05/12/26 第26回社会保障審議会児童部会議事録 第26回社会保障審議会児童部会 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 第26回社会保障審議会児童部会 議事録 日時:2005年12月26日(月) 13:00〜15:00 場所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 出席者:  委員   岩男部会長、阿藤部会長代理、大日向委員、小笠原委員、柏女委員   津崎委員、服部委員、堀委員、吉田委員、渡辺委員  事務局   北井雇用均等・児童家庭局長、白石審議官、香取総務課長、清川家庭福祉課長、   東育成環境課長、尾崎保育課長、山本虐待防止対策室長、大塚児童手当管理室長、   麻田職業家庭両立課長、佐藤母子保健課長、田中児童福祉調査官 議事:  1. 開会  2. 平成18年度雇用均等・児童家庭局予算案について  3. 三位一体改革について  4. 児童手当について  5. 総合施設について  6. 市町村児童家庭相談業務の状況等について  7. 犯罪から子どもを守るための対策について  8. 閉会 配布資料:  資料1  平成18年度雇用均等・児童家庭局予算案の概要  資料2  三位一体改革について  資料3  児童手当について  資料4  総合施設について  資料5-1 平成17年度市町村児童家庭相談業務の状況について  資料5-2 市町村域での要保護児童対策地域協議会及び児童虐待防止を目的とする       ネットワークの設置状況調査の結果について(平成17年6月調査)  資料6  犯罪から子どもを守るための対策について 参考資料:  1. 平成16年度社会福祉行政報告(福祉行政報告例)の結果の概況(児童福祉関係抜粋)  2. 平成16年社会福祉施設等調査結果の概況(児童福祉関係抜粋) ○岩男部会長  定刻となりましたので、ただ今から第26回社会保障審議会児童部会を開催させていた だきます。本日は大変ご多忙の中、また年末の特にお忙しいところご出席いただきまし てありがとうございました。  まず、本日の出席状況について事務局からご報告をお願いします。 ○香取総務課長  本日は、網野委員、遠藤委員、中村委員、前田委員、松原委員、山縣委員、山ア委員、 無藤委員が所用によりご欠席と伺っております。また、柏女委員は遅れてお見えになる というご連絡をいただいております。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、議事に移りたいと思います。初めの議題として、 平成18年度雇用均等・児童家庭局予算案について、事務局からご報告をお願いします。 ○香取総務課長  今日は説明事項がたくさんありますので、スピーディーに進めたいと思います。最初 は、「平成18年度雇用均等・児童家庭局予算案の概要」という資料をもとに、来年度の 予算案の状況についてご説明申し上げたいと思います。平成18年度の私ども雇用均等・ 児童家庭局の予算案については、前回の審議会のときに選挙がありましたので、10月に なりましたけれども、概算要求の内容の概要をご説明したところです。一昨日、最終的 に政府案が決定しましたので、それに沿って説明します。  まず1ページめくっていただくと、資料1が予算の全体の状況です。後ほど説明しま すが、平成18年度の予算案については、三位一体改革の関係で児童扶養手当および児童 手当その他について地方への税源移譲を行った関係で、形の上では平成17年度予算と平 成18年度予算案の関係で言うと、マイナス21.8%という数字になっていますけれども、 三位一体改革の、今申し上げた地方への税源移譲等の影響を除いた実質的な部分で見た ものは、その(参考)で示したように、来年度の政府案は8,739億円ということで、伸び 率で言うと13.2%ということになっております。  ご案内のように、政府全体の予算はマイナス80兆円を切った予算で、マイナス0.6% ということです。厚生労働省全体の予算も微増の中で、少子化関係予算は、それなりに ご配慮いただいた内示をいただいたという形になっています。3ページが今申し上げた 三位一体改革の私どもの関係の内容です。これついては、後ほど担当課長より説明いた します。  早速、中身に入りたいと思います。4ページ以下です。予算の概要については、概算 要求のときに一通り説明しておりますので、今日はテーマもたくさんありますので、詳 細な説明は省略させていただき、主だったところについて説明したいと思います。  最初の「1.すべての家庭を対象とした地域子育て支援対策の充実」ということで、い わゆる地域における子育て支援ということで、私どもの次世代育成支援対策交付金、い わゆるソフト交付金というものを要求しています。こちらについては、約340億円とい うことで、一応、対前年で若干の増額の予算を認めていただいたところです。ソフト関 係の事業については、これは数量目標が支援プランで示されているものが中心ですが、 そういったものを中心に自治体の計画に基づいた事業に対して交付金を提供するという ものです。  7ページの二つ目の○施設整備の関係は、概算要求のときに、平成17年度は保育所や その他の施設整備費で国の予算がタイトになり、自治体にご迷惑をかけたということで、 約100億円の増ということでかなり大幅な予算要求をしたのですが、実質的には18億円 の増ということです。対前年度で実質的に増額の140億円の予算をいただいたところで す。  なお、別途補正予算として、アスベスト対策、それから耐震回収等の補助金をいただ いておりますので、そういったものと併せて保育所やその他の施設整備に対応したいと 思っています。なお書きで書いてありますが、これも後で詳細を説明しますが、三位一 体改革で、いわゆる公立の自治体が直営で作っている保育所その他保育関係の施設の整 備については、一般財源化しているということで、この部分については、減額している ところです。  それから(2)の放課後児童クラブ対策については、概算要求時点では、平成18年度は 1万4,000クラブの整備ということで要求させていただきましたが、一応増額の査定を いただき、約100カ所増になっているところです。  次に8ページ、待機児童ゼロ作戦の関係ですけれども、(1)待機児童の受入数の増とい うことで、今申し上げたように、民間の施設整備について整備の増を行っていますので、 これによって定員の増が図られるということと、運営費については、平成18年度約110 万7,000人ということで、4万5,000人の受入増を予定した予算を計上しています。  それから、(3)の総合施設については、後でまたこれも説明しますが、予算上は事項要 求の形にしていますので、総合施設のために新しい補助金というのは用意されていない わけですけれども、モデル事業その他の評価の結果を踏まえて、平成18年の通常国会に 所要の法律改正を行い、平成18年度から施行したいと考えているところです。  9ページの3、両立支援の関係ですが、(1)の一つ目の○と二つ目の○は両立支援に取 り組む事業主への支援ということで、これは特に中小企業において初めて育児休業、あ るいは短時間勤務の適用者があった場合に思い切った助成をしようということで新規に 計上したものですけれども、内容を一部見直されましたが基本的にはこの予算について は認めていただいたということで約48億円を計上しています。  二つ目の○は、子育てをしている女性で、いったん離職された方の再就職・再起業の 支援ということで、こちらも新規に要求したものを含めて要求しましたけれども、こち らにつきましても、一部内容の査定はありましたが、再就職支援および起業について、 それぞれ所要の金額を認めていただけたところです。  それから、10ページの虐待対策ですけれども、虐待対策は基本的に要保護児童対策と いうことになりますので、措置費その他義務的経費を中心に要求したのですが、こちら についても、里親育児制度の推進とか、あるいは小規模ケアのための所要の職員の配置、 心理療法士の常勤化等、基本的には、その内容について認めていただいたということで 所要の予算が計上できております。  それから、11ページの小児科・産科医療の確保対策についても、小児科・産科の医療 体制整備ということで統合補助金の中で、小児科・産科医の不足に対応して各都道府県 における体制の整備のための補助を行うということで新規に統合補助金の中で要求しま したが、これについても認めていただいております。また、不妊治療については、現在 通算2年間ということですが、これも5年に延ばしていただきたいということで概算要 求して認めていただいたところです。  それから最後、12ページ、13ページの母子家庭等自立支援対策について、一番下の児 童扶養手当は後で説明しますが、国庫負担割合の見直し、三位一体改革で見直しをして いますが、それはそれとした上で、今年度消費者物価指数の見直しを見て額の改定をし ますが所要の額は確保できております。  前後しますけれども、一つ目の○ですが、現在モデル事業として「母子自立支援プロ グラム策定事業」ということで、労働局と共同して自立支援のための施策を講じたわけ ですが、これについて、来年度から全国展開をするということで所要の予算を計上しま したが、これについては認めていただいたところです。  最後に児童手当ですが、これは、ご案内かと思いますが、与党の合意に基づいて平成 18年度から対象年齢を現在の小学校3年生までのものを6年生修了時まで引き上げると いうことと、所得制限の緩和を行い支給率を概ね85%から90%に引き上げるということ で、拡充を行っています。児童手当についても、児童扶養手当同様、三位一体改革の中 で、国庫負担の割合の見直しを行ったところです。  14ページ、15ページの均等関係それからポジティブ・アクション、パートタイム労働 については、ほぼ要求通り所要の予算が付いたということです。  冒頭で申し上げたように、児童手当の拡充を行ったので、かなり大きい額が出ており ますけれども、これを除いても全体的に非常に厳しい予算の中では、最大限のご配慮を いただけて予算が確保できたのではないかと思っています。予算の関係の説明は以上で す。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ただ今のご説明について、ご意見・ご質問等がありました らご発言いただきたいと思います。  それでは、また後ほど他のセクションのところでご発言いただいても結構ですので、 先に進ませていただきたいと思います。  続きまして、三位一体改革について事務局よりご報告をお願いします。 ○清川家庭福祉課長  家庭福祉課長の清川です。三位一体改革について説明します。資料2がお手元にあり ますので、それをご覧になっていただければと思います。1枚めくっていただいて、1 ページに「確認書」というものが付いておりますけれども、三位一体改革においては、 平成18年度までに4兆円の国庫補助負担金を改革し、3兆円を地方に税源移譲を図ると いうことで、その内容についていろいろ議論したのですが、この確認書にあるように平 成11年11月29日に内閣官房長官と厚生労働大臣を含む4大臣の確認書が出されたとこ ろです。  これにより、(1)これまで提出していた経常補助金、110億円。それから(2)の施設整備 費とこれと一体の措置として、1,800億円。併せて、(3)の児童扶養手当については、母 子家庭への就業・自立に向けた総合的な支援を現在進めており、地方への役割あるいは 責任が増大するという観点から国の負担率を4分の3から2分の1へということで、い ろいろ議論してきたわけですが、これをさらに進めて、国の負担を3分の1にするとい うことで1,805億円の改革。それと併せて、地方との児童扶養手当に関する協議会の中 で、児童扶養手当と児童手当との国と地方の負担割合の整合性について議論されたとい う経緯もありましたので、児童手当についても児童扶養手当と同様に国の負担を3分の 1にするということで、合わせて5,292億円の補助金改革を行っております。  こういった確認書を受けて、右側2ページですけれども、「三位一体の改革について」 ということで平成17年11月30日に政府・与党間で取りまとめがなされたたところです。  厚生労働省関係ですと、1ページめくっていただいて3ページの真ん中の少し下のと ころに「ロ.社会保障」というところにありますが、児童扶養手当を4分の3から3分の 1に、児童手当を3分の2から3分の1に。施設費及び施設介護給付費等について、国 庫補助負担金の改革及び税源移譲を実施するという取りまとめがなされたところです。  これらを受けて、少しページが飛びますが7ページに書いてありますけれども、平成 18年度における厚生労働省の国庫補助金改革として(1)の14日提出の経常補助金109億 円。右側にその内容について別紙1にまとめています。児童関係では下から二つ目の○ の「次世代育成支援対策交付金の一部」。これは公立保育所の延長保育の加算分ですが、 その20億円。それから左側に戻りますが、(2)の「施設整備費とこれと一体の措置」とい うことで1,800億円。この内訳として施設整備費が500億円あるわけですが、これは9 ページの別紙2にまとめており、大きなものとして一番上の「地域介護・特別養護老人 ホーム等の経費」があります。  児童福祉分として二つ目に書かれている「次世代育成支援対策施設整備交付金のうち、 公立保育所あるいは児童相談所の一時保護施設分を除くもの、それから婦人相談所の一 時保護施設分を除くもの」。これらは既に運営費について一般財源化しているものですが、 これらにかかる経費45億円について廃止・縮減の対象とするということとされたところ です。  もう一度7ページに戻って、(3)児童扶養手当、それから(4)児童手当については先ほど 説明した通りです。以上、私からの説明を終わらせていただきます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ただ今の説明について、何かご質問あるいはご意見があり ましたらご発言いただきたいと思います。  よろしいでしょうか。ご質問がないので、私から一つ伺いたいのですけれども。国か ら地方に財源の移譲ということの意義というのはわかるのですけれども、受給者にとっ て、何か目に見えるような違いというものが期待できるのでしょうか。 ○清川家庭福祉課長  受給者にとっては基本的な変更はないわけですけれども、例えば児童扶養手当ですと、 地方の負担割合が3分の2となるということもあり、手当の支給と、就職に向けた支援 というような地方の業務間での連携がさらにいっそう促進されて、母子家庭の方の自立 支援がさらに進むのではないかということを期待しているところです。 ○岩男部会長  ありがとうございました。堀委員、どうぞ。 ○堀委員  大変答えにくい質問かと思うのですが、お尋ねします。この補助率・国庫負担率など が引き下げられたのは、三位一体改革の目標値を達成するためというのはわかるのです が、これは厚生労働省にとって、あるいは児童家庭局にとって、こういった補助率と他 の補助率との整合性という意味での検討は、なされているのでしょうか。 ○清川家庭福祉課長  例えば、児童扶養手当については、これまで国庫補助率4分の3ということでしたが、 これは他の補助金等の補助率がほぼ2分の1あるいはそれ未満ということと比べると、 かなり高く出ていたわけですので、そういった他の一般の補助金などとの整合性等の観 点から、今回、国の負担率の引き下げを行っているというようなことはあります。 ○堀委員  例えば特別児童扶養手当とか、特別障害者手当とかとの関係は、どうなっているので しょうか。 ○清川家庭福祉課長  個々の負担金ごとに若干のばらつきがあるのは確かですが、ほぼ2分の1あるいはそ れ以下ということで整理されたものが多くなっているのも、また事実です。 ○香取総務課長  補助率については、ご案内のように、補助金の大勢を占めているのは社会保障関係と 文教関係ということですので、厚生労働省関係の老人・障害・児童それから文部の、今 回一部手直しをしましたけれども、公立文教関係の補助金は、従来ですと大体国が2分 の1を持って、実施主体である自治体が2分の1ないしは厚生労働省の場合だと県が4 分の1という形が多かったのですが、今回、基本的には、補助金はすべて廃止して税源 移譲するというのがスタートラインの議論だったわけです。その中で、それぞれ問題に なった補助金について議論して、最終的な決着としては、私ども所管の児童扶養手当と 児童手当については3分の1は国庫負担を残すということになりました。  同様に、公立文教の義務教育についても、最終的には3分の1残るという形になりま したので、今回触った大どころについては国が3分の1持つという形になっています。  ご指摘のように、例えば保育所の運営費などについては、今回特に自治体側からご要 望がなかったということもあって、議論されなかったので今の形で残っていますので、 ここは従来通り国の負担が2分の1ということになっています。  全体として、国の関与のあり方と、それに見合ってどの程度の財源負担を国がするこ とにするのか、あるいは負担の仕方についても、定率で、一定の割合で持つというやり 方もありますし、国民健康保険や介護保険のように一定の調整財源を国が持つ、あるい は市町村が実施主体という原則の元に都道府県が調整を持つというような形もあります。  そのように見ると、全体として統一的な考え方で、それぞれの制度に対する財源負担 と国の関与というものが今回の改革で整理されたかというと、必ずしもそれはそういう 形ではないのではないかと思います。  事務の性格も、必ずしも法定受託事務であれば国の負担が高いとかいうことにも、ど うも全体としてなっておりませんので、その意味では、引き続きの改革が必要であると いうのは、自治体の側からのご要望があります。  そういう意味では、整合性がとれてない形で決着していますので、さらにいろいろな 形で、個別の制度改正、あるいは全体の補助金改革なり交付金改革の中で、国の関与の あり方と補助率の関係というのは、もう一度いずれかの場面で議論されなければならな いものであると考えております。 ○堀委員  必ずしも論理的でない、あるいは整合性がないというお答えですけれども、そういう ことだけではなくて、地方の負担が増えることによって対象者を絞り込むとかいう問題 は生じないのでしょうか。法律は対象者を変えていないと思うのですが、先ほど部会長 からお話があったように、過度に対象者を削るとかいうことがないように願っています。 答えは結構です。 ○岩男部会長  よろしいですか。他にご質問がなければ先に進ませていただきます。  この度、私たちも望んでいた改善が見られた児童手当のご説明に移りたいと思います。 それでは、事務局から説明をお願いします。 ○大塚児童手当管理室長  児童手当管理室の大塚と申します。資料3をご覧いただきたいと思います。概ねの説 明は既にありましたけれども、平成17年11月30日に、まず三位一体改革については政 府・与党間合意がなされて児童手当についても負担割合が変わったということです。こ の三位一体改革についての合意の中で、今後の予算編成過程において検討される制度改 正についても適切に対処するとうたわれており、これに基づいて与党間で児童手当につ いて、今度は拡充についていろいろと協議され、最終的には平成17年12月15日に児童 手当・年金国庫負担に関する政府・与党協議会が開かれ、この場で合意されたわけです。  その合意文書が2ページ目のもので、児童手当については、「平成18年度予算に関し、 次のとおり合意する」ということで、平成18年4月より、小学校3年生から6年生まで 対象を引き上げると。併せて、支給率を今85%ですが、90%程度まで引き上げるという 合意がなされております。  それで1ページの通り、内容的には改善前と改善後を比べると、小学校3年生までと 小学校修了、つまり6年生まで、940万人から大体1,310万人まで対象の児童数が増え るということです。  所得制限の緩和について、これは政令事項ですが、概ね夫婦と児童2人の世帯の場合、 現在の収入ベースで780万円が所得制限額ですが、それが若干緩和されて、860万円と いうことで、これで大体90%程度がカバーされるということになります。  費用負担については、先ほど申しましたように三位一体改革で、現行の国3分の2、 地方3分の1から逆転しております。  予算については、平成17年度予算が6,420億円、それが平成18年度予算案では8,580 億円となっております。これはトータルの額ですが。  こういった内容について、今後法案を整備して国会に提出してご審議をいただくこと になっております。以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ただ今のご説明について、何かご質問・ご意見がありまし たらご発言いただきたいと思います。  堀委員、どうぞ。 ○堀委員  児童手当というのは、大変お金のかかる制度なので、こういう緊縮財政のときに拡充 を図るのは大変難しいと思うわけです。その意味で、今回拡充されたことは、大変評価 したいと思います。しかし、局として今後どのようにするのかという長期的な展望があ れば、お聞かせ願いたい。あるいは児童手当とは別の形で育児の経済的支援を行うとい う意見が、児童部会から何回か出ていますが、そういったことについてもお伺いしたい。 政治によって税制改正がなされた結果、こういうことになるといったことではなくて、 局的の展望みたいなものをお聞かせいただけたら幸いです。 ○香取総務課長  ご案内のように児童手当は12年改正、16年改正、それから今年の改正もそうですが、 このいずれも児童手当、経済的支援について、その重要性について与党内部でかなり議 論がありまして、それを踏まえた形で制度改正をするということになっています。  これまでの議論と今回の児童手当の拡充をめぐるさまざまな議論との関係で言います と、ご案内のように夏の段階で選挙があったわけですけれども、そのときに各党がそれ ぞれ児童手当を含めてかなり少子化対策全体について、体系的なマニフェストをお示し になって、その議論の流れの中で児童手当の議論はされたという経緯があります。その 意味で言うと、いわゆる児童手当の拡充一本やりということではなくて、かなり全体的 な体系をきちんと見直していく、あるいはそれぞれさまざまな対策をやっていく中で児 童手当を位置付けるというような議論になったのではないかと思います。 ご案内のように来年人口減少ということで今年の人口がマイナスになるということがか なり避けられないことになったこともありまして、この12月の予算編成の過程やそれか ら昨日先週の末の閣議などでも、閣僚間でもかなり少子化対策についてかなりいろいろ なご議論があったと伺っておりまして、全体的に非常に世の中的にも政治的にも関心が 高くなっています。  そのことで言いますと、昨年、子ども・子育て応援プランを作ったわけですが、子ど も・子育て応援プランの全体の体系との関係でこの経済的支援をきちんと位置付けて議 論するということがかなり最近いろいろな形でされていますので、今後の児童手当のあ り方についてもそういった方向性を少し考えなければいけないのではないかと思ってお ります。  一つは今、堀委員からご案内がありましたように、経済的支援といった場合に、こう いった家族手当系の手当とは別に、もう一つ就労継続を前提にして、就労中断に伴って 発生する機会費用について、どういった形で考えるかということがあります。わが国で 言いますと育児休業給付ということになるわけですけれども、こういった育児休業給付 の手当と児童手当というものを少しトータルに子育て期あるいは就労中断期の経済的支 援、あるいは子育て支援ということを少し考えてはどうかというご議論がございます。  もう一つは、現行児童手当制度は、制度発足当時の構成でいいますと、特に被用者に ついては基本的にはその企業負担を中心に財源構成を考えるという制度になっていたわ けですが、この間の拡充の過程では公費を投入することで給付の拡大を図ってきたとい うこともあって、企業負担の割合が非常に今小さくなっております。  全体の6割以上、7割近くは公費で賄うという形になっておりまして、その公費の中 の費用負担割合を今回、国と地方で変えたわけですけれども、全体的に公費の大きい形 になっているということは変わりがないわけで、この点については自民党、公明党それ ぞれ与党の内部でもあるいは制度改正の過程での政府内の議論でも、全体の財源構成、 つまりそのそれぞれの制度に対する公費、企業あるいは受給者本人それぞれの位置付け をどのように考えるかというご議論がやはりあるだろうということで、今後児童手当制 度の議論をしていく中では恐らく先ほどの育児休業給付制度との関係とも含めて、全体 の財源構成なり、あるいはどの部分をどういうふうに手当する、被用者と非被用者の関 係、特に専業主婦に対する支援ということも含めて制度的な位置付けを整理して考える ということが求められるのではないかというふうに思います。  全体のスケジュールとして、例えば、児童手当について今回の改正後、今後どう考え るかということについては、まだわれわれ十分検討しておりませんけれども、子ども・ 子育て応援プランの見直しの議論もございますし、少子化対策は私どもだけではなくて 政府全体で内閣府に担当大臣がいらっしゃって全体の調整をしておりますので、政府全 体の数字の中で、スケジューリングをして考えていくということになるのではないかと 思っております。 ○岩男部会長  今のご説明に関連して一つご質問させていただきたいのですが、大体6割が公費とい うことで、事業主負担が4割ぐらいで随分多いように思うのですが、事業主負担につい て私は十分に認識していなかったのですが、例えば年金と同じようにその年収について 何パーセントというような形で徴収しているのかその辺を少し説明いただけますか。 ○大塚児童手当管理室長  これは今の社会保険庁の年金の保険料と同じシステムです。同じ徴収システムを使い まして、0.9/1000(=0.09%)という拠出金率で事業主からから徴収しております。 ○岩男部会長  はいどうぞ、吉田委員。 ○吉田委員  今との関連で私の理解が間違っていたら、訂正していただきたいのですが、1.1/1000 で改正をしたときに0.9/1000が現金給付分の財源で0.2/1000がこども未来財団等に回 って多様な活用がされていると私は理解していたのですが、児童手当財源の一部がこど も未来財団等で活用されている部分はどのようになっているのでしょうか。 ○大塚児童手当管理室長  これは15年度に年金の総報酬制というのができ、ボーナスを含めてトータルで徴収す るということになりまして、徴収する額は変わっていないのですが拠出金率が若干 1.1/1000から0.9/1000に落ちているわけでございまして内容的には変わってございま せん。育成事業の割合も0.9/1000の中で同じ割合で出してございます。 ○岩男部会長  ほかに何か。はい、ではどうぞ、津崎委員。 ○津崎委員  堀委員の政策展望と少し関連するのですが、待機児童ゼロ作戦ということでかなり費 用を使っておられますね。前にもここの場でお話したのですが、作っても作っても要は ゼロにならない。なぜゼロにならないかというと0、1、2歳、その辺のところが新たな ニードを掘り起こす作業になっている。従来は0歳、1歳、2歳というのは、暗黙のうち に家庭で養育されるという前提の中で、保育とか幼稚園制度という形が成り立っていた のです。ところが最近はそうではなくて、ずっと自分たちで小さい子どもを24時間面倒 見るのが非常に負担度が大きいし、しんどい。それよりも預かってもらえるのであれば、 預けて育てるほうが正直言って楽だというような雰囲気もあって、どんどんと0、1、2 歳を保育所に預けようかという動きになってきているのです。  どういう形で、0、1、2歳の子育てを国全体として考えていくのかということがない と、それを全部ゼロ作戦で対応しますよということになってきたときに実際には対応で きないと思うのです。だからあくまでそういうニードがあれば、ニードに応じる形の保 育の拡充をしていくのか、あるいは0、1、2歳についてはむしろ育児休業を活用するな ど、本来はそこでそういう問題を対応していくという方向でいくのか、あるいは今まで 通り何らかの形で家庭でそこの部分は見てほしい。したがってその家庭に対して何らか のサポートの支援策をとるとか、そういう何か基本的な方針があってその政策をどう展 開していくのかいうことがないままにやっていくと、最後には全部保育で対応しないと いけない。  ところが実際には対応できないという局面に遭遇してしまうのではないかという懸念 がありますので、できれば0、1、2歳の保育なり、家庭での育て方について基本的コン センサス(合意)があって、それを前提にした形での政策なり予算ということでないと いけないのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。 ○香取総務課長  難しいご質問だと思いますが、恐らくその部分は、どういう形でその社会的な合意が できるのかということにかかわるのではないかというふうに思います。  現状の私どもの政策ということで申し上げれば、基本的には仕事をしながら家庭生活、 あるいは結婚生活、子育てをしている両親がいわばさまざまなライフワークバランスの 形を選択できるということで、基本的に預けて働くということを選択されるのであれば、 それに対応できるような保育、あるいは休んで1年間なり1年半なり育児に専念して、 そして職場に復帰をするということならば、その間の育児休業あるいは有給の休業をし て、そしてその後の職場への復帰あるいは再就職再起業を支援すると言いますか、それ が可能になるような道筋をつけていくということを進めるということになります。その 意味ではご質問との関係で言えば、両様のチョイスが可能になるような政策を行ってい るということになります。  そもそも、1歳なり1歳半の段階でどういう形でライフワークバランス、仕事と子育 て、家庭生活との関係を位置付けるかというのは、社会全体として、これですという合 意形成が恐らく今あるということではないと思いますし、最近の議論で言えば、そこの ところをそもそもどのように考えるのか。ご議論の中でも、できるだけ家庭で育てるこ とができるようにということを前提に例えば育児休暇なり就労継続を前提の家庭的な支 援を行うと考えるか、預けることをいわば前提にそちらの方中心に考えるかということ については多分まだ議論がさまざま揺れ動いているのではないかというふうに思います。  いわゆる3歳児神話の議論は、やはりそういうご議論をされている方はまだいらっし ゃいますし、完全にそれが否定できるというわけでもないので、やはりさまざまな価値 観あるいはさまざまな働き方がありますので、それに可能な限り対応できるように、し たがってトータルで例えばスウェーデンのように1歳半までは基本的には育児休暇でい って、後は90%以上保育でいくというような社会的な合意が必ずしもできているわけで はありませんので、そういう意味では私どもの方からこの形でと言うよりはもう少し、 特に少子化や人口減少になってまた、いろいろな形で関心が高くなっていますし、そし て企業の側も企業としての取組をさまざま進めておられますので、そういったことを踏 まえて、合意形成をまずしていく、それを踏まえてさまざまな選択が可能になるような 政策を作っていくということになるのではないかと思います。 ○岩男部会長  はい、どうぞ。 ○津崎委員  住民主体のチョイスを無視して枠組みを強くはめ込むということは、多分できないと 思うのですが、そういう意味ではそれぞれのチョイスに対する政策はとらないといけな いと思いますが、ただどういう形が望ましいのかという一定の考え方があって、それに 対して政策を誘導していくような、そういう何らかの予算の打ち方なり政策の決定をし ていかないと、どれでも自由ですよと、どれに対しても対応しますということになって くると、要は子育てを実際にされている所は、預けて働く方が楽だと、そしてその分お 金も入ってくる、家で見ているとそれだけ負担度が高くなるという考え方がかなり増え てきていますから、全部自由な選択に任せるとなってくると、ある意味では極端に言え ば全部保育でそこを受け止めざるを得ない状態までつながってくる可能性がある。そう すると、政策としても予算としても実際対応できないと思うのです。  その辺は一定の理念を持ちつつ、どこに方向性を持っていくのかという考えがないま まやっていると、破綻になりますよという意見なのです。 ○岩男部会長  よろしいですか。大日向委員、どうぞ。 ○大日向委員  私も津崎委員が言われたように21世紀の日本社会のあり方を考えて政策誘導型でビ ジョンを打ち立てていくことが必要だと思います。  ただ1点違う考え方をしておりまして、乳児を持つ母親たちが子育てが負担で嫌だか ら保育所に預けるという、そういう傾向だけでは決してないと、長年お母さんたちの実 態調査を繰り返す立場から、私は確信しております。  もちろん育児負担が重くて、働いた方が楽だからという女性がいないとは決して申し ません。そういう女性がいつの時代も一定数いたと思いますが、今少子化の原因をなし ている主な原因は、先ほど香取総務課長が言われたように機会費用コストが高すぎると いうことです。従って仕事と子育てのバランスをいかに保てるかということを女性たち は願っていると思います。  その場合に、0歳、1歳児を持つ女性たちが長時間夜間勤務を余儀なくされるような働 き方は改めていく必要があると思います。多様な働き方を提示しながら無理のない形で 就労を継続できるということが、女性たちが求めていることだと私は思います。  その点では、この施策は少子化対策という観点から21世紀のあり方を考えるというこ とで、機会費用をどうやって抑えていくか、企業の就労支援のあり方と育児休暇のあり 方、あるいは保育所の予算作成、両面からぜひ検討していただきたいと思いますので、 私はライフワークバランスをとれる施策を、ぜひ今後とも継続していただければと願っ ております。 ○岩男部会長  はい。阿藤委員、お願いします。 ○阿藤部会長代理  確か香取課長からもお話があったかと思いますが、いよいよ日本が人口減少社会にほ ぼ突入したということで、今まで少子化問題も確かに政策課題としても重要視はされて きたのですが、ここで一段と政府あるいは国民の関心が強まるということは当然あるわ けで、その点でこれに関する予算というものを今後とも長期的に拡大していくというこ とはぜひお願いしたいと思います。  そういう意味で、今年児童関連予算が他の予算に比べてある程度伸びたということは 大変喜ばしい話だと思いますが、私は尚いっそうの努力が必要であると思います。特に 大陸ヨーロッパ諸国と比べるとまだまだ全体として予算が薄いと感じていますので、そ の辺の努力をお願いしたいと思います。  堀委員あるいは津崎委員の方から出された長期展望という、どういう考え方でこの問 題に対処していくかということは、やはりある程度は整理しておく必要があるのかなと 思います。特に北欧諸国などは1歳あるいは1歳半までは育児休暇で大部分対処すると。 その先をいわば全面的に保育所でカバーする。それによって男女共同参画、男も女も働 き、男も女も家庭に参加するというそういう社会を作っているという恐らく理念の下で そういう政策が゛出てくるのだと思うのです。  そういう点で日本は何となくあいまいで、例えば公務員は3年間育児休暇が取れる、 民間は1年間というややそこに整合性が欠けているように思います。そういう点でも少 し、どういうふうに将来社会というものを考えていくのかというビジョンを踏まえた上 での政策論というのは、どうも必要になってきているのかなという感じがするのです。  それから子育て経済支援の方も、先ほど児童手当の話が当然あったわけですが、これ は一つは民間で、特に大企業中心で、いわゆる家族手当のようなものが相当出されてい るということと、それから国の児童手当さらには財務省マターの税制における扶養控除 と、かなりばらつきがあって、その辺をどういうふうに全体として考えていくのかとい うことも、どこかでやはり議論する必要があると思います。  かつてスウェーデンやイギリスなどは、そういう議論の中で結局、税制における扶養 控除をやめて児童手当に一本化するというような話があったと記憶しているのですけれ ど、児童家庭局だけでそれができるわけではないですから、厚生労働省と例えば財務省 などで、あるいは社会保障審議会と税制調査会などそういうところで、総合的に考える 場所がないと、なかなかセツナリズムに走っているだけでは、かえって全体として弱く なる可能性があるということなので、その辺の戦略的な議論というものをどこかでお願 いしたいと思っております。 ○岩男部会長  はい、どうぞ。吉田委員。 ○吉田委員  あんまりこの議論だけを言ってはいけないのですが、先ほどまだ少し言い損なった事 がございます。いわゆる児童手当制度という部分で現金給付部分と、先ほど申し上げた、 こども未来財団とを通じた結果的にはサービス給付になる部分と、そのグランドデザイ ンがないと、特に本省予算ではないので、こども未来財団の子ども関係施策が見えない という部分があります。しかし財源は事業主負担がそこにかなり入っているということ で、その辺を少し一度整理していただきたいということと、先ほどの議論をすべて含め て、やはり児童手当のような現金給付と保育サービスも含めたサービス給付、現物給付 とこのバランスの議論もあまり今まだなされてない、あるいはその両方をチョイスでき るような仕組みがノルウェーかフィンランドにあったと思いますけれども、そういうこ とも含めてある種のグランドデザインがこれから必要ではないかという気がいたします。 ○岩男部会長  私も一言付け加えさせていただきたいと思うのですけれども、こういうふうに財政が 逼迫している中で、現金給付が拡充していくというときには、どうしてもその費用対効 果をかなり短いスパンで議論するという傾向があると思うのです。  昨年だったかと思いますけれども、自民党に呼ばれて説明に伺いましたときに、議員 の中から既にこれだけ少子化対策をしているのにちっとも増えないじゃないか、効果が ないじゃないかと、そういうご意見が出て、私はあまりにも短いスパンで物事を考えて おられるのに驚きました。そこで、「恐らく必要か適切な施策が十分に行われていないか らです」と私は申し上げたのですけれども、これからますますその効果がどうだという ような議論になりがちだと思いますので、その点は、こういうものは右から左に児童手 当が拡充したからといって子どもが急に増えるとかそういうものではなくて、いろいろ なことをやってジワジワとその効果を社会全体として広げていくということだと思いま すので、その辺も含めて今後説明など、あるいは政策を立てられるときに考慮していた だければというふうに思います。  それでは次の議題に移りたいと思います。次は総合施設についてでございます。事務 局からご説明お願いしたいと思います。 ○尾崎保育課長  保育課長でございます。お手元の資料4、「総合施設について」という資料をご覧いた だきたいと思います。表紙にございます通り、資料4種類入れてございますけれども、3 ページをご覧いただきたいと思います。  その冒頭のところに記述してございますけれども、「就学前の教育・保育を一体として 捉えた一貫した総合施設」につきましては、本部会でも既にご報告いたしましたけれど も、中央教育審議会の幼児教育部会と社会保障審議会の合同検討会議で昨年末、ちょう ど1年前になりますけれども、基本的なあり方について審議のまとめを行いました。今 年の4月からは、全国35カ所でモデル事業を実施しているところでございます。  今回3ページ以下が本文でございますけれども、その総合施設モデル事業評価委員会 の中間まとめがまとまりました。3ページから7ページまでございます。  この中間まとめの中で、職員配置ですとか施設設備あるいは教育・保育の内容等につ いての中間まとめをやっていただいたわけでございますけれども、今後残る来年3月の 年度末に向けまして、教育・保育の内容を中心にさらに議論を深めていただきまして最 終的な取りまとめをやっていただく予定にしているところでございます。  以下の中間まとめの内容を中心にしまして、ページを戻っていただいて恐縮ですが、1 ページと2ページ、これはまとめの紙を付けてございますので、そちらに基づいて要点 をご報告させていただきたいと思います。 まず1ページの1、総論でございます。1つ目の・ですけれども、「総合施設は就学前の 子どもに適切な幼児教育・保育の機会を提供するとともに、すべての子育て家庭に対す る支援を行う機能を備えるもの」と、こういう二つの機能が必要であるというのが方向 性としてまとめられてございます。  実はそのページの5番、一番下でございますけれども、この子育て支援の分につきま して、「子育て支援は総合施設の必須の機能とすべき」であるというふうに意見集約がで きております。これはモデル事業の中でもまとめの中に本文中にも記載をしております けれども、各モデル事業で行われております子育て支援事業が非常に評判が良い、肯定 的評価が高いということがございます。  それから世論調査、アンケート調査でも表れております通り、専業主婦家庭を中心に 子育てはストレスが非常に強く、それに対する支援の策を充実するべきである、総合施 設はその重要な受け皿となるべきであるという意見がございまして、必須の機能と位置 付けるべきであるというまとめになってございます。  それから総論の二つ目の・でございますけれども、総合施設モデル事業は、以下の(1) から(4)まで4類型で実施をされております。(1)幼稚園と保育所が連携した型、(2)幼稚園 が機能拡充させた形、(3)保育所が機能拡充させた型、(4)幼稚園保育所のいずれの認可も ない型とこの4類型で実施をされておりますけれども、本格実施になった暁にも、おお よそこういう類型が考えられるだろうということなのですが、ちょっとこれではわかり にくいので、2ページをご覧いただきたいと思います。  現在、モデル事業しております35事業を分類しますと、一番上の現状のすぐ下、4段 に分けて書いてございます。大体4つの類型に分けて考えることができるだろうという ことでございます。  まず一つ目がいわゆる幼保一体型ということで、これは左の斜線で区切られている左 の部分が認可の幼稚園というふうにお考えいただければと思います。また右の部分が認 可の保育所とお考えいただければと思いますが幼稚園の部分、つまり保育に欠けない子 ども、短時間預かりの子どもの部分で幼稚園の基準を満たしている。それから保育所の 部分で認可保育所の基準を満たしている、こういうものが合体をしているような、いわ ゆる幼保一体型と一番しっかりした型だと言えるのかもしれません。こういう型が第一 類型。  次に幼稚園の機能拡張型ということでございますが、これは認可の幼稚園が、そこに 保育所機能と書いてございますけれども、施設の空き等を利用しましていわゆる保育に かける子を受け入れるといったような形で機能を拡張しているタイプ。この保育所機能 の部分が、必ずしも右にも書いてありますように保育所の基準を満たさないようなケー ス、認可が取れていないようなケース、幼稚園プラスいわば無認可保育所といいましょ うか、そういったようなスタイルとお考えいただければと思います。  それから第三番目はこの逆で、認可の保育所がその機能を拡張させて、幼児機能を付 加しているようなタイプ。  それから第4の類型が自治体の単独施策型。そこに例として書いておりますが、例え ば東京都の認証保育所のように、地方自治体独自の判断で、地域の実情を踏まえて助成 策を講じているようなパターンがあります。これは国の観点から見ますと幼稚園の機能 の部分、保育所の機能部分、それぞれ認可の枠から少し外れるという場合もあるわけで すが、こういったいずれの基準を満たさない場合でも都道府県が一定の判断に基づいて、 総合施設として認める場合のタイプというのがあるのではないかということで、現在の モデル事業を当てはめましてもこの4類型があるということです。  中間まとめで示されました方向は、実施されているこの4類型それぞれを地域の実情 に応じて認めていくべきだろうと。ただその場合に、総合施設として要求されるその機 能の質というものを同時に考えていくべきだろうということがまとめられています。  そういう意味でこの2ページの左側に書いてありますが、地域のニーズに応じて選択 が可能になるようにして総合施設について私どもが考えておりますのは、都道府県段階 で認定という仕組みを導入していくことで、この類型を認めていくということになろう かと思っているところです。  1ページに戻っていただきまして、総論の3つ目の・です。こういう総合施設の機能 の質を確保するという必要性をかんがみ、県の段階で認定をしていただくにしても、そ の認定の基準を含めて、例えば職員配置とかといったことについて、国として一定の指 針・ガイドラインを示していくことが必要であるとまとめられています。  それから、大きい2です。「職員配置及び職員資格について」ということで、幼稚園の 方から見ますと、幼稚園は0〜2歳が未経験で、事業対象として想定をされていないとい うことです。  そういうことで0〜2歳の部分については、職員配置のあり方にしても、職員資格のあ り方にしても、保育所のスタイルというものを基本に考えるべきだろうということです。  3〜5歳の部分につきましては幼稚園機能と保育所機能というものが合わさったよう な形になるわけです。まず職員配置のあり方については、3〜5歳の共通時間については、 学級担任を配置するという仕組みを考えるのと同時に、長時間児の部分、これは登園・ 退園が必ずしも時刻が一定をしていないということで、個別のケアの必要性が高いから こそ保育所の配置基準というものがあるわけです。長時間児については個別対応が可能 な体制、言い換えますと現在の保育所で採っている体制を基本として考えるべきであろ うということで、現在この共通の時間の部分と長時間児の部分をどうやって具体的に基 準に落としていくのかを検討しているところです。  職員資格ですが、3〜5歳につきましては、これも幼稚園教諭の側面、保育士の側面と いうのが合わさってきますが、基本的には両資格の併有が望ましいけれども、既存の施 設の転換を困難にしないという観点もありまして、片方の資格のみを保有する所も排除 しないような検討をしていくべきであるとまとめられているところです。  大きい3番、「施設設備について」ということで、一つ目の・に書いてありますように、 基本的には幼稚園、保育所のいずれの基準も満たしてもらいたいということです。具体 的には、幼稚園の施設設備の基準、保育所の基準を照らし合わせると、そこに書いてあ ります通り、調理室については保育所については必置ということになっています。幼稚 園についてはそういう決まりはない。  対しまして、片や運動場については、幼稚園は同一敷地内か隣接が望ましい。言い換 えますと「自前で持ってくれ」という言い方になっているわけです。保育所は、そこに 書いてあります通り、近隣の公園などを運動場として利用することを認めている。こう いうずれ、差があるわけです。  基本的には幼稚園・保育所のいずれの基準も満たして欲しいけれども、ハードの面で 過大な制約をかけない、既存施設の転換を困難にしないという観点も大事であるという ことで、調理室につきましては、設置が望ましいけれども既存施設については調理室の 整備が困難な場合もあり、仮に外部搬入方式を認める場合には、例えば子どもの状態に 応じた対応などについて一定の条件付きが必要であるということで、これは実は本文中 に書いてありますが、この条件付けの項目として考えられますのは5ページの一番下か ら2行目です。  仮に外部搬入方式を採ることを認める場合でも、調理機能、栄養面、衛生面、個々の 子どもの年齢・発達や健康状態に応じた対応というものについての条件付けを考えてい くべきではないかということで、今後具体化を考えていきたいと思っています。  1ページに戻っていただきまして、運動場についてはまた裏腹です。必ずしも同一敷 地内、隣接でなくても近隣の公園を運動場とすることを認めていこう。ただその場合に、 例えば、使いたいときにちゃんと使えるかといったようなことになるかと思いますが、 地域環境等と一定の条件付けが必要であると。これはまた具体的に検討していきたいと いうことです。  大きい4番です。「教育・保育の内容」ということで、この評価委員会で残された期間 を使いまして、またその後も必要に応じて検討が継続的に必要になると思いますが、総 合施設の教育・保育の内容、運営に関するガイドラインのあり方について検討していた だく予定です。  今ご説明をしました認定の仕組みとか、それから今回の中間まとめの中には具体的に はありませんが、1年前の合同会議の審議のまとめの中にありました通り、施設の契約 形態は直接契約を考えていくべきであるという指摘もありました。そういった内容を中 心としまして、次の通常国会に法案を用意して提出をすることになろうと思います。  次の本部会におきまして、それまでに制度の骨格といいましょうか、法案の骨組みに ついてまとめられると思いますので、次回その点についてはご説明をさせていただきた いと思っています。説明は以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それではただ今のご説明につきまして、ご意見あるいはご 質問がございましたらご発言をいただきたいと思います。  はい、吉田委員どうぞ。 ○吉田委員  評価委員なものですから私が質問するのも変な話なのですが、評価委員会ではその都 道府県による認定ということは一切出ていなかったものですから、恐らく幼稚園・保育 園が既に認可を取って総合施設にする場合、その認可の認可ということとは多分なじま ないので、認定なのだろうと思うのですが、例えば東京の認証保育所、横浜の保育施設 というのはそれぞれ自治体が認証認定をしているのですが、あのようなイメージで理解 をしていいのでしょうか。 ○尾崎保育課長  申し訳ありません。2ページの類型の図をご覧いただきながらと思います。今、吉田 委員からお話がありました通り、4類型を認めていく際に、認可の部分もあれば認可に 至らない部分もある。それを引っくるめてその施設が一体的に運営する場合に、それを どうやってオーソライズするのかということで、確かに中間まとめ中で具体的に認定と いうことは頂戴しておりませんが、文部科学省、厚生労働省、関係省庁とも今折衝して おりますけれども、都道府県による認定という形でのそれぞれの仕組みを考えていくべ きであろうと考えているところです。  その場合に、最後の第4類型ですと、例えば自治体の単独施策型ということで、例に も挙げている通り、例えば東京都の認証保育所とか、あるいは今、吉田委員が触れられ ました横浜の保育施設とかそれぞれ地域で独自にオーソライズの仕組みを既に持ってい る場合もあります。  そういったものをベースに、その認定の仕組みというものに当てはめていってもらう ということは基本的に想定されるところだろうと思っています。その認定はあくまで「無 認可施設、どこまででも結構ですよ」というイメージで考えているわけではありません。 一定の自治体のオーソライズがあるような場合、典型的には自治体単独で例えば助成措 置が採られているような場合といったものが、この単独施策型のイメージだろうと思っ ています。 ○岩男部会長  はい、柏女委員どうぞ。 ○柏女委員  総合施設モデル事業に関しての意見になるのですが、1ページの2番の職員資格の関 係です。私が昨年の中間とりまとめの意見を出すときから、片方の資格でいくべきだと いうことをずっと申し上げてきました。  特に幼稚園・保育所というのは、それこそ幼稚園教諭と保育士以外の資格を持つ人が、 ほとんどいない。いわば特殊な職場ということですので、その職場にはその両方を持っ ていなければならないということで限定をするのではなく、例えば小学校教諭と幼稚園 教諭の免許を持っていて、いわば保・幼・小の連携がうまくつながるような専門性を持 った人。あるいは保育ソーシャルワークが言われていますが、社会福祉士と保育士の資 格を持った人が来られるとか。うちの大学では社会福祉の素養を持つ保育士を養成する ということをテーマにしていますが、そうした多様な人材が集まって来られるようなこ とをしていく必要があるのではないかと思っています。  他の施設ですと職員が多いものですから、いろいろな臨床心理士とか社会福祉士など を入れていくことが可能ですが、保育所・幼稚園はそうはいきませんので、そういう意 味では多様な人材が集められる、そういう可能性を残しておいていただければと思って います。  それからもう1点は、このようにいわば幼稚園教諭と保育士の両資格併有が望ましい 3〜5歳児の共通の時間のところでの保育内容についてのガイドラインを定めるという ことは、つまり2つの資格を持っていないと勤められない場というもの作っていくこと につながるわけですが、2つの資格を持たない限り勤務できない職場の専門性とは何な のだろうかということを考えると、将来的には幼稚園教諭と保育士の資格を統合して、 いわば就学前教育・保育に関する資格というものを作っていくことが大事なのではない かと思っています。  そして保育士は学齢児も担当するわけで、特に虐待を受けた子どもとか障害を持った 子ども、そうした子どもたちのケアを保育士がしているわけですが、保育士養成ではど うしても就学前保育のところに焦点が当たっています。  そうではなく、学齢児のいわゆる虐待を受けた子どもたちの心のケアとか、障害児の 療育といったようなものに援助ができる、そういう専門職を別途養成していくというよ うなグランドデザインが必要ではないかと思いますので、そうしたことも将来的ににら みながら検討をいただければありがたいと思っています。以上です。 ○岩男部会長  ほかにいかがでしょうか。はい、小笠原委員。 ○小笠原委員  私はこの総合施設の1ページの4番目の「教育・保育内容の運営に関するガイドライ ンを定めることが適当である」ことに対しては非常にうれしく思っています。  現在、幼稚園の教育内容については、法律的な拘束力のある内容となっています。保 育所というのはそこまで拘束力が効かないという部分があります。ここのところで総合 施設だけは別のガイドラインを定めるということになりますと、今後、幼稚園と保育所 と総合施設という三つの保育内容とかそういうものが決められていくのか、ということ が一つ質問です。  柏女委員がおっしゃいましたように、保育の世界は、これだけの歴史とこれだけの保 育所に対するニーズがあって、近年では、厚生労働省のこれだけの思いがあるならば、 保育につきましては、今後これを機会に、法的拘束力があるような内容といいますか、 保育内容の法的拘束力のあるガイドラインを作っていただければ現場としてありがたい と思うわけです。  もう一つは、「国から地方へ」とか「官から民へ」あるいは「民にできるものは民に」 ということで、そのあり方については確かに効率的な政府というものができあがると思 うのです。しかし、資料2ページの「総合施設の類型について」下の段の枠で囲んであ る「総合施設のメリット」のところで、2番目の黒丸の「幼稚園と保育所の一体化・拡 張により子どもの育ちの場を確保。運営も効率化」と書いてありますが、この「運営も 効率化」という部分が大変気になるわけです。  規制改革・民間開放推進会議や経済財政諮問会議等がしきりに言っている「地方へ」 あるいは「民間へ」というところのこの小さな政府を狙うということの意味は、先ほど 申し上げましたようによく解かるのですが、何でも小さくしていくことは良いことなの でしょうが、どうしてもその「地方へ」、「民間へ」という目的がコスト削減にあります と国家公務員でも同様に、そこに有能な人材が集まるのか、良い人材が育っていくのか との問題が生じるはずです。  仮に総合施設においても、どういう保育を作っていくのかというところが、明確でな くて、目的がコスト削減になりますと全然変わった形になってくるのではないかと思い ます。  余計なことですが、地方に「質の監視」や「質の検査」を移譲していくという事は、 国の「入り口規制」である事前の規制を撤廃して、「出口規制」といわれる、地方での「事 後の評価」を重くしていく仕組みを意味していることであると認識するわけです。しか し果たしてこれで良いのか、という問題が多くあります。  「官から民へ」とか「地方に」移すということは良く理解はできるのですが、今度の 「耐震強度偽装事件」や「JR西日本の脱線事故」にいたしましても、「株の誤発注」の 問題にいたしましても、民間放送を聞いたり、あるいはテレビ座談会等を聞いています と、「耐震強度偽装事件」などは本来、国の責任で行うべき検査機能、検査機関を民間に 移したことが原因だと言っています。  メディアは一斉に小泉総理の政治姿勢の「国から地方へ」は大いに賛成し、民営化に 対しても非常に賛成すると、しきりにエールを送っておきながら、「耐震強度偽装事件」 や「JR西日本の脱線事故」原因は、検査システムを地方や民営化したことが問題である と言って国を責め官庁を責めるという、非常に一貫性のない都合のよい批判をしていま す。しかも、それが世論であるという言い方です。  こういう国民の生命や安全、福祉の問題は国の「入口規制」といいますか、「事前規 制」というものが必要かと思います。この2ページ目のガイドライン等でしっかりと押 さえていくということは必要ではないかと私は思います。  申しあげたいことは、この資料の四つの類型の中での、右端の枠で囲んである文中に 「基準を満たさなくとも」とかいう標記です。総合施設の認定が都道府県の地方での認 定ですから、このような標記になることはよく分かります。当然「基準を満たさなくて も」は、そこは地方において、ある程度の見識を持ち、ある程度の良識を持って規制を していただくという、地方を信頼しての認定になると推察するのですが、どうも国が「入 口規制」をするということが今の社会からみると、悪の権化のような感じがしてならな いわけです。  「耐震強度偽装事件」で国民がだまされて泣いているシーンを見ますと、まさに、「規 制は倫理」ではないかと改めて痛感します。子どもを育てるというところこそ、規制が 必要であって、2ページの「運営が効率化」という文字が私は気になってならないので す。  私は、この「運営が効率化」は、コストだけが効率化されるということではないとい うことを信じて理解して広げていただきたいと思います。 ○尾崎保育課長  ご質問いただいた分に少しお答えしたいと思います。ガイドラインのあり方について です。 三つ目の幼稚園教育要領や保育所保育指針に関係のない3個目のものを作るの かというご主旨の質問かと思います。  本文の6ページをご覧いただきたいと思います。モデル事業のあり方をみますと、そ れぞれの施設で、幼稚園児・保育所児の別にかかわらず一貫したカリキュラムが必要で あるという考え方の基に、そういう準備をされているということがございます。またご 案内の通り、その幼稚園教育要領と保育所の保育指針の内容のすり合わせ自体は、もう 5、6年も前からずっとそういう整合性を取るための協調性といいましょうか、その努力 を図っているところです。  第2段落にあります通り、総合施設における教育・保育の内容ということでは、幼稚 園教育要領と保育所保育指針を踏まえながら、ただその先には総合施設独自の要素、固 有の事情というものがあります。そこに書いてある通り、例えば短い時間預かる子ども もいれば、長時間預かりの子どももいると、子どもの1日の生活のリズムが混在してい るという事情とか、あるいは3歳児になって初めて家庭から離れて施設に来るのか、あ るいは1、2歳から経験を持って集団活動といいましょうか、経験を持ってくるという幼 稚園・保育所のカルチャーの違いといいましょうか、そういった経験年数の違いといっ たようなこともあります。  そういったことを、どううまく吸収しこなしていくのかという個別の事情というもの も配慮しなければいけないということで、この両指針を前提としながら固有の事情を加 味して教育・保育の内容、あるいは運営についてのガイドラインを定めるということで すので、両者と全く別の物を新たに作り出すという感覚ではないと思います。  また、前回柏女委員からもご指摘がありましたが、それぞれ必要な中身のすり合わせ、 それぞれ足らざるところもあります。例えば地域の子育て支援ということであれば、保 育指針の方が一歩先んじてその辺の充実を図ってきたこともありますが、今回、先ほど ご説明をしました通り、地域における子育て支援は総合施設の必須の機能と位置付ける ということでもありますので、その辺のありようについてもしっかりとした検討もいる のだろうと思っています。  そういう観点から作っていくということですので、二つの要領、指針とは別物という 考え方ではないということです。ただその位置付け方と言いましょうか、法的拘束力と いうおっしゃり方でございましたが、それをどうするのかは私どもとしても決めかねて いるところですが、今後検討して参りたいと思っています。  それから基準を緩めるときに質を守ることが大事ではないかというご指摘です。2ペ ージの類型の図にありますように、それぞれ付け加える機能で基準を満たさない場合が あっても、そこはその県の見識で、その見識を支えるのは国のガイドラインということ になるわけです。ご指摘の通り、そのガイドラインのあり方をきちんと考えていきたい と思っております。  それからもう一つ認可の幼稚園システムといいましょうか、幼稚園制度、認可の保育 所制度というものを維持した上で、この両者の機能が合体しているようなものについて、 これはあくまで仮称ですが、総合施設として認定をしていくということですので、いわ ば二枚看板、三枚看板のような格好になります。  言い換えますと、そこで幼稚園としての認可の水準、保育所としての認可の水準は捨 て去らない。今後とも大事にしていきたいということですので、認可のある所を中心に 財政支援を国として責任を持っているということ自体は総合施設の場合であってもその 辺は制度として維持していくと。それを通して教育・保育の質を担保していくというこ とになろうかと思っています。 ○岩男部会長  はい、柏女委員どうぞ。 ○柏女委員  ぜひ一つだけ補足をさせていただきたいのですが、今の小笠原委員の意見に関連する わけですが、今後、児童福祉施設最低基準を改正するのかどうかわかりませんが、その 改正をぜひお願いしたいということなのです。  実は保育所の運営理念とか、あるいは保育所とは何をすべき所なのかというところが 十分規定されていません。昼寝と自由遊びがあれば保育所だというふうにはなっている わけですが、他の施設は平成9年の改正児童福祉法のときにすべて理念を入れたのでは ないかと記憶をしています。  そういう意味では保育所が何をすべき所なのかというものを、ぜひこの機会に最低基 準で昼寝と自由遊びをすれば保育だということのないように、保育所というのは何をす る所なのかいうことをぜひ入れていただきたいと思います。お金がかかることではない ので、よろしくお願いいたします。 ○岩男部会長  はい、渡辺委員どうぞ。 ○渡辺委員  この間の、特に柏女委員の発言は私に響くものがあります。私どもも総合施設モデル に非常に期待を持っているわけです。というのは服部先生と並んで私どもは、小児精神 保健や児童精神医学の臨床の現場にいるわけですが、結局は乳幼児を持っている家族へ のサポートが急務と考えます。この多様な難しい時代に、幼い子どもを育てる家族に健 全な親機能・家族機能を育んでいく場がない、核家族だけで機能はできないわけです。  核家族を支援していく地域の養育機能を保育園は発揮できていても、幼稚園だけの方 たちは幼稚園へ行く前は自宅にいて核家族ですから、非常に孤立して、本当に自分の成 長の場がない。その苦しさの中から、先ほど大日向先生がおっしゃったような親たちの 叫びが上がってくるわけです。  ですからこの総合施設には今現在非常に深刻に進行している核家族の多様な問題、例 えば高齢化、高齢夫婦の不妊治療後の育児の葛藤、あるいはシングルマザー、あるいは、 リストラ中の夫を抱える若い妻の悩みなどが持ち込まれる思います。ですから認可の基 準や職員の採用基準にもう少し幼児を抱える家族支援のできる成熟度の高い人たちが中 心になるような人間学的な視点を入れていただきたい。もう一度中身のある幼児教育や 幼児期の生活を支援する指針を整理してみる必要があると思うのです。  私は家庭で子どもを育てることと、それから母親が仕事を持つことは、融合されなけ ればいけないと考えます。なぜなら、日本の農耕社会ではずっと夫婦が共働きで野良仕 事に出て、村の行事も女性が担い、そして同時に村のみんなで子どもを育てたわけです。  ですから、親がより深い愛情をわが子に向けることのできる成熟した責任感ある親に 育つ場として、ぜひこの総合施設モデルが成熟度のある暖かい職員の雰囲気の中で、親 たちが喜んで預けて行き、親も地域も貢献してその場を育てていくようにしていきたい のです。  先ほどの、例えば虐待の問題を扱える人がいたり、あるいは特に資格はなくても実際 に経験がある人が入ってくるとか、そういった中身の検討をしながら採用していくとい った観点をぜひ入れていただきたいと思います。 ○岩男部会長  今、渡辺委員からお話があったことと関連するのですが、私は子どもを育てるという のは大日向先生がおっしゃっているように親育ちの場でもあるわけです。そういうこと を考えますと、この6ページに小学校教育と適切に連携を図ることが必要であるという ことは書かれているわけですが、私は併せて家庭や地域との連携が必要だということは もう当然のことであって、これをもっと強調すべきではないかと。ですから、それを忘 れないでガイドラインにしっかり書き込んでいただきたいと強くお願いをしておきたい と思います。  はい、吉田委員どうぞ。 ○吉田委員  それとの関連なのですが、実は子育て支援を総合施設の必須の機能とすべきというの は、私も全くそう思っているのですが、そこしか書いてありません。その必須の機能と いうだけであれば多分絵に描いた餅になりかねない。教育・保育内容については、教育 要領と保育指針を踏まえて、さらにガイドラインを定めると。ここまで踏み込んである のですが、肝心の家庭地域社会支援も含めた、ネットワーク化も含めた総合施設の子育 て支援機能は何なのだということと、現実には子育てセンターはかなり茫漠としている ので、それをやはり制度設計の中でインセンティブを与えるような何かを考えていかな いと、多分、実際に取り組むのは難しい面が出てくるのではないか。  そういう意味では、認定の仕組みの中で何かそういうものやるのか、ガイドライン的 にトータルな子育て支援の何か考えを示すのか、何らかの政策誘導なりインセンティブ なりを考える必要があるのではないかと思います。 ○岩男部会長  よろしいでしょうか。  それから既にいわゆる早期教育を推進するものではないということが書かれておりま すが、ここのところを私はしっかり強調していただきたいと。推進するものではなくて、 そういうことは決して望ましくないのだと言うくらいであっていいように思います。  と言いますのは、子どもの数が減っていけば、だんだんとサービスの提供競争になっ ていくのではないかということを私は大変懸念をしておりまして、そうすると、「やれ何 を教えるのだ」という、子どもたちにしてみれば「勘弁してよ」という状況が出てくる 恐れがある。これから長い年月学校に行かなくてはならない人に、私は大変同情してい るのです。ぜひ、その辺りを含んで作っていただければ、設計をしていっていただけれ ばと思っております。  よろしいでしょうか。それではご質問がございませんでしたら、次の議題に移りたい と思います。市町村児童家庭相談業務の状況等についてご説明をいただくということに 移りたいと思います。事務局よりご説明をお願いします。 ○山本虐待防止対策室長  それでは資料の5-1をご覧いただければと思います。  平成17年度市町村児童家庭相談業務の状況につきまして、前回の児童部会でも速報を ご報告させていただきましたが、このたび確定版を11月にまとめましたのでご説明をさ せていただきます。  ご案内の通りですが、改正児童福祉法が今年の4月1日から施行されております。 その中で、市町村が児童家庭相談に応じ必要な調査及び指導を行うということとされた ところです。このたびの調査は、施行後の6月1日現在の市町村児童家庭相談業務の状 況を全市町村調査したものです。  3ページをご覧いいただければと思います。児童家庭相談の相談窓口、主たる窓口の 設置場所についてです。下に表がありますが、特徴的なことを申し上げれば、市・区に おきましては従来より福祉事務所に家庭児童相談室が設置できるとされていましたので、 相談窓口はこの家庭児童相談室をうまく活用しながら、比較的円滑に行っているという 状況です。一方で、町村部におきましては児童福祉主管課、母子保健主管課又はこの両 者の統合課に相談窓口を設置しているところがほとんどです。  おめくりいただきまして4ページです。相談に従事するする職員、主たる相談窓口の 担当職員についてです。相談を担当する職員が全国で6,951名ということで、このうち 正規職員は5,306人、さらに専任職員は2,016人です。多くの職員が他の業務との兼務 ということになっています。職員の基本資格を見ていきますと、私どもは、児童福祉司 たる資格を有する方々を当てることが望ましいという技術的助言を行ってきているとこ ろですが、結果を見ていきますと、一般行政職が36%、保健師等が25%で、主軸になっ ています。児童福祉司たる資格を有する方々は371人(5.3 %)に留まっておりまして、 人材の確保に苦慮している状況がうかがえます。  6ページをお開きいただければと思います。相談担当職員の研修についてです。市区 町村ともに行政規模が小さくなればなるほど受講率が下がっており、全般的に見ても研 修体制、受講体制が不十分であるということがうかがえます。  さらに、14ページをお開きいただければと思います。受理会議およびケース検討会議 の開催状況についてです。受理会議、ケース検討会議とも市区町村の人口規模が小さく なればなるほど開催率は低くなっています。町村においては、相談に関しては相談担当 者に委ね、組織的な判断や対応できないなどの課題があるのではないかと推察されます。  次の15ページ、夜間休日の対応です。全体の平均で見ていきますと、特に対応してい ない所が51.4%ということです。これも規模が小さい所ほど低下し、対応しているとい う所の数が少ないという状況で、何がしかの対応の整備が急務となっています。  続きまして17ページ、外部人材の活用については、児童相談所の支援体制が法律上制 度化されていることもございまして、それ以外の外務人材の活用については全般的に低 調であるということです。  次の18ページ、都道府県児童相談所からの後方支援の状況です。支援内容として比較 的ウエートの高いのは「職員研修」であるとか、「児童相談所の職員による個々の事例に 対する情報提供・助言」というところであり、一方で、「人事交流・人の派遣」について は低くなっています。また、人口規模に影響されることのない項目、例えば(1)、(6)につ いては、一つの都道府県で統一的に取り扱っているということが考えられますけれども、 この回答を見ていきますと市町村は規模により実施率に違いが出ております。  続きまして資料の5-2をご覧いただければと思います。「市町村域での要保護児童対策 地域協議会及び児童虐待防止を目的とするネットワークの設置状況調査」です。このた びの児童福祉法改正により法律で要保護児童対策地域協議会を法定化致しております、 その施行間もない時期の6月1日現在で調査をしたものです。  1枚おめくりいただきますと、要保護児童対策地域協議会の設置状況ですが、設置済 みである市町村は全国の4.6%にあたる111カ所であり、人口規模の小さい所ほど設置 が進んでいないという状況になっています。  次に2ページ目をお開きいただければと思います。この調査では児童虐待防止ネット ワークを、この調査では要保護児童対策地域協議会の位置付けが与えられてないものと して集計をしていますが、このネットワークを設置済みである市町村は全国の46.4%に あたる1,113カ所でした。要保護児童対策地域協議会とネットワークを併せると、全市 町村の51.0%にあたるところで設置をされていました。 さらに、ネットワークを設置しておらず、かつ協議会も未設置である市町村は30.6%で した。  1枚おめくりいただきますと、時系列で整備状況についてですが、このネットワーク につきましては、平成17年度からは要保護児童対策地域協議会も含めますけれども、近 年10ポイントくらいの割合で増加が見られています。ただ、地域間格差はかなりありま して、都道府県別に見ていきますと、100%の市町村が設置している県が3カ所あります が、20%未満の所もあるなど、現時点では整備状況に大きな格差があります。詳細なデ ータは4ページ、5ページですが、今回の制度改正の施行にあたり、都道府県が強力に 市町村への働きかけをされたところは比較的設置率が高いということが言えるかと考え ています。  続きまして6ページをご覧いいただければと思います。これらの協議会を設置してい ない理由として比較的多いのが「市町村合併がある」とするもの。さらに「人材確保が 困難である」とするものが多かったということです。人材確保の中では「調整機関のコ ーディネーターの人員確保が難しい」、あるいは「リーダー的役割を担う人材確保が難し い」とい理由がほとんどでした。  それから10ページ、協議会またはネットワークの設置目的です。いわゆる虐待対策の 「発生予防」、「早期発見・早期対応」、「保護支援」という3本柱に分けて調査をしまし たところ、今回の調査で特徴的なのは、「保護支援」を目的とするという市町村の割合が 前年度に比べて増加率が高くなっていました。従来は、「早期発見・早期対応」に主軸を 置いてきたネットワーク活動も、アフターケアというところにも手が届き始めてきてい るということが言えると思います。  次に11ページをご覧いいただければと思います。児童虐待防止以外の業務内容ですが、 不登校、非行対策、配偶者からの暴力対策、いじめ対策といったようなところでは、併 せて業務の対象とすると答えている所が増加しております。  12ページ、関係機関の状況です。比較的参加率が高いのは児童福祉主管課はもとより ですが、その他では教育委員会、保育所、児童相談所、小中学校、警察署、団体専門職 では民生委員・児童委員協議会、社会福祉協議会、医師会、里親で参加率が高くなって います。  次に14ページです。協議会では調整機関を置いていただくということになっています が、この協議会の設置予定のものも含めまして、「設置済み」としている所が6割という 状況になっています。  さらに次の15ページ、この調整機関におけるコーディネーターの配置状況を見ていき ますと、常勤職員のコーディネーターを配置している所は、62%、また、非常勤のコー ディネーターを配置している所が16%。一方設置していないという所が25%ということ で、その活動の内容についてはまだまだ課題があるのではないかということです。  それから18ページをご覧いただければと思います。活動内容ですが、この協議会ネッ トワークとも代表者会議、実務者会議、個別ケース検討会議というところで機能を大き く分けていきますと、最近の特徴としては、個別ケースの検討に活動のウエートを置く ネットワークが増えており、その開催状況を見ていきますと、年1回〜6回までが43%、 年7回〜12回までが16.8%となっています。  22ページをご覧いただければと思います。活動上の困難点ですが、「事務局に負担が 集中する」、「効果的な運営方法が分からない」、「スーパーバイザーがいない」というよ うな悩みが聞かれています。  一方、24ページは、設置によるメリット・効果ですが、「連絡調整や情報共有がスム ーズになった」、「虐待問題の認識、関心が高まった」、「役割が明確になった」、「早期介 入ができるようになった」、というところで回答率が高くなっています。  最後の25ページです。機能充実のための課題としては、「効果的な会議のあり方の工 夫」であるとか、「虐待防止の意識付け」、「児童相談所と関係機関の役割の明確化」、さ らには「専門職の雇用や人材確保が必要である」という回答率が高くなっております。  説明は以上ですが、現在、山縣先生を座長として「今後の児童家庭相談体制のあり方 に関する研究会」を開催しています。この成果物も踏まえて年明けに数回議論をしまし て、年度内に報告をまとめるということになっていますので、その際にまたご報告させ ていただきたいと思います。以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明につきましてご質問、ご意見が ございましたら。はい、津崎委員どうぞ。 ○津崎委員  少し意見なのですが。この4月から新たな体制がスタートした。今もご説明がありま したように、市町村が主体的に児童家庭相談に対して対応する。実は私たちは日本子ど もの虐待防止学会でも、同じようにアンケート調査をしたのです。そこでも同じなので すが、市町村が一番何に困っているかというとノウハウを持っていないことです。  いわゆるケースが来たときに、リスク評価をどのようにするのか。あるいはそのケー ス診断そのものをどうするのか。あるいは援助計画をどう立てるのか。あるいは具体的 にその援助をどういうふうにしていくのか。  そういうノウハウがほとんど誰も持っていない。建前では児童相談所は、バックアッ プして、ノウハウを伝授するということになっているわけですが、残念ながらその児童 相談所も職員の回転が非常に早い。  昨年の秋から今年の春にかけて、厚生労働省が全国の児童相談所の実態調査をなさい ましたが、平均の児童福祉司の勤務年数が3年ですよね。3年で入れ替わっていくとな ると児童相談所そのものがノウハウの蓄積ができていない。そういう実態があるわけで す。  だから、双方とも正直いって、どう対応していいのかわからない。  実は死亡事例で先般も調査に行ってきたのですが、保健センターの保健師さんが積極 的にかかわっておられる。福祉事務所もかかわっている。そして、児童相談所も関与し ている。そのケースがどんどんと進展しているのですが、普通、経験がある者が見ると 非常にリスクがいろいろな場面で多々見られる。  ところが、的確な判断なり対応ができていないという実情が明らかなのです。そうな ってきたときに、非常に深刻なケースが多いわけですが、その知らない者同士が、話し 合っていても本当のきっちりした対応には結びつかないわけです。  そうすると少なくとも都道府県レベルに1カ所ぐらいは、そういうケースが来たとき に相談をすると専門的観点から的確なアドバイスができるSV機能で困っているという 報告がありますけれども、SV機能を都道府県レベルで1カ所整備して、そこに相談をか けたら少なくともケース診断とか援助の具体的なノウハウ、あるいは具体的な展開の仕 方が的確にアドバイスできる、そういうシステムが必要ではないかと。  今は、横浜博萌会子どもの虹情報研修センター(日本虐待・思春期問題情報研修センタ ー)が、多少そういう機能を発揮するのだということなのですが、全国のそこだけです。 敷居が高いのか、距離が遠いのか知りませんが、活用が十分にされていない。そうなっ てくると、都道府県レベルで、あそこに困ったときは相談して、そこで的確な指示がで きるという体制がないと、今のノウハウを持ってない職員たちが実際に困難なケースを 対応していくという現状になってきたときにうまくいかないのではないかなと危惧して います。そういう体制についてもできたら整備を考えていただければと思います。以上 です。 ○岩男部会長  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  今、津崎委員がおっしゃった意見に全く同感です。というのは、年々日本の社会状況 が複雑化し、いろいろな価値観の人たちが、外国からも出入りし、それに今までにない 薬物中毒などの問題も増えています。扱うケースの精神病理、あるいは家族精神病理が 非常に重くなっております。児童相談所がよくこの間対応していらっしゃると思います けれども、私がケースに一緒に組んでいる児童相談所の方たちを拝見する限りでは、疲 弊しきっていらっしゃいます。  そして扱っているケースを1つ1つ吟味しますと、家族精神医学の最も困難な事例や 人格障害の最も危険なケースなどが入っていることが多いのです。ですからぜひ各地域 の、どういう形でも結構ですから、例えば総合病院の精神科、あるいは地域の神経科精 神科の方たちが必ず児童相談所チームのブレーンとして関わっていただきたい。それぞ れ個々の機関内でもケースはいっぱいですが、システムとして何らかの形で児童相談所 のケースを精神学的にサポートするようにしていただきたい、ブレーン機能あるいは、 スーパーバイズ機能がないと虐待そのもののダメージに加えて、児童相談所に保護され る過程で子どもが苦しんだり、親が傷つくという処遇によって生じる二次障害の問題が 大きくなると思います。  つまり例えば児童相談所や家庭児童相談室などと親との間では、「訴えてやる」、「訴え るなら」といった傷つきあいが生じて、関係がこじれていくのです。そうなりますとお 互いに子どもに対するプランの展開が非常に煩雑になってきます。「外泊させろ」という 要求があるけれども、葛藤の中で外泊させたときに、今度は帰ってこないのではないか と思うと余計に外泊させられなくなるとかといった具合に、子どもの処遇をよくしよう と思ってても結局うまくいかなくなります。第三者が責任を持って現場の方たちが機能 できるように支えるシステムに早急にしていっていただきたいと思うのです。  私は個々の地域の精神神経科、それから大学の精神科がもっと率先してかかわる責任 があると思います。全国の大学の精神科は、地域の虐待ケースで困っている児童相談所 に対し、若い精神科医の勉強にも養成にも役に立ちますから、ブレーンとしてボランタ リーにできる支援をしていくべきだと思います。 ○岩男部会長  はい、服部委員どうぞ。 ○服部委員  全く津崎委員と渡辺委員と同感です。今おっしゃいました精神科医の一員ですが、な かなか数が少なくてその機能を果たしきっていないことが気になります。もっともっと これは重要なテーマですから踏み込まねばならないことだろうと思います。  津崎委員が先ほどおっしゃいましたが、私もかかわったケースでネットワークを組ん でいて、非常に最悪なケースが結構あるのです。ネットワークを組むことも危険性なの です。みんなが少しずつかかわっている。何となくみんながかかわっているから安心を してしまう。やはり1人のメインのかかわる人、それが保育士さんであったり、必ずし も専門家でなくてもいいのですが、この人がメインのというようなそういうネットワー クの持つ強みと弱みをいうものをもう少し検討しておかないと、現実にそうそうたる機 関がかかわりながら、だめにしてしまう。だめというのは、みんな真剣なのですが、人 間というのは、誰かが中心になってかかわらねばならない。  その辺りのノウハウが非常に弱いということと、やはりスーパーバイズの機能です。 これは精神科医の力がどれだけあるかわかりませんが、渡辺先生がおっしゃいます、最 初からプライマリから精神科医がかかわれば、ある意味そういった子の持つ精神構造を 見られる力がある人間というのは求められますが、もし求められないならやはり少なく ともスーパーバイズをしていく機能をやはり早急に持つべきで、その危機感をネットワ ークの人々がどれだけ持つか。  私はトレーニングというのはその危機感のトレーニングだとかねがね思っています。 今何をすべきかというようなガイドライン的な勉強をすることももちろん大事なのです が、たくさん持てば持つほど危機感というのは見掛けと違って非常に経験の中から出て くるものですから、ネットワークの持つ危機、危なさもどこかで監督して感じ取ってお かねばならないということです。 ○岩男部会長  よろしいでしょうか。それでは最後の議題に移りたいと思います。犯罪から子どもを 守るための対策について事務局からご説明をお願いいたします。 ○東育成環境課長  育成環境課の東でございます。  資料6をご覧になっていただきたいと思います。最近広島、栃木、京都と子どもが被 害者になる痛ましい事件が発生しました。このために、内閣府、警察、文部科学省、国 土交通省、私どもの厚生労働省など関係省庁の局長級、課長級が犯罪から子どもを守る ための対策を総合的に検討しようということで、12月5日から検討を始めました。  そして、12月20日に犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめまして、同じ日 に犯罪対策閣僚会議に報告したところです。  1ページをおめくりいただきまして、対策の概要が書いてあります。登下校時の安全 確保等のための対策といたしまして、まず、緊急対策6項目を掲げています。学校、保 護者、児童、警察、自治体等の関係者により校区あるいは通学路の安全点検を要請して、 安全パンフの作成や地域における対策に活用するという通学路の緊急安全点検。それか ら、全児童・生徒が学校と警察との連携などによる実証的な防犯教室を受講できるよう 開催を要請するなど、防犯教室の緊急開催。それから、警察が学校、保護者、地域住民 等と連携し、不審者情報が潜在化することがないように共有化のためのネットワークを 構築する。というような緊急対策6項目が決められています。  学校における対策としまして、登下校時の安全確保に関する先進的な実践事例の提供 とか、危険を予測・回避する能力を身に付けさせる防犯教育、あるいは実践的な防犯教 室の推進。それから子ども緊急通報装置等の整備、防犯まちづくりの推進など地域にお ける対策。こういった重点的に推進する項目を決めています。  また、一番右ですが、犯罪から子どもを守るための総合対策として、学校の安全対策 の充実、前に掲げてあります防犯教育の推進、地域における犯罪を起こしにくい環境整 備、それから犯罪対策として取り締まりの強化、再犯防止等が主な内容です。  次に対策の8ページ、9ページをご覧いただきたいと思います。8ページには各省庁が 既に措置したと事項として、内閣府とか警察庁、それから文部科学省というふうに書い てあります。9ページの4番に厚生労働省における最近の対応としまして放課後児童ク ラブでの安全確保に対する取組。これは、集団で帰りなさい、帰宅経路の安全確認をし なさい、放課後児童クラブは冬になると暗くなりますので、必要に応じて保護者のお迎 えなどを要請してください、とういうような取組をよりいっそう強化していただきます ように、都道府県、指定都市、中核市あてに通知を出したところです。  また、マル2つ目ですが、冬休み前の注意期間期、これは冬休みに入りましても、放 課後児童クラブ、あるいは児童館は活動していることから、例えば保護者と児童、職員 と児童が来所あるいは帰宅時における安全確認をしているのか。危険を感じたときに、 子どもに対処方法を教えているのか。学校、警察など関係機関との連携は取れているか。 そういったものについてチェックリストを作りまして、同じく都道府県、指定都市、中 核市あてに通知したところです。  それから、団体に対する依頼といたしまして、母親クラブあるいは民生委員・児童委 員に対しまして地域のパトロール活動についてのさらなるご尽力を依頼したとか、老人 クラブにおきます地域の見回り活動を通じた人の安全確保に向けた取組の推進について のお願い。それからシルバー人材センターにおきます登下校時の送迎、パトロールなど を通じた児童の安全確保に向けた取組の推進について協力をお願いしたところです。  最後に、都道府県労働民生主管部長あてに通知していますが、地域において送迎ある いは放課後の預かり等の援助を行うファミリーサポートセンターの周知を徹底していた だきたいという依頼をしています。以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。何かご質問、ご意見はございますか。よろしいですか。  それでは次回以降の日程について事務局からご説明をお願いします。 ○香取総務課長  本日は議題がたくさんありましたので、駆け足になりまして申し訳ありませんでした。 次回について、一つは総合施設に関しまして、予算関連法案に恐らくなるかと思います が、こちらにつきましてご報告をすることが1点。それから、児童自立支援施設の関係 で、年度末に報告を取りまとめるということで、それの関係等々、概ね2月の中旬ぐら いをめどに日程を調整していただきまして開催したいと思っています。具体的な日程に つきましては、事務局の方で調整して追ってまたご連絡をさせていただいと思いますの で、よろしくお願いいたします。 ○香取総務課長  それでは、特に何かご発言がなければ、これをもちまして本日の会合を閉じさせてい ただきます。どうもありがとうございました。 (照会先) 雇用均等・児童家庭局総務課企画法令係  03−5253−1111(内線7825)