06/09/01 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会 平成18年9月1日議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年9月1日(金) 15:00〜   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員  部会ごと五十音順(両部会とも所属の委員あり)   (医療機器・体外診断薬部会:8名)    飯 沼 雅 朗、 岡 部 信 彦、 小 野 哲 章、 許   俊 鋭、    澤     充、◎土 屋 利 江、○中 原 一 彦、 山 口 照 英   (医療材料部会:14名)    飯 田 寛 和、 飯 沼 雅 朗、 小 田   豊、 笠 貫   宏、    許   俊 鋭、 倉 根 一 郎、 勝 呂   徹、◎土 屋 利 江、    橋 本 信 夫、 橋 本 久 邦、○長谷川 紘 司、 牧 野 恒 久、    松 村 英 雄、 山 口 照 英  (注) ◎部会長 ○部会長代理    他参考人1名   欠席委員  部会ごと五十音順   (医療機器・体外診断薬部会:7名)    井 街   宏、 上 野 照 剛、 小 俣 政 男、 鎌 倉 史 郎、    富 田 基 郎、 仁 田 新 一、 橋 本 信 夫      (医療材料部会:4名)    菅 野   純、 北 村 惣一郎、 田 野 保 雄、 高久田 和 夫 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   木 下 勝 美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医療機器審査部長)、    新 見 裕 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構品質管理部長)、他 4.備  考   本部会は、両部会合同案件は公開で、各部会個別案件は、企業の知的財産保護の観   点等から非公開で開催された。 ――― これより医療機器・体外診断薬部会医療材料部会合同部会(公開) ――― ○事務局 定刻となりましたので、ただいまから「医療機器・体外診断薬部会・医療材 料部会合同部会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙中御出席 いただきましてありがとうございます。本日9月1日付で人事異動がございました関係 上、審議官、審査管理課長がまだ来ておりませんが、適宜こちらに参る予定ですので、 よろしくお願いいたします。  本日は、医療機器・体外診断薬部会は委員数15名のうち8名、医療材料部会は18名 中12名に御出席いただいており、両部会とも薬事・食品衛生審議会令第9条第3項に基 づき定足数に達しておりますことを御報告いたします。  本日の会議のうち、合同開催案件につきましては、平成13年1月23日の薬事・食品 衛生審議会決議に基づき、会議を公開とさせていただきます。合同開催案件終了後、引 き続き医療機器・体外診断薬部会及び医療材料部会案件へと移りますが、こちらは個別 品目の審議ですので非公開といたします。当省におきましては、6月1日から夏季の省 エネルギー対策の一環として軽装の励行期間となっております。そのため、本日事務局 職員等は軽装で対応いたしますが、その点につき御了承願います。なお、各委員の先生 方におかれましても、上着等を適宜脱いでいただいてかまいませんので、よろしくお願 いいたします。  それでは、9月1日付の人事異動で医療機器審査管理室長が代わりましたので、一言 御挨拶申し上げます。 ○医療機器審査管理室長 本日は、先生方お忙しい中お集まりいただきましてありがと うございます。本日付で医療機器審査管理室長を拝任いたしました俵木でございます。 3年ぶりに医療機器の審査の世界に戻ってきたところで、御指導いただいた先生ばかり で、また引き続き御指導いただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたしま す。 ○事務局 それでは、合同開催案件について土屋座長に進行をお願いします。 ○土屋部会長 それでは審議に入ります。最初に、事務局より資料の確認をお願いしま す。 ○事務局 今回の合同部会に関係する資料は、あらかじめお送りしておりますが、お手 元に資料がない委員がいらっしゃいましたら事務局までお申し出ください。  資料としては、資料1-1「認証基準(案)(電位治療器他3基準案)」、資料2-1「医療機 器関係JIS一覧」、資料2-2「今年度制定・改正予定のJIS一覧」です。このほか、 参考資料として参考資料1-1「電位治療器認証基準(他3基準)について」、参考資料1-2 「医療機器の認証基準に関する基本的考え方について」、参考資料1-3については委員 のみの配付としておりますが、「認証基準において引用する日本工業規格」というもの です。以上です。 ○土屋部会長 それでは、議題に入ります。議題1の医療機器の認証基準(案)について 御報告いただきます。 ○事務局 本認証基準は、合同部会に先立ち、クラス分類基準等検討小委員会の委員の 方々に御審議をいただいております。御審議いただいた内容は、本日の資料に反映させ ていただいております。併せて、平成18年7月14日から8月14日の間に本基準に関す るパブリックコメントを実施しており、その際にいただいた御意見等についても反映さ せていただいております。その点も、基準の中で適宜御紹介したいと思っております。 よろしくお願いします。  具体的な資料の中身について御説明申し上げます。参考資料1-2を御覧ください。医 療機器の認証基準に関する基本的考え方についての資料です。1枚目ですが、告示で定 める認証基準に含まれる適用範囲、JIS規格、標傍できる使用目的、効能効果の範囲 を認証基準とし、もう一つについては、基本要件への適合性を確認するための基本要件 への適合性チェックリストを用意しております。本日御報告するのも、この資料と資料 1-1の認証基準についての4品目の基準です。  各個別の品目の概要に移ります。参考資料1-1を御覧ください。1枚目ですが、電位 治療器認証基準(案)です。平成17年3月末に告示している家庭用電位治療器とは異な り、医療機関などで使用する理学診療用機器です。理学診療用機器の電位治療器につい て、今回御報告させております資料にありますように、現行制度における取扱いについ ては、承認審査基準又は申請資料に添付すべき資料等に関する通知は示されておりませ ん。  今回の基準の作成方針としては、JIS T 0601-1シリーズの個別規格として作成中のJIS T 0601-2ーXXXということで、電位治療器の安全性に関する個別要求事項を作成中です。 この基準を技術規格として、適合性を求めることを考えております。認証基準としては、 資料1-1にありますように、日本工業規格T 0601-2ーXXXに適合し、使用目的、効能又 は効果については、頭痛、肩こり、不眠症及び慢性便秘の緩解です。  なお、家庭用電位治療器の使用目的、効能効果については、参考資料1-1のいちばん 最後のページですが、電位治療器基準(案)に関する基準として、頭痛、肩こり、不眠症 及び慢性便秘の緩解、家庭用については、一般家庭で使用することとなっております。  続いて、参考資料1-1の2ページ目「組合せ理学療法機器認証基準(案)」について御 説明申し上げます。組合せ理学診療用機器認証については、ベッド型マッサージ器と能 動型自動牽引装置等という、二つの医療機器を組み合わせて一つにしたような医療機器 を対象としております。ベッド型マッサージ器及び能動型自動牽引装置等については、 平成17年3月25日をもってすでに認証基準を制定しております。今回の基準では、そ れら両方の認証基準を満たすことを要件とし、JIS T 0601-1、JIS T 0601-2-205の両方 に適合することを要求しており、本基準の規格基準として制定しております。  主な論点としては、組み合わせて両方の機能を有する、ということになるのですが、 ベッド型マッサージ器と能動型自動牽引装置等を同時に使用するものでなく、それぞれ の効能効果の併記となっております。本基準については、組合せでもあり、すでに告示 されている理学診療用の組合せ機器と同様に、クラス分類基準等小委員会でも意見等が あり、医用電気システムの安全性要求項目JIS T 0601-1-1を含む技術規格になっており ます。  また、組合せ理学診療用の能動型自動牽引装置等に係る部分の効能効果の書き方につ いてですが、クラス分類基準等小委員会でも議論になりました。ここで「腰椎症」とい う表現は医学的にあまり使用せず、通常は「腰痛症」と呼ぶのではないか、という御意 見をいただきました。しかし、牽引装置等の効能の腰椎症というのは、変形性腰椎症を 想定するもので、今回の基準については単独の牽引装置等の組合せ機器の基準であるこ とから、すでに告示されている単独の牽引装置等の効能効果にある腰椎症の記載で本日 の資料を作成しております。  本日お配りしている本基準の一般的名称について、当日配布資料ではベッド型マッサ ージ器、能動型自動牽引装置、能動型自動間欠牽引装置及び能動型簡易型牽引装置のみ の記載にしております。 ○事務局 今説明していますのは、当日配付資料ということで特に資料番号を振ってお りませんが、「組合せ理学療法機器基準制定に伴う一般的名称の変更について」です。 一応皆様の机の方に置いておりますが、ない方がいらっしゃいましたら至急お持ちしま す。 ○事務局 「組合せ理学療法機器基準制定に伴う一般的名称の変更について」の上段に あるのが変更前で、機器本体は一体構造であり、組み合わせた理学療法機器によりそれ ぞれの治療機能を選択できる装置です。ここの例示では、低周波治療器や干渉電流型低 周波治療器という形になっておりますが、今回は下にありますように、ベッド型マッサ ージ器と能動型自動牽引装置等を組み合わせたものということで限定して、「能動型自 動牽引装置等」は能動型自動牽引装置、能動型自動間欠牽引装置及び能動型簡易型牽引 装置と限定し、明確にしております。  続きまして、参考資料1-1の3ページ目、「電位治療器・赤外線治療器の組合せ理学 診療法機器認証基準(案)」についてです。これは先ほどと同様、電位治療器と赤外線治 療器という二つの医療機器を組み合わせて一つにしたような医療機器を対象にしており ます。赤外線治療器は、平成17年3月25日をもってすでに認証基準を制定しておりま す。今回の基準では、それらの両方の認証基準を満たすことを要件としており、JIS T 06001-2-XXXということで、これが電位治療器の認証基準、それとJIS T 0601-2-203の 赤外線治療機器基準の両方を組み合わせることによって、適合することを要求しており ます。  主な論点としては、組み合わせて両方の機能を有するが同時に使用することはない、 ということから、電位治療器及び赤外線治療器を同時に使用しないため、それぞれの効 能効果の併記となっております。本機器については、組合せでもあり、パブリックコメ ントで御意見をいただき、すでに告示されている組合せ機器と同様に、先ほどもありま した医用電気システムの安全要求事項も含む技術規格になっております。  最後に、家庭用電気マッサージ器の認証基準について御説明申し上げます。参考資料 1-1の4ページにありますように、本認証基準については平成17年3月に告示済みのも のです。この認証基準そのものに変更があるものではなく、今回JIS T 2002の改訂を行 い、当該JISにおいて、エア機能付きの家庭用電気マッサージ器が読み込めるような 技術規格として改訂するものです。  概要は、エア機能付きの家庭用マッサージ器を読み込めるように規格したもので、改 正内容としては、定義の修正を行いました。定義のところには、家庭用電気マッサージ 器にエア機能を有するものがある、ということを追加しております。性能についての修 正ということで、エア圧力について、エアマッサージ器のみでなく、エア機能を持つ家 庭用電気マッサージ器も想定するということにしております。構造の追加と解説の方で、 同時に使用することがない、ということで、安全性の規定と安全性を担保する構造の具 体例を示しております。  以上の改訂を含めたものを、参考資料1-3のJISの一覧の10番に示しております。 この変更に伴い、本日お配りした資料の一般的名称の変更も行います。一般的名称の定 義においては、家庭用電気マッサージ器は変更前に比べて空気圧による圧迫機能、又は もみ機能を持つものもあるということを追加しました。この表現は、JISの規格での 表現と同様にしております。エアマッサージ器については、「空気圧だけの」という言 葉を追加しております。これらの一般的名称の定義の変更を行うことによって、それぞ れ電気マッサージ器、エアマッサージ器の区分けをし、明確にすることとしております。 以上で、認証基準4品目についての説明を終わります。 ○土屋部会長 ありがとうございました。クラス分類基準等検討小委員会の委員長を務 めていらっしゃる小野委員長から何かございますか。 ○小野委員 今事務局から説明がありましたように、小委員会では適正に審議され、先 ほどのような結論に至っております。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。  それでは、事務局からの説明について御質問等ありますか。今回は電気関係の認証基 準が多いのですが、いかがでしょうか。組合せの場合にも、それぞれ個別に使うという ことで一緒にして、併用はしないということですが、特に問題はないでしょうか。 ○橋本(久)委員 内容ではないのですが、これは間違いではないかと思うのです。資料 1-1の48ページですが、3項目と4項目の「適合の方法」の欄の文章は、入れ間違いで はないかと思うのです。 ○土屋部会長 適用と不適用の欄でしょうか。 ○橋本(久)委員 そうですね。不適用、適用はいいと思うのですが、適合の方法の所の 文章は入れ間違いではないかと思うのです。これで正しいのですか。 ○事務局 御指摘がありましたように、適合している所を示す部分に「不適用」という 言葉が入っていますので、この項目は若干ずれていると、下のものと違っていると思い ます。  次のページの1行目も、実施されていることを示す所が「不適用」となっていたり、 いちばん下の認知された規格に従って実施されていることを示す部分には「適用」とい う文字が入っていませんので、段ずれが起きているということで、そこは変えたいと思 っております。 ○橋本(久)委員 1段ずつずれているのですね。 ○事務局 はい。 ○橋本(久)委員 測定文書の確認の所は、これはこれでよろしいのですね。 ○事務局 はい。 ○土屋部会長 文章が1行ずれたということですが、そこは重要な所で、「示す」の所 が不適用になって、「機器ではない」の所が適用になっているのは明らかにおかしいの で、確認して修正をお願いします。そのほかにありますか。特にないようですので、次 の議題に移ります。  議題2 医療機器JIS規格の確認、制定、改正又は廃止について、事務局より説明を お願いします。 ○事務局 資料2-1を御覧ください。こちらに、医療機器関係JIS一覧を示しており ます。  まず、訂正を御連絡申し上げます。左側に通し番号を振ってありますが、4つ目のJIS Q 13488は本年6月25日に廃止されておりますので、資料一覧からの削除をお願いしま す。廃止された理由は、通し番号の上から3つ目のJIS Q 13485が昨年10月1日に改正 され、その改正のときにJIS Q 13488が統合されたことにより、単独のJIS Q 13488は 廃止に至ったということです。現在、本邦における医療器関係のJISは、合計391規 格あります。なお、前回の部会以降、本日までに医療器関係のJISで、その他に制定 ・改正されたものはありません。  引き続き、資料2-2を御覧ください。こちらが、平成18年度制定・改正予定のJIS 一覧です。本年度は、制定29件、改正13件を予定しております。以上です。 ○土屋部会長 ありがとうございました。事務局の報告について御質問等ありますか。  この資料2-2の制定・改正予定は、現在作業が行われていると考えてよろしいでしょ うか。 ○事務局 はい。 ○土屋部会長 そうしますと、大体年度内にはほぼ終了するということですか。 ○事務局 鋭意作業中です。 ○土屋部会長 そのほか、折角の機会ですので、御質問等ありましたらどうぞ。  いろいろな委員会ですでに審議も始まっておりますので、そういった先生方の御意見 やパブリックコメント等も入っております。そういったシステムで、次第に日本の規格 が制度化されて、多くできてきている状況です。今回は認証基準ですが、審査ガイドラ イン等も現在進められており、また次世代型医療機器の評価指標作成事業も行われてお ります。ですから、未来型、現在、多く使われるものについて、それぞれクラスのリス クに応じた指標の作り方、制度の作られ方のシステムがだんだんうまく運営されてきて いるように私は感じます。御意見等なければ、以上でこの議題については終わります。  事務局から連絡事項はありますか。 ○事務局 次回の医療機器・体外診断薬部会と医療材料部会の合同部会は、12月初旬開 催ということで、現在日程調整を進めております。本日日程表を持参していらっしゃる 方は、事務局の方にお渡しください。お持ちでない方は、9月6日までに医療機器審査 管理室へファックスで送付いただければと思います。 ○医療機器審査管理室長 ありがとうございました。合同部会の審議はこれで終了いた します。  続いて医療機器・体外診断薬部会と医療材料部会を開催する予定ですが、非公開です ので、傍聴の皆様は退席をお願いします。5分ほどお時間をいただいて、35分過ぎに開 催したいと思いますので、よろしくお願いします。 ――― これより医療機器・体外診断薬部会 ――― ○医療機器審査管理室長 それでは医療機器・体外診断薬部会に入らせていただきます。 本日は医療機器・体外診断薬部会委員数15名のうち8名の先生方に御出席いただいてお り、薬事・食品衛生審議会令第9条第3項に基づき定足数に達していることをまず報告 いたします。以後の議事進行は土屋部会長にお願いいたします。 ○土屋部会長 議題に入る前に、資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をいたします。資料3-1が「医療機器エキシマレーザー角膜手術 装置EC-5000の生物由来及び特定生物由来製品の指定の要否、製造承認事項一部変更承 認の可否及び再審査期間の指定について」、資料3-2が「医療機器エキシマレーザー角 膜手術装置EC-5000について」、これから映すパワーポイントの資料です。資料4-1は 「1片中モキシフロキサシンとして51.2μg以下を含有する体外診断薬の劇薬の指定 の除外の可否について」、資料4-2は「体外診断用医薬品毒劇薬除外要望書」、そして 資料4-3等この関係の資料が2つ入っています。資料5-1は「部会報告品目」という当 日配付資料です。参考資料4-1は「毒薬・劇薬指定医薬品、要指示医薬品、習慣性医薬 品及び広告制限医薬品の指定の取扱いについて」、参考資料4-2は「モキシフロキサシ ンの劇薬の指定について(官報)」です。なお、差し替え資料として、資料3-1の添付文 書の案のみの部分を配付いたしました。  山本前室長が見えましたので、ここで一言挨拶をしていただきます。 ○山本前室長 私は、本日付で医療機器審査管理室長から国立医薬品食品衛生研究所の 企画調整主管を拝命いたしました。医療機器審査管理室の室長時代、審議会の委員の先 生方には大変お世話になりまして、どうもありがとうございました。今後は、医療機器 を含む医薬品・食品の安全のための研究所ですので立場は変わりますけれども、引き続 き先生方にはいろいろと御教示をいただきながら仕事をさせていただくことになると思 いますので、よろしくお願いいたします。2年5カ月にわたりまして御指導いただきま して、どうもありがとうございました。 ○土屋部会長 それでは議題3の審議に入ります。なお、本審議品目に関しましては関 与委員がおられないことを報告いたします。審議品目の概要について、事務局から説明 をお願いいたします。 ○事務局 本日審議いただくものは、医療機器エキシマレーザーEC-5000の生物由来製 品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造承認事項の一部変更承認の可否及び再審査 期間の指定について審議をお願いいたします。申請者は、株式会社ニデックです。  本品目は、波長193nmのエキシマレーザーを組織に照射した際に生じる光化学反応を 利用し、角膜組織を除去することで、屈折矯正及び角膜病変部の切除を行う眼科用のエ キシマレーザ手術装置です。  詳細な審査の概要及び委員の皆様から事前にいただいたコメントの説明は、実際に審 査を行った独立行政法人医薬品医療機器総合機構から説明します。 ○機構 それでは説明いたします。資料3-1及び3-2を適宜御覧ください。なお、本品 の審査においては、医薬品医療機器審査センター及び医薬品医療機器総合機構での審査 に当たり、御覧の専門委員の先生方に意見をいただきました。  本品の外観写真を示します。本品は、フッ化アルゴンを発振媒体とする波長193nmの 眼科用エキシマレーザ手術装置であり、レーザ照射により、角膜組織を除去することで 屈折矯正又は角膜病変部の切除を行うものです。  今回の一部変更承認申請においては、従来の使用目的である角膜屈折矯正手術(PRK) 及び治療的角膜切除術(PTK)に加えてレーザー角膜内切削形成術(LASIK)による屈折矯正 を追加することを主な変更点としております。その他の変更点としては、外観、形状等 の異なるモデルの追加などが行われておりますが、本品の本質を損なうものではなく、 特段の問題はないと考えております。  LASIKとは、エキシマレーザ装置と電動式ケラトームを用いて行う屈折矯正手術です。 電動式ケラトームを用いて角膜表層部を切開し、角膜フラップと呼ばれるヒンジ付きの 角膜組織片を作製します。この角膜フラップを反転し、露出した角膜実質層にレーザを 照射して矯正を行った後、角膜フラップを元に戻すという方法です。  本機器の海外における承認・使用状況を示します。平成10年にCEマーク、平成12 年にFDAで承認を受け、平成18年7月までに、米国を中心に1,000台以上の販売実績 があります。  平成18年7月までに報告された本機器に関する不具合について示します。  本品には御覧のとおりの規格試験が設定されており、本申請での変更事項も踏まえ、 すべての試験に適合することを確認し、了承しております。性能試験として、遠視及び 遠視性乱視矯正の性能評価のため、家兎眼に対する遠視矯正効果に関する試験、非球面 遠視形状の評価に関する試験が実施され、いずれにおいても問題がないとする成績が提 出されました。その他の非臨床試験に関する資料につきましては、本申請では、一部変 更前の既承認品との同一性を説明することにより新たな試験を実施する必要性がない、 として省略されております。  本品の臨床使用上の有効性、安全性を担保するために、近視及び近視性乱視の患者、 また遠視及び遠視性乱視の患者をそれぞれ対象として、本機器を用いたLASIKの国内臨 床試験が行われました。  本臨床試験においては、有効性評価項目として、最終検査時の目標屈折矯正度数に対 する誤差について、こちらにお示しした4段階で評価いたしました。安全性評価項目と しては、本品又は組み合わせて使用するケラトームが原因となった不具合症状の発現の 有無及びその程度を、こちらにお示しした4段階で評価しました。  このスライドは、近視LASIKの臨床試験成績を示したものです。有効性評価項目では 「有効」以上と評価されたものが球面矯正で98.6%、円柱矯正で92.9%となりました。 安全性評価項目については、認められた有害事象のうちフラップ異常やびまん性層間角 膜炎など角膜フラップ作製手技に関わると思われる不具合症例が10眼となりました。 「ほぼ安全」「安全性に問題がある」と評価された症例はありませんでした。また、本 品に起因すると考えられる不具合症例は、一過性の矯正視力低下の1例となりました。  このスライドは、遠視LASIKの臨床試験成績を示したものです。有効性評価項目では、 「有効」以上となったものが球面矯正で45.3%、円柱矯正で56%となりました。  安全性評価項目については、矯正視力の低下など治験との因果関係が否定できない不 具合症例が24眼に認められました。このうち、ほとんどの症例は軽度で、臨床上問題と ならないものでしたが、涙点プラグが必要となった乾燥眼の1眼と矯正視力低下1眼の 計2眼は「ほぼ安全」との評価をされました。なお、安全性に問題があると評価された 症例はありませんでした。  以上の臨床試験成績結果より、近視LASIKにつきましては、発生した有害事象は臨床 上問題のない範囲であり、リスクは低いものであると、専門協議での議論も踏まえ判断 いたしました。認められたリスクは臨床上の有用性を上回るものではないと考えており ますが、医療現場に適切に情報提供することが望ましいため、これらの有害事象につい て添付文書に記載をするとともに、使用成績調査で対応することが望ましいと考えてお ります。  遠視LASIKは近視LASIKと比較して有効性が高くなく、また、有害事象の発生率が高 いことから、臨床上の有用性に対して起こり得るリスクが許容できる範囲ではないと、 専門協議での議論も踏まえ判断いたしました。  以上をまとめますと、本申請による変更事項に関して、機械的な部分につきましては、 規格及び試験方法に設定された各種試験で問題ないことが示されております。近視 LASIKについては、本邦で実施された臨床試験成績から有効性及び安全性が示されてい ると判断いたしました。一方で遠視LASIKは、起こり得るリスクが許容できる範囲では ないと考え、遠視及び遠視性乱視矯正を使用目的に含めることは適切ではないと判断い たしました。また、LASIKは本邦で初めての手技となるため、本品の有効性及び安全性 を十分に理解し、手技等の教育訓練を受けた医師が使用することが望ましいことから、 添付文書にて、眼科専門医の使用に限定する旨を記載し、申請者が適切なトレーニング を実施することを求めることとしました。  以上より、LASIKによる遠視及び遠視性乱視矯正を使用目的から外した上で、こちら にお示しします使用目的で承認することが妥当であると総合機構は判断いたしました。 また、本品は新効能の医療機器であることから、再審査期間は3年が適当であると考え ます。なお、生物由来製品又は特定生物由来製品の該当性につきましては非該当と考え ております。  部会委員の先生方から事前にいただいたコメントについて説明いたします。許先生か らは、承認して差し支えない旨のコメントをいただいております。また澤先生からは、 添付文書の記載に関して記載が不十分であるとのコメントをいただきましたので、これ を反映させた差し替えの添付文書(案)を本日配付しております。以上、御審議のほど、 よろしくお願いいたします。 ○土屋座長 専門協議に参加されている澤先生から、何かコメントはありませんか。 ○澤委員 この術式について現在アメリカでは、ほかの機種では遠視矯正も認可されて おりますが、我が国に限って言えば、近視矯正のみが認可されています。本術式による 近視矯正においては、既にかなり臨床で行われる状態になっております。近視の矯正に ついては、さきほどの説明にありましたように精度としても十分な成績が得られており ますが、遠視矯正におきましては、今回の申請データでは、制度が不十分と判断せざる を得ません。この術式では、角膜フラップというものを用います。角膜の厚さは中央が 500μですが、フラップは、厚さ150μぐらいのものを作ります。遠視矯正の場合には、 近視矯正の場合よりも大きなフラップを作らないと矯正ができないという問題点があ り、精度が悪い。また、いくつかの不具合が出ていると考えられます。そのようなこと から、遠視矯正については、今回の申請データで承認するには少し問題があるのではな いかという結論で、私もそのように思います。  このエキシマレーザー装置は、すでにフラップを作らないで近視矯正を行う装置とし ては承認されております。その際に、眼科学会の専門医で、学会が認定した講習会を受 講した者が行うという条件で承認されております。今回のLASIKにおいても、正直なと ころ従来の手術術式よりも難しいところがありますので、承認条件をきちっと明記して いただいた上で承認するのは差し支えないのではないかと考えております。 ○土屋部会長 本件につきまして御意見・御質問等はございませんか。 ○岡部委員 私は眼科領域は全く素人で分からないのですが。この資料の6ページ、海 外における使用状況では、不具合発見状況は非常に低いというデータが示されているの ですが、これは何を母数にして行い、何が対象のときにこのぐらいであったのか。これ だけ出てくると、日本のものに比較して出現率は非常に低いということで、何か一致し ないように思うのです。  確かに遠視に関しては、結論のように、リスクが許容できる範囲ではないという判断 もされていますが、近視の場合で見ても、15%ぐらいでしたか、かなり高いと思うので すが、このぐらいが有害事象として有効性、安全性が示されていると判断される基準に 入るのか、その辺を教えていただければと思います。 ○機構 海外における使用状況の不具合発現情報につきましては、米国等の報告をベー スに集計が行われております。母数としては、1年間に行われる概数の平均値を出して おりまして、不具合の状況は、その報告をベースに収集しております。実際はもう少し 増えている可能性もございますが、報告で集計した限りではこのような状況となってお ります。 ○岡部委員 国内の治験では、遠視と近視と、LASIKによっても差があるという中で、 引っくるめて、これの不具合発現状況が0.002%であるという言い方だと、このデータ そのものにも疑問が出てきて、それをどうして引用したかということに疑問を感じたの ですが。 ○機構 ここにお示しした数字は概数として申請者が把握している数、海外でどのよう な状況にあるかをお示ししたものですので、実際には治験の中で得られたような不具合 が発生してもおかしくないと考えております。ただし、不具合の中で起こった多くのも のはフラップを作るときに発生したもので、LASIK術そのものに起因するものではなか ったということもあるかと思います。また、フラップを作るというのは少し技術的に難 しいところがあるので、フラップを戻すときに十分きれいに戻せなかったとか、そうい う一時的な不具合が治験の中では見られた、そのように考えております。 ○岡部委員 説明はわかりました。そこで、近視の場合、有害事象が72眼中11眼(15.3 %)認められ、フラップ作製手技に関わると思われた不具合症例が10眼であったと。私 は眼科のことがわからないのですが、この辺は十分許容できる範囲として言われること であるのかどうか、ちょっと確認だけしたいと思うのですが。 ○澤委員 フラップの作製により不具合事象をどういう判断基準で取るか、というとこ ろで不具合事象の例数が変わってまいります。我が国においては、眼科医が非常に臨床 所見を厳密に取る傾向があり、ちょっとしたフラップのしわでも不具合に取るというこ とがある、そこがまず1点あって、不具合のベースが違ってきていると思います。これ はアメリカのデータを馬鹿にするとか、精度が低いということではありません。臨床で の考え方が違うようでして、米国では、視力が出れば多少のことがあってもいいと見て いるように私は思いますし、実際に向こうの学会のデータでも、これを不具合と取らな いのかと思うようなデータがそのまま出ております。あまり答えになっていないかもし れませんが、そのような状況にあります。  日本においては近視の人が多い、そしてすでにコンタクトレンズ等を使っている方が 多いために、角膜に血管が入っている方が結構見られます。血管を傷つけますと出血し ますし、フラップの付き方が悪くなり、そこで炎症が起きるという現象が見られるとい うことも、日本での研究では分かっております。角膜の状態が米国と日本で違う、とい う状況もあると思います。それから、とにかく米国での症例の母数が我が国とは大きく 違うので、全体的な頻度も下がってくるとも言えるかと思います。 ○土屋部会長 不具合の状況が重篤なものではなく比較的軽度なものに分類されるもの を日本ではカウントしている、このように理解してよろしいでしょうか。  では私から1点伺います。先ほど澤先生が、添付文書で、フラップ作製の技術が重要 なので、そこについて修正を求めたとおっしゃいましたが、修正を求めたところを具体 的に教えていただければと思います。 ○澤委員 今日配付された資料の8-4の真ん中から「レーザー角膜内切削形成(LASIKに よる)」とゴシックで書いてある欄の1〜3の部分が、最初の添付文書ではPRKの1〜7 に同じと書かれており、見落としやすいのではないかということが危惧されました。そ こで、文章が重複しますが、PRKとLASIKで同じ文言で書いていただきたいとお願いを し、それが修正されております。添付文書は文章が短いほうがいいとは思いつつ、この ように重複して記載し、明確にしていただいたのでよろしいかと思います。 ○土屋部会長 私は以前、エキシマレーザーが初めて出てきたときに審議に関わったの ですが、そのとき、眼科医でない先生が手術をされているということが問題になりまし て、日本眼科学会が認定した講習会を受講した眼科専門医により行われること、と当初 からここに入っているわけですが、レーザによる角膜内形成術、またフラップの作り方 は、実際にはどちらで訓練を行われるのでしょうか。 ○澤委員 実際、電動ケラトームは以前から眼科の領域で使われていた角膜を薄層に切 る装置なので、それと組み合わせてエキシマレーザー照射をするという形で行われるよ うになったという経緯があります。日本眼科学会が認定した屈折矯正手術の講習会は、 眼科専門医を対象に、眼科の生理から解剖、病態、症例等をすべて含んだカリキュラム を6時間以上行うこととなっています。それを受けていただく。そして、実際にLASIK を行う目的でこの装置を買った人は、業者が実施する講習を受け、さらに、すでにLASIK を多く行っている施設等へ見学に行って研修を行うのが一般的です。 ○土屋部会長 いかがでしょうか。特に御意見がないようですので、本部会で御了承い ただいたものとしてよろしいでしょうか。議題3について、本部会として本品目を承認 して差し支えないものとし、9月22日に開催される薬事分科会において報告いたしま す。ありがとうございました。  引続いて議題4の審議事項に入ります。審議事項の概要について、事務局から説明を お願いします。 ○事務局 本日は、1片中モキシフロキサシンとして51.2μg以下を含有する体外診断 薬の劇薬指定除外の可否について審議をお願いしております。要望者は栄研化学株式会 社です。資料4-1〜4が今回の事項に関わるものですが、この資料4関係で、参考資料 4-2は官報をコピーしたものです。実は、ここにも「厳重管理」という判子を押してし まったのですが、官報は随時誰でも見られるようになっております。これについては、 間違えて判子を押してしまったということで、そのような扱いであることを御理解いた だければと思います。  資料4-1から順次説明してまいります。資料4-1はこの審議会に諮問した事項です。 「1片中モキシフロキサシンとして、51.2μg以下を含有する体外診断薬の劇薬指定除 外の可否について、薬事法第44条第2項の規定に基づき貴会の意見を求めます」という ものです。薬事法第44条第2項の中に、劇性のあるものについては審議会の意見を聞い て指定するということがあります。モキシフロキサシンは、平成17年に新しい薬として 審議された際に、急性毒性などの観点から劇薬の指定を受けました。今回モキシフロキ サシンという薬剤に関する感受性を調べるための体外診断用医薬品が申請者で作られて おり、このほうが用量が少ない、また、体内に用いず、体外診断薬であり、人体に直接 投与したり塗布するものではないということで指定除外の要望があったものです。  要望のあった品目の具体的な中身については、資料4-2から4-4までに載っています。 一つはフローズンプレート‘栄研’(シリーズ)モキシフロキサシンというプレート型の 体外診断用医薬品、もう一つがドライプレート‘栄研’(シリーズ)MFLXです。MF LXはMoxifloxacinの省略語です。  4-4はKBディスク‘栄研’(シリーズ)モキシフロキサシンです。これは薬剤感受性 ディスクといって円盤状の小さな濾紙ですが、これが51枚×2、一つの容器に102枚入 っています。1片当たりの容量は、資料4-2の品目であれば、最大量で51.2μg、資料 4-3のドライプレートのものについても、1片中の最大容量は51.2μg、3つ目のディ スクの1片当たりの含量は5μgです。  参考資料4-1は、毒薬・劇薬、指定医薬品等の指定の取扱いについてということで、 この審議会における取扱いを定めたものです。まず、医薬品の毒薬及び劇薬の指定につ いては、毒性学的な観点及び使用上の注意の観点から審議会に意見を聞くことになって おります。  参考資料4-1を2枚めくると、毒薬・劇薬指定基準があります。その基準として、(1) 急性毒性が次のいずれかに該当するものということで、経口投与の場合、毒薬が30mg/kg 以下、劇薬が300mg/kg以下の数値を示すものであること。(2)として、皮下投与の場合に は、これは省略しますが、このような状態、静脈内投与のものでは、劇薬が100mg/kg 以下の値を示すものとなっています。本品の劇性については、資料4-2〜4-4それぞれの 最後に単回投与毒性試験の結果が付いておりますが、マウスの経口投与で435mg/kg、静 脈内投与で105mg/kg、静脈内投与の部分が劇薬指定基準の100mgを超えていたようなこ とがあり劇薬に指定されたということがございます。  もう一度参考資料4-1、毒薬・劇薬の指定基準の所に戻っていただきます。この指定 基準の場合に、次のいずれかに該当するものということで毒薬あるいは劇薬、いずれに 指定するかをその都度判断することになっております。原則として、(1)動物に薬用量の 10倍以下の連続投与で機能又は組織に障害を認めるもの、(2)通例、同一投与法による致 死量と有効量の比、又は毒性勾配から安全域が狭いと認められるもの、(3)臨床上、中毒 量と薬用量が極めて接近しているもの、(4)臨床上、薬用量において副作用の発現率が高 いもの又はその程度が重篤なもの、(5)臨床上の蓄積作用が高いもの、(6)臨床上、薬用量 において薬理作用が激しいもの、このような基準がございます。  しかし、今回申し出のあったものは体外診断用医薬品でして、人体に直接投与又は塗 布しないことから、ここに書かれている基準にはいずれも該当しないと考えられます。 また、1片当たりの用量も最大量で51.2μgと少ないこともあり、このことからも劇性 のあるものには該当しないのではないかと考えております。 ○土屋部会長 ただいまの事務局の説明について、御質問等はございませんか。 ○岡部委員 これについては問題はないと思いますし、体外診断薬として人間に毒性の ある程度のものではないというのは了解できるのですが、参考のためにちょっと教えて いただきたいのです。今までもこういう体外診断薬で、特に感受性試験用に使うディス クやマイクロプレートはあったと思うのです。抗生剤あるいは抗菌薬は劇薬・毒薬等々 に指定されているものが多いわけで、それについてすべてこのような手続をとって今ま でのものが承認されているのか、あるいは、たまたまこういう要望があったからこの場 に乗せたのか、その辺はどうなのでしょうか。 ○事務局 これまでも同じように、要望がきたものについて判断しておりまして、劇性 が低いものについては毒薬・劇薬の指定から除外するという手続をしてまいりました。 また施行規則上も、何々以下を含む体外診断薬を除くとかということは、今までも行っ てきた手続です。 ○岡部委員 最初から、こういうものは対象にならない、という考え方で設定はできな いのですか。全部について一度承認すると、もう一回ひっくり返すというやり方をとる のは非常に煩雑なように思うのですが。そこで安全性をチェックしなくてはいけないと いう理由があるならば、それはそうだと思うのですが、その辺を教えていただきたいの です。 ○事務局 御指摘のように、体外診断薬そのものを除外してもいいのではないかという 意見もあるかと思います。ただ、そうした中で、まだ具体的に、どういう場合に除外で きるのかについて詳細に詰められていないということもあります。今までの手続では、 一旦新薬として承認されたものを使って体外診断薬を作った場合、製品が出てきてメー カーから要望があった場合には除外してきた、というのが現状です。 ○土屋部会長 私の今までの経験では初めて見ましたので、それほど多くないという感 触なのですが。 ○事務局 それは部会長がおっしゃるとおりなのです。実は、かつて様々手続をしてき た過程では、これは事務的に判断できるものというような取扱いの中で要望が出てきた ものを、特に審議会等には聞かずに除外してきた経緯がございます。しかし、審議会規 定の透明化とか、省令改正の際のパブリックコメントが厳密に取り扱われるようになっ てきた、ということがありますので、今回は正式に審議会のほうにお諮りし、かつ、今 後パブリックコメントもしていく予定です。ですので、この医療機器・体外診断薬部会 で審議するのは初めてのケースになるかと思います。 ○岡部委員 手続上やむを得ない部分があるのは了解できましたが、基本的には、手続 はできるだけ煩雑でない方に向けていただいたほうがいいと思うのです。 ○事務局 そういう意味では、体外診断薬の毒・劇除外のところを今後とも、やり方等 も含めて、事務局でも検討したいと思います。 ○土屋部会長 貴重な意見をありがとうございます。特にほかにないようでしたら、本 部会としてこの案でパブリックコメントに付しまして、そこでも特段意見がないようで したらこの案で決定することにしたいと思います。また、パブリックコメントで意見提 出があった場合には、次回部会でその扱いも含め審議させていただきます。 ○事務局 いま部会長からも御説明いただいたように、この案でパブリックコメントと いう手続をとらせていただきます。通常、1カ月程度一般の方に向けて案を示して意見 を伺うこととしております。意見が出てきた場合、といっても一般の方向けに行うもの ですから、例えば、体外診断薬とは何か等、本質とは関係ない質問が出てきた場合、そ れはいわゆる意見という扱いではなく、特に事務局で処理させていただきたいと思いま す。しかし51.2μgという部分に対しての本質的な意見が出てきた場合には、改めて部 会に審議をお願いして、パブリックコメントへの回答も含めて次回部会で審議いただき、 その結果をもって御了解いただくという措置をとりたいと思います。ただ、特段の意見 がなかった場合には、本日の案をもって決定という取扱いをさせていただければと思い ます。 ○土屋部会長 今回私も初めての経験でしたが、先ほど岡部先生から御指摘がありまし たように、今後このようなケースがたくさん増えてきた場合に、経済性や効率性等さま ざまなことを事務局の中で話していただいてそこが整理されていくと期待しておりま す。議題4に関してはこのようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは 議題5、報告事項について事務局より報告をお願いいたします。 ○事務局 平成18年5月1日から平成18年7月31日までに承認された品目のうち、本 部会への報告対象となっている品目について報告いたします。医療機器が9品目、体外 診断用医薬品が5品目ありますが、詳細については、実際に審査を行った独立行政法人 医薬品医療機器総合機構から説明します。 ○機構 資料5-1を御覧ください。(1)と(2)はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 より輸入承認申請されたものです。バイオセンスSTOCKERT50とセルシウスカテーテルで すが、これらは組み合わせて使用するものです。  品目概要ですが、まずバイオセンスは、頻脈性不整脈の治療を目的に、経皮的カテー テル心筋焼灼術を施行するために使用する高周波出力発生装置であり、心筋焼灼術用カ テーテル、セルシウスカテーテルと組み合わせて用いるものです。機能的には、既承認 品ウェブスター アブレーション システムに含まれている高周波出力発生装置に対して 温度制御通電モードが追加されたものです。  次にセルシウスカテーテルですが、頻脈性不整脈の治療のために、高周波による心筋 焼灼術及び心臓電気生理学的検査を実施することを目的とする電極カテーテルであり、 高周波出力発生装置(バイオセンスSTOCKERT50)と組み合わせて用います。既承認品ウェ ブスター アブレーション システムに含まれている電極カテーテルの処理を限定し、電 極カテーテルのみが一品目として申請されたものです。  次にメドトロニックInSyncIIIマーキー、日本メドトロニック株式会社より輸入承認申 請されたものです。心不全症状を改善するために、心臓再同期治療を行うことができる 植込み型パルスジェネレータ及びその付属品です。本ジェネレータは、レート応答機能 を有しています。また、心室細動、心室頻拍又は徐脈を自動的に検出し、除細動治療、 カーディオバージョン治療、抗頻拍ペーシング治療を行うことも可能であり、既承認品 「コンタックCD、他1販売名」と同等の機能を有するものです。本品には、先発品の 承認のあった日から平成20年7月5日までの再審査期間が付されております。  2頁はピレーネ ライト、群馬ウシオ電機株式会社より製造承認申請されたものです。 これは、同時に申請された歯科用漂白剤(ピレーネ)に可視光線を照射して歯の漂白を行 う装置です。漂白に適した波長380〜420nmとなるように、□□□□□□ユニット内のフ ィルターで波長が調整されております。  次はOrthoPilot ナビゲーションシステムで、ビー・ブラウンエースクラップ株式会 社より輸入承認申請されたものです。骨に設置したLEDポインターの位置から、赤外線 を用いた三角測量の原理を用いて下肢機能軸に関する情報を提供することにより、人工 膝関節置換手術の支援を行うシステムです。情報処理においてCT画像を用いる既承認品 に対し、本機器はCT画像を必要としないため改良機器として申請されたものです。  次はシンビアT、シーメンス旭メディテック株式会社より輸入承認申請されたもので す。SPECT装置とX線CT装置を組み合せたSPECT CT装置で、両画像の重ね合わせ機能 を有します。また、SPECTの吸収補正にX線CTデータを活用します。SPECTとX線CT の撮影は独立して行われ、これらの撮影が同時に行われることはありません。画像再構 成にX線CTのデータを活用することで、従来のSPECT装置に比べて吸収補正の誤差が低 減し、画質が改善されます。本品は、同時申請されましたシンビアT6とは、X線CT装 置におけるX線管装置の型式、検出器の高コントラスト分解能、実効チャンネル数、プ ロジェクション数、スライス枚数等が異なり、同品の下位機種に位置づけられるもので す。  3頁はシンビアT6、先ほどのシーメンス旭メディテック株式会社より輸入承認申請 されたものです。これはシンビアTの上位機種に相当するものです。  次はデュエット、ダイレックス・ジャパン株式会社より輸入承認申請されたものです。 これは体外式衝撃波結石破砕装置です。既承認品の衝撃発生部は1個であるのに対し、 本品では装置の上部と下部に各1個ずつ有しております。衝撃発生部の切り替えはマニ ュアル操作で行われます。  次はメドエルCombi40+ 人工内耳システム、これはメドエル社より外国製造承認申請 がなされたものです。人工内耳インプラントとスピーチプロセッサからなる人工内耳シ ステムで、既承認品のインプラントと比較して小型化・薄型化され、手術時の侵襲の軽 減が図られるものです。 ○機構 続いて、体外診断薬について報告いたします。同じ資料の4頁を御覧ください。 平成18年5月1日より7月31日までに承認された5品目について報告いたします。ま ず一つ目は、バイエルメディカル株式会社より輸入承認申請されたケミルミ Centaur-HCV抗体です。品目の概要は、化学発光免疫測定法を利用したC型肝炎ウイル ス関連検査薬です。測定項目、測定方法は既承認品目と同様であり、3種類の抗原を使 用する第三世代の抗体定性検査用試薬です。承認の効能効果は、血清又は血漿中のC型 肝炎ウイルス関連抗体の検出です。  次は同じくバイエルメディカル株式会社より輸入承認申請されたVersant bDNAアッセ イ HBV3.0です。この品目の概要は、核酸ハイブリダイゼーション法を利用し、既知の B型肝炎ウイルス患者由来の血清又は血漿中のHBV DNAのモニタリングを目的とするも のです。同社の同様の測定原理の既承認品目である「クォンティプレックスHBV-DNA」 の測定下限を約350倍高感度にしたもので、承認の効能効果は、血清又は血漿中のB型 肝炎ウイルスDNA(HBV DNA)の定量です。  続いてロッシュ・ダイアグノスティック(株)より輸入承認申請されたコバス TaqMan HIV-1「マニュアル」です。この品目の概要は、リアルタイムPCR法を応用し、核酸増 幅及び測定の操作を所定サイクルで連続的に繰り返し、各サイクルのPCR産物をリア ルタイムにモニターしながら、HIV-1 RNAを定量するキットです。同社の既承認のHIV-1 RNA測定キットの「アンプリコアHIV-1 モニターv1.5」及び「コバスアンプリコアHIV-1 モニターv1.5」と比較して測定範囲がより広く、測定時間が短くなっています。承認の 効能効果は、血清又は血漿中のHIV-1 RNAの測定です。  5頁は(株)シノテストより製造承認申請されたガングリオシド・チェックです。本品目 の概要は、酵素免疫測定法により、ギラン・バレー症候群及びフィッシャー症候群の診 断補助マーカーとして、血清中のガングリオシドに対する自己抗体を検出する定性試薬 で、新規な検査項目を対象とした体外診断薬です。対象疾患別に2つの製品GM1とG Q1bから構成されております。本品承認の効能効果は、血清中のIgG抗GM1抗体の検 出、血清中のIgG抗GQ1b抗体の検出です。  続いて、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社より一部変更承認申請されたBDプ ローブテックETです。この一変申請内容ですが、本品は既に核酸増幅法を利用した尿、 子宮頸管擦過物又は男性尿道擦過物中のクラミジア・トラコマチスDNA及び淋菌DN Aの検出キットとして承認されておりますが、今回、検体種に新たに咽頭擦過物を追加 するものです。 ○土屋部会長 報告事項ではございますが、特に何かコメント等があれば出していただ きたいと思います。特にないようでしたら、議題は以上です。事務局から連絡事項はご ざいますか。 ○事務局 次回の医療機器・体外診断薬部会については、日程調整をし、11月もしくは 12月ごろに開催する予定ですので、よろしくお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長 以上で医療機器・体外診断薬部会を終了させていただきます。 本日はどうもありがとうございました。 ――― これより医療材料部会 ――― ○医療機器審査管理室長 それでは、医療材料部会を始めます。本日は、18名の先生の うち12名に御出席いただいていまして、薬事・食品衛生審議会令の規定に基づきまして、 定足数に達していますことを報告させていただきます。  また、委員の田野先生が御欠席のため、本日のコンタクトレンズに関わる審議があり ます関係上、眼科御専門の澤先生に参考人として引き続き御参加をお願いしています。  土屋部会長、以後の議事進行をよろしくお願いします。 ○土屋部会長 議事に入る前に、資料の確認をお願いします。 ○事務局 お手元の資料6-1は、「医療機器メニコンライフリー、他15販売名の生物由 来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造承認の可否及び再審査期間の指定につ いて」という分厚い資料です。薄いものとして、資料6-2「医療機器メニコンライフリ ー、他15販売名について」というのは、これからプレゼンしますパワーポイントの原稿 を打ち出したものです。これは当日配付資料ということで、事前にお送りしているもの ではなくて、今日お配りしているものです。  資料7-1「医療機器ムコアップの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、 製造承認の可否及び再審査期間の指定について」は、資料7のうち綴られている分厚い ものです。資料7-2「医療機器ムコアップについて」ということで、本日プレゼンを予 定している資料を配らせていただいています。資料8-1「部会報告品目について」とい うもので、A4横のものが配られていると思います。これも、当日配付資料です。また、 資料7-1の関係の添付文書案のみ差し替えをさせていただいています。以上です。 ○土屋部会長 審議事項議題6の新医療機器の審議に入ります。なお、本審議品目に関 しては、関与された委員はおられませんことを御報告します。  審議品目の概要について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 本日、御審議いただく新医療機器は2品目です。まず、医療機器メニコンラ イフリー、他15販売名の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造承認事 項の一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、の御審議をお願いします。申 請者は、株式会社メニコンです。本品目は近視、遠視及び無水晶体眼の視力補正を目的 とした酸素透過性のハードコンタクトレンズです。詳細な審査の概要及び委員の皆様か ら事前にいただいたコメントの説明は、審査を行いました独立行政法人医薬品医療機器 総合機構から説明いたします。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料6-1、6-2を御覧くださ い。本品の審査においては、医薬品医療機器審査センター及び医薬品医療機器総合機構 とが審査に当たり、御覧の専門委員の御意見をいただきました。  品目の概要です。本品は近視眼、遠視眼及び無水晶体眼の視力補正を目的とした終日 装用及び、30日間までの連続装用が可能な酸素透過性のハードコンタクトレンズです。 本品のレンズ基材はメタクリレート系で、申請者が承認を取得するメニコンZとほぼ同 じ原材料を用いています。このレンズ基材は高い酸素透過性を有していることが特徴と され、酸素透過係数Dk値はこちらの値を示しています。また、本品には透明レンズと着 色レンズがあります。  本品の着色レンズの外観写真をこちらにお示しします。本品の透明レンズ基材はメニ コンZの透明レンズと同一であり、着色レンズはメニコンZの青色着色レンズに赤色着 色剤で紫色に着色したものです。従来、ハードコンタクトレンズの連続装用期間は最長 1週間のものが承認されていますが、より長期にわたり良好な視界を維持するために、 30日間までの連続装用可能のものが必要と考えられます。長期間連続装用することによ り、特に角膜への影響が心配されます。酸素透過性の高いコンタクトレンズは低いもの に比べ、角膜への影響が少ないことが知られています。このような背景の下、申請者が 承認を取得するハードコンタクトレンズの中で最も酸素透過性に優れるメニコンZを基 に、本品が開発されてきました。  こちらに海外における承認・使用状況をお示しします。本品は海外での承認はありま せんが、メニコンZが30日間連続装用可能なものとして2001年にCEマーク、2002年 にFDAで承認を受けました。2006年6月までに、こちらに示す販売実績があります。 なお、FDAに報告された不具合は、こちらに記載したとおりです。  本機器に関わる物理化学的試験としまして、平成13年10月5日医薬発第1097号通知 のハードコンタクトレンズ承認基準を参考に、こちらに示す試験が行われました。いず れの試験においても、問題がないとする成績が提出されました。本品には御覧のとおり の規格試験が設定されており、すべての試験に適合することを確認し、了承しています。 本品の安定性は、原材料の主成分が本品とほぼ同じメニコンZの3年分の安定性試験結 果が参考資料として提出され、この成績から有効期間を3年とすることを了承しました。 生物学的安全性試験は、平成15年2月13日医薬審発第0213001号通知の7、試験資料 3)を踏まえ、追加となった着色剤について試験が実施され、問題がないとする成績が 提出されました。総合機構は、着色剤についての安全性のみでの結果で了承して差し支 えないと判断しました。  本品の臨床試験は、本邦において比較臨床試験が実施されました。試験群は本品で試 用期間の後、30日間連続装用を行いました。その際、ゴミの飛入や洗浄のために、一時 的に外すことを連続装用に含むこととしました。対照群は、ジョンソン・エンド・ジョ ンソン社の1週間連続装用ソフトコンタクトレンズアキュビューを用いました。実施さ れた施設数と症例数は、こちらに示したとおりです。  安全性については、試験群において9名10眼に、対照群では8名11眼に安全性評価 対象症状が発現しました。発現率は、試験群と対照群に有意な差はありませんでした。 試験群の発現率は8.4%で、特に視力低下が多く発生していること。また、米国での発 生率が3.8%と比較して多いことについて、申請者に見解を求めました。視力の低下は すべて一過性のもので、これらは全眼障害の起因する視力障害ではないことから、日米 の差は臨床的に許容範囲内と考えられるという説明がなされました。総合機構は専門協 議の議論も踏まえ、この説明が妥当であると判断しました。  有効性は、こちらに示す点について改善が見られましたが、t検定により各項目の改 善等について両群間で有意な差はなく、総合改善度においてもほぼ同程度となりました。 連続装用日数では期間別に調査を行い、被験者の割合を求めた結果、試験群では連続装 用日数が30日間だったものが81.4%、対照群では連続装用日数が7日間であったのが 96.1%でした。  その他の検査項目について、評価を行った結果をこちらに示します。細隙灯顕微鏡観 察の結果では、試験群に、3-9ステイニングの発生が多く見られました。この原因は局 所の乾燥、レンズの汚れ、角膜径、眼瞼幅等の要因からなることが報告されており、本 品においても同様と考えられます。また、発生したステイニングは初診時と比較して同 程度か一段階の悪化であり、軽微なものと考えられます。装用中の訴えは、両群とも乾 燥化が最も多いという結果になりました。不具合症状は、試験群において、3-9ステイ ニングが多く発生しました。連続装用又は装用を一時中断した例は、試験群では19眼 24件、対照群では29眼40件発生しましたが、発現率は両群間で有意な差は見られませ んでした。  総合機構は、3-9ステイニングの発生リストに試験群と対照群で大きく異なる項目が あり、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズを比較した試験方法自体に問 題があったのではないかと申請者に尋ねました。これに対し申請者は、今回のプロトコ ールはアキュビューと同等以上であれば許可できるというFDAの見解に従って実施さ れた米国での試験のデザインと合わせました。このような比較でも特別な所見でない限 り、レンズの材質の違いによるものと判断できると回答されました。総合機構は、ハー ドコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズの直接比較が可能との説明は適切でない と判断し、ハードコンタクトレンズとの比較が可能か申請者に説明を求めました。申請 者から、メニコンZの1週間連続装用試験の結果と比較した解析結果が提出され、ほぼ 同等であることが示され了承しました。  臨床試験で用いられたレンズと、それを洗浄したレンズの酸素透過係数Dk値の変化を こちらに示します。30日間使用することでDk値は低下しますが、その低下はおよそ□ %であり、本品の原材料の規格値の範囲内であることから30日間連続装用レンズとして 十分な値と言えると考えられました。  総合評価です。本品による最長30日間の連続装用は、安全性及び有効性の面から、現 在市販されている1週間連続装用ソフトコンタクトレンズアキュビューと比較して、差 がないと判断されました。また、1週間連続装用ハードコンタクトレンズであるメニコ ンZの解析結果が審査の過程において提出され、有効性及び安全性の比較においてほぼ 同等であることが示されたことから、本品は30日間までの連続装用を行っても安全かつ 有効であると考えられました。申請当初の使用目的である連続装用について、従前のも のと使用方法が異なることから、少なくとも1カ月に1回はレンズを外して洗浄し、レ ンズを装用せずに就寝し、翌朝装用することを添付文書及び連続装用コンタクトレンズ 管理手帳に記載し、患者への周知を図ることとしました。本品の使用目的は、こちらに 示す承認時の使用目的で承認して差し支えないと判断しました。本品は新使用方法医療 機器であることから、再審査期間は3年が適当であると考えます。なお、生物由来製品 又は特定生物由来製品の該当性は、非該当と考えています。  事前にいただいた先生からのコメントについて報告します。笠貫先生、飯田先生、許 先生、牧野先生からコメントをいただいています。笠貫先生、飯田先生、許先生からは 特に問題はないというコメントをいただいています。牧野先生からは、当該品目がレン ズとして機能することを鑑み、これら品目の光学レンズとしての各種収差、フレア、ゴ ーストなどは、眼精疲労を誘発しない程度の機能を有するかというコメントをいただい ています。これについて、眼精疲労の原因としてはいろいろなことが考えられますが、 コンタクトレンズは目の酷使や度の合わないレンズを使用することによって、目が疲れ たり視力が低下したり、ひどい場合は痛みが発生することが考えられます。本品の臨床 試験は、眼精疲労という点については着目していませんが、被験者の訴えとして眼精疲 労に関わる可能性のある訴えは出ています。しかしながら、この発生数につきまして、 1週間連続装用ハードコンタクトレンズのメニコンZと大きく違うことはなく、特に装 用の問題となるレベルのものではありません。  見え方は、本品は1週間連続装用ハードコンタクトレンズのメニコンZとほぼ同じ材 質を使っていまして、連続装用期間が30日間と長期になっても見え方は変わらないもの と考えられます。専門医の鵜飼先生に、見え方について特に問題ないと意見をいただい ています。目の疲れや痛み等によって問題が生じた場合には装用を中止し、検査を受け るように添付文書と連続装用コンタクトレンズ管理手帳に記載していまして、注意を促 しています。以上、御審議のほどよろしくお願いします。 ○土屋部会長 ありがとうございました。それでは専門協議に参加されておられます澤 先生から、コメントはありませんか。 ○澤参考人 只今御説明がありましたように、本品の臨床試験は先行する米国での試験 に準じまして、FDAが承認しました。今回の申請品はハードレンズですが、ソフトレ ンズをコントロールとして試験を行ったということで、ソフトレンズ、ハードレンズ各 々の特徴をどう比較するかに問題点があったかなと思いますが、それを踏まえた上で、 我が国において1週間連続装用が承認されている同様のハードレンズとの比較のデータ も踏まえて検討しますと、30日間装用は我が国で初めての申請であり、承認可能かと思 います。レンズとしての安全性には問題がないデータであると判断しました。  ただ一つ加えますと、レンズの装用形態は朝入れて夜外す終日装用とか、2週間で交 換するとかの定期交換システム、それから1週間付けたまま捨てる、もしくは外す連続 装用という一応の言葉があります。30日連続装用の場合には今回、従来の連続装用とい う装用の仕方と少し違うところがありますので、できれば1週間まで認められている連 続装用という装用上の言葉とは別の言葉を作っていただく方が、ユーザーに対しては混 乱が起きないかなと考えています。以上です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。ユーザーに対して1週間連続装用とい う言葉と、その連続装用の内容が少し違う点もあるので、言葉を変えていただきたいと いう御意見がありましたが、その点について事務局はいかがでしょうか。 ○機構 本品の専門協議を行うに当たりまして、金井先生にも参加していただいていま すが、金井先生にコンタクトレンズ学会で新しい定義を検討していただけることになっ ています。ただ、現段階では適切な言葉が見当たらなくて申し訳ないのですが。 ○土屋部会長 学会で、その言葉については御検討していただいているということです。 そのほか先生方、今回の審議項目について御意見はありませんか。 ○倉根委員 例えば、検査項目や不具合の症状がパーセントとしては有意でなくても、 発現するタイムコースも変わらないのですか。これは何日目で見ているかは知りません が、ソフトとハードで比べたときにいろいろな不具合が出てくる時間も、これを考慮し ての判断なのでしょうか。 ○機構 検査は1カ月ごとに行っていまして、何かトラブルが起きた場合はその都度見 ているわけですが、発現のメカニズムについてはハードコンタクトレンズとソフトコン タクトレンズで違うことは考えられると思いますので、メニコンZという1週間連続装 用レンズとの比較の期間を踏まえて、この内容でよろしいかと考えています。 ○機構 少し補足させていただきます。先生の御質問にありましたとおり、使い始めて から初期に多いのか、半年ぐらい経って多いのかということかと思いますが、各期間ご とに検査・解析はしていますが、当初に多いとか後半に多いという特段の傾向は見られ ていません。 ○土屋部会長 メニコンZというのは、比較的酸素透過性の高いハードコンタクトレン ズでして、少しでもゴミ等が入りますと痛みを感じますので、そのときに外して、さら に重篤な眼障害にいくことがないというところがハードの特徴です。一方、ソフトです と、柔らかいものですから、中にゴミがありましてもそれほどハードのような痛みはな いので、そのまま続けてしまって、そのレンズを取り出したあとに重篤な眼障害になり やすいという傾向があります。このような連続装用は、ハードの方がメカニズムとして リスクを抑える点において、適切なのではないかと思います。  アキュビューのジョンソン・エンド・ジョンソンのレンズは、4型の高含水のタイプ のコンタクトレンズです。間違っていたらすみません。そうしますと、比較的に物が吸 着しやすいタイプです。その材質の違いもありますので、総合機構の方でハード同士で 7日と1カ月程度で、どのように違うかを比較しなさいと言われた指摘は適切であろう と思います。そのほか、ありませんか。 ○牧野委員 私のコメントに対する事務局の回答は了解しました。この製品の基本は一 種のレンズでありますので、生物に対する副作用その他については了解しました。レン ズとしてはもっと精密な光学機械であるカメラのレンズにしても、必ず収差が生じます。 光の方向によってはフレアあるいはゴーストというものが出ますが、その辺の物理的な 機能は完全なものと判断していいものですか。例えば交通信号を見誤まるようなことは、 色の収差があってもあり得ないと思いますが、極めて微妙な色の判読をするような職種 の方がこういうものを使ったときにどうかとか、厳密に収差というものを追い込んでい きますと、設計上、人間の眼球に完全に合わせることは不可能ですので。 ○土屋部会長 総合機構の方からできますか。 ○機構 本品については旧法のものではありますが、コンタクトレンズ基準に従って規 格試験等設定されていまして、その規格に合うことを試験成績で提出されています。 ○牧野委員 もう少し具体的に申しますと、光の成分はいろいろな色の成分がありまし て、レンズを透過することによって必ず再び1点に収束することはあり得ないのです。 それを収差というのですが、それは完全なものなのでしょうか。 ○機構 澤先生、お願いします。 ○澤参考人 コンタクトレンズも眼内レンズも、先生のおっしゃるような光学的な特性 というものがあります。一応アメリカの基準などで光学特性を計測することで、そのデ ータの±10%に収まっていればいいということであり、通常は最初の製品のときに申請、 認可することがなされています。眼内レンズはそのようなデータが出されておりますが、 コンタクトレンズについては通常の光線透過率、見え方という人間の目でのデータで今 まで認可されてきたと理解しています。レンズを装用しているときに見られる、フレア とかハローというのは角膜の浮腫によって起きるもので、レンズの光学的特性よりは先 生が最初に御指摘された角膜に直接付けるレンズと、角膜の組織とのインターラクショ ンで起きる現象であると我々は理解しています。光学的特性としては、コンタクトレン ズについてはまずクリアしていると通常は理解しています。 ○土屋部会長 パワーポイントで出されてきました審査報告書の5ページにメニコンZ の3年実時間保存検体による安定性試験ということで、いわゆるコンタクトレンズの承 認審査基準というものがあるわけですが、それに従いました各光学的な物理化学的な特 性というものは、当初の承認時に検査されています。  使用中の蛋白等の付着による汚染についても、11ページに連続装用による汚染という ものが30日後、洗浄前と洗浄後でDk値においては変わらなかったというデータは付さ れています。もし、これ以外で何か将来的に、承認基準で先生の方でさらに踏み込んだ ものが必要であるということでありましたら、そういう承認審査基準の中に取り入れて もよろしいのではないかと思いますので、よろしくお願いします。そのほかありません か。 ○橋本(久)委員 実際に使用する場合は、30日連続装用後は使い捨てなのでしょうか。 それとも、洗浄したあともまた30日間という使い方なのでしょうか。 ○機構 このレンズは使い捨てではなくて、洗浄後も再使用します。 ○橋本(久)委員 そうすると、今話にありましたDk値が10程度減るということですが、 繰り返しで使ったときにどんどん減っていかないかという心配がありますが、軽度です ので、問題にしなくてもいいという判断なのでしょうか。 ○機構 Dk値は、1回30日間装用して一旦下がって、ある程度回復はしますが、大よ そこの数値で平均化するということが知られています。 ○土屋部会長 これは全体として、レンズとしての使用期限というのはあるのでしょう か。例えば3年間とか。割れない限りは使えるということでしょうか。 ○機構 特に規定はされていませんが、大体ハードコンタクトレンズの寿命は2年から 3年と言われています。 ○笠貫委員 先ほど名称が問題になったと思いますが、この新しい医療器具の販売経路 の安全性を保つために、例えばネット販売されていますと、1カ月という新しいコンタ クトレンズの場合はどこまで規制というか、指導は入るのでしょうか。ここで議論する 問題かどうかは分かりませんが。 ○土屋部会長 コンタクトレンズは多くの方が使われまして、使われ方によりまして眼 障害が出てきます。特にカラーコンタクトレンズでは以前に問題になりまして、我々も 試験したことがあります。それは薬事法以外で、インターネット上で売られているコン タクトレンズということですが、私は当初の審査をやっていますので、メニコンZにつ いての安全性試験は材料としては非常に適切なものであると考えていますが、30日間連 続投与による使用方法というところで、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 一応使用法としては、30日連続装用という新しいタイプですが、従来のコン タクトと同様に販売の指導の中で、適切な使用をしていくようにということを指導して いくことで考えています。 ○笠貫委員 販売経路というか、販売方法に関しては1カ月と従来のものとは、全然区 別無しで世の中に出していくというお考えですか。 ○事務局 はい。 ○笠貫委員 分かりました。 ○長谷川委員 今のお話に関連するのではないかと思います。資料6-1の33、34ページ との関連でお聞きしたいのですが、承諾書というのは誰宛に出す承諾書でしょうか。あ るいは、この保管はどこがおやりになる計画なのでしょうか。 ○土屋部会長 総合機構からお願いします。 ○機構 これは患者が医者に出すものです。 ○土屋部会長 使用される方が記載をして、保管はどちらに。 ○機構 眼科医に提出する。 ○長谷川委員 これは、眼科医がこの文書を保管するということですか。 ○機構 はい。 ○長谷川委員 それと、33ページにはいろいろな組織の名前が出ています。社団法人日 本眼科医会、コンタクトレンズ協会、株式会社メニコンという組織が並んでいますが、 それぞれこの管理手帳については了解されておられるのですか。メニコンは申請者でし ょうから問題ないでしょうけれども。 ○土屋部会長 その管理手帳についてそれぞれの団体は、その管理の方法は適切に指導 あるいは連絡が行っているのでしょうか。 ○事務局 既存のもので、このように管理手帳そもそもがありまして、今回管理手帳の 案の中で少し変更させていただいたのは、調子が良くても少なくとも1カ月に1回はレ ンズを外してケアを行って、レンズを装着せずに就寝し翌朝にはめてくださいというこ とで、30日間という長いことがありますので、ずっと付けっぱなしということがないよ うに、たとえ目の調子が良かったとしても30日に1回ぐらいは外してくださいというこ とを若干付け加えています。その他の基本的な管理手帳の構成としては、従来のものと 同じと考えています。 ○長谷川委員 つまり、ほかの既存のコンタクトレンズでも、この管理手帳はこういう 形式で出されていると。 ○事務局 出されています。 ○長谷川委員 一部文面が変わっていることについて、連続装用ということで、今後日 本眼科医会やコンタクトレンズ協会が、これに対して承服していないという意見が出る ことがないという考えですね。 ○事務局 多分、大丈夫だと思います。 ○倉根委員 御専門の方に伺いますが、不具合症状という言葉がいいのか。この3-9ス テイニングは何かをよく知らないのですが、2人に1人ぐらいこういう不具合と書くも のが出てくる。これはコンタクトについてはしょうがないことだという判断でよろしい のでしょうか。つまり、コントロールとあまり差がないので、角膜ステイニング自体の 問題はないのでしょうけれども、2人に1人が不具合と書くのが出てくるというのは、 コンタクトとしてはしょうがないという御判断というか、理解してよろしいのですか。 ○澤参考人 3-9ステイニングというのは、角膜の周辺部に上皮の極めて小さな欠損と いうものです。角膜の上皮細胞は5層ですが、そのうちの数層が小さな範囲で欠損する というものです。角膜径は12mmですが、現在のハードレンズは約9mmぐらいのサイズが あります。しかも非球面の形状をしていますから、しばしばハードレンズにおいて3-9 ステイニングという、ちょうど周辺部、角膜の3時と9時の方向に一致するところにそ うしたものが起きます。これはこのレンズに限ったものではありません。もともとのハ ードレンズは6mmとか7mmだったのですが、現在の酸素透過性を上げたレンズはサイズ が大きくなっているために起きているものです。厳密に見ると30何パーセント起きると いうことですが、これは検査全体の回数・件数からいきますと今回の資料でメニコンZ との比較でも、結果は16%ぐらいです。これはリーズナブルなというとおかしいのです が、ほとんど臨床で見られるデータで、これのみでは眼疾患に発展はしません。 ○土屋部会長 そのほかはありませんか。2週間程度で一度洗って、そして連続装用。 1カ月も付けっぱなしですと非常に汚れますので、きちんと管理し使用するようにして いただかないと、折角の30日というレンズの見直しになるかもしれませんので、その点 について眼科医学会と連携を取っていただきまして、名称の適切な表記も併せて御検討 していただきたいと思います。それでは事務局から。 ○事務局 2週間に一度ではなくて、1カ月に一度ぐらいは外して、きちんと手当てを してくださいということで、一応30日は大丈夫ということです。ただ30日は長いです ので、使用者がきちんと守らずに例えば2カ月も使うことがないようにと、少なくとも 1カ月に1回ぐらいはきちんと外してケアしてくださいということになっています。そ こを訂正させていただければと思います。 ○土屋部会長 分かりました。そのほか、特に御意見はありませんか。多くの御意見を いただきまして、ありがとうございます。管理の仕方が今後の問題になるかと思います が、それについて適切な名称も併せて、管理手帳等を含めた管理方法もさらに御検討い ただいた上で、そういったものを含めて変更もあるということも本会として御了承いた だきたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。議題6については、 本品目を承認しても差し支えないとします。9月22日に開催される薬事分科会において 報告します。本件の審議上、御出席いただきました澤先生、ありがとうございました。  引き続きまして、審議事項議題7の新医療機器の審議に入ります。なお、本審議品目 に関しても関与委員はおられないことを御報告します。それでは審議品目の概要につい て、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 次の品目の医療機器ムコアップの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定 の要否、製造承認の可否及び再審査期間の指定について、の御審議をお願いします。申 請者は、生化学工業株式会社です。  本品目は、ヒアルロン酸ナトリウムの0.4%溶液20mlを充填したバイアル製品です。 ヒアルロン酸ナトリウム溶液の特性であります粘弾性を利用しまして、内視鏡的粘膜切 除術を施行する際に、病変部位と粘膜下層の間に適量を注入することによりまして、そ の部分に滞留して粘膜層と筋層との間を引き離して、病変部位の切除又は剥離の操作性 を向上させることを目的とした内視鏡用粘膜下注入材です。審査の概要及び委員の先生 方から事前にいただきましたコメントの説明については、実際に審査を行いました独立 行政法人医薬品医療機器総合機構から御説明いたします。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料は7-1です。またスラ イドの内容は、資料7-2を御覧ください。  なお、申請者より添付文書案の訂正がありまして、本日差し替えの添付文書案を配付 させていただいています。訂正箇所は1カ所で、本日配付しました資料の表、警告欄で 黄色の網掛けになっている箇所です。本品目の審査において、御意見を伺った専門委員 をお示ししました。  審査品目の概要について、簡単に御説明します。本品は、1バイアル20ml中にヒアル ロン酸ナトリウムを80mg、0.4%含有する溶液です。ヒアルロン酸ナトリウムは鶏冠か ら抽出され、高度に精製されたものです。また、申請者が医薬品として承認を取得して いるオペガン及びアルツに使用されているものと同一の品質の原材料です。本品は、ヒ アルロン酸ナトリウム溶液の特性である粘弾性を利用し、EMR(内視鏡的粘膜切除術) を施行する際に、病変部位の粘膜下層に適量注入することにより、その部分に滞留して 粘膜層と筋層との間を解離させ、EMRにおける病変部位の切除又は剥離の安全性、完 全性を向上させることを目的とした製品です。  EMRの手法には切除部位において、十分かつ長時間持続する粘膜隆起を得ることが 重要となります。ヒアルロン酸ナトリウム溶液は高い粘弾性により、粘膜下注入液とし ての有用性が報告されていますが、粘膜下注入液としてのヒアルロン酸ナトリウム溶液 は承認されていないことから、EMR施行の際の粘膜下注入材として本品が開発され、 この度、生化学工業株式会社より製造承認申請されました。なお、現状ではEMR施行 の際に生理食塩液等が粘膜下注入されています。  不具合の状況ですが、本品が上市されている国は2006年7月現在存在しません。しか し、本品と同一の品質の原材料を用いたアルツ及びアルツディスポにおいて、国内外で 16件の感染症が報告されています。なお、申請者が品質管理情報を確認した結果、品質 には問題がなかったことから、これらの感染症はアルツ等に起因するものではないと考 えられました。本品は医薬品アルツ及びアルツディスポ等と同様に、製造工程中で、□ □□□□□□□□□により、製品の無菌性を担保しており、製品の無菌試験結果の確認 後に出荷判定を実施するため、本品に起因する感染症発現のリスクは極めて低いと考え ています。  また、アルツ等では重篤な副作用としてショック等が66症例、116件報告されていま す。ただし、その発生頻度は発売本数から見て非常に低いということです。申請者は類 似の医療品でショック等が発生していることを踏まえ、添付文書に本品の成分に対し過 敏症の既往のある患者を禁忌とすること。重大な有害事象として、本品と同一成分の注 射剤の投与により、ショック症状が現れることがあること等を注意喚起する対応を取っ ています。  本品の規格及び試験方法について、本品と同一の品質のヒアルロン酸ナトリウムから なるアルツ等を参考として、御覧のとおりの規格試験が設定されており、すべての試験 に適合することを確認し、了承しています。安定性に関する試験として、長期保存試験 等、スライドに示した試験が行われ、本品については室温保存で3年6カ月間安定であ ることが示されました。また、□□□□試験においてはエピネフリン液及びインジゴカ ルミン液を本品に混和した場合、混和後5時間以内であれば問題はないことが分かりま した。なお、その他の着色剤は本品に混和することにより、配合変化する可能性がある ことを添付文書に記載することとしました。  本品の生物学的安全性試験として、スライドに示した試験が実施されました。細胞毒 性試験、感作性試験及び遺伝毒性試験については、いずれも特に問題を認めませんでし た。急性全身の毒性試験では、ヒアルロン酸ナトリウム溶液の物性により大量の試料投 与は行えないことから、代替投与経路としてマウスを用いた腹腔内投与試験成績が提出 されました。その結果、本品が急性全身毒性又は消化管に対する毒性を誘発する可能性 は低いと考えられます。埋植試験はビーグル犬の胃内壁粘膜下に単回投与する方法で実 施されました。その結果、本品注入による粘膜下組織の傷害性は弱いことが示されまし た。以上の結果について、専門協議での検討を踏まえ了承しました。  効能を裏づける試験として、粘膜隆起作用他局注液との比較に関する検討試験等の成 績が提出されました。その結果、0.4%ヒアルロン酸ナトリウム溶液の粘膜隆起能は、こ のスライドにお示ししましたように臨床で使用例のある他局注液に比べて、最も強いこ とが示されました。性能を裏づける試験として、カテーテル通過性、粘膜隆起作用、至 適濃度の選定、同重量平均分子量の至適範囲の選定に関する検討を行った成績が添付さ れ、その結果、スライドにお示ししますように0.4%ヒアルロン酸ナトリウム溶液が最 も高い粘膜隆起を形成すること等の結果が示されました。機構は性能に関しまして、専 門協議での検討を踏まえ了承しました。  次に、臨床試験について御説明します。臨床試験は、本邦において二つの試験が行わ れています。一つは胃粘膜内腫瘍患者を対象として、生理食塩液を対照とした無作為割 付による多施設共同並行群間比較試験で、1群70例、計140例を対象として行われまし た。もう一つは、大腸粘膜内腫瘍患者を対象とした一般臨床試験で、41例を対象として 行われました。臨床試験の有用性の結果をこのスライドにまとめました。胃粘膜内腫瘍 を対象とした試験では、本品群は8例、対照群では10例の不適格例を除き解析が行われ ました。その結果、主要評価項目では有効以上は本品群90.3%であり、対照群56.7%に 有意に優れました。また、いずれの性別、年齢層、病変の大きさに対しても有効で、患 者背景によって有効率の差は特に認められませんでした。次に大腸粘膜内腫瘍を対象と した試験では、3例の不適格例を除き解析が行われました。主要評価項目において有効 以上は81.6%でした。  安全性について御説明申し上げます。胃粘膜内腫瘍を対象とした試験では、解析対象 症例数は本品群及び対照群ともに70例で行われました。両群間で、有害事象の発現率に 有意差は認められませんでした。重篤な有害事象は、本品群で5例、対照群で4例発現 しました。本品群の内訳は、このスライドにお示しするとおりです。いずれも、本品と の因果関係は関連なしとされています。また、出血に注目し、これを重要な有害事象と して発現率を調査しています。  本品群に術中出血7件、処置後出血10件、胃腸出血1件発現し、そのうち処置後出血 の1件で本品との関連性が否定できないとされました。大腸粘膜内腫瘍を対象とした試 験では、解析対象症例数41例で行われました。有害事象の発現率は46.3%でした。重 篤な有害事象はスライドにお示ししておりますように4件発現し、このうち出血の1件 が本品との関連の可能性有りとされています。重要な有害事象として、出血5例7件が 見られました。いずれの試験におきましても、本品群は有害事象のために試験が中止に 至るような例はありませんでした。  次に、審査においてポイントとなった点を御説明申し上げます。本品の使用対象とな る部位について、申請時には消化管全般にわたり使用可能と読めるような記載がされて いましたが、実際の治験で対象とされた胃及び大腸腫瘍に限定しました。また、適用と する腫瘍径について、日本消化器内視鏡学会によって作成された消化器内視鏡ガイドラ イン等を参考としまして、使用上の注意において原則20mm以下を適用とすることが追記 されました。以上の結果について専門協議での議論を踏まえ、臨床試験成績について機 構は了承しました。  表示について御説明申し上げます。当初、本品のバイアルが医薬品の注射用のバイア ルに酷似していたことから、機構は添付文書における注意喚起に加えて対策を申請者に 求めました。その結果、バイアルラベルとして間違えて注射剤として投与されないよう に、「禁注射」「高度管理医療機器」「内視鏡用粘膜下注入材」の文字が目立つ箇所に 明示されました。また、バイアルキャップにも医薬品の注射剤の用途では用いられない ように、内視鏡用粘膜下注入材の文字が印字されました。機構は、以上の表示に関する 回答を妥当なものと判断しました。  本品は、生化学工業株式会社製の既承認医薬品と同一の品質の、高度に精製されたヒ アルロン酸ナトリウムを主原材料として製造されます。ヒアルロン酸ナトリウムは鶏冠 を出発原料とすることからウイルスバリデーションを実施し、製造工程におけるウイル ス不活化もしくは除去を確認しています。また本品の無菌性保証は、医薬品のバリデー ション基準に準拠して行うことにより担保されています。製造方法の概略はスライドに お示ししましたように、□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□充填され密 封されています。機構は以上の内容について、妥当なものと判断しました。  以上の審査を踏まえ、総合機構は本品を内視鏡的粘膜切除術における胃及び大腸腫瘍 部位の粘膜隆起形成維持を使用目的として承認して差し支えないと判断しました。なお、 本品は新効能医療用具であるため、再審査期間は3年とすることが適当であると判断し ています。また、本品と同じヒアルロン酸ナトリウム溶液からなる医薬品は、生物由来 製品及び特定生物由来製品のいずれにも指定されていないこと。また、本品は高度に精 製されていることを踏まえ、本品は生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと 考えています。以上です。 ○機構 次に、事前に委員の先生方よりいただきました御意見と回答を説明します。許 先生から、審査結果は妥当な判断と考えるとの御意見をいただいています。飯田先生か ら、製品自体の問題点よりもEMRにおける適用、技術的問題点を周知徹底させておく 必要があると感じておりますとの御意見をいただいています。この点について申請者に 確認しましたところ、「EMRは消化管における粘膜内の腫瘍病変を切除するために開 発された治療法です。また、本品は治験で対象となった胃及び大腸の腫瘍への使用に限 定されています。技術的な問題としては、病変の部位や鏡視下の状況や切除操作の困難 さに影響します。また、切除や剥離時の処置具の通電のタイミング、位置や深さが偶発 症の原因となります。いずれにしても、適切にEMRを行うためには技術が必要で、医 師の習熟度が問題と考えます。本品の添付文書の警告欄においては、万一穿孔等により 開腹術によるリカバリーが行える環境を条件とするため、緊急時に十分対処できる医療 機関において」と前置きがされ、内視鏡下粘膜切除術について十分な経験を持つ医師が 使用することを注意喚起しています。  笠貫先生から、要約させていただき申し訳ありませんが、「医薬品医療機器総合機構 の見解は妥当と思われる。ただし、本品目は世界初かつ本邦のみで使用される新効能医 療用具であり、安全性についての十分なデータはまだ蓄積されていない。特に用途は異 なるとしても、本品と同一成分からなる製剤で、ショック等副作用が報告されているこ とから、本品使用に伴う不具合に関して情報収集、市販後調査の徹底が必要と思われる」 との御意見をいただきました。本品は新医療機器であることから、3年間の再審査期間 が付されます。申請者は700例を対象とした使用成績調査を計画しており、その中で先 生から御指摘を受けたショックについて重点調査項目とすると回答しています。さらに ショックについては重要な情報であることから、本品の添付文書においても同成分の医 薬品にショック症状が現れた旨の注意喚起を記載しています。  橋本久邦先生から、審査報告書の8ページの3.2、安定性に関する資料の項に「内視 鏡用カテーテルはオリンパストップ及び住友ベークライト社製のものは使用可能である ことが示されたとあるが、添付文書において使用可能なカテーテルを限定する必要はな いのか」との御意見をいただきました。申請者に回答を求めたところ、本試験に使用し たカテーテルについて治験実施前に各医療施設に調査を行ったところ、これらの会社の 製品が使用されていることを考え、本試験では代表してこれら3社の製品を使用したと いうことで、カテーテルを限定する必要はないと判断しておりますという回答でした。 御審議のほどよろしくお願いします。 ○土屋部会長 それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問等ございますか。 ○勝呂委員 つまらないことになるかもしれませんが、これは医療用品4の整形用品に 入れなければいけないものですか。分類が大きな問題で、圧倒的に消化器外科、あるい は消化器内科で使うものを、整形用品に入れざるを得ないのかどうか。というのは、「禁 注射」と書いてあります。中身がヒアルロン酸だからといって整形のほうで使うような ことはないと思いますが、そこの分類でいいのかどうかと思いまして、それを是非聞い てみたいと思います。 ○土屋部会長 クラス分類ですから、事務局でしょうか。 ○勝呂委員 類別のところは、例えば審査報告書の最初に、類別、医療用品4「整形用 品」となっています。整形というのは、辞書を引くとorthopaedicとなるのです。でも 形成とするとplasticで、どこの分類に入れていいのか分からないので、ちょっと聞い てみたのです。 ○土屋部会長 では、審査部長からお願いします。 ○機構 総合機構より、お答えさせていただきます。類別や一般的名称に何を書くかと いうのは、サイエンティフィックな評価ではなく、現行法において、どこに医療機器と して該当しそうなところがあるかということを総合的に考えて、いちばん近いところに 入れているという事情があります。今回の場合は類別でいきますと、医療用品の4号の 整形用品がいちばん近かったことがあり、入れさせていただきました。  一般的名称については、この申請自体が旧法の申請ですので、その当時のもので、「そ の他の外科、整形外科用手術材料」という所に入れていますが、新法下においては、ま た別途適切な一般的名称を制定させていただき入れていくのかなと思います。 ○勝呂委員 ですから、添付文書を書くときにムコアップの頭の所に、間違えることは ないと思いますが、整形外科用手術材料というように明確に書かれてしまうわけです。 そうすると、昨今の研修医はここに書いてあるから整形外科で使っていいのではないか、 ということになるわけです。ですから、そこが目的ではないことを明確にするものを表 に出したほうが、安全性の上ではいいとは思うのです。 ○事務局 というような状況ですので、一般的名称につきましては、別途検討させてい ただければと考えています。 ○土屋部会長 その他ございませんでしょうか。 ○許委員 非常に素朴な疑問ですが、注射というのは皮下、筋肉内、静脈内。粘膜下層 には注入という言葉を使うのですが、これは医学的には一般的なことなのでしょうか。 というのは、注射と注入と、医薬品と医療機器と、非常に微妙な境目のようなもので、 同じ成分が医薬品として扱われている。我々臨床医からいうと、粘膜下に投与しようと 皮下に投与しようと、感覚としては同じだと思うのですが、その辺の定義を教えていた だければありがたいと思います。 ○機構 チームとして回答させていただきます。当初私たちも注射と注入の使い分けを どうしようかということで困りまして、局方では注射剤が明確に定義されていますので、 注射については概念上すでに固まっているものかと思います。  ただ、注入という言葉については、現状医療の中で定義されているものが明確にあり ません。辞典的に考えますと、注入という言葉は、注射のいちばん最初の行為になるよ うな工程になるかと思います。それで注射という言葉を使ってしまうと、医薬品のよう な用途と考えられてしまいますので、苦肉の策で注入剤と、「剤」の字も換えたような 経緯です。 ○許委員 皆さんの御意見を聞きたいのですが、一般的感覚としては、注射というのは 注射した部位からある意味では生体に吸収され代謝され消失していくと。注入というの は、入れたものがその場にずっととどまっていて、医療機器、器具として扱うためには、 それがある一定期間、しかもそれが数日、あるいは数カ月、数年という形で、その部位 にとどまっているようなものを言うのではないかという感覚がしたのです。苦肉の策と いうのはよく分かるのですが、言葉の感覚として、「注入」とした場合と「注射」とし た場合。注射とした場合は、必ずそれが吸収され、局所であれ全身であれ、薬効を持っ てくるわけです。そういう薬効がないという意味では確かにおっしゃるとおりですが、 注入という言葉を、今後のこともありますので、注射に対する言葉として定義されてい たほうがいいような気がします。以上です。 ○土屋部会長 では、定義をどのように扱えばいいのか。添付文書の中に「注入材とは」 と説明を書かれるのでしょうか。この場合には、手術時もしくはあとに、すぐ除去をさ れるわけですよね。 ○機構 時間的なことは考えておりませんので、この後に切り取って、切り取ったもの は当然病理のために取るのですが、残ったムコアップ自体は流されてしまいますので、 一時の注入ということでの使用です。新しい文言ですので、これを機に文言はまた考え なくてはいけないことになりますので、現状すぐの御対応は難しいのですが。 ○土屋部会長 一時的注入材とイメージする、テンポラリーということで、その辺りは いろいろな今までの定義との関係を考えて、適切に作っていただきたいと思います。そ れを添付文書の中に、注入材の使用の間違いのないということについては、どこに記載 してあるのかを説明していただければと思います。これは警告の所に書いてあります。 ○機構 御説明します。添付文書の表「警告欄」において、本品は注射しないこととい う注意喚起がなされています。「本品は医療機器の粘膜下注入材であり、医薬品の注射 剤ではない。静脈内はもちろん、皮下、筋肉内にも注射しないこと」という記載におい て、注意喚起を行っています。 ○土屋部会長 例えば注入した後に、間違ってまた別の箇所に注入して、そのまま放置 されることはないのでしょうか。一時的注入材であり、そのまま生体内にとどめるもの ではないとか。 ○機構 いまの御質問に対する直接的な回答ではないかと思いますが、重要な基本的注 意という欄において、「術中出血及び処置後出血が報告されているため、術後の十分な 経過観察を行うこと」というように注意喚起を行っています。その適用した部位につい ては、十分な経過観察を行う、ということでよろしいかと思います。 ○機構 本品は、注入した後に病理組織を切り取ってきまして、それを確認しないとい けないことになります。ですから、間違って注入してそのまま放置されることは、ちょ っと考えづらいものかと思います。 ○勝呂委員 質問の補足ですが、間違ってではなくて、要するに切除してしまえば、そ れは外に出るからいいだろう。ただ、粘膜下にそのまま滞留、貯留をしていた場合に、 その行く先はどうなるかということも含めて、大量に粘膜下にあった場合に、例えば本 品は20ccですが、マキシマム60ぐらいまで使ったとする。その場合、使わなければい けない場合が一つです。だから、その運命はいかにかという質問も含めてだと思うので すが。 ○機構 大量に使われて、そのまま残ってしまうということですか。 ○勝呂委員 そうではないのですが、どうせこれはヒアルロン酸ですからあっという間 に吸収されて、いずれにも肝経由で、肝臓の上皮細胞で代謝されて血中に乗って、呼気 から排泄されるのが、ヒアルロン酸の代謝なのです。だから、わずか0.5の4%だから 別にどうということはないだろうという質問をも含めて伺ったのです。 ○機構 安全性の資料の中で、本品は1,470倍まで使っても安心ということで報告され ています。通常の使用量の中では、仮に残ったとしても安全であると、審査の中では考 えた状況です。 ○倉根委員 ヒアルロン酸自体はすでにほかでも使われているので管理はされていると 思いますが、この鶏は、これ用の鶏なのですか。それとも、いわゆるその辺にいる鶏な のか、これ用に会社が管理している鶏なのか。 ○事務局 特段、医薬品製造専用ということで飼育している鶏ではないというように、 理解しています。 ○機構 いまの補足をさせていただきます。申請者によりますと、申請書の別紙に、原 材料欄において、「当該ヒアルロン酸成分は健康な動物に由来し、鶏冠は食鳥検査法に 基づき、衛生的に管理下で処理、加工されたものを使用している。かつ食鳥検査法に基 づく生体検査及び脱羽後検査に合格した健康な鶏から採取されたものである」という記 載がなされています。 ○倉根委員 何か生物生体でいつも問題になるのですが、「健康な」というのは見たと ころ健康、あるいは何匹、1羽をピックアップしてということなのかもしれませんが。 ○山口委員 その健康な、という話ですが局法に健康な動物という定義がありまして、 動物を見て健康かどうかを判断するのではなく、それを作った製品から見て、元の動物 が健康であったということまで判断できないといけないという意味での健康な動物、と いう判断をしております。 ○勝呂委員 機構で分かるかどうか分かりませんが、内視鏡下で粘膜下に注入するので すが、ちょっと針が深く行った場合には、筋層に入るわけです。その場合どのようにな るか答えがありますでしょうか。要するに、高分子のヒアルロン酸ですので、分子量が 最高で90万ぐらいだと思うのです。  なぜかというと、関節内のいわゆる腔内に入らず滑膜に入れたときに、患者さんはも のすごく痛がるのです。それである程度濃度、分子量が上がれば上がるほど、グラニュ ローマを作る可能性が高いのです。だから、平均□万ですからいいとは思うのですが、 分子量が上がれば上がれば上がるほどグラニュローマを作るので、腸管の筋層に刺さっ たときにどうなるかということも、情報がありましたら、と思います。そのようなリス クに対応するという意味で、本来のところでスペースに注入されればいいですが、下に 行ったときには、筋肉内に注入されるわけです。そうした場合の検討がなされているか どうかです。 ○機構 申し訳ございません。今回の中では、そこまでの討議には至ってないものかと 思います。ただ、ガイドラインは胃と大腸が両方設定されているのですが、そちらで習 熟度が大事だという御説明がありまして、そこで何か先生方が、入ったときの形状で御 理解できるような文面は読んだことはあります。ちょっと回答になっていなくて申し訳 ありません。 ○勝呂委員 これは、針が入った段階では分からないのです。だから入れて初めて膨ら んで、違う場所だなというのは分かるのですが、では筋肉内に高濃度のヒアルロン酸の 高分子が入った場合は。でも、0.4%だから吸収されてしまうでしょうが、肉芽形成、グ ラニュローマを作る可能性はゼロではない。だから、しかるべきトレーニングなどを推 奨して入ることを。どこかの添付文書の中に、筋肉内には打ってはいけないと書いてあ ります。腸管のあれも筋肉で、それもまずいのです。これは余分で、関節内には打たな いと思いますが、それもちょっと確認したほうがよろしいかなと思います。 ○土屋部会長 警告に、もう少し詳しく記載したほうが。 ○勝呂委員 ですから、筋肉内に入ったときにグラニュローマは作らないという、明確 なデータがないのです。あくまでも注入で開くという目的でやっているからいいのです が、もし針先が筋肉内に行ったときには筋肉を裂くわけで、それはグラニュローマを作 る可能性があると。 ○土屋部会長 具体的に先生が添付文書で、何か書いたほうがいいというのがありまし たら。 ○勝呂委員 それは、確認しておいたほうがいいと思います。 ○土屋部会長 ヒアルロン酸というのは、アルツでかなり生化学工業が使っていますが、 分子量によってかなり粘度が違います。低分子量ですとどんどん吸収されていきますが、 分子量が高くなればなるほど吸収は遅くなります。時間が経ちますので、そこで先ほど のような異物反応が起こる可能性があると。ですから、術後の経過の観察を行うことを、 「十分な経験を持つ医師が使用すること」の中に、「経過観察も行う」という文章を一 つ加えておけば、そういったことが防げるのではないかと思います。 ○事務局 術後の十分な経過観察は行うようにという記述は、使用上の注意の重要な基 本的注意の(3)に、出血の観点からもともとは入れたものですが、記述をさせていただ いています。 ○土屋部会長 ちょっと線が同じぐらいの太さなので、もう少し目立つようにしていた だけると、今までの先生方の御心配も防げるのかなと思います。太字にしていただくと か。手技的にいろいろな問題があると思うのですが、必ずしも打った場所が粘膜下に行 くかもしれないし、行かないかもしれない、ということがあると、術後観察が非常に重 要であろうと。 ○機構 添付文書の記載方法がありますので、太字にできるかどうかは今確認できない のですが、もう少し目立つ位置、もしくはより重要な位置に持ってきたいと考えます。 ○土屋部会長 分かりました。その他ございませんか。 ○許委員 添付文書の最後のページの大腸粘膜腫瘍の臨床データで、手術補助能で無効 が18.4%あるのですが、この無効というのは、隆起しなかったということなのですか。 添付文書にも臨床成績は書いてありますが、これは単に注入材ですから、適用さえ間違 わなければ、何か粘膜下にブッと入れれば隆起するのではないでしょうか。 ○機構 一括完全切除が得られなかった、または判定不能のいずれかで、無効というこ とになっています。 ○許委員 先ほどの議論と同じですが、結局熟練した方が行って注入場所さえよければ、 これは当然粘膜が盛り上がるわけです。この場合の無効は、盛り上がらなかったという ことなのか。結果として、そういう定義で無効と判定された、とおっしゃいますが、実 際はなぜこれは盛り上がらなかったのか。たぶん先ほどの議論と同じように、打つ場所 が、ちょっと層が違ったのではないか、そんな話になるのでしょうか、という質問です。 ○機構 お配りしております資料7-1の128ページですが、判定としては、一括完全切 除が、まずは得られなかったことが、一つの理由になるかと思います。  例えば実例の170ページですが、こちらの有効性の評価で手術補助の無効ということ で、一括完全切除の判定で得られなかったことがあります。まず一つは、一括切除がで きなかった時点で、もう無効という扱いになってしまいます。 ○土屋部会長 その他ございませんでしょうか。 ○倉根委員 添付文書の不具合、有害事象の6、7ですが、例えば妊婦、産婦、授乳婦 等の「等」とよく出てきます。それから、小児等への使用の「等」というのは、何なの でしょうか。その前の高齢者は、高齢者等とは書いていないのですが。 ○土屋部会長 総合機構でお願いします。「等」は削除しますか。 ○機構 申し訳ございません。なぜ「等」が付いているかは分かりません。ただ、医薬 品でもこの表現を使っていて、そのまま生まれてしまったようなのです。ですので、こ の「等」についてはメーカーさんに聞いてみたいと思います。 ○医療機器審査管理室長 すみません、正確には確認したいと思いますが、妊婦、産婦 はその可能性のある婦人を入れるので、たぶん「等」が入りまして、小児はおそらく言 葉的には新生児とか幼児、小児ということで、年齢別にと言いますか、月例別にもう少 し細かい分類もあるので、それも含めての「等」ではないかと思われます。 ○倉根委員 もう一つ。私は臨床ではないのですが、小児等に対する安全性は確立して いないというのは、使うなということなのですか。使ってもいいが安全性は確立してい ない、というような読み方ですか。 ○土屋部会長 どうでしょうか、対象患者として。 ○機構 ここら辺の考え方は、すべて医薬品も同等に考えていまして、使ってはならな いということではありません。情報として確立されていない、ということの提供です。 ○土屋部会長 万が一使われる場合には、慎重に観察しながら量も考える、ということ ですね。 ○機構 左様でございます。 ○土屋部会長 先生方からたくさんのご意見をいただきまして、時間が過ぎてしまいま した。ここで今までいただいたご意見について、文章の位置を少し前に持ってくるとい う点については考察をして、今後メーカーとのやり取りで直していただくということで、 本部会としては、本品目については了承していただけるということでよろしいでしょう か。 ○土屋部会長 それでは、本品目については、9月22日に開催される薬事分科会におい て、報告いたします。  それでは、報告事項8について、事務局より報告をお願いします。 ○事務局 平成18年5月1日から平成18年7月31日に承認された品目のうち、本部会 への報告対象となっている品目について、御報告をさせていただきます。一応、数とし ては12品目ございます。詳細については、審査を行いました独立行政法人医薬品医療機 器総合機構から説明します。資料は8-1になります。 ○機構 時間も限られていますので、簡単に御説明します。まず、2ページ目のグラシ ルです。これは、テルモ(株)より製造承認申請されたものです。品目の概要としては、腎 不全患者の血液透析等における体外循環のためのブラッドアクセス等に用いられる3層 構造の人工血管です。本品については、新規原材料を用いていることと、中層の原材料 に、針刺後の針孔を閉じる性質があるので、血液漏れを低減するという意図があること から、改良医療用具として申請されたものです。  2品目のスーパーフィクソーブMX30と、3品目のスーパーフィクソーブMX40につい ては、両品目ともタキロン(株)より製造承認申請されたものです。スーパーフィクソーブ 30については、30%ハイドロキシアパタイト粒子と70%ポリL-乳酸からなるスクリュ ーです。  40については、40%のハイドロキシアパタイトからなるプレートです。両品目とも既 承認品のスーパーフィクソーブ30と、類示のスクリュー、プレートであることから、既 承認の再審査期間中の申請ということで、新医療機器として申請されています。両品目 とも先発品の再審査期間終了までの再審査期間を付しております。  次のページのピレーネは、三菱瓦斯化学(株)より製造申請されたものです。これは Office Bleachingに使うための歯科用漂白剤で、二酸化チタンを加えた点が、改良点と なっています。  次のストーンコーンは、ボストン・サイエンティフィック株式会社より輸入申請され たものです。これは、結石破砕装置の後に、結石摘出術に用いられるコイルです。コイ ルの形状と原材料が新規だということで、改良医療機器として申請されました。  次が、GDCコイル、ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社の輸入申請、 一変申請のものです。これは脳動脈瘤のコイルでして、当初構成品となっていたパワー サプライを他の製品にも使えるようにと別品目申請をされて、また、コイルの末梢領域 への適応拡大を図ったものです。  ヴァスキュラーSelfxは、アボット・ヴァスキュラー・デバイシス・ジャパンより輸 入申請されたものです。これは腸骨動脈用のステントです。  3ページのエラストマイド ナチュラル イントラオキュラーレンズ・システムは、キ ヤノンスター株式会社より製造申請されたものです。こちらは、マルチピース型の後房 用の眼内レンズでして、既承認品のものと同様ですが、青視症を緩和するように黄色の アゾ系色素を加えたものです。  ソフスピンは、ボシュロム株式会社より一変申請されたものですが、こちらは終日装 用の2週間交換のソフトコンタクトレンズとなっています。こちらも色素を添加したも のと、累進屈折力のレンズ等のレンズを追加したこと、化学消毒剤との適合性を確認す るための一変申請です。  次が、マイクロドライバーコロナリーステントシステムで、日本メドトロニック株式 会社より輸入申請されたものです。こちらは、冠動脈のステントとデリバリーシステム ですが、既承認品よりもやや細い径、2.25mmまで細くすることにより、細い血管への適 応を可能としたものです。先発品として、同じ径のものがすでに承認されていまして、 その先発品との再審査期間の終了までの再審査の期間を付しています。  エドワーズMC3人工弁輪は、エドワーズライフサイエンス株式会社より輸入申請さ れたものです。こちらは、三尖弁用の人工弁輪です。本品は、既承認品のカーペンター エドワーズリングの形状に、三次元的な整形を付加された人工弁輪になっています。  4ページは、モザイク生体弁、日本メドトロニック株式会社より、一変輸入承認申請 がされたものです。これは生体人工心臓弁でして、ステントポストを内倒させることに より植え込みやすくしたタイプの追加、縫合輪形を縮少することにより、弁輪形の小さ な患者により大きな弁口面積が得られるようなものを追加した、という一変申請です。 以上です。 ○土屋部会長 ご質問等ございますか。会終了後でもいいのですが、スーパーフィクソ ーブの製造のどのような点が新規なのかを教えていただければと思います。  当初承認のあった平成15年8月28日から起算して3年と言いますと、本日は9月1 日ですから、承認日が5月10日で、これは新医療機器と。そのシステムがちょっと分か らないのですが、3年以内に新しいものが、製造の変更で申請された場合に、新医療機 器で審査されるというのは。 ○機構 再審査期間中の類似の新医療機器については新医療機器として、当初の先発品 と同様の添付資料、データをもって審査することになっています。それを新医療機器と して扱い、再審査期間は、当初新製品の再審査期間と同じ再審査期間を付すこと、とな っています。 ○土屋部会長 そうすると、スタートは5月10日からさらに3年間ということですか。 ○機構 いえ、3カ月間です。このものにつきましては、先発品と同じように評価でき るとこちらは考えていまして、それほど類似なものですので、再審査のデータを併せて 評価できると、こちらは考えています。 ○土屋部会長 前の先発品はおやめになることはありますか。 ○機構 すみません、それは伺っていないです。 ○土屋部会長 そのほか御意見はございませんでしょうか。  それでは、私のいろいろ不行き届きなところがありまして、時間が15分ほど超過して しまいましたが、議題は以上です。連絡事項はございますか。 ○審査管理課長 一言御挨拶させていただきます。本日付で審査管理課長を拝命しまし た中垣です。安全対策課の折りにも先生方にお世話になりましたが、引き続き審査管理 課としてもお世話になるかと思います。ひとつよろしくお願い申し上げます。 ○事務局 次回の医療材料部会ですが、日程調整中ですので、12月前後に開催させてい ただきたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。 ○医療機器審査管理室長 それでは、本日予定の御審議はすべて終わりましたので、部 会はこれで終了します。長時間にわたりまして、大変ありがとうございました。                                      (了) 連絡先: 医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 広瀬(内線2912)