07/03/29 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会平成19年3月29日議事録 07/03/29 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会          第7回議事録  (1)日時  平成19年3月29日(木) (2)場所  厚生労働省専用18〜20会議室 (3)出席者 糠谷部会長 鴨下部会長代理 遠藤久夫委員 川越厚委員         高久史麿委員 野中博委員 堀田力委員 村松静子委員        <事務局>        白石審議官 原医療課長 唐澤総務課長 他 (4)議題  ○後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方(案)について (5)議事内容 ○糠谷部会長  それではまだお見えになっていない委員もおられますけれども、時間が参りましたので 高齢者医療の在り方に関する特別部会を開催いたします。  まず委員の出欠状況について報告いたします。本日は辻本委員が所用のため御欠席とい うことでございます。高久委員は所用のためおくれていらっしゃるという御連絡がござい ます。また保険局長は公務のために欠席する旨の連絡を受けております。  それでは議事に移りたいと思います。前回の特別部会においては、「後期高齢者医療の 在り方について(検討のたたき台)」の議論をいただきました。また、本部会の後に開催 された医療保険部会及び医療部会においても同様に検討のたたき台をお示しし議論をいた だいたところでございます。  本日は、現在の特別部会においてもお伝えいたしましたとおり、特別部会、医療部会及 び医療保険部会でなされた指摘を事務局において整理させた上で、「検討のたたき台」を もとに「基本的考え方」の素案を作成させましたので、それについて議論をお願いしたい と考えております。  それでは事務局より資料に沿って説明を願います。 ○医療課長  医療課長でございます。まず資料でございますが、議事次第ですが、実は議題がちょっ と間違っておりましたので、今お手元に訂正したのを配らせていただいています。  資料1、「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方(案)」でございます。これ は後ほど説明させていただきたいと思います。その前に資料2−1から2−3について少 し御説明をさせていただきます。  資料2−1につきましては、前回この部会で出されました主な意見につきまして、心身 の特性あるいは基本的な視点について、それから後期高齢者医療における課題そして後期 高齢者医療にふさわしい医療の体系についてのたたき台の大項目に沿っていただいた意見 を整理させていただいたものでございます。本日はこれにつきましては説明を省略させて いただきます。  資料2−2をごらんいただきたいと思います。前回たたき台についてここの特別委員会 でつくりましたものを、3月1日に社会保障審議会医療保険部会、それから3月9日には 社会保障審議会医療部会におかけいたしまして、それぞれの部会の意見をちょうだいして おります。2−2の方は社会保障審議会医療保険部会における主な意見でございます。  簡単に御説明をいたしますと、位置や視点あるいは基本的な特性というところについて は大きな意見がございませんでしたが、三番目の「後期高齢者における課題」という部分 につきましては、患者自身が正しく理解して選択すること、あるいは納得して医療を受け ることが重要であるという御意見をいただいております。  四番目の、「後期高齢者にふさわしい医療の体系」のところでは、これを全部説明する と時間もありますので、一つ目の○で、後期高齢者の特性に配慮した医療が、患者の尊厳、 安心、納得等が確保された上で、効率的に提供されることが重要。提供される医療サービ スが「病気の治療」から保健・福祉・介護が一体的に提供されることが重要。また、74歳 以下の医療との整合性も視野に入れつつ、医療機関の機能・役割の明確化及び連携の推進 並びに包括払い方式の拡大をより一層進める等、後期高齢者の医療にふさわしい体系とす るべきである、このような御意見をいただいております。  一つ飛びまして、後期高齢者医療に当たっては、総合医療が重要であり、そのために総 合的に診る医師、看護師の養成が必要というふうに言われております。  それからそのページの下の方でありますが、しっかりとした口腔管理、かかりつけ医や 介護関連職種との連携、歯科健診の重要性を訴えていくこと、かかりつけ歯科医機能への 支援・評価が必要というのが、これは日本歯科医師会からの御意見でございます。  それから一番下は、後期高齢者にとって必要な薬剤が、必要なだけきちんと供給されな いようなシステムにするべきである、これも薬剤師会からの御意見だったと思います。   2ページ目でございますが、医療ニーズが高い後期高齢者が利用しやすい訪問看護の拡 充、地域連携体制、人間らしい死を念頭に置いた医療が重要というような御意見をいただ いております。   そのほかの意見は省略をさせていただきます。  この医療保険部会、医療部会におきましてそれぞれの団体代表の委員がおられますので、 その委員から出されました資料につきましては先生方のお手元の方にやや分厚い資料でご ざいますが置いてありますので、適宜参考にしていただければと思います。  次に資料2−3について御説明をいたします。これは引き続き3月9日に社会保障審議 会医療部会において出された主な意見でございます。  まず「心身の特性」の分野では、後期高齢者医療で一番問題になるのは認知症の問題で ある。多くの人たちが何らかの認知症の症状を持っている中で、患者自身の正しい理解と 治療法の選択、自己決定ということを簡単に書いていいのかというような御指摘もござい ました。  「基本的な視点」の部分では、在宅を進めていくときに、独居老人がどれだけいるかを 把握しておくことが必要である。そういう意味で地域の中で健やかな老いを迎えそれをサ ポートする医療ということが必要で、医療、介護を整備していくと同時に、地域住民の方々 が一緒に支えていく体制を医療・介護関係者とつくっていくという視点も必要であるとい う御意見がございました。  「課題」の分野では、後期高齢者については、福祉面でカバーできることも多く、医療、 福祉の両面から検討することが必要であるという御意見がございました。   四番目の「医療の体系」でございますが、二つ目の○、在宅重視の医療で複数疾患を抱 える後期高齢者を総合的に診る医師を育てていくことが必要との御指摘がございました。  2ページ目でございますが、真ん中あたりになりますが、後期高齢者の生活を支える視 点と、終末期医療にシームレスにつながる体系を構築することが重要。かかりつけ医のあ り方としては、それにふさわしい総合診療医の育成システムを早期に確立すべき。また、 過度に専門特化した医師養成システム、標榜科目の妥当性、フリーアクセスのあり方など、 かかりつけ医を登録医のような制度として機能させるためには、先行して解決すべき問題 も山積しているという御意見がございました。  そのほかの御意見もございますが、省略をさせていただきます。ここに出されましたこ れらの意見、また前回の特別部会での意見等も踏まえまして、前回のたたき台について若 干文言は修正いたしましたが、主としてたたき台の項目立てでございましたので、それに 文章を少し加えて今回の基本的考え方の案を作成しております。資料1にお戻りいただけ たらと思います。  資料1でございますが、一応「基本的考え方(案)」で、完成した暁にはパブリックコ メントに出しますので、まず前段でこの基本的考え方に至る経緯あるいはその後のことに ついて説明をしております。  少し読んでみます。   第164回国会においては、健康保険法等の一部を改正する法律が成立し、平成20年度か ら後期高齢者医療制度が創設されることとなった。参議院厚生労働委員会の審議過程にお いては、当該制度に関して附帯決議がなされ、「後期高齢者の新たな診療報酬体系につい ては、必要かつ適切な医療の確保を前提とし、その上でその心身の特性等にふさわしい診 療報酬とするため、基本的な考え方を平成18年度中を目途に取りまとめ、国民的な議論に 供した上で策定すること。」とされた。  この部分が今回のこの「基本的考え方」を出す根拠でございます。  当特別部会では、この附帯決議を踏まえ、後期高齢者の医療の在り方について、平成18 年秋より、きょうで完成いたしますと7回にわたりということになりますが、にわたり、 有識者からのヒアリング及び論議を重ねてきたが、今回、その中間的な報告として後期高 齢者医療の診療報酬を考える上での基本的考え方を取りまとめることとした。この「基本 的考え方」は、当部会での議論やヒアリングを通じて明らかになった、後期高齢者の心身 の特性、基本的な視点及び課題を取りまとめたものである。当特別部会としては、この「 基本的考え方」について、今後パブリックコメント等により広く御意見を頂くことを期待 するとともに、これに基づいて、4月以降もさらに論議を深めていくこととしたい。  この「基本的考え方」の位置づけでございます。  最後の段落でございますが、これは部会での将来のお話を書いてございます。  人口の高齢化が進行する中で、後期高齢者は、安心して生活できるために必要な医療が 確保されることに願いを抱いている。当特別部会においては、こうした後期高齢者の思い を念頭に置きつつ、必要な医療を適切に確保していく観点から、今後、後期高齢者の診療 報酬体系の骨子を取りまとめるべく、引き続き議論を行いたい。  それで1の「後期高齢者の心身の特性」についてでございますが、ここの項目におきま しては括弧書きでゴシック体でございます(1)(2)(3)でございますが、これはた たき台に出したままを書いてあります。それの前段に少し説明的に書かせていただいてい ます。  後期高齢者医療の診療報酬については、後期高齢者に特有の心身の特性等を踏まえ、こ れにふさわしい医療を提供するためにはどのような仕組みが適当か、という視点に基づい て考える必要がある。  後期高齢者の心身の特性については、次のような指摘がされている。  この前書きを書きまして、たたき台にございました(1)(2)(3)の項目を並べて おります。  次のページをごらんいただきたいと思います。2の「基本的な視点」でございます。こ こも点で三つ項目がございますが、これも大きくは変えておりません。  こうした心身の特性から、後期高齢者に対する医療には、次のような視点が必要である。  まず一番目に、後期高齢者の生活の中での医療。これは療養生活が長引く慢性化すると いう特徴が非常にありますので、特に高齢者の生活を支える柱の一つとして生活と両立さ せるといいますか、生活をしていく中で医療がかかわっていくことが重要であるという認 識でございます。そのためには介護サービス等の連携等々も当然ながら必要となるという 記述をしております。  二つ目は、後期高齢者の尊厳に配慮した医療。これは決してターミナルだけではないわ けですけれども、75歳以上の保険制度ですので、少なくとも75年の人生を歩んでこられ た方々でございますので、みずからの意思が明らかな場合には、これをできる限り尊重す ることは言うまでもない。ただ、認知症等がございますので、そういう方々についてみず からの意思が明らかでない場合にも、人間らしさが保たれた環境における生活を重視し、 いろいろなパイプがつながれるような過度な医療に依存しないということが必要ではない かということが書いております。  三段目でございますが、後期高齢者及びその家族が安心・納得できる医療。これはたた き台の段階では「納得」という言葉あるいは「家族」という言葉がございませんでしたが、 今回はそれを書き加えさせていただいております。説明としては、いずれだれもが迎える 死を前に安らかで充実した生活を送れるように、安心して生命を預けられる信頼感のある 医療が求められるとしたところでございます。  「課題」のところでございますが、ここも(1)番から(5)番に番号を振っておりま すが、この課題そのものについては今回変えておりません。このような課題に対して説明 文としてその後にございますが、後期高齢者に対しては、その抱える個々の疾患を疾患別 に診るという医療だけでなく、精神的な不安を含めた複数の疾患について、トータルに診 ることができる医療が必要である。また、後期高齢者の中には、一人暮らしで寝たきりの ケースも多く、単に医療機関に外来で来るのを待っているだけではなくて、家へ出かけて いく医療が必要だという認識を書いております。  それから、複数医療機関を受診するということも大きな問題とされているわけですが、 これによって検査や投薬の重複が起きやすくなる、さらに患者にとっては過度の負担を求 めることにもなりますので好ましくない点がある。そういう意味では過剰やあるいは頻回 な受診がある場合はそれを是正する必要があるのではないか。  そのほか、高齢者みずから医療サービスを自分の生活に合わせて選べるという選択の余 地の拡大や、終末期に備えたリビング・ウィルを確認し、これを尊重する仕組みも必要で ある。これは患者自身が正しく理解をして自己の選択を重要視するというところの説明で ございます。  四番目は「医療の体系」でございます。ここでまず4行書いてございます。  急性期医療など、後期高齢者が受ける医療は74歳までの者との連続性が必要である。こ れは74歳から75歳の誕生日を迎えられた途端医療の内容ががらっと変わるということが あってはいけないのではないか、もちろん私どもとしても75歳になって途端に例えば手術 ができなくなるとか、そのような制度を求めているわけではございませんので、そこは74 歳までのものとの連続性は十分に保つ必要があるという認識を示しております。  その上で、後期高齢者の心身の特性とこれまでの後期高齢者医療の課題を踏まえると、 今後の後期高齢者医療について特に考えるべき点として以下のものが挙げられる。  大きく(1)番から(4)番までございますが、これはたたき台等を変えておりません。  まず一番目でございますが、急性期医療にあっても、治療後の生活を見越した高齢者の 評価とマネジメントが必要。これは(1)番から(4)番まで、順番、ちょっと三番目と 四番目はかえましたけれども、まずは入院医療について主に念頭に置いてここの段落を書 いております。入院時から、ここではたたき台のときには「CGA」でありますとか「G EMs」という言葉があったかと思いますが、ちょっとここでは今回はそこを省略した言 葉で説明をさせていただいております。  入院時から退院後の生活を念頭においた総合的な治療計画を立てていく取り組みを進め るとともに、それを元にした医療の実施や連携体制の構築を図っていくことが重要である。  これは高齢者のアセスメントというものを考えた治療が必要ではないか、これは高齢者 の急性期医療であってもやはりそういうものが生活がどうなるか、あるいはこの人の治療 後の状態がどうなるかということを検討に置いた、全体としてそれも踏まえた計画なりマ ネジメントというものが必要だという認識でございます。  次に二段目のところでございますが、ここは入院から退院されて在宅医療へ移る、ある いは外来医療を行う、そういう部分に相当するところでございます。ただ、その中で入院 外の医療にあっては、特に外来に通院できない場合は当然ながら在宅を重視した医療、居 住系の施設を含んだ在宅という意味でございますが、重視した医療が重要である。  三つの点がございます。訪問診療、訪問看護等、在宅医療の提供。複数疾患を抱える後 期高齢者を総合的に診る医師。医療機関の機能特性に応じた地域における医療連携。ここ は、実は二つ目の点が、たたき台では三番目にございましたけれども並びを少しかえさせ ていただきました。また、一つ目の点におきまして、従来「かかりつけ医における訪問診 療」という表現をとっておりましたが、「かかりつけ医」という表現は必ずしも明確な定 義がなくて、使う方によってさまざまな思いがありましてちょっと混乱するということで、 ここではあえて「かかりつけ医」という言葉は省略をさせていただいて、「訪問診療、訪 問看護等、在宅医療の提供」とさせていただいております。  説明でございますが、地域での療養生活を安心して送ることができるようにするために は、信頼感の確保された在宅医療が必要であり、そのためには、患者についての情報を共 有しつつ、患者を中心に、地域における医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の医療関係者 が相互に協力して、チームとして対応する必要がある。これはもちろん介護関係者とのチ ームは必要なのですけれども、それはまた後ほど介護のところに出てまいります。ここで は医療関係者の連携を書いています。  この場合、中心となって医療関係者の連携を調整する役割を担う医師が置かれる仕組み が重要となる。これはヒアリングでもお話がございましたが、在宅における主治医という ようなイメージのものを書いてございます。これを実現するために、後期高齢者を総合的 に診る医師が必要である。そのマネジメントといいますか調整役になる方は、やはりその 患者さん全体をしっかりと把握して判断していただけるそのような医師が必要ではあると いう認識でございます。  また在宅医療、これは在宅医療を進めるために特に後方支援をする医療機関との連携が 必要である。いわゆる急変した場合のバックベッド等のことでございます。さらに、全身 状態の維持に重要である継続的な口腔管理あるいは重複投薬・相互作用の発生防止を目的 とした薬局による使用医薬品の管理、あるいは当然ながら在宅医療を支える訪問看護の取 り組み、これらを総合的に進めていくことが必要である。  それから、表書きには書いていなかったですが、いわゆる外来に通ってこられる方々に ついてですが、通院医療についても、在宅医療と同様に、後期高齢者を総合的に診る医師 により提供されることが今後重要となるという認識を書かせていただいております。  三番目でございますが、これはたたき台のときには四番目に書いておりましたが、先ほ どから言いました入院それから退院後の医療で、ここでは介護保険との連携、そういう順 番に書かせていただいております。  介護保険のサービスと連携のとれた一体的なサービス提供。後期高齢者の医療を考える 上では、後期高齢者が介護保険のサービスを受けていることも多いことから、主治医とケ アマネジャーが緊密に情報交換を行い、後期高齢者の状態を十分に踏まえたサービス提供 を行うなど、医療サービス枠内に止まらず、公的な介護・福祉サービスや地域との連携を 図ることが不可欠である。ここでは一体的なサービス提供ということでございます。  最後に、終末期の医療ということで四番目に書かせていただいています。終末期を迎え るための医療として、十分に理解した上での患者の自己決定の重視。また十分な疼痛緩和 ケアが受けられる体制。この2点が重要である。これはたたき台のとおりでございます。  終末期医療については、患者及び家族と医療関係者との信頼関係に基づく緊密なコミュ ニケーションの中で、患者及び家族の希望を尊重しつつ、その尊厳を保つことに配慮した 医療を実現していくべきであり、その具体的な在り方については、国民の関心も高く、実 践が積み重ねられる中で、今後とも慎重に議論を行っていくべき問題である。  その終末期医療の問題について、こうあるべきだというのではなく、それぞれの家族、 患者の背景もございますので、その方々の考え方というものを尊重した形での医療の提供 というものが必要であろう。  なお、現在、厚生労働省の「終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会」にお いて、「週末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を早期に作成することとされ ております。  五番目、この項目は今回つくりましたが、その他ということで、これはそれぞれ各部会 等からも御意見がございましたが、一つは、新制度の被保険者である後期高齢者の負担を 考慮して、制度の持続可能性に留意した、効果的・効率的な医療提供の視点が必要である。 これは制度の持続可能性については医療保険部会等からも御意見がございました。   また、後期高齢者にふさわしい医療の体系を目指し、段階的に取り組みを進めていく視 点も必要である。  以上、例えば総合的に診る医師の養成というものは一朝一夕にできませんので段階的に 取り組みを進めていく、一気にやろうとしても無理があるという御指摘もございましたの で、段階的な取り組みについても触れさせていただいております。  あとの2ページにつきましては、これまでの参考としてこれまでの設置の趣旨、それか ら開催経緯等についてつけております。  資料3でございますが、きょう御欠席の辻本委員の方から、昨日お送りさせていただい た資料をもとに御意見が書面で出されておりますので、資料3としてつけておりますので 後ほどごらんいただきたいと思います。  資料の説明は以上でございます。 ○糠谷部会長   はい。ありがとうございました。それではただいまの事務局からの説明に関しまして御 質問、御意見等がございましたらお願いをいたします。どなたからでも結構でございます からどうぞ。 ○村松委員   少し分けて質問していただかないと、そこそこでありますので、ぜひ幾つかに分けて。 済みませんが。  私まず最初に、「後期高齢者の心身の特性について」というところで、これを読ませて いただいて今伺って感じましたのは、後期高齢者というのはほぼ人格が確立されてきてい る、そういう意味では個人個人によって説明あるいは納得というところがどこまでどうす ればというのが異なってくるのではないかというふうに受けとめておりますので、その人 の特有の心身の特性というような、「後期高齢者」とまとめてしまうのではなくて、やは り個人というところをもう少し打ち出していく必要があるのかなということと、後期高齢 者になりますと老化に伴う生理的機能低下が確かにあるのですが、これも一つまとめてし まうのではなく、自覚症、他覚症、これが若者よりもかなり感じにくくなっている。です から非常に不安定な状態で、また、私たち例えば看護職から見ましても、そこを発見する というのは相当の訓練をしていないとできない部分もある。そういうことから、余分な負 荷というものがかかるとこれをはね返せない状態、つまり、一つの医療行為があると、そ の医療行為一つでもって体全体が崩れていく。そして、認知症、これは診断を受ける前に この入院することによっても体全体が、心もすべて変化してしまう。また、医師の言葉一 つでも変わってしまう。そういうところもありますので、かなりこの辺は「認知症」とい う診断名ということではなくて、どんな心身の特性があるのかという細かな個人差のとこ ろも見てまた皆さんに伝えていく必要があるのではないかというふうに思いました。  この点については以上です。 ○糠谷部会長   一つ一つであれいたしますか。また後から。 ○村松委員  はい、私はほかにお伝えしたいことはあります。 ○糠谷部会長  そうするとこれについてのお答えをちょっと事務局からということで。 ○村松委員  答え等だけではなく、ほかの先生の御意見も含めて。 ○糠谷部会長  それでは一わたりほかの委員の方からも今の村松委員からの御意見に限らず御意見を少 しいただいてまとめて事務局からお答えをいただきましょうか。もしよろしければ。どう ぞ。 ○堀田委員  私の意見も多岐にわたりますので、今の御趣旨は持っている意見をともかく全部言えと こういう御趣旨ですか。 ○糠谷部会長   はい。もちろん余り盛りだくさんですと答えの方がしにくいようですからあれですが。 ○堀田委員  幾ら盛りだくさんでも何十分も時間をいただくということはありませんが、委員の数も 少ないので全部申しますけれども、まず手続き的なことで、きょうのこのペーパーはこれ をパブリックオピニオンに付されるということですが、その後で出てきた意見も含めて、 それからきょう配られました医師会その他の関係の意見も首をかしげるところもあるし、 これは大いに賛成というところもあります。そういう点も含めてあと「その他」のところ でもう一回じっくりとこのペーパーを詰める機会がいただけないかと思います。  もしそれがいただけなくて、形式的にパブリックオピニオンに出して、これで固まって しまうのであればきょうかなり神経質にうるさく言わなければいけません。そうでなけれ ば基本的なことだけ申し上げれば済むかと思いますので、できればそういう機会がもう一 回ほしいというふうに思います。それが第1点です。  それから、第2点では、医師会等々の意見がきょう盛りだくさんに出ました。それに比 べてこのペーパーは非常に薄いし、今までこれくらいしか言っていなかったのかなと不本 意な部分もかなりあります。最終的にはもう少し理由状況等も盛り込んだ国民に説得力の あるものがほしいなというふうに、このペーパーについて思いました。  なお、出されました医師会その他の意見は短い時間でざっと見ただけですが、医師会の ペーパーによりますと、この特別部会のペーパーはぼろくそでありまして、こんなにだめ なペーパーかなと、医師、医員の先生方はちょっとせつないのではないかという余計なこ とを思いましたけれども、ざっと見た感じで医師会の方が病院をふやすとか、そちらの方 のいろいろな意図もかなり見えて、この医師会のペーパーについてはもちろんいいところ もありますけれども、首をかしげるところも多い。むしろ看護師会のペーパーは非常に国 民的といいますか、患者側の視点に十分立った意見のように思いますし、この健保組合の 意見も私は視点はいいかなと思いますので、このあたりはしっかり参照してほしいなとい うふうに思いました。それが第3点です。  第4点は中身の意見なのですが、言ったことをいろいろ書いていただいているようでも あり、しかしなかなか中身が届いていないなと感じるところがあります。まず一番ほしい というかこの中にどうもしっかり出ていないと思うのは、やはり高齢期、特に後期高齢者 になりますと、ここにあるように生理的機能が全般に、それぞれの器官の機能が落ちてい っておりますので、どこかの器官を外科的にしろ内科的にしろ治療をする際に、これはお 医者さんにとっては当然のことだと思うのですけれども、単にそこの器官の症状を治せば いいというのではなくて、その治療方法をあるいはほかの器官にどういう影響を及ぼすの か、これは薬の副作用あるいは手術の副作用というのかどうか知りませんが、そういう若 い人、中年の人たちについての副作用というよりももっともっと広い意味で、ここをこう したらここの部分にこういう影響が出るのではないか、そのためにはその器官の病状だけ ではなくて、ほかの器官の機能がどの程度健全でどの程度落ちているのか、症状に限らず 全体の器官の治癒力といいますか維持力といいますか、そういったものをしっかり確かめ て、全体を見た上で治療方法を決めて、その治療方法が単に治療効果を上げるだけではな くてほかの器官にどういう影響を及ぼすのか、そのあたりをしっかりと確認し、そのあた りについても明確に説明していただいた上で決めていただくという、そういうことが非常 に必要になってくるのではなかろうか。その点が特徴じゃないかと思います。  そういう点は「総合的」とか何とかいう言葉で書いてあるといえば書いてあるといえな いこともないけれども、全体を見てください、そしてそこの影響をしっかり判断して説明 してくださいということをもう少しはっきり書いてほしい。  そして、それとあわせて、これは診療報酬に影響するわけですが、いろいろ調べた結果 やめるという選択肢が非常に重要になってくる。これも若い人たちや中年の人たちと随分 違う点だろうと思います。やめてしまうと診療報酬がどうなるのか、さんざん調べてさん ざん考えてやめてしまったので結局何もならなかったというのでは、やってしまおうとい う方向にインセンティブは働きますから、しっかり判断してやめるということについても インセンティブが働くような、そういう診療報酬体系というのは非常に必要であろうとい うふうに思います。これも若い人たちとは大分違う大事な点ではないかというふうに思い ます。  それともう1点、中身につきまして、尊厳ということを書いてもらっておりますし、生 活ということを書いてもらっております。随分しっかり書いてもらったなと思う反面、ど うも気持ちが届いていないといいますか、それだけかという感じがいたします。尊厳とい うのは自己の意思決定というふうに、「人間らしさが保たれた環境における生活」とかそ ういうことが2ページもあるのですけれども、それから生活というのも生活の中での医療 を重視しろというふうにあるのですが、まだその表現では医療の方が中心で、医療をやる ときに生活とか尊厳というのも見なさいよという程度の表現といいますかメッセージしか 出てきていないのではなかろうか。むしろ、だんだん残り少なくなっていく人生ですから、 どこか器官に疾病が生じても、それを治すことよりもその生活をそのまま続ける、若干寿 命が短くなったって、入院したり切られたりつらい薬を飲んだりするよりはこのまま今の 安らかな生活を続けたい、今の活動をしながら生きていきたいというそういう選択肢も十 分あるわけで、だから医療が中心じゃない残りの生き方というものがあって、その生き方 こそが中心で、その生き方の中で医療を受けるということを取り入れるのか取り入れない のか、そこまで尊厳ということの意味を重視してほしいし、生活ということの意味を重視 してほしい。そういう考え方がもう少し出るように、二、三カ所関連するところがありま すが、そのことを強調させてほしいと思います。 ○糠谷部会長  今の堀田委員の、尊厳とか生活のところは簡単に書いているので、ちょっとそういう印 象がある点は確かにそうだろうと思いますが、恐らく事務局の気持ちは堀田委員が言われ たような多分趣旨で、気持ちで書いているのではないかと思いますけれども。  ただ、ちょっと先ほどの村松委員の御意見とも関係をして、ちょっとこれからの段取り といいますかパブリックコメントを聞いて、ちょろちょろっと直したらそれでおしまいと いう運びを考えておられるのか、いやそうではなくてもうちょっとこうなのよ、それから 最後は診療報酬の基本に行くわけでしょうけれども、そのちょっと段取りのようなことを 御説明をいただいた方がいいのではないかと思いますが、それを御説明いただいて、それ から今の私のコメントは言い過ぎかもしれませんので、事務局がちょっと村松委員、堀田 委員のおっしゃったようなことでお答え今しておいた方がいいと思うところはお答えをし ていただけますか。 ○医療課長  はい。これからの段取りということです。実は最終形はこの部会で後期高齢者医療の診 療報酬についての骨子というものをつくっていただきたいというのが最終目標になります。 ですから、診療報酬を考える上でそのベースとなる考え方というものを今回議論をしてい ただいている、そういう位置づけになっています。   あと、時期的には骨子は大体秋ごろには完成をしていただきたいし、そのためにはまた 医療部会や医療保険部会というところの御意見も参考にしながらということになろうかと 思います。ですから4月以降ある時点からはやはり診療報酬、このような体系というもの は事務局の方なりから準備させていただきながら議論をしていただきたいと思います。  それに当たって考え方というものを今回まとめていただいていると思っているのですが、 実は最終形の診療報酬の体系の骨子なのですが、それは実は一昨年になりますけれども、 前回の診療報酬の改定の際に、診療報酬全体の基本方針というのはそんなに分厚いもので はなかったということから考えまして、その「基本的考え方」を100ページの論文にして しまいますとなかなかそこまでまとめ切れないと思いますし、多分多くは診療報酬そのも のの本体といいますか診療報酬の全体としては恐らく若い人たちと共通の部分がほとんど で、その中にあとプラス特徴づけたものが出てくるのだろうというイメージを持っていま すので、今回実はここに出しているものも、若い人と少し違った特徴的なものとして挙げ ているという形でやっております。  ですから、基本的考え方のベースでほとんどは若い人と変わらない医療が当然ベースに もありますということは実は少しは先ほども説明しましたけれども、診療報酬全体の中か ら言うとかなりその方が大きいだろうと思うのですが、そこはちょっと簡単に触れている に過ぎないというそういう比重でございます。  その上で、パブリックコメントをとった上で基本的考え方がさらにもう少し修正を加え るということが当然あろうかと思いますし、その完全な完成形まで待たずにやってもそれ から診療報酬に移ってもいいのではないかというふうに思っております。 ○総務課長  きょうごらんいただいておりますこの「基本的考え方(案)」につきましては、ここで 御議論をいただいて当然修文をしたり追加をしたりすることを前提にして御配布をさせて いただいております。したがって、この御意見を踏まえて部会長とも御相談をしながらこ の部会での考え方をまとめる、こういう考え方です。  それから、パブリックコメントにかけるものにつきましては、一応きょうの御議論をい ただいて部会としての考え方としてまとまったものをかけさせていただくと。パブリック コメントはもちろんその後御意見が出てきますので、それは骨子の議論のときに反映をさ せていただきたいと、こんなふうに考えております。  それから堀田委員の御指摘の点は、部会長からちょっとサポートいただきましたけれど もそのとおりでございますので、私どもそういう気持ちでおるわけですが、メッセージと しての伝わり方が弱いという御指摘だと思いますので、ちょっとその点については部会長 と御相談したいと思います。  ○糠谷部会長  それではまたほかの委員の方でも。それでは野中委員どうぞ。 ○野中委員  今村松委員と堀田委員の言われたことは本当にもっともで、大切にしていただきたいと 思います。私も医療の現場で患者さんと接する中でつくづく感じるのは、今堀田委員が言 われた尊厳の大切さです。私も介護保険の前回の改定にはかかわりましたが、そこにも「 尊厳」という言葉が入ったことは私は非常に価値があると思うのです。しかし、実際に制 度として尊厳は入ったけれども、現場としてその尊厳をどうやって実現しているかどうか、 そのことに対する認識が実は足りない。つまり制度としての尊厳は非常によくわかります が、現場でのその人それぞれの個人差を持ったその人らしさや尊厳をどうやって支えるか。 その辺の部分を表現するのは非常に難しいのですが、大事なことであり、後期高齢者の方 々がこの制度を見るときに、どうやって具体化されるのかを明確にすべきです。この点は、 若人の医療制度も同じと思います。そういう視点が大事と考えます。  特に認知症の件は堀田委員の方が専門かもしれません。私も認知症にはかかわってきま したので意見を述べます。例えばものとられ妄想一つとっても、御家族の方にはこのもの とられ妄想というのは非常に困った問題です。しかし、御本人は、別に悪気があってだれ かがとったと言っているわけではなくて、自分が大切にしまっておいたものがなくなって しまった。そのことに対する不安を自分に折り合いをつけるために、だれかが盗ったと言 っている話であり、決して悪気で言っているわけではない。極端な例かもしれないけれど も、特に認知症の方にとっては、本人の意思とは別にそういう言葉を発してしまう悲しさ があるわけですから、それを実は後期高齢者医療あるいは介護でどうサポートしていくか どうか、現場の人たちでだけではなくてやはり大変な問題と思います。ですから、制度と しての尊厳、それとともに現場としての尊厳をどうやって表現するかが大事と思います。 そのことを堀田委員が言われたと思います。  私の仕事は人工透析です。昔は人工透析の患者さんは40歳前後で若い人の病気だったの で。しかし今は全く高齢者の病気になりました。現在私のところに来られている患者さん でも、90歳前後の方が透析を受けられています。その方にとってそのことが本当にいいの か、今先ほど堀田委員が言われたようにその人の生活を支える透析医療であればいいので すが、透析医療が中心となって生活を暮らしている現場を見ますと、複雑な思いになりま す。しかし透析医療が中心ではなくて、むしろその人なりの生活が大事であり、そのこと を御本人あるいは御家族にわかっていただく手法を評価する視点が今までの診療報酬体系 にはありませんでした。  特に専門医療には、急性期医療として病気を治すことは大事です。しかしその病状が安 定したときにどの様な試みがあったのかと、私はそこにはなかったという気がします。そ の辺を大事に表現することが大事なことであり、これは何も後期高齢者の医療のあり方と いうことではないとも思います。  それから、辻本委員が言われますように、生活を重視することは非常に大事なのですけ れども、生活の中で医療を受けなさいという、何かそれが強制になってしまうことは決し ていい状況ではありません。高齢者は特に病状が不安定ですから、例えば医療が必要なと きにはきちんと、患者さんが望まれるのであれば適切に医療が提供できる体制が大事と思 います。  私は現場で多く高齢者の方々を見ていますが、一番困るのは、患者さんにとって治療を 受けたいという希望と、それから治療が必要と判断したときに、入院させていただく病院 が実はありません。その場合には「高齢者だから」という言葉も現場から聞こえてくるこ とも事実で、高齢者の急性期医療をどの様に考えるかどうかが私は大事と思います。  現場で一番憤慨するのは、例えば高齢者の方が肺炎を起こされて入院されます。患者さ んはやはり不安ですから、それから御家族のなじみの関係から離されますから、大きな声 を上げたりあるいは点滴を自己抜去されます。この様な状況に対する現場の医療が余りに も、特に急性期の医療が冷た過ぎることです。総合的に診ると書いてますが、実は専門的 な医療の場面でこそ総合的に診ることが必要不可欠と思います。  もう一つ、いろいろな議論があると思いますけれども、実はこの4ページの、「通院医 療についても、在宅医療と同様に、後期高齢者を総合的に診る医師により提供されること が今後重要となる」という言葉が気になります。では今までの病院の専門医療は患者さん を総合的に診ていなかったことを示しているようなもので、それは病院の先生たちが総合 的な視点で診ていない、あるいは専門的医療は総合的に診なくても良いと言っている気が します。そこの辺は疾患の部分だけ診るのではなくて総合的に診るべきであり、専門医の 原点も、総合的に診るからこそ専門的な医療としての力を発揮すると思います。私たちの 勉強した内科の医学書の最初には、全人的な医療とか人間の生命の大事さとかが書いてあ ります。それがベースになって本当の専門医があるはずですので、この部分は、今の医療 制度に対する批判としては理解できますが、ここは注意が必要な表現と思います。  それから、「かかりつけ医」という言葉に対して先ほど課長が言われました。私はこの 「かかりつけ医」に対して昔から医師会の活動でしております。「かかりつけ医」の原点 は、実は患者さんが選ぶことに原点があることを忘れてはならないと思っています。大学 病院で勤務しているときには自分の担当しているベッドがあります。そうすると主治医は 野中という話になるのですが、実はその前に患者さんがその病院を選んで入院されてきて いるわけです。そうしてその選んだ結果として私が主治医となる。この部分が実は「かか りつけ医」の大事なことです。「かかりつけ医」との言葉が混乱するのであれば「行きつ け医」という言葉がある面では適切と考えます。「行きつけ医」というのは患者さんが行 きつけにするから行きつけになるわけです。行きつけのおそば屋さんとか行きつけの喫茶 店とか、行きつけの飲み屋さんとかお寿司屋さんとあるように、そこは利用者あるいはお 客さんがそこを選んで、そして満足するから行きつけになるのです。同じ様に我々医師が 選ばれるとの視点には、先ほど堀田委員も言われた患者さんへの尊厳とか納得とかをどう 表現するか、それが私はかかりつけ医機能と思っています。ぜひそういう視点でぜひお考 えいただきたいと思います。  基本的な考え方については理解できますが、制度として尊厳とそれから現場としての尊 厳をどう記載するか、そこの辺が実は堀田委員も言われたことと思います。私からもお願 いしたいと思っています。以上です。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それではまたどなたでも結構でございます。遠藤委員どうぞ。 ○遠藤委員  この文章で包括的なことは書かれているわけですけれども、これを拝見した中で少し私 としてはトーンとして入れてほしいなと思う点について2点ほど申し上げたいと思います が、一つは連携ですけれども、この連携が重要であるというのはそのとおりであります。 また、連携ということは随分言われてきているわけでありますけれども、非常に進んでい る地域もありますし進んでいない地域もあるというのが実態だというふうに思うわけであ ります。まさにこういう制度が始まって連携が必要であるということでありますと、結局 この間ここでも尾道の一つのプランが示されたわけですけれども、これをそのまま東京23 区に持ってくることができないわけですね。恐らく、いろいろな地域特性によって連携の あり方というのがあるだろうと思われますので、そういう意味でそれぞれの地域の実情に 合った連携のスタイルというものがあるのだというある種の柔軟性みたいなことを少し述 べておかないと、実態として全然進まないものになってしまう可能性があるので、その辺 は少し強調された方がいいのかなというふうに思いました。  もう一点が、後期高齢者の患者さんの特性ということが書かれているわけでありますが、 これは医学的な特性でありましょうから私がどうこう言う話でありませんけれども、先ほ ど来「生活の中での医療」という言葉が行われているわけですけれども、まさに生活とい う視点から見ますと、高齢者は御案内のとおり経済的社会的なバリエーションが非常に多 様なわけです。経済格差だけをとってみても非常に大きいということがあるわけでありま すので、家族構成だとか住宅事情だとか物すごくばらつきが大きいという中で、それこそ 尊厳のある医療が行われなければいけない、介護が行われなければいけないということで すので、まさに高齢者の経済的社会的背景のバリエーションが大きいのだということも特 性の一つに入れて、それを配慮した上で適切な尊厳のあるような医療が行われる、そうい うことがここに書かれてもいいのではないかというふうに思います。以上でございます。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それでは。 ○村松委員  それでは私が考えました残りの分をお伝えさせていただきたいと思いますが、看護協会 の方から「後期高齢者医療の在り方に関する日本看護協会の意見」というのが出ておりま すが、これともかなり重なります。私は基本的な視点ということから少し入りたいと思い ますけれども、やはりどうしても24時間365日特に夜間、これは後期高齢者だからという ことではありませんが、今の過疎化の問題も含めましてどうしてもここを抜きには語れな いような気がします。地域包括センターいろいろできてまいりましたけれども、本当に24 時間対応していますかといった場合に、私はほとんどしていない、全くしていない、そん な気がいたします。  それに当たりまして、地域包括センターがいいのか、あるいは、訪問看護ステーション 等をもっと強力にしていく必要性があるのか、あるいは医師等々を組んだものをつくって いくのか、そういうところでもっともっと検討しないと、介護は24時間やっていますよと いっても、ここの地域に行ってもやっていない、看護はほとんどやっていない、そんな実 情ではやはり単に後期高齢者に対する医療ということを語り合っても余り意味のないもの になってしまうのではないかというのが一点です。  それから、やはり医業、死を前にした、これは「視点」の中にありますけれども、「後 期高齢者及びその家族が安心・納得できる医療」というところがありますが、死を前にし た場合何が重要かといますと、医業というよりも看護、介護、つまり家族の不安、苦痛、 負担にいかに対応するか、また常々の観察、判断、即時の行動というのが私は重要だと思 います。そういうときにそこに診療報酬点数はどうなっているのだろうかということをも う一度振り返ってみていただきたいと思いますし、現実各介護ステーションにしても、訪 問看護ステーションにしても、なかなかそこに対応し切れていない実情がありますので、 このあたりも含めてぜひ検討していく必要があるのではないかということが二点目です。  それから(1)の「複数の疾患を併用しており」ということがあります。心のケア、こ の心のケアというのは別物ではなく、医療機器あるいは疾患そのものから起こってくる不 安、苦痛、トラブル、そういうところのケアというのが物すごく重要になっている。そこ に診療報酬はどうかかわっているのかということも見ていただきたいと思いますし、後期 高齢者だからすべて慢性的な疾患ではありません。緩和医療ももちろん必要です。ケアも 必要です。ですけれども高度医療も必要なのです。そういうときに、どのくらい回復する だろうか、もとの生活がどれだけできるのだろうかというところの見きわめがとても重要 で、医師たちがそこを判断しあるいは看護職が判断をしたときにそこにどのくらいの診療 報酬がついているか、今は私はついていないのではないかというふうに思っています。  それから三番目に、「複数医療機関を頻回受診する傾向があり」と書いてありますが、 なぜ複数頻回に受診するかということも分析してみる必要があるのではないか。つまり、 納得していない方が非常に多いというのが、私これは実践家としてお伝えできるかと思い ます。納得していない、だからあちらへ行く、こちらへ行くというのがふえているという ことです。  さらに(4)「地域の介護力をサポート」というふうに書いていますけれども、療養し ていく上で利用者さんあるいは御家族あるいは我々ケアに携わる者すべてそうなのですが、 管理をされるのではなくサポートされたいということです。とかく管理になっている実情 があるように思います。   それから4番目のところで、もう一つは「弱体化している家族及び地域の介護力を」と 書いておりますが、先ほどの遠藤委員の方から、都会と地方は違うのではないかというこ とをおっしゃっておりましたけれども、私も都会ではここで隣近所とても難しい。そんな ことも含めて、やはり地域差あるいは地域の抱えている実情も含めていろいろな角度から 見ていく必要があるのではないかということを思いました。  さらに、もう一つは、生活の中でということを先ほど出ていましたけれども、私たち人 間が生きていく上で、家だけではなく周囲もそうなのですが、旅行に行っているときもあ るわけです。そういうほかへ行っているときにどうなるのか。どういうサポート体制ある いは医療が受けられるのかというところも必要だというふうに思います。  さらに、まだあるのですが、例えば医療機関みずから治療を受けに来る患者さんを診る ということでは十分ではない。例えば私、看護職の立場から申しますと、今がん末期の方 が在宅で療養していて受診をするあるいは化学療法をする、そこにがん以外の患者さんた ちも含めて受診同行というものが保険点数で取れないとか、そういう問題もあります。  さらに、相互に協力をしてまた総合的に診る医師、ナースということもありますけれど も、相互に協力するためには非常にお互いの信頼、医師、看護師、介護士、信頼というの が重要になってくるわけですけれども、今の状況を見てみますと実際にはその医師によっ て違ってしまう、そういう実情もあります。そこをどのようにこれから変えていくのかと いうこともとても重要じゃないかと。  さらにケアマネジャーさんの質の問題。あるいは、私が看護師としてぜひお願いしたい ことは、訪問看護をしていく上で24時間365日行う上で独自のもう少し権限を与えていた だきたいし、裁量権の拡大、幅を広げていただきたい。そこへの診療報酬点数。さらに訪 問看護ステーションに来所相談されたときに、これは点数がつかないのです。かなり多く の方が相談にいらっしゃいます。でもつかない。そういうことのないように、いろいろな 方向から医療と介護の中間にある看護というところにももう一度視点を当てて、ぜひ診療 報酬も御検討いただけたらというふうに、これは私看護師としてお願いしたいと思います。  以上です。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。鴨下委員、高久委員、川越委員ちょっとおくれてお見えにな ったので少し議論の動きが十分フォローが難しいかと思いますが、もしよろしければこの 案についての御意見をいただければと。 ○高久委員   私ちょうど入ってきたときに野中委員がいろいろとおっしゃっていまして、私も同感す る点が多いのですが、特に4ページの「通院医療についても、在宅医療」云々という事は、 ここにとってつけたみたいに書いてあるのですが、後期高齢者はどの場所でも総合的に、 ですからここのところにつけ加えるのではなくて診てもらう必要がある別なところで、総 合的に診てもらう必要があるということを書くべきだと思います。  それから細かいことですが、3ページの「後期高齢者にふさわしい医療の体系」で、こ こもとってつけたみたいに「急性期医療など」と書いていますが、急性期医療でなくても 後期高齢者が受ける医療は当然、これは高齢者ではなくてすべての医療で連続性が必要で して、ここのところも書き方が不自然な感じがいたしました。  それからここには書かれていませんが在宅医療の場合にケアをする人、例えば家族など の負担が非常に大きくなると思うのですが、そのことが余り書かれていなかったので、ケ アをする人に対する配慮などについても述べておく必要があると思います。 ○糠谷部会長   ありがとうございました。ほかにどなたでも結構でございます。それでは鴨下委員どう ぞ。 ○鴨下部会長代理  私はきょう出されました案は大変よくできているのではないかと思います。ただ、前回 は基礎的な骨格の案を出してそれにいろいろ肉づけをされるという、医療部会と保険医療 部会で肉づけをするということだったですけれども、余り肉はついていないのではないか。 皮はついていますが。  だから悪いのではなくて、私は高齢者はもう骨と皮ですからそれでいいぐらいで、ただ 問題はこれをいかに現場で具体化するかということが大切じゃないかと思います。言葉と しては「必要な医療を適切に確保する」、大変いい言葉ですけれども、これをでは具体的 にどうするか。  それで私先ほど野中委員がおっしゃったことに全く同感なのですけれども、現在の特に 医師会の先生方、開業実地の先生方、これは一生懸命やっておられると思うのですけれど も、それでこれから10年20年いくとは思えないのですね。やはり、それなりに総合医と いいますかかかりつけ医のレベルを上げなければいけないのではないか。この辺は日本医 師会でも議論がされているように伺っておりますし、私も多少かかわっているのですけれ ども、例えば自分の専門は消化器だから胸のレントゲンはわかりませんよということでは 困るわけで、それは今の医学教育、特に卒後研修が、野中先生や私どもの時代と違って非 常に専門家志向というかそういうふうに行われているように思うのです。高久委員の大学 は別格かもしれませんけれども。だからそういう点で、やはり医師の教育研修ということ は非常にこれから重要であって、そういう意味では、「過度の医療に依存しない」という 言葉もありますけれども、でもやはり高齢者が病気になった場合には本当にその方に合っ た医療をしなければいけないということがあるだろうと思います。  そういうことで、これはいわば憲法みたいなもので、これでよろしいのではないか。  ついでに言いますと、幸福の追求権というのは基本的な人権だそうで、堀田委員もいら っしゃるのですが、私は小児科医ですけれども、子供の幸福追求権と高齢者の幸福追求権 はもう今ぶつかっていると思うのです。お金をめぐって。どっちかを犠牲にしなければな らない場合には私はやはり高齢者は遠慮すべきだろう、そういうふうに思います。以上で す。ちょっと暴論といわれるかもしれません。 ○糠谷部会長  どうぞ。 ○野中委員  その暴論というか、いつも私は現場では、高齢者の介護とか高齢者の医療はもうこの辺 でいいのではないかと、小児科を何とかしろと言われていました。しかし、今の高齢者は 戦後の60年我が国のあの焼け野原からこの国の繁栄を築いて下さった原動力となった 方々です。その方々の人生を本当にきちんとフォローしなければ、子供を大事にすること は全くできないと思っています。そういう視点で私は子供か大人かを議論するのではなく て、人間を大事にするとの視点で考えるべきです。まさに鴨下先生が言われたように、私 は日本憲法で一番大事なのは憲法13条の幸福権の追求と思うのです。この幸福権の追求は 安楽死等医療に大きく関与します。しかし、人々の幸福を医療従事者がどうやってサポー トするかをまず第一に考えるべきであって、私たちの行動にお金が後でついてくるものと 思っています。小児か高齢者のどっちがどうだという話は御勘弁願いたいと思います。そ こは先生のおっしゃる気持ちはよく理解しますが、私は医療とはそういうものと思ってい ます。  それから、実は総合的に診る医療で、大事なことは、先ほど遠藤委員が言いましたよう に、連携を通じて医者が患者さんを総合的に診ることが大事で、その連携をしないで自分 の専門サイドの視点だけで診ること自体がおかしい。医者が総合的に患者さんの人生とか 生活まで見ると、生活を支えるという視点において、今の研修制度は決してまずいことで はない。今の時代の総合的な医療は「連携」という言葉がキーワードで、その実現に対し て、もっと診療報酬とか評価すべきと思います。鴨下先生には失礼なことを言いましたが、 私としてはどんな人間の命も大事なことで、医療が大事にしないなんていうことを言われ ては困るということです。そこはぜひよろしくお願いします。 ○糠谷部会長  それではちょっと事務局の方で今までのすべてにお答えをするということでもないと思 いますけれども、ポイントとなるようなところで少し。 ○総務課長  それでは私が最初に。「生活を支える医療」という言葉でございますけれども、これは どのように表現するかなかなか実は難しい面がございます。実はこの点についてはこの部 会でも大変御議論をいただきまして、結局単に治療するだけではなくて、結局その人がど ういうふうに残された時間を生きたいのか、それをどう支えるのか。  これはもっと先鋭な問いになりますと、在宅医療や在宅ケアの関係者の方の中では、認 知症の高齢者の方にとって生きる意味とは何か、そういう問いが実は発せられておるので す。これは当然その意味はあるはずなので、私はそれをその人なりにその人らしい人生と いうのが当然あるはずだ、それを尊厳としてどう表現するかということを実はいろいろ思 い悩んだ末に、表現が稚拙なものですからこういう少し筋肉が薄くなってしまったという のが実情でございます。この点は実は非常に重要な点ですので、むしろ先生方の方から今 までいただいたような議論としてのメッセージをどういうふうに発信していくか、どうい う表現がいいのかという点を御示唆いただければと思います。思いは今申し上げたような ことでございます。 ○医療課長   あと具体的に個々にいろいろたくさん御意見もいただきましたけれども、例えば今回の 「基本的考え方」の中では、余り診療報酬でどういうふうにするかというところまでは触 れないでまとめていただきたいと思っておりまして、それは先ほども申しました骨子を考 えるときにそういう部分では加えていきたいと、言っていただきたいと思います。  それからあと、やはりいろいろな状況が考えられますので、細かく見出すと切りがなく なると、そういう意味で基本的なところでまとめていただければありがたいなというふう に感じております。 ○糠谷部会長  それではまだ時間ございますので、もし川越委員、もうちょっとフォローされてからの 方がよろしければあれですが、それではどなたでも。堀田委員どうぞ。 ○堀田委員  表現の問題になってきておりますので、二、三点。  2ページの「基本的な視」の一番上の黒い・「生活の中で」、この「中で」というとこ ろがいろいろ誤解を生みやすいので、幾つかの御意見が出ていますが、私の意見の表現と しては、例えばさっき申し上げましたが、その状態での生活を維持するために場合によっ ては医療を中止する、あるいは手術を中止する、そういう判断も大事だということを書い てもらえば大分趣旨がはっきりしてくるのだろうと思います。これだと医療があることが 大前提になって、それとの生活の調和ということを書かれています。そのことも大変大事 なのですけれども、それだけにとどまらないということが出ればいいのかなというふうに 思います。  それから4ページでありますけれども、4ページの一番上に「総合的に診る」という言 葉があり、何度も出ましたその段落の下「通院医療について」云々、「総合的に診る」と いう言葉があって、「総合的に診る」というのは何回もおっしゃっているように当たり前 のことであり、きちんとやらなければいけないこと、そういう議論になってしまえばこれ はおしまいでありまして、やはり後期高齢者に特に重要なのは、診断のときに総合的に診 るだけではなくて、何らかの治療方法、これは手術にしろ、外科にしろ、内科的にしろ、 何らかの治療法を選択するかしないか、するとして、その場合に治療方法そのものがほか の機能にどのような影響を与えるのか、それはほかの機能のいわば耐久性が弱いといいま すか生命力が弱いといいますか、そういう点があるので、そういう点を特にしっかりと診 断する、診るというのでしょうか、あるいは、予見するというのでしょうか、単に現状を 診る診断だけではなくて、しっかりほかの機能の能力を確認した上で予見的な判断をして ほしいと、そういうふうにもう少し具体的に書いていただければ、言いたいことが少しは っきりしてきて、誤解が減るのではなかろうか、そういうふうに思います。   もう一点、表現的なことで、同じ4ページの(3)の「介護保険のサービスと連携の取 れた一体的なサービス提供」で、ここのところを、これは非常に尊厳ある待遇、医療から ほかの福祉とかいろいろなサービスが全部ネットワークを組んで尊厳を保持するという、 そのために非常に大切な部分であります。見出しが「介護保険のサービス」だけになって しまっているのは余りに狭い。介護保険のサービスに限らずほかのいろいろな福祉のサー ビスとネットワークが含まれなければいけませんし、もちろん医療と看護はネットワーク が当然あるのでしょうけれども、それからここに「地域との連携」とありますが、この地 域のいろいろなサービス、福祉的なサービスもありますし、尊厳を支えるためのいろいろ なボランティアのサービスもあります。それから近隣の人たちや家族、これらの人たちが 本人の気持ちを実現するために、つまり尊厳ある暮らしをしてもらうためにいろいろなサ ービスをしますので、これらがしっかりネットワークが組まれて提供されることが非常に 大切であります。もう少し幅広く、しかもこの部分を、「尊厳を保持するためのいろいろ なサービスが」というふうに、趣旨がはっきりし連携するいろいろなサービスももっとも っと幅広くそのことが明確になるように書いていただきたいなと思います。 ○糠谷部会長  はい。ありがとうございました。はい。 ○高久委員  今の堀田委員の御意見ですけれども、私は「総合的に診る」というのが非常に幅が広く て、これを細かく言ってくるとだんだんわけがわからなくなってくるので、やはり本人の 置かれた家庭の事情から病気の事情、精神的なものから全部診るという意味で「総合的に 診る」という言葉は非常にいい言葉じゃないかなと思っていたのですけれども。ただ、通 院医療と在宅医療というのを区別する必要がないだろうということと、それからその後に 「今後重要となる」ではなくて、もう既に重要であって、「今後」という言葉は要らない ということ、お言葉を返すようですけれども、これの表現が一番いいのかなと思っていま した。 ○野中委員  そのことを少し補足します。私は「総合的に診る医師」という言葉が本当に適切なのか と思います。やはり「総合的に診る医療機関」とか、そういう関係の中で、医師が総合的 に研修したらすべて可能かと考えると、それは可能ではないと思います。受付から始まっ て看護師さんとかケアマネとかさまざまな人が関わります。患者さんの生活という部分の さまざまな状況を把握することは、一人の医者の話ではなく、最終的には医者にはそれを コーディネートする役割はあると思いますが、それらの情報を研修したらできるという話 ではなく、訪問看護ステーションとかヘルパーさんと連携する、あるいは尾道の片山君の ような連携によるケアカンファレンスとして実現する。ですから、医師がそれを理解する ための研修は大事と思います。しかし資格を有する医者がいれば、それだけでオールマイ ティーという話は絶対にあり得ない話と思います。研修を否定しているわけではありませ んが、資格さえあれば解決するわけではありません。  いつも医師という個人の話で検討されますが、医療機関として、かかりつけ医ではなく かかりつけ医療機関という視点で考えるともっと余裕が出ると思っています。 ○糠谷部会長  ほかにいかがでございますか。はいどうぞ。 ○村松委員  3ページ目の一番下のところなのですが、「中心となって医療関係者の連携を調整する 役割を担う医師が置かれる仕組み」、これはやはり医師にこだわる必要性というのがある のでしょうか。私はここのところをもうちょっと検討する必要性、「医師等」とかですね、 検討していただきたいというふうに思いました。以上です。 ○糠谷部会長  川越委員はよろしゅうございますか。何か。 ○川越委員  途中から参りましたので的外れな意見を言うのではないかと思って黙っておりましたけ れども、前の案から今日のこの見せていただいた資料は、すごく苦労してまとめられたし、 よくまとまっているのではないかというのが正直な感想です。  それで先ほどからの御意見を伺っていてちょっと感じたことは、生活の中での医療とか あるいは生活を支える医療ということがどういうことなのかなということについてです。 これは実際に実感としてわかっていらっしゃる医者の方というのは余りいないと思うので すね。それはやはり、本来医療というのは病院の医療、在宅の医療ということで根本的に 区別はしてはいけないものだと思いますけれども、やはり現実には違わなければいけない し違っていると思います。  私が生活を支える医療ということの例としてよく出すケースがあるのですね。それは乳 がんの方で、長い経過10数年の経過で最終的に骨、肝臓に転移して、その後膀胱に転移し て、病院では硬膜外のカテーテルを入れて、そして膀胱カテーテルを入れて家に帰ってこ られた。硬膜外のカテーテルからモルヒネ注入をしながら疼痛緩和していた40代の女性が いらしたのです。その方の生活を支える医療というのは何だろうかなということを、やは り我々在宅を担当する医者は考えるわけです。  そこで考えたことは、今病院で当たり前としてやっていた医療というのは、実は在宅で はふさわしくない医療である、それは生活を阻害している医療なのですね。もっと具体的 に言いますと、カテーテル類につながれた状態では日常生活をするというのは非常に不便 なわけです。ですから、私は実際カテーテル類を外していったわけで、結局硬膜外のカテ ーテルがなくなった。そして膀胱のカテーテルもなくなった。  その結果どうなったかと申しますと、実は患者さんが一番喜ばれたことは、御自宅のお 風呂に入られたということなのです。これが実は生活をするということであって、その方 にとっては生きているということだったのだろうと思います。よくお伺いしますと、入院 中の生活を含めて6カ月、体は病院でときどき拭いてもらうことはあったけれども入浴を したことがなかった。それが家に帰ってカテーテルを外してもらって自宅のお風呂に入ら れたということですごく喜んでいらした。間もなくその方は亡くなられましたけれども、 亡くなるまでの2カ月ぐらいカテーテルのない状態で過ごされた。  これは、一つの例ですが、生活を支える医療というのは何だろうかということを考えた とき、これはそもそも医療が何のためにあるかということまで踏み込んでいかなければい けないなということを思います。医者が中心になって行われている医療というのは、基本 は人間というよりも病気がどうしても対象になることは否めない。つまり、病気を治す、 あるいはよりいい状態に持っていくということが目標の医療ですから、これはやはり家で やることでは多分ないと思います、根本的に。もし家でやるとしたら物すごく大がかりな ことになりますので。では家でやる医療というのは何か。今申しましたように生活を支え る、それは苦痛を与えないとか、例えば病院の医療と違いでいえば、重装備にしない、点 滴をするときでもできるだけ簡単な、患者さん、家族の方が簡単に管理できる、見ていて 安心できるようなもの、そうして不必要な検査とか処置をしない。  それからもう一つ大事なことは、鴨下先生がおっしゃられたことと若干関係するのです けれども、医師の意見というか医師の考え方がかなりウエートを占めるといいますか、ウ エートが大きい段階というのが病気にはどうしてもある。それは年齢によってやはり違っ てくると思います。同じ心疾患があるとしても小児のときの心疾患のとらえ方と、それか ら80、90になった方が心臓を患ったということ、それはやはり考え方を変えていかなけれ ばいけないということが当然あります。もちろん、根本的にはその人の命を大事にすると いうことがあるわけですけれども、後期高齢者になって考えることは生物としての命とい うことよりも人間としての命、その中には当然生物としての命ということも含まれますけ れども、そういうことが全然違ってくるということで、やはり年齢的な差と申しますか特 性というのは否めない。私もずっとこの問題を考えてきましたけれども、これはこのキー ワードになるのは生活ということではないかなというぐあいに思っております。  長くなりましたけれども、そういうことで、「基本的な視点」の中に生活ということか ら、命の尊厳ということとか、それから当然命というのは本人だけのものではなくてそれ を支える家族、ともに心配したり喜んだりする家族がいてのものですから、そこの中に三 つ目のところに基本的なものを「家族が」という言葉を入れていただいていることは、す ごく私としては非常に納得できる視点だろうと思います。   ちょっと長くなりましたけれども。 ○糠谷部会長  はい、どうぞ。 ○野中委員  今「生活の中で」ということで議論があるのは、実は「生活の中で」というと、医療が 生活の中で提供されることに辻本委員の心配なことがあると思います。これは皆さん方に も考えていただきたいですが、後期高齢者の生活を支える医療として、生活の中での医療 ではなくて、この2行目の「生活の中で」を取っても、「後期高齢者の医療は、高齢者の 生活を支える柱の一つとして、提供されることが重要である」とつながります。そうする と「生活の中で」と限定される言葉は取り除かれます。私は辻本委員の気持ちもよく理解 できるし、私もそこで何も在宅医療だけが患者さんにとっていいのではないと思いますの で、如何でしょうか。 ○糠谷部会長  まだ多少時間ございます、はいどうぞ。 ○鴨下部会長代理  言葉遣いで生活と医療が向き合っているような感じがするのですが、今のところの下の ところ、「尊厳に配慮した医療」の3行目に、「過度に医療に依存しないこととする」と ございますが、「環境における生活を重視し、過度に医療に依存」、これはどうなのでし ょうかね、よくわからないのですけれども、「過度の」の方がいいのか、あるいは、むし ろ「医療に依存しない」というのは非常に言葉としてはある意味ではきついように思うの ですけれども、「適切な医療とする必要がある」ぐらいに肯定的に捉えるのは文言をちょ っと御検討いただければと思います。  それから、もう一点は、これは全然条文に盛り込んでいただく必要はありませんけれど も、前にもたしか申し上げたと思いますが、75歳というのはあくまでも便宜的な年齢の区 切りで、75歳を過ぎたらもうこういうことはしませんよとか、あるいは逆に75歳を過ぎ たからもうやらないとか、そんなことが起きないように十分それは御配慮いただきたいと いう意見として申し上げます。 ○鴨下部会長代理  はい、どうぞ。 ○堀田委員  今の鴨下先生のおっしゃった点は、看護師会の意見の中で「過剰な医療」という言葉を 使われております。過剰な医療をするなというのは適切な表現だろうというふうに思いま した。  それからさっきの「総合的に診る」というのは非常にキーワードになる高齢者医療の特 徴ですけれども、高久委員の御意見を聞いておりまして、「総合的」と言っていることの 理解、意味が全然違うのだなということがわかりました。  「総合的」という言葉は非常にあいまいな言葉ですので、総合して診る以上は何と何と 何と何とをどういう視点から総合して診るのか、当然そういう総合する対象があり、見方 があると思いますので、その点をどういう意味でおっしゃっているのか議論を詰めていた だいて書いていただければ、賛成とか反対とかそういう点がはっきりしてくるのではない かと思いました。 ○糠谷部会長  はいどうぞ。 ○医療課長  今のは「総合的に診る医師」のところですけれども、3ページの一番下の2行ですけれ ども、ここでは在宅医療を想定していますけれども、医療関係者の連携調整をすると、そ ういう役割を担う医師が置かれる必要がある、というフレーズから、要するにある一人の 患者について必要な医療を十分に把握をして、必要な医療は例えば連携によってほかの 方々が当然専門の方々が診るとか、この一人の総合的に診る医師その人自身が一人でその 患者さんの全部を取り扱う、あるいは全部治療するという意味で言っているわけではない と。それはまさしく、その患者さんの家族や住居や置かれている背景などを踏まえて、ど のような治療が適切かをある程度判断して、必要ならば他の医療機関を紹介する、そのよ うな形での総合的な判断ができる医師という意味でここでは使っております。 ○堀田委員  わかりました。それでは私が言っている意味が全然入っていないので、そういう私の申 し上げていることも入るようなところをどこか入れてほしいと思います。  私は治療方法、選ぶ幾つかの治療方法について、それがほかの器官に、健全な器官につ いても副作用等々としてどういう影響を及ぼすのか、そこまで考えてほしいと。高齢者の 場合には特にいろいろな機能が落ちていっているので、そういう判断が必要だということ を書いてほしいと申し上げておりますので、私の言っている意味はこの「総合的」な中に 全然入っていないことが明白になりましたから、その辺をよろしくどこかで表現してほし いと思います。 ○高久委員   3ページのところに「複数疾患を抱える」ということがあると、これはやはり先ほどの 専門医と逆な立場で、診療のカバーする範囲が広いということも当然入っていると思うの ですね。それ以外に原課長さんの言ったことも入りますけれども、医者としての個々の能 力も、複数の疾患を判断できるということも極めて重要な総合的な能力の中に入っている と私は理解しました。 ○糠谷部会長  大体よろしゅうございますでしょうか。  一つだけ私今の委員の皆さん方の御意見と関係をするのかもしれないのですけれども、 今の御議論との関連で3ページの4の「後期高齢者にふさわしい医療の体系」の(1)の ところ、「後期高齢者にふさわしい医療の体系」のところの第一番目に出てくるところの (1)の意味が、医療の専門家の方はこれを見ておわかりになるのだろうと思うのですけ れども、私などのような素人から見ると、第一番目に出てくるところの意味がよくわから ないのですね。やはりちょっと説明不足の点が、いろいろなところとは言いませんけれど もあるような気がするものの典型がここではないかという気がしまして、「急性期医療に あっても、治療後の生活を見越した高齢者の評価とマネジメントが必要」、この「評価と マネジメント」というのは何なのだろうか、何の評価、何のマネジメントなのだろうかと 思って下の3行を読んでも、「総合的な治療計画を立てていく」「それを元にした医療の 実施や連携体制の構築」という当たり前のことしか、まさに当たり前の総合的。これが高 齢者だけのことなのか、急性期医療だけのことなのか、何だってそうではないかというよ うな気もして、ちょっと説明が何となく十分でないのはここだけではなく、きょうの皆さ ん方の御意見の中でもあるのではないかと思いましたので、ちょっと最後に一つだけ申し 上げさせていただきました。  よろしゅうございますでしょうか。それでは先ほど鴨下委員がおっしゃいましたように、 私もよくできているとまで言うかどうかともかくとして、大きな流れ、まとめとしてはそ れなりにまとまっているのではないかということではないかと思います。ただ、きょうた くさん御意見をちょうだいいたしました、修正を必要とするものもたくさんあるだろうと 思っておりますので、御指摘の点については事務局の方に整理修正をさせることといたし ます。できるだけ私も入れるときは入って、先生方の御意見で入れるべきところ、入れな いところは修正をするということでやっていきたいと思います。  それで、委員の皆様方に御確認をいただくという手続きはとりたいと思っています。た だ、個別にやることになりますので、全部が全部ということで御納得いただけるかどうか というのはまたそのとき御相談させていただきたいと思いますが、そういう形で御確認を いただいた上で取りまとめたいと思いますので、そういう運びでよろしゅうございますで しょうか。  それではそういうことで進めさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとう ございました。では本日の審議はこのあたりで終了をしたいと思います。今申し上げまし たようなことでまとめました「基本的な考え方」につきましては、来月以降厚生労働省に おいてパブリックコメントを実施するように持っていきたいということでございます。  それでは今後の特別部会の進め方について、事務局から説明をお願いをいたします。 ○医療課長  はい。先ほども少し触れましたけれども、きょうの御意見をいただきまして部会長と御 相談の上修文をつくって、改めて先生方に御相談をさせていただきたい、その上で確定を した上でパブリックコメントをとっていきたいと思っております。それも踏まえて先ほど 秋ごろを目途に今度は診療報酬、お金の支払い方法ですけれども、診療報酬の骨子を作成 していただくというそこへ向けての議論を重ねていきたいと思っております。よろしくお 願いいたします。 ○糠谷部会長  それではこれで終了をいたします。本日はどうもありがとうございました。     【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288) 2