06/07/18 第27回独立行政法人評価委員会調査研究部会議事録 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第27回) 平成18年7月18日(火) 厚生労働省共用第7会議室(5階) 1.開会 ○部会長  定刻になりましたので、ただいまから第27回独立行政法人評価委員会調査研究部会を 開催させていただきます。今回は全委員が御出席でございます。それではまず初めに事 務局から本日の議事について簡単に御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。 ○政策評価官  おはようございます。政策評価官でございます。きょうはお暑い中午前午後というこ とでございますがよろしくお願い申し上げます。  本日まず午前中の議事でございますけれども、産業医学総合研究所、統合されました 労働安全衛生総合研究所の前身でございましたが、の年度評価ということで、17年度評 価をお願いいたします。それに先立ちまして統合いたしました労働安全衛生総合研究所 の役員報酬規程及び役員の退職金規程が大臣に届けられておりますのでそれについて御 報告申し上げ、評価委員会の方で何かあれば意見することができるという規定もござい ますので、その規定に基づきお諮りをさせていただくというものでございます。  また、統合後の労働安全衛生総合研究所につきましては、先日でございましたけれど も、委員の皆様方の中でお時間のある方につきましては、足を運んでいただきまして現 地で御視察をいただきました。お忙しい中ありがとうございました。この場を借りまし て御礼を申し上げたいと思います。  本日午前中の議事は以上2件でございますので、よろしくお願い申し上げます。 2.議事 (1)独立行政法人労働安全衛生総合研究所の役員報酬規程等について ○部会長  それでは、労働安全衛生総合研究所の役員報酬規程等につきまして、労働安全衛生総 合研究所から御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。 ○安衛研総務部長  それでは独立行政法人労働安全衛生総合研究所の役員報酬規程そして退職金規程の改 定につきまして御説明申し上げます。  資料でございますが、お手元の資料番号1−1が統合後の役員報酬規程でございます。 それから統合前と統合後の役員報酬規程につきましては、資料番号1−2が新旧対照表 となっております。なお、左側の統合前の報酬規程につきましては、旧産業安全研究所 と旧産業医学総合研究所の規程が同じでございますので、旧産業安全研究所の規程を載 せてございます。そして統合後の労働安全衛生総合研究所の役員退職金規程につきまし ては資料番号1−3のところでございます。  今回統合に当たりまして、役員報酬規程等の改定を行いました主な要因といたしまし ては、一つは統合によります組織名の変更に伴うもの、二つ目は御案内のとおり、国家 公務員の給与制度が俸給表の切りかえ等大分改定してございます、それによりまして、 それに伴います変更が二つ目でございます。三つ目としましては、他の独法の規程も参 考といたしまして、一部変更、追加したものがございます。以上が主な改定の要因でご ざいます。  それでは、まず資料番号1−2の新旧対照表をごらんいただきますと、役員報酬規程 でございますが、まず、左側の統合前の規程から変更追加されております部分は、右側 で赤字で表示してございます。  順次申し上げますと、第1条につきましては組織名称に伴う変更でございます。第2 条につきましては、一般職の給与法におきまして「調整手当」が「地域手当」に変わっ ておりますので、それに伴う変更でございます。  第3条につきましては、赤字とはなっておりませんが、1枚めくっていただきますと 2ページの統合前の左側の規程、第4条の第2項及び3項において定めております報酬 の支払い方法につきまして、第3条として起こしたものでございます。  第4条につきましては、一般職の職員の給与法に定めます指定職俸給表の切りかえが 行われたことに伴う変更でございまして、対応する号俸はいずれも額の引き下げがなさ れているところでございます。  それから2ページの第6条でございますけれども、在勤地が清瀬、川崎と2カ所にな っておりますことから、第2項で国家公務員の地域手当に準じまして、特別地域手当に ついてそれぞれの在勤地の割合を記載しております。ただし、最後の方になりますが、 5ページの附則3にありますとおり、国家公務員給与法に準じて暫定措置として当分の 間はそれぞれ100分の10、100分の11という形になっております。また、第3項で、在 勤地域を異にして異動した場合の取り扱いを、これも国家公務員の給与法に準じて規定 しております  それから3ページの第8条でございますが、第2項、第3項でございますが、従前は 期末特別手当の支給細則に定めていたものでございますけれども、期末特別手当算定の 際の在職期間について、国家公務員から引き継ぐという場合には在職期間に含まれます が、退職手当が支給されている場合には含まれない旨の規定がなされたものでございま す。それから第5項につきましては、期末特別手当の支給日を定めたものでございます。 それから第6項におきましては、他の独法等も参考にしながら一部削除あるいは期末特 別手当基準日前1カ月以内に退職し、その退職に引き続いて国家公務員となった常勤役 員については、その基準日に係る期末特別手当は支給しないこととしたものでございま す。  それから附則の1でございますが、統合前から役員であった方の在職期間は含まれる 旨の取り扱いを規定したものでございます。それから附則の2につきましては先ほど申 し上げたとおりでございます。  続きまして、資料番号1−3の役員退職金規程につきましては、新旧対照表を設ける ほどの変更はございません。二点でございます。第1条の組織名称の変更に伴う変更が 一点でございます。それから、ページ数は振ってございませんが4ページ目になります。 2枚めくっていただきますと附則がございます。附則の2におきまして、今回統合前か ら役員であった方につきましては、退職金の判定上在職期間は含まれる旨の規定を行っ たという、この二点のみの変更でございます。  以上、報酬規程並びに退職金規程の改定につきまして御説明、御報告を申し上げます。 ○部会長  ありがとうございました。御質問等ございますでしょうか。はい、どうぞ。 ○清水委員  大きな変更点が3点あるというふうにおっしゃって、二つ目の点だと思うのですけれ ども、ちょっとよく聞こえなかったのですが教えていただきたいのですが、国家公務員 人事給与法の改正というふうなことでございましょうか、第6条のところで、これまで 特別調整手当というものが100分の10となっていたのが、場所によって100分の15あ るいは100分の12という料率となっておりますけれども、料率の意義というのでしょう か、こちらの方の意味するところはどういうところにあるのでしょうか。 ○安衛研総務部長  100分の15の意味でございますか。これは今回人事院の方でかなり調整手当を見直し まして、各地域間格差を極力該当するようにしようという趣旨におきまして、各地域ご との物価でありますとかいろいろな要素を調査の上、清瀬につきましては100分の15、 川崎については100分の12、それぞれ全国こういった地域手当の見直しがなされている というところでございますが。 ○部会長  はい、どうぞ。 ○清水委員  物価が高いほどでは高くなるというふうな趣旨のものなのですか。 ○安衛研総務部長  私今そこまで今申し上げられるほど詳しいことはわかりませんが、いずれにいたしま しても、今回地域手当を見直したといいますか、これはもちろん今物価指数であります とか、そういったことは加味した上での変更だろうと思っております。 ○清水委員  法律の方でこの料率が既に決められているということなのですか、清瀬あたりでは幾 らとかということでもう料率は決まっているということなのですね。わかりました。 ○部会長  ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、役員報酬規程等につきましては御了承をさせていただきたいと思いますが、 よろしゅうございますでしょうか。はい。ありがとうございました。 (2)独立行政法人産業医学総合研究所の個別項目に関する評価について ○部会長  では引き続きまして、独立行政法人産業医学総合研究所につきまして、平成17年度業 務実績の評価を行いたいと思います。実績の評価に移りますが、本日の進め方につきま して事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○政策評価官  進め方の評価を御説明申し上げる前に、二点ほど御報告をさせていただきます。お手 元の資料の中に参考資料2といたしまして、統合前の産業医学総合研究所の17年度にお ける役職員の報酬及び給与等についての実績の御報告を用意させていただいております。 資料でごらんいただきますとその参考資料2の8ページ、後ろから2ページ目でござい ますが、いわゆる職員の方々と国家公務員及び他の独立行政法人との給与水準(年額) の比較指標ということで、いわゆるラスパイレスにつきまして、事務・技術職員及び研 究職員という形で数字をまとめさせていただいております。  二点目でございますが、前回もこの部会で御報告申し上げました、随意契約につきま しては法人なべて18年度から見直しの取り組みを進めているところでございますが、本 日17年度の実績評価をいただきます旧産業医学総合研究所の17年度の実績につきまし ては、これは集計上500万円以上という形で契約について範囲を限定してございますけ れども、500万円以上の契約で見た場合に、随意契約の金額といたしましては一億飛び 二百一五万円ヨでございまして、総契約金額に占める割合が19.0%ということをあわせ て御報告をさせていただきたいと思います。  その上で、本日の評価でございますけれども、全体を通じましてまず理事長から法人 の17年度事業の特に重点について御報告をいただき、その後全体を、部会長と御相談さ せていただいたのは4つぐらいにという形でグループにある程度まとめた上で説明をお 聞きいただき、質疑をしていただき、シートに御記入いただくというのを4クールやっ ていただいた上で、全体最終的な総括的な御意見なり何なりがあればという進行をお願 いできればというふうに思っております。  なお、お手元には、前回もお配りいたしましたけれども、16年度の厚生労働省所管全 法人の個別的評価の実績についても参照させていただくべく用意をさせていただいてお りますので御報告をいたします。よろしくお願いいたします。 ○部会長   それでは労働安全衛生総合研究所理事長から、法人の平成17年度の事業のうち、特に 重点的な事項につきまして御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○安衛研理事長  荒記でございます。よろしくお願いいたします。重点事項につきまして御報告を申し 上げます。説明は今回別に添付されておりますこの黄色い表紙の「独立行政法人 産業 医学総合研究所 平成17年度の業務の実績重点項目」という冊子で、この黄色でござい ます。これに基づいてさせていただきます。  この冊子の章立ては次のページから始まりますが、一番目が産業医学総合研究所の組 織を2ページから触れております。二番目に4ページから法人の長のリーダーシップ、 それから5ページから、これは三番目で研究所の主要な業績、次に10ページから四番目 の付帯項目となっております。このうち最後の付帯項目は時間の関係で御説明は省略さ せていただきます。早速ですが次のページ2ページからでございます。  一番目の研究所の組織体制でございます。この下にありますように、これは右それぞ れの枠組みが下に数字が書いてありますが「4」と書いてありますが、この産業医学総 合研究所は平成13年4月に厚生労働省では健康・栄養研究所と産業安全研究所とともに 国の最初の独立行政法人になりました。今年度はこの中期計画5年間の最終年度に当た ります。この研究所は独立行政法人通則法と個別法の規定及び主務省であります厚生労 働省の指導に従って運営されるべきものと理解しております。昨年も確認しましたが、 この研究所の目的、業務範囲それから運営の基本、さらに中期計画5年間の中期目標及 び主務省の指導理念はここに書かせていただきましたとおりでございまして、これは昨 年も同じように御説明申し上げております。  次のページでございます。3ページ目スライドの5番目でございますが、平成17年度 の研究所の基本構造でございます。まずマンパワー、人員は役員が4名、常勤職員が72 名、このうち研究職が57名、出身分野別に健康系が19名、生命科学系が11名、環境系 が27名でございます。このうち博士号取得者が、例えば医博ですね、博士の医学と理学、 工学あるいは一人だけですがオーストラリアのPhDもいます。このほか事務管理部門 及び技能部門、これらが15名の構成になっております。  次に予算でございますが、今年度は17億8691万円が決算額でございます。このうち、 受託収入を含みます外部研究資金の獲得はこの下に書いてありますように6897万円で ございました。そのほか施設は建物の面積が延べで1.5万平米でございます。  次の下のスライドでございますが、こちら研究部門の構造と機能について御説明申し 上げます。まず企画調整部が研究管理を行う部門でございまして、その下に国際研究交 流情報センターが発足しておりまして、これは今期で3年目に入りました。それから実 質的な研究部門としましては5つありまして、一番目の作業条件適応研究部と三番目の 有害性評価研究部、この2つの部がそれぞれ心理社会因子と有害因子の健康影響、これ はあくまで労働者に対するのでございますが、健康影響を研究する部門でございます。  それから二番目に書きました健康障害予防研究部、これは基礎研究を行う実験系の研 究部門でございます。それからその四番目、五番目の作業環境計測研究部と人間工学特 性研究部、これは有害環境因子の測定、評価と環境改善及び工学的な諸対策を行う部門 でございます。次のページに進ませていただきます。  4ページでございます。次は平成17年の主要な実績でございます。最初は労働衛生研 究の振興でございまして、これは5年間を通してずっと行っておりまして、この下のス ライドのように「わが国の労働衛生研究の推進」と書きましたように、具体的にはその 下の労働衛生重点研究推進協議会の運営を独法化して1年目から継続運営しております。 このスライドはこの3つの重点研究領域をするということを示します。次のページをお 願いいたします。  次は、同じくこの労働衛生研究の振興の重点研究推進協議会の活動の中で、特にこの 協議会が研究推進のための8つの方策を設定して、これを産業医学総合研究所の基本活 動として取り組んでおります。ここに書きましたとおりの8項目でございます。  次に、この協議会が示した日本において重点的に行うべき研究課題の一覧を以下の18 課題、これは番号が振ってあります。3つの領域を通して18番目までの番号、これが重 点研究課題になっています。  それから次のページに進んでいただきまして、7ページでございます。重点研究推進 協議会の上位5題の優先研究課題になっております。例えば産業ストレスと最初の5つ 目が重点的に研究すべき課題として設定されております。  その下のスライドでございますが、協議会の調査によりまして、事務局の産業医学総 合研究所で行ったものでございますが、この18課題別の日本語の原著論文数5年間の実 績でございます。  それから次のページの8ページの上の方でございます。同じく18研究課題別の日本人 研究者数、これを調査してみまして、両方とも一致した成績でございまして、4つの研 究課題、例えばストレスとメンタルヘルス等4つの研究課題、この図の縦棒の高い4つ の課題でございます、これが重点的に日本で研究されている課題であると理解しており ます。  それから主要な業績の実績の二番目でございますが、最先端の研究情報の収集、発信、 提供でございます。これは具体的には国際学術誌「Industrial Health」の編集発行及び 内外への配布、これは一千部以上配布しておりますが、この活動でございます。例えば 2005年度、この年度では、この16のスライドの右側の真ん中あたりに示したように、 1年間に原著論文54編、総説20編、その他13編で合計87編の論文を収集して提供し ております。それから特集号を3つの号で行いまして、振動障害、厚生労働科学研究費 の論文及び中小企業の特集をやっております。インパクトファクターでございますが、 この過去4年間を通しまして0.48から0.74となっております。  次のページでございます。次の9ページの最初は上のものはこの「Industrial Health」 の編集委員会の構成でございまして、ちょっと読みづらいので恐縮ですが、顧問の方々、 これはアドバイザリエディターという方々ですが、この中には世界の労働衛生のトップ の雑誌の編集長が3人、アメリカが2つとそれからスカンジナビアの編集長が含まれて おります。さらに、編集委員の中には、国内で活発な研究活動をされている、外国でも そうでございますが、現役の教授級の研究者の方々が入られております。それから一番 下は、これは見づらいのですが、この雑誌は多数の引用誌に引用されております。例え ばメドラインとかあるいはケミカルアブストラクト等の多数の引用誌でございます。  それから主要な業績の三番目は、最後の独法の第2期のために2つの研究所が統合さ れることになりまして、それへの貢献でございます。ここに示したように、これは18 のスライドでございますが、研究所統合のために2つの、安全研究所、産業医学総合研 究所から事前に代表が討議打ち合わせ、細かい運営方式を打ち合わせをしまして、その 合意案でございます。この下に書きましたような項目で策定し、それをこの案として主 務省の方に報告いたしております。  最後でございます。10ページの上でございます。これらをもとに今回の主要な研究の 業績、特に自己評価はS項目をつけました項目をここに記させていただいております。 全部で9つありまして、最初の「効率的な業務運営体制の確立」から最後「人事に関す る計画」までございまして、ただ訂正でございますが、下から2番目の「研究協力の推 進」、これはS項目でありませんので削除させていただきます。  以上でございますが、今後詳しい内容についてはこの後研究企画調整部長の方から項 目別に御説明申し上げます。以上でございます。 ○部会長   はい。ありがとうございました。御質問等ございましたらいただきたいと思いますが いかがでしょうか。よろしゅうございますか。全般的なことにつきまして何かございま すでしょうか。  それでは、後ほどまた総括のところでも御意見をいただくということにさせていただ きまして、次に進めさせていただきたいと思います。  それでは、個別項目の評価の方に移らせていただきたいと思いますけれども、第1グ ループの評価シート右下の項目番号1から4までの実績について御説明をいただけます でしょうか。よろしくお願いいたします。 ○安衛研研究企画調整部長  労働安全衛生総合研究所の研究企画調整部長の小川でございます。では、早速始めさ せていただきたいと思います。パワーポイントの緑のスライドのもので説明させていた だきます。  まず2ページ目、1枚目の裏から始めさせていただきます。最初の産業医学総合研究 所の組織、これはただいま荒記理事長の方から説明がありましたのでこれは省略させて いただきます。下のスライド番号で4番から始めさせていただきます。  まず、効率的な業務運勢体制の確立ということで第一に挙げなければならないことは、 産業医学総合研究所では、独立行政法人の22の評価項目、それから14の関連項目に関 して業務担当者を決めていますが、その際には職位にとらわれず適任者を最適な部門に 理事長が任命しました。それにより理事長の意志が効率的に反映できるということでご ざいます。  それから研究に関しましても、部の枠を超えた柔軟なチームを編成して、特に重点研 究領域特別研究の課題においては、5分の3において部の枠を超えたグループが設定さ れております。  それから、研究職員ですけれども、若手任期付研究員として平成16年度に採用は決定 されていますが、17年度からオーストラリア国籍の研究員が1名採用されておりまして、 特に外国との研究協力に関する交渉、それから「Industrial Health」等、英語が非常に 重要な部署で活躍していただいております。  さらに、平成17年度においては、新規採用者を公募いたしまして、国立大学教授1名 を研究員として採用しております。特に、この研究員に関しては、実際に日本における 労働衛生分野で社会的にも広く活動をしていた方ですので、研究所にとっても即戦力と して非常に重要な人材で、就任早々から活躍していただいているということです。さら に、若手任期付研究員2名を18年度採用ということで決定しております。  もう一つ、18年度から2つの研究所が統合することに向けて、理事長の意志が効果的 に運営体制に反映できるよう、組織体制案を作成したということでございます。  この項目に関しましては、このように業務運営体制が効率的に動くように、かなり理 事長の、後ほどにも述べますけれども、リーダーシップが発揮できるというようなシス テム体制を整えることに努力していたということで、自己評定としてはSをつけさせて いただきました。次に移らせていただきます。  次がプリントの3ページ目、スライド番号5番でございます。内部進行管理の充実と いうことで、先ほどと引き続き、理事長のリーダーシップをいかに効果的に発揮するこ とができるかということを考えて、17年度はさらに充実したシステムに体制を仕上げて いったということでございます。  まず第一番目として重要な改良点は、個人評価システムとして部長の個人評価という のを導入したということ、それによって理事長から部長、部長から部員へという効率的 な指導ということができるようにしたということでございます。  さらには、実際の評価が実際の研究活動に反映できるように、重点研究領域特別研究 費の配分額を200万円の範囲で増減することにより、研究への意欲を高めたということ でございます。  それから、先ほども述べましたように、22の独法業務責任者を中核とした意志決定シ ステムを人の配分等をさらに考えることにより充実させていきました。  それから研究員の研究進捗状況を的確に把握するために、毎月の月例の研究集会にお いては理事長がすべての研究を聴取し、各研究員に対して指導と助言を行って、研究所 としての方針を徹底させるということをさらに進めております。  それから、これらの充実させていったシステムをさらに統合後へも発展できるように、 統合後のシステムも十分考慮に入れた検討を行ったということでございます。  下の6枚目のスライドは、所内LANの活用、今までも所内LANを充実させるとい うことをずっと続けておりますけれども、これらにより業績収集システムというのが常 態として動くようになったということ、それから研究予算執行状況も把握できるように なっているということ、それから研究関連書類の提出も、オンラインで提出することに よりペーパーレスを図っているということ、さらには、研究倫理審査システム、これも 所内LANを介して電子的に書類を提出できるシステムが効率的に行えるようになった ということでございます。  以上により、内部進行管理の充実というのはかなり理事長が力を入れていた項目でご ざいまして、これに関しても自己評定としてSをつけさせていただいております。それ では次に進めさせていただきます。  2枚目の裏4ページ目でございます。評価シートでは3ページということで、業務運 営の効率化及び経費削減ということです。  まず経費の節約ですけれども、これは金額として提示できるために結果が明白であり ますが達成することは非常に難しいものですけれども、それでも実験実施時期の調整、 それから廊下消灯等常に細心の注意を払って節減方向に努力しておりまして、電気料に 関してはわずかではございますけれども対前年度比3%削減することができました。さ らに、一般競争入札も徹底化して、なるべく節減できるように努力しております。  次に、業務処理の効率化ですけれども、これに関してはなるべく研究職員が研究の方 に時間を割けるようにすることが一番大事だということで、データ入力、定型的検査業 務、動物飼育管理、図書整理、特に平成17年度は「Industrial Health」の編集等を外 部に委託するとともに、再任用の研究員はそれなりの研究に関する知識及び専門用語に 対する知識がありますので有効に活用することによって、これらの業務を外部及び再任 用研究員に委託することにより、研究職員が少しでも研究に時間を費やすことができる ように努力しました。  それから、外部研究資金ですけれども、平成17年度は外部に関しては文部科学省の科 学研究費補助金、それから厚生労働省厚生労働科学研究費補助金等です。こういうもの で職員が研究代表者となっているものに関しましては15課題、約5000万円、その他の ものとあわせて約7千万円獲得しております。  それから自己収入に関しましては、額はそれほど多くはないですけれども非常に努力 をしておりまして、6件の施設等の有償の外部貸与、それからあとは公的機関への技術 協力等で自己収入の確保に努力いたしました。こういうことで、数字として具体的に結 果を出すのは非常に難しいですけれども、一定の努力をしているということで自己評定 としてAをつけさせていただきました。次に進ませていただきます。  評価シートの4でございます。ページ5のスライドは9番目ということになります。 効率的な研究施設・設備の利用ということでございます。これに関しましてはまず広報 が非常に重要だということで研究所として共同利用を積極的に進めているということ、 それから有償貸与しているということをホームページを通じ、また研究所が出版してい る印刷物等を通じて広く広報を今年もしております。  大型施設に関しましては、特に振動にかかわる実験施設では共同利用がかなり活発に 実施されたということ、それから有償外部貸与に関しましても、振動負荷装置で年間6 件の有償貸与ができたということでございます。  さらに、研究室の有効利用というのが非常に重要でございますけれども、退職した職 員が出たのを機会に研究室の配分方法を大幅に検討し直し、特に新しく入ってきた研究 職員に対しては、研究がすぐに立ち上がるように最大限に考慮して研究室の配分を行っ ております。  以上、研究施設・設備の利用というのはこれも具体的に成果を示すのは非常に難しい ものですけれども、非常に努力をしているということを御理解いただければと思います。 そこでここも自己評定をAとさせていただきました。以上です。 ○部会長  ありがとうございました。それでは評価シート1から4のところにつきまして御質問 等いただきたいと思いますがいかがでしょうか。はいどうぞ。 ○清水委員  外部研究資金なのですけれども、昨年実績をちょっと教えていただきたいのですが。 ○安衛研総務部総務課長  昨年の実績を申し上げますが、約1億400万でございます。 ○部会長  よろしいですか。ほかに御質問等ございますか。はい、どうぞ。市川委員。 ○市川委員  少し細かい話ですけれども、「Industrial Health」という雑誌というのは非常に重要 な研究所として意味を持っていらっしゃるという話でされていらっしゃるわけですけれ ども、実際問題として外部委託をされて、外部委託をされた場合の問題としては、やは りそれは何かインパクトファクターを上げたいとか何かそういうような意味での要素が、 研究所の仕事が楽になる、そういう意味での雑誌編集にかかわるいろいろな仕事が減り ますということはよくわかるのですけれども、要するに基本的に言いたいことは、 「Industrial Health」これ0.48から0.74というインパクトファクターで、これが研究 所としてもう少し上げたいと、あるいは日本のこういう領域のためにももっと上げるべ きだという観点があって、そして何かされていらっしゃるという、要するに外部委託を した場合に、普通は期待するのは何かそこでインパクトファクターが上がるのではない かというのも一点あるかと思うのですけれども、雑誌によっては、研究所としてのお考 えはどういう形になっているのが一点と、それから「Industrial Health」のこのインパ クトファクターというのはグラデュアルに上がっていらっしゃるのですか。それともこ ういう振動がありますということになるのですか。その辺だけちょっと評価する前にち ょっと気になるのでお願いしたいと思います。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研理事長  外部委託はあくまでも事務作業の効率化でございまして、インパクトファクターを上 げるということとは直接は関係ありません。非常に事務作業は手間がかかり過ぎる、例 えば発送作業までやるわけでございまして、ですから研究職員しか所員にほとんどいま せんもので、ですからその方々はむしろ研究の方を重点的にやると。  それからこの雑誌が普通の学術雑誌と違うこと、このインパクトファクターの絡みで 違うことは、この雑誌は繰り返し申し上げておりますようにインパクトファクターを上 げることを目的としておりません。あくまでもこの独法の中期計画の目標であります、 最先端の研究情報の収集と国内、国外への発信でございます。それからもう一つは雑誌 の提供でございます、無料配布、これを目的としております。これは独法の中期目標達 成のためでございます。  それから最後のインパクトファクターの数値が云々ということでございますが、これ は非常に長い歴史がありまして、過去に独法化する前に全く消えてしまった期間がかな りの長い期間あったのですね。それを改善するために、独法になりましてから努力をし 始めまして、インパクトファクターは高い方がいいことにはなっておりまして、でもそ のインパクトファクターを上げる目的は研究情報の質の改善が目的でございます。本当 に間違いのない、労働衛生に絡む、現場の、本当に間違いのない、しかも最先端の業績 を収集するということ、これは国際的に、これは研究の世界ですから、単に総説的にい ろいろな論文を集めてそれをまとめるということではありません。最先端ということで、 このことは国の行政活動にかなり本当に大事な面がたくさんある。例えば過去のエイズ の問題等を含めまして厚生労働省にたくさんあります。労働衛生でも同じ問題が当然出 ることを考えなければいけないということで、そのための質を上げるために、インパク トファクターを上げることも第2の目的とした。第1の目的は先ほど申し上げたとおり です。  その全体の傾向でございますが、確かに最初ゼロであってつかない状態で、その後独 法になってからコンスタントにつくようになった。多少かなり毎年変動があるのです。 ですから4年間の幅を書いたのですが傾向としては上がっているのです。ただ目標は 1.0を目標にしておりまして、まだそこには行っておりません。 ○部会長   よろしゅうございますでしょうか。ほかに。 ○安衛研理事長  ちょっと待ってください。それと、インパクトファクターの数字で評価される場合、 これはいつも大学とあるいは研究者、研究機関の評価でインパクトファクターが使われ るときの問題点は、その分野の研究者数でインパクトファクターの値が決まってしまう という計算の構造になっているのです。ですから、この労働衛生の分野では、インパク トファクターがそんなにほかのバイオサイエンスですね、ライフサイエンス系の研究所 の雑誌と比べて高くありません。世界の超一流誌、先ほど挙げましたこの雑誌の顧問に なられております世界の超一流誌の編集委員長の方が入っておりますが、その方々の雑 誌でもたかだか2.0でございます。  ですから今の全体の状況で、1.0から本当のところは1.5から2というのが超一流の 学術誌であろうと。これは本当に最先端の研究を進めるためという目的のためのインデ ックス、指標でございます。ただ我々はそれを最終目標にはしておりません。繰り返し になりますが。ですけれども1.0ぐらいまでには持って行った方がいいだろうと思って います。 ○部会長  はい。ありがとうございました。では中村委員。 ○中村委員  業務処理の効率化のところで外部委託それから再任用研究員の活用とありますけれど も、この再任用研究員の位置づけというのを御説明いただきたいのですが。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研総務部総務課長  定年退職した者の再任用ということで、人事院からの御推奨がございまして、私ども の希望をまず確認の上再任用ということで行うのですが、ただフルタイムというわけで はなくて、週2日勤務ということで賃金を抑制しているという状況でございます。 ○中村委員  先ほど御説明いただいた、部長、センター長、ずっと行って研究員というところの枠 内にある、ありがとうございます。 ○酒井委員  よろしくお願いします。一つは重点研究領域特別研究費用配分額として200万円イン センティブというお話でしたけれども、これはもともとある全体の枠のうち200万円分 を動かしたということなのか、全体枠にさらに200万円オンしてその分を皆さんに配分 したということなのかということと、実績として結果的にどんな結果になったのでしょ うか、そのことが重点研究を進捗させるためによりいい効果があったという評価かどう かということをお聞かせいただきたいのが一点と、もう一つ共同利用の件で振動負荷装 置が6件あったということなのですけれども、この振動負荷装置が昨年度6件外部から あったという特別の要請、多分研究の実績ともかかわるのだろうと思うのですけれども、 何か社会的なそういう何かがあったのかどうかということを教えていただきたいと思い ました。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長  まず最初の重点研究領域特別研究の分配の件なのですけれども、枠はもう決まってお りますので、その中で結局差をつけるということによってインセンティブを与えるとい うことが基本スタンスでございます。  その成果に関しては、まだこれは18年度へ向けて設定したということで、具体的な成 果というのは本年度ということになるのですけれども、後ほど説明させていただきます けれども年度内にもう既にある程度の効果は出ています。  それからもう一つ振動の問題でございますけれども、これは先生が御指摘のように結 局振動を実際に研究している研究員が社会的にも活動が活発だということと、実際にそ ういうJISとかISOの方で活動しているということがやはりかなりきいているとい うことで、どうしてもこういうのは外に対していかに知れているかというのが基本的に 大事だということだと思います。 ○部会長  よろしいですか。ほかにございますでしょうか。 ○安衛研理事長  追加でございます。追加回答でございます。最初の研究費の予算の枠内か枠外かの問 題です。これは枠内でございます。  それとこういうふうにやったことの効果ですが、まず目的が重点研究領域特別研究と いうのは、研究所の一番主要な業務であります研究業務の一番中心となるもので、予算 として運営費交付金で使うものでございまして、しかも主務省との相談の上で課題を決 めているわけです。近年主務省からの批判といっていいのでしょうけれども、実際どの 程度行政に役立つ研究がやられているのだろうかとか、ある課題についてこれは問題が あるというようなそれぞれの所管課のレベルから批判がありまして、それらにこたえる ためにも、そういう方々も含めた外部の方々の評価法を新しく導入しましてそれで評価 して、それを実際効果を上げるためには予算をある程度配分額を変える必要があるとい うことで、予算の範囲内でやっています。実際この効果はどうかというのはまだやった ばかりでございますから今後の問題だと思うのですが、当然大いに効果があるという予 想をもとにやっております。 ○部会長代理  先ほどの説明の中で5ページのスライド番号9番のところで、退職した職員の研究室 の効率的活用ということで、非常にこれを重視しているという御説明がありましたので 一つ質問させてください。  産医研ではいろいろな施設研究機器があると思いますが、そういったものはすべてど こかの研究部に所属させて管理するということになっているのか、それとも、中央共同 研究室のようなものを設けて運営していらっしゃるのか、効率と関係するかと思いまし たのでちょっと御質問したいと思います。 ○部会長 いかがでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長  お答えさせていただきます。まず機器に関しては基本的には部で管理するということ になっておりますけれども、長年在籍している場合には研究テーマ等が変わっていくと いうことで、どうしても管理が個人ベースにどうしてもなってしまうということがあり ます。  そういう意味で退職なさっている方というのは多くは20年、25年在籍している方で すので、その機会に効果的に再活用するということを説明させていただいたわけです。 ○部会長代理  ではセントラルラボラトリーのようなものは特に設けていらっしゃらないと。 ○安衛研研究企画調整部長   当初においては各部が明確に何の業務をするかというのは決まっていたわけですけれ ども、それはもう既に30年前でございまして、その時点では各部において共通の実験室 及び共通機器室というのは整備されておりました。  しかし、その後結局社会情勢の変化に伴い研究テーマが錯綜するということで、必ず しも部だけで固まってそれだけで研究できるという状況だけではなくなってしまったと いうことから、いろいろなダブりとかそういうものが出てくるということでございます。 ○部会長   ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは。 ○中村委員  ちょっといいですか。 ○部会長  はい、どうぞ。 ○中村委員  一つ前の質問に戻るのですけれども、研究費の配分額を評価結果に基づいて200万増 減するという、これは評価結果というのは漠然としてわからないのですが評価結果がよ いもの、それから思わしくないものという意味での評価結果なのですか。それとも、そ の研究が遂行するに当たって予算が少し不足ぎみであるとか、それからこれは少し多過 ぎるとかという意味での評価結果なのか。インセンティブとして研究費を増減させてい るのかどうなのかということを確認したいのですけれども。 ○安衛研理事長  後の方の予算額はここに至る事前に本人たちとそれから企画調整部との折衝で研究で きる体制の配分を決めてあります。今回の評価はその後の段階でその調整でございます。 ○中村委員  そうするとインセンティブとして与える。 ○安衛研理事長  全くインセンティブの話です。 ○部会長  よろしいでしょうか。どうぞ。 ○田宮委員  関連なのですけれども、個人評価のフィードバックシステムってすごくいいと思うの ですが、これはどの程度、結果は公表されますか。それをちょっと教えていただければ と思います。所内で結構なのですけれども。 ○安衛研研究企画調整部長  各個人に対しては教えますけれども、その人以外に個人の情報は基本的には教えない という形で、部長がその辺を全部管理するという形になっております。 ○部会長  よろしいでしょうか。それでは評価の御記入の方をお願いいたします。10分程度をめ どによろしくお願いいたします。 (評価記入) ○部会長  いかがでしょうか。次に進んでよろしいでしょうか。では次に第2グループの評価シ ートの項目5から10までの実績につきまして御説明をお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○安衛研研究企画調整部長  それでは続けさせていただきます。次にスライド番号10番からでございます。現場ニ ーズ把握・業務への反映、これに関しましてはまず第一番目に重要なのは労働衛生重点 研究推進協議会を引き続き運営しているということでございます。これは活動II期の2 年目になっておりまして、研究課題登録は引き続き継続して進めているということ、そ れから、共同利用可能な大型研究施設の調査の継続、さらには、この活動を幅広く広報 するということがこれも重要ですので、パンフレットをつくって頒布しております。そ れからインターネット上の広報も行っていますけれども、特に17年度でこの点に関して はウエブページを使って情報を収集するシステムを、まだ実際には17年度は稼働はして おりませんけれども、その設計をしたということでございます。それが何を目的として いるかというと、ここに記していますように解析結果が素早く業務へ反映できるように するということでございます。  それとこの重点研究推進協議会で、もう一つの柱が公開シンポジウムでございます。 この公開シンポジウムは、本年度も厚生労働科学研究費補助金研究事業の成果を発表し ていただくということで、それにより労働衛生、18優先研究課題に関する最新の情報を 収集できるとともに、それを広報できる、こういう活動でございます。  次のページのスライド11で、インターネットでは実際に今の17年度の段階におきま してはどういう機関がこういう労働衛生の研究に関する情報に興味を持っているかとい うこういう情報が入手できるわけですけれども、これがさらにどういう研究課題に興味 を持っているかということまですぐに集計できるシステムを構築するために、基礎設計 をしたということでございます。  この労働衛生重点研究推進協議会以外に、ニーズ把握としては、スライド12に示して いますように、厚生労働省安全衛生部の部議へ定期的に出席することにより行政のニー ズを把握するということ、それともう一つは「産業医学総合研究所研究推進連絡協議会」、 これも厚生労働省安全衛生部の方々と交流することにより行政ニーズを把握するという ことを行っております。それ以外にも実際の現場での労働衛生に従事している方々を産 業医学総合研究所の客員研究員になっていただいているわけですけれども、そういう客 員研究員との交流会による研究発表会により現場のニーズを把握するということ、それ から産業医学総合研究所と産業医科大学産業生態科学研究所との交流会により大学レベ ルとの交流も行い、ニーズの把握に努めているということでございます。このような活 動を着実に平成17年度も進めているということで、これに関しては自己評定としてAと させていただいております。  次に進ませていただきます。スライドの13番で、重点研究領域特別研究ということで、 評価シートの方ではプロジェクト研究という項目でございます。スライドの13は産業医 学総合研究所で進めているプロジェクト研究の一覧を示しております。この6つの研究 は平成17年度に実際に推進された研究でございます。毎年6つが動くようになっており まして、2つずつ入れかわりということで行っております。  まず、この6つの研究に関して簡単に説明を先にさせていただきます。次のページの スライド番号は書いていないですけれども、次のページから6つの研究がスライド1枚 ごとになっていますので、その研究内容を紹介させていただきます。  一番目が「作業関連疾患・生活習慣病における職業因子の寄与に関する疫学的研究」 ということで、これは作業関連疾患等に関しましては疫学的に評価するというのが必須 でございまして、当研究所においても長年そういう疫学研究が続けられております。特 に当研究所が把握しているコホート集団というのは非常に貴重な集団でありますので、 それらを生かしてさらにフォローを続けるということが一つの重要なテーマになってお ります。  それと、もう一つは、昔のものだけを続けるということではなくて、現在問題となっ ていることも評価する必要があるということで、新しいコホート集団の掘り起こし、そ ういうことも行うということで、これに関しては清掃工場労働者の集団、それから最近 過労運転とかで社会的に注目されている運転者の問題がありますので、タクシー労働者 等の新しい集団の掘り起こしも進めているという状況でございます。そういう中でそう いう化学物質もしくは疲労そういうものがどのような病気と結びつくかという研究を進 めるということで、ただ、疫学研究の場合はすぐ結果が出てこないものでございますの で、そのように確実にフォローするシステムをつくるというのが非常に重要となります ので、着々と進めているという状況でございます。  次が「高年齢労働者の職業性ストレスに関する総合的研究」ということで、社会構造 の変化によって高齢者がふえてきて、そういう方でも仕事をされる方の人数が実際上ふ えているということから、高齢者にどういう問題があるかというのを把握する必要があ るということからこのテーマが設定されているわけでございます。  ここでは3つのサブテーマに分けて研究を進めているわけですけれども、一つは死亡 災害の分析ということで、死亡災害においては年齢がどのように関係しているかという ことでデータ解析を行っています。特にその結果では死亡災害の37%、これは平成3年 から平成9年までの結果ですけれども37%が55歳以上の方であったということで、特 に墜落、転落そういうものが多いという結果が出ているということでございます。  それに伴いまして、どうしてもそういう主として構造物もしくは外での作業でこうい う事故が多い、特に高齢者では多いということから、一つは暑さ、寒さもありますけれ ども、主として暑さに的を絞って、暑さがどのように影響を与えるかということで研究 を進めているというのがもう一つの視点。それからもう一つはそういう高齢者の生理的 な機能、運動調節機能、それを測定できれば問題のある人はどの程度作業にそういう問 題が影響するかというのが評価できるということで、その3つの視点で研究を進めてい るということでございます。  三番目が「作業環境中の有害因子に対する感受性を決定する遺伝的素因に関する研究」 ということで、近年遺伝子に関する研究が飛躍的に進んでいるということで、特に遺伝 子を調べることによってその人の感受性がある程度わかるという、そういう現状になっ ています。そういう中で、労働現場においてはそれらの知識をどのように活用すればい いかという問題も含めて検討する必要があるわけですけれども、まずは基礎的には例え ば化学物質暴露によって起こる反応ですね、分子生物学的な反応、それらの中で最も一 般的に使える反応システムをまず探すということが一つ。もう一つは、それらの反応が 個人差によってどのくらいのばらつきがあるのかということを評価して、その上に立っ て、実際の現場で適用する場合にはその安全率を見込む場合の安全係数を評価するのに 有効に使えるのではないかということで考えているわけですけれども、まずは最も一般 的に変化が起こる反応システムの系を探すというのが現在の研究の目的になっておりま す。  四番目が「筋骨格系障害予防のための疫学的および労働生理学的研究」ということで、 労働災害の中では腰痛症が非常に多いわけですけれども、腰痛を含めた筋骨格系障害を どう予防するかということは長年労働衛生上の重要問題になっております。特に、うち の研究所としては、この研究においてはターゲットを介護労働者、今後介護をされる人 数、絶対数が増えていくということは当然介護労働者も増えてくるわけで、そういう方々 の腰痛予防ということを早急に検討する必要があるのではないかということでこの研究 テーマを進めさせていただいているわけですけれども、特にここの研究においてはもう 少し実践的な面で考えておりまして、実際の介護のときに機器によって補助する場合ど のような機器を導入すればいいのかということ、さらには、腰痛を予防するためにはど ういう姿勢でなければだめかというのを普及させる必要があるということで、そういう 意味でのe−ラーニングシステム、つまりネットを使ったそういう普及啓蒙、教育シス テム、それから補助器具の開発、こういうのをターゲットにして研究をしているもので ございます。  次の五番目が、次のページになりますけれども、スライドでは19番目に相当しますけ れども、これは「職業病・作業関連疾患発生状況に関する全国サーベイランス」という ことで、一番目がコホートによる疫学研究というのですけれども、これはそういう現在 実際に起こっている状況をなるべく早く幅広く情報を入手することによって、早期に何 か問題がありそうだということを警告として社会にフィードバックできるようなシステ ムをということで考えておりまして、これも当然ウエブページを使いまして、ウエブを 使って幅広く全国の医療関係者に登録していただき、その情報を素早く返すというそう いうシステムでございます。これに関してはコンピューター上のシステムはほぼできて おりますけれども、あとはそれに協力していただける全国の医療関係者をいかに探すか ということが非常に重要なテーマとなっております。これに関しては、平成17年度年度 末になりましたけれども、針刺し事故に関する全国のかなり幅の広いネットワークを持 っているグループが協力してくれるということで、実際にまずは針刺し事故からかなり 現実的に意味のある情報が収集できるシステムができそうだということで、まず第一歩 はそれなりの成果が出そうだという状況になったということでございます。  最後の六番目が「有害因子暴露の低濃度化等の状況における生態影響指標の開発と健 康管理」ということで、これは基本的に動物実験がベースとなるわけですけれども、そ れだけではなくてヒトを対象とした研究も一部入れていますけれども、近年の有害物質 の暴露というのは基本的には非常に低濃度であり、そういう意味で影響を評価するとい うのは非常に難しいという状況でございます。それだけに、学問的には逆に言えば非常 に興味のある問題であるわけですけれども、そういう面で動物への暴露実験によってど ういう指標が最も鋭敏に変化するかを見るというのが一つ、もう一つは、特に環境ホル モンというのが社会的に注目されだして、生殖器系への影響ということもちゃんと押さ えておく必要があるということで、生殖器系への影響の評価という項目も加えておりま す。  さらには、日本でも最近非常に注目されている紫外線、有害光線の影響ですけれども、 それに関しては当研究所では昔から地味ではありますけれども研究を続けておりまして、 それら光線の影響という面からの研究も引き続きさせていただいています。以上が全部 で6つのプロジェクト研究の内容でございます。  またページを戻らせていただきまして、スライド14ということに進ませていただきま すけれども、これら6つの研究が平成17年度は進められておりますけれども、基本的に この重点研究は非常に重要な研究でございまして、これをいかに効率的に進めるかとい うのが重要だということです。そのために一つはそれらの研究にふさわしい人をプロジ ェクト研究に加えるというのが一番大事であると。つまり、既成の部の枠に縛られてい ては当然有効には動けませんので、そういう意味で特にプロジェクト研究は部の枠を超 えた適材適所というのが非常に重要だということで、そういうことを重視して編成して いるということ。  それともう一つは、評価を十分にすることによって効果的な結果を出すということで、 研究課題ごとに5段階評価を実施しています。それらの評価は事前評価つまり研究が始 まる前の評価、それでは学術的視点、社会的ニーズ、行政的ニーズ、実現性等、それら を総合的に評価した上で研究を始めるということでございます。研究が始まった後も毎 年中間評価が行われるわけですけれども、それから終了時には事後評価というのを行う ことによって、目標達成度、学術的貢献度、社会的貢献度、行政的貢献度等を十分に評 価して次へのステップへ進めるということでございます。  それらの結果をどう反映するかというのが非常に重要なわけですけれども、先ほどか ら何回も説明していますように、平成17年度は要するに研究費の配分額を増減すること によって、明確に理事長の評価を示し、研究者にインセンティブを与えるということで ございます。  そういう体制のもとで17年は進めさせていただいたわけですけれども、その成果とい うのがまた重要ですけれども、特に高年齢労働者の研究のところにありますように、暑 熱問題に関しては社会的にも成果を提示できるということで、これは前年度にもそうい う成果を提示させていただいたのですけれども、熱中症の発生防止に関する調査研究委 員会においてその成果を十分に活用していただいているということでございます。  それともう一つは、先ほどちょっと説明させていただきましたように、「職業病・作 業関連疾患発生状況に関する全国サーベイランス」で、これはシステムをつくるのはそ れほど困難ではないですけれども、一番難しいのはいかに全国的に情報を収集できる協 力者を登録するかというのが非常に重要ですけれども、そういう意味で平成17年度から はそういうインセンティブが働くということと評価を厳しくするということで、かなり そういう意味での刺激を与えることによって、年度末ではありますけれども針刺し事故 に関する全国研究者グループの協力を得られることができたというのは、これはそれな りに評価できるのではないかというふうに考えています。  以上により、いかに重点研究領域特別研究を活性化させるかということでこの1年努 力させていただいたということで、自己評定はSというふうにさせていただきました。 それでは次に進めさせていただきます。  次はスライド番号21で、基盤的研究の実施及び評価ということでございます。基盤的 研究というのは、現在実際に重要な研究テーマに直接、もちろん多くのものは関係して いますけれども、必ずしも関係しない研究テーマも含まれています。ただ、それらがベ ースとなってプロジェクト研究の基盤を支えるということで、新しい技術の開発という ことが主眼となって行われている研究でございますけれども、これに関してもやはり、 ではそれだけでいいかというわけで、その評価という面を厳しくするということで、こ れも5段階評価で事前評価、中間評価、事後評価というのを徹底するということをさせ ていただきました。まだ基盤研究に関しては予算的なインセンティブまでには進んでお りませんけれども、評価結果は担当者へ開示して担当者が十分にそれらの評価を吟味で きるようにというふうにしております。そういう意味で研究員も努力をしているという ことでございまして、一部の研究は基盤でありながらもやはり現実の社会ニーズ行政ニ ーズにこたえられるような研究も出ているということでございます。  そのうちの2つほどを紹介させていただきますけれども、スライドの22番として「粉 じん・原料物質中の結晶質シリカ類の計測手法に関する研究」ということで、我が研究 所では以前よりアスベストを中心とした繊維状物質に関する測定法に関しては非常に長 い研究の伝統があるわけですけれども、こういうものをベースにほかの公的機関の方々 に測定法を指導するということ、それから監督署等から依頼されたサンプルに関して測 定をし報告するということ、そういうことをしておりますけれども、特に昨年はそうい う社会的な要望が多かったと、それに対して十分こたえることができたということでご ざいます。  次のページのスライド23番は「防振手袋の振動軽減効果に関する研究」で、これも研 究者がJIS規格改定委員会等に出てそれらのもととなるデータを積極的に出すという ことで、これに関しても基盤研究でありながら社会的ニーズに十分こたえる研究となっ ているということでございます。これに関しては基盤研究を着実に進めているというこ とで、自己評定としてはAとさせていただきました。  次に進めさせていただきます。次がスライド番号の24番で、災害調査に関する項目で ございます。当研究所においては当然行政の方から依頼もしくは指示があれば即調査等 対応できるシステムを持っているわけですけれども、それらがいつでも素早く立ち上が るように常に準備をしいているということが基本的に重要なことですので、それらの体 制を常に整備している状況であるということでございます。  その上に立って、昨年度は労働基準監督署からの石綿の依頼分析等が6件ありました。 これらは特に社会的に注目されていたということもありまして、そういうものを確実に 正確に分析して報告するという役目を果たすことができたということでございます。そ のほかに原油タンクによる災害原因調査等に関しても依頼があって、それらの解析に関 して報告させていただいています。それ以外にも、災害ということではないですけれど も実態調査ということで、例えばEU指令の英国での実態調査等も行っているという次 第でございます。  また、そういう厚生労働省委託事業で「清掃業におけるダイオキシン類等の労働者へ のばく露実態の把握」等でも、当研究所においては現場作業の実態に対して十分な知識 を持った研究員がおりますので、そういう研究員が現場に行って実際の作業歴聴取等の 調査を行って協力しているということでございます。  それ以外にもがん原性物質の使用実態調査、作業環境測定法の研究等で「がん原性物 質による健康障害防止指針」策定に協力する等、地道ではありますけれども研究所とし て行政ニーズに対応して貢献しているということでございます。この項目に関しては以 上より自己評定としてAをつけさせていただきました。  次に進ませていただきます。スライド番号25番で、国際・国内基準制定への貢献とい うことで、評価シートでは9ページになります。これに関しても非常に活発に当研究所 の研究職員は活動しておりまして、WHO、ISO、OECD等の国際機関に設置され た14の委員会等へ役職員を派遣しています。例としては、スライドに書いてありますよ うに、WHOの労働衛生協力センターネットワーク会議、それからOECDのGLP作 業部会、それからISOに関しては人体振動それから呼吸用保護具、温熱環境など実際 の装置もしくは設備との関連が強いものに関してはISOに我々のデータを提供するこ とによって非常に貢献しているというのが現実でございます。  それ以外には国内の行政機関や学協会等に設置された81の委員会等に役職員を派遣 しています。このように、幅広く研究成果及び人材を派遣することによって協力させて いただいているということでございます。  特に具体的に明確となっている例としては、2つ挙げさせていただきますが、先ほど 一部プロジェクト研究のときに述べさせていただいたように「熱中症の予防対策におけ るWBGTの活用について」、これは厚生労働省の通達なのですけれども、この通達が 出るときに当研究所の研究成果を利用していただけたということでございます。もう一 つは「石綿による疾病の認定基準について」、これにおいても当研究所の研究成果を利 用していただいたという結果でございます。このように具体的にも成果が出ているとい うことで、この項目に関しては自己評定としてSをつけさせていただきました。  次が評価シートの10ページ目ということで、国内外の科学技術情報の調査ということ でございます。国内外の科学技術を調査して行政側に報告するということは我が研究所 として非常に重要な基本的な作業でありまして、これも着実にこなしておるということ でございます。  例えば、安全衛生部からの要請により、石綿関連及びGHSに関する文献を調査して 報告したということ、それから厚生労働省労働衛生課と実施した振動障害に係る現場調 査の結果を厚生労働省が設置した「振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会」 に資料を提供した、こういうふうに行政からの依頼があれば確実に素早く情報を入手し て報告するということは着実に続けているということで、この項目に関しては自己評定 としてAをつけさせていただきました。以上です。 ○部会長  はい、ありがとうございました。それでは御質問等ございましたらいただきたいと思 います。いかがでしょうか。はいどうぞ。 ○岩渕委員  去年はちょっと中途半端だったのですが、アスベストの関連でいろいろ研究方面では それなりにやられていたというふうに自己評価なさっているようですけれども、国民の 目から見ますと、これはもっと早く何とかならなかったのかというのがやはりどうして もそういう思いはあります。このことについて、研究所の立場としてどの程度のことが できたのかという一つの、多分限界はあるのだろうとは思いますけれども、ただ過去の は過去として、これからのどういうふうに対応していくかといいますか、あらかじめで きるだけ被害を少なくするということも含めて研究の仕方を見ますと、ここに低用量と かそちらのミクロ的な研究の方は大分進めているようですが、流れとしてはそうなので しょうけれども、想定外のことも当然ながら出てくる可能性があって、だから被害が大 きくなるわけですから、それを含めて言えばアスベストの学習効果はどの程度あったの か、今後どういうふうに活かしていくのかということについてお尋ねしたいと思います。 ○安衛研理事長  アスベストの問題は確かに国民にとっては大問題であります。ただ、その問題と社会 的問題であるということと研究所の役割、この関連をちゃんと整理しておく必要がある と思います。  まず、こういう社会的な大問題が起こって、それの担当は行政機関でございます。行 政機関がもちろん立法機関、行政機関、行政機関といっても所管の行政機関及び関連の 行政機関の調整あるいは関連の団体、例えばアスベストの問題でいえば事業主の方々、 例えば日本経団連、もう一方では労働組合の立場、それらの調整ですね。その結果行政 政策が出てくるものと理解しております。  その最終的に行われたのがこれまでのアスベストに対する対策でございます。行政活 動。そのことに対して研究所は直接関係はないという考えでございます。研究所の役割 はこういう行政活動に対する確かに研究調査面で行政活動に資する、「資する」という 言葉が使われておりますが、貢献する、いろいろな基礎的な資料を提供すること、ある いはそれに対して助言をすることだという理解でございます。  ですから、このように整理しておりますから、今後の研究所として今後アスベストの 問題でやるとすれば、これはアスベストの研究を確かにいろいろな問題の研究を、例え ば「Industrial Health」等の雑誌等の最先端の研究情報を収集し、さらにそれを発展す る形でいろいろな情報を集める、それをしかも国の方にも提供する、社会にも提供する ことだと思っております。  さらに言いますと、このアスベストの問題は研究室レベルでは既にほとんどのものが 解明済みの問題でございます。これはですから欧米のいろいろな研究機関あるいは雑誌 等がこれまでどのような情報を学術誌が世界に提供し、それから欧米のアスベスト関連 の学者がどのような活動をやっているかということ、これをごらんいただければわかる と思います。基本的にやっていることは、毒性なり健康障害のメカニズムなり、あるい は実態は既にわかっているという既に解明済みである。ただし、それに対する予防対策 が十分ではないということで、ただ予防対策をどう進めるか、これは責任のあるのは行 政機関でございますから行政機関がやることである。ただ、そういう欧米の研究者のそ れに対する予防活動、社会に対する広報活動は十分やっております。ですからこの研究 所もそのようにやらなければいけないと思っております。  ただ、この研究所も、過去にこれまでもアスベストに対する研究活動はやっておりま す。それから、今回示しましたように、いろいろな基礎的なデータを提供しております。 行政に対しても社会に対しても提供しております。 ○部会長  はい、どうぞ。 ○安全衛生部計画課調査官  行政の立場から少し。アスベスト対策の今やろうとしていることとそれから今研究所 との関係を少し御説明をさせていただきたいと思います。  まず、一つには、アスベストの全面禁止に向けて私ども政令改正というふうにしてお ります。その際には世界基準でもって全面禁止をする。言いかえますと、今1%規制と いいますか石綿製品が1%含有しているものを規制しているものを0.1に下げる。実質 上アスベストはほとんどないものまで下げるということをしております。  そのためには、今1%につきましては昨年のこの会議でいろいろな建材中で1%を効 率的に測定するのを今作業環境測定協会というところが広げていますけれども、その基 本というのですか、オリジナルの測定法は産業医学総合研究所の研究員が出したもので あるというふうに申し上げましたけれども、それをさらに0.1まで下げるということで、 測定法についてはこれをさらに研究所としてしっかりと確立してもらわなければいけな いと思います。  もう一つ、実際に今度は疾病になった人に対しての労災補償の問題がありまして、そ れは今年の3月の国会審議でも少し問題になったのですが、労災補償になると当然争い が出てくる問題がございます。その際には中皮腫ですとほぼ補償されますけれども、肺 がんですと今度は肺にある石綿の本数を数えるというのがございます。現実的に数える ことは、やろうとすればいろいろな研究ができるのかもしれませんが、実際にやってい るとなりますとこの産業医学総合研究所とあと名古屋大学ぐらいしか今ないということ でございまして、実際に現実的に監督署段階で認定的にやるものについてはこちら産業 医学総合研究所の方でカウントをしてもらうというふうなことをやってもらっていると いうのがございます。そういう意味で、そういった肺の中の石綿を数える、そういった 研究も現実的には行政の推進には役立っているというのがございます。  それ以外にもアスベストいろいろまだやらなければいけないのがあるかもしれません けれども、今現実的に対応している方策と全く無縁に産業医学総合研究所があるわけで はないということでございます。 ○部会長  どうぞ。 ○岩渕委員  お聞きしたかったのは学習効果の点でありまして、今後の一つはマインドの問題だろ うと思うのですが、今回のアスベストについて実態は解明済みというふうなお話で、研 究所とは関係ないというのが多分論点だろうと思うのですけれども、今後そういうふう にすると存在意義としていかがなものかというふうに感ずるわけで、研究はやりました、 資料提供も、というようなことで、ただし資料提供のほかに助言という項目もおっしゃ っていただいたのですが、十分な助言を今までしてきたのかどうかというところの学習 効果も実はあるのかどうかということも私としてはちょっとどうだったのかなというと ころを質問したかったのと、今後どうするのかというところをぜひお聞きしたいという ふうに思っているのです。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研理事長  まず研究所が関係ないなんて言っておりません。発言を撤回していただきたいです。 ○岩渕委員  責任がないと。 ○安衛研理事長  私は今回の発言で責任はないと言っておりません。責任はあると言っております。逆 ですから撤回ください。その責任は行政活動に資すること、これが責任でございます。 貢献すること。研究調査面で行政活動に貢献すること。これが最大の責任であり、しか も法律で独立行政法人通則法、個別法での一番のエッセンスでございます。ですから、 そういう意味で責任は十分自覚しております。責任はないと言っておりません。 ○岩渕委員  その責任は行政にあるというふうな言い方はなさっていましたよね。 ○安衛研理事長  現実の社会問題の解決は行政活動でなされるべきです。これは国の立法、司法、行政 活動すべての活動はその中で行われる。国全体の。 ○岩渕委員  行政活動に貢献するという観点から言いますと、今まで十分な貢献をしてきたかどう かと言えば、国民の目から見ると十分な貢献はしてこなかったと言わざるを得ない、と いうふうに私は。 ○安衛研理事長  それはいろいろな評価がありますが、評価というのはいろいろな立場でそれぞれの 方々の立場によって評価の結果は正反対に違うこともありますから、それは十分ないろ いろな批判があること、それは十分に受け入れなければいけないと思っています。それ に従って改善しなければいけないと考えています。それは当然なことでございます。特 にそういう意味でこの評価委員会は非常に大事な機関、研究員にとって一番そういう面 では大事だと考えています。 ○部会長  ほかにはいかがでしょうか。はいどうぞ。 ○中村委員  プロジェクト研究についてといいますか、重点研究領域特別研究一覧という御説明を いただいたのですけれども、この重点研究特別研究は大抵2年ごとに3年ぐらいで終わ って、しかも年間2つぐらいずつ終わっていくと、非常にきれいに回っているのですが、 これは何か特別な理由があるのですか。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長  ちょっと私は特別な理由というのは存じ上げないのですけれども、ここ数年はこうい う形で推移しているということで、これは私の認識なのですけれども、余り長期間だと 現実の社会的ニーズ及び行政ニーズにこたえられなくなってしまうということで、そう いう意味での当研究所の性格としてどうしても3年ぐらいが適切であるというような形 でこういうふうに動いているということでございます。 ○中村委員  プロジェクトですから期限つきというのはいいのですけれども、これが機械的にこう いった形で年2つずつ更新するのだというふうにとらえられるのはいかがなものかと。 もちろん考えておられないと思うのですけれども。中期計画の中で本年度平成17年度に 実施しないというのは省略したとありますけれども、重点研究でありながらやらないか ら省略できるのか。この重点研究という意味が何をもって、やらなくてもいいものが重 点研究なのか。これをまたサイクリックに回していくのがマンパワー上仕方なくてこう やっているのかと、そこら辺のところがまだちょっと私には理解できないのですけれど も教えてください。 ○部会長  はい、どうぞ。 ○安全衛生部計画課調査官  重点研究はプロジェクト研究と言っているものですが、これについては新しい中期計 画あるいは中期目標においても出てくるわけですが、この考え方といたしましては、プ ロジェクト研究は一応ゴールが見えると申しますか具体的な成果をここにするのだとい うものが見えるものについてはプロジェクト研究で行う。基盤的研究については、必ず しもゴールが見えないというとおかしいのですけれども、こちらの方向に行くのだろう なというのがあっても必ずしもすぐに成果が出るとは限らない。あるいは、中長期的に 続けているいろいろな技術の基盤となるようなもの、そういったものについて行うとい う整理をしています。  それから前中期計画といいますか、これは中期目標の方だったのですが、きちんと年 度ごとに何をやるかというのを決めておったというのがございます。逆にそれに縛られ ておったということでございます。それを反省いたしまして、新しい中期目標中期計画 におきましてはこういうプロジェクト研究をやるということは決めておりますけれども、 何年度に開始するとか何年度に終了するというところまでは決めておりません。決めず に、そこは独立行政法人の方の研究員とのいろいろな制約もあると思いますけれども、 その中で判断をして中期計画期間中にそれを着実に進める。さて当該年度において何本 やるというのは、新しい中期計画にはのせていないということでございます。 ○部会長  よろしいですか。 ○中村委員  たしか平成13年度の課題は4年間やっていましたので、機械的にやっているのではな いというふうなのはあるのですが、その後ずっと3年ずつやったのをちょっと確認した かったのですけれども。  関連してですけれども、重点研究領域いわゆるプロジェクトと基盤研究との関係をお 話しいただいたのですが、基盤研究の成果として出された12ページスライドの23です か、この「防振手袋の振動軽減効果に関する研究」、これはたしか14年度のプロジェク ト研究の中での成果に関係しているのかなという気もするのですけれども、そうします と重点研究と基盤研究という関係がもうちょっと明確にした方がいいのかなという気も しますが、いかがでしょうか。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長  基本的には関連している部分はどうしても出てくるわけでして、先生が御指摘なさっ ているように3年間という枠がありますけれども、その中でもちろん成果はそれなりに しっかり出すわけですけれども、どうしても引き続き続ける必要があるものも出てくる わけで、それは当然基盤研究がサポートするという体制になっていますので、その辺が 例えばこういう防振手袋に関しては具体的に行政的なニーズに直接対応するようなテー マに関しては両方にどうしても出てくるという面はあると思いますけれども、基本的に は基盤研究というのはもう少し息の長いもので、それがプロジェクト研究を支えるとい うのは比較的明確になっているというふうに我々は理解しております。 ○中村委員  説明のときには一般的に基盤的研究というのは萌芽的研究といいますか、結論は出な いけれどもこれからいずれプロジェクトに行くのだよという説明をされるのですけれど も、実態は必ずしもそうではなくて、プロジェクトで出た成果をさらに実りあるものに するという面もあるということですね。私はそれでいいと思うのですけれども。ですか ら、基盤的研究というのはそういうものだというふうに説明していただければ非常に納 得するのですけれども。 ○部会長  はい。ありがとうございます。市川委員、よろしいですか。そうですか。では酒井委 員。 ○酒井委員  大変多様な活動を精力的に取り組んでいただいて大変参考になりましたけれども、2 つお聞きしたいのですけれども、一つは皆さんがおっしゃっている重点研究領域特別研 究、これは理事長がおっしゃるように一番産医研の中で大事な研究だというお話ですけ れども、やり方が中村委員の言っているようなことがどうかというのはちょっとさてお き、2つずつ3年でずらしていくわけですね。そうすると当然この6つの課題のうち17 年度で終了したもの、それから経過のもの、始まったものというふうになっているわけ ですね。  そうすると、それぞれについての説明の仕方というのが必要なのではないかというふ うに思うのですけれども、例えば17年度2つ終了しているわけですね。その結果が何で あったかということを私たちは一番知りたいわけで、この8ページの上のスライドと下 のスライドを見たときに下のスライドの方は結果が一応書かれています。ただ、死亡災 害の分析をやって37%は55歳以上の高年齢者でというのが結果なのかどうか。そのた めに3年間もかけて、もっと深いいろいろな成果があったはずですね。ましてや上にな ると、単にやったプロセスが書かれているだけで、それは私たちにとって始めるときに これを示していただけるのならば納得がいきますけれども、結果としてこれだというの はちょっとよくわからないので、ぜひ評価、私たちは今出された資料の中で評価せざる を得ないのですけれども、多分もっともっと深いいい成果があるはずで、要望はできる ならば次回までにここの部分の結果をわかるような形で示していただいて、できれば評 価をもう一度その部分だけはやり直したいというふうに考えているのですけれども、い かがでしょうかというのが一つです。  もう一つは、例の労働衛生重点研究推進協議会、非常に御尽力されて私たちも参考に させていただいているのですけれども、先ほど理事長のお話が最初のときにあって、日 本全体の問題として事務局として産医研が行われた、これはよく理解できてそのとおり だろうと思いますけれども、産医研自身の中での研究、重点課題等を進める上でどうい う位置付けにあるのかということと、もう一つお聞きしたいのは、これで統合化された 後いわゆるここで言うと労働安全衛生重点研究推進協議会のようなものに組み直しする 御予定があるのかどうかということをお聞きしたいというふうに思います。   ○安衛研研究企画調整部長  私の方は最初の部分だけ答えさせていただきます。確かに内容が不十分だったりとい うことで、実際はこちらの資料に学会発表、論文発表等がありますので、また改めても う少し整理した形で提出させていただきたいと思います。 ○安衛研理事長  2番目の、この協議会が産業安全研究所を取り込んでやっていく考えがあるかどうか という部分でございますが、この協議会は基本的に労働衛生推進の協議会でございまし て、産医研の専門領域だったのです。今回確かに統合しましたもので、統合して安全と 衛生と両方、労働安全衛生のこういう重点研究推進活動を進めていくということは当然 大事だと、今までこの協議会推進事務局をやってきた私どもの立場で非常に大事だと考 えて、この旨を統合した後で安全研究所側の上層部の方々に申し上げてあります。その 結果待ちでございます。  ただし、今の時点で即やりますよとは言われておりません。いろいろ問題があってい ろいろ調整しなければいかん、場合によっては非常に長くかかる可能性もある。ただ私 たちの立場ではできるだけ進めるようお願いしていきたいと思います。 ○酒井委員  私もぜひそういう方向で検討いただければと思います。 ○部会長  それでは先ほどお話しになった件で、評価シート6については重点研究領域特別研究 の平成17年度の成果をもう一度まとめて御提出になるということでよろしいわけです ね。それを踏まえてその件については評価するということでよろしいですか。 ○政策評価官  いつに委員の皆様方の合意による部会長の御進行だと思いますが、一つのやり方とし ては今日のところはこれで書けないところはペンディング、書ける範囲がもしあれば書 いていただく。今法人の方から資料提出の用意ができるというお返事をいただきました ので、追ってそれぞれの御自宅・御連絡先に送らせていただいて、その上であわせてこ の部分のシートを念のために1枚紙だけ送らせていただきますので、もし書き込む必要 があれば書き込む部分あるいは場合によって評点が変わることがあれば、その評点変更 部分を私ども評価官室の方にファクスででも送っていただく。もし可能であれば、その ようなやり方が事務便宜上はありがたいなと思っています。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○武見委員  そのことに関して。今のやり方でよろしいと思うのですけれども、資料を提出してい ただくときに、例えばこの今の評価シートのところ6ページのところを拝見していても、 結局この評価の仕組みそのものがそうなっていると言われればそうなのですけれども、 例えば先ほどの研究費の配分額を200万円に増やすということはもう既に評価が終わっ ている内部進行管理のところでもあったことだし、それからその後半の方に例えば熱中 症の予防対策におけるところに活用されたというのは、今回で言えば国内外の基準制定 に関係しているところだし、さっき学会発表が何とかとありましたが、それはまたそう いう項目があって、いろいろなところが重なって出てきている中で、ここのプロジェク ト研究の評価としてはどこをもって評価なさっているのかというあたりを明確にしてい ただけるとこちらもとてもいいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○部会長  はい。よろしくお願いいたします。  ではこの件はそういう取り扱いでよろしいでしょうか。一応書いていただいて後日法 人の方からその件に関する資料をいただけるということなので、それをもとに見直しを していただくということで対応させていただきたいというふうに思います。 ○部会長代理  先ほどの御説明で、部の枠を超えた柔軟なプロジェクトチームを編成していますとい うことでしたが、その実態をひとつお伺いしたいと思います。  一例として、プロジェクト研究の中で私が特に関心を持っています3の「作業環境中 の有害因子に対する感受性を決定する遺伝的素因に関する研究」がありますが、この研 究チームはどんな複数の研究部のスタッフが出て構成されているのかということ。  それから、このテーマと関連した基盤的研究として、添付資料10-29に「薬物代謝酵 素遺伝子の一塩基多型と化学物質ばく露による健康影響の個人差に関する研究」という のがあります。これは有害性評価研究部の御研究だとなっていますが、この2つのプロ ジェクトでオーバーラップしている研究者の状況というのはどんなふうになっています でしょうか。そんなに正確な数字は今無理かもしれませんですけれどもお教えいただき たいと思います。   ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長   それではお答えさせていただきます。まずプロジェクト研究に関してですけれども、 この研究は基本的にこういう特別な分子生物学的手法を用いた研究ですので、所内は健 康障害予防部という基礎的部門の研究員で固められております。ただ、当然この研究は 所内だけでは十分に発展性が必ずしも望めない可能性もありますので、外部の大学の研 究者が加わっているということで、所内の一つの部の単独ではないということでござい ます。 ○部会長代理  有害性評価研究部の方々は参画していらっしゃらないということですか。 ○安衛研研究企画調整部長  はい。この研究に関しては健康障害予防研究部です。 ○部会長代理  一見すると両研究部がコラボレートなさるというように見えるのですけれども。 ○安衛研研究企画調整部長  健康障害予防研究部は基礎的な、どちらかというと実験的な仕事をする部でして、有 害性評価の方はどちらかというと人を対象とした研究ということになります。次の段階 としては当然先生が御指摘のように人も含めた研究へと展開する必要があるわけですけ れども、今の段階ではまずターゲットをまず絞り込むということでまずは実験的なのを 主にするということになっております。 ○部会長代理  わかりました。 ○部会長  岩渕委員どうぞ。 ○岩渕委員  プロジェクト研究の中で生活習慣病にも取り組んでいらっしゃるというのはこれはな かなかいいなというふうには思っているのですけれども、タクシードライバーとかそう いうのも大変わかりやすいのですが、もっと今後どういうふうな取り組みができるのか というのをさらに今後検討していただきたいなというお願いなのです。  どういうことかと言えば、今一番国民的に問題になっているのは働き方の見直しとい うことでありまして、それが過去は働き過ぎの是正ということできましたけれども、今 度はもうちょっと幅広く働き方の見直しというのが一つ大きなキーワードになっており ますので、それに資するような言及が何かできないものどうか。さらに言えば、労働安 全も含めた格好で今度安研と一緒になっているということもありまして、その一緒にな った成果がこういうあたりのところにちょっと幅広い格好でといいますか、研究者にと ってどうかしりませんけれども、国民的な面から見るとかなりアピールするような研究 というのがもしかしたら可能じゃないかなというのが一つお願いです。  その観点から言いますと、現場ニーズの把握か何かでいろいろなところとやっている ようですが、安研とどの程度のことを協議しているのかなというところがやや心もとな いのではないかというふうに思っていますので、そのあたりのところを今後よろしくお 願いしたいということです。 ○部会長  これは要望ということでございます。何かコメントございますか。 ○安衛研研究企画調整部長  先生の御指摘は非常にもっともでございまして、実際に現在の働いている方々の問題 点というのをそのまま情報として入手するというのが、それが当研究所において今まで 非常に力不足の点はあるわけで、それは重々認識しておりまして、そういう視点からこ のプロジェクト研究の5番目で「職業病・作業関連疾患発生状況に関する全国サーベイ ランス」、これは理想的形態でまだそこまでは行っていないのであれなのですけれども、 理想的形態としては全国の実際のベースのレベルで労働衛生活動をなさっている方に報 告、要するにコンピューター上で登録していただくことによって、そういう現場での本 当のいわゆる問題点というのが直接研究所に入ってくることによって、我々の研究の方 針がより現実にダイレクトに合ったようにできるのではないかということでこういうテ ーマを設定しているわけで、先生が御指摘している欠点は十分承知しております。 ○部会長  ありがとうございました。それでは評価の記入の方をお願いしたいと思います。これ も10分以内ぐらいでよろしくお願いいたします。 (評価記入) ○部会長  次に進んでよろしいでしょうか。はい。それでは次に評価シートの項目11から18ま での実績につきまして御説明をお願いいたします。 ○安衛研研究企画調整部長  それでは次に進ませていただきます。14ページスライドの方は27番、外部評価の実 施と公表という項目から説明させていただきます。  平成16年度の研究評価報告書は当初の計画どおり発行し、ホームページで要約版を公 表しております。さらに平成17年度の研究に関しては、有識者による外部評価委員会で プロジェクト研究の評価を実施しております。さらに事前・中間・事後評価結果は外部 評価の結果を含めて担当者に開示するとともに、特にプロジェクト研究に関してはその 代表者に対してその大要を示すように指示し、その大要を評価報告書に報告させていた だいております。その大要が具体的には実行計画の変更等を含むということになります ので、そういう流れとして着実に評価が次の実行計画へ反映されるということでござい ます。これも何回も繰り返し述べることになるわけですけれども、これらの評価結果に 基づき研究費の配分額をインセンティブとして増減することにより、さらに研究成果へ の積極的な活動をするようにという方向で動いております。また平成17年度のこれらの 評価事業は、報告書としてもう既に作成し頒布するとともにホームページで本年6月に 公開しております。  この項目に関しましてはこのように着実に平成17年度に関して進めているというと ともに、さらに研究評価がより次への研究計画へ反映するようにシステムを充実させて いるということから、自己評価はこれに関してAというふうにさせていただいておりま す。  次は評価シート12ページで、スライドは28番に進めさせていただきます。学会発表 等の促進ということでございまして、平成17年度は論文発表は182編で数値目標年80 編を本年度も上回ったということでございます。上にグラフで示していますように、毎 年着実に増加させているということでございます。さらに中期計画期間の累積は691編 となり、5年間の数値目標400編を大幅に上回ることができたという結果でございまし た。  次はスライド番号29番で、学会発表の方ですけれども、学会発表に関しては平成17 年度は208編ということで、17年度つまり5年間の中期計画の最後の年ですけれども、 数値目標である5年間の1000回を上回ることができたということでございます。累積数 としては1108回ということになっております。平成17年度においては職員が学会賞の 表彰をを2件受けておりまして、このように論文及び学会発表等で平成17年度はかなり 努力できたのではないかというふうに考えておりまして、自己評価をSとさせていただ きました。  次に移らせていただきます。15ページでスライド番号30番、評価シート13ページと いうことでございます。研究成果情報の発信ということで、論文、学会以外でのどのよ うに研究成果を発表しているかということでございますけれども、まずはインターネッ ト等による情報の発信では着実に成果を上げていまして、年間のアクセス件数が平成17 年度は127万件に上昇したと。これが前年比で37%増になっています。  そういう中で、「Industrial Health」、「産医研ニュース」、年報、それから研究成果、 こういうのを実際に印刷物としてだけではなくインターネットの中で見られるように発 表しているということでございます。さらには、17年度ではe−ラーニングプログラム といってウエブページの中でこの場合は快適オフィスづくりということで、オフィスの 中で筋骨格系障害を予防するためにはどうしたらいいかを伝えるための学習用のプログ ラムですけれども、これがウエブ上でできるようなシステムにしました。これにより、 研究成果がより広く普及されるということが期待されているわけでございます。  次のページの16ページのスライドの31ですけれども、それ以外にこれは印刷物とし てですけれども、研究成果をいわゆる学術的な論文ばかりではなくもう少しかみ砕いた 形で技術解説等で積極的に情報発信しておりまして、平成17年度は48編こういうのを 投稿しているということでございます。  また、平成17年度は社会的な関心が非常に高まったということもありまして、長年当 研究所において蓄積されていたアスベストに関する情報等の発信に関して要求度が高く、 新聞等へ61件ほど情報を提供しているということでございます。主としてアスベストで すけれども、熱中症、ストレス、睡眠に関してもそれなりの件数で情報を発信させてい ただいたということで、昨年度はそういう意味でかなり発信量が多いということから自 己評定としてSをつけさせていただいております。  次が17ページの33番の評価シート14ページで、これは国内研究状況の把握と情報提 供ということで、これは逆に我々が外の状況を把握するとともに、それをまた社会に還 元するということでございます。これに関しても先ほども何回も出てきていますように、 労働衛生重点研究推進協議会活動というのは非常に重要な位置を占めているわけでござ います。その中で18優先課題の取り組み状況が研究者課題登録という形で把握されると いうことと、もう一つは17年度においては作成したパンフレットを幅広く頒布したとい うこと、このパンフレットは当然そういう専門家向けではなくて、もう少し現場で活動 なさっている方を対象としたパンフレットで、これは非常に効果があったというふうに 考えています。それから、先ほども説明していますようにインターネット、ウエブ上で の情報収集のシステムを構築というのもこれも非常に重要なことになっております。そ れが非常に重要な点と、あとは前にも述べましたように、産業医大、客員研究員との交 流会による情報収集、それから学会活動、これらも当然非常に重要な情報収集源になっ ているということでございます。  それに関してスライド34は飛ばしまして、次の17ページのスライド35を見ていただ きたいのですけれども、この労働衛生重点研究推進協議会において、平成17年度の非常 に大きな成果の一つとしてはこのパンフレット、パンフレットは一応ファイルの中に現 物は入れておりますけれども、ここのスライドの枠の下にあるようなこういう赤い比較 的見やすいパンフレットにして、これを学会及び日本経団連の委員会それから全国産業 安全衛生大会、こういうところで8500部ほど配らせていただいたわけでございます。そ の結果が比較的明確にあらわれたのがウエブページの労働衛生重点研究推進協議会のペ ージでございますけれども、そこへのアクセス件数は4月は1800件だったのがこの17 年の12月には2500件に増加したということから、こういう意味で具体的に成果として 挙げられるのではないかというふうに考えられております。  それから、もう一つ次に重要なのが「Industrial Health」ですけれども、これは対象 はより専門的な方への情報提供ということになりますが、これも1300部を年4回定期発 行しておりまして、平成17年に関しては年間87編の論文を集めて提供させていただい たということで、これも研究者レベルに関しては非常に重要な情報提供というふうにな っております。  それからもう一つ「産医研ニュース」が次のページの37番に示してありますけれども、 これも年2回各2200部刷りまして、これも幅広く配らせていただいておりまして、この 「産医研ニュース」の中には、ただ研究所内の活動だけではなくて実際に研究トピック スをよりわかりやすい形で提示し、研究成果もわかりやすい形で提示することにより社 会へフィードバックしているということで、これも非常にそういう意味で重要な提供ソ ースになっているというふうに考えることができます。次に進めさせていただきます。  今度は評価シートの15ページで、その下のスライド38番ということでございます。 これは講演会等の開催ということで、講演会として当研究所として非常に重要に位置付 けているものの一つは、労働衛生重点研究推進協議会のシンポジウムでございます。こ れは平成16年度に引き続き、「厚生労働科学研究費補助金研究事業より」ということで、 厚生労働科学研究費補助金に基づく研究を紹介していただくという形で、最新の労働衛 生研究を提供するという形でございます。内容が少し専門家向けということでございま して、そういう意味では参加人数は130名ということですけれども、そういう専門家の 間では非常に好評であったというふうにアンケート結果等で判断されました。  それ以外に、産医研では国際センターというものが非常に重要な活動をしているわけ ですけれども、そこが企画して「産医研国際セミナー」を頻繁に開催しておりますけれ ども、平成17年度も2回開催しております。ここでは外国から来た講演者による講演と いうのを主としておりまして、外部に対しても公開しているということでございます。  次にページ20のスライド39で、最初の講演会2つはどちらかというと専門家向けで すけれども、一般向けの講演会というのも非常に大事でして、特に研究所の一般公開に おいては、近隣住民及びもう少し広く研究所を見たいという方々がいらっしゃるわけで すけれども、そこにおいては一般向けの講演というのを必ず企画しておりまして、2題 ほど講演させてもらっておりますけれども、ここにおいても年々見学者がふえていると いうことでございまして、特に近隣の方々からは好評であるということで、平成17年度 は120名の参加を得ているということでございます。  これが講演ですけれども、それ以外に見学者に対する対応というのも研究所の活動を 広める上で非常に重要なものでありまして、国際協力機構からの団体の見学、研修に対 応したり、行政の方では労働衛生専門官研修の一部を担当させていただく。それ以外に 産業医、医学生等の見学に関しても対応しているということでございます。そういうと きには、ニーズがある一定以上の団体の見学等に関しては必ず講演会を設定して、講演 により研究紹介をするということを行っています。それから、施設見学というのも非常 に重要でして、その際研究所として重要なものであるとともに、見て非常にわかりやす いという施設を中心として見学していただくということでございます。  これらシンポジウムや見学会等ではアンケートを実施しまして、その結果がどうかを 常に評価して、次回の対応に活用するというふうにしております。これに関しましては 着実にこの年も進めているということで、自己評定としてAをつけさせていただいてい るということでございます。  次のページ、21ページのスライド番号41、評価シート16ページで、知的財産の活用 促進ということでございまして、当研究所においてはいわゆる工学系等の研究施設とは 違って、どうしても特許というものはなかなか難しいわけですけれども、それでもやは り研究所の中に工学系の研究者も少なからずいますので、そういう方々に積極的に特許 をとるようにというふうに進めておりまして、平成17年度は新規特許査定2件、新規特 許出願1件ということで、17年度審査中は現在5件になっているということでございま す。特許流通データベース登録済みは1件あるという、非常に少ないようでも研究所と しては非常に努力をしているということで、自己評定としてはAをつけさせていただき ました。  次に進めさせていただきまして、次が評価シート17ページで、国内外の労働衛生関係 者等への協力の推進ということで、若手研究者等の育成への貢献ということでございま す。この項目に関しましては特に平成17年度は研究所としては非常に画期的なこととい うことで、連携大学院に関してはここ数年非常に努力をしていたのですけれどもなかな か話が進まなかったわけですけれども、平成17年度には神奈川工科大学それから北里大 学、三重大学、この3大学と一気に連携大学院の協定を結ぶ方向で同意を得たというこ とでございます。実際の協定に関しては18年度になってから具体的に協定が結ばれるわ けですけれども、17年度の時点でもうほぼ最終同意が得られたということが当研究所に とっては画期的な出来事であるということでございます。  日常の活動としては、日本学術振興会特別研究員それから大学等からの研修生等の受 け入れをいたしまして、平成17年度は10名の若手研究者を受け入れています。そうい う中では当然当研究所で行っている研究成果に基づいて大学において資格が得られるわ けですけれども、平成17年度はそういう結果として修士号を授与された者が1名出てい るということで、若手研究者の育成という点でも着実に推し進めているということが言 えると思います。  それ以外にも公的機関や大学等に職員を派遣して、相手の機関で若手研究員に対する 指導をするというそういう方も積極的に行っておりまして、平成17年度は40件の協力・ 支援を行ったということでございます。  次へ進めさせていただきまして、22ページの上の43番で評価シートの18ページ、研 究協力の推進ということでございます。研究協力に関しては国内外の機関と研究協力協 定を結んでおりまして、米国、スウェーデン、韓国との協定に基づく交流というのがご ざいますけれども、平成17年度はこれら協定に基づいて延べ10名の研究員の派遣もし くは受け入れを実施しております。  それから米国のNIOSHとは3つの研究課題に関して協力が現在行われているとい うことでございます。一つが長時間労働それから全身・手腕振動計測、それから作業環 境中の有害金属分析法、これらが進められているということでございます。  それからスウェーデンとも新たに2つの研究課題が動き始めたということでございま す。一つが暑熱寒冷ストレスに関するもの、それから筋骨格系ですね。暑熱寒冷はもう 既に動いていて、それに新たに「境界なき作業態様と心理社会的要因」それから「筋骨 格系障害と心理社会的ストレス」というテーマで新たに2題が進められるということで ございます。  このように、当研究所においてはプロジェクト研究課題と基盤研究課題のうち約10% が共同研究になっておりまして、特にプロジェクト研究に限れば40%は外部との共同研 究になっているということでございます。このように研究協力に対しては着実に努力し 推進を図っておるということで、自己評定をAとさせていただきました。  以上でございます。 ○部会長  はい。ありがとうございました。御質問等ございましたらいただきたいと思いますが いかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○田宮委員  成果の積極的な普及ということで多大な御努力をされていることがよくわかりました。 先ほどの研究の議論ともちょっとかかわって一つそれに関連して、アスベストについて ちょっと確認させていただきたいと思っています。   アスベストにつきましては研究所がどんな役割を果たしたかということはいろいろあ ると思うのですが、私が見せていただいた範囲ではこれの8ページにも載っているので すが、アスベストのばく露の科学的な計測技術、あれはアスベストが世の中に騒がれる 前から地道に研究所ならでは蓄積してきた技術ではないかなと非常に高い評価を私とし ては感じているのですが、例えばそういう技術は、いつまでもほかの機関では実施でき ない技術としてあらざるを得ないのか、その辺の細かいところはわからないのですが、 ああいうことこそ研究所ならではでやってきたことが、行政なり国民に対しても正確な ばく露の把握がなければその先もないわけなので、その辺が今回の研究の成果の普及の ところでアスベストのことが出ていなかったので、こういう技術はとてもほかに普及さ せるのは無理なものなのか、その辺が少し何かあれば教えていただければと思います。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長  どうも評価していただいてありがとうございます。アスベストに関しては先生の御指 摘のように、これはずっと以前から測定方法等に関しては当研究所で地道に続けられて きた成果でございまして、基盤研究のところでもちょっと述べさせていただいたのです けれども、こういう測定方法を外部の方々に積極的に情報提供をして外部でもはかれる ようにできるように努力していっているということは、そういう意味で情報発信はさせ ていただいて、記述させていただいておるわけでございます。  特にこの部分で余りアスベストに関して書かなかったというのは、どうしても去年は 社会的問題として注目されて、そういう特殊技術的な問題よりも社会的一般の注目を浴 びたということで、そういう意味でスライドの32の情報発信のところで、新聞61件で アスベストというふうにちょっと軽く流してしまったのが、そういう意味ではちょっと 我々の提示方法の不適切性があるのかもしれません。  ただ、昨年のそういう社会的問題があって、新たに主務省の方もアスベストに関して は産医研としてもしっかりやってくれということで、プロジェクト研究に関しては平成 17年度ではないですけれども18年からは研究費が新たについて、さらに発展して継続 して研究できるような体制にはなっております。 ○部会長  よろしいでしょうか。 ○安衛研理事長  このアスベスト繊維の肺の中の繊維の種類の同定ですね、これは基本的に一番クリテ ィカルポイントは、その測定の分析電子顕微鏡があるということが前提なのですよね。 しかもこの機械はべらぼうに高い機械でございまして、どこでも入れられる機械ではな いです。ですから今回の御質問のように、その上で測定技術を外部の研究者の機関に普 及するとしても、これは実際に教えたところでそこではかれないわけです。  これは国際的にも同じですが、例えばアメリカでもこれを唯一公に測っているのはニ ューヨーク市にありますマウントサイナイ医科大学の教室なのですね。コミュニティー メディシンの教室なのですが、そこで全国的にそこで有名なセリコフ教授という方がい らして全国的に資料を集めてやっていると、そういう状況なのです。ですから国内で我々 の研究所でも基本的には資料をもらってそれではかるということであって、これは外部 に教えるということまで余り効果がどうなのですかね、それをやったところで効率性は ないように思うのですがね。  ただ、私たちの反省材料としましては、もっと国内のいろいろな機関に働きかけて、 我々の研究所で測定できるのだということをもっと広く広報しなければいけない。その 広報活動に欠けていた。また、これをやると、担当の研究者は非常に大変なのです。時 間的にも。そういう余裕のないということも今まであったのですが、ですけれどもその 辺も含めてやはりどんどんやらなければいけない。広報活動として所外から積極的に測 定の受け入れ、これをやらなければいけない。こちらの方が先だったのだと。 ○部会長  はい。ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。どうぞ。 ○政安委員  研究成果情報の発信でスライドでいきますと30なのですが、e−ラーニングプログラ ムということで、予防するための自己学習ソフトというのは、今の時点では「オフィス の作業改善プログラム」のみでしょうか。  それと、ある意味ではスライド18で筋骨格系障害予防のための予防ということでいろ いろな研究をされているようですが、これは介護労働者ばかりではなく一般国民もとて も役に立つ研究だと思われますので、e−ラーニングシステムプログラムシステムみた いなものはあるのと同時に、もっと国民向けにわかりやすい広報活動はこれからされる、 協議していく予定とは書かれていますが、どういう方向で考えていますでしょうか。お 教えいただけたらと思います。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長  御指摘どうもありがとうございます。我々としてもこういう試みというのは初めてな のです。今後やはりいかに成果を早く一般社会に提供するかということを考えた場合に、 結局避けて通れないのがこういうウエブページを使ったものなわけです。  このe−ラーニングに関しましては、先生御指摘のとおりこの18ページのこの研究と 密接につながってこのシステムが開発されているわけですけれども、最初の段階はまず パンフレットから始めました。ただパンフレットだけではどうしても限定されるという ことでe−ラーニングに進んだということで、今後この成果がどのようにうまく動くか ということからさらに発展させることを考えておりますので、これから努力したいと思 っております。 ○部会長  ありがとうございました。 ○部会長代理  添付資料の16-1で、研究業績のリストを拝見しておりますと、デレク・スミスさん というお方が研究所の英文の原著論文66編のうち18編を書いていらっしゃいますね。 3割近くです。多分この方のことだと思うのですが、評価シートの21ページには、これ は所内でも非常に高く評価されて、最高ランクS評価を得たと、こういうふうに書いて あるのです。   この研究論文のテーマを拝見しますと、対象者が日本人ではなくて韓国とかオースト ラリア、中国といったところに及んでいまして、相当骨の折れる仕事、ハードワークを なさっているのではないかと思いまして、私は実はちょっと心配しています。所内では そういうメンタルヘルスの面から心配なさる声はありませんでしょうか。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長  第一点としてこのスミス氏は非常に幅広い人脈を既に持っており、そういう関係で非 常に活発に研究しているということで採用したということでございます。  所内のメンタルヘルスに関しましては、所内にいわゆるメンタルヘルス専門の精神科 医がおりまして、その医師を中心としてそういう問題点があれば対応するという体制に はなっております。もちろん70人の組織ですので全く問題がないということはないです けれども、このスミス氏に関しては特にそういう問題はございません。 ○部会長代理  ありがとうございました。 ○安衛研理事長  これは所員のメンタルヘルスを含めた特に優秀な研究者の保護、研究上の保護という 面で、あるいは若手の研究者の育成ということで非常に大事な問題だと考えますので私 の方から一言回答させていただきます。  今の御質問あるいは御意見は一般的に解釈しますと、非常に突出して優秀な若手の研 究者をどう処遇するかなのだと私は理解しております。当然研究者の世界に限らず、社 会一般の例えば企業とか行政でもそうだと思うのですが、非常に仕事をする方、これは 当然片側ではメンタルヘルス上の本人の問題、いわゆる過労死等の問題につながる問題、 この人だけではなくて一般論です、出ると思います。ですけれども片側では非常に優秀 な方で、自分の人生の目標、人生をかけてやられている、特に研究のプロ、研究職の方々 ですからやられているということで、これを阻止していい権利はない。むしろそこから 生ずる一般的なメンタルヘルス対策、これは研究所としてこれ以外の方を含めてやらな ければいけないとやっております。  もしくはこういう方、この方のメンタルヘルス上の問題が出るとすれば、逆でござい ます。すなわち、この人が一生懸命海外を含めて仕事をどんどんやるから問題が出るの ではないのです。むしろそれは私は自由に任せた方がいいと思っています。特に例えば 法律上等の問題、規則上の問題はない限り。むしろ逆なメンタルヘルス対策として出て くる問題は周囲の対応ですね。いわゆる出る杭は打たれるというような現象です。これ はどこでも起こる現象で、このことが、出る杭を打つということ、どこの組織でも起こ りうる現象でございます。この研究所でも他の組織と同じように実は起こる可能性があ ると思うのです。ですからその辺の両面のことを含めた保護が必要だと思うわけでござ いまして、一方的に研究活動を阻止するようなことは最優先事項ではないと言っている わけなのです、と考えております。 ○部会長  ありがとうございます。ではどうぞ。中村委員。 ○中村委員  今の件に関してちょっとお伺いしたいのですけれども、優秀な方というのはやはりそ れなりに活動していますし、いろいろなところから研究テーマが来るでしょうから、研 究費というのは部外の競争的資金を含めてそんなに困らないで、むしろ時間的なものの 方が困るのではないかと。そのときにプロジェクト研究その他でもってインセンティブ として研究費の増額で終わっているというところはこれはいかがなものか。もうちょっ と何か本人にプラスになるようなインセンティブというのは考えられないものかという のをちょっとお伺いしたいのです。これは制度上難しいのかもしれませんが。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研理事長  これは増額を含めまして、独法の機関として当然若手の研究者の育成というのは中期 計画の大きな項目の一つですから、ですからその中で研究費をできるだけふやすという ことをやらなければいけない。それは今後おいおいやっていく必要があると思うのです が、ただ個別の業績を上げた研究者に対してどの程度研究費を、それは既に先ほど御報 告しましたようにまず重点研究領域特別研究ですね、それで評価が高いよくやっている ところには研究費が入ります。 ○中村委員  いや、私が言いたいのは研究費の増額、よくやっている研究者というのはいろいろな ところから研究をやっているはずなので、研究費の増額そのものは余りインセンティブ として感じないのではないか。むしろ処遇その他でもって何かそういうものが考えられ ないかと。 ○安衛研理事長  それは考えてやっております。処遇についてはまず全研究職員の評価を正確にやると いうことで、昨年度新しくやりましたことは内部評価委員会の個人評価を今まではその 前の年まではそこの部長一人がやっていたのですが、もっと公平を期するために三人の 部長でやって、できるだけ評価結果を正確に期するということをやりました。  ですからまずその評価を正確にやった上で、それで業績を上げた方については今度そ れに対する処遇はやっております。昇任昇格等で。今ももう既に現時点で昇任昇格は業 績評価の大事な柱として取り入れております。  ただ、この方はまだ任期付研究員でまだ2年目の方ですから、ですから。 ○中村委員  特定の個人という意味ではなくて一般の人の質問ですけれども。 ○安衛研理事長  ですからそれは繰り返し御説明申し上げたわけであるのですが、それは私のところで も言おうと思って言い忘れちゃったのですが、理事長のリーダーシップというところで 言うべきところを時間の関係で。 ○中村委員  質問を変えますけれども、学会発表、それから論文発表これが182件、それから学会 発表208回、非常に高い水準を維持しているこれは非常にすばらしいと思うのですが、 それに対して一般誌への寄稿というのは48編、ここら辺はどういうふうに判断されてお られますか。 ○安衛研理事長  これは一般への広報活動が足りないという研究上の非常に悪い面、まだ十分な活動が されないと。これからむしろ一般社会への広報活動、これは非常に大事でございまして、 その一環として一般誌への寄稿、それは繰り返し所外でやっております。 ○中村委員  ありがとうございます。 ○部会長  市川委員、何か。 ○市川委員   ちょっと同じようなことになるかもしれないけれども、このすぐれた任期付の方とい うものの業績は研究所のプロジェクトとかあるいはその基盤になる研究においてなされ た業績と理解させていただいてよろしいわけですか。それが一点と、それからもう一つ は全体に今の百八十何編という論文がありますけれども、そちらが出されている 「Industrial Health」に対しては全体の数の10%ぐらい、要するに10報ぐらいしか実際 出されていらっしゃらないわけだけれども、いい悪いじゃなく、あるやられている人と のこの雑誌にうまく合わないということでそのくらいの数になってしまう、あるいはそ れをもっと積極的にサポートするという形の雑誌に対しての意向というのは、先ほどと 似たちょっと似た感じなのですけれども、せっかく国内で国際雑誌を持たれているわけ だから、その辺の努力というのがどの程度あるのかということでお聞きしたいと思いま す。 ○安衛研理事長  後の質問は私は今理解できないのですが、とりあえず最初の御質問に対しまして、こ ういう非常にすぐれた方がいろいろな研究をやられたと、だけどこれが研究所の基盤的 な研究とかプロセス等に基づいたものかという考えですが、前提としまして、前提が違 うのでございまして、研究所の基盤研究、これは先ほどは十分説明、私もそのときに追 加説明をしようと思ったのですが、基盤研究の目的は、一つは大事なことはそれぞれの 研究者に自由に研究をさせる。ただ枠があります。制約は労働衛生という範囲です。労 働衛生の研究を自由にやってもらって、新しい今まででは考えられない新しい芽を出し てもらうと。こんなことが今後のプロジェクト研究につながるのであって、これをやら なければ本当の普通の測定機関みたいな機関になってしまう。ですから、創造性を助長 するための活動、そういう意味でこの方が労働衛生の枠内で外国に行って自由に研究を やって発表する、これがイコール基盤研究の枠内、要するに研究所の基盤でありプロセ スである業務の枠内と理解しています。  2番目の御質問は。 ○市川委員  2番目はいわゆる「Industrial Health」が1年間に八十何報出されていらっしゃるわ けですね。87件。そのうち研究所から出された情報が9%と書かれていらっしゃるわけ なので、単純計算すると8報か9ぐらいだと思うのだけれども、そのことと実際の論文 数というのが百何十報ありますね。そのこととの関連で、このような感じでよろしいの ですかということです。 ○安衛研理事長  それはよくありません。基本的に研究所所員はもっと論文を出さなければいけないで す。こんなに少ないのは非常に問題であると、問題であると繰り返し所内で広報活動、 月一回のテクニカルミーティングとかビジネスミーティング全員集めるのがあるのです が、そこでもほとんど毎回のように申し上げています。そのことは自覚しています。 ○部会長  ありがとうございました。それでは評価の記入をお願いしたいと思います。大分時間 が押しておりますので10分以内でひとつよろしくお願いいたします。 (評価記入) ○部会長  それでは次に進んでよろしいでしょうか。では最後に第4グループの評価シートの項 目19から22までの実績につきまして御説明をお願いできますでしょうか。 ○安衛研研究企画調整部長  それでは進めさせていただきます。パワーポイント22ページスライド番号44、評価 シート19ページからでございます。  経費節減ですけれども、これは一度もう既に出ていますが外部研究資金及び自己収入 の確保ということでございますけれども、先ほどちょっと説明が足らなかった部分があ りましたのでそれをつけ加えさせていただきます。  外部研究資金に関しては本年度は6900万で昨年度は1億ということで下がっている ということでございますけれども、実質の研究費の件数は平成16年度が20件に対して、 平成17年度は21件と件数は増加しております。大口がなくなったということで額とし ては減ったということでございます。そういう意味で、努力は引き続きしているという ふうに理解していただければ非常にありがたいことでございます。  自己収入の確保は先ほどと同様でございます。これに関してはそういうことで自己評 定ではAをつけさせていただきました。件数そのものは減っていない、ちょっとふえて いるということでございます。  次に進めさせていただきますと、次のスライドの45番、評価シート20ページで、予 算、収支計画及び資金計画ということでございます。これに関しては中期目標を達成す るための予算を作成し、これに基づき適正に執行させていただいたということでござい ます。特に人件費に関してはそれは計画に予定されていなかった退職者が発生したとい うこともありますが、そういう定年退職者の再任用の給与を抑制したことなどで予定額 を下回ったということは額を下げたという努力をしたというふうにも解釈していただき たいと思うのですけれども、それから一般管理費の節減に努めて、研究備品の購入に充 当したと、努力をしたということで、この項目に関しましても自己評定はAというふう にさせていただきました。  次に評価シートの21ページで、人事に関する計画でございます。人事というのは特に 研究所において非常に重要なことでありまして、特に研究所を活性化させるためには本 質的なことでございますけれども、先ほども指摘していただいたとおり、若手任期付研 究員としてオーストラリア国籍の1名を採用したということは、実際の研究所の研究活 動においても非常にプラスになっているということでございます。  さらに、新規採用として、平成17年度に国立大学教授を1名採用できたというのも、 これも実践的な即戦力として非常に研究所の活動を支えてもらっておりまして、これに 関しても積極的に評価していただけるのではないかというふうに考えております。  人件費の実績は予算内で消化したということと、あと中期計画末の常勤職員数目標を 平成17年には目標を1名減で達成できたということも、これも評価していただけるので はないかということでございます。  以上そういうことで、人事に関してはかなり研究所を実際に支えてもらっている職員 を増やせたということで、自己評定としてSをつけさせていただきました。  最後のページですけれども、スライド番号47番、評価シート22ページ、施設・設備 に関する計画でございます。この施設・設備に関する計画では一つ重要なのは、建物が 建設されてから期間が経っていて、特に最近の地震対策の問題というのが非常に注目さ れている折に、専門家による耐震診断を実施して、次期中期計画に向けて耐震工事を計 画できたということは一歩前進したというふうに解釈しております。  また、計画どおり吸排気設備、熱源設備それからエレベーター設備の改修を行うとと もに、これを機会に新たに関連設備のバリアフリー化を進めて、身体障害者でも職員と して働けるというシステムを完備したということも評価できるのではないかというふう に考えておりまして、ここは自己評価としてAをつけさせていただきました。  以上でございます。 ○部会長  はい。ありがとうございました。それでは御質問等ございましたらいただきたいと思 います。はい、どうぞ。岩渕委員。 ○岩渕委員  国立大学から採用されて、このケースとあるいは一般論と両方知りたいのですが、待 遇の面で給与水準その他には一体どういうふうな原則になっている、このケースはどん なようなことだったのか、要するに流動性の問題との絡みでどういうふうにお考えにな っているのか、それを聞きたいのです。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○安衛研総務部総務課長  国立大学教授につきましては、いわゆる国立大学におけるいわゆる経験等々を踏まえ まして人事院、我々が採用する場合においては従来は人事院協議という形で積算をして おったのですが、今回はやはり本省に格付といいますか、いわゆるこの方の経歴ですと 何級の何号俸に該当するというようなことを協議した上で採用しております。  その他の若手任期付研究員でございますが、これは若手任期付研究員の規定がござい まして、その規定にのっとった形で格付ということをしております。 ○部会長   よろしゅうございますでしょうか。どうぞ。 ○安衛研理事長  追加でございますが、今の御説明のとおりなのですが、ただ一般論で、これはやはり 私が研究所をあずかる立場、特に人事等をあずかる立場として、こういう件に関しまし て非常に困ったと思っていることは、一般的に、主務省の方から、国の国研時代からの 続きなのですが、評価が大体低いのですよね。主務省からの評価付けが。これは国立大 学の場合ですと全部大学の方がやはりここと同じ5級まででして研究職が、教授だと5 級だと、助教授だと4級だというふうに、大学の側から教授か助教授か講師と大学が決 めちゃって、そうすると級は自動的に割り当てられるわけです。  ところがやはり国の研究所は昔からそうではなくて、それを全部含めて国の方が、こ れは人事院なのですかね、どこなのですか、が一応級を決められるわけです。結果論と して、そこの省庁もそうかどうか存じませんが、少なくともこの研究所でつくる外部か ら来た方々の割り当ては普通に考えるよりも1級ぐらい大体低いことが多かった。それ で独法になりましてからできるだけ改善の努力をしまして、できるだけ外部から来る人 も内部から上がった人と同じぐらいの実力評価をされて、同じぐらいになるようにとい う努力をしてきている最中でございます。それが一般論です。  それで個別に、ではこの方々の場合どうかというと、過去に同じような方々が採用さ れた場合は確かに1級低かったのですが、この方は大体同じと、要するに4級で採用、 1級から5級までの。ただこの研究所の5級というのは特別な長くいる方、もう例外と いうか非常に過去の実績を全部行政、研究機関としての経験年数を入れた上で、少なく とも今の時点で5級まではできない。国立大学の教授は5級なのですけれども。ところ がそれは私から見ても無理だということで、普通だと3級にされちゃうところを4級で 何とか採用していただいた。そういうできるだけ外の世界と見合った努力はしているつ もりでございます。この方の場合はある程度効果はあった。十分ではございませんがあ る程度あったと考えています。 ○部会長   ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。そ れでは評価の記入の方をお願いいたします。これも5分ぐらいでお願いできますでしょ うか。 (評価記入) (3)その他 ○部会長  よろしいでしょうか。それでは総括といたしまして全般的なことにつきまして何か御 質問あるいは御意見等あればお願いいたします。全般的なこと何かございますでしょう か。よろしゅうございますか。ありがとうございました。 3.閉会 ○部会長  それでは最後に事務局から連絡事項等ございましたらお願いいたします。 ○政策評価官  長時間にわたりましてありがとうございました。御審議いただきました中で評価シー トの項目の6につきましては先ほど部会の中で整理をいただきましたような形で進めさ せていただく。全体については本日いただきました評価をもとに次のステップでありま す総合的評価に向けて起草委員の方々にお力添えをいただく、あるいは財務諸表につい ての評価をしていただくということを考えておりますので、引き続きよろしくお願い申 し上げます。   ○部会長  それでは午前の第27回部会は以上ということにさせていただきます。評価シートは後 ほど回収させていただきますので、席に置いたままで結構でございます。よろしくお願 いいたします。  どうもありがとうございました。 ○政策評価官  ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。(終了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)