06/03/23 第22回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録 第22回 労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会 1 日時  平成18年3月23日(木)10:30〜11:40 2 場所  厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委員(公益代表)          諏訪部会長、大橋委員、北村委員、椎谷委員         (労働者代表)          池田委員、成瀬委員、野村委員、原委員、長谷川委員代理(末永氏)         (使用者代表)          荻野委員、奥田委員、片野坂委員、郷農委員、成宮委員、樋渡委員                事務局 大槻審議官、菅野大臣官房参事官(地域雇用対策室長)           石津地域雇用対策室長補佐、榧野地域雇用対策室長補佐、            4 議題  ・新たに策定された地域雇用開発計画について 5 議事内容 ○諏訪部会長 ただいまから第22回雇用対策基本問題部会を開催いたします。 (出欠状況報告) ○諏訪部会長 本日の議題は、「新たに策定された地域雇用開発計画について」です。 本件については地域雇用開発促進法第5条第1項等に基づき、都道府県が策定し、厚生 労働大臣宛協議のあった地域雇用開発のための計画に関して、同条第5項等に基づき、 厚生労働大臣から諮問を受けているものです。本件は本部会の議決をもって、職業安定 分科会の議決とすることとなっておりますことも、併せてお伝えいたします。  最初に、資料について事務局からまとめてご説明を受けた後で、皆様と議論をさせて いただこうと思います。 ○地域雇用対策室長補佐 お手元の資料のNo.1から、順に説明いたします。議事次第の 次、資料No.1が大臣からの諮問文です。別紙に地域雇用機会増大計画及び地域求職活動 援助計画とありますが、別紙の中身そのものは、紙に綴じてあるファイルそのものです。 これも大変大部ですので、後ほど概要で説明いたします。  資料No.2が、現行の地域雇用開発促進法の基本的なスキームを図示したものです。現 行の地域雇用開発促進法、すなわち平成13年10月に改正された現行法のスキームとい うことですが、まず最初に厚生労働大臣が、法律で定められている4つの地域の類型に ついて指針を定めます。指針そのものは、参考1にあります。この指針では4つの地域 類型の基準等の詳細を定めております。2番目に、都道府県知事はこの指針の内容に従 って、各県内の地域の雇用開発に関する計画を策定いたします。この際、市町村からの 意見を聴取しております。その上で大臣が知事からの協議を受け、同意ということで承 認を与えますと、国による雇用開発に関する支援メニューが発動されるという仕組みに なっております。大臣の同意に先立ち、審議会のご意見をお聞きするということが法律 で定められておりますので、今回はそれについて、この部会にお諮りしたわけです。  資料No.3が、平成13年10月の法律改正後、どういった地域類型で、どのような計画 期間で地域雇用開発計画が定められているのかを、数で見たものです。まず4つの地域 類型がありますが、求職活動援助地域というのが、いちばん地域数が多くなっておりま す。そのうち20地域が今月末、すなわち今年度末に終了時期を迎えます。これは地域雇 用開発計画が5年以内の期間を定めておりますので、平成13年10月すぎに定められた ものが、ちょうど4年半程度の期間を迎えますので今月末、すなわち今年度末で終わる ものが出てくるという運びになっております。そのうち10地域は雇用情勢も改善し、要 件に当てはまらなくなったということで、地域雇用開発計画の再度の策定はありません。  残りの10地域については、再度策定いたします。この10地域のうち5地域は、間も なく有効求人倍率も1.0を超えそうだという見込みが立っておりますので、5年ではな く2年に期間を短縮して計画を策定いたします。そのうち4地域については、再度5年 の計画を策定いたします。10地域のうち9地域は、同じ求職活動援助地域という類型で 再度計画を策定するのですが、秋田県の南部地域はその下の地域類型、雇用機会増大促 進地域という類型に切り替えて、地域雇用開発計画を策定するという運びになっており ます。  求職活動援助地域の下の雇用機会増大促進地域については、今月末、すなわち今年度 末で期間が終了するものが5地域です。この5地域はすべて、再度5年の計画を策定す るという運びになっております。あと、大きな変更ではありませんけれど、計画期間は 平成19年3月末に終了時期を迎えますが、長崎の2つの地域については、市町村合併の 関係で、対象区域に若干の変更をしたいということで、変更の協議がきております。た だし内容に変更があるものではありません。なお、参考2は具体的に類型別、期間別に 見た地域雇用開発計画がどこかというのを、矢印の表の上から下の流れに従って整理し たものです。計画が終了して再度の策定がない地域は、富山、福井、長野、静岡、愛知、 滋賀東部、岡山、広島、愛媛東予地域です。  今回お諮りしているのは、2つは変更ですが、新たに策定される地域雇用開発計画が、 具体的にどの地域について策定されたものかというのを地図にしたのが、資料No.4です。 赤い色を記した地域が求職活動援助地域ということで、求職活動援助計画を策定する地 域です。緑色の地域が雇用機会増大促進地域ということで、雇用機会増大計画を策定す る地域です。薄い緑の所、長崎県の北と南の2つの地域は区域の変更です。  個々の計画の概要は資料No.5で、1地域1計画を1頁でまとめております。1頁から 9頁が求職活動援助地域について、10頁から15頁が雇用機会増大促進地域について、 その計画の概要をまとめております。これも概要ではありますが、非常に大部ですので、 目標設定のパターンに分けて、類型だけを説明いたします。  まず求職活動援助地域です。いちばん北のほうからいきますと、秋田県中央地域の求 職活動援助計画です。(4)のいちばん下の・に書いてありますように、これは県庁所在地 の秋田市を中心にした地域で、有効求人倍率は平成16年度より0.69倍となっており、 県内の中では相対的によいのですが、やはりまだ厳しい雇用情勢です。計画期間はいち ばん左下の(3)にありますように、5年間の計画といたします。(5)の右上の目標ですが、 計画期間における地域内の一般求職者の就職率を35%以上とし、各年度とも前年度に付 して、就職率の向上に努めるという目標を設定しております。この就職率35%以上とい う目標は、まだ終わっておりませんので見込みですが、平成13年から17年までの平均 の就職率が32.1%で、平成17年度が34%程度になるという見込みですので、これをま ず1%以上上回って、それを毎年度更新していくということで、目標を就職率で設定し た例です。  2枚目の例が滋賀県西部。滋賀県湖南・甲賀・湖西地域の求職活動援助計画の概要で す。これも大津を中心にした地域ですが、ここは有効求人倍率がかなり改善されている 地域です。(4)のいちばん下の・にありますように、平成16年度の有効求人倍率は0.90 倍まで上がっております。そこで新たな計画の期間は左下の(3)にありますように、2年 間という期間で計画を立てております。(5)の目標ですが、もう間もなく1.0倍に達しよ うという状況です。年間の求人の確保数100人というのを例に取らせていただいており ます。これまでの計画の目標は200人でしたが、事業量を半分にして100人としており ます。1.0に達するまでの目標に合わせて、事業量を縮小しているという例です。  3枚目が京都府地域の求職活動援助計画です。これは宇治市の4町村程度を除いた、 京都府全体を地域とするものです。京都府全体で見た有効求人倍率は、(4)のいちばん下 の・にありますように、0.84倍程度となっております。計画期間は2年で、目標の設定 は就職者数です。計画期間内に7,000人という目標が、どういうように設定されている かと申しますと、過去5年間の計画における就職者数の目標は、1万1,000人というよ うに設定されておりました。しかし実績としては、この5年間で1万6,000人の就職者 増が図られたという見込みが立っております。ただ、まだ年度が終わっておりませんの で、あくまでも見込みですが。この目標を上回る実績を基にして、今後5年ではなく、 2年間同じ水準で事業を行う、すなわち1万6,000人に5分の2を掛けて、約7,000人 の就職者増を達成しようという目標です。  以上のように求職活動援助計画については、就職率、就職者数、事業量といった3種 類の目標で設定されておりますが、これについては各地域独自の取組みもありますので、 目標が必ずしも同じもので統一されてはいないわけです。3枚目で申しますと(6)に、地 域就職援助団体等というのがあります。京都の場合は京都経営者協会と、特定非営利活 動法人京都西陣町家スタジオという団体です。この欄に記載されている地域就職援助団 体に対しては、国から雇用保険の保険料を原資として事業を委託するという形で、求人 情報の収集や合同面接会の開催をお願いしております。この委託事業については、各地 域ごとに別々ではなく、事業の実施量についての目標を設定していただき、その実績を 図ります。また合同面接会や提供された求人情報を通じて、就職した方が何人いたかと いう成果、アウトカムをきちんと把握し、翌年度にはまたその実績を上回る運営をして いただきます。  求職活動援助地域については、最初の3つを例に説明させていただきましたが、資料 No.5の10頁以降は、雇用機会増大計画に関する概要で、6地域6計画あります。10頁 の秋田県南部地域というのは、これまでは求職活動援助地域だったのですが、今回、地 域の類型を雇用機会増大促進地域に切り替えた、横手、湯沢を中心にした地域です。こ の地域は(4)に書かせていただいたように、製造業の集積もあり、また、新幹線や自動車 道などの交通の整備も進みつつありますが、事業所数、求人数の減少傾向があり、平成 16年度の有効求人倍率は0.43倍という状況でした。そこでマッチングの対策ではなく、 雇用機会の絶対量を増やす地域類型である雇用機会増大促進地域に切り替え、計画を策 定することにいたしました。(5)の目標は、計画期間内における地域内の新規雇用創出人 数が900人となっておりますが、これは秋田県知事の選挙公約に盛り込まれているもの があるという経緯があります。  11頁以降の計画は、既存の計画を更新したものです。ここは京都府宇治市周辺の4つ の自治体で区域を区切っております。有効求人倍率は0.63倍の地域です。(5)ですが、計 画期間内に、当該地域の常用有効求人倍率を1倍程度とするために必要な約1,000人の 新たな雇用機会の増大を図る、というように計画が記されております。この1,000人と いう数字は何かと申しますと、平成17年の月間の平均で見た場合に、有効求職者数が約 5,300人程度、有効求人数が3,900人程度ということで、その差が1,400人程度ですの で、まずはこの労働力の需給のギャップを埋めるべく、掴みで1,000人の差を目標とし て設定したものです。  12頁以降に、残りの4つの計画があります。基本的に同じ発想で、労働力の需給のギ ャップを埋める数字ということで、有効求職者数と有効求人数の差を設定しております。 雇用機会増大促進計画については、目標の設定がほぼ揃っております。以上で資料No.5 の説明を終わります。  続いて資料No.6です。この計画をお諮りする審議会は、中央では労働政策審議会とい うことで、審議先決となっている部会にお諮りするわけですが、実は各県知事が計画策 定した後、まず私どもの出先機関である各労働局に提出していただきました。その上で 労働局に設置されている、公労使三者構成の地方労働審議会にお諮りすることになって おり、それがここに配付されてきているわけです。各労働局の地方労働審議会で、この ような日程で開催されたのですが、その審議会の場で公労使からご質問あるいはご意見 があったものについて、掻い摘んでここに記させていただいております。  上から説明いたしますと、秋田県は南部地域の地域類型を、求職活動援助地域から雇 用機会増大計画に切り替えた背景についての質問がありました。これについては当局か ら、雇用情勢の説明をさせていただきましたし、市町村のほうから、そのような対策に 切り替えてほしいという意見があったという説明もありました。  京都は雇用対策ではなく、産業振興そのもののご意見かと存じますが、労働者代表の ほうから、京都北部については特に観光振興だけでなく、地場の製造業の振興も併せて 行うべきといったご意見がありました。また使用者側の代表からは、観光については京 都市が非常によく努力して観光客を誘致しているので、その人たちを北部に足を伸ばさ せるような具体策が必要だ、市町村レベルでの地元の取組みが必要だというご指摘があ りました。  兵庫県は、具体的な計画の運用・実施の段階について配慮すべきというご意見が、公 労使それぞれからありました。公益代表からは、同じ求職活動援助地域ではあるが、瀬 戸内の臨海地域、内陸の日本海地域それぞれの実情を踏まえ、事業の内容を実施してい くべきだ。労働者代表からは、淡路島については島嶼部であることを考えて事業実施を していくべきだ。使用者代表からは国、県、市町の取組みが相乗効果を発揮するような 運用をすべきというご意見がありました。  愛媛、福岡、大分は過去の実績についてのご質問、あるいは実績を踏まえた新たな目 標の設定についてのご質問がありました。資料の説明は以上です。 ○諏訪部会長 それでは議論に移ります。いろいろとご質問なりご意見があろうかと思 いますから、どうぞご自由にお出しください。 ○成瀬委員 個々の地域雇用開発計画に対する意見ではないのですが、この計画の地域 割について疑問に思いますので、意見を出させていただきます。資料No.4の日本地図を 見ていただければ分かるとおり、それぞれの地域の広さが、非常に大きい所から小さい 所まであるようです。やはり地域の生活圏と一致した範囲での地域雇用開発計画が必要 ではないかと思います。この地図で見ますと、京都府山城中部地域というのは、かなり 狭い地域です。一方、例えば秋田県中央地域、秋田県南部地域というのは、かなり広い わけです。秋田県中央地域で言うと、秋田市と山形の県境付近とが果たして同じ雇用情 勢なのかというと、そこは非常に大きな疑問があります。やはり地域の生活圏からいっ たら、本来はもっと細かく、実態に即した計画を立てるべきではないだろうかと思って います。もちろん市町村の意見を聞いた上で、都道府県がこの地域割を策定されている とは思いますが、行政としてはもっときめ細かな対応が必要ではないかと思います。  一方、京都府山城中部地域を見ますと、おそらくこの辺りは公共交通機関が相当発達 しており、京都府、大阪府、奈良県が一体となった生活圏となっているわけで、こんな に狭い地域での計画が実態に即しているのかという疑問もあります。そういう面から、 今回どうこうということではなく、中長期的にはご検討されたほうがよろしいのではな いかと思います。 ○諏訪部会長 それでは質問にわたる部分もありましたので、いまの地域割の問題につ いて、少しご説明いただきたいと思います。 ○参事官(地域雇用対策室長) 委員がおっしゃるとおり、平成13年に地域法を改正し た際に、地域割については指針の中で往復、往復といってもどこからどこまでかという のはあるのですが、往復4時間ぐらいの圏内でと定めております。それは生活圏や労働 市場圏ということを考えた場合に、最大4時間ぐらいはあり得るのではないかというこ とで、たぶん指針に定めているのだと思います。本当は4時間というように定めたから 4時間でなければいけないということではなく、もう少し実態を踏まえて、細かい地域 割をしてもらうということもあるとは思いますが、都道府県のほうで市町村等の意見を 聞いて出してきたものとしては、基本的に4時間目一杯みたいな大きな地域割で出して きておられるわけです。  平成13年の地域法改正の際は、地域の自主性をより重視するという観点から、それま で国が一方的にこの地域というように定めていたものを、都道府県のほうで市町村と十 分調整して、地域を定めてくださいという方式に改めたのですが、それが必ずしもきめ 細かな地域設定にはつながっていなかった面もあるのかとは思っております。一方、産 業政策などを考える際は、あまり細かい範囲ではなく、都道府県としても、もう少し広 い範囲で施策を打ちたいということもあって、いろいろな地域割があり得たというか、 そういう形で出てきたのだと思います。  一方、昨今の地域再生の流れもある中で、国としても地域提案型の雇用創造支援事業 という形で、複数市町村の場合もありますが、市町村を単位として提案をしてもらって、 その取組みを支援していくことも、今年度からやり始めていますので、その事業の成果 なども勘案しながら、おっしゃるような中長期的な地域割の考え方、あり方については、 今後の課題として検討していかなければいけないかとは思っております。 ○諏訪部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○樋渡委員 それぞれの地域の計画としてお配りいただいた資料No.5の5頁と6頁、兵 庫についてです。区域が違っていますが、基盤整備以降の内容が全く同じなのです。こ れもたぶん区割に関係があると思うのですが、やる内容が同じであれば、細かい区分け が必要なのかどうか、逆にそれだったら細かい区分けではなく、一緒にしてしまったほ うがやりやすいのであれば、そういう考え方もあるでしょう。今日配られたピンクの細 かいものを見れば、もう少し違いがわかるのでしょうけれども、本当はもう少し細かい 事業の違いがあるのかどうか、総括した資料から見ると、その辺が全く同じ内容で少し 理解しにくかったのです。その辺は地域から、どういう報告があるのかお聞きしたいの です。 ○地域雇用対策室長補佐 個別の計画のことですので、私から申し上げます。まさに委 員がご指摘のとおりです。基盤整備と地域雇用開発の所は、正直同じです。その点は地 方の審議会でも、両者には違いがあるはずだからその実態を踏まえた事業の展開が、同 じ地域類型の中でもなされるべきだという指摘がなされているところです。そこが全く 同じであれば、地域割の問題になるやもしれません。地方での議論の紹介になってしま いますが、基盤整備や地域雇用開発の促進に関する記述が同じであっても、当局のほう からは、地域の関係者の皆様のご意見をよくよくお聞きした上で、実態に即した事業展 開をいたしますというお答えをしているということだけ、今ここで答えさせていただき ます。 ○樋渡委員 それによって成果がどういうようになるのかというのは、やはり見ておく 必要があるのではないかと思います。全く同じなので、ちょっと気になって質問しまし た。 ○原委員 地域の計画のことです。地域の審議会で議論されているので、あまりとやか く言う気はないのですが、JAMのほうからも地域の審議会に委員を出しているので、 ちらほら聞いてみました。地域の審議会で議論になっていること、また個別の委員の感 想というか、意見を紹介してみたいと思います。地域の審議会で議論された中で、計画 を達成したという分析をされているのですが、この間に景気が回復しましたよね。地域 で策定した計画に基づいて、平成18年までに推移をして計画を達成した、しかしその間 に景気が回復したと。この景気の回復効果により、雇用の拡大と言いますか、そういう ことがかなり大きなウエートを占めているのではないでしょうか。  そういう意味ではこの計画を実行してきたから達成したという、それだけでいいのか。 本当にこの計画によって達成されたのかというのは、十分に検証すべきではないでしょ うか。これは審議会が終わってからの感想で、そういう意見がある地域からあったとい うのが1つです。要するに計画の効果の検証をどこまでやられているのかということで す。個別のことはあまりよく分かりませんが、それをしないと、その次の計画が出てこ ないのです。  それから、これは国の施策との絡みなので、地方ではどうしようもないというか、地 方からの要望・意見ということで、全国に共通する問題です。非正社員の拡大というの が、膨大なことになっています。そういう意味では一企業としてのミクロの論理と、マ クロ経済の論理のこの2つで、マクロ経済に対する非常にマイナスの影響が、この10 年間だけでも、今後の10年間でもかなり膨大なものになるのではないでしょうか。労働 者の生活の問題、税収の問題も含めて、正社員と非正社員の賃金格差というのも歴然と しています。そういう意味で要望・意見ですが、行政の政策として常用雇用に誘導する と言いますか、極力、非正社員を減らし、常用労働者を採用する企業に対する優遇措置 を何とかできないものかという切実な要望が、地方の委員から上がっています。これは 国の政策の問題ですが、これが2つ目としてあります。  3つ目は、特に企業の場合、60歳以降の雇用の継続ということで、65歳まで働けるよ うに法律も変わったわけです。その際に、表現として使われている「高齢者」という言 い方ですね。これは以前からもいろいろ問題になっていますが、「高齢者」という言い 方は、いまの時代に馴染むのでしょうか。もっといい表現はないのでしょうか。60歳以 上でも元気ですからね。法律そのものが65歳以降を「高齢者」という言い方をするので すが、地方の委員から、こういったことについていい表現がないのか、それに変えるべ きではないかという、感想めいた意見も含めてあったということを報告しておきたいと 思います。 ○成宮委員 現行の計画を参考2で類型別に、全部整理していただいたものがあります ね。これを白地図の上に全部色塗りをしていくと、どうも愛知県の三河のほうはなさそ うですが、空白地域というのはどのような感じですか。あと、違う計画で同じ地図をオ ーバーラップしているものも、どうもあるようですね。その辺はどういう考え方になっ ているのですか。同じ地区を複数の計画でやるというのは、全然問題ないのですか。 ○地域雇用対策室長補佐 現行の制度の話ですので、私から申し上げます。地図にプロ ットすると、白い地域もありますが、いまの状況ですとかなり色が塗られます。なぜか と申しますと、平成13年の10月に施行した法律でしたので、有効求人倍率だけで見ま すと、平成14年1月が最も下で、雇用情勢のいちばん悪い所、ピンポイントで地域の設 定をいたしましたから、日本全国のかなりの地域、それこそ今月末までには愛知や三重 まで求職活動援助地域に入っているような状況です。ですから白い地域はあまりなく、 ようやく本当に雇用情勢のいい所が外れていくという状況なのです。  重なっている地域については、4つの地域類型のうち、雇用機会増大促進地域と求職 活動援助地域という、資料No.2の上の2つの地域類型は、相互に排除すると言いますか、 重なりのないものですが、下の能力開発に関する職業能力が関わってくる類型は、上の 2つの類型と重なり合うことがあり得ます。東京を例に取りますと、東京は求職活動援 助地域で、もし地図に描くなら赤い色、ピンク色の地域になるのです。ただし、この中 で大田区と品川区については、高度技能活用雇用安定地域ということで、その地域に在 住する高度な技能を持った方を活用することによって、その地域の産業が発展し、雇用 も増えていくだろうという地域になっておりますから、上の2つと下の2つは重なり合 う類型になっております。 ○参事官(地域雇用対策室長) 若干補足させていただきます。雇用機会増大促進地域 は、今日説明申し上げた近畿の兵庫県、京都府の一部以外は、ほとんど北海道、東北、 九州、四国に集中しております。あとは紀伊半島の南側になります。これらの地域とい うのは、アクセスの条件や雇用の波及効果などを考えても、外れていくというのがなか なか厳しい地域だと思います。それ以外の求職活動援助地域のほうは、わりと全国隈無 くベタッと張り付いており、ここは今回も半分が卒業したように、これからもおそらく 雇用情勢が改善する中で、どんどん卒業していくだろうと思っておりますので、これは 半分以下に減っていくという格好になると思います。 ○成宮委員 真っ白だった所というのは、具体的に言うとどの辺ですか。これを見てい ると、愛知県の尾張のほうというか、西側は2つ重なっていますが、たぶん東側の絶好 調の三河のほうはないと思うのです。 ○参事官(地域雇用対策室長) 全県真っ白というのはないですね。わりと白い部分が 多い地域として、長野や岐阜、そのぐらいでしょうか。山口県も、下関周辺以外は白い ですね。 ○諏訪部会長 成宮委員、よろしいですか。 ○成宮委員 はい。 ○片野坂委員 求職活動援助について質問があります。参考資料2の「求職活動援助地 域一覧」という表の右側の備考を見ますと、増大計画に行く場合と、再策定なしとに分 かれていますね。この辺はどういう仕組みですか。例えば増大計画は、5年やって手応 えがあったので更に力を入れようというのか、あるいは効果がなかったので少し梃入れ をして効果を入れるのか、再策定をしないのは目標を達成して完了して満足だからか、 あるいはやっても意味がないという取下げ型なのか。ちょっと基礎的なところですみま せん。  もう1つは、雇用機会増大についての細かい質問です。地場産業の振興というプログ ラムと、企業の誘致というのが、いろいろな所で書かれてありますが、これがバッティ ングしないのかという質問です。もともと働く人口そのものが低い所で、本当は地場産 業の匠の育成などに進んでいってもらいたいというニーズと、例えば大企業が工場を誘 致して、地方において比較的いい給与で雇用をかけたときに取り合いにならないか、そ ういうミスマッチがないか。この2点を質問いたします。 ○参事官(地域雇用対策室長) 最初のご質問ですが、移行するのは求職活動援助地域 になります。求職活動援助地域については、先ほどご説明申し上げたとおり、秋田県の 南部地域だけが増大計画のほうに移行しました。それまで秋田県南部はミスマッチが問 題だと思っていたけれども、計画策定以降、秋田県は比較的工場誘致に成功していて、 当時、求人倍率はまだそう悪くなかったのです。しかし工場の海外移転問題の煽りを諸 に食らった地域で、どんどん誘致した工場が閉鎖して海外に移転するということで、当 時に比べて逆に有効求人倍率が悪くなってしまいました。ですからミスマッチの問題と いうよりは、むしろ雇用を増やすことが課題だというように考え方を変えて、増大計画 に移行したわけです。  それ以外の地域については、終了して再策定なしとしております。先ほど原委員から、 むしろ景気の影響も大きいのではないかというお話がありましたが、景気の影響とも相 まって、政策の効果もあって、有効求人倍率が1を超えるようになったので、おおむね 当初の目標を達成して、再策定はしないという形で整理をしております。それ以外で再 策定をする中でも、半分はもうすぐ1を超えますので、計画は再策定しますが、5年の 計画ではなく、2年の計画で策定するということになっております。  2点目のご質問ですが、確かに企業誘致と地場産業の振興という話で、人手が足りな い気味であれば、人の引っ張り合いみたいな話は出てくると思うのです。ただ、ここで 計画をつくっているような地域はそこまでいかず、ある意味でホームラン的な企業誘致 と、コツコツとヒットを打っていくような地域の産業育成の、この両方をやって雇用を 増やそうというのが、それぞれの地域の雇用以前の産業政策の大きな目標になっており ますから、そこは整合性を取って両方ともやっていこうということで、それによって人 の引っ張り合いやミスマッチが出てくるような地域では、まだないというように理解し ています。 ○奥田委員 資料No.3の求職活動援助地域で、20地域が今年度末、38地域が3月末とい うことで1年ありますね。いまの景気の話ではありませんが、すでに活動目標を達成し たことが分かれば、途中でこの計画を打ち切るような仕組みになっているのか、期限が あるまでズルズルと5年間もやるのか、その辺についてこの制度がどういう見直しとい うか、途中のチェックが入るようになっているのでしょうか。 ○参事官(地域雇用対策室長) 地域類型そのものに関しては、5年間の計画を達成し たからといって、途中で打ち切るという仕組みにはなっておりません。数値がよくなっ たといっても、さらに施策を講じればよくなる余地はあるので、うんと頑張っていい成 果を収めたから、計画期間の途中で打ち切るという仕組みにはなっておりません。一応 計画としては5年間継続していくという法律の仕組みになっています。 ○奥田委員 個人的意見ですが、それでいいのでしょうか。お金は貴重です。ダラダラ とこういう制度が続くというのは、いかがなものでしょうか。そういう意味では適時見 直しというルールも、あっていいのではないかと思います。 ○参事官(地域雇用対策室長) 求職活動援助地域に関して言いますと、援助事業とい うものを委託して実施してもらうことになりますので、そこの部分で全くの該当地域で はあるけれど、何もしないというのはなかなか難しいかと思います。そういうものを達 成した地域については、これは本当にやったほうがいいのではないかというものに絞る ような形で、事業をギュッと見直していくことはあり得ると思っております。 ○大橋委員 この基盤整備や地域雇用開発の促進の政策を見ていますと、例えば有効求 人倍率が高くなったら、やめればいいというタイプのものではないように見受けられま す。こういうことは常時、地域できちんとやっていかなければいけないことだと思うの です。ですから逆に景気がよくなったからといってやめていいのかというのが、このタ イプの政策の難しいところです。基盤整備などはきちんとやっていくという立場で、た だコストがかかるわけですから、そのコストとの兼合いでという考え方で進めていかざ るを得ないのではないかと思います。そういう点で、これは常時やっていくべきだとい うスタンスでいいのではないでしょうか。基盤整備に書いてあることを途中でやめたら、 問題のほうが大きいのではないかと思います。 ○参事官(地域雇用対策室長) 基盤整備に書いてある部分というのは、基本的に都道 府県で責任を持ってやっていただく部分です。国のほうで支援する部分というのは、求 職活動援助事業という形で基盤整備にオンして、それと連携する形で支援地域の取組み を支援しようという仕組みになっていますので、基盤整備自体がやめになるということ はないと思いますし、計画としてもその計画自体をやめにすることは、法律上ないと思 っております。ただおっしゃるとおり、コストと成果の関係というのはありますので、 より雇用情勢の悪い所がはっきりしてきた場合には、そこにより重点化して、よくなっ ている所はそれはそれでやるけれども、比較的手は抜くというか、地域にお任せすると いう形でのメリハリは必要だと思っています。そういう形で考えていきたいと思います。 ○郷農委員 コメントとしては、平成13年から状況がかなり変わっています。平成13 年の意識やデータに基づいて雇用対策を行っていると、少しズレたものになるのではな いかと思って危惧しております。  質問としては、県単位ないし地域単位でかなり細分化されたデータが出ていますが、 これをもっと全国レベルでやり繰りするとか、あちらが足りないからこちらで補うとか。 昔ドイツで聞いた話ですが、地方に企業が分散するように、首都圏ないし大都市への企 業流入をかなり閉め出すことによって、地方に企業が行かざるを得ないような状況をつ くるということがありました。地域的に区切りすぎたような政策は、どうかと思います。 もっと人口や雇用が流動性を持ってくるような全体的なプランというのも、並行して行 うべきではないかと思います。それをなさっているかどうか、質問させてください。 ○参事官(地域雇用対策室長) 1点目にあった、5年前の改正のデータや考え方に基 づいてやっていくと、いろいろ支障があるのではないかというのは、おっしゃるとおり です。雇用・失業情勢は随分変化してきております。そういう中で我々としても指針の 問題、地域類型の問題を含めて、どういう形でやっていったらいいのかということは、 今この場で言えることではないのですが、課題として受けとめております。一方で先ほ ども申し上げたように、個々の市町村の取組みを支援していくという事業を、今年度か ら行っておりますので、その辺の効果と言いますか状況なども見ながら、全体的な仕組 みのあり方も考えていかなければいけないと思っております。  企業のやり繰りや流入規制といった問題については、我々が雇用対策の中でどうこう できるものではないと思います。我々として何かできるかというと、難しいと思います。 都道府県の中ではここに誘致するということをある程度重点化して、その中で取り組ん でいるということはあると思います。国全体としては経済産業省を中心に、そういった 施策が取られていたかと思います。それより、むしろ最近は地域のクラスターではない ですが、産学官連携で地域の自主的な中から、産業を伸ばしていくという方向になって いるのではないかと思います。あまり説明になっていなくて申し訳ありません。 ○郷農委員 ちょっと細分化されすぎているような気がしたのです。 ○北村委員 先ほど原委員から、どこまでが景気の回復の効果によるものなのか、どこ までが施策の功績なのかが分かりにくいというご意見があったのですが、私もこういう 時代なので、うまくいった、これはこの政策のフルーツであるというように断じ切れな い気持がするのです。言ってみれば風邪が治ったのは風邪薬を飲んだからか、それとも 気候が暖かくなったからかというところがあると思うのです。今そのケースをはっきり 突き詰めておかないと、たぶん似たような状況はこの先何回も訪れると思うのです。そ ういうときに常に対処療法でやって、その薬で効くかというのは分からないところがあ るわけです。  秋田県南部の場合など、大型企業誘致のマイナス面が出てしまったというご報告もあ りましたよね。もし常に対処療法でいくのだったら、どういう状況でどういうケアをし たらこういう結果になったとか、その背景はこうであるというようなことは、仕事上、 皆さんも経験として引き継いでいらっしゃるでしょうけれども、ある程度見えやすい形 で整理しておくことは、非常に大切ではないかと思います。細分化もそうですが、結局 こうなったからこの薬というように、この手のことは常に対処療法的になるので、私も どこまでが景気の浮揚の成果で、どこまでが政策の結果なのかというのは、何らかの形 で検証していただきたいと思います。 ○原委員 赤いファイルの11頁の京都の部分を見ているのですが、最近、よく『週間ダ イヤモンド』や『東洋経済』などの経済誌で、ニート、フリーター、非正社員というよ うに、一旦転落したらなかなか正社員に這い上がれない実態があるという、若年の雇用 問題についての非常にショッキングな記事が載っておりました。11頁の囲みでは、いろ いろなことをやってきたということで、「平成16年度までに3万5,000人の利用者があ り、約1,500人の就職実績を上げてきた」とあります。今日の審議会の議論に馴染むか どうかは別ですが、3万5,000人が利用して1,500人の就職実績を上げたということは、 5%を下回るのですが、厚生労働省としてはこの数字をどういうように判断するのです か。  ニートやフリーターに対しての就職相談、キャリアアップ、職業紹介というだけで、 もっともっと効果が上がるのかどうか。やはり誘導措置と言いますか、行政としての何 らかの指導、何らかの措置といったものをこれに噛ませていかないと、いくら地域でこ ういう努力をしてみても、受け皿が少ないという問題も含めて、企業がなかなか正社員 を採用しないという問題も含めて、この種の問題は解決しないのではないでしょうか。 これが10年経ち、20年経ち、30年経って、500万、1,000万ということになっていくと、 日本の世の中は一体どうなるのだろうかと、私は本当に思います。こういった具体的な 数字も含めて、これについて厚生労働省はどういう問題意識を持つのかというのを教え ていただきたいと思います。冒頭にも質問したつもりですが、答弁がないのでよろしく お願いしたいと思います。 ○審議官 今いくつかご質問がありまして、北村委員や原委員がおっしゃった評価の問 題については、平成13年10月に改正法を施行して、地域類型も改めて、新しい考え方 でやってきたわけです。資料No.3にありますように、今回ある程度まとまった地域が計 画終了時期を迎え、そして1年後には今回以上に、相当数の地域が計画終了期間を迎え るという段階に至っています。  各計画の主体である都道府県に対しては、これらを漫然とやるのではなく、きちんと 検討をして評価をし、翌年度の県の施策に反映してほしいということで、いろいろな指 導もしています。厚生労働省としてもそういった時期を迎えておりますし、最近の雇用 情勢も節目を迎えていますので、何が計画の成果で、あるいは景気回復による成果とい う部分が大きいのではないかといったことも頭に入れながら、しっかりと評価をし、今 後につなげていきたいといま考えております。  例えば求職活動援助地域については、5年間の計画であっても、主として事業をやっ ていただく求職援助団体等に対して、毎年委託契約を結ぶという形を取っております。 これは1年ごとに昨年度の実績をそれぞれ評価し、我々も評価しながら、ここはもう十 分やったから今年度の計画はもういいだろうとか、ここは少し延ばしてやるべきではな いかということを申し上げながら、契約内容について精査をし、新たな新年度の契約を 結ぶということをやっております。そこはご指摘の点も踏まえて、引き続きしっかりと 対応していきたいと思っております。  それから雇用開発を考える場合に、雇用の質をしっかりととらえていくべきではない かというのも、おっしゃるとおりだと思います。昨今の有効求人倍率は全体で1.03であ るけれど、正社員に限って言えば、依然0.6台という状況です。実際の安定所の現場に おいても、正社員求人についてはできる限り充足をしていく、あるいは正社員でない求 人についても、労働市場の状況等々を説明し、非正社員の求人で充足できないものは正 社員に切替えてやってほしいということを、いま重点的に指導しております。できる限 り正社員の求人・求職のマッチングができますように、また正社員としての就職が増え ますようにということで、いま努力をしているところです。雇用開発を考える場合も、 今後は従来以上に雇用の質という面を見ていかなければならないというのは、おっしゃ るとおりだと思いますので、そういう問題意識を持って今後は対処したいと思っており ます。  京都の具体的な例をおっしゃいましたが、3万5,000人がジョブカフェを利用されて、 1,500人の実績というのを、どう評価するかというのは非常に難しいのですが、ジョブ カフェの利用者のタイプを考えた場合、ちょっと冷やかしで顔をのぞこうかというとこ ろから始まって、そこからだんだん就職についての意識づけをしていこうということを 仕事にしている所です。そういった意味では今後、もっと伸ばしていかなければならな いとは思いますが、3万5,000人の利用者に対して1,500人の就職があったというのは、 1つの大きな成果ではないかと思っています。  誘導措置云々というお話もありましたが、そこは問題意識を持って取り組んでいきた いと思っております。若年者雇用対策はいま、雇用対策の最重点事項としてやっており ます。厚生労働省だけではなく、政府挙げてプランづくりをし、予算も重点的に投入し てやっているところですので、ご指摘の点も踏まえて、引き続き頑張っていきたいと思 っております。 ○大橋委員 政策効果については、2つの見方があると思います。1つは、この雇用計 画が絶対的に雇用水準をよくしたかどうかということです。これは景気のせいだけでは ないかという見方をした場合には、効果がはっきりしないから、そういう政策をすべき ではないかという結論も出かねないのです。しかし私がこれを見ていて、もう1つの視 点として、地域間の格差が非常に大きいと思います。有効求人倍率が1を超えている地 域もある一方、0.4というのもあります。これは恐ろしい格差です。そういう点ではや はり地域間の格差を是正し、できるだけ各地域が自分たちの雇用環境をよくして、いい 人材を自分たちの地域に呼び入れるということで、異論もあればいいと思うのです。  いずれにしても、そういった地域間の格差を是正するという視点から、この計画を擁 護することもできると思います。大きな格差があるのに、政策効果がどうもよく分から ないからやめろという議論にはつながっていかないと思います。要するに2つの視点が あって、その視点をこういった計画にうまく入れられれば、魅力的なものになるのでは ないかと思います。 ○郷農委員 中小企業の立場からお話させていただきたいと思います。中小企業に対し ても、働いていない人たちをなるべく掬い上げて働かせるという施策の一部として、雇 い入れてくれて、そのために設備投資もした場合は、助成金を支給するという方針があ るということを、別の資料で見ました。しかしながら結構厳しくて、設備投資を500万 円以上しないと給付金もあげないというような締めつけが、一方であるわけです。これ ではもらっても、その前の設備投資にすごくかかってしまって苦しいのです。ですから 中小企業に対して、もっと促進するのであれば、この辺の条件のバリアを少し下げてい ただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○樋渡委員 もう一度確認したいと思います。計画を途中で変更するということは、そ の内容も含めて、期間も含めて、法律上は可能ではないかと思うのです。 ○参事官(地域雇用対策室長) 可能です。 ○北村委員 先ほどの審議官のお話では、雇用の質に関しては、なるべく正社員雇用を するようにという指導をしていらっしゃるというように伺いました。職を得られるなら、 とりあえずアルバイト、派遣、パート等でもいいから、とにかくという形なのか、それ とも極力正社員とするようにということなのか、指導として何かポリシーをお持ちです か。例えば正社員にこだわるあまり、万が一雇用のチャンスをなくしているというよう な懸念はないのでしょうか。あるいは、とにかく雇用できればいいのだということで、 ズルズルになっているのではないかという心配もあると思うのです。ご指導する立場と して、そこはどういうようにお考えなのでしょうか。 ○審議官 求人と求職の需給を、きちんと適切に結合させるというのが基本だと思いま すので、本人が「パートや派遣でいい」と言っている方に、無理に正社員を押しつける ということは、もちろん考えているわけではありません。なるべくなら正社員で働きた いけれど、条件としてそういうものがなかなか見つからないので、パートでという方も 多いわけですから、個々の状況を踏まえながら、また企業の希望も踏まえながら、正社 員に誘導できる者は誘導していくということを、いま現場では努力をしています。仕事 がないから正社員にこだわらないで、パートや派遣でも何でもいい、あるいは絶対に正 社員でないと、極力正社員で就職してもらおうという、特別な方針があるわけではあり ませんが、基本は需給のミスマッチがないように、きちんと結合させるという大目的の 下に、それぞれの希望なりニーズを見ながら指導をしているということです。 ○北村委員 こういったことについて、官庁や各自治体が強制できるものでないことは、 重々承知していますが、それだときれい事で終わるという印象もありますよね。 ○審議官 パート・正社員就職率などの就職実績のデータを見ると、近年はお蔭様で正 社員としての就職実績が、数字としては増えてきています。景気がよくなったという面 もありますが、そういう意味で努力をしているという面もあって、増えているというよ うに理解しています。 ○北村委員 これは求人・求職ですから、マッチングの段階だと思います。よく言われ ることで、特に女性の場合は多いのですが、パートで入ったけれども実績があるので、 正社員にブリッジしたいというような、雇用の瞬間とは時間を置いた段階での動きもあ るわけですよね。ですから求人・求職の段階のフォローとして、そういったことも言及 していただければという気がいたします。 ○審議官 パートから正社員への転換という観点からの指導も、別途やっております。 ○諏訪部会長 ほかに何かありますか。よろしいですか。それでは、すでに地方の審議 会において議論を経てきた上で、最終的に我々の部会にかかってきた、これら地域雇用 開発計画の案について、いずれも妥当と認めるという結論にさせていただきたいと思い ますが、それでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○諏訪部会長 ありがとうございます。それでは事務局から、報告文の案をお配りいた だきます。 (報告文配付) ○諏訪部会長 お手元の案のとおりですが、このような案文でよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○諏訪部会長 ありがとうございます。申し添えておきますと、本件は当部会の先決事 項ですので、そのような取扱いをさせていただこうと思います。その他ご意見、ご質問 等はありますか。よろしいでしょうか。  特にないようでしたら、本日の部会は以上をもって終了させていただきます。                 (署名委員氏名) (照会窓口) 厚生労働省職業安定局地域雇用対策室 TEL:03-5253-1111(内線5844,5845)