07/05/30 第5回がん対策推進協議会議事録 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室             木 村(内線2945)     小 山(内線2946) 第5回 がん対策推進協議会 日時 平成19年5月30日(水)10:30〜12:30 場所 厚生労働省 専用第22会議室 ○出席委員(18名、50音順、◎会長、○会長代理)  内田委員、海辺委員、江口委員、◎垣添委員、景浦委員、柏木委員、関原委員、  高嶋委員、富樫委員、中川委員、仁昌寺委員、埴岡委員、廣瀬委員、○廣橋委員、  本田委員、三成委員、麦島委員、門田委員 ○議題  1.がん対策推進基本計画(案)について  2.その他 ○武田室長 定刻となりましたので、ただいまより「第5回がん対策推進協議会」を開 催いたします。  委員の皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、まことに ありがとうございます。委員総数18名中、現在17名の委員の皆様方に御出席いただい ておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。  それでは垣添会長、よろしくお願い申し上げます。   ○垣添会長 皆さん、おはようございます。  中川先生は少し遅れておられるようですけれども、18名の委員全員の御出席をいただ いて、第5回のがん対策推進協議会をこれから始めることにさせていただきます。公式・ 非公式のさまざまな議論を通じて本日までたどり着きましたが、これまでいただきまし た御意見を取り入れて事務局でまとめをいたしました。これを十分御議論いただいて、 できれば本日、まとめをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上 げます。  審議に入ります前に、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。   ○武田室長 それでは、資料の確認でございます。  資料1.がん対策推進基本計画(案)  資料2.がん対策推進協議会委員からの意見集(案)  資料3.がん対策推進基本計画(案)に関する御意見募集の結果と概要  資料の過不足等がございましたら事務局までお申し出いただければと思います。よろ しくお願い申し上げます。よろしいでしょうか。  それでは、ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力のほどよろしく お願い申し上げます。   ○垣添会長 それでは、議題に入りたいと思います。  本日は、「がん対策推進基本計画(案)」について御審議をいただきます。資料につき ましては事前に各委員のお手元にお届けいたしているかとは思いますけれども、事務局 よりごく簡単に内容の説明をいただけますでしょうか。   ○武田室長 それでは御説明させていただきます。  まず資料ナンバー1「がん対策推進基本計画(案)」というもので、表紙に目次を打っ てあるものでございます。「はじめに」から第4「がん対策を総合的かつ計画的に推進す るために必要な事項」というものでございまして、前回の協議会、18日に提示させてい ただきました事務局案に対する協議会委員の皆様方からの御意見を中心に盛り込ませて いただいた案でございます。  このほかに、全般的でございますが文言の整理、また前回の協議会の中で表現的にわ かりづらいのではないかという御指摘をいただいたものに対する修正・加筆であります とか、また記載内容の順番の精査とか、そのようなものにつきましても変更を加えさせ ていただいておるものでございます。構造に関しましては、前回、事務局案で提示させ ていただきましたものと変わりはございません。  それでは、先ほど会長からもお話がございましたが、内容につきましては事前に委員 の皆様方にお送りいたしておりますので、簡単に御説明だけさせていただきたいと思い ます。  まず、2ページの一番上のところで、前回の協議会でもございましたが、がんの経験 者の方の社会での活躍というものについての盛り込みという御意見がございまして、そ れについても入れさせていただいております。  4ページの「基本方針」におきましても、それぞれ1、2と表題がございますが、こ れが前回は「視点」「考え方」というところでございましたが、そこは内容に則してもう 少し表現するようにということで、内容をあらわした表題とさせていただいております。  それから、細かいところを除きまして、8ページの一番下のところでございます。こ れは全体目標に関するものでございますが、全体目標(1)「がんによる死亡者の減少」 のところの一番下の行でございます。年齢調整死亡率、「がんの」というものでございま すが、それがないと全般の死因すべてにかかるということでございますので、「がんの年 齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」と文言を整理させていただいてございます。  次に11ページ、「個別目標」のところで、新たに抗がん剤等の医薬品についての個別 目標を下から2つ目のパラグラフに加えさせていただいております。  それから、この間、細かい文言の修正等がございますが、17ページ、「医療機関の整 備等」の中の「取り組むべき施策」というところの「患者自らが適切な治療法等を選択 できるようにするため」というパラグラフで、これはセカンドオピニオンに関する記載 でございましたが、これにつきましても前回の協議会でございました御意見を踏まえて 内容を少しきちっとさせていただいたことに加えまして、前回これは「相談支援」「情報 提供」の欄に入っておりましたが、内容的にこちらの方がより適しているのではないか ということで、こちらに移動させてきたということでございます。  また、その2つ下の「拠点病院については」というパラグラフにつきましては、「がん 医療水準を向上させるため、専門的にがん診療を行う医師が定期的にカンファレンスを 開催し、提供しているがん医療の評価を行う体制を整備していく」と、これも前回の協 議会で御意見がございましたキャンサーボードというようなものを中心に、その体制の 整備ということについて記載をさせていただいておるところでございます。  また、18ページの「また、拠点病院は」というところでございますが、拠点病院につ きましては、地域の連携体制の拠点病院ということにもかんがみまして、「地域のがん診 療を行っている医療機関に対する診療支援や、地域のがん診療に携わる医療従事者に対 する研修等を通じて、地域全体のがん医療水準の向上に努めていく」と、これも御意見 を盛り込ませていただいておるところでございます。  18ページの下3分の1から20ページまでが「がん医療に関する相談支援及び情報提 供」という内容になってございます。これにつきましては、かなり内容としても幅広く ございます。そういうこともございますが、内容の順番等がわかりづらいという御指摘 もございましたので、前回の事務局案からさらに内容を精査いたしまして、似ているも の、くくれるものに関してはまとめるということを中心に順番の変更等を行っておると いうところでございます。  それから、21ページからは「がん登録」でございます。22ページの「個別目標」でご ざいますが、これにつきましては重点課題の一つでもあることから、もう少し個別目標 のという御意見もございまして、御意見に出てまいりましたところが盛り込まれてござ います。すべての拠点病院における院内がん登録の実施状況の把握及びその状況の改善、 それからがん登録の実務を行う者の研修受講ということにつきましては、これも個別目 標に盛り込んでおるところでございます。  そして、22ページの下からの「がんの予防」でございます。これにつきましても前回 の協議会での御意見を踏まえまして、特に上から3番目のパラグラフでございますが、 たばこ対策に関する具体的な施策についてもここで記載すべきという御意見がございま して、「発がんリスクの低減を目指して、喫煙の及ぼす健康影響についての普及啓発を進 め、禁煙支援プログラムのさらなる普及を図り、喫煙をやめたい人に対する禁煙支援を 行うための体制を整備していく」と記載させていただいております。  また、肝炎ウイルス検査体制の充実、その他肝がんの発症予防に関しての御意見も前 回ございまして、その下のパラグラフで盛り込ませていただいておるところでございま す。  また、「取り組むべき施策」の一番下のパラグラフにつきましても、前回、いろいろと 御議論がございました。予防を中心に関係機関及び関係団体の協力のもと、地域におけ る健康教育のみならず学校現場におきましても健康教育を充実させ、子供の発達段階を 踏まえつつ、できるだけ早い時期から健康のために望ましい生活習慣やがんに関する知 識を身につけられるようにしていくということを、新たにここで記載させていただいて おります。  また、その下の「個別目標」につきましても、その上の「取り組むべき施策」のとこ ろに合わせて少し文言を加えさせていただいております。発がんリスクの低減を図るた めに健康影響について十分認識をすること、また、そこの「さらに」以下でございます が、「禁煙支援プログラムのさらなる普及を図りつつ、喫煙をやめたい人に対する禁煙支 援を行っていくことを目標とする」ということを新たにつけ加えさせていただいてござ います。  次に「がん研究」につきましても、内容等をさらに精査いたしまして内容がわかりや すいような表現に変える。また26ページの下の方に関しましては、治験の実施基盤の整 備強化、または多施設が共同で実施する臨床研究を含めた臨床研究の推進ということに つきましても記載させていただいております。  28ページ以下は、第4というところで共通事項でございますが、29ページの上から2 つ目のパラグラフでなお書きになっておるものがございます。これも前回の協議会で御 意見があったところでございますが、都道府県におきまして都道府県計画を策定するに 当たりましても、がん患者及びその家族、また遺族の方々の視点も踏まえることが重要 との記載をさせていただいております。  次の30ページでございますが、前回の財政措置の表題のところで、内容として効率化 というのが全般に来ているという御指摘もございまして、これも「必要な財政措置の実 施及び予算の効率化・重点化」という表題にいたしまして、内容との整合性を保たせて いただいたというところでございます。  また、同じく30ページの一番下、これも前回の協議会でもございましたが、「がん対 策推進協議会は、がん対策の進捗状況を適宜把握するよう努めるとともに、施策の推進 に資するよう必要な提言を行う」ということで、こちらの記載もさせていただいておる ところでございます。  資料1につきましては、細かい文言修正等におきましてそのようなものを中心に加筆 をさせていただいております。  続きまして、資料2でございます。これも前回の協議会の最後に会長から御指示があ ったものでございますが、この「基本計画(案)」に盛り込まないにしましても、協議会 の委員の皆様方の意見として出てきたもので主なものについては意見集としてまとめる ようにということで、今まで出てきた御意見を中心にここでまとめさせていただいてご ざいます。くくりといたしましては、まず「目標」に関する全般的なこと。それから「が ん医療」。2ページで「がん医療に関する相談支援や情報提供」、それから「がんの予防」 「がんの早期発見」「がん研究」「都道府県がん対策推進計画」等、「基本計画(案)」の 資料1の目次の順番にほぼ沿った形でまとめさせていただいておるところでございます。  続きまして、資料3でございます。前回の協議会でも御報告申し上げましたが、5月 7日から21日まで、厚労省のホームページ等を通じましてがん対策に関する御意見とい うものを募集いたしました。この結果でございますけれども、細かくは6ページ以下の ところでお寄せいただいたすべての御意見の概要と表題につきましてまとめさせていた だいております。順番につきましては、資料1の特に「第3」の分野別施策の順番で取 りまとめさせていただいております。  資料3の1ページに戻っていただければと思います。御意見をお寄せいただいた方、 これは個人、団体の双方ございますが、320。そのすべての御意見、総数で425通の御意 見をいただいたところでございます。年齢・性別の分布につきましては、そこに記載さ せていただいたとおりでございます。また、複数回答ではございますが、意見をお寄せ いただいた方のがんとのかかわりにつきましては円グラフでお示ししたとおりでござい ます。医療従事者を含めまして、がんに関連のある方というものが約7割ということご ざいます。  2ページでは、がん医療従事者の職業分布についてもまとめさせていただいておりま す。  3ページから5ページまでは、6ページ以下の御意見の概要につきまして、大体何件 くらい来ているのかということをまとめさせていただいておるものでございます。詳細 は省略いたしますが、一番多くございましたのが5の「がんの予防」に関することで、 182件来ております。次に多かったのが「がん医療」に関しまして、これは71、34、18 件を合わせますと123件で全体の約30%弱と。その中でも特に「放射線療法及び化学療 法の推進並びに医療従事者の育成」というところがやはり一番多うございまして、71件 でございます。そのほか、「がん医療に関する相談支援及び情報提供」というところが 36件、約10%弱で、合わせて425件の多岐にわたる分野の御意見をいただいておるとこ ろでございます。  簡単ではございますが、以上です。   ○垣添会長 ありがとうございました。今回提出しております基本計画の案は、前回の 議論を踏まえまして盛り込むべきものを盛り込み、また文言を精査いただいたものであ ります。一方、「基本計画(案)」には盛り込めなかった委員からの意見につきましては、 都道府県の協議会等で活用いただくために、資料2に意見集として取りまとめられてい るということであります。  それでは、資料1の「基本計画(案)」について審議を始めたいと思います。資料1の 1ページ目に目次がついておりますけれども、よろしければ3つくらいに分けて御意見 をいただきたいと思います。最初に、「はじめに」と、第1章の「基本方針」、第2章の 「重点的に取り組むべき課題」、ですから1ページから7ページ目くらいまでで御発言を いただくことがありましたらお受けしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。   ○柏木委員 非常に各論的な小さなことなのですけど、ちょっと気になりまして。6ペ ージの緩和ケアのところなのですけれど、「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」の下 から2行目に研修のことがありまして、がん診療に携わる……、これは医師の研修「等」 がついていますけど、携わるのはもちろん医師が中心にはなりますけれども、7ページ の上から2行目には「医師や看護師等の医療従事者」という文言が入っていますが、6 ページの下から2行目にはとにかく医師の研修ということで医師ということに焦点化さ れ過ぎていて、そこにもちょっと文言を、例えば「医師や看護師等の」というふうな膨 らみといいますか、チームでかかわるということが非常に重要ですので、医師だけに特 化するのはいかがなものかなというふうにちょっと思いました。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○中川委員 柏木先生のおっしゃるとおりなのですが、現場でやっていますと看護師は そういう基本的なマインドというのでしょうか、緩和ケアマインドというのはかなり持 っておられるような気がします。だれに足りないかというと、残念ながら医師ではない かなという気がいたします。個人的な経験です。   ○垣添会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。   ○関原委員 2ページの上から9行目のところで、「国民の立場に立って、こうした現 状を改善していくことを強く求めている」と書かれていますが、これはみんなの合意し たところなのです。一方、幾ら国民が求めても提供する体制がちゃんと充実していかな い限り実現しないないということで、専門医の充実というのは非常に強い要求がありま した。ここでは「いくべきであるとの指摘がある」ということになっています。もちろ ん患者中心で話すのはいいのだけれども、やはり両方バランスをとって表現をしたらい いのではないかなというふうに僕は思ったんですね。「指摘がある」というのだと、何 となしにバランスを欠いている。つまり、僕はもう少しバランスをとって書いてもらっ た方がいいかなという気がします。これは役所言葉なのかもわかりませんが。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○麦島委員 今まで私は小児がんについて発言させていただいてきましたが、がんがこ どもの死因の上位を占めるということを国民の方々に知っていただくためにも、この文 言の中に取り込んでいただいたことは大変ありがたいと思っております。今後も、ぜひ 御検討いただきたいと思っております。ありがとうございました。   ○垣添会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。これまでたくさんの御意 見をいただきまして、それをできるだけ事務局と相談しながら取り入れてまいったつも りですので、余りたくさん意見はいただけないかもしれませんが。先に進んでもよろし いでしょうか。  では、今度は2番目の第3章「全体目標並びに分野別施策及びその成果や達成度を計 るための個別目標」以下、1、2、3とありまして、少し量が多くなりますが8ページ から25ページまで、このあたりで御発言いただければと思います。   ○埴岡委員 これは、その範囲に関する意見をまとめて全部申し上げた方がいいのでし ょうか。それとも、前から少しずつ……。   ○垣添会長 では、前から順次お願いできますか。   ○埴岡委員 はい。まず9ページの4行目、「5年生存率の改善」のところです。ここに は従来からの目標である5年生存率の20%改善を明記しておいた方がいいと思います。 といいますのも、これは個別論ではなくて全体の幹となる目標だからです。可能であれ ば入れるべきというのがまず一つです。  次は18ページ、6行目の国立がんセンターに関する表現のところです。誤解があると いけないのですけれども、私は国立がんセンターは基本的に強化すべきというふうに考 えています。日本版NCIというか、アメリカの米国がん研究所型になってほしいと思 うのです。けれども、そのためにはある程度の組織改革が必要ではないかとも思ってい るのです。まずお礼を申し上げるのは、ここに「技術支援や情報発信を行うなど」とい うことで「情報発信」を入れていただいたのは、前進だと思います。  ただ、今後の国立がんセンターに期待されているのは、一つはがん戦略全体に関して 企画立案をしていくことです。また、アメリカの米国がん研究所がやっているような、 コンシューマー・リエゾン・グループを作ることです。これは、患者さんあるいは一般 社会とコミュニケーションする仕組みです。それから、研究の企画立案等に患者・市民 の方が入って一緒に検討するキャラ(CARRA、Consumer Advocates in Research and Related Activities)という仕組みがあります。国立がんセンターにはさらにこういっ た点を強化していただきたいと思います。そういう意味で、本文の中に一つ抜けている のは国立がんセンターに対する外部評価の考え方で、これからますますその役割を強く していくであろう国立がんセンターに関してきっちりとした外部評価をするところがど こかに必要ではないかと思います。これは、がん対策情報センターのみならず、がんセ ンター全体についてもそうだと思います。  国立がんセンターがこれから情報発信を中心に組織をさらに高めていくということに 加えて、もう一点、組織改革に関することを申し上げます。国の政策全体を見ますとや はりがん対策基本法とがん対策推進基本計画、そしてがん対策推進室、それから各地の がん政策が一貫して1列に並ぶようになることが重要です。それには、厚生労働省にお ける国立がんセンターの所管部門を国立病院課からがん対策推進室に変更した方が、よ り1列に並ぶような感じがするのではないかなと思います。国立がんセンターに関して は組織改革と外部評価の強化を伴いつつ、さらなる強化の方法を考えていただきたいと いうのが私の意見です。  それから、私はいま「医療機関の整備等」に関するセクションについて意見を申し上 げているのですが、がん拠点病院のがん患者カバー率という重要な観点があります。以 前の協議会において、愛媛県ではがん拠点病院が県内のがん患者さんの7割ぐらいのが ん治療をカバーしているという話がありました。一方、大阪府のデータですと20%ぐら いががん拠点病院のもとで治療されているということです。これからは、日本中のそれ ぞれの地区で、がん拠点病院及びその連携病院、あるいはクリティカルパス等を共有し ている病院のもとで、すべての患者さんのどれぐらいが診られているかということが重 要になってくると思います。がん拠点病院ネットワークの全患者カバー率といった視点 をどこかで入れていただきたいです。  それから、がん拠点病院制度が今のがん均てん化対策の中核になっていますけれども、 指定要件などの制度自体も見直していかなければいけないと思います。それに関しても どこかで触れていただきたい。  それから、施設集約という観点も重要です。専門性が高いもの、あるいは難しいもの、 数が少ないもの等に関しましては、やはり症例集約等も含めて成績向上の手だてを考え ていくことが大切かなというふうに思います。  20ページの12行目にがん対策情報センターに関する記述があります。これからは情 報が非常に大事になって、情報によって患者さんが治療の選択をしたり、医療機関が切 磋琢磨するようになると思いますので、がん対策情報センターのいろいろな機能強化が 求められます。がん戦略の要になるところですから、やはりがん対策情報センターの発 信する情報に関して外部評価をするとか、協議会にも報告をしていただいてその進展を 見るとか、そういうことも大切かなと思います。それから、重要なのは情報をつくるこ とだけではありません。情報がどれぐらい患者さんや全国各地に届いているかという情 報到達度の観点を評価尺度に入れていただければと思います。  最後に個別目標のところです。20ページの個別目標の部分の2行目に「5年以内に、 がん対策情報センターによる研修を終了した相談員をすべての相談支援センターに配置 することを目標とする」とあります。がん拠点病院になって相談支援センターを設置し てから1年以内には研修を受けられると思います。5年と書くと、相談支援センターを 設置してから5年以内に研修を受ければいいのかという誤解を生みかねません。これか ら拠点病院になる病院にとっては、それから研修を受けるということでしばらく時間が かかるかもしれないのは分かります。しかし既に300近くのがん拠点指定病院があって 相談支援センターも開設されておりますので、「相談支援センター開設後速やかに」とい った表現がいいのではないでしょうか。  それから、患者さんのニーズで一番多いのは「自分の治療選択ができる情報がほしい」 であるということが各種のアンケートで出ています。情報提供のところにぜひ「施設選 択等に資する情報を積極的に提供していく」という考えを入れていただきたいです。そ の際、院内がん登録データによる生存率の施設別開示が特に重要です。既に2006年ごろ からデータの作成と提出等が始まっています。2007年くらいには施設別の疾病別件数が 出せるのではないか、施設別疾病別ステージ別3年生存率は2009年くらいには出せるの ではないかと考えたりするのですが、できるだけ早く実施されることが望まれます。こ の進捗状況と開示予定に関しては廣橋先生に伺った方がいいかもしれません。そういう 施設選択に資する治療成績に関するデータをできるだけ早くコア情報として出していく ことが「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」以来の大切な考えですので、忘 れずに入れていただきたいなというふうに感じています。  みなさん多数意見がおありだと思いますので一旦打ち切ります。以上です。   ○垣添会長 たくさんいただきましたけれども、見ると、お手元の資料には付箋が山ほ どついていますね。   ○廣橋会長代理 今の埴岡委員からの提言に対して幾つか意見があります。  まず9ページの大きな「目標」についてですけれども、5年生存率20%改善という健 康フロンティア戦略で提案された目標をここに再掲すべきではないかという御意見かと 思いますが、私が聞くところによりますと新健康フロンティア戦略という形でもう1回 新しくそこが議論されたようですので、そこがどうなったかということを事務局から伺 いたい。  もう一つは、今回、きちんと正確なデータのあるもので目標値を定めて、それが本当 に実現できるように持っていこうということで、年齢調整の死亡率、しかも正確な情報 の得られる75歳以下のものを求めてそれを20%減少させるのだということを決めたわ けですので、もちろんその目標は5年生存率の改善にもつながるということでこういう 記載はありますけれども、前の健康フロンティア戦略の目標をここに再掲してしまうと、 その二つが横並びに並ぶと何が本当の大きな目標なのかが不明確になるという心配もあ るので、このぐらいの記載にとどめておいた方がいいのではないかなと私は感じるので すが、いかがでしょうか。   ○埴岡委員 では、以前の目標が無くなったとかほごになったという話ではないという 理解でよろしいですか。   ○廣橋会長代理 ええ。   ○垣添会長 何かありますか。   ○武田室長 事務局より補足させていただきます。健康フロンティア戦略でございます けれども、今般、それの新しいものといたしまして新健康フロンティア戦略というもの が策定されております。5年生存率の改善という部分につきましては別の観点からとい うことでございまして、その中には入っておりませんけれども、どちらにいたしまして も5年生存率の改善というものに関してはがん対策を進めていく上で非常に大きな指標 であるということ、これはもう変わらないことでございますので、このような形で入れ させていただいておるというところでございます。   ○垣添会長 わかりました。ありがとうございます。続きをどうぞ、廣橋委員。   ○廣橋会長代理 18ページ、それから20ページでがん対策情報センターの役割につい て、そして国立がんセンターの役割について、がん対策では非常に重要な役割を果たし てほしいという要望をいただきまして、本当に私たちもそのように取り組みたいと思っ ております。今回決められるがん対策推進基本計画の中でもいろいろな役割が書かれて いますけれども、そういったものを実際に果たせるようやっていきたいと思っておりま す。  それを見ていく外部評価のような仕組みということをお話しになりました。特にがん 対策情報センターについて、外部評価の仕組みが必要ではないかというお話がありまし た。既にがん対策情報センターに関しましては、設立のときから運営評議会というもの をつくることが決められておりまして、その中には患者さん、あるいはその家族も含ま れて、企画から評価のところまで検討しながら進めていくという体制になっております。  国立がんセンター全体に関しましては、これから独立行政法人化ということで、在り 方の議論も進んでおりまして、その中には当然評価ということも出てくると思います。 ですので、今おっしゃったような方向に向かって進んでいくということですし、さらに 強化していく必要があるかと思っております。  先ほど、この基本計画づくりを担当された所管のがん対策推進室との連携をさらに強 化してやるべきだというお話もありましたが、そういった点も含めてこれからぜひ議論 していきたいと思っております。   ○垣添会長 ありがとうございました。   ○江口委員 先ほどの国立がんセンターの活動についてですが、情報発信の他に、米国 国立がん研究所のCTEPの活動のように、国内外で行われている臨床試験などを全部 まとめて評価する客観的な組織が必要です。現状での治療法の評価や今後の課題を明ら かにしていくことを専門的に行っている組織です。  JCOGなど治療法確立のために臨床試験を主体的に行う組織はむしろ国立がんセン ターの外において、国立がんセンターとしては、客観的に国内外の研究の成果を科学的 に評価し得る組織をつくることが非常に望まれています。   ○垣添会長 これに関連して、廣橋委員どうぞ。   ○廣橋会長代理 がん対策情報センターの中に一つの部門として、あるいは機能として、 多施設の共同研究を推進するところがあります。今そこは確かにJCOGが主体ですけ れども、それをCTEPの機能をもてるように発展していきたいという方向であるとい うことです。  それから、先ほどお話があったがん対策の企画・立案のような機能もぜひ充実させて、 それを提言できるよう強化していきたい。やらなくてはならないことが多く、ぜひ強化 が必要だというふうに思っています。   ○江口委員 国立がんセンターの内部で半分は自分たちが研究に身を置いていて、半分 は客観的な評価をしようとするのは中途半端です。研究グループの仕事を公平な立場で 評価して、問題点を整理するような組織をつくるべきです。   ○廣橋会長代理 今回、がん対策情報センターの中にそういう組織をつくったのは、将 来、機能によっては独立させることを目指していく第一歩です。   ○江口委員 13ページの緩和ケア「個別目標」及び在宅医療「個別目標」にもかかわっ てきますが、地域緩和ケアを推進するためには、医療機関、介護機関、行政などが連携 する必要があり、名称はともかく地域緩和ケアについて常設の協議機関をつくる必要が あります。個別目標にぜひ入れていただきたい。  情報センターのところでは地域懇話会という名称でしたが、在宅も含めた地域緩和ケ アについては、内容が異なるので、地域医療介護関係者、関連の行政も含めた協議機関 を常設で置くということを明記してください。  16ページ、ガイドラインのところですが、個別目標はちょっと書き足りない気がいた します。今まで出ている各学会からのガイドラインは、一般向けではないのです。市民 が診療ガイドラインの内容を理解することも大切であり、個別目標の中ではガイドライ ンを市民向けのわかりやすいものに翻訳して普及させることを入れてください。  以上です。   ○垣添会長 既に幾つかの学会ではそういうものも出しておりますけど、とても全体に はいっていないですよね。御指摘の点は大事ではないかというふうに思います。   ○中川委員 3点ございまして、まず江口委員が最後に御指摘になった部分もぜひお願 いしたいと思います。医療者向けと市民向けと二つ、各ガイドラインにそろえるという ことが非常に重要かと思います。  それから18ページの3分の1ぐらいの「バーチャルスライド」という表現なのですが、 実態としては必要なものだと思うのですけれども、セカンドオピニオンなども括弧書き で書かれている形からしますと、これは以前の会議で他の委員からも御指摘があったと 思いますが、ちょっと唐突な感じがしますので、説明を入れていただく必要があるかと 思います。  それからがん登録ですが、ここに臓器がん登録の考え方が記載されてございません。 学会等が行っている臓器がん登録とのリンクの部分を、ぜひ盛り込んでいただきたいな というふうに思っております。  以上、3点御指摘いたしました。   ○垣添会長 ありがとうございました。   ○高嶋委員 先ほどのガイドラインのところですが、ガイドラインが導入された場合、 後の評価が非常に重要だと思いますので、ガイドラインを導入した場合にどのように医 療が変わったかという評価をするということを一つ、個別目標に追加していただきたい と思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。はい、門田委員。それから本田委員。   ○門田委員 前回もお話ししたのですが、今のがんの治療の中心がやはり外科医にある。 そのあたりを底上げというか、均てん化という方向が重要であるということを何度か発 言させていただき、8ページ以降、がん医療のところにいろいろな形で入れていただい ております。これも評価していただいたと思うのですが、1つだけ気になりますのが8 ページの「がんによる死亡者の減少」というところで、「がんによる死亡者数は今後とも 増加していくと推測される」「このため、放射線治療及び化学療法の推進並びにこれらを 専門的に行う医師等の育成などを内容とする『がん医療』を中心としつつ、『がんの予防』 及び『がんの早期発見』……さらには総合的かつ計画的に推進する」というところです。 これは総論的なお話だと思うのですけど、やはりここにも外科治療といいますか手術療 法というものも含め一緒にやっていくので、この総論的な話としては何らかの形で少し 入れていただいた方が文章全体の形態として正しい表現ではないかと思いますので、御 検討いただきたいと思います。   ○垣添会長 これは大変苦労しました。先生の御指摘の点はよく理解しているつもりな のですが、余りそれが前面に出てくると、今、我が国のがん診療で足りない部分と言わ れている放射線治療とか化学療法の部分の強調が薄れてしまうのではないかという懸念 もありまして、先生の御指摘はなるべくいろいろなところに取り入れたつもりですけれ ども、ここのところにもろに入れてしまうというのはなかなか苦しいという点をもうち ょっと御理解いただければと思います。恐縮です。   ○本田委員 三つありまして、一つは繰り返しになってしまうのですけれども、先ほど の16ページのガイドラインのところなのですけれども、当初、まだまとまる前の段階で は市民向けのガイドラインの整備をしていくというような文言がたしかあったような気 がするので、それを必ず明記していただきたい。  それから22ページの「がん登録」の「個別目標」の「院内がん登録の実施を増加させ ていく」というところなのですけれども、これは拠点病院なんかで院内がん登録を進め ていく際には、5年生存率とか5年を待たずに院内がん登録でどういうことが見えてき ているのかというのを、がん対策情報センターのホームページとかそういうところで、 できるだけ早い段階で成果を国民に見せていくというような姿勢もこの中に示していた だきたいと思います。  最後に26ページの「がん研究の取り組むべき施策」の初めのところですけれども、「な お、研究を企画・実施する際には国民の意見をより一層反映する」というふうに、「実施 の際」だけではなく「企画の際」ということも明記していただいたことは感謝しており ます。  以上です。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○埴岡委員 20ページの「個別目標」のところで、下から5行目に「当該パンフレット や、がんの種類による特性等も踏まえた患者必携等に含まれる情報をすべてのがん患者 及びその家族が入手できるようにすることを目標とする」とあります。こういう形でい ろいろな情報を患者さんに届けていこうというのは大きな進歩だと思います。  本計画の冒頭に「がん患者を含めた国民ががんを知り、がんと向き合い、がんに負け ることのない社会の実現を目指すこととする」とありますけれども、この患者必携によ る情報提供というのはこれに非常に資するものだと考えますので、この観点を忘れない 形で情報提供を進めていただきたいと思います。  それから、電話相談コールセンターの重要性を指摘させてください。現在は、がん対 策情報センターのがん情報サービスという一種の情報データベースと、それぞれの拠点 病院の相談支援センターの2つが患者への情報提供の軸と位置づけられています。ここ にデータベースができ、冊子が作られ、窓口で対面の相談がされ、電話の応対もされる ということになっています。一方では電話でもっと気楽に相談できるようなコールセン ター型の仕組みが必要という声も強くあります。データベース、対面相談、電話相談の 関係の最適化を見ながら、コールセンターの検討も進めていただくこともお願いしたい と思います。  もう1点ですが、高嶋先生が先ほどおっしゃったがん診療の質を見えるようにすると いうこと、あるいはガイドライン遵守率等の話についてです。まず、院内がん登録ベー スの施設別生存率等が出るということも重要なのですが、近年、欧米では医療の質をは かって、ベンチマークという手法で施設別の比較対照をすることが随分進んできており ます。がん診療の分野でもそれがかなり進んでおります。例えば、米国の外科学会が実 施している5年生存率の計測や術後30日以内死亡率の計測、あるいは臨床腫瘍学会が行 っているガイドライン遵守率の計測、そういう形で施設が情報を出し合って切磋琢磨し ている状況がございます。ぜひ生存率だけでなくいろいろな臨床指標を集約し、比較対 照しながら均てん化を進める仕組み、それも広い目で検討していただければと思います。   ○垣添会長 どうぞ、廣橋委員。   ○廣橋会長代理 ただいまパンフレットの話が出ましたので、取り組み状況をお話しし たいと思うのですが、よろしいでしょうか。国立がんセンターのがん対策情報センター では、患者さんと家族を対象にしたパンフレットの作成を始めておりまして、これに関 しては運営評議会の議論を踏まえて、患者さん、患者会のメンバーの方々で構成される ワーキンググループの御意見を聞きながら進めているという状況です。  実はそのグループリーダーは本田委員ですし、海辺委員にも参加していただいており ます。ワーキンググループの会合は4回開かれて、そして今までに、「家族ががんになっ たとき」とか、あるいは「診療連携拠点病院の情報」だとか、「胃がんについて」とか、 そういったパンフレットを4冊昨年度から発刊して配っております。  患者必携という議論もこの協議会でありました。その議論も尊重して、がんの種類に 応じた患者必携というものを、今までの臓器がんについてのパンフレットの中に患者必 携の内容を加えていくことを通して、がんの種類に応じた患者必携というものにしてい きたい。そういった取り組みを、ぜひワーキンググループの方々からの意見を聞きなが ら、企画の段階から相談しながら進めていきたいと、そういうふうに考えております。   ○垣添会長 それからもう1点。地域がん診療連携拠点病院の話ですけども、新たに指 定される医療機関に関して言えば、手術の件数や化学療法の件数だとか、放射線治療の 件数だとかそれだけではなくて、ステージ別の情報や診療情報をなるべく詳細に集める という努力はもちろんしていきますし、それに加えて多分これからは、今、埴岡委員が 御指摘の、例えばガイドラインが動き出している臓器がんに関して言えばその遵守率だ とかそういったことも、すぐには対応できないかもしれませんけど、その方向で検討し ていくことは間違いないと思います。御指摘の点は十分、拠点病院の検討会の方でもぜ ひ受けていきたいというふうに思っています。   ○本田委員 ワーキングのことが出たので一言だけ。ちょっと後の議論になってしまう のかなと思って恐縮なのですけれども、意見集の中にも書いていただいていますけれど も、パンフレットとか先ほどの患者必携とか、どういうものが患者にとって必要なのか、 また優先順位は何なのかという企画の段階からこれまで以上に意見を聞いていただきた い患者さんたち、家族の人たち、意見を聞いていただきたいと前回発言させていただい て、意見集の方なのですけれども、「企画の段階から聞くべきである」というのを書いて いただいていますけれども、今、廣橋委員から明確に発言していただいたので、ぜひそ のように進むように、先生方も私たちも努力していきたいと思います。   ○廣橋会長代理 ぜひ御一緒によろしくお願いします。   ○垣添会長 では、柏木委員、それから海辺委員。   ○柏木委員 15、16ページあたりのところで、多分、診療ガイドラインの「その他」の 部分になると思うのですけれど、「その他」の2つ目のパラグラフにリハビリが取り上げ られていて、これはとても評価できることだと思うのです。現実に例えばホスピスとか 緩和ケア病棟の中でリハビリ以外に患者さんにとって非常に重要な療法として、現在、 例えば音楽療法であるとかアロマセラピーであるとか、それからリンパ浮腫に対する特 殊なマッサージとか、そういうリハビリとは少しニュアンスが違う、しかし患者さんに とって非常に重要な療法といいますか、そういうものがかなり行われてきていますので、 不自然でなければ少しそういうことを入れていただくと、それを一生懸命やっている人 たちの力づけになるのではないかなと思いまして、ちょっと発言をさせていただきまし た。   ○垣添会長 基本計画の中に今の文言を全部入れるというのは、なかなか苦しいかもし れないと思います。ただ、おっしゃることの重要性というのは私もよく認識しているの ですが、例えば「運動機能の改善や生活機能の低下予防に資するよう、がん患者に対す るリハビリテーションの」、このところに「等」をつけるくらいでいかがでしょう。   ○柏木委員 リハビリテーション……。   ○垣添会長 だけということではないと。   ○柏木委員 もしリハビリテーションだけではなくて、「等」が入ると、その中にいろい ろな人が「我々はこの『等』に入ってるんだ」というふうに……。多分、羅列するのは ちょっと非現実的だと思いますので。   ○垣添会長 ありがとうございました。   ○海辺委員 先ほどの患者必携とパンフレット等についてなのですけれども、先ほど廣 橋先生に御紹介いただいたように私はパンフレット作成のワーキンググループに参加さ せていただいたのですけれども、やはりパンフレット自体は対象者の多いものからどう しても完成していく傾向にありまして、そうすると本当に深刻な方々の情報が後手に回 るような感覚がちょっとあります。ただ、本当に困っている人というのは情報の少ない 方々なものですから、でも、そういううんと少ない対象者に一つ一つパンフレットを完 成させていくというのもちょっと現実的ではないかなというところで、患者必携という ものが必要かなと。そうすると、先ほどの先生のお話のような、各疾病別ということに なるとまた結局そこの部分がおくれてしまうのかなという感じですと、やはり情報の少 ない、例えば胸腺がんなどだったら肺がんの情報を参考にしていますし、膵臓がんとか だと胆・肝・膵とかその辺を参考にせざるを得ないというところがあるのかなと思いま すと、やはり全体を網羅したものもあった方がいいかなと考えております。  私が情報の部分でもう1点思いましたのは、初発のときに良好な経過をたどれる方は いいのですけれども、いざ再発したとか手術を受けてみたら非常に深刻な状態だったと いう方は、そのときになってより多くの情報をと思ったときに、割と深刻な情報につい ては心情面に配慮したものが多くて余り市場にないものですから、必携みたいなパンフ レットから余り濃い情報がありますとショックを受ける方もあるかもしれないと思うの ですけど、厚いものにある程度の情報が詰まっていれば、見たい人がそれを見ることが できるという利点があると思いましたので、濃い情報というのもおかしいのですけれど も、深刻な情報に対する対応なども載っているものが必要かなというふうに感じており ます。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○埴岡委員 26ページの[2]「取り組むべき施策」の4行目ですが、ここに「基礎研究と ともに重粒子線等を用いた新しい放射線療法」とあります。私は、不勉強なのですが、 放射線治療全体について態勢を充実していくことに関しては必要だと思うのですが、重 粒子線装置の費用対効果についてどのように考えられるのか、それが取りまとめられた 資料はあるのか等、かねがね疑問に思っています。もしわかれば、文部科学省予算のう ちで、例えば過去5年ぐらいで何割ぐらいが重粒子線装置開発関連に充当されているの か、間接経費やその他の研究費でどれぐらいが使われてきたのか、そして、重粒子線治 療によって他の治療法で効果が見込めない患者さんがどれくらい追加的に救済されたの か、その辺の評価を知りたいのですが。   ○垣添会長 今、情報はありますか。三浦課長。   ○文科省医学教育課長 まことに恐縮なのですが、所管課が違うもので手元に資料がご ざいませんので、後で担当課から埴岡委員に情報提供をさせていただきたいと思います。   ○垣添会長 そうしてください。お願いします。   ○江口委員 13ページ、緩和ケアで「また、拠点病院において緩和ケアの専門的な知識、 技能を有する医師、看護師が云々」とあり、「整備について検討していく」としています が、これは「整備する」にしていただきたい。  その下の個別目標で「原則として」という言葉の「原則」は抜いていただきたい。  「拠点病院を含めた医療機関を複数箇所整備する」、「複数箇所」ということはどうい う意味なのかがわかりにくいので、これは「医療機関を整備する」ということでよいと 思います。  11ページ、「手術、放射線治療、化学療法のおのおのの専門的に行う医師が意欲をも ってその専門性を発揮できる環境整備」ということ、また17ページ「専門的にがん診療 を行う医師が定期的にカンファレンスを開催し」、これらは同じような意味と思われます。 最近よく使われるキャンサーボードと同義と思いますが、「診療科間の連携をもとに」と いう言葉を入れてください。医師が意欲を持って診療するということは今でも行われて います。、診療科間の連携を前提に各科が定期的に集まって診療内容について話し合うこ とが必要になります。  26ページ、臨床研究のコーディネーター、CRCについてですが、養成された後のC RCの人たちの身分が今は非常勤なのです。正規の看護師などと比べますとキャリアと しては待遇が低くなっていく、社会的な地位として認められていないということが障害 になっています。ぜひCRCは職種として社会的に認められる仕組みにすべきだと思い ます。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○関原委員 三つありまして、最初は武田室長にお伺いしたいのですが、18ページの下 の情報提供のところなのですが、拠点病院には相談支援センターが設置済で対応中とい うことになっているわけですね。ところが、20ページの個別目標のところに、今度は3 年以内に2次医療圏に相談支援センターをおおむね1カ所というふうにして目標になっ ている。これは、3年以内にすべての2次医療圏に拠点病院を開くと同義語になります。 現在8割ぐらいの医療圏に拠点病院ができていますよね。ここでの意味は残り2割の話 ということなのですか。   ○武田室長 事務局よりお答えさせていただきます。これにつきましては、先ほど関原 委員から御指摘のとおり、今は358の2次医療圏中286の拠点病院が整備されておると。 御存じのとおりに、必ずしもすべての医療圏というか、その周囲の医療圏もカバーする というのを含めての意味でございますが、今現在、都道府県において拠点病院の整備に ついても検討しておられることも踏まえまして、今後、目標として、数としてはすべて の2次医療圏にその拠点病院を指定していくこととそれは連動しているものということ でございます。   ○関原委員 イコールということ。   ○武田室長 はい。整備指針の中において相談支援センターの設置は必須要件になって おりますので、そういう意味でございます。   ○関原委員 それから、先ほどから出ているパンフレットの件なのですが、世界でパン フレットを国とか国立がんセンターがつくるなどというのは余りないのですね。どちら かというとNGOや民間団体がみんなで協力してつくって配るというのが趨勢なのです ね。もちろん、アメリカのNCIなども出していますけども。したがって、民間のお金 を集めてこういう啓蒙などを広げていって初めて、国民ががんに関心を持って主体的に 取り組んでいくということなので、何でもかんでも国立がんセンターにあれをつくれ、 あれをやれというようなことはやめていかないと、絶対日本のがん対策はうまくいかな いと、僕は個人的に思っています。  それから、この基本計画は、議論の結果、いろいろな意見がみんな網羅されたという ことで非常に結構なのですが、逆に非常に大きな問題も含めてプライオリティが全くわ からないのですね。これだけ広げていろいろなことを書き込むと、やるべきこととその フォローアップが非常に難しくなります。普通のこういうレポートですと、大事なこと は太字に書くとか、こういうことは今回できないのですが、今後、フォローアップをし ていく、というように書きます。一番最後の30ページに、がん対策の進捗状況を適宜把 握するように努める。そして、推進に資するような必要な提言を行うと書いてあります が、それにしても、余りにもたくさん盛り込みすぎだなという感じがします。こういう ものの性格上、しょうがないと思うのですけども、たくさん書けば書くほど後のフォロ ーとかプライオリティがわからなくなってくるというのを、今、これを見て非常に感じ ているわけです。   ○垣添会長 絞り込んでいけば非常にメッセージ性の強い計画になると思うのですが、 しかし、これだけいろいろな立場の方からさまざまな意見をいただいていますから、そ れを入れないわけにいかないし、大変苦渋の取りまとめということでありますが。   ○海辺委員 まず1点、関原委員の御指摘に対して、私は情報やパンフレットにつきま して思うことは、例えばアメリカなどですと、昨年、行って病院なども視察しましたら、 その病院自身が物すごくたくさんコールセンターも持っているし、がんと言われた方に 対してこんな分厚い必携のようなバインダーを渡してあげたりとかそういうことができ るのです。それはアメリカの医師の方などは、例えば日本の病院などは患者さんが殺到 してパンクしそうになっている、大変なんだ、ということを医師の方がおっしゃると、 そんなに患者が来てくれるなんてウエルカムじゃないか、何が困るんだい、みたいな話 になります。日本の場合は医療機関が、幾ら人気があるからといって簡単にボンボン拡 張していける制度にもなっておりませんし、いろいろな部分がアメリカとは違いますか ら、病院が個別にそういう充実したものを出せるような人材を確保していて、財力があ るのだったらいいと思うのですが、そういうことが現状では期待できない以上、これは 国立がんセンターが発信したらいいのではないかという方向になっていると思います。 民間がということに関しては、日本では環境が違うのではないかなと感じております。  あともう1点、この基本計画に関しましては、いろいろな紆余曲折を経て、私として はいろいろな意見が反映されていいものになっているのではないかなという感想を持っ ております。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○本田委員 これもその後の議論になるのかもしれないのですが、関原委員から指摘が あったことはもっともで、私も感じています。たくさんのことが網羅されていろいろな 意見が入ったので大変前進して、私も大変評価できるのではないかと感じているのです が、一方でプライオリティが見えなくなっている。でも、それはこういうものにはつき ものなのかなと思いまして、だからこそ私たちは、初め、意見のところで、目に見える 進捗状況をどう判断していくのか、何にプライオリティをつけて、だれが何をやってい くのかという工程表みたいなものを提出しましたが、それを後日、この後に工程表とか 実行計画みたいなものをつくっていくのだという会長の御発言もありまして、そういう ことを次の段階でするのだと思って基本計画にさまざまな意見を盛り込むことに頑張っ ているので、一つの段階ではないのかなと理解しています。   ○麦島委員 16ページの「その他」の項目の所ですが、異なった課題を取り上げられて おられますので、個別目標を立てるのは非常に難しいかと思うのですが、がんの子供を 持つ家族の支援体制のあり方、あるいは長期予後のフォローアップの体制を進めていく、 という表現にしていただいて大変ありがたく思っております。  問題は、小児がんの場合は治療が非常に有効である反面、治療後の晩期障害という問 題が常にあるわけです。その辺を継続的に治療ができるような体制づくり、それには予 算の問題もかかわってくるわけですので、ぜひその辺の支援についても検討していただ きたいと思います。この件についての記載をよろしくお願い申し上げます。   ○埴岡委員 患者さんへの情報提供について少し補足しておきます。例えば米国などで すと、医療施設内で患者さんに対して医師、ナース、リエゾンナース、ソーシャルワー カー、チャプレン、患者擁護係など10ぐらいの機能があって患者さんに情報提供をして いる。ところが、日本では医療者不足や財政的制約もあってそうした体制をなかなか充 実できないので、かなり患者必携のようなものがより大きな役割を果たすという面があ るのだと思います。  歴史的にとらえますと、米国でも30年ぐらい前にNCIが国立のがん情報サービスを 開始して情報のコンテンツを作りはじめました。それと同時に、できるだけそれを患者 さんや社会に届けるという普及啓発や情報の配布・伝播の方も一緒に進めてきました。 それでかなり基礎ができた中で、アメリカですとACS(American Cancer Society)とい う民間のがん患者支援団体がそれを受け継ぎ拡大し進化させる形で推進している。そう いう段階論があるのだと思います。  日本の国立がんセンターとアメリカの米国がん研究所を情報提供機能に関して比べる と、日本のがんセンターはまだまだ頑張らないといけません。また、日本ではACSが 提供しているようなサービスを実施できているところがまだ存在していないということ があります。患者向けの情報提供サービスは将来的には民間にどんどん移譲していくべ きだと思いますが、当初は国がリードして情報提供を開発することが重要です。軌道に 乗ればどんどん移譲していくということではないかと思います。  そしてがん対策全体のなかで、情報提供は費用が比較的少なめにできることです。ま た、日本国民広くにやっている対策が見えるということからも、有効なことではないか と思います。補足でした。  それから、先ほど重粒子線についてデータをいただくということになったのですが、 私だけではなくて、できれば皆さんに渡していただければと思います。  研究のところに関して、取り組むべき施策の次のなお書きのところ、26ページ17行 目ですが、「なお、研究を企画・実施する際には」と実施についてだけではなくて企画の 段階から広く意見を聞けるというふうになったのは進歩だと思います。  先ほど、JCOG等の臨床研究の話が出ました。国立がんセンター等がそういったい ろいろな研究グループをサポート支援できる体制になっていただきたいと思いますが、 もう一つ、倫理委員会に関してかなり体制整備するのが苦しいという意見も聞きますの で、セントラルIRB(中央倫理委員会)で集中審議できる仕組みを検討すること、また、 IRBのノウハウの提供や人材育成などの面も含めて支援することなどが必要なのかな と思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○中川委員 少しさかのぼるのですが、2ページの上に「医師を取り巻く厳しい勤務状 況」、これは内田委員も一度御指摘になられて、それから患者、医師関係というものも実 はなかなか病院の現場では難しいものがございます。大変僣越ながら、委員の先生方に、 私と私の部下が共著で出版しました『東大病院のがん治療医ががんになって』という本 をお送りいたしました。これは、いわゆる燃え尽き型で、東大病院の治療医をやめたら 1年後にがんになった。これは34歳であります。これは計画の中には盛り込めないと思 いますが、そういう厳しい現実があることをぜひ指摘したいと思います。  11ページの真ん中あたりに、「抗がん剤等、がん治療に係る新薬について」というこ とがあります。これは、対策法が参議院で通過した際の附帯決議の中に、「医療機器の早 期承認」という文言もたしかありました。いわゆる薬と比べるとわかりにくいところで すが、医療機器も薬と同じように薬事法で規制されております。結果的に、なかなか国 民に医療機器の問題は見えにくい。例えばCT、MRを含め、あるいは放射線治療の装 置もそうですが、これは欧米の中古品が日本で使われている。日本の新品は欧米の中古 品である、と揶揄されている傾向もあります。つまり、承認に時間がかかりすぎるため に、欧米では既に中古的に使われているものが日本では新品である。  これは確かにわかりにくい点なのですが、実はがんを含む医療の基盤を損ねている面 があると懸念しております。ぜひ医療機器の早期承認といったものも入れていただけれ ばと思います。   ○垣添会長 ありがとうございました。   ○三成委員 先ほど埴岡委員から話が出ましたが、いわゆる高額な投資を必要とされる 放射線医療については、国の方でブロック、8ブロックがいいのか5ブロックがいいの か、ある程度目標を立てて、先ほど中川先生もおっしゃったように、おくれないで導入 ができる、そういう形でやっていく計画が必要ではないかなと思います。ぜひ御検討い ただきたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○富樫委員 いろいろとあるのですが、まず、16ページの「その他」に「働き盛りや子 育ての世代のがん患者、がん経験者」とありますが、このがん経験者というのは、いわ ゆるサバイバーというか、もう治療が終わって普通の生活をしている人たちも含むと思 うのですが、そのフォローアップというか、その上のリハビリテーションにもかかるの かもしれませんが、特に乳がんの場合はリンパ浮腫で、もうがんの方は心配はないけれ ども、10年、20年という時間がたってからはれてきて心配になって病院にいっても、大 体、乳がんは外科ですので、命には関係ないから心配ないみたいなことを言われて、ど こにいっていいかわからない。でも、QOLは大分下がるわけですね。そういう相談が 多々あります。  乳がんの場合はそういうことですが、人工肛門とか声帯を失った方たちの長期のフォ ローアップということも、どこでそういうことの治療ができるのかというのを明確にし ていっていただきたいと思います。  あと、こういう計画が皆さんのいろいろな御意見でできて、これが実現したら本当に いいなと思うのですが、今、私たちが議論していますけれども、今日現在、悩んでいる 人、生きるか死ぬかという瀬戸際に立っている人たちが大勢いらっしゃると思うのです。 そういう方たちのためにも私は頑張りたいなと思って意見を述べてきたのですが、中に は今すぐできることは無理な部分もいっぱいあるのですが、ここで基本計画ができて全 国の関係者の方たちが目を通していただいて、今すぐ実現することは無理だけれども、 やっぱりそうだよね、というのが医療関係者、まして私たち患者本人も、心がちょっと 変わるとすごく前進すると思いますので、それをまず強く訴えたいと思います。  それと、なぜこれができたかというと、患者は不安なのですね。不安ということが一 番心にひっかかっているのです。もちろん、がんになって、皆さん、不安になるのはあ たりまえなのですが、私も自分ががんになって再発してというと、しなくてもいい不安 というか、しなくてもいい心配をしている部分があったので、そういう心配を取ってい ただくのががん対策基本法及び基本計画になると思います。精神的なケアをというとこ ろがここにいっぱい取り組んでいただいたことはありがたいですし、パンフレットや患 者必携に対しても、これはホームページ、いろいろな本、いろいろな病院、私たち患者 会でもいろいろなものをつくっていますが、やはり年月が変わると内容も変わってきま すし、そういう意味では国なりがんセンターなりがドンと大きいものを一つ示していた だくと、そういう患者の不安もなくなるのではないかなと思います。   ○垣添会長 どうもありがとうございました。   ○海辺委員 1点、確認したいといいますか、26ページの[2]の「取り組むべき施策」で、 「基礎研究とともに重粒子線等を用いた新しい放射線療法とか分子標的療法」などとい う言葉が出てきたのですが、これまで余りそういうことがこの議論に挙がってきたかな ということが記憶になくて、突然これがここに急に入ってきたことに違和感を感じてい るのです。むしろ、先ほどの中川先生のお話などを伺うと、ここでは基礎研究とともに 新しい放射線治療の機器などを早く取り入れられるような臨床が進むようなということ は、ぜひともすぐにということなのかなと思うのですが、重粒子線といいますとどうし て急に出たのかなということで質問いたしました。   ○垣添会長 わかりました。これは、事務局、何かありますか。   ○武田室長 これにつきましては、文部科学省からそのような記載と、今現在進められ ているということで、要望で入ったものでございます。   ○垣添会長 各省協議というのですか、その中での強い要望であったということですか。   ○武田室長 と言いますか、今現在、研究の取り組むべき施策というか、今現在やって いるものも含めましてこういうこともやっているという御意見で、文科省からきている というところでございます。   ○垣添会長 ということだそうです。  では、まだ当然たくさん御意見はあるかとは思いますが、申しわけありませんが少し 先に進ませていただいて、第4章「がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要 な事項」ということで、28ページから31ページの終わりまで御発言ください。   ○柏木委員 かなり総論的なことなのですが、第4章に関してですが、この推進協議会 はがん対策推進基本計画の立案に積極的に関与する機関である、そういう文言があって、 立案をするのは我々ではなくて、がん対策推進基本計画の立案は別のところでなされる わけで、それに積極的に……。そうですね。それに積極的に関与する機関というところ の「積極的に関与」は、私もいろいろな厚生労働省関係の会とか審議会に出ていますが、 患者さんや御家族の御意見、お気持ちを取り入れようという姿勢がすごく大切で、この 推進協議会の一つのポイントだと思うのです。そういう視点からこの第4章全体を見ま すと、全体的にそういう色合いがもっと濃く出るようなまとめ方をする方がいいのでは ないかと思ったのです。  この4章に七つ、各論的なことが、「関係者等の有機的連携、協力の更なる強化」をス タートとして、1、2、3、4、5、6とありますね。それのそれぞれの書き方という かまとめ方というか、それが全部に患者さんのためにとか患者さんのことを考えて、そ ういうことを書く必要はないと思うのですが、全体のトーンの中にそれがもう少し色濃 く出る方がいいのではないかというのが、これを見させていただいた第一の印象です。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○武田室長 事務局よりちょっと補足させていただきます。4ページの「基本方針」と いうところで、「国民の視点に立った」というところで最初の方に、一番大事な点であり ますので、というのが今までの御議論でございましたので、入れさせていただいており ます。   ○柏木委員 それは総論的にはわかるのですが、がん対策を総合的かつ計画的に推進す るための必要な事項というのが、現実に総論的なことを各論で、推進するための必要な 事項ですから、その事項それぞれに総論で書かれていることをもう一度確認するという か、そういう視点があってもいいのではないかとちょっと思いましたので。   ○高嶋委員 この基本計画を実際に行うのは都道府県だと思うのです。一番大事なのは 都道府県の計画がどのようになるかということなのですが、これを全体的に見渡すとい いますか、各地域の事情はありますからある程度の計画の差は出てくると思いますが、 余り大きな差が出てきますと、地域間格差が縮まないことになりますので、それを全体 的にみるシステムは必要かなという気がするのですが。   ○垣添会長 これは、事務局、何かお考えはありますか。   ○武田室長 都道府県計画につきましては、この国の計画を基本にしてそれぞれ地域事 情に応じて今後立てていただくということがございますので、今後、どのような計画と いう、この基本計画の内容についても、適宜、別途、都道府県に対しては御説明させて いただきたいと思います。内容は今後立てられていくと思いますが、そのような情報に ついても集めて、それぞれの県でもそういうものがお互いに参考にし合えるようなこと は大変重要ではないかと考えております。   ○垣添会長 ぜひお願いいたします。   ○仁昌寺委員 28ページの1番の「関係者間の有機的連携、協力」ということで、各委 員のお話をお伺いしても、この連携というものが非常に重要だということを再認識した ところでございます。それで、パブリックコメントの中にも検診に対する期待が盛り込 まれておりまして、市町村としても手を緩めることなくこの検診には一生懸命取り組ん でまいりたいという意を強くしたところでございますが、1番目のイ、ロ、ハ,ニとい うことで具体的に書かれてありますので、この中にもう一つ盛り込んでいただければあ りがたいなというところがございます。  やはりがん検診の推進に当たっても、地域の組織力の充実、あるいは地元の医療機関 との連携なくしては、その検診が一次検診から精密、そして治療という一連の流れに沿 ったものとしてはあり得ないのではないかと考えております。そこでこの中に一つ盛り 込んでいただきたいというのは、「検診の推進に当たっては、住民の組織力の充実、そし て地元医療機関との連携を図って効果的ながん検診の取り組みに努める」というふうな 文言があれば、なおこの基本計画が県を通じて市町村の予防あるいはがん検診を実施主 体というところに至ったときに、それぞれの役割も再確認できるのではないかと思いま して、1番目のところにもう一つ御検討いただきたいということでございます。   ○垣添会長 ありがとうございました。   ○内田委員 今回のこの基本計画、非常に盛りだくさんで総花的という御意見もありま したが、内容的にはかなりのものが盛り込まれていい内容になっていると思います。こ この28ページの「都道府県による都道府県計画の策定」ということで、先ほど高嶋委員 からもお話がありましたが、恐らくこれからこの基本計画を絵に描いたモチにせずに実 施計画をしっかり立てて現実のものにしていくためには、都道府県計画の実施計画とい うところをどういうふうに実現性のあるものにしていくかということが非常に重要です し、また、それを全体として評価し、進捗状況をチェックすることも必要になってくる と思いますが、実はこの都道府県計画を実現する上では、次の5にあります「必要な財 政措置」というのが非常に大きなネックになってくると感じております。  実際に基本計画を内容のあるものを実現していくために、ここでの予算措置がなされ なければ全く絵に描いたモチになってしまうということは物すごく強く感じます。ここ のところをぜひ推進室の方で予算がつくような基本計画というのを都道府県と協議して、 そういうところに重点を置いて、実際にやるんだという気概を持って、私ども、ここの 委員の方は皆さん、そういう気概を持ってこの間の委員会をずっとやってきたと思うの ですが、そこで全部頓挫してしまうという可能性を非常に感じますので、ぜひぜひそこ のところをよろしくお願いしたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○埴岡委員 高嶋先生が先ほどおっしゃったことに関して、内田先生がおっしゃったこ ととも少し関係するのですが、私ども5人が提出した意見書で提案した、「県別がん対策 白書」の作成を望みます。それぞれの県が計画をつくると思うのですが、個別に発表さ れても、横に並べて見ることが大事だと思います。また、高嶋先生がおっしゃるように、 かえって格差ができたり、勝ち組、負け組が分かれるということも問題です。また一方 では、好事例をお互いに知り合う、勉強し合うという意味でも、重要です。隣の県は予 算をつけたぞ、うちも頑張ろうとか。47都道府県のがん対策を一定の似た様式で集めた がん対策白書みたいなものがあれば、全体を持ち上げていく効果が出るのではないかと 思います。   ○本田委員 その件にも関連してなのですが、白書みたいなものを作成するという、紙 で出るのもいいと思うのですが、網羅性、一覧性があるという意味では、何度も申し上 げるのもなんなのですが、がん対策情報センターで都道府県の基本計画はどうなってい るのかというのを網羅して比べられるようなページもつくっていただくことで、みんな が活用できるようになりますので、そういうことも御検討いただきたいと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○中川委員 総合的というところからしますと、関係者等の有機的連携の中にぜひ、今 日は文科省の三浦医学教育課長も来られています。そして、がん対策プロフェッショナ ルプランにも言及されているわけですが、すべての医師は医学部からしか出ません。そ れは文科省が所管されているわけですが、実は厚労省、文科省だけではないのですが、 特にその総合的な連携というのが記載されたらいいなと思います。   ○垣添会長 ありがとうございます。   ○本田委員 30ページの6の「目標達成状況の把握及び効果に関する評価」の一番下の、 「がん対策協議会はがん対策の進捗状況を適宜把握するよう努めるとともに」とあるの ですが、これは「努めなければならない」ということの意味なのですが、進捗管理をす るんですよね、という確認と、その際、進捗管理をきっちりする場合には、それなりの 実施計画、だれがどういうことをするのかというものがある程度見えないと管理できな いと思うのですが、そういう工程表みたいなもの、もしくは実施計画みたいなものもつ くるんですよね、という確認なのですが、それはどのようにお考えなのでしょうか。   ○武田室長 事務局から補足させていただきます。がん対策推進協議会におきましては、 今後またがん対策教育進捗状況についてもしっかりと御報告させていただきたいと思っ ております。そして、そのようながん対策全体の実施状況というものを置くことによっ て把握していただくとともに、それに対してがん対策全般に関して計画的に私どもも実 施していく上で、ぜひ重要な御意見も引き続きいただきたいと考えております。   ○垣添会長 どうもいろいろと御討議をいただきましてありがとうございました。がん 対策推進基本計画(案)につきましては、がん対策基本法の第9条第4項に基づきまし てこれまで御審議いただいてきたところでありますが、本協議会としてこの計画案を了 承するということでよろしゅうございましょうか。これは、今日、たくさん御意見をい ただきましたので、私としては、協議会の議論ができるだけこの基本計画(案)の中に 反映されるよう、事務局と十分調整したいと考えておりますが、今日いただいた意見を この中にどう盛り込むかということを私に御一任いただくことを前提とした上で、この 基本計画(案)を御了承いただけますでしょうか。 (異議なし) ○垣添会長 どうもありがとうございます。  今回の協議会をもちまして、基本計画(案)の策定に関しての議論は終わりとなりま すけれども、これまでもたびたびこの協議会の席上で議論がありましたように、これか らが非常に重要であるということであります。協議会としましては、今後も基本計画の 進捗状況に関する報告を受けまして、皆様にはがん対策の推進のために議論をいただく ことになっていますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。   ○廣瀬委員 資料2の意見集(案)の中でちょっと誤解を招く文言があるので、そこを ちょっと。   ○垣添会長 どうぞ。   ○廣瀬委員 私は、何回も専門性の高い看護師の育成をしているのでぜひ活用してほし いという意見を述べてまいりましたが、このたび、資料2の中でがん医療の中で[4]の「拠 点病院を含めてがん診療を行っている医療機関」のくだりの3行目に、「都道府県や拠点 病院等に対する説明会等の際には学会における認定看護師制度の積極的な周知」とござ いますが、ここの文言を資料1の本文の10ページと同じように、看護の場合は学会は医 師のように認定しているわけではございませんので、「学会や関係団体における認定看護 師、専門看護師の積極的な」という言葉に変えていただかないと、これは育成の基盤に かかわる組織的なことですので、文言の訂正をぜひお願いしたいと思いますが。   ○垣添会長 はい、承りました。   ○埴岡委員 意見集については、今日は一切議論しないのでしょうか。   ○垣添会長 特にその予定は。基本計画の方に議論を集中していただきました。   ○埴岡委員 そうすると、今日述べた意見に関しては、本文に入れられるものは入れら れて、入れなかったものでも意見集に補充されるべきものは補充されるという理解でい いのでしょうか。   ○垣添会長 この基本計画の中に入っていないものが資料2の意見集としてまとめられ たということであります。   ○埴岡委員 この意見集は今日のままなのか、今日の議論を踏まえて、また補充、改訂 がされるのか。   ○垣添会長 当然、今日の議論を踏まえての補充提出は可能です。   ○本田委員 その際、この意見集というのはどういう立場のものなのかというのを教え ていただきたいのですが。   ○武田室長 この意見集につきましても、先ほど埴岡委員からも御質問で、会長にもお 答えいただきましたが、本日、いろいろ御意見をいただきましたが、その内容も踏まえ てこの中でさらに盛り込ませていただくという内容になっております。基本計画につき ましては、今後、これをもとにいたしまして厚労大臣が閣議に持っていきます文書とし ておきますが、このほか、この意見集といいますのは、かなり幅広に非常に貴重な御意 見、いろいろいただいたものも詰まっておるものでございます。冒頭に垣添会長からも 都道府県に対する情報提供ということもございましたが、そういうことも含めましてそ れは情報提供させていただきたいと考えております。   ○本田委員 その場合、基本計画は、これはやるんだということを閣議決定するわけで すよね。意見集というのは、やるんだとまではいえないけれども、やったらいいという 意見がありましたよという、拘束力は特にないという理解でいいのでしょうか。   ○武田室長 そのとおりです。   ○柏木委員 今後の覚悟のためなのですが、どのぐらいの頻度でどのぐらいの時間、ど んな内容の会議がこれから進むのかという大体の感じだけでも教えていただけますか。   ○武田室長 次回の開催等も含めまして、今後また会長とも御相談の上、委員の先生方 の日程等も調整しながら考えていきたいと思っております。   ○柏木委員 具体的には、しばらくは休めるのですか、ずっとまた続くのですか。   ○武田室長 済みません。今まで、2週間おきぐらいにかなりお集まりいただきまして、 大変先生方には御足労いただきまして感謝しております。そういう形で、ではすぐにま た2週間後にしようということは今現在はございませんが、今後、いつどういう形でお 集まりいただくのか、そこは会長とも御相談させていただければ。   ○柏木委員 まだその辺ははっきりしていないということですね。わかりました。   ○垣添会長 それでは、外口健康局長、一言ご挨拶をいただけますでしょうか。   ○外口健康局長 それでは、最後に一言、お礼のご挨拶をさせていただきたいと思いま す。  がん対策推進協議会の皆様におかれましては、大変タイトなスケジュールの中、また、 スケジュールも途中で急に変わったりとか、長時間とか、かなり無理をお願いしました が、すべての回においてほとんど全員の方が出席された、これは大変ありがたいことで ございます。そして、垣添座長からも最後に御発言がございましたが、まさに基本計画 が策定され、これから閣議決定に向けてのプロセスを踏むわけでございますが、もちろ んその後、これからが大事だと思います。実際に各地域でどういう具体的な取り組みが 始まり、どういう成果が出るかということが最も重要であります。私どもといたしまし ても、この基本計画ができてよかった、つくってよかったと皆様に思ってもらえるよう に、言ってもらえるように、結果を出していくように努力していきたいと思います。  今後とも引き続き、がん対策の推進に資するような御意見を次々とまたいただくこと になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本当にどうもありがとうございま した。   ○垣添会長 それでは、本日の会議、若干時間が早いですが、これで終了させていただ きます。委員の皆様方には本当に大変な御協力をいただきまして、厚く御礼を申し上げ ます。  ありがとうございました。                                    −了−