07/05/21 医道審議会医道分科会診療科名標榜部会第1回議事録 第1回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会 日時 平成19年5月21日(月) 13:00〜15:00 場所 (財)都道府県会館101会議室 ○保健医療技術調整官(菊岡)   それでは定刻になりましたので、第1回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会を 開催いたします。委員の皆様方には大変ご多忙な中を当審議会にご出席をいただきま して、誠にありがとうございます。議事に入ります前に当部会の委員の皆様方のご紹 介をいたします。専修大学法科大学院教授の岩井宜子委員です。東北福祉大学教授の 岩渕勝好委員です。社団法人日本医師会常任理事の内田健夫委員です。社団法人日本 歯科医師会常務理事の江里口彰委員です。国立長寿医療センター総長の大島伸一委員 です。日本学術会議会長の金澤一郎委員です。日本歯科医学会総務理事の住友雅人委 員です。日本医学会長の高久史麿委員です。NPO法人ささえあい医療人権センター COML理事長の辻本好子委員です。読売新聞東京本社編集委員の南砂委員です。   続きまして、事務局を紹介いたします。医政局長の松谷です。医政・医療保険担当 審議官の白石です。医政局総務課長の二川です。健康・医政担当参事官の岡本です。 医政局歯科保健課長の日高です。医政局企画官の中村です。最後に私ですが、医政局 総務課保健医療技術調整官の菊岡です。よろしくお願いいたします。  次にお手元の資料の確認をいたします。いちばん上に議事次第、次に座席表、そして 委員名簿、そのほかに資料番号が付いているものがあります。   資料1ですが、「標榜診療科名の現状と経緯について」、資料2は「標榜診療科の表 記の見直しについて(たたき台)」です。参考資料ですが、参考1として「医業若し くは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のた めの指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)について」です。参考2は「医療 機能情報提供制度実施要領について」です。参考3は「標榜診療科名について」、参 考4は「関連法令・通知等」です。ご確認の上、もし不備等ございましたら、途中で も結構ですから、事務局までお申し付けください。続きまして、事務局を代表いたし まして、医政局長の松谷からご挨拶を申し上げます。 ○局長(松谷)   医政局長の松谷でございます。委員の皆様方には大変お忙しい中、当部会の委員に ご就任をいただきまして、誠にありがとうございます。また、本日は大変お忙しい中、 ご出席をいただきまして、重ねて御礼を申し上げます。医療機関における診療科名に 関しましては、ご存じかと思いますが、昭和23年の医療法制定時に医科、歯科合わ せまして、16種類の診療科名が標榜可能となったわけですが、その後5回に及ぶ法改 正と、平成8年の政令改正によりまして、現在の医科33種、歯科4種となっており ます。   この間、医学医術の進歩に伴いまして、診療科名も細分化をし、また多くの情報が 標榜できるようになった反面、患者さん、国民の立場からは医療機関の適切な選択が かえって難しいような場合も見られるようになってきたところです。また、今般、平 成18年の医療法改正によります患者等への医療に関する情報提供の推進の取組みと いたしまして、医療機能情報提供制度が創設されたところでございますが、この中で、 広告制度におきましても、医療機関が広告できる内容の大幅な規制緩和が行われたと ころです。   こうした中で、広告制度の一環としての診療科につきましても、広告可能な診療科 としての標榜診療科につきまして、患者さん、国民にとって、よりわかりやすいもの とし、その選択を支援する観点から、緩和する方向で見直しを行う必要が出てまいり ました。当部会におきましては、このような医療提供体制の変化を踏まえまして、患 者さん、国民の選択に資する診療科名の標榜のあり方につきまして、ご提言をいただ きたいと考えております。   本日の部会では、診療科名標榜の現状につきまして、事務局からご説明を申し上げ た上で、後ほど事務局から今後の診療科名の表記に関するたたき台を提示いたしたい と考えておりますので、委員の皆様方におかれましては、幅広いそれぞれの視点、お 立場から十分なご検討をお願いいたしたいと考えておりますので、何とぞよろしくお 願いを申し上げます。 ○保健医療技術調整官   次に当部会の部会長についてお諮りをしたいと思います。部会長につきましては、 国内外の医学、医療の状況にも精通しておられます日本医学会会長の金澤委員にお願 いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (異議なし) ○保健医療技術調整官   委員の皆様のご賛同を得ましたので、金澤委員におかれましては、席を移動して会 長席にお願いいたします。部会長に一言ご挨拶をいただいた後、以後の議事の運営は 部会長のほうでよろしくお願いいたします。 ○部会長(金澤)   ただいま部会長にご指名いただきました金澤でございます。医道分科会の会長とい うことで、暫らく勉強をさせていただいておりましたが、その分科会にこんなに重い 部会がぶら下がっているとは思いませんでした。いつでしたか、少し前になりますが、 こういう会を開くということを聞かされまして、大変なことになったと思っておりま した。   しかし、その後のメディアの動きを見ておりますと、会が開かれる前からいろいろ のことが語られておりまして、非常に不思議な思いをいたしておりました。こういう ことは、これからはないようにしていただきたい。どういう理由かわかりませんが、 こういうことは是非やめていただきたいと思います。そのためにも今日のこの会で、 第1回目でございますので、白紙の状態でお話を聞かせていただきたいと思いますの で、委員の先生方もそのおつもりで、淡々としたお気持で話を聞いていただければと 思っております。私もそのような気持ちで聞かせていただきたいと思っております。 簡単ではありますが、ちょっと厳しいことを申し上げて、ご挨拶に代えたいと思いま す。どうぞ、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。   座って話させていただきます。この検討会というのは、大変大事な会議でございま して、進め方にもいろいろ配慮をされるべきだろうと思いますが、まずはお話しなけ ればいけないのは、そちらをご覧いただければおわかりと思いますが、この会は公開 であるということです。この会での議論も、事務局はもちろん、皆さん方の目も通し ていただきますが、ホームページで公開するということになっておりますので、その 点につきましても、どうぞご了解をいただきたいと思っております。   それでは議事に入ります。まずは、この標榜診療科に関する、これまでの経緯など を事務局からご説明いただきました上で、どういう点をこれから検討すべきかについ て、忌憚のない意見交換をしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 事務局から資料についてのご説明をお願いします。 ○保健医療技術調整官   お手元の資料1の「標榜診療科名の現状と経緯について」、まずこちらの資料から ご説明します。1頁、Iの「医業・歯科医業の診療科名の標榜について」です。こち らには、いまお話にもありましたが、広告が可能な医業・歯科医業の診療科名につい ては、医療法において規定されています。現在、医療法の施行令で医科が33、歯科が 4の37種、そして医療法施行規則、省令において、麻酔科の1種の診療科に限定をさ れているという状況です。   以下、○で示しておりますものは、法令等の抜粋ですが、具体的にはこちらで規定 されておりまして、医療法の抜粋というところの第6条の5で、診療科名が規定され ています。その下には、第6条の6第1項に、「診療科名は、医業及び歯科医業につ き政令で定める診療科名並びに当該診療科名以外の診療科名であって当該診療に従事 する医師又は歯科医師が厚生労働大臣の許可を受けたものとする」ということで、33 種類の政令に記載されている部分と、麻酔科の部分について、こちらで規定していま す。第2項ですが、厚生労働大臣が、政令の制定や改廃を立案しようするときには、 医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴かなければならないこと、そし て第3項ですが、「第1項の許可をするに当たっては、あらかじめ、医道審議会の意 見を聴かなければならない」と。こちらの第1項の許可というのは麻酔科の部分です。 そして、第4項の部分につきましては、併せて氏名も広告しなければならないという 規定になっています。   具体的にどういう診療科名が政令で規定されているかというと、下半分の○にあり ます医療法施行令の抜粋にあります。「広告することができる診療科名」ということで、 第3条の2の中に規定があります。これは読み上げませんが、こちらに規定があって、 歯科についても、同様に規定されております。そして、第2項の部分で、読替えの規 定としまして、神経科、神経内科等のようなことが書いてあります。   次の頁、いちばん上の医療法施行規則、これは省令ですが、こちらにつきまして、 麻酔科の規定があります。麻酔科につきましては、こちらにありますように、「麻酔科 につき同項の許可を受けようとする医師は」ということで、麻酔科の標榜は基本的に 許可制になっております。この省令に規定がありますような項目を申請書に書きまし て、厚生労働大臣に申請をして、審査を受けるということになっています。   これは点線の中ですが、現状、麻酔科標榜の審査については、基準が3つありまし て、こちらの中で、標榜の許可が出されているということです。基準1は、十分な修 練を受けることのできる病院、又は診療所に、2年以上修練をしたこと。この基準1 で許可を受けておられる方は、平成19年1月11日現在で10,092名です。同様に基 準2、基準3ですが、6,122名と、あと127名となっています。   ローマ数字のIIですが、こういった標榜の診療科が、どのような形で形成されてき たかということについて、簡単にまとめています。こちらは昭和23年に現行の医療 法が制定された中で、最初に医業・歯科医業についての診療科名が規定されています。 これが、以後昭和53年までに17種が追加されて33種となっています。この細かい 経緯につきましては、3頁に表としてまとめてありますので、又ご確認いただければ と思います。   そして、平成4年には医療法が改正されまして、法律本体に書き込んである部分が 政令で規定されることになりました。そして、平成5年に医道審議会診療科名標榜専 門委員会が設置されまして、現在の5種が加わって、理学療法科が廃止されて、差引 き4種が追加されて、現在の形ができてきたというふうなことです。   3頁の表ですが、下の部分に少しありますが、そういった中で、麻酔科は現状も少 し違う形の診療科名になっています。こちらにつきましては、昭和35年に特殊標榜 科目ということで、許可制の標榜科として認可されています。以上、ここまでが、標 榜診療科名の現状と経緯ということで、それがどのように規定されまして、どういう 形で現在規定化されているかということについて、簡単にご説明いたしました。   続きまして、今回のこの会を開かせていただいた標榜診療科の表記ということで、 一定の見直しをご検討いただきたいということで、そのためのたたき台として、資料 2をご用意しましたので、お手元の資料2をご覧ください。1.診療科名の表記の見直 しに関する基本的な考え方です。こちらにつきましては、平成18年に医療法が改正 されております。この中で、「患者等への医療に関する情報提供の推進」というのが非 常に大きな柱として掲げられまして、取組みが進められています。具体的には、医療 機能情報提供制度が創設されまして、各医療機関から、決められた情報を都道府県知 事のところで集約して、わかりやすい形で住民の方々に情報提供する、具体的にはそ ういう制度でして、4月1日から始まっています。もう1つ、広告制度ですが、医療 機関が広告できる内容につきましても、いままでの限定列挙の方式から、ガイドライ ンという形で、大幅な規制の緩和が行われています。このような中で、診療科名につ きましても、広告制度の中の1つというのを先ほど資料1でご説明いたしましたが、 こういった広告できる診療科としての標榜診療科名につきましても、国民・患者にと って、よりわかりやすいものとして、その医療機関の選択を支援するという観点から、 必要な見直しを行うというのが今回の趣旨です。   これに加えまして、現状の背景ということで、2.で付記させていただきますと、現 在の標榜診療科名というのが、一般的な診療科と比較的専門性の高い診療科が混ざっ ているということから、患者・国民から見て、必ずしもわかりやすいものとはなって いないというご指摘があります。もう1つは、医療法改正によって創設されました医 療機能情報提供制度と広告の関係ですが、医療機能の情報提供制度におきましては、 専門外来に関する情報提供というのが行えるようになっておりますが、一方で、広告 制度では、標榜診療科との整合性を図るという観点から、専門外来の広告は、いま認 められていないという現状です。こういったことも、併せて考える必要があるという ことです。   このようなことを踏まえまして、私どものほうで表記の方法に対する考え方として、 たたき台ということで、今回整理をいたしました。こちらは患者・国民による、より 適切な医療機関選択に資するという観点から、以下のような見直しを行うということ で、整理をしています。ここで留意しておきたいのは、診療内容に関しては、詳細に、 かつわかりやすい、自由な表記となるというような方針で見直しを行いたいというこ とです。詳細は次の頁でご説明いたしますが、(1)にありますように、現在の診療科名 を「基本的な領域に関する診療科名」と、「専門性の高い診療科領域(いわゆるサブス ペシャルティー)等の内容に踏み込んだ部分」と書いてありますが、こういった比較 的専門性の高い部分とに分けて、それを組み合わせることによって、多くの情報を、 より自由に、わかりやすく表記できるように工夫するということ。それから、そうい う細かい深い情報を出すということと併せまして、一方で医師が総合的な診療能力を 発揮するための診療科名を創設するということで、バランスを取りたいということで す。そして、2点目として、医師、歯科医師の主たる診療科がわかるような表記とし たいということです。   2頁に具体的な見直しが書いてあります。医療法6条の6第1項により政令で定め る診療科名について、まずご説明します。現在、医療法の施行令で限定列挙している 33の医科の診療科名については、患者・国民にとってわかりやすい基本領域に関する ものといたしまして、政令上の規定を最小限にとどめると。こう言った上で、次の6 で細かく説明する、専門性の高い診療科領域等との内容と合わせることによって、よ り自由でわかりやすい表記ができるよにしたいということです。   政令で規定するものにつきましては、(現在)のここに列挙しております、カッコの 中も含めて勘定しますと、ちょうど33になりますが、こちらを(見直し案)のとお りにしたいということです。ご留意いただきたいところは、当然この政令で規定する 部分は最小限ということですので、現在のところから、数で勘定すると、少し少なく なる部分もありますが、併せて、ちょっとわかりにくくなっていますが、太字の部分 につきましては、新たに加えてあるということです。   そして、5の医療法6条の6第1項により厚生労働大臣が許可する診療科名という ことで、現在、麻酔科が規定されている部分についての見直しです。こちらも同様に、 国民・患者の医療機関選択の支援という観点から、5のように専門性の表記を充実す るということです。この専門性の表記を充実するとともに、総合的な診療能力に関す る医療に関する診療科として、総合科を新設するということです。なぜ、総合科につ いては、5で規定するかということについては、その一般概念が幅広いというような ことから、当面、厚生労働省において、標榜できる医師の資格を個別認定することと したいという中身にしています。   そして、3頁の6番、先ほどからご説明しています、基本的な領域と組み合わせる 専門性の高い診療科領域の部分の考え方です。こちらについては、より詳細な情報提 供ができるということから、範囲ということで書いていますが、この範囲の中で原則 自由としたいということで、案をつくっています。1つ目は身体の部位に関するもの で、例示として、乳腺等と書いてあります。2つ目は症状とか、あと患者さんの特性 に関するもので、具体的に頭痛、女性診療といったことを例示で掲げています。3番 目に治療方法に関するものということで、例示として、漢方とかペースメーカー等が 書いてあります。こういった3つの観点から規定をしまして、この中で、自由にした いと。ここで「ただし」とありますが、これらの内容は患者の治療選択等に資する情 報であることから、客観的な評価が可能であり、かつ事後の検証が可能な事項に限ら れるべきであると。添付の参考資料にあります、いわゆる医療広告ガイドラインと、 当然整合性を持ったような形で進めていくべきであると記載しています。   7番目は、医師又は歯科医師の主たる診療科がわかるような表記方法についてです。 こちらも国民の医療機関の選択に資するという観点ですが、診療所においてですが、 勤務している医師又は歯科医師1人について、「主たる診療科名」を原則2つ以内と すると。そして、その他の診療科名を「従とする診療科」として、この2つが区別で きるような表記方法とするということも、このたたき台の上に述べさせていただいて います。   最後に、施行時期等につきましては、医療法施行令改正に当たっては、従来の診療 科名及び表記方法を一定期間は標榜できるよう経過措置を講じると記載しております。   次に、いままでご説明いたしました内容のイメージについて、横の表でいくつかご 説明をいたします。まず4頁は、現行の標榜診療科名が基本的な領域(A)という形 で規定が少なくなるということです。それに加えて、サブスペシャルティー等の部分 が加わるという書きぶりになります。これは例示ですが、例えば皮膚科でアレルギー をやられておられる場合であれば、サブスペシャルティーということでアレルギーを やられている場合であれば、皮膚科と、もちろん皮膚科全般についてもやられますの で、皮膚科、例えば一般、それからアレルギーというような形で表記できるというこ とになります。   4頁のいちばん下の部分ですが、今回、総合科というものを新規でご提案していま す。これは麻酔科のように厚生労働大臣の許可を得るということで、そのカテゴリー の中で規定したいということです。こちらの※印にありますが、この総合科の標榜医 の養成課程については、当然きちんとした別途の検討が必要であると考えています。   5頁は具体的な例です。今回は表記の方法を大きく変えようというたたき台ですの で、看板のイメージというものを作っています。まず、いちばん上に、内科・アレル ギー科・麻酔科と書いてありますが、例えばこういった標榜をしておられる医療機関 の場合であれば、内科(一般・アレルギー)、それから麻酔科と。あと、いろいろ書き ぶりがあるかと思いますが、例えば、ペインクリニックとか、こういった書きぶりに なると思います。診療所の医師1人の場合の看板ですが、例えば現行の内科・放射線 科・小児科という診療所で、1人の先生が掲げておられるとしますと、今度は1人当 たり、2つまでが主ということで、わかるように書いてくださいということで、これ は1つの例ですが、大きく内科と放射線科と書いて、従たる小児科は小さく書くとか、 こういう区別ができるような表記をしてほしいということです。歯科についても同様 です。歯科・矯正歯科・小児歯科といま掲げておられる診療所がありますと、これは お医者さん1人につきまして、2つまでということで、同じような表記で例示として 掲げています。   そして、総合的な病院の看板ということで、では具体的にどんな形になるのかとい うことを書いたのが、いちばん下の段です。例えば内科・整形外科・歯科口腔外科と 掲げて総合病院の看板が出ていたとしますと、内科については、右の下のように、一 般とか、神経内科・心療内科・人工透析とか、こういったたくさんのものが書けるわ けです。整形外科についても同様です。歯科口腔外科は単独で書いてありますが、も ちろんこの中身についてもサブスペシャルティーがあれば、自由に書くことができま す。   5頁まででご説明いたしましたのが、診療科の表記の方法に関する内容ですが、6 頁以降は、その中で書いてあります総合科の新設についての考え方です。「総合科の新 設について(案)」でどういうことがここでイメージされて書いているかです。こちら につきましては、狭い専門領域の専門だけではなくて、内科、小児科等の幅広い領域 について、総合的かつ高度な診断能力を有する診療科を「総合科」として医療法上の 診療科名に位置付け、国の個別審査によって標榜医資格を付与するという案です。現 状は、患者さんがどの診療科を受診すればよいかわからないことが多いのではないか、 病院においても細分化した専門医の多くが、複数の合併症を持つ患者を1人で診察で きない場合があるのではないか。あと、そもそも医療機関間や医療関係者同士の連携 というような観点からいえば、こういった地域の医療資源が効率的に活用できるよう な能力が求められるのではないか。こういった問題意識から、このような問題を解決 するために、一定以上の能力を備えた総合医の養成を進める必要があると考えていま す。求められる能力としては、こちらに掲げている2つです。内科、小児科を中心と して、診療科全般にわたって高い診療能力を有しているということ。それから、患者 の疾患の状態に合わせた医療の選定など、基本的な予防から治療、そしてリハビリテ ーションにいたる過程において、継続的に地域の医療資源を活用できる能力を有して いる、このような中身です。   7頁と8頁には、少しイメージが必要だろうということで、具体的にいま学会で取 り組まれている研修プログラムの抜粋を付けています。最後ですが、簡単にご紹介し ますと、例えば日本家庭医療学会のバージョン1.0であれば、診療所の研修、内科(非 臓器別)、小児科が必須で、あとそれ以外に一般外科、産婦人科、精神科、(心療内科)、 救急医学など、こういった幅広い中からいくつか選択をします。   日本プライマリ・ケア学会の専門医の要件ということですが、これも2つぐらいコ ースがありますが、研修施設での研修コースの例で見てみますと、中規模以上の病院 または病院群での研修ということで、必修として、内科、外科、小児科、救急部。そ して、選択ということで、こちらにありますようなところから選択をするというよう なことです。それから、地域包括医療を実践している保健・医療・福祉施設群という ことで、例えば外来診療機能を持つような診療所や、地域の小さい病院での研修です とか、あと在宅医療の機能を持つ部分であるとか、入院型の介護機能を持つ施設、こ ういった所での研修というようなものを規定しています。   最後の8頁では、日本総合診療医学会、こちらも検討中ですが、ニューズレターか ら抜粋をしたものです。研修必須項目としまして、病院内の総合内科、病院内の専門 内科、診療所の研修、救急研修、小児科、こういったものを必須とすることを検討し ているようです。あと、これに加えて、研修の選択科目ということで、幅広い領域か ら選択をして、研修をするといったものです。以上が今回のたたき台の内容でござい ます。 ○部会長   ありがとうございました。大変膨大なものですが、一応のご説明はいただいたわけ です。これからどういうふうに議論していくかということですが、いかがでしょうか。 診療科名の表記が、大変長い間現状のまま維持されていたことは事実ですが、このよ うな見直しを求められているわけです。その理由についてはご説明いただいたとおり ですが、そういう流れと言いましょうか、患者さんへの医療に関する情報提供の推進 の一環であるというご説明がありました。ダイレクトではなくて、知事を通してだと いうのも、また理解をしたつもりですが、その辺も含めて、いかがでしょうか。 ○高久委員   私は途中で失礼するものですから、質問と意見を言わせていただきます。質問は、 この標榜診療科の表記の方法の見直しとして、「基本的な領域」ということである程度 まとめ、そのあとに「サブスペシャルティー」を加えるという、このほうが、ある意 味ではすっきりするとは思うのですが、問題はサブスペシャルティーのほうで、これ をどこまで加えられるかということです。   例えば、この資料の83頁にある様に、前に私も関連して、平成8年に追加した時 に、いろいろな学会からたくさんの要望が出て、その中の一部を何とかまとめたので すが、83頁の左側にある診療科は全部認めることになるのでしょうか。ここのところ は全く制限を掛けなくてもいいのかという問題があると思います。   もう1つは、これは意見ですが、総合科については、実は日本医師会の第3次の学 術推進会議で私が座長を仰せつかっているのですが、その会議で、「かかりつけ医」の 仮称で、おそらく名前は変わると思うのですが、かかりつけ医の診療能力の向上とい うことで、最終的に「総合医」になるのか「総合診療医」になるのか、まだ決まって いませんが、その認定制を議論しています。ごく最近、日本家庭医療学会、日本プラ イマリ・ケア学会、日本総合診療医学会と日本医師会とで共同のプログラムを作って、 総合医の共同の認定をしようではないかということで、具体的にプログラムの内容や 審査方法などについて、聖路加病院の福井院長が中心になられて、作業が始まったと ころです。そこに至るまでにはかなりの紆余曲折がありましたが、そういうことが進 んでいます。一方、この案を見ますと、厚生労働省のほうで総合科を認定する作業が 始まると、そうすると医師会の総合医と二重になって、少し混乱が起こってくる可能 性があるのではないかと思います。ですから、その点について、特に厚生労働省のほ うでの認定と、医師会と3学会が一緒にやっている認定とが混乱しないように、慎重 なご配慮をお願いしたいと思います。   がん治療に関しても一時期混乱があったものですから、日本癌治療学会と日本臨床 腫瘍学会と日本癌学会と全癌協(全国癌協議会)即ち3つの学会と1つの団体が一緒 になって、がんの認定制をつくろうとしています。できれば、日本医師会と、学会と で、つくったものを、基本にしてということを考えていただければ、ありがたいと思 います。 ○部会長   ありがとうございました。非常に大事なご指摘をいただいたと思います。これは、 全部いろいろなところからの話が出てきますと混乱いたしますので、折角いま総合科 の話が出ましたので、時間の配分上、最初は総合科について議論をしていただければ と思います。ちょっと菊岡さんには悪いのですが、この資料2の後ろの2枚で折角こ ういう総合診療に関する既存の研修プログラムについて教えていただいているわけで すが、これと、いま高久委員がおっしゃった、このプログラムのあとに続くであろう 認定などについて、それと、今回、厚労省で認定する、ということとの整合性がよく 分からないのです。少しご説明いただけませんか。 ○保健医療技術調整官   資料2の後ろの2枚の例ですが、これをあえて付けさせていただきました理由は、 現状の総合診療とかプライマリ・ケアといった診療が、既存のどういう診療科にまた がった形で行われているかというイメージのために付けさせていただいただけですの で、これをもとに検討するとかいうところまでの資料ではありません。   私どもとしては、途中でも少し簡単に触れさせていただきましたが、総合診療科の 内容については、別途、その内容をきっちりと考えていくための検討が必要であろう という認識です。例えば、いまいろいろな動きがある中で、そういったところと、国 はきちんと協力をさせていただいて進めさせていただきたいというスタンスです。 ○部会長   分かりました。その言質は極めて大事です。総合科について、まずは少しご意見を いただければと思います。 ○高久委員   学術推進会議の議論でもあったのですが、いちばん大変なのは総合科だと思います。 例えば小児科まで診察するとしても、学童に止めるのか、もっと下の年齢までみるの かなどの問題もあります。いままでは専門医のほうが技術的に優れていてプレステー ジがあるような印象があったのですが、最近の議論では、専門医は、かえって楽なの ではないか。心臓の専門の医師は心臓の患者さんだけ診れば良いと。しかし総合医は、 すべての患者さんを診なければならない。昨日の新聞では「振り分け」というような ことを書いていましたが、振り分けというわけにはいかないと思います。一旦診た以 上は責任がありますから。   そうすると、この資料に書いてあるように、非常に幅広い診療能力、その幅の広さ や、どこまで責任をもつかということが極めて重要だと思います。そういうことを考 えると、総合医の診療能力、そのカバーする範囲は、極めて慎重に検討しなければな らない。それから、現在、第一線で10年、20年と患者さんを診ておられる方に対し て、どういう待遇をするのかなども考えなければならないと思っています。 ○部会長   ありがとうございます。いま専門医という言葉がちょっと出ましたが、この標榜診 療科の問題は、一見、専門医の専門医性とも絡む可能性はあるのですが、基本的に別 の議論だと思ってよろしいのですね。 ○保健医療技術調整官    そのように考えていただいて結構です。別の議論です。 ○部会長   そういうことですが、何かございますか。患者さんの立場、あるいは国民の立場と して、「総合科」という標榜科が仮にできたとして、どういうふうに思われるのでしょ うか。 ○岩渕委員   私ども国民から見まして、いま現在、どこへかかっていいのかよく分からないと   いったようなケースも、間々あります。それと同時に、とりあえず、かかりつけ医と いうことで、信頼申し上げているお医者さんをそれぞれにもっているケースが多いの ですが、そういった方々にとっても、総合的な知見が、あるいは技術が、しっかりし たものが全部整っているのかというと、そこまではできてないのではないか。そうか と言って、いままでの、例えば一般の開業医の先生方に、さらにもう一度研修すると かスキルアップを図るという機会も、改めて作るのもなかなか難しいこともあって、 こういう総合科という新たなジャンルができることを機会に、もう一度、そういう意 味で言いますと、総合的な診断能力あるいは治療の能力をスキルアップしていくこと は、我々患者の立場からすると、大歓迎ということを申し上げておきたいと思います。 ○部会長    ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○辻本委員   患者の立場ですが、いま現在の「かかりつけ医」ということがまずよく分かりませ ん。いま岩渕委員から、多くの人がもっているというお話があったのですが、私ども は月平均で300件ほど全国から電話相談が届いている機関なのですが、ほとんどの方 は、かかりつけ医という関係をおもちにならないで、まず、どうしたらいいかと、大 病院へというような、なかなか変わらない診療行動をしているのが現実です。   既に10年ぐらいの歴史があるかと思いますが、すべてではないまでも、思いを   もったドクター、教授が中心になって、総合診療部が試みられているのですが、果た して入口でいくべきなのか、最後そこに回されてしまうのか、というようなことも曖 昧なままで、患者さんとしては、その総合診療部に行くことで、いったい何が期待で きるのだろうというあたりもわかっていないというのも、声としては届いております。   この度のこの総合科のお話をお聞きしながら、どういう教育がなされるのだろう、 どういう期待が、患者としてはもてるのだろうというあたりが、全く見えてこないの です。   それでなくても、いま患者さんたちは、インターネット情報などで、もう危険なほ ど、情報の海に溺れるほど一生懸命情報にアクセスして、かえって不安を募らせてい るという状況がある中で、もう少しそのあたりが明確に示されないと。言ってみれば、 選んでそこへ行く行動は患者に求められることですので、もう少しわかりやすく。私 も大切な問題と思う一方で、よくわからないなという思いで参加させていただいてい るのが正直な気持ですから、国民としては、もっとそこをわかりやすくしてほしいと いうことを、願いをこめて少し最初に思っていることを申し上げたいと思います。 ○部会長   なるほど。事務局からはわかりやすく説明したつもりだと思いますが、これでも、 なお、やはり総合科というのは分かりにくいというご意見ですね。どうですか。 ○保健医療技術調整官   事務局からコメントさせていただきますと、今回の議論のあり方は、標榜科全体の 中で、後半のほうにもあると思いますが、個別個別は自由でも充実した標榜の表記を 進めましょうという取組みでございます。それだけではなくて、選択という観念から 言えば、もう少し幅広い部分の診療能力を提示できるような診療科の考え方も併せて 検討する必要があるだろうということで、たたき台で出させていただいたわけです。  先ほど少しご説明いたしましたように、イメージとしての例は今日出させていただき ました。ただ、細かい内容については、やはり慎重に、これから議論しなければいけな い部分もあるだろうと思います。ですから、どういうやり方がいいのかという問題にな ると思っています。 ○部会長   ほかにいかがですか。 ○内田委員  先ほどの辻本委員のお話でちょっと思ったのですが、いろいろな大学に総合診療科 がいくつかできました。総合診療科が入口のところで対応して、そこで患者さんの最 初の診断から初期の治療まで対応するという立前であったのですが、それから専門外 来に分化していく中で、総合診療科は実はあまり機能していなかったというのがあり ます。実際に総合診療科に残っていく患者さんは、ほとんどが心療内科的な患者さん の対応という形で、大学では、総合診療科そのものを見直す、あるいは廃止する大学 も出てきております。   その辺と今回の総合科といういう標榜が出されてきたのと、ちょっと目的、目指す ものが違うのかなという感じはもっております。先ほど委員がおっしゃったように、 やはり総合科という所がどういう役割を果たすのか、患者さんにどういうことを説明 するのかというところが、どうもはっきりしないところはやはりあると思います。   日本医師会では、先ほど高久委員もおっしゃいましたように、高久委員は座長で学 術推進委員会と、あと福井先生のほうから、生涯教育の検討委員会がありまして、そ れが一緒になって、関連3学会と一緒に、今回、総合的な診療能力をもつ医師を育て ようと言いますか、そういうスキルアップを図っていきたいということで、認定制を 是非立ち上げたいということで検討を重ねてきているところで、やっとそれが具体的 に動き始めているところです。   そこで目指しているものは、従来の「かかりつけ医」です。ですから、とりあえず、 まずその先生に行けば、そこのところで完結する医療なのか、あるいは、ほかの専門 の先生に紹介する必要がある疾患なのかといった振り分けの機能。もう1つは、地域 の中でそういういろいろな医療に関する情報、施設がありますから、施設情報にして も医師の情報にしても、そういうものをコーディネートするような包括的な機能も持 った人が、いわゆる「かかりつけ医」として、総合医として必要ではないか。その辺 を踏まえたカリキュラムをつくりたいということで検討をお願いして動き始めている ところです。   いわゆる、かかりつけ医、総合医のスキルアップは、いまの開業の先生が担ってい る中で、ある程度果たしてはいますが、もっともっと、そこのところをレベルアップ したいという思いはあります。   そういう制度をやっと動かし始めるというところで、ただ、どうも厚労省がそうい う形で標榜科にしてしまうというのが、医師会としてはちょっと馴染まないかなとい う印象は、やはりずっとあります。何と言うか、割り切れない。そういうものをつく って本当に機能するのか。   ですから、今回ここに書いてあるような、例えば、「内科」を主たる診療科で、後ろ に「一般」と付けるような表記がありましたね。そういうものとどう違うのかという ところが、どうもはっきりしないということです。 ○部会長   大変クリアなお話をいただきました。私は内科医ですから、大変よく理解できるの ですが、かえってわからないという方がいらっしゃったら、違う言葉で私もご説明し たいと思いますが、いかがですか。ご理解いただけましたでしょうか。   先ほど辻本委員が言われた、いまの内田委員のとも関係するのですが、どこへ行っ たらいいかわからない患者さんがおられるという話ですが、私は、ある意味で当り前 の話だと思うのです。つまり、いまの状況というのは、患者さんがご自分で専門性を もった診療科を決めて、そこに最初からいらっしゃることが、むしろ多いように思え て仕方がないのです。ですから、おなかが痛いと言って、消化器の専門の所に行って、 実は心筋梗塞であったとか。しかし、最初の所では、自分たちの範囲の病気ではない と言われた例もあります。   つまり、自分で診断をして、専門医を選ぶという状況がもしあるとすれば、実際に あるのですが、本来の医療とは少しずれているのではないかと、実は前々から思って いるのです。一般的に全体をとりあえずは診る人がいるべきだろうと、フリーアクセ ス云々とは関係なく、そういうことを考えていたわけです。   実は、内科学会では、内科の専門医を、かなり前からつくっております。内科全体 を診ることができるという方についても、なお、やはり患者さんたちは必ずしも十分 に利用していただけていないように思われるのです。何でも診ることができるお医者 さんはかえって信用できないとお考えの方がないわけではない。専門医こそお医者さ んだと思っておられるのだとしますと、それは多分大変な誤解なのではないかという 気がします。   ですから、そういうことを根本的なところから考えなければいけないのではないか 思って、ここに座っているわけです。そういう中で、いまのような内田委員がおっし ゃるように、医学会、医師会が、いまよりももっと幅広い医療ができる人を育てよう と思っておられるということは、非常に心強いことだと思います。   ついでに、私の立場上、あまり言ってはいけないのかもしれませんが、どうしても 言いたかったことがもう1つあります。「かかりつけ医」と呼ぼうと「家庭医」と呼 ぼうとどちらでもいいのではないかと思いますが、1人の患者さんを長いことみてい ることが、非常に大事なことで、ちょっとした症状が加わった場合にも、それは、そ の方の体の癖からいって、それは心配するほどのことではない、と言ってくださる方 がおられるかどうかで随分違うと思います。   ですから、そういう意味で、その場で何でも診ることができるというほかに、患者 さんから見れば、1人の国民としての意見ですが、長いこと同じ人にみていただいて いることは非常に強いことではないかと思うのです。おそらく内田委員が言われるよ うな方々が育っていけば、必ずやそういう内容も生まれてくるのではないかと私は期 待しています。   そういうことと、この総合科という診療科を認めるかどうかというのを、どう結び 付けるかという問題があると思うのです。これは大変難しい。いかがでしょうか。ど うぞご意見を。 ○大島委員   むしろ、これは患者さんの側からかなり強烈に言われることかなと私も思っていた のですが、現実の状況の中で、総合科という標榜名を変えたところで、一体何が変わ るのかというご質問だったと思います。だけど、本来あるべき医療の姿というのは一 体何なのかというところから考えた時に、いまの日本の医療のあり方が、別に問題あ りませんよということであれば、あえてこういう議論をする必要は全くないわけです。   本来、患者さんが求めている、あるいは国民が求めている医療と、今のある医療と の間にこんなに大きなギャップがあると。それでは、そのギャップをどう埋めるのか と。ただ、それは総合診療科という標榜名を付け加えればいいという話ではないとい うことは、もう明らかな話で、私自身は、この問題は10年単位ぐらいのスパンで、 大げさな言い方をすれば、日本のいままでの医療の価値観を変えていくような作業の 取っ付きについたところだと考えています。   というのは、よく言われることですが、専門分化がどんどんあまりにも行き過ぎて、 これもよく言われる言葉ですが、専門分化が行き過ぎたために、医師は臓器ばかりを みていて、人間を全然みていないのではないかという批判のされ方が非常に強くあり ますよね。そういう医師がすべてかどうかは別にして、そういう価値観が日本の医療 界の中に非常に大きく育ってきたことはまず間違いないなと。私自身も大学にいて、 そういった感じを強く持っているところがあります。これは大学だけが悪いわけでは ないのですが、日本全体がそういう価値観できてしまった。その結果として、非常に 難しい病気を治すことができるようにもなったし、世界のレベルのどこと比較しても 遜色のない医療水準になっている大きな成果もあると思います。   私は3年前に長寿医療センターへ行って初めてというか、高齢者医療に直面して、 高齢者医療とはいったい何なのかということを本当に真剣に考えてきました。その中 で言われていることは、これも極めて当り前ですが、高齢者というのは非定型的で個 別性と多様性が強い。だから、いわゆる一般の成人と同じような見方をしていたらと んでもない過ちを犯しますよと、これは、どの教科書を見ても書いてあります。どの 専門家の話を聞いても、みんなそういうことを言われるわけです。しかし、高齢者医 療というのはいったい何なのかなと。例えば正常と異常はいったいどう違うのかとい うときに、高齢者を診断するときでも、少なくとも私たちが学んできた医学というの は、臓器をターゲットにして、そこの臓器に異常があるか、異常がないかというとこ ろで、ある異常値というのを数値、画像の異常や検査の異常というのがありますが、 どこの臓器が異常か、その異常な部分を見付けて異常をどう正常化させるかというふ うに頭の構造が出来上がっているわけです。ところが、高齢者では多様性や非定型や 個別性が強いという話になる。考えてみれば当たり前の話であって、成人のところが ピークであるとすれば、そこからだんだん下り坂になってくる。80歳の人の正常値は いったい何なのかという話になると、これはわからないわけです。こんなことは当た り前のことなのに、80歳でも90歳でも正常値は一般の正常という基準でもって、す べてが行われているわけです。こういう話を普通に考えると、これはまずいのではな いかと。まずいだけではなくて、時々とんでもない大間違いにつながることも現実に あるわけです。   それから、どうしても専門分化というのは科学技術というのをバックに進歩発展し てきていますから、科学技術をいちばんのベースにして医学、医療を捉えてきたとき の価値観というのは、言葉で言えば、完全治癒を目指して、救命、延命を1分でも1 秒でも長く生きさせることを目指してやってきたわけです。私も、そういう教育を徹 底的に受けてきたわけです。しかし、90歳の人ががんになった、その人をどうするの かということを、その価値観で全部持っていきますと、90歳だろうが100歳だろう が完全治癒を目指して、どんな大手術でも徹底的にやるべきだ、それが科学の勝利だ という考え方になります。しかし現実に患者さんを目の前にしますと、本当にそんな ことをやっていいのだろうかと誰もが迷います。しかし、どこの教科書にも、高齢者 に対して、いわゆるエビデンスに基づいた医療を徹底してやってはいけませんという ことは、どこにも書いていないのです。だが、救命、延命、とにかく完全治癒をさせ て、社会復帰をさせるという価値観を中心に判断するということが、何か変だなとい うことだけはよくわかります。では、どう考えたらよいのか、それを体系立ててきち んと考えるということは、いままでの教育にもなかったし、何もなかったわけです。 そしてかかりつけ医、あるいは総合的に全体を見ているいまの開業医の先生方も、も ともとは、専門性を持っていて、そういう考え方で教育されてきたというのがいまま での状況だと思います。   しかし、これだけ高齢化になって、65歳以上の方が受診率の40%の状況にありま すから、ほとんどの方が、いままでのあり方でいいわけはないということは、感じて いると思います。そうなると、いままでの医療のあり方についての価値観、あるいは 医師の養成のあり方についての価値観をどこかでチェンジしていかないと、このまま ズルズルいってしまうと大変なことになるのではないかと思います。あくまでも標榜 科というのは、いま変えたから急に中身がガッと変わるわけではないので、その間隙 を埋めるために、教育システムや何かをどう考えていくのかが重要なステップになる と思いますが、これは10年単位の仕事ではないかと思っています。 ○部会長    ありがとうございました。住友委員はどうですか。 ○住友委員   歯科の話をします。医科とはかなり違うのですが、歯科も細分化が進みまして、特 に大学では非常に細かくなってしまったのです。結局、歯科はいま言っている総合診 療体系でやるのに戻ればいいのではないかという話があって、歯科も総合診療科とい うものにだんだん再編成をし始めたのです。歯科の場合は、9割の方が診療所の開設 者、若しくは勤務者ですので、ここで言う総合的に診察、診療する人たちと言えるの かもしれません。したがって、いま言われている総合診療科というのは院内標榜であ りまして、正式には標榜としては歯科なのです。ですから、歯科イコール総合診療科 と解釈して、振り分けではなくて、歯科の場合は専門性を持った人たちとのすみ分け という言葉で表現をしています。振り分けという言葉は、あまり適切ではないのでは ないか。やはり、すみ分けという形。その言葉がまたいいとは限りませんが、少なく とも振り分けよりいいのではないかと思います。今後、歯科に相当する、我々のいま の認識では総合科という一般の歯科の標榜と、総合科というのが、どういう位置づけ で、医科のほうに成り立つかというところは、少し難しいのではないか。   私が小さいときは、いろいろな専門性を持っている人も、いま言われている総合科 というか、総合医という形でやっておられたのです。ただ、その医療が適切であった かどうかはわからないけれども、自分が患者として行ったときに、小さいころの話で すが、例えばお腹が痛くても、極端な話、耳鼻科の先生でも頼っているという、そう いう気持はありました。歯科の場合は、先ほど言ったように9割の方が診療所若しく は診療所勤務ですから、既にそういう役割は担っていること。これは医科と一緒には できないと思いますが、以上です。 ○部会長    ありがとうございます。江里口委員から何かありましたら。 ○江里口委員   歯科で私も開業医をやっていまして、私はここに標榜されている口腔外科を専門に  やってきました。大学でも細分化され、患者さんがどこの科に行っていいのか、歯科 ですら、口腔のこんな狭い範囲ですら、どこへ行っていいのかわからない状況です。 大学は予診する総合予診科という所でまず診る形を取りまして、そこから先ほどの振 り分けというのかすみ分けで患者が行く先を決定する形を取っています。ただ、歯科 の場合は去年まで「かかりつけ歯科医」という保険の用語ができまして、それができ たときに、私のように30年近くやっている人間でも、歯科はみんなかかりつけ歯科 医で、わざわざかかりつけというのを頭に付けなくても、歯科というのは従来からや ってきました。先ほど部会長が言われたように、長期にみる。乳児から最後を看取る まで、すべての過程をみることが開業医はできますので、ちょっとした変化、あるい は何かおかしいと思ったときには専門医にすぐ渡せるということが、歯科ではいまま では意外とうまくいっていました。   もう1つ。先ほど辻本委員が言われたように、どこに掛かっていいのかわからない というのは医療現場の問題ではなくて、いまの日本の国民の問題ではないかと思って います。非常に厳しい言い方かもしれませんが、私は上野のすぐそばの下町で開業し ていますが、昔は小さな子供と母親が近所に買物に行くと、何か調子悪いなと思った り、あるいは歩いているときに八百屋さんや魚屋さんに行き、「何かおたくのお子さん、 泣き方が変だよ」「何か言葉が変だよ」「成長が変じゃないか」と、商店に対面の販売 が非常に多かった時代なので、おせっかいなおばさんが、結構総合予診科みたいなこ とをやってくれていたわけです。ところが、いまは個人主義になり、そんなことを言 ってくれたことが逆に「何言ってんのよ」という形で、おせっかいばあさんになって しまっている社会的な背景がありまして、こんな小さな部分をやっている歯科ですら、 どこの歯医者に行ったらいいのかという選択方法がよくわからないと言っています。 そういうことも踏まえて、標榜だけではなく、医療もそうですが、どこで洋服を買っ たらいいよということも含めてだと思いますが、情報が変なふうに交錯している、我々 だけの問題ではないような気がしています。 ○部会長    ありがとうございます。岩井先生どうぞ。 ○岩井委員   一般の患者の立場ですと、総合科というものができて、どこへ行っていいかわから ない場合に的確に診断していただけるところができるのは、非常にいいことではない かと思います。ただ、厚労省の医療学会でそこを審査することになりますと、基準を つくるのはかなり難しいのではないか。要請として、総合的にすべてのことを診断で きる医師がいることが望ましいと思いますが、もう1つは何でもみてくれるようなか かりつけの医師が欲しいという両様の要請に対して、総合科というのはどういう基準 で認めていくかがかなり難しいのかなと。ここの研修プログラムとして挙げられてい るのを見ましても、麻酔科などと違いまして非常に幅広い全科目をやらなければいけ ない感じで出ていますので、そういうところでどれぐらいの研修を積まれたのかをす べて基準に入れていけば、かなりハードルは厳しくなるのかなという懸念をしていま す。 ○部会長    ありがとうございます。内田委員どうぞ。 ○内田委員   医学部の教育というのが6年間ありますね。一応その中では、少なくとも試験のと きには、全科をかなり詳しく知っているという教育がありまして、その上に今回、新 医師臨床研修制度というプラス2年間の臨床研修で、幅広い診療科の臨床研修を行う 制度が加わりました。これは、専門分化した医学教育というのを見直そうというとこ ろからスタートしている制度ですから、その辺のところも、きちんとこの研修制度が 機能すれば、かなりの総合的な診療に対応できる医師が今後育ってくるだろうと思っ ています。それが終わったところから、専門分化したところに入っていき、また開業 するときになって、その専門分化をそのまま追求する先生ももちろんいらっしゃいま すが、それは比較的に少数派というか、特に内科的なところを取りますと少ないので はないかと思います。そうすると開業した時点で、またもう一度トレーニングを受け るということで、学生、新臨床研修制度、さらに開業したあとのトレーニングが加わ ってくれば、かなり総合的なところでの対応ができる医師が育ってくるのではないか と感じています。ですから、そこをうまくシステムとして、カリキュラムとしてきち んとつくろうというのが、私たちが目指しているところであることが1つあります。   それから先ほど部会長がおっしゃいましたが、胃が痛いと言ってきたら実は心筋梗 塞だったということも間々あるわけです。それは普段の患者の状態をよく知っている ことが非常に重要だということで、そういう信頼関係でつながっていることが1つと、 もう1つは、患者はいま自分ではネットで調べて、自分の症状を決めて、こういう先 生がいる所でないといけないという形で、人と人のつながりではなくて、自分の症状 からどういう診療科にという選択をされているけれども、それが本当にいいことかど うかというのがすごくあります。実際に救急外来をやっている先生を見ていますと、 いきなり新患の患者が来て、それをみるというのは、かかりつけの患者をみるのと全 くストレスが違います。人となりもわからないし、これまでの経過もわからない。そ ういうところで新しい人間関係をつくっていく必要があるというのは、救急外来をや っていると、私も休日・急患診療所に出ていますと、とてもそういうのを感じます。 そういうところからいうと、患者も医師へのかかり方というか、上手な医師の使い方 というのを是非勉強していただきたいというのをとても感じます。 ○部会長    ありがとうございました。大変大事なご意見をいただきました。南委員どうぞ。 ○南委員   いま内田委員が言われたことはまさにそのとおりだとは思いますが、現実には国民 が身近なところでかかりつけ医を持とうと思っても、それがうまくいっていない現状 があるので、先ほど辻本委員が言われたようなことがおこるわけです。また、ずっと かかりつけ医で診ていただいていたのに重大な病気にかかったとき間に合わなかった りといった、いろいろなケースがあって現状があるのだと思います。ですから、国民 がこの総合科というものに期待をするのは、先ほど岩渕委員が言われたように、これ を機会に総合的にみてくれる医師の診断能力や治療能力が高くなるのであれば、それ は本当に歓迎すべきこと、岩井委員も言われたとおりなのですが、果たして事故や不 祥事のたえない今の医療に、必ずしも安心、安全とはいかないいまの医療の中で、そ れを医学界や行政に期待していいのか、というところに国民の強い疑問があるわけで、 だからこそこの議論があるのだと思います。これまでの議論を聞いていると、非常に “同床異夢”という印象があります。みなそれぞれがいいものができればいいなと思 うけれども、果たして本当に可能な形何なのかという現状なのだという印象を持ちま す。ですから、本当に国民のためになるいい形は何かを、時間をかけて議論しつくっ ていく必要があるのではないかと思います。   もう1つ。最初のほうで内田委員が大学が近年、総合診療科というものをつくった けれども、うまくいかなかったといわれたのはそのとおりなのですが、さらに言えば、 15年ぐらい前でしょうか、先ほど大島委員が言われましたが、各大学や病院が老人科 とか高齢者医療、老年医学というものを看板に掛けた時期があります。ところが、現 実に何をやっていたかというと、循環器の専門家が循環器をやっていたり、呼吸器の 専門家が呼吸器をやっているだけで、何ら老人、高齢者の特性、先ほど大島委員が言 われたような非特異性や個別性が強いといった特徴や、加齢ということに注目してき わめた医療ではなかったことがわかって、結局各病院が看板を下げた。そして、いま はほとんど高齢者医療とか老人科という看板が見られなくなった。このことも、教訓 としないと同じことをまた繰り返してしまうことになると思います。今回救急科とい うものも新規に入っていますが、この救急科のイメージは何なのかがわかりません。 これこそ、全身をみられる総合科ではないのでしょうか。そういうような印象も持ち ます。何を目指すかによって、国民が期待する、全身をみて、ある程度専門医療につ ないでくださる方ということだとすると、その辺はどういうものを目指していくのか は、過去をきちんと総括して取り組まないと、結局はまた同じことの繰り返しになる のではないかという危惧を持ちます。 ○部会長    ありがとうございました。大変大事なご指摘をいろいろいただきました。 ○辻本委員   私が申し上げるのがいちばん適切かと思うので、あえて申します。誤解を恐れずに、 ということでいつも枕詞を使っていますが、最近の患者の声をお聞きしていると、一 部ですが、思春期、反抗期というような迷いの中、あるいは先ほど来申し上げる情報 を武器にしてしまうような方が目につきます。そして、一方で医療現場は崩壊の危機 などということが囁かれている。いろいろな意味で患者も医療者も変わらなければい けないという本当に大切な時期に、いま私たちは立っていると思います。   この議論ですが、先ほど来私は二律背反で、一方では患者の医療に関する情報提供 の推進ということ。国民・患者にとって、よりわかりやすいものを選択する観点から 標榜すれば患者はひた走っていくだろうなという行動が浮かんでくる一方で、総合科 でかかりつけ医的な関わりの中で何でも相談して、しかもずっとみてもらいなさいね といっておられるこのことが、主体性を求められているのかそうでないのか、私たち はいったいどちらを考えるべきなのかという矛盾の中で私は足下が定まらない思いを いま深くしています。患者・国民も意識を変えなければいけないときであるというこ とは、こういう機会をもって、国からもきちんと表わしていただきたいなという思い もあります。 ○部会長   ありがとうございました。一通り皆さん方からお話は伺いましたが、今日結論を出 すわけではありませんので、次回皆さん方のご意見をまとめた形でたたき台の改変し たものをお出しして、また議論していただくことになるかと思います。そのために1 つだけ事務局に伺います。先ほど内田委員だったかがおっしゃった、内科、そのあと に一般というのを考えておられると思いますが、それとこの総合科とはどう違うので すか。 ○保健医療技術調整官   例示の中に「一般」として書いているのは、サブスペシャルティーを加えた場合に、 それ以外の部分はみないということにならないように配慮をして書いてあるだけです。 言い方があれですが、例えば、内科で糖尿病と書いたとします。そうすると、そこは 内科の糖尿病の部分しかみないのかという誤解がないように、「一般」を付けるぐらい の意味合いで書いてあるだけですので、そこはこれから工夫のしようがあります。 ○部会長   総合科については、そういう基本的な考え方自身は非常に大事であろうということ は皆様方の共通のご意見だと思いますが、中身の問題であろうということについても 共通したご意見かと思います。そんなところを仮のまとめにさせていただきまして、 そろそろ次の、専門性のある個別の診療科、総合科以外の部分について、お話をお聞 かせ願えればと思います。いままでメディアというか新聞などで予め報道されてしま ったものの中には、今後、標榜できないものとかいろいろなことを言っていましたが、 先ほどのご説明を聞きますと、むしろ自由に標榜していただけるようにはする。しか しながら国民の視点に立ったときに、よりわかりやすいものにすべきではないかとい うところが実態のように思えます。頁が付いていないのでわかりませんが、左側に(現 行)、右側に(新規)とある、看板のイメージです。1つ前に戻って、例えば、このよ うな形に、現行の標榜診療科、右側に基本的な領域(A)、サブスペシャルティー等の 部分(B)というような案が出ているわけです。こういうものが出てきた思想という のは先ほどからのご説明のとおりですが、いかがでしょうか。この辺についてのご意 見をいただきたいと思います。 ○大島委員   この専門科はやめてこの専門科は残すという基準が、いったいどういう基準で考え られているのかについて、ちょっとお伺いしたいと思います。 ○保健医療技術調整官   今回残すということではないのですが、あえて規制をする部分の診療は、いまのご 説明の中でも申し上げましたが、基本的な領域ということでお話しました。これは、 いろいろと細かく詰めると若干ぶれはあるのかもしれませんが、考え方としては、ま ず医師が持つ臨床能力がありますが、それの基盤的な意味合いが強い領域ということ で、学会の動きも横目で睨みながら考えると、こういう状況になるのかなというのが あります。併せて、このような診療科のいまご提示しました、基本的な診療領域と申 し上げた部分については、臨床の基盤という意味合いだけではなくて、患者側から見 ても非常に長く慣れ親しんだ一般的な領域ということで、診療分野に関する内容のイ メージとか名称がかなり普及定着しているのではないかといった2つの観点から、こ の部分を挙げています。 ○部会長   まず、疑問をお持ちのところはご質問をいただいたほうがいいのかもしれません。 私から質問をします。いままでの医療法とそれに連なる政令、省令などで決まってい る標榜診療科というのは、お1人で、あるいは診療所レベルで診療する場合も、巨大 な病院で診療する場合も、同等に扱ってきたわけですね。その基本となる思想は何な のですか。私は、そこがよくわからないのです。つまり、1人でやる場合に20も30 も標榜科を掲げる人はたぶんいないと思います。しかし、大病院ではいろいろな専門 家がたくさんいるわけだから、簡単に考えますと、いろいろと細かい診療科ができて もおかしくないように思います。その辺を一律にやっているという思想は何なのだろ う。この二つを分けてはいけないのかしら。あるいは、そういうことは議論されて、 やめましょうということになったのだろうか。 ○保健医療技術調整官   いま私が確認している範囲なのですが、基本的に病院と診療所で分けてということ を過去にあまり検討はされていないと思います。それよりも、診療科の名前として、 そこがきちんと独立した学問領域であるかとか、他の診療分野ときちんと区分ができ るかといった観点で、過去は検討されていると思っています。 ○部会長    わかりました。どうぞ、ご質問でもご意見でも結構です。 ○住友委員   先ほどお話したように、歯科は歯科、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科とありま す。先ほど言った総合科的なものが、ここに標榜として「歯科」なのです。先ほどお 話を聞いていて、これは勘違いなのかもしれませんが、例えば1人の診療所で2つの メインを標榜できる。あとは活字が小さくなっていましたが、ズラッと並べるという のではなくて、ここに総合科という形で取り込むのかなと最初は理解していました。 そういう意味で総合科と先ほど言ったこの科を少なくするという連携にあるのかなと いう認識をしていたのですが、そうではないのですね。 ○保健医療技術調整官   ご質問の趣旨は、現在複数標榜しているものをまとめてしまって、1つの総合科に するというご趣旨なのでしょうか。 ○住友委員   例えば、いろいろ専門性といいますか、先ほどのカリキュラムから見てみると、か なりここにある内容のものが学習されているわけです。そうすると、そこでもって総 合科という名称でこの人はかなりのレベルの全体的な診療がなされるという意味で、 総合科が付いているのかなという認識を持っていたのです。 ○保健医療技術調整官   いまのお話はそのとおりです。方法論は別にしまして、考え方としてはそういう形 でご提示をしています。 ○住友委員   サブスペシャルティーは置いておいて、先ほど言った主と従で、従をズラッと並べ るものを1つにまとめていると理解をしていたのですが。そうではなくて、ここに挙 がっているもの、例えば1人の診療所で2つの標榜をするとしたら、ほかの内容も自 分ではできるとすれば、小さな活字でズラッと並べるということですね。ここで出し ているのは、そういう意味ですね。 ○保健医療技術調整官    そういうことです。 ○住友委員    私が認識した総合科というのと少し違っていましたので、確認です。 ○部会長   他にいかがですか。ご質問でも結構です。私が先ほどご質問した理由は、こういう 理由です。最近の傾向として、例えば心臓のことであっても、内科の人と外科の人が チームを組んで、いわゆる循環器科ということで非常に高いレベルの医療をやってい る所も結構出てきているわけです。呼吸器についてもそうだと思います。場合によっ ては腎臓、泌尿器科の方々と一緒にやっている所もあるかもしれません。そういう流 れというのが、これだと逆の流れになるのです。確かに開業の方のレベルでそれを一 緒にやろうというのはなかなか難しいと思いますので、大病院の、それこそ専門性の 高い病院の場合と、お1人でおやりになるような場合とは、内容的に違ってきて不思 議はないと思っているものだから、そういうことを申し上げただけです。しかし、そ ういう議論もどこかではしてもらいたいという気もします。しかし、これは単なる質 問にしておきましょう。 ○住友委員   先ほど言ったのは、いま先生が指摘されたところで、診療所というのがそういう意 味での総合科がくっ付くもの、大学病院はもっと細かいものがあるというふうに、2 つの考えがあることが前提で質問しました。 ○部会長    いまのようなことと関係なくても結構ですが、どうぞご意見をいただけませんか。 ○岩渕委員   いままでに比べると、だいぶわかりやすくなるなというのが直感的な感想です。そ の上で、なおいろいろなサブスペシャルティーが出てくるというのも、選択する立場 からすると、いままでよりはやりやすい感じを受けます。それで、いまおっしゃった 開業している方と大病院の違いというのは当然あって然るべきだと思いますが、大病 院の場合は、基本的な領域、ここに出ている何個かの中と、サブスペシャルティーを 組み合わせて、それでもなお表現しきれないものなのですか。もし、そういうことで あればまた話は別で、もう少し基本的な領域に、例えばどんなものを増やすべきかと か、あるいはそういうのが本当にあるのかどうか。 ○部会長   もちろんあります。あるけれども、必ずしもそれを例として取り上げてほしいとい う意味でもないのです。それが難しいところです。要するに、例えばこの表でいきま すと、右側には基本的な領域として内科、外科がありますね。内科と外科とは、これ だと全く相容れなくなってしまうのです。しかし、先ほど言いましたように、循環器 のレベルを場にして、内科も外科も一緒に診療する場が当然ながらあるわけです。そ ういうのでレベルの高いことをやっている所がある。それを売り物にしている病院さ えある。そういうのは、これを見たときに困るだろうなという話です。したがって、 こういう形ですべてを律してしまって本当にいいのだろうかという疑問です。皆さん で考えていただきたいので、あえて問題提起しています。 ○内田委員   この標榜科の整理というのは、これまでともすればいろいろな自由標榜制というの がありまして、現状では自分でこれをやりますということで看板を出していいという ところがありますよね。それを少し整理してもらったということでは非常にわかりや すくなっていると思います。   部会長のご指摘の点については、現状でも例えばスポーツ医学を専門にしている整 形外科のクリニックなどもありますので、それは場所の名前を付けたり自分の名前を 付けたりして、そのあとにスポーツ医整形外科とかで、クリニックの看板にしてしま うのもありますよね。これも1つのやり方かなと。それから大学病院であれば、循環 器病センターであるとか消化器病センターであるとか、そういう名称の付け方もある と思います。 ○部会長   そういうことなのでしょうね。おそらくセンターということで逃れるということで しょうね。他にいかがですか。辻本委員どうでしょうか。こう変わった場合に、わか りやすくなりますか。 ○辻本委員   わかりやすくなります。わかりやすくなるだけに、先ほどの矛盾ということで、患 者が勝手に判断してしまってというようなことが起きるのではないかと思う本当に難 しいと思います。 ○部会長   患者が、自分の病気を判断するのは、日本だけではないですが、長い間培われてき た風土みたいなものですよね。この際、いわゆる総合科の内容がしっかりしてきた場 合には、そういう方々に頼る方向に少しみんなが動いてくれるといいと思いますが。 ○大島委員   辻本委員にお伺いします。内科、外科、耳鼻咽喉科と1人の医師が標榜していると いうのは、それはそれで別に一向に構わないとお考えですか。それはおかしいと考え られるのか。あるいは内田委員にもお伺いしたいのです。 ○辻本委員   医学の教育のあり様や、2年の研修義務化で、いまプライマリ・ケアが重きを置か れるようになってきています。その流れの中で、ある程度総合的にみていただけるの だろうな、幅広くやっていらっしゃるのだなぐらいには思いますが。しかし、それで 信用するかというと、かえって信用できないような気持が患者側にはあると思います。 ○内田委員   これは、医療機関の考え方もあるし、患者さんのほうの捉え方も両方あると思いま す。医療機関がたくさんあるような所では患者はそれを見て選択しますから、何でも やりますよという看板を出して、それが本当に地域で受け入れられるかどうかという ことがあると思います。逆に田舎に行きますと、何でもとりあえずは対応します、そ こから自分でみられないところはご紹介しますよという態勢を取らざるを得ないとこ ろもあるので、あながち自由標榜制はわかりにくくしているとか、非常に問題がある と。本当は、病院での研修は1回もやったことがないだろうにという所があっても、 それが医学教育の中で一応一通りは教育されているところから、これまでは許容され ていたのかなという感じがしますが、やはり周りの環境がすごくあるのではないかと 思います。 ○部会長   ありがとうございました。お二方のご意見を伺うと、大島委員、ご質問したほうと してはどうですか? ○大島委員   それこそ総合診療科といったときに、総合診療科の範囲というものがいったいどう なのかなということが次に問われてくると思います。もちろん、田舎と都会とでどう なのかという議論をし始めれば、さまざまな極論から極論が出てくるとは思いますが、 しかし極論の話をぶつけて、だから制度としてなんていう話をし始めたら何も前に行 けないことになりますから、そういう意味では、総合診療科というのはいったいどれ ぐらいのことをカバーするのだというところをある程度煮詰めた上で、その上に専門 性というのをどう当てはめていくのかということではないかと思います。非常につら いなと思ったのは、南委員が言われた、重要であるということはほとんど皆さんわか っている、わかっているけれども、本気でそれをやるのだったら失敗は許されません よという覚悟を持ってとにかく取り組まないといけない。失敗例だったらいくらでも 例があるではないかという話をされましたが、そういう意味であまりコンセンサスが 曖昧なままに前へ行ってしまうと、いろいろな問題が、積み残したまま不完全燃焼で 暴発するのではないかという感じがしますので。行ったり来たりでしょうけれども、 もう少し総合科の役割、そして、いま医療が大改変になっていますので、地域医療の 中における専門科と総合科の連携というか、役割の分担などについて、ある程度の答 えをきちんと出しておく必要があるのではないかと感じました。 ○部会長   ありがとうございました。辻本委員の先ほどのお答えを伺うと、総合科の将来がか なり暗いなと思います。なぜかというと、何でもやれるよというと、かえって信用で きないのではないかというようなお話だからです。それは正直なところ、そうだと思 います。それはよくわかりますが。 ○辻本委員   ただ、いま患者は一括りで語れる人たちではないのです。世代によって求めている ものが違っていたり、納得の基準が違っていたり、高齢者がお求めになっていること と、我々団塊の世代が、それこそ思春期、反抗期のような状況も含めて求めているも のと。一方で若い人たちがもっと優れた要求をするかと思うと、非常に保守的なお任 せに戻ってしまうのではないかという受診行動も。さらには専門性ということだけを 鵜呑みに大きな期待を抱くという。高齢者が多様性であると同時に、患者も決して一 括りで語れる存在ではないということも、あえて申し上げておきたいと思います。 ○部会長    ありがとうございました。他にいかがですか。 ○南委員   さきほどの大島委員のご発言ですが、私が申し上げたのは、失敗例ならいくらでも あるというネガティブな意味だけではなく、これは本当に重要なことで、ここでどう いう決定をするかで、これからの日本の医療制度、医療のありようが非常に大きく変 わっていく可能性が大きい、そういう意味で、過去に十分学んで、慎重にする必要が あるということなのです。過去のいろいろなこと、老人科なり総合診療科というもの の辿った経緯を十分検証してみるくらいの気持がないとできないということを申し上 げたかったのです。   もうひとつ、日本の社会がここまで高齢化が進んでまいりますと、これから総合的 に見る医療、何と呼ぶかはともかく、総合科というものの役割が否応なく大きくなる ことも事実ですので、それを前提にして、そんなに時間的な猶予もないわけですから、 是非ともここで慎重に議論を尽くしていただきたいという意味で申し上げました。 ○部会長   ありがとうございます。この(案)は、あくまでも厚生労働省から出された案です ので、これに関して何か。右のほうは、基本的な領域(A)ですね。(B)は原則自由 ということですから、そこを議論してもあまり意味がないので、基本的な領域(A) のほうのご議論を少し。 ○南委員   もうひとつ伺いたかったのですが、先ほど言いかけた救急科のことです。これは、 いわゆる救急医療、三次救急みたいなものまで含めた命を左右するような蘇生のイメ ージなのか、そこのところを教えていただきたいと思ったのです。 ○保健医療技術調整官   この場合は標榜名ということですので、もちろん蘇生も含めた非常に高度な救急の イメージもあるのですが、一方、むしろ初期の本当に救急のときに対応する診療科と いうイメージを持っていまして、ここに付けてあるのは、要するに学問領域としての 基盤が救急という学問の中にもあるということでこの中に付けています。例えば、こ れが高度なものもカバーするのかどうなのかと言われればすべてカバーするのだと思 いますが、そういう観点もさることながら、先ほど言いました、臨床の基盤としての 一分野として入れるというものです。 ○部会長   救命救急科と言わないで、救急科と言った理由はそこにあるということですか。非 常にプライマリーな、少しした怪我などをちょっとみてもらうということも含めてい るのだという意味ですか。 ○保健医療技術調整官    案として用意した中身としては、そういうことです。 ○部会長    かなり大事なポイントではあります。 ○大島委員   手前味噌のような話になって言いにくいのですが、総合的な意味合いからいくと小 児科、内科、老年というような括りが非常にわかりやすいのではないかと思ったので す。自分が長寿医療センターにいますので、少し偏った見方をしているのかもわから ないということも含めてご検討いただければと思います。 ○部会長    とりあえずは老年科ですか。 ○大島委員    老年科か老人科か。 ○辻本委員   いま、別の議論で後期高齢者ということで75歳にそういうレッテルを張っている わけですが、老人というのはいくつからそちらの科に行くのでしょうか。 ○大島委員   はっきりと定義をしているわけではありませんので、一応世界的には65歳以上と いうことが、定説のようにはなっていますが、その65歳とどこの誰がどのように決 めたのだということを言い出しますと、その根拠は極めて希薄な状況になっていまし て、それに大反対という人もいまいろいろと出てきていますので、75歳以上が適当で はないかとか。実際に私たちの病院で、地域の医療をカバーするということもありま すが、あまり若い人が入るわけにはいかない。50歳以上の方と幅を広げてはいますが、 70歳以上の方が60%か70%です。 ○部会長    老人に入ってしまう私ですが、老人科という名前はあまりハッピーではないですね。 ○南委員   私が先ほど15年くらい前に、という話をした続きのようになりますが、老人科と いうものをつくって本当にエージングに極めた医療ができるのかが問題です。小児科 が存在する理由は小児は大人のミニチュアではないから存在するわけですよね。つま り、病気の起こり方とかいろいろなことが大人とは違うので小児科というものがある わけです。ところが15年前「老人科」と呼んだものは、結局は循環器や呼吸器の内 科の続きのような話だったので存在意義がなくなったということだと思います。そう なると、老人科というものを標榜するとすれば、加齢に基づく診療の仕方、治療の仕 方などに特化した話にならないといけない。高齢者は全部そこにいくとなる、となれ ばまた10数年前の混乱と同じことになるのではないかという危惧があるわけです。 さらに悪いことに、いまアンチエージングというような名前で、美容などとも線の引 けないものとして加齢を扱う施設がいろいろあるわけです。私が先ほど、いまの医学 界に任せていいのかというきついことを申し上げたのは、医学界なり医療行政の側で 何が老人科、老人医療なのかを極めていただく必要があるわけです。こんな現状では 国民としては委ねられるのかどうかという思いもありますが、それにお応えいただけ るような医療があるのであれば、是非、まさにこれからの高齢医療の中で、高齢社会 の中で、これは本当に必要なものだと思います。 ○大島委員   いまのご発言も全くよくわかる話で、私自身も十分に理解しているつもりです。し たがって、いったいどういう医療が本当に求められているのか。これも非常に極端な 話がありまして、アンチエージングを出すまでもなくて、片一方では野垂れ死にのよ うな状況がひょっとしたら放置されるのではないかという危惧も現実に起こっていま すので、その間の中でいったいどんな医療が本当に必要なのかという議論を社会の中 で徹底的にきちんとして、老年医学などと関係のない単なる専門家が、都合のいい教 授ポストを狙って老年科に居座るなどというやり方は許しませんよということを、は っきりと社会からメッセージを出すことも必要だろうと思います。 ○部会長   ありがとうございました。いずれ検討したいと思います。救急科に戻りますが、救 命救急科としてむしろ明確にしたほうがいいのではないですか。内田委員、どうです か。 ○内田委員   私もそう思います。救急というのは、先ほどの説明を見ますと、非常に幅の広い一 次救急から三次救急まで全部含めるような話ですから、そこは機能を明確にしていっ たほうが国民にとってはわかりやすいのではないかと思います。それから救急医療提 供体制が地域ごとに作られていますから、その中であえて診療所なり病院の看板に救 急科というのを出す必要性があるのかという気もします。 ○部会長   ありがとうございました。これは検討事項にしましょう。「病理診断科(又は臨床検 査科)」。「又は」ですかね、この辺はどうですか。これは法律、行政用語ですか。 ○保健医療技術調整官    いまは両方使うことができます。 ○部会長    両方使えるという意味。新設だそうですが、これについてはどうですか。 ○内田委員    これは診療ではないですから、なぜこれを入れたのですか。 ○部会長    その思想がよくわからないので。 ○保健医療技術調整官    なぜ入れたのって、個別にするとあれなのですが。 ○部会長    いま診療科と言っているでしょう。 ○保健医療技術調整官   ただ、診療の領域として当然こういった病理による診断というのができるか、でき ないかを明示するのは、臨床医学といったらですが、基盤としての領域としてあるの ではないかということで入れていますので。 ○辻本委員   患者の不信感が高まる中で、例えば、がんの診断ということを主治医1人がしてい るのではないかと誤解をしている患者たちもいます。そこに、実は別の、医療の司法 と言われているような病理が関わっていて、その人の判断があってという現実をほと んどの人はわかっていないのです。セカンドオピニオンの推進が、昨今、診療点数に もなって患者のニーズが高まっていますが、不信感が根底にある場合も少なくありま せん。専門から説明を受けたいという一定レベルの要求の高い患者の声の中には、病 理診断ということで、例えばプレパラートの大きな画像をで、外科医もできれば同席 して、病理の説明を受けたいというお話は出ています。これはここ1、2年のお話で はなく、10年以上前から、そういった声が上がっています。ただ、診療に当たるかど うかという点については私どもはよく判断ができないのです。   同じく括弧書きで臨床検査科とありますが、臨床検査技師という役割が病院の中に あることを少なからず私どもも承知していますと、病理医の仕事と臨床検査技師の仕 事が何かイコールにならないような印象が、括弧を見て「えっ、どうして」という素 朴な疑問につながりました。 ○部会長    何かお答えはありますか。 ○保健医療技術調整官   ここは、事務局でどういう意思かということをあまり深くやるところではないかも しれませんが、確かに病理に関してはセカンドオピニオンの問題などもあって、診療 科名の標榜という形で入れることに関しては、全く違うとは言えないのではないかと いうこともあるので、当面、たたき台としては入れてあります。括弧書きについては、 ご議論いただければ、我々としてはその辺はどうにでもできますので、議論を優先さ せていただきたいと考えています。 ○部会長   皆さん本当に議論していただきたいのです。というのは通常は病院でいきますと、 病理診断部あるいは臨床検査部と、部として扱って、そこに医師がいる場合もあるし、 いない場合もあるわけです。技師がおられて扱っておられて、診断の最後のところは 患者を前にして医師がやることもあるわけですから、あえてこれを臨床検査科として、 患者を直接扱う診療科として扱うべきかどうかを議論していただきたいのです。通常 は部で扱っていますね。放射線科はなぜ独立しているかというと、これは治療がある からです。いちばん大きいのはそれでしょうね。 ○住友委員   平成8年の標榜科名のときに、病理科や先ほどの救急科、臨床検査科というのが出 ていますね。それから10年以上が経っていて、その理由が社会のあれで変わってい るかどうかですね。 ○部会長    参考資料の3ですか。 ○住友委員   参考資料の3です。この時点で保留になったものがここに復活しているといいます か、ここで事務局のほうで出していただいていますが。 ○部会長    ご説明いただけますか。 ○住友委員   例えば、平成8年の5頁には救急科があり、7頁には病理科、臨床検査科、先ほど の老人科というのも一応出ています。このときの理由と、現在の社会情勢からの見直 しの理由があるかどうかということです。 ○部会長    ありがとうございます。これは今日配られたばかりなので、少し勉強しましょう。 ○住友委員    10年が経っていますから、かなり変わっている可能性があります。 ○部会長    それはありますね。 ○保健医療技術調整官   事務局のたたき台での考え方は、もちろんいまお話にありましたように平成8年に も一定の考え方が示されて意見書が出ていますが、確かに10年が経っていて、基本 的には考え方を整理し直さなければいけないだろう。そういう考え方に立って、これ は最初にご説明したものとほとんど同じ内容ですが、そういった基盤的な分野という ものをきちんと今回は整理をしてということになります。 ○部会長   基盤的なものをなんとか国民の皆さんにわかりやすくお示しようということに関し ては、おそらくどなたも反対なさらないだろうと思いますが、具体的なことになりま すともう少し資料を読み込む必要もあるようです。今日のこのご議論プラスこれから 次の会までの間のまとめとして、ただいまいただきましたご意見を中に入れて、新た なたたき台を、あるいは少し進化したであろうたたき台をまたお示ししてということ になろうかと思います。   時間になってしまいましたので、本日はここまでにします。皆さん方から大変建設 的なご意見をたくさん頂戴しましたことを心からお礼申し上げたいと思います。次回 にまたよろしくお願いします。ありがとうございました。 ○局長   ありがとうございました。また次回以降、引き続きお願いを申し上げたいと思いま す。部会長には、議論を総合科と基本的な領域を中心とした政令で定める標榜科に分 けてご議論をいただきました。次回以降もそういった形でご議論をいただければと思 います。私どもとしては、基本的な考え方は、今回の情報の提供の見直しに並行して、 できるだけ規制は緩和をしていく。そういった中で、患者にとってわかりやすいこと を前提にご議論いただければと思っています。したがいまして、このような形でのご 提案になっていますが、今日もご議論をいろいろいただきましたので、また引き続き お願い申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。 ○部会長    それでは、終わります。 1