07/11/06 平成19年11月6日薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会議事録 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年11月6日(火) 14:00〜    厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(12名)五十音順    小 澤 敬 也、 甲 斐 智恵子、○堺   晴 美、 澤 田 純 一、    島 田   隆、 土 屋 利 江、 西 島 正 弘、 貫 和 敏 博、   ◎早 川 堯 夫、 山 口 成 夫、 山 口 照 英、 吉 倉   廣、 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 岡 野 栄 之、 渡 邉   信      3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、     中 垣 俊 郎(審査管理課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 ただ今から、薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会を開催いたします。 本日は、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。当部会委員数15名のうち 12名の委員に御出席をいただいていますので、定足数に達していますことを御報告いた します。なお、本日は飯沼委員、岡野委員、渡邉委員から御欠席という御連絡をいただい ています。  本日の議題に入ります前に、事務局に組織変更がありましたのでごあいさつをさせてい ただきたいと思います。本年10月1日付けで、独立行政法人である医薬品医療機器総合 機構の生物系審査部が、生物系審査第一部と生物系審査第二部へ改組されたところです。 この組織変更に伴いまして、旧生物系審査部長でした、田中部長が生物系審査第一部長に、 また、生物系審査第二部長には鹿野部長が着任していますので、よろしくお願い申し上げ ます。 ○生物系審査第一部長 田中でございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。 ○生物系審査第二部長 鹿野でございます。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 部会長の早川先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○早川部会長 事務局から配付資料の確認と資料作成に関与された委員及び利益相反に 関する申出状況について報告を行っていただきたいと思います。 ○事務局 事務局より資料の確認をいたします。本日、席上に、議事次第、座席表、当部 会委員名簿を配付しています。また、議事次第に記載されている資料と参考資料をあらか じめお送りしています。このほかに、資料4として「専門委員リスト」を御用意しました。 不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。なお、準備作業等の都合により、 既に資料を送付している議題の一部については、今後、改めて御審議いただくこととしま すので、大変恐縮ではありますが、御了解いただきますよう、お願いします。  次に、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく、資料作成に関係された委員の 確認ですが、本日の審議品目については、関与された委員はいらっしゃいません。また、 本年4月23日の薬事分科会申合せに基づく、利益相反に関する申出については、次のと おりです。議題1「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確認について(NV1FGF サノフ ィ・アベンティス株式会社)」について、退室される委員無し、議決に参加しない委員無 し。以上です。 ○早川部会長 本日は、審議事項が1議題、報告事項が1議題となっています。  議題1に入ります。議題1について、まず遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確認 に関する制度の概要について事務局から説明をお願いします。 ○事務局 遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確認に関する制度、いわゆる確認申請 の制度ですが、こちらの概要につきまして参考資料2に沿いまして御説明します。最初に 参考資料2「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針」に沿いまして、 指針の位置付けについて簡単に御説明します。指針の本文や取扱い等については2ページ 以降に添付していますが、概要を1ページ目の資料で御説明します。本議題で御確認いた だく指針は、参考資料2の1ページ目、1.目的にありますように、遺伝子治療用医薬品 の品質及び安全性の確保のために必要な基本的要件を定めたものです。この指針において は、2.確認申請の部分に記載していますように、製造販売業者は、遺伝子治療用医薬品 の品質及び安全性の確保を期するため、開発している遺伝子治療用医薬品がこの指針に適 合していることの確認を厚生労働大臣に求めなければならないこととされています。この 確認申請で確認すべき内容につきましては、3.確認申請に当たって添付すべき主な資料 の部分に記載していますが、製造方法、規格、安定性、非臨床試験、臨床試験の概要、製 造施設等についてです。なお、この場合の臨床試験の概要と申しますのは、あくまでも現 在、計画中のものについてでして、適応症、実施施設、被験者の選択・除外基準、実施方 法、患者以外への遺伝子導入の可能性、倫理的な配慮等を含むものです。  また、確認申請と治験の実施、承認までの一般的な流れを、一番下に簡単に図で示しま した。製剤開発や非臨床試験に関するデータに基づいて、今回の確認申請がなされまして、 四角い枠で囲まれている部分ですが、本日、この部会において、治験に入る前の品質、安 全性の確認という観点から、指針への適合性の確認について御審議いただきます。その結 果、指針への適合が御確認いただけた場合には、治験へと開発を進め、その後、製造販売 承認申請がなされますと、総合機構による審査等を経て、再度、薬事・食品衛生審議会に おいて御審議いただくという形になっています。つまり、今回、御審議いただく指針への 適合性につきましては、本部会における審議の結果が直ちに医薬品等の製造販売承認に結 び付くものではありません。あくまで治験に入る前段階のこの製品の品質及び安全性の確 認であるということです。 ○早川部会長 ただ今の御説明について、この部会の役割ですが、何か御意見、御質問は ありますか。よろしいですか。早速ですが、サノフィ・アベンティス株式会社より申請さ れたNV1FGFの品目の内容について総合機構から説明をお願いします。 ○機構 末梢動脈閉塞性疾患は、末梢動脈が狭窄・閉塞することにより四肢末梢に虚血を 来した病態の総称です。臨床症状の重症度によりFontaine分類が定義されていまして、 これは症状の軽い方から重い方へとI度からIV度までありますが、III度、すなわち虚血性 安静時痛を認める状態や、IV度、すなわち潰瘍や壊疽を認める状態は、重症下肢虚血と呼 ばれていまして、放置しますと足の切断を余儀なくされることもある予後の悪い状態で す。血行再建術等が第1選択的な治療法ですが、その適応にならない患者においては有効 な治療方法の確立が望まれています。  末梢動脈閉塞性疾患の主なものに閉塞性動脈硬化症がありまして、閉塞性動脈硬化症 Fontaine分類IV度の患者が、今回、サノフィ・アベンティス株式会社より確認された遺 伝子治療用医薬品(以下、本剤)の適応対象とされている患者です。本剤は、線維芽細胞増 殖因子I型(以下、FGF1)をコードしたネイキッドDNAプラスミドベクターを製剤化 したものであり、虚血下肢筋肉内に投与することで局所的にFGF1タンパク質を産生さ せ、血管新生を促すことで虚血状態の改善を図ります。本剤は、これまでに海外において 第I相及び第II相臨床試験が実施されていまして、間もなく国際共同第III相試験が開始さ れる予定ですが、今般、本邦も当該治験に参加するに当たり、遺伝子治療用医薬品の品質 及び安全性等について確認申請がされたものです。  本剤の製造方法、品質管理方法及び安定性について、御説明申し上げます。ヒトFGF 1タンパク質の分泌を効率的に行わせるために、ヒトFGF1の構造遺伝子の□□に□□ □□□□□□□□□□□□□□□□の□□□□□□□□をコードする配列をつなぎまし て、これを組み込んだプラスミドを構築します。□□□□□□□□は□□□には切断され、 ヒトFGF1の生体内アイソフォームと同じN末端配列を有するFGF1タンパク質が 発現することが確認されています。  大腸菌にプラスミドを導入しまして、セルバンクを確立し、セルバンクから開始して大 腸菌を大量培養することでプラスミドを増幅して、□□□□□□□□□□□□等によって 精製することで原薬を得ます。さらに原薬を緩衝液に溶解したものをろ過滅菌等しまし て、ガラスバイアルに充てんすることで製剤化がなされます。製造において生物由来原材 料は使用されていません。  セルバンクについては、資料2の資料概要79ページ以降にありますように規格試験が 設定されており、セルバンクの恒常性が確認されます。  原薬の規格試験としては、資料概要172ページにありますように、□□、□□□□□□ □□、□□□□□□、□□□、□□□□□□□、□□□□□、□□□□□□□□、□□□ □□□□□□、□□□□、□□□□□□□、□□□□□□□等が設定されています。  また、製剤の規格としては、資料概要186ページにありますように、□□、□□□□□ □□、□□□□□、□□□□、□□□□□□□、採取容量、無菌試験、エンドトキシン、 pH、不溶性微粒子試験、不溶性異物検査等が設定されています。  安定性につきましては、現在までに得られている安定性試験の結果に基づき、貯法及び 有効期間は「□〜□℃、□か月」と設定されており、現在継続中の試験結果に基づきまし て有効期間の延長を検討することとされています。  非臨床試験につきましては、指針に基づき増殖性ウイルス出現の可能性、細胞傷害性、 染色体への遺伝子組込み、発現産物の異常発現に起因する安全性、がん原性、免疫原性及 び一般毒性について評価がなされていまして、特段の問題はありませんでした。  導入する遺伝子が成長因子ですので、本剤の投与によってがんが発生する可能性につい て申請者に特に確認しています。申請者からは、本剤はプラスミドDNAであり、導入方 法から見てそれ自体がゲノムに挿入されて腫瘍形成を起こす可能性は非常に低いこと、非 臨床試験では筋肉内投与によって循環血におけるFGF1タンパク質の濃度の上昇や、局 所及び遠隔部位での組織過形成は認められなかったということ、海外で実施されている臨 床試験において本剤投与に起因すると考えられる悪性腫瘍の発生は認められていないこ となどから、がん原性のリスクは極めて低いと説明されていまして、機構としては、専門 委員からの意見も踏まえて、現段階において治験を実施するに当たって特段問題はないも のと判断しています。  効能について、非臨床における効能を裏付ける試験としては、in vitro試験やモデル 動物を用いた試験が実施されており、本剤が投与部位において局所的にFGF1タンパク 質を発現し、細動脈及び毛細血管の新生を誘導して、虚血肢の血行動態を改善することが 示唆されています。  体内動態につきましては、ラットの筋肉内投与においてPCRやELISA、サザンブロッ ト等の手法を用いて検討がされています。プラスミドDNAは投与局所においてのみ構造 及び機能を保ち、血中では速やかに分解されることが示唆されています。  以上をまとめます。機構は提出した資料を評価した結果、現時点での科学的水準から見 て、本剤の品質及び安全性は確保されていると判断しました。本剤投与によって想定され るリスクにつきましては、同意説明文書によって患者への情報提供が図られており、また 被験者に対する癌化等を含めた治験後の追跡調査及び情報収集につきましても十分に行 われることとされており、倫理上も特段の問題がないものと考えています。なお、本専門 協議に参加いただきました専門委員は、本日の配付資料の4にありますとおり、本日御出 席の小澤委員、島田委員、山口照英委員を始め5名の委員です。御審議のほどよろしくお 願いします。 ○早川部会長 委員の方々から御意見、御質問等をお願いします。いかがですか。 ○吉倉委員 一つは、これを読んでいて、これはプラセボを使うのですね。プラセボは一 体何かがこれはよく分からないのです。これは実際にやるときには結構問題になるのでは ないかと思うのです。  あと、インフォームドコンセントもこの場で見るのですか。これを摂取したときの摂取 による感染とかそういうことが、インフォームドコンセントを見ると余り書いていないよ うに思うのですが。感染していない人を対象としないということはあるのだけれども。  それから、これは、mgは書いてあるのだけれども、どのくらいのボリュームを摂取する か書いていないのです。 ○早川部会長 今、三点ほどありました。最初はプラセボの話で、これは治験を行うに当 たって、もう一度その計画書についてきちんとやることだと思いますし、必ずしもこの部 会の役割ではないですが、今の段階でもしお分かりになることがあれば、事務局からお願 いします。何か分かりますか。では、それはお調べいただいていて、次のインフォームド コンセントの中の感染性に関する件についてですが。 ○吉倉委員 治療中の感染が起こらないかなと、その辺のところです。感染していない人 を選ぶというのはいいのですが。 ○早川部会長 委員がおっしゃっているのは、このプラスミドによる感染という意味です か。 ○吉倉委員 要するに、ボリュームによったりすると、その辺はどうなのか。 ○早川部会長 ウイルスベクターではないので。 ○吉倉委員 というか、今の質問よりは、ボリュームは一体どのくらいあるか。 ○機構 ボリュームに関しましては、□か所、足のふくらはぎと太ももに打つのですが、 1か所当たりの投与量は□mLでして、投与1回としますと総容量は□mLということにな ります。 ○吉倉委員 これは打つ場所がかなり膨れるわけですね。そういうことはインフォームド コンセントに書いておくべきではないかと思うのだけれども。□mLというとかなり多い ですよ。 ○早川部会長 もしそれがインフォームドコンセントに反映されていなければ、それを書 くようにお願いします。 ○機構 その件につきましてはインフォームドコンセントに反映する形で申請者に検討 を促したいと思います。 ○早川部会長 それでよろしいですか。 ○吉倉委員 そういう動きでいいと思います。感染の話は別に伺わなくてもいいです。 ○早川部会長 先ほどのプラセボの話は。 ○機構 そこにつきましては、生食だと思いますが、この部会の中で記載場所を見付ける ことができましたら、また御説明させていただこうと思います。 ○早川部会長 ほかにいかがですか。 ○島田委員 前の段階も私は専門委員で参加したのですが、実際、使うのはプラスミドで すし、外国ではこの製剤が使われているということもありますし、それほど大きな問題は ないと思うのです。一つ、これは全体にこの種のプロトコール、今いろいろな遺伝子を使 って世界的にやられていて、日本でも別の種類でやられているわけですが、患者がなかな か集まらないということが問題になっていますので、恐らくこれに関しても同じことが起 こって、なかなかエントリーしてくれないと、そういう問題が一つあると思うのです。  それから、インフォームドコンセントは、実は私はここでどこまで見るかは分からない のですが、これはかなり不十分だという気がするのです。例えば、その他の治療法、今言 ったように外国も含めてこの種の治療法は、今いろいろなものがやられているのだけれど も、それをやっていると1行書いてあるだけです。だから、実際そうやられているのがど の程度の結果が得られていてということを、もう少し患者にあらかじめインフォメーショ ンとして与えるようなインフォームドコンセントであるべきだと思うのです。 ○早川部会長 今二つあったと思ったのですが、一つはエントリーがどれくらい予測でき るか。二番目の話とリンケージしている話だと思うのですが、どのような治療法があって、 対象の患者はいろいろな治療法で対象になるということで、例えばFGFそのものを直接 入れる治療法もあるかもしれないし、細胞治療もあるかもしれない、同じ遺伝子治療でも HGFを使うとか、VEGFを使うとか、いろいろなパターンがあって、そういうことを 背景にその辺の情報をインフォームドコンセントできちんと患者に御説明するようにと、 御指摘はそういうことでよろしいですね。 ○島田委員 はい、客観的な情報をもう少し。 ○早川部会長 事務局から追加的に何か御説明いただけますか。 ○機構 今、御説明いただいたのは、同意説明文書(案)というタグが付いている所の4、 5ページの辺りにあります。1文だけ書かれているとおっしゃられたのは、4ページの 「4.他の治療方法について」の最後の1文、「また」という所かと思いますが、先生の 御指摘のようにほかの治療法が確立されていきつつある段階ですので、もう少しそういう 情報を患者に提供できるように記載を検討します。 ○早川部会長 今、日本でのエントリーはどれくらいか、予測は分かりますか。 ○機構 全世界的には□例と、5ページの頭の方に書いてありますが、日本は、単純に□ 例を□か国で割っただけですが、□例とかという形を申請者は挙げていました。ただ、先 生がおっしゃられているようになかなかエントリーが進まない状況は多分想定されます ので、これよりも低くなることは十分考えられるとは思います。 ○早川部会長 今の所はそのようなことでよろしいですか。 ○島田委員 大変だと思うのです。恐らくこれは日本の国内でやろうとすると、例えばH GFもやっているような同じ医療機関に来てしまって、医療側としても両方とも患者に説 明するのかと、そういう混乱が起こる可能性もある気がするのです。 ○早川部会長 二つあると思うのです。一つは、既存の療法が幾つかあると思うのですが、 あるいはこれから目指されている療法は幾つかあるけれども、その中で遺伝子治療をやる ことに関する御理解を得るということが一つと、その遺伝子治療の中で幾つかの選択肢が ある、そこでのインフォームドコンセントのためのきちんとした文書を作るということ が、委員がおっしゃっていることですね。 ○島田委員 そうです。 ○早川部会長 その辺はよろしく御指導いただければと思います。 ○機構 医療施設に関しましては、基本的には遺伝子治療をやれる実施施設となると確か にHGFと重なることは十分考えられまして、我々としても、治験実施施設としてはどう いう所を考えているのかというところを確認しています。二つ、三つ挙げますと、□□□ □□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□など、複数 挙げられていますが、その辺りが候補として挙がっています。先ほどおっしゃられたよう に、確かに遺伝子治療に関するインフォームドコンセント、また、遺伝子治療の中でも本 剤ということの情報提供ということもあると思いますので、部会長もおっしゃっていただ いたように、申請者への同意説明文書における情報提供のあり方については、引き続き検 討します。 ○早川部会長 それでよろしいですか。 ○島田委員 はい。 ○土屋委員 分からないところがあったので教えていただきたいのですが、血管新生だと VEGFとか、HGFとか、むしろFGF2のベーシックFGFかと思っていたのです。 ベーシックFGFの場合には九州大学で臨床研究は開始されているということですが、こ れまでに日本に申請されたもののこの領域の確認申請が出されたものは、HGFが以前あ りましたが、あれが取り下げられたのかよく分からないのですが。 ○機構 取り下げられてはおりません。治験が終了したという形を聞いています。 ○土屋委員 これが二番目と。 ○機構 もしこの確認申請が下りれば、治験に入る第2弾という形になります。 ○土屋委員 以前は日本国内だけの治験だったように思うのですが、今回初めて国際的な 共同治験というのは素晴らしいと思ったのですが、これは国際的に見てもかなり有効性が 期待されることはあるのですか。よく分からないものですから。 ○早川部会長 見通しとしてということだと思うのですが、何かコメントはありますか。 ○機構 これまでの海外第I相、第II相の結果につきましては、機構でまとめました事前 審査報告書、この概要にも挟んでいますが、結果としては付けています。要約しますと、 例えば酸素分圧のデータはPM201の試験ですと改善とは認められているのですが、群間差 は認められなかったということです。結果としては死亡率の低下及び死亡までの期間を延 長させる傾向が示されたと、一応有効性を示唆するデータはII相では得られている形でし て、申請者もそれを含めてIII相に進もうという判断をしたということで、III相に進むに当 たって日本もそれに乗ろうという判断をしたということです。  あと、国際的には□例という形になっていまして、日本もそれに参加することによって、 その国際試験の結果で得られる□例のうち日本が何パーセントになるか分からないので すが、その全体のデータの中での海外と国内の差を見ることによって、□例のデータを利 用した形で本剤の有効性・安全性を評価できるのではないかと考えたという開発上の経緯 があります。 ○土屋委員 タンパクとして発現した場合、一般的に再生医療でいろいろな分野でVEG Fとか、HGFとか、ベーシックFGFも実際にタンパクを入れて徐放化させて血管新生 とかを見ていますが、活性としてはどれが一番高くて、組み込んだ場合の発現のしやすさ とか、それはプラスミドによるのでしょうが、そういった分野で客観的にどれが一番とい うことは今のところはないということですか。 ○早川部会長 多分ないと思います。これは全体として言えば、十分な治療法が確立して いない医療ニーズに対して、どういう新しい手法で対応できるかというチャレンジの一つ で、FGF自体を吸収剤か何かに入れて徐放化して少しずつ出すとか、細胞治療もあると 思うし、先ほどおっしゃったHGFの遺伝子治療とか、いろいろな試みがあって、その中 から光明を見いだしていこうと、それが基本的には一つ。もう一つは、国際的にII相まで 行っている、今度III相をするに当たって我が国でも参画していこうと、こういう位置付け かと思います。 ○土屋委員 この申請をされているのは外国の企業の支社の方ですか。 ○早川部会長 そのようですね。 ○生物系審査第一部長 サノフィ・アベンティスです。 ○土屋委員 あと、一方、それぞれの安全性は、どれが一番有効で、安全性の面でも高い ことも今のところ分かっていない、発現する量とかいろいろなことはあると思うのです が、そこも分かってないので今は開発が競争になっているということですね。 ○機構 現時点では分かっていません。タンパクでの治療、細胞治療、遺伝子治療のそれ ぞれに長所・短所もありまして、特に一概に判断はされていないと思います。 ○土屋委員 もう一点、この申請とは直接関係ないかもしれませんが、一方で遺伝子治療 もあるけれども、臨床の先生がこういう成長因子そのものも使える形にしていただきたい という御意見もお聞きしますので、こういう先端的なものを恐らくどんどん進めていただ けると思います。よろしくお願いしたいと思います。 ○早川部会長 それは成長因子、タンパクそのものを医薬品としてという意味ですね。 ○土屋委員 はい。 ○早川部会長 それはそういうプロトコールで会社が開発してくれば、しかるべき手順で 対応するということだろうと思います。  ほかにいかがですか。よろしいですか。特に追加の御意見もありませんようでしたら、 議決に入りたいと思います。本品目につきまして、「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全 性の確保に関する指針」に適合するものとして、よろしいですか。  ありがとうございました。御確認をいただきましたので、本品目につきましては、指針 に適合し、品質及び安全性が確認されたものとしまして、薬事分科会に報告したいと思い ます。  次に、報告事項に移りたいと思います。報告事項の議題1について農林水産省より説明 をお願いします。 ○農林水産省 報告事項の議題1「カルタヘナ法に基づく動物用医薬品の第二種使用等の 確認申請について」です。資料は事前にお送りしました資料3となります。動物用医薬品 関係のカルタヘナ法に基づく第二種使用等の拡散防止措置の確認申請、いわゆる封じ込め の施設の中で行う使用ですが、カルタヘナ法の施行後、当部会への御報告が滞っておりま した。そこで、カルタヘナ法の施行以降、現在まで動物用組換えDNA技術応用医薬品調 査会におきまして審議された動物用医薬品の第二種使用等拡散防止措置確認申請につい て、まとめてで誠に申し訳ございませんが、御報告させていただきます。  農林水産省におきましては、これまで37の第二種使用等の拡散防止措置について審議 を行っています。その中で2ページのNo.7から3ページのNo.18までにつきましては、カ ルタヘナ法の施行以前の指針に基づく確認を既に受けたものについて再度審査を行った ものです。それ以外の品目につきましては、カルタヘナ法の施行以降に申請されたもので ございます。  最近では、5ページのNo.35〜No.37、化学及血清療法研究所から申請された3品目につき まして、本年3月15日に開催された動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会におきま して審議をされたところです。そのうちNo.35の豚丹毒菌の防御抗原遺伝子を大腸菌に組 み込みまして、その発現タンパクを動物用ワクチンの有効成分として利用するもの、また No.36のパスツレラ・ムルトシダの遺伝子を大腸菌に組み込んだものにつきましては、本 年6月6日に確認を行ったところです。  最後のNo.37は、マレック病というニワトリの病気ですが、マレック病のウイルスにニ ューカッスル病のF蛋白遺伝子を組み込みました遺伝子組換え生ワクチンの、製造所内で の製造と品質検査に関する第二種の確認申請となっています。これは3ページのNo.18に 同様のものが化血研の菊池研究所の拡散防止措置の確認を既に受けているものですが、今 般新たに化血研の本社工場で製造を行うために新たに確認を受けようとするものです。こ れにつきましては、現在、調査会における指摘事項及び現地調査を行いまして、それらの 指摘事項に対してメーカーが対応している状況でして、まだ確認が下りていないところで す。このマレック病の組換え生ワクチンにつきましては、現在、第一種使用規程の承認に つきまして、動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会で審議を行っているところです。 説明は以上です。 ○早川部会長 ただ今の報告に対して、委員の方々から御質問等がありましたらお願いし ます。いかがですか。 ○貫和委員 資料を頂きまして、私が誤解しているかもしれませんが、実際に使用され始 めているということになりますか。その辺がこの一覧表で分かりませんで、もし使用され ているとしたら、どのくらいの数が使用されているのかということですが。 ○農林水産省 この表の中のすべてが動物用医薬品としての承認を受けているものでは ありません。この中で承認を受けているものは、2ページのNo.8〜No.10までのアクチノ バシラスのワクチン、No.13のプリオンの蛋白質ですが、これはBSEエライザキットの 指示陽性抗原のために製造しているものです。No.14の鶏口イコチトゾーンですが、これ もワクチンとして承認されています。3ページに移りますが、No.15の猫白血病の導入大 腸菌ですが、これもワクチンの有効成分として利用され、動物用医薬品としての承認を受 けているものです。No.16、No.17、No.19のネコのインターフェロンとイヌのインターフェ ロンも承認されています。また、国内で承認されてはいませんが、2ページのNo.12のヒ ト上皮細胞成長因子遺伝子導入のBrevibacillusも製造されています。これは綿羊の換毛 を促進させるものとして輸出用の動物用医薬品として国内で製造しているものです。4ペ ージのNo.28も同じヒトの上皮細胞成長因子のBrevibacillusですが、これは製造施設が 異なるということで、先ほどの組換え微生物と同じものですが、改めて確認を行ったもの です。動物用医薬品として国内で製造されているものは以上です。  その他、No.22、No.23につきましては、先般の当部会で御審議いただいた猫白血病ウイ ルス遺伝子導入のカナリア痘ウイルスの遺伝子組換え生ワクチンで、当該ワクチンの国内 での品質試験のための拡散防止措置の確認申請になります。当該ワクチンにつきましては 現在カルタヘナ法に基づく第一種使用規程の承認手続を進めておりまして、承認され次第 治験に移るということになっています。以上です。 ○貫和委員 製造承認が下りていて、実際、使用がどのくらいということを把握されてい ますか。 ○農林水産省 今、手元にはありませんが、承認された動物用医薬品については、毎年販 売高等を報告させていますので、それを把握できると思いますが。 ○早川部会長 調べていただいて、後ほど販売高等の御報告をお願いします。 ○農林水産省 分かりました。 ○早川部会長 貫和委員、それでよろしいですか。 ○貫和委員 はい。 ○早川部会長 ほかにいかがですか。特に追加の御意見がありませんようでしたら、今、 報告をいただいた事項については御確認いただいたこととしたいと思います。  本日の議題は以上ですが、事務局から連絡事項等はありませんか。 ○事務局 特にありません。 ○早川部会長 本日はこれで終了します。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 田中(内線4221)