07/07/06 社会保障審議会後期高齢者後期高齢者医療の在り方に関する特別部会平成19年7月6日議事録 07/07/06 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会          第9回議事録  (1)日時   平成19年7月6日(金)15:00〜17:25 (2)場所   厚生労働省共用第7会議室(5階) (3)出席者  糠谷真平部会長、遠藤久夫委員、川越厚委員、辻本好子委員、                             野中博委員、堀田力委員、村松静子委員         <事務局>         水田保険局長、白石審議官、原医療課長、唐澤総務課長 他 (4)議題   1.後期高齢者の外来医療について         2.後期高齢者の在宅医療について (5)議事内容 〇糠谷部会長  これより後期高齢者医療の在り方に関する特別部会を開催いたします。委員の出欠状況 です。本日は鴨下委員、高久委員が所要のため御欠席でございます。辻本委員は少しおく れていらっしゃるということでございます。  議事に移ります。前回の特別部会においては、後期高齢者医療の在り方に関する基本的 考え方についてのパブリックコメントの結果が報告されました。また、今後の議論のため の論点が示され、後期高齢者の医療について「外来」「入院」「在宅」に分けて議論をす ることといたしました。  さらに、前回は、この中から入院について議論を行ったところでございます。  今回は、前回にお示しした予定のとおり、「外来」及び「在宅」を中心に議論を行って いくことといたしますが、前回の特別部会で宿題となっていたパブリックコメントに関す る資料なども用意しましたので、そちらを先に事務局より御説明をお願いします。 〇医療課長  医療課長でございます。前回、野中委員から医療関係者以外の方からの御意見について、 どのようなものがあるかという御指摘がございましたので、今回、資料1に取りまとめて おります。医療従事者以外という方が22名おられます。意見としては延べ44件でござい ました。22名の方の職業別の内訳は、会社員が4名、自営業が1名、社会福祉関係が6名 等となっております。今回、その44件の意見すべてを2ページ以降にまとめさせていただ いております。  いただいた御意見をみますと、例えば、1の(1)では高齢者医療制度の中でも患者が自 由に治療を受けられるようにしてあげてほしい、というような御意見がございました。  3の(1)に書いてありますが、特にひとり暮らしの高齢者にとって心のケアは大事であ り、心の問題に経済的な負担が重くのしかかっていることを忘れないでほしい、という御 意見がございました。  最後の方にございますが、後期高齢者医療では、医療費ぐらい無料にすることを望む、 このように患者の視点からと思われる御意見もございました。  また、年齢でみますと、後期高齢者である75歳以上の方からの御意見もございました。  その他にやや專門的な御意見として、例えば3の(4)には、在宅看護はマンパワーがキ ーとなるが、医師を初め介護労働者の育成や、賃金などの待遇改善の課題などが示されて いない、というものがありました。あるいはその前でございますが、外来を含め包括的な 支払方式を基本とした診療報酬体系を構築すべきである、という制度設計に関する專門的 な御意見もございました。  その他、概ね前回医療関係者の中からいただいた御意見等々と大きくずれるものはなか ったという結果でございます。  合わせまして、前回の入院についての討議につきまして、資料2に「主な意見」という ことで事務局でまとめさせていただいております。これはまた後ほど在宅あるいは外来の 議論をしていただきますときに、入院から退院の時点などに関係するところもございます ので、事務局でこのような形でまとめさせていただきました。説明は以上でございます。 〇糠谷部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関しまして、御質問といいま すか御意見がございましたらお願いをいたします。 〇野中委員  ありがとうございました。その中の一つは、これはどれだけのことがいいのかですが、 例えば治療を受けられるようにしてほしいとか、治療が中断されるのではないだろうかと か、そういう不安が多少あるのが少し伺えると思います。ですから、少ない意見かもしれ ませんが、その辺のところで、余りそういう不安が国民にとってないような形として今後 検討するべきだというように、きょうのものをいただきまして思いました。よろしく御配 慮いただきたいと思います。ありがとうございました。 〇糠谷部会長  その他にはいかがでございますか。よろしいでしょうか。一つだけ私からです。  このパブリックコメントは、民間人は知らないというコメントがありますね。医療の問 題というのは、專門的なのでパブリックコメントということで医療関係者以外のコメント は数が少なかった、というところもそういうことのあらわれだろうと思いますが、そこは 心しておかないといけないのかなというのが私の感想です。  では議題に移ります。本日の議題でございます。在宅医療、外来医療についての資料を 用意させておりますので、これについてやっていきたいと思います。かなり論点を幅広く 事務局で用意してございますので、十分に御議論をいただければと思います。  まず、外来医療について、事務局から説明をお願いします。 〇医療課長  資料3−1と3−2が外来医療でございます。まず3−1について御説明をいたします。 1ページです。これは前回お示ししましたものをそのまま関係のあるところを抜粋してお ります。個々の論点についてそれ以降で資料をつくっております。  2ページです。複数の疾患や合併症を持つことが多いことから、主治医が後期高齢者を 総合的に診ることをどう進めるか、という問題。これについて3ページをごらんいただき たいと思います。  後期高齢者を総合的に診るための取組。現状としては、複数の疾患を有していることか ら、複数の医療機関を受診している場合がある。合併症の発症及び重症化のリスクが高く、 死亡率が高い。慢性疾患を有している患者では、介護等のサービスを必要とする場合が多 い。認知機能が低下している者が若人よりも多い、などであります。  それに対して課題です。例えば、複数の医療機関を受診しているということですが、必 ずしも患者の病歴や投薬、検査に関する受診歴が十分に一括して把握がされていないとい う場合がある。高齢者の特性を踏まえた、定期的・総合的な評価が実施されていない。訪 問看護ステーションや介護サービス事業所等と連携し、必要なサービスについての検討が されていない。バラバラにされているということです。認知症の初期段階での、専門医に よる診療が重要との指摘がございます。  これらに対しまして考えられる方策です。医師の役割ということで、診療の中心となる 医師というものを想定して、この方に患者の病歴や受診歴を把握していただく。併せて他 の医療機関への受診状況等もこの方に一元的に把握をしてもらってはどうか。その上で患 者や家族、医療関係者をつなぐキーパーソンとして、この方をつくっていってはどうか、 ということが1点でございます。そうすることによって情報を一元的に把握ができるので はないか。  2番目です。定期的・総合的な評価について、基本的な日常生活の能力や認知機能、意 欲等について評価を行い、結果を療養及び生活指導で活用することが重要ではないか。こ れは入院医療のときにもお示ししましたが、CGAあるいはそれの簡易版のチェック項目 を定期的にやってはどうかということでございます。  例えば、最初の診療の中心となる医師が全体を把握していただいているわけですが、合 併症等の治療や專門的な治療が必要な場合は、専門医を紹介し、またその中心になられる お医者さんは、治療内容を十分にそこからフィードバックしてもらって共有してはどうか、 ということでございます。  これらのことを全般的にイメージとして書きましたのが4ページでございます。後期高 齢者の特性ということで、このような方々に対して、定期的に総合的な評価を行う。また それによってその結果を踏まえて、必要なサービスは何か、あるいは必要な診療は何か、 ということを判断していただき、必要な場合に專門的な医療機関、あるいは介護保険等の サービス、このようなものにつなげていっていただく、このような役割の中心的な役割を するお医者さんを設定してはどうか、というのがこの1番目の大きな流れでございます。  5ページです。2点目の論点です。複数の医療機関を受診している可能性があるため、 受診時に充分な病歴や受療歴の確認が行われることをどう考えるか。これはいまも出てま いりましたが、6ページでございます。  これは先ほどの3ページのテーマと同じですが、そこの一番上の段、診療の中心となる 医師を設けるということが一番大きなポイントではないか、複数受診を適切にコントロー ルというか適切に紹介をしていただく、そのような中心的な医師を考えてはどうか、とい うことでございます。  7ページをごらんください。お薬について重複の場合がございます。外来患者さんは、 多数のあるいは複数の医療機関を受診されることもありますし、そこでそれに必要なお薬 なども処方されるということもございます。実際問題として、現状として、年齢が進むに つれて傷病の数もふえるし、重複受診者もふえる、薬の重複投与や相互作用の危険な場合 があるということがございます。  高齢者の場合、外来で投薬を受けていたとしても、入院される場合もある。そういう場 合に入院中とか入院前、あるいは入院中と退院後、そのような場合の注射や投薬について の相互作用や重複投薬についてどう考えていくか。現状では何もされていない。  そういうことからいきますと、課題としては、患者さんが服用している医薬品の情報、 これを何とかどこかで一本化する必要があるだろう。それを処方する、あるいは調剤する 医師、歯科医師、薬剤師、あるいは服薬の指導をしたりする看護師、その関係者が確認で きるようにすることが重要ではないか。あわせて患者さん自身も服用している薬について、 何を飲んでいるのか、どのような薬か、ということを把握できるようにしておくのが重要 ではないか。  考えられる方策としては、現在、既に多くの薬局で発行している「お薬手帳」というも のがございます。これには薬を薬局が交付するごとに薬の名前、あるいは注意事項などを 記載していただきまして、それをずっと持っていただく、この活用が薬の情報の一元化に は非常に重要なツールではないかと考えられます。  また、認知症の方々もおられて、外来といえども服薬を支援する必要な方もございます ので、必要な場合には「薬の一包化」、例えば、朝飲む薬はこれとこれが一つの包になる。 あるいは昼飲む薬も1包というように、処方せんの中での薬の種類を超えて、その時々に 飲む薬を1包化するもの。あるいはそれに対応して服薬カレンダーというもの、これを活 用してはどうかということでございます。  8ページです。このお薬手帳、後ほど写真をお示しいたしますが、これはそれぞれ複数 の医療機関から処方せんをいただいてこられるお年寄り、高齢者、この方々が一つの薬局 にいけば一つの薬局で済むわけですが、例えば、複数の薬局に行かれる場合もある。その ようなときに、御自身がお薬手帳というものを持っていれば、どこで薬の調剤をしていた だいても、本人のお薬の情報がそのお薬手帳に全部一元化される、これは薬剤師ももちろ んですが、その他の医療機関の医師、歯科医師等も確認できるような仕組みになります。  9ページです。入院中と入院外での医薬品についても、重複や競合作用による副作用と いうものがございます。これについても、お薬手帳等をそのような形で活用できないか、 ということは十分に考えられることでございます。  10ページ、論点、認知症です。認知症や心の問題を抱えている場合も多いことから、患 者のみならず患者家族等についても、必要に応じた連絡・情報提供が行われることをどう 考えるか。  患者が地域における医療・介護・福祉サービスを有効に活用することをどう考えるか。  認知症対応としましては、現状として、複数の疾患を有しているということとか、同居 率の低下に伴う高齢者のひとり暮らし世帯の問題、こういう現状もある。  それに対して課題としては、先ほどの、これはバリエーションですが、重複検査や重複 投薬の問題をどうするか。あるいは医療・介護・福祉等との連携をどうするかということ。 患者家族が安心して生活を送ることができる支援体制をどうするか、という問題です。  考えられる方策としてここに出ておりますのは、診療の中心となる医師に活躍していた だいて、その医療機関、他の医療機関での受診状況も含めて、その医師が情報を持ってい ただき、患者のみならず家族等々、あるいはそれに係わる医療従事者等と情報を共有する ことが必要ではないか。  必要なサービス調整のために、医療従事者間の情報の共有のみならず、あるいは介護・ 福祉等のサービスの連携というものをこの主治医等を中心に考えてはどうか。  診療や介護予防等のためにも、総合評価について患者家族、医療・介護従事者間でその 情報を共有してはどうか、ということが一つの方策として考えられます。  資料3−2の参考資料を少しごらんいただきたいと思います。詳しい説明は省きます。  1ページは、年齢階級別の通院者の平均傷病数でございます。当然ながら、高齢者にな るほど傷病の数、あるいは訴える症状の数というものが増加していることがこれでおわか りいただけると思います。  体の衰えということからいきますと、要介護度がどのような分布をしているかというこ とです。80歳を超えると色の濃い要介護度3以上の方々の割合が伸びてくるということが ごらんいただけると思います。  次のページもこれを百分率に直したグラフでございます。  4ページです。年齢階級別、性別にみた介護者の状況でございます。左側が介護を要す る人が男性の場合、この場合は主として介護される方は配偶者であることが多い。ただ80 歳を超えてきますと、その他の子であるとか子の配偶者という部分が多くなってきます。 それに対して、介護を必要とする方が女性の場合は、当然ながら若いところは配偶者であ る夫ということになるのでしょうが、配偶者が半分程度介護をしておられますが、70歳を 超えてくると子、あるいは子の配偶者という部分がほとんどになってきているという現状 でございます。  次の5ページです。認知症高齢者の増加ということです。ここでは要介護者の中でどう かというものをみております。要介護者、要支援者、およそここでは314万人であると思 います。それに対しまして、痴呆自立度がII以上という方が149万人ということで、約半 数が認知症の影響が認められる。また、将来推計でございますが、痴呆自立度II以上ある いはIII以上のところが相当程度伸びてくる、というのがこの表でごらんいただけると思い ます。  総合的に診療していただけるお医者さん、これについて用語としてはかかりつけ医等が 使われていたりしますが、関係されます団体等での御意見というものを抜粋させていただ いております。6ページです。  国民健康保険中央会の「高齢社会における医療報酬体系のあり方に関する研究会」の報 告書というものがございます。昨年の12月に出されたものです。その中からかかりつけ医 体制についての部分を抜粋しております。  この中では、かかりつけ医として具体的にはどのようなことをしてもらうか。1つ目に は原則として診療所の中からかかりつけ医をまず選びなさい。病気になった場合はまずそ の先生にかかることが原則です。2つ目に具体的にはどのような役割か、1つ目が登録さ れた後期高齢者の健康状態の把握と健康上の相談への対応、健康づくりや保健指導、疾患 予防、介護予防、このような予防などの活動をしていただく。当然、病気が出た場合には 診察や治療をしていただく、もちろん専門医や病院への紹介もやっていただく。リハビリ テーション、ターミナルケアの対応、あるいはみとりというものもこのかかりつけ医の役 割ではないかとされております。  かかりつけ医は、この登録された後期高齢者が介護保険給付の対象となっても、そのサ ービス提供機関・施設と協力しながら、引続き、医療面でかかりつけ医としての役割を果 たしてください、こういうことが述べられております。  診療報酬については、このような、かかりつけ医体制にふさわしい体系ということで、 具体的には登録された後期高齢者の人数に応じた定額払い制と、それに加えて出来高払い、 この定額払いの併用、これが全体の報酬になるというような御意見でございました。  7ページです。これは健康保険組合連合会、今年の6月14日ですが、これからの医療提 供体制と健保組合の役割(提言)というものからかかりつけ医のところの抜粋でございま す。ここでは総合的な視点にたった診療を行う医師・医療機関ということです。  健保連が考える、総合的な視点に立った診療を行う医師・医療機関は、以下のような機 能を備え、地域医療の「要」として活躍することが求められる。  患者の日常の生活圏に近い場所にいて、他の医療機関と協力して夜間診療にも対応でき ること。患者の個別性・尊厳に配慮しながら、家族全体に長期継続して医療を提供できる こと。「看取り」などの在宅医療を含めた幅広い医学的知識・臨床経験を有し、全人的・ 診療科目横断的な医療を提供できること。健診データ等に基づき、特に生活習慣病患者・ 予備軍に対して、保険者と協力しながら適切な指導・管理ができること。患者に適切な医 療提供が行われるよう、他の医療機関や訪問看護ステーション等への紹介や調整を行うこ とができるなど、となっております。  このような役割を担う、総合的な視点に立った診療を行う医師、これについて「なお書 き」ではありますが書いてあります。  諸外国の例にみられる強制的な「登録医制」については、解決すべき課題が残されてい ることや、健康保険法上の加入者による医療機関の自由選択主義(いわゆるフリーアクセ ス)に抵触する仕組みであることから、「総合診療医」の養成・普及状況をにらみつつ、 モデル事業等を実施することにより、その実現可能性等について多面的に検討・検証する 必要がある。というようにまとめられております。  8ページです。これは日本医師会が今年の3月に出されましたグランドデザイン2007− 国民が安心できる最善の医療を目指して−とタイトルをうたれたものの総論部分というこ とでございます。  この中からかかりつけ医関係です。まずかかりつけ医に望まれることとしては、かかり つけ医には、地域医療において他の医療機関との緊密な連携が求められると同時に、生活 習慣病等の予防や健康相談にも高いニーズがある、このようなものに応じてほしいという ことです。かかりつけ医には、疾病の治療だけでなく、予防から一貫した連続性のある医 療を提供することが求められていると見ることができる、としております。  報酬は、後期高齢者医療制度基本的スキームの中で、外来は出来高とする。入院も原則 出来高払いとし、慢性期の一部を選択性の包括払いとする。いずれも個々の病態に配慮し ない画一的な支払方式に陥らないよう、柔軟な対応を行う。  また地域間格差を助長しかねない都道府県単位の診療報酬の設定は認めない。このよう にされております。  この3つの団体等の意見でございますが、概ね、かかりつけ医に求められておりますの は、初期の診療に加えて、その予防の面でもいろいろな役割を果たすべきではないか。あ るいは予防から初期の診療等に、一貫した方向を、ここでいうかかりつけ医がいろいろと 診ていく必要がある。それがすべての団体に共通した事項ではないかということです。  薬の関係、9ページです。  これは特別部会の第4回のヒアリングで林先生、岩月先生の御発表の資料でございます。 ここでは薬物有害作用の発現頻度、東大病院の老年病科の資料です。種類がふえて、投薬 数がふえればふえるほど有害作用の出現頻度は当然ながらふえてくるということでありま す。  10ページです。これはいろいろな医療機関を受けられたときの重複のものとか、あるい は相互作用が問題となる例などが発見される。このお薬の状況の一元化というものが重要 なことであるということの例でございます。  11ページでございます。これがお薬手帳でございます。現在、お薬手帳は多くの調剤薬 局さんで出していただいております。手帳代金そのものは、診療報酬で直接は払っており ませんが、その中に処方せんを受け付け、一回について右のようなこれは内容であります が、どこどこクリニックから、担当医のだれだれ先生からこのようなお薬が出ています、 というようなこと、このような情報をそれぞれ書いていっていただく。一回書くことによ って、15点という点数がついているわけでございます。  このような形で複数の薬局でも一冊の手帳に書いていただく。あるいは病院での院内処 方などは、下は手書きでございますが、このような形でもこれにつけ加えていっていただ く。このようなことによって、一人の患者さんへの薬の情報が一元化できるのではないか ということでございます。  12ページです。これはこのお薬手帳がどのように出されているかということです。お子 さんの0〜4歳のところは6割近くございます。あとは大人になりますとだんだんと高齢 者が薬の種類や数も多くなりますので、活用度合いは70歳を超えると40%を超える状況 であるということでございます。  外来について関係の資料は以上でございます。 〇糠谷部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関しまして御質問・御意見等 をお願いいたします。 〇川越委員  いまの説明をお伺いしておりまして、患者さんが診療上、あるいはかかりつけ医に行く という前提で話が組み立てられているような印象を受けました。実際、いまは多くの患者 さんには、まだ、何かあったら病院に行くというような現状がございますので、そういう 点について、つまり病院で行っている外来診療をどのように考えていくかという点を、私 が理解できなかったかもしれないので、その点について考えがございましたら教えていた だきたいと思います。 〇医療課長  現在、病院で外来は当然ながらフリーアクセスですので、あちこち行かれる。その点に ついて、現在、制限的に何かを考えているわけではございません。ただ、いろいろな理由 で病院に行かれるということは、いろいろな要素があると思いますので、いまそれを制限 的に直接すぐにやる方策として有効なものはないのではないかと考え、できればこの総合 的に診るお医者さんが出てくる中でそちらの方で診ていただける形に自然に収れんしてい くような方向を願いたいと思っております。 〇遠藤委員  幾つかの課題と考えられる方策の中で、特に考えられる方策の中で、患者さん特に高齢 者の患者さんが多様な疾病をもっているということなので、いろいろな診療歴等々を一元 化したらどうか、ということが書いてあるわけです。基本的に私は、このような受診歴と か病歴が一元化されてそれが患者の手元にもあるということは、非常に好ましいことであ ると思います。  その意味では、こういう方向で進めていくということには基本的には賛成します。ただ、 具体的なことを考えると幾つか課題というか検討することがあると思います。例えば、情 報を共有するというときの診療情報は、どのレベルのことをいっているのか。カルテのレ ベルのことなのか、あるいは例えば紹介状を書くレベルの話なのか、あるいはどこの診療 科に何日にかかったというレベルの話なのか。どのレベルの情報なのかということです。 それを主治医が常に持っているといっても、どういう伝達の方法で、多分、患者さんを介 してということになるのでしょうが、それがどうなのか。あるいは主治医と意見が合わず に自分としてはもっと高次の医療機関にかかってしまった。そのこともあとでちゃんと主 治医に報告しないといけないのか、いろいろな問題が多分あると思います。  ですから、基本的にはこの一元化ということに私は賛成ですが、それが患者にとって余 り不利益にならないような形の制度設計、ということが重要かなと思ったわけです。そう いうところで具体的に例えば医療者として、医療に従事されている方で、例えばどういう 情報であればこういうものを共有しやすいということなのでしょうか。3委員の方は現実 に関係しておられるので、どなたか御意見があれば承りたいと思います。 〇野中委員  情報の共有ということで遠藤委員が言われたことは、大事です。確かに問題は患者さん に、医療機関のカルテではない患者の情報が書かれているカルテもどきのものを持っても らう議論もあるわけです。またカルテの開示の際、どこまで開示するのかという話もいつ もあるわけです。私の経験としては、患者さんに例えばきょうの血圧値とかこれからの2 週間に注意していただきたい事柄を書く、それだけでもいいと思います。  決してお薬手帳の話をないがしろにするわけではありません。お薬手帳の場合には、薬 の内容が書かれ、さらに副作用等の問題点が書かれるだけでも患者さんは喜ばれます。手 帳を医療機関が見ることによって、どういう治療を受けているか、薬がダブらないという 効果があるわけです。同じように医療機関でも、きょうの診療の結果、注意事項などをメ モ書きでも渡すことの大事さを日頃感じます。しかし、情報の共有とか、カルテ開示とい う話になると、前に進みません。  私のつたない経験でも、父親の代からの患者さんで耳が遠い方がおられました。その方 に診察室で大きな声で説明をしていたら、実は待合室にまで内容が筒抜けであるというこ とに気が付きました。それである日、筆談に変えたのです。筆談で診察の結果とか注意事 項を伝えました。その2週間後に患者さんが見えたとき、「先生、あのメモでよくわかり ました。」と言ってくださった。今まではそういう経験がなく、逆に今までいっていたこ とは何も頭に入っていなかったのか、とがっくりきました。  そういうメモ書きでも渡すことによって、患者さんがその日の診療内容についてある程 度は理解してくださる。また、そのメモ書きを例えば私が不在だったとき、他の医療機関 を受診したときに、いまはこの薬を飲んでさらに治療を受けている事がほかの医療機関に もわかります。お薬手帳とどうやってドッキングできるかが大きな課題と思います。  在宅医療の場合も同じですが、一方で情報の共有を進めて行くと、患者さんに告げてい ない病気はどうするかとか、そういう話にまで広がる場合もあります。  メモ書きを実際に実現していく際には、そのメモの活用方法をどうするか?あるいはノ ートとかの大きさがいいのか等の問題もあります。  私も実際に、その後何人かの高齢の患者さんに実行してきましたが、なかには次の診療 には忘れて持ってこない患者さんもいました。持ってきていただくためには、例えば保険 証書と一緒にできる工夫が必要です。しかし、国の制度としては、老人健康手帳がありま すが、実際にはなかなか活用されない。それはあの手帳の規格が決まっており、血圧を記 入する欄も非常に細かく使いづらいからです。何とか工夫すると、医療提供者すなわち薬 局や看護師さん、ケアマネージャー等も、活用ができると思います。  もう一つは、患者さんがこの手帳を医療機関に持っていくことが大事です。遠藤委員が 言われたような、患者さんが他の医療機関に黙って受診するということはよくいわれます。 実際に患者さんに適切な医療機関へのかかり方を外来でじっくりお話すれば、先生に怒ら れるからと他の医療機関への受診を隠すことは、減ると思います。ただそのことを全く聞 きもしない場合もあります。高齢者の特性を踏まえて総合的に診るという中には、そうい う他の医療機関への受診等を聞き出す努力も当然含まれます。  診療所に血圧で来院されていても、日常生活の話になると、ひざが痛いとか肩などが痛 いと言われます。その痛いことに対してどうしているのかと質問をすると、整形外科を受 診している話になります。この部分を聞くと作業が大事と思います。  これは私が遠藤先生に対する一つの答えです。  外来というのは、川越先生も言われますように、二つあると思います。それは患者さん がまず診療所を受診する外来、もう一つは病院から病状が安定して戻ってきて診療所を受 診する外来です。この二つは実は違いがあるわけです。その違いをどう理解するかも大事 と思います。  次に高齢者の特性を含めた定期的・総合的な評価が実際的でない現状があります。特に 大事なのは、病院から退院されて診療所に来る外来のときに、病院での評価がどれだけ大 事かがあると思います。  病院から退院されて、病院の外来でどこまで診るのかが課題です。診療所の外来の役割 と病院の役割を、医療制度で分けるのではなく、患者さんが自らの病状を理解をして地域 に振り分けられて外来受診することが大事と思います。その辺に関して現状では課題はま だあると思います。その辺の2つの外来をぜひ御検討いただきたいと思っております。 〇糠谷部会長  ほかに御自由に御発言ください。 〇堀田委員  総合的に診るために情報を一元化して総合医のところで管理する。そういう構想が打ち 出され、一方でお薬手帳のお薬に関する情報、これを本人がその情報の手帳をもっていて 関係者全員がこれをみてチェックする。そういう情報の使い方、管理の仕方がいま提示さ れているわけであります。  このコンピューター時代に、昔の台帳方式のような感じの手帳なのかという思いがあり ます。もっと例えば一枚の医療カードがあって、本人が一々手帳を持って行ったり、認知 症で名前を忘れてしまってもそのカードを携帯していてそれをみればわかるような、そう いう方式を目指して、今すぐとはいかないでしょうが、構築していく。一方でそれをどう するのか研究をすすめながら、つくる制度がやがてそちらに結びつくような制度設計がい るのではないか。そのように感じました。  情報を総合医のところで一元化する、もちろん情報の一元化は非常に必要であります。 新しいお医者さんにかかるたびに、一々病歴を書かされたり、過去のたばこの喫煙歴を書 かされたりしますが、私の場合、過去のものを読んでみたら、過去は20年間1日20本、 いまの記憶は25年間1日30本とまことに我ながらいいかげんだなと思うわけで、しかも 一々その都度の記憶で書かせるというのは、私もきちんとできませんし、これは認知症に なってしまったら、とてもそういうことはできない。  こういうように一々病歴を書くということをやっていていいのだろうか。そういうこと もありますので、情報の一元化は非常に大切だと思います。  情報というのは、何のためにそれを使うのかということ、誰がその情報をみて使うのか、 情報の管理、お薬手帳も情報の管理でありますが、情報の管理の仕組みを考える時には、 目的と使用者を明確にして、その目的に沿うように情報の入手・記録・保持・保管の仕組 みをつくることが必要である。これは非常に当たり前の分かりきったことであります。そ のことを前提にさせていただきます。  そうしますと、この主治医のところに情報を集めるということですが、主治医のところ に集めて、その情報を主治医は何に使うのか、主治医は、その情報を専門医に送り込むと きにその情報を専門医に一々伝えないといけないのか。あるいは、家族、あるいは介護と 連携するときに、それに必要な情報を主治医は一々伝えなければいけないのか。それはど のような方式にするのか、どういう伝え方にするのか。  主治医のところに一元化してその使途まで主治医に判断させてしまうと、これは主治医 というかかかりつけ医というか、総合医というか、これは大変です。およそ、そういうこ とはできない。面倒でできない。他の医者への紹介状を書かれるのもめんどくさそうです。 しかも見せてもらうと大したことは書いてない。過去の病歴とか必要なことは全然書いて いない。これは私の狭い経験でまことに申しわけないのですが、そういうことを一々主治 医が書くのは大変です。主治医のところに集めるのもいいが、使い方を考えますと恐らく 使われないだろう。  情報が集まる、主治医のところにちゃんと集まる仕組みをつくれるのか、主治医が専門 医を紹介して必要だと送り込むと、専門医は治療をして、当然ながらその治療結果がその 他のいろいろなところに影響をします。ほかの治療がいるのかもしれないし、介護のやり 方等を考えないといけないのかもしれない。いろいろと専門医も伝えたい情報が出るので しょうが、専門医はそれを一々今度は主治医にフィードバックしないといけないのか。こ れも専門医は恐らくそういうところまで手が回らないだろう。  それでは、患者が専門医にかかり、専門医の意見を聞いて、その意見をもって主治医に 伝達しにいって、情報を一元管理してもらうのか。患者はそういうことはしないだろう。 特に認知症の方が多いということを考えますと、とてもそういうことは無理であります。  ですから、どうも情報というものを口で伝え、自分で判断したものを手で記録して、そ れを手帳に持っているとかファイルにして持っているとか、いまのカルテの頭でその仕組 みを考えると、いろいろと仕組みをつくるのはいいのですが、実際上、有効なところまで は恐らくいかないだろう。やや悲観的ですが私はそのように思います。  もちろんプライバシーの問題もありますが、まずある程度情報を類型化して、こういう 情報を主治医は集める、こういう情報は介護者にも伝えなければいけないとか、そういう 類型化をしてそこに情報を集めていく。これをコンピューターに入れる、すると専門医が それを打ち出せばそれが全部みられる。そうなってくるとそこに病歴とか過去の治療のや り方とか、本人の生活の仕方、生活を支える家族の状況等々、特に認知症の方はその方の 過去の生活歴も非常に大切になってくる。ご本人はまるっきり記憶がないからどこを刺激 していけばいいのかすらもわからないですからね。これは長谷川和夫先生のところのセン ターで様式を開発しておられますが、そういう情報まで入れる必要がある。  そのようにして、使う人は医者だけではなく、連携の必要性はいっているわけですから、 連携する介護者もほかの専門医も薬局も、使おうと思えば使える、一々本人に聞かなくて もパソコンを打つことによって使える、という仕組みにしていかないと、どうも実効性が 生まれないのではないか。  その範囲も、それぞれがある程度様式化された必要な情報を打っていくわけですから、 いろいろな人がこれに書き込んで共有するということになる。できれば本人も感じたこと を書けるぐらいの様式にすることが必要ではないか。もちろんプライバシー保護の問題は ありますが、それはしっかり技術的に開発していただく。必要な情報がしっかり入力され、 必要な人はそれに接することができる。それを目指すべきではないか。  その中にお薬手帳も吸収されていくのがいいのではないか、そのように思います。  なお、お薬手帳についていいますと、そういう形にすれば、お薬の効果というか、そう いうものまで書けると思います。いつこういうお薬を投与したという記録だけですが、そ れでもそれが果たして効果をあげたのかどうかわかりますし、また、途中でお薬を変える 場合は、なぜ変えたのか、そこまでの情報がお薬手帳の中に書かれていけば、これはその 後の治療にも非常に有効に使われるのではなかろうか、そのように感じます。 〇糠谷部会長  いろいろあると思いますがその他いかがでしょうか。 〇川越委員  お薬手帳というのは結構重宝している情報です。私は非常によいのではないかと思って おります。こういう問題を考えるときに、実は我が国は非常に貴重な経験をしております。 それは母子手帳です。母子手帳というのはもちろんお産のことに関するお薬手帳のような ものです。これは実は産科医にとっては非常に有効な情報を提供してくれます。もちろん 妊婦さんもそれをみながら自分の健康に注意するということがございます。非常にある意 味で日本の母子手帳制度というのは、諸外国からも非常に高い評価を受けております。こ れをひとつ参考に考えていっていいのではないかと思います。  そうしますと、いま野中委員、堀田委員がいろいろと問題点をあげていただきましたが、 母子手帳がなぜ成功したのかというと、逆に余り情報がないからです。つまりお産の情報 だけを、妊娠に関する情報だけをそれに関連した情報だけを網羅しておりますので、それ をみれば一目瞭然でその人の妊娠の経過がわかるわけでございます。  こういう情報というのは、実はいまはすごい量の情報がきます。特に高齢者になります と病気に関する情報というのは、いろいろな疾患がございますので、一つだけの情報だけ では間に合いませんので、我々の診る方としてもいろいろな情報の中から、いろいろなも のを逆に選んでいかないといけないということもあるわけでございます。  ですから、こういう手帳の類というのは、例えば患者さんのカルテを全部一元化すると いうことは余り現実的ではないと思います。ですから、こういう薬の手帳、つまり時系列 的に変化していき、そのことに関する情報は、入ることは非常に役立ちますので、検討し ていくべきだと思います。  ただ、カルテの一元化というのは、病院で既にいろいろなところで行われております。 これもやってみると、理想のようで実は非常に不便な点がたくさんあるということは伺っ ております。その点をぜひ洗い直していただきたいということを感じます。  ましてそれを多施設間で使うということになりましたら、守秘義務だけの問題だけでは なく、いろいろな使い勝手ということで、野中先生のように手帳に書いていただいて、そ の患者さんに説明をするということは僕は大切なことであると思いますが、そういうやり 方では一人の莫大な情報量を中に入れるということは不可能ですから、もし一人の全部一 元化した情報が、かかりつけ医のところに集まるという方法を考え、IT化というかコン ピューター化した形で情報を伝達したりとか渡したりするということを考えていかなけれ ばいけないのではないかと思いました。  こういう医療情報というのは、今までは医療者だけのものであったのですが、これは患 者さんの大事な情報でもあるということはそのとおりです。我々治療にあたるというか診 断にあたるものにとっては、必要な情報が的確に得られる、正確に得られるということは 非常に大事なことです。ただこの問題を掘り下げますと、いろいろな深い問題があります ので、ぜひ慎重にいろいろな面から検討していただきたいと思います。 〇村松委員  2点あります。1点はかかりつけ医の件です。このかかりつけ医に関しては、実際に看 護の立場でいろいろな先生たちとお会いしておりますが、現時点で本当にこの先生を選び たいということで選べるだけのこの内容、ここに書かれている内容があるのかということ を実際に家族の方からも指摘されますし、私自身も思います。  ですから、かなりの訓練をしなければいけない。例えば、ここにリハビリであるとかタ ーミナルケアの対応とかみとりということも加わっておりますが、実際になさったことの ない先生もいらっしゃるわけです。そういうことからして、選ぶということにはかなりの 幅をもたせて今後表現していかなければいけないのではないかと思います。  例えば、交代も可能であるということとか、あるいはなかなか紹介をなさらない先生も おりますので、それは自分の限界を知る必要があるということも加えて、もっと医師の教 育ということはしなければ、かかりつけ医というのは、私は成り立たないのではないかと 思います。これが1点です。  もう1点は、大きな病院へ通っている人の中には、同じ要件で他の医院やクリニックに も行き、別の病院にもいくという複数に係わっているということが起こっております。も し可能であれば、在宅療養支援診療所があるわけですから、在宅療養支援外来のようなも のができて、そこに本当に高齢者を診れる先生+ベテランの看護師が所属する、という形 をとることによって、かなり地域ともつながってくるのではないかと考えておりました。 以上です。 〇野中委員  堀田委員の話を聞いて思い出しました。似た部分が介護保険にあるわけです。介護保険 制度は、介護保険を利用したい65歳以上の方がまず介護保険の申請をします。申請する行 政の窓口で、あなたの主治医はどなたですかと聞かれる。患者さんはいま受診している医 師を主治医として届け、その結果主治医の意見書の依頼がくるわけです。その主治医の意 見書を書く際に、医療の情報は当然ですが、そこには患者さんの日常生活の部分で必要な 事項が書類に書かれるわけです。  しかし、現場では主治医として最適な医師はという話があります。現場からは特に病院 の医師に主治医の意見書がきますと、特に大学病院とかの医師たちは主治医の意見書がな ぜおれのところにくるのかという話になります。  介護保険での主治医の意見書が、実際に目的とするところは、病気を治すことだけでは なく、患者さんの生活を支えることです。そのときの主治医には、患者さんの病気ととも に患者さんの生活を地域の中でサポートできる医者が選ばれることか大事です。そのこと が実際には病院の先生の役割と、地域の診療所の医師の役割が明確化されていない中で混 同されているために、適切な主治医意見書が書かれていないという議論もあります。  実際には、65歳以上の2,700万人の対象者がいて、そのうちの約440万人が要介護認定 を受けている。350万人が介護保険の居宅サービスと施設サービスを受けております。そ してその350万人のうちの約270万人が居宅サービスを受けておりますから、その居宅サ ービスを受けている人たちは、実は生活を支えてもらうような主治医の意見書が必要なの ですが、その主治医の意見書が病気だけではなく、患者さんの生活部分も書かれるように なればと思います。  後期高齢者医療制度においても、介護保険の主治医を選ぶというか、そういう仕組みに 似た仕組みが考えられると思います。患者さんがどういう主治医を、病院の医師と地域の 診療所の医師をどのように選んでいくのかという部分が、一方で大事と思っております。  遠藤委員の話の情報の共有には、全部を共有する話になると大変な話になります。毎日 の外来では、きょうの血圧の値、今後の注意等のメモで、それらの情報を患者さんと共有 することが大事と思います。しかし医療機関への受診歴になるのであれば保険証ICカー ドとなる。ただいつもICカード化するときに問題になるのは、だれがそこに書き込む作 業をするのか、それを読む機械はだれがどうやってセットするのか、その費用はどうする のかという課題を経験しております。患者さんの日常生活を支えるために必要な情報をど うやって皆で共有するのか、という話が大事と思います。  この資料3−1の最後に、課題の中に医療・介護・福祉等の必要なサービスの連携の核 となるものがいない、と書いてあります。これはケアマネージャーと考えます。特に後期 高齢者であれば、ケアマネがどういうふうに位置づけられるのかは、大事と思います。ケ アマネージャーに行く情報がないことが課題であれば、高齢者の特性を踏まえた定期的・ 総合的な評価が的確に行われていないということです。 〇糠谷部会長  どなたかがございますか。 〇遠藤委員   専門医への紹介というところで事実の確認だけしたいと思います。例えば、かかりつけ の主治医がどこか専門医を紹介した。その場合には、通常は紹介状が出されますから紹介 状に対する返事が当然ながら紹介主の方に行くわけです。その専門医療が終わって最終的 にどういう治療か行われてどういう結果になったのか、ということまでも紹介した主に行 くわけですか。つまりどういう治療が行われて、最終的にどういう結果になったのかとい うことは、主治医のところには専門医は書くものでしょうか。 〇野中委員  医師が専門医を紹介する、すると専門医が診断とこういう治療をしましたということは 当然ながらきます。ただそこでいつも問題となるのは、その専門医の外来へ受診を継続す る場合には返事は来ません。 〇遠藤委員  いずれにしても治療か完了した段階では、通って来なくなると、紹介した主に対しては ちゃんと返事が来るというのは現行のルールではなっているわけですね。 〇野中委員  それは紹介して、こういうことで来ましたということと、こういう検査をしてこういう 治療をします、との返事は来ます。 〇遠藤委員  しますという段階で通常は終わっていると理解しているのです。その後にどのように治 っていったのかとか、治療方針の変更があったとかは紹介した主は知らない状態になる可 能性があるのですね。 〇野中委員  そこは問題で、その病院の外来で患者さんは專門的な治療を受けたい、もし必要であれ ば入院をしたい等、さまざまな理由があると思いますが、そこの外来に通い続ければ、紹 介した医療機関には返事か情報提供書は来ません。病状が安定してその專門的な病院に来 なくてもいい状況になっても、こないケースもあるということです。そこで情報は終わっ てしまう。 〇遠藤委員  ですから、ここで専門医を紹介して治療内容を共有すると書いてあるわけですが、治療 内容というのはどういう治療が行われて最終的にどういうようになったのかということま で、本来なら情報の一元化ということであればなくてはいけないわけですが、現行の紹介 制度は、多分そこまではフォローをしていないという確認でした。その辺も問題かなと思 います。 〇総務課長  総務課長でございます。情報の問題は大変重要な論点がたくさんでてきていると思いま す。いまのお話は、診療所から大学病院に紹介したときに、診療情報の提供料がでますの で、そこに必要な情報と点数がつく。ただし、大学病院にいって患者さんがそこで治療し てもらって私はもういいです。今度はここに行きます、というところが、最初に紹介した 診療所であれば、私の情報というのがつきますから戻ってきてわかるのですが、そこに戻 ってこなければわからないということだと思います。これは患者さんの流れという問題で す。  もう1点申し上げます。情報の何を収集して、どういうものを共有するか、ということ を決めることは非常に重要です。事務内容まで全部を共有するということはかなり難しい と思います。検査や手術の経過のようなものまでは難しいと思います。どこまで共有する かというのは、專門的に御議論をいただく必要がある。目的に沿って御議論をいただくと いうのは、堀田委員の御指摘のとおりだと思います。  最後に1点申し上げます。情報の収集の問題については、ITをどのように活用するの かというのは大変に重要な問題でございます。当面すぐに活用できるものといたしまして は、レセプト情報をどのように活用していくのかという問題があります。これは23年度に 原則的にレセプトオンラインが完成しますので、そういう全体的なレセプト情報の集積、 そのフィードバックもこれから御議論をいただかなければいけないと思います。  ただし、すぐに全部IT化はいたしませんので、その間のどのようなステップで進むの が一番合理的であるのかという、少し視野を長くもっていただき御議論をいただきたいと 思います。  御本人にわかりやすくするという点では、いまの高齢者にとってはノートの方が恐らく わかりやすいと思います。健康手帳の問題は、これは私どもも反省しなければいけません が、役所のつくった企画は、非常に魅力がない。だから皆さんは持ってこないのです。実 は私もできた当初のころは老健局におりましたが、最初は老人保健法に基づく老人健康手 帳といって40歳以上の人に配りましたら、けしからんという女性から大変な抗議が来まし て、いまは健康手帳という名前になっております。  その辺は役所が企画を決めるというよりは、少し專門的でかつ魅力的なものをお考えい ただいたらどうかと思っております。以上でございます。 〇堀田委員  まさに総務課長がおっしゃったとおりです。これは非常に難しい問題です。一つひっか かったのは、御検討いただきたいとあったのですが、これはそう簡単に検討できるような 話ではない。これは経過措置を含めてしっかりいろいろな分野の専門家が集まり、長い時 間をかけてきちんと詰めないと、一方でプライバシーの問題が将来的に起こる可能性があ ります。一方でいいかげんな記録の問題が起こる社保庁のようなことがあっては大変なこ とであります。しっかり、この際は別組織で詰めてほしいと思います。 〇糠谷部会長  いまの堀田委員がおっしゃったのは、まさにそのとおりです。私も総合的にみる人が必 要であるとか、お薬手帳を活用する、またどのようにそれを変えていくということもある かもしれませんが、一般論でいえば、大体皆はそうですねという話で、どういうレベルの ところまでそれをやるのか、いまそれを阻害しているのは何かという議論がないと、どこ まで入れるかということもあると思います。  それからこの部会でどこまでそれをやるのか、いま堀田委員がおっしゃったようなこと はまさにそういうことだと思います。そこはいずれこれをまとめるときに、また議論が戻 ることになると思いますが、事務局も考えておいていただければと思います。 〇辻本委員  おくれてまいりましたので、既に議論になっている内容かもしれません。今までのお話 を伺いながら、数点申し上げたいと思います。  私どもには、顔の見えないということでかなりの本音が語られる中から浮き上がってく る問題点が数々届いております。例えば、いまのお薬手帳の話です。68歳の女性がふらふ らとめまいがして困る、という電話がかかってきた。1時間くらい聞いていくと、3か所 の病院にかかっていて、それぞれで不定愁訴を訴えていて、それぞれにその対応の薬が出 ている。それをまた生まじめに全部飲んでいる。お薬手帳について聞いていったら、3冊 持っていて、それをそれぞれの薬局に出さねばならない、というふうに何の疑いもなく思 っている。  そういうせっかくシステムをつくっても、中身がまだまだ十分に活用されていないとい う現実に私たちも唖然とすることがございます。  患者さんからのお話の中で、例えば、老いた親のかかりつけのお医者さんから紹介状を もらって大学病院に連れていった。そうしたらその大学病院の外来のドクターが若いドク ターで、老人特有の医療の変化ということがとらえられないのか、数値だけを診て非常に 大げさに扱われてしまって、かかりつけのお医者さんの意見と全く違う。どちらを信用し たらいいのでしょうという御相談がいまだに届いている現実もございます。  もう一つ、家族から届いてくるお話ということでいえば、訪問してくれるお医者さんと、 ケアマネージャーの仲の悪さというような、だれかに聞いてほしいというふんまん、そう いうことも届いてきます。  一方で、ケアマネからの悩みも届いております。訪問医の協力が非常に得にくい、真剣 になってくれない、というようなグチが届けば、逆にドクターから、ケアマネは医療知識 のレベルが低いので、勝手な判断をして非常に困ることが多い、そういうお話も届きます。  私たちとしても何をどうしていいのか、もちろんできることは大したことはないのです が、それぞれにちゃんとコミュニケーションをとって情報を共有していただきたい、とい う思いを込めてのお話をさせていただくのです。  そういう背景の中でぜひ村松委員と野中委員にお聞きしたいのです。ここにも連携とい うこと、そこが一番のポイントだと思いますが、本当にできることなのか、もしできると したら、いまから何が必要なのか。その辺を現場のお話を踏まえて御意見を聞かせていた だきたいと思います。よろしいでしょうか。 〇野中委員   御質問は在宅で他職種と連携できるかということですね。 〇辻村委員   そのためにドクターとして、いま何が足りなくて、何をすればいいのか、ということも 踏まえてお願いします。 〇野中委員  それは患者さんの生活、特に在宅での生活を支えようと思えば、他職種と連携はでき、 現実に連携しています。ただそこで、ケアマネージメントに対して、医師も正しく何をし たらいいのか、ケアマネージャーもケアマネージメントにおいて医療をどの様に活用した らいいのか、そのことが実際にはまだまだ理解されていない、ということが現実と思って おります。  ですから、医師はケアマネージャーに、きちんとこの患者さんに対して、医療上注意す るべき事項を正確に伝えることが必要です。ケアプランをつくるのに協力する話です。ケ アマネージャーがつくったケアプランに対して、実行上注意することをお互いに討論する 姿勢が求められます。  しかし、ケアマネからいつも医者は敷居が高いといわれるが、患者さんの病状具合が悪 いときにはすぐに電話が来るわけです。その様な場合医者として現場にいくのは当たり前 です。  実際にケアマネとうまくできるか。それはケアマネが私をどう考えるかは別として、患 者さんと話をしてケアマネがだれかとわかれば、私が主治医ですからよろしくお願いしま す、と伝える様にしています。電話をもらったことによって、それからの会話はつながる わけです。そこが互いに協力して患者さんの生活をつくるという視点に立てばそう難しい ことではないと思います。  しかし、医療は自分の領分、ケアマネはケアプランをつくるのが領分と考え、そういう ことで患者さんの何をサポートするのかがわからない集団であれば、そこでは確執が生ま れ協力出来ない状況が生まれます。  でもある程度の期間現場で行動していけば、この様な状況は改善されると思っておりま す。 〇辻本委員   地域の医師会などで、高いハードルを越える、敷居が高いところを低くする、そういう 仕掛けのようなことをこれから医師会としてお考えということはおありでしょうか。 〇野中委員  東京都ではケアマネタイム、つまりケアマネが連絡できる時間を設定する試みをしてい ます。東京だけではなく全国でもやっております。  患者さんにとって適切なケアプランをつくろうと思えば、医療の情報がなくてプランが できるわけがない。ただしそこに医者がそのプランを立てることの重要性を理解していな い状況も確かにありますから、医師会としては、医者に対して、ケアプランに医療の情報 を的確に提供するということの大事さを、いまでも訴えているところです。 〇糠谷部会長  まだあとで議論が戻ってもよろしいと思いますが、もう一つの議題がございます。事務 局から在宅医療の説明をしてもらいまして、その議論、あるいはまたいまの議論に戻って もいいと思います。お願いします。 〇医療課長  資料4−1、「後期高齢者の在宅医療について」という資料の説明をさせていただきま す。いま御議論がありました連携のところなども課題として出てまいります。  1ページと2ページは、前回お示しした論点を再掲しております。  3ページです。ここではチーム医療ということです。これは地域の医師・歯科医師・薬 剤師・看護師等の医療関係者のチームをどう考えるか。医療関係者の連携を調整する主治 医の取り組みを進めることをどう考えるか。  ここでは患者さんが外来ではなく在宅、余り通院ができないという方ですので、主にそ の患者さんを担当する主治医というものが決まるということで、ここでは主治医という言 葉を使っております。現状としましては、主治医と訪問看護を行う看護師との連携は、訪 問看護指示書・報告書によって情報を共有している。  医師と薬剤師は、薬剤管理指導記録によって、その情報の共有化が図られている。歯科 の訪問診療の場合には、歯科医師と歯科衛生士の間の訪問指導の計画書等によって、患者 の情報が共有されている。  ただ課題として、医師とその他の職種との1対1の関係はあるのですが、全体としての 共有化というものはどうかという問題です。複数の職種間で、患者に提供するサービスに ついて検討する機会がないということです。こういう課題がある。  ここでもまさに情報の共有化をどうするかということです。主治医等が中心となって患 者に関する情報を提供して医療従事者間での情報の共有を図る、これをどうするかという ことです。  もう一つは、一堂に会するカンファレンスというものを実施してはどうか、ということ です。次の5ページをごらん下さい。  ここでは主として診療所と訪問看護ステーション、診療所と薬局、診療所と歯科診療所、 あるいは診療所と病院、こういう情報のやりとりはここにはあるのでしょうが、全体とし て共有する必要がある場合、例えばこういう場合には大きな○でくくってありますが、カ ンファレンス等を実施することを考えてはどうかという意味でございます。  ここでは医療サービスだけを考えておりますので、こういう形になっております。また 福祉関係との連携は後ほど出てまいります。  2番目の論点です。安心して在宅医療を行うため、医療機関等の連携体制の充実及び後 方支援する医療機関の普及を進めることをどう考えるか。これは一人の患者さんに対する チーム医療というか、それ以上のサポートする体制ということであります。  現状として、在宅療養を中心に担っていただきたい在宅療養支援診療所という制度とい うか仕組みを昨年の診療報酬改定でつくったところであります。24時間の連絡がとれる。 あるいは往診が可能な体制をとる。訪問看護提供が可能な体制をとる。緊急時に入院でき る病床を確保しておく。このような要件の下に在宅療養支援診療所が設置されております。 およそ9,000余りのところが昨年の7月の時点で届出をしていただいております。  入院を受け入れる側としましては、在宅患者応急入院診療というものがございます。主 治医の求めに応じて入院させた場合に、手厚い評価をすることとしております。  課題としましては、在宅医療において、患者に切れ目のない医療を提供する仕組みが必 ずしも十分機能していない。これは在宅医療と、例えば入院が必要な場合の入院医療、ま た退院していた場合に、そのような中での医療の継続性というものが十分なのかどうか。  病状が急変したときに、救急車をすぐに呼んで入院する場合が多い。すると受け入れ側 の病院側では、必ずしもその患者の状態を十分に把握できていない、という場合がござい ます。  在宅における診療の内容や患者の希望が、入院先の医療機関と共有されていない。例え ば救急で入院した場合などがそうですが、その場合に対応のおくれが生じたり、患者の意 向に沿わない診療というものも現実的には出てくるのではないか、ということです。  考えられる方策としては、患者情報の共有です。これは主治医を中心に患者あるいは家 族、関係する方々に、患者さんが今後こう急変する場合があるとか、そういう想定される 状態についてその対応方策等について、またそのときの連絡先などについて、十分に情報 の共有化をする。お互いに知っておくということです。  医療機関間の連携の強化です。在宅患者の病状の急変時の入院、この場合にあらかじめ、 どこどこの医療機関に十分に話をして円滑な入院ができるようにする、ということも一つ の方策ではないか。在宅での診療内容、あるいは患者さんの意向を踏まえた診療が、入院 先の医療機関においても提供できるような連携策をどう考えるのか、こういうことでござ います。  在宅医療としての一つの形として、居住系の施設を含むさまざまな居住場所における医 療ということでございます。現状として、自宅や病院以外にも、当然ながら介護関係の介 護保険施設ですとか、居住系の施設がたくさんの種類がございます。こうした施設では、 今後、日本はまだ数が少ないと言われておりまして、こういうことからさらなる増加が見 込まれるわけでありますが、特に後期高齢者の増加に伴って、こういう場所に居住してい る高齢者の医療ニーズというものが質量ともに高まっていくだろう。この場合の医療の提 供をどうするのか、という課題がございます。  それぞれの施設の中で提供される医療も、基本のところは提供されるという施設もあれ ば、ほとんどされないというところもございますので、それぞれの施設の特性も踏まえた 上で、施設の外からの医療提供、これをどう考えていくか、これが一つの課題ではないか と思います。  9ページです。口腔管理、薬の問題、訪問看護の問題、これを個々に1ページずつみて いただきます。10ページは在宅歯科診療でございます。  全身的な健康の維持や、誤嚥性肺炎の予防になる口腔ケアは非常に重要であると認識が ございます。また、要介護者には歯科治療が必要な者もいる。現状として在宅歯科医療サ ービスを実施している歯科医療機関は、全体の18%で、これが多いのか少ないのかという 問題です。これが現状です。それに対して課題です。  要介護者に対する継続的な口腔ケアの提供、歯科医療機関に要介護者の歯科治療に関す る情報が、逆にいうと入ってこないという問題です。訪問歯科診療の算定は、実は、最近 は減っているという現状がございます。これは後ほど資料で見ていただきます。  こういうことから継続的な口腔ケアをしていくために、口腔機能の維持管理をどのよう に考えていくのか、評価するべきではないかということでございます。  他職種との連携ということで、課題にもございますが、他の関係者から口腔衛生の口腔 ケアの重要性というものを、他の職種にも十分に認識していただき、地域の医療関係者等 から歯科診療に関する情報提供を進める、ということが重要ではないかということでござ います。  服薬管理でございます。現在、年齢が進むにつれて処方せんにおける薬剤の種類が増加 する。これは先ほどもございました。高齢者は服用するべき薬剤の種類が多いほど、また 飲み残し飲み忘れということがございます。こういうことから、軽い認知症患者も含めて、 服薬管理をしやすくするにはどうするのか。飲み忘れをした場合に、本人または家族、あ るいは介護者が気づくということを考えるべきではないか。そういうことで考える方策と しては、服薬管理のための服薬カレンダーであるとか、必要な場合には薬の1包化を考え てはどうか、ということでございます。  訪問看護の取組でございます。これは在宅に移るとき、特に悪性腫瘍等一定の重症的な 患者さんの場合については、退院前に医療機関等に調整しにいくわけですが、こういうと ころの、あるいは患者さんの居宅を訪問して療養関係の調整等を実施している。  退院後の訪問指導ですが、一定の疾病を有する患者については、一日複数回行く場合も ある。あるいは24時間体制をとっているというのが現状であります。  課題としては、退院前への関わりというものが非常に大事ではないかということです。  訪問頻度も、後期高齢者の場合には、回数多く行く必要がある患者も多いのではないか。 深夜や早朝を含めた24時間の緊急対応が必要である。それが課題ではないか。  このために例えば退院調整とか、あるいは退院早期からの訪問看護を充実させるべきで はないか。24時間の体制強化ということで、このあたりも充実を図ってはどうか。医療機 関との連携をさらに充実させるべきではないか、ということを方策として考えていくべき ではないかということであります。  論点のもう一つです。介護福祉サービスとの関係です。患者さんがこういう医療だけで なく介護福祉サービスを有効に活用するのをどう考えるか。認知症の問題です。  14ページです。患者・家族等への情報提供等と各種サービスの活用ということです。現 状のところは先ほどと同じようなことがございますが、医療・介護・福祉等の必要なサー ビスの連携の核となるものがいない。これは一部再掲で、先ほども申しました。このとき の中心なるのはだれにするのかということですが、先ほどは、医療チームの中での話であ ったので、主として医師になるだろうということでしたが、全体の福祉も含めたサービス について、患者さんは今度は余りあちこち動きませんので、必ず皆さんが患者さんのとこ ろに集まってくるわけですが、介護福祉等のサービスの連携を進めるには、主治医等が中 心になるのではないか。  先ほど、野中先生からはケアマネージャーではどうかという話でしたが、医療サービス のことも考えると、主治医もしくは主治医の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師 等が中心に情報共有を図ってはどうか、ということを一つ考えております。  全体としての生活を安心して送ることができるようにということでは、総合評価を行っ て、その結果どういうサービスが必要か、そういうものを関係者で情報共有をする、とい うことか重要ではないかということです。  15ページの図ですが、上半分が先ほど医療チームの話でした。例えば、訪問介護の居宅 介護サービス事業者でありますとか、ショートステイの施設とか、ケアマネージャーさん のところとか、介護系のサービス等も含めて在宅療養の患者さんに対する全体としての情 報共有をどういう形でやるのか、一つは一堂に会するカンファレンスというものもあるで しょうし、何らかの情報網ということで、どこかが中心になって、それぞれに情報の共有 化を図るべきではないかと考えております。  認知症の問題です。16ページです。これもあとの資料に出てまいります。要介護者のう ちの約半数が認知症の問題を抱えているということです。ひとり暮らし世帯が増加すると いうこと。そのためにはまずは初歩的な認知症の診療能力については、総合的に診療する ためには、お医者さんにその能力を持ってもらいたいということが課題です。  しっかりとしたアセスメントをするためには、認知症の専門医というものに初期段階で も評価をしてもらうべきではないか。  訪問看護ステーションや介護サービス事業所等と必ずしも連携が十分でない、ここのあ たりは必要なサービスのどういう調整をしていくのか、ということが考えられていないと いう現状があるということです。  考えられる方策としては、高齢者のアセスメント、その中では当然ながら認知能力や意 欲等も含めて評価しますので、まずは広くこの評価方法について実施していただいてはど うか。  合併症、この場合には認知症も含めて専門医に適切に紹介する。その結果についても診 断及び治療方法についても情報をフィードバックしてもらって、共有化してはどうか。  必要なサービス調整のため、介護・福祉等を含めて主治医等を中心にカンファレンスと いう方法もあるでしょうし、あるいはその他の方法もございますが、情報の共有を図って はどうかということでございます。  最後にターミナルケアのところです。終末期に備えた患者の生前の意思や家族の希望を 尊重することをどう考えるか。疼痛緩和ケアをどう考えるか、ということであります。  18ページですが、現在、在宅での死亡者の割合は約1割となっております。往診や訪問 診療を行う在宅療養支援診療所は18年7月時点で9,400余りとなっております。訪問看護 による在宅での終末期の看護・みとりは、17年9月1カ月間の実績で1,800人余りに過ぎ ません。2040年には年間死亡が166万人ということが推定されています。現在の1.5倍を 超える数の方が年間に亡くなるという予測をされております。  終末期の課題としては、痛みに対して、いろいろな症状の中でも特に痛みに対する不安、 あるいは急変時の不安というものが解消されていないという問題。終末期に病状が急変し た場合に、本人の意向が不明なままに治療方針が決定される場合がある。これをどうする のか。介護を行う家族や身近なものが、みとりや亡くなったあとの対応に必ずしも慣れて いないということもありますが、当然ながら不安があるということであります。  それに対しましては、終末期における病状がどうなるか、あるいは急変する。このよう な急変も考えられるという情報について、患者及び患者の家族に十分に話をして、そのと きの対応方法等について説明をするべきではないか。  本当の終末期に向けて、御本人の意思というものを、できるだけ事前に書面等で示して、 関係者間で情報共有をしておくこととしてはどうか。  最後のみとりの時ですが、事前に概ね臨終の予測がつく場合もございますので、そうい う場合の段取りをどうしていくのか、ということについても十分にしていく必要があるだ ろうと考えております。  19ページは、先月、がん対策推進基本計画がございまして、その中での在宅医療であり ます。特に在宅におきます緩和ケア、特に疼痛緩和ケアということがよくいわれておりま す。そのための專門的な研修等もさっそく始めるというように聞いております。  最後の20ページです。この疼痛緩和について、現状として特に在宅の疼痛緩和はいろい ろとお薬も出てきているわけですが、使用量は欧米の使用量に比較して少ない、という状 況にございます。その意味で、在宅ターミナルケアで使用するいろいろの麻薬について、 これは使用量がまだ少ないからいいのですが、これがたくさん出回ってまいりますと、そ の保管管理をどうするかということでございます。その問題も含めてどうするのかという ことが課題でございます。  それに対しまして、在宅ターミナルケアで使用するこのような麻薬等について、服薬指 導のみならず保管管理、あるいは不要になったものの廃棄の方法等について、専門家であ る薬剤師から患者及び家族に指導を徹底する状況が必要ではないか、ということでござい ます。  時間も過ぎましたので資料4−2、参考資料は後ほど見ていただければと思います。  現在、現状のところでお話したようなところの数字等々がこの中で示されておりますの で、後ほどごらんいただければと思います。 〇糠谷部会長  かなりたくさんの論点がございますが、ただいまの説明について、委員の皆さん御質問・ 御意見等をお願いします。 〇川越委員  在宅療養については、一律に在宅療養を受ける患者さんがいるというわけではなく、非 常に医療的な措置、あるいは対応が必要な患者さん、あるいはそうではなくむしろ生活支 援か中心になる患者さんといろいろあると思います。ですから、そこを実際に区別すると いうのは本当に良いのかどうかはちょっと疑問ですが、私が専門にしているようながん患 者さんは、医療依存度が非常に高い、しかも急激に悪くなる。最終的に死で終わるという 形ですので、医療者の頑張りというのがどうしても要求されるということになります。  これは介護保険との絡みで、前に私はレポートしましたが、介護保険というのは基本的 には生活支援ということですが、この介護保険の制度というのが非常に悠長にできている ということを申し上げないといけないと思います。  いわゆる医者が末期がんと診断した場合には、介護認定のための手続きというのは遅き にすぎるということがしばしばあります。その点をひとつ考えていただきたいということ があります。  在宅療養支援診療所というのが、在宅のケアの中心ということで設立以来注目されてお ります。これの要件というのが、医療課長さんから御説明がありましたように、24時間ケ アにつきるのではないかと思います。いろいろ要件はありますがね。これは実は24時間ケ アを担う医療者にとっては、負担・苦労・責任が非常に重い制度です。しかしこの制度に 盛られた精神とか内容ということに関しては、いろいろな意見があると思いますが、僕は 医療者として妥協してはいけない。つまり昨年の診療報酬の改定で出てまいりました24 時間ケアのことです。あの点は生命線として死守しないといけない。古い言葉ですけども、 ぜひ守っていただければということがあります。  それは具体的に、複数の診療機関で24時間ケアをやったらどうか、という御意見がある ということを伺っております。これも確かに移行する必要がありますが、現実には状況の 共有とか医療的な対応が診療機関別の医師によって異なるという場合がある。それから家 族関係まで踏み込んだ関わりを持つということは、実際にはそういう形では難しいという ことがございまして、そういうことを十分に検討した上で認める、という形で慎重に踏み 込んでいただきたいと考えております。  24時間ケアというものが出るときに非常に不思議な感じがするのは、医者だけの24時 間ケア、看護師だけの24時間ケア、それが両方なっているという格好になっておりますが、 病院の24時間ケアを考えればわかりますが、これは実は医者と看護師で24時間ケアはあ る意味ではセットになっている。最初から、何かあったときに、当直の医師が呼ばれると いうことは絶対というほどないのです。ですから、24時間ケアを医師は医師、看護師は看 護師という形ではなく、まずは訪問看護師、これは私の非常に乱暴な意見ですからあとで 検討していただきたいと思いますが、まず訪問看護師がその連絡を受けて、その看護師の 判断で医師に連絡をとるという形をとりましたら、医者の負担というのがかなり少なくな っていく。現実には私たちはそういう格好をとっております。  まだできて1年ちょっとの在宅療養支援診療所ですが、これの評価について、実は医療 者側から賛否両論があるというのが現状だろうと思います。一つは、これはだめだという ことですが、どちらかというと軽い気持ちでとりあえず手を挙げた診療所、表現は良くな いのですが、実際に制度に盛られている24時間ケアをやれば大変だということを、体験さ れまして、そのときに手を下ろす方もいらっしゃいますし、こんな大変な制度はできない から制度をもっと緩くしろ、という考え方があると伺っております。これは一つの立場で す。  賛成の方というか、これは良い制度だという方は、在宅医療に先進的に取り組んでいる 診療所ではないかと思います。基本的にこの制度は自分たちがやろうとしている、あるい は患者さんが希望している在宅ケアを推進するために、ぜひ必要な制度であるということ で、さらに制度整備をしてほしいと願っている、そういう二つのグループの賛否に分かれ ると思います。  とにかく在宅療養支援診療所というのは、診療報酬の改定の文言の中にもありますが、 地域の在宅医療に主たる責任を持つ診療所という定義がなされておりますので、その点を 踏まえるなら、後者の意見を持たれる方の意見が重視されるような、これからの検討とい うことがなされればよろしいかと思います。  今度は看護師さんの方のエールです。村松さんを差し置いていうのは申しわけないので すが、看護師さんに要求される24時間ケアというのは、実は余り評判が良くないのです。 それはなぜかというと、要求される仕事量や責任に対しての点数が低すぎるということで す。確かに24時間ケアの加算などが出ているわけですが、24時間ケアに対しての評価を もっと積極的に考えてほしい、それはいろいろな意見があります。加算の点数を高くする という考え方もあると思います。僕はそういうことよりも、在宅療養支援診療所というの が、診療所の中に特別な診療所として地域医療を担う、在宅医療を担う診療所として分け られたように、24時間ケアを行っている訪問看護ステーションに対しては、別の誘導とい うか診療報酬体制上のメリットというものを、もっと考えていただいた方がいいのではな いかということを思います。  私たちのところでも、訪問看護師は一生懸命働いておりますが、正直いいましてこれだ け働いてこれだけの収入しかないのかということで、ある意味で訪問看護師はいまは非常 に人気がなくなっている一つの理由は、仕事量、責任量に対しての評価が少ない、特に24 時間体を張って頑張っている私たちがなぜこれだけ評価されないのか、ということが実は ございます。きょうこの会でぜひ言ってきてくれと看護師におしりをたたかれましたので、 これをいわないと帰れません。  まだたくさんいいたいことはありますが、その二つのことをとりあえず申しました。 〇村松委員  川越先生ありがとうございました。まず辻本さんの御質問に答えさせていただきたいと 思います。連携の問題ですね。これは病院の医師であれ、あるいはケアマネであれ、うち はケアマネを置いておりません。敢えて置いてないのです。開業医の先生、これは3段階 くらいに分かれる。それは非常にとりやすい先生、ちょっととりにくいかなでもとれる先 生、これは大変だ、とりたくない先生、この3段階くらいに分かれる。これはケアマネさ んでも、私たちをみているヘルパーさんでも看護婦はそうだろうと思います。  連携と一言でいいますが、非常に難しい。カンファレンスをするとか、書類をどうする とかいいますが、これは活かされていない。むだな時間になってしまう。それこそ収入が ないために、その時間に費やされたら大変。そういうことはたくさんあります。  ひとつ言えることは、医療保険の方が私たち看護師にとっては非常にスムーズです。な ぜかというと、すぐに医師と連絡をして、川越先生が先ほどナースが先に行ってとおっし ゃいましたが、まさに私たちは先に駆けていくという体制です。その意味では非常にやり やすい。その上で係わったヘルパーさんも入ってという感じで進んでいきますので、この 連携というのはまだまだ大きな問題があると思います。  私からは、きょう言わないといけないと思ってまいりましたことが幾つかあります。こ の連携と関係あります。現在の診療報酬体系というのは、事業所用、つまり、看護師が自 らNPOとか会社という形で組織をつくって経営しながら運営している事業所には、現在 の診療報酬体系は適さない。在宅療養支援診療所というのは、他の保険医療機関、訪問看 護ステーション等との看護職員との連携・ 共同で訪問看護を行って、または緊急時の連絡、 対応体制をとっている場合には、患者の訪問看護緊急時等の電話対応、及び往診に係わる 費用は、主治医の属する保険医療機関において一括して算定するというようになっており ます。非常にややこしい、それこそ先生によってです。契約の仕方によってです。  訪問看護師がもっと意欲的に取り組むことを望むのであれば、私は独立型の訪問看護と いうものも成り立つようにしていただきたいと思っております。そこに関しては、点数を もう少しつけていただきたい、加えて緊急時の訪問看護ターミナルケア24時間連絡体制へ の評価が、非常に低い。現に私は今年の6月分を見てきましたら、24時間の連絡体制加算 は、27名中17名、緊急時訪問看護加算は56名中40名、その他私のところでは有料の人 というのがいるのですが、その方たちの電話というものもあります。  ですから、それで計算しても幾らになりますかということです。つまり、夜間に駆けつ けたナースがまた日中に勤務をするというのが頻繁になってきますと、私たちってこんな に安いのですか、ということがたびたび出てまいります。ですからぜひ私はこの辺の評価 を上げていただきたいと思います。  痛みへの不安ということもありますが、薬の調整でかなり痛みというのは取れますが、 取れる先生と取れない先生があります。加えて看護というのは、そこに手を添えながら痛 みをさらに緩和していくというのが私たちの役割です。そう考えたときに、不安への対応 を看護師にはかなり求められているということを考えると、ステーションに来所して相談 される方、来所して便秘のコントロールをしてほしいという方もいらっしゃる。でもそう というもの点数にならない。つまり、全く認められておりません。ですから、その点でも ぜひ検討していただきたいと思います。  さらに、看護というのは成功報酬、例えば3月にも言っておりますが、鼻からチューブ が入っている人の栄養チューブが抜けた。または一歩歩けた。そういうところに対する評 価というのをぜひしていただきたい。不安というところが少しでもよくなって家族も満足 され、本人はもちろんですが、そういうところへの報酬というのは、全く考えられていな いような気がいたします。  加えて、夜間対応というのはとても多いものですから、ぜひこの辺はもう少し重要視し ていただきたいと思います。訪問診療と訪問看護の同日訪問への評価、それから退院当日、 そして外来受診時の同行、これは認められておりませんが、がんの末期の方とか、どうし ても病院にという場合かあります。それから開業医の先生のところに行きたいという人も おります。そういうときの同行、退院前の訪問というものはたびたび行うわけですが、そ ういうところにもう少し点数をつけていただきたいと思います。  様態が非常に不安定であったり、医療行為の必要性があったりしますと、訪問回数も規 定以上の訪問が必要になってまいりますので、その辺の検討。さらにできたら、在宅療養 支援診療所ならぬ在宅療養拠点訪問看護ステーションのようなものも認めていただいて、 24時間フル稼働し、医療機材あるいは機器などの常備、24時間薬局というものがあればそ ことの連携、ドクターにはいろいろと指導管理料というものが出ますが、私たち看護職に は非常に安いのです。1カ月2,500円とかです。そのうちの大半は看護師が指導していた りしております。そういうところは、むしろフラットにして、医師にもナースにも出ると いうぐらいの検討もしていただいてもいいかなと思います。  あと1点です。医療保険と介護保険の窓口というのは、いつからか一緒になってきたわ けです。例えば東京都であれば都庁の窓口です。ところが介護保険担当者は医療保険のこ とがよくわからない、医療のことがよくわからない。そのために指導内容が非常に変わっ てくるとかということもございます。  診療報酬の評価の差、あるいは制度改革の時期のずれというものが、とても私たち現場 の人間には、悪い意味で影響してきております。ですから、そのあたりも少し整理をして いただき、ぜひ点数を検討していただければありがたい。  衛生材料の常備はもちろんですが、医療機器などがばらばらに、大学病院で使っている 機器、あるいはここで使っている機器というものがバラバラに入ってきますので、ある程 度は標準化していただきたい。それを学ぶための時間の方が多い、ということも出ており ますので、ぜひ、在宅での使用する医療機器ということに関しての標準化ということも加 えて御検討いただければありがたいです。  あと1点です。ドクターの場合には指導管理料の中に、例えば、酸素飽和度計を購入で いるだけの点数が入っておりますが、私たちナースもどうしてもほしいというものがふえ てきております。調べておいてとドクターにいわれる。するとステーションで揃えないと いけない。その費用がない。そういう事務分野はもちろんですが、機材に関しても非常に 苦しい状況でおりますので、ぜひいろいろな角度からこれだけ看護が必要になってまいり ますし、デンマークあるいはフランスなど諸外国では個人のナースが動くようになってき ている、その中で、ぜひ日本でもう少し看護の部分を評価していただき、厳しいことをい っていただいてもいいと思いますが、点数を上げていただきたいと思っております。以上 です。 〇糠谷部会長  大変に現場に則した実践的なお話をありがとうございました。 〇辻本委員   点数がつけばそれをお払いするというのが患者の立場ですので、一言申し上げたいと思 います。  そういう仕組みということが、ほとんどの人にまだ理解ができていない現状がございま す。例えば、在宅療養支援診療所のドクターにみとってもらった方から、「最近あの先生 は金もうけ主義になったらしい」というような噂がその地域の中にはびこった。そういう レベルでしか受け止めていないということ。これは情報提供の有り様だと思いますが、あ るいは利用者の啓発というか、そういうことにどのように取り組めるのか、ということも 大きなポイントだと思います。  また在宅療養支援診療所のドクターにお願いをしたくても、どこにいらっしゃるのかわ からないというお声が幾つか届いているということも申し上げておきたいと思います。  8ページにございます居住系施設のことです。介護つきとうたう高齢賃貸住宅が最近非 常にふえてきた。それに関する御相談というか苦情というものが私どものところにも届い てまいります。家賃が5〜6万円と手軽に抑えられている。そして昼間は系列のデイサー ビスで昼食と入浴を済ませて、朝晩はヘルパーの資格のないスタッフがオムツ交換や食事 介助という最低限の介護をする、そういう日常のようです。  介護保険対象の施設ではないということで、つまり賃貸住宅扱いなので、監査の対象に ならなくて、非常にずさんなところが多いということが家族からも、それからその施設で 働いている内部告発的なお話ということでも私どものところに届いてまいります。この評 価ということをどうするのか。考えられる方策の最後のところにございますが、厳しい目 で質の確かなものを提供してもらえるような仕組みづくり、ということもぜひ御検討いた だくことをお願いしておきたいと思います。 〇堀田委員  時間ですので簡潔に3点ほどです。1つは、4ページの図面と、15ページの図面をむし ろ入れ換えてほしいということです。それは形式的なことではなく、後期高齢者医療の中 心は生活、その中の医療ということを総論で既に合意を得ているわけですから、その観点 からしましても、15ページの医療、これは福祉・介護だけに限られていますが、もっと家 族の生活の支援等を含めてそれが本来あるべき姿であり、その姿の中の一つに医療部門の ネットワークがある。こういう関係になるであろう。だから15ページの医療関係のこの 図面というのは、そういう位置づけで評価するのがいいのではないか。  現にこの4ページの、医療だけについて書かれている、考えられる方策、情報の共有、 カンファレンスとありますが、これは医療の連携だけについての答えではない。介護との 連携についてもこういう方策は必要であります。ですから全体のあるべき姿、その中の医 療部門というように分けていくと、方策の位置等もはっきりしてくるのではないか、これ が第1点であります。  第2点は、先ほどの野中委員の意見と同じくするわけです。14ページ、全体のサービス についての情報の共有のいわば核になるものはだれか、野中委員は、先ほどケアマネージ ャーではないかとおっしゃったが、ここでは主治医になっております。私は生活も全部を 含めたネットワークの方は、あげるならケアマネージャーであろうと思います。医療の部 門の総合は主治医でやっていただくのですが、その主治医がさらにケアマネージャーに対 してその情報を伝え、ケアマネージャーにおいて全体の連携をとる役割を果たすのがいい のではないか。  ネットワーク、情報の共有というのは、面倒でしかも專門的な技術を必要とする社会福 祉士が非常に学んで開発していくべきで、結構手間もかかるし專門的な知識や能力もいる、 そういう仕事でありまして、主治医が片手間にできるようなことではないだろう。ではケ アマネージャーは大丈夫かというと、ケアマネージャーもまだ歴史が浅いので、現状はな かなかですが、ネットワークはもともとケアマネージャーの専門職としての職業の中核部 分です。だからその方向に向けてどんどんと能力も進みつつある。ケアマネージャーの能 力をしっかり生かしてやるという姿をつくるなら、それが姿ではなかろうかと思います。  ただ、ネットワークの現状からいいますと、全くネットワークのとれないケアマネージ ャーもたくさんいます。ですから、それはできる人が、その気のある人がやっていかない としょうがない。現状ではそういうことであります。中核になるべき人をあげるなら、私 は野中委員の御意見に賛成であります。  最後にもう1点です。18ページの終末期医療です。これは私が前回申し上げまして、資 料2に前回出た主な意見の1ページ半にまとめられている裏側のところに「本人が意思表 示できない場合で、本人の意思を代弁できる家族がいない場合などが問題になってくるの ではないか。」そのように書かれております。  それは私の意見の前段部分であって、私の言いたいことは、しっかりした意思表示をす る家族がいない、あるいは家族がいても遠い人だけで責任をもって判断できない。そうい うケースが非常にふえてきますが、その場合は、意識が戻らない、戻る可能性のない患者 については、延命治療はしない。そういう考え方をしっかり打ち出さないと、この問題は 非常に混乱している。  もちろん、意識が戻らないということの確認はなかなか難しいので、これは複数医師で 慎重にしてほしいのですが、意識が戻らないのに延命治療をスパゲティのようにしてやる というのは、人間の尊厳を阻害するし、医療費の非常なむだ遣いであり、またそういう姿 を見て、人の命を考える人たちにも命の尊さについても、悪い影響を与える。この問題は 皆が腰が引けるのですが、せめて私の意見ぐらいは書いておいてほしい。報告書には多分 腰が引けて書けないと思いますが、それはそれでいいですから、それだけのことを申し上 げておきたいと思います。 〇野中委員  入院も外来も在宅医療も、実は大事なことは、連携です。辻本委員から連携できるのか といわれますが、それは高齢者が幸せな人生を歩むには、連携なくしてできるわけはない。 ですから、現状でなぜ連携ができないのか、それは各種各者の資質もあるかもしれないが、 それを制度でどう支えるのかが本当は大事であり、その中に情報の共有をどうするのかと いうことが大事と思います。  連携を進めようと思っても、なかなか進まないジレンマはありますが、それをいまの診 療報酬で支える。診療報酬だけという話ではない事は承知していますが、そこがポイント と思います。  入院、外来そして在宅医療のキーワードは、特に高齢者の場合には連携と思います。そ の為に各々の職種の報酬をもっと高くとはだれもがいいますが、連携ができ患者さんがよ い人生が送れるような形としての何かの工夫を報酬として評価することが大事と思います。  在宅医療の現場でいつも苦労する事があります。患者さんが、自宅で亡くなるケースは いいのですが、状態が悪くなった。そのときに治らないのか、救命できるのかできないの か、そういう判断を短期の入院としてお願いしたい場合があります。確かに、うちで死に たいと希望され、そして実況できるケースもありますが、やはり患者さんはそこで揺れる。 そのとき、入院できるか。適切に病院に入院と書いてあるが、現実の在宅医療では、高齢 者の方の必要な入院ができない。病院探しで困る現状です。  そこはもう少しきちんとしていかないと、尊厳ある患者さんの人生は実況できないと思 います。そこに対する配慮をぜひお願いしたい。  私は自分のところで昔から私の父親の代から来てくれている高齢者の最後をみとる、そ れが私にとっては在宅医療の始まりです。しかし最近の在宅医療は、長期に病院に入院し すぎた、退院させる為の手段として語られている。御家族や御本人は、在宅は不安にもか かわらず、退院せざるを得ない。そして地域で診てくれる医者がいるのかということで連 絡が来るのです。そういう在宅医療は、本当は患者さんにとっては不幸なことと思います。  そこにはきちんと退院までにカンファレンスが実施され、本人とか御家族が自宅では何 をすればいいのかをきちんとカンファレンスで評価しマネジメントする、このカンファレ ンスは、情報の共有を基に連携を的確にします。  前回に提案された入院中のカンファレンスは、私も大賛成です。しかし、それがなぜ現 場ではできないのか。そのことをきちんと踏まえ、ただ単にカンファレンスを実施すると いう話で提案するだけではなく、それを実際に実行できる提案を希望しておきます。よろ しくお願いいたします。以上でございます。 〇糠谷部会長  まだ重要な論点がございますので、よろしければもう少し。 〇遠藤委員  全く野中委員のいわれたとおりであると私も思います。連携が重要であるというのはま さしくそのとおりで、しかしなかなか連携はうまくいかなかったわけでありますので、あ る意味で、高齢者のシステムで連携を一歩踏み出すための何がしかのことをするべきだと 思います。  まさに、情報の共有というカンファレンスをするというのは良いに決まっているわけで す。ですができていないわけです。そこがポイントです。そこの議論をしないとほとんど 意味がないわけです。  例えば、介護サービスと医療職との人たちとのカンファレンスを在宅でやるといっても、 関係者だって患者ごとにかわるわけです。というその意味で病院の中で固定メンバーがカ ンファレンスをやるのとは意味が違うわけです。そういうことが果たしてできるのだろう か。そういうことも議論をしないといけないわけです。それはどう思われますか。  つまり患者さんごとに理屈の上では医療者と介護者の組み合わせがかわってくるわけで す。そのような状況下でカンファレンスが円滑にできるようにするためにはどうすればい いのでしょうか。 〇野中委員  私の経験からすれば、患者さんのお家に行って、この半年間の現状がこうであった。こ れに対して今後この現状からヘルパーさん等の関係者の人たちと何を目標にするのかの議 論は、当然重要です。それは必要と考えて、時間を割こうと思えばできる話です。それが 必要でないと思う人にとっては、全く無意味になるわけです。  ケアプランで、何を目標としているのか。人生の最後をみとると共に地域での生活が大 事であるという視点です。  治す医療とともに支える医療が大事であり、その支える医療に対して、医療従事者も医 療行為だけではなく、支える医療との視点も大事と主張します。患者さんが地域で生活す ることに対して、医者あるいは多くの他職種が総合的に把握することは当然です。  介護保険の主治医意見書はどのように役立つのか、その意味もまだまだ理解されていな い部分は、まだまだ現状ではあると思います。  多分川越先生がおやりになっている部分は、やられている方がまだ少ないですが、患者 さんの最終的な部分を支える為には、患者さんや多職種との連携がなければできない。私 たちがやっている在宅医療も、すぐに亡くなるという話ではありませんが、患者さんの地 域での生活を支える部分では、多職種との連携は不可欠です。 〇遠藤委員  大変に安心をしました。病院の中でしたら効率的にカンファレンスができるわけですね。 医療者は固定されているわけですから。しかし在宅ではそれを患者さんに合わせて、関係 者が一堂にある時期は集まって患者さんごとにやるということで、手間はかかるが、やろ うと思えばできるのだということですね。そういう方向を延ばしていくということだと思 います。  また後方病院の確保というものも、実は、大変に重要な問題であると私も思っておりま す。ベッドが空いているのかどうかの問題もありますし、どの病院のレベルがレベルなの かということもあります。突然に在宅にいる人が入院したら、急性期の非常にシビアなこ とをやっていて、御本人の意向とは関係なく治療が行われるという、書いてあるとおりの ことはあり得るわけです。在宅でなく同じ病院にずっといれば、そういうことはないわけ です。患者さんや家族の大体の意向はわかりますからね。なまじ在宅でいたが故に、そう いうことになりかねません。まさに間に入っている、かかりつけ医の動静が非常に重要に なるということだと思います。  非常に連携こそがキーワードであると私も思っております。以上です。 〇堀田委員  それに関連していますので簡潔にいいます。私どもも連携づくり、ネットワークづくり をずっと運動でやってきております。カンファレンスを定期的に開いたり、そういう仕組 みができることは非常にいいのですが、実際問題として、いまはほとんどできていない。  だから、例えばボランティアが入る、あるいはヘルパーさんが入る、これが交代するあ るいは家族と交代する、このときに連絡帳を書いておいて、きょうのお昼にこういうこと がありましたのでこの点についてよろしくとか、こういうことを望んでおりましたのでこ ういうことをよろしくとか、あとで入った人は連絡帳を見ながらやっていく。そのときに 医療関係ではこういう医療がいるのではないかということも書く、そこに入る看護師さん やお医者さんもそれを見られて、日常のところはそういうところで回る。ただ急に今まで 遭遇した事態ではないとか、容体が今までとは違うようになったとか、希望が違うように なった。引き継ぎだけでは対応できない。もう少し皆が集まってこれはお医者さんに来て いただいて意見を聞かないといけないとか、看護師さんに来ていただくという事態になっ たら、そういう呼びかけがあってその関係者がすぐに集まる。  非常にプリミティブにはそういうところで現実にネットワークが形成されつつあります。 良いところではね。それに家族も入っている。そういうものを順次形にしていくような誘 導ができればいいと思います。 〇川越委員  この連携という問題は、言葉を変えるとチームケアというかチームアプローチというこ とになるわけです。このチームアプローチを考えるときに、縦のチームと横のチームがご ざいます。つまり時系列に沿って連携していくチームと、ある時点におけるチームと、こ のように分けるといいと思います。そういう考え方にたちますと、病院から診療所に帰っ ていくときの時系列は、まさに縦の連携ということになると思います。  この連携を考えるときに非常に大事なことは、私はちょうど20年くらい前にこういう仕 事にかかわったときと比べて、本当に在宅ケアにたくさんの方が、しかも専門家がかかわ るようになってきた。これはトータルケアという考え方からみますと、非常によいことで すが、実はこれは注意しないといけないことは、一人の人間をある専門家の目で分断して しまいますので、チームケアをしている我々がまさに先ほどから一番問題になっているの は、チームのインテグレーションという問題なのです。そのインテグレーションをだれが するのか、ということをしっかり押えておかないと混乱することになると思います。  最初に発言したときに、病気の種類によって違うということを申し上げました。つまり、 がんの方が亡くなるときは医療がどうしても中心になる、ですから、そういう場合のイン テグレーションの中心は医療者、特に看護師になるのではないかと考えております。諸外 国のホスピスなどをみても、そういうところの中心にいるのはナースの資格をもったソー シャルワーカーです。それはがんという非常に特殊というか、在宅療養ということに関し ては、非常に医療的な依存度の高い、特に依存の高いときにはそういうインテグレーショ ンの中心がナースになる。  これをケアマネージャーだというやり方をしますと、正直、例えばがんの方のインテグ レーションというかチームの統括というものをケアマネージャーができるか。ただ割り振 ればいいという問題ではなく、そのチームを一つの生きた体として、一つのチームをまと めないといけない。これはここに書いてある連携の核となる人の重要な役割です。  がん以外の場合には、症状が非常に一般的には安定しておりますし、医療よりもどちら かというと介護支援というか生活支援が中心になりますので、これはケアマネージャーの 方かよろしいと思います。これは最終的には、医療的なことをしっかり持った方が制度と しては統一するような形でケアマネージャーがやるという格好になってもいいと思います が、いま例えばがんの方のケアマネージャーがくるということに対しては、そういう形で 国が動いているということを思いますが、ちょっとそこに制度として乗せるときには慎重 にあってほしい。  我々の医療者が動きにくいという形が実際に今でも既にあります。ケアマネの方が全然 医療のことがわからないで変なケアマネージメントをする。私たちが組むときには注意し ますが、新しく組んだ方のときには、現実にそういうことが起きておりますので、その点 はしっかり見据えていただきたいと思います。  縦のところで病院と診療所ということを考えると、在宅で医療者が十分にかかわらない といけない在宅療養をしている方について、教科書に僕が書いているのは、病院から在宅 が始まるとき、ターミナルというか死が近づいたとき、ここは医療者がしっかりかかわら ないといけないのですね。  そういう点からいうと、病院から家に帰るときというのは、確かに野中さんや堀田先生 がおっしゃっておりましたが、チームとして非常にしっかりかかわらないといけない。そ れは患者さんが、家族の方が一番不安になるときだからです。だからこそ在宅医療の者も しっかりかかわらないといけないときです。問題は、実はいろいろなところで病診連携の 在り方として模範的なやり方をやっているということで紹介されておりますが、残念なが らそれは一般化していない、という事実を見据えておかないといけないと思います。  それをそういうことに対しての点数が低すぎるのではないか、という意見がございます。 だけど、これはいろいろな方の意見を聞いてまいりますと、医者ではそういうことは必要 ない、つまり医療的なことは書いてあることを見ればそういう経験をもっている医者だっ たらだれでもわかる。私もそのとおりだと思います。  むしろ前の委員会でも私は申し上げたと思いますが、病院から家に帰るときの連携で大 事なのは、ソーシャルなことです。ひとり暮らしだから生活をどうするとか、老老介護で どうしているか。もちろんその中に医療的な視点は絶対に欠かせませんが、その点で、病 院が余り乗り気ではない。  診療所の方も、在宅療養支援診療所が病院に行ってきますと、たしか1万円でしたか、 千点が算定できる。そう安い額ではない設定をされているわけですが、実際には行かない ということは、実は大体みればわかるというところが正直あるわけです。  ですから、僕は現行の制度で病診連携に関しては、診療報酬上はあまり見直す必要はな いのではないか、というのが正直な感想であります。 〇村松委員  簡単に終えます。最後の死の看とりです。死の看とりにあたっては半日の場合もあれば 数時間のときもある1週間のときもある。退院してきてですね。非常にいろいろなケース があります。その死のみとりと死亡前後というのは、ほとんどの場合は私たち看護師に連 絡が入ります。ドクターの方が先に行き死を確認した場合は、ナースにはその後は診療報 酬がつかないということがあったりします。いろいろともう少し検討していただきたい死 の前後、診療報酬を検討していただきたいと思います。  先ほどとちょっと絡むかもしれませんが、ドクターが死亡確認のために心電図をとった りいろいろと検査をなさる先生がいらっしゃいます。これはなぜかというと、訴訟と関係 してくるとはっきりおっしゃっている。現にそういうこともあると思いますので、そのあ たりでいいますと、一般市民への意識というところで、だれでも本来は亡くなる。高齢者 になればなるほど医療はかかるのだが、最後は亡くなるというところを、もう少し明確に 皆で話し合える、考えられる、そういうところもつくっていかなければいけないのではな いかと思います。これは診療報酬とは関係ないのですが、死亡確認のために心電図をとっ たりしますと、かなりの点数になります。死を看とるというのは、本来、そんなものでは ありません。  もう1点は、ナースは複数回訪問というものをします。1日3回訪問するとトータルで 8,000円とか、2回目は2,500円とか非常に点数として安いということに加えて、長時間 そこに付き添ってほしいと家族にいわれることがありますが、それが現在は認められてい ない。デンマークでは24時間の寄り添い看護制度というのが随分前からあるわけですので、 その辺のケースバイケースですが、選択肢というものも御検討いただければありがたいと 思います。以上です。 〇糠谷部会長   大分時間も超過しました。大体よろしいでしょうか。きょうは論点が非常に広範にござ いましたので、かなり時間を超過いたしましたがこれで終わりたいと思います。  次回は7月30日月曜日を予定しておりますのでよろしくお願いを申し上げます。本日は 長時間ありがとうございました。     【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288)