07/06/28 平成19年6月28日薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録について 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録 1.日時及び場所   平成19年6月28日(木) 16:00〜 全社協「灘尾ホール」 2.出席委員(20名)五十音順  ○池 田 康 夫、 猪 熊 茂 子、 上 田 志 朗、 甲 斐 知恵子、   木 下 勝 之、 工 藤 宏一郎、 國 頭 英 夫、 倉 田 雅 子、   児 玉   孝、 柴 川 雅 彦、 首 藤 紘 一、 土 屋 文 人、   新 見 伸 吾、 埜 中 征 哉、 日 野 治 子、 藤 田 利 治、   堀 内 龍 也、 槇 田 浩 史、◎松 本 和 則、 三 宅 良 彦      (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順   安 達 知 子、 五十嵐  隆、 中 澤 憲 一、 宮 村 達 男 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    伏 見   環(安全対策課長)、   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、   川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 別 井 弘 始(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)、他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、平成19年度第1回医薬品等安全対策部会を開催いた します。本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしておりますが、カメ ラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々に おかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまし て、ありがとうございます。本日の出欠状況ですが、安達委員、五十嵐委員、中澤委員、 宮村委員より欠席の御連絡をいただいております。池田委員、工藤委員、倉田委員、児 玉委員におかれましては、少し遅れるという御連絡をいただいております。現在16名の 先生方に御出席いただいておりますので、本日の部会は定足数に達していることを御報 告いたします。  それでは、議事に入らせていただきます前に、一点、「薬事・食品衛生審議会薬事分 科会における利益相反問題への対応」につきまして、簡単に事務局より御説明させてい ただきたいと思います。本日お手元に関係資料として配らせていただいております、「薬 事・食品衛生審議会薬事分科会における利益相反問題への対応について」を御覧くださ い。  本件につきましては、薬事・食品衛生審議会における個別品目の承認の可否や個別品 目の安全対策措置の要否に関しまして、委員の先生方が当該審議品目の製造販売業者か ら寄附金等を受け取っている場合に、審議に関与できない場合等を定めるルールを策定 しようというものです。正式なルール作りにつきましては、ワーキンググループを設置 いたしまして、年末を目途に検討する予定です。  一方、当面の対応といたしましては、正式なルールがまとまるまでの間の暫定ルール が、去る4月23日の薬事分科会において了承がなされております。そのルールは、お手 元の資料の3枚目の別紙2です。簡単に御紹介いたしますと、一つ目として、審議品目 に関連して、過去3年間、当該企業から年間500万円を超える寄附金等があった場合、 部会への参加はできません。二つ目として、500万円未満の場合には、出席し、意見を 述べることができますが、議決には加われません。なお、当該寄附金等が講演・原稿執 筆料であって50万円未満の場合は、議決にも加わることが可能という内容になっており ます。以上がこの資料の概要です。  なお、本日は、審議事項がございません。したがいまして、このルールにおける適用 はなしとなります。併せて御報告させていただきます。  それでは、議事に入らせていただきますので、マスコミの方々は御協力のほどよろし くお願いいたします。以後の議事の進行については、松本部会長、よろしくお願いいた します。 ○松本部会長 先生方におかれましては、お忙しい中、また暑い中をお集まりいただき ありがとうございます。それでは、まず、事務局から本日の配付資料の確認をお願いし ます。 ○事務局 お手元の資料の確認をさせていただきます。まずは封筒以外のものです。先 生方のみになりますが、本日の座席表、委員名簿、先ほどの利益相反の資料を配らせて いただいております。封筒の方ですが、これは1週間ほど前に事前送付させていただい ているものがほとんどで、順を追って見ていきたいと思います。  1枚目が本日の議事次第です。2枚目に配付資料一覧がありますので、これも併せて 御覧いただけたらと思います。資料No.1-1が「平成18年度の安全対策について(まとめ)」、 資料No.1-2が「医薬品等の使用上の注意の改訂について」、資料No.1-3が、薬事・食品衛 生審議会・医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事次第が頭に付いておりますが、リ ン酸オセルタミビルの副作用の報告等について、資料No.1-4が「市販直後安全性情報収 集事業(定点観測事業)報告書」、資料No.2-1が、今回御報告いたします平成19年1月〜 3月までの副作用等報告のまとめ、資料No.2-2が「国内副作用報告の状況(医療用医薬 品)」、参考資料No.2-2が「薬効分類表」、資料No.2-3が「国内副作用報告の状況(一般用 医薬品)」、資料No.2-4が「国内感染症報告の状況」、資料No.2-5が「外国での新たな措 置の報告状況」、資料No.2-6が「研究報告の報告状況」、資料No.3-1が「感染症定期報告 の報告状況」、それを感染症ごとにまとめ直した、資料No.3-2「報告文献別一覧表」、資 料No.4-1が「医薬品等の回収報告の状況について」、それの更に詳しいものとして、資 料No.4-2「平成18年度医薬品等自主回収一覧」、資料5が「一般用医薬品の市販後調査 結果等について」ということで、指定医薬品に関する資料、資料No.6-1が、通知文書が 頭に来ておりますが、「一般用医薬品の区分の指定等について」、資料No.6-2が「平成 19年度医薬関係予算の概要」、資料No.6-3が医薬品・医療機器等安全性情報No.235の抜 粋版、資料No.6-4が同じく医薬品・医療機器等安全性情報No.237の抜粋版、資料No.6-5が 「総合機構で開始した主な安全対策業務」です。資料は以上です。不足等がございまし たらお申し付けください。 ○松本部会長 それでは早速、議題に入りたいと思います。まず、議題1の「医薬品等 の市販後安全対策について」です。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料No.1-1、平成18年度の安全対策のまとめについて御説明いたします。ま ずは平成18年度の医薬品に関する安全対策のまとめについて御報告いたします。1.副 作用等の報告数の推移についてです。医薬品の製造販売業者等は、医薬品の副作用・感 染症・研究報告等を知ったときは、薬事法第77条の4の2第1項の規定に基づき報告す ることが義務付けられています。また、医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者につい ても、医薬品の副作用について、薬事法第77条の4の2第2項の規定に基づき必要があ ると認めたときは、国へ直接報告することが義務付けられております。  過去5年間の副作用等の報告数を下記の表にまとめております。(1)医薬品について です。平成18年度における製造販売業者からの報告ですが、副作用報告については 26,309件、研究報告については818件、外国措置報告については485件、感染症定期報 告については1,076件の報告がありました。また医薬関係者からの副作用報告について は3,669件の報告がありました。  2ページを御覧ください。安全対策上の措置数の推移ということで、5年間の安全対 策の実施状況をまとめております。医薬品の平成18年度の実績ですが、緊急安全性情報 の配布指示が1件、「医薬品・医療機器等安全性情報」への情報掲載が26件、使用上の 注意の改訂が135件、合計162件の安全対策上の措置を行っております。  3ページを御覧ください。平成18年度の安全対策について、具体的なものです。緊急 安全性情報(ドクターレター)の配布については、平成19年3月20日に「リン酸オセル タミビル」について指示をしております。「医薬品・医療機器等安全性情報」への情報 掲載については、重要な副作用等に関する症例紹介を除きますと、No.228、平成18年9 月号に「平成17年度のインフルエンザワクチンによる副作用の報告等について」という 記事を掲載しております。No.229、平成18年10月号では「市販直後安全性情報収集事業 (定点観測事業)について」という記事を掲載しております。No.230、平成18年11月号で は「重篤副作用疾患別対応マニュアルについて」という記事を掲載しております。以上 が平成 18年度の医薬品に関する安全対策のまとめです。 ○松本部会長 ただ今、平成18年度の安全対策のまとめについて、事務局から説明して いただきましたが、御質問、御意見等はございませんでしょうか。よろしいようでした ら、次に進ませていただきます。  次は「医薬品等の使用上の注意の改訂について」です。事務局から説明をお願いしま す。 ○事務局 資料No.1-2を御覧ください。平成19年2月16日〜平成19年6月1日の間に 指示をした、医薬品等の使用上の注意の改訂について御報告いたします。まず、平成19 年2月16日に指示を発出した分です。ランソプラゾールについては、間質性腎炎の副作 用等が集積したということで、「重大な副作用」の項に「間質性腎炎」を追記いたしま した。ランソプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシン配合製剤についても、 同様の追記をしております。漢方製剤の潤腸湯については、間質性肺炎の集積があった ということで、「重大な副作用」の項に「間質性肺炎」を追記しております。同じく漢 方製剤の清肺湯についても、「重大な副作用」の項に「肝機能障害、黄疸」を追記しま した。ほか10成分について、改訂の指示を行っております。なお、一般用医薬品の潤腸 湯、清肺湯については、報告がありませんでしたが、医療用医薬品の改訂に合わせて、 「相談すること」の項の「直ちに医師の診療を受けること」に、潤腸湯については「間 質性肺炎」、清肺湯については「肝機能障害」の副作用名を追記しております。  続いて、平成19年3月20日に発出したリン酸オセルタミビルの使用上の注意の改訂 について御紹介いたします。本件については、10歳代の患者に飛び降り等が起きたとい うことで、「警告」の欄を設け、10歳以上の未成年の患者への使用についてはハイリス ク患者を除き、原則として差し控えることを追記するとともに、緊急安全性情報を発出 し、医療関係者の皆様に注意喚起をいたしました。  続いて、平成19年3月23日発出分です。エダラボンについては、「重大な副作用」 の項に「劇症肝炎」を追記するとともに、「重要な基本的注意」の項の急性腎不全、腎 機能障害等に関する記載に、重篤な肝障害についての記載整備を行っております。塩酸 アミオダロン(経口剤)については、「重大な副作用」の項に「甲状腺機能亢進症、甲状 腺炎、甲状腺機能低下症」を追記するとともに、「警告」の項に、致死的な副作用とし て甲状腺機能亢進症、甲状腺炎に関する追記を行っております。併せて「禁忌」の項の 過敏症の既往歴のある患者について記載整備をし、硫酸インジナビルエタノール付加物、 クエン酸シルデナフィルを投与中の患者を追記しております。コハク酸シベンゾリン(経 口剤)については、「重大な副作用」の項に「間質性肺炎」の追記を指示しております。 ほか11成分について、指示を発出しております。  平成19年4月13日発出分です。リン酸オセルタミビルについては、4月4日の安全 対策調査会の結果を踏まえて、「効能・効果に関連する使用上の注意」の項の治療に用 いる場合の本剤の必要性に関する記載に、本剤はA型又はB型インフルエンザウイルス 感染症と診断された患者のみ使用する旨等を追記したものです。  続いて、平成19年4月19日の発出分について御説明いたします。メシル酸ペルゴリ ド、カベルゴリンについては、資料No.2-6「研究報告の報告状況」の3ページの32番、 33番、37番、43番にありますように、パーキンソン病の治療にドパミン作動薬の投与 を受けた患者の中で、カベルゴリン、ペルゴリドを投与した患者において心臓弁膜症の 発症リスクが高まるという研究報告を受けて、アメリカではペルゴリド、カベルゴリン について自主的に市場から回収がされております。これを受けて厚生労働省、機構とし て評価をした結果、日本における用量が比較的少ないこと、また米国と我が国の副作用 状況、欧州については市場からの回収がなくセカンドライン的な措置が行われているこ とを考慮して、我が国においては、「禁忌」の項に心臓弁膜の病変が確認された患者及 びその既往のある患者を追記して、「効能又は効果に関連する使用上の注意」の項を新 たに設け、「非麦角製剤の治療効果が不十分又は忍容性に問題があると考えられる患者 のみに投与すること」を追記し、「重要な基本的注意」の項に、パーキンソン病に対す る薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師の下で投与を開始する旨を追記いたし ました。また「副作用」の「重大な副作用」の項の心臓弁膜症に関する記載に十分な観 察を定期的に行う等の記載を整備したところです。  続いて、平成19年4月27日発出分です。リスペリドンについては、「副作用」の「重 大な副作用」の項に「高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡」を追記し、 「重要な基本的注意」の項に高血糖、糖尿病に関して追記しました。ガドジアミド水和 物については、資料No.2-5「外国での新たな措置の報告状況」の4ページの49番、55番、 59番、5ページの65番等にありますように、ガドリニウム含有MRI造影剤について、 腎障害患者への投与における、腎性全身性線維症についての安全性に関する措置が行わ れております。これに基づいて評価をしたものです。我が国においては従来、重篤な腎 障害のある患者は原則禁忌でしたが、それに腎性全身性線維症を起こすことがある旨の 記載を整備し、「重大な副作用」の項に「腎性全身性線維症」を追記しております。ほ か8成分について、指示を行っております。  続いて、平成19年6月1日発出分について御説明いたします。ゾピクロン、酒石酸ゾ ルピデムについては、同じく資料No.2-5の7ページの99番、トリアゾラム、103番、ペ ントバルビタール、8ページの104番、105番、106番等にありますように、米国で睡眠 薬全般にアナフィラキシー、血管浮腫、睡眠関連行動に関する注意が行われたことに基 づき、我が国で評価・検討を行ったものです。その結果、ゾピクロンについては、「警 告」の項を新たに設け、もうろう状態、睡眠随伴症状が現れることがある旨を記載し、 「重大な副作用」の項の一過性前向性健忘、もうろう状態に関する記載を整備しました。 酒石酸ゾルピデムについても、「警告」の項を新たに設け、同様の記載をするとともに、 「用法・用量に関連する使用上の注意」に、もうろう状態、睡眠随伴症状は用量依存的 に現れるので少量から投与を開始すること、また、就寝の直前に服用することを追記し、 「重大な副作用」の項の記載を整備したところです。ほか3成分について、指示をして おります。 ○松本部会長 ただ今、平成19年2月16日〜平成19年6月1日指示分の医薬品等の使 用上の注意の改訂について説明していただきましたが、御質問、御意見等はございませ んでしょうか。特段御意見がないようでしたら、次に進ませていただきます。  次は「リン酸オセルタミビルについて」です。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料No.1-3を御覧ください。前回、2月16日に医薬品等安全対策部会が開催 されて以降、安全対策調査会が2回開催されており、それぞれリン酸オセルタミビル(タ ミフル)の副作用報告等について、審議を行っております。そのときの調査会の資料の一 部を、本日の部会の資料として配付しております。  1ページが4月4日に開催された安全対策調査会の議事次第です。2ページがその際 の資料一覧です。一覧にありますように、資料は大部にわたりますので、本日は、個々 の資料の配付は省略させていただいております。3ページが調査会に御出席いただいた 委員と参考人の一覧です。4月4日の調査会の結果の取りまとめが4ページと5ページ です。こちらを説明させていただきます。  4月4日の調査会においては、第1「本日の検討」に記載されておりますが、販売が 開始された平成13年2月〜平成19年3月20日までにタミフルについて製造販売業者で ある中外製薬から報告された1,079症例、1,465件の副作用報告について検討を行いま した。併せて、未整理のものも含まれますが、3月21日〜4月3日までに報告された 185症例についても検討の対象ということで、4月4日に議論が行われました。その結 果、タミフルの服用と転落・飛び降り又はこれらにつながるような異常な行動や突然死 などの副作用との関係については、結論は得られていないとされました。しかしながら、 今後は、詳細な検討を行うなど、後ほど説明しますが、第3に示すような取組を行う必 要があるという御意見になりました。  第2「現在講じられている措置」ですが、タミフルについては3月20日に緊急安全性 情報が発出され、下の括弧書きにあるような措置が採られました。具体的には、一つ目 として、「10歳以上の未成年の患者は、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断さ れる場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること」、二つ目として、「小 児・未成年者は、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがある こと、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者 が一人にならないよう配慮することについて、患者・家族に対し、説明を行うこと」、 三つ目として、「インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があ るので、上記と同様の説明を行うこと」という措置が、3月20日の緊急安全性情報の内 容です。4月4日の調査会における当面の措置としては、3月20日の緊急安全性情報に よる措置を継続することが妥当であるという意見でしたが、ただし書がありまして、「現 在講じられている措置については、新たに設置するワーキンググループにおいて更に検 討を行う」こととなっております。  第3「今後必要と考えられる取組」について説明いたします。第2項に記載がありま すが、タミフルの安全性について、臨床的な側面及び基礎的な側面から詳細な調査検討 を行うため、安全対策調査会の下に、臨床WGと基礎WGを設け、その結果を安全対策 調査会に報告させることが適当であるという意見が取りまとめられております。これは また後ほど説明しますが、各WGごとにタミフルに関係する臨床試験、基礎的な研究、 動物実験などについて検討するとか、報告されている異常な行動や突然死の副作用症例 について詳細な調査検討をするといったことが、4月4日の調査会の意見として取りま とめられております。  6ページに移ります。6月16日に開催された安全対策調査会の議事次第です。4月4 日の結論の取りまとめにありましたように、基礎WGと臨床WGが具体的に設置されて、 その後検討が進められましたので、6月16日はその検討状況について報告が行われてお ります。併せて、議事の(1)にありますように、リン酸オセルタミビルの安全性に係る 意見陳述の聴取も行われております。7ページが6月16日の安全対策調査会の配付資料 一覧です。これも資料が大部にわたりますので、本日は、資料の配付は省略させていた だいております。  10ページにまいります。先ほど申し上げましたように、6月16日の調査会において は、意見陳述の聴取が行われております。具体的にはここに記載がありますように、薬 害タミフル脳症被害者の会の軒端さん、タミフルの製造販売業者である中外製薬の横山 さん、薬害オンブズパースン会議の水口さん、島根大学医学部薬理学講座の奥西さん、 NPO法人医薬ビジランスセンターの浜さん、日本小児科学会の富樫さん、日本内科学 会・日本感染症学会の二木さん、以上の7名から意見を聴いております。  11ページにまいります。基礎WGの報告です。基礎WGは、5月2日及び5月30日 の2回、会議を開催し、リン酸オセルタミビルの安全性について、基礎的な側面から調 査検討が行われ、現時点における調査検討の状況ということで、調査会で報告が行われ ております。「記」に記載がありますように、企業に対し、以下の非臨床試験(動物実験) を実施し、その結果を報告するよう指示することとしたということで、五つの非臨床試 験の指示がなされております。この説明は省略させていただきます。12ページは、11 ページの非臨床試験について、具体的にどのような目的で、どのような内容の試験であ るかを、少し詳しく記載しているものです。13ページは基礎WGの委員名簿です。この メンバーで検討が行われました。  14ページにまいります。臨床WGの報告です。臨床WGは、5月14日と6月4日の 2回、会議が開催されており、リン酸オセルタミビルの安全性について、臨床的な側面 から調査検討が行われて、現時点における調査検討の状況ということで、「記」に記載 があるような報告が調査会で行われております。臨床WGにおいては、大きく「異常な 行動」と「突然死」について、具体的な検討を行っております。  1の「異常な行動」の方ですが、企業に二点の指示がされております。(1)「異常な 行動」の副作用についての詳細な調査検討ですが、「異常な行動」の副作用症例につい て、その症状、経過等が、睡眠障害に類似しているものがあることから、詳細な調査検 討を行うため、企業に対し、追加調査を実施し、その結果を報告するよう指示すること としたということで、四つの点を中心に、追加調査を行う指示がされております。(2) 今後の臨床研究の計画等についての検討ですが、リン酸オセルタミビルの服用が睡眠に 及ぼす影響を検討するため、企業に対し、いわゆる睡眠検査室試験を実施し、その結果 を報告するよう指示することとしたということです。  2の「突然死」の方ですが、(1)として、「突然死」の副作用症例について、詳細な 調査検討を行うため、企業に対し、追加調査を実施し、その結果を報告するよう指示す ることとしたということで、心電図などについて、追加調査を求めております。(2)と して、タミフルの服用が心機能に及ぼす影響を検討するため、いわゆる睡眠検査室試験 に心電図検査を含めるよう指示することとしたということです。15ページに睡眠検査室 試験の概要の記載がありますので、御覧いただければと思います。詳しい説明は省略さ せていただきます。16ページに臨床WGの委員の名簿が付いております。  17ページが6月16日の安全対策調査会の資料3になります。このときに「タミフル の副作用報告の精査について(その3)」ということで、4月4日の時点においては、1,079 症例についての精査の結果が報告されましたが、6月16日の時点では、本年5月31日 までに報告された1,377症例の副作用報告についての精査の結果を報告しております。  18ページを御覧ください。販売開始〜5月末日までで1,377症例の副作用報告があり ますが、そのうち精神神経症状に関する報告が567症例あります。すべてが精神神経症 状の報告に含まれるわけではありませんが、異常な行動が記録されている事例が、合計 211症例あります。それから、死亡事例が71症例ありまして、うち12症例が「突然死」 という用語で報告されております。(1)がその報告の関係を示した集合図です。  それを少しブレークダウンしたものが、18ページの(2)にあります。異常な行動が記 録されている事例は、全部で211症例ありますが、そのうち死亡事例は8症例となって おります。さらに、異常な行動が記録されている事例211人の年齢構成をその下の表に まとめておりまして、10歳未満が59症例で全体の28.0%、10歳〜19歳、いわゆる10 歳代が112症例で53.1%といった数字になっています。  19ページです。タミフルとの関連を報告された死亡事例は71症例ですが、そのうち 異常な行動が記録されている事例は8症例、「突然死」という用語で報告されているも のが12症例となっています。異常な行動と同様に、71の死亡事例についての年齢構成 の割合が表になっております。このような状況を6月16日の調査会において報告してお ります。  基礎WGと臨床WGの報告については、調査会で了解されましたので、今後は、基礎 WGと臨床WGで、企業に対して指示をした結果などを踏まえた議論が行われ、そのよ うなWGの議論を踏まえて、安全対策調査会において、リン酸オセルタミビルの安全性 についての議論が続いていくことになる予定です。タミフルの安全対策に関する報告は 以上です。 ○松本部会長 ただ今、事務局からリン酸オセルタミビルについての説明がありました が、これに関して御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいようでしたら、 次に進ませていただきます。  次の議題について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料No.1-4「市販直後安全性情報収集事業(定点観測事業)報告書」を御覧くだ さい。市販直後安全性情報収集事業は、平成18年度から安全対策課の事業として進めて いるものです。事業の簡単な御説明ですが、2ページ、3ページを御覧ください。「市 販直後安全性情報収集事業の実施について」、平成18年3月の部会でもお配りしたもの です。  1.の本事業の目的ですが、新たに承認される新医薬品のうち、新規性が高いものや国 内外における使用経験が少ないもの等、特に市販直後の安全性確保が必要と判断される ものに関して、原則として市販後6か月間、使用状況や副作用等の発現状況等を、国が 直接、臨床現場の先生の御協力をいただいて収集・評価し、迅速な安全対策を図ること を目的としています。  2.は選定の考え方です。(1)として、化学構造や薬理作用等を勘案して、新規性が高い と判断されるもの、(2)として、全例調査とされたもの、(3)として、国内外における使用 経験が少ないもの、このようなものを選定して、事業を進めてまいったところです。  3.は選定方法です。書面ではありますが、事務局案を作成し、医薬品等安全対策部会 の先生方に意見を聴いて決定してきたところです。  4.の実際に担当いただく医師等の選定の考え方ですが、対象医薬品の使用が相当数想 定される医療機関等に所属する専門分野の医師及び同一の施設の薬剤師に御協力いただ いて、原則的に6か所で報告をお願いしています。その際には、地域的なバランスや医 療機関の規模、設置主体なども考慮して選定させていただいております。  今回は、本事業で最初の品目となった、販売名バラクルード錠0.5mg、一般名エンテ カビル水和物の報告をさせていただきます。エンテカビル水和物については、承認が平 成18年7月26日です。効能又は効果としては、B型肝炎ウイルスの増殖抑制です。調 査の実施をお願いした機関は、秋田総合病院、虎の門病院、東京警察病院、京都府立医 科大学附属病院、下関厚生病院、長崎医療センターで、それらの医師・薬剤師に毎月1 回、御報告をお願いしてきました。実施期間は、平成18年9月21日〜平成19年3月 20日までの6か月間です。  以下に簡単に概要をまとめさせていただいております。使用状況ですが、すべての医 療機関において、調査実施期間中に当該医薬品の採用・使用がなされております。副作 用等の発現状況ですが、調査期間中に未知の副作用や特記すべき副作用は認められなか った旨、各医療機関から報告がなされております。また、調査期間中、一部の医療機関 の先生から、「急性腎不全」、「発疹・発熱・悪寒」、「湿疹」等の副作用報告をした という報告もいただいております。  製造販売業者の情報提供活動の状況についても、御報告をいただいております。調査 期間中、各医療機関ともに定期的に製造販売業者から副作用の情報収集や中間報告など の情報提供が行われていたという報告をいただいておりますし、当該期間中に出ていた 文献の情報提供も適切に行われていたということです。また、急性腎不全等の報告につ いても、中間報告等と併せて各医療機関に情報提供がされていたということです。  その他として、病院内における情報活用の状況も、参考情報ということで載せており ます。例えば、安全性情報について、薬剤部のみではなく、院内に、配布等、周知をし、 患者に対しては、長期服用が必要な医薬品であるといった服薬指導を行ったという報告 をいただいております。今回の調査に当たり、特段問題となるような報告はないのです が、他の医薬品と同様、引き続き副作用報告等、通常の監視を続けていきたいと考えて おります。 ○松本部会長 ただ今、市販直後の安全性情報収集事業とその報告書についての説明を いただきましたが、どなたか御質問、御意見等はございませんでしょうか。 ○堀内委員 調査がきちんとやられていたことは分かりますが、この報告書を見る限り、 余り具体的な内容が分からないのです。特記すべき副作用は認められなかったというこ とですが、具体的に何症例やって、どのくらいの副作用があったということについては、 どこへ報告されて、どう処理されているのでしょうか。 ○事務局 副作用報告に関しては、薬事法第77条の4の2の規定に基づいて、機構又は 厚生労働省に報告されます。しかし、こちらの定点観測は予算事業でして、個別に症例 の詳細を御報告いただくものではなく、各医療機関で安全対策上、特に問題になるよう なこと、また現場の先生がお気付きの点を御報告いただくという形です。具体的に何症 例で、患者の状態はどうであったなどの細かいことまでは、御報告いただいておりませ ん。 ○堀内委員 従来の市販直後調査とどう違うのですか。その点だけを6施設だけでやっ たということですが、そこできちんと調査されて、その内容がきちんと評価されたとい うことであればよく分かるのですけれども、その辺の関係がよく分からないのです。 ○安全対策課長 新薬に関しては、御案内のように、承認条件として製造販売業者に市 販直後調査をやっていただくことになっております。それは、納入するすべての施設に 対して、重点的に情報提供をすることを主体としてやっているわけです。今回のものは それとほぼ同じ時期に行う調査ですが、これは、製造販売業者ではなくて、国が行うも のです。国が行う目的の一つは、製造販売業者にやっていただいている市販直後調査が 十分行われているかを検証させていただくところにあります。  ただ、いろいろな制約もありまして、すべての施設でというわけにはいかないので、 幾つかの施設を各医薬品ごとに選び出しました。今回で申し上げると、6施設をモニタ ーするような形で選ばせていただき、調査をしたということです。その結果として、1 ページの下から二つ目のカラムにありますように、この医薬品に関する製造販売業者に よる情報提供活動については、それほど大きな問題はなかったということが、今回確認 できたということです。制度の趣旨の一つとして、そのようなところがあるというのが、 企業が行う市販直後調査とは異なる点かと考えております。 ○堀内委員 要するに、メーカーが行っている市販直後調査が妥当に行われているかど うかを、厚労省がチェックする。その場合に、報告された副作用についても、どのくら いきちんと報告され、どういうものがあったかということが明確になって、それが、ほ かの多数の施設で行われている市販直後調査と、どのくらいパラレルかなどをやるとい うことであればよく分かるのですが、そういう意味ではないのですね。 ○事務局 今回の定点観測の中で、各医療機関から三つの症例を報告したという御報告 は受けております。急性腎不全については、重篤なものとして国にきちんと報告が上が っていることを確認しております。また、残りの二つの「発疹・発熱・悪寒」、「湿疹」 については、企業は非重篤という評価をして、「市販直後調査の結果」というお知らせ の中で、そういう報告があった旨を各医療機関に情報提供していることを確認していま す。 ○堀内委員 分かりました。データが極めてコンパクトな報告になっているので分から なかったものですから、できればそういう点についても御報告していただければと思い ます。 ○松本部会長 ほかに御意見、御質問はございませんでしょうか。よろしいようでした ら、次に進ませていただきます。  議題2は、「医薬品等の副作用等報告の状況について」です。事務局から説明をお願 いします。 ○事務局 資料No.2-1を御覧ください。「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・ 食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」です。今回は、平成19年1月1日 〜平成19年3月31日までの3か月間に受けた、副作用等の報告状況を報告いたします。  まず1.の製造販売業者等からの薬事法第77条の4の2第1項に基づく報告について 御紹介いたします。(1)国内症例の報告状況です。副作用報告については、医療用医薬 品の報告件数は5,952件、一般用医薬品の報告件数は64件、合計6,016件でした。感染 症報告については、医療用医薬品の報告件数が38件でした。詳細については、医療用医 薬品の副作用報告については資料No.2-2、一般用医薬品の副作用報告については資料No. 2-3、医療用医薬品の感染症報告については資料No.2-4で、その具体的な報告の中身を御 紹介しております。  (2)外国症例の報告状況です。これは、薬事法施行規則において、国内承認の医薬品 と成分が同一の海外で売られているものに係る同様の副作用等の報告に基づき報告され たものです。本報告は医療用医薬品と一般用医薬品の合計数で、副作用報告については 19,836件、感染症報告については6件でした。  (3)外国での新たな措置の報告状況です。これは、国内承認の医薬品と成分が同一の 外国の製品について、海外において回収やその他添付文書の改訂等の重要な安全上の措 置が講じられた場合にその旨を報告するものです。今回の報告期間には123件の報告が ありました。この具体的な内容については、資料No.2-5として配付しております。  (4)研究報告の報告状況です。国内の医薬品あるいは海外で売られている成分が同一 のものの副作用等により、がんやその他重大な疾病が発生するおそれがあるものについ て報告されたものです。当期間の報告件数は164件です。その具体的な報告状況につい ては、資料No.2-6として配付させていただいております。  2.は医師・歯科医師・薬剤師等の医薬関係者からの薬事法第77条の4の2第2項に 基づく報告です。本期間中に879件の報告がありました。本報告については、すべて製 造販売業者等にフィードバックしており、各企業で安全性情報として活用しております。 これについては、各企業で評価を行った後、必要に応じて製造販売業者からの薬事法第 77条4の2第1項の規定の報告として受けているものです。  続いて副作用・感染症報告の集計結果についての注意事項を御説明いたします。1) 副作用・感染症報告については、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者 等及び医薬関係者から報告されたものであり、個別に医薬品との関連性を評価したもの ではありません。  2)副作用・感染症報告の件数については、平成19年1月1日〜平成19年3月31日 に提出された最新の報告書の件数を示したもので、同一症例に複数の被疑薬が存在し、 当該症例が複数の企業からそれぞれ報告された場合、重複してカウントしています。そ のため、ここに示された報告件数がそのまま症例数とはなりません。  3)副作用・感染症報告の症例報告の件数については、報告者が本報告期間中に報告し た後に、追加の情報により因果関係が否定された場合等は、件数から除外されておりま す。  4)外国症例の報告及び医薬関係者からの報告件数は、医療用医薬品と一般用医薬品の 合計です。  5)資料No.2-2と2-3の報告件数は、副作用名別の件数であり、1症例で複数の副作用 を発現する場合は、報告件数を合計した数が報告症例数に合致するものではありません。  6)資料No.2-2と2-3の副作用名は、用語の統一のため、ICH国際医薬用語集日本語 版に収載されている用語で表示しております。  7)資料No.2-4の感染症報告については、症例ごとに、被疑薬、感染症名を記載してお ります。  具体的な資料No.2-2、資料No.2-3の副作用報告、資料No.2-4の感染症報告、資料No.2-5 の措置報告、資料No.2-6の研究報告については、医薬品機構で整備の後、専門家の評価 を受けつつ、必要に応じて使用上の注意の改訂に結び付けているところです。 ○松本部会長 ただ今、医薬品等の副作用等報告の状況について説明をしていただきま したが、御質問等はございませんでしょうか。特にないようでしたら、次に進ませてい ただきます。  議題3は、「医薬品の感染症定期報告の状況について」です。事務局から説明をお願 いします。 ○事務局 資料No.3-1、資料No.3-2に基づき御説明申し上げます。薬事法第68条の8に 基づく医薬品の感染症定期報告の状況について御報告いたします。感染症定期報告です が、生物由来製品を扱う製造販売業者が、製品の原料又は材料による感染症に関する最 新の研究論文の知見を収集し、6か月に一度報告する制度です。  資料No.3-1は感染症定期報告の報告状況です。平成19年1月1日〜平成19年3月31 日までに生物由来製品の製造販売業者から報告された感染症定期報告を取りまとめ、報 告順、登録順に表に並べたものです。合計で271の報告が寄せられております。この報 告を同一文献ごと、また感染症ごとに重複などを整理してまとめたものが資料No.3-2の 報告文献別一覧表です。今回も、資料No.3-2の報告文献別一覧表に基づいて概要を御説 明いたします。  今回の報告では、およそ30の感染症に関して100件程度の文献が提出されております。 文献が提出された主な感染症は、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病関連、鳥インフル エンザ関連、ウイルス性肝炎の関係の報告がなされております。これらの論文につきま しては、事前評価委員の先生方に御確認いただき、国立感染症研究所の先生方にもコメ ントをお願いするなど、措置を講ずる必要性を含め御意見をいただいているところです。  今回の文献について簡単に御紹介させていただきます。資料No.3-2の1ページ〜2ペ ージにかけて、ウイルス性肝炎やHIVに関する報告が続いております。3番は院内感 染に関する報告、4番は輸血後B型肝炎に関する報告です。2ページの中ほどからは鳥 インフルエンザに関する海外の状況、3ページの23番ではウエストナイルウイルスのN AT検査の有効性に関する論文があります。25番は、BSE関係の、牛乳中からプリオ ンは検出されていないという報告などが続いています。4ページにもクロイツフェルト ・ヤコブ病関連の報告が続いていまして、40番ではトランスジェニックマウスを用いた 研究などが報告されております。6ページ以降は、ウイルス感染、細菌感染などの海外 での報告が続いています。  これらの概要について、宮村委員、甲斐委員、新見委員に御覧いただいたところ、今 回も目立って措置が必要な報告は見当たらないが、引き続き注目し、情報収集に努める ようにということです。本日御欠席の宮村委員からは、特段措置が必要な報告は見当た らないが、プリオン関係の最新の論文については引き続き情報収集に努めるべきである というコメントをいただいております。事務局からは以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。甲斐先生、補足説明はございますか。 ○甲斐委員 今回も、特段の措置が必要な報告はなかったと考えております。海外の感 染報告については常日ごろから状況を把握していくことが重要であると思いますので、 メーカーにおかれましては引き続き情報収集に努めていただきたいと思っております。 プリオンに関しては、不活化・除去技術が幾つか出ておりますので、このような新たな 報告は拾っていくことが大切であると考えております。 ○松本部会長 ありがとうございました。新見先生、いかがでしょうか。 ○新見委員 この感染症定期報告は、今問題になっております感染症をよく調べ上げて いただいております。今回は目立って措置が必要な報告は見当たらないと思います。先 ほど甲斐委員の話にありましたが、異常プリオンに関する新しい報告で、例えば4ペー ジの37番のアフィニティ樹指による除去能力を評価している報告などは、リスク低減と いう意味で重要な情報でありまして、今後ともメーカーにおいて情報収集に努めていた だきたいと思います。その他については、事務局からの説明でよろしいと思います。 ○松本部会長 ありがとうございました。ほかの委員の先生方から、御意見等はござい ませんでしょうか。よろしいようでしたら、この報告を了承することといたします。 ○堀内委員 一つ前の副作用報告のところでよろしいでしょうか。昨年12月に発売され たボルテゾミブ、商品名はベルケイドですが、これについてはかなり副作用が起こる可 能性があることが治験の段階からも言われていました。ただ、日本では30数例しか治験 がやられていないわけですが、特に肺疾患が起こることと、感染症が起こる可能性があ ることが言われていると思います。  これについては、メーカーがかなり具体的な症例を現場にも届けてくれています。そ れを見ますと、6月までに19例の有害事象による死亡が報告されています。私の所へメ ーカーが持ってきたものですが、そのようになっています。これは死亡例についてです。 これまで半年ほど使っているわけですが、使用施設をかなり限って使っていることは大 変いいことであると思います。そこできちんと評価をするという方針はいいことである と思います。副作用がこの半年間で全体としてどの程度現れているかについて、イレッ サの二の舞を踏みたくないということがありまして、きちんとフォローしていく必要が あると思いますので、もし分かりましたら教えていただきたいと思います。先ほどの副 作用報告を見たのですが、余りよく分からなかったので、全体としてどうなっているか 教えていただきたいと思います。 ○事務局 ベルケイドにつきましては、承認以前からいろいろ話題になった薬です。国 内の臨床試験においては、先生の御発言のとおり、34例の治験で、1例の間質性肺炎の 死亡があったということです。約3%の知見があったということで、重点的に調査する とされているものです。  そういうことも踏まえ、承認時より添付文書の中で、「緊急時に対応できる医療機関 で行う」、「治療初期は入院環境で医師の管理下にて行う」等、限られた施設で、限ら れた医師による注意を行っています。安全対策課としても注意をいたしておりまして、 死亡例等が出たら、薬事法に基づくものではないのですが、至急ファックスで情報を報 告するように、企業に対して指導しています。  発売当初の12月に、間質性肺炎による死亡が2例報告されております。それについて 評価をしたところ、PS(全身状態)4などの非常に状態の悪い患者が多かったことを踏 まえ、1月20日より、PS3、PS4の患者への使用は自粛するように、企業を通して 医療機関にお願いしています。19例中、間質性肺炎の死亡は2例だけですので、PS3、 PS4への使用を自粛してからは、間質性肺炎等の死亡については報告がなくなってい ます。  19例の死亡全体を見ますと、悪性新生物、つまり原疾患の進行による死亡が14例と いう報告を受けておりまして、原疾患の死亡を除くとそれなりの死亡例数ではないかと 考えております。また、原疾患の死亡を含めた19例のうち、12月1日〜1月19日、つ まりPS3、PS4を縛る前に投与を開始した患者での死亡が13例ということですが、 PS3、PS4を縛った後、1月20日以降の死亡は6例とかなり減っている状況で、今 後とも、死亡例を含め、副作用状況の情報を迅速に収集して対応していきたいと考えて います。 ○堀内委員 19例の死亡の中で、原疾患の多発性骨髄腫が悪化して死亡した例も確かに 入っていると思いますが、肺炎や敗血症等で死亡している患者が何人かいると思います。 これは死亡例だけなので、私が聞きたかったのは、全体として、死亡に至らなかった場 合でも、間質性肺炎などの肺炎や敗血症等がどの程度の割合で起きているかというデー タがあったら教えていただきたいということなのです。 ○安全対策課長 ボルテゾミブ、商品名はベルケイドですが、資料No.2-2の、57ページ の一番下から58ページにかけて3か月分の数字が出ております。その3か月間に限った 数字で申し上げますと、間質性肺疾患に関しては、58ページの真ん中辺りですが、8例 ということになろうかと思います。 ○堀内委員 一番下にあったものですから見過ごしたようです。外国症例等と比べて、 日本人では発症が違うかなということが心配されたわけですが、今のところは余り変化 はないと考えてよろしいのですね。分かりました。 ○松本部会長 堀内委員が了承されましたので、この報告を了承することといたします。  議題4は、「医薬品等の回収報告の状況について」です。事務局から説明をお願いし ます。 ○事務局 監視指導・麻薬対策課でございます。資料No.4-1を御覧ください。医薬品等 の回収報告の状況について御説明申し上げます。平成8年の薬事法改正により、医薬品、 医薬部外品、化粧品若しくは医療用具の製造業者、輸入販売業者等は、その製造し、若 しくは輸入等した医薬品の回収に着手したときには、その旨を厚生労働大臣に報告しな ければならないことが、薬事法第77条の4の3に定められております。また、平成12 年に、回収に関する監視指導要領を定め、回収に当たっての基本的な考え方や対象範囲、 手続の詳細等について通知で示しているわけです。製造業者等から回収着手の報告がな された場合には、すべての事例をインターネット上で公開しております。こちらにつき ましては医薬品医療機器総合機構のホームページにおいて毎日更新をしております。  ※で注釈を書いておりますが、平成17年4月に改正薬事法が施行され、先ほど御説明 いたしました製造業者、輸入販売業者という業態は、現在は製造販売業者という業態に 変更されております。したがって、平成16年度までは製造、輸入に分けて御報告をさせ ていただいておりますが、平成17年度と平成18年度については製造販売業者というこ とですので一つのくくりにして御報告をさせていただいております。  1.回収件数年次推移の表を御覧ください。平成18年度については、医薬品が184件、 医療機器が365件、医薬部外品が23件、化粧品が103件、合計で675件の回収となって おります。平成17年度と比較いたしますと、医薬品については大幅に減少しております。 これにつきましては、後ほど御説明いたしますが、献血後の情報に基づく医薬品の血液 製剤の回収が大幅に減少したことが原因であると考えられます。  次のページ、2.平成18年度の回収件数とクラス分類の表を御覧ください。クラスI については、医薬品が64件と報告させていただいておりますが、下の※にありますよう に、医薬品のクラスIの回収64件は、すべてロットを構成しない医薬品であります血液 製剤の回収で、そのほかの医薬品は報告されておりません。医療機器については14件、 医薬部外品、化粧品については報告はありませんでした。クラスIIについては、医薬品 が77件、医療機器が296件、医薬部外品が11件、化粧品が29件、合計で413件となっ ております。クラスIIIについては、医薬品が43件、医療機器が55件、医薬部外品が12 件、化粧品が74件、合計で184件となっております。  資料No.4-2です。クラスIの回収は先ほど御紹介させていただきましたが、すべてロ ットを構成しない血液製剤の回収です。献血後の情報に基づく投与前の事前回収が行わ れています。様々な理由がありますが、大きなものとしては、平成17年6月に献血制限 の措置について強化されたもので、欧州滞在歴の献血制限措置による回収に伴うもので す。3ページ以降は、クラスII、クラスIIIの回収について報告されているものですが、 御説明は省かせていただきます。 ○松本部会長 ただ今、医薬品等の回収報告の状況について説明をしていただきました が、御質問、御意見等はございませんでしょうか。 ○土屋委員 回収のクラス分類がI、II、IIIとあって、それが公表されていることは結 構なことです。しかし、7年前に決めたときと今とで、クラス分類のされ方が現実とし ては違ってきてしまっている。クラス分類でいうとIIIに相当すると思われるものも、す べてIIのままになっています。これは当初、入り方をクラスIIIにすると、なかなか上の 方へ行かないので、最初の判断は、回収といえばまずクラスIIに入って、安全であれば IIIにし、危ないものはIにするということをやっているのに、それが、どう見てもIIIの ものがIIにとどまっている。  製薬企業が書いてきた紙やホームページにも載っていますが、そこでは全く健康被害 には関係ありませんというものがクラスIIに入っていたりします。そこで齟齬が起きて いる。あるいは、クラスIIのものに死亡事例はありませんと書いてある。クラスIIで死 亡事例があるのであれば、クラスIにしていなければいけません。製薬企業がそういう 中で書いている話と分類にだんだんずれが出てきてしまっています。  それをいろいろ詳しく聞いてみますと、これは届出が都道府県なものですから、そこ の共通化が、当初担当していた人がよく分からなくなってしまってずれてきたのかとい うことがあります。当初は都道府県の人も集めてクラス分類の説明会をしたのですが、 7年経つとその分類の仕方が少しあやふやになってきているのかということがありま す。そのために無駄な回収などが起きているかもしれませんので、その辺はもう1回確 認をしていただいた方がいいのではないかという気がしております。情報が公開されて いるので見ると、この内容でクラスIIIになるのはおかしいというものが結構あります。 ○事務局 クラスI、II、IIIの分類はそのリスクの重篤度に応じて、実際に死亡事例等 があったかは別として、その可能性の有無で線引きをさせていただいております。実際 には、私どもの方に、都道府県からかなりの数の回収報告が送られてまいりますが、私 どもの方で、過去の事例等を参考にさせていただきながら、都道府県によって余り差異 が生じないように調整をさせていただいております。また、メーカーとの認識の違いも 時々生じ得ますが、できるだけ私どもの方はそうしたことのないようにさせていただく 努力をしていきたいと考えております。 ○堀内委員 最近の回収例で、バイアルにガラス片が入っていたということで、その生 産系で作ったもの全部を回収して、生産を他の工場に移すという連絡がありました。し たがって、その系が立ち上がるまで供給できない。それが立ち上がるまで1か月以上掛 かるという事例です。ガラス片は何件見付かったのかというと、一つだけということで した。それですべてを回収するということでした。  そういたしますと、臨床の現場では大変混乱を起こします。場合によると、後発品に 変えることも考えなければなりません。後発品の採用が進むのですから悪くないかもし れませんが、患者としては違う品目のものを使うことになります。また生産が開始した から元へ戻せるかというと、そのようなことは難しくなってしまいます。我々は、回収 する必要はないので回収には応じない、1か月間足りなくなるから備蓄したいと言って 逆に買入れしました。禁止になるぎりぎりのところで手に入れることができたというケ ースもあります。  無意味なことはやってもしようがない。要するに、ガラス片の混入が繰り返し起こる 可能性があれば回収は当然ですが、臨床の現場でのファクターなども考えて回収の指示 をしていただければと思います。 ○松本部会長 前にも一度このようなお話があったようですが、よろしいですか。 ○事務局 御指摘のとおり、バイアルにガラス片が入っていた事例以外にも、回収を行 った際の製品の需給について、医療機関とメーカーの間で意見の相違が出てきてしまう ことは問題視されています。  私どもといたしましては、安定供給について担当させていただいております医政局経 済課とも連携等を取らせていただき、あるいは同種類の医薬品を造っているほかのメー カーとの協議等も必要に応じてさせていただき、実際の不良品のリスク、あるいは供給 の対応状況等を検討させていただいた上で措置を講じさせていただいているところで す。  今回のガラス片混入の事例については、メーカーの方から、リスクを考えれば回収し たい、するべきだという判断をいただいております。医療現場への影響を少なくしなが ら、なるべく早期に回収することを前提に、工場を切り替えた後の実際の供給の計画な どについて協議をさせていただいた上で、判断させていただいた次第です。  今後も同様の事例は起こり得ると考えておりますので、それについても個々の供給、 あるいは生産の体制に応じて適切な判断をしてまいりたいと考えております。 ○土屋委員 実際の基準が製薬会社によって異なっている。例えば髪の毛が入っていた ときは、基本的には現品交換ではなくて回収することが多いと思います。しかし、現実 に髪の毛が入っていても、現品交換をやってしまっている所も結構あります。ですから、 無駄な回収をする必要はないわけです。平成11年にやったときは、なるべく回収を科学 的にしようということでした。ただし、そのときに一つだけ科学的でなかったのは、生 物由来のものが入ったときは感情として嫌だから、それは少し重く見ましょうというこ とがあって、ほかは割と淡々とやっている。それが、企業の方も分からなくなってきて しまっているのかという気がしています。我々から見ると、過剰な回収が行われていた りする。  例えば、箱の印刷が少し間違っていた。それなのに現品を回収してしまうということ も行われています。箱の印刷はシールでも貼ればそれで済むのにと思うのですが、そう いうときにも物が回収されてしまう事例もあります。このところ、市場でいろいろなこ とが起きるために安定供給ができないという事例が随分あるものですから、必要な回収 は当然やるのですが、必要でない場合もあるので、その辺はお考えいただいた方がいい かと思います。 ○事務局 安定供給ができないというと本末転倒な話になってしまうので、安定供給に 心を配りながら必要であれば回収をしていただくという形に当然なるであろうと思いま す。企業側が回収したいと言っているものに対して、私どもから回収しなくてもいいと いう話はできませんので、回収をする場合には安定供給に十分気を配りながらしなけれ ばいけないということは当然であろうと思います。もちろん、それはリスクに応じての 判断であろうと思います。クラスI回収とクラスII回収ではやはり差があるわけですか ら、その点は私どもも十分配慮しながら考えていくように努力したいと思っております。 ○松本部会長 現段階では、そのような対応でよろしいですか。ほかに御意見がないよ うでしたら、報告を了承することといたします。  議題5は、「一般用医薬品の市販後調査結果等について」です。事務局から説明をお 願いします。 ○事務局 資料No.5「一般用医薬品の市販後調査結果等について」を御覧ください。ま ず1番の一般用医薬品の指定医薬品解除における取扱いについてです。「指定医薬品」 とは、薬事法第29条に基づき厚生労働大臣の指定する医薬品であり、薬局又は一般販売 業において薬剤師による取扱いを必要とするものです。いわゆるスイッチOTCの承認 時におきましては、一般用医薬品としての使用経験が少ないことから、指定医薬品とし て薬剤師による取扱いを必要としています。  スイッチOTCについては、その承認に際して少なくとも3年間の市販後調査(PM S)の実施を求めています。平成11年以降、承認後3年のPMS期間の終了時に、医薬 品等安全対策部会で安全性の観点から一定の評価を行い、品目ごとに指定薬の解除を行 っています。今回、市販後調査結果報告がありますのは、2番にある2品目です。  一つ目は、テルビナフィンとして1g中8.89mg以下を含有する外用剤で、いわゆるみ ずむし薬です。二つ目は、プラノプロフェンとして1mL中0.5mg以下を含有する外用剤 (点眼剤)で、いわゆる抗炎症薬です。これら2品目について、市販後調査の結果概要を 3ページ以降にまとめております。  3ページを御覧ください。塩酸テルビナフィンです。医療用として、代表的なものと してラミシールクリームなどが製造販売されております。一般用として、同様の名前で ラミシールATクリーム等が承認されております。みずむし薬として効能・効果を得て いるものです。  3ページの下の段からですが、市販後調査結果の概要を記載しております。市販後調 査は、平成14年12月17日〜平成17年12月16日まで実施されております。クリーム、 液剤、スプレーとそれぞれ調査されておりますが、まずクリームです。特別調査という のは、薬局等と契約し、モニター薬局等でアンケート等の調査を特別に行ったものです。 症例ですが、1,111例を集めて、4例の情報が寄せられております。それぞれ投与部位 における副作用報告で、「使用上の注意」上既知の事象で、いずれも非重篤であったと いうことです。  4ページを御覧ください。一般調査というのは、いわゆる薬事法に基づく自発報告、 企業報告のことです。調査期間中10例寄せられたということですが、内容については既 知で、非重篤な事象であったということです。特に問題となる副作用の発現がないこと から、添付文書改訂等の特段の措置は必要ないと考えられるということです。そのほか 液剤、スプレーでも調査が行われておりますが、いずれも報告されたものに関しては既 知で非重篤な事象であったということです。5ページ以降は本剤の添付文書、また外箱 の写しを付けております。  15ページを御覧ください。プラノプロフェンです。医療用として、ニフラン点眼液が 承認されております。一般用製剤としては、マイティアアイテクト等が承認されており す。効能・効果としては、目のかゆみや異物感の症状の緩和ということです。  マイティアアイテクトの市販後調査は、平成15年10月16日〜平成18年10月15日 まで実施されております。特別調査では1,690症例を集めていて、記載しておりますこ れらの副作用は非重篤で、眼に局所的な副作用であったということです。一般調査は16 ページに記載しております。重篤ということで報告されたものもありますが、いずれも 軽快、回復で、また未知とされていたものに関しては、いずれも1例報告で、内容を見 ますと因果関係が不明確なものであったということで、特に本剤との因果関係が明確な 副作用の発現はなかったことから、添付文書改訂等の特段の措置は必要ないと考えられ ます。  以上、この2品目に関して指定医薬品からの解除は適当ではないかと考えております。  1ページに戻りまして、3番のその他です。H2ブロッカー含有の一般用胃腸薬に関 しては、従来より販売時に薬剤師による服薬指導が重要としてきたところで、販売に際 しては引き続き薬剤師による情報提供の徹底など、安全対策の継続的な実施が必要と考 えております。  ミノキシジル含有製剤に関しては、昨年度の部会で再審査結果の報告をさせていただ いたところですが、循環器系の副作用が最も注意すべき事項であり、販売に際しては薬 剤師による情報提供など、現在の安全対策の継続的な実施が適当であると考えておりま す。  資料の説明は以上です。 ○松本部会長 何か、御質問、御意見等はございませんでしょうか。 ○児玉委員 今回はこのような方向でいいと思うのですが、御承知のとおり薬事法の改 正が行われましたので、指定医薬品というのはなくなるわけです。その辺の今後のタイ ムスケジュールはある程度考えているのでしょうか。 ○安全対策課長 御案内のように、平成18年6月に改正薬事法が公布され、一般用医薬 品の販売制度が大幅に変更されました。具体的にはリスクに応じて三つのグループに分 類されます。リスクの高い第一類医薬品に関しては薬剤師が販売に関与し、文書による 情報提供を義務付ける。以下第二類、第三類とリスクの程度に応じて傾斜を付けて、第 二類のものは情報提供を努力義務とする、第三類のものは積極的な情報提供は必ずしも 求めない、ただ、いずれのものについても相談があった場合には情報提供を義務として 行う、ということが決められております。  これは、公布の日から3年以内に施行されるということですので、まだ具体的な運用 の仕方等は検討作業が進んでいるところと承知しております。ただ、先般の安全対策部 会で、一般用医薬品のリスク分類については御審議いただいたということで、この後資 料No.6-1で御説明させていただくことになるかと思いますが、基本的にはそのリスク分 類に基づいて、一般用医薬品を第一類、第二類、第三類と三つのカテゴリーに分けさせ ていただきました。これについては安全対策部会で御審議いただき、答申をいただいて、 それを踏まえてこういう形にさせていただいています。  一般用医薬品のリスク分類に関しては、この通知でお示ししたとおりですが、今後新 たな販売制度が施行されて、新しい一般用医薬品も世の中に出てくることになりますと、 当然リスク分類の見直しが生じるわけです。その場合には、最初の分類は安全対策部会 で御議論いただいたということですので、その分類を変更する場合につきましても、当 然こちらでいろいろなデータに基づいて御審議をいただき、必要に応じて分類の変更を していくことになるのではないかと考えております。 ○児玉委員 おっしゃるとおりなのですが、もちろん今、市販後調査中のものもありま すけれども、改正薬事法は平成21年4月施行ということですと、これについては来年も まだあるということになるのですかね。 ○安全対策課長 現行の制度ということで申しますと、あと2年弱続くことになろうか と思います。 ○松本部会長 この問題に関してほかに御意見はございませんでしょうか。ないようで したら、一般用医薬品の市販後調査結果及びその結果に基づく指定医薬品の取扱いにつ いて了承することといたします。事務局は今後の予定はどのようにお考えですか。 ○事務局 ありがとうございました。指定医薬品の取扱いについて、今後、パブリック コメント等の所定の手続を取らせていただき、その後、薬事法施行規則の改正等、整備 をしていきたいと考えております。 ○松本部会長 事務局は、パブリックコメント等の手続を進めてください。  議題6は、「その他」です。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料No.6-1の一般用医薬品の区分について御説明いたします。昨年11月、ま た今年2月の部会で御審議いただきました一般用医薬品のリスク区分について答申をい ただき、3月30日付けで関係の告示又は省令の整備を行いました。資料No.6-1が3月30 日付けの施行通知です。3ページ以降は同じく3月30日付けの施行通知で、安全対策課 長通知として、一般用医薬品の区分のリストをお示ししたところです。  5ページ以降に別紙1〜別紙3がありますが、今回告示でお示しいたしました成分の リストです。告示では第一類医薬品、第二類医薬品をお示ししておりますが、部会では 第三類医薬品に該当する成分も御審議いただいておりますので、課長通知では第三類の 成分についてもお示ししたところです。  先ほどもありましたように、これは3月30日付けで出たものですが、4月以降、安全 性の観点又は承認整理等、いろいろな状況の変化等がありました場合に不断の見直しと いうことで、今後、安全対策部会にその辺りは諮問させていただいて、御審議いただき、 リスク区分の変更等がありましたら必要に応じて告示の改正、またこちらの施行通知の 別添のリストも改正していきたいと考えております。  また、3ページの課長通知の記の2.で、指定告示について、より販売実態に即したも のとするため、有効成分の追加・削除等について意見を申し出る期間を設けたという記 載があります。こちらは、承認整理等もあるかと思いますし、その辺りも含めて4月1 日〜9月30日の6か月間の申出期間を設けております。その期間にいろいろな情報が寄 せられてくるかと思いますので、それらもまとめて安全対策部会で必要に応じて先生方 に御審議いただければと思っております。 ○松本部会長 何か、御質問、御意見等はございませんでしょうか。 ○土屋委員 これはお願いですが、例えば資料No.2-3の一般用医薬品の国内副作用報告 の状況で、クラス分類の第何類ということが分かると、恐らく一番それが妥当性を図る のにいい資料になると思いますので、次回からはこういう資料にそういう分類を入れて いただければ助かります。 ○事務局 検討させていただきます。 ○松本部会長 ほかに御意見はございませんでしょうか。ないようでしたら、次に進ま せていただきます。 ○事務局 資料No.6-2を御覧ください。安全対策課で行います事業について簡単に御説 明いたします。1ページは、医薬食品局全体の平成19年度の予算の概要を示したもので す。平成18年度に比べて若干減額された状況となっております。  2ページの1.ですが、安全対策の推進ということで、安全対策課においては平成19 年度について主としてこの四つの事業を行うことを計画しております。下の三つについ ては、平成18年度からの継続の事業です。平成19年度から始めるものとしては、一番 上の医薬品安全使用実践推進事業は予算の確保ができたものですから、それを行いたい ということで、簡単に御説明させていただきます。  次のページを御覧ください。図の一番下の横の矢印の流れを見ていただきますと、「予 測・予防型の安全対策の推進」ということで、この安全対策の推進を幾つかのステップ に分けて考えております。その中でそれぞれこれまで予算を確保し、この下に書いてあ るように、情報収集ステップでは市販直後安全性情報収集事業、評価分析ステップでは 重篤副作用マニュアル作成事業を行ってきているということです。伝達ステップで添付 文書の改訂、ドクターレター等がありまして、最後の実践ステップで今般の事業がある という形になっております。  詳細につきましては現在検討している最中ですが、上の方を見ていただきますと、現 状では、収集してきました副作用情報等を評価分析し、その結果を医療現場にフィード バックするという流れで情報提供しているわけです。そういう中で、その情報が必ずし も有効に活用されていないのではないかという指摘が一部であります。そういう指摘に 対応するために、この実践事業を今回検討しようと考えているわけです。情報提供され たものが、当然その取扱いは病院ごとによって違うわけですので、比較的上手にその情 報を利用している所に御協力をいただいて、情報の整理の仕方、体制の構築の仕方を勉 強させていただき、それを取りまとめて他の病院等に参考となる事例ということでお示 しをして、分かっている副作用を1例でも減らすことを目的にこの事業を進めてまいり たいと考えております。 ○松本部会長 御質問、御意見等はございますでしょうか。ないようでしたら、次に進 ませていただきます。説明をお願いします。 ○事務局 資料No.6-3と資料No.6-4をまとめて御説明させていただきます。資料No.6-2の 予算の方にも記載がありましたが、まず資料No.6-3、妊娠と薬情報センター事業について です。平成19年4月の安全性情報235号に記事として掲載したものです。妊娠と薬情報 センターに関しては、平成17年10月に国立成育医療センター内に設置し、当初は試験 的に世田谷区限定でスタートいたしました。  内容は、妊娠を希望する女性又は妊娠をしている女性で、服薬に対して不安を持って いる方から受ける相談業務、もう一つは、同意をいただける女性からは出産後の状況を 報告していただき、貴重な情報として集積していく調査業務の二本柱です。  4ページに図がありますが、本年4月から成育医療センターのこの事業を進めるに当 たり、全国の協力病院の御協力をいただいて、それまで地域限定で行ってきたものを、 全国を対象にいたしました。5月に若干新聞報道等もあり、現在は相談件数がかなり増 えてきています。5ページにある協力病院の先生方の御協力もいただきながら、引き続 き相談業務及び調査業務を進めていきたいと考えております。妊娠と薬情報センターに ついては以上です。  続いて資料No.6-4です。昨日公表させていただきました安全性情報237号から抜粋し たものです。参考資料ということで付けておりますが、重篤副作用疾患別対応マニュア ルについてです。こちらも平成17年度から安全対策課の事業として進めているもので す。松本先生、池田先生、上田先生にもお入りいただいておりますが、重篤副作用総合 対策検討会で本年3月に御検討いただきました、表1に示す10個のマニュアルについ て、昨日付けで厚生労働省のホームページ及び医薬品医療機器総合機構の情報提供ホー ムページに公表いたしました。委員の先生方には、印刷版のものもお配りしております。  3ページに、現在取り組んでおります副作用疾患の一覧表があります。これまで19 のマニュアルについて公表しておりますが、それ以外の副作用疾患についても案文がま とまりつつありますので、引き続き検討会にお諮りし、順次公表させていただければと 思っております。説明は以上です。 ○松本部会長 御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいようでしたら、次 に総合機構で開始した主な安全対策業務について説明をお願いいたします。 ○安全部長 総合機構安全部から二点御紹介させていただきます。一点目は、患者向医 薬品ガイドについてです。患者向医薬品ガイドについては、警告欄があり、患者に特に 注意喚起が必要なものについて作成支援してきたところです。これについては、平成18 年2月28日の通知「患者向医薬品ガイドの運用について」に基づき作成の支援、掲載の 目途が示されております。これに従って、平成19年3月末までに937の添付文書に該当 する1,240品目について掲載を行いました。  併せて御紹介させていただきたいと思いますのは、今まで、患者向医薬品ガイドにつ いては一覧表での掲載と、添付文書の下の方からリンクを張るという形にしておりまし たが、3月末に検索画面を設けました。その際に、今お話をしましたとおり、全部の医 療用医薬品について作成しないものですから、検索の段階でヒットしないこともあるこ とから、その検索画面で、くすりの適正使用協議会が提供する「くすりのしおり」への リンクも張るという改修を行いましたので、併せて報告させていただきます。  二点目は、後発医薬品に関する電話相談業務です。これについては、2ページの方で 記者発表させていただきました。この内容で、5月7日から相談業務を始め、6月15 日で切りましたが、それまでに34件の相談がありました。一般の方からの相談が一番多 くて、その次に薬剤師の相談でした。内容的には、品質や有効性、安全性に関する心配 事です。本当に大丈夫だろうかという内容の相談が多かったところです。  簡単ですが、以上二点報告させていただきました。 ○松本部会長 何か、御質問等はございますでしょうか。 ○堀内委員 医療関係者に対して後発品の相談に乗るというのは大変結構であると思い ます。その場合に、一つの先発品に対してたくさんの後発品が出てくると思うのですが、 例えば、バイオアベイラビリティのデータ等を比較したようなものもいただけるのでし ょうか。 ○安全部長 基本的にバイオアベイラビリティのデータについては、今、添付文書の中 に書く作業をしております。先発メーカーと後発メーカーで合意されたものについては、 添付文書に溶出試験の結果と合わせて記載することになっております。そこが整ったも のについては、添付文書を改正するとともに、機構のホームページに載っております。 今はその内容を基に電話相談ではお答えするような形になっていますが、まだそこに至 っていないものがあります。先発メーカーとの話合いがついていないものは、溶出試験 と同等性試験が付いていない従前の形で載っております。そこはまだ調整がついていな いということで御理解いただきたいということです。 ○池田部会長代理 患者向医薬品ガイドはとても大事なものですが、実際に患者がどの くらい知っているかということなのです。とても大事ないいことをやっているので、も う少し患者がそれを知っているようにしなければいけないのではないかと思うのです。 患者を見ていると、必ずしもこういうものがあるとは理解していないと思います。皆さ んこれだけネットを利用していますので、自分が飲んでいる薬については、もちろん薬 をもらうときに薬剤師や医師から説明はされるのですが、それに加えてこういうものが あるということを何らかの形で知らせる取組みもとても大事ではないかと思うのです。 どうでしょうか。 ○安全部長 患者向医薬品ガイドについては、薬剤師研修センターの久保先生の研究班 で、昨年度、一昨年度と地方で一般の方も対象とした患者向医薬品ガイドに関するセミ ナーを開かせていただいております。去年は東京、京都や、地方都市でも開催しており ます。この研究班が平成18年度で終わりましたので、平成19年度からは機構の方で11 月と1月に一般の方、それから薬剤師、その他医療関係者も対象として、こういう事業 を始めておりますということを広報したいと思っております。 ○池田部会長代理 例えば、医療機関にそのようなポスターみたいなものが必ずあって、 1,240の品目については調べられますというようなものがあってもいいかと思いまし た。患者がどういう薬を飲んでいるか、恐らくそれは易しく書いてあると思うのです。 申し訳ございません、私はこれを見ているわけではないので、どのような内容になって いるか実際には知らないので、早速見てみたいと思いますが、今、こういう話をいろい ろな所でしています。我々は添付文書を実際に見て処方したりするわけですが、患者が どのように理解するかというのはとても大事なことではないかと思います。 ○安全管理監 今、本省の方に聞きましたところ、以前に、医薬品・医療機器等安全性 情報でも紹介しているそうです。池田先生に大変有り難い御指摘をいただきましたので、 両方連携してより幅広く活用していただくように努力していきたいと思います。 ○猪熊委員 妊娠の事業ですが、素晴らしいことが始まる、とても大きいことが始まる ように思うのです。細かくなって申し訳ないのですが、これは保険の点数とはかかわり なく始まるわけですね。そうすると、主治医が何か書くわけですが、書いても主治医へ のフィードバックがないのか、セカンドオピニオンを聞きに行ってもらう形になるのか。 向こうで御説明いただくことと、私どもが主治医として説明することとの食い違いがあ ってもいけないし、少し心配に思いました。素晴らしいことであると思いますが、いず れ練ってからで結構ですので、よろしくお願いいたします。 ○事務局 こちらの事業は、主治医を介した相談が原則です。成育医療センターの妊娠 と薬情報センターからは、その医薬品の催奇形性に関する科学的なデータが問診票の代 わりに主治医に送られます。主治医が患者の治療方針や、その患者の受け取り方などを 勘案して、成育医療センターからのデータに基づき、実際に患者にコメント、カウンセ リングするというのが全体の流れです。 ○猪熊委員 「相談者に直接説明する方法」と書いてありますが。 ○事務局 それは例外的なものとして、じかに成育医療センターの外来に行かれるケー スでは、患者が成育医療センターの医師から直接カウンセリングを受けるという意味で す。この事業の原則としては、主治医を介した相談ということになります。 ○松本部会長 ほかに御意見等はございませんでしょうか。事務局からほかに何かあり ますか。 ○事務局 ございません。 ○松本部会長 本日用意いたしました議題はこれですべてですが、全体を通じて御発言 はございませんでしょうか。ないようでしたら、本日の部会は閉会とさせていただきま す。どうも長い間ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 美上(内線2748)      - 1 -