06/07/28 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 平成18年7月28日議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年7月28日 14:00〜   厚生労働省 専用第18〜20会議室 2.出席委員(17名)五十音順    小 野 哲 章、 甲 斐 知恵子、◎笠 貫   宏、 木 下 勝 之、    小 柳   仁、 佐 伯 晴 子、 酒 井 順 哉、 佐 藤 道 夫、    澤     充、 勝 呂   徹、 土 屋 利 江、 土 屋 文 人、    中 村 達 雄、○外  須 美 夫、 松 谷 雅 生、 宮 村 達 夫、    目 黒   勉 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順    天 笠 光 雄、 井 部 俊 子、 山 口 照 英     3.行政機関出席者   中 垣 俊 郎(安全対策課長)、   別 井 弘 始(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長) 他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、ただ今から平成18年度第1回薬事食品衛生審議会 薬事分科会 医療機器安全対策部会を開催いたします。  本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは 議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方におかれまし ては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、 大変ありがとうございます。  前回部会から2名の変更がございましたので御紹介いたします。日本医師会 木下常任 理事が新たに委員に委嘱されてございます。もうお一方、国立感染症研究所 宮村所長が 新たに委員に委嘱されてございます。 本日は、定数20名の委員中16名の委員に御出席を頂いておりますので、定足数に達し ております。なお、天笠委員、井部委員、山口委員は、欠席との連絡を頂いております。 また、中村委員につきましては、若干到着が遅れているようでございます。  それでは議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせていただき ます。  以後の議事の進行は、笠貫部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。 ○笠貫部会長 部会長の笠貫でございます。それでは、議事に入らせていただきます。 初めに、事務局から資料の御確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日の資料といたしまして、順に、座席 表、委員名簿、議事次第、資料目録を配付させていただいております。資料目録に資料 番号が振ってございます。順に、資料1-1「平成17年度の安全対策について(まとめ)」、 資料1-2「採血用穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないもの)の取扱 いについて」、資料1-3「いわゆるスマートキーシステムと植込み型心臓ペースメーカ 等の相互作用に係る「使用上の注意」の改訂指示等について」、資料2-1「医療機器の 不具合等報告について(報告)」、資料2-2「医療機器不具合等報告」、資料2-3「医療機 器外国措置報告」、資料2-4「医療機器研究報告」、資料3-1「感染症定期報告の報告状 況」、資料3-2「報告文献別一覧表」、資料4-1「医療機器の回収報告の状況について」、 資料4-2「平成17年度医療機器自主回収一覧」、参考資料「石綿(アスベスト)を含有す る医薬品・医療機器の実態把握調査に関する追加情報について」でございます。資料1-1 〜1-3につきましては事前配付資料でございます。資料2-1〜参考資料につきましては、 当日配付資料となってございます。  なお、本日、審議事項はございません。すべて報告事項となっております。資料の御 確認をお願いします。過不足等ございましたら事務局までお申し付けください。 ○笠貫部会長 先生方、よろしいでしょうか。それでは、本日の審議事項はないという ことでございますので報告事項に入らせていただきます。では、議題1につきまして、 事務局から御説明をお願い申し上げます。 ○事務局 それでは、「医療機器の市販後安全対策について」、資料1-1〜資料1-3に 基づきまして御説明を申し上げます。  資料1-1「平成17年度の安全対策について(まとめ)」を御覧ください。1ページでご ざいますが、改正薬事法第77条の4の2第1項の規定に基づきまして、製造販売業者か ら受けた医薬品、医療機器等の不具合等の情報につきまして、平成18年度第1回の部会 ということで、昨年度1年間分について取りまとめてございます。  第77条の4の2第1項は企業からの報告でございまして、もう一方、医師、歯科医師、 薬剤師等の医薬関係者につきましても、第77条の4の2第2項の規定に基づきまして、 必要があると認めるときについては、国へ直接報告することが義務付けられてございま す。  こちらにつきまして、過去5年間の不具合等の報告数を表にしたものが下にございま す。(1)医薬品につきましては、今回、説明を省かせていただきます。(2)医療機器に つきまして、平成13年度〜平成17年度までの5年間の報告数をまとめてございます。 平成17年度は、副作用報告は11,234件、研究報告は37件、外国措置報告は436件、感 染症定期報告は95件受け取っております。それから、医薬関係者からの副作用報告とい たしまして445件受けてございます。  2ページでございますが、不具合情報等を受け取った後、どのような安全対策上の措 置を講じたのか、左側に医薬品、右側に医療機器の、平成13年度〜平成17年度までの 措置数を表にしてございます。平成17年度は、「医薬品・医療機器等安全性情報」への 情報掲載が6件、使用上の注意の改訂が6件、合計といたしまして12件の措置をとって ございます。  3ページでございますが、平成17年度の安全対策についての表がございます。「医薬 品・医療機器等安全性情報」への情報掲載について、個別の掲載記事を取りまとめてご ざいます。先ほど6件申し上げましたが、上から順に、212号「平成16年4月から平成 17年2月までに発出した自主点検通知等の概略について」、213号「X線CT装置が植 込み型心臓ペースメーカへ及ぼす影響について」、216号「骨セメント使用時における 重篤な健康被害について」、「新方式携帯電話端末及びRFID機器による植込み型医 用機器への影響について」、218号「Cypherステントと塩酸チクロピジン製剤の市販後 安全対策の結果について」、221号「X線CT装置等が植込み型心臓ペースメーカ等へ 及ぼす影響について」でございます。  続きまして、資料1-2「採血用穿刺器具(針の周辺部分がディスポーザブルタイプでな いもの)の取扱いについて」を御覧ください。1ページでございますが、平成18年3月 3日付けで発出をした、採血用穿刺器具の安全対策に関する通知でございます。  採血用穿刺器具は、糖尿病等の患者が在宅において血糖値を測る目的で、指や耳朶な どにランセットという針で穴を開けまして、採血するものでございます。こちらの器具 につきまして、イギリスから、昨年11月、英国の介護施設におけるB型肝炎の発生(2 名死亡)との関係が疑われるという発表がございました。  英国における措置については、針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないものを 使用したことによってB型肝炎の感染があったことを疑って、ヘルスケア・ワーカー(医 療従事者)とケア・ワーカー(介護従事者)は針の周辺部分がディスポーザブルタイプのも の又は器具全体がディスポーザブルタイプのものを用いるべき旨の注意喚起を行ったと ころでございます。  穿刺器具が手元にございますので、御参考までに回させていただきます。針だけを入 れ替える器具でございます。全部がディスポのものであれば、1回刺してその器具を全 部捨ててしまうということで、感染のリスクは考えられません。もう一つ、針の周辺部 分がディスポのものがございまして、針の周辺と針がセットになって捨てられていくと いうことで、こちらも感染のリスクは考えられません。  針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないものについては、キャップの部分を取 り外しまして、針だけを取り替えて、針だけを捨てるということでございます。こちら の器具を使いましても、血液が機器に付いて、複数の方で使い回しをされて、その血液 が元となって感染するという事例はほとんど考えられないわけですが、いろいろな事実 関係を詰めていって、これぐらいしか疑えるものがないということで注意喚起となった のでございます。  本件につきましては、イギリスだけでなく、カナダ保健省も1月に同様の注意喚起を 行ってございます。我が国におきましては、針の周辺部分がディスポーザブルタイプで ないものについて、既に、添付文書の禁忌・禁止の項、警告の項で「他の人と共用しな いこと」と禁止をしてございまして、十分な注意喚起は行っているわけでございます。 さらに、この器具によると疑われます感染事例も国内ではいまだ報告されていない状況 でございました。しかしながら、この器具の安全使用に万全を期す目的から、予防的措 置を講ずることといたしました。  2ページでございますが、措置の内容につきましては「記」以下の記載になります。 まず、製造販売業者に添付文書の改訂を行っていただきたいということでございます。 繰り返しになりますが、個人の使用に限ること、複数の患者に使用しないことを徹底し ていただくということです。  もう一つは、添付文書をきちんと見ていただくことが原則ではあるのですが、器具そ のものにそのような表示がなされていればより万全であろうということで、「複数患者 使用不可」というシールを直接器具に貼付していただくことをお願いしております。実 際に出荷されているものについても、医療機関まで追いかけて行っていただいて、この シールをきちんと貼ってくださいということまでやっていただいております。  さらには、医療関係者、医療機関等への注意喚起といたしまして、当然のことながら、 この器具の複数の患者への使用について特段の注意をお願いしてございます。  4ページでございますが、我が国における採血用穿刺器具(針の周辺部分がディスポー ザブルタイプでないもの)の一覧表を載せてございます。今回、8社20製品が該当する ということで、すべての製品を列挙してございます。資料1-2につきましては以上でご ざいます。  資料1-3の説明に移らせていただきます。1ページでございますが、「いわゆるスマ ートキーシステムと植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用に係る「使用上の注意」の 改訂指示等について」でございます。こちらは、前回の部会でも御説明させていただい た案件でございます。平成17年10月26日付けで、スマートキーシステムを搭載した車 両と植込み型心臓ペースメーカの相互作用、心臓ペースメーカ等の機能を一部阻害する 効果があるのではないかということで調査を依頼した経緯がございまして、その調査結 果が報告されたことで、必要な注意喚起をする目的の通知でございます。  スマートキーシステムはキーを差し込む操作なしでドアロックの開閉、エンジンの始 動・停止ができるシステムでございます。鍵穴に鍵を差し込んで回すことによってエン ジンを始動したり、ドアを開けたりというのが通例でございますが、このようなものを 持っていることによって電磁波等で所有者を確認し、実際に鍵を回したと同様の効果を 発揮させて車のドアを開けたり、エンジンを始動させたりというシステムでございます。  平成17年7月に、国内の1メーカーでございますが、スマートキーシステムと植込み 型心臓ペースメーカを接触させた実験につきまして、ペースメーカの出力の一時的な抑 制が確認されたということで、関係医療機関等に情報提供させていただき、さらには、 すべてのメーカーの車等に対して相互作用に関する追加的な試験を実施したものでござ います。  携帯電話の電磁波と植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用について検討した総務省 の研究班がございます。22cm離れれば、携帯電話端末と心臓ペースメーカ等の生命維持 装置についての相互作用の懸念がないという指針が出されております。  今回の実験の結果、スマートキーシステムについても、22cmより離れれば、相互作用 の懸念がないことが確かめられたということでございます。しかしながら、今回の件に つきましても、予防的措置といたしまて、関係の製造販売業者等に対して添付文書の改 訂等を指導いたしました。  2ページでございますが、「製造販売業者による添付文書の改訂等」といたしまして、 患者への必要な情報提供体制の確保の観点から、添付文書の「使用上の注意」の「重要 な基本的注意」の項に追記してくださいという指導をさせていただいております。  ア、イ、ウ、エと四つございますが、本品を植え込まれた患者に対して、スマートキ ーシステムを搭載した車に乗車する際にアンテナ部から22cm以上は離れなさいという こと、必要以上に窓、ドアの開閉は行わない、他の方が運転している車等に対しても注 意をするということで、必要な情報提供をお願いしたということでございます。  さらに、既存の患者に対しましても同様に情報提供することと、製造販売業者等に対 して、照会にきちんと答えられるように、情報を収集し、提供することについて、指示 を出してございます。説明につきましては以上でございます。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。この御報告に何か御質問はございますで しょうか。酒井委員、どうぞ。 ○酒井委員 資料1-1の1ページに医療機器の表がございます。私の認識が違っている のかもしれませんが、医療機器の場合は「副作用」ではなくて「不具合」という表現で はないかと思いまして、この表の意味がよく理解できなかったのです。製造販売業者か らの副作用報告と医薬関係者からの副作用報告は「不具合」ではないかと考えていまし て、事務局から御意見を頂きたいのです。  次は、医療機器について、医薬関係者からの副作用報告の職種の内訳が分かりました ら教えていただきたいのです。私の推測ですが、今、臨床工学技士がどんどん病院に入 ってきまして、医療機器の不具合等については医師、薬剤師等よりも臨床工学技士等が 多いのではないかと考えますと、1ページにある「医師、歯科医師、薬剤師等」の文面 に臨床工学技士等を入れていただきたいという希望がございます。この点の御意見をお 伺いしたいのです。 ○事務局 一点目でございますが、副作用等の報告といたしまして、薬事法の中では、 医薬品と同様に医療機器に関連する様々な不具合事象についても、副作用という言葉で 定義をさせていただいております。  二点目でございますが、医療機関報告における報告者の職種につきまして、平成17 年度は、医師等が4割強、看護師、臨床工学技士等が2割を若干切るぐらい、その他、 薬剤師、医療安全管理者等から1割弱となっております。 ○安全対策課長 一点目の、医療機器で副作用報告という言葉を使うかどうかでござい ますが、担当から御説明申し上げましたように、法律上、副作用という言葉を使ってい ることから、こういうことになっているわけでございます。当然のことながら、委員の 御指摘のとおり、この中の多くの部分を不具合に関する報告が占めているわけでござい ます。  資料1-1の1ページを見ていただきますと、「1. 副作用等の報告数の推移」という 形で、本文中においては「不具合報告」という言葉を出しているわけでございます。そ ういう意味では、表の中だけを副作用報告と書くかどうかについては、もう少し検討さ せていただければ有り難いと思います。 ○笠貫部会長 私はペースメーカ等の不具合に関する研究班に参加していますが、不具 合の定義そのものも非常に難しく、重症度等を含めてこれからの安全対策の共通言語が 必要であろうと思いますので、引き続き御検討いただくということで御了解いただきた いと思います。  もう一つ、職種について御説明がございましたが、平成15年からこのようなものの義 務付けを含めて、医薬関係者にされている内容を知りたいという御指摘であったと思う のです。もし可能ならば、情報としてこれからお示しいただいてもよろしいかなと思う のですが、そういう委員のお話として伺ってよろしいですか。  それから、臨床工学技士を入れることについては、「等」ということで、内容を十分 承知の上でこれでよろしいでしょうかということであったと思うのですが、それでよろ しゅうございますか。  ほかに御意見はございますでしょうか。酒井委員、どうぞ。 ○酒井委員 もう一点お伺いしたいのですが、先ほど、添付文書の改訂指示について御 説明を頂きました。私の理解では、紙媒体で添付文書の改訂がなされるのであろうと思 うのです。  現在、医薬品医療機器総合機構では添付文書を電子媒体で提供できるシステムを作っ ているのですが、医療機関の中で、医療スタッフは、同じ製品を使うならば同じ添付文 書であろうとしか理解していないと思うのです。恐らく注意しないのではないかと。  そういうときに、医薬品医療機器総合機構が提供しております、添付文書の改訂があ りましたら、改訂があったというところから検索すると出てきますので、医療関係者に とっては電子媒体は極めて有用なツールであろうと考えているのです。厚生労働省では、 添付文書の電子化について、改訂指示のチェックはなさっているのでしょうか。  私が確認いたしましたら、現在、添付文書の電子化の内容が約2,000項目しかないの です。医用機器全体の約1%なのです。電子媒体はほとんど使えないという状況で、医 療機関からも余り利用されていないのではないかなというところで、私からコメントさ せていただきます。 ○安全対策課長 委員が御指摘の点は、医薬品医療機器総合機構において、医薬品や医 療機器の添付文書をデータベース化して提供しているシステムの関係であろうと考えて おります。医薬品医療機器総合機構におきます提供システムは、まず、医療用医薬品か ら出発した経緯がございます。恐らく、現段階で医療用医薬品についてはほとんどのも のが既に収載されて、改訂を指示するたびに、その改訂もある程度円滑に行っていると 認識をいたしております。  他方、医療機器につきましては先生の御指摘のような掲載率になっていまして、昨年 来、医薬品医療機器総合機構の関係業界を通じて、機構のシステムへの掲載あるいは改 訂について、円滑に行くように、システムの変更も含めて機構で検討していただいてい るところでございます。  参考までに申し上げますと、一般用医薬品についても掲載する手続を進めているとこ ろでございますが、今日は医療機器でございますので、医療機器についても、機構の部 長から詳細を御説明申し上げます。 ○安全部長 医療機器の添付文書でございますが、昨年7月から機構のホームページで 閲覧できるよう運用を始めました。一方医療機器につきましては、薬事法改正により、 企業は承認書の記載整備を急いでおりまして、平成17年度は、企業は添付文書の掲載に ついては承認の結果待ちという状況にあったと聞いています。その後、この4月からは 着実に掲載数が増えておりまして、7月27日現在では104社、2,825件が掲載されてい るという状況です。  この数字につきましては、すべての医療機器の添付文書が載っているという状況では ございません。先生の御指摘のとおり、利用率を高めていくには、網羅性を高めていく 必要があると思っております。これからも業界にお願いをして、機構のホームページに 掲載していただくように働きかけていきたいと思っております。よろしくお願いいたし ます。 ○笠貫部会長 それでよろしいでしょうか。医療機器については、システムの改善を急 速に図っていると私も理解しております。是非、現在の作業を円滑に早めていただけた らと思います。それ以外にございますでしょうか。小柳委員、どうぞ。 ○小柳委員 安全対策部会は、以前は副作用部会と言ったと思うのです。そのころから、 医療機器は、副作用という言葉ではなく、不具合、不適正使用で、その両者のどちらに 分類するかという判断を時間を掛けてやっていたと思うのです。この2〜3年はそうい う判断をこの場でやったことがないのですが、医師の世代がかなり変わっていますので、 安易に不具合と決め付けてしまう医療現場もありまして、この判断は重要であると思っ ているのです。  そういうところで、副作用という言葉で一括していいのかどうかという疑問が若干ご ざいます。先ほど御説明がありましたが、まだ理解できないところがあるのです。不適 正か不具合かという判断を課内でなさっているのでしょうか。 ○安全対策課長 委員の御指摘の点は、報告された健康被害事例が機器によるものなの か、医療関係者によるものなのか、それとも第三の原因なのかという、その原因に関す る問題なのであろうと私は解釈いたしました。先ほどやり取りさせていただきましたの は、法律上は、医療機器についても医薬品の副作用によるものと同じような形で書かれ ておりますので、大きな言葉としては副作用という言葉を使わなければ仕方がないので す。  副作用という言葉の中に、例えばビニールチューブでアレルギーが出るのか分かりま せんが、機器によるアレルギーなどの副作用的なものと、器械、器具による不具合的な ものが本来は入っているのだと。ここにある数字の多くは不具合的なものなので、表題 をどうするかはもう少し考えさせてくださいという答えをしたわけです。  報告された症例について、機器によるものなのか、それとも、操作ミスなども含めて、 医療関係者あるいはそれ以外の理由によるものなのかという小柳委員の御質問でござい ますが、昨年4月以来、企業は医薬品医療機器総合機構に報告するようにされたところ でございます。さらに、本年1月から、機構は報告された症例すべての概要を公表する ことといたしております。  公表に当たる整理の一つとして、報告された事象が器具、器械によるものなのか、そ れとも、それ以外の原因によるものなのかを、有識者数十人にお願いして判定する作業 を行っていただいて、その結果を含めて公表してございます。現在、平成16年4月以降 に受け付けたもの、定かではございませんが、平成16年4月、5月、6月分の公表が進 められているところでございます。以上でございます。 ○笠貫部会長 佐伯委員、どうぞ。 ○佐伯委員 以前にもお話したかと思うのですが、薬と並んで、器械、器具による健康 被害の中で、死亡というのが幾つか出てきて、初めて大きな問題になって、学会で検討 されて、ようやくメーカーに情報提供をという運びになる、その流れが一国民の立場と してかなりまどろっこしいと言いますか、安全をどのように確保していただけるのかな と思うわけです。  例えば、今、平成16年の3か月分の公表をしようと、有識者の集まりで話し合いにな っていると。具合の悪いものが2年間ずっと使われていることについての責任と言いま しょうか、放置している印象を受けたのですが、いかがでしょうか。 ○安全対策課長 私の説明がまずかったのであろうと反省をいたしております。確かに、 死亡というのは社会的に大きく報道されてまいりますので、死亡事例があってどうのこ うのということでとらえられるという、やむを得ない点もあると思いますが、私どもが 添付文書の改訂等を行っている大部分は、そこまで至らない事例でございます。今日も 2例、採血用穿刺器具やスマートキーシステムを出しておりますが、死亡はおろか、何 らの症例すら報告されていない段階で動いているわけでございます。  また、公開の問題でございますが、平成16年4月以降の分についても、当然のことな がら、そこで報告された事例につきましてはその都度対応してきたわけでございます。 総合機構が発足したのは平成16年4月ですから、約2年分について公表しないで、平成 18年4月以来の部分を公表する手段も我々としてはあったのでございますが、せっかく なので過去の分も遡って公表しようと。公表するためには一定の準備的な整理がいると いうことで、平成16年4月以降の部分の公表に着手したとおとらえいただければ有り難 いと思っております。  平成19年4月には半年遅れぐらいまで詰めていきたい。現在は大体2年遅れているわ けでございますが、平成19年4月に受け付けた報告分については、平成19年10月には 一定の評価等を行った上で公表する形で、滞貨分と言っていいのかどうか分かりません が、平成16年4月以来の滞貨分をできるだけ迅速に公表できるように、体制を組んで進 めているところでございます。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか、佐伯委員。 ○佐伯委員 例えば整形外科の骨セメントなど、なぜ何年間も同じことが上がってくる のであろうと。先日も整形外科の方と話をしたのですが、現場に実際の情報が出てくる のが遅いということを聞くのです。ためている間に起こっていることについての責任は どう取っていただけるのかなと言いたくなるのです。 ○安全対策課長 繰り返しになりますが、ためているわけでも何でもなくて、必要なこ とをやっているのです。骨セメントについても、既に3回ぐらい、安全性情報の中で詳 しい解説をし、こういうところに気を付けてくださいと言い、この部会の中でも私が来 てから一度議論していただいております。ですから、決してためているわけではないと いうことをまず御理解いただきたいと思います。  一方では、透明性をより上げていくためには企業から報告された症例すべてを公表し た方がいいのではないかという判断を、昨年10月にこの部会でも御紹介させていただき ました。そのときに、いつからの分を公表するのかを決めなければいけないわけですが、 せっかくなので機構発足以来、すなわち平成16年4月以降の分を公表しようということ で作業しているのでございます。決して、何も処理しないで2年分ためていてどうのこ うのという話ではないことを御理解願えれば有り難いと思っております。 ○笠貫部会長 私は不具合か不適正使用かという検討会に参加していますが、非常に多 くの問題が含まれていて、判断に苦労するというプロセスはよく理解しているつもりで す。そういう意味で、薬事法の改正後、医療機器は今は2年の遅れでも、来年度には6 か月の遅れになるということは、機構あるいは厚生労働省としては最善の努力をしてい るという御理解を頂ければと思うのですが、いかがでしょうか。  私は機器についての判断に参加した経験では、平成16年4月から蓄績されたものにつ いて、いろいろな事実関係も含めて、不具合か、不適正使用かの判断をしていくには時 間的に相当掛かるというのが私の実感ですが、その時間をできるだけ短くするというこ とでは最善の努力をしていただくようお願いしたいと思います。  それ以外にはございますでしょうか。 ○外部会長代理 スマートキーの添付文書の改訂についてお伺いします。これを読むと、 使用者は植め込まれた側だけに注意しなさいと、アンテナの場所から22cm以上離れてく ださいということで解決しているように思うのですが、4ページのアンテナの取付位置 を見ると、あちらこちらにアンテナが装着されているのです。  こういうところに注意しなさいということはいいのですが、例えば運転席シートの背 もたれの部分にあるとすると、結局乗るなということを意味するのではないかと私は思 うのです。植込み場所が胸部であれば、座っただけで22cmになるわけです。そういうと きにはむしろ車の方に、こういう方が乗られるときにはアンテナを取る配慮をしなさい という形にした方がいいのではないかと。  私自身、車に詳しくありませんが、こういうところに付いていれば必然的に座るなと いうことと一緒であると思うのです。ですから、こういう方が運転する場合は、車の方 でアンテナの場所を替えてくれという形の方が望ましいのではないかなと思いました。 ○安全対策課長 委員のおっしゃるとおりであろうと思います。5ページを御覧いただ きたいと思います。そのために国土交通省に対して通知を出しております。具体的には 6ページの3ですが、アンテナ取付位置に配慮して設計をしてくれということと、情報 提供と将来的な対策という二段構えで臨む必要があると。国土交通省も協力するという ことで、進めているところでございます。以上でございます。 ○佐伯委員 「いわゆるスマートキーシステム」の正式名称は何かなというのも疑問に 思いながらですが、それは別としまして、このごろ準公務員のような方々が路上駐車を 取締りに来られています。あのような人にとっては、のぞき込んだりなどの動作が必要 になってくると思います。そうなると、こういうものを付けている車にはシールなどを はっておいて、その車の所有者でない人も、外から見て、自分はこの車に近付いてはい けないなどが分かるサインが必要ではないかなという気がするのです。 ○安全対策課長 外委員から御指摘いただいたように、背もたれのところは22cm内に入 っていく可能性があるかもしれない。それ以外のところはどうも22cmになりそうにな い。22cm内になるためには、一番多いのは座席シートの下であったと思いますが、座席 の下の床に胸を当てない限りそこまで行かないのでございます。そういう意味で申し上 げますと、佐伯委員がおっしゃるほど、近付いただけで22cmの距離に行くものではない ことを御理解いただければ有り難いと思います。  ただ、一般的にこういう情報を提供する、あるいはペースメーカを植え込まれている 方、乗用車の販売をなさる方等にそのような情報を提供していくのは非常に重要なこと であろうと思っておりまして、安全性情報に掲げたり、通知を出したりしている状況で ございます。 ○佐伯委員 そうすると、2ページのウは万が一のためにここまで書いたということで、 根拠はないということなのでしょうか。 ○安全対策課長 相当極端に胸を持っていくことがない限りは、このような事例はない と考えております。 ○佐伯委員 7ページの「使用上の注意の改訂について」の下から5行目のところも、 別に下線を引かなくてもいいぐらいのことなのですね。 ○安全対策課長 下線を引いているのは、強調しているわけではなくて、新たに追加し たところでございます。非常に極端な事例を考えていることを申し上げたいと思います し、だからこそ、この通知の最初に予防的な措置として今回やるということが書いてあ るのでございます。 ○佐伯委員 あるものについてはとても予防的な配慮があるということなのですね。 ○安全対策課長 そういうふうにお考えいただければ有り難いと思います。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。ペースメーカについては他の機器との電波の共生 は非常に難しい問題ですが、影響の重症度も含めて、総務省による検討が十分なされて いると思います。スマートキーについては、ただ今の御指摘のような影響と、こういう ものを作るときにはできるだけ背もたれには入れないようにということも含めて、国土 交通省にはお話していただいていると思います。  続きまして、議題2に移らせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、「医療機器の不具合等報告について」、資料2-1〜資料2-4に基 づきまして御説明を申し上げます。  資料2-1「医療機器の不具合等報告について(報告)」でございます。1ページでござ いますが、改正薬事法第77条の4の4の規定に基づきます不具合等報告についてのあら ましでございます。資料2-2〜資料2-4につきましては、平成17年12月1日〜平成18 年3月31日(4か月間)までの不具合・感染症等の報告状況について御報告を申し上げる ところでございます。  2ページでございます。件数でございますが、製造販売業者、いわゆる企業等からの 1)不具合・感染症報告は3,533件。内訳を申し上げますと、企業数といたしまして、国 内で109社、1,869件、外国で29社、1,664件でございます。2)外国措置報告は136 件。企業数といたしまして50社。3)研究報告は4件。企業数といたしまして4社でご ざいます。それから、医薬関係者からの不具合等報告は155件となってございます。  資料2-2を御覧ください。「医療機器不具合等報告」のラインリストでございます。 3,533件ございます。表題だけ申し上げますと、左から、番号、一般的名称、販売名、 企業名、不具合状況、健康被害状況、不具合発生場所、総件数、その他でございます。 「一般的名称」はアイウエオ順に並べてございます。「その他」は、先般の部会で御指 摘いただきました、この案件について実際にどのような措置をとったのかというもので ございます。  「その他」につきましては、資料2-1に注意事項といたしまして説明書きがございま す。原則といたしまして、平成18年3月31日時点におきます措置の内容について簡潔 に示したものでございます。記載事項はおおむね3種類となっております。  一つは回収でございます。これは、当該報告、類似報告を契機といたしまして回収(改 修)がなされたものでございます。二つ目は情報提供でございます。こちらは、添付文書 の改訂、その他医療機関等に対して、この事象、その他関連する事象について情報提供 が行われたものでございます。三つ目は空欄でございます。当該報告について情報が不 足して、追加で企業等から実態報告を受ける予定であるものでございます。この三つの カテゴリーとなってございます。  資料2-3「医療機器外国措置報告」も、番号、一般的名称、販売名、企業名、報告内 容となってございます。こちらにつきましては、報告された年月日順で番号をふらせて いただいております。  資料2-4「医療機器研究報告」は、今回は4件でございますが、番号、一般的名称、 販売名、企業名、報告内容につきまして、概要を示した資料となってございます。以上 でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの御報告について何か御質 問はございますでしょうか。 ○勝呂委員 余り詳しくないのですが、不具合の中に、埋込み型と、体外のものと、両 方あります。少し気になったので、教えていただければと思います。ペースメーカの不 具合が比較的に多いです。これは、本邦で年間どのぐらいペースメーカが実際に埋め込 まれて、このぐらいの頻度なのでしょうか。  膝関節など、整形外科のインプラントが先ほど問題になりましたが、セメントが20 万袋ぐらい使われて発生頻度がこういう感じですと、ペースメーカは私たち整形外科領 域のインプラントから比べると多い印象なのです。毎回たくさん出てきますから、少し 多いのではないかと気になりました。お教えいただければ、発生頻度が分かるのではな いかと思うのです。 ○事務局 ペースメーカに限って年間どのくらい報告されているかというのは、まだカ ウントしておりませんので、後ほど数えさせていただいて、御報告させていただきたい と思います。 ○安全対策課長 先生の御指摘のとおり、恐らく10〜20年になると思いますが、ペース メーカについて、不具合がいろいろ報告されてきたのは事実であろうと思っております。 もちろん、例えばリード線の問題など、いろいろな点で改良が積み重ねられてきたこと もあると思いますし、数字的なものまで私は持っておりませんが、個人的な経験で申し 上げますと、医療機器を担当していた13〜14年前に比べるとかなり少なくなってきたと 思っております。  ただ、かなり低い確率であろうとは思いますが、器械でございますから、一定の割合 で不具合が出てくるのも事実であると思います。それがどの辺にあるのかを、学問的に、 ペースメーカを中心に、研究班を組んで、検討に着手しているところであります。  報告書が出された折には、この部会に報告させていただきたいと思っております。ま た、部会長はこの方面の御専門でございますから、コメントを頂ければ有り難いと思い ます。 ○笠貫部会長 私の研究班では、過去の不具合事例の分析をし、先ほど言いましたよう に、不具合の呼称、重症度、原因につきましても分析をかなり細かくいたしまして、報 告してございます。  今、詳細な数字をお答えできないのですが、次回改めて、事務局の方で私どもの報告 書と併せて御報告させていただきたいと思います。そういうことで、今回は御了解いた だけたらと思います。非常に大事な問題だという認識で、厚労省、機構の研究として進 めさせていただいています。  ほかにはございますでしょうか。どうぞ。 ○木下委員 勝呂委員がお話になったことは極めて大事なことであると思います。この 表を見ますと、検査器から診療機器から、すべてまとまりなく発生順に書いてあるのか と思います。これだけ多くの委員がお集まりになり、医療機器の安全ということからこ ういうデータを持ち帰ったときに、どこにどう伝えて、どういうふうに生かしていくか という視点からしますと、これは有効とは思えません。  これだけのデータをお持ちであるならば、部会長がおっしゃったように、こういう領 域ではこういうものが多い等、メーカーも含めまして、我々使う方としても、要注意と いうことまで話が行きませんと、余り有効な部会にはなっていないのではないかと思い ます。  せっかく今日の部会に出していただくならば、重要な情報として、県医師会のすべて のところに、こういう問題が中央でまとめられていて明らかになっていることを伝え、 現場サイドに反映させる必要があります。そういう視点で是非お考え願いたいと思いま した。  さらに、表示の仕方を見ても、ここでは一例一例全部登録してありますので分かりま すが、ものすごい数の不具合があるのです。例えば、インスリン注入器一つ一つについ て全部列挙しますと、ものすごい数になるわけであります。そういうことは本当に意味 があるのでしょうか。  インスリン注入器に関しては、全体の中での報告であるとか、年度ごとに数値が出て いるのはどういう意味があるのか。年次的にどんどん減っているのはいいのですが、ま すます増えているのもあったり、このデータをどう読み、どう改善していくのかなど、 考える必要があります。医療安全という視点で成果を有効利用するのであったら、分か りやすいように資料をおまとめいただきたいと思いました。 ○佐藤委員 関連のことになろうかと思うのですが、先生方もおっしゃっていた集計の 話です。平成15年8月にこの審議会が発足して、こういうデータがすべて公開されてい るわけです。それから昨年11月までのデータを全部、一般名称別に分類して集計してみ たのです。2年余りの短期間のデータですから、特定の集中報告があるとそれがどうし ても多くなってしまうのですが、それは別として、やはりペースメーカ、それからペー スメーカの導線が一番多くなっています。  ペースメーカは、定期的に患者さんが病院に行かれて、そのたびに詳しいチェックを されるわけです。何か見付かれば、非常に細かいことまで報告されるということで、ほ かの機器に比べて報告数が多くなっているのではないかなという感触を持っています。  これは日本だけに限らず、米国は過去14年間で60万件以上の報告があるのですが、 それを全部集計してみますと、やはりペースメーカと、インプラント型の除細動器、こ の2品目が多い。ですから、これは別に日本に限ったことではなく、定期的に完璧にモ ニターできていることによるのではないかなと私自身は感じています。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。どうぞ。 ○安全対策課長 木下委員、佐藤委員、ありがとうございました。木下委員から御指摘 いただいたとおり、整理の仕方はもう少し検討させてください。一般的名称はアイウエ オ順に出しているわけですが、それでは分かりにくいであろうと。植込み型の機器やチ ューブ類など、分かりやすい分類にまとめ直して出せないか、次回は検討させていただ きたいと思います。  また、佐藤委員から分析していただいたということで、我々もそのような分析をして みたいと思います。簡単に申し上げますと、資料1-1の1ページに医療機器の表がござ います。これを見ますと、平成15年度までは大体8,000、5,000、5,000で落ち着いてい るのが、平成16年度は15,000、平成17年度は11,000になっています。これは、実は インスリン注入器の問題でございます。  平成16年度の15,000のうちの11,000ぐらいは、確かインスリン注入器であったと思 います。平成17年度も、11,000のうちの5,000〜6,000はそれであったと思います。資 料2-2の表の中でも、9番からインスリンペン型注入器がずらりと出てまいります。今 回、3,300ほど出しているわけでございますが、そのうちの1,000近くはこれで占めら れている状況でございます。  これについては前回も御説明申し上げましたが、改良品に切り替えました。改良品に 切り替える前の液漏れはほとんどなくなっているようでございまして、医療上、問題が 出るような形は食い止めることができたのかなと考えております。それにしても、切り 替えられた改良品でもまだディスプレイに不具合が報告されているようでございまし て、また改良を指示している状況でございます。以上でございます。 ○笠貫部会長 インスリンペン型注入器ですが、御説明がありましたように、改良品で 減るかと思いましたが、減りませんでした。その理由は、ディスプレイの問題でありま す。危険度は低くなったという認識かと思うのですが、さらにそれを改良させる指示を していただいていることが委員に伝わるようにしていただけると有り難いです。1〜3 ページまでのインスリンペン型注入器は、ちょうどその時期にあると御理解いただきた いと思います。 ○土屋(利)委員 ペースメーカについてですが、米国でも不具合が多くなっていること に驚いています。TC194というISOの標準化委員会が7月にあったのですが、ポリ マーのバイオデグラデーションに関するワーキンググループがありまして、ポリウレタ ンのストレスクラッキングについて解析をし、レポートを作ろうということがスタート しています。もちろん、海外の企業の方からもデータを出していただくことになってい ます。以上です。 ○笠貫部会長 佐伯委員、どうぞ。 ○佐伯委員 番号で言いますと、157〜160の企業名が同じところで、素人の目から見る とかなり深刻な印象を受ける健康被害状況がございますが、これについてどうしたかと いう「その他」がすべて空欄になっております。空欄は情報が不足しているという分類 があるわけなのですが、不足のままで放っているのか、あるいは検証を求めているとこ ろなのか、その辺りの情報を頂けたらなと思うのですが。 ○笠貫部会長 事務局、お願いします。 ○安全対策課長 157〜160、あるいはそれ以外の空欄も、専門の先生方に見ていただく と、先ほど小柳委員がおっしゃった適正使用、適正使用ではないというところの議論か なと判断いただけると思っております。適正使用ではないと決め付けるのもなかなか難 しいことでございまして、我々としては、このような症例は基本的にウォッチしていく と考えているのでございます。  そういう症例が相次ぐようであれば、機器自体に問題はないのかもしれないが、機器 にそういうものを誘発している要素があるのかもしれないということも考えなければい けないのでございます。  このラインリストそのものの大きな目的の一つには、透明性を上げると。要するに、 我々が受け付けたものすべてを公開するところにあるわけでございます。そのすべての 判断をこの段階で言い切ってしまう、特に「これは適正使用ではない」と言い切ってし まうのも難しいところであります。  そういう意味では、こういう症例は直ちに機器側の問題とは考えていないと。先ほど 申し上げましたように、同じような症例が出てくるようであれば、機器が誘発している 可能性も含めて考えていかなければいけないでしょうし、それ以外の要因もいろいろあ ると思いますし、ウォッチしているという意味なのだということで御理解を願えれば幸 いでございます。 ○佐伯委員 あくまでも信頼して医療を受けたいという気持ちを持っておりますので、 このようなことを申しました。と言いますのは、426〜429の同じ企業のところで、技術 的な問題ではなくて、そのものが原因と思われることを起こしていらっしゃるので、そ う思った次第です。 ○笠貫部会長 そういうところも含めて情報をお示しいただくことと、分析をどこまで ここでできるかということ、機構での細かい分析と、今ある2年のたまりを解決してい くプロセスは、安全部会にもこれから随時報告していただくようお願いできますでしょ うか。  これをどう分類して、どう解決しているかをこの部会でも理解し、その先、予防策を どう考えていくかという方向に持っていけたらと思いますので、よろしく御検討をお願 いします。 ○小柳委員 行政に対する希望があるのですが、こういう作業をやる目的は、有効なア ラートを発することにあると思うのです。  実例を挙げますと、今、インプラントが非常に大事だという話になっていますが、こ の6か月間で日本で植えられている補助人工心臓は20例から40例になったのです。今 日の時点で40数例が動いていると思うのです。もし生命維持装置のポンプの主軸が折れ るとか膜がブレイクするなどがあったときに、6か月では有効なアラートにならないで す。電子媒体によるリアルタイムのアラートが発せられないと、患者を救うことになら ない感じがするのです。  先ほどの課長のお答えでは6か月ということであったのですが、将来に向けて御覚悟 のほどをお聞かせください。 ○安全対策課長 医薬品医療機器総合機構で進めております企業報告の全数概要公開の 問題と、緊急に取るべき安全対策一般の問題とが入り混じってしまって、私の説明が悪 かったのであろうと思います。  安全対策一般の問題を御説明申し上げますと、今、補助人工心臓の問題をおっしゃら れましたが、それ以外でも、例えばペースメーカに致命的な欠陥が分かった場合でもい いわけでございますが、それは直ちにやらなければいけないと思っております。幸いに して、私が来て以来、医療機器分野でそういう事態は起きていないと思っております。 医薬品分野で申し上げますと、直ちに対応を取っている。手段としては、例えばドクタ ーレターを出すとか、患者さんが限られているのであれば患者さんを追いかけるなどが 考えられると思います。  それと、医薬品機構で進めている全数公開の話は、別に考えていただければ有り難い と思います。全数公開の話は、年間15,000あるいは11,000あるものを整理した上で、 フォーマットを整えて公開していくという事務的な整理がどうしても掛かるので、半年 ぐらいは御勘弁くださいと。  半年たたないとすべての作業をしないわけではなくて、事務的な整理ですから、イン スリン注入器のようなものも延々と整理していかなければいけないわけですが、これで 緊急対応を取る必要があるとは私は思っていません。緊急対応の必要があるかどうかは 最初の段階で抽出しているのが現状でございます。そこを混ぜて説明したところがあっ て、申し訳ないと思っております。 ○小柳委員 将来、メカニズムとして期待するとすれば、時間軸の短かいアラートを発 するのはどこになるのですか。 ○安全対策課長 医薬品機構と厚生労働省の役割分担という意味で御説明をしたいと思 います。企業からの報告は医薬品機構に入ることになっております。医薬品機構に入っ たものは、電子媒体で厚生労働省で見られる形になっております。ですから、入ってく る大きな情報源としては、一つは企業からの報告、医療機関からの報告。医療機関から の報告は、逆に厚生労働省に入ってくることになっております。これを電子媒体で医薬 品機構に渡すことになっております。  もう一つには、例えばアメリカ政府が何をやる、あるいはヨーロッパが何をやるとい う、いわゆる外国での情報があると思います。これは、毎日ウォッチして、お互いに内 容をチェックしております。その中で緊急に対応する必要があると考えるものについて は、厚生労働省が自らやる形にしております。  そうではなくて、事務的な整理をする、あるいは、先ほど部会長から御説明のあった、 ペースメーカに絞ったより深い検討をするなどというものについては、医薬品機構が主 体的にやる形で整理をしているところでございます。逆に申し上げますと、外国の情報、 あるいは業界から報告された事項について、情報を共有した上で、緊急分については厚 生労働省が本体でやっているところでございます。 ○笠貫部会長 木下先生、どうぞ。 ○木下委員 不具合が生じたときに、関係者に報告するのは情報提供だけで、メーカー 側には特別にはやらないのですか。問題があったときに、そこの器具、その他を使った ときには、メーカー側にも当然伝えるわけですね。 ○安全対策課長 メーカー側への指示といたしましては、一つには添付文書を変えろと いう、医療関係者への情報提供をメーカーに指示する場合と、物の回収、改良を企業に 指示する場合とがあると考えております。この両者を、必要な場合に使い分けていると 思います。最近で申し上げますと、インスリン注入器の改良を指示したところでござい ます。 ○木下委員 心臓の問題でありますとか、本当にクリティカルな問題に関しては、過去 5年ぐらいのデータが全部あるはずです。それを御覧いただいたときに、いつも起こっ ている問題であるならば、メーカーにも伝えるのは当然でありましょうし、もしも去年、 おととしに同じことが起こって、それを伝えたときに、2年後にはそこのメーカーの問 題点が全くなくなるのであればいいのです。そういう効果を出せる情報を、我々にも危 険であるのは分かりますが、同時にメーカー側にも伝えて、改善を求めて、評価してい くこともしていいのではないかなと思いました。  もう一つ、何百という数の中からどれがどうだというのは非常に大変なことで、小柳 委員がおっしゃったことは非常にクリティカルなことであるとすると、ペースメーカを 含めまして、極めて重大であるものに関しては、緊急情報もそうですし、メーカー側に 対してもそうですし、特別な取扱いをすることも必要ではないかなという気がします。 その効果はどうなっているかというのは、我々医療サイドでのこともそうですが、メー カー側の改善努力も当然必要であると思います。そういうところまで深く突っ込んだ指 示をなさっていただいたらいいのではないかと思います。 ○安全対策課長 御意見ありがとうございます。資料2-2の中にも、改良品への切替え のようなことが幾つか書かれているかと思います。また、先ほど部会長からもコメント を頂きましたが、ペースメーカ等については数人の委員からも御指摘いただいておりま す。より深い検討が必要であるということで、既に着手をしているところでございます。  これらの検討状況についても、次回、この部会において御報告させていただければ有 り難いと思っております。もちろん、それ以外の問題についても次々と出てくるであろ うと思っておりますし、進行状況等を報告したいと思っております。 ○笠貫部会長 メーカーからのトラッキングシステムなど、国として取り組んでいるシ ステムがあると思うのです。小柳委員、木下委員、佐伯委員からも御指摘がありました ように、国としてどういう安全対策を現在しているかという共通認識は持った方がいい という感じがいたします。  課長からも御報告いただいたように、緊急の問題に対してはこういう情報の収集と伝 達があって、それがどういう形で進んでいるかを、次回、分かりやすいようにまとめて、 委員の共通認識を持ちたいなと思います。認識にギャップがありますと時間的にロスに なりますので、そのようにお願いいたします。酒井委員、どうぞ。 ○酒井委員 第一点目は、冒頭に申し上げましたが、資料2-1、資料2-2では「不具合」 となっているのです。資料1の表では「副作用」になっていると。これは整合性がない ので、是非その辺は整理していただきたい。医療機器については、ここに書いています 副作用でないわけではないのですが、多くは不具合ではないかということで、私が先ほ ど申し上げた次第であります。  それで、私からの提案なのですが、この部会の中ではアラートを出すことを最優先に しているわけです。今、病院の中でどのようなことをやっているかというと、何か事故 があったらインシデント報告を作ると。そして、ヒヤリ・ハットを出すと。何が起こっ たかを知らないと、同じ医療スタッフの中で同じことが起こるわけです。ここに書いて あるような不具合事例が頻発するのは、アクションが遅いからではないかというところ が気になります。  医療機関、また一般の患者さんにとって、今、何が起こっているかの情報がほしいわ けであります。特に、医療機器については医療機器安全性情報報告制度というものがご ざいまして、そこには、医師、薬剤師、臨床工学技士から、このような問題があった、 これについてはこういう原因だと思われる、こういうふうに対策をしたというコメント まで載っていると思うのです。そういうものを早急に出していきながら、別途、アラー トの時期は6か月掛かろうが、二段構えで対策をするべきではないかなと思います。  事務的な整理に非常に時間が掛かっているということなのですが、今、医療機器には、 UCC/EAN-128という標準のバーコードの中に、その製品の商品コード、場合によっては ロット番号、シリアル番号まで載っております。ところが、そういうものを利用しない と、物の特定だけで、本省と医療機関の間で、これは一体何なのだというのに時間が掛 かってしまっているのではないかと。  現在、バーコードについては厚生労働省の経済課が価格調査の頭で、非常に親身にな って考えているのですが、安全の立場から考えると、同じロットで故障しているのであ れば物の問題であって、ロット又はメーカーによって違っていれば、同じ医療機関内で 起こっていれば不適正使用ではないかなど、そういう分析をするに当たっても、もっと 情報をうまく活用する工夫をお考えいただきたいのであります。今はそういうバーコー ドをどんどん標準で付けてくる時期でございますので、是非御検討を頂きたいと思いま す。 ○安全対策課長 副作用、不具合の点については、最初に申し上げたとおり、この報告 の多くの部分は不具合であろうと。その点も含めて考えさせていただきたいと。  情報活用の点については、具体的にバーコードを御示唆いただいたわけでございます が、情報の活用、情報の整理、あるいは我々の現在の仕組み等も含めて、次回、部会の 中で御説明させていただければと考えております。どうもありがとうございました。 ○笠貫部会長 ほかにございませんでしたら、議題3に移らせていただきます。事務局 から御説明をお願いします。 ○事務局 資料3-1と資料3-2に基づき御説明をいたします。薬事法第68条の8に基づ く、医療機器の感染症定期報告の状況について御報告いたします。  まず、資料3-1「感染症定期報告の報告状況」でございます。平成17年12月1日〜 平成18年3月31日までに生物由来製品の製造販売業者等から報告された感染症定期報 告のうち、文献の調査につきまして報告順に表にしたものでございます。合計で33件の 報告が寄せられており、この報告を同一文献ごと、また感染症ごとに整理して、重複等 をまとめさせていただいたのが資料3-2「報告文献別一覧表」でございます。今回も資 料3-2に基づきまして概要を御説明させていただきます。  今回の報告でございますが、およそ20の感染症に関する文献等が提出されておりま す。文献が提出された主な感染症でございますが、1ページのE型肝炎、2ページ掛け てトリインフルエンザ、3ページに掛けてブタ連鎖球菌、その後、変異型クロイツフェ ルト・ヤコブ病などが続いております。  論文につきましては事前評価委員の先生方に御確認いただき、国立感染症研究所所長 の宮村委員と御相談しながら、国立感染症研究所の先生方にコメントをお願いするなど、 措置を講ずる必要性を含め、御意見を頂いております。  本部会におきましては一通りの感染症について御検討いただいたところでございます が、今回の文献等について主なものを御紹介させていただきます。  1ページには、前回に引き続きE型肝炎に関する論文を始め、2ページに掛けて、ト リインフルエンザに関しての各国における状況について報告がなされております。いず れにいたしましても、我が国の各製品につきましてはウイルス不活化工程がございます。 これらの感染症に関する安全性は確保されていると考えております。3ページに掛けて、 中国におけるブタ連鎖球菌についての報告。3ページの32番でプリオン関係の総説。そ の後のページでございますが、その他の感染症に関する海外での感染報告などが続いて おります。  これらの概要につきまして、宮村委員、甲斐委員、山口委員に御覧いただいたところ、 海外での流行に関する報告であり、また、製品の製造工程における病原体の不活化工程 などを踏まえますと、緊急の措置を講ずる必要はないが、今後とも報告者は情報収集に 努めるようにということでございます。  本日御欠席の山口委員からでございますが、「感染症定期報告については、各メーカ ーが情報を収集しながら原材料の安全性を確保していこうというものであり、今回の報 告において特段問題となるようなものはないと考えている」というコメントを頂いてお ります。追加の御発言などがございましたら、よろしくお願いいたします。事務局から は以上でございます。 ○笠貫部会長 事前評価委員の宮村先生、甲斐先生から御意見がございましたら、よろ しくお願いします。 ○宮村委員 事務局から御報告がありましたように、今回、動物が持っている様々な細 菌やウイルス、プリオンなどの感染症に関する文献が集められています。そもそも感染 症定期報告の重要性というのは、重要であろうと想定される情報を見落とさないで、そ れぞれの会社が使用している生物由来の原料について自ら情報を収集して、その情報を 社内で評価して、リスクを認識した際には直ちに必要な安全対策を実施することにある と思います。  今回の論文の多くは、海外で感染症の発生や流行を報告したものであります。特に、 前回と今回ありましたE型肝炎ウイルスなどについては、最近、動物から人に感染し得 ることが分かってきたので、それについての報告がたくさんあったわけであります。  同僚ともチェックをしたのですが、これらのウイルス、細菌、プリオンの感染症につ いては、それぞれの医療機器を造る過程においてきちんとしたプロセスバリデーション が行われておりますので、これらの病原体が医療機器あるいは生物製剤を介して人の世 界に入ってくることについてのプロバビリティーに言及したペーパーは、今回はなかっ たと思われます。しかし、これからもこの方面の情報収集は広くやって、解析を入念に やることが必要であると思います。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。甲斐委員の事前評価委員会としての御意 見をよろしくお願いします。 ○甲斐委員 感染症定期報告についてですが、宮村先生もおっしゃいましたように、今 回は特に措置が必要な報告は見当たらなかったと思います。海外での人畜共通感染症の 発生や流行を報告した論文が多くあったわけですが、今後も引き続き情報収集に努めて いただければと考えております。以上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の御報告に御質問、御意見はございます でしょうか。中村委員、お願いします。 ○中村委員 二つお伺いしたいのですが、この手の報告は日本では全然なかったわけで すね。 ○宮村委員 資料3-2に日本の報告もあります。 ○中村委員 鳥取のですね。 ○宮村委員 はい。 ○中村委員 もう一つ、狂犬病のことを伺いたいのです。アメリカのウシが狂犬病にな ったという例が挙がっていたのですが、前回も狂犬病の報告があったと思うのです。感 染経路はどういうふうに報告されているのでしょうか。 ○甲斐委員 狂犬病は、日本では1950年代初頭に出たのを最後に、発生例はありません。 欧州とアメリカは常在地帯です。と言いますのは、野生動物が保有宿主でありまして、 それを駆逐することはできません。欧州では主にキツネ、アメリカでは主にアライグマ が保有宿主動物になっております。そういうものが森に住んでいますから、散発的に出 ます。アメリカでは、州によっては完全なフリー地帯もありますし、常在地帯もありま す。  狂犬病のターゲットとなるのは、アジア地域ではヒトが多いのですが、欧州及びアメ リカでは野生動物と家畜なのです。ウシがよくターゲットになります。散発的には出て おりますが、日本では発生例はありません。 ○中村委員 アメリカのウシは、狂犬病のワクチン接種はしているのですか。 ○甲斐委員 ワクチン接種はしていないと思います。発生したら淘汰されていると思い ます。検疫を厳重にやっていますし、イヌはワクチン接種をしておりますが、原則的に 普通のウシ全部にワクチン接種はしていないと思います。 ○中村委員 かかるという報告はあるのですか。 ○甲斐委員 はい。ウシはリザーバーとしていられるわけではなくて、感染したら発症 します。発症があったらその地域を検査して、淘汰していると思います。 ○中村委員 今回は、生ミルクを飲んだら危険があるので報告されたということで、ウ シの狂犬病はアメリカでは珍しくなく、結構あるものと理解していいのですか。 ○甲斐委員 どのぐらいかは正確に分かりませんが、ヨーロッパ及びアメリカでは散発 的に報告があります。通常あるものです。医療機器の安全性に関係するものとしては、 原材料としてウシの血清が使われるなどということを考えているわけですが、そういう 感染症があった場合には即時に報告されて、淘汰される。それは、口蹄疫など、ウシの ほかの病気でも同じことです。  そういうものが的確に検査されて、報告されて、措置されていることが重要であるこ とと、万が一そういうものが入ってきても、バリデーションをきちんとやって、適切な 医療ステップをやっておけば、こういう病原体は完全に防げるものであると。狂犬病に 関しては、そういう処理に大変弱いウイルスですので、医療機器のステップで十分に淘 汰できると思います。  ただ、そういうことにかかわらず、そういうところから入れないように気を付けるこ とが大事ですので、こういう情報を常に入れていただいているということです。 ○中村委員 アライグマに接触したウシがかかったというような感染環境は分からない のですか。 ○甲斐委員 普通はどこから来たか分からないわけです。コウモリなども媒介となりま すので、広大な自然や森を持っている地域では、どこからどういうふうにというのは分 からないです。今回の例は、そういうことは書いていなかったと思います。 ○中村委員 イヌは発症すると3週間以内に死ぬと書いてあるのですが、ウシもすぐに 死ぬのでしょうか。ミルクを飲用していたというところが不思議であると思ったのです が。 ○甲斐委員 日本では発症例がないので、実際にはよく分かりません。文献によります と、潜伏期間はとても幅があります。感染後、数週間〜数か月間潜伏することもありま すので、必ず何週間で発症するということはないと思います。 ○笠貫部会長 ほかにございますでしょうか。  それでは続きまして、議題4に移らせていただきます。事務局から御説明をお願いし ます。 ○事務局 監視指導・麻薬対策課より御報告させていただきます。資料4-1「医療機器 の回収報告の状況について」を御覧ください。平成17年度の医療機器の自主回収状況に ついて御報告させていただきます。資料の1ページでございますが、平成8年の薬事法 改正によりまして、医薬品や医療機器の製造販売業者等、販売業者は、自社の製品を回 収した場合には、厚生労働大臣(又は都道府県知事)に報告することが義務付けられてお ります。  また、平成12年度からは、製造販売業者等から回収着手報告がなされた場合には、す べての事例をインターネット上で公開しております。医薬品医療機器総合機構のホーム ページ上で毎日すべて公開しております。本日は、薬事法第77条の4の4の規定に基づ きまして、本部会に報告をさせていただくものでございます。  1.回収件数年次推移を御覧ください。平成16年度までは製造と輸入の二つに分かれ ているのですが、平成17年4月からは、薬事法の改正によりまして、製造と輸入という 業態から、製造販売という、市場へ出荷するところへの規制になっております。そのた め、平成17年度は製造と輸入の内訳はなく、合計の数字のみを記載しております。  平成17年度は、医薬品416件、医療機器322件、医薬部外品9件、化粧品62件、合 計809件の自主回収の報告がなされております。医療機器に関しましては、平成16年度 が370件、平成17年度が322件ということで、若干減少したという傾向にございます。  2ページを御覧ください。平成17年度の回収のクラス分類別の表でございます。クラ スI〜クラスIIIまで、3段階に分かれております。クラスIは重篤な健康被害又は死亡 の原因となり得る状況、クラスIIは健康被害の原因となり得るもの、クラスIIIは表示の 間違えなどでございまして、その使用が健康被害とはまずならないと考えられるもので ございます。  医薬品のクラスIが260件とかなり突出しておりますが、下の注釈に書かせていただ きましたように、日本赤十字社からの報告が259件ございます。これは、血液製剤の安 全性対策の強化ということで、欧州渡航歴等によります献血製剤の使用前の回収が含ま れております。それを除きますと、医薬品は1件でございます。医療機器に関しまして は、クラスIが11件、クラスIIが267件、クラスIIIが44件という内訳になっておりま す。  資料4-2を御覧ください。昨年度の自主回収の状況につきましてはすべてインターネ ット上で公開しておりますが、本日はすべて一覧にしております。1ページからはクラ スI、4ページからはクラスII、64ページからはクラスIIIのものを日付順に載せており ます。本日は時間の関係上、一番重篤な健康被害の状況となり得たクラスIの回収11 件につきましてのみ、簡単に御説明させていただきます。  1ページを御覧ください。1件目は、4月14日付けで掲載をいたしました、レールダ ル メディカル ジャパン株式会社からの回収報告でございます。AEDの構成品である アダプターケーブルに断線が認められたということで、AEDが作動できずに死亡した 報告が海外で5件ございました。日本においても、新たに1件起こったこともございま して、回収に着手しております。  2件目は4月18日付けでございます。日本メドトロニック株式会社から、ドライバー コロナリーステントシステムという冠動脈ステントに関しまして、バルーンの収縮が遅 れるという事例が報告されたと。加工時にチューブに伸びが生じて、バルーン拡張用ル ーメンが部分的に狭くなったものが使用されたことが原因と判明しましたために、回収 しております。  3件目は、1件目と同じで、レールダル メディカル ジャパン株式会社からでござい ます。別の機種のAEDの患者ケーブルでございますが、1件目と同様に断線が見られ て、除細動器が作動できなかったという報告がございまして、改修しております。  4件目でございます。イーヴィースリー株式会社からの回収報告でございまして、血 管処置用カテーテルの専用ガイドワイヤーの先端部が離断し脳血管内に残留した事例が 1例ございました。腐食が原因と判断されたということで、回収しております。  2ページを御覧ください。5件目でございます。7月20日付けで、日本ガイダント株 式会社からの報告でございます。植込み型心臓ペースメーカで、販売名がパルサーやデ ィスカバリーなど5種類ございます。経年劣化によって、ペースメーカの内部に湿気が 流入する可能性があることが判明したということで、改修しております。  6件目でございます。9月2日付けで、アベンティス ファーマ株式会社より、オプチ クリックというインスリン注入器でございますが、ディスプレイの表示、注入するイン スリンの単位量が"00"に戻ってしまう事例があるということで、回収しております。  7件目でございます。9月26日付けのガンプロ株式会社からの報告でございまして、 留置カテーテルでございます。サイドホールの穿孔時にその破片が混入している可能性 があるということで、回収しております。  8件目でございます。朝日インテック株式会社からの報告でございまして、マイクロ カテーテルIIIという、造影剤を注入するためのカテーテルでございます。先端部分の一 部の被覆樹脂に亀裂や剥離が生じたという事例がございまして、回収しております。  9件目でございます。フクダ電子株式会社からの報告でございまして、造影剤を注入 するためのカテーテルでございます。8件目と同様に、先端部分の一部が破裂するとい う報告があったということで、回収しております。  3ページを御覧ください。10件目でございます。1月4日付けで、スーガン株式会社 からの報告でございます。これも造影剤を注入するためのカテーテルでございまして、 バルタッチという販売名でございます。こちらもカテーテルの先端部分が破断したとい う報告を医療機関から受けておりまして、回収を行っております。  11件目でございます。2月6日付けで、日本メドトロニック社から、AEDでござい ますライフパック500という商品についての報告でございます。IC回路の一部にハン ダ付けの不良があり、保守点検が必要な状況が表示され、使用ができなくなるというこ とで、回収(改修)を行っております。以上でございます。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。ただ今の御説明に何か御質問はございま すでしょうか。小野委員、お願いします。 ○小野委員 御説明をお願いしたいのですが、自主回収一覧のクラスIの中で、5番の 回収理由に「自主改修を実施する」とあります。7番には「自主回収する」とあります。 リコールの「回収」とリペアの「改修」があるのですが、回収という分類の中にリコー ルとリペアがあるということですか。 ○事務局 御指摘のとおりでございます。リペアのものとリコールのものがございます。 ○小野委員 こういうふうに書いたときに、ミスプリでないと我々が判断できる情報が ないのです。前に提案して直すと言ったときに、リペアとリコールが新たに入ったのは 分かったのですが、ここにはそういうことが書いていないのです。同じ「自主回収(改修)」 という言葉を使いますと、ワープロミスが起きる可能性は非常に大きいわけです。その 辺を御考慮願いたいと思います。 ○事務局 御指摘を踏まえまして、分かりやすいようにできないかどうかを考えていき たいと思います。 ○笠貫部会長 ほかにはございませんか。1番、3番、11番は除細動器関連なのですが、 小野委員から御指摘がありましたように、1番は回収、3番はどういう回収なのかの記 載がないのですが、11番は回収(改修)となっているのです。「回収」か「改修」かを必 ず記載することと、分かりやすいようにしていただきたいと思います。  除細動器の場合は、特にAEDが日本で急速に普及してきているのですが、件数が少 ないように見えても、使う頻度が少なく、生命に直結するので、非常に意味が大きいと 思うのです。そのときに、リペアかどうかという判断を会社だけでしていいのかという ことが気になります。あくまでも自主回収ということで、機構あるいは厚労省サイドが これに介入することはないのでしょうか。 ○事務局 クラスIの一番重篤な事例に関しましては、それぞれの事例につきまして、 医薬品総合機構も含めまして、厚生労働省あるいは学会の関連の先生方からの御意見を 踏まえまして、この対応で十分かということも含めて検討しております。  参考までに、3番に関しましては、救急車にかなり積まれているということで、いき なり引き上げてしまうと医療に支障を来たすということでございまして、最後に書いて ありますように、当面は予備ケーブルの配付で対応させていただいています。その後に 引き上げまして、自社の他の型のもの、あるいは他社のものに交換するというリコール の対応をとっております。 ○笠貫部会長 AEDで一つ気になりますのは、病院あるいは医療機関の場合には保守 点検の役割を担っている人がいるわけですが、AEDの場合には、誰が責任を持って品 質管理をしているかについては、まだ方向性は決まっていないようです。そのために、 余計に機械の安全性の問題は大きい感じがするのです。その辺について、何かお考えは ございますでしょうか。 ○事務局 先生のおっしゃるとおりでございまして、最近は空港や駅、本省の1階にも ございますが、医療機関が定期的に管理していない状況でございます。そのような使用 をするものに関しましては、承認審査の段階で、基本的には自己診断機能が付いており まして、日々、自動的に点検するシステムになっております。そのような使用を認めて いいのかも踏まえて、承認審査の段階で検討を頂いていると思います。今日は医療機器 の審査を直接担当している者がおりませんので、詳細を御説明できないで申し訳ないの ですが、そのような状況でございます。 ○笠貫部会長 ほかにございませんでしょうか。澤委員、どうぞ。 ○澤委員 AEDに関しては現在検討中と伺っておりますが、学会からは、現在は3回 まで作動させるところを今後は1回の処置のみとし、その後は心肺蘇生を続けるように ということになっております。現在出回っている装置と、今後の学会の検証による1回 のものとが混在することになりますので、そこについての情報提供、プログラムの回収 について、あらかじめきちんとしていただきたい。  それから、小児の場合は、刺激する強さ(ジュール)は成人の場合の10分の1ぐらいが 適当であるとなっております。説明書には書いてあるのですが、通常のAEDの装置を 見てもそれはほとんど分かりません。もう一つは、電極が二つあるわけですが、それら が触れ合わないように、小児であったら背中と胸とで貼ることも考えるようにという単 純なことがなかなか伝わっていないのです。そうしたことで、せっかくのいい装置が後 手に回っている、若しくは後手に回る可能性があるということで、十分御検討いただき たいと思います。 ○事務局 AEDのガイドラインにつきまして、現在の進行状況を医政局に確認してご ざいます。日本救急医療財団で一般向けの救急蘇生法の指針を検討されているようでご ざいまして、8月ぐらいをめどにガイドラインが出来上がってくるというお話を伺って おります。先ほどの小児の問題、新しいガイドラインに適応した医療機器の安全性も含 めまして、審査管理課等と連携をいたしまして、適切に対応してまいりたいと考えてお ります。 ○笠貫部会長 AEDは生命に直接関係のある医療機器で、なおかつ一般の方が使うと いう意味では特異な位置付けになるかと思うのです。日本版救急蘇生ガイドラインも出 るということですが、先ほどの適正使用の問題も含めて、ハートセーバーなどの研修シ ステムとも絡んでくると思うので、重要な医療機器として注目していけたらと思います。  それ以外に御意見、御質問はございますでしょうか。それでは、以上で、本日予定し ておりました報告事項はすべて終わりになります。事務局からアスベストについての資 料の御説明をよろしくお願いします。 ○事務局 一点、参考資料につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。前 回の部会でも、平成17年12月9日に医薬品・医療機器等にアスベストを使用している ものについて網羅的に調査をいたしました結果を御報告させていただきました。そちら を更に企業で精査した結果について追加で厚生労働省に寄せられた情報をまとめさせて いただいて、2月8日に第1回追加情報、7月13日に第2回追加情報ということで出さ せていただいております。  製品といたしましては4製品ほどの追加になってございますが、すべての製品につい て製造販売は中止されております。さらに、環境への放出の可能性がないという報告を 受けてございます。以上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局の御説明に、御質問はございま すでしょうか。どうぞ。 ○目黒委員 最初に言えばよかったのですが、資料1-2について事務局に確認したいの です。5ページに採血用穿刺器具についての各関連団体が書いてあるのですが、この団 体に対して指導あるいは通知したということですか。 ○事務局 そうでございます。 ○目黒委員 糖尿病性腎症など、要するに透析の施設に臨床工学技士がかなり多くいる と思うのです。そういうところでも血糖値を測定することがあると思うので、こういう 報告等についてできるだけ日本臨床工学技士会にもお伝えした方が、いろいろな情報が 非常に早く末端まで届くと思いますので、周知をお願いしたいなと思っています。今後 のお願いですが、よろしくお願いしたいと思います。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。医療機器の安全対策について委員の先生方の共 通認識を持つために、事務局には、今、国が取り組んでいる仕組みを一度整理していた だきながら、更に医療機器の安全対策に向かっていきたいと思います。また、先ほど御 指摘いただきましたように、表示もより分かりやすいものを御検討いただいて、この部 会を更に意義のあるものにできたらと思います。本日は御協力どうもありがとうござい ました。それでは、事務局からお願いします。 ○事務局 次回の部会の日程につきましては、12月ごろを予定してございますが、別途、 部会での審議等が必要な議題が生じた場合には、開催予定が早まることがございますの で御承知置きをお願いいたしたいと思います。なお、日程の調整につきましては、事務 局より先生方の御都合を伺って決めさせていただきたいと思います。  それでは、これで平成18年度第1回の医療機器安全対策部会を閉会いたします。長時 間ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 江野(内線2748)      - 1 -