2007/08/17 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会(平成19年8月17日開催)議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会議事録 日時 平成19年8月17日(金)13:00〜 場所 経済産業省別館 10階 1028会議室 審議事項  (1)平成18年食中毒発生状況及び平成19年食中毒発生状況(速報)の報 告について  (2)ノロウイルス食中毒について  (3)その他 出席委員 五十君靜信、犬伏由利子、小西良子、塩見一雄、◎品川邦汎、谷口清洲、長 野みさ子、中村好一、林谷秀樹、宮武千津子、宮村達男、山本茂貴、渡邊治 雄(敬称略)   注)◎部会長 参考人   武田 直和 (国立感染症研究所ウイルス第二部第一室長) 事務局   中林大臣官房参事官、加地監視安全課長、宮川課長補佐、蟹江課長補佐 ○宮川課長補佐 それでは、犬伏先生が遅れられているようですが、定刻となり ましたので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会を開催したいと思 います。  開会に当たりまして、中林大臣官房参事官から御挨拶を申し上げます。 ○中林参事官 皆さん、こんにちは。大変酷暑の中、本日の会合に御出席を賜り まして、誠にありがとうございます。  また、平素より食品安全行政の推進につきまして、大変御尽力をいただいてい る。そのことにつきまして、この場を借りて厚く御礼申し上げます。  さて、食中毒部会でございますけれども、前回が昨年の12月5日ということ で、そのときにはカンピロバクター、それから、特に昨年末から猛威を振るった ノロウイルス、そうしたことにつきましていろいろ御議論いただいたわけでござ います。その成果を踏まえまして、私どももホームぺージで新たなQ&Aの改定 を行ったわけでございます。その後、御存じのように、今申し上げましたように、 私どもはQ&Aを改定したわけでございますけれども、これが国民の方が非常に よく見ていただいているということもございまして、いろいろ反響がございまし た。それで、このQ&Aを作成するに当たりまして、皆様方の大変なお力添えに よりこうしたいいものができたわけでございますけれども、そのことにつきまし ても、この場を借りて厚く御礼申し上げるわけでございます。  さて、ノロウイルスでございますけれども、本日のメインテーマになってござ いますが、対策として非常に難しいという部分がございます。大きく分けて2つ ある。1つは、そもそも原因を完全に除去するということが技術的になかなか難 しい部分があるということが1点。それからもう1つは、これは特に行政にとっ て大変大事な問題ではあるのですけれども、食中毒なのか、あるいは感染症なの か、ともすれば非常にわかりにくい事例がある。特に、昨年いろいろございまし たけれども、大規模なものについては、恐らく2次汚染といいますか、感染症と いうような形でそれが大きく広がったというのが実態ではないかというふうに 思っているわけでございます。いずれにいたしましても、私ども、こうした事件 が起こったときには十分調査して、食中毒及び感染症の両面から十分対応すると いうことが必要になってくるわけでございます。  本日のノロウイルス食中毒についてということでございますけれども、本日は、 昨年度のこうした食中毒発生状況について御意見をいただくとともに、昨年の発 生状況等を踏まえまして、真夏でも全くないわけではございませんけれども、や はり冬場が中心ということでございますので、来シーズンに向けたノロウイルス の食中毒対策について特に御議論いただきたいというふうに考えているわけで ございます。  今回新たに参加される委員の方々もいらっしゃるようでございますけれども、 ぜひ積極的に審議に参加していただきまして、専門家のお立場から御意見をちょ うだいしたいというふうに思っているわけでございます。本日は、食中毒発生防 止対策という大変重要な課題で、現実にこれが毎年、私どもの方に報告として上 がっているだけでも2万5,000人とか3万人という方が毎年毎年こうした食中毒 という形で被害に遭っているということもございます。こうした非常に重要な食 品安全行政の政策に関わる課題ということでございますので、専門的観点から十 分御議論いただくようにお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども、 私からの挨拶にさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。 ○宮川課長補佐 食中毒部会は今年初めに委員の改正がございました。初めて出 席される委員の方々もいらっしゃいますので、ここで委員の皆様方を御紹介を申 し上げたいと思います。お手元の資料の中には委員名簿もございますので、それ を見ていただければと思います。  あいうえを順で恐縮ですが、私どもの正面の方から五十君委員でいらっしゃい ます。  犬伏先生は遅れて来られるようです。  それから、委員名簿には前田先生のお名前がございますが、本日は欠席という ことでございます。  小西委員でございます。  塩見委員でございます。  品川委員でございます。  谷口委員でいらっしゃいます。  長野委員でいらっしゃいます。  中村委員でございます。  林谷委員でございます。  宮武委員でいらっしゃいます。  宮村委員でいらっしゃいます。  山本委員でいらっしゃいます。  吉倉委員でいらっしゃいます。  渡邉委員でいらっしゃいます。  部会長は、引き続き岩手大学の品川先生にお願いしております。議事進行の方 は品川先生にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○品川部会長 品川でございます。先ほども挨拶がありましたように、本当に暑 い中、御出席いただきまして本当にありがとうございます。この時期でないと、 忙しい先生方に集まっていただくということがなかなかできないので、一番暑い 中での開催になりましたけれども、よろしくお願いします。  今日は、先ほどありましたように、皆さん方にいろいろ御審議していただきた い点がありますので、初めの挨拶より、直接議題に入っていきたいと思いますの で、よろしくお願いいたします。  早速ですけれども、配付資料を事務局の方からよろしくお願いいたします。 ○蟹江課長補佐 それでは、事務局の方から配付資料の確認をさせていただきま す。  その前に、本日はノロウイルスの議論がございますので、研究班がございまし て、その主任研究者であられます国立感染症研究所の武田先生に御出席いただい ております。 ○武田参考人 武田です。よろしくお願いします。 ○加地課長 私もちょっと挨拶させていただきます。私、4月から監視安全課長 になりました加地と申します。昔からいるものですから、改めて挨拶も変なんで すけれども、よろしくお願いいたします。 ○蟹江課長補佐 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第が1枚ございます。それから、座席表でございます。それから、 委員名簿。それから、配付資料の一覧がございます。  その中で、配付資料1「平成18年食中毒発生状況」。  配付資料2が「平成19年食中毒発生状況」。  配付資料3が「ノロウイルス食中毒発生状況」です。  それから、配付資料4が「昨年末のノロウイルス食中毒又は感染症に関するウ イルス学的な情報整理について」でございます。  資料5が「ノロウイルス食中毒に関する対応状況について」。  資料6「ノロウイルスを原因とする食中毒調査に関するアンケート結果の概 要」でございます。  それから、資料7が国立感染症研究所感染症情報センターのホームぺージの関 係資料でございます。  資料8が「腸管出血性大腸菌感染症の予防対策について」。  資料9が「乳幼児調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライ ンについて」。  それから、配付資料の一覧にはございませんが、ノロウイルス食中毒対策につ いての論点整理のペーパーがございます。  それから、資料1の差替えで1枚両面コピーがございますが、24ぺージ、25 ぺージ、これにつきましては、拡大図の方に一部誤植がございましたので、こち らに差替えをいただければと思います。  資料の確認は以上でございます。 ○品川部会長 よろしいでしょうか。皆さん方のお手元の資料は全部そろってお りますでしょうか。  そうしますと、早速議事に入っていきたいと思います。  これは、先ほど参事官からも言われましたように、これから迎える、特にノロ ウイルスというのが、昨年度の報告でも出てきていますし、今日、問題を集中的 に論議いたしまして、その辺で皆さん方の意見を集約して、再度9月の終わりご ろ、事務局の方は調整に入っていると思いますけれども、もう一度会議を開いて、 それができ上がったところで各自治体、また社会に広く広報していくというか、 注意を喚起するという形になろうかと思います。そういうことで、今日はその原 案といいますか、皆さん方の意見をできるだけ言ってもらったものを事務局の方 でまた整理をさせていただくということで進めさせていただきます。  そういうことで、まず一番最初は、昨年度の食中毒の報告といいますか、事務 局の方から発生状況について説明をお願いしたいと思います。 ○蟹江課長補佐 資料1「平成18年食中毒発生状況」、それから資料2「平成1 9年食中毒発生状況」、併せて資料に沿いまして御説明をさせていただきます。  まず資料1の1ぺージでございますが、年次別食中毒発生状況ということで、 平成18年につきましては、事件数 1,491件。それから、患者数が3万 9,026名、 死者6名ということで、1事件当たりの患者数が26.2名ということになってお ります。  2ぺージ目を見ていただきますと、昭和63年からのグラフでございます。上 の段が事件数で、全体的には減少傾向にございますが、下の段の患者数につきま しては、ここ数年と比べますと増加しているという傾向でございます。  3ぺージ以降は、各都道府県ごとの発生状況でございますので省略いたします。  7ぺージ目でございます。患者規模別発生状況ということで、平成16年、17 年、18年ということで棒グラフにしておりますが、特にここ数年、大きな変化は ございませんで、同じような傾向になっております。  それから、8ぺージでございます。500名以上の患者の発生がございました事 例を整理してございます。6件ございますけれども、すべて原因物質はノロウイ ルスでございまして、弁当ですとか複合調理食品、そういったものが原因でござ います。原因調査の結果を見てみますと、調理従事者による汚染、あるいは調理 器具等からの2次汚染が疑われる事例がほとんどでございました。  それから、下の段の死者の出た食中毒事例は6件ございます。そのうち3件が 植物性の自然毒による死者でございます。それから、1件がふぐ、動物性自然毒 によります死者数1でございます。細菌性につきましては、サルモネラとウェル シュがございます。ウェルシュの方は一定の食事が特定されておりますけれども、 2番目のサルモネラによります死亡例は不明の部分が多うございますけれども、 当時、卵が疑われて、その家庭にありました卵とか、あるいは溯り調査、それか ら散発事例の有無等、いろいろ調査をした結果、原因が特定できなかったという 事例でございました。  それから、9ぺージ目、月別の発生状況、事件数でございます。これは少し特 徴が変わってきておりまして、平成16年、平成17年につきましては、7月ある いは8月がピークでございましたけれども、平成18年につきましては、11月、1 2月に発生が多い。夏に比べて冬場に向けての発生が多いという傾向に変わって おります。  それから、11ぺージ目、これは患者数の月別の発生状況でございますけれども、 御覧いただくとおわかりのとおり、平成18年につきましては、11月、12月の患 者数の発生が断トツで多いというような形になっております。  それから、13ぺージでございますが、原因施設別の発生状況の特徴でございま すけれども、一番左の事件数を見ていただきますと、一番多いのが飲食店612件、 家庭159件、旅館144件、仕出屋79件ということで、患者数につきましても、 それらの施設を原因とする食中毒の患者数がかなり多い傾向にございます。それ 以降、グラフにしておりますので、グラフは後ほど御覧をいただければと思いま す。  18ぺージ目に原因食品別の発生状況ということで、事件数の欄を見ていただき ますと、その他が総数582件となっておりまして、その中で食事の特定されたも のが551件でございます。患者数につきましても、食事が特定されたところ、そ の他の部分でございますが、2万人を超える患者が発生をしていて、これは結局、 ノロウイルスが原因でこれだけの状況になっておりますけれども、後ほど病因別 については御説明をいたします。  23ぺージが病因物質別の発生状況でございます。まず件数でございますが、ノ ロウイルスが499件、カンピロバクターが416件、続いてサルモネラ属菌124件 となっておりますけれども、患者数を見ていただきますと、ノロウイルスが1け た違いまして、2万7,616名と、ほかの食中毒に比べますと1けた患者数が多く なっております。  それ以降はグラフになっておりますが、28ぺージは細菌性の食中毒の事件数、 29ぺージが患者数。ウイルスを除いた部分でございますが、細菌性につきまして は、いずれも減少傾向にあるということがおわかりいただけると思います。  それから、資料2の平成19年の速報でございますけれども、これは1月1日 〜6月30日、私の方に7月31日までに報告のあった分でございますので途中で ございますけれども、1ぺージ目に件数396件とありますが、10ぺージの月別の 発生状況の事件数を見ていただきますと、1月から6月途中の部分もありますの で、前段1月、2月、3月、4月あたりまで、平成17年、18年に比べて特別多 いという傾向はございません。これは事件数でございます。  患者数につきましては、10ぺージになりますけれども、1月が多くなっており ます。これは、ノロウイルスの関係で多くなっておりますが、その他の月につき ましては平年並みという状況でございます。それから、7ぺージになりますが、 これまでに500名以上の事例は2件報告されておりまして、ノロウイルスとウェ ルシュです。それから、死者1名の報告がございまして、ふぐによる死者が1名 となっております。  以上が発生状況でございますが、資料8を見ていただきますと、腸管出血性大 腸菌につきましては、やはり重篤になるケースもございまして、資料8の通知は 平成19年8月8日付で、感染症を担当している結核感染症課と連名で出してお りますけれども、最近の感染症の状況、それから食中毒の発生状況を踏まえて注 意喚起をしております。その下に3件ほど通知を記載しておりまして、添付もさ せていただいておりますけれども、まず一番上の「若齢者等の腸管出血大腸菌食 中毒の予防について」。これは、乳幼児が生レバーを喫食したという事例がござ いまして、それを受けて注意喚起をしております。  それから、2番目の「飲食店における腸管出血性大腸菌食中毒対策について」。 これにつきましては、平成18年の腸管出血性大腸菌食中毒の発生状況を見ます と、大半が焼き肉店を原因として食中毒が発生しておりますので、そこにポイン トを絞った注意喚起の通知を発出しております。  それから、一番最後の「大規模腸管出血性大腸菌食中毒の防止について」。こ れは、都内の大学の食堂で、それを原因とします大規模な食中毒の発生がござい まして、それを受けて注意喚起の通知を発出しております。  併せまして、資料9になりますけれども、これは直接発生状況とは関係がござ いませんけれども、乳児用の調製粉乳につきまして、これまでQ&Aとか通知等 で調乳の取り扱いについて、医療機関を中心として指導通知を発出してきたわけ でございますが、WHOの方で、安全な調乳保存取り扱いに関するガイドライン が出されまして、それを日本語に仮訳をして、プレスリリースをするとともに、 各自治体あて、それから厚生労働省の中に母子保健課という課もございまして、 そこを通じて関係団体等にこのガイドライン、あるいはパンフレットを発出して 情報提供をしております。  以上が発生状況と、一部対応について御説明をさせていただきました。 ○品川部会長 どうもありがとうございます。昨年及び今年度の速報ということ で、発生状況について今御説がありましたけれども、皆さん方、これに関して何 か御質問なり、追加してはどうかということを。 ○吉倉委員 18年の11月、12月に増えたとおっしゃったのですが、これをよく 見ると件数はそんなに増えていないので、10ぺージを見ると、大規模な事件があ ったということじゃないんですか。どことどこを比べればいいんですか。 ○蟹江課長補佐 9ぺージが事件数、11ぺージが患者数です。 ○吉倉委員 わかりました。あと、原因不明でサルモネラというのは何ですか。 ○蟹江課長補佐 これはサルモネラ・エンテリティディスです。 ○吉倉委員 ついでに済みません。これは、11月、12月はノロウイルスですか。 ○蟹江課長補佐 ノロウイルスの発生が多うございます。 ○品川部会長 よろしいでしょうか。 ○谷口委員 確認ですが、この統計にはいわゆる施設などのヒューマン・トゥ・ ヒューマントランスミッション(人→人感染)が、もちろん端緒は食品が原因で あったとしても、人→人感染で広がったものは含まれていませんという確認が1 点。  あと、原因食品名が仕出弁当とか書かれていましたけれども、その原因食品へ の感染源、例えば誰かがどこかでかかって調理したとか、あるいはO157だっ たら肉とのクロス等があるかもしれませんが、そこが調査されているか。この2 点です。 ○蟹江課長補佐 食中毒でございますので、食品を原因とする中毒ということで、 人→人の部分につきましては患者数としては入っていません。  それから、原因の調査の部分でございますけれども、50名以上のものについて は私どもの方にもある程度報告が上がってきておりまして、詳細な原因究明がで きているものと、できていないものも当然ございまして、500名以上とか、特定 の病因物質につきましては詳報という形で上がってくるものですから、それにつ いては一応把握はできますけれども、それでもはっきりと原因について究明され ているものと不明のものと両方ございます。 ○品川部会長 ノロウイルスの場合は、2次感染の場合の感染源というのがどう いう形になっているかという質問だったと思うのですけれども。 ○蟹江課長補佐 例えば、平成18年に500名以上は6件発生しておりまして、 原因がノロウイルスでございます。これの詳報を見てみますと、調理従事者から の2次汚染、それから調理器具、そういったものからの汚染が疑われる事例が、 この6件すべてそういう形で報告されています。 ○品川部会長 2次汚染の場合には、多分これからまたノロウイルスについて論 議していただかなければいけないことになると思いますけれども、感染源といい ますか、汚染源を検出するのはなかなか難しいということでございます。  よろしいでしょうか。ほかに何か。  そうしますと、これについて事務局の方での対応というのは。 ○蟹江課長補佐 食中毒の発生状況につきましては、厚生労働省のホームぺージ にも掲載をしておりますし、食品衛生協会が発行しております「食品衛生研究」 等にも掲載されて公表されるということになります。 ○品川部会長 よろしいでしょうか。冒頭にも言いましたように、昨年の冬から 本年にかけてノロウイルスが急増している。従来は、カンピロバクターの事件数 ではトップで、患者数はノロウイルスですけれども、今度は事件数も患者数もノ ロウイルスがトップになっている。そして、これに対応していかなければいけな い。特に、これから迎える冬のシーズンに対して、今日はいろいろな面で感染源 なり、調理従事者、そういうものの対応をどうしたらいいのかということをまず 皆さん方に予防対策について最新の知見といいますか、皆さん方の御意見をいた だいて論議してまいりたいと思います。  そうしますと、ノロウイルスに関する資料について、事務局の方から、一応ノ ロウイルスに関する資料を配付されていますけれども、それについて説明をお願 いしたいと思います。 ○蟹江課長補佐 資料3から資料7までがノロウイルスに関係します資料でご ざいます。資料4につきましては、国立感染症研究所の武田先生におまとめてい ただいておりますので、武田先生の方から御説明いただけると思います。  それでは、資料3でございますが、これは先ほどの食中毒統計のノロウイルス に関する部分をまとめて表あるいはグラフにしたものでございます。1ぺージ目 を見ていただきますと、左側が総数ということで、平成18年の発生状況。それ と比較するために、右側にノロウイルスを原因とする食中毒の発生状況でござい ます。1ぺージ目は原因食品別になっておりますけれども、この中で一番多いの は、その他になってしまいますが、その他310件。そのうち食品が特定されてい るもの11件。あるいは、飲食店等で提供される食事が原因であるものが多くな っておりまして、患者数につきましても、1万7,000人を超える患者の発生とな っております。それに加えて、複合調理食品が77件で、患者が5,500人程度発 生をしております。その次に多いのが魚介類26件、そのうち貝類が22件、患者 数が297名という発生状況になっております。  3ぺージ目が、これは19年の速報という形で整理したものでございますけれ ども、これも同じように、その他の部分で食事が特定されているものが100件ご ざいまして、患者数が5,000人程度。それから、複合調理食品が16件、患者数 は622名です。それから、魚介類が8件、そのうち貝類が5件ということになっ ております。  5ぺージ目が原因施設別の発生状況でございますけれども、一番多いのが飲食 店288件、患者数は約1万人。その次が旅館ですね。92件、患者数は5,436名。 それから、仕出屋が55件、患者数は旅館よりも多くて8,356名という発生状況 になっております。  7ぺージ目が19年速報でございますけれども、発生の多い施設としては、同 じように飲食店、仕出屋、旅館ということになっております。  10ぺージ目のグラフは、平成18年の1月から今年の6月まで報告があるもの をグラフにしたものでございますけれども、棒グラフは事件数、折れ線グラフは 患者数になっておりますが、いずれも18年の11月に急増して、12月にピークを 迎えて、平成19年の1月につきましては、1年前の平成18年1月と同じ規模に 減少している、こういう発生状況でございました。  それから、11ぺージ目、これは年齢階級別の発生状況でございますけれども、 飲食店、旅館、仕出屋が多いということもございまして、特に年齢で大きな特徴 があるということはございません。20代、30代、40代、50代、いずれも同じよ うな発生がございます。  続きまして、資料5でございますが、これは、これまでのノロウイルス食中毒 の発生に対します対応状況を整理したものでございます。まず、平成9年の5月 に食中毒の事件票の病因物質の種類別に小型球形ウイルスという欄を設けて、現 行のノロウイルスでございますが、そういったことを追加するとともに、検査法 を通知で都道府県あてに示している。その検査法につきましては、先生方の研究 で検査結果が今どんどん上がってきておりまして、その都度、その研究成果を踏 まえた形で見直しを行っておりまして、最終的には平成15年の11月に最終的な ものをノロウイルスの検出法ということで示しております。それから、平成10 年には、当時は生食用のカキの食中毒対策ということで、「採取海域」を表示事 項に追加をしたり、それから、研究事業を踏まえた形でQ&Aを作成をしてきた ということでございます。  それから、厚生労働科学研究事業の関係で、主な部分、ほかにもいろいろ研究 をしていただいておりますけれども、中心的な部分といたしまして、平成13年 からカキを中心とした研究を行っていただいております。それから、16年から1 8年には、本日御出席の武田先生にも研究を始めていただいて、平成19年、今年 からは3年計画で武田先生の方に研究をお願いして対応していただいておりま す。  それから、2ぺージ目の2のところから、これは昨年末の発生を受けた対応を 整理をしております。Q&Aにつきましては、感染症の部分を充実した形で、先 生方の御意見を伺いながら改正をしてきております。それから、年末年始の繁忙 期に向けた発生防止対策、これは通知でございますけれども、通知を発出して注 意喚起をしております。それから、同じ通知で調査の部分で感染症部局と食品衛 生部局との連携が重要ということで、都道府県あてに通知をし要請をしておりま す。特に原因究明の部分については、原因を明らかにして公表する際には丁寧に 説明をする、そういったことも要請をしてきております。  それから、一番下に食中毒予防対策に関するリスクコミューニケーションの実 施ということで、今年は食中毒対策をテーマにして、5月から7月まで全国6カ 所で行いました。実際には、品川先生とか山本先生にも御出席をいただいて、特 にノロウイルス、カンピロバクターを中心とした対策、あるいは消費者が注意す べき事項、いろいろ御説明いただいて、パネルディスカッション形式で実施をし てきております。  以上がこれまでの対応でございます。  資料6でございますけれども、これはいろいろ食中毒調査の段階で、感染症と の関係もございまして、調査が非常に難しいケースがあるという自治体からの声 もございまして、まず実態を把握するためにアンケートを実施してきました。全 体的には、食中毒、感染症の両面から調査をスタートしておるということは確認 ができました。  それから、やはり判断をする基準が、事例によって、最終的には総合的に判断 をしておりますので、統一的なものは当然ございませんが、できる範囲の調査の 結果をもとに総合的に判断しているということでございます。  それから、総括のところに自治体からの要望も少し書いておりますけれども、 いろいろなノロウイルスに関する情報も、調べればいろいろ出てくるわけでござ いますが、必要な情報をもう少し整理をしてほしいという要望だと思いますが、 そういった要望です。それから、調査とか衛生指導に関するポイントがわかると ありがたい、そういった要望もございました。  アンケートの内容と結果でございますが、質問1というところから御説明しま すと、これは初動調査を感染症部局と実施しているかということで、9割以上の 自治体が対応しているということでございました。  それから、質問2で、食中毒と判断する場合に、必要な事項を聞いたところ、 まず患者に共通の食事が限定されていて、患者の検便でノロウイルスが検出され る。それから、症状は共通している。こういった項目を中心に食中毒と判断する という傾向が見られております。それ以外には、流行曲線が一峰性とか、吐物、 糞便等からの直接の暴露がない、そういったことを確認している自治体も多うご ざいました。それから、調理従事者の検便でノロウイルスを検出する、そういっ た項目を挙げている自治体もございました。  それから、質問3でございますけれども、最終的に食中毒と判断する場合に、 感染症部局の担当と協議をしているかということで、8割以上は協議をしている という結果でございました。  また、質問4では、食中毒として処分する場合に営業者にどういう説明をする かということで、これは質問2と同じ内容を説明をするということでございまし た。  質問5でございますが、例えば食品あるいは調理従事者いずれからもノロウイ ルスが検出されない事例で食中毒と判断した事例があるかという質問の内容で ございますけれども、実際には喫食調査等で共通食品、それから患者の接触機会 が食事のみであるという調査結果、それから発症の流行曲線の状態を見て判断し ている事例もございました。そのほかにも共通行動時に嘔吐した者とか、あるい は体調不良者がいなかったとか、そういった別の情報も収集しながら判断をして いる自治体もございました。  それから、質問6でございますが、今度は逆に調理従事者からノロウイルスが 検出されて食中毒と判断しなかった事例があるかどうかというのを調査したと ころ、判断しなかった事例の中身について、その理由としては、患者の発症状況 が感染症でみられる傾向があったということと、調理従事者から検出されたウイ ルスと患者との関連性が認められなかったというような調査結果をもとに、食中 毒と判断しなかった事例もございます。  それから、質問7では、学校ですとか、社会福祉施設、旅館など、患者が同一 施設内で食事を含め同じ行動をとっている場合、どういうふうな確認をしている かということで、これは利用者、施設、あるいは従業員それぞれについて確認を して、例えば利用者ですと時間的なもの、あるいは空間的なものの偏りの状況で すとか、あるいは行動パターンですとか、それから初発患者ですとか、そういっ たいろいろな情報をもとに判断をするという回答でございます。それから、施設 でのトイレとか手洗い場の衛生状態とか、利用者の嘔吐、下痢の状態とか、そう いったことを考慮しているということです。それから、従業員につきましては、 従業員の健康状態とか、検便の結果とか、あるいは行動のパターンとか、そうい ったところも調査をしながら対応しておるという回答でございました。  質問8は、自治体からの要望といいますか、必要な情報は何かということで聞 いたところ、いろいろ情報は出ている分もございますけれども、食品とか、環境 とか、人のウイルスの保有状況ですとか、あるいは感染経路、ウイルスの特徴な どの情報が不足しているのではないかと。それから、高感度な検査法、消毒・失 活方法、感染者のウイルスの排出期間、調理従事者の調理自粛の方法とか、衛生 管理のポイントを挙げている自治体が多かったということで、一定の内容につい てはQ&Aとか通知等で示しておりますけれども、それでは十分ではないという 意見ではないかというふうに受けとめております。それから、食中毒調査につき ましては、感染症か食中毒かという判断をする場合の判断基準を求める意見が多 いという結果でございました。  それから、資料7は国立感染症研究所の感染症情報センターのホームぺージか ら、ノロウイルスに関します情報を集めております。これは武田先生の方の資料 ともダブりますので説明自体は省略をさせていただきます。 ○品川部会長 では、続いて、ノロウイルスの最近の試験について、厚生科学研 究でも主任をやっておられます武田先生の方から御説明、御報告をお願いいたし ます。 ○加地課長 その前に一言、私の方からよろしいですか。  今、事務局の方から御説明させていただいたのですが、ここは食中毒部会とい うことで、食中毒全般の対策を議論していただくのが筋ですけれども、18年の食 中毒を見ますと、3分の1がノロウイルスの事件数で、患者数は3分の2がノロ ウイルスを原因としているというようなことで、時間も限られていますので、今 までずっと説明しましたように、今日はノロウイルスにフォーカスを当てて議論 していただいて、ちょうど今年の次のシーズンに対策を間に合わせて、何とか次 のシーズンにノロウイルスが昨年のような多い数にならないようにするにはど うしたらいいかということを、リスク管理機関としては非常に切実に思っていま すので、そこの部分を中心に今説明をさせていただきました。 ○品川部会長 この問題は、武田先生の説明の後、それぞれについて論議してい きたいと思います。とりあえず、武田先生、よろしくお願いします。 ○武田委員 それでは、資料4を御覧ください。先ほど来議論がありますノロウ イルスのいわゆる食品を介した感染、食中毒というカテゴリーに分類されること もありますが、人→人関係、いわゆる感染症という側面も持った、非常に二面性 を持ったウイルスで、なかなか制御しにくいという面があります。  この資料は我々の研究班でまとめたものですが、1ら4まで。まず1は、2006 年、昨年から今年にかけてのシーズンのノロウイルスの流行の特徴について、4 つの疫学解析データをまとめたものです。  それから、4ぺージ目です。2番目には、どれぐらいのウイルス量を摂取した 場合、人がいわゆる急性腸炎になるのかということです。  それから、6ぺージにありますように、分子の遺伝学的な解析の結果。  それから、その解析結果を踏まえまして、世界じゅうで流行しているノロウイ ルスと比較してみた、これが4番目で7ぺージにあります。  最初の、昨年度のノロウイルスの特徴ですが、これを解析するのに4つデータ を使いました。1つは、1ぺージの(1)感染症発生動向調査、これはいわゆる 患者情報と呼ばれるもので週報です。ただし、これは全国3,000カ所の小児科定 点からのデータで、ということは、これは余り食中毒とは関係ない。小児の人→ 人感染のいわゆる散発事例が恐らくこれに集計されているのだろうというふう に我々は解釈しております。  そのデータについて見てみますと、8ぺージ以降の図をちょっと御覧ください。 図1は、先ほど昨年の11月、12月は食中毒が非常に多かったということですが、 図1で示しますように、小児の間の人→人感染でもやはり同じようなことが起こ っておりました。これが赤で見えますように、例年に比べて突出していますね。 それから、流行の時期も速い時期に始まっているということがわかります。  図2ですが、これは黄色とか茶色とか赤になっていますが、黄色が10〜20人。 いわゆる1週間に何人ずつ増えていって患者が発生したかということを示して おります。茶色が20人以上。それから、赤が最高数を記録したところ。これは 厳密に解析したわけではありませんが、何となく九州の方から北へ、いわゆる流 行が遅くなるにつれて何となく右上に上がっていく、そういう感じがしておりま す。これが週報からのデータです。  それから2番目、本文の1ぺージ目の下の方に病原微生物検出情報とあります が、これは、とにかく衛生研究所でノロウイルスというものが、それは人→人感 染であれ、食中毒であれ、ノロウイルスというものが検出された場合、この研修 で報告されております。そのデータが先ほどの8ぺージにあります。8ぺージに 戻ってください。図3から図6まで示しております。  病原体、採れてきたノロウイルスを遺伝学的に解析してみました。ノロウイル スというのは、大きく2つのグループに分かれます。GIとGII、いわゆるジェ ノグループという群です。そのGIの中にも15種類ぐらい異なるのですが、G IIの中でも18種類ぐらい異なるわけです。ここに出ていますように、最低でも3 3種類の異なったウイルスがあるというふうに報告されております。その中で特 に注目していただきたいのがGII/4というものです。これが実は、図3には検 出したウイルスの報告数を示してありますが、もちろん10月、11月、12月が高 いのですけれども、この中で赤がGII、青がGI。GIIが圧倒的に多いというこ とがわかります。この場合には93.5%、つまり9割以上がGIIです。  そのGIIをさらに詳しく見たのが図4でありまして、さらに、その中の90%は GII/4という株が大部分を占めたということがわかります。  それをさらに詳細に解析したのが図5でありまして、遺伝学的に大きく3つに 分かれました。大部分は一番上にあるピンクのものですけれども、2006bという、 これは世界的に流行していた株です。これがやはり日本でも大流行していたとい うことです。それから、少数であったのですけれども、2006aという、遺伝学的 にちょっと違うものがあった。それから、もう1つあるのですが、これは2004 年から2005年に福山の福寿園という養老介護施設で7名のお年寄りが亡くなっ たということがありました。そのときに流行していた株とほとんど同じような株 が見つかったわけです。2006b、aそれから2年前の株というのは3種類のウイ ルスが混合して流行しているということです。  図6は、これは後で述べますけれども、いわゆる老人の患者さんがちょっと増 えてきたことが示されております。上の方に黒く示してありますけれども、これ がちょっと増えてきた。というのは、実はこれは老人施設での人→人感染、これ は食中毒ではありませんが、それが多かったということを示しているわけです。  これが病原微生物検出情報です。  次、9ぺージ、図7を御覧ください。その前に、本文の2ぺージの真ん中下の 方に、病原微生物検出情報の集団発生病原体票というのがありますね。実はこれ は3番目の情報でありまして、これは人→人であれ、食中毒であれ、集団発生の 場合の事例の報告になっています。それを見たものが9ぺージの図7で、それを 御覧ください。これは、集団発生も、先ほどの小児の散発例もそうでしたし、食 中毒もそうでした。10月、11月、12月にピークがあるということがわかります。  図8、これは非常に問題なのですが、一番右端のカラムを見てください。06/ 07というところですが、赤というのは食品媒介、いわゆる食中毒の事例数です。 それに対して571の青、これはまさに人→人です。食品を介さない事例数です。 実際には、ノロウイルスによる急性腸炎というのは、食品を介する場合もあるの ですけれども、人→人の感染、いわゆる感染症としての側面が非常に重要な位置 を占めているということがこれでおわかりになると思います。  図9ですが、それはどういうところで発生しているかというのを見たのが図9 で、一番右側のカラムを御覧ください。赤の老人ホームが非常に多いですね。そ の次が福祉・養護施設であるとか、病院、保育所、こういうふうに多数の人が1 カ所に集まっている施設で人→人感染によるノロウイルスの集団発生が多いと いうことがわかります。  図10ですが、今の図9の右側のものをもう少し詳しく見たものです。図10を 御覧ください。上の方に青で示したのが食中毒由来のものです。原因、場所はど うかというと、先ほど来お話があったように、飲食店であるとか、ホテルとか、 宴会場とか、こういうところが食中毒の発生場所です。それに対して、人→人感 染の場合には、老人ホームとか、保育所、病院、福祉施設、こういうところ。こ れは人→人感染ですね。  図11は省略しましょう。  さらに、本文の3ぺージのところに、食中毒統計で、これは今、蟹江さんの方 から大部分のお話がありました。ちょっと復習してみますと、9ぺージの図12、 ここから食中毒の話になります。先ほど来お話がありました事件数、患者数とも に2006年はノロウイルスが1位を占めていたわけです。  次の10ぺージを見てください。図13になりますが、また同じことです。発生 施設はどこかというと、青が過去4年の平均です。赤が昨年です。昨年はやはり 飲食店が多かったというのは例年どおりですが、旅館とか仕出屋とか、こういう ものが増えているということがわかります。  それで、先ほどカキというのがずいぶん悪者にされていて、ノロウイルス感染 の食中毒、即ちカキの食中毒というふうになっていたのですけれども、実はそう ではありません。ただし、昨年は自主規制ということが行われましたので、これ だけ数が減りました。ですから、こういうことが行われなければ、多分2005年 から2006年のデータで大丈夫だと思いますが、5〜6年前は、いわゆる食中毒 の原因物質の3分の1とか、3〜4割はカキによる食中毒だと言われたのですが、 カキは最近はそれほどではない。そういう意味もあって、ホームぺージを書き直 したという経緯があるわけです。  その次、図15を見ていただきたいのですが、原因食品別に見てみたものが、 やはり会席料理とか仕出弁当とか、施設、いわゆる旅館での宴会の料理とか、こ ういうものです。そもそも、こういう食材、調理をする食材がウイルスで汚染さ れていることはまずありません。我々は、この原因はすべて調理人さんだという ふうに解釈しています。  それは後ほどお話しいたしますが、図16の方へいってください。ただし、小 学校とか、病院とか、そういうときには、多分、給食で調理した食材あるいは料 理を何日かとっておかなければいけないですね。これは法的にとっておかなけれ ばいけない。ただし、旅館というのはそういう規制が多分かかっていないと思い ます。ですから、我々がサンプルを集めたいとしても、なかなか原因食品を集め ることができない。これが今悩みのタネです。それで、何とか特定された食品を 見てみますと、寿司とか、カキがあります。あとは、こういうふうに1例ずつし か今は特定できていない。この辺がちょっと問題ですね。ですから、この研究班 で今やっているところであります。  図17、18は省略しましょう。  本文の4ぺージの方に戻ってください。これまでが昨年のノロウイルスの平均 的な特徴だったわけです。本文の4ぺージに戻っていただきまして、では、どれ ぐらいのウイルス量があれば発症するのか。これがなかなか難しい。といいます のは、ノロウイルスというのは、今のところ、感受性動物は人間だけです。した がいまして、どれだけウイルス量があれば発症するかというのは、厳密にいえば、 ボランティアを使って人がウイルスを飲んでみなければわからない話で、そうい うことは今までのところはまだやったデータはありません。ただ、ないんですけ れども、いろいろアメリカのCDCなどのぺージを見ますと、恐らく10〜100個 のウイルスで感染するであろうというふうに言われていまして、これが我々にと っても妥当な数だろうというふうに考えております。  それから、カキ以外はウイルス検出法がないというよりも、カキに濃縮される ウイルス量が多いので検出できるだけの話であって、検出法が確立されているわ けではありません。  5ぺージを御覧ください。下の方に、これは急遽、衛生研究所の方へアンケー ト調査いたしました。それで、食品からノロウイルスが検出されて、どのぐらい のコピー数を持っているかというのを見たものですが、5ぺージの真ん中から下 の表のカラムの右から2番目、定量値(食品1g当たりのコピー数)というのが あります。こうして見ますと、太字で書いたのが2006年から2007年のもので、 余りデータはありません。わずか1例しかデータはないのですけれども、それ以 外は2005年とか、少し前のデータになりますが、ここにありますように、最小 値はg当たりのコピー数は38.8、最大値で1万3,000。ですから、多分カキ1g ということになりますが、5gぐらい、大きいのは10gぐらいあるかもしれませ んので、そうしますと、これの10倍とか、それぐらいのコピー数をとっている。 ただ、これは実際に調べたカキが発症した人が食べたカキではないので、たまた まそれと同じロットでやっていて、必ずしもカキがロットが同じだけ持っている わけじゃない。かなりの幅がある。例えば、次のぺージの識別番号60というと ころを見てください。ここにあるように、あるカキは36.4とか、あるカキは2, 090と、これぐらいのばらつきがございます。したがいまして、10〜100個のウ イルス量で発症するというのはあながち嘘ではない。かなりいい値ではないかと いうふうに我々は考えています。  次に、分子疫学的な解析。6ぺージの真ん中ですが、実は、余りに旅館とか、 ホテルとか、どう考えても調理人さん以外に感染源はないということで、どれぐ らいのものだろうかということで、実は調理従事者について調べたものが疫学的 な解析として残っております。2005年の11月から作年の12月の約1年にわたり まして、散発及び集団発生になった55事例について、その調理人さんの糞便2, 376検体を調べてみました。そうしたところ、実に19%という高い比率からノロ ウイルスが出てきました。内訳は、やはりGIIが94%で、圧倒的にGIIです。図 19、20は飛ばします。  13ぺージを見てください。この449名から採られた遺伝子を解析してみたとこ ろ、16種類のノロウイルスが採れました。それが図21に示してあります。圧倒 的にGII/4が多いです。ただ、GII/3というのもありますし、これだけの数 のウイルスが、基本的にはいろいろなウイルスが流行している。ただし、数は圧 倒的にGII/4が多です。  それから、図22を御覧ください。14ぺージになります。先ほどGIとGIIと いうことをお話しいたしましたが、実は患者さんの糞便中にどれぐらいのウイル スが出てきたのだろうかというのを調べたものが図22で、GIが4種類、GII が12種類ありました。平均してみますと、GIの方は2.79×10の7乗コピー/ gです。すごい数ですね。GIIおいては、さらにその10倍というとてつもない コピー数がうんこの中に出てきています。1人の人が下痢をしますと、そのカキ の養殖海域は全滅します。それぐらいの量です。  それがウイルスの排泄量です。  最後、7ぺージのヨーロッパ諸国との比較ということにいきます。これは、図 23になりますが、私たちは11の衛生研究所の協力を得まして、55種類のGII/ 4についてどういう遺伝変異があるのかを調べてみたわけです。先ほど図5で3 種類というふうにお話ししました。我々が調べても、やはり全く同じでありまし た。3種類のGII/4が見つかりました。図23の真ん中に示してありますのは、 上の方がGIIの遺伝学的な系統樹というものをお示ししてあります。GIが下に 書いてあります。GIIの中にGII/4というのがありますが、これを拡大したの が右側の図です。赤が2006bと先ほどお話ししましたヨーロッパとか香港で流行 していたものと同じでありまして、やはりこれが日本でのメジャーな流行株であ ります。それから、下にあるグリーンで示したヨーロッパの2006aで、これもヨ ーロッパで流行した株です。さらに、日本の特殊な株として、真ん中にある大阪 のNo.2ですが、これが2004年、2005年で流行した。こういう都合3種類のウ イルスが流行しているということがわかりました。  なぜGII/4なのか。これは非常に難しい問題です。これは、これからまた議 論があるかと思うのですけれども、どうして流行したのか。これを目指して、今、 研究班で鋭意努力しているところであります。  それから、表1、表2は先ほどの標準種の集団発生と散発例に関する過去のデ ータで、これは説明は省略いたします。  以上です。 ○品川部会長 武田先生、どうもありがとうございました。時間も大分過ぎてま いりましたが、できれば、次にこれからノロウイルス・食中毒の対策について皆 さん方の御意見をもらわなければいけないし、今、武田先生なり蟹江さんが説明 したところで何か御質問がありましたら。多分、次に検討するときにはまた質問 が出るかと思うのですけれども、何かここで聞いておきたいということがありま したら。 ○渡邉委員 先ほどのデータだと、一般的にカキが疑われているけれども、それ ほどでもないと。むしろ原因がわからない方が多いと。先ほど調理人等を調べた 場合に、そこからたくさん出てきているので、人の感染の方が疑われるのではな いかというようなお話だったと思うのですけれども、いろいろな食中毒に関して、 何か食べたために調理人がその病原体を持っているのか。それとも初めから持っ ているのかといつも議論されるところだと思うのですけれども、ノロウイルスの 場合には、調理人というのは疑わしき食品を食べたためになったんですか。それ とも、それを食べなくても、もともとそういうものを持っていたと考えられるの か。ここのときに調べた調理人というのは、症状がない人たちだというふうなこ となのかという点と、もし食品との関係がないとすると、料理人はどこからノロ ウイルスを獲得したのか、その辺のことを。 ○武田参考人 ノロウイルスは不顕性感染というのが多いんです。ですから、調 理人さんは恐らく自分が感染していることに気づかずに調理をしている。それで、 食品を通じて広めているという可能性が非常に多いと思います。発症しようがし まいが、ウイルスの排泄量というのは同じなんです。それが1つの大きな原因で あると思います。 ○渡邉委員 例えばサルモネラとか、O157もそうですけれども、調理してい る人も同じものを食べたために、それに感染というか、その菌を持っているかと いうのが常に疑われるわけですね。ノロウイルスの場合はそういうことがないの か。その辺のところで、どちらが犯人か被害者なのかという点がいつもいろいろ なもので議論されるわけですけれども、先生は、ノロウイルスの場合はそれはど ういうふうに考えられますか。 ○武田参考人 実は、この辺のデータといいますか、例えば自分がつくった料理 を試験的に食べてみるとか、多分そういうことはやっているのもあるだろうと思 います。しかし、それがたくさん出てきて,そのうち食品で感染したかというの は非常に難しいですね。 ○渡邉委員 先ほどの調べで、10何%でしたか、非常に高いパーセンテージで調 理人が持っているわけですよね。そのコントロールとして、調理人でない一般人、 我々ここにいる健康と考えられている人のノロウイルスのキャリア率というの はどのぐらいになるんですか。もし調理人が犯人じゃないとすれば、一般の人も そのぐらいの確率で持っていると考えられるのかどうか。 ○武田参考人 一般人ということではないんですけれども、いわゆる健康な調理 人さんを調べたときに、大体1〜2%です。 ○宮村委員 それにもちょっと関連するのですが、今、糞便中に排出されるノロ ウイルスの量というのはおびただしいものがあるということですが、例えば院内 感染、人→人感染のフォローをするための対策の1つとして、一旦、ノロウイル ス感染が成立したとき、どれぐらいの期間、感染性のウイルス粒子を排泄し続け るか。そして、渡邉先生が言われるように、無症状になってもウイルスを排泄し 続けるか。そういうような少数の例でもいいですけれども、何か解析をされてい る例というのはあるのでしょうか。 ○武田参考人 症状は2〜3日で終わるというふうに言われていますね。ただ、 便の中に出てくるウイルス量は、例えば100人患者がいたとすると、1週間排泄 したのが10人、2週間排泄したのがさらに10人というふうに、結局6週間、一 番長い人で2カ月ぐらい排泄しているわけです。ですから、最大で2カ月ぐらい、 少なくとも1週間ぐらいは排泄しているということだと思います。 ○品川部会長 よろしいですか。簡単に。次にどうせまたお聞きしていただかな ければいけないことが結構あるので、そこでまた。今ありましたら聞いておいて いただいて結構ですけれども。 ○吉倉委員 人→人感染と言われると、何をもって人→人感染とおっしゃってい るのかわからないんです。簡単にそれだけです。 ○武田参考人 共通のいわゆる食品というものが特定されているということで す。 ○吉倉委員 例えば500人以上の事例がありますでしょう。それで、奈良県のも のだと4,000人食べて1,700何人と。これが人→人感染とはちょっと思えないの で、一体どういうことでほとんどのものが人→人感染とおっしゃっているのです か。 ○武田参考人 これは、いわゆる食中毒の例ですから、人→人じゃなくて、仕出 弁当が原因です。 ○吉倉委員 だから、人→人感染がほとんどだとおっしゃったから、なぜかと言 っているんです。 ○武田参考人 調理人までの感染です。いわゆる調理人さんから食品を介するの は別です。 ○品川部会長 食品を介さない場合は、あとは全部、人→人感染とまとめられた んですね。 ○武田参考人 ええ。 ○吉倉委員 用語に注意した方がいいと思います。 ○品川部会長 そうですね。人から人という感じがどうして人→人感染なのかよ くわからない。今回は、食品を介さないで起こった以外は全部、人→人感染の中 でまとめたという、そういう言い方でよろしいんですか。 ○武田参考人 そうです。 ○品川部会長 そうしますと、次にまた結構論議していただきたいといいますか、 これからディスカッションに。今まで報告なり説明がありました。これから議論 していただくために、皆さんに論点をより絞るために、事務局の方で整理してい ただきましたので、これについて簡単にまず。加地課長、よろしくお願いします。 ○加地課長 論点整理ペーパーを用意しまして、いろいろな角度から先生方に議 論していただきたいと思いますが、ただ、時間も限りがあるので、順番に整理を していくために、一応事務局の方で骨格だけをつくらせていただきました。  それに基づいて議論していただきたいと思うのですが、今までの事務局からの 説明と、それから先ほどの武田先生の御紹介を聞いていますと、私ながらにして も、日本はノロウイルスにまみれてしまっているのではないかというような、そ んな中で食品を介して中毒を起こすものをどのように予防していけばいいのか、 対策をとっていけばいいのかという非常に難しい問題に直面しているわけでご ざいます。そういう中で、この部会で先生方のこれまでの知見とか、あるいは経 験を整理をしていただいて、その中でめり張りのある対策をぜひ御提言といいま すか、御発言、御意見をいただきたいというのがまず第1点です。  それから、第2点としては、さはさりなん、このウイルスというのは、先ほど のように人から人へもうつる。それから、人にしか感染していない。人がレゼル ボアになっているというようなウイルスの性状を考えますと、本当に我々食品安 全部局だけで対策ができるのかという危惧といいますか、心配もございます。そ ういう意味では、私どもの食品部局だけではなくて、他の部局、あるいは他の省 庁にも、もしそれが非常に有効な対策であれば、ぜひ協力を求めていきたいとい うふうに思いますので、今日の議論は食品安全部局だけに限ったものではなくて、 大所高所から忌憚のない御意見をいただければというふうに思います。  それから、第3点といたしましては、これは観点が違うのですけれども、社会 的な影響を考えますと、これからも議論があると思うのですが、何をもって食中 毒というのかとか、あるいは、それは感染症なのかという議論が常に行政の最前 線ではそういう問題点にぶち当たっております。確かに患者さんは被害者であり ますけれども、公表の仕方、あるいは調査の仕方がずさんであったり、あるいは 不十分であったりすると、今度は経済的な、あるいは社会的な被害者を今度は衛 生行政の方が新たにつくってしまうというような社会的な影響も非常に大きい というようなことで、ぜひ調査の方法であるとか、あるいは判断の基準とか、そ ういったところまで議論がいければ非常にありがたいと思います。それで、、今 日、それからもう一回を予定しておりますので、ぜひ皆様方の方から積極的に忌 憚のない御意見をいただければと思います。  それでは、論点整理については事務局の方から簡単に御説明させていただきま す。 ○品川部会長 ここに書いてありますから、皆さんの手元にありますから、これ に沿って。それで、一応今回、個々にある程度論点にしたいというところ、抜け ているところ、また追加しなければいけないところもあると思いますけれども、 一応ここに書かれているから、これに沿ってどういうふうに。それで、ある程度 これをまとめたといいますか、次回のときにはこれにある程度皆さんの意見を踏 まえてまとめて、そして、こういうことを各自治体なり社会に知らしめて予防に 役立てたいということですので、一応ここに書かれている項目に沿って、どうい うことを特に喚起する、食中毒予防対策の観点からどうすればいいのかという観 点から、項目に沿って、ここだけは載せておこうと。また、これに対してこうい う新しい情報があるからここは入れておいてくれとか、そういうことを皆さんか ら御意見をいただければと思います。  そうしますと、まず平成18年ノロウイルス食中毒の状況というのは大体説明 されたのですけれども、ここに書かれている5つの項目ぐらいについて、ここだ けは強調して書いておいた方がいいんじゃないかというところがありましたら。 ございませんでしょうか。事件数、患者数、月別原因食、原因施設。先ほどから 問題になっています食中毒と経口感染症の違いというのは常に論議になる。人→ 人感染といいながら、ある意味では食品以外でも経口径口感染になっているし、 また、先ほど少し出たかもしれませんけれども、GI感染、要するに舞い上がっ て、それを直接吸い込んでもかかるというような、それもやはり経口感染になる。 その辺の区別をどうとっていくのかというのですけれども、今回は一応食中毒に ある程度絞らせて、その中でどうしても感染症との絡みでここは書いておかなけ ればいけない部分、知っておいていただかなければいけない部分を言っていただ ければと思いますけれども、いかがでしょう。第1の食中毒状況について、この ぐらいの状況のことを先ほど報告されたようにかいつまんで書いてまとめても らえればよろしいでしょうか。もしなければ。  2番目がノロウイルスの特徴という形で、ここで問題になります食中毒統計が ありますよと。それで、患者の動向の週報がありますよ、月報がありますよと。 これは経口感染症のところと食中毒のところ。その感染症のところは非常に多い。 シーズン、また月から見ても大体同じ形になっているということですけれども、 3つ、それぞれノロウイルスに関して、食中毒に関して、疫学的にはこれだけの 情報が出るのですけれども、これについて、それぞれまとめて別々に書いていっ た方がよろしいんですか。武田先生もちょっと言われたんですけれども。 ○山本委員 この3つの統計というのは、いつもばらばらに発表されるんですね。 その関連性というのは余り論議されたことがないというふうに記憶しています。 特にノロウイルスの食中毒が発生するときには、その前に感染症発生動向調査で、 小児の下痢症とか、そういうものが増えてくるとか、そういうことがあった後に 食中毒が増えてくるようなことが結構知られているように、食中毒の関係の報告 では言われていますので、その辺のことを少し書かれてはいかがかと思います。 ○品川部会長 よろしいでしょうか。小児がある程度起こってきて、でも、先ほ どもちょっと言いましたように、だんだん南から北の方に上がってきているんじ ゃないかと傾向のことを言われて、そういう形になるのか。小児が起こっていて、 患者がたくさん出ればだんだん広がってくる。今回も,12月、せいぜい1月にな ったらドーンと落ちてきますね。武田先生、その辺はどういうふうに解釈すれば よろしいですか。 ○武田参考人 非常に難しいですね。ちょっとわからないですね。 ○品川部会長 ウイルスの季節性というのは。 ○武田参考人 よくわからないですね。 ○品川部会長 昨年の11月、12月もドーンと上がっていって、1月になりまし てドラスティックに落ちてきている。だから、次に迎えるシーズンも11月、12 月というのは、可能性は非常に高いということですけれども、今ありましたよう に、経口感染と食中毒の部分を知ってもらうためにも、食中毒ではこうですよ、 感染症ではこうですよということ、この辺を分けてまとめてもらった方がよろし いですか。  では、一応こういう形で一度事務局の方にまとめていただくということで。  次に、ノロウイルスの病原性に関して。これもなかなか難しい。病原体でGII /4というのが非常に多いんですけど、同じクローンのものが、これ以上はなか なか細かく分けるのは。だから、結局、日本で起こっているのはGII/4が圧倒 的に。また,先ほど言われた遺伝子のところで分けるとしても、やはりパターン としては同じものになる。それ以上細かく今分けられないんですね。ということ は、A地区とB地区で同時に起こった場合には、それの関連性というのはほとん ど取れない。わからないという形になるんですか。こちらで食中毒が起こった、 こちらで感染症が起こったときに、それはどういう関連があるとか、細菌性のも のでしたら、そこでパラスィートとか、何かいろいろ分けて、遺伝子で細かく何 かを分けようとするのですけれども、これについては、まだその辺は難しいです か。 ○武田参考人 先ほどの図23にありますように、ほとんど同じです。 ○品川部会長 同じですね。もうそれ以上細かく分けられないですね。 ○武田参考人 ええ、非常に難しいです。  あと、今年は2006bとか、また来年は今後は2007年のが入っているのですが、 結局、外国のデータですと、こういうふうにオーバーラップしながらメジャーの ものが次々に出てくるという感じなので、また疫学的に新しいものも出てくるだ ろうというふうに思います。 ○品川部会長 変異はしやすいんですか。 ○武田参考人 RNAウィルスですから、それは常に変化はあります。 ○品川部会長 結構激しく吸っているんじゃないかと。  ほかに先生方、何かここで。病原体の潜伏期間は先ほど言われましたが、症状、 治療方法。治療法というのも余り決定的なものはないんですよね。2日か3日ぐ らいで症状はとれると言われているんですけれども、何かここで書くようなこと は。 ○谷口委員 知る限りでは、多分ノロウイルスは持続するプロテクティブイミニ ティというのができないというふうに言われていますよね。できたとしても短期 間である。発生動向調査の感染性胃腸炎のデータを見ると、あれは人口の5〜10% ぐらいに達するんです。あれがすべてノロだと仮定しますと。特に流行期の間は、 どこにでもあるものだと思いますし、今年かかってまた来年かかるかもしれない わけですね、イミニティがつかないから。そうすると、インフルレンザにちょっ と感じが似ているのですけれども、そういったことはここに記載して、要するに 非常にコオンであって、誰でもかかる病気であって、そのぐらいのコミュニティ の人がかかっていれば、調理人さんもこのぐらいのパーセント持っていても全然 不思議はないわけですし、人口の50%は症状が出たと報告されているわけですか ら、無症状を含めれば19%というのはそんなに驚くに当たらない数じゃないかと 思うんです。そういったことも御理解いただくというのは大事なことじゃないか と思うんです。 ○品川部会長 その辺も少し書いておけばよろしいですね。ほかに何かこういう 点で少し広報しておいた方がいいというのは。  あと、遺伝子型も、先ほど言われましたけれども、分子疫学的な。この辺で、 武田先生、これだけは書いておいて、みんなにも実態を知っておいてほしいとい うことがありましたら。 ○武田参考人 GII/4であるというのはわかっていても、これをどうやって防 ぐかという方法はないわけですから。 ○山本委員 遺伝子型によって症状を出す割合が多いとか少ないとか、そういう 違いはあるんですか。 ○武田参考人 いわゆる1つの感受性を規定する因子は血液の型分子だろうと 言われているのですけれども、このGII/4というのは、Aも、Bも、ABも、 Oも、それからノンセクレーター型分子に結合するという性状がございます。た だ、これのほかにも、例えばGI/5というのはすべての血液型の型分子と結合 しますね。ただ、今言ったA型とか、B型とか、O型とか、ノンセクレーターに は結合しないとか、それである程度の感受性というのは規定されているというふ うに限られています。 ○品川部会長 このウイルスはずっと持ち続けるんだけれども、人の差といいま すか、どれによって1週間で落ちる人、その期間というのは。 ○武田参考人 そういうデータはないです。 ○品川参考人 それもなかなかわからないから、非常に長く持つ人とこういうの がいるということはわかるけれども、それは何によるのか、どうすればいいのか というのはなかなか難しいんでしょうね。 ○武田参考人 ええ、わかりません。 ○品川部会長 そうしないと、そういう人が一度見て。普通のウイルス量という のは、要するに不顕性感染でも、10の8乗、9乗には上がるということですか。 そこでは、感染すれば一回は増えるというふうに考えてよろしいんですか。一回 は感染して増えるけれども、症状は出ない。 ○武田参考人 はい。 ○加地課長 1g当たりの通常の便と下痢とは。 ○武田参考人 その辺もグラム数が下痢便と硬い便というのは非常に。でも、仮 に100倍あったとして、10の8乗が6乗になるとか、感染的には余り。 ○加地課長 余り変わらないと。 ○武田参考人 ええ。 ○小西委員 病原性の遺伝子型が毎年変わる可能性があるというふうにおっし ゃったのですが、そのときはエライザを用いた検出法の診断法には影響は及ぼさ ないのでしょうか。 ○武田参考人 今のところはありません。遺伝子レベルでは変わっているのです けれども、今まで使っているような抗体でやる抗原検査系という意味では、今の ところ差は見られていません。 ○品川部会長 今、このぐらいのコピー数ぐらいでは検出     。 ○武田参考人 エライザですか。 ○品川部会長 はい。診断をやるときに。 ○武田参考人 コピー数にありましたように、大体10の二乗とか、そのぐらい がリアルタイムですね。それから、ネストをかけると10コピーぐらいはいくと 思います。 ○品川部会長 先ほど来、10〜100コピーぐらいで感染するといったら、検出感 度ぎりぎりのところで。 ○武田参考人 ええ。リアルタイムで検出感度がぎりぎりライン。エライザでは 完全に引っかかってきません。エライザだと、大体10の6乗とか、そのぐらい です。 ○品川部会長 今、発症ウイルス量というのは非常に少ない10〜100コピーとす ると、それは10ぐらいはみんな検出するんですか、試験法としては。 ○武田参考人 やればですね。ただ、コンタミをおそれますので、ネストはかけ ないですね。 ○品川部会長 難しいところですね。皆さん、ほかに何かありますでしょうか。 ウイルスの特徴の次に、発症ウイルス量、これも非常に少ない。でも、先ほどち ょっとカキのことを言われたけれども、カキの中に保有しているのは、10〜100 よりはるかに多いのも結構ありますよね。 ○武田参考人 あります。でも、多いといっても10の3乗ぐらいのオーダーだ と思います。 ○品川部会長 人に感染するというのは、病原性というか、そういうものの違い というのは。実際に我々がもし生ガキを食べたときには、それだけのウイルスを 食べているけれども、不顕性感染になっていると考えればいいんですか。 ○武田参考人 先ほど言いましたように、感受性もしくは先ほどの血液の型分子 がうまいぐあいに合わなくて感染を免れているのかもしれません。 ○品川部会長 よろしいでしょうか。この辺のことも大体先ほど話されましたか ら。  そうしますと、一番重要な発生及び拡大防止対策、Q&Aとか、重要な管理ポ イント、この辺を集中的に、どうしたらいいのかと先ほど言われていましたけれ ども。1番目の下水との環境対策。これは、下水といったら管轄としては国土交 通省かどこかですね。1つは海の汚染。二枚貝などの汚染を防ぐということで書 かれているけれども、これはまた反面では、下水処理の方でもある程度、感染症 対策というのを全く放っているわけじゃなくて、やらなければということで少し ずつ進んでいるような話は聞いていますけれども、このほかに下水処理、環境対 策として何かここのことを皆さんに知っておいてもらいたいということ、書いて おいた方がいいところはありますか。下水のところだけで。だけど、人→人感染 と俗に言われるように、環境対策のところとしては、公共トイレとか、いろいろ なところで感染をどうしたらいいかというのもあるんですけれども。一番感染し やすいところとしてはどうですか。トイレ。俗に言う人→人感染の場合、ウイル スで、何かその辺のあれというのは。 ○吉倉委員 これを全部ずっと見ていってもいいのですが、結局、今、厚労省の 食中毒部会なので、一体こういう文書を出すことによって食中毒が実際にどのぐ らい減るかという、のが大切なので、単にいろいろ書いてもらってもしようがな いような気もするんです。確かに下水処理とか、ずっとやってもいいけれども、 私は、これを見ていると、やはり仕出屋とか、原因というか、関係するところが かなり限られていると思います。細かいところを無視すれば。こういう事件が減 ればいいわけですね。だから、それについてどう考えるかという、もう少しター ゲットを絞って文章を書く必要があるんじゃないかという具合に私は思います。  それからもう1つは、食中毒の場合、500人以上の大規模事例があって、一体 これはどうやって起こったかという、そういう解析が何かの格好であった方がい いだろう。何が原因でこういうことになったか。例えば、奈良県でなぜ2,000人 近くにもなったとか、そういうところをぜひ考えないと、一般のところを幾ら言 ってもしようがないように私は思います。 ○品川部会長 先ほど言いましたように、食中毒は、やはり発生場所としては飲 食店なり仕出屋というのが圧倒的に多く、感染症との違いは、養護老人ホームと かホテルというのがあるけれども、片方は食事のところということが明らかに出 ています。確かに1つずつというよりは、それに絞ったとしても。 ○吉倉委員 これを全部消してしまえという話じゃないです。適当に書かれても いいのですが、もう少しフォーカスを絞ったものが要るんじゃないでしょうか。 ○品川部会長 特に今ここでやっているのは、ずっときましたけれども、3番の 「発生及び拡大防止対策」、ここはちょっと集中的に。これをある程度やらない と、先ほど言いました飲食店なり、仕出屋のところというのは、フォーカスを当 てるというと、そこにすぐ当ててもなかなか難しいかなと。  もう1つは、次のぺージの4番目の食中毒の診断。どうすれば、それが本当に 食中毒なのか、感染症と区別できるのか。診断方法のこの辺はここの先生方に集 中的に少し意見をいただいておかないと、各自治体の方もこの辺をどうすればと いうのが出ていますので、何かここで。 ○犬伏委員 昨年のときですが、一般人のところで、食中毒だと初めは思ってい たわけです。そうしましたら、人→人という話があって、何でもいいから、とに かく次亜塩素酸、洗剤をまけと。子どもさんなんかもし嘔吐したりしたら、洗剤 をまけばいいという話も出ていたんです。それで、今、吉倉先生のおっしゃるよ うな話もすごくよくわかるのですけれども、これはどなたにするか。調理担当者 にこういう必要性があるよと、あるいは内科の先生方にこうやってノロウイルス というのが発生する可能性があるよという話というのが、これは多分、報道を通 して報道されますよね。そのときに私たちが混乱してしまうんです。ノロウイル スは二枚貝と初めは言っていました。でも、人→人になりました。それで、人→ 人になるのをやめるためには洗剤をまけという話で、世の中いろいろとガチャガ チャしていたというのが昨年でしたので、一般人が見るときに混乱を起こさない というか、こういうものだと少しずつわかってきているのですけれども、本当の ところはわからないというところがたくさんありますので、最初、武田先生から お話がありましたけれども、ノロウイルスというものの性質が何なのか、特徴が 何なのか。そういうものが私たちに起こす症状というのは、2〜3日で消えると いうことでしたから。でも、それにしても、自分で保有してしまう場合、最長で も2カ月あるんだよというようなことから考えると、そういう人間はどういうふ うに対応していくべきなのか。そういったような事柄が簡潔に書かれると、私た ちは混乱しなくていいなと思うのですが。余り専門的でなくて具体的に。済みま せん。 ○品川部会長 やはりわかりやすく、みんなに知ってもらうためには、それは非 常に重要なことだと思います。これも、今どういうふうにまとめて、どういうふ うに皆さんに知らせていったらいいのか。確かに、これだけのことを全部書いて もあれだけど、一番インパクトのあるところをそれぞれ。今、食中毒の場合でも、 俗に言う二枚貝のカキのようなものだったら、1次汚染のカキをそのまま食べて 汚染が問題で、今、仕出屋とか飲食店といったら、ほとんど2次汚染の問題で、 2次汚染の問題になると、今度はそこの汚染源といいますか、どういうふうに食 品に汚染したのか。汚染経路がどうだったのか。そこで一番疑われるのは、先ほ ど出ましたように、調理従業員の考え方をどこまでするのか。この辺をやらない と、これの対応というのは各地方自治体でも困るんじゃないかというのは非常に 思います。だから、この辺をどういうふうにインパクトをつけてやっていくのか なと。 ○加地課長 フォーカスを当てるということ、それから、もう少し消費者の方々 にもわかりやすくという、一見、二律背反的ですが、私が思うにはやはり1つだ と思うんです。ノロ対策というものの、一面に対して弱点を対策をとっていく。 そういう意味では、先ほど吉倉先生からお話があった、調理従事者の対策がまず フォーカスされていた方がいいんじゃないかと。確かに、そこなんですが、では、 調理従事者はどこから来たのか。先ほどのように、非常に普遍的にあるものであ れば、では調理従事者はどうしたらいいんですかということで、最初に申し上げ た、飲食店を営業停止にさせるのは非常に簡単ですけれども、それでは再発防止 にならないんですね。だから、調理従事者、あるいは調理に直接従事していない 人も巻き込まれているかもわかりません。そんなことから言うと、だんだん溯っ ていくと、下水はどうだとか、あるいは赤ちゃんの下痢はどうだというように、 結局、ウイルスがグルグル回っているものですから議論も回るのですが、どこか で感染環を切れるかということかなと思うんです。  先ほどのお話も、家庭での例えば小児下痢症のときに、あるいは保育園とか幼 稚園での対策をどうするかというのは非常に大きなものだと思うんです。そこが 回り回って、調理従事者に感染をして、その旦那さんが調理していたというよう な話にもなりますので、その辺は私も今どちらにフォーカスを絞っていいのか、 あるいは、どの辺の議論をしていいのか。それこそ皆様方の方からいろいろと、 どこにポイントを置けばいいのか教えていただければと思うのですけれども。 ○中村委員 昨年度の資料を見ていますと、500人以上の事例というのが6件挙 がっていますけれども、これはどう見ても食材に入ってこういう大事件が起こっ たとは見えないんですよね。調理の段階でこういう形になったとしか常識的には 考えられないと思います。そういう意味では、一挙にノロウイルス感染、あるい は食中毒をゼロにするというのは無理ですけれども、数を減らすということに焦 点を当てるとすれば、調理の段階の問題にまず手をつけてというのは差し当たっ てやるべきことだと思います。 ○五十君委員 私は、500人を超えるような集団事例がノロで出ていたというこ とに関して、従来の細菌性食中毒で500人の大規模な集団事例が問題になってい たのと質的に違うのではないかと思います。このところをきちんと解析しないと いけないと思うんです。今のお話で、本当に調理者の取り扱い上のエラーが原因 となって、こういった大型のノロ事例を起こしているかどうか。そうでないと、 幾ら取扱いに問題があると言っても、実際には今、細菌性食中毒に関しては平成 18年は500人を超えるの事例はゼロで、それ以外の細菌性食中毒も順調に数が抑 え込まれている状態です。ですから、調理人が微生物の取り扱い上のエラーでも し事例が起こっているとすると、細菌性食中毒はある程度抑え込んでいて、なぜ ノロではだめなのかというところを少し議論していただきたい。先ほど吉倉先生 がおっしゃったように、なぜノロの場合は起こってしまうのかという点について 議論が必要と思うのですが、いかがでしょうか。 ○品川部会長 このウイルスというのは、とにかく食品中では増えない。細菌性 との決定的な違いは、細菌性の食中毒というのはある程度汚染、次に食べるまで の時間とか、保存とか、いろいろある。これは、とにかく食品を汚染したら、直 接それを食べる。そこで増えることもない。これが決定的な1つの大きな違いで、 食中毒の予防のつけるな、増やすな、殺せというところで、特に飲食店の複合調 理食品はある程度加熱して、最終段でつけられたら、それはどうしようもない。 そうすると、汚染させないというのは今度は従業員の問題になる。では、従業員 をどういうふうに管理すればいいのか。どうすればいいのか。持たないようにし たらいいということになるけれども、従業員が持つというのはどういうことかと いうと、自分が何かを食べて感染したのか、人からもらってきて感染したのか。 だけど、どちらにしても、もちろん調理人が下痢をしているとか、体の調子が悪 い人は当然ながら従事するべきでない。だけど、不顕性感染でこれだけでこれだ け菌が増えた人をどうすればいいのか。私自身も、その辺は。専門的にやってい る武田先生、何かこの辺で。どうすればいいのか。 ○武田参考人 やはり定期的に検便をやる以外に方法はないんじゃないでしょ うか。 ○品川部会長 もちろん検便をやって、出てきたら外すという形ですか。 ○武田参考人 ええ。 ○宮武委員 学校給食を担当しているんですけれども、ノロウイルスで毎日毎日 検便するというわけにもいかないのですが、今、学校給食でとにかく徹底してお りますのが、まず手洗いです。本当に基本的なところなんですけれども、とにか くこれを十分にするということで手洗いの設置場所をたくさん増やしたり、あと、 トイレを使用した後の手洗いというのも、通常でしたら1回ぐらい洗ってパッと すぐ調理に入られる。例えば仕出屋さんとか、そういったところは1回だけ洗え ばすぐ入るというところも多いかもしれないのですが、学校給食ではトイレの中 に前室を設けて、きちんと着替えもして、しかも、トイレの中に個室のところに も手洗いをつけるということで、徹底した手洗いということを実践しております。 ただ、そう言いながらも、実際に学校給食でもノロウイルスでまだ食中毒が出て おりますので、それはやはり対応の遅れとか、そういったことの関係の2次汚染 ということだったと思うのですが、やはり基本に立ち戻って、まず手洗いの方法、 それから調理従事者の方がトイレを使う際の衣服とか、そういったところまでの 配慮をどこまできちんとできるかとか、そういったところをきちんとする必要が あるのかなと。一般的な食事をする現場へ行って私が調理している方を見ており ますと、これは学校給食以外ですけれども、やはり手洗いが非常に雑だなという のを何となく感じるんです。お手洗いへ行って帰られたときでも、上の白衣は脱 いでいるかもしれないですが、それ以外のところはどこまで気を配っていらっし ゃるのかなというところは非常に気になる部分があります。  それと、(4)のところに、調理器具などの洗浄ということも書かれておりま すが、これも非常に大事なところで、とにかく十分な洗浄ということを言ってお るところですが、ただ、学校給食でもときどき聞かれるのですけれども、ノロに 対する消毒は次亜塩素が一番効果があると聞いているのですが、例えばステンレ ス製の器具になりますと、非常にサビがきやすいということで、そのあたりはど のような消毒方法をすればいいのかとか、そういった具体的なものが現場の方に さらに示していただければ非常にありがたいのかなという気がしております。 ○品川部会長 ありがとうございました。 ○谷口委員 実は、誰もが持っていると仮定すれば、先生がおっしゃったように、 いわゆるユニバーサルプレポーションみたいな形で手洗いを徹底するしかない なと思ったんです。  それと、いわゆるコンタクトクワランティ、まだ発症する前の人からの感染を 防止しようと思ったら、接触歴がある人をクワランティするしかないんですけれ ども、ただ、そう簡単ではない。ファンレンじゃないですので、そう思います。 ○吉倉委員 さっき五十君さんがおっしゃったのは非常に大事だと思うんです。 細菌性のものはかなり減っていて、ただ、カンピロだけ減らないですね。それは なぜか。カンピロとノロはなぜ残っているのか。これはよく考えた方がいいと思 います。極端な話、例えば中国へ行って生野菜を食べる人はいないですね。みん な必ず揚げたものを食べるし、そういう食材自体のことも少し考えていく必要が あるかもしれないです。単に手洗いでは済まない話かもしれないです。 ○品川部会長 カンピロバクターは比較的わかっているんですね、こういう原因 で、どう減らすのかというのは。やはり難しいのは、人→人感染と言われている 部分が常にかかってくる。カンピロは人→人感染というのは食中毒において散発 事例があったけれども、今回はノロウイルスを集中的にやるのですけれども、今、 時間があってなかなかここもあれですけれども、不活化というか、ノロウイルス を消毒するのは次亜塩素酸ソーダというのが出てくる。そのほかに、次のぺージ の「ノロウイルスの不活化方法」というところに次亜塩素酸ナトリウム、加熱、 酸性電解水と。この辺で、ウイルスに対する不活化の方法というのは何か。やは り先ほど言った次亜塩素酸ナトリウムが一番いいですか。武田先生、何かその辺 で不活化のことで、こういうものが一般的に使いやすいとか。 ○武田参考人 実は、先ほど言いましたように、人でしか試験ができないので、 唯一、次亜塩素酸ソーダだけですね、人でちゃんと確認されているのは。それ以 外のいろいろな薬剤というのは、それに似たウイルスを代替物として加熱するの はあるのですけれども、そのデータを外挿しているというか、今のところはそう いう形ですね。酸性電解水というのは、果たしてどういうデータがあるのか私は わからないですけれども、加熱と次亜塩素酸ソーダまでは確実だと思います。実 際、その評価をする方法がないんです。 ○品川部会長 例えば、トイレなどのところの手洗いというのは次亜塩素酸ソー ダで磨くとか、そういうことでいけるという形ですか。多分、こういう消毒剤と いうのは濃度と時間の関係がどうしても出てくるような感じもするのですけれ ども。 ○武田参考人 そうですね。直接手を次亜塩素酸ソーダというわけには多分いか ないと思います。ですから、それを石鹸で洗い流すと。 ○品川部会長 とにかく物理的にまず洗って、最後に。 ○武田参考人 ええ。これはあくまでも例えば調理器具であるとか、回りである とか、吐物とか、そういうことをお出ししたもので、手はこれでは無理ですね。 ○品川部会長 先ほど、例えば冷蔵庫の取っ手とか、そういう汚染のところの。 ○武田参考人 それは、多分、次亜塩素酸ソーダですと200ppmぐらいでしょう か、吐物で1,000ppmぐらいだと思うんですけれども、それぐらいのもので洗剤 と水で洗うと。 ○渡邉委員 さっきから意見も出ているのですけれども、どうしてこういう集団 食中毒の事例が起こったのかというのを解析していくのは重要だと思うんです。 それで、私がどうしても気になっているのが、さっき調理者に焦点を当てようと いう話できているところがあるのですけれども、この55事例というのは、集団 発生が起こったどのぐらいの時点で、この調理人の便を調べているんですか。さ っき大体1週間から2カ月ぐらい排泄されるというふうに言われましたけれど も、そのことを考慮した上で、ポジティブになると。もし調理者がキャリアであ ればポジティブになるという確率が高い時期に検便なさっているんですか。 ○武田参考人 結局これは集団事例が発生したときに採っているんです。 ○渡邉委員 発生したときの調理人から採っているんですか。 ○武田参考人 ええ。 ○渡邉委員 逆に言うと、19%しか持っていなかったということは、余り調理人 に。 ○武田参考人 1人でもいれば。 ○渡邉委員 だけど、この55例がどのぐらいのパーセンテージで調理人が原因 かどうかわからないですけれども、もしそこに本当に理由を置くとすると、こん な少ない数字でいいんですか。むしろ私は80%ぐらいが持っている、ポジティブ であるというデータになるんじゃないかという気がしているのですけれども。 ○武田参考人 先ほど感受性ということを申し上げましたけれども、同じものを 食べて、発症するのがよくて60%ぐらいです。100%発症するなんてあり得ない わけです。 ○渡邉委員 この500人の集団事例を見ても、摂食者が例えば1,400人のとき、 患者が580人ですから約30%。だから、これはほかの細菌と同じですよね。O1 57などの場合でも大体30%前後ですから。ですから、そういう意味で見た場合 には余り変わらないと思うんです。議論は、調理者が汚染原因で、そこから何か ほかの料理にコンタミさせて、そしてアウトブレークで起こっているんだという 説が本当に正しいのかどうかというのがちょっと気になっているんですけれど も。 ○武田参考人 ただ、同じ仕出弁当を食べているという状況から。 ○渡邉委員 だけど、それを汚染したのが調理人であるという証拠が、陽性率が 19%というので余りにも。それで、ちょっと聞きたいのは、この14%というのが、 もしその人がキリャアであれば必ずポジティブになる検査法でやっているわけ ですよね。 ○武田参考人 そうですね。 ○渡邉委員 そうすると、調理人が原因だとすれば、もっと高くていいような。 ○武田参考人 でも、実際は、一般的な人、あるいは2%ぐらいしか持っていな くて、それでも、結局、仕出弁当とか、そういうものが原因しているのは1%だ けですから。 ○渡邉委員 私は逆だと思うんです。さっきの摂食者数の3分の1が患者になる とすれば、調理人もやはり3分の1になるんです。だから、何か食べているんで すよ。それで汚染されていると考えた方がリーズナブルじゃないか。その観点を 間違うと、対策法も間違ってくるので。 ○品川部会長 食材の中で、1人が食中毒になる場合というのは、その施設に持 ち込むのは何か。人が持ち込むのか、食材で入ってくるのか、何か入らないとい けないですね。 ○渡邉委員 そこの原因を探るのが重要で、このデータから見れば、その原因と して調理人ということで、余りそこに重きを置く必要はないんじゃないかという のが今の私の考えで、では、どこにあるんだという話になった場合には、そこを ちょっと考えないといけないと思うんです。1つは生野菜かもしれないし、水が 汚染されているという可能性もあるので、その辺の調査が足りないんじゃいかと いうことを言いたいんです。 ○五十君委員 今の調理人というのは、1つの事例に複数の調理人がモニターさ れていることはないんですか。 ○武田参考人 この例ですか。 ○五十君委員 はい。 ○武田参考人 集団発生もありますし、散発例も含まれています。 ○五十君委員 わかりました。そうすると、例えば集団発生の場合に、調理する 人が複数あって、1人の人が高い菌数を出していて、ほかの人はネガティブだと いうのをならしていくと、今みたいなパーセンテージになってもおかしくないよ うな気がするのですが。 ○渡邉委員 事例数で見たときには、必ずその中に1人はポジティブの人がいる んですか。 ○武田参考人 もちろんいます。 ○渡邉委員 この場合、事例数が55事例ですよね。449人調べた場合の19%と いうのは、必ず事例数の中に1人はいると。 ○武田参考人 はい。 ○谷口委員 アウトブレークというのは、1つ1つがすべてユニークなものです ので、全体のパーセンテージで議論できるものではないと思います。先ほどおっ しゃられた詳報というのを1つ1つ吟味して、この事例ではこういう状況で汚染 されたと。実際に症状があった人なのか、なかった人なのか。その1つ1つの吟 味でないとちょっと議論ができないんじゃないかと思います。 ○品川部会長 時間がきて、質問してなかなかわからないところも多いし、武田 先生がやっておられるからどうしても質問がいきますけれども、もう1点論議し ていただきたいのは、感染症との区別の診断方法のところで、次の4の(2)の ところ、食中毒の判断根拠、この辺をどういうふうにしていけば、先ほどからあ りますように、食中毒となると、これは非常に影響が大きい。公表もされるし、 営業停止も全部されてくるという形の中で、一方では、感染症でしたらそういう 形のものは特別なペナルティはないという形になると思うんです。その辺はある 程度、感染症なのか。特に集団感染症の場合のときの対応の仕方、ここに幾つか あるのですけれども、ここで私も気になるのは、流行曲線が一峰性と。普通の感 染症は必ず二峰性とか言うんですけど、ノロウイルスの場合にきちんとニ峰性を とってくるのかなと。集団感染にしても、例えば養護老人ホームとか、そういう 形で、そこでも報道されるときにはパーッと一遍に報道されていますよね。その 区別とか、集団的にボーンと出たときに、大体食品じゃないか、食中毒ではない かと大体マスコミが先にどうしても報道してくるということで。 ○吉倉委員 要するに、この部会は一体何を対象とするかということに尽きると 思うんです。感染症であろうと、食中毒であろうと、ここで問題は、一体どうや って患者の数をガタンと減らすかという話なので、やはり食中毒を減らすという そこを考える。そのバックグラウンドとして、人→人感染のこともあるだろうし、 それから老人施設ではありますね。しかし、それも全部一様に含めてやり出すと、 一体何をこの部会が対象にしているのかわけがわからなくなると思うんです。 ○品川部会長 そうですね。この部会では、やはり食中毒を中心にという形で進 んでいるんですけど。 ○加地課長 事務局側から言えば2つ目的がありまして、1つは、ノロウイルス の食中毒を減らす。それからもう1つは、自治体が食中毒事件を調査した上で、 再発防止のための行政的な処分であるとか判断をする調査をして、適切な判断が 下せるような手法を御提案いただきたい。この2つです。 ○品川部会長 そうすると、やはり食中毒か感染症か一応分けて、どういう形で 分けられるかということは。 ○加地課長 調査なり行政処分をする際の判断材料として、感染症と食中毒が切 り分けられるのかどうかです。切り分けられないと言われれば、これはもう少し 治験が出てくるまで待つしかないんでしょうけれども、今の段階で、行政的な措 置をどういうふうにとるべきなのか。その辺は自治体も非常に困っているんです。 ○吉倉委員 要するに、行政的な対象というのは施設ですよね。個人について行 政処分するわけじゃないですね。 ○加地課長 ええ。 ○吉倉委員 簡単に言うと、ノロの場合も、ロタの場合も、老人施設内での感染 というのは結構問題ですね。そういうものと、今の仕出屋というのは性質が違い ますね。その辺の仕分けでいいんじゃないかと思うのですが。 ○加地課長 おっしゃるとおりです。 ○中村委員 切り分けられると言われたら、これはケース・バイ・ケースだと思 うんです。病原体をノロウイルスと限ったときに、要するに広い意味の感染症が 起こっています。ただし、感染経路が食べ物であるときに限り食中毒という扱い なわけですよね。したがって、感染経路が食べ物なのか、水なのか、そのほかの ものなのか、よくわからないという話もあると思いますし、現実問題として食べ たものである、しかも、何月何日のどこそこの仕出屋がつくった弁当であるとい うことまで明らかになることもあるし、よくわからないけれども、これだけたく さん出ましたという話もあるし、その辺のところはきちんと出せというか、こう すると分けることができますという話は、現実問題としては100%というのは無 理だと思っています。 ○品川部会長 100%というのはないけれども、今までのような、だから、統計 もやはり食中毒として届けられているものと感染症がある。それは一応分けてい るんですね。それで、行政機関も違います。保健所で対応する人も違うし。だか ら、その辺をより明確にできる。それは、どうしても今、先生が言われるように、 100%とはいかないけれども、こういうことをやれば、こういう条件がそろった ときには食中毒と判定していく。そういうものでより新しいものがあれば。一応 ここにもそういう形のものが、先ほどから保健所なり、自治体のアンケートもあ りました。こういう形からノロウイルスと判定していると。そういう形でいいの か、それプラス何か必要なものがあるのかどうかということを皆さんに少しつけ 加えていただければというのが一番趣旨なんですけれども。 ○中村委員 こういう発言をすると全部引っくり返してしまうかもしれません けれども、相変わらずそういう議論をやっているんですかという気がしないわけ でもないです。私、もう20年前になりますけれども、保健所に勤務していまし て、実際にその当時、SRVと言っていたのが出ました。そのときに、要するに、 食品の担当と感染症の担当と綱引きをしてというようなこともあったのですけ れども、要するに、ウイルス感染症というのは間違いないわけでしょうと。それ は、食品を介してというのも明らかだったんですよね。そのときに、これは感染 症でもあるし、いわゆる食品衛生法というところの食中毒でもあるから、両方か ら考えなければいけませんよねということを言っていたんだけれども、なかなか 難しかった。10年ぐらい前からその辺がうまくいってきたのかなという気がする んだけれども、いまだに食中毒か、そうでないのかというところで線を引かなけ ればいけないということについては、本当にこれでいいのかと。もちろん法律が 2つあってということもありますし、それによって担当部局が違うというのもよ くわかりますけれども、もう少し総合的に感染症対策ということを考えなければ いけないんじゃないかという気がしております。 ○加地課長 ちょっと私の方から御説明させていただきますと、確かに10年前 といいますか、O157のときに、これは感染症でも取り扱わなくてはいけない。 食中毒だけでなくて、両方でやろうということで、当時は伝染病予防法に指定を されまして一緒にいこうと。ただ、先生がおっしゃられるのですが、実は法律的 に全く同じ構造ではなくて、今の伝染病予防法の感染症予防法というのは、まず 人の医療というのが中心で、患者さんをいかに助けるかということと、それから 蔓延を防止するかという観点になっております。一方、食品衛生法は、いわゆる 食品営業施設、飲食店であるとか、旅館であるとか、ホテルであるとか、そうい ったところで営業形態として、業として食品を提供している。そういった営業者 が食中毒を起こさないようにということで、人の要件も、それから施設の要件も あるし、また、そういう食中毒事例を起こした場合には、それを行政処分すると いうのは、何もペナルティを課すというよりも、改善をさせて、そして再発を防 止する。その施設できっちりとやっていただこうというような観点からやってい ますので、そこのところがどうしてもこちらの食品安全部局としては、営業者を どのように指導していくのか。再発を防止するためには、施設なのか、人なのか というところの観点がありますので、どうしてもそちらの方の切り口でいきます ので、先生がおっしゃるように、具体的に1つのアウトブレークがあって、その 中に100人いて、その中の80人が食品を介して、あと20人が人→人かもわから ない。そういう場合もあるかと思うのですけれども、それよりもむしろ我々の観 点としては、それが何らかの形で次の発生防止を予防するためにどうすればいい かというところなんです。ところが、自治体としても、ある飲食店、あるいは旅 館で発生があったということになりますと、何らかの形でそこに営業の停止なり、 自粛なり、あるいは禁止という形にして、そして、調理施設を改善させるのか。 あるいは、飲食店の従事者を教育するのか。あるいは、手洗いをもっとよくしな さいというような方法でやるのか。いろいろ再発防止のための次の手段をやって いかなくてはいけない。そういう観点で、さて、ノロは、我々としても今までウ イルスは扱っていなかった部分が、やはり食品を介して、営業施設を介して、大 きな食中毒が起こる、事件が起こるということで、食品衛生法で対応していこう というような経緯になってきているので、私としては、先生がおっしゃった10 年前、20年前と全然変わっていないというのではなくて、少しずつですけれども、 いい方向には向いているのかなと。その意味で、ここでもまさに感染症と、ちょ っと私の言い方が言葉足らずだったと思うのですが、切り分けるというよりも、 うまくリンクを張るといいますか、協力をし合っていくという意味でございます ので、その辺は私の言葉足らずでございました。 ○五十君委員 集団事例や散発のノロが増えてきている傾向として、やはり食品 を介した部分というのは少なからずあると思います。その部分が今までの微生物、 細菌の食中毒対策ではある程度うまくいっているようですけれども、ノロはどう も動いていない。恐らくノロは食品中では増えませんし、何らかの形の2次汚染 で食品を汚染してくる部分をカットするというのが理論的には重要と考えられ ると思います。その対策を立てるときに、手洗いをもっとやれと漠然と言ったと しても、恐らく効果ががないんじゃないかと思います。では、ノロの対策として、 例えば手を洗うというのをどうしたらいいのかという、その辺のところを少し考 えないと。ですから、例えばモニターをすることにより、食品をつくる方に不顕 性感染でノロを持っている人がいた場合に、今までの手洗いでは十分じゃなかっ たとか、そういう状況がわかってくれば、そこに対策を立てる。そういう議論を していくというのが重要じゃないかと私は理解しているのですが、いかがでしょ うか。 ○品川部会長 今、感染症研究所の方はやはり人→人感染と言われる感染症の方 で、統計もそういう形で週報から月報という形になるのですが、感染研の方では その区別というか、それは余りしなくても、今の話としては、一緒にやったらと いうのもありますけれども、やはりそのときに食中毒と感染症を分ける、こうい うことやればある程度わかるという、ここに書いているんですけど、武田先生、 何かこのほかにつけ加えるというか。 ○武田参考人 食中毒か感染症かというのは我々が判断しているわけじゃなく て、挙がってきたデータを解析したらこういう結果が出てきたということですか ら、それに対しては私はコメントできないです。 ○品川部会長 食中毒の場合はこういう食品監視員なりが出かけて行って調査 をすると。 ○谷口委員 基本的に、調査に伺いますと、我々は別に食中毒と思って調査する わけではなくて、あくまで食品媒介感染者の疑いということで調査をして、感染 源と感染経路、そういったものを全部調査をした上で、どのところで破綻があっ たかというところで再発防止につなげるわけであって、別に食中毒だから、感染 症だからというふうに考えたことはないと思うんです。 ○品川部会長 そのときの調査の項目として、どういうことのトータルで、当然、 総合的な判断になろうかなと。こういう調査があって、その調査のもとでこうい う判断をする。そのときに含まれる調査というのはどういうものがプライオリテ ィが高いのか、どういうものが必要かというのがここに書かれておれば、これだ けのことをやって、総合的に最終的にはそれでやる、それは当然だと思います。 ○谷口委員 つまり、あくまでもこれまでのものが調査されているかというのが、 一番最初の質問に戻るのですけど、私は詳報をきちんと見ていないものですから わからないんですけれども、どこまで調査してこういう結論なのかというところ が問題じゃないかと思いますけれども。 ○加地課長 逆に、そういうものはFETPなどで調査協力があって、先生方が 行かれて、やはりこうした方がいいとか、ああした方がいいというのをお持ちじ ゃないんですか。 ○谷口委員 調査事例によりますけれども、食中毒が疑われた時点でうちに依頼 はほとんどきません。どちらかというと、それが複合してややこしそうなものし かこないものですから、どうしても先ほどお話ししたように、この部分とこの部 分とこの部分の改善というふうなお話になりますね。そういったものを1つ1つ の症例というか、アウトブレークを大事に調査していかないといけないんじゃな いかと思います。 ○品川部会長 集団感染を起こしたときには、当然、先生が調査に入るわけです ね。 ○谷口委員 ものによりますけれども。 ○品川部会長 そのときに、どういうところを見てこようと思って調査に入って いるのかなと。 ○谷口委員 最初からそういう考えは持っていません。基本的なステップに従っ てやるのが基本です。 ○渡邉委員 先ほどから私が質問している内容は、そういう集団事例で本当にど こが、例えば食材なら食材で何が原因なのか、その食材を汚染しているのが人な のかどうか。そのデータはないので、なかなか議論が回り回ってしまっているん じゃないかと思うんです。今年の冬起こるかどうかわからないですけれども、今 後もしそういう事例が起こった場合には、それなりの調査をするということを今 から計画なさってはいかがでしょうか。そのときにFETPが利用できるのだっ たら、積極的疫学をかければいいわけですよね。今のところ、全部このデータと いうのは恐らく積極的疫学をやっていないと思うんです。今、感染研にいくのは、 自治体から要請がないとなかなか動いていないところがあるので、むしろ指導課 の方でそれを動かすように、多分、今年1年やれば、何事例起こるかわからない ですけれども、そこでデータがある程度得られれば、本当に調理師が原因なのか、 そうじゃなくてアンノンの食材で汚染原因があるのか。その辺のことがもっと明 らかになると、より適切な対策が出るんじゃないかというふうに思うのですけれ ども。 ○品川部会長 今年出ないことを祈るんですけれども。 ○加地課長 確かにそれはそうですけれども、では今シーズンどうするか。何も しないで発生するのを待って、それじゃ調査に行きましょうと。それではちょっ と。だから、私どもの課の中では、さっきの手洗いなども、検便の話も、では何 カ月おきに検便すればいいのか。さっきのいわゆるキャリアの保有の期間とか、 そういうものをある程度示せれば示したいんです。それから手洗いも、次亜塩素 酸ソーダでは手を洗えないので、どうやって洗うのか。対策は具体的にどうする のか。さっき五十君先生がおっしゃったように。  あるいは、もっと言えば、トイレを飲食店から撤廃したらどうかとか、調理従 事者は朝ちゃんとしてきなさいとか、あるいはドアノブを全部撤去するとか、そ ういうようなわかりやすい対策というのはないのかなと。 ○品川部会長 まさにこのあれというのは、従業員を対象にしたときには、それ もやはりノロウイルスの生息から見れば腸管の中、糞便からの汚染というのが直 接間接に入ってくる。そうすると、やはりトイレの問題というのは非常に大きい ものがある。それで、その次にくるのは当然手洗いで、服装の問題も先ほどちょ っと出ました。そういうのを総合的にやらなければいけないということですけれ ども、なかなか進め方がうまくなくて、議論することが多過ぎてわからないとこ ろがある。しかし、実際にこれからシーズンに向けて何をメッセージを出してい くのか。今までどおりのことでいいのかと言われると、皆さん方の、ここの部分 をこうしてほしいとか、こういうことに気をつけろということをやはり出してい く必要があるかなという気はしていまして、今のように、食中毒の判断根拠とい うのも、それは各自治体から、そういう形をどうしたらいいのかという質問がき たときには、こういう行政部局、またリスクマネジメントするところが、こうい うふうにやれとか、何かアドバイスができる部分がありましたら出していかなけ ればいけないんじゃないかということで今論議してもらいました。  しかし、これだけの項目がいろいろあって、論議していても、こっちへ進んで いったらまた人の問題に入るし、グルグル回るというのはこの問題の一番難しい ところだと思います。だから、なかなか時間をかけて言うことじゃないんですけ れども、一応、次のときにはある程度のまとめたものといいますか、たたき案の こういうことをまとめたというのを。しかし、それについても、まとめるといっ ても、事務局の方に全部まとめてくださいというのはなかなか難しいことになれ ば、やはり国立衛研、また感染研の先生方でサポートして一応まとめて、これを 公表していく。また、これを自治体に配布していくというものをつくっていただ いて、次回のときにまたそれを見ながら、こういう形でいいかということを、そ れで、ここである程度オーソライズされたものを各自治体に配布して次のシーズ ンを迎えるという形でいかがでしょうかということですけれども、そういう形で 一応感染研と国立衛研の方でよろしく協力して、これを9月の終わりごろ、今、 21日ということで調整していて皆さん方に聞いていますけれども、その前に、こ ういうことを書いていくというのを見ていただいてここに臨むということと、今 これだけの項目について、先ほど皆さん方の意見が十分話せなかった部分は、メ モッていただいて事務局の方に出していただければ、それを織り込んで、またそ ういう原案をつくっていただくという形でよろしいでしょうか。そうしないと、 今ここでいろいろ論議してもなかなか難しいですけれども。  一応そういう形で、来月の21日、皆さん方に時間的なものは事務局の方から お願いしていますよね。そうすると、その1週間の間ぐらいのところで一回皆さ ん方に原案を見てもらって、この会議に臨む。それをつくるのは事務局と国立衛 研と感染研の方で協力していただいて原案を出す。そういう形で進ませていただ いてよろしいでしょうか。  進め方がまずくて時間が長くなりました。非常に難しいというのを感じていま す。次回、何とか少しでもよりいいものがまとめられるといいと思います。 ○宮川課長補佐 一応、皆さん方の出席の可能性を調べさせていただいて、仮に ですけれども、21日の午後3時から可能であればやりたいと思っています。今の ところ、皆さん御都合がよろしいようですので、まだ予定がはっきりしない方が あれば、ぜひその時間帯にできるように調整をしていただければと思います。今 日いろいろ宿題のようなものがありましたので、それは後ほど事務局の方で整理 いたしまして、先生方にもいろいろ御協力いただきたいと思います。 ○品川部会長 どうしても出られない方は意見を出してください。  では、長くなりましたけれども、これで部会を閉じさせていただきます。御協 力どうもありがとうございました。 1