07/10/22 第5回厚生労働科学研究における利益相反に関する検討委員会議事録 07/10/22   厚生科学審議会科学技術部会   第5回厚生労働科学研究における利益相反に関する検討委員会   議 事 録   ○ 日  時 平成19年10月22日(月)17:00〜19:00   ○ 場  所 厚生労働省 省議室(9階)   ○ 出 席 者   【委  員】   笹月委員長            岩田委員 木下委員 平井委員 福井委員            宮田委員 望月委員 谷内委員             【議 題】   1.厚生労働科学研究における利益相反への対応について    2.その他    【配布資料】   資料1.厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest : COI)        の管理に関する指針(案)        参考資料1.臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン    参考資料2.ヘルシンキ宣言 ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則          (日本医師会訳)      常設資料.適正に医学研究を実施するための指針 ○坂本研究企画官 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既に お配りしています注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。  定刻になりましたので、ただいまから「厚生科学審議会科学技術部会第5回厚生労働 科学研究における利益相反に関する検討委員会」を開催いたします。委員の皆様にはご 多忙の折、お集りいただき御礼申し上げます。  なお、本日は北地達明委員と末松誠委員から、欠席のご連絡をいただいております。 また、木下委員と宮田委員から少し遅れるというご連絡をいただいております。それか ら、事務局の担当に移動がございましたのでご紹介いたします。厚生科学課課長補佐の 森淳一郎です。  それでは、本日の会議資料の確認をお願いいたします。議事次第に配布資料の記載が ありますが、資料1として「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest :COI)の管理に関する指針(案)」、参考資料1として「臨床研究の利益相反ポリシー策 定に関するガイドライン」、参考資料2として「ヘルシンキ宣言 ヒトを対象とする医 学研究の倫理的原則(日本医師会訳)」があります。それから、常設資料の冊子として 「適正に医学研究を実施するための指針」をお配りしていますが、これは次回以降の会 議でも使用しますのでお席に置いたままでお帰りください。お持ち帰りのご希望がござ いましたら、事務局までお申し付けください。資料等はよろしいでしょうか。  それでは委員長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○笹月委員長 早速、議事に入りたいと思います。  初めに、事務局から資料1について説明をお願いいたします。長い資料ですので、 「III基本的な考え方」のところまで説明いただいて議論をしたいと思いますのでよろし くお願いいたします。 ○坂本研究企画官 資料1についてご説明します。資料1は、本日の議論のためのたた き台として、これまでの議論を踏まえて作成した案です。細かい表現等については、ま だ検討の余地はあるものと理解しておりますので、そのような目でご検討のほどをよろ しくお願いいたします。このものにつきましては、厚生科学課長通知として示すことを 想定しております。また、ここで書ききれていない細かい点については、この指針の Q&A等を作成して示すことも必要だと考えています。  まず表題ですが、厚生労働科学研究における利益相反、ここの利益相反という言葉に ついて、前回にも他に何かいい用語がないかとのご指摘もあり、検討したのですが、正 直申し上げて、より適切、適当な用語を示すことができず、ここでは利益相反という言 葉を使い、前回の議論で「COI」という表現のほうがまだよろしいのではないかといっ たご議論もあったことを踏まえて、この中でも「COI」という形で書いていますが、利 益相反の管理に関する指針案ということであります。  「I目的」については、ここに書いていますように、これまでご議論をしていただい たところを踏まえて、公的研究である厚生労働科学研究の公正性、信頼性を確保するた めには、利害関係が想定される企業等との関わり(いわゆる利益相反)について適切に 対応する必要があり、この指針は、いわゆる利益相反について、透明性が確保され、適 正に管理されることを目的とするということです。  「II定義」ですが、1)でこの指針の対象となる「利益相反(Conflict of Interest:  COI)」と書いていますが、いままでのご議論を踏まえて、以前にお出した定義との相違 点としては、「個人としての利益相反」を中心として、これをこの指針では「COI」と 表現しています。いわゆる利益相反(広義の利益相反)は、「狭議の利益相反」と「責 務相反」の双方を含んでいるとされています。「狭義の利益相反」は、「個人としての 利益相反」と「組織としての利益相反」の双方を含んでいるとされています。この指針 では、基本的に「狭義の利益相反」の中の「個人としての利益相反」(以下、「COI」 という。)を中心に取り扱います。COIとは、具体的には、外部からの重大な経済的利 益関係等によって、公的研究で必要とされる公正かつ適正な判断が損なわれる、又は損 なわれるのではないかと第三者から懸念が表明されかねない事態をいうとしています。  公平かつ適正な判断が妨げられた状態としては、データの改ざん、特定企業の優遇、 研究を中止すべきなのに継続する等の状態が考えられると記載しています。  ここの定義の関係としては、資料1の6頁の、「VIその他」のところで組織としての利 益相反について記載していますので、ここでは、COIを個人としての利益相反に限定的 に書いたほうが理解しやすいのではないかということで、このように整理しています。 注釈については、以前の資料等を踏まえて書き込んでいます。  定義の2)として、「経済的な利益関係」を設けています。「経済的な利益関係」と は、研究者が、自分が所属し研究を実施する機関以外の機関との間で給与等を受け取る などの関係を持つことをいいます。「給与等」には、給与の他にサービス対価、株式 等、及び知的所有権を含むが、それらに限定はされず、なんらかの金銭的価値を持つも のはこれに含まれるとしています。なお、公的機関から支給される謝金等は「経済的な 利益関係」には含まれません。この部分は、検討会の委員の謝礼等を想定しています が、この範囲等については必要があればQ&A等で説明を加えたほうがよいかもしれない と考えています。  定義の3)として、この指針の対象となる「機関」及び「研究者」について記載して います。この指針は、基本的に、厚生労働科学研究を実施しようとする研究者(以下 「研究者」という。)及び研究者が所属する機関を対象とするものということです。対 象範囲は、あくまで厚生労働科学研究であります。なお書き以下には、研究者と生計を 同一にする配偶者及び一親等の者(両親及び子ども)についても、厚生労働科学研究に おけるCOIが想定される経済的な利益関係がある場合には、利益相反委員会における検 討の対象としなければならないということで、後に出ます利益相反意員会の対象となる という形で、これまでのご議論を踏まえた整理をしています。  「III基本的な考え方」です。以前にお出ししたものをベースにしていて、それを修正、 整理してこちらに記載しています。最初のところで、企業との共同研究や技術移転とい った産学連携活動については否定されるものではなく、適正に推進されるべきものであ ることを記載しています。厚生労働科学研究においても、大学や公的研究機関等におけ る研究成果は、社会に還元する必要があるという趣旨を記載しています。  その一方で、研究者や研究者が所属する機関が複数の業務を実施する場合、関係する 個人・機関それぞれの利益が衝突・相反する状態が生じ得ます。これは、活発に研究活 動が行われ、産学連携活動が盛んになれば、必然的・不可避的に発生するものというこ とであります。  それから、厚生労働科学研究は、国民の保健医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等 の課題を解決するための目的志向型の研究であり、産学連携活動が行われる可能性のあ る大学や公的研究機関等においても実施されることを記載して、些かでもCOIが考えら れる研究者をすべて排除するとすれば、厚生労働科学研究についてのCOIが問題になる ことはないが、その一方で、それは活発に研究を行っている研究者を排除することにな るといった問題点をここに記載しています。  (注1)として、米国における検討の例を書いています。COIに関して比較的厳しい対 応を取っているペンシルバニア大学においても、関係する企業等から年間1万ドルを超 える収入等がある場合には、関係する臨床研究への参加を原則禁止しているが、余人を 以て代えがたい条件がある場合等には、個別に判断して、臨床研究の実施計画の策定に は携わらせない、データ分析等については利害関係をもたない他の人に任せる、臨床研 究に対する第三者の監査等といった対策を講じて実施を認めているということを記載し ています。  (注1)の後の「ただし」からのところですが、公的な研究である厚生労働科学研究 の信頼性を確保していく上で、COIを適切に管理する必要があり、公共の利益及び厚生 労働科学研究の信頼性を確保するために必要と判断されるような場合には、主任研究者 の交代等の厳重な管理が必要な場合があり得ると記載しています。  また、大学においては、教育・研究という学術機関としての責任と、産学連携活動に 伴い生じる個人が得る利益との衝突・相反を管理するための取組が既に行われているこ とを書いており、混乱や無用な重複を避けるため、既存の取組と出来るだけ整合性をと ったやり方で、厚生労働科学研究におけるCOIを管理すべきであるということを書いて います。  それから、被験者の保護については、「基本的な考え方」等で明確に記載すべきであ るといったご指摘があったことを踏まえて、その次の段落のところから、COIの管理に おいては、被験者が不当な不利益を被らないことを第一に考えるとともに、公的研究で ある厚生労働科学研究と研究者・企業間のCOIについて、情報公開・透明性の確保を基 本として、インフォームド・コンセント等に十分留意しつつ、科学的な客観性を保証す るように行うべきであると書いています。  (注2)として、利益相反には、実際に弊害が生じていなくても、弊害が生じている かの如く見られるアピアランスという状況が含まれ、アピアランスが指摘されても的確 に説明ができるように、研究者及び研究者が所属する機関が適切な管理を行う必要があ ること、潜在的な可能性を適切に管理し、説明責任を果す必要があることを記載してい ます。なお、データの捏造や改ざん等の不正行為は別途の指針等で対応し、また、被験 者の保護等に関してはヘルシンキ宣言や「臨床研究に関する倫理指針」等の指針等を遵 守することは当然であることを記載しています。  本日は、参考資料2として「ヘルシンキ宣言」を配付しております。例えば、参考資 料2の3頁の22のところで、ヒトを対象とする研究はすべて、それぞれの被験予定者に 対して、目的、方法、資金源、起こりうる利害の衝突、研究者の関連組織との関わり、 研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険ならびに必然的に伴う不 快な状態について十分な説明がなされなければならないといった規定がありますが、そ ういったものの遵守は当然であるということを改めて記載しているわけです。  資料1の3頁の上のほうですが、この指針はネガティブにとられるべきではないといっ た趣旨の議論もしていただいていますので、意欲ある研究者が、安心して研究に取り組 めるよう環境を整備する趣旨で策定するものであり、以下の原則を重視するということ で、以下に5点示しています。また、研究者と異なる機関から研究に参加する場合や、 学会等が当該研究者をサポートする形で研究を実施する場合においても、関係者による 適切なCOIの管理が必要であることに十分留意すべきであるということを記載していま す。  原則として記載しているのは、研究をバイアスから保護すること、特に、ヒトを対象 とした研究においては被験者の保護にバイアスがかかったように見られてはならないこ と。それから、外部委員を利益相反委員会に参加させる等、外部の意見を取り入れるシ ステムを取り入れること。法律問題ではなく、社会的規範による問題提起となることに 留意し、情報公開及び透明性の確保を管理の基本とすること。研究者及び研究機関に説 明責任があることを自覚し、管理を行うこと。客観性、公平性を損なうという印象を社 会に与えることがないように管理を行うこと。このようなことを原則として示していま す。  IIIまでは、以上でございます。 ○笹月委員長 ありがとうございました。  ただいま説明をしていただきました、I目的、II定義、III基本的な考え方ですが、ま ず、利益相反、Conflict of Interestの日本語訳ですが、初めて聞く方には、おそらく 何のことだかわからないと思うのですが、この用語に関して、どなたか何かお考えをい ただけますか。何かご意見がございましたら、是非、お聞かせいただきたいと思います。 最初にこの言葉が出てきたのは、いつ、どこに出てきたのかわかりますか。 ○坂本研究企画官 いつ、どこというところはお答えできないのですが、法律用語とし ては、後見人の関係等では、かなり前から使われている用語のようです。 ○笹月委員長 そうですか。その意味するところは、もちろん、いまここで問題してい ることと同じですね。 ○坂本研究企画官 利益が衝突しているという意味で使われていると理解しています。 ○笹月委員長 なにか、ここで使っている中身と言葉そのものが、字面だけを見ると本 当にそのことを意味しているのかどうか、ちょっと理解しにくい点があるようにも私に は思えるのですが。 ○平井委員 ご指摘のように、法律には利益相反という用語はあると思います。ただし、 ここでいま扱おうとしている利益相反、利益の衝突をどのようにマネージメントするの かという問題とは、若干、法律の場合の利益相反とは意味が違うのではないかと私は思 います。この種の利益相反というのは、日本が今回初めて輸入したものであり、既存の システムにぴったりするものはないですし、概念もないと思います。本来であれば、利 益相反という言葉を当てはめるのが問題であったのかもしれませんが、残念ながら文部 科学省の利益相反に関する委員会でこの議論がなされて、その際に同様の議論があり、 結論としては、利益相反という言葉を当てざるを得ないだろうということで一応は落付 いている状況です。ただ、最近、現場でまた利益相反の問題を扱うに当ってやはり誤解 があります。私たちが扱いたい利益相反マネージメントとは違うものをイメージする方 が多いということで、用語には問題を感じています。したがって、今回、この委員会で COIという言葉を使おうというようにご提言されれば、それは、それで価値のあること かなと考えています。 ○笹月委員長 どうもありがとうございました。  いま、法律用語としては既に用いられているということですが、そのときの英語版は COIですか。 ○坂本研究企画官 すみません。法律の用語の英訳までは確認しておりませんが、おそ らく、そうだと思われます。 ○笹月委員長 そうしますと、適切な日本語訳は難しいので、Conflict of Interestの 略でCOIということにするのがもう一つの選択肢だと思われますが、その点については、 どなたかご意見はございますか。 ○坂本研究企画官 こちらのほうの検討では、本日、参考資料1でお示ししていますが、 既に臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドラインがあり、大学等では、これ による取組がなされているということを、ある程度、前提にすべきといったご議論があ りましたので、今回、必要なところは追加するにしても、齟齬といいますか、あまり相 違点のないように検討したということがありますので、むしろ大学等の現場で、この言 葉がどのようにとらえられているかというところもポイントかと思います。 ○笹月委員長 ほかに、参考となるような意見はありませんか。 ○谷内委員 利益相反という言葉は、確かに一般的になっていますので、このまま使っ たほうがわかりやすいのではないかと思います。私もいろいろ悩んだのですが、これで 仕方がないのではないのかと考えています。 ○笹月委員長 言葉はいま一つというところもあるかもしれませんが、先行する指針、 その他で既に定着しつつあるということかもしれませんが、利益相反という言葉を使わ せていただくということにしたいと思います。  Iの目的の2行目で(いわゆる利益相反)、3行目もいわゆる利益相反、「いわゆる」 というのが付いていますが、これは必要ですか。IIの定義のところのいわゆる利益相反 は狭義の云々、それから責務相反の双方を含んでいるとされている。それから、その下 の行に「されている」ということで、いわゆるが付いて、また、されているというと、 何か人任せで他人事のような感じがして、積極的にこれは利益相反はこういうことです と言わなければいけないのではないですか。 ○坂本研究企画官 広義の利益相反と狭義の利益相反の問題があり、さらに組織として の利益相反と実際に主に対応すべき個人としての利益相反のところを、どうしても指針 としては書き分けないとわからないというところがありましたので、言葉が重層的にな ってしまいました。いわゆる利益相反と言ったときには広義の利益相反で、COIと言っ たときには個人の利益相反ということでの整理を試みています。 ○笹月委員長 いかがでしょうか。どなたかご意見はございませんか。これは、どうし ても残さなければならないでしょうか。取ったほうがすっきりはしますけどもね。 ○坂本研究企画官 個人としての利益相反だけを最初から特定して記載するという形で しょうか。 ○笹月委員長 そうではなくて、これを取れば利益相反は狭義とこれとの双方を含んで いると、狭義の利益相反は個人と組織の双方を含んでいると、そして、基本的に狭義の 利益相反の中の個人としての利益相反を中心に取り扱うといったときに何か不都合です か。 ○坂本研究企画官 誤読さえなければ大丈夫だと思いますので、表現を検討できると思 います。 ○笹月委員長 言葉遣いについては、後でまた検討していただくということで、中身に ついての定義については、これでよろしいでしょうか。  5行目に、経済的な利害関係等と書いてあり、それについては次の2)で説明がなされ ているのでこれでよろしいと思いますが、1)、2)、3)に関しては、いかがでしょう か。 ○谷内委員 前にもここで議論したと思うのですが、無償の機材の提供とか、いわゆる 依頼分析や試験等を含むが、それには限定されず何らかの金銭的価値をもつものにこれ を含まれるということにしているのですが、私の理解では、無償の機材の提供等は、結 構、重大なことで確認をしなければならない点だと思っていました。文科省のガイドラ インよりも少し簡単ではないかと見せていただいて感じました。これに関して、もう少 し詳しく書いたほうがいいのではないかと私は思います。ただ、次のところには、書い てあるのですね。次のIV以降には書いてあるので、それはいいのかと思ってはおりまし た。 ○笹月委員長 わかりました。いまご指摘のように、確かにこの点に関しては、機材の 無償提供云々に関しては、前々回以下、かなり長く議論して非常に重要な問題であると いうことが指摘されていましたので、それは、ここに列挙して書き上げるのがよろしい と思いますが、いかがでしょうか。 ○坂本研究企画官 谷内先生に1点確認ですが、参考資料1のどの辺をご覧になったので しょうか。 ○谷内委員 参考資料1の14頁を見ていたのですが、ここには、無償の機材の提供とい うことは書いてなかったように思います。それで、文科省のガイドラインでは記載はな かったのですが、この委員会でもかなり無償の機材の提供や試薬の提供等を議論をして おりましたので、依頼分析や試験等がありますが、可能であれば無償の機材や試薬の提 供を入れたほうがいいのではないかというのが私からのコメントです。 ○笹月委員長 申請者にとってもそのほうがわかりやすくて、よろしいでしょうね。そ れでよろしいでしょうか。 ○平井委員 1)の外部からの重大な経済的な利益関係のところです。まず、重大なです が、これは英文でいうとシグニフィカントです。重大という日本語のコーテイションと いうか、言葉のイメージからすると非常に大きいものだけ。例えば、金額が大きいとか、 インパクトが強いとかというものだけを扱うようにも感じられるのです。だから重要と か、少しそのトーンを変えたほうがいいのではないかという気もするのですが、いかが でしょうか。それが一つです。  利益関係のところも、これはインタレストの訳ですが、利益というと、やはりプロフ ィットとか、そういうほうのイメージがあると思うのです。要するに、儲かるというこ と。今お話があったように、無償とかもありますし、必ずしもプロフィットだけでは関 係がないところもありますので、「利害関係」とかいうほうが若干広くはなるのです。 この2箇所、若干気になったのですが。 ○笹月委員長 外部からの重大な、そうですね。シグニフィカントは平たくいえば、然 るべきぐらいなところですね。然るべき供与があった。けれどもこういう指針の言葉と しては、外部からの「一定の」は、どうですか。 ○坂本研究企画官 あるいは「重大な」を取ってしまうか。今先生がおっしゃったよう な「一定の」とか、そういった言葉のほうがよろしいでしょうか。 ○平井委員 ただ、あまり軽微のものが入ってしまうと困るのです。そこが難しいとこ ろですね。 ○笹月委員長 だから、どんな言葉を使うにせよ、これは、例えば定量的にはどうなの かという疑問は常に出てきますね、「重大な」、「一定の」にせよ、相応の、相当のと かにしても。取ってしまいますか、どうですか。あるいは「重大な」をそのまま使いま すか。こういうことは難しいですね。どうでしょうか、福井委員なんかはご意見ござい ませんか。 ○福井委員 難しい。 ○笹月委員長 一応、「重大な」を残しておきましょうか。これ、どうですか、取りま すか。 ○矢島厚生科学課長 どうもこれは重要なポイントみたいですので、今日ここでお決め いただかなくとも、またご意見があれば、違ういい言葉がもしあれば、事務局にご提示 をいただくということで、いかがでしょうか。 ○笹月委員長 そうですね。「経済的な利益関係」、さっき平井委員は「利害関係」と おっしゃったのですか。 ○平井委員 私はわりと利害関係という言葉をよく使うのですが、これはヘルシンキ宣 言も、「利害関係」になっていますね。 ○坂本研究企画官 ヘルシンキ宣言の先ほどのところでは、「起こりうる利害の衝突」 という表現を使っておりました。 ○笹月委員長 言葉遣いはなかなか難しいので、そしたらこれも引っくるめて先送りに させていただきますか。 ○福井委員 先ほどの「重大な」というところ、シグニフィカントという言葉であれ ば、統計学で使われるときは「有意な」ですね。おそらく絶対的な量とかを言っている のではなくて、その関係の中において意味のあるという言葉だと思います。果たして、 そこで有意なという言葉が意味を持つかどうかよくわからないですが、意味していると ころはそうだと思います。 ○笹月委員長 皆さんにお考えいただくということにさせていただきます。言葉のこと はいろいろご指摘いただきました。中身に関しては、定義はこれでよろしいでしょうか。 その後の、基本的な考え方のところはいかがですか。 ○谷内委員 ここで3行目で、「産学連携活動は否定されるべきものではなく」と書い てありますが、これはなくてもいいような気がします。「産学連携活動は適正に推進さ れるべきものである」と。否定されるというと、たぶん産学連携活動を一生懸命やって いる方は非常に悲しく思われるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○笹月委員長 いかがですか。これでよろしいでしょうね。では、そこはそのようにさ せていただきます。 ○谷内委員 もう2点あるのですが、注1に、ペンシルバニア大学という実例を出してし まっているのですが、出来たら私の希望ですが、「比較的厳しい対応をとっている大学 においても」というような形で、個別の大学の名前は入れないでいただくことはできる かどうか。 ○笹月委員長 はい、必要ないですね。分かりました、ありがとうございます。 ○谷内委員 もう1点は確認ですが、3頁の上から4行目、「データの捏造や改ざん等の 不正行為は別途指針等で対応し」というのは、対応しているのは文科省で出している、 不正行為に関するガイドラインか何かでしょうか。世界的には、利益相反もこの研究公 正で対応している場合もあるのです。  この研究公正に関しては今非常に厳しくなっていまして。いわゆる内部告発が可能に なっている状況です。そういう面で、分けていただくのは私は非常にありがたいのです が、ここではそうしたことを考え、このデータの捏造や改ざん等の不正行為は、別途指 針等で対応しという理解でよろしいでしょうか。 ○坂本研究企画官 厚生労働科学研究におきましても、不正等への対応というのは別途 いろいろ出しておりますので、そうした対応が別にあるということを記載したというこ とです。 ○谷内委員 研究公正は非常に厳しく、また内部告発が多くて、大学は非常に困ってい るのが現状ですので、分けていただくのは非常にいいのかなと、私は考えております。 そういう面で、ここを明確にしていただいて大変ありがたいと思っています。以上です。 ○笹月委員長 その他どなたかございませんか。 ○福井委員 今の3頁ですが、上から12行目の「研究をバイアスから保護する。特にヒ トを対象とした研究においては被験者の保護にバイアスがかかっているように見られて はならないこと」という文章ですが、研究をバイアスから保護するというのは、研究の 結果に何かしらバイアスが入らないようにするということです。その次の被験者の保護 にバイアスがかかるというのは、これはどういう意味かよくわからない。 ○笹月委員長 私もちょっとこれ分からなかったのです。 ○福井委員 つまり、被験者の保護を二の次にしているというように見られてはならな いことを意味しているのか。被験者の保護にバイアスというのは、意味がよくわかりま せん。 ○坂本研究企画官 後段で言わんとするところは、被験者の保護が二の次になってない というか、被験者の保護に関して些かも影響があってはならず、そのように見られては ならないという意味で書いているつもりです。表現がよろしくないということであれば、 書き方を検討させていただきます。 ○福井委員 研究をバイアスから保護することを最初に言っている。その文章は、研究 の結果にバイアスが入って、違う結論になるのではないかと言うために、バイアスと言 うものですから、その次の文章とちょっと内容が違うかなと思ったのですけれど。 ○笹月委員長 私も、これはちょっと後で質問しようと思った、議論のテーマにしよう と思っていたのです。ここ、ちょっと書き方を検討していただけますか。その他、何か ございませんか。  それから今の上の注ではないところで、「本指針は」の2行目の「以下の原則を重視 する」と言って、別のセンテンスが3行入っているので、これはどこか上に、場所を考 えて持ち上げたほうがいいのではないですか。例えば、さっきの注の中に入っては具合 が悪いので、注の上のどこか適切なところを考えて。  その他、基本的な考え方。これも言葉の問題ですが、2頁の下から9行目、「混乱や無 用な重複を避けるため、既存の取組とできるだけ整合性をとったやり方で」という、整 合性をとったやり方でというところの書きぶりも、何かちょっと考える。「既存の取組 とできるだけ整合性を持った方法で」、何かちょっとやり方でと言うのも、何だかおか しな気がします。あとはよろしいですか。 ○平井委員 3頁の五つある黒マルの三つ目ですが、「情報公開及び透明性の確保を管 理の基本とすること」と。この点はまさしくそのとおりで、正しいと思うのです。ただ、 読んでちょっと思ったのですが、これは読んだ方が、それではやはり情報はすべて公開 するんだという方向にかなり強く思われないかなと。  実は、ある学会の関係でちょっと相談を受けたときに、すべて情報を出しますと。う ちはマスキングもしないで、何から何まで公開しますというようにおっしゃったような 例もあったりします。こういうのを見ると、いろいろ考えられる方がおられると思うの です。もちろん情報公開も大事ですが、自己申告とヒアリングを適切に行うためには、 個人情報はきちんと守りますよと。プライバシーは外へ出しませんよという配慮も、併 せて行うことが大事かと思うのです。今、私どう書いたらいいかわからないのですが、 研究者の方もちょっと安心して自己申告ができるような、「個人情報に配慮しつつ」と か、何かそうした一言を加えてあげれば。 ○笹月委員長 ありがとうございます。それも、ひとつ今のように入れていただければ と思います。よろしいですか。  それでは、このIIIまでは、一応このような形で、一部言葉の使い方に関しては、先送 りしたところがありますが、一応先に進めたいと思いますので、IVからご説明をお願い します。 ○坂本研究企画官 資料1の後半、「IV研究を実施する機関の長の責務、研究者の責務」 の項目以降をご説明いたします。まずIVの1)は、「研究を実施する機関におけるCOI管 理に関する規定の策定」です。厚生労働科学研究を実施する機関の長は、予め当該機関 におけるCOIの管理に関する規定を策定し、関連する規則等も含め、所属する研究者に 周知するよう努めなければならない。研究者は、当該研究の研究分担者に本指針を遵守 するよう求めなければならない。要は、いろいろチームを組んでやる研究がありますの で、そうした場合には分担する方に対しては、その研究を代表する方から本指針の遵守 を求めることを、ここに記載しています。  次に、2)「COI委員会」として、機関の長は、原則として、当該機関における研究者 のCOIを審査し、適当な管理措置について検討するための委員会(以下「COI委員会」) を設置しなければならない。なお、機関の長は、倫理審査委員会等の当該機関に既に設 置されている委員会にCOI委員会の任務を兼務させ、またCOI委員会の下に小委員会等を 設置し、そこにCOIに係る審査及び検討を行わせることができる。また、機関の長は、 COI委員会の設置が困難な場合には、COIに関する審査及び検討を適当な外部の機関に委 託することができる。と記載しておりますが、これらの趣旨は、既にいろいろなやり方 でやられている例があると、これまでの議論でご紹介いただいていますので、そうした ものが、うまく動いているのであればそのままいっていただいてもよろしかろうという 考え方もあり、幅広めに読めるように書いているつもりです。  COI委員会あるいは機関の長からの委託を受けてCOIに関する審査及び検討を行う委員 会(以下「COI委員会等」)には、当該機関の外部の者が委員として参加していなけれ ばならないとして、何らかの形で、当該機関の外部の者が委員として参加することを、 ここで規定しています。  次に、なお、COI委員会等においては個人情報を取扱うため、外部委員には、研究者 の個人情報を匿名化した上で情報を提示することとしても差し支えないとして、個人情 報保護の観点からこの一文も書いています。  この関係としては、参考資料1「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドラ イン」の「委員会構成と運営」、16頁の6)のところで、当該委員会の構成員は、臨床研 究を実施する施設内の研究者、利益相反問題に精通している者、関連する法律や規則な どに詳しい者などを含めるべきであるが、個人情報保護ならびに秘密保持を図る観点か ら、開示された情報を取扱う人数は限定されることが望ましいとの記載の後に、また、 構成委員として両性並びに施設外からもある割合で加わることが考慮されるべきである となっています。こちらでは、「考慮されるべきである」となっていますが、今回の案 では外部委員の参加について、「参加していなければならない」といった表現で記載し ています。  4頁の3)は、「COI委員会等への報告等」です。厚生労働科学研究費補助金の申請提出 時までに、各研究者は、COI委員会等に対して、「経済的な利益関係」について報告し た上で、当該研究のCOIの審査について申し出なければならない。なお、研究の期間中 は年次毎に又は新しく報告すべき「経済的な利益関係」が発生した場合には、各研究者 は、機関におけるCOI委員会等にその内容を報告しなければならない。また、COIの管理 については、各機関において、一定の基準額を設定し、それを超える「経済的な利益関 係」の報告を求めて管理することで差し支えない。なお、一定の基準額の目安としては、 例えば、産学連携活動の相手先のエクイティ(公開・未公開を問わず、株式、出資金、 ストックオプション、受益権等)について報告を求める他、1)として、企業・団体から の収入(奨学寄付金受入れを含み、診療報酬を除く)について、年間の合計収入が同一 組織から100万円を超える場合、2)として、産学連携活動にかかる受入れ額(申請研究 に係るもので、申告者もしくは所属分野が関与した共同研究、受託研究、コンソーシア ム、実施許諾・権利譲渡、技術研修、委員等の委嘱、客員研究員・ポストドクトラルフ ェローの受入れ、研究助成金受入れ、依頼試験・分析などを含む)について、年間の合 計受入れ額が同一組織から200万円を超える場合などが考えられるが、各機関の実情を 踏まえて、一定の基準額を設定して差し支えないものとする。としており、ここの記載 は、あくまで例示です。この例示については、参考資料1の10頁と11頁のガイドライン の自己申告書(例)の中で、10頁のほうでいいますと、真ん中の2)企業・団体からの収 入の例として、年間の合計収入が同一外郭組織からの100万円を超える場合、及び11頁 にある記載を参考として記載しています。既にあるこのガイドラインとは、齟齬はあま りきたさないようにという趣旨です。  4頁の4)は「COI委員会等の意見」です。COI委員会等は、研究者の経済的な利益関係、 研究者が実施しようとしている研究及び講じられようとしているCOIの管理に関する措 置等について審査及び検討を行い、COIの管理に関する措置について、機関の長に対し て意見を述べる、という規定を設けています。  ある程度参考になろうかと思いますのは、「適正に医学研究を実施するための指針」 という冊子の201頁に、臨床研究に関する倫理指針での倫理審査委員会の規定がありま す。ただし、この規定は、こういう指針で規定している前例ということにはなるのです が、やはり位置付けが結構違います。今回、この倫理指針の規定の仕方とは少し違った 形で、COI委員会等の意見という項目で、これが適当ではないかということで案を出さ せていただいています。  参考資料1で関連するところとしては18頁の9)「ポリシー違反への対応」で、利益相 反ポリシーに違反した場合の対応が書かれています。こちらなどが既に動いていること も念頭に入れつつ、かつ、こちらの指針では臨床研究以外も対象に含まれるということ もありますので、あまりがちがちに書くと、言い方がちょっと語弊があるかもしれませ んが、他の分野でも対応できるような規定の仕方も必要かということで、こういう形で 案を提示させていただいています。  5)は「厚生労働省への報告」です。機関の長は、研究者が機関におけるCOIの管理の 指示に従わず、厚生労働科学研究に何らかの弊害が生じた、あるいは弊害が生じている とみなされる可能性があると判断した場合には、厚生労働省あるいは厚生労働科学研究 費補助金の資金配分機関に速やかに報告しなければならない。機関の長が、この指針に 基づくCOIの管理がなされずに、研究が実施されていたことを知った場合も同様とし、 その上で適切にCOIの管理を行うものとする。こうした規定も設ける必要があるのでは ないかということで、記載しています。  6)は「厚生労働省等からの指示」です。厚生労働省又は資金配分機関は、必要に応じ、 当該研究機関に対し、厚生労働科学研究の公正性、客観性を維持するため、COIの管理 に関して指示を行うことができる。常に行うということではなく、必要に応じて行うこ とができるという規定ということです。  7)は「COIの管理」です。COIの管理の方法としては、以下のような方法が考えられる として、例示をしています。ただし、管理の方法はこれらに限られるものではなく、各 COI委員会等において、研究課題及びCOIの状況等を踏まえ、適切な管理の方法を検討し、 管理を実施する必要があるということ、それから、なお、適切な情報の開示等透明性の 確保には十分留意する必要があるということを記載しています。  先ほどご指摘いただいたことを踏まえますと、ここの記載も併せて検討する必要があ るのかもしれませんが、現状の案ではこういう形にさせていただいているということで す。  一枚めくっていただくと、7項目例示しています。ここについては、他に例示すべき ものがあれば参考になると思われますので、ご意見いただきたいと思います。  (1)は経済的な利益関係の一般への開示、(2)は独立した評価者による研究のモニタリ ング、(3)は研究計画の修正、(4)はCOIのある研究者の研究への参加形態の変更、(5)は 当該研究への参加の取止め、(6)は経済的な利益の放棄、(7)はCOIを生み出す関係の分 離、ということです。  8)は「関係書類の保存」です。研究者及び研究者が所属する機関は、COIに関係する 書類を5年間保存しなければならない、としています。  9)は「個人情報、研究または技術上の情報の保護」です。先ほどご指摘がありました が、COI委員会等の委員等の関係者は、個人情報、研究または技術上の情報を適切に保 護しなければならないとして、情報の保護について規定を設けるということです。  10)は「COIに対する説明責任」です。COIに関係する問題が指摘された場合等におけ る説明責任は、研究者及び各機関にあり、研究者及び機関の長は、適切に説明責任を果 たせるよう、予め、十分な検討を行い、必要な措置を講じなければならないと記載して います。この辺はポイントになろうかと思いますので、この記載の内容で十分かどうか 等、ご議論いただければと思います。  Vは「厚生労働省による調査等」です。1)として、「調査及び調査への協力」の項目 を設けています。厚生労働省又は厚生労働省から依頼を受けた資金配分機関は、必要が あると認める場合には、全例やるという意味ではありませんで、必要な場合にはという ことですが、COIに関して、厚生労働科学研究費の交付申請を行った研究者が所属する 機関に対する調査を行うことができ、研究者が所属する機関は、調査に必要な情報を提 供(COIに関する検討状況、COIの管理の方法等)、記録の提出、現地調査への協力など を行うこと、それから、調査は、関係者の個人情報等に十分留意して実施する、という 規定を設けたらいかがかということです。  2)は、「調査結果の通知及び改善指導」です。厚生労働省又は資金配分機関が調査を 行った場合、調査結果は、速やかに機関に通知する。資金配分機関が調査を行った場合 には、その結果を厚生労働省本省に報告するという規定です。その後に、調査の結果、 厚生労働科学研究費補助金に係る研究活動におけるCOIに対して適切に対応しておらず、 改善が必要と認められた場合、厚生労働省又は資金配分機関は、当該研究機関に対し、 改善の指導を行う、ということを記載しています。  3)として、調査結果及び指導に不服がある場合には、30日以内に「不服の申立て」が できる、という規定を設けています。  4)は「改善指導に対して適切に対応しなかった場合の措置」です。6頁の上のほうに、 COIの管理が適正に実施されていない状況にあり、改善指導がなされたにもかかわらず、 正当な理由がなく、改善が認められない場合には、資金提供の打ち切り、未使用研究費 等の返還、研究費全額の返還、競争的資金等の申請制限等の措置を講じることができる、 と記載しています。これは、改善指導がなされたにもかかわらずということを前提とし た「できる」ということで、こういう「できる」という規定を設けたらいかがかという ことです。  VIは「その他」です。1)は「経過措置」です。厚生労働科学研究費補助金の交付を受 けようとする研究者が所属する機関の長は、できるだけ早期にCOI委員会を設置するよ う努めなければならないと、「努めなければならない」という規定をまず書いた上で、 原則として、平成22年度以降の厚生労働科学研究費補助金の交付申請前にCOI委員会が 設置あるいは外部のCOI委員会への委託がなされていない場合には、平成22年度以降の 厚生労働科学研究費補助金の交付を受けることはできないとして、原則として、平成22 年度からは完全に適用することを記載しております。なお、詳細については、各年度の 公募要項等を確認することとしています。こちらについては、今後、実際の運用面では 各年度の公募要項で対応せざるを得ないところがありますので、こういう形で書かせて いただいています。  指針の見直し規定が必要というご議論がありましたので、VI「その他」の2)に、「指 針の見直し」を設けています。  先ほど申しましたように、平成22年度から本格的に適用ということを想定しています ので、前のご議論では3年で見直しとかいうご意見もいただいていたのですが、本格適 用の時期とかも考えますと、5年ぐらいかなということで、本指針は策定から5年以内に 各機関におけるCOI委員会の活動状況等を踏まえて、見直しを行うものとするという、 見直し規定を設けています。  最後の3)「その他」として、最初の定義でもありましたが、組織としての利益相反に ついて、こちらはなかなか対応が難しいということがありましたので、本指針では組織 としての利益相反に関しては、明示的な規定は設けていないことを記載した上で、研究 者及び各機関においては、組織としての利益相反にも十分留意し、個々の研究における 利益相反の管理を検討し、透明性を確保し、研究の客観性や公平性に関して、説明責任 を果たせるように適切な管理措置を講じる必要がある、という規定を「その他」として 設けてはいかがかということです。説明は以上です。 ○笹月委員長 どうもありがとうございました。それでは3頁のIV「研究を実施する機 関の長の責務、研究者の責務」から、どなたかお気づきの点あるいはご意見をどうぞ。 ○望月委員 COI委員会の委員会構成について、先ほどのこちらの資料では16頁に、あ る程度臨床研究を実施する研究者、それから利益相反問題に精通している、あるいは法 律に詳しい者という規定があるのですが、ここは特に何もないのです。たぶん慣れない 機関の長がもしいたとしたら、どういう人間を委員会に入れるべきかと悩むと思います。 それから外部委員について、外部なら誰でもいいか。これもいろいろな問題が出てくる ので、外部でも、少なくともこの三つのうちのカテゴリーからかと私は思うのですが、 そういうことは規定しないのでもよろしいのですか。 ○笹月委員長 大事なご意見かと思います。この16頁では、臨床研究を実施する施設内 の研究者、それから利益相反問題に精通している者、関連する法律や規則などに詳しい 者ということですが、いかがでしょう。これは、あったほうがよろしいですね。 ○坂本研究企画官 一つのポイントは、先ほどの参考資料1の16頁は、あくまで臨床研 究ということです。臨床研究以外の研究も厚生労働科学研究費補助金の場合はあります ので、記載する場合、当該研究に詳しい者とか、そうした表現であれば、この辺のもの を入れ込むことは可能かと思います。 ○笹月委員長 先ほどから坂本企画官がおっしゃる、その臨床研究に限らないほうがよ ろしいと言われる場合は、その他のものはどんなものを想定しておられるのですか。 ○坂本研究企画官 記載するのであれば、当該研究に詳しいというような言い方で読み 替えるしかないのかもしれないと思います。 ○笹月委員長 臨床研究に狭くするのはよろしくないということで、それ以外のものは どんな研究を想定しているのかというのが私の質問です。 ○坂本研究企画官 厚生労働科学研究は、第2回で少しご紹介しましたが、例えば食品 分野や労働分野の研究もありますし、人口問題の研究等、かなり幅広いところがありま す。 ○谷内委員 COI委員会でいちばん重要なのは、私自身は、産学連携活動に詳しいとか 外部資金の受入れ状況について詳しい者がいちばん重要なのではないかと思うのです。 この臨床研究を行う研究費は奨学寄付金でいいのか、共同研究でいいかとか、あるいは ストックオプションに対して詳しい者とか、そういう産学連携活動に詳しい者にこの COI委員会に入っていただいたほうがいいと考えております。 ○笹月委員長 この16頁6)で言うところの「利益相反問題に精通している者」という代 わりにいまのような。 ○谷内委員 産学連携活動に詳しい者です。そういう制度的に詳しい方のほうがいいと 思います。 ○笹月委員長 いかがでしょうか。よろしいですか。では、そういうことに。 ○望月委員 もう一つ、そのすぐ上にある「適当な外部の機関に委託することができる」 ということと、後のほうのVIの「その他」で「外部のCOI委員会への委託」があるのです が、外部のCOI委員会はすでに現存するのでしょうか。 ○笹月委員長 これは前にも議論があったところですが、例えば厚生労働省の中にとか。 ○望月委員 作っていただける。 ○笹月委員長 はい。それについて企画官から何かありますか。 ○坂本研究企画官 一つのイメージとしては、共同研究を組まれて、大きい大学の研究 者が中心になられて研究を行う際に、分担研究の研究者が小規模な機関等にいて、なか なかCOI委員会がその機関で作れないような場合、大きい大学にお願いするとか、IRBで もそういう形がありうると思いますので、そういうこともあるのかと考えております。  公募の際にすべて厚生労働省で見るのは物理的にも難しかろうというご指摘も前にあ りましたので、指定研究はともかく、公募されるときにはその機関の側で何らかの対応 は考えていただき、最終的に完全に施行した場合には何らかの対応をしていただくとい うイメージでおります。 ○笹月委員長 しかるべき研究機関はこのCOI委員会を持っておくというのが大原則で すね。だから、そういうことがわかるようにしておくことも必要かもしれません。どこ かに「機関の長は速やかに委員会を設置し」という文章があったので、それでもいいで すね。 ○平井委員 いまのご指摘と関係するのですが、この委員会の前の議論で、原則は各機 関にお願いすると。各機関が作れない場合とか事情がある場合には厚生労働省でもそれ をハンドリングするという話があったと思うのですが、それはここの中に入っているの ですか。それとも、入っていないのですか。 ○坂本研究企画官 平成22年度より前は、必要であれば、ある程度やらざるを得ないか なという考え方はあります。それから、指定研究、こちらからお願いする研究の場合は こちら側でも見る必要があるという考えはありますが、そのときのご議論でも、基本は 各機関でやっていただくべきだろうというのがここでのご議論の大勢と理解しておりま すので、今回の指針では、原則的には平成22年度以降は各機関でやってもらうというイ メージで文案を作成しております。 ○谷内委員 いまの点に関して、私はこの指針を読ませていただきまして、これは基本 的にボトムアップのものかなと思っておりました。また、トップダウンの指定研究に関 しては厚生労働省のほうで指針を作られるのではないかと思っていたのですが、これは これで指定研究も含めるという理解でよろしいのですか。  これは、基本的には、ボトムアップのもののほうではないかと私は考えていましたの で、指定研究に関しては金額を含めて明確に基準を作られる必要があるのではないかと 思っています。 ○坂本研究企画官 指定研究について、金額等は、今回、まだ出せる状況ではありませ ん。ボトムアップとか、そういう限定はなく、まず、全体的にかかるものについて、こ の指針でカバーをすることを考えております。ですから、指定研究の場合、さらに追加 的に見ざるを得ないところがあれば、この指針に追加して見るということを、別途、通 知か何かで示すということはありうると思っておりますが、共通的なところについては、 この指針をまず出しておく方が、体制整備等の面からもやりやすいのではないかと考え ております。 ○笹月委員長 その辺は、COI委員会の設置が困難な場合には外部のものというと、何 か、事が面倒なので外部に頼みましょうという。 ○岩田委員 あまり中身を知らない人がしゃべるのはよくないと思うのですが、これは 本当は私自身が利益相反になるのではないかと思っているのですが、私のイメージとし てはここでの議論は臨床研究等が中心だったように思うのです。  先ほど事務局の方からありましたが、厚生労働研究のほうにはそういうヒトを対象と しない研究は少ないかもしれないのですが、それ以外の研究は結構あるのではないかと 思うのです。例えばなのですが、これが利益相反になるといったら、私自身も厚生労働 科学研究費をもらったことがありまして、私たちがやっていた例えば医療事故の情報の 取扱いについての法的な問題の研究のようなものだと、そもそもヒトも対象としないし、 ただ単に各諸外国の状況を調べるようなものも含まれるのだろうと思うのです。  それについても、こういう利益相反の問題が全くないとは言えないので、含まれると いうふうに言うことはそれなりに悪くないのではないかとも思うのです。ただ、例えば 文系の大学等だと、そもそも研究倫理委員会みたいなものが存在しない所が結構あるの ではないかと思うのですが、さらに利益相反委員会みたいなものを作りなさいと言うと、 それは作れと言えば大学としても対応せざるを得ないので社会的にはそのほうがいいの ではないかと思うと同時に、大きく状況が違うなということを少し感じたところです。 ○笹月委員長 ただ、厚生労働科学研究費を申請する場合にはCOI委員会でのアプルー バルが必要だということになれば、そういう所に申請する機関は作らなければいけない と。自ずからそういうことになるのだろうと思うのです。全くそういう所に申請しない 機関はまた話が別になろうかと思います。 ○平井委員 大学の話で言えば、利益相反委員会はもともと理工系をベースにやるとい うことで、全国88だったかな、大学等に、とにかく全部作ってください、ということで 文科省は動いているのです。ですから、今はほとんどの大学がポリシーを持っていると 思います。文系、理系を問わずに、ほとんどの大学が利益相反ポリシーを持っており、 かつ利益相反委員会を動かす準備がある、あるいはもうマネージメントしているのがほ とんどだと思うのです。  ただ、臨床研究に関しては、その全体的な利益相反マネージメントよりも遅れていて 整備が進んでいなかったというのが実情だと思うので、たぶん、どこまで大学が動かし ているのかというのはあるのですが、文系の方でも適用できないことはないと思います。 ○岩田委員 誤解を受けないためにですが、私自身、そういうものがなくていいと申し 上げているわけではなくて、例えば、ここでも先生方がご議論したことですが、情報開 示をしなさいということについては文系でも全然問題ないと思うのです。  そういうことで、各大学が作れないときには、これも本当は厚生労働省にとっては大 変なことなのかもしれませんが、こういう情報を出すことによってその利益相反倫理委 員会の代替になるような方法が、外部の利益相反委員会であれ、産学連携みたいなもの が全くないような分野も厚生労働科学研究にはありうるのだろうと思うのですが、そう いうときに何か代替の方法があってもいいのではないかと思っただけです。方法として そういうことをやっていくのは、方針としては悪くないと思うのですけど。 ○平井委員 要するに、簡易なシステムというか、サブシステムを作っておいて、メイ ンのシステムを動かしながら例外的にそういうサブシステムが動いてもいいのではない かというお話ですよね。 ○笹月委員長 質問ですが、例えば臨床研究倫理指針、あるいは疫学研究、諸々の指針 のときにも「その委員会ができない場合には」云々ということは記載していますか。 ○坂本研究企画官 そういった指針は研究の指針でして、このものは厚生労働科学研究 費補助金、いわゆる研究費を出す際の指針ということですので、もともとの成り立ちが 違います。いま先生がおっしゃったような規定はむしろ設けずに、研究をやる場合の規 定ということで、研究費を受ける際には、こういうことを守っていなければいけません、 というチェック項目的なものを出しているということはあります。今回の場合、厚生労 働科学研究の利益相反ということですので、倫理指針等とは意味合いが少し違ってきて いるというところはあります。 ○笹月委員長 すなわち、私の質問は、どうしても困難なときにはという条項が必要か どうかということです。当然それは作るものだと大前提でいって、例えば遺伝子ゲノム 指針にせよ疫学指針にせよ、どうしてもああいう委員会をできないところはあるわけで す。  そういうところは上部の主任研究者の機関でやってもらうということが現実問題とし ては行われる、あるいはそれを認めているところなので、これもこういうふうに書かず にそういう形をとれないかどうかということです。 ○平井委員 インフォームド・コンセントでもC群試料とかがありますね。どうしても とれない場合はしょうがないと。だから、ああいうような形で利益相反的な観点からマ ネージメントの必要性が極めて低いと認められるC群みたいなものを作って、その場合 には一定の自らにかかわる利益関係を、申請と同時に自己申告を厚生労働省に行うこと によって認めるとか、そういうことで済ませるケースをどのように作るかというのは、 これは少し業者的なのですが、先生がおっしゃったようなケースをうまく類型化できれ ば、そういうケース分けは倫理指針にもありますので、不可能ではないかもしれません。 ○谷内委員 いまの岩田委員あるいは平井委員の意見に関して、COI委員会を作ること が不可能な場合に関しては、産学連携をしている部署あるいは人事担当の部署が把握し ていることがいいのではないかと私は思っています。  そのどちらがいいかというのは機関によって違うのだと思うのですが、人事担当の部 署あるいは産学連携の所がこういうものを管理する必要があるだろうと考えております。 ○笹月委員長 いや、例えば産学連携に関する部署があるような所はこういうものを作 るのは可能なわけですね。これができないというのは、そもそも、厚生労働科学研究費 等に滅多に申請したことがない機関とか、例外的に応募しようとしたらこういうルール がありましたということに気付くぐらいなことで、本来その産学連携の部署があったり 毎年複数件をこういうものに応募しているような所はこういうものを持ってなければい けないということなのではないですかね、それがよそに頼みますというのでは。  例えば、いろいろな倫理指針でもそうですが、その委員会を持つということは、委員 になる人がいるし外部からもその専門の委員がやってくる。そうすると、その研究機関 のそれに関する意識のレベルといいますか、それが非常に高まるという意味があります ね。  ですから、こういうCOIの委員会を持つことは、そのことに関するコモンセンスとい いますか、あるいは意識を高めるという非常にプラスの意味があると思うのです。だけ ど、何もかもよそに任せますというのでは、いつまで経ってもそれが改善しないという こともあるので、私は、本質的には、そういうものに応募するような機関は必ずこれを 作るべしというのが必要だと思うのです。 ○岩田委員 私も、変なところで議論をしてしまって、蒸し返してしまって大変申し訳 ない気がしますが、いま委員長がおっしゃったような、方針としてはそのように意識を 全体として高めるというのは確かに正しいと思いますので、そういう方向で是非行って いただければと思ったのです。その前に申し上げたのは、もしかすると私たちがここで イメージしたものとうまく切り分けられる形でちょっと違うような分野があるのだとし たら、それに対する対応は、当然、対象も違うのでうまくできないかなと、ちょっと思 いつきで申し上げた程度です。 ○笹月委員長 そういう配慮も必要だろうというのは確かだろうと思います。 ○坂本研究企画官 すみません、時間がかかりましたが、先ほどのご質問について、常 設資料の冊子で、例えば、疫学の指針では、145頁の研究機関の長の責務というところ で、倫理審査委員会の設置という項目が2番目にありまして、そこのただし書きで「研 究機関が小規模であること等により当該研究機関内に倫理審査委員会を設置できない場 合には、共同研究機関、公益法人、学会等に設置された倫理審査委員会に審査を依頼す ることをもってこれに代えることができる」という規定があります。  もう1点、正直に言いますと、岩田委員ご指摘のような問題は、具体的な事例を集め てみないことには、どういう切り分けができるかという検討もなかなか難しいのではな いかと思います。その辺は、本格稼働までの間に走りながら考えるということも必要な のではないかと考えております。 ○笹月委員長 そうしますと、ここの文章はどうしますか。「機関の長はCOI委員会の 設置が困難な場合には外部の機関に委託することができる」と。他の指針では「小規模 な」とか、ちょっと例示がしてありますね。だから、何かそういうことを少し加えて、 うちも困難だからやめておきましょう、ということにならないような。どうでしょう か、これでよろしいでしょうか。 ○望月委員 質問なのですが、ここで規定している研究者というのは、主任研究者だけ ではなくて分担研究者も含むわけですね。そうすると、分担研究者の中には小さい組織 の方もいらっしゃると思うのです。そういう方をどうするのか。先ほどは主任研究者の 所のCOIに行けばよいというサジェスションをいただいたのですが、そういう方向でよい のならば、はっきりそういうふうに書いていただいたほうがいい。適当な外部の機関と いっても、探してもないのだったらしょうがないのだと思うのです。 ○坂本研究企画官 これまでの指針等でも、指針本体に書き込むものと、最初にご説明 しましたようなQ&A等で示すものがあります。正直、いまぐらいの話になりますと、指 針本体に書き込んでいくと、相当細かい話になりますので、むしろQ&A等で対応したほ うが例示等も書きやすいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○笹月委員長 それでよろしいでしょうね。ありがとうございました。そのほか、いか がでしょうか。 ○谷内委員 COI委員会のところの守秘義務については5頁の9)で「COI委員会等の委員 等の関係者は、個人情報、研究または技術上の情報を適切に保護しなければならない」 と。これでもいいのでしょうけれども、私たち自身、COI委員会をやっていていちばん 重要視している点は守秘義務だと思うのです。情報が漏れるというのは、研究者の方々 から開示をいただく段階で気をつけなければいけないということで、可能であれば「守 秘義務に注意し」とか、そういうことを入れられるかどうか御検討いただきたい。医師 や薬剤師等に求められている守秘義務というのはこのCOI委員会の委員にはあるのでは ないかと考えております。  それから、先ほど言いましたように、4頁に「無償の機器の提供」というのがないの で、これも是非入れていただきたい。 ○笹月委員長 後の点はここに入れていただくということで、最初の点はいかがでしょ うか。 ○岩田委員 いま言われた守秘義務というのは、例えば外部委員になるときにその人と 大学との契約書みたいなものを作って「守秘義務があります」という形のことをおっし ゃっているのか。そうではなくて、また別の法律上の規定か何かを想定されているので すか。 ○谷内委員 COI委員会の守秘義務というのは、法律的にかかってくるのかどうかわか りませんが、守秘義務というのは、通常では委員会を始めるときにその委員の方々から 守秘義務に関する、契約みたいなものを取って委員会を開くのが原則ではないかと思い ますし、たぶん、アメリカでもそうしているのではないかと思います。そういうこと で、守秘義務に関しては明確に記述したほうがいいのではないかと思っているのです。 ○笹月委員長 ほかの委員の方は何かご意見ありますか。事務局はどうでしょうか。 ○坂本研究企画官 守秘義務の規定はこれまでのものを参考にして書き込めると思いま すので、検討いたします。 ○木下委員 5頁目にCOIの管理の具体的なことが書いてありますが、経済的な利益関係 の一般への開示ということは、そのCOI委員会で検討した結果、問題であった研究者は、 そういうものを一般へ開示するという意味なのですか。そのようような問題が指摘され た場合、具体的な問題がおこる前にこの研究はやめるべきであるとか、あるいはそうい う事実が利益相反関係にあるというそのこと自体を一般に開示するということの意味が よくわからないのですが。 ○笹月委員長 個人情報を保護した上で、申請されているものにおける、まさに、COI の状況にあるかどうかを開示する。そういう意味ですね。 ○坂本研究企画官 はい。たしか、前回か前々回かの事例の中でも、余人を以って代え がたい研究者が参加しているような場合で、現状をオープンにするぐらいしか管理の手 立てがない場合もあるのではないかというご議論もあったかと思いますし、海外でもこ ういうやり方を方法の一つとして出していたということもありますので、管理の手法の 一つとして例示をしているということです。 ○木下委員 ということは、そういうことがあっても研究は許されるという意味で開示 するという意味ですか。 ○坂本研究企画官 研究をするしないの判断は、あくまで各機関において、COIの委員 会が検討した上で、やっていただくのがいまの案の一つの考え方です。そのときの管理 のツールとしてはこういうものがあるということをあらかじめお示ししているというこ とです。 ○木下委員 実際問題として、問題点を公にしてから研究をやめろというのでは、変な 話だと思います。 ○笹月委員長 いや、そうではないです。COI状況にあると疑われるかもしれないので きちんと状況を開示してやりましょうということです。こうだから駄目ですよというた めの開示ではないわけです。要するに、COI状況のマネージメントをどのようにマネー ジして問題なくその研究を遂行させるかという、そういう観点から、その手段をここに 列挙してあるわけです。 ○平井委員 ここにある7つは、英語で言うとエンフォースメントの例として挙げてい るのですが、その管理の中でのエンフォースメントなのです。(1)は、要するに利益相 反委員会の判断としてはこの利益関係をこのように変更したほうがいいと思って、それ を研究者にアドバイスする。しかし、研究者がそれに従わないということになった場合 に、もちろん研究者の同意を得てですが、研究者がそれを一般に開示してもよいと。そ の上で、利益相反委員会の判断ではなくて、国民の判断を仰いで誰も文句を言わなかっ たらそれでいいのではないかと。もし仮にそれを開示した結果、国民から大きな否定的 な判断が出れば、当然、その研究者の方はそれを修正しますね。  そういうふうに、本来持っている利益相反委員会のアカウンタビリティのところを直 接自分で国民に対して果たしてもらう。そして、もしご自身で自信があって、この利害 関係は問題ないのだ、誰に開示しても問題ないし研究は続行されるとお考えになって、 それを実行されて、正しければそれでいいと思うのです。これは利益相反委員会が間違 えたということでも結構ですし、もしかすると利益相反委員会が正しくて、国民からも のすごい反発を受けて、先生が考えを改めて、この利害関係は修正すべきだったと。そ れで、修正をします、というふうになってもよいと思うのです。そういう一つのツール として、こういうエンフォースメントの例があると思うのです。だから、ペナルティで はないと思うのです。 ○笹月委員長 ここに説明がないのでわかりにくいのですが、私の理解では「こういう 状況です。だけど、余人を以って代えがたいので、こういう状況だけれども委員会とし てはこれを認めます」と。マネージメントというのはそういうことなのではないですか。 ○木下委員 これだけを見ますと、幅広く取ってしまいます。極めて例外的な方に対す るものならばいまご説明いただいたものでわかるのですが、一般的には、そういう問題 があるのだったら考えようということで、大部分の方が改めることが多いのではないか と思います。例でありますから、こういうものもあるというのはわかるのですが、表現 がきついという感じが致します。 ○笹月委員長 企画官のほうから説明をお願いします。 ○坂本研究企画官 まさに、ここの7項目はそれぞれが例示ですので、その前の4頁の下 のほうにあるように、「COIの管理の方法としては、以下のような方法が考えられるが、 管理の方法はこれらに限られるものではなく」と書いてありますように、これを必ずや れというわけでもないし、ケース・バイ・ケースでCOI委員会が管理の方法として考え られるツールを例示として列挙しているということで、一般に開示する場合もあれば、 そうしない場合もあるし、ケースによっては使える手段としてこういうものがあるとい うことをお示ししているということなので、その辺をもう少しわかりやすくしたほうが よろしいでしょうか。 ○木下委員 そうですね。これだけを読むと、私は前後関係がよくわからなかったもの ですから。 ○笹月委員長 これは、COI委員会がノーと言ってしまえば、この状況はもう駄目だと 判断したのならば、何も、開示する必要はないわけです。そうではなくて、こういう状 況だけれども余人を以って代えがたいので認めます、というときに初めて開示というこ とが問題になるのではないですか。違うのですか。 ○坂本研究企画官 開示について、例えば、あるCOI委員会が、当機関においてはこう いうものについては常に開示すると決めてそのようにやられても、それを止めるもので はありません。その機関の判断として、こういう場合にはこうするということを決めて 管理のツールとしてやっていただくことを否定しておりません。先ほど、必ずするのか ということをおっしゃられたので、ある場合には適当であろう例として前に議論があっ た例をご紹介したわけで、いろいろなやり方が当然ありうると思っております。 ○笹月委員長 しかし、いまのお話では、ノーと結論を出したのに開示するということ はありえないのではないですか。 ○坂本研究企画官 それはありえないと思います。これはあくまで管理のためのツール ですので、管理できないという判断をし、そのように対応したものをオープンにするこ とは想定していません。 ○木下委員 いまのご説明はよくわかります。そういったことがわかるような表現を加 えていただくほうがありがたいと思います。  この指針が出たときに、今後、大学はこういうものをやるように求められます。厚生 労働科学研究費をもらうために大変多くの申請者がいます。ここに書いてあるように、 利益相反の対象とするような企業がある場合に、これを申請するのであって、そうでな い場合には、申し出は必要はないということですね。 ○坂本研究企画官 この指針の今の考え方では、各機関が持つCOI委員会が経済的な利 益関係の基準額を決めてよろしいということにしていますので、その機関が決めた額以 下であれば、当然、そこのCOI委員会に申告する必要はないという整理になります。 ○木下委員 こういう指針が出てくる以上は、後になって「実はこうだった」と言うこ とがおこらないように、基本的には申請者はそういう姿勢でいるようにするほうがいい と思います。従って、厚生労働省との関係として、この申請をする限りは、利益相反の チェックを受けたものならば問題ないとする必要はないですか。 ○坂本研究企画官 4頁の3)の「COI委員会等への報告等」の所で「厚生労働科学研究費 補助金の申請提出時までに、各研究者は、COI委員会等に対して、『経済的な利益関係』 について報告した上で、当該研究のCOIの審査について申し出なければならない」と記 載して、この申出等をすることを前提として、その下のほうで「一定の基準額を設定し、 それを超える『経済的な利益関係』の報告を求めて管理することで差し支えない」とい う形にしております。 ○木下委員 ということは、大学の中においては原則そういった姿勢で臨んだ上で、申 請書には、COIの審査を通ったとか通らないとか、一切そういうことは書いてなくても、 出す以上は受けていただけるわけですね。 ○坂本研究企画官 おそらく、様式的にCOIのチェック欄を作る等の対応は行わざるを 得ないと思います。 ○木下委員 それでは、原則として申請者はすべてやるわけですね。わかりました。 ○福井委員 それに微妙にかかわるのですが、おそらく、自己申告書みたいなものを何 らかの形で出すと思うのですが、その研究者が正直に書くか書かないかというところか ら、実は、問題があるのではないか。性悪説的にいってしまうと少し問題なのですが、 これを正直に書く必要があるということはこういう文書には入れなくてもよろしいでし ょうか。基本的な考え方を読めば、どうしてこれをしなくてはならないかということは 伝わるとは思うのですが、そういう文章までは必要ないでしょうか。 ○笹月委員長 それは研究者の研究の捏造と同じで、申請書の捏造みたいなことになる わけですね。だから、それはもう。あと、4頁の4)「COI委員会等の意見」。意見という か、ファンクションとでも言ったほうがいいかもしれませんが、この辺りについて、も う少し何か加えるべきことはありませんか。あるいは、先ほどの4頁の最後の7)「COIの 管理」ですね。マネージメントの仕方として5頁に列挙されている7項目に関していかが ですか。 ○谷内委員 先ほどの木下委員の経済的な利益関係の一般への開示ということに関して、 このCOIの管理ですが、これに関して一般への開示をやっている所はあまり多くないの ではないかと思います。たぶん、NIHは全部開示していると思うのです。ただ、日本の 大学でも、会社の役員になっているとか、そういう産学連携活動の活発な場合に関して はホームページ上に開示しているという話も聞いております。そういうことをイメージ されておられるという理解でよろしいですか。  先ほども言いましたように、COI委員会は守秘義務がありますので、経済的な利益関 係の一般への開示をすべてすることになってくると研究者が非常に躊躇するような感じ になり、私も木下委員がおっしゃるように非常に強く感じますので、この文面に関して 気をつけてもらえないかということと、ここに関してこれほど厳しく言っていいのかと 私自身も思っております。 ○笹月委員長 何も、イエスと言ったからすべて開示するのではなくて、経済的云々に 関して問題があるような場合にのみ開示するわけですね。こうだけれども斯く斯くしか じかで認めましたという意味で、何も問題がないのに開示する必要はないのだろうと思 います。 ○谷内委員 それはわかるのですが、一般への開示というのは、例えばホームページへ の開示ということを考えておられるのかどうか。ホームページだと非常につらいものが あると思うのです。これは経済的な関係の被験者への開示だと非常にわかりやすいので すが、一般への開示ということまで要求されるのかどうか。 ○笹月委員長 それは、マネージメントとしてそうしなければCOIの状況を第三者から 疑われる、という状況にあると判断すれば開示せざるを得ない。 ○谷内委員 確かにそうなのですが、例えば臨床研究の例を考えると、ある場合には臨 床研究に入ったという情報が入ると、それだけで株価が上がったり下がったりするとい う状況があります。ですから、一般への開示というのは守秘義務も関連して非常に気を つけないといけない面もあると思うのです。  これはその臨床研究にある特許を持った者が臨床研究に入ると、その特許の価値が上 がりますので、一般への開示という言葉は、被験者に開示だけだったらいいのですが、 一般への開示というのは少し気をつけたほうがいいのではないかというのが私のコメン トですが、ご検討いただきたい。 ○笹月委員長 なるほど。 ○平井委員 同じことなのですが、私、ここはすごく抵抗があるのです。これは列挙さ れているのはもともとジョーンズ・ホプキンスのものなのですが、あれはあくまでエン フォースメントの例なのです。それで、これに沿っていくと、4頁の最後の7)「COIの管 理」ですが、まず最初にやる管理は何かというと、普通はヒアリングなのです。ヒアリ ングをしてお互いの意見を摺り合わせて共通の認識を持って、それでまず指導をするわ けです。アドバイスをするわけです。そして、利益相反状況が難しい場合はモニタリン グをするわけです。  そのことは、参考資料1の17頁の下の8)の「利益相反ポリシーの遵守とモニタリング 等」で下のほうに書いてありますが、「当該臨床研究を許可する場合に、定期的な報告 義務、ヒアリング措置、指導、モニタリングや」と書いてありますが、そこに該当する のだと思うのです。通常の管理というのは、こういうボランタリーな方法で、相互理解 と同意の下に行われるのが普通です。  それを超えて、次の5頁の(1)から(7)に入るというのは、普通からいくとかなり重大 な状態なのです。例えば(6)に「経済的な利益の放棄」とありますが、これに至るのは 私はまだ見たことがないですが、かなりな状況で、利益相反ハンドリングができないぐ らい複雑になっているケースだと思うのです。ですから、この(1)から(7)というのは、 重ねて申しますが、同意による修正が非常に困難な場合に、ある意味、強い指導として なされていることの列挙だと思います。この7項目が通常に行われる管理方法なのだと 思われると、それはまずいと思うのです。  だから、書きぶりを少し変えて、先ほどの参考資料1の書きぶり等を参考に、通常の 場合の管理と、一段先に行ってしまった場合の管理ですね。それで、実は、この先にペ ナルティがあるのですが、ポリシー違反の場合、どうしても従わない場合は就業規則上 の罰則を課すということになります。これはアメリカでもそういうことが記載されてお ります。だから、そういうふうに順番があるのだということをどこかで明らかにしても らいたいなという気がします。 ○坂本研究企画官 いまのご指摘を踏まえまして、参考資料の1の17頁の下のほうとか、 あと、これらの7項目が例示であって必要に応じて使うものだという意味合いをもう少 しわかりやすい表現に工夫させていただきたいと思います。 ○木下委員 いま大事なご指摘をいただいたと思うのですが、この指針が出るというこ とは、すでに利益相反をしているような人たちを問題とすることは極めて少なくて、こ れからこのような指針が出ることによって、利益相反問題を意識しなさいよという予防 的な意味が強いと思うのです。その予防的なという意味は、平井委員がおっしゃったヒ アリングのようなことから入っていって、その結果としてお互いにこの辺が問題になる から気をつけましょうという場合が圧倒的に多いのではないかと思います。  ただ、企業、たとえばベンチャー企業等との関係では、全然違うと思います。しかし、 厚生労働科学研究費で我々が扱う範囲におきましては、教授たちがあちこちから研究費 を集めてきますから、問題となる場合があるかもしれません。研究の場合には関係があ る企業に関しては我々も気をつけなければなりません。そういう注意義務的な意味が強 いとなると、管理のあり方としては、いまご指摘いただいたようなヒアリングや指導が あった上で最後はこういう問題が発生するのだという一連のプロセスの中での位置付け を明確にしていただくほうがわかりやすいと思います。 ○笹月委員長 わかりました。大変貴重なご意見だと思います。 ○宮田委員 遅れてきて申し訳ありません。一つだけ言いたかったのは、今、これを作 っている噂が流れているだけで研究現場が萎縮してしまった状況ですので、この書きぶ りはまずいと思います。  そういう意味では、交通違反を取り締まるときにどのぐらいのペナルティを想定する かという行政効率を考えなければいけないので、そうなると、これがマストだという印 象を与えると、相手先の機関にも相当な無駄というか、時間の無駄もあるし費用の無駄 も出ますので、ここは、いま木下委員や平井委員がご指摘したように、あえてこんな感 じで例示を出す必要があるのかということも含めてご検討いただきたいと思います。  ついでに申し上げると、この「目的」の所で研究を促進するためというニュアンスが 全く出てないのが非常に問題であろうと思っておりまして、これは公表されると、ただ でさえ今は某大学、某大学、日本中で動揺が広がっておりますので、誤解を受けないよ うな形で、是非とも、ある意味では研究者のセーフティハーバーなのだというメッセー ジを送っていただきたいというふうに思います。余計なことを申しましたが。 ○笹月委員長 いやいや、ありがとうございます。この7項目に関して、こういうこと をやればいいのですよという意味で、私は例示としては特に違和感はなかったのです が、先ほど来のご意見がありますので参考資料1の16頁の書きぶりを参考にしながら、 そういう項目を前のほうに付け加えていただくということでいかがでしょうか。 ○岩田委員 いまの点で私自身が少し気になっているところがあるのです。先生方が言 われたことについては何の異論もないのですが、他方、研究者の方がこれをすごく気に されていると同時に、国民もきっと見ているのだろうと思うのです。だから、そこの信 頼を確保するというメッセージも重要だと思っていまして、私自身、ここの臨床研究に は全く関係のない分野の者ですから、この資料を読んだときに、イメージとしては研究 をすごく推進する指針だなと思ったのです。  ですから、そのぐらいのギャップが国民のほうにはあると思うので、例えばですが、 基本的な考え方のところで被験者に対する不当な不利益が被らないようにということを 書いていただいていると思うのですが、それについては、ここの先生方もその臨床研究 にかかわっている先生方のほうが重視されているぐらいだとすると、例えば「なお」と いう書き方はやめたほうがいい。しかも、こういうことを書いても何の問題もないとい うか、臨床研究をやっていて、例えば利益相反委員会等をきちんとやっていらっしゃる 方が一番そこを気にされているのだとすると、そこの部分はやっても何の損もないので、 むしろ、もう少し強くして例えば臨床研究のこの文科省のほうは「特に」という言葉で つなげていたりするのだと思うのです。だから、そこのメッセージの送り方は少し考え ていただくといいのではないかと思いました。 ○笹月委員長 それも大変大事なご指摘だと思います。ありがとうございました。その 他、例えば5頁の10)「COIに対する説明責任」ですが、この辺りはさらに付け加えるこ とはございますか。 ○望月委員 少し戻ってしまうかもしれないのですが、2頁のペンシルバニア大学の例 で先ほど少しお話が出ましたが、「余人を以って代えがたい条件がある場合等」という のがどのように扱われるかというと、いまのところで扱われるのか、あるいは先ほどの 7項目の管理の所で扱われるのかわかりませんが、これもある程度言ってきっちりとこ の中に入れておかないと、この注記というのは本文には出ないのですね。一緒に出るの ですか。 ○坂本研究企画官 この形のままで出すことを考えております。 ○望月委員 これも指針の一部と考えてよろしいのですか。そうすると、このとおりに 個別に判断し、以下、こういうことで対策を講じて実施を認める。ペンシルバニア大学 の例ではなくて、日本のこれでやろうという考えでよろしいのですね。わかりました。 ○笹月委員長 時間が迫ってまいりましたが、最初のところから、宮田委員はいらっし ゃらなかったのですが、全体を通じて、あるいはQ&Aで明確にすべき事項等、何かお気 づきの点はございませんか。一応、ご議論いただきまして、字句の問題、大きなところ では管理の仕方の1番から7番の前に先ほどのような例示の説明を付け加えることなどが ありましたが、ほかにございませんか。 ○宮田委員 私は少し混乱しているのですが、5頁の10)の「COIに対する説明責任」で、 説明責任を研究者及び各機関と言っておりますが、COIに関係する問題を誰が指摘した かというのも訳がわからない文章ですが、例えばメディアで報道された場合、一義的に 説明責任を果たすのは機関ではないかと私は思っているのですが、ここに研究者を入れ るとストーリーラインが少しおかしくなる。ただ、先ほど、福井委員がおっしゃったよ うに、研究者は誠実に報告しなければいけないということもどこかに書いておかないと いけないので、これが混ざっているのではないかなという印象を持ちました。谷内委員、 ここら辺はいかがですか。 ○谷内委員 宮田委員がおっしゃるとおりで、これに従ってきちんと開示している場合 に関しては機関に責任があるという考え方で、責任は組織にあるということです。ただ、 従わない場合に関しては研究者個人に出てくるということで対応しております。ですか ら、確かに、宮田委員がおっしゃるように、そこは分けていただいたほうがより明確に なるのではないかと思うのですが、そういうことでよろしいかどうか。  私自身はこういうCOIに関して指摘された場合に、指針に従っている場合に関しては 各機関にある、指針に従っていない場合に関しては研究者にある、というふうに書いて いただけるかどうかということをご検討いただければ、より明確に宮田委員の意図に合 っているのではないかと思っております。 ○笹月委員長 それは、その研究者が登場するのはCOI委員会の結論に従わなかったと いう場合ですか。 ○谷内委員 従わないでやっていった場合とか、あるいは虚偽の申告をしていったとか、 そういう場合に関しては研究者個人になります。ただ、このCOI委員会に沿ってやってい る場合に関しては、我々の考えでは組織あるいはCOI委員会の方がこういうものに関して 説明責任を果たす方向を考えておりまして、研究者には直接に利益相反問題の責任はい かないように考えておりました。  まだそういう事例がないので何とも言えませんが、もしそういうものがマスコミ等で 問題にされた場合に関しては、指針に沿ってやっている場合に関しては機関あるいは COI委員会が説明するという体制を考えておりました。 ○宮田委員 3頁のIVに「研究を実施する機関の長の責務、研究者の責務」と書いてあ るのですが、研究者の責務はいまの所以外はほとんどないのです。だから、研究者の責 務を明確にすべきだといった福井委員のご意見は私は正しいと思っていて、例えばこの 場合にゼロという所を入れて、それぞれの研究者は利益相反に対して誠実に対応しなけ ればいけないという原則を1行書いておけばいいのではないかと思います。それで、先 ほどの説明責任の所に関しては、その機関に絞ってしまえばいいのではないかと思いま す。 ○岩田委員 いまの点は4頁の3)の「COI委員会等への報告等」という所で研究者の義務 をもう少し明確に書くという点はあると思いますが、そこに例えば「誠実に」とか「真 実を」というような、そっちのほうで研究者の義務規定にしておいて、後のほうは機関 というほうが確かにすっきりするかもしれません。 ○笹月委員長 研究者の責務を明確にする。事務局、それでよろしいですか。 ○坂本研究企画官 はい。いまのご指摘を踏まえて修正案を検討いたします。 ○笹月委員長 予定の時間がまいりましたので、最終的な文言の修正、追加、その他を どのようにハンドルするかということで、事務局から今後の方針についてご説明いただ けますか。 ○坂本研究企画官 本日いただきましたご意見を踏まえまして修正案を作成します。場 合によっては個別に、例えば、用語の問題等もありますので、各委員の先生方にご相談 させていただきます。修正案をある程度固めた段階で先生方にご連絡して内容を確認し ていただいて、最終的な案を固めさせていただきたいと思います。  その後、委員長とご相談いたしまして、その上で、科学技術部会の垣添部会長にご相 談して、パブリックコメントの実施に向けての作業を進めさせていただきたいと思って おります。  先生方に修正案のご連絡をさせていただきますが、本日の状況で再度会議は必要ない ということであれば、いま申し上げたようなやり方で案を固めさせていただければと思 いますが、その辺はご議論いただきたいと思います。 ○笹月委員長 今日ご議論いただいたところを事務局でまとめていただいて、修正案を 作成して、そして委員の先生方にお送りする。おそらく、もう一度会を開くということ まではいかなくて、文書あるいは直接個人的にご意見をお伺いするようなことでまとめ られるのではないかと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。  あるいは、もう一回どうしてもやるべきであるというご意見があればお聞かせいただ ければと思いますが、今日の議論を事務局でまとめて、私も拝見して、それを委員の方 々にお送りするということで、その段階でどうしてももう一度議論をやるべきであると いうことが生じればそうさせていただくとしても、原則としては会議はこれまでで案を まとめるということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○平井委員 この案についての手順はそれでいいと思うのですが、この委員会自体はこ の案をまとめた後のアクションプランみたいなところの議論はするのでしょうか。 ○笹月委員長 この最終案を作るということに関しては集合は今回までにして、その後 の予定はどんなことを考えていますか。 ○坂本研究企画官 まずは、修正案を固める作業があります。その上でパブリックコメ ントの実施に向けた作業がありまして、パブリックコメントのやり方等につきましては これから委員長と科学技術部会の部会長と相談して決めさせていただかないといけませ んが、その後、パブリックコメント等の対応に関しましてもう一度この委員会でご議論 いただきたいと思っております。一応、そこまでが一つの区切りになるかと今は考えて おります。 ○平井委員 私は、先ほど、とある医薬系の所で利益相反の話をしてきたのですが、こ れは平成22年度までにある程度の数の組織で利益相反委員会ができるかというと、かな り難しそうな感じなのです。  それで、個人的に思うのですが、これをまとめた後で、これに沿って各組織がきちん と利益相反委員会を作れるように何らかの手当てをしてあげることが必要ではないかと 思うのです。  例えば、利益相反の委員会のモデルというのはこういう構成であって、ヒアリングと いうのはこのようにやるものだとか、そういう何かのアクションプランがないと、平成 22年度に例えば7、8割でも組織で利益相反委員会が揃わないと思うのです。ですから、 何かそういうことを少しご検討いただきたいなという気がします。 ○笹月委員長 いろいろな臨床研究、その他の倫理審査委員会を作るのに際して説明会 みたいなものが開かれたと記憶しておりますが、何かそういうことが必要かもしれない ですね。 ○坂本研究企画官 以前にご説明しましたように、今後とも利益相反問題に関する検討 を我々のほうでもある程度続ける必要がありますし、指定研究等の課題もありますので、 そういう認識はあります。ただし、それをこの検討委員会でそのままやるかどうかは、 また別の問題ではないかというふうに思っておりますので、まずはこの指針を固め、そ の後の段階で、おっしゃるような課題に対しての対応を我々のほうで検討することを考 えております。 ○笹月委員長 では、今後の進め方についてはそれでよろしいでしょうか。                  (了承) ○坂本研究企画官 それではそういう形で、修正案の作成、パブリックコメントに向け た作業等をさせていただきます。次回の開催ですが、日程調整をさせていただいた上で 後日またご連絡ということをお願いいたします。できれば早めにということで、可能で あれば11月下旬頃にということも考えておりますが、今日いただいた作業にかかる時間 がどのぐらいになるかというところを予測しにくいところもありますので、その辺の作 業をしたところでまた追ってご連絡をさせていただきます。正式なご案内については日 程調整後、送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以 上でございます。 ○笹月委員長 それでは、ただいま事務局から説明があったような手順で事を進めさせ ていただきたいと思います。そういう意味では、全員一堂に会するのはこれが最後か、 あるいはそのパブリックコメントの返答を見てそのときにまたそれに対処の仕方を議論 する。 ○坂本研究企画官 あと1回はお集まりいただこうかと思っております。 ○笹月委員長 わかりました。では、そのようなことにさせていただきたいと思います。 本日はどうもありがとうございました。                                ―了―     【問い合わせ先】   厚生労働省大臣官房厚生科学課   担当:情報企画係(内線3808)   電話:(代表)03-5253-1111    (直通)03-3595-2171                             - 1 -