07/04/23 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 平成19年4月23日議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成19年4月23日(月) 18:00〜   東海大学校友会館「望星の間」 2.出席委員(16名)五十音順 伊 賀 立 二、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 大 野 泰 男、 神 山 美智子、 河 盛 隆 造、 木 津 純 子、 黒 木 由美子、   永 井 良 三、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 本 田 佳 子、   溝 口 昌 子、◎望 月 正 隆、 望 月 眞 弓、○山 口   徹 ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理   欠席委員(8名)   赤 堀 文 昭、 井 部 俊 子、 岩 田   誠、 笠 貫   宏、   佐 藤 光 源、 竹 嶋 康 弘、 藤 田 利 治、 松 本 和 則 3.行政機関出席者 高 橋 直 人(医薬食品局長) 黒 川 達 夫(大臣官房審議官) 中 澤 一 隆(総務課長)、小 林  剛(総務課医薬情報室長) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、俵 木 登美子(医療機器審査管理室長) 佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)、 伏 見   環(安全対策課長)、山 田 雅 信(安全使用推進室長) 村 上 貴 久(監視指導・麻薬対策課長) 大 西 証 史(監視指導・麻薬対策課監視指導室長)  関   英 一(血液対策課長)、植 村 展 生(血液対策企画官) 他 4.備考   本分科会は、公開で開催された。 ○総務課長 定刻となりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」 を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうござ います。当分科会の委員の数24名のうち、本日は16名御出席ということですが、現在 14名の方に既に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告 いたします。  まず、議事に先立ちまして、高橋医薬食品局長より御挨拶をいたします。 ○医薬食品局長 医薬食品局長の高橋でございます。本日は、このような時間ですが、 大変お忙しいところを御参集いただきまして、ありがとうございます。  本日は緊急の案件ということで、急遽この分科会の開催をお願いしたところです。ま ず一つは、信越化学工業の直江津工場での爆発事故に対する対応です。3月に信越化学 工業の直江津工場において爆発火災事故があったわけですが、同工場で製造しておりま す医薬品添加物の製造が現在停止されております。これが長期化をする場合には、医療 の現場に提供できない医薬品が一部出てくるおそれがあるということで、医療の現場に 混乱を招かないように必要な措置を講じなければならないのではないか、と私どもは考 えております。先生方の御意見もいただきまして、その対応に万全を期したいと考えて おります。  二つ目は、利益相反問題に対する本分科会としての対応について、御検討をお願いし たいということです。今般、個別の医薬品にかかわる公的研究班の研究者や審議会の委 員と企業からの寄付金との関係について、いわゆる利益相反の観点からルール作りが必 要である、という指摘がなされているところでございます。私どもといたしましては、 審議会運営のより一層の中立性・公平性の確保を図るために、審議会委員の皆様が研究 等の推進のための寄付金などを受けている場合の対応につきまして、ルール作りを早急 に進めていきたいと考えております。  委員の皆様方におかれましては、それぞれの議案につきまして、忌憚のない御意見を いただきますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私の御挨拶とさせて いただきます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長 では、望月(正)分科会長、以後の進行をお願いいたします。 ○望月(正)分科会長 それでは、始めさせていただきます。最初に事務局から配付資料 の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。議題1「信越化学工業株式会社直江津工 場の爆発火災事故による一部医薬品添加物の出荷停止に対応するための緊急措置につい て」は資料No.1、議題2「薬事分科会における利益相反問題への対応について」は資料 No.2となっております。その他、議事次第、座席表、名簿を配付しております。御確認 いただきたく存じます。 ○望月(正)分科会長 それでは、議事に入りたいと思います。議題1、資料No.1「信越 化学工業株式会社直江津工場の爆発火災事故による一部医薬品添加物の出荷停止に対応 するための緊急措置について」です。それでは、事務局より御説明をお願いします。 ○事務局 お手元の資料No.1に基づいて、議題1の信越化学工業株式会社直江津工場の 事故による医薬品添加物の出荷停止の状況と、これに対応するための緊急の措置の案を 御説明したいと思います。  まず状況ですが、先ほど局長からも簡単に御説明いたしましたが、信越化学工業株式 会社の直江津工場で3月20日に爆発火災事故が発生いたしました。事故のあった部門で 主に製造していたメチルセルロース、あるいはこれに関係する合計5種類の材料が、医 薬品の添加物に広く用いられております。事故のため、4月23日現在、まだ施設が停止 した状態です。  信越化学によりますと、安全対策あるいは近隣住民への御説明、あるいは御理解を得 てから、できれば5月末の製造再開、6月中旬の出荷再開を目指されていると聞いてお りますが、未だその見通しを確約できる状況ではないとのことです。  五つほどある医薬品の添加物ですが、信越化学による国内シェアは非常に高く、また 国際的に見ても、非常にシェアが高い材料です。資料No.1に書いていますが、メチルセ ルロースとヒプロメロースが海外で50%です。ヒプロメロースフタル酸エステルが90 %、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースア セテートサクシネートという二つの物質については、国際的に見てもほぼ100%を信越 化学が占めているという状況です。  また、医薬品の製造販売業者からの情報によりますと、これら五つの添加物について は、海外の製造業者も含め、他の製造業者からの入手を試みているようですが、現時点 で、上記のシェアの関係もあって、入手困難という状況にあります。  したがって、信越化学の事故による施設稼働停止が解除され、製造・出荷が再開され ない限り、この五つの添加物を使うとして承認された医薬品の製剤については、新しい 製造あるいは出荷が困難な状況にあります。 資料No.1の5ページですが、参考資料として信越化学による今回の事故の概要を記載し ています。6に、今回の事故により生産に影響を受けている先ほどの五つの材料が挙げ られています。また7に、信越化学としての現在の再開目標について記載があります。  6ページですが、日本製薬団体連合会から、今回の事故について、業界としての状況、 逼迫度、基本的な考え方と緊急的なさまざまな措置を要望している要望書があります。  9ページの別紙2の上の表の「添加物の用途および信越化学工業株式会社のシェア」 には、先ほど申し上げたとおり、国内的にはほぼ100%、世界的に見ても、それぞれ5 種類の材料が相当高いシェアを占めていることについて記載しております。  説明を少し飛ばしてしまいましたが、これらの五つの医薬品の添加物は、非常に多岐 にわたって使われており、主に錠剤などのコーティング剤、あるいは固形剤の崩壊剤な どに使われています。  10ページを御覧下さい。このたびの事故を受けて、私どもで4月11日付で緊急に、 日本製薬団体連合会を通じて今回の事故の影響を調査しました。その結果、4月16日に、 およそ160社から製剤の製造あるいは供給に対して、どの程度影響があるかについて回 答がありました。そのうち「3.緊急性を要する品目」で、4〜6月に医療現場への供給 に支障が生じないようにするためには、4〜6月に次の医薬品の製剤を製造する必要が あろうと見込まれているものが、いわゆる先発品で数えると、4月で数品目、5月で約 10品目、6月で約40品目控えている、という調査結果となりました。  括弧内ですが、4月で約50、5月で約150と書いていますのは、先発品に加え、いわ ゆる後発品あるいは一般用薬品を含めた数です。  具体的な品目については、この資料には記載しておりません。といいますのも、具体 的品目を現段階で挙げると、医療現場における仮需要などを発生させ、混乱を引き起こ しかねないということですので、御了承いただきたいと思います。なお、緊急措置の案 では、代替製剤の製造・出荷ということを述べていますが、その段階で代替製剤の出荷 に至る場合には、具体的な品目を製造販売業者あるいは機構のホームページなどで公表 していくことを考えており、後ほど御説明したいと考えております。  資料No.1の1ページに戻ります。以上、事故の状況、医薬品製造に及ぼす影響ですが、 (2)において、これらの添加物を入手ができないということで、代わりに同様の機能を 有する添加物を使おうとした場合には、製造販売業者の方で処方の検討、安定性・溶出 性といった品質の検討をしていただいた上で、さらに薬事法で承認事項一部変更承認申 請という手続を行う必要があります。この申請手続でデータを提出して、厚生労働省や 医薬品機構で審査をするのに、およそ半年あるいは1年という時間が必要です。  (3)ですが、他方、資料にもありますとおり、製造販売業者の医薬品の在庫などの状 況を勘案しますと、中には2か月程度しかないものもあるとのことで、信越化学による 添加物の出荷停止がこれ以上長引いていくと、医療の場に提供できない医薬品がかなり 出てくるおそれがあります。  厚生労働省としては、信越化学に対して、できる限り早期の製造・出荷の再開に向け て努力を行っていただきますよう要請しているところですが、冒頭申し上げましたよう に、まだ確約ができる状況ではないと聞いております。  このような状況でございまして、厚生労働省としては、2番ですが、緊急の措置を講 じることが必要であろうと考えております。2の(1)ですが、この事故によって5種の 添加物が入手できない、在庫が切れてしまう医薬品がある、さらには在庫の状況からい って、薬事法の定める一変承認を行ったうえで、製造・出荷するためには時間的余裕が ないという状況を考えますと、医療の現場に必要な医薬品の供給を絶やさないことが必 要不可欠である状況から、今回の事故に対して緊急的な措置を講じる必要があると考え ています。  (2)ですが、具体的には、医療に必要な医薬品について、時間的、技術的に可能な範 囲で代替製剤の製造・出荷を検討することとし、薬事法上の手続としては、薬事法第14 条10項で軽微変更届出という手続を定めており、この対象としたいと考えています。  4ページを御覧下さい。薬事法において、変更に当たっては一変承認のほかに軽微な 場合には、軽微変更届出という手続が可能となっています。これが4ページの薬事法第 14条第10項に定められております。  どの範囲でこの変更届出が可能かということですが、法律のもとに、薬事法施行規則 が定められていますが、その第47条に、この範囲以外であれば軽微変更をすることが可 能であると記載されており、この範囲である場合には軽微変更届出対象であり、今回の ケースも対処できるだろうと考えております。  そのうちの第5号に書いておりますように、「製品の品質、有効性及び安全性に影響 を与えるおそれのあるもの」以外である必要があるわけですが、その点については2ペ ージに戻ります。2の(2)の軽微変更届出で、そのおそれがあるかどうかの判断につい ては、今回が緊急の措置であることに鑑みて、各医薬品が医療上の必要性、その品質、 有効性、安全性をどの程度代替製剤において実質的に確保されているかを勘案しながら、 各製造販売業者が適切に判断することとしたいと考えています。  なお、一般的には、有効成分と添加剤との相互作用を十分配慮したり、薬剤が溶け出 す溶出性について検討したり、安定性をきちんと経時的にチェックしていただくという 各種の対応によって、代替製剤を作ったとしても、その品質、有効性及び安全性を一定 程度確保していくことは十分に可能であると考えております。  また、(3)にありますように、緊急措置ですが、当然信越化学からの材料供給が再開 されれば不要になるわけですので、必要最低限の期間としたいと考えております。  (4)は、代替製剤を出荷している間においては、念のため副作用情報の収集など、安 全対策を十分に入念的に講じていただきたいと考えております。  (5)は、今回の措置で代替製剤を製造・出荷する等については、厚生労働省、機構、 各製造販売業者のホームページなどを通じて、医療機関は当然ですが、広く国民に情報 を提供していきたいと考えております。  3番は、具体的にどうするかです。(1)代替製剤を検討する段階で、時間的・技術的 に可能な範囲ですが、十分に検討をしていただこうと思っており、(1)代替製剤に用いる 添加剤については、既承認の他の医薬品に用いられている添加物の中から選定する、そ してその量も既承認の範囲とする、ということを条件としたいと考えています。(2)溶出 性についてもきちんと確認するとともに、それぞれのロットごとに、承認規格に適合し ているかどうかをきちんと判断していただきたいと考えています。(3)においては、安定 性の点ですが、出荷後、きちんとサンプルを採って、並行して確認をとっていただきた いと考えています。   (2)代替製剤の製造や出荷においては、(1)必要最低限の期間の後、信越化学から添加 物の出荷が再開された場合には、通常の製剤に速やかに切り替えること、(2)代替製剤を 出荷する際、添加物が変更されておりますので、添加物を代替していることを記載した 文書をきちんと添付する等の情報の伝達を図る、(3)副作用情報の収集等を入念に講じる、 (4)通常製剤の出荷を再開した場合は、速やかに市場にある代替製剤を回収していただき たい、と考えています。  (3)情報提供については、広くホームページ等で公表していくこととし、また、通常 の軽微変更届出のタイミングが施行規則で規定されていますが、今回に限っては出荷前 に必ず提出することとしたいと考えています。  (4)厚生労働省及び機構としても、これらの今回の措置について、副作用報告に特段 の注意を払っていくほか、機構のホームページなどで、各代替製剤の製造・出荷あるい は回収の状況等を公表するなど、情報提供を図っていきたいと考えております。  以上、資料No.1の説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○望月(正)分科会長 それでは関連しまして、西島先生から追加の御発言等はございま すでしょうか。 ○西島委員 簡単に追加させていただきます。今回の件については、私たちの研究所の 担当者が対策について化学的な観点から検討して、審査課に意見を述べさせていただき ました。そして、具体的な対策として、御説明のような内容のところに意見を取り入れ ていただいております。  今回、問題となっている添加物は、御説明がありましたように、錠剤のフィルムコー ト基剤や固形剤のバインダーあるいは崩壊剤など、薬の製剤化のための使用が主な目的 ですので、科学的には添加物と有効成分との相互作用への配慮、具体的に申しますと、 薬物と添加物の相互作用の結果、薬物の溶出や吸収に対して促進的な作用、あるいは阻 害的な作用があるのかないのかという点に関する検討、また、製剤の溶出性及び安定性 の検討がポイントになると、科学的には考えられると判断いたしました。  これらの点を考慮して、代替製剤の検討項目の第1点としては、既承認の他の医薬品 に用いられている添加物の中から添加物を選定して、その際、有効成分との化学的相互 作用等について、まず配慮するということ。  第2点としては、溶出試験については、変更前の製品との比較だけではなく、出荷ロ ットごとの試験を行ってほしいということ。  第3点目は、安定性に関しては実時間、実条件で安定性を確認することが重要ではな いかということでコメントしてきました。今回、このような非常にやむを得ない緊急対 策の代替製剤としては、これら3点を中心に考慮・検討すれば、科学的にはほぼ問題は なかろうというのが、私たち研究所の判断です。以上です。  ○望月(正)分科会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々からの御意見・ 御質問等がありましたら、いただきたいと思います。 ○神山委員 質問ですが、信越化学のように世界でも100%のシェアという事実を、事 前にどこかで把握しているという制度があるのでしょうか。火事になって初めて分かっ たのか、あるいはこういう状況にあるのだということが日常的に分かっているのかどう かを伺いたいと思います。 ○望月(正)分科会長 事務局からお答えいただけませんか。 ○審査管理課長 少なくとも私が承知している限り、そのような制度があるとは存じて おりません。今回の事例も、個別の医薬品企業あるいは団体の方から我々の方に通報が あって、我々はそれで初めて知ったのです。 ○望月(正)分科会長 ほかの御意見はございますでしょうか。 ○望月(眞)委員 情報の提供のところですが、こちらの方の案では、あまり細かいこと が書かれておらず、添加物の内容等を添付文書とともに付けて情報を提供するというこ とが、3ページの(2)の(2)に書かれています。  製薬企業の方からの御提案が7ページの(3)の「情報の開示」に書いてありますが、 こちらでは添加物の名称はもちろんですが、製造番号ごとの試験結果についても情報を 提供するという形になっております。溶出性などきちんと適合して、従来品と比べて遜 色ないというところは、医療関係者に情報提供をされたほうがいいと思います。ここに はその意味も入っているのかもしれませんが、そこを確認したいと思います。 ○審査管理課長 3ページの(3)の(1)の3行目の「また」の所で、代替製剤の試験結果、 それに加えてその出荷を適当と判断した理由についても、ホームページ等を通じて公表 するよう言っておりまして、そういう意味で申し上げますと、先生が御指摘の点は、そ れに含まれているのではないかと考えております。 ○望月(眞)委員 それでしたら結構なのですが、今回の製品は薬局等で扱うことも多く なってくると思いますので、ホームページ等だけではなく、できれば製品に添付される 文書のような形で御提供いただいたほうが施設に確実に伝わるのではないかと思いま す。 ○望月(正)分科会長 その点はいかがですか。 ○審査管理課長 医薬品製造の現場から申し上げますと、恐らく機械的に打錠をして、 例えばPTP包装をして、それを箱に詰めていくという一連の自動化された作業が行わ れ、サンプルを取って、並行して試験をやっていき、その試験結果を紙にまとめて、そ の製品に添付するというのは非常に難しいのだろうと考えますが、私が知っている限り では、試験結果までをすべて製品に添付するというのは難しいとは思いますが、その点 は実情として可能かどうか。可能であれば、もちろん先生の御意見も踏まえて、そのよ うな形で対応してもらいたいと思いますが、今ここで「そうします」というのは非常に 難しいのだろうと考えているということを申し上げたいと思います。 ○望月(眞)委員 分かりました。なかなかインターネットを見ることができないという 店舗もあるやに聞いておりますので、何かの方法を使って配慮をしていただければと思 います。 ○望月(正)分科会長 「ホームページ等」の「等」の意味をどのようにとったらいいか ということだと思いますが、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 ほとんどの企業は、当然のことながらホームページを備えていると思 いますが、団体といつも話をしておりますと、社長の方針でホームページを持っていな い企業もあるということも聞くわけですが、製造ロットごとの試験結果は非常に難しい と思いますが、代替製剤をどのような形で考えたかというのは、添付しようとする文書 のところで書けるかもしれませんので、そういう形で御勘弁いただくのかなと考えてい るところです。 ○望月(正)分科会長 よろしいでしょうか。それでは、添付文書に示すとともに説明を 製品に添付するというところに、「等」の意味が入ってくるのですね。ほかに御意見は ございますか。 ○溝口委員 今の件ですが、製品に情報を付けることが無理でしたら、調べなくても済 むように、販売業者のホームページの番号だけでも付けておいたらいかがでしょうか。 そうしたら、それを開けてみれば、使う方は分かると思います。 ○望月(正)分科会長 アドレスを付けるという点についてはいかがですか。 ○審査管理課長 その点につきましては、(2)の(2)にある文書にも明記をすることにし たいと思いますし、機構のホームページに一覧表を掲げることを約束しているわけです が、その中でも会社のホームページが明記できるように配慮したいと思います。 ○望月(正)分科会長 ありがとうございます。 ○板倉委員 一般用医薬品の場合も、販売される可能性があると考えていいのだろうと 思いますが、その場合に消費者が購入する時点、開封する前の時点でも、商品が変わっ ていることは確認できるようになると考えてよろしいのでしょうか。 ○審査管理課長 いわゆる一般用医薬品を、一般用医薬品だからという理由のみをもっ て除外するというのは考えておりません。今回の措置は、それぞれの医薬品ごとの医療 上の必要性と、代替製剤の時間的、あるいは技術的な限界はあろうとは存じますが、そ の限界の中で、どのぐらい品質が担保できるのかという兼ね合いをもって判断してもら いたいと考えています。  その上で申し上げますと、一般用医薬品についても、(2)の(2)、すなわち、緊急に代 替の添加物を使用して製造した旨を記載した文書というのは付けていただくことになり ますので、先生が御指摘のとおり、一般用についても同じような対応になるということ です。 ○望月(正)分科会長 ということで、開ける前に見て分かるようになると思います。 ○木津委員 製剤の適合試験をして、その出荷の適否を判断することという形になって いますが、その基準というのは、例えば公表されるものなのでしょうか。  というのは、ホームページを見て、試験結果を見なくても、この製品は、この基準何 パーセント以内とか、そういうところはクリアしています、という表示が可能かどうか ということについて教えていただきたいのです。 ○審査管理課長 製品規格に対する御質問だろうと思いますが、製品規格というのは、 個々の医薬品の承認書に記載がされております。もちろん、こういう分科会で御議論さ れる際に、その規格の裏付けとなった資料を基にこれで適切かということを御審議いた だくわけですが、その規格自体の積極的な公表が行われているかという点から言います と、積極的な公表は行われていません。ここで審議される機構の報告書等が機構のホー ムページで見られるという状況になっているのではないかと考えています。 ○木津委員 そうしますと、出荷の適否を判断するのは製造業者に一任されているとい う形になるわけですか。 ○審査管理課長 製造業者が一義的に判断をして、それを都道府県の薬事監視員がGM Pの一環として査察に行くというのが通常の薬事監視のシステムですが、今回について は、特別にその試験結果を、企業のホームページが主になると思いますが、そこで公開 をしていくということを併せてやっています。 ○黒木委員 今回は緊急措置ということで代替製剤を認める方向で、ということですが、 このような場合に一般薬もありますので、副作用とか、有害事象が発生した場合の報告 も速やかであるべきだと思います。その点についてコメントをお願いします。 ○審査管理課長 その点は非常に重要な点と考えておりまして、万が一にもそのような ことがないように万全を尽くすのは当然ですが、そのような事態が起こることも当然想 定しなければならないと思っております。  2ページの2の「必要性と基本的考え方」の中でも、(4)において、収集等の安全対 策を入念に講じるように、要するに目を光らせておくように言っているわけです。目を 光らせて、そこで副作用情報があったら、速やかに報告していただくのも当然の措置だ ろうと考えています。 ○望月(正)分科会長 それでは、このような委員の意見に基づいて、これをもう一度検 討していただいて、原則として、この案については緊急ということで、軽微変更という 形でやらせていただくことに特段の御異義がなければ、御了承いただいたということで よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。  それでは次の議題に入りたいと思います。議題2、資料No.2「薬事分科会における利 益相反問題への対応について」です。それでは、事務局より御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、議題2「薬事分科会における利益相反問題への対応について」、 資料No.2に基づいて御説明します。まずこの議題の背景ですが、先ほどの局長の挨拶に もありましたように、先日来、個別の医薬品に関し、個別のメーカーからの寄付金等と 研究者あるいは公的研究班について問題を指摘されるような事例があったことなどか ら、当薬事分科会における、いわゆる利益相反問題への対応を早急に議論いただく必要 が出てきたものです。  これに対して、事務局から対応案を資料No.2として提示しております。すなわち、1 番は「ルール作りに向けた今後の対応」であり、利益相反に関するルール作りの検討を 開始することとしたい。慎重に審議・検討する必要がありますので、時期的には年内を 目途に分科会としてのルール(申し合わせ事項)を策定することにしてはどうかというこ とです。  具体的な対応としては、分科会メンバーを中心に、外部関係者を交えたワーキンググ ループを設置し、我が国における寄付金などの実態や諸外国の状況(ルール)などの情報 を十分に収集し、それを斟酌して検討を行ってはどうかと考えております。  別紙1が利益相反検討ワーキンググループの案です。薬事分科会メンバーから望月 (正)分科会長をはじめ、臨床の先生2人、弁護士として神山先生、基礎研究からの代表 として西島先生にお入りいただいた5名を予定しております。さらに外部有識者として、 法律家を2名、マスコミ関係者1名の合計3名。具体的な人選については座長と相談し て、追って任命するという形で、合計8名程度のワーキンググループにしてはどうかと 考えております。1ページに戻りますが、一般的なルール作りについての対応は今説明 したような形で、今後、作業を進めていくことにしたいと思っております。  2番ですが、当薬事審議会では継続的に審議を進めていかなければなりませんので、 それまでの間の取扱いとして、これまでも治験データなどを作成した委員、いわゆる資 料作成関与委員については、退席していただくという形での取扱いを行ってきていたわ けですが、それに加えてもう少し経済的な利害、利益についての取扱いも含めた暫定ル ールを作って対応してはどうかということです。  その適用範囲ですが、原則として「個別の医薬品等の承認審査、あるいは安全対策に 係る審議を行う分科会・部会・調査会」に対して、暫定ルールを適用することにしては どうかということです。具体的には、ここにある部会レベルでは、医薬品第一部会、医 薬品第二部会から始めて、動物用医薬品等部会までの部会を、この暫定ルールの適用範 囲としたいと考えております。  それでは、その暫定ルールですが、別紙2であります。申し合わせの案という形で提 示しておりますが、利益相反の取扱いについて、欧米においては、既に先進的な事例が あります。具体的にはアメリカFDA、あるいは欧州の医薬品審査庁(EMEA)におい ては、既にガイドラインが策定されておりますし、アメリカFDAにおいては、更に現 行ガイドラインを改正するという形で、現在正にパブリックコメントを求めているとい う状況にあります。したがって、暫定のルールですが、とりあえずアメリカFDA、欧 州EMEAが定めている、あるいはこれから定めようとしているガイドラインの内容を 参考に、この案を提案するものです。  大きな方針としては、1と2で、具体的取扱いが下の1〜4に書いてあります。基本 的な考え方として、1のとおり「過去3年間に遡って、審議品目の製造販売業者からの 寄付金等の受取実績があり、その寄付金等の受取額が、過去3年間で年間500万円を超 える年がある委員におかれましては、基本的にその審議品目の審議を行うときに、審議 会場から退室していただく」という取扱いにしてはどうかということです。  ここで審議品目ということについては、原則として、注1の個別品目の承認の可否、 個別品目の安全対策措置の要否に係るものを想定しています。注2の寄付金等の範囲に ついては後ほど御説明いたします。  大方針の2番ですが、500万円を超える場合には、その審議会場から退室するという 扱いにする一方、逆に過去3年間、いずれの年も寄付金等が年間500万円以下の場合に ついては、この分科会・部会・調査会には出席し、意見を述べることはできるが、当該 審議品目についての最終的な議決には加わらないという形にしてはどうかということで す。  ただし書を付していますが、その寄付金等が、講演・原稿執筆その他これに類する行 為による報酬のみであり、その額が、過去3年間いずれも年間50万円以下の場合に該当 する委員の場合には、出席もできるし、さらに議決にも加わることができるという方針 としてはどうかということです。  以上が大方針ですが、その具体的取扱いで、いちばん問題となるのは「寄付金等」で す。ここで言う寄付金等の範囲は、アメリカ、あるいはヨーロッパの例を参考にして、 基本的にはコンサルタント料・指導料、特許権・特許権使用料・商標権による報酬、講 演・原稿執筆その他これに類する行為による報酬、それに加えて、当該企業から研究者 個人が実質的な受取人となる受託研究の研究契約金、あるいは(奨学)寄付金について、 実際にその研究者に割り当てられた額の相当分を、その「寄付金等」という形で含めて はどうかということです。  なお、欧米では株についてもその取扱いを考慮しておりますので、過去3年間のうち の当該年度においては、保有している当該企業の株式の株式価値もその金額の計算に含 めるという扱いにするというものです。  2番の内容は、1番の研究者個人が実質的な受取人となるという部分の裏返しですが、 基本的には委員個人宛の寄付金等とみなせる範囲を計算の対象とするわけですが、例え ば本人名義であったとしても、学部長あるいは施設長などの立場で、学部あるいは施設 などの組織に対する寄付金であることが明確な場合は、当然のことながら、当てはまら ないという扱いです。  3番は、具体的に過去3年間といった場合の計算の起点ですが、審議会開催の都度、 その日からを起算日とした過去3年間の内容について、自己申告していただくことを考 えています。  最後にその取扱いですが、各審議会の開催の都度、事務局より各委員がこのルールに 照らして審議会に参加できるのかどうかという参加の可否等について報告する。それと ともにその取扱いについては、議事録に残すという形にしようというものです。  以上簡単ですが、こういう取扱いにしてはどうかということです。よろしく御審議の ほど、お願いいたします。 ○望月(正)分科会長 それでは、委員の方々からの御意見・御質問等をいただきたいと 思いますが、いかがでしょうか。 ○大野委員 質問ですが、この中に、例えば学会を開いたとき、国際学会とか国内学会 などに寄付金がありますが、そういう場合はどのように取り扱われるのでしょうか。例 えば、大正製薬の場合、どれぐらい関係があるのか分かりませんが、上原財団などのよ うな財団、若干そのような企業と関係があるような所からもらった場合は、どう考える のか、その辺の御意見をお聞きしたいのですが。 ○望月(正)分科会長 事務局から御説明ください。 ○事務局 最初の質問の学会への寄付でしょうか。その場合には、例えば学会の会長と いう立場で、その学会に寄付をもらったという場合には、あくまでも学会に対しての寄 付だと理解すべきだと思いますので、それは含まないというように整理すべきではない かと思います。  それから、財団、例えば製薬企業からなされた寄付金などを原資とするような公益法 人や財団がありますが、そういう所から具体的な寄付がなされている場合については、 仮にそれが製薬企業からの寄付金などが公益法人等の原資となったとしても、原則とし て、それは公益法人である財団などからの寄付、あるいは研究費という形をとっている 以上は、それは製薬企業からの寄付金等には当てはまらないという扱いにすべきではな いかと思っています。  ただ、トンネルのような財団があるではないかという御指摘が仮にあったとすれば、 それはあくまでも個別の財団の運営の問題であろうかと思いますので、それはその財団 の運営の適正化を指導すべきだと考えています。 ○望月(正)分科会長 ほかにいかがですか。 ○神山委員 私は部外者ですので、奨学寄付金というものが理解できないのです。奨学 寄付金について、御説明いただきたいと思います。  奨学寄付金と、その次の学部長あるいは施設長等の立場での組織に対する寄付という ものが明確に区別ができるものなのかどうかを伺いたいと思います。 ○事務局 奨学寄付金というのは、いわゆる奨学のための寄付金というもので、企業か らある特定の講座あるいは先生に寄付・契約研究の申込みがなされる場合に、ある特定 の「こういう研究をしてください」という、ある程度使途を明記した形での研究申込み がなされる場合と、そうではなくて、広くその先生の研究活動を補助・支援するという 形での寄付という、その二つの性格のものがあると承知しています。奨学寄付金という のは、そのうちの後者の、広く一般的なその先生の活動費用を支援する内容の寄付金だ と理解しております。  施設への寄付の場合と個人への寄付の区別ができるかということについては、具体的 な扱いは各大学で違っている部分もあろうかと思いますが、そこは今後詳しく調査をし ていく必要があろうかと思います。基本的には今の扱いとしては、寄付金などは各施設 あるいは学部などに一括で寄付金という形で入って、そこから先は個別の先生、個別の 教授、あるいは個別の講座にこれだけ振り込んでください、という形で割り振られるこ とになっていると承知しています。計算上は一応分けられるのではないかと理解してい ます。 ○神山委員 最後の説明がよく分からなかったのですが、施設に一遍入って、それが各 教授に割り当てられるというのは、施設への寄付で、教授への寄付ではないということ ですか。 ○事務局 簡単に申し上げますと、各講座の教授が審議会の委員だったとした場合には、 形式的にはその施設に入ったものが割り当てられて講座に入ったときには、それは、そ の教授が委員個人として取り扱える寄付金とみなすべきだと考えております。 ○望月(正)分科会長 ほかの先生方からいかがでしょうか。 ○神山委員 私は本職が弁護士ですので、利益相反というものの考え方が全く違うので、 この問題は非常に違和感があります。法律的な紛争ですと、本当に対立当事者ですから、 利益相反が明確です。例えば、御夫婦でもめているときに、奥さんから2回ぐらい法律 相談を受けるとすると、いただくお金は1万円か2万円ぐらいですが、それでも御主人 の代理はできないことになっています。ですので、50万円とか500万円とかとてつもな い金額なのです。こういう審議の場合ですと、その辺の対立構造が、非常に見えにくい。 私たちのような職業ですと、敵と味方ですから、それこそ本当に対立しているので、相 手方から50万円もらったら自分の身分にかかわるというぐらいの懲戒制度もあります。 そういうことからすると、非常に違う世界の話で、たぶん一般の方も違う世界の話だと いう感想を持つのではないかという、感想のような意見のようなものです。 ○医薬食品局長 その点は、今、神山先生がお話になったことと、ここでお話している ことは少し違うのです。利益相反という言葉は、ある意味では用語としてはまずいのか もしれません。よく利害衝突と言いますけれども。先生がおっしゃっているのは、まさ に民間の民事上のいろいろな紛争のときにAとBが争っていて、弁護士が中へ入る場合 に、どちらかにしか立てないので、双方代理は絶対に禁じられています。  あるいは金融の世界にも、よくある委託側と受託側の間に立って、両方のために働く というのは、民事上も普通は禁じられています。今お話しているのは、公益にかかわる 問題について、今、審議をしている対象の製品について、一種の利害関係なり、利害関 係までもないのですが、そういう過去、ある意味では経済的なベネフィットを受けてい るかもしれない。そういった立場のときに、公益の判断を形成するに当たって、何か歪 みをもたらすおそれがないかどうかを考えようということで、そこをチェックするとい う意味です。民事的な意味での利害相反ではないということは、御理解いただきたいと 思います。 ○望月(正)分科会長 ということですが、よろしいでしょうか。ほかの先生方、御意見 ございますか。 ○西島委員 国立の研究機関では、例えば、ヒューマンサイエンス財団などからの受託 研究というのがあります。これでいただいたお金もこの範疇に入るのでしょうか。 ○事務局 これについては、先ほど御説明しましたが、基本的には公益法人であるヒュ ーマンサイエンス財団からの研究費ということであれば、今回の500万円かどうかとい う際の計算には入れない扱いにすべきだと思います。 ○望月(正)分科会長 公益性のある所からの研究費は構わないというか、研究のために いただいているので、特に問題にはしないということなのです。 ○溝口委員 額は少なくても、奨学寄付金をもらっている臨床の教室は多いと思います。 その場合、もちろん大学に振り込まれますが、それはあくまでも全部大学が管理して、 経理課が全部やってくれている大学と、経理課の人数が足りないので、そこまでどうし てもできない場合は、講座に振り込まれて、その講座の代表という形で教授の名前が付 く場合があると思います。大学が全部やった場合と、経理課の手が回らなくて講座に回 した場合と扱いが異なるでしょうか。 ○望月(正)分科会長 この辺の区別はどうしたらいいですか。 ○事務局 基本的には異ならないと考えております。基本的に各講座で自由に、奨学寄 付金として割り当てられる額がいくらなのかという扱いですので、それが経理事務を一 括で管理されていようと、各個別の講座で管理するという形であろうと、その経理の運 営の仕方は問わないという形を考えています。 ○溝口委員 分かりました。使っていい対象も縛りがあるところがあるのですが、それ も関係ありませんか。例えば、研究以外のものに使ってはいけないという縛りがきちん とある大学もあると思いますが、いかがでしょうか。 ○望月(正)分科会長 これは誰が答えるのが適切か難しいですね。 ○事務局 その縛りは特に関係なく、この金額には入れていただくという形かと思いま す。 ○望月(正)分科会長 トータルでということだと思いますが。ほかにはいかがでしょう か。 ○板倉委員 一般国民の感覚からいうと、普段給料をもらっているのに、さらに500万 円を3年間続けてもらっていること自体が、非常に希有な感じがあるのです。それは、 なぜ500万円という線引きがあるかという説明が、ここの資料から分からないからだと 思います。  例えば、研究にお金がかかるから、その研究費を今のところ、企業から出してもらわ なければ進まないような状況なのかどうかなども、全く分からないところで、500万円 というお金がいきなり出てきたところでは、一般の庶民感覚からすれば、500万円以下 だったらいいとか、悪いとかいうことだけを判断させられなければいけないのだろうか という気が、この委員の席に座っていてします。なぜこういう線引きが出ているのかで す。  もう一つは、私自身は独立行政法人ですので倫理規程がほぼ公務員並みです。そうい う意味で非常に厳しい制約の中で業務をしております。審議会の委員というのは非常勤 の公務員であると言われた覚えがあるのですが、それがどの辺まで審議会の委員として 倫理規程に沿わなければいけないのか。私の場合はどちらにしても同じなので、あまり 深く考えたことがないのですが、それとの関係で、これがどういう位置づけになってい るのかも分からなかったので、それも踏まえて、この案が出てきている根拠というか、 そういうものを御説明いただきたいと思います。 ○望月(正)分科会長 給料みたいなものと研究費を、その辺りを整理して、事務局の方 で御説明いただけますか。 ○事務局 まず、500万円というのがなぜ出てきたのかということですが、先ほどアメ リカあるいはヨーロッパの方で、既にガイドラインがある、あるいはアメリカについて はそれの改正の途中であるということを御説明しました。それの内容の説明は、詳しく は省略させていただきますが、欧州EMEAにおけるガイドラインでは、関係企業から の経済的利害、これには講演や株なども入るわけですが、それで5万ユーロを超えるか どうかというところが、審議会へ参加する、しないの一つの基準となっています。  それから、アメリカの方については、現行ではかなり個別の項目ごとに金額のレベル を変えて参加の可否を判断するというルールにしているわけですが、それを改正する現 在の案では、これも関係企業からの経済的利益が5万ドルを超えるかどうかで一つの線 引きをしているということがあります。したがって、円換算した場合、やや厳しめには なりますが、5万ユーロ、5万ドルに対応する金額として500万円で一つの線引きをし たらどうかというのが、この案を提案している根拠です。  その額が一般の感覚からは非常に懸け離れているのではないかということに関して は、ここには研究費や治験の費用、あるいは奨学寄付金を受け取っている場合も、全部 ひっくるめての額という形になっています。例えば、奨学寄付金については、大学の研 究室で学生に対しての教育・指導をするのに、当然いろいろな費用がかかってくるわけ ですが、その支援のために必要となる費用を、民間から寄付として受け付けているもの で、学業の支援という形で寄付を募っている面もあることを少し御配慮いただきたいと いうことです。医局などにおいても、教授の下にレジデントがいるわけですので、その 教育・支援の面も、そういうお金の中には入っているのだと思います。  最後に倫理規程がどうなるのかという御指摘ですが、質問の趣旨をはき違えていたら、 大変申し訳ございません。審議会の委員の先生方におかれましては、非常勤の公務員と いう扱いになりますので、当然、法令遵守や秘密の保持など、非常勤公務員としての義 務がかかる形になります。ただ、非常勤公務員である審議会のメンバーについては倫理 規程は法令上はかからないという形になるというのが、法令上の整理です。以上です。 ○望月(正)分科会長 ほかにどなたか御意見ございますか。 ○神山委員 今の板倉委員の最初の問題というのは、治験の費用が出るというのではな く、例えば奨学寄付金のような学生の学業成就を助けるための寄付が、医薬品メーカー から出ているということがなければ、日本の大学は成り立っていかないのかという部分 に対する驚きというか、そういうことをおっしゃっていたのだと思います。  その話はともかくとして、確認していただきたいのは、そういうことも含めて、今回 の申し合わせというのは暫定的なものであって、新しくワーキンググループを作るとき には、そういった実情はどうなのかというようなところから始めて、全く白紙の議論を するのであって、申し合わせの内容には一切拘束されないということを確認しておいて いただきたいと思います。 ○望月(正)分科会長 そのためにも、期間がやや必要だと私は理解しております。 ○総務課長 全くそのとおりでございまして、きちんと情報収集をし、分析をし、検討 し、正式なものはワーキンググループで案を作りたいと考えております。 ○板倉委員 「寄付金等」の「等」というのが非常に微妙だと思います。「等」と言っ ても、例えば、研究費や最終的に公益につながっていくようなものについて、それを手 に入れたからといって、国民から文句は言われないと思うのですが、この中に自分の懐 に入るお金としても500万円というのがあるということが見られるので、発言をして審 議の状況に影響を与えるにもかかわらず、500万円もらえると見えてしまうところで、 国民に対する説明としては不十分なような気がします。  先ほどの海外のどうのこうのというのも、なぜユーロとかそういう基準ができなけれ ばいけなかったかというそもそも論の説明なしに、アメリカやヨーロッパの例を持って きて、それと比べて、うちの方は厳しいのだというだけの説明では、国民の皆様にコン センサスを得られるような議論にはならないと思います。ですから、それなりの理由が あることについて、おかしいということはないと思いますが、その説明が今不十分なよ うな気がしますので、是非そういったことについて説明をいただきたいと思います。 ○事務局 アメリカもヨーロッパもそうだと思いますが、いわゆる審議会あるいはアド バイザリコミッティーなどで委員として御審議いただく先生方というのは、その道でも 第一人者です。例えば、新しい薬を開発する場合には、当然そういう第一人者の先生の 所で研究することもよくある話ですので、そのような意味では審議をいただく先生と、 メーカーの方で開発をするときに相談を持ちかける先生がある程度重なるのも仕方がな いのです。  そうはいっても、欧米においても、一定の基準額の線引きをしなければいけないだろ うということから、一定の額として5万ドルあるいは5万ユーロという数の線引きをし たのだと思います。そこは審議会の委員がその道の専門家で、代替できる人はあまりい ないというか、数少ないエキスパートと言われる方々にお願いしていることから生じる、 避けられない面もあるのではないかと考えております。いずれにしても、その辺りも含 めて、欧米の考え方について、正式ルールを作るときには詳しく調べ、考え方を整理す る必要があると思っています。 ○望月(正)分科会長 ということでよろしいでしょうか。自分の懐に入れて、そのため に有利な発言をするということではないということです。 ○望月(眞)委員 今の皆さんの御議論を聞いていて、やはり「寄付金等」の範囲がよく 分からない、不明瞭であるというのがとてもあって、それがいろいろな理解が進まない ところにつながっていると思います。いずれにしても、先ほどの分科会長のお話ですと、 しばらくの間は、この申し合わせ案が有効だとしますと、気になる点が2点あります。 「具体的取扱」の1の3行目に「当該企業からの研究者個人が実質的な受取人となる」 という、この表現が気になるところです。もう一つは、先ほどから出ている2の「委員 個人宛の寄付金等とみなせる範囲」というところ。この2か所がうまく表現されていな いために、うまく伝わっていない部分もあるのかと思いますので、この2か所について、 この申し合わせ案の段階で、もう少し具体的な表現をとっていただけると、誤解も少し なくなるかと思います。誤解ではないかもしれませんが、理解が進むかもしれないと思 います。 ○望月(正)分科会長 この点についてはいかがでしょうか。 ○事務局 今、望月(眞)先生から御指摘のあった、表現の部分がどういうことを想定し ているのかについて、少し御説明させていただきます。治験などの費用も含めて、いわ ゆる受託研究費あるいは寄付金については、国立大学法人等では一般的に経理上は大学 又は病院などに一括で納入されていて、その後各研究講座若しくは各医局にそれぞれ割 当額が配分されていっているという状況であると理解しております。  この場合において、審議会の委員が大学における講座の教授又は病院における医局を 統括する医局長のような教授である場合には、この講座若しくは医局に実際に配分され た金額を、ここでいう研究者個人が実質的な受取人となる研究契約金あるいは(奨学)寄 付金という扱いにしてはどうかということです。 ○望月(正)分科会長 ということで講座主任なり医局長が受け取ったという形になると いうことだと思います。いろいろな御意見がありますが、このような問題に対してルー ル作りをするということについては、皆さん異議はないかと思います。  当面の2番目の対応として申し合わせがありますが、これについては皆さんからいろ いろな御意見が出されましたので、一応事務局で考えていたただくということで、全体 的には、この案については御了承いただけると理解してよろしいでしょうか。  それでは、それぞれの対応について、事務局からまとめていただけますでしょうか。 ○事務局 それでは、「具体的取扱」の1の3行目ですが、「研究者個人が実質的な受 取人となる」云々と、それとの関連ですが、2の1行目の「委員個人宛の寄付金等とみ なせる範囲」という部分については、少し分科会長とも相談させていただきながら、表 現ぶりをもう少し分かりやすくと言いましょうか、練れた表現にするということにさせ ていただければと思います。 ○望月(正)分科会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明でよろしいで しょうか。それでは、本取扱いにつきましては、原案は了承いただいたということにい たしたいと思います。今後、具体的な文案につきましては、ただ今、事務局から説明が ありましたが、私と事務局で相談してということで一任いただいてよろしいでしょうか。  それでは、本件について御了承していただいたものといたします。そのほか、この場 で何かありますでしょうか。なければ本日の議事を終了させていただきます。  これで薬事分科会を閉会いたします。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)      - 1 -