06/04/13 第14回 独立行政法人評価委員会国立病院部会調査・研究部会議事録 厚生労働省独立行政法人評価委員会 国立病院部会(第14回)            日時:平成18年4月13日(木)13:00〜15:00            場所:厚生労働省 9階省議室 ○黒川部会長  定刻ですので、第14回国立病院部会を開催させていただきます。お忙しいところ、あ りがとうございます。また、お久しぶりです。今日は全員御出席ということです。  まず事務局から、本日の議事ということでお願いいたします。 ○政策評価官  政策評価官でございます。よろしくお願いいたします。本日の議事につきましては、 報告案件を含めて大きく3つございます。  1つ目といたしましては、18年度の長期借入金の計画、債券発行の計画、そして償還 の計画、それぞれの案についてお諮りをさせていただこうと思っております。  2つ目でございますが、国立病院機構の方で、今年の4月から、役員報酬規程の変更 があったということでございまして、大臣の方にその旨が届いております。前回の年度 末の部会においても、12月からの変更分をお諮りさせていただいたのですけれど、その 後、4月からの変更分として改めて届いておりますので、御報告をし、御意見を伺うと いうことを予定しております。  また3つ目、中期目標、中期計画につきましては、前回の部会で、年度末までにやら なければいけないということで御報告をし、その後、部会の場でもいただいた議論を踏 まえて、年度末に大変恐縮ではございましたけれども、個別に御説明をし御了解をいた だき、進めさせていただいております。政府部内でまとまりましたものを、本日は御報 告ということで確認の意味を込めまして、資料として用意をさせていただいております。  議題としては以上でございますけれども、以上のことを御議論いただきました後に、 前回の部会において、幾つか御指摘をいただきました、宿題としてお預かりしておりま す事項について、今回、御報告できるものについては資料をもって御報告をしたいと思 います。特に委任契約につきまして、いろいろと厳しい御指摘もいただきましたので、 その後について御報告させていただきます。さらに、これは前回の部会ではございませ んが、また改めて、昨今、関西を中心に、国立病院をめぐる形で新聞報道等がございま す。それについても事実関係を、一連の議事を終わらせていただいた後に、御報告をさ せていただきたいと思っております。  以上です。よろしくお願いいたします。 ○黒川部会長  ということですが、最初の1ページを見ていただくと、今日は議事が4つございます。 時間の配分ですけれども、議事の1つ目が40分ぐらい。プレゼンと議論を含めて40分。 2つ目が、大体20分程度。3つ目が20〜25分程度。それから、その他ということで、 しばらく議論をしていただくというような時間配分で進めさせていただこうと思ってお ります。よろしいでしょうか。  それでは、まず、議事の1つ目でございます。長期借入金その他ですが、これについ て、実際の計画ですね、債券の発行、それから償還の計画案ということなどがあります ので、まずこれについて、意見の取扱い、その他について、事務的な御説明をお願いし ます。 ○政策評価官  機構の方からお諮りをさせていただく前に、私の方から御説明をさせていただきます。 お手元に、参考資料1「国立病院部会における長期借入金及び債券発行に係る意見の取 扱いについて」という資料を用意させていただいております。この部会におけるこれま での基本的な取扱いについて確認をさせていただくために用意をしたものでございま す。  その資料の1つ目の丸にございますように、機構が長期借入金なり債券の発行をする、 あるいはそれに向けて償還計画を作る場合には、大臣が認可をする、というのが国立病 院機構法の定めるところでございまして、大臣が機構からの申請について認可をする際 には、当評価委員会、国立病院部会の御意見を伺うということが決められております。  この参考資料1の2枚目を御覧いただきますと、平成16年のこの部会において御議論 いただいたことでございますけれども、実際の借入としては、市中の金融状況を見なが ら、幾つかの段階にわたることがございます。その度に部会をお願いするというのも、 なかなか難しいところがございますので、年度を通じての借入なり債券発行の枠につい て、まず、きちっとお諮りをした上で、その限度額の範囲内の場合には、生じた度に部 会長にお諮りさせていただいて、御確認をいただければ、それで進めさせていただき、 その次の機会の部会において、事実関係や経緯を御報告して、委員の皆様に御確認をい ただくというやり方をお許しいただいております。  本日は、そういう意味では、18年度、新しい年度に入りましたので、18年度新規とい う形で、今年度の枠についてお諮りをするということでございます。今後、それにつき まして、限度額の範囲内については部会長にお諮りをして進めさせていただくというこ とを、改めて冒頭で確認をさせていただいた上で、御審議いただければと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○黒川部会長  よろしいでしょうか。そういうことですので、いろいろ御意見を伺うところですが、 まず、具体的な内容について説明をお願いします。 ○国立病院機構財務部長  資料1―1から1―4まで、一連のものとしてとじられておりますが、それに基づき まして、御説明をさせていただきます。まず、資料1―1と1―2は、長期借入金の借 入れ、債券の発行という、資金調達の関係の資料になります。資料1―1でございます が、最初の4行にありますように、国立病院機構の目的にしたがいまして、国立病院の 建物の更新築又は医療機器の購入に必要な資金につきまして、財政投融資資金及び民間 銀行から借入等を行うというものでございます。18年度の計画額でございますが、財政 投融資資金につきましては、医療機器整備分として40億円、施設設備整備分として203 億円、民間からの借入で医療機器整備分として10億円。合計253億円の借入を上限とし てやっていきたいというふうに考えております。  借入の条件でございますが、財政投融資資金のうち医療機器整備分につきましては6 年以内、具体的には据置1年、5年償還という形で借入を行いたいというふうに思って おります。借入の時期につきましては、18年度末に近づいたころを予定しておりまして、 そのときの借入日の金利によって決まってくるという状況でございます。ちなみに4月 1日現在では、1.0%の金利になっているところでございます。  施設設備整備関係の財政投融資資金につきましては、償還の期間は25年以内、具体的 には5年据置の20年償還という形で調達をしていきたいというふうに考えております。 これも医療機器と同じでございまして、年度末の調達を現時点では予定しておりますが、 その時点の金利によって調達を行おうということでございます。ちなみに4月1日現在 で1.6%の金利となっているところでございます。  それから民間の借入金でございます。医療機器の整備ということで3年以内という償 還期間の条件で借入を行いたいというふうに思っておりまして、時期的には第1四半期 ぐらい、6月ぐらいを念頭に置いて調達をしていこうということを思っているところで ございます。これにつきましても、その時点での借入の金利で決まっていくということ でございます。ちなみに平成17年度の借入の実績でございますが、財政投融資資金とし て、医療機器整備につきましては40億円、施設設備整備につきましては214億円という ことで、実際に借入を行っているところでございます。今回の枠は、医療機器につきま しては同額、施設整備については11億円少ない額になります。ただ、医療機器につきま しては、民間借入を新しく行いますので10億円増ということになりますので、ほぼ同額 の借入を行うという形になっているところでございます。  続きまして資料1―2でございます。今申し上げました、1年以上の長期の借入金と あわせて、18年度についても債券を―財投機関債と通常言われているものでございます が―発行していきたいというふうに考えております。下の方に参考でお示ししてござい ますが、17年度におきましても、昨年の2月に機関債を発行しておりまして、30億円で 3年債という形で発行しております。これと同じような形で、18年度におきましても、 6月を目途に、3年債という形で発行していきたいというふうに考えております。債券 の利率につきましては債券募集の日に決定するということで、通常は、同様の年限の国 債の利率にプラス何%かが乗った形で金利設定がされるということで金利が決まってい くという形になるものでございます。これも今申し上げたように、17年度とほぼ同額の ものを調達していこうということを考えているわけでございます。  続きまして資料1―3でございます。今申し上げました財政融資資金、それから財投 機関債、民間借入ということで調達をする一方で、財政投融資資金につきまして償還を するという金額が、18年度の予定で471億円ございます。参考1の表の見方でございま すが、一番上の段は平成17年度末における借入・発行の、いわゆる残高です。外から借 りているお金の残高でございます。それぞれ、財政投融資資金は7,193億円、財投機関 債で30億円、合計で7,223億円の借入の残高がある状態でございます。それに、今申し 上げました18年度として、それぞれの金額をあわせて283億円を上限として調達をする。 今申し上げました財政投融資資金を471億円を償還するということで、18年度末の総額 でございますが、7,035億円ということで、17年度末より約190億円弱の長期債務が減 るという形で、償還の計画を予定しているところでございます。  参考2でございますが、財政投融資資金は、借りた時期によって償還の期限が異なっ ていたり、償還の内容が異なっておりますので、そういうものを含めて、償還をしてい くということになります。それから財投機関債は、3年後の償還ということでございま すので、このペースで仮に調達をすれば、20年度に初めて償還が始まってくるという形 になると考えております。それから民間借入金は、参考3にありますように、最初の10 億円を、毎年均等で償還してまいりますので、19年度から償還が始まる。こういう形を、 現時点では予定しているところでございます。  以上が調達と償還の関係でございます。そういう枠の中で、これは以前、機関債の17 年度の発行のときに、実際にどういう投資内容になっているのかという御指摘がありま したので、資料1―4として用意をさせていただきました。少し技術的な話も入ります けれども、まず、1の投資決定状況という表でございます。これは、その年度において、 例えば建物であれば、改築をする、増築をすると決めた額でございまして、実際の支払 いは当年度に起こる場合もありますし、全面的な建替であれば4年後とか5年後という 場合もあるということで、これは債務負担行為をやったという金額だというふうに思っ ていただければ結構でございます。  16年度は、合計で689億円の投資の決定ということを行っております。注1、注2に ございますように、全面建替ということで決定した2病院が約105億円、さらに国時代 の整備計画を承継している302億円。あわせて約400億円が、この689億円の内訳にな ります。そういう意味で、通常の投資として決定した金額は約300億円弱ぐらいの水準 の金額になるところでございます。  平成17年度でございますが、合計794億円の決定をしております。このうち、注3に ございますように、559億円につきましては、大型の全面建替のための決定をしており ます。これの支払いは、実際は4年後とかに出てくる、こういうものでございます。そ ういう意味で、大きなものを除けば、240〜250億円ぐらいの投資決定をしているという 状況でございます。  平成18年度、今年度でございますが、大体、現時点では、大型の建替を除いて、約 330億円程度の投資の決定をしていこうというふうに考えております。増改修、保守・ 保安と書いてある、小規模な案件で約30億円程度。これにつきましては、既に3月末に、 18年度案件として各病院からの申請を踏まえて、承認、投資決定をしております。  建替の大きな内訳としては2種類ございまして、一つは耐震の関係で老朽化した病棟 を補強するか建替をするかという選択がありまして、建替で実施していこうというグル ープが何病院かございます。病棟のみを建て替えていくという、こういう投資を一つ予 定してございます。もう一つは、自立支援法の制定もございましたが、重心・筋ジスと 言われている患者さんが入っている病棟で老朽化しているものが多うございますので、 それを重点的に建替をしていこう、と。こういう2つの内容で、おおむね、約300億円 程度の建替を予定しております。さらに各病院から全面建替――償還能力があるという ことで申請があれば、さらにそれを追加して決定をしていく、こういう形を予定してい るものでございます。  続きまして医療機器でございます。医療機器は投資総枠という欄がございますが、国 立病院機構の今の医療機器の購入につきましては、各病院に毎年の投資可能な枠という のを示して、その枠の範囲内で病院に自由に医療機器を選定していただいて、購入して いただくというやり方を採用しております。その中で、実際上、投資として決まってい る額が、一番下の計と書いてある額でございまして、平成16年度では102億円、平成 17年度では142億円、今年度で、3月末の当初の段階で、一応金額として確定している ものが138億円という状況でございます。内訳としては大型、その他と書いてございま すが、大型は5,000万円以上の医療機器というふうに思って下さい。いずれも4割程度 が5,000万円以上の大型医療機器、残りの6割が5,000万円未満の機器という配分で、 大体安定をしている状況でございます。平成18年度、今年度につきましては、さらに今 後、追加で購入をするという計画が当然出てまいりますので、20億円程度の追加が見込 まれるというふうに考えているところでございます。投資の粗々の枠組みという形では 以上のような状況でございます。  次の2でございますが、先ほど申し上げた外部からの調達のほかに、実は内部の資金 を使って投資に回しているということの取組を始めているところでございます。計の欄 を見ていただきたいと思いますが、財政融資資金で243億円、財投機関債で30億円、民 間借入で10億円というのは、先ほど御説明したとおりの数字でございます。そのほかに、 預託金ということで50億円という数字があると思いますが、これは黒字の病院が、例え ばPL上、黒字が生じたときにキャッシュに余裕ができますので、それを本部に預けて いただくというのを、預託金というふうに呼んでおりまして、それを原資に、各病院の 投資に貸付をする。一種の内部金融を始めたと、こういうやり方をしているところでご ざいます。さらに本部資金に一部余裕というか、そういう資金を何とか捻出して、さら に足りない場合は20億円程度を本部資金の方から投入をするということで、外部資金で 283億円、内部資金で70億円、合計353億円を、投資用の資金として調達していく、こ ういうふうな考え方で動かしていこうということを予定しているところでございます。  次のページの資料、これはさらに技術的になって申し訳ございませんが、単純に申し 上げますと、毎年の決定した額がどれくらいキャッシュで実際上動いていくかというこ とを表しているものだと思っていただければ結構です。16年度で決定した額、先ほど申 し上げた金額ですが、実際に支払われていくのは16、17、18、19年度以降と、分かれて 支払われていきますので、そういうものが、17年度に決まったものも同じように動いて いきますし、18年度も動いてくる。そうすると、各年度の要調達額、平成18年度とい う縦の欄で58、77、140という数字があると思いますが、これの合計の275億円が、一 応、今年度で支払われるのではないかと見込んでいる、現時点での金額になります。  これに対しまして、先ほど申し上げた、内部資金も含めた建物分で233億円、前のペ ージの一番下の表の、建物の合計欄に233という数字があると思いますが、この数字を 調達する。そうすると、18年度単年度では、支払いの額が多くて、マイナスの「▲42」 という数字が立つわけですけれども、17年度末の段階で、18年度当初の支払い準備用の 目的で142億円、いわゆる累計の欄の一番下の欄に数がございますが、そういう資金を 持っている状態で、それを取り崩す形で支払っていこう、と。したがって18年度の一番 下にあります累計101億円というのが18年度末に残っている資金。これは19年度当初 の支払い用の準備として用意をしておく。こういうふうな資金繰りをしていこうという ふうに考えているところでございます。  医療機器はもう少し単純でございまして、長くても2年、18年度からは単年度で全部 買い切ろうというふうに思っておりますので、18年度で必要となる額は、大体、調達の 金額でいきますと150億円ぐらいになります。支払わなくてはいけない金額が151億円 で、内部資金もあわせて120億円の調達をするということで、差し引き30億円のキャッ シュの不足が、その瞬間は起きるのですけれども、同じように17年度末の累計で62億 円の準備している金額がございますので、それを取り崩して31億円、18年度末で余ら せる。さらに追加で20億円の購入があれば、この31億円が10億円といった数字に減っ ていく。こういうふうな資金繰りをしていこうというふうに考えているところでござい ます。  最後の説明はちょっと技術的になりましたが、わかりやすく申し上げますと、年度末 に抱えている有利子の手元の資金をできるだけ減らしつつ、無駄のない資金運用をして いくために、今、いろいろ工夫をしている形をとっていこうということでございます。  以上でございます。 ○黒川部会長  どうもありがとうございました。ぜひ、いろいろ御質問いただければ。あるいは評価、 コメントなど、よろしくお願いします。 ○開原部会長代理  これは単なる好奇心的な質問ですけれど、まず、金利は固定金利ですね。しかし、施 設のところだけが10年で金利が変わる可能性があるというわけですか。 ○国立病院機構財務部長  はい。 ○開原部会長代理  財投というのは、固定金利かと思っていたのですが、最近は全部そうだというわけで はなくて、25年になると、さすがにそうではないわけですか。 ○国立病院機構財務部長  長期のものは、こういう10年ごとの金利の見直しという仕組みが選択できます。 ○開原部会長代理  そうすると、後ろの方で償還の計画が出ていますけれど、多分、そのころは金利が上 がっているでしょうから、場合によると、そのころは、もうちょっと大変になるかもし れない。 ○国立病院機構財務部長  そういう点もありますが、逆に、過去に借りた分で、かなり高い金利のものもありま すので、それを10年たったときに見直した段階で、その金利が下がることも当然ありま すので、今借りたものは上がる可能性がありますが、過去分は下がる可能性があるので、 余り大きな変動はないだろうといいますか、そこは中立化されているというふうに、現 時点では思っております。 ○開原部会長代理  そうですか。それから、直接金融と間接金融の使い方ですけれど、例えば、こういう 場合には債券の方でやって、こっちの方は間接金融でやるという、ポリシーはあるんで すか。 ○国立病院機構財務部長  はっきりしたポリシーということではありませんが、財投というのは将来的にはやは り金融の見直しで、だんだん資金として減少していくというふうに思っておりますので、 我々としては、いろんな資金を組み合わせた形の調達をしていくことを、今から準備し ておくことが必要だろうというふうに考えております。そういう意味で、まず、医療機 器については、財投と債券と民間という3つの資金をミックスして、安定した調達がで きるようにしていきたいというふうに思っているわけです。 ○開原部会長代理  感覚的にいって、債券と銀行からの借入と、どちらが今のところ有利なんですか。こ れだと、余りよくわからないのですけれど。感覚的でいいんですけれど。 ○国立病院機構財務部長  どういう期間で借りるかというのもありまして、例えば病院に対しては医療機器の貸 付というのは、今、6年で貸付をするわけですけれども、債券とか、市中で3年で借り ますと、それを組み合わせて提供していけば、財投並みの、いわゆる実質金利負担でい けるという状態にはなります。組み合わせるということが大事でございまして、債券だ とずっと同じ額で、長期で、帯で借りてしまいますので、内部には三角形で借金が返っ てきますから、資金の余りとか減りが出てしまいますので、どうしても、市中の借入と 組み合わせて債券は出さないと、金利負担が増えたりしますので、ここは、どちらが有 利か不利かというよりは、組み合わせて借りることにメリットがあるというふうに考え ていただければよろしいかと思います。 ○開原部会長代理  この債券は、一般に売り出す債券ですか。 ○国立病院機構財務部長  ええ。これは機関債共通の方法でございまして、証券会社を幹事会社にいたしまして、 一般の機関投資家に売買していくということで、現時点では、すべての機関債とも1口 1,000万円以上の形で募集がされているというふうに理解をしております。 ○開原部会長代理  どうもありがとうございました。 ○夏目委員  この機構債ですが、これは当然のことながら政府保証は付いていないわけだから、格 付は取っているんですか。 ○国立病院機構財務部長  格付は、昨年の12月に、トリプルAをいただいたということを御説明しましたが、 あの格付自体は1年間有効ですので、今回も、それから1年たっていない期間での調達 になりますので、その格付で発行されるということになります。 ○夏目委員  それから3年債ですが、今のようにこれから金利が上がることが当然視されているよ うな状況だと、5年とか7年とか、もう少し長期の方が有利ではないかという気がする のですけれど、3年にした理由は何かあるんですか。 ○国立病院機構財務部長  これは先ほど申し上げたとおりでございまして、この資金自体は、資金の提供が医療 機器に限定されておりますから、病院に対しては6年間の貸付条件で貸そうと思ってい ますので、それを超えるような条件で調達すると資金に余りが出てしまうということが ありますので、一番ベストな期間が3年であるという形で考えてやっているということ であります。今後、将来の話ですが、資金が足りなくなってきて、建物等で機関債を使 うということになってきたときには、委員の御指摘のように、5年とか10年といった、 長いタームで調達をしていくということが必要になってくるというふうに考えておりま す。 ○渡辺委員  資料1―4での1と2で、建物と医療機器があるんですが、一番下の大きな2で「資 金調達内容(自己資金・補助金を除く)」となっていますね。単純に見ると建物が233 億円、医療機器が120億円で、上と見比べると、当然、これは足りないわけです。それ についての御説明と、自己資金・補助金というものの御説明、それから本部資金と自己 資金の違いについて、その辺の御説明をお願いします。 ○国立病院機構財務部長  まず、本部資金と自己資金の関係で申しますと、自己資金は病院としての資金である というふうに思ってください。本部資金というのは、いわゆる純粋の病院以外の、機構 本部、管理部門としての本部の資金というのが、別に財布があるというイメージです。 1枚目の資料だけだと資金の動きが見えないので、2枚目を少し見ていただきたいと思 います。1枚めくっていただいたところに「2.支払額」というのがあります。一番最 後のページです。決定はその当年度にあるわけですが、その年に全部の工事が完成して 支払が終わるわけではありませんので、毎年、支払が分散して起きることになります。 したがいまして平成16年度の建物は、689億円で決定はしているのですが、実際上、契 約をすると額が下がったりしますから、そうすると現時点での支払予定額は623億円に 縮んでおります。そのうちの中で、病院の資金として2億円、それから、国からいただ いている補助金で整備する部分が54億円ありますから、それを除いた568億円という数 字がございますが、これを何らかの形で外部か内部の資金を使って調達をするというこ とが必要になってくる。この資金自体が、何年度に支払われる可能性があるかというの が、16年度は、これは確定して190億円払いました、17年度も217億円払いました、18 年度は58億円が予定されます、19年度以降は103億円が見込まれます、と。このよう に、毎年、列車が走りはじめて、18年度を今度は縦で見ていただいて、そうすると58、 77、140という数字が3つあると思いますが、これを全部足すと、支払ベースとして275 億円という数字になります。これに対して233億円を、内部・外部で調達して、なんと か回していこう、と。こういう考え方です。  だから決定というラインと、実際に資金がどう動くかというのは別の形で動いている ということを御理解いただければ、18年度はどちらかというと支払額よりは調達額の方 が少なくて、資金が17年度末の累計で142という数字があると思いますが、それが今、 年度末の資金として持っている資金を減らして支払っていく、そして18年度末には100 億円ぐらいの資金に減っている。これは19年度以降に既に予定されている支払がありま すから、その年度当初の支払に使っていく。こういうふうな動きをしていこう、と。医 療機器についても全く同じような動きをしている。こういうものでございます。 ○住田委員  今の状況、あるいは将来の展望で、借入金の限度はどのくらいと考えていらっしゃる のでしょうか。 ○国立病院機構財務部長  毎年のですか。 ○住田委員  いえ、累積の限度です。だって、どんどん借りていったら……。 ○国立病院機構財務部長  状況から申し上げますと、まず第1期の中期計画の目標としては、長期債務を1割縮 減するという目標で、実際の投資枠というものを概算してやっているということでござ いますから、第1期計画期間中につきましては、機構当初、発足時は確か7,500億円程 度の長期債務があったというふうに思っておりますけれども、それを1割ぐらい削減す るという目標は達成すべくやっていこうということを考えております。第2期以降につ きましては、老朽している建物がどれほどあるかということと、大体、今、機構全体で 医業収益として7,000億円ぐらいになっておりますので、それから見て、どれくらいの 長期債務が妥当なのかという、両方の目で見て、ラインをある程度考えていくことが必 要かなというふうには思っておりますが、現時点でどれくらいがベストかというのは、 確たる数字があるわけではないのですけれど、普通の企業の世界であれば、売上に対し て半分とか6割ぐらいになれば、それは非常に良い数字だと言われておりますので、夢 を見るような話ではございますけれども、そういうことを目標に、いろんな工夫をして いくことが必要かなというふうには思っております。 ○開原部会長代理  もう一つ、今度は投資の方の話ですけれど、独立行政法人への移行後は、年間に投資 できる施設と医療機器の額は、昔の時代に比べて、増えたと考えていいのか、それとも 減ったのか。または、ほぼ同じなのか。これも感覚的な話かもしれないけれど、どんな 感じですか。 ○国立病院機構財務部長  具体的な数字は持っていませんが、医療機器につきましては、確実に購入額は増えて おります。国立時代は、多分、100億円を切るぐらいの購入額だったと思いますが、医 療機器については、16年度はほぼ同じくらいですけれども、17年度、18年度と、購入 する額が増えてきている。これは事実関係として、あると思います。  それから建物につきましては、例えば財投の借金を毎年400億円ぐらい返していると いうことは、実は400億円ぐらい借りていたということの裏返しだというふうに理解い ただければいいと思いますが、そういう意味では、投資に使っている額は減っています。 ただし、建築にかかる平米単価とか、そういうものを削減しておりますので、実質、事 業量としては、ほぼ同じか、増えているという感覚で思っております。金額ベースでは 減っていますけれども、直している箇所数とか内容は増えてきている。こういうふうな 考え方でやっているのではないかというふうに思っております。 ○開原部会長代理  今、病院の老朽化が、これは何も国立病院だけではなくて、ほかのところも随分問題 になっているんですけれど、このくらいの感じで投資していけば、何とか今の老朽化し た病院を、直したり建て直したりしていけるという、ある程度の目安があって、この投 資額になっているのですか。それとも、これは調達できるぎりぎりのところで出てきて いる数字なのか。 ○国立病院機構財務部長  調達上の問題ももちろんありますが、今の整備の考え方は、まず病院として借金を返 せるかという、償還能力を重視して案件をやっております。国のときのように、老朽化 したら建て替えるというだけではなくて、さらに病院として頑張って、その借入分を自 力で返すだけの能力があるのかということを見てやっておりますので、残念ながら、経 営的に余りよくないところで老朽化しているものについては、なかなか手がつかないと いう状況には、どうしてもならざるを得ないというふうに思っています。  ただ、昔みたいに配分をやっているわけではありませんので、いろんな工夫を病院が して、こういうふうに経費を削減するとか、こういう形で利益を上げるような取組をす るので、こういう建替をやります、という話をしたことについて、だめだというのでは なくて、それは積極的にOKをして、逆に調達が足りなければ、拡大してでも投資をし ていくということは、やっていかなくてはいけないというふうに思っております。ちょ うど今、現時点は、そういう努力している病院に対して、これくらいの規模であれば、 何とかまかなえるくらいの水準にあるのかなというふうには思っているところでござい ます。 ○黒川部会長  厚労省というか政府の全体の方針にもよるんですけれど、平成18年から、都道府県で 医療計画を出しなさいという話をして、公的なところに、どういうふうに、それを、サ ービスを提供する場所として位置付けて、比較的、24時間はオープンシステムで使って、 みんなで使ったらどうだ、と。そうすると公的な資金はどういうふうに重点的に配分化 するかといえば、ここの労災病院の問題とか、いろいろあったじゃないですか。そうす ると、この資料1―4のところなんかもそうですけれど、これだけお金を借りてもいい ですよという話は、多分、去年の委員会で、何か承認されていると思うんです。よくわ からないで承認してしまったのかもしれませんけれど。  それはそういう話なんですけれど、この中で、17年度の建替決定分というのがあるじ ゃないですか。それで2つ、ヒアリングしたんですけれど、静岡、熊本、埼玉、札幌、 横浜ですか、今おっしゃったように、中で採算がとれないとか業績が悪い云々という話 があったんですけれど、そうすると、今の医療制度のままでは、急性期病院みたいなも のは成績がよくなって、難病とか子どもの精神障害とか、国策としてどうしてもやらな くてはならないようなところは、悪いに決まっているわけだから、そういうところはだ めで、ほかと一緒に競合するところだけ新築して、また毎年毎年新築しようかという話 になってしまったら、そうすると厚労省の言っている全体の政策と、厚労省の傘下にあ る独法の政策というのは、一体何を考えているんですか。上位の概念がなければ、こん なことをやってもしょうがないのではないかということです。 ○国立病院機構財務部長  上位の概念は厚労省の方からお話しいただければいいと思いますが、一応、今の仕組 みを申し上げますと、重心・筋ジスの関係については、先生がおっしゃるように、やは り償還能力が弱い部分がありますので、これは民間に対しても補助金の制度が出ており ますが、先ほどの、資料1―4の2枚目の補助金というふうに出ている数字の内数は、 一つはアスベストとか耐震のものもありますが、もう一つは重心・筋ジスの病棟の整備 について2分の1補助をするという、そういう補助を国からいただいております。そう いうものを使って、借金をする金額を半分に縮めて整備をしていくというやり方をして おりますので、一応、重心・筋ジスが弱いから進まないということではなくて、そこに 対しては一定の財政支援をしながら進めていくという仕組みは持っているということで ございます。 ○黒川部会長  国としては、どういう上位の計画を考えているんですか。 ○医政局国立病院課長  上位の計画という意味がよくわかりませんけれど、今言った……。 ○黒川部会長  わからないじゃなくて、これからの、例えば5年先の医療政策はどういうふうになる と思っているのか、あるいは全く知恵がないのか。今度の医療計画は出しているわけだ から、どういうふうにしていったら、公的な医療費を、なるべく無駄がないようにしな がらクオリティーを上げられるかというのは、すごく大事なことじゃないですか。やは り、そういう考えがあると思うんですけれど、それはどうなのか。その中で、この横断 的な大きな法人は何をするのかという話について、何か理念とか、もうちょっと次元の 高い話はあるのかなと思ったんです。 ○医政局国立病院課長  機構の病院にも、政策医療を実現してもらうために、中期目標を定めてやってもらっ ていますけれども、それで、今、北川部長が申し上げましたように、重心・筋ジスなど 不採算部門については、補助金という別な制度で補助をしておりますし、それから例え ば、例が適切かどうかわかりませんけれども、今度の、例えばがん対策を推進するとい うふうなことになれば、新たに機構の病院に対しても国が補助できる仕組みを18年度予 算で作っておりますので、そういった随時の、今の枠組みに合わないようなものについ ては、その都度、手当てをしていきたいと思っております。  ただ、これは私が答えるべきかどうかわかりませんが、今度の医療制度改革の中で、 都道府県の中において、公的病院に対して都道府県知事がいろいろ関与できる仕組みが できるわけでありますけれども、そういった仕組みの中で、この機構の病院をどの程度 入れるかどうか、法的に本当に入るかどうかというのは、まだ今後の検討でございます。 ○黒川部会長  わかりました。突然すべてがクリアになって、こっちに、右にだんだん30度曲がると いうものではないですからね。いろいろ、やらなくてはならないことは確かだけれど、 そういうところで、ある程度、この大きな独法としては、どういうビジョンを描いてい るのか。うちは国の政策と関係なくやればいいんだというわけにもいかないんじゃない かなと思って言っているだけの話ですから、その辺の考えを知りたいんですよね。 ○開原部会長代理  最後のところで言われたことには、私も大変関心があるんですけれど、まだ国会を通 っていないかもしれないけれど、医療法の改正で、いろんな計画の責任が、都道府県の 方へ移るわけですね。そのとき、国立病院機構の病院は、公的病院と定義されるのか、 それとも、されないんですか。 ○医政局国立病院課長  これは医政局総務課が答えなくてはいけませんけれども、現段階では定義されていま せん。ただ、当然のこととして、政策医療を実現するわけですから、したがって、この 独法という立場で国の目標を実現するという意味では、既に公的ですけれども、現行の 医療法で言っている公的医療機関というものには、今までは例示的には入っておりませ ん。ただ、今後、その細部を検討するに当たって、国会で議論があれば、どう答えるか というのは、まだ私どもとして決めておりません。 ○黒川部会長  その辺が難しいところなんですね。いつの間にか公的でなくなったり、都合よく公的 になったりしますからね。渡辺さん、その辺はよく見ておいて下さいね。 ○渡辺委員  今の議論は、本当に、私も理解はあるし興味もあるんですけれど、まだ、当然、厚労 省として見通しが立っていないと思うんですが、一方で、独法になって国立病院機構の 各国立病院は、政策医療は別として、はっきり言えば、もうけるところは、大いにもう けなければいけない。そういう位置付けも、一方ではある。しかし一方で、在宅中心で 病院は急性期あるいは入院中心という今度の医療改革の精神といいますか、そういった 中で国立病院が、政策医療はちょっと別としても、例えばわかりやすく言うと駒沢の医 療センターなどは非常に評判が良いというか、もうかっていると思うんです。ああいう ところは、ますます患者を増やして、もうけると言っては言葉が悪いかもしれませんけ れど、収益を上げなければいけないという使命もあるのかな、と。そういったところで、 150弱の国立病院の、旧療養所はちょっと別として、そういったところの位置付けとい うものをどうするのかというビジョンは、あってもいいのかな、と。まだ今の段階で明 確にクリアカットには出てこないと思いますけれど、それを例えば黒川先生もおっしゃ っているのではないかと思って、今、聞いていたんですけれどね。 ○黒川部会長  こちらとしての評価委員会のやっていることは、そういうことも入れた評価を、ある 程度、ダイアログをやっていかないと、それぞれ、これは別ですから、これは別ですか らといって、単体の収益さえ良ければいいという話にはならないんじゃないかというの が、こちら側の役割の、一つの大きなところだから。つまり国民の側がどういうふうに 期待しているだろうかという話も入れていっているので、ぜひそれを、経営戦略的にも 反映させてもらいたいなということがわかれば、評価委員として、全体の司令部はそう いうことを考えているんだなという思想と理念がないと、よろしくないのではないかと いう話だと思います。マイナーなことをがたがた言うつもりは、余りないんですけれど ね。  だから、そういうメッセージを、強烈にそちらが発すれば発するほど、やはりそれは、 日本の医療改革の全体の、今言ったような地方の医療計画にしたって、かなりリーダー シップを取れて、引くところは引く、こっちはこうやりましょう、と。そういうふうに 全体をよく考えてもらいたいなあというメッセージを伝えたいので、評価官もしっかり お願いします。  そのほかに、いかがでしょうか。よろしければ、その次に行かせてもらいましょう。 こういうことは、まだわからないところもあるので、ぜひ、住田委員や夏目委員には、 よく見ておいていただいて、次のフィードバックに向けて、いろいろこちらも勉強させ ていただければと思います。  この債券の、30億円の場合の0.53%というのは、これは17年度分ですから、これは さっき言った、その前の200億円のやつは1%の予定という話があったけれど、これに プラスして0.53%ということですか。 ○夏目委員  いえ、違いますよね。 ○黒川部会長  違うんですか。 ○国立病院機構財務部長  これはこのまま、0.53%です。 ○夏目委員  今はものすごく低いんです。 ○黒川部会長  夏目さんだと、例えばこれであれば、じゃあ何か230億円ぐらい借りて、30億円をす ぐ返してしまうという話になって、差だけ取れるといった話にはならないんですか。 ○夏目委員  だから今回、長期債務が190億円ほど減少することになっているんですね。長期債務 を減らす。本当はもっと、前倒し償還ができればいいんだけれど、これはなかなかでき ないんじゃないんですか、財政投融資は。前倒し償還ができれば早めに返してしまって、 安いので調達して置きかえればいいわけですけれど。 ○黒川部会長  そう、そう。それはできないんですか。 ○夏目委員  前倒し償還は民間会社がよくやることですけれど、国の財政上、なかなかできないん ですよ。 ○国立病院機構財務部長  財政融資資金については、別に法律をきちっとつくって整理するとか、そういう法律 上の手当てがないと、補償金を免除して前倒し償還ができないという、資金上の制約が ございます。 ○黒川部会長  さっき言った、公的医療機関ではないけれど財投が使えるなんていうのは、そうする と、都合のいいときには公的になる、それはいいんですか。 ○夏目委員  これはいいんですね。金利が高いときはいいんですけれど。 ○黒川部会長  そうなんだけれど、だから財投が使えるという性格は一体何なのかということを、今 度、きっちり考えないとまずいのではないか、と。都合の悪いときは公的ではなくて、 都合のいいときは公的だという話になりかねないということです。 ○夏目委員  そうですね。おっしゃるとおりです。 ○黒川部会長  ぜひ、言ってもらいたいと思います。よろしいでしょうか。そういう問題点は、あな たたちのせいではなくて大きなフレームだけれど、やはりそれを理由に、都合のいいと ころだけ取って、そういうふうに言っては困るんじゃないかという話は、こちらとして は気にしているということだと思います。まあ、今はトランジションですから、いろい ろやるにしても、そういうことをテイクノートしていただければと思います。吉田さん、 よろしくお願いします。  よろしいでしょうか。それでは次に、役員報酬ということで、これはもっと大事な問 題かもしれませんね。よろしくお願いします。 ○国立病院機構総務部長  それでは、この4月の役員報酬の改定ということで、総務部から説明をさせていただ きます。役員の給与につきましては、国家公務員の給与改革を踏まえまして見直しする こととされ、この4月から改定を行いました。1点目でございますが、国の指定職に準 じて定めている月例年俸でございます。改定内容は、平均6.7%を減ずるという改定を 行ったところでございますけれども、国の指定職に準じまして、経過措置として、現在 在職する役員につきましては、3月31日に受けていた水準を維持することとしておりま す。ただし新たに役員となった方、あるいは昇給をする方については、改定後の年俸を 支給することとしております。  2点目が、地域手当でございます。これも国家公務員に準じた改定でございまして、 これまで調整手当と言われた手当ですが、俗に言う都市手当でございます。例えば東京 23区ですと、これまで俸給の12%が支給されておりましたけれども、地域手当という改 定によりまして、18%となりました。しかしながら、いきなり18%ということではなく て、平成21年度までの4年間で段階的に引き上げることとし、機構では、今年度は13 %としております。以上が役員報酬の改定ですが、資料2―2は、その規程を付けてお りますので、参考までに御覧下さい。 ○黒川部会長  いかがでしょうか。御意見、御質問、その他、お願いいたします。 ○夏目委員  本当に単純な質問ですが、1番で6.7%下げて、2番で6%上げるということですか。 ほとんど変わらない、と……。 ○国立病院機構総務部長  月例年俸と地域手当は全く別の考えで、これは改定をしておりまして、地域手当は地 域手当で、都市部を見直し、今までの調整手当を地域手当として見直した形が、この形 でございまして、同時に考えるというのは適切でないと思っています。 ○国立病院機構副理事長  ちょっとよろしいでしょうか。 ○黒川部会長  どうぞ。 ○国立病院機構副理事長  副理事長の河村でございます。自分に関係することなので、ちょっと言いにくいので すけれど、政府全体としての給与構造改革というのは、官と民との給与格差を縮めると いう話がスタートなんですね。それで結局、人事院がずっと調べてきて、地方において 公が非常に高く、いわゆる東京都市部においては、それなりにバランスが取れている、 と。一たん基本給を地方レベルにも適用できるように引き下げて、その上で、地域手当 によって官と民とのバランスを取っていくという形でございますから、国立病院機構本 部のこの役員の話については、これは余り大差はなくて、一方で6.7%を下げて、一方 で6%――まあ、段階的にではありますが、1%ずつ上げていくとかという話でありま して、余り大差ないのではないかというお話でございますが、確かにこれだけを見ると、 大差はないわけでありますが、実際のこの政府全体の給与構造改革というのは、主にや はり、地方に行けば行くほど効いてくるということになっていることが一つございます。 ○黒川部会長  そうなんですけれどね。よろしいでしょうか。 ○夏目委員  はい。 ○黒川部会長  どうもありがとうございました。それでは、その次に行きましょう。中期目標及び中 期計画の変更について。これは報告でございますが、よろしくお願いします。 ○医政局国立病院課長  国立病院課長です。冒頭、政策評価官が申しましたように、年度末のこの部会におき まして、各委員にいただいた御意見を踏まえまして、年度末に政府部内で調整を行い、 取りまとめました、この国立病院機構の中期目標、中期計画の変更について御説明いた します。  まず、資料3―3の14ページでございますけれども、一つが、業務運営の効率化に関 する事項でございます。人件費削減の取組についてでございます。昨年のクリスマスの 日の閣議決定、「行政改革の重要方針」を踏まえまして、国立病院機構における業務運 営効率化の取組につきましては、各先生方の御意見を踏まえまして、人件費削減の取組 を行う一方で、国の制度の創設や改正に伴う人材確保も含め、政策医療の推進のための 対応とともに、医療サービスの質の向上、医療安全の確保、それから患者の処遇の改善 などにも留意しつつ、適切な取組を進めることを中期目標、それから中期計画としたと ころでございます。  それからもう一つが、資料3―3の16ページでございます。業務・システム最適化に ついてでございます。国立病院機構総合情報ネットワークシステムにつきましては、シ ステム構成、それから調達方法の見直しを行って、システムコスト削減、システム調達 における透明性の確保、それから業務運営の合理化を図るなど、最適化への取組を中期 目標、中期計画としたところでございます。御報告は以上でございます。 ○黒川部会長  はい。こういうことですね。この間も議論されて、年度内ということでしたが、これ について何か御質問、コメントはございますか。  中期目標、これはプリンシプルな話で、このことをスペシフィックに言っているわけ ではなくて、この間、大分議論させていただいて直していただいているので、よろしい かと思うのですが、こういう話が前の話にも出ましたけれど、1年目はすごく良かった、 と。そうなると次はどうなるのかという話と、それと同時に厚労省としては、新しい医 療計画が、今国会で審議されることになりますが、それが出てきたときに、独法とはい っても、監督官庁というか大臣としては、その両方の整合性をどうしたいのかという話 は、何か考えがあるんでしょうか。全くなくて、もう公的ではないからいいやとかそう いうふうに言っている話ではないので、その辺はちょっと、厚労省の方としても、指導 するわけではないけれど、大臣がしっかりしてくれないと、独法になったそれぞれのと ころがサバイバルゲームをして自分だけが残ればいいという話になるのは、それは当然 の話だけれど、そこで全く私的な病院であれば別だけれども、やはり厚労省としては、 そういう話は、何のためにしているのかという話は、何かコメントがありますか。 ○医政局国立病院課長  前回も御指摘いただきましたけれども、機構の置かれている状況というのは時々刻々 変化しているわけでありまして、今回も行革推進法案の中で、ナショナルセンターの独 法化、それから非公務員型の検討など、いろいろ指摘されて、今、衆議院の行革推進特 別委員会で集中審議がなされておりますけれども、そういった状況や、あるいは先程来 御指摘されているような、医療制度改革に伴う様々な関連法案の状況等々、あるいは、 私が言うことではないかもしれませんけれども、社会保険病院の今後の地域における状 況、あるいは今回の医療費改定における今後の推移等々をよく見ながら、必要に応じて、 また先生方の御意見も伺いながら、厚労省全体の中の医療政策の中で、国立病院機構の 果たす役割については、我が方でも考えながら、機構ともよく相談しながら、また適宜 お諮りしたいというふうに思っております。 ○黒川部会長  そういうときには、今度の計画もそうだけれど、中期目標を作ったときとまた変わっ てきているので、そういうのは適時この委員会でサジェストしながら、お互いに建設的 な対話を進めながらやっていくという格好は、してもいいのですか。基本的にはそうで すよね。吉田さん、それはいいんですか。 ○政策評価官  今、御指摘いただき、また、国立病院課の方からも御説明させていただいているよう に、独立行政法人というのは、本来からすれば、ある程度、中期目標というものを、大 臣が方向を示して、その期間は法人の努力を見よう、と。それを、評価をしながら見て いこうということではありますが、それを超えて、今回、年度末に中期目標、中期計画 の改定を、期間中とは言いながら政府全体で図ったように、いろいろな動きがあります。 場合によって個別の法人、ここで申し上げれば国立病院機構というものが与えられてい る中期目標を、大臣から言えば与えている中期目標を、どのように――今、病院課長か らお話のありましたように、刻々状況が変わっている中で、どういうふうに考えていく べきかとか、あるいは、それを踏まえて病院機構側が計画をどうするかということ、ま た、場合によっては、病院機構の方から発議があって議論が始まるということも有り得 ると思います。その議論は、この評価委員会の場としても、また機会を設けて御議論い ただくことはいくらでもあるというふうに思っております。それをどういうふうに、最 終的にどの機会でやるか、これはいろんな全体の仕組みの中で、やり方は考えなければ なりませんけれども、御議論をいただく、あるいはその刻々の状況の中で、あるいは年 度の実績報告を評価いただく作業を通じて、いろんなことをここでサジェストいただく ということは、私どもとしても前向きに受け止めたいと思います。 ○黒川部会長  ありがとうございました。 ○医政局国立病院課長  ちょっとフォローしますと、私、ちょっと前につんのめったような発言をしてしまい ましたけれども、国会では、結構、機構の非公務員型のようなことを早めてはどうかと いう質問も出ています。ただ、要するに機構は16年にスタートしたばかりでありますし、 まさに今、政策評価官が言ったように、理事長に任せて、やってみて下さいというふう に言っているわけなので、そういったことも一方で大きく念頭に置きながら、一方で、 先生が御指摘になったような状況の変化も踏まえながら、両方をにらみながらやってい くということでございまして、そういうことで、両にらみでやっていきたいというふう に……。最初の答弁は、ちょっと前につんのめったような答弁でしたので訂正させてい ただきます。 ○渡辺委員  基本的なことですけれど、ナショナルセンターの独法化は、これは決まったんですか、 決まっていないんですか。ナショナルセンターは今、7カ所ですか、ありますよね。 ○医政局国立病院課長  お答えいたします。ナショナルセンターの独法化については、独法化するということ は、年度末の閣議決定で決まっています。ただし、それは法律で確定しているわけでは ありません。今回の行革推進法案の中では、特会改革というところで、平成22年度に特 会を廃止するということになっているわけです。しかし、その他条文もございますけれ ども、一方で、同じく行革の重要方針の年度末の閣議決定の中では、公務員制度改革の 方でも、両方で検討されておりまして、そこのところで、今後、非公務員化というもの を検討せよ、と。同じような条文が、法律案にも載っているわけでございます。今後、 非公務員化の方に傾いておりますけれども、最終的に非公務員化するとは、まだ言い切 っていません。  大臣は、ナショナルセンターというのは非常に重要であり、まあ機構も重要ですけれ ども、国民の期待に応えるために、質・量ともに強化しなくてはいけない、と。ただ、 政府全体で、小さな政府という概念も、これはわかる、と。したがって、両方の……。 我が方はしかし公務員減らしのためにやるのではなくて、そういったサービスの効率化 のためにやるんだ、と。そのためには、高度先駆的医療の研究開発というのは1丁目1 番地だろう、と。そこのところをナショナルセンターは、臨床面が得意だけれども、基 礎であるとか実用研究は不得意なので、そこのところが今の公務員制度は、相当の制約 があるのではないか、と。そこのところをブレークスルーするために、非公務員型を検 討しなければいけないけれども、ただ人を減らす、予算を減らす、という立場には与し ない、と。  さらに人材の養成とか情報の提供とか、均てん化するということも考えあわせれば、 よほど充実強化しなければならないので、そういった条件が、今後の検討の中でクリア されれば、と……。独法化はわかった、と。しかし非公務員化まで行くかどうかという のは、いましばらく検討が必要だ、と。その中で、法人形態も、内閣官房の有識者会議 に提案したのは、各センターが、今、6つございます。数は6つになるのか7つになる のか、10になるのか、わかりませんけれども、1本ではなくて、今のところ個別だとい うふうに言っております。そういった法人形態も含めて、今後さらに検討していきたい ということで、決定はしておりません。 ○渡辺委員  まず6つか7つが重点になるんですか。 ○医政局国立病院課長  だから、それぞれのセンターごとに法人をするのか、機構のように1法人にして、つ り下げるのかという点に関しては、現段階の厚生労働省としての意見表明は、6つとか 7つというような数は言いませんけれども、各センターごとにというふうな表現で言っ ていまして、だから最低限、6つは別々であり個別である、と。というのは、さっき言 った4つの業務としては共通だけれども、がんセンターの均てん化政策とか、それと精 神・神経センターの均てん化政策というのは、ちょっと違うだろう、と。それから、両 方の理事を束ねるような理事者というのは、ちょっと考えつかないとか、いろんなこと がありますので。ただ、一方で、効率性の観点から考えたら、1本でいいのではないか、 1つの法人でいいのではないか、というふうな議論も、あるにはあります。今のところ は個別でというふうな形になっておりますけれども、それも含めて最終決定というのは、 まだ確定しておりません。それらのことが内閣官房の有識者会議で、これから6月末に 向けて議論されているという状況でございます。 ○黒川部会長  そのほか、何かありますか。確かにそういう意味では、今、何となく「官バッシング」 「公バッシング」みたいになっていて、官が悪い、公が悪い、というような調子になっ ているけれども、ちょっとそれは行き過ぎもあって、私は、公の役割というのははっき りあって、ただ数を減らすなんていうのは、とんでもない話で、例えばアメリカなんか と比べたら、公務員はずっと少ないわけですからね。少なくすればいいわけではなくて、 やはり公務員の権限と責任は何かということが一番問題なので、それを言わないでただ 減らしても、国が滅茶苦茶になるだけじゃないかという話で、また今度、政府の統計一 次データの報告書もうちから出しますけれどね。出したんですけれど、今度いずれ、5 月にまたシンポジウムをやって、これは毎年出しているんですけれど、だけど、例えば 公のデータには全然アクセスしてくれないとかね。人口動態もそうだし金融もそうだし、 そういうのは学術研究とかいろんなところに、シンクタンクではないけれど、一次デー タをどう分析して、みんなに政策としてサジェストするかというのが大事なのに、それ を自分で料理して押し付けてくるなんていうのは、とんでもないことで、実を言うと、 うちも調査で、イギリスはサッチャーになってから、もともと統計が非常に強かったの に、効率化、効率化で、すっかりだめになってきているんですよ。だけど、日本の場合 は各省庁がデータを出しているから、OECDからも全く信頼をなくしてしまっている んですね。皆さん言わないから、知らないのかどうか知らないけれど。  それでこの間、アメリカにもうちから行かせたら、センサスビューロがありますよね、 例えば国勢調査が、国でやらなくてはいけない話なのに民間の何とかとか、そういう話 をしたら笑われていましたよ。そんな国なんて聞いたことがないといって。だけど向こ うは、公務員はそんなに権限を持っているわけじゃなくて、ちゃんとパブリックサービ スをするという役目があってやっているんだけれど、日本はパブリックサービスという 気があるのかというところに問題があるという話を、かなりOECDも認識されていて、 各省庁が統計データの一次データを持って、お互いにも使えないなんていう国は、とん でもない後進国だという認識は、もう、明らかにしていますね。  そういう話を言わないで、単なる官のバッシングというのは、私は、極めて不本意だ と思って言っていますけれど、官自身にそういう気持ちがあるのか。僕も見ていると、 若いのでやる人がたくさんいて、まじめで遅くまで仕事をするんだけれど、何のために するのかという話が、まあ、2・6・2の法則で、みんながそういう点で共通している わけではないんだけれど、特にやはりノンキャリアの人たちが周りにたくさんいるとき に、若手のキャリアなんかが入省したときは、いろんな志があったと思うんだけれど、 そういう人たちが、若い人たちが見るようなロールモデルになるような人が周りにいる のかということが、私は、非常に心配だなということを、しばしば言っているわけです。 特に事務次官クラスの人から上の人に言っていますけれどね。  だからそういうことがないと、皆さん、それぞれ非常に大事な役割をしているので、 本当に国のためにやっているんだ、と。省のためにやっているわけではないんだという 話を、やはり、ノンキャリアとか若い人たちによく見えるような発言と行動をしてほし い。発言しているだけでは評論家ですから、少しでも行動に示すということを、ぜひ、 やってもらいたいなと思っています。そんなことで、機会あるごとにそれは言っている んですけれど、よろしくお願いします。外山さんと吉田さんもそうだけれど、皆さん、 頑張って下さい。 では、その次にまいります。その他ということで、よろしくお願い します。 ○国立病院機構企画経営部長  前回の評価委員会で宿題として言われた点が何点かございまして、それについて、順 次、御説明させていただきます。参考資料3ですけれど、一つは医師と看護師について、 非常に不足しているので確保に苦労されているのではないかということで、どんな状況 かという御質問をいただいたかと思います。どういう形で不足している状況を御説明す るかというのは、なかなか難しいところがございますが、端的に言うと、ほかの主体と の比較というのが、一番わかりやすいのではないかということで、これは全職種につい て比較したものであります。データはすべて直近のものに変えましたが、医療施設調査 とか病院報告は16年のものしかないので、その数字で比べさせていただいております。  御覧いただきまして、例えば医師・看護師について言わせていただきますと、医師に ついては大学病院等が入っていますけれど、国、いわゆる公的な病院グループの平均で 言うと患者100人当たり23.2人のお医者さんがいるというデータになっておりますが、 我が機構で言うと、旧国立病院、旧病院グループと呼ばれるところですが、ここは20 人ぐらいいますので、大体、日赤に近いぐらいなのかなと思いますけれども、旧療養所 の方は、やはり極端に、重心・筋ジスといった部門もありますので、小児科医が不足し ているとか、そういう点が非常にございまして、7.3人ということで、平均すると12.9 という数字になります。ということで、御指摘いただきましたように、医師の確保につ いては非常に苦労しているという点がございます。  それから看護師の方でありますが、我々以外のところの平均で見ると、100床当たり 大体80.3人ぐらいいらっしゃるというわけですが、我々のところは63.7が平均となっ ていまして、ここも旧療養所グループでは、どうしても確保が非常に困難な点があると いうことでありまして、58.3というような数字になっている。病院グループの方も、な かなかしんどくて70.6という数字になっているというのが、今の状況であります。  特に、医師についてはもう、全国的にも非常に不足している状況が、ずっと各地域で 起きていまして、各病院の院長先生は、医師を確保するために、いろいろ大学を回った り、後期臨床研修で何とかならないかとか、臨床研修のお医者さんをどうだとか、そう いうふうなことで一生懸命、活動をされているところであります。看護師については、 やはり地域的には非常に問題があるところがございまして、医師も同じですが、特に北 海道とか東北地方は、医師も看護師も非常に不足しております。確保するのに非常に難 渋している地域です。それから看護師について言うと、特に関東もやはり、確保は非常 に困難な地域ということになっていまして、また、近畿地方もやはり少し、確保するの に困難な状況が続いているというのが今の状況でございます。  ちなみにこの資料を御覧いただきまして、計の欄で、全職種で比べてみたものも、事 務職なんかもそうですが、国時代に非常に定削(定員削減)をずっとかけてきたのは、 事務職でかけてきていますので、あるいは技能職のところでかけてきていますので、そ この部分は数がどんどん落ちていまして、全体で言うと、患者100人当たりで見ると107 人程度というような数字になっているということでございます。 ○国立病院機構医療部長  続きまして、参考資料4に基づきまして、臨床研修の御説明をさせていただきます。 資料の一番下にあるのが制度発足といいますか、臨床研修が必修化される前でございま して、臨床研修指定病院というのが機構の中で43あったわけでございます。平成16年 6月1日から制度が発足しまして、単独型、管理型、協力型、それから指定を受けてい ないところもございましたが、各々、そういった人数で受け入れを行ってきたわけでご ざいます。  一番新しい情報が、参考資料4の一番上の数字でございまして、平成17年6月1日に おける各々のタイプ別研修医の数でございまして、単独型というのは、いわば病院がそ れ自体でほぼ完結した形で臨床研修を行うことのできる病院でございますが、16年度と 比較して1つ増えておりますし、研修医の数も増えている。管理型の方も、平成16年と 比べますと、各々増えているという状況でございます。  委員の御指摘としては、この、いわゆる初期の臨床研修だけではなくて、今後、この 平成18年4月1日からの、いわゆる臨床研修が終わった後の後期臨床研修の質問も恐ら く含められたと思うのですけれど、それについては、まだ、今のところ明確な数字はつ かめておりませんが、200名ぐらいの方が機構内の病院で後期臨床研修――我々はその 後期臨床研修を専修医制度というふうに名付けておりますけれども、200名ぐらいの方 にお越しいただけるのではないかというふうに、今、思っているところでございます。  続きまして参考資料5ですが、これは附属看護師等養成所再編に伴う問題でございま す。まず1番目に書いてございますように、附属看護養成所は再編をしているわけでご ざいますけれども、その再編に伴って、単なる再編ではなくて、どのように学習環境等 を充実させているかという御指摘であっただろうというふうに思っております。平成16 年度、17年度には、宇多野、霞ヶ浦等7校を廃止いたしましたが、同時に、名古屋医療 センター附属等の大型校化や准看護課程の3年課程への切り替えを行っております。再 編計画が終了する20年度には、看護師等養成所指定規則に対応するため、存続校教員の 増員を行うことにしておりまして、教員数を6から8へ、大型校の場合には9から13 へというふうに増員をすることにしております。それから、大型校化に伴う校舎の建替 を、例えば横浜で行っておりますし、それから岡山でも改築という形で建替等整備を行 っております。それ以外の学校につきましても、老朽化した校舎の建替等整備を順次行 うように計画しているところでございます。なお、平成15年度から20年度の推移はそ の表に記載してあるところでございます。  もう一点、授業料アップの御指摘があったかと思いますけれども、2のところに記載 してありますように、民間との比較をしながら、できるだけそれに近付けていくという 形で下限を示しておりまして、15年度から20年度まで、順次上げているところでござ います。これは、教育というのも、やはり、できるだけ効率化といいますか、経営の面 も少しは考えなければいけないわけですので、その収益が少しは上向いた中で、それを 還元するという観点から、下に書いてあるように各種教材の購入、PCの増設・更新や 視聴覚機材の充実、図書の更新等々を行って、できるだけ良い環境にしていくべく努力 をしているところでございます。以上でございます。 ○黒川部会長  続けて次をお願いします。 ○国立病院機構財務部長  では、参考資料6につきまして、まず、委託契約の見直しの関係の御説明をさせてい ただきます。この2枚につきましては、3月に理事長から厚生労働大臣に、こういう方 針で行きたいという形で報告させていただいた資料でございます。  内容は2つございまして、1つは当面の課題として駐車場管理等の委託契約の見直し ということで、より透明性、競争性の高い契約とするため、次のとおりに契約を見直し たいということでございます。  まず1点目の、駐車場の管理業務の委託契約でございますが、保健医療ビジネス以外 の契約も含め、競争による手続きを経ていない契約については、契約期間の満了を待つ ことなく、直ちに一般競争による手続きの下で契約をやり直すということで、競争によ る手続きを経ていない契約を行っている各病院に対しまして、契約相手方に解除の申し 立てをするようにということと、5月の下旬には手続きを進めるようにという形で、既 に指示を流しているところでございます。  2点目の、食堂・院内売店の貸付契約でございますが、ほとんどの契約期間が来年4 月に満了するということですので、一般競争または公募型プロポーザル方式の競争によ る契約手続きを実施するということで見直しを行いたいということでございます。  3点目の、エレベーターの保守契約でございますが、これは部品交換や故障時の迅速 な対応といった、通常、メーカー系列の保守管理会社が行っている分野でございまして、 随意契約の比率がどうしても高くなる分野ではございますが、そういう特殊事情を考慮 しつつも、一般競争やオープンカウンター方式の競争による手続きを実施するというこ とで、進めていきたいと考えております。  全体に共通する事項として、(4)のその他にございますように、一括再委託の禁止 条件を付した契約としていこうということを考えております。  それから病院の契約としては、この3つのほかに、非常に多岐にわたる契約があるわ けでございますが、これら全般につきまして、7月を目途に、次のような2つの観点か ら競争による契約の徹底を行いたいというふうに考えております。1つは公表性、公募 制ということで、ホームページの掲載など、公募の徹底と、プロセスの透明化をしてい こうということでございます。2点目は、どうしても医療事業の特性ということで、ペ ースメーカーは1個200万円するけれども急に手術をしなければいけないとか、いわゆ る官庁の文房具系を買うのとは違う購入行動が結構ありますので、そういう特性を踏ま えつつ、随意契約ができる場合というのを明確化していこうというふうに考えておりま す。  2つ目に、公共工事についても、先日、国土交通省の方から2億円未満の相互入札は 基本的にやめるというような方針を来年度から実施するというような話が公表されてお りましたが、機構としては、今年度の工事案件から、競争による手続きを前提とした手 続きに見直しをするということで、これについても既に病院の方に連絡をし、手続きを 進めるようにという指示をしているところでございます。契約の関係は以上でございま す。 ○黒川部会長  いろいろこれは、最後の方はこの間、渡辺委員に指摘されたところもあるのですけれ ど、どうぞ、3つのことについて御意見をお願いします。 ○国立病院機構総務部長  すみません、もう一つ最後のペーパーで、近々の新聞報道の事案も一緒によろしいで しょうか。 ○黒川部会長  はい、どうぞ。 ○国立病院機構総務部長  旧国立京都病院看護師宿舎の共益費をめぐる不祥事の一件でございますが、この3月 28日に、国立病院機構の職員3名が、業務上横領容疑で逮捕されました。国立病院機構 としましては、この事実に大きな衝撃を受けておりまして、また、大変遺憾なことでご ざいます。逮捕された職員は、いずれも旧国立京都病院、現在は国立病院機構京都医療 センターでございますが、これの元職員でございます。逮捕時点での所属、氏名ですが、 大阪医療センター事務部長、粟井一博。宇多野病院事務部長、水嶌啓一。兵庫青野原病 院事務長、東垣陽一。この3名でございますが、いずれも4月1日付で近畿ブロック事 務所統括部付に配置替えをしてございます。  今回の逮捕容疑ですが、旧国立京都病院の看護師宿舎の共益費に係る業務上横領容疑 でございまして、この件に関しましては、昨年の暮れに、投書による内部告発がありま して、年明け早々から機構本部において内部調査をしていたところでございます。国立 病院機構といたしましては、地検の捜査に協力しながら、容疑が固まった段階で、国家 公務員法に基づきながら、懲戒処分など厳正に対処することとしております。さらに綱 紀意識の徹底、それから再発防止についてでございますけれども、今回、看護師さんの 宿舎のための積立をしていたというそのお金でございますので、いわゆる簿外経理とい うものの実態がどうなっているかとか、それから先ほども出ましたが、競争契約を徹底 していくとか、あるいは監査指導、内部牽制の強化等、各ブロック事務所とも連携しな がら、早急に取り組んでいくこととしております。以上でございます。 ○黒川部会長  それでは、全部含めていかがでしょうか。 ○開原部会長代理  一番最初の医師数のところですが、これは現在数を示す数字だと思うのですけれど、 国立病院機構になってから、定員という概念がなくなったのかと思ったら、必ずしもそ うでもないみたいですが、いわゆる定員が不足していてこういう状況なのか、定員はも っとこれより多いけれども、欠員があるからこういう状況なのか。その辺は、どういう ふうに解釈すればいいのですか。 ○国立病院機構副理事長  結論的に言えば両方です。定員自体が足りない部分ももちろんあるわけですし、定員 に達していないで非常に不足して困っているのと、両方ございます。定員は、御覧いた だきますと、実際に配布されている人員は、ほかの公的病院に比べると非常に少ないわ けですが、これは、どうしても総定員法でずっと縛られていて、その中でも、何とか医 療職の職員は確保しなければいけないということで、事務職その他のところを、相当思 い切ってどんどん削ってきたという経緯があって、そこが出発点になっているというこ とがございます。医療職が足りているというわけでも、また、ないわけであります。  そういう中で、16年度から17年度にかけて、足りない分は定員も増やしてきている わけでありますけれども、あとは病院間の格差というのは、どうしてもあるんですね。 例えば、特に療養所の関係でありますが、ドクターの定員を満たせていないところが相 当あるわけでありまして、それから一部地域においては、特に関東・信越地方でありま すが、看護師の定員が満たせていないというようなところもあったりします。  ドクターの人手が足りなくて苦労している療養所の典型例としては、医療法の標準数 というのがあるわけですが、それを相当下回って、特に北海道・東北、それから日本海 側、それから九州の南部の一部の地域、こういったところは、医療法の標準数に比べて 相当低い。70%を割り込むような数字で、60%以下になりますと、入院基本料が10%削 減されるというようなペナルティーがかかるというところがございまして、もともと、 そういう療養所をやっていただく専門医が不足しているということと、それから地域に おいて、なかなか、東北・北海道については国立病院だけではなくて全般的に医師の人 手が足りないという中で、極めて難渋しているわけでありますが、それで例えば地域の 拠点病院、具体的には、例えば仙台病院とか、そういう有力拠点病院からドクターを派 遣していただいて、何とかしのいでいるというのが現実の姿でございます。 ○開原部会長代理  わかりました。できれば定員の数が出ていて、それに対して現員がどうだというよう な表現がもし可能ならば、そうしていただくと、もう少しその辺の御苦労がわかってく るのではないかという感じもしました。  それから、なぜこの問題を今伺ったかというと、実はこの話は今度の保険点数の改正 でもっと深刻な話になってくるのではないかという感じがしております。医師や看護師 の数が確保できないと、マイナス改定の影響をまともにかぶる可能性があるわけです。 例えば今の国立病院の中で、ちょっと専門的になりすぎますけれど、看護師さんの数で 1.4対1というのになれば、余りマイナス改定の影響を受けないで、急性期病院として 生き残れるのですけれど、その1.4対1が取れる可能性のある病院が幾つぐらいあるの か、または、ないのか。その辺は、ある程度わかっているのですか。  それともう一つついでに質問すると、逆に今度は療養型病床にも大きな影響があって、 普通に維持していたのでは大きなマイナスになる可能性があると思うのですが。特に旧 国立療養所の方は、そういう病床を、重心や筋ジスは別として、普通の意味での高齢者 向けの療養型病床を持っておられるところも結構あるのではないかと思うのですが、そ の辺のところがどうなっていくのか心配をしているのですけれど、その辺の見通しは、 どのようにお考えでしょうか。 ○国立病院機構副理事長  今度の診療報酬改定で、相当大きな影響を受けます。というのは、直接的なものとし ては、いわゆる紹介率を基準とする、その紹介加算であるとか、あるいは急性期特定加 算、在院日数を短縮するというところが、そういう加算が外されたところが、非常に、 一番響いていまして、経営改善に一生懸命取り組んで、地域の医療機関との連携を良く して、それから在院日数を一生懸命短縮していたところほど、実を言うとマイナス改定 の影響がもろに効いてきます。そういうことが一つあります。それは看護師の定員配置 そのものには直接関係しないわけでありますが。  それから2番目の項目として、1.4対1が取れる病院があるのか。ポテンシャルとし ては、取れる病院はあると思います。全体を平均すると、こういう数字になっています けれども、特に地域において非常に有力な病院、しかも急性期の高機能の病院について は、取れる可能性はあると思いますが、今、全体で申し上げますと、いわゆる2対1看 護を実現するために、今は発展途上というか、そういうことでやっているのがせいぜい でございまして、総定員法で縛られていたときは、むしろ2.5対1がほとんどでござい まして、それがやっと今、こういう増員を重ねて、2対1に近付いてきているのが、今 の状況でございまして、1.4対1まで持っていくとなると、それこそ500床規模の病院 で、看護師さんを100人増やさなくてはならないとか、そういうオーダーの話でござい ますので、潜在的にはそれだけの価値のある病院というのは、たくさんあると思います けれども、なかなかそれは追い付いていないというのが現在の姿でございます。  それから、療養型病床そのものについては、私ども国立病院の中で、療養型病床でや っているのは今は2つですね。146の病院の中で、それは主には医師が確保できない、 あるいは看護師が確保できないために、やむを得ず療養病床になっておりますが、いわ ゆる旧療養所で重心・筋ジスをやっているところは、一般的にはいわゆる障害者入院基 本料――一般病床の中で、それなりのスタッフを配置してやっているというのが実情で ございまして、今後、どういう形になっていくかはわかりませんけれども、現実の問題 としては、療養病床そのものについての影響というのは、ほとんど受けていない。それ から、逆に重心・筋ジスについて言えば、障害者自立支援法が一部施行されまして、本 格施行が10月からでございますけれども、これは逆に、もっと人手をかけなければなら ない。人手を増やさないと、従来の措置費が大幅に削減を受けるという状況がございま すので、療養所は療養所なりに、診療報酬のマイナス改定の影響と、それから自立支援 法により、人手を増やさない限りは措置費が大幅に減額される。そういう意味では非常 に苦しい状況に、今なっております。  したがいまして、初年度は5カ年分の目標を一気に達成するという部門が結構あった わけですが、ちょっと、現在のところ、マイナス改定と自立支援法の影響で、全体的に、 少なくとも経営に関する限りは非常に不透明になってきている。そういう中で、私ども は、さらにいろいろ経営改善を積み重ねていかなければならないというのが、今の状況 でございます。 ○渡辺委員  まず、この今の表で、定義として伺いたいのは、医療技術職員と、その次の次の看護 補助云々とあるんですけれど、例えばこの医療技術というのは、技師とか検査技師とか、 薬剤師あるいはOT、PT、あるいはMSWとか、そういったものは、どっちに入るの かちょっとわからないんですが。あるいはその他の職員か、その辺の定義を教えてくだ さい。 ○国立病院機構副理事長  薬剤師とかOT、PTとか、そういう人たちが、この医療技術職員に当てはまりまし て、看護補助等その他の職員というのは、基本的には資格を持たない人です。一部、給 食業務をやるのに調理師免許を持っているとか、そういう、多少の、社会的に認められ ている資格を持っている人はいますが、いわゆる医療としての資格を持っている人が、 その医療技術職員であるということで御理解いただきたいと思います。 ○山田委員  看護師のところを見ますと、日赤が割合高いので、まあ安心はしているのですけれど も、これは日赤の場合、急性期の病院が比較的多いということと、それから、現在、5 大学・2短大・20看護専門学校を持っておりまして、年間1,500人ぐらい看護師が卒業 してくるということで、それをできるだけ取り入れるようにしているわけですが、現在、 機構の方では73校、看護専門学校があるというふうにデータが出ておりますけれども、 この中の卒業生の中で、実際に国立病院機構の病院に就職するパーセンテージについて、 その辺がどれぐらいかは、おわかりになりますか。できるだけ取り込まれれば、それだ け看護師の確保は楽になるということになると思うのですが。 ○国立病院機構副理事長  地域によって少しバラツキがありますけれども、今の段階では50%台の後半、私の覚 えている限りでは58%ぐらいというか、実際にそうですね。それで私どもとしては、こ うやって再編成を進めていく過程で、もう少し国立病院の医療の中身をわかっていただ いて、国立病院への就職率が上がるようにしたい。そういうふうなカリキュラムなり、 教員実習にしても何にしても、いろいろな手段を講じていきたい。それで最終的には70 %ぐらいまでは持っていきたいというのが、今の状況でございます。 ○山田委員  赤十字の場合も、必死に努力しても、やはり70〜80%ぐらいでとどまっていますので、 残りを何とか確保したいというふうに考えているのですが、また、将来、看護師の質を 上げるという意味では、大学卒の看護師と専門学校卒の看護師とをどれくらいの比率で 採用していくかということも、当然影響してくると思うのですけれど、何かその辺のお 考えがありましたら、教えていただければと思いますが。 ○国立病院機構副理事長  大卒をいくらにして専門学校卒をいくらにするかというのは、まだ具体的なものは定 義はしていないわけでありますけれども、今の状況から見ますと、各年度で必要な新規 採用の看護師さんのうち、半分ぐらいは自前で育てた看護師さんになっていて、あとの 半分は外部の募集から来ています。外部から来ておられる方は、やはり大学卒の人が結 構いらっしゃるのではないかというふうに思っているところでございます。 ○山田委員  ありがとうございました。 ○大道委員  前後いたしますけれども、まず、職員の確保について、先ほどの開原先生の御指摘の、 さらにその上でという趣旨でございますけれど、医師数は、先ほどのお答えもよくわか りますし、これまでの旧国立病院の流れもあるから、よくわかるのですけれど、既に報 道等、あるいは国会でも取り上げられておりますが、一部診療領域で極めて深刻な医師 の確保困難が起こっている。とりわけ小児科領域、産科又は産婦人科領域、さらには救 急医療の分野での深刻な地域医療の破綻的状況が言われているわけです。  国立病院の時代から、そしてこの国立病院機構の新しい流れの中で、行政対応が必要 な医療というのは、これは必ずしも明確な分類はできませんけれども、医療の不十分に 対して、これを補てん・補完するというような趣旨は、自治体病院等がまずは直接的な 役割であろうということを、これまでもそれなりに整理してきました。高度先進又は特 殊、さらには病気の特質による対応というようなところが、国立病院ないしは国立病院 機構の役割かなとは思うのですが、実情として、地域の基幹的な病院が、拠点化ないし は定点化、さらには限られたところの技術集積を図って、大変つらいことですけれども、 施設数又は場合によっては病床数を縮減してでも拠点化をする動きといいますか、そう せざるを得ないというところが自治体の方では起こっているわけですが、当機構として の病院群の中で、そういうふうな方向というようなことは、これは御質問というよりは、 今後の方向の中でのありようを感触としていただければいいのですけれど、地域医療の 今のような状況を本当にどうお考えになっているのかというのが一つです。特に標榜し ている科目、例えば小児科を掲げながら、その小児医療を実施できないで、機能として、 今、実態としてできていないような状況というのがおありなのか。あるいは、そういう ことはまだないということなのか。このあたりは、やはり百余の病院系列の中で役割が あると思うので、ぜひ、お受け止めいただきたいと思います。  いずれにしても、医師については、診療領域ごとの極端な格差というあたりを、どの ようにお考えになっているのか。それから看護師についてですけれど、これも先ほど開 原先生から御指摘がありましたが、まずは1.4対1、新しい示し方では7対1というこ とですが、これはなかなか難しいというのはよくわかるのですが、ただこれは、どこの 病院も、今、確保に走っていまして、看護師の労働市場というのは、もう、わずか、4 月に入った途端に、極めて不十分な状況になってしまっていて、来年やればできるかと いうと、ますますできなくなってしまうようなところがどうもあるようにも見受けられ るのですけれど、このまま推移すると、これは国の政策、医療費政策とは言いながら、 病院機構の病院群も、よほど構造的な見直しをしないと対応できないのではないかとい う、そういう見通しもあるのではないかというふうな危機感を持っています。  この看護の問題は、今、とりあえず1.4対1ないしは7対1の話をしましたが、民間 を含む医療の現場で深刻なのは、恐らく夜勤72時間以内という規定だと思います。特に 2対1のみならず、場合によってはそれ以下の看護体制のところは、72時間問題の方が 効くのではないかというふうな認識を私は持っております。理屈の上では、これは減床、 ベッドを減らすことで何とか確保された人員をうまく活用するということが、一つの解 ですけれど、これは中期目標又は我々が対応すべき今後の中期計画に直接的に影響のあ る事柄になるわけでして、5年を待たずしてこういうことが見通せるということになる と、よほど、この評価委員会としても、重大課題になる可能性があるなというような思 いで、わずかここ1〜2カ月ですけれども、推移を受け止めております。  いずれにしても、このあたりは、ぜひ、機構のお立場で、どのようにお考えになって いるのか、適当な時期にまたお聞かせいただき、我々もそのつもりで対処したいという のが、これは御質問というよりは感想に近いことなのですけれど、あえて発言をさせて いただきました。以上でございます。 ○渡辺委員  関連でお伺いします。大道先生のおっしゃるのと同感なのは、72時間問題で、今、国 立病院も多分1回の夜勤時間は、普通、約16時間ですよね。そうすると……。 ○国立病院機構副理事長  2交替制の場合はそうですね。 ○渡辺委員  だからまず、例えば資料なりを出してほしいのは、仮に16時間とすると1人の看護師 が5回弱という計算になりますよね、72時間ということは。現実問題として、どのくら いやっているのか。民間病院なんかを見ていると、少なくとも7〜8回はやっているか ら、今、大道先生がおっしゃったみたいに大変なパニックになっているわけですけれど、 だから、そうなると、まさに5年の先を見通したときに、それが何回やっていらっしゃ るか知らないけれど、仮に6〜7回やっているとすれば、相当、看護師を充実させるか ベッドを減らすしか、なくなる。例えばそういった回数のデータみたいなものがもしあ るならば、お示し願いたい。以上です。 ○国立病院機構副理事長  幾つか御質問がありましたけれど、一つは診療科ごとで確保困難の度合いが違うので はないかというのは、まさにおっしゃるとおりで、私どもが非常に苦労しているのは、 一つは小児科、それから麻酔科ですね。手術をする際の麻酔科。それから、あとは産婦 人科とかですね。しかも1人が辞めると、ズルズルといっぺんに辞めていく。というの は、残った人に負荷が余計にかかるから、それが耐えられないということで、そういう ところが実際問題としてあります。かなり有力な拠点病院であっても、麻酔科医は1人 しかいないとか。あとは麻酔科集団に委託料を払ってやってもらうとか、そういうふう なことであります。それから小児医療については、確かに小児医療センターを掲げてや ってきたのに、小児科医がいなくなって、それで大学病院等を駆けずりまわったけれど も、結局、今のところ小児医療センターは閉鎖状態というようなところも、現実の問題 として、これは京都の病院だったと思いますが、ございます。  そういったものに対して、私どもは、一つは、部長なり医長なりのポスト増というこ とで、特例的にそういう本当に確保困難な診療科について、仮に、医長であれば来ても らえる、部長であれば来てもらえる、という場合には、通常の部長なり医長の枠に加え て、さらにそれは当然やっていいですよとか、いろんな手段は講じてやっているわけで あります。あるいは、個人の業績評価のときに、病院長が割と上の点数をつけるとか、 そういうふうなこともやっているわけでありますが、はっきり言って、全部が全部うま くいっているわけではなくて、非常に苦労しているというのが実態でございます。  それが一つと、あともう一つは、夜勤の72時間体制というお話がありましたけれども、 人事院の二八判定という判定が出て、看護師の整備枠の全体が削減される中で、私ども が一生懸命取り組んできたのは、その二八体制の確立、二八体制の維持ということで、 2人夜勤で月8日以内というのが二八という意味ですが、月8日ということは、基本的 に3交替ですから――さっき渡辺さんが言われたのは2交替の場合ですが――準夜、深 夜、それぞれ人が替わって8時間ずつやるわけですが、月8日以内であれば8×8=64 ですから、64時間ということになるわけです。72時間以内というのは月9日やるという 想定だと思いますが、私のところは組合が強いというせいもあるのですけれど、その二 八体制というのは、かなり前の段階から守っていて、それで、理論値としては8日より も少し下がっています。7.8とか、それぐらいまで下がっています。実際、病院によっ ては、8をちょっと超えるところがあったりするという程度で、72時間でたちまちあち こちで困るという事態は今のところないのではないかというふうに思っています。  それから、こういう、1.4対1とかと言ってやっていて、もっと施設数を集約すると か、そういうことも考えた方がいいのではないかという最初の御質問がありましたけれ ども、私どもも、今まで、237の病院を146まで落としてきたんですね。それは全体の 総定員法で定員削減というのががんがんやられる中で、事務職を削り、何をやり、それ でも足りないからといってこうやって再編成というのをずっと進めてきて、まあ、140 幾つまで来たわけですけれども、それから先どうするかという話は、いわゆる総定員法 の縛りというのはなくなったということが一方にあるけれど、一方では人件費削減とか、 そういう、非常に、両刀使いみたいな難しい立場に置かれていますけれども、やはり中 期計画の終了時点で、組織の見直しとかそういったものは、やはりやるということが義 務付けられているわけですから、その際には、全体の需給バランスというものを見なが ら、あるいは機能の高度化というものも踏まえながら検討したいというふうに思ってい るところでございます。 ○黒川部会長  よろしいでしょうか。よろしいかどうかというと、本当はよろしくないことばかりな んですけれどね、実を言うと。だから一つは参考資料3ですけれど、これはやはり開原 先生もおっしゃったように、ベッド数がどうかという話もあるけれど、これはもっと上 位の概念の問題があって、例えば人口10万人当たりの医者の数を考えれば、OECDの 国で日本は最低なわけです。皆さん、知っていますよね。一番充足している東京だって、 OECDの最低の国と、やっとかつかつですからね。なぜかというと、医師の免許を持 っている人がみんな診療しているわけではないから。ここにも3人か4人いると思うん ですけれど。だから、そういうことも含めて言えば、OECDでは、日本は極めてばか にされているわけです。一番少ない。にもかかわらず、こういうことを言っている。そ れは言わないで、政策に反映させない。それはポリティカルなイシューですからね。皆 さんに言わないんだから。という話が一つですね。  それから看護師さんもそうですが、二八という話があるけれど、それはなぜかと言え ば、そういう制度でずっと来ているからで、よそを見てみればよくわかるけれど、1週 間40時間であれば、女性が結婚して子どもがいてキャリアを積んでいるとか、いろんな ステージによっては、準夜だけとにかく週7日のうち、私はこういう組み合わせで8時 間やりたいといってやる人は、いくらでもいますよ。向こうに行ったらわかるけれど、 10時間、夜勤だけ、フォーナイトをやりたいという人もいて、ちゃんと看護師さんをみ んなマネージしている。キャリアによって、どんどん変えるわけだから。そうすると、 どこの病棟というのではなくて、ちゃんとフローティングしている数人の人が余ってい て、来たときにぱっと配置する。引き継ぎはみんな、人によって違うから、「今、引き 継ぎ中ですからオーダーはやめてください」なんて言われるような、そんなばかなこと はないわけです。みんな交替しながら、違ったフェーズで引き継いでいきますから。  だから、そういう発想さえもないというところに問題があるわけで、今までのままで やろうとしているところに無理が来ているのは当たり前ですよ。5人に1人は65歳だ し、ベッドの数だって多いと言うけれど、それはヨーロッパやアメリカだとコンバレン センスホームとかナーシングホームとか、いろんなところがあって、そういうステップ ダウンするところがあるという話は出てこなくて、病棟が多いということを言われても しょうがないから、まあ、政策を立案するというのは、そういうところを知った上でや るわけだから、もうちょっと上位の概念で、どういうふうに絵を描くかという話がない から、やはりまずいのではないかというのが一つ。  それから参考資料4だと、卒後研修の話ももちろん、これはマンパワーとして非常に 大事な話ですけれど、これの一つの問題は、開原先生なんかもよく知っているように、 お医者さんは医学博士を取って一人前みたいな信仰があるわけです。みんなが医学博士 を取り出したのはいつからか知っていますか。この中にも医系の人がいると思うけれど、 あんなのは大正5年ですよ。それまではコースに行かなければ医学博士になれなかった から、別に医学博士でない人はいくらでもいたんだけれど、日本は異常なことに、博士 を持っている人というのは、圧倒的にメディカルが多いわけです。それは、そういう習 慣だったんだから。そういう話も言わないで、大学院を部局化したとか臨床大学院とか 何か言っているところに問題があるんです。だから、何で医学博士をやっているのか。 じゃあ、やらないためには何をしたらいいか。メディカルフルなんて言って、私はもう 何回も書いているけれど、みんな知らん顔しているというところが問題で、陰ではいろ んな偉い先生が「先生、あれ、やりましょう」なんて言うけれど、どうして自分でやら ないのか、私にばかり言わないで下さいと言っているんですけれど、そういうことです ね。それはお医者さん側の問題ですけれど。  それから参考資料5、准看課程というのがあるけれど、なんでまだ准看課程というの をやっているのか。大体、准看と看護師さんを一緒にしようと言ったのは、そっちじゃ ないですか。なぜ准看があるのか。やめようと言ってもいいんじゃないかと思ったんで すけれど、そうはいかないんですか。 ○国立病院機構副理事長  准看については、もう、廃止するということで、准看課程を3年課程に改めるという ことをやっているので、それは今までも大分廃止してきましたし、これがまだちょっと 残っているのがあるということです。 ○黒川部会長  なるほど。残っている、と。わかりました。これはでも、授業料アップの計画を見る と、20年度が40万円なんていうと、結構厳しいなという気がしますよね。そうすると、 医療というのは、ある程度、どうしたってみんな病気になるところは、看護師さんとか お医者さんが欲しいのであれば、どういうふうに、そういうマンパワーのパブリック・ インベストメントをするかというのはすごく大事なことではないでしょうか。僕が前々 から言っているように、今の医療制度では、私立大学は1人当たりの授業料が400〜500 万円でないとやっていけないというのはもちろんわかっているけれど、国立も独法にな ったから、東大の医学部も1,000万円にしても来ますよ。それでもいいのかという話は、 そのときも言ってありますけれどね。どんどん、どんどん、じりじり、じりじり、上が っていきますよね。これが国のあり方としていいと思っているのかということを、私は 言っているわけです。  そういうことを決めるのは誰かといえば、私たちも言わなくてはならないけれど、行 政だけがほとんどの政府原案をつくっているところにも、また問題があるんだけれど、 そういうところを吉田さんとか外山さんは、ちゃんと、みんな考えてください。そうい うところを担当しているのであれば、担当している者として、やはり、もうちょっと上 位の概念で、先輩の顔とかが、いろいろちらちらするのはよくわかるけれど、そういう ことをぜひやってもらいたいなというためには、私たちも、いろんな政策をするとかア ドバイスするのはやぶさかではありませんので。多分、いろんなことは知っているんだ けれど、できない理由があるというのは、まあしょうがないので、それを見ていると、 やはりせっかく入省してきたやる気のある若者がだんだんつぶれていくというのは、本 当にもったいないなと思っているので、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。  それから駐車場の管理費とか、こういう話が出てきて、社会保険庁とか随契とか、も う、ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ出てきて、どんどん、どんどん、信用がなくなってき て、そういう印象で官のバッシングだけやっていてもしょうがないわけで、みんなやる 気がなくなってしまうわけです。そうすると、とんでもない社会になるなというのは、 もう見え見えですので、ぜひ、全員がそんなに志が高いなんていうことは、どこも期待 はしていないけれど、少なくとも、やはりそういう期待される人と、それから、それな りのポストにいる人が、やはり社会的責任を感じて、それなりのできない理由を考える のもしょうがないんだけれど、どうやったらできるかということを、ぜひ工夫してもら いたいというのが、この委員会の一番の役割だと思っていますので、それぞれ、特に渡 辺さんはまたいろんなところで書いたり、発言して下さいね。その辺が大事かなと思う ので、そちらも、いろいろ立場があるのは十分わかっていますけれど、ああ言えばこう 言うという話ではなくて、やはり、より建設的にやるためにここにいるので、それぞれ の社会的な役割と責任から言うと、ぜひ、やれることを、まずやってください。できな い理由はもちろんありますよ、今の二八にしたって、そうです。  熊本医療センターのヒアリングをしたときに病院長が骨髄移植もやっています、とお っしゃいました。熊本大学だってやっていますね。地域の機関病院が別々ではなく、協 力しながら診療体制を構築していく方向で考えればいい。従来からの入院診療の看護体 制も、問題はあるし、小児科診療も全国的な課題です。この巨大な国立病院機構として は熊本医療センターのような地域の中心的機関である認識で、少し大きな視点で地域の 診療体制を考え、発言してくれないと、日本の医療制度改革についても困るのではない かということをいいたいのです。多くの単体として運営する、しかもこのような大きな 公的医療機関以外に、ほかの病院ではそんなことはいいにくいです。  それは、病院長としてはそういうプレッシャーがあるからそうだけれど、そういうビ ジョンを出してくれるという権限はあるんじゃないか、と。いえ、病院長ではなくて、 理事長なり地区の理事がそういう提案をして、それをアダプトしていってメッセージを 発するということは、極めて大事なことだと思うので、それが医療計画にもできるよう になってきますから、ぜひ、その辺を主導していただければ大変嬉しいなというのが、 皆さんの気持ちではないかと思います。そんなことで、今日は締めくくらせていただい てよろしいでしょうか。そういうことで、理事長先生は、大学の方も病院のこともよく 御存知ですので、より高い次元で発信していただければと思っていますので、よろしく お伝え下さい。 ○政策評価官  最後に連絡事項を申し上げます。夏の、国立病院部会の年次評価をお願いする時期が まいりますので、スケジュール調整のための紙を机の上に置かせていただきました。そ れから、年度末にそれぞれの委員のところにお邪魔をいたしましたときに、視察をとい うお声もございましたので、調整をさせていただきまして、今、お手元にあるようなこ とになっております。辻本委員は、関西ということで別行動でありますけれども、東京 周辺の方々には、現状、幾つか予定しております施設の中で、先生方の御意見と、それ から日程の中で一番参加者の多い、御都合の良いところで、受け入れ可能な病院に足を 運んでいただくということを予定しております。また日程を御登録いただければ、私ど もも、なるべく早めに御連絡差し上げますので、お忙しい中、お時間をいただければと 思います。よろしくお願いいたします。 ○黒川部会長  ちょうど時間どおりに終わりましたね。ありがとうございました。 (了) 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電 話: 03−5253−1111(内線7784)