06/10/03 第13回労働政策審議会議事録         第13回 労働政策審議会議事録 日 時 平成18年10月3日(火)10:30〜12:00     場 所 厚生労働省省議室(9階) 出席者【委 員】公益代表  菅野会長、今田委員、今野委員、齋藤(邦)委員、               諏訪委員、林委員、横溝委員、和田委員  労働者代表  植田委員、岡本委員、加藤(裕)委員、小出委員、 古賀委員、中島委員、土屋委員、丸山委員、               森嶋委員、山口委員 使用者代表  井手委員、伊藤委員、加藤(丈)委員、紀陸委員、 齋藤(朝) 委員、佐々木委員、柴田委員 【事務局】上村厚生労働審議官、太田大臣官房長、松井総括審議官(国際担当)、      青木労働基準局長、高橋職業安定局長、奥田職業能力開発局長、      大谷雇用均等・児童家庭局長、金子政策統括官、中野政策評価審 議官、山田労働政策担当参事官 議 題 (1)平成19年度労働政策の重点事項について        (2)平成18年版労働経済の分析      (3)分科会及び部会における検討状況について     (4) その他 配布資料 資料1−1 平成19年度労働政策の重点事項 資料1−2 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006   資料2  平成18年版労働経済の分析 資料3  分科会及び部会における検討状況について   参考1 労働政策審議会諮問・答申等一覧   参考2 グローバル経済のためのルール 〜国際労働基準の手引き〜 議 事 ○菅野会長   それでは、まだお出でになっていない方もいらっしゃいますが、時間に  なりましたので、ただいまから第13回の労働政策審議会を開催いたします。  議事に入ります前に、新たに委員になられた方のご紹介をさせていただき  ます。労働者代表委員として、日本サービス・流通労働組合連合中央執行  委員の植田委員でございます。次に厚生労働省において人事異動がありま  したので、事務局の紹介をさせていただきます。上村厚生労働審議官、太  田大臣官房長、松井総括審議官、高橋職業安定局長、奥田職業能力開発局  長、大谷雇用均等・児童家庭局長、金子政策統括官、中野政策評価審議官  です。事務局を代表して上村厚生労働審議官からご挨拶をいただきたいと  思います。 ○上村厚生労働審議官   おはようございます。いま会長からご紹介いただきましたように、9月  1日付けの異動で審議官になりました。委員の皆様には日頃からご指導賜  りまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。今回の異動はかなり大幅  な異動でございまして、先ほど会長からご紹介いただきましたように、担  当者がかなり変わっております。引き続き一生懸命頑張りますので、よろ  しくお願いします。   今日は来年度、平成19年度の労働政策の重点事項等についてご説明をさ  せていただきまして、対応すべき課題が多々ございますが、それらについ  て委員の皆様方に十分ご議論いただき、ご指導をいただければと思ってお  ります。よろしくお願いいたします。 ○菅野会長   それでは議事に移りたいと思います。議事次第にありますように、本日  の議題は3つあります。第1「平成19年度労働政策の重点事項について」、  第2「平成18年版労働経済の分析」、第3「分科会及び部会における検討  状況について」です。これらは最近の動向や対応の方向性などで相互に関  連する部分もございますので、事務局から一括して説明をお願いし、議論  をしていただきたいと思います。それではお願いします。 ○事務局(山田労働政策担当参事官)   お手元の資料の13頁の労働経済白書のところをご覧いただきたいと思い  ます。   平成18年版の労働経済の分析については若年非正規のところに焦点を当  てて分析をしております。15頁ですが、第1図をご覧いただきますと、最  近の雇用情勢、完全失業率は4.1%、有効求人倍率は1.08倍ということで、  かなり改善を見ているところです。しかしながら、その中身を見てみます  と、第2図にありますように、非正規の割合がかなり拡大をしてきていま  す。   16頁の第5図をご覧いただきますと、今後、高齢者、あるいは女性の労  働力人口の占める割合が増えてきます。そういうことに伴い、それぞれの  層における非正規雇用比率を一定といたしましても、社会全体としての非  正規雇用比率は高まっていくと、こういう予想が立てられています。   17頁はこうした非正規が増えていることの課題です。第6図をご覧いた  だきますと、正規と非正規を比べて企業における教育訓練の実施状況、か  なりの格差がある。これが将来の日本の社会における人材育成の力にどう  影響を及ぼすのか。第7図の男性で正規と非正規について有配偶の比率を  見てみますと、かなり格差がある。こういったことが将来の少子化の加速  につながっていくのではないかという懸念も指摘をされています。   18頁でこういった今後の課題を踏まえて労働政策の3つの主要課題を提  起しています。(1)は公正な処遇が確保され、誰もが安心して働くことがで  きる労働環境の整備、(2)は格差の固定化を招かないための職業能力開発の  充実、(3)は自立した職業生活を営むための若年者への社会的支援、といっ  たことが課題として提起をされています。   資料1頁、「平成19年度労働政策の重点事項」ということで、平成19年  度予算に向けての重点を整理しています。まず第1が、「公正かつ多様な  働き方の実現と働く人たちの安全の確保」ということで、1番目のところ  で、先ほどの白書でも指摘をされている非正規雇用問題に対する対応策が  出されております。(1)労働契約法制の整備、(2)パート労働者の均  衡ある処遇、能力開発の推進、更に(5)製造業の請負事業の適正化、と  いった非正規問題に対して総合的に対応していこうということです。更に  (3)最近の景気の回復を1つのてことした形で非正規労働者の正社員化  の機会の拡大を図っていきたいということです。   3頁ですが、第2の柱として「経済社会の活力の向上と地域の活性化に  向けた雇用・能力開発対策の推進」です。政府の経済成長戦略大綱の中で  も高めの成長が指向されております。そういった中で人材育成の重要性が  更に増しているということで、それに対応した施策をいくつか出しており  ます。1の(2)のところですが、「2007年ユニバーサル技能五輪国際大  会」を契機としてものづくり立国の推進をしていく。あるいは、(3)の  ところで「実践型人材養成システム」、前回の能開法の改正の中で打ち出  された新しい施策を着実に実行していくということが出されております。  2のところで地域の問題、地域間格差がかなり拡大をしている状況の中で、  (1)ですが、雇用の改善の動きが弱い地域における雇用創出等の推進を  図っていくということです。   5頁ですが、第3の柱として「新たなチャレンジを目指す若者等への支  援」です。これはいまの安倍総理が官房長官のときに再チャレンジ推進会  議で5月の末に打ち出したものをベースにした新しい施策の展開です。1  番目のところで「若者の人間力の強化と働く意欲の向上」ということで、  特に若いフリーターについては新規学卒の就職状況がかなりよくなってき  ている状況の中で正社員化が進んでいるわけですけれども、いわゆる25歳  以上の年長フリーターのところで雇用の改善が進んでいないということが  あります。こういったところに焦点を当てた形で常用就職支援をしていこ  うというのが(1)です。   (2)はフリーター・ニートをはじめとする若者の自立支援ということ  で、平成17年度、平成18年度から行われている施策を更に拡充して実施を  していくということです。   (5)は複線型の応募機会の拡大に向けた取組の推進ということで、企  業の新卒一括採用といういまの慣行を、できるだけ幅広い年齢層に機会を  提供していただくということで企業への働きかけ、あるいは若年雇用促進  のための法的な整備を図ってまいりたいということです。   6頁は女性、高齢者、障害者、それぞれについてもきめ細かな再チャレ  ンジ支援を講じていこうということです。   8頁ですが、第4の柱として「人口減少社会の到来を踏まえた少子化対  策の総合的な推進」です。1のところで「少子化の流れを変えるための働  き方の見直し」、(1)のところにマルが4つありますが、長時間労働の  抑制等仕事と生活の調和を図るための労働時間法制の見直し、あるいは労  働時間等の設定の改善に向けた事業主による取組の促進を図ることにより、  子育てと両立できる仕事と生活の調和を図っていくということです。   以上が平成19年度の重点施策の概要です。10頁にこの骨太の方針の労働  関係の抜粋がありますが、こういった骨太に掲げられた内容が先ほどの重  点施策の中に反映されているとご理解いただければと思っております。   最後に、19頁は「分科会及び部会における検討状況について」です。ご  案内のように能開法、均等法については先の通常国会で可決・成立をみた  ということで、能開法については本年10月1日から施行、均等法について  は関係省令、指針というものを作り平成19年4月から施行という運びにな  っております。その下のマルのところで次期通常国会に向けた懸案事項が  書かれておりますが、最低賃金制度の在り方について、労働契約法制及び  労働時間法制について、国会見直し等々のもとで労働保険制度の見直しに  ついて、人口減少化における雇用対策について、パートタイム労働対策の  在り方について、といったところが懸案事項となっており、それぞれの分  科会で現在精力的にご議論をいただいている状況です。 ○菅野会長   ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問、ご意見をい  ただきたいと思います。 ○古賀委員    個別の課題については、また後ほど提起をさせていただきますけれども、  概括的に大きく2つ意見、要望を申し上げておきたいと思います。  労働経済白書では足元の状況について労働者生活への波及が不十分、雇  用増は依然として非正規雇用が中心で賃金への波及が遅れているとの認識  が示されていますし、景気回復を維持させていくためには成長の成果を雇  用の質や勤労者全体の生活の向上に反映させていくことが必要という項目  もあります。ご存じのとおり働く者の世帯の可処分所得は1997年以降一貫  して低下を続けている状況であり、政府の中ではパイが大きくなればその  ような問題は解決するのではないかという声が強いように思えてならない  のですけれども、そのパイがどのように分配されるかということで、国民  生活あるいは働く者の生活や働きがいが左右される。そのことが逆に今後  の成長にも影響をしていくと思っております。そういう意味では、ただい  まご説明のありました重点政策等々については、我々の課題認識と一致す  る部分がかなりあります。ただ、実効性をどう伴っていくかということが  非常に重要ですので、是非、そういう意味では実効性を伴う重点政策の推  進ということのお願いをしたいと思います。   2つ目は言葉は少しおかしいかもわかりませんけれど、省庁の壁を越え  た雇用戦略をきちんと明確にすべきではないかと思っております。これか  らの日本の姿としては人口減少社会を見据えた「人財立国」という方向性  についてはほぼ合意、異論のないことだと思います。しかし、国全体とし  て見れば、語弊がありますけれども、ささやかな雇用政策が、あるいは雇  用対策が掲げられている一方で財政再建の辻褄合わせの負担増、給付削減、  これが続いていると私たちは認識をしております。したがいまして、当然  のことながら財政再建を否定するものでもありませんけれども、いま一度  働く者の暮らし、あるいは働く者の生活、国民の暮らし、そういうところ  の視点に立った雇用戦略という大きな枠組みで政策を打ち出すべきではな  いかと思っています。   新内閣、新政権になってどういう動きが出てくるか我々も注視している  ところですが、是非そのような大きな枠組みでの雇用の質の戦略を打ち出  す、そういうことも是非ご検討をよろしくお願いしたいと思います。 ○菅野会長   ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○柴田委員   私からは若年雇用の問題について折角ご説明いただきましたので、ちょ  っと意見を申し上げたいと思います。労働経済白書の概要のご紹介の中で、  人々の持つ多様な個性を経済社会発展の原動力にすべきだというまとめの  ご紹介がありました。我々経済界としても、少し古くなりますけれども、  本年度版の経団連の経営労働政策委員会の報告書の序文の中で、当時会長  をしておりました奥田さんが、多様な選択肢を持った経済社会を目指すべ  きであり、多様性の持つダイナミズムこそが創造と活力を生み出すと序文  で述べております。我が国が国際競争力を少し回復して、世の中で日本が  もう一度国際競争力を持っていくためにも、日本経済が長期にわたる低迷  から脱出する力となった日本的経営の根幹、これにはいくつかの条件があ  ると思いますけれども、その中で人間尊重ということと、長期的な視野に  立った経営という理念をきちんと守っていくべきだと提唱しているところ  です。   このような基本認識を踏まえた上で、若年雇用の問題について具体的に  指摘をしておきたいと考えております。何度かこの委員会の場で指摘をし  たかと思いますけれども、厚生労働省の2005年の統計ですが、64万人いる  と言われているニート、あるいは約201万人いると言われているフリータ  ー、この中にはいま言われたように職業人として非常に有益な知識やノウ  ハウ、あるいはきちんとした勤労観を持っていらっしゃる人材も相当数い  ると考えております。こうした人材に長期的な雇用、能力開発の機会の提  供を拡大していくために、人物本位で採用していくことを検討すべきであ  るということについては、我々企業側といま述べられた点とは基本的に同  じことだと考えております。   先ほどご説明がありました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針  2006」、この中には採用年齢の引上げについての法的整備という指摘があ  ります。これを受けて9月27日の職業安定分科会、雇用対策基本問題部会  では雇用対策法の見直しに関わる検討課題として、現行法の定める企業側  の努力義務の項目に若者の能力・経験の正当な評価及び採用機会の拡大を  加えるということが示されたと伺っておりますけれども、そういう政策は、  基本的には個別企業も自主的な取組を促すということにあるわけですので、  新卒者以外にも広く門戸を広げていくという点について、そういう希望の  ある企業をバックアップするような方策の検討を是非お願いしたいと考え  るところです。 ○森嶋委員   私のほうから平成19年度の労働政策の重点事項に関連して、とりわけ労  働法制に関連して2点意見と要望を申し上げておきたいと思います。その  第1点が労働契約法の論議の中で提起されている、いわゆる過半数労働組  合や労使委員会など労働者代表制についてです。この論議の中では合理的  な就業規則がある場合はそれに基づいて労働条件の変更は可能だと出して  おりますけれども、その就業規則の合理性判断にいわゆる過半数労働組合、  あるいは労働者代表制を登場させているわけですけれども、それについて  は少し安直ではないかと考えております。私どもは本件については集団的  労使関係に関わる重大な課題だと考えておりますので、そういった意味で  は諸外国の例も含めて十分慎重な審議を行っていただきたいと考えており  まして、拙速的に結論を出すべきではないと思っております。これが第1  点です。   次は要望になるかと思うのですが、いわゆる1990年代以降の労働関係法  の方向性について一度検証し、総括をしてみたらどうかということです。  現実に何が生じているかということであり、その実態を少し検証を行って、  政策評価等をすべきではないかと思っております。とりわけこの間の労働  時間法制では変形労働時間の問題、そして、みなし労働の問題等がいくつ  か作られているわけですけれども、規制緩和を行って多様な制度が取り入  れられた一方、一般労働者の状況等をみますと、依然として2,000時間台  で長時間労働の割合も上昇しておりますし、また過労の問題、そして、い  ま各企業で深刻になっているメンタルヘルス等の問題、そういったことも  分化傾向にあると思いますし、深刻だろうと思っています。何のための法  改正なのかということもありますので、そういった意味で1回総括して検  証をしてみたらどうかということを要望として申し上げておきたいと思い  ます。 ○小出委員   若干関連してこの問題について問題提起をしたいと思いますが、少し私  は視点を変えて申し上げたいと思います。いずれにしろ、いま出されてい  るホワイトカラーエグゼンプションの問題、あるいは労使委員会の問題。  おそらくこれは、例えばアメリカ的なモデルを想定し、あるいは労使委員  会というのはヨーロッパ的な処遇を想定し、それを新しく導入すべきだと  いうことで提案されています。ただ、労働運動の根底にあるのはヨーロッ  パ、アメリカとは全く違うわけです。それをヨーロッパ、アメリカのよう  な方向に持っていこうと言うのなら、今日の労働運動そのものを全面的に  否定していかなければいけない。この数年間、リストラは労使が大きな混  乱もなく何でできたか。これは日本の労働運動が企業内労使関係として発  展してきたから、そこにこういう形が起こっているのだと。それを否定す  るのだったら、労働運動がヨーロッパ型にいくのだったら、ヨーロッパで  は絶対にあんなに簡単にリストラはいかないはずです。それは何でかと言  うと、言ってみれば横断的な労働組合ですから。そして、労使委員会とい  うのはむしろ労働条件の協議をする場ではありません。そういうことで区  分されているからそうやるのです。   その問題がある程度安易に同一にされるようなことがあったら、労使関  係は形骸化してくるだろうと。果たしてそれでいいのかと。こういうとこ  ろから問題提起をしておきたいと思います。いずれにしろ、日本がこれか  ら生きる道というのは60年にわたって培ってきた労使関係を世界のモデル  に押し上げることが、これからの日本に与えられた最も大きな問題ではな  いかと。もうヨーロッパ、アメリカから学ぶものはない。私はこの大きな  変化に対して、壊すことについてはこれを恐れるものではありません。   ただ、どういうものを作るかという視点に立ったときに、ただ単純に諸  外国のものを導入してやればいいという問題ではない。こういう問題を提  起しておきたいと思います。 ○加藤(丈)委員   私からは、正規・非正規労働者間の均衡処遇の問題について一言申し上  げておきます。   お話がありましたように、平成19年度の労働政策の重点事項の最初にこ  の問題が提起されておりますが、私どもの基本的な考えを申し上げれば、  均衡処遇について定めているパートタイム労働指針を事業主に対して十分  に周知徹底して、その趣旨の理解を求めていくことが大事だと思います。   先ほどご説明がありましたように、今年の『労働経済白書』の中で、教  育訓練の実施状況で、確かに正規社員と非正規社員の実施率に大きな差が  あります。このことはひいて言えば、いま私どもが大変心配している現場  力の低下につながりかねない問題を含んでいると思います。その意味で、  この趣旨を事業主に十分時間をかけて徹底し、理解を求めていくことが大  事だと思います。一方、この指針は、事業主の講ずべき処置を決めてあり  ますけれども、それと併せて、非正規社員自身、パートタイマーの人たち  に対しても、こういう事が大事なのだと、教育訓練に積極的に参加するこ  とが大切なのだということを、是非、徹底していっていただきたいと思い  ます。   もう1点は、均衡処遇の問題ですが、日本経団連では、従来から職務内  容、能力、意欲、経験、期待、役割等を踏まえた処遇の公平・公正性の明  確化を言ってきたのですが、これから勤務態様がますます複雑になり多様  化するにつれて、この均衡処遇の実現は、ただ言葉だけで謳って実現する  には、いろいろな問題を含んでいると思います。   是非、お願いしたいのは、単に言葉だけが先走るのでなくて、いま小出  委員からもお話がありましたように、従来の日本の企業の中の労使慣行、  労使協議の特徴を活かして、どのようにこれを実現していくか、企業の労  使の自主的な話し合いを、この問題についても深めていっていただきたい  と思います。 ○山口委員   いまパートタイマー・非典型のことでご発言なさったので関連して申し  上げたいと思います。パートタイマー・非典型の問題は、この場でも何回  か議論になりました。いまパートタイム労働者がおかれている状況は、す  べて認識が共有化されていると思いますが、1つ、平成19年度の労働政策  の重点事項に関連して、一方では、企業法人の統計調査などを見ますと、  いま企業は回復過程にある、ほとんど景気回復をした段階で、その経過の  中では、実に、例えば企業の役員報酬は59%アップ、株主の配当は71%ア  ップということで、本当に大変喜ばしいことだとは思います。   一方では、従業員への分配なのですが、配分ではマイナス5%と出てい  まして、この偏りを、私どもは非常に問題視するわけです。単に偏りだけ  ではなくて、多くの企業がパートタイム労働者を含めて、非典型労働者を  量的に拡大してきたことによるコストカットによって、利潤が生まれてき  たところも分析で出ています。景気回復がなされている段階であれば、本  来あるべき分配に戻していただきたいと言いますか、戻すべきだと思いま  すが、そういういま申し上げた犠牲において企業の利潤を生んでいるパー  トタイム労働者の状況はどうかと言いますと、ほとんどこれが非典型労働  者でなくて、いま典型労働者に近いものになっているわけです。   それにもかかわらず、いま加藤委員がご指摘なさったように、能力開発  などトレーニングはほとんどされていないし、さらに重要な、例えば賃金  とか、その労働条件についても、典型社員と比べたら、非常に低い状況に  なっているわけです。身分も非常に不安定であり、社会保険の適用もされ  ていないというところを考えると、具体的に重点政策の中にも問題指摘を  しているわけですが、どうそれを具体的に解決するのか、是正するのかが  見えてきません。企業が労使関係の中でこの是正をするということはもち  ろんですが、残念ながら、労使関係の俎上に載らない多くの労働者ですし、  連合としては、俎上に載せるべき組織化という取組をしておりますが、こ  ういう対応をするには、法規制をいま一歩進めなければいけないのではな  いかということで、長々、ちょっと前段を申し上げましたが、私の申し上  げたい1つ目は、パート労働者に対しての法規制を本当に具体的に進めて  いただきたいということです。   いま現在、これもおっしゃっていましたが、雇用均等分科会の中で、パ  ート労働法の見直し作業が行われておりますが、多分それは見直しのレベ  ルで、どこまでというところが見えてきません。   もう1点さらに申し上げますと、パートタイム労働者というのは、非典  型の多くを占めているわけですが、いま、パートタイム労働者以外にも、  非典型の方たちも多くいます。いま現在多くいると同時に、これも、先ほ  どのご報告にありましたように、今後も増える傾向に、数値的にあるとい  う中で、パートタイム労働者についての法規制の見直しは均等分科会で行  われます。それでは、先ほどおっしゃっていた能力開発は、どこで具体的  に法規制を含めて進めるのか。社会保険の適用拡大も、再チャレンジの中  では謳っておりますが、これも具体性がないというところで、どのように  進めるのか。すき間なく、これだけ多くの労働者となってきた非典型労働  者に、対応を法規制のレベルですることをどのようにお考えになっている  のか、これは質問ですが、お伺いできればと思います。 ○中島委員   いまのに関連して、非正規労働者の正社員化についてですが、厚労省の  行った実態調査の結果を見ますと、企業が従業員の非正規化を進める最大  の理由に挙げているのは、やっぱり人件費の削減と、もう1つは雇用調整  のリスク回避だということが明らかになっているわけです。その結果、例  えば2,000時間以上働いていても200万以下の低賃金労働者が出てきている  という実態もありますし、連合の労働相談を見ましても、雇用のトラブル  による相談が非正規社員からかなり多いことも実態としてあるわけで、雇  われ方の違いが雇用不安とか、いわゆるワーキングプアの増大を招いてい  るのではないかと思います。   今年の白書の労働政策の3つの主要課題にも、「公正な処遇が確保され  誰もが安心して働くことができる労働環境の整備」と記されておりますが、  今後の労働政策を考えていくに当たっては、これまでちょっと雇い方のほ  うに振れ過ぎたのではないかという軸を、もう少し働き方のほうに戻して  いくことが必要なのではないかと思います。つまり、働く者の意識が多様  化し、幅広い雇用形態が求められているという考え方を全く否定するもの  ではありませんが、やはり、どうしたら使い勝手のよい雇用形態を作れる  のかという雇う側の視点が強過ぎたのではないかと思うわけです。これを、  働き方の選択の幅を広げて、働く側が主体的に選ぶことができる方向に少  し政策をシフトすべきではないかと考えています。今年度の重点事項の1  番目に、「非正規労働者の正社員化の機会拡大」と謳っていただいていま  す。これはなかなか簡単にはいかない問題だと思いますが、是非、チャレ  ンジしていただきたいと思います。   最後に、ちょっと質問になりますが、その具体的な政策について、どの  ような内容をどういう程度の予算規模で実施していくお考えなのか、どの  ような効果を見込んでいらっしゃるのか、この辺を併せてお答えいただけ  ればありがたいと思います。 ○佐々木委員   平成16年度労働政策の重点事項として、3頁第2の1の(3)ですが、  この10月1日より創設された「実践型人材養成システム」と、従来からの  日本版デュアルシステムの両制度の普及促進が叫ばれておりますが、これ  について意見を申し上げます。私ども中小企業団体中央会は、かねてより  日本版デュアルシステムの導入促進に協力してまいりましたが、実践型人  材養成システムや日本版デュアルシステムは、弱者の能力開発だけでなく、  中小企業にとって、経営上大きな課題になっています人材確保や技術・技  能の承継に大きな効果があると期待されますので、我が国への導入を積極  的に進めていただきたいと思います。   これらの制度の定着を図るためには、制度を受け入れる側の学校や各種  教育機関、教員や学生、業界団体や企業など広く国民の理解を得ることが  不可欠ですので、その土壌づくり、環境づくりが極めて重要であります。  このため2つの制度の広報周知を、マスコミやインターネットの活用など、  実効性が上がるような方法を駆使して強力に進めていただきたいと思いま  す。   なお、その際、この実践型人材養成システムと日本版デュアルシステム  は、両方ともまだ聞きなれない未知の制度であり、両者の関係や位置づけ  がどのようになっているのか、それぞれの内容がどう違うのか、どう使い  分けをすればよいのかなど、国民にとって分かりにくいのではないかと思  います。したがって、両制度の総合的な全体像や両制度の違いなどを明確  に分かるよう、国民に十分に説明し、誤解や混乱が生じないようにするこ  とが重要であります。   また、従前型人材養成システムは、実習併用職業訓練という法律上の別  の名称があり、誤解や混乱が生じる恐れがありますので、同じ制度である  ことを明確に説明をしておく必要があるのではないかと思います。折角の  制度が、国民が理解しにくい分かりにくい制度であっては、我が国での定  着は望めませんので、これらの点に十分留意し普及していただきたいと思  います。特に実践型人材養成システムの推進に当たっては、産業、教育、  雇用の政策連携は不可欠でありますので、文部科学省や経済産業省の連携  強化を図ることは極めて重要であると考えております。とりわけ高等学校  の進路指導や担当教員や生徒の保護者などの理解が重要であり、これらに  対する周知啓発に積極的に取り組む必要があると思いますので、よろしく  お願いします。 ○加藤(裕)委員   いまの佐々木委員のご意見と非常に重なる部分が多いのですが、賛同で  きるところはたくさんあります。今回の労働行政の中で、若者の雇用に焦  点が当たっていることについては、私どもも強く支持したいと思うのです  が、いまも佐々木委員からありましたように、まだまだ国民の中に本当に  これが理解されているのかという点で言いますと、非常に不十分ではない  かと思います。したがって、今もありましたように、文部科学省や経済産  業省との連携等の強化は是非ともお願いしたいわけです。  若年者雇用を考えていく時に、私は、やはり質の問題と量の問題と両方を  きちんと対策していかなければいけないだろうと思います。いまは、かな  り雇用情勢は数字的にはよくなっていますが、いわゆる正規社員というと  ころで有効求人倍率を見れば、まだ0.6程度ということで、やはり、先ほ  どから正社員化の話もありましたし、あるいは入口対策として、正社員と  して受け入れていくと。それは、例えばデュアルシステムなどは非常に有  効だと思うのですが、それと同時に、私は前にもここで申し上げたことが  あると思いますが、やはり高校と、一部中学もあるかもしれませんが、そ  れと企業サイドのネットワークの再構築が重要なのではないかと思います。  企業サイドで言いますと、かつてあったような全国にそういった求人の網  の目をめぐらすことは、なかなかゆとりがなくてできない。勢い派遣業者  とか請負業者に頼るというのが現状だと思うのです。これを、やはりサポ  ートしていくということで、先ほど申し上げた文科省との連携強化を、是  非お願いしたいと思います。   高卒人材で言いますと、私ども製造業では、非常に不足感の強い地域と  それほどでもない地域が共存しているのが実態で、採りたくても採れない  というのが実はあるわけです。この辺で言うと、3頁に、「雇用の改善の  動きが弱い地域における雇用創出等の推進」という方針が掲げられていま  すが、この辺は、後ほど、もし時間がありましたら、具体的にどのような  ことを考えておられるのかを、是非、聞かせていただきたいと思います。   いま、質の問題のことを1つ言いましたが、量の対策として、今回、安  倍新総理は「再チャレンジ」を非常に強く言っておられますが、私どもと  すれば、初めのチャレンジさえもできなくて、フリーターやニートになっ  ていること自体が問題なわけでして、「チャレンジ」という言葉、私は、  チャレンジする人は、おそらくある程度条件が整えばしていくのだろうと  思いますが、そもそもそこにチャレンジさえできない、あるいはさせても  らえないというのですか、そこの状況をどうするのかがいちばん重要では  ないかと思っております。雇用の量を増やしていくという意味で、入口の  対策は、いま申し上げましたし、現状ですでに存在しているフリーターや  ニートの対策として、1点申し上げたいのは、実際にいろいろな仕組みが  あっても、そこになかなか自分からアプローチしていかないわけです。そ  ういう人たちを、いかに行政が用意しているシステムにいざなっていくの  かということでは、そういうことを一生懸命やっている良質なNPOなど  もたくさんあるのです。ですから、そういうものをもっと支援していただ  きたい。NPOももうすでに2万件を超えて、3万に近付こうとしている  と伺っていますが、その中でそういう良質なNPOを是非支援していく。  これは文科省との連携でも必要だと思うのですが、社会に出ている先輩と  後輩のつながりを、これは高校側でしかできないのかもしれませんが、取  り戻していくという、人間関係の再構築で、そのフリーターやニートの人  たちをシステムのほうにいざなっていくという考え方が非常に大切ではな  いかと思います。   もう1つは、地域におけるコミュニティ、日本でこれから目指さなけれ  ばいけない生涯学習社会の中でも、地域の重要性は非常に言われているわ  けです。折角ご指名いただきましたので、話題は若干それますが、ワーク  ライフバランスということがいま盛んに言われております。これは単に少  子化対策ということだけではなくて、まさにこういった地域において人間  関係の再構築、あるいは地域の教育力を強化するという意味では、このワ  ークライフバランスを目指す諸政策が功を奏することは非常に重要だと思  うのです。   その中で私どもが強調しておきたいのは、今日は経営側の方もいらっし  ゃるのですが、労働時間がいかに考えても長過ぎると。これは私どもの責  任ももちろんあるのですが、かつての1,800労働時間を目指した時の気運  は、明らかにいま後退していると思います。法律も変わりましたが、本当  にきめ細かい産業別や企業の目標の設定とか、それに対するある種の指導  的なもの、国として目指すのだというそれだけの決意はなかなか伝わって  いないのではないかと思います。そういう意味では、是非、もう少し強く  旗を振っていただく必要があるだろうと思うのと、法的にこの全体に網を  かけるという意味では、いちばん効果があるのは、やはり割増率を上げる  ことだろうと思いますので、そこへも目を向けていただくことが必要だろ  うと思います。話が2つに分散しましたが、意見として申し上げたいと思  います。よろしくお願いします。 ○伊藤委員  平成19年度の政策重点事項についての説明、どうもありがとうございま  した。私のほうから分科会と部会の関連についてちょっとお話させていた  だきたいと思います。具体的には厚生労働省内の連携の不足がちょっとあ  るのではないかなということです。   私は、いま安全衛生労働部会の委員もさせていただいております。この  分野のことですが、まだ詳しくは聞いていないのですが、新たな法律、メ  タボリックシンドロームに関してですが、詳しく言いますと、高齢者医療  確保法という法律が、平成20年度より、40歳以上からたぶん74歳と聞いて  おりますが、国民の方に義務づけられるようです。現在、安全衛生法に基  づいて、事業者の全額負担で義務づけられております定期健診の項目とど  うも一致していない項目があるようです。大きく分けると4項目で、いま  の段階では企業で働いている労働者の方は、健診を2回受けなければなら  ないことになります。それが面倒だから、安全衛生法を改正して事業者の  実施する健診項目を増やしてはどうかという話がいま上がっているようで  す。   この件は、厚生労働省の労働基準局と保険局、健康局など、いろいろ広  くの方がかかわりある問題であり、法律が作られるまでに、事前に厚生労  働省でもうちょっと調整されるべきではないかと思います。役所の調整不  足が、このままですと、その安衛法の中に入って、これは全額企業主負担  で費用が増えてしまう。私どもの案としては、新しい法律は、40歳以上の  方々に労使の保険料の折半でされるようですので、そういうところから補  填はされないかなと。こういう議論をするにしても、中小企業にかなり大  きな影響が出ることは間違いありませんし、十分時間をいただきたいと思  います。来年度の法律として結論を出すことは、多分、これからまた忙し  くなってしまうこともあるでしょうし、できれば、こういうところをもう  ちょっと調整していただけないかということが私からの意見です。 ○齋藤(朝)委員   関連ですが、この審議会等での議論の進め方についてご提案申し上げた  いと思います。この労働政策審議会の下に多くの分科会や部会があります。  いまもちょっと分科会の話が出たようですが、来年の国会に提出できるよ  うにということで、いま月2、3回のペースで各分科会とか部会が行われ  ており、それが大変多過ぎると言いますか、なかなか私どもが出きれない  ところがあるのです。いわゆる来年の国会に提出するスケジュールにのっ  た部会とか分科会になっており、スケジュールで全部そこでもうまとめて  しまうというのではなくて、私どもも経営者の代表として、何とか生の声  を聞いていただきたい、お伝えしたいということで参画しておりますが、  一方では、やはり経営にも携わっているので、なかなか月3回、4回とい  うのは出られなくなってしまいます。今も労使両方ともいろいろなご意見  が出てきましたので、まだまだ議論を尽くすことがたくさんあるのではな  いかと思っております。いま議論されていることは、労使両方にとって大  変重要なことが多いので、経営の根幹にかかわることがたくさんあります。  私どもも発言させていただきたいことが多いので、十分に労使で議論した  うえで結論を出すべきではないかと思っております。   今年度は、労働基本契約法、労働時間の在り方、最低賃金制度の在り方、  雇用対策法の見直し、パートタイム労働法の見直し等について議論された  ようですが、それらの件に関しては、是非、拙速は避けて、十分に議論を  尽くしていかなければいけないと思っております。一度に数多くの法改正  を行いますと、事業者の方の混乱を招きかねず、また国内外でのいま厳し  い競争に直面している企業に新たな負担を課すことになり、結果として、  雇用にも悪い影響を与えかねないと思っておりますので、一言ご提案をさ  せていただきたいと思います。 ○丸山委員   重点政策にかかわって2つほど、要望・意見を申し上げます。   1つは、人口減少に伴う労働力問題についてです。労働力人口が減少す  ると、これに対処しなければならないという大きな問題があるわけです。  私どもからしますと、働く意思と能力がある者であれば、誰でもが働ける  という社会をつくっていく。そのために、政労使がどのような協力体制が  できるかという視点が重要ではないかと思っております。   そこで、厚生労働省が前に取りまとめました雇用政策研究会の報告を見  ますと、高齢者には多様な働き方の選択を、女性には均等待遇を、また若  者には就労意識の涵養が重要、といった趣旨のことが縷々述べられている  ところです。この重点事項には、高齢者や女性に関することがあまりない  のではないかなと思っております。子育ての両立の問題とか、再就職、起  業の実現といった女性問題は載っておるのですが、要するに、私が申し上  げたいのは、いわゆる人口減少に伴う労働力確保には、高齢者も女性も若  者もトータルな対策が必要なのではないかと思うわけです。再チャレンジ  の方針のところに、ややそのことが書いてあるわけですが、なかなか行っ  たり来たりで、よく分からないので、そこは是非、これから充実するよう  にしてほしいと。もし見解があれば伺っておきたいと思います。   もう1つは、外国人労働者問題についてです。これも、前にもこの場で  私は申し上げたことがあるのですが、この問題は、先進国も途上国も、あ  る意味では、受入れも出し入れも、いずれの国も問題を抱えていると思い  ます。   そこで、1つ提起されております「研修・技能実習制度の適正化」につ  いてです。特に団体管理型の受入れについては、労働の在り方や処遇をめ  ぐって問題が指摘されておりますので、これは廃止を含めて、抜本的に改  善する必要があると考えております。それは、送り出し・受入れを担う団  体機関の搾取と言いましょうか、そういうものを防止する取組、あるいは  受入企業のチェックを強化するということ、さらには、受入期間の延長な  どにつきまして、受入業種の拡大というものも含めて行うべきではないの  ではないかということを申し上げておきたいと思います。もう1つは、F  TA、EPAのいわゆる2国間、多国間の貿易協定による受入れについて  です。看護、介護分野におけるその種のところが進むわけでありますが、  それには日本語による意思疎通が難しいのではないかという心配、あるい  は日本国内の労働条件や雇用条件への影響、さらに日本人の外国人労働者  に対する意識の低さ、また、送り出し国の頭脳流出や、出稼ぎによる家族  離散など、多くの問題を抱えているわけでありまして、そうした対応が必  要だと思います。そこで、これらの課題につきましては、国民的な十分な  議論と合意が必要だと、このように思っておりますので、しっかりした議  論を進めて、合意形成をした上で、ソフトランディングできるよう、要望  を申し上げておきたいと思います。 ○土屋委員   2つ意見、要望を申し上げたいと思います。まず1つは、偽装請負、違  法派遣の対策の強化です。ご案内のとおり、行政によります指導監督の結  果でも明らかなとおり、いま多くの職場で偽装請負なり、違法派遣が蔓延  をしている状況にあります。労働組合としても、職場の点検をし、形骸に  対しまして、法令遵守を求めることが課題となっています。したがいまし  て、組合自らも取組強化を図る、こういうことにしているわけであります  が、行政も同じく、指導監督の一層の強化に努めていただきたいというこ  とが1つあります。   また、派遣・請負をめぐる問題としましては、職業安定法なり労働者派  遣法の遵守のみで解決するものではないと考えているところであります。  そこで、平成18年の労働経済白書でも触れられているのですが、生産工程  に働く請負労働者は、若年層が多い。こういうことになっておりますし、  年齢、勤続によりましては、賃金が上がらない。あるいはキャリア形成の  機会もご意見がありましたとおり、意識も乏しいと。あるいは社会労働保  険の未加入、労働安全衛生上の問題等々があるわけです。そこで誰もが職  業生活を通じて能力を高めて、経済的にも自立できるようなことが必要で  あるということからすれば、国、同時に労使が一致してこの課題に取り組  むということが大切だろうと思っております。そのことをまず1つ。   関連いたしまして、労働者派遣事業の適正化、運営協力員制度の強化に  ついてです。9月4日だと思うのですが、職業安定局長と、労働基準局長  の通達が出されておりますが、この中では、厚生労働省も、偽装請負なり  違法派遣の取組を強化するとしているわけですが、行政の取組だけでは十  分なのかどうかについて、問題意識を我々は持っているということであり  ます。そこで、現在労働者派遣法に基づきまして、労働者派遣事業適正運  営協力員制度というのがあるのですが、聞くところによりますと、全国で  およそ労使で約900名程度の協力員がいるということであります。しかし、  役割が相談に限定をされているような感じがします。されているのだろう  ということなのですが、したがって適正運営のための制度になってはいな  いという状況にあるのではないかということでございます。例えば、労災  防止指導員も位置づけを含めて参考にしていただきながら、予算措置を行  う中で、行政と協力して適正化に取り組むと。こういった有効制度の見直  しを図るということは必要ではないかなと感じています。ご見解があれば  行政のほうからいただきたいと思います。 ○菅野会長   いくつか質問が出ておりますので、あとからまとめてお答えしたいと思  います。 ○土屋委員   安全衛生関係について若干申し上げてみます。前回この委員会の中でも  申し上げたと思うのですが、森嶋委員も触れられたのですが、ご承知のと  おり、この、職場メンタルヘルス不調者は増加しております。事業主とし  ての安全配慮義務が問われていると、私はそう考えております。そこで、  労働時間の把握なり管理と、過重労働の防止、メンタルヘルスに対する管  理者、職員の教育なり、相談体制の構築と、職場復帰のプログラムの整備  などについて、対策を強化していただきたいということが要望でございま  す。同時にアスベストの問題も前回申し上げたので今回は申しませんが、  医療機関におきますアスベスト患者の早期発見に向けた指導推進を再度要  請したい。   以上でございます。 ○柴田委員   問題が全然違うのですけど、例えば資料2の17頁の勤労者生活の課題と  いうところがあるのですが、私が経労委でこういう報告書を毎年作ってい  るわけですけれども、データが5年間の経緯を取っているのだということ  で、例えば9図なんかは10年に1回だからこういうことだと言うのですが、  これだけ世の中が変わり、スピードが早いということを喋るとき、例えば、  平成18年度の労働経済の分析をするのに2002年のデータしかありませんと  いうのでは、これは全く数字のスピードと感覚が違います。官庁のデータ  を見ますと、いつもこうなのです。5年ごとのデータだから、それしかな  いのだと。それはまずいので、引用するのはやはり新しいデータで。推定  でもいいのですけれどもその傾向なりを確保できるほうがいい。平成18年  度の労働経済の分析のポイントに2002年のデータを出し、これはこれしか  ない、5年間のデータしかないんですとか10年後とかやっている。こんな  古いデータで説明されるのは、受けたときに世の中はだいぶ変わっている  わけですから、何らかの工夫があって然るべきだと思います。そのことだ  け一言いっておきます。 ○小出委員   柴田さんと同じようなことを言おうと思ったのですが、派遣・請負の状  況について、正直いってものづくりの現場で一番多いのが電気関係と、J  AMあるいは自動車の関係だと思います。私は、JAMですから、JAM  の実態を4カ月、5カ月調査しました。1,000名以上の規模で40パーセント  を超しているのが実態です。私どもがいまものづくりの職場で改正派遣労  働法以降において、大きな変化を起こしています。この現象で、例えば、  それまでだったらものづくり産業というのは、パートがいました。約2割  いました。パートがいたときには一面において、ものづくり産業の場合に  は、軽易な作業だとか、あるいは季節的な変動がありますから、そのダン  パーのために、それらを確保しておかなければいけないというのは当然の  ことです。今日においてはもうほとんど、ものづくり産業でパートはいま  せん。それが派遣・請負に置き換わりました。ただ、派遣・請負に置き換  わって、それが予想以上にここにきて多いというところに問題が起こって  いるのではないか。たぶん、これが2割から2割5分程度だったらパート  が多いというだけだと思います。   ものづくり産業そのものというのは、これは技能・技術を継承していか  ないといけない。そういうところに対してまでも、相当派遣・請負が入っ  てきている。派遣・請負ですから、技能を継承するとか、そういうことは  ありません。ほとんど人が入れ替わるという状況になっています。こうい  う構造を作って、果たして日本がこれから世界に対して戦うことはできる  かどうかと。技能はいまどんどん衰退をしているというふうに私は判断し  ていかない とおかしいのではないかと。このことを1つ指摘したいと思  います。   それからもう1つ。何でこういう状況が起こっているのかといったら、  派遣・請負を導入するということについては、現場にある程度任されてい  る分野が多いのです。経営者自らが関与されていることは非常に少ない、  この実態から言いますと。これはJAMだけかもしれませんけれども。そ  ういうところに、いくら社員化を何とかと言つて厚生労働省が問題視した  ところで、現場に対してどう意識を変えるかということをきちんとやって  いかないと、この問題は私は解消しないと思います。要するに現場は1円  でも安い労働力があれば使うというのが当然です。そういうことに対して、  全体の大きな流れから言ったら、この労働力を単なるキャリアの形成もな  いままこのままにして、ずっと雇用を続けていいのかということになって  いくと思います。そういう面で行くと、先ほど土屋さんが言われたように、  例えば適正運営協力員制度というものがあるらしいので、これに対してあ  る程度、単なる相談ではなくて個々に対しては指導をするというようなこ  とも含めて、そういう制度をもう少し充実するということも、極めて重要  になってきているのではないかと思います。いずれにしろ雇用の形態は、  言ってみれば大体会社は人事部が採用するということと全く違う世界の中  でそれらが行われているところに、私は大きな問題が包括されているのだ  ろうと思います。おそらく日本はこのような形で派遣労働者がもっと増え  るということになってくると、日本の技能は衰退し、10年先は中国に負け  るだろうと。こういう危機感を持ってこの問題に対処することが然るべき  ではないかと、問題提起しておきたいと思います。 ○古賀委員   雇用の関係で2点。それから要望を1点申し上げたいと思います。1つ  は雇用保険の関連でございます。先日の決算から、雇用保険の積立金が再  来年度で4兆数千億に上るということが明らかになりました。したがって、  政府を含めて国庫負担を減らすというバネが働いているのですけれども、  国庫負担を減らすことについては我々としては、反対せざるを得ない。積  立金が貯まっているのであれば、まず保険料率を引き下げるということが  適正な処置ではないかと。妥当な処置ではないかということを1点申し上  げておきたいと思います。   2つ目は、地域雇用対策の課題です。地域就職支援事業が2003年にスタ  ートして今年で4年目を迎えることになりました。若年層あるいは高齢者、  長期失業者等々、そういう人たちと企業をつなぐ橋渡し役、パイプ役とし  て、地域に根ざした活動になっていると我々は感じております。しかも、  地域において労使協同でこういうことをやっているというのはほかにはな  いわけでございまして、是非、政府としてもこういう施策の実現に、有効  に活用していただくことが必要ではないかと思いますし、今年度の予算を  見ても、支援機構、若年対策などさまざまなことについて、政府が進める  重点政策の一端を担うことになっているわけでございまして、今後ともこ  の事業に対する継続した取組が必要だということを申し上げておきたいと  思います。   最後に3点目ですが、先ほど審議会の議論の進め方について提起がござ  いました。そのことも含めまして、私のほうからは前回のこの場でも申し  上げましたけれども、審議会というのは、言うまでもなく幅広い人たちの  意見を反映させていくということだと思います。決してそうではないとご  回答で言われるでしょうけれども、何かしら初めに結論ありきでメンバー  を選んでいるのではないかなという懸念も我々は抱いているわけでござい  まして、是非研究会や検討会、あるいは審議会等々で論議する事項につい  ては、多様な意見を反映できるようなメンバー構成を改めてお願いを申し  上げておきたいと思います。 ○井出委員   私からは、改正男女雇用機会均等法について申し上げたいと思います。  現在改正法に関わる省令、指針について、間もなく答申されると伺ってお  りますけれども、今回諮問された指針案を拝見いたしますと、非常に事業  主が取り組むべき事項について細かく内容が規定されておりまして、これ  は残された期間、来年4月からの施行に向けて、十分に周知をしていただ  くようにお願いをしたいと思います。その際、やはり事業主がこれに取り  組むに当たって、現在企業においては、企業で働く女性を非常に貴重な人  材として、法を守るということだけにとどまらず、人材戦略として、女性  社員の活躍に向けて、企業としてどう取り組んでいくかと。非常に多くの  企業がそうした活動を始めておりますので、これが差別的な取扱いに当た  るとか、不利益の取扱いに当たるというデジタルなことだけに限らず、事  業主にとって、この改正均等法の趣旨がどのような意味をもって、経営戦  略にどう役立つかというような意味合いで事業主に対しての周知、パンフ  レット等作成をしていただけましたならば、非常に結果として、改正均等  法の趣旨が経営側のほうに徹底して伝わると思います。法に対応するとい  うことだけにとどまらず、経営戦略、事業戦略に活かしていくという意味  で、そうしたものを作成し、周知の徹底を図っていただくようにお願いし  たいと思います。 ○紀陸委員   契約法や労働時間法は、いまお話に出た労働力需給の派遣・請負等も含  めて、そういうシステムの運用。いずれも個別企業の現場で、どういうニ  ーズがあるかということを踏まえなければいけないと思っています。特に  その場合に、新しい契約法制にしても、ホワイトカラーエグゼンプション  にしても、あるいは長時間労働の抑制、派遣とか請負の在り方で雇用形態  の多様化は止められないというか、これは時代の流れだと思っておりまし  て、その場合にどのようにきちっと管理をするかということが大事で、そ  れはやはり個別の現場の労使の話し合いとか、納得性が基本になると思い  ます。その場合に、労働組合のあるところは、その形で労使の意思疎通を  確保できるのでしょうけれども、組合がない場合、どういうふうに労使の  意思疎通、意思の担保をするか、これが非常に大事な問題になってくると  思っております。契約法制で、一部その辺をどうするかという論議が行わ  れ、いろいろな法改正の問題が出ましたけれども、根はそこに戻るのだと  いうふうに思います。その場合に、どういうような心構えで、この期に対  して臨むかということが、非常に先行きの労使関係の在り方ということに  かかってくる問題だと思っていまして、何らかの形で、一歩進めないと、  状況変化に合った労働法制の運用が、なかなか先に進まないのではないか  と思っています。その辺の論議をつめていただけたらありがたいと思って  います。ちょっと抽象的でございますが。 ○小出委員   若干いまのことに反論したいのですが。組合のと言われたって、言って  みれば、要するに日本の労働運動というのは先ほども言いましたように、  労使関係で発達し、個別な企業の中で発達してきたのですよ。これが社会  横断的なもので、ヨーロッパ型でやれと言うのだったら、労働組合だって  やることはやぶさかではない。日本の場合は、圧倒的に中小企業が多いん  です。中小企業の個別の、例えば50名以下の労働組合は、本当に自分らで  自前の労働組合ができるかといったら、なかなかできないんです、現実に。  だから、未組織のところについては連合がある程度中小に対するものを提  起し、それを真似てもらうという運動形態にしていかないと。要するに、  全く労使関係のないところはどうするのだと。圧倒的に多い中小企業はど  うするのだということと一緒だと思います。労働組合は、作るのが非常に  難しいんです。そこのところを頭に入れて、これからどう持っていくかと  いうことをやってもらわないと。圧倒的に中小企業の多いところに労働組  合ができていないことに対してどうするか。それだけ言われるのだったら  片手落ちだと思います。 ○紀陸委員   申し上げていることは、労働組合がないと労使関係がないということで  はなくて、労働組合の有る無しに関わらず、必ず労使関係というのは会社  の中にあるわけです。労働組合がない場合に、どういう労使関係にしてい  ったらいいのかという話になってきているのです。経営側としては、個別  企業に組合を作れとか作らないとか、それは言えない立場です。特になか  った場合に労使協議の仕組みとか、いま法律上でも少し手当てがあります  が、そういうものにどうやって応用動作を付けていくか。それがやはり大  多数であればあるほど必要な論議になるのではないかという認識でいると  いう趣旨です。 ○小出委員   従業員が労働組合を必要とするのだったら、自ら労働組合を作る動きを  するのではないですか、現実に。それはやると思いますよ。日本の労使関  係というのはそういうもので成り立ってきたので。これを壊すことをして  はまずいでしょうということを言っているのです、私は。 ○紀陸委員   壊すということではないですけれども。 ○小出委員   壊すことにつながるのです。 ○紀陸委員   いやいやそうではないと思ってますけれども。 ○小出委員   そこをよく考えて検討してください。 ○古賀委員   まあその問題は、いまちょうど分科会でやっていますし、我々も労働契  約法の必要性というのは、非常に重要だと思っていますけれども、その位  置づけや、そこに至る手法については、さまざまな議論があって、いま分  科会で議論しているわけなので、そこは少し掘り下げた論議を今後もやっ  ていくということで、ご理解いただければと思います。 ○菅野会長   公益のほうでもご意見があるのではないかと思いますが、いくつか皆様  が述べられた意見の中に、事務当局に対する質問が入っていましたので、  お答えすべきものはしていただければと思うのですが。 ○青木労働基準局長   いくつか出ましたけれども、いま最後のところで労使でだいぶご意見が  出ましたけれども、労働契約法制の関係については、まさに最終的にお話  があつたとおりだと思います。それ以外のことで申し上げますと、伊藤委  員から、メタボリックシンドロームの関係でご質問があったかと思います。  これは健康診断の項目が、拡充ということにつながっているわけですけれ  ども、日本の国民全体の健康についてどう考えるかということで、従来か  ら厚生行政では学校に通っているころは学校、職場にいるころは職場とい  うことで、まず総括的に把握をするということで進んできたかと思います。  そういうことで、健診項目などについても、事業主の責任で行う安全衛生  法上の健康診断との整合性を考えながらやってきたというのがこれまでで  あります。メタボリックシンドロームの関係については、すでにそういう  意味で拡充をしていこうということです。しかしながら、労働安全衛生法  はご承知のように、事業主の使用者責任を前提としたものでありますので、  どれだけ安全衛生法上の責任として使用者に負わせるのが適当かと、ある  いは、それがいいのかということだろうと思います。そういう意味で議論  をし、安全衛生分科会でも議論をお願いしたいと思っているところでござ  います。そういう観点から、労働政策審議会としては、ご議論されるべき  ものだろうと思っております。 ○高橋職業安定局長   雇用対策に絡みましてかなり多岐にわたったご質問があったかと思いま  す。まず1点目として、非正規社員の正社員化についてどのように取り組  んでいくのかという点ですが、基本的にこれまでの特に若年者のフリータ  ー、あるいはニートも含めてですが、非常に増えてきている中で、私ども  は、常用雇用化の取組を進めてまいりました。この点については、今後も  さらに強化をしつつ、多様な手法を用いて対応していきたいと考えており  ます。同時に最近の雇用失業情勢も改善が進んでいる中で、求人が大変増  えています。ただ、正社員の有効求人倍率はご指摘がありましたように、  全体から見ますと0.62倍というまだ低い水準である。つまり、求職者はか  なり正社員を望んでいるにもかかわらず、求人は非正社員の増加が非常に  大きいと。この点に着目しながら、特に求人充足という観点をも含めて求  人者に対する求人条件の変更、あるいは非正社員求人を正社員求人に変え  ていただく等の取組を通じて、正社員を望む求職者に対する正社員就職を、  ハローワークの窓口で、来年度、強力に対応していきたいと考えています。   それから地域差に関わって具体的にどのような対策を考えているかとい  うことですが、大変地域の差というものが大きくなってきている。こうい  う中で、今年度におきまして、私どもは特に改善の遅れている7道県を対  象に、既存の地域雇用対策、特に地域の自主的な雇用創造の取組に対する  支援のスキームというものにつきまして、7道県に重点的に運用をしてい  こうということを取り組んでまいってきておりますが、同時に、来年度地  域雇用対策支援の枠組みである地域雇用開発促進法について、見直しを図  っていきたい。   具体的には地域への支援の地域類型を、特に雇用情勢の厳しい地域とい  うことと、もう1つはいま申し上げた、地域が自主的に雇用創造の取組を  行おうという意欲の高い地域、この2つの地域に地域というものを類型、  集約しまして、それに対応した支援を法律の中で位置づけていきたいと考  えています。   請負・派遣等に関わったさまざまなご意見をいただきました。私どもも  最近の製造分野における請負、特にその実態が契約は請負だけれども実態  は派遣である、こういうような偽装請負に対しては非常に大きな問題を含  んでいるということで、これに対する指導・監督の強化ということを進め  させていただいております。その点については、今後とも強力に対応して  いきたいと思っています。同時に、適正な請負という形で業務を進めてい  る場合におきましても、現状においては請負という形で働いている多くの  方々、特にに若い人が多いわけですが、そういう中で、労働条件をはじめ  とした、あるいは能力開発という取組が必ずしも十分ではない。こういっ  たことに対しての、雇用管理改善への取組ということが、もう少し請負業  者ならびに発注者共々対応できるような枠組みが考えられないだろうか。  もう少し支援できる枠組みが考えられないだろうかということで、来年度  に向けて、その点を少し我々としてもモデル的に対応していければという  ようなことを考えています。   それから派遣に関わって、派遣運営協力員の活用のお話がございました。  この点、協力員の方々の役割というのは、派遣法という制度的な中身とい  う 関係の労使の皆様方のお力をいただいて、周知徹底を図っていこうと  いうことでご活躍いただいているわけでございますが、これに加えて、指  導も役割として加えたらどうかというご意見がございましたが、その点を  ご意見として承りまして、どんなことができるか検討をさせていただきた  いと思います。   とりあえずそんなところかと思います。まだ多岐にわたるご意見等があ  ったかと思いますが、また必要ならばお答えしたいと思います。 ○奥田職業能力開発局長    2点お話申し上げたいと思います。   1つは、実践型人材養成システムが新たにはじまったということで、こ  れまで実施しておりました日本版デュアルシステムとの関係。訓練のシス  テムにいろいろなものがございますので、それを利用される方には十分わ  からないだろうということ、ご指摘のとおりでございますので、産業界、  教育界、私ども行政内部におきましても、制度の周知には、徹底をしてい  きたいと思っています。   それからもう1点、技能実習生の制度についてのお話がございましたが、  骨太の方針の中でも、見直し、在留管理の強化を図るということが謳われ  ておりまして、私ども喫緊な課題ということで、技能実習生の見直しを行  いたいと思っています。意見としては、もう少し緩めてもっと入りやすく  しろという意見から、先ほどございましたように在留管理を強めて、いろ  いろな違法なことが行われないようにというような、幅広い意見がござい  ますので、そういう中で制度の在り方そのものから、平成5年から始まっ  た制度ですので、もう1回原点に帰って見直しをしたいと思っているとこ  ろでございます。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長   まずはパートタイム労働者の処遇についてですけれども、法的整備につ  きまして、骨太の方針2006にも明記され、さらに昨日の新内閣の代表質問  の冒頭でも総理からそうした強い意向が答弁の中で示されたということが  ありまして、現在、雇用均等分科会におきまして幅広く項目をあげてご議  論いただいているところでありますので、是非合意を踏まえまして前進を  図りたいと思っています。それから男女雇用機会均等法の改正に伴う省令、  指針ですけれども、ただいまご指摘いただきましたように、差別的な取扱  いという観点だけではなく、事業の戦略でどう役立てていくかという見地  で、周知徹底をするということについて、大いに努めたいと考えておりま  す。 ○菅野会長   大体お答えいただいたのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。 ○松井総括審議官   ちょっと外れるのですが、国内問題を少し外からということで、今日参  考資料の2をお手元に配付させていただいていますけれども、注意を喚起  させていただければ幸いと思っています。今日ここでありましたような議  論は、地球規模で見てまいりますと、経済が国境を越えてグローバル化し  ているという中で、日本のみならず、地球全体で起こっているような問題  という現状でして、特にILOではそういったグローバル化の中で、成果  をいかに労働者に配分するかということについて少し議論しないと、これ  からの持続的な経済成長は難しくなっているのではないかという認識があ  りまして、つい先日も釜山で会合が開かれて、公労使一致して、特にこれ  から日本の企業が出ていかなければいけないアジア地域を重点に、ここで  言うディーセントワークを掲げて、日本語で言うと、すべての人に適切な  仕事を与えるためにも、経済発展をどうするかということをやろうという  ことが大きな議題になりましたので、国内での議論の上でも参考にしてい  ただければと思います。そして、冊子は、ILOが作っております資料で  ございまして、このような議論をするときに、先ほど言った労働者のため  に適切な仕事をする上でどんな論点があるかが述べられておりますので、  参考に使っていただけると思います。  よろしくお願いします。 ○菅野会長   それでは時間がまいりましたので、特にご発言がなければ本日はこのく  らいにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは本日はここで  閉会とさせていただきたいと思います。本日の会議の議事録につきまして、  当審議会の運営規程第6条により、会長のほか2人の委員に署名をいただ  くことになっております。つきましては労働者代表委員の小出委員、使用  者代表委員の加藤委員に署名人になっていただきたいと思いますの で、  よろしくお願いします。今日はどうもお忙しい中ありがとうございました。 照会先 政策統括官付労働政策担当参事官室 総務係 内線7717