05/08/12 薬事・食品衛生審議会乳肉水産食品部会平成17年8月12日議事録      薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 乳肉水産食品部会議事次第                    日時:平成17年8月12日(金)14:00〜17:18                    場所:厚生労働省専用第18〜20会議室 1.開会 2.議題  (1)魚介類に含まれるメチル水銀に関する安全確保について  (2)その他 ○出席者:   委員   熊谷委員(部会長)、有馬委員、石田委員、塩見委員、品川委員、        清水委員、高鳥委員、中村委員、西尾委員、伏谷委員、堀江委員        山本委員   参考人  国立循環器病センター 池田部長、        自治医科大学地域医療学センター 香山教授、        国立水俣病総合研究センター 坂本(峰)部長、        独立行政法人食品総合研究所 鈴木平光室長、        順天堂大学医学部 丸井英二教授、        食生活ジャーナリスト 村上先生、        (独)国立健康・栄養研究所 吉池研究企画評価主幹   関係省庁 水産庁増殖推進部漁場資源課 奥野課長   事務局  外口食品安全部長、松本大臣官房参事官、高原企画情報課長、        中垣基準審査課長、加藤課長補佐、近藤専門官 3.閉会 ○事務局  それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分 科会乳肉水産食品部会」を開催させていただきたいと思います。伏谷先生がまだお見え になっておりませんけれども、始めさせていただきます。本日はお忙しい中、お集まり いただきましてありがとうございます。  開会に当たりまして、食品安全部長の外口よりごあいさつ申し上げます。 ○食品安全部長  「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会」の開催に当たりまして、 ごあいさつ申し上げます。  皆様におかれましては、日ごろより食品衛生行政の推進につき、種々御協力を賜って おります。改めて厚く御礼申し上げます。また、本日は御多忙のところ御出席いただき まして、誠にありがとうございます。  魚介類に含まれるメチル水銀に関する安全確保につきましては、平成15年6月に公表 しました妊婦の方を対象とした注意事項の見直しに当たり、昨年7月に「食品安全委員 会」に食品健康影響評価を依頼するとともに、当部会におきましても、並行して昨年8 月及び11月に御議論をいただいたところであります。  今般、8月4日に「食品安全委員会」から食品健康影響評価結果が通知され、耐容量 やハイリスクグループが示されたことから、資料の更新を行うとともに、本部会におけ る今までの御審議を整理しました。本日はこの内容について報告させていただくととも に、具体的な注意事項の見直しについて御審議をいただければと存じます。本部会にお ける御審議の結論が得られ次第、注意事項の見直しの案をとりまとめ、意見募集等の作 業を進めてまいりたいと考えております。  魚は、良質なタンパク質等を含む重要な食材であり、健やかな食生活に欠くことので きないものであります。「食品安全委員会」の評価結果では、妊婦の方のみが対象であ って、子どもを含め一般の方々は対象となっておりません。また、妊婦の方も魚の種類 や量を工夫してバランスよく食べていただきたいと思います。厚生労働省としては、こ の注意事項の見直しがいわゆる風評被害や魚介類の摂食の減少につながらないよう、正 確に理解されるための方策も講じていきたいと考えております。  各委員におかれましては、注意事項の内容はもとより、正確に理解されるための方策 等についても忌憚のない御意見、御提案を賜れればと思っております。  簡単ではございますが、開会に当たりごあいさつ申し上げます。ありがとうございま した。 ○事務局  本日は、神田委員より御欠席の御連絡をいただいております。したがいまして「乳肉 水産食品部会」の委員13名中、ただいま12名の御出席をいただいております。部会委員 総数の過半数に達しておりますので、本日の部会は成立しておりますことを最初に御報 告いたします。  また、本年1月に「薬事・食品衛生審議会」委員の改選がありまして、本部会では石 田委員、中村委員、堀江委員が就任されました。この点についても報告させていただき ます。 あと、本日は参考人としまして、国立循環器病センター周産期科の池田智明先 生、自治医科大学地域医療学センターの香山不二雄先生、国立水俣病総合研究センター の坂本峰至先生、独立行政法人食品総合研究所の鈴木平光先生、順天堂大学医学部の丸 井英二先生、食生活ジャーナリストの村上紀子先生、独立行政法人国立健康・栄養研究 所の吉池信男先生に御出席いただいております。  また、関係省庁として水産庁増殖推進部漁場資源課の奥野課長に出席していただいて おります。  それでは、部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議よろしくお 願いします。 ○熊谷部会長  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。  最初に、事務局の方から配布資料の確認をお願いしたいと思います。 ○事務局  それでは、本日配布させていただきました資料を説明させていただきます。  まず、各委員に配りました資料の一番上から、今日の席次表。  次に1枚紙、資料No.5として「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項 (議論のためのたたき台)」というものを配らせていただきました。これは変更がある わけではなくて、この後で配ります資料の中に含まれているものと同じものが入ってお ります。  あと、クリップでとめました資料がありまして、その中に3つとじてございます。  まず、一番上としまして「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会」 という表紙が付いている資料でございます。  2つ目のとじた資料としては、参考資料No.1−1という形になっております。  3つ目にとじた資料としましては、参考資料No.2となっております。  これが、1つにとじられたものでございます。  あと、水産庁より、表紙に書いてあります資料を1つにとじたものを配らせていただ いております。  以上でございます。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。おそろいでしょうか。おそろいでない方おられますか。おられま せんね。  それでは、議題1の「魚介類に含まれるメチル水銀に関する安全確保について」、早 速審議を行いたいと思います。  先ほどの食品安全部長のごあいさつにもありましたように「食品安全委員会」におい て、食品健康影響評価が終わり、水銀に関する耐容摂取量などが示されております。こ のため、本日の部会においては、今まで検討を行ってきた注意事項の見直しについて、 より具体的に作業を進めるということを前もって一言御説明しておきたいと思います。  それでは、事務局より注意事項の見直しの前提となりますメチル水銀のリスク評価結 果について、説明をお願いします。 ○事務局  それでは、今、部会長からお話のありました「食品安全委員会」の食品健康影響評価 について、参考資料に基づき簡略に説明したいと思います。  まず、お手元に配布をしております資料の47ページをごらんください。こちらに参考 資料No.1−1と右肩に書かれた資料があると思います。こちらが内閣府「食品安全 委員会」から8月4日付で私ども大臣あてに通知をされました食品健康影響評価の結果 でございます。  こちらの真ん中以降「記」以下にありますように「(1)ハイリスクグループ」につ きましては「胎児」。そして「(2)耐容週間摂取量」につきましては「メチル水銀2.0 μg/kg体重/ 週(Hgとして)」とされております。  また「対象集団」としましては「ハイリスクグループを胎児としたことから、妊娠し ている方もしくは妊娠している可能性のある方が対象となる」。このことが示されてお ります。  具体的な評価内容につきまして、説明をいたします。  次に、123 ページをごらんください。こちらが参考資料No.1−2となっておりま す。この資料は、内閣府「食品安全委員会」事務局が作成したものでございまして、今 回の食品健康影響評価のポイントをとりまとめたものとなっているものでございます。  次に、125 ページをごらんください。この評価の中では「何故、胎児はメチル水銀の 影響を受けやすいか?」について示されております。  この点につきましては2点ございまして、メチル水銀が胎盤を介して容易に胎児に移 行すること。また、胎児は発達過程にあり、特にメチル水銀の標的臓器である中枢神経 系に影響が及ぶことが示されております。  また、対象集団に関しましては、下のスライドになるわけでございますが、乳児は母 乳からの水銀摂取量が低いこと。また小児に関しましては、成人と同様にメチル水銀を 排泄することから、対象とならないことが示されているものでございます。  次に、127 ページをごらんください。こちらの上のスライドにおきましては、どのよ うなリスクを現在対象としているのかというものでございます。  これにつきましては「例えば音を聞いた場合の反応が1/1,000 秒以下のレベルで遅 れるようになる」というものであり、括弧にございますように、水俣病のような重篤な 健康影響とは異なることが示されているものでございます。  次に「評価方法」につきまして説明いたします。128 ページをごらんください。こち らの上のスライドにおきまして「評価方法」について記載されております。  ポイントとしては、3点ございます。1点目は、フェロー諸島前向き研究及びセイシ ェル小児発達研究である疫学調査研究結果に基づき行うこと。  2点目としましては、JECFAで用いられた代謝モデルを用いて耐容摂取量を算出 すること。  3点目といたしましては、不確実係数を適用し、安全性を高めることが示されており ます。  算定の方法としましては、下のスライドになるわけでございますが、まず暴露の指標 としては毛髪水銀濃度を用いること。  2点目としまして、毛髪水銀濃度の250 分の1を乗じて血中水銀濃度とすること。  3点目といたしましては、血中水銀濃度から毎日の摂取量の算出式を用いて算出を行 うこと。  4点目といたしましては、不確実係数としまして毛髪水銀濃度、また血中水銀濃度の 比の変動である2及びメチル水銀の排泄係数の変動である2。この2かける2の4を不 確実係数として用いることが示されているものでございます。  これらを用いました「結論」につきましては、次に131 ページをごらんください。  131 ページの下のスライドにお示ししておりますように「結論」といたしまして、 「ハイリスクグループ」としては「胎児」。「耐容週間摂取量」としては「2.0 μg/kg 体重/ 週」というものが示されております。そして「耐容摂取量の対象者」としまして は「妊娠している方もしくは妊娠している可能性のある方」とされたものです。  簡単ではございますが、食品健康影響評価につきましては以上でございます。よろし くお願いいたします。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。委員の中から、もし御質問等がございましたらお願 いしたいと思います。  131 ページの「結論」の上のところに、JECFAと今回の評価案の相違というのが お示ししてありますけれども、これは恐らく「食品安全委員会」で検討された結果、若 干JECFAと違う係数をお使いになっているということなんだと思うんですが、これ によってJECFAの最終的な値と少し異なる値をお示しいただいています。  御質問ございませんでしょうか。  どうぞ。 ○塩見委員  今回のは胎児に対するリスクということで、出てきた耐容週間摂取量というのは胎児 に対する値であるという理解でよろしいんでしょうか。  以前に、3.3 μg/kg体重/ 週というような数字があったかと思うんですけれども、そ れは胎児の問題がないときの時代だったかと思うんです。その数値は、やはり生きては いる。これは、それと別個に胎児に対する数字であるという理解でよろしいんでしょう か。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  「食品安全委員会」が、今の先生の御質問と同じような質問に対してQ&A式で答え を書いております。  それによりますと、従来の3.4 μg/kg体重/ 週を見直した形で、最も感受性が高い胎 児を対象に2.0 μg という評価をしたものであって、従来のものが生きているというよ うな考えは持っていないという回答でございます。すなわち、解釈するに最も感受性が 高い、あるいは影響が懸念される胎児について検討をすればよろしいということだろう と解釈しているところでございます。 ○熊谷部会長  ほかにございますか。  丸井先生、どうぞ。 ○丸井参考人  参考人の方から質問させていただいてよろしいですか。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○丸井参考人  幾つかのリスクの御説明がありましたが、対象について、あるいは量についてお話が あったんですが、もう一つここで出てきていなかったのは時期についてです。妊娠ある いはその可能性ということになります。受精した段階からなのか、どこかの時点からな のか、あるいは今度は後ろは出産までを対象とするのかです。  ですから、あるどこかの時期なのか、あるいは妊娠期間中すべてを対象とするのか、 その時間の問題がここには御説明がなかったので、それを少し御説明いただくといいの かなと思いました。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  御質問の点につきましても、やはり「食品安全委員会」がQ&Aで答えを書いており ます。それによりますと、水銀は胎盤を通過して胎児に取り込まれていく。すなわち、 胎盤形成期というのが問題となるんだけれども、大体通常、妊娠4か月目程度であると いうことを述べておるところでございます。  具体的には134 ページの、これがホームページに掲載されたよくある質問とその回答 なんですけれども、このQ8をごらんいただけるとありがたいと思いますけれども、答 えの1行目の末尾から「妊娠がわかるのはふつう妊娠2ヶ月以降です。胎児に多くの栄 養分を運ぶために胎盤組織に大量の血液が流れるようになるのは、胎盤が完成する妊娠 4ヶ月以降ですから、妊娠に気がついてから食生活に気をつければ、メチル水銀は体外 に排泄されていくので、心配する必要はありません」。  すなわち、4か月目から出産までの間がそういう意味ではリスクが高いということに なるんだろうと思います。  乳児につきましては、既に御説明したとおりでございますので、4か月目から出産ま でということになるんだと思います。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○丸井参考人  それでよくわかりました。  そうすると、今のお話を別の言い方ですると、参考資料1−1の1枚目に「対象集団 」で「妊娠している方もしくは妊娠している可能性のある方が対象」という表現ですけ れども、実際には4か月目ぐらいでほとんど妊娠の自覚があった方でいいということで すね。その辺りのところまですべて含めて、そういう意味では、これはそれなりに正確 な表現になっていると思いますけれども、実質的には大体わかったころから気をつけれ ばよいということになりますか。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  先生のおっしゃっているとおりだろうと思います。  今、134 ページをごらんいただいているかと思いますけれども「Q8『妊娠している 可能性のある方』とは、具体的にどのような方を指すのですか」という問いに対して 「『妊娠可能な女性すべて』という意味ではなく、『妊娠したかな、と思われる女性』 という意味と考えてください」と。先ほど申し上げたようなことから、あくまで妊娠を している可能性があるというところに「食品安全委員会」として解説してきていると考 えております。 ○熊谷部会長  よろしいでしょうか。  どうぞ。 ○坂本参考人  安全係数のところで、血中水銀濃度から1日摂取量に換算するときに排出係数の変動 幅が2倍とありますが、これはあくまでもワンコンパートメントのモデルの中で考えて いく話であって、妊娠中というのは胎児もあるわけで、少なくともツーコンパートメン ト。しかも、胎児はどんどん大きくなっていくから単純なコンパートメントモデルでは 排出できない。  この前、EPAのマファフィーなどとも話をしたんですけれども、要するに胎児の影 響を考えるんだったら、ここの2というのは母親から胎児へのメチル水銀の移行みたい なものを入れて当てはめた方が、もっと胎児を考えての評価になるのではないかという 気がするんです。 ○熊谷部会長  これについては、いかがでしょうか。 ○基準審査課長  御質問の内容が、リスク評価の方法そのものに関わる事項でございますから、私の方 からお答えするのもなかなか困難がつきまといます。  もしよろしければ、香山先生が専門調査会の委員でもございますのでお答え願えると ありがたいかなとは思いますが「食品安全委員会」が公表している資料だけから申し上 げますと、133 ページのQ3、要するにJECFAとの違いという形で安全係数につい て簡単に述べておるわけでございますが、あくまで彼らとしてはJECFAで用いられ た3.2 、すなわちルート10の代わりに排泄係数の比で差し支えないんだ、それはJEC FAにおいても不確実係数を減らすことができるというふうに考えているんだというこ とを言っているわけでございます。  また、ワンコンパートメントモデルあるいはツーコンパートメントモデルについて御 質問がありました。これについては、私が知る限り「食品安全委員会」の中で根本から 議論されたようなことというのは覚えておりません。また、JECFAにおいてもワン コンパートメントモデルで作業をされておりますので、少なくとも「食品安全委員会」 から示された資料の中には、その点については触れていなかったかと思います。 ○熊谷部会長  香山先生、どうぞ。 ○香山参考人  御指名もありましたので、ここで発言しないといけないと思いますので、申します。  まず、第1点は「食品安全委員会」で委員の合意の下に変動幅を2という形で決めま したものですから、私はそれに関しては、今は個人的意見を述べる段階ではないと思い ますので差し控えさせていただきます。  JECFAの会議にも出させていただきましたが、10かける10の100 倍の安全係数と いうのではなく、それを3.2 というルートの10を取ったという、ファーマコ・ダイナミ ックスとファーマコ・カイネティックスを切り分けて計算するという形でJECFAで はしたわけでありますが、これが必ずしもみんなが納得していないということもありま した。  それで「食品安全委員会」では、最終的に変動幅の2というものを選ぶのが妥当では ないかというところになりました。その過程でツーコンパートメントモデルの議論は全 くございませんで、坂本参考人がおっしゃっていることについては余り議論されなかっ たということであります。  以上です。 ○熊谷部会長  よろしいでしょうか。  「食品安全委員会」の検討をここでもう一度やるわけにはいかないと思いますので、 一応「食品安全委員会」の方で慎重に御議論いただいて、その結果がこういう結果とし てお示しいただいたものと思います。  ほかにございますでしょうか。御質問ございませんようでしたら先に進みたいと思い ますが、よろしいでしょうか。  それでは、次に魚介類の水銀含有量、暴露評価結果について事務局の方から御説明い ただきたいと思います。 ○事務局  それでは、続きまして魚介類の水銀含有量の調査結果及び暴露評価結果について、資 料1及び資料2に基づき説明いたします。  なお、今回国民栄養調査の特別集計により、15歳〜49歳の女性の水銀摂取量に関する データを独立行政法人国立健康・栄養研究所の吉池先生に御集計いただいております。 そして、資料3として添付しております。ですので、この資料3に関しましては、資料 1、2の説明の後に吉池先生に御説明いただくこととします。  それでは、配布資料の1ページをごらんください。こちらが「魚介類に含まれる水銀 の調査結果(まとめ)」でございます。  この調査結果につきましては、平成15年6月の注意事項の公表において既に厚生労働 省、水産庁、地方自治体等々においてとりまとめられました結果を公表しているわけで ございますが、今回につきましては、更に平成16年度に地方自治体等で実施された情報 を追加したものとなっております。  2番にお示ししておりますように「調査結果」につきましては「(1)国内における 調査結果」としては、魚介類の種類385 種、検体数としましては9,712 検体となってお ります。  また(2)にお示ししているとおり「諸外国における調査結果」についても集計を行 っておりまして、こちらにつきましては、魚介類の種類165 種、検体数2万1,724 検体 となっております。  ただ、諸外国のデータにつきましては、メチル水銀のデータについていずれも公表さ れておりません。このことから、今回の検討に当たりましてはメチル水銀データが示さ れております国内のデータに基づき検討を行っているものであります。  続きまして、資料2、暴露評価について説明をいたします。15ページをごらんくださ い。こちらが資料2「我が国における水銀摂取量と耐容量の比較(暴露評価)(案)」 となっているものです。  こちらの2番にお示ししておりますとおり、暴露評価に当たりましては必要な要素と いうものがございますので、その要素につきまして括弧を付けまして御説明を申し上げ ております。  まず(1)ですけれども、こちらは「暴露評価を行うための耐容摂取量」でございま す。こちらは、先ほど説明いたしました食品健康影響評価の結果でございます。  また(2)といたしまして「妊婦の体重」がございます。耐容週間摂取量につきまし ては、体重1kg当たりの耐容量という形でお示しされておりますので、この試算を行う に当たりましては妊婦の体重が必要となってくるというものでございます。このため、 ある程度裏付けのある数字が必要ということになりますので、国民栄養調査で対象とな りました妊婦につきまして体重平均を求めて使用しているものでございます。  結果につきましては、平成10年〜14年におきまして体重平均値は55.5kgでありまし た。  (1)の耐容量、そして(2)の妊婦の体重、この2つの要素を使いまして(3) にあります「妊婦1日当たりの耐容摂取量の試算」を行いますと、最後にございますよ うに、15.9μg/ヒト/ 日という結果が出てまいります。  続きまして、16ページをごらんください。こちらに3番といたしまして「暴露評価の 方法」をお示ししております。  水銀に関しましては、魚介類のみならず、ほとんどの食品に水銀が含まれているとい うことでございますので、今回検討の対象となる魚介類、また検討の対象となる魚介類 以外の食品からどのように水銀が摂取されているのか等を勘案する必要がございます。  この水銀摂取量に関しましては、厚生労働省におきまして汚染物質の摂取量調査を毎 年行っております。この結果において、最近10年間の「総水銀の推定1日摂取量」は、 16ページの表1にお示ししておりますとおり、平成7年〜平成16年までの平均値で8.4 μg/ヒト/ 日という結果となっております。  また、摂取量における各食品群の寄与率というものを表2でお示ししております。こ の表2で見ていただけますように、魚介類の欄におきまして寄与率79.8%、約八割とい う結果が示されているものでございます。  この結果を踏まえまして「(2)検討対象の魚介類以外の食品からの水銀の摂取」に つきまして、17ページに仮定条件を3つお示ししております。  この仮定条件につきましては、次の18ページの上の部分に、この仮定条件の考え方の 図が示されておりますので、この図を見ながら御説明を聞いていただければと思いま す。  まず、こちらに示しております「仮定1」でございますが、これは魚介類の中で検討 対象魚介類以外から水銀の摂取量はないというものでございます。この場合には、その 他の食品からの水銀摂取量のみが対象となるものでありまして、これが1.70μg となる わけでございますが、これは検討対象以外の魚介類からの水銀摂取量を過小に見積もっ ているものと考えられます。  次に「仮定3」でございますが、こちらは検討対象以外の魚介類からの水銀摂取量 が、現在摂取している魚介類からの水銀摂取量のすべてに相当すると考えた場合でござ います。この試算につきましては、検討対象以外の魚介類からの水銀の摂取量を過大に 評価しているものと考えているところでございます。  なお、いろいろな試算を行った結果としましては「仮定2」に示しているわけでござ いますが、検討対象魚介類からの水銀摂取量が魚介類からの水銀摂取量の約半分である というものが実情に合っているものと考えているところでございます。  次に4番でございますが、18ページをごらんください。こちらで「検討対象の魚介類 」についてお示ししております。  この検討対象となる魚介類につきましては、先ほど御説明いたしました魚介類の水銀 濃度、資料No.1の中で総水銀またはメチル水銀が高い魚介類を対象としているとこ ろでございます。  魚介類における総水銀濃度が0.4ppm、メチル水銀が0.3ppm以上を目安としまして選択 しますと、こちらに示しております表のとおりの魚介類が選択されてくるというもので ございます。  なお、この表に載っていないものとして、選定基準には該当するんですけれども、検 体数が少ないものなどにつきましては、次表に理由を付しまして対象から除外をしてい るものでございます。  次に、19ページをごらんください。こちらが「5.暴露評価の試算結果」になってお ります。  暴露評価の試算結果につきましては、耐容量の範囲内で、1週間に摂食できる魚介類 の量を試算しております。試算に用いました式は、こちらにお示ししておりますとお り、耐容量から検討対象以外の食品からの水銀摂取量を引きまして、これを検討対象魚 介類の持つ水銀濃度で割るというものでございます。これにより耐容量の範囲内で摂食 できる当該魚介類の量が示されることとなっております。  この結果につきましては、続きまして21ページをごらんください。21ページにお示し しておりますとおり、魚介類ごとに総水銀、メチル水銀のデータに基づきまして、仮定 1〜3を組み合わせた形で表を作成しております。  ただ、懸念すべき事項としましては、これはメチル水銀であるということが評価結果 においても示されているところでございます。具体的には、右から2つ目のカラム、メ チル水銀の「仮定2」が一つの目安になるものではないかということで考えているとこ ろでございます。  魚介類につきましては、上から順にキダイから並んでおりますが、次の22ページをご らんいただければと思います。  こちらの2つ目に「(マグロ)」というものを記載してございます。ここでは、検討 対象魚介類として対象となっておりますミナミマグロ、クロマグロ、メバチというもの が挙がっております。  そして、その下の括弧といたしまして「(参考:その他のマグロ類)」というものに ついてもお示しをしております。  「(参考:その他のマグロ類)」と、その上にございます「(マグロ)」という欄を 比較していただけますればわかると思いますが、検討対象となっていないマグロにつき ましては、かなりの量の摂食が可能である。具体的に言えば、検討対象となっていない マグロにつきましては、検討対象のマグロの2〜3倍程度が摂食が可能であるというこ とをお示ししているものでございます。  資料1、2につきましての説明は以上でございます。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。  それでは、続いて資料3につきまして、吉池先生御説明いただけますでしょうか。 ○吉池参考人  資料No.3、横長でございます。グラフの下にコメントを付けさせていただいてお ります。  今、事務局のお話がございましたように、総水銀の平均値としての暴露についてはト ータルダイエットスタディーでの値があるわけですが、これが個人ごとにどの程度のば らつきが予測されるかということについては、また別の系で考えていかなければいけな いということで今回試算を試みました。  下のコメントに書いてございますが、今回対象となる魚種といたしまして、従来より 検討の俎上に上っておりますマグロですとか、カジキ、ムツ、キンメダイ等のほかに、 総水銀濃度としては比較的低いものではありますが、摂取量そのものが比較的多いもの として、サケ・マス類、アジ、サンマ、サバ類といったようなものも加えて、計11種の 魚介類につきまして、それぞれの魚介類ごとのグラム当たりの総水銀濃度というもの を、栄養素で言うと食品成分表のような考え方で、まずデータベースをつくりました。  それらにつきまして、国民健康栄養調査の大本のデータですので、だれがある一日に どういう食品を食べたか、何g食べたかというデータがありますので、それらにかけ合 わせて、まずこの11種の魚介類に由来する総水銀の摂取量というのをまとめたものでご ざいます。  そうしますと、バックグラウンドの摂取量といたしまして、先ほど御説明がありまし た魚介類以外の1.7 μg/day というのが考慮されない。また、魚介類であり、この11種 以外の魚介類からの摂取量がカウントされないということがございますので、今、御説 明した1.7 μg/day というのは、すべての人が同じように食べたという前提で、その11 種の摂取量の上に足し合わせる。  また、すべての魚介類からの摂取量については、トータルダイエットスタディーから 6.72μg/day というものがありますので、今回11種の魚由来の水銀量として4.46μg/day という数字が出てまいったので、6.72マイナス4.46μg/day をその他の魚介類からのバ ックグラウンドの摂取量ということで、その分を足し合わせるということが前提条件と なっております。  ですから、平均値としてはトータルダイエットと合うような形で条件設定をし、ばら つきの部分については、この11種の魚の摂取量のばらつきで分布を見ていこうというよ うなところでございます。  その結果が、グラフに示しているとおりでございます。体重kg当たりで示しておりま すが、これによりますと平均値が体重kg1日当たり0.16μg/kgBW/dayということで、そ れに対して中央値が0.086 μg/kgBW/dayですから、平均値の約半分ということになりま す。  また、週間耐容量の2.0 μg を7で割った値であります0.29μg/kgBW/dayというもの で見ますと12.4%ということでございますが、メチル水銀の量から総水銀に換算した数 値に対応する0.39μg/kgBW/day以上のものを見ますと7.0 %ということになります。  ただし、これは1週間この量を食べているということでは決してございませんで、国 民栄養調査は11月のある平日1日で行われておりますので、ある1日の摂取量を取り出 して分布を見るとこのような形が想定されるということですから、特に分布の右側、摂 取量が大きい方については、習慣的な摂取量を考えるとかなり分布が中央に寄ってくる ことが予測されますので、12.4%ないし7.0 %の数値よりは少ない割合になろうかと思 います。  以上でございます。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。  それでは、今、事務局と吉池先生から御説明いただきましたことについて、御質問あ りますでしょうか。 ○坂本参考人  この総水銀の摂取量ですが、魚の場合は90%以上がメチルだからそのまま使っていい と思うのですが、そのほかの食品の場合はあくまでも食品の中に含まれているというだ けであって、ほとんどは無機だと思うのです。ですから、それをわざわざ引いてしまう 必要はなくて、引くにしてもそれに最大0.4 ぐらいかけるとか、そういう作業をした方 がよろしいのではないでしょうか。  それと、魚のメチルの水銀値がゼロというのが幾つか並んでいて、そのほとんどが検 体が1つしかないのがありますが、ゼロということはないわけで、このゼロというのを 本当に国民に示すとしたら、それでいいのか、非常に疑問を感じます。 ○熊谷部会長  これにつきましては、いかがでしょうか。  今、先生がおっしゃったゼロというのは、どこを見ればよろしいですか。 ○坂本参考人  これは3ページの魚介類の「イトヨリダイ」とか、メチル水銀の量がゼロというのが あるのです。しかも、それは検体数が1というのがほとんどで、水銀値がゼロというこ とはあり得ないわけで、ゼロという数値を出すのはおかしいのではないかという気がい たします。 ○熊谷部会長  これは、検出限界で示すべきという御意見ですか。 ○坂本参考人  むしろ、1検体のものは出す必要がないのではないかと。魚の中の水銀はほとんどが メチルですので、1検体見たとか、検体数が少ないものはむしろ出さずに総水銀だけで 話をした方が、よほど正確なデータが国民に伝わると思います。 ○熊谷部会長  そういう御意見です。 ○基準審査課長  私の理解が間違っていましたら、教えてほしいのですが、恐らく坂本先生は2つのこ とを言っているのだろうと思います。  1つは、資料1、ページ数で申し上げますと1ページから、具体的には3ページから ある表の問題で、例えば、一番上の「アイゴ」を見ますと最小値が0.000 μg/g となっ ている。これをどういうふうに解釈するのか。これをゼロと読むのか。 ○坂本参考人  そうではなくて、メチル水銀のところだけ見ていただいて、例えば「イトヨリダイ」 とかその下の方に「イワシ」というのがありますね。メチル水銀のものが1検体しか測 っていなくてゼロと。 ○基準審査課長  全く同じことを言おうとしているのですが、結局0.000 μg/g ですから、有効数字の 問題なのか、それとも検出限界以下なのかということだろうと思います。  私ども、この資料をつくった者に聞いてみたところ、検出限界以下のものを0.000 μg /g と示したということでございますから、ここはバーに変えさせていただきます。  もう一つは、全く違う資料の16ページの試算の問題だろうと思います。16ページ〜17 ページのところで、魚介類と魚介類以外からの水銀の摂取量というのを計算していま す。このときに、マーケットバスケット調査で調べていますのは、あくまで総水銀であ ってメチル水銀ではないというのが問題だと御指摘いただいているのだろうと思いま す。  先ほど見ていただいた魚の方は、総水銀とメチル水銀を測定しております。特に水銀 濃度が高いものについては、必ず総水銀とメチル水銀を測定しておりますので、その両 方のデータがあるわけでございますが、16ページで御紹介をいたしておりますマーケッ トバスケット調査というのは、総水銀で見ているということがございます。  この総水銀で見ているものについて、坂本先生のお言葉を借りると魚介類は総水銀の うちの9割がメチル水銀だから、×.9を行うか。魚介類以外のものは無機水銀も結構多 いので、×.4を行うというのが先生の御指摘だったと思います。  これも、具体的なデータが集積されて確たることが言えるということであれば、そう いう手法もあるのだと思います。総水銀でこのまま計算していくと、より安全側に立っ た試算になります。  そこで、例えば0.4 でございますとか、0.9 でございますとか、そういうものをかけ れば、ある面で申し上げますと確たるデータが仮にあればよろしいのですが、そうでな ければ不確実性が増すということになるのだろうと思います。  一応、ここでは前回、昨年8月、昨年11月いずれもこのような計算をお示ししたとこ ろでございまして、言わば安全側に寄った試算をしているということで御了解いただけ ればと思います。 ○熊谷部会長  伏谷先生、どうぞ。 ○伏谷委員  この18ページですが、ハイリスクといいますか、かなり危ない魚介類の種類が出てい ますけれども、これを挙げた基準というのは総水銀が0.4ppm、メチル水銀が0.3ppmとい うことになっておりますが、これはどういう基準でこの値を決めたのですか。 ○事務局  これは、昭和48年当時に私どもが設定させていただきました暫定的規制値というもの が総水銀で0.4ppm、メチル水銀で0.3ppmというものでございます。 ○伏谷委員  これは平均値を使っていますね。平均値というのは、一つの値がやたらと高いものが 出てくるとそこだけぼっと高くなってしまいますので、もう少しほかの使い方をした方 がより種類の水銀量が反映できるのではないかと思います。  この表を見ていますと、随分とばらついていますし、これは標準偏差が出ていないの で、どのぐらい偏差があるかわからないのですが、実際にこのようなやり方でいいのか なという気がします。 ○基準審査課長  この基準を設けましたのは、今、担当から御説明申し上げましたとおり、昭和48年で したか、水銀の魚介類の中における暫定規制値というのを規制したところでございま す。それが総水銀で0.4ppm以上、メチル水銀で0.3ppm以上、言わばほとんどの魚介類は それで規制がされている。  ところが、そこに一部深海性の魚介類とか、回遊性の魚介類であるとかというのはそ の規制の対象外だという形になっているわけでございます。したがって、それらのもの については、この規制を上回るものが市場に出ている。これをどう考えるのかというの を昨年以来議論していただいたのだと思います。  今、伏谷先生から御指摘いただいておりますのは、平均値を使うことの妥当性だろう と考えるわけでございます。今回のこの資料のまとめは、基本的には昨年8月、11月に 出したものと全く一緒でございますが、先生から御指摘いただいた、例えば1つ2つの 資料がとても高い値を示したために平均値が引きずられているというようなものを除外 するために、19ページをごらんいただきますと、一番上の欄に検体数が少ないものはま ず除きましょうという考え方を示しております。具体的に言うと、検体数が10を下回る ものについては検討対象から取り上げておりません。  では、これをほうっておいていいのかというのは別の問題でございまして、それはそ れでまた今後調査をしていくということが必要だろうと思います。けれども、いろんな ばらつきがあるというのも御指摘のとおりでございます。  一方では、こういった試算を公表しているイギリス、オーストラリアにおいても、や はり平均濃度でやっていくしかないのだろうということが示されておりますし、一つの 割り切りとして平均濃度でやっていく上で検体数が少ないというのを対象外、これはま た追って調査をしていくというようなことで対応を図るのかなと考えているわけでござ います。 ○熊谷部会長  よろしいでしょうか。 ○水産庁  資料No.2の15ページです。そこの2の「(2)妊婦の体重」ということがありま して、先ほど補足がありましたように、結論として平均体重55.5kgを設定しているとい うことでございます。  「食品安全委員会」のリスク評価のレポートを見ますと、妊娠体重を60kgとしており ます。私、専門外の者ではございますけれども「食品安全委員会」と違う数字を使うこ とで私みたいな専門外の人に混乱を起こさせることはないのか。どなたかお答えいただ ければありがたいと思います。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  池田先生がこの方面の御専門でございますので、御意見を賜ればありがたいと思いま すが、私が承知している限りで、まずお答えをしたいと思います。  妊娠時期によって体重が増加してくるというのは当然のことでございます。そういっ た中で、どの体重を使うのが妥当かということを考えたわけでございます。  また香山先生からも必要があれば言っていただければいいと思いますが、「食品安全 委員会」の議論は、計算式の中で妊婦の体重が使われております。その計算式はワンコ ンパートメントモデルの計算式でございまして、分母にも分子にも妊婦の体重があるわ けでございます。  そこで妊婦の体重60kgということに対して、委員の一部から60kgでいいのかというよ うな議論があった際に、分母、分子にあるのだから結局打ち消すので、これ以上議論す ることはやめようという議論がされたというふうに私は覚えております。  一方、厚生労働省で通常こういった場合に使っている体重というのは50kgというのを 使っているわけでございます。50kgというのも何らかの根拠があるようなものではなく て、50kgでやっておけば先ほどと同じような安全側に寄ったような議論になるのだろう というふうなことから、そういった体重を使っているわけでございます。  今回の場合に、やはり何らかの試算をしていく上で根拠のある数字を使おうというこ とから、55.5kgという国民栄養調査の二百数十人の平均を用いたわけでございますが、 あくまで出てきた試算は目安であるという点から申し上げても、55.5kgを使うのがいい のか、その1割減の50kgがいいのか、その辺りも含めてまた御議論を賜ればありがたい と思っております。 ○熊谷部会長  池田先生、これは272 人の平均値というふうにこの資料にはありますけれども、日本 人ではどんなものでしょうか。 ○池田参考人  先ほど課長様が言われましたように、妊娠中には体重の変動がございまして、平均10 kg〜12kg増えております。今、非常に問題になっておりまして、妊婦の栄養状態という ところと関係がありまして、日本人は少し体重を抑え気味ではないかということで、毎 年毎年出生する新生児の体重が減少しておりまして、それも妊娠中に妊婦の栄養を十分 考えなければいけない。  ですから、水銀摂取だけではなくて、そのほかの栄養も考えなければいけないという 重要なことでございますけれども、いろんなファクターがございまして、体重の方をど のように決めるかというところに関しましては、やはり55kgでも60kgでもきっちり一つ のところを決めるというところで計算なさっておられることに何の異論もないように思 います。 ○熊谷部会長  吉池参考人、どうぞ。 ○吉池参考人  調査データのもとを考えてのコメントを少しさせていただきますが、恐らく60kgとい う数値は、切りのいいところもあろうかと思いますが、妊娠のごくごく後期の最後の体 重を想定したものだろうと思います。  国民栄養調査につきましては、これは妊娠の各期における人たちがランダムに選ばれ ているということでありますし、本人が妊娠と気づいて初めて妊婦と認識して調査をし ておりますので、そういう意味ではそれらいろいろなステージの人を合わせた平均体重 という意味では、今回対象と想定している人たちの平均的な姿の体重であるというふう には考えていいかと思います。 ○熊谷部会長  香山参考人、どうぞ。 ○香山参考人  議論を戻しまして申し訳ございませんが、先ほどの平均値の問題ですけれども、これ が算術平均であるよりも幾何平均であるべきだと思います。汚染物質は対数正規分布を するということが一般的に言われたりしますので、特にこのぐらいの数になれば幾何平 均を取って試算をした方がよろしいのではないかと思います。 ○熊谷部会長  これは、もしその平均値を取ると、この値はかなり変わることになるのですか。 ○香山参考人  少し下がるのではないですか。 ○坂本参考人  それから、23ページの摂取量の図でありますけれども、これが平均値と中央値という のが非常にずれているのです。これを幾何平均にしてしまうと、平均値と中央値がほぼ 同じになってくるということがあると思うのです。だから、非常に理解しやすいといい ますか、真の中央値に近い平均値を示すのが幾何平均値だと思います。 ○熊谷部会長  体重について、幾何平均値を取ってもさほど値が変わらないとするならば。 ○香山参考人  いや、体重ではありません。水銀濃度です。 ○熊谷部会長  今の香山先生のお話も、水銀のお話ですか。 ○香山参考人  水銀濃度です。 ○熊谷部会長  済みません。香山先生も、資料No.3の方のお話をされていたわけですか。 ○香山参考人  そうです。3ページからの「国内における魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ )」で、伏谷委員が先ほど御指摘された点に関わって、なぜ平均値が算術平均なのかと いうのは不思議だ、幾何平均であるべきではないかと言っているわけであります。 ○熊谷部会長  今の御意見はいかがでしょうか。 ○坂本参考人  理想的にはそうかもしれないのですが、出されたものが4検体の平均値というふうに 出てきた場合には、ここで並べることができなくなってしまうのです。そういう意味 で、数を重ねていったり、ほかの人たちの平均値を持ってくる場合にはしようがない、 算術平均で出さざるを得ないのかなという点もあります。もし一個体一個体の数値が出 ているのだったら、幾何平均で出される方がいいのだと思います。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○丸井参考人  どちらの平均がよいかということは議論の対象になると思いますが、先ほどお話があ ったように、検体数がごく少ないものが除かれたということは、今のような懸念を排除 すると思います。  例えば、4ページを見ていただいて、4ページの表の一番下がわかりやすいと思いま すが「クロマグロ」です。これはメチル水銀の平均が0.542 μg/g ですが、最初は0.047 μg/g 、最大が4.200 μg/g 、ほぼ100 倍ぐらいです。メチル水銀の含有量が2けた も違う魚が、1つの魚の種類でいるということで、その辺のところで平均値をどう考え ていたかということは非常に私も重要だと思っています。  実際に、このマグロがどこから来たものかということも次の話で、ある地域に非常に 高い濃度のマグロが流通しているということであれば、その地域は食べるたびにかなり 濃度の高いマグロを食べるし、ある地域では濃度の低いマグロを食べるのか。あるいは この場合には120 検体ですが、実際どんなふうに、どこから捕られたものなのか。捕ら れたというのは、実際に購入されたのか、あるいは水域はどこなのかというようなこと も恐らくは関係して非常に大きく分布していると思いますので、平均値を使うときには そこのところを考える必要があると思います。 ○熊谷部会長  基準審査課長、どうぞ。 ○基準審査課長  昨年8月の部会において同じような御意見があって、昨年11月の部会に資料を提出し たところでございます。その資料もお配りすればよかったのですが、今回は割愛させて いただいております。すなわち、昨年8月の議論では、大きさによってかなり違うので はないか、産地によって違うのではないかというような御指摘がございました。  大きさというのは、確かに魚の中で蓄積していくということを考えていくと論理的に あり得そうだということで、水産庁の御協力も得て分析していただいたわけでございま すが、マーケットに出てくる魚はある一定の大きさだということがあるのだろうと思い ますけれども、明確な相関が見られた魚種というのはごくごく限られたもので、ほとん どの魚についてそういった相関というのは見られておりません。また、産地の問題につ いては、データで分析しても何が何だか全くわからないというような状況でございま す。  この差が何に由来するかというのは、勿論学術的にはまだまだ研究していただく余地 があるのだろうと思いますが、前回の御議論の紹介、あるいは前回の資料はそういうも のでございましたという答えにとどめさせていただきたいと思います。 ○熊谷部会長  今後の問題ということなのでしょうか。たしか大きさで区切ることができればこんな 簡単な話はなくて、ある一定の大きさ以上のものを流通禁止にするとかそういう措置が 取れるわけですけれども、それができないという、たしか前々回あるいは前回の議論だ ったように覚えているのですけれども、今後の問題ではあろうかと思います。  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○鈴木参考人  資料3のところでお伺いしたいのですけれども、2行目ですけれども、各対象者にお いて、マグロ、カサゴ、キンメダイとか魚種が書いてありますけれども、1つの質問は マグロというのは何のマグロだったのですか。特にわからないのですか。 ○吉池参考人  これも、今までも何度か議論があったかと思いますが、食品中に含まれる水銀濃度と いう観点から、マグロもかなり細かく魚種に分かれて調べられているわけですが、実際 に栄養調査で対象者の方に聞き取ったときにはそれほど細かく区別されてデータが取ら れているわけではありません。そういう意味で、摂取量を表すデータとしてはほぼマグ ロ一括としてデータが残っているという状況ですので、すべてをくくって、あとは水銀 濃度の方を、いろいろなマグロの種類のある中をどうまとめたか、今回どういうふうに まとめたデータを使ったかについては事務局の方で御説明いただきたいのですが、いろ いろな魚種がある中で加重平均的な水銀濃度を用い、摂取量についてはマグロとしてと らえられたものでかけ算をしているということになっております。 ○鈴木参考人  それは、後でまた事務局に聞くとして、それ以外に、カサゴとかムツ、サメとかがあ るのですが、この辺はそんなに食べられているものですか。 ○吉池参考人  最初に申しましたように、魚介類中の水銀の濃度が高いものという取り上げ方が魚種 としては6つあったと思うのですが、それとサケ・マス、サンマ、アジといったように 水銀の濃度は低いけれども摂取量が多いもの。その2種類を今回考慮したということで あります。  ですから、ムツ、カサゴ等につきましては摂取量は実際には極めて低いわけですが、 含有量が多いということで取り上げております。 ○鈴木参考人  それはおかしいような気もします。というのは、むしろどのぐらい基礎的に当該魚類 以外で摂られているかを知るのであれば、どういう魚種が一番食べられていて、それに 対してどうだという数値を出していただかないといけないのではないかと思うのです。 ○吉池参考人  そういうことを検討した上でこれらが挙がってきたということで、事務局の方で検討 していただいてこれらを対象としようということで、今回挙がってきていると思いま す。 ○鈴木参考人  だから、それは摂取量の多い順にきちんと説明資料として出していただいて、それで どうだというデータを出していかないとわかりにくいと思います。 ○基準審査課長  まず、2つの御質問があるのだろうと思います。  先生がおっしゃっているのは、まず1つは、分布を計算する際に魚の摂食量が多いも のを対象とすべきではないかという御指摘だろうと思います。  これについて吉池先生とも相談したのは、これは水銀の摂取量を分布化しようとして いるわけですから、魚の摂食量かける水銀濃度が分布に影響してくるということから、 水銀濃度が高いもの、例えば先生がおっしゃっているようなカサゴとかムツとかという ものについても対象としている。これはあくまで水銀の量を分布化をするためというこ とでございます。  2番目の御質問は、マグロについてどのような形で処理をしたか、対応をしたかとい うことだろうと思います。  マグロについては、3ページからの資料にございますように、それぞれのマグロにつ いて、例えばクロマグロ、メバチマグロ、キハダ、何とかという形で水銀の分析がされ ております。これに水産庁からいただいた市場シェアをかけて、仮にマグロの加重平均 を求めて、その加重平均値をもってマグロ類の摂食量に充てております。 ○鈴木参考人  今のところで、水銀を見たいからカサゴを見たというのは、やはりそうではなくて、 水銀は当然見るのですが、ところが対象以外の魚介類からくる量はどの程度であるかと いう実態値を見たいわけです。そうしたら、やはり摂取量の多い順から来ていかないと おかしな話になるのではないかということです。 ○基準審査課長  先生がおっしゃっておられますのは、対象魚介類以外からの水銀の摂取量を見たいと いうことでございますか。 ○鈴木参考人  そうです。 ○基準審査課長  だとすると、資料3の目的と違いますので、資料3の目的というのは個人の水銀摂取 量の分布を試算してみようというのが目的でございまして、対象魚介類とか対象魚介類 でないとかというのは資料3の目的ではないのだろうというふうに考えます。 ○鈴木参考人  でも、結局はここのところで最終的には仮定を出したところが、仮定ではなくて実測 で出したいというためにやっている話ですね。そうではないのですか。仮定1、2、3 とはまた別の話なのですか。 ○基準審査課長  これは、仮定1、2、3と直接つながるものではなくて、前回、前々回の御議論の中 で大体マーケットバスケットから言うと、平均が総水銀として8.4 μg だということを 申し上げてまいったわけですが、当然そこには分布があるだろう。平均が仮に8.4 μg としても、多い人はその2倍程度あるかもしれない、あるいは1.5 倍かもしれない。い ずれにしても分布があるのだろう。その分布を試算してみろというような御意見があり ましたので、その分布を試算しようと試みたものでございます。 ○熊谷部会長  坂本参考人、どうぞ。 ○坂本参考人  これも中央値と平均値が違うという話でいくと、これは幾何平均でしょうか、それと も算術平均でしょうか。 ○吉池参考人  先ほどの物に含まれている量を幾何平均という話は、それはそれで平均だけを求める ということであればいいわけですが、これついてはむしろ平均値を求めるのではなくて 分布を見るということですので、もともと算術平均を求めるという意図は全くなく、対 数を取ろうという発想もそもそもこの目的にはないことです。 ○坂本参考人  これは算術平均として0.16μg/kgとすると、これから推定される毛髪水銀値が1.6ppm なのです。だから、非常にこの計算値は正しい、近い、いい値を出しているかなという 気がします。日本人の大体15〜50歳ぐらいの平均年齢の毛髪中水銀濃度にぴちっと合っ ているのかなと思います。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。先ほどの18ページの仮定1、2、3も含めまして、よろしいでし ょうか。一応、こういう仮定が置けるということです。  御質問がこれ以上ございませんようでしたら、先に進みたいと思いますが、よろしい でしょうか。  それでは、注意事項の見直しに関しましては、この部会で昨年8月、11月に審議を行 ったわけですが、また「食品安全委員会」からも評価結果が提出されて、今後この部会 としては今日の審議も含めて注意事項の見直しを進めることになるわけですけれども、 今までの審議の中で注意事項の見直しに当たって整理すべき論点が幾つか示されており ます。この論点につきましては事務局でとりまとめていただいているようですので、論 点整理を行った上で具体的な注意事項の見直しについて審議を進めたいと思っておりま す。  それでは、その部分について事務局より説明をお願いします。 ○事務局  それでは、注意事項の見直しに当たっての論点整理につきまして、資料番号で言いま すと25ページのNo.4に基づきまして説明をいたします。  なお、事務局としては、本部会で注意事項の見直し案を作成していただいた段階で1 か月の意見募集を行いまして、その意見を踏まえて再度本部会で議論をしてもらうこと を考えております。その旨、念のため申し上げます。  論点につきましては、お示ししているとおり全部で6点ございますが、まず同系列と 考えられます論点1、2、次に3、続きまして4、5、6といった3つに区切りまして 説明をさせていただきます。そして、また各委員より御意見を賜れればと存じておりま す。  また、本日は水産庁より参考資料が提出されているところでございますので、この論 点の1及び2の説明に引き続きまして、水産庁から説明をいただこうと考えておりま す。  各論点と、それらが注意事項の中でどのように反映されていくかをイメージしていた だくことが必要であると考えております。このため、本日は別添資料といたしまして、 肩書で資料No.5と書かせていただいております1枚紙を別に添付させていただいて おります。つきましては、これから資料4につきまして説明申し上げますが、資料5と 並べて目を通していただければと存じます。  なお、こちらにお示ししております資料No.5のたたき台につきましては、本日の 参考人としていらっしゃっておられます丸井先生の研究班の御協力を得て作成している ものでございます。  それでは、内容について御説明申し上げます。資料No.4「『妊婦への魚介類の摂 食と水銀に関する注意事項』の見直しにあたっての論点整理について」でございます。 こちらのペーパーは第1回、第2回「乳肉水産食品部会」での御審議を踏まえて整理し たものとなっているところでございます。  まず「1.妊婦における魚介類の有益性について」、どのように考えていくのかとい う点でございます。妊婦につきましても、魚介類は健康的な食生活を営む上で重要な食 材であって、一定の注意事項を守りつつ魚介類を摂食することで魚食のメリットを得る ことができるのではないかというものでございます。  参考としまして、1番としては「食品健康影響評価書」に書いてございますように 「n−3系多価不飽和脂肪酸をはじめとする魚の摂食による栄養学的なメリットがある ことを忘れてはならない。つまり、メチル水銀濃度が高い魚を多量に食べることを避け ることで、魚食のメリットとメチル水銀摂取量の低減を両立することができる」と記載 されております。  また、参考2といたしましては「米国の表現方法」。こちらでは「魚介類の選択及び 摂食に関する勧告に従うことにより、女性と幼児は魚介類摂取の利益を得ることができ る」と書かれているものでございます。  この論点の1番が、注意事項の中でどのような形で反映されてくるのか。イメージに つきましては、1枚紙でございます資料No.5をごらんください。  こちらでは、表題の下に小見出しでございますが、括弧をいたしまして「魚介類の有 益性」というものを書かせていただいております。こちらにおいては、魚介類というも のは健康的な食生活にとって不可欠ですぐれた栄養特性を有したものであるという旨を 記載しているものでございます。  また、この1番に関連しましては、小見出しで言いますと「妊婦の方々へ」という部 分の第1パラの一番最後の文章になるわけでございますが「妊娠している方又は妊娠し ている可能性のある方(以下『妊婦』という。)は、次の事項に注意しつつ、魚介類を 摂食するよう心がけましょう」という部分でございます。  また、同じ小見出しの「妊婦の方々へ」の第3パラグラフになりますが、こちらでは 「魚介類は健やかな妊娠と出産に重要である栄養のバランスのよい食事に欠かせないも のです。本注意事項は、妊婦の方々に水銀濃度が高い魚介類を食べないように要請する ものではありません。水銀濃度が高い魚介類を多量に食べることは避けて、水銀摂取量 を減らすことで魚食のメリットと両立することを期待します」ということを記載してお ります。  また、裏側を見ていただきますと、こちらの最後の小見出しでございますが 「正確な理解のお願い」という部分におきましても「魚介類は一般に人の健康に有益で あり、本日の妊婦への注意事項が魚介類の摂食の減少やいわゆる風評被害につながらな いように正確に理解されることを期待します」という部分に反映されてくるものと考え ているところでございます。  続きまして、論点の2番「懸念される水銀の影響の記載について」、こちらについて 説明いたします。こちらでは、水銀の影響をどのようにわかりやすく記載するのか。胎 児にわずかな影響があるということを懸念していることをわかりやすく伝えることが必 要ではないのかというのが第2の論点でございます。  この論点につきましては、同じく資料No.5を見ていただきますと、小見出しの上 から3番目「妊婦の方々へ」という欄の第1パラでございますが「近年、魚介類を通じ た水銀摂取が胎児に影響を与える可能性を懸念する報告がなされています。この胎児へ の影響は、将来の社会生活に支障があるような重篤なものではなく、例えば音を聞いた 場合の反応が1/1,000 秒以下のレベルで遅れるようになるようなものです」という部 分でございます。2番の論点につきましては、このような形でイメージとしては反映さ れてくるのではないかと、考えているところでございます。  まず、論点1、2につきまして、事務局からの説明は以上でございます。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。  水産庁から提出されてございます資料は、どれですか。これについて御説明いただけ ますでしょうか。 ○水産庁  ありがとうございます。  それでは、別つづりで水産庁から薄い資料がありますので、これを説明いたします。  今、事務局から出されました資料No.4とNo.5の議論に当たってまず考慮して いただきたい点は、農林水産省、水産庁、厚生労働省が政府を挙げて、国の政策として 魚食普及を推進している最中だということであります。このため、今回の注意事項案で ございますが、妊婦の方々を含む消費者を混乱させる材料とならないような慎重な対応 が必要と考えております。  更に、全国の自治体からは魚食普及の一環として地域の水産物の消費の向上に政府が 努めるようにとの要請が多く、例えばマグロやキンメダイが地元の旬の食材として食生 活指針ハンドブックのたぐいに載せられていることを付け加えておきたいと思います。  それでは、資料でございますが、表紙をめくっていただきまして右上に資料1とある ものを見てください。これは、表題にありますように「フードガイド(仮称)検討会報 告書案(抄)」でございます。これは、農水省、厚生労働省が共同で作成し、つい最近 完成したものであります。  文章中、下の方の下線の部分を見てください。この下線というのは私どもが付けたも のでございます。何をどれだけ食べればよいのかといった食事についてのわかりやすい 情報提供を目的としたもので、対象は子育てを担う世代などとなっております。  具体的なイメージとしては、ページをめくっていただいて2ページ、色入りの絵を見 ていただきたいと思います。実物はもっと大きいものでございます。縮小版でございま す。最近、地下鉄や電車の中づり広告などで見かけた人も多いかと思います。  絵が小さいものでございますから、私どもがつくったものでございますが、下の方に 吹き出しを付けております。魚の個別具体的な処理として「まぐろとイカの刺身」とい うのが掲げられております。  更に、ページをめくっていただきまして3ページでございますが、この表は料理例と して、ちょうど中ほどに黄色いものを付けておりますけれども「まぐろとイカの刺身」 が載っているところであります。  4ページでございます。資料2であります。これは、農林水産省が児童と児童を持つ 親御さん向けに配っている『ジュニア農林水産白書』というものでございます。これは 表紙でございまして、中は次のページをめくっていただきます。  これも抜粋したものでございますけれども、下の方の(3)を見ていただきますと 「魚を食べると頭が良くなる?」と書いてありますけれども、この文章の中にも左側の 一番下、それから表の「主な機能」の真ん中のカラムの「DHA(ドコサヘキサエン酸 )」のところでございますけれども、魚を食べると脳や神経組織の発展などに効果があ ることが知られている。このように解説しております。  表の右端には、この効果のあるDHAを多く含む魚として、マグロ、カツオ、マダイ といったものが挙げられております。  次に、6ページの資料3であります。これは、社団法人大日本水産会が行ったアンケ ート結果であります。  これも抜粋でございますけれども、まず上の方を見ていただきますと、上のグラフと いうのは首都圏の主婦を対象にしたものであります。年齢別に分かれておりますけれど も、例えば下の方に20代、30代のところがありますけれども、多くの20代、30代の主婦 の方々が魚を取り入れた食事を増やしたいと考えていることが見てとれると思います。  下の方のグラフは、乳幼児の保護者を対象にしております。理由はいろいろ書いてあ りますけれども、保護者は「成長に必要な栄養素が豊富」あるいは「頭が良くなる」、 こういった幅広い理由で魚のすぐれた栄養や、毎日の食事に魚を取り入れたいという姿 勢が見えるものと思われます。  7ページ、資料4でございます。これはむしろ論点整理の2に関係するかと思います けれども、これは「食品安全委員会」の季刊誌に「食品安全委員会」の委員であります 小泉教授が投稿した記事の抜粋であります。  この資料で目を向けてほしい部分に、我が方が下線部を引いておきました。インド洋 に浮かぶセーシェルという島がありますが、ここの人たちはさまざまな魚を多く食べま して、日本人の魚の食べ方に似たケース。この調査結果の結論部分を紹介しておりま す。つまり、そこに書いてありますように「魚を多食する妊婦でも子供には異常をきた さず、むしろ子供の脳の発達に良い影響を与えているという報告もあります」というこ とでございます。  この調査結果につきましては「食品安全委員会」の専門調査会の報告 書にも書かれております。魚の水銀リスクが過大評価され、魚食のメリットが過小評価 されたのでは消費者に不安を広げるだけで、今回の注意事項の目的と考えられます魚を 食べながら合理的にリスクを管理しようということとの調和を考えていただきたいと思 っております。  最後に、これは「食品安全委員会」へのパブリック・コメントにおいてでございます が、なぜ摂食の注意事項を見直しする必要があるのかという声が多くあったと承知して おります。その背景には、1つには日本人の日常の食生活でこれまで水銀中毒が出てい ないということ。もう一つは、水銀リスクにおいて日本人を対象に調査したデータがな く、リスクが実証されていないという見方があるものだろうと思っております。  したがいまして、特定の魚介類について週2回または1回、このような摂食にとどめ るよう勧めるのであれば、その必要性をきちんと国民に説明していただくよう御議論を お願いしたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。それでは、引き続き事務局の方から論点の追加の部 分をお願いできますでしょうか。  こちらの資料「議論のためのたたき台」については、御説明いただいた限りでよろし いですか。 ○事務局  はい。「議論のためのたたき台」につきましても、説明は終わっているところでござ います。 ○熊谷部会長  こちらの表についてもよろしいですか。  それでは、御説明いただいた部分につきまして御意見あるいは御質問ありますでしょ うか。 ○吉池参考人  本質的でないことなので恐縮なのですが、今、水産庁課長からフードガイド、「食事 バランスガイド」についての御説明をいただいたことについてコメントを付けさせてい ただきます。  私、この検討会の座長でとりまとめをした立場でございまして、先ほどの御説明によ ると厚生労働省、農林水産省が魚食を勧める一環としてこれがあるというふうに聞こえ たのですが「食事バランスガイド」の中には主菜をバランスよく摂る。その一つの要素 として魚があるということで、特に魚食については特段推奨するということはうたって いないかと思っております。  また、マグロとイカの刺身ということにつきましても、国民健康栄養調査等のデータ から比較的頻度が多く摂られているものを例示しているということですので、この絵を もって特に食べなさいと言っているものではない。また「食事バランスガイド」の趣旨 から言うと、特定のものについてこれだということの使い方はやめようという趣旨にな っていますので、特段魚食を否定するつもりはないのですが、このような場でこういう ふうなお使い方をされるというのは本来の趣旨から反するのではないかと思っておりま す。  以上です。 ○熊谷部会長  そういうことですが、いかがでしょうか。御意見ございますか。  この「議論のためのたたき台」につきましても、何か御意見ございますか。 ○山本委員  30ページの表ですが「注意事項」として「1回約80gとして妊婦は週に2回まで」と 書いてありまして、その右側に魚種がずっと並んでいるわけです。  また、ここに一週間当たり220g程度というグラム数が出てくるわけですが、これが また1週間に80gとして2回で160gと、この220g程度との関係が、この表をぱっと見 ただけでは非常にわかりにくいというところもあります。  それから、もともとこのグラム数というのは、この程度であれば安全だということを 示されているはずなのですけれども、80gとして2回ということで十分表わせているの ではないかと思いますので、わざわざこれを新たにここに書き加えるというのは必要な いのではないか、この部分は削除してもよろしいではないかと私としては考えておりま す。 ○熊谷部会長  有馬委員、どうぞ。 ○有馬委員  私としては、80gで2回という書きぶりになっていますけれども、必ずしも80gとい う摂り方をされるわけではないですし、後の注意事項のところにも組み合わせによって は20gと60gとかそういうふうな書きぶりもありますので、一応それぞれの魚種ごとの 摂取の目安として、これは先ほどの評価の仕方の仮定1、2、3の中の2だと思うので すが、それを載せるというのは目安として有効ではないか。  それから、多分、妊婦の食事指導みたいなことも、当然最終的には保健所みたいなと ころを通じて何かやられるようなことも将来的にはあると思うのですけれども、そうい うときの目安としてはこういう数値があった方が妊婦さんとしてはかえってよろしいの ではないかという感じを私は持ちます。 ○熊谷部会長  基準審査課長、どうぞ。 ○基準審査課長  議論を整理させていただければと思います。  山本委員、有馬委員から御指摘いただいておりますのは「議論のためのたたき台」の 30ページの表の一番右側「魚介類(1週間当たりの魚種別重量)」というものの取扱い でございます。その議論をしていただきたいと思いますが、ここの量がどのような形で 記載されているかということを申し上げますと、先ほど御説明をした21ページの暴露量 の試算を出しているわけでございますが、前回、前々回の御議論を踏まえて、一つの目 安として右側「調査結果に基づく試算(メチル水銀)」の「仮定2(g/week)」を目安 として考えているわけでございまして、これを10g単位で切り捨てたものでございま す。そういうことを御理解いただいた上で御議論いただきたいと思います。  その際に、この試算は、先ほど水産庁の奥野課長から御指摘のあった妊婦の体重が一 つの要素になっていて、池田参考人から10kgぐらい動くのだという御指摘もあった。ま た、伏谷委員からこの平均値を使うことの妥当性、魚種の方の水銀濃度の平均値の問題 というのも御指摘いただいているわけでございます。  事務局といたしましては、一つの試算をせざるを得ない、あるいは先ほど坂本参考人 から御指摘のあった無機水銀の問題もあるわけでございますが、言わば安全寄りにも目 くばせしながら、あるいは妊婦の体重についてはかなり変動が多いということも念頭に 置きながら、魚種の水銀濃度について変動が多いということも念頭に置きながらも一つ の試算をした。このメチル水銀の仮定2というのをここに記載した。これを記載したら いいのか、あるいは外しておいた方がいいのかということについて御議論を賜ればと思 います。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。 ○高鳥委員  今の議論ですけれども、例えば今、注意事項等を見ていきまして、有馬委員が先ほど おっしゃったように、一つの数値として見ていく分には、それは科学的な数値にも見え るんですけれども、非常に数値としては混乱をさせる可能性が多分出てくると思いま す。ですから、逆に言うと、これがもし注意事項として行くのであれば、この数値はな い方がわかりやすいのではないかと私は思います。 ○熊谷部会長  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ。 ○伏谷委員  こういう表を載せるというのは、非常にいいことだと思うのですけれども、せっかく こういう表を挙げるのでしたら、もう少しきめの細かい挙げ方をした方がいいと思いま す。  魚食というのはかなり地域性がありまして、ある場所では非常にたくさん食べるも の、ある場所では食べないものがありますね。そういったことも頭に入れてこういう表 をおつくりになるのでしたら、そういう表をつくられた方がいいのではないかと思うの です。  さっき、検体数が少ないから除いたというのがありますけれども、そういう中にはあ る地域では結構食べられているものも入っておりますし、せっかくこういうことをされ るなら、もう少し、本当に細かい、いろいろな地域に合ったものを挙げた方がいいので はないかと思います。  例えば、キダイなどというのは多分、日本全国を見渡してもそんなに食べられていな いと思うのです。多分そんなに漁獲量もないでしょうし、もしかしたらこれは外国から の輸入品かもしれませんので、その辺も御考慮された方がよろしいのではないかと思い ます。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。 ○基準審査課長  伏谷委員の御指摘というのは、リストアップする魚種についての御指摘でございまし ょうか。 ○伏谷委員  魚種です。せっかくここの表に挙げるのでしたら。 ○基準審査課長  事務局の言い訳がましいことを申し上げますと、魚種の点につきまして一番悩ましい のは、クジラのたぐいを載せるのか載せないのか。今、伏谷委員の御指摘を考えている と、確かに現段階においてクジラを食べられる方というのはかなり限られておるのだろ うというふうにも考えるわけでございます。  ただ、3分冊になっている3分冊目の表紙から2枚目でございますけれども、138 ペ ージにございますのが平成15年6月に出した注意事項でございまして、今回の表に代わ るものというのが上から4番目の「これまで収集されたデータから」というパラグラフ にあるわけでございまして、このときこういう魚種が並んでいるわけでございます。  確かに、ある地域で食べるとかというようなことを考えていくと、リストをアップす る魚種をどの形、どの辺りにするのかというのを考えなければならないのですけれど も、今回リストアップしている魚種というのは、先ほど御説明をした総水銀で0.4ppm、 メチル水銀で0.3ppm、さらに一定の検体数があるものというような形で基準をばさっと きり、それをリストアップしたという事実経緯だけ御報告させていただきたいと思いま す。  議論を整理すると、先ほどあった表の括弧書きの中、すなわち一週間当たり何g程度 というのをどうするかということと、今、伏谷委員から御指摘のあった魚種をどうする かという2点の議論があるのかなと考えております。 ○熊谷部会長  ほかにありますでしょうか。  どうぞ。 ○中村委員  安全というより安心的になるのですけれども、私はこれを読ませていただいて、まだ そんなに魚食のメリットというのが伝わってこないのです。  何でなのかという話で、例えば魚食の有益性でEPAとかDHAを多く含む。それ で、多くというのはどのくらいなのか。妊婦の人はセンシビリティーが高いからよくわ かっているかもしれませんけれども、例えば極端な例ですけれども、卵でEPAとかD HAが魚の半分あるとしたら、それでは卵は倍食べればいいかとか、実際にはどうなの か、魚にしかないのかとか、ほかのものでは代替できないから魚食を少なくすることは バランスにとってよくないとかそういう話がなくて、それは妊婦の人はみんなわかって いる話で「不可欠」というのが出てくるのですが、どうもその辺が、一般の妊婦の人が 単純に多くというだけでわかるのか。魚にしかないから大事なのですとかという話は要 らないのかというのが非常に気になっています。  後ろの方でも「魚食のメリット」と言葉は出てくるんですけれども、何がメリットな のかというのがこれからは読み取れないから、メリットとしても安心の話ではそう大し たメリットではないのかなというように思ってしまうのです。だから、パブリック・コ メント的になればそういう意見も出るのかなと思うのですが、素人に対しての呼びかけ としては物足りない感じがします。 ○基準審査課長  むしろ先生方にお聞きしたいのですが、魚にしかDHAやEPAがないと書けるので あれば私はそう書きたいと思いますが、いろいろな文献を見てみてもそこまで言い切っ たというのはなかなかありませんで、やはり多く含まれていると書かれておりますの で、そういう意味では、先生御指摘のような事務局的にならざるを得なかった。ただ、 ここで御議論していただいて言い切って構わないということであれば、私はそのように させていただきます。 ○中村委員  それは、サイエンティフィックに言うとどこまで言えるかというのがあると思うので すけれども、私は卵とか鳥の方ですが、卵の話があって、コレステロールのために卵を やめようという話があるときに、卵をやめることで卵から摂取する栄養バランスが少な くなるというか、デメリットの方が大きくなるというような、出典はどこか忘れたので すけれども、恐らく業界の話だと思うんですけれども、こういう場所では、課長がおっ しゃるように極めて多いとか、ほかのより圧倒的にとか、書ける書けないというのはサ イエンティフィックな話でわかるのですが、どうもその辺になってくるとこれが控え目 になってしまって、パンチが弱いという感じがします。 ○熊谷部会長  工夫していただくということで、もうちょっとパンチがきいた表現方法を事務局に御 検討いただくということで、よろしくお願いします。 ○坂本参考人  3系の脂肪酸に関しては、その他の食品に比べて魚介類には多いのだということを強 調して書かれたらいいと思うのです。 ○熊谷部会長  そういうものについてはですね。  この高度不飽和脂肪酸については、ほかのそれに比べてそれが言えるのですか。 ○坂本参考人  言えます。大丈夫です。 ○熊谷参考人  そうすると、その部分はそういうふうに強調できますね。 ○中村委員  今ぐらいの表現になると、食べてみようという気になります。 ○熊谷部会長  ほかにございますか。  清水先生、どうぞ。 ○清水委員  今、DHA、EPAの話が出たので、ちょっとわき道ですけれども、最初の有益性と いうところで、魚介類として「鯨類を含む」と書かれていますけれども、クジラ類の場 合には「高度不飽和脂肪酸(EPA、DHA)を多く含み」云々という文言は必ずしも 適切ではないのかなと思うのです。  そうすると、今度はクジラ類を食べることのメリットをどこかで表現するのは非常に 難しいことかなという気もするのですが、いずれにせよ、やはり正確な文章ということ が必要であるとすると、この辺も検討する必要があるかなと思いました。 ○熊谷部会長  基準審査課長、どうぞ。 ○基準審査課長  いろいろ「議論のためのたたき台」をつくっていく上で、魚介類等というふうに書い てあって、魚介類等、魚介類等というのを繰り返し使っていったわけでございますけれ ども、こういった注意事項というメッセージを出すときに、等という言葉は極力廃する べきだという意見があって、こういう処理をしたわけでございます。  今の点を処理するために、2行目の「(EPA、DHA)」の後を、坂本先生の御意 見を入れて、DHAがその他の食品に比べ一般に多くというふうにさせていただいてク ジラ問題を解決するということでいかがでございましょうか。 ○熊谷部会長  ほかにいかがでしょうか。品川先生よろしいですか。 ○品川委員  私は、29ページの資料5の「妊婦の方々へ」というところで、胎児への影響はないと 言いながら、例えば音を聞いたときに1,000 分の1秒の反応、これが1,000 分の1 なの か、どこに根拠があるのか。また、この量がどうなっているのか。こういうことを書け ば、これが500 分の1、もっとになるのではないかとむしろ妊婦とかがもっと心配にな ってくるのではないかと思います。むしろこの部分というのは、根拠性ともう一つは個 体差、そういうものが出てきたときにもっと懸念するようになる。  むしろ、その次のパラグラフのところは、ほとんど胎児に影響はないと言いながら、 ここにそういう「例えば」というのを書くこと自体が、これは実際に資料の中の「7. 食品健康影響評価」の62ページの上からのところに、個々にどのぐらい足りない、この 辺の根拠が、量が出て、実際に知覚異常とかこういう形が出て問題だという形になって いるのです。この1,000 分の1というのは、どこから出てきた数字なのかどうなのかと いうのか非常に気になるところなのです。これがもっと進んで、個体差になればもっと 差が出てきて異常になるのではないかなというのがあるんです。 ○熊谷部会長  確かに、1,000 分の1秒以下のレベルで遅れるというのは、果たして重篤でないのか どうなのかというところが少し考えてしまう部分はあるかもしれないです。 ○基準審査課長  品川委員の御指摘というのは、まさしくリスク評価に絡む問題でございますので、そ ういう意味で「食品安全委員会」はどういう見解を示しているかという形で御紹介させ ていただくわけでございます。  134 ページの上から3番目の問いでございます。「Q7.胎児期におけるメチル水銀 の低濃度曝露が中枢神経に影響するとのことですが、具体的にどのような影響があるの ですか」ということで、全く同じ文章が書かれているわけでございます。我々は、これ を基にこう書いたわけでございます。  一方では、こう書くのが消費者あるいは一般の方々にとってどういう影響を持つの か。例えば、中枢神経にわずかな影響が見られていますと書くのがよりベターではない かという考え方もあるのですけれども、どうもいわゆるコミュニケーションといいます か、情報提供ということから言うと、ある程度数字で示せるものについては数字で示し た方が適当ではないかというような御意見がございまして「食品安全委員会」のQ&A をそのまま採用しておるわけでございますが、対消費者の問題については村上参考人あ るいは丸井参考人の方からも御示唆があればいただければありがたいと思っておりま す。 ○品川委員  その次のところには、影響はないと書いているわけです。これは、とらえ方として は、こういう食べ方にしてもあたかも影響があるのかどうか気になるんです。 ○基準審査課長  これはセーシェル、フェロー諸島で見られた影響で、パラグラフ的に申し上げます と、胎児に影響を与える可能性を懸念する報告がされています。その影響というものの 説明「胎児への影響は」でございますから、懸念されている影響はこんなものですとい う説明をしているわけでございまして、量の問題から申し上げますと耐容量との関係で 説明をしている。  第2パラで言っておりますのは、今度は分布の問題あるいは平均的な問題を言おうと しているということで、切り分けておるわけでございますが、切り分け切れていないと いう御主張なのかなとも思っております。 ○品川委員  どうしても心配なのは、個体差があって1,000 分の1秒というのがこれだけ出ている というのは、個体差によれば1,000 分の1秒ではなくてもう少し短くなるのではないか とか、これで1,000 分の1と言っているけれども、本当に影響はどうかと。評価のリス クアセスメント等になると思います。 ○基準審査課長  個体差を踏まえた上で、不確実係数をかけて耐容量がセットされておりますから、そ ういう意味から申し上げますと何十何%と言い切れるわけではございませんが、その耐 容摂取量を超えない限りにおいては健康影響というのは心配する必要がないということ なんだろうと考えているわけでございます。 ○坂本参考人  影響が出ているものは、この脳幹誘発電位だけではなくて、ほかにもあるわけです ね。その中から、この1つだけを持ってこられたということはどういう意味があるんで しょうか。 ○基準審査課長  正確には「食品安全委員会」に聞かないといけませんが、恐らく一番わかりやすいこ とを説明なさったんだろうと思います。  先生がおっしゃっているように、ネーミングがどうのこうとか、CRTがどうのこう のとかいろいろあるんだろうと思いますけれども、わかりやすい形でこういう説明にな っているんだろうと思いますが、村上参考人よろしくお願いします。 ○村上参考人  これは、恐らく前回の平成15年6月の発表以後の混乱といいますか、そういうものを 踏まえているんだと思います。  私は、第1回の発表の後、新聞の水銀報道、テレビのニュースの報道を集めて見てお りましたけれども、その中で非常に気になるのは、水俣病を持ち出して、それとレベル がどのぐらい違うかということを示さない報道が随分ございまして、これはマスメディ アのかなり大きな問題点だろうと思いますけれども、それでは実際にどのぐらい被害の レベル、リスクが小さいのかということをやはりある程度具体的に示す必要もあったと 思って、この数字が挙がったのだと思います。  ただ、これ1本だけで唐突という感がないとも言えませんけれども「例えば」という ところをもう少し丁寧に言いまして、こういうこともあるというふうにして、これがあ くまで一つの例であるということを強調すること。  もう一つ、まだQ&Aのお話が出てきませんけれども、今度発表のときに恐らく同時 にQ&Aが出ると思います。前回は大分遅れて出まして、その間にマスメディアはわか らないところは自分で調べて書きますと、必ずしも正確に出ない、あるいは取材した相 手が本当の専門家でなかったりすると少し間違えた情報も流れてしまうという意味で、 Q&Aにしっかりとかなり丁寧にこういった被害の部分のデータなどもお入れになると よろしいかと思います。 ○熊谷部会長  丸井先生、御意見ありますか。 ○丸井参考人  ただいまの品川委員からの御発言に関連して、今、村上参考人から大分お話がありま したけれども、私もそれを補足しますと、先ほど見ました平成15年のときの発表で、い わゆる風評被害というのが非常にあったと。その中の一つで、非常に大きいのは、先ほ ど御説明がありましたように、テレビで、当日『NHKニュース』が最初で、それから 10日間にわたって、36本テレビ番組等を我々全部、出たものすべてをチェックしまし た。  そこで一番大きかったのは、胎児性の水俣病の子どもの写真を流すという形で、メチ ル水銀は非常に怖いんだということで、むしろマスメディアがあおることになった。そ の理由の一つは、そのときのリスクがどの程度のものなのかということを具体的に伝え なかったというところにあったと思います。  正確な言葉というのは、例えば魚介類等というふうに等をずっと付けていくと、意味 する内容は専門家としてはきちっと置くわけですが、それは非常に広いイメージをつく り出していくということになりまして、必ずしも発信側の情報をきちんと受信側が受け 取らない。ですから、発信側が正確だと思ったものは受信側にとっては非常に怖いもの としか受け止められないというようなこともありまして、少なくとも例えば行政が国民 に対して何か情報を出す場合には、受け取る側がどんなふうに受け取るのかということ を十分に、むしろ過剰なぐらい意識をして、その間にマスメディアがどのように介在す るかということを考えながら、言葉を選び、表現を選び、しかもより具体的に必要な数 字は出すということをしながらというのが必要だろうと。  例えば、中枢神経系に微小な影響があるというようなことを書くと、それはそれで非 常に正確ではありますけれども、それによって生み出される、受け取った側がどのよう なイメージをつくるかということを発信側が考えないと、とりとめのない、さまざまな 恐怖あるいは不安というものを生み出していくということが平成15年6月の注意事項の ときには現実に起きたと思いますので、例えばということで「食品安全委員会」の方か らも出されている、リスク評価の方からも出されているそういったものを使うというの はかなり妥当なことではないかなと私の方は考えておりました。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。  どうぞ。 ○鈴木参考人  この資料5なんですけれども、もう少しDHA、EPAのところを強調というような お話もありましたけれども、私は個人的にはこれを読んで非常によくできてはいると思 います。少なくとも、上の方から下の「妊婦の方々へ」の3パラグラフぐらいまでは非 常にいいのではないかと思います。  その次の問題なんですけれども、例えば一日どのぐらい食べたらいいかという数値の ところなんですが、ここのところは一応仮定があるわけです。仮定の上に立って出して いるということをやはり明記する必要があるのではないかということが1つあります し、もし注意事項としてのステートメントとしてこういう数字をここに入れるのがいい のか、むしろこれについては例えばQ&Aなり、付録なり何なりなどの方で入れておい て、一方多い魚は何かというのはわかっているわけですから、むしろどういう魚が多い かというところの数字を入れるぐらいが妥当なのかなという気がいたします。そうしな いと、これだけこのまま仮定もなしに、このところだけ見ると、やはりこれは一週間に 1回でなければいけないとか、そういうふうに過剰にとらえられる可能性もあるような 気がいたします。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  今、鈴木先生の御提案でございますから、ほかの先生方の御意見を賜りたいと思いま すけれども、134 ページをごらんいただきたいと思います。  134 ページにございますのが「食品安全委員会」が出したQ&Aでございまして「食 品安全委員会」に寄せられておりますのは、Q9、どんな魚を週にどのぐらいまでなら 大丈夫なんだということを具体的に教えてくれという話がやはりあるわけでございまし て、そのような意見も念頭に置いて御議論を賜ればありがたいと思いますが、先ほど途 中までやった論点の御紹介を最後まで一応させていただいて、総括的なディスカッショ ンをいただければと思います。よろしければ、論点の続きを説明させていただいてもよ ろしゅうございますでしょうか。 ○熊谷部会長  お願いします。 ○事務局  それでは、続きまして論点の3番につきまして御説明をさせていただきます。論点の 3は「対象者の明確化について」でございます。  この対象者につきましては、平成15年の公表時点におきましては「妊娠している方又 はその可能性のある方」としたわけでございますが、今回はどのように対応すべきかと いう点でございます。  これにつきましては、資料No.5のたたき台で見ていただきますと、まず表題から いたしまして、平成15年の場合には水銀を含有する魚介類の摂食に関する注意事項とい う記載ぶりがあったところでありますけれども、今回につきましてはまず対象者が妊婦 であるという点から、表題につきまして「妊婦への」という形で書くことがイメージさ れるところでございます。  続きまして、更に小見出しの「妊婦の方々へ」の中の第1パラの上から4行目でござ いますが、こちらにも「妊娠している方又は妊娠している可能性のある方(以下『妊婦 』という。)」という形で言い切りをいたしまして説明をしていくということが適切な 表現ではないのかと考えているところでございます。  また、対象者の明確という観点では、今回は胎児が対象でございます。ですので、そ れ以外の方々が関係ないということを説明しておくことも必要ではないかというところ でありまして、裏の30ページの小見出しの「子供や一般の方々へ」という欄に「今回の 注意事項は胎児の健康を保護するためのものです」というような一文を付け加える。こ ちらの方が有効ではないかと考えているところでございます。  続きまして、論点の4番でございます。こちらにつきましては「複数の対象魚介類の 摂食について」の注意事項の書き方があるのではないかという点でございます。こちら につきましては、一定期間に複数の対象魚介類を摂食することが一般的な食生活ではな いかと考えるわけでございます。ですので、この点についてどのような注意事項を書き 込むのかという点。  また、一定の工夫をしまして、例えば更に厳密にやる場合であれば、資料27ページで ございますが、こちらにお示しをしているような点数方式というものも一つの方法では ないかというものでございます。ただ、点数方式につきましては、諸外国でも行われて いる事例もなく、点数を見ながら摂食することについての御議論もあろうかと思いま す。  この4番の御議論につきましては、P29の資料No.5の「議論のためのたたき台」 の中では「妊婦の方々へ」の小見出しの第4パラグラフに、例えば、週に一回、注意事 項に記載されている魚介類のうち、2種類または3種類を食べる場合には、2分の1ま たは3分の1にするといった工夫が必要ですということを記載しております。  また、論点の5番でございますが、こちらにつきましては「一定期間の摂食量が耐容 量を超えた場合について」というものでございます。  今回の耐容量の設定というものは、一週間当たり、体重kg当たり2.0 μg という形で 耐容量も設定されているところでございます。ですので、ある週に注意事項に示す魚介 類を食べ過ぎた場合には、翌週で食べる量を減らすといった工夫が必要ということも注 意事項の中で記載をしていくべきではないのかという論点でございます。  こちらにつきましても、先ほど説明しましたたたき台の「妊婦の方々へ」の小見出し の第4パラグラフの一番最後の行でございますが「ある週に食べ過ぎた場合は次の週に 量を減らしましょう」ということをイメージしているところでございます。  次に、最後の論点「6.水銀濃度が異なる類似の魚介類について」でございます。  魚介類の水銀濃度につきましては、種類ごとに異なるわけでございますけれども、同 じ種類の名前で呼ばれる。例えば、マグロの例がそうでありますように、ひとくくりで 呼ばれてしまうことも考えられるわけでございます。ですので、例として挙げるなら ば、マグロの中で低いものと高いものをしっかりと書き分ける。また、クジラ等につい ても同様の事例がございますので、そういうものを書き分けるということが必要ではな いか。  現時点では、マグロについては注意事項の中にその書き分けを明確にしまして、また クジラにつきましてはQ&A等を用いて、そこは明確にメッセージを伝えていきたいと 考えているところでございます。  この論点の6番につきましては、注意事項のたたき台の30ページ、裏面になるわけで ございますが、こちらに表がございまして、表の下に(参考1)というものをお示しし ております。こちらの中で「マグロ類の中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロ マグロの幼魚)、カツオ、クロカジキ、ツナ缶は特段の注意は必要ありません」という ことを明確にお伝えしていく、このようなことをイメージしているところでございま す。  論点につきましての説明は、すべて以上でございます。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。  どうぞ。 ○坂本参考人  前回の注意事項のときにマグロが入っていなくて、今回入ってきたというのは非常に いいことだと思うんですけれども、前回なくて今回入ってきたことの理由と、「魚介類 をバランス良く」というのはどういうことなのかというのが、ほかの食事とバランスよ くなのでしょうか。それとも、一種類の魚介類に偏らずバランスよくという、どちらを 意味されているのか教えてください。  もう一点は、さっき香山先生がおっしゃったんですけれども、今、水銀値の高い魚が 2グループ出ていますけれども、どういう順番でそれが並んでいるかということは、そ れを見た人が一番最初の方からこれが危ないんだなというようなイメージがどうしても 出てきてしまうと思うんです。この並びがどういう並びでここに掲載されているのかと いう理由も教えていただければと思います。  水銀値が高いものからだったら、高いものからの順でいいんでしょうけれども、そう いう並びではないですね。 ○基準審査課長  まず、御質問のあったマグロについてお答えします。  一部のマグロが、今回ここに掲載されております。これは昨年8月に出した資料、11 月に出した資料とも同様でございます。更に申し上げますと「食品安全委員会」の評価 で、耐容量が平成15年6月のときに参考とした3.4 μg/kg体重/ 週から2.0 μg/kg体重 / 週に引き下げられたというのが一つございます。  もう一つは、昨年8月に資料で出させていただきましたけれども、国民栄養調査を分 析してみると、マグロはほかの魚介類に比べて摂食量の分布が非常に広い。更に1人前 の量として売られているものを調べてみますと60〜100g、大体80g程度だというような ことがわかりましたので、それを基に今回はすべての魚介類について80gという数字を 1つの目安にしてやったらどうかということで提案させていただいているところでござ います。  2番目に御質問のございましたバランスの問題でございます。このバランス というのをどのように言えばいいのかというのは悩むところでございますが、質問にだ けお答えしますと、魚介類の中でのバランス、魚介類とそれ以外とのバランスの2つを 含んでおります。  3番目の順番でございますが、ここにございますのは、週2回、週 1回、2週に1回、2か月に1回という順番で並んでいるわけでございます。  その中は、まず魚を「あいうえお」順を基本に並べておるわけでございますが、ただ 単純に「あいうえお」順に並べますと、例えば真ん中の週1回の欄で申し上げますと、 クロマグロとメバチが違うところに行ってしまいますので、それもわかりにくいだろう ということで、そこは合わせております。  ただ、先生がおっしゃった水銀濃度が高い、すなわち逆に2か月に1回から並べると いうのは確かに一つの方策なんだろうというふうにさせていただこうかと考えている次 第でございます。 ○熊谷部会長  ほかにありますか。  どうぞ。 ○塩見委員  今回、マグロが掲載されているわけですけれども、この表のつくり方をされて、例え ば(参考1)という形で表の下にこういうふうにマグロの中ではキハダとか、ビンナガ とかこういうものは注意は必要ないんだと書くと、相当の説明をしないと、当然、世の 中で売れるマグロは恐らく極端に偏ってしまいますね。  だから、例えばこういう形より、むしろQ&Aでそれぞれのマグロがどれぐらい水銀 があるんだということを明確にして、何となくこれだと消費者は下に書いてあるマグロ はゼロであるがごときの印象を受けて、無制限でよろしいという形になってしまう。多 分、今回の中でも一番大きな問題になるのはマグロだと思いますので、丁寧な説明が必 要なのではないか。これぐらいの書き方だと、また大きな誤解を招いてしまうのではな いかと非常に心配をしています。まず、それが1点です。  もう一つ、別のことでよろしいですか。もう一つは、今回は妊婦さんへの注意事項と いうことですけれども、子どもさんあるいは一般の方へ、何も問題ないんだということ だけで終わっているわけですけれども、やはりどうしても心配をされるわけです。それ に対して、どういう形でもって応えていくのか。  だから、今回、耐容週間摂取量の2.0 μg/kg体重/ 週が胎児だけかということで一番 最初に質問させていただいたんですけれども、いや、そういうことではない、全部2.0 μg/kg体重/ 週になったんだとなれば、それでは一般の方には一体どういうふうにして 安全であるという説明ができるんだろうか。文章で安全ですしか書いていないわけです ので、多分Q&Aでもどういうふうにして説明をされるのかというのは非常に難しい問 題ではないかと思うんですけれども、そこら辺もQ&Aのときで検討する必要があるの ではないかと思っています。  以上です。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  2つの御質問で、まず最初の御意見についての考え方から述べてみたいと思います。 すなわち、ここに(参考1)を入れるか入れないか、あるいは入れるにしてもどのよう な形で入れるかということなんだろうと思います。  マグロにつきましては、水産庁にお聞きしますと、日本の漁獲の売上高の約半分を占 めているというような、非常に全体としてマーケットボリュームが大きいものだろうと 思います。  ここに、仮にキハダ以下のものについて言及しなかった場合、より不安感が大きいん だろうと思います。後でまた見ていただきますけれども、勿論Q&Aを二十数問用意い たしておりますが、それをみんな見ていただけるというのは余り多くの方々に期待でき るものではなくて、必要最低限の情報というのはやはりこの注意事項本文の中に入れて おく必要があるんだろうと思います。  その上で、先生が今おっしゃったような水銀濃度がどれぐらい違うかとかというの は、Q&Aなり、あるいは3ページからあるような資料なりを公開いたしますので、そ こで幾らでも見ていただけるということになるんだろうと思います。  マグロについては(参考1)を書こう。クジラについては、先ほど伏谷先生がおっし ゃったように、食べている方というのもある程度限られているんだろうということで、 Q&Aの中では、ハクジラ等の違いについて述べているわけでございますけれども、マ グロについては書こうと思っております。  ただ、書き方について先生の御趣旨を踏まえると、キハダからツナ缶は特段の注意は 必要ありませんということになっておりますけれども、微量の水銀が含有されています が、そのレベルは低いので特段の注意は必要ありませんというような形で、もう少し先 生の御趣旨を踏まえたらどうかと思っております。  もう一つ、対象外の方々の問題でございます。これもQ&Aの中で、例えば乳児をど う考えるのか、子どもをどう考えるのかというようなことについて「食品安全委員会」 のデータを中心にもう少し書き加えた形にはなっておりますので、またQ&Aのところ で見ていただければと思います。 ○熊谷部会長  香山参考人、どうぞ。 ○香山参考人  今の中垣課長がおっしゃった点ですが、この「特段の注意は必要ありません」のとこ ろに、現在の一般的な摂取量では特別な注意は必要ありません、そのくらいでよろしい のではないかと思うのですが、実際にリスク評価とかマネージメントの部分でそこはも う評価してあるわけですから、ここにわざわざまたメチル水銀が微量に含まれていると 書く必要はないと私は思います。  それから、この参考の文字のフォントが小さいのはよくないと思いまして、普通と同 じフォントにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○熊谷部会長  ほかにございますか。 ○伏谷委員  非常に細かいことですが、エッチュウバイガイはグラム数で表すと非常にわかりにく いので、何個とお書きになった方がよろしいのではないですか。 ○熊谷部会長  80gは何個ぐらいになるんですか。 ○伏谷委員  わかりません。この下には、魚の場合は切り身が80gというのは書いてありますけれ ども、エッチュウバイガイの場合は違いますから、一つで何gとした方がいいと思いま す。 ○基準審査課長  時間をいただいて、少しはかってみてQ&Aで処理させていただくということでいか がでございましょうか。 ○熊谷部会長  そうですね。  水産庁さん、どうぞ。 ○水産庁  ありがとうございます。  これまでの議論を聞いていて、2点思うのでございますけれども、書き方でございま す。「妊婦の方々へ」という小見出しの中で、先ほど1,000 分の1秒という話がありま した。これは、私どもが「食品安全委員会」の文献等を見まして理解していますのは、 耐容摂取量を超えると必ず1,000 分の1秒のレベルの症状がすべての人に表われるの か。そうではないのではないのかということで、あくまで事例だろうと思っているんで す。  そうしますと、先ほど、この件を書くのか書かないのかという議論がありましたが、 仮に書くということであれば、次のような文案をお考えいただきたい。すなわち、例え ば1,000 分の1秒のレベルを超えるような事例が報告されていますが、必ず起こるもの ではありませんとか、もし私の理解が正しければそんな書き方もあるのかなという感じ がいたします。  2点目でございます。やはり「食品安全委員会」の方で2μg というレベルのものを 設定した。これは十分安全を見込んで決めたものであると私は理解しております。そう いうことでありますならば、それに基づいて今回の摂取注意事項の範囲でリストに挙が った魚を食べても、その範囲内であれば安全であるということが論理的なんだろうと思 います。  したがいまして「妊婦の方々へ」の第3段落の2行目に「本注意事項は」か ら続いて3行目の「要請するものではありません」とあるんですが、この後に次のよう な文案を検討していただきたい。すなわち、また、本注意事項は胎児に対しての安全性 を十分に見込んだものです。ここの場所がいいのかわかりませんけれども、そういうわ かりやすいメッセージについて工夫をしていただければありがたいと思います。  以上です。 ○熊谷部会長  村上参考人、どうぞ。 ○村上参考人  先ほどから幾つかの論点が出ておりましたので、それに絡めて申し上げます。  前回、非常に報道量が多かった1つの理由は、水銀というものに対して日本人が非常 にセンシティブである、敏感であるということがございますけれども、もう一つは、発 表内容にあります。異例の、という言葉を随分あちこちの報道が使いましたのは、妊婦 に対象を限定していることとか、どの魚に注意すべき魚の種類が出てきたこと。  それから、厚生労働省の今までの発表にはなかった異例中の異例は、食べ方というと ころに具体的に踏み込んで発表しているということです。つまり、魚をどう食べるか、 その目安量まで出してきたという、その辺がやはり異例の発表という言葉につながっ て、それが非常に大きく報道された理由の一つだと思います。  その大きい報道のために風評被害というのがございましたけれども、これはまた別の 問題も抱えておりまして、本当にキンメダイが売れなかったか、消費者が買わなかった かどうかという前に、流通の人たちが早手回しに売れないだろうものは流通させないと いう事情もあったりします。先ほど申し上げたように、マスメディアの報道の仕方に大 きな問題がありますけれども、たとえ、正確に報道しても不安な人が皆無になるという こともまた難しいということはございます。  戻りまして、前回の水銀と魚の一連の発表は非常に特色のある発表内容ですので、今 回もその特色を活かす方向でよいと思います。先ほど余り具体的過ぎるかというご意見 もございましたけれども、一週間に何グラムというのは、あった方がよいでしょう。ア ジ一匹、魚一切れの単位では、不正確になりやすいので、食べる量を出す以上はグラム できっちり出した方がむしろ正確かと思います。こういう情報は第1回にも増して今度 は丁寧に出した方が私はよろしいのではないかと思います。  そして、マスメディアの今度の第2回の発表の関心は、先ほども御指摘ございました けれども、やはりマグロではないかと思いますので、先ほど来、質問もございましたよ うに、前回はなかったマグロが、なぜ今回は、というところは記者発表などでとりわけ 丁寧に御説明なさった方がよろしいかと思います。 ○熊谷部会長  丸井先生、どうぞ。 ○丸井参考人  更に、私もなんですが、2つあります。  1つは、先ほど水産庁の方からお話ありました胎児への影響のところですが、余りく どくどと限定した話になりますとかえってややこしいので、もし入れるとしても「妊婦 の方々へ」の最初のパラグラフに、この胎児への影響は、あるとしても将来の社会生活 に支障があるような云々ではなく、重篤なものではなくというぐらいの書き方でよいの かなと思います。  もう一つは、先ほども申しましたけれども、注意事項はだれが読むことを想定して書 くかというところが非常に大きいと思います。そして、前回、一昨年はマスメディアの 方、それから一般の消費者すべてをある意味では一緒にしてマスメディアに流してしま う。そこで読み切れないところはすべてマスメディアの解釈、調査に任せるという形に なったと思いますが、今回は、この後、御説明あると思いますけれども、Q&Aを同時 に出すということで、そのQ&Aについても、例えばBSEの牛の脊柱のときは初めて Q&Aに図を入れたと思います。そういう形で今回、たしかアマメシバのときにQ&A と一緒に出すということで、さらっとA41枚あるいは両面くらいで情報を流したんで すけれども、そこの個別のところについては同時にQ&Aでやや専門的な部分、疑問の 点については答えるという2段階ということで、例えば詳しく知りたい方、例えばマス メディアの方などはQ&Aを同時に見るという形で、どのように説明したらよいかとい うことを保証するという形で用意されるということになるのだろうと思います。  Q&Aは、後ほど御説明があると思いますけれども、先ほど来、御質問や御指摘があ ったようなデータをQ&Aに具体的に載せるというようなことも見るとされていますの で、具体的な根拠となるデータはQ&Aを見ればわかるということで、一般向けに出す 情報、それは決していいかげんとか不正確とかという意味でなく、見てすぐわかるとい うものと、もう一段踏み込んで知りたい方に対して、次のものを用意するという2段構 えに同時にQ&Aもするという形は前回のときと少し形が違うので、受け取られた方々 が立場によって情報の深さを変えて受け取られるのではないかと思います。 ○熊谷部会長  今、Q&Aのお話をしていただいたわけですけれども、どうもこれはQ&Aと抱き合 わせで御検討いただいた方が早いような気もするわけですけれども、いかがですか。先 にQ&Aまで行ってしまって、その後また戻っていただくということでよろしいです か。 ○基準審査課長  わかりました。Q&Aについて説明させていただきます。 ○熊谷部会長  お願いします。 ○事務局  それでは、Q&Aについて説明させていただきます。ページで言いますと31ページを ごらんください。こちらが今回、私どもの方で作成しておりますQ&Aとなっておりま す。  31ページにお示ししておりますとおり「目次」といたしまして、まず「注意事項の対 象者」はだれであるのかというところを問1〜問3。  「注意事項の概要」につきましては、問4〜問12。  「水銀の毒性等」。どのような毒性であるのかという点については、問13〜問19。  そして「今後の予定他」を問20、問21という構成となっております。  1ページめくっていただきまして、まず、こちらが問1でございます。問1につきま しては「今回の注意事項の対象となるのはどのような人ですか。対象者以外の人は問題 がないのですか」というものでございます。  これにつきましては「食品安全委員会」における食品健康影響評価というものがある わけでございますので、この結論といたしまして、ハイリスクグループについては胎児 とされておりますということ。そして、その表現ぶりとしましては、妊娠している方ま たは妊娠している可能性のある方が対象となっているというものでございます。また 「食品安全委員会」のホームページに掲載されている文章も掲載することにより、より 深く御理解をいただけるように努めているところでございます。  また、2番といたしまして、食品健康影響評価における乳児と小児のハイリスクグル ープの考えについてもお示しをしておりまして、両者とも対象とはならないという旨を お示ししております。  最後に、3番でございますが、こちらの方で魚介類は良質なタンパク質を含む、食生 活に必要な重要な食材であるという点をお示しして、魚介類の摂食の減少につながらな いよう正確な御理解をお願いしたという形で記載をしているものでございます。  次の問2でございますが、こちらにつきましては授乳中の母親の観点でございます。 こちらにつきましても食品健康影響評価の記載がございますので、母乳を介した乳児の 水銀摂取量は低いというところから、授乳中の母親も今回の注意事項の見直しにおいて は対象となっていないということを記載しております。また、問1でも書いてはおりま すけれども、問2においても栄養性について説明しております。  問3につきましては、小児が対象であるのかという点につきましても対象ではないと いう旨を記載しております。  「注意事項の概要」につきましては、先ほど来説明しておりますので、先に進まさせ ていただきます。  問5は、一般的な食材が対象とならなかった理由。  問6につきましては、魚介類は食べないという極端な考え方を持つ人に対してのQ& Aというものでございます。  続きまして、問7は注意事項以外の魚介類について、安心して食べることができるの かという問いに対するQ&Aでございます。  問8、問9につきましては、先ほど説明しているところでございますので、割愛いた します。  次に、問10でございます。こちらは41ページになります。問10につきましては「マグ ロについては、どのような注意をしたらよいのですか」。  問11が、先ほどの論点の6番でございますが「クジラは一般的に水銀濃度が高いので すか」という記載の部分でございます。  次の問12が、加工食品に関するもの。  問13以降が「水銀の毒性等」という部分でございます。  次に、問15ですけれども、こちらにおきましては、再度、現在議論されている水銀の 健康影響というものにつきまして具体的な記載を行う。  問16は、現行の規制。  問17は、先ほど説明しておりますとおりの水銀の摂取実態。  問18が、現在の摂取実態の影響があるのかないのかという部分の説明。  問19でございますが、こちらは妊娠に気づくのが遅れたというような場合にどうすれ ばよいのかという点等について記載をしております。こちらも先ほど説明済みとなって いる点でございます。  次に、問20でございますが、こちらは今後の予定。  問21につきましては、風評被害等につながらないようにどのように施策を講じていく のかということについて記載をしているものでございます。  Q&Aにつきましては、以上でございます。 ○熊谷部会長  ありがとうございました。  それでは、先ほどの注意事項、Q&Aも含めて御意見を伺えればと思います。  どうぞ。 ○池田参考人  やはりQ&Aも含めまして、特に43ページのQ&Aの問19になりますけれども、世の 中に出ますと、やはり妊婦さんから、私たちは魚をたくさん食べていますけれども、子 どもには影響ないでしょうかというような相談を受けるのは産婦人科医でありまして、 そういったようなことが予測されます。  実際に、今の御説明がありましたように、今のところ普通の食事をしていれば大丈夫 だという答えがあると思いますが、やはりそこでフィードバックといいますか、具体的 に申しますと、1つは外国で髪の毛の濃度の測定を進めていない理由は何かというこ と。  もう一つは、ここに書いてありますような最初の位置で、そこから魚の摂取をコント ロールすることによって一定の効果が得られると書いてありますが、それには何かエビ デンスがあるかどうか。  この2点について、お聞きしたいと思います。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  諸外国で髪の毛の濃度の測定までも進めていない理由でございますけれども、詳細に はその理由というのは私もつかんでおりません。  ただ、国内で申し上げますと、資料69ページをごらんいただきたいと思います。これ は「食品安全委員会」が出したレポートでございますが、69ページの上から7行目から 始まるパラグラフでございますが、日本国内で、たしかこれは数千例の女性の毛髪の濃 度を調べていただいていたと思うのですけれども、BMDLとNOAELに相当する値 の平均値11ppm が耐容週間摂取量の算出の出発点となっている。すなわち、それ以下で あれば健康影響というのは見られないということから出発しているわけでございます が、ほとんどの人、すなわち99.9%の人はこれ以下であるというようなことが述べられ ておりまして、そういうことが背景にあるんだろうと考えております。したがいまし て、Q&Aの答えにここを少し追加するという形で、そこは作業をしたいと思います。  もう一点の御指摘で、一定の効果のところでございますが、これは半減期が2か月で あるというところと一定の効果というのを併せて書いているつもりでございますが、も うちょっと工夫をしてみます。 ○池田参考人  最初のお答えなのですが、やはり平均というのと個人の心配というのとは違うように 思います。やはり個人が診断をしてほしいといった場合に、こういった方法があるとい うようなところは臨床家として残しておくべきではないかと思います。これは日本産婦 人科学会での責任で、私たちがガイドラインをつくったり、いろいろな診断方針をつく ったりするというようなことで考えさせていただこうと思っております。 ○熊谷部会長  ほかにございますか。  清水先生、どうぞ。 ○清水委員  このQ&Aは、非常によくできていると思いますけれども、かなり質問の数とかも多 くて、量的にある意味では充実していると思います。  ただ、多分これを非常に克明に読んで情報を得たいというのは妊婦さんあるいは将来 の妊婦さんという方だと思うので、その方たちが必要とする情報というのが二十幾つあ るQ&Aの中で、余り分散しないように、情報が見やすい形にもう少し整理できないか という印象がございました。 ○熊谷部会長  有馬委員、どうぞ。 ○有馬委員  先ほど、坂本先生が言われたマグロが今回入った理由みたいなところを、やはりQ& Aのところに、例えば、マグロの量は平均値としては三十数gなのに、それが今回問題 にしますというのは、摂取量に非常に幅があることがわかったということで対応される ということになっているのではないかと思うんですけれども、前回の評価方法と今回は かなり違っているというところで、何で今回からマグロが入ったんだろうかというとこ ろで疑問に思われる方がいるかなということで、入れ方については多少工夫が要るかも しれませんが、項目数がどんどん増えるということで申し訳ないとは思うんですけれど も、それをどこかに説明していただいた方がいいと思います。 ○熊谷部会長  基準審査課長、どうぞ。 ○基準審査課長  先ほど、村上参考人から御指摘があったのは、マスコミ等の関心がそこに集中するだ ろうという御指摘だったろうと思います。妊婦さんがなぜ今回マグロが入ったかについ て関心があるとは思えないのでございますが、いかがでございましょうか。 ○熊谷部会長  今回、見直しをしたという理由については、どこかで述べているわけですね。 ○基準審査課長  新聞発表と申しますか、厚生労働省のホームページと申しますか、そういう際には169 ページの参考資料7でございますが、ここにございます3枚紙を、今、座長から御指 摘のあった経緯から踏まえて、全体を総括するペーパーとして公表をしたいと考えてい るところでございます。 ○熊谷部会長  ですので、先ほどの御指摘はそれでクリアーできてしまうのではなかろうかと思いま す。  御意見ありますか ○村上参考人  マスメディアの関心事というのは、一般の人の関心を背負っているといえると思うん ですけれども、前回マグロはどうなのかという声は一般の人からかなり上がってはいた ようですけれども、いかがでしょうか。 ○基準審査課長  時間をいただいて用意させていただきますが、もう一度繰り返し御説明申し上げます と、その要因というのは2つだと考えております。1つには耐容摂取量が3.4 μg/kg体 重/ 週から2.0 μg/kg体重/ 週に引き下げられたこと。2番目には国民栄養調査あるい は1人前の調査をした結果、大体60〜100 g、80g程度であるということがわかった。 この2つだと考えております。 ○熊谷部会長  坂本参考人、どうぞ。 ○坂本参考人  妊婦への注意のところで、少し表現が足りないところがあると思うんですけれども、 第3パラグラフのところに、魚介類の摂取量がこの注意事項によって低下することは決 して望まれることではないということをどこかに入れることと、例えばマグロだけを食 べている人がいるとしますね。その人が、マグロは高いんだから食べるのを減らすとい うことになると、ほかの小さな魚に切り替えるという作業をしないことによっては、魚 介のメリットと両立ということはここにはあり得ないわけです。  ですから、ここに水銀濃度が高い魚介類に偏って多量にというふうな言葉を1つ入れ ることによってバランスが取れ、文章的にもよくなるのではないかと思います。 ○基準審査課長  申し訳ございません。一番最後がつかみ切れなかったんですけれども、原文で「水銀 濃度が高い魚介類を多量に食べることを避けて」となっている「多量に」の前に、偏っ て多量に、偏って入れろという御主張でございますか。 ○坂本参考人  偏って多量にというふうにすれば、このバランスの話とのつながりが出てくるのかな と思います。 ○基準審査課長  わかりました。 ○熊谷部会長  石田先生、どうぞ。 ○石田委員  そういう意味で、表のタイトルを付けていただくとはっきりするのではないかと思う のですけれども、表はただぽんと表が出てくるだけなので、注意すべき魚の種類がここ には書いてあって、その種類に対して摂取量の注意事項が書いてあるということが、こ の表の頭の上に付いてくると、ぱっと表を見たときに、これは何を言わんとしているか がよくわかるように思います。  それから、魚を食べるときは、ある意味ではこの表の中の魚には注意しなければいけ ないということをわかりやすくしていただけるとよろしいかと思います。 ○熊谷部会長  有馬委員、どうぞ。 ○有馬委員  やはり、第3パラグラフのところなんですけれども「本注意事項は、妊婦の方々に水 銀濃度が高い魚介類を食べないように要請するものではありません」という書きぶりな のですが、もう少し踏み込んで、本注意事項は、妊婦の方々に水銀濃度が高い以下の魚 介類を多量に食べることを避けて、水銀摂取量を妊婦の週間耐容摂取量以下に減らすこ とで、魚食のメリットと両立するようにという書きぶりにした方がわかりやすいのでは ないかと思ったのですけれども、いかがでしょうか。 ○基準審査課長  確認だけさせていただきたいのですが、原文で「本注意事項は、妊婦の方々に水銀濃 度が高い魚介類を食べないように要請するものではありません」というのを、まず消す ということですか。 ○有馬委員  もしするのであれば、最後に魚介類の消費を減らすように求めるものではありません ということで、要するに基本的には注意事項というのは、妊婦の方々に耐容摂取量を超 えて食べないようにということを目的としてあるんですという書きぶりにしたらいかが かなと思ったのですけれども、まずいですか。 ○基準審査課長  もしよろしければ、この辺りで今まで出された意見を私なりに整理させていただい て、反映されていないということであればディスカッションを賜る。いろんな先生方か らいろんなことを言われましたので、整理しないと先へたどり着けないと考えているの でございますが、よろしゅうございますか。 ○熊谷部会長  是非、整理していただければと思います。  それでは、ここで休憩を挟んでよろしいですか。 ○基準審査課長  もしよろしければ、口頭で行います。 ○熊谷部会長  そうですか。今よろしいですか。 ○基準審査課長  よろしければ、そうさせていただきたいと思います。 ○熊谷部会長  では、お願いします。 ○基準審査課長  「議論のためのたたき台」をごらんいただきたいと思います。  まず、最初のパラグラフの2行目「(EPA、DHA)」の後ですが、「その他の食 品に比べ一般に多く含み。」を追加する。  「妊婦の方々へ」のところですけれども、2行目「この胎児への影響は」の後に、 「あるとしても」と入れる。  第3パラグラフ、ここが私も付いていけていないような気もするので、先生方に是非 御指摘いただきたいのですが、まず3行目の「ものではありません」の後に一文追加を する。また「本注意事項は胎児の保護を第一に作成されたものです」という一文を入れ て、その次が原文に戻って、「水銀濃度が高い魚介類を偏って多量に食べることは避け て、水銀摂取量を減らすことで魚食のメリットと両立することを期待します」、この後 に一文入れて、「妊婦にあっても魚介類の摂食の減少につながらないようお願いします 」。  2ページ目ですけれども、「妊婦が注意すべき魚介類の種類とその注意事項」という 表題を表に付ける。それで、並ぶ順番を「2ケ月に1回から」から「2週間に1回まで 」、すなわち、これを逆転する。  更に、魚介類の後ろの括弧書き、1週間当たり何とかというところでございますが、 これについては先ほど何人かの先生から御指摘いただいて、また魚介類の水銀濃度のと ころでも御指摘があったとおり、かなり多くの試算に基づくものでございますからとい うのが1つ。もう一方では、何gということがあった方が、1回80gで規定するよりは いいのではないかということ。  この2つを考えますと、これは御提案なのですけれども、各魚介類の右側の括弧とい うのは取る。その上で、例えば「注意事項」の「1回約80gとして妊婦は週に2回まで 」の後に、1週間当たり160g程度という表現を入れる。その下の欄には(1週間当た り80g程度)という表現を入れて、先生方の御意見の両方を兼ねるということでいかが かと思います。  次の変更が(参考1)でございますが、2行目「クロカジキ、ツナ缶は」、これは最 後、香山先生からおっしゃっていただいたと思うんですけれども、「通常の摂食で差し 支えありません。バランスよく摂取してください」。どこでもバランスよくという言葉 を使わざるを得ないのですが、現状がいいと言うと非常に偏った人がいるとどうするん だというのもなかなか難しい話がありますので、「通常の摂食で差し支えありません。 バランスよく摂取してください」という形にしたらどうか。  Q&Aの方ですが、Q&Aは問いを新しくつくるのが、バイガイ80gと何個という関 係。これは調査が必要なので、お時間をいただきたい。  もう一つは、今回どうしてマグロが対象となったんですかという問いです。答えは先 ほど述べた形で整理をさせてください。  もう一つが問19で、池田先生から御指摘のあった点で、とりあえずは先ほど御紹介 「食品安全委員会」の毛髪中水銀濃度のデータをここに入れておくという形で整理をし たいと思います。  以上でございます。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。  どうぞ。 ○坂本参考人  「妊婦の方々へ」のところで、2種類または3種類の魚を1週に食べるときは、それ ぞれ2分の1、3分の1という注意書きがありますけれども、これはこの表の下に持っ てこないと表との関わりで理解ができないと思うので、そういうふうにしていただきた いと思います。 ○熊谷部会長  これはよろしいですね。  どうぞ。 ○香山参考人  先ほど申し上げましたフォントを大きくするというのも、目が悪い方も多いものです から、お願いします。  もう一つですが「妊婦の方々へ」の第1パラグラフのところで「この胎児への影響は 」というところですが、できれば文章の前後を入れ替えていただいて「例えば音を聞い た場合」を最初に書いていただいて、遅れるようなものであるとしても、将来の社会生 活に支障があるような重篤なものではありませんで、否定で終了する。前後を入れ替え た方が趣旨をきちっと読み取れるのではないかと思います。 ○基準審査課長  わかりました。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○鈴木参考人  2つあるのですけれども、簡単な方からいきますけれども、1つは問4に同じ注意事 項の表が載っていますけれども、問4の方も変えるわけですか。 ○基準審査課長  勿論そうです。 ○鈴木参考人  もう一つは、先ほど私が言いました上から3ぐらいのパラグラフまでは、何とか科学 的な根拠というのはあるとは思うんですけれども、これについてはむしろ試算的なもの になってきますので、その辺はやはりきちんとどこかに書いておかなければいけないの ではないかと思います。こういう仮定を設けてやったときの一応の目安の数値ですとい うことを入れておいていただいた方が、マスコミに変なふうにとらえられないで済むの ではないかという気はします。 ○基準審査課長  その点につきましては、あくまで試算で、試算は目安にしたということで、先ほどそ れぞれの魚種ごとの括弧書きをすべて削除するということを御提案したのも、あくまで 試算だから取ろうということで、そういう形で提案をさせていただいたところでござい ます。  また、試算をしたということ自体はQ&Aの中で、37ページ〜40ページにわたって詳 細に説明しておりますので、その点は本文の中に要するに今回どうしてこういう注意事 項を導き出したのかというようなことを書いていく必要はないのではなかろうかと思っ ているんですが、いかがでございましょうか。 ○鈴木参考人  厚生労働省が一応出すものですから、やはりこれは非常に重いものだと思います。そ のときに、これが本当にそういう科学的な根拠が十分あって出ているものというふう に。 ○丸井参考人  これですか。Q&Aどちらの方ですか。 ○鈴木参考人  両方です。Q&Aも同じものになるのです。  確かに、1週間で80gとして、2回までの160 gというふうに書かれるわけだから、 この数字そのものが試算ということで出てきているのだということは一応出しておかな いといけないのかなという気がします。これは下の注でも構いませんが、そういうよう な形を書かれておいた方がよろしいかと思います。 ○熊谷部会長  試算という表現になるのでしょうか。試算というのは、試す方ですね。 ○鈴木参考人  もしくは仮定を設けて計算されたものですということになると思います。 ○熊谷部会長  現状あるデータに基づいて算出したものという表現ではだめですか。 ○鈴木参考人  仮定の1、2、3とあるわけですね。だから、この仮定をやって2を取ったというこ となのですから、ただ、それは細かく書けないと思うので、そこをうまく表現をしてい ただければということです。 ○熊谷部会長  目安という言葉は、どこかに出てくるのでしたか。目安という言葉には入れ込めない のでしょうか。この表のタイトルは目安なのだと思うのですが、目安とはならないんで すか。  これは、注意すべき魚介類の種類とその摂取の目安とか、そういうタイトルですか。 ○基準審査課長  2つの御意見を基に整理したいと思います。  まず、表のタイトルですが、「妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂取の目安」。 ○村上参考人  摂取量かな。 ○基準審査課長  摂取量の目安。  もう一回申し上げますと、「妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂取量の目安」。 欄の中の「注意事項」を摂取量の目安にさせていただいて、鈴木参考人の御意見を踏ま えて、本文の「妊婦の方々へ」の第3パラグラフの3行目「ものではありません」の後 に、「また注意事項は、胎児の保護を第一に作成されたものです」ということで修文を するという御提案を申し上げたわけですが、ここを「また本注意事項は胎児の保護を第 一に、『食品安全委員会』の評価を踏まえ、魚介類の調査結果等から試算した結果を基 に作成しました」という文章を入れる。  もう一度読みますと「また注意事項は胎児の保護を第一に、『食品安全委員会』の評 価を踏まえ、魚介類の調査結果等から試算した結果を基に作成しました」。 ○熊谷部会長  どうですか。よろしいですか。  どうぞ。 ○堀江委員  第3パラグラフのところで、先ほど中垣課長が一番最後に「両立することを期待しま す」の後に、魚介類の摂取量が減らない云々というのがございましたけれども、あくま でもこの注意事項というのは妊婦への魚介類の摂食を推奨するということではなくて、 バランスよく食べれば問題がないということであると思いますので、最後のパラグラフ は加えない方がよいのかなという感じがします。 ○基準審査課長  堀江先生の御提案は「妊婦の方々へ」の第3パラグラフの「魚食のメリットと両立す ることを期待します」の後に、「妊婦にあっても魚介類の摂食の減少につながらないよ うお願いします」という文章を入れようという御意見であったかと思うんですけれど も、それに対して「魚食のメリットと両立することを期待します」ということで尽きて いるのではないかという御意見だろうと思いますが、そういうことでよろしゅうござい ますか。 ○熊谷部会長  よろしいですか。 ○基準審査課長  では、そこは消させていただきます。 ○熊谷部会長  ほかに、今、事務局でおまとめになった文章でよろしいでしょうか。ほかに御意見あ りますか。  どうぞ。 ○塩見委員  非常に細かいことですけれども、表の(参考1)ですけれども「マグロ類の中でも」 と挙がってきている名前に違和感を感じるのですが、この辺はむしろ水産庁さん辺りに 考えていただいた方がいいのかなという気がするんです。  一般の方で、カツオがマグロ類だと余り考えない。生物学的な分類ではマグロ類に入 るのかもしれませんけれども、かえって出さない方がいいのではないか。こういうとこ ろに名前が出ていないものは大丈夫だと思うわけです。ですから、余分に書かない方が いいのかなと思います。 ○熊谷部会長  そのカツオについては、いかがでしょうか。 ○水産庁  これについては、また検討させていただきたいと思いますけれども、事実だけ申し上 げますと、水産庁でマグロ類と言った場合にはカツオが入る場合があるということで、 あれしていただきました。 ○熊谷部会長  今のでよろしいですか。ない方がいいですか。 ○塩見委員  ですから、むしろこれは水産庁の統計がどうのこうのというよりは、一般の方がどう 受け止めるかということですので、マグロ類と言われていてカツオの名前が挙がってく ることはかえって混乱するのではないかと思うわけです。  それから、例えば「メジマグロ(クロマグロの幼魚)」などというのもありますけれ ども、上にはクロマグロが入っていて、下のメジマグロは関係ないんだといって、そこ の線引きなどはちゃんとできているのかというのもありますので、むしろメジマグロな どというのも入れなくてもいいのかなという気がいたします。 ○水産庁  地方、季節によっては、要するにクロマグロでも小さいメジマグロを食べるところが ありますので、そのつもりで書いていただいたのかなと思っております。 ○基準審査課長  正直申し上げて、私もカツオとクロカジキについてはマグロではないのではないかと 考えていたわけでございますが、今、水産庁から御指摘のあったとおり、生物学的には そうだと。  また、それが塩見先生の方からは一般論としてというお話でございますから、後で検 討しますと言っても仕方がないので、この場で何かの提案をしなければいけないわけで ございますが「マグロ類」の「類」を取って「カツオ」と「クロカジキ」をとりあえず 今日の段階では外しておくという形で整理させていただいたらいかがでございましょう か。  「マグロ類」の中の「類」を入れると、いかにも学術的になってしまいますから「類 」を取って「カツオ」と「クロカジキ」を削るということで、当方の提案でございます が、いかがでございましょうか。 ○熊谷部会長  よろしいでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○熊谷部会長  それでは、そういうことにします。  あと、ほかの部分で特に御指摘ありますでしょうか。  どうぞ。 ○水産庁  注意事項そのものではございませんけれども、先ほどからマグロの食べる量が厚生労 働省さんの方で国民栄養調査を使っていたのは35g、新しい調査で80gという話があっ たので、多分、過去のこの部会において説明があったかもしれませんけれども、刺身あ るいは刺身を介してマグロの場合は鉄火丼などでも食べる量が多分調査による80gとか 100 gとかというようなお話があったのかと思います。  参考までの話題提供なのですけれども、業界の方でマグロの鉄火丼をどのぐらい食べ ているのかという資料がありまして、私の話を目に入力する形ということでお許しをい ただければ、委員の皆さんにそのグラフを配りたいと思うんですが、よろしいですか。 ○熊谷部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  では、その間に、最終的に現段階の整理をもう一度試みさせていただいてよろしゅう ございますか。 ○熊谷部会長  はい。お願いいたします。 ○基準審査課長  1ページ目「魚介類の有益性」のところの2行目「(EPA、DHA)」の後が、 「が、その他の食品に比べ一般に多く含み」。  「妊婦の方々へ」の2行目「この胎児への影響は」から「例えば」に行って「例えば 音を聞いた反応が1/1,000秒以下のレベルで遅れるようになるようなもので、あるとし ても将来の社会生活に支障があるような重篤なものではありません」。  第3パラグラフの3行目「ものではありません」の後に、「また、本注意事項は胎児 の保護を第一に、『食品安全委員会」の評価を踏まえ、魚介類の調査結果等から試算し た結果等を基に作成しました」。等が続くんですけれども、最終的にどっちかの等を取 りたいと思います。  その後は、原文に戻って「水銀濃度が高い魚介類を」の後に、偏ってを入れて「偏っ て多量に食べることは避けて」。  最後の「例えば」から始まるパラグラフは、表の下に持っていく。  表に題名を付けて、「妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂取量の目安」。  欄の中が「注意事項」を「摂取量の目安に変える」。  その摂取量の目安の「1回約80gとして妊婦は週に2回まで」のところに括弧を付け て、(1週間当たり160 g程度)という表現をここの目安のところにみんな入れる。そ の代わりに、各魚種のところにある括弧書き、あるいは欄の上の括弧書き「(1週間当 たりの魚種別重量)」は削除する。  並べる順番を「2ケ月に1回まで」からという形で逆転する。  (参考1)ですが「マグロ類」の「類」を取る。  「カツオ」と「クロカジキ」を削除する。  「ツナ缶は、通常の摂食で差し支えありません。バランスよく摂食してください」。  フォントをほかのものと合わせる。  Q&Aですが、Q&Aは新しくつくるのがバイガイとマグロを対象とした理由。バイ ガイの方は調査が必要なので、時間をいただく。  あと、注意事項の案が変わりましたので、それに基づいて問4とかは見直していきま すけれども、大きく見直す点は問19の毛髪中水銀濃度の関係で「食品安全委員会」のデ ータを入れるというところが現段階かと思いますが、いかがでございましょうか。 ○熊谷部会長  よろしいでしょうか。特に注意事項につきましては、今の御説明でよろしいでしょう か。  どうぞ。 ○有馬委員  問14なのですけれども、答えのところで「キンメダイのような深海魚、一部のハクジ ラ等」となっていますけれども、これは「食物連鎖の上位にある」というところにハク ジラも当然入ってくると思いますので、書きぶりとしては、食物連鎖の上位にある、サ メやカジキなどの大型魚や一部のハクジラ等のほかというふうに「一部のハクジラ等」 を「大型魚」の後に移していただいた方が「食物連鎖の上位」というくくりの中に入る と思いますので、そういうふうにしていただければと思います。 ○基準審査課長  サメやカジキなどの大型魚や一部のハクジラのほかですか。 ○有馬委員  そうです。 ○基準審査課長  のほか、キンメダイのような深海魚等にすればいいんですね。 ○有馬委員  そうですね。そうしていただければと思います。 ○基準審査課長  ありがとうございます。 ○熊谷部会長  坂本参考人、どうぞ。 ○坂本参考人  細かいことかもしれませんけれども「魚介類の有益性」のところで、高度不飽和脂肪 酸イコールEPA、DHAではないので、アラキドン酸とかありますから、ここはEP A、DHAなどの高度不飽和脂肪酸を多く含みの方がサイエンティフィックに正しいの かなと思います。  魚介類に独特な多価不飽和脂肪酸がEPA、DHAであって、例えばアラキドン酸と かは入ってこないわけですから、EPA、DHA等の高度不飽和脂肪酸を多く含むとい う形の方がいいのかなと思います。 ○熊谷部会長  「EPA、DHAなどの高度不飽和脂肪酸がその他の食品に比べ」というつながりで すか。 ○坂本参考人  その前の、生活予防や脳の発達に効果があると言われているEPA、DHA等の高度 不飽和脂肪酸というふうにされた方がいいかなと思います。 ○基準審査課長  わかりました。 ○熊谷部会長  それでは、注意事項についてはよろしいでしょうか。  それでは、注意事項については、今、事務局がおまとめになった内容で、若干修文が あるかもしれませんけれども、基本的にはこれでお認めいただいたということでお願い します。  それから、Q&A等につきましても、恐らくこれでもう御意見はないと思いますけれ ども、もし今後、御意見があるようでしたら、事務局の方にそれをおっしゃっていただ ければ、恐らくその時点でも直せると思いますので、よろしくお願いします。  どうぞ。 ○基準審査課長  最初に、部長があいさつの中でも触れさせていただきましたけれども、注意事項の案 を大体まとめていただいたところでございますので、注意事項の案につきましては、こ れから意見募集、いわゆるパブリック・コメントに入らせていただきたいと考えており ます。したがって、注意事項の案は今の修正で一度フィックスをさせていただこうと思 います。  それに対しまして、Q&Aは注意事項の案を読んでいただく上でも随分役に立つと思 いますので、今日直した段階で、これも同時に発表させていただきますが、こちらの方 はバージョンアップをしていくということが当然可能だろうと考えております。  したがいまして、後で、またお気づき点があれば、事務局の方にお伝えいただければ Q&Aの方はバージョンアップをしていく。注意事項の案の方は、パブリック・コメン トあるいは説明会を予定しておりますので、そういうところで出てきた意見を基に、再 度この部会の中で御議論をいただくということで、一度フィックスをさせていただくと いう形で対応させていただきたいと考えております。  よろしくお願いいたします。 ○熊谷部会長  先ほど、マグロの鉄火丼の図をお配りいただいたんですけれども、これはこれを拝見 するということでよろしいでしょうか。 ○水産庁  はい。 ○熊谷部会長  もう時間も迫っておりますので、済みません。  それでは、これで今日の審議はすべて完了したと思います。  それでは、事務局からもし何がありましたら、お願いします。 ○基準審査課長  今、申し上げましたとおり、本日の結果を直ちに公表するとともに、意見募集をし、 説明会をし、寄せられた意見を基に再度この部会で御議論願いたいと考えております。  したがいまして、大体1か月以上、1か月が意見募集の期間でございますから、そこ から出てきた意見をまとめるという手続でございますので、10月ごろになるのではない かと思いますが、改めて日程調整をさせていただいた上で、この部会で御議論願いたい と考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。  本日はありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係     (03−5253−1111 内線2489)