05/07/25 独立行政法人評価委員会第8回国立病院部会             厚生労働省独立行政法人評価委員会                第8回 国立病院部会             平成17年7月25日(月)10:00〜12:30               厚生労働省 7階 15会議室 出席者:井伊委員、大道委員、開原委員、黒川委員、住田委員、辻本委員、夏目委員、     山田委員、渡邊委員 ○政策評価官  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第8回独立行政法人評価 委員会国立病院部会を開催いたします。委員の皆様におかれましてはお忙しい中お集ま りいただきまして、まことにありがとうございます。本日は改選後の最初の会合でござ いますので、部会長を選出していただくまでの間、政策評価官の私が議事の進行を務め させていただきます。よろしくお願いいたします。  初めに、国立病院部会の委員の皆様におかれましては、本年6月30日からの新たな任 期に当たりまして、皆様再任をお受けいただきまして、まことにありがとうございま す。本日は全員御出席いただいておりますが、渡辺委員が都合により途中御退席の予定 でございます。  それでは議事に移ります。初めに本部会の部会長を選出していただきたいと存じま す。部会長の選出は、独立行政法人評価委員会令第5条第3項において、当該部会の委 員の互選により選任することが定められております。どなたか御推薦いただけますでし ょうか。  井伊委員、お願いします。 ○井伊委員  国立病院部会は平成16年2月から中期目標や中期計画など審議をこなしてきておりま すが、国立病院機構の業務実績の個別評価に入るのは今回初めてのことですし、国立病 院機構のように140以上の病院を持つ法人の評価というのは、他の省庁を見ても例がな いことですので、ぜひとも引き続き黒川先生に部会長をお願いしたいと思っておりま す。 ○政策評価官  ただいま黒川委員を部会長にという御推薦をいただきましたが、皆様いかがでござい ましょうか。               〔「異議なし」の声あり〕 ○政策評価官  どうもありがとうございます。それでは黒川委員に本部会の部会長をお願いしたいと 存じます。以後の議事進行については部会長にお願いいたします。部会長席の方にお移 りいただけますでしょうか。 ○黒川部会長  お礼を言っていいのかどうかわかりませんけど、複雑な気持ちですね。とんでもない ような話だと思いますけれども、引き続きということでやらせていただきますので、よ ろしくお願いします。  部会長代理を決めさせていただくということがありまして、これについても、私に事 故があるということはあまり期待したくはないわけですけど、いろんなことがありまし て指名させていただけるということですので、前々からそうですけど、私としては開原 先生にお願いできたらいいなと思いますので、よろしいでしょうか。では、ぜひそのよ うにさせていただきます。開原先生、またおつき合いいただきたいと思いますので、よ ろしくお願いします。開原先生は前回からも全体の部会の評価委員会、特に総務省の評 価委員会にもいろいろ意見を言っていただきまして、ほんとに助かっておりまして、開 原先生の方から一言ありましたらごあいさつをお願いします。 ○開原部会長代理  特にございませんが、夏の間これから大変だなというふうに思っておりますが、一生 懸命やりますのでどうぞよろしくお願いいたします。 ○黒川部会長  それではよろしくお願いします。  早速議事ですが、夏が忙しいというのはまずいなという気がしまして、最近皆さんお 忙しいと思うんですが、評価する方もされる方も大変だと思います。最近ある人から、 ものすごく忙しい人なんですけど、いろんな理由があって無理して1週間ぐらい休みを とってみたら、世の中がかなり違って見えるようになったという話がありまして、やは り積極的に休みをとらないと人生観が全く変わらないということですので、特に自然に 接するのは極めていいということでありましたので、ぜひやったらいいんじゃないかな と私も思っています。  それでは、7月6日に13回の独立行政法人評価委員会が開催されまして、その決定事 項その他がありますので、まず事務局から説明をお願いします。 ○政策評価官  お手元の資料1−2をご覧いただきたいと思います。厚生労働省独立行政法人評価委 員会の運営規程に改正がございました。改正された点は線を引いてございますが、第3 条の2、議決権の特例という規定が新たに加わったということでございます。  「委員並びに議事に関係のある臨時委員及び専門委員のうち、審議の対象となる独立 行政法人の事務及び事業について利害関係を有する者は、当該独立行政法人に係る評価 について議決権を有しないものとする」という内容でございまして、昨年から各省庁共 通事項として、独立行政法人評価委員会の委員が評価対象となる法人の仕事をお引き受 けになって、その対価として報酬を受けておられるということが、評価の中立性という 観点から問題ないかどうかということで大分、報道ですとか国会でも審議がございまし た。そういうことで、当評価委員会についても他省庁の動向、独立行政法人制度を所管 する総務省の対応などを見まして、このような規定を設けさせていただくのが適切では ないかということで、総会で御審議いただいて決定したものでございます。  ここで利害関係を有する者という解釈が問題になってくるわけですけれども、明らか に該当するものとしては、法人の役員や職員をお引き受けになるということはこれに該 当するだろうと。定期的に法人の仕事をお受けになって報酬を受けるような関係もこれ に該当するだろうということでございましたが、そのほか様々なケースが考えられると 思うんですが、それについては一律に決めがたいので、部会長あるいは総会でしたら総 会に委員からお申し出いただいて、部会長、委員長において決めていただくという運用 をするということでございました。以上が御報告の1点目でございます。  もう1点ございまして、資料1−3をご覧いただきたいと存じます。独立行政法人の 業務システムの最適化についてという資料でございます。コンピューターシステムのこ とでございまして、国のコンピューターシステムは各省庁たくさん持っておりますけれ ども、中では社会保険庁のシステムなどが一番大きいわけでございますが、旧式のシス テムで、これを刷新し、業務の内容を見直し、さらには契約方式なども見直すことによ って効率化が進められるのではないかという観点から、刷新の可能性を調査して、最適 化計画を策定して実施していくことが必要ではないかということで、各省庁CIO(情報 化統括責任者)というものを置いて、一斉に最適化に取り組んでいるところでございま す。  このような中で、6月に政府全体として今後、独立行政法人等の業務システムについ ても最適化を進めていくという方針が決定されました。独立行政法人については、それ ぞれの法人に関する中期目標の改正を今年度中に行いまして、それに基づいて独立行政 法人において計画を策定して実施していただこうということが決まったわけでございま す。詳細はこれから総務省、内閣官房を中心にガイドラインを決めていくということで ございますが、今年度中には各法人の目標について改正の作業が必要になってくるとい う状況でございますので、その旨を御報告申し上げます。以上2点が総会での決定事項 等についての報告でございます。 ○黒川部会長  今の説明ですが、総会で議論されました。資料1−2は、各独立行政法人が各省庁の 下にあるわけですが、その中で評価委員の中に、評価している独立行政法人と利害関係 があるということが結構あるんじゃないかという話が出ているそうで、それはそうかな と思います。特に金銭のやりとりがあるとか、講演料とかいろんなことがありますの で、省庁によって違うとは思いますけれども、一応こういうのを書き加えてコンフリク トがないということを、例えば文部科学省では学術振興会みたいなのがあって、研究費 がかなりそこで出てきますから、それはある程度審査された上でということにはなって いますけれども、どうしたって専門委員とか評価委員にそういう人がいるということは あるわけなので、その辺の透明性を確保することが大事かなと。個別の案件については 厚生労働省の中のこの委員会ではどういうのがあるかというのは出てこないとわかりま せんが、ある程度の案件が出たときには、その総会の方で相談させていただければと思 います。そんなことですが、一応御承認いただければと思います。  2番目の1−3ですが、社会保険庁なんてスキャンダラスもいいところですけど、大 型コンピューターでマネージしているわけですが、その大型コンピューターを新しくし ようというのは結構なことですが、中の予算の中でやるというのは結構厳しいのかもし れません。特に情報関係のCIOを置きましょうということになっておりまして、最適化 というのは大きなコンピューターのシステムのことを言っているようなんですが、これ については、情報はものすごい勢いで変わってきますから、CIOの責任者といっても何 も知らない人が座っている可能性もなくはないので、それぞれの独立行政法人について はどのようにするかというのを考えなくちゃいけないわけで、これについては開原先生 は御専門ですから、何かありましたら一言言っていただければと思います。 ○開原部会長代理  これは国立病院機構についてもどこかで一度真剣に考えてみなければいけないことは あるのではないかと思いますが、今回の評価はそこまでは間に合わないと思いますの で、むしろ将来のことということではないかと思います。 ○黒川部会長  特に電子化のオペレーションの効率化というのは大事だと思います。システムその 他、メンテナンス、どういうふうにアップデートしていくかという話は、かなり専門の 人がいなくちゃいけませんから、中で抱え込むよりは外注とかいろいろな話もあるのか もしれませんが、その辺は開原先生もかなりお考えのようですが、特に病院システムは 大きいですから、それも考えなくちゃいけないことかなという話でございます。  以上ですがよろしいでしょうか。何か質問その他ありましたらいただきたいと思いま す。  もしよろしければ、次の議題に移らせていただきます。当面の国立病院部会のスケジ ュール等について、事務局からお願いいたします。 ○政策評価官  資料1−4をご覧ください。国立病院部会の評価のスケジュールでございます。本日 第8回、次回第9回が7月28日・木曜日の午後3時間おとりいただいております。本日 と第9回の2回にわたって個別評価の作業をお願いしたいと存じます。8月4日の第10 回部会において個別評価結果案についての御報告をした上で、国立病院機構からの補足 説明をしていただく。8月19日・金曜日4時からの11回会合において、総合的評価の取 りまとめと財務諸表に関する意見の取りまとめをしていただくという作業で考えており ます。これらの日程で間に合わなかった場合には8月23日の午前中を予備日としてお願 いしているということでございますので、よろしくお願い申し上げます。 ○黒川部会長  というようなスケジュールでまいりますので、手帳の方に書いていただければと思い ます。できるだけ御出席いただければありがたいと思っております。よろしいでしょう か。  それでは次に進みますが、開原先生、特にサジェッションその他ございましたら。と いうのは、8月4日ありますが、個別の病院長その他から聞いてみるといいかなと。 ○開原部会長代理  別に機構からの御説明だけで不十分だというわけではないし、我々は各病院の個別の 評価までは到底踏み込むことはできないし、また踏み込むべきではないと思っておりま すが、個別病院の方がどういうふうになっているのかということも少しは知っておく必 要があろうかなと思いますので、個別病院の院長からも話を伺うような機会をつくって いただくと大変ありがたいのではないかと思っております。ただ、どういう病院がいい のかということについてはよくわかりませんので、その辺はお任せしたいと思うんです が、ただ、いい病院だけを選んでくるとか、悪い病院だけを選んでくるということでは なくて、私は国立病院のことは多少知っているんですが、中は非常にまだら模様だと思 うんですね。昔の国立病院もあるし、療養所もあるということで、地方によっても事情 が違うと思いますし、なるべく違った観点からお話しいただけるような病院を複数選ん でいただくといいのではないかと思っております。 ○黒川部会長  そうですね。現場の人に全員というわけにもいかないんだけれども、ここに来ていた だいていろいろ話を聞いてみると、もうちょっと現場の悩みとかいろんなことがわかる かなという御提案ですが、いかがですか。むだにはならないと思いますから、来ていた だくのは大変だと思いますけれども、どこにするかという話は、去年までのところで は、この部会は対象が大きいわけだし、しかも性質が基幹病院的な大病院もあるし、難 病の療養型の国策としてやっているようなところはもちろん大事ですし、かなりカテゴ リーが違うのを全部ひっくるめてますから、しかもそれぞれ病院というのは社会基盤で すから、地域によって同じ公的な大きなのが近所にあるところもあるし、ないところも あるし、地域の基幹病院になっているところもあるし、基幹的な病院がほかにもあると ころもあるだろうし、その辺のメリハリを、全体としては理事長以下の理事の先生方 が、各地域ミッションがそれぞれ違うので、その辺を全体として考えていただくという のが一番大事なんじゃないかという話はしていますし、それについて全体として評価さ せていただくのがいいんじゃないか。つまり、あまり個別にいってもよく見えないとこ ろもありますし、どちらかというと理事長以下の執行部とのやりとりを介して、全体と してよくなっていけばいいかなという視点がいいんじゃないかという話を出していると 思いますが、そういう視点からいっても、現場の院長先生なり責任者に話を聞いてみる というのはいいんじゃないかということになると、カテゴリーも違うし、地域によって も違うしということで、事務局とも相談させていただいて、こういうところをやるとイ ンベントリーとしてはいいんではないかということも、開原先生とも相談させていただ いてやったらどうかなと思っています。そんなところでどうでしょうか。どうぞ。 ○辻本委員  いろんな病院で、国立病院に伺うときに見せていただいたりしております。この間も ある重心の病棟をゆっくり見せていただいて、そこで働いている人たちの御苦労とか、 逆に生き生きと希望を持って働いていらっしゃる現場のお声をお聞きいたしました。そ ういったことにも光を当ててさしあげたいような気持ちもしますので、ぜひ現場の声を こういったところに、私どもに聞かせていただきたいと思います。  院長がいらしてお話をするというのは、どうしても一色になってしまいますので、で きるだけその病院の特色というようなことで、院長とその担当者というような、例えば 私どもがそうしたカテゴリーの特色のところで特にお聞きしたいというときに、現場を 知っていらっしゃるような方とペアでお越しいただくことが形式的に難しいのかどうか わかりませんけれども、ぜひお聞きしたいと思います。 ○黒川部会長  その辺も考えて、開原先生と。そのほかに何か。どうぞ。 ○渡辺委員  基本的には今、部会長、部会長代理がおっしゃったことに賛成なんですが、私たちが 機構を評価する、国立病院150近いところを個別にやるべきではないと私も思っており ます。ただ、個別150近い病院、あるいは旧療養所の中には、何でこんなに悪いのとい うところがあるわけで、そうなった場合に、我々が世間から評価委員として見られた場 合、それをどう評価したかというちゃんとした説明責任を果たさなきゃいけない。そう なった場合、個別に評価するのではないけれども、どこを選ぶかという問題はあります が、少なくともそこをお呼びする視点としては、そういったところを評価したんだとい う、それが何かということは私自身わからないところがあるんですが、そういった視点 で評価したんだよというものは何かなと。ただ病院長を呼ぶんじゃないというのは一つ の方法かもしれないし、もうちょっと別な視点があるのか等々を含めて、個別の施設の 方を呼ぶといいますか、事情を聞くといった姿勢が必要なんじゃないかと思います。以 上です。 ○黒川部会長  そうですね。そういう姿勢になると、だんだん総合的になって大変な仕事になっちゃ うかもしれなくて、それが去年の最後の部会全体で話をしたような気がするんだけれど も、これだけ大きな規模になってしまうと、理事長以下の理事の先生、各地域を担当し ている理事の先生もおられると思いますが、全体がどういうメリハリをつけているのか ということをこちらとしてはある程度評価せざるを得ないわけで、そういう細かいとこ ろの気配りをしているのは、むしろ執行部の問題としてこちらがフィードバックすると いう話になるのかなという議論はあったと思うんです。確かにエグザンプルとして政策 医療的な難しいことをやっているときは採算がとれないのは当然の話で、それを一律と して効率ばかりは言っていられない。その辺の全体のメリハリをどういうふうに執行部 がやっているかというのをこちらは見なくちゃいけない。渡辺委員がおっしゃったよう な、どういうところが難しいのかなということはこちらも聞いておくという姿勢が大事 かもしれない。評価委員として外から見たときにどうかなという視点は確かにあると思 うので、ちょっと進めさせていただいて、いろいろ知恵を絞らせていただく。何かあり ましたら、時間も限られているところで何をするかというのは1回だけじゃ難しいこと はわかっていますが、その辺を工夫させていただければと思います。何か御意見ありま したら言っていただければと思いますので、事務方の方に言っていただければと思いま す。よろしいでしょうか。それでは御連絡させていただきます。  それでは次の案件、起草委員の決定ということがございます。総合的な評価書の作 成、前もやってますけど、起草委員について事務局から説明していただければと思いま す。 ○政策評価官  個別的な評価の後、総合的評価書の作成をしていただくわけですが、作成に当たりま して各部会とも起草委員を決めていただいて、起草委員において原案を起草していただ くという手順をお願いしたいと思います。起草委員については3名程度をお願いしたい と考えております。それから、財務諸表に関する意見も取りまとめる必要があるわけで ございますけれども、財務諸表に関する意見と評価書の財務関係の部分の起草について は、他部会においては公認会計士でいらっしゃる委員にお願いしているということでご ざいますので、起草委員、財務諸表に関する意見の起草の御担当をお決めいただきたい と存じます。 ○黒川部会長  そういうことで起草委員についてはお願いしたいというのがありまして、これについ ては私の方からお願いしちゃっていいのかな。できれば開原先生と井伊委員にお願いし て、事務局といろいろやりとりのところを見ていただけるということで起草委員をお願 いし、また夏目委員にもお願いしたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。ぜひ いろいろ見ていただければと思います。それから財務諸表のところは私どもわからない ところがありますので、この意見の起草については住田委員にお願いしたいと思ってお りますが、よろしいでしょうか。ではそのようにお願いすることにしたいと思います。 私どもはちょっと安心かなという気がします。  それから、個別の項目についての評価の進め方ということがありまして、個別の評価 の進め方について資料が用意されていますので、これについてどのように評価していく かということですが、先ほどから言っているような建設的な評価をしたいと思います し、非常に大きいのでどういうふうにしていくかというのは個別の意見があると思いま すが、これをやりながら先生方のフィードバックを持っていくと、だんだんこちらの評 価もしなくてはならないし、評価の要点ということもだんだん意見の共有化ができるの ではないかと思います。そういうことで事務局の方からよろしくお願いします。 ○政策評価官  それでは資料1−5に基づいて御説明いたします。評価の進め方について、初めに法 人の理事長及び副理事長から重点事項の御報告をいただきます。その後、個別項目が全 部で17あります。次のページに17項目つけております。17項目を6個のグループに分け まして、6回にわたって法人から業務の実績の御説明をお願いいたします。各グループ ごとに説明を聞いた後、質疑を行っていただいて、その後5〜10分程度時間をとって評 価シートに記入をお願いするという形で進めたいと存じます。5段階でS〜Dまでとい うことで評定をお願いするわけですけれども、できるだけその理由をコメント欄に書い ていただくということをお願いしているところでございます。評価の仕方についてはお 手元のファイルの中に、業務実績に関する評価基準細則、評価の視点というものが入っ ておりますので、御参考にしていただきたいと存じます。今日と次回で個別評価の作業 をしていただいた後、その結果をもう一度整理した上で見ていただく機会がございます ので、そのときに必要な修正などをお願いすることになります。個別評価が終わった後 に起草委員から総合的評価について起草をお願いして、審議していただいて、全体とし て確定するということになるわけでございます。  そこで、お手元の大きな評価シートというものをご覧いただきたいと思います。この 様式は各部会で共通なんですけれども、法人の中期計画や年度計画の記載事項に沿って 個別項目に分け、実績や自己評定が書かれております。ここに委員の皆様方に評価結果 をお書きいただくというものであります。表紙をめくったところでございますけれど も、第1の項目ということで、診療事業の「(1)患者の目線に立った医療の提供」と いう部分になるわけですけれども、一番左の欄に中期目標の関係部分の記述がございま す。これは大臣が示した目標です。その次に、法人の中期計画の相当部分が抜いてある わけでございます。その次に、平成16年度においてこの法人が策定した計画では何をや ることになっていたかということが書いてございます。その右側の大きな欄が、平成16 年度の業務実績はどうであったかということについて、今回法人から御報告いただく内 容が書いてあるわけでございます。  2ページを見ていただきますと、目標計画、年度計画、業務実績と入っているわけで すけれども、下の方に左端に評価の視点というのがございます。この評価委員会として どういうところに視点を置いて評価していくかということを先般部会でお決めいただき ましたので、その該当部分が書いてございます。そして、中ほどに自己評定という欄が ございまして、ここは法人の方で自己評定はSであるということで、その理由と特記事 項が書いてあるわけでございます。  この5段階評価ですけれども、詳しくはお手元のファイルをお開きいただきますと、 独立行政法人評価という最初の方の(5)を見ていただきますと、評価の基準というのが 入っておりまして、そこの下の方に、事業年度に係る業務実績に関する評価という部分 で、総合的な評価、個別的な評価とあるわけですけれども、今は個別的評価の作業をお 願いするわけですが、判定基準としてS、A、B、C、Dと5段階ございまして、Bが 中期計画におおむね合致しているということであります。それより上の評価としては、 Aですと中期計画を上回っている。Sですと中期計画を大幅に上回っているという評価 になります。下の方になりますと、Cですと中期計画をやや下回っている。Dですと中 期計画を下回っており、大幅な改善が必要という評価になるわけであります。  そういうことで、法人からの御説明、質疑応答の後、評定欄にS〜Dまでいずれかの 評価をお書きいただきまして、可能な限りその理由、特記事項についてコメントを御記 入いただくということをお願いしたいと存じます。  これから評価の作業に入っていただくわけですが、大まかな時間の目安としまして、 今日は3つのグループについてお願いしたいと思いますけれども、法人からの説明時間 に20分、質疑応答の評価シートの記入時間を合わせて15分程度、1セッション35分とい うことでやりますと、おおむね12時半ぐらいに何とか終えていただけるのではないかと 思いますので、なかなかそのとおりには進まないものでございますけれども、そんなこ とを目安に作業をお願いしたいと存じます。以上でございます。 ○黒川部会長  これは評価委員会だから評価をしなければならないわけで、総論だけしているわけで はないので、前回もそうでしたけれども、最後はいろいろ意見を交換して評価をしなく ちゃならないということです。今日これから12時半までということで、その後の御予定 も入っていると思いますので、できるだけ12時半までに今日の議題はやれるところまで やろうということです。一応12時半で終わった方がいいかなと思っています。そんなこ とで説明を受けたわけですが、資料1−5にあるように、評価のS〜Dまではどんなふ うにやるのかということがありましたけれども、今から説明をしていただくことになり ます。例えばこの評価シートの真ん中の2ページを見ると、このうちで中期計画とかい ろいろなことをやったときに、こちらが何だかんだと言ったという点はどこかにありま すかね。皆さんの記憶に基づくのか。中期計画というのは、中期目標があって、中期目 標について中期計画は法人がつくってくるわけです。中期目標は大臣が指定してくるわ けですよね。そのプロセスをもう一回共有しておこうと思ってるんだけど、中期目標 が、1ページだと、国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する目標 云々と書いてありますよね。それに対して中期計画はこういうことをしましょうという 話を法人がつくってくるわけですね。それについては、こちらとしてはその計画は結構 ですねという話は一応してあるわけだね。それについて16年度の計画を立てて、16年度 はどんな実績がありましたかという話がここで一覧表に出てきているわけですね。評価 の視点というのは前から僕らが知ってる話になってるんだっけ。そうですね。それで自 己評定というのがあって、自分たちで16年度の中期計画に沿ってやった業務の実績とし てはどうだったのかという話がそれぞれ出ているという話で、これから説明を伺うとい う話になっているわけですね。それを聞いた上で皆さんの評定と、コメントがあればつ けていただきたいというのがこの趣旨であります。よろしいでしょうか。  では、まず理事長からご挨拶という話になるんですか。よろしいでしょうか。 ○国立病院機構理事長  国立病院機構理事長の矢崎でございます。このたびは黒川先生を初め評価委員の皆様 におかれましては、御多用な中、また夏の厳しい暑さの中に貴重な時間を割いていただ き、国立病院機構を代表しまして厚く御礼申し上げます。  それでは概要について、資料2−1に基づいて簡潔に御説明したいと思います。  まず、国時代の国立病院は、重心や神経難病、さらには結核などの国としての医療を 担ってきましたが、親方日の丸の非効率な運営や経営を行ってきたのではないか。さら には、国立のブランドに依存して、地域とコミュニケーションして医療サービスの充実 に適切な対応をしてこなかったのではないかというような強い批判を受けてまいりまし た。  一方、現場の院長を初め、多くの職員は予算権も人事権も著しく制限され、しかも地 域の医療ニーズとは必ずしもマッチしない医療事業計画を立てられてしまい、現場の方 々にもフラストレーションがたくさん蓄積しておりました。  そこで私どもは、医療の質の向上・医療サービスの充実、運営の効率化及び安定した 経営の確立という2つの事業に取り組むと同時に、企業会計の導入に基づいて院長の予 算権、人事権の確立を行い、3つのキーワード、すなわち、意思決定の現場主義、迅速 主義、業績主義を事業推進の根底に据え、意識改革も行ってまいりました。  その結果は、資料にありますように、あるいは今回御報告申し上げますように、独立 行政法人発足後1年の間で大きな成果を上げることができました。これはひとえに各病 院の皆様の努力の結果だと感謝しているところであります。  医療に関する事業について私から簡単に御説明申し上げますと、医療に関する事業は 3つの柱を立て、すなわち、診療事業、臨床研究事業、教育研修事業を進めてまいりま した。その内容について簡単に御説明しますと、診療業務でございますが、まず、患者 さんの目線に立った安全で安心できる医療の提供として、例えば患者満足に直結する医 療サービスの改善、例えば待ち時間の見直し、あるいはインフォームドコンセントの徹 底、気軽に相談できる相談窓口の設置などをお願いしてきました。  医療安全対策の充実に関しては、すべての病院に医療安全管理室を設置して機能を強 化してまいりました。さらに、大部分の病院に専任のリスクマネージャーを配置しまし た。  セカンドオピニオンでございますが、これは、今受けている医療について主治医以外 の第三者的な専門家からの意見で自分の医療の質を確認したいというセカンドオピニオ ン制度でございますが、この窓口を45の病院、約3分の1の病院に設置し終わって、そ の後それを推進しております。  救急医療の受け入れ数の増加でございますが、小児救急を含めて、受け入れ数は5.3 %増加しました。これは中期目標で10%の増加ということでございますので、ほぼ半分 達しております。  2番目の、質の高い医療の提供でございますが、クリティカルパス、これは胃がんの 場合では入院して何日目に手術して、その後何日間で退院できるかという医療のメニュ ーを提示することでありますが、これを提示するということは、チーム医療に徹し、入 院日数の低下あるいは患者さんの満足度向上に極めて重要なポイントですが、中期目標 50%の増加でありますが、既に30.2%の増加を見ております。  病診連携、病病連携でございますが、紹介率、逆紹介率ともに中期目標5%ですが、 それに近い成績を上げております。逆紹介率28.7%は低いとお感じになるかもしれませ んが、これは旧療養所のような田舎の中の病院などではとても逆紹介できませんので、 146の病院を平均するとこういう数になります。  それから、神経難病その他の長期療養が必要な患者さんの90%近くを私どもはケアし ているところでございますが、その方のケアの充実のための施設、あるいは患者自身の QOLの向上に向けて、現在いる看護師以外に、ボディタッチができ、夜勤もできる療養 介助職という新しい職種を設置しまして、これによって患者さんのケアの充実、質の向 上、QOLの向上に尽くしてまいりました。  我が国の人工呼吸器のほとんどの部分は我々の施設で使っておりますので、その全例 調査をしまして、標準化、安全対策の報告をまとめましたし、膵島移植などの高度先進 医療の推進を行っています。  3番目のミッションとして、災害あるいは健康被害時における活動でございますが、 例えば中越地震の場合には地元の要請があった1カ月の間、小千谷市を中心として延べ 64班の救援隊を出しました。これは60近くの病院が協力したことになります。そのほか には、スマトラ島沖地震では12名を1カ月派遣、あるいはJR西日本の福知山線の事故で は、大阪医療センターを中心に救護班を編成して対応したところであります。  次のページをご覧いただきますと、臨床研究でございますが、私どもは146病院のネ ットワークを利用して、根拠に基づいた医療、EBMの根拠をつくる臨床研究を開始して おります。その中で、例えば結核患者の入院基準は、多剤耐性菌の患者以外は外国に比 べて入院期間が4〜5倍長いんです。何らはっきりした根拠なく入院しておられる。患 者さんのQOLを改善するためにグローバルスタンダードの退院基準を我々が旧療養所を 中心につくって、その新しい退院基準がほんとに正しいかということを全施設で今フォ ローアップしております。  質の高い治験の推進で、我が国の治験は遅い、高い、質が低い、症例数が少ないとい う非難を受けましたが、私どもは治験窓口を一元化して、1年間でCRC77人を養成して 各病院に派遣し、その治験の推進をしてまいったのですが、既に中期目標は治験症例数 20%に対して約30%の実施率を上げております。Reach Registryというカラーの資料が あると思いますが、従来我が国では国際スタディで登録しても、ほかの国と1けたぐら い例数が少ないわけです。Reach Registryというのは、はっきりした動脈硬化の所見あ るいは症状がある患者さんを2年間フォローアップして、心血管イベントの発生率、あ るいはその背景を解析するという国際研究でございますが、日本では5197例と、外国と 遜色のない、あるいはトップクラスの症例数を上げることができました。これは、去年 発足時に大学病院群がこれを中心にやるということで、オーガナイザーはみんな大学病 院の方ですが、私どもが国立病院機構で協力しますということで、ご覧のように40%近 い症例を上げることができました。私どもはこういう治験活動をこれからも進んでやっ ていきたいと思います。  教育研修でございますが、臨床研修が必修化しまして、臨床研修に教育機関として協 力するということで、559人を受け入れました。これは中期目標20%を超えているわけ です。新しい研修制度を終えて、来年4月に新しい研修制度に入る、いわゆる後期臨床 研修に入るわけですが、それが全くプログラムができていない。診療科に入ってすぐオ ン・ザ・ジョブのトレーニングで受けて、システマチックなプログラムに基づいた教育 を受けていないということで、私どもは全国に先駆けて後期臨床研修の制度化を行っ て、来年4月には新しい制度できっちりした教育をして、国民のニーズに応えた、期待 に応えたよき医師を育成しようということで研修を始めようとしております。  以上が医療に関する成果でございますが、財務については副理事長の河村さんから報 告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○国立病院機構副理事長  引き続き、副理事長の河村でございますが、御説明させていただきたいと思います。  ちょっと1ページに戻っていただきまして、効率的・効果的な運営を実施して安定的 な経営基盤を確立するということで、5年間累計の損益計算で経常収支率を100%以上 にすると書いてございます。官庁会計から企業会計に変わりまして、今まで目に見えな かった費用も計上しなければならない。例えば退職給付引当金とか、そういったものを 新たに計上しなければならない。そういったことで、初年度、2年度はどうしても赤字 になるであろうと。3年目から黒字転換して、5年通期で見て赤字をリカバーして、何 とか全体として黒字になりたいという計画を立てておりまして、4ページの16年度の損 益計算書の計画の欄で見ますと、当期損失は215億程度のマイナスになるであろうと見 ていたわけでございますけれども、16年度実績では16億円のマイナスにとどまった。差 額として199億円の経営改善ができたということになろうかと思います。事業規模全体 として7500億円程度の事業規模でございますから、16億円のマイナスというのは0.2% に相当するということでございまして、総収支率を見ていただきますと、16年度実績 99.8%。赤字ではありますけれども、ほぼトントンに近い状態まで持ってこれたのでは ないかと思っています。  右の欄は貸借対照表です。国から引き継いだ時点の16年度期首から、事業活動に沿っ て、未払金とか未収金とか、そういった動きを反映して膨らんでおりますが、その中で 御注目いただきたいのは、負債の欄の固定負債でございます。欄外にも借入金残高とい うのが書いてございますけれども、これは施設整備とか医療機器を整備するときに、財 政投融資からお金を借りてくるわけでございますけれども、それがこれまでずっと積み 上がってきていた。全体の事業サイズから見ますと7600億円という規模は、全体が1兆 円余りですから、相当な借入金残高を有していたと思いますが、国の時代も含めて初め て借入額が返済額を大幅に下回って、固定負債を減らす方向にカーブを切った。そうい う意味では、財務体質も改善の方向に向かい始めたということでございます。  それでは、どうやって経営改善が果たされたのかという要因分析を5ページに書いて ございます。平成16年度計画は当期損失215億円を予想していた。それが平成16年度決 算で当期損失が16億円になる。その要因分解をしているわけでございますが、一つは収 益の向上でございます。在院日数を短縮して診療報酬の上位基準を取得する。例えば、 入院期間の短縮等によって、入院基本料I−1がとれるようになった施設が12施設増え たとか、急性期特定加算、急性期特定入院加算、こういったものがとれるようになった 施設が増えているとか、あるいは地域医療支援病院になった施設が3施設増えたとか、 こういった努力により収益の向上を図った。そのほか、駐車場・売店の運営、委託形態 の見直しなど、細かいところでも収益を上げるように努力しているわけでございます。  しかしながら、これら全体で収益の向上については55億円。215億円から見るとコス トカットが主な要因でございまして、コストカットの中で一番大きいのが人件費の削減 でございました。公務員の給与体系、年齢に従ってカーブが立ち上がってくるわけでご ざいますが、独立行政法人移行初年度に当たってその給与体系を見直しました。もちろ ん、経過措置をとっていて、現給補償にとどまっている人たちもいるわけでございます けれども、そういった給与カーブを緩やかなものにするということの結果が出てきてお ります。  それから、独立行政法人移行時の賃金職員制度を廃止した。これまで、総定員法のも とで定員ががちがちに縛られておりました。それでは現実の病院の需要が満たせないと いうことで、常勤的非常勤職員、いわゆる賃金職員というものを持っていたわけであり ますけれども、独立行政法人移行に際してそれらをきちんと清算して、常勤化できる人 たちは常勤化する、パートに移っていただく人はパートに移っていただく。病棟の看護 師等、勤務体制に組み込まれている人たちはすべて常勤化しました。そのほか、技能労 務職員等についてはパート化をしたわけでございます。そういった賃金職員制度を廃止 することにより人の入れ替えが生じ、職員の平均年齢が1.5歳低くなった。これも相当 人件費の削減に効いているわけでございます。  それから、業務委託の推進というものを図って人件費を削減した。材料費の削減とし まして、医薬品の共同購入を実施するということで、規模の利益を追求する。そのほ か、契約方法を見直すということで、材料費の削減で33億円。そのほかの経費節減、こ れは各施設ごとに創意工夫によって経費を節減した。18億円削減した。そういったこと の積み上げで当期損失が16億円にとどまったわけであります。  欄外にその他としまして、一般管理費の削減。これは旧国立病院でいえば、国立病院 部プラス地方医務局の定員職員、いわゆる一般管理の事務職員でございますが、この職 員数を388人体制から291人体制に、約100人ほど削減しまして、そのほか物件費等も削 減しまして、全体として3分の1ほどコストカットをした。これも効いているわけでご ざいます。  こういった経営改善を踏まえて当面何をしなければいけないかというのが6ページに 書いてございますが、平成17年度以降の取り組みとしまして、一つは心神喪失者等医療 観察法、重大な犯罪を犯したけれども起訴に至らなかった、あるいは無罪になった精神 障害者の方々に対する治療等を行うという法律が、この7月15日に施行されております けれども、予定どおり入院医療機関として出発できるのは、当面3つの病院にとどまっ ております。地域住民の御理解を得るのに相当時間がかかっているということもござい まして、厚生労働省障害保健福祉部が一生懸命その整備に努力しているわけでございま すけれども、残りの5つの病院、さらに県立病院等をどんどん整備していかなければな らない。そういったものに国立病院機構として、これも政策医療の一つでございますか ら、ぜひ力を入れてやっていきたいということが一つございます。  それから、質の高い医療の提供としまして、引き続き平均在院日数の短縮、あるいは 診療報酬の上位基準取得というものを目指していきたい。それと同時に、療養介助職等 を入れて、ケア体制、夜間看護体制の充実に、長期療養者のQOL向上のために取り組み たい。あるいは、通所リハビリ部門をもう少し拡大した方がいいのではないかと考えて おります。  それから、国立病院機構全体のネットワークを活用しまして、大規模治験はさらに進 めていきたい。  四番目の○ですが、調整額の廃止。昭和20年代に結核から始まりましたけれども、危 険手当とか、職務の困難性、特殊性、そういったものに着目した給与のかさ上げという ものがなされていたわけでございます。重心や筋ジスについても昭和40年代にかなりの かさ上げがなされました。こういったものは時代の変化とともに、結核医療の進展ある いは重心、筋ジス等については介護保険の普及の影響、そういったものも勘案しまし て、民間とある程度バランスのとれた姿に変えていく必要があるということで、勤務実 態に応じて手当化する。手当化する前は給与のかさ上げというのは退職金にもボーナス にも反映されていたということでございますが、そういった関係を整理して、手当化に 踏み切ったということでございます。これは労使交渉を相当長くやりまして、結局中労 委のあっせんに持ち込まれまして、何とか4月1日からスタートできるようになったと いうことでございます。  そのほか、業務委託の促進も引き続き行いたい。ドクターの管理職の方々、病院運営 の中心をなすドクターの管理職の方々については、年俸制を導入して、業績反映部分を 拡大するということで、やる気のある、あるいは一生懸命やっていただいている方々に 対しては給与を引き上げていく。そういった措置を講じたいということで、業績主義を 徹底していきたいと思っております。これも17年度から実施するということが決まって いるところでございます。  再編成については、法人移行出発のときに154の病院があったわけでございますが、 この1年数カ月の間に8病院ほど再編成が進みまして、残るは2病院。最終的な姿は 144ということでやっていきたいと考えているところでございます。以上でございます。 ○黒川部会長  ありがとうございました。初めに理事長と副理事長のお話を伺ったところですが、こ れを踏まえて、これから診療事業についていろいろお話を伺っていったらどうかと思い ます。何かよろしいでしょうか。全体としてすごくいいように思いますので、個別につ いて伺いたいということで、大体20分で説明していただいて、10分質疑応答ということ で予定します。今日はどこまでいくかわかりませんが、診療事業、臨床研究事業、教育 研修事業というところを中心に御意見をいただきたいと思っております。よろしいでし ょうか。  ではそういうことで、まず診療事業ということで、第1グループの紹介、項目1〜3 に入りますので、先ほど矢崎理事長が説明されたところのディテールになるということ であります。よろしくお願いします。 ○国立病院機構医療部長  医療部長の梅田でございます。資料2−5の評価シート、資料2−6の評価シート説 明資料、この2つを使って御説明申し上げます。  資料2−5の1ページをお開きいただきたいと存じます。国民に対して提供するサー ビスその他業務の質の向上に関する事項ということで、中期目標が立てられておりま す。平成16年度計画、国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する目 標を達成するためにとるべき措置、診療事業でございます。診療事業の中では、患者の 目線に立った医療の提供。わかりやすい説明と、相談しやすい環境づくりということ で、各病院は患者満足度調査の分析結果をもとに、患者にわかりやすい説明に関する課 題を検討し、必要なサービスの改善を行うという計画を立てております。これについて の実績報告でございますが、患者満足度について御説明させていただきます。  説明資料の2ページをお開きいただきたいと存じます。患者満足度調査については平 成15年度の旧国立病院・療養所時代に、全国に先駆けて試行的に実施した結果を踏まえ て続けているものでございます。毎年グレードアップしまして、平成16年度において は、入院患者さんについては6月21日〜7月16日までの退院患者さん、外来については 6月21〜25日までの任意の2日間に来院した患者さんのうちから、すべての病院が実施 いたしました。平成15年は国立病院・療養所で行いましたが、平成16年は日赤、自治体 病院、国立病院、社会福祉法人病院、ナショナルセンター、労災病院、社会保険病院、 私立大学病院でも3病院と、日本全国に広まっておりまして、国立病院機構が先鞭をつ けた調査手法が広がっているところでございます。  この調査の内容については、10の医療サービスクオリティに書いてあるような内容に ついてやっております。調査方法についてですが、説明資料の9ページをご覧いただき たいと存じます。これは説明についての調査でございますが、外来というところで、質 問の様式ですが、「説明のわかりにくい医師がいた」、そのとおりだ、わかりにくいと いうときには1、ちゃんとわかったというときには5ということで、ネガティブな質問 項目を出すことによって、ほんとに患者さんが満足していたら否定的な質問にも逆に答 えられるという質問のつくり方をしております。また、調査精度の向上と客観性の向上 のため、調査結果については病院の職員の目には全く触れない形にして、患者さんが封 を閉じて直接本部にお送りいただくという形をとりまして、個人が特定されない、ネガ ティブなことを書いても病院の対応には影響しないという配慮をした上で調査を進めて いるところでございます。この調査結果については病院ごとにまとめて、病院ごとに返 して、その病院自身がどう直していくかという指標にするというものでございます。実 際のアンケートの内容については資料の5ページにあるような内容、6ページには外来 患者様への調査資料がございます。  次に、資料の8ページをご覧いただきたいと存じます。病院でわかりやすい説明、相 談しやすい環境づくりということで、すべての病院において医療相談窓口を設置しまし た。ケースワーカーや医事専門職などが相談に応じております。その中で、わかりやす い説明、相談しやすい環境づくりについては、患者満足度調査でも4.3から4.5、環境づ くりについてもそのような数字。外来の方ですが、やはり診療時間が短い、接触度合も 短いということで、ちょっと低くはございますが、4.0から3.9という評価を受けており ます。そのヒストグラムについては10ページをご覧いただきたいと存じます。  続きまして、評価シートの2ページをお開きいただきたいと存じます。セカンドオピ ニオン制度の実施でございます。セカンドオピニオンについては平成16年10月に行いま したセカンドオピニオン窓口状況調査、17年3月の研修会の意見交換の結果を踏まえ、 セカンドオピニオンについて、これをどう進めていくかということでやったわけでござ いますが、説明資料の18ページをご覧いただきたいと存じます。セカンドオピニオンに ついては先ほど理事長が申し上げましたように、国立病院機構ではセカンドオピニオン を非常に重視しておりまして、資料の28ページから後には、いろいろな場でセカンドオ ピニオンを重視していることを発信しております。セカンドオピニオンというのは、患 者さんが自信を持って治療を受けられるようにということですので、出す側と受ける側 があるということで、国立病院機構で治療を受けている患者さんが、自分の治療に対し て何か聞きたいということであれば、すべての病院がきちんと現在行っている治療につ いて第三者に聞いてくださいということで実施しております。国立病院機構の方にほか の病院の患者さんが、こんな治療法でいいのかと聞いてくる窓口については、現在、独 立行政法人移行前には7カ所でしたが、平成16年度末には45カ所の病院で、受ける窓口 を実施しております。特に我々のところでは神経内科関係に強い部分がございまして、 そちらがかなり多くなっているというところでございます。これについても、病院の実 力を上げていくことによってどんどん増やしていきたいと考えております。資料の23ペ ージがセカンドオピニオン窓口設置状況でございます。独立行政法人移行時に爆発的に 増えております。これを増やすための研修会を昨年3月24日に開きまして、セカンドオ ピニオンを進めたところでございます。  次に、患者の価値観の尊重ということでございます。各病院は患者の利便性を考慮し て、診療時間の見直しや待ち時間対策について検討する。また、患者満足度調査の分析 結果をもとに、必要なサービスの改善を図るため、平成16年度中に患者満足度調査を実 施するということでございます。患者満足度調査については先ほど説明したとおりでご ざいまして、平成16年に行いました。17年にも行いました。毎年行いまして、病院の実 態の変化をきちんと把握したいと考えております。説明資料の39ページをご覧いただき たいと存じます。患者の価値観の尊重の中でも、多様な待ち時間の設定ということで、 平成16年度の調査の結果で、外来では診療日や診療時間が合わないというのが3.9とい うことで、入院の方は検査の待ち時間の問題は4.3でございます。しかしながら、外来 の方は待ち時間について不満に思っているのが2.9から2.8と厳しい評価をいただいてい るところでございます。このような結果をいただきまして、平成16年度中に多様な診療 時間の設定ということで、予約の導入、診療時間の延長、外来看護師の勤務シフトの延 長というようなこと、待ち時間対策については、全病院について事前カルテの作成、予 約人数の見直し、電子掲示板の設定等を行いまして、現在対策を進めているところでご ざいます。説明資料の42ページ以降については、各病院で具体的に診療時間の見直し、 待ち時間対策、各病院でどのような形で対策を行ったかということを記したものでござ います。  診療事業1の患者の目線に立った医療の提供の項目について、我々の自己評定でござ いますが、患者満足度調査の実施、そしてこの結果を生かしての対策、セカンドオピニ オンを146病院で組織的に行っておりまして、国立病院から独立行政法人に移行してこ れだけ増やしたということでございまして、我々の自己評定としてはSとしているとこ ろでございます。  続きまして、評価シート3ページをお願いいたします。(2)患者が安心できる医療 の提供ということで、医療倫理の確立でございます。これについては説明資料の46ペー ジをお開きいただきたいと存じます。各病院は患者のプライバシー保護に関し、自院の サービス内容を点検し、必要な改善を行うとともに、カルテの開示を行うなど、情報公 開に積極的に取り組む。臨床研究を行う小規模病院等を支援するため、平成16年度中に 倫理委員会を合同開催するとともに、各病院の倫理委員会の組織、運営評価を把握し、 必要な改善を図るという計画になっております。患者さんのプライバシー保護について は、患者満足度調査の結果ですが、平成16年度の入院時に、処置や会話の際にプライバ シーに配慮しない医師がいたというのは4.5、これはたくさんいて4.5というわけじゃな くて、ネガティブな質問項目になっていますので、いい評価を受けているところでござ います。しかしながら、外来の方が、待合室から診察室内の会話が聞こえたりしたこと が3.8、処置や会話の際にプライバシーに配慮しない4.0ということで、入院に比べると 外来の方が厳しい評価を受けております。47ページにそのヒストグラムをお示ししてお りますが、外来の方が悪いということで、患者の相談についてはカンファレンスルーム を使用する、空いている部屋を利用して面談室、医療相談室、薬剤相談室の設置などを 行ったところでございます。15年度の結果が4.3から4.4、外来は4.3から4.1、これに比 べるとよくなっているところもありますが、16年度はネガティブな質問項目にしてあり ますので、ちょっと厳しい評価を受けております。  続きまして50ページをご覧いただきたいんですが、倫理委員会でございます。倫理委 員会の設置については、病床数500床以上の病院の97%に当たる35病院に倫理委員会を 設置しました。治験を実施する129病院すべてに倫理委員会を設置したところでござい ます。15年度は倫理委員会のある病院が濃い青の72施設。平成16年度は倫理委員会が置 けないような小さな病院については中央倫理審査委員会というのをつくりまして、中央 倫理審査委員会が小さな病院の臨床研究の倫理審査をすべて代行することができるよう な仕組みをつくりまして、すべての病院の臨床研究において倫理審査委員会が開催でき るようになりました。これに伴い、倫理委員会の審査回数が220回から282回、審査件数 は854件から1196件と増加しているところでございます。  次に医療安全対策の実施でございます。これについては52ページをご覧いただきたい と存じます。我が国の医療安全対策の充実に貢献する観点から、すべての病院は新たな 医療事故報告制度及び医薬品等安全性情報報告制度に協力する。各病院の医療安全対策 を充実させるため、医療安全に関する医療従事者の研修を行うということになっており ます。医療安全管理に対する組織体制、すべての病院において医療安全管理委員会、医 療安全管理室というものをつくっているところでございます。資料54ページをご覧いた だきたいと存じます。我が国の医療安全対策の充実に貢献ということで、医療事故情報 収集提供事業、医薬品医療用具等安全性情報報告制度に対する報告、日本医療機能評価 機構がやっている医療安全対策ネットワーク整備事業への協力、これらについて国立病 院機構のすべての病院を挙げてこの報告に努めているところでございます。これについ ては研修が非常に重要でございますが、研修の実際については資料の61ページからにご ざいますように、各ブロックにおいて研修をしております。研修を行うとともに、本部 の方からも安全の指針を出しているところでございます。また、院内感染対策としまし て、すべての病院において院内感染防止対策委員会を開催しているところでございま す。  安全対策の一つの取り組みとしまして、病院における人工呼吸器の使用実態を把握し て、人工呼吸器の対策を行いました。これについては資料の165ページをご覧いただき たいと存じます。これは旧療養所型病院の活性化委員会の中で、人工呼吸器の標準化に 関するワーキングチームをつくりまして、人工呼吸器の調査をいたしました。166ペー ジをご覧いただきたいと存じますが、我々のところで慢性、長期に人工呼吸器を使う患 者さん、3787台、在宅の患者さん906名、約5000近い人工呼吸器が使われているわけで ございます。人工呼吸器というのは生命に直結するものです。その人工呼吸器の種類が 71種類。1病院平均で4.9種類、最大14種類の機械が使われているということで、これ は安全性の問題から重要だということで、我々のところと財務部の方でも考えておりま して、今後人工呼吸器の機種の絞り込みということ、できましたら人工呼吸器のパネル の標準化とか、そういうところまでも我々の方で主導していけるのではないかと考えて いるところでございます。  次に評価シートの4ページをお願いいたします。救急医療・小児救急の充実でござい ます。これについては説明資料の65ページをご覧いただきたいと存じます。救急医療・ 小児救急については、計画の中では充実のために研修等を行うという計画でございます が、救急の受け入れ患者数は平成15年が55万4500件が58万件に、うち小児が16万3000件 が16万5000件に伸びております。中期目標期間中に10%の増を目指すということを着実 に進めているところでございます。研修については、各ブロックにおいて小児救急の医 療を実施しているところでございます。国立病院機構青森病院、これは旧療養所型病院 でございますが、陸奥新報に報道されているように、青森県内で初の小児救急体制を国 立病院機構の病院でスタートさせたり、国立病院機構金沢医療センターでも金沢地区の 中心になってやっているところでございます。また、救急医療の実際の数については74 ページ、76ページに資料がございます。  患者が安心できる医療体制についても、自己評定としましては、医療倫理の確立、プ ライバシーの確保、臨床研究を進めるための倫理審査委員会の確立、医療安全対策に関 する国策への貢献、研修の度合、人工呼吸器のような新しい、非常に学術的にも評価さ れるのではないかと思っております。救急医療の充実も含めて、Sという評価をしてお ります。  次に、(3)質の高い医療の提供ということで、クリティカルパスの活用です。計画 においてはクリティカルパスの普及推進のため、研究会、研修会を開催するとともに、 平成16年度中にクリティカルパスの総作成数の20%以上の増を図るということでござい ます。これについては資料86、87ページをご覧いただきたいと存じます。これは白内障 の場合のクリティカルパスでございまして、87ページは患者さんにお見せするクリティ カルパスでございます。入院日、手術前後、手術の翌日は大体このようになりますとい う手順書を患者さんにお見せします。それと同時に88ページでは、職員側での手順書で ございます。この手順書を示すことにより、患者さんに大体どのような形で入院が進む のかということがわかりますし、職員の方も今日何をしたらいいのか、明日何をしたら いいのかということがきちんとわかることになる。これによって治療が標準化し、治療 成績も向上するということでございます。これについては、クリティカルパスの総作成 数が平成15年度3935件が、平成16年度5193件と32%の増でございます。実施件数につい ても9万7000件から12万6000件と30.2%の増でございます。研修会についてもこのよう な形で実施しております。  次にEBMの推進でございます。臨床評価指標の測定を実施するとともに、各政策医療 ネットワークにおいて測定結果の分析と検討を行い、臨床評価指標の改善に努める。ま た、平成16年度中にEBMに関する情報データベースに関する検討を開始するということ でございます。これについては90ページをご覧いただきたいと思います。臨床評価指標 ということで、エビデンスに基づく、患者にわかりやすい標準的な医療を提供するとい うことでございますので、臨床評価指標というものをとろうと。内容は92ページをご覧 いただきたいんですが、患者満足度調査だけではなく、手術に関連した平均術前術後在 院日数とか、合併症の発生率、共同利用をどれくらいしている、紹介率、逆紹介率、こ のような実際の病院の臨床結果について、標準的な値をとりまして、どのような医療が 行われているのかということをきちんと調べようということを試みとしてやっておりま す。EBMに関する情報のデータベースの設置ということで、各領域の診療情報を収集し、 EBMの確立、治験の推進等に進むということを考えております。この具体的な成果とし て、結核の退院基準というものを作成しました。これが資料101ページにございます。 103ページに新しい退院基準がございます。結核の患者さんの半分以上を持っている国 立病院機構が、その患者さんを見る力を生かし、学問的にも信頼できる基準をつくり、 これが妥当かどうかという検証をしているところでございます。また、診療報酬につい てもこういう考え方からの改定を要求しているところでございます。我々の国立病院機 構からの提言を生かし、結核病学会の方でもこれを追認する動きが出ているということ で、我々機構が学会を動かして新しい医療の基準をつくるという成果があるところでご ざいます。  続きまして、評価シート6ページの方に移ります。長期療養者のQOLの向上というこ とで、計画にはボランティアの積極的な受け入れ、面談室の設置、患者家族の宿泊施設 の設置、QOLの向上について見直しを行う、重症心身障害児等の在宅療養を支援するた め、通園事業等の推進や在宅支援ネットワークへの協力を行うということでございま す。面談室の設置等については106ページをご覧いただきたいと思います。15年度から 16年度については12施設増やしました。ボランティアの受け入れも増やしたところでご ざいます。重症心身障害児等の在宅療養の支援についても増やしているところでござい ます。宿泊施設についても7カ所増やしたところでございます。また、難病患者さんの 地域医療ネットワークを構築するため、都道府県が実施している重症難病患者の入院施 設確保事業についても、17病院が拠点病院、39病院が協力病院となり、地域の支援ネッ トワークへの協力を行っております。また、千葉東病院において、人事院の総裁賞をい ただきました。摂食支援機能ということで、長期療養の患者さんは食べるということが 非常に楽しみになっておりますので、それをどうやって支援するかという試みがこのよ うな評価を受けたという記事が112ページにございます。それから、116ページをご覧い ただきたいと存じます。療養介助職の創設ということで、長期療養の患者さんに対して 看護師だけではなくて、療養介助員、これはホームヘルパー2級以上の資格、ケアに関 しての技能を持った方でございます。こういう職種を新しくつくりまして、療養生活に かかわる業務、清潔、食事、排泄、安全、療養環境にかかわる業務、診療補助にかかわ る周辺業務ということで、16年に作成したところでございます。このような職種をつく ることによる主な効果ということで、患者さんに日常ケア、この方は夜勤もしますの で、24時間日常生活のケアが充実されることにより、看護師がやらなければならないよ うな業務に専念することによって看護師の質も上がりますし、患者さんの日常生活のケ アが上がるということがございます。  次に病診連携の推進でございます。計画においては、すべての病院において地域医療 連携室を設置する。共同利用について必要な措置を講ずるということでございます。 119ページをご覧いただきたいと存じます。地域医療連携室については全施設に設置し ました。高度医療機器の共同利用についても2万8000件が3万9000件と38%の増、目標 をほぼ達成する増加となったわけでございます。紹介率、逆紹介率についても、36.8% から40.5%、逆紹介率についても25.4%から28.7%と3.3%上がったところでございま す。121ページには、具体的な取り組みで長崎病院の仕組みなどを書いているところで ございます。123ページからは高額医療機器の連携についての資料を載せております。 133ページ、135ページについては、紹介率別の病院数と、実際の病院での対策について 載せているところでございます。  第1項目の最後でございますが、シートの7ページ、政策医療の適切な実施というこ とで、各政策医療ネットワークにおいて臨床評価指標等を活用して実施状況を把握し、 その質の向上を図るということでございます。これについては139ページをご覧いただ きたいと存じます。政策医療の中でも大きなものを担っておりますのは旧療養所型病院 でございまして、この活性化法策に関する検討会というのを開催いたしまして、その中 間取りまとめを行ったところでございます。この議論の中での成果として、療養介助職 の創設、これは政策医療を進めるために患者さんの長期的ケアをどう向上させるか。そ れから、結核の部会においては結核退院基準の創設。そして、重心・筋ジス部会の大き な成果としまして、人工呼吸器の標準化という成果を出したところでございます。それ 以外にも各政策医療の取り組みがございまして、肝疾患政策医療ネットワークにおいて は、ネットワーク参加16病院及び協力病院10病院でラミブジン治療を行ったB型慢性肝 炎症例、インターフェロン治療を行ったC型慢性肝炎症例について、患者さんの同意を 得た上で、患者さんのデータを26病院で取りまとめるネットワークを進めております。 内分泌代謝疾患の政策医療ネットワークにおいても、糖尿病や血糖のみならず、血圧、 血中脂質管理等についても、患者さんの同意を得た上で、そのデータを把握してネット ワークで研究を進めようという体制をとっているところでございます。  以上、第1の診療事業項目についての御説明、長くなりましたが終わらせていただき ます。 ○黒川部会長  これが一番長い部分かな。40分になっちゃったんだけど。 ○国立病院機構医療部長  すいません、ここが一番長いと思いますので。最後のこれについても、結核、療養介 助職の創設等々の成果を出したということで、自己評定はSとしております。以上でご ざいます。 ○黒川部会長  はい、どうもありがとうございました。どうぞ、御質問その他。どうぞ。 ○住田委員  ちょっと確認させてもらいたいんですけど、15年度と16年度の比較が非常にしてあっ て、16年度は大幅に上がっているということはわかるんですけど、この評定をするとき には中期目標と実際とのあれですね。そうすると、中期目標がどのくらいのことをやっ ていたかということはどこに書いてあるんですか。15年度はこうだったと。16年度は独 立行政法人になってこうなったという実績は書いてあるんですけど、評定をするときは 中期目標に対して上回っているかどうかですから、必ずしも15年のものについてのこと じゃないんじゃないかと思うんですけれども、それはどのように考えたらいいんです か。 ○政策評価官  評価シートの左の欄が中期目標に関係する記述でございまして、それに対してどう進 めていくかが中期計画です。目標、計画ではこれだけの記述でありますので、この中期 計画を見ていただいて、今後5年間でこれを達成していくわけですけれども、その初年 度として今の状況をどう判断されるか。計画どおり進んでいると思われればB、上回っ ていると思えばA、大幅に上回っていると思えばSということで御判断いただくという ことでございます。 ○国立病院機構理事長  初めに申し上げましたように、例えば救急医療の受け入れ数の増加で、これは中期目 標で5年間で10%増加というのを、1年度で5.3%も達成している。例えば先ほどのク リティカルパスですが、これは5年間で50%増加という中期目標ですが、私どもは1年 間で30.2%。そういう意味での到達目標は、例えば治験の問題についても、5年間で到 達目標は20%増加というところを、1年度で27.6%、現在は30%以上になっている。そ れから、臨床研修医の受け入れについても、5年間で20%増加を、我々は1年度で22.9 %。ですから、中期目標で出されている数字の大部分は1年度でほとんど達している。 紹介率についても、5年間で増加というところを、ほぼ1年度で達していますので、そ ういうところが自己評価でSをつけさせていただいた根拠の一つです。 ○黒川部会長  中期目標というのは3年? 5年? ○政策評価官  5年でございます。 ○黒川部会長  15年度、16年度から? ○政策評価官  16年度からです。 ○黒川部会長  16年度が1年目ね。 ○開原部会長代理  全般的には理事長の言われたとおりで、大変すばらしく進展しているように思います が、2、3伺わせていただきたいことがあるんですが、一つは、中期目標でそこまでは 書いていないのでいいんですけど、例えば救急を実際におやりになって、金沢とか青森 とかで小児救急が24時間体制でできるようになったというのは大変すばらしいことだと 思いますが、そういうことをやるためには、お医者さんの数が増えないとできなかった のではないかと思うんですね。なぜそういうことが可能になったのかということが大変 興味があるんですけど、別の観点から言えば、国立病院というのは医師数とか看護師数 が非常に少ない病院であったと思うんですが、それゆえにそういうことができなかった 面もあるんですけれども、それができるようになったということは、それだけお医者さ んの数が増えたり、看護師さんの数が増えたりすることを機構としてバックアップされ たのか、許したのか、そういうようなことが現実にあるのかどうかということなんです ね。そのことが、最初に総論として経営改善のところで御説明になったことと多少関係 するんですけれども、人件費が随分削減されたと書いてあるんですが、削減されたとい うことは結構なことだと思うんですけれども、手当などを削減するのはいいことだと思 うんですけれども、むしろ医者とか看護師を増員すれば人件費の方は増えてくるので、 ある程度質を担保するためには、人件費をむしろ増加した方がいい場合もあり得るので はないかと思うんですけれども、その辺のところはどういう関係になっているんだろう かというところがよくわからないので、ちょっと御説明いただければありがたいと思い ます。 ○国立病院機構理事長  どうもありがとうございます。私ども、ベッド当たりの看護師・医師の数というの は、ほかの公的医療法人に比べると随分少ない。それは総定員法の枠でがっちり固めら れていたために極めて少なかったわけです。特に看護師さんの数が少なかった。独立行 政法人移行のときに賃金職員、本当は常勤で雇うべき方が雇えなかったということで、 賃金職員を常勤化して看護師さんの数は著しく増えているんですね。ですから、そうい う意味で人件費の削減は、職員の平均年齢が1.5歳、年を召された方が辞められたとい うことで、人件費の大部分はそこで削減されたので、必要な人員を削減して人件費を下 げたということではなくて、むしろ患者さんのケアを向上するために上位基準をとっ て、このときには入院日数の減少とともに看護体制がしっかりしてないといけない。そ のために看護師の増員もしているわけであります。そういう意味で、職員としては増 員、これは総定員枠のがちがちの中から少し離れたということで有利な点であります。  それからもう一つの御指摘の、医師数はどうかということですが、これは努力してい ますが、御存じのように今は医師の病院からの引き上げとか、医師が病院からいなくな るという状況がありまして、私どもも大変努力しておりますが、医師数はトントンくら いで、必ずしも増えていない。じゃあなぜ救急がこのように中期目標をほとんど達した かというと、病院の中で病院長を中心に救急医療に真剣に取り組もうということで、救 急対応のシフトを引いていただいた。恐らく医師の荷重が増えている状態ではないかと 思いますので、私どもはなるべく医師を確保するために教育研修制度を整備して、若い 医師に私どものところに参画していただいて、同時によい教育をして、よき医師を育て ようと思っていますので、人件費の削減はそういうことで、むしろ人員は増えている中 でこういう状況が得られたということでございます。 ○国立病院機構副理事長  補足して申し上げますと、今までどちらかというと国立病院というのは、地域の中で スタンドアローンというか、唯我独尊というか、そういう傾向が強かった部分はあるん だろうと思うんです。それが独立行政法人化して相当意識改革が進んで、眠っていた人 的資源をフルに活用するというのはあったんだろうと思うんですね。それが紹介率の向 上や救急医療の向上にも現れていると思いますが、それと同時に、そうはいっても平均 在院日数が短縮すれば、それだけ忙しくなる。ドクターも看護師も同じでございまし て、そういう意味では質の向上を図るにはそれなりの人的資源の量的・質的充実という のは図らなければいけないというのは自明のことでございます。今後はそういう方向も 考えていかなければならないと思っておりますし、一方で、高コスト体質も見直してい かなければならない。それが手当の削減であるとか、給与カーブの是正であるとか、そ ういったものに現れてくる。最終的には人件費総額そのものを減らすということより は、人件費比率というか、人件費プラス委託費率というか、そういったもので勝負して いかざるを得ないと思っているところでございます。 ○井伊委員  今のことに関連したことが1点と、あともう1つ。まず人員数は増えたということで すが、それはこの中で資料としてどこかで拝見することはできるでしょうか。  もう1点は、医療安全対策の充実のところで、日本医療機能評価機構に報告とあるの ですが、私は千葉の国立病院を視察したときに伺ったら、どちらの病院でも日本医療機 能評価機構から評価は受けていないという話を聞いたのですが、評価を受けているとこ ろはどのくらいあるのか、もしくは今後近い将来、機能評価機構から評価を受ける予定 があるのかどうか。そのあたりをお伺いしたいと思います。 ○国立病院機構医療部長  2番目の方でございますが、病院機能評価機構は2つの大きな機能がございまして、 一つは病院の機能評価、もう一つはヒヤリハットの事故の例を把握するというのがござ います。このヒヤリハット例の把握については、すべての病院が報告いたします。千葉 で申し上げましたのは安全とは全く別の、病院の機能評価。これについてはいろいろな 病院が受けておりますが、病院の体制が整い次第受けているというところで、146病院の うち何病院が受けたかは手元にございませんので、また後ほど。 ○井伊委員  実際受けている病院は幾つか出てきているということですね。 ○国立病院機構医療部長  先日も東京医療センターが、1回受けて2回目の再審査を受けたところでございま す。かなりの病院が受けております。 ○国立病院機構理事長  国の時代、これは15年度末で154の病院で定員が4万3363人でございます。独法化し たときの154の施設は4万6607人ですから、3000人くらい、主に看護師さんですが、定 員は増えているということです。 ○夏目委員  2つばかりお聞きしたいんですが、まず第1点ですが、患者満足度調査なんですが、 今は民間会社、サービス業を中心に顧客満足というのは流行中の流行の言葉で、いかに 顧客満足を上げるかというのが民間企業の中心的な経営課題になっているという中で、 国立病院が患者満足度調査について先導的な役割を果たして、非常に工夫をされて充実 した内容・手法をとっているということはすばらしいことだと思います。最初の方に書 いてあったんですが、これをほかの公的病院も使って同じようなことをやっているとい うことが書いてあったので、せっかくであるならば今回の調査結果がすべて国立病院機 構の個別結果、単純集計ということになっているんですが、これがほかの病院と比較し てどうなのかという相対評価が出ると、より鮮明に国立病院の状況がわかるのではない かと思うんです。相対評価というのはとれなかったのか、とろうとされなかったのか、 現時点では無理なのか、この5年間ではほかの病院の結果も調査するお考えがあるのか というのが第1点です。  第2点は、セカンドオピニオンで、これも非常に大事なことで、理事長がいろんなと ころで述べられているというのはこの資料に書いてあるとおりでありまして、これにつ いても制度はきちんと導入されたということだと思いますが、これは一番難しいのは、 実際に運用されるかどうか。特に主治医との関係で、患者というのは余分なことをする と主治医との信頼関係、人間関係が崩れるんじゃないかということを非常に気にするん だろうと思うんですね。そうすると、導入した結果、ほんとにセカンドオピニオン制度 が使われているのかどうか、実績はどうなのかということが大事だと思うんですが、そ の辺の実績は国立病院機構でどうなのか。3月に導入されたばかりだから実績はこれか らですということなんだろうと思うんですが、もし実績がわかったら教えていただきた いというのが2点目です。 ○国立病院機構理事長  1点目ですが、患者満足度調査、これは比べるときには全部同一の質問でないとなか なか比べることができない。16年度は不満足度調査といいますか、患者さんが不満足で あるところをピックアップするためのクエスショネアにすべて変えたんですね。ほかの 医療機関ではそういうシステムをとっていませんので、同一のレベルで調査しないとい けない。それから、患者さんの率直な意見を聞くために、病院の人が見てはいけない。 全部密封して本部に送って、そこで開封するということですので、厳格な調査をしてい るので、我々は146の病院の中の位置づけに使って、あなたのところはこういうところが 足りないということで指導しているところですが、おっしゃるとおりに、ほかの医療機 関との比較は今後必要ですし、我々は財務指標に関してはほかの機関と比べております が、満足度はおっしゃるように、来年度は国公立の大学病院も含めて、同じようなクエ スチョンでやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。  それから、セカンドオピニオンについては、我々初めて窓口を設置した状態でありま して、求められたら主治医としてすべてセカンドオピニオンの依頼をするようにと言っ ていますが、実質どのくらいの成果が上がっているかというのは、今後検証しながらや っていきたい。まず窓口をオープンして、セカンドオピニオンのコンセプトを患者さん に十分知っていただきたいと思っています。 ○開原部会長代理  この評価でいえば2ページのところの、患者の価値観の尊重というところなんですけ れども、診療時間の見直しや予約制の導入などを取り組んでおられるということは大変 結構だと思うんですけれども、今一番国立機関の問題点というのは、土曜、日曜が休み になってしまうということだと思うんですね。私立の病院と国公立の病院の最大の違い は、土曜を休むか休まないかというところだと言っていいぐらいだと思うんですが、国 立病院機構としてはこの辺の問題を将来再検討するような方針というのはお持ちなのか どうかというところを伺いたいと思います。 ○国立病院機構副理事長  独法化する前後から、土曜日の外来を受け付けるというものは各病院で必要なところ は検討して始めようではないかという動きが出てきて、現実に幾つかの病院は土曜日の 外来もやっている。例えば透析の患者さんであるとか、土曜に集中して検査を行うと か、そういうことに踏み切った病院は幾つかあると思います。私どもも週40時間の労働 時間は維持しながら、もう少し多様な勤務体制がとれるようにということで、就業規則 も国立の時代よりは変形労働時間がとれるような体制にも配慮して就業規則を決めたり しております。全体として人手の問題、勤務体制については労働組合の協議を経るとい う問題もございますので、実施しているところはそういうものをすべてクリアしてやっ てきているわけですが、地域の需要によりますが、増やせるところはまだ出てくるので はないかと思っております。 ○大道委員  基本的には、大変厳しい中で、特に人員の配置等での難しいところを存じ上げていま すので、その中での16年度の対応は大変すぐれたものであるということで、敬意を表し たいと思います。ただ、既に2、3出ていることの確認もあるのですが、病院全体の、 特に難しい医療環境で取り組んでいるすぐれた事例を知らないわけではないので、そう いう中でよくおやりになっておられるということで先ほどの申し上げ方になるんです が、ちょっと気になることもございますので、そこを含めてお話しさせていただきま す。  一つは、患者の目線に立った医療という中で、患者満足度調査については、方法論の 開発を含めて、確かに新規性もおありになるし、ネガティブな問いかけで評価をしてい くという趣旨も大いにわかることなんですが、患者満足度調査の絶対化、スケールの固 定化というのはなかなか難しくて、ある項目を共通化して複数施設でやって、そこを分 布して定量的な解析をするというのは、やれなくはないんですけど、結局のところ問題 の改善につなげていただくということなわけですので、かねてあった国立病院のある種 の批判などについてどう改善されたかというあたりの事例を、主だったところをぜひ御 紹介いただきたいと思います。体制を組まれたこととか、CSの流れをくんで、CSならぬ PSだというのは医療界では常識になっていますので、そのあたりの改善的なところをぜ ひお聞かせいただきたい。機構本部の方に封をしてお集めになるというのは一つのやり 方かなと思うんですけれども、その後に適切にそれぞれの施設に還元されて、こういう ことなんだから問題改善に役立てていただきたいという趣旨の流れをお聞かせいただけ ればと思います。1のところはそのように思います。  2番目の、患者が安心できる医療の提供については、倫理の体制の確立等々、これも なるほどと思っているところです。また、小児救急などについても、かねてからの流れ を知る者からすると、大変な状況の中でここまでということで、その点は大いに敬服し ているところです。ただ、安全については、先ほど来、日本医療機能評価機構の話が出 ておりますが、これは報道されておりますから申し上げますが、国立病院機構の病院群 は医療法の施行規則で報告義務がかかっているという状況があります。そういう中で平 成16年度の下半期での報告事例について、半年間でおおむね半数に近い病院、あるいは それを上回る病院から、指定された報告義務のある件数が1件も報告がなかったという 状況があります。医療安全の専門家ないし実務経験者から見ますと、なかなか理解しが たいことであるという指摘があるわけでありまして、医療安全の報告というのは大変難 しいところがありますが、マンダトリーな医療事故の報告については難しい問題を持っ ているのは重々承知しておりますが、国が補助をした事業とはいえ、実質、全額国費で 動いている仕組みですので、その中での医療事故の報告の持っている趣旨というのは、 再発防止に資するということであると同時に、医療機関における重大な医療事故の把握 ということで、重大な社会的な責務がおありになると思いますので、このあたりは今後 とも特段に御配慮いただきたいと思います。  それから、クリティカルパス等々のお取り組みについても、先駆的な病院はかなり激 しくやっておられます。また、国立病院の中でも非常に御熱心な病院があることも存じ 上げているわけですが、146もの多くの病院の中での、今日は全体的なということなん ですが、間違いなくある種の分布があるはずでして、平均値とか全体的な傾向もいいん ですけど、Sと自己評価をおつけになったわけですから、基本的にはよろしいのかな と。聞かせていただく私ども評価委員から見ると、お聞かせいただいた範囲で判断せざ るを得ないんですが、SはSでも私は構わないんですが、全く問題がなくて、146の病 院には問題を抱えている病院もあるはずなわけで、ここは率直に、基本的にはSであ る、ただし少なからぬ問題を抱えたところもお触れいただいた方が私はフェアだと思い ます。すべてSであって、その根拠はこうであるといおうことをお聞かせいただくと、 私ども評価のしようがなくて、それだったらこちらでもSと言わざるを得ませんねとい うことにもなってしまうんですが、そんなこといっても、あそこの病院はああだったと か、ここのところはこんな風評があるよとか、全国2400〜2500の病院が病院機能評価の 受診申請をしておられるわけですけれども、難しい状況の中で申請していただける病院 の割合は必ずしも多くないという状況があるわけで、医療の質とか、社会的な意味合い での評価とか、安全とか、こういうことに向けたお取り組みをしていく外部的な指標 が、中でSだとおっしゃっても、それはいいんだけど、周辺からの、我が国の医療体制 全体の中での国立病院機構の病院群の位置づけあたりもぜひ認識していただいて、そこ とのかかわりの中でこういうところの問題がまだ残っているんだということをお聞かせ いただければいいと思います。  いずれにしても、一評価委員としては、16年度の計画に基づいて、それを達成してい るかどうかという趣旨で判断させていただきたいと思っていますので、国全体がこうだ から、それに照らして国立病院機構はまだこのくらいかという評価は馴染まないと思い ますので、それはもちろんいたしませんけれども、そのあたりのかかわりにもお触れい ただくことがありがたいというのが、今日お聞かせいただいた御説明に対するコメント でございます。 ○国立病院機構医療部長  先ほど言っていただきました、患者満足度調査からどのように実行したかというの は、資料の14ページに説明のところだけでございます。すべての項目について取り上げ ると膨大になりますので、14〜16ページのところに各病院の取り組みをやっておりま す。42ページにも診療時間の見直し等での各病院の取り組みを列記させていただきまし た。  医療安全については、厚生労働省の医療安全対策室からも御指示をいただきまして、 我々の方から各病院の方へ通知したところでございます。 ○山田委員  大変すばらしい成果で、感心して見させていただきましたけれども、ちょっときつい 言い方かもしれないですが、私どもが例えば事業改善3カ年計画というようなものを立 てますと、大体初年度はなかなか実効が上がらなくて、3年間たってやっとこさ達成で きるというのが大部分なわけですね。そういうことからいって、初年度でほとんど5年 間の目標が達成できてしまうとか、それに近い値が出ているということは、非常に厳し い見方をすれば、各病院の努力がすばらしかったということは一つだろうと思うんです けれども、中期目標の立て方が甘かったんじゃないかということも言われかねないです し、今まであまりやっていなかったので大きな改善ができたんだろうというような言い 方をされることもあるだろうと思うんですね。初年度でこれだけのものが改善できたと いうことをメディアそのほかで公表されますと、その辺に対して、計画の立て方につい ての批判が起こってくるんじゃないかと思うんですけれども、その辺についてはどうい うふうにお考えになっているか、ちょっとお聞かせいただきたいんですけれども。 ○国立病院機構理事長  おっしゃるとおりのファクターもあると思うんですが、しかし、国立病院機構の病院 は立地条件も違うし、担っている医療も違いますし、規模も違うということで、非常に 個々の病院が独立で今まで運営されてきましたけれども、今度独法化で一本になったこ とによって、お互いに情報を知り、今までは旧療養所で閉じこもっていて、自分たちの 仲間だけで病院をやっていたのが、あの病院ではこういうふうな改革が行われていると いうことで、これは非常にいい方向に皆さんが目を向けていただいて協力いただいたた まものではないかというふうに思います。ですから、最初に私が理事長を拝命したとき に、大変な目標でどうなるかということを心配しておりましたが、今振り返ってみます と、146の病院長が意識改革をして真剣に取り組むと、医療というのは改善の余地が随 分あるんだと。ですから、これからもさらに高い目標を目指してやっていくということ になるかと思います。結果論としてそういうお言葉をいただくというのは、私どもは当 然あるのではないかと思いますが、出だしは私自身は心配していたところなので、官庁 会計から企業会計、お互いの病院のコミュニケーション、情報交換をしながら、どうし たら医療を向上させられるか、患者さんのQOLを向上させられるかということを考えて いけば医療というのは向上していくんだなということで、河村さんが言われましたよう に、国立病院は地域医療とコミュニケーションしないで一人でその地域でやっていたと いうことが一番の困難な点ではなかったかなと思います。 ○黒川部会長  確かに、一つの病院では院長が代わって意識が変わればそれで済むかもしれないけ ど、これは大きく横に広がったというところで、共通の意識を持てたということは非常 に大きなインパクトがあったと思います。まだこれからの課題が多い。今までは縦のこ とだけだったので。どうぞ。 ○辻本委員  意識改革という一番難しいことが、仕組みとか具体策とか、一人一人のスタッフが納 得できることで変わっていくんだということを、今日の御報告を伺いながら改めて学ば せていただくことができました。ただ、周辺から聞こえてくる生々しい声を受ける立場 からしますと、少しそのギャップも感じております。全体的な印象で、国立病院の苦情 で多くなったのが差額ベッド料の徴収が非常にシビアで、患者さんが納得できないよう な状況という御相談が非常に目につくようになってきております。この満足度という場 面と、そのあたりがどうなってるのかなというようなところが払拭できないわけです。 医療部長の非常に情熱的な発表をお聞きして、だまされてはいかんぞと思いながらお聞 きしておりました。プレゼンテーションの力も大きいなということを一方で感じており ます。  2、3お聞きしたいんですけれども、まず医療相談とか患者満足度調査のところなん ですけれども、ここで一切触れていないのが、投書とか苦情の問題なんですね。マイナ スのものをどのように把握していらっしゃるのかということが、窓口つくりました、満 足度調査でこんないい数字が出ましたという前向きな御報告ばかりで、当然にあろう患 者さんのマイナスの御意見などが埋もれてしまっていることに不安を感じました。  それから、セカンドオピニオンですけれども、いろんな病院が取り組んでいるところ では、料金体系がばらばらという状況になっているんですけれども、機構においては料 金がどのようになっているのかということを、今日の御報告では知ることができません でした。  それから、カードの導入ということも、医療消費者としては非常にありがたいシステ ムなんですけれども、ことほどさようにセキュリティの問題ということが社会的に浮上 しております。そのあたりを病院がどのようにお取り組みになっているのか。  それから、倫理委員会など、IRBもそうですけれども、構成員がどんな構成で仕組ま れているのか、そのあたりにも姿勢というものが浮かんでくるように思いますので、そ んなことも今日の御報告、事前に読ませていただいた資料では私の理解には至っており ませんので、そのあたりが知りたいと思っております。以上です。 ○国立病院機構医療部長  ここでお答えできない話は次回。苦情等については、当然のことながら投書とかそう いうものをいただいて、各病院の中でいただいた苦情に関しては担当部署の方に事情聴 取を行って返す。我々がやっている患者満足度調査だけではなくて、病院でいただいた ものに関しては対応しております。ただ、そのすべての苦情を本部に全部ということで はなくて、各病院での対応になっております。  それから、セカンドオピニオンの料金でございますが、セカンドオピニオンについて は保険診療ではなくて、各病院で決められるところになりますので、これは各病院の中 できちんと決めておりまして、それはきちんと表示しているところでございます。  差額ベッドについては、ほとんどが保険診療でございまして、保険診療の範囲内で認 められた形でいただく。保険診療で認められない範囲もございます。医療側の都合で出 した場合とか、そういう場合には、それが見つかってしまえば保険の不正請求になりま すので、しかしながら、差額ベッドというのはきちんとした形で認められた料金でござ いますので、いただくべきところはいただかなければならないのではないかと考えてお ります。  それから、IRBでございますが、これは倫理委員会の規程に、人文の方、社会の方、 一般市民代表の方、そういう方を入れてという規程がございますので、その規程に則っ て構成された委員でつくられております。 ○辻本委員  もう1つだけ最後につけ加えさせていただきたいんですけれども、働いていらっしゃ るスタッフの皆さんたちがかなり疲弊しているという声も漏れ聞いております。JR福知 山線のああいう事件が妙にそこに重なるというような思いで、報道などにも関心を寄せ ておりました。そういうことのないようにということを、ぜひとも心がけていただきた いということをお願いしておきたいと思います。以上です。 ○黒川部会長  評価の話で、国立病院機構というと、診療と病院というところが一番大きな問題なの で、これに十分時間をとることは大事かなと。臨床研究とか治験事業は次回にでも10分 で説明していただいていいんじゃないかという気がしますので、もうちょっと質問をい ただければと思います。  なぜかというと、一つは、この評価委員会は一体何をするところなのかということで す。中期目標はこのくらいクリアしたというパーセントはそれはそれでいいんだけど、 しかし実質を伴うかという話があって、これが例えば企業だと、企業はあくまでもフォ ー・プロフィットということであればそれはそれでいいのかもしれないけど、医療はフ ォー・プロフィットかという話になってくるわけなので、それだけでいいのか。初年 度、2年度目は意識改革ですごく成果が上がりやすいところがあって、今は横に横断的 になっていますから、理事長以下執行部のスピリットを上げるという話とみんなが共通 の意識を持つことによってかなり変わると思うし、今までのスタートの部分が低かった 部分もあるかもしれないし、余分な人件費なども確かにあったのかもしれないのでコス トがかなりカットできるのかもしれないけど、これ以上カットできるかどうかというの は企業と違って、企業も私企業の株式を公開されているのでも、最初の社長をクビにし て何をするかというと、新しい社長がすることはまず人員の削減をしますよ。一見よく 見えるんだけど、2年、3年たって、ブーストして、日産のゴーンさんみたいに実際の 収益を上げるかというところまでくるのは全然別の話なので、最初は割に簡単といえば 簡単で、不幸な人が増えるだけなんだけど。だけど、意識改革して、今日聞いててもプ ラスが多いんだけど、医療を考えてみると効率化だけでいいのかという話を常に聞かな くちゃいけなくて、患者満足度っていうけど、患者さんは今までの公的な医療ですべて 自己負担1割ぐらいでどこでもはしごできるなんていう話をしていて、昔は結核とか、 薬がない高血圧という病気が主だったわけですけれども、今みたいに生活習慣病が多く なってくると、患者さんの方はそれを引きずってかなり甘えの構造があるかなと。つま り、公的なところで自分の血糖を測ってもらったりするのに、常に同じ料金で、いつで も行けますと。大学も国立病院も行けるなんていう話をやっているのは、先進国でも日 本だけです。それは完全に甘えの構造があるなという話は、今、第5次医療計画でもや ってるし、そういう意識を変えていかないと、満足、満足っていうけれども、マーケッ トでドライブされるルイヴィトンを買うのとは話が違うんだからという話を国民がもっ と認識してくれなくちゃいけないんじゃないか。今日の話を聞いてると、一つは、これ は非常に大きなマスで、病院単体としては一番大きくなりますよね、多分。クリティカ ルパスとか、パーチェシングパワーだってどんどんできてくるわけだから、効率はぐっ とよくなる部分は確かにあるし、意識改革もあるし、これが効率、効率ばかり言ってい ると、地域の医療がこれで、例えば郵貯がやたらと銀行を圧迫するというのと同じこと になりはしないかなという話は、この評価委員会は十分やっていかないと、こちらが向 こうに効率だとかサービスだとか患者満足度とかばかり言っていると、医療が変な方に 向いちゃわないかということは、この評価委員としてはコンサーンがあるという気がし ます。変なところはやめてスリム化するのはいいんだけど、現場のお医者さんも看護師 さんもどんどん疲弊しちゃって、売上が上がるわけでもないとなると、新しく新車が出 るわけでもないとなると、一体何なのかという話がある。CTとかMRIのような大きなや つを地域で共有していきましょうというのは構わないんだけど、ここだけが共有するセ ンターなのか、ほかのところとシェアリングをするのかということも大事だし、3番目 に小児の救急や何かも、小児の先生が夜の10時までいるよというのはいいんだけど、第 5次医療計画や18年度の医療のあり方が、地域の二次医療圏じゃなくて、日常医療圏と いうコンセプトになってきて、それぞれの地域でそれぞれの病院が一体どういう役割を するのか。しかも、国立病院がもし地域の基幹病院ということで地域の人が伝統的に馴 染んでいるのであれば、小児の救急や何かも、救急のサービスはオープンシステムにし て、地域の小児科の先生がみんなで使ったらいいんじゃないのと。そこに人件費なり日 当なりするという話をどんどん構築しないと。矢崎理事長が言ったように、お医者さん を獲得するのは大変だと、それは実際そうだと思うんだけど、共有してファシリティを 使うというのは、ハイテクの機械だけじゃなくて、地域の小児科の先生とか、精神科の 教育なんかも結構大きな問題だと思うので、そういうファシリティをみんなで共有する というのにこういうのを提供していくという話もすごく大事だと思う。クリティカルパ スもそうだし、セカンドオピニオンもそうだけど、国立病院機構みたいなのが一つ出し ていくとスタンダードになっていくというパワーはすごくあると思うので、この委員会 を見ていると中の人ばかりの委員会が多いので、大学の人とか、地域の医師会の人とか いろんな委員を入れて構築していくというのも考えるといいんじゃないかなという気が しました。もちろん梅田さんの話を聞いてるといいことばかり言うんだけど、悪いこと をもっと言ってくれないと調子悪いなという気があって、評価委員の方は何とか悪いと ころを見つけようなんていうふうになって、お互いに非生産的な評価になっちゃうの で、むしろ悪いところもさらけ出して、形成的な評価を行った方がいいんじゃないのか なと思います。そんな話が一つ。つまり、日常医療圏とだんだん変わってきて、医療の 中の役割ですから、そういう話がすごく大事かなと。  それから、スタンダードにするのにはすごくパワーがあるので、これをスタンダード にする方策がぜひ開かれたプロセスでフィードバックしながらやっていくと、ナショナ ルスタンダードになっていって医療政策に反映できるかなという可能性があるんじゃな いかと思いました。  それから、24時間の地域のネットワーク構築の中心的役割は果たし得るので、決して 公が民を圧迫しないというのも大事かもしれないけども、しかし医療の公共的な性格と いうことから見ると、必ずしも効率とかサービスの競争ばかりではうまくいかないんじ ゃないかなということだと思います。  それから、さっきの中期目標が最初から低過ぎたんじゃないのという話は、今までの サービスが低過ぎたんじゃないのかという話は確かにあるかなと思うので、これから2 年目、3年目、4年目になって、同じような効率化でどんどんいくとも思えないところ がかなりあって、財務状況なんか、1年目、2年目はかなりやれるかもしれないけど、 中長期的な視点でここの評価は、1年目はSだけど2年目もSかというと、これでどん どん伸びなくちゃいけないというような性格のものでもないんじゃないかなという気が します。これが私企業とは全然違うところじゃないかな。評価は中期目標とか書いてあ るから、独立行政法人は必ず書いたことを目標にしたかということで次の年のお金の配 分が決まっちゃうなんていうことに必ずしも馴染まないかもしれないということは、評 価委員としてはコメント入れるなり何かしておいて、今回の目標としては評価と合う合 わないというのはそれぞれの御判断だと思いますけれども、そういう問題点があること を考えておかなくちゃいけない。  一般に私企業もそうですけども、アウトソーシングしていくというのは確かにそうな んだけど、今までの日本の社会システムがそういうふうになっていないので、雇用の不 安定さと、人件費が安くはなってるんだけど、正社員だった人はいいんだけど、そうじ ゃなかった人というのはかなり疲弊してきていて、ニートとかいろんな話も一部はそう いう社会不安を反映しているかなという気もするので、私企業の場合はだめだったら潰 れちゃえという話で済むところなんだけど、医療の場合はそれで済むのかなという話は 考えておかなくちゃいけない。そうすると、雇用がみんなアウトソーシングして臨時の 人ばかりだと、結局はみんなが疲弊してくるかなというところは、評価委員としてはど ういうふうに評価しながら次の政策を厚生労働省その他に考えてもらうかということが 大事なんじゃないかなと。  それから、医療については何がオプティマルかというのはなかなか難しくて、患者さ んが満足すれば何でもやっていいというような性格でもないし、この辺は国立病院だけ の問題ではないんだけど、これだけ大きくて、国民からいうと国立病院というのはパブ リックドメインのリーダーですから、さっき辻本委員が言ったように、個室の差額があ るのも変なんじゃないのというパーセプションはあるのかもしれない。それがいいかど うかは別として、国民の方も、患者さんはコンシューマーですからなんていう議論がま かり通ってるんだけど、コンシューマーは結構だけど、だれがお金払ってると思ってる んだと、あなたたちはタックスペイヤーで何でもやってくれなんていうのは、だれがお 金払うんだということをしょっちゅう言ってなくちゃいけない。肥満が問題だなんてい うけど、肥満をどうしたらいいかなんていうのは、大学院の教育を受けてるかどうかな んて関係ない話なんだから、その辺の医療の制度をもうちょっと直さなくちゃいけない ところもある。効率化とサービスの向上ということばかりでこれを判定していると、そ れだけじゃ済まないんじゃないのかというのが、評価委員としては共通の価値観を持た ないと、ただ効率で、目標の何%達成してSなんて言ってると、医療としてはまずいと ころが出てくるなということは十分に考えておかないといけないんじゃないかなと思い ました。  しかし、一般に1年目、2年目は結構やれるところがたくさんあるし、矢崎理事長も 最初はすごく心配してたと思うんだけど、縦の構造が横になって、同じような価値観を 共有できただけでもすごく目覚ましい効果があったのかなということは感じられたんじ ゃないかなと思います。梅田さん、今度は悪いところもいろいろ言ってよね。そういう ことは認識してるんだから。  いかがでしょうか。今日は時間がきてしまったので、全体の講評としては皆さんそう いうふうに思っていると思うので、しかし、S、A、B、C、Dはつけなくちゃいけな い。それを今日の項目でつけていただくということでいかがでしょうか。最後にもし御 質問ありましたら。そういう視点がないと評価委員会としては、ここの評価委員会なの かわかりませんが、全体の評価委員会かもしれませんね。そういう話で少し。国立病院 というのはほかの独立行政法人の研究所その他とは違いますので、そういう視点もどこ かのコメントに十分書き込んでおくと、お互い的に形成的な評価になって、理事長先生 以下執行部が非常にやりやすいというか、よくなってくるんじゃないかなと思います。  その他にいいですか。じゃあそんなことで、今日は一応終わらせていただいて、評価 の点をつけて、ぜひコメントをいろいろ書いていただければと思います。もし言い足り ないことがあったら、後で評価官の方にでもファックス、メールをいただければと思い ます。  バランスからいったら今日の分が一番大きくて、臨床研究とか研修の場合はもっと短 くていいわけですので、ちょっと時間をとらせていただきました。あとは次回というこ とで、よろしくお願いします。矢崎理事長から何か。 ○国立病院機構理事長  どうもありがとうございました。貴重な御意見をいただきまして。全体的にまとめる とこうなるということでありまして、146の病院は個々大変個性に富んだ病院でござい ますので、いろんな意見が上がっていますし、財務的に見ても、3分の2近い病院が赤 字になっているわけです。そういう意味で、我々も苦しい生活をしていると。私個人と しては、医療の効率化というのは、経営に結びつく医療の効率化というのが第一ではな い。患者さんの目線に立った医療であるということをこれからも大切にしていきたいと 思っていますので、これからもよろしく御指導のほどお願いいたします。今日はありが とうございました。 ○黒川部会長  ありがとうございました。では三々五々、評価をして解散いたしたいと思います。ど うもありがとうございました。                                    〔終了〕 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電話 : 03−5253−1111(内線7784)