07/11/01 厚生科学審議会科学技術部会第3回臨床研究の倫理指針に関する専門委員会議事録 07/11/01 厚生科学審議会科学技術部会 第3回臨床研究の倫理指針に関する専門委員会 議事録 厚生科学審議会科学技術部会 第3回臨床研究の倫理指針に関する専門委員会 議事次第 ○ 日時 平成19年11月 1日(木)17:00〜19:30 ○ 場所 東海大学交友会館 富士の間 (霞ヶ関ビル33階) ○ 出席者 【委 員】 金澤委員長 廣橋委員長代理       飯沼委員 伊賀委員 江里口委員 北村委員 倉田委員  佐藤委員 寺野委員 永井委員 藤原委員 本田委員 前原委員 丸山委員 谷内委員 【参考人】 山本精一郎(国立がんセンター研究所がん統計解析室)       山本晴子 (国立循環器病センター臨床試験開発部室長) 【事務局】 新木研究開発振興課長 林治験推進室長 佐藤課長補佐 【大臣官房厚生科学課】石井課長補佐 ○ 議 事:1.外国調査報告について ( 1 )山本 精一郎 参考人 ( 2 )山本 晴子  参考人 2.「疫学研究に関する倫理指針」のQ&Aについて   3.「臨床研究に関する倫理指針」の改正に向けた主な論点について 4.その他 ○ 配付資料   議事次第 座席表 委員名簿 資 料 1 第2回臨床研究の倫理指針に関する専門委員会の主な意見 資 料 2 外国調査報告(米国)(山本 精一郎 参考人 提出) 資 料 3 外国調査報告(欧州)(山本 晴子  参考人 提出) 資 料 4 米英仏の臨床研究制度比較のまとめ(案) 資 料 5 疫学研究に関する倫理指針Q&A 資 料 6  臨床研究からみた臨床研究・疫学研究両指針の範囲のイメージ(案) 資 料 7  臨床研究に関する倫理指針の改正に向けた主な論点(案) 参考資料1 臨床研究に関連する指針等 参考資料2 平成18年度臨床研究の倫理等に関する特別研究報告書 参考資料3 ヘルシンキ宣言 参考資料4 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 参考資料5 臨床研究に関する倫理指針とICH−GCP比較 参考資料6 臨床研究倫理指針の遵守状況チェックシート案 参考資料7 疫学研究に関する倫理指針(平成19年改正後) 参考資料8 各補償制度の概要に関する資料・約款等 ○事務局 定刻となりましたので、第3回「厚生科学審議会科学技術部会臨床研究の倫理 指針に関する専門委員会」を始めさせていただきます。本日は、先生方におかれましては、 ご多用中のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。委員19名のうち、本 日は井部委員、川上委員、河野委員、小林委員がご欠席です。寺野委員、本田委員、谷内 委員の3名が遅刻でご出席という連絡をいただいております。現在12名の委員のご出席を いただいておりまして、本会議は成立していることを、始めにご報告申し上げます。本日 の会議は公開としておりますので、あらかじめご了承いただきたいと存じます。また、本 日は外国の倫理審査委員会等に関する調査の報告のために、厚生労働科学研究費の研究班 のほうから、国立がんセンター研究所がん統計解析室長の山本精一郎先生、国立循環器病 センター臨床試験開発部室長の山本晴子先生に、参考人としてご出席いただいております。 それでは、議事進行を金澤委員長にお願いいたします。 ○金澤委員長 こんな夜分遅くお集まりいただきまして、ありがとうございます。また、 今日は両山本先生にお話をいただくことになっており、早速、議事に入りたいと思います。 予定では2時間半なのですが、できれば少しコンパクトにいきたいと思っておりますので、 ご協力をお願いしたいと思います。まず、最初に配付資料の確認をお願いします。 ○事務局 事務局でございます。はじめに、本日の配付資料について、確認させていただ きます。議事次第、座席表、委員名簿があります。資料1は前回の主な意見、資料2、資 料3とプレゼンテーションの資料があり、資料番号が付いているものを資料7まで用意し てあります。このほかに、各委員の先生方には、これらはすべて公開資料ですが、参考資 料としてお手元のハードファイルに納めてあります。ハードファイルは毎回、会議のたび に使用しますので、申し訳ありませんが、お持ち帰りいただかないようにお願いいたしま す。以上です。過不足等ありましたら、事務局までお知らせいただきますよう、お願いい たします。 ○金澤委員長 いま説明もありましたが、これまで外国の倫理審査委員会はどうなってい るのだろうという話が出てまいりました。今回はその外国の状況の調査の報告をいただこ うと思います。アメリカと欧州、それぞれの調査報告ですが、参考人というのはあまり良 い名前ではないので使いたくないのですが、山本精一郎先生と山本晴子先生にお願いした いと思っています。ディスカッションのほうで少し時間をいただきたいので、最初に山本 精一郎先生のほうから15分ぐらい、よろしくお願いします。 ○山本(精)参考人 国立がんセンターの山本です。資料2という表紙に写真が付いた資 料を使って報告させていただきます。1枚めくって「視察目的」です。今回はIRBだけで はなくて、被験者保護のシステムということで、国として被験者保護をどのようなシステ ムとしてやっているかというポイントから、視察に行ってきました。アメリカには、その 被験者保護のシステムの1つの中心であるIRBを管理するOHRP(Office for Human Research Protections)という規制当局があります。そのOHRPがIRBの管理をどのようにやってい るかということについて、お話したいと思います。  アメリカでは、基本的に施設で倫理審査をするということで、Institutional Review Boardという形をとっているということです。調査先として、規制当局のOHRP、それから、 これまでも何度か視察等に行っている、メモリアル・スローンケタリングがんセンター、 MDアンダーソンがんセンターという大学等の研究機関や、国立がん研究所の試みとして行 っているセントラルIRB、あるいはコマーシャルIRBとして、チェサピーク・リサーチレ ビューとウエスタンIRBも行ってきましたので、必要に応じて報告しますが、今回はOHRP、 規制当局について、被験者保護システムについて発表させていただきます。  3頁ですが、米国での制度整備は、過去に被験者保護に対する悲しい事件が起こるたび に、整備されてきたと言えると思います。ここには載っていないのですが、ナチスドイツ の人体実験に対してニュルンベルグ綱領が出され、タスキギー事件を受けるような形で、 NIH(国立衛生研究所)の研究リスク保護局の設立、ベルモント・レポート発行という歴史 があります。コモン・ルールの詳細は後に紹介しますが、被験者保護に関する規制を16 省庁が採択したものをコモン・ルールと呼びます。45CFR46というCode of Federation Regulations(連邦規制)サブパートA部分を、16の省庁で採択したということです。 ところが、その後もインフォームド・コンセントの不徹底やIRBの形骸化などの事件が 相次いで、もともとNIHの中にあったOPRRという被験者研究リスク保護局がOHRPという 名前に改名されて、管理上もNIHから1つ上がりHHS、すなわち保健社会福祉省の直下に 置かれたという経緯があります。  4頁ですが、米国の研究倫理に関する規制体系です。被験者保護に関する規制体系は2 つあって、1つは今お話した45CFR46というもので、公的研究費でサポートされる研究に ついて規制するというようになっています。もう1つは21CFRというもので、日本でいう ところの治験を含め、研究用新薬(IND:Investigational New drug)の臨床試験に関して、 規制するものです。この2つで規制されています。  公的研究費でもINDでもないものはどうなのかという疑問があると思います。日本だと 手弁当などと言いますが、基本的にアメリカでは手弁当では研究しないということだと思 うのですが、研究費をもらってこそ研究するということで、上記でカバーされない研究は 「少ない」ようです。それから、「論文採択時の雑誌規定」に、IRBのことはもちろん記載 しないといけないということも規制力となっています。また、「同一IRBでは同一規準で審 査される」と決まっていますので、実質のところすべての研究がカバーされているという お話を伺っています。被験者保護については、この2つなのですが、個人情報については 別の法律があります。  この2つは、我が国では薬事法などと、それ以外の臨床研究、研究者主導の臨床研究に 対しての法体系は違いますが、米国はこの2つの規制が内容的にはほとんど同じものなの で、それがINDであろうと、研究者主導の研究であろうと、規制内容は同じであるとなっ ています。これからも何度かお話していきますが、この「45CFR46」と、「規制当局OHRP」 と、「grant」多くの部分はNIHが出しているのですが、これら3つが連携する形で実効力 を持っているということになっているようです。  5頁ですが、IRBの規制当局、OHRPが何を行っているかという説明です。繰り返しにな りますが、HHSの下部組織であり、HHSの政策と、各組織のIRBの監督権限を有する。もう 1つの役割として、臨床研究に参加する被験者を保護することを目的に、HHSに政策の新し い企画や情報提供を行うとともに、施設の申請に応じて施設を連邦認証する権限を持って いる。どちらについても、この後半の部分、IRBの監督権限およびFWA(Federal Wide Assurance)というものを中心に、このあとお話させていただきます。  6頁がまとめとも言えるのですが、OHRPはこの3原則で被験者保護を行っています。3 原則は、Assurance、Education、Complianceというものです。もう1つ、印象なのですが、 必ずしも厳しく規制するというものではなくて、なるべく教育して、いろいろサポートし、 それでも駄目な場合は規制するというスタンスで、すごく厳しいものではないということ を、初めにお話させていただきたいと思います。  3原則を順番にお話させていただきます。1番目のAssuranceは何かというと、信頼でき るIRBという保証、AssuranceがFWAといわれるものです。これを得られた施設はOHRPの 信頼を裏切ってはいけないと、まず臨床研究は信頼に基づいて行っているということを言 っています。  10頁に、Federal Wide Assuranceは何かという説明が載っています。これを読ませてい ただくと、「研究に携わる施設が、自施設で研究を実施する際、特に被験者の保護に対して、 適用法や規制要件に遵守して、適切な手段、方法、手順を通じて、その品質を保証するこ とを公に誓約する文書」、これが「施設保証」と言われるのですが、それをOHRPに申請す る。OHRPはこれを承認し、施設が保健福祉省が実施・助成する、研究を実施する資格を認 められたことを「施設認証を得た」、FWAを得たという。つまり、施設側がきちんとやりま すよというものを提出して、OHRPが「わかりました」と言うものがFWAです。Federal Wide Assuranceという名前だけ聞いていると、何のことかよくわからなかったのですが、内容 を聞いてみると、誓約書というか、合意だということです。  11頁です。公的研究費はほぼ多くの部分はNIHから提供されるわけですが、「公的研究 費による臨床研究を行う場合には、参加各施設はIRBに関する情報をOHRPに申請し、FWA を取得しなければならない」というように、NIH側、研究費を出す側でFWAについて規定 されています。それで、FWAの申請に際して、それぞれの施設で研究実施部門とは独立し た、被験者などからの問合せに対応する部門の責任者として、「被験者保護官」を置き、規 制要件を満たしたIRBを特定して、施設長が「規制に従い実施する」旨を宣言し、登録内 容に署名した書類を提出するということになっています。つまり、FWAを取得していない と、研究費が下りないという仕組みになっているということです。  8頁に戻って、これはOHRPへのIRB登録の流れを示した表です。申請者は各施設ですが、 IRBに関する情報をOHRPに登録します。登録すると、OHRPはそれを確認して、IRBの番号 を発行します。次に、規制を順守する旨を届け出る、という、いわゆるFWA申請をして、 OHRPは内容を確認して、合意が得られるとFWA番号を発行するということになっています。  9頁は、IRBとしてどういう内容を登録するのかということですが、これは結構単純な情 報だけで、機関の情報、所在地や代表者連絡先など。それから、IRBに関する情報です。 現在進行中の試験数やFDAやNIHの試験を審査しているかなど、そのような簡単なことを 登録する。それから、IRBメンバーに関する情報です。氏名、性別、学位、専門、機関と の関係。つまり、特別な内容を登録しているのではなくて、登録すること自体が重要なの だということです。登録すると、そのあとFWA申請をして、FWA申請が認められると研究 費がもらえるようになるということです。  12頁ですが、実際OHRPへのIRBの登録の現状として、2007年9月現在で登録されてい るIRB数は、USAは3,503で、USA以外は2,197です。FWAを持つ施設は7,214で、USA以 外では2,182で、うち日本は31。国立がんセンターも登録して、FWAを持っています。FWA は施設の数だけあるはずで、IRBは施設内に何個も持っていたりするので、IRBの数のほう が多いのかと思ったのですが、コマーシャルのIRBを使っているとか、IRBを共有してい る施設もあり、施設数のほうが多いということです。このIRBの登録とFWAの取得に関し ては、国によらず、すべてNIHからの研究費を受けるとか、NIHの研究を一緒に実施する 施設は全部取らないといけないということになっています。  13頁は原則の2つめであるEducationです。Educationに関して、Assistanceとも言っ ていましたが、ただ信頼するだけではなくて、信頼できるIRBであるために、教育を提供 することによってIRBをサポートすることを目的としています。教育機会も提供して教育 を促すということです。  14頁ですが、教育にも2種類あって、FWAの取得時に必要な教育があります。まず、FWA を取得するためには、施設長、IRB委員長、被験者保護官は、この教育を受けなければい けません。例えば国立がんセンターであれば、施設長は廣橋先生なので、廣橋先生にもこ の教育を受けていただいているという形です。IRBが3個あれば、IRBの委員長は、それぞ れ教育を受けていただく。被験者保護官も教育を受けていただくということになっていま す。それから、研究者やIRB委員にも、できれば同じ教育を受けてほしいと書いてありま すが、これは努力義務ということになっています。それ以外にも、OHRPはさまざまな教育 マテリアルを提供していて、上に示した教育マテリアルを、先ほど紹介いただきました私 の研究班で、翻訳を提供しています。PRIM&Rという組織があるのですが、OHRPの教育マ テリアルの作成をサポートしています。これらは研究者やIRB委員が受けるべきと言って いるのですが、必ずこれを受けろと言うのではなく、同等の内容の教育を受けることを推 奨しているというものであり、どれを受けろという決まりがあるわけではありません。  資料に私の班で作っている研究サイトを紹介しておりますが、そこに日本語訳を載せて います。OHRPに伺ったとき、我々の日本語訳をOHRPへの登録要件を満たす教育プログラ ムとして公に認めてもらえないかと言ったら、「Federal Regulationsなので、公的なルー トから依頼を受けないと検討はできません」と言われましたので、OHRPが提供するプログ ラムの公式翻訳とはいえませんが、勉強用には使うことができると思います。  原則の3つ目のComplianceについて、説明します。Compliance、Consequenceとも言っ ていましたが、これは各施設のIRBにOHRPの信頼にどう応えてもらうかということです。 信頼を失わせる前に指導し、それでも応えなければ、最終手段としてassuranceを剥奪と いう手順をとることになっています。信頼に至るかどうかというのは2つの方法で見るこ とになっています。  16頁ですが、信頼に足るかを計る手段として、auditを行っています。For cause audit と、Not-for cause auditという2種類があって、For cause auditは、かなり問題があり そうな状況で行うものです。書面による内部告発などがあるとauditに行くということで す。まず、書面による調査を実施し、改善計画を提出させる。すぐに行って駄目というの ではなくて、改善計画を提出させて、それでも駄目なら実地調査に行くことになっていま す。Not-for cause auditは、「heuristicに」と書きましたが、特にどの部分を狙い打ち すると言って行くというものではなくて、良いとか悪いとは関係なく、年間10施設程度行 くことになっています。「万一問題を見つけても文書に残さないので、改善して教えて欲し い」と対応したり、直らない場合はfor cause auditに切り替えて対応する場合もあると いう説明を受けました。  17頁も引き続き、Not-for cause auditについて説明しています。訪問する施設の選び 方ですが、「heuristicに」に選ぶといってもなかなか難しいので、施設選定の際に考慮す る要因を伺いました。どのように選ぶかというと、臨床試験による死亡者が出ているよう な場合とか、審議が不可能なほどの多数の試験の審査を実施しているとか、有害事象報告 が1件も上がっていないとか、試験数が多いがこれまでAuditされていないとか、委員へ の教育を実施していない施設などを参考にするようです。これらの要因は自分達で調査し て調べるのではなく、NCIやNIHが出しているGrantに関する情報など、二次資料からい ろいろ調べて施設を選定しているということのようです。  18頁ですが、OHRPの内容、品質管理として、なぜ10施設しかNot-for cause auditに 行っていないかというと、OHRP総勢で38人程で対応しているので、それぐらいしか行け ないということです。For causeで訪問することになっていた場合は、一応、手順を決め て訪問するということです。  19頁ですが、Audit結果は文書で機関に返すのですが、実際ちゃんと守られていなかっ た場合、FWAのsuspensionを行います。FWAのsuspensionを行うと、要は研究費がもらえ ない仕組みになっているということです。そのため、OHRPが研究を停止するのではなくて、 研究費がもらえないというペナルティーがあるということです。  20頁にこれまでのまとめがあります。45CFR46という規制によってOHRPを規定して、OHRP はこれまで説明したAssurance、Education、Complianceという形で研究機関を守る。それ に対して、FWAがなければNIHのGrantを取得できないということで、Grant配分機関と規 制する機関を別の組織にした方が動きやすくなるということではないかと推測いたしまし た。NIHだけではなくて、ほかの研究費配分機関も、OHRPのFWAを用いてNIH同様に規制 し、Grantを出さないことにしているということです。  21頁ですが、要は登録することによって、すべてが始まるということのようです。そし て、単に登録して規制するだけではなく、教育したりしていくということです。実際、厳 しく管理しているというよりは、なるべくうまく守れるように相談しながらやっていると いう感想を持ちました。  22頁ですが、米国と同様な被験者保護システムをもつことを我が国でやるとすれば、ど うすればいいか、何が問題かを考えてみました。これは全くの私見です。まず、日本で Assuranceを実施する場合に、OHRPに対応する管理する機関としてはどこがよいでのか。 研究開発振興課も一つの候補かもしれません。しかし日本だとGrantを得ずに実施してい る臨床研究も多いのでそれらに対する被験者保護システムをどうするかも検討しなくては なりません。また、研究者やIRB委員向けの教育プログラムをどうするかも検討する必要 があります。この辺りが解決できれば、米国に類似した被験者保護システムを導入できる 可能性もあるかと思います。以上です。 ○金澤委員長 1つの方法は、ここでご意見、あるいはご質問をというのですが、ここは 続けてアメリカとヨーロッパのお話を伺ってしまいましょう。山本晴子先生、続けてよろ しくお願いします。 ○山本(晴)参考人 資料3です。私たちは欧州、特にイギリスとフランスに調査に行っ てまいりました。2枚目に訪問場所を書いております。まず、EC指令です。すぐに説明し ますが、EUは独特の臨床研究に関する規制を2004年から始めております。1つは、始まっ てから3年ほど経っており、それに関するEMEA会議というのがありましたので、それに出 席しました。英国の規制当局である医薬品庁、英国NHS患者安全庁研究倫理事業部(NRES)、 MRCというファンディングエージェンシーにもまいりましたが、この話は今回はいたしま せん。フランスも同様に、規制当局である医薬品庁と、フランス保健省に行って、こちら も倫理委員会の監督をされている方々にお会いしました。  3頁ですが、まずEC指令です。1996年にICH合意というのがあって、日本もこれでCGCP を法令化して、それに沿って治験を行っているのですが、このときにEUと米国も当然これ に合意しております。EUは、この1996年のICH合意のあとで、EUの中でいろいろと議論 があった末に、2001年に欧州議会を欧州理事会指令、EC指令という形で公布がされました。 この場合、このEC指令というのは、これをそのまま使うというのではなくて、各加盟国が 一定期間内に国内の法整備をして、国内法として実施することになっており、実施された のは2004年5月からということになっております。  臨床試験の実施については、EUは独特のスタンスをとられて、スポンサーが商業的か非 商業的かにかかわらず、また承認申請目的かどうかにかかわらず、医薬品を用いた介入的 試験は、すべて実施前に倫理審査委員会の審査に加えて、規制当局の事前審査が必要であ るということにしました。それから、被験者保護の賠償・補償の措置などを書いて、決め たということです。最初の二重の事前審査というところが、非常にドラスティックな変化 になったところです。  4頁ですが、同じようなことを書いております。ですから、もう新薬の治験というもの ではなくて、たとえ市販品として売っているものであっても、例えば割付をして比較試験 をするとすれば、もうそれは介入研究ということになって、事前に規制当局の審査も受け なければならないことになっています。ただし、これは医薬品にだけ該当する制度であっ て、例えば手術や放射線治療、医療機器の臨床試験、疫学研究も、全くこの指令の対象外 になっています。  それから、倫理審査については、各国で1つの倫理審査でよろしいと。当局は各国1つ なので、国内では1つでいいのですが、EUの場合、当然、他施設というのが多国間の共同 研究になるのですが、この場合は実施する国すべての各国で、1国1つの倫理審査を受け ると、それと規制当局にも出すということになっています。また、治験中に出てくる有害 事象等の安全性報告も、すべての規制当局と倫理審査委員会に報告をする義務が課せられ ています。  5頁のEMEA会議ですが、10月3日にロンドンにある本部で開催されました。これはコマ ーシャルの製薬会社の方々、規制当局の方々、研究者代表、患者団体の方なども参加され て、かなりたくさんの方が来られました。背景としては、特に非商業臨床試験というもの がやりにくくなったという指摘がいろいろあって、EC指令を改正してほしいという要望も ステークホルダーから出ているという背景があったと聞いています。  6頁ですが、これはEMEA会議のところで最初に提示された資料です。申し訳ないのです が、詳細については存じ上げないのですが、これはEUが置かれている状況をEUの方たち がどのように考えているかというものの例として出しております。欧州と米国と日本の薬 剤開発予算ですが、米国に並んで欧州はかなり開発予算をかけていると。日本はかなり低 いです。  ただ、7頁の治験実施施設、主にコマーシャルの治験だと思いますが、治験実施施設の 変化として、欧州、米国、アジア、これは日本だけではなくてアジア域ですが、薄い水色 のところが新規に開いたサイト、濃いブルーが閉鎖したサイトです。欧州では、治験が2001 年からほとんど行われなくなっていると。逆にアジアのサイトが台頭してきている。それ が欧州が持っている危機感の現れだということです。  8頁ですが、EU内で実際に2004年から2007年までに、どのぐらいの臨床試験数が登録 されたかということで、これは中央登録のデータベースがあって、そこからの数字です。 全体としては2万2,000件以上、スポンサーは、商業スポンサー、いわゆる製薬会社が出 しているものが8割、非商業スポンサーが2割で、こちらは2割ですが4,000件以上です。 実施施設としては、やはり他施設のところが6割と多い。実施国ですが、EU内多国が6割 を占めており、EU域外を含むものは5割ということになっています。  9頁ですが、そこでいろいろプラス面・マイナス面のお話がありましたが、このEC指令 を導入されて良かった点は何かということです。先ほども言ったような臨床試験の中央デ ータベースができましたので、その中でEU域内の臨床試験については、全部特定ができる ことになっています。それから、各施設で倫理委員会にかけていた国もあったと思います が、国内1つの倫理審査委員会の承認でオーケーと。1つの国についてはセントラルIRB ということになっていますので、これは良かった。それから、これはどっちもどっちなの ですが、非商業施設で臨床試験のためのインフラ整備や研修が進んだ。これはそのあとの マイナス面とも同じことですが、やらざるを得なくなってやったということです。研究者 にGCPに対する認識とGCP遵守率が高まった。臨床研究全体の質としては向上したという 評価になっています。  ですが、マイナス面もあって、これはEUの独特の状況で、日本とはあまり関係はありま せんが、規制当局、倫理審査委員会の対応に国ごとにかなり違いがある。介入的と書いて あるのですが、それをどう考えるかという運用の差がかなり大きいということや、EUも非 常に拡大していますので、使用言語が各国間で異なるということで、これはかなりの手間 になっているということでした。特に多国間の非商業的臨床試験については、多国間でや る場合に手続が非常に複雑、事務作業が過重。臨床試験のコストが2から多い場合には4 倍にまで増加している。それから、安全性報告もしなければならないのですが、こちらも 多国間に各言語で出すことになっており、非商業スポンサーにとっては非常に個人負担も 大きい。この状況でいちばん打撃を受けているのは小規模の臨床試験で、そこで挙げてい たのは小児癌、稀少疾病というような、小規模の臨床試験については、ほぼ壊滅的な打撃 を受けているという方もおられました。ただ、それでも細々とはやっているという話にも なっています。大規模試験についても、信頼性確保が厳格に求められているので、特に非 商業スポンサーにとっては非常に厳しい。また、倫理審査委員会側も、安全性報告が多い ので、新規案件の審査がなかなか時間がとれなくて大変であるというお話でした。  11頁です。EC指令導入後、承認状況はどうなっているかということですが、ほとんど全 部承認はされています。拒絶されているのはほとんどありません。という状況ですが、お そらくここに出てこない、そもそも申請をされなくなっているという問題があるのだろう ということでした。  12頁ですが、英国とフランスの規制当局の状況です。どちらも根拠法はあって、規制対 象は英国の場合は医薬品だけですが、フランスの場合はこの法律はすべての臨床試験を含 むということになっています。あとでお話しますが、フランスの場合は、実は非介入試験 については除かれていました。規制内容はそこに書いてありますが、EUはちょっと独特で、 医療機器については法律自体が薬事法とは別の法律になっておりますので、今回行ったの はすべて医薬品の関係の方々で、医療機器についての情報はほとんど得られませんでした。  13頁です。審査体制は、どちらも医薬品のクリニカルトライアルの事前審査のみをやっ ておられる場所で聞いております。どちらも部署のキャパは10名から20名程度。ただし、 フランスの場合はちょっと少なめなのですが、外部専門家や承認審査部門の人たちの協力 も得ていると。審査件数は、大体年間2,000から1,200件。非商業試験は、先ほどEMEA にもありましたが、2割から25%程度を占めているようです。  EC指令で、規制当局は申請後60日以内に審査を完了しなければいけないのですが、こ れはどちらもクリアされていて、フランスは約40日でできているというお話でした。審査 対象ですが、先ほども申し上げたように医薬品、遺伝子治療、細胞治療、再生治療は含ま れております。医療機器は、先ほど申し上げた事情で別部門になっております。  14頁です。規制当局の続きですが、どちらも商業試験と非商業試験は全部同じように見 られていますが、審査レベルは変わってはいないとおっしゃっていますが、かなり運用面 でカバーされているようで、英国でお話があったのは、スチューデントレベルの臨床試験 も出てくる。それについては、見て最低限必要なところはチェックして直させることをさ れているようです。それから、EC指令の中では、医薬品についてのGMPも医薬品自体の情 報、文書を出さないといけないことになっておりますが、実際は上市後のものについては 添付文書程度の要求しかしていない。審査料も、ちょっと理屈は違いますが、実際には非 商業試験の場合は数万円程度の審査料を払ってもらっている。ただし、フランスは同額の 倫理審査料も取っております。英国の場合は倫理審査料は無料です。  15頁の補償制度ですが、過失賠償は、英国はNHSという国営病院のシステムになってお り、その中で起こった過失に伴う賠償は国費で行っている。これは日本の公務員と同じこ とだと思います。無過失補償は、NHS、国が行う臨床試験については、民間保険に加入でき ないという法律の制度があるらしくて、実際には無過失補償はNHSなどは掛けておられま せんが、一応、見舞金程度の支給をすることはある。それから、大学などの非NHS組織で は、民間保険を掛けて、無過失の被害に対する補償もその保険でカバーできるということ です。フランスは、これはまたかなり進んだというか、違う状況になっていて、フランス はすべての臨床試験について過失賠償保険の加入は法律で義務付けられており、規制当局 にもそれを出さないといけないのです。2005年にONIAMという、下の括弧にある国立医療 事故補償公社ができて、無過失の損害はそちらでカバーされると。ですから、これは原資 は税金なのですが、臨床研究であったとしても、無過失の場合はONIAMで補償してしまう ことになりましたので、臨床研究の中の無過失補償というものを考える必要がなくなった という状況です。  16頁、17頁は、倫理審査委員会の状況です。16頁ですが、英国はNHSの中の倫理審査 委員会の監督官庁に行ってまいりました。NHSは、英国の中でも、イングランドおよび南 ウェールズと、スコットランドとアイルランドですかね。いくつかに分かれており、ほぼ 同じような状況でやっているということですが、小さな違いはあるようです。英国のイン グランドおよび南ウェールズの範囲における状況は、行政区域がいくつかに分かれていて、 その中で設置をしている。そもそもは病院内に設置されていた倫理委員会だと思われます が、これを整備して地区ごとの委員会という形にして、現在は120あるということですが、 90程度に減らす予定があるということです。  NRESという監督官庁が、2年ごとに認証しております。開催頻度は日本と同等。委員は マックス18名で、そのうちの3分の1が非専門家でないといけないと決まっております。 審議件数は非常に多くて、全体で年間8,000〜9,000件あるそうですが、新規案件は上限8 件ぐらいにしている。審査料は国費で運営されており無料です。NHS施設でないところで 行うものについては、別にNHSのこの中の倫理委員会を使う必要はないのですが、無料な のでこちらを使う方々が増えていて、NHSもそれを奨励しているということです。ただし、 この8,000〜9,000件というのは、現在、非介入研究も倫理審査をされていますが、これが 多いので、NHSは非介入研究を倫理審査から外す枠組みをいま検討中だそうです。  一方フランスですが、フランスは国土全体を7つの行政区域に分けており、この中でま た全国で40の委員会があります。こちらは保健省が6年ごとに認証している。委員の数は 14名ですが、14名の正式メンバーと14名の補欠メンバーがあって、実際には28名登録さ れています。審議件数は、フランスは介入研究しか審議をしておりませんので、2,000件 しかありません。非介入研究については、倫理審査をしないということでした。新規案件 は、上限5、6件にしている。審査料は、先ほど言ったように、規制当局の審査料と同等で 有料ですが、アカデミックウェーバーがあるということです。  17頁ですが、申請は、英国の場合は中央コールセンターに相談すると、コールセンター が割り振るということで、研究者は倫理審査委員会を選べません。フランスは、主任研究 者が地区内の委員会の中からは選択できるということで、ある程度、選択権があります。 事務局は、英国は事務センターをある程度集約して、そこも国費で運営されております。 フランスは、各委員会が独自に設置をしている。品質保証ですが、英国は統一SOPを作っ ており、ほぼ統一されたやり方をしています。新規委員の1日研修や非専門委員の1日研 修も義務付けています。また、NRESの中に監査員を2人雇っており、この方々が手分けを して、各委員会を2年ごとに回って監査をする。  フランスは、逆に法律には決められているようですが、SOPもないし、研修も特に実施 はしていない、監査もやっていないということでした。こちらについては、いま統一ガイ ドラインの作成を検討中というか、作成中だそうです。審議については、どちらも審議は 非公開。ただし、審議結果の概要は公開をする。フランスについては、審議結果もあまり 公表はされていないようで、否定的な結果が出た場合にはこの40の委員会の中でそれを共 有するということをおっしゃっておられました。以上です。 ○金澤委員長 大変詳細なご報告をいただきました。最初にアメリカ、次いでイギリスと フランスを比較しながらお話をいただいたわけですが、ご質問を含めて、ご意見をいただ きましょう。質問でも結構ですし、ご意見でも結構ですが、総合討論をいたしましょうか。 ○丸山委員 アメリカ、それからヨーロッパのイギリス、フランスについて、非常に詳細 な最新の情報提供をいただいて、ありがとうございました。時間がないのがもったいない というところがあります。早速なのですが、アメリカの制度の中心になるAssuranceにつ いて、説明をいただいたところでは誤解が生ずるのではないかと思い、質問させていただ きたいと思います。スライドの10頁にAssuranceの説明があるのですが、Assuranceの主 体はどなたということになるのか、お聞かせいただけませんでしょうか。 ○山本(精)参考人 英語の問題もあって、そこが我々もなかなか難しかったのです。OHRP の担当者より言われたとおりに記載いたしました。Assuranceを申請してそれに対して OHRPがそれを認めるとAssuranceを得たというような説明でした。確かに文章を見てもそ のように書いてあるということです。 ○丸山委員 いま私もこのように書かれているので、アメリカの厚生省のホームページな どを見て確かめたのですが、私が1990年代に少し勉強をし、研究結果をホームページなど で公表もしておりますが、Assuranceでアシュアをするというのは各研究施設だろうと思 うのです。各研究施設が連邦から研究資金を受ける条件として、あるいは連邦の研究計画 に参加する条件として、被験者の人権を守ることをアシュアする、確約すると。そして、 具体的には自分たちでルールを作るのはちょっと大変ですので、Code of Federal Regulationの内容、コモン・ルールの内容を守ることを確約して、それを現在でしたらOHRP に提出すると。それに対してOHRPがアプルーブするということだろうと思うのです。です から、いま何枚目かわからないのですが、後ろのほうでAssuranceが破棄されるとあるの ですが、そういうことではなくて、Assuranceに対するアプルーバルを規制当局、OHRPが 破棄なり撤回するという仕組みだろうと思います。10頁の最初のパラグラフの4行目に書 かれている「保証することを公に誓約する」、この誓約がAssuranceだと思うのです。です から、その次に書かれているそれを被験者保護局(OHRP)に、そのアシュアの文書を申請 するのではなくて、それに対するアプルーバル、承認を求める、申請するということだろ うと思いますので、それをちょっと確認しておきたいということです。 ○金澤委員長 丸山委員が探してらっしゃるのは、たぶん15頁だと思いますが。 ○丸山委員 そうですね。ここのAssuranceの使い方が、ここに書かれているようなこと ではなくてAssuranceに対するアプルーバルの剥奪なりというような感じということです。 ○山本(精)参考人 ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりだと思います。 AssuranceもAssuranceと書いてあったり、assuranceと書いてあったり、法律文書なので、 研究者、我々にはちょっとよくわからないところがあって、丸山委員のおっしゃるとおり だと思います。Assurance自体は「各施設が誓約する」ことを指し、それをアプルーブす るということだと思います。一方、assuranceの中でも、OHRPがアプルーブするものを特 別にFWAと呼んでいるような記述もあり、Assurance自体にはいろいろなあり方があるよ うです。Assurance自体は各施設がアシュアするものであり、OHRPのほうは「わかりまし た」と認めるというものであると思います。認めたものをFWAといい、FWAをサスペンド するというのは、何か悪いことがあるとサスペンドするということになるのだと思います。 ○丸山委員 FWAというのは、OHRPは厚生省の機関なのですが、コモン・ルールに基づい てアプルーブしているということで、本来は厚生省限りでのAssuranceのはずなのですが、 Federal Wide Assuranceというのは、OHRPの承認、アプルーバルがあれば、ほかの連邦機 関、残りの15の省庁についてもアプルーバルがあったものとみなしてよろしい、というよ うな取扱いですね。 ○山本(精)参考人 FWAに16の全部がOHRPの承認に則っているわけではないというこ とはおっしゃっていました。それぞれの省庁独自の承認システムを持ってもいいと言って いたのです。Federal Wideとなっているので、おっしゃる通りだと思います。正確でなく て申し訳ありません。 ○金澤委員長 いまのディスカッションで、中身が非常によくわかったように思います。 ほかにいかがですか。非常にインプレッシブであったのは、アメリカの過去にあったいろ いろな出来事に反応して、それなりにきちんとその都度、進化をしてきたということなの だろうと思います。それでも、2000年を超えてもなお形骸化などの事件が相次ぐというの がどうも現状のようで、そういうことを学ばせていただきました。 ○寺野委員 欧州調査報告のほうは、山本先生のお話だとプラス面、マイナス面がはっき りと書いてあって、9、10でよくわかるのです。米国のほうは非常に詳細にご報告いただ いて、なるほどそうかと思うのですが、良いところばかりであるわけでないわけで、それ がプラス面、マイナス面を整理していただくと、聞き逃しているのかもしれないのですが、 どうもちょっとはっきりしない。というのは、私なども随分昔アメリカにいたときに思っ たのですが、アメリカのこういう臨床治験というのは、良いように言われるけれども中身 が相当ひどくて、実際、民族差というものから考えて、白人に対しては良いけれども、黒 人あるいはメキシコ人に対する臨床治験は相当ひどかったというのは事実ですね。それが 随分改善されてはきているのでしょうけれども、大体何でもアメリカのものはいいように、 全部直輸入されるのですが、欠点というか、マイナス面というのか、そこがやはりあるは ずなので、その辺を整理していただくと非常にわかりやすいかという感じがするのです。  先月、アメリカのロサンゼルスにあるシティ・オブ・ホープというがんセンターがある のですが、そこへ行ってきたのです。たった1日なので、もちろん十分見られなかったの ですが、そこのフリードマンというFDA前長官と、そこにおける治験の実態を少しお話し ました。シティ・オブ・ホープの抗癌剤の治験は、全米で最短の時間、つまり1年間です べて終わるという形で、治験をやっているのです。スピードというのは非常に大事なこと であると思ったのですが、しかしそのスピードの背景には、やはり欠点はあるはずなので す。そこの辺を十分お話している時間もなかったので、ちょっと残念なのですが、また今 度行って聞きたいと思います。そういう何かこのシステムの中での欠点、つまり我々が学 ぶべきものもあるけれども、学んではならないものがあるはずなので、その辺が整理され ると非常にありがたいかなと。全くの素人発言で申し訳ないですが。 ○金澤委員長 いまの点でお答えはありますか。22頁辺りに先生の私見が述べられてはい ますが、その前提となるところを、もうちょっと敷衍してお話いただけるといいのかもし れませんね。 ○山本(精)参考人 今回OHRPのインタビュー、および資料を基に作ったので、OHRPの 実施していることを紹介させていただきました。各施設からの感想などは載せていません。 うまく整理はできていないのですが、このようにやっているというシステムの紹介で、実 際には38人ほどしかいないような組織で、Not-for cause auditも10件ぐらいしか行け ないということです。実際には全部見られているわけでもないし、実際にSuspensionが起 きたりもしているので、この方法でもって十分と言われているわけではないと思います。  それから、私たちが調査に行ったIRBも、規模の大きな比較的整備されたIRBを訪問し ましたので、そこでは自分たちでアクレディテーションという認証を取るなど積極的に行 っているIRBが中心でした。特別OHRPから監督を受けなくても、正しく行っているような 所を訪問しましたので、うまくいっていない施設の例は調べきれていません。従いまして、 今回紹介いたしましたシステムについて、必ずしも悪い点まで見切れたわけではありませ ん。 ○前原委員 英国とフランスの倫理審査委員会に関する山本晴子先生のお話の中で、また 後ほど出てくるとは思いますが、介入試験と非介入研究のところで、非介入研究は倫理委 員会から審査を外していると。また、イギリスでもそれを検討中だということですが、そ こは実際どういうシステムで審査されているのか。そして、また山本精一郎先生にも、そ の辺りは米国の状況はどうなっているのかお聞きしたい。 ○山本(晴)参考人 英・仏は、現在は英国は非介入研究も審議していますが、審議件数 が非常に多いというので困っていると。彼らはそれを減らしたいと思っている。EUの場合 は、リスクベースで考えているというのがまず根本にあって、非介入研究はリスクが少な いので、あまりそういう審査をする必要はないというのが、おそらくベースにある考え方 だと思います。英国の場合は、現在は倫理委員会で全部見ているのですが、これを倫理審 査から非介入研究を外すための方策として、いまはないのですが、倫理審査に関するアド バイザーかコンサルタントという名前だったと思いますが、そういう職種の方を指定して、 その方に「これは非介入ですから、倫理審査は要らないですよね」ということをお伺いを 立てるというか、それを確認して、確認を取った上で外すということを考えていらっしゃ います。  フランスの場合は、現在は非介入研究は倫理審査なしなのですが、これはちょっと危な いところがあって、何が非介入で何が介入かということを、誰も確認をしていないような のです。彼らは逆にいまの非介入の中で、EC指令で医薬品については、はっきりこれが介 入で、それ以外は非介入試験でやるというように決まってしまっているので、医薬品以外 のところで現行の治療同士の比較試験のようなものについては、新たなカテゴリーを作っ て、それを倫理委員会に掛けるようにしようと。ですから、ちょっと増やそうという形を 考えておられるとお聞きしました。  フランスについては、法律ではいろいろ監査をするということが法制度上はできるよう になっているらしいのですが、実際には現在できていなくて、これについてはHAS(Haute Authorite de Sante)という、別の保健省からも独立した、新しく2004年にできた機関の ようですが、現在そちらで統一ガイドラインを考えていると。ですから、それができれば、 それに合わせて国内の倫理委員会の統一化というか、品質の統一化を図ろうということを 考えておられるということで、まだ改善の途中だという印象でした。 ○金澤委員長 アメリカのほうはどうですか。 ○山本(精)参考人 アメリカのほうは、介入研究も非介入研究も、45CFR46の規制に入 るので、基本的には倫理審査委員会もOHRPもこれらの研究をカバーすることになります。 ただ、迅速審査に当たるものもあり、私がいくつか見たIRBでは、施設内で迅速審査の規 定を定めており、迅速審査を行うか否かは研究者側が決めるのではなくて、施設のIRBの 事務局が判断して、迅速審査に回すものもあると伺っています。 ○山本(晴)参考人 1つ言い忘れました。フランスは、非介入試験は倫理審査委員会に は掛からないのですが、個人情報保護は審査を一応受けていらっしゃるそうです。ですか ら、現在の日本の指針では個人情報保護法は中に取り込まれていますが、それを別立てに されているようで、倫理審査ではなくて、情報保護の観点の審査はあるとお聞きしました。 ○金澤委員長 個人情報保護の審査は、施設内なのですか。 ○山本(晴)参考人 倫理審査委員会とは別個にあるということです。 ○金澤委員長 わかりました。 ○本田委員 細かいことですが、倫理審査委員会の委員、英国、フランスのところの委員 数など、英国のほうは3分の1が非専門家とありますが、フランスのほうはどうなのか。 これは施設のものではないですよね。地域の委員会ということで、どのように選んでいる のかということ。一般の人の場合、英国の場合は研修があるということなのですが、フラ ンスのほうはないけれども、それはそのままどうぞ、という形になっているのかというこ とを教えてください。アメリカの場合もわかれば、少し教えていただければと思います。 ○金澤委員長 どうぞ。 ○山本(晴)参考人 英国は統一のSOPがありそちらで決められているのですが、3分の1 はレイパーソンと書かれています。 ○金澤委員長 レイパーソンとは素人ですね。 ○山本(晴)参考人 素人という意味です。素人でそのうちの半分か、何割かは昔、病院 に勤めていたとか、医療職であった方でも、いま離れていればオーケーだそうです。その うちの半分くらい、数割の方は全面的に関係のない方でなければいけないということです。  イギリスは通知というか、マニュアルで決められていることなのですが、フランスは法 律で決まっており、さらに細かくレイパーソンではなく、14名のうち少なくとも2人は患 者団体から出ておられる。患者の当事者でなければならないということが決められていま す。イギリスの場合ももう少し、ファーマシストがいるとか、生物統計家が入るとか、そ ういうこともありますが、イギリスの場合は少しレベルがあって、入らなくても一応倫理 委員会としては成立しているようです。ただ、フランスの場合はすべてのメンバーが、こ の役割の方は法律家が何人、患者団体の方が何人と全部法律で事細かに決められていると いうことでした。  選ぶことですが、イギリスの場合は医療者は、彼らはできるだけ施設色を薄くしたいと いうことで、あるNHSの病院の中の倫理委員会でしたら、その中の職員であっても、同じ 病院の職員ではなくて別の病院から職員を委員に出すとか、その辺はNRESというところが ある程度、コーディネートができるということです。  レイパーソンについては公募だと思いますが、これについてはイギリスはわりとそのな り手が見つかりやすいとおっしゃっていました。希望される方はある程度見つけることが できる。一方、フランスは患者団体というか、患者当事者という方を揃えるのは非常に難 しいとおっしゃっていて、なかなか委員会に定期的に出席できる方がいないと嘆いておら れました。 ○金澤委員長 はい、ありがとうございました。ほかに、藤原委員どうぞ。 ○藤原委員 山本晴子先生に欧州調査について3点お伺いしたいと思います。介入の定義 がこのプレゼンテーションの中ではっきりしなかったので、英・仏の中での介入について は、私の資料に関する理解からすれば、添付文書に書いてあれば非介入という感じで考え ていたのですが、その辺りを1つまず教えていただきたいのです。 ○山本(晴)参考人 介入の定義は一応確認したのですが、もちろん新薬であれば当然介 入試験である。売っている上市された薬については治療としてのオフラベルユースは医師 の裁量である。ただし、そこからデータを取ることであれば研究である。そして、介入の 場合はたとえ上市されているものでも、割付けをして研究として立った場合には、それは 介入試験と考えるというお言葉でした。 ○藤原委員 英・仏では同じなのですか。 ○山本(晴)参考人 英・仏はほぼ同じです。ただ、EUのすべての国で同じようにはなっ ていません。英・仏はほぼ同じぐらいの理解で進んでいるようですが、ほかの小国では、 例えば血を採るだけでも介入試験と呼ぶ方がある。逆に言うと、英・仏は血を採るだけだ ったら介入にはしていないということです。 ○藤原委員 2つ目はアドバースイベント、有害事象に関する倫理審査委員会での審査が あまり書いていなかったのですが、EUはEudraVigilanceという非常に面倒な制度を入れ て有害事象をたぶん把握していると思うのですが、その辺りの実情はいかがでしょうか。 ○山本(晴)参考人 ちょっとご紹介しませんでしたが、Eudra CTという中央データベー ス+EudraVigilanceeという中央の安全衛生報告のためのデータベースもあるのですが、 これについては非常に評判が悪く、ほとんど使えない。たぶん製薬会社では使うというか、 入力される専門の方を雇っていて、そういう専門家は使えるのですが、MedDRAであるとか、 いろいろな専門的な知識がないと実際に入力ができないので、英国はほぼこれは使ってい ない。紙ベースで受けているということでした。フランスは地区の保健省の事務所のよう な所で、安全性の担当の方がいらっしゃって、そのうちの1人と研究者が契約を結んで、 その人にEudra Vigilanceeへの入力を委託できるというやり方もとっているということで した。あとEudra Vigilanceeはうまく動けば非常にいいシステムであることはみんな認め ているのですが、やはり難しい。そして現状では動かないという話でした。 ○藤原委員 最後にもう1つ、補償のところを聞きたいのですが、平成15年ぐらいに科研 費で欧州調査に行ったときには、たぶんMRC(Medical Research Council, UK)だと10年 で3件ぐらいしか補償したことがないと言っていたと思います。先ほども頻度が少ないと いうことをおっしゃっていましたが、実際の補償の頻度はフランス、イギリスはどのくら いなのでしょうか。額は私が昔行ったときには、せいぜい休業補償ぐらいで、何千万とか そんなことは聞いたことがないという話をMRCの人たちが言っていたので、実際に額的に はほとんどないと思うのですが、補償の頻度がどのくらいだったかを教えていただきたい。 ○山本(晴)参考人 頻度はやはりかなり少ないというのが現状みたいです。NHSの中で も正確な数は誰も教えてはくれませんでしたが、みなが記憶に残っている程度の数、とい うような印象でした。NHSの中でも見舞金を払ったケースがあったよねというぐらいのお 話でした。  フランスはONIAMという制度を入れていますが、こちらも実際に臨床研究はカバーする ことにはなっているけれども、実際にそういうことが起こることは極めて希であるという ことです。それとこれとはちょっと別に、実は保険会社の方からも少しお話を聞く機会が あったのですが、保険会社の中に日本人の方がいらっしゃって、補償に関する考え方が、 欧州と日本でかなり差があって、その方もはっきりした額はおっしゃらないのですが、こ ちらの補償額は、日本人が考えているよりもかなり少額であるということはおっしゃって おられました。具体的な金額についてはお聞きできていません。 ○金澤委員長 ありがとうございました。よろしいですね。それでは丸山委員どうぞ。 ○丸山委員 私が申し上げるべきことなのかどうか迷うのですが、これまでも指摘された ことで、この専門委員会が検討している臨床研究の倫理指針は、薬事法の適用のない臨床 研究を対象とするものです。山本晴子先生のご報告も、私は薬事法対象の研究にも関心が ありますので、非常に興味深いのですが、この委員会の議論としては4頁の山本晴子先生 の2つ目の・で始まるところ、医薬品以外の臨床研究・臨床試験、これは観察研究も含め てということになると思うのです。その辺りはもう3回、4回ですから、だんだんいろい ろな焦点を定めていくほうがよろしいのではないか。これまで医薬品・医療機器も含めて ですが、GCPの適用となるものがかなり議論の際に念頭に置かれたと思うのですが、臨床 研究倫理指針は、それには適用がないということを、私は立場を弁えていないのですが、 留意をお願いしたいと思いました。 ○金澤委員長 ありがとうございました。 ○藤原委員 丸山先生はそうおっしゃるのですが、薬事法は製造販売業としてやっている 人たちにかかる法律です。山本先生がプレゼンテーションしている内容は、EUで企業でな い人たちが医薬品を使って研究した場合も含みます。医薬品というのは、別に医薬品を使 うから薬事法に掛かるというのではなく、企業に所属しない私たちのような研究者が、例 えば普通に市販されている薬を使って何か介入的に患者に投入して結果を見るというよう な、いわゆる日本でいま我々が規制を受けている研究をした場合には、倫理指針の対象に なっている臨床研究になるのです。それと同じことをこのEU臨床試験指令では言っていて、 別に薬事法にこだわっているわけではなくて、研究者がやっている研究全部をEUはいわゆ るICH-GCPで見ましょうということなので、ここで議論していることとはあまり外れない ように思うのです。 ○丸山委員 確かに薬の使用を観察の対象なり介入に使う場合は、もちろんそれで含まれ るのですが、薬が直接かかわらない臨床研究にも臨床研究倫理指針の適用がありますので、 これがこのEU指令というか、それを物差しにすると外れてしまう。フランスは独自の臨床 研究全体をカバーするのを持っているからよろしいのですが、その辺りをご配慮いただけ ればと思います。 ○金澤委員長 薬以外のこともきちんとやりましょうというように受け取らせていただき ましょう。ほかにいかがでしょうか。どうぞ、精一郎先生。 ○山本(精)参考人 先ほどご質問に答える機会を失ったのですが、本田委員のご質問に 対し回答させていただきます。45CFR46の中で、IRBの委員として非専門家を1名と、科学 分野の専門家1名、施設に属さない人を1名を含め少なくとも5名と記載されています。  山本晴子先生の報告にあったのですが、私が話せなかったこととして、私の資料の最後 の頁に、臨床研究の無過失補償についてというものを入れています。これはOHRPの人に聞 いても、各施設の人に聞いても現状はよくわからないという返答でしたが、米国の現状を 紹介した参考文献がありましたので、下に紹介しました。いろいろな人から聞いたり、文 献を読んだりするところ、米国ではInstitute of Medicineが推奨しているものはあるの ですが、実態としては施設に任されているようです。必ずしも無過失補償が、英国やフラ ンスのように行き渡っているわけではないというのが現状だと伺っています。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかにご質問、ご意見はございませんか。 ○北村委員 お2人で臨床研究指針の改定をやっている中で、見習うべき導入してはどう かというポイントをもし感じておられるならば、ご説明からでは、どこがいちばん見習う べきか、私の頭ではわかりかねるところがあり、もしそういうところがあればご指摘いた だくことができるか、何かポイントはいかがでしょうか。スピードとか人の数、そういっ たものの速さということになると、これは国の姿勢そのものになるので難しいかもしれま せんが、指針の改定のポイントとして見習うべき点はどうかとか、サゼッションがあれば お願いしたいと思います。 ○金澤委員長 どうぞお願いいたします。 ○山本(精)参考人 指針という枠で掛けられるかどうかわからないのですが、我が国と の違いから感じて思うことは、IRBの登録があればそれが基本になるだろうと考えたこと と、Grantのsuspensionというか、要は研究費と絡めた仕組みにする必要があるのではな いかということと、教育の機会を提供していく、あるいはIRB委員研究者も教育を推奨し ていくようなことを指針に謳えるのであれば、義務化か推奨かはわかりませんが、そうい う登録とGrant、飴と鞭ですが、それと教育の機会の3つが感じたことです。 ○金澤委員長 晴子先生いかがでしょうか。 ○山本(晴)参考人 米国とEUは全く違う方向性に進んでおられて、今回、英国とフラン スと参りまして、規制当局はどちらも対応に四苦八苦されているという感じで、少ない人 数でかなりの数をこなしていて、これをそのままにするのは相当に大変だろうなと思いま した。倫理審査委員会についてはフランスのほうが事前情報では制度的にいろいろと整っ ているとお聞きしていたのですが、行って見ると、英国の整備が、非常に実際的で、やり 方としてどちらも地区の委員会にしてしまって、それをできるだけ中央でというか、統一 的にレベルを上げようとしている。英国は非常に分厚いSOPも作って、それを全国でみな 使う。監査も回っている。監査もただ怒りに行くわけではなくて、できていないところに ついてはそれを改善すればオーケーにするという、比較的緩やかな態度で接しておられる ようでした。  ただし、そのためにかなりの国費を投入して、倫理審査委員会のレベルを上げようとし ておられるので、その辺が施設任せという状況では、こういうことは難しいだろうと思わ れました。  もう1つ、私は言いませんでしたが、特に倫理審査委員に対する手当てというか、どち らもボランティアで手当ては払われません。Not paidなのですが、実際には出ることによ って起きる金銭的損失についてはすべて保障されています。ですから、イギリスの人たち が言っていたのですが、例えば女の人が子どもをベビーシッターに預けて出てきたら、そ の時間のベビーシッター代も出します。地域のGPの方が休診をして出てきて、その休診の ためにある程度の金額を納めないといけないというような制度があるようなのですが、も しそういうお金が発生したらそのお金も出すという。ですから、ペイはされていないけれ ども、全く損をしないようになっているので、その上で研修もただで受けられて、そうい う意味で興味のある方にとっては、悪い話ではないだろうなと思いました。 ○金澤委員長 なるほど。イギリスに行ったことがあるので非常にブリティッシュだなと 思って聞いていましたが、わかりました。ありがとうございます。ほかにありましょうか。 1つだけ私も伺いたいことがあるのですが、精一郎先生にお願いします。16頁にFor cause auditとNot-for cause auditと両方ありますが、こういうシステムがアメリカででき上 がったのはいつごろからなのですか。わりに最近ですか。もしわかったら教えてください。 ○山本(精)参考人 19頁に96年以降約10年間で10機関のsuspensionの実施と載せま した。これは、96年から始めたという意味ではなく、その前から実施されていて、ここ10 年では10の研究機関をsuspensionしたということでした。いつからかはわからないので すが、最近始まったものではなくて、audit自体はComplianceを謳っている以上、もっと 前からあったのだと思います。 ○金澤委員長 ありがとうございます。効果を上げていると見てよろしいのですね。 ○山本(精)参考人 auditをやるということが大事で、実際には少なくともやるという ことが大事だということです。 ○金澤委員長 はい、わかりました。 ○丸山委員 いまの山本晴子先生の最後のほうのお話の関係で、以前からお尋ねしてみた いと思っていたのですが、イギリスやフランスもわかればですが、倫理審査委員なり治験 審査委員の委員は、どうやって選任しているかについて、何か情報が得られたことがあれ ば教えてほしいと思います。 ○山本(晴)参考人 選任の方法については詳しくはお聞きしていません。ただ、ボラン ティアであるというお話でした。公募されているかどうかはわかりませんが、イギリスに ついてはかなりNRESという機関がコーディネートされています。専門家についてはいろい ろな所から回して、あっちに入れたりこっちに入れたりされているようです。ただ、レイ パーソンは公募されているのか、どこかの筋から取っているかよくわかりません。フラン スについては探すのが大変、大変というお話だけで、公募の方法については十分お聞きで きていません。 ○山本(精)参考人 米国は各施設によって違うと思うのですが、共通していることは、 専門家については自施設の人と施設外の人。一般の方については公募ではないですが紹介 などがあり、コマーシャルIRBでも、やりたいという人がいて、募集してもしなくても集 まるということでした。Not paidでなくてpaidなのですが、それで生計を立てるほどに は支払っていません。職業IRBメンバーではないということで、英国と同じように教育を 受けられたり、治療開発や臨床研究に貢献できるということで、それなりにやりたいとい う人はいるのだという説明を受けました。 ○金澤委員長 そうですか。ありがとうございました。特別追加のご意見はございません でしょうか。ありがとうございました。それでは少し時間が延びてしまいましたが、第1 議題、外国の調査のご報告をこれで終わらせていただきますが、ポイントについては議題 3の改正の論点の議論でも、引き続き出てまいりますので、よろしくお願いいたします。 両山本先生、ありがとうございました。  次は議題2で、「疫学研究に関する倫理指針」のQ&A、資料5についてですが、今後、ホ ームページに掲載予定と聞いていますが、事務局からご説明ください。 ○大臣官房厚生科学課課長補佐 資料5について説明をさせていただきます。前回、疫学 研究に関する倫理指針の見直しに関して、対象範囲についてご説明をさせていただきまし たが、今回Q&Aができましたので、ご紹介させていただきます。この疫学研究指針のQ&A ですが、「疫学研究指針の見直しに関する専門委員会」において、指針本体と合わせて、ほ ぼ同時進行でQ&Aにどのようなものを載せるかをご検討いただいてきたものです。  指針だけでは、やはり研究をされる皆様の判断、認識を進めていただくための情報が不 足しており、具体的な例が必要ではないかということがあり、疫学研究指針ができた平成 14年当初から作成してきたものです。今回、指針が改正されたことに伴い、Q&Aも改正し たということです。  主に対象範囲について説明いたします。今回追加された新規の質問については黄色マー カーを付け下線を引いてあります。2頁のQ1-3(1)、臨床に関する部分について説明いたし ます。これは「単独の病院内で、診療で得られた患者のデータを用いる行為は診療の一環 又は疫学研究のいずれに該当しますか」ということで、臨床の場における考え方と明らか に疫学研究指針の対象ではないと考えられる具体的な事例を、いくつか例示させていただ いています。  続いて4頁、Q1-3(2)、Q1-3(3)ですが、これは、ただいまご説明いたしましたQ1-3(1) に関連する問いで、どのような判断を誰に委ねるべきか、予後調査がどのようになるかに ついて示しています。  6頁です。Q1-7、ここで臨床の場における疫学研究指針の対象となる研究をどのように 考えるかをお示しています。ここに示した図は、臨床の場における研究の内容に応じ、ご く単純化した図です。現状を概観、単純化したものなので、いろいろ詳細に見出すと、こ れはこうではないかという話が出るのではないかと思います。実際に専門委員会の中で、 かなりご議論をいただきましたが、これはあくまでも現状をご理解いただくためのごく単 純化した図として見ていただければと思います。  図の下の部分をご覧下さい。疫学研究指針の対象となる「診断・治療等の医療行為につ いて、当該方法の有効性・安全性を評価するため、診療録等診療情報を収集・集計して行 う観察研究」の疫学研究指針の対象の具体的な例を3点ほど示し、さらに理解を深めてい ただくこととしています。臨床の場におけるQ&Aについては大体このようなことになって います。  委員長にご指摘いただいたように、文部科学省と国立保健医療科学院のホームページに、 少し遅れて厚生労働省のホームページには5日からの掲載になります。 ○事務局 引き続きまして事務局から補足させていただきます。2枚紙のペラペラとした 資料6です。いま資料5でご紹介したQ&Aは疫学指針から見た疫学指針の対象範囲につい ての議論です。では、逆にこちらの当委員会が担当している臨床研究指針の側から見た場 合の範囲をどうのように考えればいいかというイメージ案を、こちらに示させていただい ています。  次頁です。委員の先生方にはカラー刷りの資料を用意させていただいていますが、左側 の疫学研究倫理指針の範囲が、これまで資料5で説明した部分の範囲で、ここは疫学指針 のほうで決められた部分です。この疫学研究倫理指針の範囲のところから線が引いてあっ て、右側に伸びている部分が、こちらの臨床研究倫理指針の範囲となり、右側のほうから 薬事法の治験は指針の対象外ですが、それ以外の診断・予防、治療の介入研究から観察研 究に至る部分が範囲になってきます。  そのときに特にこの疫学指針と臨床指針のちょうど境界のところにある部分ですが、例 えば観察研究という部分で、前回も当委員会でご議論いただきましたが、患者のカルテ情 報等による研究、患者の検体を用いた診断を伴うような研究といった場合に、集団的な研 究、疫学的な手法を用いて行うようなものは、疫学指針の範囲で、一方で個別的な観察研 究として、ある症例のデータ等を学会等で発表されるといった研究については、観察研究 として臨床指針の範囲に入るということを、前回もこちらでご議論させていただいていま す。絵にするとこのような格好になってきます。実際そういう部分で、いろいろと介入の レベルという部分で色分けをしていますが、こういった対象範囲のイメージ等についても、 また当委員会での指針を検討する上で、今後議論を詰めていっていただきたいという部分 で、これらも含めてご議論いただければと思っています。 ○金澤委員長 ありがとうございました。これは前にも出てきましたね。 ○事務局 はい、前回出ました。 ○金澤委員長 どうでしょうか。いくつか情報をいただいたわけですが、疫学研究に関す る倫理指針のQ&Aのここはどうだ、こうだといま言ってもしようがないわけで、理解をし た上で何かご意見があればと思いますがどうでしょうか。 ○廣橋委員 それぞれの指針の範囲を整理されて、しかもこの介入・観察研究という区分、 全体の研究の中でどういうように分かれているかがよくわかるようになりました。ただ、 今回のこの委員会の議論で、これから臨床研究の倫理指針、あるいは倫理審査を考えてい くときに、介入研究のようなものについてきちんとやろう。それに対して観察研究につい てはもう少しやり方があるのではないか。そして、倫理審査の効率を上げて、患者の保護 が充分に図れるようにするというようなことを考えていきたいと思うわけです。そうする と、そういうポリシーが疫学研究の指針で倫理審査がなされる部分とも、全体の整合性が とれるようにできるのでしょうか。それとも、もうこれからではその辺は調整していくこ とが難しいのでしょうか。 ○研究開発振興課長(新木) 疫学研究の倫理指針、特に資料6の青い部分、それは臨床 研究の倫理指針の部分にもありますが、この部分について疫学研究と整合性をとるという ことが、いま廣橋先生がご指摘いただいたことだと思います。その部分については十分に このところでご議論をいただいて、調整がとれないと逆に現場で混乱をいたずらに生じて しまうかと思っていますので、そんな観点からもご議論をいただければと思います。 ○金澤委員長 ほかにご意見、ご質問は。どうぞ、丸山委員。 ○丸山委員 いまの境目の調整なのですが、臨床研究倫理指針のほうに前文が置かれてお り、そこでは各個別の研究の性格に応じて、指針をかなり柔軟に適用しなさいと書いてい ます。例えば現在の臨床研究倫理指針ではインフォームド・コンセントに関する規定がか なり厳しい要件を定め、例外が認められる場合を絞っています。それに対して疫学研究倫 理指針は当初からインフォームド・コンセントの要件が議論の対象としてクローズアップ されましたので、かなり細かく規定しています。この臨床研究倫理指針の対象となるもの についても、疫学研究倫理指針が適用されるのと似た研究については、例えばいま言った インフォームド・コンセントの要件について、疫学研究倫理指針のような要件を準用とい うか、類推適用ができるというように解釈できるということは、「柔軟に適用しなさい」と 前文に書いてあるだけではわかりにくいし、また、私の説明とは一貫しないことで困った ことですが、その説明と同じものが疫学研究倫理指針の前文にも置かれていて、その辺り、 説明が難しくなりますので、臨床研究倫理指針のインフォームド・コンセントの要件のと ころに改めて研究のタイプに応じた、あるいは手法に応じた要件を調整できると、倫理委 員会の意見などを踏まえて、倫理審査委員会が現実には決めることになると思うのですが、 そのようなことを可能にする規定を置くのが、1つの方法ではないかと思います。 ○金澤委員長 なるほどね。 ○前原委員 私も丸山先生のご意見には納得します。現在の臨床研究に関する倫理指針で は、インフォームド・コンセントを事前に取得するということになっていると思います。 例えば私がかかわっている外科の領域で考えますと、腸管穿孔が起こって腹膜炎になって、 死ぬ寸前でかつぎ込まれて重篤な状態で、そういう方の手術をして、腸管切除をして、そ の組織をみてみると、腸管穿孔の原因が局所のがんであったり、リンパ腫であったりする ことになります。さらに、遺伝子異常が見つかった場合を考えますと、事前にインフォー ムド・コンセントをその現場で取得ということはあり得ない。生きるか死ぬかといったと きに、手術の同意とともに包括的に組織がとれた場合はその利用について包括的にとって いるとしても、具体的なことではあり得ないと思います。  そういう点から言いますと、疫学研究の倫理指針の中では、人体から採取された資料を 用いる場合とか、そうでない場合とか、いろいろな段階的に可能性をもってそこを規定し ていますので、そういう形で臨床研究特別のそれを用いた場合には、是非そこを改定とい うか、いい形で考えていただきたいと思います。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。難しいですね、現場には いろいろご意見がおありなのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○本田委員 すごく素人的ですが、インフォームド・コンセントのところで、前原先生が おっしゃったような現場の判断が必要なことが私は素人でわからない部分があるのですが、 最近、この前も神戸で同意をとっていなかったとか、もしくは説明がされていなかった臨 床試験が発覚したり、そういう現実がある中で、不信を持ってしまいます。だから、そう いうものを分けて、ある程度きちんと記述することができるものなのかどうかというのも 検討していただきたいと思います。 ○金澤委員長 ちょっといま議論が噛み合っているかどうかわからないのですが。 ○本田委員 基本的にはインフォームド・コンセントはしなければいけないのだけれども、 例えば先ほども前原先生がおっしゃったようなことの場合は、それに限らないというのを、 単に鷹揚にするのではなくて、読み様によってはどちらともとれるようになるのではなく て、ある程度規定するとか、そういうことはできるのでしょうか。難しいことなのでしょ うか。その辺の信頼が持てる持てないという問題にかかわるのではないかと素人的には感 じてしまいましたので。 ○藤原委員 本田さんがそういうようにおっしゃるところはできると思います。前原先生 がおっしゃるのは個別の事例でそれを系統的に集めて、何らかの仮説を検証しようとする ような事態になったら、それはもう臨床試験なので、それはきちんとICの中で事前にやる。 海外の場合は緊急避難的な短い期間でICをとらなければいけないものに関しては、例外規 定を設けたりしていますから、それは十分にできると思います。事務局が用意していただ いた加入に伴う被験者のリスクの大きさの程度と、系統的にどういうふうに前向きで集め ていくかというサンプルサイズによって、区分けすることは可能だと思います。 ○本田委員 できればわかりやすい感じにしていただけるのがいいと思います。 ○金澤委員長 ほかにいかがですか。 ○前原委員 もう1点、疫学研究倫理指針のほうは、もうでき上がって、すべてがオープ ンになっているのですか。 ○大臣官房厚生科学課課長補佐 本日から施行になっています。 ○前原委員 それは5年前のものがもう改定されて、これになっている。 ○大臣官房厚生科学課課長補佐 はい。 ○前原委員 そうすると、臨床研究倫理指針との整合性の中で、お互いに歩み寄るところ というか、そういうことが必要になった場合も変わりようがないということですか。 ○大臣官房厚生科学課課長補佐 疫学研究指針についても同様、見直しの規定を置いてい ます。もちろん5年目には当然見直しをしますけれども、必要に応じて見直しをするとい う規定になっています。 ○前原委員 その必要に応じて、今回は5年目の大きな見直しで出来上がったということ ですか。 ○大臣官房厚生科学課課長補佐 はい。 ○前原委員 以前とはどういう点が5年前の改善というか、見直しがされたのですか。 ○大臣官房厚生科学課課長補佐 今回は、5年目の見直し規定があったので見直しをさせ ていただいたということになるのですが、大きく変わった点は、いままで研究される方に とって使いにくかったところについては、必要に応じて手続きを簡略化し、例えば倫理審 査委員会での迅速審査の部分を明確にする。一方で、被験者、つまり研究の対象になる方 の保護について、研究計画書やインフォームド・コンセントの説明事項の中に、補償の有 無を必ず入れる等の両方向での改正がなされました。 ○金澤委員長 補償の有無ですか。 ○大臣官房厚生科学課課長補佐 はい。 ○金澤委員長 ほかにいかがですか。 ○永井委員 私もこのメンバーに入っていたのですが、今回の改定で、臨床行為と臨床研 究の違いを考えなければならない話が相当入ってきました。これは境界が不明なところも あるのですが、とりあえず研究的要素のある診療活動はガイドラインの対象としても、審 査の方法を分けるというところが、改定のポイントなのではないかと思います。議論がこ れから出てくると思いますが、次回の改定に向けて試行錯誤していかなければいけないと 思います。  もう1つ、研究者だけが研究するのではなくて、社会のなかで無意識にヒトを対象とし た研究が行われています。テレビ等でよくA群、B群に分けて介入したり、深夜番組では 遺伝子解析もされているという話を聞いたことがあります。そういう活動も実は研究ガイ ドラインに従わないといけないわけで、社会全体で研究とは何かということを考える1つ の機運を作るのではないかと思います。 ○金澤委員長 それは学術会議で昨日申し上げたところです。番組の中でも科学的な研究 と言われたのです。 ○本田委員 いま永井先生がおっしゃった確認なのですが、疫学研究の倫理指針のQ&Aの 3頁。疫学研究の真ん中に公表の場、新聞、雑誌等への発表と書いてある、これが新聞、 雑誌、テレビがやるものに当たるのですか。 ○永井委員 いえいえ、これはいまお話したのは。 ○本田委員 よく科学番組とか企画や特集をするとかで、これはそんなことではないので すか。 ○金澤委員長 これは違う。 ○本田委員 これは発表だけという意味ですか。 ○永井委員 例えば8頁のQ1-11をご覧になってください。メディアでも知らずに臨床研 究をしています。放送局でも倫理委員会を作って、事前審査が必要と思います。 ○金澤委員長 こういうのも危ない話ですね。ほかにいかがですか。 ○谷内委員 私たち、実際に倫理委員会を運営していていちばん困るのは、最先端医療の 審査も担っている点です。例えば移植医療とか、かなり法制度は整っているところであっ ても、移植のところに関してはまだ倫理委員会が関与すべきではないかという意見が非常 に強くて、倫理委員会で委員の方々にかなり負担をかけながら移植医療を推進している現 状があります。そういうことがあるので、臨床研究の倫理指針の適応範囲をある程度決め ていただいたほうがありがたいのです。どこまでが適応範囲かに様々な意見を持っている 方もおられるので、そのコンセンサスを得るのが、倫理委員会の中で大変になっています。 そういうことでたぶん各大学で移植医療をやっている所は、どこまで移植医療の中で倫理 指針を当てはめたらいいかということや、倫理委員会の関与をどこまでするのかというの で、常に議論になっているのではないかと私は考えています。その点について、ちょっと コメントさせていただきました。  私はこの前倫理委員会が大変だという話をしましたが、実際に半分ぐらいの時間をかけ て論議しているのは、移植医療をいかに倫理委員会の承諾を得ながら効率的に行うかとい うことに関して、いま苦労しながら議論している最中です。いまの移植医療はすべて、東 北大学では倫理委員会を介しておりますので、非常に大変な労力を使っています。 ○金澤委員長 なるほど。移植医療に関してほかの病院ではいかがでしょうか。どうもほ かのシステムがあるのではないかと思うのですが。 ○北村委員 法的に定められている脳死移植については院内でももちろん委員会を開きま すが、問題になるのはおそらく生体移植だろうと思うのです。これは一応付け足しの厚労 省規程ができたのですが、健康人にメスを加えるという点での倫理という形で、各施設は それぞれ1例ずつやり続けるということがあるのではないかと思います。  脳死の場合にももちろん適用については第三者的な判断によっていますし、実施につい ては、臓器移植についての委員会を急遽開催して、1つ1つやっています。生体は大変多 いですから、それが問題になっているのだと思いますが、簡略化するかどうかというのを、 この倫理指針に含めるということは、大変難しいかもしれません。 ○研究開発振興課長 大変医療の現場ではリスクの大きい医療行為、また先端的な医療行 為、研究の倫理というよりもメディカルエシックスという観点でのいろいろなものがある のだと思っています。そのうち、今回のご議論いただくものは、研究としての倫理の問題 で、通常の医療の倫理、広く先端的だったり、非常に危険だったりすることに伴って生じ てくるものは、今回の指針とはちょっと違うのかなと。もちろん非常に重要な問題で議論 をいただかなければいけない、院内できちんと検討していただく問題だとは思っています が、そのように考えています。 ○金澤委員長 問題提起と受け取らせていただきます。 ○佐藤委員 私の理解としては移植というのは患者、レシピアントの治療のために行うも のだと思いますので、臨床研究指針の2の適用範囲の(1)(1)診断及び治療のみを目的とし た医療行為ですから、臨床研究でないという理解でいいのだと思うのです。問題なのは病 腎移植について、これは臨床研究指針に則ってやれと、健康局からボールを投げられてし まっていますので、その点にどう答えるかは少し議論する必要があるかなと考えました。 ○研究開発振興課長 おっしゃるとおりで、研究として行われるもの、研究が何かという とまたそれはそれで非常に難しい議論になろうかと思いますが、簡単に割り切って申しま すと、研究として行われるようなものについては、もちろん移植でもいろいろな研究的な ものから普及的なものまでいろいろあると思いますので、研究として行うのだったら、少 なくともこの内容に合致していただく必要があろうかと思っております。佐藤先生のお話 はそういう一環なのかと思っています。それも含めてこの場でもご意見がいただければと 思います。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。実はもう1つ議題が あるものですから、できればこの辺で疫学指針の改正を受け、臨床研究指針の範囲の考え 方については、先ほどからお話がありましたように、どうも間が抜けてしまって非常に現 場が混乱することがないように、Q&Aをうまい形で作ってもらおうと思います。事務局で は準備をしておいてください。  それでは、本日の第3番目の議題、「臨床研究に関する倫理指針」の改正に向けた主な論 点について、これからこれまでの3回分を、外からおいでいただいた方のご意見をいただ きながら、議論を進めてきましたがこの辺りで一度、この委員会で議論すべき方向、いま までポロポロとご意見をいただいてはいましたがまとめて少し議論したいと思います。そ のために、事務局から少し、まずは資料に基づいてまとめをしていただきましょうか。 ○事務局 議題3について、資料7に基づいて論点のまとめの案についてご説明いたしま す。いま委員長からご紹介がございましたように、今後、この委員会でご議論をいただく 論点についてということです。本日、先生方からいろいろなご意見をいただきましたが、 それを少し骨子のような形で、次回以降事務局からもまとめさせていただこうと思ってい ます。あと、この資料7と関連して、先ほど来の欧米における臨床研究の制度、倫理審査 委員会等について、事務局でまとめ資料を作っています。これは資料4でご紹介していま すので、資料7のご議論をされる中で、また適宜、各委員の先生方にご参照いただければ と思っています。  これまでの3回分の議論等を踏まえ、資料7で整理させていただいている事項、大きく 3つの柱があります。1点目は2にありますが、臨床研究の形態と倫理指針の範囲について の論点で、先ほどのQ&Aのときの整理の図にもありますように、被験者のリスクに応じた 指針の対応の在り方という、これを今後どのように考えていくか。具体的には(2)にある ような医薬品等を用いた非常に治験とかに近いような部分での介入研究への対応という部 分と、(3)にあるような先ほど来ご紹介いただいているような非介入の観察研究のような ものに対する対応。特にその辺りについては、疫学研究の倫理指針における同意の書き振 りとかとの整合性をとった形での、リスクに応じた指針の中のめりはりの部分について、 論点として挙げていく必要があるのではないかと考えています。  3番目は、本日の倫理審査委員会の充実という部分で、欧米の事例をご紹介いただいた 部分ですが、1つには倫理審査委員会の質的向上、欧米の事例を参考にしたどういう倫理 審査委員会としての要件があって、また、そのチェック機能としてどういう形があるべき なのかといった部分が1点目です。2点目としては先ほど来のご議論の中で非常に重要性 を指摘されている倫理審査委員会の委員に対する教育研修の提供のあり方、3番目として は倫理審査委員会の透明性の確保、4番目として倫理審査委員会の事務について、どのよ うな形で支援をしていくか、研究費での支援等、いろいろな考え方があると思いますが、 そういった部分。あとは(5)、本日もアメリカとEUでは倫理審査委員会の設置の仕方も随 分異なるという事例のご紹介がありましたが、施設内の倫理審査委員会ではなくて、施設 外で他施設との共同試験などをやるときに、実際に活用できるような倫理審査委員会の利 用とか、そういった部分の論点があるだろうという部分です。  4番目の柱は被験者の健康被害の防止及び救済についての論点で、1番目は臨床研究の計 画の透明性、現状もいろいろな臨床研究の計画の登録のデータベース等ありますが、透明 性と中身のチェックの機能、特に介入研究に関する部分が1つの論点です。2つ目として、 医療機関における有害事象の対応の透明性とチェック機能、先ほど藤原委員からもヨーロ ッパにおける有害事象データベースのご指摘がありましたが、特に介入研究においてこう いう部分をどう考えるか。3番目は医薬品等の臨床研究における被験者の健康被害の補償 ということで、現状、前回も健康被害救済に関する補償の保険とか、そういった部分につ いていろいろと内容をご紹介させていただいておりますが、臨床研究における補償という 部分が1つの論点になってくるだろうと思います。2番、3番、4番というところが3つの 大きな柱ということですが、その他の部分としてご指摘いただいた点としては、倫理審査 委員会、健康被害の関係など、いろいろなチェック機能等も関係してきますが、公的研究 費との関連、山本参考人からも先ほどご紹介がありましたような、公的研究費で守らなか った場合のペナルティを与えるような考え方ですとか、そういった部分との関連というも のも1つあるでしょうし、(2)にありますが、他制度との関連ということで、薬事法、健 康保険法における医療保険との関係等々、他制度との関連の論点もあるだろうということ で、資料7のような形で、これまで挙げられた議論として、議論の方向性としての論点を 事務局で整理させていただきました。ご議論をよろしくお願いします。 ○金澤委員長 ありがとうございました。これは1つの参考ですが、こういうものに触発 されて皆さん方のご意見を出していただけたら幸いです。これは確定したわけでも何でも なく、単なる例ですので、ご意見をいただけませんでしょうか。 ○北村委員 先ほど両山本先生からお話いただいた倫理委員会の委員の構成のあり方につ いては、すでに前回にも書かれているのですが、欧米では、その人たちの教育というのを 大変重要なことと考えられているのかなとお聞きしました。臨床研究をする研究者自身が、 これは疫学研究範囲か、臨床研究の観察なのかというところを自分で判断するのももちろ ん大事だと思いますが、倫理委員会が国の倫理指針をよく勉強している。ところが、大学 の倫理委員会のメンバー表をいろいろな機会に見せてもらいますと、このごろは外部の委 員も少し入れておられると思いますが、ほとんどの場合、大学の教授がずらっと並んでい るだけです。外部の人たちも、一般の方々も患者側の方々もおられるということになるか ら、何らかの教育システムがあって、1週間か2週間勉強して入っていただくのは大変い いことではないかと思うのです。でも、当該施設がそれを行うと、最初にブレイン・ウォ ッシングをしているということにもなりかねない。勉強していただく方はボランティアで 行くのか。先ほどあったように、タクシー代などを含めたそれなりの交通費を提供しなけ ればならないだろうと思うのです。例えば厚生労働省が希望を募って、年に1回か2回、 これだけの指針があるということを教育する。臓器移植、疫学、遺伝子、臨床研究と、こ こにいる人でも覚え切れないぐらいありますよね。そういったものの教育研究会のような ものを開催するつもりはあるか、可能かということも含めて、私は、3番に載っているこ とは、均霑化という意味でも、やったほうがいいのかなと思いました。 ○研究開発振興課長 今年度から、少し試行的な形なのですが、臨床研究の中核病院とい うものを設定して、そこでのIRBの方を中心とした研修を始めたところです。また、先ほ ど、山本精一郎先生の参考人としてのお話の中で、がんセンターのeラーニングの仕組み のご紹介がありましたが、あれも研究費の一環としてやっていまして、今年度から少し始 めたところです。次回以降どのように研究を拡大していくのかというのは大変大きな課題 だと思っていますので、この場でのご議論を参考に、我々も考えていきたいと思っていま す。 ○倉田委員 教育ということに関してなのですが、委員だけではなく、被験者になり得る 国民にも教育というのは必要なのではないかと思うのです。私も、この委員会に加わらせ ていただく前は、臨床研究とは何ぞやというのがよくわかっていませんでした。私と同じ ように、一般の人たちは、臨床研究がどういうものなのかということをまず知らないだろ うと思うのです。そういうことも報道機関を使って教えていただくということも考えてほ しい。近ごろは、治験などは新聞やテレビでも教えてくれていますし、病院でも、いま治 験はこういうものをしています、というアナウンスも出ていますし、webでも見られるよ うになりました。でも、臨床研究は、まだその辺の広報がないと思うのです。そういうも のは教えていただきたいと思います。例えば難病の患者さんやアトピーのひどい患者さん たちが臨床研究の対象になり得ることもあると思うのですが、難病なら難病なほど、いま 先生が勧めてくださっているこれをやれば良くなるかもしれないという、青い鳥を求める ようなことも起きてくるかもしれない。そういうときに、ほかの先生の意見といいますか、 セカンド・オピニオンを必ずとるということも教育の中に入れていただいて、ただ勧めら れるままにそれを受けるということがないように、患者が自分自身で身を守れるような教 育を事前にしていただきたいと思います。 ○金澤委員長 教育は非常に大事なのですが、お金がかかりますね。予算も必要ですね。 これは是非、事務局で考えてもらいたいと思います。谷内委員から、この間、例えば大学 で治験などをやろうとするときに、大学の中でのIRBのサポートが十分でない、理解が十 分でないという問題提起がありましたが、そういうことも、ある意味では、いろいろなレ ベルでの教育でしょうか。 ○谷内委員 アメリカ式に、公的な研究費を受給している機関が率先してやっていくとい う考え方で、公的な研究費を出しているところは指針に従い倫理委員会をきちんと機能さ せてくださいと言っただけでも、かなり違ってくるのではないかと思います。いまはそう いうものと連動していませんので、一生懸命に倫理審査をしても、しなくても、研究費は いただける。そこだけ付け加えてもらえれば、皆さん必死になって指針に従うのではない かと思います。 ○金澤委員長 先ほど、山本精一郎先生も類似したことをおっしゃっていましたね。 ○永井委員 学会が公開講座をするというのももちろん大事な公益性ですが、当事者なり 社会に対して倫理教育をするというのも公益性の要件だと、ちょっとつぶやいていただけ れば、研究者全体が相当変わってくるのではないかと思います。 ○金澤委員長 つぶやくだけなら、いくらでもやれると思うのですが、確かに大事なメッ セージだと思います。 ○廣橋委員 この倫理委員会は本当に重要だと思うのですが、この委員会の1回目に、い まの倫理審査委員会の現場は大変な負荷で、まいっている状況があるというお話があった。 そこで、リスクに応じた対応ということで、かなり負荷を減らしながら、リスクの高いも のに対してしっかりした審査ができるような教育をし、透明性もきちんとしているところ にGrantが出る、そこにはちゃんと間接経費が付いていて、それが倫理審査委員会に回せ る、そういう形の循環が起こるようにしないと変わらないのではないかと思います。 ○本田委員 前回も質問したいと思って、できなかったのですが、例えばフランスなどに も地域にみんなで使えるIRBがあるのに、なぜ日本はそういうものがないのか。私は逆に、 ないことを知らなかったというレベルなのですが、最初の委員会で弊社の記事を紹介して いただきました。あの調査でも、各施設でやっているところには差がすごく大きくて、教 育をするにしても回っていかないということもあるかと思うので、ある程度多施設で使え るようなものをつくっていくという方向もあってもいいのかなと私は思っていたのです。 そこの課題などは私にはなかなか言い切れないのですが、そういう視点もあってもいいの ではないかと感じます。 ○金澤委員長 ただいまのご意見に関しては、いかがですか。かなり大事なご指摘かもし れません。 ○江里口委員 歯科の場合はあまりこういうものに大きく関与していなくて、ここに来て 一生懸命勉強させていただいていますが、我々開業医のレベルで言いますと、ここにいら っしゃる方は皆さん専門家ばかりです。どんどん欧米の真似をするというか、欧米のもの を日本の医療に取り込もうとしている最先端の方々がいらっしゃる。でも、インフォーム ド・コンセントを含めて、欧米のものをそのまま取り入れて、いま、医療人のレベルのほ うだけがそれに対応していますが、日本の国民にインフォームド・コンセントの完全な意 味がわかっていない人が多くて、我々が説明するものが非常にオーバーになって、非常に 負担になってきている。同じように、この倫理委員会でも、今日は英国とフランスとアメ リカの例を示されましたが、これが果たして日本の国民に対して理解の得られる指針なの かどうかというのは非常に難しい。確かにこれも参考にしていいと思うのですが、この委 員会では、やはり日本人の気質に合った、昔から持っている宗教的なものに合わせた指針 を作らないと、非常に使いにくいものになるのではないか。現場の人間としては、非常に そう思うのです。インフォームド・コンセントが入ったときに、我々としても何を話して いいのかわからなかった。患者さんが「そんなのいいよ」と言うことが非常に多いので、 省いてしまうということも現場では結構あった。この倫理委員会では、指針を作るときに、 欧米ではこうだけれども、日本ではこういうものであるということも少し考慮しないと、 これがなかなか機能しにくいのではないか。あるいは、国民に対して理解を得にくいので はないか。欧米に倣うというのは確かに必要なのですが、その辺も考慮しなければいけな いのではないかと、現場の人間としては思います。 ○金澤委員長 いかがですか。 ○倉田委員 いま、インフォームド・コンセントをしても、日本の患者さんたちは「そん なのいいよ」と言うと言われましたが、例えばどういうことをおっしゃっているのか具体 的に教えていただけますか。 ○江里口委員 私たちの歯科の治療なのですが、例えば1つの治療法に対して3つも4つ も提示をするときに、自分はわからないから、その先生を信じて、「いちばんいい方法をお 願いします」というような表現の方が非常に多い状況です。それがいい、悪いではなくて、 昔は我々が強引にその治療法を行ってしまいましたが、最近は、私たちとしても3つも4 つも選択肢を与えている。しかし、患者さん側にそれだけの知識がない場合は、我々がい ちばんいい方法論を示すほうがかえって患者さんにはいいのではないか。誘導するわけで はありませんが、そういう方法がとられていることが非常に多いのではないでしょうか。 非常に重篤な病気で、セカンド・オピニオンを得なければならない病気の場合はまた別で すが、一般の開業医では、選択肢としていちばんいい方法を我々がやってあげるというの がいいのではないか。医師の裁量権の問題なのですが、そう思います。 ○前原委員 いまのお話を外科の領域で考えますと、以前は3時間待って3分診療と言い ましたが、いまのお話で、臓器でもかなり違うように行うということを認識しました。特 に乳腺の領域では、かなりの情報がインターネットを通じて出ていますし、患者さんも、 いちばん自分の見えるところですので、よく勉強しています。こちらがしっかりと提示し ないと、患者さんのほうがよく勉強しているというような状況になる。選択肢も、乳腺の 病気ですと、外科治療のほかに抗癌剤も、認可されているだけで20種類以上ありますし、 放射線治療、内服治療といろいろな治療法があって、それを組み合わせたりということも ある。そういうことをしっかり認識して患者さんに話しますと、患者さんもそのことをよ く理解されて、自分自身に最も適切な治療は何かということを問うような状況です。私は、 「先生にお願いします」と言われても、きちんと説明をして、現状を理解していただいて、 患者さんに納得して治療法を選択してもらい、その結果はどうかということを進めていく ステップは重要ではないかと思います。 ○本田委員 患者のほうの温度差も疾患の種類によってもさまざまなので、現場の先生方 が大変だということも理解しています。疾患によってさまざまで、提示されて、「先生がい ちばんいいと思うのを」というのも選択なので、言っていただく方向になっていくのかな と感じています。一般の治療もそうですが、臨床研究となると、先ほどの前原委員のよう な例は、考えたり、区別したりということはあるのかもしれませんが、インフォームド・ コンセントは基本的にはないとおかしいのではないかと感じています。 ○金澤委員長 ありがとうございます。先ほど江里口委員は、研究者のほうは意識が高ま ってきているからと言われましたが、実は、そこが怪しいのではないかという気がするの です。例を出した谷内委員の話もそうなのですが、同じ大学の中で、意識は高いはずなの だけれども、上のほうの方々が必ずしも倫理審査委員会に温かい目を向けていただけてい ないという面があるわけです。そればかりではなく、形だけ整えばいいという感覚がどう しても残っている部分があって、患者さんのサインを偽造してしまったなどという例も、 幸い跡を絶たないというほどではありませんが、実際にあったわけです。そんなことを考 えると、この話を聞いていていちばん気になるのは、先へ先へとみんなが行くのはいいの だけれども、現場のマナーはどうなってしまっているのだろうかということなのです。こ れはなかなか難しいことで、どうすればいいのか。先ほど教育ということを言ってくださ ったので、それが1つは必要で、効果的なのかもしれませんが、研究者のレベルのマナー、 患者さんの理解を求めるやり方というのは、そう簡単には解決できない問題かもしれませ ん。でも、日本は日本なりに考えていかなければいけない問題だと思います。 ○永井委員 ルール違反を根絶するのは難しいと思います。たゆまざる教育、研修、ガイ ドライン作成ということで対応していくしかないのではないかと思います。たくさんの人 がいて、世代も変わり、人の入れ替りも激しい、もちろん皆忙しい。いろいろな背景があ ります。こういうことは歴史の中で繰り返すことであるという認識を、我々が持っている 必要があると思います。 ○金澤委員長 そこで、飴と鞭ではありませんが、1つは、先ほど山本精一郎先生が紹介 してくださったGrantシステムとの結び付きですよね。もう1つは、auditですよね。そ ういうものがあるということが非常に抑止になる。そんなことが参考になるのかなと思っ て聞いていました。 ○廣橋委員 すでに日本でも、ほとんどの公的研究費は、こういう臨床研究を行うときに はガイドラインや倫理規定を守ること、それを明確に記載することが条件になっています。 ですから、倫理委員会やこのシステムの実際の仕組みのほうをもう少ししっかりしたもの にしていくことによって、Grantとの連動はできてくるのではないかと思います。 ○金澤委員長 いまは、むしろ、事が起こってから駄目ということになっていますからね。 ○前原委員 以前も「アクセルとブレーキ」という表現で出たと思いますが、アクセルと いう意味で、Grantとともに臨床試験、例えば倫理審査委員になることのインセンティブ、 臨床試験を行うことのインセンティブと。実際に、その人の業績評価の中で、論文と研究 費に比べて、特に臨床研究に対する重みが我が国では評価されていないような気がします。 以前も申し上げましたが、基礎研究ではある一定期間で質の高い論文が出せるけれども、 臨床研究は、多くの人がかかわって、多くの時間がかかって一定の論文が出て、それも、 ファーストではなくて、5番目、10番目という名前である。その人がキャリアパスの中で 上がっていく場合にどう評価されるのかということも、我が国ではもっと考えていただき たいと現場では感じています。 ○丸山委員 すでにこの委員会でもお話が出たかと思いますが、教育、研修については、 動物実験で必ず講習を受けることがルール化され、現実に行われています。それを考える と、人に対する研究でできないということがおかしい。最初は形を整えるというところに なるかもしれませんが、教育、講習はなし得るのではないかと思います。 ○金澤委員長 それは1つの考え方ですね。大学院に入るときにいろいろなことをやる中 に、それを必須にするとか、いろいろ考えはありますね。ほかに何かご意見はありません か。 ○本田委員 研究者の先生方はなかなか難しいものがあるのかもしれませんが、欧米のほ うがいいというわけではないのですが、公的なお金が出ている研究に、倫理指針をきちん と守ると書いてあるにもかかわらず、という部分は、最近、医療で刑事罰のことなどがい ろいろ言われていますが、この場合は、ルールに従わないと公的研究費を受けられません よというのは、私たちからすると、それは当然あってもいいルールなのかなと感じていま す。さらに、患者にわかるように国立科学院で臨床試験のポータルサイトを作っています が、そういうところでも公表していただきたい。厚労省だけではなく、文科省の研究費も 大きいですよね。その辺も是非検討して、私たちにわかりやすい形にしていただきたいと 思います。 ○前原委員 いま文科省で、がんプロフェッショナル養成プランというプロジェクトが全 国で18受理されて、今年の10月から5年計画でスタートしています。私どものところも、 九州地区の大学がまとまってスタートして、がんにかかわる専門医の育成、がん看護師、 がん薬剤師等の教育にかかわるわけですが、そのプロジェクトを通して、いま各大学でシ ラバスの作成をしています。その中で、臨床研究の重要性、臨床研究の意義、実際のやり 方、臨床研究の倫理などが各大学で、大学院の枠組みの中でかなり導入はされてきていま す。がんプロフェッショナルを通して全国の大学がそれに取り組んでいるというのが現実 ですので、そういう意味では、今回の臨床研究を推進する意味では追い風になるだろうと 思います。 ○金澤委員長 ありがとうございました。いろいろご意見を伺っていますが、そろそろ時 間が近付いてきました。この辺りでよろしいでしょうか。倫理審査委員会の実施に関して、 それをサポートするなり何なりの予算が必要だというのは、先ほどからお話が出ていると おりで、厚労省としてもそういうサポートの、あるいは推進するための予算を是非確保し てほしいということについては、私からもお願いしておきたいと思います。また、現場で 実際にそれを守ってもらえるように、魂が入ったものとして受け取ってもらえるためには、 いろいろな工夫が必要なのだろうと思います。それについても今日いろいろお話が出まし たので、そういうものをまとめて、また改めて肉付けをして、論点整理をもう少しいいも のにして、次回出してもらいたいと思います。その他の事項ですが、事務局から今後のス ケジュールなど、どうでしょうか。 ○事務局 この論点整理の部分については、次回、骨子に肉付けをして用意させていただ きたいと思っています。本日は、お忙しい中、また遠方よりご参加いただきまして、あり がとうございます。次回の予定は12月13日としまして、今後の改正の骨子案等について ご審議が始められるよう、準備をさせていただきたいと思っています。予備日として調整 していました11月16日は休会とさせていただきますので、よろしくお願いします。 ○金澤委員長 次回は12月13日(木)です。以上をもちまして、第3回の専門委員会を 終了します。活発なご議論、どうもありがとうございました。