとありがたいです。 ○柏女委員長  こうした指針を作成するに当たっては、いわば数値目標というか整備目標というか、 そんなものも併せて検討する必要があるということですね。ありがとうございます。  奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  庄司委員がおっしゃったことに関しては、国としては各県でどんなことをやっている かという情報の収集と公開ということはやっていただきたいと思います。  もう一つ、都道府県の計画策定に関しては、細かくそれぞれの施設や自立援助ホーム だとずっと書いてあります。これを読むと、国が決めたことだけ、体制をきちんと整備 するようなイメージで受け取れてしまうのです。しかし、それぞれの県で工夫してする 面も必要だと思います。例えばケアセンターを造ろうと考えている県もなくはないし、 いろいろな児童相談所とそういうケアセンターを連携させたり、あるいは保健所との関 係を変えたり、いろいろなところを県立病院と一緒にしようとか、いろいろなこと考え ているところがあるわけですから、それぞれの工夫をもう少し喚起するような文章もで きれば入れていただきたい。「これはやってね」という部分と「もう少しいろんなことや ってもいいよ」という部分を入れてほしいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。これもとても貴重なご意見だと思います。基本指針を作成す るに当たっては、とても大切な視点ではないかと伺わせていただきました。  時間が少し過ぎていますけれども、この他に何か。藤野委員と庄司委員、お願いしま す。 ○藤野委員  少ししつこいようですが、7〜8ページの施設内虐待うんぬんということに関連して、 先ほど確認していただいたので多分大丈夫なのだろうとは思うのですけども、8ページ の「上記に加え、子どもの届出や職員等の通報については、(1)に記載した都道府県児童 福祉審議会に届出等を可能とする」という文章では取って付けたような感じで、先ほど も言いましたように(3)と(1)は明確にセットできちんと表現してほしいと思うのです。そ の辺は先ほど確認していただいたと思っていますが、再度よろしくお願いします。 ○柏女委員  では事務局の方で、よろしくお願いします。  では庄司委員、どうぞ。 ○庄司委員  前に戻るのですけれども、3ページのところで人員配置基準の引き上げに関して、奥 山委員は「ケアの質に応じて」とか「取り組みによって」と言いましたが、今の施設の 最低基準はあまりに低いので、どんな施設であってもまずそこを改善して、そこの上に よくやっている所にはさらに厚くというふうにしないと、いつまでも1対6が残ってし まうように思うのですが。 ○奥山委員  この辺が財源の関係になってくるのだろうと思うのですけれども、財源がないからお しなべて幅広くやるのか、傾斜を付けるのかというところの議論だと思います。今まで のいろいろな委員会の中では、もちろん両方必要なのだけれども、やはり傾斜を付ける 部分を忘れてはいけないと考えてきました。要するに財源が少ないから平面だけ全部に 押し上げてしまうのだということでは、インセンティブが働かないということは随分議 論がされてきたと思うのです。ですから、そこのところをもう少し配慮しておくという ことを意識してほしいということでお話をしました。 ○柏女委員  全体の底上げを否定しているわけではないということで、ご理解をいただければと思 います。 ○藤井家庭福祉課長  奥山委員と同じようなことですが、財源の議論というのは何をやるにしてもついて回 るわけですが、国も地方も財政的に相当厳しい状況にあることは間違いありません。そ の中で、今のままで配置基準だけを上げるというのは、私は正直不可能に近いと思って います。ですから、めりはりを付けるというよりは、もう一歩上のケアへ進んでいくの だという姿勢というか覚悟というか、そういうものはぜひ施設側にもきちんと持ってい ただかないと、なかなか先へは進めないのではないかと思っていますので、そこはご理 解いただければありがたいと思います。  それからもう一つ、先ほど大島委員の方から自立援助ホームの話がありましたが、な かなか自立援助ホームを現場で造ろうとしたところに対して、県も当然負担がかかる話 でもありますから、今おっしゃったようなせめぎ合いもあるのだろうなと思うのです。 正直、それを国が一つ一つ指導するというのは、今の国と地方の関係を考えますと、こ れはなかなかできないことです。そこはご理解をいただきたいのです。  もう一つご理解をいただきたいのは6ページの、先ほど大島委員が指摘されたところ です。「児童自立生活援助事業の提供(委託)を都道府県に義務付けることも検討する必要 がある」というのは、今、児童福祉法上できる規定にしかなっていないので、このよう に変えることができればそこの後押しができるのではないかという制度的な対応を考え ようという趣旨です。ただ、例えばこういう法律の各項を政府提案で出したときに総務 省がどのように言うのかなど当然折衝事ですので、私も結論としてどうなるかというと ころまではとても予断を持ち得ませんが、ここで置かれるのは先ほど申し上げたような 気持ちですので、そこはご理解いただければと思います。 ○柏女委員長  では手短にお願いします。庄司委員。 ○庄司委員  おっしゃることはよくわかりますし、よくここまで書き込んでいただいていると思い ますが、もし施設間の格差が拡大すると、その影響を受けるのは子どもですよ。そんな ことで良いのかと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございました。十分心していかなければならないことではないかと思いま す。  最後に何か、全体を通してということができなかったので申し訳ないのですが、ぜひ ということがありましたら。よろしいでしょうか。  それでは、今回は具体的な報告書の素案となる「とりまとめ(案)」が出たこともあっ て、あらためて貴重なご意見をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。これ を基にして、さらに次回は事務局の方から「とりまとめ(案)」を提示していただいて、 これについてまた議論をしていただくというふうに進めていきたいと思います。  それでは次回の予定について、事務局の方からご連絡をお願いしたいと思います。 ○藤井家庭福祉課長  次回の日程については、申し訳ございませんが追って日程調整をさせていただきたい と思います。場合によっては来週ということになるかもしれませんので、できるだけ早 くご連絡させていただきたいと思います。先ほど柏女委員長からもありましたように、 次回は「とりまとめ(案)」と申しますか、正式な「報告書(案)」のような形にして、今日 のご出席ももちろんですが、もう少し全体の体裁を整えるような格好で記述をして、提 示をさせていただきたいと思います。 ○柏女委員長  わかりました。委員の方々のご都合がありますので、できるだけ早く決めていただけ れば幸いに思います。 それでは、今日はこれで終了します。各委員におかれましては、大変お忙しい中をお集 まりいただいてありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課措置費係 連絡先 03−5253−1111(内線7888) 1