07/10/04 社会保障審議会後期高齢者後期高齢者医療の在り方に関する特別部会平成19年10月4日議事録 07/10/04 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会          第12回議事録  (1)日時    平成19年10月4日(木)15:02〜16:00 (2)場所   はあといん乃木坂「フルール」(地下1階) (3)出席者  糠谷真平部会長 鴨下重彦部会長代理 遠藤久夫委員 川越厚委員 高久史麿委員 辻本好子委員 野中博委員 村松静子委員         <事務局>         水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 他 (4)議題   1.後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(案)(たたき台)について (5)議事内容 ○糠谷部会長  定刻を過ぎましたので、これより「高齢者医療の在り方に関する特別部会」を開催いた します。  委員の出欠状況について御報告をいたします。本日は、堀田委員が御欠席でございます。 川越委員、高久委員は後ほどお見えになると思います。  それでは、議事に移りたいと存じます。前回の特別部会においては、「後期高齢者医療 の診療報酬の骨子(案)たたき台」について議論をいただきました。また、本部会の後に 開催されました医療部会及び医療保険部会においても、同様にたたき台をお示しして議論 をいただいたところでございます。本日は、前回の特別部会においてもお伝えしましたよ うに、たたき台について前回の特別部会、医療部会及び医療保険部会でなされた指摘を事 務局において整理させた上で、たたき台に必要な修正を行い、骨子案を作成させました。 それについて議論をお願いしたいと考えております。  それでは、事務局より資料に沿って説明を願います。 ○原医療課長  本日は、資料1「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(案)」、資料2−1、2−2 として、社会保障審議会医療部会、また医療保険部会における主な意見を取りまとめてお りますので、ごらんいただきたいと思います。  骨子(案)の説明に入ります前に、先ほど説明がありました医療部会、医療保険部会に おける主な意見をざっと紹介をさせていただきます。資料2−1をごらんいただきたいと 思います。  医療部会ではさまざまな医療関係の団体の方々も入っておられまして、さまざまな意見 が出ました。ここでは、骨子(案)の項目に沿った形で一応まとめてございます。  1番目、全体的な基本的事項や総論関係ということですが、ここもさまざまな意見がご ざいましたが、74歳以下との医療の継続性という観点で同じ評価とすべき、という御意見 とか、医療に違いが生じるようなことがあってはならない、という御意見がございました。  その後、支払いの方式についても若干御意見が出ました。例えば4番目の○でございま すが、外来は出来高払いあるいは入院も原則出来高払いという御意見がある一方で、重複 等の抑制や効果的・効率的な医療提供の視点が重要で、包括的な支払方式を基本とする、 という御意見もございました。  2ページになりますが、そのほか、情報共有と連携というのが一つのキーワードになっ ておりましたが、そのためのシステム化であるとか、一定技術を活用してはどうかという 御意見もございました。  外来関係は両部会でもたくさん意見をいただいたところでありますが、外来として後期 高齢者を総合的に診る取り組みというものを、ここでは「主治医」という言葉を使ってお ったわけでありますが、それに対する御意見が多々挙がっておりました。  例えば、ややネガティブな意見としては、総合的に診る取組というのはフリーアクセス の制限につながるのではないか、という危惧を示された委員もおられました。  さらに、ほかの科を紹介するというのは従来でもやっているのだから、別に評価する必 要はないのではないか、という御意見もございました。  病院団体の委員からは、ここでは主治医というのは主として診療所の医師を想定してお ったわけでありますが、病院の医師も実際、主治医の役割を担っているというものがある ので、そういうことを評価すべきではないか。診療所に限定することには反対である、と いう御意見もございました。  それから、主治医というのは余り明確な形では見えてこないということで、もう少し機 能を明確化するとか、あるいは主治医については基本的に患者さんが選択することを考え ているわけですが、その選択に当たっての情報提供が必要ではないかという御意見もござ いました。  それから、在宅医療や終末期における医療関係では、特に居宅系施設等における医療提 供についてですが、特に介護保険との役割分担といいますか、そのあたりの調整をしっか りとするように、という御意見もございました。  「高齢者は在宅へ」という流れについて、これを強制的に進めると孤独死などがふえる 等々、いろいろな危険が考えられるので、これを強制的に無理やりやるのはよくない、と いう御意見もあったところでございます。  続きまして資料2−2、医療保険部会でございます。ここでもいろいろと御意見がござ いました。  全体的な事項としては、先ほど言いましたように74歳以下との医療の連続性についての 御意見が出ましたし、一方で、飛躍的に増大する費用をどうするのか、その点に留意した 議論も必要だという御意見もございました。  それから、在宅医療の推進や長期入院の是正。これまでの老人診療報酬での取組、これ は引き続き進めていくべきである。そういう意味で、診療の標準化や質の担保を図りつつ 包括化を進めてはどうか、という御意見がございました。  外来医療関係では、医療部会と同様、やはり主治医というものについての御意見が出ま した。特にいろいろ議論がされております標榜科としての「総合科」、それと結びつけて 人頭払い制度という支払い方式はよくないということで、そういう意見でないのならばわ かるように明記すべきだという御意見もございました。それは、この項目の下にあるフリ ーアクセスが守られるべき、という御意見と同様でございます。  総合的に診る取り組みを行う主治医、この育成あるいは養成といいますか、それをしっ かりとやっていくべきではないかという御意見が幾つか出てまいりました。それに対して、 人材の育成については職能団体による積極的な取り組みが重要なのではないかという意見 も出されたところでございます。  入院医療関係では、現在においても文書説明の徹底がされていない。特に説明をしっか りとするように、という御意見がございました。  在宅医療及び終末期の医療関係で、ここではチームで医療をするというところが重要な のだという御意見が出ておりました。ここでもやはり、居住系施設における医療について、 医療保険と介護保険の関係を整理する必要がある、ということが出ておりました。  以上が主な意見でございますが、これらを踏まえまして、資料1の「骨子(案)」でご ざいます。たたき台から若干変えておりますが、大きく変えましたのは最後の部分に出て まいります。特に「留意すべき事項」のところに、今出ました意見等を組み込んでまとめ ました。それについては後ほど説明いたしますが、とりあえずここでは「骨子(案)」の 1ページ目から、これは繰り返しになりますが、順次説明をさせていただきます。  まず「骨子(案)」の1ページは、前回のたたき台からほとんど変わっておりません。 二つ目の○で、さまざまなことを踏まえて、部会はきょうが12回目になりますので、きょ うまとめていただきますと、「18年秋より12回にわたり部会を開催し、議論を重ねてきた」 という形になるということでございます。  中身としてのまず基本的事項、後期高齢者にふさわしい医療、こういうところでござい ますが、ここは文言として変更したところはございません。ここは、春にまとめていただ きました基本的な考え方のところから、特性でありますとかあるいは視点という中でそれ ぞれ三つずつにまとめていただいたものを詳しく書いております。  2ページの上の二つの○のあたりは、74歳からの連続性ということで記述をしたところ でございます。このあたりはたたき台のときと変わっておりません。  2として「後期高齢者医療の診療報酬に反映すべき事項」、ここから具体的な事項に入 るわけですが、ここの初めの二つの○については、従来からの老人診療報酬での取り組み、 これらの経験を生かしながら高齢者医療の現状を踏まえて、後期高齢者医療にふさわしい 医療が提供されるよう、という基本的な大まかな方針を示しております。ここも文言は変 わっておりません。  3ページに、具体的に「外来医療について」ということでございます。ここでは、まさ しく先ほど、さまざまな議論がございました。「後期高齢者を総合的に診る取り組みの推 進」ということで、ここでは具体的に診療所に限るとか病院に広げるとかそういうところ は一切触れておりませんが、意見としてはそういうものもございましたし、そのあたりは 中医協で議論をしていただければと思っております。  文言として少し変えさせていただきましたのは一つ目の・ですが、「患者の病歴、受診 歴や服薬状況、他の医療機関の受診状況等を一元的に把握すること」という形にしており ますが、一元的というよりは、主治医としてそういう意見をしっかりとつかまえるという 意味で、主治医だけが把握するという意味ではありませんので、そういう意味では「一元 的」という言葉を「集約して」という言葉に変えさせていただいております。  あとの「基本的な日常生活の能力やその他、総合的な評価を行う」ということについて は、変えておりません。  外来医療における「薬歴管理」ですが、この部分についても文言を変えておりません。  「関係者、患者・家族との情報共有と連携」、ここもたたき台のときのままでございま す。 「入院医療について」でございますが、「退院後の生活を見越した計画的な入院医 療」ということで、ここでは、本来の入院目的の治療が一段落した後で引き続き入院期間 がある場合に、退院を見越した入院での診療計画をつくってください、その部分について 書いてあるのですが、ここについても文言の修正はございません。  「入院中の評価とその結果の共有」ということで、ここも入院中に後期高齢者を総合的 に評価をして、その後の退院後の療養なり生活なりについてのことを考えていきましょう。 そのために関係者が一堂に会して行うカンファレンス等を通じて情報共有をして連携して ください、こういうことでありましたが、ここも文言については「カンファレンス」の頭 に「ケアカンファレンス」とありましたが、ここでは「ケア」という言葉をとって「カン ファレンス」という言葉に直しただけでございます。  「退院前後の支援」ということで、ここは患者の入退院は非常に場面が変わるわけで、 非常に患者にとってストレスの大きいところであります。特に退院時、非常に不安になる。 病院という中から出ていくことに対する不安がありますので、その退院調整等、退院前に しっかり指導をしていく。これによって、入院から退院後の医療、生活にスムーズに橋渡 しができるようにしたいということで、ここも変わっておりません。  3番目の「在宅医療について」でありますが、ここの「情報共有と連携」についても文 言について修正はしておりません。  「病院等による後方支援」でありますが、この部分についても文言の修正はございませ ん。  「在宅歯科診療」でありますが、ここも口腔ケアを初めとして口腔機能の維持管理が重 要であるとともに、在宅での歯科診療という部分について述べましたが、ここも文言を修 正しておりません。  「在宅療養における服薬支援」の部分についても、文言の修正はございません。  「訪問看護」でありますが、訪問看護の役割を非常に重要視しているわけでありますが、 この部分についても文言の修正はございません。  「居住系施設等における医療」ということで、これについて介護保険との調整をしっか りしろという御意見がございましたが、この部分において文言の修正はしておりません。  4番目は「終末期における医療について」であります。終末期の医療の部分で、患者が 望む終末期の医療を求めていこう、そういう方向についての診療報酬上の評価。それから、 最後のみとりの部分における訪問看護について記述をしておりましたが、ここでは当然な がらみとりの場面における医師の診療というのが入りますので、「訪問診療や訪問看護」 という形で、「訪問診療」という文字を追加させていただいております。  もっぱらがんの末期を想定した「疼痛緩和ケア」の部分については、若干語句をプラス いたしまして、初めの4行ほどを追加しております。「緩和ケアについては、入院、外来、 在宅を問わず、疼痛緩和を目的に医療用麻薬を投与している患者に対して計画的な医学管 理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行うことを評価することで、質の高い療養 生活を送ることをできる体制を整備する必要がある」。がんの痛みは決して末期だけでは なくして、がんの早期のときからも痛みはございますので、そういうものの緩和ケアをし っかりとやっていくべきであると。これは、私どもでつくっておりますがん対策基本計画 というものに基づいて、若干ここをつけ加えさせていただきました。  その続きの「また、在宅ターミナルケアで使用する」云々の部分については、文言の修 正はございません。  3番目は「留意すべき事項」であります。ここは、まず一つ目、これは全面的に加えさ せていただきました。「後期高齢者を総合的に診る取組の推進について」。ここは、先ほ ど紹介しましたように相拮抗する御意見がございました。一つは、後期高齢者を総合的に 診る取り組みを行う主治医については、いわゆる主治医の登録制度を導入すべきという指 摘があった一方で、そのようなものは患者のフリーアクセスが制限されるということで適 当でない、という御指摘があったところであります。  この部会としては、総合的に診る取組を進めていく必要があるという認識では一致して いただいておるわけですが、現在は普及定着を進める段階である。そういう意味において もこれから普及定着する段階なので、今すぐに登録制度云々ということは議論の時期とし てはまだ早いという認識でありまして、さらにフリーアクセスという意味では、主治医の 選択は患者みずから決定していく形を考えている。そういう形で答えているわけでありま す。中医協で具体的な診療報酬点数を考えるわけですが、その場合にはこれらを念頭に置 いてくださいということが書いてあります。  やはりここで、主治医の役割を担っていただく医師の養成は非常に重要なことでありま すので、これは診療報酬の世界ではございませんが、こういう医師がたくさん出てくるよ うに環境整備が図られていくことを期待したい、とまとめさせていただきました。  以前、「留意すべき事項」とございましたので、それを「その他の留意事項について」 というタイトルをつけさせていただきまして、その中の三つ目の○、「併せて」というと ころをつけ加えさせていただきました。ここは、先ほども申しましたように介護保険との 調整ということでございます。文章としては、「併せて、今後の個々具体的な診療報酬体 系の検討に当たっては、今回取りまとめた方向に沿った医療が第一線においてしっかりと 提供されるための評価の設定や、医療を受ける後期高齢者の生活と密接に関係する介護保 険制度との関係にも十分配慮すべきである」、この一文をつけ加えさせていただきました。 その他のところはそのままでございます。  資料の説明は以上でございます。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それでは、事務局からの説明に関しまして御質問、御意見が ございますれば、どうぞ御自由にお願いいたします。どなたからでも結構でございます。 ○野中委員  一つ気になったので質問します。ここに「評価」という言葉が出ているのですが、「診 療報酬上、評価する」という言葉と、それがなくて「評価する」という言葉があります。 どうもその評価の意味が、患者さんを評価するという部分、その行動を評価する、診療報 酬上で評価する等、この「評価」という言葉があいまいで誤解を与えるのではないかと、 お聞きしていて思ったのですが、どうでしょう。よろしくお願いします。 ○原医療課長  私が見つけましたのが居住系施設における医療のところですか、そこだけが「外部から の医療の提供に対する適正な評価の在り方について検討するべきである」と。あとは、た しか「診療報酬上の評価の在り方について検討するべきである」という文言に統一をさせ ていただいたと思っておりまして。 ○野中委員  いや、4ページの「入院中の評価とその結果の共有」というところで、この入院中の評 価は、違う評価ですよね。 ○原医療課長  わかりました。「総合的な評価の」云々ですね。ここは、以前にここで御議論いただい た、例えばCGAとかああいうものによって後期高齢者の状態像を評価するという意味で あって。 ○野中委員  その行為を評価することなのか、それとも患者さんの状況を評価することなのか、同じ 「評価」という言葉ですが、診療報酬上で評価する言葉なのか。そこはニュアンスの問題 として非常に難しいと思うのです。社会保障審議会のほかの医療部会などでも、評価とい う言葉が出ています。その評価というのは、診療報酬上で評価すべきこととして評価とい う言葉を使っているのか、あるいは患者さんの治療上で評価していくことなのか不明です。 言葉として評価を変えることは無理なことは十分わかっているのですが、そこをもう少し 明確にする必要があります。ここで「評価する」と書いてあったのに評価してないじゃな いか、と言われかねない。後になってそう言われるのではないかと気になります。すぐ答 えは出ないかもしれないけれど、その辺を少し整理された方がいいのかなと思いますが。 ○原医療課長  診療報酬上、どうしていくかについては、「診療報酬上の評価の在り方」という形で全 部くくっております。あとは、確かにに入院中の評価とか云々というのはありますし、そ れから総合的な評価。総合的な評価は、これもアセスメントの評価というのを訳している のだと思うのですが、混乱は多分ないのではないかと思うのですが。あくまで診療報酬上、 点数をつけるかどうか云々の問題については、全部「診療報酬上の評価の在り方」という 形でまとめていますので。 ○野中委員  わかりました。では、診療報酬の上のことは必ず「診療報酬上、評価する」と記載した ということですね。 ○糠谷部会長  ほかにいかがですか。 ○野中委員  何回もこの部会の意見を社会保障審議会の二つの部会に対してあげて意見をお聞きする ということを言われましたから、これでもいいのかなと思うのですが、私としては、フリ ーアクセスと、最後の「留意すべき事項」の○の一番上についてのことで、「高齢者を総 合的に診る取り組みを行う主治医については」云々とありますが、このことに対しては特 別部会で大きく時間をかけて議論して、そして意見の対立があったとは認識していません。 医療部会とか医療保険部会でそういう意見があったということは私は理解していますが、 なぜ特別部会の意見というか骨子としてそこにわざわざ書く必要があるのかと。書いてあ っても別に悪くはないのですが、特別部会の骨子として書くのであれば、本来、その議論 があったかどうか。この部会がほかの二つの部会に対して意見を聞くということで、だか らここであったので書いたというふうに理解すればいいのかどうか、その辺を明確にして いただけたらと思います。 ○原医療課長  ここでは、指摘があったということで、外から指摘されたというニュアンスで書いて、 そして「本特別部会としてはこう考える」という書き方です。この指摘が出ているのは外 からの意見だなというニュアンスで、この「指摘があった」という表現にさせていただき ました。もしもうちょっと明確にするのだったら、「部会に聞いてそういう指摘があった」 と加えてもかまわないと思います。 ○野中委員  ありがとうございました。 ○糠谷部会長  ほかにいかがでございますか。 ○村松委員  骨子(案)の4ページ,「退院前後の支援」というところがあるのですが、この退院前 後の支援、特に退院直後、ここに書かれていますように最も不安ということで、実はきょ う、私はここへ来る前に病院で、来週退院する方と医師、ナース、家族の皆さんとお会い してきたのですが、5ページの「終末期でありながら退院するその直前」というのは、例 えば中心静脈栄養がついていたり、人工肛門がついていたり、さらにもう一つ持続皮下注 射がついていて、その管だけで不安。そして、御主人が後期高齢者。そういう方がいらっ しゃるわけです。  きょうたまたまではなく、私は普段いつも思っていることなのですが、退院前後の支援 の中の直後というのも、いろいろなケースによって物すごく違ってくるわけです。するこ とも考えることも、かかわる人も。そういう意味で、終末期における医療と退院直後の、 あるいは前後ですね、そのあたりをもう少し具体的に下ろして、ぜひ今後検討されるとき はお願いしたいと思いました。この点が1点です。  もう1点は、社会保障審議会医療部会の方で75歳以上と74歳以下との間でというのが あるのですが、これは私どもも随分議論した点だと思いますが、医療に違いが生じるよう なことがあってはならない。実際にどんな違いが起こり得るのか、そしてその対策は、と いうところを具体的に挙げていかなければ、ただ「あってはならない」で終わってしまっ てはどうにもならないのかなと。そんな感じがしますので、一つ一つの項目を今後どのよ うに細かく具体化し、その具体的な点に対してそこそこがどうしていくかというところを 詰めていっていただけたらありがたいなと思いました。以上です。 ○糠谷部会長  何かございますか。 ○原医療課長  いずれも中医協で具体的な点数等々を考えていただくことになると思うのですが、その 際に特に74歳と75歳問題については前書きの重要なところでも触れておりますので、そ の点、事務局として説明させていただくときに留意したいと思います。 ○糠谷部会長  そのほかにいかがですか。 ○辻本委員  3ページの(1)「外来医療について」の三つ目の○の最後のところにありますように、 「必要なカンファレンスの実施も含め、このような情報の共有と連携」、ここに情報の共 有と連携ということがうたってあり、4ページの「入院中の評価とその結果の共有」とい うところにも、やはり情報の共有と連携に当たる文言が並んでいると思います。私も以前 の議論の中でも意見を申し上げておりますことと、それから、この社会保障審議会医療部 会の2ページの2の外来医療関係の五つ目の意見の中にも、「業務に対するチェックの視 点も必要である」という御意見が出ております。情報の共有、連携、そこにはコアという のでしょうか中心になる役割を担う人がいて初めて集約ができるということ、それがシス テムになるとすると、そのコアになる人のいってみれば権限のような、そうしたこともま さにシステム化ということで、もう少し形が見えるようなそうしたものが必要ではないの かなと思います。  私も幾つか医療機関で、在宅支援室のナースのお仕事を今、興味深く拝見しております。 その中心になる人の思いで右にも左にも動いていくのだなということも、この目で見てま いりました。ある病院で、その方の説明を一生懸命聞いていたその後ろから、院長が半分 冗談で、「この人ね、僕の言うこと、ちっとも聞かないんだよ」というそのことがすべて を象徴しているような、そういう感じで情報をいただいてきたのです。  そういった意味では、システムと人、さらにはその人の役割、権限というようなことが 明確になっていくことがとても大切ではないのかなということを思います。 ○糠谷部会長  これは、特に何か事務局からお答えということ……。 ○辻本委員  もしお答えいただけるとすれば、そのあたりのことが具体的には触れていないので、ど のように考えていらっしゃるかということを少し補足説明をいただければありがたいと思 います。 ○原医療課長  実は、情報の共有と連携というのは、当然、在宅、入院、全部のところに書いてあって、 その留意すべき事項のところでもキーワードとして連携や情報の共有というものを書かせ ていただいています。これを具体的に点数化していくときにどういうイメージを持ってい くかということなのですが、そのときに、今御指摘のあった形でのキーパーソンが権限を どれぐらい持つかということは、多分、点数上はなかなか仕組めないだろうと思います。 ただ、その構成をどのようにするかとかそのあたりは条件を工夫することが可能かもしれ ません。  あとは、なかなかチェック機能というところまではいきませんが、それは極端に言えば いろいろな指導監査という制度もあるわけなので、そういう中でやっていく。  それから、今お話がありました、それをシステム化するのは、多分、場所、場所によっ てキーパーソンも変わってくるでしょうし、あるときは看護師さんであったり、あるとき は逆にいうと社会福祉士さんであったりとか、あるいはお医者さんであったりとかあると 思うので、そこは診療報酬で組むときにはなかなか難しいなと思っています。 ○辻本委員  ありがとうございました。 ○野中委員  今、辻本さんが言われたことに、現場の医師として少しつけ加えたいと思います。大学 病院に勤務しているときは、退院は医者が決めるのは当然と考えていました。医者が決め ることはある面では当然かもしれないけれども、それは治療が終わったことを決めている だけであって、本来は患者さんが退院されて自宅とか施設でどうやって生活するかという ことまで計画作成されなければ、治療は終わったことにならない。そのことを療養支援室 等で退院調整として計画をするから、患者さんは安心して退院できるのです。  何回も発言しましたが、それがだれの権限であるかも大事と思いますが、退院調整の意 義を理解して、最終のプロセスまで院内で多職種が連携して実行することが重要です。当 然のことながら現場では実行されていなかったことをどうやって実現していくかが、今回 の後期高齢者の評価の中では大事と思います。  介護保険で、地域で介護サービス計画をつくるために、ケアマネジャーが医師に担当者 会議を開きますので参加してくださいと言っても、医師は参加してくれないといつも現場 では言われます。その理由の一つには、病院に勤務しているときに、その担当者会議が当 然ということが今まで認識していないからなのです。病院で退院調整をしてケアプランの 原案をつくりそれを地域に伝えれば、地域では医師とかケアマネはそこから介護サービス 等のプランがつくれるわけです。そういう流れこそ本来の流れなのです。  また、院内の多職種は1カ所にいますから、集まるのは簡単です。しかし、地域の現場 において、患者さんの自宅とか診療所に集まる、すなわちさまざまな多職種が集まってく るのには、時間の調整、場所の調整等が必要なのです。どちらが簡単にプランがつくれる かを考えれば、院内にいる多職種による退院調整が当然簡単です。しかし、そのことが当 然のように行われなかった。医者が退院を決めていたからおかしいわけであって、むしろ それは病気の治療が終わったから退院ではないということを、今後の診療報酬とか医療の 在り方の中に組みつけるかということが課題だと思います。  辻本さんが言われた様に、権限として実現する事も重要と思いますが、多職種が集まっ てそれを実行することが大事とずっと主張してきましたので、書いていただいたのはよか ったと思います。それが今よりも多く実行できるように、そういう点数の設定を考えてい ただきたいと思います。難しいことは十分承知しておりますが、ぜひよろしくお願いした いと思います。 ○糠谷部会長  ほかに御意見等はございますでしょうか。 ○野中委員  済みません、もう一つ現場からお願いしたいのは、4ページの在宅医療の「病院等によ る後方支援」です。後期高齢者の方でも在宅で生活される、あるいは在宅医療にも大きな いろいろな範疇がありまして、がんの末期で終末期の中での在宅もありますが、やはり病 気を抱えながらその地域で住み続ける高齢者の方もおられます。その方々を私たちは診さ せていただいていますが、その中で病状が急変したとか再発したというときに、病院に入 院できるという状況ではありません。確かに入院ベッド稼働率が75%ですから25%空いて いるはずですが、その病床がなぜか空いていない現状もあります。その辺に関しては、病 院にもいろいろ事情があるとは思いますが、その部分は後方支援で最も重要です。  在宅医療をやっていますと、例えば1年に一遍ぐらい患者さんを評価入院するとか、そ ういう形で患者さんと病院との関係、そして診療所との関係とか、そうやって在宅医療を 継続することも大事と思うのです。診療報酬でどうやって評価するかは別の話ですが、そ ういう体制がなぜとれないのか。現場では稼働率が75%だから25%あいているじゃないか と言われながらも、それは現実にはできないことを現場で経験しています。これはなにも 空床の補償をしろという話ではなくて、むしろ後期高齢者に対する医療の必要性という部 分で問題がありますので、ぜひこの後方支援に関しては実現できるようにお願いしたいと 思います。  この文章に問題があるわけではなくて、むしろここに取り上げていただいたことを適切 に現場で実行いただけるように、事務局としては大変でしょうけれども、頑張って今まで の視点と違った診療報酬を考えていただきたいので、よろしくお願いします。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。本日が最後でございますから、何か御意見あるいは御感想で も、この際ということがございましたらば、せっかくの機会でございますのでいかがでご ざいますか。 ○高久委員  私は余りまじめに出ませんでしたが、この骨子(案)は非常によくまとまっていると思 います。つくられた事務局の方は大変だったと思います。 ○辻本委員  6ページの「留意すべき事項」で新たに書き加えられた最初の○の三つ目のパラグラフ の中で、「研修、生涯教育」ということがうたってあります。これが、主治医の役割をよ り適切に担うための研修、生涯教育、もちろんそれはとても大切なことだとは思いますが、 先ほど来の情報の共有、連携ということになったときに、お医者さんだけではないわけで すね。むしろ先ほどのような地域、地域それぞれの情報と共有の連携のありようというこ とに照らし合わせたり、あるいは知恵や工夫を共有することで質のアップにつながるとす れば、これはドクターだけではないほかの担当者、コメディカル、そういった方たちも常 に研修、生涯教育ということで質の向上を図っていただきたいと思います。 ○村松委員  これまで何度も何度も申し上げてこさせていただいたと言えばいいのか、看護の部分な のですが、本当に終末期のケア、みとりというのはいろいろなことがありまして、複数回 訪問でも、ただ2回行くというものでもなく、家族も含めた精神面のサポートが必要であ ったり、そしてまたいろいろなものが装着されていてということを考えますと、この24 時間、ドクターもそうなのです、ヘルパーさんもそうなのですが、非常に大変なことです。 私は20数年間、在宅でこの看護をやってきまして、もう続けない方がいいかなと思うぐら い、本当に大変なことですので、そのあたりをもうちょっと酌んでいただいて、診療報酬 を決めるのであればぜひ検討いただきたいと。何を削って何をふやすのか、特に後期高齢 者の場合は、というところもぜひ私は考えの中に含めて進めていただけたらありがたいな ということを、これは感想でもあり、最後のお願いでもあります。以上です。 ○糠谷部会長  いかがでございましょうか。遠藤委員、川越委員、特によろしゅうございますか。 ○遠藤委員  ただいま、終末期医療の話が出たので、それに関連しまして一つ。  在宅での緩和ケアを促進することは重要であるということを申し上げまして、ここにそ れが盛られておりますので、それで私としては非常に満足なわけでありますけれども、一 方でいろいろな議論で、緩和ケアについても麻薬の使い方などでも医師によってかなり差 があるということで、それなりのノウハウが必要だということだと思いますが、施設ホス ピスについては、医療機能評価機構などがその審査をするということが要件の一つになっ ていると、かなり厳しくクオリティの維持ということがありますので、在宅においても何 らかのクオリティの保障みたいなものが組み込まれるようなことが望ましい。そんなふう に思うわけであります。つまり余り技術を持っていない人が形の上だけやっている、実質 的には余り有効な緩和ケアになっていないなどということがあった場合、よろしくない。 結局は病院に搬送せざるを得なくなるということもあり得る話なので、その辺はしっかり と評価をするべきではないかと思います。  それから文章の問題ですが、これは野中委員が当初おっしゃられたことと多少関係する のですが、6ページの主治医の登録制云々のところが、こういう議論があったということ を忠実に書いておりまして、内容そのものについてどうこう申し上げるつもりはないので すが、ややここが文体としておかしいところを感じるのです。なぜかというと、幾つかあ るのですが、一番大きなところは「指摘があった」という、先ほど課長さんがおっしゃら れたのは外からの指摘だということであえてつけいるわけなのですが、そういう文言もち ょっと気になるのですが、その数行あとに「具体的な診療報酬案の検討が進められるよう に希望する」ということばが、突如として出てくる。すべて適正な診療報酬が決められる ようなことを希望するということだと思うのですが、あえてここについているというとこ ろもどうかなという感じがします。ここだけなぜあえて書く必要があるのかなというのが 若干気になるところです。  しかし、そういうところは細かなことでありますからよろしいのですが、もう一つだけ 言わせていただきますと、1ページに、こういう議論をしてきました、さらにはパブリッ クコメントを集めましたといっておるわけですから、ここのところに「社会保障審議会の 両部会からの意見も聴取し」みたいなことが入ると、ここの部会では余り議論していなか ったと言われている内容が6ページにあっても整合性をとるかなという感じがするのです が、その辺は事務局に御判断を仰ぎたいと思います。以上でございます。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。川越委員、何かございますか。 ○川越委員  前回の委員会で十分すぎるぐらいしゃべらせていただいたので、きょうは短くしたいと 思います。とてもよくまとまっているので、本当に感謝しております。  在宅が医療の場ということになってそんなに歴史的に時間がたっておりませんので、ま だまだなところ、ウエイトが非常にふえてきたということで、在宅にかかる医者としては ちょっと戸惑っているようなところがあるのが現状ではないかと思います。ただ、私は在 宅医療がそういう意味では十分成熟していないというところがあると思いますので、今回 のことはとりあえずは後期高齢者の制度が新たになるということと、現在進められており ます介護施設のベッドが少なくなっていく中で在宅の患者さんがふえていく、それに対し てどのようにかかわっていくかということが現実には問題になっております。そういう点 から言いますと、ある意味でジェネラルな在宅医療というか、ベーシックな在宅医療とい うものが必要になると思うのですが、今後は専門化した在宅医療、つまりもうちょっと成 熟した形の在宅医療というものが整理されていかなければいけないかなということを考え ております。  先ほど遠藤委員がおっしゃられた質の評価を、特に終末期医療の質の評価をどのように するかということは、当然そういう絡みで問題になってくると思いますが、今回のことを 少しはみ出ているかもしれませんが、そういうことを今後、検討していただきたいと希望 しております。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。 ○鴨下部会長代理  きょうが最後ということで、ちょうど1年かけて審議をされたわけですが、最初のころ はどういうふうになるのか全くわからない状況から、きょうのような報告書ができたこと は、特に事務局の御努力を評価したいと思います。恐らくこれを中医協へ発出するという ことで、私は後期高齢者の医療は実際にやってみなければわからないことがたくさんあっ て、そして問題はむしろ、資料2にある両部会で指摘されているところが非常に重要では ないかと考えるのです。  この点は、この資料については余り中医協に直接出ることはないと思うのですが、多分 課長が、主治医の問題とか74歳、75歳の境目の問題とかというのを十分御説明いただく ことが必要ではないかなと。そういうお願いを込めて申し上げます。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それでは、大体御議論、御質問の方はよろしゅうございます でしょうか。事務局、何か。 ○原医療課長  きょう、幾つか御指摘がございました。例えば両部会での意見聴取のところとか、あと は、若干文言を追加すべきという御意見もございました。また、それは部会長と御相談を させていただけけたらと思います。 ○糠谷部会長  それでは、まだ時間は大分ございますけれども、御意見、御質問はおおむねお伺いをし たということでよろしゅうございますでしょうか。  私の印象としてはというと失礼でございますが、報告の基本的な中身、方向については ずっと議論をしてきたことでございますし、御了解をいただける内容だと思います。それ から表現あるいは若干のニュアンス等について幾つか御意見をいただいております。それ につきましては、今、医療課長から申し上げましたが、事務局で十分整理をいたしまして、 私も相談をしながら修正すべきところがあれば、そういうふうに皆様方の御意見も踏まえ てやろうかと思っておりますので、そういうことで全体、御了解をいただいたということ でよろしゅうございますでしょうか。それでは、そのように取り扱うこととさせていただ きます。  今、鴨下部会長代理がおっしゃいましたように約1年でございましたが、大変熱心に御 議論をいただきましてありがとうございました。全くふなれな部会長で、いろいろ御迷惑 をおかけしたと思いますが、1年間、大変ありがとうございました。それでは、本日はこ れで終わりにしたいと思います。  最後にちょっと申し上げますが、この後期高齢者医療の在り方に関する特別部会は、後 期高齢者の診療報酬体系の骨子を取りまとめることで役割としては一区切りでございます。 あとは、中医協で具体的な診療報酬点数の議論をお願いすることになります。中医協にお いても、これまでの本特別部会での議論を踏まえて、後期高齢者の心身の特性にふさわし い医療が提供されるよう、具体的な点数の議論をお願いをしたいと考えております。  ということで、本日はどうもありがとうございました。また、1年間、ありがとうござ いました。これにて、本日は終了とさせていただきます。     【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288)