07/10/05 第4回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録 第4回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録 1.日 時:平成19年10月5日(金) 14:00〜16:00 2.場 所:経済産業省別館1028号会議室 3.出席者:   <五十音順>   飯野靖彦委員、石名田洋一委員、岩下光利委員、大井利夫委員、大江和彦委員、   長村義之委員、北村聖委員、木下靱彦委員、木原和徳委員、菅野健太郎委員、   高橋姿委員、田中紘一委員、土屋了介委員、中田正委員、藤原研司委員、   柳澤正義委員、横田順一朗委員、吉田謙一委員   事務局    人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長、保健統計室長 4.議 題  (1)ICD改訂に関する動向について  (2)ICD−11への改訂に係るWHOに対する意見提出について  (3)その他 5.議事内容 ○藤原座長 予定の時刻となりましたので、ただいまより第4回社会保障審議会統計分科会疾病、 傷害及び死因分類専門委員会を開催いたします。 各委員の先生方におかれましてはお忙しい中、また、お暑い中をご出席賜りまして誠 にありがとうございました。では、座って進めさせていただきます。 まず、議事に入る前に事務的な確認等を事務局、よろしくお願いします。 ○事務局 では、事務局より、それではまずお手元の資料の確認をさせていただきます。お手元 に資料をご準備ください。 1枚目が、第4回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会の議 事次第となっております。そのあとに座席表が入りまして、資料1、資料2、こちらが 1セットになったものでございます。最終ページが15ページということでの資料1、2 のセットがございます。その後ろに参考資料1といたしまして、英文のもの、そして仮 訳といたしまして和文のものが付く形の構成になってございます。 各委員の先生におかれましては、資料お揃いでございましょうか。もし、揃っていな い資料がございましたら、事務局の方にお申しつけください。よろしいでしょうか。 なお、本日は飯森委員、五十嵐委員、落合委員、黒岩委員、相楽委員、林委員、増田 委員、松岡委員、渡辺委員よりご欠席のご連絡をいただいております。 以上、事務局より説明させていただきました。 ○藤原座長 ありがとうございました。今回、事務局で交替がございましたので、事務局の方でご 紹介をお願いいたします。 ○人口動態・保健統計課長 7月の人事異動で人口動態・保健統計課長を拝命いたしました安部と申します。委員 の先生の皆様方には何卒よろしくお願い申し上げます。 ○疾病傷害死因分類調査室長 8月10日付で前任の首藤から引き継ぎました辻井でございます。どうぞよろしくお願 いいたします。 ○藤原座長 それでは議事に入らせていただきます。まず、一つ目の「ICD改訂に関する動向に ついて」でございますが、まず、第3回ICD委員会以降のWHO−FICの動向につ いて、これも事務局、ご説明をお願いいたします。 ○事務局 資料1につきまして、事務局より説明をいたします。お手元の1ページ目ですが、「I CD改訂に関する動向について」ということで、これまでの動向と今後の予定に分けて 簡単に示してございます。 4月16日に改訂作業開始記者会見ということで、今後ICD−11への改訂作業を開 始する旨を世界に向けて発表したという段取りでございます。 17日〜18日に、その改訂運営会議(RSG)の1回目が開催されまして、その概要に つきましては、別紙1に添付してございます。 前回の資料ですので、ごく簡単に説明いたしますと、今回のICD−10からICD −11への改訂に際しまして中核的な組織としてRSGが設立されまして、改訂プロセ スの監督と分野別専門部会(TAG)の連携の調整・助言等を行う機関となっておりま す。その第1回が19年4月17日〜18日に開催されまして、その中では今後の改訂に関 するごく大枠でございますけれども、科学的、臨床的、公衆衛生的エビデンスの体系的 な点検等を行うということと、ICD−11の草案を起草する等の今後の大きな方針に ついて決められました。それが1ページ目の17日〜18日のRSG会議でございます。 その後、第3回の本委員会が開催されまして、その後、7月31日にTAGとワーキン ググループ(WG)に対応していくため、TAGやWGに日本から委員の参画を図るべ く、国際WG協力員説明会を行いまして、ご協力をお願いしたところでございます。 その後、8月15日〜16日とRSG会議の電話会議が行われまして、後ほど菅野先生 より簡単にご報告をいただく予定になっております。 9月10日〜11日に第2回アジア・パシフィックネットワーク会議ということで、こ れは普及委員会の方に付属しまして、普及委員会がICDの適切な普及について推進し ていくという目的でございますので、その中のアジア・パシフィック地域、具体的には WHOの地域委員会のうちWPRO(西太平洋地域事務局)とSEARO(南東アジア 地域事務局)の国々を対象としており、集まったのが13か国となっておりますが、これ につきましても後ほど説明がある予定です。これが大体これまでの動向でございます。 今後の予定としましては、本日の委員会が終わりました後に、国際WG協力員説明会 ということで、今回ご推薦いただきましてほぼ国際WG協力員のメンバーが固まりつつ ありますので、今後の予定等についてこの場で引き続いて委員会終了後に説明をさせて いただく予定になっております。 10日に統計分科会が開かれますので、今回の専門委員会の概要につきまして簡単にご 報告をする予定になっております。 10月25日以降ですけれども、WHO−FICネットワーク会議ということで、イタ リアでまずさまざまな会議、MRG、FDRG等の会議が開催されました後に、ネット ワーク会議ということで今年の年次会議が開催される予定になっております。その概要 につきましては別紙3ということで添付をしております。7ページになりますが、「W HO−FICネットワーク会議2007トリエステ会議開催について(概要)」ということ で、開催期間が10月28日〜11月3日ですが、その25日頃からその前の細かい委員会 の方も合わせて開催される予定でございます。 会議主要議題ということで、さまざまな会議名がございますが、特に今回、改訂に関 係しているところとしては企画実行委員会、あと恒常的な委員会が幾つかございまして、 分類改正改訂委員会(URC)やRSG、あとICD改訂に関するセッション、ビジネ スプラン及び年間計画の検討、会議報告書草案の採択などが行われる予定になっており ますので、今回、先生方から資料2の方でWHOに対してさまざまな意見をいただきま したことを事務局で預かりまして、トリエステの会議などで情報発信をWHOに対して していきたいというふうに思っております。 以上が資料1の概要ですが、そのアジア・パシフィックにつきまして引き続き事務局 より説明いたします。 別紙の2でございます。「第2回WHO−FIGアジア・パシフィックネットワーク 会議2007京都」の概要でございます。この会議は先ほど説明しましたとおりWHO−F ICネットワークの普及委員会の下に首藤前室長を暫定チェアとしましてアジア・太平 洋地域における国際分類の普及をめざす実務者レベルの会合として昨年の第1回チュニ スの会議に続きまして、第2回を京都で開催したものであります。 開催期間としては、今年の9月10、11日で、日本を含めて13か国参加いたしました。 会議ではまず普及の現状報告としまして、WHOはJICA等の普及活動やマレーシア とインドネシアの両国から普及の現状、例えば統計のカバー率や統計の制度、標準化、 教育の問題等々について報告がありました。それを基に普及を促進するための活動のグ ループ討議が行われております。その後、このグループ討議に基づきまして普及の方策 に関する発表が行われ、活動の評価手法、人材養成、財源の確保について各国間の話し 合いが行われております。 会議の議論全体を通しまして、アジア・パシフィックネットワークにおいて参加国間 の普及の経験を共有することの重要性が確認され、今後活動を展開するための持続可能 な方法について各国間で活発な情報交換が行われております。また、これに関してはタ イとオーストラリア両国からコーディングの教育手法プログラムに関する発表も行われ ております。 会議では今後の活動としまして、アジア・パシフィックネットワークの下に死亡統計、 疾病統計、医療情報システム、各々に関するワーキンググループが組織され、参加国の 普及活動について更なる検討を深めていくということが決定されました。 また、次回の会議の予定が、また日本で開催されるということ、首藤前室長及び韓国 のキム氏が次回の共同議長になるということも合わせて決定されております。 報告は以上であります。 ○藤原座長 ありがとうございました。WHO−FICアジア・パシフィックネットワーク会議に は確か大井委員も参加されておりますが、先生からご説明等、何かございますか。 ○大井委員 特別の追加はございませんが、一つだけ。事務局は今まで日本病院会で担当していた のですが、これもしばらくは日本病院会で続けていくということが決まりましたので、 このアジア・パシフィックネットワーク会議の事務局は日本病院会にあるということを 付け加えさせていただきます。 ○藤原座長 ありがとうございました。これまでのご説明につきまして、何かご質問等ございます か。よろしいですか。 それでは続いて、RSGの電話会議等について、菅野委員よりご説明をお願いいたし ます。 ○菅野委員 お手持ちの資料の中の別紙の4ページ目をご覧いただきながら、お話したいと思いま すが、このRSGと申しますのはWHO−FICのURCの下に位置付けられておりま して、この構成委員は各URCのメンバーであるとか、プランニングコミッティーであ るとか、その他FDC(国際分類ファミリー拡張委員会)であるとか、別々の委員会が ございまして、そのチェアの人と、それからその下にありますTAGと分野別専門部会 と訳されておりますが、トピカル・アドバイザリーグループ、それぞれの既に成立した 部分のチェアといいますか、とりまとめの人が構成するものでございます。 ここにありますように、既に精神、外因、それから希な疾患ですね。これは立ち上が って活動がかなり進んでおるグループでございまして、前回の小田原のときにかなり詳 細な発表がなされております。小田原の会議で内科のおおよその分野が確定いたしまし て、私がそこのチェアマンをするということになりました。 それから、腫瘍のグループはリヨンのICD−O−3を作っているグループと共同し て、今、あまり整合性がないわけでございますが、その整合性を取るという形で改訂の グループが立ち上がったところでございます。これまでの2回の会議には腫瘍グループ は参加しておりませんけれども、こういったメンバーが常に集まるということは難しい わけでございまして、そういう理由でテレカンファレンスが設定されるということにな りました。 実はもうちょっと前からあったのですけれども、私どもの大学では、海外に電話をか ける場合、許可が要るようなことになっていまして、時差の関係でグリニッジ標準時間 を基準にして、あそこが12時で、アメリカは朝の7時ごろ、こちらは夜の9時ごろと、 そういう形でやるものですから、なかなか事務がいないときにそんなことをしてくれる なという形で参加できませんでしたが、先日ようやく電話線が引かれまして、最初の電 話はテレカンファレンスのシステムの確認が一つございました。 それから進捗状況の報告ですね。各グループの進捗状況の報告でございます。我々の ところは今申し上げましたように、国内のこの専門部会を中心として、特に内科でござ いますので、内科系の先生方の学会にお願いして、WGが内科の中にございますけれど も、それぞれの分野別のWGを設けるという方針で、既に小田原でほぼ認められました 消化器、循環器、呼吸器、腎臓、血液、内分泌、代謝ですね。それから神経をどうする かという話がございましたけれども、神経内科は一応精神科とは切り離してやるという アプルーバルを得ておりますが、それについて、各学会のご協力を得て、人選を進めて いるというところが最初の電話会議の内容でございました。 そういうことで、いろいろトラブルがあって、暗証番号を打ち込むとか二通りの方法 でアクセスするのですけれど、それがなかなかうまくいかなかったりするときもござい まして、大変なのですけれども、何とか第1回目の会議が行われた。それで、引き続き まして、第2回目、そのときに少し既にその前にアプローチがございまして、いわゆる 小児の循環器といいますか循環器系で活動しているグループがWHOの委員の方から推 薦がございまして、実はそれが日本でWGの会議を開くということが7月にございまし た。 首藤前室長と私と参加してみますと、これは小児の先天性の弁膜疾患であるとか、そ ういったものを中心としたさまざまなクラシフィケーションをやっているグループがご ざいまして、その内容を見ますと、これは内科の循環器ではなくレア・ディズィーズに 属するというふうに彼ら自身も判断いたしまして、そちらの方に作業としては共同して 行う方向で変更になりました。 2回目の電話会議はそれに沿った内容が一つございまして、URLといいますかWH Oのロバートという人が委員でいるわけですけれども、その人がやはりいろいろな方面 を当たっていただいておりまして、腎臓のグループがあるということを教えていただい て、それについての具体的な話をしたということでございます。 ただし、そのときの合意事項としては、やはりWHOの組織でございますので、委員 の所属する国が余り偏らないようにしましょうということでございますし、日本での人 選を進めているということもお話ししておりまして、コンプロマイズといいますか、そ ういう形で、日本の意見も入れるというようなお話を得て、これは腎臓でございました ので、これは飯野先生の方にその情報を上げまして、またこちらからそれらをまとまっ た上でWHOに上げていくという形で合意を取り付けております。 ただ、内科のそのときの進捗状況が必ずしも各分野足並みが揃っておりませんでした ので、できればメンバーが国際的によくバランスが取れているというようなところで、 あらかじめスタートしておくということも一つの方策ではないかと。すなわち分野ごと でいいますと、比較的多くのメンバーの候補が挙げられているのが今のところ消化器と、 先ほどの飯野先生の腎臓グループでございまして、あとのところはまだちょっとメンバ ーの内容が、数が若干少のうございまして、更に今後検討が必要かもしれませんが、と りあえず、9月いっぱいにそのときは一応こちらの候補を挙げるという話はしておりま したけれども、まだ実はこの会議を経て、これからということでございまして、そうい ったところで第2回目の会議が終わりました。それから第3回目は実はRSGというリ ビジョン・ステアリンググループの会議にも誘われていたんですが、これが向こうのシ ュートさんという人がRSGの議長さんなんですが、そこの秘書さんが教えてくれた暗 証番号が違っておりまして、電話が通じないという、後日、謝罪の連絡が入っていまし たけれども、そういう状態が起こって、実際には参加できなかったというところが以上 3回のこれまでの経緯でございます。 以上でございます。 ○藤原座長 どうもありがとうございました。どうも会議が始まるまで大分苦労されたようで、ど うもお疲れ様でした。 その他に、改訂に関する動向について何か報告事項がございますか。特に外因分野の RSGについて、横田委員の方から何かご報告いただけるようなことございますか。 ○横田委員 4月の小田原の改訂運営会議のときには我々の日本救急医学会から国際WG協力員の 行岡先生に参加をしていただきました。そのときに内因のTAGの議長でありますジェ ームス・ハリソン先生とコンタクトを取っていただきまして、どういう方針で改訂をや っていくのかということをその後何回かメールで意見交換をしていただきました。 彼が主張するのは外因のところでも原因の20章のところに非常に力を入れていまし て、ICDの関連分類のところにありますICECIの分類と整合性を持たすのだとい うところの強調と、オントロジーで構成したいというふうなことをおっしゃっていまし た。それについては私は知識不足でして、行岡国際WG協力員ともちょっと勉強しない とだめだという思いです。 その後は少しコンタクトが途絶えておりまして、むしろ我々の学会の中でどういう活 動をしていけばいいのかということを、委員を20名ほど選任しまして、外因のことにつ いて今、現状3回ほど委員会を持って活動してきていて、先般の9月までの意見出しと いうところでは一部意見を出させていただきました。というような現状でございます。 以上でございます。 ○藤原座長 ありがとうございました。それでは、他に報告事項はありますか。精神分野のRSG の参加について若干動きがあったそうですが、今日は飯森委員がご欠席ということで、 事務局の方で何か預かっていますか。 ○事務局 はい。 ○藤原座長 それでは、よろしくお願いします。 ○事務局 精神のTAGになりますが、その状況について飯森委員よりお預かりしておりますの で、事務局よりご報告させていただきます。 精神保健関連のアドバイザリーグループの第2回会議が9月24、25日にジュネーブの WHO本部で開催されました。参加者は座長であるハーバード大学のハイマン教授ほか 14名の委員、6名の特別招聘者のほか、WHO事務局より精神保健及び物質乱用部門の サラセーノ部長を初めとした8名のスタッフが参加されました。日本精神神経学会から は国際WG協力員である丸田敏雅氏が特別招聘者として本会議に出席し、議論に参加す るとともに講演を依頼され、日本におけるICDの運用についてご報告いたしました。 第1回会議においてアドバイザリーグループの下、1.グローバルな科学的参加調整グ ループ、2.中立的な有識者による調整グループ、3.資源流動化調整グループ、4. ICD−DSM調整グループの四つのグループを設置することが決定されており、各座 長から現状が報告されました。そのほか、本会議では2日間にわたりICD−10とD SM−4の差異、プライマリーケアのための診断と分類システム、研究のための診断と 臨床ケアのための診断、ICDの運用、疫学の貢献などのテーマごとに活発な議論が行 われました。また、上記四つの調整グループのうち、グローバルな科学的参加調整グル ープの第1回会議は平成20年2月20日に東京で開催される予定であり、日本精神神経 学会としても協力し、対応を進めているところでございます。 以上、ご報告とさせていただきます。 ○藤原座長 ありがとうございました。それでは、全般にわたって事務局からの報告また菅野委員、 横田委員、飯森委員に代わって事務局からご報告をいただいておりますが、全般にわた って何かご質問ございますでしょうか。 よろしゅうございますか。 それでは、なければ、議事の2番目に入らせていただきます。議事2のWHOへの意 見提出について。これは事務局でご説明をお願いいたします。 ○事務局 資料2の説明をいたしますが、その前に一言、今回WHOに対する意見ということで、 皆様ご多忙のところ、数々のご意見をお寄せいただきまして、誠にありがとうございま した。いただいた貴重な意見につきましては、今後トリエステの会議などでWHO側に 発信をしていきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。この場を 借りまして御礼を申し上げます。  では、資料2に基づきましてご説明をさせていただきます。8ページの資料2でござ います。 背景といたしまして、我が国の方針としてICD−11の改訂にかかる課題及び具体 的対応案について検討しましてWHOに提出していく必要があると認識しております。 そして、国内における意見の集約化を図るために、別紙1のとおり意見募集を行ったと いうところでございます。 この別紙1、11ページでございますが、これは前回の専門委員会の方で提出させてい ただいた資料になります。簡単にご説明をいたしますと、課題を、その他も含めますと 5つの課題に分けまして、14ページ目でございますが、「今後の対応方針について」と いうところにございますように、広く意見募集をさせていただいたところでございます。 その中でも特に全体の枠組に関することに関しましては9月末までにご意見をいただき まして、そのほかのもの、詳細な内容のものについては12月末までという形で引き続き 意見の募集を行っているところでございます。 では、資料2の8ページの方に戻させていただきますが、今般、先ほどの別紙1でお 願いをかけていた中で新たに寄せられた意見につきまして以下整理を行いまして、ご報 告をさせていただくという資料になります。 寄せられた意見及び当専門委員会でのご議論を踏まえまして、先ほど辻井からもござ いましたが、平成19年10月28日〜11月3日に開催されますWHO−FICネットワ ーク会議におきまして、我が国として意見提示を行っていく方針でございます。 では、2.になりますが、「新たに寄せられた意見」につきましてご説明をさせてい ただきます。あらかじめこれは概要となっておりますことをご了解ください。事務局の 方で内容を確認いたしまして、内容別に分類させていただき、そして概要という形でま とめさせていただいております。もし、適切な内容が盛り込まれていない、あるいは事 務局の方できちんと把握できていないということがございましたら、この説明の後で補 足をしていただくとありがたいと思っております。 では、ご説明をさせていただきます。8ページから9ページ、10ページに渡りますが、 「(1)ICD−11への改訂にかかるWHOの組織体制について」というところでご ざいます。二つ大きな○として分けさせていただいております。 最初の○から、参画できる適当なTAGやWGがない。設置等、適切な対応を求める というご意見を多数いただいております。 具体的には死亡に至らない疾患関係でのTAGやWGがないということで、整形外科、 眼科、耳鼻科、皮膚科といったところでのお話を頂戴しております。 そして、法医学関係のところでも外因死、突然死、不詳の死については各国の法医学 者からなる検討ができるWGを設置してほしいというご意見をいただいております。 そして、小児科、産婦人科関係での何らかの組織が必要ではないかということを日本 小児科学会以外からもいただいているところでございます。 続いて、腫瘍のことでございますが、腫瘍、これはすべての領域にまたがりますので、 外因、感染症、先天奇形、変形、染色体異常といった切り口や臓器別、循環器、呼吸器、 消化器、腎臓など、それぞれの領域に特化した検討組織が必要ではないかという形で、 多面的な検討をする枠組が必要ではないかというご意見をいただいたところでございま す。 そして、二つ目の○でございますが、一つ目のものはWHOに対して組織を求めると いう話だったわけでございますけれども、二つ目の○、こちらは当省として考えなけれ ばいけない話と認識してございますが、国内体制を整備すべきというご意見をいただい ております。 腫瘍に関しては、横断的な検討になることから、各臓器別の学会からの委員で構成さ れる腫瘍関係の部会を設置する等、各臓器別の提案の整合性等に配慮した意見構築でき る体制を整えるべきである。これは国内体制としてこういった体制を整えるように取り まとめるべきであるということでご意見をいただいております。 そして、関係学会との連携調整については、厚生労働省の調整を期待するというふう にいただいております。 続きまして、9ページ目に入らせていただきます。 「(2)ICD−11への改訂ビジョンについて」でございます。○の中には含まれ ておりませんが、いただいた意見の中ではきちんと目的を設定して、改訂ビジョンを明 確にすべきというそもそも的なご意見は多数いただいていることをご紹介させていただ きます。 資料に参りますが、疾病分類として有効なものにすべきというご意見をいただいてお ります。これは補足しますと、死亡分類、死亡統計を行うための分類としてはおよそ完 成しているけれども、やはり疾病分類として今回有効なものという形で付加していくべ きではないかというご意見をいただいているところでございます。具体的には診断の難 易度、術式、予後、罹病期間、といった診療上重要な観点が加味されていない。そのた めに疾病分類として重症度や転帰、医療コスト、適切な治療方針を分析するためのデー タとしてICDを用いたデータの活用が困難というご意見を頂戴しております。医療の 質の向上に資する分類とするためには、疾病分類の有効性の向上が必要だ、ということ でございました。 もう一つでございますけれども、外因か病死か判断できないといった場合の分類を作 るべき。この「判断できない」というところがなければ、どちらかに分類しなければな らないということになってしまい、逆に適切なデータが取れないということでのご意見 をいただいているところでございます。 次の○に移らせていただきます。ICD−11への改訂は、ICD−9及びICD− 10を統合するという視点で行ってほしい。三者独立並存では混乱が生じるということ がございますので、部分的にでも移行を進めていけるよう、システムを一本化するとい う方向で進めてほしいというご意見をいただいているところでございます。 次でございますが、派生分類や既存の活用されている各種分類との整合性を図るべき ということで、ここは特に多くご意見をいただいているところでございます。具体的に はICD−10と国際疾病分類腫瘍学と合わせるべきという話がございましたが、その ほかにも各種癌に関する分類体制はさまざまなものがございますので、そういったもの と合わせるように、例えば、TMN分類ですとかUICCなどにも言及があり、整合性 を取るべきであるというご意見を頂戴しております。 次の○に移らせていただきます。我が国におけるICDの活用についての整理。これ はWHO側のビジョンというよりも国内の問題だと認識しております。ICDがどのよ うに活用できるのか、検討整理が必要である、特に臨床面でございます。 厚生労働省として、将来的にどのような場面での使用を想定しているのか明示してほ しいということでご意見をいただいております。 ここについては補足でございますが、厚生労働省としましては、もちろん非常にIC D改訂は重要だとの認識でおりますが、現時点では、全体像が必ずしも明確に示されて いるところではないということもございまして、将来何に活用されるのか明言するとい うことは非常に難しいと認識しております。しかしながら、統計情報部人口動態・保健 統計課としましては、統計に限らずこのICDの改訂というものが医学界への影響が大 きいということは十分承知しておりますので、状況に応じまして、当然ながら省内、関 係部局とは密に連携を取りながら対応をしていかなければならないということを認識し ているところでございます。 次の○に移らせていただきます。取り扱う領域の概念の定義の明確化が必要ではない か。 次の○でございますけれども、全身性疾患に関する定義や各分類項目の整合性・規則 性を図っていくべき、という六つの○で整理させていただきましたが、ご意見を頂戴し ております。 続きまして「(3)ICDの構造等について」でございます。 複数のモジュールに分けてはどうかというご意見は多数、案を頂戴しているところで ございます。この構成要素という形で幾つかに分類したものをセットで一つのデータを 構築してはどうかということでのご意見でございます。例えば、原因と結果という形で 分けるべきではないか。診断法や診断名という形で分けるべきではないか。外因の原因、 解剖学的診断、病態、医療行為といった分け方。あるいは診断名、内科治療、外科治療。 この治療に関しては有りか無かったか不明の別だけでも十分に意義があるというご意見 も頂戴しております。 あと、状況ということでございまして、例えば病死か外因かは分からないけれども入 浴中の死亡といったような構成要素が必要である。あるいは進行度といったことでの構 成要素につきましては多種のご意見を頂戴したところでございます。 次の○に移ります。アルファベットと二桁の数字に限界があるというご意見をいただ いております。 桁数を増やすべきである。この増やすことによって同類の分類の下一桁を共通させる といったICD−9で見られた全体としての規則性を持たせるべきではないかとのご意 見を頂戴しております。 次の○に移らせていただきます。10ページ目になります。全身性疾患の特に悪性新生 物につきまして、一連の疾患であるが、特にさまざまな部位から発生するものについて は臓器別にしてしまうと集計、解析が困難ということでご意見をいただいております。 そのほかにも、小児領域に特異的な悪性新生物を設定するなど、臓器別ではない切り口 性の分類整理が必要ではないかということでございます。 参考まででございますが、ICDの分類体系につきましては別紙1として付けさせて いただきました。資料の15ページ目になります。 以上でございます。 ○藤原座長 ありがとうございました。今のご説明は当初からあった新分類であったものが臨床の 現場で使用されてさまざまな矛盾を生じているということ、そしてまたそれをどのよう な位置付けにするかは厚生労働省としてはまだ決まっていないということですね。 一つ私の方から質問、国内体制が例えば各臓器別云々ということも、要するに、WH Oもこれからやっていこうということと内容的にもちろんダブっているわけですし、し たがって、私、こんなことを言っては大変申し訳ないのですが、WHOの中で、今、我 が国でいろいろご意見をいただいたものを実際にどういうふうに実現していくかという ことについては、恐らくなかなか向こうではできないのではないかと。だから、むしろ 日本から具体案を出していくべきではないかというような気がいたしますが、何かこれ までのご説明に関連して先生方の方からご意見ございませんか。どなたかいかがですか。 どうぞ。 ○高橋委員 耳鼻科学会の高橋ですが、菅野先生にお聞きしたいのですが、この1番にありますよ うに、死亡に至らぬ疾患が多い診療科、耳鼻科とか眼科とか感覚器の科として、現在存 在するTAGではどこに入ってくるのか全然読めないのですけれども、具体的にはどう なりそうですか。新しく立ち上がるのでしょうか。 ○菅野委員 そういったものがまだないのですね。眼科、耳鼻科、皮膚科とかですね。まだたくさ んない領域、欠損領域がたくさんございます。 小児科については、この前の小田原の会議で内科とは切り分けて、特に小児、あるい は周産期、あるいは乳児、その辺りは別個に扱っていただきたいということで要望は出 しておりまして、WHOもその必要性は認めているということで、これはだから日本が またイニシアティブを取れば、核になるグループができる可能性があるのですね。 先ほどの小児の先天性奇形であるとか、循環器系ですね。これはもう活動しているグ ループがあって、これはレア・ディズィーズの方に入っておりますので、一部の小児の メタボリックな異常であるとかインヘリタンスにかかわるような希な疾患はそちらでか なり集約されてくるだろうと思います。 ただ、先生がおっしゃった耳鼻科、眼科等のそういう領域についてはまだ欠損してお りますし、内科の中でも実はアレルギー、リウマチといいますか、免疫系の問題はどこ が扱うのかというのがよく分かってないのですね。というのは、この10ではMのとこ ろにそういった骨・筋肉系が入っておりまして、そこに混ざった形であってみたり、ち ょっと分け方が難しいということがあって、これについてはWHOに打診をして、一部 のそういった領域の疾患については日本のリウマチ学会等のそういったWGの立ち上げ に協力してもらえるかどうかという形で打診はしてみようかと思っております。まだ、 そのほかにいっぱいありまして、これはWHOも今のところは動いていない。 もう一つは腫瘍の問題がかなり出ておりましたけれども、これはICD−O−3を作 っていたリヨンのグループとWHOが話し合って、今度のトリエステの会議からこのT AGのグループのチェアとしてそちらの人が参加してくるということになりますので、 従来のようにICD−10が相当遅れた分類をしているということはだんだんなくなっ ていくような方向で、しかも双方が何といいますか、コンセンサスを取ってやるという 形になるということは分かってきている。方向性としては出ております。 まだまだ、ですから、骨・関節の整形外科の方の疾患であるとか、まだまだいっぱい 足らないところがございます。 ○藤原座長 よろしいですか。先生。 ○高橋委員 はい。 ○藤原委員 他にどなたか。ご質問は。いかがですか。横田先生、何かありますか。 ○横田委員 私どもの救急領域、特に外因についての意見については、先ほど厚生労働省の事務局 の方でまとめていただいた意見提出の9ページの一番上にうまく集約はされています。 改訂ビジョンについての一つ目の意見というのは、私どもの中で常に出てくる意見です が、死亡統計というか死亡分類に偏った傾向があることです。外因のところは見ていた だいたら分かると思うのですけれども、19章、20章のうち、死因を取られるときは20 章の原因を使って統計を取られているのですが、例えば患者調査とか疾病分類に使うと きには19章の解剖学的分類のところを使うのです。けれども、これは、全然といったら しかられるのですけれども、本当に臨床的に病名分類としては使えないというのが学会 内の意見でございます。 したがいまして、そこに書いてありますように、例えば日本の中でICD−11にな った際に、それが臨床的な面あるいは研究的な面で使えるようにしてほしいということ です。例えばDPCあるいは患者登録といった形で使うのであれば、診断の難易度ある いは重症度といったようなものが反映される分類にしていただきたい。要するに、傷病 分類として臨床使用にふさわしい形にしていただきたいということを最初に言っておい てくださいというのが私どもの学会の中の話でした。 それともう一つは、外因性疾患は必ず死亡統計で出てくるように原因があって、原因 というのは例えば交通事故で車を運転している者が怪我をした。その結果、例えば肺挫 傷が起こった。その肺挫傷の重症度といっても、これはまたいろいろありますので、そ ういったものが幾つか、一つのコードで無理であれば、ルールを決めた上でモジュール を追加して表現できるような形にできないだろうかというのが第2番目の要望です。 12月までに意見を出してほしいと言われているICDの構造といいますか、もう少し 中身の具体的なところにつきましては、検討を進めています。こちらから提言しないと おそらくWHOの方でいわゆる総論だけ言っていてもなかなか自分たちの意見が反映さ れないだろうと思っています。細かいところの分類については、解剖学的分類であるA ISという臨床的に使っている分類を参考にしています。その検討と、もう一つは各国 が既に修正して使ってきたICD−10−XMの検討ですね。例えばCMであるとかA Mであるとか、今、それを全部電子データで取り寄せまして、その中でやはり臨床的に 使えるものをピックアップするという作業を学会の中でやっています。できるだけ12 月までに出して、具体的にこうしてくださいよと言いたいなというのが本音でございま す。 以上でございます。 ○藤原座長 ありがとうございました。非常に貴重なご意見だったかと思います。臨床の現場で使 うとなると、いろんな切り口で問題が出てくるし、恐らくこれから先、整理整頓すると きにどこかで線引きするしかなくなってくるのではないかと思うのですね。すべてを満 たすことはできない。その辺のところをどこまででどうするか、というようなことも含 めてまたご意見を賜ればと思いますが。柳澤先生、どうぞ。 ○柳澤委員 先ほど菅野委員から小児領域のことを言及いただきましたけれども、小児科学会とし てもICD−11への改訂に向けて学会として協力する方向を示していて、その際にこ ちらに提出した意見として、TAGとして小児・思春期をカバーするような部会を作っ ていただきたいということを要望しております。特にその中でも中心になるのは、今の ICD−10の16章、17章、周産期に発生した病態、それからまた先天奇形変形及び 染色体異常というわけですが、それ以外の小児疾患の非常に幅広い領域において、小児 の場合は成人とは違った病態を示すということで、特別な観点が必要だということから、 こういったものについてどのようにしていったらいいか。また、他の部会とどのような 形で連携をしたらいいか、そういった点がかなり難しいというか、考えていかなければ いけないことだと思います。 例えば悪性腫瘍にしてもそうですし、それから先ほど言及された子どもの心臓病、そ の中で先天性心疾患、心奇形に関しては、非常に熱心にターミノロジーの体系を作って いこうとしているグループ、国際的なグループが従来からありまして、そこでの議論と、 このICDの改訂とどういうふうに結びつけるのかなということが私自身としても難し いところだったのです。今、伺ったところによると希な疾患という枠組の中に入れて検 討するとのこと。そうすると、それ以外の感染にしても、悪性新生物にしても、内分泌 疾患にしても、そういった子どもにおける特殊な病態というのがあるわけなので、そう いったところに小児科学会を中心として、その分科会なども含めてどのように対応して いったらいいかということをこれから検討させていただきたいと思います。 ○藤原座長 よろしくお願いします。他にどなたかご意見ございますか。どうぞ。 ○木原委員 泌尿器科学会の木原と申します。泌尿器学会では、本委員会が学会で討議しているこ ととは違う大きなスケールということで、委員もなかなか決まらない状態でした。よう やく8月に泌尿器科学会でもICDの検討委員会が立ち上がりまして、委員も5名の委 員が決まり、国際協力員も決まったという状況です。先ほどの話題で、もとに戻って申 し訳ないのですが、泌尿器科では腫瘍としましては前立腺、膀胱、腎に非常に頻度の高 い疾患がありますが、腫瘍という項目がありますので腫瘍に関してはよろしいのです。 けれども、この他に前立腺肥大症とか、尿路結石とか、失禁とか膀胱機能障害とか頻度 の高い疾患があります。これらの疾患が参画できるWGとしては、内科的治療をするも のを内科として考えてこの中に入れて討議をするのか、また別なグループとして参画で きる方向性があるのかどうかといったところを学会として質問がありましたのでお聞き したいのですけれども、いかがなものでしょう。 ○藤原座長 どなたかこれに関して具体的に、事務局としてこの問題は取り上げて検討されたこと はありますか。恐らくまだ具体的内容、そういった形では検討していないと推察いたし ますが。どうぞ。 ○石名田委員 整形外科の石名田と申します。整形外科学会でも何回か委員会を開いて検討している ところでございますが、結局、ではこのICD−11が何を目的として、どこまでを取 り扱っていこうとするかという方向性が見えない。我が国で使いやすい形となるだけを 目的にするのか。つまりWHOとしては、どの国は何で死んでいるのか。死ぬまでにど んな病気に罹っているのかということがやはり一番大きな目的ではないかと思うのです が、その分類に我々はとどまってもいいのか。あるいは更にそこから先にDRGあるい はDPC的な形で国内のいろんな政策に利用するところまで、ここで議論して立ち上げ ていくのか。これによって非常に学会内で議論が分かれると思います。 ですから、ある程度のラインをもし引けるなら引いていただいて、その範囲内で議論 しないと、何というか、行く先が見えないというような感じ、学会の中で委員会を開い ても、ある人はものすごく細かく議論をされるし、ある人はそこまでやってそれが一体 どうなるのかというようなこともあって、今回は9月末までにともかく整形外科のTA Gを作って頂きたいという線で意見が何とか収まったのですけれども、更に12月の分類 の提案に向けてもう少しその辺りの一応のラインを出していただければ大変ありがたい かなと、そういうふうに思っております。 ○藤原座長 ありがとうございます。これはもう当初からのご意見で、本当にどこかで線引きをす るしかもうないのですね。そうした観点で、確かに学会レベルではどこまで俺たち何を やるんだというのは常に議論になるところですので、大江先生、これに関連して何か。 ○大江委員 特に今のところはありません。 ○藤原座長 あるいは大井先生。 ○大井委員 私の方は各学会と若干異なり診療録管理学会として俯瞰的にものを見ながらICDに ついて考えることができる立場にありますので、そういう特性を生かして、本年春に医 師で診療情報管理士の資格を持っている230 数名の先生方に呼びかけて、その内賛同の 得られた80数名の方によりICD−11の改訂に向けての協力班を組織しました。8月 7日にご都合のつく15名の先生方にお集まりいただいて、この問題をディスカッション しました。さまざまな意見が出てきて、結局、なかなかまとまりにくいということがご ざいまして、その問題をどういうふうにしていくかという大きな問題が残りました。 そのときに感じたのですが、今、石名田先生がおっしゃられたようにこの分類は一体 ターゲットをどこに置いているのか。統計情報管理者なのか、あるいは医師なのか、あ るいは診療情報管理士なのか、どの辺をターゲットにこのICD−11の改訂に向けて 検討しようとしているのかよく分からない。というのは、2005年にWHO−FICがプ ランを作り、それに沿って粛々と進んでいる。去年のチュニスのミーティングもそうな のですが、それに沿っているのですが、その中で四つの部門に、例えば臨床研究とか、 公衆衛生活動とか、保健活動とか、そういうところにICDを活用していくのだと、売 り込んでいくのだというふうにちゃんと言っているのですね。 しかし、日本の国がそれに呼応できるような形になっているかという問題もあります し、ターゲットが明確でないということで、たくさんの意見が出ました。今、詳細には ご紹介できませんが、それらをまとめて私の立場で考えさせていただくと、これだけの 各医学会が集まって、ICDに対する専門委員会を組織している国というのは世界にな い。日本しかないですよね。これは特筆するべきことだと思いますし、そういう組織体 制はどこの国も取れていないのですね。今度のトリエステに行ってもそうだと思うので すけれども、そういう素地すらないので、日本から出て行くのはこの委員会で何を言う のかが問題で、共通の認識としてまとまった意見を出さないで、個々の意見がばらばら に出て行くとやはり同じことになってしまう。日本はせっかくあれだけまとまったのに、 出てきていることは今までのばらばらと同じじゃないかとなってしまう、そのことを恐 れたのですね。 ですから、この委員会でまとまった意見を提出する。例えば実際みんなが話し合った ときには、今の章立てのABCというのは26しかありませんので、それを取り払ってし まってオール数字にしたらどうだろうか。それから、剣印とか星印というのはパソコン で打とうとすると打てない。出てこないのですよね。あんなものを付けて、あれは手書 きの世界だ、ペーパーの世界で楽しんでいるに過ぎないというような厳しい意見があっ て、もっと他の企業がやっているように、分類と言うのを今のITの世界に即したよう な分類方法に大きく変えなければならない。そうしたら、枠もうんと広がりますので、 先ほどの重層構造もみんな取れるというような意見もいろいろあったのですね。そうい うことを共通のコンセンサスにしないと、ばらばらに言っても仕方がないなと思ってい ます。この辺は厚生労働省のICD室と菅野先生に頑張っていただく、まとめていただ くことが必要かなと思います。 それで、今回はもう10月ですからそこまでは無理でしょうけれど、是非そういう方向 でお願いしたいなと思います。そういう意味でしたら、私どもも全力を上げてお手伝い できると思っております。 ○藤原座長 ありがとうございます。先ほど来の議論ですが、まず日本としてコンセンサスを得ら れるようなところでまとまろうって、見本を示してここまでやると臨床の現場でもまあ まあ使えますといったものを示す。ただし、将来像としては更にそれを積み重ねていく という、そんなようなことをできたら日本から出したいと、こういうようなご意見と伺 ってよろしいですね。 今、どなたか手を挙げられましたが、どうぞ。 ○事務局 事務局の方から回答させていただきます。 まず、大井先生に力強い協力体制のお話、あるいは全体を通してのお話をいただきま して大変ありがたいと思っております。ありがとうございます。 三点につきまして事務局よりご説明をさせていただきたいと思います。最初に木原先 生より内科TAG、他のTAGも含めてだと思いますが、所掌する範囲、対応する範囲 の話が一点あったと認識してございます。二点目、石名田先生より、そもそも検討は行 うのだけれども、では何をどこまで検討すればいいかというのが非常に不明確な形にな っているというご批判をいただいたと認識しております。三点目、二点目と非常にリン クする話でございますが、そもそもユーザーのターゲットが絞れていないということで のお話をいただいたと認識しております。 一点目から、内科TAGのところでございますが、この内科TAGに関しては日本が イニシアティブを取っていくことにつきましてWHOより話が来ているところでござい ます。では、その範囲をどこにするかというところにつきましても、今、菅野先生とご 相談させていただきながら調整を行っているところでございます。もちろん、WHOの 組織の一つとして内科TAGを日本として運営していくというところがございますが、 当然、日本にイニシアティブが任された部分でございますので、国内の調整が大事だと いう認識でございます。 ですので、その内科TAGの範囲をどうするというところにつきましても、日本とし てイニシアティブをいただいているところでございますので、木原委員を初めといたし まして各種関係学会の先生から意見をいただくような形で国内調整を図りまして、内科 TAGというのを構築、もちろん菅野先生とご相談しながら構築させていきたいと思っ ているところでございます。ご助言いただければと思っております。 二点目につきまして、範囲、どういった検討をどこまでのものをすればいいのかとい う深さのお話といったようなところがあったと認識しておりますが、これは非常にミッ ションが定まっていないがゆえに非常に漠とした話になっているところはまさにご指摘 のとおりだと認識しております。この点はWHOの方で具体的な話が、まだ、その枠組 ですとかどういった組織体系という話まででございまして、具体的な話がきていないが ゆえにミッションが定まらないというところが非常にあるかと思っております。こちら としても先生方にご意見をいただくのに、非常にぼんやりしたものが多くて心苦しく思 っているところでございます。 ただ、この点に関しましては、二点ございまして、一点は逆にそういうぼんやりした 状態だからこそ、「こういう形で進めていくべき」という意見をまだ言える段階にある ということが一点ございます。もう一点ございますのは、WHOの方でも今後まずドラ フトというものを作成するというふうに現時点での予定ではなってございますので、ド ラフトができた段階では、そのドラフトをたたく、そのドラフトに対して意見を言うと いう形で、まだ現状よりは少し定まったミッションという形で先生方にご相談なりご検 討していただく状況が整うかと思ってございます。 このドラフトを今少し予定が遅れ気味になっていると伺っておりますが、大体この数 年、2〜3年のうちには作り上げるという予定で伺っておりますので、是非ご意見をい ただければと思います。今のイメージといたしましては、そのドラフトの中に何を盛り 込んでいくかという認識で取り組んでいただければ大変ありがたいと思ってございます。 三点目、ユーザーターゲットが絞り切れていないというところでいただいてございま す。これは非常にぼんやりしたものであるがゆえにこそ、ユーザーターゲットを想定さ れるものを厚生労働省として発言するというのは非常に苦しいというところをご理解い ただければと思っております。 関係部局の担当者等にも当然このICD−11の改訂の情報は省内で共有を図ってい るところでございます。担当者からの率直な意見としていただいておりますのは、「是 々非々」だと。いいものができれば使うし、使えなかったら使わないというのが非常に 本音ベースでいただいているところでございます。 逆に言うと、今後使われる可能性があるという分野を想定しながらご検討をいただき たい。全体として医療の質に貢献できるICDになればという形で我が国としても取り 組んでいるわけでございますので、質問をそのまま返すような言葉になりますが、その ユーザー設定も含めて、ユーザーターゲットも含めて先生方にご議論・ご提案をいただ ければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○藤原座長 どうぞ。 ○土屋委員 国立がんセンターの土屋ですが、今のご説明で私なりの解釈の理念は参考資料1の日 本語版の3ページの「背景」のところに書いていただいているように、そのパラグラフ の最後ですけれども、「医療部門に置ける意味のあるコミュニケーションと情報交換を 国際的に医療部門全体で行うことが可能になる」と。 次のパラグラフ最初に「分類の科学的な今日性と公衆衛生における有用性を維持する ため」と。ここに多分尽きるのではないかと。したがって、いつも我々が悶々としかね ないのは、これはやはりあくまで公衆衛生の観点だということと、それとやはり国際的 ということ、我々は国際的というと欧州・アメリカを想像するのですが、やはりアジア ・アフリカまで含めて、アンダー・ディベロップトまで含めて国際比較が最初の原点で あろうというふうに考えるのですね。したがって、臨床でこれを使おうとすると、齟齬 が出てくるのは最初から当然だろうという気がいたします。したがって、我が国のよう に関連学会がすべてこぞって協力する体制がないのが当たり前とのよその国の考え方で あろうと。 ただ、我々の臨床をやっている立場からすると、これは国際的な比較、公衆衛生ある いは疫学的な観点で、有用でかつ臨床に邪魔にならないものにすべきではないかと。ま さに臨床にも使おうとすれば使えるというようなところでとどめておいていただくとい うことが必要ではないか。 その例は、先ほど事務局からTNM分類(UICC)が出ましたけれども、これはU ICCで2007年の改訂の予定が今、2009年に延期になっていますけれども、これが多 分決まっても、アメリカは大概逆らって、AJCCで勝手にモディファイしたのしか絶 対使わないのですね。これは過去何回改訂やっても、我々は金科玉条のごとくUICC に従おうと。日本の国内の学会の方を曲げてでもUICCで揃えようという努力をむし ろ教条的にやるのですが、アメリカの連中は絶対やらない。 病理学的にもWHOの資料1の9にICD−Oが出ていますけれども、同じWHOが 病理学的分類の委員会を別に持ってもっと細かいのも作ると。肺癌の場合はしたがって、 WHOでやろうとすると今度WHOの組織分類がときどき変わってしまうということで 振り回される。それではアメリカはそれに従うかというと、アメリカは軍がAFIPと いう非常に大きな組織分類にお金をかけてやっていますので、これが改訂されると一斉 にそっちへ転んでしまうということで、恐らくこれをすべて厚生労働省がいろんな臨床 の方に今、DPCに一応ICD−10が基本になってやっていますけれども、これを厳 格に当てはめようとすると、かえって間違いになる。やはり我が国は我が国の保険の社 会の実態に合わせた分類を考えていかざるを得ないだろうと。 したがって、ICD−11の場合にも国際的に比較ができるということで、公衆衛生 の観点だというところに線を引いておかないと、かなり堂々巡りになって、期待したこ とが逆に裏切られているということにならないかなという気がいたします。 ○藤原座長 非常に貴重だと思います。元々が公衆衛生のはずなのに、臨床の現場にでも使えとい う、これは国が決めてそうやってしまったのですね、日本が先走りして。そうですね、 大井先生。日本が世界に先駆けてやってしまった。今更それを言ってもしようがない。 どちらかと言うと、今のご意見は公衆衛生に重点を置いて、リビジョンなり何なりをし てやっていって、そして、使えるならば臨床の現場も勿論それを使ってもいいのだよと いうことで、これに則って病名を分類しないならばDPCになったときに払わぬぞなど という、そういうような厚生労働省の姿勢だけは取らないでくれと、こういうふうに私 は取ったのですが、先生、よろしいですか。 ○土屋委員 はい。 ○藤原座長 いかがでしょうか。菅野委員。 ○菅野委員 いろいろご意見が出たところでございますが、これは恐らく皆さん共通の認識だろう と思います。こちらに先ほど土屋委員の方がご指摘いただいた3ページで、我々がとり あえずここにおられる学会を代表される方々が考えていただきたいことは三つの視点と、 最後の方の下から4行目にございますけれども、科学ストリームと臨床ストリームと。 今度の改訂はこういったサイエンティフィックベースあるいはエビデンスベースの流れ を反映させるということでございます。 今、使われている分類を見ますと、これらに則らない分類あるいはそれらが分類とし てはあるけれども、お互いの関係が必ずしも一致した基準でなされていない分類という のがたくさんございまして、そういったものを整合性が取れるようにするというのが最 初の作業としてはあるわけでございます。そこのプラットホームとしては、こちらの図 1というのが8ページ目にございますけれども、このICD−11に向けてのICD− 10+というプラットホームがございまして、まずそこに意見出しをするということに なっておりますので、したがいまして、大きな構造を考える前にこちらにある程度意見 出しをしていくという形が現実的なプランとして行われようとしております。 ですから、まずここに向けてそれぞれの学会の先生方がいろんな問題点を今、厚生労 働省の方でも集計させていただいておりますけれども、12月までにサイエンティフィッ クなベースとして今の分類が正しいのかどうか、あるいはこうあるべきではないかとい う意見をお出しいただくということが具体的な作業としてはお願いしたいということで ございまして、特に内科につきましてはその辺をきちんとお願いしたいということでご ざいます。 と申しますのは、我々がリーダーシップを取って改訂の動きをこのTAGの中で、こ のプラットホームの中で進めていく必要がありますので、我々がそういったEBMに基 づいた意見出しをすることが責務として、日本の責務として求められているからでござ います。したがいまして、そういいますと非常に具体的になってこようかと思いますの で、それぞれの関係される章につきまして、そういった具体的な作業をお願いできれば 大変ありがたいというふうに思います。 それから二つ目はやはり更に将来のICD−11に向けてですけれども、先ほど来、 日本では非常に優れているシステムが厚生労働省を中心としてでき上がっているわけで ございまして、こういった会議でセクションを越えたディスカッションができるという ふうに考えております。したがいまして、例えば外因のところでお出しになっておられ たさまざまな臨床に応じた重症度であるとか、そのような分類の体系の仕組みを考える ということがここの重要な課題になっておりまして、それは腫瘍の問題もそうでござい ますけれども、必ずしも局所局所の臓器に分かれない横断的な病気というのはたくさん あるわけでございまして、そのときに従来のICD−10では必ずしも十分把握しきれ ない状態であるとか、疾患概念であるとか、そういったものを組み入れられるような体 系をここでディスカッションしながら作り上げられるということが非常に重要なことで ございまして、大江先生のようにコンピュータの専門家といいますか、そういう方いら っしゃいますし、それから各臓器の専門家もいらっしゃいまして、極めて似た臨床家の 視点を持った上でディスカッションができる体制があるわけでございます。 従来のWHOのICD−10までのクラシフィケーションシステムを作っておりまし たが、パブリックヘルスの関係でございまして、これは従来からも重要で、モータリテ ィを中心として分類がなされないといけないというのは途上国を含めて、ある意味で統 計を揃えていく基本的な部分ではございますけれども、ICD−10の利用がさまざま なところで進んでまいりますと、それではもの足らないと、そういうことで疾病に向け て更に整備が必要であるという認識が共有されたわけでございまして、チュニスの会議 でモービディティですね。病気の方の分類を新たに改訂を進めていく作業グループもで きたわけでございまして、そういった一環で改訂にむけた特に強力な体制を敷いている のが日本であると。 そういったベースを基に、新たなICD−11の枠組み、これは疾病もかなり大幅に 入ってこようかと思いますが、よりフレキシビリティのあるようなシステムを作ってい く。そして、それを提言できるということが今回非常に重要な今までにない日本の立場 の変換ということでございまして、こういう場でICD−10+というプラットホーム を進めながら、せっかくご提言になった幾つかのアイデアがもう既に出ておりますけれ ども、そういったものをたたき台としまして、新たなICD−11の構造体系を作って いくというのがこちらの大きなこれから数年に向けての課題ということになっていくの ではないかと思います。 そういった中で、JMというのは、これは言い過ぎですけれども、個人の意見ですが、 日本にとって更に利用価値の高いICD−10の形というのも見えてくる可能性がある のではないかというふうに考えておりまして、そういう意味でここに集まられている先 生方だけではなくて、来られていない代表の学会の方もいらっしゃると思いますけれど も、それはそれといたしまして、日本が非常に強力な立場にいるということ、それから 日本のそういったサイエンティフィックあるいはエビデンスベーストの意見が反映され る立場に立っている。逆にそれを基に作った体系が、これはWHOにとっても非常に今、 参考になるということだけは言えるわけでございまして、そういう意味で決して無駄な ことをするのではなくて、我々が主体的に絡めば、かなりリードしていく立場になる。 サイエンティフィックな貢献を人的にもやっていけるという、そういう意義を持った会 ではないかというふうに思いますので、是非そういった点をフォーカスしていただいて、 各学会に持ち帰っていただいて、討議を深めていただければ大変ありがたいというふう に思っております。 ○藤原座長 はい。物を言えるようになった日本、言わねばならない日本、それが国際貢献だと、 こういうわけですね。それでは他にどなたか。 他によろしいですか。まだ時間はございますが、他にご議論なければ。 どうぞ。 ○石名田委員 申し訳ないのですが、確認させてください。この日本語の8ページのプラットホーム と書いてある図1、ICD改訂プラットホーム、これは一体現実的な話なのですか。そ うしますと、これですと提案とかコメント、議論は9ページのとおりユーザはアプリケ ーションを通じて提案できると、誰でもできるようなことが書いてありますけれども、 でもそうではないですね。先ほど先生がおっしゃったように、それの関係者でなければ できないということですね。 ○菅野委員 一応アクセス権が限られておりますが、このアクセス権をもっているのは幾つかのモ ービディティのそういった代表、RSGと、それから各TAGのグループの委員という ことになっておりますので、内科ですと、各TAGにかなり日本人が入れる、TAGの 中のサブワーキンググループですね。ありまして、意見出しができるようになるだろう というふうに考えております。今のところ、TAGのチェアマンにキーとかそのような プラットホームが用意されて、アクセスできるような体制がWHOの本部の方のジョン というコンピュータテクノロジストがおりまして、作っておりますので、この最初の部 分はもう既に現実のものとして機能し始める状態になっております。 ○石名田委員 すみません。最初の部分とおっしゃるのはICD−10+の部分。 ○菅野委員 そうでございます。 ○石名田委員 そういうところですか。ただ、気になるのは9ページの上から3分の1ぐらいの右側 の関連性の提案を除外するということが非常に目につくのですが、その辺、我々が一生 懸命作っても除外される可能性もあるのではないかという気がするんですが、大丈夫そ うですか。 ○菅野委員 そこはいわゆるディスカッションの上手下手といいますか、そのバックグラウンドに ある主張の支えとなるサポーティブエビデンスが強いかどうかというようなことに関わ ってくるところで、ここはなかなか日本が従来苦手で、ディスカッションをリードしき れない、つまり語学のハンディもございますから、部分ではございますけれども、しか しながら、エビデンスベーストの世界になりますと、日本というのは強固なエビデンス を出しさえすれば、向こうとしては納得せざるを得ない部分でありまして、そういうと こをベースにして戦えば、全く戦えないわけではないというふうに考えておりますので。 ○石名田委員 大変わかりやすくご説明いただき誠にありがとうございました。 ○藤原座長 よろしいですか、先生。はい。他にご意見。はい、どうぞ。 ○吉田委員 法医学学会の吉田です。私たちはいわゆる異常死というか、臨床の先生方はちょっと 抵抗があるかもしれませんけれども、診療経過があまり明らかでないとか、あるいは在 宅死亡であるとか、そういう死亡について死因を究明する立場にあるのですけれども、 そういうものが概ね日本では全死亡の10数%、先進国では概ね大体3割なり4割ある。 ただし診断基準がはっきりしていませんので、なかなか診断がきっちりつけられていな い。境界領域では救急医学会さんとの間に5外因死あるいはそれに類縁するようなもの がありまして、これは救急医学会が進められている作業に参加させていただくような形 で、そこに関与していきたいと思うのですけれども、ここで申し上げたいのは、日本に おいては10数万人の異常死という監察制度があるところでは監察医が関与して決めて はいるのですけれども、一般の臨床の先生方がそういうことに関与しながら診断を決め られている現状がある。そこにある程度、こういう場合にはこういう診断をつけた方が いいという基準をある程度私たちとして示していかなければいけないのではないかと。 例を挙げましたら、例えば入浴中の死亡というのをここに挙げていただいていますけ れども、あるいは乳幼児の死亡、これにつきましては外因死であるか内因死であるかと いう、どちらかであるかによって、その関係した人の責任が極端な場合には裁判で争わ れるというようなことにもなりかねませんので、そういった観点から学会としてはいろ いろ他の学会のご指導というか協力をしながら、この作業には参加していくというふう に考えております。以上です。 ○藤原座長 よろしくお願いいたします。他によろしゅうございますか。どうぞ。 ○横田委員 横田でございます。今後の活動についてお願いがあります。資料には今後の予定をお 書きになっていますけれども、この分科会、専門委員会の方で9月までにこういう意見、 12月までにはこういう意見をお出しくださいというふうにある意味で宿題を与えられ ていますから、こちらも行動が起こせるわけですが、来年の1月以降はもう何もしなく ていいのかということになります。したがって、この先、どうすべきなのかという情報 をWHOとの関係の委員会の進捗状況を捉まえて、こういう専門委員会を開かれること なくちょっと早めにいただく方が学会の中でも動きやすいのかなと思います。突然言わ れたりしても、本業がありますので、なかなかそのために集まってくださいというのも なかなか言えませんので、その辺をひとつお願いしたいと思います。以上でございます。 ○藤原座長 ありがとうございます。連続性を持たせるためにも、情報はなるべく早く我々にも学 会にも共有させてくれと、こういうご主張だと思いますが、誠にそのとおりだと思いま す。他に。どうぞ。 ○岩下委員 産科婦人科学会の方なのですけれども、産科婦人科学会が何かTAGが相当するもの がないという話で、前の会議のときに出ましたけれども、これはサブスペシャリティの 学会が我々のところにありまして、生殖の方と周産期新生児学会、それから日本更年期 学会というところにお願いをいたしまして、ICDの構造のところはちょっと無理なの ですけれども、細かい意見をいただくことになっております。 そこでちょっと質問が出たのですけれども、前にTAGを作るときに、例えば生殖と か周産期で作りたいという意見もあるのですけれども、何か厚生労働省の説明だとスポ ンサーがついて国際会議が開けるだけのお金を準備しなければTAGは作れないという ふうに私は理解していましたので、そういうお話を全部したら結局その話は、そういう 話は無理だというふうに言ってきたんですけれども、お金のことはよろしいわけですか。 違いますか。 ○事務局 事務局よりご説明させていただきます。スポンサーをつけてくださいという話はちょ っと違いまして、逆に言うと国際会議の場ですので、本当にスポンサーという形で例え ばどこかのメーカーさんだとかがポンとつくという形では認められないと、一企業から のそういう出資は認められないということになりますので、スポンサーと言われると非 常に返す言葉に窮してしまうところでございます。 WHOの方でも今、資金集めの対応をしているところでございますので、WHOの方 で資金がきちんと潤沢にあれば、WHOの方でもちろん整えていくということになりま す。ただ、WHOも我々厚生労働省もそうでございますが、大きな財源があるわけでは ございません。一方では、お金なしでできるのかという話になりますと、そういう訳に も参りませんので、WHOでは各国の有識者に対して自分たちでどうにか、学会等の援 助を受けて協力してもらえないかといったような交渉もしているところではございます。 企業等のスポンサー集めをしてくださいという話ではございませんので、そこの部分だ けは苦しい回答になっておりますが、ご了解いただければと思います。 ○大井委員 もしそういう意味で誤解があると申し訳ないのですが、ICD−11のリビジョンに 向かって非常に拍車がかかった要因の一つは、ICDのレベルアップのためにWHOに もうちょっと頑張っていただきたいというので、日本病院会は貧乏な集まりではありま すけれども、年間30万ドルを拠出してICD−11に向かってどうぞお使いくださいと 申し出ました。それで、日本病院会の山本会長がジュネーブに行ってWHOと調印を交 わし、パートナーとなり、年間30万ドルずつ拠出して、それで動き出したということは 確かにあると思います。 しかし、私どもは日本のためにとか、そういう意味で言ったのではなく、どうぞIC Dの改訂と普及にお使いくださいと出したのですけれども、実情を聞きますと、WHO は抱えている問題がたくさんありますので、ICDに回ってくる金がほとんどなかった のですね。会議もなかなか持てないような状態だったのですが、日本病院会からの拠出 を受けて動き出したと聞いています。そういう意味では、私どもは良かったと思ってい るのですが、誤解されると困るのは、日本はそのために、言えば幾らでも金が出ると思 われることで、それはやはり間違いですし、そんなことはございません。 ただ、拠出している金額でTAGがたくさん立ち上がったときにみんな賄えるかとい ったら、それはとても無理なのですね。ですから、どうしてもある程度ポイントを絞ら ざるを得ないのだろうなというのはよく分かります。その辺の意味合いであって、出さ なければならないとか出すべきだなどというふうにはWHOは決して言ってないと思い ますので、ご理解いただきたいと思います。もし誤解を招いていたとしたら申し訳あり ませんでしたけれども、説明させていただきました。 ○高橋委員 余り大きい話ではなくて、委員会の中の話なのですけれども、例えば12月に向けて提 案を出していくというときに、先ほど申し上げたように耳鼻科とか眼科というのがどこ にも今のところ見当たらないわけですけれども、耳鼻科と眼科で感覚器の疾患というふ うな概念で、意見を出していく、そういう作業をやっても構わないわけですね。 ○菅野委員 これは厚生労働省の首藤前室長が、このRSGにも入っていらっしゃいますし、厚生 労働省を窓口にしてTAGがなくても意見出しができるシステムがありますので、是非 お出しいただきたいというふうに思います。 ○藤原座長 どうぞ。 ○木下委員 私は今回、歯科学及び口腔科学分野の代表ということで、日本口腔科学会から代表に なったのですけれども、実は歯科学、口腔科学というのは派生分類にもありますように、 かなりそれなりに詳細な疾病分類ができております。今は本体の改訂なのですが、将来 そういう派生分類の方まで当然、改訂する必要が出てまいります。その場合、やはり我 々の領域ですと、日本歯科医学会が最大の学術団体となります。もちろん私ども口腔科 学会のメンバーはこれにほとんど加入しておりますが、今回は、厚生労働省の調整で一 応、私が両方の意見を集約するということになっております。この点、今後、よろしく お願いします。 それと、TAGについて、今、お話も出たのですけれども、歯科学及び口腔科学とい うと、どのグループに属し、改訂意見の提言をすることになるのでしょうか。消化器と いうことで内科の方に入るのでしょうか。どうなのでしょう。 ○菅野委員 ボードとしてはKコードのところにございますけれども、骨折だとかになるとまた後 の方の20とか19とか、あの辺は19でしょうかね。あの辺に入ってくるのかも。 ○藤原座長 その辺も含めてね。 ○菅野委員 関連のところはすべてご検討いただいて、おかしいと思われるところはお出しいただ ければよろしいかと思いますが。 ○藤原座長 どうも。先生、どうぞ。 ○長村委員 長村ですが、私は内分泌学会の代表でここに出ているのですが、内科学会の分科会は 菅野先生を中心に、内分泌学会の内科の伊藤先生と島津先生に出ていただきますので、 そちらで恐らく話が進むと思います。私は病理という立場でもありまして、病理ではこ れまでの議論の中で、やはりどうしても境界領域が問題に残ります。良悪も含めて。で すから、例えば食道とか胃とか日本で非常に頻度が高いものを重視していくと国際的に もかなり貴重な意見を述べていけるのではないかと思います。是非、お考えいただきた いと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。それではずいぶん活発なご意見をいただきましたのですが、 今までの討論あるいは事務局等から説明を基に、今後またご意見がございましたら、こ れは次のWHO−FIC年次総会前までに事務局に提出いただきたいということになろ うかと思いますが、いつごろまでなら大丈夫ですか。事務局で何か説明ありますか。 ○事務局 そうですね。大体10月20日ぐらいまでですと、出発前にまとめが可能でございます。 ○藤原座長 いずれにしましても、最終的に総会でどのような主張になるのか、日本からですね。 これは事務局で今いろんなご議論を踏まえまして、調整して、上げることになろうかと 思いますが、座長あずかりということにさせていただいてよろしゅうございますか。少 なくともこれは走り始めたものであって、将来につながるという視点で捉えないと、こ れをファイナルというふうには私はできないと思うのですが、そんなようなことを厚生 労働省にもお考えいただければというふうに思いますが、よろしゅうございますか。で は、そのようにさせていただきます。事務局から何か追加ありますか。 ○事務局 ご意見、歓迎いたしますので、WHOへの意見提出ということで、メールアドレスを 示してございますので、そちらの方に意見をいただければ集約をいたしまして、今回、 間に合えばトリエステに預かって持っていきたいと思っております。 ○藤原座長 それでは、議事の3、その他ということになりますが、特別用意したものがございま すか。どなたか、何か。これまでの1、2と別にこういうことも考えてくださいという ようなことでもございましたら、どうぞ。 よろしゅうございますか。 特にご発言ないようでしたら、今後の予定について事務局からご説明願います。 ○事務局 今後の予定ですが、今日、この後、国際WG協力員の説明会がございまして、引き続 きこの場所で開催いたしますので、担当の方は残っていただければと思います。 次回の委員会ですが、未定でございますので、委員長とも相談の上、改めてご連絡を させていただきたく思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○藤原座長 それでは、以上で本日の第4回社会保障審議会統計分科会疾病傷害及び死因分類専門 委員会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課     疾病傷害死因分類調査室     電話 (代表)03-5253-1111(内線)7493