06/07/25 第25回 独立行政法人評価委員会 医療・福祉部会 議事録 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第25回) 平成18年7月25日(火) 厚生労働省専用第21会議室 ○部会長 それでは、定刻になりましたので第25回独立行政法人評価委員会医療・福祉 部会を開催したいと思います。大変暑い中でございますけれども、皆様きょうはありが とうございます。私ども委員も全員参加でございます。  それでは、事務局から本日の議事につきまして御説明いただきたいと思います。お願 いいたします。 ○政策評価官 政策評価官でございます。お暑い中、短期間に集中的に御審議いただき、 ありがとうございます。本日の議事でございますが、17年度の実績評価ということで、 医薬品医療機器総合機構につきまして個別項目評価をお願いしたいと思います。よろし くお願い申し上げます。 ○部会長 それでは、医薬品医療機器総合機構、とても長くて言いにくいものですから、 本日は総合機構というふうに言わせていただきたいと思いますが、御了解ください。個 別項目につきます評価について審議に入ってまいりたいと思いますけれども、その前に 事務局から何かございましたら、お願いいたします。 ○政策評価官 お手元に資料が山積みになってございます。上から、議事次第、事務局 報告書と続いておりますけれども、冊子になっておりますところが総合機構の個別評価 に関する資料でございます。その後ろに参考資料1、2−1、2−2というものを用意 させていただいております。参考資料2の方は、前回御確認いただきました本部会にお ける評価の進め方でございますので、念のためということで置かせていただいておりま す。参考資料1でございますけれども、総合機構の役職員の報酬、給与等ということで ございます。この資料で御確認いただくとすれば、後ろから2枚目、当該法人と国家公 務員及び他の独立行政法人との給与水準の比較指標、事務・技術職員ということでござ いまして、そこに対国家公務員(行政職一)で123.9、対他法人ということで115.1と いう数字を掲げてございます。昨年のこの場でも御意見があったやに聞いておりますけ れども、この法人は専門的な知識・経験を有する方が多いということと、法人本拠地が 東京都ということもございまして、ラスパイレスを地域・学歴を勘案しますと105.5と いう形になるということでございます。  また、当該総合機構の17年度に締結しました随意契約については、随意契約金額とし まして12億8704万7000円。総契約金額に占める割合として94.8%。これは500万円 以上というもので拾ったところでございますけれども、そういう実績になっているとい うことを御報告申し上げたいと思います。  評価の手順でございますが、前回同様、まず法人理事長から17年度の実績につきまし て重点項目を御報告いただきまして、その後法人からの説明、質疑応答、評価シートへ の御記入という形で4クール進めていただいた後、お時間によって総括的な質疑をいた だくという形で部会長に御進行いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げ ます。 ○部会長 前回、のぞみの園の評価をさせていただきましたけれども、今回も進め方は 基本的に同じだということでございます。  最初に理事長さんから、平成17年度の業務実績などにつきまして、重点事項の御報告 をお願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 医薬品医療機器総合機構理事長の宮島でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。  総合機構は平成16年4月に、国の機関でありました医薬品医療機器審査センターと、 認可法人でありました旧医薬品機構、財団法人医療機器センターの一部が統合されて創 設されたものであります。当機構の主な業務は3つございます。一つは、医薬品の副作 用や生物由来製品を介した感染等による健康被害の救済業務。2つ目が、薬事法に基づ く医薬品医療機器の承認審査や治験などに関する指導・助言などの審査関連業務。3つ 目は、医薬品医療機器の安全対策業務。この3つでございます。  総合機構のミッションは、より有効で、より安全な医薬品医療機器をより早く国民の 皆様に提供するということでありまして、当機構発足以来私ども役職員一丸となって国 民の皆様の御期待にこたえるよう、体制の整備と円滑な業務の執行に取り組んでまいり ました。本年4月から3年目に入るわけでございますが、ようやく中期計画で予定して おりました体制が整ってまいりまして、そろそろ目に見える成果を発揮していかなけれ ばいけない時期だと思っているところでございます。各業務につきましては後ほど資料 に基づき、担当者より御説明申し上げますが、私の方からは業務全般について総括的に お話し申し上げたいと思います。  まず総合機構の体制整備でございますが、当機構の職員数は中期計画の中において約 100名増員するということになっております。このため、機構発足以来積極的な職員募 集活動を実施してまいりまして、18年度に入って約340名が確保される見込みとなりま した。発足3年目にしてようやく中期計画の職員数346名の枠をほぼ満たすめどが立っ てきたということでございます。  職員の構成を見ますと、発足時は行政機関や病院からの出向者が全体の4分の3を占 めておりましたが、その後プロパー採用が増える中で出向者の方は減るということもあ って、現在はプロパー職員が全体の約半数を占めるまでになってきております。この傾 向は今後も続くと見込まれますので、将来的にはプロパー職員が主流になっていくもの と思われます。ただ、新しく採用した職員につきましては即戦力というわけにもまいり ませんので、トレーニングを行い、早期に戦力となるように育成していくとともに、職 員の配置等についても各業務の執行状況を見ながら弾力的に行っていきたいと思ってお ります。  また、業務全般について見ますと、機構発足前の案件、いわゆる滞貨の未処理案件が かなりありましたため、その処理に追われていたという状況でございました。しかし、 この滞貨処理も18年度半ばにはほぼ解消のめどが立ってまいりました。機構の職員体制 もほぼ確保される状態になってきたということで、今年度後半からは機構発足後の案件 処理がメインになる、いわゆる通常の業務執行が可能となり、パフォーマンスも改善さ れていくものと思っております。  次に各業務の中身について申し上げますが、最初に救済業務の関係でございます。機 構発足前の未処理案件、滞貨が平成16年度には約1000件もございました。このため、 いわゆる事務処理期間を8カ月と置いておりますが、実際にはそれが12カ月まで延びて いた状態にございました。このため、17年度においては事務処理体制の大幅な見直しを 行いまして、健康被害救済部に調査課を新設して、外部専門家も含めて事前の調査を行 う機能を強化するとともに、厚生労働省側においても、従来判定部会が1部会であった ものを2部会にするという形で全体としての体制強化を図り、事務処理能力のアップを 図ってきたところでございます。その結果、平成17年度は初めて決定件数が1000件を 超えまして、これに伴い、約1000件あった滞貨未処理案件が約700件まで減少してきた ところでございます。ただ、平成17年度に処理した案件の多くが機構発足前の古い時期 に申請したものであったために、標準的な事務処理期間である8カ月以内に処理できた 割合については平成16年度の15%から若干低下して13%となっております。しかし、 全体としておおむね古い時期の未処理案件の整理も目途がつきましたので、今後はさら なる事務処理の改善を進め、中期計画の目標でありますところの事務処理期間8カ月以 内の達成率60%の実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと思っております。  また、救済制度を国民の皆様に活用してもらうために、従来にも増して幅広い広報・ 周知活動を展開しておりまして、その結果が請求件数の増加にも反映されてきているも のと思っております。さらに、救済制度に関する情報提供の一貫として、平成17年度か ら支給・不支給の具体的事例についてホームページによる公表を開始しましたが、今後 とも幅広い情報提供に努めてまいりたいと思っております。  次に審査等業務についてでございます。医薬品医療機器の的確で迅速な審査に向け、 機構内に審査等業務進行管理委員会を設置して進捗状況を検証するとともに、17年度に おいては審査の透明性をさらに向上させるため、従来の審査期間、いわゆるタイムクロ ックを示すほかに、審査プロセスごとの各事務処理期間を管理するメトリックス管理シ ステムを導入しました。審査状況について見ますと、まず新医薬品については17年度に おいて承認件数が60件ということで、16年度よりも11件増加しております。また、従 来からの懸案でございました機構発足前の審査未処理案件、いわゆる滞貨処理について も精力的に行ってまいりました結果、機構発足時にはこの滞貨が139件ございましたが、 平成17年度末には54件にまで減少してきておりまして、今年度半ばまでにはほぼ解消 の目途が立ってきたところでございます。  また、中期計画の目標においては機構発足後に申請のあった新医薬品のタイムクロッ ク12カ月の達成率を80%と設定されておりますが、17年度は滞貨処理の影響により、 昨年度に比較してやや低下しておりますけれども、83%ということで一応目標を上回る 水準を達成しております。最近の審査状況全般を見ますと、抗がん剤などの優先審査案 件が多くなっておりまして、その分通常審査案件が滞ってしまうという状況があります。 このため、将来的には優先審査と通常審査を分けたダブルトラックの審査体制も検討す る必要があるかと思われます。  次に新医療機器につきましては、17年度の承認件数は11件と、16年度より3件増え ております。こちらの滞貨処理も精力的に行った結果、機構発足時132件あった未処理 案件が38件にまで減少してきております。また、中期計画の目標であります、機構発足 後に申請されたタイムクロック12カ月の達成率80%と設定されておりますけれども、 17年度の達成率は100%となっております。  次に治験相談につきましては、審査を円滑かつ効率的に進めていくために、承認申請 前の治験相談をしっかりとやって、基本的な問題を早期解決していくことが重要である という考えから、機構発足後は治験相談に力を入れてきております。しかしながら、治 験相談の申し込みが増加しているにもかかわらず、機構のキャパシティに限界があるた め需給ギャップが拡大し、半年以上先まで相談の申し込みが埋まってしまうという問題 が発生しました。このため、17年10月分の相談から、暫定措置としてスコア方式によ り優先度の高いものから対応する形をとるとともに、相談分野の再編や相談枠数の増加 などによって、できる限り多くの需要に応えられるよう相談体制の充実に努めていると ころでございます。その結果、17年度は相談実施件数が232件と、目標としていた220 件をクリアしました。しかし、依然以前として需給ギャップが大きく、すべての需要に 対応できない状況が続いて関係者の皆さんには御迷惑をおかけしておりますので、今後 とも相談方法の多様化や相談記録の簡素化などによって、できる限り多くの需要に応え られるように努めていくとともに、最終的にはすべての需要に対応できる治験相談体制 を早期に構築したいと考えております。  ところで、現在医薬品医療機器につきましては、新しい医薬品医療機器が欧米で先行 して開発、承認され、使われているにもかかわらず、日本ではそれがなかなか使えない というドラッグラグの問題が大きな問題になってきております。ドラッグラグがあると いうことは、すぐれた最新の医薬品医療機器を日本の患者の皆さんが使えないという不 利益があると同時に、せっかく苦労して開発したメーカーにとっても、そうしたすぐれ た製品を日本の市場に出せないということで、双方にとって大変不利益な問題であろう と思っております。この問題の要因はいろいろありますが、審査のスピードについては、 最近は欧米と日本とではかなり差が縮まってきておりますけれども、日本での承認申請 自体が欧米に比べて遅れているということが一番大きな問題であろうと思っております。 これは、我が国の治験環境が欧米に比べてよくないために、日本での治験を断念して欧 米での開発、治験を先行させてしまう、治験の空洞化という問題が根幹にあろうかと思 います。こうした問題の根本的解決のためには、医薬品のグローバル開発が世界的に主 流になってきている中で、日本もグローバル開発、国際共同治験の最初の段階から参加 できるような状況をつくっていくことが重要であると思っております。  このため、厚生労働省におきましては、治験のあり方に関する検討会において治験環 境の改善方策について検討を進められておりますけれども、総合機構においても17年度 に治験問題等検討委員会を設置しまして、総合機構としての立場から取り組める事項に ついての検討を行ってまいりました。18年度においては担当スタッフを中心にワーキン ググループを立ち上げまして、グローバル開発、国際共同治験に対応した審査のガイド ラインの明確化や、ファーマコゲノミクスなど、最先端の科学技術に着目した評価指標 の導入などの問題について具体的な検討を行うこととしております。なお、これらの動 きに関連して、本年10月にはAPECの会議が4年ぶりに東京で開催される予定ですの で、これを機会にグローバル開発の中でのアジアの取り組みをテーマに、アジア各国と の連携を強化していきたいと思っております。  次に安全対策業務についてです。審査においては医薬品医療機器の有効性とともに安 全性も徹底的にチェックしておりますが、審査では限られた治験データをベースに行っ ておりますのでおのずと限界があり、安全面を完全にクリアすることは困難であると言 われております。したがって、未知のリスクが出てくる可能性がある市販後の安全性を しっかりとフォローアップすることが不可欠であり、このことによってリスクを最小限 に抑制し、すぐれた新しい医薬品をより早く国民の皆さんに提供できる基盤が整備され ることになると考えております。その意味では、まさに審査と安全対策というのは車の 両輪であり、両者が連携してトータルなリスクマネージメントの体制システムを構築す ることが重要であると考えております。  そのため、安全対策につきましても、従来の事後対応型から予測予防型の安全対策へ 進めるための体制システムの整備に取り組んでいるところであります。具体的には大き く2つの新しいシステムの構築に取り組んでおります。第1は、データマイニング手法 の導入でございます。現在、企業から機構に報告される副作用報告は、国内・国外を合 わせて年間約9万件にも達しますが、こうした膨大な副作用情報の中から医薬品と因果 関係のありそうな副作用のシグナルを選び出すデータマイニング手法の開発を20年度 までに導入したいと考えております。平成17年度においてはWHOや欧米の規制当局な ど、海外での導入状況の調査を行うとともに、日本のデータを用いてさまざまなシグナ ル検出手法の適用テストなどを行いましたが、18年度においてはこれらの結果を参考に して、我が国の安全対策を進めていく上で最適で効率的な手法のモデルをつくり上げる 作業を進めていきたいと思っております。  第2は、拠点医療機関ネットワークの構築であります。社会的にニーズの高い分野の 医薬品については、早期の安全性データ収集が求められますので、国立病院、大学病院 などの高度医療機関をネットワークすることにより、短時間に精度の高い安全性情報の 収集を行うシステムの構築に取り組んでいるところであります。平成17年度においては、 抗がん剤併用療法において拠点医療機関ネットワークを活用した安全性情報の収集を行 っており、18年度にはその結果を取りまとめる予定にしております。また、新しく小児 薬物療法についても18年度には調査を開始する予定にしております。  さらに、安全対策業務においては、医療関係者や患者の皆様に対し、安全性情報の提 供が重要であることから、17年度より情報提供ホームページに医療機器の添付文書情報、 ヒヤリハット情報、患者向け医薬品ガイド、報告のあったすべての副作用及び不具合の ラインリスト情報等の掲載を開始するとともに、プッシュ型メールによる安全性情報の 提供業務を開始したところでございます。今後とも医薬品医療機器の安全性情報提供の 充実に取り組んでまいりたいと考えております。  最後に平成17年度の決算について一言申し上げますと、一部に予算と決算との乖離が 見られました。まず副作用救済勘定においては、約9億円の損失が出ておりますが、こ れは支給件数の増加に伴って年金給付の責任準備金の所要額が増加したことによるもの でございます。これについては積立金から充当して補填することとしております。次に 審査等勘定においては、支出の方を見ますとGMPの海外調査件数が大幅に減ったこと や、職員の欠員による人件費の減などによって、予算に比べて決算では大きな減額とな っております。他方、収入について見ますと、副作用、感染、安全対策等の拠出金につ いてはほぼ予定どおりの収入でございましたが、審査等手数料については大幅に減少し ております。このため、審査等勘定全体では約7億円の損失、うち審査部門だけ見ます と10億円の損失が発生した結果となっております。審査等手数料が大幅に減少した要因 としては、17年度は審査業務のメインが機構発足前の滞貨処理が中心であったため、こ の部分が収益につながらなかったということが一つございます。それから、医療機器の 申請件数が制度改正施行前の駆け込み申請等により、その反動で大幅に落ち込んだとい うことがございます。それから、GMP調査の申請件数も制度改正に伴う幾つかの特例 措置がありましたために、結果的に申請件数が大きく減少したということがありまして、 こうした要因によって収入が予算見込みに比べて大幅に減少し、支出額を下回る結果と なったためでございます。  ただ、18年度は滞貨処理が年度半ばにほぼ終わりまして、審査手数料の収入も改善す る見込みでありますので、今後とも財務面で安定した運営ができるよう鋭意努力してま いりたいと考えております。  以上、当機構の17年度業務の状況について御説明申し上げましたが、今後においては ドラッグラグの解消や、バイオロジクスやナノテクノロジーなどの新技術による新製品 の開発、さらには再生医療の進展などにより、数年以内にはこうした新しい製品の実用 化の波が押し寄せてくると言われております。そうした新しい需要にも応えられるよう な体制を構築し、欧米にも匹敵するレベルを確保することを機構の最終目標としており ますけれども、現在の機構の状況はそれに比べますとまだ3、4合目くらいの状態であ るかと思います。もう一段のレベルアップが必要であると考えております。  現在、政府全体としては公的機関のスリム化や公務員数の削減など厳しい状況が続い ておりますが、その一方で経済成長戦略大綱や関係者の皆様方からは機構の機能の拡 充・強化も強く求められております。今後とも厚生労働省と連携して、役職員一丸とな って国民の皆様の期待に応えられるよう、体制整備、効率的な業務運営を進めるととも に、さらなるレベルアップにも取り組んでまいりたいと考えておりますので、何とぞよ ろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。 ○部会長 ありがとうございました。平成17年度の膨大な業務について重点項目を中心 に御説明いただきました。  それでは、ただいまから個別評価に入りたいと思います。前回と同様に4つのグルー プに分けて評価を繰り返していくことにしたいと思います。最初が、評価項目1〜5と 19と20でございます。それでは、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願い いたします。 ○医薬品医療機器総合機構企画調整部長 総合機構企画調整部長の松岡でございます。 私からPart1について御説明します。説明用資料1−4の4ページをお開きいただけれ ばと思います。適宜資料1−3を参照しながら御説明したいと思います。まず法人全体 の業務運営の改善等に関する事項でございます。評価項目として7つございます。5ペ ージから御説明します。目標管理による業務運営・トップマネジメントということでご ざいます。評価シートでは1ページ以下でございます。主として説明用資料で御説明さ せていただきます。  当機構においては、年度計画をブレークダウンして部ごとに業務計画表を作成してお ります。上半期、第3四半期ごとに進捗状況を確認しております。17年度の新たな試み としまして、4月に平成17年度重点事項を策定しました。ここで治験相談の改善や救済 業務の改善などを掲げたところでございます。10月には、17年末までに実施すべき重点 事項ということで、安全対策の情報提供の充実などを整理して公表しました。こういっ た形で17年度計画の推進に努力をいたしました。  2番目が業務管理体制の強化、トップマネジメントということでございます。6ペー ジでございますが、機構では理事長の下、幹部会、総合機構改革本部、審査等業務進行 管理委員会などを設けております。幹部会については部長級以上で毎週1回重要事項に ついて議論する場を設けております。審査の進行管理を行うということで、17年1月に 進行管理委員会を立ち上げ、17年度本格的に運用いたしました。審査の進行状況などを 把握して、遅れの見られるところについては対策をとっています。10月には改革本部と いうことで、機構全体の改革の方向などについて検討を進めてまいりました。このほか、 17年度から企画調整部に業務調整課を設置するなどしております。  7ページでございます。機構におけるリスク管理体制ということで、16年度にリスク 管理方針というのを策定し運用してまいりましたが、17年度はリスク管理規程を作りま してリスク管理体制の強化をしてきたところでございます。機構に関するリスクが生じ たときにはリスク管理対策本部で対応することとしております。こういったことから、 目標管理制度に基づく業務の遂行、トップマネジメントによる組織体制の確立や新たな 課題の検討などについて、十分な成果を上げたものと考えております。  2番目が、審議機関の設置等による透明性の確保で、8ページでございます。評価シ ートは4ページでございます。まず運営評議会の設置ということですが、16年度から学 識経験者、業界関係者、医薬品による健康被害を受けた方々などの代表に集まっていた だき設置しておりますが、業務の活動状況を御報告しまして透明性を確保し、業務運営 に御助言をいただいております。また、専門的事項を審議する業務委員会というのを2 つ設けております。それぞれ年に2〜3回開催しておりますが、運営評議会においては 17年10月に独立行政法人評価委員会の評価結果などを報告しまして、今後の運営につ いて御助言をいただいたところでございます。  9ページでございますが、効率的な業務運営体制の取り組みということです。審査部 門においては部長のもとに審査役を置き、グループ制をとって審査チームでやっており ますけれども、17年度は審査チームを増強しまして、こういったことに対応するために 審査チームを12チームから14チームに増設し、審査役代理を置いております。それか ら、外部の専門家として専門委員を委嘱しまして、そういった方々の御助言をいただい たりしております。また、業務プロセスの標準化ということで、主要業務は、標準業務 手順書を作成し、必要に応じて逐次見直しを行って充実を図っております。データベー ス化の推進ということでありますが、17年度より機構全般の情報システムの円滑な運営 を図り、その強化に取り組んでいくということで、情報システム管理等対策本部を理事 長の下に設置し、各種情報システムの稼働状況、共用LANシステムの改修など、幅広 い議論を行ってまいりました。また、19年度までに業務・システム最適化計画を策定す るということですので、17年度末に情報化統括責任者(CIO)を指名しました。また、 外部業者をCIO補佐官として選定しました。この最適化計画の策定に向けて必要な検 討をしていくこととしております。特に当機構は3つの組織からシステムを持ち寄った りしましたので、それを受け継いだシステム全般について、より効率的なものに見直し をしてまいりたいと考えております。この項目につきまして、業務運営上十分な成果を 上げたものと考えております。  続きまして、3つ目の項目、各種経費節減等で10ページでございます。評価シートは 7ページでございます。機構の予算は毎年度経費の節減を図ることとしております。12 ページをお開きいただきますと、一般管理費と事業費でそれぞれ分かれておりますが、 一般管理費は人件費、物件費でございます。これらについては15年度事業費を発射台と しまして、20年度までに15%削減していくと。毎年度3%ずつ削減するという形でござ います。ただ、16年度から開始した事業、17年度から開始した事業については、その年 度から3%ずつ減らしていくという形で予算を立てることとしております。事業費につ いては、同様に毎年度1%ずつ削減する形で予算を立てることにしております。  戻りまして10ページでございますが、こういう形で予算を立ておりますが、予算額の 範囲内であれば節減目標を達成したということになります。さらに、当機構においては 節減をさらに図ってまいりました。1つ目として、常勤職員の17年度定期昇給を停止し たりして、人件費の抑制を図ったというところでございます。これはプロパー職員は対 象としておりませんで、昇給を行わなくても国の給与水準を維持できる国からの出向者 を対象としております。具体的な削減状況でございますが、一般管理費と事業費でそれ ぞれ、11ページをお開きいただければと思います。人件費では32.7億円というのが効 率化対象経費でございますが、欠員分は4.3億円ございました。これは機構側の努力と 言えるものではありませんので、それを除きますと約7000万円の削減額でございました。 物件費につきましては18億円というのが効率化対象額でございますが、事務所借料につ いては16年度分での節減でございますので、その分を除きますと17年度分としては約 1億円ということでございました。こういうことで、一般管理費の方では1億7000万円 の節減ということで、3.4%の節減を達成しております。  続きまして事業費につきましては、31.5億円が対象経費でございます。これについて は電子化の推進など業務の効率化を図る一方、各種システム開発についてのコスト削減 を図ったところでございます。この中でGMP実地調査旅費については。申請を見込ん でいた分だけ行われませんでしたので、この分はこちらの努力ではございませんので、 10億円分というのを除きますと約2.9億円というのが節減分でございまして、削減率 9.4%の節減ということでございます。  このほか、当機構の節減に関する事項としては、行政改革の重要方針に基づいて17 年度末中期計画を改正しまして、18年度以降の5年間で5%以上の人件費削減、20年度 までに3%以上ということで人件費を削減するということを明記しているところでござ います。  続きまして、拠出金の徴収及び管理の項目で、13ページでございます。評価シートは 9ページでございます。医薬品による副作用被害の給付に当てる副作用拠出金、あるい は感染被害の救済に当てます感染拠出金、市販後の安全対策に当てます拠出金などの徴 収業務を一元的に管理する拠出金管理システムについて、17年度に制度改正が行われま したので、それに対応するシステム改修などを行いまして、収納率の向上等に活用でき るようにしております。各種方策を行っておりまして、中期計画の目標では副作用拠出 金、感染拠出金の収納率99%以上、安全対策拠出金は20年度までにこれと同程度とい うことでございますが、実績としては副作用拠出金が99.6%、感染拠出金が100%の徴 収率となっております。安全対策拠出金については98.1%となっております。昨年度に ついては16年度末時点で93.4%でございましたので、4.7%改善しております。本件に つきましても十分な成果を上げたものと考えております。  続きまして、14ページでございます。評価シートは11ページで、相談体制の整備、 業務内容の公表等でございます。一般相談窓口ですが、機構に対するさまざまな相談窓 口として一般相談窓口というのを設けております。これは薬の相談、救済業務の相談な どと異なり、機構に関するもろもろの質問、あるいはどこの部署に聞いていいかわから ないような質問についてお答えできる窓口を設けております。17年7月から1名増員し て体制を増強するなどしておりまして、今は2名の体制で行っております。17年度相談 件数は2353件でございました。16年度は17年2月から始めて219件でございましたが、 年間を通じて大体月200件程度行われております。また、企業から審査の進捗状況等に ついて聞きたいという要望がございますので、その状況について担当部長が面談をする 仕組みをとっております。17年度においては新医薬品115件ということでございます。 16年度は75件でございました。それから、ホームページへの公表等ということで、17 年度初めての試みとして、医薬品医療機器国民フォーラムを11月に開催しております。 これは医薬品などについての理解を深めるということと、機構の業務について国民の皆 様に知っていただくというねらいで行ったものでございます。500名を超える方に御参 加いただいております。また、ホームページにおいても業務報告を掲載するとともに、 冊子を関係機関などに配付しております。また、英訳版も作成して、外国の方々にも機 構の業務についてアクセスしやすいようにするということを行ったところでございます。 また、内部監査、外部監査の実施を行っているところでございまして、これらについて もホームページに掲載しております。以上についても十分な成果を上げたものと考えて おります。  続きまして15ページでございます。評価シートは54ページです。17年度の予算収支 計画、資金計画等については決算報告書財務諸表のとおりでございます。16ページに決 算報告書の概略をお示ししております。機構の勘定は5つからなっております。副作用、 感染、受託・貸付、受託給付、この4つについてはほぼ予算と決算、大体見通しのとお りですが、審査等勘定については予算と決算で違いが生じているところでございます。 資料1−2の財務諸表の中で117ページをお開きいただければと思います。決算報告書 がございますが、審査等勘定のところ、収入のところが予算合計87億円ということで上 げておりましたが、決算では53億円ということになっております。この相違でございま すけれども、大きな要因としては手数料収入です。審査手数料として67億円ということ で見ておりましたが、32億円というのが決算額となっておりまして、都合35億円の減 ということになっております。これについてはGMP調査についての申請見込み数の減 少が多かったということが原因であります。17年度薬事法改正の前に許可更新の調査の 駆け込み申請が行われまして、そこで対応したということで、実際のところ17年度に申 請が来なかったというところがあり、GMP調査による手数料の減が約18億円というこ とでございました。また、もう一つの要因としては、旧審査センター当時からの滞貨に 時間を要したこと、あるいは医療機器の審査が17年度改正後の申請が大幅に減ったとい うことで、17億円の減ということがありまして、こういったことを要因として手数料収 入については35億円の減収というところでございました。こういった要因がありまして、 収支に差が生じているところです。安全関係の拠出金等につきましては若干増ではござ いますけれども、それほど大きな変動は生じていないところでございます。  説明用資料の15ページに戻りますけれども、今申しましたような理由で、計画と実績 の差違については発生理由を把握し、整理しているところでございます。また、一般管 理費、事業費についての執行管理を着実に行っているところでございます。  続きまして17ページをお開きいただければと思います。評価シートは56ページで、 人事に関する事項及びセキュリティの確保というところでございます。まず人事に関す る事項としましては、人事評価制度の検討ということです。17年度の取り組みとして、 職員の評価、目標達成状況を報酬や昇格に反映して職員の意欲を向上させるため、新し い人事評価制度を19年度から導入予定としております。17年度に検討を進めまして、 人事評価制度検討会を立ち上げまして、この全体の計画などの取りまとめをいたしまし た。17年度は評価制度について、管理職以上を対象として試行を実施しました。また、 18年度は全職員を対象として試行を実施するということで、一般職員についても17年 度中に研修を行ったところでございます。2番目に人材の確保ということでございます。 職員の確保を図るということで、公募による職員確保に努めました。技術系職員の公募 を5回行うなどしております。採用者数36名などとしております。  18ページでございますが、こういう中で機構の職員数も増加しておりまして、18年4 月1日現在で319人の役職員数となっております。今後の採用の内定や出向予定者が20 名程度ございますので、中期計画の予定数346名を確保する見込みが立ってきたところ でございます。また、企業出身者については業務の従事制限を設けておりますけれども、 GMPや生物統計の専門職員については特例措置を設けておりまして、民間企業出身者 7名を採用しております。  19ページでございますが、就業規則等による適切な人事管理ということで、製薬企業 との関係について従事制限を図っておりますが、家族が製薬企業等に在職している場合 の従事制限を17年度新たに設けております。家族が在職している企業の品目については 従事させないということを明確化したところでございます。それから、そのほか職員に 対しては17年度さまざまな研修を実施しているところでして、評価シートの方に詳細を 掲げさせていただいております。セキュリティの確保ということで、申請者側と機構担 当者で円滑な情報交換を行うということで、電子メールのセキュリティを向上させたシ ステムを18年1月から試行して、18年度から本格的に運用することにしているところ でございます。  評価シートの57ページをお開きいただければと思いますが、総務省の独立行政法人評 価委員会から当機構の評価について、3つの組織が統合しましたけれども、設立の趣旨 を踏まえ、統合に伴う業務運営や管理部門の合理化、効率化等の状況について具体的な 評価を行うべきという御指摘がございました。これについての資料でございますが、機 構においては審査部門、安全対策部門を中心に人員の増強に努めておりまして、それな りに管理部門も増強が必要でございますけれども、主に人員増強については審査安全部 門の方を図ってまいったところでございます。管理部門の方は全体の人数が増えており ますので増員はしておりますけれども、比率としては12.5%と、独法化前の旧機構など の状況と比べて下がりまして、効率的な運用を行っているところでございます。  以上がPart1の全体の状況でございます。 ○部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして御質問 がございましたら、どうぞ。 ○部会長代理 なかなかこの機構は多くのミッションを抱えていて、期待も大きいわけ でありますけれども、同時に経費節減等の目的もある中で御努力をされていると思うわ けでありますけれども、幾つかお聞きしたいと思います。まず、拠出金のところであり ますけれども、拠出金の徴収については効率よくやっているという話でありますけれど も、相当な責任準備金の額になっていると思いますけれども、現状ではどのくらいにな っているのかという話と、これは運用はどうしているのかということ。どういう方針で どういう運用をしているのかということについてお聞かせいただければと思います。そ れが一点であります。  それから2点目が、決算報告の収入・支出の予算額でありますけれども、お話では審 査について収入予算が大幅に減少したという御説明があったわけですけれども、この際 の収入の予算額というのは何を基準につくられた予算だったのかということと、今回は 予算未達であったということで、これは17年度だけの一過性のものであって、18年度 はこの要因はなくなると見ていいのかどうかということ、その点についてお聞きしたい と思います。 ○医薬品医療機器総合機構総務部次長 まず責任準備金の関係でございますが、財務諸 表の資料1−2の24ページに、副作用救済勘定における固定負債のところに責任準備金 として139億円が計上されてございます。それと、感染救済勘定の35ページに貸借対照 表がございますが、そこで責任準備金が積み立ててございます。副作用勘定における責 任準備金139億円と、積立金のところで35億円がございますが、その中で期中の資金繰 りを除いた約15億、合わせて154億ほど資金運用させていただいております。全部長期 債券運用しておりますが、内訳を申しますと、財政融資資金の預託が52億、国債等の債 券購入が102億ということで行ってございます。ちなみに17年度の運用収益が約2億 1500万、利回りで約1.52%ということになってございます。  それから感染救済の方は3億円でございますが、期中の資金繰りを除いた積立金のう ち9億を回しましたので、全体で約12億ほど運用してございます。運用収益が約500 万、利率として1.54%で運用してございます。感染は9億円を債券で運用してございま す。法人債が3億と地方債が6億でございます。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 2点目の方につきまして、予算を組むに当たりまし て、16年度予算についてはまだ実績がありませんので、中期計画で資金計画が定められ ておりまして、まさにそれを写して16年度予算を決めました。17年度予算についても 予算を決定する頃が17年の1、2、3月というあたりですので、まだ16年度の実績が 固まっておりませんので、17年度予算も中期計画の資金計画に沿った予算を組んでおり ました。16年度の決算について見ますと、そのときも計画との乖離が出ておりまして、 16年度決算では特に問題なのは審査等勘定の部分ですけれども、収支差で約10億円の マイナスが出ておりまして、これは中期計画の資金計画でも赤字は予定していたのです が、法人の立ち上げの先行投資等もありまして、その赤字幅が少し大きかったという程 度の実態でございました。17年度予算は中期計画の資金計画に沿った予算を組んだわけ でございますけれども、財務諸表の117ページをごらんいただきますと、収入、支出と も予算額から乖離が出ているわけであります。支出の部をごらんいただきますと、予算 額84億円になっておりますが、実際の決算額は65億円ということで約19億円のマイナ スということで、執行上いろいろ効率化を図ったりしておりますけれども、支出自体も マイナスになっております。収入の方は87億円の予算額に対して決算額が53億円とい うことでマイナス34億円ということで、その一番大きい部分が手数料収入ということで あります。この要因については、一つは16、17年度審査業務の主だったものは機構発足 前の未処理案件を中心に審査しておりまして、この部分というのは旧審査センター時代 の案件でありますので、その手数料は既に国庫に一旦入って、機構発足後に交付金とい う形でいただいているというものですが、それは旧手数料体系に基づく手数料でござい まして、機構発足時には手数料を倍近く引き上げたんですけれども、滞貨分については 従前の低い手数料に見合う交付金をいただいていたということで、実際はそのレベルの 差があるということが大きく、収益になかなか結びつかなかったということがございま す。  2つ目は、17年度から薬事法の改正がありまして、特に医療機器分野については大き な改正があって、手続面において安全対策が強化されまして、メーカーにとっては新し い薬事法に対する手続が負担になるということで、17年4月の施行前に駆け込みでどっ と申請が出て件数が膨らんで、その反動で17年度の件数が大幅に落ち込んだというのが ございます。GMP調査ですけれども、これについても17年度の法律改正後、手続き面 の負担を避けるために駆け込みがあったり、行政の方でも急激な負担を避けるというこ とで特例措置を設けて、従前の更新でよいと見なす形をとったりしたために、私どもが 予定しておりました申請件数が結果的に出てこなかった、大幅に減ったという特殊要因 があって、予算額で手数料収入67億円を予定しておりましたが、決算額では32億円と 半分くらいに減ってしまったということであります。ただ、これはかなり特殊な要因が あったと我々は見ておりまして、18年度においてはほぼ滞貨の処理も目途がつきまして、 今後においては新しい手数料体系に基づく案件がメインになってくるということで、そ この収益化が一つ期待できるということと、医療機器とかGMP調査の法改正に伴う特 殊な現象もなくなりますので、その点も通常化していきますと、18年度においてはこの 部分はかなり戻ってくると思っています。  ただ、私どもでいろいろ積算してみますと、32億円が18年度予算では52億円程度の レベルを考えておりまして、過去の実態を踏まえながら検討してみますとそのくらいが 我々の実態を踏まえた現実的なレベルかなということで、そういう意味では中期計画の 資金計画レベルがサイズ的には大きい部分があったのかなという気がします。52〜53億 円レベルが現実的なレベルかなということで、20億円くらいは収入がプラスに戻ってく ると見込んでやっているところでございます。これまで3カ月間の経過を見ましても、 昨年度に比べると収入も少し戻ってきていますので、今の状況では18年度については予 算ベースに着地できるのではないかなと見込んでいるところでございます。 ○部会長代理 お聞きしたい内容については基本的に伺えたと思います。運用のところ で確認したかったのは、どのくらいの利回りで運用しているのかということでありまし たけれども、その辺についてもお話しいただきましたし、今回の収入減が一過性である ことについて、あるいは今後の見通しについてもお話しいただきましたから結構でござ います。 ○部会長 今のことに関連して石井委員、何か御意見ございますでしょうか。 ○石井委員 まだ財務の聞き取りをやっておりませんから、8月になってから御報告等 をするということだと思います。 ○宗林委員 教えていただきたいんですが、今の話ですと手数料を値上げしたことの差 額を安い交付金でいただいたので、そこで差が出たというお話だと思いますけれども、 手数料というのはどの時点で収入として認識するということなんでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 申請時に手数料を機構あてに振り込んでもらいます が、それは前受金、一種の預り金のような形で計上しまして、審査が終わって承認され た時点でそれを収入の方に計上して収益化するということです。まだ仕事が終わってな い審査中は前受金の形になって、収入には計上されていません。 ○宗林委員 前組織のところで前受金として安い手数料で受けていたものが、新しい組 織になって値上がりをしたけれども、交付金でおりてきたときには安い金額の収入にし かならなかったと。その滞貨の処理件数がかなりのウエイトを占めているのでマイナス 35億円の一部になったというお話でしょうか。それと、医療機器の思いのほかの申請数 の少なさということですか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 それが半分くらいですね。 ○宗林委員 GMP調査は申請が少なければそれに伴って少ないというわけではないん でしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構総務部次長 収入と支出が同額を計上しておりますので、収 入が上がらない部分は支出も当然のことながら、支出がない分収入もないということで す。 ○部会長 今のことに関連してですけれども、私の常識からいうと、平成16年度の決算 がまだできていないと…… ○医薬品医療機器総合機構理事長 16年度決算は17年度の6月くらい、17年度予算の 策定は17年の2月か3月くらいに策定します。その時点においてはまだ16年度決算は 出ていないという状況です。したがって中期計画の資金計画に沿った予算を17年度も組 んだということです。 ○部会長 了解しました。 ○宗林委員 医療機器が5件の承認という話だったと思いますが、かなり想定外に少な かったということなんでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事 新医療機器の承認件数はもともと例年そう数は多くあ りませんので、承認件数は例年どおりかと思いますけど、申請が少なかったと申し上げ たつもりなんです。申請が少なかった理由としては、手数料が大幅に上がったというこ とと、申請時の要件として、より安全性に着目した要件が付加されたために、申請者側 として申請を躊躇しているところがあるんじゃなかろうかと考えております。 ○宗林委員 それは新医療機器に対してですね。例えば一部改良したようなものもある かと思いますが、新医療機器に関してのことですか。 ○医薬品医療機器総合機構理事 制度改正によって改良医療機器というジャンルが少し 変わりましたけれども、医療機器全体として見ても申請件数は減っております。医療機 器全体でいきますと申請件数が16年度は4720件であったところが、17年度は369件。 資料1−5の140ページに書いてありますけれども、申請件数が1割以下になっている と。新医療機器の承認件数は例年変わらないと申しますのは、右側の承認件数の年次推 移が載っておりますけれども、そこを見ていただくとおわかりのとおり、近年は大体同 じような数字です。 ○宗林委員 わかりました。あと違うところで一点だけ。人件費が順調に落ちてきて、 最終的には6900万削減できていますという御説明だったように思うんですが、それは主 にどういったところで節減につながっているんでしょうか。定期昇給停止と書いてあり ますけども、先ほどの御説明の中では一部国の出向者の方のみとのことでしたが、給与 体系自体とか、昇給をストップした人たちの割合はどれくらいで、それがこの削減につ ながっているという意味なんでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構総務部次長 効率化ベースの係数で、当機構の努力に伴わな いものを除いてございます。それは欠員を除いているわけでございますが、欠員が45 人ございました。その部分が結果的に効率化係数から除きましたので、それ以外のもの は今おっしゃいましたような定期昇給停止などに伴った削減額が出ているわけでござい ます。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 出向者とプロパーの割合は大体半々くらいです。 ○宗林委員 その出向者というのは、今回出向した人が上がらないで出向したという意 味なんですか。それとも、もともと出向者の方が4分の3から半分くらいになったとい うお話がありましたけれども、その半分の方たちが全部上がらなかったという意味なん でしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 機構にいる間は停止ということになります。戻れば もちろん、向こうの方でやりますけど。 ○宗林委員 そうなんですか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 もともと給与レベルが機構の方が他の行政機関に比 べると高いものですから、停止をしてもまだ出向元よりも高いレベルにあるので、本人 にとっては別に不利益ではないということですね。それと、基本的に国家公務員ベース に準じたレベルに整理していくべきだという政府の統一方針もありますので、もともと 総合機構自体が高いレベルにあったので、それを是正している途中の段階だとお考えい ただければと思います。 ○部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○石井委員 評価官の方になんですが、のぞみの園のときに3つの法人の昨年度の評価 実績表みたいなものをお配りいただいたんですが、私持って帰ってしまって持ってない ので全体が全然見えないものですから、できればそれが見たいなと思っていまして、総 合機構の方に御質問ですが、私の記憶ですと昨年の評価項目24項目だったと思うんです が、今年も同じ数ですか。 ○医薬品医療機器総合機構企画調整部長 項目数は4つ減っております。研究振興部門 につきましては医薬基盤研究所の方に移管しましたので、その分を除いております。し たがって20に減っております。 ○石井委員 じゃあ20項目。それからもう一つお聞きしたいんですが、昨年24項目の 中でBの評価をされた項目が4項目ほどあったように思いますけれども、今年はBの評 価をされた項目はありますか。 ○医薬品医療機器総合機構企画調整部長 今年Bで自己評価しておりますのは治験相談、 救済の申請処理のところをBで出させていただいております。 ○石井委員 2つ。それからSというのはございますか。 ○医薬品医療機器総合機構企画調整部長 Sはございません。 ○石井委員 ありがとうございました。それで個別の項目を2点。説明用資料の10ペー ジで一般管理費、引き続き一般競争入札化の促進等により3.4%の経費削減を達成と書 いてあって、11ページを見ると、物件費、人件費に関してと書いてあるわけですが、机 上配付していただいた随意契約状況というのを拝見すると、随意契約の件数、金額が 89%と94.8%と書いてあるんですが、この2つの記載のつながりがあったら教えていた だきたいんです。競争入札が94.8ではなくて随意契約が94.8なんですか。そうすると、 5.2%に関して競争入札。よくわからないので教えてください。 ○医薬品医療機器総合機構総務部経理課長 机上に配付されております資料は500万円 超の資料でございまして、全体にいたしますと16年度から17年度にかけて9件から18 件ということで件数を伸ばしてございます。 ○石井委員 全体の件数は何件ですか。じゃあ後で教えてください。競争入札へ移行し た件数が9件から18件に倍になりましたということですよね。全体の件数はまた後で教 えていただければと思います。単純に、一般競争入札化の促進等によって3.4%の経費 の削減が行われたという表現が、具体的にはどうなのかなというのがよくわからなかっ たので。「等」の方がメインなのかしらと思ってしまったものですから。 ○医薬品医療機器総合機構総務部経理課長 一般管理費のところでの(3)ということで、 引き続き一般競争入札化の促進等ということで表現させていただいているところでござ いますけれども、事業費の方におきましても一般競争入札化というのは掛かっておりま して、確かに一般競争入札化の促進等ということでやっておりますけれども、「等」の中 には印刷外注であるとか、細々としたものもアウトソーシングしていたものもあります し、アウトソーシングから切りかえて自分のところで名刺印刷等したり、いろんなこと の経費節減を図った結果ということで、代表例としましてここでは一般競争入札化の促 進等ということで表現させていただいているところでございます。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 石井先生のは、説明用資料の11ページの一般管理費 の物件費の削減額1億200万の内訳ということでしょうか。 ○石井委員 いや、そんなに細かい話をしてるんじゃなくて、机上配付資料で見ると、 大きな金額のものは当然大きな比率を占めるのは当たり前ですから、小さな契約をたく さん積み上げていっても金額が大きくならないわけなので、そうすると実は全体の95% が随意契約をやっていて、一般競争入札化の促進という言葉を使うことが現実に合って るのかどうかがよくわからなかったのでお聞きしたという、全体的な議論をお聞きした だけなんです。 ○医薬品医療機器総合機構総務部経理課長 何度もすいません。個別評価シートの8ペ ージを見ていただきますと、物件費につきましては引き続き、コピー用紙を始めとした 一般競争入札化の促進を図り、また印刷物等の外部委託経費の見直しを行う等というこ とで、こういったことを合わせまして「等」ということで、説明用資料の方ではそうい った表現にさせていただいたところでございます。 ○部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○山村委員 私も素人ながら、先ほどの決算報告書のことで、大変大きい数字ですので 質問させていただきたいと思います。手数料収入が予算よりも半分程度であると。この ことはある意味で読みが難しいということで、それは制度が変わったことだとか、推測 される要因について説明をいただいて、それはそうかなと思ったわけでありますけれど も、しかしながら、予算と決算がこれだけ大きく開くことが、これからどうなるのかと いうことで、そうはならないだろうと、実力からすれば50億くらいだろうということも お聞きいたしましたが、ならば18年度予算はその50億程度で予算を立てておられるの か、あるいは67億あるいは70億というあたりで立てておられるのか、そのあたり非常 に不安定ではあっても、どのように読んで予算を立てられるのかというあたりをぜひお 聞きしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 18年度予算につきましては手数料収入は54億です から、17年度決算よりプラス20億で組んでいます。収入トータルでは73億、支出の方 は75億という形で組んでおります。 ○山村委員 17年度予算よりも上乗せされているということになりますか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 17年度予算の収入が87億で組んでいましたが、18 年度予算はそれよりも12億円減らして、17年度予算は中期計画の収支計画ベースで組 んでいたんですが、16、17年度の実態を見ますと、実際のスケールとしてはそれほど大 きくはないのではないかということで、実態ベースですと75億円で、12億円くらい小 さい。収入の方も87億から72億で、15億くらいダウンしてますので、全体のスケール が12、13億円くらい縮めているということです。 ○山村委員 わかりました。 ○医薬品医療機器総合機構総務部次長 補足説明しますと、17年度の財務諸表がござい ますが、この45ページに貸借対照表で審査等勘定の部分が載ってございます。52億の 根拠となる一つの要因として、負債の部の流動資産のところで前受金というのが44億ご ざいます。申請があって審査がまだ完了していないものの手数料を受けたもの、収入・ 支出予算上は100%載せますが、損益に行くときには審査は完了したものを損益計算書 上に載せてますので、その残りの分についてはここで前受金で44億上げてございます。 それと同時に、これに伴う審査の仕掛費用というのを資産の部の流動資産のところで9 億ほど上げてございますが、この部分等が翌年度に、18年度の申請額と、残っている前 受金の部分が処理されてまいりますので、それくらいのものが見込めるということで予 算を組んでございます。 ○山村委員 申し上げたいのは、余り大きな差が出てくるというのは避けるべきではな いか。実際に近い形で予算を組むというのが我々も実際に、業務は違いますけれども、 そういうふう思ったものですから発言させていただきました。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 18年度予算につきましては17年度決算と乖離の方 向が出てまいりましたので、実態を整理して、手数料収入等も各部門から積み上げて、 見込みを精査して52億円まではいくだろうという形で組んでいるところでございます。 前受金という形でまだ審査中の案件に係るものが44億円、つまり44億円が金庫に眠っ ているという形で、仕事が終わればその44億円から終わった分だけ収入の方に振りかわ るという形で、純粋の欠損で外から借り入れしなければ間に合わないという形ではなく て、仕事をきちっとやっていけばちゃんと収入に計上するお金は確保されている状態に あるということであります。 ○部会長 先ほど遠藤先生も心配なさっておられましたけれども、18年度以降について は17年度の決算見込みを前提にしながら組み直していくということですね。だから17 年度分については一過性のものだという考え方で進められているということでよろしゅ うございますね。  ほかにはございますでしょうか。 ○部会長代理 先ほど石井先生から随意契約の話が出まして、直接この評価の対象には ならないかと思いますけれども、公的な機関の随意契約の問題がいろいろと議論になっ ている中で、17年度94.8%が随意契約であるということで、これにつきましてなぜこれ だけ高い金額で随意契約が結ばれているのか。今後これをどういうふうにされるつもり だったのかということを御説明いただければと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 恐らく大半はシステム関係の開発経費等でして、シ ステムを開発なりメンテナンス契約していますと、それを途中で変えるというとまたゼ ロから新しい会社とやりとりし直さなければいけない。我々の場合は審査の内容なりを 熟知した上でプログラムなりシステムをやっていかなければいけないということで、そ の分が従来は随意契約という形だったのです。一方で業務診断をコンサルト会社から受 けていまして、その中でシステム関係、3つの組織が統合してまだモザイク状にあって、 もう少し全体の効率化を図る余地があるという指摘も一部出ていますので、システム最 適化計画を今度つくる中で全体を見直して、システムのより効率的な形を目指す中で、 従来の契約のやり方も見直して、より効率的な、金額的にも節減できるような形がとれ ないかということを追求していきたいと思っています。これまでは従来契約していたシ ステム会社と随意契約で継続させていたということが多くの部分を占めていると思いま す。 ○部会長代理 ありがとうございます。そういう事情であったということで、なかなか スイッチできないということ、しかし今後は場合によってはそういう方向でやっていき たいという話ですね。わかりました。 ○部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○浅野委員 2点ほどお伺いしたいのですが、時々新聞等で製薬協さんとか業界団体さ んがいろんな要望書を機構さんに出されているということが報道されています。例えば 今年度、業界団体だけじゃなくて患者団体さんもあるんでしょうか、そういった関連す るような団体さんがどのような御要望とか提案を出されていて、それに対してどのよう な対応をしてきておられるのかということを、もしここでわかればここで結構ですし、 後ほどの方がよろしければ後ほどでも結構ですので、概略を要約していただければと思 います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 私どもの機構というのはまだ新しくて、ある意味で 整備途上といいますか、問題点を多く抱えておりますが、業界と関係団体も新しい組織 ができたのでより高いパフォーマンスという期待が多いわけです。そういう意味では、 いろんな改善要望というのはたくさん出てきておりまして、それにつきましては業界団 体の中にも業務改善についての委員会組織がありますので、そういうところと合同で、 出された問題点についてどういう改善方法があるかということを両方の立場からぶつけ 合って改善していくというやり方でずっとやってきております。一方的に要望を出して 一方的に応えるという形ですとなかなか生産性がないので、お互いに知恵を出し合って 改善していくという形でずっとやってきておりまして、今までのところは結果的によい 効果を生んでおりまして、問題によっては必ずしも機構だけの解決では済まなくて、む しろメーカー側が改善しなければいけない部分も多々ありますので、機構のパフォーマ ンスをより上げるためにどういう改善案があるのかというあたりを定期的に共同ミーテ ィングの場を設けてやってきております。  それから救済についても、被害者団体の代表が運営評議会あるいは救済業務委員会の メンバーに入っておりますので、そこで業務についてのいろんな御意見もいただいてお りますし、被害者救済団体とは年に1回そういった要望について意見交換する機会も設 けておりますので、そういう中で我々としても取り入れるものを取り入れて改善を図っ ているというのが現状であります。 ○浅野委員 どうもありがとうございました。 ○部会長 まだ御質問があるかもしれませんけれども、一応ここで質問を打ち切らせて いただきたいと思います。評価の記入をお願いいたしますけど、これから45分まで7分 くらいしかございませんけれども、よろしいでしょうか。皆さんの御様子を拝見しなが らと思いますけど、一応45分までの間に評価をお願いしたいと思います。適宜休憩もお とりいただきたいと思います。それでは、どうぞお願いいたします。 〔評価記入〕 ○部会長 それでは続けたいと思います。2番目のグループの評価をお願いしたいと思 います。評価項目の6〜9でございます。御説明をお願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 上席審議役の谷田と申します。よろしくお願い いたします。20ページをおあけいただけますでしょうか。健康被害救済給付業務関係に ついてはこの4つの項目について御説明いたします。  21ページを開いてください。1.救済制度の情報提供、相談体制の充実については、 制度への問い合わせ(1)、申請手続の利便性を図るために相談窓口を充実・強化している わけですけれども、専任職員を配置しまして昼休みも相談に応じる体制を確保しており ます。昨年7月からは相談専用のフリーダイヤルを導入しまして充実・強化を図ったと ころでございます。恐らく6、7割くらいの普及化と思います。(2)情報提供の充実及び 見直しにつきましては、16年度以降の支給・不支給決定のすべての事例について、実態 の御理解をいただくために性別、年齢、医薬品名、副作用の名称、給付する手当等の内 容及び不支給になった理由を定期的にホームページに公表しております。(3)広報活動の 積極的な実施につきましては、地方紙、ブロック紙の新聞を活用した広報、17年度はイ ンターネットの活用や医師会、薬剤師会等の専門誌への制度の紹介とか、昨年に引き続 き「薬袋」を利用した広報も展開して、16年は150万枚だったのに対して17年度は440 万枚に増やしております。去年は(社)日本薬剤師会が発行しております「お薬手帳」 にも救済制度の紹介、連絡先を印刷していただきまして広報活動の徹底を期したとござ います。  22ページをごらんいただきたいと思います。その結果、相談件数については17年度 は4307件でございました。その内訳としては、制度の一般的な紹介が4割でございます。 申請に関する具体的な相談が3割でございます。申請書の書き方ですとか、病院等への 説明ぶりをどうしたらいいかとか、こういった相談が大体3割でございます。相談件数 は、残念ながら15年度よりは少なかったわけですが、インターネット等を活用して制度 普及を図ったことにより、16年度と比べて約10%増加しております。救済制度に関する ホームページへのアクセス件数は17年度は3万7655件でございまして、16年度と比べ て10%くらい減少しておりますけれども、機構のホームページとは別に新たにインター ネットを活用したこともあり、専用ページのアクセス件数は約4万件ございました。制 度周知に大きく寄与することができたものと考えております。詳しくは資料1−3の13 〜14ページに書いてございます。以上によりまして十分成果を上げたものと考えており ます。  次に23ページをあけていただきたいと思います。業務の迅速な処理及び体制整備でご ざいます。この取り組みは健康被害救済部門の最重要課題と位置づけまして、関係者一 丸となって全力で取り組んでいるところでございます。具体的には、ここ数年請求件数 が増加しておりまして、24ページをごらんいただきたいと思います。いわゆる滞貨件数 が非常に増えてきたものですから、処理中案件が増加するということで、標準的事務処 理期間8カ月と決めてあったわけでございますが、達成率も低下してきたということで、 迅速な事務処理能力の向上を図るために、昨年4月、健康被害救済部門に新しく調査課 を設置しまして、(1)請求事案の事実関係の細かな調査を実施するとともに、外部の専門 分野の医師等を活用した専門協議の実施。(2)副作用発生時の状況等をまとめた経過概要 の作成や、(3)これらの調査結果をまとめた調査報告書を作成して、厚生労働省での審議 が円滑に行えるよう体制を見直すとともに、強化を図ってまいりました。また、昨年10 月からは厚生労働省の審議会である判定部会を1部会制から2部会制として、部会の開 催回数も増やしまして、全体として事務処理能力のアップを図ってまいりました。この 結果、副作用被害救済関係の支給・不支給の決定が前年度633件より402件多い1035 件、対前年比163%と大幅に処理することができました。また、処理中の案件、現在調 査中のものを含め、ピーク時が16年度末の956件から17年度末は681件に減少させて おります。約30%減少することができました。また、現在直近の状況でもさらに減少し ておりまして、ピーク時の4割くらいが減少しております。一方、標準的事務処理期間 8カ月以内に支給・不支給を決定した割合であります達成率ですが、17年度は今までの 滞貨分の処理が中心であったことから、前年の達成率14.5%から12.7%に低下いたしま した。しかし、今後の達成率の見通しでございますが、今までの滞貨分はおおむね事務 処理を終える見通しがついたことから、18年度以降の達成率は改善基調に入り、中期目 標期間が終了する20年度には標準的事務処理期間8カ月60%以上という目標達成に向 けて着実に進展していくものと考えております。細かい資料につきましては個別評価シ ートの16〜17ページでございます。この項目につきましても17年度はかなり成果を上 げることができたものと考えております。  次は25ページ、部門間の連携及び被害実態調査の実施でございます。部門間の連携に よる適切な情報伝達の推進としましては、16年度分の支給・不支給したすべての事例は 貴重な情報でございますので、個人情報に配慮して健康被害救済部から医薬品等の安全 対策部門に情報提供を行い、その結果として安全対策部門は、不適正な使用などが認め られる事例については製薬企業等に対して注意喚起を行っているところでございます。 医薬品による健康被害実態に関する調査、これは書面で行ったわけでございますが、実 態把握を行うために有識者で構成する検討会を16年10月に設置しまして、アンケート 調査の対象者、調査項目等について検討を行いまして、昨年8月に実施しました。その 結果を本年取りまとめまして、3月に開催した救済業務委員会に報告するとともに、機 構のホームページで公表したところでございます。  その内容については26ページをごらんいただきたいと思います。また、17年度のア ンケート調査結果を踏まえ、18年度からは総合機構が行う保健福祉事業の一貫として、 重篤かつ希少な疾病の健康被害者のQOL向上等のためにどのような取り組みが可能な のかを検討するための調査研究事業を新たにスタートさせております。以上によりまし て、この事項につきましても十分にその成果を上げることができたものと考えておりま す。アンケート調査の概要について一言申し上げますと、医薬品の副作用で健康被害を 受けた人の約3割が仕事をやめております。また、現在も治療を受けている人が4割ぐ らいおられるといった内容が取りまとめられたものでございます。調査項目でございま すが、アからエまで、このような項目について調査を行っております。また、自由記載 で救済制度に関する要望事項として特徴的なものとしては、もっと制度の周知を積極的 にやってほしいとか、事務処理を迅速にやってほしいとか、そういった要望が寄せられ ております。それで大体50%以上を占めておりました。  27ページをあけていただきたいと思います。評価シートの20ページでございますが、 スモン患者及び血液製剤によるHIV感染者等に対する受託支払い業務等の実施でござ います。これにつきましては28ページをごらんいただきたいと思います。17年度の実 績でございますが、2504人に対して約17億6000万円の支払いを行っております。受託 給付業務、これはHIV関係でございますが、対象者762名に対しまして5億6000万の 支払いを行っております。昨年、どういうふうに大変だったんですかという御質問をい ただきましたが、プライバシーとか、エイズという病気等の関係から、守秘義務は当然 でございますけれども、住所、連絡先などに注意を払いまして、例えば私製の郵便物で 送ってほしいとか、連絡はいつごろ欲しいとか、非常に細かに依頼がございます。その 対応を誤りますとご迷惑をかけてしまいます。昨年も細心の注意を払いまして適切に事 務処理を行うことができました。  以上でございます。 ○部会長 御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対して質問 がございましたら、お願いいたします。 ○山村委員 医薬品による被害実態調査のことで質問させていただきたいと思います。 アンケート調査を行われて、その結果をまとめて公表されたということですので、公表 というのはどういう形で公表されたのかということを教えていただきたいのが一つ。  それから、その調査結果をもとに保健福祉事業につなげたということで書かれてあり ますけれども、これはどういう中身であるのかについて教えていただきたいと思います。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 調査結果の公表は、3月に行われました救済業 務委員会で配付しまして、そこは公開の場で行われておりますのでプレス関係者も一般 の方も入っております。その中で御説明させていただくとともに、機構のホームページ にその資料を掲載しております。また、行政関係、希望者にもお配りしております。  それから保健福祉事業でございますが、昨年のアンケート調査で実態を把握させてい ただきまして、何が我々としてお役に立てる事業ができるかということを一歩踏み込ん でいろんな検討をする必要があるということで、18年度に調査研究事業として、重篤か つ希少な疾病の方について、何が必要で、何が我々として実施可能かということを検討 しようということで事業をスタートしております。実施可能なものから保健福祉事業と してお役に立てる事業に結びつけていきたいと考えております。 ○山村委員 公表されたということはわかりました。これは冊子にもなっているんでし ょうか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 これが現物でございます。 ○山村委員 わかりました。保健福祉事業につなげていくという、どういう事業である のかというのは、まだこれから…… ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 これからです。 ○山村委員 わかりました。 ○部会長代理 副作用被害救済の実績というところ、24ページの表を見ているのですけ れども、今年度の新たな請求件数は前年度と大して変わりはないけれども、非常に多く の処理を行ったということで滞貨を大分処理したということであったわけですが、一つ は、先ほどのお話だとほとんどこれで滞貨は処理できたかのように受けとめたんですが、 それでいいのかどうかということが一点。  それから、実際に処理期間が早くなっているのかどうかというのがこの表だけではわ からないのですね。そちらにある表で、例えば昨年度受けたもので今年度処理できたも のだけを16年度と17年度で比較するとか、そういうものというのはお手持ちに資料の 中にあるのでしょうかということが2点目です。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 1点目の滞貨処理はできたのかという御質問で ございますが、16年度末の956件から17年度末は681件に減少してございますが、通 常においても調査中の案件はあるわけですから、我々としては大体400件前後と考えて おります。なお、古いものについてはほとんど事務処理できましたが、去年の申請分が 残っておりますから、それを処理することによってタイムクロック8カ月は当然過ぎて いる案件でございますから、そういう意味では達成率の改善にはなりませんが、古い申 請分についてはほとんど処理できていますから、今後は達成率の改善に向けて進展して いくと我々は考えているところでございます。  それから処理期間でございますが、24ページの一番下にあります中央値でございます が、16年度は12.4カ月、これが17年度は11.2カ月と改善しております。18年度はさ らに改善する見込みでございますので、中期目標の8カ月60%という目標に向かって、 恐らく18年度は3割前後達成できるものと我々は見込んでおりますし、中期目標期間が 終了する20年度には60%は是が非でも達成するように職員一丸となって努力している ということでございます。 ○部会長代理 ありがとうございます。最後の表を見ればもちろん昨年度よりは下がっ ているんですが、一昨年度よりは上がっているということなので、もしそちらの手持ち の資料に、過去の滞貨ではなくて、比較的新しく入ってきたものだけでの比較でもあれ ば、本当に処理速度が早くなったのかというのがあるので、そういものがなければ仕方 ありません。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 一般論なんですが、実際7カ月とかそのくらい で処理できているケースもございます。17年の早い時期に受け付けた申請分についても、 どんどん処理できるものはしていっております。ただし、どうしても難しい申請につい ては時間がかかっているということもありますけれども、それを去年は集中的に事務処 理を行うとともに、早いものはより早くなってきています。 ○部会長代理 わかりました。要するに、一挙に不良債権処理をやって、その段階では 赤字が出てもしょうがないと、そんなようなスタンスですね。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 滞貨処理しないとすべてが進まないものですか ら、といって滞貨処理ばかりやっているとずっと後追いになりますから、できるものか らどんどんやっているというのが実態でございます。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 中央値が改善されてるんですけど、分布の山で古い 方の山が先の方へ延びてて、これがだんだん縮まってくれば達成率が上がってくるとい うことだと思います。 ○宗林委員 この24ページの表なんですけれども、これは申請者が総合機構さんからこ ういう資料が欲しいのでと言われて、医療機関に申請者が資料作成する期間があります よね。そういう期間というのは入ってないということですか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 ご指摘の期間は入ってません。あくまでも機構 及び国が持つ時間というのが8カ月でございます。 ○宗林委員 そうしますと、救済を受けるためにいろんな資料が申請者の方には求めら れて医療機関とのやりとりが多いと伺っているんですが、審査機構あるいは行政が持っ ている期間がこのくらいの期間ということになりますと、申請を出してから決定がおり るまでというのは全体では大体どのくらいの感じなんでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 精緻に統計はとってませんけど、機構になりま してから申請前にいろいろ細かな相談をさせていただいて、必要とされるデータという のはある程度申請者にご理解していただいて申請されておりますから、照会回答という 業務は減ってきていると認識しております。トータルすると概ね1年半くらいが徐々に 短縮してきているところです。 ○宗林委員 最初に申請してから決定がおりるまでに大体1年半と見ていいと。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 それがだんだん縮まってきていると。 ○宗林委員 中央値が11.2カ月というのが行政機関が持っている期間ですよね。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 その残りの期間が追加資料をお願いしていると ころで出している持ち時間となります。 ○宗林委員 国民から見ますと、自分が医療機関とやっている期間も含めてどれくらい で決定されているかというところがわかりにくかったものですからそれが一点と、こち らの長い表の方で16ページのところに、標準的事務処理期間8カ月の内訳として、厚生 労働省と機構の時間配分を明確にしたという文章があるんですが、何か変化があったん でしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 8カ月の内訳ですから、去年10月から2部会制 をとってますので、そこで8カ月の配分を、総合機構が5.5カ月、厚生労働省が2.5カ 月という持ち時間で事務処理をやっております。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 前は割と単純に機構が受け付けて、それをそのまま 厚生労働省の方へ伝達して、厚生労働省の方で中身を調べるというパターンで、その結 果をまた機構がいただいて給付するという形で、どちらかというと厚生労働省側にウエ イトがかかった事務処理体系でしたけれども、厚生労働省も多忙でなかなか手が回らな くて、比較的そこで滞る例が今まであったものですから、調査機能を機構の方へシフト させて、事前の調査をして中身の分析とか調査報告書を機構側でつくって、その報告書 を厚生労働省に渡して、その報告書に基づいて部会で審議していただいてその結果を返 していただくという形で、仕事の割り振りを変えまして、調査部分を機構の方へウエイ トをかけたと。それに伴って期間の割り振りも厚生労働省側から機構の方へシフトさせ たという整理になっています。 ○宗林委員 判定部会を2部会にしたから機械的に短くなったということではなくて、 全体の業務の割り振りを機構側にシフトしたという理解なんでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 それと、判定するところが1部会制ですとどう しても出口が限られちゃうものですから、2部会制にして審議会での処理能力の向上を 図る。それとともに円滑に審議が進むように事実関係等の調査を機構の方でしまして、 その調査報告書を厚生労働省に提出し、審議会にかけていただいて迅速な事務処理を行 っていただくという仕組みです。 ○宗林委員 そうしますと、こういう割合でこれからいこうという目標になるという感 じでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 割合といいますのは? ○医薬品医療機器総合機構理事長 分担の期間ですか。そういう形でやろうと厚生労働 省と話し合って決めました。 ○白石委員 ちょっと確認しておきたいんですが、健康被害にしても審査の業務にして も、機構発足前の遅延というのがあって、それを処理していくのにすごく御苦労されて いる様子が伝わってくるんですが、その遅延の理由は何なのか。前法人のパフォーマン スの問題なのか、それとも法人が発足したことに伴う体制づくりに時間がかかっている のか、ちょっと確認をしておきたいんですが。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 2つあると思いますが、旧機構時代の15年あたりか ら全国的な広報を展開しまして、請求件数がかなり急増しております。それが事務処理 能力とのバランスでなかなか追いつかなかったというのが一つ。あとは、厚生労働省の 方が1部会でしたから、機構から受け付けたケースを伝達しても部会の処理能力に限界 がありますので、そこで滞っていたという要素もあります。基本的にはその2つの要素 で処理中案件が膨らんでしまったということだと思います。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 資料1−5の125ページをごらんいただきたい と思います。ここに今までの請求件数の推移が載っております。平成14年くらいから数 字的には大幅に伸びてきております。その分を処理できる体制になかったものですから、 滞貨という形でどんどんたまってしまったわけです。ここで去年、新しく調査課をつく りまして前さばきをきちっとやり、本省の方も2部会制に移行して、それでどんどん事 務処理の迅速化を図ってきたという状況でございます。 ○菅家委員 聞き漏らしたのかもしれませんけど、24ページの達成率ということについ てなんですが、未処理分の処理を進めたことで達成率が低下したと言っておりますけれ ども、15年以前を考えないで差し引きしますと230件くらいが積み残しということです ね。16年度で130件、17年度では360件が含まれたと考えるわけですよね。以前のもあ るでしょうけども、そういうことですよね。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 はい、そうです。14年、15年、16年の積み残 し分も入ってきての件数です。決定件数は。 ○菅家委員 そうしますと、各年度で新たに請求件数が増えたというような御説明だっ たんですけど、請求件数はむしろ減ってきているということですよね。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 15年度は793件ですが、16年度は769件、17 年度は760件でしたので、大体横並びというところです。 ○菅家委員 そうしますと、達成率というのはそういう傾向をあらかじめ推測してあっ て、しかもどのくらいのところに目標として達成率を置いておかれたんですか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 年度ごとに何%達成するという目標率は設定し ておりませんけれども、機構は中期目標が終了する20年度には、標準的事務処理期間8 カ月以内に処理したものの割合を60%以上にすること、また、請求件数を増やしていこ うという大きな2つの目標でこの業務を行ってきておりますが、決定件数の方は今まで の滞貨を含めてどんどん処理してきましたので、8カ月以内の達成比率は低くなってお ります。今後は改善されますので、来年度以降の達成率は高くなります。また、請求件 数についても引き続き広報活動に力を入れて、国民に周知を図っていくこととしており ます。 ○菅家委員 そうしますと、PRが足りなかったということなんですか。それとも副作用 というのが減ったということなんでしょうか。減ったといいますか横ばいになってると。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 救済業務委員会の委員からの御発言ですと、副 作用報告が薬事法で義務づけられてるわけですが、それは救済制度の申請とは別でござ いますが、年間約2万4000〜5000件あります。ただし救済制度の対象は、健康被害が医 薬品を適正に使用したにもかかわらず入院相当の被害、受忍の範囲を超えている、例え ば抗がん剤ですとか免疫抑制剤などの救済対象除外医薬品を使っていないことなどとい ろんな要件がございますが、そういう中で申請してきているのが結果として年間800件 弱ですから、そこから考えますと、もっと救済制度をPRすれば申請件数は増加するので はないかという御指摘がございます。ここでこれらの意見も踏まえ一般国民、医療関係 者へのPRを積極的にやっている最中でございます。 ○浅野委員 これはわかれば教えていただきたいということなんですが。今後の請求の 増加の背景になるから御質問したいのですが。いろんな医療事故が増えてきていて、今 まで請求するのは薬の投薬によって直接因果関係がはっきりしているというのがあると 思うのですね。それ以外に医療事故の中で原因がはっきりしないものと。原因究明の中 で消去法で最後に残ったのが医薬品だけだと、医薬品もよくわからないけども、でも医 薬品が何らかの関与をしていると見ざるを得ないという場合に、そういうものが請求と して出てくる、あるいは今後そういうものが増えてくるということがあり得るのかどう か、その辺をお教えください。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 基本的には、適正に使用したにもかかわらず重 篤な副作用被害が発生してしまったと、それが医薬品に起因する疑いが少しでもあれば、 また、疑いが否定できなければ救済するというスタンスに立っておりますので、幅広な 救済となっております。 ○浅野委員 適正な使用という条件がつけば請求対象にはなるということですね。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 なります。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 要するにグレーゾーンもできるだけ救済するという 形です。疑いがあればできるだけ救済すると。 ○浅野委員 従来ですと副作用がわかっている、あるいは特異体質で起こったという薬 との因果関係があらかじめはっきりしてる場合があると思うんですけれども、例えば何 かの形で麻酔薬を投与されて、適正に使用して、適正なプロセスをやったにもかかわら ず起きてしまうとすると、いろんな消去法で消していったときに、薬が何かの形で作用 して起こったんじゃないかと思わざるを得ないという議論のときに請求案件として上が るということがあるのか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 この考え方は医薬品救済制度が発足してから一 貫した考え方ですから、グレーゾーンは救済してきています。 ○浅野委員 わかりました。ありがとうございます。 ○部会長 私も一つ教えていただきたいんですが、この表を見ますと非常に御努力なさ ったことはよくわかるんですけども、例えば決定件数が16年度に比べて17年度は約400 件増えている。職員も増えているわけですね。職員1人当たりの処理件数がどうなって いるかというデータはございませんか。御努力は評価するんですけど、人数が増えれば 頑張れるのもある意味では当然かなということもありますので。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 23ページを見ていただけますか。職員は18人 から28人へ増えていますけど、そこの評価というのは我々としては、人数は増えても新 しい職員が入ると迅速な事務処理というのは進まない面がございますけれども、そこは トレーニングをやりながら事務処理をやってますけど、今度はより迅速な事務処理へと シフトさせて参りたいと考えております。 ○部会長 ありがとうございます。 ○宗林委員 副作用救済に関する決定件数が増えるということは、これが7割とか8割 くらい給付対象になるんでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 8割くらいです。 ○宗林委員 予算措置という観点から、予算額に対しては支出が余裕があったという決 算になっているように見えますが、昨年に比べるとかなり件数が多くなっていますが、 それを見越して予算を立てていらっしゃったんでしょうか。それから、今後もこの件数 はずっと増加していく、あるいは予算措置はどうしていかれるのかというのは何かあり ますでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 予算上の設定よりも実績としては多く出ました。し たがって、その結果として年金給付の責任準備金が9億円足りなくなって欠損が出たと。 そのほかに積立金というのが40億ほどありまして、そこから流用して埋めたという構図 になっていますので、請求件数については予算で見込んだよりも膨らんだと。結果とし て責任準備金が9億円足りなくなったという形になっております。 ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 財政的な安定を期するためにメーカーの方から 拠出金という形でお金をいただいています。もしお金が足りなくなったら積立金から取 り崩して給付に充てる、責任準備金には満額積めるようにするという財政運営をやって おりますので、財政上は問題を生じることはありません。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 5年ごとに財政再計算をしていまして、そこで足り なければ料率を上げるという形で必要な財源を確保するという形をとってきております。 ○医薬品医療機器総合機構総務部次長 17年度につきましては、件数が増えましたので 結果的に年度計画の変更を3月22日にいたしました。ですから、この給付額自体が年度 計画で変更額7800万だけ増額の変更届を出しましたので、そのベースでの執行額になっ てございます。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 予算を補正したということですね。 ○宗林委員 補正予算か何かをいただいたようなイメージが残っていたものですから、 どう調整されたのかなと。そうすると今後は予算要求としてもここは膨らませて要求さ れていくということですよね。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 18年度はこのトレンドを踏まえて高い見込みを… … ○医薬品医療機器総合機構上席審議役 不足しないように額を積算して予算を計上して います。 ○部会長 それでは、もっと御質問があるかもしれませんが、ちょっとここで打ち切ら せていただきます。評価項目の6〜9につきまして各自作業をお願いしたいと思います。 恐れ入りますけど30分までという予定でお願いできますでしょうか。 〔評価記入〕 ○部会長 それでは再開したいと思います。3つ目のグループでございます。10〜14を 御説明いただきたいと思います。お願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構審議役 審議役の浦山でございます。よろしくお願いいたし ます。説明用資料の29ページをごらんいただきたいと思います。審査等業務でございま して、アクセスの迅速化、業務の信頼性の向上ということでテーマが5つございます。  30ページをごらんいただきたいと思います。医薬品に関して業務の迅速な処理及び体 制整備ということで、評価シートは21ページになっております。中期計画及び年度計画 に基づいて17年度に実施した主な取り組みは、審査員の増強ですとか、治験相談から審 査まで同一チームが一貫して行うというのを引き続き行ってきております。  31ページをごらんいただきたいと思います。審査部門の職員数を掲げてございます。 17年度当初178名でしたのが18年度当初197名ということで増加してございます。  32ページをごらんいただきたいと思います。新医薬品の承認審査状況をまとめてござ いますが、審査等業務進行管理委員会で進捗状況等を検証しておりまして、17年度14 回開催してございます。新医薬品審査の透明性の向上ということで、メトリックス管理 と申しておりますけれども、各プロセスごとの処理件数とそれに要した期間を表示する というのを導入してございます。新医薬品全体の審査状況でございますが、12カ月の目 標達成状況は83%、これは中期計画で16年4月以降に申請したものについて、行政側 の審査に要する期間が12カ月70%以上というのを目標にしてございますが、17年度は 83%ということで達成してございます。また、全体の承認件数も16年度は49件でござ いましたが、17年度は60件ということで件数も増加してございます。優先審査という、 医療上の必要性の高さからほかのものに優先して審査するように定められたものがござ いますけれども、これも16年4月以降の申請分について6カ月50%という目標に対し て56%ということで達成してございます。滞貨品目についても、発足当初139件ござい ましたのが54件に減少してございます。そのほか抗がん剤ですとか未承認薬等の医療現 場のニーズも適切に反映するようにしてございます。  33ページをごらんいただきたいと思います。上の表は今申し上げたことを表にしてご ざいますが、17年度全体では60件の承認、16年度以降の申請分については24件の承認 でございます。下にメトリックスの管理システムというのがございますが、これは17 年度に実施した各プロセス、初回面談ですとか、専門協議ですとか、承認というような、 あるプロセスごとに、そこに到達したものについてはそこまでにどのくらいの日数がか かったかというのを掲げてございます。平成16年4月以降に申請したものについてまと めてございますので、承認24件とございますが、これが16年度以降申請分の24件と合 っているということでございます。この日数は行政側の持ち分だけではなくて、申請者 の方も含めての日数でございますので、初回面談から専門協議という審査の中心的な時 期が一番長くなっておりますが、これを見ますと、大体審査のスピードがどれくらいで 進んでいるかというのがわかるというものでございます。  34ページをごらんいただきたいと思います。この表が今までの審査の状況でございま して、16年3月以前のもの、16年度、17年度にそれぞれ申請されたものが今どのよう な状況かということで数字が整理されてございます。医薬品につきましては的確で迅速 な審査を行うという目標達成に向けて十分な進展を見せていると考えております。  35ページでございます。医療機器の関係でございますが、医療機器の承認審査につき ましても審査等業務進行管理委員会での検証が同じように14回開催されておりますし、 メトリックスの管理システムも同様に導入しております。また、新医療機器全体での審 査状況でございますが、中期計画及び平成17年度計画の目標である、16年4月以降申 請分の12カ月を80%達成というのを目標にしておりますが、17年度は100%達成して おります。全体の承認件数も16年度は8件でしたのが17年度は11件ということで増加 しておりますし、機構発足前の申請品目も132件でしたのが38件にまで減少してござい ます。  36ページをごらんいただきたいと思います。新医療機器の承認状況を表にしてござい ますけれども、件数も増えておりますが、審査期間の中央値も12.7カ月から7.7カ月と 短縮してございます。下がメトリックスの管理システムでございますが、16年度以降申 請分の5件が書いてありますが、医療機器の場合は初回面談の後、初回専門協議をいた しまして、専門協議は必要に応じて何回かいたしますので、2番と3番のところが審査 の中核的な部分だと思いますので、ここのところが一番期間を要しているということで ございます。  37ページをごらんいただきたいと思います。新医療機器に関する審査状況をまとめて ございます。これも発足以前のもの、16年度、17年度申請のものについての状況を掲載 してございます。目的達成に向けては十分な進展を見せていると考えております。  38ページでございます。ここは治験相談の関係でございます。治験相談は質の向上の ために相談から承認審査まで同一チームで実施しております。通常の治験相談のほかに 優先治験相談という、優先的に治験の相談を行っていくべきものについてそういう制度 を設けておりますが、17年度は20成分申し込みがありまして、16年度申請したものの 残りの2件も含めて17件が該当すると判定しております。指定したものについては希望 のあったものについて治験相談を延べ12件実施してございます。通常の治験相談ですけ れども、昨年度は大変需要が多くなって受け付けを一時停止するということになってお りましたけれども、17年度に改善を講じまして、218件の実施。日程は決めたものの申 請者の都合により実施前に取り下げになったものも含めて14件ございました。それも含 めて232件対応したということで、改善措置を設定したときに目標とした220件、前年 度の1割強増やすという目標については達成してございます。この改善措置ですが、17 年4月に措置を通知しまして、19年度末までの暫定措置ということでございますが、相 談区分と開発形態区分というふうに分けまして、それぞれ決定基準を定めて、それによ って選定するということで実施してきております。実際の実施は、7月から申し込みを 受けて10月実施分から適用してございます。目標関係ですが、治験相談にかかる処理期 間として対面助言の実施、実際に面会をして相談した日から記録確定まで30勤務日以内 というのを目標10%としておりますが、17年度中に記録確定した193件中25件が30 勤務日以内で作成しまして、達成率が13%ということで目標を達成してございます。優 先治験相談については、治験相談の申し込みがあってから1回目の対面助言までの期間 が30勤務日以内というのが50%という目標になっておりますけれども、21件中12件と いうことで57%でございまして、目標を達成してございます。  39ページはその治験相談の数値を書いてございますが、16年度に比べて17年度は、 実施件数193に対して218、取り下げも含めた件数にしても増加してございますし、新 しい制度にした10月以降、かなり治験相談の実施をしてきておりまして、着実な進捗が あったものと考えております。  40ページでございます。業務の質の向上の関係でございますが、専門性の高い職員の 計画的な採用ということで公募を行いまして、常勤職員、嘱託職員もかなりの数を採用 してございます。特別研修等のさまざまな研修により知見の獲得や技術の向上を図って おります。特別研修は外部から講師を招いて行っておりますが、17年度は16件という ことで、前年度の7件に比べて倍の件数実施しております。GMP調査体制の整備もし ておりますが、17年度から外国の製造所に調査対象が拡大されましたので、品質管理部 の体制を強化して18年度4月初めで26名という人員の増強をしてございます。外部専 門家の活用ということも図っておりまして、専門的な意見を聞くために外部の専門家に 委員の委嘱をしてございます。3月末現在で847名の委員にお願いしておりますが、主 に大学の先生ですとか、臨床の分野でしたら大学病院の先生、国公立病院の先生方に主 にお願いしております。情報支援システムの構築でございますが、eCTDという、従 来は紙の申請書類を出しておりましたけれども、それを電子的に受け付ける方法を導入 しましたので、審査に使えるように新システムを整備してございます。GMP調査も承 認審査と関係が深くなりましたので、そこら辺の情報も含めて審査システムに連携でき るように反映してございます。海外規制当局との連携強化ということで、FDAですと かEMEAとの情報収集、職員を派遣して連携強化を図っております。この面について も十分な成果を上げてきたと考えております。  41ページでございますが、適正な治験の普及でございます。1つ目は、バイオ、ゲノ ム等の先端技術評価等でございまして、先端技術を応用した新製品に係る国の評価指針 等の作成に協力したり、再生医療等の作成指針の協力を行っております。WHOを中心 に世界で今開発を進めております新型インフルエンザワクチンの審査の迅速化というこ とで、企業への指導ですとか情報収集のための国際会議への職員派遣をやっております し、患者個人の遺伝的な素因と医薬品の有効性、安全性との関係にかかわるゲノム薬理 学に対してはプロジェクトチームを正式に発足させ、情報収集等を行っております。適 正な治験の普及でございますが、GCPの実地調査等を踏まえ、適正な治験の普及のた めにいろいろな情報をホームページ等に掲載しておりますし、医療機関の治験実施体制 の整備促進を目的として、薬剤師や看護師を対象とした治験コーディネーター養成研修 も実施してございます。以上、適正な治験の普及等に関しても十分な成果を上げたと考 えております。  以上でございます。 ○部会長 ありがとうございました。どうぞ御質問をお願いいたします。 ○松原委員 医薬品の承認について、非常に件数も増えて目標に達してきつつあるとい うことで御努力なさっている様子がわかりました。これは質問というより私の意見なの かもしれないんですけれども、承認期間というのが患者さんにとって、必要としている 薬のアクセス向上だったり、企業にとっては国際競争力を向上させるのに大きな影響を 与えるわけですけれども、海外の様子、FDAとかEMEAの承認期間とかプロセスは どの程度のものなのか、それに比べて総合機構さんの方はどの程度なのかというのがあ った方が今のレベルがわかりやすいのかなと。ただ早ければいいというものではなくて、 副作用のある薬をどんどん承認されても困りますので、遅いとすればその理由とか、そ れに対してどう対応しようと思っていらっしゃるのかというのがあった方が、こちらと しても評価がしやすいのかなと思いました。それは今回すぐそうしてくださいというこ とではなくて、今後ということでございます。  あと、資料の32ページに、検討会があって、そこで出された医療現場のニーズを審査 に適切に反映とありますが、具体的に1、2例で結構ですので、どのように反映なさっ たのか教えていただければありがたいです。 ○医薬品医療機器総合機構審議役 最初の方の御希望につきましては了解しました。た だ、実際問題としては、審査期間についてはほぼ欧米と同じくらいになっているという ことでございます。あとは治験への取り組みの問題ですとか、さまざまな問題がござい ますけれども、審査自体はほぼ同じような期間でやれるような状況になってきておりま す。  次のことでございますが、32ページの下に書いてございますものについては、抗がん 剤併用療法、未承認薬のところで上げられたものについては、申請時に優先審査ですと か迅速審査という審査をしてございますので、申請から承認までかなり短い期間で承認 ができるようにしてきております。例えば、資料1−5をごらんいただきたいと思いま すが、147ページのところ、これは承認されたものの一覧表ですが、一番下の54番、ラ ンダ注と書いてございます。ここに抗がん剤併用療法と注釈がございますが、これが抗 がん剤併用療法に関する検討会で御指摘のあったものについてこういう形で承認してい るというものでございます。 ○医薬品医療機器総合機構理事 追加して、アメリカとの比較について御質問がありま したけれども、こちらで把握しているアメリカの審査期間がどれだけかかっているか、 審査側の持ち時間で見てみますと、2004年の数字が直近の数字として把握しております が、アメリカが大体12カ月という結果であります。33ページの17年度あるいは16年 度の数字と比較していただければよろしいかと思いますが、中央値で12カ月、16年度 は8.6カ月ということでございますので、アメリカとほぼ同じレベルに来ていると。一 方承認件数になりますと、新医薬品につきましては新有効成分と新効能が全部含まれた 数字が載っておりますけれども、例えば新有効成分という全く新しい化合物でカウント しますと、日本もアメリカも2005年では同じ20成分前後の実績でありますので、アメ リカと同じくらいのパフォーマンスに達していると言えるかと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 ただ一つ誤解のないように言いますと、審査期間は ほとんど遜色ないんですが、総審査期間、申請者側の持ち時間を加えると日本の方が長 いんです。というのは、結構審査に入ってからやりとりが多いんですね。アメリカの場 合は申請前の治験相談といいますか、事前のチェックをかなり濃厚にやりますので、そ こで基本的な問題をクリアして、審査に入ると比較的スムーズに流れる形になっていま す。日本もそれを目指して、申請前の相談を厚くして、そこでできるだけ整理しようと。 審査に入ったらスムーズに流れるようにする。今のところまだそれが徹底していないの で、審査に入ってからあれが足りないとか、これを直すとかいうやりとりが結構あるの で、むしろ申請者側の消費時間が長い点があって、総審査期間としては若干まだ差があ るような気がします。 ○松原委員 ありがとうございました。患者にとっても企業にとっても、同じ薬が日本 では手には入らないけど海外で手には入るとか、海外ではすぐ承認されて日本ではだめ というのが非常に問題であると思いますので、海外と比較したときにどうなのかという ものがあった方がこちらとしてもわかりやすいと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 ただ、その問題は、ドラッグラグといいますか、欧 米で使われている薬が日本ではなかなか使えないというのは、審査期間の問題よりも、 申請自体が遅い。我々は申請がないとアクションを起こせませんので、申請自体がかな りおくれてされると。その原因をさかのぼると、日本での治験がおくれているというこ とですので、日本での治験も欧米と同時にスタートする形に持っていかないと根本的な 解決にならないということです。 ○部会長 なかなか難しいですね。プロセスでどういうふうに進んでいるかということ も関連して、早ければいいというものでもありませんし、大変難しいような気もいたし ます。  ほかにはいかがでしょうか。 ○部会長代理 同じく33ページですけれども、この数値は16年度以降分については計 画を達成しているということなんですけれども、過去の分も含めたものを見ますと中央 値で12.0カ月ということで、過去よりも長引いているわけでありますけれども、これは 17年度に集中的に滞貨処理を行ったということなんでしょうか。とりわけ16年度との 差がかなり大きいようなので、その辺について御説明がなかったように思いますので、 お願いします。 ○医薬品医療機器総合機構審議役 おっしゃるとおりでございまして、17年度残りの36 件は滞貨の処理をしてございますので延びております。なお、16年度は優先審査の品目 が大変多ございまして、全体として短くなっている傾向もございますので、基本的には 滞貨処理を17年度に行ってきたということがメインでございますが、そういう面もござ います。 ○浅野委員 今年度を見ますと、日本ではないんですけども、機構さんの中ではかなり 大きな話題になっていろいろな検討が行われたかと思うんですけれども、例えばメルク 社の鎮痛剤のバイオックスの問題とか、英国の治験でTGN1412で予期せぬ重篤な事故 が起きたということなので、欧米のやり方では申請期間が短いとか効率的だということ ですけども、量的な問題だけじゃなくて、治験自体、医薬品開発自体に対してより質を 問うような動きが活発になっていると思うのですが、その辺の状況を受けて機構さんの 中でどういう検討が行われて、今後どういうふうにしていこうという動きがあるのかお 教えいただければと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 一方でスピードが求められると同時に、もう一方で きちんと安全性をチェックしなければいけないという、そこをどうバランスさせて達成 するかというのは我々の宿命的な課題なんですけれども、医薬品の開発全体としてはグ ローバル開発の方向があって、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、いろんなところの治験 データを集めてきて評価するという方向が主流になってきて、日本もそれに加わらない とドラッグラグが解消しない。できるだけ最初からそれに参加する形でいろんな検討を 進めているんですけれども、かといって外国のデータだけですべて評価できるかという と、今おっしゃったような問題で、民族性の違いとか、東洋系には出るけど欧米系には 出ないとか、日本人には出るけどほかの人種には出ないというのが必ず少し残りますの で、そういうものを国際共同治験の中でどの程度評価として組み込んでいくかというと ころを大いに議論して整理していかなければいけない。国際共同治験の波に乗ってでき るだけ早くということであれば、日本人のデータを少なくして外国のデータをたくさん 利用するという方向ですけれども、逆に言うとさっき言ったようなリアクションもあり ますので、その点を見るとなると日本人なりアジア人のデータもある程度必要になると いうことで、その兼ね合いをどう考えていくべきかというあたりは中で一生懸命検討し ているということで、これは必ずしも画一的に決めるものじゃなくて、薬効別にそれぞ れあり方が違いますし、決められるとしてもある程度基本的なガイドラインはできても、 実際には個々の製品ごとに事情が全く違いますので、最終的には製品ごとに評価してい かなければいけませんが、その一方でグローバル開発という流れにも乗りおくれてはい けないということがありますので、その中で今おっしゃったような問題をきちっとフォ ローしていくシステムをどうやってつくっていくかというのが我々として最重要課題だ と思って検討しております。 ○浅野委員 ついでに、薬効群別に申請期間を検討していくということですけども、申 請にかかる審査期間というのが平均の数字とか全体の数字で出されていると思うんです けれども、薬によって難しいものと簡単なものがあって、それぞれ審査期間が異なって いるかもしれない。もし異なっているとすれば、難しいものが多くなって長くなるとい うのは当然だと思うんですね。簡単なものが増えれば短くなるわけで、その辺が明らか になるような議論がこれから必要になってくるんじゃないかと思うので、その辺もぜひ よろしくお願いしたいと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事 まず初めの御質問から、バイオックスの例を引かれま したので、どういう体制でこちらは考えているのかということについて御説明します。 アメリカのバイオックスの例というのは、新薬市販後、心臓系の有害事象があったりし たものが、十分その後の対策として生かされなかったというところかなと理解しており ます。市販後の情報をしっかり審査部門に反映して、市販後の安全性情報をしっかりと 提供していくという体制かなと思います。そういうことから、総合機構では審査部門と 安全部門との連携に十分配慮して、頻繁な会合を持って情報の共有を図ってまいります。  2番目に追加されましたところについては、これから国際共同開発、あるいは同時申 請という状況になりますと、これまで以上に審査に気を使う難しい場面が出てくると思 います。外国で使用経験のあるものの審査と、全く初めてのものの審査というところで は相当気の使い方が違ってくると思いますが、今後難しい場面が出てくると思いますけ れども、できるだけ早く治験相談という枠組みの中で、開発段階からいろんな問題点を 共有し、指導していくという体制でその問題に対応していきたいと思っております。 ○宗林委員 33ページの一つの表で私たちは数値を見せていただいているんですが、行 政機関だけの時間でなく、全体の承認までの期間を縮めるための具体策として、海外の データをどれだけ利用するかというお話であったり、治験環境を整えるというお言葉が 出たと思いますが、これは具体的な形になっているんでしょうか。あるいは今後治験環 境を整えるというのは、予算措置も必要なのか、どこの協力が必要なのかということ等、 もし何か具体策があれば、伺いたいのと、あともう一つは、特に抗がん剤だろうと思う んですが、承認がおりるまで待てないという話のときに、治験をしている場所を公表し てほしいというお話があると思うんですが、治験されている場所を一部公表していって、 承認前に治験を受けたい方が受けられるというようなことをお考えになるというお話は ないんでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事 1点目の治験環境の件ですけれども、総合機構として 何ができるのかというところかと思いますけれども、治験コーディネーターの養成とい うところを、日本での治験がスムーズに行われるためにはそういった人材育成も重要だ ろうということで、コーディネーター養成事業を通じて治験環境の改善をしていきたい というのが第1点です。もう一つは、治験相談という形で、いろんな開発の計画につい て効率的な開発についてのアドバイスをしていくということで、早く申請までこぎつけ るという観点からの指導が必要かなと思っております。ちなみに、以前統計をとったこ とがありますけれども、治験相談を受けた案件と受けない案件で、受けることによって かなり審査期間の短縮が図られているということもございますので、治験相談をできる だけニーズに合うような形で対応していきたいと思っております。  それからもう一つの、治験の実施状況の公開の件ですけれども、本件につきましては 製薬団体が財団法人医薬情報センターと契約を結んで、どういう治験をやっているのか というところを公開していこうという準備を進めてございます。そういった形で治験の 実施状況が少しずつ開示されていくんだろうと思います。 ○医薬品医療機器総合機構理事長 少し補足しますと、治験環境の改善自体は厚生労働 省の方で治験のあり方検討会でやっていまして、コストが高くて時間がかかるというこ とで、日本を除いて欧米で先行して開発してしまうという状況を改善して、日本も最初 から治験に加わるというためには治験環境を改善しないとできません。そこは厚生労働 省が中心になって今やっていますし、機構の立場から何ができるかという形でさっき話 があったことに加えて、我々の場合は審査のベースとしての治験データをどう評価する かという点について、従来ですと国内データをメインに審査するというスタンスでした けれども、グローバル開発、国際共同治験、いろんな国から治験データを集めてきて評 価するという形になった場合に、欧米のデータ、アジア人のデータ、日本人のデータ、 こういったものをどう評価すればいいのかというあたりについて、そういう方向へ持っ ていこうというところまではコンセンサスがあるんですが、じゃあ具体的に審査の上で それをどう反映するかというところがクリアになっていなくて、まさにそこをワーキン グチームをつくってガイドラインを整理していこうということで取り組んでいる最中で す。そこがある程度クリアになって、全体の計画の中で日本人がこれくらい入ればいい ということがクリアになれば、メーカーとしても、それならば日本も最初から組み込ん でやる可能性があるということであれば、日本も参加する形になりますけれども、そこ がクリアでないとメーカーも二の足を踏んで日本を入れてくれないということですね。 そこはガイドライン的なものを明らかにしなければいけないかなということで取り組ん でいる最中です。 ○部会長 それでは、もう少し御質問あるかもしれませんけれども、10〜14の評価をお 進めいただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。これも15分くらいまでの 予定でお願いできればありがたいことでございます。よろしくお願いいたします。 〔評価記入〕 ○部会長 それでは再開いたします。時間も押しておりますので、少しピッチを上げた いなと思っております。御協力よろしくお願い申し上げます。それでは早速に御説明を お願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構理事 理事の岸田といいます。説明用資料の44ページ、評価 シートの43ページに当たりますけれども、審査、安全対策業務の透明化の推進という項 目であります。1点目は、新薬の審査内容について報告書を作成し、それを審議会で審 議していただくわけですが、その報告書を公表するということを行ってきております。 16年度は35件のところ17年度は74件公表いたしまして、承認から公表までの日数、 内容によっては企業秘密に触れる部分がありますので、マスキングという作業を企業に お願いしておりますので、企業の要した日数も含めたトータルタイムでありますけれど も、16年度が74日でありましたのが38日まで短くなりました。次の申請資料概要、こ れは企業が作成する資料でありますので、企業秘密に触れる部分をマスキングして公表 するという手順であります。これが16年度16件のところ17年度は57件であります。 公表までの日数が112日になっております。次は医療機器の審査報告書、これは17年度 に初めて行ったものでございますけれども、16年度及び17年度承認の9件の審査報告 書を公表していると書いてありますが、さらに13〜15年度の16件も含めて全部で25 件の新医療機器審査報告書の公表をいたしました。また、情報提供ホームページの既存 コンテンツの充実、新規コンテンツによりまして、実績としてアクセス回数が16年度 2.3億回を17年度は2.9億回ということで、24%増の成果を上げております。  次のページでございます。評価シートは46ページ、副作用情報の収集という項目であ りますけれども、1点目はデータマイニング手法の検討でございます。次のページを開 いていただきたいと思いますが、企業から報告される副作用報告のデータベース、これ は年間国内症例で2万5000、海外症例も含めると9万件に相当するわけでありますけれ ども、その中から人間の目で毎日あるいは毎週、問題となる医薬品と副作用の組み合わ せがあるのかどうかというところを見て、症例分析をして対策をとるわけでありますけ れども、それをコンピューターによりシグナルを検出しようという手法であります。16 年度においてはこういうような年度計画に沿って20年度までに安全対策業務に導入し ましょうということが決まったわけでございまして、今年度はシグナル検出手法の検討 を行うというところであります。これについてはFDA、英国、WHOなどで導入され ておりますシグナル検出手法を調査し、それを日本の副作用データベースを用いて検証 しまして、日本に導入した場合の問題点について検討を進め、18年度へ業務への試適用 という形でデータマイニング手法についての検討を進めてございます。  次は47ページでありますが、拠点医療機関ネットワークの構築というところでござい ます。抗がん剤併用療法における実態調査についてネットワークを用いて情報収集し、 評価するシステムを検討しましょうということで、49ページでございますが、複数の医 療機関と契約を結びまして、そこに登録されている抗がん剤併用療法を行う患者さんを 登録し、その患者さんの治療方法、生じた副作用、そういったものを総合機構に収集し、 調査分析するという調査概要でございます。16年度はがんセンター、あるいはがん拠点 医療機関、特定機能病院に対して、こういったネットワーク事業をやるということで広 く説明会をいたしましたけれども、17年度においては実際に参加施設74施設の協力を 得て調査を開始し、登録者は2200名というところでございます。これについては1年く らいの調査結果をもとに解析をし、その後の安全対策に反映していきたいと思っており ます。また、途中で得られる重篤な副作用についてはその都度対策を講じようというこ とでありますが、現在のところ問題となる重篤な副作用の報告はございません。また、 小児薬物療法におきましても、こういうネットワークを用いて副作用情報を収集し、評 価するシステムについての準備をするということで、小児科の専門病院を対象に説明会 をいたしました。これは18年度にネットワークの実際の事業を立ち上げることを予定し ております。次に副作用・不具合報告の電子化でありますが、数多くの報告を電子デー タベースに入れまして、厚生労働省と総合機構で情報の一元化、即時アクセスできる体 制にしようということで、企業の方への協力依頼をしまして、年度計画では電送化率 75%の目標でありましたけれども、86%の電送化率に達しております。また、医療機関 から直接厚生労働省に報告されてくる副作用報告についても、厚生労働省から機構に即 時報告する仕組みがありますけれども、これについても電子的な報告が可能になるよう なシステム開発を行いました。  次は50ページでありますが、評価シートの48ページに当たりますけれども、企業、 医療関係者への安全性情報の提供。まず企業への情報提供でありますけれども、ほかの 会社さんが副作用報告をしたものに自分の会社と同じ有効成分のものもあるわけであり ますが、そこが今までは知り得なかったところ、ほかの会社さんが報告したものも知り 得るようにしましょうと。あるいは、ほかの会社さんが報告した中に自分の会社の薬が 併用被疑薬として載っているという情報も知り得るようにしましょうということで、18 年1月から副作用に関する情報をラインリストとして公表することを開始しました。医 療関係者への情報提供というところでは、従来から医療用医薬品の添付文書情報という のは整備し、公表しておりますけれども、昨年6月から医療機器の添付文書情報の掲載 を開始しました。医療用医薬品については1万2000件でありますけれども、医療機器に ついては1500件くらいの掲載をしております。次はクラス1回収という、健康上重大な ものの回収情報、あるいは緊急安全情報、そういった情報を総合機構のホームページに 掲載はしておりますが、いち早く医療関係者に伝達する仕組みはないだろうかというこ とで、それをプッシュメールという形で、登録された医療機関関係者に配信するサービ スを昨年8月から開始しました。現在のところ3000件の登録を得ております。頻繁に出 てまいりますクラス1回収の情報が即メールで配信されております。先ほど副作用につ いてのラインリスト情報をホームページに掲載すると申し上げましたが、それに加えて 医療機器の不具合に関する報告についても今年の3月からホームページに掲載を始めま した。これについても医療機器不具合情報を医療関係者が承知することができるという ことで、適正使用に役立つ情報提供が図られていると思っております。  次は51ページ、評価シートも51ページでありますけれども、一般消費者、患者への 情報提供というところであります。薬相談においては従来から行っているところでござ いますけれども、昨年7月から医療機器に関する消費者相談業務を開始しました。また、 今年の1月からは患者向け医薬品ガイドの掲載を開始しました。次のページにあります けれども、左側は医療用医薬品の添付文書、これは専門家向けの添付文書ですので非常 に難しく書いてあるわけでございますけれども、患者さんが適正使用する、あるいは副 作用を自覚症状で早く発見するための説明ガイドをつくってはどうかというところであ りまして、わかりやすい用語で使用の説明をする、あるいは副作用の説明をする、重大 な副作用についての自覚症状をわかりやすく部位ごとに、頭、おなかというような形で 記載するということで、いち早く発見しやすいようにするための医薬品ガイドの掲載を 始めました。  前のページに戻っていただきますと、第1号は経口糖尿病薬を掲載しまして、23成分 150品目を行いました。これについては18年度中に、警告欄に載っているような重篤な 副作用のあるものについて患者向けガイドを掲載したいと思っております。それから(2) でありますけれども、安全部門と審査部門の連携、安全部門と救済部門の連携、そうい うことを行うために、それぞれいろんな段階で安全部の職員が情報収集しているという ところであります。また救済関係については、例えば不適正使用によって不支給となっ た事例について、その情報をもとに添付文書の注意すべきところ、警告欄とか、そうい ったところへの改訂ということも行っております。また、こういった情報提供ホームペ ージをよりニーズに合ったものにしたいということで、ホームページでWeb型のアンケ ートを調査しました。主な意見としては、検索をよりスピーディにしてほしいという意 見が多ございましたので、その面の対応を図ったところでございます。  以上でございます。 ○部会長 ありがとうございました。それではどうぞ、御質問がございましたらお出し いただきたいと思います。  単純なことをお尋ねいたしますが、52ページに患者向けの医薬品ガイドをおつくりに なったと、とてもいいことだと思いますけれども、高校生程度の者が理解できる用語を 使ったと書いておられますけど、文字のサイズはどんなことでございましょうか。内容 よりも読むか読まないか。 ○医薬品医療機器総合機構理事 サイズは20ポイントと聞いております。 ○部会長 20ポイントといいますと、例えば今日の52ページの文字というのは12か14 くらいでしょうか。ともかくそれなら安心いたしました。中身はわかりやすいけど読む 気になれないというのが一番困りますので気になりましたけど、ありがとうございます。 ○菅家委員 同じページですけれども、患者向け医薬品ガイドというのは、患者さんが 自由にプリントアウトしてとることができるんですか。それとも画面上で見るだけなん ですか。 ○医薬品医療機器総合機構理事 これは総合機構のホームページにも掲載しております ので、自由にプリントアウトして見ることができます。 ○菅家委員 そうしますと、ポイントが20ポイントのように大きかったら何枚も紙が出 てくるということになるんですか。1品目について得ようとすると。 ○医薬品医療機器総合機構理事 大体1品目7、8ページになりますので、ある程度の 大きさというところは、特に高齢者ということを考えますと必要かなと思いますので。 それから、部位によってどういった自覚症状があらわれるんですかということを書くと なりますと、ボリュームとしては大きくなってしまうと思います。 ○部会長 何か補足がおありですか。マイクが動いておりましたけど。 ○医薬品医療機器総合機構安全部長 患者向け医薬品ガイドですけれども、書き方のフ ォーマットもすべて定型的に決めておりまして、文字のポイント数は失念してすべて覚 えているわけではないんですが、タイトルは大きく、文中の文字は何ポイントというの は、すべて業界と調整をして、会社ごとにばらばらにならないように配慮しております。 それから、レターヘッドから文章までの距離とか、改行の幅も決めておりまして、それ を機構の方で確認して掲載させていただいております。表示については、PDFファイ ルです。これは、画像のように表示されます。それが現状でございます。 ○菅家委員 そうしますと、医療用医薬品の添付文書に警告のついている医薬品で、し かもまだ開発の段階だから、糖尿病薬とか幾つかだけやられ始めたわけですよね。 ○医薬品医療機器総合機構理事 要は、患者さんに重大な副作用についていち早く知っ てもらうと、適正使用に役立ててもらうという観点から考えておりますので、警告欄に 早く知ってもらう必要のあるような重大な副作用が書いてあるものを選んで掲載してく ださいということで、それを18年度中に各薬効群ごとに作業スケジュールを組みまして、 それを掲載しましょうということで、最初は経口糖尿病薬を掲載しましたという説明を 申し上げたところでございます。 ○部会長 ほかにはございませんか。  それでは、ただいま御説明いただきましたものについての評価をお願いしたいと思い ます。これも5分程度でお願いできればありがたく思います。よろしくお願いいたしま す。 〔評価記入〕 ○部会長 大体皆様お済みになったようでございますから、これで一応各評価項目の評 価はお済みになったと思いますけれども、今日の議論全体を通じて御質問なり御意見な どございましたらお出しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  かなりいろんな御質問や御意見が出ましたから、大体出そろっているのでございまし ょうか。それともお互いにくたびれ果てたということかもしれませんけど。総合機構の 皆様方も大変お疲れだったと思いますが、ありがとうございました。  それでは、評価官、最後に事務的な連絡等々ございましたらお願い申し上げます。 ○政策評価官 長時間ありがとうございました。次回につきましては、個別17年度実績 評価の第3弾ということで、今週の金曜日でございますけれども、御案内申し上げてお りますのは17時、場所はこの会議室を予定しておりますが、福祉医療機構についてお願 いしたいと思っております。  短期間に非常に密度の高い、かつ頻度の多い評価をお願いしておりますけれども、次 回28日、引き続きよろしくお願い申し上げます。私からは以上です。 ○部会長 それでは、改めまして総合機構の理事長さん初め皆さん、本当にありがとう ございました。委員の皆様方も、第1回が先週の金曜日でございまして、今日と今週の 金曜日と、1週間のうちに3回やるという人使いの大変荒い評価委員会でございますけ れども、お互いに今日はかなり意見を出し合えまして、質問もそれなりにできたと思い ますけれども、もう一息今週の金曜日頑張りたいと思います。今日は皆様、本当にあり がとうございました。(了) (照会先)  政策統括官付政策評価官室政策評価第2係  電話:03−5253−1111(内線7780)