07/11/02 第31回厚生科学審議会感染症分科会議事録の掲載 厚生科学審議会感染症分科会 第31回議事録 厚生労働省健康局結核感染症課 第31回厚生科学審議会感染症分科会 議事次第 日 時:平成19年11月2日(金) 13:00〜15:00 場 所:厚生労働省9階 省議室 1.開 会 2.議 題    1)高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の発生状況について    2)新型インフルエンザに対する現在の対応状況について     (1)「新型インフルエンザ対策行動計画」の改定     (2)新型インフルエンザ対策本部(本部長:内閣総理大臣)設置     (3)新型インフルエンザ総合訓練の実施    3)今後の新型インフルエンザ対策について    4)その他      麻しん排除計画(案)について   3.閉 会 (議事内容) ○三宅課長補佐 定刻でございますので、これより、第31回「厚生科学審議会感染症分科会」 を開会させていただきます。  委員の皆様方には、御多忙中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、新型インフルエンザ対策につきまして、御報告を含めて御議論をいただきたいと考え ております。  それでは、本分科会の開催に当たりまして、西山健康局長より、ごあいさつを申し上げます。 ○西山健康局長 御紹介いただきました、健康局長の西山と申します。8月24日付で健康局長 を拝命いたしました。先生方、よろしくお願いしたいと思います。  今日の分科会でありますけれども、御案内のとおり鳥インフルエンザです。先生方は御専門で いるんだと思いますけれども、鳥から人への感染。東南アジアを中心に300名以上の方が感染し、 200名以上の方が亡くなっているということで、私どもは、従来から対策に取り組んでまいりま した。2回ほど救助訓練もやりましたし、タミフルですとか、プレパンデミックワクチンの備蓄 ですとか、あるいは今、WHOを中心にインドネシア政府との交渉ですとか、いろいろなことを やっております。  今日は、特に新しい行動計画、ガイドラインが示されたということで、ひょっとしたら感染症 法の改正が必要になるだろうということで、その点も含めて、御審議いただきたいと思っており ます。  また、11月16日に成田空港検疫所中心に、新型インフルエンザ対応のフェーズ4の訓練をや るということですので、それについても大所高所から御意見を賜りたいと思います。  本当にお忙しい中、恐縮でございますが、よろしく御審議のほどお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○三宅課長補佐 では、ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力のほどよろし くお願いいたします。 (カメラ撮り終了) ○三宅課長補佐 それでは、後の進行につきまして、宮村会長、よろしくお願いいたします。 ○宮村会長 それでは、本日はどうぞよろしくお願いいたします。  さて、本日の議事進行ですが、お手元の議事次第に沿って進めてまいります。  まず、事務局より、資料の確認を行っていただきまして、その後、資料の説明をしていただき ます。委員の皆様におかれましては、円滑な議事に御協力をどうぞよろしくお願いいたします。  それでは、資料の確認につきまして、事務局お願いいたします。 ○三宅課長補佐 資料の確認をさせていただきます。  資料につきましては、議事次第の次に「資料一覧」がございます。それに沿って資料の確認を させていただきます。  資料1は「高病原性インフルエンザ(H5N1)発生国及び人での発症事例(2007年10月31 日現在)」という2枚物でございます。  資料2−1は「『新型インフルエンザ対策行動計画』について」でございます。  資料2−2は「『新型インフルエンザ対策本部』設置について」という3枚物でございます。  資料2−3は「新型インフルエンザ対抗総合訓練」という2枚物でございます。  資料3−1は「今後の新型インフルエンザ対策について」で、横長で10ページございます。  資料3−2は「新型インフルエンザ発生後の対応(政府の行動計画及び専門家によるガイドラ インより)」という、横長の1枚物の表になった資料でございます。  資料4−1は「麻しん排除計画(案)について」という大分長いものでございます。  資料4−2は「『予防接種法施行令の一部を改正する政令』に関する御意見募集について」と いう5枚物でございます。  また、参考資料といたしましては「新型インフルエンザ対策行動計画」「新型インフルエンザ 対策ガイドライン(フェーズ4以降)」「『今後の新型インフルエンザ対策について』関係法令 集」の3部よりなっております。  以上、不足等ございましたら、事務局までお知らせください。よろしくお願いいたします。 ○宮村会長 ありがとうございました。  それでは、早速、議題1について進めてまいります。  現在の高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の発生状況について、事務局から説明ください。 ○三宅課長補佐 資料1について、御報告させていただきます。  WHO・各国政府の正式な公表に基づきまして、WHOが公表している資料を日本語版としま して、厚生労働省においてとりまとめさせていただいている資料でございます。この資料は、2007 年10月31日のWHOの最終更新でございますが、現在ここにございます総計で333人の方がH 5N1のトリヒト感染をし、うち死亡例は204人でございます。  このことにつきましては、前回この検討会を開かせていただいた4月のときには、4月11日 の発表を報告させていただいたところでございますが、主にインドネシア、ベトナムを中心に数 が増えております。インドネシアの81例から110人、ベトナムの93例から100名とケースが増 えているところで、引き続き人数が増えている状況でございます。 ○宮村会長 2枚目には表が書いてあるわけでございますね。  では、引き続きまして、議題2についていきましょう。  「新型インフルエンザに対する現在の対応状況について」ですが、先日、改定されました「新 型インフルエンザ行動計画」の内容について、事務局より御説明ください。 ○三宅結核感染症課長 それでは、行動計画につきまして、資料2−1をごらんください。  一昨年の平成17年11月に鳥インフルエンザの発生等を受けまして、新型インフルエンザ対策 行動計画を関係省庁対策会議におきまして策定をしております。  その後、適宜改正を重ねてきておりますけれども、今般、3月末にフェーズ4以降のガイドラ インが、専門家会議の先生方によりとりまとめをいただいております。その中で、やはりこれま での行動計画と若干状況の変化等も含めまして、いろいろ更に進めた内容となっております。  そこで、このガイドラインに基づきまして、行動計画の必要な部分につきまして改正を行った ということでございます。  概要は、2.に書いてございます。医療機関を受診する患者数を1,300万人〜2,500万人とい うCDCの推計モデルを用いまして計算しておりますけれども、そういう設定の下で、WHOの フェーズ等を基に、国内発生をもってB、発生前はAという区分をしまして、フェーズを1〜6 まで分けておりますけれども、それに基づいて行動計画を立てているというものです。  3ページ目に、今回の改定の要点を列挙してございます。主にフェーズ4以降のもので必要な 点をここに載せてございます。  これはまた後ほど御説明させていただきますけれども、発生した場合には、内閣総理大臣を本 部長とした「新型インフルエンザ対策本部」及び「新型インフルエンザ対策専門家諮問委員会」 設置するという内容が加わっております。  新型インフルエンザが発生してフェーズ4になった段階で、航空機や旅客船の運航の自粛を求 めるということですとか、そこの国から来る飛行機等の検疫につきましては、集約化を図るとい うことを載せてございます。  濃厚接触者に対する待機の要請等の検疫体制の強化。  公共施設、公共交通機関での感染対策の実施ですとか、プレパンデミックワクチン接種の開始。 これはもうちょっと後でワクチン接種の開始を想定しておりましたけれども、4Aになった段階 でもう接種を開始すべきということで、改定を行っております。  また、医療機関ですとか、保健所での患者さんへの対応ということで、発熱相談センターや発 熱外来の設置というものを設定しております。  現時点のフェーズ3ですけれども、その段階におきましても、幾つか修正をしてございます。 都道府県における一般病床を含めた医療機関の整備ですとか、あるいはPPE、マスクや手袋等 の備蓄の開始ですとか、事業者における新型インフルエンザに備えた準備の要請といったことも 改定がなされております。  4ページは、今、申し上げた点につきまして、もう少し詳しく載せてございます。  以上でございます。 ○宮村会長 ありがとうございました。今は資料2−1についての説明でございました。  要点は、2枚目のところに書かれてありますが、より機敏な対応を念頭に置いたものでありま す。  では、まとめてディスカッションするとして、次にこの行動計画の改訂に幾つかのポイントが あるわけですけれども、そのうちの1つに、新たに設置することが決まりました「新型インフル エンザ対策本部」というものがございます。これについて、もう一度御説明ください。 ○三宅結核感染症課長 資料2−2をごらんいただきたいと思います。「新型インフルエンザ対 策本部」の設置につきまして、2ページ目に先週の金曜日、10月26日付の閣議決定の紙がござ います。この閣議決定をもちまして、いざ新型インフルエンザが発生した場合には、ただちに総 理を本部長とした対策本部を立ち上げるということを閣議決定をいただいたところでございま す。  1ページ目に戻っていただきますと、構成員としては、本部長を内閣総理大臣、副本部長を官 房長官と厚生労働大臣、本部員はすべての国務大臣という形で設置がなされています。  また、この対策本部の下に専門家による諮問委員会も設置することが決まっております。  これは今から立ち上げるのではなく、発生した場合にこういう体制をとるということです。  これまでは厚生労働大臣をトップとしました、我々厚生労働省の中の対策本部ですとか、外務 省、農林水産省など、それぞれの省庁単位の本部がございました。また、その上に内閣官房副長 官補の下に関係省庁の対策会議というものを持ちまして、いろいろ体制をとってきておりました けれども、今回、もし発生した場合に備えて、この対策本部を立ち上げることを決めておく。迅 速に対応がとれるようにという措置でございます。  以上でございます。 ○宮村会長 では、ひとまず議事を進行させていただきたいと思います。  もう一つの改定のところでメンションされましたけれども、11月16日に実施予定の「新型イ ンフルエンザ対応総合訓練」について、事務局より御説明いただけますか。 ○三宅結核感染症課長 続きまして、資料2−3をお願いいたします。  これまで昨年の9月と今年の2月の2回ほど、政府レベルでの新型インフルエンザの訓練を行 ってきておりますが、3回目の訓練を今月の16日に予定をして、準備を進めているところでご ざいます。  局長からもちょっとお話がありましたように、今回は成田空港検疫所、千葉県に御協力をいた だきまして、そういった関係での訓練を、実際の実動訓練も含めまして実施をする予定にしてお ります。  2ページ目に、大体フェーズ4〜6までの流れを想定した大まかな図を置いております。シナ リオ(1)〜(6)まで、6Bまでのことを想定した訓練を予定しております。  以上でございます。 ○宮村会長 ありがとうございました。  それでは、ここで今、課長から御説明がありました資料2−1、2−2、2−3に基づいての 幾つかの実際的なプランの提示がありましたけれども、これについて御質問等ございましたら、 伺いたいと思います。  倉田委員、どうぞ。 ○倉田委員 資料2−1の行動計画の概要のフェーズ4で「国際空港等の運行自粛」とあります が、日本の言葉で「自粛」というのは禁止に近いようなものです。そのときのこの言葉は非常に 単純でいいんですけれども、背景をね。  どういうことかというと、米国は政府として軍部一体となって航空機を全部止める。そのかわ り、米国籍あるいはパーマネントビザの人は降ろす。その日から国際空港は、全部食事と燃料を あげるから一刻も早く飛び立ってもらうという方針があって、それでは海外にいる自国民をどう するかというときに、7つの海にいる航空母艦も民間機も軍用機も全部使って、とにかく国に帰 りたい人は全部帰すというプランを全部つくってある。これは天然痘とか新型に対してもです。 そういう対応をやっている。  この後ろの意味は、例えば海外に行って、突然ある日そういうことが起こったときに、そこに ずっと住んでいる人は別として、そういう人たちに対する救出運動とかそういうきちんとした考 えがあって、こういう文章になっているんですか。  例えばこれは民間航空機だけではとてもできないことだと思うんですが、その辺の背景は後ろ に準備されていることがあるんですか。ただこの文章だけですか。 ○三宅結核感染症課長 具体的にどういうオペレーションをやるかということは、まだ詳細には 決まっておりませんけれども、やはりまずここの運行の自粛ということを挙げていますのは、発 生した際にどの程度のものが起こるかというのは、勿論そのときになってみなければわかりませ んので、その程度に応じた対応ということが求められるかとは思いますが、その状況に応じて対 応するわけですけれども、どの国で発生するかということによっても違います。1日に何十便も 飛んでいるような例えば中国などで発生した場合には、1日に非常に多くの飛行機が行き交って おりますので、それを一度に今の状況の中だけで対応しようと思いますと、それはかなり限界が ありますので、その場合には、かなり便を少なくして対応を図っていく必要があるということを ベースにこういうことを考えております。  先ほど倉田先生から御指摘がありましたように、実際に自国民をどのようにするか。飛行機で 帰すのか、あるいは船で帰ってきてもらうのかということも、今後いろいろ考えていく必要があ るだろうと思います。  ただ、飛行機の場合に一番問題になりますのは、潜伏期間の間に帰って来られて、国内で患者 が発生するということも想定されますので、本当に国内への新型インフルエンザの侵入をいかに 防いでいくか。その期間を長くすることによって、国内への侵入を遅らせることによって、ワク チン製造までの時間を何とか稼ぐというのが、今回のガイドラインの大きな考え方ですので、そ ういったいろいろな詳細なことを現在も検討しているところでございますが、今後更に検討して いきたいと思っております。 ○宮村会長 米国の場合は、フェーズに分けてもう既にこういうプランが確立して、パブリッシ ュされているわけですか。 ○倉田委員 パブリッシュはされていません。あるとき、こういうことを向こうでインタビュー したときに一言書いたら、それを実際に軍とかが、そういうものは外の国に対して出すものでは ない。つまり、そういうノウハウはあっても外国にはいかなる関係があっても一切出さないとは っきり言っていますから、出てこないと思います。  要するに、軍が動くオペレーションですから、日本はそういうところを実際に防衛省の輸送機 とかいろんなものが本来なら考えて、そういう人を救出するとかいろんなことを考えておかない とね。  もう一つは、船といっても、今は客船は限られていますから。そうすると、飛行機で持って来 た場合に、インフルエンザの発症までの時間は少ない。その場合にどうするかというと、これは 1つ参考になると思うんですが、何か起こったときに、政府が飛行場の近くのビジネスホテルを 全部借り上げてしまう。そしてフィルターを付けて、何が起こってもいいように、今、症状のな い人はそこで観察期間を置くということを考えているようですが。  ですから、実際にそういうのをどうするかというときに、これは厚労省だけでやる話ではなく、 内閣で決定することだと思うんですが、そういう具体的なことも検討しておいて、その検討が役 に立たないのが一番望ましいわけです。ですけれども、日本は役に立たない検討というのを意外 と軽視する。これはよくないと思うんです。  ですから、命だというんなら、やはり検討はしておいて、できるだけ役に立たない。それから、 今、課長が言われたように、できるだけ先に延びて、それは杞憂に終わったということになるの が一番いいことだと思いますので、是非それは内閣全体で検討してもらう方がいいと思います。 ○宮村会長 倉田先生、ありがとうございました。今、御指摘のようなことについては、これか らディスカッションをいたします。  ほかにこの最初の行動計画の改定に向けてと総合訓練等につきましての御質問等ございます か。  もしありませんでしたら、先ほど倉田委員からも言われましたことも含めまして、今日の一番 の議題であります議題3「今後の新型インフルエンザ対策について」、事務局より御説明くださ い。 ○安里課長補佐 それでは、資料3−1、3−2に基づきまして、説明をさせていただきます。  私は、7月から結核感染症課で課長補佐をしております、安里といいます。どうぞよろしくお 願いいたします。  まず、議論を始める前に、資料3−2で、先生方は非常によく御存じのことかとは思いますが、 新型インフルエンザ対策の全体をもう一度確認しておきたいと思いますので、後ろに付いている 資料3−2をごらんください。  こちらは新型インフルエンザ発生後の対応を、今、既に政府の行動計画や専門家によるガイド ラインで明らかになっているものを簡単にまとめたものになってございます。  左から「検疫対応」の枠、「国内対応」の枠、「その他」となっておりまして、上から下の方 に時系列で流れているという構成になっております。  上の方から、時系列に沿ってざっと御説明したいと思います。  まず、ヒト−ヒト感染が発生したということを、疑いも含めて、我々の方が情報を入手した後、 まずどういう動きになるかでございます。  先ほど課長の方から御説明もありましたように、先般閣議決定を行いまして、新型インフルエ ンザが発生した際に、必要があれば、総理をトップとした対策本部を置くということが決定され ました。なので、まず我々の方が情報をつかみまして、情報収集を行った後、官邸の方に報告を して、これは設置だということになりましたら、新型インフルエンザ対策本部が設置されます。  また、その際に専門家の諮問委員会の設置も行われるものと考えております。  それとほぼ同時期になると思いますが、厚生労働省の方で症例はどういうものなのか。また感 染力を考えて、濃厚接触者というのはどういうふうに考えればいいのかということを定めまし て、そちらを通知で関係機関に発出することになると考えております。  それ以後の対応ですが、まず「検疫対応」をごらんください。  こうして新型インフルエンザの発生が確認されましたら、まず、我々は検疫実施の港、空港を 集約化しようと考えております。集約化した後の対応ですが、汚染されていると言われる国から の入国者に対しましては、(1)有症者、症状がある方、新型インフルエンザが疑われる方について は、検査を行いまして、患者と確定した場合は医療機関へ隔離を行います。  また、そうした有症者の患者の方と濃厚に接触したと認められる方、つまり感染のおそれが非 常に強いと思われる方につきましては、検疫法に基づいて、一定期間潜伏期間の間停留をさせよ うということになっております。こちらの潜伏期間は、今10日間程度と言われております。  それ以外の方は(3)、(4)になりますが、まずは患者さんと同じ船や飛行機に乗っておりましたが、 濃厚な接触は認められない方については、入国は認めますが、そのかわり検疫所長の方から健康 状態の報告を義務づける。こちらは罰則もある規定になっていますが、そういうことが検討され ております。  そのほか、感染国から入ってきた飛行機や船ですが、どなたも健康状態が悪い方がいらっしゃ らなかった場合、ただ、感染国から入ってきていますので、感染しているおそれはありますので、 入国は認めるものの、健康状態の報告を義務づける。  こちらが大きな柱の流れになっています。  続いて、真ん中の「国内対応」をごらんください。  検疫港の集約と併せまして、まず最初に、国民の方から不安が出てくると思いますので、保健 所を設置し、都道府県、特別区の単位で発熱相談センターを置いていただきたいということを進 めております。  また、国としましては、コールセンターを立ち上げまして、国民の方の不安を解消する手だて をとりたいと思っております。  ちょっと下になりますが、国内で実際に発生した場合ですが、発生した地域につきましては、 まず先ほどの保健所設置単位に発熱外来というものを設置していただきまして、患者の方もしく は新型インフルエンザではないかと疑われる方が混じりあわないような、そういう方はこちらの 病院に行ってくださいという整理をしまして、極力感染を防いでいこうという対応をするつもり でおります。  また、有症者の方、症状のある方は検査をしまして、患者さんだとわかりましたら、医療機関 に入院勧告をします。  細かい時系列的にいきますと、症状が疑われた段階でもう入院していただいて、治療は開始す るんですが、並行して患者さんだと確定した場合には、積極的な疫学調査と書いておりますが、 その方の行動履歴を見まして、発症して感染力をその方が持っていると思われる期間につきまし ての行動を調査し、その間に接触をした方をピックアップしまして、感染のおそれのある方を特 定していきます。  そうして特定された方のうち、感染していると疑われるおそれが強い方については、抗インフ ルエンザウイルス薬、今、タミフルの備蓄を行っておりますが、こちらの予防投薬という形で、 潜伏期間と考えられております10日間、薬を先に飲んでおいていただくということを考えてお ります。こちらで感染が防げるわけではないんですが、発症した場合の重篤化が防げるのではな いかと言われております。  併せて、自宅にとどまっておいてくれ、外出はしないでくれという要請を行ったり、また健康 状態が悪化したら、すぐに連絡をしてくれという形で、健康状況の追跡調査等を実施する予定と しております。  また、ちょっと次元が変わる話なんですが、極めて早期の段階で国内で発生事例が出たときに、 1例目か2例目かぐらいの早期だと思いますが、そこの発生地域が、地理的、社会的条件として、 地域の封じ込め、交通の遮断ですとかが可能な地域であった場合には、対象地域を隔離しまして、 そこへ入ってくる方、出て行く方の移動を制限する。また、その地域内住民に合わせて、全員に 薬を飲んでもらうといった形での地域封じ込めを検討してはどうかというのが、ガイドラインに 書かれております。  続いて「その他」を見ていただきたいと思います。  またちょっと時点が戻りますが、海外で発生した時点において、先ほど倉田先生からも御質問 があったところですが、まず国際航空機、旅客線つきまして、感染国からの入港、運行の自粛を 要請したいと思っております。  入国制限としまして、ビザの発行のコントロールですとか、外務省さんの方からになりますが、 感染症の危険情報の発出を積極的にしていただいて、そうした地域に国民の方が足を踏み入れな いようにということを行います。  併せて、今、用意をしておりますプレパンデミックワクチン、現在流行しています鳥インフル エンザを基につくっているワクチンですが、こちらの製造を開始しまして、医療従事者の方、ま たは社会機能維持者の方への接種を開始していきます。  また、実際に新型インフルエンザにかかった患者の方のデータを入手しまして、実際のパンデ ミックワクチンを製造していくという作業に移ります。こちらも製造され次第、国民の方への接 種をして開始していくということを考えております。  また、国内で発生した場合は、例えば臨時休校ですとか、感染した感染していないにかかわら ず、多くの方が集まる集会の場では、感染が引き起こされるおそれがありますので、外出を自粛 してくださいとか、大きな集会は極力やめてくださいという自粛を呼びかけることがあると思っ ております。  また、インフルエンザウイルス薬の流通量を見ておりまして、国が備蓄している分、県が備蓄 している分をどういうふうに放出していくかという形でコントロールすることを予定しており ます。  最後、それでももし残念ながらパンデミック期になりまして、国内で流行してしまった場合で すが、まず検疫については、国内で発生しています検疫で幾ら強力にとめても余り意味がないと いうことになるかと思いますので、検疫の対応の縮小を検討することになると思っております。  また、国内対応としましては、病院が満床になってしまうことが考えられますので、患者さん すべてが入院するわけではなくて、軽症の方は自宅で療養をしてくださいという形になるかと思 っております。  それから、感染症病棟に限らず、一般病床への入院、もしかすると公共施設での医療提供が行 われる可能性もあると思っております。  その他のところとしましては、残念なことに、もしかしましたら多数の死者の方が出てくるか と思いますので、埋火葬の対応の確認ですとか、食料の提供ですとか、独居の方の見回りなどの 生活支援も必要な場面が出てくるかもしれないと思っております。  以上、早口で恐縮ですが、こうした全体の施策が、今、政府の行動計画及び専門家のガイドラ インによって示されている状況ですが、これを実際に我々は実行していくに当たって、法令的な 根拠等をどう考えていこうかというのが、今回議論していただきたい課題でございます。  今、見ていただいています資料3−2の中で太く枠で囲っている部分がございますが、こちら の患者の方の隔離ですとか、感染のおそれのある方を停留するという検疫の対応や、国内で入院 勧告を行うという対応は、患者さんや感染のおそれのある方の人権を制限することになりますの で、法律に基づいて行うものでして、法令的な根拠が必要だろうと思っております。  以上を念頭に置いていただきまして、資料3−1に基づいて、以下、より詳細な、我々が考え ておりますことを御説明させていただきたいと思います。  資料3−1の1ページ目をごらんください。「今後の新型インフルエンザ対策について」とし ておりますが、問題意識としましては、繰り返しになりますが、政府の行動計画や専門家のガイ ドラインにより示されている必要な対策。こうしたことについて、すぐに適時に、確実に実施す るために、以下の点において、法改正も視野に入れた対応を行うべきではないかと考えておりま す。  以下の点といいますのが、大きく分けて発生前の対応と発生後の対応がございます。  発生前の対応として、今、この時点が発生前になりますが、鳥インフルエンザでありますH5 N1に対する対応は、現在入院措置等を可能としておりますが、こちらの措置を継続する必要が あるのではないか。  発生後の対応といたしまして、インフルエンザH5N1もそうですが、その以外のものが新型 インフルエンザになる可能性もございますので、そうした可能性も含めた上で、より迅速な対応 を確実に行う必要があるのではないか。  3点目ですが、新型インフルエンザにつきまして何が特徴的かといいますと、感染力が強いこ とだと言われております。そうしますと、現行の検疫法や感染症法が想定していますことより、 多くの方が法律の対象になってくる。特に患者さんのみならず、感染のおそれのある方が多くな るのではないかということを踏まえまして、(1)検疫の対応として、健康な方も潜伏期間中にある と考えられる場合は停留を実施しますが、停留先が医療機関だけでいいのかという問題。  (2)国内対策といたしまして、感染のおそれのある方に対する対応を拡充した方がいいのではな いかという問題。  (3)といたしまして、検疫対策と国内対策の両方に関わってくることですが、国内対策を行って おります都道府県知事と検疫を行っております検疫所長の連携を強化するべきではないか。  4点目として、検疫体制の充実をより図った方がいいのではないかと考えております。  2ページ目以降で、各事項につきまして、もう少し詳細に御説明させていただきます。  2ページ目は、インフルエンザ(H5N1)への対応ということで、発生前の現時点での対応 についてです。  まず、現状を御説明させていただきますと、インフルエンザ(H5N1)については、現時点 では皆さんも御存じのとおり、新型インフルエンザではありません。ただ、WHOは、患者を隔 離することが必要だという指針をまとめておりまして、我が国においては、昨年の6月に政令を 制定しております。  これによって、まず検疫法に基づいて、検疫の場で検査を行うことができるようになっており ます。  もう一つ、感染症法に基づく政令も制定しておりまして、こちらによって、インフルエンザ(H 5N1)の患者の方が出た場合には、入院措置が行えるように法令の整備をしております。  ところが、○の2点目になりますが、感染症法の指定の政令の方なんですが、こちらは患者さ んの入院措置という人権を制限する規定を政令で定めているものですので、感染症法上、これは 特別な措置だという扱いがされておりまして、まず原則として1年間というのが決まっておりま す。そして、必要がある場合には、また1年だけは延長していいと言われておりまして、こちら の分科会で1年の延長を決めさせていただいたかと思いますが、最長どんなに頑張っても2年ま でだということが法律上しっかり書かれておりますので、このままでいきますと、平成20年6 月12日をもちまして、H5N1の指定感染症の指定が失効することになっております。  これを継続して実施するためには、国会に諮りまして、人権制限が必要な疾病として、法律上 に定める必要があるということになっております。  3点目の現状ですが、このH5N1のヒトへの感染例ですが、先ほど冒頭で三宅補佐の方から 御説明をしたとおり、これは感染例は減っているところではなくて、増え続けております。また、 WHOも患者を隔離する方針を継続しております。  こうした現状を踏まえて、事務局で考えました「考え得る論点」ですが、こうした、今御説明 したような現状を考えますと、平成20年6月12日以降も患者さんに対する入院措置などを継続 するべきではないかと思っております。  そのために感染症法を改正しまして、今、H5N1につきましては、入院措置などを行ってお りますが、感染症法上、入院措置等を行う類型として二類感染症がありますので、そちらに規定 することとしてはどうかと思っております。  3ページ目以降は、新型インフルエンザが実際に発生した場合の対応を確実にするためのこと でございます。  まず、3ページ目の2.ですが、インフルエンザ(H5N1)以外が新型インフルエンザとな る可能性がございますので、その場合も含めた迅速な対応の確保が必要ではないかと思っており ます。  まず現状ですが、政府の行動計画や専門家のガイドラインでどのようにここが整理されている かといいますと、新型インフルエンザが発生した後に、その時点で政令を定めて、発生しました インフルエンザを検疫法の34条という規定がございまして、こちらに基づいて政令を指定する。 そうすることによって、隔離や停留が可能な感染症とすることができます。  それから、感染症法に基づいて、今、H5N1を指定しているものと同じ仕組みですが、新た に指定感染症として指定を行いまして、国内の患者さんに対する入院措置等を可能とするという 方法が示されております。  ただ、2点目の現状になりますが、政令の制定には時間を要しまして、例えば我々が原案を作 成した後、指定感染症の指定の場合には、こちらの審議会にかけることが法律上義務づけられて おりますので、審議会で検討をしていただきまして、その後法制局の審査、閣議決定、公布、施 行という時間をどうしても要してしまうと思っております。  そこで「考え得る論点」の1点目ですが、想定される新型インフルエンザの感染力の強さを考 慮しますと、発生後に幾ら急いでやっても、政令の指定を行うということでは対応が遅れてしま うのではないかと思っております。  そしてまた、既に対策が明らかになっておりますので、先ほど横表で見ていただきました入院 措置や検疫における隔離、停留などを即時に実施できるように、事前に法改正をしてしまう方が よいのではないかと思っております。  2点目ですが、もしそうした法改正を行うのであれば、その際には今、注目を集めているH5 N1だけではなくて、それ以外のものが予期せぬ形で新型インフルエンザとなった場合、そうい うことにも備えた規定ぶりを検討するべきではないかと思っております。  4ページ目は、1〜3ページの対応をしまして、新型インフルエンザが発生し、隔離や停留、 入院措置が可能になった場合でも、更に何かしら必要があるのではないかという問題です。  1つは、上に書いてございますが、感染のおそれがある者が多数に上る場合があると考えてお りまして、そうした場合を念頭に置いたときに、検疫や国内対応の実効性を実際に本当に事務を 実施できるのかという点を考えたときの問題点でございます。  まず、(1)検疫のことについて御説明いたします。  現状になりますが、検疫法においては、まず隔離、停留が必要な感染症と整理されていました ら、感染症の病原体に感染したおそれがある方については、潜伏期間を限度として、停留という 呼び方を法律上していますが、特定の施設に入っていただくことが可能になっておりまして、現 行の検疫法は、その停留先は医療機関だと書かれてございます。  専門家のガイドラインにつきましては、新型インフルエンザに関する検疫法に基づく停留につ きましては、医療機関を原則としつつも、医療機関が満床である場合には、入院代替等施設を可 能とするという記載がございます。  こうした現状を踏まえて「考え得る論点」の1点目ですが、新型インフルエンザについては、 感染のおそれがある方が多数に上ることが想定されておりますので、停留先を医療機関のみと限 定してしまいますと、病床数が必要な数を確保できないのではないかという問題があると思って おります。  2点目ですが、感染のおそれがある者と先ほどから申し上げていますのは、停留をお願いする 時点では、症状はない健康な方になりますので、医療機関に必ずしも停留先を限定する必要はな いのではないかとも考えられます。  また、医療機関に入っていただいている方は、特に医療が必要とされている方ですので、そう した限られた医療資源を有効に活用するという観点を考えますと、医療機関以外での停留も可能 にしておくべきではないかと思います。  3点目ですが、では、どういうところに停留していただくのかということになりますが、そう した施設につきましては、事前に施設側の同意を得て、確保することを原則として、我々の方で 確保を図っていくべきではないかと考えております。  続きまして、5ページ目で、国内対策についてになります。  現状は、感染症法では、どういう規定が今あるかということなんですが、ここでは感染のおそ れのある方が大量になるということを念頭に置いた問題になっておりますので、患者さんの隔離 の話は省略させていただきまして、感染のおそれのある方に対して、どのような対応が現状でで きるのかという点を御説明いたします。  感染症法においては、感染症にかかっていると疑うに足りる方に対しては、健康診断を受けさ せることができるという規定がございます。ただ、この規定によって、健康診断によって、病原 体を保有していると確定された場合には、必要なまん延防止策を講じる、入院措置をお願いする とかが可能になっていくわけなんですが、ただし、その方が潜伏期間中である場合には、病気に よっては健康診断を行っての病原体の検出が不可能な場合がございます。そうしますと、特段ま ん延防止策を実施できないという状況になっております。  なお、新型インフルエンザにつきましては、現在のインフルエンザの特質を考えますと、潜伏 期間中は病原体の検出は不可能ではないかと考えられております。  この点、政府の行動計画及び専門家によるガイドラインでどのように整理されているかです が、真ん中の(1)になりますが、まず患者の接触者の方であって、潜伏期間中と考えられる方につ いては、外出の自粛を要請する。あとは、健康管理の実施としておりますが、具合が悪くなった ら連絡してくださいとか、朝夕の体温をチェックしてくださいということをお願いすることが書 かれております。  (2)ですが、そのうち患者さんと濃厚に接触をしていて、感染のおそれが強いと考えられている 方につきましては、抗インフルエンザウイルス薬の予防投薬を行うことになってございます。  (3)としまして、患者さんが発生した地域につきましては、不要不急の大規模集会の自粛をして くださいですとか、学校等は休校してくださいという要請を行うと記載されております。  更に、専門家によるガイドラインの中には、日本の地理的条件や人口密度などを考えると、厳 格に人の移動制限を行うことは非常に困難だということを書きつつ、もし「人口密度が低く、交 通遮断が容易な地で、かつ著しく致死率と感染力が強い新型インフルエンザが初期に発見された 場合」という、かなり限定的なことを書いた上でなんですが、そうした場合には、地域封じ込め も1つの選択肢に上がってくるのではないかと記載されております。  ガイドラインに書かれております地域封じ込めはどのような内容になっているかですが、下の 欄の(1)〜(3)になります。  (1)は、地域封じ込めの実施機関ですが、20日間は必要だろうと書かれてございます。この20 日間というのは、10日間予防投薬を行いまして、その後10日間投薬を行わずに、実際にその封 じ込めが実現できているのかどうかというのを確認する期間を置く。それを足して20日間とな っております。  (2)は、交通遮断についてです。厳格に遮断をしたり、または自宅にいてくださいという形で自 宅待機を強力に要請することによって、地域内外の人の移動を制限すると書かれてございます。  (3)は、地域検疫と書いてありますが、これは対象の地域からどうしても外に出たいという方に ついては、検疫と同じ形なんですが、指定された宿泊施設で10日間ほど健康状態を観察して、 その方が感染していないと確認されてから外に出ることを認めるという形としてはどうかとい う内容が記載されております。  6ページ、こうした現状を踏まえた上で「考え得る論点」ですが、1点目ですが、発生直後か ら治療を開始したり、感染のおそれのある方やもちろん患者の方もなんですが、他者との接触を 減らしておくことというのが、感染防止に非常に重要であると考えられますので、感染のおそれ がある方に対しては、潜伏期間中に限って、都道府県知事の方から、1点目としまして、健康状 態の報告を求めるという仕組みですとか、外出の自粛を呼びかける仕組みを設けるべきではない かと考えております。  こちらは、国内法である意味初めて感染のおそれのある方に対する何らかの対応を記載するこ とになるかと思います。  2点目ですが、今、御説明申し上げました健康状態の報告ですとか、外出自粛の要請について なんですが、感染症法は御存じのことですが、公衆衛生の必要性と人権制限のバランスをとって いる法律でございますが、必要最小限の人権制限とするべきだというのが、当然の前提としてご ざいます。  また、あわせて、我々が事務を行う上でも実行可能性を考えますと、罰則を付けたり、即時強 制など無理やりさせられる規制ではなくて、要請するという規定にするべきではないかと思って おります。  具体的に、幾つかその理由等を考えられるものを下に書いております。  まず1点目としまして、感染のおそれがある方は、あくまで「おそれ」の段階で、その方が 100%感染力を持っていると言える状況ではありませんので、そうした方に義務づけをするのは 当然限度があるだろうと思います。  それから、先ほど現状のところで申し上げましたが、もし健康状態、この方が確実に感染して いるという場合には、健康診断は即時強制で無理やりといいますか、受けていただくことができ ますので、その方に対する監視といいますか、問い合わせとかを例えば自治体の方が何回も繰り 返してやって、具合が悪いといった段階で、ではあなたは健康診断を受けてくださいという形に よって、封じ込めを実際に図るという道もあります。  3点目ですが、もし仮にこれを強制的にやる、罰則をかけるためには、当然監視体制を設けな くてはいけませんが、監視体制としまして、例えば個人宅の周りに常に都道府県の職員の方が配 置するのかというと、そういうことは非現実的ではないかということ。  4点目としまして、これは濃厚接触者の方、感染のおそれが非常に強いと考えられる方につい てなんですが、その方については、感染症法に基づくものではありませんが、施策として予防投 薬を行おうではないかということが予定されておりますが、そうした予防投薬を行う担当の職員 の方が薬を配ったり、また服薬の状況を確認するということで、自宅訪問を定期的に行うような ことで、効果的に外出自粛を促すことが可能になるのではないかと考えておりまして、こうした ことを踏まえれば、罰則付きではなくて、要請するという規定がよろしいのではないかと思って おります。  7ページ目は、地域封じ込めに対する対応でございます。  我々としまして、考えられると思っておりますのは、先ほどと同じようなものですが、人権や 実行可能性を考えますと、(1)〜(4)で書かれているようなことを、もし仮に地域封じ込め をやる必要がある場合には、こうした対応を行うのがいいのではないかと考えております。  まず(1)ですが、すべての感染のおそれがある方について、健康状態の報告要請や外出自粛 の要請を行います。  (2)は、そうした要請をかけた方全員に予防投薬を実施します。  (3)は、そうした方全員について、担当の職員が定期的に居宅を訪問して、服薬状況や健康 状態を把握します。  (4)は、こうして1〜3点目で感染のおそれがある方は、極力封じ込めを図るのと同時に、 すべての国民に対して、この地域では新型インフルエンザが今、流行しています。また感染する おそれがありますということを十分に周知しまして、当該地域全体について会議は開かないでく ださい、学校は休校にしてください、職場での感染防止策の徹底をしてくださいという要請をし まして、なおかつ当該地域の外にお住まいの方についても、その地域に入らないようにしてくだ さい、地域も方も出ないようにしてくださいという要請をするという形で、ガイドラインにも書 いていますように、日本の人口密度の高さなどを踏まえますと、地域封じ込めを行うのはかなり 限られた場合かと思いますが、もしそうした場合でも、このようなやり方になるのではないかと 思っております。  8ページ目は、都道府県知事と検疫所長の連携を強化してはどうかという点でございます。  現状は、まず都道府県と検疫所長の連携が今どういうふうに図られているかといいますと、き っかけが検疫法にありまして、検疫法では、(1)検疫感染症、これは検疫の対象としている感染症 としている意味で、今は一類感染症などが入っておりますが、その検疫感染症が国内に侵入する おそれがないとまでは言えないけれども、ほとんどないと認められる場合には、仮検疫済証を検 疫所長が交付することになっております。  (2)は、仮検疫済証を交付したときには、その検疫感染症に感染したおそれはあるけれども、例 えばおそれが非常に強い方は停留させますが、そうではないので入国は認めてもいいという程度 の方につきましては、潜伏状況を勘案して、一定の期間を定めまして、その間は健康状態を報告 してくださいということを要請できます。  これに基づいて、(3)ですが、そうした健康状態の報告を求めている方から、健康状態に異状が 生じたということを確認できたときには、その時点で、その方の居住地または所在地の都道府県 知事に通知をしまして、都道府県での感染防止策、入院措置等を行っていただくという形になっ ています。  これを受けまして、感染症法では、このような検疫法に基づいて、検疫所長さんからの通知が あった方に対しまして、質問や調査を行うことができる。そして、その結果、状態がどうだった ということがわかった場合には、厚生労働大臣にその結果を報告することになっています。当然、 厚生労働大臣と書いておりますのは、検疫所長は厚生労働大臣の下にありますので、検疫所長に その情報がバックされるという形になっております。  専門家によるガイドラインについては、この点はどういうふうに書かれているかといいます と、検疫所長の方が仮検疫済証の交付に併せて、健康状態の報告を求めた場合には、(1)その時点 で、当該者の居住地または所在地を管轄する都道府県知事に通知をすること。  (2)で、状況に応じて、自治体においても、その健康状態の経過を観察する等、必要な協力を得 て、発症時における対応の迅速性を確保すると記載されております。  9ページ、以上のような現状から「考え得る論点」ですが、まず、新型インフルエンザの想定 される感染力を考えますと、検疫所長が健康状態に異状を確認した時点で通知をするというので は遅過ぎるのではないかと思います。  2点目、発症時に迅速に対応することを確保するためには、(1)としまして、検疫所長が健康状 態の報告を求めた段階で、都道府県知事には通知をする。  そうしまして、(2)では、都道府県知事は、必要に応じて、そうした通知を受けた方について、 感染防止策、健康状態の報告や外出の自粛を要請することになるかと思いますが、そういうこと を開始できるとしてはどうか。  (3)としまして、そうした形で、都道府県知事の方が先に健康状態の悪化を確認した場合には、 厚生労働大臣にその旨を通知するという規定を設けまして、当然、厚生労働大臣はその情報を検 疫所長にバックしまして、検疫体制の強化なりにつなげていくという仕組みが必要ではないかと 思っております。  長くなりましたが、最後10ページ目になります。  4点目としまして、このほか、検疫体制の充実が必要なのではないかと考えております。  現状ですが、検疫法では、船舶等の長に対して、検疫港や検疫飛行場に近づいたときに、患者 の有無等を通知する義務を課してございます。ただ、それ以外やそれを除きましては、特に船舶 等の長や航空会社など、民間の方に対して、検疫の実施に関して一定の事務を義務づけるまたは 要請するという規定は設けてございません。  「考え得る論点」ですが、新型インフルエンザが発生いたしますと、相当の混乱が生じると考 えております。そうした混乱を防止をし、円滑な検疫を実施するために、例えば日本に向かう機 内や船内において、乗客の方に対して、その検疫で必要となります書類を事前に配付していただ いて、それを正しく記入するように指導しておいていただく。また、検疫の手順が今後どのよう に進むかという事前の説明をしておく。  そうしたことをやっていただければ、混乱を未然に防ぐことができて、円滑な検疫の実施につ なげていけるのではないかと思っております。  そのために、検疫法上に、航空会社等に対しまして、検疫の円滑な実施のために必要な強力を 要請することができるという規定を設ける必要はあるのではないかと思っております。  なお、検疫というわけではございませんが、航空会社等に対しましては、政府の行動計画に基 づきまして、例えば機内で新型インフルエンザと疑われる方が判明した場合には、そうした方を 船内の別室の隔離をしていただくですとか、マスクを着用してくださいですとか、その方に対応 する客室乗務員の方を特定してくださいといったまん延防止策についての要請を行うこととし ております。  冒頭の横表で申し上げましたが、発生地域からの運行の自粛などをお願いするということを考 えております。  以上、非常に長くなりましたが、今後の新型インフルエンザ対策について、本日御議論いただ きたい論点について御説明いたしました。 ○宮村会長 ありがとうございました。それでは、この議題3が今日のディスカッションの中心 になります。今、非常に緊迫感のあるお話でしたけれども、その緊迫感の1つに、これをきちん と対応していくには、法改正も視野に入れなくてはならないということがありますことも理由で あります。  それでは、今、4つのポイントにつきまして論点を抜き出していただきまして、たたき台を提 示していただきました。一つひとつディスカッションしたいと思います。  今日は、これについて御自由に御意見をください。そして、私の要望は、それをもう一回整理 いたしまして、次回の分科会に具体的な提言として事務局からまとめていただいて、ディスカッ ションをしたいと思っております。  それでは、まず第1番目の「インフルエンザ(H5N1)への対応(患者に対する入院措置等) の継続」をどうしたらいいかということについて、御議論をいただきたいと思います。  今の時点ですと、このH5N1は指定感染症として指定されていますけれども、これはパンデ ミックが起こり得るときまでに時間が経ってしまうので、法的にも整理をしなくてはいけないと いうことが1つの問題でございます。御意見をいただきたいと思います。  岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 専門家対策会議のときにとりまとめ役といいますか、司会役をやっていたんですけ れども、そのときの議論の中やワーキンググループなどでもいろいろ議論をやりました。そのと きにいろいろな方面から、新型インフルエンザ、パンデミック対策の全てを現行の法範囲内でで きるのかといったような議論がありました。  そのとき、委員会あるいはワーキンググループの中では、法律の改正を待ってやろうか、ある いは現行の法律の中で縛られながら考えるのでは、余り突っ込んだ議論ができないから、現行の 法律の内容で縛られないとして、ある程度の提案をしておいて、それでもし必要なものであるな らば、むしろ法律の方をいじくる議論を次の段階とした方がいいんではないかといったことが、 専門家会議の意見でありました。  ですから、そういう意味で、今回法律改正も視野に入れた対応ということは、非常に結構なこ とだと、そのときのとりまとめ役として、まず感想を申し上げておきたいと思います。  それから、H5N1の鳥インフルエンザウイルス感染症の段階ですけれども、これが指定感染 症をもう一回延ばしたらどうかというここの会議の議論のときに、私と、今日は欠席しています けれどもウイルス三部の田代部長とあらかじめ話をしておいたのは、ここ1年間で状況がよくな っているわけではないから、やはりもう一年間延長すべきではないかという意見を申し上げたと 思います。  そこの意見を申し上げてから、現在に至るまで、やはり状況はよくなっているわけではないの で、緊急的に悪くなっているということではないですけれども、むしろ段階的に広がっているの で、きちんとルールとして決めておいた方がいい、と思います。  現在のところ、ヒト−ヒト感染が明らかにあるわけではないですけれども、それを視野に入れ た対応という意味では、これが来年の6月に消えてしまっては困るので、是非きちんとした対応 をしていただきたいと思います。 ○宮村会長 御意見でした。  ほかに御意見ございますか。  この法改正をする場合には、指定感染症としての再々延長ということですか。それとも、もう 二類感染症として指定を規定していくということでしょうか。 ○安里課長補佐 詳細はこれから法制局と相談をしまして、決定することになるかと思います が、指定感染症の仕組み自体は、もう最長2年までと明確に書かれておりますので、次は感染症 法上の二類感染症に指定をする形の改正になるのではないかと思っております。 ○宮村会長 その際は、インフルエンザ(H5N1)だけではなくて、ほかの新しい新型インフ ルエンザも対象とするということでしょうか。 ○安里課長補佐 具体的な書きぶり、規定の仕方については、また法制的に詰めていく必要があ ると思っておりますが、まず今、事務局の中で議論している限りにおきましては、新型インフル エンザについては、まだ発生をしていないという状況がありまして、実態が完全につかめていな いものですので、それを最初から二類感染症と決めてしまうには危険があるかと思っておりま す。  その一方で、鳥インフルエンザは既に発生しておりますので、まずこちらだけは切り分けて二 類感染症として指定をするべきではないか。  一方で、今後新しく発生し得るかもしれない新型インフルエンザについては、別途条項を設け まして、新型インフルエンザの場合には、これこれこういう措置が可能となるという規定を整備 するのが、きれいな形なのかなと思っておりますが、いずれにせよ、これはまた法律の専門家と いいますか、法律を書くときに専門家の方々と協議をして考えていきたいと思っております。 ○宮村会長 いかがでしょうか。  山川委員、どうぞ。 ○山川委員 質問でございますけれども、指定感染症について、法7条で指定の期間は1年、そ れが一度だけ更新可能で合計2年ということなんですけれども、そういう規定のつくりにした理 由。1年、1年でマックス2年とされた理由は何だったんでしょうか。 ○安里課長補佐 こちらで残っております資料を読んで考えた解釈ですが、まず、入院措置等、 人権制限を伴うものですので、当然本来であれば、国会で審議をしていただいて、法律にかける べきだろうと思います。  ただ、感染症対策を公衆衛生上の必要性が認める場合には、そうは言っていられないというこ とがありますので、審議会にかけて、まず原則1年間はいいだろうとなりました。更にもう一年 必要があったら延ばすまでは認められたんだとは思うんですが、更にそれ以上ということになり ますと、審議会を経るだけではなくて、国会の場でしっかり議論をしていただくべきだといった ことから、こういう限定がかけられていると考えております。 ○山川委員 わかりました。 ○宮村会長 何らかの形で今の状態を改善していかなくてはいけないことは、自明のことであり ます。今、委員の方々からいただいた御意見と更に法も整備していただいて、この件につきまし ては、先ほども述べましたように、この次分科会に具体的な案として提示をしていただきたいと 思います。 ○岡部委員 質問ですけれども、先ほど補佐がおっしゃった、今やろうとしているのは鳥インフ ルエンザH5N1ウイルスに感染したヒトの場合であって、新型インフルエンザが発症した場合 の、いわゆるパンデミックウイルス感染症に関しては、別途やるということでよろしいんですね。 ○安里課長補佐 はい。今、我々がイメージしているのは、そういう案になっております。 ○宮村会長 それでよろしいですか。 ○岡部委員 はい、その方がいいと思います。 ○宮村会長 その方がいいと思いますね。  では、次に行きたいと思います。  これも大事なことで、新型インフルエンザ(H5N1)以外が新型インフルエンザとなる可能 性も十分にあります。その場合も含めた新型インフルエンザが発生した場合の迅速な対応の確保 のためには、今、言われた現状分析の結果、幾つか法改正も必要になるかもしれないというポイ ントであります。これについても御討議ください。 ○岡部委員 たびたび済みません。もう一回質問なんですけれども、先ほど別途やると言った分 が2.と考えていいわけですね。  それに対する意見なんですけれども、パンデミックインフルエンザが出たときに、新たな改定 をしておくということは、考えとして必要だと思うんですけれども、パンデミックインフルエン ザというのは、やがてはありきたりのインフルエンザに成り下がっていく可能性があるわけで、 その成り下がったときをいつ判断するかということは、一応視点に入れておかないと、いつまで でも閣議だ、検査だということになるので、その辺も考慮に入れていただければと思います。 ○安里課長補佐 御指摘を踏まえて検討したいと思います。 ○宮村会長 3ページに書いてありますことについては、異論がないと思いますけれども、いか がでしょうか。更に注意喚起しておくようなポイントはございますでしょうか。  では、この方向で整理をしていただきたいと思います。  では、4ページに移ります。「感染のおそれがある者が多数に上る場合を念頭においた、検疫 及び国内対策の実効性の確保」ということで、(1)〜(3)とポイントが整理されています。  一番最初の(1)のところでは、医療機関以外の停留の実施。先ほど倉田委員からも御指摘のあっ たところでございます。こういう現状でございますので、幾つか医療機関以外での停留について の検討がなされております。非常に深刻な緊迫感のある話であります。これについて御意見をい ただけますか。  岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 続けてで済みません。先ほど倉田先生がおっしゃったので、その本意は多分ここに あると思うんで、重ねる形になります。  やはり、発生したときにすべての人が病人ではない、あるいは極めて軽い可能性も十分あるの で、その人たちが指定医療機関の限られた数のところに入ってしまうと、医療がパンクしてしま って、肝心の人が診られないといったこともあるので、それはやはり事前に決めておいた方がい いだろうと思うんです。  1つの例としては、我が国としては余りありがたくないことでしたけれども、先般、カナダで 修学旅行生がはしかになって、カナダ政府によって処置・対応をされたときには、彼女、彼らは 周辺のホテルに隔離をということになっていたんです。ですから、隔離といっても随分いろんな 方法があるでしょうし、そういう意味では、周辺のそういった施設にあらかじめ相当お願いをし なくてはいけないと思いますし、その施設での設備の問題とか、あるいは訓練であるとか、だれ がサポートに行くのかということも決めなくてはいけないと思うんですけれども、総論として は、そういった施設のことを考慮しておいた方が、混乱が少なくなるのではないかと思います。 ○宮村会長 ありがとうございました。これは空港の周囲と考えられていいわけですか。 ○安里課長補佐 具体的な検討は、実はこれから詰めるところですので、空港の周囲そのものが いいのか、例えばバスに乗って、ちょっと遠いところですけれども、より確実に隔離ができる場 所があればそれがいいのかなど、いろんな可能性を踏まえて、今、事務局の方でも検討したいな と思っております。 ○宮村会長 山川委員、どうぞ。 ○山川委員 検疫法の16条によると、これは医療機関でなければいけないわけですか。 ○安里課長補佐 はい、そのように読めます。 ○山川委員 指定医療機関でなくてもいいんですね。 ○安里課長補佐 指定医療機関がまず先ですが、そうではない場合は、医療機関でもよい。ただ、 それ以外に認める規定が今はないという状況になります。 ○山川委員 そうすると、医療機関以外の施設としては、どういうものがあり得るんですか。 ○安里課長補佐 我々が考えていますのは、まず感染を防止するのが第一ですので、個々人を隔 離できるようなところで、長期間泊まっていただきますので、宿泊設備が整っているところとい う条件ではないかと思っております。 ○山川委員 例えば民間の旅館とかホテルとかということも念頭に置いているわけですか。 ○安里課長補佐 可能性は否定できないと思っておりますが、まだ本当にそういうところがよい のか、ほかに何か公共の施設で使えるようなものかないのか、まさにこれから検討と思っており ます。 ○山川委員 そうすると、16条の今の規定ぶりから言うと、16条を改定しなければいかぬわけ ですね。 ○安里課長補佐 はい。 ○山川委員 わかりました。 ○宮村会長 倉田委員、どうぞ。 ○倉田委員 あちこちにWHOの文言で隔離という言葉があるんですが、たしか感染症法の一番 最初のときに、この隔離という言葉は伝病法の中ではけしからぬという非難が相当あって、私は このアイソレーションは隔離だと思っていますが、一番最初のところに隔離という言葉はなかっ たんではないかと思いますので、これは検討しておいてもらいたいと思います。  私は隔離が正しいと思い、そういうふうに強力な主張をしましたが、たしか多数の方々が隔離 という言葉に対して異論を述べられていて、11年につくられた法律の中には、隔離という言葉 は消えているのではないかと思うんです。ちょっと検討しておいてください。私の間違いかもし れないけれども、なかったかと思うんです。 ○三宅課長補佐 感染症法の中に隔離という言葉が入っているかということですか。 ○倉田委員 そうです。これは人権侵害であるという議論が、何日間にわたって随分あったんで すよ。入っていればいいですよ。そうでなかったら「他と分けて収容する」と書けばいいんです。 ○安里課長補佐 法律の文言の御指摘だと思うんですが、正しく理解できているかどうか不安な んですが、検疫法は患者さんは隔離する。感染のおそれのある方は停留するという言い方で分け ております。  ちなみに、今ここで我々の方から論点として挙げたのは、患者さんの隔離は勿論医療機関です。 ただ、感染のおそれのある方の停留については、医療機関でなくてもいいんではないかというこ とです。  それから、倉田先生の御指摘は、感染症法の中には隔離という言葉がないんではないかという ことですね。それは感染症法は隔離という言葉を使わずに、入院の勧告を行うという形にしてお りますので、隔離という表現は検疫法の中の世界になっております。 ○宮村会長 大変明快になったと思います。  ほかにこの今の(1)のところでのコメントございますか。 ○倉田委員 先生、これは明快でも何でもなくて、検疫法はこう使っています。感染症法にはあ りませんというんでなくて、感染症法にもじかに関わる話で、これはすべて検疫で処理できる話 では全くないんです。地方の病院やどこの病院に行ったって、これは検疫で処理する話ではない んで、あとのトラブルを防ぐんなら、患者をしかるべく収容するとかという言葉できちっとして おかないと、必ず後でまた厚労省は勝手に言葉を戻してということにならないようにね。  私は今でも隔離という言葉は正しいと思っているんです。ですけれども、そういうことで変な トラブルを起こすのは避けた方がいいですよと言っているだけです。それがあれだったら法律の 方を隔離と直すか、どちらかです。 ○岡部委員 多分、今の事務局の方から提案されているのは、停留が問題になっているので、患 者の隔離あるいは患者と健康者を別にするということではないだろうと思うんです。 ○倉田委員 次のページから後ろまで全部患者を隔離という言葉が使われています。ですから、 それを言っているだけです。 ○岡部委員 では、資料3−1のことではなくて、全体論としてですか。  私が先ほど意見を言ったのは、停留についての場合には、ほかの施設を利用しておいた方がい いだろうという意味でのコメントをしたので、病人の隔離という意味ではなかったんです。 ○倉田委員 私はそういう意味で病人の隔離、患者の隔離と同じような意味なんですが、そうい うことをしなければ意味がないと思うんですが、患者は隔離ではなくて、疑い者は隔離だという のは、そもそも最初から通らない話です。ですから、その論議はおかしくて、この言葉を使うか 使わないか。私はアイソレーションは隔離と訳すべきだと、この7、8年いつも文句を言ってき たんですが、それをけしからぬと言う方が非常におられたので、そこは気をつけた方がいいとい うだけです。  ですから、停留も何も関係ないです。要するに、隔離という言葉を気をつけて使うべきと言っ ているだけです。 ○宮村会長 そのことは十分気をつけて、念頭に置いて、今の議論を続けていきたいと思います。  それでは、(1)の医療機関以外への停留の実施について、ほかに御意見ございますか。  もしなければ、先に進みます。  では、(2)の国内対策ですが、封じ込め対応の強化・感染のおそれがある者への対応の創設とい うことです。健康状態の報告の要請を行い、外出の自粛要請を行う。特に潜伏期間中に確定診断 ができない場合。  政府の行動計画と専門家のガイドラインを検討事項として法改正も視野に入れる。  都道府県知事から、このようなことについて報告を受けるような仕組み。それを受けた後、外 出自粛を呼びかけるという仕組みを設ける必要がある。具体的にどういう仕組みになるのか。  そういう要請というのは、ここもまた幾つか御意見があるかもしれませんが、罰則付きの強制 ではなくて、要請するという程度にとどめておくという1つの考え方であります。  澁谷委員、どうぞ。 ○澁谷委員 ここで潜伏期間中に限って、都道府県知事から報告を求める仕組み、とあるんです が、やはりサーベイランスしておくということは非常に重要だと思いますので、この仕組みは今 後是非考えていく必要があると思います。この知事というのは、おそれのある人の場合、所在地 になるのかあるいは居住地になるのか。どこに停留されているかということにもよるかと思うん ですけれども、そこはどの様に考えたらいいんでしょうか。 ○安里課長補佐 まず、当方で考えています整理としましては、6ページ目に書いていますのは、 国内に一旦入った方で、停留はされていない方になると思っていますので、その方が日本国籍の 方であれば、お住まいのところに帰っているだろうということで、居住地の都道府県知事になる と思っています。  ただ、外国人の場合は、ホテルに滞在されている場合とかは、ホテルがあるところの所在地の 都道府県知事という形になるかと考えております。 ○宮村会長 岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 これもたびたびで済みません。専門家会議のときでの話がまさにここに出ていると 思うんですけれども、あのとき提示したのは、英語で言うとGAP、TAP、CAPといったような 地域的な封鎖であるのか、全体的な封鎖であるのか、あるいは接触者だけの対策であるのかとい う3つの案を提示しておいて、これはすべてについて地域封鎖をやるということではなく、極め て限定された土地でのことであることも視点に入れて提案をしておこうというのが、専門家会議 のアイデアだったと思います。  ですから、国内において、それが可能な地域であれば、きちっと封じ込めができるということ を前提にしておいた枠組みは必要だと思うんですけれども、同じようなことを東京のど真ん中で やるとすると、これは非現実的な可能性があるので、そういうことを含めた両面作戦が必要なの で、そういう意味での法整備であるとすれば、これは賛成です。  それから追加で申し訳ないんですが、先ほどの停留のところにちょっとだけ戻りたいと思うん です。  そういう施設があった場合には、例えば訓練であるとか設備であるといったものが必要だとい うことを申し上げて、カナダの例をとって保障という言葉を言ったつもりだったんですけれど も、やはりそういった対象となる施設に関しては、そこら辺も視点に入れて議論をしていただか ないと、恐らく引受けてくださるところがないだろうと思いますので、その点もよろしくお願い します。 ○宮村会長 それは非常に現実的な指摘だと思います。  ほかにございますか。  深山委員、どうぞ。 ○深山委員 健康状態の報告だとか、あるいは外出自粛の要請とかというのも、本当に実行可能 にしておかないと、なかなか守られないんではないかと思うんです。  SARSのときには、最初の潜伏期間のときには、まだ感染性がないということがはっきりし ていなかったときに、法的ではないんですが、かなりの会社で流行地域から帰ってきたときは、 10日間出社しないで自宅にいなさいという、あれは法ではなかったですね。各社がつくったル ールだったんだと思うんですけれども、いろんな会社でそういうルールをつくっていたんです。  とろこが、実際にその該当されていた人たちが本当にお家におられたかというと、全然違って、 例えば後楽園にある入浴施設にずっとお泊りになっていらしたりとか、実際にはいろんなところ に出て歩かれていたんです。  ですから、独り者、御家族がいてもいいですけれども、長々海外に行って、帰ってきた途端に 何も冷蔵庫に入っていないのに10日間家にいなさいといっても、実際には無理です。その辺の ことまで考えておかないと、出てはいけませんよと簡単に言っても、家にいる方は少ないという か、なかなか難しいんではないかと思いますので、そのような意見を述べさせていただきます。 ○宮村会長 山川委員、どうぞ。 ○山川委員 6〜7ページにかけてですけれども「考え得る論点」が、3点書かれてございます。  法律上の根拠があると、それは全く問題がないことだと思いますが、罰則を付けないあるいは 即時強制としないで要請する。相手方の説得を受けて、任意のコンプライアンスに待つというこ とであるとするならば、現在でもできないわけではないかなと思いますけれども、今、考え得る 論点として3つある中で、とりあえず法改正前でもでき得ることというのは、どこら辺りまでと 考えておられますか。 ○安里課長補佐 要請という形ですので、法律がなくても、ここで書いていますような、都道府 県知事として外出は控えてくださいですとか、健康状態が悪くなったら御連絡くださいというお 願いをすることは可能だと思っております。  ただ、今回、法律に書き込んではどうかといたしましたのは、例えば企業にお勤めの方につい ては、都道府県の方から正式な通知なりでお願いがされていますと対応がしやすいかなとか、都 道府県の方も、手段として明記されていれば、実際の活用が進むかなということもありまして、 もし今回新型インフルエンザ関係で法改正をするのであれば、このような点も入れておいた方が よいかなと考えております。 ○山川委員 そうですね。同感です。 ○宮村会長 ほかにございますか。  では、次に行きたいと思います。(3)になります。この後でももう一回出てきますけれども、検 疫との関わりの一番の最前線であります検疫所。都道府県知事と検疫所長の連携強化ということ で、具体的に検疫法が引用されておりまして、検疫法と感染症法で幾つかの現状の指摘の後、こ ういう論点でポイントが指摘されています。これについて、御意見をください。いかがでしょう か。少し読んでいただいてね。  山川委員、どうぞ。 ○山川委員 同じ者からで恐縮ですけれども、検疫所長が健康状態等の報告を求めた時点で、対 象者の居住地の都道府県知事に通知云々とあります。これは早期の対応を必要として、そういう ことができるようにしようということで、基本的には結構だと思うのですけれども、これはおそ れにすぎない。したがって、何事もなかったということも結果的に起こってくるわけでしょうか ら、通知、更に厚生労働大臣への通知等もありますけれども、その情報の保護といいますか、プ ライバシーというか、そこの点の配慮は必要かなと思いますので、御検討ください。 ○宮村会長 ありがとうございました。  それでは、最後の4番目のところに行きたいと思います。検疫体制の充実が必要である。これ はいろんなディスカッションがあると考えます。航空会社等に対する協力要請規定の整備という ことでございます。ここについて、提言あるいはポイントの指摘がございます。御意見いかがで しょうか。  これは入る方についてのあれですか。出国の検疫等についての配慮の指摘の検討もあるわけで すか。 ○安里課長補佐 今回の議論では、出国の際の検疫というのは、特に事務局としては考えており ませんでしたので、もし御意見があれば、この場で言っていただければと思います。 ○宮村会長 岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 出国の際は、本当は病気の人は国外に出ないで、ほかの国に迷惑を及ぼさないでほ しいというのが実際的だと思うんです。それは航空機や船舶に乗っている間に発病する可能性は あるわけで、向こうに行って停留あるいは隔離をされるということを考えれば、本当は国外に出 るときのチェックが必要ではないかと思います。  SARSのときには、例えば香港政府は自国民が外に出るということに関して、規制をかけて いるし、シンガポールもそうやっていますし、北京空港では、今、出国の方にサーモグラフィー をかけているんですけれども、WHOの中の議論でも、果たしてそれが今の枠内で各国ともでき るかどうかということが非常に問題になっていて、議論があるところです。できたらそれは自粛 としても要請を呼びかけたいところですけれども、1国だけそれをやってもなかなか難しいとい うところもあるでしょうから、対外的に是非検討していただいて、本当は国外に出るときは健康 な人に出て行っていただくということが筋ではないかと思います。 ○宮村会長 山川委員、どうぞ。 ○山川委員 検疫法の問題ではないと思いますけれども、出国に関しては、健康な人が流行地に 渡航することについての制限といいますか、制約は考えなくていいんですか。自国民が流行地あ るいは流行のおそれのある地に渡航することについての措置です。 ○安里課長補佐 まず、委員が御指摘のように、検疫法や感染症法の目的のためのものではない と思っております。  ただ、新型インフルエンザ対策全体としましては、当然必要性が言われておりまして、今、政 府の行動計画の中では、例えば健康な方に対して、外や感染地域に行くなということについは、 外務省さんが危険情報を発出していますので、そこでしっかりやっていこうという話になってお ります。  出国の検疫については、まさに岡部委員がおっしゃったように、いろいろな法的な難しさがあ りまして、各国も法的な整備というところまでは、なかなか難しいと思っているような雰囲気が ございます。  その中で、我々としてどのような対応ができるのか、航空会社の方などに要請をするのかなど については、また新型インフルエンザ対策の全般の中で検討を進めていくことなのかなと思って おります。 ○宮村会長 ほかにこの最後の4のところでのコメント、いわゆる入国のための検疫体制につい て、法改正も視野に入れるようなポイントがありましたら、御意見をいただきたいと思います。  それでは、この議論は、今までいただきました委員からの貴重なポイントを反映させ、またも う少し諸般の諸外国の状況も含め、H5N1の新しい発生状況も踏まえて、次回までにもっと具 体的な提言として出していただきたいと思います。  これ以外にも、行動計画についてのコメント等がありましたら、先生方には今日、提示いたし ました、前からもお送りしていると思いますけれども、それについてのコメントも受けますので、 事務局までお送りください。 ○岡部委員 それは後で申し上げればよろしいですか。今でもよろしいですか。 ○宮村会長 今どうぞ。 ○岡部委員 フェーズ4以降に講じる対策の主な追加事項で、幾つかの改定が行われたのは、大 変結構だと思うんですけれども、1つは医療資源の確保で、医療資材の備蓄の開始でマスクや手 袋となっていますけれども、これは前の議論のときにも出たんですが、抗インフルエンザウイル ス剤については備蓄が進められていますけれども、恐らく現場の医療機関で、例えばサイトカイ ン・ストームだということでステロイドを大量に使ったり、点滴であるとか、そういう周辺のと いってはあれですけれども、必ずしもタミフルだけで治療ができるわけではないので、そこら辺 の整備も順を追ってやっていただければというのが1点。  もう一つは、海外発生時からのプレパンデミックワクチン接種の開始ということもやられてい ると思うんですけれども、これも前に申し上げていますけれども、プレパンデミックワクチンあ るいはパンデミックワクチンをどういう位置づけで接種するのかというのは、どこかでもう一回 きちっと議論をしていただければと思います。  現在の状況だと、なかなか物はあるけれども、どういう人に勧め、あるいはどういう権限とい うとちょっと言い方が強くなるかもしれませんけれども、アクシデントが起きた場合の事故の問 題、勧めるときのレベル、強さの問題ということは、やはりどこかで議論しておいた方がいいと 思うんです。 ○宮村会長 位置づけというか、プライオリティーですね。 ○岡部委員 プライオリティーの問題というか、具体的に言えば、これは任意接種でやるのか、 定期の接種になるのか、あるいは予防接種法と違った形でやるのかということは、議論すべきで あると思います。 ○宮村会長 今の時点では、最終決定システムはどういうふうになっているんですか。 ○三宅結果感染症課長 最終的にどうというのは、まだ結論はありません。  1つは、予防接種法に基づいて、臨時の予防接種ということでやる手もあるかと思います。  あと、対象者につきましては、専門家会議で議論いただいておりますけれども、プレパンデミ ックワクチンにつきましては、医療従事者と社会機能維持者に実施。約1,000万人分を用意して おりますけれども、更に現在、もう少しそれを具体的にどういうふうにやっていくのかというこ とは、今いろいろ検討を進めているところです。 ○宮村会長 あとほかに岡部先生の方からございますか。 ○岡部委員 特にないです。 ○宮村会長 どうもありがとうございました。  それでは、新型インフルエンザの一連のディスカッションはこれで終了いたします。  続きまして、今日のもう一つの大きな議題に入ります。その他になりますけれども、麻しんの 排除計画(案)についてが、皆さんに今、配付されております。これについて、事務局から御説 明ください。 ○三宅課長補佐 御説明させていただきます。資料4−1の「麻しん排除計画案について」でご ざいます。  麻しん排除計画というものにつきまして、予防接種に関する検討会という健康局長の諮問委員 会の下で、計4回にわたり議論をさせていただきました。その報告を受けましたものが、この麻 しん排除計画案でございます。  その背景となっておりますのが、我が国において、近年周期的な流行は見られたものの、患者 数が大変減少していた麻しんというものが、2007年に10代及び20代を中心とした年齢層で流 行を生じ、多数の学校が休校措置を行うなど、社会的な混乱が見られたところでございます。  その原因といたしまして、現在の10代及び20代というのが、麻しんワクチンを接種しておら ず、かつ麻しんに罹患していなかった者が一定数存在すること。  1回目のワクチン接種で免疫を獲得できていなかった者が5%未満存在するのではないか。  そして、麻しん患者の減少とともに、自然感染のブースター効果、免疫の増強効果というもの が起きる頻度が低くなってしまったために、免疫が徐々に減衰し、発症予防に十分な抗体を保有 していない状態になっていたこと。  このような3つの集団がだんだん蓄積していったことが、この流行の原因ではないかと考えら れたところでございます。  また、世界保健機関におきましては、日本を含むアジア西太平洋地域におきまして、2012年 までにこの地域から麻しんを排除する目標を定め、我が国もその目標に同意をしているところで ございますし、お隣の韓国におきましては、2006年に既に麻しん排除の宣言を行うに至ってい るわけでございます。  また、先ほど冒頭に岡部先生からもお話がありましたが、今回の麻しんの流行については、カ ナダや米国等、何例か輸出してしまって、あちらでかなりの騒ぎになってしまったこともあった ところでございます。  そのような何点かのことを踏まえまして、この予防接種に関する検討会できちんとした麻しん 排除に向けて計画を立てようではないかということがありまして、この4回の検討会で麻しん排 除計画案というものをつくりまして、健康局長に答申されております。  それを受けまして、厚生労働省としても、麻しん排除計画をきちんとつくりなさいというアド バイスをいただいているところでございます。  その内容については、この次に御説明させていただきますが、それに伴って、わが省といたし まして、現在その政令で必要な手当をするとともに、麻しん排除計画について、大臣告示等でき ちんとした国としての施策をお示ししようと今、考えているところでございます。  本分科会におきましては、この麻しん排除計画案について、御報告をさせていただきたく思っ ております。  この麻しん排除計画案でございますが、資料4−1にございますように、大きく4本の柱に分 かれております。  1つ目は「95%以上の予防接種率の達成・維持のための取り組み」ということで、95%以上の 予防接種率の達成をしっかりできているか。そして、それが維持できれば、英語で言うエリミネ ーション、日本語で言う排除の状態に持って行けると考えられておりますので、これをしっかり やろうということ。  もう一つは「評価体制の確立」ということで、しっかりとした発症の把握の充実でありますと か、予防接種の実施状況の把握の充実ということをやっていこうということ。  3つ目は「麻しん発生時の迅速な対応」ということで、麻しん患者発生時の都道府県等の迅速 な疫学調査に資するための手引きや人材の養成を通して、速やかな対応ができるようにしようと いうこと。  4番目に、国の本機関を示す、また地方各自治体でしっかりとした進捗状況を管理しながら進 めていくということで「実施体制の確立」。国に麻しん対策委員会を設置するとともに、地方自 治体に麻しん対策会議等の設置をお願いするという4本柱になっております。  中でも、1番目の「95%以上の予防接種率の達成・維持のための取り組み」につきましては、 今のところは1〜2歳の間の方に1回目。小学校に入る前の1年間に2回目という、全部で2回 の予防接種の機会を与えるということを去年から開始したところでございます。それまでの世代 につきましては、世界的に2回の接種が勧められるようになってきた中で、1回の接種しか受け られていなかった。  麻しんの流行が我が国はまだ多かったということもありまして、そういうことであったわけで すが、今回の流行を受けまして、(1)の(1)のような定期予防接種の対象を時限的に拡大しよう。 第1期の1〜2歳、第2期の小学校へ入る前の1年間だけではなく、時限的にそれより上の世代 にも2回目の接種の機会を与えるために、中学3年生のときと高校3年生に相当する年齢のとき に、麻しん風しん混合ワクチンを2回目の接種を定期接種に打てるようにしようということを5 年間の時限措置でやることを考えております。  失礼いたしました。これは「13歳(中学3年生)」ではなくて「13歳(中学1年生)と18歳 (高校3年生相当)」でございます。誤字でございます。失礼いたしました。  それにつきまして、現在、予防接種の政令の改正のパブリック・コメントということで、資料 4−2で今、その意見をいろいろ国民から聞いている状況でございます。  その予防的接種が確実にされるように、95%というのは、かなり野心的な数字でございますの で、確実に行ってもらうための市町村の取組みとしまして、個別通知等の接種勧奨をしっかりや っていただくこと。  文部科学省としっかり連携して、就学時の健康診断等における罹患歴や予防接種歴の確認、そ してお願いをしっかりやること。  そして、接種を行いやすい環境づくりを行うこと。  また、定期接種だけではなく、任意の接種として、職業柄、倫理的にもしっかりやっていただ く必要があるだろう医療従事者や学校や福祉施設等の職員の方々への推奨と、またきちんとした 予防接種の理解を進めるための情報提供をしっかりやるということを95%の接種率の達成のた めにやろう。  以上、このような4本柱でしっかりやるということを考えております。  また「2 評価体制の確立」は、1つ感染症法とも絡むところでございます。  「(1)麻しん発症の把握の充実」でございますが、現在、麻しんと風しんにつきましては、小児 科及び病院の定点から、一部の選ばれた定点観測をするための医療機関からの報告のみをもっ て、大体の数のトレンド、増えているのか、減っているのかというのを毎週1週ごとに把握をさ せていただいたところでございますが、今回麻しん排除計画を実施するに当たり、麻しん患者の 数が非常に少なくなっていることも踏まえまして、全数報告に変更しようということで、これに つきましては、来年の1月1日より、そのような体制になるように、現在届出基準の改正をして いるところでございます。  以上、この4本柱を用いまして、予防接種法は国民に対する義務の接種ではなく、努力義務の 接種でございますので、皆さんに情報提供をして、その重要性を理解してもらい、いろんなとこ ろで確認をし、その必要性を理解してもらい、情報提供し、そして国民の皆様にしっかり打つ重 要性をわかってもらい、打ってもらうということを何回も何回も確認することが重要なんだろう ということをかんがみまして、このような4本柱でやるということの報告書をいただいていると ころでございます。  以上、長くなりましたが、資料4−1と4−2の説明をさせていただきました。 ○宮村会長 ありがとうございました。これは報告ですけれども、何か御質問はありますか。  東海林委員、どうぞ。 ○東海林委員 麻しんについて、今回いろいろ流行したということがありまして、葛飾区でもや はり対策をとって、予防接種をやったわけですけれども、学校については全数把握をしたんです。 それがやはり父兄の方の麻しんに対する意識、予防接種に対する必要性というのをかなり認識し てもらいまして、大変よかった。  それから、例えば学校のクラスで発生した場合に、未接種者がだれかというのが実際にわかる わけなので、対策も非常にとりやすかったということで、やはりこの中でも、できれば学校に入 った時点、それから、ある必要な時点においては、全数把握をしておくというのが、対策として 大変有効ではないかなと思っております。 ○宮村会長 どうぞ。 ○三宅課長補佐 全数把握になりますので、それぞれ麻しんにかかった方はすべて把握できるよ うになります。  学校につきましては、学級閉鎖等の数については、今年度から集計をし出したわけですが、週 単位で来年度からも集計をすることによって、1つの指標になるようにと考えております。  また、学校は学校保健法によって就学時健診や毎年の定期健康診断があるのですが、そのとき に予防接種法の定期接種の年次に当たる者については、必ず予防接種歴の確認と、していない者 に対しては推奨を行う。また、それ以外の任意の接種の期間におきましては、情報提供をしっか り確認後、情報提供を行うというふうに、いろいろな場所で何回も何回も予防接種歴の確認と情 報提供、そしてお願いを繰り返すということを考えております。 ○宮村会長 山川委員、どうぞ。 ○山川委員 麻しん排除計画は、基本的に結構だと思いますが、1つ質問ですけれども、これは 政令の改定で、法の改正は必要ないんですね。 ○安里課長補佐 法の改正は必要なく、政令で対象者を増やすことで確定しております。 ○山川委員 20年4月1日〜25年3月31日の5年間ですけれども、接種の対象になるこの年齢 の学童の総数は大体どれぐらいになりますか。 ○三宅課長補佐 各学年100万とか120〜130万人の方々になります。 ○山川委員 そうすると、大体600万とかそんな感じですね。 ○三宅課長補佐 かける10になります。 ○山川委員 そういたしますと、95%以上の接種ということで、かなり積極的な勧奨をされるこ とになると思いますので、接種の現場で禁忌該当者の排除をきっちりやることだとか、事故が起 こることのないように、その安全対策の点も十分留意したような自治体あるいは関係先への協力 依頼をしていただきたいと思います。  今、伺うと1,000万人の接種ということになるわけですので、やはりある程度不可避的に起こ ってくる面もあると思いますけれども、そういうことがミニマムになるような行政上の配慮を怠 らないようにお願いしたいと思います。 ○宮村会長 岡部委員、どうぞ。 ○岡部委員 ワクチンの検討会議のときに、委員として出席したんですが、やはりこのことは同 様に議論になりまして、特に風しんの生ワクチンを接種を高校3年生が対象になるということで は、だんだん可能性が高くなっている隠れた妊娠ということがあります。実際には、接種した後 で妊娠が発見されても、出生児に対する問題は起きていないんですけれども、そういったような 危険性はできるだけ回避した方がいいので、その点の説明であるとか、今、先生もちょっとおっ しゃられたような紛れ込みの事故もきっとあり得るということですので、そういうことも含め て、副反応に関する説明であるとか、地域で接種するところで、それなりの機材をそろえておく とか、そういうことも委員会で相当議論をされて、要望を出していますので、引き続きその点も 配慮していただければと思います。 ○宮村会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。  それでは、今日の議論はすべて終わりました。特に新型インフルエンザの対応ということにつ きまして、今日のディスカッションの論点を踏まえまして、次の分科会に提示をしていただきた いと思います。  では、次の分科会以降のこれからのスケジュールを含めまして、事務局からの報告、提言をい ただきます。 ○三宅課長補佐 今後のスケジュールでございますが、今回いただいた意見を反映させまして、 次回は11月29日に分科会を予定しておりますので、そこの分科会におきまして、報告をさせて いただきたいと考えております。  次回の詳細につきましては、追って御連絡差し上げたいと思っております。 ○宮村会長 それでは、ちょうど定刻でございます。本日はお忙しい中、本当にありがとうござ いました。よりよい対策を講じるために、これからもよろしく御協力いただきたいと思います。  本日は、どうもありがとうございました。これをもって閉会いたします。                                     (以上)                     (照会)                                    厚生労働省健康局結核感染症課情報管理係                                  (内)2380                                 TEL03−5253−1111