06/02/02 薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会 平成18年2月2日議事録 薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年2月2日(木) 10:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(16名)五十音順    青 柳 伸 男、 板 倉 ゆかこ、 岩 月   進、 萩 原 幸 夫、    小宮山 貴 子、 野 中   博、◎松 尾 宣 武、 松 木 則 夫、    望 月 眞 弓、 山 本 信 夫、 山 元   弘    (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順    太 田   宏、 武 政 文 彦、 長 尾   拓、 桃 井 真里子 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川 原   章(審査管理課長)、   紀 平 哲 也(審査管理課補佐)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   岸 田 修 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから一般用医薬品部会を開 催させていただきます。本日はお忙しい中、お集まりを頂きまして誠にありがとうござ います。現在、当部会委員数15名のうち11名の御出席を頂いておりますので、定足数 に達しておりますことを御報告申し上げます。御欠席は太田委員、武政委員、長尾委員、 桃井委員の4名の方でございます。  実は、本日は薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われました後に開催される最初の 一般用部会ということになります。改選が行われた薬事・食品衛生審議会総会でござい ますが、これは昨年の1月31日に開催されておりまして、当部会の部会長といたしまし て松尾委員が選出されておりますので御報告させていただきます。それでは松尾先生、 以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 それでは議事を始めさせていただく前に、部会長代理を決めさせていた だきたいと思います。部会長代理につきましては、審議会のルールにより部会長があら かじめ指名することになっております。私といたしましては、松木委員に部会長代理を お願いしたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。ありがとうございます。 それでは松木先生、こちらの方へお越しください。 ── 松木委員、部会長代理席へ移動 ── ○松尾部会長 それでは本日の議題に入りたいと思います。初めに事務局から資料の御 説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは本日の資料といたしましては、事前に先生方に資料1〜6まで送付 させていただいております。そのほかに当日配付資料をお配りしておりますので、お手 元の方に用意させていただいております。まず最初に議事次第、座席表、委員名簿でご ざいます。そのほかに事前にお配りしております資料1〜4が本日の審議事項、それか ら資料5、6が報告事項となっております。また当日配付資料といたしまして、厚生科 学審議会医薬品販売制度改正検討部会報告書を配付させていただいております。以上が 本日の資料でございます。過不足等がございましたらお知らせいただければと思います。 よろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 皆様のお手元に資料は全部届いておりますでしょうか。御確認いただい たということにして、早速議題に入りたいと思います。初めに議題1につきまして、事 務局から御説明をお願いします。 ○機構 それでは議題1のウィンダム軟膏、ウィンダムクリーム、ウィンダム液ほか12 品目について御説明いたします。一般名はラノコナゾールでございまして、ラノコナゾ ールを成分とする水虫薬のスイッチOTCでございます。  審査報告書に沿って御説明させていただきます。本品はイミダゾール系のラノコナゾ ールを有効成分とするものでございまして、ラノコナゾールは日本農薬株式会社が創製 した化合物でございます。本成分は、医療用医薬品といたしましては平成6年7月に用 法・用量が1日1回、効能・効果が白癬、カンジダ症及び癜風で、アスタットクリーム、 アスタット液の販売名で承認されております。平成15年6月に再審査結果が通知されて おりますが、効能・効果、用法・用量に変更はございませんでした。  提出された資料に関する御説明でございますが、まず物理化学的性質並びに規格及び 試験方法に関する資料でございますけれども、本製剤は医療用と同じものをそのまま一 般用に転用するということでございまして、主として医療用医薬品申請時のデータに基 づいて設定されております。安定性、毒性、薬理作用、吸収・分布・代謝・排泄に関し ましては医療用申請時の資料がやはり提出されております。これらについて特に問題は ございません。臨床試験に関しましては、医療用製剤の申請時の臨床試験データが提出 されておりますことと、市販後の使用成績調査の結果が参考として添付されております。  承認時の臨床試験結果、使用成績調査につきましては、審査報告書の5ページよりまと めております。この中で一般薬として適応となると思われます軽症、中等症の白癬にお いての有効性につきましては、前に若干戻りますけれども、3ページ辺りに概要がまと められております。簡単に申し上げますと、承認時臨床試験におきましては、足白癬で はクリーム剤77.6%、液剤79.9%、軟膏剤69.2%の有効率を示しておりました。体部 白癬に関しましては、クリーム剤85.6%、液剤86.9%、軟膏剤73.3%でございます。 股部白癬に関しましては、クリーム剤91.4%、液剤93.5%、軟膏剤88.9%でございま す。今申し上げましたのが「有効」以上の有効率でございますが、「やや有効」以上の 有効率で見ますといずれの剤型、疾患におきましても90%以上を示してございます。副 作用発現症例率につきましては、承認時臨床試験においてはクリーム剤で1.30%、液剤 で1.65%、軟膏剤で2.21%でございました。  使用成績調査につきまして、やはり軽症及び中等症における評価を見ますと、承認時 と異なりまして3段階評価になっておりまして、「有効」、「不変」、「悪化」の3段 階での有効率ということになりますが、足白癬ではクリーム剤93.4%、液剤90.5%、軟 膏剤93.4%。体部白癬ではクリーム剤97.7%、液剤100%、軟膏剤100%。股部白癬で はクリーム剤97.7%、液剤100%、軟膏剤96%となっております。使用成績調査におき ましての副作用発現症例率は、クリーム剤で1.16%、液剤で0.70%、軟膏剤で2.41% を示しておりました。  副作用に関しては、承認時の臨床試験及び使用成績調査におきましては重篤な副作用 は見られませんでしたけれども、自発報告におきましては医療用の承認時以降、これま でに6例の重篤な副作用が報告されております。この内訳は、二次感染を伴います接触 性皮膚炎が2例、薬物性ショック、アナフィラキシー様症状、蜂巣炎、急性汎発性発疹 性膿疱症が各1例となっております。これらの副作用につきまして安全対策の必要性の 検討を求めましたところ、特にこれらの副作用の報告によって医療用添付文書の改訂に は至っていないということでございますが、本剤を一般の使用者が使用するに当たりま して、副作用に関して十分な配慮が必要だという観点から、アナフィラキシー様症状等 に関しましては、重篤な副作用に至る可能性のある症状が発現しました初期の段階で速 やかな対応が取り得るようにということで、添付文書中の「相談すること」の項に「む くみ、息苦しさ」等の初期症状が現れた場合、すぐに受診するように勧める記載を行う、 またこれに関しまして添付文書以外のリーフレット、インターネット等の情報提供ツー ルによりまして、一般の使用者、また薬局薬剤師向けに情報提供を行うという回答が提 出されておりまして、総合機構ではこれを了承しております。また、重篤な二次感染の 症例がいずれも足白癬で見られているということを踏まえまして、特に足では感染が起 きやすいため、患部を清潔にして使用するように注意喚起を求めるということで、これ に関しましても同様に種々の情報提供ツールで情報提供するという回答がまいりまし て、了承しております。  効能・効果、用法・用量、使用上の注意に関してですが、7ページからでございます。 まず効能・効果につきましては、スイッチOTC化されましたほかの一般用抗真菌薬の 効能・効果と同じく「みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし」と読み替えられており ます。用法・用量につきましては、医療用でも1日1回塗布により安全性、有効性は確 認されておりますので、一般用に転用する場合も同じ用法・用量ということで「1日1 回、適量を患部に塗布してください」となっております。  以上のような検討の結果、総合機構はここに記載いたしました効能・効果、用法・用 量におきまして本品を承認して差し支えないと判断いたしております。なお承認条件と しまして、承認後、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施するこ との条件を付すことが適当であるというふうに判断しております。以上でございます。 御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○松尾部会長 何か御質問はございますでしょうか。どうぞ。 ○野中委員 おおむね今の御説明で十分了解できるのですが、一つだけ確認します。こ の件については皮膚科学会あるいは皮膚科の専門医から、このことに対して大丈夫なの かどうか意見はお聞きになっていますか。 ○審査管理課長 恐らく機構の方での審査の段階でも、専門協議という段階で各学会等 の専門家の先生の御意見も聞いていると思いますので、ちょっと詳細は追加で発言して もらおうと思います。 ○野中委員 皮膚科の専門家がここにおられるのでしたらいいのですが、これを例えば いわゆる医療機関で医師がそれを投与する場合と患者さんが自ら薬局で薬剤師の方から 指導を受けて使用する場合とは、使用の安全とか診断等については差があるわけです。 そのことに対して的確に審査の過程において、皮膚科の専門医からこのことに対してあ る程度安全性は担保されるとの意見がないと私は判断できない。その辺の確認を是非よ ろしくお願いしたいと思います。 ○審査管理課長 では、追加で説明をお願いします。 ○機構 今御説明がございましたように、専門協議という場で御意見を聞いておりまし て、そこには皮膚科の先生もいらっしゃいまして、今おっしゃった中には、例えばきち んと一般の方が診断できるのかといったお話も入っているかと思います。その点に関し ましても検討されておりまして、その結果、今お手元にございます資料の「製品パッケ ージ案」というところを御覧いただきますと。クリーム剤、液剤、軟膏剤の3種類がご ざいますが、例えば一番初めのクリーム剤の「相談すること」の項の(7)に「『湿疹』 か『みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし』かがはっきりしない人」は医師、薬剤師 に相談してくださいということになっております。これは、症状がはっきりしない場合 は間違って湿疹等に用いられると問題が起こることがあるということで、このような注 意を記載させていただいているということでございます。  また、少し戻りますけれども、これに関連しまして薬局薬剤師向けの情報提供ツール というのが用意されておりまして、「情報提供ツール薬剤師向け」というタグが付いて おりますところを御覧いただきますと、「相談すること」の項の解説といたしまして、 薬局向けにこのような説明を記載することになっております。このような方法等を通じ まして適切に情報提供して、誤用をなくすという形で考えております。このような形で 情報提供することによって、一般薬として販売することで問題は起こらないだろうとい う御判断を頂いたかと。 ○野中委員 そのことに関して十分配慮されていることは認めます。私としては専門家 が総合的に使ってみてこれをOTC化することに対して了解するという意見はどこかに ないのかとお聞きしているのです。途中の経過では十分専門家が配慮したということは 分かるのですが、最終的に皮膚科の先生がおられればその先生の御意見をお聞きしたい と思います。もし専門の皮膚科学会などが大丈夫という意見があれば、オーケーですと 安心して言えるのです。そのことがなくて判断しろと言われてもなかなか難しいので。 文書で注意していることは過去の経緯から十分分かります。ただ、やはり専門家の意見 がどこかに記載されてれば、私もその専門家の意見を尊重します。私もある面では専門 家として呼ばれたのは十分理解しております。 ○審査管理課長 また追加があれば機構の方から発言してもらおうかと思いますが、こ この部会の前では専門協議という段階で、全体的な見地から皮膚科の専門家の先生の御 意見も伺っているということでございます。それから部会の関係では、確かにただいま 野中先生に御指摘いただきましたように、部会には皮膚科領域の薬が上がってまいりま すので、そこは場合によりましては部会長とも御相談しまして、皮膚科の先生の追加の 指名などの検討もさせていただければというふうに思っております。機構からの説明の 方は…、よろしいですか。 ○野中委員 それはそれで十分です。ただこの中で、例えばもしできれば専門家として の意見で妥当であるとか、そういうことを書いていただければもうちょっと判断しやす いのではないかということです。その辺はいろいろと皆様方も御意見があると思います が、私としてはそういう部分が御配慮いただけたらということで発言しました。よろし くお願いしたいと思います。 ○審査管理課長 私の理解としましては、機構の方で専門家の先生に入っていただいて 専門協議というステップは踏んでおりますので、そこのところがよく分かるような形で、 例えば調査報告書に書いてもらうとか、そういったところを工夫するように今後努めた いと思います。それでよろしゅうございますでしょうか。 ○野中委員 結構です。 ○審査管理課長 どうもありがとうございました。 ○松尾部会長 今の関連の問題はよろしゅうございますか。どうぞ。 ○望月委員 今の問題に関連するのですけれども、野中委員の御懸念というか、御心配 はごもっともなところがあると思うのです。この中でも結構記述されていますけれども、 やはり皮膚の症状が水虫である、ないうんぬんを一般消費者が自ら判断を下していくと いうところが多分御懸念が大いにあるところではないかと思うのです。薬剤師向けの説 明書も作っていただいてありますので、かなり御配慮いただいていると思うのですけれ ども、店頭での販売のありようがこういった水虫関係の薬、特にこのアゾール系などは 下手に使うとその後が大変だということがあるそうですので、店頭で薬剤師なりがきち んと消費者との対面での対話、あるいは病状をきちんと確認するという過程を経る方が 今の野中委員の御懸念に対してはきちんとした対応ができるのかなというふうに思いま すが。 ○松尾部会長 何かございますか。 ○審査管理課長 特に今後の参考といいますか、その辺を踏まえて対応していきたいと 思います。 ○松尾部会長 御指摘のように前にこの部会には皮膚科の教授が二人おられまして、そ の点では非常に便利だったのですけれども、今発生したような問題を事務局とも実は議 論しておりましたが、どういう形でやるにせよ、説明性を高めるという方向で調整した いと思います。ほかに何かございますでしょうか。 ○板倉委員 液剤の場合に間違えて目に入れるという事故が水虫薬の場合は多くて、今 回見てみますと、液剤のところの容器そのもののところに目に入れないことという表示 が付いているのは確認させていただきましたけれども、液剤そのものにどういう形でシ ールされて、どの程度までに目に入れないということが分かるのかというのはちょっと いただいたサンプルでは分かりませんでした。この部分について、目に入れないという ことが使うときにどの程度ぱっと目に入るのかということをきちんと配慮していただい ているのであればいいと思いますが、そういう部分をどの程度まで検討されたのかにつ いて御説明いただければ有り難いと思います。 ○審査管理課長 恐らくここに記載されている程度かと思いますが、今板倉先生からの 御指摘もございますので、特に液剤の場合目薬と間違えてしまうというのが、事故とし ては物が物だけにかなりひどい障害を起こしたりということがございますので、そこの 部分については液剤を出す会社は…、液剤の方はメインに販売するのかどうかがちょっ とはっきりしませんけれども、一応そこの注意喚起については少し追加でお願いします。 ── 審議官退席 ── ○安全使用推進室長 安全対策課でございますが、今の御指摘の問題につきましては医 療過誤という問題で、このものに限らず対策をとっております。ちょっと今資料がなく て正確な日付はお答えできませんけれども、一昨年だったと思いますが、私どもの方か ら外用液剤等については目に差さないということを分かりやすく必ず表示するようにと いうことで、通知を出させていただいております。 ○審査管理課長 板倉先生の御指摘は目に入れないこととは一応書いてあるのだけれど も、それが使うときにぱっとすぐ目に付きやすい状況になっているかどうかを担保して くれということですね。 ○安全使用推進室長 その旨を直接の容器に分かりやすく見やすいように表示するよう にという通知が出ております。ですからそれに従っていただくことになると思います。 ○板倉委員 といいますか、実際にいただいたのを見たときに、本当に目に入れないこ とというのが目に入るのかというところをきちんと検証されているのかどうかについて お尋ねをしたと。通知うんぬんについてお聞きしているわけではございません。 ○審査管理課長 板倉委員の御意見は一応ここの液剤のところの表示を見ますと、上に 例えば目に入れないことというのがある程度の大きさで書いてあるようですけれども、 ちょっとこれでもそれほど大きいとは言えないのではないかという御指摘でございます ね。そこはそういう御指摘があったということで、パッケージの細かい話でございます ので企業サイドにもう少し工夫できないか、もう少し見やすくできないかといった話が ありましたよということで、そこはデータとしましてできるだけ改善する方向で検討し てもらうということでいかがでございましょうか。 ○松尾部会長 よろしいでしょうか。 ○小宮山委員 包装形態が工夫されているのだと思います。目薬は通常押すとぽたぽた と落ちる点眼ですので 、この場合には点眼で押しても出ないように工夫されているかと 思います。実際使用上の点ではいったん押さないと中の溶液が出ないようになっていま すから、どこかに接触させて押し付けることで液が出るようになっています。使用上は 安全が保たれる包装には工夫されているのではないかと。先生、実際お手にとってお確 かめいただければと思います。今ちょっと先生と二人でやってみました。壊れていなけ れば大丈夫です。 ○荻原委員 唯一ここのプッシュのところが壊れていれば別問題ですけれども。壊れて いなければ…。 ○審査管理課長 どうもありがとうございました。 ○松尾部会長 どうぞ。 ○山本委員 薬剤師向けの指導文書について、先ほどの野中委員の御懸念の部分ともか かわるのですけれども、3ページの「相談をすること」の中に、Q&Aにはこのように 答えましょうという解説文が例示されています。例えば「(2)乳幼児」であったり「(6) 患部が化膿している人」というようなケースのところで、「医師や薬剤師に相談して」 というのは決まり文句ですからよろしいのかもしれませんが、「確定診断後使用する」 というと、これはだれが確定診断をするのか少し誤解を生じるのではないかと思います。  もう一点は4ページでありますと、解説の中で「医師、薬剤師に相談して」という決 まり文句があって「適切な治療(処置、投薬等)を受ける」ということになりますと、か かり方の問題で誤解を生じるのではないかと思います。先ほどの御懸念が正に消費者自 らが判断して使うことですから、それを薬剤師も含めて診断なり処置なりということに なると、ここは説明ぶりを切り分けた方がよいのではないかと思います。他の部会では これこれこうでありますということで割と明確に、例えば医師に診察を受けるように指 導してくださいというような表現でありますが、今の部分は少し書き直さなくてはいけ ないのではないかという気がいたします。読む方の薬剤師がそれを誤解しますと極めて 大きな問題が起きますので、そこは修正なり書きぶりを変えるなど、あるいはもっと申 し上げれば、「次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談する」というワンフレーズです べてを取り仕切ってしまわずに、その表現・表記の整備も併せてお願いできないかと思 います。 ○審査管理課長 それぞれ医師、薬剤師の免許を受けている方は、自分たちが何をして 何ができないかということは一応承知していると思います。そういうこともありまして 医師又は薬剤師に相談ということで、実際にはこの幼少児の場合等も、薬剤師が相談を 受けてもそれはしかるべき医療機関への受診勧奨であったりということになると当然思 います。ただ、確かにこのまま文章に書いておりますとちょっと誤解を受けるという部 分はあるかなと思いますので、ここを誤解を受けないようなもう少し分かりやすい形に 書き改められないか検討させてみたいと思います。以上でございます。 ○山本委員 (6)の方もですね。 ○審査管理課長 御指摘いただいた点を見直してみたいと思います。 ○松尾部会長 ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○青柳委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、剤型が3剤ございますね。 これを本当に患者さんがうまく使い分けられるのかということが心配になりました。そ れと関連しまして、まず液剤は乾燥部位、クリーム剤は湿潤部位、軟膏はびらんにふさ わしいというふうに書いてあります。皮膚科ではこれが一般的なのかもしれないのです が、これが本当にそれぞれの部位に適しているというエビデンスがきちんとしているの かという問題と、それを患者さんそれぞれに勧めるだけにふさわしい理由がきちんとし ているのか、それから患者さんがその3剤をうまく使い分けることができるのかという ことをちょっと教えていただきたいというふうに思います。 ○審査管理課長 私の方もそこの細かい製剤設計のところの理屈については余り承知し ておりませんが、水虫系の薬については従来よりこういう3剤型が用意されていて、こ の後の機構からの補充のコメントなり、それから実際にこういうものでの販売にかかわ っている先生方からコメントをいただければと思いますけれども。 ○機構 若干補足させていただきますと、剤型については先生が御指摘のように3剤型 あって、使い分けがどうなっているのかという御議論が専門協議等においてもございま した。これについてはどういう場合にどの剤型が適するのかという辺りを一般の方にも 分かりやすく御説明する必要があろうということで、一つはここに御用意しております 説明書にも書かれているのですが、「情報提供ツール」の中の「一般使用者向け」と書 かれているものを御覧いただきますと、3ページの「一般使用者向け情報提供ツール (案)」というところで、剤型の使い分けというのがございます。例えば液剤の場合は「塗 りやすく使いやすい剤型です」ということから始まって、ただ乾燥タイプに適している けれども、亀裂を生じている場合、じゅくじゅくしている場合はクリーム剤がいいとい うような書き方です。特にそういう症状がひどい場合は軟膏という書き方をしておりま す。そしてクリーム剤の場合はこうと。すみません、内容を御覧ください。軟膏の方は、 特にじゅくじゅくがひどい場合や亀裂が生じている場合にお勧めだということが書かれ ております。こういった平易な説明をすることによって、一般の方でも選びやすくなる のではないかということで、このような形で書いてございます。同じような使い分けの ときの考え方については、他のツールでも情報提供するということで考えております。 ○青柳委員 質問を理解していただけなかったと思いますけれども、これは分かるので すが、問題はこの根拠となったデータがあるのかと。つまり、本当に液剤が乾燥部位に、 クリーム剤が湿潤部位に、軟膏がびらん部位に適しているというデータがちょっとなか ったように思うものですから。比較したデータがあって、はっきりこちらがこういうふ うに効いているというのがあればそれぞれを使い分けてもいいと思いますけれども。 ○審査管理課長 そこは医療用の場合でもそこまで患部の状況を分けた集計やデータは 恐らくないと思います。むしろ経験的にこういうふうにやられてきていてということで はないかと思うのですが、その辺は現場ではいかがでしょうか。岩月先生などからもし コメントを頂ければと思いますが。 ○岩月委員 今御指摘いただいたところについては、我々の薬局の店頭でもやはり患者 さんとの対話の中でどういった症状なのかというのは聞かなければいけない訳です。エ ビデンスがどうなのかという話になりますと、今お話がありましたように、やはりいわ ゆる医療用の使い方あるいは患者さんの今までの使用経験なども加味して選んでいると いうのが実態でありますので、どういうふうにしろこれはこうでなければならないとい うそこまでの強い縛りということではなくて、患者さんとの会話のなかでやはり一番い いものを選択しています。例えば前に使って状態が良くないとか、あるいは余り変化が ないということであれば剤型の変更も考えるということで私どもは対応しているという のが実態であります。 ○松尾部会長 青柳先生が提起された問題は、多分皮膚科の臨床の現場でもそういうデ ータがないのでアードだと思うのです。ですけれども、それなりに臨床的経験からこう いう使い方が生み出されてきたものであると思いますので、私も個人的にほかの先生に 確認いたしますけれども、当面これで御了承いただければと思います。ほかにございま せんでしょうか。 ○望月委員 一般使用者向けの情報提供ツールというのを今回お作りいただいているの ですが、これをどのように使われるかがちょっと分かりませんでした。販売する人がこ れを参考にQ&Aに使うのか、実際に一般の消費者の方がこれを受け取って読まれるの かにもよるかもしれないのですけれども、せっかく効果、副作用とその対応策がQ&A になっている割には、安全性を担保するためのQ&Aのところが少し薄いような気がい たします。やはり感染を起こした部位には使わない方がいいとか、そういったことも含 めてもう少しQ&Aで表現していただけたらというふうに思います。  それから、一般向けの解説の2ページの[10]の何日ぐらいで水虫が治るのか、何に気を 付けたらいいのかという質問に対する回答のところなのですけれども、「かなりの長期 を要するでしょう」という表現なのですが、基本的に間違って使って増悪していくこと もあるので、ここはきちんと大体2週間をめどに使うということが添付文書で表現され ているわけですから、その時点で改善傾向がない、あるいは患部が広がっていくようだ ったら受診しなくてはいけないということです。多分水虫ではない可能性があるという ことで。そういったことも含めてここに表現していただかないと、消費者はこれを読ん でずっと使い続けて2か月ぐらい使って治らないということにならないかなというのを 懸念します。全体的に安全を担保するための表現がQ&Aの中に少し欠けているかなと いうふうに思います。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。薬剤師向けと一般使用者向けというこ とで、この一般使用者向けの情報提供ツールといいますのは一般消費者の方に渡してし まうものだそうでございます。望月委員にも大変お世話になりました。あと、この部会 の後ろの方で御報告させていただきますけれども、これは医療用から一般用に切り替わ ってくる製品ということになりますので、新しい法律改正の下では薬剤師が文書をもっ て一般消費者に販売しなければならないということに将来的になってくるということで ございます。そういう意味ではその辺のツールの部分の洗練度合いがちょっとまだ低い ということかと思いますので、これは案ということでございますから、今後またその方 面の先生方の御意見なども伺って、消費者向けの情報ツールといったものをより良くし ていければというふうに思います。 ○松尾部会長 いろいろな問題を御指摘いただいたのですけれども、ほかにございませ んでしょうか。私を含めてそれぞれ引き続き検討させていただくということで、議題1 はこれで終わらせていただきたいと思います。 ○審査管理課長 松尾先生、御指摘いただいた部分を踏まえてそこは検討させていただ きますが、この品目につきましては承認自体は御了承いただいたということで。ちょっ と議事録に残るものですから、申し訳ございません。よろしゅうございますでしょうか。 ○松尾部会長 この議題1は御承認いただいたということにさせていただきたいと思い ます。どうもありがとうございました。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。 ○松尾部会長 それでは議題2について事務局から御説明をお願いします。 ○機構 それでは議題2のノリコール、エトクロンについて御説明させていただきます。 申請者はアボットジャパン株式会社でございます。審査報告書2ページから御説明させ ていただきます。本剤は臭化チキジウムを成分とする胃腸薬になっております。臭化チ キジウムは抗コリン作用を持つ合成鎮痙薬でございまして、もともと北陸製薬が開発し たものでございます。医療用医薬品としましては、昭和59年に「チアトン」、「チアト ン5」の販売名でカプセル剤が承認されております。その後顆粒剤の剤型追加、効能追 加等がございましたけれども、平成3年に再審査結果が通知されておりまして、承認の 効能・効果、用法・用量に変更はございませんでした。今、審査報告書の2ページのと ころを御説明しております。なお、類薬といたしましては臭化ブチルスコポラミン、臭 化チメピジウムが既にスイッチ化されております。  海外では、昭和61年に韓国での医療用医薬品の承認がございますけれども、一般薬と しての使用実績はございません。  物理化学的性質並びに規格及び試験方法について、審査報告書の3ページになります けれども、本剤は医療用の「チアトン5」(現在は「チアトンカプセル5mg」)と同一の 製剤でございまして、3ロットを用いました実測値と医療用申請時の安定性試験の結果 から検討されております。  安定性、毒性、薬理作用、吸収・分布・代謝・排泄に関しましては、いずれも医療用 申請時に実施された試験結果が示されております。  臨床試験に関しましては、やはり医療用の製剤申請時の資料が提出されておりまして、 新たな試験は実施されておりません。臨床試験については4ページからまとめさせてい ただいております。医療用申請時の実施試験としましては、(1)の第I相試験から(6) の第III相一般臨床試験まで種々の試験が実施されておりまして、御覧のような成績でご ざいました。まとめますと、承認申請時に実施しました臨床試験におきまして1,609例 に投与が行われておりまして、有効性解析対象例が1,539例、安全性解析対象例が1,609 例となっております。  本剤につきましては、まず申請の効能・効果の関連から御説明させていただきます。 当初医療用の効能・効果のうち、過敏性大腸症候群(IBS)を読み替えました「腹痛又 は腹部膨満感を伴い繰り返し又は交互に現れる下痢及び腹痛」という効能が効能・効果 の一つとして申請されておりました。これに関しまして、IBSであるか否かというこ とについては医師による診断を要するということで、一般の使用者が判断することは困 難であると考えられますことから、これを一般薬の投与対象として申請することの妥当 性につきまして申請者の見解を求めました。これを受けまして、申請者からはIBSの 治療の現状について調査した結果では、まだIBSを対象とした一般薬の開発をするの は時期尚早であると判断したということで、この効能を削除するとの回答がまいりまし た。  これを踏まえまして、承認時の臨床試験の症例の中から一般薬の対象となり得ると考 えられました胃炎、腸炎のうち、入院患者を除きます160例で有効性を検討いたしてお ります。腹痛改善度で見ますと、6ページの中段以降になりますけれども、腹痛改善度 で「中等度改善」以上の改善率が56.9%。投与方法別で見ますと、単回投与63.6%、連 続投与55.8%という成績でございました。腹痛消失率に関しましては、単回投与22例 におきます改善率を見たところ1時間以内で54.5%、3時間以内で72.7%を示しており まして、単回服用でも良好な消失率を示しておりました。  承認時の臨床試験におきます副作用発現症例率でございますけれども、5mg投与例に おきましては4.9%を示しております。主な副作用といたしましては口渇、便秘、下痢、 悪心、嘔吐等の消化器症状でございまして、急性で重篤なものは見られませんでした。  7ページにまいりますが、再審査申請時の使用成績調査に関しましては、6年間に 15,891例、顆粒剤について追加された1,046例の計16,937例における成績が得られて おります。これらのうち、先ほど一般薬の対象ということで申し上げておりました胃炎、 腸炎における有効性は、「改善」以上の改善率で胃炎80.5%、腸炎89.9%を示しており ます。また、使用成績調査における副作用発現症例率につきましては0.49%でございま して、頻度は承認時よりかなり低率でございましたが、主な副作用の種類で見ますと承 認時と類似のものでございました。使用上の注意に記載のない副作用として見られまし たものは幾つかございましたけれども、重篤なものはございませんでした。中等度のも のに関しましても投与中止、若しくは投与継続により回復しております。再審査終了時 におきましては、使用成績調査及び自発報告において重篤な副作用は見られておりませ ん。  再審査期間終了後に副作用報告されたものについてでございますが、7ページの中段 辺りからまとめております。再審査終了後に見られたもののうち、副作用症例報告され たものは16例18件でございます。これらのうち、3例のアナフィラキシーショックに ついては類薬における情報を調査、比較して、安全性について考察するように求めまし た。この結果、「相談すること」の中に「ショック(アナフィラキシー)」としまして、 「服用後すぐにじんましん、浮腫、胸苦しさ等とともに、顔色が青白くなり、手足が冷 たくなり、冷や汗、息苦しさ等があらわれる」といったアナフィラキシーショックにお ける具体的な症状を明記しまして、そのような症状が起こった場合は直ちに医師の診察 を受けるように注意喚起するという回答がございました。また、副作用報告と動物実験 から、「肝臓障害」を惹起する可能性及び「下部尿路閉塞性疾患」について注意喚起す る必要性に関して申請者の見解を求めましたところ、「肝臓障害」につきましては再審 査期間終了後の自発報告例におきます8例の肝障害等を踏まえまして、「相談すること」 の項に黄疸の症状などを記載しまして、これらの症状が現れた場合は直ちに受診するよ うに記載するという回答がございまして、「下部尿路閉塞性疾患」につきましては、一 般の使用者の方がより理解しやすい「排尿困難」を副作用症状の一つとして記載すると いうことと、前立腺肥大の診断を受けた人を禁忌の項に記載し、排尿困難の症状がある 人を「相談すること」の項に記載するということによって注意喚起を図るという回答が ございまして、了承しております。  効能・効果、用法・用量、使用上の注意の関係でございますが、8ページからになり ます。効能・効果につきましては、先述のように過敏性大腸症候群を読み替えた効能・ 効果が削除されております。当初、申請効能の中にございました「胃酸過多」、「胸や け」等につきましても妥当性を聞いておりまして、「胃酸過多」につきましてはH2ブ ロッカー含有胃腸薬の効能・効果と同様の表現だということと、主作用が本薬の場合は 鎮痙作用であるという位置付けを明確にする観点から、「胃酸過多」は削除するという ことで回答が来ております。「胸やけ」につきましては、本薬を含む抗コリン剤が下部 食道括約筋静止圧を低下させまして、胃食道逆流症を引き起こす原因となる可能性があ るという文献があることを踏まえまして説明を求めました結果、胸やけの原因の大きな 一つとして指摘されております胃食道逆流症を誘発させる可能性が否定できないという こと、それから胃食道逆流症の治療には現在H2ブロッカー等が一般的に使用されてい るということから、本効能・効果を削除するという回答が来ております。これらを含め ました検討の結果としまして、本剤は胃炎、腸炎において見られる「胃痛、腹痛、さし こみ(腹部疝痛)」を効能・効果とすることが妥当と考えられました。  用法・用量につきましては、医療用製剤申請時の用量設定試験で検討されております けれども、1回5mg、10mgにおいて臨床的に有用な用量と判断されておりまして、また 1回5mgの投与でも65.7%の有効率が得られているということ、自らの判断で使用する 一般用医薬品としては安全性を第一に考慮すべきと考えられることから、1回5mgを使 いまして「15才以上1回1カプセル(5mg)、1日3回を限度として服用すること」と設 定されております。本剤は頓用的に用いるものとされておりまして、服用間隔として当 初用法・用量の中に4時間以上間隔を空けるという申請内容になっておりましたけれど も、このことにつきまして設定が妥当なものであるのかということについて再度考察を 求めました結果、5時間以上の設定をすることによって、投与後5時間までの薬効の確 保とともに薬効の増強の回避が可能と考えられるという回答がございまして、服用間隔 を「5時間以上」ということで設定することとしております。  使用上の注意につきまして、本剤が穿孔やヘルニア嵌頓等の激痛を伴うものに誤って 用いられて、結果として受診を遅らせるといったようなことがないように、服用数時間 後経過しても激痛が治まらないような場合、これらの疾患の可能性があるので、直ちに 受診するよう勧奨する記載をするように検討を求めました。これに従って記載するとい う回答が来ておりますので、これを了承しております。また、その他に重症な疾患に伴 う胃痛、腹痛には使用されるべきではないと考えられることから、その他適用すべきで ない疾患に誤って用いられないようにどのように注意喚起するかということについても 見解を求めておりまして、申請者といたしましては使用すべきでない高度の重症度を有 する疾患といたしまして胃・十二指腸潰瘍、尿路結石等を挙げまして、これらを防ぐた めに「相談すること」の項に「(4)症状の改善が見られても服用期間が1週間を超える 場合(他の胃腸疾患を見過ごすおそれがあるので、漫然と使用しないでください。)」と いう記載をすると回答しておりまして、これを了承しております。また、緑内障の人に つきましては医療用抗コリン剤で使用禁忌とされていることに合わせまして、「しては いけないこと」の項に記載するということで回答がまいりましたので、これを了承して おります。  包装単位でございますけれども、専門協議等の場におきまして本剤が頓用を意図した 製剤であるということで、誤用や漫然と使用されることを防ぐためには包装単位で対策 をとるのが有効であろうという話がございまして、10回分10カプセルを1包装とする よう検討を求めております。これについて1包装10カプセル以内とするという回答がま いっておりまして、了承しております。  以上の検討の結果、総合機構はここに記載いたしました効能・効果、用法・用量にお きまして本剤を承認して差し支えないと判断しております。なお、承認条件といたしま して、承認後、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施することと いう条件を付すことが適当であると判断しております。以上でございます。御審議のほ どよろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。ただいまの内容につきまして、何か御 意見はございますでしょうか。 ○野中委員 おおむねは了解しております。実はこの情報提供資料について添付文書に、 判断に迷うことが書いてあります。「次の場合は、直ちに服用を中止し、この説明書を 持って医師又は薬剤師に相談してください」というところの「(3)5〜6回服用しても 症状がよくならない場合」というのは何を意味しているのか。また、もし例えば用法・ 用量のところは1回とか1日3回までと書いてあるのだったら、むしろ5回まで服用し たらその件に関してはそこで改めて書く必要があると思います。5〜6回服用しても治 らない場合というのは今のお話には何も説明がなかったので、これはどういう意味なの かということと、注意書きをすることは適切だと思うのですが、もし書くのであれば用 法・用量のところにも改めて書いておく必要があると思います。その件を是非説明して いただきたいと思います。 ○審査管理課長 この辺の記載につきましては、一般的に何回か服用しても症状の改善 が見られないときにはいわゆるこの薬の恐らく適応になっている疾患でない可能性があ るので、早く適切な治療を受けていただく必要があるだろうということでこういう記載 は多いのですが、専門協議のときにそこの議論がされているかどうか機構の方で追加が ございましたらお願いします。 ○機構 今説明がございましたように、一般的な記載として漫然とこういったものが使 われないための表現として入っているというものでございまして、漫然と使用されるこ とを防ぐ対策として今いろいろと申し上げた記載とともに記載しても、特段矛盾するこ とはないのかなということで記載はそのままになっております。 ○野中委員 ですから5〜6回ということは漫然という意味ですね。もしそのことを注 意するのであれば、本来は用法・用量にもむしろその注意を漫然とというかその辺の5 〜6回とか、それが5〜6回ということは、逆に言えば1日3回ということですから2 日間待ってということになります。具体的にその辺を書かないと意味が一致しないので はないか、本来は用法・用量のところにもそうやって書くべきではないのかと申し上げ ているのですけれども。 ○審査管理課長 それでは御指摘を踏まえて、用法・用量に関連する注意という形で、 もう少しその辺りについての注意喚起も図るように対処したいと思います。 ○野中委員 よろしく配慮していただきたいと思います。 ○松尾部会長 ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○望月委員 先ほどのお薬もそうなのですけれども、最近こういったスイッチをされて いくときに、薬局薬店向けの説明書を作っていただいてあってとてもよいことだと私は 思っておりますし、それから単剤でスイッチされていくというのが医療用の情報をうま く使っていくこともできるので、非常に分かりやすくてよいと思っています。今回のこ のチアトンに関して、「薬局・薬店様用製品説明書(案)」というところで、例えば医療 用の禁忌に緑内障があって、それを従来は「相談すること」にあったものをあえて「し てはいけないこと」に上げていただいたりしてあって、非常に配慮されているというふ うに思ったのですけれども、薬剤師さんとか薬店の販売者向けの説明書には、できれば 説明書の1ページの2に相互作用の問題について記述されているところに書くか、ある いは次の2ページの一番上の「医師の治療を受けている人又は他の医薬品を服用してい る人」のところの設定理由に書くかどちらかに…、やはりほかの抗コリン作用のある薬 剤、精神神経系のお薬があると思うのですけれども、そういったものに関して販売者側 に注意を促す情報提供をしておいていただいたらいかがかと思います。「相談すること」 の「使用上の注意」の「設定理由」のところをもう少し書き込んでいただいてもいいの かなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 これはまだ案でございますので、御指摘を頂きました抗コリン剤、特 にトランキライザーのたぐいとかそちらの方も含まれるような形で、幅広に少し改訂し てもらう方向で考えたいと思います。 ○松尾部会長 ほかにございますでしょうか。特にないようでございますので、この議 題2につきましても本部会での御了承を頂いたということにしまして、薬事・食品衛生 審議会へ報告させていただきたいと思います。それでは次に議題3について、引き続き 事務局から御説明をお願いします。 ○機構 それではハイガード、スカイナーAL錠について、審査報告書に沿って御説明 させていただきます。審査報告書2ページでございます。申請者はエーザイ株式会社で ございます。  本剤は塩酸アゼラスチンを有効成分とするスイッチOTCでございます。塩酸アゼラ スチンは昭和45年に西ドイツのAsta-Werke社で合成されたフタラジノン誘導体でござ いまして、これをエーザイ株式会社が開発したものでございます。審査報告書2ページ のところでございます。医療用医薬品といたしましては昭和61年にアゼプチン錠0.5mg ほかの販売名で承認されております。平成5年に再審査結果が通知されまして、承認の 効能・効果、用法・用量に変更はございませんでした。  提出資料に関しまして、3ページの下段のところから物理化学的性質並びに規格及び 試験方法に関してですが、お手元のサンプル等を御覧いただきますとお分かりかと思い ますけれども、本剤は医療用製剤とは異なりまして、医療用製剤との識別を容易にする ということ、それからつまみやすく服用しやすいサイズとするという観点から、直径 8.4mmの糖衣錠としております。規格試験方法は試作品3ロットにつきまして各3回の 実測値及び安定性試験が行われておりまして、これを基に設定されております。  総合機構は医療用製剤の品質再評価の状況を踏まえまして、崩壊試験に代えまして溶 出試験設定の必要性を検討するように求めましたけれども、これに若干時間を要すると いうことで、申請者からは溶出試験の設定を可及的速やかに行いまして、検討終了次第、 溶出試験を設定するという回答がございまして、了承しております。あと、主薬含量が 少ないということで、含量均一性試験又は重量偏差試験の適用について検討が求められ まして、含量均一性試験が設定されております。  安定性に関しましては、通常の保存条件下において3年間以上安定な製剤であるとい うことが示されております。  毒性と薬理作用、吸収・分布・代謝・排泄につきましては、医療用申請時に実施され たものが提出されております。ただし、申請製剤と医療用製剤で処方が異なりますこと から、ヒトにおける医療用製剤との生物学的同等性試験が行われております。この試験 の結果、アゼプチン錠0.5mgを標準製剤としたときにハイガードは生物学的に同等であ ると判断されております。  臨床試験に関する資料といたしましては、医療用製剤申請時の資料が参考として提出 されておりますほか、再審査申請時の資料が評価資料として提出されております。医療 用製剤申請時の資料につきましては、一般用医薬品としての対象となりうると考えられ ます軽症例が少数であるということから参考とされたものでございますけれども、下記 のような成績が示されており、また用量設定におきましては医療用製剤申請時の成績も 含めて考察されております。  評価資料とされました再審査申請における使用成績調査におきましては、総症例が 12,231例収集されておりまして、6ページにまいりますが、そのうち一般用医薬品とし ての申請効能・効果に係ります「アレルギー性鼻炎」は5,289例、「蕁麻疹」は867例、 「湿疹・皮膚炎」は1,297例でございました。それらのうち一般用医薬品の使用対象と 考えられる軽症例につきましては、「アレルギー性鼻炎」1,550例、「蕁麻疹」351例、 「湿疹・皮膚炎」361例でございました。これらにおける改善率でございますが、「ア レルギー性鼻炎」が73.2%、「蕁麻疹」が90.9%、「湿疹・皮膚炎」が88.4%でござ います。症状別効果につきましても、アレルギー性鼻炎のくしゃみ発作、鼻汁、鼻閉、 蕁麻疹の掻痒、発斑、湿疹・皮膚炎における掻痒、発斑、丘疹に対し症状の消失、軽減 を見ておりまして、それぞれおおむね80%以上を示しておりました。  副作用発現症例率につきましては、承認時12.04%、使用成績調査におきましては1.49 %でございまして、市販後は承認時に比較しまして低率でございましたが、副作用の種 類は類似しておりました。再審査申請時までに副作用症例報告を行った症例は12例でご ざいましたが、副作用調査会で因果関係が否定された1例を除く11例につきましては、 いずれも服用中止により症状が回復しております。その後、再審査以降、平成4年5月 〜平成17年2月までに副作用症例報告を行ったものは国内で37件、海外で43件でござ いましたが、これらの報告の結果、使用上の注意の改訂等の安全性に関する措置は指示 されておりません。これらも含めまして、自発報告を含む副作用のうち「血尿」、「排 尿困難」につきましては医療用製剤の「使用上の注意」に追加記載しておりまして、一 般用としての本剤の添付文書にも記載するとしております。肝機能異常につきましては、 現在医療用の「使用上の注意」には肝機能検査値異常の記載のみでございまして、黄疸 等の肝機能異常の記載はされておりませんが、再審査申請後に副作用報告されたものの 中に黄疸の例があるということ等も踏まえまして、本剤の添付文書には「肝臓」の項を 設けまして、「全身のだるさ」、「皮膚や白目が黄色くなる」等の症状の記載を行うと しております。「ショック」につきましては2例ございましたけれども、これらの報告、 その後の報告等がございまして、医療用製剤の添付文書では追記は指示されていないと いうことで、本剤については記載しないとの回答が来ております。  効能・効果につきまして医療用製剤における効能・効果のうち、「アレルギー性鼻炎、 蕁麻疹、湿疹・皮膚炎」を読み替えた効能・効果が設定されております。医療用製剤の 効能・効果としましてはアトピー性皮膚炎が含まれているのですが、アトピー性疾患に つきましては診断に専門性が要求されるということ、それから治療も長期間を要すると いうことから一般用医薬品の対象としては妥当ではないということで、今回も効能・効 果としては含めておりません。アトピー性皮膚炎を除いた皮膚炎、アレルギー性の蕁麻 疹、湿疹・皮膚炎に対象を限るということで、その場合には遅くとも3日までには効果 が得られると考えられるという専門協議等における御議論がございまして、効果のない 場合は3日間、効果がある場合も1週間に限定するように検討を求めました。これを受 けまして、用法・用量に皮膚の症状に用いる場合は3日間服用しても症状の改善が見ら れない場合は服用を中止し、医師又は薬剤師に相談することとの記載が加えられており ます。なお、鼻炎の場合の投与期間につきましては、鼻アレルギーについて週単位で効 果を比較した臨床試験4報の成績を基に、判断の時期を服用後1週間といたしまして、 効果がない場合は1週間まで、効果が見られた場合にも2週間をめどとして、2週間以 上使用を続ける場合は医師又は薬剤師に相談の上、服用することとしております。  効能・効果の表記でございますけれども、既にスイッチ化されました外用抗アレルギ ー用剤等の効能・効果を参考にし、疾患名に加えて一般の使用者が感知できる症状を分 かりやすく記載するという形で記載されまして、「花粉、ハウスダスト(室内塵)などに よる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり じんましん、 湿疹・かぶれによる次の症状の緩和:皮膚のはれ、かゆみ」という効能・効果を設定し ております。  用法・用量につきましては、本剤は医療用製剤との生物学的同等性が確認できたとい うことも踏まえまして、医療用と同じ用法・用量としております。また、申請当初の用 法・用量に小児が設定されておりましたけれども、これに関しましては蕁麻疹・湿疹・ 皮膚炎の症例が□例のみであるということ等を踏まえまして、結果的に小児の用法・用 量、効能・効果が削除されております。  使用上の注意につきましては、先ほど主な点について御説明しましたので割愛させて いただきます。  次に、包装単位でございます。投与期間につきまして先ほど御説明申し上げましたよ うに、皮膚症状では効果がない場合は3日間、効果が見られた場合も1週間までの投与 を想定していること、鼻炎においては効果がないとき1週間、効果が見られた場合も2 週間以上使用するときは医師又は薬剤師に相談した上での継続使用を想定しております ので、適切な包装単位の在り方について検討を求めました。これに対しまして小包装を 必ず用意するということ、つまり1週間分以内の包装単位を必ず用意して、それ以外の 包装単位を製造販売する場合も上限は2週間分までとするという回答が来ておりまし て、これを了承しております。  以上のような検討の結果、総合機構としましてはここに記載しました効能・効果、用 法・用量におきまして本品を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、承認条 件といたしまして、承認後、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実 施することという条件を付すことが適当であると判断しております。以上でございます。 御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。それでは御質問、コメントをお願いい たします。どうぞ。 ○野中委員 先ほど質問したことと関係するのですが、用法・用量や添付文書の書き方 は、昔からの審議の中でスタンダードを作ったはずだと思うのです。先ほどのものには 1日5〜6回ということが書いてあって、用法・用量のところには何もそういうことの 注意が書いていませんが、この添付文書の2ページの用法・用量のところにはきちんと 「ただし、鼻炎の症状に用いる場合は1週間、皮膚の症状に用いる場合は3日間服用し ても症状の改善がみられない場合には服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること」 という記載があるのです。これがスタンダードと思うのですが、なぜ先程のものはなか ったのか。本来、添付文書にスタンダードがあるはずで、このことがある面では一番大 事なことと思います。この点に対して繰り返しになる議論は結構ですので、今後その件 は注意していただけたらと思います。 ○審査管理課長 御指摘のとおり、こちらの方がより適切かと思いますので、その点は 徹底するようにしていきたいと思います。 ○松尾部会長 ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○望月委員 添付文書の書き方でどういう基準で書き分けているかを教えていただきた いと思います。「添付文書(案)」のところで、「使用上の注意」の「相談すること」の 2に副作用がいろいろ書いてありまして、ここで「次の場合は、直ちに服用を中止し、 この説明文書をもって医師又は薬剤師に相談すること」ということで表が出ております。 例えばこの中に「口のかわき」や「便秘」などが出てくるのですけれども、この副作用 をもっと起こしやすい先ほどのチアトンでは、この副作用に関してはこういう症状がず っと続くとか増強してくるようだったら相談することのような書き方になっていたよう な気がするのです。これだけではないのですけれども、例えばこの薬の場合眠気という のは結構出る人があるのかなと思うのですが、直ちに中止して医師、薬剤師に相談する ことになってしまっています。その辺りの基準のようなものがあれば、御紹介いただけ るとこれからの審査のときに参考にできるかなと思うのですが。 ○審査管理課長 それは専門協議のところで議論がありましたでしょうか。 ○機構 書き分けという意味で御質問があった部分について申し上げますと、基本的に は医療用において副作用として書かれているものの症状が、このような割合スタンダー ドな形で「服用後、次の症状があらわれた場合」のところに症状として書かれるという パターンが多いです。ですので、一つはもともとの医療用にあるかどうかで書かれるか どうかが決まってきます、もう一つは一般用に転用されるときに、医療用で書いていな いものであってもより注意喚起をした方がいいだろうという申請者の考えから医療用に 書いていないものも書いておくという場合はございます。そういった背景から、先生の おっしゃったようなことが起こってきたのかなと思うのですが。 ○望月委員 ですから、医療用の方にも副作用としてはその他の副作用で症状が一覧に なっていても、その中にあえて注意書きが付いていてこういう症状が出たらすぐ中止し ろという書き方になっているものとなっていないものが一覧表になっているのです。同 じ副作用の中でも、そういう副作用がありつつそれを使っていくという副作用もあるし、 もう絶対やめなければいけないという副作用もあるし、余りにもそれが強くなっていく ようだったら注意をしなければいけないという、そこの整理がものによって基準が変わ っていくのはやはりおかしいだろうとちょっと思うのです。口の渇き、便秘などという のは、チアトンの場合の方がこの薬より多分相当強いだろうというふうに思うのですが、 そちらの方がやや緩やかな使用上の注意の書き方になっていて、こちらの方はもう即中 断して医師、薬剤師に相談することとなるそこの書き分けが何かちょっと余り明確でな いなという気がするのです。その辺りを少し整理していただく必要があるのかなと。眠 気が出たら何でもかんでもすぐにやめていくという薬でもないのかなというふうにも思 いますので。 ○審査管理課長 御指摘どうもありがとうございました。ただいまの点につきましては、 副作用の記載とそれに伴って服用を中止する場合、この薬剤についての御指摘でござい ましたけれども、ほかの薬剤との整合も見つつ検討させていただきたいと思います。 ○松尾部会長 先ほどからいろいろ出ていますものは共通した問題を御指摘いただいて いるのだと思うのですけれども、ある種のフォーマット化というものによって不統一が なくなったり、誤解を生む余地が少なくなると思いますので、是非その辺を御検討いた だきたいと思いますし、我々もここで今後も検討していきたいと思います。ほかにござ いませんでしょうか。どうぞ。 ○松木部会長代理 添付文書のことなのですけれども、野中先生からも御指摘がありま した服用の中止なのですが、「添付文書(案)」の2ページ目の「用法・用量」で「用法 ・用量に関連する注意」として花粉症の場合のことが書いてあって、症状の軽い早めの 時期からの服用が効果的だと。花粉の飛ぶ時期というのは何週間にもわたるわけですか ら、実際には何週間も使用することになるわけなのです。ですから、ちょっとその辺の ところが非常に悩ましい書き方なのですけれども、その辺は消費者に任せるのか、そう いうところも書き分けるのかということも問題かと思います。専門協議のところではそ れほど細かく書き分けるというところまでは議論が行かなかったと思うのですけれど も、そういう点も含めて花粉症と思われる場合はどうするかとか、あるいは先ほど望月 先生から御指摘のあったような眠気の場合はどうするかというようなことも含めて、少 しスタンダードを作っていただければと思います。 ○野中委員 要はセルフメディケーションという言葉がはっきりと認識され、一般薬が どうやって承認されるかという姿勢の問題と思うのです。といいますのは、専門家は適 切に患者さんを診断して治療するという段階を経て、安全性を判断します。しかしセル フメディケーションは患者さん自らが薬局に行って、薬剤師さんと相談して買う。その 辺、きちんと相談して購入する段階で、この薬の安全性を判断する場合と、専門家がき ちんと絡んでの判断という部分のふるい分けが大事と思うのです。ですから、薬剤師さ んの対面販売がきちんと確保され説明を受けて、その後に添付文書の中でもきちんと適 切に使っていくということがどうやって消費者に分かるかということで添付文書を作っ ていただくことが大事なのです。専門家として目の前に患者さんが来られて、それを使 う以前においてこうやって安全が担保されるという視点も大事なのですが、セルフメデ ィケーションとして、患者さんが薬局に行かれて自由に買うという部分は、それが担保 されていないということを頭に入れながら患者さんに安心して使っていただくとの視点 で、専門家に意見を頂くということが大事だと思うのです。ですからその辺の部分がい つも専門性は専門家が自分の目の前でという…、繰り返しになって申し訳ないですけれ ども、そういうことがありますのでその辺をどうぞ御配慮いただきながら添付文書を作 っていただきたい。しかし、以前のよりは、添付文書は非常に改善されていますし、そ のことは評価します。ただそこにどうも乱れがあるので、今松木先生も言われたように きちんとフォーマットというか方向性を確立していただけたらと思っていますので、よ ろしくお願いします。 ○審査管理課長 どうもありがとうございました。添付文書、それから薬局等への情報 提供のいろいろなパンフ類などの充実が非常に大事になってくると思いますので、その 辺につきましては冒頭でもちょっと申し上げましたけれども、今後の販売制度の見直し の中では、またその販売の在り方などもかなり変わってまいりますので、そういう中で 御指摘を受けてより充実させる方向でやっていきたいと思います。 ○松尾部会長 取りあえず御了解いただいたということで、何かほかに御意見はござい ますでしょうか。なければこの議題につきましても当委員会で御了承いただきましたと いうことにして、審議会に上げさせていただきたいと思います。 ○機構 続きまして資料4を御覧いただきたいと思います。アゼナ鼻炎カプセル、ビエ ナール鼻炎カプセルについて説明させていただきます。審査報告書の2ページになりま す。  本品目は日本チバガイギー株式会社から申請されたもので、医療用として広く用いら れてきたフマル酸ケトチフェンを有効成分とするスイッチOTCであります。成分・分 量といたしまして、1カプセル中本成分1.38mg(ケトチフェンとして1mg)を含み、効能 ・効果は「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩 和:くしゃみ、鼻水(鼻汁過多)、鼻づまり」であり、用法・用量は「成人(15歳以上)は、 1回1カプセルを1日2回、朝食後及び就寝前に服用する」であります。  本剤は我が国では医療用医薬品として、まず昭和57年10月に気管支喘息に対して承 認され、ザジテンの販売名で発売されました。その後、アレルギー性鼻炎及び湿疹・皮 膚炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症が効能に追加されております。平成元年にはすべての適応 症に対して再審査結果が通知され、承認事項に変更はなされませんでした。また、同成 分の点鼻薬につきましては前回のこの部会でも御審議いただいた品目でございますが、 一般用医薬品として本剤と同じ効能・効果で平成17年3月に承認がなされております。 なお、一般用医薬品としての申請に当たり、医療用の効能・効果のうちアレルギー性鼻 炎に限定して申請が行われております。総合機構はこの妥当性について専門協議で検討 を行いました結果、一般用医薬品として妥当であり、問題ないと判断いたしました。  外国における承認状況としまして1977年にスイスで発売されたのを始め、医療用とし て現在135か国で承認されておりますが、一般用としての承認はございません。総合機 構は点鼻薬の審査の際にも同様のことを照会いたしましたが、外国においてOTC化さ れていない理由及び我が国でOTC化する妥当性について、再度詳しく説明するように 求めました。申請者は、特に欧米においては本剤より副作用である「眠気」の発現が少 なく、1日1回投与であるいわゆる抗ヒスタミン剤の第3世代と言われるものが既にO TC化され主流となっていることなどより、本剤はOTCとして海外では開発されなか ったが、我が国では一般生活者のセルフメディケーションの選択肢が広がること等より、 OTCとして有用であるというような説明がなされました。  ロ項以下、各項目の添付資料ですが、既に医療用製剤として承認されておりますこと より新たな資料は提出されておりません。品質、毒性、薬理、吸排等については大きな 問題点はないと判断いたしました。  4ページのト項にまいります。臨床試験結果につきましても、医療用申請時及び市販 後の使用成績調査等の資料で一般用医薬品としての妥当性が説明されております。  まず有効性についてですが、例といたしまして医療用医薬品申請時の二重盲検比較試 験において、アレルギー性鼻炎を対象とした全般改善度における改善率(「有効」以上) は1mg1日2回投与群で72.7%であり、対照投与群に対して有意に高い改善率を示して おります。  また安全性につきましても使用成績調査として、アレルギー性鼻炎対象5,224例のう ち副作用の発現症例数は315例5.7%であり、主なものは眠気が289例、倦怠感6例な どいずれも重篤なものではありませんでした。  6ページ、総合機構での検討結果を説明いたします。総合機構は、花粉による鼻アレ ルギーのように抗原量の変動で症状も影響を受ける場合の有効性について考察するよう に照会いたしました。申請者は使用成績調査や文献等を示しまして、通年性及び季節性 の病型においても有効であり、効果に大きな違いはないという回答をいたしております。 また総合機構は、再審査報告後の自主報告で、重篤で本剤の関与が濃厚な肝障害3例が あることから、海外で重篤な肝障害例が報告されていないか照会いたしました。申請者 は、海外では成人で3例、このうち65歳以上で2例、小児で6例であったが、本申請品 目では小児は適用外であり、高齢者への使用は医師、薬剤師に相談することにしている こと、また使用上の注意での注意喚起や薬局薬店向けに情報提供を行うことにより対応 可能であると回答いたしました。さらに、他の照会に対する回答についても了承いたし ております。  効能・効果、用法・用量、使用上の注意についても妥当であると判断しております。 効能・効果といたしましては、先ほど申しましたとおり一般用医薬品であることより鼻 炎に特定したことを了承しております。さらに用法・用量につきましても医療用と同じ に設定されておりまして、15歳以上に限定されています。使用上の注意につきましても、 先ほどの品目と同様にアトピー性皮膚炎にも効能・効果があるのですが、医師の診察が 必要であろうということで、一般用医薬品としては効能・効果には記載されず、誤用に つながることを防ぐために注意喚起がなされております。  以上、総合機構は本品目につきまして、この効能・効果、用法・用量の下で一般用医 薬品として承認して差し支えないと判断いたしました。なお承認条件として、承認後、 少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施することとの条件を付すこ とが適当であると判断しております。以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げ ます。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。どうぞ。 ○審査管理課長 事務局の方からちょっと補足させていただきますが、先ほど望月先生 から御指摘のありました使用上の注意の書き分けの点でございますとか、野中先生から 御指摘いただきました添付文書の用法に関する注意の書き方など、ほかの品目のところ で御指摘いただいて共通する部分につきましては本品についてもチェックさせていただ きたいと思います。 ○松尾部会長 よろしいでしょうか。それでは御討論いただければと思います。どうぞ。 ○望月委員 今課長の方からきちんと整合性をとるというお話を頂いたので大丈夫だと は思うのですけれども、気になったのはこの鼻炎用の製品と先ほどの鼻炎用の製品はほ とんど同じなのですが、風邪の症状というか、鼻汁が黄色くなるとかうんぬんというこ とで、そこの見分け方というのが前の製品は入っておりましたが、こちらの製品には入 っていないのです。そういうところも実はちょっと不整合が結構あって、ほぼ同じ使い 方をするので、やはりそこは気を付けてアレルギー性鼻炎であるという認識を消費者に 持ってもらえるようなところについては配慮していただきたいと思います。 ○審査管理課長 望月先生にも御相談させていただき、整合性をとりながら少しよりよ いものにしていきたいと思います。 ○松尾部会長 どうぞ。 ○板倉委員 先ほどお問い合わせすればよかったのですけれども、どの程度に改善され ているかというのを比較すると、こちらの方は特に制限されていないのですけれども、 前の場合には患者の中で一般用医薬品の使用対象とされる軽症例ということで、それに ついての改善率というのを挙げて説明していただいているのです。これは一般の消費者 からすると、こちらの方はそういう制限をせずに出たデータとして結果が出ていて、前 のは軽症例ということで絞り込んだところでの効能・効果があるという判断でやってい るというように読み取るということでよろしいのでしょうか。そこがよく分からなかっ たものですから。先のスカイナー等の場合には、たくさんの患者の中から一般用医薬品 の使用対象とされる軽症例が何例であるからその改善率について調べていると。こちら は何も書いていなくて全部の非常にたくさんのデータとしていると。その使い分けはど うなっているのかというのをちょっと教えていただけますか。 ○審査管理課長 恐らく前の品目は、申請書を見ていただきますと分かりますように平 成6年ということで相当前でございまして、提出したデータ等にも関係すると思います。 それから、今御審議いただいております品目は平成12年ということで、いずれもそれほ ど早い審査の状況というわけではないのですけれども、特に前のものは古いということ で、提出されたデータとかいわゆるスイッチ化に当たっての用法とかいろいろな関連で の経緯でこうなっていると思います。機構の方で追加の事情などは分かりますか。ちょ っと補足をお願いいたします。 ○機構 本剤につきましては、前の品目と違いましてアレルギー性鼻炎のみを対象とし ておりますので、その重症例は考えられないということと、重症を除いた再解析を行う よう求めたところそのような例はほとんどございませんでしたので、これでよいだろう というふうに判断いたしました。 ○松尾部会長 先生、それでよろしゅうございますか。 ○板倉委員 こちらの方の説明は分かったのですけれども、軽症例と重症例というのを 消費者がどう判断して使い分けるのかなというのはちょっと疑問として残っておりま す。 ○機構 今の御質問ですが、症状が重い方はやはり医療機関を受診されるであろうとい うことがございますので、軽い方が薬局で薬を買って症状を抑えるというように使われ るのかと思います。 ○審査管理課長 恐らく自己診断というような場合に正確に診断できることは少ないと 思いますので、現実問題としてはアレルギー性鼻炎で以前にお医者さんにかかってそう いうことを承知している方が、その症状が出たときに買い求めたりという形での対応だ と思います。自分なりに一応症状が以前よりはちょっと軽いとか重いとかという判断で、 こういうセルフメディケーションといいますかそういったものに行ったり、それから直 接医療機関に行ったり、場合によっては薬局等に相談に行ったけれども、状況を見て受 診勧奨されたりとかそういう形になっていくのではないかというふうに思いますが。 ○松尾部会長 少し難しい問題だと思うのですけれども、もう少し検討課題の中に入れ させていただきまして、確かに軽症という言葉が必要かどうかという問題もあると思い ますので、このことについて何かほかに御意見はございますでしょうか。 ○青柳委員 なぜ15歳以上に限定しなければいけないのかという理由をちょっと教え ていただきたいのですけれども、軽いのだったら子供でもいいのではないかと思うので すが。 ○審査管理課長 一般薬の場合は、子供といいましてもカプセル剤は原則何歳以上でし たか。それからこれは恐らく小児のデータがないのではないかと思います。ですから基 本的に使えないということだと思いますが。 ○山元委員 審査報告書の5ページの一番下に、小児用で痙攣の副作用があったので、 レセプターの問題で小児は適用外にしたということではないのですか。 ○審査管理課長 そうでございますね。どうも失礼いたしました。 ○松尾部会長 症例数が少ないということはないのでしょうか。 ○審査管理課長 それと山元先生に御指摘いただいた辺りの5ページか6ページですけ れども、ヒスタミン受容体が未発達でうんぬんというようなことで、15歳未満の小児に 対する適用はないという設定としたといったことが記載されております。 ○松尾部会長 ずっと昔から小児科でも、痙攣を持っている人は抗ヒスタミン剤はコン トラインディケーションというふうに教育されてまいりました。ですから別に新しく発 見されたことではないと思うのですけれども。どうぞ。 ○小宮山委員 一つだけ確認したいと思います。この薬剤の臨床試験に基づく今回の判 定が、医療用医薬品の場合に4週間連続投与された資料を基にまたこの一般用医薬品の 有用性があると判断されていると思うのですけれども、OTCになりました際にこれを 患者さんが1週間ぐらい服用しても効果がない場合には一度相談をしましょう、また2 週間を超えて服用する場合にはやはり相談をしましょうという注意書きになっていま す。この薬剤が4週間をもって効果ありと判定されている背景と、実際に患者さんにお 飲みいただく際に1週間あるいは2週間たっても効かなければ気を付けましょうとい う、この情報の食い違いをどう理解すればいいのかなと思ったのですが、実際に1週間 あるいは2週間でも十分このアレルギー性鼻炎に効果があると判断すると考えてよろし いでしょうか。 ○審査管理課長 一般論になってしまうと思うのですけれども、医療用で当初承認を得 る際の二重盲検比較試験といったようなものは、基本的には有効性とか安全性を同じ条 件で厳密に比較する、検証するという意味での試験でございますので、それが直ちに実 地の医療という形にはちょっとならないのだと思います。したがいまして、機構の方か ら説明がございましたけれども、市販後のいろいろな情報なども加味して、最終的には 専門家の御意見も伺いながら問題がないという形で対応されてきたのだと思いますの で、臨床試験での投与方法が直ちに実地の使い方どおりにしなくてはいけないというこ とにはならないというふうに思います。何か機構の方で追加はございますか。 ○機構 2週間、4週間の問題なのですが、4週間ではもちろん有効性はあるのですけ れども、2週間でもないわけではございません。添付文書に書いてある2週間で相談す るようにということは、漫然とした長期服用を専門家のアドバイスもない状態で続ける というのは非常に懸念されるところでございますので、それにつきまして2週間たった ところで一度専門家に相談するのが好ましいであろうということです。それで問題がな ければもちろん続けて使用してくださいというアドバイスになるかと思います。 ○事務局 ちょっと補足させていただきます。資料概要の64ページを御覧いただければ と思うのですけれども、医療用のときの臨床試験の最終的な有効性の効果の評価を4週 間のところでしておりますが、それまでの効果発現の経緯を「5.効果発現時期」と右の 65ページの「7.鼻アレルギー日記による判定」ということで系列的に追っております。 こちらで最終的な4週間の有効性は80%程度ですけれども、1週間ぐらいでも大体効く ような人は半分ぐらいは効いているということで、そこで要は投与継続の目安になるの ではないかと思います。 ○小宮山委員 分かりました。ありがとうございます。 ○松尾部会長 どうぞ、お願いします。 ○松木部会長代理 この薬は先ほどの抗ヒスタミン薬とは違って、性質として非常に長 期間使わないと効きにくいということなのです。1回飲んだだけでは効かないというこ とで、「添付文書(案)」の2ページ目の「用法・用量」の「注意」の「(2)個人差等に より薬の効果が現れるまでに一定期間かかる場合もあります」というのは、多分そのこ とを入れているのだと思うのですけれども、ただこの「一定期間」というのが分かりに くいような気がします。一定期間が1週間なのか1か月なのかというのがやはりちょっ と…、ある程度目安が必要かなと思うのです。1ページ目の「相談すること」の右側の 欄の真ん中辺りの「1週間位服用しても症状がよくならない場合」というのは、多分ほ かのものともスタンダードに入れているのだと思うのですけれども、この薬の特性を考 えると1週間というのは必ずしも妥当ではないような気がします。 ○審査管理課長 御指摘ありがとうございました。そこの一定期間のところについて、 目安なり何なり書けないか、今の松木先生のコメントですと1〜2週間ぐらいというの もありかなという感じがいたしますけれども、ちょっと御相談させていただいて、目安 が何か書けないか少し検討させていただきたいと思います。 ○山本委員 先ほど野中先生の御指摘と同じように、基本的に1〜2週間と1週間と2 週間は全く意味が違うのではないかと思うので、1〜2週間もありかなという表現は分 かりますけれども、それでよろしいのでしょうか。 ○機構 個人差がございまして、一定期間というのは非常に難しいかと思います。実は 専門協議でこの薬は遅効性なので長く使う必要があるのではないか、それは添付文書等 に書く必要がないかということの御意見いただきましたので、申請者の方に尋ねました ところ、個人差があって早く効く人もいれば遅く効いてくる人もいるということで、そ の期間を限定するのは難しいと考えましたので、一定期間ということで了承しました。 必要であるということであれば早い人で幾日ぐらい、遅い人で幾日ぐらいなど、案はい ろいろあるかもしれませんが、具体的に書かせることも必要かと考えます。 ○松尾部会長 どうぞ。 ○望月委員 フマル酸ケトチフェンは1年ぐらい前に確か点鼻薬が承認されていまし て、ちょっともう記憶が定かでないのですが、そのときにもこの議論がありまして、医 療用の方はかなり長期に使わないと効果が出ないというふうに医療機関では服薬説明を して、患者さんに渡している薬を1週間でいいのでしょうかというような議論はあった ような気がします。そのとき実は結論がどうなったのかを私はよく覚えていないのです が、もしこちらの方を検討していただくのだったら、本来だと向こうの方ももう一回そ れに合わせて検討していただいた方がいいかなと思います。 ○機構 実は一般的な添付文書は5〜6日というような書き方がされるのですが、5〜 6日では効果が分からないので、それはせめて1週間にすればどうかという専門協議で の御意見を頂きまして、そのようになりました。今望月委員が御指摘のとおり、こちら でそうするのであれば点鼻薬の方でもというのはそのとおりだと思いますので、検討さ せていただきます。 ○山元委員 今のお話ですけれども、5〜6日掛かると。それともう一つは、1週間服 用してもいろいろな症状がよくならないというのがその間がものすごく短いですよね。 そこの判断の基準が非常に難しいので、どちらかをきちんと修正しないとユーザーはち ょっと分からないですね。 ○松尾部会長 細かく見ていただきましてありがとうございました。ほかにございませ んでしょうか。それでは、この委員会としては御了承いただいたということにさせてい ただいて…、どうぞ。 ○荻原委員 ちょっとまとめに入ったようなので、私も最後に一言、望月先生たちとリ スク委員会でいろいろと医薬品の区分けをしてきた経験上、今日の四つの医薬品につい ては短いものでも10年、長いものではもう30年ぐらいの医療用製剤としての歴史がご ざいます。その上に立って、企業側と専門委員会の方が慎重審議して承認の方向で出さ れたということで、私は余り…。 ○審査管理課長 荻原先生、すみません。まだこの品目の承認が終わっていないのです が、この品目についてのコメントででございますか。 ○荻原委員 この4つの品目です。 ○審査管理課長 この4番目のアゼナについてのコメントでしょうか。まだこれの審議 が終わっていないのですが。部会長からまとめの御発言がございますので、その後とい うことでよろしゅうございますか。 ○荻原委員 もちろんです。 ○松尾部会長 議題4につきまして、当委員会で御承認いただいたということにさせて いただきます。いろいろな問題がまだ残されているということは十分認識しているつも りでございますけれども、これを薬事・食品衛生審議会へ報告させていただきたいと思 います。私の不手際で時間がなくなってきたのですけれども、続きまして報告事項に移 らせていただきたいと思います。報告事項の議題1をよろしくお願いします。 ○機構 それでは報告事項の資料5を御覧いただきたいと思います。販売名グレラン・ ビット、リングルエース、申請者はあすか製薬株式会社でございます。成分・分量とい たしまして、1日量(6錠)中にイブプロフェン450mg、アセトアミノフェン195mgを含 有しております。用法・用量は成人(15歳以上)1回2錠、1日3回を限度とし、なるべ く空腹時を避けて服用する。服用間隔は4時間以上おくこととなっております。効能・ 効果といたしましては、頭痛・歯痛、以下それらの痛みの鎮痛、悪寒・発熱時の解熱と なっております。  本品は、一般用医薬品の有効成分として既に認められておりますイブプロフェン 450mg(既承認の一般用医薬品1日量と同じ)にアセトアミノフェン195mgを配合した解 熱鎮痛剤でございます。既承認品目とは有効成分の組合せが異なっておりまして、申請 区分(3)で申請され、審査をいたしました。  アセトアミノフェンの配合量に関しましては、イブプロフェンの配合量を基に一般用 医薬品製造(輸入)承認基準の配合係数に準じて設定されたものであります。また、用法 ・用量、効能・効果についても同承認基準と同一に設定されております。  申請時提出の一般臨床試験といたしましては、対象を「頭痛又は生理痛を主訴とする 20歳以上65歳未満の患者」とされております。7施設で66例のうち、全般改善度評価 対象例は66例、安全度の方は60例でございました。頭痛に対する鎮痛効果は「改善」 が84.8%、「軽度改善」以上が97.0%でありました。生理痛に対する鎮痛作用は「改善」 が84.8%、「軽度改善」以上は100%でありました。概括安全度に関しては、「安全で ある」が98.3%であり、有害事象のうち治験薬との関連性が否定できないものは1例(眼 瞼浮腫)でありましたが、軽度であり処置なしで翌日午前中には消失いたしましたことよ り、安全性に問題はないと結論されました。  承認条件といたしまして、承認後、少なくとも3年間の安全性に関する製造販売後調 査を実施することを付すことが適当だと判断しております。以上でございます。 ○松尾部会長 続いてお願いいたします。 ○機構 それでは報告事項の議題2、資料6になりますけれども、販売名アースレッド pxについて報告いたします。  本品目は、ゴキブリを始めとする衛生害虫全般の駆除を目的とする殺虫剤で、全量噴 射型、1回使い切り型ともいいますが、そのくん煙剤でございます。お手元の資料の1 ページ目の一番下のカラムの成分、分量を御覧ください。この製剤は100g中d・d-T-シ フェノトリン5.0g、メトキサジアゾン7.0g、プロポクスル2.0gを配合しておりますが、 これは既に承認されております「アースレッドF」という製剤、成分としてはd・d-T-シ フェノトリン3.0g、メトキサジアゾン12.0gを配合した製剤を基に、特にゴキブリに対 する殺虫効果を高めることを目的に開発されております。  続いて3ページ目をお願いいたします。d・d-T-シフェノトリンにはゴキブリに対し「狭 い場所に潜伏する標的害虫を広い空間に追い出す効果」、殺虫剤の分野ではフラッシン グ効果と言われておりますが、これを有しており、このフラッシング効果を高めるため d・d-T-シフェノトリンを3.0gから5.0gに増量し、ピレスロイド抵抗性ゴキブリに対す る殺虫効果を高めるため、カーバメート系プロポクスル2.0gを新たに配合し、さらにメ トキサジアゾンはダニ、ノミ、蚊、ハエ等の効力確保のために配合したもので、効力の 調整により12.0gから7.0gに減量しています。  安全性については、製剤について単回投与毒性試験、反復吸入毒性試験、局所刺激性 試験、感作性試験が、有効性についてはゴキブリ、ダニ、ハエに対する効力試験が実施 されています。ラット28日間反復吸入毒性試験による無毒性量から計算した本剤使用に おける曝露量の安全係数は115倍とされています。  なお、原体のd・d-T-シフェノトリン及びプロポクスルは劇薬に指定されていますが、 本製剤は経口単回投与における概略の致死量が500mg/kg以上であることから劇薬に該 当しないと判断されます。  資料の4ページ目をお願いいたします。添付文書(案)について簡単に御説明いたしま す。殺虫剤の添付文書の記載については殺虫剤業界の方でガイドラインを作成しており、 本品目についてもこのガイドラインに則して作成されております。「使用上の注意」の 「してはいけないこと」については、通常内服や外用の医薬品の場合、ここは使用して はならない疾患や部位、併用薬などについて掲げるところですが、本品目が全量噴射型 のくん煙剤であることより、守らないと健康被害が起こりやすくなるという趣旨から、 「必ず守ってください」という副題を付けて、「薬剤を吸いこまないように注意してく ださい」、「缶は水に浸すとすぐに熱くなるので、直接手を触れないでください。ヤケ ドをするおそれがあります」、「必ず、2時間以上経過してから入室してください」、 「入室後、直ちに窓を開放するなど、部屋をじゅうぶんに換気してください」の4点に ついて掲げております。「相談すること」については、各有効成分の化合物の系統が記 載されておりますし、「その他の注意」、「保管及び取扱い上の注意」、その他の項目 についても特に問題はないと判断いたしました。報告は以上でございます。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。それでは今の資料5、6を含めまして、 御意見を頂きたいと思います。どうぞ。 ○山本委員 資料5なのですが、イブプロフェンとアセトアミノフェンの合剤というこ とですけれども、資料の主旨は66例の症例でみんな効いてしまったということだと思う のですが、もともと合剤にする理由とか根拠は何なのでしょう。この2種類の薬自身が 結構副作用を起こしやすい薬品ですし、そうしたものを二つ混ぜて使う、しかも66例で 例えば単味剤と比較をしたわけではないのではないかと思います。そうしますと最高用 量を使って合剤にする合理性とか必然性が余りよく分からないのですが、どういう理屈 なのでしょうか。 ○審査管理課長 それにつきましては処方設計をどういう考えでやったかということに なりますので、機構の方で開発経緯のようなところで承知している部分があれば御紹介 いただければと思います。 ○機構 解熱鎮痛剤というのは承認基準にも入っておりまして、それによりますと2剤 を混ぜる処方というのはたくさん出ております。本剤につきましては満量ですけれども、 イブプロフェンの副作用軽減ということで、胃障害を軽減するという目的も含めてアセ トアミノフェンを入れているということでございます。第1回目の専門協議では御指摘 の点を懸念する意見が出ましたので、それにつきまして申請者にアセトアミノフェンを 配合することのメリットは何かを照会いたしました。動物実験でラットの胃障害に対す る試験結果が提出されまして、それについてはアセトアミノフェンを入れることによっ てイブプロフェン単独よりも胃障害が軽減されるという結果が出ております。またある 調査によりますと、全国でイブプロフェンとアセトアミノフェンを配合したものという のは、かなりの数が処方されているということがございまして、安全性上問題はないだ ろうと判断いたしまして、承認して差し支えないと判断いたしました。 ○審査管理課長 したがいまして、一応ルール上は解熱鎮痛の成分を認められていると。 ただ積極的な理由としては、エビデンスとはとても言えないような動物実験での話があ るぐらいということでございます。 ○松木部会長代理 承認基準とか安全性に照らすと積極的な理由はないけれども、承認 できるという段階で来てしまっているのです。個々の薬に関してというよりも、やはり この一般用薬をどういうふうに考えるかという根本的な問題だと思うのですけれども、 一般の方にした方が合剤が増えるというのはちょっとやはり根本的におかしいような気 がするのです。これから多分問題になる副作用は相互作用で、何も薬に限らず今サプリ とかダイエット食品とかいろいろなものを皆さん摂取されていますので、それとのイン タラクションというのが全然データがないわけです。そういうときに一般用薬になれば なるほど合剤が増えるというのは、何か非常におかしいような気がします。ですからセ ルフメディケーションを積極的に推進するのならば、単剤でその薬が自分に合うかどう かを消費者が判断できるようなものをということが多分基本的なスタンスだと思うので す。この場での発言が適当なのかよく分からないですけれども、それを言う場所がなか なかないものですから、是非そういうところを検討していただきたいと思います。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。そういう御指摘につきましては、この 後御報告させていただく予定の検討部会でもかなりお話がございまして、ただ現実問題 としまして、OTCがいろいろな成分を付け加えることによって付加価値を高めて値段 も高くというような形で来てしまっているというところがあります。今松木先生から御 指摘があったようなところはやはりOTCの在り方のような話で、改正検討部会でも望 月先生などからかなり御指摘があったところでございます。そういう意味ではいろいろ 配合しているような製品については、それほど販売店も積極的に顧客に対して…、いわ ゆる薬剤師はプロですから、積極的に推売しないとかそういったことも全体的に徹底し ない限りは、OTCの根本論がこの場で議論はされていても末端の薬局などには実際に はなかなか伝わっていかないと。配合されていて仮に値段が高いとすれば、それを推売 してしまうということであればやはり現実に議論している話と現場の実態はちょっとず れていくということはあると思いますので、そこはもう少し全体的な広がりが必要なの ではないかというふうに思う部分もあります。以上です。 ○山本委員 お言葉を返すようで申し訳ないのですが、もしそういう御懸念がもともと おありならば、こうした合剤を報告だけでこの場をすませてしまうということについて は、この部会がどんな役割があるのかという議論になるのではないでしょうか。確かに 審査管理課長のおっしゃる現状があるのかもしれません。しかし、そうですけれども、 現場ではこう売られてしまうのではないかという御懸念を持っておられながら、医療上 エビデンスがあったとして、しかもこれはセルフメディケーションで使われるというこ れまでと全く違う状況の中で、今の御指摘は審査管理課という安全を担保する部署とい う意味では私は極めて疑問であります。薬剤師がきちんと売っていないということ、あ るいは売らないであろうということを前提にこうしたものを許可するということになり ますと、私は薬剤師ですから容易に納得できないので、これが報告ではいささか困りま すと。ですからもしそういうお考えで厚生労働省が許可されるのだとすれば、報告では なくもう一回審議に戻していただきたいというふうに申し上げたいのですけれども。 ○審査管理課長 ですから今のルール上は、これはいわゆる却下はできないということ ですし、それから現実にこれと類似の配合のものというのはたくさんあるわけです。解 熱鎮痛成分がいろいろと2種類、3種類入っているものはありますので、現実問題とし てこれだけを特別視というのもできないと思いますけれども。 ○山本委員 ですからこれを駄目にしろという話ではございません。こうしたものがこ の場に出てくる背景として、今おっしゃったようなことまで念頭に置いた上で、きちん と売られないのではないかという懸念があるにもかかわらず報告として処理される、そ れは少しおかしいのではないかと申し上げているわけです。この製品についてもし販売 時に懸念があるならば、きちんとした売られ方をするような対策を講じるなどというこ とがあってしかるべきであって、単に今のお話のように医療現場では混じっている医薬 品もたくさんあるぞというだけでよいのかという議論と、現場でどう扱えるかというの はまた別の話です。それを混同したまま、これを報告事項としてこの場で問われれば私 は反対です。 ○審査管理課長 申し訳ございません。私の発言の部分で不適当な部分があったとすれ ば、そこは撤回させていただきます。 ○松木部会長代理 結局、今の一般用薬の承認基準でもう決められていて、その範囲と、 それからもう既に承認薬があるという前提でやるとオーケーになってしまうわけです。 ですからそこの根本的なところを少し見直すような、例えば先ほどの効能・効果もその 基準に当てはめると、全部「胃痛、腹痛、さしこみ」というくくりになってしまうので す。これはやはりどう考えてもおかしいわけで、この部会のルールをはるかに超えてし まうもうちょっと高い段階での判断だと思うのですけれども、そういうところから検討 していただきたいと思います。 ○審査管理課長 ここの部会に今後お願いをしなければいけない部分で、承認基準の見 直しでございますとかそういったものも一緒に並行してやっていかなければいけないか と思います。私の先ほどの発言の中には、現場での販売の部分で不適当な部分がありま した。そこの部分は撤回させていただきますが、いずれにしましてもいろいろな御指摘 がある中で新たな申請は出てくる、それからいろいろな情報提供関係の整備はしていか なければいけない、それと同時に承認基準などの見直しもしていかなければいけないと いう状況にございまして、また先生方には今後とも大変御協力を頂くことになると思い ますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。先ほどの発言で不適切な部分が ありましたことについてはおわびを申し上げます。 ○松尾部会長 それではこの報告を御了承いただきまして、ただし今の承認基準に合っ ていても、それが消費者にとってプラスにならないというものを承認していく結果にな るのは非常に問題だと思います。この委員会でもそのことについて今後議論させていた だけるというお話でございますので、そういう形でまとめさせていただきたいと思いま す。 ○小宮山委員 今の資料5の薬剤についての確認です。グレラン・ビットの添付文書の 「相談すること」の(8)に「胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン氏病」となっ ていますが、「クローン氏病」という病名は正しい表現でしょうか。私どもは「クロー ン病」というふうに常に使っているのですが。 ○審査管理課長 そこは通常クローン病と言うかと思いますが、確認して必要があれば 訂正させていただきます。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。 ○山本委員 前回もお願いして、後ほど御報告があるのかと思いますけれども、今回審 議品目になったものあるいは報告も含めて、内服薬、外用薬共に3年間の市販後調査が 義務付けられているわけです。先ほど審査管理課長から近々いずれ制度も変わり、販売 方法も変わり、情報提供も変わっていく中での議論があるでしょうというお話でありま すので、当然安全を担保するという視点で法改正が行われるはずですから、そうした意 味で3年の間に一体どういうことが起きたのか。むしろこの薬は正に薬剤師なり、ある いは一定の資格を持った者がきちんと情報提供して売られていくという現状の中で安全 が担保されるわけですから、単に3年間たって今までのような形で、例えば安全関連の 審議会等の方に回して、カテゴリーを変えようというような議論ではなしに、多種類で 作為的に。大変なことはよく分かっておりますので全部とは申しませんが、少なくとも 前にそういう方向性とか姿勢だけはここで御検討いただいて、我々が何も知らないまま に3年間の市販後調査を付けてスイッチした薬の規制から外れてしまうというようなこ とが起こらないよう、是非法の変わり目にそうした手順についての整備をお願いしてお きたいと思います。 ── 山元委員退席 ── ○松尾部会長 どうもありがとうございました。 ○審査管理課長 そうしましたら、後ほど御報告させていただきますが、それで御了解 いただけますでしょうか。 ○山本委員 はい。 ○松尾部会長 これは次のその他に関連しますので、これ以外のことで何かございます でしょうか。 ○望月委員 細かいことなのですが、アゼナ鼻炎カプセル、ビエナール鼻炎カプセルに 関してなのですけれども、こちらの方は薬局薬店向けの説明書の案が提出されていなか ったようですので、やはりスイッチされた場合にはできればそういう医療関係者向けの 情報提供を充実していただきたいと思います。 ○審査管理課長 その辺も含めまして、4品目の中でのバランスを図りたいと思います。 ○松尾部会長 よろしくお願いします。それでは時間も大分超過しておりますので、4. その他に移らせていただきたいと思います。資料について御説明いただけますでしょう か。 ○事務局 それではその他ということで、二点御紹介させていただきます。まず一点が 本日お配りしております厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会報告書でございま す。こちらの方は先ほどからお話が出ておりましたけれども、一般用医薬品の販売の在 り方全般について見直しを行っていこうということで、約1年半にわたりましてこちら の部会の方で御議論いただきまして、昨年12月に報告書として取りまとめられたもので ございます。方向性としましては、一般用医薬品をそのリスクの程度に応じて大きく三 つのグループに分けて、それぞれについてそのリスクに応じて適切な情報提供を販売時 に行うための実効性のある制度を構築するということで、こちらの御提案を頂いたもの でございます。現在開催されております今期の国会におきまして薬事法改正案を提出で きるよう、現在事務局の方で準備を進めているところでございますので、御紹介させて いただきます。  もう一点ですけれども、先ほど山本委員から少しお話がございました一般用医薬品の 指定医薬品解除についてでございます。こちらは事後の報告になってしまいますけれど も、前回のこちらの部会の開催以降に指定薬解除されたものについて御報告させていた だきます。昨年の6月に医薬品等安全対策部会で二つの品目が審議されております。一 つがテプレノンの内用剤、もう一つがインドメタシンの外用剤で3.75%以下を含有する ものということで、従来よりも若干濃度が高いものでございます。この2品目につきま して指定薬解除の御了解を頂きまして、昨年7月25日付けで指定医薬品解除されており ますので御報告させていただきます。以上でございます。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。この報告書の内容などにつきまして、 何か御意見はございますでしょうか。この報告書の取扱いというのはこれからどういう ふうになるのでしょうか。 ○審査管理課長 この報告書を基にしまして、先ほど一部触れましたけれども、一般薬 の販売に関する薬事法の改正案が現在提出準備中という状況でございます。 ○松尾部会長 どうぞ。 ○野中委員 このセルフメディケーションという論議は古くて新しい議論ですから、今 回まとめられたことは評価するのですが、このものを読んでもセルフメディケーション という言葉が安易に使われないようにどう配慮するか。それからWHOの定義も分かり ますけれども、やはり世界によって医薬品とか国民感情とか自己責任とかそういうもの の程度が違うので、あたかも自己責任が同じように語られる世界と同じようにセルフメ ディケーションを安易に販売の方で使う事がないように、これは国会で議論されるわけ ですから、その辺できちんとされることを私としては要望しますので、よろしくお願い したいと思います。 ○山本委員 確認なのですが、今日の審議品目は全部指定薬になるのですよね。 ○審査管理課長 そのとおりでございます。そういう意味では4番目の品目だけは成分 としては初めてのスイッチではないのですけれども、ただ先ほど望月委員からお話がご ざいましたように、去年のものはまだ点鼻薬でそこでスイッチでございまして、そうい う意味ではスイッチのものはすべてまず基本的にこの新しい制度では第1類ということ になりますので、そういう取扱いになってきます。  それから、これは議事録の関係で事務的なことで申し訳ございません。部会長の手元 にお配りしておりました審議のメモの方が不正確で申し訳ございませんでした。この部 会は一般用医薬品部会でございますので、この部会で御了承いただきました審議品目4 品目につきましては、3月予定の薬事・食品衛生審議会の薬事分科会に御報告させてい ただくということでございますので、その旨を事務局の方から確認させていただきまし て、おわびと訂正をさせていただきます。 ○松尾部会長 これは委員会のもう一つ上の薬事分科会に報告されるということになり ます。訂正させていただきます。かなりいろいろな問題を積み残したままなのですけれ ども、この委員会の場所で議論を深めていくということで、今日の集まりはこれで閉じ させていただいてよろしいでしょうか。どうしても発言したいということがございまし たら。それでは私の不手際で時間が大幅に延長してしまいました。申し訳ありません。 どうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 紀平(内線2738)