07/10/26 第6回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録                第6回厚生科学審議会 生活環境水道部会                    平成19年10月26日(金)                 中央合同庁舎 共用第6会議室(2階)  山村水道課長 ただいまから生活環境水道部会を開催いたします。委員の皆様方には雨天の中、また御多忙にもかかわらず、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。本来であれば議事に先立ちまして西山健康局長よりごあいさつを申し上げるところでございますが、所用により会議途中からの出席となります。大変恐縮でございますが、到着次第局長より改めてごあいさつをさせていただきたく存じますので、よろしく御了承のほどお願いいたします。  それではまず配布資料の確認をさせていただきます。  吉口水道課課長補佐 まず議事次第と書いたものが1枚、それから座席表が1枚でございます。資料1は委員の名簿でございます。資料2〜1は塩素酸に係る水質基準の設定等について、資料2−2は水質基準の見直し等について(案)、次に資料2−3として水安全計画等について、資料3は水道施設の耐震化について(案)、資料4といたしまして指定給水装置工事事業者制度の施行状況と今後の方策について(案)。  それから参考資料といたしまして、参考資料1−1が部会の開催経緯、参考資料1−2が厚生労働省設置法等関係の規定でございます。参考資料2といたしまして塩素酸に係る水質基準の設定等に関する意見募集結果の冊子でございます。参考資料3−1として管路の耐震化に関する検討会の報告書、参考資料3−2として水道施設の耐震化に関する検討会の報告書、そして最後が資料4でございますが、指定給水装置工事事業者制度に関する検討会の報告書でございます。もし不足がございましたら事務局の方にお申しつけいただければと思います。  山村水道課長 資料の方はよろしゅうございますでしょうか。前回の部会は昨年8月に開催いたしましたが、人事異動等に伴いまして2名の方々に新たに委員として御就任いただいておりますので、事務局から新委員お二人の御紹介をさせていただきます。  千葉県健康福祉部理事の山本尚子委員でいらっしゃいます。前任の亀井みどり様にかわって御就任いただきました。  社団法人全国ビルメンテナンス協会理事の中野信博委員でいらっしゃいます。前任の矢口正彦様にかわって御就任いただきました。山本委員、中野委員、何とぞよろしくお願いいたします。  次に本日の委員の出席状況について御報告いたします。本日御出席の委員は眞柄部会長、相澤委員、赤川委員 阿部委員、新井委員、安藤委員、池田委員、大垣委員、岡部委員、沖委員、佐々木委員、佐野委員、瀬川委員、中野委員、山本委員でいらっしゃいます。坂上部長代理も追って御到着のことと思います。坂上部会長代理を含めまして、計16人の御出席でございます。なお、赤川委員におかれましては、所用により12時頃に途中退席されるということを伺っております。  また、本日御欠席の委員は大井田委員、岸委員、国包委員及び永井委員の計4名の方々でございます。以上、本日は20名中16名の委員が御出席ということでございまして、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、定足数の過半数を満たしておりますので、本部会開催は成立しておりますことを御報告申し上げます。  続きまして事務局を紹介させていただきます。私は水道課の課長をいたしております山村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。水道計画指導室長の宮崎でございます。水道水質管理官の滝村でございます。水道課課長補佐の吉口でございます。同じく水道課課長補佐の本射でございます。同じく水道課課長補佐の久保でございます。生活衛生課課長補佐の石井でございます。  それでは今後の議事につきましては眞柄部会長に進行をお願いいたします。眞柄部会長どうぞよろしくお願いいたします。  眞柄部会長 お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  まず、議題1の水質基準の見直し等についてであります。本議題では前部会で案が出されました水質基準への塩素酸の追加等についてのその後の状況、それから水質基準の逐次改正について検討した結果、新たに出てきた事項についての検討、それから最後に水安全計画等について、これまでの取り組みと今後の予定等のことについて事務局から御報告をいただいた後御審議をいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。それではまず事務局から説明をしてください。  滝村水道水質管理官 それでは今御説明いただきました水質基準等につきまして御説明させていただきます。お手元の資料2−1をごらんいただければと思います。最初に塩素酸に係る水質基準の設定等ということで、昨年8月の前回の部会におきまして、塩素酸に係る水質基準の設定と水質管理目標設定項目といたしまして、従属栄養細菌の追加及び農薬類に関する見直しについて、この部会におきまして方向性を御了解いただいたところでございます。  この下、方向性にもとづきまして資料2−1の2ページ目をごらんいただきたいのですが、その後私どもの方で食品安全委員会に対しまして塩素酸に関する水質基準の設定について意見を求めまして、それに対して今年5月から塩素酸の耐容1日摂取量30μg/kgというふうに設定するという通知をいただいたところでございます。これらの現行の水質管理目標項目の目標設定としたものと同じ数値でございます。  こうしたことを受けまして、さらに塩素酸に係る薬品基準の見直しということにつきまして検討を進めてまいりました。薬品基準と申しますのは、浄水処理中で水に注入される薬品によって付加される物質の基準ということでございますが、実際塩素酸が水道原水においても検出されていることから、現行の基準のままでは少し満たせない場合があるということでその見直しを検討してきたところでございます。  こうした結果、実態調査等を行ったところでございますが、塩素酸の薬品基準については、消毒用薬品でございます次亜塩素酸ナトリウムの保管温度ですとか保管日数等について十分留意することで現行の0.6mg/リットル以下というものから、0.4mg/リットル以下への強化を行うということが適当ではないかということ、ただし、現行すぐにということはなかなか難しい実態もございますので、22年度までの経過措置をおいた方がいいのではないかということでございます。  さらにその後、この水質基準と薬品基準及び水質管理目標設定項目につきましてパブリックコメントを実施しました。この中で農薬類につきましては二つほど、テルブカルブというものとジメピペレートというものを当初検出がされていないということで削除する方向で考えておったわけでございますが、新しい調査の結果検出されているということが確認されましたので、これにつきましては削除を行わないということにしたいと考えてございます。  今後の予定は3ページにございますが、こうしたパブリックコメント等の結果を踏まえまして、塩素酸に係る水質基準の設定と薬品基準の改正を行っていきたいということ、水質基準については20年4月から施行するということ、さらに薬品基準についても20年4月から施行いたしますけれども、経過措置として23年3月31日までの間は0.5mg/リットル以下というふうに経過措置をおきたいということでございます。  それから水質管理目標設定項目の改正ということでございますが、従属栄養細菌を追加するということ、さらに農薬類の対象農薬リストにフィプロニルというものを追加いたしまして、目標値は0.0005mg/リットルというふうにしていきたいというふうに考えてございます。  さらに施行通知の中で塩素酸に係る水質基準、薬品基準との関係でいいますと、特に塩素注入率の高い水道事業者等におきましては、次亜塩素酸ナトリウムの適切な管理が求められるということで、購入時、保管時ならびに注入時におけます留意事項を示した上で、その徹底をお願いしていきたいというふうに考えているところでございます。資料2−1につきましては以上でございます。  続きまして資料2−2をごらんいただきたいと思います。水質基準の見直し等ということで、これまで検討してまいりました結果を整理したものでございます。水質基準の見直しにつきましては、平成15年の厚生科学審議会答申で逐次改正方式というのを導入していこうということで、これまで水道水質基準逐次改正検討会を設置して検討を進めてきたところでございます。この検討会におきまして前回の水道部会以降、厚生労働科学研究費の研究成果ですとか、また、食品安全委員会の健康影響評価等の知見が得られてきたところでございますので、新たな見直しの方向性を整理してきたところでございます。その結果が以下のとおりでございます。  資料の2ページ目をごらんいただきたいのですが、最初に水質基準の見直しということで、一点目、TOCについてでございます。TOCにつきましては、有機物の指標として従来過マンガン酸カリウム消費量を採用してきたところでございますが、平成15年の答申におきましてTOCに変更するということになってございます。ただし、その時にはこの枠囲みに書いているところでございますが、当面その過マンガン酸カリウム消費量、当時の基準でございます10mg/リットルに対応する値をもって評価値としていこうということで、いろいろ検討してきたところでございますが、その当時はまだなかなかデータの蓄積状況も十分でなかったということもございまして、当面の評価値として現在5mg/リットルということになってございます。ただし、その値につきましては、今後のデータの集積状況において適宜に改定されるべきということになってございまして、ここが一つ課題になっていたところでございます。 その後、平成16年から18年度に実施されました厚生労働科学研究等によりましていろいろなことがわかってまいりました。TOCに係る定量下限ですとか、実際の水道事業者における浄水のTOC濃度の中央値、大体0.5〜0.6の間に中央値としてはあるだろうということ、さらにTOCと過マンガン酸カリウムとの相関につきましては、大体過マンガン酸カリウム10mgに対応するのがTOCとしては3〜4mg/リットルであろうということ。  一方で原水のTOC濃度とトリハロメタン生成能ということについても相関があることがわかってまいりまして、TOC濃度とトリハロメタンの関係式から、そのトリハロメタンについて別途基準値が0.1とあるわけでございますが、これに相当するTOC濃度が1.5〜2.72ということがわかってきたわけでございます。  こうしたことから過マンガン酸カリウム10に対応するTOCが3〜4程度であること、また、トリハロメタン対策の観点から少なくとも3mg/リットル程度以下にすることが必要ではないかということで、TOCにつきましては、現行基準を強化して、3mg/リットル以下にすることが適切というふうに考えてございます。これにつきましては水質基準の改定について、食品安全委員会の意見を求めますとともに、それまでの間は暫定的に水質管理目標値としていきたいというふうに考えているところでございます。TOCについては以上でございます。  次に4ページをごらんいただきたいのですが、同じく水質基準に関係いたしまして、食品安全委員会から幾つか、特にこれは清涼飲料水の化学物質ということの観点からでございますが、新しく食品健康影響評価の結果が出てございます。その結果はこの表に書いてあるとおりでございまして、四塩化炭素以下4物質についてできているわけでございます。これらについての考え方でございますが、5ページの下の方をごらんいただきたいのですが、四塩化炭素につきましては、健康影響評価の結果は一致してございますので、変更の必要はないということ、1,4-ジオキサンについては若干健康影響評価の結果には違いがあるのですが、同一の毒性試験による評価方法の違いだろうということ、一方でWHOのガイドラインの2005年に新しい追補版が出ているわけでございますが、この中でも現行の水道水質基準の設定根拠と同一の健康影響評価に基づいてガイドライン値が設定されているということから、水質基準については変更する必要がないと考えておりまして、この点につきましては食品安全委員会とも調整を図っていきたいと考えているところでございます。  次に(3)の1,1-ジクロロエチレンでございますが、これは健康影響評価の結果を踏まえて評価値を現行の0.02から0.1に変えていくことが適切だろうと考えておりますが、この場合、新しい評価値の10%でございます0.01を超過するというものが検出状況を見ると近年報告されてございません。こうしたことから水質基準ではなくて、水質管理目標設定項目に変更することが適切ではないかと考えてございまして、この点につきましても食品安全委員会の意見を求めたいというふうに考えているところでございます。  なおWHOのガイドラインにおきましても、飲料水での検出レベルは評価値よりも著しく小さいということで、ガイドライン値を設定する必要はないというふうにされているところでございます。  次の(4)の1,2-ジクロロエチレンでございますが、これまで異性体でございますシスとトランスに分けてそれぞれ評価してきたわけでございますが、食品安全委員会での評価では、このシスとトランス体を合算して評価することが求められておりまして、水道水質基準につきましても合算して評価していこうということを考えているところでございます。 こうしたことから水質基準としては合体したものとして現行でシスだけについてできてきている水質基準を廃止して、新しく合体したものについて水質基準を設定していくということについて食品安全委員会の意見を求めていくということにしたいと考えてございます。なお、WHOにおきましても、シスとトランスを合わせた形でガイドライン値が設定されているという状況でございます。以上が水質基準についての見直しの考え方でございます。 次に7ページでございます、水質管理目標設定項目の見直しというところでございますが、最初にアルミニウムというものについてでございますが、アルミニウムにつきましては平成15年の答申の段階では、アルミニウムによる色、着色の観点から、0.1〜0.2の範囲が適切ではないかということでございますが、実際、凝集剤に含まれているものでございますので、なかなかいろんな現実の対応状況を考えると、0.1がすぐ達成できるかどうかということについては疑問があるということで、当面は0.2を水質基準としていこうということで、現行基準値は0.2になっているところでございます。これにつきましても0.1にしていくことができないかということについて改めて検討を行っていくということで、宿題になっていたところでございます。  これにつきましては、同じく厚生労働科学研究の中で硫酸添加によってpHを低pH側へ制御することで、アルミニウム濃度を0.1以下にもっていくということが可能ではないかということで幾つかの浄水場で実証をされたところでございます。しかしながら同じ研究の中で、実際この0.1前後に現在あるところの浄水場というところで、アンケートを行った結果で言うと、直ちにそれを0.1にした場合にはなかなか難しいということで、対応が困難としたところが80%あったところでございます。  しかしながらアルミニウムにつきましては、この0.1を超える検出事案はかなり多い状況になってございまして、こうしたことから考えますと、アルミニウムにつきましては、0.1以下というのを水質管理目標値として浄水処理の工程管理に努めていくということが適切ではないかということで考えてございます。したがいましてこれにつきましては水質基準としては0.2と維持することとあわせまして、水質管理目標として0.1ということを設けることによって、より高い段階を目指していくということにしていってはどうかということでございます。  なお、健康影響の観点からいいますと、補足のところにございますとおり、WHOの検討では最近では2003年に行われているところでございますが、健康面からのガイドライン値をアルミニウムについて設定することはできないということが現時点での結論というふうにお聞きしてございます。  次に9ページでございます。これも食品安全委員会からの検討結果でございまして、ここでは農薬類を除いたものをまとめてございます。ジクロロアセトニトリルから以降3物質について表にございますが、これについての考え方を10ページに示してございます。この中でジクロロアセトニトリルにつきましては食品安全委員会においての健康影響評価結果から、評価値が0.01というふうに計算されるわけでございますが、不確実係数が3000であるということを考えまして、例えばWHOでは不確実係数が1000を超える場合には暫定値として扱うというふうにされていることも考慮いたしますと、評価値としては0.01、暫定値という扱いにすることが適切ではないかというふうに考えてございまして、食品安全委員会と調整を図っていきたいというふうに考えているところでございます。  なお、検出状況を見ると、これを超過する地点というのが12点存在するということでございますので、今後も検出状況ですとか、生成抑制方法について検討していくことが必要ではないかと考えているところでございます。  (2)の抱水クロラールでございますが、これも新しく毒性評価が出ているわけでございますが、不確実係数が3000であることを踏まえまして、評価値を0.02(暫定値)というふうにしていくことが適切ではないかと考えているところでございます。  なお、これにつきましては新しくWHOのガイドラインが2005年に追補版としてできておりまして、飲料水の寄与率について80%とされていることがございます。こうしたことを考えても曝露量に関してはさらに知見を収集していくことが必要ではないかと考えているわけでございます。  一方で、またトリハロメタンの制御を適切に行えば抱水クロラールも制御できる可能性というのも示唆されておりまして、こうした面についても知見の収集が必要ではないかというふうに考えてございます。  最後の(3)の塩素でございますが、健康影響評価の結果若干変わってございますが、現行の水質管理目標値を変更する必要はないというふうに考えているわけでございます。  次に11ページでございますが、こちらは同じく食品健康影響評価でございますが、農薬類に関して、ここの5物質について出されているところでございます。これらに対する考え方でございますが、最初のアゾキシストロビンにつきましては健康影響評価は一致しておりますので、設定値を変更する必要はないと考えてございます。  (2)のクロルピリホスでございますが、食品安全委員会における健康影響評価を踏まえまして、設定値を0.03にしていくことが必要だろうというふうに考えてございます。この物質につきましては10%に相当する0.0003を超過する地点というのは見いだされてございません。  (3)のEPNでございますが、こちらにつきましても表示設定値を0.004というふうに変えていくことが必要だろうというふうに考えてございます。この物質につきましては、この10%値を超えるものが810地点で2地点検出されているところでございます。  次の(4)のフルアジナムについてでございますが、こちらについても設定値を0.03というふうに改めていくことが適切だろうというふうに考えてございます。  (5)のトリネキサパックエチルにつきましては、設定値を変更する必要はないというふうに考えてございます。こうした農薬類の検査データにつきましては、実際検出される測定されるケースがふえてきておりまして、それに伴って検出事例もふえてきているということがございます。そうしたところで実際こうした農薬類について、農薬類にかかるリストにつきまして必要な見直し作業を行っていきたいということも考えてございますし、その検出状況をどのように評価していくのかということについても検討を進める必要があるというふうに考えているところでございます。水質基準の見直しに関しては以上でございます。  最後に資料2−3について御説明させていただきます。ここでは水安全計画ということで、最初に水安全計画についての概要と、それに対する取り組み状況を御説明したいと思います。まず水安全計画とはというのが1ページの最初の上にございますが、もともと食品分野におきましては、危害要因を明らかにして、その原因を排除するための何を重要な管理点としてコントロールしていくのかという、いわゆるHACCPの手法による管理が導入されているところでございまして、一方、水道分野におきましてもいろいろ水質の状況に応じて施設を管理するということとあわせて、水質検査によってそれを確認していくということをしてきたところでございます。  その中でも、やはり最終的な水質検査によって確認するということは非常に重要なポイントではございますが、それだけでなかなか対応しにくいという限界もございます。こうしたことから日々供給される水の安全性をより確実なものとしていくには、水質検査以外の措置の手当てを十分にしていく必要があるのではないか、こうしたことで食品分野で用いられているHACCPの手法を活用して、いわば水源から給水栓までのすべての段階で包括的な危害評価と危害管理を行うということが水道水をより安全かつ継続的に供給するという点で有効ではないかということで、2004年のWHO飲料水水質ガイドラインの中で提唱されているものでございます。これは水安全計画water safety planというふうに呼ばれているものでございます。  そのイメージは下の図に書いてあるとおりでございまして、推進チームを編成して水道システム全体のフローなどを評価して、どこが危害分析、どこに危害ポイントがあるのかということ、それをどのように制御すればいいのか、対応方法を設定してそれらを実際に文書でまとめて記録し保管していく、毎年その妥当性を確認して検証していこうという、そういうフローでございます。  こうした考え方に対しまして、2ページをごらんいただきたいのですが、厚生労働省では平成16年の水道ビジョンにおきましても、アクションプログラムの一つとして原水から給水にかかるまで一貫した水質管理を徹底していこうということで、WHOの提唱する水安全計画につきまして国内の水道事業者に普及し定着を図っていこうということにしてございます。  具体的には今年度をめどにいたしまして、我が国の原水水質ですとか、水道システムの特性を踏まえた水安全計画というものをつくっていこうという時に、実際水道事業者が活用できるような水安全計画策定のガイドラインというものをつくっていこうという作業を進めているところでございます。その際、特に中小規模の水道事業者におきましても、適応できるようにということで、例えば塩素消毒のみの場合を含めた幾つかのパターンの水道システムにつきまして、水安全計画の策定支援ツールというものも用意した形で計画策定を支援していきたいというふうに考えているところでございます。  こうした取り組みを進めているところでございますが、これに関連しまして、水道水における残留塩素濃度という一つのトピックスを御説明したいと思います。これは水道水に含まれる残留塩素濃度につきましては、給水栓における残留塩素、遊離残留塩素でございますが、これを0.1mg/リットル以上保持するようにということが定められているところでございます。塩素消毒による残留効果を求めているというところでございます。  これに対しておいしい水の産地になっております地方公共団体等から、こうしたおいしい水をできるだけ自然の状態で供給したいというようなことで、その残留塩素の数値を低く下げてほしいというような要望が寄せられている、具体的には0.05以上としてはどうかということにつきまして要望が寄せられているところでございます。  こうした要望に対して、現時点では水道水は浄水場で一たん消毒されたとしましても、送配水過程で汚水を吸引するといったことで汚染されるおそれがあるということで、残留塩素の保持というのも求めているところでございますし、また、その0.1という数字自身はこの3ページにございますとおり、この数字によって感染症の発生件数がこれまで極めて低い状態で抑えられているということがある一方で、これを下回ったのでどうかということについては、なかなか科学的な根拠が今のところはないということ、実際に消毒操作の不備によりまして、今でも数は多くないですが、感染症の発生が見られているケースがあるということ、また、その原水水質が良好だということで塩素の投入量が最初は少なくて済むかもしれませんが、その後、消毒後に給水栓までの間で再汚染の可能性があるということについては、他の地域と変わらないのではないかということ、例えばこの0.05といったような低濃度の残留塩素を実際分析し、それを維持していくというのは技術的に相当難しいのではないかということで、直ちに残留塩素濃度を緩和していくということは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。  しかしながら今後の対応といたしましては、先ほどの水安全計画というような考え方を踏まえますと、安全でより快適な水道水の観点から、塩素に過度に依存しないで、我が国の水道の現状と最新の知見に照らしまして、塩素消毒というポイントだけではなくて、水源から給水栓までを含めた水道システム全体の中で安全性を確保していくというための水質管理のあり方についてはやはり検討していくべきであろうというふうに考えてございます。  現在、厚生労働科学研究費を活用して残留塩素濃度を低減できるようにするにはどういうポイントに着目すればいいのかということ、あるいはそのために管路の状況というのは重要な要素でございますが、これを診断する方法などについて基礎的な知見の整理を行っているところでございますが、今後はさらに管路の状態や給水栓までの到達時間といったような再汚染リスクの低減のためにどういった条件が必要になるのかということ、あるいはそのために水道システム全体としてどのような管理を行っていけばいいのかということについて検討するとともに、こうした低濃度の残留塩素での消毒効果ということを検査し、それを維持していくという技術的な検討についてもこれから検討を進めていくことにしたいというふうに考えているところでございます。こうしたことについて御意見をいただければというふうに考えてございます。私からの説明は以上でございます。  眞柄部会長 ありがとうございました。大きく三つの事柄について御説明があったと思います。最初に2−1と2−2が水質基準の関係でございますので、この二つの事項について審議を進めてまいりたいと思います。それでは2−1、2−2どちらでも結構でございますので、御質問や御意見がございましたらどうぞお出しください。お願いします。  山本委員 初めてですので、もしかしたら的外れな御質問かもしれませんが、科学的な根拠に基づいて分析をされておられるので、そこを個別の問題については特に意見があるわけではないのですが、質問は二点あります。  一点目は今回の水質基準の改正等で水道事業者への与える影響というのはどういうふうに見ておられるのかというのが第一点目です。  二点目はもう少しロジスティックな問題で、今後、食品安全委員会へのコンサルテーションを必要とするものと御説明があったので、実際の新基準の導入等のこれからのステップというのは、多分私だけが知らないのだと思うのですが、どういうふうなスケジュールでやっていくのかというのが二点目の質問です。  滝村管理官 最初の塩素酸の追加につきましての水道事業への影響でございますが、実際これまで塩素酸については幾つかの測定結果によると0.6を超えているというところが幾つかございます。こうしたところの状況を見ますと、基本的には塩素酸が次亜塩素酸ナトリウムという消毒剤が分解していくことによって増加してしまうということでございます。特にその塩素注入量が多いような水道事業体につきましては、そうした面でその分解を抑えていくということが必要になってきます。そのためには保管管理の段階でそれらへの配慮が必要ということで御説明をさせていただいたのですが、例えばその保管期間をできるだけ短くして分解が余り進まないように使っていくということ、あるいは余り高温にならないような温度管理をしていくということが必要になってまいります。  過去に塩素注入量が原水の状況によって多く設定せざるを得ないような、具体的にはアンモニア性窒素が高いようなところにつきましては、もともと塩素注入量が最初に多くしなくてはいけないというところがございますので、そういったところにつきましてはそういった配慮を徹底するということとあわせて、もともと次亜塩素酸ナトリウムに含まれているような塩素酸の少ないタイプの次亜塩素酸ナトリウムを投入していくということが必要になってくるということでございます。そうしたところにつきましては、薬品メーカーにおきましても、そういったタイプのものの製造ですとか、あるいはその流通ということについて御協力が必要なのかというふうに考えてございます。これが一点目でございます。  もう一つの食品安全委員会との関係でございますが、食品安全基本法の中で水道水質基準を改定するという時には委員会の意見を聞くということがルールとして決まってございます。こうしたことから今回の水質基準の見直しに関係する項目につきましては、食品安全委員会の意見を聞いていくということでございますが、具体的にもう既に事前に御相談を始めているところでございますが、今回、食品安全委員会でございますから、もちろん健康影響の観点から審査していただくことになるのですが、TOCというものが実際、直接それが健康影響にかかわるものではないということも関係してございまして、どのような形で意見を聞くのかということについては今後御相談をさせていただくようなことになると思います。  昨年、塩素酸につきまして同じような形で検討していったわけでございますが、本日審議会で御了解いただけましたら、これからは事務的にその食品安全委員会の事務局と御相談させていただいて、来年にはそうした結果が出てくるのかというふうに考えてございます。以上でございます。  眞柄部会長 よろしいですか。今御説明がありましたように、この部会で新しい項目について基準に追加したり、あるいは基準値を変更したりした方がいいという結論が出て、それを食品安全委員会に諮問をして、食品安全委員会の方から答申をいただいて、具体的に基準になるということで、およそ1年ぐらいの期間がどうしても必要になってしまいますので、今回のTOCの場合でもそうですが、水道としてはとにかく暫定的に水質管理目標という形で値を設定して、国民が安心していい水を飲めるようにするという行政的な措置をとるということかと存じます。他にございますか。  安藤委員 わかる範囲で結構でございますが、ちょっとお教えいただきたいのですが、資料2−2でございます。先ほど幾つか新しい食品安全委員会からの提案がございましたが、例えば5ページ9ページというものは、不確実係数という形になっております。大体1000から3000ぐらいをとっておられる、100というのは1,1-ジクロロエチレンとあとは塩素が100ということで、あとは1000あるいは3000ということになっている。  一方、農薬の方は安全係数という、こういう形になっている、大体100という形になっている。そうしますといわゆる不確実係数という、そういう形と安全係数との考え方の違いはあるのか、あるいは基本的な農薬に対する100でいいという、そういうところの整合性というのは、そこはどうなのでしょうか。何か御存じでしたらお教えいただければと思います。  久保水道水質管理室室長補佐 まず御質問させていただきたいのですが、不確実係数という言葉を使っていることと、安全係数という言葉を使っていることの違いについての御質問ですか。  安藤委員 それもそうです。  久保水道水質管理室室長補佐 そこは申しわけないのですが、私どもの方では把握はしておりません。不確実係数は農薬で比較的小さくなっているということにつきましては、もともと農薬は農薬メーカーが農薬の販売をしようという時にかなり大がかりな毒性試験をやって、それを食品安全委員会の方に提出し、そこで評価をするという形になっていまして、簡単に言えば毒性の情報がたくさんある、たくさんあるからこそ科学的不確実性のより少ない形での安全性評価ができまして、基本的には100程度の係数をとることでADIが設定できるという形になっています。  それに比べますと水道固有の問題であるような、抱水クロラールとか、そういったものにつきましては、なかなか世の中に毒性データがないということもあって、限られた情報の中から評価をすることでこのような大きな不確実係数をとらざるを得ないケースが結構あるというものというふうに理解しております。  眞柄部会長 補足的に説明しますと、農薬の関係については、基本的には農薬の登録審査の段階で、この農薬を使っても農業に携わる方、あるいは食品中に残留する農薬について安全であるところはどこまでかという考え方で、その評価をするということで安全係数というのを使っている。  それから化学物質については、それぞれの化学物質について毒性評価の際に使用する動物実験等の内容がどの程度精度が高いものかどうかという形で見るということのために、その不確実係数というのを使うのであって、それは安全か安全でないかということとはまた別の話であるという意味で、農薬と化学物質の言葉の使い方が違うということをおっしゃったのだろうというふうに思います。  安藤委員 今のお話で非常に納得はいたしましたけれども、いずれ食品安全委員会の違う部会からもし関係することが出てくる可能性が出てくる、そうした場合、やはりそういう問題が出てくるだろう、つまりそこの整合性というのを食品安全委員会でちゃんとやってくださいねということをむしろ申し入れていただきたいなというのが私の感じでございます。以上です。  眞柄部会長 ありがとうございます。他にございますか。  佐々木委員 ただいま御説明があった資料の2−2と2−3ですね。この中で私が非常に興味があったのは2−3です。水安全計画等について、この中で特に非常に妥当ではないかと思われたのは2ページの一番上の(2)の今後の予定というところでガイドラインをつくりたいというところで、中小規模の水道事業者に対してというところを、特段取り出しているという、それについておそらくより実践的というか、非常に簡略化されたものだろうという意図はあるのではないかと思いますが、これは非常に妥当だ、現実的だというふうに思います。  もう一つ、その下の2ページから3ページにかけての水道水における残留塩素の濃度についてということがありますが、これについて2ページの中段以降、これに対してというあたりのいろいろ要望が出ているということは存じ上げておりますが、これに対して国の考え方は当面は、3ページの中段ですね、今後の対応の考え方の案というところですが、直ちにこれにかかわる規制を緩和することはしないというふうに考えているというあたり、私はこれは非常に妥当ではないかというふうに思います。その要望は要望でわかりますけれども、この3ページの一番最後の段落に書いてあるような、いろいろこれから調べはするけれども、しかし当面はそういう要望にすぐには応えることはできませんということは妥当だというふうに思います。これは賛成です。  それから一つ、これに出て来ない問題でお尋ねしたいのは、最近御承知のとおりグローバルな気象変動がある、それが特に水温を経て水質、これに非常に大きな影響を与えるのではないかということが世界的にもいろいろ心配されておりますが、これに関して特に日本について、やはりヨーロッパの非常に大きな川なんかと比べて、日本の川は非常に急進ですから、水温等との上昇の仕方もいろいろ変わってくるのかなと思いますが、新しい問題なのですが、どれぐらい知見を今の段階で積まれているのか、この辺のことについて事務局の方からお答えをお願いしたいと思います。  眞柄部会長 2−3のことについて、後ほど御意見がある方はもちろん伺いますが、今の気候変動の影響に対して水道として厚生労働省なりはどういうスタンスでいるのかという御質問だと思いますが、いかがでしょうか。  滝村管理官 先生がおっしゃったとおりで、特に気候変動によりまして、当然気候による雨の降り方等が変わってきて、総論的な意味で変動が大きくなってくるということがございまして、それに伴っておそらくその水質面でも何らかの影響が出てくるんだろうと考えているのですが、今はおそらく量的な意味での検討が少し先行しているように承知してございます。おそらくそれに伴って水質的にどのように変わってくるのかということについては、私自身まだ余り把握してない状況でございますし、もし先生方の中でこういった情報があるよということを教えていただければありがたいなという状況でございます。  坂上部会長代理 それに関しまして、世界の気温の平均値は15℃、水も実は同じなのですね。気温については平衡状態で15℃、2050年ぐらいに0.6〜1℃ぐらい気温が上がるだろう、それが定常になってくると水温も同じように上昇が見込まれるやもしれない。でもそれは世界の話であって、アイランドである日本の、ある意味では特殊な、ローカルなところでの水温がどの程度上昇するかというふうな知見は今のところ特にちゃんとしたものはないので、これから関連する学会などで検討していくべきではないかという気がいたします。補足でございます。  眞柄部会長 では2−1と2−2、基準の設定について特に御意見がなければ、部会として御了解をいただいたということにいたしたいと思います。それでもう入っていますが、2−3の水安全計画について、他の方々から御質問や御意見がありましたらどうぞお出しください。  大垣委員 今の地球温暖化あるいは地球気候の変動に関して、考え方が多分平均値の議論は地球規模ではそういう平均値の議論ですが、水道事業そのものを見ますと変動要素が大きくなるということが問題なのではないか、渇水の頻度が高くなるとか、その期間が長くなるとか、そういう問題で水質もさらに変動するということに対する対応をどうするかということを疑問視しないといけないという気がいたします。今後の対応の考え方の中にそういうことも場合によっては必要かな。ただ、それは今までも各水道事業体はいろんな変動に対応する仕掛けをつくってきたわけですから、全く新しい話ではないという気はいたします。コメントです。  眞柄部会長 はい、ありがとうございました。他にございますか。  安藤委員 この資料の2−3でございますが、最近のいわゆる食品のお肉の問題だとかお餅の問題だとか、あるいは容器の問題だとか、JAS法に違反している、あるいは食品衛生法に違反しているという、こういう問題がございます。当然この水安全計画はHACCPの考え方を取り入れていこうということだと思うんですが、非常によくできた考え方だとは思うのですが、なんと言っても水道事業という非常に特殊性ということがございますので、できる限り第三者的に、あるいはオープンな形でということを盛り込んでいただければ非常にありがたいなという気がいたします。  眞柄部会長 はい、ありがとうございます。では安藤先生がおっしゃるように、やはり監査のシステムが機能しないと水安全計画もそれこそ絵に書いた餅になってしまいますので、十分活用されるような仕組みをお考えをいただきたいと思います。残留塩素を0.05にしたいという要望が出ていることでございますが、これについて厚生労働省の考え方はいろいろ問題があるし、0.05にして感染症の発生をそれでも十分抑制できるということに足る知見も得ないということで、水安全計画の枠組みの中で検討していきたいということかと思いますが、この考え方につきまして委員の中で御意見があればお出しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  岡部委員 その他のことですが、水安全計画のことで、ちょっとここに書いてある内容とは違うと思うのですが、例えば私のところに以前の炭疽菌の問題とか、そういうことが出た時に、意図的に何か撒かれた時には一体どうなのかという問い合わせが私どもの方に、私は感染研にいるのですが、そういう問い合わせがきて、実際にはデータ上は全くないんですね。多分希釈されるから大丈夫でしょうというようなことで言っているのですが、今後の安全計画という中で、例えばそういう意図的なものに対して、研究とか一応のデータを積み重ねるとか、そういうような計画はないんでしょうか。現在もできればそういうことはないわけですが、一応問題があちこちで起きているものですから。  眞柄部会長 いかがですか。  滝村管理官 おそらく意図的に入れるというのはテロ対策等も含めてなんだろうと思いますが、そういった面でテロ対策に対してどのようにしていくのかということは検討しなければいけない事項で、もちろんリスクの一つとしてそういったものというのは当然想定されるわけです。  ただし、通常の状態での安全確保ということと、テロといったような非常に特殊状況での危険性というものとをWHOでも分けて考えているようなところがございます。また、アメリカではどちらかというとテロ対策の方を重視して、そういったことを徹底していけばWHOの言っている水安全計画にも活かされるのではないかとか、そういうような考え方もされているようです。重要なことは重要ですが、まずはベーシックな意味での水安全性を高めていくということと、それに加えた形で、では次にそのテロ対策としてどうやっていくのということは少し議論としては分けてアプローチしていくことが必要なのかというふうに考えております。  岡部委員 それについては別途これとは別のところでお考えいただくか、あるいはプランとしてあるということでしょうか。  眞柄部会長 WHOの方では、いわゆる災害や危機、管理の時のガイドラインをつくっておりまして、その枠組みの中で炭疽菌の問題、他の生物兵器の問題、化学兵器の問題も含めて対応のマニュアルもガイドラインの中で別途つくっているということでございますので、厚生労働省としてもその辺のところは役所として危機管理対策の中で進めていただけるということかと思います。他にございましょうか。  吉口水道課課長補佐 今のテロ対策の関係でございますが、水道におけるテロ対策のガイドラインといたしまして、昨年度、これまでの検討結果を踏まえまして、他の非常事態も含め、危機管理対策マニュアルの策定ガイドラインを取りまとめ水道事業体等へ通知をさせていただいているところでありまして、それを参考にした対策がとりあえず着手されてきつつあるところであるというふうに考えております。  眞柄部会長 ありがとうございました。それでは議題1の水質基準の見直し等については、委員の方々から特に御異論もございませんでしたので、事務局の案、方針にそって進めるということに関して了解をしたということにいたしたいと思います。  それでは続きまして議題の2の水道施設の耐震化についてであります。これについては本年も中越沖で地震が起きたりしておりますので、耐震化というのは水道の施設の安全性を担保する上で非常に重要な指標かと思います。これにつきまして施設基準の改正ということで案が出されておりますので、御説明をいただきたいと思います。それでは事務局からこれについて御説明をしてください。お願いいたします。  山村水道課長 お手元の配布資料の中で資料の3、水道施設の耐震化についてというのがございます。それから参考資料といたしまして3−1、3−2、これはそれぞれの検討会の報告書でございますが、これらを御参照いただきたいと存じます。それでは水道施設の耐震化について御説明いたします。  先ほど部会長からもお話がございましたように、本年、能登半島地震、新潟県中越沖地震という地震の発生を経験したわけでございますが、多数の世帯で断水が発生いたしまして、すべての断水解消までにおおむね2週間ないし3週間を要したわけでございます。東海地震等大地震発生の逼迫性も指摘されている中で、水道施設の耐震化を図ることが喫緊の課題となっているわけでございます。  現在、水道施設の耐震化の状況でございますが、浄水場の耐震化率は能力ベースで12%、配水池につきましては容量ベースで20%、さらに導水管、送水管、配水本管の耐震化率は約11%という状況になっておりまして、これらの状態は決して高いといえる状況ではないというふうに認識しているところでございます。  話の途中ではございますが、西山健康局長がいらっしゃったので、ここでごあいさつをお願いしたいと思います。  西山健康局長 遅れて参りまして申しわけございません。また、すごく狭い部屋で恐縮でございますが、水道部会の先生方はお足元のお悪いところをお集まりいただきましてありがとうございます。  きょうはもうお話を大分進められていると思いますが、第6回部会ということでございまして、一つは事務局の説明とダブるかもしれませんが、水質基準の見直しについて御審議をお願いしたい、これらにつきましては塩素酸に係る水質基準の設定、それから水質基準の見直し、あるいは水安全計画等について皆さん方の御意見をお聞かせいただければと思います。  それから第二点目でございますが、水道施設の耐震化についてでございます。今年は3月の能登半島地震、あるいは7月の新潟県中越沖地震と大地震が続けて発生しまして、水道にかかわります耐震計画をしっかりしていかなきゃあいけないというようなことで、耐震性能基準の明確化や水道事業者におけます水道施設の耐震化推進方策について案を取りまとめましたので、御意見をお伺いしたいというふうに考えております。  三点目でございますが、指定給水装置工事事業者制度というようなことでございまして、これは規制緩和の観点から平成8年の水道法改正によりまして、水道事業者ごとに異なっていた指定要件を全国一律のものとするというようなことで、施行後10年経過した際に制度の効果や施行条件について検討を行うことなどとされておりまして、制度の施行状況の評価や課題に対する今後の取り組みの方向について整理いたしましたので、御意見をお伺いしたいと思います。三つの点について、短時間でございますが、精力的に御審議をお願いしたいと思っております。  なんと言っても我が国の水は非常に安全で良質だと言われていて、世界に冠たる水道でございますのが、ひとつよろしく御審議をお願いしたいと思います。なお、私は例のさまざまな問題が起こっていまして、これでまた退席させていただきますが、次回はしっかりいるつもりでございますので、よろしくお願いいたします。  眞柄部会長 御苦労さまでございます。ありがとうございました。  山村水道課長 それでは続けさせていただきます。水道施設の耐震化の状況については先ほど申し上げたようなことになっておりますが、今後、水道施設あるいは管路、これらが更新時期を迎えるという状況にございます。こうした更新の際に耐震性を有する施設や管路としていくということが水道施設の耐震化を推進する上で非常に重要であるわけでございます。  こういった状況を踏まえまして、昨年度は有識者の先生方によります管路の耐震化に関する検討会を設置いたしまして、管路の満たすべき耐震性能基準を明確化するような検討を行ったわけでございます。また引き続きまして本年度は水道施設の耐震化に関する検討会ということで、管路以外の構造物を含めた検討を行いまして、水道施設の備えるべき耐震性能基準の案を取りまとめたものでございます。それらの二つの検討会の報告書が先ほど申し上げました参考資料の3−1、3−2ということでございます。  次に資料3の方に戻りまして、2の水道施設の耐震性能基準の明確化についてということでございます。現行におきましては、水道法の第5条第4項に基づく水道施設の技術的基準、いわゆる施設基準というものがございます。これにおきまして施設ごとの重要度に応じて対象とする地震規模を想定した上で、施設の設計を行うことなどの規定が設けられております。これを見直しまして、水道施設をその重要度に応じて二つに区分いたしまして、それぞれに応じて備えるべき耐震性能基準を明確化するということといたしたいということでございます。  まず(1)といたしまして、水道施設の重要度でございますが、次のページの表1をごらんいただきたいと思います。重要な水道施設といたしましては、水道施設として本来の機能に与える影響の視点から、システムの中で上流に位置する取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設、また配水ネットワークの基幹となる配水本管と配水本管に直接接続する配水池、さらに配水塔、高架タンク、ポンプ場、こういったものが該当するものとして整理をしております。  また小規模な水道事業では配水本管がない場合もございます。そのような市町村においても応急給水用の施設が必要でありますので、当該水道事業で最大の容量を有する配水池等についても重要な施設にあたるという整理を行っております。  他方、地震被害が水道施設以外に与える二次的影響の視点から重要となる水道施設でございますが、これは破損した場合に重大な二次災害を起こす可能性が高い施設ということで、具体的には破損時に住民の財産等に直接かかわる可能性の高い施設、塩素等の危険物の取り扱い施設、こういったものが該当すると考えられております。それ以外の施設といたしましては、配水支管、及び周辺の小規模な配水池等、これが該当するというふうに考えられております。  次に(2)の水道施設の重要度別の耐震性能基準でございます。水道施設が備えるべき耐震性能基準は、施設基準を補完するものとしてこれまでも広く使用されてきてございます水道施設耐震工法指針・解説、これは日本水道協会の方から出されておりますが、これがございます。これに記載されました耐震設計への考え方を参考にいたしまして、次のページにございます表の2のように明確化することとしたいと考えております。  なお、この水道施設耐震工法指針の考え方でございますが、これは阪神淡路大震災後に出されました土木学会の提言に基づいているものでございます。表の2をごらんいただきたいわけでございますが、レベル1地震動、レベル2地震動、こういうものが書いてございます。レベル1地震動というのは、施設の供用期間中に発生する確率が高い地震動という定義でございます。また、レベル2地震動は過去から将来にわたって当該地点で考えられる最大級の強さを持つ地震動、こういうものを意味しているわけでございます。  これらにつきまして重要な水道施設につきましては、対レベル1地震動に対しまして、原則として無被害であること、それからレベル2地震動に対しましては、個々に軽微な被害が生じても、その機能保持が可能であること、こういうものにしたいと考えております。  次にそれ以外の施設でございますが、これにつきましてはレベル1地震動については、個々に軽微な被害が生じてもその機能保持が可能であること、レベル2地震動に対しましては、個々には構造的損傷があっても、システムとしての機能保持が可能であること、また早期の復旧が可能であること、こういった取り扱いにしたいというふうに考えております。それぞれ対レベル1地震動、及び対レベル2地震動の耐震性能基準をともに満たすことが求められるということになるのでございます。  なお、管路の耐震化に関する検討会におきまして、水道管路の代表的な管種、継手を対象にいたしまして、過去の地震における被災データ等をもとに、耐震性能基準案に照らして耐震適合性の整理を行っております。管路の管種、継手を選択する際の参考情報として、これらについて水道事業者に提供していく考えでおります。  それでは参考資料3−1の17ページを開いていただけますでしょうか。概要を御説明したいと存じます。17ページの(2)の管路が備えるべき耐震性能と管種・継手ごとの耐震レベルの例でございます。これにつきましては代表的な管種ごとに基幹管路、配水支管が備えるべき耐震性能への適合性について、特に過去の地震における被災経験に重点をおいて整理を行いました。その結果が表の7−1から7−5に示されております。  これらの表の中で、○の記号の入っているところが耐震適合性ありという評価になっているものでありまして、×のところは逆に耐震適合性がないということになるわけでございます。△というのもございますが、これは被害率が比較的に低いが明確に耐震適合性ありとはし難いというものでございます。  表7−1のところでダクタイル鋳鉄管、あるいは鋳鉄管の記載がございます。これをごらんいただきますと、ダクタイル鋳鉄管のうち、NS型継手等につきましては、すべてが○になっておりまして、耐震適合性があるということで、基幹管路が備えるべき耐震性能を有しているという整理がなされております。  注1のところに書いてございますが、ダクタイル鋳鉄管のうちK型継手等でございますが、埋立地など悪い地盤において一部被害が見られたが、岩盤、洪積層などによって低い被害率を示していることから、よい地盤においては基幹管路が備えるべきレベル2地震動に対する耐震性能を満たすものと整理することができる、このような整理が行われております。  NS型継手とかK型継手とか、ちょっと専門用語が出ておりますので、別途図をお配りさせていただいております。NS型継手につきましては、大きな伸縮性、可とう性を有するものでございます。K型継手につきましては、この図をごらんいただきましてもおわかりのように多少シンプルなものになっておりますが、NS型につきましてはがっちりと管と管が組み合わされるような格好で接続されるものでございます。  地震の場合に次の別の写真、被害例もございますが、このように継手が抜けてしまってはずれてしまう、こういうことでもって断水が発生する、こういうことが多いわけでございます。これがもとの図の一番下の絵でございますが、しっかりした継手を用いておりますと、地盤に変動があった場合でも、その変動に応じて管がついて移動する、あるいは少し伸びるような力が働いた場合にも、地盤には亀裂が入ってもパイプの方ははずれずに残っている、こういうような形で地震に対応できるということになるわけでございます。こういった点につきまして過去の被害のデータ等を分析いただきまして、先ほど御説明したような整理がなされているわけでございます。  以下、ここには省略させていただいておりますが、鋼管、ポリエチレン管、硬質塩化ビニル管につきましてそれぞれ整理をいたしております。それから石綿セメント管につきましては耐震性能が十分とは言えないというふうな結果になっているわけでございます。ということで元の資料3に戻っていただきたいわけでございますが、以上のような耐震性能を明確化することによりまして、今後新設ないしは更新される水道施設について着実に耐震化が進むように対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  3のところでございますが、既存の水道施設における耐震化の進め方ということでございます。新設の場合にはこういったものを採用していくということでございますが、既存施設がたくさんあるわけでございます。既存施設に対する施設基準の適用につきましては、現行の施設基準省令の経過措置といたしまして、その施設の大規模な改造の時まではこれらの規定を適用しないとなっていることでございますが、新たな耐震性能基準の適用につきましても同様の考え方が妥当である、このように検討会で結論が出てございます。  一方、既存施設の耐震化につきましては、一般的に工期が長期間に及ぶことになるわけでございます。このため、水道事業者において速やかに耐震診断を行い、当該施設の耐震性を把握した上で、早期に耐震化計画を策定して計画的に耐震化を進める必要があるということでございます。特に破損した場合に重大な二次災害を起こす可能性の高い施設、それから重要な水道の施設の中でも破損した場合に応急給水で対応できないほど影響範囲が大きくなる施設につきましては、優先的に耐震化を図るよう求めることといたしたいと考えております。  また、先ほど石綿セメント管について耐震性が特に低いという結論を御紹介いたしたわけでございますが、石綿セメント管につきましては昭和60年に既に製造が終了となっております。これらにつきましても耐用年数は25年でございますが、順次達しつつあるという状況にありますことから、重要な水道施設に該当するものを中心にできる限り早期に適切な耐震性能を有する管種・継手への転換を進めるとともに、今後遅くともおおむね10年以内には転換を完了するように求めていくということで対応していきたいと考えております。  それから2のところでございますが、水道利用者に対する情報の提供ということでございます。耐震化のために必要な投資を行っていく上で水道利用者の理解が不可欠でございます。そういった観点から特に重要な水道施設を中心に耐震診断の結果でありますとか、施設耐震化の実施計画及びその進捗状況にかかる情報、こういったものを水道利用者に定期的に提供するように水道事業者に対して求めてまいりたいと考えております。  4の今後の予定でございますが、まず水道施設の耐震性能基準につきましては、水道施設の技術的基準、いわゆる施設基準を定める省令を本年度中に改正したいと考えております。それから水道施設の耐震化の推進のために、施設基準省令改正の施行通知にあわせまして既存施設の計画的な耐震化等を求める通知を発出をいたしたいと考えてございます。以上でございます。  眞柄部会長 それではただいま御説明をいただきました水道施設の耐震化について省令を改正するという御説明があったわけですが、これらの資料等について御質問や御意見がございましたらどうぞ御発言ください。  赤川委員 今年も大きな地震がたくさんありまして、全国の水道事業体は耐震化というのが最も重要な事項であります。それで現在の省令は性能基準を示していると伺っておりますし、それをより明確にするということは大変結構なことであります。先ほど山村課長からも説明がありましたように、水道施設耐震工法指針、これは日水協で定めたものでありますが、現在それの改定作業を行っておりまして、あと1年以内ぐらいには何とか皆さん方にお示しできる段階にきております。  先ほど説明がありましたように、今いろいろと議論があるのが、レベル1の地震動の時に対応するのにどこまでやるのか、その経済性の問題がいろいろ議論にもなっていると伺っておりまして、今御存じのように全国の水道事業体は配水量が伸び悩む、事業体によっては減少して料金収入がどんどん減っているところもある中で、配水量の伸びにつながらないこの耐震化は非常に頭の悩んでいるところなのですが、この安全性と経済性の両立というか、その辺を日水協としてもいろいろな先生方に御意見を伺いながら、今この委員会でも先生方あるいは事業体、産業界と全部入っているのですが、その辺、今後土木学会あるいはこの委員会等の改定作業にどのように反映させていくか、将来的にはこの経済性というものも盛り込めればいいのかなと、このように考えているところです。よろしくお願いいたします。  眞柄部会長 ありがとうございました。  佐野委員 確かに日本は地震国であって、耐震性をどんどん進めていただきたい。今お金の話がありましたが、実はこの夏、私はダクタイル管を見ることができまして、工場見学をさせていただいて、目から鱗で、本当にこれこそ地震に対応できているんだなと、今ずっと回ってきまして、NS型というのを拝見したんですが、でも実際に模型で見まして、地震が起きていて、この管が動くという、まさに見るということは非常に大事なことであって、先ほどの水安全計画でもそうなのですが、安全は出てくるんですが、安心という言葉が一回もない。  安心につながるというのはやっぱりきちんとした情報提供で、住民がどういうことを今水道局がやりたいのかということがわかるということであって、やっぱりそこに価格をプラス・アルファしていいのか嫌なのかというのは、やっぱり情報提供の仕方だと思うんですね。地震国である以上、必要だと私は個人的には思っているんですが、それを見せてあげるという方法を何か考えていただきたい。  各自治体で消費生活センターなんかにもよく講座とか、いろんな展示なんかをしています。そういうところに時々はこういうものを見せて消費者に触ってもらうということは非常に大切なことじゃないかな、それが安全だけではなくて、安心につながっていくのではないかなというふうに思いますので、何かそういう努力もひとつしていただきたいなと思います。  眞柄部会長 貴重な御意見をありがとうございました。  佐々木委員 先ほどの赤川さんの御意見を非常に歓迎するのですが、私はこの資料の3は案というふうになっていますが、この案自体については別に反対はいたしません。技術的にいろいろこれについて研究していただくのは結構なことだというふうに思うんですが、やはり他方にお金のことがついてくると思うんですね。つまり実際にやろうと思えば必ずお金がかかる、より追加的費用がかかるわけですね。  その時にこの資料の出し方というか、資料の3、3ページ、利用者は料金を払う、それに対して情報を提供する、ここのところで必要な投資というのと、その次に事業費用というのは、やっぱりお金の問題が出てきますが、それに対する理解を、定期的に情報提供をするぐらいでは弱いのではないかなと思うんですね。この資料のつくり方がね。やはりお金の問題というのは技術の問題とセットで扱わないといけないと思うんですよ。  これはかつて、大分前の話ですが、水の三次処理をするという時に、高度浄水処理をする時に、大阪市では市民というか、要するに水道の利用者にアンケート調査をしたことがあるんですね。つまり今よりもより安全な水をつくるのにこれだけより追加的費用がかかりますよ、料金は上がりますよ、それでもより安全な水がいいですかという調査をしたんです。その時に私の記憶では2回ぐらいアンケート調査をやったと思いますが、最初のアンケート調査では、もしそれだけのお金が、1カ月であの当時のコーヒー1杯ぐらいの値上げにもかかわらずというか、反対の方が3分の1ぐらいあったんですね。これをどういうふうに理解するかというのは、我々は非常に議論したことがあるんですがそのことを思い出したんですが、やはりこのように耐震化をどんどん進めていくというのは非常に結構なことなのですが、他方において、やはりこれはより追加的費用を高めるというふうに思うのですね。  そうすると参考資料の3−2のところに、要するにこれを誰が負担するかという話なのですが、7ページのところに現行の場合の国家補助制度というのがありますよね。これはより詳しくは11ページのところに表みたいなものがあって、参考資料1というのがあって、これが基幹水道の構造物の耐震化に対する事業、これに対して国がどれだけその一部を出しているよというルールが決まっている。  それを本日のこの資料3に耐震化の案と書いていますが、この案のとおりやろうと思うと、この現行の補助制度をより高度化するというか、より推し進めなければいけないんじゃないか。つまり技術上の耐震化の方のそちらを高めるのであれば、同じようにそれを誰がどういうふうに負担するのかという議論がいるんじゃないかな、それとセットになって初めて満足のいく資料がつくれるのではないかというふうに思うんですね。  ですからこれによってどれぐらいの追加的費用がいるのか、それを誰がどういうふうに負担するのか、誰がというのは水の利用者も当然のこと、あるいは国とか自治体等々いろいろ、その辺、それからそれを何年ぐらいかけて平準化するというか、特に利用者の場合に激変というのは非常に困りますから、だからその辺のことを何十年とか20年30年かけてやるのかどうかとか、そのためにはどういう制度をつくったらいいのか、お金のことで恐縮なのですが、その辺のことがセットにならないと本当の意味の現実味が伴わないんじゃないかというふうに思います。以上です。  眞柄部会長 ありがとうございました。それでは今の佐々木委員の資料の3−2にありました補助制度の関連と、それから水道施設の耐震化に関して、現況は非常に低いレベルにあるのですが、ビジョンではもう少し高いレベルにおいていたと思うんですが、それに向けてのアプローチについて事務局の方からお考えをお出しください。お願いいたします。  本射水道課課長補佐 まず現行のこちらの方の考え方なのですが、まずこれから施設の更新時代を迎えます。新たなものを今あるものをすぐすべて壊して、それを新たな耐震化をするということであれば非常にお金のかかる問題でございますが、これから更新時代をたくさん迎えることになります。これは平成30年代にはピークになるかと考えているわけでございますが、そういう時にまず耐震能力をちゃんと備えたものを一緒にしていただく、まずそこが大切な視点ではないか、そういうことがこちらの主旨でございます。  それと基幹構造物につきましては、まだそこまで待ってられないで耐用年数も過ぎないうちに耐震化をしなければならない、そういうことがございまして、こちらの参考資料3−2の方の11ページの主旨としては、給水人口5千人以上の水道事業体が該当しますのは、1番の方になるのですが、こちらの方につきましては耐用年数を過ぎる前に耐震化の補修をしたい、そういう場合については補修費用の3分の1ほどになりますが国の方でも補助をさせていただこう、そういう形で進めさせていただいております。  眞柄部会長 よろしいですか。先ほど佐野委員がおっしゃったことなのですが、民間の企業で、関西でもつくば地震研でも地震の振動台があるわけですよね。その地震の振動台の上に、例えばKとNSと並べて、NSはちゃんとしているよというようなデモテープでもつくっていただいて、いろんなところで見せていただくと、ああやっぱりNSはちゃんと持つんだというふうな、あのおもちゃではわからないですよ。振動台でやってもらって、抜けない抜けるというのがわかると、ああそうか、そういうデモテープなんかを市民の方が集まる水道週間だとか、大都市では水道の博物館とか、市民コーナーのようなものがあるわけですから、いろんな形で御紹介をしていただくような工夫を、これは官民あわせてやっていただければと思います。それ以外に何かございましょうか。  坂上部会長代理 今、継手のいわゆる変異吸収継手と、こういうのを言うのですが、これは機能を担保しているのは実はゴムリングなのですね。金属管そのものの耐用年数に対して、このゴムの耐用年数をどう設定するかという、これは非常に大きな費用をかけての工事になりますから、減価償却じゃないですが、どこまでもたせるかという議論が一個ありますね。その中で地震が一回起こるか、あるいは起こらないかというような、またそういう確率も入るのですが、そういう意味でこのNS継手というんですか、これの変異吸収は物理的にうまくとってるとは多分確認されていますが、ゴムそのものの劣化、耐久性というのはどうであるかということをおわかりになっているかもしれませんが、ぜひぜひ十分メーカーさん等に問い合わせて、ちゃんとしたエビデンスをそろえておく方がよろしいかと思います。  大垣委員 先ほどの佐々木委員,あるいは佐野委員の御意見と関係するのですが、この資料3に示す通知になじむのかどうかちょっとわかりませんが、例えば水道利用者に対する情報の提供ということに関連して言いますと、ここに書かれているのはすべて水道の施設そのものに関することですね。  実は水道利用者の方から見ますと、地震の時にどこに水供給がちゃんとないといけないかというようなことが関係してきますので、例えばこの参考資料の3−1の24ページの上から3行目から4行目に書いてありますが、例えば拠点医療施設とか市役所とか、地震時の中心になる施設に対する供給を優先して耐震化しないといけないというような視点は水道利用者に理解を得やすいのではないかという気がいたしますので、資料3そのものはそこに全く触れておられないので、そういうコメントをさせていただきたい。通知になじむかどうかは知りませんが。  眞柄部会長 ありがとうございました。これは資料の3に書いてあります施設の耐震化の実施計画の段階で、耐震化計画をつくられる時に当然のことながら優先順位が必要になってきますので、その段階で今大垣委員が御指摘されたようなことが盛り込まれるだろうというふうに認識をしていただきたいと思います。他にございませんか。  山本委員 多くの方がおっしゃってくださったので繰り返しになりますが、自治体から来ている立場としては、特に資料3−1の7ページあるいは24ページにもありますが、補助事業の、特に老朽管の補助事業の利用率が低い云々のところで、特にコストが低い補助基準を満たさないもののところで、実際事業体が選択しているということも書いておられました。  先ほど赤川委員もおっしゃいましたが、やっぱりコストと効果の問題についてより説得的な資料をいただかないと、国も大変でしょうが、自治体もかなり今は財政状況がどこも大変なんでしょう、特にこの3の資料の何ページかを見ましたら、特に少人口の供給エリアの推進のところに特に耐震計画が進んでないということもありますから、財政とのバランスで、より良いのはわかっているけれども、コストを下げてでも全域を早くカバーしようというような選択も、究極の選択としては現場では議論になるんだと思うんですね。ですから補助のあり方なり、そのコストの効果のところについても十分わかりやすい御説明をいただけると進むのかなと思います。  眞柄部会長 ありがとうございました。他にございましょうか。それでは特にないようでございますので、資料3の施設基準、省令の改正については部会として了承したということにいたしたいと思います。ただ、通知の段階で各委員がいろいろ御指摘をいただいたところを考慮して、的確に水道施設の耐震化が速やかに行われるように国としても努力をしていただきたいと思います。  それでは次の議題でありますが、資料4にあります指定給水装置工事事業者制度の施行状況と今後の方策についてであります。これは先ほどお話がありましたように、平成8年に水道法が改正されまして、いわゆる規制緩和の関係から指定工事事業者制度が変わったわけであります。その段階で10年ぐらいたったら新たな制度がどのように行われているか、見直すということが出されておりました。その観点からこの資料の4が準備されたというわけでございます。それでは検討結果の御紹介をください。お願いします。  山村課長 資料の4、参考資料の4をあわせてごらんいただきたいと思います。指定給水装置工事事業者制度につきましては,ただいま部会長からのお話にもございましたように、平成8年に水道法の改正があったというわけでございますが、それ以前におきましては、この給水装置工事事業者をそれぞれの水道事業者ごとに指定をするという取り扱いをいたしておりまして、指定の基準が水道事業者ごとに異なっていたこと、それから水道事業者の給水範囲内に事業所を有することといったような条件が付されていたことから、新規参入を阻害するということで規制緩和要望が出されるといった経緯がございました。  平成8年の水道法の改正によりまして、専門の知識と技能、経験を持つ技術者として給水装置工事主任技術者というものに対する国家資格が位置づけられまして、また、工事事業者の指定要件を全国一律の基準として定める、こういうことによりましていわゆる規制緩和を図ったところでございます。  この制度につきましては、施行後10年を経過した時点で、規制緩和の効果や施行状況について検討を加えて必要な措置を講じるということになっておりました。これを踏まえまして有識者の方々による検討会を実施いたしました。その検討会におきまして施行状況の評価、それから課題解決のための方策についての検討を行っていただいたわけでございます。その結果が参考資料4の報告書でございます。以下その概要について御説明を申し上げます。説明は資料の4の方で行いたいと存じます。  まず施行状況でございます。1の指定給水装置工事事業者の指定等の状況でございますが、給水装置工事の技術上の統括者となる給水装置工事主任技術者につきましては、おおむね24万人の方々がこの主任技術者免状の交付を受けております。図1のグラフの網かけの部分、この増加をごらんいただきますとおわかりのように、免状の交付を受けたものが着実に増加をしております。  次に指定給水装置工事事業者の指定状況でございますが、図の2をごらんいただきますと数の増加というのが出ております。法改正の前の指定数が約25,000件であったわけでございますが、平成16年度末の数字は延べ数といたしまして114,500件ということになっております。指定工事事業者数に相当すると考えられるのが給水区域内指定数でございますが、これが23,400件から46,800件へと2倍に増加しております。また、広域的に業務展開が行われている状況を表すものといたしまして、給水区域外指定数でございますが、これは1,500件だったものが67,700件と著しい増加を見ているところでございます。  この一方で指定工事事業者の数の増加によりまして、実態把握でありますとか、必要事項の事務連絡が困難となっているといった問題、それから事業所が移転した場合の移転届け、あるいは事業廃止届け等の訂正が徹底されてないといったような問題が水道事業者の方から指摘をされているところでございます。  (3)の指定給水装置工事事業者の指定の取り消しのところでございますが、平成10年度から16年末までの間に526件の指定の取り消しが行われております。その理由といたしましては、水道法に定める指定の基準に適合しなくなったということ、あるいは適正な給水装置工事の事業運営ができないと判断されたなどの理由が多くなっております。  次の(2)の給水装置工事の施行の状況でございますが、図3をごらんいただきますと、そこに給水装置工事の件数が出ておりますが、この期間において大きな変化は見られないわけでございます。これらは大都市での調査の結果をお示ししております。  次の給水装置工事に関する相談件数でございますが、図4に示してございますのは衛生設備工事に関する相談件数でございます。この衛生設備工事の内容には給水装置工事以外の衛生設備工事も含んでいるわけでございますが、国民生活センターに寄せられました相談がこういう状況になっているというグラフでございます。平成9年以降増加が続いておりまして、その後平成14年、15年度からは横ばい傾向になっております。これらの相談苦情の例といたしましては、修繕工事を指定工事事業者に依頼したけれども断られたとか、あるいは工事費に関する金銭トラブルの問題、それから技術力の不足による施工不良、こういったものがあげられております。  次に(3)の事故事例でございます。人の健康に重大な被害を及ぼすような事故は見られておりませんが、給水装置とその他の設備との誤接合等の事故が毎年数件報告をされております。最近3カ年では10件の報告がございました。工事の事業所別に見ますと、指定給水工事事業者以外の者が施工したもの、これが7件と一番多くなっております。いずれも無届けの工事でやったわけでございます。一方で、指定事業者による施工事例も3件ございました。埋設の深さ等が近いことによる問題といったような例でございました。  それから(4)の給水装置工事に関する違反でございますが、その内容といたしましては、各水道事業者で定めております使用あるいは管材料等の取り扱いの規定があるわけでございますが、そういった定められている条件に対応していないといったような工事事業者の問題、それから給水装置の設置または変更の手続きを適切に行わずに施工している問題、こういうものがございました。  次に(3)の指定給水装置工事事業者制度の施行状況の評価でございます。検討会の検討を全体として広域的な事業活動の阻害や参入障害は制度の施行によって解消され、規制緩和の成果が十分に現れていると評価できるというまとめをいただいております。  一方、先ほども触れました誤接合等の重大な事故も報告されておりまして、こういった事例の分析から適切な技術を有する者が給水装置工事を施工することの必要性、あるいは工事事業者が継続的に技術の確保あるいは向上に務めることの重要性が明らかになっております。  また、指定の取り消しが526件行われているということに見られますように、指定給水装置工事事業者が課せられた義務を果たしていないなどの事例が少なからずございます。指定制度下で水道事業者が一定の管理を行うことが引き続き必要だというまとめをいただいております。  以上のことから、指定給水装置工事事業者の指定要件は必要最小限の要件のみを規定しているものであって、また、現行制度は安全な給水を確保する上で重要な役割を果たしていることから、さらなる規制緩和を図ることは適切でないと考えるという取りまとめをいただいております。  また給水装置工事に関するさまざまな課題も浮き彫りとなっておりますので、関係者において解決策を講じて改善を図りながら制度運用を行うことが重要という取りまとめをいただいております。  3の課題と解決の方向でございますが、まず現行制度に対する課題の改善、これを次のように整理しております。指定給水装置工事事業者の廃止届け及び変更届けの不徹底の問題、それから水道利用者あるいは事業者への指定給水装置工事事業者に関する情報の不足の問題、それから必要な情報が周知されていないこと等に起因する給水装置工事の事業の運営上の問題、それから給水装置工事の施行技術の確保・向上の問題、さらに処分の内容が水道事業者により異なる等の指定工事事業者の指定取り消しに関する問題でございます。  これらの課題に対する解決の方向といたしまして、一点目として、指定工事事業者、主任技術者に対する講習・研修の実施でございます。適正な給水装置工事の施行を確保するため必要な情報の提供を図るということ、それから水道法に規定された届け出等の確認を行う、こういうことも目的といたしまして、指定給水装置工事事業者に対して定期的に講習や研修を実施する、こういうことが必要だということでございます。  その場合、講習や研修は工事事業者を指定した者という立場で、水道事業者が実施主体となって行われることが適当であるということであります。また、工事事業者における給水装置主任技術者等の技術の向上のため、最新の技術情報が習得できる定期的な研修の機会が外部機関において提供される必要がある、こういうことがございます。  (2)といたしまして、水道利用者への技術の情報不足に起因する課題でございますが、この指定給水装置工事事業者制度に関する情報の提供をいたしまして、利用者の便宜を図るということとともに、水道事業者としての情報提供のあり方についても取り組んでいく必要があるということでございます。  (3)といたしまして、指定工事事業者の処分の考え方でございますが、現在水道事業者ごとに処分の考え方が異なっているという状況がございますので、統一的な考えに基づく処分基準の検討ということが有意義だということでございます。この際、指定や取り消しというのが各水道事業者が行うということから、水道事業者が中心となってこういう基準を作成整備していくことが妥当であるということとなっております。  (4)といたしまして、水道利用者が知っておくべき情報に関しまして、水道事業者を初め工事事業者や給水装置の製造者における啓発、広報活動の充実、積極的な情報発信、これが必要だということでございます。  最後に(5)といたしまして、適切な技術者による施行が確保されるよう、特に配水管から分岐して給水管を設ける工事の施行にある「技能を有する者」につきまして、どういう者が該当するか、こういうことを明確化していくということで対応する必要がある。また技能を有する者を養成するための機会を引き続き確保して、その確保養成により技能を有する者が中心となってそれぞれの事業所内での訓練等が盛んになることによって、工事に従事する者全体の技能の確保・向上につなげるということが求められているわけでございます。  詳細につきましては、別途お配りしております参考資料の4の最後から2枚目のところに表がございます。ここにその課題の整理と解決の方向というものが整理されているわけでございます。この表がこの検討会においてまとめられたまとめということでございます。  以上の課題解決の方向を踏まえまして、各それぞれの関係者が早急に具体的な改善策を実施して、課題の解決を図っていくように今般の検討成果を水道課ホームページにおいて公開するとともに、通知の発出等によりまして各水道事業者における取り組みを求めていくことと考えております。  なお、今申し上げました対策につきまして、既に具体的な取り組み例の検討が進んでおりますので御紹介いたしますが、社団法人日本水道協会におきましては、水道事業者による講習や研修を実施するための標準テキストの作成検討を準備いただいております。また、財団法人給水工事技術振興財団におきましても、従来の研修実績を踏まえながら、給水装置工事主任技術者に対する研修の機会を提供できるように検討を進めていただいているところでございます。以上でございます。  眞柄部会長 ありがとうございました。それでは今御説明をいただきました指定給水装置工事事業者制度の状況と今後の方策について御質問や御意見はございませんか。  山本委員 ありがとうございます。この制度に不案内でしたが、大変勉強になりました。特に資料4の4〜5ページに書かれているところで、この制度についての評価については高く評価するのに同意しますし、特に5ページに書いてくださいました処分基準の整備についても事業者として大変助かるんだろうと思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思います。  ただ、もしかしたらすごく的違いな質問かもしれませんが、最後の6ページを見ると、水道事業者が需要者に対して供給をする条件として指定事業者が施行した工事に限って給水を開始するようにこの図では読めるのですが、一方で苦情を見ると、指定事業者以外の工事者が施工したものが多くて、国民生活センターの2,800件の事例は実際どういうプロポーションかもわかりませんが、ということは事業者が余りチェックしないで給水を開始しているというふうに思ってもいいのかということが一つと、2点目の質問は、図3を見ますと、年間の工事件数30万件ぐらいしかないのに事業者が114,000人もいるということは、ほとんど仕事がない事業者もいらっしゃるというふうに思ったらいいのかということになると、そうするとこの事業者の指定要件をより厳しくする、あるいは業界団体として○適マークなり○優マークなりをつけるなり、そういう試みが進んで区別化が進むというようなことが業界に求められるのかなと素人は思ったりいたしますが、2点御質問します。  本射水道課課長補佐 まず1点目の無資格者工事の関係でございますが、新築の家を建てるべき場合、こういう場合は必ずメーターを水道局の方からもらわなくてはできませんので、必然的に届出を出しますから、みんな指定給水装置工事事業者になります。  ところが実際皆さんは家に住まわれている時に、何か配管をちょっと変えたいとか、温水洗浄便座をつけたいとか、そういうような場合については、実際は水道局に届けなくても無資格者が勝手にやっても水道局のチェックが行き渡らないところがございます。そういうところで逆に誤接合とかのトラブルが起きているというところでございます。そういう意味で差し出がましいですが、課題のところでも問題になっておりますし、5ページの解決策というところで、各主体からの啓発、広報活動の充実というのは、実はそういう改造とか修繕についても必ずその資格のあるものにやっていただかなくてはいけないんですよと、これは古くて長い問題なのですが、そういうことをやっていかなきゃあならないということで、ここで書かせていただいております。  それともう1点目の事業者数と工事数の問題でございますが、こちらは3ページの方に図3で工事件数の推移がございます。こちらの方は全国全ての水道事業者の区域内で実施された給水装置工事件数をとったわけではございませんで、例えば住宅の新築のみにかかった統計でございますと、全国では、大体今現在110万件から120万件ございます。その他、改築もございますが、修繕もございますので、全国では給水装置工事件数はさらに多い状況になっております。以上でございます。  眞柄部会長 ありがとうございました。他にございましょうか。  阿部委員 今山本委員が言われたことと重複する部分がございますが、今まさにこの手の仕事を現場で行っておりますのでリアルに感じる部分が大変あるわけです。この中で課題解決のところでお示しをいただいた、例えば処分基準の整備といったことに関しては、私は同意をします。せざるを得ないかなというのが現状でして、かつては規制緩和前でしたら、それぞれの水道局の事業所ごとに管内のこうした事業者の皆さんのところに健康調査を含めてしっかり行っていたというふうに思っています。  そういう意味では、規制緩和後一番できなくなってきたことは何かなというふうに考えますと、こうしたところに従事をしていただく民間企業の皆さんのしっかりとした営業の把握であったりとか、状況を注意して見つめていくということがまずほとんどできなくなったなということに関しては、非常に懸念を抱いています。もとよりアウトソーシングが進んできておりますから、水道事業者は現行の事業者の中の技術力の低下が叫ばれている状況の中で、しっかりとまず技術力の移転といいましょうか、確保というのを、水道界全体の中でどうスキームをつくってあげていかなきゃあいけないかというのはビジョンの中でもお示しをいただいてきた中身だというふうに思っておりますから、そういう意味でこの指定工事店の皆さんのところでは、どうこの質といいましょうか、そうしたものを担保してもらうのか、これは官民問わずということになるというふうに思うのですが、そういう意味でいけば律するべきところは律するということと、やはりちゃんとそうした事業者が担っていただく事業者、例えば主任技術者の方もそうでしょうが、やっぱり質を上げていただくということをセットでここはしっかりと示していくということが必要だと思いますし、お客様、つまり需要家の皆さんたちに対しても先ほど御指摘いただいたとおりだと思いますが、まず意識を持っていただく、これは本当に給水台帳が使い物にならなくなったら、おそらく日本中の水道事業体のところで根幹となるべき資料が形骸化するということにつながってきますから、ぜひそうした意味では有効な効果策を早めていただければと思います。以上です。  眞柄部会長 はい、ありがとうございました。他にございますか。  佐々木委員 まず資料の4ですね、水道法の改正から大体10年経っている、そこでこの評価をやるという、この意図は非常に貴重というか、重要だというふうに思います。ただ、問題はその評価の仕方ですよね。どういうふうに評価するのかということですが、その点から見ると、私はただ評価するという御意見もありましたが、私はここに引用されている参考資料の4、これの評価の仕方は余りにも制度的あるいは我々の専門からいうと生態的というか、本来、もし私がこれを評価するとすると、そういう論文をつくるとすると、私の評価の基準というのはここに書かれたようなものとは違うと思いますね。  どうしてかというと、この制度は何で導入したのかといえば、この資料の4の冒頭のうち3行目か4行目にありますように、新規参入を促すため、つまり競争を促進するというのが本来の意図です。ですからこの制度をそういう意図のもとにつくったのであれば、それを評価しようと思えば、競争がどこまで促進されているかという視点から評価しないと、全然評価にならないというふうに思います。  そういうふうな点から見ると、では競争の促進というのはどういう視点から評価するかというと、私は大きく言うと二つあって、一つは工事の価格、この価格が本当に下がったのかどうかという点です。もう一つは、価格だけではいけないので、サービスの質的な標準が上がったのかどうか、あるいは供給的には下がりはしなかったかどうか、この二つの視点から評価をしないと本当の評価にはならないんじゃないかというふうに思いますね。それにはやっぱり経済学とか経営学の領域に踏み込んでやらないと、余り議論にならないというふうに思います。その点から言うと、ここで資料4の評価の仕方というのは非常に不満足です。それから解決の仕方、それについても非常に不満足であります。そのことう申し上げておきます。  それからもう一点だけ大きなことを申し上げておくと、6ページのところで、そのことと関連しますが、ここに三角関係が書いてありますが、私が一つ提案したいのは、ここでやはり評価というか、今後こういうものが本当に実質的に機能しているかどうか、それをやろうと思うと、やはり外部の第三者をメンバーに入れたような監視、あるいはチェック、制度、そういう機関、そういうようなものがいるのではないか、そういうふうに思います。もしかしたらというか、ある意味で苦情とか何かいろんなものが起こった場合のことでしょうけれども、現行レベルで言えば、こういう関係に公正取引委員会はどの程度かかわっているのだろうかというあたり、これとも関係する問題です。以上です。  眞柄部会長 ありがとうございました。非常に大事な御指摘をいただいたと思います。処分基準その他に関して言えば、これは不適切な工事ということも含めれば、これはサービスの質に関することだろうと思うのですが、規制緩和によっていわゆる国民の負担というか、工事価格がどうなったかというようなことについては、事務局で把握しておられるのですか。  本射水道課課長補佐 工事価格自体については把握はしておりません。ただ、こちらの参考資料4にもございますように、検討委員会のメンバーの方に実は新築の時に逆にお金を払う立場になる、住宅生産団体連合会、こちらの方から委員を派遣していただいております。こちらの方は特に参入の場合、参入側の本当は規制緩和があったどうかのチェック、意見をいただきたいということで検討会に参加いただいておりまして、こちらの方の委員の方からは、検討会の中では規制緩和の効果はあったという御発言もいただいておりますので、そういうことで評価をさせていただいた次第でございます。   眞柄部会長 余り統計的な具体的な数値でないのですが、今後とも給水装置工事事業者の制度は存続するわけですので、佐々木委員が言われたことを踏まえて、今は第三者評価機関になるわけですので、その辺も今後のスコープの中で入れていただきたいと思います。第三者チェック機関に相当するのが実は国民センターがやってたんじゃないかというふうに言えないわけでもないので、それではちょっと寂しいなという気はしないわけではありません。  実際、給水工事に関して言えば、阿部委員もおっしゃったように、水道事業体によっては給水工事店、あるいは給水工事店のやっている仕事の中身をフォローできてないところもだんだんとふえつつありますので、そういう意味では給水台帳をきっちりつくるというのは水道事業者にとって最も大事なことですので、そこでの接点が給水工事事業者ということになるわけですから、ひとつ関係の団体とあわせて工夫をしていただきたいと思います。他にございましょうか。  それでは特にございませんので、資料4のことについて、すなわち指定給水装置工事事業者制度の施行状況と今後の方策について、部会として御了承いただいたということにいたしたいと思います。最後に議題のその他でありますが、今後の予定等について事務局から御説明をください。お願いします。  山村水道課長 どうもありがとうございました。本日は水質基準の見直し、水道施設の耐震化及び指定給水装置工事事業者制度に関する三つの議題につきまして大変御熱心な御審議、御議論を賜り、まことにありがとうございました。御指摘いただきました点につきまして事務局において対応させていただきたいと思っております。また、必要な省令改正、通知の発出等の対応を順次行ってまいりたいと考えております。  今後の部会でございますが、基本的には今後とも年1回程度の頻度での開催を予定いたしたいと思います。具体的な時期につきましては、適切な時期になりましたら改めて委員の皆様方に御案内をさせていただきたいと存じます。今後とも委員各位の御指導御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。  眞柄部会長 ということだそうでございます。きょういろいろと御検討いただきました結果、水道課で行われる水道法に伴う省令の改正等が行われた段階では部会の皆様方に当然のことながらその結果は御報告をさせていただくことになると存じます。それでは第6回の水道部会はこれで閉会いたしたいと思います。御協力どうもありがとうございました。 (終了)