05/10/11 厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する 専門委員会ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキンググループ 第1回議事録     第1回ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキンググループ            平成17年10月11日(火)14:59〜17:10               経済産業省別館846号会議室 ○事務局(野上補佐)  それでは、定刻となりましたので、ただいまからヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定 に関するワーキンググループを開会いたします。委員の皆様方には、本日はお忙しい中 をお集まりいただきましてまことにありがとうございます。開会に先立ちまして、疾病 対策課長よりごあいさついたします。 ○疾病対策課長  きょうはお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございました。ヒト幹細胞治 療臨床研究指針の策定に関するワーキンググループの設置ということで、本日は中畑先 生、座長により御指名いただいた皆様方に御参集いただいたわけでございます。ワーキ ンググループにつきましては、来年の当初を目途に指針素案、細則素案を取りまとめて いただくということで、タイムスケジュール的には来年当初ということでお決めいただ いたわけでございます。したがって、かなり集中的に御討議いただくことになると思っ ておりますので、御協力のほどよろしくお願いしたいと思っております。どうぞよろし くお願いいたします。 ○事務局(野上補佐)  続きまして、委員の方々を御紹介させていただきます。なお、当ワーキンググループ の委員は、厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する 専門委員会委員長の指名により構成されていることを、御紹介の前にお知らせいたしま す。  お手元に配付しております、「ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキン ググループ委員名簿」に沿って、五十音順にお名前を読み上げさせていただきますの で、よろしくお願いいたします。  それではまず、京都大学大学院法学研究科教授の位田委員でございます。  続きまして、慶應義塾大学医学部生理学教室教授の岡野委員でございます。  続きまして、塩野義製薬株式会社顧問の北村委員でございます。  続きまして、国立精神・神経センター神経研究所長の高坂委員でございます。  最後に、京都大学大学院医学研究科教授の中畑委員でございます。  次に、座長について御報告いたします。当ワーキンググループの座長につきまして は、先ほど申しました厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り 方に関する専門委員会委員長・中畑委員長より、国立精神・神経センター神経研究所長 の高坂委員を指名されておりますので、そして既に高坂委員の御了承をいただいており ますことを御報告いたします。  それでは、以降の進行を高坂座長にお願いいたします。 ○高坂座長  まず一言ごあいさつを。中畑委員長より、大変重要な任務を担っているこのワーキン ググループの座長をという御指名をいただきまして、快くでは本当はなかったのです が、お受けさせていただきました高坂でございます。座って失礼します。  これまで3年間余り、皆さんの英知を集結して御議論いただいて、途中で胎児の問題 については除外をするということになったわけですが、それによって大分整理されてい るのではないかと思います。それで、これからは実際の指針策定に向かって御尽力をい ただくことになったわけです。  私が当初委員の一人として申し上げていたのは、この指針というものが、あくまでも 骨太の骨格といいますか、そういったものをつくるのが我々の役目であって、微に入り 細に入りといったところは、やはりそれぞれの施設のIRBの役目ではないかというこ とを、皆さんも多分そういった御議論をいただいたと思います。ですから、今まで議論 したものをまとめて、とにかく骨太の一つの骨格をつくり上げるということで、このワ ーキンググループをやっていきたいと考えておりますので、どうぞ御協力のほどよろし くお願い申し上げます。  さて、それでは事務局から資料の御説明をお願いいたします。 ○事務局(野上補佐)  それでは、資料確認をさせていただきます。最初に委員名簿、座席表がございます。 そして資料1でございますが、「ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキン ググループの設置について」が1枚でございます。資料2は、「第1回ヒト幹細胞治療 臨床研究指針の策定に関するワーキンググループにおける主な検討事項について(案) 」、これも1枚でございます。資料3は、「ヒト幹細胞治療臨床研究に関する指針(素 案作成のためのたたき台)」、38ページでございます。資料4は、「ヒト幹細胞治療臨 床研究に関する指針(案)対照表」、32ページでございます。赤い字が入っているもの でございます。続きまして参考資料でございますが、参考資料1は「ヒト幹細胞等を用 いる臨床研究に関する指針(案)(未定稿)」、16ページでございます。参考資料2は 「委員会における議論の合意状況」、5枚でございます。  そのほか、机上に参考といたしまして、「細胞・組織利用医薬品等の取り扱い及び使 用に関する基本的考え方」、また「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性 の確保に関する指針」、また「臨床研究に関する倫理指針」、さらに「遺伝子治療臨床 研究に関する指針」、最後に「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」、これは今 までの委員会でずっと出していた資料でございますが、これらを一つまとめにして紙フ ァイルに御準備させていただいております。なお、このファイルにつきましては、次回 以降も委員の先生方には御提示させていただきますので、お荷物になりますので当方に てお預かりさせていただきたいと考えております。  以上、配付いたしました資料に漏れ等はございませんでしょうか。漏れがないようで ございましたら、以上で資料の確認を終了させていただきます。 ○高坂座長  ありがとうございました。それでは、議論に先立ちまして、本日御用意いただいたこ の議題について、事務局の方から趣旨を御説明いただけませんでしょうか。 ○事務局(野上補佐)  まず、資料1でございます。これは先日の委員会でもお出ししたものでございます が、9月21日という日付になっております。「ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関 するワーキンググループの設置について」でございます。設置目的、作業項目、ワーキ ンググループの構成、スケジュール、その他という形になっておりますが、先ほど課長 のあいさつにもありましたように、このような形でワーキンググループを設置させてい ただいております。また、本ワーキンググループの委員の先生方は、前回の委員会にも 御出席でございますので、確認のためにつけているものでございます。資料1は以上で ございます。  資料2でございますが、「第1回ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキ ンググループにおける主な検討事項について(案)」でございます。まず、読み上げさ せていただきます。  1.参考資料1「ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する指針(案)(未定稿)」の 趣旨等が資料3「ヒト幹細胞治療臨床研究に関する指針(素案作成のためのたたき台) 」に適切に反映されているか。  2.資料4「ヒト幹細胞治療臨床研究に関する指針(案)対照表」に記載されている 「論点等」は妥当か。追加、修正すべき点はないか。  以上でございます。  資料3をごらんいただけますでしょうか。「ヒト幹細胞治療臨床研究に関する指針 (素案作成のためのたたき台)」は、先ほど申しました参考資料1の先生方の案でござ います未定稿を基本に、形式は臨床指針に合わせたものでございます。現在行われてお りますヒト幹細胞を用いた臨床研究は、既に臨床研究指針の適用を受けている形になり ますので、形式は臨床指針に合わせていただいております。先生方の御意見を埋め込ん だ形で整理させていただいておりますが、これに関しましては参考資料1が適切に反映 されているかを御検討いただければと思います。  資料4でございますが、この対照表は先ほどごらんいただきました資料3、「素案作 成のためのたたき台」が一番左側の枠に、この指針(案)という形でずっと書いてござ います。見え消しになっておったり、また赤字で追加になったりしているものでござい ます。真ん中の枠が、先生方に御提示いただきました参考資料1の未定稿でございま す。これとの比較がしやすいように左右になっておりまして、またさらに一番右側にご ざいますのは論点等という形で書いてございます。先生方の御議論が、この資料4を見 ていただければ円滑に進むように作成したものでございますので、相違点のポイント等 も論点として記載してございます。これに基づいて、本日は御議論いただければと考え ております。  なお、失礼ながら、文言等につきましては、今後先生方からの御意見を受けまして、 当方で修文等もさせていただきますので、先生方からは専門家として必要な項目が何で あるのか、というような御意見をいただければと考えております。  以上でございます。 ○高坂座長  ありがとうございました。いろいろ複雑な資料ですが、それぞれの資料についてはお わかりいただけましたでしょうか。まとめて言いますと、この参考資料1、「ヒト幹細 胞等を用いる臨床研究に関する指針(案)(未定稿)」、これが従来の私たちが一生懸 命鋭意努力をしてこれまでつくってきたものです。これを本日は一つ一つ、このままで いいか、もしくは追加することがあればいいか、ということを議論しようと思うのです が、それを非常にわかりやすくしていただいたのが資料4で、この赤字で書いた、見え 隠れしたようなものをつくっていただいたというわけです。  これを今直していただいている趣旨というのは、一つは我々がつくってまいりました 未定稿について、ほかの臨床指針等に文言を合わせていく、あるいは整合性を図るとい うようなところを加味していただいて、その資料4の左側にずっと書いていただいてい る、そういったものをつくっていただいたというわけです。  ですから、きょうの作業としては、こういった整合性をとっていただいて、左にずっ と書いていただいている内容というのが、以前から我々が議論していった未定稿の趣旨 に合っているかどうか。あるいは合っていなければどう変えたらいいかということを、 これから議論していただくことになります。論点等も右にちょっと書いていただいてい るようですが、したがって、きょうは資料4を中心に議論をしていただくことになるか と思います。よろしいでしょうか。  ではもう一つずつ始めてよろしいですか。何か御質問の点はございますか。ないです か。それでは始めましょう。  先ほども事務局がおっしゃっていらっしゃいましたが、かなり時間がタイトであると いうことで、細則等もまたこれから後でずっとやっていかなければいけないのですが、 まずこの骨格、総則、そういったところをきちっとやっていくということで、できれば きょうこれをザッと一通りやっていきたいなと考えておりますので、御協力のほどをど うぞよろしくお願いいたします。もし、かなりの議論が必要だということがございまし たら、一通り終わった後に御提案をいただいて、その議論を踏まえて、次回までにまた こういったものを作成していきたいと考えています。  それでは総則、その左の方を見ていけばいいわけですよね。直っているものが我々が つくったものに合うかどうかということ。これは一つ一つ読んでいった方がいいです か。 ○事務局(野上補佐)  読みましょうか。 ○岡野委員  途中で何か議論があるところは発言していいですか。 ○高坂座長  もちろんです。 ○事務局(野上補佐)  それでは、左側を読み上げさせていただきます。  第1章 総則 第1 目的 ヒト幹細胞を用いる臨床研究(以下「ヒト幹細胞治療臨 床研究」という。)及びその成果は、臓器機能再生等を通じて、人々の健康の維持並び に疾病の予防、診断及び治療に重要な役割を果たすものである。  この指針は、こうした役割に鑑み、ヒト幹細胞治療臨床研究が社会の理解を得て、適 正に実施されるよう、個人の尊厳と人権を遵守し、かつ科学的根拠に基づいた有用性と 安全性を確保するためにヒト幹細胞治療臨床研究に関わるすべての者が遵守すべき事項 を定めることを目的とする。 ○岡野委員  しょっぱなからよろしいですか。かなりプラクティカルに大事になるところで、未定 稿の参考資料1に「ヒト幹細胞等」と「等」がついておりますが、少なくともこの資料 4のところには「等」が入っておりませんし、この資料3に「等」がないと。これが結 構大事なのは、骨髄間質細胞とか臍帯血とか、幹細胞のみならず前駆細胞がいろいろ入 ったミクスチャーの細胞集団があるわけです。これは当然私は対象とすべきだと思いま すので、サイエンティフィックには幹細胞のみならず「等」というのは入れるべきだと 思いますが、それについていかがですか。 ○中畑委員  これは下に「「ヒト幹細胞」とは」と出てくるけれども、幹細胞の定義が今度ちょっ と違うんですよ。「等」まで含めてヒト幹細胞と呼んでしまおうと。 ○事務局(木庭主査)  後半の第2の定義のところにありますけれども、こちらももし御意見がありまして、 「等」を入れた方がいいということであればまた戻しますが、ただヒト幹細胞というも のはヒト幹細胞等のところの定義のために入れておりますので、ここはもうまとめて 「等」を省いて、定義をもう既に入れた形で「等」を外して用いてはどうかという形に しております。 ○岡野委員  わかりました。それで、「等」にしますと、定義がきちっとしているけれども対象が 比較的ファジーになる。この場合、指針はきちっとしているんですけれども、定義のと ころが比較的ファジーになると。そうすると、この定義のところでどういったような細 胞を入れるかということは、コンセンサスを皆さんと議論したいと思いますので、次の ところでまた。 ○中畑委員  次で議論して、また振り返るということで。 ○岡野委員  わかりました。 ○高坂座長  それでは、この目的のところは、後で「等」というところはもう一遍議論するとし て、よろしいですね。 ○位田委員  すいません。その「等」という問題は、指針の名前をどうするかという問題でもある ので。今までの未定稿は、「ヒト幹細胞等を用いる臨床研究」で、きょう出していただ いたものは、「ヒト幹細胞治療臨床研究」ということなので、だからその定義の問題と かかわるわけですよね。今回の定義はかなりしっかりした定義だけれども、本当にこれ でいいかという問題があって、これはかなり以前に議論はしたと思いますが。 ○高坂座長  以前も、これは今おっしゃったようにかなり議論をして、その結果「等」を入れた方 がいいのではないかという意見の集約があったと思うので、むしろやはりこれは「等」 を戻すというのはいかがですか。 ○中畑委員  ちょっとその次の言葉の定義が終わった後に。 ○位田委員  名前は最終的に決められた方がいいと思いますが。 ○岡野委員  だから、込みでもとのバージョンにするか、新しいのにするかということですね。 ○中畑委員  今度の新しいこの定義にするかというのは後で議論した方がいいと思います。 ○高坂座長  わかりました。それでは、その定義のところに行きましょう。第2の「本指針におけ る用語の定義」といったところ。事務局、いかがですか。1番目を読んでいただけます か。 ○事務局(野上補佐)  それでは定義の方に入ります。  (1)「ヒト幹細胞」とは、ヒトから採取された細胞又は当該細胞の分裂により生ず る細胞であって、多能性を有し、かつ、自己複製能力を維持しているもの又はそれに類 する能力を有することが推定されるもの及びこれらに由来する細胞をいう。  続けましょうか。 ○高坂座長  ちょっとそこでとめてください。この定義はいかがですか。 ○岡野委員  これはちょっと科学的には全然「うん」と言えないですね。学生の答案だったらペケ になります。というのは、要するに完全にもう分化したような細胞も入る定義ですよ ね。ですから、比較的定義はもとの通りで、「等」を入れた方が私としてはより正確で はないかと思いますが、そこら辺はどういう意図でこうしたかというところも、背景的 なところがもしあってリーズナブルだったら新しい案でもいいですが。  それともう一つは、必ずプラクティカルな問題になるのは、骨髄間質細胞及び臍帯血 を用いた再生医療はこれに入るかどうかというのがちゃんとわかるようにしておかない と、現場でものすごく混乱がありますので、これは指針に入れるのが余りビューティフ ルでなかったら、付表として骨髄間質細胞や臍帯血を入れるものとするとか、どこかに 書いていただきたいと思います。そうしないと、例えば血小板とか何かそれに由来する ものは全部入ってしまうんですね。少なくとも新しい案は、サイエンティフィックには 余りよろしくないのではないかと思うのですが。ただ、運用面でどうしてもこれが必要 だということでしたら考えます。 ○高坂座長  いかがでしょうか。 ○位田委員  当初この種の規定があったのを議論した結果、未定稿の(1)の定義でない形にし て、それでかつ「等」をつけて、その「ヒト幹細胞に由来する細胞の総称をいう」とい う形で、かなり緩やかにした経緯があったと思います。  それからもう一つ、仮にこういうふうに御提案のように積極的に定義をすると、ヒト 幹細胞というものが、いわゆる本来の意味の幹細胞と、それからプラスそれに由来する 細胞もということですから、このヒト幹細胞の定義はこの指針だけの定義ですよね。そ れを読んだ人がそこまで理解するかどうかという問題があって、積極的に定義できれば その方がいいですが、これは前たしかヒト幹細胞と言えばみんなわかるかなみたいな話 があったと思うんですね。だから、そこまで本当に定義した方がいいかどうか。体裁と してはもちろん定義するのが本来のルールのつくり方だと思いますが、定義できないと きには、するとかえって混乱を招くのでどうかなという気がします。私は科学者ではな いので、これでいいかどうかというのは先生方に判断していただいた方がいいと思いま すが。 ○高坂座長  いかがでしょうか。 ○疾病対策課長  これは事務局的には、やはり位田先生がおっしゃられたように、定義がきちっとされ ていて、そしてその上で今後適用される事案についてどう組み立てるのかということに なりますので、従来のを拝見させていただきますと、定義がきちっとされていないと。 では、その定義はどこで定義するんだというところで、むしろ定義されないことによる 問題が出てくるのではないだろうか。科学者一人一人の定義が出てきてしまいますの で、科学者の数だけ定義が出てきてしまう。ここら辺はどうかなと思いまして、稚拙で したけれどもこういうふうに書かせていただきました。答案ゼロのペケでありますが、 たたき台として書かせていただいたと。何かここで共通的にある程度くくれるような定 義があるとありがたいということで、積極的に定義してはどうかというのがまさにそれ だったのですが。 ○北村委員  これは具体的に、現在取り扱ってもいい幹細胞を列挙するという案もあったと思いま すが、それはいけないのですか。 ○疾病対策課長  個別列挙がいいのか、それともその個別列挙を一くくりにくくる共通事項でさらに整 理できないかと。 ○北村委員  一くくりにするのはなかなか難しい面があるので、実際に行われるものを個別列挙し ておいて、どうしてもこういうことがやりたいという人があれば、それにつけ加えてい く方がプラクティカルな気がするのですが。 ○疾病対策課長  そこは御議論していただきまして。 ○事務局(木庭主査)  そちらの件に関しましては、第3の適用範囲のところで、その細則の方に規定する幹 細胞を用いるという形にしておりまして、4ページ目の細則の1つ目に、「ヒト幹細胞 に関する細則」ということで、「以下の細胞をいう」と。そして列挙すると。こちらの 御意見がございますので、細則では書いております。これをまた定義の方に持っていっ て、よりわかりやすくする方がよければ、そういう書き方もできるかと思います。 ○高坂座長  そうですね。細則に持っていって、こういう細胞であるということを列挙して、読む 方にイメージを与えるというのも手かもしれませんね。だから、これはどうですか、岡 野さん、昔の方のがよければこれも一応採用しておきますが、細則でその議論をしてお くと。 ○岡野委員  いや、細則でいいですが、ただいわゆる分化した細胞を注入ということで、リンパ球 とかそこら辺が誤解を受けないように少し補充しないと、またすごく適用範囲が広くな るんですよね。幹細胞に由来する細胞というのは、赤血球だってそうですよ。リンパ球 だってそうですよ。そんなものが適用範囲という誤解を示してしまうこと自体、この指 針に対する信用性の問題になりますので。 ○中畑委員  だからそれは前の未定稿と同じなんですね。 ○岡野委員  では、ここで少し細則でもいいですから、リンパ球や赤血球、明らかに分化したと思 われる細胞は含まないとか。 ○北村委員  赤血球やリンパ球でも、幹細胞を含む製品にまじっている可能性があるんですよ。例 えば、将来ES細胞から分化させてきた場合なんか、リンパ球を取ったとしても、それ より未分化の細胞がまじっている可能性があります。 ○岡野委員  そうです。わかります。ですから、ここを少しうまくやらないと、どこまでがこの適 用の範囲かわかりにくくなってしまうという問題です。 ○北村委員  だから、細則で具体的に述べておくのが一番よいと思います。 ○岡野委員  だから、これは基本的にはプラクティカルには幹細胞、あるいは前駆細胞のような未 分化な細胞が入っている細胞集団を指すわけですよね。結局そうだと思うんですよ。分 化した細胞のみでは、何かセルソータで集めたようなやつは対象外ですよね。それをど こか付表か何かに書くようにすれば、これでもいけるかなと思いますが。 ○高坂座長  そうですね。一応細則のところでもしできればその細胞を特定したやつを列挙してあ げて、その由来の分化してしまった細胞は除くとか、そういったものを付加しておくと いうことでよろしいのではないですか。 ○岡野委員  純化した分化した細胞を除く。 ○事務局(野上補佐)  それは先生に考えてもらってはだめですか。 ○岡野委員  それはいいですよ。御命令とあれば。 ○中畑委員  僕もいろいろ考えると、やはり幹細胞の定義というのはあった方がいいような気もし ますので、そうするとこの左側の文章で誤解を生じないような形にもし改正できれば。 その赤血球や血小板などを除くとすれば、最後は「及びこれらに由来する増殖力を持っ た細胞をいう」とか、何かそこをちょっと変えた方が。あるいは幹細胞はもうこういう 多分化能と自己複製能を持った細胞であると。それで、幹細胞はどんな種類があるかと いうことは細則の中に列挙する形の方が、確かにわかりやすい気がします。 ○岡野委員  ちょっとまた細かくて申しわけないですが、「本指針では」というのはつけていただ きたい。そうしないと、ものすごくサイエンティフィックコミュニティーに対してのあ れ……。本指針ではとにかくプラクティカルに、中畑先生がおっしゃったように増殖能 力を含む細胞集団を指すとか、そういったようなのを入れる。あとディテールは付表に 入れる。付表をどうするかは、案を考えろというのでしたら私が考えてきます。 ○高坂座長  今、中畑先生のお話ですと、左側の赤い色で書かれたところを少し誤解のないように 記載しておいて、プラスあと細則のところでどういう細胞を言うかということを具体的 に列挙するというふうにおっしゃった。その提案に関してはいかがですか。それでよろ しいですか。 ○岡野委員  「本指針では」という文言を入れていただければそれで結構です。 ○高坂座長  「本指針では」と入れる。では、基本的に今赤で見え隠れしていただいたものでよろ しいですか。 ○位田委員  ちょっと質問してよろしいですか。今、中畑先生がおっしゃった多能性を有すること と自己複製能力を有すること、それを持っていればすべて幹細胞と言っていいわけです ね。 ○高坂座長  多能性というか多分化能ですね。 ○位田委員  ああ、多分化能ですね。失礼しました。 ○岡野委員  いや、中畑先生はもう少しおっしゃいましたよね。増殖能力とか。 ○位田委員  多分化能と自己複製能、増殖能力とおっしゃいましたでしょうか。 ○中畑委員  多能性より多分化能の方がいいですかね。 ○高坂座長  多分化能の方がよろしいでしょう。「多分化能を有し、かつ、自己複製能力を維持し ているもの又はそれに類する能力を有することが推定されるもの」。 ○位田委員  「それに類する能力を有する」というのがちょっと私はよくわかっていないのです が、多分化能と自己複製能力、増殖能力、これを持っていれば必ず幹細胞ですか。 ○中畑委員  幹細胞の定義にはされているんですね。それに類するというと多分化能ではなくて、 例えば自己複製能がうんとあるのだけれども、1つあるいは2つの分化能しか持ってい ないようなものも。 ○位田委員  それも幹細胞と科学的には言うのですか。 ○中畑委員  一つだけだとなかなか幹細胞の定義には入らないので、だからそれに類するものとい うのは、例えば自己複製能はあるけれども分化の能力が非常に限定されているようなも の。 ○高坂座長  例えば肝臓の細胞などは一つの種類が培養でどんどんふえるわけですよね。そういう のは多分幹細胞とは言わない。 ○位田委員  多分化能は持っていないけれども自己増殖能力は持っている。それもここに含めて扱 うということでいいですね。 ○高坂座長  いや、それは含めないでしょう。 ○中畑委員  いや、それも含めるわけでしょう。例えば肝臓の幹細胞なども、もちろん含めるわけ ですよ。 ○高坂座長  幹細胞って、リバーセルなども含めるということですね。 ○中畑委員  いや、成熟したリバーセルはあれですが、肝臓にも幹細胞ってありますよね。 ○高坂座長  それもあるし、今言ったように幹細胞というのは培養下ではふえるわけですよね。幹 細胞というかリバーセルも。 ○中畑委員  成熟した幹細胞というのは、せいぜい1回か2回しか分化しないでしょうが。 ○疾病対策課長  あえて書いておきますか。 ○位田委員  それは付表をつけるのであれば、「付表にいう」とか、もしくは細則に定めるあれを いうという形にしないと。ここで議論していることは、この中ではわかっているんです けれども、ルールとしてはこのままでひとり歩きしますから。だから定義をすると、そ の知らない人たちが読んだときのインプリケーションというのがかなりあると思うの で、はっきり書くのだったら、付表にいう細胞をいうというふうにしておかないとちょ っと。 ○岡野委員  先生、よろしいですか。これだけはぜひとも決めていただきたい、ここで議論すべき だと思うので。付表に関して具体的な案をちょっとつくっていただけないかと、先ほど 事務局の方からお話を投げかけられましたが、それはもちろん案はつくりますが、ただ 先ほど言いました臍帯血、骨髄間質細胞を含めるかどうかというのはここで御議論いた だきたいことで、私個人としては再生医療で非常に多く出てくる細胞ですし、未分化の 細胞も入っているので入れるべきだと思いますが、それはそういった形で付表で。 ○高坂座長  定義からすると恐らく骨髄間質細胞、臍帯血は入るでしょうね。いかがですか。僕は そう思いますが。 ○北村委員  そうですね。ストローマセル(Stromal Cell)ですか。それは入るでしょう。 ○高坂座長  ではそれを踏まえて、岡野先生に細則のところの案を練っていただけますか。 ○岡野委員  わかりました。では、ちょっと中畑先生の御意見を聞くかもしれませんが、それでや ります。 ○高坂座長  お願いいたします。それでは、(1)はそういうことでお願いいたします。次に(2 )、もう私が読みましょうか。  (2)「ヒト幹細胞治療」とは、疾病の治療を目的としてヒト幹細胞を導入した細胞 を人の体内に移植又は投与することをいう。  何だ、これは、難しいな。 ○事務局(野上補佐)  先生、遺伝子治療の指針からの表現を持ってきているのです。ちなみに、先ほどのヒ ト幹細胞もESの方から引っ張ってきたものです。 ○中畑先生  「ヒト幹細胞を導入した細胞」というのは、これは文章が変なので、「ヒト幹細胞あ るいはそれを加工した」とかいう文章に。ただ加工というのはちょっと変なので、もう ちょっといい言葉があると。「ヒト幹細胞あるいはそれを加工した細胞を人の体内に移 植又は投与することをいう」とか。 ○北村委員  この指針の中に加工したというのも入りますか。それだったら遺伝子的に加工した幹 細胞も入る。 ○中畑委員  いや、遺伝子治療は、それは遺伝子治療の方で縛られるでしょうから。培養したり。 培養と言ってしまうと培養だけに限られてしまうので、処理加工というか。ただ処理加 工というのが、前もちょっと議論ありましたが、余りいい言葉ではないのでもうちょっ と。 ○高坂座長  未定稿ではどうやりましたっけ。 ○位田委員  未定稿はここの定義がなかったと思うんですよね。 ○岡野委員  結局、これは神経幹細胞とか骨髄間質細胞か、例えば神経細胞を分化誘導するとしま すよね。そういったような加工をした細胞を入れるということを想定しているわけです よね。そうすると、その前の(1)のそれに由来するというのが要るというのは、結局 それを踏まえているということですよね。 ○位田委員  加工が「由来する細胞」という形では無理ですか。 ○岡野委員  いや、いけるかもしれないですが。 ○位田委員  科学的に「由来する細胞」と言ったときに先生方はどこからどこまで、例えば培養し た細胞であっても、それは「由来する細胞」というふうにおっしゃいますか。 ○岡野委員  言います。 ○中畑委員  ただ、培養した場合も、前と同じ状態で培養している細胞であれば、それは由来した とは言えないですよね。それは同じものをふやしているだけだから。それよりも、ちょ っとでも性質が変わった細胞は由来した細胞ですが、全く同じものがふえているのであ れば、それは由来した細胞とは言えない。 ○位田委員  全く同じものであれば、その多能性と増殖能力を持っている細胞ですよね。それは本 来の幹細胞の定義でいけますか。培養していって幹細胞をふやしても同じですね。 ○中畑委員  そうですね。 ○位田委員  そうすると、ここは「疾病の治療を目的としてヒト幹細胞と――そのときのヒト幹細 胞というのは上の定義で由来する細胞も含みですから――それに由来する細胞を人の体 内に移植又は投与することをいう」と言っておけば全部いけますか。 ○岡野委員  そうしますと、(1)の「これに由来する細胞」というのが、試験管の中で由来して いるのかインビボで由来しているのかというのは、どっちにもとれるんですよね。まだ (1)の状況だと。 ○位田委員  それは付表につけるのでしょう。だから、付表についているやつを。 ○岡野委員  ただ、付表にはこの骨髄間質細胞を分化誘導して誘導した神経細胞とか、そこまでは ちょっと書かないですよね。ここで新たにスペシファイしておいた方がいいと思いま す。だから私の案として、「疾病の治療を目的としてヒト幹細胞、及びそれを試験管の 中で加工した細胞を人の体内に移植又は投与することをいう」ぐらいでよろしいかと思 いますが。 ○位田委員  いや、つまりその加工という言葉がまた問題になるわけ。 ○中畑委員  加工という言葉でよければ、試験管なんて言葉も必要ないし、試験管というとちょっ と。バッグの中で培養するのだから試験管ではないというような。 ○岡野委員  では加工でいいですね。 ○中畑委員  だから加工だけでいいんですけれども、その加工という言葉で……。 ○位田委員  生きている細胞を加工するという言い方をするかどうかですよね。 ○高坂座長  何かいつか工場っぽいという議論をされましたね。 ○中畑委員  加工でも僕自身はいいような気もしているのですが。 ○高坂座長  では、便宜上加工にしておいて、後でもう少し言葉を練るということでよろしいです か。 ○岡野委員  それか付表に説明で入れるか。 ○高坂座長  一応ちょっと臨時に加工にしておきましょう。「加工した細胞を人の体内に移植又は 投与することをいう」でよろしいですね。次は、新たな(3)ですか。これは以前やっ ていますね。  (3)「研究者」とは、ヒト幹細胞治療臨床研究を実施する者をいう。  これはよろしいですか。 ○中畑委員  ちょっとよろしいですか。さっきもちょっとありましたが、今までの指針と違って今 度の題が「ヒト幹細胞治療臨床研究に関する指針」という形で、今までの表現が変わっ たわけですよね。それはこの右の方にあります「遺伝子治療臨床研究」に合わせるとい う形で、今までつくっていた指針の名称が変わったので、それでいいかどうかを最初に 確認しておいていただいた方がいいと思います。 ○高坂座長  わかりました。もとに戻りますが、今の御提案どおり、ほかの指針に基づいて大もと の名前が変わっています。「ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する指針」というのか ら、「ヒト幹細胞治療臨床研究に関する指針」というふうに変わっていますが、それに ついて御意見はありますでしょうか。 ○位田委員  よろしいですか。言葉の感覚だけですが、遺伝子治療というのは遺伝子を用いて治療 する、もしくは遺伝子を治療するといっても恐らく同じ意味になるのだろうと思います が、ヒト幹細胞治療というのは、言葉の上では幹細胞を治療するという読み方もできる んですね。前のものはヒト幹細胞等を用いる臨床研究なのですが、今回の提案のものは 目的語と主語とが少し混同される可能性がある。意味はよくわかるので短くしようと思 えばこれでいいのですが、ただヒト幹細胞治療臨床研究というのは、このまま普通に読 むと、ヒト幹細胞を治療する臨床研究に読めますので、意味は反対ですよね。ヒト幹細 胞を用いて人間を治療するんですよね。それもわかった上でこの名前にするならまた話 は別ですが。 ○中畑委員  だから、案としてはこの案か、あるいはこの幹細胞の定義が変わりましたので、今ま でのヒト幹細胞等というのは非常にあいまいだというから、「等」を除いた「ヒト幹細 胞を用いる臨床研究に関する指針」にするか、どちらかの選択ということになります ね。どちらがよりいいかということになるのかと思いますが。 ○高坂座長  事務局があえてこの新しい名前にしたのは、ただ純粋にほかの名前と合わせたという だけですね。 ○事務局(野上補佐)  横並びで合わせたということです。 ○高坂座長  私たちがずっと前から議論しているこの名前でも悪くはないわけですね。では、御意 見もありますことですし、特に悪いことがなければ、この「等」については……。 ○位田委員  これは英語に直すことを考えるとofにするのか。 ○疾病対策課長  目的のところで定義づけはしていますが、それは先生方の方でお決めいただければ。 ○高坂座長  では従来どおりの、「ヒト幹細胞──「等」を除いて──を用いる臨床研究に関する 指針」に戻したいと思います。ということは、さっきの第2の(3)も同じように、 「研究者」とは、ヒト幹細胞──「等」を取って──を用いる臨床研究……。これは以 下も生きているんですか。 ○事務局(木庭主査)  すいません。第1章の第1の目的のところで、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究(以下 「ヒト幹細胞治療臨床研究」という。)」というのが既に出てきておりますので、2回 目になるここの「研究者」の定義のところでは、そのまま書いてあります。 ○高坂座長  はい。では、その「ヒト幹細胞治療臨床研究」を、先ほどの「ヒト幹細胞を用いる臨 床研究」に直すということですね。次に行きましょう。これも以前やっていますが、  (4)「研究責任者」とは、個々のヒト幹細胞を用いる臨床研究を実施する機関にお いて、研究者に必要な指示を行うほか、当該ヒト幹細胞を用いる臨床研究に係る業務を 統括する者をいう。 ○事務局(野上補佐)  ここの趣旨は臨床指針に並べて、「総括責任者」を「研究責任者」と言いかえただけ というふうに読み取っていただいて、あとの細かい点はそれまでの文言の修正が反映さ れているだけでございます。 ○位田委員  「個々の」というのは要りますか。「個々の」が機関にかかる可能性もあるから。 ○高坂座長  これは確かに要らないですね。わかりました。そこはそれでよろしいですか。   ○位田委員  すいません。さっきの研究責任者ですが、ちょっとよくわからないのは、ヒト幹細胞 治療臨床研究を実施する機関において研究者に必要な指示を行うのですが、当該臨床研 究ですから研究ごとに研究責任者がいるのか、研究機関ごとに研究責任者がいるのか、 どちらですか。 ○疾病対策課長  研究ごとですね。 ○位田委員  そうしたらこれでいいと思います。 ○高坂座長  よろしいですか。次は、  (5)「研究者等」とは、研究者、研究責任者、研究機関の長その他のヒト幹細胞を 用いる臨床研究に携わる者をいう。 ○中畑委員  後で研究者等ということが出てくるからそれを定義しただけで、新しいあれだと思い ます。 ○位田委員  研究者以外はどうなるのですか。 ○岡野委員  今の位田先生の御質問にも関係ありますが、要するに細胞を培養する技官の人とか、 そういったような方がここに入るかどうかというのは、現状だとちょっと不明瞭です ね。それを入れるのか、入れないのか。入れる場合はどうするかということは、ちょっ と議論が要ると思います。 ○疾病対策課長  「研究者等」のところで「その他のヒト幹細胞を用いる臨床研究に携わる者をいう 」、そこのところに入ります。 ○岡野委員  入ると解釈するのですか。 ○位田委員  その他の中にどこまで入るかというのを合意しておいた方がいいと思いますが。 ○岡野委員  技官の人は入れると。 ○中畑委員  「等」の中にね。 ○岡野委員  ではなくてその他の……。そうですね。結局はそうですけれども、その他のヒト幹細 胞を用いる臨床研究に携わる者に入るわけですね。 ○事務局(野上補佐)  その研究者等の責務というのは7ページ以降にも書いてありますが、こういう業務を する人。 ○岡野委員  まあ、いいですよね。これは。 ○中畑委員  できるだけそういう技術者なども含めておいた方がいいと思います。 ○岡野委員  もちろんそのつもりですが、位田先生の御質問は、実際のIRBがこれを適用すると きそれがわかるかということですよね。例えばメンバーとして抜けていたらまずいわけ ですよね。 ○位田委員  実際に研究を行う人を研究者として研究計画に書く、これは問題ないと思いますが、 それ以外の技官のような人は研究計画に書かないけれどもこの指針に縛られるかとい う、そういう話です。ESは直接ESを扱う人は全部書けという方針なので、大学院生 であれ、場合によっては技官であれ、それを扱う者であれば全部研究者と同じように書 くわけですが、これは恐らくそうはならないかもしれないので、そうすると実際に幹細 胞を培養している技官は臨床研究の研究者には当たらないけれども、研究者等の中に入 って、したがってこの指針に縛られると、そういう理解でいいですよね。 ○北村委員  この場合、看護師さんなどはどうなるのですか。 ○高坂座長  看護師も含めて非常勤職員も含めて、普通はIRBの申請書に出てきますよね。実験 協力者という名前で必ず記載されるはずですから、やはりすべての人を包括しているの ではないでしょうか。そういう意味ではないでしょうか。 ○位田委員  ESは基礎研究ですから、限られた範囲の人しか扱いませんが、臨床研究はかなりワ ッと広がる可能性があるので、その辺はちょっとはっきりさせておかないと、研究者等 というのはいいですけれども、その他にどこまで入るんだと言われたときに。 ○高坂座長  では、それは細則に入れますか。 ○位田委員  それかまたは解説かね。 ○中畑委員  実際に再生医療を行う施設では、行う研究者と、患者さんをケアするために看護師さ んも一つの病棟にもう30人ぐらいいるわけですよね。交代で見ていて。その人たちを全 部列挙するというのはちょっと不可能なことだし、余り意味がないので。ただ、ここに 書かれたような精神を十分酌み取って、そういう医療に当たっていただくということで はいいと思います。プロトコールの中に、IRBの申請書に書かなくても。そういった 意味では、この「等」というのを入れておいた方がいいと思います。 ○高坂座長  ただ、今言った技官等は当然入ると思いますが。 ○中畑委員  そうですね。直接細胞をふやしたりというようなところにかかわっている人は、恐ら く申請書の中に書かれると思います。 ○疾病対策課長  では、そういったことで細則のところで、事例も交えながら。 ○岡野委員  ですから、細胞を培養する技官の方は申請書に入れるべきですが、看護師さんは実際 プラクティカルに何10人になる可能性があるので、実際にこれにのっとってやっていた だくけれども、別に申請書に書く必要はないと理解してよろしいわけですね。その点が わかるように書いておいた方がいいですよね。とにかくIRBがこれを見て申請をちゃ んとできるようにするというのは大事だと思います。 ○高坂座長  「直接にかかわる者」と書いてしまうと逆にわからなくなってしまいますね。 ○位田委員  どこまで直接ということか。 ○高坂座長  では、今のニュアンスを反映してもう一遍やっていただけますか。これは後でもう一 遍戻ってまたやりましょう。  (6)「研究機関」とは、ヒト幹細胞を用いる臨床研究を実施する機関(ヒト幹細胞 の提供を行う機関を含む。)をいう。  これは以前言ったんでしたね。実施される機関、それに提供を行う機関を含むを入れ ていただいたわけですね。これはいかがでしょうか。 ○中畑委員  その方が何となくいいと思います、今回の方が。今までのだと提供する機関の定義と いうものが余りなかったので、それまで含めた定義ということで、研究機関という形の 方が。 ○位田委員  この中には加工をアウトソーシングするという可能性はあるわけですね。それも含み ですね。 ○中畑委員  そうですね。だから、研究機関ということになるとそれも含まれることになります。 ○位田委員  その臨床研究を実施する施設の中にそれが含まれるというふうに理解してよろしいで すか。 ○中畑委員  何か実施というといかにも患者さんを目の前にして、その再生医療を行う施設だけが 実施施設に思えるので、そこで研究施設という方が、両方を含めるということでは誤解 を与えないのではないかと。実施施設というとそういう医療をする施設だけで、細胞を アウトソーシングする施設は含まれないので。 ○岡野委員  いいですか。ここの(6)はさりげなくすごく大事なところですね。この間から議論 があるところで、これはある神戸先端医療財団で調製した細胞を他機関が扱うような場 合を想定しているわけですよね。ですから、それは当然範囲に入れるということは再確 認したいのですが、前回中畑先生の委員会であった薬事法の適用云々で、あるバイオベ ンチャーがこの細胞で臨床研究したいという場合、それも一応入れて議論しようという ので、「それはかなりまずいんじゃないか」と私は大分抗議のEメールを後からいただ いて、「それは全部薬事法にした方がいいんじゃないの」と言われました。これは後で 議論することにしてもいいんですが、それをこの指針の対象に入れるかどうか、いつか 議論していただきたいと思います。今でなくても結構ですが。ただ、やはり神戸先端医 療財団のようなところで、非営利的にふやした細胞を他機関でやるということは想定し た(6)と理解してよろしいわけですね。 ○中畑委員  そうですね。営利機関の場合は前回のあれだと薬事法にしっかり縛られるので。 ○岡野委員  だからこれはここには入れないと。 ○位田委員  これは入れないけれども、薬事法でカバーされるからいいんだという、そういう理解 ではないですか。 ○中畑委員  だから薬事法にカバーされないで、この指針にしか入ってこないものに関しては、営 利機関であってもこの指針にも縛られる。 ○岡野委員  いや、でも薬事法で縛られた営利機関が提供するものを使ってやる臨床研究というの は、全部薬事法の対象になるのであって、この指針ではないんじゃないかという意見で すが。私がいろいろな方にいただいたやつとして。だから、最初からそういった営利機 関が調製した細胞に関してはもう範疇外にしないと、いろいろなところでまずいんじゃ ないかと。それはやはり厚生労働省の人によく検討願った方がいいんじゃないでしょう かと。かなりの人に、複数の方に御議論いただきました。あと、中畑委員会の西川委員 にも一応そういうような議論をいただいています。 ○位田委員  薬事法でカバーされる分もこの指針でもカバーするという、そういう意味ですか。 ○岡野委員  そうではなくて、あるバイオベンチャーが細胞を薬事法にのっとってつくりました と。それで阪大病院でそれの臨床試験をやりますというときには、それはもう全部薬事 法に適用するから、これの指針では考えない方がいいんじゃないかと。 ○位田委員  臨床試験そのものもという意味ですね。 ○岡野委員  その場合、もう一つ考えなければいけないのは、では、そういったような薬事法にの っとった細胞で供給したベンチャーがあるとします。それを使って阪大が──どこの大 学でもいいですけれども──医師主導でやりたい場合と、また分けて考えなければいけ ないのではないかと。幾つかのバリエーションを考えてほしいというお申し出をいただ いて、私は詳しくないので皆さんの御意見を聞かなければと思って、今回ちょっと意見 の提出が間に合わなかったのですが、それをきょうもんでいただきたいなと思っていま す。 ○高坂座長  実はさっきもちょっと話題にしたのですが、実際にベンチャー企業が商業ベースで出 してきたものを使っての臨床試験をどうするかというのはかなり大事な問題で、一回こ れは次回に取り上げましょうか。今ここですぐ議論はできないと思うんですよ。 ○疾病対策課長  ここの書き方も当方は前回の御議論では、ベンチャー企業等の第三者が医療機関内で 行う幹細胞の加工処理は、薬事法の対象になるということで、中畑先生のところではそ ういう整理をしていただいた。それでもあぶれるものがあるのかどうかということで、 こういうふうにあえて書かせていただいたということなので、これはもう一度整理させ ていただきます。 ○中畑委員  ちょっといいですか。薬事法の中に、今回この指針に盛り込まれたものがすべてカバ ーされているかというと、やはりちょっとカバーされていない面がある。幹細胞を用い た臨床研究ということで、こちらの方でしかカバーできないような面があるので、やは り薬事法に沿ってそのベンチャー企業などがやる臨床試験についても、少なくとも薬事 法には当然縛られる、この指針にもやはりある程度縛られた方が。ある程度この指針を 遵守して実施すべきだと思うので、その辺のところは僕はそういう考え方です。だか ら、ベンチャーのやるものはもう全部この指針とは関係ないという形にしてしまうの は、非常にリスクが高いと思います。 ○岡野委員  それはちょっと事務局である程度もんでいただいた方がいいのではないですか。 ○高坂座長  整理していただいて、薬事法との関連ですね、そのすみ分けがどうかということをこ こに表にして。 ○岡野委員  だからそれは厚生労働省マターになると思いますので。 ○疾病対策課長  それは前回御議論して、ペーパーも出させていただいたのですが、わかりました、で は、そこはもう一度頭の整理をしておきます。 ○位田委員  適用範囲の問題ですよね。前は薬事法及び他の既存の指針で規制されたものは除くと いうところがあったわけですよね。今回のはそれはどこかに書いてあるかな。 ○事務局(野上補佐)  一応他の法令に含まれる研究は対象としないというふうには書いてあります。 ○位田委員  すいません。どこでしたっけ。 ○事務局(野上補佐)  この対照表でいうと、3ページの第3の適用範囲の1の(2)になります。 ○位田委員  わかりました。 ○中畑委員  それでこの文章で漏れがないのであればこれでいいと僕は思います。 ○疾病対策課長  多分漏れがないということで、あえて細胞の提供を行う機関も含むというところを書 いておいたと。どういうケースが考えられるかよくわからないので。 ○岡野委員  私が質問したのは一応そういう意図で。 ○疾病対策課長  漏れがないようにということですか。 ○岡野委員  漏れがないし、いろいろな拡大解釈の可能性もある文章だと。 ○疾病対策課長  わかりました。では、ちょっとそこはもう一度。 ○高坂座長  では、恐らく(7)もそうですね。これも含めて、次回までにもう一遍論点整理をし ていただきたいということです。次に移ってよろしいですか。  (8)「倫理審査委員会」とは、ヒト幹細胞を用いる臨床研究の実施又は継続の適否 その他ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関し必要な事項について、被験者及び提供者の個 人の尊厳、人権の尊重その他の倫理的観点及び科学的観点から調査審議するため、研究 機関の長の諮問機関として置かれた合議制の機関をいう。 ○事務局(野上補佐)  これも今までの未定稿にございませんでしたので、臨床指針にあったので入れたとい うだけでございます。 ○高坂座長  これはどこの臨床指針からとられたのですか。 ○事務局(野上補佐)  臨床研究に関する倫理指針です。 ○高坂座長  いかがでしょうか。 ○中畑委員  こういうふうに具体的に入れた方がわかりやすいと思います。位田先生、いかがです か。 ○位田委員  結構だと思います。 ○高坂座長  ではこれはこのままで結構ですと。次に行きます。  (9)「ドナー」とは、ヒト幹細胞を用いる臨床研究のために用いられる自らのヒト 幹細胞を提供する者をいう。 ○中畑委員  いいんじゃないですか。確かに「人」より「者」の方がいいかもしれませんね。法律 的にはどうですか。「者をいう」「人をいう」というのは。 ○位田委員  それは「者」でいいです。すいません、「自らの」というのは要るのですか。 ○高坂座長  正確に言うと要るかもしれませんね。 ○中畑委員  他人のを取ってそれを提供する人がいるかもしれませんね。 ○位田委員  かもしれないですね。 ○事務局(野上補佐)  未定稿でも「自らの」と入っております。 ○位田委員  そうか。確かにそんな議論をした記憶がある。失礼しました。 ○高坂座長  では、これは抑えて、「自らのヒト幹細胞を提供する者をいう」、これでよろしいで すね。次に行きます。  (10)「被験者」とは、ヒト幹細胞を用いる臨床研究を実施される者又はヒト幹細胞 を用いる臨床研究を実施されることを求められた者をいう。 ○位田委員  「実施されることを求められた」というのは何か変な日本語ですね。 ○事務局(野上補佐)  未定稿と変わったところは文言の定義と、あとは「若しくは」が「又は」に変わった ぐらいでございますので、表現は未定稿と余り変わっておりません。 ○位田委員  これは「臨床研究の対象となる者」というのでは、意味が変わってきますか。 ○中畑委員  これは何でこういうややこしい文章にしたか。 ○位田委員  ここは余り議論しなかったと思います。何かこのままで意味がわかるからそのまま。 ○事務局(木庭主査)  臨床研究に関する指針の方にも同じような規定がありますけれども、インフォームド ・コンセントをとる場合のところでも出てくるのですが、実際に実施される人と実施さ れない人がいますので、恐らくそれを両方読めるような形で書いてあるかと思います が、もしもっとわかりやすい表現がありましたら、そちらの方がいいかと思います。 ○位田委員  いや、僕が言っているのは実施されることを求められるというのが。それはよくわか るんですよ。実際に実施される者が前の方で、しましょうかと言われる方が後者なの で。 ○高坂座長  要するに、自らやってほしいという場合と、やったらいかがですかという、それを想 定しているわけですね。 ○位田委員  ちょっと気になるのは、実施されるという言葉遣いが何か余り。 ○高坂座長  ニュアンスとしてはおわかりいただいている。以前も議論して、ちょっと文言があれ だったので。では、ここはちょっと文言が適切ではないかもしれないという御意見が出 ていますので、次回までに文言を整理していただけますでしょうか。冒頭に申し上げま したように、文言については専門家の方を含めて次回までにやっていただきたいと思い ます。急ぎます。  (11)「インフォームド・コンセント」とは、被験者及び提供者となることを求めら れた者が、研究者等から事前にヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する十分な説明を受 け、その臨床研究の意義、目的、方法等を理解し、自由意思に基づいて与える、被験者 及びドナーとなること並びにヒト幹細胞の取扱いに関する同意をいう。  ちょっと読んでみてください。これは何だ。これはどこからとられたのですか。臨床 指針ですか。難しい。さっぱりわからないな、これは。 ○中畑委員  僕らはわかりますが。 ○岡野委員  これは撤回の自由みたいなものはどこか別のところに出てくるのですか。それがちょ っとないようですが。各論的に出てくるのだったらいいですが。 ○位田委員  それは、このときに撤回については一緒に入れないのが普通だと思います。同意をす るということですから。同意をした後で、撤回するときはまた別の行為なので。 ○事務局(木庭主査)  資料3でいきますと27ページ目になります。2のドナーに対する説明事項の。 ○中畑委員  資料を読んで説明してもらった方がいい。資料を読んで議論をしているから。 ○岡野委員  これはドナーとしての撤回ですね。 ○事務局(木庭主査)  資料4でいきますと23ページ目の真ん中にあります第2の2、ドナーに対する説明事 項の(4)になります。 ○岡野委員  提供者に関する撤回の自由はわかりました。それで、実際に治療を受ける方の撤回の 自由というところもあってしかるべきですよね。 ○事務局(木庭主査)  被験者の方になりますと資料4の26ページ目になりまして、こちらの方の3に。 ○岡野委員  ありますね。わかりました。では結構です。 ○高坂座長  これは今のお話ですとこの文章でよろしいですか。これは非常にわかりづらいです が。 ○疾病対策課長  臨床研究指針と横並びですから。要は、インフォームド・コンセントの定義をきちっ と入れておいた方がいいでしょうということです。 ○高坂座長  ということで、横並び、整合性を図るという意味で、「「インフォームド・コンセン ト」とは」という定義をつけたということですね。次、「(12)「代諾者」とは」です ね。これは以前に議論したやつを、臨床指針と同じように規定してはどうかということ で変えていただいているわけですが、ちょっと新しい方をお読みいただきたいと思いま す。  (12)「代諾者」とは、被験者及びドナーの意思及び利益を代弁できると考えられる 者であって、当該被験者及びドナーにインフォームド・コンセントを与える能力のない 場合に、当該被験者及びドナーの代わりに、研究者等に対してインフォームド・コンセ ントを与える者をいう。  以前の我々の議論では、配偶者、後見人等ですね。かなり具体的に書いていたという 経過がありますが。 ○中畑委員  文章的に、位田先生にお聞きしたいのですが、「ドナーにインフォームド・コンセン トを与える能力のない」、この「与える能力」というのは、これはこういう表現でいい のですか。 ○位田委員  ええ。同意は与えるものですから。むしろその前に「に」と書いてあるから、かえっ てわかりにくいかなと思います。「当該被験者及びドナーがインフォームド・コンセン トを与える能力のない場合に」ですよね。この「に」は「が」に変えた方がわかりやす いと思います。 ○高坂座長  「当該被験者及びドナーがインフォームド・コンセントを与える能力のない場合に、 当該被験者及びドナーの代わりに、研究者等に対してインフォームド・コンセントを与 える者をいう」。これでよろしいですか。臨床指針はこう書いてあるのですね。 ○事務局(野上補佐)  そうです。ちょっとお待ちください。もう一回確認します。 ○位田委員  インフォームド・コンセントと言わなくても、この場合は同意でいいのではないかと いう気はしますが。 ○事務局(木庭主査)  そういうふうに書いてあります。「被験者にインフォームド・コンセントを与える場 合に」というふうな記載になっています。 ○位田委員  確かに先行の指針があって、できるだけそれに合わせた方がいいと思うけれども、先 行の指針で読みにくいときはこちらを直した方がいいと僕は思うんですよ。 ○事務局(木庭主査)  すいません。読みやすいように直すというのであれば、そちらでいいと思います。 ○中畑委員  本当はもう位田先生に。 ○位田先生  それでちょっと気になるのが、前は親権を行う者、配偶者、後見人等と、かなり具体 的に挙げているのですが、被験者及びドナーの意思及び利益を代弁できるということに なると、赤の他人でも代弁できるケースがあり得るので、こういう一般的な書き方で本 当にいいかというのはちょっと問題ですよね。 ○疾病対策課長  これは細則に代弁できると考えられる者、これこれこれというふうに、もともとお書 きになっている未定稿の文章を書いておいた方がよろしいですか。指針は臨床研究指針 にほぼそろえた形にしておいて、それをわかりやすく具体的にということで細則の方 に。 ○位田委員  臨床研究指針の方はかなり範囲がブロードなので、非常に一般的な書き方がしてある んですね。このヒト幹細胞臨床研究というのはターゲットがかなりはっきりしています から、もし書くのであったら補足しながら指針を書いていった方が僕はいいと思いま す。普通の臨床研究だと、大したことのない病気の臨床研究というのもあり得るわけで すから。 ○高坂座長  ほかの指針と若干文言が変わってもよろしいわけでしょう。実を言うと、この本委員 会でここは相当議論があったんですよ。だから、むしろ昔の方をより生かした方が多分 すんなり、すっきりいくのではないかと思います。前の方がわかりやすいのではないか と思います。 ○中畑委員  前の方でいいかどうか、位田先生にちょっと。 ○位田委員  前の方はかなり議論した結果こうなっていると思っているので。つまり、こういう場 合に代諾をしますよというのが先にあって、だれが代諾しますかというときにこれこれ こういう者であって、というのが本来の論理だと思うので、代諾者がまずあって代諾が できる場合にという話ではないと思います。 ○高坂座長  そうですね。ですから、これは前の方の議論を生かすということにいたしましょう。 次に参ります。  (13)「製造業者等」とは、ヒト幹細胞を用いる臨床研究のために用いられるヒト幹 細胞を加工処理する者等をいう。  出ましたね。 ○岡野委員  これは(6)(7)と合わせてちょっと事務局に持ち帰って検討いただかないと。実 際行為そのものとしては(13)でいいのですが、これが何を指しているかということに よってこの指針の対象が変わりますので、院内製剤的なものと、神戸先端医療財団のよ うなきちっとしたところで臨んだ素材と、バイオベンチャーの場合、どれを指すかとい うのがこれだけだと情報量として不十分でありますので。行為そのものとしてはいいの ですが、ただインフォーマティブではないですよね。間違ってはいないですが。ここは (6)(7)と合わせてぜひとも。 ○高坂座長  わかりました。これも以前相当議論しましたが、この3年間で少し状況が変わってき ているということを踏まえて、その前のものと一緒に、次回ここでもう一遍整理をして いただきたいということです。次は、  (14)「ロット」とは、一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品 の一群をいう。  これは以前我々は特に議論をしていなかったのですが。 ○中畑委員  これは僕は入れておいた方がいいと思います。一つの製品を何人かの人に使うという 場合に。 ○高坂座長  はい。それではこれはこれでよろしいですね。次に行きます。  (15)「バリデーション」とは、製造設備全ての手順、工程に関して製造管理及び品 質管理の方法(以下「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証 し、これを文書化することをいう。  これは以前、岡野さんが相当言われたことですね。それについての文章を直していた だいているということになります。いかがでしょうか。 ○中畑委員  特に問題ないので、それでいきましょう。 ○疾病対策課長  バリデーションというのは日本語にはなかなかなりがたいですか。 ○高坂座長  なりがたい。 ○疾病対策課長  この方が雰囲気が出てきてよろしいですね。 ○中畑委員  今、一生懸命外国語を日本語にやっていますが、バリデーションはまだやられていな いですよね。 ○岡野委員  日本語にコンセプトのない概念なので、まあ、いいのではないですか。 ○高坂座長  次の(16)も本当にちょっと文言ですね。  (16)「最終製品」とは、被験者に投与するヒト幹細胞の最終産物をいう。  よろしいですか。 ○位田委員  この最後の「産物」というのは。 ○中畑委員  最終物の方がいいですかね。 ○高坂座長  これも以前議論がありましたね。産物と言っていいかどうか、製品と言っていいかど うか。ちょっと抵抗がありますが、何か先生、いかがですか。 ○岡野委員  「最終調製物をいう」と。 ○高坂座長  さっきの言葉では加工になってしまいますね。 ○岡野委員  先ほどは加工という言葉を使いましたが、加工した場合でもあるし、そのまま生の状 態でも、両方を言う場合ですよね。ですから、どっちもあり得る包含した概念でないと いけないわけです。そうするとやはり最終調製物と。加工の場合もあるし、そうでない 場合もあるというのが入るのではないかなと思ったのですが、いかがでしょうか。 ○高坂座長  最終調製物というのはいかがかという御意見がありますが。位田先生、いかがです か。 ○位田先生  産物よりは調製物の方がいいかなという気はしますが、調製細胞という手もあり得る かなと思います。 ○岡野委員  これは英語でいうとprepareなんですよ。だから、そこら辺でいいのではないかなと思 いますが。 ○位田委員  調製物は普通に使われている言葉ですか。 ○高坂座長  そうですね。調製するという言葉は実験では割とよく使う言葉ですね。では、ちょっ とペンディングにしておいて、一応テンタティブに最終調製物というふうにしておいて ください。次回までにもしいい言葉が思いつくようでしたら、御検討をお願いいたしま す。 ○位田委員  ちょっと文法上ですが、被験者に投与するヒト幹細胞、これが最終調製物ですね。ヒ ト幹細胞の最終調製物というとまたもう一つ先があるのかなというふうに思いますが、 いろいろな細胞があるんですけれども、被験者に投与するヒト幹細胞、これが最終調製 物、そういう意味ですね。 ○高坂座長  そういうことです。確かにちょっとわかりづらいですね。 ○位田委員  だからイコールで結ばれるわけですよね。幹細胞イコール最終調製物であるというこ と。 ○中畑委員委員  「の」というと、これも問題があるかもしれませんね。 ○位田委員  「の」がちょっと気になったりしただけで、意味はよくわかっているのですが。「最 終調製物としてのヒト幹細胞」と言うと、かえって誤解を生みますか。この辺は言葉の 使い方だけなのでまた。 ○高坂座長  今の御議論はわかりますか。 ○疾病対策課長  わかります。最終的に調製されたヒト幹細胞ということですね。 ○位田委員  そういう言い方だろうと思います。このままだとヒト幹細胞は最終調製物でないよう な読み方もできるので。「の」だと。 ○中畑委員  「の」は変えた方がいいですね。 ○位田委員  これも表現だけの話で、中身はわかっている話ですから。 ○中畑委員  今の文章はどうですか。「「最終製品」とは、最終調製物としての被験者に投与する ヒト幹細胞をいう」ですよね。 ○位田委員  「被験者に投与する最終調製物としてのヒト幹細胞」。 ○高坂座長  では、「「最終製品」とは、被験者に投与する最終調製物としてのヒト幹細胞をいう 」というふうにしてよろしいですね。 ○位田委員  とりあえずそれでいっていただいて、もしまた。 ○高坂座長  とりあえずそうしておいて、次回またもしあれでしたら再度議論いたしましょう。先 に進みます。  (17)「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる 氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情 報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることと なるものを含む。)をいう。  なお、死者に係る情報が同時に、遺族等の生存する個人に関する情報である場合に は、当該生存する個人の個人情報となる。  これはどこからとっていただいた。個人情報の。 ○事務局(野上補佐)  これも臨床研究指針です。 ○事務局(木庭主査)  臨床研究の規定自体が個人情報保護法からつくっております。 ○高坂座長  はい。趣旨はそういうことですが、いかがでしょうか。この情報を加えると。 ○位田委員  ここで言っておられる個人情報というのは、個人情報保護法でいう個人情報ですね。 ○事務局(木庭主査)  はい、そうです。 ○位田委員  これは、死者がドナーになるときに、死者個人の情報というのは余り関係ないですか ね。死者がドナーになる可能性があるわけですよね。ここでは死者にかかわる情報が同 時に生きている人の情報である場合には、そこの部分が生きている人の個人情報です が、そうしたら死者の情報はどう扱うかというのは、個人情報保護法にはたしか書いて いなかったとは思いますが、死者を扱うときに考えなくていいかどうかという問題があ って。 ○中畑委員  厳密には死者の個人情報保護ということはやはり必要でしょうね。 ○位田委員  確かに死者そのものはもう死んでしまっているので、それ自体で余り問題になること はないですが、その死者と生きている人との関係で問題になるから、個人情報保護法も 生きている人との関係でかかわる場合には、生きている人の個人情報だという言い方を していますが、本当にそれだけでいいのかなと思います。 ○中畑委員  死者にかかわる個人情報というのもある程度保護されるべきだと思うし、死んでいれ ばもういいというわけではない。それは生きている人に影響を与えようが与えまいが、 死者独自の個人情報というのはやはり。 ○北村委員  病理解剖した方も、個人情報を明らかにしませんからね。 ○位田委員  ただ、それは個人情報保護法上の個人情報ではないという、その辺がちょっと。 ○中畑委員  それは別に先生に加えていただいた方がいいのではないですか。 ○位田委員  何かそういうのは要るのかな、要らないのかなと思って。ちょっと私も要ると言い切 れないので。つまり、例えば死者の名誉毀損というのは、死者が訴訟提起するわけでは なくて遺族が提起する、ただ、回復される名誉は死者の名誉ではあるので、ここでそう いう問題が起きるかどうかは別ですが、ちょっとその辺がどうかなと思いました。すい ません。今は問題提起だけで。 ○高坂座長  ではその(17)に関しては、生存する個人に関する情報と死者にかかわる情報、これ を同じ次元で論ずることができるかどうかといった点について、すいません、位田先 生、ちょっと次回までに整理整頓していただければありがたいと思います。次です。  (18)「保有する個人情報」とは、研究機関に属する研究者等が実施する研究に係る 個人情報であって、当該研究者等が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、 消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有するものをいう。   ○位田委員  これは要するに個人情報保護法の規定に従ってつくったものですから、恐らくここで 議論しても余り意味がないだろうと思います。 ○高坂座長  これは事務局としては個人情報の関係で入れた方がよろしいのですね。 ○事務局(木庭主査)  そうですね。 ○高坂座長  だそうです。 ○位田委員  法律ができたから。 ○高坂座長  はい。では、それとの整合性を図っていただいたということです。次は、  (19)「未成年者」とは、満20歳未満の者であって、婚姻をしたことがないものをい う。  これは。 ○事務局(木庭主査)  臨床指針に定義があるものです。 ○高坂座長  これは私たちの以前の議論でどこで出ましたっけ。 ○位田委員  いや、出ていなかった。臨床指針に定義があるので、ここでもつけたらどうかと。 ○中畑委員  後の文章に出てきますね。 ○事務局(木庭主査)  代諾者のところで出てきます。 ○高坂座長  これはよろしいですね。 ○位田委員  ちょっと話をややこしくするようで余り言いたくはないのですが、日本国民は満20歳 で青年なんですね。ほかの国で、例えば18歳とか21歳とかいろいろあり得るので、そう いう人が日本に来て幹細胞臨床研究の指導を受けるような場合にどうするかという問題 がありますが、まあ、言わないでおきます。すいません。 ○中畑委員  それはやはり日本の指針に従うことになるのではないですか。日本の研究者が海外で 行うような場合も、やはりこの指針に縛られることになると思います。 ○位田委員  いや、海外であるときは海外の。 ○中畑委員  海外の指針にももちろん縛られるけれども、ちょっとそれは後で。 ○高坂座長  この「婚姻をしたことがないもの」というのは、それでよろしいですか。 ○位田委員  はい。婚姻年齢は20歳より下ですので、一たん婚姻したらもう成人とみなす。だか ら、18歳で結婚して19歳で離婚してもだめだぞと。 ○高坂座長  はい、わかりました。次は、  (20)「代理人」とは、未成年者若しくは成年被後見人の法定代理人又は保有する個 人情報の利用目的の通知、開示、訂正等、利用停止等若しくは第三者提供の停止の求め (以下「開示等の求め」という。)をすることにつき本人が委任した代理人をいう。  よろしいですか。 ○位田委員  これは大きく2つに分かれていて、未成年者と成年被後見人、要するに認知症の方が 一グループで、あとは「又は」以下はそれとは別に本人が代理人を選定して委任したら その代理人をいうという、そういう区別になっています。「若しくは」と「又は」の使 い方で。 ○高坂座長  では、これはこれでよろしいですね。なかなか難しいですが。次は、  (21)「行為能力」とは、法律行為を単独で確定的に行うために必要な能力をいう。  これも臨床指針からとってこられたということですが、これは後で出てくるのです か。 ○事務局(木庭主査)  こちらも代諾者で。 ○高坂座長  これも代諾者のところで出てくるのですね。これは先生、法律的にはよろしいです か。 ○位田委員  はい。 ○高坂座長  総則の第1の目的と第2の用語の定義が終わりました。続いて参ってよろしいでしょ うか。次は適用範囲ですね。適用範囲も随分入れていただいたのですか。これはちょっ とどういうふうにまとめていただいたのか。 ○事務局(木庭主査)  資料4の右の方に論点がございますが、今まで議論いただいた中で、こういう限定を かけた方がいいという話があったもので入れております。1つ目が対象疾患等の限定、 2つ目が対象とするヒト幹細胞の限定、3つ目が人への投与が前提のものに限定、4つ 目がこちらは除外になりますがヒトES細胞及び胎児由来のものを除外するという、こ ちらの方を入れ込んだ形にしております。 ○高坂座長  これは前回の議論であった問題点となったところを入れ込んで直していただいたとい うことですね。 ○事務局(木庭主査)  はい。それにさらには臨床研究指針の文言に合わせておるというものです。 ○高坂座長  それを指針に若干合わせて改訂していただいたものが、そこの適用範囲になります。 これも少し長いので事務局が読んでいただけますか。 ○事務局(木庭主査)  では、読ませていただきます。  第3 適用範囲  1 この指針は、社会の理解と協力を得つつ、医療の進歩のために実施される臨床研 究のうち第4に規定する対象疾患等に関するものであって、細則で規定するヒト幹細胞 の人への投与が倫理審査委員会に提出されたヒト幹細胞を用いる臨床研究の計画書(以 下「研究計画書」という。)にあらかじめ記載されているものを対象とし、これに携わ るすべての関係者に遵守を求めるものである。ただし、次のいずれかに該当するもの は、この指針の対象としない。  (1)診断及び治療のみを目的とした医療行為  (2)他の法令及び研究に関係する指針の適用範囲に含まれる研究  (3)ヒトES細胞及び胎児(死胎を含む。)から採取されたヒト幹細胞を用いる研究  以上になります。 ○位田委員  これは目的と適用範囲が一緒に書いてあると思いますが、適用範囲だけの話で、前の 未定稿がいいとは思っていませんが、「社会の理解と協力を得つつ、医療の進歩のため に実施される臨床研究のうち」という、ここは要らないのだと思います。それから、 「あらかじめ記載されている」、こういう書き方をしなくてもいいと思いますが。要す るに適用範囲ですから。ちょっと研究者の先生方にお聞きしたいのですが、臨床研究と いう場合には当然研究計画書を出されるわけですよね。 ○中畑委員  そうですね。 ○位田委員  そうすると、そこの研究計画書にあらかじめ記載されているというのは、余り必要で はないと思うので、もう少し短くして、「この指針は、第4に規定する対象疾患等に関 するものであって、細則で規定するヒト幹細胞を用いる臨床研究を対象とする」と。そ れで、「これに携わるすべての関係者に遵守を求めるものである」、これは別に適用範 囲の話ではないですから要らないので、あと、ただし(1)(2)(3)は対象としないと。そ れでいいのではないかと思いますが。 ○岡野委員  よろしいですか。今の位田委員の案に賛成で、このままですと倫理委員会に提出しな かったら守らなくていいと言っているようなものになりまして、そう開き直る人がいた らちょっとお手上げになってしまう指針というのは余りよくないので、今言ったよう な、そういうのは臨床研究は含みますよという位田委員の案の方が私はよろしいかと思 います。 ○高坂座長  そうですね。ということは、今、位田先生からおっしゃっていただいたものですと、 「この指針は、第4に規定する対象疾患等に関するものであって、細則で規定するヒト 幹細胞を用いる臨床研究を対象とする」と。それでよろしいですか。御意見は。事務 局、今の改訂はよろしいですか。それで、「ただし」以下はそのままでよろしいです ね。 ○中畑委員  これは(1)がちょっと誤解を与えやすいですよね。治療のみを目的とした医療行為は除 外されるということになると、「いや、私たちは治療でやっているんだから」と。 ○高坂座長  もともと根底には治療をしたいということがあるわけですよね。 ○位田委員  いや、ここで言っている治療というのは、医学的に確定した治療という意味ですよ ね。 ○中畑委員  そうです。確定したとか一般的な医療とかそういう言葉だったらいいですが。 ○疾病対策課長  ここは通説として治療ということが確定しているということで理解しておりまして、 余りここの言葉は操作したくないので、臨床研究指針の言葉をそのまま用いているので す。要するに、臨床研究指針で整理されている言葉がこの(1)なので、ここはこういう ことで整理させていただければと思っています。 ○高坂座長  その臨床研究の指針での使い方というか、診断及び治療のみを目的とした医療という のは、どういうことに関してですか。 ○疾病対策課長  これはまさに研究の要素が入っていないということですね。 ○北村委員  そうすると、「医療行為に関する細則」というのも、臨床研究からとってきたもので すか。 ○事務局(木庭主査)  細則に関しまして、本委員会の最後の議論の方で一般的な医療だということを明示的 にしてもらいたいという意見がございましたので、これは臨床研究にはなくて、こちら 独自に入れております。 ○疾病対策課長  この前の議論でやはり定説化されたとか、そういうことを理念的に書いていただきた いという話だったので、細則の方であえて書きましょうかと。臨床研究指針ではこうい うことは書いていないですね。 ○中畑委員  この医療行為というのを細則で別に書いたわけですね。 ○疾病対策課長  御心配であるならそこで書きましょうという話です。 ○高坂座長  わかりました。という御配慮だそうですが、中畑先生、よろしいですか。 ○中畑委員  わかりました。一応細則の方でそれを読めるという、細則の方に入れていただくとい うことであればいいと思います。 ○高坂座長  はい。そこの下に、ある程度その細則を既にもう書いていただいているわけですね。 これは、細則のところまでは今議論しなくてよろしいですね。それでは、その1の適用 範囲は終わります。2に参ります。  2 この指針は、日本国内において実施されるヒト幹細胞を用いる臨床研究を対象と するが、日本国外において実施されるヒト幹細胞を用いる臨床研究も対象とし、これに 携わるすべての関係者は、当該実施地の法令、指針等を遵守しつつ、原則としてこの指 針の基準に従わなければならない。  ただし、この指針と比較して当該実施地の法令、指針等の基準が厳格な場合には、当 該基準に従ってヒト幹細胞を用いる臨床研究を実施しなければならない。  はてな。これはどこから来たのかな。 ○事務局(木庭主査)  これも臨床研究に関する倫理指針です。 ○中畑委員  例えば米国でもこういうヒト幹細胞を用いる臨床研究が盛んに行われていますが、そ れもこの指針で縛るということに、縛れるはずもないものを縛るということになるの で、このままの文章ではちょっとまずい。ただ、こういったことは入れる必要があると 思うんですね。例えば日本人研究者が日本国内では余りにもいろいろ厳しすぎるからと いうことで、今中国へ行って、そこで中国の患者さんを対象にして臨床研究をやってい る人もいます。日本でできないからといって、よりレベルの低い国へ行ってそういう臨 床研究をやるということは、僕は日本人としては非常にまずいのではないかと思いま す。何らかのこういった文言というのは入れる必要があると思いますが、このままの文 章だと、すべてアメリカでやられているもの全部がこの指針に縛られているような解釈 もできないことはない。その辺はどうですか。 ○疾病対策課長  ただ、これはアメリカで日本の指針よりもより厳格である場合については、そちらを 適用しなさいと。 ○位田委員  そうだけれども、要するに厳しい方を使えというのがこの趣旨ですが。 ○疾病対策課長  これは、ここでうたわなくても、そのベースになる臨床研究に関する倫理指針の方で そのようにうたっていますので、したがって今でも実際守られているはずです。 ○中畑委員  それは日本人や日本人研究者は守っているのだけれども、日本と全く関係のない、例 えばスペインやイタリアでこういう研究をやっている者に対しても、この指針が縛れる はずもない者を縛るというような表現になっているので、そこはちょっとおかしいので はないかと。 ○疾病対策課長  ただ、臨床研究指針についてはそのように、原則ではあるけれどもこの基準に従わな ければならないというふうに言っています。やはりそこは、スペインというところはち ょっとここではわかりませんが、先生が先ほど低いレベルのところに行って質の悪い研 究をやることなかれと、そういうようなところも入っているのではないかと。 ○中畑委員  それはよくわかるのだけれども、日本人の研究者がやる研究の範囲であればこれでい いと思いますが、日本人のやる研究についてだけということはどこにも書いていないも のだから、イタリア人がイタリアの患者さんに対してやるのをこの指針が縛れるはずも ないですよね。 ○疾病対策課長  ただそれは常識的に、イタリア人に対してはもうイタリアの国内法がありますから。 ○中畑委員  それは位田先生、こういう文章でその辺が全部理解できるのかどうか。 ○位田委員  恐らくこの規定のルーツは、この臨床研究の指針をつくる直前にヒトゲノム・遺伝子 解析研究の指針があり、もしくはその前にミレニアム指針があって、そこの段階で日本 人が研究する場合には、これはゲノムの話ですが、もし相手のところにゲノムの指針が なければ、ちゃんと日本の指針に従いなさい。相手の国の指針がゲノム指針よりも緩や かである場合にも、日本の指針に従いなさい。きつければそれに従いなさいという、最 も厳しいのに合わせろという趣旨がまず入ったんですね。私も実は臨床研究の指針をつ くる委員会に入っていたのだけれども、ほとんど出席していなかったのでちゃんと覚え ていませんが、恐らくそれを持ってきたのと、これは日本人の研究者は余りなかったこ とですが、アメリカの研究者が発展途上国に行って、やりやすい研究をやって試料を持 って帰ってくる等の話があって、こういうかなり厳しいルールができたはずです。  ただ、ヒトゲノム・遺伝子解析研究はもとの規定を緩やかにして、各国で指針ができ ていればその国の指針に従えということに変わりました。臨床研究の指針はまだ改正さ れていないけれども、そこはもう少しそれぞれの国で何か規定があればそれに従うとい うことでないと、実際にはなかなか難しい。もちろん考えているのは日本人の研究者が 向こうでやる場合、もしくは共同研究をやる場合という話だと思います。ただ、臨床指 針が親指針なので、それのルールを崩せないということであればこう書くしかない。少 なくとも今のところはこう書くしかないという話だと思います。 ○中畑委員  日本人研究者が行うということではこの指針でいいと思いますよ。その各国の指針に 従うというと、例えば今具体的にある例は、日本人のある研究者が、日本ではちょっと 日本の倫理委員会に通らないから中国でやっているんですよね。だから、そういうのは これできっちり防止できるということで。 ○位田委員  ですから、そこのところは2行目、「この指針は、日本国内において実施されるヒト 幹細胞を用いる臨床研究を対象とするが、日本国外において日本人研究者が実施するヒ ト幹細胞を用いる臨床研究も対象とする」としておけば。 ○中畑委員  そうですね。それを入れていただければ非常にいいと思います。それは入れても別に 問題はないでしょう。 ○位田委員  ただそういうふうにすると、今度は外国の人と共同研究をするときに、その共同研究 先の人は緩やかな指針で動いているけれども、日本人はきつい指針で動いているという ことでそごを来さないかという問題が実は残ります。実施する場所が日本であれば全然 問題ないですよね。それは日本人であっても外国人の研究者であっても。 ○疾病対策課長  よろしいですか。これは主語がきちっと書いていないのでわかりづらい。そこは臨床 研究指針の主管課の話を聞いて、主語が明確にできるのなら整理させていただくという ことで、一応これについて余り深く御議論をいただくと。 ○岡野委員  ただ、この日本人研究者のコントリビューションがどれぐらいのものを指すかという のはいまひとつ。 ○疾病対策課長  それを議論し出しますと、かなり個別の事例が出てきてしまいますので、したがって ここで言っているのは、「原則としてこの指針の基準に従わなければならない」ですか ら。 ○岡野委員  ですから、日本人研究者が主たる研究者であるとか、そういうのはやはり。 ○疾病対策課長  だから、それだと主たるとは何ぞやとか、そういうことがいろいろ出てくると思うん ですね。そういう形容詞的な話になりますと。ですからここは、基本的に主語が何かと いうのをもう一度確認させていただくということで。それで、ここでお決めいただきた いのは、臨床研究指針のこの趣旨を生かさせていただいて構わないかどうかというとこ ろで、細かい話は要りませんので、そこだけを。 ○中畑委員  僕はこれはいいと思います。趣旨を生かすということ。 ○岡野委員  趣旨としてはいいのですが、実際にインクルージョンとエクスクルージョンをどう判 断していいかわからない指針になると、ちょっと困るということです。要するに国際共 同研究がこれだけ進んでいて、ある論文で出た技術をアメリカのグループが共同研究で 使いたいといった場合、日本人の場合も共同研究者が入るわけですよね。それがアメリ カだったらオーケーで、それ以外の国だとだめなのか、ということを意味しているのか というところがあるのです。趣旨をちょっと明確にしてほしいのですが。 ○疾病対策課長  ただし、そのときはまさに実行上の問題で、どういう手続をやろうかということで、 共同研究をやる際に、日本人研究者がアメリカ人研究者とこのぐらいのレベルの手続を 行って、そして研究しようよというのをすり合わせればいい話で、そこはあらかじめど のように共同研究を相手方とつくり上げるか。そこですり合わせをされればよろしい。 したがって、当該研究者は、あらかじめこういうものをきちっとお読みになった上で調 整されればよろしいのではないでしょうか。 ○岡野委員  いや、趣旨はわかりますが、実際の具体例で何に入るかというのが、指針を読んだ人 がわからなかったらちょっと困るのではないかと私は申し上げたいのですが。 ○疾病対策課長  だから、ここのところのポイントは、主語が明確でないので主語をきちっと整理し、 その上で日本人研究者であるというのは、まあまあそうだと。したがって、その日本人 研究者がアメリカ人研究者とそこで調整をされればよろしい。それで、高い水準のレベ ルの手続をとられるように調整すればよろしい。それだけの話だと思いますが。 ○中畑委員  日本人研究者というとちょっと誤解も。例えば日本人でもアメリカへ行っていろいろ やっている人もいますので。 ○疾病対策課長  そこはどのようにやっているのか、主語を明確にさせる必要があると思います。 ○中畑委員  「日本で研究している者がこういう臨床研究を行う場合」というのは。 ○疾病対策課長  これはあくまでも原則で書いていますから。 ○高坂座長  やはりちょっと問題点となるのは、今の岡野さんが言ったように共同研究のときでし ょうね。 ○岡野委員  そうです。それが不明瞭になるとよくわからなくなってしまう。 ○高坂座長  やはり個別の事例をちょっと挙げていただいて、こういうときはこうだというのでで きるかどうかを次回検討しましょう。だから、個別にどういう事例があるかというの は、今言った共同研究ですね。諸外国との共同研究の場合にどうするか。 ○疾病対策課長  共同するに当たっては、よくすり合わせてくれという話になると思いますが。 ○高坂座長  という話ですね。それをうまく文面化できるかどうかというところですから。あとは それを中国でやるというような事例ですよね。本来は中国でやるにせよ、日本のIRB でやはりきちんと諮るのが通常で、それは当然日本の国内の基準に基づいて厳格にやり なさいよという話ですから。 ○位田委員  だから、恐らく留学して――中国に留学されるかどうかわからないけれども――そこ でそこのプロジェクトに入ってやるという場合には、日本のプロジェクトとは関係なし に行われるので、それは日本人研究者であればこれに従うのかという問題ですよね。 ○疾病対策課長  そういったことで、適用範囲に関する細則で2番目にそれらしいことは書いておきま したが、もう少し。 ○高坂座長  では、次回までにそこをもうちょっと詰めていただいてお願いしたいと思います。座 長の不手際で大分遅くなってしまっていますが、切りがいいところでどこですかね。 ○位田委員  第3が終わったところですね。第4の対象疾患等が次です。 ○高坂座長  対象疾患ですね。きょうはあと5分ですので、第4のところまで御議論いただいてや るしかないですね。申しわけございません。  第4 対象疾患等  ヒト幹細胞を用いる臨床研究の対象は、次のすべての要件に適合するものに限る。  (1)重篤で生命を脅かす疾患又は身体の機能を著しく損なう疾患であること。  (2)ヒト幹細胞を用いる臨床研究による治療効果が、現在可能な他の方法と比較し て 優れていることが十分に予測されるものであること。  (3)被験者にとってヒト幹細胞を用いる臨床研究により得られる利益が、不利益を 上 回ることが十分予測されるものであること。  ということで、これは以前我々もかなり議論しましたね。どこでしたっけ。 ○中畑委員   対象疾患は付表でつけるとか何とかいう話が出ていたのですが。ここでは遺伝子治療 の付表と同様に、ある程度わかるように規定しておいた方がいいのではないかというこ とで。 ○岡野委員  具体例を付表に入れるということですか。 ○位田委員  病気の名前とかそういう話がありましたね。それがまた難しいよねという話もあっ て。 ○岡野委員  代表的には挙げられますが、予想がつかない場合がありますよね。 ○中畑委員  だから、むしろこういう形で入れ込んでしまった方が、かえっていいのではないかと いう気もします。 ○岡野委員  賛成ですね。 ○北村委員  細胞の方を規定したら、病気の方の規定はおのずから決まってくるでしょう。決めら れない部分は別に自由に行ってよいのではありませんか。 ○高坂座長  こういった形で規定していく方が、将来を見越してもいいのではないかということな ので、その文章はいかがですか。 ○中畑委員  この「十分に」という言葉が両方に入りますが、十分にということをそこまで入れる かどうか。「優れていることが予測されるものであること」ぐらいで。十分というと、 統計学的に見て恐らく有意にそういう結果が必ず出るという予測であったとしても、そ こまでちょっと十分にというと。 ○位田委員  やってみないと、というのがありますよね。 ○中畑委員  もちろん研究者はある程度今までの治療よりいいと思ってやるのですが、そういう予 測でやりますが、十分にという言葉を……。これは遺伝子治療指針ではそうなっている わけですね。十分に予測されるという。 ○位田委員  恐らくそれは遺伝子治療指針だからではないんですか。遺伝子改変の問題があるか ら。 ○北村委員  十分かどうかはIRBで審査するわけだから、IRBの人が十分であると思っている わけでしょう。 ○岡野委員  この期待されるものであるということはどうですか。 ○高坂座長  それよりも科学的根拠に基づくというのを以前議論しませんでしたっけ。その言葉が 反映されていませんよね。どこかたしか議論したと思った。 ○位田委員  そういう話をしましたね。第5に基本原則がありますが、そこの1の「安全性及び有 効性の確保」というところの(1)(2)(3)、これが対象疾患のところにも入っているんで すね。だからどっちかだと思います。 ○中畑委員  それでは、科学的根拠はここに入れる必要はないですね。下に出てくる。「十分な科 学的知見に基づき」というのは必ず必要だと思います。十分に予測されるかどうかとい うのは。 ○高坂座長  何をもって十分かといったところは確かにありますね。 ○位田委員  それは前も議論しましたが、(3)に関しては不利益を上回ることが十分に予測され るという話なので、効果が十分に予測されるかどうかというのは、これはまた話が別だ と思います。 ○高坂座長  (2)の十分を取って(3)の十分は生かすということですか。 ○岡野委員  精神的にわかるから今の御案でいいのではないですか。(2)の十分にを取るという ことで。言いたいことは、これはわかると思うんですよね。 ○位田委員  それでちょっと気になるのは、特に(1)のところはこういうふうな書き方しかない のでしょうけれども、これをIRBがどこまで判断するかという問題と、二重審査で国 へ持って上がってきたときに、これも含めて審査するわけですよね。これはかなり一般 的な基準なので、それでできますかね。 ○岡野委員  ですから、もし加えるとすると、倫理委員会はこの点を踏まえて審査をする。 ○高坂座長  それは当たり前の話なのだけれども、これはかなり専門家が入ってきているわけだか ら、多分そこはこの規定で漏らさないと思いますね。 ○位田委員  この規定だと、IRBの判断と国の判断が食い違う可能性がありますよね。それは解 説か何かで、そのときそのときに改訂していかざるを得ない。指針の文章はこれで私も いいと思いますが。 ○中畑委員  ただ、前も議論がありましたように、中央審査で一定のあれを戻すわけですよね。そ の施設の長に戻して、それを参考にしてまたもう一度各施設のIRBで審査をして、最 終的にその中央の審査とずれた結果になることもありますが、指針ですので全く罰則は こうむらない。ただ、そういうことをやっていると、将来的には社会的にいろいろ問題 にはされるでしょうが。だから、少なくともそういうことを繰り返していけば、自然と この中央のこの書いているもののあれを全く無視して再生医療を行うということは、な くなってくるのではないかという議論でしたよね。 ○岡野委員  恐らくここが一番各IRBと中央審査の温度差が激しいところだと思います。例えば ネズミでふやした細胞をネズミに1匹だけやって、効果があったというので科学的根拠 ありと出た場合と、ヒトの細胞で安全性をどこまで追求したかというところを認める と。そこは当然変わってくるのですが、精神的にはこの3つを押さえるということで審 査してきています。 ○位田委員  それはもちろんそうです。 ○高坂座長  基本的にはこの3つが満たされていればまず大丈夫だろうと。対象疾患としてはです よ。細かいところは、やはり各IRBの反応と中央審査のときにつくり分けるというこ とになると思います。 ○位田委員  それをIRBの方が先に審査するわけですから、あらかじめある程度のことを、この 一般的な書き方ではなくて、示しておいてあげないと、恐らく研究機関の方から問い合 わせがくると思います。これをやっていいのかという問い合わせが。 ○中畑委員  これは(2)(3)は問題ないので(1)ですよね。「生命を脅かす疾患」というの はある程度わかりますが、「身体の機能を著しく損なう疾患」というものをどこまで含 めるか。それもなかなか。例えば糖尿病というものは将来的には確かに生命を脅かすか もしれませんし、例えば膵臓の幹細胞を移植するというのも、当然この再生医療の中に 入ってきますよね。そういうものまでこれはもうある程度入ってくるので、この疾患を 含む、この疾患を含まない、と厳密に定義をして。 ○位田委員  それは難しいと思う。だから、解説などを使って、例えばこういうものは含まれるけ れども、こういうのは含まれませんよというように、少しあらかじめ説明が要るのでは ないかなと思いますが、それも難しいですか。指針はこれでいいと私は思いますが、具 体的にIRBで審査するときに。 ○岡野委員  ちょっと各論的に議論しないと難しいですね。 ○高坂座長  (1)と(2)と(3)が並列でかかってきているわけですから、この3つを満たさ なければいけないよと言っているわけですね。だから、(1)だけではちょっとわから ないけれども、(2)と(3)というものが付加されて、全部を満たすものというふう にこれは読み取れますから、これでいいのではないかとは思いますが、いかがですか。 ○中畑委員  そうですね。僕はこれでいいと思います。 ○高坂座長  わかりました。 ○岡野委員  すいません。ちょっと来週の宿題の解き方についての質問ですが、これは持ってきて から議論していただいてもいいんですけれども、これまでの議論でどうであったか私も 失念しているところがありまして。例えば幹細胞の定義についての付表について、今回 私がたたき台をつくってくるというのを宿題でいただきましたが、生体肝移植や生体膵 島移植みたいなパターンも幹細胞が入っている可能性がかなりあると思うんですよね。 そういった場合を対象にするかどうか。どう考えたらよろしいですか。 ○北村委員  生体肝移植はもう現在行われているわけだから、それはもう入らないと思います。 ○中畑委員  あれはもう保険適用もなっているわけですね。保険適用になっているということは、 かなり一般的にはなっている。 ○位田委員  あれは治療でしょう。 ○岡野委員  では膵島移植はどうですか。 ○中畑委員  膵島移植はまだ実験的な段階なので入る可能性はあります。これに含まれると思いま す。膵島移植の膵島をある程度分離して、それで移植するわけですが、その分離の施設 が普通のネズミなどと同じ、扱っているようなクリーンベンチで処理したものを患者さ んに戻されたら困りますよね。それはきっちりしたセルプロセッシングセンターの中で 処理をして仕事をしてもらうということが、やはり最低必要だと思います。 ○高坂座長  わかりました。それでは、きょうは長い時間ありがとうございました。予定をしてお りましたところより、はるかにビハインドスケジュールになっておりますが、きょうの 感じでどういうふうに進めていけばいいかという進め方がおわかりになったと思うの で、次回はかなり急いでまとめていきたいと思います。御協力のほどよろしくお願いい たします。そのためにはやはり前もって両者の比較という意味でよく読んでいただい て、問題がある場合にはあらかじめ事務局の方に、こういったところが問題があるよと いったことを、文章、あるいはメール等でお知らせいただければ。それを反映して改訂 したものをお送りするということにしたいと思いますでの、よろしくお願いいたしま す。  事務局の方で何か。 ○疾病対策課長  まさに座長におっしゃっていただいたように、事前に先生方の御意見をいただけます と、もう少し私どももきちっとした対応ができると思いますので、それをよろしくお願 いいたします。 ○事務局(野上補佐)  簡単ですが、次回は10月28日(金)を予定してございます。第2回でまた今後のスケ ジュールを提示していきたいと思っておりますし、ヒアリングについては座長と相談の 上、実施時期を決めたいと思っております。  以上でございます。                         ○照会先                          厚生労働省健康局疾病対策課                          tel 03−5253−1111                          担当:野上(内線2353)