05/06/30 平成17年6月30日慢性期入院評価分科会議事録 05/06/30 診療報酬調査専門組織          平成17年度第2回慢性期入院医療の包括評価分科会議事録 (1)日時  平成17年6月30日(木)11:00〜12:56 (2)場所  霞が関東京會舘エメラルドルーム(35階) (3)出席者 池上直己分科会長 高木安雄分科会長代理        泉キヨ子委員 猪口雄二委員 大塚宣夫委員 川越雅弘委員        木下毅委員 近藤正晃ジェームス委員 椎名正樹委員        <事務局>        福田企画官 堀江保険医療企画調査室長 赤川薬剤管理官  他 (4)議題  ○平成16年度調査の結果について(コスト調査結果等)        ○患者分類案について        ○平成17年度調査について (5)議事内容 ○池上分科会長  おはようございます。ただいまから平成17年度の第2回診療報酬調査専門組織・慢性 期入院医療の包括評価調査分科会を開催させていただきます。今日はお忙しいところを 御出席いただきましてありがとうございます。  まず、委員の出欠でございますが、 三上委員より御欠席との御連絡をいただいております。また、今、猪口委員がお見えに なりまして、近藤委員は出席と伺っておりますが、勝手ながら始めさせていただきま す。なお、オブザーバーであられる中医協委員の野中委員は、御欠席というふうに伺っ ております。  それでは、早速資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○桑島補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。先生方のお手元に、本日の資料として 4つ御準備させていただいてございます。まず、診調組 慢−1−1でございますが、 これはコストの関係の資料をまとめさせていただいてございます。次が、診調組 慢− 1−2、これは特定療養費に関係します資料でございます。診調組 慢−2が今回の分 類案の試案でございます。診調組 慢−3、これは本年度、17年度に調査させていただ きたい項目についてまとめさせていただいてございます。  資料につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  ありがとうございます。それでは、平成16年度に実施した慢性期入院医療の包括評価 に関する調査の集計結果に関して、コスト関係の集計結果について、事務局より説明を お願いします。 ○桑島補佐  それでは、資料に基づきまして御説明をさせていただきます。  まず、1つ目の資料の診調組 慢−1−1でございます。今回16年度でいたしました 幾つかの調査があるわけでございますが、その中でコストについても調査をさせていた だいてございます。その調査を、概要でございますが、後にはまた最終的な報告をさせ ていただきますが、今回まとまっている分について、現時点での報告をさせていただき たいと思ってございます。  1番目でございますが、損益計算書に基づきまして、患者さんお1人当たりの費用を 算出させていただいてございます。1つ目、その下の□でございますが、費用の対象と させていただきました病院は、今回種類が幾つかあるわけでございますが、回復期リハ ビリテーション病棟は、今回調査してございませんので外してございまして、いわゆる 医療療養、介護療養、特殊疾患療養、あるいはII群3といった病棟を持っている病院に ついての費用について、お示しをしてございます。  1つ目の図表でございますが、これはそういった病棟をすべて一つにいたしまして、 全体をまとめてお示ししてございます。この後に、それぞれ病棟種別にお示しをしてご ざいますが、とりあえずまとめた表でございます。全体費用が6,895,950円、1年当た りの費用でございまして、1日当たりは18,893円ということでございます。内訳は、給 与費が最も高くございまして56.2%、年間で見ますと約3,800,000円の経費がかかって いるということでございます。あとはごらんいただきますとおりでございます。  続きまして1枚おめくりいただきます。2ページ目と3ページ目は実は内容的には同 じでございまして、数値が2ページ目、次の3ページ目はこの数字を横の棒グラフにお 示ししたものでございますので、見やすさからいいますと3ページ目でございます。ど うぞ3ページをごらんいただければと思います。医療療養、介護療養、特殊疾患療養、 II群3ということでごらんいただけると思いますが、もちろんここにかかります人員配 置も違いますし、それぞれ医療のかかり方も多少違ってまいりますので、こういった1 人1日当たりの費用の違いが出てくるものと考えてございます。また、それぞれこの病 床利用率等もまだ十分補正できてございませんので、純粋に比較するわけにはまいりま せんが、現時点でごらんいただきますと、医療療養、介護療養とごらんいただきますと おりの傾向にあるわけでございます。いずれにしましても、これは慢性期の病棟の主な コストを並べて、それぞれの病棟が全体でどれぐらいかかっているかということがごら んいただけるかと思います。細かい数字につきましては、また2ページの方にお示しを してございますので、それぞれの病棟の経費、トータルということがごらんいただける かと思います。  この資料につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただいたコストに関する資料 について、御質問はございますでしょうか。  確認ですが、たしかこれは会員の調査とフルの調査とありまして、これは会員の調査 に基づいているわけですね。 ○桑島補佐  先生がおっしゃるとおりでございます。 ○池上分科会長  そうすると、会員の調査とフルの調査との照合ということが今後の課題として残って いると。  では、今日はいろいろ盛りだくさんでございますので、また何かございましたら事務 局に照会いただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。  それでは恐縮ですが、次に前回の分科会におきまして、猪口委員から集計の御希望が あった項目について、事務局からお願いいたします。 ○桑島補佐  それでは、今座長からもおっしゃっていただきましたが、前回の議論の中で一部宿題 として私ども事務局がいただいておりますものを、資料として取りまとめましたので御 紹介申し上げます。  診調組 慢−1−2でございます。「特定療養費もしくは特定療養費除外規定該当患 者の患者属性について」と。いわゆる長期に入院されていらっしゃる方は、特定療養費 として患者さんからお金をとることが、今の制度の中でできるわけでございますが、実 際にそういった方々がどれぐらいいらっしゃって、どういう治療を受けていらっしゃる のかというような患者さんの状態について、今回調査をしてございますので、そういっ た観点での切り口を御紹介申し上げます。  1つ目の□に書いてございますが、本資料は、今回の調査票により収集されたデータ に基づいて、医療保険適用の病棟に入院しておられて、且つ入院期間がもう既に調査時 点において180日を超えていらっしゃる患者さん方の中で、特定療養費もしくは除外項 目に該当している1,481名の方々を対象に行った分類でございます。  この表の中を御説明させていただきますが、医療保険適用で入院されていらっしゃる 患者さんの数が、全体で4,868名いらっしゃいました。そのうち、先ほど申し上げまし たけれども、180日を超えている方々がもう既に半分ぐらいいらっしゃるわけでござい まして、2,160名。この内訳でございますが、特定療養費に該当されている方が246名。 それで、長期に入院はしているけれども、やはり何らかの理由で医療がもっと必要だと いうことで、特定療養費から除外されている方々がいらっしゃるわけでございまして、 表の下の注に書いてございますが、特定療養費除外規定という全部で17の項目に該当さ れている方は、そのままフルスペックで医療保険が適用されるわけでございますが、そ ういった方々が1,235名いらっしゃいます。合わせて1,481名。一部記載の漏れですとか 記入が矛盾するようなことがありまして、679名の方については不明ということに今回 の調査ではなってございます。それで、特定療養費に該当される方が1,481名の中で 16.6%、逆に除外項目に該当する方が83.4%いらっしゃったわけでございます。数字に つきましては以上でございます。  次の2ページでございますが、そういった特定療養費に該当する方と、そうでなくて 除外規定に該当する方と、そういう見方で切り分けて見てみます。ADLの観点で今回 お示しをしてございまして、ザッと色で見ていただいてもよくおわかりかと思います が、特定療養費に該当される方の方が圧倒的に自立されている方が多いということが、 黄色のところでございますが、見ていただければよくわかると思います。逆に特定療養 費除外規定に該当される方は、全面依存の青色に該当しているところが最も多いわけで ございまして、やはりそういった病態、ADLでの特徴はよくあらわれています。特定 療養費除外項目に重たい方というイメージがございますので、該当されている方の方が 実態としても手間といいますか、ADLの状態としては、心身機能としては、やはり介 助が必要な状態というような結果になってございます。  3ページ目でございますが、CPS、いわゆる認知機能尺度は、前回も御説明させて いただきましたが、全体で0〜6の区分で7段階あるわけでございます。この表でごら んいただきますとおり、最も重いCPS:6、「最重度の障害がある」という区分でご ざいますが、右側の特定療養費の除外規定に該当される方は、半分の方がここに、一番 重いところに該当してございます。特定療養費に該当されている方は、ちょっと大きく 2峰性になってございますが、「障害なし」のところが最も多い62名いらっしゃるとい う意味からすると、全体としては特定療養費の除外項目に規定されている方の方が障害 が、認知という尺度から見ても重たいところに傾きがあるのではないかというような結 果になってございます。  資料1−2につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  ありがとうございました。これについて、特に猪口先生からの御希望であったので。 ○猪口委員  この除外規定の17項目は、たしかどの項目に該当しているかというデータをとってい るはずですが、その症例数というか割合数というのは今回出ていないのですか。 ○桑島補佐  本日の資料としてはちょっとおつけしてございませんので、また後日、先生方に資料 としてはまとめさせていただきたいと思ってございます。 ○猪口委員  それから、たしか私がお願いしたのは、180日もそうですが、特殊疾患療養の場合、 どういう方が多いかということも資料としてわかった方がいいのかなと。病棟のことも そうですが、加算の部分ですね。どういう人がどれぐらいいるかというのは貴重なデー タかなと思いますが。 ○桑島補佐  全体の中では先生の御趣旨は承ってございますので、準備させていただきますが、多 少お時間をいただければと思ってございます。よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  ほかによろしいでしょうか。では、その除外規定の17の構成比と、それから特殊疾患 療養、これは病床……。 ○猪口委員  病棟の場合の構成比もあれですが、特殊疾患入院医療管理加算を算定している場合 に、どういう規定に該当しているかということも重要なデータかなと思いますが。 ○池上分科会長  はい。それでは、詳細についてまた改めて事務局にお伝えいただければと思います。 では、次回までにお示しするということでよろしいでしょうか。  では、猪口先生のこれらの患者属性についての報告はよろしゅうございますでしょう か。  それでは、時間の関係で次に進ませていただきまして、「慢性期包括評価における患 者分類案」について、事務局より説明をお願いいたします。 ○桑島補佐  それでは、前回の議論はこの1ページ目にお示しをしてございます。前回は、ケアの 度合いと医療の度合いを、3つずつのマトリックスをつくって、全体で9のマトリック スができるわけでございますが、その中にどういう項目を入れたらいいかということを 次回までにお示ししたいということで、最終的に議論が終結したわけでございますが、 具体的に今回の16年度の調査をもとに、分類をつくらせていただいたということでござ います。  1つ目でございます。患者分類の考え方でございますが、第1に医療提供実態からみ た「医療区分」をまず設定する。次に、各「医療区分」に患者のADL自立度別に「A DL区分」を設定し、分類をさせていただいてございます。それから、「医療区分」 「ADL区分」ともに3ランクをそれぞれに想定してございます。それから、今までの 議論の中でもちょっと出てきてございましたが、「認知機能障害」、いわゆる痴呆に関 する部分についても何らかの配慮をすべきということもございましたので、そういう区 分についても「医療区分1」について、ADL自立度の高いグループのところに加算を 設ける形で、今回この考え方を整理してございます。いろいろと言ってございますが、 この下にお示しをしてございます区分の考え方の表をごらんいただければ、一目でおわ かりいただけると思います。こういった区分の考え方でございます。  次のページでございます。2.「医療区分」の方法でございます。医療区分の考え方 でございますが、2つの大きな要素がございます。まず、医師の指示及び看護師の観察 ・処遇の頻度といった観点と、疾患・状態・医療提供内容、処置なども含んでございま すが、そのいろいろな種類に基づいて、トータル的にはこういったマトリックスをつく ってみて、それぞれ医療の重さに勘案できないかということで考えてみてございます。  2)区分の作成方法というところをごらんいただきたいと思いますが、平成16年度 の、今回行いました調査項目及び集計結果から、もちろん今回の分類案を作成したわけ でございます。どういう目的の変数を使うかということでございます。どういう尺度を 使うかということでございますが、「医療区分」の作成に当たっては、医師、看護師、 准看護師、看護補助者、薬剤師、MSW等の医療職種によります患者さん1人当たりの 直接ケア時間、会議とかそういうようなものを除きまして、それを目的変数、いわゆる 尺度として分析をいたしてございます。その中では直接ケアした時間を生で足すわけで はなくて、賃金ごとの重み付けをさせていただいてございます。それから「医療区分」 は、先ほども申し上げましたが、医師の指示及び看護師の観察・処遇の頻度と疾患・状 態などの組み合わせから、目的変数に対する説明力を統計的に検討を行ったところでご ざいます。それから、「医療区分2」においてADL得点で、またこれは御説明します が、次のページに疾患名が出てまいります。ただ、疾患名は重たいとか軽いとかという ものをやはり勘案すべきという御意見もございましたので、この際ADL得点というも のを勘案して、その進行度に対する代理指標ということで考えさせていただいてござい ます。  それでは、具体的な表をごらんいただければと思います。3ページでございます。 「医療区分」を1、2、3とお示ししてございます。「医療区分1」は2と3をすべて 除外された項目でございまして、重たいところから御説明させていただきます。一番右 側でございます。下記の項目の「(1)高頻度」で且つ「医療区分」の一番高いところの 条件を満たす者。つまり、下に2つの大きなカラムがございますが、その2つの条件を 両方満たしていらっしゃる方々ということでございます。  1つ目の医療頻度のところでございますが、若干わかりにくい部分があろうかと思い ますが、医師による直接医療提供頻度が、または指示見直しという考え方もできます が、毎日以上か、看護師による直接看護提供頻度が24時間観察・処遇が必要な状態とい うこと。それから、医師による直接医療提供頻度が週2〜3回であっても、看護師によ る直接看護提供頻度が頻回の場合。この場合頻回と申しますのは、大体5〜6回という ところをイメージしてございますが、そういうような状態の方という条件をつけさせて いただいてございます。これが医師あるいは看護師がどの程度患者さんに直接かかわっ ているのか、かかわっているその頻度、それから病態の不安定さを十分反映させるとい う前回の御意見がございましたので、今回の調査項目の中ではこういった項目が総ケア の時間に非常に影響してございました。そういう意味で、この医師の指示、あるいは看 護師の観察の頻度というものを、こういう項目に入れさせていただいてございます。そ ういう表現でできないかということでトライアルしたものでございます。  次が、トータルケア時間に非常に大きく影響してきた処置、あるいは病気の状態とい うものをお示ししてございます。敗血症、発熱を伴う肺炎、24時間持続点滴、個室にお ける管理が必要な状態、経静脈栄養、ドレーン法・胸腹腔洗浄、放射線治療、レスピレ ーター、今回16年度の調査項目の中で、トータルケア時間が大体170分以上をカウント した行為を主に拾い上げてきてございます。こういった行為が現場での時間が非常にか かったということで、ここにお示しをしてございます。  こういった2つの条件を「且つ」で満たしている患者さんについては、「医療区分」 が一番高いところとして、「医療区分3」に分類されるのではないかというのが、今回 のシミュレーションの結果でございます。  次は「医療区分2」でございます。「医療区分2」は、「医療区分3」に該当しない 者で、「医療区分3」でお示ししました「(1)高頻度」と「A医療高度」のいずれか、 今度はorでございまして、いずれかに該当する者。又は下にお示しをしております 「(2)中頻度」且つ「B医療中度」の状態に該当する方については、「医療区分2」だ ということで想定をしているわけでございます。  では、その「医療区分2」の中で中頻度というところでございますが、医師による直 接医療提供頻度については週1〜3回、それから医療的な状態は安定しており医師の指 示はほとんど必要としない状態であっても、看護師による定時の観察、この場合の定時 というのは1日2回程度を想定してございまして、プラス1日に1回〜数回と書いてご ざいますが、3〜4回観察・処遇が必要な状態ということをイメージしてございます。  医療行為の中身につきましては、前のページでも簡単に一言申し上げましたが、AD L11以上という状態の多発性硬化症、あるいは筋ジストロフィー等の特定疾患治療研究 事業──いわゆる難病でございます──の対象疾患ということでございます。それから 肺炎、抗生物質耐性菌の感染がある場合、創感染を起こしている場合、余命6カ月以 下、2度以上の褥瘡又は2箇所以上の褥瘡、皮膚の治療を目的とした栄養や水分の補 給、皮膚のケアを伴う手術創又は潰瘍、発疹、切り傷以外の開放創、足における蜂巣炎 ・膿などの感染症、酸素療法、輸血、疼痛コントロール、感染隔離室におけるケアを必 要とする状態、気管切開口・気管内挿管のケア等でございます。ここに分類いたしまし たのが、先ほど170分というふうに申し上げましたが、大体130分〜170分以内の総ケア 時間の中に入ってきた医療行為、あるいは状態でございます。  「医療区分1」につきましては、「医療区分」2、3に該当しない残りの方というこ とでございます。  分類につきましては以上でございます。  今御説明いたしましたのが「医療区分」の1、2、3でございまして、残りの縦軸で ございますが、「ADL区分」でございます。「ADL区分」につきましては、図表に お示しをしてございますように、ベッド上の可動性、移乗、食事、トイレの使用、こう いった観点でそれぞれ7段階に分かれてございます。自立から全面依存というところに なってございますが、この区分に従いましてそれぞれ点数づけをさせていただきます。 それで、ADLの0〜10点、11〜22点、23〜24点の区分にいたしてございまして、AD Lを1、2、3の区分にさせていただきます。ADLにつきましては以上でございま す。  下の2)でございますが、さらにこの「認知機能障害」についての加算の考え方を今 回入れてございますので、それの御説明でございます。「認知機能障害」を分類する指 標といたしまして、CPSという考え方を使っているわけでございますが、0〜6の分 類の7段階でございます。その中で、今回はCPSの3以上を「認知機能障害」があり ということで分類させていただいているところでございまして、これは過去の分類の中 でも使っておりまして、以前健保連さんでやっていただいた調査の中でも、こういった 方式でやっていただいておるそうでございます。その中で、今回のこの加算をつくると ころについては、「医療区分1」の中の「ADL区分1」「ADL区分2」のグループ を対象としてはいかがかということでございまして、そういった考え方でやっておりま す。  それで、実際に今申し上げたような区分で、今回調査いたしました患者さんのデータ を分類いたしました。そのそれぞれの分布についてお示しをしておりますのが次のペー ジでございます。「患者分類の結果について」というところでございますが、「医療区 分」「ADL区分」の各条件に基づいて患者分類を行い、それぞれの患者1人当たりの 直接ケア時間に対する説明率を検証したわけでございます。データは、療養病棟入院基 本料、特殊疾患療養病棟入院料1、2、一般病棟のII群3を対象として解析してござい ます。それで、分散分析による説明率でございますが、おおむね25%をある程度イメー ジして、それぐらいあればいいのではないかということで専門家の御意見をちょうだい してございましたが、今回のこの分類案によりますと27.3%ということで、ある程度の 評価ができるのではないかと考えてございます。  下の図表を見ていただきまして、データの件数でございますが、療養病棟が2,545件、 特殊疾患療養病棟が993件、一般病棟のII群3が251件、合わせまして3,789件でござい ます。それで、先ほどの9つのマトリックス、さらに一部加算をつけ加えてございまし て、全体で11になるわけでございますが、それぞれの分布でございます。  まず一番下のところをごらんいただきますが、「医療区分1」、いわゆる一番医療が かかっていないだろうということで区分されてございますが、その部分に約64%の方々 が分類されました。そのまま横にごらんいただければと思いますが、「医療区分2」が 30.1%、「医療区分3」が5.9%という状況でございます。同じようにADLの方を ごらんいただきますが、「ADL区分1」、いわゆる0〜10点、かなり自立されている 方々だと思いますが29.1%、「ADL区分2」が28.7%、「ADL区分3」が42.2% というそれぞれの分布でございます。それで、マトリックスにそれぞれあわせて見てい ただきますが、一番軽いところ、「ADL区分1」且つ「医療区分1」のところにいら っしゃる方が、大体20%弱ということでごらんいただけるかと思います。一番高いのは 「医療区分3」且つ「ADL区分3」で、全体の5%の方々がそういった一番重たいと ころにいらっしゃる。これはそれぞれ御説明は省きますが、全体の分布はごらんいただ きますとおりでございます。  次に6ページでございます。今回、認知症のいわゆる動ける方々に対する手間のかか りぐあい、総ケア時間の関係についてお示しをしたところでございます。「認知機能障 害」の加算対象となるグループは、ここに黄色でお示しをしてございますが、ここに数 字が一番きいているところでございまして、この「ADL区分1」「ADL区分2」、 それから「医療区分1」のところ、この黄色の箱の中で大体約半分の方々が「問題行動 」ありということで、今回調査結果として出てございます。その場合、注で書いてござ いますけれども、「問題行動」とは何かということでございますが、今回の調査票の中 で徘徊、暴言、暴行、社会的に不適当な行為、ケアに抵抗するなど、こういった項目が 1日でもあった場合については、「問題行動」ありとして私どもはカウントしてござい ます。この区分の中の半分の方々がそういった該当する方々でいらっしゃいます。  では、それをこのCPSに置きかえてみたらどうなのかということでございますが、 CPSに置きかえた場合に、3以上の方というのが実は約8割、78.6%いらっしゃった ということで、これはCPSに置きかえていってもいいのではないかということが今回 の御提案でございます。CPSにつきましては、前回御説明させていただきましたので 省略をいたしますが、参考として7ページ目におつけしてございます。  区分につきましては、ちょっと長くなりましたが以上でございます。よろしくお願い いたします。 ○池上分科会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問等ございました らどうぞ。 ○川越委員  ただいまの分類案のところで、一つ事務局の方に確認をさせていただきます。今回の 「医療区分」は3つのランクとなっていますが、今回の支払方式の話は慢性期の入院医 療の包括の話をしているという理解でよろしいでしょうか。  要は何が言いたいかといいますと、慢性期の状態にある方について、医療の必要性の 違いを3つに分けて、それを評価しましょう、包括的にしましょうということであっ て、あくまで急性期の状態の人はこういう包括には入らないという認識で考えておりま すが、そこはどうなのかと。例えば、先ほどの資料の「医療区分」の分類案の中で、 「医療区分3」の「A医療高度」のところに敗血症のような急性期に近い状態もここの 中に明記されています。そもそもの区分の範囲についての考え方、急性期はこういう包 括を行うのではなく、慢性期の状態の方の「医療区分」の包括のことを行おうとしてい るんだという理解でよろしいかということを、まず一つ確認をさせていただきたいとい うことであります。 ○桑島補佐  非常に根本論でございますが、そもそもここは医療療養病床、介護療養病床が同じよ うな病態ではないかというような問題意識から始まってございますので、慢性期全体の 医療についてどう考えるのかというのは本来のところでございますが、今回は恐らくタ ーゲットとしては医療療養病床──介護療養病床は私どもの範疇ではございませんので ──あるいは特殊疾患療養、いわゆる今回調べたターゲットとしたような病棟の医療に ついて、どう考えるかということで考えてございます。ですので、その中に急性期の、 例えば急性増悪した場合の対応などについては御議論はいただきたいと思いますが、最 終的にそこを含めて考えるのかどうなのかというのは、私どもはまだ最終的な結論は出 てございません。 ○池上分科会長  ほかにございますか。 ○大塚委員  この分類結果の中で、病棟種別の9区分の比率というのは分析されていますか。これ は全部まとめてこのような結果になっていますね。だけど、きっと各療養病棟、それか ら特殊疾患療養病棟、一般病棟というふうに、3つそれぞれ状態像がかなり違うのでは ないかと思うのですが、それはいかがでしょうか。 ○桑島補佐  御指摘の点は、今回まだそこまで作業が追いついてございませんで、先生が御指摘の とおり特殊疾患療養、あるいはII群3と医療療養病床では、恐らくかなり状態が違って くるのかもしれません。ただ、今のこの分類を当てはめてみたときにどうなるのかとい うことについては、また資料をそろえさせていただきたいと思ってございます。 ○大塚委員  ぜひお願いいたします。 ○池上分科会長  ほかにございませんか。はい、木下先生。 ○木下委員  3ページの2番目のランクですね。A医療高度、B医療中度、それぞれ170分以上、 130分以上という基準にしましたが、それを決めた根拠は何かありますか。 ○眞鍋補佐  事務局からお答えさせていただきます。明確に170分、130分というラインを切ったわ けではなくて、これまでに2つの案がございまして、その参考にさせていただいた案の 中で医療がきっと重いであろう、中度であろうというふうな分類案で出てきたところ を、今回の調査で拾ってみて分けた結果が、大体時間として分けてみれば170分のとこ ろで2と3が分かれる、130分のところで2と1が分かれるというような状況になって いたというところであります。ですので、明確に最初からそれが170分ということで分 けていたわけではございません。逆にこれまで案がありましたものの整合をとったとい うか、そういうふうなイメージで作業をさせていただいたところでございます。 ○木下委員  「医療区分3」のところを見てみると、「下記の項目の「(1)高頻度」で且つ「A医 療高度」の条件を満たす者」と書いてありますが、高頻度のところと医療高度というの が時間で見ていると結局同じこと、かかわり合いのぐあいだけ見ているということだ と、同じことをただ表現を変えているだけのような気がするのですが、いかがでしょう か。 ○眞鍋補佐  そこはそういう御指摘もあろうかと思いますが、前回の分科会の議論を踏まえまし て、特に医師がこういう重い患者さんを診たときに、頭の中でいろいろ考えられる、あ るいは緊張されるようなところをちゃんと評価できるような、という意見もありまし て、我々も非常に悩んだところであります。その例としてここにある医師の指示と看護 師の観察・処遇の頻度というところがそれを、100%ではないかもしれませんが、代替 できるものの候補として考えさせていただいて、このように2つ使わせていただいてお るというふうな経緯で、ここに頻度と、それから患者さんの状態、医療高度というふう なところの2つを入れさせていただいたと、そういう経緯でございます。 ○木下委員  いや、そうではなくて、2つに分けた中身の分析結果が同じことを示しているんじゃ ないかということです。上がかかわりの頻度でいって下が時間というと、ただ表現を変 えただけで中身は同じような気がするんですけれども。 ○池上分科会長  すいません。ちょっと私の解釈がこれで正しければ。170分、130分というのは、最初 に170分、130分という区分があったわけではなく、このような職種別の重み付けケア時 間の違いを説明する上で、何で説明すると一番いいかというところでこの3ページにあ る表の項目が出てきて、そしてこの表に該当する方のケア時間を見たら、それがたまた ま170分と130分ぐらいで区切れていたということではないかと思います。  2番目の、先生が御指摘された上と下で同じようなことを言っているのではないかと いう観点については、私は座長としてではなく研究者として先生のおっしゃるとおりだ と思います。つまり、この高頻度ということは、それだけ医師、看護師のケア時間を見 るわけですから、目的変数であるケア時間の説明率を見る上で、実際にどのくらいの頻 度で行っているかというのを見れば、同じように出るんじゃないかという気が、研究者 としてはいたしますが、前回委員の中から御指摘があったので、それを仮に入れた場合 の分類としてはこのようになったということでございます。  事務局から必ずしも十分に強調されなかったことは、これは試みの案でございまし て、今後、今日の分科会での御議論を踏まえて、また少しインテンシブにワーキンググ ループなどを設置して考えてみることも一案ではないかと思います。といいますのは、 これはこういう項目が給与による重み付けケア時間に関係するのではないかということ で、臨床現場的な発想で思いついて、そしてやってみたら実は変わらなかった、あるい はやはり非常にそれがきいていたという、そういう往復の作業を何回か限られた時間で 事務局とやらせていただいたのですが、とてもまだ時間が不十分でございましたので、 先生から御指摘いただいた点を踏まえて、また試案をさらにもんでいきたいと思いま す。  ここで今日お示ししますのは各委員から伺った、まずはこの医療の程度と、それから 前回必ずしもはっきりしなかったのですが、もう一つの軸は介護の程度といっても、介 護の程度が何だかよくわからないのでADLの程度という、この3×3ということのマ トリックスで基本的に合意いただいた枠の中で、限られた時間の範囲で落とし入れると こういうものであると。それから、その3×3の中には落ちていた「認知機能障害」に ついての考え方、これは日医案にあったものですが、日医案で用いた問題行動の尺度は 調査票にはなかったものですから、それをそのまま使うことができないので、日医案の もう一つの方にあった認知症、当時は痴呆加算と言っていたものを入れてみて、そして 痴呆加算の対象とした者に関して、それが問題行動とどう結びついているかを見て、お およそのところ8割方包含されているので、認知症加算と問題行動加算ということを二 重にしなくてもいいのではないかということで、11分類になったわけでございます。で は医療の、「医療区分2」「医療区分3」でこういう問題があるかどうかということ も、たしかあわせて検討したんですけれども、直感的にはあると私も思ったのですが、 実際のケア時間を見ますと、「医療区分2」と「医療区分3」においてはそのような差 は見られなかったので、11分類に落ちついたという経緯でございます。  ちょっと事務局とのやりとりを含めて補足させていただきました。 ○猪口委員  基本的に現状から見てどういう人に……。これは医療それぞれの項目で、この個人に 対するトータルのケア時間が何分かという話ですよね。さっきからしているのは。だか ら、現状の分類から見るとこういう人が確かにいて、そこに時間がかかっているという 結論だからということはわかるのです。先ほど川越委員が言ったように、慢性期だけれ ども、急性変化したところにとても手がとられているんだというので、こういう項目が 多分出てくるのだろうと思いますが、今後の例えば医療療養のあり方等を考えた場合 に、現状はここに重い人がいて時間がかかっているというよりも、やはり医療療養とい うのは、どういう層を見るべきかという議論をちょっとした方がいいかなと思いまし た。  これをさっきから眺めていたのですが、例えばたまたまこういう方が時間がかかった のかもしれないけれども、じゃ、ここには吸引回数の多い人というのは抜けています し、吸引が頻回な場合というのは医療なのか、介護なのか。ましてや特養では恐らく見 ること自体が難しいというような現状を考えると、やはり医療がその辺の受け皿になる 必要があるのではないか。それから胃瘻や経管栄養も抜けているんですね。じゃ、胃 瘻、経管栄養で意識障害を伴うような人は、これは医療なのか、介護なのか。これはや はりどちらも医療処置だと思うんですね。だから、現状ではそんなに仕事量が多いとは 出なかったかもしれないけれども、あり方から考えるとやはりそういうことを含めてい くことによって、医療の慢性期のあり方というのが出てくるのかなというような気がち ょっとします。  あと例えば、これはこの間のデータで出ていたはずですが、脊髄損傷はかなり重く出 ていたはずなんですよね。ですから、それが抜けてしまっているのはどういうことかな とか、あと「余命6カ月以下」というのがありますが、我々だって先、生きているかど うかわからないので、ちょっと現実的ではないんじゃないか。本当に医療の現場から見 て、例えば「皮膚の治療を目的とした栄養や水分の補給」ってどういう状況かなという と、要はこれは脱水の状況を言っているのではないか。だから「水分補給を要する脱水 の状況」というふうに言った方が、多分現場はわかるんじゃないか。それとか「蜂巣炎 ・膿などの感染症」とありますが、何もこれは足でなくても起こるはずで、手にも起き ますし、足だけ特別というのもどうなのかなというような感じがして、やはりもしも今 後トライアルするときに、現場が迷わないような表現の方がいいのではないかなと、ち ょっとそんな気がしております。 ○桑島補佐  御指摘ありがとうございます。私どもも中でこれを議論させていただいて、座長とも いろいろとやりとりさせていただいてこういう形にしてございます。その議論の中でも 当然今先生がおっしゃいました吸引のお話、それから胃瘻のお話についてはやはり十分 議論になってまいりました。ただ、実際のケア時間からすると、確かに胃瘻をつくって しまえば実はケア時間というのは減ることになりますので、その分だけ手間がかかりま せんから、そういうようなことからして統計的には確かに処置からは落ちていった。あ るいはその吸引についても、これもなかなか議論があるところだと思ってございます が、吸引を例えば今回の調査票の中では8回という一定の段階で切ってございますけれ ども、じゃ、8回以上と仮にこの中に入れると恐らくみんな8回やってくるのではない かとか、事務局の中でかなり議論させていただいたところでございますが、実際の統計 的な処置の中だけで整理をしていくと、こういうような結果になってございます。  一方、最初に先生がおっしゃいましたけれども、本来慢性期の医療というのはどうあ るべきなのかという議論を、本来ならばここで御議論いただいた上でこの作業を始める と、またちょっと違う結論になったのかもしれません。確かに先ほど川越先生もおっし ゃいましたけれども、急性増悪した場合の対応ですとか、あるいは本来ここにいるべき 人はどんな人なんだろうかというところの議論を、私どもとしても逆にいただければ、 そういう人たちのための医療としてどういうふうに提供していくのか、この区分をつく っていくのか、というのも一つの議論ではないかなという気がいたします。そこは座 長、よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  非常に本質的な問題で、医療保険における療養病床というのはどういう患者さんの医 療を行うのかという課題について、必ずしも十分議論していなくて、今の医療療養病床 にはこういう患者さんがいて、こういう処置が行われていて、これだけのケア時間がか かっていると。それを踏まえて分類するとこういうふうになりましたということでござ いまして、例えば経管栄養ということを取り上げると、できるだけ経管栄養というのは 避けた方がいい場合が原則ですが、どうしても経管栄養をしなければいけない患者さん もいらっしゃると。しかし、「医療区分」で経管栄養にすると、悪い言い方をすると、 手間が少なくなる上に報酬も増えるという問題も生じてしまうという課題がありまし て、現状はこうであると。しかし、今後の医療療養病床というのは、こういう患者さん のケアに当たるべきだという観点から考える必要があると思います。ただし、それは病 院の側として望ましい姿に急遽かじ取りをすることは難しい面もありますので、現状に おけるケアの配分がどこまでそれの裏づけがあるかということを一方において見ていか なければいけないという、こういうジレンマがありますので、苦慮した次第でございま す。  したがいまして、もし医療療養病床における患者さんの特性、あるいは処置としてこ ういうのが適当かという、今、猪口先生からいろいろ御指摘いただきましたが、何かご ざいましたら。結局16年度調査としてかなり詳細な情報をとっていますし、また同時に ケア時間のものをとっていますので、ここで幾つかの項目の入れかえをする、あるいは 追加をする、あるいは削除する、あるいは考え方を少し整理するということは十分可能 でございます。ですけど、ここでお示しする基本的な、そしてそれをまた後にお話しし ます17年度調査においても、もしやらせていただけるのだったら、それを踏まえてまた 修正もあり得ることですので、今日2つのことをお願いして、基本的にはこういう考え 方としてよろしいかどうかと。  それからもう一つは、項目の入れかえをするとしたらどういう問題があるか。それか ら、表現の問題として、足だけではおかしいとかそういう問題があるとしたら、記入要 項等を含めてそういう問題を整理していくということがありますが、最初にそもそも医 療の療養病床にどういう患者さんが入院するのが望ましいかという、ちょっとここは中 医協の専門組織なので、そのことを議論するのは適切かどうかよくわからないですが、 ただその報酬を考える上でそれ抜きには考えられない課題でもありますので、実際に現 場を持っておられる先生に、例えば木下先生、何かお考えがあれば。 ○木下委員  基本的には医療療養病床がどういう患者層を見ていくかというのは、イメージをちゃ んとつくって、それで分類して、手のかかりようがどうかということで報酬を決めるの が本筋だと思います。先ほど中頻度と医療中度というのが同じ指標ではないかと言った のですが、これは考え方、中身を変えればいいんで、中頻度と医療中度というところ で、例えば胃瘻にしても胃瘻というのを医療のところに挙げて、頻度で手のかかりよう を入れれば、手のかかっている胃瘻の人だけ評価するというふうになるので、胃瘻の人 をすべて評価するということではないので、そういう分け方にしていけばいいんじゃな いか。この医療度というのを症状で見るのか、疾患名で見るのか、状態像で見るのかと いうのをある程度はっきりしておかないと、ここみたいにごちゃごちゃ入っているのを 現場に出したら、これは何だということで調査に協力できないというような意見も現場 からは出てくるので、その辺は現場で医療をしっかりやっている人が、もっともな調査 だという認識を持つ調査でないと、いい結果は出てこないと思います。 ○池上分科会長  ありがとうございました。では、大塚先生。 ○大塚委員  先ほど座長が言われたことは非常に大事だと思います。私の見るところ、今回のここ での検討は、もうこれから先の長期療養の根幹をというか、方向を明らかにする非常に 重要な場だと思うんですよね。ですからまず、医療療養病棟というのはどういう人を扱 う場なのかということをしっかり定める。また、対象とする人が急性増悪をした場合 は、これはやはり分けて考えるようにしないとおかしいのではないか。  そしてもう一つ私の意見を言わせていただけるならば、例えば「A医療高度」という のがありますが、基本的な状態像なりの区分をまず示して、そして下は例えばこのよう な状態、あるいはこのような症状というふうに示していただく方がよろしいのではない かと思います。 ○池上分科会長  はい。ほかにございますでしょうか。 ○川越委員  慢性期の医療療養病床の役割とも絡むのかと思っていますが、やはり急性増悪を起こ すことは恐らくよくあることだろうと思います。そういったときに、こういう包括がな じむのか、なじまないのかといえば、私はなじまないと思っています。また、そういう 急性期の状態になったからといって、療養病床でみるのではなくて、そういう場合は一 般病床に送ってくださいみたいな前提の話はやはりないだろうと。急性増悪を起こした としても、医療の療養病床の中できちんと対応するというところが、やはり慢性期の医 療療養病床の役割としては絶対期待される部分であり、利用者の視点からみてもそうい う転院を促すみたいな話ではなく、やはり急性増悪もきちんと医療療養病床でみるんだ というようなところを、役割として出していくべきだろうと思います。ただ、もし急性 増悪になったときには、当然人の手間もかかれば、物代もすごくかかる可能性があるの で、そういった包括になじまない状態の方に対しては、やはり包括からは外すというよ うな形の整理が、私は必要なのではないかなと思います。 ○池上分科会長  実はその議論をするときに、もう一つの課題はどのくらいの頻度で患者の評価を行う かと。つまり、急性増悪の期間が2週間続くのか、1週間続くのか、3日続くのか、あ るいは1日だけなのかということに関連しまして、この包括評価の基本的な考え方は、 その日の状態が次に評価するまで続いてあるということが前提であるわけですので。例 えば介護保険で施設の場合は、2年という非常に長期なスパンで行われていますが、医 療でありますのでそんなに長いスパンということはあり得ないと思うんですけれども、 介護保険において2年であっても、一応例えば末期がんについても介護保険の適用にな ったと同じように、重くなった場合にはその都度要介護度は重くなって、そして歴月の 月末における要介護度に応じてその報酬が決まるという仕組みが、要介護度が決まると いう仕組みがあるわけです。  したがって、患者さんの場合は、一たん評価されたらずっとその状態が続くというこ とはないし、微熱が少し出るということもあるし、今日は食べたくないということもあ るし、それを急性増悪というのか。それは結果論であるというところもあって、そうい う微熱から始まって3日後には全然食べなくなったということもあるし、逆に微熱が一 過性にあっただけで、翌日は普通に食べて元気といいますか、もとの状態になるとい う。  ですから、概念的に急性増悪ということを議論することは可能ですが、急性増悪のポ テンシャルが高いというふうに置きかえることもできると思いますし、またどのくらい の頻度でこれを見直していくかという、この議論とも絡んでいまして、なかなか整理し きれないところがあると思います。風邪は万病のもとと言うのは、これは特に虚弱な療 養病床に入院されている高齢者の場合にはそういうのがあって……。 ○高木分科会長代理  いいですか。川越委員のはよくわかるんですね。しかし、この慢性期の包括評価を始 めたのは、大塚先生もおっしゃっていましたが、やはり出来高と違って、要するに微熱 が出たら次から次へくっつけて、最後にチューブをいっぱいくっつけるのをやめよう と。そういう出来高が生み出してしまうような欠点を補正しようということで、この慢 性期の包括評価の委員会が始まったと私は思っているんですね。確かに今分科会長が苦 しく言っていますが、要するに次から次へ結果論でくっつけていって、最後スパゲッテ ィ症候群になるのはやめようと。どの辺で、その包括評価の幅の中でやっていただくか という問題と、急性増悪のときに適切な医療をやってもらうための担保をどうつくるか というのは、私は重要だと思いますが、それは上の委員会なり、結構大きな問題です。 でも、この委員会としては、私は出来高が誘導してしまうようなスパゲッティ症候群み たいのはやめて、やはりグルーピングの中で慢性期の医療をやってもらって、そこから 外れた部分はどこという議論は、ベースはやはり包括評価の委員会ですので、分科会長 が今苦しく言っていますが、その辺は一つはもうポリティカルに上の委員会で、こっち は検討したけれども、ここまでは検討したということで、御判断願うしかないんじゃな いかなと私は思います。 ○川越委員  恐らく「医療区分3」の170分以上の、こちらの方に入っている方がいらっしゃる中 で、多分非常に外れ値の方、非常に大変な方などがいらっしゃるのではないかなと。要 はそういう方がいたときに、包括になじむ部分と、包括にどうみてもなじまない部分と いうのがあるとしたときに、そこの線をどこで引くかという話だと私は思います。だか ら、外れ値の分析が私は非常に大事だと思っています。やはりこういう特性の人だとす ごく大変だから、これを包括にするのはちょっとおかしいという、そのクライテリアを どうつけるかという話であり、一つは急性増悪をクライテリアとするという考え方もあ れば、急性増悪の中のさらにこういう状態の人は包括にはなじまないという考え方もあ ります。そのくらいテリアをやはりどこかで議論しなければいけないという気がしま す。やはりどこかで外れ値の分析はやっていただきたいし、どういう人が本当に大変だ ったのかというのを、今はマンパワーの部分のコストの話だけしていますが、どういう 人が非常に物代もかかっているのかも含めて、外れ値の議論といいますか、どういった 人がすごく物もかかっていた、あるいはマンパワー上も非常に大変だったというのを、 少し提示していただきたいというのがお願いです。 ○池上分科会長  それは私は研究者として、どこの国の包括評価分類も必ず例外規定というのがあっ て、その例外規定をどのように設計するか。といいますのは、どんなにいい分類をつく っても、そのすべての条件に当てはまるということはできないので、例外規定というの を設けなければいけない。ただ、その例外規定をいかにしてつくるかということがまた 重要な課題で、例外というのはあくまで例外であって、例外が普通ということになって は困るので、アメリカでは例えば1%ルールというのがあって、全体に占める金額ベー スの1%であるとか、その範囲の中であれば例外の条件をどうしていくか、それに該当 する患者さんをどう規定していくかという考え方があると思います。ですから、今、川 越先生がおっしゃった外れ値の議論というのは、いずれにしてもしなければいけないと 思います。  ただ、問題は分類のたたき台としてつくりましたこういったおおよその枠組みがない と、何を外れ値とするかということも規定できないので、そしてこれを見ながらなおか つ外れ値を見て、この外れ値を含むためには分類をどう手直すかという往復の作業は今 後していかなければいけないかと思います。往復の作業をして、なおかつどうしても外 れ値として残るものは外れ値として対応するというのが、適切な方法ではないかと考え る次第でございます。 ○木下委員  先ほど座長から頻度のことについてお話があったのですが、急性増悪をどう扱うかは 別にして、月1回というのが現場としてはやりやすいのかなと。1日あるいは入院日と いうような評価ではないかなという気はしているんですけど。 ○池上分科会長  それも実は入院当初はたとえ一般病床から転床したとしても、療養病床のよりすぐれ た療養環境と、あと療養という点ではケアが一般病床よりすぐれていると思いますの で、そこへ転棟された、あるいは入院された直後の状態というのは、割合改善の過程も よいのではないかと。そういう意味もあって、16年度調査において新規に入院された方 の場合は、おおよそ2週間後に2回病院に調査させていただいて、大変2倍の手間を、 新規入院患者について御負担をかけたんですけれども、その調査結果はどうなっていま すでしょうか。 ○桑島補佐  申し訳ございません。まだ本日御提示できるほどの状態になってございません。 ○池上分科会長  その結果等も踏まえて、2週間というのは操作上可能ではないかということと、それ からほかの患者さんも当然変動するけれども、当面一番変動しやすい新規入院患者はど うであるかということは、調査させていただいているのですが、まだ分析は進んでいな いという状況でございます。 ○大塚委員  もう一ついいですか。ちょっと教えていただきたいのですが、この調査の結果は、ど ういう人にどれぐらい手がかかっているかということはある程度明らかにしてくれまし た。ところがそれは、中に配置されている職員の数というのは全く問題にしていませ ん。手のかかる人をたくさん抱えているところの職員はより忙しく働いているのか、あ るいはその手のかけ方は、当然どんな患者を扱っているかによってかなり違うと思うん ですけれども、それは診療報酬の中でどのように考えたらいいのでしょうか。  例えば、確かに診療報酬は、手のかかる人をたくさん抱えているところには入ってく るかもしれませんが、しかしながら職員の数は大体一定数としたらどんなことが起こる のでしょうか。 ○池上分科会長  私見として申し上げますと、ある雑誌に書かせていただいた文章の中で、その表題が 「病棟基準から患者基準へ」ということで、今の診療報酬の考え方は病棟基準であっ て、これだけの人員を配置していれば、そこに入院されている患者の特性とは関係な く、これだけの報酬をお約束しますという考え方でありますので、今の病棟基準も包括 評価であることは変わりないわけですね。この分科会の使命である包括評価というの は、患者特性に応じた包括評価であるということでありますので、今最も人員配置が高 いところに最も重い患者が集中して入院しているわけではないのではないかという前提 の上で、やはり患者さんの手間がかかるところにはお金をもっとつけて、そしてお金を もっとつけたところはそれなりの人員配置をしていただく。しかし、平均的に手間の余 りかからない方が多ければ、その人員配置の基準は少し緩めてもいいし、また報酬も少 なくなってもそれはやむを得ないのではないかというのは、これは私の研究者としての 考え方でございます。  それは、病棟の個々の患者がどうというわけですね。例えば全体の日本中の平均が 1.0としますと、1.2の患者がいたり、1.5の患者がいたり、0.8の患者がいた り、でもそれを加重平均すると1.1となった場合には、100人の患者さんが全部1.1 である報酬と結果的には同じになるわけです。したがって、病棟全体としての手のかか りぐあいに従って、その病棟としての収入は決まるのですが、それは病棟の個々の患者 さんの手のかかりぐあいを反映した報酬になって、そしてそれに応じた人員配置が望ま しいというのが、私の個人的な考えでございます。 ○泉委員  ちょっと場違いな発言かもわかりませんが、今の先生がおっしゃっていることを看護 の現場で見てみますと、例えば時間帯もすごく違って、問題行動あるいは徘徊などとい うのは、夕暮れ症候群ではないですが、ナースや介護職の移動の時間帯などの夕方に、 患者さんの生活時間帯がかなり影響していくというのを、どんなふうに考えたらいいの かなと思いながら聞かせていただいたのですが。例えば時間帯のことです。問題行動あ るいは徘徊などというのは、ナースや介護職の移動の時間帯などの夕方、すなわち患者 さんの生活時間帯がかなり影響していくというのを、どんなふうに考えたらいいのかな と思いながら聞かせていただきました。ナースや介護職のマンパワーの少ない時間帯の 朝、トイレに行こうとして転倒するとか,人数がかなり少ないところで問題行動や転倒 などが起きることなどですが。 ○池上分科会長 それについては、まず24時間のタイムスタディを行っていますので、夕方のもの、朝の もの、全部を含めて、だからこそ生活している分には日によって変動すると言われる と、それはその日によって重くなる人もいらっしゃるし、軽くなる方もいらっしゃるの で、24時間のタイムスタディを行うことによって、その部分についてはデータとして対 応できていると思います。  それから転倒とか、それはケアの質の問題でありまして、質との関係というのは以前 から椎名委員からも御指摘いただいた点でございますが、それはまた別個の課題として 今後考えていかなければいけないと思います。 ○泉委員  ありがとうございます。 ○池上分科会長  ほかにございますでしょうか。 ○木下委員  もう一個いいですか。先ほどの医療度のところの分ですけれども、この130分、170分 というのは介護の分も含まれてトータルの時間になっている。 ○池上分科会長  そうです。医療の部分と介護の部分は区別していませんので。といいますのは、それ を区別というのは非常に難しいもので、有資格者がやるのが医療であって、そうでない のが介護というような区分は。 ○木下委員  それはどっちでもいいんですけれども、医療度を出すのに介護を別にして考えようと したときに、介護の時間まで入っている部分でやるのは、どこかズレが出てくるのでは ないかなと。 ○池上分科会長  ですから、そのためにADLを別の切り口として分けて、そのマトリックスの中で考 えていきましょうということが、前回の分科会の考え方であったと記憶しております。 ○高木分科会長代理  先ほどの大塚先生の話に一言、私なりの考えを述べさせていただきますと、確かに組 織にとって職員は変わらないんですよね。そうすると、やはりあと一つは経営の問題と いうので、うちは確かに1点づらの患者が100人ということはあり得ないんですね。で も、どういう像の患者を対象に経営していくかというのは、病棟の条件よりは患者の像 を軸に、それにふさわしいケアをつくっていくという意味で、まさに僕は経営者の判断 だと思うんですね。看護の質問も同じように、多分確かに夕暮れ時に徘徊が始まって、 それとあと食事のときですよね。あと、朝の排泄と。まさにその中での組み合わせの問 題で、それはまさに経営者の人的資源の使い方の話だと思うので、私はそれはもう経営 者にゆだねていいと。重要なのはむしろアップコーディングとかそういう、評価上は重 症の患者がいて高い収入をもらっているのに、要するにある意味で質ですよね。質の評 価をどうしていくかというのを次の課題としてやはりやっていかないと、手を抜いて包 括化に安住し、手を抜いたところはうまく逃げられるというのはよくないわけですか ら、多分質の評価というのは、ケアの質というのは、私は次の議論としてやっていかな ければいけないと思っています。そういう意味では、ある意味で経営者にかなりのフリ ーハンドというか、今度は患者をベースに払っていくわけですから、その評価というの は次の課題として私は議論すべきだと思っています。 ○椎名委員  関連して、今分科会長の方からも質の評価、あと分科会長代理の方からも図らずもそ ういう発言がありましたので。それで事務局に教えていただきたいのですが、質の評価 についてどのように考えているのか。ということは、今分類の試案を考えていますよ ね。これは次の議題なのでしょうけれども、これを臨床の現場に投げて、それで現場の 意見を聞いて、そこからフィードバックしてもらって、そこから分類案を固めていく と。その後、その分類案を活用して、包括評価を我々は考えていかなくてはいけないと 思うんですよね。ですから、やはり次のステップになるかと思いますが、次の大きな課 題は質の評価をどうするのかと。これは、同じようなことが急性期医療の包括のDPC でも議論されているわけですよね。ですから、基本的に事務局として質の評価を現時点 でどのようにお考えになっているのか、それをまずおしらせいただければと思います。 ○桑島補佐  大変難しい御質問をいただいたのであれなんでございますが、先生がおっしゃるよう に、DPCでもああいう包括評価を入れたために粗診粗療になっているのではないか と。いろいろな御質問等がございまして、そのために今DPCの分科会の中でも、現実 的に医療の質がどうなっているのかということを調査して、今年の結果としては別に粗 診粗療になっているわけではないし、且つ患者さんの満足度もそんなに変わっているわ けではない、あるいは医療の従事者の対応もそんなに変わっているわけではないという ような評価をいただいているわけでございますが、慢性期について実は私どもとしても どうやってこの質を評価していくのかというのは、大変恐縮でございますが、具体的に 今こうさせていただきたいという案を御提示できる段階までまだ煮詰まってございませ ん。 いずれにしましても順番としてでございますが、この分類案をまず考えさせていただき たいなと思ってございまして、今も先生がおっしゃいましたけれども、次のステップと しての質の評価というふうに考えてございますので、もう少し次の段階でというふうに 考えてございましたので、申し訳ないですが、具体的な案を私の方からちょっと申し上 げにくい状態でございます。  ただ一方で、まずこの医療の区分について考えて、あるいは今までのいわゆる箱につ けていた点数をパジャマにつけるという、患者さんの状態に応じてつけていくという考 え方に大きく転換するわけでございますので、そういう意味での大きなかじ取りをする 中で、確かにまずその分類の仕方について大きく決めていきたいなと。まず先に決めて いただきたいなと考えてございましたので、事務局としてはそちらをまず十分御議論い ただきたいなと考えてございます。 ○椎名委員  次のステップでお考えいただけると、そういうふうに私自身は受けとめて少し安心し ました。結局、一般に包括評価の欠点というのが言われていますよね。それが今事務局 の方からお話の出た粗診粗療、あるいは手のかかる患者さん、重症な患者さんが避けら れると。そういうことが一般に欠点として指摘されているわけです。それで、結局我々 としては、先ほど分科会長が言ったように、病棟基準から患者特性を評価した新たな包 括評価を考えていくと。つまり、患者さんが不利益をこうむらないような、あるいは医 療機関がやったことに対してきちんと評価されるような包括評価を、やはり考えていく 必要があると思うんですよね。ですから、質の評価はきちんと議論して、きちんとした 包括評価を中医協に提示していくのが、この分科会の役割なのかなと思っています。  そういう意味で、前回事務局に私の方からお願いしたQI、その辺の集計も含めまし て事務局の方で御検討いただいて、次のステップでその辺の議論をさせていただきたい と思いますので、ぜひともよろしくお願いします。  以上です。 ○池上分科会長  つまり、今日ここで議論はそれを含めてとてもできないということであって、ただ一 つは質といった場合に、いわゆるケアの質と同時にデータの質ということが課題になり まして、それについても本当にこの分類に入っているかどうかということが課題になっ てきますので、これもあわせてより緊迫した課題として次に考えなければいけないと思 います。 ○近藤委員  ちょっと話が戻ってしまうのですが、木下先生のおっしゃっていたところに戻って、 今日は患者分類の考え方を固めるということで、この幾つかの軸の、まだ議論の余地が どれだけあるかわからないですけれども、前回議論したことではあるのですが、私も木 下先生がおっしゃったことはやはりちょっと気になって、医療と介護の両方の時間を足 した時間をある意味でその目的関数として設定して、そこを推計しようとしている軸な んだというふうに理解しているのですが、この医療の区分の軸の時間がそもそも合計の 分数になっていて、且つ分科会長もおっしゃったように、頻度というかなり近い変数が 説明変数で縦軸で入っているというものは、概念的にはちょっと何か濁っているなと。 本来であれば、全体のマトリックスの説明変数が合計分数なので、それで付加も含めて ADLを設定して、横軸で医療区分を設定するのはいいと思うのですが、その場合にま だ頻度を残した形でやるのかとか。あるいは医療だけの時間、あるいは医療と介護を足 した時間というのは、その2つが比例しているのかどうかということの検証みたいなも のがちょっとないと、概念的には少し純粋ではない感じがするので、そういう意味では 木下先生のおっしゃったことの繰り返しにはなってしまうのですが、そこはどの程度精 査する必要があるのかというのはいかがでしょうか。 ○池上分科会長  個人としてはおっしゃるとおりだと思います。といいますのは、先ほど申し上げたデ ータの質という問題で、頻度がベッドサイドに3回行けばこの区分に入るということ が、非常にダイレクトな関係として規定された場合には、そうしたらもう機械的に3回 行くという。先ほどの吸引の、例えばある分岐点、8回以上になればこの区分になると いった場合には、5回だったらあと3回足して8回に。それは故意でやるということで はなくて、医療というのはそんなに明確に割り切れるものではないわけですから、それ が過剰かどうかというのは言いにくいところですが、そういう区分を設けるというの は、こういう包括評価の分類をつくる上でできれば避けた方がいいという問題で、今後 それを含めてまた現場のお考えも伺って、検討していかなければいけないと思います。  そろそろ今年度の調査のこともございますので。 ○猪口委員  ちょっといいですか。今のことですが、もしもここに今具体例として出てきたもの で、ちょっと項目はこういう方がいいのではないかとかと、いろいろな意見がまだこれ からあり得るとしたら、純粋に医療の処置に要した仕事量というのは、現状としてはデ ータは出ているのですか。この間の調査で出そうと思えば出るような気がするのです が。各医療項目に応じた仕事量というのは出ているんですよね。 ○桑島補佐  調査票の中の項目であれば、それはちゃんと集計することは可能でございます。 ○猪口委員  現在はその医療に要した項目にケアの時間も足して、合計でもって130分という話で すよね。だから、純然たる医療でどれぐらいの時間数になるかわかりませんが、それは 出そうと思えば現在も出ると。ですから、今後もしも入れかえのときに、そういうデー タを使おうと思えば使える状況だというふうに理解してよろしいですか。 ○桑島補佐  作業としては可能でございます。 ○猪口委員  わかりました。 ○高木分科会長代理  いいですか。要するに、より医療の必要性を強調するような指標をとることはできま す。頻回とか回数ではなくて、ほかの指標で医療の必要度をはかりましょうということ もできます。ただそれが、例えばタイムスタディもやっていますので、医者の時間とぴ ったり合うかどうかというのはわかりません。タイムスタディは行為ごとにはやってい ませんので。そういうことです。 ○池上分科会長  もう一つ技術的なことを言えば、例えば同じ吸引という処置を行う上でも、どんな患 者さんに対して吸引を行うかによって、吸引という処置を独立した時間としてみなすこ とができるかどうかということは、必ずしも自信が持てないものですから。ですから、 例えば虫垂切除の手術にこれだけ要するという形で、標準処置時間ということを規定す ることは難しいのではないかという気がいたしまして、ダイレクトにそういう対応する ことが難しいので、それで包括的なこういうケア時間、重み付けケア時間で見ていこう という考え方をしたわけです。しかし、それはそれとして、先生がおっしゃったよう に、回数ではなく、頻度ではなく、そういう形で個別に分析していって、基本的にはこ こにある項目を入れかえることはできますし、追加することもできますし、削除するこ ともできます。  ただ、時間の関係で申し訳ありませんが、基本的にそういう作業を今後事務局と私 で、その間に各委員の先生方の御意見を十分拝聴した形で、もしお任せいただければ、 中医協の基本問題小委員会にこういう考え方で今後作業していきます、たたき台の案と してはこういうイメージでやっていきます、ということを、もし可能であれば、この修 正案について改めて分科会を開くというとちょっと時間的ゆとりがございませんので、 御意見をちょうだいした上で持ち回りで御承認いただければ、基本小委の方に報告させ ていただくことがありがたいわけでございますが。 ○木下委員  そのときの医療度を決める指標を何にするかというのは、病名なのか、状態像なの か、両方あるのか。ここはばらばらに入っているのでちょっと理解しづらいところがあ ります。例えばADL11以上というのはケア度になるので、医療度のところにそういう ことが必要なのかどうかとか、「パーキンソン病関連疾患除く」と書いてありますが、 パーキンソン病はどこに入るのかとか、理解できない部分がたくさんあるので、その辺 をどういうふうな方向で整理されるかというのは、ある程度基本方針はお伺いしたいの ですが。 ○池上分科会長  それでは、それは私の方からお答えして。まず先生のおっしゃるように、病態や処置 がごちゃごちゃに並んで、私の方でこれをもう少し整理するようにお願いしたはずです が、ちょっと時間の関係で整理できていなかったことはおわびいたします。これは病態 なのか処置なのかということを整理した形でお示しができると思います。  次に、事務局から早口で説明があったので十分徹底できなかったと思いますが、特定 疾患治療研究事業、つまり難病といっても発症して間もない難病とかなり進行した難病 があって、その重症度の指標というのはなかなか難しいので、仮にADL11以上とい う、この病気の重症度の基準として見ているわけですので、決して介護の基準としてA DL11以上ということで見ているのではないわけです。そのパーキンソン病関連を除い たという経緯は私もよくわからないですが、これはいろいろな統計作業の結果それがよ くなかったのかどうか。それはまた再度確認して、少なくともこれをもう少しわかりや すい形で提示することはできますし、また今後こういうものを入れた方がいい、あるい はこういうものは削除した方がいいという御意見をちょうだいできれば、それはその都 度データセットに戻って検証していきたいと思いますが、基本的な考え方としてはこう いうことで御承認いただければと思います。承認というのは考え方の承認であって、中 身については今後また何回か修正されていくと思います。 ○猪口委員  ちょっとよくわからないのですが、これはこういう考え方で、こういう病名もしくは 状態ということで中医協に上げますということですか。 ○池上分科会長  いや、こういった病名や処置を含めた……。もともと本分科会に付託された事項は、 患者特性等に応じた評価方法ということになっていますので、患者特性等に応じた評価 方法の今の試みの案としてはこういうものであるという形で、報告をさせていただけれ ばと思っているわけです。 ○木下委員  もう一個確認いいですか。ここだと「医療区分」の2と3以外を1にするというふう になっていますから、2と3に挙がっていないものは、どんな重症の状態が出てきても 1ということになりますよね。そのときに、ここに挙げたものだけになるのか、先ほど 言われた「等」というような表現がつくのかどうか。 ○池上分科会長  ですから、これ以外のもので先生の方で。 ○木下委員  いや、そうではなくて、ここで決めた後でも現場でそれに合わない、ここで決めた知 識の中では出てこない分があって、たとえ医療度が現場で非常に重い感じがあっても、 1という分類になってしまう危険性があるんですけど。 ○池上分科会長  それに関しては、次の。では、17年度調査についてまず説明していただけますか。 ○桑島補佐  ちょうど木下先生がおっしゃった部分にも大きくかかわってまいりますので、次の説 明をさせていただきたいと思います。診調組 慢−3、「平成17年度に行う調査の具体 的な進め方について(案)」でございます。  今回調査を考えているのは2つございます。前回の分科会において、概略は一度御説 明してございまして、もう少し具体的にさせていただければと思っておりますが、まだ さらなる詳細なものについては今後の検討とさせていただきたいと思ってございます。  2つございます。(1)でございますが、「患者分類案」の妥当性に関する調査。本日 御検討いただいてございますが、この分類案は今ですらかなりの御議論がございまし て、これを現場におろしてみたときにどのようなフィット感になるのかと。実際の現場 の看護師さん、あるいはドクターの先生方に返したときに、今「書けない」という大塚 先生の御発言がございましたが、というようなことで、戻したときの妥当性について検 証をいただく調査。  (2)が、実際にこの分類に基づいて、もう少し薄く広く調査をかけてみたときに、全 国でどのような分布になっているのかということを調査してまいりたいと思ってござい ます。  (2)でこの(1)の方の御説明をしてございますが、16年度の包括評価に関する調査 を実施した医療機関に、もう一度前回御提示いただいた患者さん方のデータを入れてみ て、この分類案でどうなるのかと。医療の幾つに該当して、ADLの幾つに該当するん だということをお返しさせていただきます。そうしたことに対する、現実として実際に 現場で働いていらっしゃる方の感触を聞かせていただく。その際に、臨床的観点からの 改善点についての具体的な御提案もいただければと考えてございます。その結果に基づ いて、慢性期入院医療に関する何人かのワーキンググループをつくらせていただきたい と思ってございますが、この分類案の妥当性について少し御検討いただいて、修正をい ただくのではないかと考えてございます。  それで、ちょっと座長が今外されてございますが、スケジュールについてはここにお 示しをしてございまして、8月に実際の調査を、9月に1カ月かけて至急集計をさせて いただいて、10月にこの分科会の中でもう一度練っていただきまして、もうこの時点に なりますと中医協の基本小委でかなりいろいろな項目について議論が進んでございます ので、慢性期についてもそれに追いつけるように、資料を提出していけるように、御報 告していけるようにさせていただきたいと思ってございます。  それから、今、慢性期の専門家による会議ということにちょっと触れさせていただき ましたが、余り屋上屋をつくる意味ではないんですけれども、もう少しこの分類案につ いて今日の議論も踏まえまして、事務局案としてつくらせていただきますが、少しオー ソライズをしていただきたいなと。何人かの先生方に御相談をさせていただけるワーキ ンググループをつくらせていただきたいと考えてございます。  次のページでございますが、慢性期入院医療の実態についてでございます。全国の療 養病床等を有する病院に対して、施設特性、入院患者特性等を調査するわけでございま すが、入院患者についても2分の1程度の抽出というふうに考えてございます。どの程 度できるかは時間の問題もございますので、また今後座長とも御相談させていただきた いと思ってございます。施設特性については、それぞれを有する病床の種類・数等の基 本的な項目を調査した上で、入院患者特性については、「患者分類案」の今の区分案を もとにつくらせていただきたいと思ってございます。16年度の調査はタイムスタディ、 コスト、レセプト等を情報収集してございますが、今回そこまで重たい調査をやる予定 ではございません。あくまで全国でのこうした分類を使ったときの実態を、抽出で調査 してみようということでございます。  スケジュールにつきましては、この前の調査と同様でございます。  以上でございます。 ○池上分科会長  ありがとうございました。こういった日程を事務局では考えております。この調査を 通じて、木下委員から御指摘のあった、現場でこの「医療区分」では適切ではない、あ るいは追加するべきである、あるいは削除するべきであるという意見もさらにまた修正 がなされると考えております。 ○木下委員  その時期はどうなるのですか。調査前になるのですか。調査後ですか。 ○桑島補佐  まずこの調査に入る前に、やはりある程度修正をかけたいと思ってございます。それ で、実際にその調査を終えた後、そうすると現場の声としてかなり大きく返ってまいり ますので、それを勘案した上で、調査後でももう一度ワーキンググループの中で、素案 をつくらせていただきたいと思っております。 ○猪口委員  その辺が先ほど私が言わせていただいたことの根幹なのですが、今の医療療養は介護 療養と医療密度も何も余り差がないんだというのは、もうデータが出ているわけです。 その差がないものを切り分けたもので再調査しても、本来の医療療養のあり方が出てこ ないんですよ。だから、私はやるのであればその有識者会議なるもので、いろいろ広く 考えられる方が医療療養はこうあるべきだということで、多少この項目を入れかえて、 やはりこちらの方にちゃんと導けるようなデータをつくってほしいと思います。現状が こうだからそれを切り分けて点数はこう設定しましょうというのでは、今の医療療養は 何も変わっていかないんですよ。そこの基本的な考えをきちっと整理してから、実際の 診療報酬に直結していく問題ですから、そこのところがさっきからこれを読んでいても よく見えないので、そこの区分けをもう一回どこかできちっとやってから、再調査とい うかフィードバックをかけていった方が、私は現実の、それから将来のあり方をつくっ ていくのだろうと思います。 ○木下委員  医療療養と介護療養が違うかどうかというのは、ここは中医協で医療の問題を考える ところだから、医療療養のことだけを考えていけばいいと思うので、医療療養のあるべ き姿というのをやはりイメージしていかないと、いつまでも同じじゃ違うんだというこ との議論になるので、そこははっきり区別していく方法をとった方がいいような気がし ます。  先ほどワーキンググループの話があったのですが、どの部分をワーキンググループで やるのかよくわかりませんが、調査を受けた人が、医療療養というのはこういうものだ というイメージがわくような調査をしないといけないような気がするので、調査前にじ っくり、じっくりじゃない、時間がないので十分に検討して、いい調査票をつくってい ただきたいと思います。 ○池上分科会長  では、それを踏まえまして、まず17年度調査前において一回有識者会議等で、あるべ き姿ということも踏まえたことを、今日お示しした案を修正したもので、第一次修正案 といいますか、それでそれを踏まえて17年度調査を行って、さらにまた現場の皆さんの 声を反映して、また変えていくと。  ただ、一つだけ申し上げたいことは、猪口先生がおっしゃった何も変わらないという ことでは必ずしもなくて、今の診療報酬では病棟基準に従って、平均よりも重い患者さ んが入院されていても同じ報酬しか得られていない病院がある一方、逆に平均よりも軽 い患者さんが多く入院されている病院でも同じ報酬をもらっているという状況よりは、 もしこういう包括評価の考え方が徹底すれば、今後いろいろ改めるべきところはあるん ですけれども、高木先生が言われたように、うちは本当に重いところに中心を置いて病 院の運営をしていく、うちはもう少し軽いところに中心を置く、という選択がよりとり やすくなるのではないかということでございます。私自身はこれは初めの一歩と考えて いまして、とてもとても1期や2期で解決する問題ではないというふうに考えている次 第でございます。  そこで、まず2つのことがありまして、先に解決しなければいけないことは基本的な 考え方、そしてこれは17年度調査をこういう形で行うとして、その前にもう一度この第 一次修正案をつくるということを前提として、こういう今日お示しした試みの案の段階 だけれども、ここまで分科会として作業が進んでいるということを、中医協の基本小委 の方に報告させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。                  (異議なし) ○池上分科会長  ありがとうございました。それでは、あくまでも試みの案で、今後第一次、第二次修 正は行っていく。そして、第一次修正は17年度調査の前に行うという前提で、基本小委 の方に分科会長として報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは次の議題として、ただいま御説明のあった平成17年度調査のあり方につい て、時間がございませんけれども、この中で特にこういう点は難しいとか、何かござい ましたら御意見をいただければと思います。 ○川越委員  ちょっと確認ですが、8月に調査実施となっておりますが、それまでに当然調査票な どもつくるという話になりますよね。それで、ここの専門家による会議、多分臨床の先 生方を入れてお考えを出していただくというのが大事だと私も思いますが、ここの会議 で考えていくのはこの分類の考え方とか、さき程の療養病床のあり方をどうするかと か、どういう人を対象とすべきか、という基本的な考え方プラスどういう項目を調査す るかという項目案についても、あわせて考えるという位置づけの会議なのか。ここの専 門家による会議というものがどこぐらいのことを考える会議なのかというのを、少し教 えていただきたい。 ○桑島補佐  今、先生がおっしゃったような範囲で考えていただきたいなと。ただ、本当の根本論 のところをワーキンググループでやっていただくというのは、本末転倒だというふうに 私は思いますが。本来ですとこの場で十分な御議論をいただいた上で、私どもはちょっ とイメージをしておったのですが、そこまで間に合わないのであれば、いずれにしても その中である程度の考え方を整理していただいた上でないと、外に対してもなかなか一 貫した説明ができないわけでございますので、一応その中では考えていただきますが、 もちろんある程度の結果がまとまりましたら、ここにいらっしゃる先生方には十分御説 明した上で、次のステップに進んでまいりたいとは思ってございます。 ○池上分科会長  はい。それで、先ほど私が調査項目の入れかえと言ったのは、この分類に、このたた き台の案として設けた項目を入れかえるというので、じゃ、何と入れかえるかという と、平成16年度において調査した非常に膨大なデータがあるわけですね。その中にこの 分類に用いなかったたくさんの項目があるわけですので、それと入れかえをする必要が あればしていきますし、また16年度調査で行った表現で誤解を招くようなものがあった ら、それは表現として、あるいは記入要項として補完していくという意味でございま す。これは限られた時間の範囲でできるだけのことを行った上で、第一次修正案のもと に17年度調査をさせていただければと思いまして、その大枠としてここの慢−3に示し た要項のとおりとなっている次第でございます。  それでは、この17年度調査の進め方についても、基本小委の方に報告をしなければい けないことでございますので、またちょっと十分議論できなかったので、もし何かあり ましたら事務局の方にお寄せいただいて、基本的にこういう方向で17年度の調査をさせ ていただくということで、御協力いただけますでしょうか。                  (異議なし) ○池上分科会長  ありがとうございます。それでは、あと一つだけ、ちょっと半ば非公式的な話でござ いますが、私はこういう分科会としての議論について、この分類案についても一応学術 的な根拠ということも必要ではないかと思いまして、私が理事をしております日本病院 管理学会において、この分科会の今日お示しいただいた考え方についてと、その考え方 に基づいて調査分析したらこういう結果になったということを、学会で発表させていた だければと思いますので、それも御報告かたがた御異議がなければさせていただければ と存じますが、よろしゅうございますでしょうか。                  (異議なし) ○池上分科会長  ありがとうございます。 ○木下委員  そうすると、ここにある資料は、我々もどこで使ってもいいという解釈でよろしいん ですね。 ○池上分科会長  はい。これはもちろん公表された資料で、後ろの方にメディアの方もいらっしゃって いますし、またこの議事録もすべて公開されますので、どうぞ先生方も広くお伝えいた だければと思います。  それでは、今後のスケジュールについて事務局から。 ○桑島補佐  先生、一言だけ。そういうときにはぜひ出典を明らかにしていただいて、それでお使 いください。 ○池上分科会長  私は意見と、それからここの分科会の結論とは完全に分けて説明しますので。 ○桑島補佐  そこはぜひよろしくお願いいたします。  今後のスケジュールを御指示いただきましたので、事務局から御説明させていただき ます。座長からの御説明の中に出てきてございました中医協の基本小委への報告、それ はあくまで現時点での試案ですとか、現時点での中間報告という形になろうかと思いま すが、基本小委へ報告をさせていただきます。現在の予定では7月13日の基本小委が予 定されてございますので、今の予定でございますが7月13日に御報告をさせていただけ ればと思ってございます。あわせてその中におきまして、平成17年度の調査の実施につ いて、基本小委で御了解いただく予定でございます。  事務局からは以上でございます。 ○池上分科会長  それでは、第2回の診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会を 終了させていただきます。  次回は恐らく真夏になると思いますので、総理に倣いまして私は次回から上着とネク タイをやめさせていただきますので、委員の先生ももしよろしければ服装はそういう形 でよろしくお願いいたします。  今日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。                                     <了>      【照会先】       厚生労働省保険局医療課医療係       代表 03−5253−1111(内線3276)