05/09/15 労働政策審議会第１８回障害者雇用分科会議事録


　　　　　　 第18回　労働政策審議会障害者雇用分科会議事録

１　日時
　　平成１７年９月１５日（木）　１０：００～１２：３０

２　場所
　　厚生労働省共用第７会議室（５階）
　　東京都千代田区霞が関１－２－２　中央合同庁舎第５号館

３　出席者
　　○　委員
　　（公益代表）　　今野委員、岩村委員、佐藤（德）委員、寺山委員、松矢委員
　　（労働者代表）　小栗委員、長谷川委員、原委員　
　　（使用者代表）　江口委員、加子委員、西嶋委員、輪島委員
　　（障害者代表）　笹川委員、副島委員、舘委員
　　○　事務局
　　　　鳥生高齢・障害者雇用対策部長、八田企画課長、土屋障害者雇用対策課長
　　　　深田障害者雇用対策課調査官、白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官

４　議題
(1)　障害者の雇用の促進等に関する法律の改正について（報告）
(2)　障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について
　　 (諮問）
(3)　プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン（案）について(報告)

５　配布資料
　　資料１－１　　障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律概要
　　資料１－２　　障害者雇用促進法の改正の概要
　　資料１－３　　障害者雇用促進法の一部改正法案の国会における審議状況等につい
　　　　　　　　　て
　　資料１－４　　障害者雇用促進法改正法の施行に伴う主な政省令改正事項
　　資料１－５　　労働政策審議会障害者雇用分科会スケジュール（案）
　　資料２―１　　障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令
　　　　　　　　　案要綱について（諮問文）
　　資料２－２　　助成金制度の見直しについて（案）
　　資料３－１　　プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの策定に
　　　　　　　　　 ついて
　　資料３－２　　プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン概要（案）
　　資料３－３　　プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン（案）
　　参考資料　　　平成１８年度障害者雇用施策関係予算概算要求の主要事項

６　議事経緯

○障害者雇用対策課長
　それでは、添田委員がちょっと遅れておられますが、定足数には達しておりますの
で、ただ今より第18回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたしたいと思います。
私は障害者雇用対策課長の土屋でございます。よろしくお願いいたします。委員のの皆
様方にはお忙しいところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日は委
員改選後の初めての分科会となっておりますので、議事に入ります前に分科会委員の交
代のご報告などを行わせていただきたいと思います。お手元に資料として、労働政策審
議会障害者雇用分科会委員名簿を配布させていただいております。この名簿の順に、新
しく委員にご就任された方々をご紹介いたします。
　まず、公益代表の学習院大学経済学部経営学科教授の今野浩一郎様でございます。続
きまして、東京大学大学院法学・政治学研究科教授の岩村正彦様でございます。続きま
して、使用者代表の株式会社日立製作所労政人事部長の加子茂様でございます。続きま
して、ＹＫＫ六甲株式会社代表取締役社長の江口敬一様でございます。続きまして、障
害者代表の社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会副理事長の副島宏克様でございます。
よろしくお願いいたします。
　なお、事務局につきましても異動がございましたのでご紹介申し上げます。まず、高
齢・障害者雇用対策部長の鳥生でございます。企画課長の八田でございます。障害者雇
用対策課調査官の深田でございます。同じく障対課の主任障害者雇用専門官の白兼でご
ざいます。どうぞよろしくお願いいたします。
　続きまして、本日の議題に入る前に、当分科会の分科会長の選出についてご説明させ
ていただきます。お手元の資料の労働政策審議会令第6条第6項に規定されております通
り、分科会長は分科会に属する公益を代表する労働政策審議会委員のうちから選出する
ということになっております。本分科会の公益を代表する本審の委員でいらつしゃるの
は今野委員のみでございますので、今野委員に分科会長にご就任をお願いいたしたいと
存じますが、いかがでしょうか。（「異議なし。」）意義がございませんようですの
で、分科会長に今野委員にご就任いただきたいと存じます。以後、分科会長に進行をお
願いいたしたいと思います。今野分科会長よろしくお願い申し上げます。

○会長
　どうぞよろしくお願いします。それでは、早速でございますが、まず分科会長代理を
選任させていただきたいと思います。労政審議会令第6条第8項の規程によりますと、分
科会長代理は公益を代表する委員または臨時委員のうちから、分科会長が指名すること
になっております。従いまして、私の方から指名をさせていただければと思います。分
科会長代理には、これまでも代理を務めていただきました佐藤德太郎委員を指名させて
いただこうと思いますが、いかがでございますでしょうか。（「異議なし。」）よろし
いですか。ありがとうございました。それでは、よろしくお願いします。
　それでは、佐藤委員に代理をお願いするということにいたします。では、議事に入り
たいと思います。まず、お手元の議事次第にありますように、第一番目の障害者の雇用
の促進等に関する法律の改正について報告をしていただきたいと思います。それでは、
事務局からお願いします。

○障害者雇用対策課長
　それでは、私から報告をさせていただきます。障害者雇用促進法の一部改正につきま
しては、昨年秋からこの分科会でご議論を重ねていただきまして、年末に審議会の意見
書という形でご提言をいただきました。その後、1月には法案の要綱を諮問申し上げまし
て、答申をいただいたということで、そういった流れの中で、この通常国会でご審議を
いただきまして、6月29日に成立をさせていただいたところでございます。まずもって、
この改正法がこういった形で無事に成立いたしましたことにつきまして、分科会の皆様
方にも御礼を申し上げたいと思います。そこで、この改正に関する資料も添付申し上げ
てございますので、これに沿いまして法改正に関する経緯等を一言ご報告申し上げたい
と思います。
　まず、資料の１の１に法改正の中身を一枚で概略を説明した資料がございます。この
分科会でご議論いただいた通りでございますが、今回の法改正につきましては、三つの
柱を立てて改正をさせていただいたところでございます。
　一つは、精神障害者に対する雇用対策の強化ということで、精神障害者に対して雇用
率の制度の適用の対象とする。その際には、手帳所持者を対象とする。それから、短時
間についても、0．5人という特例的なカウントを設ける。というような制度を新たに設
けたところでございます。また、同様に、雇用納付金制度でも精神障害者を対象とする
という形にしてございます。
　もう一つは、在宅就業支援の新しい仕組みの創設でございます。自宅などで就業する
障害者の方に仕事を発注する事業主に対する特例調整金、特例報奨金といったような発
注奨励の仕組みを作る。併せて在宅就業の障害者の方々に対する支援を行っている団
体、これを厚生労働大臣の登録というような形で位置づけまして、こういった団体を介
して仕事を発注する場合についても、同様に扱うというような制度を新たに設けさせて
いただいたところでございます。
　それから、三番目の柱といたしましては、障害者福祉施策との有機的な連携というこ
とで、法律の中に、国、地方公共団体が政策に取り組む前提といたしまして、障害者福
祉施策の有機的な連携を図るということを明確に書かせていただいたというところでご
ざいます。併せて、その他として、ジョブコーチ助成金の創設、特例子会社に対する調
整金、報奨金の支給といったような所要の改正を行わせていただいております。
　後ほどご説明はいたしますが、施行期日は来年4月1日が原則でございまして、一部は
この10月1日ということを予定しているといった内容になってございます。
　次の資料１の２は、さらに今申し上げた点をもう少し具体的に、普及版のような形で
申し上げているものでございますので、後ほどお目通しをいただければと思います。
　次に、資料１の３に沿いまして、国会での審議の状況等についてご報告を申し上げた
いと思います。まず、この法案につきましては、衆議院において先に審議がなされまし
たけれども、１の(1)のところに記載してございますように、委員会審議は4回に及びま
した。5月中のこの3回につきましては、障害者自立支援法案と一括の審議でなされまし
たが、その後、審議を分離いたしまして、6月8日の審議は、別な社労士法案などとの一
括の審議ということで、回数としてはこの4回、私どもの法案をご審議いただいたとい
う形になっております。
　参考人質疑も3回行われております。これは、自立支援法案と一括の参考人質疑とい
うことで、障害者団体、それから、就労支援に取り組んでいる方々、労使など、それぞ
れのお立場から、この分科会の委員の中にも参考人としてお立ちいただいた方がいらっ
しゃいますけれども、それぞれの立場からのご意見をたまわって国会の中でご議論いた
だいたという形になっております。
　この中で、6月8日に委員会で採決が行われまして、その際に一部法案の修正を含みま
して、全会一致で可決をしたということでございまして、本会議は10日でございます。
この法案の修正の内容でございますが、(2)の(1)にございますけれども、在宅就業の仕
組みについて、一部修正がございました。
　在宅就業団体の登録に関しまして、悪質な団体とここに書いてございますが、適正な
運営が行われないであろうそういった団体が登録の中に入ってくることを排除をするた
めに、欠格事由の追加をすべきだという議論がありました。具体的には、そこの二つの
○のところにあるような、労働関係法律等によって罰せられて5年を経過しない法人あ
るいは役員の中に禁錮以上、あるいは労働関係法律の違反をした方がいる、そういった
法人、こういった対象は職業安定法や労働者派遣法で有料職業紹介の許可、あるいは、
労働者派遣の許可といった部分で欠格事由とされているものでございますが、この在宅
就業支援団体につきましても、中間的に仕事を仲介するという意味では、似たような性
格があるのではないかというご議論がございまして、その意味で、こういった団体はこ
の登録から排除されるべきだということで、欠格事由に追加がなされたというところで
ございます。
　併せて、衆議院では、附帯決議がなされております。8項目にわたっておりますが、
別紙２で付けてございますので、後ほどお目通しをいただければと思いますけれども、
主な点としては、そのページに記載してございますように、一つはこの法案の中に改正
法施行後3年後に、その施行状況を見て必要な見直しの検討を行うという検討規定がご
ざいます。その検討規定につきまして、検討結果を21年度末までに得るようにする。そ
の際には、精神障害者の雇用義務制度への対象化を含めた検討を行うということでござ
いまして、今回、精神障害者については、実雇用率にカウントをするというところまで
進めてまいりましたが、その次のステップとして当分科会の意見書にも記載していただ
きましたように、雇用義務の対象にするというのが次の課題でございます。その検討を
法改正後の施行状況を見ながら、平成21年度末までには検討をして結論を得るという、
こういった附帯決議がなされたところでございます。
　この他、精神障害者に対する支援の強化とか、あるいは、この分科会でもご議論いた
だき、今日もご議論をいただく掘り起こしに対する対策としてのガイドラインの策定と
いった点も附帯決議がなされまして、あとは、併せてこの分科会の意見書の中でも次の
課題として掲げていただいた短時間労働の取り扱い、それから、労働者派遣と障害者雇
用の問題の整理という辺りをこの附帯決議でもいただいているところでございます。
　続きまして、参議院でございますが、参議院につきましては6月28日の委員会審議に、
この法案の単独審議でございましたが、丸一日のご審議をいただいたところでございま
す。同日の委員会におきまして、全会一致で法案可決をいたしまして、附帯決議もなさ
れております。その後、25日の本会議で可決成立ということでございます。附帯決議は
衆議院の項目と大分ダブるものがございますが、かなり項目が追加されまして、20項目
に及んでございます。今、衆議院の方でご説明したような附帯決議項目と合わせて、ハ
ローワーク業務、特に職業紹介、職業相談業務の充実、それから雇用率達成指導の強化
といった点をしっかりやるようにという附帯決議を頂戴しているところでございます。
　次は、資料１の４でございますが、今後ご議論いただく施行の関係についてご説明を
申し上げたいと思います。施行は最初のところで申しましたように、二段階で、原則4月
1日施行でございますが、来年の4月1日施行として、精神障害者の雇用対策の強化、実
雇用率への適用、それから、在宅就業支援の新しい仕組みの導入などは、来年の4月か
ら施行ということでございます。それに対しまして10月1日施行分でございますが、一
つは助成金制度の見直しでございます。これは、今日これからご議論いただく点でござ
います。それから、特例子会社に対する調整金、報奨金の支給ができるようにした部分
も10月1日から施行でございます。それから、福祉との連携についても、この10月から
施行という形になっております。

　そこで、それに伴いまして、今後ご議論いただく、特に政省令事項につきましては、
次のページに整理をさせていただいておりますが、10月1日施行分といたしましては、
各助成金の見直し、これからご議論いただく点でございます。それから、助成金の一
部、若干詰めが残っている部分として、グループ就労に関する助成金は若干お時間をい
ただきまして、来年1月1日施行を目指して作業を進めてまいりたいと思っております。
更に、4月1日施行については、精神障害者の実雇用率適用の関係と在宅就業支援に関す
るものがございますが、在宅就業支援に関する政省令事項を、かなり量がございまし
て、また、ここで実質的な内容が決まるという部分も多々ございますので、また今後、
当分科会におきましても何回かのご議論をいただければと思っているところでございま
す。
　そこで、今後のご検討していただくスケジュールでございますが、次の資料の１の５
でございますけれども、本日は第18回目ということでお願いをしておりますが、10月1日
施行の関係の省令案の要綱をこれからご諮問申し上げるところでございます。
　それから、併せて、把握・確認についてのプライバシーに配慮したガイドラインとい
ったものをご説明させていただきたいと思っております。その後、11月、12月に2回ほ
どこの分科会をお願いして、先ほども申し上げました4月1日施行の、特に在宅就業の部
分については、いろいろご議論をいただく点がございますので、この2回をまずは予定
してございますが、ご議論を頂戴して、年内には施行準備を終える形を採りまして、4月
1日まで周知期間をとるといった形で今後進めさせていただければと思っております。
　私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○会長
　それでは、ただ今のご説明について、ご質問ご意見はございますか。どうぞ。

○輪島委員
　まずもって改正法が通りまして、大変重要な改正が今般行われたということで、私ど
も使用者側としても大変前向きに改正していただいたことについては感謝をしたいと思
っております。そこで、いくつかご質問させていただきます。まず一点目は、資料の１
の３でございます。附帯決議というのはどういう意味合いがあるのかということを是非
お伺いしたいと思います。今度の法改正の審議に当たっても、一番最初に国会に附帯決
議が付いていたから精神障害者の雇用率の関係の議論を始めるんだと、しかも、2004年
の骨太方針にもご丁寧に書いてありまして、それが根拠でやるということであります。
そうしますと、今回20項目以上の附帯決議が付いており、それが将来の法改正のものに
なるということであるとすれば、結局、マッチポンプではありませんけれども、国会で
宿題を出して行政が改正していくというようなことになるのかなという不安があるわけ
です。その点、基本的な附帯決議というものの意味合いを教えていただきたいと思って
いるところです。
　それから、衆議院での附帯決議のところの1項目目でございますけれども、今ほどご
説明がありましたように、付則の第2条ということで、基本的に3年後の見直しというこ
とが、これは改正法案の要綱のところでもそういうことであったわけですけれども、私
どもとして気になるのは、その「また」書きのところでございまして、雇用義務の対象
に精神障害者を加えることも含め検討するということは、ある意味では、非常に議論の
方向性について制約といいますか、条件がかかっているようにも読めるわけですけれど
も、読み方なのかも知れませんけれども、この審議会で議論するということになると思
いますので、基本的にはニュートラルなことだと思っておりますけれども、その点の解
釈といいますか、理解をどのようにするのかを教えていただきたいと思います。
　それから、参議院の方で20項目ほど、非常にたくさん付いているわけですけれども、
項目によっては法律改正を伴う、つまり今後の課題になる法律改正事項と、それから、
例えば、予算で措置をするものとか、省令・政令というような程度、つまり、いろいろ
な温度差というか、程度があると思いますので、どの点が法律改正事項で、どの点が例
えば予算事項なのか、というようなことについて、大きな点だけで結構ですので、ご説
明をいただければ有り難いと思っております。
　それから、最後に意見でありますけれども、今度の法改正で3年後の見直し規定があ
りますので、平成21年度までに結論を得ることが求められています。一方、基本的に障
害者雇用制度の見直しというのは、5年に一度、少なくとも法定雇用率の見直しを5年に
一度しなさいということも法律に書いてあるわけで、その次回の見直しは平成19年度と
いうことになるわけです。そうすると、今般平成18年度も改正があって、さらに19年度
に見直しの作業をして、20年から必要があれば制度の改正が行われ、また更に21年度に
もう一度法律改正の議論をするということになりますので、企業側としては、2年に1回
ずつ制度自体が変わっていく可能性があるということになりますので、そういう点から
すると、何を目標にしていけばいいのか、そういったことが非常に難しいのかなと、戸
惑いを受けるのではないかと思っているところでございまして、そうそう頻繁に改正を
する必要があるのかどうかということも含めて、そういう点を非常に危惧しているとい
うことを意見として申し上げておきたいと思います。以上です。

○障害者雇用対策課長
　それでは、私から回答させていただきたいと思いますが、まず国会の附帯決議の意味
というご質問でございますが、附帯決議は厚生労働委員会で決議をしているということ
でございまして、その意味で、国会の意思といいますか、そういうものと私どもは受け
止めております。例えば、衆議院の附帯決議の冒頭には、政府は本法の施行に当たり次
の事項について適切な措置を講ずるべきであると、こういうふうに政府に対してこうい
う措置を、施行に際して講ずるべきであるというご指摘をいただいているわけでござい
ますので、行政府の立場からいきますと、立法府の意思として法改正に付随する事項、
あるいは将来的な課題もあるわけですけれども、それについて、きちんとこういうふう
にやれ、あるいは、将来的な課題として検討するように、というようなご指摘をいただ
いておるわけでございますので、国会審議その場でも、私ども大臣の方から附帯決議を
尊重してまいりたいという答弁をさせていただいているわけですが、そういう趣旨のも
のとして行政府としては受け取っています。それを具体化していく際には、この分科会
でも十分にご意見を承りながら進めさせていただくということではないかと思っており
ます。その意味で、マッチポンプという話がございましたけれども、私どもとしては、
法案審議ということでございますので、立法府という別の立場からその審議の中で出て
きた問題点について、こういった形でのご指摘をいただいたというものであるので、そ
れを行政府の立場で尊重していくという形になるのではないかというふうに思っており
ます。
　次に附帯決議の1項目目につきましてですが、先ほどちょっと若干はしょった形でご
説明をして恐縮でしたけれども、衆議院も参議院も文章は同じでございますけれども正
確には付則第2条に規定する検討、これは3年後見直しの検討ということですが、平成21
年度までに結果が得られるよう、関係審議会において行うものとすることということで
ございますので、検討の結果をちゃんと21年度末までに出せというふうに指摘をされて
いるというものでございます。また、その際、雇用義務の対象に精神障害者を加えるこ
とも含めて検討を行うものとすることというふうにご指摘をいただいておりますので、
その検討には必ずこの項目は含めるようにというご指摘だと受け止めております。その
意味では、この雇用義務の対象に精神障害者を加えるという結論を21年度末までに出せ
というふうにご指摘をいただいているものではないというふうに一応理解はいたします
けれども、その検討をこの3年後見直しの検討の中ではしていく必要があるということ
だろうと思っております。なお、審議会の中でのご議論としてはす、昨年末にいただい
た意見書の中に、具体的には「なお、このように精神障害者を実雇用率に算定すること
とした後においては、その適用状況を踏まえ、精神障害者を雇用義務制度の対象とする
ことについて具体的に検討を進めていくことが適当である」というご提言を、この分科
会でもいただいているところでございますので、そういった方向で今後時機をみてご議
論をいただくということではないかと思っております。
　それから、次に参議院の項目で、予算事項あるいは法改正に及ぶものというご指摘が
ございました。ちょって大部ではございますので、非常に雑ぱくに申し上げますと、別
紙3になりますけれども、1と2については、それを措置するという意味においては法改
正を要する事項が含まれているということではないかと思っております。3から6までは
予算的な事項が中心ではないかと思います。それから、7から10については今回の法改
正の施行に当たって、こういうふうに準備すべしというような事項であろうかと思いま
す。11と12は短時間・派遣の問題でありまして、将来的な課題で、措置の中身によって
は法改正に及ぶ内容が出てくるというようなことではないかと思います。それから、13
以降は基本的には今回の法改正の施行準備やあるいは予算措置の中で対応していく中身
ではないかなと思っております。なお、ちょっと飛ばしてご説明してしまいましたが、
他省庁に対する中身というものもございますので、その点は、関係する省庁、文科省な
どが入っておりますけれども、そういうところには附帯決議が入っているということを
お伝えをさせていただいているところでございます。
　それから、最後に、5年に一度の雇用率の見直しと法改正の関係はどうなのかという
お話がございましたが、一つは、法施行状況をみて3年後に見直すというのが法案の中
にも盛り込んだことでございますし、附帯決議でもあのような形で出ているということ
がございますので、そういった見直しの結果、法改正に及ぶような事項が出てくれば、
その際にまた次の改正が行われる可能性があるということはあるのではないかと思って
おります。それまでに、ご検討いただく事項は様々ございますので、そういう意味で
は、少し時間をかけてご議論をいただくということではないかと思っておりますので、
必ずしも19年の雇用率ないしは納付金の5年毎の見直しと法改正がリンクしてくるとい
うことではないかなというふうに思っております。制度として改正が頻繁に行われて安
定感がないというのは、確かにあまり良くないことであろうかと思いますので、その辺
りはそういった制度の安定性の問題と、一方で、対応すべき課題に対する緊要度といい
ますか、そういったものをみながら、法改正に及ぶ事項への対応というのをいつやって
いくことになるのかというのは、この分科会にも十分ご相談を申し上げながら対応して
まいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

○会長
　よろしいですか。

○輪島委員
　もう少し教えていただきたいのは、附帯決議での法改正のところの事項については、
それから、今回の法改正に伴う審議会での引き続き検討事項というものがあったかと思
いますけれども、それについては、どういうふうに今後検討していくお考えなのかとい
うことだけお伺いしたいと思います。

○障害者雇用対策課長
　すみませんが、もう一度趣旨を。

○会長
　もう一度お願いします。

○輪島委員
　今回の法改正を取りまとめる審議会で、引き続き検討事項、特に附帯決議にも入って
おりますけれども、短時間労働の話だとか派遣の仕組みについて、結局引き続き検討と
いうことになって、附帯決議にも述べられていると思いますけれども、その点につい
て、今後の検討はどのような受け皿で、どういうスケジュールでおやりになるのかとい
うことをお聞きしたいと思います。

○会長
　いいですか。お願いします。

○障害者雇用対策課長
　まず、検討の場という意味では、来年度の予算要求の中でも、この調査研究をやって
いく必要があるだろうということで、研究会を設けて、多様な働き方あるいは企業経営
の多様化というようなものに対応した雇用率制度のあり方というものを考えていくとい
う、そういう調査研究の場をつくっていこうという要求を今させていただいているとこ
ろでございます。従いまして、その場で、期間的にはどうなるか分かりませんが、しば
らくご議論をいただいた上で、その検討結果を踏まえて、この分科会でもご審議をいた
だくということで進めてまいりたいと思っております。

○会長
　よろしいですか。はい、どうぞ。

○舘委員
　全家連からなんですけれども、今回の法改正は10年越しで精神障害者を雇用率に入れ
ていただきたいと運動してきた全家連としましては、本当に厚労省のご努力に対して感
謝を表したいと思います。ただ、附帯決議に今後施行後3年と、ある程度実を上げない
といけないといことで、今まで厚生労働省から日本てんかん協会に委託されております
職業自立啓発事業について、全家連としても一緒に協同してさせていただいているので
すけれども、そういう啓発事業として、我々もできるだけ努力はしたいと思うのです
が、なかなかそれだけでは多分実は上がらないだろうと思いますので、行政として、今
後3年間である程度実効あらしめるために、どのような対策を講じていこうとされてい
るのか、この3年間の見通しというものをお聞かせいただければと思います。

○障害者雇用対策課長
　まず、今回の法改正で実雇用率への適用ということで、それを通じて雇用の促進を図
るというような内容の法改正をさせていただいたところでございますので、まずこの制
度の周知を十分に図って、企業の理解を進めていくというところを基本にしてまいりた
いと思っておりますが、併せて昨年末の意見書の中でも頂戴をいたしましたように、も
ちろんそういう制度の適用だけではなくて、精神障害者ご本人の方、あるいは企業に向
けても様々な支援策を講じていく必要があるということをいただきましたし、また、そ
の必要性は非常に高いものがあるというふうに私どもは思っておりますし、当面の対策
として準備をさせていただいているのは、一つは今舘先生からお話がございましたよう
に、自立啓発の事業を精神障害者関係の団体と連携しながら引き続きやらせていただく
ということ。それから、もう一つは、使用者団体との連携の中で、雇用環境整備事業と
いうことで、使用者側の方での取り組みを使用者側で起こしていただくというようなこ
とをやらせていただいているという点。それからもう一つ、この10月からスタートする
ということで予定しておりますが、各都道府県毎に設置をしております地域障害者職業
センターの中で、精神障害者を担当する専任のカウンセラーを設けまして、その下で復
職支援あるいは新規の雇い入れ、雇用継続といった面について、主治医の方あるいは家
族の方等の連携も十分にとりながら、総合的な支援をやっていく。こういった事業を展
開する予定にしておりまして、その関係で、ジョブコーチの増員なども図る予定でござ
います。そういった直接的な支援も十分に確保しながら進めてまいりたいと思っており
ます。また、実雇用率適用といったことに伴って、いろんな形で精神障害者の方々の就
労に向けた支援という取り組みが、これから様々に起こってくるだろうと思っておりま
すし、また、私ども行政としてもそこを一押し、二押しするような対策を講じていくこ
とによって、そういった機運なり具体的な取り組みが起こっていくようにしていかなく
てはいけないと思っておりますので、先ほど舘先生から3年間にというお話がございま
したが、そういった制度適用直後の取り組みとして、そういうものに対する行政として
の連携や支援といいますか、そういったものの取り組みも深めてまいりたいと思ってい
るところでございます。

○輪島委員
　使用者団体と言われましたので、私どもの取り組みだけ一言申し上げておきたいと思
います。まず、東京地区におきましては東京労働局と連携をいたしまして、今度の法改
正についての企業側の周知に努めたいと思っておりまして、できればメンタルヘルスで
あるとか、精神科の先生をお招きして、または、実際に企業で雇用されている事例のご
披露をいただくというような、法改正の点だけではくて、そういったトータルな周知の
活動をしたいと思っておりまして、年明けに3回程度、セミナーといいますか、500人規
模で3回ぐらいということを東京労働局とご相談をさせていただいて、周知に努めたい
と思っております。以上です。

○会長
　はい。どうぞ。

○吉原委員
　日教組の吉原です。附帯決議の中に公務職場の実雇用率を上げるということで、特に
教育委員会という項目が入ったことをとても嬉しく思っています。ただ、公務員の削減
ということが今回の衆議院選挙の中でも大きくマニフェストの中にも取り上げられると
いう状況の中で、現在雇用されている者の雇用の継続ということも含めて、大変いつも
弱い者のところにしわ寄せがいきますので、それも含めてこの附帯決議の趣旨が十分に
生かされるようにお願いをしたいと思います。

○会長
　ご要望ということでお聞きしておけばよろしいですね。はい、笹川委員どうぞ。

○笹川委員
　福祉的就労から一般就労へという方向は大賛成で、私どもも望むところですけれど
も、視覚障害者の実態を申し上げますと、福祉的就労でさえもままならない現状です。
平成13年の実態調査によりますと、視覚障害者が授産所等で働いている比率が障害者全
体の1％です。それぐらいに、なかなか働く場がないというのが現状です。やはり、問
題は、目が見えなくてもどういう作業ができるかということ、その可能性、この辺をや
っぱりもっとしっかり把握していただかなければならないのではないかというふうに思
います。実はは、東京都で第4期の障害者施策推進協議会が開かれております。その中
で、障害者の雇用率が都内でもかなり上がってきている、実績も上がっているという報
告がありますし、その内訳を質問をいたしましたら、視覚障害者の雇用の数字が出てこ
ないんです。その理由は、労働局では身体障害、知的障害、精神障害の三分野で集計を
しているという報告でございました。しかし、身体障害者の中でも、やはり障害が違え
ば、実情もかなり違ってまいります。特に視覚障害者の雇用という面については、もう
大変厳しい状況にあります。これはもう皆さんご存じだと思うのですが、そうした数字
が出てこないために、何か雇用率はだんだん上がっていくから良い方向にいっているん
だという認識をされてしまいます。従って、やはり身体障害者の中の比率というものも
今後しっかり出していっていただいて、視覚障害者が置き去りにされないような対策を
講じていただきたいと思います。これは要望でございます。

○会長
　何か事務局としては、ご要望として聞いておけばよろしいですか。

○障害者雇用対策課長
　笹川委員のご指摘については、いつも視覚障害者についてなかなかデータがとれない
というご指摘をいただきまして、大変恐縮でございます。私どもも業務統計としては、
ハローワークでの職業紹介状況の中で、確か、新規求職者と就職の件数については身体
障害の内訳も、視覚障害、聴覚障害、内部障害といった形で分けて出すことができてお
りまして、その中では、おっしゃるように視覚障害の方の就職というのは非常に厳しい
状況にあるということが数字としても現れているというふうに、私どもは受け止めてお
るところでございます。これからもいろいろご指摘を賜りながら対策の強化を図ってま
いりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○笹川委員
　東京労働局ではそういう資料はないと言っているのです。

○障害者雇用対策課長
　大変恐縮でございますが、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。少なくと
も私どもは全国の数字としては、そういった障害種別について、限られたデータではご
ざいますが、持ってはおりますので、確認をさせていただきたいと思います。

○笹川会長
　お願いいたします。

○会長
　その点については確認いただいて、次のこの会でもご報告いただくということにさせ
ていただけますか。どうぞ。

○江口委員
　お伺いしたいことがございます。附帯決議の7のところで、「障害者の働く場の一層
の創出を図るため、企業内で職務を整理して仕事を分かち合うこと、工業団地や商店街
のような地域において障害者を多数雇用する企業に仕事を出し合うこと等を通じて、企
業が企業内外における障害者の働く場の創出に取り組むことを推進すること。」という
ことで、ここは非常にあるべき姿だと思っているんですが、これは実際には、具体的に
は、どういうふうな施策なりタイムスケジュールでお考えになっているか、もしお分か
りでしたら。これは非常に僕は素晴らしい考え方だと思います。やはり、働く場の創出
というのは非常に大事だと思っていますものですから、もしお分かりでしたら、お話し
できる範囲内でお伺いしたいと思います。

○障害者雇用対策課長
　この7項目目につきましては、国会のご審議の中でもこういった形で仕事を創ってい
くという姿勢が大事ではないかというふうにご指摘をいただいた点でございます。それ
で、まず一つは、企業内での仕事を創っていく。こういった取り組みはそもそも障害者
雇用を進めるに当たっての企業の方にお願いしたい基本的な視点であろうかと思います
ので、雇用率達成指導とか、あるいは特例子会社を創っていただく取り組みとか、そう
いった中で、こういった視点を大事に持っていただくように私どもはそういった形で企
業の方にアプローチをしていくという姿勢でやってまいりたいと思っております。
　後段の方の、地域の中で仕事を出し合うというような点でございますが、この点につ
いては、この分科会でも昨年の秋以来のご議論の中でも、例えば工業団地の中のような
ところで事業協同組合のような取り組みで、その地域の中でひとまとめになるような仕
事を創って、障害者の方を雇う事業所みたいなものをつくっていくといったような取り
組みを進めてはどうかというご指摘をいただいて、意見書の中にもそういう趣旨のご提
言をいただいているところでございます。実際、私どもは何度か調査をかけてみたりし
ているのですが、なかなか具体的な事例としてはまだまだそういった取り組みが起きて
いないというような状況にあるようにみえますが、今現在も高齢・障害者雇用支援機構
の方において、こういったケースのモデル事例を調査をしておるところでございまし
て、そういったケースの収集をまずさせていただきまして、それの好事例の普及という
ような取り組み、あるいは、そこから出てくる問題点についての整理をして、次の政策
的な課題としての対応というような点に進めてまいりたいと思っておりますので、ま
た、そういった事例につきまして、皆様方の中でもご承知の案件がありましたらご教授
をいただければと思っておるところでございます。

○江口委員
　ありがとうございます。

○会長
　他に。どうぞ。

○副島委員
　知的障害の育成会ですけれども、今回の内容について、助成金制度の見直しの中でジ
ョブコーチの助成の創設ということで、今までは職業センター関係にジョブコーチがあ
ったものが福祉施設、それから事業所内にも広げていくということはすごく良いことだ
と思って、我々は歓迎したいと思うのですが、なかなか知的障害の場合も一般就労の道
がなかなか開けておりません。実際、こういう制度を拡大していく時に、実態の調査と
か、具体的な中身ですね。遂行されている調査とか、それから、是非、評価というとこ
ろまで、遂行していくための内容をチェックというところの機能というのがどうしても
必要だと思うのです。せっかく施行されながら、なかなか一般就労の数値が上がってい
かないというところに、どんなところが現場として問題があるのかということをしっか
り見直しをかけていかないといけないと思うのですが、そういうところの取り組みにつ
いては、何らかの方策を考えられておるのでしょうか。

○障害者雇用対策課長
　ジョブコーチの助成金につきましては、この後の議題でまたご議論をいただくことに
予定をしておりますが、今お話がございましたような施策の評価という意味では、現在
のジョブコーチの支援の事業というのは、独立行政法人であります高齢・障害者雇用支
援機構の事業の一つとして行っているところでございますので、この独立行政法人の中
期目標、中期計画というものがございまして、その中で一定の数値目標を立てて取り組
んでおります。その際には、もちろん対象者の数、どのぐらいの規模で事業をやってい
くかということだけではなくて、そのジョブコーチ支援の結果、どのぐらいの定着率が
高まっているか。現状の数字では8割ぐらいは定着しているというような意味では、高い
数字を出しているかなと思っておりますけれども、そういった数値目標を立てての評価
をしながら課題を洗い出しながらやっているところでございます。今回、助成金制度に
なって、助成金の部分というのは、ややそういう直轄の事業とは離れますので、同じよ
うな評価手法でやるということができるかどうかということがあるんですけれども、い
ずれにしても、助成金の部分についても、要はそういう支援をしたから助成金を出すと
いうところで終わりということではなくて、その支援の結果、どういった成果が出てい
るのかというところまで踏まえた評価をいたしまして、それによって、助成金制度自体
の見直しが必要だということになるような場合には、またご相談をしながら、そういう
部分を手直しをしていくといった形で、支援の実が上がるように制度を運営してまいり
たいと思っております。

（議題２について）

○会長
　ご相談なんですが、今日はまだ二つの重要な議題がございまして、まだご意見があろ
うかと思いますが、この二つの議題を終わらせて、空いた時間にまた改めてご質問して
いただくというような形で進めたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、次の議題に入りたいと思います。
　議題2は、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱
についてでございます。本件は、本日厚生労働大臣から諮問を受けたところでありま
す。そこで、まず、事務局より今回の諮問案件について説明していただいて、それで議
論をしたいと思います。よろしくお願いします。

○調査官
　それでは、資料の2の1をご覧ください。労働政策審議会会長に対する厚生労働大臣か
らの諮問書でございます。別紙、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を
改正する省令案要綱について貴会の意見を求めるということで、具体的な内容は、別紙
でございます。
　一点目は、障害者雇用継続助成金の整理統合ということであります。そして、二点目
が、障害者介助等助成金の支給業務の対象の拡大ということでございます。拡大の内容
としましては、2の行に(1)(2)として、二点拡大するということが規定されております。
　一つ目、(1)の方は、一定範囲の視覚障害者または四肢機能の障害者である労働者の
業務の遂行のための必要な介助を担当する者の配置または委嘱を行い、または、引き続
きその措置に係る障害のある労働者を継続して雇用し、かつその労働者についてその措
置を継続して行う場合に支給対象とするということであります。それから、(2)のとこ
ろに書いてあります２点目の拡大の内容は、在宅勤務障害者の雇用管理、業務管理を担
当する者を配置または委嘱した時を助成対象にするということであります。それから、
第３点目でございますが、職場適応援助者助成金の創出、いわゆるジョブコーチに対す
る助成金の創設でございます。
　職場適応援助者助成金、ジョブコーチに対する助成金はどういう場合に支給するかと
いうことにつきまして、2のイとロとしまして、まずイ、社会福祉法人等の法人がジョ
ブコーチによる援助を行った場合にジョブコーチの助成金を支給するということ。そし
て、ロとしまして、障害者である労働者の雇用に伴い必要となる援助を行うジョブコー
チを事業主が配置した場合に、ジョブコーチ助成金を支給するということ。それから、
戻りますが、イの中で、この助成対象となる職場適応援助者というものにつきまして、
「職場適応援助者（障害者職業総合センター及び地域障害者職業センターが行う研修ま
たは厚生労働大臣が定める研修を終了した者であって、その職場適応援助者としての援
助の実施に必要な経験、能力を有すると認められた者に限る）」ということで、このジ
ョブコーチ助成金の対象となる職場適応援助者の資格、範囲というものを定めていると
いうことでございます。
　以下、第4点は、助成金の支給業務の対象として身体、知的、精神に加えまして、発
達障害者等の障害者も入るということが新たに創設されるジョブコーチの助成金の中に
入っているということを規定すること。第5は、所要の規定の整備に関すること。そし
て、第6として施行期日が、法の早期施行部分と等しい平成17年10月1日からであるとい
うことであります。ということで、省令としての助成の実質的内容は三点ということで
ありまして、以下、資料2の2を使いまして、その助成金の見直し内容について詳しく説
明をさせていただきます。
　まず、一枚めくっていただきまして、参考1が助成金統合に関する資料でございます。
まず、中途障害者作業施設設置等助成金の統合につきまして、改正前の中途障害者作業
施設設置等助成金と統合していく先の障害者作業施設設置等助成金というものがござい
ます。簡単に言いまして、両者の内容はよく似ていまして、限度額のところがちょっと
違いがあるということなので、現在、この中途障害者作業施設設置等助成金の支給期間
は3年間ございますので、ここが限度額が不整合が生じないようにすることだけ配慮し
て統合すればよしということで、改正後、統合された後の障害者作業施設設置等助成金
として、この限度額のところですが、ここを作業設備については、1人150万というのが
元々の原則であるのを、下線部、中途障害者に係る職場復帰のための設備の設置または
整備に当たっては450万円を超えない範囲内で機構が認める額という形で調整を図った
ものでございます。その下側に、賃借の場合も同じように、作業設備の場合は5万円原
則としつつ、中途障害者の場合13万円だったことに配慮し、中途障害者に係る職場復帰
の設備の賃借に当たっては13万円を超えない範囲内で機構が認める額。このように調整
を図ったものでございます。
　続きまして、参考2でございます。重度中途障害者と職場適応助成金の統合について
でございます。これにつきましては、重度障害者等職場適応助成金を重度障害者介助等
助成金の方に、一つのメニューとして加えるという形の統合を行います。一枚めくって
いただきまして、改正後の姿でございます。改正後は名称もちょっと変わってございま
すが、障害者介助等助成金の8番目のメニューとしまして、中途障害者の職場復帰を促
進するための職場適応措置の実施としまして、前のページで書いておりまして支給対象
者、限度額、支給期間と、そのまま規定するという形で統合を行うものでございます。
　以上が一点目の助成金の統合に関する内容でございます。
　一枚めくっていただきまして、これが障害者介助等助成金の業務対象範囲の拡大の内
容でございます。一つ目が、職場介助者の継続的配置、継続的委嘱に係る助成金の創設
ということで、視覚障害者、四肢機能障害者につきまして職場介助者の配置・委嘱に関
する助成というのがございまして、これが支給期間が10年となっておりますが、こうい
った障害者につきましては、10年が経過したとしても、職場介助者の配置・委嘱の必要
性がそこでなくなってしまうということが言えないのではないかということで、更にこ
の職場介助者の配置・委嘱を行わなければ、10年以降の雇用の継続が特に困難であると
いう視覚障害者、四肢機能障害者について、継続してその職場介助者の配置・委嘱を行
って、継続して雇用を行うという時にこの助成金によってその措置、雇用継続を助成す
るということでございます。
　下の方で、支給要件、支給額等をご覧ください。まず、職場介助者を引き続き配置し
た場合といたしまして、助成率が3分の2、支給限度額が月13万円、支給期間が5年。委
嘱の場合、助成率3分の2、限度額が1回9，000円、年間135万円、支給期間は5年という
ことでございます。これにつきましては、一枚めくっていただきまして、現行の職場介
助者の配置に関する助成金の支給額、支給期間をご覧ください。配置のところで比較し
ますと、つまり最初の1年から10年までは支給助成率4分の3で、月15万円であるという
ことです。そして、10年を経過して引き続き職場介助者を配置等するという時に関しま
して、助成率3分の2、月13万円、そして5年間。こういう規定にしたものでございます。
　それから、2は省令ではなく、告示事項でございますが、ここに入れさせていただき
ました。手話通訳担当者委嘱に関する助成金の額、支給限度額14．4万円を実際の支給
の実績を見て、支給限度額に達している令が非常に多いということで、支給回数が制約
されるケースが少なくないということで、より効果的な活用を図るという点から、支給
限度額を2倍の28．8万円に引き上げるということでございます。これは、告示改正事項
ですが、助成金の内容の全体の変化が分かるように入れさせていただきました。
　それから、3でございます。在宅勤務コーディネーターに係る助成金の創設です。こ
れにつきましては、在宅勤務の障害者につきましては、雇用管理、業務管理に関する社
内の関係部門との調整や外部の取引先との調整といったコーディネートの役割というの
が非常に大きくなってきていることから、その在宅勤務障害者の雇用の管理、業務の管
理を行う在宅勤務コーディネーターを配置した場合に、この助成金による助成を行うと
いうことであります。支給の要件でございますが、在宅勤務コーディネーターとしまし
ては障害者職業生活相談員で、相談指導の経験が3年以上ある者であること、それから、
業務内容は在宅勤務障害者の雇用の管理、勤務状況の管理や健康の管理ということ、そ
れから、業務管理、社内との連絡、社外のクライアントとの連絡といったことでありま
す。支給対象費用としては、そういったコーディネーターを配置・委嘱した場合の費用
ということ。それと、もう一つは、そのコーディネーターによる在宅勤務者に対する雇
用管理や業務管理の規則等の設計に係る費用が支給対象となるということでございま
す。在宅勤務コーディネーターを配置した場合の支給額、支給期間でございますが、助
成率は4分の3、コーディネーター1人当たり月25万またはその支援対象障害者1人当たり
月5万円ということでございまして、支給期間は10年間ということでございます。委嘱
の場合も、その割合に従って定めております。それから、在宅勤務障害者のための雇用
管理、業務管理制度を設計したりした場合の費用につきましては、１事業主1回限りの
支給として、10万ということでございます。これが、在宅勤務コーディネーターに係る
助成金の創設ということであります。
　ここまでが、障害者介助等助成金の支給業務の対象拡大という要項の第2の内容でご
ざいます。
　めくっていただきまして、参考4でございます。要項の第3に当たります職場適応援助
者助成金の創設でございます。ここは、いわゆるジョブコーチに対する助成金というこ
とで、この趣旨につきましてはもはや説明を省略させていただきまして、その支給の内
容につきまして説明させていただきます。
　要項にもございましたが、この助成金には二つありまして、一つが福祉施設によるジ
ョブコーチの援助ということ。後に出てきますのが事業主が配置するジョブコーチによ
る支援ということでございます。まず、福祉施設によるジョブコーチによる援助という
ことでございますが、対象となる障害者は身体、知的、精神、加えて発達障害者です。
この辺は要項の第4にあります通りでございます。身体、知的、精神に加えて発達障害
者が入っており、さらに、高齢・障害者雇用支援機構が援助の必要性を認めた障害者も
認めるということであります。これは、上の四つに入らないタイプの障害者に対するジ
ョブコーチ支援を現に行っている福祉施設もあるということに備えて個別に必要性があ
れば、機構が認めることができるように規定したものでございます。そして、この福祉
施設型ジョブコーチの資格でございますが、これも要項にございましたが、障害者職業
総合センターの研修、それから地域障害者職業センターの研修のこれらいずれかを終了
した者、もう一つは、厚生労働大臣が定める研修のいずれかを終了した者であって、援
助の実施に関し必要な経験・能力を有すると認められる者ということであります。
　それから、支援の仕方につきましては、支援計画に基づき援助を実施ということです
が、従来ありました地域障害者職業センターが策定した計画に基づく場合に加えまし
て、この福祉施設が独自に作った支援計画で地域障害者職業センターが承認をしたもの
に基づく援助も実施できるということでございます。助成対象となる費用につきまして
は、まさにそのジョブコーチによる援助の費用本体、それに加えまして、雇用前支援に
おきまして、協力事業主が受け入れを行った時の事業主に対する謝金等の費用、それか
ら、研修事項に係る旅費、こういったものも助成対象費用になっております。そして、
支給額ですが、ジョブコーチ援助実施本体に対する支給額としましては、1日当たりで
は14，200円、月当たりでは最大28万4，000円ということでございます。また、支給期
間につきましては、8ヶ月を限度とするということですが、ただ、別途フォローアップ
を行う時には、更に8ヶ月と分けて、12ヶ月（1年間）支給し得るということでありま
す。それから、雇用前支援における協力事業主の受け入れにつきまして、法人が協力事
業主に対して支給した額を助成しますが、ただし1日当たり2，500円ないしは月5万円を
限度ととするということでございます。それから、先ほど申しました通り、研修事項に
係る旅費のうち機構が算定した額を助成するということでございます。
　以上が職場適応援助者助成金のうちの社会福祉法人等の法人によるジョブコーチの助
成金でございます。
　二点目が事業所型のジョブコーチに対する助成金ということで、まず、対象者は同じ
く、身体、知的、精神または発達障害者に対する助成ということでございます。それか
ら、事業所型のジョブコーチの資格としましても福祉型に準じまして、障害者職業総合
センター、地域障害者職業センター、厚生労働大臣が定める研修の何れかの研修を終了
した者であること。そして、援助の実施に関して、必要な相当程度の経験能力を有する
と認められる者ということでございます。支援の実施の方法でございますが、これも事
業主の方で作成して地域障害者職業センターが承認した支援計画に基づいた援助を実施
するということでございます。そして、助成の対象費用としましては、ジョブコーチの
援助実施という本体部分が対象費用となり、その額としましては、月15万円を限度と
し、支給期間は最大6ヶ月間であるということです。これが、事業主型のジョブコーチ
助成金の内容ということでございます。
　以上、要項にございました助成金改正の内容の第1、第2、第3に関する説明でござい
ます。

○会長
　ありがとうございました。それでは、ご意見ご質問をお願いいたします。笹川委員か
らどうぞ。

○笹川委員
　障害者介助等助成金の支給期間を5年延長という形で取り上げていただきましたこと
は本当に有り難いと思っています。問題は、視覚障害者の場合、事務的業務というふう
に限定されてしまいますと、これはもう全く僅かなものになってしまいます。今厚生労
働省で視覚障害者が何人働いているでしょうか。おそらく皆無と言っていいぐらいだと
思います。それくらい事務的業務は限定されています。もう少しこの範囲を広げていた
だいて、今、大変注目されている、いわゆる介護福祉施設、特別養護老人ホームで働く
マッサージ師、機能訓練指導員などにも適用していただくとか、あるいは、病院勤務し
ている者に対して介助者が付けられるような方向で検討してもらえないでしょうか。

○障害者雇用対策課長
　今回、職場介助者の継続配置について、新しく助成措置を、いわば前の10年間の措置
の延長部分というような形で設けておりますが、内容は２点になっておりまして、事務
的業務に従事する方については、職場介助者の配置と委嘱に対する助成、事務的業務以
外に従事する視覚障害者の方については、必要な職場介助者の委嘱という形で、用意さ
せていただいているところです。これは、もともとの10年間の助成措置についても同様
に設けさせていただいているところです。
　今、笹川委員からご指摘ございましたように、私どももいろいろな形で努力をしてみ
ておりますが、なかなか事務的な業種の部分の視覚障害の方の雇用促進が進んでいない
というのが現状でございますけれども、今回の措置を含めまして、そこの対応を、ま
た、この助成金の活用などを含めて、対応を強めてまいりたいと思っておりますので、
その点、ご理解を賜ることができればと思います。もう１点は、今お話がございました
ような機能訓練指導員ですとか、ヘルスキーパーなど新しい部分での視覚障害者の、い
わば技能などを生かした部分についても、特に福祉施設などでの雇用が進むようにとい
うことでやっております。その点については、今申し上げた後者の事務的業務以外につ
いての委嘱について助成制度を設けさせていただいておりますので、これの活用を更に
呼びかけて、雇用の促進を図ってまいりたいと思っております。このように、両面から
措置をしながら、最初にもお話がありましたように、限られた部分になってしまってい
る視覚障害者の方の雇用の場を少しでも広げていく努力をしてまいりたいと思っており
ます。

○江口委員
　質問でございますが、一つは、職場適応援助者の事業所型の助成金を設置していただ
いたことは、非常に的を射た配慮だということで感謝を申し上げたいと思うのですが、
在宅勤務コーディネーターあるいは職場適応援助者の事業所型の場合には、これに該当
する援助者は、当然だと思いますが、障害のある方でもいいかということです。
　もう一つは、福祉施設型の場合の支給期間が最大8ヶ月で、事業所型が最大6ヶ月とい
うのは、これは何かそれなりの理由があるのでしょうか。

○障害者雇用対策課長
　前者については、どういった方が職場適応援助者となるかというところは、先ほど申
し上げたような資格要件は一定程度、ジョブコーチ事業の水準確保というような意味で
お願いしようと思っていますが、当然、その障害の有無に拘わらず、そういった業務に
携われる方であれば対象になるということですので、そういった形で制度の運用を図っ
てまいりたいと思っております。
　２点目の8ヶ月、6ヶ月の点ですが、この助成金の対象としておりますのは、ジョブコ
ーチ支援ということでございまして、一つは、ジョブコーチという言葉はいろいろな使
われ方をしておりますけれども、私どもは、今までの高障機構でのジョブコーチ事業に
おきましても、就職時ですとか、あるいは、職場不適応を起こした時などについての、
いわば集中的な支援を事業主と障害者の間に入って行うといった環境調整をした上で、
その後は、いわゆるナチュラルサポートというような、事業所内でのカバーができる体
制を整えていく、そういった役割を果たす支援をやっていただく方をジョブコーチと称
して事業を実施しているところでございまして、今回の助成金も、いわばその事業と同
趣旨のものを、福祉施設型については、従来の協力機関型のジョブコーチを引き継ぐ形
で、それから、事業所型については、事業所の中で自らそのようなスキルを持った方が
支援をする場合について助成措置をするという形で設定をさせていただいたところでご
ざいます。そういった趣旨で福祉施設型の型は8ヶ月、事業所型の方は6ヶ月ということ
で、一定の期限を切った支援に対する助成制度ということにさせていただいておりま
す。
　なお、事業所における、いわば日常的なサポートといいますか、そういった面につい
ては、これまでの助成金制度の中にも、例えば、職業コンサルタントや職務遂行援助者
に対する助成制度を設けさせていただいておりますので、そういう集中的な支援と日常
的な支援を、それぞれ助成金制度の中で、企業の中でも使い分けていただいてご対応い
ただければと思っております。

○舘委員
　今の課長からのお話を伺って少し分かったのですが、事業所型のジョブコーチの場合
は、新規に、その度に雇いあげる必要はなく、在職者でよいということでしょうか。
　また、もう一つですが、福祉施設型と事業所型を、完全に分けるのかどうなのか。と
いうのは、私は、やはり、福祉施設に逆に事業所型の人が入ることに大変意味があるの
ではないかと思っているのですが、将来、そのような展望をお持ちなのかどうか、教え
ていただきたいと思います。

○障害者雇用対策課長
　ジョブコーチの支援につきましては、それぞれの組織をバックにジョブコーチが支援
に当たるというような形で考えておりまして、助成金制度はこの二つのタイプですが、
もう一つ申し上げれば、いわゆる配置型というもので、これは高障機構自体の直轄事業
で実施するものであり、これは地域障害者職業センターをバックにジョブコーチが活躍
をするというものです。それから、福祉施設型は、福祉施設に雇用されている方が事業
所に出向いて活躍するものであり、事業所型は、事業所の中に、今、先生からご指摘ご
ざいましたように、既に在職している方でももちろん結構ですし、そういった事業所自
体に雇用されている方がジョブコーチという形で活躍をするという形で、それぞれの特
性の違う組織の立場からジョブコーチ支援に当たっていただくという形を作っていくと
いうことから、こういうタイプを整理をして設けているところでございます。
　実際に支援に当たる時に、特に事業所型の方であれば、事業所に雇用されていて支援
を行っていくことになるので、自分と同じ事業所に来た障害者の方を支援をしていくと
いうのが、基本的な形になろうかと思いますけれども、そういった支援の実績を積まれ
た方が、例えば、将来的には企業を退職された時に、福祉施設に新しい活躍の場を見出
されてご活躍をいただくというような形で、支援の輪が広がっていくということは大事
なことだと思っておりますので、その意味で、この研修の項目などについても、なるべ
く統一を図っていって、そういった人事交流といいますか、ジョブコーチの方の活躍の
場が弾力的に広がっていくようにセットしてまいりたいと思っているところでございま
す。

○西嶋委員
　いくつかご質問させていただきたいと思います。福祉施設型の方は、社会福祉法人だ
けでなくＮＰＯ等も含まれるのかということです。それから、地域障害者職業センター
等で研修を行った者がジョブコーチになるということなのですが、多分、研修というと
枠があって、なかなかすぐには広がっていかない、希望者があったとしても、なかなか
順番が回って来ないという状態があるのではないかと思うのですが、その辺の数につい
ては、どのぐらいを目途に考えていらっしゃるのでしょうか。また、厚生労働大臣が定
める研修とはどういうものなのでしょうか。それから、支援計画については、地域障害
者職業センターが策定したものということですが、県に一つのセンターがあって、なか
なか県全体の状態を把握しておられない場合もあるように見受けられるのですが、是
非、都道府県と、その福祉の部門と協同してそういう施策が立てられるような指導をし
ていただくということによって、かなり実質的な計画が立てられるのではないかと思う
ので、その辺をお考えいただきたいと思いました。
　また、先ほども期間のことが出ていましたが、特に福祉施設型の場合は、ジョブコー
チの質の確保ということからも、できれば長期にわたってそういう仕事をやっていただ
けるような仕組みになった方が、やはりいいサポートをしていただけると思うのです。
期間が限られているということで、質の高いサポートが確保できるのかどうか心配にな
ったので、そこを検討いただきたいと思いました。
今回いい制度ができたので、是非、企業等がこれをうまく活用できるように、地域障害
者職業センターが中心になって、周知を徹底していただきたい。なかなかいい制度がで
きても、逆に企業から地域障害者職業センター等に問い合わせても、実態が分かってい
なくて、担当者が理解できていなくて進まないというケースもありますので、是非その
辺はお願いしたいと思います。
　最後に、障害者介助者等助成金について、10年経った方たちが対象となるということ
については、企業側からもこういう要望が出ていましたので、とてもいいことだと思う
のですが、これは、例えば、企業で長期勤続して、既に10年経ってしまって、いったん
切れてしまっている方たちにも復活できる道があるのかどうかについてもお尋ねしたい
と思いました。以上です。

○障害者雇用対策課長
　まず、福祉施設型の対象でございますが、具体的には、省令案要綱にも記載している
と思いますけれども、社会福祉法人その他障害者の雇用の促進に係る事業を行う法人と
いうように省令で書かせていただく予定でございます。先ほど申しましたように、ジョ
ブコーチ支援というのは、ジョブコーチの方は一人で頑張るということではなくて、あ
る程度組織的なバックをもって活躍をしていただくということが大事だろうと思ってお
りまして、その意味では、地域障害者職業センターであるとか、福祉施設であるとか、
あるいは事業所であるとかというバックをもって活躍をしていただくという形ができれ
ばと思います。そのためには、一定程度、福祉施設型についても、バックになる組織が
しっかりしたものを確保したいという意味で、法人格はお願いしたいと思っております
が、今、お話があったようなＮＰＯ法人などでも、就労支援に非常に熱心に取り組んで
いただいているところがございますし、実績が上がっておりますので、当然対象にして
まいりたい。最低限、法人格はお願いしたいということでございます。
　それから、次に研修の関係でございますが、私どもできる限りそういった支援をでき
る方、この助成金の対象になっていくジョブコーチの方、そういったものを増やしてい
きたいと思っております。これまでも、高障機構においては、配置型と協力機関型につ
いての研修を行ってきておりまして、例えば、16年度では、両方合同で実施しておりま
すけれども、実施回数は年度で3回実施して、配置型29人、協力機関型106人というよう
な形で養成を図っています。今年度前半でも、配置型33人、協力機関型45人を養成して
おります。助成金制度になりましたので、今後拡大が見込まれると思っておりますが、
高障機構の研修の計画の立て方に沿って、今後、例えば、当面今年度後半においては、
福祉施設型については80人ほどの養成が図られるように、それから、事業所型について
は40人というのが、一応、今年度の後半の研修の計画としては立てさせていただいてい
るところでございます。おそらく今年度の状況を見ながら、また、18年度の研修ニーズ
を図りながら計画を立てていく必要があるかと思っていますので、できる限り、そうい
う研修ニーズに的確に対応できるような形で研修を実施してまいりたいと思っておりま
す。
　なお、ご指摘がございましたように、この研修については、厚生労働大臣が定める研
修というのも制度の中に織り込んでございます。高・障機構で行う研修だけでは、なか
なか広がりの限界が出てくるという面もあろうかと思っておりますので、その点につい
ては、高障機構が現在行っている研修と同水準・同程度の研修を行っていただけるとこ
ろが今後出てくると思っておりますので、そういったところを大臣が定める研修という
形で位置付けて、全体としてジョブコーチの養成のキャパシティーといいますか、そう
いったものが広がるようにやっていきたいと思っているところでございます。
　それから、支援計画についてですが、支援計画は先ほどの説明でも少し触れておりま
すように、今回の中で、福祉施設型について申し上げれば、地域センターが策定をする
というだけではなくて、福祉施設の方で作成していただいたものを、中身について、ジ
ョブコーチ支援の水準とか、そういう意味で確認をさせていただく必要があるかと思い
ますが、地域障害者職業センターで承認という形でお認めをしたものについても、助成
金の対象にするというふうに考えておりますので、既に支援実績があって、一定程度ノ
ウハウがあり、あるいは、支援の前提となるようないわば職業評価のようなものがきち
んとできるような法人であれば、そういったものに沿って支援計画を法人自らが作って
いただいて、地域障害者職業センターと相談の上で助成金を受けていただくという、こ
ういう形になるようにしてまいりたいと思っているところでございます。
　それから、ジョブコーチ支援がなるべく長期にわたる方が質のいい人材がとれるので
はないかというお話がございましたが、若干説明が不足していたかと思いますが、この
支援期間については、この支援を行う障害者の方一人ひとりで見た時の支援期間という
ような設定でございます。したがって、8ヶ月とか6ヶ月というのは、ある人が支援対象
になって、支援計画が立てられて、では何時までというのは、8ヶ月が限度、6ヶ月が限
度ということでございますし、支援対象者が複数にわたる場合が当然あると思いますの
で、それはジョブコーチの方の業務量を見ながら回していただくということかと思いま
すけれども、できる限り、ジョブコーチ助成金の対象になるような一定のスキルを持っ
た方には継続的に支援を行っていただけるように、特に福祉施設型の方については、地
域障害者職業センターの方でもお願いをする部分というのが、今後ともあろうかと思い
ますので、そのあたりは、福祉施設との連携を十分に図りながら、ジョブコーチの方に
いわばフル活動していただけるようにやっていきたいと思っております。
　なお、制度の周知については、ご指摘の通り当然のことでございますので、このタイ
ミングで今お諮りを申し上げているので、目の前にして施行が迫ってはいるのですが、
施行後も当然精一杯の周知を図らせていただきたいと思いますので、またご協力もいた
だければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
　障害者介助等助成金につきましては、ご指摘がございましたように、既に10年間を満
了している方がいらっしゃるのが事実でございまして、今回の制度では、10年満了した
時点で引き続きというのが制度の前提ではございますが、満了した方についても、新た
に10月以降申請をしていただいて、そこから5年間は支給対象にさせていただくという
形にさせていただいております。

○西嶋委員
　ご返答いただいてありがとうございます。ジョブコーチの方の研修が今年度施設型で
80人、企業型で40人ということでは、都道府県で、企業では１社、施設では2名という
ことになるわけです。とても限られた数なので、是非ここは増やしていただきたいと思
っています。
　それから、厚生労働大臣が認める研修ということで、ある一定の実績のあるところを
認めていくというお話でしたが、そこに対しての援助みたいなもの、例えば、そのよう
な研修をするための支援策が何かあるのかということをお尋ねしたいと思いました。
　それから、施設で質の確保からも長期にわたってということを考えてというご説明が
あったんですが、一人が何人かを支援してもかまわないのですね。その辺も、明確に、
どういうことだったら大丈夫かというような詳細があるのでしたら、明確に出していた
だいた方が分かりやすいと思いました。

○会長
　今の１点目については、強い要望ということでお聞きしておけばよろしいですね。で
は、２点目、３点目についてお願いします。

○障害者雇用対策課長
　研修に対する支援ということですね。研修については、例えば、福祉施設型で考えた
場合には、ジョブコーチということの定義がどうかという問題はあるかも知れません
が、既に民間でも、いろいろな形でそういう方を育てる取り組みというのはおきて来て
いるというふうに承知しておりますので、機構が行っている研修の水準まで確保してい
ただくという必要はあると思っていますけれども、そこまでいけば、なるべくそれに乗
っていただけるように、これからも、私どもとしては働きかけをしてまいりたいと思っ
ております。
　ただ、財政面での支援というのは、今回の制度の中では、特に考えていないというこ
とでございます。
　複数の方に対応するということに対しては、今の協力機関型ジョブコーチでもそうい
うふうにお願いをしているところでございまして、例えば、ある方へのジョブコーチ支
援というのは、その初期にはほとんど毎日のように支援に入るというようなところか
ら、だんだん支援が少なくなっていって、1週間に１回というふうになっていくことに
なりますので、その業務量を見ながら複数の方に対応していただくということになろう
かと思っております。
　ここは、そういう支援に対応した、1日当たりいくらということで助成制度を組ませ
ていただいているので、その対象障害者で見れば、複数の方の支援計画が組み合わさっ
ていって、1ヶ月間に何日の支援をするかというのを見て、その日数に応じて助成金を
お出しするというふうになっていきます。その意味では、複数の方に1ヶ月の中で対応
していただくと、むしろ逆に、支援日数が多くなってくると思いますので、助成額も多
くなるという形になってくるかと思っております。

○西嶋委員
　是非そこのところは、その仕組みがうまくできるような、モデルなどを考えていただ
ければ分かりやすいと思いましたのと、今、ジョブコーチの研修や何か、実績を積んで
いらっしゃるところなどは、ほとんどが受講者負担になっているわけです。そういう意
味では、そういう受講者の負担が軽減されるような仕組みが今後ご検討されることを願
っています。要望ということです。

○障害者雇用対策課長
　一点だけ申し上げますと、今回の助成金の制度の中では、受講料そのものまでは対象
にしていないのですが、福祉施設型については、研修の受講にかかる旅費は、今までも
協力機関型で旅費の支給をしていたものですから、対象にするということで、そこは厚
生労働大臣が定める研修についても同様に旅費は助成対象にするというところまでは、
一応セットはさせていただいております。受講料のところについては、今後の動きを見
ながらということであろうかと思いますけれども、またいろいろご意見を承りながら考
えていきたいと思います。

○寺山委員
　ジョブコーチのことで西嶋委員からたくさん質問があって大変よく分かったのです
が、要するに、これは障害者の就労の専門職、カウンセラーに次いでの専門職だという
ことで、専門職の養成ということであり、量も質も確保しなくてはいけないということ
ですね。それから、養成は支援ニーズに応じて少しずつ、機構と、今度、厚生労働大臣
の指定の機関で養成するということで、一方で進んでいますが、養成目標といいます
か、厚生労働省としては立て難いのでしょうか。何年までに大体どのぐらい配置して、
どのぐらいの人数で、それまでは、さっきの受講料という話とかいろいろありましたけ
れども、基本的には、受益者負担だと私はその点は思いますが、そういう計画を立てる
のは難しいのでしょうか。例えば、ＰＴ（理学療法士）、ＯＴ（作業療法士）、ＳＴ
（言語療法士）などの養成では、大体このぐらい必要なので、何年までにはこうという
ことで、時々見直しをするのですが、そういう発想は難しいのでしょうか。

○障害者雇用対策課長
　ジョブコーチの人数につきましては、現在の数字で申し上げれば、今は高障機構の事
業としてやっているわけですが、協力機関型を含めて、ジョブコーチとして今ご活躍い
ただいているのは全国で586人という状況でございます。今お話があったように、これか
らどんどんニーズも増えていく、また、そういったことをやっていきたいという方も増
えていくということであろうかと思いますので、その養成を図ってまいりたいと思うの
ですが、当面、大変恐縮でございますが、研修の仕組みとしてこちらがご用意できてい
るのが高障機構の研修でございまして、その研修の定員と申しますか、そこからくる一
定の制約はどうしてもできてしまっているというところだろうと思います。その状況を
見ながら、また今後拡充していきたいと思いますし、今、先生からお話があった養成人
数の目標みたいなものもこれからの課題として考えさせていただければと思っておりま
す。

○松矢委員
　要望ですけれども、とにかくこのジョブコーチの拡充というのは非常に期待が強くあ
ります。基本的には高障機構がまず手がけて、国の施策として始めて、それが民間に広
がっていくという形できていると思います。この後、おそらく概算要求の説明があるか
と思いますが、障害者就業・生活支援センターもこれから140カ所ということですね。
そこもジョブコーチ的な手法を使っているわけで、また、都道府県レベル、地方自治体
でも就労支援センターを持っていますので、その福祉施設型ということについても、か
なり希望が多いですね。ですから、加速度的にこれはやって欲しいし、そういう資格が
欲しいというのはどんどん広がりますので、この助成金の中では、最も加熱化するとい
うか、ニーズが高まっていくということは目に見えていると思います。そこで、やは
り、それをあまり規制しないように。要するに、ニーズ、つまり、このジョブコーチの
手法で8割が定着しています。非常にシステムとしてはいいわけですから、今現場で起
きているニーズをなるべく育てていくという形で、この助成金については、やはり、ど
んどん活用していけるような方向で進めていただきたいと思います。これは要望でござ
いますけれど。

○障害者雇用対策課長
　様々に、松矢先生を始めとして、非常に強い期待感とこれからの要望をお出しいただ
きましたので、私どもといたしましても、高障機構にこういったご議論があったという
ことをきちんと伝えていきたいと思いますし、また、先ほど来申し上げておりますよう
に、それ以外での研修の場を確保するという努力をしてまいりたいと思います。どうぞ
よろしくお願いいたします。

○佐藤（德）委員
　ジョブコーチの対象者についてですが、資料２－１の参考４では、対象者について、
福祉施設型と事業所型で区別があるようには読めないのですが、その時に、問題点が、
「その他の障害者」というふうになっていて、それがもし、高次脳機能障害といった中
身であるというふうに考えた時に、職場で何か事故で高次脳機能障害になったような人
たち、また、復職時などにも、そのような援助が必要な場合が、モデル事業などで少な
い例とはいいながらあるわけでございます。そうすると、できれば、事業所型の方にも
「その他の障害者」というような項目が読めるように理解していいのではないかと考え
るのですが、その点はいかがでしょうか。

○障害者雇用対策課長
　今お話がございました、「その他の高障機構が認める障害者」という個別に認めてい
くような部分というのは、お話の通り高次脳機能障害を想定しているものでございま
す。ただ、高次脳機能障害につきましては、私どもこれまでジョブコーチ支援事業をや
っていく中でも非常に対応が難しい、支援難度の高い方々だと承知をしておりまして、
できる限りその支援をきちんとした体制の下で十分な支援ができるように図ってまいり
たいと考えております。今回のこの仕組みの中では、特にその事業所で雇用している方
で、そういう方に対する対応が出てきたような場合には、この助成金とは別の形になり
ますが、高障機構が直轄事業でやっている、いわゆる配置型のジョブコーチのところで
十分な対応を図っていくことが必要だろうと、やや手前味噌的で恐縮ですが、やはり高
障機構の直轄の配置型のジョブコーチというのは支援のスキルの面でも非常に高いもの
を持っているというふうに考えておりますので、そこで対応をさせていただくというこ
とを原則的に考えていこうということでございます。ただ、一部、福祉施設でもそうし
た取り組みをしていただいているところがあるので、そこは個別に見ながら、助成金の
対象にしていこうということで、事業所自らの支援については、今後の課題というふう
に考えさせていただきたいと思っております。

○会長
　多くのご意見やご質問や、あるいは要望をいただきましたので、ご相談なのですが、
そろそろこの本件の取り扱いについて、ご相談したいと思いますが、それでよろしいで
すか。

○輪島委員
　私ども企業側、使用者側として、一つ要望しておきたいと思う点だけ申し上げたいと
思います。一つひとつの助成金については、この中身に異論があるわけではありません
けれども、これの財源は全て納付金の財源ということになります。それから、来年の4月
1日以降で精神障害者についてはみなし雇用ということで、その点については、ある意
味では納付金の財源としてはマイナスの効果が働くわけで、そういう意味では、一つひ
とつの助成金はいいかもしれませんけれども、全体の納付金の財政というものが気にな
るわけでありますので、その点、単年度の収支の均衡を図りつつ、よくよく検討してい
ただいて、運用していただきたいと考えているということでございます。

○会長
　ご要望ということでよろしゅうございますね。では、本件の取り扱いについてお諮り
したいと思います。
　本日付けをもって本分科会に諮問されました障害者の雇用の促進等に関する法律施行
規則の一部を改正する省令要綱案でございますが、当分科会といたしましては、これま
で議論をしたまいりましたことを踏まえて、妥当であるということで、私から労働政策
審議会長宛に報告したいというふうに考えておりますが、よろしゅうございますでしょ
うか。（「異議なし。」）よろしゅうございますか。はい。ありがとうございました。
　それでは、事務局より報告文案を配布をしていただければと思います。

（議題３について）

○調査官
　それでは、資料の3の1をご覧ください。プライバシーに配慮した障害者の把握・確認
ガイドラインの策定についてということです。そもそも障害者雇用促進法において、事
業主に対しましては、障害者雇用の義務を課しているといったようなこと、それから、
納付金を納付する、また、逆に雇用義務を達成していれば、障害者雇用調整金、報奨金
が支給されるといったことから、その事業主は必然的に障害者雇用の状況を把握し、そ
して、定められております障害者雇用状況の報告、そして、障害者雇用納付金の申告、
また、障害者雇用調整金、報奨金を受け取るための申告に当たりまして、その雇用して
いる労働者中の障害者である労働者の人数その他の事項を把握しておくということが必
要になってくるわけでございます。これにつきましては、まず、個人情報ということで
あることから、個人情報保護法を始めとする法令に十分留意した適正取得、適正な活用
・保管ということが必要なわけでございます。更に、今般、障害者雇用促進法改正に伴
いまして、精神障害者に対しまして、雇用率算定上算入が認められることになったわけ
でございますが、特に精神障害者の方につきましては、事業所において把握をされると
いうことにおいて、プライバシーへの配慮というのが非常に重要であるということで
す。そのために、障害者一般の問題として、障害者本人の意に反した事業主による情報
の活用・把握といったことが行われルようなことのないよう、身体、知的、精神と、障
害者全般を対象としまして、プライバシーに配慮した障害者のガイドラインを策定する
といった事情により、このガイドラインを策定することとなったものでございます。
　この障害者把握・確認ガイドラインにつきましては、障害者の把握・確認ガイドライ
ン検討会議というものを設けまして、本年7月から8月にかけて検討を進め、策定に至っ
たものでございます。更に一枚めくっていただきますと、障害者の把握・確認ガイドラ
イン検討会議のメンバーですが、このうち、検討会議の笹川委員、舘委員、長谷川委
員、それから松井委員、松矢委員、輪島委員と、6名の方がこの分科会の委員と重なっ
ているという形でございます。ここで、同会議の開催状況でございますが、本年7月19
日に第1回を開きまして、8月3日に第2回、そして去る8月9日の第3回におきましてガイ
ドライン素案のご議論をいただき、資料3の3としておつけしたようなガイドライン案と
してご了承をいただいたものでございます。
　本日、このガイドラインについてご報告するに際しまして、資料3の3の目次を見てい
ただければ分かる通り、これは企業の人事担当にそのまま渡せるように、障害者雇用促
進法に基づく事業主の義務といったようなところから語り始めておりますので、本日
は、この資料3の2によりまして、今回の障害者把握・確認におけるプライバシー配慮の
核になる部分、ガイドライン本体ですと、特にIIの中ですが、その中でも、1.とか2.と
いった辺りが核になりますので、そこを集約した資料の3の2で説明させていただきま
す。
　まず、事業主が雇用労働者の障害について把握するきっかけとしましては、採用の時
点で障害者であると把握している場合、これは障害者専門求人に応募してきた方、これ
は障害者であるといったような場合です。その場合には、既に把握・確認という一段階
は問題なく済んでいるので、あとは、その障害の状況についての情報を入手する際の留
意事項ということでございます。まず、これは一般的な個人情報保護の原則に則ってい
るわけですが、利用目的ですね。障害者雇用制度のための報告・申告等に使いますとい
うことで、そのために個人情報の項目、事項を明示するということ。それから、一度得
た情報を毎年度長期にわたって利用されるということ。それから、状況変更があった時
には、あるいは、それがあったのではないかと事業主が考えた時に、確認を行うという
場合があるということ。こういったことについても告知をし、同意を得ること。もう一
つは、義務的なことではございませんが、障害者に対する法的な支援策やその企業内部
の支援策について、併せて周知を行うことが望ましいということでございます。
　問題が特に出てきますのは、採用後に障害者を把握・確認する場合です。採用時から
既に障害者である場合もあれば、また、採用後に、精神障害などをちょっとイメージし
ておりますが、精神障害を発病し、精神障害者になったというような場合、これらの場
合におきましては、事業主側では、その労働者が障害者であるといったことを把握して
おりません。ですが、事業主の側として障害者の雇用制度を、的確に実態を把握させる
ためには、できれば把握をしたいということであります。その場合に、どうやって未だ
把握されていない雇用労働者のうちの障害者を把握するか。これにつきましては、ま
ず、原則は労働者全員に対して申告を呼びかけるという方法が適切であるということで
ございます。そして、方法としまして、申告の呼びかけに際しては、メール、チラシ、
その他事業所内の誰でもが見るような場所、定められた掲示板等での掲示といった形
で、労働者全員に伝わること。画一的に伝わるような画一的な手段を用いるということ
であります。
　そして、申告があった場合の留意事項については、※ということで、利用目的を示す
こと。それから、必要な個人情報項目もどういう内容かということまで含めて明示する
こと。それから、毎年度利用し得ること等を示した上で、同意を得るということです。
これは、採用段階で既に把握された場合と同じであるということでございます。
　それから、雇用者全員に対して申告を呼びかける場合にあって、回答することが業務
命令ではないということ。これを呼びかけの際に明確にすることが望ましいということ
であります。
　なお、原則は雇用している労働者全員に対する呼びかけではございますが、個人を特
定して照会を行うことができる場合も確かにございます。まずは、その個人特定の根拠
となる情報につきましては、その各労働者本人が職場において、障害者雇用支援制度の
活用を求めて、企業に対し自発的に提供した情報です。かつて、企業内の就労支援策、
それから、かつて公的な障害者就労の支援策の利用の申し出をした労働者については、
例えば、今回障害者が対象となったといった段階で、改めて障害者かどうかということ
を確認するということは問題なかろうということです。
　それから、二点目ですが、根拠となる情報については先ほど申しましたけれども、そ
して、当該労働者に照会をする際に、どうして人事担当者が、自分らがあなたのそうい
った情報を知っているかということについて、その根拠を明示することということでご
ざいます。そして、障害者の個人情報を取得する際には、先ほど挙げました※の3項目、
利用目的や必要な情報項目の明示と同意、それから、毎年度利用すること、それから、
変更時に確認を行う場合があること等の告知と同意ということです。これらについても
は、前に述べた各場合と同様でございます。
　なお、根拠とする情報として、不適切な場合があり得る、注意を要する例、場合とし
まして、所得税の障害者控除のための書類を出したことがあるとか、病欠・休職の際に
医師の診断書を合わせて提出しているとした場合、こういったことで、例えば、その精
神に関する疾患の情報などが人事に入っているということで、これで既に本人に照会し
ていい場合だといえるかというと、不適切な場合があり得る、慎重な判断を要する例と
いうことで、精神疾患の場合ですと、医師の診断書等から何となく分かるけれども、本
人は十分そういった病識を持っていないといったようなこと、本人の意識とのずれとい
う場合があり得るので、これは主治医とか産業医とか、適切な判断ができる専門家と相
談した上で判断すべきものであって、先に挙げました本人が障害者就労支援策を利用し
たいですと申し出た場合の情報とは違った注意が必要であるということであります。
　以下、あとは把握・確認した後の情報の更新等についてでございますが、この辺は、
個人情報保護に関するもっと一般的な原則と重なる面が多くなっております。資料３の
右側です。
　把握・確認後の情報の更新についてでございます。毎年度利用することや、変更があ
ったと思われる場合に、事業主の側から本人に確認する場合があることについて、本人
の同意を得ておくということは、先にそもそも最初の把握の段階で言っておくべきこと
として申し上げた通りでございます。
　それから、障害の程度の変化などがあった場合に確認をする必要があるわけですが、
そういった確認の頻度は必要最小限度とする。例えば、手帳の有効期限が２年だとしま
すならば、２年の有効期限が経て、次の事業主側の障害者の報告等の義務の時です。そ
ういった時に限るという形で、有効期限内に何回も聞くということは避けるのがよろし
いということでございます。
　それから、もう一つは、これは個人情報保護の一般ルールでございますが、本人に対
して情報の訂正等の手続きを公表し、必要に応じ訂正等を行うということでございま
す。それから、把握・確認に当たっての禁忌事項です。やってはいけないことでござい
ますが、利用目的達成に必要のない範囲まで情報を収集してはいけないということ。報
告書、申告書に事業主が記入するために必要な範囲の情報を定めて、それより広い範囲
で集めてはいけない。そして、そういった採用後の障害者の把握のための申し出を強要
してはいけない。それから、障害の程度はあるんだけれども、現にまだ手帳を取得して
いないという場合に、手帳取得を強要することもしてはいけないということです。そし
て、そういった取得を拒んだことによる不利益な取り扱いをしてはいけない。それか
ら、雇用している労働者の状況を把握するのは、全員に対する呼びかけが原則であり、
個人を特定した照会は、根拠となる情報を人事が持っている場合に限ると申しました
が、正当な理由がなく、特定個人を名指しして、障害者かどうかの情報の収集の対象と
してはいけない。それから、産業医等が企業の障害者雇用状況報告の担当者に情報提供
を行うことを、本人の同意なく行うことも禁止する。こういったことはやってはいけな
いということであります。
　こういったことのガイドラインとなっております。これにつきましては、本日ご報告
した次第でありますけれども、ここでのも皆さんのご発言などを踏まえまして、最終的
には職業安定局長からの通知という形で発出したいと考えております。以上でございま
す。

○会長
　ありがとうございました。ご質問、ご意見をお願いいたします。

○舘委員
　全家連の舘でございます。私もこの検討委員会に関わらせていただきましたが、良い
ガイドラインができたと思っております。ただ、個人を特定して照会を行うことができ
る場合の、この「不適切な場合があり得る」というところですが、例えば、所得税の控
除ですね。それから、病欠・休職の医師の診断書、傷病手当金につきましては、やはり
掘り起こしといいますか、グレーゾーンというか、可能性なしとしないということで、
法律の先生方が大丈夫であるということでしたので、賛成はさせていただいたのです
が、何か事件がありますと、せっかくの努力が水泡に帰してしまうということがありま
すので、慎重に運用していただければということを希望いたします。
　それから、これを局長通達ということで出されるということで、できたものを出し放
しではなく、何か問題がありましたら、見直しを是非していただければと思います。こ
れが二つ目の希望です。どうもありがとうございました。

○会長
　すみませんが、今日はお約束している時間は12時までなんですね。私はずっと長くや
っていても全然かまわないんですが、どうしても困るという方がいらっしゃれば、少し
早めにここを運営しようと思うのですが、よろしいですか。

○障害者雇用対策課長
　今、舘委員からご指摘のあった点でございますが、本体の資料の３の３の20ページを
ご覧いただければと思います。今、ご説明申し上げましたように、採用後に障害者を把
握・確認をする場合につきましては、まず、原則としては、特定の個人に直接呼びかけ
るのが原則ではなくて、労働者全員に申告を呼びかけるというのが原則であるという位
置付けを、このガイドラインではっきりさせることができました。その上で、一定の場
合には、個人を特定して、その個人に直接、あなたは障害者手帳をお持ちですかという
ように、確認をすることができる場合があるというふうに整理をしたところでございま
す。
　そこで、今ご覧いただいている20ページでは、できる場合と、できない、やってはい
けない場合と、それから、やり方によっては不適切な対応になるという場合と、三通り
に分けて整理をしてございまして、できる場合は、今ご覧いただいた通りでございま
す。できない場合については、例えば、個人的な相談の内容を根拠にするとか、あるい
は、レセプトを前提とするとか、こういうのは守秘義務の関係など等も含めまして、こ
れはやってはいけないという整理をしております。一方で、今ご指摘あった点について
は、例えば、所得税の障害者控除を受ける場合には、事業所に対して、ご本人から障害
者控除を受けるという書類に合わせて障害者手帳の写しを添付するというような場合に
なってきますので、それを根拠に把握をするということはどうなのかというようなとこ
ろをご議論いただきましたところ、ご本人の意識との関係では、障害者控除は受けると
いう前提だけれども、会社で障害者として扱われるということについて、必ずしもそれ
に同意をしていない場合もある。診断書なんかになりますと、ご本人自身が障害者であ
るという障害の受容というものをまだされていない場合もあるということもありますの
で、そういった意味で、個々に判断を慎重にやっていかなければならないということ
で、このケースとして整理をさせていただいているところでございます。その上で、次
ページの※の2のところにございます注釈にも具体的に書かせていただいていますよう
に、ご本人の障害の受容の状況、あるいは、病状等によっては、これらの情報をもとに
照会を行うこと自体が本人の意に反するようなケースも生じ得ると考えられる事例だと
いうことでございます。従って、企業において、個別ケース毎に慎重に行う必要がある
というふうに注釈も付けさせていただいているところでございますので、こういったこ
とを前提に、企業に対する対応をお願いしていきたいと思っております。
　もう一点の、今後の見直しの件でございますが、4月1日以降実雇用率の適用というこ
とになりますと、その場面でいろいろな問題点が出てくる可能性もあるというふうに考
えております。その際には、また専門家の先生方に意見をお聞きをしたり、また、この
場でも場合によっては意見をお伺いしたりというようなことを含めて、このガイドライ
ンの見直しが必要になった場合には、そのような対応を図っていきたいと思っておりま
すので、どうぞよろしくお願いいたします。

○末永代理（長谷川委員代理）
　連合でございます。今回は代理で失礼いたします。連合としては、今回の見直しは附
帯決議を含めてほぼ連合要求を満たすものでございまして、満足しているものと考えて
おります。また、このガイドラインにつきましては、障害に対する理解や支援策につい
て理解の普及という項を設けていただきまして、精神障害者であることそれ自体によっ
ては解雇の理由にならないということについて、あとは、企業独自の就労支援策を書き
込めるようにしたことというのは、非常に大きいものと考えております。
　しかし、今回のガイドラインは難しくて、量も多いので、ガイドラインを普及させる
ということに関しては、大企業など担当者がいるような場合はいいんですが、中小企業
はこの分厚いものを読まなければいけないというふうになりますので、それにつきまし
ては、後ろに書かれてあるような例示の文章等を中心としたような分かりやすいシンプ
ルな10ページぐらいのものを作っていただいて、それを普及版として普及させた方がよ
いと考えております。

○会長
　厚くて大変だということですが。

○障害者雇用対策課長
　今お話が出ましたように、把握・確認に当たって、要するに、単純に把握・確認をし
て行政に届け出るということだけではなくて、もちろん企業の中で一定の支援をしてい
ただきながら障害者雇用を進めていくという観点が大切ではないかというご議論もござ
いまして、従って、先ほどの説明の中にもありましたように、把握・確認に当たって
は、そういった企業の支援策、あるいは、公的な支援策も併せて提示をしながら把握・
確認をするという姿勢を持っていただきたいという内容も含ませていただいておるとこ
ろでございます。私どもとしても、その辺りを踏まえた対応をさせていただきたいと思
っております。
　なお、ガイドラインの本体は、今お示ししているように、50ページ近い形になってお
ります。やや、場面毎に整理をしているので、例えば、採用段階のところと、採用後の
ところ、それから、労働者全員に呼びかけるところ、特定の方に呼びかけるところとい
うようなところで、繰り返し同じような記述が出ているようなこともありまして、ペー
ジが膨らんでいるという面もございますけれども、何れにしても、見た目はこれではと
っつきにくいというのは確かなところでございますので、ここのご指摘は検討会議の方
でもそういうことをいただいておりますので、早急に普及版を作成いたしまして、本体
は本体できちんとご理解をいただくということが大事かと思いますけれども、普及版を
使って、なるべく広くこのガイドラインの趣旨・ポイントをご理解いただくということ
に努めてまいりたいと思います。

○会長
　どうぞ。

○小栗委員
　関連して質問ですけれども、質問の一つは、このガイドライン策定の背景についてで
す。背景なり目的のところで、今回、精神障害が元々対象の議論であったのが、身体障
害、知的障害も加えるということで、かなり内容的にも膨大で複雑なものになっている
と思うのですけれども、ここにあるように、身体障害、知的障害はこれまで、障害者の
本人の意に反した雇用率の適用等が行われていたのかどうか。もしあったとしたら、も
ちろんこれらを解決するためにこういうものが要ると思うのですけれども、今回はあく
までも個人情報保護法の範囲でやっているという具合に解釈したらいいのか。ここのと
ころの見解を伺いたいのです。
　その上で、意見ですけれども、私はこうしたことは、そんなに大きな問題はあったと
は思っていませんから、そうすると、今回のガイドラインも精神障害のいわゆる掘り起
こしに繋がるような問題とかにならない範囲に、そこに要点を絞ったガイドラインある
いは普及版であるべきであって、何か全体を網羅していると、かえって焦点がぼけるの
ではないかと思うんです。
　それから、意見の二つ目は、この採用後に障害者を把握・確認する場合の方法とし
て、(1)労働者全員に対して申告を呼びかけるケースが原則で、(2)個人を特定して照会
を行うのが例外だということなんですけれども、原則と例外はいわば本音と建て前みた
いなもので、実はもう本音はこの(2)が全体としてあって、それを、私としては、どう
従業員に混乱なく、不安なく、あるいは労使関係上トラブルもなくてやっていくかが、
このガイドラインの大きなポイントでありますので、そこに目配り、気配りされたよう
なガイドラインあるいは普及版を是非作っていただきたい。こういう点を意見として申
し上げておきます。

○会長
　第2点の方はご要望ということでよろしいですね。では、第1点の方をお願いします。

○障害者雇用対策課長
　このガイドラインを作成しますきっかけとなりましたのは、先ほども申しましたよう
に、今回の精神障害者の方への雇用率の適用ということでございまして、特に在職の精
神障害者の方をどういうふうに把握をしていくかという点で、慎重な対応が必要だとい
うことを、この分科会でも意見として頂戴したことを踏まえたものでございます。で
は、三障害を対象としている点についてはどうかということですが、まず、一つには、
これまで身体の方、知的の方を雇用率の対象にしている中で、具体的なはっきりしたト
ラブルとして掘り起こしの問題、ご本人の意に反するような把握・確認が行われたとい
う事案を私どもも具体的に承知をしているというものではございませんが、ただ、一つ
には、知的の方に雇用率制度を拡大した時にも、やはりご本人の意思を尊重しながら把
握・確認をしていく必要があるのではないかという議論があったということは承知をし
ております。また、身体障害者の方の中でも、特に見えにくい障害という意味では、内
部障害の方などについて、どういうふうに把握・確認をしていくかという点について
は、精神障害の方の把握と同様の問題点があるというふうに考えておりまして、従っ
て、そういう意味で、個人情報保護の要請もさることながら、この制度が三障害全般に
わたっているという意味からも、特に精神障害者の方の把握のためということではなく
て、全般的に、こういった点にきちんと留意をしてご対応いただきたいという形でやっ
ていくことが適当だろうと思っておりまして、そういった前提を検討会議の中でもご確
認をいただきまして、作らせていただいたところでございます。内容的には、三障害全
体をカバーしたということによってボリュームが膨らんでいるということではないかな
と、私としては思っておりますので、このような形で企業の方にというものを、指針と
いうような形でお示しをさせていただくことができればと思っております。
　なお、もう一点の原則、例外の部分につきましては、これも検討会議で原則と例外の
整理をきちんとしていただいて、この場でも特にご異論はないように思いますので、こ
の点は明確に、例えば普及版を作る時などでも留意をしながら対応させていただきたい
と思います。

○会長
　よろしいですか。はい。

○西嶋委員
　私も今小栗委員がご発言の趣旨に全く賛同なんですけれども、一つだけちょっとお願
いということで、これは企業の方へ周知をされる時に是非、企業が既に取り組んで、ず
っと長年やっている方法なんかもありますよね。その中の、多分問題なくやっている企
業さんがかなり多いということ。だけども、今回、精神障害の方たちの把握というよう
なことで、改めてこのようなガイドラインを作成したというようなことを何か分かるよ
うにしていただけたらいいのかなと思ったことが一つです。
　それから、これをぱっと読ませていただいて、何となく気になったのが、ご本人には
障害を持っているということを、社員としてそんなに度々触れてもらいたくないという
気持ちがかなりあるんですね。だから、1回こういうことを言ったら、もうそれでずっ
と通していたいという気持ちがあって、そういうところを逆に何度か触られないよう
な、そういう配慮も必要なのではないかなと思いました。
　それから、このガイドラインでは、障害者の把握・確認という、「障害者の把握」と
いうのは、私はちょっと抵抗を感じていまして、法律用語では障害者ということでは通
っているのかも知れないんですけれども、何か私ども企業の中で話している時に、「障
害者の確認」ということではなくて、「障害の確認」とか、「障害の把握」という言葉
では話しますが、「障害者の把握」という表現をあまり使わないものですから、ここが
ちょっと気になったところです。

○障害者雇用対策課長
　まず、情報を把握する機会をなるべく減らした方がいいのではないかというご意見で
ございますが、これはおっしゃるとおりだと思います。それで、先ほどの3の2の資料の
右側の方にもございますように、情報を更新する頻度というのは必要最小限度にすると
いうのが、このガイドラインの中にも盛り込ませていただいておりまして、例えば、身
体障害者の方であれば、基本的には手帳をずっと所持されているわけですし、その意味
では、1回把握すれば、その後本人に何度も聞く必要がない。逆に、最初に把握した時
に、これで毎年使わせていただくという前提をご本人との間で作っておいていただけれ
ば、それはそういうことでいいのではないかというふうに整理をさせていただいたとこ
ろでございます。
　ただ、一方では、障害等級が変更になったり、あるいは、精神の場合ですと、手帳の
更新という問題がありますので、そこの確認をする必要がある場合といのが出てこよう
かと思っておりますので、そこは必要最小限という範囲の中で、企業にご対応をいただ
ければと思っているところです。
　それから、障害者の把握・確認という法律の要請は障害者の雇用義務で、その前提と
して、障害者の雇用状況の報告をいただく、あるいは、その数を前提として納付金の申
告をいただくとか、そういうことでございまして、いずれにしても、雇っておられる労
働者の中に障害者の方がいるかどうかというところの把握だということになってこよう
かと思っておりまして、そういうつもりで障害者の把握・確認というふうにさせていた
だいているところでございます。
　ですから、逆に申し上げますと、そういう必要な範囲で、今度は障害の状況とかそう
いうのを、またご確認をいただくということなので、むしろ障害の状況の確認という意
味では、障害者の把握という前提の中で必要なところまでやっていただくということか
なとも思いますので。このガイドラインの位置付け、あるいは名前としては、この障害
者の把握・確認の、ガイドラインということで進めさせていただくという点について、
ご理解いただければと思っております。

○会長
　どうぞ。

○加子委員
　要望ということでちょっとお話を申し上げます。このガイドラインにつきましては、
私どもも作成に参画させていただいておりますので、内容については問題があるという
ことではございません。ただ、あくまでガイドラインだということにつきましては、そ
この部分を徹底いただきたいなと思っております。これが想定しておりますのは、やは
り精神障害の把握ということで出しておりまして、従って、把握・確認をするのであれ
ば、やはりこういういふうにしなければいかんだろうという意味においては、その通り
だと思うんですけれども、現実の実務を展開している中では、必ずしも一律に、全従業
員に向かって、常にこういったものを、障害の実態を把握しているわけではございませ
んので、そういう意味では、往々にして、ガイドラインというのがいつしか、必ずこの
ようにやらないといかんとなり、そのうちに、こうやっていないのが問題だというよう
な形の捕まえ方になるのは非常に困るなと思っています。ですから、あくまでも把握・
確認する時には、やっぱりやるんだったらこうだろうと、だけど、常に定期的に、一斉
に把握をしなければいかんということではないというふうに理解しておりまして、です
から、その点についてよろしくお願い申し上げたいと思います。　

○障害者雇用対策課長
　今お話があった点につきましては、ある意味で、「６－１報告（障害者雇用状況報告
）」をいただいたり、あるいは納付金の申告、調整金の申請をいただいたりというよう
な点については、一定程度企業の方で把握をしていただく必要性が発生をしているとい
うことではないかなと思っております。ですから、そういう前提の中で、どういった方
法でやっていただくのが適当かということでお示しをさせていただいたつもりでござい
ます。そういう意味では、一定程度、そういう企業が行う必要性がある中で、企業のご
対応としてこれを参考にしていただければという形でお使いをいただきたいと思いま
す。なお、ガイドラインの中には、禁忌事項という形で、むしろ企業にはこうしていた
だくのは不適当だというふうに整理をしている部分がございますので、その点について
は、やはりそこを踏み越えた対応ということのないようにしていただければと思います
し、また、その点については、私どもも十分な周知を図っていきたいと思っておりま
す。

○佐藤（德）委員
　ちょっと検討事項外のことなのかも知れませんが、採用段階という言葉についてなん
ですけれども、これは採用をすることが決まった後でというふうに考えて当然よろしい
わけですよね。採用段階という時に、例えば、採用面接または採用のための診断書の提
出、そういうものには及ばないということでよろしいわけですね。

○障害者雇用対策課長
　今お話になったことは、おっしゃる通りでございまして、この3の2の概要ペーパーで
書いているこの事項については、採用決定後の確認手続きとして整理をさせていただい
ているものでございます。採用面接時に、例えば応募者に対して、障害の有無を照会を
するという場合が一定の範囲では、なくはないだろうと思います。それは、例えば、特
別な職業上の必要性が存在するなど、業務の目的の達成に必要不可欠な場合に限られ、
その際には、そういった目的をご本人にきちんと示して、採用面接の段階でも障害の有
無を照会するという、そういうルールを守っていただければということで、これは、私
どもの公正な採用選考の指針の中でも、そういうふうに明記をさせていただいておると
ころでございます。そういった観点からも、そういうルールがはっきりしているところ
なので、このガイドラインの中でも同様のことを書かせていただいておりますが、それ
は範囲としては、一定の範囲に限られて、かなり限られる話になると思います。

○会長
　大分ご意見もいただきましたので、よろしいでしょうか。今までいただいた意見を踏
まえてガイドラインの周知徹底を図っていただくということにしたいと思いますので、
よろしゅうございますでしょうか。
　それでは、本日の議事はこれで終わりたいと思います。議事録の署名ですが、労働者
側代表は吉原委員、使用者側代表は江口委員、障害者代表は舘委員にそれぞれお願いを
したいと思います。
　次回の分科会の日程ですが、11月を予定しております。また、追って連絡をさせてい
ただくということになると思います。本日は大分予定の時間をオーバーしたのですが、
大変熱心な議論をしていただきましてありがとうごさいました。終わりたいと思いま
す。


照会先： 職業安定局高齢・障害者雇用対策部
障害者雇用対策課　調整係
電話　03-5253-1111(内線5783)
FAX　 03-3502-5394