05/12/15 第２０回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録


第20回　労働政策審議会障害者雇用分科会　議事録

１　日時
平成１７年１２月１５日（木）　１０：００～１２：００

２　場所
　　　  　　厚生労働省共用第７会議室（５階）
           東京都千代田区霞が関１－２－２　中央合同庁舎第５号館

３　出席者
○　委員
　　（公益代表）　　今野委員、岩村委員、佐藤（德）委員、佐藤（博）委員、
　　　　　　　　　　寺山委員、渡辺委員
　　（労働者代表）　小栗委員、長谷川委員、添田委員、吉原委員　
　　（使用者代表）　江口委員、加子委員、西嶋委員、輪島委員
　　（障害者代表）　笹川委員、副島委員、舘委員、松井委員
　　○　事務局
　　　　鳥生高齢・障害者雇用対策部長、土屋障害者雇用対策課長
　　　　深田障害者雇用対策課調査官、白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官
　
４　議題
(1)  障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要
綱及び障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省
令案要綱（諮問）
(2)　身体障害者及び知的障害者の雇用状況について（報告）
　　(3)　その他                

５　配付資料
　　資料１　障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案
要綱及び障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正す
る省令案要綱
　　資料２　グループ就労訓練に係る助成金の創設
資料３　身体障害者及び知的障害者の雇用状況について


○会長　ただいまより、第２０回「労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたしま
す。本日は松矢委員と村田委員がご欠席です。
　議事に入ります。議題１「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正す
る政令案要綱及び障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案
要綱」です。本件は、本日厚生労働大臣から諮問を受けたところであります。まず、事
務局から今回の諮問案件について説明してください。
○調査官　資料１の１枚目は、厚生労働大臣から労働政策審議会への諮問書です。資料
１の２枚目からがその内容の１頁です。まず政令案要綱です。この内容については、前
回の第１９回分科会でご議論いただきました。そのご議論を踏まえて整理したものです。
特段変わっていないところはそのまま読み上げさせていただきます。そのときの参考の
ために、前回の資料も付けておりますので適宜ご覧ください。
　政令案要綱の第一、在宅就業障害者特例調整金の額等について。１は在宅就業障害者
特例調整金の単価について２万１,０００円とする。そして、在宅就労障害者特例調整金
等の算定基礎となる評価基準の月数について３月とする。その基礎となる評価額の月額
について３５万円とする。
　第二、在宅就業支援団体の登録についてです。１は、在宅就業支援団体の欠格事由の
対象となる労働関係の法律の規定は、職業安定法、そして労働者派遣事業法の罰則に係
る規定等とする。２は、在宅就業支援団体の登録更新期間については３年とする。
　第三、障害者雇用調整金の支給申請期間を改正し、各年度ごと、年度初日から４５日
以内とする。その他、所要の規定の整備を行います。また、施行期日については、平成
１８年４月１日からの施行としますが、第三、障害者雇用調整金の支給申請期間の改正
部分は、平成１９年４月１日からの施行といたします。以上が政令改正の要綱です。
　続きまして３頁の、省令案の改正要綱です。第一、精神障害者に関する雇用義務等の
特例。障害者雇用義務に関する規定の適用に当たり、精神障害者である短時間労働者、
これを０.５人と算定するということです。
　第二、在宅就業支援制度の対象となる場所。これについては自宅のほか、障害者が業
務を実施するために必要な施設・設備がある場所。就労に必要な知識・能力の向上のた
めの訓練が行える場所。その障害の種類・程度等に応じて必要な職業準備訓練が行われ
る場所。その他これらに類する場所とする。ただし、在宅就業障害者に対して直接発注
を行った事業主の事業所等は除かれるということです。このただし書きについてはさら
に除外があり、直接発注した事業主の場合は、その事業所を除くわけですが、在宅就業
支援団体を通じた発注の場合はこの限りではない、除かれないということです。
　この点について、前回お示しした資料の案では、括弧の中の発注をした事業主の事業
所を除くことについてご議論がありましたので、直接発注の場合は、その雇用の形態と、
その請負の形態が非常に似ているので、それだったら雇用のほうをより促進する方向か
らそこは除外すべきと考えました。ご議論のありました在宅就業支援団体が、発注者の
事業所に障害者を連れていくというケース、施設外授産といったものの類型ですが、そ
ういうものは認められるべきではないかということでしたので、今回はただし書きから
さらに除外して、在宅就業支援団体を通じた発注の場合は、発注事業主の事業所であっ
ても除かないことといたしました。
　第三、在宅就業障害者特令報奨金の額について、報奨金単価については１万７,０００
円といたします。
　４頁の第四、在宅就業障害者特例調整金と、その特例報奨金の支給申請期間等につい
てです。１は、在宅就業障害者の特例調整金・特例報奨金の支給申請期間についてです
が、調整金は各年度ごと年度初日から４５日以内、報奨金については各年度ごと７月３
１日までといたします。
　２として、在宅就業特例調整金・報奨金を支給する期間は１０月１日から１０月３１
日までの間といたします。支給申請の手続についてですが、これらの手続については雇
用の調整金、それから在宅の特例調整金の申請書の提出を、障害者雇用納付金の申告と
同時に行うことといたします。また、在宅就業障害者特例報奨金の申請書提出を、雇用
の報奨金の申請書の提出と同時に行うことといたします。
　第五、事業主による在宅就業契約の締結等に関する基準。第五については、前回のご
議論の中で、在宅就業支援団体を経由した場合の障害者と団体との契約のあり方につい
て、その業務運営基準の中で明確にしなければならない事項がいくつか明らかにされて
いるのに対し、事業主から在宅就業障害者との直接契約について、その契約のあり方に
ついて何も定められていないというご指摘がありましたので、第五として事業主による
在宅就業契約締結等に関する基準という項目を入れました。その内容として、在宅就業
契約の締結に際し、その障害者に対して十分な説明を行う。必要があればその家族に対
しても十分に説明を行う。
　２は、在宅就業障害者との在宅就業契約の締結に当たっては、書面による契約の締結、
そして契約書の保存、そしてその契約書の中には障害者に対して支払う金額や、在宅就
業障害者がその契約を履行できなかった場合の取扱い等を記載することとしました。
　そして、継続的に就業機会を提供していたような場合については、その就業の機会を
打ち切ろうとするときは遅滞なく予告をしなければならないといたしました。その他、
業務に関して知り得た秘密の保持や、在宅就業障害者の手帳の写しの保存等について規
定することといたしました。
　第六、在宅就業支援団体の業務の関連。１は業務運営基準です。業務運営基準の内容
として、まず支援団体と事業主との契約の締結に当たっては、書面による契約締結と、
そして契約書の保存。契約書に、発注額のうち障害者にいくら支払われるかの総額の予
定額等を記載することといたしました。
　支援団体と障害者の関係については、在宅就業障害者に対して、初めて支援を行う際
には支援の内容や、その支援に要する経費の額の設定基準等を明示することとしました。
　ハとして、契約の締結に際し、障害者に対して十分説明を行うとともに必要があれば
家族に対しても説明を行う。ハについては、前回こちらでお示しした案にはなかったの
ですが、当日のご議論において、知的障害者などを念頭に置くと、書面によって契約を
締結し、それを保存するだけでは、その障害者と支援団体との契約の適正を保障するの
に対して保護が不十分ではないかというお話がありましたので、本人に対して十分な説
明を行う。必要があれば家族に対しても十分な説明を行うというのを入れました。
　在宅就業障害者と個別に在宅就業契約を締結する際に当たっては、書面による契約の
締結と書面の保存、そして契約書には、その障害者に対して支払われる金額。それから、
支援に対して経費を取る場合はその経費の額、また在宅就業障害者がその契約を履行で
きなかった場合の取扱い等を記載することとしました。最後の、契約を履行できなかっ
た場合の取扱いの明記についても、やはり障害者の保護の観点から、ここに明確に入れ
ておくべきという点で付け加えました。
　７頁のホ、継続的に就業機会を提供している場合については、それを打ち切ろうとす
るときは遅滞なく予告をすること。これも、最初にお示しした資料にはありませんでし
たが、当日のご議論を踏まえて、より契約を結ぶ障害者の保護を強化するために今回入
れることといたしました。
　ヘは、業務に関して知り得た秘密の保持、健康確保措置の実施、能力開発機会の付与、
その障害者の手帳の写しの保存等といった事項です。
　２は発注証明書の記載事項です。事業主から支援団体に対して支払われた金額、その
うち障害者に対して支払われた金額の総額。その障害者に支払われた額が、それぞれの
障害者に対していくらずつ支払われたかという内訳。そして、そのそれぞれの障害者の
氏名、就業場所、業務の内容。そして、それぞれの障害者の確認をした証拠となる事項
です。
　３は業務規程に規定すべき事項です。各在宅就業支援団体が業務規程の中で定めるべ
き事項として、在宅就業障害者に対する支援業務の実施の方法、支援に対して経費が必
要な場合はその算定の方法、団体が業務に関して知り得た秘密の保持に関する事項、業
務に関する書類・帳簿の保存に関する事項などです。
　定期報告についてです。定期報告については、毎年４月１日現在の状況を、５月１５
日までに報告をする。報告すべき事項は、在宅就業支援団体が行っている支援業務の具
体的な内容、支援を行っている障害者数は何人か、支援を行っている団体の従事者は誰
と誰であるかという氏名、従事経験者・専任管理者は誰かの別も含めてです。事業主か
らの受注の総額、障害者に対してさらに発注した総額、逆に支援団体が支援業務におい
て障害者から受け取った経費の総額を報告するということです。その他在宅就業支援団
体の登録手続や休廃止に関する手続などの事項を規定することといたしました。以上が
在宅就業支援団体の業務に関しての規定です。
　第七、助成金に係る改正事項です。１は、助成金の支給対象となる精神障害者の範囲
を拡大しました。現行制度では、精神障害者のうち、公共職業安定所の紹介に係る者や、
障害者職業センターの職業リハビリテーションの措置を受けている者等と限定的に列挙
されております。今般、精神障害者のうち、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けてい
る者も、この納付金制度に基づく助成金の支給対象に加えることといたしました。
　２は、障害者能力開発助成金の支給業務対象の拡大です。障害者能力開発助成金の支
給対象としてグループ就労訓練、これは障害者の小グループで、事業所において就労す
ることを通じて、労働者として雇用されるための教育訓練を行うことというものです。
グループ就労訓練を行う事業主等を支給対象に加えるというものです。グループ就労訓
練の内容については資料２にありますので、この次に詳しくご説明いたします。
　３は、障害者雇用支援センター助成金の支給業務対象の拡大です。雇用支援センター
が業務を行うための施設を更新することについても支援を行うことといたしました。そ
の他所要の規定の整備を行うものとしております。
　最後に施行期日についてです。施行期日は平成１８年４月１日からです。ただし、第
七の助成金に関する改正関係は平成１８年１月１日から、第四の３に掲げる事項の支給
申請に係る手続関係については平成１９年４月１日からの施行といたします。以上が資
料１のご説明でした。
　続きまして資料２で、グループ就労訓練助成金についてご説明いたします。グループ
就労訓練については、まず精神障害者を念頭に置き、これらの精神障害者については疲
れやすいとか緊張しやすいということにより、作業効率に波が見られることから、就労
は可能だとしてもすぐに常用雇用を目指すことは困難なケースが少なくないということ
があります。
　もう１つの類型として、養護学校の生徒の職場実習について、常用雇用への重要なス
テップでありながら、実習を実施する事業者への負担感から、実習先の開拓が進まない
問題が指摘されております。これらのことから、指導員の支援の下で、障害者のグルー
プが企業内で訓練することにより、常用雇用へ移行を図る事業を実施する場合について、
グループ就労訓練助成金を創設して支援を図りたいという趣旨です。
　支給の要件等として、グループ就労訓練の類型ごとに３通りぐらいの形に分けて考え
ております。１つ目は請負型として、社会福祉法人やＮＰＯ法人などが、企業から業務
を請負い、数人の障害者のグループを、指導員の指導の下でその企業内で訓練させ、そ
して常用雇用への移行をする。このことについて助成金を支給するものです。そういう
ことで、助成金の支給先としては社会福祉法人やＮＰＯ法人等、その企業から業務を請
負って訓練をする所です。
　対象となる障害者は身体障害者、知的障害者、精神障害者の３障害です。そのグルー
プですが、対象となるユニットは３人以上５人以下を１ユニットといたします。訓練の
密度について、訓練時間は１人当たり週１０時間以上、訓練期間は１人当たり３ケ月か
ら３年の間といたします。
　グループ就労訓練をする指導員の資格については、障害者支援の就労支援について一
定の実績を有する施設等での支援経験が１年以上であるか、ジョブコーチの養成研修を
修了した者であるかのいずれかといたします。
　助成金の支給対象の費用は、その指導員の援助の費用自体、それから協力事業主の受
入れに係る費用です。援助費用本体についての支給額は3／4の助成としますが、支給限
度額を月２４万円とします。この支給については条件があり、グループメンバーの訓練
期間は３年以内となっておりますが、２年間の末までは助成するわけですが、その２年
間のうちに１名以上雇用率対象労働者への移行がなかった場合は２年で打切り。その間
に１名以上雇用率対象常用労働者への移行があった場合には３年目の受給が可能になり
ます。それ以降もユニットのメンバーを入れ替えていって、常時３人以上のメンバーが
いる。３人から５人の１ユニットのメンバーがいる状況で訓練を行っている中で、各年
度ごと１名以上雇用率対象となる労働者への移行がある場合には、翌年度の継続受給が
可能になるということです。協力事業主の受入れへの費用の助成については、対象とな
る費用は、社会福祉法人等が協力事業主に対して支給した金額、そのうち１日当たり２,
５００円を限度とする、ただし月５万円を限度とするということです。
　２つ目の類型は雇用型と呼んでいます。事業主自身が数名の障害者のグループを訓練
期間だけという限定期間付きで雇用し、指導員を付けて訓練をする。それによって、そ
れらの障害者を常用雇用に移行させる場合に助成金を支給するものです。助成金の支給
先は当然事業主になります。対象労働者は、身体・知的・精神の３障害ですが、当然こ
れは雇用関係がありますので、そもそも雇用率対象となっている労働者は除かれます。
対象ユニットの大きさは、先ほどと同じ３人から５人の間の大きさです。訓練の時間等
についても同じで、週１０時間以上、３ケ月から３年です。
　指導員の資格については、民間企業の方ということで、経験年数等が少し高くなって
います。重度障害者多数事業所や特例子会社における就労支援経験ならば３年以上、そ
の他の企業の障害者職業生活相談員としての経験ならば５年以上、又はジョブコーチ養
成研修の修了者かのいずれかです。
　対象となる支援対象の費用は、まさにその指導員による援助の実施に係る費用です。
支給額については、指導員を企業の中で配置した場合には助成率４／５、ただし支給限
度額は２５万円。そして支給期間の条件については、先の請負型と一緒で２年間は出し
ますが、その間に１名以上雇用率対象労働者への移行がなかったときはそれで打切り、
あったら３年目もＯＫ、その３年目に１名以上あったら４年目もＯＫです。当然ユニッ
トが存在し、グループ就労訓練を行った場合です。
　職員を配置するのではなくて、その訓練の指導の度に、指導員を外から呼んできて委
嘱をする場合も、助成率は４／５です。支給限度額は、委嘱１回ごとに１万５,０００円、
ただし年間２５０万円を限度といたします。支給期間の条件については、先の配置ない
しは請負型の場合と一緒です。
　３番目の類型として、養護学校の職場実習の場合です。事業主が指導員の支援の下で
盲学校・聾学校・養護学校の生徒が事業所内で就労する実習を行い、常用雇用への移行
を促進した場合に助成金を支給するものです。助成金の支給先は事業主です。対象とな
る障害者は、盲学校・聾学校・養護学校の高等部３年生である身体・知的又は精神の障
害者です。
　対象ユニットは、養護学校の職場実習であるという性格から、ユニットの下限を少し
下げて１人から５人のように範囲を広げました。訓練時間等は、１人当たり週20時間以
上、訓練期間は１人当たり１ケ月から２ケ月としております。ただ、ここについては現
在文部科学省に確認しているのですが、実態として職場実習の期間は平均２週間程度と
いう話ですので、ここは今後２週間以上２ケ月以内とすることとしたいと考えておりま
す。
　指導員の要件は、実習先の事業主から指導ということなので、先の企業型と同じです。
特例子会社等での業務経験３年以上か、その他企業での職業生活相談員としての経験５
年以上か、ジョブコーチ養成研修の修了のいずれか。
　助成金の支給対象となる費用については、職場実習全般ではありませんで、職場実習
をした対象障害者が、ユニットの中で１名以上雇用率対象となる労働者に移行した場合
には、その職場実習に係る指導員の援助費用を助成するということです。支給額は１日
当たり2,500円、ただし月５万円を限度とするということです。以上のような形で、グ
ループ就労訓練助成金を創設したいと考えております。

○会長　ただいまの説明に対して、ご質問、ご意見をお願いいたします。

○輪島委員　いくつか質問させていただきます。まず、資料１の４頁の在宅就業特例調
整金ですが、例えば雇用率未達成企業が納付金を払う前提で、特例調整金で相殺するこ
とがあると思います。それについての様式は政省令で決めるのでしょうけれども、その
後また様式が決まっていくのかどうか。それがいつぐらいになるのかを教えてください。
　２番目は、９頁のその他で、前回の審議会では８頁にある在宅就業支援団体からの定
期報告について、それらを取りまとめて一定のところで審議会に報告するというような
仕組みを入れていただけないかということでしたが、それが、この中で読めるのか読め
ないのかを伺います。
　３番目は、資料２で、これまで改正法の審議に当たって、グループ就労の訓練は非常
に大事だということで、審議会の報告の中にも入っておりました。それは、ある意味で
(1)の請負型と(2)の雇用型については基本的に前提として議論してきたわけですが、本日
示された中には(3)が新たに入っています。どういう経緯で(3)が新たに入ってきたのかを
お伺いします。
　４番目は意見ですけれども、３頁にある雇用型の指導員に対する支給要件のところで、
特例子会社の業務については、３年以上の経験となっています。特例子会社というのは
非常に専門的な雇用管理をしているので、おそらく１年以上いれば非常にいろいろな経
験ができるので、３年以上というのは非常に長いのかと思います。これは、江口委員に
もお伺いしたいと思います。３年以上になると、もう異動してしまって対象になる人が
逆に少なくなってしまうのではないかと危惧しますので、１年以上であと２年見込みが
あるというような運用ができ得ればいいのかという意見です。
　５番目は同じ３頁で指導員の配置又は委嘱のところの違いをお伺いします。配置とい
うのは、従来雇用している人たちを配置する。委嘱というのは新たに委嘱をする。この
配置と委嘱の違いを教えてください。
　６番目も意見ですが、３番目の職場実習型というのは唐突感は否めないと思うのです。
基本的にこれは文部科学省が措置をするようなものなのではないか。特に、盲・聾・養
護学校の高等部３年生の職場実習について、納付金会計で措置をすることが本当に適切
なのかどうかについては、少し議論が必要なのではないか。ただし、職場実習型と新た
に提案されていることについては非常に重要な点で、むしろこのことは雇用の促進につ
ながるとは思っていますけれども、財源という関係からいって少し筋が悪いのではない
かと思わざるを得ません。
　最後に、これで政省令が全部済むことにより、今度の改正障害者雇用促進法のすべて
の措置が済むわけです。そういった観点からいくと、納付金会計全体のことが心配にな
ります。これは、前回の審議会の最後にも申し上げたとおりです。精神障害者に対する
みなし雇用、それから助成金の新たなものということでジョブコーチの助成金や、本日
の諮問にあるような資料２の助成金が新たに創設されて、納付金会計からすると非常に
大きな支出要因が増えているのではないかと思っております。その点はどのような見通
しを持っているのか、納付金会計の財政状況はどのような見通しがあるのか、それにつ
いての適正な運用というのは、どのような歯止めがかけられるのかということについて
ご説明ください。

○会長　7点あります。

○調査官　特例調整金の相殺等に関する様式については機構が定めるものですが、平成
19年４月１日の施行までに機構でそのように相殺も含めた書式になるように定めるこ
ととしております。
　在宅就業支援団体の状況についての報告事項の取りまとめについては法令事項ではあ
りませんので、この改正要綱にも出てきませんが、やはり適切に在宅就業支援団体の活
動を指導しつつ、かつ在宅就業支援団体を振興していく観点からどういう活動状態かと
いうことは法令とは関係なしに、このような場を使って広めていく必要があると考えて
おります。
　３点目の、グループ就労助成金のうち(3)の職場実習型がほかと違って唐突に入ってい
るようだという話でした。これについては、グループ就労助成金について検討する中で、
同じく各養護学校等の職場実習についても同じような形態、(2)の企業型と(3)の実習型に
ついては資料２の後ろのほうに図が付いていますが、基本的に似ている形態でありなが
ら、学生であるということで種々の支援措置が抜けているということで今般グループ就
労訓練助成金の類型に合っているのではないかということで入れさせていただいたとい
うことでございます。
　あと、指導員の要件の３年は長いのではないかというご意見ですが、私どもとしては
このような形で定めていただきたいと思います。これについても、より実態に合った要
件に見直す機会がありましたら、またやっていきたいと思っております。
　配置と委嘱の違いという話ですが、これはまさにご質問の中にもありましたとおり、
配置というのはグループ就労訓練を受ける際に、その職員を指導員として配置する場合
です。委嘱というのは、そのために職員でない人を指導員として、そのためだけに呼び
込んでくるということです。

○障害者雇用対策課長　基本的に文部科学省の施策なのではないかというお話がありま
したが、いま深田から申し上げましたように、グループ就労訓練の助成金を考えていく
中で、養護学校の職場実習において、実習先の確保に非常に苦労している。それが学校
卒業時に就職に結び付けるところの制約要件になっている事情が聞こえてまいりまし
た。それならば、そういうところの改善策を、類型的には似ているグループ就労訓練と
いう制度を新しく作る中で、一定の改善が図れるような工夫をしてみたらどうだろうか
ということで事務的に検討させていただいたわけです。この場でご議論いただくのは本
日が初めてということですけれども、そういう経過を辿って本日ご提案申し上げている
次第です。
　もう少し申し上げますと、例えば中途採用の方については、トライアル雇用があった
り、委託訓練があったり、雇用前のジョブコーチの制度もあります。これらの試すとい
いますか、一定の試行的な期間の雇用を経て本格的な雇用ないし、訓練の期間を経て本
格的な雇用に移るという過程については、いま申し上げたトライアルにしても委託訓練
にしても、雇用前ジョブコーチにしても、受け入れる事業主の方に一定の給付を出す制
度が用意できております。その意味では、企業側の経済的な負担を一定程度軽減しなが
らそういうことができるようになっております。
　養護学校の生徒についてはそういう仕組みが現在のところないということで、私ども
の範囲で事業主に対する給付ということですので、できる工夫をさせていただこうと思
って今回の制度を提案しております。養護学校の生徒の実習だという意味においては、
確かに文部科学省のほうで考えていただくべきところが多いのではないかと思っており
ますが、現にそういう形で就職に結び付けるところの制約要因を、我々としてもなんと
か解消できないかということで考えたものです。
　財源的に見て、納付金の制度、つまり事業主からお預かりしている財源でやっていく
のが適当かどうかという点については、制度的には既に納付金の制度の中でも、例えば
能力開発助成金そのものがそうですけれども、雇用の前の段階の部分について給付をす
る、助成金を出すということについての能力開発助成金、それから雇用支援センター助
成金もそうですが、制度を持っております。納付金をそういう所に使うこと自体法令的
には問題ないのではないかと思っております。
　先ほど輪島委員からも、政策的な意義は認めるというお話をいただいておりますが、
そういう意味でこれから私どもとして一定程度でも取り組むべきところという意味で
は、今回は納付金でこういう形でお願いするというのが、やはり、養護学校の生徒の就
職の促進にもつながってまいりますので、是非お願いしたいということです。
　それから、指導員の要件の件にお触れになられましたが、今回の指導員の要件は、９
月にご議論いただきましたジョブコーチ助成金のジョブコーチの要件とも重なっている
わけです。いずれにしても特例子会社や重多で３年というのは少し長すぎないかという
ご意見は確かにいただいております。
　私どもとしては、この間ジョブコーチの制度もスタートしたばかりですので、少し制
度を転がしてみて、その状況を見て、いまのようなお話が問題点として出てくる可能性
もあるかと思いますので、それを見て必要があればできるだけ速やかに対応させていた
だきたいと思います。この点は法令面で見れば柔軟に対応できる面かと思いますので、
そういった実態を見てきちんと対応させていただきたいと思います。
　それから、納付金会計全体の問題について、いま輪島委員からご指摘があった点につ
いては、確かに今回の法改正に絡みまして、まず１つは、精神障害者のカウントによっ
て納付金額が減る、あるいは調整金の額が増えるという点。それから、在宅就業に対す
る特例調整金、特例報奨金の支給という意味でも支出要因が増えております。
　助成金の面では、ジョブコーチの助成金、前々回ご議論いただきましたジョブコーチ
や在宅のコーディネーターの助成金が増えているのに合わせて、今回はグループ就労の
ということでお願いしております。その意味では、支出要因がいろいろな形で増えてい
るのは確かです。
　ただ現状を申し上げますと、約４００億円を超える額が剰余金として残っている状況
があります。これを剰余金として持っているだけではあまり意味がないものですから、
それを有効に使っていく必要があるという面と、そういう中で全体の収支バランスの均
衡を常に留意しながら制度を運用していくという両面から、皆様方にも財政状況を見て
いただきながら、制度を運用できるようにしてまいりたいと思っております。当面いろ
いろお願いしている対策によってどのような影響が出るかという点については、必要に
応じて皆様方にもご相談をしながら制度の運用を図ってまいりたいと考えております。

○輪島委員　前回も申し上げたとおり、余力はあるといっても、１回出し始めると歯止
めが効かない。歯止めをかけると、よくわからない運用で止めることになるわけです。
それは、企業側としては非常に戸惑いを覚えるわけです。４００億円あって、それを持
っているだけではしょうがないという感覚というのは、私どもとしては非常に心配でな
らないということです。
　特にこの会計もそうですし、雇用保険の特会もそうですし、一度雇用・失業情勢が悪
くなれば、本当に歯止めなく出ていく。それは、セーフティネットとしてそのように作
っているわけで、どんどん出るような仕組みになっているわけです。そういう観点で、
貯まっているから少し出していきましょう、という感覚は持つべきではないと私どもと
しては思っていることを是非ご理解いただきたいと思います。
　新しい質問です。資料２の(1)と(2)のユニットの考え方です。先ほどの説明で、ああそ
うなのかなと思ったのですけれども、３人から５人のユニットをつくると、それはずう
っと継続されているユニットで、その中から雇用されれば助成金が支給される。そのユ
ニットというのは、３人いて２人雇用されれば１人しか残らないわけです。そのユニッ
トの考え方は、既存のユニットに新しい人が入ってきて、ユニットは継続していくのか、
それは一回ご破算にして新しいユニットをつくっていくのかというイメージがよくわか
らなかったのでそこを教えてください。

○調査官　個々の人について算定されるのは３年間ですから、３年したらいなくなって
しまうことになります。このユニットというのは、中の人が入れ替わってもそのユニッ
トということでは継続していくということです。
　そういうことなので、３人を１ユニットとすると、最初の１年目、２年目でみんな卒
業していってまた入れ替わる。そうすると、３年目が終わった段階で、ちょうど３年目
が終わった人が１人、１年目の人が１人、２年目の人が１人ということになります。そ
の３年目の人が就職ということになれば、その実習からさらに上がって就職できれば、
助成金は次年度も受給資格が継続します。
　かつ、これがユニットが２人になったら消えてしまいますから、ここで新たに１人職
場実習生を受け入れなくてはいけないということです。そのユニットで雇用することに
よって継続受給資格を得るし、それからユニットが消滅しないように新たな実習生の受
入れもするように仕組まれているわけです。

○西嶋委員　いまの件に関してです。そこをかなり柔軟に運用していただく必要がある
かと思っています。常に３人いなければいけない、もしくは３人以上常にいなければい
けない。もし就職が決まった人がいてユニットから出たらどうするか、何ケ月か空きが
あったらいけないとか。
　１年は別としても、考えていただきたいのは、就職させるタイミングというのは会社
の都合がありますから、後が入らないので就職を待ってというのはやりにくいので、就
職できるタイミングで就職させることは考えていかなければいけないので、そこは多少
柔軟性を持たせていただきたいと思います。
　もう１つの質問は、そこの企業に就職しなくても、ほかの企業に就職した場合も対象
となると考えていいのでしょうか。いま企業内授産をやっている場合には、その企業に
就職させる場合もありますが、ここで訓練をして他企業に就職させることもかなりやら
れていますので、そこの企業でなくても他企業に就職したらそれがカウントされるとい
うふうに考えていただきたいと思います。

○調査官　まず、途中で一瞬、１年度未満３人を切ったような場合ということですが、
これは支給期間に書いてあるとおり、ある年度の間は支給対象になります。そして、次
年度への受給資格という形に書いてあります。１年度未満の話はそれでＯＫですので、
次の年度が始まるときにまた３人に戻していただければということです。
　常用労働者への移行は実習先でなければいけないかということについては、１番目の
請負型については構いませんが、２番目の雇用型の場合は、その雇用実習をしたことが
雇用に結び付いたということになりませんのでそれは駄目ということです。

○西嶋委員　わかりました。もう１つ、これはグループ就労の話ではないのですけれど
も要望があります。いま課長からジョブコーチの話が出ました。ジョブコーチ制度の中
で、第一種のＮＰＯや福祉施設のジョブコーチのほうですが要件に関しては訓練を受け
た人となっています。この要件の中に、第二種で認められている企業で経験を積んだ人
も対象となるようにしていただきたいと思っております。
　最近、企業を卒業したＯＢの方が、ＮＰＯや社福にジョブコーチとして再スタートし、
支援に入っていただく場合が結構多いです。そういう場合に、第二種ではＯＫだったの
に、第一種のほうに移ったからそれは経験として加味されないというのはおかしいと思
うので、そこは是非配慮していただきたいと思います。

○障害者雇用対策課長　いまのジョブコーチの話については、先ほども申し上げました
ように、制度がスタートしたばかりだということもありますので、ちょっと転がしてみ
ていろいろな点が出てくるかと思います。先ほどの３年という要件も含めてですので、
少し状況を見て、例えば１年間様子を見て、諸々出てくる問題点を少し整理をして、ま
とめてご相談しながら整理をしていくという形をとりたいと思っております。

○舘委員　グループ就労にかかわる話が出ているので追加して質問させていただきま
す。グループ就労に訓練が付いています。我々としては、グループ就労というのは期待
していたのですが、訓練というのが付いたので少しがっかりしています。イメージが少
しはっきりしないというか、(1)の請負型は福祉法人主導のグループ就労訓練で、(2)は企
業主導、(3)は学校主導ということなのだと思うのです。(1)については企業内授産を多く
やられているのですけれども、それとどう違うのか。あるいは、その中でこれは企業の
場合と、(2)は先ほど輪島委員が言われていましたが、その説明がありませんでした。配
置や委嘱とあります。(1)は特に書いてないです。指導員による指導の援助の実施にかか
わる費用と。実際にこの場合の指導員は新規に雇わなければいけないのか、従来ので構
わないのか。ジョブコーチは、支給がダブるということで、新しく雇わなければいけな
いということがあったと思います。その辺りを教えてください。
　２番目の雇用型というのは、実際に企業がこういうユニットを組織して、なおかつ指
導員を付けてやるというのは、具体的にニーズとしてたくさんあるのでしょうか。もし
ご意見があれば輪島委員、その他にお聞きしたいと思います。なおかつ、これは雇わな
いと続かないということでは、企業のほうではかなり覚悟が必要だと思うのです。就業
支援センターがどう噛むかとか、そういうようなことがないとこれだけでは少しイメー
ジが湧かないのです。あるいは、職場適用訓練のグループ版だという理解でよいのなら
よいのかもしれないのですけれども、その辺りのことを少しお示しいただきたいと思い
ます。

○調査官　施設外授産とのイメージということですが、形としては先ほど説明したとお
り、ないしは資料２の５頁で図を示しております。私どもとしては、社会福祉法人等で
業務を請負って、その企業の場で社会福祉法人職員の下で、小グループが指導して現場
実習したと。これに対して、指導員の費用がかかった場合にその部分を支援しましょう
という形です。

○舘委員　新規に雇わなくてもよいのですか。

○調査官　雇わなくても、指導という行為に対してかかるものですから。それなので、
先ほどの企業の場合に準じた委嘱か配置かという話もそれでＯＫです。特に差がなくて、
現実に指導員ができたら、それに応じて３／４で助成するということです。

○舘委員　この(2)に関しては、このままですぐ企業がこういうのを利用できるのかどう
なのか、その辺はどうかということをお聞きしたのですが、できればお願いします。

○障害者雇用対策課長　雇用型については、確かにケースとしてはそう多くないのかと
思います。私どもが聞いている範囲では、特例子会社を立ち上げるときに、特に、指導
員を雇う配置のほうよりは委嘱のほうではないかと思われます。立ち上げるときに、障
害者の問題に精通した、例えば授産施設で指導の場を踏んでいるような方をしばらく委
嘱という形で企業がお願いして、特例子会社に雇い入れる前段階のトレーニングのよう
な形で、特例子会社自体が雇っているのだけれどもトレーニングで、指導員は外部の人
材を活用してという形で行われるケースがあると伺っております。そういう面で活用し
ていただけるのではないかと思って制度を仕組み、あとは状況を見させていただこうか
と思っております。
　それから請負型のほうは、形が施設外授産、企業内授産と似ています。その辺りは社
会福祉法人のほうでどちらの制度を使ったほうがより有効に、一般雇用への移行という
ことも含めて考えたときにどちらをより有効に使えるかということをお考えいただきな
がら使っていただければいいのではないかと思っております。

○輪島委員　せっかくのご質問ですので、私どももそんなに使わないとは思ってなくて
期待はしています。基本的には１０時間以上で、いまのカウントには入らないけれども、
グループで働いていてそこから雇用に結び付く人たちを想定しております。２０時間以
上のところがハーフカウントですが、それ以下のところでも訓練としての位置づけとし
ては大変意義があるのではないかと思っております。

○江口委員　いまのグループ就労の中で、職場実習型では１ユニットがこの場合は１人
以上ということです。１名も含まれるということは非常によいと思っています。という
のは、在学中に職場実習を受け入れている企業というのは非常に少ないですから、障害
者の委託訓練事業が前に最高３ケ月あって、その後にトライアル雇用という形のステッ
プへ行くのに非常によいと思っています。この全体的なイメージとしては、予算の規模
とか人数の具体的な計画はある程度お持ちですか。

○障害者雇用対策課長　実習型については、対象の障害者は資料の４頁にあるように、
養護学校等の卒業を迎える３年生の方に、就職内定に向けた実践的な実習として使って
いただこうと思ってやっております。今、年間で養護学校から就職する方が全国で２,
５００人ほどではないかと伺っております。そういう計算で月額５万円までですので、
大ざっぱに２ケ月間であれば１０万円という計算をしますと、大体２億５,０００万円ぐ
らいです。そのまま全部お使いになればということですが、そのぐらいかと思っており
ます。

○江口委員　先ほどの職場実習型の指導員のところで、特例子会社において３年以上と
いうのを私の私見で申しますと、３年以上となると転勤があると思うのです。逆に輪島
委員が言われた１年ではちょっと短いかと思うのです。中を取ると２年間くらいがちょ
うどいいのかなというのが私の経験としてあります。だから、１年以上というのが最低
いるかもわからないです。これは私見で答えさせていただきました。

○会長　それでは、渡辺委員。

○渡辺委員　続きまして、職場実習型の件です。こういう形で、移行期の養護学校の生
徒たちが職場に適応するようにという施策は、非常に学校にとっても企業にとっても、
ありがたいことだとは思います。ですから、望ましいとは思うのですが、実はもう少し
別の角度から見ますと、いま中学、高校等において、インターンシップ、ジュニアイン
ターンシップなど、いわゆる企業内教育が非常に盛んになっております。でも、それに
は費用は出ていないわけです。ですから、学校側からしますと、養護学校のこの一部に
は予算がというか、指導手当がつき、それ以外のインターンシップなど、中学校は別と
しましても、企業側から見ると学生を受け入れることにおいては変わりはないわけです。
ほかの学校側における企業とのインターンシップのあり方の中で、これだけに費用がつ
くということ自身、一般的に見ると不思議に思えるのです。重要性はよくわかります。
あったほうがよいこともよくわかるのですが、教育現場から見たときに、ちょっと違和
感を持つのですが、この辺り文科省との打ち合せなどはどうなっているのか教えていた
だけないでしょうか。

○障害者雇用対策課長　基本的に文科省もこういった施策を我々が打ち出すことについ
ては、養護学校の生徒の就職が促進されるという意味において、非常にありがたいこと
だとおっしゃっています。そういう意味では、それぞれ政策の必要性なり、方向性とい
うのは同じものを持っていると思っています。
　いまお話があったように、確かに学校にいるときからの職業教育みたいなものが最近
強く言われていまして、そういった中でインターンシップの受入れのようなことも、高
校生も中学生もやってきている面があります。それとの比較でどうかですが、私の考え
としては、例えば高卒の方の就職はハローワークなどを通じていろいろとやっています
が、基本的には卒業して就職をしたいという方の、ある意味大半の方が最終的には就職
に結びついているという状況があるかと思います。しかし、一方では養護学校の生徒を
見ますと、現状では養護学校卒業時の就職割合というのは大体２割程度です。ほかの方
はどうなっているかというと、大半が施設に行っている。施設に行った方がその後どう
なるかというと、年間１％というような数字もございますように、基本的には施設の中
でずっと過ごしてしまうことになるという状況があります。そこを福祉の政策を担当し
ているサイドにおいても、何とか入り口のところを改善をしたいという話があります。
我々もこれから雇用を進めていく中では、やはり雇用政策を担当するサイドからも、卒
業のところを何とかもう一工夫したい。そういう意味では、少し健常者といいますか、
一般的な高卒の方への対策より、ある意味手厚い対策があってもいいのではないかと思
っています。

○松井委員　いまの関連なのですが、私どもは(3)の実習型を新たにお示しをいただいた
ことは、大変ありがたいと思いますし、生意気を言えば評価をさせていただきます。地
域で養護学校の高等部までは何となく進んでいった。ところが、その先で行き場がなく
て、そこで止まっている。あるいはいま課長がおっしゃったように、心ならずも施設に
行くしかないような人生を送っている人たちがいっぱいいるわけです。文科省との連携
も持っていただきながら、この部分は是非お願いをしたい。私どもはいまもお話があり
ましたが、この分科会として障害を持った人たちがより多く就労ができるように、今度
の自立支援法も就労が促進されるということが前提でできている部分もあるわけです
が、そういう意味から言いましても特に雇用者側の皆さんのご理解もいただきながら、
是非ご提案どおりお願いをします。

○笹川委員　高３の職場実習というのは、大変有効だと思います。ただ、問題は先ほど
から出ている費用負担をどこが持つか。これは今後十分ご検討いただくとして、やはり
盲・聾・養護学校の生徒は、社会経験をするチャンスはほとんどないのです。一般の高
校ですと、アルバイトということで、働くことに対する経験はできるのですが、盲・聾
・養護学校の場合、ほとんどその経験がない。いきなり職場に入るということになると、
そこで大変萎縮をしてしまいます。少しでも職場実習をやっていれば、自信もつきます
し、極めて有効だと思います。是非この高３の職場実習は推進をしていただきたい。

○副島委員　今回示された内容は、知的障害者からはすごくいい内容になっていると思
う。特に、施設外授産、企業内授産などという形で就労が結構進んでいます。その点に
対して、在宅就労障害者支援制度の対象ということで、在宅就労の中に広げていただい
たということ。それから、グループ就労へもまた広げていただいたということで、結構
就労の場所を選択してもしくは就労の仕方を選択して中の取組みが拡大でき、就労へ結
びつけることがさらに強くなったと思うのです。
　その点ではすごくよくなったと思うのと、それから契約の点です。ここまで謳ってい
ただいたら、特に知的障害者の場合は、障害があることが逆利用されて、悪利用される
ということが結構あります。いまのリフォーム詐欺も一緒です。それから、いろいろな
訪問販売詐欺も一緒ですが、結構知的障害者の方がターゲットにされていることがある
のです。本人だけが書面で署名するのがなかなか難しい状態になっています。家族にし
っかりと説明をしながらそこで契約を結ぶという条項については、確かに我々としても
安心できるものです。
　グループ就労について、いまの学校関係からさらに就労に進むという第３のところで
すが、すごく我々も歓迎します。特に我々が就労というか、福祉関係で話をするときに、
教育、福祉、それから雇用で連携をとるということは、必ず文言で謳っているのです。
しかし、いままで１つなりとも具体的に予算化をして、その取組みをしたことがないの
です。そういう面では、今回職場実習型という就労のフォローが出たということを、特
に我々としては歓迎します。ただ、問題は委員の中から言われました、いまの４００億
円の予算で本当にこれで足りるのだろうかということもあって、是非文科省からもこの
助成金の中に手を加えていただきたい。学校関係の障害者雇用について、教育関係はす
ごく後退しています。だから、そこに対してやはり何らかのプッシュ策をこちらの委員
会だけでなくて、文科省からも制度を作っていただく働きかけをしていただきたいのが
希望です。

○吉原委員　私も教育現場で障害児学級の担任をしていました。この職場実習型がここ
に入ったのは、すごくうれしいなと現場の者としては思います。子どもたちの職場実習
をするときは、本当に教員が走り回って、お願いしてお願いしてやっと頼むのですが、
現場にはそれが継続できない現状があります。こういう形できっちりと支援体制ができ
るということはありがたいと思います。文科省と綿密な連携を取って、私たちも文科省
に要請をしてまいりますが、是非これを実現してほしいと思います。

○会長　いろいろな方からご意見をいただきましたが、職場実習型は制度としては大変
いい。ただ、少し考えてほしいのはお金と対文科省だというお話だと思います。

○寺山委員　６頁の図が連携の図ではないと思うのです。職場実習は教育の一環でもあ
りますので、教育機関も連携の図にしないと。５頁はこれでわかるのです。ということ
で、提案させていただきます。

○会長　資料２のいちばん最後の頁の絵が悪いということです。確かに私も、これを初
めて見ましたが、そのとおりだと思います。

○調査官　工夫をしていきたいと思います。

○寺山委員　一人歩きしていますので、お願いします。

○会長　ほかにありますでしょうか。

○岩村委員　２点ほどあります。１点目は今日の諮問要綱案の３頁で、障害者在宅就業
支援制度の対象となる場所について、一番最後で、「在宅就業支援団体を通じて発注を
行った場合はこの限りではない」とあります。先ほど施設内授産等との関係で評価され
るとありましたが、私もそのこと自体は否定しません。しかし、制度ができてしまいま
すと、やはりどうしても一人歩きをすることもあって、そこから弊害が出てくる可能性
も特にこのタイプは大いにあり得るという気がします。特に適用に当たっては、むしろ
在宅就業支援団体のいわば適格性の問題だという気がします。厳正な審査や監督を是非
お願いします。それが１点です。
　もう１つは同じく要綱欄５頁から６頁にかけて、契約の締結に当たっての事柄です。
業務運営基準の中に取り入れていただきまして、これも大変適切であると思います。な
お、通達レベルになるのかどうかはよくわかりませんが、例えば知的障害者の方の場合
の契約締結能力に欠ける場合の補佐人その他、民法上のきちんとした権利擁護の仕組み
を必要な場合には、キチッと使うことも併せて何らかの形で周知徹底をお願いできれば
と思っています。私からは以上です。

○会長　ちょっとお待ちください。いま一応ご要望がありました。何か意見があればど
うぞ。

○調査官　まず、在宅就業団体を通じて発注事業主の下で仕事をすることが、今般３頁
で認められている話です。これは確かに、このまま企業と当該支援団体が実は結びつい
てしまったら、これは直接発注、但し書きの除かれるほうに実質なってしまいますので、
個々の支援団体がどんな企業を相手にして支援業務をしていて、どんな支援内容かとい
うことで、実質、特定企業の利益のために奉仕していることがないように、それは個別
に支援対象企業等を見ながら、指導していきたいと考えております。

○長谷川委員　資料１の６頁の２の最後に、「在宅就業障害者が在宅就業契約を履行で
きなかった場合の取扱い等を記載する」とあります。これは契約が履行できなかった場
合の措置を、これだとどういうことなのか読み取れないのですが、このあと厚生労働省
が通達か何かでもう少し詳しく指導するのか。
　また、７頁、「継続的に就労機会を提供している在宅就業障害者に対して、就業の機
会を打ち切ろうとするときは、遅滞なく、その旨を報告すること」、それから５頁の第
５の３もそうですが、「継続的に就業機会を提供している在宅就業障害者に対して、就
業の機会を打ち切ろうとするときは、遅滞なくその旨を予告すること」。労働基準法の
労働契約であれば、３０日前の解雇予告があると思うのですが、この場合、労働基準法
の労働者ではないでしょうから、おそらく３０日前の解雇予告が必要とは書けなかった
のかもしれませんが、契約を履行できなかった場合の扱い方について、どう考えている
のかお聞きしたい。
　もう１つは９頁の第七、助成に係る改正の１「精神障害者のうち精神障害者保健福祉
手帳の交付を受けている者については」というこの文章ですが、今回新しく、すでに働
いている労働者が障害者福祉手帳を交付または所持、取得することで雇用率に算定され
ることとなったのですが、助成金についても対象となるという解釈でいいかどうかを聞
きたいのです。

○会長　３点ありました。

○障害者雇用対策課長　まず、契約不履行の場合の問題です。基本的にここの契約はそ
ういうことを契約の中ではっきりさせておいてほしいというのはルールにしたいと思い
まして、こう書いています。実際の契約で、企業対個人ないしは団体対個人の間で、ど
ういう不履行に対してのルールを作るかは、ある意味で民対民の問題なので、そこはそ
れぞれのご判断できちんと決めていただくことではないかと思っています。
「遅滞なく予告をする」については、いま長谷川委員からご指摘があったとおり、雇用
であれば、労働基準法で30日前というルールがはっきりしていますが、ここで参考にし
ましたのは、同じように請負い的な働き方をしている家内労働のルールです。そこでは
遅滞なく予告をするというルールになっているので、それとの並びを取らせていただい
たものです。では、実際にどのくらいで遅滞なくといえるのかという点については、私
の考えでは１つの目安はやはり基準法にある30日になるのではないかと思います。
　最後に、助成金の対象の障害者の範囲のお話です。いまお話がありましたように、精
神障害の方で在職で手帳を持っている方でも対象になるようにするのがここで言ってい
ることになりますが、現行の制度では精神障害の方の範囲を確定するために、リハビリ
テーションの措置を何らか受けておられることを要件としてきました。これはそれを通
じて、ご本人が障害を受容していて、そのためのサポートを受けることがはっきりして
いる方という意味でやってきたわけですが、今回の雇用率制度の対象自体、手帳を持っ
ていれば、対象になるということをはっきりさせました。いまお話が出たように、在職
している手帳を持っている方は、助成金の対象にならないのかというところもあります
し、またそれぞれのリハビリテーションの措置を経ずに就職をした場合でも、手帳を持
っていれば、やはり対象にすべきではないかというところもあります。今回の雇用率制
度の見直しに併せて、範囲を拡大させていただいているということです。

○会長　ほかにご意見ありますでしょうか。

○渡辺委員　ちょっとよろしいですか。先ほどのグループ就労の件で指導員の中に、例
えば養護学校の教員が２週間だったら付いていく可能性は起こり得るわけです。そうい
うときに、この指導員の中には、教員は障害者職業生活相談員になると解釈していいの
ですか。それとも、教員はやはり指導員には入らないということですか。もちろん、教
員にお金を出すというのはおかしいことになるという部分があります。

○調査官　それは入りません。

○渡辺委員　だから、いわゆる支給対象ではないが、指導員としては学校の教員が２週
間くらいだったら、付いていく可能性はあるわけです。そこはどうなりますか。

○調査官　ここは助成金制度の対象外の存在なので、ここに書いていないだけで、現実
には当然存在してもいいわけです。

○渡辺委員　誰が来てもよいと、そういうように解釈するのですか。

○調査官　ですから、教員がいるから企業の指導員がいない。これでは助成対象になり
ませんが、教員と企業の指導員と両方いるならば、それはかまわないということです。

○渡辺委員　かまわないのですか。わかりました。

○障害者雇用対策課長　この助成金は事業主にお出しする形になっていまして、要は協
力謝金のような性格の助成金です。企業に一定の負担がやはり発生をしている。それを
補わせていただこうということなので、その負担は受け入れて、誰かが指導をしている
でしょうということです。

○渡辺委員　わかりました。ここで言っているのは助成金の支給に関してのみ言われて
いることと解釈すればいいわけですね。

○障害者雇用対策課長　はい。

○会長　それでは、本件についてですが、いろいろご意見、ご議論いただきましたので、
それを踏まえまして、報告文案を作成します。作成の間、少しお時間をいただきまして、
休憩したいと思います。

                                  （休憩）

○会長　それでは調整が終わったようですので、事務局から文案を配付していただきま
す。

　　　　　　　　　　　　　　　　　（報告文案配付）

○会長　それでは事務局から読み上げていただきます。

○調査官　今回の諮問に対する報告文の部分を読み上げさせていただきます。
　平成17年12月15日付け厚生労働省発職高第1215001号をもって労働政策審議会に諮
問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。
　１．標記については、厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。２．なお、障害者雇
用納付金制度に基づく助成金制度については、障害者雇用納付金制度の財政状況を見な
がら、制度の適切な運営を図るとともに、養護学校等の職場実習に対する支援について
は、文部科学省の職場実習に対する施策の動向を踏まえながら、適切な運営を図るべき
である。

○会長　以上のように今日の議論を踏まえ、報告案を作成しました。それで労働政策審
議会の会長宛に報告をしたいと思っておりますが、よろしゅうございますでしょうか。

　　　　　　　　　　　　　　　　（異議なし）

○会長　ありがとうございました。それではこの内容にて、本日付けで労働政策審議会
会長宛に報告を行いたいと思います。今後の段取りですが、以上の内容を労働政策審議
会会長宛に報告いたしまして、労働政策審議会長からは厚生労働大臣に答申をすること
になります。事務局におかれましては、本日の答申を受けて、政省令案の作成を鋭意進
めていただきたいと思います。
　それでは次の議題に入ります。身体障害者及び知的障害者の雇用状況についての報告
です。事務局より説明をお願いします。

○障害者雇用対策課長　それでは雇用状況報告について、資料３に基づき、ご報告申し
上げます。後ほど具体的には白兼主任から報告いたしますが、それに先だって、私から
一言申し上げたいと思います。
　この雇用状況報告に関しては実は新聞報道でもご存じの方が多くいらっしゃると思い
ますが、先般、私ども、企業からいただいている雇用状況報告の副本、これを個票と呼
んでいますが、本省で管理をしている中で、２,１８３社分を紛失してしまうという事態
を起こしてしまいました。こういった事態を起こしたことについて、皆様方にもご迷惑
をおかけし、ご心配をいただいております。大変誠に申し訳ない事態でございます。お
詫び申し上げます。なお、いまの段階でもこの資料は見つかっていませんが、紛失した
経緯等について、引き続き調べているところです。それを詰め、今後こういったことが
起きないように再発防止策もきちんとやっていきたいと思っておりますので、どうぞこ
れからもよろしくお願い申し上げます。大変申し訳ございませんでした。それでは具体
的な内容については、白兼主任からご説明申し上げます。

○主任障害者雇用専門官　資料３です。この資料をもちまして、昨日、プレス発表を行
い、本日の朝刊あるいはＮＨＫのニュースでも言っておりましたが、そういう形で報道
されましたので、すでにそれについてはご存じの方が多いかと思います。今年６月１日
現在の雇用状況です。タイトルにありますように、一般民間企業の全国の平均実雇用率
は１.４９％でした。昨年が１.４６％でしたので、０.０３％ポイント上昇したというこ
とです。お手元にある資料はずっしりと部厚い形で出させていただいていますが、最近、
法律が２本通ったということもあり、障害者の就労、自立、あるいは雇用に関してはか
なり関心が高まっている。その中で障害者の雇用状況についてはできるだけオープンに
していって、その実態についてご理解をいただきたいということもあり、今般、昨年ま
でに比べてかなり細かいデータを示させていただいている内容なので、今回のようなこ
んな形で厚い資料になっています。まず状況のポイントを説明させていただきます。１
３頁以降の実際のデータですが、ここから個別の詳細表ということで、紹介させていた
だいています。１番はじめが１.４９％という雇用率の内容です。５６人以上の一般民間
企業ですが、６万５,０００社余りから報告をいただき、雇用されている障害者の数が２
６万９,０００人、これはご存じのように重度障害者をダブルカウントした数字です。重
度の方が７万１,０００人余り、重度でない方が１２万５,０００人余りで、これをその
まま足した実数です。この２６万９,０００人がいわゆる常用労働者の占める割合という
ことで、１.４９％です。しかし、６万５,０００余の企業のうち、この１.８％という法
定雇用率を達成している企業の割合で、その達成企業割合は４２.１％です。昨年より０.
４％ポイントほど上昇はしていますが、まだ半分に至っていないという状況です。
　今回、発表の特徴的な部分ですが、その頁の下半分に、身体障害者、知的障害者別の
雇用状況を示しています。一般の民間企業の２６万９,０００人の障害者数のうち、４万
人が知的障害者の方で約１５％で、この部分が昨年に比べても１０％以上伸びているの
で、民間企業において知的障害者の雇用も増えていることは、これでご覧いただけるか
と思います。
　次は企業規模別の状況です。５６人以上から１,０００人以上ということで５段階に企
業規模、階層を分けています。ここでご覧いただきたいのは２つ目の階層１００～２９
９人規模です。全体が１.４９％ですがこの階層については１.２４％で、階層別に見た
中ではいちばん低い状況ですし、さらに昨年から比べても下がっているという状況です。
全体としては伸びている中でも、問題としなければいけない部分が１つここにあるわけ
です。
　もう１つは、１,０００人以上規模ですが、この規模で見ると雇用率そのものは１.６
５％で昨年の１.６％に比べ０.０５％ポイント上昇して、さらに階層別で見てもいちば
ん高いところにあるわけです。一方で達成企業の割合を見ますと、３３.３％で３分の１
にとどまっていて、達成割合では階層別でいちばん低い状況なので、この特に１００～
２９９人規模の実雇用率の問題と、１,０００人以上の大企業の部分の達成割合の問題は
我々としても心してかからなければいけないという部分を認識しているところです。
　産業別状況を４枚載せています。この中のポイントは、障害者数では製造業、卸売・
小売業、サービス業が大きなところですが、製造業については雇用率は１.６８％で達成
割合は５３％で、かなり高い雇用状況を示しています。一方で卸・小売、サービス業の
第三次産業は総体的に見て雇用率が低い、あるいは達成割合が低いということで、この
部分については我々も障害者の雇用促進ということで一層やらなければいけないという
ことが言えるかと考えています。
　１９頁です。歴年で雇用率と達成割合を載せたものです。いくつかの高低がありまし
たが、今回の１.４９％というのは、過去最高タイということです。さらに続けて上昇と
いうことについて我々も努力をしなければいけないということがこの表から感じている
ところです。
　２０頁です。これは初めて出した表ですが、未達成の企業、一般的に１.８％に達して
いない企業の内容はどういう状況なのかということです。４２.１％が達成で、５８％が
未達成です。それが３万７,０００社ほどあります。そのうち、約６割、５８％のところ
が１人不足で、あと１人雇えば雇用義務を達成するという企業が約６割だということで
す。一方、その未達成企業が何人の障害者を実際に雇用しているのかという雇用障害者
数で見た場合に、その３万７,０００の企業のうち２万４,０００余り、これは６５％で
すが、この企業が１人も障害者を雇用していないという、いわゆる０人雇用の企業です。
　不足数で見て、１人不足が６割、雇用数で見て１人も雇用していない企業が６割超と
いう状況、この辺も我々は心していかなければいけないということがこの表からわかる
わけですが、ここでもやはり１００～２９９人規模のところが目立つところで、この規
模でいくと障害者数は３人、４人雇っていただく必要があるわけですが、この階層でも
やはり64％の企業が１人も雇用していないという状況が見てとれるわけです。
　一方、１,０００人以上の規模のところですが、この規模の企業ですと１０人を超える
不足数のところが３分の１を超える割合になっています。それだけ大量の不足の企業が
大企業の中に多いので、１．６５％という雇用率ですが、それはやはり達成していない
中で伸びているということで、不足数が多い企業がまだたくさんあるということです。
この辺に２つの焦点があるということを認識しています。
　２１頁です。都道府県別の民間企業の状況ですので、後ほどご確認いただければと思
います。２２頁ですが、これは今回初めて出させていただいた数字です。最近、特例子
会社の設立という形で、障害者の方の自立、あるいは就業雇用を伸ばしていただいてい
るわけですが、その状況をまとめたものです。昨年６月１日から今年の６月１日までの
１年間の間に、２０ほど特例子会社が増えています。それだけ積極的に取り組んでいた
だいているということで、さらにこの６月１日から１１月末までの約半年間に、さらに
６社増えていて、こういったところが大企業の雇用率が伸びている背景にはあるかと考
えています。
　いま申し上げた点をグラフで４枚ほど付けていますので、これもご確認いただきたい
と思います。２５頁、２６頁の産業別のところで１４年、１５年の間が空白でつなげて
いないのですが、これは標準産業分類の組み替えがここでありましたので、ラインのつ
なぎを外しています。
　２７頁からは公務部門の状況で、特に新聞報道等はこの公務部門の部分に焦点を当て
た報道が多かったかと見ていますが、まず国の機関です。行政機関、立法機関、司法機
関ということで分けて今回は出しました。全体としては２．１４％で法定の２．１％は
クリアしていますが、特に３４機関の行政機関のうち６機関がこの６月１日現在で未達
成だったということです。司法、立法については未達成のところはありませんが、特徴
的なところはこれもよく指摘されているところでです。下の表、国の機関における身体
障害者、知的障害者別の雇用状況です。知的障害者の雇用がほとんどないということで、
率では障害者のうち０．１％です。一般民間企業は１５％ですので、この差はかなり歴
然としてあり、これは我々としては自らの問題として、重く受け止めているところです。
　２８頁です。都道府県機関で、これも国の機関と同様ですが、全体としては２．１％
をクリアしていますが、一部未達成機関がありますので、この辺は我々のほうで指導さ
せていただきたいことと、知的障害者の雇用が国と同様、ごくわずかでしかないという
状況です。
　市町村機関についても全体としては達成していますが、一部未達成機関があるという
ことです。２９頁の下半分は、２．０％が適用される都道府県等の教育委員会で、副島
委員から先ほどご指摘があったのがこの数字です。２．０％ということですが、全体と
しては１．３９％ということで未達成の状況です。昨年に比べると１．３３％から１．
３９％と伸びているところですが、まだ低いところでとどまっているということで、特
に都道府県の教育委員会については１．３３％ということで、ほとんど未達成です。こ
の辺については文部科学省もかなり重く問題視していますので、こちらの面でも我々と
協調して指導を進めていきたいと考えています。
　３０頁です。国の機関の機関別雇用状況を示したものです。先ほど申し上げた行政機
関のうち６機関が未達成であるということは、これでどこがそうかということでご覧い
ただけるわけですが、新聞報道等では特に金融庁が２桁の不足でしたので、そこを特に
取り上げられていたかと思います。ただ６機関ですが注にあるようにいくつか特例承認
ということで合算する手続をとらせていただいた、あるいはこの６月１日以降に採用し
たということで、不足数を０にしたところもあり、結局、金融庁と警察庁が未達成の状
況でした。この辺は我々も早急の改善を求めていきたいと考えています。
　いまざっと申し上げたのが今回の雇用状況のポイントです。それを受けて２頁ですが、
我々もこれを受けてどうするかということで、２頁の四角で囲ってあるところが一般の
民間企業に対する指導の部分を我々としてはこうやっていきたいということです。まず、
すぐにでもできることを、やっていきたいということで、四角のうちの１つ目の○、雇
用率の達成指導というのは実雇用率が１．２％未満、かつ５人以上不足がある企業に対
しては、雇入れ計画作成命令をかけます。３年間の計画のうちに雇用率を達成しなさい
という命令を出していますが、これを１１月末で４９４社、約５００社に対して出して
いますので、出した企業に対しては厳正に指導を進めていきたいということが第１点で
す。
　特徴ということで１人不足が６割である、雇用障害者数で０人雇用もまた６割超であ
るということですが、こういったところについては特に重点的に対応していきたいとい
うことです。全体的に指導していくことは当然ですが、中でも特に重点的にポイントを
絞って職業紹介なりを進めていきたいということです。
　１００～２９９人規模の中小企業がやはり最近状況がよくないということなので、こ
れについては我々が進めるのは当然ですが、中小企業の事業主団体のほうにも協力をい
ただき、周知啓発の部分について協力してやっていただきたいということも考えていま
す。この辺の協力も求めていきたいということです。
　来年度以降の民間について、達成指導の基準自体も実態に合わせて見直していきたい
と考えています。達成指導というのは雇入れ計画作成命令をかけて、計画を実施してい
ただく。その計画の実施状況が最終的にどうしても悪い場合は、最終的には企業名公表
ということをやるわけですが、その基準について今回の状況を踏まえ、よりそれにぴっ
たり合った形に直していきたいということです。
　いくつかその特徴を申し上げたわけですが、いまの雇入れ計画作成命令の入り口です
が、これは１．２％未満かつ５人以上不足ということですので、例えば１００～２９９
人規模でいくと、ここは不足数がそもそも５人にいくことはほとんどないわけです。こ
こがやはり問題で、ここを対象とする形にしたいということで、その中で特に３人、４
人の雇用義務があるにもかかわらず、１人も障害者を雇っていない企業は、やはり計画
を作っていただく形で進めていきたいということです。
　もう１つ大企業のところで紹介した１０人以上不足している所が３分の１以上ありま
したが、ここの部分は１．２％実雇用率をクリアしていれば、計画作成をする必要がな
いわけですが、１０人も大量の不足がありますと、その不足解消にはやはり計画的に取
り組んでいただく必要があると考えられますので、ここについても作成命令の対象に加
えたいということです。
　また、いま現在公表が指導の最終的な段階ですが、公表すること自体が問題ではなく
て、公表することで思い直していただいて、より真面目にというか、真剣に障害者の雇
用に取り組んでいただくための公表ですが、その後の継続的指導の部分についてはいま
明確になっていないので、その部分について再公表という措置も含めて、明確に整備を
していきたいということです。さらに、計画の達成指導を行うにあたってのさまざまな
手続についても、明確にしていきたいということで、こういった点について、今月末に
担当課長を集めた会議等を計画していますので、その中で直接指示するとともに、局長
通達も併せて発出させていただいて、労働局あるいはハローワークにおける厳正な指導
を進めていきたいと考えています。
　併せて公務部門について都道府県等の教育委員会は、そもそも未達成の状況で、これ
については先ほども言いましたように文科省のほうも危機感を持っているので、連携し
て指導していきたいということと、全体として雇用率を達成していますが、一部未達成
の機関があるので、個々については厳正な指導を進めていきたいということと、併せて
知的障害者の雇用がほとんど進んでいないということは、我々として重く受け止めなけ
ればならないところがあるので、６頁ですが、これはいろいろご指摘いただいており、
取り組むことが重要だということです。政府としても知的障害者の雇用を進めなければ
いけないということは問題視しますが、そうは言っても公務員の採用の状況で試験制度
になっているので、これを直すということを待っていてはいつまでも進まないというこ
とですが、できる範囲で歩を進めたいということです。いまこういう形で取組みをして
いるということを紹介させていただいているわけです。
　まず、総務省人事・恩給局でいま現在職場実習を実施しています。同様の形で我々の
ほうでも安定局で来年１月から受け入れたいと考えています。これはいままでほとんど
受け入れていないので、我々自身も知的障害者の方と一緒に働くことについて経験を積
ませていただきたいということもあるわけです。
　併せて我々のほうで東京労働局のハローワークで来年１月から職場実習ではなく実際
に採用して一緒に働く形を作りたいということで、中央省庁でも知的障害者と一緒に働
けますよということと、第一線の機関でも大丈夫だということを経験を積みながら周知
していく形で、国の知的障害者雇用についても進めながら、さらに周知ということも図
っていきたい。それで公務部門の雇用をバランスよく進めていきたいということです。
以上、雇用状況とそれに対する私どもの対策でした。

○会長　ただいまの説明についてご質問がありましたらどうぞ。

○佐藤（博）委員　今回、障害者雇用０人の企業とか、１人の企業という形で分析して
いるのは非常にいいと思います。伺いたいのは法定雇用率の対象では常用労働者が５６
人以上というのは企業単位ですよね。そうすると、一応提出義務になっているけれども、
提出率というのはどのくらいかということなのです。つまり、そういうものを把握され
ているのか。常用雇用者５６人以上企業というのがわかっていないと提出率は出せない。
だからどのくらいが出しているかということを、いままでやられたことがあるかどうか、
ちょっと気になっています。なぜかというと、雇用率の分母というのはただ普通の常用
労働者ではないのですね。30時間以上でいいのですよね。

○障害者雇用対策課長　はい、３０時間です。

○佐藤（博）委員　そうすると、普通のデータで企業ごとに３０時間で切ってあるデー
タはないのです。普通の常用労働者数というのはわかるのです。だけど、３０時間以上
の労働者数が企業ごとにわかるデータというのは普通ないと思うのです。なので、提出
率というのは、つまり相当程度出していない企業というのがあるのではないか、ちょっ
と気になるということと、常用労働者が３０時間以上といったときの定義がどのように
書かれているか、書類を見たいのです。その２点を伺えればと思います。

○障害者雇用対策課長　３０時間以上という点については雇用保険の被保険者の一般の
ほうで、これが３０時間以上ということなので、ハローワークの現場では雇用保険のデ
ータを見ながら、その企業でということで、多分確認しているのではないかと思います。
すみません詳細については。

○佐藤（博）委員　ただ、事業所単位ですよね、これは企業単位だから。

○障害者雇用対策課長　ええ、そうなのですが、そこは確認がきちんとできないのです
が現場では多分それをいちばんの参考のデータとしてやっているだろうと思います。委
員にご指摘いただきましたように提出率がどのくらいかという点については、実は大変
恐縮ですが、未提出のものがどのくらいあるかというところまではきちんと把握してい
ません。ただ、いま申し上げましたように、１つは毎年出していただいている報告なの
で、一度補足したところは必ず前の年に続いてまた出してくださいということでやらせ
ていただいていますし、大体どこの管内でも企業の雇用規模は、事業所と企業とは確か
に微妙に違うところはあるのですが、56人を超えているかいないかというのは、ハロー
ワークでもある程度地場の管内の企業の問題ですので、見極めがついている部分がある
かと思います。それで追い掛けていちばん参考にしているのは多分、雇用保険の被保険
者データだと思うのです。

○会長　どうですか、今度調べておいていただいて、次回のこの会でお話いただくとい
うほうがいいと思います。

○障害者雇用対策課長　はい、準備してきます。

○佐藤（博）委員　結構です。

○輪島委員　まず雇用状況報告の前に、雇用状況報告の紛失の関係ですが、これは大変
ゆゆしき問題で、長谷川委員と私だけが感じることなのかもしれませんが、実は需給部
会という、派遣の許可届け出を審議するほかの部会でも、本年、企業の派遣元が提出し
た許可申請書がなくなったという事実があります。それはその審議会で二度とこのよう
なことがないようにという話でしたが、今度のこの障害者雇用分科会でも二度とこのよ
うなことがないようにということですが、厚生労働省全体としては二度目ということに
なりますので、そのことについては厳粛に受けとめて、適正に管理をしていただきたい
と思っています。
　雇用状況報告の点ですが、今回非常にたくさん資料を提供いただき、これだけ充実し
たものが出たというのは大変重要なことだと思っています。その点では評価をしたいと
思っていますが、いくつか意見と質問をさせていただきます。
　６頁目に企業名の再公表となっていますが、全く違う審議会ですがいま男女雇用機会
均等法の議論をしています。セクハラの関係について企業名公表というスキームを入れ
るということで議論を行っています。佐藤委員に教えていただければと思うのですが、
基本的には企業名公表にあたって、審議会に報告をする、それを経た上で企業名を公表
するというスキームを入れるということで議論になっていますので、その点、いまのこ
の障害者雇用状況報告についての指導のところでは、そういうスキームがないので、そ
れをパラレルにするのかどうかは、少し重要な点だと思いますので議論をしていただき
たいと思います。
　13頁に初めて身体、知的ごとの資料が出ていますが、来年の雇用状況報告は精神の関
係がありますので、来年はここに精神の実雇用率のカウントがどのようになっているか
を入れていただきたいと要望しておきます。
　25頁の産業別のところですが、情報通信業が非常に雇用率が苦しい状況ですが、そも
そも人材として情報通信業で働くマンパワーをどのように育成するかという課題がある
と思うのです。いわゆるソフト関連業種というようなものを、盲・ろう・養護学校等々
の教育機関で、マンパワーを育成しておかないと、こういう所には入り込めないので、
その点も一緒に関連した話だと思いますので、現状はこうだというのはわかりますが、
そのようなことも含めて文部科学省と調整していただきたいと思います。
　最後に０人企業、１人不足企業の関係ですが、こういうことをして行政として取り組
むことは非常に評価したいと思います。厳正にやっていただくことをお願いしたいと思
いますが、一方で１人不足企業で、かつ０人という所は、２０頁を見ると１万３,０００
社ですから１人雇用することは１万３,０００人供給がないとできないことなので、やれ
やれと言っても、人材がいなければ採用できませんので、ここのバランスをどのように
とるかが非常に重要なことで、そこがなくて、ただ単に企業にやれということについて
は違和感を感じますので、その点、人材の供給ということになれば、今度の自立支援法
の観点からいうと、雇用と福祉の連携が必要で、それがまさに今日諮問答申をしたグル
ープ就労や、トライアル雇用、職場実習、委託訓練など、そのようなツールを使って、
１万３,０００人を雇用できる雇用の場を提供し、マンパワーを出していくということだ
と思いますので、その点が指導だけではなく、バランスをもったものをしていただきた
いと思います。

○障害者雇用対策課長　まず最初に紛失の件についてですが、おっしゃるとおり大変申
し訳ない状況です。お話はあったとおりで、２年ほど前に、民営職業紹介関係の書類を
担当課がなくしたという事件が職業安定局内であり、省内で二度目というお話がありま
したが、実は職業安定局内で二度目ということで、その点については職業安定局として
厳しく重く受け止めさせていただいているところです。今回の経緯の中でも、私ども大
きくは２つの点で大変大きな落ち度があったと思っており、１つは書類の保管にあたっ
て施錠の効いていないような私どもの事務室内に束ねてはありましたが、積んであった
という状況があり、この点が実は２年前の事件のときも施錠の効いていない部屋にあっ
て、書類がなくなったということが問題になったという意味では、非常に反省が足りな
かったと思っております。もう１点は、このデータ処理をするための委託業者に書類を
渡しているわけなのですが、その渡した際の確認行為が不十分で、その点で私どものほ
うでなくなったのか、業者のほうでなくなったのかということが、いまだに確定できて
いないという状況になってしまっています。これは直接障害者のお名前とか、そういう
情報は入っていませんが、一定程度個人情報が含まれているものでしたので、私ども省
内にもこの業者への引き渡し方についてルールがあったにもかかわらず、そのルールを
私どもが守っていなかったという意味では、これも大きな落ち度であったと思っており
ます。そのような意味で、先ほど申し上げましたように引き続き、調べている最中とい
うことですが、改めてお詫びを申し上げますとともに、同じことを言っているというご
指摘がありましたが、今後こういったことのないように、再発防止策をきちんとやって
いきたいと思っております。
　２つ目の公表についてのお話は、私は均等分科会での議論を承知していませんでした
が、私どもの障害者雇用促進法のこれまでの取り扱いの中では、特に審議会に相談する
ことなく、私どもの指導の中でこれは基準に達していないというか、ご理解をいただい
ていないといったところを、今年も２社ほど６月に公表させていただいています。その
意味ではこれからもそういった形でやらせていただき、またその情報を適宜皆様方にも
お伝えをしていくということにしたいと思います。そういった運用の中で、公表の基準
なり考え方のような点について、いろいろご意見があればまた伺っていきたいと思って
おります。その他の質問については白兼主任からお答え申し上げます。

○主任障害者雇用専門官　13頁にあります身体障害知的障害種別に今回は出していま
すが、来年度以降は精神障害者が実雇用率にカウントされる部分ですが、ご指摘があっ
たような形で、精神障害者の方の数字も出す方向で考えています。人材育成という形で
括れるかなというご指摘も２点、情報通信産業と１人不足、０人雇用の解消の部分でご
指摘いただいたわけですが、まず情報通信業の部分はおっしゃるとおりだと思います。
教育の部分と能力開発の部分もあろうかと思いますので、それらを含めて我々のほうで
人材育成の面からの切り込みといった面についても、バックアップ対策についても配慮
していきたいと考えています。１人不足、０人雇用の部分ですが、これについてはいま
申し上げた能力開発の部分なり教育の部分も出てくるかと思いますが、目下、有効求職
者の方で就職職業紹介なり職業指導を進めていく中でどうするかということがあろうか
と思います。１人不足の場合ですと、すでに大体雇用経験がある所になってきますので、
求人条件なり求職条件なりを緻密に確認させていただきながら、場合によっては予約相
談といった部分を駆使するなり、あるいは就職面接会などというのはかなり大きくて、
小回りが効かないのでその部分をもう少し小さく小回りが効く形で綿密な求人求職のマ
ッチングを行うことを進めていくことが、まず重要ではないかと考えています。
　０人雇用の場合は雇った経験がない所が多いので、まずは障害者の正しい理解をとい
うことがあろうかと思います。こういった部分にこそ、今回やるトライアル雇用、ある
いはジョブコーチ支援といった支援策を使う価値があるというか、そういった対象だと
思いますので、この辺はまさにここを重点的に使うという位置づけをより明確にしたい
と思います。能開行政のほうで委託訓練をかなり広く展開していただいています。この
態様に即した委託訓練というのは人材の技能レベルも高めながらということで、その企
業のニーズに合わせていくということが非常に使い甲斐がある制度だと思いますので、
この辺の柔軟な活用も含めて、いま申し上げたようないろいろなツールを合わせて、必
要な人材の育成をしながら、０人雇用の解消に努めていきたいと考えています。

○西嶋委員　委託訓練のことで１つ、現状で使い勝手が悪いということが出ているので、
これは少しお考えいただきたいと思っているところです。いま授産施設や作業所に在籍
している方たちは委託訓練の対象になっていないのです。先ほど輪島委員からもお話が
ありましたが、企業に雇用できる方たちの質を確保して、数を確保していくことは大変
重要な課題になっているのですが、いま授産施設にいる方たちの中で、少し訓練をすれ
ば十分企業に雇用できる方たちがいるわけです。是非その方達が委託訓練を使えるよう
な仕組みにしていただきたい。多分、自立支援法によって支援費が日割りになると施設
の方々も対象に出来るのではないかと思って期待しているのですが、そこを徹底してい
ただきたいのです。使えるということが現場レベルでわかっていない、県レベルに落ち
ていっていない、結局そこは使えないということで、折角のいい制度が使えないことが
ありますので、それは是非徹底していただきたいと思うし、使えるようにしていただき
たい。
　教育委員会が雇用率がとても低いという、私は折りあるごとに養護学校に伺ったりす
ると、現場でもお話をしたりするのですが、現場で全く我々学校現場で雇用しなくては
いけないという認識がないのです。ですからそこはもっと何かを徹底するようなことで
指導を。今度は教育委員会に対して指導をされたということは伺っていますが、現場の
先生方の意識の中に、教育現場でそういった方たちが働くことの重要性があまり認識さ
れていないことは問題だと思いますので、是非そこはよろしくお願いしたいと思います。

○障害者雇用対策課長　委託訓練といまの制度でいえば支援費の関係ですが、確かに支
援費の給付を受けている方については委託訓練の対象にできない、逆に委託訓練の対象
になる場合は支援費の対象にならないということで、わりと制度的に縦割な状態になっ
ています。ただ、いまご指摘があったように、自立支援法では新しい給付の考え方で整
理がされており、特にいまご指摘があったように日割というような考え方も出てきてい
ますので、特に自立支援法では一般就労への移行を１つの柱にしているわけでもあるの
で、そういう方向性の中でさまざまな支援メニューをどうやって有効に組み合わせてい
くかというのは我々の課題だと思っています。いま私どもと能力開発局と障害保健福祉
部と三者でいろいろ議論はしているところですので、いろいろご意見を頂戴しながら、
できる工夫をきちんとやっていきたいと思っています。
　教育委員会の問題については、もともとこの審議会で昨年のいまごろご議論いただい
たときに、意見書をおまとめいただく中で、教育委員会の問題に吉原委員からもご指摘
があり、意見書の中にも触れていただいて、そこを出発点にして文科省とも協議をし、
従来どちらかといえば教員には障害者の方がそもそも少ないというところで話が止まっ
ていたのを何とかしようということでやってまいりました。今回、数字を見ていただい
ても明らかにこの部分が遅れていることがはっきりしていますので、引き続き文科省と
協議をしながら、指導を強めていきたいと思っております。

○笹川委員　ほとんど毎年変わらない状況報告があります。今回はかろうじて０.０３％
ポイント雇用率が上がったということですが、やはりその原因をはっきりさせる必要は
あるのではないかと思うのです。原因についての調査、雇用しない、できない、その理
由のようなものは調査対象で項目に入っているかどうか、いま資料を見るわけにいかな
いのでその辺が１つ。もう１つは視覚障害者の就業状況ですが、特にいま我々の中で非
常に大きな問題になっているのは、鍼灸マッサージの国家試験にパスしない人たちが、
どういう職場で働けるような状況にあるかというデータがほしいのです。来年の調査に
あたっては、視覚障害者がどういう分野で働いているかというところまで、ちょっと調
べていただきたい。これは要望です。

○障害者雇用対策課長　いまご指摘いただきましたように、今年は０.０３％ポイント上
がったとはいえ、全体の状況としてはここ数年というか、１０年近く１.４％の後半のと
ころで基本的には横這い状況になっているという、大変申し訳ない状況です。これは我
々の努力不足が大きな原因になっている部分があろうかと思いまして、今回も打ち出さ
せていただいた行政としてのスタンスをはっきりして、重点的な指導をさせていただく
ということを考えているところです。
　今回、ご報告させていただいている調査の中には、どういったところがネックになっ
ているのかというところまでは、数字の集計になっているものですから、具体的に拾え
ていません。ただ、現場ではさまざまな企業の方とやり取りをしている中で、いろいろ
な形での原因を実感として持っているものがあるかと思いますし、また、そういったも
のを少し集約をする努力をしてみたいと思いますので、またいろいろご示唆をいただけ
ればと思います。
　視覚障害者の方の就労状況については、これも笹川委員からはいつもご指摘をいただ
く点ですが、今回ご報告している雇用状況報告については、企業からいただいている情
報そのものが身体障害者か知的障害者かという、大まかな括りにとどまっているという
こともあり、身体障害者の内訳という意味でのいろいろな障害種別の状況まで把握でき
ない形になっています。これは企業にご報告をいただくという点もあって、できるとこ
ろまでのご報告をいただくという意味で、あまり細かく障害種別を分けることができな
いという状況もあって、このような形になっているわけです。したがって、この報告の
中でそういう形で把握するのは難しいのですが、一方、先般もご説明した機会があった
かと思いますが、職業紹介状況についてはある程度細かく障害種別に対応したデータも
取れるようになっています。ただ、それも視覚障害者の方についての就職状況という意
味では、必ずしも十分に取れていない点があろうかと思っておりますので、もう少し準
備の期間をいただき、例えば来年度の私どもの職業紹介状況の取りまとめ、来年度の業
務の数値を取るにあたっての視覚障害の方がどういう状況にあるのかというのを、もう
少し細かに明確に取れるような工夫を考えていきたいと思っています。

○吉原委員　ここで男女別の統計が出ていなかったのがちょっと残念なのですが、女性
の場合には女性だということで均等法ができましたから、だいぶ少なくなってきました
が差別はあるわけです。そこにもってきて、障害を持っているということだと、またダ
ブルの差別をするということがありますので、女性のところをちょっとデータとしてほ
しいなというのが希望です。

○障害者雇用対策課長　この雇用状況報告ではいまの書式でも、男女別までは書き分け
ていただいていないので、これで取るのは難しいかなという気はいたします。職業紹介
の統計上は男女はたしか区別ができるようになっていたかと思いますので、確認をして、
ハローワークの職業紹介状況の中で、男女の差があるかないかは調べてご報告したいと
思います。

○今野会長　それではまだご質問があるかと思いますが、だいぶ時間も過ぎてしまいま
したので、この辺で終わりたいと思います。最後に鳥生部長よりご挨拶をいただきたい
と思います。

○高齢・障害雇用対策部長　委員の皆様方におかれましては、９月以来、３カ月程度の
短期間の間に、集中的に、また、熱心なご審議をいただきまして感謝申し上げます。お
蔭さまで本日ご答申をいただきましたことで、施行に向けた政省令が整うこととなりま
した。事務局といたしましては、福祉施策との積極的な連携を図るなど、円滑な施行に
努めてまいりたいと思っております。
　また、障害者の雇用施策については国会審議、あるいは付帯決議によりまして、中長
期的な課題も示されております。今後、当分科会においてご議論をいただきたいと思っ
ておりますので、その際は是非よろしくお願いいたします。簡単ではございますが、お
礼の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

○今野会長　ありがとうございました。それでは今日の議事は終わりたいと思います。
議事録の署名ですが、今日は労働者代表は長谷川委員に、使用者側代表は西嶋委員に、
障害者代表は笹川委員にお願いをいたします。それでは終わります。ありがとうござい
ました。

【問い合わせ先】 
厚生労働省職業安定局 
高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課 
調整係　倉永、萩野下 
TEL　03-5253-1111（内線5783） 
FAX　03-3502-5394