03/07/16 薬事・食品衛生審議会平成15年7月16日(水)血液事業部会議事録           薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年7月16日(水) 15:00〜   厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(15名)五十音順   大平 勝美、 岡田 義昭、 小畑 純子、 櫻井 秀也、   清水  勝、 高橋 孝喜、 田中  滋、 中村 雅美、   花井 十伍、 比留間 潔、 幕内 正敏、◎溝口 秀昭、   三星  勲、 森 眞由美、 吉澤 浩司   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(7名)五十音順   池田 康夫、 川西   徹、倉田  毅、 白幡  聡、   平澤 博之、○水柿 道直、 宮崎 久義  他参考人2名 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、橋爪  章(血液対策課長)、   浦山 隆雄(血液対策企画官)、関根  豊、辻阪 高子、   田中 一成、丈達 泰史、石橋 牧代  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○血液対策課長  まだ御出席予定でおみえになっていない先生もおられますが、定刻となりましたの で、ただいまから平成15年度第2回血液事業部会を開催いたします。なお、本日は公開 で行うこととなっておりますので、よろしくお願い申し上げます。本日は委員22名中13 名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しております。薬事・食品衛生審議会令 第九条により、本部会が成立したことを御報告申し上げます。  まず事務局に異動がありましたので、お知らせいたします。本年7月1日付けで血液 対策企画官に浦山隆雄が就任いたしました。 ○血液対策企画官  浦山でございます。よろしくお願いいたします。 ○血液対策課長  この後の進行につきましては、溝口部会長によろしくお願いいたします。 ○溝口部会長  では早速議事に入らせていただきます。今日は議題が四つありますが、予定する時間 は2時間でございますので、議事進行をよろしくお願いいたします。  議題1は前回部会で御了承いただいた薬事分科会血液事業部会運営委員会規程第3条 に基づきまして、運営委員会の委員を指名いたしましたので、御報告いたします。資料 Bを御覧いただきたいのですが、これにあるように5名の方に委員になっていただきた いと思っております。最初が大平勝美委員、二番目が岡田義昭委員、三番目が川西徹委 員、四番目が清水勝委員、五番目が花井十伍委員でございます。よろしくお願い申し上 げます。第1回の運営委員会は8月11日月曜日午後3時から開催いたしますので、よろ しくお願いいたします。  次に移らせていただきますが、議題2の「平成15年度の血液製剤の安定供給について (案)」でございます。これは6月27日に開催された需給調査会で了承されまして、この 部会に上程されたものであります。皆様の御意見を頂きまして、この部会としての意見 をまとめていきたいと思います。それでは事務局から御説明願いたいと思います。 ○事務局  それでは資料C、Dに基づいて御説明させていただきます。「平成15年度の血液製剤 の安定供給について(案)」とある資料でございます。本来血液法がこの7月30日に施行 予定でございますが、施行後はいわゆる「需給計画」と呼ばれるものがこの資料Cとい う形、また表題につきましてはこのようになっております。今申し上げたように、本来 施行後であれば「需給計画」という法的根拠を持った計画になるべきものですけれど も、いかんせん本日まだこの新しい血液法は施行しておりませんので、この「需給計画 」という名称にいたしますと、その法的根拠を持った計画と混同されてしまうおそれが あるので、名称につきましては「需給計画」を使わずに「平成15年度の血液製剤の安定 供給について(案)」ということで、本日部会に提出させていただいたものでございま す。  この資料は事前に配付しておりますので、読み上げはいたしませんけれども、基本的 には既にこの平成15年度に動いているものですので、現状を見極めつつ現状に即した形 で原料血漿の配分価格、あるいは需給の内容についてまとめていただいたものでござい ます。  まず原料血漿の関係は、2ページに本年度の価格について推認した形で記載しており ます。また、4ページ以降の表で、まず「(別紙表1)」の方に「平成15年度に必要と見 込まれる血液製剤の種類及び量」を、「アルブミン」以下ここに書いている血液製剤の 種類ごとに「換算規格」、これは代表的な血液製剤の規格ごとに、その需要が平成15年 度にはこの程度見込まれるという推計をしたものでございます。また「(別紙表2)」の 方は、平成14年度末の在庫量、また平成15年度のうちに国内血漿由来、輸入血漿由来の ものに基づいて製造・輸入される血液製剤の量をまとめたものになっております。また 「(別紙表3)」につきましては、こういったものを受けて平成15年度に製造されるべき 血液製剤の種類、及び量についてまとめたものでございます。そして「(参考)」でござ いますけれども、今回この計画をまとめるに当たって、血液製剤はある程度いろいろと 複雑な分類をされていますので、例えば「アルブミン」であれば「加熱人血漿蛋白」、 「人血清アルブミン」を一くくりにして計画を立てたという意味で、この血液製剤の分 類の内訳を「(参考)」として提示させていただいております。基本的にはそういうもの でございます。  もう一つ、今回需給調査会でおまとめいただくに当たって、委員の方からいろいろな 御意見がございました。これにつきまして、資料Dに調査会で出た委員の主な御意見を まとめましたので、こちらも本日の御議論の参考にしていただきたいと思います。特に 需給計画の対象をどのように考えるか、また在庫についてどう考えるか、原料血漿の価 格等、これは平成16年度の需給計画に向けてまた議論を、今度は正確に法律に基づく需 給計画を立てていくわけですけれども、そういったことを今後行っていくに当たって議 論が出ております。また、血液製剤の需要見込みについても、ここにあるように適正使 用調査会の検討結果も多少考慮しながらすべきではないかといった意見も出ておりま す。本日の御議論の参考にしていただければと思います。               ── 小幡委員着席 ── ○溝口部会長  どうもありがとうございました。大分はっきりした数字が出ているようでございます が、委員の方々の御意見、御質問はございますでしょうか。どうぞ、幕内委員。 ○幕内委員  たしか前々回の部会だったと思いますが、保存血の確保をお願いしたいと申し上げま した。その需給関係の達成目標はどの程度のものかという計画を立てていただきたいの です。分画製剤を優先する余り、保存血そのものが臨床の現場では非常に得られにくく なっているわけです。厚生労働省としては、それに対してどのような対策をされるのか というところをお伺いしたいと思います。 ○溝口部会長  いかがですか。 ○血液対策課長  輸血用血液製剤についても、需給調査会の中で需給計画の対象とすべきではないかと いう議論がございました。ただ、法に基づく需給計画は分画製剤を想定してのもので、 輸血用製剤については献血推進計画、献血受入計画、それからここでおまとめいただい た基本方針等に示すということで、切り分けた形になっております。そういう意味で は、輸血用血液製剤の需給についてはまだ議論が尽くされておりませんので、今後のこ の血液事業部会等の場で議論を深めていけたらと思います。今回のこの需給計画におい ては分画のみを対象とさせていただきましたが、委員の先生から輸血用血液製剤につい ての御意見も、幕内先生の御意見同様議論されたということは申し添えておきます。 ○溝口部会長  需給計画の一番最初の2〜3行のところにその辺が書いてございます。 ○幕内委員  資料Eに日赤から出された文章があるので、この中で全血をそのまま保存血として残 しておく率をどの程度にするのかというインストラクションがないと、実際私どもには 全血は手に入らないわけです。全部分離されて倍の値段で売り付けられているというの が現実でございますから、是非厚生労働省としてその点のきちんとした指針を出される べきではないかと思います。 ○溝口部会長  いいですか。 ○血液対策課長  今後そのようないろいろな血液事業の方針作りについても、公正と透明性を確保しな がらということですので、この血液事業部会又は部会に附属する、先ほど発足した運営 委員会又は各種調査会等、オープンな場で議論を深めていけたらと思っております。こ ういうオープンの場で形成された意見を、行政施策の方に取り入れてまいりたいと思っ ておりますので、よろしくお願いいたします。 ○溝口部会長  ほかにどなたかございますか。どうぞ、大平委員。 ○大平委員  今の幕内委員のお話なのですが、前々回でちょっと議論になったと思いますので、保 存血液や輸血用の新鮮血液の必要性については、やはりきちんと調べておかないといけ ないのではないかと思います。多分移植のときに結構使う問題なのだろうと思いますの で、その辺はやはり調査をきちんとできる体制にしておかないといけないのだろうと思 いますので、よろしくお願いいたします。 ○溝口部会長  ほかにどなたかございますか。それでは今幕内委員あるいは大平委員から出た件を、 事務局で対応していただきたいと思います。  それでは次に移らせていただきます。議題3は「平成15年度 献血受入計画(案)」で ございます。これは前回の部会で御了承いただいた「平成15年度の献血の推進について 」に基づきまして、採血事業者である日本赤十字社にて作成されたものでございます。 資料を御説明していただくために、日本赤十字社事業局血液事業部長の白戸恒勝さんを 参考人としてお呼びしております。白戸参考人、御着席願います。                ── 参考人着席 ── ○溝口部会長  それでは白戸参考人、どうぞ御説明願いたいと思います。 ○参考人  ただいま御紹介いただいた日赤の白戸でございます。どうぞよろしくお願いいたしま す。座って御説明させていただきます。先生方には日ごろより、血液事業の推進、運営 に一方ならぬ御指導を賜ったことにつきまして、この場をかりて厚く御礼申し上げたい と思います。  それでは平成15年度における献血受入計画につきまして、御説明させていただきま す。資料Eの1ページでございます。本日御説明させていただく献血受入計画は、安全 な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に規定されていますが、この法律は今月の 30日に施行されるということなので、あくまでもこの法律の第11条第3項に準じて作成 したものでございまして、この部会に御報告させていただきます。  お手元の資料Eの別紙1〜3を御覧いただきながら、御説明させていただきます。ま ず、別紙1の「平成15年度に献血により受け入れる血液の目標量」についてでございま すが、これは今申しましたように法律第十一条第2項に、「採血事業者は献血受入計画 を作成しようとするときは、あらかじめ、当該都道府県の意見を聴かなければならない 」とされてございます。したがいまして、あらかじめ各都道府県と協議をして、各都道 府県が国へ報告される平成15年度献血推進計画に基づき作成したものでございます。  始めに目標量につきましては、必要とする血液製剤を過不足なく安定的に供給するた めに、全血献血で約136万7,000L、血小板成分献血で約31万2,000L、血漿成分献血で 約47万2,000L、合計215万Lを確保する計画でございます。これらの目標量を確保する ためには、全国で約580万人の献血者の御協力が必要と考えてございます。この表の中 で山梨県の欄を御覧いただきますと、血小板成分献血量が「0」となってございます が、これは下段の注釈にも記載していますけれども、山梨県では採血の効率性を考慮し まして、山梨県で必要とする血小板製剤を東京都内での成分献血で確保しているため、 「0」で掲示しております。ちなみに、実際に山梨県で必要とされる血小板成分献血の 目標量は約1,458Lでございます。  次に別紙2を御覧いただきたいと存じます。1ページは「平成15年度に献血により受 け入れる血液の目標量を確保するための各採血所ごとの目標量及び稼働数」についての 資料でございます。献血受入れの方法には、血液センター、献血ルーム、移動採血車、 オープン献血といった4種類の方法がございます。血液センターとは、日本赤十字社が 各都道府県に設置している血液センターのことでございます。献血ルームは、駅前や繁 華街など交通の便が良く人が集まる場所に設置している採血出張所のことでございま す。移動採血車とはいわゆる献血バスのことで、都道府県内の各地、山間へき地を含め て巡回して、職域、地域、学校などに配車し、バスの中で献血していただいているもの でございます。またオープン献血とは、下段の注釈にも記載してございますが、献血の ベッド等採血用の器材を持参して、官公庁や大きな会社の会議室をお借りして献血を実 施する方法でございます。  次の2ページは、「平成15年4月1日現在の献血受入施設数等について」、及び「平 成15年度の献血受入施設整備予定について」の資料でございます。平成15年4月1日現 在の献血受入施設数につきましては、血液センターが全国で74施設、献血ルームが119 か所、移動採血車が329台でございます。また、成分採血装置につきましては2,532台を 整備してございます。次に、平成15年度の献血受入施設整備予定につきましては、血液 センター、献血ルームとも新設及び休廃止の予定はありませんが、一部血液センターに おいては改修工事等が予定されてございます。また、移動採血車につきましては平成15 年度中に5台を減車し、27台を新車に入れ替える予定にしてございます。さらに、成分 採血装置は献血ルームの拡張工事等に伴って10台を増やしまして、151台を新たな装置 に入れ替える予定としてございます。  次の別紙3は、平成15年度に献血により受け入れる血液の目標量を確保するために必 要と思われる、具体的な措置についての資料でございます。血液センターすべての具体 的な措置につきましては、時間の関係で割愛させていただきますが、各血液センターで 挙げている措置として比較的多いのは、年末年始等の献血者が減少する時期には定休日 を設けないで献血ルームを開くことや、献血バスの増車、受付時間の延長、各種キャン ペーンの実施、献血登録制度の活用、400mL献血あるいは成分献血の理解と協力などで、 献血者の確保を安定的に図っていきたいということでございます。  少子高齢化が進んでいる中ではございますが、今後とも委員の先生方を始めとしまし て、各都道府県や献血協力団体、ボランティアの方々など、多くの国民の方々に献血の 御協力をいただき、年間を通じた安定的な献血者の確保に努めていく所存でございます ので、今後とも御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。以上で終わらせ ていただきます。             ── 説明途中、橋委員着席 ── ○溝口部会長  どうもありがとうございました。ただいまの白戸参考人の御説明につきまして、御意 見あるいは御質問のある方はお願いいたします。どなたかございませんでしょうか。ど うぞ、大平委員。 ○大平委員  稼働数の問題がたしか1ページの方で出てきているのですが、例えば血液センター、 献血ルームでは開設日数が稼働数になっていると。それから移動採血車では配車台数が 稼働数になっていますよね。次のページで血液センターと献血ルームは、例えば北海道 では10ありますよね。「別紙2」に戻りますと、稼働数としては1,501日という話にな るのだろうと思うのですが、例えばの話なのですけれども、北海道の血液センターと献 血ルームの稼働数を10として割ると、日数としては毎日は開いていないということにな るのでしょうか。どういう稼働数と把握してよろしいのでしょうか。 ○参考人  具体的に北海道に血液センターが五つございますので、その五つの血液センターが毎 日開いているかどうか…、それは必ずしも毎日は開いていないということでございま す。 ○大平委員  ですから、割合で出すと開いている日数が多分105日ぐらいの数になると思いますけ れども、そういう献血の受入体制になるわけなのでしょうか。そこのところを教えてい ただきたいと思います。 ○参考人  先生がおっしゃっている、北海道の血液センターを申し上げると五つございます。年 間350日ぐらいでございますので、350掛ける5で言いますと1,700幾つになりますけれ ども、必ずしも毎日オープンするわけではありませんので、1,500日という数字になる と。 ○大平委員  ここに「稼働数とは、血液センター・献血ルームでは開設日数」と注釈で出ているの ですけれども、それを足すと10施設あるわけですよね。 ○参考人  献血ルームが5か所、それから血液センターが5か所でございます。 ○大平委員  足すと10あるわけですね。そういう血液センターや献血ルームでは、105日ぐらいし か献血の受入れはされていないのでしょうか。そういう計算なのでしょうか。ちょっと 分からないので教えていただきたい。 ○参考人  血液センターと献血ルームが別々に書いてありまして、北海道の例ですと血液センタ ーの稼働数が左の上の1,501、献血ルームが1,639でございますので、そういう計算にな るかと思います。 ○溝口部会長  稼働数というのは、血液センターの数にオープンした日にちを掛けたものですね。大 体300日ぐらい開いているということですね。 ○参考人  日曜日あるいはウイークデーに休みをとったりしておりますので…。 ○溝口部会長  そういう50日の休みをとれば、大体300日…。 ○参考人  そのぐらいになると思います。 ○溝口部会長  よろしいですか。ほかにどなかたか御質問はありますか。花井委員、どうぞ。 ○花井委員  今御説明いただきまして、別紙3以降各センターごとに様々な具体的な試みをやって いるということです。これはセンターごとにそれぞれ作っているという性質のものだと 思うのですけれども、例えば一つのセンターにおける動機付けやいろいろな募集の仕方 などを赤十字全体として共有、評価して、こういうのがいいではないかとか、こういう システムをもっと全体化すればいいかとか、そういう仕組みは今存在しているのでしょ うか。 ○参考人  私ども年2回血液センターの所長会議や部長会議、それから業務別に例えば献血推進 を担当する業務課長や渉外課長、あるいは献血ルーム長の会議などを少なくとも職種ご とに年に1回は開催しております。あるいは基幹センターのブロックごとにそういう会 議を開催してございますので、そこで情報提供したり、あるいは本社が各センターから こういうことをやって非常に効果があったということを報告いただきまして、それを全 国会議等でバックしていると、お話をしていると。そして参考にしていただいていると いうことをやっております。 ○溝口部会長  よろしいですか。 ○花井委員  各地域の状況に応じて各センターが努力していい部分もあると思いますが、例えばト ップダウンの方が望ましい部分も当然あると思うのです。そういう部分については、や はり本社の方針として全体に例えばこういうことを推進しているのだとか、奨励してい るのだということがあって、もしそういった資料がございましたら今度併せて頂ければ と思います。 ○参考人  分かりました。 ○溝口部会長  ほかにどなたかございますか。どうぞ、大平委員。 ○大平委員  先ほどの北海道の件は分かったのですけれども、全体として300日は動いていないと いう感じになりますよね。ですから、地域の差はあるのかもしれませんけれども、そう いう献血ルームや血液センターの受入れ体制ができているのかどうかというところが、 やはり血液センターの役割としてはとても重要なのではないかと思うのですけれども、 その点はいかがなのでしょうか。例えば常に献血ルームが365日オープンしているとか、 そういう形のところがあってもいいのではないかと思いますし、そういう体制の整備と 言うのですか、今後の問題だと思いますけれども、そういうことが全体としては300何 日になるのかどうかというところでちょっと疑問がありまして、そういう献血ルームや 血液センターで、もう少し効率良く献血を受け入れられるような体制をきちんと採って いただいた方がいいのではないかと思います。 ○参考人  東京や大阪の献血ルームなどは元日だけ休みで、あとの364日は稼働しているという ところもございますが、地方に行くと献血ルームでも必ずしも多くの方々がいらっしゃ らないと。それから献血ルームの場合は特に血小板、あるいは新鮮凍結血漿(FFP)の 需要に対応するということもありまして、必ずしも毎日が毎日やっているわけではな く、需要に対応して需要の多い曜日にやっているところもございます。それから移動採 血車でも職員の数が十分足りなくて対応できないところもございますので、先生がおっ しゃることはよく分かりますけれども、地元地元の需要に対応する採血と、それから職 員の体制も考慮した採血計画ということを考えながらやっております。 ○溝口部会長  よろしいですか。 ○大平委員  こちらの要望ですけれども、献血ルームなどはいつでもだれでも行けるような感じと 言うのでしょうか、一つはやはりそういうことがきちんと確保されていて、献血を受け 入れているということを周知徹底できればいいのではないかと思いましたので、そうい う提案をいたしました。 ○参考人  検討させていただきます。 ○溝口部会長  ほかにどなたか御意見はありますか。よろしいですか。なければ今大平委員を始め何 人かの委員から出たいろいろな御意見を考慮していただきまして、日赤においては平成 15年度献血受入計画に基づく献血の受入れをよろしくお願いしたいと思います。白戸参 考人、どうもありがとうございました。                ── 参考人退席 ── ○溝口部会長  それでは次に移らせていただきます。議題4は「血液製剤の遡及調査について」とい うことでございますが、本件につきましては日本赤十字社事業局技監草刈隆さんを参考 人としてお呼びしております。草刈参考人、どうぞ御着席ください。                ── 参考人着席 ── ○溝口部会長  それでは議題4の1)と2)につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。 ○血液対策課長  では、まず資料F-1、F-2について御説明させていただきます。着席させていただ きます。資料F-1、「輸血用血液製剤に係る遡及調査について」でございます。事前 にお送りしておりますが、非常に分かりにくい資料かと思いますので、資料の意味を御 説明させていただきます。  1ページおめくりください。「副作用感染症報告(平成15年4月〜6月受付分)」とい う表題で、この四半期に私どもが受け付けた副作用感染症報告のうち「中間報告分」、 次のページからは「完了報告分」が並んでおります。この制度ですけれども、これは報 告企業、この場合は日本赤十字社です、と医療機関のいずれにおきましても副作用又は 感染症、ここでピックアップしているのは感染症だけですが、輸血後感染症、輸血後肝 炎等を診断された場合には、15日以内に日本赤十字社から厚生労働省にまず中間報告を 上げていただくと。医療機関が発見した場合は医療機関から日本赤十字社に報告してい ただいて、それを15日以内に私どもの方へ上げていただくという制度でございます。ち なみに、この7月30日から薬事法が改正されまして、新しい制度では医療機関から直接 厚生労働省に報告するというルートも始まるわけですけれども、現在は報告企業、すな わちこの場合は日本赤十字社を経由して上がってくるというものでございます。  ここに中間報告がこの四半期で33件並んでおりますけれども、これはたくさんあると いう印象をお持ちかと思いますが、輸血後肝炎が非常に多かった時代は、例えばこの四 半期で言うと歴史的には輸血後肝炎、輸血後感染症が数万件という数で起きていた時代 があります。この表の見方ですけれども、新しい検査法を取り入れたり検査の精度を高 めたりということで、ここまで少なくなったという見方もしていただいたらよかろうか と思います。しかし、ここでお示しする主なものは輸血後感染症、肝炎ですけれども、 HCV、HBVがたくさん並んでおりますが、輸血後のC型肝炎、輸血後のB型肝炎が 少なくなったとはいえ、まだ四半期にこのくらいの数は出てきているということでござ います。  この「副作用感染症報告」にはいろいろな情報が付いておりまして、その情報の中で 私どもがピックアップしたり計算したりした数字を書き込んでいます。まずは「輸血後 陽転判明までの期間」という欄がありますけれども、輸血療法の指針を守っていただけ ていれば、輸血後感染症の診断は輸血後大体数か月、3か月とか6か月とか100日前後 のところで診断がつきますので、おのずと報告はその診断の後ぐらいに上がってきます が、中には非常に日数が掛かっているものがございます。これは事情はあるかと思いま すけれども、必ずしも輸血後検査が輸血後数か月以内に行われていない事例もあるので はないかということが、この一覧表からうかがえるものでございます。  それから、この中間報告には「因果関係に関する担当医等の意見」という欄がありま して、普通の医薬品だと医薬品との因果関係ということですけれども、この場合輸血と の因果関係に関する担当医の意見の記載部分を抽出してそのまま書かせていただいたも のが、真ん中の欄にございます。  右から二番目の欄は「報告企業の意見(日本赤十字社)」です。これは中間報告で、い ずれにしても医療機関から上がってきたら、日本赤十字社が意見を添えて私どもの方に 上げるわけですけれども、15日以内ということで調査は進んでいないのが前提ですの で、これは「調査中である」という意見が付いてまいります。後ほど個別NAT、それ ぞれの該当する輸血…、一人の症例に対してたくさん輸血が行われていますので、この 調査自体が非常に大変かとは思いますけれども、すべての投与された血液製剤について 保管サンプルがありますので、それについて後ほどファクスで上がってくる個別の核酸 増幅検査の結果を追記しております。ほとんどの症例が陰性でございますが、中には陽 性というものもあります。  1枚おめくりください。2〜3枚目が完了報告でございます。中間報告がなされたも のについてある程度調査が終了したものを、完了報告として上げていただいてございま す。ですから、中間報告と完了報告を合わせてワンセットということでございますけれ ども、完了報告につきましては私どもこの四半期に2〜3ページぐらいの数を受け付け ております。1ページの中間報告の症例と完了報告の症例でダブっているものは、この 四半期は一例もありませんので、ここにある分はそれ以前の四半期に中間報告として出 されたものが完了報告として出てきたものでございます。中間報告と完了報告との違い は、「報告企業の意見(日本赤十字社)」という欄に充実したものが書かれて出てくるこ とになっております。また、個別NATの検査結果もそこに追記してこられます。個別 NATに関してはほとんどが陰性ですけれども、中には陽性のものもございます。  4ページを御覧ください。今回御議論いただくのは遡及調査に関することですので、 遡及調査に関連する幾つかの事例を御紹介いたします。「(事例1)」は、平成9年にエ イズサーベイランス委員会に報告された事例でございます。この表の左角に「供血HI V抗体陽性」とありますが、ある方が献血をされその結果がHIV抗体陽性であったと いうことで、この献血者を遡及調査したところ、82日前に献血をされているということ が分かりました。これは平成9年のことですので、当時は「NAT」という言い方をし ておりませんでしたけれども、その献血の保管検体を核酸増幅検査いたしたところ陽性 が出ました。そこで医療機関に情報提供して、この輸血を受けた患者さんに輸血からち ょうど99日後にHIVの検査を実施したところ陽性と出たものですから、エイズサーベ イランス委員会に報告されたものでございます。これは遡及調査の一つの形かと思いま す。献血で陽性と出たら前回の献血を調べて、その結果によって医療機関に情報提供し たと。その結果、受血者のHIV抗体陽性が判明したという事例でございます。  1枚おめくりください。これが平成13年に医薬品副作用・感染症報告がなされた事例 でございます。個別NAT検査が陰性であっても、すり抜けたということがうかがわれ る事例でございます。これもやはり左下の角を見ていただきますと、「供血 50プール NAT陽性 個別NAT陽性(ジェノタイプA)」という箱がございます。この献血者は 献血の間隔が非常に短うございますので、さかのぼった2回前、38日前の供血血液、こ れは個別NATも陰性でもちろんプールNATも陰性でしたけれども、これの輸血を受 けられた患者さんのHBs抗原が103日後に陽性となったという事例でございます。遺 伝子系も調べたところ一致いたしました。  1枚おめくりください。先ほどの「(事例1)」は供血者の左下の角をスタートライン として遡及調査をやったものですけれども、「(事例3)」の報告のきっかけとなったの は右下の角でございます。医療機関がある患者さんのHBs抗原検査をしたところ陽性 と出て、その方の心当たりを調べたところ、2年前に輸血を受けたことがあるというこ とです。このときに使われた輸血の血液をすべて調べたところ、供血者の一人にその後 の献血、2か月少し後の献血でHBs抗原検査が陽性の方がいまして、これからつなが るとジェノタイプも一致していたということで、もしかするとすり抜けかもしれないと いう例でございます。このもしかするとというのは、実は輸血からHBs抗原陽性まで 非常に間があって、この間にHBs抗原、抗体とも検査がなされておりませんので、途 中の情報がございません。これは医療機関における抗原陽性者の発見をきっかけとした 遡及の例でございます。  次のページからあるのが、私どもが日本赤十字社に対して発出した通知の写しでござ います。新聞等で報道されたので概略は御存じかと思いますけれども、先ほどの「(事 例3)」で実際に輸血されて2年以上たって報告があったということで、遡及調査がな されていれば報告は2年前にされていたはず、2年前にその患者さんがHBs抗原、本 当に輸血による肝炎だったのか、そうではないのかというのははっきりしていたはずで す。しかし、遡及調査がなされていないようだったので、その辺がはっきりしていなか ったということをきっかけにして、遡及調査を徹底してくださいという課長通知を私ど もが出しまして、それに基づく一連の日本赤十字社に対する指導又は報告命令の写しで ございます。時間が掛かりますので、御参考にしてください。  これが資料F-1でございまして、ここで問題になるのは、遡及調査をやった上で実 際に医療機関に該当する血液があった場合、いかにして適切な情報を提供するかという ことであります。これを本日のメインの議題にしていただけたらと思っております。  資料F-2を御覧ください。1枚おめくりください。フローチャートの「日本赤十字 社」という枠と「医療機関」という枠、両方を並行して上から下へ見ていただければ結 構かと思います。まず日本赤十字社は、輸血用血液製剤を検査の上、安全と判定したも のを医療機関へ供給し、医療機関はその血液を購入されるわけですけれども、その後に 遡及調査によって何らかのリスクがある方、リスクがある血液を提供してしまったとい うことが判明した場合、その段階で製剤のリスクについて日本赤十字社から医療機関に 情報提供していただくと。それがもし輸血に使用されていなければ使用を差し止めて、 医療機関から日本赤十字社に連絡していただいて、日本赤十字社が回収すると。この回 収されたものについては、薬事法に基づいて回収の報告をしていただくと。  もし既に輸血に使用されてしまっていた場合は、「輸血療法の実施に関する指針」に のっとって輸血後検査が実施済みであるのか、それとも未実施又は「輸血療法の実施に 関する指針」にのっとらない部分があるのか、いずれにいたしましても輸血後検査が的 確に行われているかどうかを判断していただきます。そのまま矢印が下に行きますけれ ども、もし輸血後検査が実施済みであったら、その検査結果に応じてこの輸血によって 陽転していたという場合には、それを患者に情報提供していただいて、副作用報告制度 に基づいて報告していただくと。もし陽転していなかった場合にはその事情説明、こう いう事情でこういう血液を提供したけれども、結果は大丈夫でしたという検査結果を通 知していただくというフローチャートでございます。もし輸血後検査が実施されていな かった場合は、その輸血を受けた患者さんに検査をしていただく必要がございますの で、まずそういう経緯について患者さんに連絡し、情報提供して検査をしていただい て、その結果に応じて先ほどと同じ流れになります。このようなフローチャートで、患 者さんへの情報提供をやっていただければと思います。  最初の方の遡及調査の結果、リスクを評価していただくということを申しましたけれ ども、評価の一つの考え方を次のページに示しております。遡及調査は非常に多くの数 の疑いのある、ですからリスクがゼロのものはないのですけれども、何らかのリスクが あるものを提供してしまったという情報を医療機関に入れていただくわけですが、その リスクに濃淡がございます。まず遡及調査の結果、個別NATが陽性であると判明した ものがございます。これは陽性ということで、ウイルスそのものの混入していることが 証明されているわけですから、遡及調査の結果核酸増幅検査で陽性となった血液から製 造された輸血用製剤が供給されたというものは、もうウイルスが混入した血液を提供し てしまったという情報を、医療機関に与えていただく必要があるかと思います。  その次の枠は個別NATは陰性だけれども、献血と献血の間隔が非常に短い方の場 合、今回が陽性で前回が陰性で献血と献血の間隔が非常に短い場合は、前回の献血のと きがほぼ間違いなくウインドウ期間内であろうと推定される血液でございます。ですか らこれはB型肝炎、C型肝炎、HIV等、検査の対象によって間隔は異なるわけですけ れども、該当するウイルスについてウインドウ期内に採血されたことがほぼ確実な血液 から製造されたものは、ウインドウ期の血液に由来したものを提供しましたと。ウイン ドウ期に由来していますので、ウイルスが入っている可能性はかなり高いと。上の「ウ イルス混入」が証明されたわけではないけれども、ウイルスが入っている可能性が非常 に高いということを付して、医療機関に情報提供していただければと思います。  それ以外の血液、すなわち今回の献血で陽性反応が出て前回の献血が陰性だったとい うものは、前回が感染して間もなくの時期であるという可能性は決して否定できません ので、リスクはありますけれども、リスクの濃さが分からないと。上の二つに比べると 確率的には低いけれども、それはその他、「ウインドウ期の可能性がある血液由来」と いうことで、リスクはあるけれども、ウインドウ期の可能性が否定できない血液を提供 してしまったという情報を提供していただけたらと思っております。  次のページを御覧ください。参考までに、「血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施 に関する指針について(抄)」の輸血後検査のところをピックアップしたものでございま す。4ページは、薬事法の「(副作用等の報告)」、「(回収の報告)」の該当条項をピッ クアップしたものでございます。  参考までに5ページを御覧ください。数としては少ないかと思いますが、先ほどのフ ローチャートどおりやって、大半はウインドウ期のNAT陰性血でしょうからウイルス の数そのもの、感染力そのものが非常に小さいというもの、リスクはあるけれども感染 力は小さい、又はウインドウ期の可能性があるというレベルのものですので、陽転して いないという結果になるかと思います。  ただ、やはりすり抜けて陽転されている方が一部現れるかと思います。この陽転した 方はいわゆる輸血後肝炎又は輸血後HIV、輸血後感染症という状態になるわけです。 ごく少数の方かとは思いますけれども、この陽転してしまった方に対して今後遡及調査 をやっていただくに当たり、来年度の話になってきますが、平成16年4月以降に使用さ れた生物由来製品につきましては、平成14年のさきの国会等の審議を経てこういう救済 制度ができたという解説でございます。いずれにいたしましても、これはまだ発足して いない制度でございますので、今やられている遡及調査に関しては実はこの制度の対象 とはなりません。ただ、遡及調査はこれからずっとやっていただくことになりますの で、来年4月以降に使用された生物由来製品で生じた感染症は、ここに書いてあるよう な救済制度の対象となる可能性がございます。ではそれ以前の方はと申しますと、輸血 後感染症、生物由来製品による感染症、ほかの方々、遡及調査によってたまたま見付か った方と、そうではないこれまでの輸血後感染症の方々との扱いを異にするという考え 方は、現時点では持っておりませんので、そういう意味でほかの輸血後感染症、輸血後 肝炎等の方々と同じで、この制度が始まるまでは救済の制度はないということを御説明 しておきます。以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。続きまして、草刈参考人から意見の陳述をお願いし たいと思います。議事が大分込んでおりますので、大変申し訳ございませんが、10分程 度で手短にお願い申し上げます。 ○参考人  草刈でございます。まず、6月12日夜に賜った御指示に対しまして、全国の基幹セン ターの所長、事務長会議あるいは供給課長会議を開くなど速やかに対応しておりまし て、既に回収の御報告を重ねていることをお知らせいたします。  それからこの度は輸血用血液の遡及調査体制について、輸血を受けられた患者さん、 その御家族を始めとして、日ごろから御支援と御協力を賜っております医療関係者の皆 様、並びに全国の献血者の皆様に多大な御心配をおかけしたことをおわび申し上げま す。日本赤十字社といたしましてはこの度の反省を踏まえて、厚生労働省の担当部局と 一層連絡を密にして忌憚なく意見を交換し、輸血用血液製剤の安全性の向上により一層 努めてまいる所存でございます。何とぞ御理解と御協力を賜りますよう、お願い申し上 げます。  我々の遡及調査について資料を用意いたしましたので、それに基づいて御説明いたし ます。私どもの遡及調査は1992年、平成4年に医薬情報専門部署を設置いたしました。 ○溝口部会長  草刈参考人、どの資料を見ればよいのですか。 ○参考人  これは口頭です。1993年から遡及調査を開始いたしております。当時は全献血の検体 の保管がございませんので、献血者の皆様に50人、30人とおいでいただいて、その御協 力を仰いでおりました。1996年から全献血検体の保管が始まりまして、そのような御苦 労をかけることは減ってきたわけでございます。ただいま橋爪課長が御説明されたよう に、1997年に感染症報告の制度化がなされました。翌年でございますが、遡及調査の検 討が始まった次第です。その翌年に私どもは核酸増幅検査を全献血に導入いたしまし た。感染症報告の制度化、遡及調査の検討を国としていち早く始めていただいてござい ます。それに合わせて、私たちは1998年から分画製剤の原料血漿の6か月の貯留保管を スタートしております。  用意いたしました「資料No.日赤1」でございますが、横書きになっている1ページ では私どもで調べた海外の状況を御説明いたします。欧州連合や欧州協議会、アメリカ FDAでございますが、国及び国が集合体となった組織が主体となって基準等を作成し ております。ここに御紹介したのはアメリカとカナダでございます。梅毒トレポネーマ その他は、前回採血された血液に対する措置は不要ということでございますし、これは 米国のFDA、カナダは公文書館あるいは公定書協会に当たるのでしょうか、Canadian Standards Associationがやっております。HBVに関しては「繰り返し陽性」と書い ていますが、これは違った方法で同じ検体がrepeatedly reactiveとありますけれども、 そうなった場合は隔離しろと。それで「5年前まで、又は、直近陰性から12か月前まで 」ということがございます。情報提供しということがございまして、それぞれ米国、カ ナダで違いますが、欄外にありますけれども、「カナダのHCV、HIV以外はNAT の結果は参照していない」ということです。先ほど申し上げたように、「繰り返し陽性 」というのは同じ検査で2回陽性を言うということでございます。NATはアメリカで は「IND(Investigational New Drug)」といってまだ義務付けられていませんので、 この中には対応されていないということでございます。  次にページをめくっていただきますと、平成10年9月8日の安全技術調査会に提出さ れた厚生省の表でございますが、一応ここでもHIVとHBVとHCVということでい ろいろ御苦労をされているわけでございます。  次のページをめくっていただきますと、これはフローでございますが、欄外に「注) ☆:要検討」とありますけれども、ここの「前回の保管検体の核酸増幅検査」、「陰性 」、「終了」は要検討であるということです。と同時に、ここで私どもが御担当の方々 といろいろ意見を交換いたしまして、やはり問題はいつまでやるのかということと、N ATでいいのかということでございました。私たちはそういうものを引き受けまして、 厚生労働省がおやりになった研究班にいろいろと御協力申し上げました。一つ目はウイ ルスの標準品の作成でございます。これは血液対策課が中心となってやったと理解して おりました。二つ目はNATそのもののガイドラインでございます。これも我々は協力 させていただき、今年出来上がったように伺っております。三つ目は、どれぐらいのコ ピーになったら感染が成立するか、つまりウイルス量でございます。これはチンパンジ ー実験でございますが、それに対して我々は輸血用血液として使用できなかった新鮮凍 結血漿等を提供して、これについてはHBVもHCVも年内には結論が出るであろうと 漏れ聞いております。当然そのときに我々もNATを導入しておりましたし、このガイ ドラインの案に準拠した遡及調査を実施しました。さらにNATを導入したものですか ら、血清反応とNATの総合評価を我々独自にやっておりました。  我々がやったものというのは次の4ページにありますが、平成15年7月16日のHIV の血清学的検査が陽性であったときのものでございます。このときもそうでございます が、今橋爪課長もおっしゃったように、左側の真ん中辺にありますけれども、大切なこ とは「献血間隔を考慮し実施(今回と前回)」しなければならないだろうと。さらに、保 管検体によるNATが例えば陰性であっても、前回と前々回、前々回とその前回等の献 血間隔を考慮して廃棄等を行っております。当然ながら、陽性であった場合はコピー数 を測定してサブタイプを決定し、医療機関へ連絡して分画用原料も使用停止しておりま す。  次の5ページに移ります。これは50プールNAT陽性になった例でございますが、個 別NATをやって陽性になればコピー数を測定、サブタイプの決定などをいたしますけ れども、先ほどから申し上げているように献血歴がある場合には、ここにあるように 「前回との献血間隔を考慮し実施」して探ります。保管検体によるNATがあった場合 には、先ほども申し上げた前々回等の献血間隔を考慮して血液の廃棄等をやると。下は 同じです。  6ページに移ります。これはHBVとHCVでございますが、血清学的検査が陽性で あった場合です。これはやはり献血歴がない場合は終了でございますが、あった場合は 先ほど申し上げた遡及調査をしながら、HCV、HBVの遡及期間等評価、献血間隔、 コピー数などを測定してお役に立ちたいとやっておりました。その次に保管検体による NATが陽性の場合は、当然ながらコピー数測定、サブタイプ・遺伝子型を決定し、医 療機関へ同時に連絡するということは同じでございます。  7ページに移ります。これはHCVとHBVなのでちょっと違いますが、やはり個別 NAT陽性の場合、それからHCVの場合は過去30日、HBVの場合は過去60日さかの ぼると。それで右側の下にございますように、「遡及期間等評価検討」をしているデー タを今積み重ねていて、御当局の遡及調査の立ち上がりに資していただければ有り難い と思っております。  次の8ページに移ります。これは病院から上がってきたものですので、今橋爪課長が おっしゃったようなことでございますが、大切なことは右側の真ん中辺にある「当該献 血者の追加情報を収集し、波及・拡大の可能性を検討」を実施してまいりました。  そこで次の9ページに移ります。先ほど一覧をしていただいた中にも重複しているも のがございますが、私どもは推定して駄目だ駄目だとは言っていませんで、必ずしも個 別NATに頼らないでやっているということを、御承知していただければ有り難いと思 います。  10ページに移ります。先ほど申し上げた「血清学的検査と核酸増幅検査の相互評価に ついて」でございます。これはHCVの場合ですと平成14年4月から、私たちは厚生労 働省の老人保健の事業に合わせて、それと同じような考え方で実行させていただいてお りますが、5,597HCV抗体が強陽性以下、強陽性でないものの陽性献血者の方にNA Tを行ったところ、3.1%が陽性だったと。これは全部廃棄でありまして、これに合格 したものにNATをかけているというのが、今日本で行われている安全性向上のための 試みでございます。それでもすり抜けるものがあるということでございます。HBc抗 体検査陽性献血者の方々のDNAの陽性数を調べますと、これは平成15年4月から始め ておりますけれども、17,797から463(2.6%)とほぼ同じく3%ぐらいがNATのある方 で、ほかはそれぞれの抗原蛋白や抗体蛋白があったというだけのことでございますが、 これも全部使われておりません。生物学的製剤基準によって使われておりませんで、こ れを合格したといいますか、ネガティブな人がNATを受けているということでござい ます。HBVにしてもそういうことでございます。  そういうことを背景にして、「献血者の皆様へ」というカラーのものがお手元にある と思いますが、HCV抗体検査陽性の方が抗体が余りたくさんできていないと。核酸増 幅検査を平成14年4月から始めて、陰性、陽性の方、これは正に厚生労働省の記述に合 わせて書かせていただいております。HBVについては今年でございますが、次のペー ジで同じようなことをさせていただいております。  このように私たちはいろいろと努力を重ねてまいりました。そこでアメリカの例を見 ますと、英語を非常にデリケートに使っていると。「dead leave」と言ったり、次に 「inventory dead leave」、それから「recall」、「withdraw」と言ったり、先ほどの アメリカでは「隔離」を「quarantine」と書いてあります。これはのけて使うなという ことです。「remove」、「hold」、又は「inventory hold」というふうに、非常にデリ ケートに使い分けていることに気付きますが、この辺もこれからのいろいろな制度を決 めていくときに、参考になさってはいかがかとあえて申し上げたいと思います。  今後のことについてでございますが、許していただければ四点をお願いしたいと思い ます。血液の安全性や副作用に関する情報を、その時点で得られている最新の知見、情 報によって評価し、対応すべき方策を定める専門委員会を設けるよう、かねてから要望 してきました。私たちの言い方では、即断即決する地震予知連絡会のようなものと申し 上げております。この機会に改めてお願いいたします。二番目は、他の先進国の実例を 参照に、日本でも国による血液安全監視体制を想定していただきたいと考えておりま す。三番目は、さらに輸血を受けた患者さんに、輸血後のある時期にHIVと同じよう にHBV、HCVの検査を奨励する施策をお願いしたいと思います。四番目は、遡及調 査体制は安全ということではございませんので、やってもこれからの指針ということに なるのでしょうけれども、その確立が図られるのに合わせて、輸血用血液の不活化除去 の導入を国のプロジェクトとして御検討いただきたいと思います。また、繰り返します が、輸血用血液製剤の遡及体制問題については、常に新たな科学的知見に基づいた遡及 調査体制を構築することの重要性を再確認したところでございます。つきましては、先 ほどの繰り返しになりますが、早急にそういう専門家を交えた検討を公開、透明性のあ るもので設けていただくようお願いしたいと思います。  国からの負託によりまして、輸血用血液製剤の供給を担ってまいった日本赤十字社の 責務を踏まえて、私ども今後も輸血を受けられる国民の皆様方の不安を少しでもなくす ように、国の御指導と医療機関、患者さん、献血者の御協力の下に日本の調査体制を構 築し、国民からお預かりする我が国の大切な血液事業への信頼の回復に努める所存でご ざいます。日本赤十字社の行う血液事業に対しまして、今後とも一層の御指導、御支援 を賜りますようお願いいたしまして、まずの御説明を終わらせていただきます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。ちょっと確認したいのですが、今四点の最後に不活 化除去のことをおっしゃいましたけれども、これは輸血用血液製剤の不活化除去のこと ですか。 ○参考人  そうです。 ○溝口部会長  かなり難しい問題でございますね。ではそれをやってほしいということですね。 ○参考人  私どもの職員を、そういう開発している外国の企業のアドバイザリー・コミッティー に派遣していまして、最新の情報を得ておりますので、いつでも御提供申し上げます。 ○溝口部会長  分かりました。では、ただいまの草刈参考人のお話に基づいて、委員の先生方から何 か御意見、御質問がありましたらどうぞ。 ○中村委員  二点確認したいことと、一点質問があります。今草刈さんから出た日赤が取り組んで いる体制と、これからこのようにやってほしいという提言はよく分かるのですが、先ほ どの橋爪課長の御説明では6月に遡及調査をしっかりして報告してくれという命令書を 出したわけです。このときの事実関係として、日赤は遡及調査をやっていたのかどうか ということが第一点、第二点はたしか先ほどの御説明では以前遡及調査を、平成11年か 12年か、ちょっとすぐにぴたりとは遡及できないのですけれども、やられ始めてその間 ずっと遡及調査をしていたのかどうかもお聞きしたい。それから第三点は、最後の方に いろいろ検査をしたけれども、すり抜けるケースもあり得るという趣旨のことをおっし ゃったのですが、現在の体制のやり方ではHBV、HCVあるいはHIVが輸血によっ て感染する可能性も仕方がないという意味でしょうか。それを確認したいと思います。 ○溝口部会長  では草刈参考人、三点について逐次お答えいただきたいと思います。 ○参考人  まず最初が、たしか「(事例3)」に書いてあった例をやっていたかと。ジェノタイプ を調べましたし、それから今シークエンス、核酸配列を全部点検しております。さら に、この当該献血者で27本輸血されていまして、一人だけたしか77日後に陽性になった 方を…、もちろんその77日の血液はすべて廃棄されております。使われたからというの は、77日以前に使われたものの更にさかのぼった3年前に献血しています。その後はな いということを確認しております。そのような調査は油断なくしております。二番目は 何でしたか。 ○中村委員  関連するのですけれども、たしか平成12年から遡及調査を始めておられますよね。そ の後ずっと遡及調査をやっておられたのかどうかです。 ○溝口部会長  どうぞ、草刈参考人。 ○参考人  1993年からずっとやっております。 ○中村委員  一度も中断したことはないわけですね。 ○参考人  ございません。 ○中村委員  やっておられなかったという表現が6月10日付けの命令書にありますが、それは否定 されるわけですね。 ○参考人  先ほど冒頭に申し上げましたように、ただちに対応いたしております。 ○溝口部会長  そのやり取りはちょっと文書と違うようですけれども、それは日赤の公式な見解なの ですか。 ○参考人  命令が下ったからにはやらなければならないのです。 ○中村委員  命令が下った後はやらなければならない、これは当然です。それ以前にやっておられ たのかどうか。この命令自体は遡及調査をやっていない節があるという表現になってい ますよね。 ○参考人  残念ですが、やっております。 ○中村委員  やっておりますか。 ○参考人  はい。 ○中村委員  ということは、厚生労働省の命令書が違うということですね。 ○参考人  違うのではなくて、もっと広くやれということです。 ○中村委員  それとも解釈の問題ですか。 ○参考人  その辺はどうなのでしょう。このケースについての遡及調査はやっております。それ は間違いありません。 ○中村委員  このケースはやっておられると。 ○参考人  それから今度のことについても、たしかこれは6月12日の夜でございましたね。です から、もう既にその夜から動いております。 ○中村委員  この遡及調査は薬事法その他もろもろの法律には基づかない、いわゆる厚生労働省か らの指示に基づいてやっていることですね。それとも法律に基づいたことですか。 ○参考人  平成4年から始めているのはそうではありません。私ども独自のものです。平成10年 から厚生省がお作りになった遡及調査のガイドライン案に準じてやっておりますが、少 し変えました。もちろんNATが入りまして保管検体も入っているから、そこがちょっ と違ってまいりますけれども、遡及調査は…。 ○溝口部会長  最後の3点目の、ある程度すり抜けることがあり得るということはどうですか。 ○中村委員  言葉は悪いですけれども、これは仕方がないことなのかと。 ○参考人  これは非常にデリケートな問題で、仕方がないとは言いません。我々は努めるだけの ことを努めております。しかし、これは私たちが言うと非常に難しい問題になりますか ら、むしろ先生方の方から言っていただいた方がいいと思いますが、我々は究極まで今 やり得る努力は重ねております。しかし、それが十分かどうかは先生方の評価に任せる ということでございます。 ○溝口部会長  吉澤委員、今のことに関係してですか。 ○吉澤委員  今のことに関してウイルス学的なことを申し上げます。結論から言えば感染は起こり 得ます。と申しますのは、今の核酸増幅検査の検出限界といいますか、検出感度という のはC型につきましては100コピー/ml、つまり1cc当たりウイルス100個あると検出で きるというものが使われています。これは現時点の技術的な限界です。チンパンジーで 感染実験をやったのは私たちの班ですので申し上げますと、ウイルスの不活化の減弱を 最小限に抑える条件下で確保した感染初期の(免疫複合体を形成していない)血清による 継代(パッサージ)実験をするとウイルス絶対量が20コピー相当で感染いたしました。し たがって、ウイルスの感染が起こるか起こらないかということに関して、C型はNAT の検出限界未満のウイルス濃度の感染初期に献血が行われた場合、感染は確実に起こり ます。B型につきましても、これは明日実験がスタートするのですけれども、今までの すり抜けによる感染のケースから推測するに、今のNATの検出限界は60コピー/mlと なっておりますが、それを下回るウイルスの絶対量で感染は十分起こり得ます。  実際には輸血用血液は200cc入れます。今のは1cc当たりのコピー数ですから、実際 に入るウイルスの絶対量はその200倍になるということから考えますと、たまたまの偶 然のチャンスでウイルスの量がNATの検出限界に到達する手前のところで献血された 血液に遭遇した場合、感染は避けられません。これを避けるために、遡及調査の体制を どのように合理的にウイルス学的なベースに基づいて作っていくのかということ。それ からもう一つは、現在の事態を多くの人に正確に知ってもらって、献血を頂くときのタ イミングも含めて献血者の方々に十分なエデュケーション、理解と協力を求めなければ いけないと。そしてそれでも足らない部分については、恐らく不活化ということができ れば安全性の問題はある程度クリアできるのではないかと思います。 ○中村委員  吉澤委員がおっしゃることでよく分かりました。ただ我々が求めたいのは、ウイルス 感染というのは感染した後薬と違って現段階では後戻りできないということです。では 血液をきれいに浄化するかと言われて浄化できない状況においては、最大限の努力を払 って感染を抑えなければならない、防がなければならない。このための手だてがあるの かどうか。必要ならばその手だてを講じなければならないし、その体制を作らなければ ならないというのが質問の趣旨です。 ○溝口部会長  遡及調査というのは非常に大事で、絶対にそれを無視してはいけないので、それを基 に先生がおっしゃるように今までの技術を改善するということと、もしも不幸にして感 染が予想される場合は、十分なインフォームド・コンセントをしていくということをお 願いします。それ以外に何かありますか。 ○吉澤委員  ちょっとだけ足しますと、遡及調査をするときにこれは調査だけにとどめることでは ないですね。感染を防御するために最大限に活用することを考えなければいけない。そ うしますと定期的にかなり頻繁に献血に来た場合に、遡及調査に伴って感染が予防でき る時期に遭遇することは起こり得るわけです。エデュケーションの問題は先ほど言いま したが、今度は遡及調査、ルックバックのことを言いますと、ちょうどウイルスの増殖 の途上にあると想定される血液を、どのようにルックバックすることによって安全率を 見込んでピックアップし、使わないようにすることができるか。これはウイルスの専門 の人と、それからいろいろな方の討議の下に、具体的にプロトコルを考えなければいけ ないと思うわけです。それはウイルスの増殖スピードに依存しますから、ウイルスの種 類によってすり抜けの期間は異なります。ですから、データに基づいたルックバック体 制を今から考えていかなければいけないということだと思います。 ○溝口部会長  これに関係してどうぞ、清水委員。 ○清水委員  二点ですが、まず吉澤先生に、ウインドウピリオドの増殖カーブというのは、B型だ ったらB型すべての株について同じ増殖カーブを示すのか、バリエーションがあるの か。C型についても…、その辺はどうですか。 ○吉澤委員  C型につきましては実験を終了しておりますので、明瞭に答えられます。ジェノタイ プ1bと2aで差はありませんでした。ちなみにダブリングタイムは9.7時間、そして ログタイム、10倍に増えるための期間は1.2〜1.3日です。               ── 橋委員退室 ── ○清水委員  そのときの株の数は幾つずつ検討されたのですか。 ○吉澤委員  2株です。 ○清水委員  もっとやったら差が出るかもしれないと。 ○吉澤委員  実験に使えるチンパンジーに限りがあって、通常の実験と違いこれはぎりぎりの感染 実験をやりますので、今のところB、Cについては2株が…。 ○清水委員  それはやった範囲内ではそうだという理解でいいわけですね。 ○吉澤委員  そういうことですね。Bにつきましても同じように検討して…。 ○清水委員  ですから、まだバリデーションは否定できないと。 ○吉澤委員  肯定もできません。 ○清水委員  それからもう一つ草刈参考人にお願いしたいのは、中村委員の御質問に対して話がち ょっと混乱しているようで、まず厚生労働省からの通知があってからの検査のことにつ いてはよく分かりました。厚生労働省からの通達が行く以前の現状についてお答えいた だきたいと思うのですが、この「(事例3)」の中において供血者が77日後にジェノタイ プCといいますか、HBs抗原が陽性になったと。そして、77日前の50プールNATが 陰性であったという中に含まれていた供血者の検体の個別NATを、その時点で行った かどうかということをお聞きしたいのです。 ○参考人  我々のルールでは行っております。 ○清水委員  平成13年6月10日以降何日かの間に、50プールNAT陰性の中のHBs抗原が77日後 に陽性になった個別NATが陰性であったのは、既に分かっていたということでござい ますね。 ○参考人  中村先生にまた怒られるかもしれませんが、我々はできる限りのことをやって…。 ○清水委員  そのようなことはどうでもいいのです。私の質問に答えてください。 ○参考人  そのとおりです。 ○清水委員  そして、その情報は医療機関には提供されていないと。 ○参考人  提供しました。ですから分かったのです。医療機関から来たのです。 ○清水委員  そうではなくて、それは平成15年の話ですね。私が問題にしているのは平成13年のと きの話なのです。 ○参考人  提供する場合と提供しない場合とございまして、それはルールがありませんでしたけ れども、先ほど申した7ページにあるHBVの場合は過去60日さかのぼってということ です。そのラインの中で我々は遡及調査を行っていたということでございます。 ○清水委員  もう1回確認したいのですが、HBs抗原陽性であることが分かった77日以前の検体 について個別NATをおやりになって、その方は幸いにして陰性であったということ を、医療機関に通知したかどうかというところはどうなっているのですか。 ○参考人  77日というのはこの「(事例3)」のことでございますね。 ○清水委員  それは平成13年の時点での話です。 ○参考人  これは最近分かりましたから…。 ○清水委員  最近のことはどうでもいいのです。平成13年時点のことをお話しいただきたい。 ○参考人  平成13年は個別NATをしておりませんから…。 ○清水委員  ということは、個別NATをやっていないというわけですね。 ○参考人  平成13年の時点ではやっておりません。 ○清水委員  分かりました。 ○溝口部会長  比留間委員、どうぞ。 ○比留間委員  今清水先生が御質問になったこととかなりダブるのですけれども…。その前に、今報 道もあって日赤がかなりいじめられているので、それに対して医療現場の者としてちょ っと意見を述べさせていただくと、私は患者さんに輸血をしていた立場としては、平成 元年ごろいわゆる輸血用血液をすると多くの患者さんがノンA、ノンBになっていたの が、ここ10年間でほとんどなくなったと。さらにNATが導入されてかなり安全になっ たということで、冒頭に橋爪課長もおっしゃられていたように、ここに出た症例はこれ だけ出たというのではなくて、これだけになったということが臨床現場として実感され ていますので、日赤の努力によって安全性はかなり向上されたということをまずお話し したいと思います。  それで私の質問は基本的には清水先生と同じで、遡及調査をしていたか、していない かということとも絡んで、今回患者さんの遡及調査が問題になっていますけれども、や はり原料血漿と輸血用血液を分けて考えなければいけないと思うのです。当然この遡及 調査の中にはクアランチンの話も出てくるので、やはりその辺も今回基準をしっかり作 った方がいいのではないかということで御提案させていただきます。  今回の「(事例3)」におきましては、もしクアランチンがやられていたとしたらば、 平成13年にこの供血者が2回目に献血したときにHBs抗原が陽性になっていたという ことで、もしこのときに遡及調査がされていたのであれば、この個別NAT陰性の血液 は、個別NATが陰性でも陽性でも排除するのが今世界的な基準になっていると思うの ですけれども、その辺のルールはどうなっていたのかと。つまり献血者を遡及している のならば、血漿を6か月間保管しているわけですよね。そのときに献血した方が6か月 以内に来てHBs陽性とかHCV陽性になったら、振り返ってみてその前の献血の血漿 は6か月保存してあるから、当然使われないでとってあると思うのですけれども、その ときは基本的には個別NATをやろうがやるまいが、それを排除するのがクアランチン の原則的な仕方だと思うのですが、その辺のルールが一体どうなっていたのかというこ とをお聞きしたいと思います。               ── 橋委員入室 ── ○溝口部会長  草刈参考人、どうぞお願いします。 ○参考人  それこそ今度の遡及調査がいいか、決めていただきたい。私たちも大変迷ったところ ですが、データは作っておりますので御提供いたします。どうしたらいいのかというの は、本当に我々は決めかねておりました。是非お力添えいただきたいと思います。 ○溝口部会長  ちょっと一つだけ私がお聞きしたいのは、この「(事例3)」のときに二度目のHBs 抗原が陽性だったのが発端ですね。そうすると、その前のところに行って陰性だったけ れども、その件を提供した患者さんあるいは医療機関に伝える努力はなさったのです か。 ○参考人  「(事例3)」の件をおっしゃっているのですね。これはもともとは病院から来た事例 です。 ○溝口部会長  右から来たのですか。 ○参考人  病院から「おかしいよ」と来たわけです。 ○溝口部会長  陽性の患者になったというので、順番に来たわけですね。 ○参考人  これは2年間健康で過ごしたけれども、ある検診を受けたら肝機能が高いと。手術を した病院に来られてそこでやったということで、その病院から我々に連絡が来たという ことです。 ○溝口部会長  今後の問題かもしれませんが、すり抜ける可能性があるとなると陰性でも危険だとい うことで、この77日後の陽性のときに元へ戻って陰性ではあったけれども、医療機関に 伝えることは当時はお考えにならなかったのですか。 ○参考人  今それを迷っていたと申しましたが、お伝えするときもあったし、この場合はジェノ タイプCなので大変迷ったのですが、ジェノタイプAの場合も確実にその血液だという ことはほぼ言えるのではないかと。これは専門の先生方に伺わないと怒られますから、 いいのですが…。 ○溝口部会長  今後の流れとしては、これを見るとやはり…。 ○参考人  是非決めていただきたいというのがお願いです。 ○溝口部会長  清水委員、どうぞ。 ○清水委員  何のために検体を保管してきたのかということを、やはり大きな問題として提起した いと思うのです。ですから、膨大な数の検体を膨大な施設の中にストックしているわけ です。したがいまして、少なくとも輸血用に使われなければ77日間以上、6か月間もこ の検体は確保されているわけですが、輸血用に使われる危険性もあったわけです。した がって、今日赤がやっている「クアランチン」と称するものは、医療機関から情報が上 がってきた場合に限ってやっていると印象付けられるわけです。少なくとも平成13年の 時点においてはそのように印象付けられます。  したがって、同じように77日後にHBs抗原が陽性であった検体をさかのぼって、そ の77日前に採血された個別の検体は少なくとも無条件で排除すべきだったと。これはや はりそのために検体を確保していて、その上で更に検査が陽性であったか陰性であった かと。陰性であった場合には、草刈技監が言われるように迷うことはあってもいいかと 思うのですけれども、より安全な血液の提供ということを考えれば、私は検査結果がど うであろうとこの検体は排除すべきだったと。当然そうすべきだと思うのです。ですか ら、それは自主的にやっていようがやっていまいが、そういう姿勢で臨んでいる限りに おいては、これは赤十字としてはやるべきであると。それをやらなかったらどういうこ とになるのかという方を、むしろ私は問題にしたいと思うのです。 ○溝口部会長  草刈参考人、何か御意見はございますか。 ○参考人  拳拳服膺いたします。それからやはりそういうことを決めていただきたいと、これは お願いしたいと思います。我々は本当に…。 ○清水委員  その問題は決めるとか決めないではなくて、医学的に常識的な話だと思うのです。私 はそう思います。そのために赤十字は大きな金を掛けて冷凍室を設けて大量の検体、年 間600万件の検体を10年間ストックするだけの設備を持っているわけでしょう。そうい うものをどうしてこういうときにきちんと活用しないのかと。こういう問題に対してこ そ、そういうものを活用すべきではないのかと。何のためにやってきたのかが分からな いではないですか。 ○参考人  すみません。 ○溝口部会長  大平委員、どうぞ。 ○大平委員  先ほど比留間委員が、かなり改善されてきてリスクがとても少なくなったというお話 をされましたけれども、患者の立場から言いますと、その感染を受けた患者一人一人に とっては大変な負担になるわけなので、これはやはりあってはいけないことなのです。 ですから、きちんと回収するかどうかはまたあるかもしれませんけれども、何かリスク の危険情報が出た場合にはまずは使用停止して、そして迅速に回収するなりの措置が採 られないと、やはり患者本位の医療にはならないのだろうと思います。そういうことが マスメディアでも言われていますけれども、日本赤十字社は献血血液を輸血の問題とし て付託を受けているという草刈参考人のお話がありましたが、献血を受け入れる段階以 降の問題につきましても、安全性の確保はやはり日本赤十字社にかなりの責任があると 思います。そして、厚生労働省もそれをきちんと監督する責任はあるのだろうと思いま す。ですから、厚生労働省からいろいろな指示が出た場合には迅速に対応するという体 制がとれていないと、リスク管理としてはなっていないというふうになるのだろうと思 います。ですから、そこの体制と心構えをもう一度再確認していただきたいと思いま す。  今回の表で、医療機関の方では輸血による可能性がかなり高いという判断が書かれて おりますけれども、それに対する評価について日本赤十字社の方では「輸血用血液によ る感染ではないことが推定された」ということで、かなり紋切り型のような形で全部出 ていますが、こういうものがまた公表されることによって、患者はやはり不安を感じま す。もう少し本当に誠意ある対応が採れるのかどうかというところも一つにはあると思 います。ですから血液法の施行に伴って、やはりそこの責任がかなり厳しく問われる問 題なので、今後どういうふうにしていくかということも含めますけれども、現状の問題 と今後の問題をきちんと分離して考えて、現状の問題にどう対処して患者さんの不安を なくすか、医療者の不安をどういうふうになくすかということも迅速に考えていただい て、遡及調査とか血液の安全性管理体制の総体的なシステムの構築については、また計 画的な問題としてはもう少し時間が掛かるだろうと思います。ですからそこの問題と切 り離した形で、そのことを日赤の中でもきちんと検討していただいて、厚生労働省の方 でもそこのもっと現実的な対応をどういうふうに採るかを、日赤と協議していただきた いと思います。 ○溝口部会長  では草刈参考人と厚生労働省の両方からお願いします。 ○参考人  ほかのだれよりも、薬害エイズの被害者である大平委員から言われることはこたえま す。国も医薬品業もお医者さんも安全だと言っていたのに感染したということの、重さ の中からの御発言でございます。深刻にとらえてまいりたいと思います。  一つだけでございますが、紋切り型に全部出ております。全部こうではなくてという ことがございますが、それはまた後で申し上げます。言いたいことは、本当に真摯に受 け止めて実現してまいりますということだけを申し上げます。 ○溝口部会長  厚生労働省の方から何かありますか。 ○血液対策課長  厚生労働省は日本赤十字社に対しては指導、監督する立場なのですけれども、今回の 私どもの一連の指導の根底にありますのは、やはり日本赤十字社に自主的に安全性の向 上を図っていただきたいと。自主的にやるに当たって、いろいろな制度としてバックア ップが必要だというところについて私どもに相談していただければ、よりやりやすいよ うにすることができると。事は危機管理の問題ですので、先ほどから委員会を作ってと か言われていますけれども、そう悠長な問題ではなくて、危機管理は自主的にやれるこ とをどんどんやっていただいて、それに当たって制度上のバリアなどがある場合は私ど もに相談していただいて、臨機応変に動くというのが危機管理の在り方だと思います。 少なくともルックバックに関しては、委員会を作ってガイドラインを定めてという段階 ではないかと思いますので、その辺は御理解いただきたいと思います。 ○溝口部会長  櫻井委員、どうぞ。 ○櫻井委員  いろいろな方の御発言で問題がいろいろなところに行ってしまうのですが、ちょっと 整理して考えてほしいと思います。もともと問題がなかったわけではないだろうけれど も、6月12日の通知からいろいろなことが浮かび上がったわけです。整理してみれば、 ある人が献血をしたらその献血の血液がウイルス反応陽性に出たと。ところが、その同 じ人が6か月前なら6か月前にやはり献血をしている、そのときにそれを「遡及調査」 と言っているのだと思うのですが、さかのぼって調査をする。そこで問題を二つに分け て、厚生労働省から出た通知でも血液製剤として使われないで残っていた場合直ちに回 収しなさいと書いてあります。この問題については、だれも異論はないのではないか と。遡及調査をして使わないで残っていたら回収しなさいということですね。  私が問題にしたいのは、指導する立場の厚生労働省として、それが常識であるとして 今まで言わなかったということで済むのかどうかということがある。もし常識であれば 改めて6月12日に言う必要もないような気もします。ですから、前もってそういう遡及 調査のときどうしなさいという指針なりガイドラインがあったかどうかという問題があ ると思うのですが、過去を言ってもしようがないから、今の点では製剤が残っていれば 破棄するなり処理すると。次に使われてしまった場合のことが大きな問題になっている のだろうと思うので、先ほどの御議論でいろいろ細かい点がありましたけれども、一言 で言ってしまえば、現在の医学の上では仕方がないと言えますかとおっしゃったけれど も、そういう言い方はいけないのかもしれませんが、現実に仕方がない例があると言う しかない。先生方の難しい理論は別として、とにかく現時点では仕方ないと考えるしか ない例が残っているということは確かなのですね。  そうすると、仕方がない例が起きたときにどうするかという問題が次にあるわけで、 逆に言えば仕方がない例があるという情報が前もってきちんと患者さんに伝わった上 で、輸血なり血液製剤が使われているかというところに問題点がある。それから、仕方 がないことが現時点で起きてしまったときに、それをどう伝えてどうするのだという問 題もあります。これを言うとまた長くなりそうですけれども、先ほど救済制度の話では 今までのところは保険でやれば何とかと言っていましたが、それで本当にいいのかどう か。仕方がないことが起きたときにはどうするのだという…、ちょっとその辺を幾つか 分けて議論しないと、どうも話があちこちに行っているような気がするのですけれど も、どうでしょうか。               ── 幕内委員退席 ── ○溝口部会長  全体として日赤の御返事を見ると、やはり一般的にはNATが完全だという前提がち ょっとあるような感じがしますね。それがちょっと紋切り型の返事があると皆さんに言 われる理由だと思います。 ○櫻井委員  そんなことはあり得ないですよね。 ○溝口部会長  完全ということはあり得ないので、すり抜けることはあり得ます。そうなると今櫻井 委員のおっしゃったように、一つにはそれを更に技術的に改善する方法はないかと。 ○櫻井委員  それはやらなければいけないですね。 ○溝口部会長  もう一つは、起こってしまったときにはやはり患者さんに対する十分なインフォーム ド・コンセント。今救済の方法がないとおっしゃいましたが、今後はやはりあるらしい ので、そういう形でしていくと。あとは回収でしょうか。それ以外に何かございます か。中村委員、どうぞ。 ○中村委員  今櫻井委員のおっしゃったことは分かります。「仕方がない」という言葉は悪いかも しれませんが、現段階の科学的な知識ではあり得ることは否定はしません。ただし、起 こってはならないことは確かですので、そのためには何をしたらいいのかを考えなけれ ばならないということです。  それから第二点は、先ほど草刈参考人はルールを作ってくれと再三おっしゃいまし た。なぜ日赤ではより安全な血液を、全血にしろ、血液製剤にしろ、分画製剤にしろ、 現状では供給でき得なかったのかということを考えてみると、そのルールを作ってくれ という背景には日赤の採るべき方法、行動は限界があるということなのか、あるいは日 赤だけでは解決しない問題があるという…。例えば先ほど櫻井委員がおっしゃったよう に、危ないかもしれないという情報が正確に裏表なく医療機関に伝わって、医療機関か ら受血者、供血者に伝わるのかどうかということも含めてそういうものがあるのかどう か、どちらですか。それとも日赤だけで解決できない問題があるのかどうかということ です。それがはっきりすれば、ルール作りというものも焦点は絞れると思うのです。 ○溝口部会長  草刈参考人、何かお返事はありますか。 ○参考人  では御参考までに、資料2に移ってよろしいでしょうか。 ○溝口部会長  資料2というのはどれですか。 ○参考人  「資料No.日赤2」というものです。私たちの資料は1〜3しかありません。これは 今日の審議を踏まえ別途通知するということで私たちは今まで…、櫻井委員や中村委員 の御質問とも関連するのですが、ページをめくっていただきますと一番左側に梅毒とH BVとHCVとHIVがございます。これは全部病院にお届けした前回の、あるいは前 々回の献血血液はこうでございましたと。真ん中で「陽転」という言葉が使われていま すが、陽転いたしましたと。それはどのような分類があるかというと、これは全部陽転 でございますが、私たちは遡及調査のルールとして次の「追加情報」をやっておりま す。ですから、この「追加情報」をやらせていただきますと、一番右側の欄にあるもの が行くわけでございまして、ここのところを患者さんにお伝えいただけませんかという ことになるわけです。そうすると、私たちは患者さんの年齢や疾病、輸血のインディケ ーションというのが分かりませんので、先生方にこれをお届けすることになると思いま す。  中村先生の御質問に入りますが、やはり遡及調査は受血者の理解と医師の協力が不可 欠でございます。医師の協力がないとこれはできないなと。二番目にその遡及調査が透 明公開で安全性向上のための意義が明確にされていて、最後に輸血以外の容疑が全部否 定された場合、献血者にお願いしなければならない部分もあるのです。ですから、献血 者にも納得できるようなものを作っていただきたいということがございます。日本赤十 字が今頂いている献血者の方々は、学校、社会で活躍している方々のみです。ですか ら、その合間に自発的に、無償で献血をしていただいているわけです。その方々の血液 を捨てることにちょっとためらいがあるのは否めません。しかし、安全のためには、や はり捨てるということをきちんと自ら言い聞かせなければならないかもしれません。こ れは決して経済的なことではございません。平成14年に三課長事務連絡というものがご ざいまして、不活化する前の原料血漿として、後の輸血用血液で何か感染性のものが入 ったらすべて捨てろと、製品としても捨てろと、中間原料でも捨てろということでござ いまして、23万Lを捨てさせていただきました。アルブミンのように今まで不活化され て感染がなくても捨てたと。しかし、そのときは採血の際という問題がございました。 これは国内の献血にのみ適用され、海外の献血にはそれが適用されていない中で、非常 につらい思いをしたことがあるということを申し上げます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。大分時間が迫っておりますし、これは先ほどの櫻井 委員のお話の後で大体まとまったような気がするのですが、どうしてもという初めての 方、簡単に少しずつお願いします。 ○岡田委員  遡及調査といっても実際は二つありまして、一つはドナーが陽転した場合にその前の 血液をチェックして速やかに回収なり、措置をする必要があるということと、もう一つ は実際に医療機関からの感染が報告された場合、遡及調査といってもある程度条件がそ ろっていないと厳しいと思うのです。そのために、例えば輸血をした後には必ずウイル スマーカーの試験をするということを、やはりある程度義務付けないといけないと思い ます。あともう一つは、病院によっては非常に感度が悪いキットを使っているところも ありまして、輸血前に陰性だったと。ところが、輸血をやってからたまたま供給された 分画製剤などにウイルスが入っているような情報が来たので、高感度でやり直したら陽 性になってしまったと。そうすると、その製剤によって感染したのか、それとも前から 患者さんが感染していたのかということが分からない事例があります。緊急の事態はと もかくとして、余裕がある患者さんに関してはある程度の感度を持ったキットを使っ て、その前後をやってもらうということがやはり必要だと思います。 ○溝口部会長  小幡委員、何かございますか。 ○小幡委員  先ほどから仕方ないという議論がありまして、私はここの部会の一つの席におります から、国民の立場からするとそういう議論は…、遡及調査によって救えるのであれば、 やはり1人でも救っていただかなければいけないと思うのです。ですから先ほどから遡 及調査…、もっと安全にという話に拡大していくのはもちろんそれはそれで大変結構だ と思いますが、少なくとも今回6月10日に発覚したらしいところの、要するにたまたま もう一回やって暗かったからそこではっきりして、しっかり遡及調査をして即刻対応す れば例えば何人か助かるかもしれないと。やはり1人1人がとても大事ですから、そう いうことは是非ともやっていただきたい。  それに対して資料F-1の一番最後に、6月12日に「厚生労働省から日本赤十字社へ の指導事項について」ということで、日赤の方がお答えになっている意味内容がちょっ と私は理解できないのです。遡及調査をしなくてよいという趣旨のおっしゃりようなの か、そこら辺がよく分かりません。今お聞きしたところではどうもそうではないという ことらしいのですが、先ほどの「(事例3)」にしても遡及調査はしていたか、あるいは していたというお答えがあったような気もしますけれども、それに対してすぐ対応して いないとしかこの結果は見えないと思います。いずれにしても、もちろん自主的な判断 でやっていただくということはとても大事ではありますけれども、厚生労働省としても 何か事が分かった時点で、何か気が付いた時点でなるべく早く行動を起こすのは当然の ことでございます。それによって1人でも2人でも救われるのであれば国民としては大 変有り難いことであるから、いろいろな法的措置を使うかどうか、私はこれからはでき るだけ指導ということではなくて、きちんとした形で命令でも何でもいいですけれど も、そういう法令にのっとった形でやっていった方がよろしいし、遡及調査についても 明示、確かに決めるということは大事だと思います。               ── 中村委員退席 ── ○溝口部会長  これから血液法が通りますと、それぞれの責務というものが決まってきますから、み んな自主的に動かざるを得なくなりますし、我々医療機関も頑張りますので。橋委 員、どうぞ。 ○橋委員  一番気になっているのは、橋爪課長は今更委員会を作る段階ではないとおっしゃる し、草刈参考人はルールを決めてくださいということなのですね。確かに日赤が実行部 隊ですし、意思決定機関であるのでお任せしているわけですけれども、そのお任せして いる内容が実態がどうであってそこに問題はないかどうか、検証していかないと駄目だ と思うのです。  それからこれは「遡及」と一言で言いますが、いろいろなパターンに分かれるわけで すし、それから先ほど橋爪課長が御説明になったように主に三つに分かれるというけれ ども、その検査感度とか言い出すとまた更にそれが細分化されると。医療機関の現場で は、どのように患者に説明するかということも大変な問題なわけですね。一方で、感染 ノイローゼ的になられても大変な問題なわけです。ある時点で検査して陰性であれば、 幸いにして結果は陰性で安心していいですよと言える基準はどうなのかとか、相当のル ールを決めていかなくてはいけないのではないかと思うのです。もちろん日赤が自主的 にやるべきことの案を示して、現状はこうであると出すことは大事だと思うのですけれ ども、血液対策課の方でそれを全部見るというよりも、私自身は輸血学会のメンバーで もありますので、輸血学会のメンバーを少し入れていただいて、例えば患者様あるいは 主治医にどういう説明をするかというひな形でも作るとか、そういうできる作業をどん どんやっていった方が建設的なのではないかと思います。 ○溝口部会長  7月20日から輸血用血液製剤がいわゆる特定生物由来製品になりますから、十分なイ ンフォームド・コンセントをしなくてはいけないと。そのためには、先生方に全国共通 のものが作っていただけるといいかなと思っていたのです。例えばHCV、HBV、H IVの頻度とかそういうものをまとめていただけると有り難いのですが。 ○橋委員  そのインフォームド・コンセントもそうですし、あなたはこういうウインドウ期の血 液で感染した可能性がありますよと。 ○溝口部会長  その後の話ですね。 ○橋委員  そういう話が出たときに、どうやって説明して患者さんに了解を得るかというのは非 常に微妙な話になるわけですね。 ○溝口部会長  しかし、前もって話すことが大切なのです。現に我々も話してますから。 ○橋委員  あらかじめそういうことは話してあるのです。 ○溝口部会長  それを作っていただければ…。 ○橋委員  話してあるのですけれども、実際にこういうふうに当たってしまいましたという話を するときに、やみくもに可能性が非常に高い印象を持たれると、それもまた大変なこと になると思うのです。そういうことで、日赤が全部指示待ち族みたいに言われるのは良 くないと思うのだけれども、私は日赤そのほかの輸血に関するパフォーマンスを監督す る常設の委員会が必要なのではないかと思います。 ○溝口部会長  花井委員、その後櫻井委員、よろしくお願いいたします。 ○花井委員  まず、この「(事例3)」については私もちょっと意見がございますけれども、ちょっ と時間がありませんので今回は触れませんが、一つ委員の先生方に理解しておいていた だきたいのは、血液事業とは本当は「仕方がある」ことを「仕方がない」と言うことに よって患者が犠牲になってきた歴史であったということを、もう一回思い出してほしい と思うのです。先ほど草刈参考人から献血者の話も出ましたが、やはり患者の安全を一 番に考えるということが、各関係者が…、今回国と赤十字がいろいろ言われています。 医療機関においても今回、例えばかなり遅く分かっている例があるわけです。輸血医療 というのはインフォームド・コンセントから始まって、最後に感染の有無までフォロー して完結するわけで、そういうことがきちんとやられるということも含めて、やはり患 者の利益を最大限に考えた安全性と。ですから、吉澤委員がおっしゃった頻回の場合ウ イルスが上がっていく、どこでということがありますけれども、その場合であればやは りある程度安全マージンを多めに取ると。こういうことによってもし献血が無駄になる 部分があるとしても、やはり患者の安全を一番に考える血液事業をやっているというこ とについて、献血者が理解しないわけがないと思うのです。この話は献血者の理解とい って、患者が一番喜ぶ、患者の安全、患者の健康が守られる、これをやっているという ことが、やはり何よりも献血者に対するお礼というふうに私は理解しているので、その ところをよろしくお願いしたいと思います。  遡及調査については、先ほどからルックバックについていろいろ言っている概念が違 います。時間がないのでここでは細かく申しませんが、いわゆるそこに立ち返って、安 全性に関してはますますリスクが見えるようになるわけですね。リスクが小さくなるけ れども、見えるようになると。そのときの安全マージンはどこを取るのかということは 日々変わってきます。これはサイエンスの中で変わっていくわけですから、やはりある 程度すぐにそれをリサーチできるような常設の専門家がいていいのではないかと。厚生 労働省の安全対策課の方で報告を受けたりするわけですけれども、生物由来ということ が今回カテゴライズされたのであれば、ちょうど医薬品医療機器総合機構というものも 創設されるようで、そこの定員にかなり余裕があるようですので、例えば生物由来、な いし血液に関する常設の安全監視部隊を手足としてきちんと持って、こことの連携でそ ういうことも決めていけるという体制をやはり作ってほしいと思います。以上です。 ○溝口部会長  どうもありがとうございます。櫻井委員、どうぞ。 ○櫻井委員  今のお話で私が「仕方がない」と言ったのは、仕方がない場合が現時点ではあり得る と言ったのであって、仕方がないから放っておくという意味ではありませんから誤解し ないでください。ですから、もちろん仕方がない場合を減らす努力はしなければいけな いということは当たり前のことだと。  それともう一つ、もちろん患者さんの立場、特に輸血によって被害を被る方がいると いうことは何としても減らさなければいけないけれども、一方では輸血によって助かっ ている人がその何万倍もいるわけです。輸血による害を絶対に防ぐのだったら本当はや らなければいいわけです。血液製剤を一切使わなければ絶対に起きるわけないのですか ら、ゼロにする方法はそれなのです。しかし、そうしたら血液製剤なり輸血をしないた めに、大まかな数は分かりませんけれども、何万人か何十万人かの人がその治療を受け られないために亡くなるかもしれないということが一方にあることは、どうしても考え なければいけない。ですから、もちろん少しでも減らさなければいけないということ と、先ほどお話しした事前のインフォームド・コンセントとか、それから献血といいま すか、輸血の問題は本当を言うと日赤という血液を造るところだけの話ではないはず で、病院でも当然自分のところである献血者から採って患者さんに使っているケースは あるわけです。つまり輸血というのはそういう治療として行われていますから、やはり それについての指針といいますか、つまり病院であっても本当はそういう遡及調査のよ うなこともきちんとやれるような体制を作って、輸血をやらなければいけないというこ とがあるのではないかと私は思っています。その辺はこの血液事業部会なのか厚生労働 省なのか知りませんけれども、ある程度遡及調査をしてこういうことをやりながら、輸 血というか献血というか、言い方はどちらでもいいのですが、それをやっていくのだと いうことを出さないといけないと思うのです。  それから、時間がないと言われてしまったのですが、先ほどの資料F-2のところで 「医療機関における対応手順(案)」ということがあって、本当は私は議論させてほしか ったのですけれども、今のところは健康保険でこの流れに沿ってやると、救済制度はな いということで終わってしまいそうなのですが…。ただ、この対応手順には先ほど言っ たように、今の状況では仕方がなくて最後にどうしても陽性のケースが出てきてしまう と。その場合にどうするかというと、報告をしろで終わってしまっているわけですけれ ども、医療機関とすれば治療しなければいけないわけですから、その手順が単に保険で …、保険ということは患者さんに負担があるのです。今は救済制度がないからしようが ない、保険でも3割負担という大きな負担を掛けているわけですから、そういうことを した上でやりなさいということで終わっていいのかどうか、私は議論させてほしかった のですが。 ○溝口部会長  「医療機関における対応手順(案)」というのは、今のところを除けば大体妥当な案か と思いますが。 ○櫻井委員  しかし最後に治療が入っていないと、医療機関としてはどうしても最後に陽性と出て きてしまうときにどうするかと。報告で終わっているのではなくて、医療機関はむしろ それから後どうやって患者さんと精神的な意味も含めて、それからウイルスそのものを やっつけることも含めて…、ここからがバトルなのですよね。患者さんにとっても医療 機関にとっても、大変なことだと思うのです。 ○溝口部会長  厚生労働省はどうですか。この対応手順の遡及調査のところは、今の議論の中身を大 体取り込んでいるように思うのですが、今の最後の治療のところで救済が抜けているの が問題だということで、それは今後法的に決まるらしいのですが、しばらくの間は医療 機関はちょっと窮地に追い込まれますけれども、その辺で何かお考えはありますか。 ○血液対策課長  輸血後肝炎、輸血後感染症の方がたくさんおられる中の、たまたま遡及調査で見付か る方について、特別に何らかの救済制度がつくれるかという問題になってくるかと思う のですが、やはりそれは困難なのではないかと。輸血後感染症の方に関する制度は来年 度から始まるということがあるのですけれども、そうではない、たまたま遡及調査で見 付かった方について特別の対応をするということは、私どもとしてはちょっと難しいの ではないかと。 ○溝口部会長  お許し願いたいということですが。 ○櫻井委員  せめてこの手順の最後に「保険で治療」と、そこまで入れておいてください。 ○溝口部会長  書いておいてもらいますか。一応今お話を伺いますと、NATの導入では我々もかな り助かっていまして、そういう感染症が激減しているわけですけれども、やはりどうし ても完全ではないということを前提にして、常に技術の改善を目指していくとか、ある いは十分なインフォームド・コンセントをするとか、回収その他の手順をきちんとやっ ていくというようなことを念頭に置きまして、議論されたことを踏まえて、事務局に血 液製剤の安全性を目指す遡及調査に関連した事項を是非おまとめいただきたいと思いま す。よろしゅうございますか。どうぞ、清水委員。 ○清水委員  一言だけ、先ほど課長も言いましたけれども、私はこの安全性の確保というのは事業 者としてといいますか、日赤に限れば日赤の自助努力がやはり原則としてあるべきだと 思うのです。それは委員会等を作ってそこで決定できないということであるならば、厚 生労働省には現在の法体系の下で今回のようなことを何回でも起こしていいですから、 どんどんやってほしいと思いますので、事務局もそのように考えて対応してほしいと思 います。またそれを前提にして、日赤も大いに自助努力を図っていただきたいと強く希 望します。 ○溝口部会長  運営委員会もできましたし、緊急の事態に対処できるようになっていますし、先生は メンバーでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  最後に少し残っておりますが、「2)患者に対する情報提供の在り方について」と 「3)血漿分画製剤の安全性の評価について」を事務局から御説明願います。 ○事務局  残っておりますのが、「3)血漿分画製剤の安全性の評価について」でございます。 今御議論いただきましたのはいわゆる輸血用血液製剤ということで、不活化等の措置が 原則行われていないものを対象としております。一方で今回のルックバックの方の遡及 調査、患者さん発の遡及調査ではなくて、今回指示いたしました献血血液で陽転が判明 した場合の遡及調査に関しましてですが、対象となる血液が原料血漿として分画製剤に 用いられるケースについてどうするかという御相談でございます。基本的には資料F-3 に基づいて御説明させていただきますけれども、一部日赤と報告企業の方から技術的 な、いわゆる企業秘密に関する部分のデータがありますので、そちらは「読後回収」と いう赤いスタンプが押してある方に一括してまとめてございますが、こういった資料を 御参考に御議論いただきたいと思います。  これは今年課長通知を出したことを受けまして、6月16日に分画製剤の安全性確保に ついて、今回献血血液の方を起点とするルックバックの遡及調査において、対象となる 血液が原料血漿として使われた場合の安全性確保に関する所見について、この1〜2ペ ージの通知に基づきまして、原料血漿として用いている企業に対してこの安全性の評価 を求めたものでございます。これに対しての返事が3ページ、「別紙以降:委員限り」 ということでお手元に分冊がある部分と、4ページの方にも日本製薬株式会社の方から 資料が提出されているものでございます。なお、この提出された資料については、事前 に安全技術調査会の先生方にもお送りいたしまして、6月30日付けで岩本座長の方から 5ページにサマライズするような形での意見書を頂いております。細かい技術的な資料 は御覧いただきたいと思いますけれども、安全性に関する意見については今回ウイルス の除去・不活化が提出企業の資料、また今回の血液は基本的にウインドウ期ということ で、含まれているコピー数も非常に少ないといったことを勘案いたしまして、基本的に は分画製剤については安全であると判断するということで、座長からの御意見を頂いた ところでございます。  なお資料F-4については、日本赤十字社の方から一部言及がございましたが、先ほ どの三課長事務連絡を添付いたしましたので、参考にしていただきたいと思います。以 上です。 ○溝口部会長  何か御質問、御意見はございますか。どうぞ、吉澤委員。 ○吉澤委員  今の一件があったので申し上げますけれども、先ほどの「(事例3)」はこの座長意見 の一番最初に書いてあるケースではないかと思うのですが、これを見ますとこの患者さ んは血小板輸血をしています。そうしますと、ルックバックしてもこの血液は原則72時 間以内に使わないといけませんので、これはストックしておくことはできず、輸血に使 うことは避けられなかったわけですね。仕方がないということについては表現が極めて 悪いのであれば違うわけでして、その仕方がない部分をどれだけ削って安全性を増すか については、繰り返しますが、合理的なエビデンス、データに基づいて安全性を可能な 限り高めることが必要で、多少の無駄も覚悟の上で廃棄できるようなシステムを衆知を 集めて考えることが必要だと思います。だれかの責任だというふうに投げるような問題 ではないと思いますので、念のために申し上げます。  それからもう一言、ウインドウ期の血液について、三つのカテゴリーに分けて書いて あるものがあります。遡及調査における輸血用血液製剤のリスク評価方法についても、 ウインドウ期という定義自体をどうするのかということ。つまりウイルスが1個入って から血清学的検査法で捕まるまでを基本的には「ウインドウ期」と言いますけれども、 そのウインドウ期の中のかなりの部分については、核酸増幅検査で今は安全性が確保さ れているわけです。ですから、その前のすり抜けの期間と核酸増幅検査でチェックでき る期間と、血清学的検査でチェックできる期間とを分けて言語の定義をきちんとした上 で、この安全性向上のためのシステムがどうあるべきかということを、今からきちんと していかなければいけないと。  誤解のないように繰り返しますが、そういう意味では「(事例3)」というのはクアラ ンチンでストックしてあるシステムがあったとしても、もしこの患者さんが血小板輸血 を受けた患者さんであればこれは避けられない…。 ○溝口部会長  それが原因であればですね。 ○吉澤委員  そうです。ですから、新鮮凍結血漿(FFP)であれば貯留期間が長いですから、その ルックバックをしながら安全性の確保はできる…。 ○溝口部会長  おっしゃる技術の改善というのは、NATの技術の改善も含めてですね。 ○吉澤委員  もちろんです。 ○溝口部会長  そういうところはもっといろいろ考えるべき点はあると思います。それは先ほど申し 上げた…。 ○吉澤委員  そうです。 ○溝口部会長  ですから、先ほど草刈参考人がおっしゃった、輸血用血液製剤の安全性を高めるとい うことですね。ほかに何かございますか。なければ草刈参考人、どうも御苦労様でし た。ありがとうございました。                ── 参考人退席 ── ○溝口部会長  最後に議題5の「その他」がありますが、委員から何かございますでしょうか。どう ぞ、大平委員。 ○大平委員  もう時間がないのであれなのですけれども、突然の提案で事務局の方に用意していた だいたものがあります。前の部会のときにちょっとお話ししようと思ったのですけれど も、輸血用製剤の安全性確保に関する意見として、ドイツ保健省の方で自国の国民の健 康を守るための危機管理として、米国由来やドイツのプラズマフェレーシス供血者の中 に非合法薬物使用者、大麻、マリファナ、コカインなど、そういう問題の人たちがどの くらいいるかを調べているというところです。そういう問題が報告されているのを見ま して、やはりピュアな血液が確保されるべきではないかということで、献血、それから 売血も含めまして、やはりそういった安全性確保のためには、リスク排除をきちんとし ていくことが一つの大きな安全策の基本になるのではないかと考えました。そういった 問題で今日お配りさせていただいて、日本では献血者ですけれども、そういった問題に ついてルーチンではなくて定期的に…、不定期でもよろしいのですが、今現在日本では そういった背景がどのくらいあるのかということを、やはり調査していく時期にもう来 ているのではないかと思います。  それというのは、やはりこういった非合法薬物使用者の中には、HIV、HBV、H CVの感染の比率が大変高いということがいろいろな文献の中でも指摘されておりま す。そういったものが一つのリスク排除の問題としては大変重要なのではないかという ことで、今日お話しさせていただきました。これによって日本の献血者に対していろい ろな批判をする話ではなくて、やはりこういった時代の流れに即応した形で、今の血液 事業の中で安全な血液を確保していくためにはどういった施策があるのかを、多角的な 観点から考えていくことが重要なのではないかと思います。ドイツの保健省はやはり自 国の国民の安全を確保するために、多分アメリカからたくさん輸入されているのだろう と思いますが、その血液製剤のソースを懸念しているところもあるのではないかという 私の私見ですけれども、そういう背景を踏まえて日本でも国の責任として、そういった 施策も一つの方向性としてきちんと持っていただきたいと思いました。  また、今日配付できなかったのですけれども、米赤がPPTAでボランティア血漿ド ナー基準に対しての異議を唱えた文中に、売血血液のHIVとHCVの陽性率はボラン ティアドナーよりHIVが約170倍、HCVが約65倍の高さであるということを指摘し ているところもあります。そういった観点から、やはりこういう研究が一つは必要なの ではないかと考えます。そしてまた、血液法施行後献血、非献血の表示というものが出 てきますので、実際の献血、非献血が本当に合法的な…、私たちが思うような献血、非 献血なのかどうかということを、やはり米国やドイツなどの採血所を回ってきちんと調 べていく必要があるのではないかとは考えております。そういった提案をさせていただ きたいと思いました。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。何か御意見か御質問はございますか。どうぞ、三星 委員。 ○三星委員  今のお話にはちょっと私は賛成できません。私たちライオンズクラブ東京地区は、麻 薬覚醒剤乱用防止活動に積極的に取り組んでいます。私も委員でございますけれども、 小中高の皆さんに麻薬とはどういうものであるかということを絶えず御説明しておりま す。また、麻薬、覚醒剤といっても、ヘロイン、マリファナ、コカインその他たくさん あるわけですが、アメリカと日本とでは根本的にいろいろなことが違うと思います。で すから、我々がここで38年間、月に2〜3回ずつ献血奉仕活動を続けているわけですけ れども、麻薬の患者らしき者が来たことは一遍もありませんし、担当のお医者さんとも 相談しておりますが、見れば分かるわけです。アメリカのようにそういう麻薬患者がた くさんいるわけではございませんし、またアメリカの中でも血液銀行等はこれに反対を しているわけでして、麻薬が非合法であることはアメリカも当然ですが、日本はきちん と処罰の対象になるわけですから、このような犯罪の調査にも変わりないような検査を 日赤に更にやらせるということは、ちょっと問題だろうと思います。ただ、アメリカの 場合と日本の場合とでは全然違いますし、我々はみんなで麻薬の防止に努めているわけ ですから、やはりその辺のところも十分考えられてこういう問題を…、一つの考えとし て向こうはこうであるという報告は結構ですけれども、日本でこういうものはちょっと 賛成できません。 ○溝口部会長  田中委員、どうぞ。 ○田中委員  私も三星委員と同じような意見です。アメリカの血液が危険であるという報告として は大変役に立ちますし、今後の日本の血液行政のためにアメリカの血をどう扱うかとい う意味では勉強させていただきましたが、献血に警察が絡む話を入れてくるというのは 献血量に対する影響も大きいし、国の責任の下とはいえ知ってしまったときに、今度刑 法とどうするかという大問題が発生するので、血液の在り方としては入れてくる話では ないと私も考えます。 ○溝口部会長  どうぞ、清水委員。 ○清水委員  私はそういう考え方も十分理解できるのです。例えば献血のときのHIV陽性の問診 が、残念ながら余り機能していないのではないかという結果が得られてきているわけで すね。検査目的とはっきり分かっている人たちも15%ぐらいというデータが出てきてい るわけですが、問題はそういうことが血液の安全性にどのような影響を及ぼしてくるの かということの…。本格的に取り入れるについては、またいろいろ議論があっていいと 思うのですけれども、ただ実態を調査するとか、研究してどのような問題があるのかを えぐり出すようなことは、やはりやっていく必要があるのではないかと私自身は思いま す。 ○溝口部会長  大平委員、何かありますか。ちょっと刑法が絡むとなかなか難しいように思うのです が。 ○大平委員  多分難しい問題があるのだろうと思いますし、素人なりの提案かもしれませんが、た だやはりそういった社会的な背景なども献血の中でどういう影響があるのかというこ と。これをきちんと日常化していくという提案ではなくて、そういう調査をある程度し ていかないと…、どういう血液像があるのかを把握していくことはやはり大事だろうと 思いますので、そういった観点から提案させていただきました。 ○溝口部会長  大変新しい視点の安全性の問題で急に結論は出ないと思うので、やはり今後も継続的 に安全技術調査会その他で検討していただくことにしたいと思いますが、よろしゅうご ざいますか。ほかになければ…。 ○血液対策課長  ありがとうございます。運営委員会等も来月から発足いたしますので、今の問題等も 含めて臨機応変に検討させていただきたく思います。ただ、一つ運営委員会まで待てな いのは、現時点において回収その他情報提供の混乱が、医療機関の現場で既に起きてい るという側面がありますので、遡及調査に伴う情報提供の在り方については、大急ぎで 検討しなければいけないという事情がございます。ですから、輸血学会の先生方、安全 技術調査会の先生、医師会の先生、それから患者代表の方々、もちろん日本赤十字社、 この部会が終わりましても私どもと意見交換、情報交換等お助けいただきまして、情報 交換の在り方について事務局の方でちょっと詰めさせていただいて、至急対応したく思 っております。これは運営委員会の開催まで待っていたら悠長過ぎますので、急ぎ対応 させていただきます。先生方、御協力お願い申し上げます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。以上、用意した議題はこれで終わりでございます が、次の日程はまた追って御連絡いたします。本日は長い時間どうもありがとうござい ました。                                   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 中山(内線2905)