05/06/06 薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会 平成17年6月6日議事録         薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年6月6日(月) 14:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(12名)五十音順   ○青 柳 伸 男、 菅 家 甫 子、 楠   文 代、 合 田 幸 広、    小久江 栄 一、 富 田 基 郎、 長谷川 鉱 司、◎早 川 堯 夫、    前 田 昌 子、 松 木 則 夫、 水 柿 道 直、 吉 田 仁 夫    (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順    乾   賢 一、 武 田   寧、 渡 邉 治 雄 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、  川 原   章(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   新 見 裕 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構品質管理部長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会を開催させていただきます。委員の先生方には、大変お忙しい中御出席 いただきまして誠にありがとうございます。  会議開催に当たりまして、本年1月に薬事・食品衛生審議会の改選が行われ、委員の 変更等がございますので事務局より御報告させていただきます。まず委員の変更でござ いますけれども、国立医薬品食品衛生研究所薬品部長の青柳委員、それから独立行政法 人医薬品医療機器総合機構顧問の武田委員の2名が新たに着任、任命ということになっ ております。そちらにつきましては本日名簿をお配りしておりますので御覧いただけれ ばと思います。  本日の出欠状況でございますけれども、当部会委員数15名のうち12名の御出席を頂 いております。したがいまして、定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、 乾委員、渡邉委員、武田委員の3名の方から欠席との御連絡を頂いております。  それから最後の報告でございますが、4月1日付けで事務局の方に人事異動がござい まして、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の品質管理部長に新見が着任しておりま す。新見の方からごあいさつ申し上げます。 ○品質管理部長 4月1日付けで総合機構の品質管理部長に着任いたしました新見と申 します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 ありがとうございました。本日の会議は公開で開催いたします。御承 知おきをお願いいたします。本日は第十四改正日本薬局方の一部改正案について御審議 いただく予定です。よろしくお願いいたします。それでは早川部会長、議事の進行をよ ろしくお願いいたします。 ○早川部会長 議事に入らせていただく前に、薬事・食品衛生審議会の規定で各部会に おきまして部会長が部会長代理を指名することとなっておりますので、それに従いまし て私の方から部会長代理を指名させていただきたいと思います。青柳委員にお願いした いと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございます。そ れでは部会長代理は青柳委員にお願いしたいと思います。青柳委員、どうぞこちらの方 に移動をお願いいたします。 ── 青柳委員、部会長代理席へ移動 ── ○早川部会長 それでは議事に入らせていただきます。本日は5月20日付けで厚生労働 大臣から薬事・食品衛生審議会会長あてに日本薬局方の一部改正についての諮問書を頂 きましたので、御審議をお願いしたいと考えております。それでは審議に入りたいと思 います。まず事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは配付資料の確認をさせていただきます。まず議事次第、座席表、委 員名簿、諮問書写しとなっております。それから資料1としまして第十四改正日本薬局 方の一部改正(案)、それから資料2として日本薬局方の国際調和関係の資料を付けてお ります。資料1の方は事前送付したのと同じものを今日お席にも用意いたしております。 資料2の方は本日配付させていただいているものでございます。以上です。 ○早川部会長 それではこの議事次第に基づきまして審議事項に入りたいと思います。 議題1、第十四改正日本薬局方の一部改正についてということでございます。事務局か ら資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料1、第十四改正日本薬局方の一部改正(案)を御覧ください。表 紙を1枚めくっていただきまして、1ページに改正の概要が書いてあります。「(1)国 際調和事項の反映に関する記載」というところがございます。今回の改正では、日本薬 局方・欧州薬局方・米国薬局方の3薬局方で合意した事項を日本薬局方に取り込み、反 映させる場合の記載につきまして、通則に規定するというものでございます。具体的に は(1)にありますとおり、3薬局方で合意した試験法であるということをその試験法の冒 頭に記載すると。各条の添加剤の場合はその冒頭にその旨を記載するということでござ います。もう一点は(2)の方ですけれども、それぞれの試験法あるいは各条におきまして 3薬局方の合意事項と異なる場合には、その部分に印を付けることにしたいと考えてお ります。  次に(2)ですけれども、「注射剤の採取容量試験法の新規収載」ということで、この 注射剤の採取容量試験法が日・米・欧の3薬局方で合意に達した試験法です。それを今 般、一般試験法として新規に収載したいというものでございます。具体的には1枚めく っていただきまして、2ページから改正案が出ております。上の方の四角ですけれども、 先ほど御説明いたしました通則41の国際調和関係の記載につきまして、こういった形で 今後書いていきたいと考えているものでございます。下の四角の方が注射剤の採取容量 試験法です。この試験法は欧州薬局方や米国薬局方と合意されたものであるという先ほ どの通則41に従った記載が最初の5行に書かれております。またその下のなお書きです けれども、合意事項と異なる箇所については「◆」で囲むことによって示しているとい うことが書かれております。今後合意された試験法につきましては、こういった記載を それぞれの試験法あるいは合意された添加物の各条に入れていきたいということです。 実際の試験法がその後の6行目以降から始まっております。早速冒頭の4行がこの「◆」 で囲まれておりますけれども、ここの部分が3薬局方の合意事項と異なる箇所でござい ます。異なるといいましてもここの部分はこの採取容量試験法というものを説明してい る部分ですので、科学的観点から調和された合意内容から特段逸脱するというものでは ございません。  それから3ページにこの試験法についての実際の測定方法の記載が1回用容器、多回 用容器、カートリッジ剤、シリンジ剤、輸液剤と分けて書かれております。  もう1枚めくっていただきまして4ページになりますけれども、先ほどの採取容量試 験法を加えたということでほかの部分での関連する事項の改正が必要になってまいりま す。一つはこの4ページにありますとおり製剤総則の注射剤の条の改定です。右側の「旧」 と書いてありますのが現行の局方の記載なのですが、注射剤の薬液の実容量は表示量よ りやや過量と記載されております。今般、採取容量試験法というのを新たに取り込みま したので、ここの部分の過量の規定を削除いたしまして、代わりに左側に「新」とある ように「注射剤の採取容量試験法に適合する」といった文言に置き換えたいということ でございます。  それから最後の5ページになります。まず下の方を見ていただきたいのですが、医薬 品各条の基原の項を改めるということで、ここに挙げられています放射性医薬品7品目 につきましては、この「採取容量試験法を適用しない」という一文を追記したいという ことでございます。またこれの上の部分ですけれども、これは直接採取容量試験法の追 加記載とはかかわりのない部分なのですが、注射剤の条の項を一部改正したいというも のを併せて行いたいという改定案でございます。ここにつきましては、2mL以下のアン プル剤に関しての略記載の規定の幅を広げたいというものでございます。具体的には、 2mL以下のアンプル剤につきましては現行は直接の容器に記載する場合だけ、「注射液」 と三文字書くところを「注」と一文字で略して書くことが認められていたのですけれど も、この改定案によりまして2mL以下のアンプル剤については、直接の容器の印刷だけ ではなくて外部の容器、すなわち外箱の記載でもこういった簡略した記載を認めるとい うものでございます。これは昨今言われております医療現場での事故防止対応というこ とで、容器、包装そのものにいろいろと記載するべき事項が増えてきたことによって、 小さい2mL以下のものについてもこういった簡略化の記載の範囲を広げているというも のでございます。なお、本件につきましてはこの部会の前にパブリックコメントの手続 をとっておりまして、幾つかコメントが出てきておりますけれども、その対応につきま しては別途検討させていただきたいと思います。以上です。 ○早川部会長 どうもありがとうございました。日本薬局方の改正につきましては、大 きな改正としては第十四とか第十五という5年に一度の改正がございます。それからそ の中間に第一追補あるいは第二追補という形で一年半ごとに定期的な改正が行われてい るわけですが、それだけではどうしても国際的ないろいろな動きに対応していけないと いうこともございまして、一部改正というものをこういう形で御審議いただいて、でき るだけ速やかにいろいろと改正された部分を公的なものにしていこうという趣旨でござ います。  今回は改正の概要等が三点述べられておりますけれども、まず国際調和事項の反映に ついて通則に規定するというところから御意見、御質問等を承りたいと思います。2ペ ージのところに改正案の通則41新規収載というのが正式文書として書かれてございま すが、これにつきまして何かコメントあるいは御意見等がございましたらお願いいたし ます。 ○富田委員 大変おもしろくて感心しているのですけれども、これは現在考えると何% ぐらいが実際に一般試験法で合意に達するという…。大体主なところはほとんど合意に 達しているのでしょうか。 ○早川部会長 私が答えるべきかどうか分かりませんが、一般試験法というのは非常に たくさんの品目、項目がございます。それでちょっと後から今日の報告事項というとこ ろで出てくると思うのですが、今御説明いただけますか。 ○事務局 詳しくはまた後ほど御説明させていただきますが、今日の資料2の方に国際 調和関係のものがございます。実際にはPDGという3薬局方調和の会議で検討してお りまして、これまでに調和に達した試験法が全部で19ございます。それが資料2を1枚 めくっていただいた後の横書きの表ですけれども、「1.試験法」とありまして、「(1)Q 6A関連試験法」ということでここに8試験法が出ております。上から三つ目のものは 二つの試験法をまとめておりますので、これを二つと考えてカウントしますと実際には 9試験法になります。それから1枚めくっていただきまして、「(2)Q6A関連以外の試 験法」というところですが、こういったものが調和に達している試験法でございます。 詳しくはまた後で御説明いたします。 ○早川部会長 ちょっとなじみのない言葉が出てくるかもしれませんが、一つはPDG (Pharmacopoeial Discussion Group)というものがございます。これは米国薬局方と欧州 薬局方と日本薬局方でハーモナイズできることをハーモナイズしましょうという活動で す。それとは別にICHというものがございまして、これは3局の薬局方ということで はなくて、医薬品の承認審査等にかかわる案件あるいは市販後の安全性対策等も含めて、 3局でいろいろハーモナイズを進めているものでございます。  「Q6A」という言葉が出てきたのでちょっと御説明しようと思ったのですが、この Q6Aというのは化学薬品の規格及び試験法にかかわるICHガイドライン、つまり国 際調和されたガイドラインなわけです。この中で、その個々の試験法については薬局方 が非常に細かい試験法の規定をしておりますので、そちらの方で調和を進めていただい て、それを言わば国際的にオーソライズした標準法にしましょうということです。ここ に書かれております11項目はICHQ6Aの方でこれをまず薬局方の方で整合性のとれるよ うなものにしてほしいというものでございます。それとは別にその他の一般試験法、あ るいは添加剤について3局の中で調和しているものがあるということでございます。よ ろしゅうございますでしょうか。 ○富田委員 そうすると、この合意に達したものは英語のものはもう公式文書と考えて よろしいですか。これは非常に興味がありますけれども。 ○早川部会長 まず英語で3局がサインをして、合意するわけです。あと我が国の場合 には日本語が公式な薬局方ということですから、英語で出した分を薬局方のスタイルに といいますか、日本語に直してということでございます。ただすべてが合意できない部 分もありますし、スタイル上日本薬局方独自の部分あるいは欧州薬局方独自の部分もあ ります。そういうところは先ほどの「◆」で囲って、調和しているところと調和してい ないところを区別しましょうという趣旨だと思います。ほかに何か御質問はございます でしょうか。どうぞ。 ○合田委員 通則の追加のところの通則41の文章で、「日本薬局方の一般試験法、各条 (添加物)」というように括弧書きで書くということですよね。それで、「各条(添加物)」 という定義はどこかにあるのですか。 ○事務局 この辺は局方の通常の文章の書き方と違っているところがございますので、 言葉のところにつきましては、もう少しはっきりした形で分かりやすく書きたいと思っ ております。趣旨としましては、今PDGで行われております各条というのは添加物に ついて扱っているということで「添加物」というのを括弧書きで入れさせていただいて いるところでございますけれども、実際に告示する段階ではここの記載はもう少し正確 を期すように表現を改めたいと思います。 ○早川部会長 よろしいですか。 ○合田委員 了解しました。 ○早川部会長 ほかにございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしゅうございま すか。それではこの通則41の新規収載に関しましては、これでお認めいただいたという ことにさせていただきます。細かい字句上の表現につきましては、法令等の審査もある と伺っていますのでこのとおりにならないかもしれませんが、内容的にはこういう趣旨 でということで御了解いただきたいと思います。  それでは二番目の注射剤の採取容量試験法の新規収載ということで、具体的には2〜 3ページにかけて改正案が書かれてございますが、これにつきまして御意見あるいはコ メント、御質問をお願いできればと思います。 ○楠委員 私は注射剤の専門家ではありませんのですが、内容的には別に問題ないよう な気はするのですけれども、3ページで表現している文章を少しきちんとしていただき たいと思うのです。特に気になるところは、例えば3ページの上から8行目に「それら を一緒にして」という表現があるのですけれども、この「それら」は恐らく訳したため にどれを指すか分からなくなっているような気がいたします。例えば「それらを」とい うのは「注射筒の内容を」などというふうな表現にするべきでしょうし、それからその ほかにも「一緒にして」という言葉があるのですが、むしろ「まとめて」などと、その 表現を検討していただきたいと思います。  それから、あとは整合性の問題と読みやすさということからすれば、例えば上から2 行目の「表示量」からの行に「10mL未満のものは」と書いてあるのですけれども、ほか のところは全部「容器は」という言葉で表現しているので、「容器は」と整合させてほ しいということ。また4行目の下を読んでいきますと「注射筒及び針内から気泡を排出 した後、注射筒の内容物を」の次にメスシリンダーの説明がずっと入るのです。これは 非常に読みにくいので、このまま残すとすればせめて「測定しようとする容積が40%以 上となるような大きさの乾燥した標準化された受用メスシリンダー中に」を「注射筒」 の前に持ってきて文章を作らないと、ちょっと分かりにくいという気がいたします。そ れから、その後に続いて「針の中が空にならないように排出し」という表現ですけれど も、これも普通にただこれだけ読むとちょっと様子が分からない。むしろ下から8行目 にあるように、「注射針の中が空にならないようにして」などというところと整合性を 合わせるなど、ともかく文章的に少し分かりやすくしていただきたいというのが希望で す。 ○早川部会長 どうもありがとうございました。おっしゃるとおりなので、少し文章を 練った方がいいかと思います。何かコメントはございますか。 ○事務局 ただいまの点につきましては、もう少し表現を分かりやすく改めたいと思い ます。 ○早川部会長 ほかにどなたかございますでしょうか。富田委員、どうぞ。 ○富田委員 非常に細かいことで申し訳ありません。これはもちろん直せばいいことで すけれども、一応数字と単位の間は半スペースを空けますよね。ですからできればこの 辺りからさせていただければ有り難いです。それからこの薬局方を見ますと、例えばパ ーセントなども数字との間が空いていたりするようなものがちょっとまだあるのです。 ですから、こういうところを最初のときからちょっと直されていった方がいいような気 がします。 ○早川部会長 どうもありがとうございました。ほかにございますか。どのような御質 問でも結構でございますので、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。今表記に ついて幾つか御指摘を頂きました。表記上の問題ですので内容はパブリックコメントに 出しているわけですが、そこの表現はまた少し手直しするといいますか、最終的にはも っと変えていけるわけですね。 ○事務局 その辺は法令の方とも話をしながら、最終的な告示の方にはきちんと反映さ せた形で出したいと思っております。 ○早川部会長 なるべく誤解が生じないように分かりやすい文章にしていくことを努力 目標にするということで、この件につきましては御了承いただいたということにさせて いただきたいと思います。  それでは三番目の件でございますが、4〜5ページにかけての注射剤の条(14)の項、 それから注射剤の条(17)の項の変更と放射性医薬品の基原の項の変更という辺りで、御 質問、コメントあるいは御意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。 総則17.注射剤の条(14)は今まで過量を入れていたときの規定をしていたのですが、こ の採取容量試験法というもので置き換わるのでこの部分が要らなくなったということで ございます。それから5ページの方はラベルの記載にかかわることでございます。いか がでしょうか。よろしゅうございますか。それではこの改正につきましても、この案文 でお認めいただいたということにいたしたいと思います。全般を通じまして何か御意見 はございますでしょうか。どうぞ。 ○合田委員 添加剤の項の各条の部分では、「◆」で囲まれたところは今回はまだ出て こないということですか。 ○早川部会長 添加剤自体のハーモナイゼーションもいろいろあるのですが、今御質問 があったのは薬局方の中での添加剤という意味ですね。 ○事務局 今回新しく通則41を入れました。これに対応して、次の十五局では国際調和 されている一般試験法と添加剤についてはこの通則41に従った記載を入れていきたい ということで今準備をしているところでございます。ただ添加剤につきましては、すべ ての項目が調和するということが非常に難しくて、PDGでも部分調和という形になっ ておりますので、調和できなかった規格のところについてはこの「◆」で印を付けると いう予定でおります。今回は採取容量試験法だけを入れるという一部改正でございます ので、手当はこの一つの試験法だけということになります。すべては十五局のときに対 応したいということです。 ○早川部会長 よろしいでしょうか。 ○合田委員 分かりました。 ○早川部会長 ほかにはよろしゅうございますでしょうか。それでは今日の審議事項の 議題1、第十四改正日本薬局方の一部改正につきましては、事務局の方でもう少し詰め なければいけない部分はございますが、内容的にはこれで御了承いただいたということ でございます。本件につきましてはこれで審議を終わりにしたいと思いますが、今後の 予定についてお伺いしたいと思います。 ○事務局 今後内部で法令審査等の事務手続がありまして、その過程で先ほどの御指摘 の部分は修正させていただきたいと思います。目標としましては来月7月中には告示と いう形で出したいと考えております。 ○早川部会長 それでは次に報告事項の議題1、日本薬局方の国際調和についてという ところに入りたいと思います。事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料2、局方の国際調和とICHの動向というものを御覧いただけ ればと思います。まず1ですけれども、先ほど部会長の方からも御説明いただきました が、日本薬局方、欧州薬局方、米国薬局方という3薬局方の調和の検討を行っておりま すPDGという会議でございます。これは1989年に発足しておりますので、もう15〜 16年の歴史を持つ会議でございます。このPDGの中で、これまでに29の添加物モノ グラフと19の試験法につきまして調和が終了しております。また1997年からはICHQ6A 関係の11試験法について重点的に調和の作業に取り組んでいるところです。先ほど部会 長からも御説明いただきましたとおり、このICHQ6Aガイドラインといいますのは新医薬 品の規格及び試験方法の設定について定められているものです。このガイドラインを検 討していく中で、局方の試験法の調和というのが議論の焦点になりました。せっかく規 格の項目について調和をしたとしても、実際の試験法が日米欧の3薬局方で違っていた のでは結局試験を繰り返さなくてはいけないため余りメリットがないということで、や はり局方の調和を進めていくべきだということでございます。その際11の試験法につき まして重点的に調和をするべきだということで、PDGの方でICHの協力を頂きなが ら作業を進めてきたという経緯がございます。  そういったことを受けまして、局方の調和がだんだんと進んできたわけなのですけれ ども、実際に局方が調和されても試験法なりを3局の規制当局が相互受入れしないと調 和というのが局方限りのものになってしまうということで、規制当局間の相互受入れと いうことを検討する必要が出てきたというのが次の段階でございます。具体的には、例 えばある一つの試験法が調和されて日本薬局方に反映され、その試験法を使ってやった データをアメリカのFDAに持って行った際、これはJPの試験法だから受け入れられ ないといったような状況が起きるということで、せっかく局方が調和されてもその上で の規制当局の受入れというのがまた次の段階として必要になるということでございま す。  その相互受入れを進めていこうという動きが昨今高まりまして、それを受けて2の ICHQ4Bの専門家会合というものが立ち上げられました。2003年11月に国際調和された 局方テキストの規制当局による相互受入れをテーマとする専門家会合が設置されており まして、Q4Bというのが担当しております。それを受けて2004年6月から実際の活動 を始めておりまして、現在は国際調和された局方テキストを規制当局で相互受入れする に当たってのプロセスを定めるガイドラインを検討しております。またそのプロセスに PDGとICHQ4Bがどういうふうにかかわっていくか、役割分担を定める文書というのを 作って現在検討している状況でございます。それから併せてPDGで既に調和が終了し ているQ6A関連の試験法につきまして、個別に規制当局が相互に受け入れることが可 能かどうかということを一つずつ検討している状況でございます。  繰り返しになりますけれども、局方が調和されてもなぜ規制当局が相互に受入れでき ないのかというところを簡単に御説明いたします。日本の場合ですと厚生労働省で局方 を出しておりまして審査も行っているということで、局方を出している主体と申請を受 けて承認を下ろしているところが一体となっております。ヨーロッパも比較的似たよう な状況にあるわけなのですけれども、特に問題なのはアメリカでございまして、先生方 も御承知のとおりUSPといいますのは民間団体であるNPOでやられております。で すのでFDAの力が完全に及ばないというわけではないのですけれども、やはりUSP では独自の活動が行われておりますので、必ずしもUSPで行われている検討がそのま まFDAで取り入れられるという状況ではないという面があります。  それからもう一点は、PDGにおきまして、なかなか全項目の完全な調和ができない という現状がございます。例えば試験装置のcalibrationの方法を入れている局方です とか入れていない局方、そういう薬事規制の在り方が3局によって異なっているような 実態が出ております。こういった点といいますのは科学的な議論だけではなくて、規制 当局の関与というのがある程度必要になってくるということが背景にございます。  それで実際に調和されている事項ですけれども、資料を1枚めくっていただきまして、 先ほども御覧いただきました横の表でございます。これは先月末現在での状況を示して いるものでございます。まず試験法につきましては、「(1)Q6A関連試験法」というこ とでここに11の試験法があります。下の二つはまだPDGで検討中ということで調和が なされていないのですけれども、上の九つの試験法につきましては既に調和がなされて おります。調和されたものにつきましてはJP、EP、USPがそれぞれ収載をしてお りまして、その収載時期がこの表の中ほどに書かれております。先ほど議題1で御審議 いただきました採取容量試験というのが上から四つ目に赤で書かれております。これに ついてはもう既に調和されておりまして、今日御審議いただいた結果を受けて7月には JPに載せたいということでございます。また先ほど各試験法を規制当局として相互に 受け入れていいかというのをICHで個別に評価していることを御紹介いたしましたけ れども、この採取容量試験につきましてはこれでオーケーという結論が出ております。 したがいまして、JPにこの試験法が載りますとこの試験に関しては規制当局が相互に 受入れをする準備がすべて整うということになります。そういうことがございますので、 今年度末に十五局改正が迫っておりますけれども、それを待たずに先に一部改正をさせ ていただきたいという状況になっているということです。  それからJPの青字のところですけれども、これが次の十五局で取り込もうと思って いる試験法です。1枚めくっていただきますとQ6A関連以外の試験法ということで、 下の五つの試験法につきましては十五局を目指して対応したいと考えております。  またもう1枚めくっていただきますと、これまでに調和された添加物につきましてこ れだけあるというリストがあります。青字の部分については同じく十五局対応というも のでございます。  それから最後のページですけれども、ここにはPDGとICHQ4Bとの関連ということを 図で示しております。左側がPDGで、Stage1〜7まで七つのステップで調和を進めて いきます。Stage5Bというところでサインオフ、すなわち調和されるわけです。この段 階でQ4Bの方にデータを持っていって、これを規制当局サイドとして相互に受け入れ ることが可能かどうかという検討を行います。またPDGのStage6Aのところですけ れども、各局の採択、すなわち局方収載、パブリケーションがされますとここでフィッ クスされるわけです。パブリケーションされたものの再確認をもう一度Q4Bでしまし て最終評価をし、これによって規制当局間の相互受入れを確立するという仕組みを、そ れはまだ検討中なのですけれども、今ICHの方でPDGの協力も得ながらやっている という状況でございます。以上です。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま日本薬局方の国際調和あ るいは規制等の関係についていろいろと御説明いただいたわけですが、何か御質問、御 意見等ございますでしょうか。合田先生、どうぞ。 ○合田委員 通則41が今度追加されたことで冒頭に合意に達した試験方法であるとい うことを記載されるものは、今回はこの一般試験法の一部分だけなのですか。ほかのと ころも合意に達しているものがあると思うのですが。 ○事務局 今回は採取容量試験法の冒頭に入れるだけです。 ○合田委員 ですから、ほかの達しているところについてはまだ入れないで、十五局で 入れるということですか。 ○事務局 十五局で入れるということです。 ○合田委員 分かりました。 ○富田委員 先ほどから英文にこだわっているのは、英文はやはり100%完全に和訳が できないと思うのです。ちょっとそういう誤差があったときには必ず日本の薬局方の方 が日本では強いです。これは英文が基本になって、例えばアメリカ人が英文でこう書い たのだからこちらを守れと言われたときにも、日本語の方が正しいからと言うことはで きるのです。それがいろいろなところで一番問題だろうと思うのですが。 ○早川部会長 私の理解では、英語も日本語もサイエンスの内容として調和した部分は 同じはずだと、同一結果が出るようなことであると。ただもちろん英語と日本語の違い というのはございますから、表現法として日本語で表現した場合にそれは出てくると思 います。今度はその日本語をもう一度日本人が、あるいは日本で独自に英語に直すとこ れはまた違ったものになる可能性がありまして、そこは元の調和した英語と違うのでは ないかと言われる可能性もありますのでこれから議論しなければいけませんが、それに つきましてはもともと英語で表現するときは英語でサインをするわけです。今言われて いるのは、今度日本語に移すときに移せないような英語であっては困るので、その辺も 意識しながら国際調和活動に携わるというのが一つのポイントだと思います。  それからもう一つはそれを踏まえて、かつできるだけ正確に英語のものを日本語に訳 すといいますか、そのまま訳してしまうと先ほどのように日本語が小慣れていなくてな かなか読みづらくなってしまうので、私はそこは超訳でもいいと思うのです。内容が違 わなければ日本語としてきちんとしていればいいと。今度はJPの英語版というのがあ るのです。英語版にするときは、同じ意味であればできるだけ元の英語、調和した英語 に立ち返って表現するようにしていったらどうかと。これはこれから議論しなければい けないと思いますが、大体そのような道筋でやればいいのではないかというふうに思い ます。  ほかにいかがでしょうか。我が国のように規制当局と薬局方というのが一体になって いるところと違って、ヨーロッパもある程度ずれているところがあって、ときには規制 当局と薬局方で随分いろいろな論争があるようであります。ということで、こういうい ろいろ複雑な仕掛けで薬局方で国際調和したものをその規制に反映させて国際的に使え るようにしようという動きでございます。よろしゅうございますでしょうか。  それでは報告事項はこれ一つですので、本日予定しておりました審議・報告事項は終 了したということでございます。その他事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局 現在、来年3月に第十五改正日本薬局方を告示するべく審議をいろいろと検 討しているところでございます。こちらの部会の予定としまして、大体10月ぐらいに開 催させていただきたいと考えております。また日程調整の方は近くなりましたらさせて いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 第十五局の来年4月の告示に向けて、今各委員会あるいは局方に収載す るという意味での審議作業も大詰めを迎えているということでございます。これまでに も増して各先生方の御支援、御鞭撻を賜りたいということで、改めて今後の御協力をよ ろしくお願い申し上げます。それでは全般を通じて何かございますでしょうか。よろし ゅうございますか。よろしければ、以上をもちまして本日の日本薬局方部会を終了いた したいと思います。委員の先生方におかれましては、お暑い中、また御多用の中御参加 いただきましてどうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 上野(内線2738)      - 14 -