07/06/26 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会(平成19年6月26日)議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 食品規格部会議事録 ○日 時:平成19年6月26日(火) 9:54〜11:37 ○場 所:航空会館501会議室 ○出席者: 【委員】五十君委員、池上委員、香山委員、品川委員、早川委員、廣橋委員(部会長)、 米谷委員、宮原委員、山内委員(敬称略)  【参考人】春日文子(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第三室長)  【事務局】藤崎食品安全部長、松田基準審査課長、加藤課長補佐、松岡課長補佐  ○議 題  (1)座長代理の選出について  (2)食品規格部会での審議が必要となる主な課題について  (3)容器包装詰低酸性食品の取扱いについて  (4)その他 ○報告事項  (1)内閣府原子力委員会決定「食品への放射線照射について」について  (2)その他 ○松岡補佐 おはようございます。本日は余り天候のよろしくない中、お集まりいただき まして、どうもありがとうございます。少しお時間には早いのでございますが、本日参加 予定の先生方が皆さんおそろいなので、もしよろしければ始めさせていただきたいのです が、よろしいでしょうか。 では、座って進行させていただきます。 審議に入るまでの間、私、基準審査課の松岡が議事を進行させていただきますので、よ ろしくお願いいたします。 本日は、本年1月の委員改選後、初めての食品規格部会開催となります。よって、審議 に先立ち、御出席の委員の皆様、御紹介申し上げます。五十音順でお名前をお呼びいたし ます。 五十君靜信委員でございます。 池上幸江委員でございます。 香山不二雄委員でございます。 品川邦汎委員でございます。 早川和一委員でございます。 廣橋説雄委員でございます。 米谷民雄委員でございます。 宮原誠委員でございます。 山内明子委員でございます。 また、石田裕美委員、小西良子委員、小沼博隆委員、西川秋佳委員は本日御欠席との御 連絡を承っております。 なお、本日は部会委員13名のうち9名の委員に御出席いただいておりますので、当部会 は成立しておりますことを御報告申し上げます。 また、本日は参考人といたしまして、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部の春日 文子室長に御出席いただいております。 では、続きまして藤崎食品安全部長よりごあいさつ申し上げます。 ○食品安全部長 おはようございます。食品安全部長の藤崎でございます。 本日は先生方、大変お忙しい中、御参加いただきまして誠にありがとうございます。こ の場をお借りいたしまして、併せまして平素より食品安全の確保につきまして、多大な御 尽力をいただいておりますこと、厚く御礼申し上げます。 一言、ごあいさつ申し上げますが、先生方、御案内のとおり、おかげさまで私ども日本 の食品の安全、衛生というものは、国際的な水準と比較しても極めて良好な状況にあると 自負をいたしております。それは、私ども行政がということではなくて、関係の先生方を 初め、関係者の多くの方々の努力によって、その食品の安全あるいは衛生というものが保 たれていると考えております。そういう中で、私ども行政の立場からは食品衛生法、ある いは食品安全基本法等の基本的な法令に基づきながら、着実に行政としての使命を果たし ていきたいと考えておるところでございます。 そういう中で、直近のいろいろな事件と申しましょうか、出来事といたしまして、北海 道のミートホープ社の事件というものが大変に大きな影を落としておるわけでございます。 幾ら制度というものができて、きちんと運用されていたとしても、やはり偽装の問題とか、 そういう法令順守の意識のない方がおられる中で、食の信頼、安全というものが失われて いく、国民の皆様に大変御心配を与えていくということが、私どもも大変つらいと申しま しょうか、心重くしておるところでございます。そういう意味で、今回のミートホープの 件につきましては、捜査当局ももう既に捜査に着手いたしておりますし、また、農林水産 部局、JAS法の関係の取組みといいましょうか、調査等々も進んでおります。私ども食 品衛生部局も一義的には北海道の食品担当部局が、調査あるいは対応に当たるということ になっておりますけれども、そういう方々と連携をとりながら私ども厚生労働省食品安全 部といたしましても、事実関係の解明と今後の再発防止等につきまして、どのような対応 をとっていけばいいのかということを真摯に考えていきたいと考えております。 また、先生方からも是非、適切なアドバイス、御意見等いただければ幸いでございます。 そういうことを申し上げましたけれども、私どもの食品衛生安全の行政というものが、大 変に全体としては機能しているということの1つの大きな要素が、やはり食品等に関しま す規格基準の設定というところに先生方の専門的な御経験、あるいは知見などをいただき ながら、的確にそれが行われているということが大変に大きいのではないかと、私どもは 考えております。そういう意味で、今後とも先生方のお知恵をお借りしながら、適切な規 格基準の設定ということに行政の立場から努めてまいりたいと考えております。 そういう中で、本日は今年1月の当部会の委員の改選後、初めての会合ということでご ざいますけれども、前期に引き続きまして委員をお務めいただいております先生方、また、 新たに委員に御就任いただきました先生方には、今後とも本当によろしくお願い申し上げ ます。 また、部会長をお引き受けいただきました国立がんセンター総長の廣橋先生には、これ から大変な御苦労をいただきますけれども、是非よろしくお願いをいたしたいと考えてお ります。 そういうことで、本日大変お忙しい中、御苦労様でございますが、是非御審議のほどよ ろしくお願いを申し上げたいと思います。簡単でございますが、ごあいさつにさせていた だきます。 ○松岡補佐 それでは、座長を部会長の廣橋先生にお願いいたしたいと思います。 廣橋先生、よろしくお願いいたします。 ○廣橋部会長 ただいま、御紹介にあずかりました廣橋です。委員の皆様の御協力を得て、 先ほどお話のあった、この部会の大変重要な役割を是非果たしたいと思っておりますので、 どうぞよろしくお願いいたします。 今日の会議も座長を務めさせていただきます。 まず最初に事務局の方から、配付資料の説明をお願いいたします。 ○松岡補佐 それでは、配付資料の方を確認させていただきたいと思います。もし、なけ れば、持ってまいりますので、よろしくお願いいたします。 まず、議事次第がございまして、それをめくっていただいて、資料1というものがござ います。「厚生労働省設置法(抜粋)」というものがございます。 それから、資料2「食品規格部会での審議が必要となる主な課題及びこれまでの経緯」 というものでございます。 資料3−1「容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒対策に係る食品規格部会での審 議状況」これは1枚ものでございます。 資料3−2というものは、これは通知の抜粋でございます。食基発第0630002号という ものでございます。 資料3−3は「平成17年容器包装詰低酸性食品に関する試験検査」総括報告書というも のでございます。 資料3−4、これは1枚もののシェーマになっております。「容器包装詰加圧加熱殺菌 食品と容器包装詰低酸性食品の関係」というカラー刷りのものがあると思います。 資料3−5、これは1枚ものでございまして「我が国の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の 規格基準」これも基準の抜粋でございます。 資料3−6「諸外国等における規制状況」というものでございます。 資料3−7「我が国におけるボツリヌス菌による食中毒の発生状況(約20年間)」これ は1枚ものの表でございます。 資料3−8「ボツリヌス菌汚染実態に係るデータ」というものでございます。 資料4として非常に分厚いものでございますが、内閣府からきておりますものでござい ます。「食品照射専門部会報告書」でございます。 あと、参考資料といたしまして、ピンク色のファイルでございますが、机上配付という ことで「『容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒に対するリスク評価』平成14〜16 年度総合研究報告書」がございます。 これで、本日お配りしております資料は以上でございます。 ○廣橋部会長 皆さん、よろしいですか。 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題1は「座長代理の選出について」で す。資料1について、事務局より説明お願いします。 ○松岡補佐 それでは、資料1につきまして、若干の説明をさせていただきます。 資料1、1枚目をめくっていただきまして、3ページ目となりますでしょうか。第7条 というものがございます。 この第7条では、部会、それから部会長などなどの選任に関することが書かれておりま す。その中の第5項でございます。部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員、 または臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名するものが、その職務を代理するとい う規定が置かれております。部会長に事故があるということは、私どもは余り考えたくは ないのでございますが、前もって選出するべきであるというところがございまして、非常 に申し訳ないのでございますが、部会長より指名をいただきまして、部会長代理の方を選 出いただければと思っております。よろしくお願いいたします。 ○廣橋部会長 ただいまの説明につきまして、何か御質問はありますか。今のように進め てよろしいですか。 それでは、規定に基づきまして、私から座長代理を指名させていただきたいと思います。 以前から、この部会の委員として御活躍され、当部会の審議に詳しい小沼委員にお願い したいと思います。実は本日、ここに来てごあいさつされる予定だったんですけれども、 急遽、いらっしゃらなくなったということですが、内諾とってございますので、小沼委員 にお願いしたいと思います。皆様御了承いただけますか。 (「異議なし」と声あり) ○廣橋部会長 よろしくお願いいたします。 ○松岡補佐 今より食品安全部長が中座させていただきたいと思いますので申し訳ござい ません。よろしくお願いします。 ○食品安全部長 よろしくお願いいたします。失礼申し上げます。 (食品安全部長退室) ○廣橋部会長 それでは、議題2に入ります。「食品規格部会での審議が必要となる主な 課題について」ですが、資料2につきまして事務局より説明お願いします。 ○松岡補佐 それでは、資料2というものを皆様お手元に出していただければ幸いでござ います。 これまで食品規格部会では、長年いろいろな懸案を処理してまいりました。今回、食品 規格部会委員の改選となりまして、今まで積み残してきました課題、それから今後出てく る課題というものを整理させていただいて、今後どのような形でこの部会を行っていくか ということについて、若干議論をさせていただきたいと思って、このような資料2という ものをつくらせていただいております。 それでは、ざっとですがこの中身について、御説明させていただきたいと思います。 それで、一つひとつの(1)、(2)という形になっておるんですけれども、一つひと つ一旦ブレークを置いて、皆様御意見ある方は御意見をいただくという形でやった方が、 余り混乱しなくて済むのではないかと思っておりますので、一旦終わると部会長の方にお 返ししたいと思います。 それでは、1つ目から説明させていただきます。 これまで、審議が行われていた課題といたしまして、3つございますが、そのうちの1 つ目でございます。「(1)食品中のカドミウムについて」という課題です。 「現行規制」では、玄米、清涼飲料水及び粉末清涼飲料水に規格基準が設定されている ものです。ちなみに、参考として成分規格については書いているとおりでございます。 「審議状況」でございます。コーデックス委員会におきまして、食品のカドミウムの国際 基準値の検討の動きがありましたので、平成14年食品規格・毒性合同部会開催以降、平成 15年12月9日まで、毒性部会単独での審議も含め、計6回審議が行われてきております。 これらの審議におきまして、我が国の米のカドミウムの規格基準の可否、それからコーデ ックス委員会における食品中のカドミウムに関する国際基準値への対応等の議論が行われ ました。 結果、 ・我が国の米の規格基準については、緊急に改正する必要はない。 ・コーデックス委員会へ基準値案に対するコメントを提出する。 ・食品中のカドミウムについて、消費者に対する情報提供を行う。 などの結論を得られております。 なお、平成15年7月1日に食品安全委員会が設立されたことより、食品中のカドミウム に関するリスク評価については、同日付で諮問を行っているという状況でございます。 「現在の状況」といたしましては、平成15年7月1日付で「食品からのカドミウム摂取 の現状に係る安全性確保について」という形で、食品健康影響評価を食品安全委員会に対 し依頼しております。また、その食品安全委員会は現在、審議を行っているという状況で ございます。 コーデックス委員会における食品中のカドミウムに関する国際基準値の検討は、2006年 7月のコーデックス委員会総会で精米等の基準値案の最終採択をもって、今のところ一段 落ついているという状況で、さらなるカドミウムの規格基準を設けるというような動きは 見られておりません。 「今後の方針(案)」でございます。これは事務局案ということで、お聞きいただけれ ばと思います。食品安全委員会からの評価結果の受理の後、食品中のカドミウムに関する 必要なリスク管理措置の在り方について検討を行ってまいりたいと考えております。 なお、検討に当たっては、当部会の委員等による検討グループを立ち上げ、当該グルー プでリスク管理措置のあり方に関する原案を作成し、当部会全体で審議を行うということ を考えております。 以上でございます。 ○廣橋部会長 いかがでしょうか。この食品中のカドミウムについての問題、取組みにつ いて、御意見ございますでしょうか。今後の方針、事務局が考えている方向でよろしいで すか。 (「はい」と声あり) ○廣橋部会長 ありがとうございました。 では、次の課題へ進めてください。 ○松岡補佐 それでは、次のページにまいります。 「(2)清涼飲料水の規格基準の改正について」でございます。 「現行規制」は、成分規格、原水基準及び製造基準がございます。表になっております が、一つひとつ書き出すと、なかなか大変なものですから、何項目制定されているかどう かということだけ書いております。 現在の「審議状況」でございます。コーデックス委員会におけるナチュラルミネラルウ ォーター等の規格の設定及び我が国の水道法の水質基準の改正の動きを受け、平成14年1 0月3日及び同年11月12日に食品規格部会において、清涼飲料水に関する規格基準の改 正について審議が行われております。 結果、 ・ミネラルウォーター類については、製品の基準とすること。 ・ミネラルウォーター類については、無殺菌・無除菌製品と殺菌等の処理済み製品に分類 して審議を行うこと。 ・化学物質等は、水道法の水質基準の改正後、項目及び基準値を検討すること。 ・食品製造用水、飲用適の水という言い方をしておりますが、それにつきましては、用途 等の整理を行い審議していくこと。 ・微生物の基準につきましては、コーデックス規格との整合性や、またカビなどの検討が 必要であるということ。 が結論として得られております。 なお、平成15年7月1日に食品安全委員会が設立されましたので、清涼飲料水の規格基 準の改正に関するリスク評価について、同日付で諮問を行っております。 「現在の状況」でございますが、平成15年7月1日付で食品安全委員会に化学物質48 項目及び農薬93項目の計141物質について、食品健康影響評価を依頼しております。食品 安全委員会において現在、審議が行われておりまして、これまでに11物質、化学物質9項 目と農薬2項目について、評価結果を受理しております。これは平成19年5月末、現在の 時点でございます。 「今後の方針(案)」として、次のページに移ります。 化学物質及び農薬につきましては、清涼飲料水の規格基準を設定すべき物質の精査を行 うため、当部会の委員等による検討グループを立ち上げ、当該グループで原案を作成後、 当部会にて審議を行っていくこと。 また、微生物に係る規格基準の在り方につきましては、これまで議論が行われておらず、 また、食品安全委員会に対し食品健康影響評価依頼は行っておりません。まずは、微生物 規格の見直しが必要であるかどうか、行うべきかという検討を行い、必要があれば検討グ ループを立ち上げ、食品安全委員会の諮問について検討してまいりたいと考えております。 以上が清涼飲料水についてでございます。 ○廣橋部会長 いかがでしょうか。委員の皆様、御意見があればお願いいたします。 よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○廣橋部会長 では、先に進みたいと思います。「(3)容器包装詰低酸性食品のボツリ ヌス食中毒対策について」。 ○松岡補佐 こちらにつきましては、議題3になりますので、議論につきましては、そち らの方でさせていただきたいと思います。 こちらの3番目のボツリヌス食中毒対策につきましても、食品規格部会で従前お話させ ていただいておるところでございまして、議論は何回か行っているところです。 「審議状況」といたしましては、平成11年の食中毒事例を発端といたしまして、平成1 4年から調査研究を行い、平成15年に当部会において審議が行われた結果、若干の気体透 過性のある容器包装に詰められた容器包装詰加圧加熱殺菌食品というものについては、レ トルト食品とほぼ同等のリスクであるという結論が得られ、必要な指導が得られておりま す。  「現在の状況」といたしましては、平成14年〜平成17年まで研究を行っておりまして、 平成18年8月以降、意見及び資料の収集を行って、おおむねそのような必要なデータにつ いての収集は終えたというようなところがあります。 「今後の方針(案)」等につきましては、後ほど議題3でお話しさせていただきたいと 思います。 ○廣橋部会長 それでは、続きまして「2.調査研究中の課題」のまず「(1)食品中の かび毒について」の説明お願いします。 ○松岡補佐 今からお話しいたしますことは、今、調査研究中でございますので、今すぐ ここで議論を行うというものではないということでございます。 1つは、食品中のかび毒ということであります。 「現行規制」といたしまして、パツリン。これはリンゴとかリンゴジュースに入ってい る可能性のあるものでございます。それから、アフラトキシン。これはどのような食品で も発生しうるものです。それから、デオキシンバレノール。これは小麦、大麦などに発生 するかび毒です。これらにつきまして、すでに規制がございます。規制の具体的なものに つきましては、次のページに書いております。 「現在の状況」といたしましては、コーデックス委員会でアフラトキシンのかび毒の国 際的な規格策定の動きがあります。もう既にピーナッツなどの規格はあるのでございます が、今、木の実、つまりピスタチオやアーモンドなどにつきまして、アフラトキシンを管 理するというような動きがあります。これを受けまして、平成16年〜平成18年までアフ ラトキシン等について、調査研究を行ってきております。ただ、もう少しデータを集める 必要があるということで、平成19年度も引き続きアフラトキシンについては、データを収 集しているところです。 今回のコーデックスにおいての議論というのは、トータルアフラトキシンがベースにな ってございます。アフラトキシンは種類がいくつかありまして、それらをすべて併せたも のを管理するということになっております。ただ、日本ではアフラトキシン不検出という 基準はあるんですが、B1の検出限界というものを考えて規制しているところがあります。 コーデックスの規格基準の策定における考え方と、それから日本での規制の在り方が若干 ずれがありますので、それを何とか世界基準に合わせるというような動きをしているとこ ろでございます。 「今後の方針(案)」でございますが、現在行っている調査研究の結果がとりまとめら れたかび毒から、今後の対応を検討していくということで、アフラトキシン以外のかび毒 についても研究を行ってまいりたいと考えております。 以上です。 ○廣橋部会長 今、かび毒についての説明がありましたがいかがでしょうか、御意見。よ ろしいですか。 では「(2)冷凍食品の規格基準について」お願いします ○松岡補佐 冷凍食品の規格基準についてでございます。 「現行規制」といたしましては、微生物等の規格基準、それから保存の基準がございま す。微生物の規格基準は下に書いておりますが、冷凍食品というものを大体4つに分けま して、加工の仕方、それから調理のされ方に着目して4つに分けまして、それらについて 菌数や菌種を限って、規制をつくっているところでございます。  「現在の状況」といたしまして、平成18年4月に食品安全委員会の方から、冷凍食品 全般の成分規格の見直しに当たっては、冷凍食品の規格基準全体の考え方について整理し、 必要な食品健康影響評価を依頼するようにという指摘を受けております。これはどういっ たことかと申し上げますと、1つは、冷凍食品というものを現状では4つに区切っており ますが、現在ではいろいろなバリエーションがあり、この分類で実際いいのかどうかとい うことと、それから、保存や製造の技術が上がってきて、現行の規格基準だけで把握でき るような冷凍食品の状況であるかどうかということは、疑問があるというようなところも ございます。そういったことで、平成19年度、つまり今年度から厚生労働科学研究費にお きまして、冷凍食品の規格基準改正の検討に資するための調査研究を開始しております。 調査研究結果がまとまり次第、必要な措置について検討を行うということでございます が、現在の食品分類といったものが適正であるというような話になれば、これは見直す必 要は全然ないわけでございまして、また、現行の管理手法が適正であるということであれ ば必要がない。ただ、調査をしていて、必要であれば、こちらの方で議論をいただくとい う形になろうかと思います。 以上です。 ○廣橋部会長 ただいまの説明、いかがでしょうか。本年度から調査研究が始まったとこ ろということで、その結果でということです。よろしいですか。 では、次は「(3)食品への放射線照射について」。 ○松岡補佐 これは後で報告事項としてございますので、詳細につきましては報告事項の ときに申し上げます。 現状の話をさせていただきますと「現行規制」といたしましては、食品への放射線照射 は、食品の製造、加工の管理のために、つまり異物を検知したりとか、分厚さなどを調べ るために0.10グレイの吸収線量を当てることと、ばれいしょの発芽の防止の目的で吸収線 量150グレイまで使うということは、現在認められておりますが、それ以外の食品もしく は用途において、放射線照射をするということは、食品衛生法上認められておりません。 そういった現状の中、平成17年10月に原子力政策大綱というものが閣議決定され、そ の中に平和利用のために放射線を使うという場合に、食品分野で使うことについても、科 学的なデータを使って検討するべきであるという議論があり、私どもがその議論の延長線 で、今後、検討しないといけないというような状況にございます。詳細につきましては、 また後ほど申し上げます。また、「今後の方針(案)」につきましても、後ほど報告させ ていただきたいと思います。 ○廣橋部会長 ありがとうございました。 今後この部会で審議が必要となる主な課題について、既に審議が行われてきたものと、 それから今、調査研究中のものと2つに分けて、全体をわかりやすく示していただきまし たけれども、全体を通して何か御質問、御意見よろしいですか。 では、これから次の、今、指摘された2つの問題についての議題に進むわけですね。 ○松岡補佐 先ほど申し上げましたけれども、検討グループを立ち上げて議論するものと いうものが、カドミウムと、それから清涼飲料水であったかと思います。これらについて は、私ども事務局と部会長で相談させていただいた上で、先生方にお声掛けさせていただ き、検討グループをつくってまいりたいと思いますので、各委員につきましてはよろしく お願いしたいと思います。 ○廣橋部会長 どうぞ、御協力よろしくお願いいたします。 それでは、次の議題、議題3に移ります。「(3)容器包装詰低酸性食品の取扱いにつ いて」です。では、事務局からお願いします。 また、本日は調査研究に携わっておられた国立衛研の春日先生にも出席いただいており ますので、事務局からの説明の後に追加説明をお願いいたします。よろしくお願いします。 ○松岡補佐 それでは、ボツリヌス毒素の対策ということで、今まで食品規格部会で議論 してきたところではございますが、若干その経緯も触れながら、現在行ってきたこと、そ れから今後どのような形でやっていくかということについて、私の方から説明させていた だきたいと思っております。 まずボツリヌス毒素というものは、どういうものかという話でございますが、資料3− 3がございます。 これは総括報告書という形でありますが、これの9ページを開いていただきますと、ボ ツリヌス毒素は食中毒を起こす毒素なのでございますが、非常に毒性が強い。9ページの ○のところに「病原微生物への暴露による臨床症状、致死率、重症度、長期後遺症の性状 と発生頻度」ということがあります。致死率としては19.2%というような非常に高いもの でございまして、これにつきましては、食品衛生上、気をつけないというものでございま す。 この毒素を産生する菌は嫌気条件、つまり酸素が少ない状態におきまして増殖し、また 毒素を発生するというような特徴がございまして、今まで食中毒としてどのようなものが 起こってきたかということについては、資料3−7の表を見ていただければと思います。 日本での事例はこのような表になっております。昭和58年より、ここに書いておるのでご ざいますが、魚介類とか、あとグリーンオリーブとかハヤシライスの具とかいずしと呼ば れるような魚を漬け込んだような食品があるんですけれども、そういうようなものに結構 食中毒が起こっておりまして、死亡事例といたしましては、昭和60年以降は基本的にはな い。ただ、事故としては結構起こるときがあるというようなものでございます。 嫌気条件にあるようなところで発生するボツリヌス菌、もしくはボツリヌス毒素という ものにつきまして、本来ならばボツリヌスの芽胞を殺せるような条件で、食品を処理する ことが適切であると言われております。その条件と申しますのは、1例といたしまして12 0度で4分以上加熱をするということが肝要になってくるわけでございます。ただ、いろ いろな食品でやはり120度4分の加熱を行えない、もしくは行うことが難しい食品という のもございます。そのような場合には、酸性条件、つまりクエン酸などの酸性のものを加 えて、ボツリヌス菌が生えないような条件にするということも有効でございますし、また 冷蔵条件にする、すなわち温度を低くしてボツリヌスが出てこないような条件で流通、販 売または喫食までの間の保存というものをしていただくということが重要なことでござい ます。 ただ、私、先ほど申し上げましたように容器包装に入っている、つまり嫌気性条件にあ りがちなもので産生条件にないもの、つまりアルカリ性とか中性にあるものというような 食品がありまして、資料3−4というものを見ていただきたく思います。カラーの1枚も のの絵でございます。食品を「容器包装に詰められているか」という観点と、「ボツリヌ ス毒素の産生条件にあるか」という観点、それから「熱を加えているかどうか」というよ うな観点で分けますと、この赤とか緑とか黄色のところにあるような食品に分けることが できます。緑のところは容器包装詰め、つまりぴちっと嫌気性条件にある食品なのですが、 120度4分の加圧加熱を行っているというもので、これはレトルト食品というもので、ボ ツリヌスの危険性は基本的にはないものでございます。 その次にレトルト類似食品というものがございまして、これは若干の気体透過性を有す る容器包装に入れられた食品というものでございます。これはどういったことかと申し上 げますと、先ほど嫌気性条件にあればボツリヌス菌は生えますよと申し上げましたが、そ うであるならば酸素があれば生えないのではないかということで、若干の気体透過性を有 するようなパッケージに入れて、食品を流通させるようなことで、ボツリヌス対策をした というような形をとっている食品というものが、市場に実際あったということでございま す。これにつきましては、皆様のお手元に資料3−2がございますけれども、この通知を こちらの部会で以前に御議論いただきまして、平成15年の段階で通知を出し、120度4分 で加圧加熱するか、冷蔵で保存するか、ボツリヌス接種試験をして毒素が出ないというこ とを確認すれば流通してもいいですよという形で対応をしております。 今回、私どもが平成14年からずっと研究してまいりましたのは、この絵でいうところの オレンジの外側にある赤の部分であり、3年分の研究の成果なのでございます。これは分 厚過ぎるので説明するのがちょっと大変でございますので、資料3−3を若干引用しなが ら説明をさせていただきたいと思います。 資料の6ページを見ていただけますでしょうか。6ページのところに「V まとめ」と いうページがございます。この「V まとめ」は何を申し上げておるかというと、大半は このような容器包装詰めの低酸性食品にボツリヌスを接種して、それを数か月置いておく と、ボツリヌス毒素が発生するかということを実験したものでございます。いろいろとず っと書いておるんですが、こちらの方よりも資料3−8の一番後ろを見ていただいた方が、 もしかするとよろしいのかもしれません。 別添4というものがございます。これはこのピンク色のファイルと、資料3−3をあわ せまして、汚染実態と接種試験の結果を表にしたものです。これは事務局の方でまとめさ せていただいたものでございますので、もし春日先生の方でちょっと違うということがあ れば、また御指摘いただきたいのですが、基本的にはきちんと必要なデータを盛り込んで いるはずです。接種試験というものが右側にございますが、菌の増殖はこちらで調べたほ とんどの食品で、ほとんど見られております。ただ、汚染実態というのが左側にあるので ございますけれども、汚染実態というのは実際その市場で売られているときに、本当にボ ツリヌス菌がいるかどうか、その食品内にいるかどうかということですが、それにつきま しては「表3 肉加工食品」の一番下の馬刺しくん製で、6検体中1検体出てくるという ことがあります。こういった形で汚染実態については、なかなかデータが取れなかったわ けですが、接種試験をすれば毒素が産生される。つまり、ボツリヌスの芽胞がこの食品群 に入った場合、増殖し毒素を産生する可能性がある食品であるということがわかったわけ でございます。ここまでで、私どもの研究といたしましては、やはりそのような食品につ きましては、何らかの対策をとらなければならないのではないかと考え、食品安全委員会 に現状でのリスクはどれぐらいあるかということを尋ねるべく用意をしてまいりました。 その用意というものが資料3−3にもう一度戻りますが、8ページ、資料3−3の別紙 として「常温流通容器包装詰低酸性食品によるボツリヌス食中毒に可能性に関するリスク プロファイル(案)」というものが付けております。これはどのような位置づけのものか と申し上げますと、食品安全委員会に食品のリスクを評価していただくに当たっては、リ スクの同定をして、そのリスクがどのようなものなのかということを明らかにするという ことが必要でございます。それをリスクプロファイルという形で定型の書類にいたしまし て、食品安全委員会に提出するということが必要でございます。その定型にのっとりまし て、この研究の中で、このような容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒に関するリス クを評価していただくための材料をつくってきたわけでございます。今まで申し上げまし たところで、このリスクプロファイルというものは、お目通しいただければいいんですけ れども、どのような食品にそのリスクはあり得て、どれぐらいのリスクがある可能性があ り、今まで対策として何をしてきて、それで海外ではどのような形で管理されているかと いうものをについて、我々の知っている知識を網羅したものとお考えください。 それで、蛇足になるのかもしれませんが、資料3−6を見ていただければ「諸外国にお ける規制状況」というものを付けております。コーデックス、これは国際的な基準や規範 等をつくっているところなのでございますが、ここに低酸性缶詰食品及び酸性化した低酸 性缶詰食品というものの衛生規範というものを載せております。これでは、低酸性食品と いうものにつきましては「2 内容」の(2)のウにあるように、「製品は商業的無菌である べきであり、健康を害するような量の微生物由来の物質を含むべきではない」と規定され ております。 また、米国におきましては、容器包装詰低酸性食品の基準といたしまして、21CFR Part108、113、114ということで、これらをいろいろ書いているんですけれども、基 本的には容器包装詰めの低酸性食品というものはレトルト処理をしていないといけない。 レトルト処理をしていないものは流通してはいけない。もし、流通させる場合には個別に 何らかのFDAなどの承認を得ないといけないというようなことを規定しているところで ございます。 このように海外においても、このような容器包装詰低酸性食品というものは、規制の対 象内にあります。しかしながら、日本では現在まで、私どもの資料3−4で言いますとこ ろの赤の部分、シェーマでいうところの赤の部分につきましては、全く手つかずであった ということを考えますに、何らかの管理措置が必要であり、それに当たってはリスクの評 価を受ける必要があると事務局では考えております。 ただ、厚生労働省といたしましては、先ほどの資料3−8の表を見ていただいたときに も少し申し上げたのでございますが、汚染実態に関するデータというものがやはり少ない と感じております。この資料3−8の前の方には土壌の汚染データとか魚とか肉とか、そ ういったボツリヌスに汚染されがちな蜂蜜とか、そういったもののデータがあるのですが、 今回私どもの加工食品の中で、例えば米を使ったものとか小豆を使ったものというような 穀類を使ったもので、芽胞を接種すれば接種試験によって毒素を産生する食品については、 その米とか小豆とか、そういった原材料由来の汚染というものがどれぐらいか見積もるこ とができないわけで、このような食品群があるということを私どもはちょっと危惧してお ります。もしお時間いただけるならば、今後このような汚染実態で足りない部分をデータ を出して今までの知見に足した上で、食品安全委員会の方にリスク評価を依頼していきた いと思っております。先生方には、このような事務局の方針につきまして、御議論いただ ければと思っております。 なお、各委員御承知のことだと思いますが、食品安全委員会設立後は食品衛生法改正の ときには必ずリスク評価が必要であるということがありますので、食品安全委員会がリス ク評価をするということは、これは非常に重要なことで、今までの、つまり平成15年7月 以前の食品規格部会の進め方とは少し違っているということは、お耳に入れておくべきこ とだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 以上です。 ○廣橋部会長 では、春日先生、引き続き追加説明お願いします。 ○春日参考人 本日、参考人として出席させていただいております国立医薬品食品衛生研 究所の春日と申します。 松岡補佐の方から、非常にまとめて包括的に御説明いただきましたので、それほど追加 することはないんですけれども、調査研究の位置づけについて、もう一度御理解を深めて いただくために経緯を少し補足させていただきたいと思います。 まず平成14年〜平成16年の3年間は岡山大学の小熊先生を主任研究者とする厚生労働 科研費が動きました。その中では、添加試験の前にある程度広い範囲をとりまして、実際 に容器包装詰低酸性食品におけるボツリヌス菌の汚染実態調査も行った次第です。その次 に実際に市販の食品に、もしも芽胞が残っていた場合ということを想定しまして、ごく少 量の芽胞を添加しまして、賞味期限の1.5倍の期間保存して、その間にボツリヌス菌が増 殖するか、そして毒素が産生されるかという添加試験を行いました。ところが、その添加 試験に当たって、使用すべき菌株が当初FDAの指定する菌株を使っていたんですけれど も、昨今のバイオテロ対策のために、その当時の菌株が輸入が困難という状況が出てまい りまして、改めて日本国内で使える菌株を精査する必要が出てきたわけです。同時に容器 包装詰食品といいましても、いろいろな容器の形態をとっているものですから、それに対 して接種試験を行う手技についても、もう少し詰める必要があるということがありまして、 更に1年、平成17年度に食検費を使いまして、当所の食品衛生管理部が窓口となりまして、 追加の調査研究を行いました。 資料3−3に示させていただいている、この報告書自体は追加で行った1年、平成17 年度の試験結果のまとめが主ではありますけれども、先ほど松岡補佐の方から御説明いた だきました8ページ以降ですが、リスクプロファイルの中には先行する3年間の厚生労働 科学研究の結果のまとめも含めております。それが、11ページ目以降に4番としてまとめ られているところです。これをごらんいただきますと「常温流通容器包装詰低酸性食品に おけるボツリヌス菌汚染実態」の結果。それがありまして、その中に先ほど御説明にもあ りましたけれども、馬刺しくん製の製品からボツリヌス菌が実際に検出されたということ があります。そのほかにも、ボツリヌス菌と非常に近縁の種類でありますクロストリジア が複数の食品から検出されました。その後、添加試験の結果のまとめということが記載さ れております。大まかに先行する3年間の研究並びに追加された調査研究の結果を補足さ せていただきました。 ○廣橋部会長 ありがとうございます。 それでは、先ほど事務局から最後のところで説明がありましたが、本日はリスク管理機 関である厚生労働省として、容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒対策に関する管理 を講じる上で、食品安全委員会のリスク評価依頼を行うということで、そのために追加調 査を実施するということを考慮しながら、これから議論を進めたいと思いますので、よろ しくお願いいたします。どうぞ、各委員御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがで しょうか。 品川先生。 ○品川委員 2点。今、食中毒といった場合に乳児ボツリヌス症の原因食品というのは、 ここには事例として含まれてないですね。これはやはり直接、芽胞というよりは食品を摂 取して感染した場合には、食中毒のカテゴリーに入るのではないかなと思いますが、まず 食品中の芽胞を、そしてそれが当然、直接土壌とか、芽胞を直接摂取した場合、感染症で あるでしょうけれども、まずそのためには、ここに示されているデータとしては、全部食 中毒事例ばかりですが、そこに関するものについてデータとしてどのようになっているの かということ。 第2点は、非常に難しいことですが、これだけの汚染実態調査と接種実験をやっておら れるが、検体数というか、ばらつきはどう考えるかということです。これだけの検体数で いいのか。そういうことを考えたときに、ボツリヌス芽胞が多いとされる土壌については、 本菌は土壌細菌ですから、土壌から汚染しやすいものであります。そうすると穀類が当然、 汚染はしやすいし、もう一つ問題になるのは香辛料関係を使った食品がやはり重要度が大 きい。このことからボツリヌスというのは腸詰めということの語源でもあります。香辛料 を使った食品の場合には、特にその中でもリスクは高くなってくると思われますが、この 2点について、いかがでしょうか。 ○廣橋部会長 どうぞ。 ○松岡補佐 1点目は芽胞がそのまま乳児等に摂取された場合の乳児ボツリヌス症の話で ございますか。 ○品川委員 これは感染症ですね。しかし、依然食品の中で蜂蜜とか、こういう食品が判 明した場合には、これは食中毒と判定されるのでは、食品を介して発生しているというこ とでは、とにかく今起こるということを考えればいい。 ○松岡補佐 今回はボツリヌスの芽胞を食品経由で摂取した場合の議論というよりは、ど ちらかというとボツリヌス毒素に着目した研究になっておりまして、ボツリヌス毒素由来 のボツリヌス毒素による健康被害の防止というものをメインに置いているものでございま す。先生の御懸念のように、確かに芽胞を摂取した場合には健康被害が生じることは、我 々も承知しておりまして、それは議論されるべきことではあると思いますが、ちょっと分 けて議論をさせていただきたいと思っております。つまり今回は毒素の話をさせていただ きたいということで、芽胞については危険性が認識されている食品、例えば蜂蜜につきま してはもう既に手当がとられておりますけれども、もし本当に必要な措置がある食品が存 在するならば、それは考える必要があると認識しております。 もう一つ、スパイスとかそういった土壌由来の菌なので、他の食品、つまり米とか小豆 とか以外にスパイス等でもやはり起こり得るのではないかという先生の御指摘はごもっと もでございまして、今回付けております資料3−8の、最後から2ページという言い方を した方がいいのかもしれませんが、表5にあるように香辛料のデータというものも集めて おります。これは今回の研究の成果なんでございますが、香辛料から実際、毒素は検出さ れておりますし、クロストリジアも検出されております。ですから、このようなデータも 当然食品安全委員会に諮問する際には付けまして、非常にリスクの高そうな食品というも のと、そうでもないような食品というものの軽重というものは多分議論するには必要なこ とではないかとは思っております。 もし、春日先生から何かありましたらどうぞ。 ○春日参考人 香辛料につきましては、今の御説明のとおりでありまして、容器包装詰低 酸性食品の範囲ではなかったんですけれども、当然といいますか、容器包装詰食品にも今 後添加される可能性のあるものという、原材料の1つという位置づけで香辛料については 別個調査をいたしました。その結果、今の御指摘の表にありますように、かなりほかの食 品に比べますと、高率にボツリヌス菌が検出され、毒素型も同定された次第です。 それから、品川委員の御質問のもう一つ、検体数とばらつきの件があったかと思います けれども、ボツリヌス菌は御存じのように、またごらんいただきますように広くは汚染し ておりますけれども、汚染の菌数というものは非常に少ない状況がございます。そういう ふうに非常に少ない頻度と菌数で汚染されている場合に、それをどう評価するかという場 合、非常に検査、検体数が多くいるということは一般的には言えるかと思います。また、 限られた件数の中で見つかった陽性の検体数、陽性率についてもばらつきは多いという前 提で見ていかなければいけないと考えております。 ○品川委員 接種実験は何個(cfu)ぐらいの菌を接種、1個のところと10個の接種のとこ ろがありましたが。 ○春日参考人 接種はまた別の話になります。 ○品川委員 そのときに毒素を産生したか出さなかった、ここにデータが示されています。 そのときの接種実験の芽胞数というか、菌量(数)というのは、1グラム中に1個ないし 10個と書いてあったと思いますが。報告書、資料3−3の4ページのところに。 ○春日参考人 食品1グラム当たり、実際には非常に微量なボリュームで食品に添加しま して、20マイクログラムという、その中に含まれる芽胞数としまして。 ○品川委員 ここに書いてあるのは1個〜10個ということなんですね。今回のデータの中 で10個未満というのが検査において出てきているわけですが、汚染実態調査において当然、 菌が増えれば毒素を出すという形なんでしょう。だから、培養日数、培養温度との関係が あるんでしょうが、培養日数のところでは1個接種したものでもある面では全て毒素を出 したということですね。その中で菌数の汚染のところというのは10個未満ということは、 要するにばらつきです。1個でも汚染しておれば、毒素が産生するよというデータの部分 についてどう解釈するのかなということです。 ○春日参考人 そうですね。なかなか難しいです。 ○品川委員 難しい質問をしており申し訳ないですが、確かにここの肉において馬刺しの くん製のところで1検体陽性となっている。1検体、これはばらつきというか、たまたま 出たのであろうと思われますが、馬刺しは特別くん製で、これが汚染が高いということで はない。実際に出たという感じもありますから、もう少し、この辺の食品をいろいろたく さん行ってあるけれども、ばらつきというのはどこまで考えたらいいのか、こういう点は 微生物の汚染調査のときに、どのぐらいの検体数をどこまで広げてやるのかというのが、 非常に難しいところです。このデータを食品安全委員会に持って行っても、多分その辺の ところが、これでは評価できないと思われる。これぐらいの検体数ではできないというこ とになるのではないかなと懸念されますが。 ○春日参考人 ですから、定量的にどこまで精密なこと、評価をしていただけるかという ところを御懸念だと思います。私たちも基礎データを収集した立場としては、同じ懸念は 持っております。ただ、先生がおっしゃるように、汚染したとしても非常に少数の菌しか 汚染していないという状況では、たまたま検出されなかったということが非常に頻繁に起 こり得るだろうということは、微生物学者の立場としては予測いたします。それから、検 出された食品があったとしても、それもやはりばらつきの中で偶然見つかったわけなので、 ほかの食品に比べてその食品が特に汚染の危険性が高いだろうとは言えないと思います。 ですから、実際の汚染実態調査だけで判断するのではなくて、国内外の文献調査も含めて、 広い視野から汚染の可能性について考えるべきではないかと、調査研究班では結論いたし ました。 ○廣橋部会長 今の説明でよろしいですね。 では、香山先生。 ○香山委員 ここに書いてあります若干の気体透過性のある容器包装という表現なんです が、これの素材とかどういう種類があって、どういうものがどのぐらいの透過性があるの かということを、松岡補佐からの説明では嫌気的な状況をつくらないためのボツリヌス菌 対策であるという意図で行われているということですが、実際には酸化を防ぐためにある 程度脱気をして、食味の変化、そういうものを防ぐために行われていると思いますし、ほ とんどの食品が冷蔵が指定されているものだと思うのですが、それが間違って冷蔵されて いないというボツリヌス菌が存在した場合、それが増殖して毒素を産生するという結果に なることを、どの程度想定すべきなのかどうかというのが、それが食品衛生法でどこまで 縛りがあるのかということも含めて、ちょっと2つのことを続けて言ってしまいましたけ れども、その2点についてお教え願えませんでしょうか。 ○松岡補佐 1点目ですけれども、どのような素材のものが気体透過性があるかという話 ですね。皆様のお手元に資料3−2というものがございます。これは以前、皆様で御議論 いただいて、それを基につくっている通知なんでございますけれども、2ページ目「記」 というところに、食品を若干の気体性を有する容器包装という形にして、括弧の後ろ「(セ ラミック又はアルミニウムを蒸着した合成樹脂、エチレンビニールアルコール共重合体樹 脂等を用いた合成樹脂製の容器包装)に入れ」と、で入れたものについては先ほど申し上 げましたような若干の気体透過性を持っている素材だと考えております。この通知に載っ ているとおりでございます。 それから、もう一つは何でしたか。済みません。 ○香山委員 それが本来はほとんどのものは冷蔵を要求しているわけでしょう。それが冷 蔵されなかった場合にということを想定して、すべてをカバーすべきかどうかという、法 律上は。 ○松岡補佐 すべてが冷蔵されているわけではなくて、いろいろな食品があるんですけれ ども、気体透過性云々ではなくて、先ほど見せましたシェーマの赤の部分なんでございま すけれども、例えば、駅の売店とかに売られているような真空包装されたおつまみのよう なものがございますね。そういったものというのは、赤の部分に入るようなものも若干あ るわけなんですけれども、ああいったものにつきましては、冷蔵保存とも何も書いていな い食品でございまして、すべての食品がボツリヌス対策のために冷蔵を義務づけているわ けでもございません。また、冷蔵するということは保存とか流通に際しまして、非常にコ ストがかかるものですから、できるだけ冷蔵保存等を避ける傾向にあります。ですから、 ボツリヌス菌がもし入っていて、その毒素を産生するような条件にあるものが、冷蔵され ないで流通されることをよしとしているならば、それはやはり食中毒の危険性があるだろ うと、我々は判断しています。 ○廣橋部会長 では、ほかに御意見ございますか。 では、宮原先生。 ○宮原委員 済みません。素人の質問で申し訳ないんですが、放射線照射食品についても 同様な検討が30年ほど前にアメリカの総務省で行われまして、そのデータを実はこれ、ほ とんど同じような実験手法で行われています。その中で一番問題になっているのが、型な んです。ここではA、Bですか。こちらで言うと、ほとんど実際に事故があったのはE型 である。放射線のことを調べていないF型がある。これ、それぞれが同じ危険性があるの かどうか、この辺のところについて、実態調査というのは全部が出てこなかったのかもし れないんですが、あるいは検査方法がこれで妥当なのかどうかという点について、教えて いただければと思います。 ○廣橋部会長 お願いできますか。 ○五十君委員 ボツリヌスのタイプにつきまして、ちょっと解説をさせていただきたいと 思います。 資料3−8の28ページに「土壌におけるボツリヌス菌の分布」という資料がございまし て、こちらで見ていただきますように、国内における、特にボツリヌス症というのは、北 の地方で多いわけなんですが、これは食習慣に根差した形で発生しておりますということ と、それからこの地方にタイプEというボツリヌスの型が、分布しているという状況でご ざいます。これはいずしという魚の発酵食品を原因とする食中毒による事例がほとんどと いうことになります。これは当然、その地方のボツリヌス菌の汚染がタイプEで、それを 持ち込んで発酵することによって、タイプE型の食中毒、そしてこれが日本で一番多いボ ツリヌス症であると理解されておりました。 全国のボツリヌスの調査というのは、かなりたくさんの検体数でやられておりまして、 ここに示されているように分離はほとんどタイプEで、日本はタイプEが主に分布してい ると理解されておりまして、タイプA、そしてタイプBというのはほとんど国内では土壌 中に分布していないという、理解でございました。ところが、最近の食中毒事例というの は、いずし以外の食品や輸入食品が原因と思われる発生などが加わり、ちょっと状況が変 わってまいりまして、タイプA、タイプBの食中毒が発生しているという状況でございま す。 それで、これにつきましては、国内の土壌の汚染調査の結果からいきますと、タイプA は、ほとんど日本にはないのではないかと考えられていたんですが、この全国的な報告を 見ますと1例、2例ぐらいはタイプAも検出されているというような状況かと思います。 御存じのようにタイプEというのが、芽胞形成力が弱いボツリヌスでございますので、加 熱殺菌するような食品では、この芽胞というのは残らない傾向にございます。むしろ今回、 問題となっております容器詰めの食品の場合ですと、タイプAないしはタイプB辺りが原 因となる可能性が高いという認識で考えていただければよろしいかと思います。 ○廣橋部会長 よろしいですか。ほか、いかがでしょうか。どうぞ。 ○池上委員 私も細菌の方は素人ですので、素人なりの質問をさせていただきます。先ほ ど御説明いただいた資料を見ますと、確かにこの部会は食品の規格を考えるという部会で すので、一般的に加工食品として流通するようなものを対象とする委員会だろうと思うん ですが、現実のボツリヌス症の発症は家庭における食品で、かなり発生しているわけです ね。この辺りについては、どのように対処されているのか。それとの関わりというのもや はり必要なのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○松岡補佐 私どもは、流通し販売されている食品に規格を設けたり、あと対策を行うと いうことが本務でございますので、基本的には家庭でどのような食品をつくったりとか、 食品を調理したりとかするときに、注意するべきかというようなところについて、指導す る話ではないんですけれども、私どもやはり食中毒の防止という観点からは、このような いずしとか、こういったものはやはりボツリヌスの危険性があるということは認識してお ります。基本的にはこのいずしは、北海道や東北など北の方や一部滋賀とかそういったと ころでつくられておりまして、そういった地方では保健所とかそういったところが、食中 毒の防止という観点から指導等を行っているということもありますので、私どもその部会 とは直接は関係はないんですけれども、食品の安全とか衛生とかいう観点からは、自治体 等で対処されていると私は聞いております。 ○廣橋部会長 よろしいですか。どうぞ。 ○品川委員 ちょっと教えてほしいですが、先ほどの資料3−4の赤いところの食品とい うのが、一体どのぐらいあって、どうなのかということが、ちょっと把握ができませんが、 この赤い部分の食品というのは、何も規制されていなくて、規格基準もないという食品で すか。 ○松岡補佐 現在のところは規格基準等はありません。 ○品川委員 全くないということですね。これがどのぐらいの割合を占めているのでしょ うか。レトルト食品、実際流通されている中でどのぐらい把握できているのか、どういう ものかというのは、わかっているのですか。ただそういうものがあり得るから懸念される ということであり、量的なものについては余りわからないんですか。 ○松岡補佐 いろんな食品タイプがあります。それで、若干大くくりでわかる食品もある んですけれども、こういった真空にしてパックしてしまうというのは、言ってみれば非常 に小さな工場とか製造所でもできてしまうものですから、非常に大手ばかりやっているわ けではなくて、小さなところもやっているということで、どこまで広がりを見せているか どうかということは、ちょっと把握するのは難しいです。 ○廣橋部会長 どうぞ。 ○春日参考人 私たちも調査研究を行う上で、全体像は結果的には把握できなかったんで すけれども、それだけに平成14年からの調査の対象となった食品の種類が、非常に多岐に わたるということに驚きました。先ほど、松岡補佐の御説明にもありましたように、海外 ではこの該当する食品、pHと水分活性で定義される食品については、原則的に商業的無 菌という、そういう規格が当てはめられているようですけれども、日本の場合、市販の食 品を見ますと、同じ物理化学的条件を持っている容器包装詰めの食品というものが、常温 でものすごい量と、種類で流通しているということがわかります。一部はレトルト類似食 品として低温という表示はありましたけれども、それはむしろ少数派で、非常に多種類な 食品が常温で流通しています。ですので、これに一律に海外のような商業的無菌という規 格をいきなり当てはめるのが現実的にどうなのかなという気はいたします。そこで、この リスクプロファイルの中では、幾つかのオプションを考えて、それを適用した場合のリス クの変化ということを考えるべきではないかというまとめをいたしました。補足させてい ただきました。 ○廣橋部会長 よろしいですか。事務局の説明、それから先生方の御意見を総合すると、 やはり食品安全委員会のリスク評価依頼というものはデータを収集した上で行うというこ とには、皆さん御同意されているというふうに思いました。それで、この容器包装詰低酸 性食品のボツリヌス食中毒対策について、食品安全委員会へ食品健康影響評価依頼をする わけですが、これまでの調査では不足している原材料の汚染実態の追加調査及び文献調査 を行うということでよろしいでしょうか。 それ以上にこういうものも追加するというのも、今ここではっきりおっしゃる御意見が なければ、具体的にはボツリヌス菌の接種試験で、ボツリヌス毒素、産生が確認された食 品であって、我が国固有の原材料である米、小豆を中心に汚染実態調査を行うこととしま す。よろしいですか。 汚染実態調査終了後、食品安全委員会に容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒に係 るリスク評価を依頼するということになります。事務局から今後の予定の説明をお願いし ます。 ○松岡補佐 いろいろな御意見ありがとうございました。 先ほど部会長がおっしゃられましたように原材料段階での汚染実態を捉えるということ で、1つは文献調査、もう一つは米や、あと小豆などなど穀類を中心とした食品の原材料 段階での汚染実態を把握し、その把握したデータをもって食品安全委員会に諮問をできれ ばと考えております。 どうもありがとうございます。 ○廣橋部会長 ありがとうございました。 それでは、次の議題に移りたいと思いますが、議題の中の「(4)その他」というのが ありますが、特にありませんね。では報告事項に移ります。 報告事項「(1)内閣府原子力委員会決定『食品への放射線照射について』について」 です。事務局の方から報告をお願いします。 ○松岡補佐 それでは、皆様、資料4という非常に分厚いものがございます。こちらを中 心に、私の方から説明させていただきたいと思います。 先ほど議題2のところで申し上げましたが、今まで内閣府原子力委員会を中心といたし まして、放射線の平和利用という観点から、放射線を食品に照射するということについて、 議論が行われ、この度、平成18年10月3日付でございますが、当部の部長あてに資料4 の1枚目のところにあるような文書が、内閣府政策統括官の方より回付されました。 この決定でございますけれども、原子力委員会の下にあります食品照射専門部会という 部会、これは多田先生というのが部会長を務められておられたもので、現在ではもう解散 していると聞いておりますが、そちらが、原子力委員会に報告書を提出し、それに基づい て原子力委員会が10月3日に決定したものです。 一番私どもに関係するところは2番のところなのでございますけれども、本報告書の示 す今後の取組みに関する考え方を踏まえ、当委員会は、これらの場において、以下の取組 みが進められることが必要であることを考えますということで「(1)食品安全行政の観 点からの判断等」となっております。これがなぜ食品安全行政の観点からの判断等という 言い方になっているかと申し上げますと、原子力委員会といたしましては、あくまでも平 和利用とかそういったところで、食品安全のことは全く議論をしていないというスタンス でございまして、食品安全行政の観点から関係省庁に検討を求めるという内容でございま す。 (1)といたしまして、食品安全行政の観点から妥当性を判断するために、食品衛生法及び 食品安全基本法に基づく、有用性が認められる食品への照射に関する検討・評価(まずは、 有用性のある香辛料への照射について検討・評価を実施。その他の食品については、有用 性が認められる場合に適宜、検討・評価を実施する)。 (2)といたしまして、健全性についての知見の不断の集積云々とありますが、これは余り 私どもへの要請というイメージはございません。もう一つは(3)、再照射を防止し、また、 消費者の選択を確保する観点からの照射食品に関する表示の義務づけの引き続きの実施及 びその今後の在り方に関する検討という、この(1)と(3)のところが、厚生労働省に対して主 に求められているところだと、私どもは認識しております。 あと、検知技術の実用化、これにつきましても厚生労働省が一部関与するところがござ いますし、当然、監視・指導のところは厚生労働省でございます。また「(3)食品照射 に関する社会受容性の向上」というところで、情報公開等を行うことというようなことを、 彼らは言っております。これら(1)、(2)、(3)につきまして、関係省庁で協力し て、実施することということを決定しております。 それで、その基になりました「食品への放射線照射について」という報告書でございま す。非常に分厚いものなんですが、最後の方はほとんど資料なのですけれども、32ページ のところを開いていただければと思います。「第6章まとめ」がありますので、ここのま とめで私どもに関係のあるようなところを、若干抜粋して読ませていただきます。 6−1のところで、食品照射に取り組むに当たっての環境整備をするべきだというのが 彼らの意見でございます。「(1)食品安全行政の観点からの妥当性の判断等」というこ とで、食品照射が役に立つということや食品照射の健全性というものは、研究成果があっ て一定の見通しがある。それから、勿論照射施設については、安全であるという、a、b、 cという、その上のところにあるようなことを前提として、有用性が認められる食品への 照射については、食品安全行政の観点からの妥当性を判断するために検討・評価を行うべ きであるというようなことを言っております。 このような決定がなされまして、私どもの方に検討してくださいというような形で参っ たわけでございます。食品衛生法上、この食品照射というものがどういう位置づけかと申 し上げますと、先ほど申し上げましたように原則禁止で、2つの場合のみ認めている。1 つは、製造・加工時の管理目的のため、もう一つはばれいしょの芽止めのために認めてい るというところでございまして、例えば、彼らのいうところの有用性が認められる、「ま ずは香辛料」というような話になりますと、食品衛生法上、現在のところは認めていない ものでございます。ただ、やはり政府としてこのようなことを検討するべきであると結論 づけられた以上は、厚生労働省といたしましても管理措置等々、食品照射をどうするべき かということを考えないといけないということになりまして、先日、12月に開かれました 分科会におきまして、この報告書について分科会の皆様に御紹介いたしまして、食品規格 部会において、これを考えてくださいというような形で御了解をいただいているところで ございます。 つきましては、この放射線照射について、食品規格部会で今後議論していくわけでござ いますが、私ども事務局といたしましては、3点ほど考慮しないといけない課題があると 思っております。 1つは、食品照射が安全であるかということは、食品安全委員会でや はり評価されるべきものであるということ。食品安全委員会で評価されるためには、それ のベースとなる科学的な知見がきちんとそろっていないといけないということです。 もう一つは、社会的な需要という言い方を原子力委員会の方もしておりましたが、社会 的に、例えば製造業や流通業等が、このような食品照射技術を利用したいかどうかという ニーズの問題。 もう一つは消費者がそれを受け入れる素地があるのかどうかというところです。  やはり我々も規制や規格等をつくるに当たっては、この3点について、情報を収集し、 その情報を基に私どもが食品安全委員会に諮問して、規格基準を変更するかどうかという ことを議論するべきだと考えております。 私ども、このような3点の調査につきましては、なかなか事務局の方でやり切れるだけ の用意もないものでございますので、この調査につきましては公募で外部の機関にお願い いたしまして、1年近くかけて知見を収集したり、あと社会的な需要に関する調査等を行 いまして、このような調査研究の結果をこちらの部会に持ってこさせていただいて、議論 をいただければと思っております。  私どもは、今のところは諮問をやるべきだとも、やらないべきだともというところは全 く白紙でございまして、今後得られた情報を基に本部会で議論を自由に行っていただいて、 最終的には食品安全委員会で評価を得るに足りるだけの状況にあるかどうかということを、 議論いただくというような次第でございます。   私どもから提案させていただく、この内閣府からの言ってみれば提案といいますか、 提言といいますか、それに対する対応というのは、以上でございます。 ○廣橋部会長 ありがとうございました。 ただいまの説明に対して、御質問、御意見いかがでしょうか。 早川先生。 ○早川委員 そうすると、先ほど御説明で放射線の有用性があると言われているものの例 として、香辛料を挙げられましたけれども、その調査であらかじめ香辛料に定めるのか、 それとも言わばその対象としてもう少し広い範囲も考えるのか、それはいかがなんでしょ うか。 ○松岡補佐 まずは、香辛料が中心になろうかとは思いますが、やはり調査研究を何度も 何度もかけるのも資源の浪費となりますので、できる限りの今ある知見を集めたいとは思 います。ただ、その中心はやはり香辛料であると思います。 ○廣橋部会長 よろしいですか。 ほかに御意見ございますか。 品川先生。 ○品川委員 食品照射の場合に、やはり先ほどありましたが、消費者のところがどの辺ま でわかっているかですね。その面では、専門部会を行い公聴会などいろいろやっておられ ますが、その反響というのは、また、どれぐらい許容されるのか、ここで検討を行います が、日本では消費者において容易に受け入れられない。香辛料などがありますが、もう一 つは、そば粉の汚染、こういう問題も結構あるということを聞いていますが。芽胞が非常 に多くて、これが残存して問題を起こすということも聞いていますが、そういう面では、 芽胞菌となると土壌細菌ですので、その粉末なりに照射するというものは必要であろうと 思いますが、実際に検討するのですか。消費者にもっとこれを理解してもらえることをや らないと、ここで検討したけれども、最後は難しいという感じがいたします。 そういうときに、これだけの検討をしてこられて、その反応はどうだったのかをまず知 りたいと思います。専門部会をつくってこれだけずっと行ってこられ、それで公聴会も行 っておられる。そこでも非常に厳しかったら、ここでまた検討しても、なかなか難しいと いう感じがしますが。 ○松岡補佐 私が原子力委員会でやった公聴会の評価をするというのは非常に難しいので、 なかなかどう言えばいいのかわからないんですけれども、1つは、彼らは、やはり公聴会 の中で賛成の意見と反対の意見を半々もしくはどれぐらいの割合でやったのかわかりませ んけれども、意見を陳述するというような形で反対される方の意見を聞き、また賛成され る方の意見を聞くという形で、例えば一般の方がどのように思っておられるかとか、そう いったことについては、全く彼らの公聴会の記録とかを見ても、やはりわかりかねるとこ ろはあると思います。 私どもは、現時点で、例えば有用性が本当にあるのかどうかというところも含めて、全 く白紙なものですから、有用性があるので、消費者の皆様にわかってくださいという公聴 活動をした上で、例えばヒアリングを行うことが全くできないと考えております。つまり 我々は食品照射の是非について全くニュートラルな存在でありますので、なかなかそこは 難しいんだろうなと思います。 ですから、もし、皆様の理解を深めるというような活動をされる必要があるという話な らば、それは私どもよりも、どちらかというと、食品照射をやるべきであるという意見を お持ちの主体者が、もう少し皆様に理解を深めていただくような活動をするべきではない かというふうに私は考えております。 ○廣橋部会長 どうぞ。 ○香山委員 この評価は、細菌ですので、原則的にはカビ毒の評価を知った上でというこ とですね。カビ毒の評価をきちんと出しながら、そして照射したものについての評価も行 うということです。 ○池上委員 2、3質問させていただきます。まず、調査を行うということと、それから 消費者がどの程度受け入れる措置を持っているかということも、一応、厚労省としては考 えていくというふうに理解してよろしいんですか。それは、どういうふうな手順、あるい は進行のさせ方の問題がありますね。先ほどの品川先生の御指摘もそこに関わると思うん ですが、同時に進行していくのか、あるいはこれは有用性が明らかだということがわかっ てから消費者が受け入れるかどうかを調べていくのか、その辺の進め方の問題を1点質問 したいと思います。 もう一つは、香辛料に関しては、世界的にはかなり照射したものが流通しているという ふうに言われていますけれども、それは全く我が国には入っていないということは明らか になっているんですか。あるいは日本で流通している香辛料については、どういうふうに 殺菌等をやっているのかというところを質問いたします。 ○松岡補佐 1点目は、やはり我々はそんなに時間もないものですから、例えば皆様の御 理解を得たりとか、有用性とか安全性とかが確定してから、皆様が理解していただいてい るかどうかということを調べるのは、やはり難しいと思っておりますので、どちらかとい うと、同時的な形でやらざるを得ないんだろうと思っております。 2点目でございますが、基本的には、私ども輸入手続きで、殺菌条件、つまり、スパイ スの殺菌の条件は何ですかという形で聞いて、照射していないかということを書面とか口 頭とかで確認をしているというところがあります。 スパイス自体の殺菌方法はどうなんですかという話なんですけれども、私もスパイス業 界には、あまり詳しくないので、正確なことはわからないですけれども、例えば高圧の水 蒸気で、蒸気殺菌するとか、そういったことをやっているというふうには聞いております。 全く入っていないのかというお話ですけれども、基本的には、私どもは水際でストップ させるということを施策として行っております。 ○廣橋部会長 よろしいですか。どうぞ。 ○米谷委員 外部委託をして調査をされるということなんですけれども、こういう照射食 品という消費者の関心も非常に高いものを、まず、最初に外部委託調査をされるというと きに、その調査自体が、当然ながら、その機関が中立であることがあるでしょうし、能力 的に、皆さんの批判に耐えるような調査が上がってくるというのが、勿論大前提だと思い ます。 そのときに、方法として、多分事務局の方では入札ということになるのかもしれません けれども、皆さんが納得できるようなところが入札してくれないといけないので、一番最 初の時点で、事務局の方でよく検討されて、皆さんの批判に耐え得るようなところに調査 が行くようにしていただかないと、今の入札の制度ですと、ある程度の資格は縛れるのか もしれませんけれども、とんでもないところというか、思ってもいないところが入札して、 後で大変なことになるかもしれないので、その辺を慎重に対応していただければと思いま す。 ここの部会あるいは各方面の全部の方が納得されるところはないかもしれませんけれど も、少なくとも中立的で、なおかつ評価に耐え得るところ、実力のあるところに調査を依 頼していただければと思います。 ○松岡補佐 ありがとうございます。私ども国の契約システムとして、これから入札を中 心として、随意契約はやめようというような風潮になっておりますので、随意契約でやる ことは、なかなか難しいのです。ということは、我々が適切だと考えるようなところに契 約が落ちるかどうかというのは、非常に危い可能性はあります。 ただ、私ども最初の仕様書とか、そういったところで、かなり条件を絞って、とんでも ないところという言い方をされましたけれども、適切なところに落ちるようには頑張りた いと思っております。 ○廣橋部会長 どうぞ。 ○五十君委員 食品照射をめぐるその他の課題、資料4の29ページの真ん中のCというカ ラムのところですが、食品における探知技術というのは、きちんとした議論が余りされて いないようなことが書いてあるので、この点については、今後、どのような形で考えてい かれるのかというところ、もし情報がございましたらお願いしたいと思います。 ○松岡補佐 多分、宮原先生の方が詳しいんですけれども、私ども監視安全課で、現在、 検知技術の開発というのを宮原先生の方にお願いしておりまして、スパイス等、そういう 食品を限れば、それなりに検知ができるというような状況にあると聞いておりますが、そ れがどれほど行政検査として利用可能かについては、もう少し見ないといけないのかもし れません。 日本の行政における検知技術というのは、基本的には不利益処分である行政処分をかけ られないとだめなので、かなり精度が高くないと使えないというような現状もございます から、その精度と処分をどういうふうにつなげていくかということを、もう少し整理し切 ってから、今後、今ある検知技術をどう応用していくかという議論に移るんだろうと考え ております。 ○廣橋部会長 どうぞ。 ○宮原委員 今の補佐からのことに、ちょっと追加をさせていただきたいんですが、香辛 料に限りましては、熱ルミネッセンス法というものが、ほぼ確立されておりまして、今、 補佐から御説明をいただきましたように、要するに科学的には確立されているんですが、 それで検知したものを、取り締まりの対象にしてよいか、こういうところの議論にあるよ うに聞いております。 ですから、公定法になるか、ならないかは、政治的な問題であろうかと思っております。 そのほかの、例えば香辛料以外のものについて、あるいは香辛料についても、では100 種 類は全部できるのかという議論になるわけなんですが、その辺のところは、ゆっくり詰め ていく必要があろうと思います。 ただ、基本的には、9割方の香辛料については、今の方法で検知できるだろうと考えて おります。 ○廣橋部会長 どうぞ。 ○山内委員 消費者の受け止め方というお話がございましたが、やはり現在のところは、 正直言って、消費者のところでは情報が乏しい状況です。例えば最新の科学的知見とか、 海外の状況とか、海外で実施する上で出てきた問題事例なども余りよくわかっていません。 従って今回の調査で、きちんと調べていただき、その情報をいただいた上で、今後どうす るかを考えるしかないと思います。  調査の状況を見ながら、仮に今後、国内で香辛料等への照射を行っていくということに なれば、海外の状況や現実的に行われている食品照射の状況、影響について、また、他国 の消費者の受け止め方も含めて伝えていただき、リスクコミュニケーションを進めるしか ないと思います。今回の調査をコミュニケーションの第一歩に位置付けて実施いただきた いと考えます。 ○廣橋部会長 事務局の方針でいいということですね。ほかに御意見はございますか。 どうぞ。 ○宮原委員 先ほど、補佐の方から御説明いただいた科学的な知見を委託して集めるとい うことに、私の意見がございまして、今、日本で流通しているという言い方は、ちょっと 言い過ぎかもしれないんですが、流布している照射食品に関する情報というのは、基本的 にWHOの見解に基づいています。 WHOの見解というのは、もともとIAEAがつくったものをたたき台につくられてい まして、要するに照射食品を推進させようということが前提になっておりますので、照射 食品の不都合な点というか、副作用の点に関して、余り議論されていないという恨みがあ ります。 ですから、委託して集める場合、多分、この原子力委員会もそうなんですが、一次資料 に基づいていないんです。基本的に二次資料、下手すると、五次資料ぐらいの内容をまと めてくるという結果になっているように、私は感じております。今回、委託する場合に、 そのようなことはなくて、できるだけ一次資料に基づいて、バイアスのかからない形で情 報を収集するようにしていただきたい、そうしませんと、リスクプロファイルのリスクの 部分が全く見えない可能性があります。その点、契約の時点で、そのようなことがないよ うに配慮をお願いしたいと思っております。 ○廣橋部会長 ありがとうございます。ほかは、よろしいでしょうか。 それでは、ただいま各委員からいろいろ御意見をいただきましたけれども、その趣旨を 是非生かして調査に当たっていただければというふうに思います。よろしくお願いいたし ます。 これで、本日の議事はすべて終了いたしましたが、よろしいですね。 それでは、事務局から連絡事項がありましたら、お願いいたします。 ○松岡補佐 長時間、どうもありがとうございました。 先ほど申し上げましたように、今後、清涼飲料水やカドミウムに関しまして、検討グル ープをつくって、議論させていただきたいと思いますので、また、皆様にお声がけをさせ ていただいたときには、よろしくお願いしたいと思います。 本日は、どうもありがとうございました。 ○廣橋部会長 では、これで終了いたします。御協力、どうもありがとうございました。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課  規格基準係TEL:03-5253-1111(内線4280) 1