06/10/17 第33回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 第33回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日 時 平成18年10月17日(火)10:30〜11:30 2 場 所 厚生労働省第8会議室(6階) 3 出席者 [委   員] 臼杵委員、勝委員、郷農委員、小山委員、齋藤委員、              佐藤委員、下永吉委員、鈴木委員、田村委員、都村委員、              成宮委員、布山委員、松本委員、山川委員       [事 務 局] 青木勤労者生活部長、前田勤労者生活課長、              大隈勤労者生活課長補佐 4 議 題   中小企業退職金共済制度の現況及び平成17事業年度決算について 5 議事内容 ○齋藤部会長 若干時刻は早いかもしれませんが、全員お揃いになりましたので、ただ 今から第33回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めます。  本日は、菅井委員が欠席です。議論に入る前に、委員の交替がありましたので御報告 します。使用者側の讃井委員が辞任されまして、後任として日本経済団体連合会労政第 一本部労政グループ長の布山様が委員に新たに就任されました。 ○布山委員 布山です。よろしくお願いします。 ○齋藤部会長 ありがとうございました。本日の議題は、お手元にお配りしてあるとお り、中小企業退職金共済制度の現況と平成17事業年度決算についてです。それぞれ資料 が出ていますので、事務局から御説明をお願いします。 ○前田勤労者生活課長 まず資料1の「中小企業退職金共済制度の現況」をご覧いただ きたいと思います。まず1頁目で、中小企業退職金共済制度の加入及び在籍状況ですが、 1頁の上のところが「新規加入状況」です。平成17年度については、左側の共済契約者 数の事業主の数で見ると、合計で2万4,970が新規加入で、そのうち一般の中小企業退 職金共済制度が1万6,821で、平成15年、16年と比べるとかなり増えております。特 に適格退職年金からの移行が平成17年度はかなり多かったということで、3,963件が適 格退職年金から移行したということです。建設業は新規の共済契約者は8,100で、若干 減少傾向です。清酒は、平成17年度9件ありました。林業は40件で、やや減っていま す。  右の被共済者数で労働者の数ですが、合計では平成17年度新規加入が60万3,552件 です。これも一般の中小企業退職金共済制度が43万8,120で、過去と比べてかなり増え ております。適格退職年金からの移行がこのうち13万人ぐらいあり、それが非常に大き く新規加入の増加に影響してるということです。一方、建設、清酒、林業はいずれも、 平成17年度はこれまでと比べると、新規加入が減少傾向にある状況です。  下の「在籍状況」は平成17年度末で、共済契約者数は合計約58万事業所です。その うち一般が38万5,079で若干減っております。建設業は18万7,883でやや増えており ます。清酒が同じ数で、林業が3,622で若干の減です。  右側の被共済者数でみますと、全体で約550万ですが、一般は275万で、かなり新規 加入が増えたこともあり、在籍数が増えております。建設業は264万人で若干増えてお ります。清酒と林業はやや減少傾向です。  2頁で「退職金等支給状況」です。平成17年度の支給件数が35万6,109件で、最近 では平成14年度が43万9,760で一番多かったのですが、その後、徐々に減少しており ます。景気も徐々に回復したので、退職が減っているのではないかと思われます。支給 総額は約4,100億円です。  一般の中小企業退職金共済制度についてみますと、これも支給件数は徐々に減ってき ていますが、1件当たり約126万円という状況です。建設業も支給件数は平成14年以降 ずっと減ってきております。1件当たりの支給金額は平均で91万6,309円です。清酒の ほうも支給件数は減少傾向にあり、1件平均して約137万2,134円という状況です。林 業も件数は減っております。1件当たりの支給件数が89万804円です。  一般の中小企業退職金共済制度で、平成17年度の支給額の平均が126万円強ですが、 掛金の納付が、一般の場合大体114月で、10年弱が平均的な状況です。  3頁をご覧ください。一般の中小企業退職金共済制度の掛金の状況は、一般の場合 5,000円から3万円の間で事業主の方に選択していただいておりますが、平均9,000円強 になっております。特定業種については、それぞれ日額で決まっております。  下の6「資産運用状況」についてですが、平成17年度資産の合計が4兆3,932億円で、 特に一般のほうが3兆4,237億円で、加入者が増え、運用も良かったということで、資 産が増えている状況です。建設業も9,483億円で若干資産が増えています。清酒、林業 はやや減っておる状況です。  4頁は「一般の中小企業退職金共済事業における資産運用状況」です。主に債券、金 銭信託などで資産の運用を行っておりますが、平成17年度の平均運用利回りは8.34% で、これまでと比べると特に株価が非常に上がったということもあり、委託運用の金銭 信託でかなり運用利回りが良くなったので、今までと比べてもかなり高い運用利回りに なっております。  5頁が、建設業の資産運用状況です。こちらも給付経理で4.35%、特別給付経理で5.22 %で、平成16年度と比べてかなり高い運用が得られました。6頁は清酒製造業です。平 成17年度給付経理で3.56%で、こちらも過去と比べると高い運用になっています。7 頁は林業です。平成17年度は運用利回りが2.07%で、平成16年度と比べるとかなり高 くなっております。ここまでが現況です。  次に、資料2をご覧ください。「勤労者退職金共済機構の平成17事業年度決算の概要」 です。1頁は、機構全体の貸借対照表及び損益計算書ですが、それぞれ事業ごとに見て いただくのが分かりやすいと思いますので、2頁をご覧ください。一般の中小企業退職 金共済事業についてです。先ほどもありましたが、平均運用利回りが8.34%と高くなっ て、運用収入もかなり多く得られました。また、加入者が増えたことで掛金収入もかな り増加しました。損益計算書の一番下のところで、1,416億7,800万円が平成17事業年 度の利益です。  従来、一般の中小企業退職金共済事業については累積欠損金があって、平成16年度末 で2,272億円ありましたが、平成17年度に1,416億7,800万円の利益で、上の貸借対照 表の繰越欠損金のところを見ていただくと、平成17年度末では、欠損金としては残りが 854億8,300万円で、かなり累積欠損金が減少しました。  昨年、累積欠損金の解消計画を策定したわけですが、一応、今後、平成17年度から 13年間で2,200億円強を解消する計画になっており、毎年の解消額の目安としては180 億円ずつでしたが、平成17年度は非常に運用環境にも恵まれたということで、1,416億 円と、7倍強のペースで累積欠損金の解消が図られた状況です。  3頁は建設業の関係です。こちらも運用利回りがかなり高かったということで、損益 計算書の一番下で、平成17年事業年度の利益は327億3,200万円です。貸借対照表で、 従来から積立金が596億円ありまして、それにこの327億円を加えて924億1,200万円 の積立金を保有しております。  4頁は清酒製造業の関係です。こちらも平成17年度の損益計算書では1億6,900万円 の利益を計上しております。従来からの積立金が8億5,700万円で、合計で10億円ぐら いの積立金になっている状況です。  5頁は林業の関係ですが、平成17年度の損益計算書の一番下で、利益が2億1,300万 円です。林業も従来から累積欠損金がありまして、16億円強の累積欠損金があったわけ です。林業についても累積欠損金解消計画を昨年策定したわけですが、18年間で、毎年 の解消目安額を9,200万円ということで計画を立てております。平成17年度は2億1,300 万円で、2倍強の累積欠損金の解消が図られたということで、平成17年度末で繰越欠損 金としては14億3,300万円という状況です。  6頁です。独法の会計基準で「行政サービス実施コスト計算書」を作ることになって おり、独立行政法人について国民が負担するコストを表示するものですが、この退職金 共済機構の場合には収益のほうが大きくて、国民に対する負担はマイナスで、負担にな っていません。7頁はこの決算の流れです。平成17年度決算について、6月に機構から 厚生労働大臣に財務諸表が提出され、その後、独立行政法人評価委員会で意見を聞いた うえで、9月11日に決算を承認しております。  資料3をご覧ください。先ほどの決算の承認についても、この独立行政法人評価委員 会において意見を聞くことになっておりますが、この資料は独立行政法人評価委員会に おける「勤労者退職金共済機構の平成17年度の業務実績の評価結果」です。  2頁の「平成17年度業務実績について」をご覧ください。(1)の評価の視点は、こ の勤労者退職金共済機構が、特殊法人から平成15年10月に独立行政法人として発足し たということで、平成15年10月から平成19年度までの期間がまず現在の中期目標期間 です。そのうち、平成17年度が3年度目の期間で、今回の評価はその3年度目の達成度 の評価です。  (2)は業務実績全般の評価です。最初のところで、その業務評価に当たっては、「退 職金制度への着実な加入」と「将来にわたる確実な退職金給付」にどの程度寄与するか という視点を中心に評価しております。  2つ目の段落で、退職金制度への着実な加入については、適格退職年金からの移行が 大幅に増加したことで、重点数値目標の加入者数の目標は法人全体としては達成された ことで、本年度の目標はおおむね達成されたという評価です。将来にわたる確実な退職 金給付については、加入促進などで掛金収入が増加したことと、計画的な累積欠損金の 解消のために「累積欠損金解消計画」を策定するとともに、資産運用・評価体制の活用 をしつつ的確な運用が行われたことで、累積欠損金の大幅な減少などの成果が出ました。  内部管理体制の充実や外部専門家からなる組織の活用、業務改善、電子化の推進など 運営の効率化、加入者負担の軽減や契約審査期間の短縮、情報提供体制の整備など加入 者へのサービス体制の向上が図られたという評価です。こういったことから、一番下の 行から次の頁にかけて、全体としては機構の目的である「退職金制度への着実な加入」 及び「将来にわたる確実な退職金給付」に資するもので、適正に業務を実施したと評価 できるというのが全般的な評価ですが、以下の点に留意する必要があるということで、 6点ほど指摘されております。  (1)で、加入促進については、特に平成17年度加入者が目標に達しなかったのが建設業、 3年連続で清酒及び林業がそれぞれ加入者が目標に達成しなかったので、それぞれの産 業の事情、事業活動の低迷などの問題はあるわけですが、「より積極的な取組が求めら れる」ということです。  (2)は、制度が長期的に安定したものとなるために、累積欠損金の解消が重要であると いうことで、平成17年度に策定した「累積欠損金解消計画」の着実な実施が引き続き求 められる、ということです。  (3)は、機構の内部の体制の問題として、職員研修の充実あるいは人事評価結果を勤勉 手当等に反映するといったようなことで、効率的、柔軟な組織・人員体制の確立に努め ているところですが、今後さらに具体的な成果を得る、あるいは不断の見直しを行うこ とが必要であるということです。  (4)は、業務の効率化あるいは国民に対するサービスの向上です。平成17年度の業務実 績で、事務処理方法の見直し等について一定の評価をできるということですが、これら をさらに、平成18年度以降の業務実績の向上につなげていくことが重要であるというこ とです。  (5)は業務の効率化、経費の削減は当然必要であるわけですが、それと併せて、コンプ ライアンスの確保というものの両立が重要であるということで、職員に対するコンプラ イアンスに関する研修などを配慮する必要があるということです。  (6)は、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会で、今後の独立行政法人の組織・ 業務全般の見直し方針を取りまとめているわけですが、その視点として、業務廃止・縮 小・重点化、経費の縮減、業務運営の効率化、自己収入の増加、情報提供の充実といっ たことが基本となっているということに留意するということです。この勤労者退職金共 済機構については、中期目標が平成19年度までで、組織・業務全般の見直しについては、 平成19年度に行う予定です。  個別項目については、8頁に「個別項目に関する評価結果」ということで、16の項目 それぞれについて、機構の評価と独立行政法人評価委員会における評価結果が整理され ています。平成17年度の評価結果でいきますと、16項目の中で、Aというのが中期計 画を上回っているという評価ですが、それが10項目です。Bが中期計画に概ね合致して いるということで、それは6項目で、平成16年度はAが8、Bが8という評価結果でし たので、それよりも若干評価は良くなっている状況です。説明は以上です。 ○齋藤部会長 どうもありがとうございました。ただ今の説明について、御質問なり御 意見がありましたら、御自由にどうぞ。 ○都村委員 最初に御説明いただいた1頁の共済契約者数と被共済契約者数は両方とも 増加していまして、加入促進の取組が行われた成果ではないかと思われるわけです。そ れで、財政状況にも望ましい結果だったのではないかと思うのですが、それに関して、 2点お尋ねします。  第1点は、平成17年度の4つの制度の加入者数の実績と数値目標の達成の程度はどの ぐらいだったのかということです。特に、後者の3つの事業はどのぐらい目標と実績が 乖離しているのか、また、その理由と見通しがどうなのかです。第2点は、昨年もちょ っとお尋ねしたのですが、短時間労働者の加入促進は積極的に行われたと思いますが、 全体としては若干増えているのですが、新規は減少しているということです。中小企業 で働いていらっしゃる短時間労働者は、全体としては増えているのではないかと思いま すが、その辺はどうなのでしょうか。  もう一つ、今最後に御説明のあった資料3の8頁の10の「累積欠損金の処理」ですが、 これは一番重要な課題だと思います。機構の自己評価がSで「中期計画を大幅に上回っ ている」、評価がAで「中期計画を上回っている」ことになっているのですが、具体的 にその実績と目標の乖離率がどのぐらいなのか。どんどんこういうふうに累損が解消さ れていくと、中期目標の期限や目標額の改善は考えられるのか、それと現実の累積欠損 金の処理がどんなに進んでも中期目標は変わらないのか、そのあたりをお尋ねします。 ○前田勤労者生活課長 まず、1点目の加入者数の目標についてですが、被共済者数で 目標を設定しており、まず一般の中小企業退職金共済制度においては、加入目標が35 万4,460人で、一方、実績が43万8,120人で、目標達成率は123.6%です。建設業は加 入目標数が16万6,680人で一方、実績が、ここにあります16万3,261人で、目標達成 率は97.9%です。清酒製造業は加入目標が230人という数字で、一方、実績が194人で すので、目標達成率は84.3%です。林業は加入目標が3,000人で、加入実績は1,977人 で、目標達成率が65.9%という状況です。  特に、建設業、清酒製造業、林業はいずれも目標を下回った形になっていますが、そ れぞれ各業界を取り巻く状況はなかなか厳しい状況にありまして、建設業は特に公共工 事の減少などもあり、就業者数の減少が影響している感じです。清酒製造業についても、 清酒製造業の業者が減少傾向にあり、就業者もやや減少している状況です。林業につい ても、国産材の価格が低迷しており、林業を取り巻く環境は非常に厳しい状況です。た だ、特に最近は緑の雇用といった形で林業従事者への新規参入もありますので、そうい った事業との連携も図りながら新規加入に取り組んでおります。  2点目の短時間労働者については、一般の中小企業退職金共済制度において、通常、 最低の掛金を5,000円としていますが、短時間労働者の方は、労働時間が短いというこ とから、なかなか5,000円で入っていただくのは難しいということもあろうかというこ とで、2,000円、3,000円、4,000円といった掛金で加入できるような形になっておりま す。そういった低い掛金で入っていただいている方が、資料1の1頁で見ていただくと 括弧の数字ですが、平成17年度新規加入が5,926人で在籍が3万6,775人で、新規加入 がやや減少しておりまして、在籍者数もそんなに増えていません。  これについて評価委員会の中でも、資料3の6頁で、パートタイム労働者が増加する 中で、積極的な加入促進対策を行うことが求められております。一般にそもそもこの退 職金だけに限らず、パートタイム労働者に対する処遇の面で、一般の方との均衡処遇が 今非常に問題になっているわけですが、この制度でも、事業主なり労働者のニーズもも うちょっと把握すべきということも、この評価委員会から御指摘を受けており、そうい ったことも踏まえながら、このパートのさらなる加入促進についてどういったことが考 えられるかを、今後さらに検討していく必要があると思っております。  資料3の評価の関係で、10番の「累積欠損金の処理」について、自己評価の中では、 掛金収入についても、中退共の場合に目標に対して134.9%という実績で、掛金収入に ついても、加入促進の実施などによって目標をかなり上回る成果を得たことと、累積欠 損金の解消については計画の策定に合わせて、資産運用、ポートフォリオの見直しとか を行ったことも併せまして、中退共において大幅に累積欠損金の解消が図られたという ことで、自己評価としてはSという評価になっておるわけです。評価委員会の中では、 成果は上がったわけですが、株式市場の好調といった外部の経済的な影響もあるという ことで、今後さらに確実に運用実績を上げられるように、さらに組織体制の整備を期待 するということから、評価委員会ではAという今回の結果です。 ○齋藤部会長 他に何かありますか。 ○佐藤委員 評価の8頁の一番終わりの機構評価とそれから評価委員会の評価のこと で、13のことなのです。「建設業退職金共済の適正化」の問題で3点が挙げられていて、 その3番目の今の共済証紙による納付方式は、どう考えても時代遅れだという議論が基 本的にありますよね。そのことを受けて検討委員会等がもたれたように思いますが、こ の見直しがどうなって、そして、評価がなぜAがつくのかということを説明してほしい のです。 ○前田勤労者生活課長 まず、新たな掛金納付方式の検討については、建退共の方で規 模を拡大してモニター実験を実施し、そこから得られた実務的な問題点を整理しまして、 関係団体等の皆様に入っていただいた意見交換会で、御意見を伺ったというところです。 現段階においては、新たな方式の導入については時期尚早であって、問題点の解決策の 検討が必要であるというような意見がまとめられたということです。今後その意見を踏 まえて、今年度から関係団体と更に具体的な問題点について、引き続き検討をするとい うことになっております。  この評価のところは、新たな掛金納付方式の問題だけではなくて、その上の就業日数 に応じた掛金の納付の確保、長期未更新者に対する退職金の確実な支給というものを合 わせて、Aという評価になっております。例えば、3年間ちょうど更新のない被共済者 に対して、更新手続をとるように要請して、手帳の更新とか退職金の請求の改善に結び ついたということもありましたので、全体として評価してAという評価になったという ことです。 ○佐藤委員 若干意見を申し上げておきますが、そのカード方式によって管理をしてい くというのは、非常に理想的だとみんなが言うわけですが、実際その方向に移行すると なると誰がその経費を持つのかと、非常に難しい問題にぶち当たるだろうと思うのです ね。そこで、私はそんなに無理することはないのではないかと基本的に思っていて、こ の見直しの課題をいつまでも、委員会をつくって引っ張っておくこと自身がそんなにい いことなのか、そのように思うのです。こういうふうな評価の中で検討していること、 その前の2点を含めてA評価だという意味は理解しますが、厚生労働省の姿勢としても、 この掛金納付方式はこのように見直せという一定の指導というものがあるなら、この際 述べていただきたいと思っています。 ○前田勤労者生活課長 従来から今の納付方式について、時代から見てちょっと遅れて いるといったことで、今こういう新たな掛金納付方式というものの検討というか、提案 があるわけですが、今、おっしゃられたように実際問題やるということになると、非常 にコストの問題も含めて問題点はまだ多いという状況です。そういう中で、それが解決 できるかどうかということを含めて、今後更に検討をしていただくという状況かなと思 います。 ○佐藤委員 そこは現状の説明なので。この委員会にも正式メンバーかオブザーバーか、 厚生労働省のこの課の担当者も出席をされているわけですよね。お聞きしたいのは、あ る程度指導方針をお持ちなのかどうかというのを聞いているわけです。 ○前田勤労者生活課長 厚生労働省として指導してもなかなか難しいところもあります ので、我々としては、よく業界なり関係者の方で御検討いただければと思っています。 ○佐藤委員 もう一言付け加えると、確かに今の納付方式はもう時代遅れだと、1日1 日転々とする労働者だから、そういうふうに管理していかなければいけないということ はあるので。けれども、それを改善するのは、課長がおっしゃられるとおり非常に難し いのですが。私が言いたいのは、こういう課題を掲げていつまでも議論すること自身は、 あまり得策なことではない、何か希望を持たせるようなことを前へ前へ送っていくと思 うのですね。現実的な問題で、そういうことに力点をかなり置いていただいていること は、それはそれでいいのでしょうが、もっとやるべき問題はたくさんあるので、一定の ところでこの問題は終止符を打ってもいいのではないかと私は思うのです。そういう御 意見を申し上げておきます。 ○齋藤部会長 他に何かありますか。 ○勝委員 先ほど評価のところで、新規加入と将来にわたる確実な退職金給付、この2 つが非常に重要だということですが、将来にわたって確実に退職金をキープしておくと いうことは、資産運用といったことを更に考えていかなければいけないということにな るのですが。資料1の4頁について、先ほど課長から御説明がありましたように平成17 年度の場合は、累積欠損金が大幅に解消されたということで、非常に評価できると思う のですが、それの多くは8.34%、株の価格がかなり上がったことによるということだと 思うのです。今後の運用を考えた場合に、財投の部分、財政投融資が廃止されたという ことで、この比率は今後低下していって、国債の部分が大きくなってくると。ただ国債 は、金利がかなり低いところでもたくさん買っているので、将来的に考えると利回りは、 これはバイアンドホールドだと思いますので下がってくる。そうすると金銭信託の運用 利回りがどの程度達成されるかということが、非常に重要になるのではないかと思うの です。  ちょっとここで質問させていただきたいのですが、この金銭信託に関しましては、い くつか委託をしていると思うのですが、マネージャーチェンジといいますか、運用の良 い所と悪い所で委託する機関を変えていくということがなされているかということが第 1点と、もう1点は金銭信託のアロケーションといいますか、おおざっぱでいいのです が、どういった資産、例えば株式であるとか、あるいは国債であるとか、あるいは外国 株式であるとか、そういった比率がもしおわかりになれば、ちょっと教えていただきた いのですが。 ○前田勤労者生活課長 まず、委託運用について実際の実績といいますか、そういった ものに基づいて運用の見直しということについては、機構のほうでそれを実施している ということです。それからポートフォリオについて、基本ポートフォリオというのをそ れぞれ作っておりますが、一般の中小企業退職金共済事業については、国内債券が79%、 乖離幅がプラスマイナス7.0、それから国内株式が10%でプラスマイナス4.0、それから 外国債券が5%でプラスマイナス2.0、外国株式が6%でプラスマイナス2.0というよう なポートフォリオです。これも外部の方に委員になっていただいて、ALM研究会など も実施して、そういった意見も踏まえてポートフォリオを昨年実は改正をして、今そう いう状況になっているということです。 ○勝委員 基本ポートフォリオの改正は、何年ごとか決まっているのでしょうか。 ○前田勤労者生活課長 何年ごとということは特に決まっているわけではなくて、市場 の状況等を見ながら、適宜改正するということです。 ○齋藤部会長 他によろしいですか。はい、どうぞ。 ○郷農委員 ちょっと小さなことを伺って恐縮ですが、資料3の2頁の下から6行目の (2)「外部専門家からなる組織の活用」というのは、具体的にどんなことで専門家のお世 話になっているのかということ。その次の3頁の(5)の最後の辺りに「加入者の行う諸手 続の見直しに当たっても不正防止等の観点にも配慮」と書いてあるのですが、どういう 不正があり得るのかということ。あとは、全体的にこのような運用の結果などは、出資 者である雇い主に毎年ちゃんと報告がいっているのかどうかを教えてください。お願い します。 ○前田勤労者生活課長 まず、外部専門家の活用ということについては、例えば資産運 用につきまして、先ほど申し上げました基本ポートフォリオ作成などについて、外部の 専門家からなるALM研究会の意見も踏まえてポートフォリオを策定するとか、さらに 資産運用の評価についても、外部の専門家で資産運用評価委員会というようなものを構 成し、評価していただいて更に見直しを行う、というような形をとっているというよう な方式です。  それから3頁の(5)「加入者の行う諸手続の見直しに当たっても不正防止等の観点にも 配慮する必要がある」という点なのですが、これについては、具体的に勤労者退職金共 済機構の手続の中で、何か具体的な問題があったということでは必ずしもなくて、評価 委員会の中でそういう一般的な御指摘として、こういう問題も今後配慮する必要がある という御意見がありまして、そういった評価になっているということです。  情報開示の関係につきましては、この資産運用の結果などをホームページを通じて一 般的に公表するというような形で、開示をしているということです。 ○田村委員 いくつか私どもも加入促進等々で相談を受けたりしているのですが、安心 安全以外のところのこの中退共の魅力は何か、ちょっと希薄になってきてますので、是 非その辺のアピールをお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。私も 気になっていたのですが、不正というところが評価委員会の3頁にありましたが、5頁 にも同じように、(2)の(1)4行目の後半に「今後は不正防止等コンプライアンス」と あり、今後ということは、あえて以前にあったのかという見方もできて、その中でちょ っと気になった文書だったので、その辺若干気になっています。  同じようなサービスでいくと、8頁にあるA評価、B評価というところで、B評価だ けがどんな項目かなと探すと、内部的な業務関係のところばかりがBになってます。そ ういった意味では独法自体のサービスを更に進めていただきたいなという要望を申し上 げておきたいと思っています。  これまで申し上げてきたことの要望ですが、先ほどありましたが1つ目は、短時間労 働者、パート等が非常に増えてくる中で、その人たちの加入促進ということを是非進め ていただきたい。2つ目は、加入促進の適年からの移行ということで、昨年、いわゆる 10年分120カ月を撤廃したおかげで随分流れてきたと思ってますので、1つは適年と中 退を併用して運用している企業があると思いますが、そこで、中退に申し込むというこ とがいま法律の壁があってできないということになってますので、是非その辺の法改正 を含めた促進を進めていただきたいということ。それができるとするならば、今あえて 適年を解約しますと所得税の対象等になってきてしまいますので、しばらく待つと全部 移行できるみたいなことも含めて少しアピールをしていただくということも、是非お願 いをしておきたいと思います。  3つ目は、適年の移行が全部終わると、では次に何するのというと、普通どおりの加 入促進を進めていかなければならないということになると思いますので、その動きを早 目に始めていただきたいなと思っています。是非その辺を、要望ですがよろしくお願い したいと思います。 ○前田勤労者生活課長 パートの加入促進については、先ほど御指摘がありましたが、 適年からの移行については、確定給付企業年金法で今適格退職年金からの移行が規定さ れておりまして、確定給付企業年金が平成14年4月施行で5年後の見直しということ で、年金局の方でも、企業年金の見直しの研究会を立ち上げたというような状況ですの で、そういう中で今後この併用企業の問題についても、対応できるように検討を進めて いきたいと思いますし、現に加入している企業に対する対応についても、勤労者退職金 共済機構とも相談しながら適切に情報提供できるようにと考えております。 ○齋藤部会長 はい、何かありますか。 ○臼杵委員 今まで出た点と若干重複するかもしれませんが、ちょっと3点ほど御質問 申し上げたいのです。1つは、今度は高齢者雇用安定法が改正になりまして、60歳以降 の雇用継続みたいなのがたぶん謳われていると思うのです。その一方で世の中で言われ ているのが2007年問題ということで、団塊の世代の方が60歳にもうすぐなられるとい うところで、退職者がたくさん出るのではないかということで、勤退共としてその辺に どう対応していくのか。例えば、実態としてどのぐらい被共済者が減っていくかという ことをお考えなのか。あるいは、また逆に60歳以降の方も今加入できるようになってい るのかどうか、被共済者として年齢の上限みたいなのがあるのかどうかという点が、お 伺いしたい点の1つ目です。  それから2つ目としては、これも今田村委員の方からお話ございましたが、適年のほ うは引き続きやっていただくということですが、その一方で適年以外の加入促進という ことで言いますと、確かに林業とか建設とか清酒とかが未達成であるというようなこと も含めて、世の中全体の業種の移行とか産業構造の変化、これも前に申し上げたと思い ますが、産業構造の転換とか、その辺についてどう対応されていこうとしているのか。 例えば、今の契約している事業主の業種とか企業規模とか、そういうある意味で市場調 査みたいなのをきっちりやって、もう少し18年度以降の中期計画みたいなものの中に織 り込んでいかれてはどうか、というようなことを思うのですが、いかがでしょうかとい うのが2点目です。  3点目としましては、パート短期雇用者というのは確かに1つ核となると思うのです が、実際にパートで退職金を持っている人というのは、たぶん1割にも満たないと思う のです。ですから、掛金を少なくするということももちろん大切なのですが、パートの 方にも退職金というのは必要なんだと、そもそもそこから始めていかないと、なかなか 加入促進に結びつかないのではないかと思うのですが、その辺について何かお考えがあ ればと思います。よろしくお願いします。 ○前田勤労者生活課長 まず高年齢者の関係ですが、いわゆる団塊の世代というのを、 昭和22年から昭和24年生まれというところでみた場合に、現在の一般の中退に加入し ていただいている方が大体その年はいずれも8万8,000人ぐらいで、割合としては3.2 %ずつで、この3年間で10%ぐらいというような状況でして、世の中の団塊の世代のピ ークといいますか、ふくらみから比べるとそれほど大きくはない。中退に加入していた だいている方は、ある程度ならされているという状況かと。それから年齢の問題につい ては、特にこの中退制度については上限があるわけではありませんので、60歳以上の方 も現に加入していただいているということで、例えば65歳以上だけで見ても、5万人弱 が現在も加入していただいている状況です。  それから2点目の特定業種について、特に現在の制度は、基本的には常用労働者につ いては一般の中退制度で、日々雇用なりその期間を限られた雇用が一般的な業種という ことで、建設業、清酒業、林業というような形でやっているということです。ここは、 目標設定のときに、最初過去の加入実績、それから林業については非常に累積欠損金も あったということで、更にそれに上乗せして目標を設定したというような状況があるの です。次回の中期計画の際に、どういった目標を作るかは、先ほど御指摘のそういうそ もそもの業界なりの状況とか、そういったことも踏まえて検討していくということも必 要かと思っております。  パートについて、この制度以外に一般企業の退職金制度として、パートの方に退職金 制度が適用されないというか、整備されていないということがあろうかと思います。1 つは勤続期間が短いというようなことがあって、まず期間の定めがある契約で、それを 更新していくのが一般的であるということで、最初から退職金制度の対象にするという ことがなかなか事業主にとっては難しいというのが今の状況であろう。ただ、パートの 中でも非常に勤続年数も長期化しているというような状況がありますし、更に基幹的な 仕事をされているような方も増えているという中で、今後そのパート労働者について、 一般の方との処遇面での均衡ある処遇というものが必要になるということ。そこは、パ ート労働者対策一般の問題であるわけですが、そういったことと併せて、この中退制度 においても更にどういったことが考えられるかということも含めて、今後検討していく 必要があるかなと思っています。 ○臼杵委員 ありがとうございました。ちょっと付け加えさせていただきますと、私ち ょつと言葉足らずだったのですが、市場調査というのですか、その2番目に関しては、 特定業種だけではなくて一般中退の対象となっている所も含めて、顧客ニーズというの ですか、顧客という言い方がいいのかどうかわかりませんが、例えば企業規模とか。適 年からの移行も私ちょっと計算したのですが、従業員数でいくと30人か40人規模の企 業が適年から移行している大多数で、もっと下の所はあまりまだきてないとか、そうい うのも含めて、従業員の数とか業種とかを含めて、どこら辺をどう加入促進していくの かというようなところをお考えいただければと思います。  パートに関しては、ちょっとこれも追加で御質問なのですが、例えば事業主からする と、5年勤めたところで初めて退職金を払うとかいう考え方もあると思うのですが、契 約を更新していって2年で辞められた、更新しなかったという場合には、退職金は払わ ないというようなことが、中退に加入していてできるのですか。それとも、積み立てた ものは必ず従業員の方に払うというのがルールですか。 ○前田勤労者生活課長 中退の退職金カーブの場合に、まず1年未満で辞められた場合 には、そもそも払わないという形で掛け捨てになるというような形になっておりまして、 2年ぐらいで掛金相当額ぐらいになるというのが今の状況です。そこは、ある程度長期 に勤続した方を優遇しようということで、全体の中でより長期の方のほうに回しておる という制度になっています。仮にこの中退に入っていただいた場合には、中退で決めて いる退職金のカーブにしたがってお支払するということですが、一般の事業主が自分で 退職金制度を作る場合には、それぞれのやり方になるだろうということです。 ○齋藤部会長 他に何かありますか。一言だけ質問をしたいところなのですが、この評 価委員会で「ホームページの見やすい、分かりやすさは顕著に向上しており、アクセス 件数が前年比約3割増加していることは評価できる」と書いてあるのですが、3割増加 して何件ぐらいになっているのですか。要するに私が言わんとすることは、IT、IT とは言うものの、こういうホームページを見る人というのはごく限られている人なので すよね。58万事業所を加入させておいて、58万事業所の人の中の何割がこのホームペー ジを見て情報を手に入れているかということが重要だと思うし、逆に言えば、その58 万事業所ぐらいは、考えようによってはたいした数ではないのです。  だから、本当に必要なことなり、今年度の現況はこうなっているとか、あるいはパー トの加入の促進が重要とすれば、おたくのパートをもっとこの機会に入れてくれないか とか、そういうのを直接ダイレクトメールで送るとか、そういうのこそ親切だと思うの です。形式的にも58万事業所といったらたいしたことない。たかが紙1枚か2枚でたく さんなのです。それで、詳しくはそのホームページを見てくださいでもいいのです。  それから、ホームページだってその財務諸表が載っているとか何とかというたぐいの 話ではあまりそんなものを読み取れる人なんてそうはいない。それよりは、むしろ制度 に加入していることによって生じる疑問、それに的確に答えられるような形になってい るかどうかということのほうが、ホームページを評価する基準にならなければおかしい と思いますね。文言を統一したというのは、それは全く表現の形式でして、それよりは 本当に必要な、事業主にとって、制度に加入している人らにとって、いろいろな問題に 突き当たったときに解決できることがそのホームページでできるかどうか、ということ が評価の基準にならなければおかしいのではないかと思うのですが、いかがですか。 ○前田勤労者生活課長 まずアクセス件数ですが、一般中退が平成17年度は37万3,000 件で建退共が32万9,000件ということで、前年比3割ぐらい増えたという状況です。ホ ームページの中でも加入者からの様々な照会・要望なども受付けて、そこで質問に対し て回答するとか、そういう形での対応もしているところです。もちろん、ホームページ だけではなくて、特に中小企業の方ですので、そういうのをなかなか見られないという 方もおられるということで、機構でも現況をまとめた資料とかも直接送ったりして、情 報提供には努めているところですし、電話なども含めた相談体制についても、マニュア ル整備なども含めてホームページだけではない対応ができるようにということで、一応 対応はしているということです。 ○齋藤部会長 それならいいけれど、例えば電話の相談を受けたのでも、大体類型でき るわけですよね。大体こういう点と。 ○前田勤労者生活課長 そういうのをまとめて職員向けにもマニュアルとかを作ってい ます。 ○齋藤部会長 職員のマニュアルではなくて、相談を受けた質問は、他の人も同じよう な疑問を持つのではないかと思うのです。 ○前田勤労者生活課長 そういうQ&Aというような形での相談事例をまとめたのが1 つです。 ○齋藤部会長 サービスというのは、やっぱり1対1の接触の度合いというのが一番サ ービスになるのではないかと思うのです。不特定多数の人を相手にするという感じでは なくて、やっぱり50、60万はたいした数ではないと思うのです。その人たちをいちいち 直接対応しているのです、ということが大事ではないかという感じがしますけど。つま らないことを言って申し訳ないです。他に何かありますか。 ○都村委員 この評価結果は、ホームページで公表しているのですか。 ○前田勤労者生活課長 評価結果は、厚生労働省のホームページで公表されています。 ○齋藤部会長 本来だったら、こういう評価委員会でこういう御指摘を受けたが、共済 機構としては、こういうふうに考えてこういう努力をしますということを、加入者の人 にお知らせすることをやるとか。これでAがついたから、それは結構は結構ですが、安 心するだけではしようがないと思うのです。  特段のことがないようでしたら、本日はこれで終了したいと思います。 ○田村委員 私ごとで非常に申し訳ありませんが、2年間お世話になりましたが、組織 の都合で今回で辞任をすることになりました。お世話になりまして、ありがとうござい ました。 ○齋藤部会長 どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。  本日の議事録の署名委員には、鈴木委員と成宮委員にお願いしたいと思います。どう かよろしくお願いをいたします。それでは、本日はどうもありがとうございました。 照会先: 厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課 調査係(内線5376)