07/10/11 第41回厚生科学審議会科学技術部会議事録   第41回厚生科学審議会科学技術部会   議 事 録    ○ 日  時 平成19年10月11日(木)17:00〜19:00    ○ 場  所 厚生労働省 省議室(9階)    ○ 出 席 者    【委  員】  垣添部会長           石井委員 今井委員 岩谷委員 川越委員 木下委員           笹月委員 佐藤委員 竹中委員 永井委員 西島委員            松本委員 南(裕)委員 南(砂)委員 宮田委員           宮村委員 望月委員              【議 題】    1.平成20年度科学技術関係予算の概算要求について    2.平成20年度厚生労働科学研究費補助金公募研究事業について    3.研究費の不正経理等への対応について    4.厚生労働科学研究費補助金配分機能の移管のあり方について    5.ヒト幹細胞臨床研究について    6.その他    【配布資料】    1.平成20年度科学技術関係予算の概算要求について    2.平成20年度厚生労働科学研究費補助金公募要項(案)    3.厚生労働科学研究費補助金の不正経理等への対応について(案)   4.厚生労働科学研究費補助金配分機能の移管事業の範囲について(案)    5−1.ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について    5−2.ヒト幹細胞臨床研究実施計画について    6.遺伝子治療臨床研究実施計画の変更報告及び重大事態等報告について    参考資料1.厚生科学審議会科学技術部会委員名簿    参考資料2.厚生労働省の平成20年度研究事業に関する評価(概算要求前の評価)   ○坂本研究企画官  傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴にあたりましては、すでにお配りしておりま す注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第41回厚生科学審議会科学技術部会 を開催いたします。委員の皆様にはご多忙の折、お集まりいただき御礼申し上げます。 本日は金澤一郎委員、菊川剛委員、北村惣一郎委員、末松誠委員、福井次矢委員からご 欠席のご連絡をいただいております。委員22名のうち出席委員は過半数を超えておりま すので、会議が成立いたしますことをご報告いたします。  次に事務局ですが、異動がございましたのでご紹介させていただきます。技術総括審 議官の上田博三です。 ○上田技術総括審議官  9月1日付で前任の西山から引き継ぎました上田でございます。実は2年前にこの科学 技術部会の事務局をやっております厚生科学課の課長をしておりましたので、当時から お付き合いをいただいている先生もおられますし、また一部代わられた先生もございま すけれども、この科学技術部会というのは厚生労働省の科学技術を進める上で、唯一の 極めて重要な部会でございますので、先生方には引き続きご指導を賜りますようお願い いたしまして、ご挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○坂本研究企画官  厚生科学課長の矢島鉄也です。 ○矢島厚生科学課長  矢島でございます。よろしくお願いいたします。 ○坂本研究企画官  続きまして、本日の会議資料の確認をお願いたします。資料の欠落等がありましたら ご指摘くださいますようお願いいたします。議事次第の半ばから下のほうに配付資料が ございます。1が「平成20年度科学技術関係予算の概算要求について」。2が「平成20年 度厚生労働科学研究費補助金公募要項(案)」。3が「厚生労働科学研究費補助金の不 正経理への対応について(案)」。4が「厚生労働科学研究費補助金配分機能の移管事 業の範囲について(案)」。5-1が「ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について」。 5-2が「ヒト幹細胞臨床研究実施計画について」。6が「遺伝子治療臨床研究実施計画の 変更報告及び重大事態等報告について」です。  参考資料として、1が委員名簿、2が「厚生労働省の平成20年度研究事業に関する評価 (概算要求前の評価)」です。資料についてはよろしいでしょうか。それでは部会長、 議事の進行をお願いいたします。 ○垣添部会長  本日はお忙しい中を、第41回の厚生科学審議会科学技術部会にお集まりいただきまし て、誠にありがとうございます。暑い暑いと思っているうちに10月になりまして、私も クールビズは終わって、ネクタイを締めて、少し安定した気分で議長を務めさせていた だきます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは最初の議題1「平成20年度科学技術関係予算の概算要求について」、事務局 から説明をお願いいたします。 ○坂本研究企画官  資料1「平成20年度科学技術関係予算の概算要求について」です。一枚めくりますと、 「平成20年度の厚生労働省の科学技術研究の推進の基本的考え方」となっています。厚 生労働科学研究について、キーワードとして「健康安心の推進(健康寿命の延伸)」 「先端医療の実現」「健康安全の確保」と大きく三つに分け、それぞれの課題と予算額 を示したものです。基本的に厚生労働科学研究は、第3期科学技術基本計画が示してい る理念の実現、戦略の推進に貢献して、安全・安心で質の高い健康生活の実現に取り組 むということです。  予算額に関しては、厚生労働科学研究費補助金については、昨年度428億円に対し20 %増の513億円を要求しています。科学技術関係予算全体については、昨年度の1,315億 円に対し22.4%増の1,610億円の要求となっています。  2頁です。「平成20年度厚生労働科学技術関係予算概算要求の概要」という表があり ます。科学技術関係予算全体の内訳で、上が一般会計、下は、国立高度専門医療センタ ー等の特別会計です。  3頁です。「平成20年度厚生労働科学研究費補助金概算要求の概要」となっています。 新健康フロンテイア戦略、イノベーション25の社会還元を加速するプロジェクト、ある いは革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略を踏まえまして、ある程度メリハ リを付けて予算要求をしています。概算要求で対前年比が比較的大きいものとしては、 IIの厚生科学基盤研究分野の組替イの再生医療実用化研究経費(仮称)、創薬基盤推進 研究経費、IIIの疾病・障害対策研究分野の長寿科学総合研究経費、子ども家庭総合研究 経費、がん臨床研究経費といったものがあります。  厚生労働科学研究は、国民の健康や安全に直結するところの多い研究であることから、 メリハリを付ける必要はありますが、厚生労働科学研究全般について、来年度以降も着 実に推進を図っていきたいと考えています。資料1の説明は以上です。 ○垣添部会長  ありがとうございました。平成20年度の科学技術関係の厚労省の概算要求について説 明をいただきました。何かご発言、あるいはご質問等がありましたらお受けしたいと思 います。 ○宮田委員  この再生医療が140%ぐらい伸びていますが、その内容を少しかい摘まんで教えてい ただけますか。 ○新木研究開発振興課長  再生医療につきましては、ご案内のとおり大変実用化に近付いている段階ですが、ま だ具体的に実用化までには至っていない。もう一段の実用化に向けての研究が必要だと 考えています。そのため、我々の研究の中で伸ばしたいと思っていますが、出口に近い ような部分、トランスレーションリサーチ、臨床研究、この辺に重点を置いて採用でき るような、そんな枠組みで運用したいと考えています。 ○垣添部会長  よろしゅうございますか。それでは一応こういう形で概算要求に向かうということで よろしくお願いいたします。  では2番目にまいります。議事2の「平成20年度厚生労働科学研究補助金公募研究事 業について」、議題3の「研究費の不正経理等への対応について」、この二つを併せて 事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○坂本研究企画官  資料2及び資料3についてご説明いたします。資料2は「平成20年度厚生労働科学研究 費補助金公募要項(案)」です。資料3は「厚生労働科学研究費補助金の不正経理等へ の対応について(案)」ということで、6月に開催した第39回の本部会で説明した資料 をアップ・ツー・デートしたものです。基本的に資料2を中心にして、資料3は前回から の修正点について適宜参照していく形で説明させていただきます。なお、資料2は大部 な資料であることからポイントを絞って説明させていただきます。  資料2の1頁です。はじめに厚生労働科学研究費補助金については、いわゆる補助金 適正化法の適用を受けることを記載して、また、早期に補助金を交付するため、予算 成立前に公募を行うこととしており、予算の成立状況によっては新規採択予定課題数 を下回る場合等がある旨を、※のところに記載して、注意喚起をしています。  1頁の四角囲みの中に平成20年度の公募研究事業を記載しております。大きく分ける と行政施策、厚生科学基盤、疾病・障害対策、健康安全確保総合という四つの研究分 野があり、その下の研究事業については、先般の事前評価の際にご説明したように、 項目としてまとめられるものはまとめて、大きく分けて今回は13の公募研究事業を予 定しています。また、予算成立前で、新規のものについては(仮称)とし、※のとこ ろに、予算成立後に(仮称)を削除する予定であるということを記載しています。  2頁から応募に関する諸条件等です。資料3の下のほうの「不合理な重複及び過度の 集中の排除」の3番目にもありますが、平成20年度から文部科学省が中心となって開発 中の「研究開発管理システム」、府省共通研究開発管理システムが導入される予定で、 今回このシステムに合わせて用語の修正もしています。例えば資料2の2頁の(1)で、 いままで「主任研究者」という用語を使っていたところが「研究代表者」となっていた り、3頁の上で「研究分担者」は従前の「分担研究者」であるということも記載してい ます。  資料の修正ですが、資料2の3頁のいまの「研究分担者」のところで、3行目、「かつ 1)※書き」となっていますが、この※の前に「イ」が入ります。  2頁に戻ります。1)のアで、「(ア)から(キ)に掲げる国内の試験研究機関等に所 属する研究者」となっています。この点は昨年と変わりありませんが、例えば(ア)の 厚生労働省の施設等機関のところに、こちらの研究者の範囲の明確化ということで、文 章を修正しています。  資料3の最後に「採択に携わった厚生労働省職員への一定期間の研究費の給付制限(H 20年度公募要項に記載)」というものがあります。資料2の2頁の(1)応募資格者のイ. の※にあるように、厚生労働本省の職員として補助金の配分先の選定に携わっていた者 に関しての規定を今回設けています。補助金の配分先の選定に携わっていた者は、その 後1年間は研究を業務として行っているような場合を除いて応募できないといった規定 を設けています。  資料3の先ほどの一つ上に、「研究課題採択の際に、行政的な観点を採択課題に反映 する方法の見直し」ということを記載していますが、こちらについては現在具体的な検 討を行っているところです。  資料2の2頁の2)の「次のア又はイに該当する法人」のところも昨年度より記載の明 確化を図っています。  5頁です。キの間接経費について、これまでは3,000万円以上の公募研究課題に交付し ていたのですが、この見直しを予定しています。しかしながら、本日の段階では具体的 な数字を記載できるところまで詰め切れていないので、○○○○となっています。ここ が3,000万円より大きな数字になることはありませんが、公募までにここの数字を確定 することになります。  5頁の(4)応募に当たっての留意事項です。6頁の3行目にあるように、「補助金の 管理及び経理事務は、研究代表者等の所属機関の長に必ず委任してください」と規定 しています。こちらについては資料3の大きい項目の3番目、「厚労科研費の管理に関 する研究機関の責任の一層の明確化」に対応した修正です。資料3では、基となる通知、 「『厚生労働科学研究費補助金における事務委任について』を改正(H20年度までに改 正)」となっていますが、こちらを改正して、ここに書いてあるような機関経理の必 須化等を規定することを予定しており、公募要項についても対応させるべきところは、 あらかじめ対応させたということです。  また資料2に戻っていただき、6頁の「イ.不正経理等及び研究不正への対応につい て」で、7頁まで続いており、7頁の真ん中辺の※で、不正経理等に対する今後の対応 方針、その次の※で不正経理等及び研究上の不正の告発の対応について記載しています。  資料3ですと、2番目の項目、「厚労科研費の効果的・効率的な検査等」の二つ目、 「研究機関に対して研究資金の管理体制及び監査の報告を求める」、それから資料3の 下から2番目、「研究費の適切な管理体制等に問題がある研究機関等に対する措置」の 内容に対応して、公募要項も修正しています。  資料2の7頁の下から8頁にかけ※のところで、不正等の相談を受ける窓口について記 載しています。こちらについては資料3の1番目の「厚労科研費の制度の周知徹底」の 3番目に該当する対応です。  資料2の8頁、「研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点」の最後に、※と して、いわゆる利益相反に関して審議中であり、その取扱いについては追って公表する 旨、記載しています。  9頁の「キ.府省共通研究開発管理システムについて」。先ほど少しご説明しましたが、 こちらについても公募要項に書いています。9頁の(6)「提出先」についても、交付事 務の配分業務の一部を試行的に移管していることに対応した記載の修正をしています。  12頁のキの※ですが、こちらでも、利益相反に関する検討を行っていて、取り扱いに ついては追って公表する旨、記載しています。13頁ではケとして「リサーチツール特許 の使用の円滑化」の項目を追加しています。14頁からは照会先一覧です。  18頁から「公募研究事業の概要等」です。「本補助金のうち本公募要項において公募 を行う研究類型について」と書いてありますが、この公募要項は一般公募型と若手育成 型の公募要項となります。各研究事業の概要及び新規課題採択方針等ということで、こ の18頁の半ば以降、各事業に関する事業概要の説明、新規課題の採択方針、公募研究課 題、各課題の留意点を記載しています。  最初が行政政策研究事業ということで18頁の半ばからです。このうちアの政策科学推 進研究事業では、「社会・経済構造の変化と社会保障に関する研究」「世帯・個人の経 済・生活状況と社会保障に関する研究」「社会保障分野における厚生労働行政施策の効 果的な推進等に関する調査研究」を公募し、各研究において重点事項及び留意点を示し ています。  23頁、イ.統計情報総合研究事業です。統計調査に関する研究を公募し、公募研究課 題としては、厚生労働統計調査の調査手法及び精度の向上に関する研究などが示されて います。  24頁、社会保障国際協力推進研究事業です。社会保障分野における我が国の国際協力 を戦略的に推進するため、国際会議における効果的インターベンションの在り方に関す る研究を公募しようというものです。  次の課題は26頁、「2.先端的基盤開発研究事業」です。(1)再生医療実用化研究事 業(仮称)は、「各分野(神経・運動器、肝臓・膵臓、血管・循環器あるいは皮膚・感 覚器等)における再生医療技術の早期臨床応用を目的としたエビデンス創出のための研 究」、「再生医療を活用する新規治療技術の実用化に関連した、細胞・組織等を用いる 治療技術の安全性・品質の確保に関する技術開発」を一般公募し、若手育成型としては、 「再生医療における革新的治療技術開発を目指した研究」を公募しようというものです。  28頁、(2)創薬基盤推進研究事業(ヒトゲノムテーラーメード研究)です。こちら は「ヒトゲノムテーラーメード医療の実用化に関する研究」と、「がん関連ゲノムのア トラス作成のための国際的な共同研究」を公募するということです。  29頁、創薬バイオマーカー探索研究(仮称)です。トランスクリプトーム分野及びた んぱく分野よりなる事業で、20年度はトランスクリプトーム分野において、一般公募型 及び若手育成型による研究の公募を実施します。一般公募型として安全性バイオマーカ ーの開発に資する研究2テーマと、「肝・腎毒性以外の一般毒性をターゲットとしたト ランスクリプトーム手法を用いた安全性予測・評価研究」を、また、若手育成型として の公募も行うということです。  33〜34頁にこの関係の留意点を記載しています。34頁のエとして、指定研究と公募型 研究が連携して研究を推進することが効率的であることから、この分野に採択された研 究代表者は、この分野の研究の推進、指定研究との連携等の連絡調整を行う研究推進委 員会(仮称)に参加することとなっています。  少し戻って31頁、生体内情報伝達分子解析研究(仮称)です。これは「糖鎖の構造・ 機能及びそれが関与する生体反応のメカニズム等の研究成果の臨床応用に関する研究」 を一般公募する予定です。それから、次世代ワクチン開発研究(仮称)です。「ワクチ ン基礎生産技術の向上に関する研究」、「ワクチン臨床評価に関する研究」、「ワクチ ンの免疫増強剤に関する研究」を一般公募する予定です。  32頁、生物資源・創薬モデル動物研究(仮称)です。「がん、心筋梗塞、脳卒中、認 知症等の領域で開発が望まれる新規の疾患モデル動物(細胞等の評価系を含む)の開発」、 それから、「自然発生病態動物の開発法・システムに関する研究」について一般公募す る予定です。  34頁、(3)医療機器開発推進研究事業です。ナノメディシン研究では、「超微細画 像技術(ナノレベル・イメージング)の医療への応用に関する研究」、「低侵襲・非侵 襲医療機器の開発に関する研究」、「疾患の超早期診断・治療システム開発に関する研 究」について一般公募し、前の2課題については若手育成型の公募も行う予定です。  36頁、活動領域拡張医療機器開発研究(仮称)です。「低侵襲診断・治療機器開発分 野」、「社会復帰型治療機器開発分野」、「革新的在宅医療機器開発分野」、「ブレイ ン-マシンインターフェース(BMI)技術を用いた障害者自立支援機器の開発分野」で公 募する予定となっています。  37頁、医工連携研究推進基盤研究事業(仮称)です。内容は次頁にあります。一般公 募型として、「医工連携研究の推進に向けた医療機器開発及び人材育成の場の提供並び に教育プログラム開発等基盤構築に関する研究」を公募するとなっています。  39頁、3.臨床応用基盤研究事業です。(1)医療技術実用化総合研究事業(基礎研究 成果の臨床応用推進研究)では、「基礎研究の成果を臨床現場に適切に応用する臨床研 究であって、臨床薬理試験や用量探索試験に関する研究(がん及び再生医療研究に基づ くものは除く)」、「基礎研究の成果を臨床現場に適切に応用する臨床応用であって、 安全性及び効果検討試験に関する研究(がん及び再生医療研究に基づくものを除く)」 という公募をすることになっています。  40頁、臨床研究・予防・治療技術開発研究(仮称)です。「医薬品や医療機器のうち、 諸外国では標準的な治療法として用いられていながら我が国で実用化されていない治療 法等のエビデンスの確立に係る臨床研究の計画に関する研究」や「重大疾病分野におけ る治療効果の臨床的エビデンスの創出に関する研究」など、五つの公募研究課題を示し ています。  41頁、臨床疫学基盤整備研究(仮称)です。患者背景データ等の臨床疫学の基礎とな る分野別の疾患の診療・処方実態情報などの診療コホートのデータベース構築を行う研 究事業で、「疾患別患者背景及び処方・診療実態データベースの構築に関する研究」を 公募研究課題としています。  42頁、臨床研究支援複合体研究(仮称)です。こちらは臨床研究ネットワークのハブ 機能を果たす医療機関の人材育成を行う研究を推進する事業で、事業終了後も引き続き 人材育成を行うことを必須条件としています。一般公募型ですが、臨床研究基盤整備推 進研究事業を実施している機関等が応募対象です。  43頁、4.障害関連研究事業/長寿科学総合研究事業です。(1)障害保健福祉総合研 究事業では、障害者の総合的な保健福祉施策に関する研究開発を推進することにしてお り、44頁以降にある、「障害保健福祉施策推進のための基盤的政策研究」等八つのテー マについて、一般公募及び若手育成型の公募を行うこととしています。  45頁、感覚器障害研究事業です。「感覚器障害を有する者の活動領域の拡張や就労・ 日常生活の自立支援に係る福祉機器の開発研究」等3テーマについて一般公募し、また、 若手育成型も公募する予定です。  47頁、(3)長寿科学総合研究事業です。こちらは新健康フロンティア戦略に基づく 施策を一層推進するため、特に認知症総合研究分野及び運動器疾患総合研究分野を中心 に一般公募を行うこととしており、行政施策に直結する研究で、研究成果が比較的速や かに得られる研究課題を優先的に採択することとしています。  48頁以降に、(1)老年病等長寿科学技術分野及び(2)介護予防・高齢者保健福祉分野の公 募研究課題を示しています。  49頁、(3)認知症総合研究分野について、新規課題の採択方針を示しており、予防、早 期診断、治療、ケアにおける課題の解決に向けた具体的な施策の確立に資する研究を推 進することとしています。  51頁、(4)運動器疾患総合研究分野です。52頁に示している要件、比較的短期間(5年 以内)に効果が見込まれる調査研究であること、及び介護予防に資する研究内容であり、 かつ実際に要介護高齢者を減らすことのできる一定の根拠が示せるような調査研究であ ることを満たす研究課題を公募することとしています。また、53頁にあるように若手育 成型の公募も行う予定です。  53頁、5.子ども家庭総合研究事業です。こちらでは、当面、厚生労働行政において 迅速に解決しなければならない諸課題(重症新生児に対する療養・療育環境の整備、不 妊症・不育症・周産期障害の克服、子どもの難治性疾患の克服等)の解決のための新た な行政施策の企画と推進のために応用が可能な研究を採択するという方針で、一般公募 型として、「重症新生児に対する療養・療育環境の拡充に関する研究」等、10の公募研 究テーマ、それから若手育成型として1テーマを示しています。  57頁、6.第3次対がん総合戦略研究事業です。(1)第3次対がん総合戦略研究事業で は、「大腸内視鏡による大腸がん検診の開発と有効性評価に関する研究」と、「日中を 含むアジア諸国におけるがんの予防・検診・治療の向上のための調査研究」を公募する 予定です。59頁、(2)がん臨床研究事業では、分野が二つあり、分野1の主に政策分野 に関する研究としては、一般公募型として60頁にある五つのテーマ、62頁にある若手育 成型1テーマ、分野2の主に診断・治療分野に関する研究としては、一般公募型6テーマ を公募する予定となっています。  62頁、7.は、循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業、免疫アレルギー疾患等予防 治療研究事業、難治性疾患克服研究事業をまとめた項目です。(1)循環器疾患等生活習 慣病対策総合研究事業ですが、63頁の新規課題採択方針にあるように、日本人における 新たなエビデンスの構築に資するものを優先的に取り扱うこととしています。(ア)循 環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業では、(健康づくり分野)(健診・保健指導分 野)(循環器疾患分野)の分野ごとに公募研究課題を計18示しています。  66頁、(イ)糖尿病戦略等研究事業では、「糖尿病治療の均てん化のための標準的な 治療マニュアル作成に関する多施設共同研究」を一般公募し、若手育成型として、「糖 尿病・メタボリックシンドロームにおける内臓脂肪蓄積の評価に関する横断的疫学研究」 を公募することとしています。  67頁、(2)免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業です。免疫アレルギー疾患分 野として、68頁にある「関節リウマチの治療法の開発及び確立に関する研究」等8テー マ、移植医療分野として、69頁にある「同種造血幹細胞移植治療の成績向上に関する研 究」等7テーマを公募し、若手育成型での公募も行うこととしています。  70頁、(3)難治性疾患克服研究事業です。一般公募型として、71頁の(1)臨床調査 研究分野で34のテーマについて公募します。  76頁の(2)横断的基盤研究分野で、特定疾患の新しい診断・治療法の開発に直接的 に資するものに限るとして、「特定疾患の微生物学的原因究明に関する研究」等2テー マ、社会医学研究として「特定疾患の疫学に関する研究」等6テーマを示しています。  78頁、(3)重点研究分野では、「難治性疾患の病態解明、画期的診断・治療法の開 発に関する研究」等2テーマを示しています。  79頁、8.エイズ・肝炎・新興再興感染症研究事業の(1)エイズ対策研究事業では、 一般公募型として、臨床医学、基礎医学、社会医学のテーマを示しており、また、社会 医学、疫学研究については研究課題は設定しないということですが、若手育成型の公募 を行うこととしています。  81頁、(2)肝炎等克服緊急対策研究事業です。肝炎ウイルス等の病態及び感染機構 の解明を進めるとともに、肝炎、肝がん等の肝疾患予防、診断及び治療法等に資する研 究を採択する方針で、一般公募型として、ウイルス性肝炎の進行防止に関する研究分野、 肝疾患の治療における問題点に関する研究分野等、四つの研究分野で公募のテーマを示 しています。また、若手育成型の公募も行うこととしています。  84頁、(3)新興・再興感染症研究事業です。総合的かつ効果的な推進のため、この 事業は、総合科学技術会議連携施策群新興・再興感染症ワーキンググループの下、文部 科学省、農林水産省、環境省との共同・連携を図っていくこととしております。一般公 募型として、日本の感染症対策の再構築に関する研究分野、感染症の新たな脅威への対 応に関する研究分野、国際的な感染症ネットワークを活用した対策に関する研究分野等 四つの分野での公募研究課題を示しており、若手育成型の公募も行うこととしています。  90頁、9.こころの健康科学研究事業です。精神疾患分野では、一般公募型として、 「精神疾患の新しい診断法・治療法の確立に関する研究」、「精神科領域における薬物 療法の最適化に関する研究」、「発達障害の実態把握のための疫学調査」、「うつ病の 診断技術と社会復帰プログラムに関する研究」等、10のテーマで公募を行い、また、若 手の研究者を積極的に育成するため、同じ公募課題について若手育成型の公募も行う予 定です。  92頁、神経・筋疾患分野では、一般公募型として、「ニューロパチーの病態解明に関 する研究」、「筋ジストロフィーの病態解明と治療法開発に関する研究」等、五つのテ ーマを示しており、これらの研究課題について若手育成型の公募も行う予定です。  93頁、10.地域医療基盤開発推進研究事業(仮称)です。良質な医療を合理的・効率 的に提供する観点から、既存医療システム等の評価研究、医療安全体制確保に関する研 究、根拠に基づく医療に関する研究等を支援し、より質の高い効率的な医療サービスの 提供に資することを目的としており、一般公募型として、生命・健康のセーフティネッ ト確保に関する研究、医療情報のセキュリティ確保及び利活用に関する研究、地域医療 の基盤確保と医療のアクセス確保に関する研究等五つの分野で公募研究テーマを示して います。これらについて、若手育成型も公募する予定です。  100頁、11.労働安全衛生総合研究事業です。職場における労働者の安全と健康を確 保するとともに、快適な職場環境の形成を促進するための研究を総合的に推進すること としており、「事業場における過重労働に対する健康障害防止対策を促進させるための 研究」、「事業場におけるメンタルヘルス対策を促進させるための研究」等、八つの公 募研究テーマを示しています。  102頁、12.食品医薬品等リスク分析研究事業の(1)食品の安心安全確保推進研究事 業です。食品供給行程全般におけるリスク分析のうち、厚生労働省が担当するリスク管 理及びリスクコミュニケーション並びにリスク評価に必要な科学的知見の収集等を実施 し、国民の安全な食生活と食品に関する国民の安心を確保することを目的に推進すると いうことで、103頁以降にあるように、食品の安心・安全推進研究分野、食品リスク分 析調査研究分野等、6研究分野で公募研究テーマを示しており、これらについては若手 育成型としても公募するということです。  108頁、(2)医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業です。薬事 法等の規制対象となっている医薬品・医療機器等の安全性、有効性及び品質の評価、及 び乱用薬物への対策等を政策的に実行するために必要な規制(レギュレーション)につ いて、科学的合理性と社会的正当性に関する根拠をもって、整備するための研究を行お うというもので、「新健康フロンティア戦略」や「革新的医薬品・医療機器創出のため の5カ年計画」等にも関係するものです。一般公募型として、医薬品、医療機器等の品 質、安全性及び有効性の評価及びそれらの管理等に関する研究、改良型ワクチン・血液 製剤等の安全性・品質向上及び安定供給に関する研究等、四つの分野で公募研究課題を 示しています。  111頁、(3)化学物質リスク研究事業です。こちらでは、「化学物質の有害性評価手 法の迅速化、高度化に関する研究」、「化学物質の子どもへの影響評価に関する研究」 のほか、ナノマテリアルについては、社会受容促進のための取組みが国際的にも喫緊の 課題と認識されていることから、健康影響評価試験法の開発や有害性発現メカニズムを 明らかにする研究を推進し、さらに、化学物質による情動・認知行動に対する影響とい う新たな有害性の存在が示唆されていることから、その毒性学的評価手法の開発に資す る研究を公募するということです。  113頁、13.健康安全・危機管理対策総合研究事業(仮称)です。地域健康安全の基 盤形成に関する研究分野で5テーマ、水安全対策研究分野では、「健康リスク低減のた めの新たな浄水プロセス及び管路更新手法の開発に関する研究」等、3テーマを公募し ています。また、(3)の生活環境安全対策研究分野では、「電磁波による健康影響に関す る研究」、「シックハウス症候群の予防と対策に関する研究」、「火葬場等における有 害化学物質の排出抑制対策に関する研究」を公募します。  119頁以降、単価基準額の一覧表です。5頁の下の方の※で記載していますが、今後一 部の変更を予定しています。  124頁から「研究計画書の様式及び記入例」を示しておりますが、いろいろな変更を 反映して、こちらの様式についても昨年度から一部修正しています。  長時間になりましたが資料2、資料3の説明は以上です。 ○垣添部会長  ご苦労さまでした。膨大な厚生労働科学研究の研究領域全般にわたって、どんな公募 が行われるか。それがしかも研究費の不正経理等がないように厳正に執行するという両 方の観点からご説明をいただきましたが、何かご質問等ありましたらお受けしたいと思 います。私から、2頁のいちばん上の応募資格者の(ア)の「厚生労働省の施設等機関」、 そのあとがわかりにくいのですが、「指定職」というのはどういうことなのですか。 ○坂本研究企画官  指定職の後ろに※1と書いてありますように、病院又は研究を行う機関に所属する者 に限るということで、研究を行う指定職ということであれば対象となっています。 ○垣添部会長  そうすると、研究を行っている者に関していえば、病院長とか副院長、あるいは研究 所長という人も応募資格があるということですか。 ○坂本研究企画官  はい。研究を行っている方であればということです。 ○垣添部会長  わかりました。ほかにいかがでしょうか。 ○竹中委員  創薬基盤推進研究事業のところ、34頁のエのところに創薬バイオマーカー探索研究の トランスクリプトーム分野の研究は云々ということで、ここで連絡調整を行う研究推進 委員会ということを書いています。これは非常にまとめられていい方向にいかれている と私は思うわけです。その中で一つは、テーラーメード研究という項目がもう一つあり ますね。これは三つがまとまるのではなく二つをまとめるということでしょうか。それ からもう一つは、連絡調整を行う研究推進委員会のイメージというか、どんなふうにな るものでしょうか、教えてください。 ○研究開発振興課  いまご指摘の部分の連絡調整を行う推進委員会というのは、創薬バイオマーカー研究 というのが指定研究と公募研究とに分かれています。そのうち指定研究のところは、従 来から医薬基盤研究所を中心として、データベースの構築の部分で、いわゆる製薬企業 団体の方とも協力をしてやらせていただいている部分です。新たに今回公募研究をする 場合に、そういうデータベースの構築や既存の研究の指定研究におけるインフラの部分 を十分に公募研究の方にもご理解をいただいて、相互に持ち得る研究リソースや研究の 方針を共有しながら進めていくというのが効率的であろうということで、この連絡調整 を行う研究推進委員会を今回設置させていただく。それに参加していただくことを要件 にさせていただいているものです。  もう1点ご指摘をいただきましたヒトゲノムテーラーメードという部分ですが、こち らはどちらかというと、臨床研究につながるようなヒトゲノムテーラーメードでのエビ デンスを臨床応用につなげるところが研究の主眼になっています。こちらのトランスク リプトーム等が書いてあります創薬バイオマーカーは、どちらかというと基礎的な探索 が中心になっていて、ご指摘のように、こういった事業については、今後の発展の方向 性として、同じような方向で統合していくとか、そういったことも視野に入れつつ、平 成20年度の研究を進めていくような形でどうかと思っているところです。 ○竹中委員  ありがとうございます。特に創薬という言葉ですと、基礎のほうに偏りがちなのです が、本当は違っていて、非常に臨床のほうに近くなっていくということが大事なことで、 また、今はいちばんいい時期にきているかと私は思っているものですから、是非ばらば らにならずに、統合した運営をしていただけたら、そして基盤研ですでに作られている ものもうまく活用していただきたいと思ったものですから、ありがとうございました。 ○垣添部会長  ありがとうございました。大事なご指摘だと思います。ほかにいかがでしょうか。冒 頭ご説明になった府省共通研究開発管理システムというのは、もう少し内容をお話いた だけますか。 ○坂本研究企画官  こちらのほうは基本的には文科省が中心となって、平成20年1月の稼働を目標にいま 開発を進めております。各省が実施している研究課題等について、一つのシステムの中 で研究者の登録や応募等の管理をしていこうということで、いま調整を行っているとこ ろです。 ○垣添部会長  かねてから問題になっているような、例えば文部科学省と厚生労働省の間の研究のオ ーバーラップなどというものも、一括管理されるようになるわけですか。 ○坂本研究企画官  システムができればそれですべて終わりというわけでは必ずしもないと思うのです が、こういうものができればそういう管理もよりやりやすくなるというのは、一つのポ イントになっていると理解しています。 ○垣添部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○今井委員  全体的に見ると、例えば基礎から臨床への橋渡し的な部分とか、有害化学物質関連の ところとか、かなり今回は充実したものが見られるとは思っているのですが、53頁の下 から「子ども家庭総合研究事業」のところでは、子どもの中でも重症新生児に対する研 究等があります。一方で、91頁には「発達障害の実態把握のための疫学調査」というの がありますが、いま母子ともども脳の発達に関することで、母親の母性が発現しないと か、子どもたちの発達障害児がもう発達障害者みたいなところまでの年齢にきていて、 そこのところを考えると、こころの健康科学の中に脳の部分はあるのですが、脳の科学 の発展に関して、どこかに、例えば発達障害者に対する疫学的だけではなく治療的なも のが含まれているのかどうか、私は読み取れなかったのです。いわゆる子どもと母親に 関して、重症な新生児というようなところへポンといってしまうのではなく、かなり多 く起こっている子どもたち、親たちの部分に関しての何か治療に関するような部分は、 今回はここに書き込まれているのでしょうか、というのが一つの質問です。  なおかつ40頁の、他国では治療法の治療薬として使われているもので、臨床において 適切に実施されるようエビデンスを確立する研究を推進することを目的とする事業があ ります。これはこれであっていいと思うのですが、一方で、他国でこれを乱用とまでは 言いませんが、使うことによって根本的な治療になるところを妨げているようなものの 治療法に関しては、むしろこれをあまり安易に使う方向へいくよりかは、日本の持って いる治療法を推進したほうがいい部分もあります。そうすると、そこの部分に関して、 一方で医薬品の使用を安易に使用できるようにする方向もよいけれども、一方でそうで はない部分をどこかで研究しておいたほうがいいのか。また卑近な例でいうと、新宿区 の医院が摘発されていますが、リタリンの乱用みたいなこと(薬には認められている薬 効とは異なった薬効が発現する事もあり、これを利用する場合もある。)がありますが、 そういったものも考えると、必ずしも医薬品のほうだけをどんどん使えるようにしてい くことがよいとは思えないのです。 ○垣添部会長  二つご質問をいただきましたが、前半の子どもの脳の発達と治療面に関するもので、 いまお答えいただけることはありますか。 ○障害保健福祉部  発達障害について少しお話させていただきます。現在の既存の研究事業の中で、発達 障害についての診断治療に関する研究を取り組んでおり、そういったところを踏まえて 今回の課題の設定としては、実態把握ということで、疫学調査として提示しています。 世界で取り組まれている研究として、自閉症や広範性発達障害に関する疫学調査が行わ れており、そういった中で正確な情報がつくられています。我が国でもそういったレベ ルに沿うべく取り組んでいきたいというものです。既存の課題も含めてご指摘の点を踏 まえて取り組んでいきたいと思います。 ○垣添部会長  ありがとうございました。もう1点の外国でのエビデンスに基づく点について、お願 いします。 ○新木研究開発振興課長  40頁にある臨床応用の研究ですが、ご指摘のように医薬品については、一つは外国で 使えるものが日本で使えない、そういうことを解決するためのさまざまなエビデンスを 溜めていって使えるようにしていくための研究、と同時にもう一つは、安全性というか 乱用などの件についても重要な問題と考えています。ここは使えるほうにする研究です が、ご指摘の乱用、特に安全性の問題を含めての話については、また別途取り締まりの 対象として、特に外国でどんな乱用状況なのか、そういうことも踏まえて取り締まるほ うの施策を進めることが重要だと思っています。それは、担当の医薬食品局の監視指導 で行っており、両方が必要と、ご指摘のとおり思っています。 ○垣添部会長  ありがとうございました。ほかにいかがですか。 ○今井委員  いまの意味は薬に頼ってしまったら、ほかにある治療法をネグレクトしてしまうとい うか、しないで済んでしまう方向にいってしまうということも含めていただきたいので す。乱用はもちろんそうだし、本当に使わないほうがいい薬が、例えばアメリカという か、外国でボンボン使われている方向とか、その辺、見据えていただくことは十分お願 いしたいと思います。 ○垣添部会長  ほかにはいかがでしょうか。私から一つ、非常に小さい話なのですが、放射線治療の 品質管理のために放射線物理士がいま日本にだんだん入ってきていますが、医療機関に よってはポジションがなくて、行(一)で採用されているようなこともあるという。そ ういう方は当然理学部出身の方ですから、研究費の申請をしたいということが今後いろ いろ起きてくるのではないかと思います。この応募状況からすると、なかなか難しい条 件があるかと思うのですが、少しそういうこともお考えいただければと思います。 ○矢島厚生科学課長  今回は、こういうやり方でやらせていただきたいと思っておりますが、ご指摘の点に ついてはどういう方法があるか、検討させていただきたいと思います。 ○垣添部会長  小さい話ですが、少しご検討いただければありがたいと思います。ほかにはいかがで しょうか。特にありませんでしたら、平成20年度の厚生労働科学研究補助金の公募研究 事業については、いまご説明いただいた資料のとおりに進めさせていただきたいと思い ます。なお、今後は字句等の修正がある場合には、事務局において行いまして、必要に 応じて私のほうで確認した上で、内容を確定させていただきたいと思いますが、よろし ゅうございましょうか。 (了承) ○垣添部会長  ありがとうございます。それでは先に進みます。議事の4「厚生労働科学研究費補助 金配分機能の移管のあり方について」、お願いします。 ○矢島厚生科学課長  資料4に基づき説明させていただきます。「厚生労働科研究費補助金配分機能の移管 事業の範囲について(案)」ということです。一般公募型研究は原則として配分機関 (ファンディング・エイジェンシー)、FAとありますが、配分機関に移管し、政策的必 要性の高い、一般公募型のうちの行政政策研究分野、指定型研究、及び戦略型研究等は 引き続き本省にて実施することとしてはどうかという考え方です。この※が括弧書きで 入っていますが、行政政策研究分野というのは具体的には、厚生労働行政政策に直結す る「行政政策研究事業」と社会的要請が強く、また緊急性のある課題に関する「厚生労 働科学特別研究事業」から構成されております。  一方で、行政ミッションとして行う研究については、トップダウンで目標を設定した 上で実施すべきとの指摘があります。これまでの一般公募型については、行政政策の推 進のためにトップダウンで指定型研究として行うべき研究と、競争的環境の下で公募し、 採択すべき一般公募型研究を改めて精査分離する必要があると思っています。このとこ ろはまだこれから作業が必要だと思っておりますが、イメージとしてここに例示させて いただいていますが、本省で引き続き行うもの、配分機関に移管するものの線引をする とすると、大体このようなイメージ、このような形になるのではないかということです。  下に具体的に、一般公募型というのは四角い枠の中で説明していますが、行政施策の 推進のために必要な研究課題であって、優れた成果につながる提案を確保するため、競 争的環境の下で公募し、採択するもののうち、戦略型、プロジェクト提案型、若手育成 型以外のものを一般公募型としてはどうかという考え方です。  指定型は、行政施策の推進のために必要な研究課題であって、優れた成果につながる ものにするために、当該研究課題を実施する者を指定するものです。戦略型は、これも 行政施策の推進のために重点的な取組みが必要な研究課題であって、優れた成果につな がる提案を確保するために、あらかじめ研究の成果目標及び計画を策定した後に、競争 的環境の下で公募し、採択するものです。  プロジェクト提案型というものがありますが、これも行政施策推進のために必要な研 究課題であって、優れた成果につながる提案を確保するために競争的環境の下で公募し、 採択するもののうち、研究課題に対して提案された内容について、研究者との対話を重 ねて詳細な研究計画に改善し、次年度以降に当該研究計画に従い研究を実施するもので す。  若手育成型、これも同じような考え方ですが、申請者が一定の年齢であることを条件 とすることにより、将来の厚生労働科学研究を担う研究者を育成するものです。  このような考え方で整理してはどうかというものです。以上です。 ○垣添部会長  ありがとうございました。何かご質問、ご発言はありますか。 ○宮村委員  この案では、配分機関というのはいくつか複数に。 ○矢島厚生科学課長  これは、政府全体の中の議論がありまして、なるべく一つの方向に持っていくべきで はないかという議論もあります。そこは、まだこれから調整をさせていただかなければ いけないところですが、流れとしてはなるべく集約をするというのでしょうか、そのよ うな形という議論もあります。 ○宮村委員  そうすると、いまはNC、NIとあるわけですが、このNC群とNI群はどのように整合性 を持って、参加していくことができるのですか。 ○矢島厚生科学課長  そういうところも、今後また議論が出てくるかと思います。そういうことも含めて、 これからご指摘のような点の議論が出てくることかと思いますので、まず、こういう考 え方で配分機関に関するものを整理させていただく。これによって、もう少し議論がこ れから深まっていくのではないだろうかと思っています。 ○垣添部会長  議論の出発点ということですが、何か他にご発言はありますか。 ○西島委員  まだいろいろ議論をしなければいけないと思うのですが、こういった分け方にしたと き、それぞれの研究費の例証みたいなものは、いまどのようにお考えでしょうか。 ○矢島厚生科学課長  まさに、それも含めて、そのようなことがこれからの議論の中で整理されていくので はないかと思っています。ですから、本来どういうものを、本省に残すべきなのかと、 それから、この配分機関に相応しいものはどうなのかという議論をさせていただきなが ら、その中でまたいろいろと議論が深まっていくのではないかと思っています。 ○西島委員  それでは、まだほとんどわかっていない、決めていないということ。 ○矢島厚生科学課長  はい。まず今日が議論の始まりだということで、そこから議論をさせていただければ と思っています。 ○笹月委員  金額の大きさといいますか。それから、いわゆる利益相反ということから見て、何か 一箇所でという感が、非常に理解しやすいと思うのですが、それは具体的に何かそうい うことをお考えになっているのですか。 ○矢島厚生科学課長  またこれは政府全体の中の話になるのですが、このようなものは、なるべく集約をす るというものがいいのではないだろうかという議論がありますので、そういうところも 含めながら、またこれから議論をしていかなければいけない分野だと思っています。 ○笹月委員  そうしますと、以前のお話では割と、試行的に少しずつやらせましょう、その範囲を 広げましょうみたいなお考えだったと思うのですが、いまはそういう考えをストップし たと理解してよろしいですか。 ○矢島厚生科学課長  はい。今回の公募要項のところにも、そのような流れ方、考え方の部分が、まだ残っ てはいるわけですが、これからFAの議論だとか、それが進むことによって、その辺のと ころはだいぶ整理されてくるのではないかと思っています。 ○垣添部会長  いちばん下の若手の「申請者が一定の年齢であること」とありますが、これはどのよ うに考えられているのですか。 ○矢島厚生科学課長  これも要項の中に記載させていただいているのですが、具体的には、例えば、資料2 の19頁をご覧いただきたいと思います。真ん中辺りに若手育成型の応募対象ということ で、「平成20年4月1日現在で37歳以下の者」ということを、ここで規定させていただい ています。 ○垣添部会長  わかりました。注意深く読んでいなくて失礼しました。  それから、この真ん中辺の戦略型というのは、例えば癌の領域でいいますと、いま進 んでいる癌戦略研究に該当するものですね。 ○矢島厚生科学課長  はい。まさに糖尿病の戦略研究ですとか癌の戦略研究、そういうものが念頭にありま す。 ○垣添部会長  他によろしいでしょうか。 ○笹月委員  FAという割と大きなものを一箇所、例えば考えるとしますと、いまの指定型とか、あ るいは戦略型、そのようなもののプロトコルをきっちり検討する。それは、そのFAがや ると考えてよろしいですか。 ○矢島厚生科学課長  戦略型等は本省に残すこととしています。ですから、そういう意味では、どのような プロトコルにするかということがあるので、それは本省のほうに残しておいたほうがい いだろうと、この案では考えています。 ○笹月委員  そうしますと、それを検討するボディといいますか組織というのは、厚労省の中に持 つということになるわけですね。 ○矢島厚生科学課長  はい。いまの戦略研究も、厚生労働省の研究の中で、まずプロトコルを作る研究をし てということであり、そのような考え方になります。 ○竹中委員  いまのFAの大きいものを作る、これは平成20年に間に合う予定ですか。 ○矢島厚生科学課長   いつまでというのは、まだ具体的になっていません。 ○竹中委員  ですから検討というのが、大体どの辺を目標にされているのかが、前回といいますか、 度々出てくるのですが。 ○矢島厚生科学課長  これもまだ政府全体の中の議論がありまして、私どももその動きを見ながら整理をさ せていただかなければいけませんので、いつまでにというのは、いまの段階では具体的 に申し上げることができなくて、こういう形でまず議論の最初の一歩をさせていただき ながら、徐々にいろいろと議論を深めていければと思っています。 ○上田技術総括審議官  ちょっと補足しますと、政府全体では総合科学技術会議のほうで、こういうことにつ いての一般的な方針を、いま議論されている、あるいは議論した中で、我々はそれを受 けてどうするかということでして、今日の案というのは、いま現時点で、こういう分け 方でFAに行くものと本省に残すものを整理したらどうか、という提案をさせていただい たわけです。  その上でいま課長が、奥歯に物が挟まったような言い方ではないのですが、非常に答 えにくそうにしているのは、様々な要因があって、まだいろいろ決めかねるということ で、私どもも現時点では非常に答えにくい、この場で答えにくいことで、こういうこと になっているのですが、むしろこの場では、「いや、こういうふうにしてほしい」、 「こうあるべきだ」というご議論をいただいたほうが建設的ではないかと思っているの で、もしそういう意見がありましたら、この場でご発言をいただいたらと思っています。 ○笹月委員  そういう意味も込めて、私は先ほどFAという大きなものが出来たら、そこが戦略その 他物事をきちんと判断したり、あるいは立案したりする能力がないとできませんので、 そこが戦略的なものも検討するのかと思ったのですが、そうしますとFAが出来て、それ 自身がそういう組織、能力を手にするけれども、戦略的なものはやはり本省に残すので、 本省にまた別のボディを持ちますと、そういうことになるのでしょうか。 ○矢島厚生科学課長  まさにそこのところもご議論ですが、プロトコルについては、かなり私どものほうで 具体的に、例えば、糖尿病の戦略研究もそうですが、テーマを決めて、具体的、政策的 に作っているという経緯がございます。  ですから一般的に、競争的に何をやろうかということで、そのときの研究者の立場で どのようにするのか、競争的なものが相応しいものと、やはり政策的に、まずこれはや らなければいけないものというのがあって、いまの戦略研究は政策的な優先順位でやっ ているという経緯があるものですから、また時間が経てば、もう少し成熟してきて、将 来的にかなり戦略的なものが変わってきたときには、またいろいろなご議論があるかと 思いますが、いまの段階では政策的なものがまず出てきて、決まってきているという経 緯があるので、このような整理にさせていただいています。 ○垣添部会長  この席上で何度かFA化の話が挙がってきていますが、先ほど竹中委員がご指摘のよう に、なかなか前に進まない、いつまでやるのだという話が当然出てくると思うので、次 回はもう少し具体的な話を是非お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは次にまいります。次は議事5「ヒト幹細胞臨床研究について」、よろしくお 願いします。 ○研究開発振興課  「ヒト幹細胞臨床研究について」、資料5-1及び資料5-2を用いてご説明させていただ きますので、ご参照ください。昨年9月1日に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指 針」が施行されまして、今回はこの指針に基づいた初めての部会への付議及びご報告と なります。  まずは、ヒト幹細胞臨床研究に関する手続の流れについて、資料5-1、58頁の図をご 参照ください。各研究機関より厚生労働大臣に提出されたヒト幹細胞臨床研究実施計画 については、遺伝子治療臨床研究と同様に、まず新規性の判断をすることとなります。 この際、あらかじめ審査委員会で事前の計画の内容の審議も行いました。新規性の判断 と、事前の一部の審査に基づいて、9月5日付で諮問、同日付で部会に付議され、垣添部 会長の了解をいただいて、今回、審査委員会から部会に報告されることとなりました。  ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿については、資料5-1の57頁をご参 照ください。なお、審査委員長は同部会委員でもある永井委員にお務めいただいており ます。  新規性が認められ、付議された6つの申請に関する諮問書、付議書は、同じく資料5-1 の1頁から3頁までにありますので、こちらも併せてご確認いただけたらと思います。  時間も限られているので、ここでヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会での審議に おいて、科学技術部会への報告が了承された四つの申請につき、ご報告をさせていただ きます。こちらは資料5-2になります。ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会では、 まず動物実験などの前臨床試験の結果による治療法としての科学的妥当性、それから細 胞、幹細胞の調製方法の安全性、細胞調製施設の施設状況、患者様への説明文書及び同 意文書の内容、倫理審査委員会の手続や審議内容などにつき、詳細な検討を行いました。 その結果、資料5-2にあります、大阪大学大学院医学系研究科、国立循環器病センター、 京都大学の2申請、計4申請が平成19年9月28日をもって了承されています。  まず大阪大学大学院医系学研究科の申請について、資料の2頁をご覧いただきます。 ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会、永井委員長からの報告です。  続いて3頁、研究実施計画の概要です。課題名は、虚血性心疾患に対する自己骨髄由 来 CD133陽性細胞移植に関する臨床研究。総括責任者は大阪大学大学院医学系研究科、 澤教授です。この研究は冠動脈バイパス術の適用となる虚血性心疾患患者で、一部これ が不可能な部位、バイパスができない部位に対して、心筋虚血改善を目的として、未分 化な幹細胞の集団と考えられる自己骨髄由来のCD133陽性細胞を、心筋内に直接注入す るというものです。欧米で安全性と心機能の軽度改善が認められた同様の臨床試験があ りまして、すでにランセット誌などに報告されていますが、この研究は本邦では初めて の同じ種類の臨床研究ということで、新規性が認められています。  次の4頁からが、審査委員会での審議概要です。審議でのポイントですが、まず4頁の 真ん中辺、aの申請者による動物実験のデータが乏しいという点があります。こちらに 関しては、CD133がヒトに特有のものであるということで、動物の実験が非常に難しい、 モデルが作りにくいと。また、先ほど申しましたように、すでに臨床試験で行われてい る例があるということで、クリアしています。  また、その次のb、移植細胞の品質管理という点で、実際にCD133陽性細胞を安定して 単離できるのかどうか示すべきである、という点でしたが、この指摘に対しては実際に 申請者によって、ヒト骨髄細胞を用いて実際にCD133陽性細胞の生成を行っていただき まして、その結果を追加資料として提出いただくことによって、回答を得ています。そ の他、説明文書等への指摘に対して、適切に修正が行われまして、了承されています。  8頁以降は申請書類のうち、まず申請書、実施計画書、患者への説明文書、同意書類 などを抜粋して、掲載しています。適宜、ご参照ください。他の三つの臨床研究実施計 画についても同様の構成ですので、ここでは概要のみを説明させていただきます。  次に国立循環器病センター、59頁になります。国立循環器病センターの研究実施計画 の概要です。課題名は急性期心原性脳塞栓症患者に対する自己骨髄単核球静脈内投与の 臨床応用に関する臨床研究です。総括責任者は国立循環器病センター脳血管内科、成冨 部長です。この研究は発症後7〜10日目の重症心原性脳塞栓症患者に対して、自己骨髄 細胞を採取して、単核球分画を精製した後、静脈内へ投与して、神経機能回復効果及び 安全性を確認するというものです。脳梗塞に対して、精製した自己骨髄単核球分画を培 養せずに投与する方法は、本邦でも初めてでして、新規性が認められています。  次は60頁から審議概要です。この申請の審議のポイントとしては、61頁の真ん中、f) 対象患者選定のためのインクルージョンクライテリアで、NIHSS、これは脳卒中の重症度 を示すスコアで、数が多いほど重症を示すものですが、10以上という基準は軽すぎるの ではないかという点、そしてg)にあります、当該手法を使った脳梗塞の治療に関する 文献が少ないという点でした。これらの指摘に対する回答としては、まず1点目、重症 例のみでは症例数に限りがありまして、この過去のコントール群との比較も含めてデー タ解析が困難になるということ。また、二つ目のポイントに関しては、申請者らによる マウスあるいはカニクイザルを用いた動物実験結果を提出していただくことで、回答を 得ています。  その他、治験と誤解を生む可能性があるとの委員からのご指摘がありまして、申請時 の研究課題名は最後の部分が、『第I−II相臨床試験』となっていましたが、これを 『臨床研究』と改めていただいて、その他、説明文書等への指摘に対して、適切に修正 が行われて、了承されています。  3番目、111頁です。京都大学医学部附属病院からの申請です。大腿骨頭無腐性壊死患 者に対する骨髄間葉系幹細胞を用いた骨再生治療の検討です。総括責任者は京都大学大 学院医学研究科整形外科、中村教授です。この研究は治療が困難な疾患の一つ、大腿骨 頭無腐性壊死において、現行の治療の中では最も優れていると考えている血管柄付骨移 植術という治療法に、体外培養で増殖させた自己骨髄間葉系幹細胞と人工骨材料の移植 を併用して、壊死した骨の再生を図るというものです。同様の治療法による大腿骨頭無 腐性壊死に対する研究成績の結論が出ておりませんので、新規性があると認められてい ます。  次の112頁からが審議概要です。112頁中程、b)の当該研究による治療後、歩行まで に16週間を要し、例えば人工関節置換術の術後に比べて、はるかに制限時間、期間が長 くなるということに対して、疑義が呈されています。これに対して、当該疾患の発症年 齢が比較的若く、この治療法には様々なリスクを持つ人工関節置換術を回避する効果が 有するということで、長期的QOLの点で優れているであろうという回答を得て、その他、 文書等の適正な修正を経て、了承されています。  最後になりますが186頁、先ほどと同じく京都大学医学部附属病院からの申請で、月 状骨無腐性壊死患者に対する骨髄間葉系幹細胞を用いた骨再生治療の検討です。総括責 任者は同じく京都大学大学院医学研究科整形外科、中村教授です。先ほどの大腿骨の臨 床研究と同じグループ、同じストラテジーによる、治療部位を変えた研究です。同様に 治療法が確定されていない月状骨、掌の部分の小さな骨ですが、月状骨の無腐性壊死に おいて、現行の治療の中では最も効果的であると考えている、血管柄付骨移植術に、先 ほどと同様に体外培養で増殖させた自己骨髄間葉系幹細胞と、人工骨材料移植を併用し て、壊死した部分の骨の再生を図るというものです。この疾患、月状骨無腐性壊死に対 する細胞移植の治療に関する成績は、いままで報告がありませんので、これもまた新規 性が認められています。  以降の187頁からが審議概要です。この申請の審議に関しては、大きな問題点はござ いませんで、無菌性試験や核型試験等の実施方法に関して、確認がなされたのみで適正 な回答を得たので、了承されています。  以上が今回ご報告する四つの申請です。なお、今回了承を見合わせている奈良医科大 学及び東海大学の申請に関しては、再び十分な回答が得られていない点について、引き 続き審査委員会で継続して審議を続けていく予定です。報告は以上です。よろしくお願 いします。 ○垣添部会長  どうもありがとうございました。審査委員長として担当された永井委員、何かご発言 はありますか。 ○永井委員  いま事務局から説明がありましたように、評価には科学的妥当性が大事です。他人の 仕事を見て、自分でも興味本位でやってみようということがないように、バックグラウ ンドがあって、前臨床試験もきちんと行っていて、かつ効果が期待できるという論拠を 述べていただきたい。その辺からまず始まるわけですが、当然、安全性であるとか、細 胞のプレパレーションの施設、あるいは病院の機能、そういうところも含めた施設の状 況。それから、患者さんにこの研究の本態をきちんと説明しているかどうか。何を目的 として、なぜ当事者たちが有効と考えているかということまで、きちんと説明ができて いるかどうかという点も、審査の観点になります。それからIRBの機能ということです。  十分な動物実験がされていれば、もちろんよろしいのですが、先ほど最初に例が挙げ られた大阪大学のような場合には、CD133というものがそもそもヒトでないとなかなか 検出できないということもありますので、また、すでに外国での実績があるということ で、これは前臨床試験を多少スキップしても仕方ないという議論でした。  その他、国循の場合には、心原性脳塞栓、これは心臓から血栓が飛んで、脳梗塞を起 こす病気ですが、この治療法が神経の再生を目指しているのか、血管の新生を促そうと しているのか、あるいは血栓を溶かそうとしているのか、そういうこともきちんと書い ていただきたいということをお願いしました。血管の新生を促して、神経の再生を二次 的に促すという回答でしたが、そういういわゆる研究の合理的な説明がきちんとできて いるかどうかというところも議論になり、そういう点を明らかにしていただきました。  京都大学の二つの研究は、比較的議論が少なかったと思います。準備も非常にきちん とされていましたし、何よりも対象となる二つの疾患が、他になかなか治療法がないと いうことと、自然経過が大体わかっている、放っておくとどうなるかということがわか っている病気ですので、こういう新しい治療法をしてみることは、評価もしやすいです し、説明もつきやすいということで、京都大学についてはあまり大きな議論はございま せんでした。以上です。 ○垣添部会長  どうもありがとうございました。この審査の流れは、先ほど模式図で示していただい たように、遺伝子治療の臨床研究の審査と同じですが、いまお聞き及びになって笹月委 員は、遺伝子治療の観点から何かご発言はありますか。 ○笹月委員  遺伝子治療の場合には、効果よりもまず安全性を見るということで、効果のほうは副 次的ですが、これはどれを見ても割と効果が期待されるので、効果を見るということに なっていますが、それはそういうスタンスでよろしいのでしょうか。 ○永井委員  もちろん期待できないものはやってはいけないわけですので、期待されるので、まず は安全性から始めるという、そういう考え方に立っています。 ○笹月委員  それと、遺伝子治療の場合にも我々審査する側は常に悩むのですが、その申請者は、 何例やれば安全性が確認できたと考えるのか。そして、彼ら自身で例数をちゃんと確保 するのか。それから、効果についても同じことですが、その点は何か議論はありました か。 ○永井委員  安全性は、かなりたくさんの数をやらないといけませんので、効果判定の研究を進め ながらということになろうかと思いますが、やはりいちばん議論になりましたのは、効 果を本当に判定できるかということです。多くの病気は自然経過でも良くなっていくこ とがあるわけですので、そういう揺れの中で、ある治療法が本当に有効性を示せるかと いう、そこの議論はかなりなされました。  先ほどの京都大学の二つの試験が、議論が少なかったのは、自然経過がある程度わか っている。そういうバックグラウンドがわかっていて、経過の揺れも非常に少ない状況 で、新しい治療法を試みるということは、効果を見やすいだろうと考えられます。そう でない場合には、もっと対象を絞るとか、病気のステージの検討がもっと必要だろうと いう議論はされました。 ○笹月委員  それと、各論になりますが、この循環器病センターの申請は、先生もいまご指摘にな りましたように、これをパッと見たときには、三つの可能性、何を目的にしているのか がわかりにくかったのですが、もし血管新生を最終的な目標とするなら、第1例目と同 じように、むしろCD133マーカーで精製したステムセルを用いるほうがいいのではない かという気もしますが、そういうことは議論されたのですか。 ○永井委員  この場合には、かなり基礎検討がされていまして、それに沿ったものだったというこ とです。それから、サルを使った検討もしているので、特にCD133に絞る必要もないの ではないかということだったと思います。まだ動物実験でも、骨髄単核球の状態で使っ ているので、むしろいままでの検討の延長の中で、臨床も考えたほうがよいという意見 でした。 ○垣添部会長  ありがとうございました。他にご質問、ご発言はありますか。 ○石井委員  ご報告の内容について、特に異議があるわけではありませんし、私は研究内容につい てはまったく素人でわからないのですが、手続的な点で疑問があるので、質問させてい ただきます。  大きく分けて二つあるのですが、まず1点目は資料5-1の58頁の手続の流れですと、大 臣から諮問があって、厚生科学審議会から科学技術部会、そこからヒト幹細胞臨床研究 に関する審査委員会に行って、逆の流れによって報告されるという図になっています。 諮問があったのは9月5日付です。ところが、その諮問に基づいた審査であるはずの審査 委員会の審議は、7月と8月にすでに2回行われ、その審査の結果として報告がされてい るようです。手続的に問題はないのでしょうか。それとの関連でヒト幹細胞臨床審査委 員会は、どこに位置づけられる委員会で、いつ設置されたのですか。  ついでに2点目も申し上げますと、最初の申請は3月になされていたと思うのですが、 それが審査にかかったのは7月になってであるということ。最初の申請ですから、新規 性があることは間違いないですから、審査が必要なことは確かだろうと思いますが、そ れが審査に付されるまで、ずいぶん時間がかかったように思うのですが、その理由をご 説明いただきたい。また、今後はなるべく、こういう推進すべき研究であれば、速やか に審査され、二重審査制によって研究の遅れを少なくしていただきたいと思います。 ○研究開発振興課  いま手続についてご質問をいただいた件ですが、この指針が昨年の7月に、この科学 技術部会でご審議をいただいた際に、ヒト幹細胞の臨床研究に関する審査委員会という ものも同時に設置させていただくということを、この部会でご了解をいただいたという 手続で、審査委員会を設置させていただいています。  あとは流れですが、このヒト幹細胞の指針に基づく申請というのは、なにぶん今回が 初めての経験でもありますし、いわゆる申請をされる側の方々も、これまで経験されて いない申請を出されているということもありまして、実際にこの審査委員会で審査をす るまでの間に、いろいろな資料の整備ですとか、指針に書いてある内容と照らし合わせ て、足りない資料がないかとか、そういう部分を申請者の方とかなり綿密にやり取りを させていただいた上で、専門家の方にお諮りするということで、確かに着手という部分 では少しお時間をいただいてきたというのが今回の事情ですが、先生がご指摘のように、 今後の審査においてはその辺りの経験も蓄積してまいりますし、もう少しスピーディー にできるように、私どもも取り組んでいきたいと思っています。  あと、新規性の判断の部分ですが、その新規性という部分についても、この指針が出 来て初めての申請ということで、実際にこの新規性というのが、指針が公布された以前 と以後という部分で見ていったときに、やはり新規性、新たにこういう研究をされたか どうかというところが一つポイントになってくるわけです。新規性の判断というのは、 かなり専門的な内容の審査を含む格好になっていまして、そういうことからも、この新 規性の判断をする上で、かなり技術的な部分の中身を専門家の方に見ていただく必要が あるだろうということで、この新規性の判断に併せて、事前に審査委員会の先生方にい ろいろ中身をご審議いただいたという経緯があります。ある程度、新規性の判断ができ たところで、実際の審議は7月からスタートしていますが、諮問は9月5日という形で、 新規性の判断と中身を事前的に見ていく部分の審査を併せて、新規性の判断をした上で 諮問させていただいたという流れになっています。このような辺り、指針の適用後初め ての申請ということで、今回対応していますが、もう少し手続上も以後スムーズにでき るように、私どもも努めていきたいと考えています。 ○垣添部会長  ご指摘の点は、この流れのとおりになっていないのではないかということだと思いま すが、ご検討いただければと思います。他に何かありますか。  それでは作業委員会からの報告について、本科学技術部会として了承することにした いと思います。それで、今回了承いただいた大阪大学大学院医科学研究科他、2機関の ヒト幹細胞移植臨床研究実施計画については、親委員会である厚生科学審議会へ報告す ることにさせていただきます。ありがとうございました。  それでは議事6、遺伝子治療臨床研究について、お願いします。 ○坂本研究企画官  それでは資料6についてご説明します。資料6は二つの事項があります。1頁から15頁 までは財団法人癌研究会有明病院からの変更報告です。主な変更点については7頁をご 覧ください。研究期間延長という所が真ん中よりちょっと下にあります。もともとは平 成18年12月31日までということでしたが、これを平成21年12月31日まで延長するという ことです。その他、かなり変更がありますが、指針の改訂があったことに合わせた改訂 等を今回併せて行っているというものです。  この研究については、患者さんへの投与はすでに終了しています。7頁の下のほう、今 後の研究計画にありますように、経過観察を継続するための延長ということです。なお、 症例3については死亡ということですが、この件については平成19年3月の第36回の本部 会に、その内容をご報告させていただいております。  それから、2点目が16頁以降です。「遺伝子治療臨床研究重大事態等報告書」という ことです。自治医科大学において、AADC発現AAVベクター線条体内投与による進行期パ ーキンソン病遺伝子治療の臨床研究が行われておりまして、それに係る報告ということ です。  投与2例目の被験者で、投与後しばらくしてから右前頭葉の出血があったということ でして、19頁にその内容が書いてあります。臨床研究薬を被殻内に注入した直後に撮影 した頭部CT検査では出血を認めなかったということですが、投与後3日目になって左上 肢の動きが悪く、つじつまの合わない言動を認めたため、翌日に頭部MRI検査を行い、 右前頭葉の出血を確認したということです。これは静脈性出血と考えられたということ で、周囲に脳浮腫を認めたため、その治療を開始したということです。臨床研究薬を注 入した被殻内には、画像上、病変を認めないことから、臨床研究薬との因果関係はない ものと推測されると書いてあります。  一枚戻って18頁に、審査委員会の意見があります。この右前頭葉出血については静脈 性出血と考えられ、その原因としては、遺伝子注入時の外科手技に付随して生じた出血 が最も考えられたということです。  また19頁に戻って、19頁の下の方、「その後の対応状況」という所です。第3例目の 被験者候補の選定は、この有害事象があったため延期されています。また、海外で同様 の臨床研究を実施している所がありまして、米国ですが、そちらのほうで実施済み9例 中で有害事象として静脈性脳内出血が1例と、動脈性脳内出血1例が生じたということで す。FDAからは、日本の情報も合わせたということのようですが、この臨床研究の中断 を通知したという情報が書いてあります。こちらに書いてありますように、自治医科大 学の研究についても、第3例目の選定に進む場合には、FDAの審査結果を詳細に確認する ということになっています。  なお、こちらのほうでいただいている情報では、この患者さんは退院されたというこ とで、いまのところ、その後の経過に特段の問題があったという情報はいただいており ません。本件についてはパーキンソン病遺伝子治療臨床研究作業委員会の委員の先生方 にご相談させていただいておりまして、出血のパターンは違うようですが、日米を合わ せますと、11例中3例に出血ということになりますので、何故出血が発生したのか慎重 に評価する必要があるため、米国の例も含めて出血の原因がはっきりするまで、同じ手 技での臨床研究は中止するべきと考えられまして、この点については自治医科大学から 改めて、米国においてFDAが再開を認めた場合に限り、注入手技の改善を行った上で第 3例目を実施する旨の回答をいただいております。  また、この症例の経過の詳細、注入方法の改善等について照会し、その回答を現在、 作業委員会の委員の先生方に見ていただいているところです。10月下旬頃にはFDAの見 解も出るといった情報もありますので、その辺はこれから情報をいろいろ確認する必要 がありますが、米国の状況等についての情報も収集した上で、本件についてはさらに検 討を加えていくことを予定しています。資料6についての説明は以上です。 ○垣添部会長  ありがとうございました。遺伝子治療臨床研究の変更報告と、重大事態報告の二つを お願いしましたが、いかがでしょうか。 ○宮村委員  これは1例目とか、他のアメリカでやられているケースでは、このパーキンソンの寛 解は効果があるのですか。 ○坂本研究企画官  こちらの症例についても、薬の服用量が少し下がったとか、そういった情報はいただ いておりますが、効果をどれくらい評価できるかというところまでは、まだ確認してお りません。 ○垣添部会長  この自治医大のほうは、日米共に出血が認められているから、原因が解明されるまで 中断するというのは、もっともな対応だという気がします。  では、その他にまいります。事務局から何かありますか。 ○坂本研究企画官  前回7月30日の本科学技術部会においてご審議いただきました「厚生労働省の平成20 年度研究事業に関する評価(概算要求前の評価)」に関して、本部会での議論でいただ いたご意見、部会終了後に先生方よりいただいたご意見を基に一部修正を行い、垣添部 会長のご確認を得たものを、参考資料2として本日配布させていただきましたので、ご 報告いたします。なお、修正のご意見をいただいた先生方には、個別に内容をご連絡さ せていただいております。以上です。 ○垣添部会長  大変熱心なご議論をありがとうございました。それでは、少し予定時刻より早いです が、これで予定された議事は全て終了しました。事務局から次回以降の予定について、 何かありますか。 ○坂本研究企画官  次回については、まだはっきりと日程を決めておりませんが、12月頃にお願いしたい と思っています。また別途、日程調整をさせていただきますので、その際にはどうぞよ ろしくお願いします。 ○垣添部会長  それでは、これで第41回の厚生科学審議会科学技術部会を終了とさせていただきます。 どうもありがとうございました。                               ―了―    【問い合わせ先】  厚生労働省大臣官房厚生科学課  担当:情報企画係(内線3808)  電話:(代表)03-5253-1111     (直通)03-3595-2171 - 1 -