07/07/18 第32回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録 第32回 労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 日時 平成19年7月18日(水) 17:00〜 場所 厚生労働省職業安定局第1会議室 ○大橋部会長 ただいまから、第32回「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問 題部会」を開催いたします。まず、本日の委員の出欠状況を報告いたします。公益代表 の森戸委員と白木委員、労働者代表の古市委員、使用者代表の成宮委員は欠席です。成 宮委員の代理として矢野さんが出席されております。宮本委員は少し遅れて来られます。  議事に入ります。本日の議題は、前回に引き続いて「改正雇用対策法及び地域雇用開 発促進法に係る省令等の検討について」です。政省令の周知期間等の関係もあり、さま ざまなご意見がありましたが、前回の部会において、本日、部会としての取りまとめを お願いいたしました。審議にご協力をよろしくお願い申し上げます。  前回、さまざまなご議論があり、外国人指針、年齢制限禁止の例外事由及び青少年指 針に関してご意見がありました。事務局において修正案を作成してもらいましたのでそ れを説明していただき、審議に入ります。それでは、事務局から説明をお願いいたしま す。 ○生田総務課長 お手元に、資料No.1から資料No.7まで用意させていただきましたが、こ れは諮問案件となる資料を全部網羅したものです。その中で、前回のご議論を踏まえて 修正した部分を中心にご説明させていただきます。  1頁で資料No.1については特段の修正は入っておりません。2頁から3頁にかけて資料No.2 についても特段の修正は入っておりません。4頁から17頁にかけての、雇用対策法、ある いは地域雇用開発促進法施行規則の改正の部分についても修正は入っておりません。  18頁から19頁にかけて、青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処する ための指針があります。これについては議論がありまして、修正点があります。修正点 については新旧を付けていて、20頁の新旧の形で修正しております。原案では、第2の 事業主が青少年の募集及び採用に当たって講ずべき措置の中の後半部分の記述の「なお」 書きのところで、「青少年の募集に当たっては、採用基準を明示し、いわゆるフリータ ー等についても、その有する適性や能力等を正当に評価するとともに、応募時点におけ る職業経験のみならず、ボランティア活動の実績等を考慮するなど、その将来性も含め て長期的な視点に立って判断することが望ましい」となっておりました。このうちの「 採用基準」については、相当固い内容を想起させることもあり、実際の制度の運用に当 たってはなかなか難しい面もあるのではないかというご指摘をいただいておりました。  これについては、上の修正案のとおり修正し、「なお、青少年の募集に当たっては、 企業の求める人材像や採用選考に当たって重視する点等を明示し、いわゆるフリーター 等についても、その有する適性や能力等を正当に評価するとともに」といったように、 「企業の求める人材像や採用選考に当たって重視する点等」という表現にし、実際の採 用活動に当たっての実態に見合ったものに修正しております。  21頁は、年齢差別の禁止に係る厚生労働大臣が定める条件を示すものです。これにつ いては、前回相当いろいろな議論がありました。修正点については、22頁に新旧を付け ております。原案の中で「厚生労働大臣が定める条件は、当該事業主が雇用する特定の 職種に従事する労働者の年齢について、30歳から49歳までの範囲内において、5歳から 10歳までの任意の幅で一定の範囲を特定した場合に、当該特定範囲の年齢層の労働者数 が、当該特定範囲の幅と同一の幅でその両側に設定したそれぞれの範囲の年齢に属する 労働者数のそれぞれの2分の1未満であることとすること」となっておりました。  これについてはまず1つとして、特定の幅で人数が少ないというのを判断する場合に、 企業単位で行うのか、それとも事業所単位で行うのかということでした。前回までのも ともとの案は企業単位をベースに考えていたわけです。人事管理の実際を考えた場合に、 企業単位ではうまく運用できないようなケースも想定されるというご指摘があり、それ を踏まえて括弧書きを付けております。  上のほうの括弧書きでは、「特定の職種に従事する労働者」の下に括弧を付けて「当 該事業主の人事管理制度に照らし必要と認められるときは、当該事業主がその一部の事 業所において雇用する特定の職種に従事する労働者」と書き、人事管理制度に照らし必 要と認められる場合には、その一部の事業所においてその数を判断することがありうる、 ということを明示しております。  もう1つは、原案のほうの「2分の1未満」という部分です。この「2分の1」という数 字自体に、前回はさまざまなご議論がありました。3分の2がいいのではないかとか、さ まざまな数字を挙げて議論がありました。3分の2にするといったことについては、基準 として相当緩くなるのではないかという心配もあり、2分の1ということをベースに考え た場合に、中小企業の人事管理の状況を考えますと、2分の1未満では厳しい場合がある のではないかということを踏まえ、2分の1未満ではなくて「2分の1以下」という修正を しております。この点についてはご議論いただければと考えております。  23頁以下は、外国人の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針 についてです。これについても前回ご指摘があり、それを踏まえて新旧を30頁に付けて おります。第4の、外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が講ずべき必要な 措置の部分で、6の解雇の予防及び再就職の援助の部分です。この再就職の援助につい ては、当然在留資格の範囲内で再就職の援助を行うということをすべきだし、そのこと をきちんと指針で明記すべきではないかというご意見があったところです。  それを踏まえ、上の修正案のように、「やむを得ず解雇等を行う場合は、その対象と なる外国人労働者で再就職を希望する者に対して、関連企業等へのあっせん、教育訓練 等の実施・受講あっせん、求人情報の提供等」の後ろに、「当該外国人労働者の在留資 格に応じた再就職が可能となるよう」というのを入れ、「必要な援助を行うように努め ること」ということで、「在留資格に応じた再就職」ということをきちんと明記したと いうことです。  もう1点は、第5の外国人労働者の雇用状況の届出に関してです。3の届出の方法・期 限のところで、下の原案ではイロハとなっております。イのところは「雇用保険の被保 険者資格を有する外国人労働者に関する方法・期限」、ロは「被保険者資格を有しない 外国人労働者についての方法・期限」、ハは経過措置として、今年の10月1日時点で既に 雇い入れられている外国人労働者の取扱いについて書いてあります。  イの被保険者資格を有する場合も、「ハに該当する者を除く」と書いてあります。ロ の被保険者資格を有しない外国人労働者についても、「ハに該当する者を除く」と書い てあります。  10月1日時点で雇い入れられている労働者については、すべてハで対応することにな っておりましたが、ハは平成20年10月1日までの間に、様式第○号に必要事項を記載の 上届け出ることとなっていて、「翌年の10月1日までの間に届け出ればいい」とだけ書 いてありました。  これは、10月1日時点で雇われている方が、引き続き雇用されている状態であるとき に、翌年の10月1日までに、様式第○号で届け出ることについてはそれでよかったので すけれども、辞めたときについては、やはり一定の届け出が必要ではないかということ で以前からご説明もしておりましたが、その部分が十分記載されておりませんでした。  上にありますように、辞めた場合についてもきちんと書くということで、「平成20年 10月1日までの間に、様式第○号に必要事項を記載の上、届け出ること」と書いてありま すが、その後ろに「ただし、当該者が離職した場合にあってはイ又はロの方法・期限に 従い届け出ること」と正確に記載いたしました。  これにより、雇用保険被保険者資格を有する人が、10月1日時点で雇われているケー スにつき、その方が辞めたときは、被保険者資格の喪失届を当然出すことになるわけで すけれども、そこに外国人の雇用状況の届出に相当する事項を書いていただくことにな ります。ロの被保険者資格を有していない方が辞めるときについては被保険者喪失届と いう手法ではありませんが、離職したときの届出ということで提出していただく形にな ります。ここは、正確性を期すための修正です。  最後に32頁以下に、地域雇用開発の関係の指針があります。これについては、前回修 正のご意見等はありませんでしたので、特に修正等は加えておりません。私からの説明 は以上です。 ○大橋部会長 議論に移ります。ただいまの説明のうち、最初に外国人指針についてご 意見、ご質問等があればお願いいたします。 ○原委員 前回も申し上げているわけですけれども、法務省への報告ということに関連 して前回質問したことについてそれなりの答弁をいただきました。どうしても、提供を 求める情報とその必要性、理由を明らかにして云々ということについては、どうもこの イメージがわからない。今回の法律の趣旨から照らして、この件についてはどう考えて も違和感といいますか、危惧の念といいますか、そういうものが先に立ってしまいます ので、改めてそういう違和感や危惧の念を拭うような文章を是非お願いしたいというこ とです。  どういう情報なのか、どういう必要性、どういう理由があるのかわからないのです。 前回の答弁を聞いてもわからないし、今回それに関する記述がないということについて は極めて残念だということが第1点です。  第2点は、一貫して心配な点ということで文章化をお願いしていることです。それな りの答弁はいただいていて、信用しないわけではないのですけれども、入管との関係で 不法就労が見つかったというときに、現実問題として経営者がその人を採用し、不法就 労が見つかったときに、それまでに働いた分の賃金については運用上払うようにはしま すという回答はいただいています。働いた分の賃金はきちんと払う、未払いということ でそれが済んでしまうことがないように、これはきちんとしますという文章の明示があ ってしかるべきではないかと思います。是非その点についても何らかの担保をお願いし たいと思います。 ○市瀬委員 外国人雇用報告の義務化について、事業主の負担をできるだけ軽減する観 点から2つご意見を申し上げます。1つは、雇用保険加入者の届けについて、現在の雇用 保険被保険者資格取得届の項目を追加する形をとり、日々の雇用の雇用保険適用外の外 国人労働者の届出については、採用・離職をまとめて1枚の提出とするように工夫をし ていただきたいと思います。  それから、雇用保険適用外の外国人雇用状況報告は、中小企業に新たな負担を課すも のでありますので、雇用もしくは離職の届出期間をいまのところは1カ月ないし最大60 日という形になっておりますが、できましたらこれもできるだけ長くしていただきたい と思います。  要は、こういうことを事業主が報告するに当たり、2点確認させていただきます。指 針案では外国人かどうかという判断について、「通常の注意力をもって外国人であると 判断できる場合での確認でよい」となっておりますが、外見や名前、言葉で区別が難し い場合はどのように対処したらよいのかということが1点目です。2点目は、外国人労働 者が在留資格などを偽り、それを知らずに雇用していた場合、雇用主は責任を問われな いと理解してよろしいのでしょうか。この2点を確認させていただきます。 ○樋渡委員 今回の外国人労働者の雇用状況の届出に関しては、事業主の負担にならな いような手続方法をとっていただきたいということをまず申し上げておきます。先ほど 原委員から、不法就労者に対しての賃金の保障というお話がありましたが、その辺をこ の法律の中で確約するということ自体どうもよくわからないので、その辺の説明をいた だきたいと思います。 ○原委員 私が答弁するのですか。 ○樋渡委員 この法律の中でどういう位置付けでそれをお考えになっているのかという ことです。 ○大橋部会長 これは法律の話ですから、まず事務局の話を聞いてから対処したいと思 います。 ○尾形外国人雇用対策課長 原委員からのご質問とご意見についてお答えします。法務 省への提供についての具体的なイメージとして、特にどういう情報が、どういう必要性、 どういう理由に基づいて提供されるのかということです。この点については、そもそも この法律の新たな改正法において設けられた条文の趣旨・構造というものをまず申し上 げます。  前回のこの部会で1枚の紙をお配りいたしましたけれども、第4条第3項というのがあ り、不法就労対策というのが、労働行政としても重要であり、そのための対応として今 回雇用対策法を改正するということです。そこで、入管行政と労働行政双方において不 法就労対策へのアプローチが必要だということがあった上で、それを実際上担保する条 文として、第29条で情報提供が設けられています。  基本的にそれを在留管理という言葉でいうか、労働政策という言葉で言うかというこ とはあるわけですが、不法就労という問題に的確に対処するための情報提供であるとい うことであり、主として念頭に置いているのは不法就労者を少しでも減らしていくとい う国全体の目標に沿って、法務行政・入管行政のほうで必要だと思われる情報を提供す るということです。  基本的にこの雇用状況報告で取る情報というのはいろいろなご議論があるわけですが、 ここはあくまでも労働政策として必要な情報をまずは取るのだということで、情報は必 要最小限になっています。人定事項であるとか、雇用状況であるとか、あくまでもその 人の職場における関係のみの情報、それと人定情報に限られた情報を取るわけです。 それを不法就労という観点から、法務省が提供を求める。それ以上には、絶対に提供さ れる情報というのは膨らまないわけです。そういう意味では、対象範囲という意味でも 縛りがかかっていますし、どういう場面で求められるかという基本的なイメージという ものも、法律の構造で明らかになっているのではないかと思っております。それを前提 に指針でも書かせていただきました。  これも原案の繰り返しですけれども、28頁で確認に当たっての留意事項の「なお」書 きのところに「1に掲げる事項以外の事項の確認・届出は必要がない。外国人労働者の プライバシーの保護の観点からもこの点に十分留意する」と書かれております。これは、 あくまでも事業主に対する指針ですので、法務省との関係について書いているわけでは ありませんけれども、そういうことにもつながる趣旨みたいなものはここにも書き込ま れているということです。そういう点でご理解いただけないかと思います。  それから、不法就労者についての労基法違反の問題、特に未払い賃金等の問題につい てはどうやって救済がはかられるのか。これは、従来から救済をはかるべきだという運 用を労働基準行政と入管行政との間でやっています。事務ベースでそういうことをやり 取りしているように聞いておりますが、改めてこの指針の中でそういうことを書くべき ではないかというご意見だったと理解しております。  そういうことが明記されているかどうかということでありますけれども、労働基準法、 あるいは労働関係諸法令をきちんと確保しながらということが、23頁の第2の基本的考 え方のところに書いてあります。「事業主は、外国人労働者について・・・労働基準法、 最低賃金法等の労働関係法令及び社会保険関係法令を遵守するとともに、外国人労働者 が適正な労働条件及び安全衛生を確保しながら・・・この指針で定める事項について適 切な措置を講ずるべきである」ということであります。労働基準法等の関係法令をきち んと遵守すべきである、ということはここに書かれているということです。  先ほども申し上げましたように、この指針の名宛人は事業主ですので、法務省との関 係のことがどこまでここに落とし込めるのかというのは、ピンポイントで書き込めるも のではないし、名宛人の違うところにそういうものを書き込むというのは構造的に難し い部分があります。ただ、根っこにある思想の部分はこのようにちゃんと書き込まれて いるということでご理解いただけないかと思います。  使用者側の市瀬委員、樋渡委員からいただいた事業主の負担軽減の観点のご意見につ いてですが、この点は建議をいただいた段階からいろいろなご議論の結果を踏まえて十 分配慮した形で提案することになっていました。既に雇用保険の得喪の機会を通じてや るというのが1つであったり、電子申請を活用すべきであるということもその1つであっ たりするわけです。雇用保険の得喪に乗らない人たちについても、今回私たちもそこは 十分配慮しなければと思っております。  1つには、採用・雇入れと離職という2つのアクションそれぞれについて届出が必要な 建前ですけれども、これについてはまとめてやるべきではないか。もともと猶予期間が あって、その猶予期間内に採用と離職の両方が来るような場合には、私どももそれは1回 で済ませるように様式上配慮したいと思っております。もし採用と離職のサイクルが何 回か繰り返される場合には、一定回数分まとめて報告できるようにということも考えて おります。  あるいは電子申請も可能だという前提の下に、それでは期間はどれだけにすべきかと いうことに関しては、当該労働者が離職した後のことを考えますと、そこは時期を失さ ずに再就職の支援が必要だということもあり、そういうこととのバランスを考えますと、 そこは提案している以上に長くするというのは難しいかなと。そこのところは、これが 1つの考え方であるとご理解いただいて、他方様式の上でいろいろ工夫すること、ある いは電子申請も可能になるということをもってご理解いただけないかと考えております。  もう1つ、現実に事業主の方々が外国人かどうかを判断する場合のトラブルみたいな ものが懸念されるというお話がありました。私どもが何度も申し上げている、通常の注 意力ということがいろいろ難しい場面、それだけではなかなか難しい場面があるのでは ないかというお話でした。基本的に、根掘り葉掘り何がなんでも確認しろということで はない、ということが1つのポイントであります。確認し、届け出なければならない義 務を負うべき外国人かどうか、ということを通常の注意力をもって判断していただく。 外国人であるということが一般的に判断できない場合にまで突っ込んでいって調べろと いうことではない、ということをまずご理解いただきたいということです。  基本的には言語であるとか、その方々の氏名であるといったことで、ほとんどの場面 が確認可能であって、混乱を招き悩ましいということはないのではないかと思いますが、 明らかにこの人は外国人だということがわかる場面について義務がかかるのだとお考え いただきたいと思います。  その次のご質問にもなるわけですが、外国人であることを知らずに、確認もせず届出 もせず雇ってしまった場合にどうなるか。あるいは不法就労であった場合、不法就労だ ということがわからずに雇ってしまった場合、確認はしたのだけれども在留資格が定住 者であったり、永住者であったりということで、それを信じて届出をしてしまった場合 にどうなるかということです。刑法の一般原則にもなるのですが、罰則は基本的に故意 犯でありますので、あえて知っていて虚偽を届け出たとか、あえて外国人だということ がわかっていて無視したということでなければ罰則はかからないという建前です。先ほ ども申し上げましたように、これは絶対に外国人だということがわかった場合に、あえ てそれを無視して届出をしなかったということでなければこの罰則はかからないという 仕掛けになっていることをご理解いただければと思います。 ○大橋部会長 ただいま説明がありましたがいかがでしょうか。 ○市瀬委員 電子申告ですが、いま私たちは納税に関しても電子申告というのをなるべ くという形で、それは双方がということもあって、なるべくしたほうがいいに決まって いるのですが、なかなかそこまで行っていないという現実があります。電子申告に関し ては、パソコンから即ダウンロードできるような申請書にしてほしいです。それは、早 目にご検討いただけるということですか。 ○尾形外国人雇用対策課長 10月1日の施行に間に合うように準備しつつあるところで あります。 ○大橋部会長 よろしいですか。 ○市瀬委員 はい。 ○原委員 念のために、樋渡委員の質問に対して発言しておきます。基本的な考え方は、 いま厚生労働省が発言された内容で対処していただきたいということで、決して不法だ から云々かんぬんと。若干危険な、あるいは心配な点もあるわけですけれども、基本的 には厚生労働省がいま発言された内容に私も趣旨は賛成です。不法だから云々かんぬん ということは決してないということでよろしくお願いいたします。 ○長谷川委員 いまの樋渡委員のご意見に対し、なんで労側がこだわるかというと、私 どもの地方連合会に最近は外国人労働者の相談が多いのです。その中には、ちゃんと資 格があって働いていた場合の相談と、不法就労で働いていた人の相談もあるわけです。 そのときに、不法就労の人たちに何が起きているかというと、不法就労で賃金が未払い であったりというのが多いです。特に、残業手当の未払いが結構多いです。そうしてい るうちに不法就労だというのがわかると強制的に送り返されるわけです。そうすると、 賃金の支払いがまだあるわけです。そういう意味で連合はやさしいから、それを労働基 準監督署に一緒に行ってあげたりして、最終的に連合がちゃんと処理するということを やっている所もあるわけです。  不法就労であろうがなかろうが、人を雇ったらきちんと賃金は支払う、いかなる場合 でも支払うということは大原則だと思うのです。中にはそうではなく支払わなく、軽い 言葉で言えば「ああ、これでよかった。儲かっちゃった」と思う人たちもいないわけで はないのです。そういうことに対して知らないこともあるだろうし、知っていてやる場 合もあっていろいろです。外国人労働者が多くなってきた中で、使用者として注意しな ければいけないこと、それから外国人労働者も日本のいろいろな法律を知っておかなけ ればいけないことなどがあって、そういうことに対しては周知活動は必要なのだと思う のです。  そういう意味では、いま原委員が言ったように、この指針のここで読み取れという話 もあるわけですが、事業者向けのリーフレットにQ&Aなどを付けてもらって、不法就労 だということがわかったけれども、そういう人たちに対して賃金・時間外は支払わなく てもいいのか。それは駄目だ、基準法に反するといったことをやっていただく。  本日は言わないでおこうかと思ったのですが、外国人労働者の問題はいっぱいありま す。例えば、ワーキングホリデーで来た人は1つの事業所で3カ月になっています。でも、 そういう細かいことを知っている人がいるかどうか。大企業で法務がしっかりしている 所と、中小の所では知っていることの差というのはあると思うのです。そういう意味で は、これから厚生労働省としてもいろいろな問題をきっちりキャッチしてもらって、お 互いに不幸でないような活動をすることが必要なのではないか。  そういうことを言うのは、どちらかというと労働相談を受けている労働組合が言うし かないので、何回も言ってすごくいやだと思うでしょうけれども、不法就労であったと しても賃金は全部払うのですよ、ということは教えなければいけないのではないかとい うことで何回も言っています。非常に聞き苦しい点はあると思いますけれども、組合と して労働相談をやっている所とするとそれはしようがないということなのです。 ○樋渡委員 ご趣旨は十分よくわかりました。私ども使用者側も守らなければいけない ことはきちんと守っていくべきだと思います。その点に関して、なかなか隅々まで行き わたらないという部分はあると思いますので、その辺は使用者の団体としても今後周知 するようなことはやっていきたいと思っています。  ただ、不法就労の場合の賃金不払いのところだけが、どこかに文章でポンと出てきて しまうことについてはどうなのかということで質問させていただきましたので、趣旨は 十分わかりました。 ○大橋部会長 外国人のこの指針についてはいろいろな心配が随分あるのですけれども、 これを指針として文章にするというのは非常に難しいわけです。その辺のところはご配 慮いただきたいと思います。 ○長谷川委員 先ほど原委員からも申し上げましたように、法務省と厚生労働省の扱い 方についてはこの会議で何度も言いましたが、やはり厳格な運営が必要なのではないか と思いますし、これからそういうことが始まると思いますので、この部会の中で私ども は何回も繰り返して申し上げてきましたが、そのことが厚生労働省の行政施策の中にし っかりと反映できるような措置をしていただきたいと思います。 ○大橋部会長 ほかにございませんでしょうか。 (特に発言なし) ○大橋部会長 それでは、案のとおり修正することといたします。なお、分科会への報 告に際しましては、ただいまいろいろ議論がありましたように、特に労働側からのご意 見も合わせて報告したいと存じます。次の議題は、年齢制限禁止の例外事由についてご 意見、ご質問等があればお願いいたします。 ○市瀬委員 前回の審議会でもご指摘がありましたように、募集と採用には年齢を特定 できないと、企業が想定している方が応募するということで、雇用のミスマッチが拡大 してくると思われます。それは、労使双方かえって手間が増えることを懸念していると いうことについては何回か議論させていただき、こういう形でしかできないのかもしれ ないのですけれども、どうしてもそれは危惧をしているということを私どもからは指摘 させていただきます。  それから、技能ノウハウの継承の観点から特定の職種において、特定の年齢層に限定 して募集・採用をする場合について、1人の労働者が中小企業では複数の職種に跨がっ ていることが多いものですから、その職種を限定することや、他の年齢層の人数の把握 をすること自体が難しいということも懸念が残っております。  また、改正法の施行に当たっては、事業者に混乱が生じることのないように、年齢制 限が設定可能な例、それから制限してはいけない例をわかりやすく公表するだけでなく、 年齢制限に代わる労働条件の明示の仕方の具体例についても十分周知させていただき、 ハローワークにおける相談・助言体制を徹底させていただきたいと思います。  それから、今回の改正の年齢にかかわらず、募集の機会を与えてほしいという趣旨は 理解しておりますが、企業の募集・採用においては人的や事務的なコストが非常にかか るということを認識していただきたいと思います。施行後は、企業に過剰な負担を強い ることのないように、採用現場の実態を十分に把握し、例外事由を柔軟に見直すことも 視野に入れての対応をしていただきたいと思います。以上4点よろしくお願いいたしま す。 ○長谷川委員 募集・採用における年齢の問題ですが、私は審議会の中で何回か年齢の 制限の問題について指摘してきました。また同じことになるのですが、そもそも募集・ 採用に年齢制限を設けることがいいのかどうなのか、という議論を本来はきっちりやる べきだと思っております。  国会が終わって以降、この審議会に対して特に女性からの関心が高まっております。 なぜかというと、年齢制限を設けることにより、そこから排除されるのは女性なわけで す。40歳とか35歳というのが、要するに女性が排除されていくということで、この募集 ・採用の年齢というのはそういう問題を持っているということです。女性が募集・採用 の機会を奪われるということに対する性差別ではないかという指摘は以前からあったわ けです。そういう中で今日まで議論してきたわけです。  前回のときに、使用者側から3分の2とか、5分の4という話もありました。事務局がそ ういう意見を踏まえ、本日は未満から以下となってきたわけです。この問題というのは いろいろな見方があると思うのです。経営者は経営者側の委員がおっしゃいましたし、 前回は使用者も言っていました。私どもでもいろいろな意見はあるのですけれども、何 回か議論した結果がこういうことだと思うのです。将来的にはそういう年齢制限が見直 されることが望ましいのではないかということを申し述べておきたいと思います。  未満から以下というのも、なんとなく腑に落ちないような、あまりすっきりしていな いのですが、本日は使用者側のそういう意見があることも踏まえてやむを得ないと思い ますし、将来にわたって引き続き検討していただきたいと思います。 ○橋本委員 8頁の(イ)は、特定の年齢を下回る労働者の募集・採用を行うときとい うことで、この最後のところの括弧の中に「新たに卒業しようとする者と同等の処遇で やれ」と書いてあります。これは、厳密にいったときに同等以上でやったら駄目なのか。 年齢が新卒よりも上の人を採用する場合、実際に会社の中にいる人との比較で、もう少 し上に位置付けるケースもあり得ると思うのです。これを「同等」と書いてしまうと、 同等にしないと駄目だと受け取られないか。要するに、より良い労働条件を提示するこ とはできない、というふうに読めているのです。この辺についてはどんなものなのでし ょうか。 ○久保委員 8頁の(イ)からイロハニとありますが、そういうところというのは周知 の場面のイメージはどのようになるのか。いつごろ、どのように周知を考えているのか を教えていただきたいのが1点です。特に、告示にあるのは8頁でいうと(ロ)の部分だ けになりますので、その辺りは文面だけではわかりにくいので、図示するなりわかりや すい方法で徹底していただければと思います。 ○樋渡委員 22頁で「2分の1未満」となっていたのが「以下」になっているということ については幅広くその範囲が広がるということで、逆に言えば採用の機会が増えていく という捉え方もできるのではないかと思っています。  ハローワークで実際に運用するときに、さまざまなハローワークでそれぞれ違う対応 がされないように、リーフレットなりで使用者側あるいは働く側の人にきちんと周知す ることも大切ですし、ハローワークのほうもきちんと共通の認識ということで徹底して いただきたいと思います。 ○大橋部会長 たくさんの質問が出ておりますので、事務局からお願いいたします。 ○宮野企画課長 それでは、お答えをさせていただきます。最初に、市瀬委員からいた だいたご質問、ご意見の点です。かえって手間が増えるのではないかという懸念につい ては、前回橋本委員からもご意見をいただきましたときにお答えしたとおりです。実態 としてそういうケースも発生しうる。ただ、一方でこれは市瀬委員からもお話がありま したとおり、これまで門前払いの形で応募すらできなかった方についてもチャンスが広 がるという点を踏まえて、一方でなるべく混乱が生じないよう、その職務内容等を十分 に明示していただくという形で、なるべく混乱を避ける形で応募の機会を増やしていた だくということでお願いいたしたいと考えております。  2点目の、特定の職種について、その職種の捉え方というところです。確かに中小企 業の場合については1人がさまざまな仕事をするという実態にあると思います。一方、 いずれにしても求人をするときには、こういう仕事でということで求人をすると思いま すので、それは実際に求人をする職務の内容ごとに判断していただくという形になるの だろうと思っております。  3点目の周知については、ほかの委員の皆さんからご質問、ご意見をいただきました けれども、今回これで例外が可能になる例、可能にならない例、いま申しましたように 具体的にどういう形で応募の条件を明示したらいいのか、これは具体例をリーフレット、 パンフレット等により十分周知させていただきたいと思います。  4点目についても、他の委員の皆さんからもご質問、ご意見をいただきました。施行 状況を十分に踏まえ、必要があれば見直しについて検討しなければならないと考えてお ります。  長谷川委員からは、根本的に募集・採用について年齢制限がいいのかという点があり ました。前回、森戸委員から冒頭にご意見があり、お答えをしたと思います。前回、諸 外国の例についてもご報告いたしました。諸外国では、例えばアメリカであれば年齢制 限禁止という形、EU諸国であれば募集・採用だけではなくて、雇用についてのすべての アクセスについて、年齢だけではなく、障害や宗教などさまざまな部分についての差別 禁止という形の規定がされています。我が国においては前回申しましたとおり、とりあ えず募集・採用について門戸を広げるという形で、今回雇用対策法の改正がなされたと ころです。それ以外の部分については、引き続き中長期的に検討していかなければなら ない課題であると認識しております。  特に女性の問題ですが、これも前回ご意見をいただきました。前回お答えをしたとお り、今回の規定自体は35歳等々で切るものではありませんし、それぞれの企業の実情に 応じて年齢、若年者のみならず、当然ながら女性も含めて募集・採用をしていただくと いうことです。一方でご指摘のとおり、特に育児を経た後の女性の再就職はなかなか難 しい状態にあるということは事実だろうと思います。私どもとしても、別途仕事と家庭 の両立対策の中で辞めなくても済むような形での育児休業制度の普及促進、あるいはマ ザーズハローワークの展開・拡充をしているというようなことで、女性の再就職支援対 策という形も含めて取り組んでいかなければならない課題であると考えております。  2分の1未満を2分の1以下にというところについては、冒頭総務課長からご説明い たしましたとおり、ここは前回2分の1という数字について、ほかの数字も含めて検討が できないだろうかというご意見をいただいて、私どもとして検討した結果、2分の1を変 えるというのはなかなか難しいのではないかと。ただ、確かに規模が小さい所を考えま すと、4人、2人、4人ですとか、6人、3人、6人という所で、3人とか2人という所で駄目 になる、というのもなかなか厳しい状態にはあります。さりとて、弾力的な形でという のも非常に難しいであろうということで、ここは「未満」を「以下」というように修正 させていただいたという経緯ですのでご理解を賜りたいと思います。  橋本委員からのご質問の「同等以上では駄目なのか」ということですが、私どもとし ては、「同等」というのは「同一」ではありませんので、新規学卒者と全く同じでなけ れば駄目だとは考えておりません。私どもは、フリーターの経験のようなものも考慮し ていただければということを若年者対策の中で申し上げておりますので、そういった形 で、例えば賃金等の配慮についてはお願いできればと思っております。  ここで「同等」といっておりますのは、それ以外の人事労務管理制度、最初の配属の 関係や研修といったところについて、基本的には新規学卒者、いままでに職務経験のな い方と同じような形で取り扱っていただければ、という趣旨で「同等」という言葉を使 っております。  久保委員からのご指摘の「周知」については先ほどもお答えいたしましたが、年齢制 限の部分の施行は10月1日と期限も限られております。そういう中で私どもとしては、 リーフレット、パンフレット等を含め、短い期間ではありますがなるべくわかりやすく 周知させていただきたいと思っております。  その際に、これは樋渡委員からのご意見ですが、当然ながらこの内容については皆様 に周知する前に、まずハローワークの職員に、それぞれ内容については十分理解しても らい、周知していただくということで進めさせていただきたいと思っております。多岐 にわたりましたが以上です。 ○大橋部会長 ただいまの説明に対してご意見はございますか。 ○樋渡委員 リーフレットを作るという話だったのですが、今回は地域法だとか、外国 人だとか、年齢だとかいろいろなものがこの法律の中で一遍に入ってきてしまっていま す。できれば、外国人は外国人、年齢は年齢という形で是非作っていただきたいと思い ます。 ○生田総務課長 リーフレットについては、事業主や労働者に利用しやすい形で作ると いうのは当然だと思っておりますので、分野ごとに作ったほうが使いやすいのではない かと思っております。ですから、外国人については外国人で作り、年齢差別の禁止につ いてはそれについて作るといった形で、使いやすい形で作るようにしていきたいと思っ ております。 ○市瀬委員 先ほどの技能・ノウハウ継承の観点から、特定の職種についてというとこ ろで懸念を申し上げたのですけれども、中小企業がいろいろな職種に跨がってやってい る場合、その辺は善意であれば事業所側に、どちらにカウントするかということはお任 せでよろしいと理解してよろしいのでしょうか。要は、職種をいくつか跨がってやって いる人で、その年齢層が少ないという場合のことに限り、すごく具体的に少人数のこと で申し訳ないのですけれども。 ○宮野企画課長 先ほどもお答えしたとおり、いずれにしても募集されるときにはこう いう仕事です、ということで募集されると思いますので、基本的には募集する仕事の前 後ということで判断していただくという形になるのだろうと思います。 ○市瀬委員 2分の1以下であるとした場合の、その2分の1のところが接触してくる、と いう場合のことをお尋ねしたいと思っているのですが、それもそういう形で。 ○宮野企画課長 基本的には、まさに2分の1のカウントというのはこれは求人に関して ですので、こういう仕事ということで募集をすると思いますので、当然その2分の1のカ ウントについては、その求人を出した仕事の内容で基本的には2分の1の判断をすること になろうと思います。原則としては、1回目の資料にありましたとおり、職業分類でい うと小分類、ある程度具体的にただ単なる技能職という形ではなくて、例えば電気関係 の技能職というような形になると思います。そこが、いくつかの仕事をするということ であれば、それぞれの企業の中でほかの方も同じような形で仕事をしていると思います ので、その中で2分の1云々のカウントをしていただくという形になろうかと思います。 ○市瀬委員 比重の問題は別にしないということでよろしいのですね。例えば、1人の 人がいろいろなことをやっているときに、いちばんの重き理由ということはしないでよ ろしいということですね。そのときに、企業側が必要な人数という形で、どちらにもカ ウントしてよろしいという理解でよろしいのですね。 ○大橋部会長 確認ですけれども、求人した人材があると。その求人した人材が行う仕 事を、例えばできる人が年齢の前後にどれぐらいいるのですかと。求人の年齢を除いて、 その仕事をできる人の範囲の数を特定したいという質問だと思ったのですけれども違い ますか。 ○市瀬委員 そうではなくて、1人の人がいくつかやっていたときに、主に何をしてい るかということ。従でいくつかやっているときに、その従のほうでも必要なときにはカ ウントのほうに入れてしまってよろしいのか、企業者側の形としてということをお聞き したかったのです。それはいま言ったように、企業者側の善意のやり方、という形で理 解してよろしいのですか。 ○宮野企画課長 ご質問にあるとおり、ある程度規模が大きい企業の場合には、完全に 1つの仕事ということで、そこはきっちり割り切れる部分があるのだろうと思います。 ただ、規模が小さい所に関しては、当然ながらいろいろな仕事を、おそらく従業員皆さ んがされているという形になると思います。Aという仕事、Bという仕事の双方をしてい るということになります。それは、先ほどから申し上げているとおり、おそらく求人を する場合でも、Aという仕事、Bという仕事の両方をやっていただきますという形で当然 求人をするのだろうと思います。 ○市瀬委員 新しく募集した方にAとBをさせるということではなくて、BだけならBとい う形でやる場合、そちらにいまAとBをやっている人がカウントされてしまってもよろし いのですかという質問をしたのです。 ○宮野企画課長 いずれにしても中小企業の場合には、いま申しましたとおりいろいろ な形はあると思うのです。そこは弾力的に判断しなければならない部分はあると思いま す。いずれにしても、その方が求人をする仕事についてあくまでもノウハウの継承です から、今回求人をする部分というのは、ある一定の年齢層だけ、いまその仕事をする人 がいないということで、その前後でその仕事をする人がどのぐらいいるのかということ で判断することになるだろうと思います。 ○生田総務課長 補足させていただきます。先ほどからリーフレットを作るというお話 をさせていただいております。詳細についてはQ&Aで対応させていただくことになりま す。いまのご質問についてもいろいろな事例があって、それを仕分けしていかないとい けないと思いますので、その辺りについては今後きちんと対応させていただきたいと思 っております。 ○大橋部会長 だいぶ話が微に入り細に入りになってきましたが、案の修正としてはよ ろしいでしょうか。 (異議なし) ○大橋部会長 それでは、案のとおり修正することといたします。次に、青少年指針に ついてご意見、ご質問等がありましたらお願いいたします。 ○山川委員 青少年の雇用確保の関係で、18頁、19頁になりますが、事業主が定着促進 のために講ずべき措置の、1番の雇用管理の改善に係る措置のうちの(2)です。前回も 申し上げたのですけれども、「期間を定めて雇用されていること等により不安定な雇用 状態にある青少年が希望した場合に、正社員への登用の可能性が与えられるような仕組 みを検討すること」という書きぶりになっているのですが、どうしても少し弱すぎると 思わざるを得ません。  青少年の雇用機会の確保という意味では、正社員という道筋も非常に重要かつ有効な ものです。現在は雇用状況が少し改善したとはいえ、青少年の有期雇用やフリーターの 皆さんが置かれている不安定な、あるいは低賃金という状況は構造的には変わっていな いわけです。いま、雇用が改善されていく中において、企業側も当然優秀な人材が必要 でしょうし、働く側も安定した職を求めるということは、ある意味で共通だと思います。 そういう時代の流れの中にあって先送りするのではなくて、こういうときこそ正社員化 に向けたものを少し強く求めていっていただいたほうがいいのではないかと改めて思い ます。  特に検討ということだけになりますと、ある意味では検討さえしておけば何もしなく てもいいというふうな誤解を与えかねない、あるいは間違ったメッセージを送りかねな いという意味も含め、正社員化に向けて、実効性のある書きぶりに改めるべきではない かということを改めて申し上げます。 ○阿部若年者雇用対策室長 山川委員の前回に引き続きのご指摘ですけれども、若者の 不安定な雇用ということがいろいろ言われているわけです。いままでは、行政の中でも 若者の雇用機会を確保していくことについて、法令レベルでの仕組みもなかったという ことです。今回は雇用対策法の中で、こういう機会の拡大についての努力義務が設けら れ、また今回ご審議いただいております指針として、事業主の方々に努力していただく ということの仕組みを設けてきたということを第一歩として進めていきたいと思ってお ります。  正社員に向けた努力については、各企業の取組み状況、企業の規模、業種に応じてそ れぞれあると思いますし、ご指摘いただいている趣旨は理解するところですけれども、 いまの時点で強い言葉まで書き込むことはなかなか難しいのではないかということです。 そういうことで、前回ご意見をいただいていたところではありますけれども、「検討」 のままにさせていただいたところです。  前回も総務課長から、青少年の指針の関係について、今回はいまできるものとしてこ の整理をさせていただいたところです。この先いろいろな運用の中で見直すべきところ があれば今後の見直しにもつなげていきたいと思っておりますので、ご理解いただけれ ばと思います。 ○山川委員 努力義務としての指針であることは十分承知しております。ただ、折角の こういう指針ですから単に検討にとどまることなく、検討もしていただくとともに、そ の実現に向けて具体的な実施についても同時表記しても特に問題は発生しないと思いま すので、事業主のほうにも、もう少しアピール力のある書きぶりにしてもらったほうが いいのかと思い、重ねてそのように申し上げたいと思います。 ○大橋部会長 これまでは、若者のパラサイトシングル論等々で、若者に問題があると いうような論調が強くあったのですけれども、それがこういう形で少し変わってきたと ころです。そういう点では大きく方向が転換してきていると理解していただけるかと思 います。 ○原委員 正社員の問題は、いちばん最初の段階から申し上げています。厚生労働省と しての構えは十分お伺いしています。やはり、メッセージを発するという意味において、 山川委員がおっしゃるように、「検討する」ということではどう考えても弱いという思 いがします。  厚生労働省としては、第1回中央最低賃金審議会には厚生労働大臣が異例とも思える ような形で直接出席し意思を伝えたという経過もあるわけです。そういう意味で、最低 賃金と同じように極めて重要な正社員という問題に関し、厚生労働省としても是非一歩 進んだ考え方を発信していただきたいというのは最初から言っていることですけれども、 改めて要望意見を出しておきたいと思います。 ○樋渡委員 今回初めて、青少年の問題が雇用対策法の中に盛り込まれました。20頁に あるように、企業が求める人材をきちんと明示しなさいということが今回入ってきてい ます。そういう意味からいうと一歩進んだことになるのではないかと理解しております。 今回初めて入ったということから考えますと、こういうことから始めていくのだという ことではないかと思っております。 ○大橋部会長 荻野委員から出されたと思うのですが、採用基準についてはよろしいで しょうか。 ○荻野委員 いろいろご配慮いただきましてありがとうございました。 ○大橋部会長 ほかにはございませんでしょうか。 (特に発言なし) ○大橋部会長 それでは、案のとおり修正することといたします。全体を通してほかに ご意見はございませんでしょうか。 (特に発言なし) ○大橋部会長 特にご意見はないようですので、当部会での議論については、20日に予 定されている職業安定分科会に、部会としては事務局案について概ね妥当と考える旨報 告することといたします。なお、報告に際しては労働側委員から、外国人雇用状況の届 出に係る個人情報の取扱いに当たっては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する 法律に従い、その保護に万全を期すとともに、法務大臣からの情報提供の求めに対して は、その目的・必要性等を慎重に検討し、厳格な運用を図るべきとの意見があった旨報 告させていただきます。 ○高橋職業安定局長 一言、ご挨拶かたがた御礼を申し上げます。今回の改正雇用対策 法並びに改正地域雇用開発促進法の施行については、法律の公布日から3月以内に施行 するということで、大変な時間的制約がある中で、集中的なご審議をお願いいたしまし た。各委員には、大変お忙しい中にもかかわりませず、精力的にご審議いただきました ことをまずもって御礼申し上げます。  今後は、いま部会長からもお話がありましたとおり、職業安定分科会にお諮りをし、 答申をいただいた上で施行ということになるわけです。私ども施行に当たりましては、 この部会において大変さまざまなご意見をいただきましたので、そうしたご意見も十分 踏まえながら、地方公共団体及び事業主団体等のご協力もいただき、改正法の趣旨の実 効を上げるべく、私どもといたしましても改正内容の周知はもちろんですが、事業主に 対する適切な指導・助言等々を含め、法律の施行に万全を期してまいりたいと考えてお ります。  最後になりますが、誠にお忙しい中を精力的なご審議をいただきましたことを改めて 御礼申し上げ、ご挨拶に代えさせていただきます。 ○大橋部会長 それでは、本日の部会はこれで終了いたします。どうもご協力ありがと うございました。本日の会議の議事録署名委員として、原委員及び木本委員にお願いい たします。 (照会窓口)   厚生労働省雇用政策課雇用政策係   TEL:03-5253-1111(内線5732)