07/01/17 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会第24回議事録 第24回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 1 日時 平成19年1月17日(水)10:00〜 2 厚生労働省共用第8会議室(6階) 3 出席者  〔委員〕   公益代表  石岡委員(部会長代理)、稲葉委員、岩村委員   労働者代表 高松委員、寺田委員、長谷川委員、真島委員   使用者代表 下永吉委員、松井委員 4 議題 (1)雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱(労働者災害補償保険法の一部    改正関係)について (2)平成19年度労働保険特別会計労災勘定(案)について 5 議事 ○部会長代理(石岡)  ただいまから第24回労災保険部会を開催いたします。本日は西村部会長が ご欠席のため、部会長代理である私が議事の進行を務めさせていただきます。 出席状況ですが、金城委員、那須委員、内藤委員、早川委員、平山委員及び横 山委員がご欠席でございます。  それでは、本日の議事に入ります。本日の議題は「雇用保険法等の一部を改 正する法律案要綱(労働者災害補償保険法の一部改正関係)について」と、「平 成19年度労働保険特別会計労災勘定予算(案)について」です。まず、1つ 目の議題の「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱(労働者災害補償保険 法の一部改正関係)について」ですが、本件は厚生労働大臣から労働政策審議 会会長宛ての諮問案件です。これにつきまして、事務局から説明をお願いしま す。 ○労災管理課長(勝田)  まず、資料1「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱(労働者災害補償 保険法の一部改正関係)」に係る諮問文について要綱を読み上げた上で、説明 させていただきます。  労働政策審議会会長菅野和夫殿。別紙「雇用保険法等の一部を改正する法律 案要綱(労働者災害補償保険法の一部改正関係)」について、貴会の意見を求 める。平成19年1月17日。厚生労働大臣柳澤伯夫。  別紙。雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱(労働者災害補償保険法の 一部改正関係)。第1、労働者災害補償保険法の一部改正。1、労働福祉事業 の見直し。(1)「労働福祉事業」の事業名を「社会復帰促進等事業」に改め るものとすること。(2)労働者災害補償保険法第29条第1項第3号の規定に よる安全衛生確保事業を「労働者の安全及び衛生の確保その他保険給付に係る 事業の健全な運営の確保に資する事業並びに賃金の支払の確保を図るために必 要な事業」に改め、同項第4号の規定による労働条件確保事業を廃止するもの とすること。(3)その他所要の規定の整備を行うものとすること。  2、船員保険の統合。(1)労働者災害補償保険法の適用除外対象から船員 保険の被保険者を削除するものとすること。(2)厚生労働大臣から国土交通 大臣に対し船員法に基づく措置を要求することができるものとするとともに、 相互に情報提供を行うことができるものとすること。(3)その他所要の規定 の整備を行うものとすること。  第2、その他。1、施行期日。この法律は、平成19年4月1日から施行す るものとすること。ただし、第1の2については、平成22年4月1日から施 行するものとすること。  2、経過措置。(1)第1の2の改正の施行前に生じた事故に係る保険給付 については、なお従前の例によるものとし、当該保険給付に要する費用につい ては、船員保険が保有する積立金を移管するとともに、船員を使用する事業主 から徴収するものとすること。(2)その他この法律の施行に関し必要な経過 措置を定めるものとすること。  3、関係法律の整備。その他関係法律について、所要の規定の整備を行うも のとすること。  諮問文は以上です。内容については、参考資料をご覧いただきながらご説明 したいと思います。  まず参考1です。「雇用保険法等の一部を改正する法律案(労働者災害補償 保険法の一部改正関係)」の概要をまとめたものです。全体として、特別会計 の改革に伴い、労働福祉事業の見直しと、船員保険の職務上疾病部門及び年金 部門を労働者災害補償保険に統合する、船員保険の疾病関係を労災に統合する という2点を内容とするのが、この雇用保険法等の一部を改正する法律の内容 です。  ちなみに、皆さんの前にはお示ししてありませんが、雇用保険法等の一部を 改正する法律のそれ以外として出てくる中身の部分については、雇用保険関係 の国庫負担の削減及び雇用安定事業等の見直しの部分です。もう1つは、船員 保険自体の本来の廃止と、それに伴う失業給付関係の雇用保険への統合の部分 がある形になっています。  労災保険法関係の改正の概要です。1つ目は、労働福祉事業の見直しです。 この福祉事業の見直しについては、先月14日の当部会でいただきました建議 に従いまして、現在の労働福祉事業の4事業を3つの事業に再編することです。 これについては前回もご議論、ご報告を申し上げたところですので、詳細の説 明は割愛させていただきます。  2つ目は、船員保険の統合です。これについては、前回に説明を少し端折り ましたので、これの基になった船員保険事業運営懇談会の関係部分の抜粋を参 考2に付けてあります。また参考3として、どういう形に船員保険が見直しに なるかということが出てきますので、その2つをご説明します。  参考3にありますように、現在の船員保険、総合的な保険として職務外の疾 病、いわゆる健康保険、医療保険の部分。職務上の疾病・年金、労災に相当す る部分。失業関係、雇用保険に相当する部分。これらを総合的に1つの船員保 険として運営されています。今回はこれらの労災・雇用のそれぞれに相当する 部分については、それら一般制度に統合するとともに、職務外疾病部門、健康 保険部門については、健康保険部門としてやっていく。船員保険については、 船員の独自給付ということで、いわば職務上労災に相当する部分についての上 乗せ、あるいは横出し的な独自の給付を持っていたので、これらについては職 務外疾病部門、健康保険等と一緒にやっていくという形での整理をさせていた だくことが内容になっています。  参考2に戻りましてもう少しご説明します。前回もお話しましたが、船員保 険事業運営懇談会で12月21日にこの報告がまとめられました。前回12月14 日にご報告した時は案でしたが、あまり大きく労災関係の部分は変わってはお りませんが、変わっていない分いる分も含めて、再度ご説明したいと思います。  1頁の第2「船員保険制度改正の基本的な方向性」です。1の2つ目の○の (1)に、船員保険の職務上疾病・年金部門については、労災保険に相当する 部分を労災保険に統合すると出ています。いま申し上げたように、独自給付に 相当する部分は統合しませんという形になっています。  2に「移換金等の支払」が出てきます。統合前に支給の事由の生じた受給者 に係る年金の給付に要する資金2,100億円が必要である。このため積み立てら れた700億円を統合時に移換する。これは労災保険にということで、この部分 が先ほどの要綱で説明した第2の2の(1)に相当する部分で、ここに移換す るという話が出ています。ただ、将来的に解消する必要がある積立金差額を、 基本的には労災保険料率の中で船舶所有者において償却する必要があるとい うのが、2の○の第2段落の所に出てきます。この船舶所有者において償却す る部分を要綱で申し上げますと、第2の2の(1)の後半部分ですが、要する 費用について移換するという話と、もう1つその後に出てきます船員を使用す る事業主から徴収するという規定が出てきます。この部分で基本的に移換金と、 それから船員を使用する事業主からの負担においてこれを償却していくとい う、この報告書に出ている部分が要綱で確認というか、実現されることになっ ています。  4の「福祉事業の取扱い」については、基本的に労働福祉事業、雇用福祉事 業の枠組みの中で実施できる事業は、それぞれ事業として実施することになり ました。これにつきましては、後ほど細かく出てきますので、もう一度ご説明 します。  2頁の第3「具体的な見直しの方向」。Iの適用範囲で「労災保険の適用範 囲」について、基本的に船員保険の被保険者は、すべて労災保険の適用対象と すべきであるとされています。1人以上雇用される場合には全適になってきま すので、これが除外されるのは基本的にはありません。各論として、FOC船 に乗り組む場合、マルシップに乗り組む場合、それぞれについて適用すること になっています。これについては、基本的に日本にある船舶の運航等を行って いる会社と船員さんたちの間の雇用関係がありますので、これらに着目して労 災保険が適用されてくることになっています。  5人未満の船員を雇用する船舶所有者の漁船に乗り組む船員。5人未満の農 林水産業の暫定任意適用の話がありますが、この部分については強制適用とす べきであるとなっています。確認のため1つ申し上げますと、現時点において も労災保険法の中で、農林水産業であっても5t以上の船については、適用対 象になっています。5人未満ですが、これに該当する方が本当にいるかどうか については精査中ですが、いずれにしてもこの部分は省令以下の改正で済む予 定ですので、施行までに確認した上で対応していくこととします。  II徴収については賃金総額、保険料総額の基礎とすることで、通常の労災保 険の対象者と同じです。  III給付の部分です。船員保険の職務上疾病・年金の給付について、労災保険 の給付に相当する部分については統合後の労災保険から給付する。それ以外に ついては新船員保険から引き続き給付するということです。参考3の見直し後 の右側をもう一度ご覧いただきたいと思いますが、労災保険の部分はそのまま 国が給付する。船員の独自給付に当たる部分は、船員保険が職務外疾病部門と 一緒に全国健康保険協会が実施される予定で、ここにおいて給付することにな っています。  次の頁は、給付基礎日額を算定し、それによって支給することとされていま す。4頁の1つ目の○で、給付基礎日額の算定に当たって、船員の場合には乗 船時と、乗船していない期間の賃金が大きく変動する。このために例えば下船 期間中ずっとやっていて、乗船後すぐに労災になった等の場合において、賃金 の給付基礎日額の算定がうまくできるかという問題があります。この問題につ いては、給付基礎日額の算定について、現在においても労働者災害補償保険法 の中に特例を設けることができる旨の規定がありますので、実態がどのように なっているかについて確認の上、施行までに省令等において手当をすることと しています。  2つ目の○ですが、労災保険の給付申請をする労働基準監督署及び新船員保 険の給付申請を実施する機関、全国健康保険協会になりますが、これらについ ての連携について謳われています。要綱には出てきませんが、その他所要の規 定の整備の中で、これらについても併せて措置することとしています。  各論で通勤災害の話、あるいは労務不能の認定の話はいろいろ出てきますが、 これは運用上の問題ですので、基本的に報告書に沿った中で運用ができるよう、 関係機関と連携し処理していく予定です。  新船員保険の特別給付の話は、先ほど申しましたように新船員保険からとい うことで、全国健康保険協会が行う事業の中で、特別給付が実施されることに なりました。  5頁は、IV福祉事業の関係の話です。船員の福祉事業は、労災保険の労働福 祉事業に相当する部分、雇用保険の安定事業に相当する部分がそれぞれありま す。そこで、そのうち私どもとの関係で問題になってくる労働福祉事業に相当 する部分、あるいは業務上の災害、疾病等との関係で問題になる部分について、 参考4にまとめていますので、ご覧いただきながら説明を聞いてください。  労災保険の労働福祉事業は、労働者と遺族に対する福祉の増進で実施してい ます。船員についても労災保険の被保険者の対象者となる場合には、同じよう な形になっています。船員保険の福祉事業で実施している事業については、労 災保険と同じような事業もいくつかありますので、それらについては労働福祉 事業の枠組みの中でいいのではないかというのがそれ以降に出てきます。1つ は「就学援護費」というのが出てきます。参考4にあるように、現時点におい て平成18年度予算額で1億円を船員保険において支払っています。これと同 じような形で、労災は「労災就学援護費の支給」という事業になっていますの で、そちらに統合されるというか、こちらでやっていくことになると思います。  整形外科療養は、名前は整形外科療養ですが、やっている中身からいうと、 これは労災、労働福祉事業の中では「義肢等の支給」に相当する事業となって います。ですから、基本的にはこちらへ統合されていきます。  未払賃金の立替払事業は字のとおりでして、未払賃金立替払事業の内容等に ついても、現在の労働者健康福祉機構において実施している未払賃金立替払事 業と同様のものが行われ、これも統合が適当ではないかということです。健康 管理手帳についても、がんその他の健康障害のおそれのある業務に従事してい た方についての健康管理手帳制度が行われています。これも労働福祉事業でい くつか行われている健康管理手帳制度とほぼ同様の形で整理することが適当 だという報告が出されています。  他の業種と一緒になっているものは、統合されていく形になっていますが、 もう1つは船員災害防止協会への補助です。これについては、現在約4,580万 程度の予算が平成18年度は出ています。これについて労災で申しますと、労 働災害防止団体が中災防以外に業種別にいくつかありますが、これと類似とい うことで、これについても同じように労働福祉事業として、船員災害防止協会 への補助という形で報告書に出ています。  それ以外に無線医療センター、船員の方の場合には洋上で、最近は多くの船 にお医者さんが乗船していないこともあるので、いざという時に無線で医療相 談ができるセンターが運営されている。あるいは、洋上救急医療ということで、 洋上で病気、事故等が起きた場合に、ヘリコプターやその他による救助等が行 われるものがある。保養所・病院等の設置運営等のものがある。参考として4 つほどの事業が出ていますが、これらについては労災保険に統合されるのでは なく、独自事業として行われる、または保養所・病院等については整理合理化 について、現在関係労使を含めた協議、相談が行われるということで記述して いますので、これらについては私どもに来るものではないという形での整理を しています。  これらの事業に関する予算等について、どの程度一般の事業主に比べて手厚 いのかというご疑問があると承知しています。若干申しますと、上の4つの事 業については、払っていただいている保険料との割合でいえば、全体の一般事 業主よりも低いですが、賃金総額の割合からすれば、若干事故が多い等もあり まして、低いとは言えない状況かとは思います。  一方、船員災害防止協会の補助ですが、これは他の業種別の災防団体と比べ ると、一人頭、あるいは保険料総額に占める割合のいずれで見ても、ほぼ中ほ どぐらいという形です。労働福祉事業全体として、基本的には全事業で均一で 「皆さん助け合いましょう」という形になっていますが、その業種にしかいか ない船災防も、いわば平均的というか中ほどに止まっています。それ以外の部 分については、全く他の業種と同じ制度に入っていただきますので、私どもと してはこの部分が他の業種との均衡を失していることはない、と考えています。  報告書の抜粋に戻ります。Vの運営主体で「労災保険及び雇用保険に係る地 方運輸局の業務」の中で、災害予防と補償の連携の確保が出てきます。現在は 労災保険についての補償は、私どもの部でやっていますし、地方では安全衛生 や労働基準監督と合わせて、労働基準監督署で一元的に行われています。その 連携等においては常に配慮されている、1つの機関が行っていることで十分な 連携が図られていると考えています。  今後船員さんの場合には、船員さんの監督あるいは安全衛生の指導について は、国土交通大臣か船員労務官の方が実施します。この場合に、予防という観 点と補償という観点が一体的に必要だと。そこで先ほどの要綱の第1の2の (2)ですが、厚生労働大臣から国土交通大臣への措置の要求、あるいは相互 の情報提供といった規定を設けて、十分な連携を図っていきたいと思います。  また、他の部分についても同様で、報告書の概要の7頁の2つ目の○にあり ますが、未払賃金の立替払でも同じような問題になってきます。また後ほど出 てきますが、実際の災害の補償を行う場合の請求に対する審査等の業務を行う 場合についても、相互の情報の提供が重要になってきますので、こういった要 綱にあるような規定を法律に盛り込ませていただくという方向で考えていま す。  7頁のVIの費用負担の問題です。基本的には労災保険の保険料を事業の種類 ごとにということです。船員労働についても船員ということで、当初は同一保 険料でスタートします。さらに償却は、統合以前の労働災害に関する補償に関 して、移換金では足りない部分について、船員を使用する事業者の方から徴収 することになりますので、この部分を上乗せした形での保険料を、施行の時点 までに料率等を定めていくことになっています。同じような話で、統合後の新 規加入の方についても、船員という1つのグループということで、同じ料率を 負担していただきます。  メリット制ですが、いまの船員保険自体も船員保険としてのメリット制はあ りますが、労災保険加入後は労災保険としてのメリット制を適用することにな ります。8頁の頭に、船舶についてメリット制の議論をするときに、常にメリ ット制が強く影響する場合に労災かくしの議論がある関係で、就労場所が船舶 であるとなかなか遠くから見えない、労働災害が発生した場合に、関係機関が 連携してきちんと確実に把握、適正な請求を確保されるよう措置をする形にな っています。これも先ほど申しました相互の情報提供、あるいは国土交通大臣 と厚生労働大臣の要求関係等が、この部分にも効いてくる形になります。  VIIは、施行時期及び経過措置です。施行時期については、先ほど労働福祉事 業の見直しは平成19年4月1日からということで、平成19年度予算から全部 を反映される形になりますが、船員保険については、新船員保険制度、あるい は労災保険制度にそれぞれ移換していくのを、現時点におきましては平成22 年度までに施行することが報告書で謳われていて、その関係で法律上のいまの 施行時点は平成22年4月1日にさせていただいています。  ただ、1点不確定要素があります。船員保険の統合の契機の1つとして上げ られているものの中に、社会保険庁改革があります。この関係で、社会保険庁 改革の時期によっては社会保険庁改革が行われる際、あるいはそれ以前に前倒 しして行うという変更があり得ることをご承置おきいただければと思います。 ただ、まだ社会保険庁改革についての議論が定っていない関係で、いつになり ますとか、どうなるということを申し上げことはできません。社会保険庁改革 を行う場合に、少なくともそれに遅れないように、あるいは先立つ形での統合 で、それがどのようになろうとも、いちばん遅くても平成22年4月1日には、 船員保険は労災保険に統合されていくという形でご理解いただければと思い ます。  経過措置は何度も話していますが、移換金です。現時点において計算します と、約2,100億円が平成22年4月1日の時点で必要だという計算になってい ます。これは現時点での利子率や賃金の上昇の傾向等を踏まえたものですが、 平成22年においては違うかもしれませんので、平成21年度末の見通し、見込 みですので、施行に向けた準備を行う中で見直す必要はありますが、現時点に おいて職務上年金部門、船員保険には700億の積立金がありますので、1,400 億の差額が残っている形になります。  9頁の負担の在り方に戻ります。負担の在り方の後段の「このため」以下で すが、統合に伴って発生する移換金についても、船舶所有者が負担することと する。積立金差額については、労災保険料率の上乗せにより償却していくとい うことです。何度も繰り返して恐縮ですが、船員保険の持っている積立金を基 本的に移換していただく。その時点でどれだけ持っているかわかりませんが、 現時点では700億、あるいは後に出てきますが、ほかの資産から一緒になると 800億程度可能ではないかと言われています。2,100億等の差額については労 災保険料率に上乗せして、船舶所有者にご負担をいただきながら償却していく ことになります。これらに係る本当の積立金の必要額、料率等については、施 行に向けた準備を行う中で改めて見直しをして示させていただきます。  ただし、9頁の下の償却率及び償却期間の範囲については、この報告書の中 では労災保険における財政方式の切替えの際の例に倣い、償却期間を長期間に 設定する等により、統合の際に船舶所有者の全体の保険料率が現在よりも増加 しないよう措置を講ずることが適当であるとされています。この部分について は実際の料率になりますので、移行前に省令等を定める場合に、またご相談さ せていただくことになるかと思います。  あとは細かい話になりますが、10頁の下に積立金の差額、被保険者数の推 移等を考慮し、その時点での積立金差額を見て必要な場合に労災保険料率の改 定を行う。まさに当然の労災保険料率の定期的な改定等を行うことを前提とし た文言になっていることだけ、とりあえず申し上げます。なお、これまで統合 前に発生した業務災害等に係る年金の支給事務等については、全国健康保険協 会が今後とも行うことを予定していますので、お金は私どもに一旦きますが、 それに必要な金額として、私どもから全国健康保険協会に交付して支払っても らう形の事務を予定しています。  ここには出てきませんが、実際の施行の際には、船舶所有者に係る、例えば メリット制の適用について調整率をどうするかという細々した問題が、またい くつも出てくると思います。これらについてはまだデータも不十分ですので、 そういったデータも揃えながら、施行の前に再びこの部会においてご議論いた だければと思います。少し長くなり、また漏れがあるかとは思いますが、また その部分については何なりとご質問をいただければと思っています。私からの 説明は、以上です。 ○部会長代理  ただいまの事務局の説明についてご意見、ご質問等がありましたらお願いし ます。 ○長谷川委員  丁寧な説明をしていただいたので、それで理解するところもありますが、確 認と意見と要望を何点か申しますので、事務局からのご回答をお願いします。  まず1点目が、今回の労災保険法の適用対象規定から船員保険の被保険者を 削除するのはそうだろうなと。そういう意味では、船員保険と統合するに当た ってですが、いま言ったように船員を適用除外している項目の削除が必要なこ とは当然だと思います。ただ、先ほども説明があったFOCやマルシップなど において、適用漏れや不完全な適用等が起きないようにしていただきたいと思 います。今日のご説明では、そういうことはないのかなと思いますが、再度こ れは確認したいと思います。  2点目は、先ほどの説明にもありましたが、予防のところは国土交通省が持 ち、補償が厚生労働省なのですね。前に労災保険の在り方のときにもやりまし たが、予防と補償が一体であることのメリットは非常にあるわけです。そうい う意味では、今回国土交通大臣に対する措置要求規定や相互の情報提供規定を 新設するとなっていますが、全くそのとおりだと思うのです。これが単なる国 土交通省と厚生労働省の中央だけでなくて、是非地方での連携もお願いしたい と思います。ここは非常に重要なことだと思います。  3点目は、施行前に生じた事故に係る保険給付についての説明は先ほどあり ましたが、この際統合前に発生した給付分の支払原資ですが、これについては 移換後にも再注入が行われるという理解でいいのかどうかです。次にメリット 制は慎重に扱っていきたいと先ほどありましたが、船員保険と労災保険は、も ともと制度の適用となる規模に差があったことは事実なわけですよね。そうす ると、移換することでメリット制が今回適用になるわけですが、労災かくしが 発生することは非常に私どもは危惧しているわけです。これらに対して労災か くしが行われないような十分な対応が必要なのではないかと思います。これは 私どもの意見ですので、制度設計をするときには、是非ここのところを注意し ていただきたいと思います。  次は、労務不能の取扱いです。船員保険では船員労働の特殊性があって、事 故前の職場復帰まで給付が継続されるという制度だったわけです。制度移換後 の労務不能の認定基準についてですが、労災保険又は新しい船員保険の両方で 是非しかるべき対応をしていただきたいという要望です。船員保険の場合、人 的資源を大切にするという思想があったわけですが、是非この船員保険で持っ ていた思想を、労災保険においても尊重していただきたいという要望と意見で す。  時効についてですが、船員保険におけるこれまでの時効の運用を、是非勘案、 考慮してほしいと思います。労災保険制度における時効の改正も必要ではある と思いますが、例えば前回出来たアスベスト新法等にも、時効後の申請にも一 定の救済制度を設けるというものもあるわけですが、いままでの船員保険と比 較して、この制度が後退するようなことがないようにお願いしたいと思います。  最後に、統合後の通勤災害の取扱いですが、船員の特殊な勤務体系があるわ けですが、是非これを考慮した運用をやっていただきたいと思います。すでに 船員保険の場合は、船員保険における通勤災害の範囲等が出されていますが、 これらのものを是非尊重していただきたいと思います。労働者から見ると、統 合のときにいままであった制度が後退するとかなくなることに対して非常に 不安を持つことは、労働者からすれば当り前のことだと思います。ただ一方で 労災保険が受け入れるわけですから、その辺の調和は難しいと思いますが、是 非関係者の知恵を出し合いながら、制度運用がうまくできるような努力をお願 いしたい。むろん私どももそういう努力をするつもりでいます。 ○部会長代理  ただいま長谷川委員から7点にわたるご意見等がありました。事務局から答 えてください。 ○労災管理課長  長谷川委員のご質問、ご意見、要望に対して、私から回答します。1点目の FOC、マルシップの方々を含めて漏れなく適用されるようにという点につい ては、私どもは実際の運用上落ちがないようにやっていくつもりですし、基本 的にこれらに乗り組む船員の方、国内にいらっしゃる船員の方は、日本の船会 社との雇用関係において開示されて乗り込むということですので、当然漏れる ことはないと考えていますし、そのように運用してまいりたいと思っています。  2点目の話はおっしゃるとおりで、予防、補償は一体であるべきで、少なく とも密接な連携を持って一体的に対応していくのは当然です。いまの私ども労 災全体はそういう思想に立って、監督行政、安全衛生行政が一体となった運用 を行っています。今度は安全あるいは監督を行うのが船員労務官ということで、 外の機関の方々にはなりますが、当然同じようにできる限り密接な連携を持っ てやっていきたいと思います。ご指摘をいただいたように、そのために国土交 通大臣と厚生労働大臣との関係の規定の整備ですし、担当の部局とも話し合い ながら、地方の現場を含めてできる限り密接な連携を保つよう、私どもとして も考えていきたいと思います。  3番目の施行前、統合前の事故についての支払原資はどうなるのかというご 質問です。ご説明したとおりですが、いまの船員保険で持っているお金、積立 金等は一旦私どもの中に入れていただきます。統合前の事故の支給に必要なお 金については、船舶所有者の方から労災保険料率でいただきます。ただそのお 金を実際に払うのは全国健康保険協会になりますので、私どもから全国健康保 険協会にお金を交付して、そちらで支払っていただくことになります。  4番目はメリット制の問題です。先ほどもお話したとおり、現在の船員保険 でもメリット制は適用されているわけです。ラフな計算で申し上げますと、今 回船員保険の方々が労災保険にきた場合に、現時点で想定されている保険料率 あるいは償却料率を考えて、私どものメリット制を適用した場合でも、上限の 料率はそんなに変わらない。下限の料率は逆に下がるぐらいになるのが、いま のメリット制をそのまま適用した場合の料率になってきますので、それほど皆 さんが労災かくしに走るほどメリット制が厳しくなる状況ではないと思って います。  ただ、労災かくしということだけに止まらず、災害が起こった場合にきちん とその情報を把握して、補償させていただくという労災保険の健全な運用とい う観点からも、国土交通省を初めとして関係者の皆さんのご協力もいただきな がら、きちんとした対応ができるようにしていきたいと思っています。この点 については行政側だけでなく、是非労使の皆さんのご協力もさらにいただけれ ば、私どもとしても幸いです。  5番目は労務不能の認定の取扱いです。基本的に労務不能の認定の取扱いの 中で、障害の部分はほとんど変わらないので、あと休業の部分がどうなるのか ということかと思います。通常の労災でもどの程度よくなったら復帰するとい うことがあるわけで、その部分で考え方は若干違うとは言いながら、実務上違 うのかなどうかなという点については、私どもはまだ決め切れていない部分で す。ここは実務関係者が運用の実態をよく見極めながら、場合によっては新船 員保険の給付の中で処理できるように検討してまいりたいと思います。  時効の問題については、アスベスト新法のお話が出たように、基本的に私ど もも5年で時効です。ただ、通常で申し上げますと5年以上前の事故あるいは 障害について、それを遡って調べることになると実際の問題としては非常に難 しいわけです。いまの5年も、例えば有害物質を吸ってそのときから5年で全 部切ってしまうわけではなくて、例えばそれによって何らかの疾病が発生して から5年ですので、アスベストのように、これが起こるかどうかみんな知らな かったということでなければ、実務上の大きな問題は起こってこないだろうと 思います。この点については船員関係の皆さんによく周知、広報を行って、問 題がないように努めていきたいと思います。  7番目の通勤災害の問題は、船という実際の就労の場所が場合によって転々 と移動することに伴って、通勤がなかなか難しいという実務上の問題はあるか もしれませんが、この問題については皆さんにご迷惑がかからないように処理 できるのではないかと考えていますし、いまでも複数の就労場所等の場合も含 めて処理しているところですので、ご心配になるような形ではなくきちんとし た処理ができるように、運用上しっかりやっていきたいと思っています。私か ら答えることは以上ですが、もし何かありましたらさらに言っていただければ と思います。 ○部会長代理  皆様何かございませんでしょうか。 ○松井委員  まず船員保険事業運営懇談会において、岩村委員が取りまとめてくださいま したことにお礼を申し上げます。この取りまとめられた方向性に基づいて、本 日の要綱は出来上がっているものと私は了解しました。今後のこともあります ので、再度、是非お願いをしておきたいことは、統合後の、いわゆる労働福祉 事業の部分については、全業種統一の料率ですので、船員保険に特殊な事業で はないとしても、他の一般事業主、あるいは建災防をはじめとする独自給付の 対象業種との均衡が、あまり失することのない事業内容での運用を是非お願い できればと思います。とりあえずこの方向性で走っていただいて、その後に必 要とあれば全体的な見直しの中で、必要に応じて船員独自の労働福祉事業の見 直しもお願いしたいと考えています。  もう1点、いわゆる労働福祉事業の見直しについては、前回私どもから未払 賃金立替払事業についての疑念を申し上げた次第です。この中に未払賃金立替 払事業は別の形で一応新たに位置づけられるものと記されていますが、私ども としてはこれは引き続き必要な見直し、本来趣旨に沿ったものであるかどうか を今後とも検証していきたいということを述べまして、この要綱については概 ね了解したいと思います。以上です。 ○労災管理課長  いま松井委員からお話がありましたとおり、私どもとしては現時点としては、 基本的に船員保険からいらっしゃる方々に対する福祉事業は、いまある労働福 祉事業の中で全産業同一で行うものについてはその制度の中でしかないとい うこと。もう一度申し上げておきますが、船災防についても他の業種別の災防 団体と、いわば中ほどぐらいの金額の支出になっていますので、均衡を失する ことはないと思っています。これらだけではなく労働福祉事業全体、今後とも PDCAサイクルで見直していくことについては、前回の建議の際にもいただ いたとおりですので、何ら変わることなく、すべて同じようにPDCAサイク ルの中で、今後とも見直しのためのご議論をいただければと思っています。  2点目の立替払の話については、前回の建議の際にも今後とも議論するとい うことで、また議論の在り方等についてもご相談していきたいと思います。 ○部会長代理  その他ご意見等はございませんでしょうか。 ○稲葉委員  施行時期の説明で、法案要綱では平成22年実施となっています。社会保険 庁改革の時期によっては前倒しという話ですが、社会保険庁改革が22年度よ り実施された場合には、前倒しができるのか。前倒しできるのなら、なぜ初め から早くやれないのか。その辺の説明をお願いします。 ○労災管理課長  その点ですが、社会保険庁改革よりも後になると、まず1点目は、労災保険 や雇用保険に当たる部分を民間から出すことになりますと、いまの行政の認定 に当たる部分、行政処分を完全に民間団体がやる形になってきますので、これ で適正を保てるかどうかという問題が出てきます。特に労災保険の関係を申し ますと、労働基準法の刑事免責のところと関わってきたりしますので、こうい ったものについて民間でやることについて、私どもとして1つ疑義を持ってい ます。  2つ目は、現時点において積立金として数百億のお金を船員保険の会計は持 っています。そのお金をどうするかという問題があると。  3つ目に、短期間の間に社会保険庁改革とこの改革が続け様に行われるとす ると、一旦社会保険庁から民間団体に全部移行して、それをまたさらに労災保 険ないし雇用保険にもう1回移行するという形で、2度の移換の手続を経るこ とになってしまいます。これはまた事務的にも、いまはコンピュータシステム でみなやっているものですから、それの変更という点からも非常に大きな負担 になってきます。こういった理由から、私どもとしては移換はすべて1回で、 民間に行くことなく労災保険と雇用保険については済ませてしまうというこ とで、少なくとも社会保険庁改革と同時か、前に行うことで処理させていただ きたいと申し上げております。 ○稲葉委員  社会保険庁改革は比較的短時間のうちに出来ると思うので、平成22年度実 施というのは遅いのではないかと思います。事務的に移行作業がなかなか大変 だとは思いますが、もっと前倒しで早くできないかということです。 ○労災管理課長  社会保険庁改革自身も社会保険庁のコンピュータシステムを全部直さなく てはいけないので、郵政公社の改革の際にもいつまでに出来るかというのがシ ステムの関係でありましたが、とても半年や1年で確実に出来るという話では なさそうでして。結構法律的には簡単ですが、実際の業務の運用をするための 時間は相当程度必要ですので、必ずしもそんなに大幅に前倒しになるというこ とはなかろうかと思います。  ちなみに、現在の船員保険をこのままの形で移行するのに関しても、新たな システム開発はいろいろと必要ですので、それに要する期間はそれなりに必要 と私どもとしては考えています。例えば新法人と私どものコンピュータをつな ぐためのプログラム等をやっていくと、私は素人でよくわかりませんが、これ はなかなか大変な作業になるようです。 ○松井委員  あえて申し上げておきますと、私どもの団体から社会保険庁に対して、民間 企業からの支援の一環としてシステム関係も人的支援をしています。いろいろ 聞くところによると、いま課長からお答えがあったようなことが、現場では相 当苦労しておられる実態もあります。私ども民間の感覚からすれば、ご指摘の ようにもっと早く改革は進めるべきという考え方を持ちつつも、現場の第一線 でプログラムまでの設計をしておられる方からは限られた時間の中で膨大な 作業をこなすことは非常に難しいというご意見も伺っております。両方とも理 解している立場から、社会保険庁の肩を持つわけではありませんが、その点も 踏まえて無駄のない形での移換、そして確実な形での移換が行われるようにお 願いしたいと思います。そうしませんと、また社会保険庁改革が行われる過程 で、また何かどこか失敗していると言われることになり、行政を支える人たち のモラールがダウンします。また、そうした事態になりますと国民の不信感が なかなか沈静化していかない方向に向いてしまうものと私は理解します。社会 保険庁に成り代わってということではありませんが、そういう点も十分踏まえ た改革を行っていただきたいと思います。以上です。 ○岩村委員  一言だけ追加しますと、私は全国健康保険協会の設立に関係しているのです が、これもシステム開発が大問題でして、とにかく移行時にシステムのトラブ ルがなくスムーズに移行することが至上命題だと思っています。これは民間の 場合も銀行でトラブルが起きたこともあるので、絶対にそういうことがないよ うにというのが第一的な課題だと思っています。年金部分についても、いずれ にしろ万全なシステムが整った上での円滑な移行となるとすると、早急にはや れないと私も思っています。 ○稲葉委員  特別会計の改革というのは国民の強い要望ですので、それとの車の両輪だと 思うのです。もちろんコンピュータの話は十分私も承知していますが、その点 は移行をスムーズにしながら、しかも特会の改革を念頭にも置いていってもら いたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○労災管理課長  1点だけ説明を失念していましたが、行政改革推進法はすでに成立して、本 来福祉事業の見直し等の契機になった法律ですが、この中で船員保険の廃止の 話や会計の話が触れられています。これが平成22年4月にという期日の基で すので、ご理解いただいたことはありがたく思った上で、あえて追加で説明し ます。 ○部会長代理  その他ご意見等ございませんでしょうか。よろしいですか。  ほかにご意見もないようですので、諮問のありました件については、当部会 としては妥当である旨を労働条件分科会に報告したいと考えますが、いかがで ございましょうか。                  (異議なし) ○部会長代理  それでは、そのようにさせていただきます。なお、報告文については私にご 一任させていただくことで考えておりますが、よろしいですか。                  (異議なし) ○部会長代理  それでは、ご一任をさせていただきます。ここで労災補償部長より、ご挨拶 がございます。 ○労災補償部長  一言挨拶をさせていただきます。今回の労働福祉事業の見直しと船員保険の 統合に関して、ただいまご報告を取りまとめていただき、ありがとうございま した。このうち労働福祉事業の見直しについては、昨年の建議でも一部ご意見 をいただきましたが、いま課長からも申し上げましたが、今後ともPDCAサ イクルにより、各事業の必要性について引き続き徹底した精査を行っていくと いうことを、お約束を申し上げたいと思います。  今後の予定ですが、本日取りまとめていただいた部会の報告と、雇用保険法 等の一部を改正する法律ということで、職業安定分科会における報告を合わせ まして、労働政策審議会のご答申をいただき、その上で雇用保険法等の一部を 改正する法律案として、今月末に召集されることとなっている次期通常国会に、 法案として提出させていただきたいと思います。今後とも安心して働く上での 重要な制度である労災保険制度の的確な運営に努めてまいりたいと考えてお りますので、引き続きご指導、ご支援方よろしくお願いします。ありがとうご ざいました。 ○部会長代理  それでは、次の議題に移ります。「平成19年度労働保険特別会計労災勘定予 算(案)」について、事務局から説明をお願いします。 ○労災管理課長  資料2−1は「労災保険経済概況」で、平成13年度から平成17年度の収支 状況です。収入の欄をご覧いただきますと、このところ平成13年度から減少 傾向で推移してきましたが、平成16年度は増になりまして、平成17年度は若 干の減少ですが、ほぼ横這いといった形で推移しています。一方支出ですが、 労働災害の減少で給付費がずいぶんと下がってきています。労働福祉事業の見 直し等を行って、予算を削減しました。このため労働福祉事業の決算額は、平 成13年度以降は減少しています。  次に、資料2−2の平成19年度の労働保険特別会計、労災勘定業務予算案 の概要についてご説明します。  1頁は、労災勘定の歳入と歳出の全体の総表となっています。まず総額を申 し上げますと、いちばん上に出ています歳入予算額、対前年度比で5.4%増、 732億円増の1兆4,417億円です。線で引いてある下に記載している歳出予算 は、前年度比で1.2%減少、143億円の減少になって、1兆1,512億円となっ ています。内訳や細かいものを少し次の頁でご説明します。  まず歳入の保険料収入は最近の経済動向で雇用者所得が伸びたこと等もあ りまして、対前年度比で6.7%、690億円増、1兆1,008億円になって伸びて きています。一方、一般会計からの受入は、一般会計の厳しい状況の中で7億 円減の5億円となっています。これが労災保険法32条の補助額となっていま す。  3番目の未経過保険料の受入は229億円で、前年度比で4%減少、10億円 の減少です。これはすでに納付された有期事業の中から、平成19年度に係る ものとして前年度から受け入れるものです。4つ目が支払備金の受入です。備 考欄にも書いてありますが、これについてはすでに業務災害や通勤災害を受け た労働者に対して支払われるべき給付見込額(平成19年度予定額)は1,891 億円、前年度比で2%、38億円の増となっています。  5番目が運用収入です。備考欄にも書いてありますが、財政投融資で預託し ている積立金の利子収入です。預替等、平均利回が若干上がった影響がありま して、平成19年度予定額は1,068億円ということで、前年度比4%、41億円 の増となっています。雑収入ですが、第三者行為災害の損害賠償金は補助金等 の返納金です。この補助金等の返納金が減少する、第三者行為災害から取り損 なうことになると、補助金の返納額の減少を制度の改正に伴って見込んでいて、 約20億円の減、221億円となっています。以上が歳入です。  歳出では3頁に、保険給付費及び特別支給金については平成17年度の実績、 あるいは昨年10月末までの実績を基にして平成19年度分を見込んでいます。 遺族補償年金が増加していることで、その部分は1億円の増、0.02%増です。  一方特支金については、休業特別支給金が減少していること等から0.3%減、 4億円の減少となっていますが、ほぼ昨年平成18年度並みの金額を全体とし ては見込んでいるわけです。備考欄の3番目は、石綿の健康被害の救済に係る 費用、特別遺族給付金を計上していますが、支給実績が当初見込よりも少なか ったという形で、平成19年度分については前年度比23億円減少を計上してい ます。  2番目が、業務取扱費です。人件費などの事務費は効率化等に努めた結果、 5.2%、29億円減の528億円となっています。3番目の労働福祉事業費ですが、 いまご審議いただきました要綱等にありますように、見直しを図った結果、平 成19年度予算全体では10.1%、113億円減の999億円になっています。  もう1つ、この点で労働福祉事業費の所に※を1つ付けています。先ほどの 雇用保険法等の一部を改正する法律の中で事業名を変更する予定にしていま すので、これが通りますと労働福祉事業費ではなく、名称が変更されて社会復 帰促進等事業費という形になってきますが、現時点においては、とりあえず労 働福祉事業費として記載させていただいております。  4番目の他勘定への繰入は、徴収等にかかる事務費、保険料の返納金等の返 還金等ですが、実は保険料返還金等が若干増になっている関係で、24億円増 の676億円となっています。最後の予備費ですが、大規模な重大災害が起こっ たために給付費が不足したというときに当てるための経費ですが、このところ ずっと使用がありません。このために前年度22%減、22億円減の78億円とし ております。  こういった形が若干粗々ですが、来年度の労災勘定の予算の概要となってい ます。これ以外の細かいことについては、また労働福祉事業の見直しを行う検 討の場等において説明の上、また部会等においてご議論をいただくことになっ ています。とりあえず本日のところは概要のみご報告申し上げます。以上です。 ○部会長代理  ただいま事務局から来年度予算案について報告がありましたが、ご質問等ご ざいますか。 ○松井委員  1つだけ述べます。厳しい財政状況は十分理解しているつもりですが、雇用 保険の制度見直しでもいろいろな議論がありました。いわゆる国庫負担の問題 については、強制的に事業主に対して保険を強いることで、国としての一定の 責任も十分踏まえた上で、一般会計からの繰入については、今後とも引き続き お願いをしたいということだけを申し上げます。以上です。 ○労災管理課長  松井委員のご意見に関しては私どもも十分承知していますので、今後ともそ の方向で財政当局と折衝をしていきたいと考えています。 ○部会長代理  では、長谷川委員どうぞ。 ○長谷川委員  今回予算要求した内容ですが、できたらもう少し詳細のものが欲しいです。 というのは、地方自治体からちょっと悲鳴に近い声が上がっています。それは おそらく労災だけではなくて、雇用保険もです。特別会計の見直しは耳触りは とてもいいのですが、実際それがどういうところに現れているかというと、例 えば地方自治体で労働相談をやるとか、いろいろそういうものの予算が削られ ています。そこに端的に現れているのです。私どもにはそういう所から、いま までやっていた地方自治体の労働相談はできなくなったという話がきていま す。  したがって、私は今回の予算がどういう形で、予算が通れば4月から実行さ れるわけですが、もう少し中央だけの議論ではなく、地方の現場における声も 吸い上げるような議論をしてほしいと思います。したがって、これだと大掴み でしかありませんので、もっと詳細な予算書がほしいということと、9月にな れば前年度の決算も出てくると思いますが、そのときももう少し詳細な決算を 出していただきたいと思います。  松井委員はいみじくも言いましたが、私は国の雇用対策は小さいと思ってい ます。いままでは雇用保険や労災保険は特別会計にずっと頼ってきたわけで、 全体的に小さいわけです。そうすると、我が国社会が雇用社会で、雇用に対す るいろいろな手当や政策を打たなければいけないときに、特別会計に頼ってき たのは事実です。それを特別会計改革でバッサバサ切ったわけですから、だと すると、国の一般予算からもっと雇用対策に、私は予算を増加すべきだと思っ ています。  これは9月の決算で見なければいけませんし、当局の皆さんも大変だと思い ますが、そういう部分がどういう形で国民や労働者、地方自治体にきているの かという検証を、是非やっていただきたいと思います。今回の予算は出したの ですから仕様がないと思いますが、予算の議論は国会でやるでしょうから、是 非私どもの今日の労側の意見を真摯に受けとめていただきたいと思います。 ○労災管理課長  また細かい資料は委員の皆様に別途お届けするなり、また議論の場を設けさ せていただきたいと思います。また私どもとして労働福祉事業の見直し等にお きましても、できるだけ事業の効率化、あるいは予算の最も効果的な使い方と いう観点からご相談をさせていただきながらやってきたつもりですが、それに 伴うさまざまな結果等については、それに施策の効果等を見ながら、またご相 談したいと思います。 ○部会長代理  その他予算案について、ご発言はございますか。特にないようでしたら、第 2議案はこれで終了いたします。その他特にご発言はありますか。  ないようですので、本日の部会はこれをもって終了とさせていただきます。 なお、本日の署名委員は、労働者代表の高松委員、使用者代表の下永吉委員に お願いします。皆様本日は大変お忙しい中ありがとうございました。           照会先 労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係           03−5253−1111(内線5436,5437)