05/03/07 厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ・アレルギー対策委員会第2回議事録             第2回 厚生科学審議会疾病対策部会              リウマチ・アレルギー対策委員会           日時 平成17年3月7日(月)10:00〜12:00           場所 厚生労働省16階 専用第17会議室  ○事務局  それでは定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ ・アレルギー対策委員会を開会いたします。委員の皆様方には本日はお忙しいところお 集まりいただきまして誠にありがとうございます。開会に先立ちまして、西副大臣より ご挨拶いたします。 ○西副大臣  マイクの都合で座ったままでさせていただきたいと思っております。厚生科学審議会 の疾病対策部会のリウマチ・アレルギー対策委員会を開催させていただくにあたり、一 言ご挨拶申し上げたいと思っております。委員の先生方におかれましてはご多用中にも かかわりませず、委員をお引き受けいただきましたことに心より御礼を申し上げます。 大変にありがとうございます。 さて、わが国におきましては、リウマチ疾患・アレルギー疾患を有する患者さん、大変 多いというふうに伺っております。私の身近な所にもリウマチで大変ご苦労されたり、 小さい頃からアレルギーで大変悩まれたり、そういう方がたくさんいらっしゃいます が、国民の30%程度がいわゆるリウマチ・アレルギー関係で疾病をお持ちだというふう にも聞いておりまして、大変重要な課題だというふうに認識をしております。 そのために厚生労働省といたしましては平成2年度からリウマチ疾患につきまして、ま た平成4年度からアレルギー疾患につきまして総合的な研究事業を開始をいたしまし て、病気の原因ですね、及び病態の解明それから治療法の解明を進めて参ったところで ございまして、これらの研究成果として、リウマチ・アレルギー疾患の診療に関するガ イドライン等を随時作成し、医療関係者に対する適切な診断、治療方法の開発に努めて 参りました。本日はこうしたこれまでの成果も踏まえていただきまして、今後のリウマ チ・アレルギー対策を総合的、体系的に構築をしていただくために基本的な方向性を示 していただく、共に、指針作成等に関するより具体的なご審議を頂戴いたしたいと思っ ているところでございます。  水田委員長はじめ、委員の皆様方の深い専門的なご見識とご審議によりまして、国民 のためにぜひとも有益な結果を導きだしていただけますように心からお願いを申し上げ まして、簡単でございますが、私からのご挨拶に代えさせていただきます。本日は大変 にありがとうございました。 ○事務局  ありがとうございました。なお、西副大臣におかれまして、この後所用のため途中で 退席いたしますことをご理解、ご了解いただきたいと思います。続きまして、委員の方 々をご紹介させていただきます。なお、当委員会の委員は厚生科学審議会疾病対策部会 運営細則に基づきまして、部会長の指名により構成されていることを、ご紹介の前にお 知らせいたします。それではお手元に配布しておりますリウマチ・アレルギー対策委員 会名簿に沿って五十音順にお名前を読み上げさせていただきますので、よろしくお願い いたします。  独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター長の秋山一男委員でございま す。社団法人日本看護協会専務理事の岡谷恵子委員は本日交通の事情で遅れられており ます。独立行政法人国立病院機構相模原病院院長の越智隆弘委員でございます。九州大 学病院院長の水田代委員でございます。東北大学大学院医学系研究科教授の辻一郎委 員でございます。聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター長の西岡久寿樹委員でご ざいます。社団法人日本医師会常任理事の橋本信也委員でございますが、本日はご都合 により欠席されております。青森県健康福祉部意思確保対策監の山中朋子委員でござい ますが、本日はご都合により欠席されております。東京大学大学院医学系研究科教授の 山本一彦委員でございます。広島大学名誉教授の山本昇壯委員でございます。横浜市立 大学大学院医学研究科教授の横田俊平委員でございます。合わせまして、厚生労働省の 出席者をご紹介いたします。健康局長、田中でございます。健康局疾病対策課長、関山 でございます。なお、田中健康局長においては、所用のため途中退席いたしますことを ご了解下さい。  次に委員長のご紹介をいたします。当委員会の委員長につきましては、厚生科学審議 会疾病対策部会運営細則の基づき部会長より九州大学病院院長の水田委員が指名され、 すでに水田委員のご了承をいただいておりますので、ご報告いたします。それでは以降 の進行を水田委員長にお願いいたします。 ○水田委員長  それでは一言挨拶させていただきます。水田でございます。ただいまご指名いただき まして委員長を務めさせていただきます。リウマチ・アレルギーというのは、とっても 昔からある病気でございまして、私どもが小さい頃からまた、学生の頃からある病気で ございますけれども、どんどん医学が進んで参りまして、その治療法とか病院とかがど んどんわかって参りまして次から次にわかるとまた問題が出てくるというような事でご ざいまして、まさに古くて新しい問題というそういう病気のような気がいたします。こ のたびこの委員会でいい思案を作ってですね、ちゃんとした対策としての新しい考え方 を出していきたいと思いますので、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。それでは事 務局より資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  それでは事務局より資料の確認をさせていただきます。まず最初に「委員名簿」、 「座席表」がございまして、資料1の「リウマチ・アレルギー対策委員会等の設置につ いて(案)」が2枚。資料2の「平成15年保健福祉動向調査アレルギー様症状」が1 枚。資料3の「リウマチ・アレルギー対策概念図」が1枚。資料4の「平成17年度リウ マチ・アレルギー対策予算(案)について」が1枚。資料5の「リウマチ・アレルギー 分野の研究費について」が1枚。資料6の「平成16年度免疫アレルギー疾患予防・治療 研究事業採択課題一覧」が1枚。資料7の「リウマチ・アレルギー相談員養成状況(相 談員養成研修会参加状況)」が1枚。資料8がA3が2枚になっておりますけれども、 「各都道府県におけるリウマチ施策について」と「各都道府県におけるアレルギー施策 について」計2枚。資料9が「今春の厚生労働省花粉症緊急対策について」が1枚。資 料10の「平成17年花粉症緊急対策支援体制について」が1枚。資料11の「花粉症対策研 究のロードマップ」が1枚。資料12でございますけれども、「アレルギー対策論点整理 (案)」が計7枚。資料13の「リウマチ対策論点整理(案)」が計7枚。次に秋山委員 の提出資料でございます。越智委員の提出資料でございますけれども、最後に厚生科学 研究の推移も一まとめで綴っております。パンフレットでございますが、「的確な花粉 症の治療のために」というパンフレットが入っております。その間に挟んでおりますの が、花粉症啓発ポスターが1枚。皆様に配布した資料に漏れはございませんでしょう か。無いようでしたら、以上で資料の確認を終了させていただきます。 ○水田委員長  はい、ありがとうございました。それでは議事に移らせていただきます。まず議事の 1でございますが、「リウマチ・アレルギー対策委員会等の設置について」に付きまし て、事務局よりご説明いただきます。 ○事務局  それでは資料1の「リウマチ・アレルギー対策委員会等の設置について(案)」に関 して事務局よりご説明申し上げます。「リウマチ・アレルギー対策委員会等の設置」に ついての設置目的についてでございますけれども、リウマチ、気管支喘息、アトピー性 皮膚炎、花粉症等の免疫アレルギー疾患は、長期にわたり著しく生活に支障をきたすも のもある等、国民の健康上重要な問題となっている、という事ですので、今後のリウマ チ及びアレルギー対策を総合的・体系的に実施するべく、厚生科学審議会疾病対策部会 の専門委員会として、リウマチ・アレルギー対策委員会を設置しまして、リウマチ及び アレルギー対策の指針の策定等に関する検討を行うものとするという事でございます。 また、これらの対策について、より専門的な検討を行うリウマチ対策検討会及びアレル ギー対策検討会を、厚生労働省健康局長の私的検討会として、それぞれ設置するものと いたします。検討課題がこちらに書かれておりますけれども、リウマチ・アレルギー対 策委員会では、リウマチ及びアレルギー対策指針策定についてですけれども、それぞれ リウマチ対策検討会、アレルギー対策検討会におきまして、具体的な内容についてご議 論いただきましてそこで作成された指針案についてもう一度リウマチ・アレルギー対策 委員会でご議論いただくと。4番の検討スケジュールのところに記載されておりますけ れども、リウマチ・アレルギー対策委員会の第1回が今回の平成17年の3月のリウマチ ・アレルギー対策委員会でして、リウマチ・アレルギー対策の現状と問題点を提示して いただきます。次にそれぞれリウマチ対策検討会、アレルギー対策検討会におきまし て、具体的な内容についてリウマチ対策の現状及び問題点、研究、専門医療の提供、情 報提供体制等についてご議論いただきまして、リウマチ対策指針、報告書及び報告書 (案)の作成。アレルギー対策指針の(案)と報告書(案)作成をしていただきまし て、リウマチ・アレルギー対策委員会の第2回、もしくは3回につきまして、平成17年 6月に今一度開催いたしまして、指針の策定、とりまとめをする予定としております。 以上で事務局より資料1に関する説明を終了いたします。 ○水田委員長  このことについて追加修正等ご意見ございましたら発言よろしゅうございますか。そ れではご意見ないようでございましたら、これを設置対策委員会等の設置につきまして 合意としまして、この案を確定させていただきたいと思います。それでは続きまして議 事の2「リウマチ・アレルギー対策の現状」について、事務局より説明いたします。 ○事務局  それでは事務局より、「リウマチ・アレルギー対策の現状」についてご説明いたしま す。資料2から資料11までこちらよりご説明申し上げます。  まず資料2でございますけれども、平成15年保健福祉動向調査のアレルギー様症状に 関する調査でございます。こちら厚生労働省大臣官房統計情報部の調査によるものでご ざいますけれども、皮膚のアレルギー様症状あり、呼吸器のアレルギー様症状あり、目 鼻のアレルギー様症状あり、と言う項目に関しまして調査をいたしまして、3症状のい ずれかの症状あり、という方が35.9%という数字が出ております。  次に資料の説明に参りますけれども、資料3に参ります。「リウマチ・アレルギー対 策概念図」でございますけれども、研究の推進と研究成果に基づく最新の偉業技術・情 報の普及の2本柱になっておりまして、研究の推進に関しましては、免疫アレルギー疾 患予防・治療研究事業こちらが厚生労働科学研究費補助金によりまして、平成2年から リウマチ分野。平成4年からアレルギー分野に関する総合研究を行っております。ま た、独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センターの開設という事でして、本 日センター長の秋山先生及び相模原病院院長の越智先生にお越しいただいております。 これらで研究されました研究成果に基づきまして、相談体制の整備、啓発・普及のため にリウマチ・アレルギー相談員養成研修会を平成13年度から毎年実施しております。リ ウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症に関しまして4疾 患相談員養成研修会と言う名前で相談員、都道府県等の保健士等従事者を対象に、相談 員を養成するという目的で研修会を開始しております。平成15年度からは、これに食物 アレルギーに関しましても項目として追加いたしました。啓発・普及といたしまして は、診療ガイドラインの作成という事でして、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、喘 息、アレルギー性鼻炎に関しまして診療ガイドラインを作成。そしてこれの普及を図っ ております。食物アレルギーに関しましては、現在手引きを作成中というふうに聞いて おります。各種広報活動でございますけれども、厚生労働科学研究推進事業によりまし て、医療関係者向け講演会や市民講座を開催、一般向けのパンフレットの作成などが行 われております。研究班によりまして、一般向けパンフレットも作成されておりまし て、インターネットを活用した情報提供といたしましては、研究班でリウマチ・アレル ギー情報センターのホームページが開設されたのに引き続きまして、昨年12月17日に厚 生労働省のホームページにおいてもリウマチ・アレルギーに関する情報を発信している ところでございます。  資料4に参ります。「平成17年度リウマチ・アレルギー対策予算(案)」についてで ございますけれども、先ほどご説明いたしましたとおり、免疫アレルギー疾患に関する 研究等の推進と、免疫アレルギー疾患に関する正しい情報の普及という事で、平成17年 度におきましては、11億2100万円を計上しているところでございます。次に参ります。  資料5でございますけれども、「リウマチ・アレルギー分野の研究費について」の推 移を記しております。平成2年度からリウマチ疾患について「厚生省リウマチ調査研究 事業」、平成4年度からアレルギー疾患について、「厚生省アレルギー総合研究事業」 として、それぞれ研究が開始されておりましたけれども、平成9年度から、厚生労働科 学研究の一研究事業として位置付けられまして、より一層の研究体制の整備が図られて いるところでございます。平成9年度から、その名称は変わっておりますけれども、平 成17年度まで厚生労働科学研究費補助金免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業といた しましては、総額で約70億円を計上しているところでございます。次に参ります。  資料6でございますけれども、「平成16年度免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業  採択課題一覧」でございます。こちらが平成16年度に採択されている課題の一覧でご ざいまして、平成14年度に開始しているものから、平成16年度に開始されたものまで計 36班体制で研究事業を行っております。うちリウマチに関する研究班は14班。アレルギ ーに関する研究班は22班ございます。次に参ります。  資料7でございますけれども、「リウマチ・アレルギー相談員養成状況」という事で ございまして、先ほどご説明いたしましたとおり、研究の成果を普及する1つの手段と してリウマチ・アレルギー相談員養成研究会を行っておりまして、その研修会の参加状 況を自治体別に記したものでございます。平成13年度から平成16年度まで都道府県、指 定都市、中核市、政令市、特別区に募集をかけておりまして、計223名の参加をいただ いております。相談員は一度参加したことで相談員が要請できたと考えますと、223名 の相談員を養成したという事でございます。47都道府県のうちでは7都道府県では研修 会の参加はまだありませんが、計141名の相談員を養成しているところでございます。  次に資料8に参りますけれども、こちらは平成17年1月12日に調査を依頼いたしまし て、各都道府県におけるリウマチ、アレルギー施策についての調査結果の一覧でござい ます。まずはリウマチでございますけれども、それぞれ項目がございまして、事業、普 及啓発、相談窓口、連携、計画となっておりますが、事業といいますのは、各自治体に おけるリウマチ対策の事業の有無を調査したものでございます。普及啓発に関しまして は、各自治体においてリウマチに関するホームページやパンフレット、相談会等の開催 の有無を記したものでございます。リウマチ患者さんの相談を受け入れる窓口があるか どうかが3つ目の項目でございます。連携に関しましては、リウマチ対策を推進してい く上で、市町村等関係団体との連携の有無を調査したものでございます。  計画に関しましては、リウマチ対策について、各自治体の地域保健医療計画上定めて いるかの有無を調査したものでございます。相談窓口といたしましては、都道府県の3 分の2弱が相談の対応を行っているところでございますけれども、ほとんどの自治体が 悪性関節リウマチを難病対策業務として実施していたり、難病対策の一部としてリウマ チ対策を実施しているところでございまして、このような状況でございます。次に「各 都道府県におけるアレルギー施策について」でございますけれども、リウマチ施策のと ころと同様に事業、普及啓発、相談窓口、連携、計画と言う項目立てになっておりま す。事業に関しましては、各自治体におけるアレルギー対策の事業の有無を調査したも のでございまして、アレルギー施策に関しましては、記載にありましたのが、母子保健 や疾病対策、生活衛生等、他部局にまたがるような事業という事でございまして、連携 が約3分の1で16都道府県におきまして、連携しているとの回答をいただいておりま す。特に事業といたしましては、記載施策例のところにございますように、花粉症ある いはアトピー性皮膚炎等に関しましての事業は特に多かったようでございます。このよ うに研究の推進とその成果の普及啓発という施策を行ってきているわけでございますけ れども、中でも今春におきましては、花粉症の緊急対策という事でございまして、資料 9に参りますけれども、厚生労働省におきましては、花粉症の相談体制の整備、花粉症 に関する正しい情報の提供、花粉症に対する適切な医療の確保、花粉症の研究の推進と 言うことでございまして、昨年12月からホームページに「花粉症特集」を掲載いたしま したり、相談体制を支援するために「花粉症相談マニュアル」を作成いたしましたり、 こういったことを研究者の先生方にご協力いただきまして進めてきたところでございま す。  資料10にございますのが、その花粉症の緊急対策についてのイメージ図でございま す。  このように、厚生労働省においては、シンポジウムを開催いたしましたり、インター ネットに情報を掲載いたしましたりしまして、国民に対する啓発体制を支援。また都道 府県を通じて啓発資料を配布いたしました。また医療体制に対しましては、日本医師 会、日本薬剤師会、日本アレルギー学会に対しまして適切な医療の確保についてお願い をいたしまして、国立病院機構相模原病院においては専門的な相談を受け入れていただ くようにお願いしたところでございます。別途配布しております「的確な花粉症の治療 のために」というパンフレットがございますけれども、こちらのパンフレットとあと中 に挟んでございますポスターに関しまして、こちらを啓発資料といたしまして配布いた しました。  パンフレットに関しましては計30万部を都道府県を通じて配布したところでございま す。ポスターに関しましては○○県、○○医師会、○○薬剤師会という事でございまし て、各自治体において、こちらを加工し使用していただけるようにという事でホームペ ージに掲載しております。  資料11にございますのはご参考でございますけれども、2月23日に開催されました小 泉総理率いる総合科学技術会議において配布された資料でございます。花粉症対策研究 のロードマップという事でございますけれども、減感作療法、CPGワクチン、花粉症 緩和米という3つの現在研究されております花粉症に関する治療方法におきまして、こ れら3つを岸本議員が重点的に研究していくべきであろうとの報告がなされたと聞いて おります。 ○水田委員長  ありがとうございました。これは質問は受けないんですかね。ただちょっとびっくり したのは、あまり各県の都道府県の対策があまり進んでないんだなあ、という事が何か わかったような気がしましたですね。これだけ厚労省が一生懸命なさってるのに、それ が反応が遅いのかな、とちょっと心配になってまいりましたけど。それでは次にです ね、議事の3の「リウマチ・アレルギー対策研究及び医療の現状と問題点について」、 まずは事務局よりアレルギー対策の論点整理のメモの案について、ご説明いただきま す。 ○事務局  それでは事務局より、資料12のまずはアレルギー対策に関しまして、アレルギー対策 の論点整理のメモの案をご説明させていただきます。こちらは主な論点について大枠の みが記載されておりますけれども、第一といたしまして、アレルギー対策基本的方向 性。こちらに記されております論点について具体的な内容に関しましては、それぞれア レルギー対策検討会、リウマチ対策検討会におきましてご議論いただくこととさせてい ただきたいと思っておりまして、委員の先生方におかれましては、このような論点で検 討会でお話していただいていいかどうかのご議論を後ほどしていただきたいと存じま す。  アレルギー対策論点整理に関しましては、第一にアレルギー対策の基本的方向性につ いてですが、今までのアレルギー対策についてどのように評価するか。また、今後アレ ルギー疾患を克服するためには、どのような基本的方向性を持っていくべきか。と言う 論点で進めていけばどうかという事でございます。第二に、研究の推進という事でござ いますけれども、効果的かつ効率的な研究推進体制の構築と、今後重点化すべき研究分 野。効果的かつ効率的な研究推進体制の構築に関しましては、アレルギーの研究の状況 はどうなっているのか。研究目標に基づいた戦略的な研究がなされているか。現在の問 題点に合った適切な公募課題が設定されているか。研究課題の評価システムは十分に機 能しているといえるか。問題点はなにか。どのように対応すべきか。という事でござい ます。  今後重点化すべき研究分野でございますけれども、目標設定をして戦略的に研究を推 進していくためには、今後どのような分野を重点化し、その優先順位をどのように考え ていくのか。患者が自己管理できるようにしていくためにはどのような研究を行ってい くべきか。その際、アレルギーの病態や発症機序に関しては、どのような課題が考えら れるのか。アレルギーの予防に関してはどのような課題が考えられるのか。正しい診療 を行うためにはどのような技術を開発する必要があるか。治療法の開発に関してはどの ような課題が考えられるのか。疫学的な知見は十分か。将来的にアレルギー疾患克服を 目標とするならば、どのような研究戦略を考えるべきか。このような点に関しまして論 点を整理していってはどうかという事でございます。  第三に、医薬品の開発促進等でございますけれども、厚生労働省における研究と医薬 品開発との連携は充分行われているか。連携を進める上でどのような課題が考えられ、 どのように解決すべきか。という論点でございます。  次に参りますが、第四、医療提供体制の整備でございますけれども、医療提供体制と いたしましては、アレルギー疾患別に応じた適切な医療体制が確保されているのか。そ の際、地域においては医療体制を体系立てて計画的に整理すること等によってその確保 に努めるべきではないか。気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・花粉 症、食物アレルギーそれぞれについて患者が疾患について自己管理できるようにするた めにはどのような医療体制等を具体的に確保すべきか。気管支喘息重積発作等に対する 医療体制づくりをどのようにとるべきか。重積の積が漢字が間違っております。失礼い たしました。二の人材育成でございますけれども、適切な医療が確保されるよう医療従 事者・医学生等に対してどのような取組を行っていくべきか。  第五に参りますが、患者QOLの向上等という事でございまして、患者が疾患を自己 管理するためにはどのような教育等の支援が必要か。適切な疾患管理が可能となるよう 患者を取り巻く保育所・職場等ではどのような協力や支援等が必要となるのか。このよ うな論点でお話していただきたいと存じます。  次に第六、情報提供・相談体制でございますけれども、一、情報提供の体制整備とい たしまして、現在、アレルギーに関する情報提供の内容及び提供手法は適切か。適切で ないとすればその理由はなにか。正しい情報をどのように提供していくべきか。住民に 身近な市町村の役割は大きいと考えるが、市町村、都道府県、国各々どのような役割分 担で対応すべきか。二、相談体制の整備でございますが、患者及びその家族がアレルギ ーについて相談できる窓口の設置状況は十分か。窓口の設置はどのような体制が効果的 か。(都道府県に限らず市町村での対応は困難か。また、どのような相談対応がよい か。)。アレルギーの予防等のためにはどのような相談を実施すべきか。アレルギー相 談員はどのように養成すべきか。  最後のページでございますが、第七、患者を取り巻く環境の改善。食物アレルギー等 の観点からどのようなアレルゲン対策を講じることが必要か。住環境に対してどのよう なアレルゲン対策を講じることが必要か。  第八といたしましては、関係機関との連携。国や都道府県がアレルギー対策を推進し ていく上でどのような機関と連携すべきか。また、連携機関にどのような役割を求めて いくのか。最後にその他といたしまして、本対策の見直しは何年毎に必要か。という事 でございます。こちらが当方で整理いたしました論点整理のメモの案でございますが、 まだまだ調整中の案でございます。以上でございます。 ○水田委員長  はい、ありがとうございました。では、このことに関する議論に先立ちまして、秋山 委員より、アレルギー研究対策及び医療の現状と問題点について説明をお願いします。 よろしくお願いいたします。 ○秋山委員  相模原病院の臨床研究センターの秋山でございます。私の提出資料という事でござい ます、こちらをご覧いただきたいと思います。まず今回はどちらかと言いますと、現在 これから解決しなければならない問題点というのをまとめてみたわけであります。まず 最初に一番後ろに出ておりますカラーの図をまず見ていただくのがわかりやすいかと思 いますので、一番後ろのほうにありますが、アレルギー疾患が増えているという事を、 認識していただくという事で、一番最初は見にくい絵で申し訳ございませんけれども、 青で示しておりますのが年度ごとの花粉の飛散量を示しております。  花粉の飛散というのは年によって随分多かったり少なかったりと、ここにありますよ うに、95年は非常に多くて年間1万を越えてる花粉数が見られておりますけれども、今 年はこれに匹敵、あるいはそれ以上といわれているわけでありますが、ここであります ように、アレルギー性鼻炎の患者さん黄色ですが、この方たちでの皮膚反応、すなわち スギに対するアレルギーを持っている方、すなわちスギ花粉症とほぼ言っていいと思い ますが、その方達が右肩上がりに増えてきているという事がこれでわかると思うんで す。  その次はこれは小児喘息、次のページでございますけれども、小児喘息の有症率につ きまして、わが国で検討されたものでありますけれども、これも見にくくて申し訳ござ いませんけれども、例えばこの右のほうに線の下にミカン色の○で西間先生、福岡病院 の院長であられます西間先生が西日本の学校で定点で1982年から92年、2002年と10年ご とに小学校における喘息の患者さんの有症率を見ておりますが、これを見ますように10 年ごとに右肩上がりに上がっているという事がわかります。その上に古庄先生も同じよ うに,茶色い○が左の下のほうからありますけども、同じように増えているという事で 他のほうのもそうですけども、小児の場合には学校を定点とした調査ができております のでこのように明らかに増えていることがわかります。その増え方に関してですが、そ の次のページにありますが、これは1982年、92年、2002年ですね、そういう3回の10年 ごとの調査で西間先生の調査なんですが、ここで見て非常に最近問題になってきており ますのが左の男の子でありますが、この1から6というのは小学校の1年から6年まで ですけれども、昔っていうのは1982年はですね、大体小学校で喘息があるお子さんはだ んだん大きくなるにつれて、いわゆるアウトグローと申しまして自然に良くなって寛解 していく率が多かったのでだんだん右肩下がりであるんですけれども、最近は6年生に なっても寛解しないという事でその寛解率が非常に落ちているという事でそういう問題 も現在出ているという事を示しております。  その次ですが、これは宮崎医科大学の常俊先生の調査結果でありますけれども、これ もやはり小学校の喘息の患者さんですが、74年から80年代、80年代の後半と、有症率が 明らかに増えてることと、やはり西間先生と同じように小学校がだんだん学年が行くに 従って、以前は下がって有症率が減っていたのがけして減ってはいない、逆に増えてい るというそういうような状況がありまして、アレルギー疾患が最近増えている。先ほど 30%や35%の話がありましたけれども、明らかにアレルギー疾患が増えているという事 がこういう調査からもわかると思います。そういう現状を見ていただきまして、また最 初に戻っていただきたいと思います。  きょう一応30分の時間をいただきましたので、わが国のアレルギー分野で今後の対策 の必要な点、あるいは研究等の必要な点というような事につきまして、大きな1、2は 項目立てで書いておりますけれども3のところに少し詳しく書いておりますので、1に ありますようにアレルギー分野での必要な対策・長期目標というようにここにあります ように、最終的にはアレルギー疾患の発症率有病率を減少、いわゆる発症予防につなげ たいという事があるわけでありますけれども、それにいたるまでまだまだいろいろやら なきゃいけないことがあるということであります。  特に2ページ目の下のほうにあります、3、「我が国アレルギー分野での長期的戦略 設定の背景と今後に残されている課題」という事につきまして、少しずつご専門でない 方もいらっしゃると思いますので、少しお話申し上げたいと思います。まず疫学につい てですが、疫学というのは皆さんご存知のようにけして有症率だけで数字だけで、何て 言いますか満足するものではなくて、それがいろいろなその後の病態、治療、予後等の 研究の入り口となると言う研究で非常に重要なわけでありますけれども、まだまだ我が 国における疫学調査体制と、特にアレルギー疾患におきます疫学調査体制っていうのは 必ずしも十分ではないというのがまず現状であるわけでございます。  そのために特に疫学調査をする有症率等の調査の場合には現在の個人情報保護法等の 中で中々フィールドを何て言いますか、決めること自体かなり難しくなっているわけで ありますけれども、現在厚生労働科学研究の中でこの有症率の疫学調査っていうのが少 しずつ進められているわけであります。その中で次のページにおきまして、疫学の中で の幾つかの問題点についてお話申し上げますが、最近アレルギー疾患って言うのが以前 のように衛生状態の非常に悪いいろいろな感染症、例えば鼻たれ小僧がいたりとかです ね、いわゆる感染症等が流行って、それに対する衛生状態が良くなかった時代に比べて 最近のように非常に衛生状態が良くなってきたという事が、逆にアレルギー疾患の増加 につながっているという衛生仮説hygieue hypothesisというのがありますけれども、そ れが海外でいろいろ言われておりますがそれにつきまして我が国におきまして明確なエ ビデンスというのは必ずしも出ておりません。  白川先生たちが以前ツベルクリン反応の陽性者とアトピー性疾患の有病率との逆相関 というかそのような事についての調査がありますけれども、現在まだまだこの衛生仮説 という事につきましての検証は十分できてないという事があります。これについて我が 国での検証を行い、我が国のガイドラインの中にも取り入れるというような事が必要で あるというような事。それから、2番目としまして、小児アレルギー疾患と成人アレル ギーというのが表現型は同じであっても、かなりその内容が違うだろうと。小児発症と 成人発症のアレルギー疾患の違いという事が言われてきておりまして、それにつきまし てやはり明確なエビデンスというのを今後出していかなきゃいけないというのが疫学の 研究の中に1つあります。  それから、3番目としまして環境汚染とアレルギー疾患発症の関わりという問題点が ありまして、これにつきましては以前から大気汚染とアレルギー疾患というのは非常に 強く言われてたわけでありますけれども、それが実際にちゃんとしたエビデンスとして と言う形でのものがまだ十分なものがないというふうに考えられます。いろいろ動物実 験等では最近のようにディーゼルの排気粒子等がアレルギー疾患の発症に関わるという ような事が言われておりますけれども、ここについてはまだ実際の疫学調査としては十 分なものがないという事がありますので、大気汚染やら環境汚染からアレルギー疾患発 症の関わりの解明というのが必要な問題点でありますし、それから先ほどから申してお りますけれども、アレルギー疾患の有病率の調査システムというのがまだ我が国では十 分確立してない、これまでも有病率に関しましては職域とか地域での調査はありますけ ど、我が国全体での有病率の調査というのは十分できておりません。ただ厚生科学研究 の中で、今この会に出席されております山本先生が中心になってされましたアトピー性 皮膚炎の有症率調査というのは非常に現在評価されておりまして、そういうような手法 を踏襲しまして現在気管支喘息その他の疾患についての有病率、しかもその有病率の調 査システムを確立するという方向にいってると思います。  それから診断という、アレルギー疾患の診断が非常に重要なわけでありますけども、 その診断をいかにするかというような事につきまして、その原因、アレルゲンの特定の 手法をどうするかとか。あるいは疾患そのものの診断をどうするかという事に関しまし ての研究というのが、やはり今後十分やってかなければいけないというふうに考えてま す。特にここにありますけれども、2番目の薬物アレルギー、アナフィラキシー等があ るわけでありますけれども、この薬物アレルギーに関しての原因薬物の診断というのは 現在非常に難しいということがありまして、現在薬物アレルギーの原因薬物を診断する 際にはあくまで状況証拠しかありませんので、例えば10種類の薬剤を使ってアレルギ ー、アナフィラキシーを起こした場合にはその10種類全てが被疑薬になりまして、実際 には1薬剤が原因であったとしてもですね、その他の9薬剤がある意味では無実の罪を きせられてるような格好で、その治療に使えないと言うことがありまして、アレルギー という視点だけではなくて各種疾患に対する適正な治療をするためにも、この薬物アレ ルギー、アナフィラキシーの原因薬剤の特定法というのは今後日常診療におきましても あるいは研究面でもやってかければいけないというふうに考えられると思います。  それからあと、環境アレルゲンという事でこの(3)にありますけれども、特にこの中 の2番目ですが、発症・増悪への環境アレルゲン量の影響とモニタリング法の確立普及 という事でありますけれども、環境アレルゲン、例えば花粉症であれば花粉であります し、その他喘息等でありますとダニ等が非常に重要でありますしペットが重要であるわ けでありますけれども、その原因アレルゲンの特定というのは必ずしも簡単ではないと いう事。そしてそういう疾患の治療の場合に現在は薬物治療が非常に先行しているわけ でありますけれども、こういうアレルギー疾患というのはやはり原則としましては暴露 アレルゲン量を減らすというのが大原則であるというふうに考えます。暴露アレルゲン を減らすという事によって薬物による思いもよらない副作用等が防ぐことも可能になる ということでありますし、あるいは医療費の削減にもつながるという事だと思いますけ れども、現在環境中のアレルゲンの測定法というのがかなり確立してきておりますけれ ども、まだまだ保険収載といいますか診療報酬等の中には組み入れられておりませんの で今後そういうものに関しての診療の面からもですね、確立あるいはそういう保険等で のカバーするというような、医療経済学的な面からの検討も必要であるというふうに考 えております。  それからこの診断の面から言いますと「早期診断法の確立」という事がありますけれ ども、早期診断というのは早期治療につながる非常に重要な項目でありまして、早期治 療、早期介入をすることによって各種アレルギー疾患が良くなる、予後が改善されると いうことが言われてきて、わかってきております。そのためにもこの早期診断法という ものをぜひ今後研究と言う面で取り上げていって確立しなければいけないというふうに 考えるわけであります。それから、ここにあとは「予後調査の実施、予後の予知診断法 の確立」は先ほどから申しておりますけれども、そういう疫学的な意味も含めましてそ ういう調査体制を研究と言う面だけではなくて、ある意味では行政と言う面からもやは り確立していく必要があると思います。  特にこういう疫学調査というのはなかなかやはり行政の援助がなければ出来ないとい う面もあると思いますので、そういう事についての検討も必要だというふうに思いま す。治療に関してでありますけれども、治療に関しましてはアレルギー疾患におきまし ては、現在アレルギー性の炎症というのがアレルギー疾患の最も重要な病態であるとい うふうに言われておりますが、その炎症をとるための抗炎症薬という事で主にステロイ ド薬が使われるわけでありますけれども、これらの効果というのは非常に明らかになっ ておりまして、この喘息におきましては吸入ステロイドを使うことによりまして,喘息 死の減少あるいは救急外来への受診の減少、入院の減少、まあ入院の減少が病院経営に とっていいかどうかはまた別問題にはなってきておりますけれども、少なくとも患者さ んにとりましては、そういう意味で非常にQOLの改善にもつながっているという事が あります。このステロイド薬をいかに上手に使うかあるいは普及させるかという事があ るわけですが、その中での効果とあと限界というのが段々見えてきておる面もありま す。そういう事で効果と限界を検証するという事が必要になってくるわけであります。  まず1つは早期介入の効果と長期予後との関連との解明という事ですが、早期介入で 短期的には非常に効果があるという事は良くわかっておりますが、長期予後にどういう 影響を与えるかというような事はまだまだ検討が必要であると思われますし、それから こういう薬剤をいつまで使うかという形での中止規準の確立がまだ十分できてないとい う事があります。こういう事につきましても現在一般臨床におきましても、あるいは厚 生労働科学研究の中でも検討されてる面ではないかと思います。それから後は当然なが ら長期使用によります副作用とかその予防法の確立という事につきましても、日常診療 におきまして重要でありますし、これも検討していかなければいけないと思います。  (1)としましては「免疫療法の確立と効果の検証」という事でありますが、これは先 ほど高岡さんのほうからお話ありましたけども、特に花粉症におきましては現在免疫療 法という事でいわゆる一般的な、これまで行われてきた減感作療法というものがありま す。この減感作療法が最近かなり下火になってきているというものの理由には1つには 薬物療法が非常に進歩してきたという事もありますけれども、我が国におきましては減 感作療法に使用可能なアレルゲン即ち抗原の抽出液ですけれども、それが非常に少ない と。海外に比べまして非常に我が国において使えるアレルゲンが少ないという問題があ りまして、これにつきましては今後いわゆる製薬メーカーさんとの関連とかあるいは海 外のいろいろな輸入等に関してのある意味では行政的な面もあると思いますけれども、 これらについての検討が必要で拡大が必要であるというふうに考えます。  免疫療法に関しましては、先ほどありましたけれども、我々のセンターと、理化学研 究所との共同研究等で今開発してる途中でありますいわゆる花粉ワクチンの研究があり ますが、これについては現在まだ前臨床の段階でありますけれども、現在使える免疫療 法としましては千葉大等でかなり進んでやっております経口あるいは舌下減感作療法等 のあらたな投与経路を用いた減感作療法等についての研究が進んでおりますし、それら がそう遠からず日常診療に使えるようになるというふうに考えるわけであります。それ からあと治療に関しましては、リウマチのほうでは既にかなり進んでおりますいわゆる 生物製剤につきまして、アレルギー疾患におきましてもいろいろな坑サイトカイン抗体 とか、サイトカインレセプター抗体等につきましての研究等が行われてきておりまし て、一部現在治験の段階にもなっているわけであります。  そういう事で生物製剤の有効性と副作用についての知見の集積と、さらに新しい生物 製剤の開発が今後の研究の課題となっていると思います。それから後は薬剤即ち現在手 に入る薬剤に関してでありますけれども、いわゆる適材適所に薬剤を使うという事は非 常に重要なわけでありまして、現時点では非常に間口の広い薬剤としてのステロイド薬 とか、あるいは喘息で言いますと気管支拡張薬はありますけれども、いわゆる坑アレル ギー薬と称される薬剤に関しましては間口は狭いわけではありますけれども、適材適所 に当たった場合に非常に良く効く薬というのがあります。そういうものにつきまして は、最近よく言われておりますテーラーメイド治療と言いますかそういう事ができるよ うな形で、いわゆるどういう患者さんに適応ができるかという事についての、検討が必 要だと思います。特に最近ファーマコジェノミクスという事が言われておりますけれど も、そういうようなものが実際の日常診療で使えるような形でできるようになればいい というふうに考えられるわけであります。  後はやはり新規薬剤としましては先ほどのhygieue hypothesisでもありましたけれど も、いわゆる現在言われておりますアレルギー疾患がTh2疾患、それから感染性疾患 がTh1疾患と言われているようなことで、アレルギー疾患ではTh2が優位になってる と。そのTh2の優位を下げることが今後のアレルギー疾患の治療で重要であるという Th2、Th1のバランスセオリーというものがあるわけでありますけれども、それら Th1優位をもたらす薬剤の開発というのが今後なされていくのではないかと思うし、 現在もされていると思います。それから代替医療という事で特にアトピー性皮膚炎等で 民間医療という事が非常に問題になっておりますけれども、このいわゆる代替医療に関 しましてもネガティブの面だけではなくてポジティブの面でもいろんな何て言いますか 審査できるようなですね、そういうシステムが今後やはり我が国においても必要ではな いかというふうに考えるわけであります。  次に予防に関してでありますけれども、これまで予防と言いますと発症予防あるいは 増悪予防のうち主に増悪予防に関しましては薬物療法によってかなり進んできてるわけ でありますけれども、まだまだ発症予防というのは十分できてないわけであります。特 に現在厚生労働科学研究の中でも発症予防として胎内予防とあとは出生後の予防という ことが言われてきておりますけれども、これらについての研究はまだまだ今後やってい かなければいけない問題でありますし、そうすることによりまして、将来的には発症率 を下げることも可能になるわけであります。  後は日常生活上可能な増悪予防法の確立と普及というものが重要であるということに なるわけですけれども、これは実際に患者さんのいろいろな治療に対するコンプライア ンスというのがいつも問題になるわけでありますけれども、その社会的状況をよく考え た上でコンプライアンスをあげるような、その社会的な仕組みも含めました予防法とい うものを確立し普及していく必要があるのではないかというふうに考えるわけでありま す。  それからこの(3)と書いてあります喘息死、アナフィラキシーショック死の適切な予 防法の確立と言うことで、エピネフィリンの自己注射の適応疾患と許可用量の制限の解 除ということが書いてありますけれども、これに関しましては実はついこないだ新聞報 道でもあったわけですが、この適応疾患の拡大と許可用量が拡大するという事が示され ておりますので、この問題点はかなり改善してきていると思いますけれども、ただアナ フィラキシー、特にお子さんの食物アレルギーによるアナフィラキシーのショックで亡 くなるという方が少なからずおられるわけでありまして、そういう方たちに対してこの 予防薬としての自己注射エピネフィリンの自己注射というのがまだ保険は適応しており ませんけれども輸入が承認されまして、適応疾患として食物アレルギーが加えられたこ とがあります。しかしながら我が国におきましてはこういうインシュリンとかグロスホ ルモンなどの注射のように安定期に注射するわけではなくて、こういうアナフィラキシ ーショックになる、あるいはなる直前の注射という事、しかも子供さんという事があり ますのでご本人の注射だけでなくて周りの方の注射が必要になってくると。  そういう時に、例えば学校の先生とかあるいは養護の先生、あるいは周りの方が注射 することに対する法的な整備ができていないというのが我が国の問題点であります。ア メリカ等では「良きサマリア人の法律」というふうに伺っておりますけれども、いわゆ るそういう形で周りの方が注射をしてそのときに何かあった場合でも,何と言うか法律 で保護されるというような事があるそうでありますけれども、このアナフィラキシーに 対する特に自己注射の適応に関しましては社会的な法的な整備が今後必要になってくる というふうに考えるわけであります。  それからあとは環境アレルゲンに対する介入による発症・増悪予防法の確立に関しま しては先ほど申しましたけれども、環境アレルゲンに関しましてスギに関しましては、 現在やはりスギ花粉症の緊急対策の1つとしまして、アレルゲンの少ない花粉、あるい は花粉の少ないスギというようなものについて林野庁と私どももそれに関与しておりま すけれども、そういうような研究も進んでおりまして、かなり先の長い話ではあります けれども、そういう研究等によって環境中のアレルゲンを減らすことが可能になってく ると思いますし、あとはその環境中のアレルゲンをモニターすることによって環境整備 によって減らすと言う、特に小児喘息等に関しましての福音になるものではないかと思 います。  それから発症機序に関しましては、先ほどから申していますTh1、Th2のこと。あ るいはアレルギー疾患の好酸球に関する研究というのが現在もされておりますし、かな りいろいろな点がわかってきておりますけれども、今後に残された問題としましては特 に現在いわゆる遺伝子的な研究が進んでおりますけれども、発症関連遺伝子とか先ほど 申し上げました薬剤感受性遺伝子等についての検討が更に必要でありますけれども、ア レルギー疾患に関しましてはけして単一遺伝子疾患ではないという事で環境要因と遺伝 的要因が両方が関与しているという事で現時点では環境要因というものに対して力を注 いでいくというのが現実的な面ではないかと考えるわけであります。それから今ここに 研究テーマとして幾つかありますが、ここに書いてある通りでございます。  次に医療体制の分野という事でありますけれども、医療体制に関しましての現在の問 題点、今後の課題としましてはいわゆる先ほどから申し上げましたように小児アレルギ ー疾患と成人アレルギー疾患が表現型としては同様であっても、病態としてはかならず しも同様でないと。それから社会的な環境等が異なるという事もありますので、小児に 対する医療体制あるいは成人に対する医療体制というのを、ある程度分けて考える必要 もあるのかもしれないというような事があるわけであります。それから後は先ほど申し ています原因アレルゲン等からの、アレルギー疾患としてのアレルゲンの面からの対応 という事に関しましては先ほどの環境アレルゲンのモニタリング、そしてそれの環境整 備等に関する保険適用の問題というようなことがあるかと思います。それから3番目と しまして、例えば喘息の場合ですが、喘息診療体制の整備という事で喘息というのはい わゆる発作時の対応と慢性期のいわゆる長期間と言いますか、があるわけでありまし て、それらに対する任務分担と言いますかいわゆるこういう慢性疾患でなおかつ有症率 の高い疾患、アレルギー全般でありますけれども、に関しましては、いわゆる日常診療 とそういう発作時、あるいは何か救急時の診療それから特別ないろんな検査等が必要な 場合等に関しましての任務分担が必要だと。特にGPの方々達が日常的に安心して診療 できるような体制というものを作っていく必要があるというふうな事がありますので、 アレルギー疾患の診療体制の整備というのを考えていく必要があると思います。  救急体制の整備と言う点から言いますと、先ほどのアナフィラキシーもそうでありま すけれども、喘息等での救急車の数年前から救命救急士ができまして、かなりいろんな 事ができるようにはなっておりますけれども、いまだにやはり薬剤は使えないというよ うな事等がありますので、救急体制の整備というのは特にアレルギー疾患、アナフィラ キシーあるいは喘息等におきましては今後重要であろうということだと思います。それ から後は専門医の育成と必要性という事でありますが、これだけアレルギー疾患が増え てはおりますけれども、まだまだ専門医の先生の数が十分ではないというような事もあ ります。 それから専門医だけではなくて、先ほどの相談員の方々、今養成をしている わけですけれども、その相談員の方々がいろいろな患者さんあるいは家族から相談を受 ける際にまだまだ十分な人、あるいは能力といいいますか、という点につきましてやは りまだまだこれから広げていかなければいけないというようなことがありますので。そ ういう点から専門医あるいは専門相談員、あるいは専門の医療従事者の育成というのが 重要であろうという事があります。それから一般国民の方、患者さん等への情報提供の あり方、あるいは患者さんの教育方法等に関しまして、情報提供という事でいろいろな インターネットを用いた情報があるわけでありますけれども、それでもまだ十分ではな という面がありますので、いかに患者さんが受け入れやすい、あるいは一般の方が受け 入れやすい情報を提供するかという方法を考えなきゃいけないという事と、それから特 にこういうアレルギー疾患、先ほどの食物アナフィラキシーでも言いましたけれども、 一般国民の方へpublic education(公教育)というのもやはり十分していかなければい けないというふうに考えるわけであります。そういうような事で現在アレルギー疾患に おきまして問題となっている点、あるいは今後解決していかなければいけない課題等に ついてお話申し上げました。どうもありがとうございました。 ○水田委員長  秋山先生どうもありがとうございました。アレルギー疾患の現状と問題点、これから の対策などにつきまして大変詳しくお話いただきまして大変ありがとうございました。 この会でですね、その後いろいろ対策の方針とか、それから、そういうものを作ってい くために先ほど厚生労働省のほうでやられました論点整理という事で。していただきま した点と、それから今のお話につきまして、委員の方々さらにこれに加える事、論点整 理の中で加える事がございましたらご討議していただきたいと思います。いかがでしょ うか。はい、どうぞ。 ○越智委員  相模原病院の越智でございます。私自身はリウマチという事で出席させていただいて おりますけれども、施設といたしましてアレルギー・リウマチという事で、今秋山委員 がおっしゃったことに付け加えて言わせていただきますと、1つの非常に大きな政策的 な壁って言いますか、医療現場にとりまして政策的な壁。これはアレルギー、今アレル ギーが問題でございますが、リウマチも同じなんですけれども、やはり先端的あるいは 社会的に非常に強く求められるような医療を高いレベルで、そして専門的にやろうとし ました時に医療費どうしても赤字になるんですね。現在の独立行政法人という事でなっ ておりますので、研究のスタッフに関しましてはある程度国費から支給される。でもそ れは徐々に減ることにはなっておりますけれども。  やはり当初アレルギー、リウマチというのは政策医療という中で国のナショナルセン ターになるのかなということで並んでおりましたら、ちょうど相模原のところからナシ ョナルセンターに乗り遅れまして独立行政法人だと。でもよくお聞きしますと、ナショ ナルセンターの可能性というのは全く消えたわけではないということでございまして、 高いレベルの医療をどうあるべきかということを一番良い形で追求されるためには、す ぐではございませんけれども、ナショナルセンターへ移行するという可能性は続けてい ただきながら、その方向で検討を続けていただきたいということを、今のアレルギーの 秋山委員のご発表に付け加えさせていただきたいと思います。 ○横田委員  今小児の問題を取り上げていただいて、大変ありがたかったのですが、小児の側に身 を置く者から見ますと、今回のように行政と学会、あるいはその専門医との連携の他に もう1つ、子どもが突然悪くなったりすることをもろにかぶるのは、実は家族なんです ね。それからお金払うのも家族でございまして、うまく子どもさんのコントロールがで きている病院とか地域というのは、基本的に非常に良好な関係を家族の会、それからも う1つは中核となる病院とホームドクターと言いますか、プラマリーケアの先生たちと の間で取れてることがしばしば見れます。したがって行政と学会との連携、そういうも のともう1つは小児においては家族、親の会との連携という視点も必要かなというふう に思いました。 ○山本(昇)委員  今の横田委員のお話しとオーバーラップするところがあるかもしれませんが、私は皮 膚科医ですのでアトピー性皮膚炎で経験することですが、関連する部署が異なると物事 を実行するうえで必ずしも連携がスムーズでないことが多々あるようです。例えば、先 ほど秋山先生から紹介していただきましたが、私達は平成14年度まで3年間厚生労働省 の研究課題でアトピー性皮膚炎の疫学調査を実施しました。ご存じのようにアトピー性 皮膚炎は乳幼児期、学童期に多くみられますが、厚生労働省の課題で調査をするにあた っては文部科学省が所轄の学校では当時は協力が得られ難い面もありました。また、厚 生労働省以外に文部科学省、環境省などもアレルギー疾患に関する調査研究が進行して いるようですが、それらの相互の連携については十分とは言い難いように思われます。 さらに、世間への情報提供の面でも、例えば厚生労働省では研修会等で各県の相談員の 養成が行なわれていますが、本日いただいた資料にもみられますように、他の団体たと えば日本アレルギー学会あるいは日本アレルギー協会など同じ目的をもつ団体との連携 も十分とは言えません。  しかし、それぞれの団体と話をしてみますと、どの団体も同じ目的の政策や行事に関 しては連携を強く望まれているようです。しかし、その方法が分からないのが現状で、 その連携の具体的な方法が提示されれば、それぞれの目的達成への効果は相乗的に高ま り、延いては患者様のQOLの向上に直結するのではないかと思っています。 ○水田委員長  ありがとうございました。是非そういう面でもやっていかなければいけないと思いま す。きょうは対策どうこうではなくていろいろな案を出していただいて次の検討につな げていきたいと思いますので、ちゃんと記録して整理させていただきたいと思っており ます。他にございませんでしょうか。確かに各県のあれがまだ温度差がございますね。 先ほどの数とか見てみますと全然動いていないというところがあるような気もいたしま すね。他にございませんでしょうか。 ○西岡委員  今委員長がおっしゃいましたけれども、各自治体、あるいは県の取り組みですね、相 談員等が今はあまり多くないということですが、私たちは厚労省の疾病対策課が所轄す るリウマチ財団という公益法人があります。そこで「ケアの会」を毎年各県でずっとや っています。そこに保健師、看護師、それから医学療法士が入ってきまして、非常に活 発にやっており、そういう方たちが実際の相談員をしてます。  年間大体3000名ぐらいの方が毎年各地で研修会に参加しています。それからもう1つ 先ほど山本委員がおっしゃいましたけれども、病診連携の問題ですけれども、これもや はり日本リウマチ財団に登録制度というのがあります。今4000名登録されており、その うちの2000名が開業医、第一線の先生方で構成されています。地域関係医療でリウマチ と治療ネットの分野で大きな貢献をしていますことを、私は当財団の常務理事という立 場もございますので、付け加えさせていただきます。 ○秋山委員  アレルギーのほうから言いますと、リウマチ財団に相当すると思いますけれども、今 アレルギー協会というのがありまして、アレルギー学会というのはいわゆるアカデミッ クなほうが主体だと思いますけれども、アレルギー協会というのは実際に患者さんある いは一般の方に対する啓発という事業でございまして、そこでは毎年アレルギー週間と いうのが2月の石坂先生がIgEの発見を学会で報告した日をはさんだ1週間をアレル ギー週間としまして、全国でアレルギー疾患に関する啓発活動ということで一般の患者 さんであったり一般の方であったりあるいは医療従事者に対する啓発活動をやって、日 常的にもアレルギー協会のほうでやっております。  それからあとアレルギーという視点からしますと、例えば幾つかいろいろな財団法人 とか例えば環境再生保全機構がぜんそくに関する小児、成人に対してのいろいろなパン フレット等を作ったり、あるいはそれの研修会等をやったりとか、やはり民間といいま すか、半官といいますか、そのようなところはかなりいろいろなことをやってると思い ますし、あるいは患者会の方たちが中心になったいろいろな啓発活動をそれぞれでやっ ていますけれども、相談員に関しましては、私ども実際に相談員の研修会の講師で行く のですが、かなり一人の方にリウマチ、ぜんそく、成人、小児それからアトピー性皮膚 炎、花粉症、食物アレルギーを3日間でばっと教育するのですが、それが果たしてその 人たちが消化しているかという問題と、各施設に帰ってそれがそこからさらに伝達講習 というのか、他の方たちに広めるということができているか、その辺の検証を是非今後 やっていただきたいと思います。やはり一人で4つというのは我々がリウマチのことを 詳しく聞いても覚えてられないのと同じで、大変ではないかと思いますので、その辺も っと考えたほうがいいのかなという気がします。 ○山本(昇)委員  先ほどの話しに少し付け加えますと、私は日本アレルギー協会の関連で医師への情報 提供や患者様の相談会に関わることがあります。その様な機会に例えば厚生労働省の研 修を受講された自治体の相談員の方々も何度か参加して医師と共同でそのような行事を 行ないますと、実によい実習になるのではないかと思います。しかし、現実には目的、 事業内容が同様であっても行なう組織体が異なると協同で行なうことは、なかなか容易 ではないところがあります。自治体などとスムーズに協同することができれば、格段に 効率的に患者様への情報提供が可能になるのではと思います。 ○山本(一)委員  ちょっとよろしいですか。先ほどから相談員のことで、少し数的なことの議論があっ たと思うのですが、実際にその相談員の方が、患者さんがいらした時に、どういうこと をアドバイスしているかという質的なことも重要です。ですから何をお話するかという ことを含めた質的なサーベイをしていただかないと、どの程度の役割を相談員にお願い するかということも議論したほうがいいのかなという気がしました。 ○水田委員長  貴重な意見ありがとうございました。それをまとめさせてまた整理させていただきま して、この論点にしたがって作っていきたいと思います。それでは次にリウマチケンの 対策研究及び医療の原点と問題点につきまして、まず事務局より問題点の論点を整理し ていただきたいと思います。 ○事務局  それでは事務局より資料13.リウマチ対策論点整理の案についてご説明申し上げま す。こちらも先ほどのアレルギー対策論点整理の案と同様のフレームで作成されており ます。  第1にリウマチ対策の基本的方向性といたしまして、今までの関節リウマチ対策につ いてどのように評価するか。また今後関節リウマチを克服するためには、どのような基 本的方向性を持っていくべきかということをご議論いただきたいと存じます。  第2に研究の推進でございますけれども、効果的かつ効率的な研究推進体制の構築と 今後重点化すべき研究分野ということでございまして、関節リウマチの研究の状況はど うなっているのか。研究目標に基づいた戦略的な研究がなされているか。現在の問題点 にあった適切な公募課題が設定されているか。研究課題の評価システムは十分に機能し ていると言えるか、問題点は何か、どのように対応すべきか。今後重点化すべき研究分 野といたしましては、目標設定をして戦略的に研究を推進していくためには今後どのよ うな分野を重点化しその優先順位をどのように考えていくのか。重症化防止のためにど のような研究を行っていくべきか。将来的に関節リウマチ克服を目標とするならば、ど のような研究戦略を考えるべきか。  第3に医薬品の開発促進等でございますが、厚生労働省における研究と医薬品開発と の連携は十分行われているか。連携を進める上でどのような課題が考えられ、どのよう に解決すべきか。  第4に医療提供体制の整備でございますが、医療提供体制と人材育成に関しまして、 関節リウマチに応じた適切な医療体制が確保されているのか。その際地域においては医 療体制を体系立てて計画的に整理すること等によって、その確保に努めるべきではない か。具体的にどのような医療体制を取れば良いか。在宅医療に求められることは何か。 地域におけるリハビリテーション体制はどのように考えるべきか。人材育成に関しまし ては、適切な医療が確保されるよう、医療従事者、医学生等に対してどのような取り組 みを行っていくべきか。  第5ですけれども、患者QOLの向上と自立等。患者が疾患を自己管理するためには どのような教育等の支援が必要か。患者のQOLを向上させるためにどのように自立支 援を図っていくのか。  第6.情報提供、相談体制ですが、情報提供の体制整備といたしましては、現在リウ マチに関する情報提供の内容及び提供手法は適切か。適切でないとすればその理由は何 か。正しい情報をどのように提供していくべきか。住民に身近な市町村の役割は大きい と考えるが、市町村、都道府県、国各々どのような役割分担で対応すべきか。相談体制 の整備ですけれども、患者及びその家族がリウマチについて相談できる窓口の設置状況 は十分か。窓口の設置はどのような体制が効果的か。都道府県に限らず市町村での対応 は困難か。どのような相談対応がよいか。リウマチ患者に対してどのような相談を実施 すべきか。リウマチ相談員はどのように養成すべきか。  第7といたしましては、関係機関との連携でございます。国や都道府県がリウマチ対 策を推進していく上でどのような機関と連携すべきか。また連携機関にどのような役割 を求めて行くのか。  最後に本対策の見直しは何年毎に必要かというのが、その他でございます。以上が論 点整理の案ということでございます。 ○水田委員長  ありがとうございました。このことに関する議論に先立って越智委員よりリウマチ対 策研究及び医療の現状と問題点についてご説明いただきます。 ○越智委員  30分ということでまとめさせていただきますが、基本的には私が用意させていただき ましたこの資料の大半が厚生省で作られた資料の見直しということで、これを使いなが ら見直させていただく。それから後ろの5枚はいろいろなところからと言いますか、私 がまとめたものと、それから後ろから3枚が私がまとめたもの。それから後ろから4枚 目は国立病院の寄稿の中から取ってきたものであります。それから後ろから5枚目はこ の中間報告を作っております段階でいわゆる診療体制に関しましては公的な委員会から 少し外れまして日本リウマチ学会、日本リウマチ財団そして日本整形外科学会の代表そ してその中には開業医のかかりつけ医の先生も含むという体制で、当時平成8年から9 年にかけてこうあるべきだという医療体制をまとめさせていただいたものであります。  その前まで、後ろから6枚目までが公衆衛生審議会、リウマチ専門医部会8月29日の 中間報告でございまして、ちょうど後ろから6枚目のところ、この中間報告の一番最後 のページにあたる部分ですけれども、当時のこの中間報告の段階での委員の名前が書い てありまして、現在のこの委員会の中で私を含めまして3名が当時の委員でございまし て、流れを良くこれにそって観察をしながらリウマチ学会の理事会といたしまして、ま だ財団の理事といたしまして進めてきたということでこれが1つの流れをご説明する一 番いい資料かと思いまして使わせていただきます。  この公衆衛生審議会のこの中間報告のものでございますが、まず開きましたページ、 始めにということがございますが、下から約4分の1ぐらいのところです、このためリ ウマチに関すると書いてありますが、このためリウマチに関する医療水準の確保向上を 目的としたリウマチ対策のあり方を早急に検討するため、平成8年10月に公衆衛生審議 会、成人病、難病対策部会におきまして、このリウマチ対策専門委員会の設置が決めら れて、この年の平成8年の12月から、この審議会が、専門委員会が4回開かれたという ことのまとめでございます。  以後、この内容に沿いながら政策的なリウマチの対策が促され、また実際アクティブ に施行されてきた部分がございますし、我々もこの中間報告を1つの大きなよりどころ としながら進めてきたということでございます。ちなみにこのリウマチと言いました場 合に、この1ページ、始めにのところから5行目のところ、第2番目のパラグラフにあ りますけど、リウマチという言葉は関節リウマチだけでなくて、いろんな関連疾患、多 くの疾患を含む幅広い概念でございまいして、こうげん病も含めましてのリウマチとい う対策であるというのが現在のリウマチという形で出席させていただいております委員 を含めましてこのようなものだと理解しております。  それからその次のページから流れが書いてございますが、いろんな流れの中で非常に 大きな1つの区切れがこの3枚目の紙にリウマチ対策現状と課題、これは平成9年当時 のものでございますが、この部分のリウマチ対策の歩み、4行目にあります。この平成 8年9月の医療法施行令の改正によって、リウマチ科が追加されたと。これ自由評価で ございますが、これは1つの大きな節目でございまして、これ以後かかりつけ医の先生 方を含めましての、非常に患者さんのアクセスがいいリウマチ診療が行われるようにな ったと、そしてそれが潤沢に進むようにいろいろな学会、財団そして当然行政もそうで すが、進めてきたということでございます。  いろいろな項目がございますが、この中間報告にしたがってご説明させていただきま すと、調査研究というのが第2番目の項目にございます。この調査研究の流れ。これは ここにございますように昭和47年に始まったということ。それから全体の研究だけでな くて、全体の流れが今のこの中間報告の中の後ろから、2枚目3枚目は研究の歩みにな っておりますが、その前ですね、図2というのがございます。リウマチ性疾患の病態と 今後の対策の方向性というところの図がございますが、この図はしばしば参照させてい ただきたいと思いますが、調査研究に関しましても最初は昭和47年に始まった時はいわ ゆる希少疾患ですね、こうげん病の中でも希少疾患。  例えば各施設では研究援助が足らないというようなものに対しまして、研究班を作っ ていろいろな希少疾患の研究が行われるというのが基本的方針であったということで、 それからそこの行にありますように、平成2年、今度はもう少し患者数が大きいものと いうことで、関節リウマチを中心にしましたリウマチ調査研究事業が開始された。その 後ろの図でいきましたら、最初はこうげん病、10万人。その中でもかなり希少なものに 的を絞られていたけれども、平成2年からは関節リウマチに的を絞ったことでオペレー ションが多いというような方針に切り替えられていったと。そして以後調査研究に関し ましては、平成2年がリウマチ調査研究事業という形で進められまして、この時の研究 費が8500万円。徐々に厚生労働省のご努力によりまして研究費が増えているというのは 先ほどの資料の中にあったようなものでございます。  その後平成8年には医薬品機構の中の1つの分野、リウマチは1課題またはそれ以下 ということで、1つぐらいは入ってもいいよということで入っております。それまで現 在までのところで2課題が重なっては入っておりませんが、1課題が入りまたしばらく おきまして1課題が入って、リウマチ調査研究事業、医薬品フサイヨ機構の大型研究に も取り入れていただいたと。  あと平成9年以後この先端的厚生科学研究ということで、以後研究が続いているわけ ですが、この少し後ろ、この調査研究の推進、これは今のページをあと3枚めくってい ただきましたら、今後のリウマチ対策のあり方についてというのがございます。平成9 年のことでございますので、今後でありますからその後の流れということになります が、平成9年段階では調査研究の推進を緊急性を要する研究と、それから中長期的なも の、それから研究基盤の整備というような形で分けまして、この平成9年当時、とりあ えずすぐに厚生科学研究として取り扱うべき研究というのが、緊急性を要する重点研究 ということで、予防の研究、関節の破壊の防止、QOL、ADLと。早期診断、早期治 療。新薬医療技術の開発等、効果的な治療法に関する研究。この辺りに重点を置いた厚 生科学研究が進められました。かなり高いレベルの成果が得られたと思います。今のこ の資料の中で少し後ろのほう見ていただきましたら、お手元の資料の後ろから3枚です ね、これが実際以上調査研究の流れがこのようなものであったということであります。  1990年に、これが平成2年でございますが、リウマチ調査研究事業が始まったと。こ のような項目で始まってきたわけでございますが、あとずっと流れがございまして、医 薬品機構のものがあり、そして、3枚目になりましたら、この3年間の調査研究の事業 の内容がございます。研究費が増えたので、いろいろな研究テーマが増えたという喜ば しい見方もできますが、最初のころ割合整然とお互いの連絡を取りながらやっていたの が、少し課題が重なってきたのかなというような懸念がありますのが1つ。  それから、特に後ろの3枚、2002年からのところで、変形性関節症というのが加わっ ておりますが、先ほどの図でこうげん病、そして人数の多い慢性関節病。当時ですから 慢性がついております。関節リウマチ50万人という研究対象して、その後この図の波線 がございまして、波線でいきながらもっと人数の多い一般的な疾患のポピュレーショ ン、1000万人にも及ぶ変形性関節症。ですから関節リウマチの問題をこの段階で、10年 あるいは20年で仕上げまして、そして次には関節リウマチほど重症にならないけれど も、高齢者を含めまして、少し破壊の程度が低いけれどもポピュレーションが多いとい う、現実的な変形性関節症あるいは骨粗鬆症とそういう方向に移行していくであろう と、これが平成9年に決められました方向性でございまして、その意味でこの2002年か らのものの中に、変形性関節症というのが加わり出したというものでございます。  この3枚目の厚生科学2002年から2004年のところに大きく分けまして3つの固まりに 書いております。それぞれの固まり、例えば2004年を見ますと免疫抑制療法。山本一彦 委員でございます。それからその2番目の固まりが先端的治療、西岡委員でございま す。そしてリウマチの骨粗鬆症、私でございますが、それぞれ免疫医療ということでの 包括的に見ようと、それから先端的医療ということで見ようと。そして3番目は骨関節 破壊という方向で見ようという形の包括的な方針を決めながらこのような研究班が組ま れ、進められているのが現状ということでございます。  そして平成9年の今後のあり方をもう一度振り返りました時に、中間報告の3番目、 今後リウマチ対策のあり方、これ研究でございますが、予防対策あるいは関節破壊の防 止対策、QOL、ADLの対策などはかなり進められたと。  ただやはり今残ってきておりますのが、重症化を予防できないのか、軽症な方につい てのコントロールがかなりできるようになったと、先端的な薬物が次々と開発されまし て、病院、病態特に免疫関係の病態研究の発達した成果でございますが、生物学的製剤 始め先端的な治療薬が出てきたと。そしてとりあえず重症以外のものに関しましては非 常にうまくコントロールでき、ADLが改善できるようになったのではないかと。これ を監視する医療体制が重要でございますけれども、達成度としては1つ達成であると。 それから関節破壊防止に関しましても、これも免疫に比べましたら少し遅れた進捗でご ざいますが、いろいろな角度から研究が進められ、またこれに対する予防としましては 人工関節などの開発もどんどん進められまして、寝たきりがいなくなったと。従来リウ マチと言いますのは、診断がつけば寝たきりあるいは車椅子を想定しまして顔が青くな ったというのが現状でございましたが、現在非常に重症に進みましても関節機能の再建 ということで寝たきりはいなくなったと。  そのような経過で成果を挙げておりますけれども、やはりリウマチ全体の30%あるい は40%が重症化に進む患者さんがおりますので、いくら先端的な薬を使いましてもやは り飲んでスポンダという形で非常に重篤なADL障害の方が出てまいりますので、この ような重症化をどのように抑えるのかと。これは1つの大きな目標でございまして、さ らにこれは根治に向かいます基礎的研究を進め、重症化抑制の次には根治に向かうべき ということで、かなり着実な研究が進められているというのが現状でございます。  それでもう一度この中間報告の前、今研究のことを述べさせていただきましたが、次 が医療提供体制でございます。今の中間報告の、表紙を入れまして4枚目でございます が、3番の医療提供の体制と。これは昭和61年2月に日本リウマチ学会で登録医制度が 制定され、これが62年11月からは日本リウマチ財団に移管されて登録医制度ができてい る。これ先ほど西岡委員から少し触れられた問題でございます。この当時2750人と書い てありますが、現在は3000名を超えていると。リウマチ学会の認定施設、そして指導 医、認定医合わせましてリウマチ学会のほうでも、認定医、これが最近ですが報告でき る専門医ということで3000名余りが専門医になっております。  それから日本整形外科学会の認定リウマチ制度。この当時3000名余りでございました が、現在も3000名余りということで、もちろん重なって資格を取っている人もございま すが、提供体制、現場のかかりつけ医、あるいは研究を施行する人も含めましてかなり 十分な人数が確保できております。  ただこの時の医療提供体制の少し下のほうに医療施設間の情報交換やリウマチ情報交 換の普及は不充分であるということが書いてあります。これは今お手元の資料にありま す、中間報告の名簿の次にありますのが、提供体制のことについての図であります。こ れは中間報告のこの当時の審議会、リウマチ専門委員会をあるところまで進みましたと ころで、一旦休会をしまして、これは厚生労働省の公式のものではありませんというこ とを言いながら、日本リウマチ学会、日本リウマチ財団そして日本整形外科学会からの 代表、先ほど申しましたようにかかりつけ医の代表も含めまして、提供体制どうあるべ きかということを図式化したものでございます。リウマチ病の患者さんに対しての日常 診療がかかりつけ医であると。これは厚生労働省の施策の中で非常にうまくいってい る、さらにこのような方向で進んでいると思います。遠いところまでADLの悪い患者 さんがやってくるのではなくて、アクセスの良い、二次医療圏の中でかかりつけ医を見 出す。これが当時ディスカッションされた問題であり、本当にうまくいくのかなと言っ ておりましたけれども、現在では着実にその方向で進んでいるということだと思いま す。  ただ、医療提供体制のNo.3のところに書いてございますように、医療施設間の情報 交換、リウマチ施設間の情報交換が不十分ではないかと。  この今の診療体制の絵の中で、Aかかりつけ医対B、C、D二次医療圏、都市、都道 府県ナショナルセンターということでございますが、このようなことに関しましていわ ゆる国の体制としましては独立行政法人化する前の国立の体制といたしましては、この 資料の今ご覧いただいております、提供体制の次のページにあります、上に免疫異常、 相模原病院が大きな丸になってまして、高度専門医療施設、その次に基幹医療施設とし て、北海道と東北は別。北海道、東北、関東、信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、 九州それぞれに基幹医療施設が置かれましてそのまたネットワークの下に医療専門施 設。これが徐々に増えてきておりますけれども、国立といたしましては、そのようなネ ットワークを作りながら、間の情報交換な施設を作りながらネットワークを作っておる わけでございます。  国立だけでカバーできるわけではないというようなことで、現在かかりつけ医の体制 に関しまして、この体制図のB、C、Dにあるところでございますが、中央自治体の病 院、あるいは民間の病院の中でそれなりのレベルの高い医療が行われるところを1つの センター的なものにしながらやはり国立だけでなくもう少し広く医療支援体制というも のが必要であろうというようなことが診療現場から出ております。1つの問題だと思い ます。  それからDにありますナショナルセンター、これは先ほどアレルギーの時少し申しま したけれども、やはりナショナルではなくて独法化ということになりますと、現在の例 えば包括医療進んだりしている中で、先端的な先進医療をやればという患者さんが事実 上自分のところではできなくなるということもございまして、やはり一番、支援センタ ーといたしましては、本当に重症の患者に対しましていわゆる収益を超えて治療ができ るような体制ということも含めましてのナショナルセンター的な可能性というのは引き 続きご検討を要請及び政府にお願いするものであります。  それから診療体制図でございますが、右のほうは訪問看護在宅ケア、在宅リハという のがございます。その関連というのがどうであるのか、徐々にかかりつけ医の先生方の ご努力によりまして、内容的には進んでおりますけれども、やはり1つの体制としても う少し訪問看護在宅リハ、在宅ケア含めましての日常診療の体制というのが整備された 方が患者さんのADL、QOLにはいいであろうというのが現場のドクターからの声で ございます。そして訪問看護在宅ケア、在宅リハの下に丸で地域の情報というのがござ います。  今話題になっておりました、4疾患指導員というのはこの辺りでも1つの役目を果た されまして、何かいろいろなご相談が来ましたら地域、患者さんあるいは家族、友人か らの相談が来ました時に4疾患指導員が対応できるという意味では非常に高いレベルの 意味を持っていられるのだなと思いますが、1つの県に最大5名とか6名では、またそ れも4疾患全部というのではキャパシティを超えるのではないかなと。でも徐々にその ように行くのかなと思っておりますが、さらに地域ということを考えました時に例えば 内科のリウマチ医の先生が見ておられまして、整形ができる治療が必要になった。どこ に紹介すればとっていただけるか、そのことがごく近い地域ではよくわからないという こともありまして、このような情報をどうするのか、この右にあります医師会保健制と いうのは医師会がそういうネットワークを作るべきなのか、あるいは地域の保健所にネ ットワークの先端をおくのかというようなことが平成9年にディスカッションされクエ スチョンマークを付けましたけれども、やはり今でもその状態は続いていると。  ですからいろいろな先端的な大きな診療体制というだけでなくて、各地域におきまし ての実際の目の前におられます患者さんに対しましての対応のネットワークというのも 非常に重要な問題ではないかと考えております。それからこの3番 提供体制の下のほ うに、下から3行目でございますが、診療指針ガイドラインが日本リウマチ財団から各 地のリウマチに配布されたと。これはちょうど平成8年に表簿の許可がなされたという ことで標準的治療ということでガイドラインが作られましたが、その後患者さんと医 師、現場の情報の共有ということがございまして、共有できるようなあまりばらつきの ない基本的情報ということでEBMに基づきます診療ガイドライン、治療ガイドライ ン。これが日本リウマチ財団から出版されておりますが、患者さんにも同内容の物を持 ってもらって同じ情報でもってディスカッションできるようにというのが厚生労働省の 指針でございまして、現在リウマチに関係しましては患者さん対応の、患者さんに読ん でいただくような形の出版物、用意しておりまして、数ヶ月以内には出版される予定で ございまして、一応ここの項目に関しては何とか達成できるのかなと思っております。 その中でいわゆる情報の交換、そして治療内容に関しましての、良い意味での患者、医 師の協力体制ということができると考えております。  それからこの中間報告に沿いますと、福祉制度。これは時の流れによりまして、また 庁、自治体のご努力も大きなものがございまして、徐々に進んでおりますが、かなりこ の当時に比べましたら進んでおります。これは1つのすでに決められ施行されておりま すものでございまして、次に進ませていただきます。  それから医療従事者の研修でございますが、ここにはケアの実施研修会。実際、医療 現場で助けていただきます、高メディカルの方々の研修会も財団単位でやっております が、専門医の教育。これは残念ながら大学でのリウマチ学講座というのはいわゆる定数 の問題で、公務員の定数化あるいは各施設でのいろいろな問題、職員定数の制限がござ いまして、リウマチ学講座の新設というのは広がっていないということがございます が、1つ残念なことではございます。それなりにリウマチ財団、リウマチ学会でいわゆ る専門医制度あるいは登録医制度の中でそれぞれの教育を進めているというのが現状で ございます。  その次のページになりますと、これは修学的医療ということで各科の協力した診療体 制ということでございまして、これは情報の共有化あるいは情報交換も含めまして、先 ほど申しましたいわゆるかかりつけ医対いろいろな診療施設とのネットワークという中 にも含まれるわけでございます。  今後のリウマチ対策のあり方については、研究に関しましては先ほど申し上げまし た。一番下から2行目にありますようにこの当時からも言われております、明確な戦略 的目標を設定し、目標を達成するための企画評価の重視ということで、評価委員の先生 方ご努力いただいておりますが、だんだんかなり的を絞って、次の高いレベルの目標へ と進める、そういう設定が必要かと考えております。  その次のページにまいりますと、この研究事業に関しましてはこの1番上のパラグラ フの一番下でございますが、役割分担と連携を図るために合同シンポジウムを開催する と。研究者間の交流を図る。これはリウマチに関しましては評価委員の発表会以外に 1、2週間遅れまして発表が、これはきょうご出席の西岡委員が一番世話係りになって 何年間も毎年続けられております。一応厚生労働省からの研究に関しましては公開をし ていろいろな方に聞いていただけるという形を取っております。  それから医療の確保に関しましては先ほど申しましたことが大体骨子でございます。 特にいろいろな施設間のネットワーク、それから国立以外におきましてもセンター的な ネットワークが構築されるほうが、もっとスムーズに進むのではないかというようなこ とでございます。福祉サービス、それから医療従事者の質の向上、これも先ほど少し触 れさせていただきましたが、専門医制度。特に報告できる専門医制度ということもござ いまして、日本医学会中心にかなりいろいろな研修制度に関しましての規定もございま して、それに沿って、またかかりつけ医に関しましてもまた別のことで、特に標準的医 療、そしてリハビリテーションあるいは看護ということも含めましての教育が、これは 財団でございますが、進められているのが現状でございます。何とかできているのでは ないかということでございます。  5番目、最後のページでございますが、情報網の整備。これがやはり現在広い情報が 必要だという反面、少し手薄であるというように考えております。  非常に走りながらのものでございますが、おおよその流れ及び現状がこのようなもの でございます。以上でございます。 ○水田委員長  詳しく説明して下さりありがとうございました。それでは今のお話を踏まえて先ほど の厚労省のほうから出されました骨子の案、整理メモの中で論点整理の中で、さらに付 け加えることがあれば委員の方々どうぞ。 ○西岡委員  ここ数年間のリウマチ先端治療薬の進歩というのは、今までの守りの医療から、攻撃 の医療と言いますか、要するに今までのリウマチの治療というのはどちらかと言えば骨 と関節の破壊をいかに遅らせるかというものでした。  例えば、5年間で進行するのを10年に遅らせるとか、どちらかというと非常に防御的 な治療だったのですが、最近の新しい生物学製剤等含めましての治療は、リウマチにお いて骨関節の破壊を阻止するというように非常にパラダイムが変わってきました。これ は非常に大きな成果であろうと思います。その結果どういうことが今後問題点になって くるかというと、いつも私ども財団の運営委員会等で、あるいは学会の理事会等で検討 しているのですが、1つは医薬品の開発促進等が進むのはいいのですが、その結果医療 費が膨大なものになる。  現在の生物学製剤を除く抗リウマチ間製剤の市場は大体300億から400億。それがその 生物学製剤が導入されますと一剤で600億ぐらいの市場になってしまい、3剤出れば 2000億くらいの市場にあっという間になってします訳です。実際に日本で使われていま すTNFの抗体ですけれども、やはり患者の負担は、保険で使えるのは月1回の使用料 でも30万近くなってしまい、高額医療の適用になりますが、7万ぐらいを患者さんが負 担しなくてはならない。ということは、その薬剤が骨と関節の破壊を予防しているとい うことのエビデンスを確実に求められる時代になると思います。つまりそれが担保にな らないとそれだけの医療費を出す、例えば今後治験に入っている薬剤が全部出ると、欧 米の場合を参考にしますと大体5倍くらいのトータル医療費が今後出て行くということ が考えられます。生物学的製剤は、実際に僕たちもその開発に携わっているのでよくわ かるのですが、作っていくプロセスが非常に複雑です。ですからコストが高くなるのは よくわかるのですが、それに見合うだけの効果という担保を確実にしなくてはいけない と思います。  2点ほど提案させていただきたいのですが、これまでリウマチ学会のほうで越智先生 を中心に市販後前例調査を数千例、それぞれの新しい薬についてはやっておりますけれ ども、まずこれをさらに充実する。欧米でもこれだけの大規模な市販後臨床研究調査と いうのはない段階ですから重要です。第2はこれらを医薬品評価、今の市販後臨床調 査、つまり第4相試験を徹底的に充実していただきたいというふうに考えます。  そのためには薬効評価をきちんとできるシステムですね。これは今後またリウマチ財 団等で検討を加えていますけれども、この研究班の委員会でもやはり第4相試験とそれ から薬の「確実に効いている」という薬効評価のシステムを、その第一線の先生方にき ちんとやっていただきたい。この2点が今後大きな問題になっていくのではないかと感 じます。 ○水田委員長  ありがとうございました。どうぞ。 ○横田委員  今越智先生のお話いただいたのですが、私が越智先生、西岡先生のもとで、子どもの リウマチについてやらせていただいています。子どもにリウマチがあるのかということ が依然として医療界の中でも言われるような時代にはあるのですが、1つは厚労省始め ちゃんとした疫学調査がこれまであまりなされていないということがございます。  先ほどの秋山委員のぜんそくとは全然違う状況にございます。そして平成12年に厚労 省の調査研究費いただいて、全国調査をいたしました。47都道府県のうち、21都道府県 と5政令都市を回って歩きました。足で調査するということで。そこでピックアップさ れました子どものリウマチは約8000例です。そして推計学から欧米の所見とか地域的な 特殊性を加えて積算をすると、恐らく日本に今2万人位子どもさんのリウマチがいるだ ろうということになっております。もう1つ問題を挙げますと、西岡委員からお話があ りましたように、リウマチの専門医が今3000人。学会員が8000人いるのですが、小児科 医であって2階建ての中でリウマチ専門医を採っている人がようやく30人という状況に あります。  しかもそれが横浜、東京そして鹿児島というところに集中しておりますので、地図を 書きますと全国ほとんど専門医がいないということになって、そのことがどういう意味 があるかというと、リウマチ医療に関しての地域格差が非常に拡大しているということ が言えます。小児リウマチ医が都市に集中していることがあるので、それこそ北海道、 沖縄から飛行機で患者さんが専門医のところに来ちゃうという事情で、ご家族の負担が 非常に大変な事情に陥っているということになります。先ほどお話ありましたように、 守りの医療から攻めの医療へと変わりつつある医療分野ですので、早期に炎症の抑制と いうことがアレルギーと同様に非常に重要な問題になります。  特に子どもさんは成長期にございますから、成長期の早い時点で骨が壊れちゃった、 関節が壊れちゃったでは育っていかないんですね。そういう意味で、早くに診断して、 早くに炎症を抑える専門医が必要である。今それを急に増やすわけにはいきませんの で、提案としましては全国に27カ所の子ども病院がございます。そして成育医療センタ ーを除いて残りの26カ所がほとんど県立なんですね。地域医療サービスということでこ の病院が置かれて、そして恐らく厚生労働省の方たちの視野にあまり入っていないと思 うんです。県立病院であるがゆえにですね。  そういう意味で厚生労働省と県立病院である子ども病院の連携といいますか、協働的 なサポートを是非お願いしたい。我々も手をこまねいているわけではなくて、患者さん が発生し、相談があればどこにでも即出かけて行くという体制でおりますし、地域の大 学から研修生を招聘して小児リウマチ専門医を作っていくということを今やっておりま すが、それにしても体制を早くに作らないとどんどん関節壊れている子どもさんが増え ていくという事情にございますので、何とかその辺の連携ができるような体制を取って いただければというふうに思います。 ○山本一彦委員  先ほど西岡先生が言われたものと似ているのですが、守りの医療から攻めの医療とい うこと含めて、アレルギーを含めた免疫疾患について、現在の我が国は、皆さんは先進 国だと思っていらっしゃるでしょうが、そうではなくて完璧に後進国になってしまった という現状はきちっと認識していただいたほうがよろしいと思いますね。新しい新薬の 開発はさることながら、欧米で開発されてる薬がいかに我が国で使えることの遅いかが 問題です。  例えばメトトレキサートが認可されたのがアメリカに比べて11年遅れてますし、イン フレキシマブを含めた生物学的製剤が5年6年遅れてるわけです。現在リウマチ、アレ ルギーに罹患されてる患者さんが5年10年待てないんですね。5年経つと関節破壊され てしまいますから。少なくとも我が国が医療についても先進国であるということを患者 さんが望むのであるならば、我々も望んでいるわけですが、少なくとも欧米になるべく 遅れない、少なくとも東南アジアとは一緒に、同じぐらいのスピードで薬が使えるよう な医療体制というのを何とか持っていきたい。それはもちろん経済的なこともあります けれども、それも含めた議論をしていただきたいというふうに思います。 ○水田委員長  ありがとうございました。それではそれもまとめて。ただ今の意見、大変貴重な意見 いただきまして、きょう整理させていただきましてこの検討のほうに加えさせていただ きたいと思います。他にございませんでしょうか。大体時間になっていますけれども、 今後はこれの進め方、もう一度よろしいですか。 ○事務局  今後のスケジュールでございますけれども、先ほど冒頭にご説明さしあげましたとお り、資料1の2枚目、検討スケジュールでございますけれども、本日のご議論を反映い たしまして、論点の整理のメモを作成いたしまして、それに沿ってそれぞれリウマチ対 策検討会、アレルギー対策検討会におきましてご議論いただきます。次回のリウマチ対 策検討会、アレルギー対策検討会の日程に関しましてはまだ確定はしておりませんが、 3月下旬頃を予定しております。リウマチ・アレルギー対策委員会の第2回でございま すけれども、それぞれの検討会でリウマチ及びアレルギーの対策指針の案が作成されま したら、それに関してご議論いただくということでございまして、6月頃を予定してお ります。以上でございます。 ○水田委員長  確認ですけれども、きょうのこの委員会のご意見をまとめて、もう一度整理する書類 は皆さんにもう一度配られるわけですね。配られないままに検討委員会に入っちゃうわ け?それはちょっと困ると思うんですけれども。やはり一度皆さんに見ていただいたほ うがよろしいんじゃないでしょうか。メールでもファックスでも書面でいいと思うので すが。それをまとめて送っていただけますか。 ○事務局  はい。 ○水田委員長  それで皆さんよろしゅうございますか。きょう貴重な意見たくさんいただきましたの で、そのようにさせていただきたいと思います。それではきょうは大変ご苦労様でござ いました。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。では終わらせていただきま す。どうもありがとうございました。                         ○照会先                         厚生労働省健康局疾病対策課                         tel 03−5253−1111                         担当:菊岡(内線2353)