06/12/22  歯科医師国家試験制度改善検討部会 第1回議事録             医道審議会(歯科医師分科会)           第1回歯科医師国家試験制度改善検討部会 日時:平成18年12月22日(金)13:30〜15:25  場所:厚生労働省専用22会議室 ○鳥山補佐  定刻になりましたので、ただいまより、歯科医師国家試験制度改善検討部会を開会い たします。初めに白石審議官よりごあいさつ申し上げます。 ○白石審議官  御紹介いただきました、医政局審議官、白石でございます。医政局長は、所用のため、 冒頭はずしておりますので、代わりましてごあいさつ申し上げます。まずは本当に暮れ の押し迫ったお忙しいところ、本日、まさに全国から歯科医師国家試験制度改善検討部 会に御出席を賜りまして、本当にありがとうございます。  もう釈迦に説法そのものでございますけれども、現在の歯科医師国家試験は、一昨年、 平成16年3月の改善検討部会の報告書に基づいての実施となっておりますが、その際に は、主に3点、プール制への移行の推進、出題数・出題内容の変更等々、歯科医師臨床 研修の必修化を踏まえた試験の早期化といったことが提言されて今日に至っているわけ でございますが、特に今年になりまして、いろいろな動きがございました。8月31日付 で文部科学大臣、厚生労働大臣によって取り交わされました歯科医師の養成数の削減等 という確認書がございます。また、それを踏まえまして、先般、今後の歯科保健医療と 歯科医師の資質向上等に関する検討会の中間報告書が出まして、その中では、資質向上 という観点から、合格基準を引き上げること、あるいは出題内容等について幅広く検討 を行う旨の提言が行われているところでございます。  こういう最近の動き、また一昨年以降の改善のことも踏まえまして、この改善検討部 会では、現行の歯科医師国家試験の課題等について御検討を加えていただきまして、歯 科医師の資質向上を図る観点からも、早急に試験制度等の改善を図っていきたいと、こ ういう趣旨でお集まりいただいた次第でございます。  厚生労働省におきましても、医療提供体制の改革を進めている中で、歯科医師の資質 の向上というものが、高齢者もとりわけそうでありますけれども、非常に重要な課題で あるというふうに考えておりまして、歯医者さんとして第一歩を踏み出す上で必要な知 識、あるいは技能がどう担保されているかということを評価する国家試験というものが 果たす役割は非常に大きくなっているわけでございます。先生方におかれましては、さ らなる国家試験の改善のために、忌憚のない御意見、御提言をちょうだいできればと思 いますので、よろしくお願いいたします。局長に代わりまして、ごあいさつさせていた だきました。 ○鳥山補佐  それでは、歯科保健課長より、委員の方々を御紹介させていただきます。   ○歯科保健課長  歯科保健課長の日高でございます。よろしくお願い申し上げます。私の方から、委員 の先生方の御紹介をさせていただきます。  まず、岩手医科大学の石橋委員でございます。  東京医科歯科大学の江藤委員でございます。  東京歯科大学、金子委員でございます。  大阪歯科大学、川添委員でございます。  九州大学、古谷野委員でございます。  日本歯科大学、佐藤委員でございます。  東京医科歯科大学、須田委員でございます。  大阪大学、高田委員でございます。  千葉大学、丹沢委員でございます。  日本歯科医師会、箱崎委員でございます。  昭和大学、久光委員でございます。  九州歯科大学、福田委員でございます。  新潟大学、山田委員でございます。  なお、本日は藤田保健衛生大学の橋本委員におかれましては、都合により御欠席とい うことでございます。  また、本日はオブザーバーといたしまして、文部科学省から三浦医学教育課長に御出 席をいただいております。  引き続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  医事課試験免許室長の天童でございます。  歯科保健課の課長補佐、浅村でございます。  同じく鳥山でございます。  医事課課長補佐の小澤でございます。  試験免許室の試験専門官、和田でございます。 ○歯科保健課長  それでは、引き続きでございますが、本部会の部会長の御選任をいただきたいと思い ます。できれば、どなたか御推薦をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。   ○福田委員  ただいま、医療審議会の歯科医師分科会の委員をしておられ、日本歯科医学会の会長 をされております江藤委員にお願いをしてはどうかと考えておりますが、いかがでしょ うか。   ○歯科保健課長  ただいま、江藤委員の御推薦がございましたが、いかがでしょうか。 (異議なし)   ○歯科保健課長  ありがとうございます。それでは、江藤委員には部会長席にお移りいただきまして、 以後の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○江藤部会長  大変な時期に部会長という役をお引き受けし、身の引き締まる思いでございます。先 ほど白石審議官からお話がありましたように、この部会につきましては、これは12月当 初に出ました歯科医師の資質向上に関する検討部会の課題を踏まえまして、議論をして いく。これはすべて、歯科医師の資質の向上のためということでございます。この、資 質の向上ということに議論を収れんさせていきながら、議論を進めさせていただこうと 思っております。よろしくお願いいたします。 ○江藤部会長  まず初めに、事務局から、本部会の公開について説明をお願いいたします。   ○歯科保健課長  審議会の議論につきましては、平成11年の閣議決定に基づきまして、会議及び議事録 を原則公開というふうにされております。しかしながら、国家試験の試験方法などに関 する検討を行っていく中で、非公開としている国家試験の詳細に触れる場合には、この 会議、会議資料及び議事録は非公開とするのがよろしいのではないかと存じます。この ような取り扱いを考えておりますが、いかがでしょうか。   ○江藤部会長  ただいまの説明について、何か御質問等がございますか。特にないようでしたら、た だいまの説明のように、とり行うこととさせていただきます。 ○江藤部会長  それでは事務局より、資料について確認をお願いいたします。   ○鳥山補佐  資料の確認をさせていただきます。  資料1 歯科医師国家試験制度改善検討部会について  資料2 歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書の概要について  資料3 歯科医師国家試験の変遷及び現状について  資料4 歯科医師国家試験を取り巻く状況について  参考1 今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上等に関する検討会中間報告書  参考2 歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書  参考3 歯科医師資質向上検討会報告書  参考4 歯科医師国家試験の技術能力評価等に関する検討会報告書  参考5 歯科医師臨床研修制度の現状について  その他 平成18年度歯科医師国家試験出題基準      第99回歯科医師国家試験問題  以上でございます。 ○江藤部会長  ありがとうございました。 ○江藤部会長  それでは早速、議事に入らせていただきます。まず、資料の説明をお願いいたします。   ○和田専門官  初めに資料1〜3につきまして、説明をさせていただきます。  まず資料1、歯科医師国家試験制度改善検討部会について。本部会の趣旨ですが、厚 生労働省では、歯科医師国家試験として妥当な範囲と適切なレベルを保ち、歯科医師の 資質向上を図るため、おおむね4年に1度、国家試験の制度改善に努めてきております。 また、これとは別に、今年の8月31日付で公表された「新医師確保総合対策」に関する 「歯科医師の養成数の削減等」に関する確認書では、歯科医師国家試験の合格基準の引 き上げについて確認されたところでございます。これらの点を踏まえ、歯科医師国家試 験制度改善検討部会を開催し、現行の国家試験の改善事項について検討を行うとともに、 適正な合格基準についてもあわせて検討を行うこととしております。  2番目にスケジュールでございます。平成19年度中に歯科医師国家試験制度改善検討 部会報告書を取りまとめ、歯科医師分科会に報告いたしまして、合格基準の運用につい ても、あわせて同分科会にお諮りする予定となっております。この制度改善検討部会の 報告書を踏まえまして、平成20年度から、歯科医師国家試験出題基準(ガイドライン) の改訂作業に着手する予定でございます。この出題基準の改訂作業については別の部会 で作業をいたしまして、平成22年の春の試験から、報告書に基づく改善事項、また、新 しい歯科医師国家試験出題基準を適用する予定でございます。  3番目、主な検討事項でございます。こちらは、現行の国家試験について評価を行っ ていただいた上で、短期的または中長期的な視点で、どのような改善が必要になるか御 提言をいただくとともに、合格基準についても歯科医師資質向上を図る観点で、どのよ うな基準が適正なのかということも、あわせて御提言をいただくこととしております。  続きまして2〜4ページにつきましては、医道審議会令の取り決め事項でございます ので、こちらは適宜、御参考にしていただければと存じます。  続きまして資料2でございます。歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書の概要に ついて。こちらは、平成5年から平成16年まで、直近で行われた計4回分の制度改善検 討部会報告書の、改善すべき事項、またその当時、検討課題として提言された事項を抜 粋しております。大きな改善事項としては、平成9年の3月に、歯科医師国家試験出題 基準の改定について、従来の各科目を撤廃し、疾患別に整理をした。これにより、各科 目間を縦断的ではなく横断的に思考させる問題の出題が可能になったというところが、 大きく変わったところでございます。  また、平成12年におきましては、将来、プール制に移行するための方策として、試験 問題の回収、ブラッシュアッププロセス――これは収集した問題を修正する過程ですが、 こちらを新設したということです。  3番目は、これは1番目とも関係することですが、試験問題の回収に伴う、試験結果 の本人への通知でございます。なお、試験問題の回収につきましては、プール制の観点 から行っていたところでございますが、昨年、国民の方から、情報公開法に基づく試験 問題の開示請求を受けまして、内閣府の情報公開審査室で審議をお願いしたところ、開 示すべきとの答申が出たところでございます。これを受けまして、厚生労働省といたし ましては、今春の試験、すなわち平成18年の試験から、問題の持ち帰りを認めていると ころでございます。  2点目は、平成14年の試験から改善すべき事項ということで、必修問題、禁忌肢問題 を導入するということと、あわせてこれらの合否基準の考え方についても提言がなされ たところでございます。  続きまして2ページ目でございます。これが前回取りまとめられた、平成16年3月の 制度改善報告書の概要でございます。大きく4点ございまして、プール制への移行につ いては、試験問題を収集・蓄積する体制を強化しつつ、引き続き継続してプール制への 移行を目指すべきという提言がなされまして、具体的には試験問題及び視覚素材の公募、 プール問題作成委員会によるブラッシュアッププロセス、また試験問題の回収、試験結 果の通知というような方策が提言されたところでございます。  2点目は、平成18年の試験からの改善事項でございますが、こちらについては出題数・ 出題内容、出題形式、問題の選択肢数の見直し、あるいはブループリント――こちらは 各領域に応じた出題割合で、これは現在、明示してございます。以上のことが提言され ております。  3番目は、試験の早期化についてで、国家試験の合格者が円滑に臨床研修を実施でき る体制を整備するために、現在、試験が早期化されておりまして、現状では、2月の第 2週に試験が行われております。  最後に合否基準、技術能力評価試験については、歯科医師資質向上検討会などの報告 を踏まえて、実現できる体制を整備すべきという提言がなされております。  今後の検討課題としましては、受験回数制限や試行問題の導入などが提言されており ます。  3ページ目に参考として、歯科医師資質向上検討会の報告書がございます。こちらは 平成15年12月にまとめられたものでございますが、この検討会の趣旨は、歯科医師の 資質向上を図る観点で、特に歯科医師国家試験における「より適切な合否基準」に焦点 を当てて検討したものでございます。  その下に、それぞれの基準項目として、必修問題、一般問題及び臨床実地問題、禁忌 肢問題、各領域における基準点の導入について提言がなされたところでございます。  続きまして資料3、歯科医師国家試験の変遷及び現状についてでございます。1ペー ジ目は、過去から現在に至るまでの歯科医師国家試験の変遷を示したものでございます。 上から回数、年、年間試験実施回数、筆記試験の実施日数、試験内容となっております。 大きく変わったところだけ御説明させていただきますが、上から3つ目の年間試験実施 回数については、昭和60年までは春期と秋期の年2回行われていたものが、昭和61年 以降、年1回となったところでございます。また試験内容の試験科目については、上か ら2つ目の学説試験のところでございますが、平成10年から科目別出題が廃止されて、 各科目間が横断的に出題できるよう、領域という形に改められたところでございます。 また、その下の実技試験については、これは試験導入当初から行われていたものですが、 段階的に縮小され、昭和57年に廃止されたところでございます。また、歯科医師国家試 験の設問数については、近年、歯科医師に求められる知識が向上している観点から、段 階的に増加され、現在は365題で出題されているところでございます。  続きまして2ページでございます。これは歯科医師国家試験の受験者数、合格者数、 合格率の推移で、第90回からの10回分を示したものでございます。棒グラフが左から 受験者数、合格者数となっており、折れ線グラフが合格率となっております。第99回の 試験ですと、受験者数が3,308名、合格者数が2,673名で、合格率が80.8%となってお ります。  続きまして3ページでございます。これは新卒者・既卒者別の合格率推移を、第90回 から示したものでございます。左から全体、新卒者、既卒者となっておりまして、第99 回のデータを見てみると、新卒者が88.0%、既卒者が59.1%で全体が80.8%となって おります。  続きまして、4ページ目と5ページ目は歯科医師国家試験の実施状況でございまして、 こちらは第99回、今年の春に行われた試験の実施状況をまとめたものでございます。試 験日については前回の制度改善検討部会の報告書を受けまして、2月の第2週の2日間 で実施しております。試験地については全国8カ所、試験時間については1日5〜6時 間で実施しております。試験問題については、出題総数は365題となっておりまして、 内訳は必修問題が50題、一般問題が210題、臨床実地問題が105題でございます。出題 内容については、臨床上必要な歯科医学または公衆衛生に関し、歯科医師として具有す べき知識、技能について問うこととなっております。また、具体的な出題範囲について は、歯科医師国家試験の出題基準に準拠しておりまして、おおよその領域ごとの出題数 についてはブループリントに準拠しております。  試験問題の作成については、試験委員会が問題の作成・修正を行っており、試験実施 後に医道審議会歯科医師分科会K・V部会において問題の妥当性を検討しております。  4番目でございますが、合格基準については、平成12年に取りまとめられた「歯科医 師国家試験制度改善検討委員会報告書」、平成15年に取りまとめられた「歯科医師資質 向上検討会報告書」での提言を踏まえた基準が適用されています。また、これについて は、最終的には医道審議会歯科医師分科会にお諮りした上で、厚生労働大臣が合格者を 決定しているところでございます。  続きまして5ページ、5番目の試験結果等の通知・公表でございます。試験結果につ いては、問題を回収していたことを受けまして、受験者数、合格者数及び合格ラインは、 発表と同時に公表するとともに、個人の試験結果については受験者に郵送で通知してお ります。これについては、現在も行っているところでございます。また、問題及び正答 については、先ほど御説明しましたが、内閣府の情報公開・個人情報審査会の答申を受 けまして、試験問題の持ち帰りを認めております。また同時に厚生労働省のホームペー ジにも試験問題及び正答を掲載しております。  最後にプール制の実施でございますが、これは歯科医師国家試験制度改善検討委員会 報告書を踏まえまして、全国の大学歯学部、歯科大学に、試験問題の作成について協力 依頼を行っているところでございまして、徐々にプール制への移行を図っているところ でございます。  資料1〜3については以上でございます。   ○鳥山補佐  続きまして、資料4について御説明させていただきます。恐れ入りますが、資料4と あわせて参考1をごらんいただきたいと思います。参考1、「今後の歯科保健医療と歯 科医師の資質向上等に関する検討会中間報告書」でございますが、これは昨年の12月か ら、ここの検討会のタイトルにもありますように、歯科保健医療と歯科医師の資質向上 等について、御議論を重ねていただきましたが、冒頭、白石審議官のごあいさつでも申 し上げましたとおり、今年の8月末に、資料4の3ページをごらんください――両大臣 による確認書が出されたことを踏まえまして、この検討会においても歯科医師の需給問 題を含めた資質向上について中心に御検討をいただきまして、この12月8日に検討会の 報告書をまとめさせていただいた次第でございます。  参考1の6ページをごらんください。下から5行目、「第2 歯科医師の資質向上等」 ということで、この中で、歯科医師の資質向上についての御議論を精力的に行っていた だいております。概略だけ御紹介させていただきますと、(1)として、歯科医師養成 課程における資質向上。この中では、歯学部の入学時、あるいは在学中の学生について、 特に重視すべき資質として、ここの7ページにありますように、1〜4の4点をお示し しております。1として、コミュニケーション能力を有すること。2として、歯学部入 学時に一定の学力を有すること。3として、社会人及び医療人として信頼されること。 4として、安全で適切な歯科医療を行うための基本的資質を有すること。以上4点を、 歯学部入学時及び在学中の学生について重視すべき資質として挙げさせていただいてお ります。  次に9ページをごらんください。こちらが歯科医師の需給に関する内容でございまし て、その次の10ページの(3)の今後の方針というところがございます。この、今後の 方針の上から4行目のところに、「新規参入歯科医師数を約1,200人程度」という数字 が出ておりまして、これが一部のマスコミで大きく取り上げられておりましたけれども、 この数字というのは、今、1年間に高齢などで離職をされる歯科医師の数というのが、 推計で約1,200人でございます。歯科医師数の伸びをゼロとする、すなわちプラスマイ ナスゼロという、そういう仮定のもとに、歯科医師の新規参入数を、算数上、計算する と、1,200人程度になるという数字でございます。  具体的な新規参入歯科医師数の削減については、最後の11ページの1番、2番として、 2点書かせていただいております。原文のまま読ませていただきます。1番として「18 歳人口の減少も考慮して、今後の入学定員(募集人員)の削減について、積極的な対応 が図られるべきである。少なくとも、平成10年度の検討会提言の削減数(10%)の早期 実現に向けて、各大学の自主的かつ前向きな取り組みが大いに期待されるところであ る」、2番として「歯科医師国家試験については、平成19年度が4年ごとの制度改善検 討の年度であるが、この検討を早急に開始し、資質向上の観点から合格基準の引き上げ や出題内容等について幅広く検討を行うべきである」。この検討会の報告書の概要を、 資料4に2ページとしてまとめさせていただいておりますので、また後ほど、あわせて ごらんいただければと思います。以上でございます。   ○江藤部会長  ありがとうございました。今回は第1回目でございます。第1回の制度改善検討部会 ということでもありますので、歯科医師の資質向上を図る観点からも、それから、卒前 教育並びに卒後臨床研修なども含めて、広くフリートーキングしていただきたいと思い ます。委員の先生方の自由な御意見を伺ってみたいと思っておりますので、よろしくお 願いいたします。資料1〜4と参考資料1と、5点について、ただいま御説明がありま したけれども、これを順番にやるということではなくて、先生方がお気づきの点、疑問 の点を含めまして、御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  申し上げましたように、特段、特定の問題に絞るということは、本日はいたしません で、概括的に討論を進めていきたいと思っております。特段の準備はされていなかった と思いますが、いかがでしょうか。   ○川添委員  どこから切り込んでもいいということですので、フリートーキングとしてお聞きいた だきたいと思います。どういう歯科医師像を次の世代につくるかということは、資質の 向上からも、非常に強く打ち出されている目標、目的でもあると思うのですけれど、そ れに対して、従来から知識面の改善、あるいは少しおくれて技能面の資質ということも 少し言われてきまして、平成16年までは、知識に関してはだんだんと合格基準も充実し ているし、出題範囲も充実してきたということに対して、重要性にかけては、技能面の、 技術能力の評価は、これは条件さえ整えば、非常に必要であるというふうに、必ず最後 の方の一文、まとめの一文には載っていたのですけれども、だんだんと、これが少し希 薄になっているような気もするのです。例えば一番最近の中間まとめの資料、先ほど提 示いただいた資料4の、最近の検討会がありますよね、あれには、技術能力面というの が、ほとんど明文化されていないという点が少し気になるところです。  一方、個人的には、技術能力の客観化に関する研究を、何年か続けてまいりまして、 いろいろ難しい問題はあるにせよ、そういった面の必要性ということが、意義というこ とに関しては、だんだん出てきているのではないか。特に臨床研修制度が、今年、発足 いたしまして、まだ10カ月足らずということですけれども、それを経験して外の研修施 設などに行ってきた研修生を、大学で受け入れたり、あるいは聞くところによると、そ のあたりの、知識に関してはかなりよくなったのだけれども、その後、どう対処してい いのか、違うサイドでうろうろしてしまうという、そういうことが非常に不安だという ことが、異口同音に言われています。すなわち初期治療計画に始まって、とりあえず患 者さんのプロブレムに、すぐに対応してあげられるという能力においては、かなり、ま だ十分ではないのではないか、と。今後これは、だんだんよくなっていくのかもしれま せんけれど。  それともう一つ、技術能力面は、幾つかの提案で、妥当性、客観性、経済性があるか どうかという、おおよそ3点の面から検討していくと、トライアルをやってみると、新 たな知見が出てきて、一時期よりも、相当、客観評価ができる体制に向かいつつあるの ではないかという気がしておりますので、将来、そちらの方向を伸ばしていただきたい。  それともう一つ、それを少し後押しする材料としては、従来は答えのわかっている技 能評価というか、クラウンを形成するという問題が出て、実際、クラウンを形成する。 窩洞を形成するというもので、やはりそれを形成するという、そういう試験であった。 そういう意味で、なかなか、不合格にしにくかったのですけれども、最近では病態模型 というものができてきて、口腔外科系、歯周、ほとんどの科目の病態のものが入れられ るような形で、幾つかの模型を用意すれば、そういうことも可能になる。そしてそれを 採点するのも、機械化するか、比較検討するかということが、手の届きそうなところま で進みつつありますので、そちらの方向も加味して、知識と技術能力とのバランスを、 なお一層とって、資質向上に向けていただきたいという気がしております。   ○江藤部会長  ありがとうございました。国家試験に実地試験を導入するということについて、検討 の進捗状況とともに、可及的速やかに導入をした方がよいのではないかということです ね。国家試験に実技を導入するという、ただいまの御意見ですが、これは既に検討が進 められているというふうに伺っております。この辺のところについて、御意見ないしは 追加等がございましたらお願いいたします。   ○金子委員  私立歯科大学協会の学長・学部長会議では、この問題に関して、今年度も厚労省に要 望書を出していると思います。そこでは、今は時期尚早というふうに書かれていたと思 いますけれども、この辺も、御勘案をいただくのが必要かと思います。   ○江藤部会長  この問題について、今は研究段階と聞いていますが、事務局の方から、その進捗状況 等について報告はありますか。   ○和田専門官  今、川添先生に主任研究者になっていただいている厚生労働科学研究では、実技能力 の客観的な評価方法の検討について、平成17年から19年度の、3カ年の計画で行って いただいているところでございます。詳細については川添先生から御説明いただくのが 一番よろしいかと思いますが、一応、現状でそのような研究をお願いしているところで ござい ます。   ○江藤部会長  研究ですから、これは導入を前提にして、現在、研究を行っていると。それで今あり ましたように、17年から19年、来年度までということですね。   ○和田専門官  はい。それとは別に、現行の試験でも、臨床実地問題という、患者さんのお口の中と か、レントゲン写真を題材として、そこから答えを選び出すような問題をつくっており まして、その中でも、できるだけ、解釈や問題解決といったことが求められるような問 題を、試験問題の作成の段階でお願いしているところでございます。   ○江藤部会長  ということで、これは19年に取りまとめられて最終答申になるだろうと思われます が、19年にそれが出た時点で、厚労省としてはまた、そういった検討部会等を立ち上げ るということになりますか。   ○和田専門官  現時点では、まだそのようなことは考えておりませんけれども、そういったことも含 めて、部会の中で、どういう方向性にしていくかというところを御提言いただければそ のように進めさせていただきたいと思います。   ○江藤部会長  そういう状況であります。今は研究段階で、要するに実施の是非はともかくとして、 実施の可能性というか、いわば内容の面、それから経済性等を含めて、研究段階である ということです。一方、金子先生のお話にもありましたように、私立歯科大学協会とし ては、現時点では時期尚早であるという結論のようです。この辺について、御意見があ ればお願いいたします。   ○川添委員  追加ですが、厚生労働科学研究を、確かに19年度までということで、一応、研究中で ありますけれども、まだそれが完全に実施できるまでに、細部にわたって検討が終わり そうであるという意味ではございませんで、時期的なものに関しては、もう少しかかる かもしれません。方向としては、やはり精神運動領野を何らかの形で加味しないで資質 向上はあり得ないのではないか。このときに、技能試験は技能試験、知識は知識という ふうに別々にしていたのでも、従来の復活ではないかとか、そういったことで余り新規 性がないのではないか。これからの技能試験は、知識と同時にテストする。例えばPO Sカルテを、病態に対してそれを書くところから、答えがわかっていない技能試験を実 施する。あるいは口腔外科、あるいは保存・補綴から始まって、口腔衛生科、あるいは 予防科までが幾つかの模型を用いることによって、重複もあり得るというふうにする。 それで、ほとんどの科がテストできる。それも、これからは、診療する手技のクリニカ ルパスのような、進行に応じた形でもって実施できる形も、新しい技能試験として、あ り得るのではないか、と。そういう方向性ということで、実際にできるまでには、まだ もう少しあって、19年度の時点ですぐに、そういったデータとともに全部を御報告でき るかどうかは、まだわかりませんけれど。   ○和田専門官  技術能力評価については、川添先生が研究をされているように、中長期な視点で見た 場合と、短期的に、次の改善を行う平成22年の試験から技術能力評価をどうやって行っ ていくのかという、2つのとらえ方があると思うので、現行のペーパーの試験の中で、 技術能力ができるだけ評価できるようにどのように行っていけばいいのかということも、 あわせて御検討をいただければと考えております。  もちろん、先生の研究を含めて、中長期的視点に立てば、それは導入していくことが 望ましいとは思うのですが、短期的な視点に立って、どういう改善が望ましいのかとい うところを中心に、各委員の先生から、いろいろ御提言をいただければと思っておりま す。 ○江藤部会長  ありがとうございました。金子先生は、先ほど、時期尚早とおっしゃいましたが、こ ういった問題があるために時期尚早、ということがあるのだろうと思いますが、その点 についてはいかがですか。   ○金子委員  そうですね、私はその検討会に出ていたわけではなくて、その後から学長会議でその 話を聞いたものですから、中身の細部についてはわかりませんけれど、今、国家試験が 新しい制度に移行してから、まだそう経っていないということで、そこでまた、実技の 問題を加味してくるというのは、教育上、混乱が非常に多いだろうというふうな理解を しております。それからもう一つは、やはり川添委員がおっしゃったように、評価基準 がきちっとすれば、これはまた別問題だとは思いますけれど。  そういうふうなことと、それからもう一つは、今日、既に審議官からのお話にもあり ましたけれども、現状の問題を難度化させる、こういう問題が目の前にありますから、 まず、その辺を、どういうふうな形で、中身を資質向上に役立たせるようなものにつな げるか。難度化といっても、単に点数を上げるのか、問題の質を変えていくのか。その 質というのは、今、川添委員がおっしゃったような、臨床問題につながるような、実技 につながるようなことをペーパー上でできるのか、できないのか。こういうことなど、 今の目前のことを、まず――和田専門官がおっしゃったように、時期を分けて討議をす るのが、我々にもわかりやすいのではないかというふうに思いますが。   ○江藤部会長  ありがとうございました。この辺について、いかがでしょうか。   ○丹沢委員  千葉大学の丹沢でございます。現実に卒後の研修医を扱っている立場から、国家試験 が卒後研修につながるための、一つの技能試験という観点で見た場合に、実はインレー が形成できまいが、エンドができまいが、天蓋除去をちゃんとできまいが、そのこと自 体が卒後の研修の障害にはならないんですね。それは一人一人、面倒を見ますので。問 題は、一番困るのは、やはり基本的な生活態度とか、学習態度とか、そういうことにな るわけです。  それで私、思うのですけれど、国家試験というものと、それから歯学部の卒前教育の 中における、そういう基本的なセレクションというか、医学部も昔は、私どものところ では、国の税金で教育しているから留年者を出すなと言われて、随分、文部省からお叱 りを受けて、無理して卒業させた者もいたんですけれど、最近は不適格者を卒業させる な、と。危ないから卒業させるなというような方針に、だんだん変わってきていますし、 ですから、やはり少し、卒前教育の統一テストみたいなものとか、あるいはOSCEみ たいなものとか、そういうようなものの充実を図って、本来は国家試験を受けることの できる資格者を――国家試験だけで45%に押さえるとか50%に押さえるというのは異 常 なことなので、やはり卒前教育の関門と、それから、不適格者の場合には早い時期に、 ほかの道に行ったほうがいいよと言ってあげた方がいいわけですから。  ですから、実技試験とか、そういうことで、どこまで詰められるかということは、試 験の技術的な問題になると思うんですが、制度全体として見たときに、やはり卒前試験 での関門と、それから国家試験での関門と、それから研修制度での技術や態度の積み重 ねというようなことを、それぞれ整理して、国家試験としてどこをねらったらいいのか とか、そういう話であれば、多分、現実に研修がうまくいって、いい歯科医ができるの ではないかと理解するのですが。細かいところは、ちょっと私もわかりませんけれど、 現実には、一つ一つのことができないからといって障害にはならないわけですから、い いお子さんであれば十分に教育いたしますので。 ○須田委員  第99回の国試を担当させていただきましたので、そのことを踏まえて、また丹沢先生 を初め、他の先生方の御発言を踏まえて申し上げたいと思います。卒直後研修が今年度 から必修化されて、現場ではそれに必要な知識、技術、態度が求められるということで、 先ほどの川添先生の御発言があったかと思うのですけれど、全般的な問題として、CB T、OSCEとのかかわりを、国家試験においてもやはり考えていく必要があろうかと 思います。  というのは、CBT、OSCE、両方かかわっている先生が国家試験の作問委員によ くなるんですが、それと同じような観点から、もう一度そこで質問するのはどうかとい うような意見も、よく、ちょうだいしました。ですから、その卒直後までの流れの中で、 どういう問題を国家試験としてやるべきかということを、今回、十分に討議する必要が あるのではないかと考えております。  それから、現在、実技が求められていませんので、代わりに臨床実地という課題があ るのですけれど、どうも最近は、適切な視覚素材が、いろいろな関係で集まりにくくな っているというような傾向がありますので、これについても十分に討議をして――卒後 研修を控えていますので――よい問題をつくる上での、必要な視覚素材のあり方、集め 方についても、討議する必要があるのではないかというふうに考えております。  それから、余り細かいところについては、本日お話ししてもどうかと思うのですが、 現在、ガイドラインに書かれているような検査値は、実はほとんど活用されていない。 現場では恐らく必要だろうと思いますが、そういったことも踏まえて、今後、論議を深 めていくべきではないかと考えております。  とりあえず、以上3件を申し上げたいと思います。   ○江藤部会長  ありがとうございました。この実技試験というのは、卒業時の臨床能力をどう担保す るかという話と連動するものと思います。今、須田委員からありましたように、国家試 験だけではなくて、卒前のこの臨床実習、それから卒業試験というのは、あるところと ないところとがあるのですが、その関門と、それから臨床研修修了時の関門と、そうい った流れの中で、国家試験を位置づける必要があるのではないかという御意見もあった かと思います。  この実技試験の導入ということでは、多分、厚労省の委員会の調査の中で、諸外国で 国家試験のあるところで実技試験を行っているところ――登録制だけのところは、各大 学で多分やっているだろうと思うんですが、マレーシア等は国家試験がない。最近、中 国等はつくったわけですが、そういった場合に、国家試験に実技を導入しているという 事例はすぐに出ますか。   ○和田専門家  現時点では持ちあわせておりませんが、もし、そういったご要望があれば、データ等 を収集したいと考えております。   ○江藤部会長  というのは、国家試験によって歯科医師免許を与える場合、発展途上国と欧米先進国 とは違うでしょうが、いわば国際的な基準というのがあるだろうと想定されます。だか ら、その辺もにらみながら、川添先生の厚労科研の班としても、そういった視点を入れ ながら答申が出てくるのだろうと思われます。私も寡聞にして、そういう諸外国の事情 は知らないのですけれど、どなたか御存じの方がいらっしゃいましたら、情報を提供し ていただけると大変ありがたいのですが。   ○川添委員  10年ほど前に、総領事館とか、あるいは留学されている人、あるいは諸外国の直接の ネイティブな方にお聞きして集めたところでは、1,000人以上という大規模な人を、全 く同じ部屋でペーパーテストのように同じ条件でやるところはゼロでした。比較的近づ けようとしているのが韓国ですけれど、それとて数百人単位です。そういう、全く条件 を同じにして公平性を保ってやるというところはないので、余り参考にならないという ところはあるんですけれど、一番近いのが、やはりドイツです。ドイツのほか、ヨーロ ッパの2〜3の先進国が、もう少し少人数ですけれども行っている。あるいは、1週間 とか1か月とかかけて、教授の診療にずっとついているような形でやっている国もある ようです。それから、発展途上国はほとんどありません。アメリカは幾つかの業者テス トのような形で発達しておりまして、それを州によって、それぞれやっている。それか らまた、開業する際、開業医試験としてまた何年か経って別に行うということです。最 初のボード・エグザミネーションは、ペーパーだけのところもあるようです。州によっ て、かなり違うということです。そういうのが、7〜8年前の調査で出てきたところで す。   ○江藤部会長  ありがとうございました。ただいまの御発言のように、出題の方式、実施の方式、そ れから経済面と、いろいろ問題点がございます。そういったことを含めて、この19年度 までに検討、研究が継続されるということでございます。この厚労研究について、この 点もやっておいてほしいということがありましたら、川添先生に直接おっしゃっていた だければいいのではないかと思います。  それでは、この実技試験を導入するかどうかという問題については、以上とさせてい ただきます。これは19年度の最終答申を踏まえて何らかの対応をすることになろうかと 考えております。ほかに、何かありましたらお願いいたします。   ○歯科保健課長  事務局からで恐縮でございますが、最初に説明させていただきました、資料3の1ペ ージ目に変遷の資料、横長の表で、国家試験の変遷というのがございます。今回、ガイ ドラインの改訂に向かっての準備もあるわけですが、私ども、平成10年から国家試験 の、いわゆる科目別出題というのをやめまして、現在、領域別あるいは疾患別で問題作 成を委員にお願いしています。  ただ、やはり試験委員会の現場においては、いわゆる歯科の中の保存、補綴、口腔外 科という用語がよく出てきます。そういう中で、この部会には、試験委員長を御経験の 先生方が3人おられますし、また、現在試験委員の先生方もおられますけれども、この、 領域別あるいは疾患別というのが、大学教育とか、国家試験の委員の先生方に、どれほ ど浸透しているのか、御感想や今後の方向性についての御示唆をいただければありがた いと思います。  なお、国家試験の出題基準を見ていただければ、試験の出題では、こういう扱いをし ているということで御理解いただけると思います。   ○江藤部会長  ただいま課長からありましたように、平成10年以降、科目別から領域別に変えたわけ ですが、この辺のところの、いわば大学教育上の問題と、出題上の問題について、特に 御意見がありましたらお願いいたします。 ○石橋委員  岩手医大の石橋です。ちょうど今、お話があったような、科目別から領域別に移行す るときに、試験委員を経験させていただいた関係から、感想を述べさせていただきます。 科目から領域に行くというのは、一つの突破口だったと思うんです。しかし実際、出題 基準などでもそうですが、中身は、なかなか領域というところまでは、しっかりと整理 できていなかったというのが実感です。そういった意味では、教育を担当している我々 大学にいる者にとっての責任も、一体としてあるだろうと思っていますけれども、その 部分がまだ、今後、課題として残るのではないかというふうに思っております。  それから、言うまでもなく、国家試験というものの影響は非常に大きくて、歯科医師 の資質の向上ということには一番の影響力を持ってくるのではないかと思っています。 国家試験の動向が、29ある歯科大学、歯学部の教育の方針、あるいは仕方といったもの に影響していくわけですので、非常に大きいと思っておりますが、その意味では、もっ ともっと、問題の質を検討し高めていくことが求められるだろうと思っております。こ れまでも、私自身もその一員として努力してきたつもりですが、しかし、まだまだとい う感はございます。やはりタクソノミーの高い問題を出していくことと、それから、先 ほど説明がありましたように、公募をして、そしてプール制という、この移行について 私は賛成ですが、この部分をまたさらに、いい問題をいかに確保して、担保して、そし てさらに試験委員でそれらの問題を整理していくという、そこの高いレベルでの作業を 一層していくこと、それが近々の問題ではないかというふうに、現時点では感じており ます。   ○江藤部会長  ありがとうございました。科目別から領域別に移行して、これは8年たっているわけ ですが、その問題よりも、むしろ問題の質の向上をどうやって担保するかという問題が 一番大きいのだろうと思いますが、その辺を少し御議論いただきたいと思います。   ○鳥山補佐  ちょっと、よろしいでしょうか。私どもが、よく個人的に大学の先生方から御相談と いうか、お小言を受けますのは、特に臨床実地の問題作成が、なかなか歯科医師の国家 試験では難しい、と。何か、内容的には一般問題のような臨床実地の問題になるという ふうなことを、今まで何人かの先生方から、御相談といいますか、出題者としてのお悩 みをお聞きしたことはございます。   ○高田委員  恐らく今の石橋先生のコメントに関連すると思いますが、私も知りたいところがあり ます。それは、今日の冒頭の説明では、数字が一人歩きしているという意味とは理解し ておりませんが、歯科医師数の伸びをゼロに保つためには、というところの問題につい て、要するに45%程度の、現在の合格者数を削減しないといけない。この、資料4の最 後にある確認書が原点であると私は理解していますので、このミッションを遂行するた めには、一つの参考指標として45%の削減というようなことが――これが現実的な数字 かどうかは別にして――はじき出されている。そうすると、この部会で検討するのは、 そういったミッションに向けての、歯科医師国家試験の制度の枠組みをどのように変え ていくかということである、これは間違いないわけですね。 そうしますと、45%ということになると、少なくとも10〜20%というようなことの変更 をしないと、今後の日本の中での健全な歯科医療政策が実行できない、それを質的に担 保するための試験制度と考えるのであるとすれば、この数字の中で、これは基本的には 文科省のマターだと私は思うのですけれど、どういう学生を各大学で採って、どのよう な形で卒業させていくかという、そのあたりの調整、つまり学生数の話ですけれど、そ れを合計したものが、この数字になって出ると思いますので、厚労省あるいは文科省の スタイルとしては、そのあたりは、ここでは一体どの程度の議論を、どの比重でするの かということを、もう少し明確にしていただきたい。  つまり着地点が最初にありきではありませんが、今回は、この確認書というものが前 提にあると思うのです。文部科学大臣と厚生労働大臣が確認なさったというわけですか ら。そうすると、おおまかにそのあたりがないと、まさか国家試験制度で45%の削減を 考えているというのでは、当然ないと思いますので、何かもう少し、我々が考える上で、 離陸しやすいようにするための情報なりお考えをいただきたいと思います。文科省の方 も含めて、どういうふうにお考えでしょうか。質問がストレートすぎますか。   ○鳥山補佐  今、高田委員からお尋ねのありました、この1,200人という数字は、先ほど私の御説 明でも申し上げましたとおり、その数字がそのまま削減の目標の数値ということではご ざいません。単純に、今よりも歯科医師数の増減がない、プラスもマイナスもないとい うことで計算をすると、こういう数字になるという、事実関係をお示ししただけという ふうに、むしろ受けとめていただければいいと思います。したがいまして、この数字イ コールというふうなことではございません。   ○金子委員  この資質向上の問題は、いわゆる需給問題と絡めないといけないというふうに、前回 のこの会議で決まっているのではないですか。   ○江藤部会長  これは最初に申し上げましたように、この委員会は資質の向上を目指して、ちゃんと 国民に説明できるような形で議論を進めたい、と。そういうことと理解しております。 ただ、今、高田委員から、そうは言っても、ここに着地点が書いてあるではないかとい うことがありました。これはあくまで政治的な目標としてであって、ここにいる学識経 験者の委員の先生方による、ここの委員会の作業としては、いかにして、まず、資質を 向上するか。その結果として数が減るかもしれない、と。ですからこの確認書にあるの は、言ってみれば両大臣の合意ですから、政治的な目標値である。数合わせのためにこ こで議論をするのではなくて、まず、資質の向上という、国民への理解・説明が先にあ って、それで結論が出ていくのだろうというふうな了解で、この委員会は開かれている と先生方も御理解していただいていると思います。   ○金子委員  そうすると、歯科医師に必要な資質というのは何だろうかということになろうかと思 います。この問題は、前々から検討されているのだろうと思いますけれど、参考1の7 ページには、「歯学部入学時及び在学中の学生について、特に重視すべき資質は次のと おり」ということで4つの項目が出ています。さらに21世紀医療懇談会でしたか、あそ こで今後望まれる歯科医師像というのも出ていますし、したがって、どういう人間をつ くるかという目標設定がまず必要だろうと思います。それにしたがって、大学の方は、 教育の基本的なところと、そういう問題を加味しながら教育しているわけですから、こ れについて結果がどうかというのを試すのが、国家試験ではないだろうかというふうに 思うわけです。ですから問題の領域というか、こういう問題の幅の広さというか、まあ、 深さもありますけれど、こういうものが、望まれる歯科医師像とその資質に対して、ど こまで国家試験の中で入れ込めるか。大学で教育されたことが、どこまで社会に要求さ れている最初の段階の歯科医師としてテストできるのかということだろうと思いますけ れど。   ○高田委員  まず原点を確認していただきましたので、次に、かねがね考えているところについて 申し上げます。今、金子委員もおっしゃったように、国家試験では何をメジャーするの か。客観的に示しやすいということであれば分析的な、広い意味でのIQをはかる。た だし、今、国民サイドからすれば、私も国民の1人ですから、そのように感じるわけで すが、医療に関するものはEQというか、感性というか、医療人としてどういう資質の 人材を育てていくのかというところに、患者さんの側というか国民は問題を感じている のではないかと思います。しかしそれを、国家試験という測定器を使ってどこまではか れるのかというのは、なかなか難しいし、それはある程度、大学で教えることは可能だ と、私は思っているんです。  ですから、今申し上げた、国家試験というデバイスの中に、医療人としての感性―― いわゆる断片的な知識を持つばかりではなくて、わかりやすく言えば、非常に温かい心 を持っているとか、こういうことは今まで、どちらかといえば阻害されかねない、今の 社会の優劣を決める状況といいますか、しかし、そういった忘れ去られかねないものを、 どのように我々として担保できるのか。これはやはり、試験制度の中でも、最初からで きないと考えるよりは、今後、考えていかないといけないのではないか。私自身の医療 現場でも、仕事の現場でも、そういうことを、この10年ぐらいの社会の変化に対して、 学生気質といいますか、そういうものは激変しているのではないかというふうに思うと ころがあるものですから。  仄聞するところでは、米国などでも、そういった、今までのanalyticalな能力を問う ような試験に、やや反省をして、もう少し、人間の感性というものの何かをはかる、あ るいは教育するということに重点を置く大学も出てきて、かなり伝統ある大学の医学部 でも採用しているように聞きますので、そういったことを、それぞれの大学で実施しよ うとすると、当然、その結果が国家試験制度を通じて歯科医師の養成につながるような、 一つのモチベーション、あるいはインセンティブがないと、なかなか、学校という現場 で、カリキュラムを単に理念として組むだけでは、これはうまく実行できないと思いま すので、やはりそういう意味では国家試験の中に、物事を分析的に考える能力以外の、 総合するとか、そういう、包括的に物事をまとめる、仕事で言えば診断スキルといいま すか。傾向としては、検証しやすいという意味で、知識データベースの量を問うような ものにならざるを得ないわけですが、しかしながら、やはりそれを総合力として、診断 スキルとハンドスキルとを歯科の中では重視すべきではないかと私は思っております。   ○江藤部会長  ありがとうございました。今、高田委員のおっしゃったように、医学教育、歯学教育 が、昔は知識、技術、態度であったのが、最近は逆転して、態度、技術、知識となって おりますが、そういったことで、共用試験等ではCBTが知識の試験とすると、態度の 試験が、いわばOSCE、客観的な臨床能力試験でございますが、そういった基本的な 考え方を含めて、古谷野先生、いかがでしょうか。   ○古谷野委員  今、共用試験のOSCEの方を少しやらせていただいておりますが、話を伺っていて、 医学教育というのが随分見直されて、その教育の基本で、まず到達目標を示して、そこ に到達したかどうかを試験でチェックするというのが一般的なことですので、国家試験 で照らしても、やはり国家試験までに、あるいは国家の資格を与えるのに、どういう到 達点かということが決まれば、おのずから試験というのは決まってくるのだろう、と。 非常に原理原則に立てば、そういうことになる。  そうであるならば、例えばこの資質向上の方が、どこまで行くのかわかりませんが、 これでもって到達点というか、そういったものが大体明らかになれば、そこをきちっと やるということに、一つはなるのかなあと思うのですけれど、先ほどから出ている態度 とかで言いますと、その到達点を私なりに考えてみると、国家資格として、歯科医師と してやっていっていいですよということであれば、一つはその試験時点の知識なり態度 なり技能なりのレベルがあると思うのですけれど、OSCEなどでもよく言われる、教 育で言われる、技術的に学び続ける態度というものがないと、どうしても、二十数歳で 歯科医師になって、その後ずっと歯科医師でいるということは、やはり、きちんとした ことができるかどうかというのは疑問です。やはり技術的に学び続ける態度というもの が、どうしても求められるというのが、教育現場では言われることです。しかし、そう いうものが試験ではかれるかということになると、恐らくはかれないのではないかと思 うんです。OSCEではかっている部分も、基本的なコミュニケーション能力であると か、その態度とか技能ですけれども、学び続けるという部分ははかれないので、やはり 試験というのは、どこかで切り取らざるを得ない。ある能力の全部ははかれなくて、切 り取らなくてはいけないだろうというふうに、とらえざるを得ないだろうと思うんです。  今、お話が出て、その辺まで考えたところで、特別な結論というのは今はないんです けれども、やはり試験の原則に立てば、最初に申しましたように、その到達点というか、 このレベルだというのがどこかで決まらないと、試験のありようは、なかなか決めにく くて、それはこの会でやるのか、資質向上の方で大体出てくるのか、そういうことかな あと、今、お話を伺いながら考えていたところです。   ○江藤部会長  ありがとうございました。この会というのは、国家試験制度改善検討部会であり、こ こで検討することは、先ほどからの御議論ように、何をもって資質とするのかというこ とです。ということは、やはり資質の向上というのが、基本的には含まれていて、その ことも議論をしているのだというふうに、私は理解をしております。   ○山田委員  私、基礎の立場からしますと、いろいろ皆さんの御意見を伺っていて、よくわからな ったのが、概念的なことまで含めて、かなり大きいところをやるのか、それとも、これ は2年というスケジュールですから、ある程度、目的をはっきりさせないと、うまく話 が進まないのではないか、と。そうなったときに、確かに歯科医のグランドデザインの 方向に持っていくというのも一つですけれども、今、色々な資料を読んでいると、なぜ 歯科医が過剰になりつつあるかという議論の中で、従来の保存・補綴という限られた分 野での診療に向けた教育をずっとなされてきて、新しい、例えば寝たきり者とか、心身 障害といった方、あるいは、もっと色々あるとは思いますけれど、従来の歯科という分 野から少しはずれなければいけないようなところまでのものも含めて考えていかないと、 本当に歯科医の資質の向上に向かわないのではないかという気がしています。  そういう意味で、ここで、あんまりそういう話をしてしまうと、具体的なところに行 ってしまうものですから、どういう議論の進め方がいいのかわからないのですけれど、 もう少し具体的に、この2年間のスケジュールで実際に何をしたいのかということを、 はっきりさせていただいた方がありがたいのですけれど。   ○江藤部会長  そうですね、和田専門官から、先ほどスケジュールの御説明がありましたけれど、き ょうはどういった会の趣旨かといいますと、この後、ワーキンググループができますの で、そのワーキンググループが具体に議論をする。そのときに、どういう論点を踏まえ てワーキンググループで作業を進めていくか、その論点を幾つか挙げていただくという のが、本日の趣旨でございますので、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりということ にならないように、議事を進めているわけですが、そういった形で、こういうキーワー ドだけはワーキンググループでぜひ検討をしてもらいたいということを提言する、そう いったことであるというふうに理解していただきたいのですけれど。  ということで、ここでもう一度、スケジュールについて、この19年云々の話をお願い いたします。   ○和田専門官  今回、第1回目の制度改善検討部会で検討課題を挙げていただいた後に、少し具体的 な作業に入りたいと思っております。先ほども説明しましたとおり、19年度中に、どう いう改善が必要なのか、国家試験の中でどういうことが、今、必要とされているのかに ついて、この部会で報告書を取りまとめていただきます。それを踏まえて、今日も御検 討いただきたいところなのですが、出題基準について、現行の基準でいいのか、それと も、また抜本的な改訂が必要なのか等も踏まえまた御提言をいただき、その出題基準の 着手を平成20年度から行います。学生への周知の期間等も考慮して、平成22年の春から 新しい出題基準、並びに、この制度改善検討部会で取りまとめていただいた報告書を運 用していく。そういった流れとなっております。   ○江藤部会長  そうすると、この19年度中ということは、今日の部会が終わったらワーキングが立ち 上がって、具体に作業を進めていく。そのワーキングからまた、この部会には、いつご ろ上がってくることになりますか。   ○和田専門官  予定では、来年の冬ごろまでに、ワーキングでの意見を取りまとめて、それを部会に 報告するという予定となっております。   ○江藤部会長  19年度末ではなくて、19年の末ですね。   ○和田専門官  はい、19年の末です。   ○江藤部会長  19年の12月あたりに、また改めて、この部会を開催して、ワーキングから上がって きたものを検討した上で、それで最終的に20年の3月までに取りまとめを行うというこ とですね。   ○和田専門官  そうですね、遅くともそのような予定です。   ○江藤部会長  そういうスケジュールでございます。ですから本日は、ワーキングとしては、このこ とはぜひ検討せよとか、こういった方向で考えてはいかがかとか、そういった御意見を いただきたいと思っております。   ○佐藤委員  先ほど古谷野先生から御意見がありましたが、国家試験というのはある断面であると いうことは事実でございまして、その出題基準というものが、今まで保存・補綴、口腔 外科という科別になっていた。私は臨床なので、すぐそこが出て申しわけないのですが、 そういう科別になっていたのが、それが撤廃されて、横に流れてきたということは、確 かに非常に大きな進歩だと思います。  でも、歯科医師をつくるときに、いろいろな求め方があるだろうと思うのですが、広 く常識を知るという意味では、何から何まで教え、また、そこから出題するということ が必要かと思うのですが、特に私が感じることは、私はCBTの方のブラッシュアップ を担当しておりまして、そこでも感じることなのですが、結局、歯科医師は基礎学者を つくるのではなくて、国家試験を通るということは、臨床医をつくるということですか ら、そこまでのレベルに達しているかということをチェックするのが、古谷野先生がお っしゃった、この、断片的だとおっしゃる見方だということで、確かにそのとおりで、 患者さんに接するときに、臨床から見ていますと、この状態はこうですという診断につ いて御説明するときに、それに基づく基礎がわかって、それを説明できるといったよう なことが重要なことだと思うのです。簡単にしろということではないのですけれども、 できるだけ、私は臨床必要な、直接関連するような基礎を、この出題基準の中から、基 礎の先生にお叱りを受けるかもしれませんが、一から十まで出ているような感じもする んですね。  ですから、できるだけ、この出題基準についても、関連があるような内容に、少し変 えていただいて、そして出題のときには、問題作成でも、私は口腔外科ですから口腔外 科を例にあげますが、口腔外科関連の問題でも、病態から出ても結構ですが、必ずそれ に基礎が入ってくる。そうすると、学生さんの、基礎と臨床との、教育の上の乖離とい うのが少なくなってくるのではないかというように思います。教育については、基礎は 基礎、臨床は臨床で教えなければいけないかもしれませんが、どこかでつなげていって 初めて歯科医師国家試験に到達し、この出題基準が生きてくるのではないかと、私は考 えます。   ○江藤部会長  今、佐藤先生がおっしゃったことは、いわば当たり前の話ですけれど、臨床能力をは かる方向で国家試験を、その方向に収れんさせるということですね。   ○佐藤委員  ええ、基礎の方を少しドッキングできるような形にしていただきたいということです。   ○江藤部会長  それは、基礎はそういったありようで、臨床能力をはかっていく方向で考えてもらい たいということですね。   ○佐藤委員  はい。   ○山田委員  基礎の立場から、もう一つ。出題のところが、今、先生がおっしゃったように、臨床 と密接につながっているという意味で出題されるということは非常にいいと思うのです が、この歯科医師の国家試験を含めて、今までの問題点は、新しい分野を自分たちで開 拓できる能力が備わっていない。それは明らかに、今ある診療の部分しか、国家試験に 出せないということに起因している。ですから新しい分野、例えば今、介護の現場で口 腔機能を見ているのは、歯科医が行っているのではなくて、ほかの分野からどんどん出 ているわけです。それなのに、そういったところに何も対応できない。ですから私は、 基礎というふうにして独立させる必要はないと思っていますが、将来的に自分たちで新 しいものを解決できるような、そういう能力をきちっと涵養できるだけの試験はやるべ きだと思います。それにより結果的に難しくなって、合格率が下がるのであれば、私は それでも構わないと思っています。   ○金子委員  ちょっと教えていただきたいのですけれど、この部会のプロセスというのは、今日、 第1回目があるわけですよね。今の部会長のお話ですと、来年の年度末にもう一度集ま る。その間に、ワーキンググループで個別の問題をやっていく。そうすると、この部会 の委員の方たちが意見を申し上げるのは、来年の末ということになるわけですか。   ○鳥山補佐  取りまとめが来年末ということですので、その間、必要があれば、この会も、また改 めて開催させていただくということでございます。個別具体的な議論はワーキンググル ープで行っていただいて、最終の取りまとめは来年の末を予定しておりますが、その間、 一切開かないという趣旨ではございません。   ○金子委員  それと、ワーキンググループのメンバーには、こういう委員の方々が、また入るんで すか。それとも、ここでの討議は、部会長なり、あるいは厚労省を通して伝わるという 過程ですか。   ○江藤部会長  ここの委員の中から出ていただかないと、なかなか意思の疎通が図りにくいだろうと いうことでございます。来年の今ごろまで開かないということではありませんで、多分、 その間、ワーキングの中間まとめ、ないしは進捗状況等を、この部会に報告があって、 そのときに、大所高所から意見が入れられて、最終的に来年末の取りまとめになるだろ うということでございます。   ○福田委員  そのワーキングで検討するというところで、一つ、突飛なお願いをして申し訳ないの ですが、1回の国家試験しかやっていないのを、6年間の教育の中の途中で何かできな いか。というのは、今、医師の場合ですと、開業医の数というのは、これは昭和の中期 ぐらいのときから減ってきている。当時、77%あったのが、今は35%ぐらいになってい ると聞いています。それに比べて、歯科医師は、今は88%ぐらいが開業医の先生という ことです。  ということは、ほとんどが開業するという歯科医師の中で、どのように資質を維持す るかということを考えたときに、最終的にはすべて、技術、知識、態度と、この全部を 総合評価して合否を決めればいいのだと思いますが、最近の学生の資質を見てみると、 ある部分、適正のない人が、結構見られる。これは、早めに方向を変えてやるべきだろ うというふうに思うんです。そうすると、知識を見る、あるいは技能を見るという前に、 そういうところを見る必要があるだろう、と。そうすると、どこかで一度――国家試験 という制度がいいのかどうかわかりませんが、それを見られるシステムが必要ではない だろうかというふうに思います。  これは個々の大学でやればいいことかもしれませんが、恐らく、適性のない人たちは、 早めに方向を変えてやる必要があるだろう、と。そんなことを考えると、何か少し、制 度的に入らないものだろうかというふうに考えるものですから、今、2回という突飛な 話をしましたけれど、そういう制度ができないかなあということを思っております。   ○江藤部会長  6年まで引きずらないで、途中で適性試験等を――これは国家試験としてやるかどう かは、多分、別でしょうけれど、そういったことも、ここの答申等に盛り込んではいか がかという御意見ですね。   ○福田委員  はい。   ○久光委員  昭和大学の久光です。私は第95回の国家試験の委員長をさせていただきましたが、そ の後、アメリカの歯科医師国家試験制度の視察にも行かせていただきました。アメリカ では、在学中の試験が2回、パート1とパート2ということで、2段階の試験を実施し ております。2年を終わった段階でパート1を受験しますが、これは基礎が中心の多肢 選択式400問の試験です。パート2というのは学科別400問、症例別100問からなり、 通常最終学年に受験しますが必ずしも在学中に合格する必要はなく、実地試験前に合格 していれば良いとのことです。卒業後、開業のための実地試験というのは地域ごとに行 われていますが、このようなシステムはとても参考になると思います。たまたま、日本 でもCBTとOSCEの共用試験が在学中に行われるようになりましが、CBT、 OSCEを、国家認定の試験にして――国家試験にするかどうかは、また別ですが―― 国家の政策としての試験という形に位置づけて、方向性を示す方がよろしいのではない かと考えております。  それから別の話になりますが、参考2、制度改善検討部会の報告書の中の7ページに、 今後検討すべき事項ということで、検討課題が幾つかあります。その中の1にあります 受験回数の制限についてご検討願いたいと思います。国家試験で不合格となった受験生 が、その後、受験を何回も繰り返すというのは、非常に無駄なことと思います。いたず らに回数を重ねるよりは、ある程度の回数で、受験を制限することも検討すべきと考え ます。歯学部を卒業しても国家試験に受からないということは、この受験生を卒業させ た、あるいは入学させた大学にも責任があると思われますので、受験制限回数を超えて しまって国家試験の受験が出来なくなった国試浪人に対する救済策として、卒業させた 大学が受け入れて再教育し、再度卒業判定をクリアできた場合に、国家試験の受験資格 を与えるようなシステムを構築してはいかがでしょうか。   ○江藤部会長  これは、制限をしないということですか。   ○久光委員  いえ、受験回数に制限を加えた上での話です。何回以上落ちたら大学に戻して、再度、 教育を受ける機会を与えるということです。   ○江藤部会長  例えば3回とすると、3回以後はまた大学に戻して、その後、またチャンスを与える ということですね。   ○久光委員  大学で卒業判定をしたうえで、再度国家試験を受験させるということです。   ○江藤部会長  3回受けたら、もう、生涯受けられないということではないんですね。なるほど。   ○丹沢委員  医学教育の方の関連ですけれど、実は千葉大学では、臨床の実習に上がるときに、O SCEをかなり重視していて、模擬患者さんにも点数をつけてもらったりして、かなり、 あるレベル以下の人たちは、それで引っ掛かるんですよね。それで、全科目を受かって いても、OSCEが通らないと、それだけで留年させてしまう。そういうやり方をして います。それだけに、OSCEのやり方とか、評価は、物すごく客観的にやるようにし て、それで、もともと入試でもかなり面接は重視しているということで、そういう点を 重視しているんですけれど、ここでやはり、私がさっき、そういう発言をしてしまった 部分もあって、これは考えてみると、国家試験の制度の改善を検討する場ですから、そ れはそれで、ぜひ考えていただくということで、やはり態度と技術と知識を、国家試験 で、それぞれどのように評価して、それで、どのように資質を担保するかという、やは りそういう議論に絞らないと、まとめるのは、多分、無理なのではないかと思うんです。 そういうことで、先ほど、卒前教育、卒後研修と、全体を見渡した議論を、というよう なことをお話ししましたけれど、よく考えて反省すると、もう少し国家試験に特化した 結論にして、あとは付帯事項で出すような簡単な提言で済ませるような形でないと、多 分、ここは無理なのかなあというふうに、先ほどから聞いていて、ちょっと反省しまし たので、すみませんが、そのような意見ということでお願いいたします。   ○江藤部会長  ありがとうございました。私、まとめないで次に行ってしまいましたけれど、久光先 生の御発言は、米国のパート1、パート2の話で、これは国家試験とは必ずしも言えな いんですけれど、日本で言う共用試験と国家試験とのすり合わせをしてはどうかといっ たことであります。  それから回数制限にしても、これは例えば2回落ちたら大学で再教育して、またとい う、そういった御提案でございます。   ○久光委員  回数は別に検討するとして、そういうことを考えてはどうかということです。   ○江藤部会長  はい。それから、丹沢先生の御意見は、OSCEは、この資質判定に非常に重要な役 割を果たしている、と。だから、これの導入といいますか、国家試験でもこれを考えて みてはどうかということですか。   ○丹沢委員  いえ、国家試験は2,000人以上の試験ですから、やはり大学が、国家試験を受験でき る人を出すということに、もう少し責任を持ってもらう。その点については、特に態度 の部分ですが、そこは責任を持つべきで、そのためには、やはり全国統一的なOSCE の基準をきっちりやって、それだけでも父兄や本人を納得させられるような、権威づけ のある試験を、卒前教育のある時期にやるべきではないかと思います。国家試験でそれ を導入していくというのは、態度をはかる国家試験の部分というのは、またやり方が別 なのではないかというふうに思います。ですから、ちょっと混乱させた面もあったかも しれませんが、そういうことでございます。   ○江藤部会長  わかりました。ですから今は、共用試験の方は、これは臨床実習に入る前のOSCE ですが、丹沢先生の御意見としては、卒業前というか、卒前の臨床実習の終わった時点 でOSCEをやって、臨床能力を一応判定してはどうかという御意見かと思います。  それから、態度、技術、知識という、この医学教育、歯学教育の3つのキーワードを きちんと国家試験の内容でもって説明できるような、試験様式でもって説明できるよう なことを考えてはどうかと、そういった御意見かと思います。  ほかに、いかがでしょうか。全く別の御意見でも結構です。須田先生、最初に先生の 御意見で、国家試験の位置づけといったことをお話しされたかと思うのですが。   ○須田委員  基本は、作問者の先生から、CBTで出した問題と、国家試験で出す問題と、同じ問 題を出すことに意義があるのかというような疑問をいただきました。というのは、同じ 先生がつくっているわけですから。何か、国家試験として、もう少し――佐藤先生の御 意見もありましたけれども、あるべきつくり方、問題のつくり方があるのではないかと いうようなことも、今回、論議した方がいいのではないかというふうに考えております。   ○江藤部会長  これは非常に大事な意見でございまして、実は共用試験と国家試験で委員は重複しな いというのが、一応、双方の申し合わせになっているのですが、一方の委員を終わって から、もう一方の委員になるということが、かなり頻繁に出てきております。これはや はり、そういったことが、ベテランになってくれば、なかなか、ほかの先生に回しにく いという部分もございます。共用試験の方は臨床実習に入る前、国家試験の場合には卒 業した後というか、いわば歯学部における、最終的な臨床能力の判定ということですが、 その辺の、出題内容、試験の様式を含めて、ある程度、区別すべきではないかというの が、須田先生の御意見でございます。   ○須田委員  それに関連してですけれど、現在、すべての問題が五肢択一になっていますが、実際 の現場では、五肢択一というのはないのですね。自分で考えて、自分で問題解決して、 対処策を考えるということです。ですから、必ずしも五肢択一にとらわれないで、例え ば、いつでしたか、計算問題を出しまして、その答えについては、数字で出てくる。正 答は1個しかありません。ですから、それを書かせる。採点も、そんなに難しいことで はないと思いますので。必ずしも五肢択一で今後とも行くべきなのかどうか、もう少し 柔軟な頭を持った人を育てた方がいいのではないかというふうに感じております。   ○佐藤委員  国試の問題形式について、一つ提案があります。須田先生がおっしゃったように、決 まりきったというか、今までの五肢択一だけの問題ではなく、全部を変えるという意味 ではなくて、一部を、CBTのような違う形式のものを含むようなことも考えてはどう かと思うんです。特に医学部の国家試験問題は、最近のものを見ますと、臨床の立場か ら見て、とても素晴らしいなあと思うのは、患者さんが見えたときからのストーリーが 組んであって、その中の、部分のところをどう考えるかという問題を答えさせる。例え ば最初ですと医療面接的な問題が、そのストーリーの中から選ばれて回答する。その次 もストーリーはつながっているんですが、次の段階では、診断でどんな検査が必要かと いうようなことが出てくる。最終的に診断をして、患者さんに予後のお話をするところ までどうするか、というようなものを派生しながら――つくるのは大変難しいとは思い ますけれど、そういうのをちょっと工夫して、最初から最後まで行くような、その中で 基礎のときに、値がどういうふうになってきたときに、どうなるかというようなことを 応用問題として入れていく。つくるのは大変難しいですけれど、そういうものも入れて いくと、診断能力というのが大変よくわかるのではないかというふうに思います。   ○高田委員  それがまさに先ほど申しましたことで、私も同じことを申したつもりです。それは分 析的に、知識を短冊のように、ただ覚えるということが医療にはならないと考えますの で、やはりそれをインテグレートして考える。ある具体的な患者さんというか、ある症 状なり状況を見たときに、どうするかという対処方法の概念設計を抽象的にとらえられ るような能力を問えないか。ただし、ここの議論でも出ているように、別に国家試験と いうのは、スーパーマンをつくる話ではないので、その6年間で得たことを見て、次の 研修医につながるような人材を抽出するということですから。ですから、その中に、こ れまでの中で言いますと、今のような、単純かもしれませんが数学的な思考というのは 抽象的な概念を理解することにもなるでしょう。別に難しい数学をやるのではないとは 思うんですけれど。  あるいは日本語というものを自分で読み解いて記述する。これは問題形式の中で以前 あった記述問題ということにつながるかもしれませんが、実際に私は、かなりの数の学 生を指導しております。それで見ていると、日本語力というものの低下が、これは社会 全体かもしれませんが、その学生の知的判断力とか構想力、想像力とかなり対応してい るのではないかという面が見られるものですから、何かそういうことをメジャーする。 そういうことは、包括的に物事をとらえて判断する能力を、とにかく見てみたいという ことにもつながる。それから、それはひょっとしたら態度ということにも――ここで態 度という言葉が適切かどうかわかりませんが、要は感性ということかと思いますけれど、 その人の人間性といいますか――しかし現実には、この国家試験で人間性そのものを正 確にとらえるというようなことは、私自身は、少し超えた話だと思うんです。だからせ めて、プロフェッショナルとして、概念を理解して、問題対処の概念設計ができるよう な能力をはかるということが、佐藤委員が言われているようなことであると思いますし、 私は、そこは非常に重なって理解しているのですけれど。そういうことを具体的な問題 の構築の中で、何か検討できないだろうか、と。  それから、先ほどからも出ていますけれど、やはりOSCE、CBTに関して、国家 試験との整合をとっていただきたいということで、別の理由を少し申し上げたいのです けれど、それは、今、一方の当事者である学生にとっては、いろんなタイプの試験がど んどん出てくるわけです。追いまくられているというと言いすぎかもしれませんが、一 種の混乱というか、非常に不安感がある。こういう形で、教育の現場でしっかりと落ち 着かせてものを教育できるかどうか、私は少し不安を感じています。  もう一つは教員です。教員自体が、国立の場合は特に独法化後、いろんな仕事という か、ドキュメンテーションにかかわるような仕事がふえて、さらにこういう仕事がふえ る。これはリラクタントな意味で申し上げているのではありません。何かもう少し、学 生も教える側も、それから国家試験を用意する側も、少しきちっと、このあたりで―― 研修医制度をスタートした後ですから――整える時期かなあ、と。整合させないといけ ない。概念として抽象的に議論していることとは違う方向に行ってしまいそうな気がす るんです。それは不安ということです。学生が、着地点がわかりにくくなっているので はないかと思うのです。抽象的な説明で申しわけないですけれど、要するに仕事量がふ えて混乱しているけれども、出題者は、ふたを開けてみれば似たような人が役割を変え てやっているというのが現実に、もしもあるとすれば、そのあたりは、ちょっと整理し ていかないと、制度として疲弊してしまうのではないかと思います。   ○江藤部会長  ありがとうございました。まず1点目は、先ほどからも御意見が出ているように、知 識だけをはかるのではなくて、統合して分析して問題を解決できるような、そういった 出題もしてはどうか、と。  もう1点は、共用試験とそれから国家試験、それに絡んで卒前の臨床実習と卒後の臨 床研修のすり合わせですが、これは多分、臨床研修が、医科の方は2年目を終了しまし たし、歯科は来年の3月で1年目が終了するわけですが、いわば、その結果を見て、こ のすり合わせといいますか、その辺の検討に入るような意見も仄聞しておりますが、三 浦医学教育課長、いかがですか。   ○三浦課長  医学教育課長でございます。卒前教育と卒後教育が連携しなければいけないことは当 然のことであります。今、御議論があったように、試験としては卒前には共用試験、卒 後直後には医師国家試験もあります。ただ、おのずと目的は違います。たとえば6年間 の教育の中に置かれている試験は、どちらかというと、いわば落としていく試験という よりも、育てていく試験というような性格も恐らくあるだろうと思います。  それに対して、医師国家試験というのは、明確に、これから職業人として育つ資質を 持っているかどうか、あるいは現にそういう能力・知識を持っているかどうかというこ とをはかるものではないかと考えます。しかしそれらの試験が、いわば医療人養成の最 終形として、一人前の歯科医師につながるような形でセットされていなければいけない というのは、そのとおりだと思います。  ちなみに、今、私どもでは、医師のそういう卒前教育のあり方についての御議論をい ただいていますが、そこでも、今、私が申し上げたような論点が、委員の先生方からも 言われております。そういう点で、歯科医師の養成についても、同様の観点から、何を していくのかが課題になると思います。  先ほどの御議論にありましたように、結局、卒前教育にかかわっておられるのも大学 の先生でありますし、また、国家試験をおつくりになっているのも大学の先生であり、 また、卒後臨床研修の担当をされているのも、特に歯科医師の場合は大学での臨床研修 が多いわけですので、そういう意味では、大学の先生方が、それらのほとんどを担って いるということになりますので、連携はとりやすい環境にあると思います。   ○江藤部会長  ありがとうございました。では歯科保健課長、何か追加がありましたらお願いします。   ○歯科保健課長  国家試験と臨床研修の連携ですが、臨床研修は1年目ですけれども、これについても 部会がございますし、また検討会を設けまして、実施状況について、いろいろ把握して いきたいと思っています。その中で、資質の向上で課題が出てくるのではないかと思い ます。その点について、国家試験との連携でどう課題を整理できるかわかりませんが、 ワーキンググループでは、そういった臨床研修で生じた課題も踏まえて総合的に検討し ていきたいと思っております。   ○江藤部会長  ありがとうございました。時間になりましたので、本日のところは、これで議論を終 了させていただこうと思います。さらに議論を深めるために、非公開のものを含めてデ ータの分析等、具体的な議論等が必要でございます。別にワーキンググループを立ち上 げることにさせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。  このワーキングにつきましても、委員の先生方に御協力をいただきたいと思っており ます。その辺のところも、よろしくお願いいたします。ワーキンググループの座長でご ざいますが、第93回歯科医師国家試験の試験委員長をされておりました石橋寛二先生に お願いをさせていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。 (異議なし) ○江藤部会長 ありがとうございます。それでは石橋先生、よろしくお願いいたします。  なお、ワーキングに御参画いただく委員の先生方につきましては、石橋先生と私、そ れから事務局で相談をして決めさせていただこうと思います。ワーキングの検討結果は 次回の部会に報告して、またこの部会で御議論をいただくということでございます。 ○江藤部会長  最後に、次のこの部会の日程について、事務局からお願いいたします。 ○鳥山補佐  本日、委員の皆様方からいただいた御意見などをもとに、ワーキンググループで具体 的な御審議をいただきたいと思います。また、その内容につきましては、次回開催いた します、この部会で御報告させていただく予定でございます。ワーキンググループに御 参画いただく委員の方々には、後日、日程の御照会をさせていただきますので、御多忙 の折、申しわけございませんが、ひとつよろしくお願いいたします。   ○江藤部会長  それでは、この部会を閉じさせていただきます。本日は、どうもありがとうございま した。 照会先:厚生労働省医政局医事課試験免許室     試験専門官 和田     代表 03-5253-1111(内線2578)