05/07/08 労働政策審議会中小企業退職金共済部会第30回議事録    第30回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日時  平成17年7月8日(金)10:30〜11:15 2 場所  厚生労働省共用第8会議室 3 出席者 [委員]  臼杵委員、勝委員、郷農委員、小山委員            齋藤委員、佐藤委員、讃井委員、下永吉委員            菅井委員、鈴木委員、田村委員、山川委員       [事務局] 松井勤労者生活部長、宮本勤労者生活課長 ○宮本勤労者生活課長  それでは皆様お揃いですので、定刻より少し早めですが、ただいまから第30回労働政 策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めます。本日は委員の皆様の改 選後初めての当部会の開催となりますので、部会長が選任されるまでの間、勤労者生活 課長の私、宮本が議事進行を代行させていただきます。  まず当部会の委員となられました皆様を、名簿の記載順に御紹介いたします。新任の 臼杵政治委員です。 ○臼杵委員  ニッセイ基礎研の臼杵でございます。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  勝悦子委員です。 ○勝委員  勝と申します。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  齋藤邦彦委員です。 ○齋藤委員  齋藤です。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  本日は欠席なので御名前のみの紹介になりますが、都村敦子委員がいらっしゃいま す。それから新任の山川隆一委員です。 ○山川委員  山川と申します。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  小山正樹委員です。 ○小山委員  JAMの小山です。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  佐藤正明委員です。 ○佐藤委員  佐藤です。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  菅井義夫委員です。 ○菅井委員  おはようございます。よろしくどうぞお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  鈴木辰男委員です。 ○鈴木委員  おはようございます。鈴木です。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  田村雅宣委員です。 ○田村委員  おはようございます。田村でございます。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  新任の郷農彬子委員です。 ○郷農委員  よろしくお願いいたします。国際会議業を営んでおります。 ○宮本勤労者生活課長  讃井暢子委員です。 ○讃井委員  讃井でございます。よろしくお願いいたします。 ○宮本勤労者生活課長  下永吉優委員です。 ○下永吉委員  下永吉でございます。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  本日は欠席なので、御名前のみの御紹介になりますが、成宮治委員、新任の松本房人 委員がいらっしゃいます。郷農委員、松本委員は、これまで御活躍いただきました奥平 ミヱ子委員と中山嘉彦委員の後任としての御参加です。  新しく委員となられた方から、簡単に一言ずつごあいさつをいただきたいと思いま す。御手元の名簿の順番でお願いします。臼杵委員から恐縮ですがお願いします。 ○臼杵委員  臼杵でございます。10年ほど企業年金と、公的年金関連の年金の研究を、ずっとして いまして、今回図らずもこういう御役目を仰せ付かりました。年金に関しましては、労 務だけではなく、企業の財務や社会保障、資産運用と幅広く見ているつもりですので、 できるだけお役に立ちたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○宮本勤労者生活課長  山川委員、お願いします。 ○山川委員  慶應の法科大学院におります山川と申します。専攻は労働法でありまして、この分野 はあまり深く勉強していないものですから、今後勉強させていただきながらと思ってい ます。何かお役に立てることがあればと思っています。どうぞよろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  郷農委員、よろしくお願いします。 ○郷農委員  初めてですので、よろしくお願いいたします。他の部会でこれまで御世話になってま いりました。私は元文部省出身なのですが、今は小さな企業を営んでおりまして、一昨 年退職した人から退職金が少ないと訴えられた経験があります。今回この委員の声をか けていただいたとき、とても興味があったので喜んで参加させていただくことになりま した。知識は不足しておりますが、よろしく御指導ください。 ○宮本勤労者生活課長  次に事務局を紹介いたします。労働基準局の松井一實勤労者生活部長です。 ○松井勤労者生活部長  勤労者生活部長の松井です。よろしくお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  労働政策審議会の本審の委員をされている齋藤委員以外の皆様は、本年4月11日をも ちまして、労働政策審議会の臨時委員として厚生労働大臣から任命を受けられ、その上 で勤労者生活分科会長の指名を受け、当部会の構成員となっています。各委員の辞令に ついては、その所属する分科会・部会の最初の会合で交付されています。したがって複 数の部会に所属している方で、他の部会等が当部会に先立ちまして開催されている委員 の方々の中には、すでに辞令を受け取っている方もあると思いますが、他の方々につい ては、本日、資料と併せて机の上にお届けしていますので、御確認をお願いします。  引き続き、議題1にあります「部会長の選任」に移ります。部会長の選任について は、まず資料1−1の労働政策審議会令の規定をご覧ください。4頁、第7条に部会に 関する規定があります。第7条第6項には、「部会に部会長を置き、当該部会に属する 公益を代表する委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙する」と定められていま す。審議会令上ここでいう委員というのは、労働政策審議会の本委員を指しています。 当部会におきまして「公益代表たる本審の委員」でいらっしゃるのは、齋藤邦彦委員お 一人ですので、審議会令の規定により齋藤委員に部会長をお願いすることとなります。 恐縮ですが、部会長は席の移動をお願いします。                 (部会長席の移動) ○齋藤部会長  齋藤でございます。前期に引き続いて部会長でございますが、どうかよろしくお願い いたします。それでは最初に「部会長代理の指名」に移ります。部会長代理の選出につ いては、資料1−1にあります審議会令第7条第8項に、「部会長に事故があるとき は、当該部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ 指名する者が、その職務を代理する」という規定があります。この規定に基づき、本部 会において、勝委員が部会長代理をずっとしていますので、今回も勝委員を指名したい と思います。どうかよろしくお願いします。  議題2、諮問です。中退法施行規則の一部を改正する省令案要綱についての諮問につ きましてはそれぞれ資料があると思いますが、資料について事務局から説明をお願いし ます。 ○宮本勤労者生活課長  今回の部会において審議をお願いするのは、資料2−1の2頁に諮問書があります が、内容については3頁をご覧ください。ここにあるように、中小企業退職金共済法施 行規則の一部改正の御審議をお願いします。中退制度におきましては、企業ごとに勤労 者が全員加入することを原則としています。いわゆる包括加入の原則ですが、法律と施 行規則に掲げる一定の労働者については、その包括加入の例外としています。今回の諮 問は、例外の追加についての諮問です。  初めに施行規則改正の背景について御説明いたします。資料2−3、資料2の束の8 頁をご覧ください。表題として「社会福祉施設職員等退職手当共済制度の概要(現行) 」という資料になっています。この表題の下にあるように、今回は社会福祉施設職員等 退職手当共済制度側の制度の変更に伴い、私どもの中退制度においても一定の対応を求 められたものに対応して、省令を改正するということです。  この社会福祉施設職員等退職手当共済制度について、まず始めに簡単に概要を御説明 いたします。表題の下の四角の中をご覧いただきますとご理解いただけるように、社会 福祉施設あるいは事業に勤務する職員等については、多くがこの社会福祉施設職員等退 職手当共済制度に加入していますが、この制度は就労条件や労働環境が劣っていた社会 福祉施設職員の待遇を改善し、この事業の振興を図ることを目的として、昭和36年に創 設されています。  この制度のポイントにつきましては、その頁の左下にまとめてあります。社会福祉法 人ごとに任意で加入する。しかし加入するときには、私どもと同じように法人単位で包 括加入するということにされています。またいわゆる退職金カーブなどの給付水準が国 家公務員準拠であること、財源方式が賦課方式であること。賦課方式というのは、その ときに給付に必要な原資を、そのときの現役世代の掛金で賄うという財政方式を指して います。毎年度の給付費は国、都道府県、および社会福祉法人がそれぞれ3分の1ずつ 負担することです。  同頁の右下の図に、平成15年度、一部平成16年度の値が入っていますが、この制度の 共済契約者である約1万5千の社会福祉法人が、約59万人の職員につきまして、職員1 人当たり年42,300円、平均的な月額に直しますと、1カ月あたり3,500円強となる掛金 を支払い、その掛金総額に見合った国の負担分が全国で238億円。さらに都道府県の負 担分を給付原資として、約6万人の退職者に総額約740億円を支給しています。この制 度の運営については、独立行政法人福祉医療機構が担当しています。簡単ではあります が、以上が社会福祉施設職員等退職手当共済制度の概要です。  資料10頁をご覧ください。社会福祉施設職員等退職手当共済制度については、現在開 かれています国会において、いくつかの改正が行われています。その中の1つが、この 制度における公的助成の在り方の見直しです。  表題下の大きな四角の中にその趣旨等が書いてありますが、社会福祉法人が経営する 施設・事業のうち、寝たきりや認知症の高齢者に対する福祉サービスを提供する高齢者 関係の施設は介護保険の対象となっています。介護保険制度には、社会福祉施設以外の 経営者が多数参入していることなどから、四角の中程にある「特殊法人等整理合理化計 画」の閣議決定などにおいて、介護保険における民間との条件の公平性、イコールフッ ティングの観点から、公的助成の廃止が指摘されていましたので、今回介護保険の対象 となる施設の職員についての公的助成を廃止することとし、これまで社会福祉法人に は、介護保険対象施設職員について、3分の1の負担をお願いしていたわけですが、こ の制度が改まりますと、3分の3の負担を求めるということになります。  他方こういう制度改正を行いますと、経営者の期待利益の保護や掛金負担の激変緩和 という観点からの、一定の経過措置が必要となりますので、大きな四角のすぐ下の四角 に、現在あるいは制度改正が行われる来年4月の時点において、この制度の対象となっ ている介護保険対象施設の職員については、引き続き公的助成の対象とするという経過 措置が設けられています。  下の図はそのイメージで、来年4月時点で3分の2の公的助成を受けている職員につ いては、介護保険の対象となる施設であるかどうかを問わず、制度改正後も引き続いて 給付費に対する3分の2の公的助成が行われます。それが濃い灰色で塗りつぶされた部 分です。他方、来年4月以降に介護保険の対象施設に新たに採用される職員について は、公的助成の対象になりません。  制度改正後も、経過的に公的助成の対象となる職員がいますが、こういう職員の方々 は順次退職されていきますので、時間の経過とともに公的助成の対象とならない職員、 網かけで示している3分の3と書いてある職員の数が、次第に増加することになりま す。  このような公的助成対象の見直しに伴い、社会福祉施設職員等退職手当共済制度から の加入と脱退についても、改正が行われました。11頁を見ますと、ただいま御説明しま したように、公的助成の対象の見直しに伴い、原則として介護保険対象の施設について は、公的助成が廃止されますので、社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入する場 合には、社会福祉法人がその施設の職員について、3分の3の掛金を今後負担していた だくことになります。厳格に、法人単位の包括加入の原則を、社会福祉施設職員等の退 職手当共済制度において貫こうとすると、経営者の負担が極端に重くなるか、あるいは その負担に耐えかねて退職金制度に全く加入しなくなるという、極端な結論となりかね ません。  そこで、加入脱退についても制度改正が行われています。その頁の下半分の比較図を ご覧ください。まずその1つですが、加入と脱退のいずれについても、法人単位の包括 的取扱を改めて、施設・事業単位の包括的取扱となります。すなわちこれまでは、法人 がいくつかの施設を経営しているときにも、あるいは1つであっても、法人単位で全部 の施設がまとめて加入するということになっていたわけです。社会福祉法人の施設のう ち、公的助成を受けられる身体障害者や児童関係の施設・事業の職員だけは、社会福祉 施設職員等退職手当共済制度に加入し続けつつ、公的助成を受けられない介護保険対象 施設だけの脱退が認められることになります。  これはいわば包括加入原則につきまして、いままで法人単位であったものが、事業所 ・施設単位に改められたということです。  もう1つは、介護保険の対象施設において、改正前から社会福祉施設職員等の退職手 当共済制度に加入している職員がいる場合は、来年4月以降公的助成の対象とならない 新規採用職員についてのみ、部分的脱退が認められることになります。なお当然のこと ながら、この場合労働者の保護という観点が非常に重要になりますが、これらの部分的 に脱退するという制度については、対象となる社会福祉施設職員全員の同意が必要とな るということで、労働者保護の観点についての措置が行われています。  以上のような、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の改正により、介護保険の対象 施設の職員のうち、新規採用職員などについての、社会福祉施設職員等退職手当共済制 度からの部分的脱退が認められることとなりましたが、これにより脱退した社会福祉施 設職員の退職金制度が無くなってしまうという懸念が生じています。  これについては、資料2−5の14頁にありますように、国会の衆議院及び参議院の審 議において、社会福祉施設職員等退職手当共済制度から脱退する職員について、中退制 度などを活用する措置などが求められています。  前後して恐縮ですが、資料12頁をご覧ください。これは「施設等の種類別にみた被共 済職員数の推移」の表です。この表の中で、介護保険の対象となる施設に勤務している 職員は、社会福祉施設のうちの老人福祉施設の一部になります。すなわち、うち特別養 護老人ホーム以下、老人短期入所施設までの職員。それからその3つ下の欄にありま す、特定社会福祉事業の中の、うち老人居宅介護等事業と、認知症対応型老人共同生活 支援事業とありますが、ここに掲げられている職員が、おそらく介護保険対象施設に勤 務する職員ということになります。  平成15年度において、以上のような介護保険の対象となる施設に勤めておられる職員 が、大体2万人程度増加しています。したがって先ほどのように新規に採用される介護 保険対象施設の職員が、仮に全員中退制度に移動すると想定するならば、2万人程度が 上限ということになると思います。一般中退は大体270万人ほどの被共済者が現在いる ので、中退制度全体においては、1%弱ぐらいの増加になろうかと思います。  これらの労働者の皆さんが中退共に加入することになった場合、中退制度においてど ういうプラスあるいはマイナスが想定されるかということですが、いま申しあげたとお り若干ながら被共済者が新たに増加することになります。現在勤労者退職金共済機構が 大きな目標としている、新規共済者の加入促進という観点からみれば、新たな方々がい らっしゃることは、当然歓迎すべきこと、プラスの効果をもたらすものであり、それは 運用資産規模の拡大などを通じて、累積欠損金の解消を含めた制度の安定化に寄与する ことになるだろうと思われます。  一方、それらの労働者の方々につきましては、社会福祉施設職員等退職手当共済制度 から資産の移管がない、逆に負債の移管もないということになります。資産も負債も一 切引き継いでこない。全く新たにいらっしゃるということですので、包括加入の一部の 例外という形で入っていらっしゃるという意味で、少し特殊な入り方をされるかもしれ ませんけれども、制度全体から見ますと全く新しい一般的な新規加入の皆さんと、同じ という意味を持つものだろうと思われます。したがってそれに伴い、中退制度が何らか の新たな特別な負担を負うということにはならないだろうと考えています。  社会福祉施設職員等退職手当共済制度の改正内容と、中退制度の関係についての説明 は以上のとおりですが、少し長くなりますので一旦ここで説明を切らせていただきま す。 ○齋藤部会長  ただいまの御説明について、何か御質問などがありましたらどうぞ。 ○田村委員  今いらっしゃる人は、3分の2の公的助成があるままですよね。そして新しく入る人 は、公的助成がないから中退共に移れる形にしていこうということで、制度そのものは 賦課方式ですよね。賦課方式ということは現役が退職した人のものを負担する形になっ ていると思うのですが、分母が増えなくて分子だけが残っている形になると、この運営 というのは持つのですか。 ○宮本勤労者生活課長  そこは担当課長ではありませんので、明確にはお答えするのは難しいのですが、そう いう問題についても、当然担当課において認識されていると思いますし、制度の施設の 中で3分の2の助成があるので、社会福祉職員等退職手当共済制度に加入する、あるい は助成がなく3分の3掛金になってしまうので、中退にいらっしゃるという、施設の職 員の中に退職金制度が2つ存在するということについて、施設運営の点から見れば難し い問題を抱えるという認識はあるようです。  したがって担当課においてはそれぞれの社会福祉法人に対して、3分の3の負担には なりますが、なるべく1つの施設の中では引き続きあちらの制度に入るように、お願い なり指導をされると伺っています。その辺も、今の御指摘の問題点についての問題意識 を持っているということだろうと思います。 ○田村委員  受け皿は作ったけれども、出す方にとっては大変なことになるのではないか。現職で いる人たちに対する退職金がです。受け皿はあるけれど、人がこないということになら ないのかという気がしています。 ○宮本勤労者生活課長  担当課によく伝えておきます。 ○臼杵委員  いまの御指摘は、賦課方式から積立方式に移るような話に似ているという感想を持ち ました。それはそれとして、包括加入の原則の適用除外の場合、中退の場合に100人以 下という人数要件があったと思います。当然移ってこられる人を、条件の対象とすると いう理解でよろしいのでしょうか。 ○宮本勤労者生活課長  あくまでも中退制度そのものにおいては、包括加入について一部緩めることにはなり ますけれども、加入できるかどうかという観点に関して言えば、依然としてこの場合サ ービス業ですから、職員数でいえば100人という上限値がありますので、それを超える 社会福祉法人については加入できないということになります。  なおちょっと伺ったところでは、現在社会福祉法人の中で100人以上の職員が勤務す るような、非常に大規模な法人というのは、全体の8%程度ということで、9割以上の 法人においては現在の中退制度の規模要件に入っています。 ○齋藤部会長  他に御質問はありませんか。それでは諮問の内容について御説明をお願いします。 ○宮本勤労者生活課長  資料2の3頁、諮問の内容ですが、本日御審議をお願いしますのは、先ほど御説明し たように、中退法施行規則を改正し、包括加入の原則の例外として社会福祉施設職員等 退職手当共済制度に加入している職員を、新たに例外として追加することです。中退制 度においては、資料2−2の5頁、この上段が中小企業退職金共済法、下段が関連する 施行規則となっていますけれども、法律の第3条第3項、「中小企業者は、次の各号に 掲げる者を除き、すべての従業員について退職金共済契約を締結するようにしなければ ならない」となっていまして、いわゆる包括加入原則を定めています。  ただし例外となる労働者については、制度になじまない労働者という形で整理されて いますが、法律に1号から5号まで列挙されている労働者、あるいはさらに6号で省令 で定める者となっています。こういう方々については包括加入の例外としています。  省令については、下段にありますが、対応する省令が第2条になります。先ほど御説 明しましたように、介護保険の対象となる施設の職員のうち、社会福祉施設職員等退職 手当共済制度から脱退する職員だけが、中退制度に加入しようとしますと、中退制度の 包括加入原則のために、社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入している職員も含 めた、法人の全職員があちらの制度を脱退し、その方々全員が包括的に中退制度に加入 しなければ、中退制度に加入できないということになっています。  社会福祉施設職員等退職手当共済制度の加入者を、包括加入の例外とすることによ り、社会福祉施設職員等退職手当共済制度から脱退した職員だけが、この中退制度に加 入することができるようになります。そのためにこの省令の改正を、今回お願いしたい と考えています。  なお社会福祉施設職員等退職手当共済制度におきましては、加入年数が非常に長い方 の場合ですと、30年40年といった方がいらっしゃるということです。したがってこのよ うな措置を設けるとしても、この措置は30年40年間維持しなければならない措置という ことになりますので、経過的な扱いとはしづらいと考えています。  その背景となるものが、中退制度の外部の事情変更に伴って発生したものであり、労 働者の福祉を向上するために行わなければならない、やむを得ない措置であるというこ とも考慮して、法制的な取扱として、規則第2条第3号の後ろに諮問した条項を追加し たいと考えています。  また、新規加入に係る掛金の助成制度は、新たに退職金制度を設けた事業主が中退制 度に加入したときに、その掛金の一定額を補助することにより、新たに生ずる掛金負担 を軽減して加入の促進を図るという趣旨です。今回の場合には一連の措置により、社会 福祉施設職員等退職手当共済制度に加入できない労働者が、中退制度に加入するという ことですが、元々社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入している社会福祉法人等 は退職金制度を持っているということですので、先ほどの新規加入に係る掛金助成の制 度については、対象とすることは趣旨になじまないと考えています。そこで本件につい ては、掛金助成の対象としないための省令改正を考えています。  その他については以上の改正を行うと、他の条文との整合性を保つ関係から、少し事 務的な改正をしなければならない部分がありますので、そういう部分についての修正を したいと考えています。  諮問をお願いしたい内容についての説明は以上です。 ○齋藤部会長  それではただいまの説明について、御質問や御意見はありますか。 ○山川委員  省令案要綱第1の2の、「負担軽減措置を行わないものとすること」ということは、 参照条文でいいますと第23条の中で「厚生労働省令で定めるところにより」とあります ので、中退法施行規則を改正するという形になるのでしょうか。 ○宮本勤労者生活課長  おっしゃるとおりです。説明を省いてしまったのですが、6頁をご覧いただくと、省 令第45条において、いま御指摘の法律第23条に基づく省令の規定が定められています。 この省令第45条の規定の中で、今回移動していらっしゃる社会福祉関係の職員の皆さん に限って、対象としないという規定を追加する修正するということです。 ○齋藤部会長  他に特段御意見がなければ、部会として本省令案要綱を適当と認めて、大臣あてに答 申をすることにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○齋藤部会長  それでは答申の文案を配ってください。これをお読みください。 ○宮本勤労者生活課長  (案)、平成17年7月8日、勤労者生活分科会、分科会長齋藤邦彦殿。中小企業退職 金共済部会、部会長齋藤邦彦。「中小企業退職金共済法施行規則の一部を改正する省令 案要綱」について。  平成17年7月8日付け厚生労働省発基勤第0708001号をもって労働政策審議会に諮問 のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告す る。記、厚生労働省案は、妥当と認める。以上です。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。それではこの文案で答申することにしたいと思います。よ ろしいですか。                  (異議なし) ○齋藤部会長  これをもって当部会におきます答申とします。なお労働政策審議会令第7条第9項に より、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、また第6条第9項により、 分科会の議決をもって審議会の議決とすることができるため、本答申を審議会の答申と したいと思います。  それでは、答申をしたいと思いますので、用意ができるまでお待ちいただきます。 ○宮本勤労者生活課長  先ほどの御質問にありました、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の安定化の点で すが、今回一連の改正をする際に、その辺を含めた給付の調整という点についても、手 当を講じて制度の安定化を図っているそうです。 ○田村委員  制度の安定化に伴って減らないようにお願いをしたいですし、3分の2の助成がなく なると、例えば中退共に移ってこられる人たちは、資料によると月3,500円、多分1万 円ぐらいの掛金でいままで成り立っていたと思いますので、中退共で営業活動をされる ときには、1万円のレベルで入るような御指導をぜひお願いしたいと思います。そうで ないと退職金制度で3倍の人と1の人が出てしまいますので、お願いします。 ○齋藤部会長  それでは「省令案要綱」についての答申を、松井部長に大臣の代理としてお渡ししま す。 ○松井勤労者生活部長  どうもありがとうございます。本日は中小企業退職金共済法施行規則の一部を改正す る省令案要綱の答申をいただきまして、ありがとうございました。このようにさまざま な制度の変革などを受けて、我が制度としての利用度を高めるという改正は、今後とも あり得ると思いますので、積極的に対応できればと考えています。  昭和34年に制度ができて以来、いろいろ制度改正をやってきている経過の中で、累積 欠損解消の問題を抱えて予定運用利回りを低下させながらも、何とかいい給付をという ことでいろいろ議論をいただきましたし、運用主体が独立行政法人化する中で、ポータ ビリティの拡充や付加退職金の見直しといったこともやっていただきました。  多分中退制度はこれだけでは留まらないで、今後もう少し大きな視点で議論いただく 機会が必ず来ると考えています。少なくとも平成19年あたりに年金制度の見直しという のが必ず出てまいりますので、退職金制度と年金制度との意義付けをどうするかという 視点もあろうかと思いますし、既に新聞等で出ているのですが、退職金税制をどうする かということもありますので、そういう中で中小企業の事業主の方が退職金制度そのも のの意義付けをどう考えられるか、国としての制度運用をどうするかという、いわば制 度の基本、原点に立ち返った議論を、近々また改めてしていただく機会が来るのではな いかと考えています。  その際はまた引き続き本制度についての在り方というものを、どうするかという忌憚 のない活発な御議論をぜひともお願いしたいと思っていますし、また本制度そのものが 十分に活用されるような視点から、皆様の一層の御支援とご協力をお願い申し上げて、 簡単ではありますがお礼の言葉といたします。よろしくお願いします。 ○齋藤部会長  せっかくの機会ですから、何か御発言はありませんでしょうか。 ○佐藤委員  いま部長の発言の中にもありましたけれども、4カ月ほどになるのですが、剰余を巡 って付加退や累損のかなり厳しい議論をしたわけです。全体の合意として意見書が出さ れましたが、その後4カ月経過していますので、機構や課のほうでも一定の取組をなさ っていると思います。概略で結構ですので、中間的に御報告いただきたいと思います。 ○宮本勤労者生活課長  審議会の意見書をいただいて、その意見書に沿って私ども厚生労働省から勤退機構に 対して、累損解消計画を早急に策定するように要請しています。機構においても、審議 会の議論や私どもの要請を真摯に受けて、理事長あるいは担当理事の皆様以下、非常に 厳しい議論をして検討されている状況です。  機構も、早急に策定することが必要であるという認識を持っています。現在の景気回 復については楽観論と悲観論が錯綜する中で、今後数年間の景気見通しについてどうい う判断をして、必要な収益率を実現するためにどの程度の不確実性、リスクを確保し て、その結果どの程度の額をどの資産に振り分けることが可能なのかというような、累 損解消計画の裏打ちとなる資産運用の根幹に、若干検討時間を要していますが、外部の 専門家の意見を活用した検討をしている状況です。  私どもとしても、早急に策定することを求めていますけれども、機構におけるこうし た真剣な対応のために、多少時間がかかることはやむを得ないと考えています。現時点 では、遅くとも秋頃には出来るだろうという目算を立てています。出来上がり次第、皆 様に当然御報告いたしますので、もう少しお待ちいただきたいと思います。 ○齋藤部会長  よろしいでしょうか。特段御発言がないようでしたら、本日はこれで終了いたしま す。本日の議事録の署名委員は、小山委員と郷農委員にお願いしたいと思います。次回 開催日については、改めてご連絡することにして、本日はこれで散会いたします。どう もありがとうございました。 照会先: 厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課 調査係(内線5376)