06/08/28 第29回独立行政法人評価委員会医療福祉部議事録 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第29回) 平成18年8月28日(月) 厚生労働省2階共用第6会議室 ○部会長  定刻になりましたので、ただいまから第29回独立法人評価委員会医療・福祉部会を開 催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき、 まことにありがとうございます。  今回は、石井委員、宗林委員が御欠席でございます。  それでは、初めに事務局から本日の議事について簡単に説明をお願いします。 ○政策評価官  政策評価官です。このような狭い会議室で大変恐縮でございますが、よろしくお願い 申し上げます。  本日の議事について御説明いたします。  まず、議事の(1)として、「福祉医療機構の業務方法書改正(案)」について御審議 いただきます。  次に、議事の(2)として「平成18年度における独立行政法人の業務の見直し」とござ いますが、具体的には、以前の部会でも御説明いたしましたとおり、政府全体の政策金 融改革との関係から、福祉医療機構の業務等の見直しについて、中期目標期間最終年度 よりも前倒しで実施することとなっております。  本日の部会では、福祉医療機構の組織・業務の見直しについて、厚生労働省としての 当初案を提示させていただき、これに関して御意見を賜りたいと考えております。  最後に、議事の(3)の「その他」といたしまして、「国立重度知的障害者総合施設の ぞみの園の役員給与の規程改正」について報告をさせていただきます。  なお、独立行政法人通則法の定めにより、業務方法書や中期目標・中期計画の改正に ついては、案の段階であらかじめ評価委員会の御意見を賜ることになっておりますが、 役員の給与規程・退職金規程の改正については、法人から届け出があった後、事後に評 価委員に御紹介することになっております。その位置付けの相違により、資料1系列で は「案」という文字が付されていますが、資料3には付されておりません。  それから、7・8月の暑いさなか、大変熱心に御審議をいただきました3法人の平成 17年度の業務実績の評価結果及び財務諸表に関する意見書につきましては、部会長の御 了承を経て、各法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に通知するととも に、委員の皆様にも郵送させていただいております。  最後に、事務局からのお願いでございますが、本日、議事の(2)がメインである関係 上、議事の説明の順序を、議事次第の番号で、(3)、(1)、(2)の順とさせていただけれ ばと考えております。以上でございます。 ○部会長  ただいま評価官から議事の説明順について提案がありましたが、御意見等はございま すでしょうか。 ○各委員  (異議なし) ○部会長  では、そのようにさせていただきます。  それでは、まず初めに、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の給与規程の改正に ついて、説明をお願いいたします。 ○のぞみの園総務課長  のぞみの園の総務課長をしております鈴木と申します。本日、法人事務局長が所用の ため出席できませんので、私から説明させていただきます。  資料3でございます。資料3−(1)が新旧の対照表となっております。資料3−(2)が 改正後の全文です。  今回の役員給与規程の改正ですが、前回、のぞみの園の個別評価の際にも効率的な業 務運営体制の確立のため、経費の削減、職員給与の見直しとあわせて役員給与について も3.5%引き下げるという説明をしております。国家公務員との給与格差が14%ほどあ りまして、その格差を是正するという観点から平成16年4月、組合との交渉の中で3.5 %の引き下げを行いました。それに引き続いて17年、18年についても約3.5%の引き下 げを行っております。それに伴う給与規程の改正が今回の御説明でございます。以上で す。 ○部会長  ただいまの御説明につきまして御質問、御意見がありましたらお願いします。  特に御意見がないようですから、当部会として報告を承ったということでよろしいで しょうか。 ○各委員  (異議なし) ○部会長  では、そのようにさせていただきます。  次に、福祉医療機構の業務方法書改正(案)について、事務局から説明をお願いしま す。 ○福祉医療機構企画指導部長  資料1−1「独立法人福祉医療機構業務方法書改正(案)の概要」をもとに説明させ ていただきます。新旧対照表については1−2−(1)になります。  今回の業務方法書の改正は、障害者自立支援法の平成18年10月施行分の改正に合わせ て、機構の貸付対象となる障害者関係施設及び事業の区分を新体系に合わせるという改 正が大きな1点目です。  もう1点は、新サービス体系への移行に伴って施設に支払われる行政からの事業運営 費の支払いが若干後ろにずれるという変更があります。施設の中には一時的に資金繰り が悪化する可能性もあるということで、それに備えて経営資金(つなぎ資金)の特例融 資を行う。この2本立ての内容です。  1 障害者自立支援法による施設及び事業の再編に対応した貸付対象施設及び事業の 変更ですが、本年10月1日施行と考えております。  (1)私どもの業務方法書第4条において貸付対象施設・事業が規定されておりますが、 この施設・事業区分を新しくできましたサービス体系に合わせて改正するというもので す。  下に現行、改正後ということで、4条で規定している障害者施設を示しています。こ れが法律改正に合わせて変わるという内容です。  なお、自立支援法に経過措置が設けられていますので、経過措置期間中は、従来の貸 付対象施設も機構融資を受けられることとしています。改正後の四角の中にカッコ書き で3つ書いてありますが、そういう趣旨です。今回の改正で事業の名称等は変わります が、従来の施設に対して私どもは従来どおり融資をいたしますし、今回のもので何かも れるとか、そういうことはございません。  (2)業務方法書の第9条の改正になります。都市部における用地難の緩和を図るため、 特定の既存施設と併せて設置する場合、無利子貸付の対象施設を規定しておりましたが、 これを新体系に合わせて変更するというものです。  具体的には、その下にあります「現行」から「改正後」に改正をするという内容です。  (3)老朽化に伴う社会福祉施設の整備事業の整備事業に係る無利子貸付の対象施設が 別表1に定められておりました。また、地震対策緊急整備としての木造施設に対する整 備事業に係る無利子貸付の対象施設が別表8に定められていました。ここでも障害者関 係施設が含まれていましたので、新体系に施設、事業名を合わせて変更するというもの です。  (4)私どもの福祉貸付については融資率は通常75%なのですが、障害者関係は従来の 措置施設の流れをくんで80%となっております。これにつきましては別表9で個別に施 設名を列挙しておりまして、障害者対象施設も含まれておりますので、これを新体系に 合わせて変更するというものです。  2 経営資金(つなぎ資金)に係る貸付金の限度額等の特例ですが、附則第9条で新 しく設けるものです。  目的のところに書いてありますように、新たなサービス体系に移行する障害者関連施 設については、新制度による福祉サービス費等が最初に支払われるまでに最大3ヵ月ぐ らいおくれます。大きい施設では問題ないのですが、NPO等もありますので、経営が 一時的に苦しくなる場合もあるということで、つなぎ資金を融資するという特例措置を 講じるという内容です。  期間ですが、平成18年10月1日から経過措置期間が終了する日(平成24年3月31日ま での政令で定める日)以後3ヵ月経過するまでの間としています。  特例の内容は3つあります。1点目は、貸付金の使途について、共同生活介護を行う 事業、共同生活援助を行う事業にかかる経営資金も対象とする。  2点目は据置期間です。通常6ヵ月ですが、今回は1年以内を設けることができる。  3点目は限度額です。通常であれば必要な資金に融資率、障害だと80%を掛けたもの が上限ですが、給付が最大3ヵ月ぐらい延びるということですので、その分が手当てで きるように3ヵ月分の介護給付費等とするということです。  以上が今回の主な改正点でございます。 ○部会長  ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。 ○山村委員  自立支援法の施行に伴う改正ということで、特段異議はないんですが、1番の(1)の ところで、経過措置があるので、従来の施設も対象にするんだという説明がありました。 (2)、(3)については経過措置は配慮しなくていいんでしょうか。 ○福祉医療機構企画指導部長  結論から申しますと、(2)、(3)は経過措置分の施設に対する貸付けはありません。行 政としては、そこについては新しい体系に速やかに移行していきたいということで、こ こに書いてありますのは無利子貸付という特例のものですので、そういう形になったと いうことです。 ○部会長  特に御意見もないようですので、当部会の意見としては、原案のとおり了承し、以後、 事務局において必要な手続を進めていただくことにしたいと思います。万が一、多少の 字句の修正等が必要となった場合には、事務局と相談して処理したいと思いますので、 私に御一任いただけますでしょうか。 ○各委員  (異議なし) ○部会長  では、そのようにさせていただきます。  それでは、3つ目の議案でございます。平成18年度における独立行政法人の業務等の 見直し、具体的には福祉医療機構の組織・業務の見直しの当初案について、事務局から 説明をお願いします。 ○政策評価官  まず、参考資料2をごらんいただきたいと思います。法人の設立から中期目標期間進 行の中で、これまで部会としてどのような審議をいただいたか、段階に応じてまとめて あります。右端に「中期目標期間終了時」と書いてありますが、次期中期目標期間に向 けて、それまでの実績を御評価いただいたものを踏まえて、次なる目標期間に向けて業 務・組織全般を見直すことになっております。中期目標期間最終年に大臣が次なる目標 期間に向けて組織・業務の見直しを図り、それに向けて評価委員の先生方から御意見を 伺うということが定められたプロセスとなっています。  福祉医療機構につきましては19年度末に中期目標期間が区切りを迎えるため、それに あわせて見直し作業を終了することが予定されていましたが、1年前倒しをして、今年 度やらせていただくというのが全体の中での位置付けです。  次に、資料をごらんいただきたいと思います。これから何が起こるかということを見 た場合、今から御審議をお願いします夏の陣と冬の陣と2回の動きがございます。  この表は、平成17年度に国立健康・衛生研究所が見直しのプロセスを踏んだ時の実績 でして、何月何日というのは本福祉医療機構については多少の変更はあろうかと思いま すが、大筋このようなプロセスを踏むものと御理解いただければと思います。  「厚生労働大臣」と書いてある下の四角に(1)とありますが、ここがスタートラインで す。健康・栄養研究所については、調査研究部会で従来から御審議いただいておりまし たので、厚生労働大臣としての見直し案を8月18日に調査研究部会に諮り、そこでいた だいた御意見を総会につないでいただき、総会で、部会としての御意見も踏まえた上で 議論していただき、厚生労働大臣から政府の中にある行政改革推進本部に、夏の時点に おける見直し当初案を提示しました。  これに対して、政府の中の減量・効率化有識者会議から意見が出てきたり、それを踏 まえて、政策評価・独立行政法人評価委員会としての「勧告の方向性」、厚生労働省が 整理した見直し案に対する御意見が出てくるなど、プロセスを経た上で、再度、厚生労 働大臣としては冬の陣として、一連の御議論を踏まえた上で、改めて見直し案を部会に 諮り、総会に諮り、そこで御審議いただいた御意見を踏まえたものとして、改めて政府 の行政改革推進本部に正式に見直し案をお示しする。それについては見直し案というこ とで政独委にもう一度御意見をいただくようなプロセスを経た上で、最終的に政府とし て年末に、法人についての見直し内容が決定される。このようなプロセスを踏んで、政 府として独立行政法人の今後の組織・業務についての見直しを図らせていただく。  この一連の流れの中で、本日は(1)ですが、厚生労働大臣として現在考えております見 直しの当初案について部会にお諮りし、本日の御意見を踏まえて、明日の総会において 議論を深めていただいて、現時点における当初案に対する厚生労働独立行政法人評価委 員会としての御意見を賜るという形で進めさせていただきたいと思っております。その 第一歩として本日御審議をお願いしていることを冒頭に申し上げさせていただきます。 ○社会・援護局福祉基盤課長  ただいま評価官から説明がありましたが、8月中に御審議を経て、総務省に厚生労働 省としての福祉医療機構の見直し当初案を出していくということです。  お手元に机上配付資料2−1、2−2、2−3という一連のものがあろうかと思いま す。総務省にお出しするのは2−2と2−3でして、向こうから細かな様式指定等があ りますので大部なものになっております。時間の関係もありますので、それをまとめま した机上配付資料2−1「見直し当初案について」に沿って御説明申し上げたいと思い ます。  「1.福祉医療機構の現状です。」  福祉医療機構は多岐にわたる事業をやっておりますが、今回の見直しで一番大きな論 点として考えられるのが福祉医療貸付事業です。政府系金融についていろんな議論があ る中で、これが一つ大きな論点になりうるということです。  (1)福祉医療貸付事業の概要ですが、特別養護老人ホーム等の建設の際の社会福祉法 人への福祉貸付け、病院等に対する医療貸付です。  そこの表に17年度から19年度までの予算額が並べてありますが、近年、4,000億を若 干下回るような融資規模になっています。19年度要求につきましても、近時の需要動向 を踏まえて3,700億円程度の融資をお願いしていこうと考えているところです。期末残 高ですが、福祉貸付と医療貸付を合わせて3兆5,000億ほどになっています。  (2)年金担保貸付事業ですが、厚生年金、国民年金の受給権を担保とする小口資金を 融資する事業です。毎年2,000億円程度の規模の融資を行っています。  2ページにいきまして、「2.福祉医療機構の見直し当初案」についてです。  見直しの方向性として四角で囲ってあります。  今年に入りまして私どもは政策評価・独立行政法人評価委員会、行政減量・効率化有 識者会議等のヒアリングを受けてまいりましたが、その際にも民間でできるものは民間 でということで重点化を図っていくべきではないかという御意見をいただいております。 大きな病院では民間の銀行からの融資も可能ではないかという御意見もありました。 「ア」 医療貸付ですが、それを踏まえて、病院に対する重点化を図ることとします。  ○ 都道府県の医療計画に基づき、小児医療、周産期医療、救急医療など政策優先度 の高い地域医療等を実施する病院への融資は引き続き行う。  ○ 500床未満の中小病院は資金調達が困難であるため、ここへの融資は行う。 この2つについて融資対象を限定したらどうかということです。 「イ」 民間補完の観点から、病院以外の融資についても、政策優先度を踏まえた融資対 象の見直しを行うとともに、福祉貸付及び医療貸付の融資率の引下げを行おうというこ とです。 「ウ」 ア及びイにより、福祉医療貸付事業を縮減しようということです。  7ページをお開きいただきたいと思います。福祉医療貸付の主な貸付対象施設と貸付 条件を一覧にしたものです。  福祉貸付については、保育所、障害者施設、特別養護老人ホームなどに融資していま す。  融資率というのは、福祉関係では基本的には国や県の補助が4分の3相当ありまして、 4分の1相当分は自分で資金調達をする必要があります。それに対して融資率を掛けた ものを機構が融資するというものです。障害関係、児童関係の施設は規模が小さいため に80%です。特別養護老人ホーム等は従来は80%の融資率でしたが、民間銀行との協調 融資もやっていくという中で75%に改めています。  医療貸付については病床不足地域か充足地域で条件は違いますが、融資率は80%、70 %、75%となっています。  融資対象、融資率について一定の見直しを行っていこうということです。  2ページに戻りまして、(参考1)に事業の廃止、民間その他の機関への移管が困難 な理由とあります。総務省から事業の廃止、民間への移管について問題提起がなされて いまして、それに対する私どもの考え方です。  ア 高齢化等によるニーズの増大や医療の進歩に対応するため、社会福祉施設及び医 療施設の整備・更新が必要であるという認識です。  イ 社会福祉法人及び医療法人は、厳しい財政状況の中で診療報酬等が抑えられ、ま た、事業規模も小さく、財務基盤が脆弱であることから、長期・固定・低利による政策 融資が必要不可欠であり、貸付事業の廃止は困難であるということです。  ウ 民間金融機関は金融リスク等が大きく、民間金融機関において融資できる範囲は 限定されることから、すべて民間で対応というのは困難ではないかという問題意識です。  3ページの(参考2)ですが、福祉医療機構において福祉医療貸付事業を実施するこ とが適当な理由です。  ア 福祉医療機構は、福祉医療貸付事業を中核に、福祉医療に関する多岐にわたる事 業を国と連携して実施しています。  イ これら福祉医療機構の事業は相互に関連し、高い専門性が必要であり、人員、設 備、情報、ノウハウ等の経営資源を共有して実施していることにより、高い相乗効果を 得ていることから、私どもとしては現在の福祉医療機構の体制で引き続き貸付けを行っ ていくのが効率的であるという考えを述べていきたいと考えています。  (2)年金担保貸付事業ですが、見直しの方向性を四角の中に書いています。  ア 現在、年金担保貸付事業についても理財局から財政融資資金を一定程度借り入れ、 それを財源として貸付けを行っています。財投への依存を縮小していくべきだといわれ ていまして、20年度からは財政融資資金の借入れを行わずに対応していきたいと考えて おります。民間からの資金調達を随時行うことによって効率化できる面もあるのではな いかという考え方から、財投資金からの借入れは20年度からは行わないということを打 ち出そうかと思っています。  イ 年金担保貸付利率も財投金利の上にいろんなコストを考慮したオンコストがされ ていますので、利用者の利便性及び貸付金利の抑制を図る観点から、システムの改善、 電子化といった事務の効率化をしていきたいと考えています。  (注)ですが、生活保護の適正化の観点から、本年7月から生活保護受給中の方への 年金担保の融資の利用を制限することとしました。  (参考)のところですが、この分野についても民間でできないかという問題提起を総 務省からいただいていまして、移管が適当でない理由を述べています。  ア 年金が主な収入源である高齢者等においては一時的需要は多く、また、悪質貸金 業者が社会問題化している現状においては、機構でやり続ける必要があるだろうという ことです。  イ 注にありますように、個人のプライバシーに関係する年金情報、生活保護の情報 を使って貸付けを行うということですので、公的な福祉医療機構で貸付けを行う必要が あるだろうということです。  以上が融資関係の見直しですが、その他多岐にわたる事業についても見直し案を提出 するようにと総務省から言われておりまして、4ページ以降が個々の項目に対する私ど もの見直しの当初案です。  (1)福祉医療の経営指導事業です。  ア 開業医の承継支援事業についてはニーズが減ってきているので、廃止する方向で 見直そうと考えています。  イ 経営環境が厳しい中で、経営改善支援事業、相談事業については強化していきた いと考えています。  (2)長寿・子育て・障害者基金事業ですが、これらの事業は消費税の導入の際に広く国 民福祉の向上という観点から設けられた事業です。  見直し当初案としては、多様化する福祉ニーズを踏まえて、先駆的な事業を育ててい くために引き続き必要であり、事前審査、事後評価を行って、適切、効率的な助成事業 をやっていきたいと考えています。  (3)退職手当共済事業です。昨年、介護保険法改正に伴って大きな制度改正を行いまし たが、それに伴って事務も複雑化しています。  見直し当初案としては、電子システムによる事務の効率化を図り、コストの縮減に努 めたいということです。  (4)心身障害者扶養保険事業です。決算等で積立て不足が問題とされていますが、厚生 労働省の障害福祉部で制度自体の見直しに取り組んでいます。その結果を踏まえて機構 としても適切、効率的な実施体制を組んでいこうというものです。  (5)福祉保健医療情報サービス事業(WAMNET)です。これまで当部会で御指摘が ありましたが、コスト、ベネフィットを考え、さらにシステムの効率化、利用者の満足 度の向上を図っていきます。業務システムの最適化計画という観点からいろんな取り組 みを行っておりまして、その成果を具体化していくというものです。  (6)労災年金担保貸付事業です。年金担保貸付事業との事務の共通化に努める等により コスト削減、効率化を図っていきたいと考えています。  (7)承継年金住宅融資等債権管理回収事業です。これは年金資金運用基金から18年度に 承継したものですが、適切な債権管理と着実な回収を行っていくこととしています。  (8)承継教育資金貸付けあっせん業務です。これも年金資金運用基金が行っていた業務 を18年度から福祉医療機構が継承したものです。  教育資金の貸付け自体は国民生活金融公庫で行っておりまして、あっせん業務を機構 で行っています。国民生活金融公庫の教育資金貸付事業自体も一連の行政改革の中で見 直すことにされておりまして、その内容に従って機構としても所要の対応を行っていく こととしています。  以上が当初案でして、本日の御議論、明日の総会での御議論を踏まえて省としての当 初案を提出し、さらに秋にかけて内閣全体で議論をしていただくことになろうかと思い ます。以上です。 ○政策評価官  先程申し上げたような手続ですので、机上配付資料で整理してありますものは、明日 の総会後に公表することになります。いつもは、会議終了後は資料と議事録は公開とい う扱いにしておりますが、本日の机上配付資料に限っては明日の総会後に公開すること を御了解いただきたいと思います。 ○部会長  資料の取り扱いについては、ただいま説明があったとおりにしたいと思います。  それでは、ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問等がありましたらお願 いします。 ○部会長代理  一番大きいテーマであると思われる貸付業務についてですが、2ページの(参考1) にいくつかの理由が書いてあって、上の四角に書いてある見直しの方向性でやったらい かがかというのが事務局案ということです。ここでは重点化を図ろうということで、政 策優先度の高いものに特化していくということと、財政的に脆弱な中小病院を対象とす るということですが、この原案は私は適当ではないかと思います。  医療にしても福祉にしても制度が大きく変わってくるわけですし、患者のニーズや医 療の高度化が進みますから、そういうものに対応しなければいけないわけですが、それ に対する経済的なインセンティブというのは診療報酬なり介護報酬なり公定価格で誘導 するか、税制で誘導するか、政策金融で誘導するか、3つぐらいしかないわけです。税 制は弾力的には動かないですから、そうそう簡単にはできません。私は診療報酬に関与 しておりますが、なかなか難しい問題もあります。この段階で政策金融の機能が低下す ることは適当ではないと思っておりますので、限られた資源を政策的に意義のあるもの に集中投下していくというこの案については賛成したいと思います。  「都道府県の医療計画に基づき、小児医療、周産期医療、救急医療などの医療連携体 制に位置付けられる政策優先度の高い地域医療等を」と書いてあります。最後に「等」 と書いてありますから、政策優先度の高いものはすべて対象になると理解していいかと 思うんですが、文脈からいくと、医療連携体制に関連しないと政策優先度の高いものと は認めないのか、融資の対象と認めないのかという疑問も出ますので、その辺の確認を させていただきたいと思います。 ○医政局総務課長補佐  結論から申しますと、この「等」の中におおよそのものは入ると思います。小児、周 産期、救急医療のほかにも医療連携体制という意味ではへき地や災害医療も入ってきま す。医療連携体制以外というと生活習慣病対策といった予防の分野も入ります。精神の 分野も入りますし、各都道府県が県内で必要と認めたものを医療計画の中にきちんと書 き込んでいただければ入るような仕組みになっております。 ○部会長代理  都道府県がつくった医療計画の中で政策優先度が高いとされたものを対象にするとい うふうに理解してよろしいわけですね。わかりました。 ○松原委員  私も遠藤委員と同じで、福祉医療貸付事業の見直し案については賛成しております。 融資の実額が年々減ってきておりまして、長期的にもこういう傾向が続くのかなと懸念 されますので、だからこそ政策医療をしているところに優先的に貸し付けるという方向 は正しいと思います。債務保証という形にすれば、現金を貸し付けるよりも、より広い 病院が対象になるということと、民間資金活用という点でもメリットがあると思うんで すが、それが難しい点があれば教えていただきたいと思います。 ○社会・援護局福祉基盤課長  民間の市中金融機関が融資を行い、それの債務保証を機構なら機構が行うことをイメ ージしておられるのではないかと思うんですが、債務保証をすれば民間金融機関が、機 構がやってるような長期固定低利という条件で貸してくれるかどうかというのはわから ない要素があろうかと思います。  市中金融機関はコマーシャルベースでやらなくてはなりませんから、リスクをどう査 定して、どういう貸し出し条件にするかということになりますから、そこがうまく合う かという問題もあります。  そういうスキームにするということは、借り手にとっては市中銀行の金利というコス トと機構の債務保証料を負担するという二重のコスト負担を強いられることになるので はないかという感じがいたします。  社会全体のコストとして一番ミニマムな形でやるかということを考えますと、現行の 方式はかなり長所があるのではないかという気がします。 ○部会長代理  500床未満の病院というのは何割ぐらいあるんでしょうか。 ○社会・援護局福祉基盤課長  民間では500床以上は15%弱です。機構の融資の金額ベースで申しますと10%ぐらい です。 ○部会長  遠藤委員も松原委員も基本的にこの当初案でいいのではないかとおっしゃっています けど、もう少しブレークダウンしたところで何か御意見がありましたらいただきたいと 思います。 ○山村委員  2ページの見直しの方向性のイのところに「融資率の引下げを行う」とあります。借 りる方からすれば融資率が高い方が助かるということだと思うんですが、引下げの幅と か数値には触れないんでしょうか。 ○社会・援護局福祉基盤課長  現段階では方向性ということでお出ししておりまして、今後、政府全体の議論の中で 考えていくことになると思います。私どもとしてはなるべく手厚くという気持ちはある んですが、政府全体の要請としては重点化・効率化を図り、縮小するところは縮小すべ きであるという議論がある中で、最終的な結論を見出していくということだろうと思い ます。 ○山村委員  医療貸付においては重点化を図るということで、大病院は対象から外すという方向性 についてはよく理解できます。福祉貸付についても重点化など医療貸付と同様の考え方 はあるんでしょうか、ないんでしょうか。 ○社会・援護局福祉基盤課長  医療貸付はかねてから問題提起がされており、大病院への融資をどう考えるかという 具体的な話もいただいていたものですから、こういった提案をさせていただいていると いうことです。  医療貸付についても福祉貸付についても、今後の議論の中で融資率、融資対象が議論 になると思います。7ページを見ていただきますと、融資対象は中心的な入所施設以外 にも細かいところも入っておりますので、この辺の必要度をどう考えていくかというこ とであろうかと思います。 ○山村委員  福祉貸付については規模の小さいところが多いわけですし、福祉の流れも、できるだ け地域に市町村単位で資源をつくっていくという流れにあると理解しておりますので、 融資が得られる方向で考えていただきたいと希望したいと思います。 ○部会長  福祉施設等の貸付けに関しては融資率の引下げも検討しなくてはいけないのかもしれ ないけど、積極的ではなくという御意見ですね。 ○白石委員  私も今回の見直し当初案について特に異論はないんですけど、医療貸付については小 児医療とか周産期医療とか、これから患者数が大幅にふえるとは期待できないところに 重点的に貸付けを行っていくという方向性で、貸し出しをどう管理されていくのか、来 年以降、評価の時に結果をお聞かせいただくところなのかなと個人的には思っておりま す。 ○部会長  御意見というよりも、所感を述べていただいたということでよろしいでしょうか。 ○菅家委員  福祉医療貸付の貸付対象施設と条件というのが80%から70%の間で、相手によってい ろいろなわけですね。50%とか、それ以外の比率というのはないんですか。なぜ70%か ら80%なんですか。 ○社会・援護局福祉基盤課長  福祉の分野では、かつては80%というのが一番優遇されておりまして、今でも児童関 係や障害関係が80%となっています。ゴールドプランなどで政策的にいろいろつくっ ていかなくてはいかんという時代は介護関連も80%だったわけですが、近年の財政審等 の中で重点化を図るべしとか民業補完をよく考えるべしという指摘の中で、介護関連は 17年度から75%に引き下げられました。  障害関係や児童関係は小さいところが多いものですから優先的に残しているとか、借 りる側の状況等を踏まえて、このような結果になっているということです。  ベースとして75%とか80%が基本線になっていますが、その辺の全体的なものをどう 見直すか。個別の客体に応じてアクセントを変えるかとか、そういったことが今後の議 論になるだろうということです。 ○菅家委員  対象施設というのは、申請しても貸していただけないところもあるわけですよね。 ○社会・援護局福祉基盤課長  融資ですから審査を行います。法令に基づいてちゃんとしたサービスが行われるのか というところから始まりまして、償還計画も機構で審査をしているということです。 ○菅家委員  今年は対象としたい数が多いという場合、融資率を下げて、薄く広くということはで きないということですね。 ○社会・援護局福祉基盤課長  貸付条件自体は制度論として決めております。融資枠については、今年も概算要求は 両方合わせて3,700億程度なんですが、その際には需要動向を見ながら要求しています。 通常の予算と同じで理財局がもっと減らすべきとか査定をしますので、その中でやらざ るをえません。なお、福祉とか医療というのはその年に全部借りなきゃいけないという よりも、建設に時間がかかりますから、若干のラグがあっても、条件をクリアしている ところにはお貸しするような努力は運用としてやっております。 ○部会長  福祉医療機構から何か補足はありますか。 ○福祉医療機構企画指導部長  ゴールドプランの時に一時的に資金需要が多かったこともありますが、審査を終えて も契約は次年度でもいいとか、その辺は実態を見ながら柔軟に対応できますので、菅家 委員が御心配のようなことは近年はそうはないと考えていただいていいと思います。 ○浅野委員  今後5年間を見ますと、療養型病床群の再編などで医療機関の施設経営の中で大きな 動きがあって、どういう状況が起きるのかというのは見通せない状況ですから、福祉医 療貸付事業の将来展望を描くことは難かしいのではないかと思います。  医療の質の向上と経営効率化の中で、医療機関自体が自発的に多様な資金調達を利用 し、経営戦略が浸透してきているということで、一部の医療機関にとっては民力という か、自分たちでいろいろと動き出していくということも当然あると思うんですね。そう いう流れが強まっていく中で、政策医療的な面とギャップが生じてくると思います。そ こをうまくソフトランディングさせる上で福祉医療機構は重要な役割をしていると思い ますので、その辺をうまくキャッチアップしながら動いていただければいいのかなと思 っています。  それが福祉医療経営指導事業にうまく結びついて、WAMNETは情報を提供すると いう機能だと思いますので、それを利用してeラーニングをやっていくとか、時流に合 ったような形で活用していけば、これから起こりうる医療の再編の中で各医療機関が痛 みが少なく再編が進むのではないかという気がしますので、その辺のところで御尽力い ただければと考えています。 ○社会・援護局福祉基盤課長  療養型の転換というのは一つの大きなテーマだろうと思います。来年度の要求事項と して療養型からの転換が円滑に進むような要求も財政当局に対して行い、福祉なり医療 の政策に誘導するようなインセンティブを与えるようなツールとしてこの融資を使って いきたいと考えています。  福祉行政も医療行政も大きく変わってきておりますので、ここ5年でどうなるかとい うのはわかりませんが、その時点時点で適切な対応を図っていきたいと思っています。  WAMNETについてもこの場で今までも御議論いただいておりますが、政府全体と してIT戦略の話がありますので、そういった中でWAMNETの内容を高めていく努 力を機構としてやっていくべしというスタンスで書いております。 ○部会長  浅野委員はWAMNETの活用についても触れておられましたが、もう少し具体的に 御意見はございますか。 ○浅野委員  大きなシステムですから大きなことができるポテンシャルを備えていると思いますの で、その辺をうまく活用できるのではないか。いろんなところにある情報ソースをWA MNETにうまく取り込んでいくというか、そんな形でやっていかれればよろしいかな と思っています。 ○部会長  WAMNETは多くの方が活用している事業ですから、さらなる発展をと思いますけ ど、かなり費用も使われている事業ですね。福祉医療機構ではどのようにお考えですか。 ○福祉医療機構理事長  この場でも課題を御指摘いただきましたし、政府全体のIT関係の最適化計画があり ますし、コストも適正なコストの中で十分な機能が発揮できるかということで見直しを しているところです。御指摘いただいた課題については十分に対応していきといと思っ ております。 ○山村委員  4ページにその他事業という一連の事業がありますけど、総務省からは何を見直しす るようにという要請があるんでしょうか。 ○社会・援護局福祉基盤課長  対象は、独法の全事業を見直せということです。なぜこんな事業が必要なんだとか、 なぜ機構でやらなくてはいかんのかとか、そういうのを自己申告して書いてきなさいと、 一言でいうとそんな感じだろうと思います。  例えば机上資料2−3の15ページの経営指導ですけど、改廃に係る具体的措置とか、 見直すのだったらどういう方向なのかとか、収益がどのくらいなのかを書けとかですね。 ここはたまたま書いてありますけど、書けないところが多いです。なんでそういうこと をやるのか理由を書けとか、まさに全般的な見直しをしなさいということです。  これをお出しして、今後、個別の事業についてこうすべきではないかという議論がさ れることになると思います。特に政府系金融については、なんで必要なのかとか、なん で独法でやらなくてはいかんのかとか細かく見直しの視点が言われております。 ○山村委員  その他の事業の中で開業医承継支援事業はやめるけど、ほかのものはやりたいという ことだと理解したんですが、それでよろしいでしょうか。 ○社会・援護局福祉基盤課長  そういうことです。 ○政策評価官  今回、福祉医療機構に限らず政府として独立行政法人を見直す際の考え方と申しまし ょうか、一連の見直しプロセスにおけるファクターとして政独委というのが位置付けら れておりますが、政独委でこのような問題意識を持ってるよということを示された7月 18日付けの文書をこの部会にお配りしたと思います。  その柱だけ申しますと、1つは事業の廃止、縮小、重点化がどこまでできるのか。具 体的には官から民へという観点から徹底的に見直したらどうか。2つ目は経費の縮減、 業務運営の効率化を徹底的に図りましょう。3つ目は自己収入の増加という視点を基本 にいろんなことが考えられないか。4つ目はディスクロージャーの充実を独立行政法人 全体として高めていくことができないか。  政策融資については、それぞれの融資機関の考え方を踏まえて議論をということにな ろうかと思いますが、国として行う政策の必要性、政策目的達成のための金融的手法の 必要性、当該独立行政法人で行う必要性、この3項目があります。国として行う、政策 目的達成のために金融的手法で行う、当該独立行政法人で行うという視点を共通的なも のとして、それぞれの個別独立行政法人の政策金融機能、組織についての見直しを図る べきではないかというのがスタートラインにおける問題提起です。  それを踏まえて、それぞれがみずからがどのように考えるかということを大臣が当初 案としてお示しした上で議論を深めていくというプロセスであると思います。 ○部会長代理  3ページの(2)年金担保貸付事業については大きな方針の変更をやっていますが、こ の事業そのものは廃止はしない、民間または地方公共団体への移管は適当ではないと考 えるというのが事務局の原案で、理由が書いてあります。  年金を受給している人たちが悪質な業者に利用されないようにということを考えた場 合、これは重要だろうと思います。  もう一つは、財投原資は使わず、債券を発行して市場からの資金を使うんだというこ この案で、そこが大きく変わったところですので、基本的に私はこの案でよいと思いま す。  これに関連して質問ですが、年間2千億ぐらい必要なわけですね。今まで年間発行し ていた額をさらに2千億円ぐらい上回って債券発行をするというイメージでとらえてよ ろしいんでしょうか。  何を言いたいかというと、それは無理のない規模なんですねということが一つと、そ れに伴って担保貸付の利率が上がってしまうことがありませんかということをお聞きし たいということです。 ○年金局総務課参事官  年金担保の融資ですが、年間2千億程度で推移しております。基本的には長期のもの ではなくて短期の貸付けという形になりますので、貸付原資について言いますと、回収 できればそれをまた貸付けに回すことができるという形になっております。2,200億の 内訳が、債券が400億ぐらいでして、200億ちょっとが財投から原資を借りてきていると いう状況になっています。今も債券で市場からの調達の方が多くなっておりまして、財 投からの依存をできるだけなくしていって市場からの調達にしていくという形ですので、 そう無理ではないと考えております。  金利の設定で利率がどうなるかという点については、市場調達すれば市場の状況次第 というところはあります。財投から借りている金利は長期で固定したものにはなります が、少しラグはあるにしろ市場に連動している形になっています。低下局面であれば少 し高止まりするとか、タイムラグで金利がそういう形になる可能性はありますが、市場 調達することによって今まで以上に金利が上がることはないと理解しております。  事務費については貸付金利に上乗せしてやっておりますので、そういった面の事務経 費については効率化を図る努力は一方でしたいと考えております。 ○部会長  ほかに御意見はございませんか。よろしいでしょうか。  では、当部会における議論を踏まえた議論につきまして私と事務局とでただいま相談 し、整理させていただきますので、5分ほど休憩をとらせていただきたいと思います。 (休憩) ○部会長  それでは再開したいと思います。休憩の間に事務局と相談しまして、本日の当部会の 議論について、次のようにまとめることにしたいという案をまとめました。読ませてい ただきます。  1.見直し当初案については、医療・福祉部会としては基本的に了承する。  2.医療・福祉部会における議論では、次のような指摘があった。  (1)福祉医療貸付事業については、民業補完の観点から重点化を行うとともに、国の 医療・福祉政策が大きく動いている中で、その動向を踏まえ、円滑な施設整備が進めら れるよう配慮すべきである。また、福祉業務を行う際には経営指導事業とも連携し、相 乗効果を発揮すべきである。  (2)福祉保健医療情報サービス事業(WAMNET事業)については、毎年、多額の 費用を要しており、より一層の内容及び機能の充実に努めるべきである。  以上です。  ただいまのような内容ですが、御意見はございませんでしょうか。 ○松原委員  それは賛成なんですけど、私の発言がもしかしたら誤解があったかもしれないので補 足させていただきますと、民業補完に徹するべきという意見を言いたかったのではなく て、単純に債務保証はできないんですかと聞いただけです。民間の中小病院によく行く 機会がありまして、経営者の話を伺うんですが、福祉医療機構に頼っておられて、その 重要性はよく伺っております。独立行政法人全体が縮小傾向にあるとしても、政策医療 は必要だとか、しっかりめり張りをつけて、存立意義の大きい組織だと認識しておりま すので、頑張っていただきたいと思っております。 ○部会長  こういう文章になっておりますが、直す必要はありますでしょうか。  「福祉医療貸付事業については、民業補完の観点から重点化を行うとともに」という 書き方になっております。より促進するということではありませんが、重点化を行うこ とによってこの事業を適切に運営していこうというニュアンスです。 ○山村委員  民業補完というと、まず民があって、それを補完するという考え方だと思うんです。 私は福祉の関係ですが、社会福祉施設のほとんどは福祉医療機構からお借りして建物を 整備してきたし、現在もそうなってると思うんです。補完という表現がそれでいいのか なという感じがします。 ○部会長  民業補完という言葉が余り適切ではないというお考えですか。 ○山村委員  そういう感じがします。 ○部会長  それをとるとすれば、「福祉医療貸付事業については一層の重点化を行うとともに」 とか、そういう表現ではいかがですか。 ○松原委員  民ができることは民でやってもらうんですが、福祉とか民が手を出せないところは補 完するとか、政策医療といった民ができないところは役割を発揮していくという意味で はおかしくないのかなとも思います。 ○部会長  書き分けた方がいいという意味ですか。 ○部会長代理  私もあった方がいいと思うんですね。政策金融のあり方は民業補完というのが一つの 考え方になってるわけですし。福祉施設が民間金融機関のお金を借りてないというのは、 民間金融機関はそこに貸さないわけです。そこを補完して、結果として圧倒的多くが福 祉医療機構から借りてるという形になってるわけで、そういう意味では補完機能になっ てるわけです。そこのめり張りを明確にしましょうというスタンスを、まくら言葉とし て出すか出さないかという話なわけです。 ○山村委員  先ほどの議論の中に協調融資という言葉があったかと思いますけど、どっちが主なの かという……。 ○部会長  松原委員、山村委員の御意見で少し揺れましたけど、どうでしょうか。部会長代理の 御意見を伺いましても、民業補完という言葉を使うことについては適切ではないかとい う御意見の方が強いのではないかと感じます。後でニュアンスを少し修正するかもしれ ませんけど、原案どおりの文案でということで御了解いただけますでしょうか。 ○部会長代理  民業補完じゃないというのはどういう状況をいうのかというと、福祉施設がお金を借 りたいといって、貸したいという民間の金融機関があった時に、そんなものには貸させ ないで、こちらが貸し込むというのは民業補完ではないわけです。条件をよくするとか 何とかいう形を使って、民間金融機関には貸させない、そういうのが民業補完ではない ケースだと思います。 ○松原委員  今の政策金融の立場は民業補完であって、民ができないところは政策金融で補ってい くということなので、福祉については民がやってくれないなら福祉医療機構がやるよと いうことで、おかしくはないと思います。 ○部会長  修正案を検討していただきたいと思いますが、民業補完という言葉に対する抵抗感が おありのようですから、こういう案にしてはどうかという一つの代案です。  「福祉医療貸付事業については、民間金融機関との協調・補完の観点から重点化を行 う」。これならどうでしょうか。 ○山村委員  結構です。 ○白石委員  山村委員の御懸念というのは、民業補完という言葉が前面に出て、民間が先に貸して、 福祉医療機構の貸出しが腰が引けるような雰囲気というのは望ましくないのではないか というのが御懸念であるのかなと思われますので、この部会としてそういうことはなく、 必要なところに必要な資金がちゃんと供給されるんだということが確認できればいいの かなという気はしております。 ○部会長  最後に読み上げた案でよろしいということですか。 ○山村委員  病院と福祉施設のよってきた違いなのかなという気もするんですけど、もともと福祉 施設というのは、国立コロニーがそうであるように、あるいは各都道府県も公立、県立 等々で施設を整備して、その後、公では十分やれないからということで社会福祉法人を つくって、そちらで福祉サービスがどんどん行われてきた。そういう中にあって、多く は一般の市中銀行からお金を借りるのではなくて、福祉医療機構等からのお金をもとに して施設を整備してきた。  しかし時の流れで、公立から民営化という流れもありますし、一般の市中銀行からも 安定的にお金を借り入れることができれば、こだわるつもりはないんですが、そのあた りの過渡期なのかもしれない。したがって、民間と公的なものとのバランスを当面とり ながら徐々に動いていくのかな、そんな理解をしておりますので、先ほど修正していた だいた文案に賛成したいと思います。 ○部会長  それでは、もう一度読ませていただきます。私どもの部会における議論として出して まいります1つ目です。  福祉医療貸付事業については、民間金融機関との協調・補完の観点から重点化を行う とともに、国の福祉政策が大きく動いている中で、その動向を踏まえ、円滑な施設整備 が進められるよう配慮すべきである。  こういう文章で御了解いただけますでしょうか。よろしゅうございますか。 ○各委員  (了承) ○部会長  ほかにはどうでしょうか。ほかに御意見がないようでしたら、ただいま委員の皆様に お諮りしましたような文章でまいりたいと思います。  このあと事務局との間で文章の微調整がございます際には、文意を変えない範囲で修 正することもあるかと思いますが、御了解いただけますでしょうか。 ○各委員  (了承) ○部会長  ありがとうございました。  それでは、本日の議事はすべて終了いたしました。事務局から何か連絡事項があれば お願いいたします。 ○政策評価官  7月、8月の暑いさなか、年度評価、財務諸表、さらに福祉医療機構の組織・業務の 見直しなど、数回にわたり、大変熱心な御審議をいただきましたことを、改めて御礼申 し上げます。  見直しにつきましては、明日の総会において評価委員会の御意見という形で私どもは 受けとめさせていただきますが、総会の場では部会長から部会の結論をお伝えいただく こととしております。  今後、業務方法書の何らかの見直しが必要になったり、報告事項が生じた場合には、 委員の皆様方の御予定を確認させていただき、会議の御案内を申し上げたいと思います が、今の時点では、本日いろいろ御審議いただきましたことをもって一段落かなと思っ ております。 ○部会長  それでは、本日は長時間にわたり熱心な御審議をいただき、ありがとうございました。 夏の陣はこれで終わりだそうで、ほっといたしますが、また冬の陣もあるようでござい ます。  福祉医療機構の皆様方も大変なことかと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げ ます。ありがとうございました。 (終了) (照会先)  政策統括官付政策評価官室政策評価第2係  電話:03−5253−1111(内線7780)