05/09/29 第11回労働政策審議会議事録             第11回 労働政策審議会 議事録 日時  平成17年9月29日(木) 15:30〜17:00 場所  厚生労働省17階専用第21会議室 出席者【委員】公益代表  菅野会長、今田委員、齋藤(邦)委員、              諏訪委員、西村委員、林(紀)委員、横溝委員、              和田委員        労働者代表 岡本委員、草野委員、小出委員、古賀委員              笹岡委員、林(誠)委員、丸山委員、山口委員        使用者代表 井手委員、内海委員、勝俣委員、加藤委員              齋藤(朝)委員、佐々木委員、柴田委員              矢野委員 議題  (1)「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」        について     (2)平成18年度労働政策の重点事項について     (3)分科会及び部会における検討状況について     (4)今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告について     (5)雇用政策研究会報告について 配付資料 資料1 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005      資料2 平成18年度労働政策の重点事項      資料3 分科会及び部会における検討状況について      資料4 雇用政策研究会報告について      資料5 今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告          について      参考  労働政策審議会諮問・答申等一覧 議事 ○菅野会長  ただいまから第11回労働政策審議会を開催します。議事に移る前に、本日は労働政策 審議会令第9条の規定に基づき本会議を開催し、議決を行いたる委員のご出席をいただ いていることをご報告します。  議事に移りたいと思います。本日の議題は5件あります。まず報告案件として、「経 済財政運営と構造改革に関する基本方針2005について」、「平成18年度労働政策の重点 事項について」、「分科会及び部会における検討状況について」の3点を事務局より報 告していただきます。その後、前回4月の審議会に引き続きまして、労働政策の課題に ついてご議論をいただくため、「雇用政策研究会報告について」及び「今後の労働契約 法制のあり方に関する研究会報告について」を説明していただきます。  なお、労働基準局長がアスベスト問題に関する会合に急遽出席することになり、16時 30分をメドで途中退席をせざるを得なくなりました。このため、先に「今後の労働契約 法制の在り方に関する研究会報告について」の議論を行うことになりましたので、ご了 承ください。  まず、第1から第3の議題について、事務局から説明をお願いします。 ○山田労働政策担当参事官  資料に沿ってご説明をします。資料1は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方 針2005(労働政策関係部分)」を抜粋したものです。これについては先般、6月21日に 閣議決定されたもので、これも受けた形で来年度の労働政策の重点事項を取りまとめた ところです。  少子化対策のところで、働き方の見直しについて記述があります。3行目で、仕事と 家庭・子育ての両立など仕事と生活のバランスを取りつつ、意欲と能力に応じた多様な 働き方ができるよう、中小企業に配慮しつつ、環境整備の推進などに取り組むことが挙 げられています。また女性の再就職・起業等について、総合的な支援策の強化も盛り込 まれています。  2頁は、人間力の強化ということで、特に若者についての取組の記述があります。若 者の雇用問題は国政の最重要課題の1つということで、内閣官房長官、厚生労働大臣は じめ、5大臣による若者自立挑戦戦略会議において、関係省庁が連携協力をして政府一 体となって取り組んでいますが、それも受けた形で(2)で、今年度から取り組んでいる フリーター20万人常用雇用化プランを充実・強化するとともに、地域の相談体制充実等 によるニート対策の強化など、昨年12月に5大臣で取りまとめられた、若者の自立・挑 戦のためのアクションプランを強化・推進することとされています。  その下の(1)に、雇用保険3事業の成果、ニーズに応じた改善ということが書かれて いますが、雇用保険3事業については、より透明でわかりやすい事業運営を行う観点か ら、平成16年度から各事業に数値目標を設定し、今年度からこれに基づいた目標管理で 不断の見直しの体制づくりを行っているところです。平成16年度に目標設定をした事業 は、本年6月にその評価を公表していまして、その評価も踏まえて助成金の廃止、要件 の変更、また、人口減少社会を見据えた対策の強化といったメリハリのある事業の見直 しを行って、来年度の概算要求では平成17年度予算額に比べて、−6.2%という概算要 求額となっています。また、労働福祉事業についても、本年度から同様の評価の仕組み を作りまして、平成19年度の予算要求に反映させていくこととしています。  3頁の6「グローバル戦略の強化」で、別表ということで四角で囲ったところがあり ますが、中小企業の技能等の継承及び人材確保等の推進。若年者をはじめ、各世代を通 じた能力開発の推進について、法的整理も含め必要な措置を講ずることとされていま す。  資料2は、「平成18年度労働政策の重要事項」です。第1は、「安全・安心な職場づ くりと公正かつ多様な働き方の実現」です。ご案内のとおりアスベストによる健康障害 が大きな問題となっています。石綿のばく露防止対策、健康管理対策などを含めまして 進めているところですが、来年度のアスベスト対策についても、現在行っている調査の 結果等を踏まえまして、予算編成過程においてさらに必要な予算措置の検討を行うこと としています。  また近年、さまざまな産業現場において重大災害が多発したり、あるいは過重労働に よる健康障害、過労自殺、うつ病が増加をしている中で、個々の労働者が安全・安心し て働けるよう労働環境の整備が求められているところで、このため、事業者による自主 的な安全衛生活動の促進、過重労働による健康障害防止対策への支援、職場におけるメ ンタルヘルス対策の拡充など労働環境の整備に努めてまいります。  2頁の上はメンタルヘルスとも関連しますが、近年自殺の増加が問題となっていまし て、本年7月には参議院厚生労働委員会で自殺問題に関する決議がなされました。これ に伴いまして厚生労働省としては、自殺予防総合センターの設置など自殺対策を強化し ていまして、労働部局としては総合的な調査研究などを行うこととしています。その下 の◇「公正かつ多様な働き方の推進」ということで、パート労働者の均衡処遇推進のた めの取組を充実することとしています。  第2は、「各世代に必要とされる職業能力開発・向上の推進」です。今後、人口減少 社会を迎える中で、働く人すべてが能力を高め十分にそれを発揮し、労働生産性を向上 させることが重要となるわけですが、このために若年、壮年、高齢の各世代に必要とさ れる職業能力の開発及び向上が労働者等個人の自発的取組のみならず、企業を含めまし て社会全体としてそれぞれの世代の特性に応じて効果的、整合的に推進されるよう政策 の展開を図ることに重点を置くこととしています。また各世代に共通した能力開発基盤 を整理すべく、職業能力開発評価基準の整備、活用の促進を図ってまいります。  また、3頁の4つ目の◇は、2007年以降団塊の世代が定年を迎えるということで、熟 練技能者の技能が継承されなくなる恐れがあるという2007年問題ですが、中小企業等の 技能継承のための取組を推進するため、技能継承にかかる相談支援を新たに行ってまい ります。その下は「フリーター、ニート等若者の人間力の強化の推進」ですが、先ほど 骨太の方針のところでも申し上げましたとおり、若年者対策を政府全体として取り組ん でいるところです。厚生労働省としては、まずフリーターの増加傾向の転換を確かなも のとするため、本年度から行っているフリーター20万人常用雇用化プランを拡充しまし て、目標を25万人にまで引き上げることとしています。  4頁です。働く意欲が十分でないニートについては、新たに若者の置かれた状況に応 じた専門的な相談を行うとともに、地域の若者支援機関のネットワークを構築しまし て、その中核として各機関のサービスを効果的に受けられるようにするという、地域若 者サポートステーションを設置する事業を開始したいと考えています。  なお、フリーターの定義は従来、厚生労働省、内閣府で定義が異なっていることにつ いてのご意見が前回ありましたが、現在関係省庁と調整を行いまして、厚生労働省の定 義が政府の統一的な定義となっています。ただ、厚生労働省の定義のフリーターの人数 については、労働力調査を特別集計しないと出ないという問題がありまして、現在、総 務省統計局の研究会で特別集計をすることなく、フリーターの実態の把握が可能かどう かを検討されているところです。また、ニートの定義についても、厚生労働省における 定義が若者自立挑戦戦略会議で取りまとめられました若者自立挑戦プランにおいて用い られていますように、一応政府の統一的な定義となっていると認識をしています。この ニートの人数については現在においても、毎月の労働力調査において把握することが可 能となっています。  4頁の中段、「仕事と子育ての両立など仕事と生活のバランスのとれた働き方の実現 」です。少子化対策については、昨年末に取りまとめられた「子ども・子育て応援プラ ン」によりまして政府全体として取り組んでいますが、我が国の女性の就業状況を見る と、M字カーブに見られるように出産・子育てを機に労働市場から退出する方が多い状 況にあります。特に中小企業において、なかなか勤務を継続できずに離職するケースが 多くなっています。このような中小企業の実情を踏まえて、中小企業で働く労働者が安 心して子どもを持ち、働きながら子育てをすることができるように育児休業取得者、短 時間勤務制度の適用者等が初めて出た中小企業事業主に対する新たな助成金制度を創設 することとしています。さらに結婚、出産、子育てなどのライフサイクルの中で、女性 が意欲と能力を十分に発揮して働くことを可能とするため、マザーズハローワークにお いて地方公共団体等とも連携して、出産・育児で離職した者に対する再就職支援の充実 を図ることとしています。また、子育て女性の起業に着目した支援策の充実についても 図ることとしています。  5頁、「雇用のミスマッチの縮小のための雇用対策の推進」です。雇用のミスマッチ の縮小のため、雇用情勢が厳しい地域に重点化した形で雇用対策を実施するとともに、 成長分野における労働力の確保の推進、ハローワークのサービスの見直し・強化を図っ てまいります。そのほか、「福祉施策等と連携した職業的自立に向けた支援」、「国際 社会への対応」を図ることとしています。  資料3は、「分科会及び部会における検討状況について」です。まず、先の通常国会 に提出された法案の状況についてです。Iの「建設労働者の雇用の改善等に関する法律 の一部を改正する法律」については、7月8日に成立を見、9月21日に関係政省令要綱 について職業安定分科会において諮問答申を行っていまして、10月1日に施行する予定 です。IIの「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」については、 6月29日に成立を見まして、平成17年10月1日施行分の関係政省令案要綱については、 9月15日に障害者雇用分科会において諮問答申を行いました。また、平成18年4月施行 分の関係政省令案については、11月以降にご審議をいただく予定です。IIIの「労働安 全衛生法等の一部を改正する法律案」については、ご案内のように、8月の衆議院解散 に伴いまして廃案になりましたが、同内容の法案を明日9月30日に閣議決定をし、特別 国会に提出する予定です。  次期通常国会に向けた懸案事項です。まず、最低賃金制度の在り方については、労働 条件分科会最低賃金部会において、産業別最低賃金の見直し、地域別最低賃金の水準等 の見直しを含めた今後の最低賃金制度の在り方について、本年6月からご審議をいただ いています。職業能力開発施策の在り方については、職業能力開発分科会において、人 口減少時代の到来、ニート、フリーターの増加を背景とした若年者におけるキャリア形 成の問題、あるいは2007年問題を契機とした技能継承問題等に対応するため、各世代に 必要とされる職業能力の開発及び向上を促進するための今後の職業能力開発の在り方に ついて、本年7月からご審議をいただいています。  雇用均等政策の在り方については、雇用均等分科会において、妊娠・出産等を理由と する不利益取扱いの禁止、間接差別の禁止などを論点とした男女雇用機会均等の更なる 推進のための方策について、本年7月に中間取りまとめを出したところです。この中間 取りまとめを踏まえて、引き続きご審議をいただいています。以上、ご報告を終わりま す。 ○菅野会長  ただいまのご説明について、ご質問等がありましたらお願いします。 ○矢野委員  フリーターとニートの統計の扱いについては、関係省庁とも相談しながらお話を進め ていただいているようで、問題提起をした者としてお礼を申し上げたいと思います。定 期的な発表というのが大事だと思いますので、今後ともよろしくお願いします。 ○草野委員  もう何回も申し上げてきましたが、例の就職支援機構は概算要求の中で要求していた だいていると聞いていますが、私のところにも47の地方連合会から10何センチにわたる 報告書が来ていまして、全部逐一読んだわけではありませんが目を通して、非常にいい アイディアを新たに追加しながら機能してきていると思いますので、厳しい予算状況で はあろうかと思いますが、是非頑張っていただきたいと思います。以上です。 ○菅野会長  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、政省令及び次期通常国会 に向けた懸案事項については、それぞれの分科会で議論していただくことになりますの で、関係の分科会長をはじめ分科会の委員の皆様には、よろしくお願い申し上げます。  続いて、議論に入ります。前回、労働政策の課題についてご検討をいただきまして、 進め方も含め、たくさんのご意見をいただきました。本日は、今後の労働政策の方向性 の上で重要な2つの報告書が、7月と9月に相次いで発表されましたので、これらをめ ぐってそれぞれ議論をしていただければと思います。  まず、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告について」です。事務局か ら資料の説明をお願いします。 ○青木労働基準局長  資料5の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告書」についてご説明しま す。厚生労働省では平成15年の労働基準法改正に際して、衆参両院で附帯決議がなされ ました。それを踏まえて、昨年4月より会長でいらっしゃる菅野和夫先生に座長になっ ていただきまして、今後の労働契約法制の在り方に関する研究会を開催してまいりまし た。この研究会では、労働者が納得、安心して働ける環境づくり、あるいは今後の良好 な労使関係の形成といったことに資するよう、労働契約に関するルールの包括的な整理 ・整備を行って、その明確化を図るための検討を行っていただきました。  今年の4月には、その研究会における議論を一旦整理しまして、今後の更なる検討の 方向性を示すものとして「中間取りまとめ」が発表されました。その内容は、前回のこ の労働政策審議会においてご説明をして、ご議論をいただいたところです。その後、こ の中間取りまとめに対して広く国民からの意見を募りまして、557件の意見が寄せられ ました。その研究会では、この寄せられた意見も参考にしながらさらにご検討をいただ きました。今月の15日に報告書を取りまとめたところです。これについて、中間取りま とめから追加された点などを中心に、資料5−1の色刷りの1枚紙に沿ってご説明しま す。  まず、いちばん上の労働契約法の必要性に関する整理については、中間取りまとめと 概ね同様です。検討の背景として、近年の就業形態あるいは就業意識の多様化に伴う労 働条件決定の個別化の進展、経営環境の急激な変化、個別労働関係紛争の増加、集団的 労働条件決定システムの機能の相対的な低下が挙げられています。また、労働者の創造 的・専門的能力を発揮できる自律的な働き方に対応した労働時間法制の見直しの必要性 も指摘されています。  労使当事者が社会経済状況の変化に対応して、実質的に対等な立場で自主的に労働条 件を決定することを促進して、紛争の未然防止を図る。このために、労働契約に関する 公正かつ透明なルールを定める新たな法律としての労働契約法が必要とされています。 また、仮に労働時間法制の見直しを行う場合には、労使が労働契約の内容を実質的に対 等な立場で自主的に決定できるようにするための、労働契約法が不可欠となるとされて います。  2つ目の労働契約法の基本的考え方については、中間取りまとめ以降、労働契約法制 を構想するに当たっての基本的な考え方というのが新たに整理されました。報告書にお いては、労働契約法制を構想するに当たっては、労使自治を尊重しつつ労使間の実質的 対等性を確保すること、労働関係における公正さを確保すること、就業形態の多様化へ 対応すること、紛争の予防と紛争が発生した場合に対応することを基本的な考え方とし たとされています。  3つ目は労働契約法の性格です。労働契約法の基本的性格についても改めて整理が行 われまして、労働契約法は、労働契約に関して、労使当事者の対等な立場での自主的な 決定を促進する公正、透明な民事ルールを定めるものである。その基本的性格、役割が 労働基準法とは異なるということを明確にするために、労働基準法とは別の法律として 定めることが適当とされています。  4つ目は、労働契約法の具体的な内容です。労働条件の設定の運用状況を常時調査討 議をして、労働条件の決定に多様な労働者の意思を適正に反映させることができる常設 的な労使委員会制度の整備、それから、その委員会において使用者が労働条件の決定・ 変更について協議を行うことを促進することが提案されています。この労使委員会は、 設置を義務づけるものではありませんが、労使当事者が実質的に対等な立場で自主的な 決定を行うことができるようにすることに資するというものだということです。労使委 員会については中間取りまとめ以降、研究会でさらに議論を深めていただきまして、報 告書本文には、労使委員会が労働組合の団体交渉や労働協約の機能を阻害することがな いような仕組みとする必要がある、という趣旨の記述が追加されています。契約法の中 身の(2)(3)は、概ね中間取りまとめに沿った方向で報告書がまとめられていま す。  労働基準法の見直しについては、中間取りまとめと同様でありまして、例えば労働条 件明示や就業規則の記載事項の見直しなどについて提案がなされています。  報告書の概要は以上のとおりですが、私ども厚生労働省としては、労働環境を取り巻 く状況の変化や平成15年の労働基準法改正の際のこの労働政策審議会からの建議、その 際の衆参両院の附帯決議など、あるいはいま申し上げているこの研究会の報告書などが まとめられたことから、労働契約法制の在り方について、昨日、この労働政策審議会に 対して諮問を行ったところです。研究会においては法律的な観点からの検討を行ってい ただいたものですので、今後は労働条件分科会において、労働関係の実態を踏まえた具 体的な審議を行っていただきたいと思います。以上です。 ○菅野会長  それでは、ただいまご説明いただいた研究会報告に盛られている「今後の労働契約法 制の在り方」という課題についてのご意見、ご議論をいただきたいと思います。 ○丸山委員  労働条件分科会でこれからの取扱いについて検討するという話がございました。そこ で、いくつか意見と要望を申し上げておきたいと思います。  労働契約法は私ども労働組合法あるいは労働基準法と並びまして、我が国の労働法制 の柱になるのだろうと受け止めています。そのために労働契約法制の議論は十分な時間 をかけて、専門的かつ多面的にじっくりと検討できる体制で行うべきだと考えていま す。もとよりこの労働契約法制については、説明がございましたように、多様な雇用や 就労形態等の個別紛争が多発して跡を絶たないという実態から、必要な法制度であると 受け止めています。お話がありましたように、問題はやはり労使委員会の位置づけをど うするかとか、解雇の金銭解決などについて、非常に問題指摘が多いわけですので、そ ういう意味でも法制化を進めるに当たっては慎重に検討いただきたい、ということを1 つ申し上げておきたいと思います。  もう1つは、今後、労働条件分科会においてこの法制の在り方について審議をすると いう話ですので、公益委員として民法や民事訴訟法の専門家に複数入っていただくこと などを検討いただけないかと。それからもう1つは、弁護士も1人だけではなくて、労 働側、使用者側、そうした立場の弁護士にも参加をいただくなど、いわゆる分科会委員 を補強することによって進めるべきではないかと、このように思っています。  これから労働契約法を作るということであれば、審議会も本格的で、極めて専門的な 議論になるのだろうと思います。そういうことに耐えられるような装備というか体制を 整えていただくように要望を申し上げておきたいと思います。 ○加藤委員  いまもご指摘がありましたように、労使協議制の問題というのは、やはり労使委員会 の関係について慎重な検討をお願いしたいと思います。  改めて言うまでもありませんが、企業の労使関係の中で労使協議制の充実というの は、これからもますます重大な役割を持ってくると思います。単に賃金、労働時間、雇 用問題だけではなくて、従業員のキャリア形成などについて大きな影響力を持ってく る。ますます労使協議の整備ということが重要な課題になってくると思いますが、その 中でいま提案されている労使委員会との関係です。労使委員会は、いまのご説明でも大 変注意を払われて、労使が本当の対等の立場で物事を決めていくのだというお話がござ いましたけれども、労使委員会の中では、例えば労働条件の基本的な部分の変更につい ても、合理性が推定されるというようなことが言われています。仮にこの労働契約法が 制定されますと、いまのように設置は任意といっても、労使委員会が現在の労使協議制 に重大な影響を及ぼすものと考えています。  そのために法制化を進めるのであれば、いろいろな場面で指摘されていますが、委員 会の構成や決議要件などは、なるべく企業の自治に委ねさせていただきたいと思ってい ます。また、コストその他の理由から労使委員会を設置できない企業が、事実上不利な 取扱いを受けないようにしていただきたい。また、労使委員会が既存の労使協議制に与 える影響や、こんなことはないと思いますが、労働組合不要論に繋がるようなことがな いようにということも含めて、是非慎重な検討をお願いしたいと思っています。 ○矢野委員  取り上げられているテーマが大変幅広くて重いわけです。いままで論議されていたこ とで、積み残しだったテーマもあります。非常に包括的な内容のものだと思います。し たがって慎重に対応するのは大事なことだと思いますが、企業の立場からすると、これ だけ変化の大きい、多い、早い状況の中であまり時間を費やすというのも問題があっ て、やはりスピード感を持って論議を進めていくということが、どうしても大事なこと ではないかと思います。  メンバーについてのご意見もありましたが、そういう在り方も含めて、是非労働条件 分科会で委員の皆さんがしっかり論議して、今後の進め方、体制も含めて論議されたら よいのではないかと思っています。  具体的な内容については、いま労使委員会について加藤さんからお話がありましたけ れども、その他のエグゼンプションの問題など重要な問題について、その場でこれから 意見を述べていくようにしたいと思っています。 ○勝俣委員  労働契約法制と併せて、労働時間法制についても検討がなされており、労働基準法の 改正が予定されているということを伺っています。今日、ホワイトカラーにおいては、 労働時間に縛られない裁量性の高い多様な働き方が求められ、労働者、企業、双方のニ ーズに即した労働時間法制が必要な状況にあると存じます。ホワイトカラーの場合、仕 事の進め方や時間配分についての自立性を発揮し、創造的に物事を考え、高い付加価値 を生み出していくことが、我が国の競争力の強化と共に、労働者自身の働きがいにも繋 がっていくものと思います。  また処遇についても、労働時間の長さよりそれぞれの成果に応じたものがより適当で あると考えています。したがって、ホワイトカラーの働き方の特性を踏まえると、基本 的に現行の管理・監督者に加え、ホワイトカラーのうち仕事の専門性と時間管理の自己 裁量性が高いものについて、残業、休日、深夜等を労働時間規制の適用除外とすること が必要です。さらに仕事と生活の調和からも、このような新たな発想に基づく制度が、 多様な働き方に資するものと考えています。  以上のことは、本年6月に発表した日本経団連のホワイトカラーエグゼンプションに 関する提言においても主張しています。ホワイトカラーエグゼンプション制度が、今度 の労働基準法の改正において法制化されることを、是非ともお願いしたいと思います。 ○齋藤(朝)委員  まず、労働契約に関する法制というのは、労使の自主的な決定と、契約の自由原則を 最大限に尊重したものでなければいけないと思っています。  かつての工場法の時代の労働基準法というのは、やはり工場中心というか、今日の社 会情勢には相応しくない面も出ているように思うので、相応しいものを作っていく必要 があると思います。  それから労働契約に関するルールを整備する場合ですが、必ずしも新法によらなくて もいいのではないかと。労使の判断の参考になる目安であるべきでして、新たな紛争を 引き起こすことがないように、労使の自主性を尊重した、中小企業にもわかりやすいも の、あまり難しいと、使い勝手が悪いとわからなくなってしまいます。中小企業の方で もわかるようなものでなければいけないのではないかと思います。  特に1つ、解雇をめぐる事情ですが、これは企業のいろいろな業種その他によってか なり違っているので、法律で解雇の要件や手続を一律に規定してしまうと、あまり好ま しくないことが出てくるのではないかと存じます。 ○草野委員  1年半にわたって研究会で大変熱心な議論が行われたと聞いていますし、先頭に立っ てまとめられた菅野先生に敬意を表したいと思っています。  ただ途中、中間報告の段階でパブリックコメントを含めて、私どもも意見を出させて いただきましたが、残念ながら中間報告から最終報告に大きな変化がなかったという点 では、私どもは残念だと率直に思っている次第です。  また、JILPTのシンポジウムでも菅野先生とご一緒させていただきましたし、連 合のサマートップセミナーにも菅野先生に来ていただいて、ご講演あるいは質疑をさせ ていただきました。中身についてはいろいろあります。今日は中身のところについては 申し上げませんが、連合としては、労働契約法は必ず必要だという点では前から申し上 げているとおりです。すでに要綱も、少し粗々なものですが作っています。いま、それ に加えて連合のシンクタンクである連合総研のほうで、専門家の委員の方々にまとめを していただいているところで、来月にはその最終報告が出来上がるのではないかと思っ ています。  また、10月の労働法学会のメインテーマでも労働契約法が議論されると聞いていま す。その他側聞しますと、論文あるいはいろいろなところでも、シンポジウムなど労働 契約法に対する提言が相次いでいると思っています。  先ほど矢野専務のほうからもスピード感を持ってということで、私どももいたずらに 議論を長引かせればいいとは思っておりませんが、そういう様々な意見があるという意 味では、慎重な議論を是非お願いしたいと思っています。 ○小出委員  8頁の「労働組合の組織率が低下している」というのは、確かにそう言われれば組織 率は低下しているのですが、私が非常に気になっているのは、日本の労使関係というの は、要するに1つの企業としての労使関係で成長してきているので、単なる組織率その ものの組合員数だけをとって低下しているという判断でいいのかどうかです。  確かにそういう面では、ここ数年の間にリストラがかなり行われました。私に言わせ ると、大手・中堅企業のリストラで結果的に組合員数がかなり減っているということな のです。交渉単位からいくと、そんなに数は減ってないと私は思っているのです。した がって厚生労働省の調査のときに、常に組合数だけをとらえた調査結果を出しますが、 単組の交渉単位はどうなっているか、ここもきちんと見ておいていただきたい、こうい うデータも出していただきたい。  日本の中に、言ってみれば、私が調べた3年前は170万社くらいあったかな、このデ ータは定かではありませんが、その中で例えば50名以下の規模のところが圧倒的に多い のです。現実に100名以上の規模のところといったら、私の記憶だと10数万社で、いま 労働組合が組織化されている単組数といったら、おそらく7万から8万だと思います。 この数はそんなに変わってないと思いますよ。それがこの長期によると、結局、組織率 が低下して、集団的な労働条件決定システムの機能が相対的に低下してきていると。こ れを一刀両断で、こういう形でまとめていいのかどうかです。  それからもう1つは、逆にいうと、この間に何が起こったかといったら、言ってみれ ば解雇とか賃金カット。これに対して労働者が文句を言わないというのはおかしな話 で、だからその結果として個別紛争が起こっているというのは当たり前のことです。  ただ、ここにきて私は、リストラはある程度大きな山を越えただろうと思います。そ うすると、これから起こることが、さらに本当に起こるのかどうかです。こういうとこ ろもきちんと分析をしたデータを出していただきたいです。このように思います。ひと つよろしくお願いします。 ○諏訪委員  いま労使各側の委員の先生方から、大変活発なご議論をいただきました。そういうの を伺っていると、審議会の中でもそうですし、外でもこういう労働契約法制のような考 え方が必要だという気運は高まっているのだろうと思います。私は是非こういう気運 に、活発にそれぞれの方々がご議論くださいまして、いよいよ労働契約法制を作ってい くという方向に踏み出していただきたいと思っています。  その際に考えなければいけないことは、皆様ご存じのとおり、来年の4月1日から労 働審判制度がいよいよ始まります。労働審判制度は、こうした労働紛争に関する手続的 な解決のチャンネルがいよいよ整備されるという大事なときですが、こうした手続的な 法規はどこの国においても、実体的な法規、即ち判断の基準になる法規と、いわばカッ プルになって動いていくべきものでして、その意味では20世紀初頭にそうした制度を整 えてきた他の先進工業諸国に比べて、様々な事情で日本は違った歩みをこれまでしてき たわけです。しかしながら、もう言うまでもなく多様化、多元化していく社会の中で は、契約的な問題処理、とりわけ適切な基準と適切な運営というものが重要でして、そ の意味では是非慎重かつ適切な速度をもって、この議論を進めていただきたいと思って います。  そういう中では、少なくとも枠組みということでは、労使双方で相当程度意見が合う 部分もあるのではないかと思っているので、小さく産んでしっかり大きく育てるとい う、こういう姿勢でご議論をしていただければと願っています。 ○西村委員  労働条件分科会の座長をしている西村です。先ほど丸山委員がおっしゃったように、 労働契約法制というのは、成立すれば我が国の労働法制の柱になるような法律だろうと 思います。ただ、労働条件分科会は労働関係の実際といいますか、実務に通用している 労使の委員が公益委員以外におられるわけでして、ただいま伺った貴重なご意見を踏ま えて、まずは分科会で、先ほど諏訪委員がおっしゃったように、慎重かつ適切な速度を もってきっちり議論を行っていきたいと思っています。 ○菅野会長  よろしいでしょうか。それでは、いろいろと今後の議論の進め方、あるいは方向等に ついて大変貴重なご意見をいただいたので、そういったご意見を参考にして、分科会の ほうで議論を進めていただきたいと思います。  それでは次に、雇用政策研究会報告についての議論に移りたいと思います。事務局か ら資料の説明をお願いします。 ○鈴木職業安定局長  お手元の資料で、4−1から4−3までが関係の資料です。時間の関係で、資料4− 1でご説明いたします。  雇用政策研究会の報告、これは7月27日に公表されています。この研究会の報告の基 本的な考え方について申し上げますと、2007年に人口が減少に転じます。それから、団 塊の世代が60代に到達します。そういったことで我が国の経済社会が大きな転換点に差 し掛かっています。そうした状況に的確に対応した雇用・労働政策の方向性について、 昨年の秋以降、学識経験者の方々に集まっていただいて検討し、その検討がまとまった のがこの資料です。  概要の1頁ですが、「人口減少下における雇用・労働政策の課題」ということで、副 題が「すべての人が自律的に働くことができ、安心して生活できる社会を目指して」と なっています。構成が現状、今後四半世紀の展望、今後10年間に取り組むべき対策とな っています。  まず現状についてですが、左のほうに現状のいろいろな問題点、その結果としての動 向が右のほうに書いてあります。その現状を見ますと、企業行動と労働者の意識の変化 におけるずれがあるのではないか。例えば企業行動の変化としては、短期的な利益重視 の経営姿勢が強まってきていること、あるいは「正社員」比率の低下、外部人材の活用 の増加、あるいは教育訓練投資の減少。そういう企業行動の変化の中で、それでは労働 者の意識はどうなのかといいますと、働くことを希望する女性の増加、それから、依然 として「正社員」希望が多いのですが、一方で多様な働き方、仕事と生活の両立への希 望、そういった方向が出ている。そういう中で、先ほど言いました企業行動と労働者の 意識におけるずれが生じているのではないかと。  その結果として、このところの景気の回復に伴う雇用情勢の改善、企業収益の改善が 見られる一方で、若者、女性、高齢者などの就業機会の面での問題、あるいは「正社員 」以外での雇用の不安定化、それから教育訓練投資の減少というお話をしましたが、そ ういったことによる能力開発機会の減少、あるいは、処遇の面だけではなくて労働時間 等様々な面での格差の拡大、そういった問題があって、労働者の意欲と能力が十分活か されない現状があるのではないか、という現状の整理をしています。  そうした現状があることを前提に、今後四半世紀の展望です。最初にも言いました が、2007年には人口減少社会が到来します。それから、今後10年程度で、団塊世代が65 歳に到達して引退過程に入る。そういう中で、今のままの状態を放置しておけば、ここ の左のほうの2番目にあるように社会を支える者が減ってきます。それから、人材の質 の低下、格差が拡大して将来に希望が持てないということによる、社会の不安定化ある いは少子化の進行、そういったことが生じて、結果として経済社会の停滞が生じてしま うのではないか。  そうした経済社会の停滞を避けるために、右側のほうにありますが、すべての人が、 意欲と能力を発揮できる就業機会を持つ、能力を高める機会を持つ、安心・公正に働け る、労働以外の生活も充実できる、そういった社会の実現を目指すべきであります。そ のために、そうしたことが可能となるような政策、それとあいまって適切な経済政策、 こういったものを行うことによって、人口減少下においても活力ある経済社会を実現し ようとしております。  今後四半世紀の展望の考え方が2頁目にあります。「労働力人口の見通し」というこ とで、今後四半世紀、何もしないで放置した場合、適切な政策をとった場合の2つのシ ナリオを比較したものを、労働力等の観点から推定しています。いちばん左が2004年の 実績で、総人口の中で労働力人口が6,642万人。この2004年の実態が、これからどうなる かというのを、2015年、2030年の両方で見ています。労働市場への参加が進まないケー スと、労働市場への参加が進むケース、この2つに分けています。この労働市場への参 加が進まないケースというのは、性別、年齢別の労働力率が現状のままで留まっている ケースであるが、そうした場合には人口の減少、あるいは人口構成の変化がありますか ら、そのままの場合ですと約410万人、労働力人口が減ってくる。それから、また2030 年には約1,050万人減ってくる。  一方、先ほど言いました各種の適切な政策をとることによって労働市場への参加が進 むケースでは、例えばここに書いてありますが、高齢者への就業支援で50万人、あるい は仕事と家庭の両立支援等で170万人、若者への就業支援で80万人、労働力人口が労働 市場への参加が進まないケースを上回り、それから2030年にかけては、それぞれ右のほ うにあるような数字になっています。そうした適切な政策を打つことによって、労働力 人口の減少が、例えば2015年では300万人増やすことによって、約110万人の減少になっ てくる。それから2030年では510万人増加によって、約530万人の減少になるということ で、人口減少のインパクトがかなりの程度緩和されると指摘しています。  確かにどういうケースをとっても人口が減ってくる中で労働力人口は減少するわけで すが、労働市場への参加が進むケースについて、労働者の意欲と能力が十分に活かされ るということになると、現在以上に生産性の向上が図れるということになりまして、そ ういったことを前提に考えると、活力ある経済社会の実現というのは、人口減少下にお いても可能だという指摘をしています。  また、そうした四半世紀の展望を踏まえて、今後10年程度の間にどういった施策を打 つべきか、というのを1頁のいちばん下に書いています。下に四角で囲ってあります が、団塊の世代が引退を迎えるまでの今後10年間に必要な対策を打っていくのが鍵だと いうことで、この「今後10年間」という考え方をしています。  取り組むべき対策の柱として、1つは供給サイドの対策として、第1の柱として、 「すべての人々が高い意欲と能力をもって様々な就業機会へ挑戦できるための支援」と いうことで、若者・女性・高齢者をはじめ、ライフステージの各段階に応じた就業機会 の拡大、各世代の特性に応じた効果的な職業能力の開発・向上。それから、地域にかか わりなく就業し、能力を発揮できるための雇用創出、人材育成。そういった第1の柱と 同時に、第1の柱の施策によって挑戦しようとする人々に向けて、そういった人材の確 保・育成というのが第2の柱で、その右側になります。いわば、需要サイドの施策で す。  ここでは、性・年齢等にかかわらず、意欲と能力に応じて処遇し、育成する取組の推 進、産業の高付加価値化に貢献できる人材、あるいは高齢化が進行する中での必要なサ ービス提供のための人材の育成・確保に向けた取組。希望すれば非正社員から正社員へ の移行が可能となるような環境整備。育児・介護や社会活動に柔軟に対応することがで きるような働き方。それから、中小企業等における技能継承。そういった需要サイドの 施策を打つ必要があります。  第1、第2の柱と同時に、第3の柱としては、労働者が安心・公正に働くことができ るルール・システムということで、多様な就業形態に対応した労働関係法制あるいは社 会保険制度の整備。それから、働き方にかかわらない、職務、能力と労働時間等に応じ た処遇等のルールの確立。労働力需給調整機能の強化。そういった3本の柱に沿った必 要な対策を講じるべきということで、これについて具体的に3頁に、1から10までの対 策の細かい点が書いてあります。これについては時間の関係で省略したいと思います。  その中で、第1の柱の下の最初のところで、ライフステージの各段階に応じた就業機 会の拡大、ここに「就業を重視した政策の展開」と書いてありますが、これまで雇用対 策の中では、失業をいかに減らすかという点がいちばん重要な課題として掲げられてお りました。今後の人口減少社会の中でも、そういった点はもちろん従来どおり重要で す。ただ、それと併せて、やはり人口減少下で、より多くの者が社会を支えるという観 点から、国民1人1人の現実の労働への参加を表す指標である就業率、そういったもの も重視しながら、対策を進めていってはどうかという指摘です。  今般、こうした雇用政策研究会の報告をまとめていただきましたので、これからこの 報告に沿って必要な対策を講じていきたいと考えておりますし、可能なものについて は、平成18年度の概算要求の説明がありましたが、そこにも必要なものは盛り込んでお ります。  これから、この報告に基づき、またいろいろご意見をいただきながら、必要な対策を 打っていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 ○菅野会長  それではただいまご説明をいただきました研究会報告の中身である、「人口減少化に おける雇用労働システムの課題」について、ご意見をいただきたいと思います。 ○柴田委員  いまご説明いただいた雇用の労働行政に関して、経済界として、意見を2、3述べさ せていただきたいと思います。まず1つは、若年者の雇用の問題ですが、これは今月、 我々経団連の奥田会長が議長を務めます、「若者の人間力を高めるための国民会議」と いうものが開催されまして、「若者の人間力を高めるための国民宣言」というものが発 表されました。今後こういう国民宣言について、当然のことながら、厚労省以下、皆さ んを含めて、国民的な運動が推進されると伺っておりますが、運動がイベントだけに終 わらないようにするために、どういうことをしたらよいかという、具体的なことをみん なで考えて実行していくことが必要だと考えております。  産業界としても、例えば、我々がいろいろな学校に講師として出かけて行って講演を する、話をする、あるいはインターンシップを積極的に受け入れるといったような問題 に、若者が社会人として巣立つためのいろいろな、ここに書かれているような支援活動 を是非やっていきたいということで、私が委員長をしております経営労働政策委員会の 報告書を、今年暮れまでに来年に向けて作ろうということで検討しておりますが、その 中に、非常に重要な1つのアイテムということで取り上げようと考えております。  各地の経営者団体が、行政のパートナーということで、いろいろな政府の政策に対す る施策に協力させていただいているわけですが、こういった政策の中に、新しい政策 も、いま申し上げたように、いろいろなことが提案されていますが、費用対効果とか、 地域の実情に合わせた取組とする柔軟な対応ということと、もう1つは、従来ある制度 を、また違った、これは省単位の考え方があって、同じような政策をまた地方でやりた いというようなこともありまして、いずれの場合も、地方の経営者協会を中心とする団 体に、そういう話がきているので、その辺について、1度よく整合と大胆な見直しをと っていただく必要があるのではないかと考えております。  2番目に、高齢者雇用の問題ですが、たしか来年の4月1日から、高齢者の雇用安定 法の改正がなりまして、65歳までの高年齢者の雇用確保措置の導入が義務化されるわけ ですが、継続雇用後の仕事の内容、あるいは労働条件の在り方、あるいは対象者選定の 基準などについて、それぞれの労使で、これは連合さんも同じですが、いろいろ話合い をしている最中です。それぞれ各社に応じた実務的な制度の構築をしている最中です が、こういった問題は、法令遵守という側面だけではなくて、先ほどお話のあった2007 年問題で、団塊の世代が当然のことながら定年を迎えて、大量退職が始まりまして、そ の現場力であり、あるいは技能の伝承といった面で、日本が最も得意としてきたものづ くりの現場をもう一度再構築するという問題は非常に重要だと、我々経済界も感じてお ります。  そういう高い能力と意欲を持つ高齢者を活用して、若い世代への技能伝承を図って、 もう一度日本の強い国際競争力を取り戻したいということで、個別の工夫をするため に、いろいろ政策を考えておりますので、この辺については、よくその辺を我々も行政 指導に当たりまして、個別の労使の自主的な取組を十分に尊重していただきたい、とい うふうにお願いをさせていただきたいと思います。  最後に1点、外国人労働者問題で、いま鈴木局長さんからお話のありました、3頁の 7に書いてあります「外国人労働者」の問題ですが、この問題については、日本という 国は、いま「内なる国際化」という言い方がよいのではないかと思っているのですが、 FDI、つまり外国の企業がもう少し日本に来て投資をして、それに伴う活性化という FDIということを、これは小泉さん以下、それぞれ目標を掲げてやっている最中です が、我々経団連としても、外国人、特に労働者だけではなく、いわゆる質の高い外国人 が日本に来て、住んで、働いてみたいという日本を構築するためには、いろいろな各種 の法制の整備が必要です。  大体先進国の中で、移民法をもっていない国は本当に数少ないのですが、日本はその 1つですし、いろいろな意味の各種の総合的な法制の整備は非常に重要で、この問題に ついては、我々経団連も強く提唱していきたいと思いますので、厚生労働省におかれて も、この外国人労働者問題については、国としての総合的な体制というか、法整備の充 実と整備について、是非前向きにご検討願いたいということでございます。 ○林(誠)委員  いま大変魅力的な副題が付いております。「すべての人が自律的に働くことができ、 安心して生活できる社会を目指して」という、タイトルとして、私は大変魅力を感じる 政策研究会報告だと思っております。そして、先ほどの要約された4−1の資料では、 十分見えなかったものですが、4−3にいって、6頁から12頁あたりまでについての日 本の男女労働者の現状の認識については、私も大変共感することがございます。妊娠や 出産・育児をしながら女性が働き続けることが大変困難であるという状況などが述べら れておりますし、また、若い世代の人たちが大変な長時間労働のために、子供を産むと か育てるということに積極的にかかわれないという指摘などもされておりまして、その 点については、私は大変共感をしております。  また13頁で、「目指すべき社会」というあたりについても、現状から考えて、もっと 日本人が労働以外の生活も充実できるような社会にしなければならないという記述につ いては、私も全くそのとおりだと思うわけです。  ところが、26頁の(9)に、ワークライフバランスの記述がございます。そこを見る と、一見、そういう現状を変えていこうということが示されているようにも見えるわけ です。ところが、その(9)の下から6行目のところに、「自律的な選択が行えるよう にするとの観点から」の次に、「労働時間規制を厳しくすべき者と受けない者とを明確 に区分し」という表現があります。もう1つは、「労働時間をはじめ労働条件全般につ いての環境整備を行う」というところに、「特に、子育ての期間については、長時間労 働を避けることができる労働時間管理を行う」といったまとめが出されているわけで す。  私は、この点については、大変な違和感を感じて読みました。13頁までと、ここに出 てくることとの違和感です。まず1つ目の、「労働時間規制を厳しくすべき者と受けな い者とを明確に区分し」というところに、厳しくすべき者は極めて少なく、受けない者 を明確にしながら、そこがうんと増加していく社会が予想されるときに、掲げた自律的 で安心・安全に暮らせるようにという思いとは裏腹の現実が生まれるのではないか。そ のことと、先ほど、労働契約法制の中で提案された、労働者の自律的な働き方に対応す るための労働時間法制の見直しを検討するということとが連動し、働く人にとっては、 この表題とは違った現実が前にあるような気がしてならないわけです。このことについ て、やはり現状認識と描く社会の姿との中で、具体的な政策になると、極めて暗いもの を感じます。  また、「子育て期については特に労働時間管理をする」と書いてありますが、子育て 期だけ労働時間を、長時間労働をなくすというふうな主張では、我々の世代が過ちを犯 してきたような、お金はあっても暮らしの質は豊かでなかったという、暮らしの質、地 域や家族の人間関係の質、そういったものは、この主張で変えることはできないのでは ないかという不安を強く感じて読みました。  次の世代が求めていることは、私は地方にもたびたび出向きますが、やはり最も働き がいをもって、しかし、この報告書が求めているように、労働以外のことにも強い関心 をもって、バランスのある暮らしをしたいという、30代、40代の世代がたくさんいま す。そういった世代の声を、私どもはもっと大事にして政策を考えていかなければなら ない。負の遺産を我々世代が残していくことはできないのではないかと思います。  ここに記述された、たった2つの点ですが、これが自律的に働くという、バラ色のよ うに書かれながら、全く選択の余地がない、そこに追い込まれてしまう人々を、たくさ んつくっていくという施策につながりはしないかという、大変な危惧を感じております ので、今後の分科会において、考えられるときには、その点についての十分な配慮をし て、現実と求めるものはすばらしいけれども、その間をつなぐ政策が、本当にそのよう なものを実現することにつながるのかを、慎重に検討していただきたいということを述 べておきたいと思います。 ○諏訪委員  ただいま林委員がおっしゃられたことは、大変貴重なご意見だと思いますが、私もこ の研究会のメンバーでしたので、随分信頼されていないなという気にもなります。つま り、総論で立派なことを言っておきながら、実際にはひどいことをやろうとしているの ではないか、何だか分裂気味の主張をしているではないか、それでは世の中悪くなるば かりだ、というような趣旨ではないだろうと思うのですが、全くそういう趣旨ではござ いません。  例えば「労働時間規制を厳しくすべき者と受けない者とを明確に区分し、それぞれの 労働条件と処遇が均衡のとれたものとなるよう、労働時間をはじめ労働条件全般につい ての環境整備を行う」というのは、どういう意味かと申しますと、それは例えば、管理 職の場合がそうですが、適用除外になっているような者と、それから管理職でない者、 そして労働時間の規制を受けているような者、こういう人たちが、現状でもいるわけで すが、管理職でないような者に対しても、いわゆるサービス残業みたいな形で、無限定 な働き方がなされているような在り方、そうしたものはおかしいではないかという、そ ういう意味がここには含まれているわけです。読み方を、ある一面から見れば、ああ、 なるほどそう読めるんだなとは思いましたが、別の面から読みますと、そのような意味 でございまして、いずれの国においても、ここら辺に関しての線引きはしっかりと行っ て、厳しく時間規制をかけるべき部分についてはかけていく。  しかしながら他方で、時間規制というものが必ずしも現実に合わなくなっているよう な場合には、別途の方式を考えるということでございまして、別途の方式を考えるのは すべていけないというなら別ですが、その点は、必ずしもそうではないだろうと思いま す。そのような趣旨でございます。  もう1点、「特に、子育ての期間については、長時間労働を避けることができる労働 時間管理を行う」というのは、子育て期以外は、長時間労働をさせていいという意味で はありません。「特に」というところがミソでして、いま申し上げたように、労働時間 規制その他に関しての適正な対応が必要である。ワークライフバランスというものは、 まさしく林委員がおっしゃるとおりで、私どもは何のために豊かさを求めているのかと いったら、二度とない人生をきちんと送っていくということでございまして、そのよう に考えますと、いたずらな長時間労働のようなものを避けるべきことは当然ですが、と りわけ子育て期の場合には、そこにプラスして特別な配慮が必要だと、そういう意味で これは書かせていただいたつもりですので、是非よろしくお願いしたいと思っておりま す。 ○林(誠)委員  研究会のメンバーのご意見として、大変ありがたくお聞きしました。ただ、契約法と の関係でいうならば、この労働時間法制というのは危惧することがありますので、いま 先生のほうからおっしゃっていただいたような趣旨のことが、ホワイトカラーエグゼン プションなどの検討の中で、本当に有効に反映されることを心から願っております。 ○井手委員  企業における女性の活用に関して意見を1つ言わせていただきたいのですが。最近新 聞等でも、企業の中で女性の能力開発とか、あるいは女性の活躍を進めるための特別な 組織を立ち上げている動きなどが出てきております。また、企業横断的に、そうした担 当の方々が意見交換をするというような動きも出てまいりました。私も、そうした勉強 会にも属しているのですが、そういう中で感じるのは、業種業態、あるいはその企業が 伸ばしていこうとする分野、あるいは現在の女性活用の段階、女性社員の比率とか管理 職に占める女性の比率など、非常にさまざまでして、それぞれが意見交換をしながら、 自分の企業にとってどういう方法が、女性の能力の開発に最も適しているかということ を探っているところであると思います。  ですから、ポジティブ・アクションというものは非常に必要だと思うのですが、画一 的に、こうせねばならぬということは、なかなか難しいところで、女性も含めた人材活 用は、その企業の戦略という形になると思いますので、ワークライフバランスも含め て、就業を中断せずに能力を発揮してもらうというのは、先ほどから出ている、労働力 が減っていく中で、どの企業も危機感としてはもっているものだと思いますが、それに どういうふうに取り組んでいくかというのは、それぞれの企業がさまざまに行っていく という点が重要ではないかと思います。 ○笹岡委員  資料4−1の中にもありますが、統計と発表する時期の問題だと思うのです。「人口 減少化における雇用・労働政策の課題」という中で、今後四半世紀の展望に「2007年に は人口減少社会が到来する」と書いてあります。確かに2002年の統計資料を使っていま すので、この段階ではそうかもしれませんが、現状は、2005年から四半世紀の中で、も う2年も狂ってしまっているわけです。2005年には、今年から減少が始まっているとい うことなのですが、このときに、7月17日の段階であればよかったのかもしれません が、今日あたりになると、2年間も違っていて、そんなのんきでいいのかなという感じ がするのですが、その辺はどのように受け止めたらよろしいでしょうか。 ○鈴木職業安定局長  いま何点かいろいろございましたので。先ほど、若年者の問題で、国民会議で宣言を 出して、これから国民運動をしようということでやっていくのだけれども、単なるイベ ントに終らないようにするための方策というお話がございました。これについては、各 界各層の方々に、これからいろいろ行動していただくに当たって、また、これからいろ いろ各団体等ともご相談しながら、イベントに終わらないようにやっていきたいと考え ております。  また、高齢者雇用についても、これから半年間が正念場ですので、これから半年の間 に、各企業にちゃんと体制を整えていただく。そのために、これからお願いに回るとい うことを精力的に行おうと思いますが、その中で、いろいろやはり具体的にどうしたら いいかとか、悩みといったものがあれば、そういった相談にも応じるし、それぞれ現場 現場で具体的に努力している、そういった努力をうまく活用するような方向でまたお願 いしたいと考えております。  統計データの問題については、男性と女性でちょっと違いますが、最近の統計等もあ りまして、どちらにしても時期が若干早まるとか、いろいろな要素があります。大きな 方向として、この時点での必要な統計を使った形での分析というのは、こういう形でや ったもので、大きな方向性としては、特段の問題はないのではなかろうかと思っていま すが、できるだけ今後もそういった面はフォローしていきたいと思います。 ○草野委員  もう時間もないようですから、簡単にしたいと思います。現状分析とか基本的な方向 については、まだざっとしか見ておりませんけれども、認識としては共通する認識が多 いのではないかと思っています。先ほど、前のセッションでも出たのですが、どう読ん でも、多分ホワイトカラーエグゼンプションのことを言っているのだなと読めるところ もありますし、あるいは有期契約期限の上限を延長するというような話も見えてくるわ けでして、こういうところになると、やはりちょっと我々とはスタンスが違うなと思い ます。  連合としては、今年アメリカにホワイトカラーエグゼンプションの調査チームを出し て、レポートもまとめておりまして、これを公表しておりますが、アメリカのホワイト カラーエグゼンプションを単純に導入するには、全く素地が違うということも、少し議 論していかなければいけないのではないかと思っています。  それから余談のようですが、ちょっと正確な数字は覚えていませんが、堺屋太一さん が、最近、週刊誌で話しておられることで、テーマは「騙されるな財務省に」というこ とで、「増税が必要なんて全く嘘だ」というのがテーマですから、ここのテーマとは関 係ないのですが、そういう中で、生産年齢人口は、いまもって15歳から65歳と。いま15 歳で働いている人はどこにいるのだと。江戸時代の、人生50年の時代で45歳まで働いて いた、平均寿命が60歳代のときでも、定年は55歳だった。いまは人生80年時代だった ら、70まで働いて当たり前ではないかと。これは私が言っているのではなくて、堺屋太 一さんがそう言っていたということなのですが、いずれにしても、やはり高齢者の活用 をもっともっと進めていかないといけないという、そういう意味では、認識的には同じ だろうと思います。  ただ問題は、非典型労働者、パート、有期、派遣、契約社員がこれだけ増えてきた社 会というのが、このままでいいかどうかということは、やはり1つの認識をもっておか なければいけないだろうと思います。一昨日も、日本経団連さんと、朝、首脳懇談会を やったのですが、その中でもやはり、非典型労働者とのコミュニケーションをどうして いくのかということは、経営側としても非常に重要な認識をもっておられますし、そこ にどう教育研修をしていくかということは、安全面でも品質面でも技能の伝承の面で も、非常に大きなポイントになってくるのではないかということが言われておりました し、私どもも全く同じ認識をもっております。  そういう意味では、やはり均等待遇というところに踏み込んでいかざるを得ないので はないかと思っております。  それと同時に、厚生労働省のマターですので、社会保障の担い手として、どういうふ うに位置づけていくかということも、やはり議論を避けて通るわけにはいかないのでは ないかと思っております。 ○内海委員  先ほどご報告の中にもありました、労働条件分科会最低賃金部会で議論されている、 最低賃金制度の見直しに関連して、一言申し上げたいと思います。  昨年3月に閣議決定いたしました、規制改革民間開放推進3カ年計画の中に、また今 年3月には、同3カ年計画の改定が閣議決定されましたが、その中においても、産業別 最低賃金制度の在り方を、廃止も含めた在り方を検討する旨の指摘がなされておりま す。  皆さんご承知のように、現在の日本の最低賃金制度は、地域別と産業別の大きく2つ から成り立っておりますが、この最低賃金制度の役割を改めて考えてみると、すべての 労働者を不当に低い賃金から保護する安全網として機能するということでありますの で、この役割は、すべての労働者を対象としております地域別最低賃金によって十分に 果たされていると考えております。  地域別最低賃金は、地方最低賃金審議会において、都道府県ごとに、公労使三者が、 地域の特性や実態などを十分踏まえて決定しているものでございます。このような決定 のプロセスを考えてみても、地域別最低賃金のもつ意味の重さを労使双方が改めて認識 すべきではないかと思っております。現在は、地域別最低賃金に屋上屋を架す形で、産 業別最低賃金が別途設定されておりますが、その必要性は認められないのではないかと 考える次第でございます。  世の中、経済のグローバル化の急速な進展の下で、日本の企業は世界各国の企業との 厳しい国際競争の渦の中で日々闘っているわけでありまして、いまや国際競争力の維持 ・強化を図ることができるかどうかということが、企業と従業員の未来、さらには日本 の産業の未来を大きく左右するとも言われております。  このような状況の下において、日本の産業の中心的な役割を担っております、ものづ くり産業に、この産業別最低賃金が数多く設定されていて、このことが日本企業の国際 競争力の維持・強化の妨げではないかと危惧するところですし、また、規制改革という 流れからみても、違和感を覚えるところであります。  現在、議論を行っている最低賃金部会に大きな期待を寄せているところでして、現在 にふさわしい最低賃金制度となりますよう、よろしくご議論のほどお願い申し上げま す。 ○草野委員  多くは言いませんが、公式の場ですから、言われてこっちが黙っていると問題になり ますので、最低賃金問題については、全く違う考えをもっているということだけ申し上 げておきたいと思います。 ○矢野委員  あまり時間がなくなりましたので、その他のところで申し上げようと思ったのです が、その他の時間がなさそうなので、一言。本当は第1セッションで申し上げるべきこ とだったのですが、アスベストの問題について、私どものいまの取組を含めてご報告し たいと思います。  この問題は、産業界としても、今後新たなばく露による健康被害が生じないように、 万全の防止対策に取り組んでいく必要があると思っています。日本経団連としては、奥 田会長の名前で、8月2日に、すべての会員企業に対して、石綿による健康障害防止対 策の徹底をお願いしたところでございます。  今後の課題としては、石綿製品の代替化促進や、無害化技術の開発などが挙げられる と思います。また、国民の不安感を一刻も早く払拭するために、石綿疾病に対する有効 な診断治療法が早期に開発されるよう、国内外のネットワークも駆使して、政府全体と して早急に取り組むべきであると思っております。  日本経団連としましては、今後の検討の進捗状況を見守りながら、各業界・企業等の 意見も踏まえて、産業界としての意見を適宜発言してまいりたいと考えております。政 策決定プロセスの点では、是非これを明らかにして、関係者との意見交換を十分に行 い、よく議論して、十分なコンセンサスを得た上で制度設計をすることが大事な点では ないかと思っております。因果関係の問題、救済制度の対象者、対象疾病、給付内容、 給付の財源等の在り方については、十分かつ慎重な検討が必要であると思っておりま す。  当面、私どもが考えておりますことをご披露した次第でございます。 ○菅野会長  そろそろ時間になるのですが、ほかにご発言ございませんでしょうか。よろしゅうご ざいますでしょうか。それでは、本日は時間がまいりましたので、このあたりで閉会と させていただきたいと思います。本日のご議論を踏まえまして、各分科会の担当分野に かかわるものにつきましては、各分科会でご検討いただくよう、関係分科会長はじめ、 分科会委員の皆様にはよろしくお願い申し上げます。  本日の会議に関する議事録につきましては、当審議会の運営規程第6条により、会長 のほかに2人の委員に署名をいただくことになっております。つきましては、岡本委 員、井手委員に、署名人になっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたし ます。  本日の会議は以上で終了いたします。お忙しい中、どうもありがとうございました。 照会先 政策統括官付労働政策担当参事官室 総務係 内線7717