05/08/03 独立行政法人評価委員会調査研究部会第18回議事録             独立行政法人評価委員会調査研究部会                   (第18回)                   日時:平成17年8月3日(水)9:30〜12:30                   場所:厚生労働省9F省議室 出席者:市川委員、岩渕委員、岸委員、酒井委員、清水委員、鈴木委員、田村委員、     (五十音順) 1.開会 ○田村部会長  ただいまから第18回独立行政法人評価委員会調査研究部会を開催させていただきま す。前回この部会でも御了承をいただきましたが、部会長代理には岸委員にお願いをい たしておりましたが、岸委員の方から御了解を得ましたので、御報告を申し上げます。 どうぞよろしくお願い申し上げます。  今回の部会につきましては、武見委員、中村委員、政安委員が御欠席でございます。 それではまず初めに事務局から本日の議事につきまして簡単に御説明をお願いいたしま す。 ○政策評価官  おはようございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。本日は産業医学総 合研究所の個別評価をお願いいたします。  また、本日産業医学総合研究所の個別評価を終えていただきますと、これで3法人終 ったことになりますので、そのあと15分程度時間を設けまして、個別評価を行っていた だいた3法人分の評価シートについて必要に応じ修正などを行っていただく、そして最 終的にこの個別評価シートの確定をしていただくということを予定しております。  それから前回の国立健康・栄養研究所の個別評価の際に、岩渕委員よりNR制度につ いての厚生労働省の考え方について御質問をいただきまして宿題になっておりましたの で、これについての御説明をこの産業医学総合研究所の評価の後にあわせて行わせてい ただくことを予定しております。  それから一つだけ追加資料で御説明をさせていただきたいと思います。委員限りとい うことで、厚生労働省独立行政法人評価委員会平成15年度実績にかかる個別的評価とい うマトリックスの資料をお手許にお配りしております。これは評定をつける際の参考資 料として黒川委員長と御相談をいたしました上で、全ての議会で委員限りということで お配りをしているものでございます。  その趣旨でございますが、法人のこの個別評価を各部会で今行っていただいているわ けですが、当然のことながらこの評価結果は評価委員長として黒川委員長名で公表され るわけでございまして、同一の基準に基づいて実施されておるということで、各部会間 の整合性が求められているわけでございます。そういう趣旨で他の部会での評価結果に ついても御存知いただいた方がよろしいのではないかということでお配りするものであ ります。  ただ、法人の業績には当然差があるものでござまして、その業績通りの評価をしてい ただくというのは当然でございます。評点を横並びで何らかの値に揃えていただきたい という趣旨でお配りするわけではありません。  それからもう一つ御報告ですが、先週、7月27日に国会衆議院の決算行政監視委員会 でこの厚生労働省の評価委員会の昨年の評価書そのものが直接取り上げられたというこ とがございました。極めて短時間でありまして、やりとりまでにはならなかったのです が、その議員の指摘は見たところ、評価委員会の評価結果が法人の自己評価通りになっ ているのではないかという趣旨の指摘でありまして、公正に評価して欲しいというよう なことでありましたが、それに対して省側でお答えする場面はなかったのですが、そう いうふうになっているかどうかは委員が資料を見ていただければおわかりになると思う のですが、いずれにしましてもそのような目で見る向きがあるということを御承知おき いただいた方がよろしいのではないかということで御報告をするものでございます。事 務局からは以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それから本日欠席されている中村委員でございますが、お 怪我によりまして8月いっぱい御入院されるとの連絡をいただいております。つきまし ては先日の部会で中村委員に御評価いただいた産業安全研究所、国立健康・栄養研究所 の個別評価につきましては、他の委員の評価と同様に事務局で集計してもらうこととい たしますが、産業医学総合研究所の評価につきましては、中村委員を除いた9名で評価 を行う取扱いとしたいと思いますので、事務局としてはその点御留意をよろしくお願い 申し上げます。  それでは本日はまず産業医学総合研究所につきまして評価を行います。実際の評価に 移りますが、本日の進め方につきまして事務局より御説明をお願いいたします。 2.議事  産業医学総合研究所の個別項目に関する評価について ○政策評価官  本日、産業医学総合研究所の評価でございます。前回と同様の方法で進めるわけでご ざいます。初めに理事長さんから法人の平成16年度の事業のうち、特に重点的な事項に つきまして10分程度御報告をお願いいたします。そのあと、個別項目の評価になるわけ でございますが、項目を4つのグループに分けまして、1グループにつきまして法人か らの説明時間に15分、それから説明に対する質疑時間に10分、評価シートの記入時間10 分ということで4グループやりまして、そのあと5分ほど時間をいただくということで 進めてまいりたいと思います。 ○田村部会長  それでは産業医学総合研究所の荒記理事長から法人の平成16年度の事業のうち、特に 重点的な事項につきまして御報告をお願い申し上げます。 ○産業医学総合研究所理事長  荒記でございます。早速でございますが最初の重点項目を報告させていただきます。 資料の4−3−2の1頁をお開きいただきたいと思います。この表は独立行政法人とし まして研究所の運営上の憲法ともいうべき事柄をここでまとめさせていただきました。  産業医学総合研究所は平成13年4月に特定独立行政法人として発足しまして、この年 度で1期5年のうちの4年目にあたります。研究所の目的と業務範囲が、いわゆる産業 医学総合研究所法、これは独立行政法人の個別法にあたりますが、このように指定され ております。このような項目を職員全体に周知徹底を図りつつ、研究所の運営を進めさ せていただいております。  同様に、同じく独立行政法人の通則法の方で重要な規程がございまして、ここに書き ました三つの項目、すなわち公共性が高い業務を行うこと、それから二番目に社会に対 して業務の透明性を図ること、三番目に研究所が業務運営の自主性を確保することを目 標にするということ、この三点を目標に研究所運営を行っております。  また中期計画の実施にあたりましては、今回のこの22の評価項目がございますが、こ れらを全体統括しております三つの重要な区分、すなわち一番目が業務の効率化、二番 目が質の向上及び財務の改善、この三つの達成を目標に研究所が努力しております。さ らに主務省であります厚生労働省の労働基準局安全衛生部の資料によりまして、名実と もに行政ミッション型の研究所となるように、これもこのような努力をしております。  次の表を御覧いただきたいと思います。これは研究所のマンパワー、それから予算及 び施設面の基本的なデータを示します。このうち、特にマンパワーの面で、この年度の 研究職員の数が58名でございまして、これは大学の卒業学科別に区分しますと、全体の 健康系が19名、このうち医師が8名、それから生命科学系、これは研究所では実験系と 位置づけておりますが12名、それから環境系が27名の構成でございました。全研究職員 のほぼ3分の2が博士号をもっております。すなわち医学、保健学、文学、薬学、農 学、医学、工学、学術等の博士号を持っております。  次は研究所の組織でございますが、この一番目の企画調整部と、それに付属した国際 研究交流情報センター及びその下の五つの研究、さらに最後の事務管理部門でございま す庶務課から構成されております。五つの研究部の内訳は大きく言って三つに分けてお りますが、健康系が二つの研究、それから生命科学系、これは実験系ですが、一つの研 究、それから環境系が二つの研究部として区分しております。  このうち平成16年度は1年前に発足しました国際研究交流情報センター、この活動を 充実化させました。さらに実験系と研究系の研究部の業務を明確化しました。これは配 置換えによって行いました。それから同様に国際センターの新しい職員の配置換えをこ の年度最後に決定いたしまして、さらに環境系の二つの研究部の機能を強化するための 配置転換を行いました。  次の表ですが、法人の長のリーダーシップ、この件に関しましては、昨年のこの評価 委員会で初めて報告するように求められましたもので、この年度ではそのためのリーダ ーシップのとり方をある程度意識した業務運営が図られました。新しい点といたしまし て、この最初の主に理事長と企画調整部長及び独法業務担当部長それぞれの担当部長を 中心とした運営方式を強化いたしました。これが一つの新しい特徴でございます。  また全研究員が参加する月一回の研究集会で、これは理事長が各研究員の業績報告、 研究発表について個別に公表指導を行いました。これは以前から行っておりましたが、 さらにこの活動を強化いたしました。同様に全職員が毎月一回参加します業務集会がご ざいまして、これで研究所の、特に独立行政法人としての使命と役割を説明いたしまし て、意識の向上、意識の改革を進めました。その他の点はここに示した通りでございま す。  次の表を御覧いただきたいと思います。この3枚の表は厚生労働省からの運営交付金 によりまして研究所が進めております、この10年間で国レベルで研究推進を図るべき労 働衛生の三つの重点研究領域を示しております。  さらに18の優先研究課題を示します。これが表6です。それから次の表はこれらの研 究を推進するための八つの方策を示しております。今年度も労働衛生重点推進協議会と いう研究所が委託しました協議会をもとに、厚生労働省の指導を受けまして、この最後 の表にありますような各種の活動を進めまして一定の成果を上げております。  次の表は6枚ございますが、これは平成16年度に研究所の研究員が中心に進めた研究 課題を示します。最初の表8ですが、最初にじん肺と書いてありますが、以下このよう な見出しにありますような研究を実施いたしました。  次の表は研究課題2ですが、ここではがんとか生殖毒性に関するもの、その他に関す る研究、さらに研究課題3では科学物質、特に石綿による肺がん及び中皮腫に関する研 究、これは最近社会的に問題になっておりますが、この研究所では以前からこの研究を 行ない、今年度もこのような研究を実施しております。  次は研究課題4のところではダイオキシン等の研究、それから課題5では過重労働、 ストレスに関する研究、課題6では快適な職場環境の研究と、以上、労働衛生の主要な 研究テーマを網羅した研究を研究所全員で行っております。  これらのうち運営費交付金で行われます研究が二つありまして、それぞれの項目に (基盤)と研究テーマに書いてありますが、それぞれ重点研究領域特別研究、及び基盤 研究を意味します。その他にカッコづけをしてありますものは外部からの研究資金によ る研究でございます。  次は業務実績です。業務実績は平成16年度の主要な業務実績を示します。まず最初の 実績は効率的な業務運営体制の確立の実績です。例えばここに書いてありますように評 価シートP1と2のところにそれぞれの下段の中央に自己評価欄がありまして,そこに Sとつけさせていただきました。この項目の業務の主要な点は国際研究交流情報センタ ーの活動の強化、大幅な配置換え、それから理事長のリーダーシップ等でございます。  同様に二つ目の主要な業績は、労働衛生関連情報の収集分析でございまして、これは 評価シート5、14、15頁にそれぞれ同じかSをつけさせていただいております。このよ うな活動を行いました。  それから三つ目は行政活動への貢献で、これは評価シート9頁でS評価をさせていた だきました。その根拠を述べさせていただいております。  そして四つ目が研究課題の遂行です。これも評価シートの12頁にS評価をさせていた だきました。  それから五つ目が英文国際誌インダストリアル・ヘルスの発行です。これも評価シー ト14のところにS評価をさせていただきました。  主要な実績の最後の六つ目は学会、産業界、国民、国際社会等への貢献でございま す。以上が自己評価Sとさせていただきました。  その他、飛びまして財務書評関連の表を出させていただきました。ここで外部資金の 導入実績とか経費の削減、自己収入の確保、今年度は総額9,100万円の外部資金を導入い たしました。  それから最後ですが、人事計画は後ほど説明いたしますが、独立行政法人の利点とし てまとめましたものがこの項目です。特に最初の一番目の研究目標と計画の明確化、透 明性確保、及び業務運営の弾力化と自主性の確保、これは少なくとも今年度で指標に達 成した項目です。その他ここに書きました。以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。御質問等ありましたらお願いいたします。 ○岩渕委員  アスベストの研究はだいぶ昔からやられているのですが、対策が遅れたというか、そ ういう指摘もあります。そういったようなことで言いますと、それは研究所の問題とい うよりも、これは行政、担当部課の問題だろうと思うのですが、そういう研究でどうい う指摘を今までなさって、研究所の方から行政的な対策をとるべきだという提言をなさ ったことがあるのかどうか。  そしてそれを踏まえてといいますか、ただ単に行政の方が今まできちんとした対策が とれなかったのかどうか。なぜなのかという、そのあたりのところを研究所とその行政 の方の両方からお伺いしたいというふうに思います。 ○産業医学総合研究所理事長  最初の提言は、これはこの研究所の職員が国が行っています、例えばアスベスト関係 でも、その検討会がありまして、そこの座長及び委員を務めさせていただいて、いろん な提言をさせていただいております。それは研究所の職員として行政に対する提言を公 式な場で、検討会で述べさせていただいております。  その他、もともと私どもの研究所は行政ミッション型の研究所でございますから、安 全衛生部の方からいろんな相談とか、あるいは指示、文献を調べるとか、例えばアスベ ストの粉塵を測定するとか、いろんな依頼が来ますので、ことあるごとにそれに応じて やっております。なぜできなかったというのは、私どもの務めではないと思いますの で、私の立場からはちょっと公式に申し上げることはできません。 ○田村部会長  行政の方から何かございますか。 ○安全衛生部計画課調査官  行政の対応につきましては、現在内閣府を中心に検証をするというふうなことで作業 が進められておりますので、それを待ちたいというふうに考えておりますが、例えば環 境省からの委託調査というのが48年に話題になりましたが、これも産業医学総合研究所 の研究員が担当しておった研究であるというのは事実でございますが、それは厚生労働 省の51年の通達にその概要がついていたというようなことで少し新聞に載りましたが、 私どもとしては産業医学総合研究所の研究内容を活かしつつ、行政を推進してきたとい うふうに考えているところでございますが、それは今内閣府の方でもう一度全体を検証 するということでございますので、それに対しては私どもとしてはいろんな資料等を提 供していきたいというふうに考えておるところでございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。他にございますでしょうか。それでは第1グループの評価 シート右下の項目番号1〜4までの実績につきまして御説明をお願いいたしたいと思い ます。よろしくお願いいたします。               (個別項目1〜4の評価) ○産業医学総合研究所企画調整部長  私は産業医学総合研究所の企画調整部長の本間と申します。よろしくお願いいたしま す。まず説明時間の簡略化のためには、私ども産業医学総合研究所なんですが、呼び方 は常々産医研と申しておりまして、そのような呼び方で説明をさせていただきたいと存 じます。それから四つに分割して説明を15分ずつということでございますが、内容的に 若干量的に差がございますので、時間的には必ずしも15分ではなくて、短いところ長い ところあるように予測しております。その点よろしくお願いいたします。  それではまず初めにパワーポイントの資料を用意してございます。資料番号4−3− 3です。平成16年度業務の実績、事業報告書補足資料としてございます。これを主に使 用いたしますが、また随時評価シートの方を参照いたしまして説明といたしたいと思い ます。パワーポイント資料の1頁が評価シート1頁からの始まりということになりま す。  まず、効率的な業務運営体制の確立ということでございます。これは部の枠を超えた 柔軟なプロジェクトチームを編成して研究にあたっているということで、特に重点研究 領域特別研究と申しまして、産医研の中心的な課題については3分の2について柔軟な プロジェクトチームを構成しているということでございます。  それから次年度、平成17年度採用の公募を行いました。これは応募倍率10倍でござい ましたが、結果的にオーストラリア国籍の若手任期付き研究員1名の採用を決定いたし ました。これによって研究が活性化することを期待しているという状況でございます。  それから定年退職した研究員を再任用して研究管理業務に活用しているということ で、平成15年度末に退職いたしました研究員の再任用ということで活用いたしておりま す。  それから全研究員の約5分の1の配置換えを行っております。これは国研時代からの 部の構成ということもありまして、必ずしも現在の研究のニーズに対応して配置されて いるとは言い難いということもございます。また、最近のいろんな状況の変化もござい ますので、そのような最近のニーズにも合わせるということで、研究員の配置換えを行 っております。それが上のスライドです。  下のスライドは国際研究交流情報センターの業績ということで、特に効率的な業務運 営体制の確立というところでこれを掲げましたのは、平成15年度4月1日をもちまして 従来の図書情報室を国際研究交流情報センターということで衣替えをして設置したわけ でございます。新設2年目で業績としましては、初めてアジア労働衛生研究センター会 議を主催いたしましたが、この種の会議は初めてでございます。これを開催いたしまし た。これは後ほどもう少し詳細に説明いたします。  それから21世紀の公衆衛生と産業保健に関する中日国際シンポジウムを、これは中国 で共催ということで、これも大きな業績というふうに考えております。さらに国際セミ ナーを2回開催いたしております。これについても後ほどもう少し説明いたしますが、 このような業績がセンター設置後2年目であげているということで、ここに記してござ います。以上で評価シート1頁目の説明ですが、ただいまのセンターの業績等々勘案し まして、自己評定としてはSとしてございます。  それから評価シート2に移ります。パワーポイントでは2頁です。上のスライド、内 部進行管理の充実ということで、先程理事長からも御説明申し上げましたが、役員ある いは企画調整部長を中心とした機動的な運営を行っている。月例の部長会議がございま すが、日々の様々な課題に対して機動的に対応するために理事長及び企画調整部長中心 として機動的な運営体制をとったということでございます。  それから月例の研究集会が産医研にはございます。ここで全研究員が集まりして、毎 月数名の研究員が研究成果及び対外貢献、所内貢献を含む業績リストを示して報告する ということを行っております。ここで理事長がそれぞれ1人1人の成果について総括的 な評価及び指導助言を行うということであります。  それから個人業績評価、これは内部評価において行いますが、それに基づいた個人指 導及び配置替えということで、これも理事長の強力なリーダーシップで行っているとい うことでございます。  それからその下の調査研究業務の効率化ということで、所内LANの活用に関してで ございますが、業績収集システムを構築しております。これは所内LANを通じて研究 員が業績が出る度に登録することによって、全研究が見られる形でのいわば業績集とい うような形でデータができ上がるというような形にしております。予算執行状況の把握 もリアルタイムでできるという形になっております。  また、新たに研究倫理審査申請システムというものを構築いたしまして、これは研究 倫理審査のステップは非常に多うございまして、なかなか手間のかかることであるの で、これはLANを通じて申請者が書き込みをしますと、これが申請に必要な書類とし てできあがるということでございまして、これは業務の効率化につながっているという ふうに考えております。このような理事長のリーダーシップ及び所内LANの活用とい うようなことで、評価シート2に関しましては自己評価をSとさせていただいておりま す。  続いて評価シート3に移ります。パワーポイント3頁です。業務運営の効率化、経費 削減ということでございます。経費につきましては実験実施時期の調整、これは特に夏 期に電力使用量が増えますので、実験の時期を調整するなどの調整を行っております。 また、廊下消灯等ということで、高熱水料の節減を図っておりまして、対前年比で3% 減という形でございます。4年間の推移に関しまして、高熱水料ですが、グラフとして 示して毎年減っているという形でございます。  それから業務処理の効率化、これはデータ入力等々、定型的機器分析など、比較的定 型的、いわゆるルーチンワークと申しますか、そういうものについては外部委託、ある いは再任用研究員を活用いたしまして、業務処理の効率化を図っているということでご ざいます。  それから業務運営の効率化、経費節減に関しましては、外部研究資金に関してでござ います。外部研究資金につきましては、文部科学省の科学研究費補助金、環境省の地球 環境保全研究費、それから厚生労働省の厚生労働科学研究費補助金等で獲得しておりま して、その集計につきましてはそこに書きましたように、職員が研究代表者となってい るものが15課題、金額にして合計9,100万円、また、職員が分担研究者になっていて、 研究代表者は他の研究所の方というものが5課題ございます。金額は合計して1,366万 円で、合計1億円余ということになっております。  これは昨年度比較ですと、昨年度にお示ししたのは上の職員が研究代表者のものとい う集計で御報告しておりまして、その時が1億8000万円でございますので、今年度は若 干減少傾向にございます。ただし平成13年度発足の年、独法発足時には6,700万円でご ざいましたので、それに比べると高い数字というふうに考えております。  さらに自己収入の確保でございますが、これは3施設等有償外部貸与ということで3 件行っております。11万円を得ております。それから公的機関等への技術協力、専門家 派遣等で637万円という金額を得ております。ということで評価シート3頁に関しまし ては、自己評価Aとしております。  次に自己シート4に移ります。効率的な研究施設設備の利用ということで、パワーポ イントは4頁です。研究施設設備の共同利用、あるいは有償貸与の広報を行っておりま す。これは産医研のウエブサイト、ホームページで広報することもやっておりますし、 あるいは産医研ニュース等々の出版物で広報するということも行っております。結果、 大型研究施設の共同利用ということが平成16年度には行われまして、これは内容は振動 に関わる実験施設でございます。右側にその写真を示してございます。それが共同利用 としてございました。  それから有償外部貸与ですが、これは内容的には振動負荷装置、あるいは自動血圧計 というものを有償で外部貸与したということでございまして、これが平成16年度3件と なっております。以上でございまして、評価シートの4頁に関しましては自己評価Aと しております。以上でございます。 ○田村部会長  御質問等はございますでしょうか。 ○酒井委員  いくつかお聞きしたいのですが、最初に効率的な運用の中で、全研究員の約5分の1 の配置替えをされたということなんですが、ただ、研究部自身の割り方というのです か、それは従来と変わっていないわけですね。ということはその研究員の方たちの適正 配置をしていった結果として5分の1の配置替えが行われたという理解でよろしいんで しょうか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  そういうことでございます。初めから5分の1を配置換えするとか、そういうような 目標を設定したわけではございませんで、いろいろ研究部の業務内容を照らし合わせま して、その適当な人員を配置するということで、従来の人員の配置を見ますと若干問題 があるかなということで、配置替えを行いました。その結果のことでございます。 ○酒井委員  それはある意味で研究員の方の専門性をよりよく配置するために行われたという理解 でよろしいのでしょうか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  そういうことでございます。研究員それぞれ専門性を持っておりまして、得意な分野 がございますので、それに応じて各部にそれぞれの業務がございますが、それに合った 形で配置したということでございます。 ○産業医学総合研究所理事長  職員の専門性を発揮してもらうためというのは、たしかにその通りでございますが、 それは最大の目標ではございません。最大の目標はあくまでも独立行政法人としての実 績を高め、要するに行政法人のやるべき仕事がより効率効果が上がるということを目標 にした配置換えでございます。 ○酒井委員  研究倫理審査申請システムということで、これはどこも大変重要な取り組みだろうと いうふうに思いますが、先程本間さんの説明の範囲はわかったのですが、これは実際に は審査そのものはどなたが、どういう形で行われているのか教えていただければと思い ます。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  審査委員会が所内に設けられておりまして、これは外部の審査委員の方、それから内 部の研究員が審査に参加するという形で、外部委員及び内部委員から審査委員会を構成 しておりまして、そこで審査するという形になっております。 ○酒井委員  審査はその申請があったその都度行われているのですか、それとも何カ月に1回とい うような形で定期的に行われているものなのでしょうか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  これは申請そのものは定期的に行われるものではございませんので、できるだけ迅速 に審査したいとは思いますが、外部の先生方をお呼びしたりするということもございま して、そう頻繁に行うこともできないということで、現状ではその必要に応じて年2回 程度委員会を行っているという実情でございます。 ○酒井委員  どのぐらいの頻度で、皆さん方の様々な実験であるとか研究に、特にスピードの面で 支障があるということではないんですね。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  そうですね。現在はほぼ支障がないように思っています。ただし、申請されてから大 急ぎで審査して欲しいという案件も稀にはございますので、それは早めに申請をしてい ただきたい、いろいろ審査のステップがございますので、そういうようなことを指導し ております。 ○岩渕委員  最初の交流センターなんですが、国際交流の必要性はもちろん認めるのですが、これ を見ると具体的にじゃあどういうことをやったのかというのがよくわからないというと ころで、もうちょっと説明をしてもらいたいということと、例えば日中間においては、 多分意識の上からも制度の上からも、かなり大きな格差があるだろうというふうに思う のですが、研究水準も含めて、そういったようなことから言うと、日中関係が微妙な中 ではどういうふうなスタンスで取り組んでいらっしゃるのか、そのあたりのこともちょ っと教えていただきたいと思います。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  初めにセンターの業績の内容についてでございますが、後ほどもう少し説明する時間 がございますので説明させていただきます。それから日中関係でございますが、若干申 しますと、現実の現場の課題、労働衛生課題でございますので、日中間のいろんな現在 の問題とは直接は関わりはないというふうに考えております。例えば中国をはじめとし てアジア各国、現場に様々な問題がある、特にまだまだ化学物質の有害性などが問題で あるというような実情はございまして、そういうものを把握しております。 ○鈴木委員  2頁の上段の内部進行管理の充実のところなんですが、非常に充実したシステムをお 作りになったと思いますが、個人業績評価は個人指導は配置替えに反映させていらっし ゃるということですね。これをさらに人事考課等にも反映させるという計画等はおあり なのかどうか。  それからもう一点、これはちょっとしたことなんですが、1頁の上段の若手任期付き 研究員、オーストラリア国籍の方を1名採用したとありますが、産医研ニュースを拝見 しますと、ダレクスミスという御方が16年4月に採用されている、そして新研究員紹介 も兼ねておりましたが、これでお2人目ということになるんですか。その点をお伺いし たいと思います。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  まず新規採用のことでございます。平成16年4月1日採用につきましては、これは科 学技術特別研究員としての採用でございまして、研究職員ではございません。その時点 ではまだ研究所の職員ではなかったということでございます。その後、平成17年の採用 を目指しまして、平成16年度末に募集をいたしました。その結果、応募の中から選考採 用の結果、そのスミス氏が職員として採用されたということでございます。  それから個人業績評価のことでございます。これは現在、主に個人指導及び研究計画 などへ反映させております。考課に関しましては、これは明確にそうしているとは申し 上げにくいところではございますが、結果的にやはり研究職員の昇格等々がございます ので、そういう評価結果がそういうところへ自然に反映されているというふうに考えて おります。 ○産業医学総合研究所理事長  その点でございますが、人事についてはやはり理事長の専権事項に近い項目でござい ますので、私の方からも追加回答をさせていただきますが、基本的にこの内部評価委員 会の結果は人事には明確に反映させていただいております。内部評価委員会は個人ごと に主要項目について点数を出しておりますので、個人間の格差は一目瞭然に出てきま す。またそれは三つの柱がありまして、一つはいわゆる個人の研究業績が一点と、二番 目が対外活動ですね。行政への貢献とかあるいは学会への貢献、三番目が所内への貢献 です。独法機関としての所内への貢献です。それでそれぞれ五段階で評価しておりま す。  ですからこれは昇格、特に部長等、上の方へ行けば行くほど、この辺は明確に点数を 考えた上で考慮しております。少なくとも理事長のレベルでは採用させていただきま す。ただし、最終的には所内でいろいろな調整がございます。あるいは厚生労働省との 調整がございます。それは最終的には多少変わってくることもありますが、ただ基本的 にはそういう評価結果は人事に明確に反映されていると申し上げることはできると思い ます。 ○清水委員  パワーポイントの2頁の下のところに、調整研究業務の効率化のところで、予算執行 状況の把握とあるのですが、おそらく調査研究プロジェクトごとの予算執行が見れると いうふうなことなのかなと思うんですが、調査研究プロジェクトごとの予算管理状況と いうのはどういうふうに行われているのでしょうか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  これはLANの中に予算の執行表というのを用意しておりまして、そこで予算を使う 度ごとに各研究員が自分で記入していくという形をとっております。そのことによって かなりリアルタイムという感じに近いと思うのですが、どのような状況で予算を執行さ れているかということを把握することができるという形になっております。 ○清水委員  それは研究員の方が入力されるということなんですか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  そうですね。 ○清水委員  財務関係とは結びついていないのでしょうか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  研究員にそれぞれ研究費が予算として割り当てておりますので、その枠の中でどう使 っているかということを研究員が書き込んでいくという形になってございます。 ○清水委員  自己管理的な、要するに財務会計と結びついているのかどうかという質問なんです が。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  そこまではやっておりません。 ○田村部会長  それでは評価の記入を委員の先生方よろしくお願いいたします。               (評価項目5〜10までの評価) ○田村部会長  それでは次へ進みたいと思います。評価項目5〜10までの説明をお願いいたします。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  パワーポイントの資料で4頁目の下です。評価シートは5頁ということになります。 まず現場ニーズ把握・業務への反映ということで、労働衛生重点研究推進協議会を運営 しております。これは我が国の労働衛生研究において重要な研究戦略を定めるというこ とが以前ございました。これは厚生労働省の中に戦略協議会を設置しまして、そこで21 世紀初頭に重要な研究戦略課題を定めたというような戦略協議会がございましたが、そ こで産医研が事務局を務めたという経緯がございました。  その後、平成13年から、その研究戦略を推進するための協議会を産医研に設置いたし まして、その運営を行っているという状況でございます。その推進協議会としては平成 13年から3年間行ったわけですが、平成16年度から同じ協議会で第2期として3年間の 活動を開始しております。  その活動内容は様々でございますが、例えば研究課題登録ということで、国内の労働 衛生研究者の研究課題を登録していただくということで、国内の労働衛生研究の実施状 況を把握することができる、あるいはこのデータを持って共同研究協力等々に発展させ ることができるということを狙いにして課題登録というようなことを行っております。 それから平成16年度に開始しましたのは、全国の労働衛生関係研究施設で共同利用可能 な大型の研究施設を調べて、これを情報として労働衛生研究所に提供するというような ことを行っております。これについてはもう少しあとで説明いたします。  それから協議会の活動として、毎年公開シンポジウムを開催しておりまして、この中 で講演やパネルディスカッションを行って現場ニーズ、研究ニーズを把握しているとい うことでございます。これは労働衛生18優先研究課題がございますが、それに関しての 最新の情報交換、産官学からの意見を収集するというような形でございます。  次のパワーポイント5頁に移ります。上のスライドですが、これは先程も申しました 研究戦略というのはいかがなものかということでございますが、21世紀初頭に労働衛生 研究戦略として重要な研究課題は何かということで、18優先課題を戦略協議会の中で定 めております。その内容をそこに示してございますが、三つの重点領域にまたがりまし て,合計18課題が重要な研究課題としてあげられたということでございます。その研究 戦略の推進を行っているということでございます。  その下のスライドですが、先程も申しました研究課題登録ということでございます が、これは全国の労働衛生研究所にお願いをして研究課題の登録をしていただいている ということで、その結果を集計したほんの一部をそこに示しております。お名前、所属 機関、研究課題、あるいは今後取り決めたい研究課題などもお聞きしてまとめておりま す。それをこのような表の形でまとめて冊子として配布する、あるいは産医研のウエブ サイトで公表するというようなことを行っております。  パワーポイントの6頁目ですが、これは先程も申しました全国の共同利用可能な大型 の研究施設を調査して、それを皆さんにお知らせして共同利用等々に役立てていただく ということでございますが、ここにあげました産医研で共同利用可能な大型の研究施設 一覧でございます。これは全てではございませんで、若干省略しておりますか、このよ うな施設を調査して共同利用可能ということで、全国の研究者にお知らせするというこ とでございます。このリストは産医研の共同利用可能な施設ですが、同時に産医研とし て有償で貸し出しができる施設のリストということにもなっております。  次はその下のスライドです。これは行政との関係ですが、労働安全衛生研究連絡会 議、あるいはその産業医学総合研究所研究推進連絡協議会というような会議を行政とも っておりまして、そこで産医研の研究の計画を御報告しまして、様々な御意見をいただ くということで、その結果を研究業務に反映させているということでございます。  例えば昨今話題になっておりますが、アスベストなども産医研の重要な研究テーマで ございますが、その議論の中で重要な課題ということで、例えばアスベストの研究にお いては電子顕微鏡は非常に重要でございますので、これについて更新していく方向で予 算措置をするというふうな形で反映させております。  それから拠点研究員交流会、研究発表会、それから産医研と産業医大との研究交流会 というような交流会も行っております。ここでやはり労働現場、あるいは研究ニーズを 把握しておりまして、この結果というものをプロジェクト研究の計画等々に反映させて いるということでございます。  さらに国際会議ですが、アジア労働衛生研究センター会議というのを初めて開催いた しました。これもあとで詳しく説明いたしますが、ここで様々な情報を得ているという ことでございます。内容的には先程も申しましたように、アジア各国ではまだまだ化学 物質等の問題が重要な問題であるということ、あるいは長時間労働のようなものはまだ 重要な課題に上ってないのかなというようなことがわかりました。それから特異な話題 として、鳥インフルエンザとかサーズというような問題もその場で話題として上がった というようなことがございます。  続きまして評価シート5頁に関しましては、そのような様々な労働衛生推進協議会の 活発な活動等々がございますので、自己評価としてはSとしてございます。  評価シート6に移ります。パワーポイントの7頁です。上のスライドは産医研の中 で、研究課題の中で特に主要な研究課題が重点領域特別研究ということでございます。 これは現中期5年間の研究課題につきましては、独法発足時にすでに課題及び研究機関 が定められておりますので、その内容をそこに一覧としてお示ししたということでござ います。毎年6課題遂行しておりますが、平成16年度はそこの一覧の中で課題番号でい きますと6、7、8、9、10、11という6課題を行っているという状況でございます。 これは産医研としては研究人員、及び予算ともにかなり大きなものを投入して実行して いるという中心的な課題でございます。  それからパワーポイントの下の方にまいりますが、重点研究領域特別研究の実施プロ セスについてですが、これは部の枠を超えた学際的なプロジェクトチームを編成して、 健康系、環境系などの様々なメンバーを必要に応じて集めてチームを編成して研究を実 施しているという状況です。  評価ですが、内部評価委員会、外部評価委員会で研究課題ごとに5段階で評価してい るということで、事前評価につきましては学術的視点、社会的ニーズ等々の個別項目及 び総合評価という項目で評価しています。それから中間評価及び事後評価に関しまして は、目標達成度、学術的貢献度等々の項目、及び総合評価という項目で評価をいたして おるという状況でございます。この評価結果は開示いたしまして、研究計画の修正等々 に主に反映させているということでございます。  パワーポイントの8頁目にまいります。これはプロジェクト研究の例ですが、先程の 重点研究領域、特別研究ということで、平成16年度に実施した6課題を8頁の上と下に 示してございます。課題名6つと、その簡単な説明をここに書いておりますが、例えば 2番目の課題ですと、全身振動ばく露に関する研究でございまして、これは建築機械の ようなものの振動現場のサンプリングを行って、産医研の振動装置で再現して人体影響 を調べるというようなことを行っております。  また6番目の課題、筋骨格系障害予防のための研究ですが、ここでは腰痛など、これ は労働衛生における重要な疾患ですが、そういう障害を防止するための研究でございま して、特に腰痛防止のための補助具などの開発も行っているという状況です。そのよう なことで評価シート6につきましては、プロジェクト研究、課題は決められております が、非常に積極的に行っているということで、自己評定としてはSとしてございます。  次は評価シート7に移ります。パワーポイントは9頁です。基盤研究に関しまして は、部内進行管理を徹底させて、計画の修正及び予算の見直し等を行って効率化を図っ ております。内部評価委員会では研究課題ごとに5段階評価で、事前評価は学術的視点 等々の個別項目と総合評価、中間評価、事後評価は目標達成度等々の項目と総合評価と いうような項目別の評価を行っております。これらの評価結果を担当者に開示いたしま して、主に計画の修正に反映させているというような状況でございます。  それから基盤的研究課題の例を若干あげました。これは原材料及び石綿製品中の石綿 含有率定量法とそのマニュアル化というような研究課題がございまして、これは左官用 モルタル混和材の石綿含有率を産医研で測定しまして、その結果を報告をいたしました ところ、通達にその成果が応用されたということでございます。これは報道等で一部話 題になったことでございます。  それからもう一つ、暑熱・寒冷作業の国際基準策定に関する国際共同研究というよう なこともございまして、やはり熱中症あるいは寒冷障害と申しますか、そういうようも のも重要な課題でございますので、例えば夏場の暑熱作業現場の調査等々を行いまし て、職業性の熱中症予防対策に活かすというようなことを行っております。これは従来 ですと単に温度等を問題にしておりましたが、他に湿度や風速等々も含めて考える必要 があるというようなことを打ち出しまして、熱中症の予防対策に活かしていこうという ようなことを行っております。  そのようなことで基盤研究課題というのは現段階ではかなり数は多くて、結果的に一 つ一つの課題にかける予算はそれほど大きくはないという状況ですが、内容的にはアス ベスト等々、重要な課題を行って、その成果を行政に活かしていただいているというこ とで自己評定としてSとさせていただいております。  続いて評価シート8に移ります。パワーポイント資料の10頁です。災害調査の関係で すが、これは研究所の災害調査実施要項というのを設定いたしまして、迅速、的確に調 査できる体制というのを作っております。平成16年度の実績で申しますと、労働基準監 督署からの石綿の依頼分析等々ございまして、15件の調査を行いました。その結果を厚 生労働省安全衛生部へ報告しております。ちなみに前年は10件でございましたので、件 数としては若干増えているというようなことでございます。  内容的には、例えば病理切片を分析いたしまして、中皮腫あるいは肺がんの生態資料 の中のアスベストを分析するというようなことを行っております。あるいは振動関係で は、例えば森林組合での手腕振動を測定するというようなことで、これもチェーンソー による手腕振動の調査というようなことを行っております。あるいは暑熱の関係で溶鉱 炉の炉前の作業、非常に熱いわけですが、そういうところで暑熱負担を調べて、心拍 数、体温、体重減少等を測るというようなことを行っております。  さらにその下、発癌性のある物質については、がん原生物質による健康障害防止指針 というのが策定されるわけですが、それに関連しまして、腫瘍の実態の調査およびそれ に必要な作業環境の分析法等々を検討いたしまして、適当な分析法を開発しているとい うことで指針の策定に協力しているということでございます。  このように産医研は非常に行政ミッション型の研究所でございますので、災害調査等 で行政のニーズにあった重要な調査を行っているということでございまして、自己評定 としてはSとしてございます。  評価シート9頁に移ります。パワーポイント10頁の下ですが、国際・国内基準制改定 への貢献ということで、まず国際機関に関しましてはWHO、ISO、OECD等々の 多数の国際機関に設置された委員会、合計17に役職員を派遣して研究成果を国際基準制 改定に反映させております。例としてWHO、あるいはOECD、あるいは振動関係、 呼吸用保護具関係というような多彩な国際会議に派遣しております。  それから国内関係ですと、行政機関、学協会等に設置された94の委員会に役職員を派 遣しております。例といたしましては厚生労働省の安衛法に関する委員会、職業がんに 関する検討会、石綿繊維に関する会議、環境省のダイオキシン類の検討会というような たくさんの委員会に派遣しております。これは数は17あるいは94と書きましたが、一つ の委員会に複数回研究委員が出席することは通常でございますので、集計はしてござい ませんが、延べ回数にしますと数百回になるのではないかと考えております。  その貢献例として、先程も若干申しましたが、左官用モルタル混和材による石綿ばく 露の防止関係、それから労働者の健康障害防止にかかるリスク評価、化学物質のリスク 評価の検討会というようなことに参加しております。  次はパワーポイント11頁にまいりますが、昨今話題になっておりますアスベストの関 係につきまして、産医研のアスベスト研究について若干御紹介ということで作ったスラ イドでございます。その上と下で上が生態影響評価関係、下が環境ばく露濃度の評価関 係の研究課題でございますが、上で申しますと例えば肺がん、中皮腫の症例の組織内、 肺内のアスベスト分析法を確立したというようなこと、あるいはアスベストの毒性を調 べるというようなこと、小さく昭和何年というようなこと、あるいは平成何年というよ うなことで実施年度を書いております。  それから下の環境ばく露濃度評価関係でいいますと、一般環境中における、低濃度で すが、アスベストを捕集して分析して濃度を測るというような方法を開発しておりま す。その分析用の標準資料も産医研が中心になって開発しておりまして、これを配布し て標準資料としていただくというようなことををております。それからアスベストの含 有物質の測定法に関しましてもマニュアルを作るというようなことで、産医研が中心的 な役割を果たしております。  ということで、国際・国内基準制改定の貢献ということで、たくさんの重要な委員会 に役職員を派遣しまして、重要な貢献をしているということで、自己評定としてはSと してございます。  次は評価シート10頁です。国内外の科学技術情報の調査ということです。行政からの 要請等により国内外の文献調査結果等を報告しております。例えば暑熱作業あるいは振 動障害に関しまして文献調査を行っているということで、安全衛生部からの要請によっ て諸外国の暑熱作業の適用状況を調査報告したということ、それから第10次労働災害防 止計画がございますが、それに関連して厚生労働省が作業現場での振動ばく露調査を行 って、それに協力して、その調査の方法の手順書を作成したというふうなことがござい ました。このような手順書に従って現場での調査を行うことによって労災認定に関わる 重要な資料となるというようなことでございます。  その下は現場の例を若干お示ししたものですが、4枚の写真がありますが、左側が暑 熱作業、右側が寒冷作業です。左の上が溶鉱炉の炉前作業の様子、左下は電線のメンテ ナンスですが、これは夏場ですと暑熱作業となるということで示しております。右側の 上は食品工場ですが、低温下で作業が行われますので、これは寒冷作業です。右下は電 線のメンテナンスの作業です。同じ電線のメンテナンスと申しましても、冬場ですとこ れが寒冷の作業となるというようなことの一つの例です。このようなことで評価シート 10頁に関しましては自己評定はAとしてございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは御質問をお願いいたします。 ○市川委員  いろいろな仕事を、重点研究とかプロジェクト研究、基盤研究等をされていらっしゃ るわけですが、それにおける評価の問題ですね。大変積極的にこれをやったとか、ある いは一部においてマニュアル作成に協力したとかいうような形が見えるものがあるわけ ですが、他に関してはそれぞれの積極的に行っている内容というのが、どのような形 で、絶対評価ではなくて、相対的にその仕事がどれだけいろんなことに貢献したかと か、簡単に言えば学会発表を含めた、研究内容でしたらそういうことになると思うんで すが、それにどう反映しているのかというのが読みにくい形だと思うんですが、その辺 について一点。  それからもう一つは、50数名の研究員でこれだけの研究をされてらっしゃるというの はかなりオーバーワークのような感じがするのですが、そういう時に個人業績評価とい うのが最初にありましたね。ああいう中でいわゆる重点研究とかプロジェクト、基盤と かというものの中で、どのように評価されていくのかなというのが私にはわかりにくい ので、簡単で結構ですので、その二点について教えていただきたいと思います。 ○産業医学総合研究所企画調査部長  まず研究評価、特に研究の業績に関しましては、研究論文数、あとで論文数等の御報 告もいたしますが、直接的には研究論文、あるいは学会発表等の増加という形で、努力 の成果が現れているという形でございます。  それから行政への貢献ですが、先程もいくつか例をお示ししましたが、たくさんござ いまして、一つ一つあげることはできませんが、アスベスト、あるいは暑熱、あるいは 振動、あるいは化学物質関係につきまして、それぞれ非常に貢献しているというような 状況でございます。  評価に関しましては、個人業績評価ですが、たしかに御指摘のように非常に様々な研 究、あるいは研究外業務と申しますか、委員会への出席等々に参加しておりますので、 かなり研究員の労働は重いというふうに考えております。その中でもどうしても必要と いうことで遂行しておるわけですが、評価との関係では研究者個人、やはり研究だけで なく、研究外業務、所外貢献ですね。それから所内的な貢献もございますので、そこら へんも加味して総合的にどのような貢献をしているかというような形で評価をするとい うような形です。 ○市川委員  内容を少し絞ってグッと光るような仕事という言い方は非常に失礼ですが、そういう ようなものというのは具体的に言っていただくと非常にわかりやすいのですが、これは 全体としてSであると言われてもちょっとわかりにくい点があったので、数はよくわか るのですが、そうではなくて、これは今まで分かってないことがこれだけ分かったとい うような表現が本当は欲しかったなという、私のコメントです。 ○産業医学総合研究所理事長  追加回答をさせていただきます。最初の研究内容、どこに貢献しているかという点で すが、基本的に研究所の一番最大の研究内容は、特別研究領域の重点研究です。これは 本省からいただく研究課題ごとに年間数千万の課題が年に5件ぐらい走っているわけで す。これはこの貢献度は行政への貢献度です。基本的に行政ミッション研究所ですか ら、貢献のまず第一は行政への貢献です。これはもともと行政の方から提案された研究 課題です。ですから行政実施上必要な、現在ぜひ必要な研究をやっている、そういう意 味で最大の貢献は行政貢献である。  それから今度は基盤研究、個人のレベルの研究ですが、これがどう評価されていくか という点ですが、これは本当の結果的には、社会的に例えば学会賞とか、あるいは特許 という形に結びついている。あるいは出版、市販本、あるいは専門書、もちろん原著論 文という形でも出ています。それからもっと細かい点では、それぞれの研究者の評価、 研究所の内部評価委員会で点数化されております。ただ、この点数化は基本的に独法の 評価は全体にそうなんですが、数量化でされるもので、むしろ数で評価されます。先生 御指摘のように質の評価というのは、これからの課題だと私は見ております。  まず数を、中期計画の目標を設定されておりまして、それをどう達成するかという形 で評価しております。ただ、申し上げましたように質の評価も学会賞とか出版、本と か、あるいは特許とかという形で社会的な評価を行います。項目については後ほどデー タで説明いたします。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。それでは岩渕委員、どうぞ。 ○岩渕委員  今の件と多少関連なんですが、いろんな多くの重要なテーマについて研究なさってい るのは大変よくわかるのですが、そこの中でいいますと、やっぱりどういう成果があっ たのか、どういう業績を上げたのかというのをもう少しわかりやすく欲しいというのが 一つなんですね。  具体的に、例えば国際交流もそうなんですが、やったというだけではなくて、どうい う成果が上がったのかというのを、究極の目標としては当然ながらそれを求めたいわけ ですが、その場合に、例えば学会発表というような形ではずいぶんなされているんだろ うというふうに拝察いたしますが、国民の目から見ますともう少し行政の施策に、じゃ あどのように活かされているのかというところが結構重要なポイントだろうと思うんで すね。基準とか各種指針とか、そういったようなことに多分活かされているんだろうな というのはわかるのですが、具体的にじゃあ過去にこういう研究が、こういうふうな形 で成果を上げましたよというところがもうちょっと目に見えるような形で説明して欲し い。  もう一つは行政のサイドとしてこの研究所の研究成果を、言ってみれば親会社みたい な形で、その利用の仕方というのはどちらかというと行政ミッションというふうに、当 然ながら行政の方がイニシアチブを握っているわけですから、その行政がどういうふう な格好でこれを活かそうとしているかという、その姿勢が非常に重要だと思うんです ね。活かすも殺すもというと変ですが。  だからそこまで含めて言うと、これは行政の方からお答えいただきたいなと思うんで すが、今までこういう格好でその成果が上がったというような、もう少し目に見えるよ うな格好でお答えいただきたいなというふうに思います。 ○安全衛生部計画課調査官  少し行政側から御説明を申し上げたいと思いますが、例えばダイオキシンというのが ありましたが、それも一番最初は大阪の清掃工場での労働者がなったわけですが、もち ろん人体への影響というのがあるのですが、その影響を見るのに血中の脂肪にどの程度 ダイオキシンが蓄積されているかというのを見るということで、最初は血液を相当量と って、そして国内でもなかなか分析できないということで、外国にも出しておったので すが、その後そういった血中の脂肪に含まれるダイオキシンの濃度測定について、産医 研研究では、私の聞いた範囲内では6〜7ミリリットルぐらい、いわゆる健康診断で通 常抜くぐらいの血液量である程度の測定ができるようになったということでございまし て、その後のある意味では私どもも健康影響がどう出るのかというのをずっと定期的に 調べておるのですが、そういったものに貢献されているというのがございます。  それからアスベストにつきましても、この資料の11頁の22で、これは左官用モルタル 混和材というのが出ていましたが、これも通常ですとX線分析表というので石綿の分析 をしておったようなんですが、それではきちっとした濃度が測れないということで、別 の熱量何とか、そういった新しい分析法で分析をしたら石綿が中にあるのがわかったと いうことで、行政通達で、いわゆるノンアスベストじゃないという形でやっておりま す。  そういう形で使われておりますし、また繊維上物質の測定マニュアルとか、いろいろ ありますが、これは今解体作業を今後やるという中で、実際には設計書等で石綿が使わ れているということが明らかであれば、それはアレなんですが、石綿かどうかわからな いという場合には、その資料をとって分析をしてやりなさいということになっているわ けです。その分析方法についても通達で出しているのですが、そういったものを示す際 にこちらの方の、そういった分析についての研究、そういったものがある意味では使わ れているというふうなことでございまして、そういう意味では即、それでもって指針と いうわけではないのですが、その指針を一部をなすための、あるいは通達の一部の根拠 になるみたいな形が多いのですが、そういった形で成果は使われているというのはござ います。 ○田村部会長  産業医学総合研究所の方で何かコメントはございませんか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  ただいまの石綿関係で若干追加をいたしますが、パワーポイントの9頁で行政へ貢献 した成果、左官用モルタル混和材の石綿含有率の測定方法に関するという検討会に資料 を提供したということを例としてあげてございますが、これは左官用のモルタル混和材 というのはかなりのものがノンアスベストとして表示して売られていた状況でございま すが、それを産医研で測定してみますと、実はその当時で10社中7社でアスベストを検 出したということでございました。  先程、新しい分析法等、調査官の方からお話がありましたシサネツ重量分析法と申し ますが、そのような新しい方法で分析をしたというようなことでございます。その結 果、その通達が出まして、アスベストを含まない形での混和材を作って欲しいというよ うな形の通達というふうになったというふうに聞いております。 ○産業医学総合研究所理事長  最初の御質問ですが、成果をわかりやすい形で報告するようにということ、これは基 本的にやっておりますのは、まず第一はホームページでございます。このホームページ を積極的に拡充して充実させておりまして、それを見ていただければ全ての成果がわか るようになっております。しかも誰でもアクセス可能です。それが第一点です。  その次に一般に報告しておりますものは、産医研ニュースという一般向けの現在の活 動を年2回ニュースの形で数枚のものを色刷りで出しております。これもかなり広い範 囲に配布しております。これは御希望があれば誰でも配布できるようにしております。  それから三番目は研究所の年報です。これはかなり学術的なものです。研究所の基本 的な業績を全て網羅して入れております。  それから最後は、今度はもっと学説的にはインダストリアル・ヘルスという国際学術 誌です。これは最先端の現場のデータを論文の形で、あるいは論分の解説総説を含めま して出しております。これは世界中に、あるいは国内に全部で千冊以上無料で配布して おります。これも御依頼があればどこでも無料で配布いたします。以上でございます。 ○岩渕委員  ですからここに提出される資料をもうちょっとわかりやすくして欲しいという、そう いう要望です。さらにもう一つ追加いたしますと、国民の側から見ますと、例えばアス ベストにしろダイオキシンにしろ、非常に厳しい要求ではあるのですが、最終的に言え ば、要するに社会問題化してから後追い型の対応、まあ行政ミッションというのは当然 ながらどうしてもそうなっちゃうんですが、でも専門家はわかっていたんじゃないの?  というのが国民の意識の中にあるわけです。  そこのところは行政も研究所も究極の目標としては一つ予防医療型といいますか、事 前に社会問題化する前に何らかの、それについて言うとこの研究テーマがものすごくが っちりしすぎていて大変じゃないかなというふうに、我々でいうと遊撃隊みたいな、そ ういうプロジェクトチームみたいなのが多少あってもいいのかな。それがあまり効率的 かどうかはまた別としまして、何か予防的なところというのか、これから問題になる恐 れのあるものに対する目配りというのが、やってらっしゃるとは思うのですが、これだ とちょっと苦しいのではないかと思うんですが。 ○産業医学総合研究所理事長  説明不足で申し訳ありません。基本的に研究所で自由に研究員全員の研究をやってい ただく基盤研究でございますが、これは各自が自由にできる研究でございまして、事前 にあらゆるテーマで研究員の関心を持てる研究をやっております。ただ、これも例えば 今回のアスベストの問題を含めましても、今回この会議で整えました資料は現在のアス ベスト問題が出る前の年報です。  しかし先程説明しましたように、すでにいくつかのアスベストの研究をやっておりま す。他の問題も全て同じだと私は理解しておりまして、基本的にこの研究所は医学的に は予防のための研究所でございます。あるいは社会のための医学です。ですから事前の 一般の社会問題になる以前から学術的に研究をやっている、実際にやっているというこ とでございます。そのもとは基盤研究でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは岸委員どうぞ。 ○岸委員  簡単に申し上げますと、岩渕委員、市川委員がおっしゃったことと、今産医研の側、 あるいは厚生労働省の側がお話をされたことの接点を申し上げますと、やっぱり行政ミ ッションということにそって、非常に基礎的な研究を着実にやっていることは本当にお 聞きしてわかる通りなんですが、やはり国民の健康水準を上げるために、どのように役 立ったのかということをもう少し説明していただくことが一番大事で、そこは必ずしも 数でなくても結構なんですが、もともとの研究の意味というんでしょうか、生態影響評 価にしましても、環境ばく露濃度の評価にしましても、地道な研究をきっちりやってら っしゃる研究所であるというふうに私どもは考えているのですが、それがどういう形で 健康水準を上げる、特に働く人の健康水準を上げるのに役立っているかという説明を少 しつけていただくのが評価委員の先生方が皆さん納得されるところでなかったのかと思 います。コメントでございますが。 ○産業医学総合研究所理事長  これは大きなテーマ過ぎまして、この研究は研究所だけでとても達成できません。こ れは基本的に国民の健康水準を上げるための活動、まず行政活動、これが一番大事で す。現場の現在の国民の健康水準、そのために行政活動をなされております。この研究 所の立場をそれを支援するための学術的な調査研究活動でございます。ですからそのた めにどういう貢献をしたかというのは、すでに報告した通りでございます。 ○田村部会長  この件は中期目標に対してどういう成果があがったかというハイライトをできるだけ わかりやすくお話をいただきたいという岸委員の御質問だと思いますので、そういう視 点で対応してくださればよろしいかと思います。できるだけわかりやすい具体的な例等 があがりますと、評価委員の先生方も非常に理解しやすいんじゃないかという感じがし ておりますので、よろしく御配慮をいただきたいというふうに思います。 ○鈴木委員  視点を変えて御質問をいたします。パワーポイントの5頁の下段には研究課題登録が 記されておりますが、研究所としては全国の労働衛生関係の研究課題の実際行われてい る研究課題の何%ぐらいがすでに登録されていると考えていらっしゃるのかというこ と、それが第一点です。  もう一点はパワーポイント8の下にありますプロジェクト研究の例の2の二番目に、 作業環境中の有害因子に対する感受性を決定する遺伝的素因に関する研究、この課題が 21世紀の労働衛生上の新しい主要テーマになって脚光を浴びてくると思っていますの で、非常に期待をしています。研究所ではこのテーマにいくつの研究部が、何人ぐらい の研究者を動員して今取り組んでいらっしゃるかということにお答えをいただきたいと 思います。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  研究課題登録関係でございますが、ここに例として登録した例がございますが、現 在、何名程度の登録がございますかというと、大体ですが、登録は現在進行中でござい ますのて確定ではございませんが、500数十名の方の研究課題が登録されているという 状況でございます。 ○鈴木委員  それで全体の何%ぐらいに相当するのでしょうか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  全国の研究課題の何%というのは非常に難しいところでございますが、例えばこのよ うな研究が発表される中心的な学会ですと、産業衛生学会というのがございます。そこ で労働衛生関係の研究成果が非常に多く発表されるわけですが、そこで毎年どのぐらの 演題が発表されるかというと、大体500演題程度なんですね。そうしますとかなりの程 度この研究課題の登録で実際にやられている全国の課題というのをカバーしているので はないかというふうに推測はしております。 ○鈴木委員  私見ですが、多分その学会以外の学会で労働衛生に資するという強い認識ではなく、 また別の視点で研究に取り組んでいらっしゃる方もかなりあるんじゃないかと思いま す。つまり遺伝学関係の学会とかね。ですから少し対象を広げてサーチされてみるのも 一つかなと思います。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  はい。当面この研究課題登録でアンケート形式でアンケートをお送りした対象は産業 衛生学会と労働衛生工学会と職業災害学会という三つの学会でございまして、労働衛生 関係では中心的な学会というふうに考えてアンケートをお送りしたという形で登録して いただいております。実際の手続き上の関係で、その周辺の学会関係者ということにな ると、なかなか手が回らないという状況でございます。  もう一点、先程遺伝子関係の研究課題ということでございましたが、これは研究所で は健康障害予防研究部という部の中で中心的に手掛けておりますが、遺伝子関係の研究 者としては今4名程度です。研究者は外部の研究者と協力してやっておりますので、関 係する研究者はもっと多いということでございます。 ○産業医学総合研究所理事長  研究者登録でたしか今回答しましたように、約1万人の研究者という、300人から500 人ぐらいの登録です。ただ、それがその数は学会で実際毎年の学会で報告している人た ちの数とほぼ匹敵するということです。  ただ、もう一つ先生の御質問の、じゃあそれ以外の方々は調べてないかということで ございますが、調べております。これは別な事業といたしましては、系統的な論文検索 をやっております。ですからこれは日本人の全部の過去に発表した論文を、医学雑誌等 の検索誌を数年分網羅しまして、この意味では全部の日本国内で行われた研究を全部網 羅しています。それは別な形で報告しております。 ○田村部会長  それでは評価の記入をお願いしたいと思います。               (個別項目11〜18の評価) ○田村部会長  では次に評価シートの項目11〜18までの実績について説明をお願いいたします。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  それでは評価シート11頁です。パワーポイントで13頁になります。外部評価の実施と 公表ということで、平成15年度の研究評価報告書を発行して、ホームページで要約版を 公開しております。平成16年度の研究評価結果につきましてはホームページにすでに要 約版を公開済ということでございます。  外部評価委員会でプロジェクト研究については評価を実施しているということでござ います。それから事前、中間、事後評価結果を担当者に開示して、実行計画に反映させ ているということでございまして、評価シート11頁につきましては自己評定Aとしてお ります。  評価シート12頁に移ります。パワーポイントは13頁です。学会発表等の促進です。ま ず論文発表については、平成16年度は172編でございまして、数値目標年平均しますと 80編ということになっておりますが、それを上回り、なおかつ前年実績が101編でした が、これも大幅に上回っており、結果的に数値目標の2.2倍、あるいは前年実績の1.7倍 ということで発表いたしました。この内容は筆頭著者は75%でございますので、この割 合というのは平成13年度から72〜75%でございまして、この筆頭著者割合は例年通りで ございます。特に外部の筆頭著者が増えたということではございません。それから中期 計画4年目までの累積が509編でございまして、5年間の数値目標は400編とされており ますが、それを達成しております。  それからパワーポイント14頁にまいります。学会発表につきましては平成16年度は251 回で、やはり数値目標は年200回平均ですが、あるいは前年実績の236回を大幅に上回っ ております。中期計画期間4年目までの累積がちょうど900回でございまして、5年間 の数値目標1,000回は5年間では達成する見通しというふうに考えております。それか ら役職員が学会大会長賞2件の表彰、あるいは学術団体の名誉称号等を受けているとい うことでございます。このようなことで評価シート12頁に関しましては、論文発表の伸 び等々を考慮いたしまして、自己評定はSとしております。  それから評価シート13頁になります。研究成果情報の発信ですが、インターネット等 による情報発信を行っておりまして、右に写真を示しましたのは、産医研のウエブサイ ト、ホームページの表紙の写真ですが、年間アクセスが93万件ということで、前年の62 万件に対してかなりの伸びをしているということです。内容的には国際英文雑誌、産医 研で発行しております専門雑誌ですが、インダストリアル・ヘルス、この掲載論文の全 文、あるいは産医研ニュース、年報、あるいは研究成果というものをホームページに掲 載して公開しております。  パワーポイントの15頁です。年報ですが、これは年1回研究所の全研究成果をまとめ て発行しておりまして、内容的には研究所の概要、あるいは研究成果等々を盛り込んで おります。その下ですが、研究成果の一般紙への寄稿ということですが、平成16年度は 技術解説等46編を寄稿しております。その例として、例えば空気清浄協会発行「空気清 浄とコンタミネージインコントロール」という雑誌がございますが、そこでの「作業環 境の評価方法と換気技術」いうような論文を掲載しております。これは前年は55編でし たので、若干は減り気味ではありますが、ほぼ同水準で推移しております。  次はパワーポイント16頁です。マスコミで紹介された研究成果はどのようなものかと いうことですが、まず件数でいいますと前年が8件に対しまして、新聞等々で平成16年 度は12件紹介されております。その例として、例えば日本農業新聞での「みんなで快農 宣言!」というような記事がございます。これは農機具による振動が従来あまり知られ ていなかったわけですが、その振動を実際に振動データをとったということで、これに 対応してメーカーが対策をとってくれることを期待しているということでございます。 いわば農家の労働災害関係に資するということになるかと思います。  下の方の成果ですが、これは東京新聞の「組織内のストレスチェック」、あるいはN HKの総合テレビ「おはよう日本・職場に求む頭痛対策」というような報道もなされて おります。このようなことで、評価シート13に関しましては自己評点はAとさせていた だいております。  評価シート14頁にまいります。国内研究状況と把握と情報提供ということですが、先 程来労働衛生重点研究推進協議会のお話を紹介しておりますが、その活動や産業医大、 あるいは客員研究員との研究交流会等々で最新の研究動向を把握しております。それか ら先程来説明しております18優先課題への取り組み状況の調査を行っており、またこの 労働衛生重点研究推進協議会の成果を示すパンフレットを作成しております。  この労働衛生重点推進協議会の報告書という形で、これは毎年報告書を出しておりま すが、第3年次報告書を発行しておりまして、約600部を配布しているということでご ざいます。この中にシンポジウムの情報、あるいは18優先研究課題に関する調査結果等 々について盛り込んでおります。  次はパワーポイント18頁にまいります。労働衛生重点研究推進協議会関係ですが、そ の協議会の研究成果が一般にあまり普及していないのではないかということがございま して、わかりやすいパンフレットの形で紹介することにしようということで、パンフレ ットを作成いたしました。これはタイトルに「21世紀に必要とされる労働衛生研究」と いうことでございますが、その内容としては18優先課題の紹介、あるいは労働衛生関係 の日本の論文の出版状況、それから先程の研究課題登録の結果等々を簡単に紹介してご ざいます。  その下ですが、国内学術インダストリアル・ヘルスすが、これは労働衛生関係、つい 最近まで日本で労働衛生関係の英文国際誌というものはこのインダストリアル・ヘルス 一誌のみであったような状況ですが、これを年4回定期的に発行しております。これは 専門的な研究論文を掲載しているわけですが、平成16年度は年間で59編ということで、 数的には前年比約118%の論文を掲載しております。平成16年度に特集いたしましたの は、「アジアにおける最近の労働衛生研究動向」、あるいは「睡眠と健康」というよう なことで特集号を組んでいるというような状況もございます。  さらに次のパワーポイント19頁にまいりますが、産医研ニュースという形で年2回定 期的に、4月1日、10月1日に発行しております。これはやはり産医研の研究内容、あ るいは研究トピック等々を随時紹介するというような形で広く配布するためのものでご ざいます。その内容の一例として、平成16年10月1日発行分の内容を、主なものをそこ に項目として載せておりますので、産医研の活動状況、あるいは研究課題等々について 紹介しているという状況でございます。  このようなことで評価シート14頁に関しましては、労働衛生重点研究推進協議会及び 様々なインダストリアル・ヘルス及び産医研ニュース等による情報発信ということで、 自己評定としてはSとしております。  次は評価シート15頁にまいります。講演会等の開催でございますが、講演会につきま しては、一つはアジア労働衛生研究センター会議というのを初めて産医研が中心になっ て開催いたしております。ここでアジア各国の労働衛生研究関係の研究者を集めてシン ポジウム、ワークショップ等を行ったということで、その右に写真で会場の様子を示し てございます。  もう一点、21世紀の公衆衛生と産業保健に関する中日国際シンポジウムというのを中 国で行っておりまして、これも多数産医研からも中国へわたってシンポジウムを開催し たということでございます。  次はパワーポイント20頁ですが、講演会開催関連につきまして、シンポジウムを行っ ております。これは「21世紀の労働衛生研究戦略の推進と展望」というテーマで、例え ばどんな演題であったかと申しますと、そこに筋骨格系障害の演題、あるいは遺伝子改 変動物を用いた有害化学物質のリスク評価等々の演題で講演会を行っております。  産医研国際セミナーも前年度に続いて行っておりまして、平成16年度は二回というこ とで、暑熱作業に関して、この写真ではスウェーデンのホルマー博士の講演の様子を示 しております。  そして研究所の一般公開を行っております。これは科学技術週間中の日曜日に行って いるのですが、近隣住民、あるいは小学校、企業、労働衛生関係者等にお知らせをいた しまして、その結果130名余の参加をいただいております。前年比では60%増というこ とになっております。産医研の受け入れ人数としてはこのあたりが限界かなというふう な人数になっております。内容的には講演、ポスター展示、それから今回初めて体験コ ーナーということで、ストレスチェック、心音チェック、サーモグラフ、心拍変動等を 体験コーナーとして設置しております。それから大型施設の見学も行っているというこ とでございます。  次はパワーポイント21頁にまいります。見学者に対応しております。JICA、ある いは行政ですと労働安全衛生政策セミナー等々、あるいは産業医、学生等に対応してお ります。シンポジウム、あるいは研究所一般所内見学等々にアンケート調査を行ってお りまして、結果概ね公表であったという状況でございます。そのような状況で、評価シ ートとしてはアジア労働衛生研究センター会議等々活発に行ったということで、一般公 開で多数の参加を得ているということで、自己評定してはSとしております。  次は評価シート16にまいります。パワーポイントでは21頁の下です。知的財産の活用 促進ということで、特許関係でございますが、労働衛生関係の研究機関ですので、なか なか特許に結びつく例は少ないのですが、新規に平成16年に特許として査定され認めら れたものが1件ございます。それから新規に出願1件ということで、平成16年度審査中 7件ということでございます。また、特許情報を有効に活用されるということをめざし まして、特許流通データベースに登録もしているということで、また、特許に有効活用 を図るTLOがございますが、そこを経由して初めて出願しております。ということで 評価シート16に関しましては自己評定Aとしております。  評価シート17頁、パワーポイント22頁の上です。若手研究者の育成等、これは研修生 規程等、様々な規程に基づいて研修者を受け入れておりますが、結果的に平成16年度は 11名の若手研修者を受け入れております。前年13名ですので、ほぼ同程度というふうに 考えております。それから国内外の公的研修機関や大学等に職員を派遣して、35件の協 力支援を行いました。この内容としては、例えば厚生労働省の労働衛生専門官の研修等 でございます。前年37件でございましたので、これも前年並の研修でございます。  それから表彰ですが、作業環境を測定士養成講習への協力に対して職員が感謝状を受 けました。そのような内容になっております。そこで評価シート17頁に関しましては、 自己評定Aとしております。  次は評価シート18頁ですが、パワーポイント22頁の下です。研修協力の促進に関しま して、先程来説明いたしましたアジア労働衛生研修センター会議、あるいは中日国際シ ンポジウム、あるいは客員研究員、あるいは産業医大との研究交流というのを図ってお りまして、国際セミナーとしては2回、暑熱作業あるいは溶接と健康というようなテー マで国際セミナーを行っております。所内的にも自主的な研究会ということで、人体振 動あるいは職業性ストレスという課題で研究会を持っております。  パワーポイント23頁にいきますと、研究協力の促進の2ということすが、国内外の機 関との研究協力協定を結んでおりますが、これはアメリカ、韓国、スウェーデンと研究 協定を結んでおりまして、それに基づいて延べ11名の研究員の派遣、あるいは受け入れ という形で行っております。  また国内としては労働科学研究所との研究協力を結んでおりまして、その協定下で活 動しているということ、それから準備段階ですが、中国との研究協力協定の締結の準備 も進めております。さらにプロジェクト研究課題と基盤研究課題のうちの共同研究の割 合ですが、プロジェクト・基盤をあわせますと約10%が共同研究ということになりま す。プロジェクトに限りますと約40%ということになりますが、そのような形で共同研 究を実施しているということでございます。その結果、評価シート18に関しましては自 己評定Sとなっております。以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは御質問等ございましたらお願いいたします。 ○酒井委員  非常に忙しい中で研究成果を公開されている、非常に様々なことをされているという ことはよくわかりました。その中で私は特に21世紀の研究戦略会議と、アジアの労働衛 生研究センター会議に関心を持ちます。岩渕委員からも最初に質問があったように、一 つはアジアの労働衛生センター会議の目的、この辺をもう少しPRしていただきたいと 思うことと、それから21世紀の研究戦略の、これも第1期目のものをさらに引き継いで 2期目をやって、より拡大してやっていこうという意図、そういったことが行われてい るということはわかるのですが、前のところで委員から質問があったのと同じようなこ となんですが、これらのことが私からすると情報交換を活発に行ってというふうに聞こ えてしまうのですが、もう少しアジアの労働衛生会議を今の時点でやるんだという、こ ういう課題解決のためにこうやろうとしていて、ここまで来ているといったようなこと で説明をしていただくと非常にわかりやすかったのではないかと思います。ぜひその点 をお願いします。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  アジア労働衛生センター会議でございますが、これはアジア各国あるいは地域の労働 衛生研究者を集めて初めて行ったということでございますが、内容的にはシンポジウ ム、あるいはワークショップを行ったということでございます。このような研究交流は 個別的には従来から行われておりましたが、一堂に会してアジアの労働衛生研究者を集 めたという会議は初めてでございます。  様々な問題が提起されましたが、その例として、例えば日本ではアスベスト等の問題 がありますが、化学物質等々の問題は若干比重としては下がっているけれども、やはり アジア各国では化学物質関係の重要性というのはまだまだ非常に高いというようなこと がわかりましたし、一方では日本で問題になっております長時間労働、あるいはメンタ ルストレスというようなことになりますと、アジア全体を見渡しますとなかなか最重要 課題にはのぼってきてない状況かなというような結果でございました。 ○酒井委員  例えばその会議でのステイトメントを出されたとか、報告書を作ってこういうアピー ルをしたということは実績としておありになるんですか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  報告書は作ってまとめておりまして、報告書としてできたばかりでございますので、 これから公表という段階でございます。 ○産業医学総合研究所理事長  追加でございますが、そのアジア労働衛生センター会議は何分第1回目でございまし て、ここでやったのは一つは講演会、まず第一に相互に理解、それぞれの国は労働衛生 についてどういう問題があるかということの洗い出しをやったわけです。それが講演会 です。それから二つ目は、今度は今後どうやって協力しようかということを検討して、 その件については報告書としてこれから出す予定です。ちなみに第2回目の会議を来年 韓国でやることを予定されております。  それから先程御質問の21世紀労働衛生重点研究推進協議会の件でございますが、これ は単なる情報交換のみではありません。これはもっと大きな戦略がございまして、先程 の私の説明の中のパワーポイントのスライドの9番を見ていただきたいのですが、これ は研究展開のための方策と書いてあります。この協議会で、先程の国民レベルの労働衛 生の健康水準を上げるために今後何をすべきか、その八つの方策を策定しております。 この一つ一つを実現するためにやっていくわけでございます。例えば一番目は国民的理 解の促進、これは国民の方々に労働衛生の研究はどういう問題、例えば今回のアスベス トの問題等も起こってきますが、それを一般国民に理解していただく、それが一番目の 具体的な方策でございます。これについて進めております。  二番目は今度は専門機関、専門家等への広報活動です。三番目は、今度はそれぞれの 研究機関を充実させる、四番目は人材の育成、五番目は研究費の確保、これも具体的に 厚生労働省の労働衛生保護事業年間3億円の研究費がつくようになりまして、毎年これ は実施されております。  それから六番目が施設設備の充実と有効活用、これも特に私どもは国の研究施設です から、これは今完全にやってございます。七番目は現状分析と評価に基づく研究、これ が例の年に2回やります協議会での討議している項目でございます。それから八番目は 戦略に基づく研究結果の促進、これは事務局として産業・?・研究所が事務局となりま して、これをいろいろやっておりまして、それが先程の報告書等でございます。 ○田村部会長  他にはよろしいでしょうか。 ○市川委員  パワーポイント18頁の下にあります国際学術誌インダストリアル・ヘルスについてい くつか御質問をしたいと思います。ここには書いてありませんが、評価シートの14頁に はそのインパクトファクターが0.48から0.74であるとあります。これはやはりもっと上 げる必要があると思うんです。そのための方策はどうお考えでしょうか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  インダストリアル・ヘルスのインパクトファクターでございますが、これは労働衛生 分野でございますので、研究者がそう多くはないということがございまして、分野とし て、一般論としてインパクトファクターが上がりにくいということはございますが、世 界的にいくつかの労働衛生関係の雑誌がございますが、その中ではそれなりに検討して いるというようなことでございます。 ○産業医学総合研究所理事長  インパクトファクターにつきましては、今、労働衛生の分野で世界で超一流の雑誌が 数雑誌あるのですが、それの最高は大体2.0です。大体1.5から2.0です。2.0というのは 一番高い、最高の雑誌がこのレベルです。あとは国際的に1.0以上だと国際的にいわゆ るどこでもとりの雑誌ということになります。私どもの研究所はかつて1.3ぐらいの時 期があったのですが、ある時期にはまた全然消えちゃったということもあります。それ でこの数年間、5年から10年ぐらい前からこれをだんだん上げる努力をしているところ です。現状は現在の通りですが、少なくともそんなに極端に低いとは思いません。コン スタントに労働衛生の分野で、これだけのインパクトファクターというのは非常に難し い状況です。ですけれども努力目標としては1.0を目指しております。  じゃあ改善のために何をやっているかというと、基本的にはこれは予算の絡みがある んですね。例えば本来ですと現在の年4回の発行を6回にしたい。そうすると予算が膨 大な数になります。それからもう一つは論文をどうやって集めるかという問題がありま す。実際これは今論文の募集から、それから査読から、印刷、発行、全部研究所がやっ ております。このための労力はべらぼうな労力です。全部研究所員がやっております。 これは外部委託等を含めてやるということを今検討しております。 ○鈴木委員  外部委託の検討をなさっているんですか。 ○産業医学総合研究所理事長  具体的にこの後半から外部委託をやる予定で進めております。 ○鈴木委員  現在は研究所の負担がずいぶん大きいと思いますね。 ○産業医学総合研究所理事長  非常に大きいです。 ○鈴木委員  そうすると今査読期間というのは平均してどれぐらいですか。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  早いもので2カ月程度で終るものもありますが、いろんな査読してくださる先生が返 してくださる時間などもございますので、長いものになりますと6カ月とか、そのよう なこともございます。 ○鈴木委員  だから優れた研究論文を掲載しようと思ったら、やっぱり査読期間をもっと短くしな いとなかなか難しいのではないかと思うんですね。ぜひそのあたりの御検討をお願いし たいと思います。 ○産業医学総合研究所理事長  それはやっておりますが、なにしろ人材の問題で、今国際センターがこれを一手にや っているのですが、国際センターも今定員が3名なんです。その方々があらゆる国際活 動の一環としてインダストリアル・ヘルスの編集発行をやっているわけです。ですから 非常に負担がかかっております。それを何とかしようという努力をしております。その 点は外部委託の方向だと思うんですが。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは評価の記入をお願いいたします。               (個別項目19〜22の評価) ○田村部会長  それでは最後に第4グループの評価シートの項目19〜22までの実績につきまして御説 明をお願いいたします。 ○産業医学総合研究所企画調整部長  最後のセクションでございますが、評価シート19頁、パワーポイント23頁です。経費 節減の関係で外部研究資金と自己収入につきましては、先にお示ししましたスライドの 内容と全く同じ再掲でございますので、これは省略させていただきます。  次のパワーポイント24頁にまいります。これは自己収入の一例として、もう終了しま したプロジェクト研究で、情報化職場の快適化に関わる労働衛生上の要件に関する研究 というものの成果を一般の方々にわかりやすく説明したというパンフレットを作成して おります。これを有償で配布しておりますので、この収入を得ているという、その一例 でございます。ということで19頁に関しましては自己評定Aとしております。  それから評価シート20頁にまいりますが、予算収支計画及び資金計画ですが、これは 予算を作成しまして、これに基づいて適正に執行しております。それから人件費に関し ましては、退職者数が少なかったこと、それから割愛ですが、研究員が国公立、公的な 研究機関に移動したということで、退職金はそちらで通算するということで、産医研か らは支払わないというようなことがありまして、予定額を下回ったということでござい ます。また一般管理費の節減に務めて、研究備品の購入に充当したということでござい ます。そのようなことで20頁に関しましては自己評定Aとしております。  次は21頁にまいります。人事に関する計画ですが、これも先程来説明いたしました が、平成16年度新規は32名の応募者の中から若手任期付き研究員1名を含む2名の採用 ということになっております。平成17年度新規採用の手続きを平成16年度末に行って、 若手任期付き研究員1名を採用しております。人件費の実績は予算内でございます。そ れから中期計画末の常勤の職員数目標が73名ですが、これは16年度当初に達成している という状況です。このようなことで評価シート21頁は自己評定はAとしてございます。  次は評価シート22頁にまいります。施設設備に関する計画ですが、平成16年度は低圧 電源設備及び構内舗装改修というような工事を行いました。内容的には研究本館の各階 を順次平均2カ月程度にわたって全面閉鎖するというようなことで大規模な改修であっ たわけですが、研究員の協力もありまして予定通り工事を完了することができました。 そして専門家による耐震診断が必要ということで、平成17年度に耐震診断を実施するこ とを決めております。以上のようなことで、評価シート22頁に関しましては自己評定A としております。以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは御質問等ありましたらお願いいたします。 ○清水委員  以前から施設が老朽化して、その修繕計画については課題であったというふうなお話 を伺っていたと思うのですが、最後のところで中期的な見直しに立った計画の策定につ いて検討が行われたというふうな記述がございますが、これについては9日の日にそれ の概要等をお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○田村部会長  他にいかがでしょうか。それでは評価の記入をお願いいたします。                  (総括質疑) ○田村部会長  それでは総括といたしまして、何か御質問御意見等はございましょうか。よろしいで しょうか。それでは次の議題に移らせていただきます。 3.その他(3法人の個別評価シートの修正・確定等) ○田村部会長  冒頭で政策評価官より御説明がありましたように、これまで評価対象の3法人の個別 評価を行っていただき、全法人の評価シートが揃ったところでありますが、今般個別評 価シートの修正確定のための時間を設けました。お手許には評価対象の全3法人分の評 価シートを御用意しておりますので御確認をいただきたいと思います。 ○政策評価官  今、部会長からお話がございましたように、個別評価シートの修正確定を今日中にお 願いするということで予定をしておりまして、冒頭私からもそのように申し上げたので すが、実は財務関係を清水委員にヒアリングしていただく、そしてその結果をこの部会 に報告をいただくわけなんすが、財務関係のヒアリングがまだ行われておりませんで、 9日の予定でございます。  したがいまして清水委員にヒアリングをしていただいて、その結果をこの部会で御報 告をいただいて、それを各委員に聞いていただいた上で最終的に個別評価を確定してい ただく方がよろしいのではないかということで、本日は3法人の方に来ていただいてお りますので、3法人に必要な追加的な質疑を行っていただくまでにしていただきまし て、最終的な評価シートの確定は次回清水委員の御報告を聞いていただいた上でお願い をするということで変更していただいたらいかがかと思うのですが、いかがでございま しょうか。 ○田村部会長  そういうことでございますので、ぜひ清水委員の結果を伺った上で、最終的な評価シ ートの確定、修正等をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしゅうござ いますでしょうか。それでは今日は質疑応答というところまでで止めさせていただきた いと思います。  それではまず前回、岩渕委員より御質問のありました国立健康・栄養研究所のNR制 度に関する厚生労働省の考え方につきまして説明があるとのことですので、よろしくお 願いいたします。 ○食品安全部衛生専門官  食品安全部の衛生専門官の調所と申します。どうぞよろしくお願いします。国立健康 ・栄養研究所が実施しておりますNR、栄養情報担当者制度につきましては、平成13年 2月26日付、薬事食品衛生審議会報告書、保健機能食品の表示等についてにおけるアド バイザリースタッフの確保の必要性に関する提言をふまえまして、薬事食品衛生審議会 食品衛生分科会新開発調査部会におきまして保健機能食品等にかかるアドバイザリース タッフの養成に関する基本的考え方についての通知に基づき実施しているところであり ます。  栄養研究所のNR、栄養情報担当者の制度につきましては、養成の実施主体はあくま でも民間団体でありまして、栄養研究所というところでは支援をしている立場というこ とで、多種多様の民間団体がある中での、民間団体ということである程度利害というこ とも含めてのこともあるのですが、栄養研という立場から第三者的立場からの認定及び 情報提供をしていただいているということです。  あとはアドバイザリースタッフの質の確保ということにつきまして、養成講座、カリ キュラムの策定、資格取得後の情報提供等のフォローアップ、今までの栄養研究所とし てのデータをたくさんお持ちになられていますし、新しい栄養に関する最新の情報とい うことを、そういったアドバイザリースタッフ等に提供をしていただいているというこ とで、これらのことからアドバイザリースタッフが食品のもつ成分の機能及びその活用 方法について理解して、一般消費者に対する健康食品等にかかる正確な情報の提供でき る基本的考え方について、こういった行為は貢献しているという評価しております。以 上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。何か御質問はございますでしょうか。それでは次に3法人 分の個別評価シートにつきましては、先程お話がございましたように、清水委員の御意 見を伺った上で確定をさせていただきたいと思いますが、今回各法人の方が来ていらっ しゃいますので、御質問等ございましたらここでさせていただきたいと思います。何か 総合的な含めて御質疑をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○鈴木委員  今朝は産業医学総合研究所の理事長さんから、当研究所は行政ミッション型研究所で あるということを明確におっしゃられたのですが、今回のこの三つの研究所はいずれも そういう要素はあると思うんです。ただ、そのミッション型研究所と一口に言いまして も、それぞれの研究所によってスタンスに違いがあるのか、また主務省としては何か基 本理念のようなものをきちんと文章化して臨んでいらっしゃるのか、そのあたりをお教 えいただきたいと思います。 ○田村部会長  それでは産業安全研究所からまずお話をいただけますでしょうか。 ○産業安全研究所  産業安全研究所も行政ミッション型の研究所であるということは常日頃意識しており ますが、他の研究所と違いがあるかというのは、私どもでとじておりまして、全体的な 比較としては我々の立場としてはちょっと難しいと思っております。しかし、行政ミッ ションということで、労働行政からの災害調査というものが非常に大きな業務の柱の一 つであるというふうに認識しておりますし、規格制改定などへの貢献というようなこと も認識しているところでございます。全体からはちょっと私どもの立場からは何とも申 し上げられません。 ○安全衛生部計画課調査官  行政から申し上げますと、もともと産業安全研究所も産業衛生総合研究所も旧労働省 の施設等機関と申しますか、付属の研究所としてあった、それが独立行政法人になった ということでございます。独立行政法人になりましたので、そういう意見ではある程度 法人の主体性というものがあるのだとは思うのですが、私どもといたしましては、やは り行政施策に必要な研究、これは少なくともやってもらいたい。それ以外にももちろん 萌芽的なと申しますか、基盤的なものとか、いろんなことはやっていただかなきゃあい けない。  研究員の自由な意思による研究のスタートというのはあり得るんだと思うんですが、 ただ、現状の行政課題はこういうところにあるので、それを解決するための研究、それ はお願いしたというのが基本的なスタンスでございまして、そういう意味で行政と少な くとも年数回は連絡会議等をもって、こちら側は今こういう課題を持っているとか、そ ういうことも申し上げますし、それから研究所からも、こういう研究をやっております ということも報告をいただいて、そういうことである意味では行政に役立つ研究をでき るだけやっていただく、そういうふうな考え方でやっているというのが実態でございま す。 ○田村部会長  栄養研の方からはいかがですか。 ○国立健康・栄養研究所  前回、冒頭に理事長から御説明を申し上げましたが、私どもの研究所は85年という歴 史の中で、当初栄養問題というのはたいへんに明確な国民的な健康問題であって、その 中で研究所が発足し、それを解決すべき研究を行って参りました。その姿勢は今も変わ りなくあると思っております。また、研究所の個別法で唱われている栄養・食生活及び 運動等を通じた国民の健康増進ということについては、研究所のベースであるという意 識としてございます。これは行政対応というよりは、さらに広い意味での公衆衛生への 寄与ということになります。  また、個別法や健康増進法には国民健康栄養調査、また特別用途表示許可等の業務が ごさいますし、さらに食事摂取基準、以前は栄養所要量といっていたものでございます が健康日本21、また様々な健康食品に関わる制度といったものは、各研究課題における 中心的な問題解決の目的としてあります。従って結果として行政に対する対応というこ とになっております。  ただし、私どもは研究所であるという強い自負もありまして、短期的、目先の行政的 な課題だけではなくて、きちんとエビデンスとして残す、すなわち行政的なガイドライ ンにきちんと反映されるような論文を質の高い形で、できたら英文のそれなりの質のジ ャーナルに出すという形で行政への貢献ができていると思っております。 ○厚生科学課研究企画官  国立健康・栄養研究所の所管課として一言申し上げます。先程研究所の方からお話が ございましたように、もともとは国立の研究機関として長い歴史を持つ中で、前回の独 立行政法人という中の見直しの中で、独立行政法人という国民型の行政法人という形で 新たに設立されたわけでございますが、一方で中期目標、中期計画を定めるにあたっ て、厚生労働省としてお願いしたい形での国民の健康保持及び増進に関する調査並びに 研究や国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び健康の充実と両立を図るために このようなミッションを定めてやっていく、その意味で一つ行政側からこのような関係 についてお願いしたい事項をこなしていただいて、またそれを、特に厚生科学課という よりも、先程の食品安全部やあるいは健康局というような、密にこういうことに関わる 部局に対してお返しいただいて、いろんな行政の取り組み、指針を作ったり、あるいは 通知によっていろいろ都道府県にお願いしたいということに活かさせていただいている という面では行政ミッション対応型と言えるかと思います。  さらに先程研究所からありましたように、それをやるためには通常から基礎的なそれ に活かすための研究業務をやって、科学的に取り組むということが非常に大切ですの で、そういうことについて基盤的研究や、あるいは最近につきましては外部からの資金 を受け入れて発展していくような研究を実施するとともに、一つ先程食品安全部の方か ら御説明を申し上げましたところの独自の制度として、行政としてアドバイザリースタ ッフのようなものを一つ提案した、それについてそれを認定する制度を、こういう歴史 とか経験をもつところがやることによって、一つの格付けみたいなものを行いまして世 に問うていくとともに、これらのものについて質の担保を図っていくような措置をする ことによって、より行政とともに社会の方で求められているようなものに対応できるよ うなことも行っていくという形のものかと思います。その意味で行政ミッション対応型 であるとともに、独自性をもちながら、より社会に貢献していくような研究所ではない かという形で考えております。 ○田村部会長  ありがとうございました。 ○産業医学総合研究所  簡単に産医研の立場ですが、行政ミッション型と申しますと、基本的には少なくとも 行政のニーズは100%把握したいというつもりでおります。研究の面で行えることとい うのは限りがありますし、いろんな制約がありますが、行政ニーズに応えた研究という 面では、これもできるだけ100%に近い形でしたいとは思っております。その中で現状 御報告したように委員会等々にたくさんの委員を派遣しておるというような状況でおり ますので、そういう考え方でやっていこうということでございます。 ○清水委員  3法人に対してではなくて、先程ちょっと御説明になったNR制度についてなんです が、よくわからなかったので再度お教えいただきたいのですが、資料の3頁の中で実施 主体についてというふうなところがあるのですが、これは民間団体が養成の実施主体と なるというふうに書かれているのですが、これは独立行政法人のようなところが該当す るのかどうかという点ですね。それとあとはざっと見たところ見当たらなかったのです が、資格制度についての考え方というんでしょうか、それはどういうふうに取り扱われ ているのでしょうか。 ○食品安全部衛生専門官  まず最初の民間団体ということですが、そういった特殊な団体ということではないで す。一般の普通のチェーンドラッグストア協会とか、そういうところと、あとは日本臨 床栄養協会等、そういったところ等も作っているということを聞いております。特にそ ういった団体というところを規定しているわけではありません。  それからもう一点、資格等につきましては、別に国家資格とか、今後そういったもの にしていくとか、そういったことも全然考えておりません。 ○清水委員  全く任意で創設してよいというふうなスタンスなんでしょうか。 ○食品安全部衛生専門官  はい、そういうことです。 ○田村部会長  他に何かございますか。 ○厚生科学課研究企画官  少し補足を申し上げますと、栄養研の方で一つカラーの絵を作って出させていただい ておりますが、先程の養成のところについては、この報告書の通り民間団体が養成の実 施主体となることが適切であると書いてございますが、最後の栄養情報担当者NRとし て、どこが認定していくかについては、たしかにこの報告書上は明記されてない。た だ、世の中いろいろ国民のニーズとか社会いろいろこういう関係者のニーズからいく と、何かしらそういうものをある、準公的といいますか、公的といいますか、あるとこ ろからいただければ、それはありがたいというようなものもあるかと思います。  そのような社会的ニーズをとらえ、またいろいろ栄養や健康に対しての豊富な知識を 持つ国立健康・栄養研究所として、このようなものを独自事業としてやっていこうとい う取り組みの中で始められたものと考えてございます。これについては同業他団体で認 定しているものがございますが、独自事業としてさらに発展させ、評価されていくため には、いろいろなモニタリングとか、その面でいろいろ質を高めるようなことをやって いって、社会に貢献していくということが必要かと考えてございます。これについては 栄養研としてもさらに発展していくためにいろんな努力をしていくという形で社会に認 知していくのではないかという形で考えてございます。 ○田村部会長  他に何か御質問等はございますでしょうか。では個別評定で修正のある方は部会が終 了した後もしばらく時間がございますので、そのまま御記入をいただいて、そして机の 上に置いて帰っていただきますようによろしくお願いいたします。  この評価シートを集約したものにつきましては、総合的評価の別添資料という形で公 表することとなります。起草委員の方々はお忙しい中を大変恐縮ですが、この個別項目 に関する評価結果をふまえ、総合的評価書の案を作成していただくようにお願いいたし ます。次回はそれをもとにして総合的評価に関する審議を行うことといたします。 4.閉会 ○田村部会長  最後に事務局から連絡事項等がございましたらよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは個別項目に関する評価結果等の個別評価シートにつきましては、これでまと めて委員にお送りする予定でおります。それから次回の部会は8月11日15時から、場所 はこの省議室で開催の予定です。以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。本日は長時間にわたりましてお疲れさまでございました。 本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。                                     (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)