05/07/22 独立行政法人評価委員会調査研究部会第17回議事録             独立行政法人評価委員会調査研究部会                   (第17回)                   日時:平成17年7月22日(金)13:30〜16:30                   場所:富国生命ビル(第一会議室) 出席者:市川委員、岩渕委員、酒井委員、清水委員、鈴木委員、武見委員、田村委員、     政安委員、中村委員(五十音順) 1.開会 ○田村部会長  それではただいまから第17回独立行政法人評価委員会・調査研究部会を開催させてい ただきます。今回は岸委員が御欠席でございます。それではまず初めに事務局から本日 の議事について簡単に御説明をお願いいたします。 ○政策評価官  これから国立健康・栄養研究所の個別項目に関する評価をお願いいたします。午前中 に引き続きまして長時間でお疲れのところ大変恐縮でございますが、どうぞよろしくお 願い申し上げます。 ○田村部会長  本日は国立健康・栄養研究所について評価を行います。実際の評価に移りますが、本 日の進め方につきまして事務局より御説明をお願いいたします。 2.議事  国立健康・栄養研究所の個別項目に関する評価について ○政策評価官  進め方といたしましては、午前中と同じようにやってまいります。まず理事長さんか ら16年度の事業のうち、特に重点的な事項について10分程度御説明をいただいて、その 後個別項目を、こちらも四つのグループごとにまとめて実績を説明していただくことに いたします。時間配分ですが、1グループ、法人からの説明時間は20分、それから説明 に対する質疑時間は10分、評価シート記入時間は10分ということで、ワンセッション40 分で何とか時間内に収まるという計算でございますので、そういったことでよろしくお 願い申し上げます。 ○田村部会長  それでは国立健康・栄養研究所の渡邊理事長から法人の平成16年度の事業のうち、特 に重点的な事項につきましての御報告をお願いいたします。 ○国立健康・栄養研究所理事長  渡邊でございます。私も今年の4月1日から東京農業大学から理事長に赴任いたしま した。赴任以来3カ月、一生懸命過去3年半分の議事録とか評価書を読まさせていただ きまして、独立行政法人に関する法律的なこともいろいろ勉強させていただきました。  私どもの研究所は、御存知のように佐伯矩博士という方が1920年に作っておりまし て、当時世界で最初の国立栄養研究所ということになります。佐伯先生の業績は大きく 言いまして四つだと思いますが、一つは研究所を作ったこと、もう一つは当時脚気が国 民病でありましたので、それを克服するためにビタミンBの研究をしまして、後に国際 単位の制定にまでこぎつけている。  それから三番目が栄養士を教育しないといけないということで、学校教育にもずいぶ ん熱心になられまして、育った栄養士を引き連れて学校教育とか、職場の給食にまで手 を広げられて、大きく活躍なさった方であります。私どもの研究所も85年になって、そ の伝統をずっと引き継いできているわけであります。、人の一生が100年としますと、 やはり最低でも10年、場合によっては30年40年という長期の研究体制がどうしても必要 だと思うわけであります。  それではこれから16年度の事業について資料2−1−3を使って御説明をさせていた だきます。最初の1枚目が重点調査研究業務というスライドにまとまっておりますが、 大きく三つありまして、一番上が健康増進に関すること、つまり食事と運動でいかに健 康を保つか、疾病予防に、一次予防につながるかということになります。  それから二段目が栄養疫学に関することでありまして、国民健康・栄養調査、健康日 本21と、永年のモニタリング、サーベイランスのデータをもとにいろいろな研究をし ている。  それから三つ目が食品保健に関することでありまして、これは下の方に健康増進法に 基づく業務と書いてある一番下の行が特別用途表示の強化等に係る試験等というのがあ りますが、栄養改善法で病床栄養食品とか、最近でいいますと特定機能性食品等々、い ろいろな食品のカテゴリーが出てきておりますので、包括的に食品保健的なこととして 研究しております。  それから昔の人頭研究費に相当するものを全部プールしまして、基盤的研究業務とい うので、いろいろ基礎栄養学的なこと、あるいはその他萌芽的な研究、奨励研究等々に 重点的に回す。この中にはゲノムに関すること、メタボロームに関すること、代謝に関 すること等々が入っております。  健康増進法というのは御存知のように2003年に健康日本21という国民健康づくりを 裏打ちする法律として制定されたものでありますが、その中に昭和21年から続いており ます国民健康・栄養調査の集計業務、これは実際には集計解析包括的にいろいろ計画も 含めてかなりお手伝いしているものであります。こういったようなことが16年度に遂行 した業務ということです。  次のページですが、上の図だけ追加でお話をさせていただきたいと思いますが、私ど もの研究所は日本で唯一の健康・栄養に関する国立の研究所であるわけでありますか ら、どなたも対象とする範囲が非常に広くて、民間企業から大学、研究所、病院、海 外、自治体、厚生労働省、職能的なものと、広くまたがっております。ですから研究員 全体で35名と非常に小さな研究所ですが、ネットワーク型にそれぞれの得意とするとこ ろをうまく進行させたいという方針でやっております。四つの大きな目標として人材育 成、これは特に日本において管理栄養士の期待業務がだんだんふえてきておりまして、 それを生涯教育などを通じていかに優秀な人材を育てていくか、後ほど吉池から話させ ていただきますが、NR制度の制定などはこれに入ります。  それから図の左側にあたりますのは、産官学連携、これは特に機能性食品の分野で食 品業界とかなりおつきあいがありますが、特に食品表示に関しましては、今後ずいぶん 改善していただかないと消費者にとって非常にわかりにくい面がありましす。これはコ ーデックス委員会等の国際歩調のもとにつめていきたいと思います。  それから下の方に位置するのは国民の健康づくりということでありまして、健康づく りイコール疾病予防、つまり一次予防ということになりますので、ここはますます強化 しないといけないというふうに考えております。  それから右側にあたりますのが、国際協力、海外協力になるわけでありまして、これ は16年度からずっと交渉を続けてきましたWHOの協力センターが今年度は締結しそう であります。それから東南アジア諸国との二国間契約みたいな形で栄養調査をお手伝い する。あるいはこれも16年度から続いた話でありますが、日米医学の中にニュートリジ ョンパネルをきちっともう一度再建しようというような話も進んでおります。それで全 体としましては、国際的レベルの研究所に何とか育てたい、ますます発展させたいとい うように一同考えております。それから個別のことにつきましては主幹の方から御説明 をさせていただきます。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御質問等はございま すでしょうか。よろしゅうございますか。               (個別項目1〜4の評価) ○田村部会長  それでは第1グループの評価シート右下の項目番号が1〜4までの実績について御説 明をお願いしたいと思います。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  研究企画評価主幹の吉池でございます。これからの説明は私の方からさせていただき ます。資料の確認ですが、資料の一番最初に資料の一覧表がございます。その下に資料 番号2−1−1とございますのが、16年度事業報告書です。これが正式な報告というこ とになるかと思います。本日御評価いただきますのは、資料2−3ですが、そこにA3 の評価シートを入れさせていただいております。  これも毎年のことではございますが、もう一度確認をさせていただきますと、表紙1 枚おめくりいただくと、ページが2カ所にふってございます。中央が1となっておりま して、右端が1−1です。中央のページが通し番号のページでございまして、右側がそ の項目番号の1のうちの1ページという意味です。今回御説明する時には中央のページ 番号の通し番号をごらんいただきたいと思います。右側に業務の実績を書かせていただ いて、その紙の2ページ目になります。その下のところに自己評定と理由、特記事項を 書かせていただいております。そういう構造でございますので、この中央のページ番号 をごらんいただきながら、説明の方は時間を節約するためにパワーポイント等を使いな がら御説明を申し上げたいと思います。  それでは先程理事長から御説明を申し上げましたスライドの下でございます。個別項 目について四つのブロックがありまして、水色、黄色、ピンク、緑のこの順番で御説明 をしていきます。またここのページというのは先程の評価シートの中央のナンバリング のページと対応するものでございます。それでは具体的な説明に入らせていただきま す。  1.業務運営の効率化(1)の効率的な業務運営体制の確立ということでございま す。これは独法化以来もう既に4年目ですが、プロジェクトチームによる研究業務の推 進、その仕組みはかなり板について順調に業務が進んでいるということでございます。 さらに先程理事長から申しましたが、何分小規模な研究所でございますので、いかに外 とのネットワークを作るのか、それによって自分たちのパワーアップを図ろうというこ とを組織運営ととしてもやってきたわけでございます。  そういう意味で国際産学共同研究センターであり、さらに平成16年度は民間からの寄 付を得て、寄付研究部門をたということが一つ大きなポイントでございます。またお茶 の水女子大学と連携大学、大学院 ・これも当方の研究所としては初めてのことでござ います。また他の大学との連携大学院も17年度に実を結んでいるところでございます。  その下のところに寄付研究部の設立と書いてございますが、ある食品メーカーから1 年間3,000万円の寄付をいただきまして、5年間のお約束で昨年度から開始したもので ございます。部長職は1名企業からの派遣ということになってございますが、研究費の 中で特別研究員2名を雇用いたしまして、まさに企業の強みと研究所の強みを活かした 応用研究ということで行っています。特徴としては、ただ単に食品の研究という意味で は企業の中でもできることであり、そうでなくて我々のところでやるというのは、運動 に関連した研究や人を対象としたいろいろなフィールド調査実験ができるという強みが あります。そこにございますように、ウォーキング大会、そういうようなフィールドも 得ながら新たな研究の展開を図っていると言うことでございます。  その次のページをお開きいただきたいと思います。研究員の採用ですが、これは常々 任期付きの研究員の採用による流動化ということが大きな問題となってございます。今 回、平成13、14、15、16年と実績が書いてございますが、若手型の主に3年間で雇用し た研究員が任期満了ということがございまして、これまで都合5名についてどうするか という判断を迫られたわけです。結果としては1名を任期を付さないポストへの任用と いうことになったものでございます。その他の方々も他の研究機関、国内の就職、国外 の留学等それぞれの道を歩んでいただいております。そういうことでかなり流動化、新 たな中期計画を見据えた人事の計画であり、組織づくりができていると思っておりま す。  以上が第一枠の説明でございますが、評価シートをごらんいただきたいと思います。 2ページ目、自己評定Sをつけさせていただいております。これは組織運営については 独法化4年間一生懸命やってきた、その上にさらに寄付研究部門を作ることができたと いう、当初の予想よりもはるかに上回る組織づくりだろうと判断をしまして、S評価と させていただいております。以上が一番目の項目の説明でございます。  次は二番目の枠で、評価シートは4ページ目になります。パワーポイントは2の内部 進行管理の充実です。これにつきましては従前よりの形が整い、さらに軌道に乗ってき たところでございます。研究内部での評価というのは、我々はむしろなるべく大きな負 担をかけないということで、年度最後の報告会と点数づけの評価の他は点数づけによる 細かい評価はしてございません。  ただし、その中間報告会、秋に内部研究業務報告会、委員会でやりますが、そこでは 点数をつけるということではなく、外部評価委員会や本評価委員会でいろいろ先生方か ら御指摘をいただいたことをふまえて、どう展開するかという議論をしっかりしようと いうことで、中間報告会を行ってておるところでございます。そういう意味でこれもず いぶん軌道に乗ってきたかなと思っております。  またその右側のページの上をごらんいただきたいと思います。独法ですので運営費交 付金による業務というのが中心になりますが、後ほど財務のところで御説明しますよう に、交付金以外の研究業務が相対的に多くなっています。そうした時にそれらと交付金 業務のバランスをどうとるかというのも進行管理上大事になってきます。そういう意味 でそこは細かいデータというよりは、私ども次期中期計画に向けてどう組織対応を構築 していくかという、ある意味では悩みのところでもございます。  赤が研究費の実際の執行額の折れ線グラフ、青と水色の棒がいわゆる競争的資金、受 託研究等の件数を研究部門別に表したものでございます。研究部も基本的にプロジェク ト方式にしたわけですが、組織としてはまだ残っています。そこの中に人員が書いてあ るのですが、その眼目といたしましては、こういう縦割り組織で整理をしてみるとずい ぶんアクティビティに差があるということでございます。今までは交付金の業務を中心 にマネジメントをしてきたわけですが、これらの結果として現れている凹凸を加味しな がら次期中期計画に向けて組織構想を今新理事長が考えているというところです。この 辺のところの管理、いい意味での自由度をもったマネジメントということを今検討して いるというところでございます。  その下でございますが、内部進行管理の充実として、個人評価でございます。これも 従前より行っておりまして、研究職員35名という小さな所帯ですので、自己評価、客観 的なデータを整理をした上で、理事長が全員に面接をするということを行っておりま す。この時の大事なこととしては、研究者それぞれの組織の中で役割が違いますので、 エフォートによる重みづけというとと、もう一つは仮に組織対応を考えた時に部長がい て、その下の部員がいてといった時に、その関係において双方向の評価をしているとい うようなことでございます。  そういうことを昨年度も続けていたということでございますが、これから考えていか なければいけない一つの課題としては、赤で2カ所書いてあるところでございます。平 成17年度は次期中期計画を見据えた本格的な検討を評価のシステムにしなければいけな いということ。あと一番大きな問題は給与等への反映に関しては、次期中期計画におけ る検討課題ということで、まだそこまでは我々は踏みこんでいないところでございま す。ただし、給与面の処遇まではいっておりませんが、実際の研究費の内部での配分で すとか、あるいは研究スペースの配分、またマンパワーの配分等はこれらの評価結果等 を参考にしながら行っているところでございます。  次のページの上です。評価についてですが、なるべく効率よく行いたい、できるだけ 評価疲れにならないようにという工夫として、業績登録システムをホームページ上作り まして、一回入れると個人業績評価にも使える、ホームページにも公開できる、研究所 年報にも出せる、評価委員会の資料ができるという、そういう多目的のデータベースに し、少しずつ進化をさせているわけでございますし、またこれらのデータについては研 究所内のホームページで常勤の研究職はパスワードでお互いのリストが見ることができ るようにしておりますので、いい刺激にもなっているわけでございます。  これらのことをふまえまして評価シートにお戻りいただきますと4ページ目、自己評 定Aということで、いい評価システムあるいは管理状況になってきて、軌道に乗ってい るのだろうと思っているところでございます。  さて評価シートは7ページ目になります。3番目の項目ですが、業務運営の効率化に 伴う経費の節減ということで、二面性がございまして、経費の節減と次のページの上に は交付金以外の収入の確保ということでございます。経費の節減につきましては、私ど もの研究所の特殊な事情で独自の土地建物を有しないということで、例えば清掃などの 外部委託がなかったり、高熱水料等の切り分けがコスト計算上非常に難しいということ があって、なかなか具体的な数値としてお示ししにくいという状況がございました。  それを少し工夫、努力をいたしまして、そこにあげさせていただいているように、機 関紙「健康栄養ニュース」の電子配信による費用は、15年度は435万円だったものが、 138万円になったとか、あるいは一般公開セミナーに関わる広報費も180万から38万と大 幅に軽減したにも関わらず、御来場の方は非常に多くをお呼びすることができたという ことでございます。小さなことですが、こういう形での数値を出す努力はしてございま す。  またもう少し考えると、経費を切り詰めるということもさることながら、真ん中の緑 で囲ったところに書いてございますが、業務の適正な人員を含む資源の配分というこ と、要するにコストパフォーマンスを考えれば、パフォーマンスを上げていこうという 基本的な考え方でございますので、そのパフォーマンスがどれだけ上がったかについて はまた後ほど御説明をいたしたいと思います。そのためのマネジメント上の努力を最大 限したということでございます。また、研究施設設備の相互利用ということで、プール の一般開放をしたところでございます。これによって施設の維持管理費等をようやく確 保し、総合的には効率化を図ることができたということでございます。  その次は運営費交付金以外の収入の確保です。水色の棒グラフが金額でございます。 赤が件数です。金額からいうと3億3,000万円、件数からいうと80件ということで、ど ちらかというと今まで金額ベースでいうと右肩上がりにいってきたわけですが、その前 年度15年度がかなり大型の受託がありやや特殊だったとも考えられ、そろそろ落ち着き どころかもしれないというのが、この3億3,000万円ではないかと思っております。  これは目標額2億円とたてておりますので、当初の目標額を上回る額ではあります。 現状では交付金での仕事と、それ以外の仕事のバランスという意味ではいいところでは ないかと思っております。その内訳等については最後の方の項目でまた説明をいたしま す。以上が効率化ということでございますが、評価シートでは自己評価Aということで つけさせていただいております。特に自己収入という意味では前年度と比べると下がっ ておりますが、当初の目標はかなり上回っていると考えているところでございます。  次は評価シートの8ページ目です。先程も少し説明をしかけたところですが、施設等 の利用規定を16年3月に作ったことの御案内を昨年のこの委員会でさせていただきまし た。私どもの施設には、プールやその他の運動施設があるのですが、近くの住民の方に 自由に来てくださいということでは基本的にはございません。あくまでも健康づくりを 進める団体があって、その団体に開放し、うまくマネジメントをして多くの方に利用し ていただく形をとっており個別に集めてということではございません。  こうすることによって、我々がそういう健康づくりを進める団体と直接いろいろなお つきあいができるというメリットがござます。そういう団体といろいろ話をしてみる と、ただプールを使うだけではなくて、健康づくりに資する研究に協力したいというこ とが出ております。そういう意味で単に値決めをして使っていただくということではな く、研究と健康づくり実践の両立を兼ねられていると思っています。  平成16年実績は、プールの延べ使用472回、6,008名の方に御利用いただきまして、69 万円の収入ということでございます。1回あたりの利用料金は消費税を入れて210円で ございます。研究に参加していただくと、これがまた半額になるということですが、こ ういうことで施設の有効活用と研究の充実を図っています。これらの収入については、 施設の質を保つための一管理費等にあてさせていただいています。  以上、8ページ目の評価シートに戻っていただきますと、自己評価としては新たな第 一歩を踏み出したということでA評定をさせていただいております。以上でございま す。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御質問等をいただきたいと 思いますが、いかがでしょうか。 ○岩渕委員  自己評価と、実際の最終的な評価との落差というのはどのぐらいあるものなのかとい うこと、それともう一つは任期制の場合、例えば相互にみんなそれぞれの評価がわかる システムになっているようですので、落ちこぼれというと何ですが、評価の低い任期制 の人というのはモチベーションを維持するのは結構大変だろうなというふうな感じを受 けるのですが、そのあたりは何か工夫をしてらっしゃるんですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  まず第一点目について自己評価と先生方からいただく評価についてですが、多分に特 に内部で一生懸命汗をかいている者にとっては、外から先生方が御判断をいただくより も、当初思っているよりも頑張っているといった気持が出ているということは否めない と思います。  またもう一つは、やはり国立研究所時代のことと比べると、我々はさらに頑張ってい るという思いの部分がありまして、多くの先生方にはもう当たり前だろうと思われるよ うなことでも、多少思いがあって自己評価が高くなっていることはお許しいただきたい ところもあります。  二点目ですが、いろいろな形でそれぞれの研究者のパフォーマンスが見れるようにな っておりますが、岩渕先生がおっしゃったことは、むしろ任期付きの方というよりは、 むしろ任期制のない、今パーマネントとなっている比較的古い方にあてはまることと思 います。任期付きの方はこれはどなたもものすごくやっておられます。任期のない者で なかなか実績も上がらないし、今おっしゃったようなことが危惧されるようなケースは ありますが、任期付きの方は基本的には大変よくやって、先生がおっしゃったようなこ とはないと思っております。 ○田村部会長  他にいかがでございましょうか。 ○市川委員  外部との連携というか、交流で寄付研究部門を作られたということで高く評価された というお話でしたが、たしかにそうだと思います。それで実際にまだできて短い時間な のでこれを聴くのも何ですが、実際の今の研究システムと研究所、今まで動いてきた体 制と、逆の寄付講座との間にどのような形で連携というのが具体的に現れているか。そ こで研究がなされているので、全体としてはアップしていることはよくわかりますが、 研究員同士特別の何かをするとか、あるいは発表会をするとか、何かするとか、そうい うような実際の形が現れるかどうか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  まず寄付研究部門ということに限って私の方から御説明をさせていただいて、もう少 し広いことを理事長の方から御説明をさせていただきたいと思います。寄付研究部とい うことについていえば、いわゆる食品科学というジャンルになります。そうした時に比 較的近い分野の所内の研究者とコラボレートをするということではなく、全く違う運動 生理学ですとか、そういう研究者と食品企業から派遣された部長さんがコラボレートし ているといことは、極めてお互い刺激をしあうことであると思っています。  しかも我々の発想の中には薄かった商品開発と言った側面については、スポーツ選 手、あるいは選手でなくてもスポーツ愛好家は、食べ物、栄養のことに興味をもってい るので、そういうニーズに向けて何か研究をしていこうという意識の高まりは、今回こ のような機会を得て高まったのではないかと思っております。 ○国立健康・栄養研究所理事長  寄付研究講座といいますと、とかく出てきた企業の人が研究テーマをもってきて、そ れをこちらと共同して実行するという形が多いですね。私はそういうのはあまり好まし くないと思いまして、少なくとも部長で派遣してくる人材もうちの部長レベルで一流の 研究者を、あるいは研究者になりたい意欲のある人を派遣して欲しいというのをお願い しました。 それからもう一つは、この人は企業から来ている部長だからとか、一切区 別をしておりません。他の部長と同じように研究発表もしてもらいますし、こちらも怒 る時はガミガミ言いますし、ですからそういう意味では寄付の研究費はもう事務の方に そのまま入る、それから派遣されてきた人、研究テーマについてはうちの研究所のアク ティビティの中で仕事をしていただくという体制をとっております。 ○田村部会長  それでは評価シートの御記入をいただきたいと思います。               (個別項目5〜11の評価) ○田村部会長  それでは次の第2グループ、評価シート5〜11の説明につきましてお願いしたいと思 います。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  ここで部会長にお願いをしたいのですが、これからの一枠が研究の中身の説明になり ます。20分という枠ですが、ここを少し時間を長くとらせていただいて、その分後ろの 方を簡単にさせていただくということをお許しいただけますでしょうか。 ○田村部会長  よろしゅうございますでしょうか。それではトータルで合わせるということでよろし く御協力をお願いいたします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  それでは評価シート9ページです。パワーポイントの方は8ページの社会ニーズの把 握ということでございます。ここについてはいろいろな関連団体と意見交換会をすると いうことが基本的な目標となっております。当然関連の職能団体、学術団体等とは意見 交換を行っているわけでございますが、今回、特にその健康食品に関して、学術面だけ でなく、また厚生労働省の範囲だけではなくて、消費者よりのことの勉強をしないとい けないだろうということで、一番上にあげさせていただいております独立行政法人国民 生活センターと意見交換会をさせていただいております。  また、そういう観点から後ほど御説明をする健康食品に関連したことでも、公正取引 委員会からの仕事も少しさせていただいています。いわゆるリスクコミュニケーション の部分を力を入れ、それによってなるべく社会ニーズに応えていこうと考えておりま す。こういう意見交換会を4年間行って参りまして、具体的にお茶の水女子大学と連携 大学・大学院を発足、これは意見交換会の賜物でござます。また職能団体、栄養士会さ ん等とは何度か行っておりまして、具体的な研修への協力等につながって、具体的な成 果もずいぶん出てきているところでございます。  41ページをごらんいただきたいと思います。NRについては、これは行政的な対応で もあり、しかも社会的ニーズへの対応ということで、両面にかかるのですが、評価上は 社会的ニーズの把握のところで御評価いただくということでございますので、パワーポ イントの資料は41ページというところをご覧いただきたいと思います。  NRということについては、健康食品がいろいろ氾濫する中、正しい情報を伝える人 が社会にいなければいけないと、平成14年の厚生労働省の通知でその考え方が示され て、それに対応する形で私どもの研究所が独自につくった制度でございます。先生方に はもうすでに何度かいろいろ御議論,また御助言をいただいているところでございます が、下の図をごらんください。今回初めての先生方もおられますので、少し説明をさせ ていただきます。  基本的にこの仕組みの特徴としては、私どもは直接養成はしないということです。実 際の養成をするのは職能団体であったり、学校関連であったり、民間企業であったり、 様々でございます。我々はそういう養成講座に対してきちんとしたカリキュラムを提示 する、また質を担保するために、その養成講座の指定をするということでございます。  実際の試験は「NR認定試験」というのが本試験でございます。この本試験は例えば 管理栄養士・栄養士・薬剤師・医師といった医学系、生物科学系を卒業した人はそのま ま本試験を受けられるわけですが、そうではない方は受験資格を得るために、確認試験 を受けていただくという二段構えになってございます。  いずれにしてもこのような仕組みを作りまして、平成16年5月に第1回目の本試験を 行いました。受験者数は667名、合格者が422名、合格率が約6割ということで、初めて 404名の人たちを世に送り出しました。NR第1期生はほぼ都道府県に広がっています し、これらの方に技術的なフォローをするために研修会を開催したり、ホームページ等 での情報提供をしているというところでございます。これらについては新聞等でも取り 上げられ、健康食品にかかわるリスクコミュニケーションを考える上でなくてはならな い存在に早くしていきたいと考えているところでございます。ここの部分は一部行政対 応でございますが、今の社会的ニーズの把握のところで御説明をさせていただきまし た。  それではまたパワーポイントの9ページにお戻りください。今御説明したようなこと が評価シートの9ページになります。このように意見交換会を行い、またNR等の制度 をスタートさせました。実績としてはこれからのところもございますが、より前に進ん だということで評価をつけさせていただいております。  続きまして研究の中身についての御説明をさせていただきます。先生方のお手許の資 料でピンク色の本がございます。これが重点調査研究、基盤的研究を行った報告でござ います。結果として年々厚くなっているというのは、たくさん文字を書いているという ことではなくて、原著論文としてたくさんのものが出た、その結果厚くなっているとい うことでございます。  冒頭に理事長から御説明をしましたが、我々研究者として世界的に見ても質の高い研 究をするということを第一でやっております。ただし、好き勝手な研究をすればいいと うことではなく、特に厚生労働行政に役に立ち、さらには国民の皆さんの健康の増進に 役に立つことという視点でやっております。そういう意味で近頃エビデンスベーストメ ディスンと言われているような、そういうエビデンスを作るに足る研究をしっかりやっ ていこうとしています。  個々のことは報告書で説明していると時間がございませんので、そこはパワーポイン トでお話をさせていただきます。先程のところに戻りまして、8ページ目の6番のとこ ろですが、重点調査研究業務の1です。これは理事長の方からも話がありましたが、食 事摂取基準というのは、これは厚生労働行政上、また研究所にとっても非常に大事なも のでございます。その改定のために昨年度はずいぶん頑張ったと思っております。いく つか言葉で書いてありますが、最終的には赤で書いてある日本人の食事摂取基準に活用 されるということが大事なところでございます。  9ページの上のところに5年間の流れが書いてございます。16年度が少し赤になって おりますが、15年度、この食事摂取基準を作るための文献レビューを重点的にやり、二 重標識水のプロジェクトを予算も注ぎ込み特に行いました、16年度はそのあとのまとめ 作業だったと御理解をいただきたいと思います。  また後ほど行政的な対応のところでもお話ししますが、実際にこの日本人の食事摂取 基準の報告書が16年度の我々の努力によって出たということでございます。その下は昨 年度のこの会でも御報告をいたしましたことではありますが、こういうのを作るのにあ たって文献レビューとして12,000の文献をしっかり読んで、昨年度の残りの作業をした わけでございます。  さらに次のページをお開きいただきたいと思います。二重標識水、これも何度か説明 をさせていただいております。昨年度は60代、70代の方々に対象者を広げて調査データ を集めました。大変コストのかかる調査でございますが、国際的にはこれがスタンダー ドになりつつあります。こういうようなフィールドでのデータ収集をいたしまして、身 体活動レベルを求めていく訳ですが、この点を一つ決めるために20万円とか30万円のお 金がかかっているわけです。これはかけがえのないデータであると思っております。  このような我々の調査データが右ページにございます。表3、表4は、これが食事摂 取基準の厚生労働省から出された報告書をそのままとってきたもので、黄色い部分が今 回の研究によって得られたものでございます。たった数行のものではございますが、こ れをきちんと得るというのは栄養学にとって非常に大事なことでございますし、その結 果、最終的にはシンプルなのですが、11ページの下にあるような身体活動レベルにみた 活動内容とその活動時間の代表例のまとめをするための基準データをしっかりとってき ました。  12ページをお開きください。このプロジェクトでヒューマンカロリーメーターとい う、ワンルームマンションみたいなところに入っていただいて、エネルギー代謝の測定 をする機械がございます。これを用いまして、実験的というよりは、いろいろな調査、 また食事摂取基準等の評価で使える簡単な身体活動レベルのアンケートができないかと いう検討をいたしました。その下にあるような簡単な生活活動記録を一つの方法とした 場合、こういう記録でどこまで精度を高められるかということが課題となります。  一方で右の上にあるようにIDEEAという機械がありまして、その機械を装着して エネルギー消費量を比べ二つのメソッドを比べた結果がその下でございます。左が活動 記録法、右がIDEEAと、残念ながら活動記録法では個人差を検出することができな いという問題点が明らかになりまして、これは5年後になりますが、「日本人の食事摂 取基準2010年版」においてはもう少しいろいろなことを考えなければいけない、ところ まで明らかにできました。  14ページをごらんください。本プロジェクトに関する学会論文等の発表をリストアッ プしたものでございます。以上が一番目の重点調査研究業務として、実際に研究の成果 が厚生労働行政上、非常に重要なガイドラインである食事摂取基準に反映されたという ことで、自己評価Aをつけさせていただいております。  その次が重点調査研究業務の2番目です。評価シートはその次の11ページということ になります。国民健康・栄養調査の高度化システムに関する調査研究でございます。こ こでは課題を三つあげさせていただいておりますが、調査そのものをいかに効率的に行 っていくのか、特に食事調査というのは非常に煩雑かつ、大量のデータを扱いますの で、そのデータ処理及び解析の効率化、精度向上ということでございます。  また、データをより活用するためにはソフト的には都道府県等の技術的支援、これは 後ほど申します「健康日本21」という厚生労働省の健康づくり施策における重要ポイン トが都道府県にあり、その評価に全面的に関わっていこうと、こういう課題をあげてご ざいます。  15ページの上のところがこの5カ年の中期計画のスケジュールを表しているものでご ざいます。平成15年度をもってコンピュータシステム自体は開発が予定通り完了をし て、その後システムの維持、また一部更新をしているところでございます。さらにいろ いろな意味でのソフト的な対応をしています。  そのシステムでございますが、下にあるように、コンピュータプログラム、ウインド ウズのプログラムなわけですが、肉、じゃがいも、タマネギだといったものをいかに効 率よく処理し、データの解析をするかというような課題でございます。  次のページをお開きください。左側の上下にはこういう食事の調査が、いかに細かい データを集めるかということを示したものです。栄養士、管理栄養士の方がこういう食 品、1,000も2,000もあるものに対応していただいて、上にあるような87ページのマニュ アル、下の食品番号表が81ページ、こういうものを読み砕いてしっかり調査をして、初 めて国民の皆さんが食べているものの姿が明らかになるということです。  こういう技術的な準備対応もしているわけでございますが、昨年度の大きな点として は、いままで食品成分表はある意味では食料資源をとらえるという観点から作られてい ますので、人工的にいろいろなものが加えられた食品はあまりカバーしていません。い わゆるサプリメント的なもの、強化されている食品をとらえていこうということを15年 度から行っておりまして、昨年度解析を行いまして、いよいよ結果を出すことができま した。  17ページの下は細かい表ですが、今までであればカルシウムなどは、一般食品からの 摂取量しか押さえられてなかったのが、強化された栄養素あるいは補助食品からの摂取 量について区別して出せるようになりました。単純に見えるかもしれませんが、いろい ろな工夫や努力の結果でございます。  次のページです。上のところが厚生労働省から発表された概要でございます。ビタミ ンBなどは驚くべきことですが、補助食品からとられているものは、一般食品からの量 の10倍以上がそこからとられています。今まで通常の栄養調査ではここが押さえられて なかったことが、明らかにすることができました。  課題2としては、データの活用でございますが、特に昨年度は過去からのデータの蓄 積についての実績がございます。右のページをごらんいただくと、ホームページの絵が ありますが、1947年から国民栄養調査としてのデータを全てPDF化しています。また 重要な表についてはエクセルデータとしてホームページに公開して、いろいろな形での データ利用を可能にしました。下にその続きの絵がございます。上がそのエクセル表の 大きなものでございます。年度別のシートにタブをつけて、串さし解析等もできるよう な形にしてございます。  課題3でございます。都道府県への技術的支援、いろいろな県といろいろな形でおつ きあいをしています。特に健康日本21の評価という点ではいろいろな御要望をいただ きました。また変わったこととしては、新潟県の震災後の仮設住宅の栄養調査に関し て、我々が蓄積したノウハウをお分けをして、調査の支援をしました。今年の公衆衛生 学会で発表させていただく予定としております。  また21ページの上ですが、行政の栄養士の方を対象として公開セミナーを行いまし た。事前登録102名の方の参加を得て、データをいかに活用していくかというセミナー が盛況のうちに終りました。また研究論文としても21ページの下にあるような、学会発 表、論文等を出させていただいております。以上が重点調査研究の二番目でございま す。このようにより新しいニーズに対応することができたということで、自己評価Sを つけさせていただいております。  次は評価シート12ページをごらんいただきたいと思います。パワーポイントは8番目 で、食品成分の健康影響の評価に関する調査研究でございます。これはダイエット食 品、ガルシニア、シトラスアウロンチウム、脂質代謝のメルロートその他について安全 性や有効性を動物実験で見ていjyにびでございます。主な成果はその下に書かせてい ただいているところでございますが、これらについてニーズの高いものを調査をして、 一つずつ実験をして、エビデンスを公表し、また様々な施策につなげていくことを、 1.5年をワンクールとして行っております。  いくつかの例を簡単に申します。右の上でございます。肥満抑制を標榜する、いわゆ るダイエット食品の有効性及び安全性評価ということでございます。ガルシニアという ものをとると精巣毒性が発現するというのは私どもが見い出したわけでございますが、 そのメカニズムや、どういう条件で毒性が発現されるのかということを条件を変えて実 験を行いました。  具体的には対象動物を幼弱ラットから成熟ラットに換えて、メスでの影響を調べまし た。詳細は飛ばさせていただきますが、次のページで、結果のまとめとして長期で摂取 し続けると成熟ラットにおいても、精巣全体に影響が出る可能性が示唆されたというこ とです。この知見も非常に重要なわけですが、研究論文としてかなり発表できるように なったということも、学問上非常に重要ななことであろうと思っています。  その下がいわゆる健康食品と医薬品との相互作用に関する研究です。これはイメージ としては高齢の方が降圧薬や、いろんな薬を飲んでいる、さらに健康食品もいろいろお 飲みになっていますが交互作用についてはほとんど何の検証もされていません。そこ で、ウコン等、肝臓の薬物代謝の関係を見ていくような研究をしているところでござい ます。  結果のまとめですが、結論としては悪さはしない、むしろ抗酸化作用による肝保護作 用がウコンの成分であるクルクミンにあるのではないかと思われます。動物実験レベル ですが、論文も多く出すことができました。また健康食品素材中のアレルギー誘発物質 について、免疫化学的な微量定量の系を作り測定をし、いくつか新しい知見を得たもの でございます。  これらの研究成果が次のページに、ホームページの絵を三つつけておりますが、専門 家向けにきちんと発信をしていくことと、もう一つは一般向けにも説明をしています。 右上などはガルシニアについてですが、肥満についてもわかりやすく解説しています。 こんなような画面で情報提供をしていくということをやっております。何よりも論文が 昨年度はたくさん出ましたが、これらは多くがネガティブデータでした。  何も影響がないというのはなかなか論文としては採択されにくいのですが、エビデン スという点からは、ネガティブデータを後できちんと引用できるように残すというのは 非常に大事なのです。 そういう意味で我々の数年間の努力がようやく実が結びつつあ ると考えているところでございます。これらのことを総合しまして評価シートの方では 自己評点Aとつけさせていただいております。今は12ページでございます。  次の基盤的研究ですが、評価シートは13、14、15ページの3枚にまたがってございま す。先生方に御評点をいただくのは評価シートの15ページ目ということです。パワーポ イントは1ページおめくりをいただきたいのですが、ここで基盤的研究業務ということ で、四つ当初から行っているもの、二つは新規ということであげさせていただいており ます。時間の関係から1、3番と新規のものに限って簡単に説明をさせていただきま す。  まず1番の創造的特別基礎奨励研究については、パワーポイントの下にあるもので す。これは所内で競争的に研究費を配布するのですが、15課題から7課題を採択しま す。約3,000万の原資で各課題について、200万から700万と、評価点によって大きなメ リハリをつけています。それらでいろいろな研究が進んできているわけですが、ここ 2〜3年は特に運動関係や糖尿病を中心とした生活習慣病予防に関する応用的研究、 またそのメカニズムに迫る基礎的な研究が多く行われるようになってきております。  その例が29ページの上にございますように、ヒトを対象として運動生理学的な形で実 験調査をしています。運動している人、してない人で頸動脈の動脈の硬さがどうかとい うようなことを明らかにしていくものです。地道なものでありますが、世界で初めてき ちんと示すことができたデータです。  また29ページの下ですが、非常におもしろい発想と思いますが、運動すると何で糖尿 病が予防できるのかのメカニズムのは不明な点がまだ多くあります。そうした時に何で 運動療法がいいのかということを分子生物学的にいくつかポイントを設定して、見てい こうというような研究でございます。人を対象とした研究とメカニズムの研究につい て、それぞれの専門の研究者が交流しながら行っていけるというのは我々の大きなメリ ットと思っております。  その次のページですが、これも膵臓のデータ細胞云々と書いてございます。これも日 本人がどうも西洋人から比べると、同じ油分をとっても糖尿病に弱いのではないか、そ の原因として一膵のベータ細胞に何か謎があるのではないか、そういうものに迫ろうと いうことで、これも世界的に最先端の研究であると自負しております。  下にございますように論文もたくさん出ているわけですが、たとえば論文の一番上に あるジャーナル・オブ・サーキュレーションというのは、インパクトファクター11で す。こういう一流誌も含めて論文を出すことができております。またジャーナル・オブ ・バイオケミストリー、これは6〜7ぐらいですが、これも数本出しております。また 31ページの上ですが、これらの基礎研究から特許につながるようなことも進んできてお り、まだ出願の段階ですが、昨年度はこの関連の研究から二つ出すことができました。 これが基盤研究の一番目です。  次が基盤研究の三番目で、ホームページ等を通じた情報発信、これも研究として正面 から取り組んでいるところです。いくつか書いてありますが、その次のページをごらん いただきたいと思います。上に急激なアクセス増加への対処ということで、2004年の7 月にある事件が起こりまして、急にアクセス数が増加してサーバーがダウンしました。 これは2カ月ほどだったのですが、その後もアクセスは倍以上になっており、これらに 対して急遽に対応をしたということです。先程の健康日本21の地方計画については、デ ータベースを構築し、右側のページにございますように、ホームページから各県、市町 村でどんな目標値でどうなっているかというのがワンクリックで一目瞭然に見れるよう になっております。これは健康日本21において2005年中間評価の年であり、県、市町村 等でデータの検討をする、そういう時の有用なデータベースとして活用できるのではな いかと思っています。  その次のページですが、キッズページの開発ということです。まさに食育基本法が施 行されたばかりでございます。それらとのつながりが期待されるものでございます。  また基盤的研究はもう一つ御紹介させていただきますと、健康食品等の安全性情報ネ ットワークということで、これも正面から取り組み、有効性だけではなくて、安全性に 関するリスクコミュニケーションとして展開しています。  35ページの上にございますように、基本的に消費者に対して直接ということだけでは なくて、むしろ現場の専門職、例えば管理栄養士や薬剤師等を通じてというものであ り、NRの発想もそうです。そうした時に35ページの下にありますように伝達方法1と して、消費者に対して直接的な情報提供、また専門職を介してというスキームでやって いるところでございます。  その次のページですが、そういう意味で専門職の御協力がないと困るのですが,幸い このネット会員に登録していただいた専門職が4,000名を超えました。1年前は1,310人 でしたから、3倍以上増加をしているということでございます。  右側にあるような形でホームページにおいて情報提供をさせていただいております が、特に素材情報、先程のウコンであればクルクミンということになりますが、そうい うことについてきちんとした情報を提供していくものです。これはメーカーにはおそら く期待ができにくい部分だろうと思っております。  次のページの左側はアクセス件数の増加ということですが、サイトを昨年7月14日に 公開して、先程ご説明したアクセスが急に上がってパンクをしたというのがこのおかげ です。このような形で多くの方にごらんをいただいているということでございます。  基盤的研究については、基礎研究からこういうニーズにあった応用研究というか、そ ういう取り組みを幅広くしっかり行っているということで、自己評点Sをつけさせてい ただいております。15ページでございます。  最後になりますが、39ページです。健康増進法に基づく業務ということです。評価シ ートは17ページです。国民健康調査は先程御案内したように非常に大規模なものでござ います。39ページの下にございますように、調査に必要なマニュアルや調査票だけでも これだけあります。昨年度11,630人分について解析をしたわけでございますが、理事長 から冒頭に御挨拶を申し上げたように、15年に健康増進法となりまして、調査がガラッ と変わり、拡大しました。拡大した調査内容項目にも関わらず、それ以前と変わらず8 月に集計データを厚生労働省に提供したということです。また個人情報保護の観点から も十分な対応を行ったところでございます。  次のページです。その結果は国民栄養の現状という、200ページほどの分厚い報告書 です。毎年こういう形で報告されます。また健康増進法に基づく業務としては、食品の 分析等の業務がございます。それについては目標としては、お受けしてから2ヶ月以内 に分析をしてお返しをするということが目標としてあがっております。  グラフをごらんいただくとおわかりになる通り、赤の折れ線については、この2カ月 以内の目標値ですが、99%まで達しました。青の絶対数ですが、88とやや減っているの は、これは16年度から健康増進法が改正されまして、それまでは私どもの研究機関の独 占業務であったのが他の機関にも開放され、他も行うようになったということです。逆 に言えばまだ多くの方々がうちの方を御利用いただいているということになるかと思い ます。これらのことをふまえますと、評価シート17ページでは自己評点Aとさせていた だいております。  もう一つ行政課題の対応という事について私どもは一つ付け加えてございます。評価 シート18ページをごらんいただきたいと思います。先程NRの方は御説明をいたしまし たので、パワーポイントの42です。いくつかポイントがございますが、何よりも下に絵 がございますように、「日本人の食事摂取基準」を出すことができました。検討会に委 員5名、座長1名、ワーキンググループに8名が参画をしましたし、あとで御紹介しま すが、厚生労働省と共催で研修会を全国8カ所で行いました。約3,400人の参加があり ました。また今健康日本21でも御案内しているように、いろいろな取り組みをしっかり やっています。また食品保健、安全の分野でもいろいろな形での取り組みをやっていま す。  赤の字でありますが、公正取引委員会からの依頼がございまして、社会的に大きな問 題の健康食品について、委員会から依頼を受けて、効能等を科学的に分析報告をしたこ とも昨年度対応したものの一つでございます。  また、各種検討委員会は、局もいろいろなところをまたがっておりまして、厚生労働 省の健康局、医薬食品局、雇用均等児童家庭局、老健局と四つの局にまたがって委員を 出し、延べ36人ほどの委員を出しているということで行政対応もさせていただいており ます。  以上のようなことから18ページにございますが、昨年度特に我々としては頑張ったと いうことで、自己評定Sをつけさせていただいております。大変長くなって恐縮です。 以上で説明を終わりにさせていただきます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問等をいただきたいと思い ます。 ○清水委員  NR認定試験についてお伺いしたいのですが、評価シートの9ページで、16年度年度 計画の欄のところに、平成14年に創設したというふうな記述があるのですが、これは特 に法律、個別法などが変わったということではなくて、法人決定でやられたというふう なことをお聞きしていたように思うのですが、それはそういう理解でよろしいのでしょ うか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  そうです。そのようなことです。 ○清水委員  そしてこれは私はよくわからないのですが、類似の資格制度のようなものがあるのか どうかといった点、それについてお聞きしたいのと、あとは受験者が何百名かいらっし ゃったということが書いてあるのですが、どういう地理的な分布で、あるいは職業的に どういった方だったのかということをお伺いしたいと思います。  それから三点目としてパワーポイントの41ページの絵のところで、資格をとった後 も、多分これは継続的な研修制度というものがあるやに書いてあると思うのですが、こ れは義務づけがあって、それを終了しないと更新しないというような制度があるのかど うか、そういった点をお願いいたします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  まず先生方お手許の資料で資料(9)というのがございます。これは1枚紙でございま す。今の清水委員の御質問に答えるべく内容がそこに入ってございます。二番目の御質 問内容になるかと思いますが、職業別に見ますと、管理栄養士102名、栄養士20名、薬 剤師208名というのが有資格者でございます。その他、大学で生化学、保健学等を終了 したものが26名ということです。またその他48名で、いわゆる食品メーカー等で製造販 売に従事して、資格確認試験を受験して合格した方という、これらが合格者の内訳でご ざいます。薬剤師さんが結果としてはかなり多くなってございます。  全国的な広がりという点でも、そこにございますように、0の県もいくつかはござい ますが、多くの県に散らばっています。東京が一番多く61名ということです。また制度 的なことですが、これは名称独占ということで、それ以上でもそれ以下のものでもござ いません。結局これをどのように認知していただくということについては、当然我々独 法の方で独自でやっているものですから、国家資格等ということではない、ある意味で は一つの団体としてより公的な立場から制度を立ち上げて認定をしているものと考えて おります。  また三番目の御質問ですが、事後的な研修については、これは単位認定ということ で、やはり受けて合格しっぱなしではいけないだろう、きちんと新しい情報を掴んでい ただく必要があります。これは健康食品は本当に新しいものがどんどんできてきます し、いわゆる社会的なとらえ方も変わってくるので、そういう意味で資格取りっぱな し、免許差し上げっぱなしではいけないということで、単位を認定しながら、また更新 をしていくという形で進めております。 ○国立健康・栄養研究所理事長  追加させていただきますが、これは今年まだ2年目でありますし、まだ先行きどうな っていくかわからないところがあります。それでサプリメント業界の方と栄養士、ある いは薬剤師養成校の方とで協議会というのを作っておりまして、そこの理事の方々とお 話をしますと、やはり今サプリメント業界は非常に玉石混淆の状態ですので、このNR バッジをつけたような人が例えば薬局にいて、その人に聞けば正しい知識がわかると か、それからアカデミズムのレベルをもう少し高くするためには、学会も併置した方が いいのではないかとか、いろいろなことを検討している最中でありまして、いわゆる将 来的にはこのような人たちが優先的に、例えば企業で受けた人は1号俸上がるとか、そ ういうふうなインセンティブと結びつくような形で進めれば、うまくいけばいいと思っ ております。 ○清水委員  確認なんですが、そうしますと類似の資格はないということですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  先生の最初の質問を聞き逃したようです。これは元が厚生労働省から出た通知とし て、必ずしも国によらない、いわゆる民間等でこれらのアドバイザリースタッフを養成 していくということが出発点です。そういう意味では食品に関連した団体さんですと か、学会が関連したところでも類似の制度を立ち上げているところもございます。私ど もはその中の三つのうちの一つと考えているところでございます。他の団体さんは、自 分たちで養成もして、試験もしてというのが大体形でありまして、私どもはそこは切り 離しているということが一つの特徴だと思っております。 ○清水委員  今のお話は厚生労働省が通知を出して、それに従って団体が任意で制度を設けること ができるというふうなお話で、現実には他に2団体あるというふうなお話でよろしいん ですか。それから継続的研修制度については、これは一定の単位をとらなければ更新し ないということでよろしいわけですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  はい、そのようです。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。次は岩渕委員、どうぞ。 ○岩渕委員  一つは今の関連で、その団体がいくつもあって、いろんな資格が認定されるみたいな 感じになると、混乱が懸念されるといえば懸念されるわけで、そういったようなものは 統一する、将来的にそういう動きがあるのかどうか、もう一つは通知を出したか何だか 知らないですが、厚生労働省のスタンスがどういうものなのか、何か去年からずっとこ の話は話題になっているのですが、厚生労働省から一切発言がなくて、えらい冷たいん じゃないかなと思って懸念していたんですよ。僕等多分みんなそうですよ。そこのあた りのところもできれば役所の側からどんなふうに見ていたというのを、その話も聞きた いというのがまず一つあります。  それからそれとは全く直接関係ないのですが、健康日本21というのはたしかに大努力 をして時間をかけてやったことは事実でありますが、肝心の目標値が二つ多分欠けてい るんじゃないか。一つは言うまでもなく例のタバコですよね。これは政治問題で日本の 民度がこの程度としか言いようがないのですが、責任はないと思いますが、私の記憶違 いでなければ、食塩の摂取についても目標値としてはきちんと出てないような気がしま す。  出ていますか? ああ、出てますか。もう少しちゃんと取り組みが今回はちょっと食 塩が甘いんじゃないかなというふうに思っているのですが、そのあたりのとこをちょっ と教えてください。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  一番目のNRについて、まず私どもの立場から言うと、厚生労働省の通知を我々は真 摯に受け止めて、ワン・オブ・ゼムとしてやらせていただいているということで、厚生 労働省から直接何か指示を受けてということではございません。また、厚生労働省の立 場はまた御説明があるかもしれません。  二番目の健康日本21の食塩については目標値がございます。あれだけ大変な栄養調査 をするということの一つの意味合いとしては、あそこまでやらないと食塩摂取量がわか らないということがございます。幸い食塩については、他の肥満等の指標がむしろ増加 しているわけですが、食塩摂取量については順調に下がっているという大変好ましい結 果が出ております。 ○田村部会長  厚生労働省の方で先程のNRについての何かコメントはございますでしょうか。 ○厚生科学課研究企画官  本当に申しわけございませんが、これは医薬食品局の方で行っている事業の中でして いるものでして、現在その内容について持ち合わせておりませんので、私からはコメン トできません。 ○田村部会長  他には何かございますか。 ○鈴木委員  渡邊理事長は御挨拶の中で、栄養所要量といった栄養不足の時代に対応した思想か ら、食事摂取基準というような統計学的なバラツキを考慮にいれたガイドラインに変更 されました。これからは健康日本21や健康増進法にみるように、国民1人1人に健康づ くりに貢献できるような方法、いわばテーラーメード・ニュートリジョンにつながるよ うな科学的基盤が必要とされていますというふうに述べられています。先程、基盤的研 究の成果を拝聴しましたし、それからヒューマンカロリーメーターの実績もお話をいた だいたのですが、もう一つテーラーメード・ニュートリジョンにどうつながっていくの かというのが私には見えないのですが、理事長一言コメントをいただけませんでしょう か。 ○国立健康・栄養研究所理事長  その一番大きな理由は、私が今年の4月1日から理事長になったということでありま して、きょう御評価いただいておりますのは、平成16年度の実績ですのでこのようにな っております。それで次期中期計画では、例えば運動にしても、運動をやりなさいとい っても、一万歩歩きなさいとか、30分歩きなさいとか、本当に個別にどれだけ運動をす るのがいいのかというのは実はわかっていないのです。  それで今年度できるかどうかわかりませんが、次年度ではぜひ例えば肥満の人が運動 するとどうなるのかとか、インシュリンを使っている糖尿病の人が運動をするとどうな のかとか、そういった多少病的な状態も国際医療センターと組んで、あるいは他の大学 病院と組んで少し進めてみたいと思っております。 ○鈴木委員  私は健康日本21に根本的に欠けているのは、個別的な一次予防だと思うんですね。一 律の目標が掲げられている、本来は1人1人違うものですね。そのあたりのテーラーメ ード・ニュートリジョンをぜひこの研究所でお進めいただきたいと思います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  どうもありがとうございました。 ○田村部会長  ありがとうございました。他にはございませんか。 ○政安委員  この度の食事摂取基準の改定にあたっては、6次改定の時よりも2005年改定の時は的 確に文献レビューで科学的根拠に基づいた部分が明確になった部分については、現場で も相当、今テーラーメードと先生がおっしゃったようなことが、私たちは使いやすくな ってきたという点はあります。それでもまだ基礎研究が日本ではなされていなくて、明 確にされていないところがあるというふうに感じておりますので、ぜひその辺はこれら も取り組んでいただきたいと思います。それで二重標識水は、これは20〜70才代の方、 約40名でしょうか。何名ぐらいでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  昨年度の実績だけをあげますと、今先生がおっしゃられた人数になると思います。パ ワーポイントの資料の8ページ目ですが、先程申しましたように非常にお金がかかるも ので、なかなか一度に何百人もできないわけでございますが、16年度は40名プラス14名 ということで行いました。それらを合わせますと10ページ目になるわけですが、20〜70 才代をあわせて約200名ということになったわけでございます。  それと先程先生がおっしゃった食事摂取基準に資するいろいろな人を対象とした研究 ということについてですが、現中期計画ではエネルギー代謝を中心に行ない、データを 出すということでございます。各栄養素、特にミネラル、ビタミン等については、競争 的資金を積極的に獲得して、その関連の研究を行っています。ただし、次期中期計画に 向けては組織としてより計画的に食事摂取基準に資する栄養学的な研究を進めていきた い、その準備を今しているところでございます。 ○武見委員  先程、健康日本21のデータベース、地方計画のデータベースのお話があったと思うん ですが、たしか健康日本21については、健康日本21のホームページがあって、そこでか なり全国的なそうした策定状況とか、いろいろなものが整理されていると思うんです ね。それとは違う、ここで国立健康・栄養研究所が、例えば国民健康・栄養調査なども 担当してらっしゃる中で、こうしたデータベースを作っていく、その意義というか、そ の辺についてもう少し説明してくださるといいなと思ったんですが。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  他の団体さんの方で整理されているのは、いわゆる行政的な情報を整理収集してまと めているということで、私たちはより技術的な部分、また実際の指標をどう考えるかと いう視点から、整理をしております。  例えば後者の指標をどう捉えるかといった時には、研究的な視点からいうと、これは いろいろなことが一度に国で変わるわけはなく、市町村が変わり、県が変わり、その結 果として国が変わるということになるわけで、そういう意味でこういうデータベースの 中に目標値や、さらには中間評価の値を入れる物も作っているわけです。そういうふう に具体的な値を入れ込むことによって、どこがどう変わっているかという分析的なこと も今後行っていきたいと思っています。そのようなことも考えたデータベースであると お考えいただきたいと思います。  また、こういうデータをとるにあたっては、すでに御説明を申し上げました国民健康 ・栄養調査については、これを都道府県の皆さんが一生懸命頑張ってやっておられるサ ポートもしているわけですので、どういう指標を解釈をすればいいのかとか、どういう 調査をすればその指標が比較性を持つのか、といったことにもつなげて扱っている状況 でございます。 ○田村部会長  それでは評価の記入を各委員の先生方お願いをいたしたいと思います。               (個別項目12〜19の評価) ○田村部会長  それでは次に評価シート項目12〜19までの実績につきまして御説明をよろしくお願い いたします。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  先程長く時間をいたたきましたので、できるだけ手短に御説明をしたいと思います。 評価シート19ページでございます。パワーポイントは43ページの上になります。職員の 資質の向上ということでございますが、そこに書かせていただいているように、所内の 研究セミナーを月に2回程度実施しています。研究職員は35名ですので、年に1回ある ということでございます。また外部講師によるセミナーが8回ございました。その他、 いろいろ講師として共同研究者等をお呼びしてのセミナーもございました。こういうセ ミナーを通じた資質の向上ということと、学会の参加ということでございます。  これは昨年度もお話をさせていただいたように、今まで国研時代はなかなか海外の渡 航の旅費等についても確保はできなかったわけです。しかし、運営費交付金の運営上、 予算枠をとりまして、国際学会等への出席について事前審査をした上で、よいものにつ いては学会発表への旅費を出すことにより機会をふやす努力をしております。また事務 職員についても人事院ですとか、厚労省関係の研修を受講させたところでございます。 このように必要な形でやっているということで、自己評定Aをつけさせていただいてお ります。以上が12番目のものでございます。  次に評価シート20ページ、13番目の項目でございます。パワーポイントでは43ページ で、外部評価等の実施ということでございます。そこにございますような17年の3月末 まではこれらの先生方にお願いをしたわけでございます。栄養学、食品学、体力科学、 公衆衛生、マスコミ関連の先生方にお願いをしています。各交付金のプロジェクト等に ついての事後評価ももちろんお願いをしているわけでございますが、各年度計画の事前 評価をいただき、それが我々にとって非常によい指針となって年度当初からのスタート を切ることができました。  具体的に17年度計画について、17年3月にいただいた御意見の一部でございますが、 やはり議論をする中で任期付き研究員、流動性の確保等について、連携大学院のこと、 NRのことについて御指摘をいただいております。また、後ほどインパクトファクター という指標でもお示しをいたしますが、どういう指標でプロジェクトなり研究者なりを 評価するのかという、そういう議論も外部評価委員会の中で我々も勉強していくという ところでございます。また、その下のところには比較的個別的な研究事業についていろ いろな御助言をいただいているところでございます。  以上、このような外部評価の先生方の御意見をできるだけ取り入れ、参考にさせてい ただきながら業務運営をしており、自己評定はAをつけさせていただいております。こ れが13番目の項目です。  続きまして評価シートで21ページ、14番目のものでございます。パワーポイントは45 ページです。グラフを書いてございます。左側が原著論文です。これは原著に限ってお ります。また右側が学会発表です。中期目標では5年間でそれぞれ200報、また300回と いうことで、他の独法さんと同じような形なのかなと思っております。それで4年間の 実績を数えますと、原著論文がすでに380報、学会発表が831回ということで、特に原著 論文がしっかり出せているというのは我々としても誇りに思っております。  13、14、15、16と、外部資金の獲得額は16年で下がりましたが、論文はおかげさまで まだ伸びています。特に英語の論文がそのうち104報、日本語14報で、1人当たり3.3と いうことでございます。また、質的にみてもインパクトファクターが2以上のものが、 実際にはこれは英語論文が分母になりますから、58ですから、半分以上となります。1 以上になると77ということで、国際的に一流と認知されている雑誌に多くの仕事を出す ことができています。  また学会発表については、これは多少デコボコはございますが、昨年度数えますと1 人当たり6.8回ということでございます。また招待講演的なものを見ますと、国際学会 22回、国内学会56回が招待講演として、特別講演やシンポジウムをしているということ で、学問の世界の中でも割合しっかりと認めていただいているのではないか考えていま す。  そういう意味でやはり研究所ですので、論文等のアウトプットが最重要の課題の一つ と考えております。それらについては目標を大きく上回っているということで、S評価 をつけさせていただいております。それが項目14番でございます。  次は評価シートでは22ページの15番でございます。パワーポイントは先程の下のとこ ろでございますが、これは特にインターネット等による調査研究成果の情報の発信とい うことです。先程、健康食品の情報、ネットワークを御説明いたしました。昨年の夏、 にがりのことがありました。にがり,すなわちマグネシウムを取りすぎれば下痢が起こ るのは当たり前なのですが、その当たり前のことをきちんと書くとアクセスが集中する ということが起こりまして、良い情報提供ができたんだろうと思っております。  また他のコンテンツもかなり充実してまいりまして、前年度比420%、4倍のアクセス 件数になりました。これはさらに独法発足当時の平成13年から考えますと約7倍になっ ています。そういう意味でずいぶん充実してきたなと思っておりますし、またQ&Aコ ーナーですとか、健康栄養ニュースなど、一般の方に対して情報発信を積極的に行って おります。  またテレビでもお声がけをいただいて、7回NHKその他全国ネットで職員が出演を しております。また新聞等も、これは業界紙を数えるとかなりの数になってしまいます ので、いわゆる全国紙の一般紙ということになりますと13件で、研究等を御紹介してい ただいています。雑誌も様々ありますが,全国的に一般の広い方がお読みになるという ものでは7件ということになります。  実際のホームページの絵ですが、次のページに上下で載せさせていただいて、細かい 字はともかくとして、かなりユーザーフレンドリーに見ていただけるような工夫はして います。また健康栄養ニュースといった、47ページの上にあるような、これも今までの 紙の刷り物だけではなくて、メーリングリスト的に自動配信するようなことで最初に御 紹介させていただいた、コストの軽減ということも図っています。これらを総合的にふ まえますと、特にホームページの充実というのは我々も予想だにしないことであったの で、自己評価はSをつけさせていただいております。  評価シートの24ページで、右側のところには16−2というのが書いてございます。パ ワーポイントは先程の健康栄養ニュースの下になります。講演会等の開催ということで ございます。これは二つの視点から行いました。一つは一般の方に広く御参加いただく というこで、肥満予防というテーマで行いました。会場は400人程度入るところに520人 御参加いただきました。なるべくお気軽に来ていただこうということで、事前の申し込 み等はなく来ていただいたのですが、ロビーまであふれるような形になって、評価委員 の先生方も含めて、来賓の方の席もなくなったということでした。大変有り難いことで ございました。  またこの年は一般の公開セミナーを1回にいたしまして、専門家に対して重点的にセ ミナー開催していくこととしました。その理由としては食事摂取基準が新しくなり、こ れをいち早く管理栄養士、栄養士の方に正しくお伝えをしたいということで、厚生労働 省と私ども、また学会等の共同開催ということで8回全国に散らばってセミナーを行 い、約3,400名の方が受講されました。開催は共同ですが、演者、企画等はほとんど私 どもの方でやらせていただいています。また、先程御紹介したような都道府県等の栄養 士に向けての研修も行うことができました。  また、一般公開につきましては、感染研究所と同じ建物にございまして、実を言うと そのごくごく一部を間借りをしているというような状況で、感染研さんが一般公開をす る時に細々とお客様を集めてという状況でございます。昨年度は72名の来場者がござい ました。これについては今年度は理事長の指揮の下、ずいぶんと積極的に一般公開もし たわけですが、昨年度の実績としては72名でした。さらにこれからの若い方に研究所を 見ていただくという点では、中学校高校の総合的な学習の時間として、計53名の生徒さ んを受け入れたということでございます。  一般との接点としては、メール、電話等での相談というのはたくさんいただくわけで すが、各研究者が個々やっていたのを窓口を一本化しました。これが17年1月からの集 計になりますが、3カ月間で受けた件数は2,571件ということで、いろいろな形で対処 をさせていただきました。  その次のページをお開きください。先程の一般公開セミナー、肥満の予防ということ でございます。520名の方に来ていただいて、当初アンケートが450しか刷ってなかった ので、アンケートを450名の方にお配りして、371名から回収をしました。本当に遠くか ら来られた方もございました。一番左の下の居住地で、水色が東京都以外ということで あります。  また、一番右の下の業務報告会ですが、研究所の業務御説明をいたしまして、例えば 研究に参加したいとか、一度見学したい、詳しい説明や資料が欲しいといった方が少な からずおられたというのは非常にありがたいことだと思います。私ども、研究もネズミ ばかりを相手にしていては仕事になりませんので、一般の方に興味関心をもっていただ いて、研究にボランティアとして参加していただくということが非常に大事です。そう いう意味でいい機会になっていると思っています。  その下が図書等の出版も一つ重要なコミュニケーションチャンネルと考えています。 そこに示しているように、この年はたまたま主に管理栄養士向けの教科書等になったわ けでございますが、これらの監修を研究所で行い、監修料約90万円の収入があったとこ ろでございます。  こういうことで、より積極的に一般あるいは職能団体に向けてチャンネルを作ってい くというのは、国研時代ほとんどなく、独法になってからのことだと考えております。 しかも昨年度は食事摂取基準のセミナー等非常に大きな成果を上げたと考えております ので、自己評定をSをつけさせていただいております。以上が16番の項目でございま す。  続きまして17番、評価シートの25ページ目です。特許についてですが、これは今まで 一番厳しく言われてきたところでございます。言い訳がましい話になりますと、独法前 の平成12年まではずっと0の歴史が続いていて、13年度にようやく1件、14年度1件、 15年度1件の申請が、昨年度はようやく7件出すことができました。  そのための努力としていろいろ行ったわけでございます。技術移転の説明会等を行っ たり、また学会発表等の内容が特許の出願につながるかどうかのスクリーニングを実施 したりといった取り組みでございます。これも13年度に出したものが、次のステップに 向けてようやく進めることができる訳です。まだ実施特許その他というところまではい ってないわけですが、少しずつ進んできました。  次は先生方のたくさん積んである資料の後ろから二つの資料、資料21、22でございま す。一番下のところで二つ綴じてあるものをごらんいただきたいと思います。21が上が 紺で下が緑のものでございます。やっぱり私どもつくづく独法になって変わったな、変 わらなければいけないなという意識の集大成とも言えると思います。1ページおめくり いただき資料21をごらんいただきたいと思います。  理事長の御挨拶がございますが、次のページでは「私たちがお手伝いをします」です とか、「研究成果、技術力を借りたい」、「実験施設を使って研究をしたい」等々、パ ラパラとおめくりをいただくだけで良いのですが、社会に向けて開かれていかなければ いけない、いろいろな意味でのクライアントであり、カスタマーであり、ステークホー ルダーの方々と一緒にやっていかなきゃあいけないという意味合いが込められていま す。まだまだ未熟なパンフレットではございますが、外に向けてアピールをしていこう と作ったのがこれでございます。冒頭に理事長が、まさに申しましたように16年度とい うのは外に向けてのより強いネットワークを築く努力をした1年だと考えているところ です。  特許については、まだ出願したのも少ないものですが、一応データベースと名のつく ものも少し作ってみたりとかの努力をしているところです。以上のことをふまえて、こ の項目については自己評定Aということでつけさせていただいております。  次の評価シート26ページ、18番の、若手研究者の育成です。パワーポイントは50ペー ジの18です。文字と数字の説明で大変恐縮ですが、実績としてはこれまでの実績から大 体横這いで、若い研究者の受入れをしています。16年度、お茶の水女子大学と連携大学 ・大学院を締結して、実際にスタートをしはじめたところでございます。また、17年度 から東京農業大学、また他の大学とも連携大学、大学院に向けての準備が着々と進んで いるという状況です。  また、大学の学生や若手研究者でありませんが、職能の卒後研修的な意味合いで講師 を派遣した研修が218件ということで、常勤研究職員1人当たり6.1回になります。この うち97回は栄養士等の実践活動のためのものであり、そういう意味で外評の専門家や若 手研究者の技術の向上に役立ったのではないかと思っております。そういう意味で自己 評定はAをつけさせていただいております。  評価シートは28ページの19の2です。国内外の研究機関との協力の推進で、研究協力 ということでございます。いくつかポイントがございます。共同研究等についてはこの ところ例年通りということでございますが、特に冒頭理事長から申し上げたように、国 際的な役割をしっかり担っていくところが大事だと思っております。そういう意味でW HOの専門家会議に3回、FAO、WHO合同職員企画委員会、これは食品行政上極め て重要な会議でございますが、ここに2回職員を出しております。  また、アジア等途上国を中心として、若手研究者、また実務者を招聘するということ で、これは交付金の中のやりくりで予算を作って運営していますが、昨年度は韓国から 1名招きました。また今年度はネパール、インドから今2人来て勉強をしております。 その他、いくつかの国との共同研究を実施しておりますし、情報発信という点でも特に 国際的な取り組みを重視して行っているところです。その他、情報の公開等、必要なこ とは淡々とやっているわけでいます。そういうような取り組みを考えますと、自己評定 はAをつけさせていただいております。以上がこの第3枠の説明でございます。 ○田村部会長  ただいまの御説明につきまして質問等をいただきたいと思いますが、いかがでしょう か。 ○酒井委員  思い返してみますと、吉池さんがおっしゃったように、知的財産権のところが若干こ の評価委員との間でやりとりがあったということを昨日のように思い出すのですが、私 たちがあの時に言ったのは、今日説明いただいたようなことができるんじゃないですか ということを申し上げた気がするんですが、そういう面でとても前へ進んでいるという ことで大変敬意を申し上げたいというふうに思っています。  一つ、49ページのスライドの中にあります寄付研究部を設置したことが特許を得るこ とを目的にというふうに書かれているわけですが、このことは何の異論もないのです が、日常的な皆さんの研究活動でこういった、例えば特許をとるとか、こういったよう な研究というのが他におありになるのかどうかというのをお聞きしたいのが一つ。  もう一つは、最後のところにあります学会発表等の内容等が知的財産権取得につなが るかどうかのスクリーニングを実施しているというのが、どういう意味合いなのか教え ていただけたらと思います。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  まず二番目の御質問からお答えします。今は、ずいぶん変わってきましたが、研究者 の意識の中ではまだ特許ということはそれほど強くはございません。そういう意味で学 会発表、論文発表を、研究者はむしろ目指して仕事をしております。最初から特許の取 得を目指してという仕事はほとんどないと言ってもいいかもしれません。  そういう中にあって、例えば先程基盤的研究で御紹介しましたが、論文もしっかり書 いた上で、特許にもつながるというものが出てまいりました。そうした時に研究者の不 勉強のところもあるわけですが、学会へ出した、論文を出したことにより、特許が取れ ないケースがいくつかございました。そこで担当者が学会発表抄録等で、最初は全件ス クリーニングをかけていたのですが、近頃は分野が見えてきたので、関連する分野の研 究者の方に学会抄録を貰ってきて、それらを見て、学会発表の準備も進めながら、特許 に向けての出願の準備も合わせて行っています。ようやく研究所の中である程度第一次 の目利きができるようになって、TLO、ヒューマンサイエンス財団の方に御相談をし ながら、学会発表の準備を進めながら特許出願に向けてという意味でのスクリーニング でございます。  また一番目の御質問ですが、寄付研究部というのは最終的には具体的な商品開発であ り、その商品というのが特許等の知的財産として保護されるようなものであるというイ メージはございます。そういう意味で一つの目的としては知的財産というのはあるのだ ろうとに考えております。一般の研究の中でという話になった時には、これは論文を書 くよりは、特許だけを目指してスタートするのがいいかどうかについては、まだ固まっ ておりません。私個人の考えとしては、やっぱり論文を書きたいというところがありま すので、結果としては両面見ながらということになっております。  そうした時に特許だけとるとか、最初から商品開発をというよりは、研究をしなが ら、学術的なことが応用につながるという、そんな視点から進んできています。いろい ろなシーズが埋まってしまわないように、各研究者に対しては所内の研修を行うなど で、ずいぶんとムードや研究者のアーティテュードは変わってきたとは思っておりま す。 ○酒井委員  こういった知的財産というか、こういうものはどちらかというと私たちのイメージと してハードウェアといいますか、そういうものをイメージしがちなんですが、きょうい ろいろ御説明を受けていて、皆さん方の持っているこういうソフトウェアの部分の技術 というのは大変貴重だと思いますし、そういう面で知的財産が確立できるような先鞭を ぜひこれからもつけていっていただきたきいというふうに希望しております。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  そういう意味では先程鈴木委員から御指摘があったように、例えばテーラーメードの 予防ですとか、栄養に関して、今回特許出願した中にもそれにつながるものがあいま す。我々としてはやはりゲノム等の技術、基礎研究はどんどん進んでも、実際の応用に つながってこない、それが人々の健康づくりとか予防にはなかなかつながっていかない ので、そこの部分を埋めるような研究をし、いい論文を出し、しかも特許の取得にもつ ながるのということを実感しています。そういう意味でテーラーメードの予防等につな がるような仕事もずいぶん出てきたと思っております。 ○鈴木委員  パワーポイントの45ページの上の14を見ておりますと、16年度の英文原著論文104報 と書かれておりますが、私はこの資料11を興味をもって拝見していましたら、2カ所重 複を見かけました。まず75番と89です。それから90と102が重複していると思います。 どうでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  大変申しわけございません。そこは修正をさせていただきます。先程データベースの 効率化といったことが裏目に出ていまして、入力をしたデータベースでリストを作って 一応確認をしたつもりでございますが、初期のデータベース上の登録が二重になってい たようでございます。2件少なく訂正をさせていただきます。 ○鈴木委員  でも大変興味深く読ませていただきました。もう一つ、私はパワーポイントの50ペー ジの上の18で、当研究所の職員1名を連携対象の大学へ併任教授として派遣したと書い てあるのですが、この研究所から教育職として大学の教授を生み出したという例はどれ ぐらいあるのですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  これまで単発に、例えばある大学、その研究者の母校ですとか、そういう所で研究所 の部長で席を置きながら客員教授としてで、教えに行くということはございました。単 発的に数件ございました。ただし、今回については組織と組織との間で連携をしていこ うということで、1名が教授としてその大学と深い関わりを持とうというものです。そ ういう意味合いでのこの連携というのは今回初めてでございます。研究所の仕事もしつ つ、大学の仕事もしてということでございます。 ○国立健康・栄養研究所理事長  先生の御質問は、研究所から何人大学教授になったかということですか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  研究所を辞めてというか、次の就職先で大学に行ったというものは多数ございます。 研究所に席を置きながら、客員教授で同時に大学の教官というのは数件ございました が、それは組織しての対応ではなかったということでございます。 ○市川委員  先程の議論の蒸し返しになりますが、学術の成果の発表ということに関して、割とイ ンパクトファクターを非常にこだわられていらっしゃるということに、本当にそれでい いのかなというのをちょっと感じるのです。実は当然、学術の応用を考えられた場合 に、本当にそういう意味でインパクトファクターという、インパクトファクターは雑誌 のジャーナルの持っている性格であるわけですから、それはポリシーがあるわけなん で、非常に高い分野と、今まさに学問的に進歩していって、ある程度時間が経ったとこ ろは当然高くなってくるんですね。ですからそういう理屈を考えると、今まさになされ ている学術の応用ということに関しては、その内容によってできるだけ評価をされる方 がいいのかなと思います。まあ当然お考えだと思うんですけどね。それが一点です。  もう一点は、インパクトファクターとの関連でいくと、学術の基盤を上げると、研究 者のモチベーションが非常に上がってきます。それはその通りだと思うんです。研究者 はそれも目指すわけですが、ひいて言えばそれから少し先の話だけれども、そのサイテ ーションでできるだけ、どういう領域においてこれだけの人がサイテイとしている、あ るいはノーベル賞クラスの人がサイテイとしている論文であるとか、何かそのような評 価をできたら入れるようにした方がモチベーションとしてはいいのかなというように思 います。無理してどこか違う雑誌へ出しますと、結局それは見られなくなっちゃうとい うことも多々ありますので、無理はされてないとは思いますが、だからその辺のところ を少し言いたかったわけです。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  貴重な御指摘ありがとうございます。実はきのう内閣府の総合科学技術会議で、独法 の評価をするという会議がございまして、私は傍聴でまいりました。全く同じ議論がさ れて、指標として何をとるのか、インパクトファクターの話、サイテーションインデッ クスの話が、独法や国立大学独法も含めて同じ議論がございました。日本の科学技術政 策の中でどうされるのか、そういう上の上の会議でもまだ議論をされているのだなとい うことを実感したわけでございます。  現実的には総合科学技術会議の方でインパクトファクターも含めて指標を出しなさい ということになるのかなと思っています。そういう意味で私どももインパクトファクタ ーに対してものすごく積極的ということではありませんし、それがすべてというふうに は思っていませんが、そういう流れがある以上、一つの指標として整理をしなければい けないのかなということで御提示をしております。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。それでは評価シートの御記入を先生方にお願いしたいと思いま す。               (個別項目20〜23の評価) ○田村部会長  それでは最後になりますが第4グループの評価シートの項目、20〜23までの実践につ きまして御説明をお願いしたいと思います。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  それでは評価シート通しページで29ページ、20番目です。パワーポイントは51ページ の上の図です。運営費交付金以外の収入の確保ということです。これにつきましては2 番目の項目の経費の効率化といったところで、経費の節減と自己収入の確保について、 御説明をさせていただいたわけです。そうしますと13、14、15年度と伸びてきて、16年 度は少し下がって3億3,000万というお話をさせていただいたところでございますが、 その内訳等をここで書かせていただいています。  補助金としては、厚生労働科学研究費が1億円、文部科学省の研究費が4,000万円と いうことですから、これらの収入が1億5,000万ということになっております。受託研 究費については、大体例年通りですが、ヒューマンサイエンス、また食品医薬品副作用 被害救済研究振興機構からいただいているところでございます。請負事業とその他は、 これは民間企業等からの受託研究、細かいものはかなり件数はございます。また、請負 事業については、厚生労働省の方から約5,000万円分の事業をいただいています。  そういう意味で経年的に見れず少しダウンしているようには見えますが、全体的には 当初の目標額を上回って、これらの資金を獲得しています。また、これらの会計面につ きましては、研究所の監事2名より監査意見書が出され、財務内容等は適正であるとい う評価も先般受けたところですので、そういう意味合いで獲得状況は自己評定としてS であるとさせていただいております。 次のページの予算、収支計画及び資金計画で、 評価シートが30ページです。パワーポイントはその下です。これらにつきましても、基 本的に中期目標、中期計画があって、それにしたがって実施をしているということでご ざいます。特に補助金、受託研究等、経年的て継続研究等であればある程度読めるわけ ですが,毎年毎年新規にかなり努力をして獲得をしていくものについては、当初の年度 の予算、計画に対して、やはり上下変動はするという結果になってございます。  そういう意味で結果として平成16年度年度計画がございましてそれに対して収入が約 7,644万円上回ったということで、これは当初の予想よりは多く、研究費や、受託研究 等がとれたということでございます。そうしますとこれらは仕事がついて収入を得るわ けですので、その結果、支出についても少し上下の変動が出たということでございま す。  そういうことで、これらについては収支決算報告書の方をごらんいただきたいと思い ます。先生方のお手許の資料で2−2という、もう一つの封筒に入っているものがござ います。そこに財務関係の書類がいくつかございます。細かいことについてはまた財務 について御説明に上がるという機会があるようですので、きょうは簡単に済ませたいと 思います。2−2−2というところに収支決算報告書と書いてございます。単年度会計 的な意味合いで、予算・決算ということを表すと、このような並びになるというような 事柄でございます。  資料を一部訂正をお願いしたいのですが、支出で4,200万円下回ったとありましたが、 これも予算に対して上回ったということでございます。申しわけございません。御訂正 をお願いいたします。そういうようなことから計画を当初計画よりも事業も拡大して実 施をした、それに見合った形での支出を行ったというようなことと解釈しております。 自己評定としてはAをつけさせていただいております。  また評価シート31ページです。22番目の項目です。これはその他とございますが、特 に施設整備に関する計画、実施状況ということでございます。これについては私ども土 地建物がないので、そういう意味で大きな計画というものはございません。平成16年度 は最初に御説明をしたように、設備等の利用規定を策定をして、それを受けてプールそ の他の研究施設の貸し出しを行ったというようなことで、水色の表で先程の再掲をさせ ていただいております。  そういう意味で今までよりも一歩進んで施設設備の有効利用が行われていると考え て、自己評定をAをつけさせていただいております。  次は評価シートの32ページです。23番の職員の人事に関する計画ということです。職 員の採用については流動化計画を我々は立てておりまして、原則公募、任期付きという ようなことでございます。  16年度においては2名の研究員を採用しました。1名は任期が満了したものであり在 職中の業績を評価して、当研究所に必要不可欠の人材であり、これからの研究所のあり 方、また次期中期計画等を勘案して、任期を付さない職員として採用したということで ございます。残る1名は公募による任期付き採用をし、当初の計画通りに進んだという ことでございます。また採用した研究員2名はすでにお話をさせていただいたように、 各プロジェクトに対するメリハリのある重点配分ということを考えまして、それぞれ必 要なプロジェクトに配置をしたということでございます。  また、研究職員の人事管理上の事柄としては、理事長が直接ヒアリングをして評価を 行っているというような取り組みを続けて行っています。そのようなことから自己評定 についてはAということでつけさせていただいております。以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは先生方の方から御質問等をいただきたいと思いま す。いかがでしょうか。 ○清水委員  人員計画なんですが、16年度末の職員数と、あとは中期計画終了時の目標人数という のを教えていただけますか。それから午前中の法人は支出総額についても、中期目標期 間の目標達成の見込みが高いという報告があったわけですが、支出総額についてはいか がでしょうか。 ○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹  その辺については事務部門の方から御説明をさせていただきます。 ○国立健康・栄養研究所事務部次長  私ども人事計画につきましては、予定した通りの人間を採用し、中期目標終了時の人 員につきましても、当初設定した人員の数に落ち着くという形を考えております。また 予算等総支出の考え方につきましても、平成13年度当初予算から比較いたしまして、目 標に定められた2%の削減は完遂できるというふうに考えてございます。これにつきま しては後ほどまた詳しい説明を財務の中でさせていただきたいと考えております。 ○清水委員  人員についてお答えいただけますか。16年度末の人員と、中期計画終了時の人員につ いて。 ○国立健康・栄養研究所事務部次長  中期目標の最終期間が17年度末で、その時点で47名、これが目標になっております。 16年度末の人員につきましては、資料2−1−1の67ページに人事計画に関する資料が あります。役員につきましては4名、うち2名が非常勤の役員、理事長が1名、理事が 1名、それから監事、これが非常勤で2名となっております。それから常勤職員として は51名、この中では研究職が39名、事務職が12名となっております。以上が計画に盛ら れた16年度の最終の数字となっております。 ○清水委員  47名に対応する人数は何名でしょうか。 ○事務部次長  47名に対応する人数というのは51名と比して47名というふうに考えております。 ○部会長  よろしいでしょうか。他に何か御質問はございますでしょうか。それでは評価シート の御記入をお願いしたいと思います。                  (総括質疑) ○部会長  それでは最後に総括といたしまして全般的なことで何か御質問、あるいは御意見等あ ればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○武見委員  直接評価には関係しないことだと思うんですが、きょうずっと報告を受けていてかな りの社会的なニーズが高いことについて、多くのことをことをこなされてきているとい う印象を受けたのですね。先程の知的財産のことについても、昨年度の課題をクリアし てやってきてらっしゃるというのはわかるのですが、例えばそれと1月に開設したメー ルとか電話の問い合わせが3か月で2,500件ですか。  そうしたことの対応一つとっても相当な仕事量だと思うんですが、はたしてその職員 というか、研究員の方にオーバーワークが来てないのだろうか。今、特に健康とか食品 について非常にニーズが高まってきているし、ふえる一方ということも考えられると思 うんですが、その辺について実は内容がある程度分かるだけに、どうやっているのだろ うなという気持で、本当にオーバーワークが来てないんだろうか、先程の人員のことを すれば中期目標に向かってはまだ削減しなければいけないかもしれないような状況もあ る中で、その辺のことについてもし何かあればお聞かせいただきたいなと思います。 ○国立健康・栄養研究所理事長  私は時間のある限り全研究室を歩き回っているのですが、相当オーバーワークが来て います。それで次期中期計画は人員配置の問題とか、獲得した研究費での人の雇用と か、あるいは管理栄養士をプール化できるように何人か応援を頼むとか、いろんなこと を考えないといけないと思っております。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。非常に難しい問題で、これから考えていかなきゃあならない非 常に重要な問題じゃないかと思うのですが。他に何か全般的なことにつきまして御意見 あるいは御質問はございますでしょうか。 ○政策評価官  先程清水委員、岩渕委員から御指摘がありましたNRの認定制度についての省側の考 え方というのが宿題になっていますが、確かめましたら食品安全部長通知に基づくもの のようでございまして、次回の総合評価をやります8月11日の時までに御説明するよう にいたします。 ○田村部会長  よろしくお願いいたします。その他全般的なことにつきまして、何か御発言はござい ますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは長時間にわたりまして御苦労様でござ いました。本日の会議はこれで終了とさせていただきます。                                     (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)