05/07/12 社会保障審議会障害者部会(第27回)の議事録            第27回社会保障審議会障害者部会議事録  日時  :平成17年7月12日(火)10:00〜11:30  場所  :東海大学校友会館 阿蘇の間  出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、伊藤委員、江上委員、大濱委員、       岡田委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、古畑委員、末安委員、       高橋(清)委員、高橋(紘)委員、武田委員、長尾委員、野中委員、       広田委員、星野委員、松友委員 ○京極部会長  ただいまから、第27回社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。私、ち ょっと場所を間違えまして、厚生労働省へ行ったものですから、その間5分遅れまして 申し訳なく思っております。  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また急なお願いにもかかわらずお集ま りいただき、まことにありがとうございます。本日は11時30分までをめどに、1時間半 の予定で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは事務局から、新たな職員も加わりましたので、その紹介と、あわせて委員の 出欠状況並びに資料についての御説明をお願いいたします。 ○企画課長補佐  まず前回の部会以降、厚生労働省内で人事異動がありましたので、新たに障害保健福 祉部に着任した職員を御紹介させていただきます。大臣官房付、障害保健福祉部併任の 塚本力でございます。  委員の出欠状況ですが、本日は猪俣委員、岡谷委員、亀井委員、小林委員、笹川委 員、新保委員、丹下委員、堂本委員、福島委員、町野委員から欠席との御連絡をいただ いております。また、小板委員、高橋紘士委員が遅れておられるようでございます。  傍聴の関係ですが、今回は御希望いただきましたすべての皆様に傍聴していただいて おりますことを御報告いたします。  続きまして、資料の御確認をお願いいたします。お手元に配付させていただいている 資料は、資料1−1が、「障害者部会に提出した資料の誤り等について」でございま す。資料1−2が、「障害者部会に提出した資料の誤り等について(参考資料)」でご ざいます。資料2が、「障害者自立支援法案に対する与党の修正提案について」でござ います。資料3が、「福祉サービスの利用者負担について」でございます。参考資料と して、「心神喪失者等医療観察法の施行期日を定める政令等について」でございます。 それとは別に、資料番号がついてございませんが、「公費負担医療関連資料におけるデ ータについて」という資料を配らせていただいております。資料の不足がございました ら御指摘ください。 ○京極部会長  それでは議事に入ります。前回の障害者部会では、心神喪失者等医療観察法下の行動 制限等に関する告示について、答申を当部会として行った後に、障害者自立支援法案に 関する国会での議論の状況も含めまして、最近の障害保健福祉施策の状況につきまして 事務局より御説明をいただきました。前回の障害者部会の後、国会で障害者自立支援法 案についての審議が再開され、与党から法案修正の提案がなされているなど、状況に変 化があると聞いております。  本日は、会議の前半で過去の当部会に提出された資料の誤り等について、事務局より 発言を求められておりますので、説明を聴取したいと思います。また、会議の後半では 法案に対する与党の修正提案に関する事項などについて、事務局より御説明していただ きたいと思います。  まずは、塩田部長から発言を求められておりますので、お願いいたしたいと思いま す。 ○塩田障害保健福祉部長  障害保健福祉部長の塩田です。おはようございます。急なお願いでありましたが、た くさんの先生方に集まっていただきましてありがとうございます。また、非礼をお詫び 申し上げたいと思います。  障害者の自立支援法案を国会の方に提案しておりまして、今、衆議院の厚生労働委員 会で大変熱心な御審議をいただいているところでございます。これまでに質疑時間とし て30数時間、それから参考人の質疑も8時間ほどやっていただきました。大変課題の多 いテーマでありまして、所得保障のあり方や利用者負担の見直しの内容、是非、それか らグループホームの問題や対象範囲の問題、それからいろいろな審査会の手続への障害 者御本人の参加をどう確保するかなど、障害者福祉の抱えるさまざまな問題、論点につ いて真剣に御審議をいただいておるところでありまして、一つ一つ貴重な御意見であり まして、私たちはそういうものを最大限尊重して、これから行政に邁進したいと思って おります。  障害者自立支援法案は、この審議会でもいろいろ御意見をいただいて国会に提出しま したけれども、この法案は支援費制度の目指したもの、自己決定とか自己選択というこ とで、障害を持つ方が地域で普通で暮らせるような体制をどう確保するかという、支援 費が目指した課題をどう究極的にちゃんと担保するかという観点から立案したつもりで ございます。支援費は大変すぐれた理念を持っておりますが、一方で財源の確保や幾つ かの課題があるということでありまして、そういう課題をどう克服していくかという観 点から、私らとしてはまとめて提案をしたつもりございます。  内容の繰り返しになりますが、一つは地域で暮らすという意味では市町村の役割が大 変重要になるということで、市町村が中心となって、知的障害、身体障害だけではなく て精神障害も含めて、福祉サービスを一元的に提供できる仕組みを目指したということ でございます。特に精神障害については、昭和24年に身体障害者福祉法ができておりま すが、そのときも課題となってありましたけれども、当時の議論としてはとりあえず身 体障害者だけの福祉法でスタートしようということで始まったものでありまして、当時 の担当課長がコンメンタリーに書いておりますが、次の課題として精神障害者を含める ことがあると、昭和24年の本に書いてあるところでございます。あれから60年近くかか ったということでございます。  それから、地域のいろいろな社会資源を創意工夫で規制緩和して使うことや、働くこ とを目指すなど、いろいろなテーマを盛り込んだつもりでございます。また、国と都道 府県の在宅サービスの経費について、義務費にするとともに、サービスを受けている障 害を持つ方々の負担についての見直しを行ったということでございます。  国会で法案の是非、内容について、いろいろな御審議をいただいているところでござ います。この法案は、これからやっていかなければいけない障害福祉の第一歩の改革見 直しだと思っておりまして、この後、所得保障の問題や働く場の確保の問題、住まいの 問題など、いろいろな課題がございます。ハード、ソフトの整備もおくれております。 それから、虐待防止、権利擁護もおくれております。いろいろな課題を一つ一つこなし ていくことが、私たちの責務であると考えております。  それで、今日お集まりいただきましたのは、審議会の場で私どもがいろいろなデータ で御説明してまいりましたが、そのデータの中に幾つか間違いがあったということであ りまして、その点につきましてお詫びを申し上げるとともに訂正し、きちんとした説明 を改めてさせていただきたいと思っております。ミスについては弁解の余地がないもの でありまして、責任者たる私の責任と考えております。後ほど企画課長から、内容等に ついて御説明を申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、障害福祉に関する課題は山積しておりまして、これからも この審議会の御意見を拝聴しながら、みんなで力を合わせて障害福祉の向上に厚生労働 省としては最大限尽力したいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。今 後とも御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。 ○京極部会長  続きまして、過去の当部会の資料の誤り等について、事務局より発言を求められてお りますので、説明を聴取したいと思います。 ○村木企画課長  企画課長でございます。御説明をさせていただきたいと思います。  資料ナンバー1−1、1−2、それから1枚紙で配付されました資料番号のついてい ない「公費負担医療関連資料におけるデータについて」、この3つの資料を使いますの で、お手元に御用意いただきたいと思います。  先ほど、部長からお話を申し上げましたとおり、当審議会に私どもが提出いたしまし た資料に幾つかの間違いがございまして、また、それが国会で御指摘を受けるというこ とで、大変恥ずかしい事態でございました。このことを受けまして、限られた時間でご ざいましたので、10月に提出したグランドデザイン、第18回の審議会ですが、それ以降 の資料についてすべて再点検をしたところでございます。微細なものも含めて間違いが たくさん見つかりました。それを整理いたしましたので、御説明を申し上げたいと思い ます。  資料1−1がその誤りを整理したもので、2枚紙になっております。大きく間違いを 2つのグループに分けておりまして、1枚目のものがまさに数値の間違い、単位の誤り 等があったものでございまして、2枚目が誤字・脱字のたぐいや、あるいは誤りがあっ て審議会の中で次の会等に訂正をしたもの、これも念のために拾い上げて整理をしてお ります。  具体的な誤りについて御説明を申し上げたいと思います。まず、資料1−1の1枚目 の1番から順番に御説明を申し上げます。まず最初の誤りでございますが、お出しした 数値の中に、年間のデータと月のデータを取り違えたものがございました。具体的には 資料1−2の方にその間違えたデータにつきまして、もとのデータに見え消しで、多少 汚うございますがマジックで正しいものを書き込んだものを御用意いたしましたので、 それをちょっとごらんいただきたいと思います。資料1−2の1ページをごらんいただ きたいと思います。これは公費負担医療の将来推計を行ったものでございます。件数が どれだけ伸びるかということと、その一件当たりの医療費がどれぐらい伸びるか、その 2つを見て全体の医療費の伸びを推計した資料でございます。この中で、更生医療や育 成医療は年間データを使っておりますが、精神の通院公費については月平均の、月のデ ータを使っておりました。これは伸びを見るものでございまして、平成14年と平成22年 の伸びということで見ますので、月平均のデータで見ましても、それが12倍された年デ ータで見ましても、推計の結果そのものは変わりはございませんが、データとして年デ ータで統一をして資料を作成すべきところが、月データになっていたというものでござ います。  同じような月データと年データが違うものということで、次にその資料1−2の2ペ ージをごらんいただきたいと思います。この資料は公費負担医療につきまして、精神、 更生、育成の現状の3制度について、簡単に概要を1枚紙にまとめたものでございま す。その表の真ん中あたりに、その件数がどのぐらいあるかということをお示しするた めに、月平均利用件数ということで書いてございました。精神の通院公費につきまして は、月データがきちんと記載されておりましたが、更生医療、育成医療につきましては 年データが載っていたということでございます。これも本当に単純ミスで申し訳ない誤 りでございますが、正しくは「約8万件」「約1万件」というのが月平均のデータでご ざいます。  それから、間違いの2つ目のカテゴリーで、これも医療の関係でございますが、人数 で書いてあるところが、実はこれはレセプトの件数であったというものがございます。 これはちょっとわかりにくいので、先ほどの1枚紙、「公費負担医療関連資料における データについて」というものをごらんいただきたいと思います。公費負担医療を受けて いらっしゃる方の「人数」や「件数」をカウントするときに、幾つか私どもが入手して いるデータがございます。これは都道府県からの報告によるデータでございます。この 資料の真ん中あたりに3つ囲みがございます。こういう大きく3種類のデータがござい ます。  まず1つ目は、公費負担医療を受ける権利を持っている方、いわゆる給付決定件数と いうことで、公費負担医療を受けたいということで、都道府県がその方たちについて支 給決定をする、その支給決定の数でございます。これがまず1つでございます。それか ら2つ目、真ん中のところですが、そういう支給決定を受けた方が実際に医療をお使い になったときの人数でございます。これにはさらに2種類ありまして、延べ利用人員と いうことで、何カ月かにわたって医療をお使いになったときに、1カ月ごとにお1人と カウントをする延べ利用人員と、それを名寄せして同じ人間であれば1人とカウントを する実利用人員でございます。それから、3つ目にありますのがレセプトの件数でござ います。これは実際に支給決定を受けた方が医療機関に受診をした件数でございます。 さっきの延べ利用人員と違いますのは、複数の医療機関にかかれば、その医療機関ごと にカウントをするというものでございます。ですから、医療機関の違いまで含んだ延べ 利用人員というふうに考えていただいても結構ですが、この3つの種類がございます。  それで、私どもが入手できるこの数字でございますが、精神通院公費についてはレセ プトの件数しかデータがございません。更生医療については支給決定件数、延べ利用人 数、レセプト件数、育成医療については支給決定件数、実利用人数、レセプト件数、こ のデータを把握しているということでございます。わかりにくい部分もありますので、 後でちょっと見ていただきますと、その3つの医療について把握できているデータの数 字をまとめたものが、その紙の一番下のところにございますので、こういう数字が都道 府県からの報告で把握できるということを、まず御理解いただけばと思います。こうい う状況の中で、私どもが審議会にお出ししたそれぞれの資料の目的によって、これらの データを使っているところでございます。  それで、先ほどの資料1−2の1枚目にもう一回戻っていただきたいと思います。先 ほど見ていただいた資料でございますが、これは公費負担医療の推計をしたデータでご ざいます。医療費、お金の問題でございますので、医療費の請求にかかるレセプトを使 うのが一番近いデータということだろうと思いますが、この表全体はレセプトを使って 作成をしたものでございます。特に精神の通院公費はレセプトの件数しかございません が、そのこともありましてレセプトを使って計算したものでございます。したがいまし て、「対象人数」、単位は「何々万人」と書いておりますが、レセプトでございますの で、「対象件数」「何々万件」という表示をした方が正確であったというものでござい ます。  同じようなものが、同じ資料の3枚目をあけていただきたいと思います。ここにもご ざいます。これは公費負担医療をお使いの方々が、どういう所得階層に属しているかを 見たものでございます。表の一番上の欄の各制度ごとに、対象者がどのぐらいいるかと いうことをお見せするために数字を入れたところでございますが、この精神の通院公費 についてはレセプトしかございませんので、ここは「受診者数」というよりは「レセプ ト件数」、単位も「人」というよりは「件」で書くべきであったところでございます。 こういった誤りがございました。  誤りの3つ目でございますが、その同じ資料の4ページをごらんいただきたいと思い ます。これは予算の額を、平成16年度と平成17年度でどれぐらい差があるかというもの をお示ししたものでございます。それの精神関係予算のところの施設関係の欄で、平成 16年度、平成17年度のこの差の部分でございますが、「+24億円」と書いてございまし た。これは実は事業費ベースの数字でございまして、国の予算でございますので、当然 国費ベースで書くということで、半分の「+12億円」が正しかったところでございま す。実はその左の欄の189億円と201億円の引き算をすれば一目瞭然であったところでご ざいまして、大変単純なミスで申し訳ないと思っております。  間違いの4つ目のグループでございますが、端数処理の誤りであろうと思われるとこ ろでございます。5ページをごらんいただきたいと思います。そこの一番下の表に、 「52%」とありますのを「53%」というふうに訂正をしております。数字すべて再計算 をいたしまして、恐らく端数処理の処理方法が違ったものと思いますが、こういう数字 の違いが出てきております。  同じような形で次の6ページ、表に3つの数字があるうちの一番上でございます。精 神の通院公費を「約3.1万円」と記載しておりましたが、「約3.2万円」の誤りでご ざいます。  誤りの5つ目のグループでございますが、この6ページの更生医療と育成医療の金額 でございます。これは実は誤りというよりも、どの数値をとるかということでございま して、もともと記載をされておりました「約41.6万円」「約43.2万円」は、更生医 療、育成医療の医療費を計算するに当たりまして、食事療養費を含んだ数字でございま す。精神の通院公費が、これは食事を含んでおりませんので、同じ表にまとめてお示し をするとすれば、平仄を合わせた方がいいということでいえば、これは「約40.0万円 」「約41.7万円」とする方が正しかろうということで、こういうふうに訂正をさせて いただきました。  それから、その他の間違いでございます。次の7ページをごらんいただきたいと思い ます。左側の方を見ていただきますと、これは通所施設の今後の食費負担について、低 所得者層の軽減措置についてまとめたものでございます。左側の囲みの中の下のところ で、本来食費については実費をいただくということで、食費はお昼の食事でございます が大体1日650円となるところを、生活保護の世帯や低所得1の世帯につきましては原 材料費のみにするということで、230円をいただくという御説明を申し上げたと思いま す。それが1カ月ではどれぐらいになるか計算をするということで、22倍をいたしまし た。1.4万円のところを0.5万円になりますという御説明を申し上げたものでござい ますが、単位が「千円」となっておりましたので、これでは500円になっております。 単位の記述のミスでございます。  それからもう1枚、次のページをあけていただきたいと思います。ちょっと順序が前 後しますが、8ページのところで、所得階層ごとの利用者負担の月額上限の措置につい てということでございます。上の囲みの中の(2)ということで低所得1、これは市町村 民税非課税世帯であって、世帯主及び世帯員のいずれも収入が80万円未満である世帯に 属する者ということで、この審議会で御説明をしてきたところでございます。これは間 違いということではありませんが、他制度の例を見ますと「以下」という形でやってあ る制度がございます。「以下」の方が1円でも範囲が広がりますので、こういうふうに 訂正させていただきたい、今後こういう形でやらせていただきたいというものでござい ます。  あと、もう一つ単純ミスがございまして、3ページに戻っていただきまして、表頭の ところでございますが、更生医療のところ、更生医療だけは平成15年度データがなくて 平成14年度データを使っておりました。この記述で「平成15年度」とありますが、これ は「平成14年度」の間違いであったというものでございます。  以上が1枚目の実数、数値等が違っていたものでございます。  資料1−1に戻っていただきまして、2枚目は誤字・脱字のたぐいでございますの で、サッとごらんいただきたいと思います。事業の名称が正式の名称になっていなく て、通常使っている略称になっていたり、ワープロの変換ミスがあったりというような ものでございます。大変恥ずかしい単純ミスで申し訳なく思っておりますが、これが幾 つかございました。  それから最後の、2ページの下の方の囲みは、先ほども申し上げましたように、審議 会の議論の中で誤りに気がついて既に修正を行ったものでございます。  間違いの説明は以上でございます。資料につきましては、日ごろから先生方からも、 できるだけ早めに資料をというお声もいただいておりますし、点字化がなかなか追いつ いていないという問題もありますし、それから非常に膨大な資料になっているというこ とで、できるだけコンパクトでわかりやすく、説明時間も短くというような御要望もい ただいておりまして、こういった点についても努力をしないといけないと思っていたと ころでございますが、一番基本である正確さという点でこれだけたくさんの間違いがあ ったということで、かなり限られた時間で作業をしているということがありましても、 これは言いわけのしようのない誤りでございまして、改めてこういった間違いがありま したことをお詫び申し上げて、事務局としてこれからよりよい資料づくりということ で、一生懸命努力をしていきたいと思っていることを再度申し上げたいと思います。  説明は以上でございます。大変申し訳ございませんでした。 ○京極部会長  大変丁寧な御説明をありがとうございました。私も幾つか気がついて、年と月の関係 などもちょっと指摘はしたんですけれども、その訂正が十分なされていなかったのでこ ういうことになってしまったと思います。  ただいまの資料1の事務局からの説明について、御質問等がございましたら順次御発 言ください。安藤委員。 ○安藤委員  安藤です。今間違いの資料について説明があり、部長さんや課長さんから丁寧なお詫 びがありましたけれども、この問題については事務方だけの責任ではなくて、障害者部 会の反省も必要ではないかと思います。私たちは、確かに資料を十分に精査できなかっ た障害者部会の責任を考える必要があるのではないかと思います。決して事務方の責任 でお詫びを了解しましたというようなことのないようにしなくてはならないと思いま す。  それを考える場合、まず私たちとして、このまま障害者自立支援法案を、その採択な どを国会にゆだねてよいものかどうか、考えなくてはならないと思います。障害者部会 として、この問題に対する相対的な判断というものを考えなくてはならないと思いま す。昨年の10月から三位一体とかグランドデザイン、それが自立支援法というように目 まぐるしく変転し、膨大な資料が私たちに出されてきました。でも、先ほど話しました ように、それを私たちは十分に精査できなかったわけです。長い時間をかけて事務局の 方で説明し、それに対する質問や意見を私たちは出してきましたけれども、委員会の人 数が多いのと時間などの制約があって、課題点やそれぞれの意見の分析というものが十 分でなかったような感じがします。  支援法案というものは歴史的な改革でありますし、いまいちど仕切り直しが必要では ないかと思います。この支援法案については、全国の障害者や家族の皆さんが危惧して いるのです。この支援法案は国家のためにあるのではなくて、全国の障害者のためにあ るのであって、対象となる障害者や家族の皆さんがきちんと理解し、受け入れられる条 件があってこそ採択されるべきです。今の全国の障害者や家族の皆さんのお気持ちを考 えると、このような状態での成立は避けるべきだと思います。また、その中で障害者部 会の存在理由が問われるのではないかと思います。したがって、この自立法案の成立に ついてを国会に任せるのではなくて、もう一度ここの障害者部会に差し戻してもらっ て、十分な審議を重ねた上での成立というような方法がとれないものか。これらについ ては障害者部会の基礎体制というか、権威というものが今まで確認されてきませんでし たけれども、今の時点ではこれが基本的に問われるのではないかと思います。そうする 意味で、障害者部会の座長さんの判断というものも、これは非常に重要でありますし、 また部会の委員の私たちとしてどう対応していくのか、十分に考えていかなくてはなら ないのではないかと思います。事務方の責任にするとか、タイムリミットありきの中で いろいろ御苦労された努力は了解するとして、この障害者部会の基本的な姿勢というも の、これが問われていることをどう考えるのか、それを皆さんに提起し、意見を聞きた いと思いますが、どうでしょうか。 ○京極部会長  ほかの方、どうでしょうか。 ○武田委員  今、安藤委員がおっしゃったように、確かに先ほどの数字の間違いであるとか、単位 の間違いであるとかについては、私たちこの委員も出された資料をきちんと精査してこ なかったという責任があると思っております。  ただ、先ほど安藤委員のおっしゃったことについては、私は違う意見を持っておりま して、私の活動する島根というのは、全国の中でも最も財政規模の小さな県です。市町 村合併が行われたといっても、県都松江市で20万人にも満たないですし、ほとんどの市 町村が数万人以下です。在宅サービスと精神障害者社会復帰施設への運営費が裁量的経 費であること、施設から地域へのかけ声があっても、三位一体改革の中でどうなってい くんだろうかという危惧を、ここ数年来しております。この法案に盛り込まれた理念と 目的を10月12日のグランドデザイン、そして11月の障害者福祉サービス法案で目の当た りにしたときには、市町村が福祉計画に責任を持つことで、山間僻地でも障害の種別や 年齢の枠組みを超えて、その町で、村で暮らしたいと願う人の夢を実現する後押しをす る基盤が、やっとできるんだという期待感でいっぱいでした。  関係者の多くの方が法案の理念や目的には賛同されているにもかかわらず、都市部や 一部の障害者だけを取り上げた質疑のあり方や報道のあり方にも疑問を持ってきまし た。生まれようとしているこの法案の中身は課題も多く、議論を尽くさなければならな い点もあることは言うまでもありませんが、少なくとも現状の法や制度では解決がつか ない課題を、一歩でも歩み出すことができることもたくさんあります。しかし、現行制 度の矛盾点やまずい点の指摘よりも、新法案の悪い点だけが強調されているように感じ ています。本当に現行の制度の方がよいのでしょうか。入院、入所に多くの税金が使わ れています。地域に移行するインセンティブが働いていません。働きたいと願う人への 就労支援にもつながっていません。障害種別を超えた取り組みも、縦割りの法律に阻ま れて、私たちは地域で工夫を重ねても多くの制限をこれまで受けてきました。現行の法 律では、ハードの整備をしなければソフト事業ができないのです。しかし、施設整備に かかるお金は、国がもうお金がないといって出てきません。都市部には公的、民間を問 わずたくさん利用できる資源があります。都市部では既に当たり前になっている在宅支 援が田舎ではまだまだで、支援を必要としながら受けることのできない人がたくさんい ます。豊かな税源があり、地方交付税に頼らない東京のような大都市は、対象人口は多 くとも、日本のごく一部です。私たちは何もないところから借金を重ねてハードの整備 をしてきました。でも、もう限界です。地域には利用できるたくさんの資源がありま す。新法はその活用、促進ができる法律です。  ここにおそろいの団体代表の方々も、ほとんどの皆さんが制度のない時代から地域で 不断の努力を重ねながら、工夫と知恵で地域の暮らしを支え続け、国に提言し、制度に してきた尊敬すべき方々です。島根のような地方に住む障害者も、日本国民として必要 なサービスを受けられるよう、都道府県格差を少なくするにはハード整備を伴わない、 ソフト充実が可能な空き家や空き教室を利用した、高齢や障害種別を超えた取り組みが 可能となるこの法案が必要だと思っています。  既に議論の場は国会に移っていますが、国会議員の先生方に大きな課題である所得保 障や利用者負担、そういったことについて、全国民の立場に立った幅広い意見を聞いて 審議してくださることを望んでおります。そして、附帯決議や省令で解決できるように 応援していただきたいなと思っております。国の経済が疲弊していることは紛れもない 事実で、景気回復がどれほどのスピードでいくのか私にはわかりませんが、そう早くで きるとは思えません。ここにおそろいの民間の代表の方、学識経験者、そして霞が関の 方々、議員の先生方が、批判だけではない議論を重ね、福祉国家としてふさわしい道を ともに歩んでいくしかないのではないでしょうか。走り出してこれではまずいとなれ ば、みんなで知恵を絞り合い、数年かけて直せばいいのではないでしょうか。時間をか けているその間にも少しの支援があれば、小さな夢が実現するかもしれない方がいま す。長年図らずも入院してきた人たちの残された人生は少ないのです。  厚生労働省の方々には当事者と同じテーブルで議論を重ね、活用しやすい省令、ソフ トの設計図をつくり上げ、利用しにくいところはまたつくり直す。そして障害者にとっ てよりよいものに改善していく。そうすることがここに集っている者の責任ではないで しょうか。そのためには、まず法案の成立を望みます。精神障害者の地域支援の充実が 可能となる法律が、やっとできようとしているのです。ぜひ私たちはこの法律が進むよ うにしたいと望んでいます。  以上です。 ○京極部会長  はい。どうでしょうか。データの間違いにつきましては私も気がついていましたけれ ども、ほかの委員の方でも気づいていたと思いますが、ただそれを出して細かく議論し ますと、時間の関係もあって、ついつい事務局にこういうミスがあったと言うだけに終 わりまして、その点ではもう一回改めて事務局から全部訂正したものを、委員の方に配 っていただくような手続をとればよかったんですけれども、部会長としてもあえて指示 しなかった点は責任があると思います。ただ、全体の議論として、障害者自立支援法の 骨格についての議論に、大きな影響を及ぼすようなデータの間違いや字句の間違いでは なかったような気がいたしますが。 ○高橋(紘)委員  今回このいろいろなミスについて御指摘をいただいた方に、まずは大変敬意を表した いと思います。そういう意味では、大変大事な資料をきちんと読んでいただいたと。そ れについて我々がそういうことをできなかったということは、先ほどからの発言のとお りでございますが、問題は私どもも、私は大学の当事者でございまして、よく新聞報道 になるようなこと、出題ミス等をやりますし、それから私自身の出版物でも校正や統計 等の誤り等、よく統計を加工する段階でいろいろなミスを犯します。ミスを犯すのは、 ある意味ではどうしても避けられないことだと私は思っております。これは実は問題 は、なぜこういうミスが発生するのかということを、きちんと議論することが重要なん だと思っておりまして、そのミスについてけんつくな議論というか居丈高な議論がある ように聞いておりますが、そういう議論ではないと思っております。  なぜこういうミスが起こるのかということでいえば、先ほどの議論でも、やはり今の 制度と制度にかかわる統計のとり方が大変複雑であるというのは、まさに制度が分流し てばらばらなまま、それぞれのやり方で調整されずに積み上げられてきたということが 問題なのであって、実は今回の議論でいえば、まさに月単位でとるか年単位でとるか制 度によってばらばらである。これは保険のレセプトの場合は県でとらざるを得ない。こ れは当然そのデータの収集の方法。というようなそういう技術的な問題だと思っており まして、そこら辺はこれからの統計のつくり方、収集の方法等で、国民が広くさまざま な制度の状況を判断するのに、適切なつくり方をこれからしていただくことが大変重要 でございます。  そういうことで、そういう制度の複雑さがミスを生み出してきたという、そこについ ては誤りの原因がきちんとここで明らかにされたということが大変重要で、それについ てどういう簡明なわかりやすい資料をつくっていくかという、そういう課題を提起され たと理解しております。そういう意味で、誤りを責めるのではなく、なぜこのような誤 りが起こったのかということの議論をきちんとすることが重要だと思っております。  もう一つは、この誤りの問題と自立支援法の法律がどうだこうだという議論は、先ほ ど座長がおっしゃったとおりでございまして、私はレベルが違う問題だと思っておりま す。もちろんその判断に影響を及ぼすようなデータ、これはある意味でいえば、いろい ろなお疑いを持ったような発言が、国会の御議論を拝見しておりますとありますが、そ れはその議論はそちらでやっていただくということでございまして、我々はそういうふ うに受けとめて、今回の訂正を了としたいと思っております。 ○京極部会長  ほかにどうでしょうか。大濱委員。 ○大濱委員  大濱です。この間のデータの誤りの件について、昨日以来、私どもの団体の方にかな りの電話が入ってます。やはりそこについてはしっかりと議論を重ねるべきでないかと いう意見もかなり多数、私どもに電話が入ってきているのは事実であります。  ただ、現実問題として、以前にも何度か申していますが、この社会保障審議会のあり 方自体、審議会の1時間半や2時間の中で、本当にどれだけ議論が尽くせるのかという ことが常に疑問でして、これは前にも申し上げたとおりでありますが、本当に委員とし ての責任を全うできるかどうかということにつきましては、このような形の審議会で、 例えば1回の発言が3分なり5分なりというような委員会の設定の仕方では、はっきり 申し上げて委員の責務を全うできないと、以前にも申し上げたとおりです。  ただ、やはり今のこの大きな自立支援法案という法律の中で、これは特に予算関連法 案という位置づけでありまして、その中で基本的な理念、先ほど武田さんも若干言われ ていましたが、3障害統合とか、義務的経費化とか、地方にいろいろなことを移譲して 地方でちゃんとやる枠をつくるとか、そういういい点も非常にあります。なおかつこれ が予算関連法案ということですので、私たちの団体に対して廃案に追い込めとか、継続 審議にした方がいいのではないかという意見もありますが、やはり基本的にはこの中で ちゃんと議論をしていただいて、本当に地域でもちゃんと暮らせるということを担保す るような形で、本当に前向きの議論をしていただきたい。特に政争の具として、例えば このような障害者自立支援法案を一部の政党が使われているようなので、この点に関し ても非常に私たちは腹立たしく思っているのが現状でして、はっきり申し上げて、もっ と前向きに具体的に内容がどうなのか、細かい数字で、今言われたような月単位、年単 位の数字がどうだというようなレベルの議論ではなくて、本当に地域できちっと生活で きるのか、地域で支えることができるのか、重度障害でも地域で生活できるのか、そう いう予算を今後担保していただけるのか、そういうことを前向きに議論していただく場 であってほしいと。特に社保審の中でそういうことを議論して、なおかつ厚生労働委員 会の中でもこれらをしっかりと議論していただきたい。  はっきり言って、今までの厚労省の仕方の中でのいろいろなミスというのは、多分私 たちもずっとデータが出てくる中で、どの部分がデータが変わったかというのが非常に わからなかった。ですから、次からできればデータを出していただく際には、このデー タとこのデータは前のデータとどこが違ったんだと。常に私たちは比較しないとそのデ ータがわからなかった。そのデータも常に出していただきたい。こことここがこういう ふうに変わりましたと。いつの間にか変わっているデータが、グランドデザインから見 るとたくさんありました。やはりこれは厚労省が私たちに対して説明責任があるのでは ないかという基本的な認識があります。  そういうことも踏まえまして、いずれにしてもこの法案を基本的には採択していただ いて、可決して、次の参議院の中できちっと、本当にもっと具体的な議論の落とし込み をしていただければと、考えております。よろしくお願いします。 ○京極部会長  ありがとうございました。はい、松友委員。 ○松友委員  松友です。もう皆さん、一緒だと思うんですけれども、やはり問題は整理して議論す べきだと思います。ですから、このデータ上の誤りについてはもう誤りとして、高橋委 員がおっしゃったように、予防的にどう誤りをなさないようにすべきかという議論とと もに、それがわかったときにどう対応するかということであって、今日の説明、あるい はいろいろなものを見れば、わかってすぐ4日後ですか、開かれている委員会でありま す。まあ、明日のこともあるのでしょうが、それはそれでもうよろしいんじゃないかと 私は思います。  それと、安藤委員がおっしゃった提案については、これは本質的な問題であって、特 に国会審議に入っている法案をまた審議会に戻すということが、論理的に、法的に可能 なのかどうかということがまず第2点です。ちょっとこれは極論ではないかと。  3点目は、審議会の持ち方の問題。これは非常に構造的に重要な議論だと思います。 私も立場上、幾つかの審議会にかかわってきましたが、省庁によって審議会の運営の仕 方が違います。これは文化なのかどうかわかりませんが。ですから、それをどうするか は今後重要な問題として、行政改革等の議論を踏まえて、きちんとやり方を議論してい ただきたいというものはあります。ただ、今の時点でそれを持ち出して議論するもので はないだろうと。  最後に非常に重要なのは、先ほど武田さんもおっしゃったかと思いますが、私たちは 問題点を指摘しつつ、客観的なというか、事実関係を踏まえて議論するとともに、特に 会員の方や地方に対して説明をしていかないとやはりまずいのではないかと。最初か ら、それこそデータの改ざんとは言わないけれども、明らかなるバイアスをつけた形で この制度、あるいは問題を提案していくと、当然それを前提にして議論が始まる。それ は我々それぞれ委員としても、あるいは各組織の責任者としても、非常に問題だと私は 思います。といいますのは、今回の自立支援法案、あるいはもともとのベースでありま すグランドデザイン案がなぜ出てきたか。支援費制度の財政破綻に基づく緊急対応とし ての現在の状況、あるいはその背景としての国家財政、地方財政を含めた状況等々も踏 まえた上で、どこに苦渋の選択をするか、しないのか。廃案を求めるのか、しないの か。そのあたりのみずからの、個人の、あるいは組織の責任も含めてきちんといかない と、単にこれをあおっているだけにすぎない。そのことで非常に国民、あるいは当事者 は不安感を持っています。これはやはり我々にとっては行政責任や国家責任と言い切れ ない部分があると、私は自分の立場上いつも考えております。といいますのは我々も当 事者ですから。おれは当事者じゃないというやつもありますけれども、やはりそのこと でいろいろ具体的に揺れ動く。財政的にも感情的にもですね。  これはつい最近の新聞で見ましたら、ある地方で今年の2月ですか、自閉症のお子さ んをお母さんが刺し殺すという事件があったらしくて、その判決が出ています。その理 由に、お母さんはうつ状態があって治療を受けていたということもあるんですが、そう いう非常に精神的な不安というようなところに加えて、自立支援法案が出てきた、その ことでこの子の将来を悲観した、というふうに裁判官は判断し、執行猶予がついたと思 うのですが。そのときに、お母さんが死ななければいかん、子供を殺さなければいかん ような状況だと理解されたというのは、お母さん個人の問題があったかもわからないで すが、そういうふうな伝達の仕方とかあおり方があるんじゃないかと。本当に今度の自 立支援法案は、子供を殺したり一家心中をしなければいかんぐらいの状態になるのか。 そのあたりはやはり運動のリーダーとしてもメディアとしても冷静にやってほしい。そ こはやはり非常に厳しい。自己負担が発生したりいろいろあります。だからいろいろ苦 労しているし、我々もいろいろ要求もしていますが、やはり社会全体の共有と共生とい う中で、まず正しいデータを提起しながら問題を整理して、それで組織としても個人と しても判断を下す。それに対する結果責任もちゃんと負う。ごまかすんじゃないという のをやはり確認していく必要があろうと思うので、もう今日のこのデータの問題につい ては、これ以上の議論をする余地はないと私は判断します。  以上です。 ○京極部会長  江上委員。時間の関係で短く。 ○江上委員  全国精神障害者家族会連合会の専務理事の江上ですが、今回のグランドデザインで は、精神障害者も障害者施策の中で初めて他の障害者と同等の議論の俎上にのせて、内 容の評価等については全家連の40年の歴史の中で画期的なことだと判断しております。  精神障害者とその家族は、武田さんが言われましたように精神障害者というだけで、 精神科の門をくぐったというだけで、いろいろな形で世間の目からレッテルを張られ、 また家族、身内もかたみのせまい思いで生きています。それと、「支援費制度」では精 神障害者は対象に外されていました。今回3障害の福祉サービスの一元化というのは長 年の願いであり、全家連としてはその一元化により、(1)財源の安定化により、サービ スの提供も恒常的にできる。(2)予算の義務的経費の中で責任の所在が明確になる。(3) 障害者間の不公平感や適正施行により国民への理解も得やすくなる。というメリットも あります。  しかし、精神科通院医療費負担制度(32条)の問題や費用負担の問題などありますけ れども、それは長い目で見て省令、政令で利用しやすいものにつくり上げていく。ま た、一般の国民にも理解が得られるように、精神障害者を含めてすべての障害者が地域 で普通で生きられるためには、この自立支援法については全家連としても賛成でありま す。  また、いろいろ数字的なミスがありますが、それは松友委員が言ったような形でこの 場で終わらせて、本当に障害者が地域で生きていくためのいろいろな政省令に向けた部 分を議論することが大事であると思います。  以上です。 ○京極部会長  広田委員。では、一応これでとりあえず議論をおしまいにしたいと思います。 ○広田委員  間違いがあったということで、この委員会にも責任の一端はあったと思っておりま す。ただ、精神医療サバイバーとして入っている身から申し上げますと、この精神障害 者に関するミスは、月を1年間に置きかえたということで、許容の範囲だというふうに 認識しております。  今日は与野党の国会議員の方も見えていますが、こういうふうな大土壇場のときだけ お見えになるのではなくて、もっと日ごろから、議員もお忙しいんでしょうけれども、 ぜひ来ていただきたいと。  それで、今精神障害者というのは、全国と名乗っているグループが4つほどございま す。その4つのグループの人たちと私はともに信頼関係がありまして、この支援法をめ ぐる、例えば精神障害者の通院医療費公費負担32条を廃止して、その自立支援法案の中 に入れるというような問題については、それぞれいろいろな考え方があります。一つに は、この法案そのものを廃案してもらいたいと思っているグループもあれば、ほかのい わゆる医療観察法案の方を廃止してもらいたいと思って、とてもじゃないけど自立支援 法案の方は構っていられないわという人もいれば、32条は存続してほしいと思っている 人。または昨日も夜中の11時ごろ話していましたが、本当にこの通院公費負担に反対す る人が正義で、それを認める人が悪代官というか、悪奉行というか、悪役になるような 構図があると。そして私もここで発言しますと、厚生労働省の議事録が出る前にもう既 に世間に伝わっていて、「あなたはいつまで悪役をやっているの」という感じで言われ まして、非常に言論の自由がないということです。ですから、ぜひここで傍聴なさって いる方は外にお話しになるときに、委員の言論の自由が封鎖されるようなことがこの日 本であってはならないというふうに、私はまずお願いを申し上げて意見を述べさせてい ただこうと思います。  国会の議員の方もお目通しいただいているんでしょうが、この資料の中には自立支援 法案の資料とともに、日本の国債の発行高が出てまいりました。見ましたら何と世界一 だったということで、これは現在の障害保健福祉部長以下、厚生労働省のベストメンバ ーがつくったベストな法案ではなくて、まさに苦肉の策の法案だったと私は認識してお ります。いろいろな考え方がありまして、お金をもっとこっちから厚生労働省に持って くればいいじゃないかということがありますが、現状の社会の支出の中でなかなか持っ てこられないことがある。いろいろな考え方があります。ひとつに、世界に向かって出 ているお金に対しては、そんなに変えることができないのではないか。私は前に京極先 生に言ったら、「大演説しないでくださいね」と言われてしまったんですけれども、今 日は国会の議員も見えていますから、大演説をさせていただこうと思います。  例えば日本が1945年、昭和20年に敗戦になって、橋や道がなくなっちゃった。おっこ っちゃった。だから、それをつくり直しましょうということで国体が始まったんだけれ ども、もう既に橋や道ができただけじゃなくて、滑走路もたくさん全国的にできて、新 幹線なんかもたくさんできていますが、それでもなお国体を続けている。そういうとこ ろにお金が使われている。そういう現状があります。  それで、通院公費負担というのは1964年、昭和39年、アメリカ大使館をジョギング中 のライシャワー駐日大使が刺されるという事件が起きました。これが日本の精神障害者 の悲劇のスタートの日でした。そして、当時の世論が、そういう精神障害者を収容しよ うというような方向に向かわせていきました。それにこたえて旧厚生省は、精神病床が 伸び始めていたところに、もう欧米では既にそのときに地域に出そうとしていました が、それに見倣うことなく病床を増え続けさせてきました。そういう中で医者や看護者 は少なくていいという、昭和33年にできてきた精神科特例法というものの中で、多くの 患者があの鍵や鉄格子の中でひどい目に遭って、私自身も注射の副作用で入院し、退院 した関係で精神医療サバイバーということで、この国の精神障害者の一人として名乗っ ておりますが、そういう中でつらい体験をした本人だけがつらいのではなくて、つらい ことを言われたりうらまれている家族との関係が非常に不幸になっています。そういう 歴史がある。  そして、通院公費負担は社会を防衛するために、通院公費という名のもとに医療を安 く使えるようにした制度です。それを厚生労働省は今変えていこうとしている。まさに 方向を転換しようとしている。ただ、こういう自立支援法案の中に精神障害者が入るこ とはとてもいいことだと私は認識しています。1993年に障害者基本法ができるまで、精 神障害者はこの国で福祉の対象になったことがありませんでした。その理念法に基づい て、支援法の中に精神障害者を入れていただいたということは、とてもありがたいこと です。これからやっと市町村で精神障害者の問題をやっていただける。しかし、昭和39 年のことがある。社会防衛上のことがあるわけですから、尾辻厚生労働大臣に国会の場 で、大会議の場で、要するに国民に向かってきちんともう隔離収容施策ではない、社会 防衛上ではない、本当に医療を必要としている人が医療を使えるような、そういう時代 になりました、というような方向転換をするべきだと思います。  私はいろいろな人とおつき合いがありますが、日比谷公園に来ている精神障害者の仲 間で、本当に自分の意思で来ている患者の会の人もいます。しかし、作業所の職員に連 れられて、何が何だかわからないけれども、動員だから連れてこられている人もいる し、例えば生活保護で不安だからと言っているんだけれども、「生活保護は、全く通院 公費負担は関係ないんですよ」と言ったら、「ああ、そうなのか。知らなかった。指導 員に言われてやってきた」と、こういうようなこともあって、その1万1,000人の中で 本当にそれに困ると思ってやってきている障害者もいるでしょうけれども、ある意味で は事業者も困る。障害者が来なくなっちゃったら事業者も困るわけですから、その辺の ところを国会議員の方々は、本当に障害者の考え方なのか、障害者が困るといってそう いうふうな行動をとらせている事業者の問題なのか、ということを明確に見分けるぐら いの力があっていただきたい。国会議員だからそのぐらいの力はあっていただきたいと 思っております。そういうふうないろいろなことを考えていきますと、先程も申しあげ ましたが、私は厚生労働大臣に国会で高らかに、社会防衛施策から方向転換します、我 が国は欧米におくれて40年たって方向転換します、と言っていただいた上で施策を進め ていただきたいと思います。  そして、この瞬間にも34万人の仲間が、たこ焼きもピザもなべ物も食べることもな く、知ることもなく入院している、この現実。そのうちの7万2,000人は社会的入院だ と言われている。しかし、私は20万人ぐらいいると思っています。そういう人たちが病 院の敷地内ではなくて、外に出てきちんと一人の人間として一人の国民として安心して 暮らせていける社会をつくるように、国会の議員の方たちに格調高い論議をしていただ きたい。  さっきも大濱委員が言っていましたが、ともすれば障害者の問題が政争の具にされ て、党利党略に使われている。でも、これはそれであってはいけないと思う。いろいろ な党があります。でも、精神障害者をはじめ、障害者はいろいろな党を支持していま す。必ずしも与党を支持しているだけではない。必ずしも野党を支持しているだけでは ない。いろいろな人がいますからいろいろな観点で。議員みずからがもし自分が障害者 になったらば、全人口の50人に1人が精神障害者ですから、国会議員の中にだって何人 かいて当然です。  そういうことですから、ぜひ自分がもし障害者になったら、または自分の家族や身内 が障害者になったら、この国はこれでいいのだろうかとうことも含めて、負担のところ は障害者が勤めやすいように、または勤められないようなときには所得の保障ができる ように、それが早急にできるようなことを願って、私は大演説を終えさせていただこう と思います。どうも御清聴ありがとうございました。ぜひ格調高い論議を、党利党略に 走らないでよろしくお願いいたします。 ○京極部会長  今、委員の皆様からさまざまな御意見をいただきましたが、当部会の過去の資料の訂 正については事務局より丁寧な御説明がありました。この際、私から部会長として事務 局に一言申し上げたいと思います。私たち社会保障審議会障害者部会の委員は、事務局 から提出された資料をもとに障害者施策のあり方についてさまざまな議論を行い、厚生 労働省に対して意見を具申しているところでございます。今回、その前提となる資料の データに誤りがあったことは不適切と考えます。今後資料の作成の際には、このような ことがないよう十分留意していただきたいと思います。  それを前提としてでありますが、今回の資料の誤りについては、審議に実質的な影響 の少ないものであったということから、事務局の説明について了承することにしたいと 思いますが、いかがでしょうか。               (「異議なし」の声あり) ○京極部会長  ありがとうございます。それでは、異議なしということで、よろしくお願いいたしま す。では、部長からどうぞ。 ○塩田障害保健福祉部長  事務局一同、今の部会長からのお言葉や各委員の御発言を肝に銘じて、今後の資料作 成などの事務局の業務を行っていきたいと思います。 ○京極部会長  厚生労働大臣がいらしたのですが、ちょっと先に進めさせていただきたいと思いま す。  次に、障害者自立支援法案に対する与党の修正提案について、事務局から御説明いた だきたいと思います。その後、大臣から御発言があれば一言いただきたいと思います。 ○伊原企画官  障害保健福祉部企画官をしております伊原でございますが、資料2に基づきまして、 障害者自立支援法案に対する修正案というものについて御説明させていただきます。  先週でございますが、自由民主党、公明党の方から厚生労働委員会の審議の中で、障 害者自立支援法案に対する修正案というものが出されております。詳細につきましては 議員提案でございますのでコメントできませんが、概要だけ御説明させていただきま す。  資料2で、大きく4点ございます。第1番目に「目的」の規定の改正ということで、 この法律による障害福祉サービスに係る給付その他の支援は、障害者基本法の基本的理 念にのっとり行われることを明記するものとすること、ということになってございま す。具体的に申しますと、6ページの対照表をごらんいただきますと、第一条の「目的 」のところでございますが、ここにアンダーラインが入った部分、「障害者基本法の基 本的理念にのっとり」という部分をつけ加える旨の案が提案されております。  もう一回1ページに戻っていただきまして、第2の部分でございますが、「自立支援 医療の施行期日の変更」ということで、現在の原案では平成17年10月1日から施行す る、今年の10月1日から施行するということになっておりますが、これを平成18年1月 1日に改めるということが提案されております。  第3に、「検討」ということで2項目ございます。7ページをごらんいただけますで しょうか。7ページに対照表がございます。第三条というところですが、検討規定とい うのがございます。このまず1項、「政府は、この法律の施行後三年を目途として」と いう部分でございますが、そこに、「障害者等の範囲を含め」という言葉が明記される ことになってございます。この法律では、身体障害者、知的障害者、精神障害者、それ ぞれ障害福祉各法、3法からそのまま定義を引いておりますが、この範囲につきまして 発達障害者や難病の方々等は必ずしも直接対象にならない、あるいはその対象となるこ とについてはっきりしないというようなことがございますので、そういうことに関して さらに検討していくという規定について盛り込まれております。  それから、もう一つの検討規定が3項でございます。3項には、所得の確保に関する 施策の在り方について検討するという規定が提案されております。政府は、障害者等の 福祉に関する施策の実施の状況、障害者等の経済的な状況等を踏まえ、就労の支援を含 めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方について検討を加え、その結果に基づい て必要な措置を講ずるものとする。このような提案がなされております。  以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございます。ただいまの資料2及び3の事務局からの説明について、御質 問等がございましたら順次御発言ください。なお、できるだけ多くの委員に発言してい ただくために、短めにひとつお願いいたします。 ○伊原企画官  すいません。資料3を御説明していなかったので、あわせて御説明させていただきま す。  資料3は、現在政府の方から提出させていただいております自立支援法案に関する利 用者負担につきまして、その中の個別減免措置に関する内容について御説明させていた だくものでございます。開いていただいて、ページの2をごらんいただけますでしょう か。衆議院の議論の中でも厚生労働委員会の議論の中でも、この利用者負担の配慮措置 というのが随分議論になっております。今日お手元に提出しております資料は、この中 で「定率負担」というところの(2)の「入所者等の個別減免」、ここについて特に御説 明するものでございます。この個別減免につきましては、ここにございますように預貯 金等が一定額以下の場合に減免するとか、幾つか検討するという項目になっておりまし た。それについて、現段階での厚生労働省としての考え方をお示ししたいというもので ございます。  3ページをごらんいただけますでしょうか。まず1割負担の部分につきましては、月 額上限措置を設けることにしてございます。これは何度も御説明させていただきました が、その世帯の所得水準に応じまして、4段階に分けて上限措置を設けたいと思ってお ります。  4ページになりますが、さらにその上にグループホームや入所施設に入所されている 方、利用者の方々ですね、こうした方の場合には、食事の負担、あるいは夜間一緒に居 住の支援を一体で受けているということに関連しまして、個別減免制度というものを提 案してございます。特に低所得1、2の方が対象になります。その対象になる方につき まして、まず一定の預貯金等を有している場合は対象外ということですから、預貯金額 がどのくらいかということが一つの議論になります。具体的な仕組みはこの4ページの 下のところにございます。これも何度も御説明してきましたが、グループホームの方を ごらんいただきますとおわかりになると思いますが、まず6.6万円を超えない収入に ついては定率負担が発生しないようにする。したがって、6.6万円未満の方について は定率負担をゼロにする。6.6万円を超える部分について、定率負担、1割負担をお 願いするということになりますが、そのときに障害者の方が得た収入すべてを利用者負 担として負担しなくてもよいように、手元に一定額が残るような仕組みにする。その 際、特に就労によって得た収入については、働くことを促進する観点から負担額を軽減 する、こういう御提案を今まで申し上げてきたところでございます。  それの具体的な内容につきまして、次の5ページでございますが、まず上のところの 箱をごらんいただけますでしょうか。6.6万円の収入までは定率負担にかかる負担は ゼロとする。6.6万円を超える場合には原則として、障害者が得た収入のすべてを利 用者負担として負担しなくてもよいよう、収入に対する負担額が半額(50%)になるよ うに設定する。この際、特に、就労等により得た収入については、地域において働きな がら暮らしていることを考慮し、原則より低い負担率として15%とする。手元に85%が 残るようにする。こういうふうな形で、このグループホームの入所に関しまして設定し たいと考えております。  この15%と申しますのは、実はグループホームの利用者負担、新しい制度において利 用者負担は今後決めていくことになりますけれども、現在では例えば6.6万円の単価 をもらっている方の場合、6,000円ぐらいになろうかと思います。こうしたグループホ ームなどに入っている方の平均的な工賃は4万円ぐらいになりますが、その4万円の平 均的な工賃をもらっている方であれば、6,000円の1割負担を払っていただけるだろう と考えまして、4万分の6,000、ちょうど15%になりますが、その15%という率を設定 したところでございます。したがいまして、この5ページの下にございますが、6.6 万円の収入がありまして、その後基礎控除で3千円、その6.9万円を上回る部分につ きまして、就労収入、年金収入につきましては15%の御負担をいただく。その他の収入 につきましては50%の御負担をいただく。こういう仕組みを考えております。  それから、6ページをごらんいただけますでしょうか。6ページにこの具体的なイメ ージというか、その区分、本人の収入の状況に応じた負担額がお示しされております が、一番左側に資産というものがございます。本人の預貯金等の額が幾ら以上であれば この個別減免の対象ではなくて、幾ら以下であれば対象になるかと、こういうことが示 されております。ここにありますように、350万円というものを一つの形で御提案させ ていただいております。この350万円という数字につきましては、現在の家計調査で見 まして、低所得世帯の貯蓄残高が300万円ぐらいであるということ。それから、障害者 の方のマル優制度がございます。これが350万円であるということを勘案しまして、350 万円という数字にしてはどうかということで御提案を申し上げているところでございま す。  以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。時間がせっぱ詰まっていますので、「福祉サービスの利用 者負担について」、資料3の御説明を十分聞く前に皆様の御意見を求めるようなことに なりまして、申し訳なく思っています。  それでは、委員の方の御発言を求めたいと思います。どうぞ、君塚委員。 ○君塚委員  君塚です。育成医療の利用者負担についてです。少子化において現在医療面の対応と しては、追加給付としていわゆるマル乳、一部の市町村でのマル児制度というのがあり ます。ですが、現在でも育成医療においては4分の3が課税世帯となっていまして、今 回の法案においても、若い世代の共働きで所得税の合計が30万円に達する世帯がかなり 多いものと考えています。子供は国の宝でありながら虐待も増えています。種々の少子 化対策の一環として、育成医療における1割負担の見直しを今後検討課題に挙げて、ぜ ひ検討していただきたいというお願いでございます。  以上です。 ○京極部会長  はい、どうぞ。伊藤委員。 ○伊藤委員  伊藤でございます。ちょっと確認でございますが、よろしいでしょうか。今資料2の 御説明を賜りました。これはちょっと確認ですが、過日、民主党の方から修正協議事項 9項目ばかりが挙がりましたが、それを受けての修正なのでしょうか。ちょっとお願い します。 ○京極部会長  ただいまの質問に対して事務局の方から。 ○伊原企画官  これは与野党の間の議論でございまして、国会での議論でございまして、ちょっと政 府側からその経緯を御説明するのは内容もよく存じていないのでできません。 ○伊藤委員  はい、わかりました。 ○京極部会長  ほかに。はい、どうぞ、松友委員。 ○松友委員  細かくて恐縮ですが、うちの団体では一番関心があるところが、この6ページ目のグ ループホーム入所者における本人の預貯金の問題でありまして、やっと数字が出たとい う感じがするのですが、この預貯金の概念、「等」というのがつくのですが、先日ある 団体の全国研修会等において厚生労働省の方が、債券等については、要するにすぐ使え ないものについては範囲の外にすると。つまり定期貯金とか普通預金とかですね。「等 」というのはどこまでの範囲を含むのか。土地や建物はどうなのか。いわゆる資産と か、会計学的概念は非常に微妙なところでありまして、みんなかたずをのんで見ており ますので、これが本当に決定するとなったら、今日中に全国に大変なニュースとして流 れると思うのですが、その確認をちょっとさせていただきたいと思います。よろしくお 願いします。 ○伊原企画官  一つ一つの債券やその種類まで、ちょっと今の段階で特定はできませんが、我々が考 えておりますのは、基本的には例えば親亡き後のために信託をするようなもの、それは 簡単にすぐに取り崩しができないようなもの、こうしたものはここの預貯金の部分には 含まずに、実際現金化するときに収入認定すると。ですから、現段階ではしないという 扱いではないかと考えております。  それから、不動産につきましてですが、障害者の方が自分名義で不動産を持っておら れるというのは、なかなかそんな多いとは思いませんけれども、仮に持っておられる場 合でも、親族の方が居住しているようなもの、これはもう当然対象外でありまして、例 えば別荘とかこういうものが仮にあれば、これは対象になるのではないかと思っており ます。具体的な何をどうするかというのは、もう少しいろいろな金融商品などあります ので、それは施行までの間によく整理したいと思います。 ○京極部会長  ほかにどうでしょうか。北岡委員。 ○北岡委員  この障害者自立支援法全体の話で、先ほどいろいろと資料の誤りなどもある中で発言 すればよかったのかもしれませんが、私はこの障害者自立支援法がいろいろなことがあ るにしても、成立を望む立場で、3つのことをお話ししたいと思います。  1つは今の利用者負担のことですが、やはりこれは与党の方からの提案もあったとい うふうに聞いておりますけれども、今日また新たにいろいろと示されたということで、 やはり障害のある人たちの不安で障害基礎年金だけの低所得者の方が多いというような ことを考えて、よりきめ細かい対応を今後もさらにお願いできないかという部分が一つ あります。  それから、これは質問ですが、このたびの1割負担であるということと、それからス ケジュールについて、当初は10月から自立支援医療の自己負担が求められるようなこと のスケジュールがこういうふうに決まったことについて、このたびの資料の誤りなども 含めて、この辺の根拠といいますか、理由について、できればもう一度お教えいただけ ればありがたいなと思います。  2つ目は、障害のある人たちともしゃべっていますと、やはり移動介護の問題につい てずっとおっしゃっていて、私も障害のある人の地域生活を支援している立場から申し 上げると、この移動介護の問題はやはり大変重要な問題かなと思っています。先日国会 でも、地域生活支援事業の義務的な事業として位置づけるというようなやりとりがあっ たかと思いますが、義務的な事業として位置づけるということであれば、ぜひ十分な予 算の確保に努められて、また運用上、個別の利用ができるということなども、そういう ものも地域に対して周知をしていただけたらと思っています。  3つ目は、重度の障害者の方が地域生活を今たくさんされているわけですが、今後も こういう人たちの生活が実現できるというのがここの法案の目的というふうに理解して いますと、この法案に書いてあります行動援護であるとか重度訪問介護、それから重度 包括支援なども、財政的に十分な措置が必要になってくるのではないかと考えていま す。こういうことをぜひ国会の中でも議論いただいて、この法案が成立することを望ん でいます。  以上です。 ○京極部会長  ありがとうございます。傍聴している議員の方がもちろんお聞きになっていると思い ますが、事務局の方で何かお答えになることがありましたら。 ○伊原企画官  一つスケジュールで、自立支援医療の施行期日の変更に関しての御質問があったと思 いますが、これは与党から御提案がなされておりますが、与党の提案理由説明の中で は、一つは周知期間を、現在の審議状況を踏まえると、法案が成立しても周知のための 時間的な余裕が十分にないことから、この施行につきましては障害福祉サービスの実施 と同じ時期に3カ月遅らせると、こういう御提案がなされております。 ○京極部会長  それでは、時間の関係がございますので、末安委員がさっき手を挙げていたので。 ○末安委員  今ほどの修正案の要綱を拝見して、その第3の「検討」の2のところに、「就労の支 援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方について」を加えていただいて、 これは私はよかったなと思っています。今日の前半の議論の中では、精神障害者の通院 公費負担の1,000円ぐらいの違いは誤差の範囲であるという見方もあるかもしれません が、当事者にとってはその1,000円がいかに重いことなのか。所得保障と利用者負担は、 大義名分としては財源の確保ということで話が進められているんですけれども、その 1,000円が生命線になる人たちがいらっしゃるということを、数字の問題だけではなく て、確認しておいていただきたいことだと思います。  というのも、やはりここの論議でもずっと繰り返し出されたし、私も申していました が、障害認定区分の問題とかケアマネのあり方とか、実際にどういう生活が行われるの かを正しく把握することができるのか。理念はわかった。しかし、実際にどういう生活 が確保されるのかという議論がないまま、法案が国会で審議されているという現状があ るわけです。これについて、ただ数字の間違いが出たというような、それでそれは誤差 の範囲であると、あるいは単純なミスであるということだけで済まさないで、この法案 修正案に出されてきたようなことを踏まえて、所得保障を確実にしていっていただきた いと思いますし、この審議会も引き続き実際の生活がどうなっていくのかという部分に ついても、今後も検討していくべきではないかと思います。  以上です。 ○京極部会長  では、大濱委員。 ○大濱委員  時間がないので簡単に。先ほど来、ずっと負担の問題、常にこれは問題に挙がってお ります。ただ私たちは、先ほど北岡さんからもありましたように、本当に厚生科学研究 でということで以前からずっと返答がないんですが、重度介護支援ですね、この部分が 本当にきちんと担保できるのか。担保する気が厚労省側にあるのかどうか。ここら辺に ついて、本当に厚生科学研究が出るまで、私たちはそれを絵として全然見ることができ ないのかどうか。7.5を含めて5.1も障害者たちがみんな集まったのは、その辺が全 く見えないのでものすごく不安を感じているわけです。そこら辺はぜひわかってもらい たいと思いまして、やはり国庫補助基準なり何なりを、どこら辺までだったらある程度 できるんだと。また、重度障害を24時間、担保する気持ちがきちんと厚労省にあるのか どうか。そこら辺の最低限のことだけでもやはり説明していただかないと、本当に地域 の重度障害者、特に介護者のいない障害者たちは常に不安に暮らしているわけです。そ こら辺について一回御説明いただきたいと思います。 ○京極部会長  では、嵐谷委員が一言言った後、伊原企画官から。 ○嵐谷委員  時間がないようですので簡単に申し上げておきたいと思うのは、まずこの法律が施行 されるとした場合に、いわゆる日程的な問題で、これは市町村が事務的にまるっきりわ からないということが起きてきて、障害者自身が大変困るのではないかなと思います。 そして、利用者負担の10%はある程度理解をされつつあるように思いますが、収入問題 においては世帯単位でなしに本人単位、本人だけにするということをひとつお願いした い。そしてまた、地域格差がないように、移動介護が十分利用できるような制度として いただきたいというように、ポイントだけを申し上げておきます。  以上です。 ○京極部会長  では事務局から。 ○伊原企画官  大濱委員から御質問がありました重度障害者の方の話ですが、実際現実には、現在地 域で暮らされている重度の方々の生活を支えていくというのは、今回の法案の一つの大 きな、大事なポイントだと思っていますし、そういう意味では重度包括支援や重度訪問 介護という新しい類型を提案させていただいています。それで、その方々の例えば国庫 負担基準がどうなるかということですが、これはやはり実際に我々として、どのぐらい の数の方がどういうサービスを受けているかということをちゃんと把握しないと、今の 段階で何時間ぐらいとかそういうことを申し上げられないので、それは今本当によく調 査をしておりますので、これを踏まえて今回の法案の目的に沿った形で、そういう基準 などをつくっていきたいと思っております。ですから、現段階でこのぐらいだろうと か、あれぐらいだろうというのは、ちょっと申し上げられるようなデータも手元にござ いませんので、そこは御容赦いただきたいと思います。 ○京極部会長  時間が来まして、さまざまな御意見をいただきましたが、せっかく大臣がいらしてい ますので、ここで大臣から一言お話を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、発言させていただく機会をいただきましたことに、まず御礼を申し上げた いと存じます。  今日私がお伺いいたしましたのは、本当にほかでもございません、私どもの大変単純 なといいますか、それだけに申し訳なく存じておりますけれども、ミスによりまして委 員の皆様方にこうして改めてのお集まりをいただくという、大変御迷惑をおかけいたし ましたことに対しまして、お詫びを申し上げなければいけない、こう思いましたので、 お伺いをさせていただいたところでございます。改めて大変な御迷惑をおかけいたしま したことに対しまして、心からのお詫びを申し上げたいと存じます。  そして、お集まりいただきまして、改めて今いろいろ御審議いただいておりますこと に、御礼をも申し上げたいと存じます。私も今参りましたので、委員の皆様方のお話を 聞く十分な時間もございませんでしたけれども、参りましてからもさまざまな御指摘を いただきまして、肝に銘じて聞かせていただいたところでございます。今後とも最大限 の努力をさせていただきたいと存じます。  この間の委員会の御審議を通じて、改めて私がこの障害者自立支援法案について思い ますことは、私どもが丁寧に対応していかなければならない。そしてまた、丁寧に御説 明をしなければならない。この2つの丁寧さが極めて重要であると考えておりまして、 改めてそのことを申し上げて、私どもも今後ともの最大限の努力を続けますことを申し 上げ、委員の皆様方の御指導をよろしくお願い申し上げまして、発言の機会をいただき ましたので、一言のあいさつにさせていただきたいと存じます。今後ともどうぞよろし くお願いを申し上げます。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。お約束した11時半という時間がちょっと過ぎまし て、司会の不手際で申し訳なく思っておりますが、いずれにいたしましても、私どもと しては今後の国会での議論の状況につきまして、きちっと見守ってまいりたいと考えて おります。  まだ議論は尽きないですが、終了時間が来ましたので、次回の日程について事務局よ り御説明をお願いいたします。 ○企画課長補佐  次回の日程については、後日事務局より御相談させていただきます。 ○京極部会長  それでは、以上で本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。                                     <了> (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)