06/02/16 労働政策審議会第20回雇用対策基本問題部会議事録     第20回 労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会 1 日時  平成18年2月16日(木)17:30〜19:30 2 場所  厚生労働省専用第21会議室 3 出席者 委員 (公益代表)            諏訪部会長、大橋委員、北村委員          (労働者代表)            成瀬委員、野村委員、長谷川委員、原委員、山川委員          (使用者代表)            荻野委員、片野坂委員、郷農委員、成宮委員、樋渡委員              事務局  高橋職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、            石坂特別訓練対策室長、篠崎需給調整事業課長補佐 4 議題  介護雇用管理改善等計画の改正について 5 議事内容 ○諏訪部会長  皆様、夕刻のお忙しい時間にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。 ただいまから第20回雇用対策基本問題部会を開催させていただきます。  最初に、議事に先立ちまして代表委員に交替がありましたので、ご紹介させていただ きます。交替後の名簿はお手元に配付していますが、新たに委員になられた方をご紹介 させていただきますと、まず労働者代表委員ですが、建設連合書記長の野村委員です。 ○野村委員  野村でございます、よろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長  続いて、JAM組織局長の原委員です。 ○原委員  よろしくお願いします。 ○諏訪部会長  続いて、全駐留軍労働組合書記長の山川委員です。 ○山川委員  よろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長  次に、本日の委員の出欠状況です。欠席の委員は、公益代表の小幡委員、椎谷委員、 白木委員、労働者代表の池田委員、使用者代表の奥田委員、以上の皆様です。  議事に入ります。本日の議題は「介護雇用管理改善等計画の改正について」です。先 般、1月26日に開催された労働政策審議会職業安定分科会において、本件の具体的内 容については、諮問案も含め当部会において審議することとされたところです。これを 受けまして、当部会においてご審議の程をお願いしたいと思っています。そこで、まず 事務局から資料についてまとめてご説明をしていただいて、その後でご議論をいただき たいと存じます。事務局から説明をお願いします。 ○篠崎課長補佐  資料1をご覧ください。「介護雇用管理改善等計画」の関連資料についてご説明させて いただいた後に、資料2の「介護雇用管理改善等計画」の素案についてご説明させてい ただきたいと思っています。  資料1の1頁です。「『介護雇用管理改善等計画』の改正について」という部分です。 2頁をご覧ください。まず、今回の改正の趣旨です。現在の雇用管理改善等計画につい ては、平成17年度から平成21年度までの5カ年としていますが、「介護労働者の資格 要件等を含め、介護保険制度や障害者保健福祉制度の見直しが行われていることから、 その結果等に十分留意しつつ、必要な見直しを行う」こととされています。昨年、介護 保険法の改正等が行われましたことから、その結果に十分留意しつつ必要な改正を行う というのが趣旨です。  2のスケジュールです。1月26日の職業安定分科会において、本件に関する具体的 内容については、諮問案も含め雇用対策基本問題部会において審議を行い、その結果が 取りまとまり次第職業安定分科会に報告することとされたところでありまして、本日素 案についてご意見をいただいた後に、また3月上中旬に審議をいたしまして、3月下旬 の職業安定分科会に対して諮問する案をまとめるというようなスケジュールで考えてい ます。  資料11頁です。「改正介護保険法の概要等について」ということです。今回、介護保 険法等の改正を踏まえということですので、介護保険法等の改正について簡単にご説明 させていただきます。資料12頁です。「介護保険法等の一部を改正する法律(概要)」 というものです。この法案全体については、制度の持続可能性を確保し、明るく活力あ る超高齢社会の構築、社会保障の総合化を基本的視点として、制度全般について見直し を行うというものですが、概要としては1にあるように、「予防重視型システムへの転換」 ということで、(1)にありますが「新予防給付の創設」が大きく挙げられます。これに ついては軽度の要支援・要介護1の大幅な増加ということを踏まえて、そういう軽度の 方に対して予防をしていくということです。要介護状態等の軽減、悪化防止に効果的な、 軽度者を対象とする新たな予防給付を創設という内容が大きくあります。  介護労働者の関係ですと、3にあるような「新たなサービス体系の確立」ということ があります。(1)ですが、「地域密着型サービスの創設」です。身近な地域で、地域の 特性に応じた多様で柔軟なサービスが可能となるような、こういったサービスを創設す ると。具体的には例にあるように、小規模多機能型居宅介護、あるいは最後にあるよう に、夜間対応型訪問介護といったものも位置づけていくというものです。  (2)にあるように、「地域包括支援センターの創設」という形で、総合的な相談窓口 の機能といったものも取り扱う地域包括支援センターを創設するということが改正内容 としてございます。  13頁です。4の「サービスの質の確保・向上」というものです。この中で、現在、右 にあるように指定取消事業者の増加など、質の確保が課題になっているということがあ りましたので、情報開示の標準化、いわゆる介護サービス事業者に事業所情報の公開を 義務づけるといったこと、それから、事業所規制の見直しということで、指定の更新制 の導入等を行うこととされています。  施行日です。いちばん下にあるように、基本的には平成18年4月1日から改正介護 保険法については施行されます。  14頁です。これは直接法律ということではありませんが、若干関係があるのでご説明 いたします。「介護サービス従事者の研修制度(介護職員基礎研修)について」です。1 の「基本的考え方」です。介護職員について、将来目指す方向としては、介護福祉士を 基本とすることが決められています。具体的には、現在のホームヘルパーの研修をより 強化した介護職員基礎研修を創設し、現在のヘルパーの1級、2級の研修を、将来的に は介護職員基礎研修へ移行していくこととすると。そういう意味で、段階的に介護福祉 士まで資質を向上させていくこととしています。  「開始時期」ですが、施行は平成18年当初からとなりますが、新たなカリキュラム に基づいた研修の準備の作業を行う必要があることから、具体的な研修については、平 成18年10月頃からスタートするものと見込まれています。  16頁で「介護サービス情報の公表の仕組み」というものです。先ほどサービス事業者 の情報開示ということが新たに盛り込まれたということですが、具体的にはこちらにあ るように、例えば左側に基本情報ということで、事業所の職員の体制、サービス提供時 間、利用料金といったものを公表するとしています。右側ですが、介護サービスに関す るマニュアルの有無等といったことも、情報開示する事項に盛り込むような形で検討が なされています。  資料22頁の「介護労働者の需給の状況等について」です。まず23頁ですが、総人口 としては若干減少していく見込みになっています。24頁ですが、「総人口に占める老年 人口割合の推移」です。これについては2005年は30%程度ですが、2030年には50% 程度にまで上がることが見込まれています。  資料25頁の「要介護者の推移」です。合計をご覧いただきたいと思いますが、平成 16年度には約400万人程度の要介護者となっていますが、平成20年度の推計では500 万人程度という形で、要介護者が伸びていくことが予想されています。  資料30頁です。こちらは「介護保険関連事業所における従事者数の推移」というも のです。平成16年度においては 在宅と施設を合わせて169万人が介護保険関連事業所 で従事しているというグラフです。  31頁です。こちらは施設系ではなくて、訪問介護事業所ですが、そこに従事する訪問 介護員の推移で、具体的に介護福祉士、ホームヘルパー1級、2級、3級といった形で、 どのような職種の方が働いているかがご覧いただけると思います。平成16年において は、介護福祉士、ヘルパー等を含めて、34万人の方が訪問介護事業所で訪問介護員とし て従事しているといったデータです。  33頁です。こちらは従事者ではなくて、「介護福祉士等資格取得者数」ということで、 資格を持っている方のデータです。例えば介護福祉士ですが、これは登録者については 46万7,979人で、登録者はかなりの数がいることが見てとれます。  34頁は「介護労働者の離職率等について」というデータです。35頁、こちらは「介 護事業所における離職率」を調査したものです。この調査によると、正社員については 離職率が16.8%、非正社員については23.0%、全体でも21.0%で、トータルで見ると 20%を超える離職率ということが見てとれます。下のグラフですが、「介護事業所にお ける離職者の勤続年数」です。こちらについては、1年間に離職した方の勤続年数を見 ると、離職者の約8割が3年未満で離職していることが見てとれます。  36頁です。先ほどは介護事業所の離職率が20%を超えると見ていただきましたが、 こちらは産業別で見た離職率です。調査は異なるとは言え、産業系で見ると、全体では 16.0%の離職率です。それから、介護が含まれる右から4番目の「医療、福祉」といっ た分野で、これは介護だけではありませんが、この分野においては15.8%といった離職 率ですので、産業全体で見ると、先ほどの介護事業所における離職率が高いことが見て とれると考えています。  37頁ですが、こちらは「介護事業所における教育・研修の実施状況」についてのもの です。こちらで見ると、正社員に教育・研修を実施していると答えた事業所は83%であ る一方、非正社員に実施している事業所は64%となっています。これは非正社員だけを 見ると、一般の事業所よりは高いということですが、現実的に介護事業所では非正社員 が実態としてはだいぶサービスを担っているということがあるので、もう少し上げる必 要があるのではないかといったことが見てとれると考えています。  38頁です。これは仕事に対する満足度を調査したものです。上が施設系、下が訪問介 護です。上の施設系について見ると、仕事の満足度については全体で18.8%の方が満足 しているということです。一方、下の訪問介護ですが、仕事に対する満足度は全体で21% となっています。  39頁です。こちらは働く上での悩み・不安・不満について取ったデータです。こちら も上が施設系、下が訪問介護と分かれています。どちらも同様の傾向がありますが、左 から2つ目の「健康面(感染症・腰痛)の不安がある」といった方が施設系で42.2%、 下の訪問介護においても39.5%で、約4割の方が健康面に不安があるといった回答をな されています。  40頁です。「介護労働者の雇用形態別割合」の資料です。いちばん左の総数で見てい ただくと、正社員が51.3%、うち非正社員が48.7%で、約1対1となっています。ただ し、これを特に「直接介護に当たる介護職員」で見ていただきますと、正社員が39.1%、 非正社員が60.9%で、非正社員の担う部分が大きいことが見てとれます。  資料41頁です。「介護労働者の雇用管理改善等の施策について」です。現在行ってい る対策についてまとめています。42頁で、平成17年度現在において講じている関連施 策についてまとめています。  1は「介護労働者の雇用管理の改善等」で、(1)には「介護雇用管理支援助成金」が あります。具体的には(1)ですが、「介護基盤人材確保助成金」という形で、認定介護関連 事業主が新サービスの提供等を行うことに伴い、特定労働者、これは具体的にはヘルパ ー1級、介護福祉士等の資格を有する者ですが、そういった者を新たに雇い入れた場合 に、雇い入れた賃金の一部を助成するというもので、現行、ヘルパー1級等の特定労働 者については140万円を上限、その他の労働者については30万円といった形で、一部 助成をしています。  (2)ですが、「介護雇用管理助成金」です。こちらについては、採用などの人的管理、就 業規則等を整備した場合に、その費用の一部を助成するものです。(3)は「介護能力開発 給付金」です。こちらは教育訓練を実施した場合、費用とその期間中に支払われた賃金 の一部を助成するものです。  (2)の「雇用管理の改善のための相談援助事業」です。こちらは介護労働安定セン ターの支部に介護労働サービスインストラクターを配置するなどし、雇用管理の改善に ついて相談援助、情報提供を行っています。  2は「介護労働者の能力の開発及び向上」です。(1)として、介護労働安定センター における教育訓練の実施ということで、介護分野で就労を希望する方を対象にホームヘ ルパー2級の研修を実施しております。(2)として、公共職業能力開発施設や民間の委 託施設における職業訓練の実施をしています。  3は「介護分野における労働力需給調整機能の整備、強化」です。(1)として、公共 職業安定所、ハローワークによる労働力需給調整機能の強化ということです。各都道府 県ごとに設置された福祉重点ハローワークで、福祉関連業務に係る職業紹介、福祉マン パワー合同求人選考会等を実施しています。以上が現在講じている関連施策の概要です。  続いて43頁です。こちらは平成18年度に予定している関連施策です。変更部分を中 心にご説明させていただきます。1の雇用管理改善の部分です。「介護基盤人材確保助成 金」について、これまでの雇入れ助成から雇用管理に重点を移すという考え方を基に、 これまではヘルパー等の専門的な方の他に、一般の労働者を雇い入れた場合も助成して おりましたが、それをヘルパー等の特定労働者に限定する、それから、上限を3名まで にするという見直しです。賃金助成についても、これまでの上限を140万円から70万 円にする見直しを考えています。雇用管理に重点を置く形の具体化としまして、受給で きる事業主として、雇用管理責任者の選任、及びこの選任した方について事業所内で周 知をすることを要件にしたいと考えています。  (2)の「介護雇用管理助成金」です。平成17年度までは能力開発という助成金が別立 てでありましたが、能力開発については、この介護雇用管理助成金のメニューの1つに したいという形で、メニューとして教育訓練を加えています。  なお書きですが、健康診断等一定の要件に該当する場合は高率助成とする。それから、 「受給できる事業主として、計画期間内に雇用保険被保険者が1人以上増加しているこ と」といった要件を設けていましたが、これを廃止します。それに代わって、「雇用管理 責任者の選任及び事業所内での周知」を新たな要件にしたいと考えています。  (2)の相談援助事業です。これについては(2)に「実態調査の見直し」と書いていま すが、調査・分析の強化を図りたいと考えています。(3)、介護労働者の心身の健康確保 に関する雇用管理改善の推進をするため、介護労働安定センターの各支部において、医 師等の専門家に委嘱して、感染症・腰痛対策やメンタルヘルスなどの健康確保に関する 相談を実施することとしたいと考えています。(4)です。厚生労働省本省及び全国9ブロ ック内の都道府県労働局において、介護分野における標準的な雇用管理モデルの策定の 検討を行うといった形で、事業主団体等の方と雇用管理モデルの策定について検討をし たいと考えています。  2の能力開発の部分です。介護労働安定センターにおける教育訓練につきまして、「ホ ームヘルパー2級課程等を実施」と書いていて、前段で説明しましたヘルパーを介護福 祉士に持っていく基礎研修が実施された場合については、そういったものにも対応でき るようにしたいと考えています。以上が平成18年度の関連施策の概要です。  資料2の「『介護雇用管理改善等計画』(素案)」をご覧ください。1頁です。左側に「現 行計画について」、右側に「改正にあたっての基本的な考え方について」としています。 まず、左側の現行計画について説明させていただきます。  現行計画の背景としては、急速な高齢化の進展による、寝たきりや認知症等により介 護を必要とする高齢者の増加。介護サービスが質・量の両面で的確に提供されるシステ ムが必要不可欠。平成12年4月1日より介護保険法が施行され、社会福祉法人、民間 企業、医療法人、NPO等さまざまな事業主が介護分野に参入。利用者本位の多様なサ ービスが効率的に提供されていくものと考えられる。  そういった中で課題として、現下の厳しい雇用失業情勢に対応するとともに、中長期 的に産業構造の転換が進展する中で、経済の活力を維持しつつ雇用の安定を図っていく ためには、今後成長が期待される介護分野において、新たな雇用機会の創出等を進めて いくことが喫緊の重要課題としています。  目的ですが、新たに創出される雇用機会を良好なものとする、事業主が良質な介護労 働者を十分に確保できるといったことを目的としています。計画期間については、平成 17年度から平成21年度までの5カ年とされています。  計画については、介護労働者の需要の見通し、供給の見通しと施策の方向、介護労働 者の確保及び良好な雇用機会の創出に資する施策に係る基本的事項といったことを盛り 込んでいるのが現行計画です。  右側の「改正にあたっての基本的な考え方について」です。背景については基本的に は同様ですが、課題の面について若干変えています。課題については、雇用管理等の面 で解決すべき問題が残されていると捉えて、例えば介護労働者については厳しい労働環 境にある、低い定着率である、介護関係業務に従事していない多くの有資格者が存在す るといったことで、雇用管理面で解決すべき問題が残されているのではないかとしてい ます。それから、介護労働者の雇用管理の改善や能力開発の向上を図ることに、より力 点を置くことが必要といった形で課題を捉えていて、現行の計画については、雇用創出 に力点を置いていますが、今般は雇用管理に重点を置きたいと考えています。  目的です。従前の目的については、「新たに創出される」と創出に力点を置いていまし たが、今般の目的については、「事業主が良質な介護労働者を十分に確保できる」といっ た視点は変更はありませんが、これに加えて「介護労働者が誇りを持って生き生きとそ の能力を発揮して働くことができるようにする」といったことを目的に掲げたいと考え ております。  計画期間については現行と同様です。需要と供給につきましては、基本的に数字を最 新のものに修正していくことを考えています。  計画の目標です。これまでは計画の目標といったものは盛り込んでいませんでしたが、 今般の計画においては、計画期間中における一定の到達目標を設定したいと考えていま す。具体的な一定の到達目標については、また別途ご説明をさせていただきます。  以下、介護労働者の雇用管理の改善、能力開発及び向上を図るために講じようとする 施策について盛り込む、その他介護労働者の福祉の増進を図るために講じようとする施 策について盛り込んでいくというような構成にしたいと考えています。  そういった意味で、この改正に当たっては、大きな特徴としては、雇用創出から雇用 管理に重点を置く、それから目的について、介護労働者が誇りを持って生き生きと働け るといったことを掲げる、一定の到達目標を設定することによって、この計画をわかり やすいものにしたいと考えています。  2頁です。具体的な介護雇用管理改善等計画についてご説明をさせていただきます。 第一の「計画の基本的考え方」です。左のほうですが、目的の中で「しかし、介護労働 者については、厳しい労働環境にある、定着率が低い、介護関連業務に従事していない 多くの有資格者が存在する等、雇用管理等の面で解決すべき問題が残されており、介護 労働者が誇りを持って生き生きとその能力を発揮して働くことができるよう、かつ事業 主が良質な介護労働者を十分に確保できるよう、介護労働者の雇用管理改善や能力開 発・向上を図っていくことが喫緊の課題となっている」。そのような課題分析の上で、「こ のような課題に対しては、事業主がその雇用する介護労働者について、労働環境の改善、 教育訓練の実施、福利厚生の充実その他雇用管理の改善を図るために必要な措置を講ず ることにより、その福祉の増進に努めるとともに、国としては介護労働者の福祉の増進 等雇用管理の改善を図ることを目的として、事業主の雇用管理改善に関する自主的な取 組みを支援するほか、必要な施策を推進していくことが重要である」という形にしてい ます。  続いて計画の期間です。2にあるように、計画の期間については従前どおり平成17 年度から平成21年度までの5カ年としています。  第二の「介護労働者の雇用の動向」です。需要の見通しについては、4頁をご覧くだ さい。需要については大きくは変わっていませんが、真ん中にあるように、平成16年 度は「要介護」「要支援」とされる高齢者等は400万人程度であるが、平成20年度には 500万人から520万人程度と需要を見込んでいます。続いて「障害者に対する介護需要」 です。これについても、基本的には現行の計画と変わっていません。  5頁です。2の「介護労働者の供給の見通し」です。労働力人口全体についてですが、 現行の計画については、2005年から2010年にかけて50万人の減少が見込まれると分 析をしていますが、今回の改定においては若干修正しています。上にあるように「人口 が減少すると見込まれる中、若者、女性、高齢者等への就職支援を行い、より多くの者 が働くことが可能となることにより、平成17年から平成22年にかけては、概ね横ばい となることが見込まれている」といった形で、若者、女性、高齢者等が労働力となるこ とにより、労働力人口については横ばいになるという供給見通しにしています。  介護分野の労働力についてです。現行の介護保険施設及び居宅サービス事業所におけ る従事者数は約169万人となっています。うち、介護福祉士、訪問介護員等の介護職員 数は約100万人であり、介護福祉士は約22万人という状況になっています。その中で も介護福祉士の登録者数は、近年、毎年5〜6万人ずつ増加している状況で、平成17 年11月現在で、約47万人あります。  そういった意味で、介護関係業務に従事していない多くの介護福祉士等の有資格者が 存在していると考えられる。また、1年間に介護労働者全体の約2割が離職し、離職者 の約8割が3年未満で離職する状況にあるというのが供給の見通しです。  6頁の第三の「計画の目標」です。目標については現段階で文章化されていませんが、 「介護労働者が誇りを持って生き生きとその能力を発揮して働くことができるようにす ること等のため、一定の到達目標を設定することとする」。計画の到達目標ですが、「例 えば」といった形で示しています。  1つ目が「介護労働者の離職率の低減」です。これについては先ほど資料で説明させ ていただきましたように、20%を超えるといった状況ですので、産業全体が16%程度で すので、離職率の低減を到達目標に掲げたいと思っています。ただ、産業を平均にとい うのも難しいと思いますので、例えば20%できるだけ下回るとか、そういったことが考 えられるのではないかと思っています。  2つ目が「介護労働者の教育・研修の実施率の増加」です。介護労働者の教育・研修 については、正社員に対しては約8割、非正社員については6割という状況ですが、介 護労働における非正社員が果たす役割の大きさを考えますと、非正社員に対してもでき るだけ研修を実施することが必要ではないかということで、例えば現在6割の教育・研 修の実施率について、2割程度増加させるといった目標が考えられるのではないかと思 っています。  3つ目として「介護労働者の職場に対する満足度の向上」です。これについては数値 的な目標を示すことが難しい部分があるかと考えていますが、満足度を向上させるとい うのは、ある意味で定性的なものでも目標として盛り込めないかと考えています。  第四の「介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上を図るために講じようと する施策の基本となるべき事項」です。1として、「介護労働者の雇用管理の改善等」で す。この中で介護労働の特徴について書いていますが、介護関係業務については、身体 介護として、要介護者の入浴介助、抱き起こし等の移動の介助を行う等肉体的負担が大 きい、情緒が安定していない者の介助等精神的負担が大きい場合も多い、24時間巡回介 護や、夜間介護への対応等不規則な労働時間になることも多く、働く上で何らかの悩み・ 不安・不満を持つ介護労働者は約7割以上に上り、健康面(感染症・腰痛)に不安があ る、精神的にきつい等が挙げられており、事業主が行う介護労働者の健康確保措置に対 する支援が必要である。  さらに、介護労働者の雇用管理改善のためには、事業主の理解を高め、雇用管理改善 に取り組んでいこうとする気運を醸成するとともに、事業所における雇用管理責任者の 選任及び当該責任者名の明示等の事業主が行う介護労働者にとって魅力ある職場づくり を支援していくことが重要である。このような観点から、介護労働者が誇りを持って生 き生きとその能力を発揮して働くことができること等を目的とし、以下の施策を推進す るとしています。  (1)ですが、「雇用管理改善のための相談、援助事業の実施」という形で並べていま す。下の従前の計画においては、まず、助成金の活用促進を(1)に持ってきていまし たが、今回は順番を入れ換えまして、まず相談、援助事業を実施するとしました。そう いった中で、助成金についても活用する形で、(1)として相談、援助事業、(2)とし て助成金の活用という柱立てにしています。  この相談、援助の具体的な中身です。(1)として「介護労働者の実態を明らかにし、改 善すべき雇用管理の具体的目標を絞り込めるような情報を提供できるよう、きめ細やか な実態調査及び分析を行う」。(2)として「事業主及び労働者からの感染症・腰痛対策やメ ンタルヘルス対策などの健康確保に関する医師等専門家による相談も含めた雇用管理の 改善等についての相談、セミナー等を実施する」。(3)として「介護分野の団体、事業者と 行政との間で直接意見交換等検討の場を設け、その検討を踏まえ雇用管理改善を進める 参考となるモデルを作り、これを関係団体や事業主等に提供する」としています。  9頁の(2)ですが、助成金の活用です。これについては現行の介護基盤人材確保助 成金や介護雇用管理助成金について、活用を促進するといったことを掲げています。  10頁の2で、「介護労働者の能力の開発及び向上」です。(1)ですが、「介護労働安 定センター等による介護労働者の能力開発」です。今般の介護保険制度の見直しにおい て、介護職員については、資格要件の観点からは、将来的には介護福祉士を基本とすべ きであり、これを前提に、現任者の研修についても、実務経験に応じた段階的な技術向 上が図れるよう、体系的な見直しを進めていく必要があるとの方向が示されたところで ある。  こうした状況も踏まえ、介護労働安定センターにおいては、離転職者等の早期再就職 の促進並びに介護に携わる人材の専門性の確立を重視する観点から、効率的かつ効果的 に介護労働者の能力開発を行う。その際、民間教育訓練機関の積極的活用についても配 慮を行う。  また、公共職業訓練では、民間教育訓練機関等を活用した委託訓練等により、介護分 野における人材需要に対応した育成対策を推進するとしています。  (2)については、「介護・福祉関係の教育訓練講座等の指定」を記述しています。  13頁です。第五として「その他介護労働者の福祉の増進を図るために講じようとする 施策の基本となるべき事項」として掲げています。  14頁ですが、1として「介護分野における労働力需給調整機能の整備」といった形で、 福祉重点ハローワークにおける情報提供や民間の職業紹介事業者等による効果的な労働 力需給調整機能が発揮されるようにしていくことが必要である、といった趣旨のことを 記述しています。2として「介護労働者の福祉の増進」という形で施策を記述していま す。  15頁で「関係機関の連携」です。こういった計画に掲げられた施策の効果的な実施を 図るために、厚生労働省、都道府県労働局、公共職業安定所、都道府県、市町村等々が それぞれの長所をいかして、互いに密接な連携を図っていくものとするといった形で、 関係機関の連携について記述したいと考えています。  以上、介護雇用管理改善等計画の素案についてのご説明をさせていただきました。以 上です。 ○諏訪部会長  以上のご説明を踏まえて、皆様にご議論をいただきたいと思います。 ○原委員  いま最後に説明された改正案ですが、条文に沿って質問や意見を申し上げたいと思い ます。まず、2頁の第一で「計画策定の目的」ということで、「厳しい労働環境にある、 定着率が低い」という記述は当然のことなのですが、それを踏まえて「介護労働者が誇 りを持って生き生きとその能力を発揮して働くことができるよう」と、まさにこういう ふうにしてもらわないと困るわけですが、介護雇用管理改善計画等でいろいろ述べられ ておりますが、これはこれで必要なことだと思うのですが、この部会のテーマかどうか は別にしても、文章どおり、労働者が誇りを持って生き生きとその能力を発揮していく ことが、果たしてこれでできるのかということに関しては、非常に心配な点があります。  そういう意味で、いちばんの決め手は、この部会のテーマではないかもしれませんが、 賃金そのものの水準が圧倒的に低いという問題があるのではないかと思います。求人雑 誌等を見ても、例えば介護スタッフ(パート)で時間給800円から1,000円だとか、そ ういうのが一般的ですし、こういうレベルでは「誇りを持って働く」ということにはな らないのではないかと思うのです。今日述べられている改善計画というのはそれぞれ大 事なことだと思うのですが、いかに介護労働者に対する社会的な評価を高めるか、そし て資格制度と結び付いた形で、能力アップと賃金保障をどのようにするのか、そういう 根本的な施策が非常に重要ではないかと思うのです。  ある業者は、求人広告にも「ヘルパー2級は1,200円から、ヘルパー1級は1,300円 から、介護福祉士は1,400円から、ケアマネージャーは1,700円から」ということで、 こういう形の募集をしているわけです。これはこれで非常にいいと思いますが、この水 準そのものがまだまだ低いという問題があると思います。こういった問題についても、 この部会でやるかどうかは別にしても、そういう問題点があるということを私は痛感し ています。  そういう意味で、3頁のいちばん最初の行の「介護労働者の雇用管理の改善や能力開 発・向上を図っていくことが喫緊の課題となっている」とありますが、そういう意味で は、2級から1級、1級から介護福祉士という形で能力をアップしていけば、こういう ふうに賃金が上がるということで誘導しながらも、本人に対する、個人に対する、研修 に対する援助といった抜本策が必要だと思います。  3点目ですが、7頁に第四というのがあって、最終行にあるのですが、「さらに、介護 労働者の雇用管理改善のためには、事業主の理解を高め、雇用管理改善に取り組んでい こうとする気運を醸成するとともに」と書かれていますが、はっきり言いまして、これ はなかなかきれい事であって難しいと思うのです。日本に限らないと思うのですが、最 低規制と言うか、労働組合との関係における規制、法律面における規制といったものが ないと、事業主の理解をどう高めるのかわかりませんが、そういうのは極端に言えば無 理、空論ではないかと思います。  4点目ですが、8頁の(1)の(3)です。別のところで実態調査をつぶさにやるという ことで、非常に大事なことだと思います。「介護分野の団体、事業者と行政との間で直接 意見交換等検討の場を設け」と書いていますが、実態調査の関係で、直接介護労働者に アンケートなり意見を聞くことと同時に、当該の労働団体もあるわけなので、そういっ た労働団体に対するヒアリング等も想定されているのか、それがなかったら連合傘下に 限らず労働団体に対するヒアリング等をやるべきではないかと思います。 ○需給調整事業課長  いちばん最後の点がご質問だと思いますので、そちらから申し上げます。いまの実態 調査の関係はもちろんのことですが、雇用管理モデルの検討をどういう形で具体的に進 めていくかは、私どももこれから具体的に詰めていこうと思っています。このモデルの 策定に当たっては、いま予定しているのは、私ども行政も労働関係部局だけではなく、 福祉関係部局、そういった関係部局も集まったり、事業主、事業主団体の方で、うまく 雇用管理をされているようなところから好事例的なものを引き出しながら、具体的にど う雇用管理をうまく進めていくかを事業主の多くの方々にフィードバックしていこうと いうことなので、うまくやられている好事例を引き出す中で、当該事業主、事業主団体 の中で労働者のご意見がうまく引き出せていれば、そういう形での進め方でやっていけ るのではないかと考えていたのですが、いま原委員のおっしゃったようなご意見も、検 討会を進めていく中で、それだけでは不十分で、直接的に労働者の方の現状も聞いてみ る必要があるのではないかという話が検討会のメンバーの中から出てくれば、そういう 進め方も一考かと考えています。  ご意見という形で出てきた点については、今日部会の委員の方々のご意見をと考えて いるのですが、事務局としてのコメントを併せてさせていただきますと、1点目と2点 目は同じような全体のご指摘かなと思っています。私どもは実態調査の把握をしていく 中で、介護労働者の方々の報酬、賃金を取り巻く状況の把握には努めているのですが、 賃金の比較というのも、働いておられる時間であったり、形態であったりもあるので、 一概に水準レベルをどういう形で比較するかはなかなか難しい部分があるかと思ってい ます。ただ、介護事業者の方々の中で、賃金を、介護報酬、介護保険という制度の中で、 どうやって労使で決定されていくかということに当たっては、雇用管理をどううまくや っていくかも含めて、いろいろな情報が必要になってくることもあるので、実態調査を きめ細かくしていく中で、そういった相場感も情報提供という形でお与えしながら、事 業主の中での労使の賃金の決定の役に立つようなことも含めて、大きな意味での雇用管 理改善をし、労働者が誇りを持って、やる気を持って働いていただけるような形につな がらないかということで考えています。  賃金、報酬の問題については、介護保険、介護報酬あるいは介護報酬の水準について も、先般の平成18年度の報酬改定についても、社会保障制度審議会の部会でもご議論 はされたわけですが、また一方で、保険料負担、法律でも被保険者の範囲であったり、 受給者の範囲というものも規定化されて、今後検討ということもなされていますが、そ ういったところにもかかわるということで、私どもとしても、施策あるいはこういう計 画の中で盛り込むということで、直接的に書くのは難しいかということで、このような 表現に留めている部分です。  3点目については、いまの点にも似通ってくるのですが、介護労働者の雇用管理の改 善を図っていこうということで、事業主の取組みをどういう形で、国として、全体とし て支援し、援助していくかというものが、介護労働者の雇用管理改善の法律の全体を流 れる考え方というか、スキームとなっています。いま原委員がご指摘になったような規 制という形になってきますと、どういうレベルの規制をするかということになると、労 働基準、最低基準という意味での規制が一方にある中で、さらに、雇用管理の改善を図 っていくことになってくると、事業主の方にご理解をいただきつつ、実際に認識を持っ ていただき、進めていくということが肝要かということで、事務局としてはこのような 表現にしているということで、これからの委員の方々のご議論の参考として、コメント をさせていただきました。 ○郷農委員  私ども雇用者側として、私は介護関係の事業をしているのではないのですが、せっか く国のほうで助成金をくださるという案が出ているときに、実際に助成金を受けようと しても、フォーマットを手に入れたり、申請のプロセスが難しかったりして、中小企業 には申請をする労働力を確保するのも難しい場合がありますので、例えばインターネッ トを通してフォーマットがさらっと出てきてくれるとか、わざわざ介護センターにもら いに行かなくてもいいような仕組みをつくっていただきたいということがお願い事です。  それから、目的はわかるのですが、目標がどのくらいのところに設定されているのか を教えていただきたいです。例えば10年後に500万人になるというようなときに、現 状でもそうなのですが、被介護者に対して介護福祉に当たる人口が何対何人ぐらいが望 ましいと国は考えていらっしゃるのでしょうか。  それから離職率に関してですが、男女比、それから介護労働者の年齢のデータはあり ますでしょうか。あるのでしたら知りたいのですが。どうしてそんな離職率を心配なさ るのかなと思って。実際に見ていますと、高齢者に対して準高齢者ぐらいの人が介護に 当たっているようなことがあって、腰痛になってしまうのではないかという心配もしま すので、介護に当たっている人たちの男女比、年齢比のデータがあれば、より対策を立 てやすいのではないかと思いました。 ○北村委員  いまの郷農委員のご意見に賛成です。というのは、この案を拝見して私が思ったのは、 量から質へ転換する時期がきたのかという感じですが、それにしてはマーケットの飽和 状態が見えないのです。一体どの程度の需要があって、どの程度それがカバーされてい るのかというのが、全体として見えにくいので、数があったら教えていただきたいと思 います。  実際にヘルパーの資格を取る方というのは、私の見聞きする範囲では、必ずしも職業 として成立させようと思っておられる方ばかりではないのです。親族のケアのために技 術として身につけたいという方もいるので、そういう方はデータの上でどうやって処理 したらいいものなのかという考え方が1つあります。  さらに言うと、あらゆる職業に言えることだと思うのですが、資格を取っておけば安 心だという気分がありますと、求職している人はこれがいまトレンドだと思うと、結構 エネルギーと時間をかけて資格を取ったりするのですが、結果的に余ってしまう。こう いうことは、いままで、そのときそのときのお仕事のトレンドであったように思うので す。いま、団塊世代が退職するということがよく言われていますが、2007年に向けて、 男性でもヘルパーの資格ぐらいは取っておきたいという方が現われてきて、マーケット のバランスを見ながら資格を取る条件を整えて差し上げないと、先ほど原委員からご指 摘があったように、市場で供給側がジャブジャブになって、結果的に非常に安い労働を 強いるようになるのではないかと懸念しております。 ○諏訪部会長  いまの郷農委員と北村委員のご質問に関連したようなご質問はありますか、よろしい ですか。それでは両委員からのご質問にお答えください。 ○需給調整事業課長  先ほど質問のありました、従事者の男女比、年齢の関係は後でまとめてお答えさせて いただきます。郷農委員の1点目の助成金については、使いやすく、わかりやすく、ま た申請しやすくという点についてですが、これについてはまさしく、ご指摘はごもっと もの点で、私ども今般、平成18年度に向けて助成金の見直し、これは雇用保険三事業 の事業評価の一環として、制度の内容についても見直しを図って、効果も出るように、 あるいは事業主の方も含めて、そういう取組みをしようと思われている方に、使いやす いものになるようにという形の見直しも行っているわけです。それ以前の問題として、 当該助成金をよく知っていただく、いろいろな形のものを私ども介護センター等で支給 事務をしているのですが、アプローチをしやすくというのはご指摘のとおりですので、 周知その他については、遅ればせながらですが、去年の部会等でもご指摘をいただいた りしておりまして、介護労働安定センター等でも、統計情報、データも含めて、インタ ーネット、ホームページでの情報のフィードバックについても、いま措置をしていると ころです。先ほどおっしゃられたフォーマットの点などについても、さらに工夫をして いきたいと思っています。  2つ目の点は、マンパワーの点で、北村委員とオーバーラップしている点があろうか と思うのですが、正直申し上げまして、全体としてのマンパワー、ここで資料としても、 介護労働需要が高齢者需要も含めて、こういう形で増えていくだろうという需要見通し については、私どもの介護担当部局のほう、あるいは高齢者福祉担当部局のほうでも出 しているのですが、具体的には、従前、ゴールドプランあるいはゴールドプランの新プ ランのような形の計画は、私どもの介護担当のほうでもいま立てていない状況で、私ど もとして、全体としてどういう形でのマンパワーを確保しようとしているか、必要があ るかというところの計画はないのですが、実際に、これは北村委員がおっしゃった点に かかわるのですが、先ほど申し上げたような、有資格者が多数いるという点については、 まさしく委員がご指摘のとおり、ご家族のためという方も実はおられるでしょう。  それから、雇用情勢がここ数年非常に厳しかったものですから、いろいろ離転職、あ るいはいざとなったときのために資格を取っておこうという傾向があったというのも、 個々の情報としては聞いてはいるのですが、私どもの介護担当あるいは資格担当のほう で持っている登録者、修了者の中で、それがどの程度の割合かについては、資格を取っ たインセンティブと申しますか、意味合いといったことについての調査の比率がないも のですから、ちょっと正確にはわからないというお答えになってしまいます。  ただ、そういうことが1点ある中で、実は個々の事業者の方々に聞いてみると、いざ となってヘルパー2級の方を雇おうと思っても、実はなかなか人がすぐ集まらないとい うような声があるのも事実で、実際、全体としての部分と需給マッチングをどううまく 進めていくかという、個々の部分は、また違った次元での問題があるのかなということ で、私どもは認識しています。  最後に、男女あるいは性別の人数については、篠崎のほうからご説明します。 ○篠崎課長補佐  全体で平成16年12月現在での調査で把握したものですが、性別で見ると、男性が 15.6%、女性が81.6%という形で、絶対量としては女性が多いということです。これを 年齢別に見ますと、女性については、40代が25.7%、50代が25.3%ということで、各 年齢分散はしているのですが、比較的中年層が多いということです。  一方、男性について見ると、20代が36.9%、30代が29.9%という形で、男性を見る と、若い人がかなり充実しているという状況になっております。以上です。 ○諏訪部会長  いまのご説明に関して、さらに補足的にご質問ありませんか。成宮委員、どうぞ。 ○成宮委員  いまお2人の委員から、需要と供給の観点からの、そこをちょっと抑えてかからない と、どういうスタンスで考えていけばいいのかというところにかかってきますねという 問題意識だと思うのです。その関連で、逆に介護ニーズという需要と、それに応じるた めの介護人員という供給ですが、介護人員に労働者を供給する、労働力全体の状況がど うなっていくか。それで、日本の人口はこれから減っていきますし、介護需要はおそら く増えていく。増えていくから、それに対する供給を何とかしなければ困るよねという のはそのとおりですが、本当に何とかできるだけの介護人員の供給をするバックの、日 本全体の労働力というものが無尽蔵にあるわけではないですから、そういうことを考え ると、やはりどちらにしても質を高めていって、そこのギャップが生まれないように、 質の面で埋めていくという方向の努力に、少しシフトしていかなければいけないのでは ないかという問題意識は、いまのお二方のご指摘をもっともだと思いながら、やはり持 っていたほうがいいのかなという気がいたしました。 ○諏訪部会長  成瀬委員、どうぞ。 ○成瀬委員  最初の原委員の発言と重複する部分もあるのですが、何点か細かい点も含めて、意見・ 質問混在しますが、発言させていただきます。先ほどの課長の説明で考え方はわかった のですが、要は、1つには介護労働者の労働条件の関係です。資料1の38頁の「満足 度」を見ても、施設系・入所系・通所系の表のほうで、「賃金・収入」の満足度、この分 類の中では最低なわけです。一方、その次の39頁の「悩み・不安・不満」、同じく「施 設入所系・通所系」というところを見ると、「賃金が安い」というのは、こっちは最大な わけです。  ところが、この介護雇用管理改善等計画(素案)のほうの7頁の第四の1で、最初、 現状認識というような感じで書いてあるのですが、肉体的負担が大きいとか、精神的負 担、不規則な労働時間、健康面に不安、精神的にきつい。こういうことは、くどくどと は言いませんが、全部一応網羅的に書いてありながら、なぜか賃金ということだけ意識 的、意図的に避けているというのは、これははっきり言ってフェアではないのではない かと思います。  ですから、いろいろ事情はあるのでしょうけれども、口頭での説明は、それはそれで わかるのですが、それはやはり、フェアな取り上げ方をしていただきたいというのが、 1つ目の要望です。  2つ目は質問ということになるかもしれませんが、資料2の8頁から9頁になるとこ ろ、(3)の「介護分野の団体、事業者と行政との間で云々。雇用管理改善を進める参考と なるモデルをつくり」とあります。これは資料1の43頁の真ん中あたりに出てくる「雇 用管理モデルの策定の検討を行う」というのとイコールだとは思うのですが、この中に、 賃金を中心とする労働条件についても、このモデルの中に含まれているのかどうなのか。 そのお考えを聞きたいというのが2点目です。  残り、ちょっと細かい点も含めて申し上げますと、まず資料2の素案のほうから、5 頁の真ん中あたりです。2の「介護労働者の供給の見通し」ということで、「労働力人口 全体については」というところですが、人口減少については、人口予測から出てくるの で、当然減少すると見込まれるわけですが、「若者、女性、高齢者等への就職支援を行い、 より多くの者が働くことが可能となることにより」とあります。厚生労働行政の目標と して、そのようにするというのはもちろんわかるのですが、この表現は、あたかも何か、 自動的にそういうことが可能となるというような印象を受けるので、そこは表現を工夫 していただきたい。「可能となる」ではなくて、「可能とする」ではないでしょうか。例 えば、そういうふうに考えるべきではないかと思います。  4点目は、7頁になりますが、「計画の到達目標」とあります。到達目標を掲げるのは 非常によいことだと思いまして、こういう目標管理をいろいろな施策に対してすべきだ と思いますが、先ほどの具体例の中で、離職率の低減、20%をできるだけ下回るという ような例が出されましたが、できるだけというのは、18%なのか16%なのか全くわから ないわけで、到達したかどうかがわかるような目標でないと、到達目標とは言わないだ ろうと思いますので、そこは是非、そういうご認識でお願いしたいと思います。  資料1に移って、まず35頁です。これは37頁とかほかの所にも随所に出てくるので すが、介護労働安定センターがこういうふうに用語を使っているからといわれれば、そ ういうことなのでしょうけれども、「正社員」「非正社員」という用語を、やはり厚生労 働行政としては、安易に使うべきではないと思います。おそらくこれは、雇用形態に即 してこういう区分をしているのだと予想はしておりますが、仮に使わざるを得ないとし ても、正社員の定義は何なのか。雇用の期間の定めのないそういう雇用契約の労働者の ことを言っているのか、あるいはまた違う意味で言っているのか、その辺をはっきりさ せたほうがよいのではないかと思います。  それから資料1の43頁、あまり詳細な説明はなかったのですが、1の(1)の(2)と いうことで、「介護雇用管理助成金」、平成18年度このように変えるということで、線 が引いてあります。その中で、「計画期間内に雇用保険被保険者が1人以上増加している ことを廃止し」とあります。聞くところによると、介護の事業者については、小規模な 所が多いということで、雇用保険被保険者1人以上増加させるのは困難で、なかなかハ ードルとして高いということは、そこは理解できますが、これは全く廃止するのではな くて、少なくとも雇用保険被保険者数を維持するというくらいの要件は残すべきだと思 います。離職率が高いということで、自己都合で辞める方もあるとは思うのですが、自 己都合で辞めた場合にも、必ずその欠員は補充するというくらいの姿勢を、やはり助成 金を受給する事業者はすべきではないかと考える次第です。  最後に、説明はなかったのですが、45頁、46頁の関係です。雇用保険三事業の関係 なので、あまり詳細に説明されなかったのかもしれませんが、45頁の1つ目の「介護基 盤人材確保助成金」の関係です。平成16年度目標という所を見ていただくと、「雇用増 加数2.5人程度」となっております。その右側、実績、「目標の達成度合」ということで、 実績13.3人、これは掲げる目標としてはあまりに小さすぎたのではないかと思います。 にもかかわらず平成17年度目標が3人以上というのは、これまた遠慮しすぎたのでは ないか。いまの時期にこんなことを言って申しわけないのですが、本来であれば、もっ と高い目標を掲げるべきだったのではないかと思います。  それから、その下の「介護雇用管理助成金」、次頁の「介護能力開発給付金」というこ とで、平成18年度、統合される予定のようですが、こちらのほうで、目標として離職 率の低下ということを挙げておりますが、この助成金の内容からして、なかなか離職率 に直接つながりにくいというのが正直なところだろうと思うのです。助成金の内容とい うか、いろいろな施策の内容と、立てる目標の種類というか、その辺がミスマッチでは ないか。この助成金であれば、もっと違う種類の目標を立てるべきですし、離職率の低 下を目ざすのであれば、それはもっと違う施策が出てくるべきではないか。それはこの 全体の計画の中であるのだと言われればそれまでなのですが、その辺も意見として申し 上げておきますので、よろしくご検討をお願いします。 ○諏訪部会長  関連して山川委員どうぞ。 ○山川委員  いまのに関連して1、2点申し上げたいと思います。大変厳しい環境にあるという指 摘の中にもかかわらず、労働者が誇りを持って生き生きとその能力を発揮していくこと ということで、私もこの資料をもらって愕然としたのは、何といっても38頁の満足度、 39頁の不満なわけです。賃金・収入については、原委員が含めて申し上げたので、私か らは申し上げませんが、労働時間の管理に関して、かなり満足度が低いし、かつ、不満 も高いというところから、そうした面での施策をどういう形にするのか、モデル等で表 していくのか。労働時間管理については法制的な問題ももちろん最低基準としてあると 思いますが、望ましい形をモデル的に優良な事業所を紹介する等、いろいろな方法があ るのではないかと思います。  併せて施策として、労働環境の改善、併せて教育訓練の実施とか研修等が行われるよ うになっていますが、動機づけといいますか、研修して、研修すればどうなるのかとい うところがやはりないと。何も変わらないということでは、意欲をもって研修に当たる こともできないわけですから、これもモデルなり、典型事業等で示すのかどうかわかり ませんけれども、いずれにしてもそういうものが資格に結び付き、かつ報酬等に結び付 いていくものにならないと、提供する側も受ける側も本気にはなりにくいのではないか と思います。その意味で、介護報酬等いろいろな問題があるのは承知していますが、い ずれにしても処遇体系については、具体的な仕事の内容、その資格要件、あるいは発揮 した実績等に基づいて、きちっと処遇されていくようなものを提起できるようにしてい ただきたい。たくさん出せということも、もちろんこの不満からいうとそうなのですが、 そうした面についても配慮する必要があるのではないか。特に、具体的にそうした事業 に携わっている労働者なり労働組合の事細かなそういう問題指摘を受けて、やはりきち っとやる必要があるのかなと思っておりますので、よろしくお願いします。 ○諏訪部会長  ほかに関係してありますか。それでは、いままでの部分について、まとめてお答えい ただきたいと思います。 ○需給調整事業課長  相当複数ありましたので、抜けていたらまた言っていただくことと、あと、あくまで 事務局としてのコメントですので、また委員各位のご議論の参考にしていただければと 思う点もありますので、その点をご了解いただきたいと思います。  成瀬委員からの、1点目のところで、賃金についてのところがフェアでないのではと いうお話がありましたが、私どもとしては、できるだけ今回の計画も、具体的な施策で あったり、後のそういう、国として、あるいは事業主に対する支援の施策としてつなが るようなものの要因となる部分の現状として、そこの健康についての不満の割合等々も 書いて、それについての健康確保の支援をいろいろな形でやっていく必要があるだろう という記述の流れにしたつもりです。  資料にも付けており、委員のほうからもご指摘のあった「満足度」のところについて、 賃金の問題についての不満が高いというところは、そのとおりの数字なのですが、何分 あそこの部分は意識調査であり、先ほども原委員のご意見に対してもお答えしたように、 それではどういうレベルの水準にもっていくのか、それに向けてどういう形でやってい くのかというような形での、私ども国としての支援につながるような施策という部分も、 やはり労使で賃金を決定していただくという根底の部分からいくと、なかなか書きづら いのかなということで書いていないということが1点あります。  先ほど、雇用管理モデルについての事業の中で、参考となるモデルとして、賃金を中 心にした労働条件についてはどうするのかということですが、これも先ほどの点と同じ く、どういうモデルをつくっていくかということはこれからということで、具体的には なるのですが、具体的なイメージとしては、まさしくいまちょうど山川委員からもお話 があったように、例えば労働時間の管理とか、そういった雇用管理、労働時間の管理と いうようなこと、あるいは能力開発をどういう形でやっていくかというようなことを、 うまくやっているような事例等を使いながら、雇用管理モデルをつくっていくことが、 私どものイメージとしてはあるわけです。  ですから、そういった流れの中で、賃金そのものの水準をということではなくて、例 えば労働時間の管理であったり、そういう流れの中で、賃金に派生していくというよう なことはあり得るのかなと思いますが、賃金そのものという形でのモデルというのは、 なかなか難しいかなと思っております。  ただ、実際上、雇用管理モデルをつくっていく中で、例えば登録型のヘルパーの問題 であったり、月給制にするとかという、賃金の決め方をどうするかというようなことは、 最低労働基準とは別に、どういう働き方についてどういう雇用管理の仕方という形では 出てくる可能性はあると思うのですが、全体、限られた時間で限られたモデルを、あま りに網羅的なモデルとなると、薄く広くとなると、各事業主にフィードバックするにも、 あまりに参考とならないようなものでもいけないと思いますので、そこはちょっと具体 的なモデルづくりの議論の導入の部分で、どれを優先してモデルづくりをしていこうか と考えております。  それから、労働供給の見通しのところについては、昨年私どものほうでいろいろお願 いした研究会の報告等で、高齢者とか、労働力人口が減っていく中で、高齢者の方も含 めた労働力率を上げることが必要で、そういうことをしないと、全体として我が国の経 済活力の停滞ということになるということで、私どもとしては、各般の施策に今般取り 組むことにしておりますので、国の計画として立てるということで、私どもの姿勢、あ るいは「取り組むということで可能となることにより」という表現にしたというのが、 私ども事務局としての考え方です。  到達目標について、先ほど篠崎のほうから、離職率の点について、20%をできるだけ 下回るということで言った点について、具体的にということについては、これはまさし く皆様方のご意見も今日お伺いしながら、また詰めていきたいと思うのですが、なかな か具体的にこの数字ということの根拠づけも含めて、我々として示すのが難しいかなと いうことで、先ほどの口頭の説明になった次第です。  35頁の資料の中の「非正社員」という問題については、これも介護労働安定センター の調査では、非正社員では、雇用期間が定められているものという形で定義づけている のですが、まさしくどういうものが当たるのかというような定義がコメントとして書い ていないということについては、今後そういうことがわかるような形で、然るべき提示 をしたいと思っております。  あと、若干個別の施策の点についてありましたが、ごく簡単に触れさせていただきま すと、43頁、45頁の助成金等の見直しの点ですが、今後また雇用保険法施行規則のご 議論ということにもなるのですが、安定分科会のほうで、私どもとしては、全体、今回 の助成金の見直しに当たって、今回の計画の見直しと同じような形の観点に立って、雇 用管理改善、あるいは能力開発ということを、積極的に計画をつくって、都道府県知事 の認定を受けて、それで取組みをされるということであれば、全体として雇用保険被保 険者の方を増やす必要はないだろうということで、その要件を削除ということにしたの ですが、委員ご指摘の危惧の点についていくと、まさしく助成金を支給するということ なので、計画期間中、あるいは申請に当たって、事業主都合で離職させるというような ことについては、それは助成金の仕組みとして、支給要件としてはもちろん適さないと いうことで、駄目という形にいまもしておりますし、それは継続したいと思っています。 しかし、自己都合で辞められた方についてということになると、なかなか。現実にそう いう雇用管理改善、あるいは能力開発という取組みを、事業主が積極的にやられている 中で、まさしく事業主によらない、個々の労働者がお一方辞められたという点をもって のみで、そういう取組みをバックアップできないということは、いかがかなということ で、私どもとしてはそのような補充要件は課していないという考え方ですので、その点 でご理解をいただければと思っています。  三事業の目標管理設定については、実はこの平成16年度、17年度の目標設定が、こ の45頁には書かれてあるのですが、目標の設定については、アウトカム目標という形 で、数値目標を立てるので、我々もいろいろなアイデアを出したりしながら、いかにこ の助成金の効果分析に役立つかということで立てているのですが、なかなかその点で、 そういう数値目標を立てることの難しさということがあって、このような結果にはなっ ているのですが、1点申し上げますと、基盤人材助成金については、先ほど篠崎のほう からご説明しましたように、平成18年度以降については、相当大幅な制度見直しを行 うということもありますので、またその全体の目標設定については検討しなければいけ ないと考えております。  平成17年度については、もっと高い目標とすべきではなかったのかという点につい ては、平成16年度の状況も、参考値という形で、そこにお示ししているように、目標 達成状況というのも、サンプル値で取っている部分もあるので、あまりに大きく目標を 高く設定することについての判断、決断がつかなかったということです。制度見直しも 念頭に置いていたということもあってということになっておりますが、今後については また検討したいと思っております。介護雇用管理助成金についても、離職率以外がない かという点については、引き続き検討したいと思っております。  山川委員のご意見については、先ほどの雇用管理モデル等の安定について、併せてお 答えさせていただきましたので、以上でよろしくお願いいたします。 ○職業安定局次長  先ほど、賃金の問題についていろいろなご意見があったわけですが、課長のほうから もご説明しましたとおり、賃金そのものについて、直接ああだこうだというのは、なか なか難しい面があるわけです。ただ、介護分野で働いておられる方々の離職率が非常に 高い。その背景には、労働条件の問題が当然あるわけです。賃金という問題を考えると きに、私どももいろいろ現場現場でお伺いする、あるいはハローワークの職業紹介の現 場でも、実際になかなか充足しない背景事情とかいろいろお聞きしますと、賃金のレベ ルそのものが直接どうとかこうとかということ以上に、実は介護労働の現場における働 き方、あるいは働かせ方、あるいは介護労働に避けて通れないさまざまな特性、夜勤の 問題とか、あるいは訪問介護であれば、1人で要介護者の所に行くという問題、そうい う、他の働き方、働かせ方とは異なる特性なり、あるいは現状のかなりの労働の厳しさ というものとの比較で、賃金というものが必ずしも十分ではないのではないか。こうい う受け止め方がおそらく一般的なのではないかと思うわけです。  そういう意味で、介護労働という、避けて通れない特性を踏まえつつも、やはり労働 者の働き方、働かせ方というものも、もう少し改善していく道をやはり取っていくとい う中で、賃金というものも考えていく必要が、おそらくあるのだろうと思っています。 賃金そのものを単独で取り出して、どうとかこうとかというのは、非常に難しいものが あるのではないかと、実は受け止めているところです。そういう意味で、今回の計画も、 まさに雇用管理の改善をどう進めていくか。そういう中で、介護労働で働こうという、 特に若い人の意識というのは、やはり使命感をもって入ってこられる方も非常に多いわ けです。しかし、結果としてかなり早期に辞める方もおられる。こういう問題を、介護 労働という特性を踏まえながら、果たして雇用管理の改善を努力する中で、労働者の満 足度をいかに高めていくか。これは賃金を含めて、トータルとして、どう満足を高めて いくかによって、まさに介護労働というものも、安定した雇用の場にしていけるか。こ こが大きなポイントなのではないかと思っています。 ○諏訪部会長  ほかにご意見ありますか。野村委員、どうぞ。 ○野村委員  各論については、すでに労働側委員のほうから、それぞれ質問、意見等で出されてお りますので、私のほうからは、少し総論的になりますが、基本的な考え方等について何 点か意見を述べさせていただきたいと思っております。  今回の改正に当たっては、厳しい労働環境、また低い定着率、この改善を求めていこ うというのが主要課題になっているわけですが、この課題を解決していくためには、ま ず介護労働者の雇用の安定、確保、また、賃金、労働時間をはじめとした総合労働条件 改善に向けた取組みを重視しながら、推進していくということを、まず政労使が一体と なって、基本的認識を一致することが必要だろうと考えております。  また、改正の目的の中では、すでに何回か触れられておりますが、介護労働者が誇り を持って生き生きとその能力を発揮し働くことができるようにする、と記載されている わけですが、この目的を実現するためには、介護労働者の社会的位置づけ、ステータス というものをしっかり確立することが重要だろうと思っておりますし、併せて労働環境 の整備、このことも急務な課題だろうと認識しております。特に、先ほども男性の従事 者というのは、20代、30代が多数を占めているという報告もありましたが、とりわけ この介護労働に従事するコア労働者が、この産業に生涯を託し、安定的な生活を営むこ とができるような産業構造、また労働環境、こういうものの確立が必要だろうと思って おります。  また、計画目標と実績評価等々で、それぞれ目標の数値が出てくるわけですが、当然 その数値というものの達成、また達成率というのは、大変重要なわけではありますが、 また一方、その事業の目的、必要性等もしっかり精査しながら、単に数字にこだわるこ となく、事業全体を評価する。そういうシステムもしっかり検討していただきたいと思 っております。とりわけ、いま、とかく数字というものが重要視されるわけですが、や はり数字に反映しないところで、いろいろな意味での必要性、役割というものが当然あ ると思いますので、そういうことも是非事業評価の中のシステムの中に入れていただき たいと思っております。  助成金制度については、特に助成金が活用されない原因、理由の中には、使いづらさ、 認知度の低さ等もあるわけですが、助成金については、必要性、費用対効果、こういう ものもしっかり精査をしていただきながら、助成金制度が有効に活用されるために、周 知徹底を含めたあらゆる方策、施策を検討していくことが必要だろうと思っております。  また助成金については、特に介護・福祉分野の事業特性も踏まえながら、事業主を中 心とした支援制度というものが中心になっているわけですが、特に教育訓練、資格取得 等に対する費用補助など、労働者個人への支援というものに重きを置いた、力点を置い た制度の見直しというものも検討する必要があるだろうと考えております。  あと、「公的資格制度の確立」についても、すでに触れられておりますが、資格に応じ た賃金体系の確立など、労働条件改善にもつながる要素ですので、この公的資格制度と いうものは、しっかり確立していく必要があるだろうと思っております。  また、訓練制度の中で、民間委託施設で実施することがあるわけですが、その際に、 この委託機関に対する行政の役割、責任、こういうものを明確化しておく必要があるだ ろうと思います。とかく、いま、委託事業とか委任事業とか、民間にいろいろなもので 開放されている部分がありますが、その際に公的な行政の責任・役割と、委託を受けた 民間業者の責任・役割、こういうものが不明確な中で、ある意味ではその責任体制がは っきりしてこないというような問題も多々出てきているわけですから、そういう意味で は、行政の役割というものについて、しっかり責任と役割を明確化することが必要だろ うと思いますし、とりわけ、この手の民間の委託機関に対しては、その組織なり、また はその組織の経営状況、また実際そこで行われている教育プログラムや内容、実施状況、 こういうものをしっかりチェック、評価をして、それぞれ厳格な対応を図っていくこと が必要だと思っています。  介護労働者の労働環境は、本来であれば労使がしっかり議論をし改善していくという のが基本的な役割だろうと認識しております。したがって、行政の役割としては、この 労使の実質的な努力、そういうものを促すバックアップ的な政策、こういうものが肝要 だろうと私は思っておりますし、とりわけ企業に対する取組みとしては、職能団体等の 育成強化を施策の中心に当てていただいて、労使がしっかり労働関係改善の議論ができ るようなテーブルづくり、そういうものをバックアップしていただければと思っており ます。  最後になりますが、介護福祉産業、極めて労働集約型産業であり、また中小零細がほ とんどという状況にあります。したがって、労働環境はいまだ未整備といえると思いま す。そういう状況の中では、とかく、言葉は適切かどうかわかりませんが、不良不適格 業者の参入余地も多いのではないかと受け止めております。したがって、行政の役割と しては、その手の不良不適格業者の参入ができないように、しっかり厳格な対応に取り 組んでいっていただければありがたいと思っております。  以上、何点か総論的な意見として述べさせていただきました。 ○諏訪部会長  原委員、どうぞ。 ○原委員  次回までに是非検討していただきたいことを改めて申し上げますと、「雇用管理の改 善」ということを掲げているわけですが、やはり最大の雇用管理の改善、究極の雇用管 理の改善は、やはり賃金問題だと思うのです。ですから、今回それをどうこうするとい うことではなくても、そういう課題があるということは、やはり厚生労働省としては認 識していただいて、課題は文書で明示するということで、ご検討を是非お願いしたい。 今回の部会でどうこうということはないのですが、そういう問題がある。究極の雇用管 理の改善策は賃金だと思います。 ○諏訪部会長  それでは樋渡委員、お願いします。 ○樋渡委員  実は計画到達目標の件ですが、7頁で、「例えば」ということで3つ掲げられているの ですが、これが全部目標になるのか、それとも、議論の結果その中のいくつかというこ とになるのかというのがまず1つです。それから、離職率の数字について、先ほど20% をできるだけ下回るというようなお話がありましたが、これはやはり、経済環境、労働 力の需給環境によって、すごく左右される話だと思うのです。そこが、20がいいのか、 先ほど平均で16%ということでしたけれども、それでは、その16がいいのかというよ うなことに、多分なると思うのです。それは、あまり具体的にするのもどうかなという のが1つです。  賃金については、今回この審議会で議論するのは、介護労働者の雇用管理改善全般に ついて、どのような方法がいいのかということを1つ指針として示すということであろ うかと思いますので、賃金の水準そのものを取って、そこを高い低いということを議論 するというのは、ちょっと筋が違うのかなという感じはしております。 ○諏訪部会長  それではいまの質問の部分でお願いします。 ○需給調整事業課長  1点のみ、いちばん冒頭の樋渡委員のご質問の点ですが、7頁に掲げた計画の到達目 標ということで、事務局としては「例えば」ということで挙げている3つは、いろいろ それぞれ捉え方はあるのですが、1つに限るということではなくて、このような目標を いくつか、並列でもいいし、2つでもいいし、皆さんのご議論の参考となるという形で 出したのですが、事務局としては3つ掲げても構わないかなということも含めてご提示 しているものです。 ○諏訪部会長  大橋委員、どうぞ。 ○大橋委員  これは改正の方向について、別に異論があるわけではないのですが、その必要性を説 くときに、必ずしも、ちょっと何となく違和感があるのは否めないと思うのです。それ は、介護の必要性が、例えば介護が必要な高齢者が400万人とか500万人という数字が ある一方で、労働力人口が減少していく。  その一方で、逆に、それでは介護労働者は少ないのかというと、有資格者は、ものす ごく、現在従事している人以上に、はるかに多いというようなデータも出てきています。 それで、そういうようなデータ、あるいは不満とか離職率のデータから、結局たどり着 いたところが、労働条件をよくする、あるいは雇用管理をよくする、どうしても賃金の 話が出てこざるを得ないと思うのです。ただ、賃金の話が出てくると、どうして、なぜ この産業で高い賃金が払えないのだろうかという疑問が自ずと出てきてしまうのです。  そうすると、厚生労働省はどうしても労働条件とかそういうところに目が行くと思う のですが、産業、この産業の育成という視点から考えてもよいのではないか。例えばサ ービスの効率化とか、介護サービスの効率化とか、あるいは、こういった施策も、よい 人材を確保するとか、あるいは、まだこれは未成熟な産業ですから、これから産業を発 達させるに当たって、いろいろな雇用管理の方法はあり得るわけですから、そういった ところをよくしていくという視点から、そういった視点のほうが何か説得力が。このデ ータを見たときに、産業として育成していくという視点のほうが、理解しやすいような 気もするのです。  ですから、そういう点では、こういう資料を出されて、もちろん異論はないのですが、 産業としての視点を少し強く出されてもいいのかなと思います。これは、経済産業省の テーマとは限らないのです。だから、そういう視点もあってもよいかなとは思いました。 ○需給調整事業課長  いまの産業の視点ということでは、多少ちょっとということではなくて、私どものほ うで老人保健担当部局等々で、まさしく介護保険であったり、あるいは障害福祉担当の ほうで障害福祉施策等を担当しておりますので、そういった点からいくと、私どもの役 所の中の問題でも、もちろんこの産業をどう振興させていくか、あるいは育てていくか ということは重要なテーマであると思っているのですが、現実には、この私どもの、い ま検討をお願いしているこの介護労働者の雇用管理改善を図るための計画ということの 大本ところが、介護労働者の雇用管理の改善を図るいまの法律の趣旨、目的からいくと、 事業振興産業のどういう育て方というところの観点まではちょっと入っていっていない というところがあります。  ただ、いろいろな施策、あるいは私どもとしてモデルをつくったりしている観点で、 いま先生がおっしゃったような、ポジティブに質のよい人材をどう確保していくか。あ るいは、そういうことが産業そのものを活性化してという、効果的な、効率的な観点に つながっていくかということは、重々注意しながら施策はやっていきたいと思います。 ○諏訪部会長   申しわけないことに、少し時間がオーバーしてしまいましたが、さらに何か、どうし てもというようなご意見がありましたらお願いしたいと思います。よろしいですか。  それでは、本日、非常に多くのご意見が出ました。そこで、こうした意見をよく踏ま えて、事務局におかれましては、この介護雇用管理改善等計画の素案を少し再検討して いただいて、必要な修正等を加えた上で、次回の部会においてさらに再度議論したいと 思っております。  分科会に対して、我々は答申の案をとりまとめることになるわけですから、それへ向 けて、是非また次回ご議論をいただければと思っております。それではほかに特にご意 見がありませんようでしたら、本日の部会はここまでとして、また次回に継続してご議 論をお願いしたいと思います。  本日の会議に関する議事録は、当審議会の運営規定第6条により、会長のほか2人の 委員にご署名をいただくことになっております。つきましては、労働側の野村委員、使 用者側の片野坂委員に、それぞれ署名人になっていただきたいと思いますが、よろしゅ うございますでしょうか。  それでは、お忙しい中恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。以上で、本日 の基本問題部会を終わりにさせていただきます。お忙しいところをご参会いただき、熱 心にご議論いただきましてありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係 〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2 TEL03(5253)1111(内線5747)