05/03/01 薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会 平成17年3月1日議事録 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年3月1日(火) 10:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(9名)五十音順   奥 田 晴 宏、 小 澤   明、 神 田 敏 子、 北 澤 京 子、  ○塩 原 哲 夫、 宗 林 さおり、 米 谷 芳 枝、◎溝 口 昌 子、   望 月 正 隆 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(3名) 井 上   達、 徳 永 裕 司、 長 尾   拓 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川 原   章(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   揚 松 龍 治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   池 田 年 仁(独立行政法人医薬品医療機器総合機構一般薬等審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから化粧品・医薬部外品部 会を開催させていただきます。ちょっと神田先生が遅れておられるようでございますが、 特に御連絡は入っておりませんので間もなくお見えになると思います。本日は委員の先 生方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございま す。現在当部会委員数12名のうち8名に御出席いただいておりますので、定足数に達し ておりますことを御報告申し上げます。机の上に名簿を配付してございますので御覧い ただければと思いますが、本日の御欠席は上から井上先生、徳永先生、長尾先生の3名 でございます。神田先生は間もなくお見えの予定でございます。  それから、本年1月に開催されました薬事・食品衛生審議会総会におきまして当部会 委員が改選されましたことから、新任及び退任された委員につきまして御紹介させてい ただきます。名簿の方を御覧いただければと思います。今回新任させていただきました 先生は、まず最初に東海大学の小澤明先生でございます。 ○小澤委員 小澤と申します。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 それから日経メディカルの北澤京子先生です。 ○北澤委員 北澤です。よろしくお願いします。 ○審査管理課長 それから杏林大学医学部の塩原哲夫先生です。 ○塩原委員 塩原です。よろしくお願いします。 ○審査管理課長 それから国民生活センター商品テスト部の宗林さおり先生です。 ○宗林委員 宗林です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 それから本日御欠席でございますけれども、国立医薬品食品衛生研究 所環境衛生化学部の徳永先生が新たに委員となられたということでございます。一方退 任された先生方でございますけれども、部会長代理をお願いしておりました東海大学の 大城戸宗男先生、暮らしの手帖社の杉村民子先生、国立医薬品食品衛生研究所の山本都 先生、主婦連合会会長の吉岡初子先生、この4名の先生方が退任されたということでご ざいます。以上、委員の異動に関しまして事務局より報告をさせていただきました。そ れでは溝口部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。 ── 神田委員着席 ── ○溝口部会長 それでは、まず委員の改選で部会長代理を務めていただいておりました 大城戸委員が退任されたことから、新たな部会長代理を決めさせていただきたいと思い ます。部会長代理につきましては審議会のルールにより部会長が指名することになって おりますので、指名させていただきます。私としましては、接触皮膚炎、アトピー性皮 膚炎、薬疹などが御専門の塩原委員に部会長代理をお願いしたいと考えておりますが、 いかがでしょうか。 ○審査管理課長 委員の先生方、いかがでしょうか。 ── 拍手 ── ── 塩原委員、部会長代理席へ移動 ── ○溝口部会長 それでは塩原委員に部会長代理をお願いすることになりまして、席も移 動していただきましたので、本日の議題に入りたいと思います。まず事務局から配付資 料の確認をお願いいたします。 ○事務局 本日の資料といたしまして、事前に先生方に資料1〜4を送付させていただ いております。そして本日配付資料としまして、まず議事次第、座席表、委員名簿。そ れから資料3-5ですが、「化粧品基準の一部改正(案)について」の表の上の方の欄外に 「(注2)」というものが付いておりませんでしたので、本日差換えの方をお願いいたし ます。あと参考資料としまして現行の化粧品基準を御用意させていただいております。 以上が本日の資料でございます。 ○溝口部会長 ありがとうございました。それでは議事に入ります。まず議題1、「医 薬部外品『カネボウ トリートメントC』の製造承認の可否について」でございます。事 務局から御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは資料1の審査報告書に基づきまして、新規有効成分含有医薬部外品の 審査概要を総合機構より御説明申し上げます。  本申請品目は販売名が「カネボウ トリートメントC」、申請者はカネボウ株式会社で ございます。有効成分として新規有効成分である塩化レボカルニチンを□w/w%と既承認 有効成分であるグリチルレチン酸ステアリルを配合しております。申請の効能・効果は 「肌あれ、あれ性。日やけ・雪やけ後のほてり。肌を整える。皮膚をすこやかに保つ。 皮膚にうるおいを与える。皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ」でございます。申請の 用法・用量は「適量を顔又は身体各部の肌に塗布する」でございます。  本品目については専門協議における議論を踏まえ、医薬品医療機器総合機構において 審査がなされております。  次に「イ.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」でございま す。本申請品目(以下、「本製品」)は新有効成分として塩酸レボカルニチン(以下、「本 成分」)を配合したクリームでございます。本成分は既承認医薬品「エルカルチン錠100」 及び「エルカルチン錠300」(製造業者:大塚製薬株式会社、効能・効果:プロピオン酸 血症及びメチルマロン酸血症におけるレボカルニチン欠乏の改善)の有効成分でありま すが、医薬部外品としては初めて配合された成分です。申請者は本成分が表皮細胞のβ 酸化能に与える影響に着目し、皮膚表層部のβ酸化能を高め角層機能の低下を防止し肌 荒れを防ぐ目的で開発、検討されたものでございます。なお本成分の外国における使用 実績としましては、米国及びEUにおいて化粧品の成分として使用されているものでご ざいます。  次に「ロ.物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料」でございます。 本成分は医療用医薬品塩酸レボカルニチンとして承認されたものを使用し、当該規格及 び試験方法に準じて規格設定を行っております。純度試験に類似物質を追加する等の整 備が行われております。また製剤の規格及び試験方法には、含量規格、性状、確認試験、 pH、定量法が設定されております。総合機構は規格及び試験方法について実測値に基 づき記載の整備等がなされており、妥当であると判断いたしております。  次に「ハ.安定性に関する資料」でございます。本製剤の安定性については、苛酷試験、 加速試験、長期保存試験の実施がなされ、いずれの試験結果においても通常の流通過程 において3年間の安定性が担保されているものと考えております。  次に「ニ.安全性に関する資料」でございます。本成分の安全性については、「エルカ ルチン錠100」及び「エルカルチン錠300」のインタビューフォームを基に当該医薬品の 申請時に未実施の反復投与毒性試験、抗原性試験、皮膚一次刺激性試験、連続皮膚刺激 性試験、眼粘膜刺激性試験、ヒトパッチテストが実施されております。なお本成分のラ ット単回経口投与毒性試験におけるLD50は、公開されている大塚製薬株式会社の資料 によると雄で6,900mg/kg、雌で6,890mg/kg、ラット13週間経口投与毒性試験での最大 無影響量は450mg/kg/日となっております。申請者が実施した反復投与毒性試験におけ る無毒性量は、雄では250mg/kg/日、雌では500mg/kg/日と判断されております。本製剤 の安全性については、本成分を配合していないクリームを対照群として単回投与毒性試 験、局所刺激性試験、光毒性試験、ヒトパッチが実施されております。本成分の経皮吸 収性試験は実施されておりませんが、実使用を想定し、塗布された製剤に含まれる本成 分がすべて吸収されたと仮定した場合の反復投与毒性試験や生殖発生毒性試験における 無毒性量に対する安全係数については、1日2回顔面に塗布した場合でラット反復経皮 投与毒性試験の無毒性量に対し、雄の場合:2,083倍、雌の場合:4,167倍。同様に生殖 発生毒性試験については833〜25,000倍の範囲であり、本成分の安全性は高く、ヒト皮 膚塗布による毒性惹起の可能性は極めて少ないとされております。以上の試験において 問題となる所見は認められず、本成分及び本製剤の安全について問題ないと判断いたし ております。  次に「ホ.効能又は効果に関する資料」でございます。基礎的な試験としては、まず若 齢マウスと老齢マウスの表皮のβ酸化能を比較して加齢と表皮β酸化能の関係を調べる 試験が行われ、加齢に伴い表皮のβ酸化能が低下することを確認しております。またマ ウス表皮中のカルニチン量が加齢に伴い減少することも考えられております。培養ヒト 表皮細胞(ケラチノサイト)のβ酸化能において、本成分が濃度依存的にβ酸化能を増加 させております。本成分を塗布することにより老齢マウスの表皮β酸化能、表皮バリア 強度、表皮の脂質量、表皮厚はいずれも有用性があることが示唆されております。本製 剤のヒトにおける有効性に関して、皮脂欠乏症・乾皮症の皮膚症状を有する被験者を対 象とし、単独使用、基剤との比較、尿素5%配合クリームとの比較を行った結果、いず れも有用性があり、尿素5%配合クリームとの有意差は認められなかったことから効能 ・効果に問題はないと判断いたしております。  副作用につきましては「ヒト使用試験(単独適用)」において6施設110症例のうち4 症例発生しております。そのうち1症例は試験開始1週間後に投与を中止しております が、その際皮膚炎等の所見は観察されなかったこと、また他の保湿クリーム等でも掻痒 が増強した経験があることから、原疾患の乾癬に伴う掻痒が季節因子として増悪したも のと判断しております。  総合機構は、本製剤が持続的に使用されることから、経皮吸収による医薬品と同様な 作用を示す可能性について申請者に説明を求めました。申請者は医薬品のインタビュー フォームの体内薬物動態に関する項目を引用し、本製剤の1日1回塗布による使用量は 医薬品の133〜153分の1となり、体内存在量は極めて少ないものであると考えられるこ とから、本製剤を持続的に使用しても医薬品としての効果を示す可能性がない旨の回答 がなされ、総合機構は上記の内容について了承しております。   以上の試験成績を基に効能又は効果、用法又は用量が設定されており、申請品目は通 常の使用で適切なものと判断いたしました。  次に「添付文書(案)」についてでございますが、訂正がございます。中程に書かれて おります「用法・用量」の「1回使用量の目安」として円の図に直径の記載が抜けてお りました。直径は約1cmでございます。また「使用上の注意」の1段目の「傷や湿疹、 はれなどのトラブルのあるところにはお使いならないでください」という文章なのです が、後半のところを「お使いにならないでください」に訂正させていただきたいと思い ます。  以上の審査を踏まえ、総合機構は提出された申請内容について本品目を承認して差し 支えないと判断し、本品目は化粧品・医薬部外品部会において審議されることが適当で あると判断いたしました。なお本申請品目の塩化レボカルニチンは医薬部外品として新 規有効成分であることから、承認後少なくとも2年間の安全性に関する市販後調査を実 施することが適当と判断いたします。以上でございます。御審議のほどよろしくお願い いたします。 ○溝口部会長 ただいまの内容に関して御討論お願いいたします。御質問、御意見おあ りになりませんでしょうか。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 本質ではないのですけれども、審査報告書の3ページの下から5行目ぐら いに「外国における配合量は不明であるが」とあるのですが、外国ではこういうものは 不明でもきちんと許可されて売っているのでしょうか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局からお願いいたします。 ○機構 不明であるという書き方でございますが、情報が得られていないということで ございます。申請者の方で外国で製品に成分名が表示されておりますので使われている ということが分かりますが、含量については分からないということでございます。 ○望月委員 それは調べれば調べられるけれども、調べなかったという理解でよろしい のですか。 ○機構 恐らく調べるということは不可能だと思われます。含量については、不開示情 報になっていれば入手は困難だと思われます。 ○望月委員 分かりました。 ○溝口部会長 ほかによろしゅうございますか。小澤委員、お願いいたします。 ○小澤委員 要は今まで薬の成分をここに入れているのだけれどもいいかという審議の ように思うのですが、我々が見ておりますと一般に患者さんたちはそのようにきちんと 塗り分けるわけがないので、例えばこのような薬を使うときはカサカサしているだけで はなくて湿疹などもあると思うのです。そういう病的バリアの問題は吸収量としていい のですか。 ○溝口部会長 バリア障害があったときに塗って吸収量がどのくらいかということだと 思いますが、調べてあるかどうか。いかがでしょうか。事務局の方からお願いいたしま す。こういう保湿作用があるものですと、アトピー性皮膚炎の人などがいろいろ塗る可 能性は大いにあるかと思いますが、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 医薬部外品は化粧品と医薬品の中間的な存在のものということでござ います。通常の単なる化粧品でございますと薬用的な積極的な効能はうたわないのです が、医薬部外品になっているこの薬用化粧品というジャンルは正常な皮膚に使用するけ れども、化粧品よりはちょっと積極的な効能をうたいたいといったものです。実際には 医薬品は先天性の代謝異常で使われているものですし、このもの自体が従来から生体に ある成分ですけれども、それを皮膚への適用に応用して持ってきているということでご ざいます。基本的にこういう化粧品・医薬部外品の塗るものにつきましては、先生方御 指摘のように場合によって皮膚トラブルを抱えている患者さんが使われることもあると いうことですので、そこの部分は追加で答えてもらいたいと思いますけれども、原則上 は健常皮膚に使うということになっているものでございます。 ○機構 吸収についてでございますが、この品目につきましては経皮吸収試験は実施し ておりませんが、医薬品の方のADMEの資料に基づいてこのものが全体に塗布した分 が全部吸収された場合はどうなるかということは検討されておりまして、中程にもあり ますように安全係数が2,000倍、4,000倍でございますので、これで安全であろうとい う結論でございます。それから、これは医薬部外品ですので医薬品と異なり使用者御自 身で管理していただかないといけないところがあるのですが、添付文書(案)を御覧いた だくと「使用上の注意」のところで「傷や湿疹、はれなどのトラブルのあるところには お使いにならないでください」と掲げられており注意喚起はしております。 ○溝口部会長 以上のように御説明がありましたが、よろしゅうございますか。 ○小澤委員 法的にはそうなのでしょうけれども、現場ではどうなっているか分からな いので、よろしいのですかと思っただけです。 ○溝口部会長 一応「使用上の注意」にはきちんと書かれていますし、多くなっても医 薬品は全身的な作用のある内服薬でこれは経皮のクリームですから問題はないと思いま すが、恐らく小澤先生が心配されるのは局所の皮膚がどうなるかということだと思いま す。2年間の安全使用上のチェックがございますので、そのときにどのくらい副作用が 出るかということでクリアできるのではないかと考えますが、そういうことでよろしゅ うございますか。ほかにいかがでしょうか。塩原委員、お願いいたします。 ○塩原部会長代理 私はこういう審査は初めてだったので分からない点があると思うの ですが、今の質問とも関係するのですけれども、こういう場合に我々が臨床的に見てい ますと病変部からは意外にいろいろな薬が吸収されていることが多いというのが分かっ てきました。そうしますと動物実験でも、例えば接触皮膚炎を起こしておいてそこに塗 るというように、ある程度バリアを壊した状態でやる実験というかデータが今後必要な いかどうかということなのですが。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。お願いいたします。 ○機構 今やっております審査のやり方としましては、皮膚に関しましては皮膚一次刺 激性試験、2週間程度の連続投与試験、それとこの場合は外用ということで新たに皮膚 の反復投与試験をやっていますが、その中で刺激性を疑わせるような所見が出れば先生 のおっしゃるようなことも懸念する必要があるかとは思います。しかしこの場合は特に そういった刺激性で特記するような試験結果は出ておりませんので、そこまでの必要は ないだろうと考えております。 ○塩原部会長代理 分かりました。 ○溝口部会長 神田委員、お願いいたします。 ○神田委員 効能・効果の表現なので、「肌あれ、あれ性。日やけ・雪やけ後のほてり」 というのはこういうときだなと分かりますけれども、「肌を整える」とか「皮膚をすこ やかに保つ」という表現もここに入ってきているのですが、1cmくらいの使用量の目安 などとして使用上の注意を与えて使っていただくというようなものだと考えますと、何 か肌を整えるとか皮膚をすこやかにというと日常的に使いたくなってしまうような感じ になるのですが、そういう表現というのは別に問題はないのでしょうか。 ○溝口部会長 事務局からお願いいたします。 ○機構 このものは医薬部外品の中でも薬用化粧品というカテゴリーに入るものでござ います。化粧品と医薬部外品と似通った両者の様相を持っているものでございまして、 これは肌を整えるということでむしろ日常的に化粧品と同じような使われ方をされるも のです。 ○溝口部会長 ついでですので申し上げますが、効能・効果のうち「肌あれ、あれ性」 が今の塩化レボカルニチンの効能でございまして、「日やけ・雪やけ後のほてり」が今 までにもう使われていますグリチルレチン酸ステアリルの効能です。そこからあとは基 剤の効能だそうで、化粧品の基剤の効能と同じということでよろしいわけですね。そう すると今までの有効成分を全部ここに書くことができる習慣に近い規則…。 ○審査管理課長 化粧品・医薬部外品の効能と言いますか、標榜できる範囲につきまし ては一応通知等で定めておりまして、そういう意味で今部会長から御説明ありましたよ うに薬効成分が入っていることによってうたえる部分が前半部分でございます。後ろの 方につきましては全般的にこの効能の範囲であればうたっていいという形で、現在は運 用いたしております。 ○溝口部会長 ということだそうですけれども、よろしゅうございますか。そのうちに 問題が出ればまたそこら辺が変わる可能性はあるかと思います。ほかに御意見はいかが でしょうか。 ○塩原部会長代理 ちょっと先ほどの質問にも関係するのですけれども、効能・効果で 「肌あれ、あれ性」となっていますと、結局ある程度バリアが壊れている場所に患者さ んが使ってしまわないかということが気になるのです。肌荒れと考えるか湿疹と考える かというのは患者さんが決めるわけですよね。そうすると、これだとある程度バリアの 壊れているところに塗るというのを前提にしているような気がしてしまうのですが、い かがでしょうか。 ○溝口部会長 なかなか難しいところだと思いますが、いかがでしょうか。先ほどの小 澤先生の御質問も関係するかと思いますので、よろしくお願いします。 ○機構 「肌あれ、あれ性」という医薬部外品としての効能はもう古くから承認して使 われておりますので、添付文書でそういう皮膚疾患をお持ちの方はその部分には使わな いという注意喚起をするということ、そこら辺止まりなのです。その先はやはり患者さ ん御自身の管理になるかと思います。よくかかり付けのドクターと相談して使っていた だきたいと思います。 ○塩原部会長代理 今までの取扱いを知らなかったものですから質問しました。 ○審査管理課長 ちょっと補足させていただきます。添付文書のところを見ていただき たいと思いますが、効能・効果の書きぶりは今機構の方から説明があったとおりなので すけれども、「製品の特徴」ということで「皮膚表層部のエネルギー代謝を促進するこ とにより、角質層の機能低下を防止し肌荒れを防ぎます」とあります。医薬部外品でご ざいますので、基本的には予防といった効能をうたっているということでございます。 治療的な部分はないのですよというところは「使用上の注意」の方で記載させるという ような整理で今まで来ております。先ほども効能・効果の範囲等の話で今後ちょっと議 論の余地があるかもしれないというお話がございましたが、現状はこういう範囲でやっ てきているということでございます。 ○溝口部会長 ありがとうございました。現状ではこういうものにはこういう表現を使 っていいというような決まりがあるようでございますが、これが消費者の誤解を招くこ とがあるようでしたら今後の問題として検討する必要があるかとは思います。いかがで しょうか。ほかに御意見はおありになりますか。北澤委員、お願いいたします。 ○北澤委員 ちょっと確認させてください。今の説明ですと、添付文書の方にはこの有 効成分である塩化レボカルニチンとかグリチルレチン酸ステアリルというのは書いては いないものなのでしょうか。 ○溝口部会長 事務局からお願いします。 ○機構 医薬部外品の場合は特に安全性に問題がないものにつきましては表示の義務は ございませんので、この場合は案としては掲げておりません。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。 ○審査管理課長 これは実態として化粧品自体が全成分表示に移行していますけれど も、化粧品のメーカーは薬用化粧品になった場合には余り積極的に表示していないので すか。 ○機構 実態把握しておりませんけれども、ルール上は表示しないでよいということに なっております。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。化粧品は全成分を表示することが義務付けら れていますけれども、医薬部外品、薬用化粧品はまだそれが決まっていないということ でよろしいのですか。 ○審査管理課長 法律上のことはあるとしても、これはやはりできるだけ成分表示をす るように指導はするべきかと考えます。 ○溝口部会長 分かりました。よろしくお願いいたします。先生方、ほかにいかがでし ょうか。御意見おありになりますか。どうぞ。 ○宗林委員 そうしますと、これは表示指定成分に該当するものは何になるのですか。 ないのですか。 ○溝口部会長 事務局からお願いいたします。 ○機構 申し訳ありません。医薬部外品の中でも表示が必要な分野もありますので、そ こら辺はもう一度検討いたしまして、表示が必要なものであるということであれば添付 文書や外箱などにも表示するようにしていきたいと思います。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。これは添付文書に書いていなかったら外箱に も書いていないと判断してよろしいのですか。外箱に書いてある可能性もありますか。 ○機構 厚生労働大臣の指定する成分につきましては表示の義務がございます。したが いまして、その成分は添付文書に書かれていなくてもパッケージには記載する義務がご ざいますので書かれているはずです。防腐剤関連が指定成分となっておりますので、本 製品の中に配合されている成分のパラオキシ安息香酸エステルは必ず記載されているか と思います。 ○宗林委員 このものについてはパラベンだけということでしょうか。後ほどで結構で す。 ○溝口部会長 ほかによろしゅうございますか。案のとおり御了承いただけますでしょ うか。ありがとうございました。それではこの件は承認いただいたということで薬事分 科会に報告させていただきます。次に議題2、「医薬部外品『カネボウ ホワイトニング E』の製造承認の可否について」でございます。事務局から説明をお願いいたします。 ── 審議官退席 ── ○機構 それでは資料2の審査報告書に基づきまして、議題2の「カネボウ ホワイトニ ングE」の審査概要を御説明申し上げます。  本申請品目は販売名が「カネボウ ホワイトニングE」、申請者はカネボウ株式会社で ございます。有効成分は新規有効成分である5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2'-ジ オールを0.5w/w%配合し、既承認有効成分であるグリチルリチン酸ジカリウムを配合し ております。申請の効能・効果は、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてり。肌を整える。皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与 える。皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ」でございます。また申請の用法・用量は、 「適量を顔又は身体各部の肌に塗布する」でございます。本品目につきまして専門協議 における議論を踏まえ、総合機構において審査を行いました。  「イ.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」でございます。 本品は新有効成分として5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2'-ジオール(以下「本成 分」)を配合した乳液でございます。本成分は申請者が天然骨格を持つ幅広い化合物群の 系統的な検討からフェノール性ニ量体に着目し、感作性や皮膚刺激性等の問題のないも のをスクリーニングする中で、メラニン生成抑制作用、色素沈着改善作用を有し安全性 ・安定性にも優れることを見いだしたことから開発された合成化合物でございます。本 成分の外国における使用実績はございません。   「ロ.物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料」でございます。こち らにつきましては実測値に基づき設定されており、総合機構の審査及び専門協議の結果 に基づき記載の整備等がなされ、妥当なものとなったと判断いたしました。  「ハ.安定性に関する資料」でございます。提出の資料から、製剤の苛酷試験(光)にお きまして含量低下が見られましたが、遮光下であれば加速試験の結果から室温で36か月 間の安定性が推測されており、本製剤は通常の流通過程において3年間の安定性が担保 されていると考えております。なお長期保存試験につきましては、平成17年2月18日 に保存期間3年を終了し、規格値の測定後速やかに報告書が提出される予定でございま す。以上の結果から、本成分及び製剤の安定性について総合機構は妥当なものと判断い たしました。  「ニ.安全性に関する資料」でございます。本成分の安全性については、単回経口投与 毒性試験、皮膚一次刺激性試験、連続皮膚刺激性試験、皮膚感作性試験、光毒性試験、 光感作性試験、眼刺激性試験、遺伝毒性試験及びヒトパッチ試験が実施されております。 申請製品の安全性についても同様の試験が実施されております。以上の試験において問 題となる所見を認められず、本成分及び申請製品の安全性について問題ないと判断いた しました。  「ホ.効能又は効果に関する資料」でございます。基礎試験としてメラニン生成抑制剤 として知られているハイドロキノン、及びこれまでに承認されたメラニンの生成を抑え しみ、そばかすを防ぐ効能を有する有効成分と本成分との比較検討、チロシナーゼ阻害 に対する本成分の作用に関する検討が行われ、これらの結果から本成分のメラニン生成 抑制作用が示唆されております。また、本成分の配合量に関する検討が行われ、0〜□ %にかけて濃度依存的なメラニンの抑制傾向を示し、□%以上において有意な抑制効果 を示すことから、本成分の配合量は□%に設定されております。本成分のヒトにおける 有効性に関してでございます。経時的に分光光度計を用いて有効性の比較が行われた結 果、本成分無配合クリームと比較して有意な色素沈着抑制効果が認められ、さらに既承 認品との比較においても同等若しくはそれ以上の効果が確認されております。また長期 使用による顔面の色素沈着に対する改善効果におきましても有意に認められておりま す。安全面でございますが、317名の女性を対象に行われました本製剤の顔面使用試験 におきまして、3例で紅斑、かゆみ等の症状が出現しております。総合機構はその症状 の程度及び本成分との因果関係について申請者に説明を求めました。申請者はいずれも 症状は一過性で軽度であり、また使用中止1か月〜1か月半後にこの3名に対し本製剤 及び本製剤から本成分のみを除いた製剤のヒトパッチテストを実施したところ、いずれ も皮膚反応は観察されなかったことから、出現した紅斑、かゆみについては本成分が直 接の原因ではないこと、また症状は軽度であり一過性であることから、実使用において これらの症状が発現した場合使用を中止する、あるいは経過を見ながら使用継続するこ とで問題はないと回答し、総合機構はこれを了承いたしました。これらの試験成績等を 基に効能又は効果、用法及び用量が設定されており、申請製品は通常の使用で適切なも のと判断いたしました。  以上の審査の結果を踏まえ、総合機構は提出された申請内容について本品目を承認し て差し支えないと判断し、本品目は化粧品・医薬部外品部会において審議されることが 適当であると判断いたしました。また承認後少なくとも2年間の安全性に関する市販後 調査を実施することが適当と判断いたします。  なお「添付文書(案)」におきまして2か所誤字がありましたので訂正させて頂きます。 「使用上の注意」の1行目、「ひりつき」でございますが、これを「ひりひり感」に訂 正し、同じく7行目の「また、は」の「は」を削除いたします。御審議よろしくお願い いたします。 ○溝口部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関しまして御質問、御意見 がおありになりましたらお願いいたします。小澤委員、お願いいたします。 ○小澤委員 こういうものは一般に使う方たちには「美白化粧品」という言葉で使われ てしまいますが、これはメラニンの生成を抑制するけれども、メラニンの排出、減少は しないとここにはっきり明記してありますので、効能のところにそういうことは書かな くていいのかと思うだけです。使う人たちは付いたしみを一生懸命落とそうと思ってこ ういうものを使いますから…。これははっきり書いてありますから、そうではないです よね。法律上よければそれでいいですけれども、よろしいのですか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局から御説明をお願いいたします。 ○機構 医薬部外品の効能の表示の仕方といいますか規定の仕方について、ある程度の ルールを決めておかないといろいろな表現で申請が出てまいりますし、あるいはそれを 承認するとさまざまな効能のものが市場に出てしまうということになり、それでは消費 者には分かりにくくなるということから、効能の表示は告示や通知等で一定のものを定 めて表現の統一を図っているところでございます。このメラニンに影響してしみ、そば かすを抑えるという作用を持つものについては、今のところ「メラニンの生成を抑え、 しみ、そばかすを防ぐ」という表現に統一しているところでございます。 ○小澤委員 そういう意味ではなくて、要するに一般の使用者は美白というと落とすこ とを考えるのです。ですからこの3ページに「本成分の作用は」とあって、明らかに減 らすことはしないのだと書いてありますから、これは防ぐものですよということを強調 しなくてもいいのですかと。ただ効能・効果のところにはもちろん治りますなどとは書 いてありませんで、ここには法律的にきちんと「防ぐ」と書いてあるのですが、消費者 は皆さん美白というとしみを落とすものだと思って使っていますから、そういうのはよ ろしいのでしょうかという意味だけです。法的にオーケーならばそれでいいのですけれ ども、消費者のいろいろなところで現実的にいいのでしょうか。 ○溝口部会長 前にも全く同じ質問がありました。「美白剤」とか「ホワイトニング」 になっていますと使う人は美しく白くなることを夢見て買うのですが、いいのですかと いう御質問だったのですけれども、今のところ医薬部外品は紫外線によるしみ、そばか すの悪化を防ぐ作用があれば使っていいということになっています。この点ももし問題 があるようでしたら将来検討すべきことではあるかとは思いますが、今のところはそう いうことでよろしいかと思います。 ○小澤委員 光に対してこの物質は変化すると、ですから容器も特別に書いてあるとい うことが書いてあるのですけれども、では実際塗っていて光を当てた試験というのはあ るのですか。 ○溝口部会長 事務局の方からお願いいたします。 ○機構 光感作性試験、光毒性試験を実施しております。 ○小澤委員 それは塗ってパッチテストをやったということではないのですか。 ○審査管理課長 ヒトでのものだと15ページの辺りの試験は健常男子15名…、これは 効能・効果ですか。 ○機構 安全性ではなくて効果の問題です。 ○審査管理課長 しかし一応副作用の有無を基に総合判定はしています。 ○溝口部会長 一応動物実験でやってあって、ヒトに関してはわざわざ光を当てていな いのですが、塗って多分日常生活で光は多少当たるけれども、それで安全性ということ になっているのではないかと思います。本当は小澤先生がおっしゃったことをやるべき だとは思うのですけれども、今までは大体ヒトではこの程度のことでクリアしていたの かもしれません。動物実験で問題が出ればやる…、どうなのでしょうか。ちょっと事務 局から御説明お願いします。 ○機構 今審査管理課長から御指摘ありましたように、紫外線を実際照射し分光測色計 を用いて、既承認の「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□」というも のと比較した試験をやっております。 ○溝口部会長 これは効果だと思うのですけれども、このときに課長が御指摘になった のは…。 ○審査管理課長 結果として、色素脱失や皮膚刺激等の副作用が見られなかったという ことで、一応副作用も見てはいるようでございます。 ○溝口部会長 一応顔面使用試験で副作用も見ているということで、日常生活程度の紫 外線は浴びているということでよろしいですか。 ○審査管理課長 そうですね。それもございます。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。 ○機構 ヒトを用いました試験については、すべて有効性のみならず安全性、副作用に ついても観察することになっており、生じた有害事象は顔面使用試験の3例ということ でございます。 ○小澤委員 そういう意味ではなくて、薬が光で変化しますよと明らかに書いてあるの で、実際に皮膚に例えば何時間使っていて光に当たったら変化するのかしないのかとい うのは調べなくてもいいのかと思っただけです。ただ、それは注意書にこれから2年間 はきちんと使用状況を調べると書いてあるので、その上でやるということでしたらそれ で何も問題ないと思うのですけれども。先ほど言ったのは繰り返し試験ですから関係あ りませんので。例えば塗って3時間までの光だったらいいけれども、6時間当たったら 化学物質が変化しますということになったら、ちょっと話が違ってくるという意味です。 それはどうでしょうか。 ○機構 提出された試験データから見ますと懸念されるものはないのですが、添付文書 にどう記載するかという問題になりますと、例えば日中の車中に放置するといったよう に非常によくない管理や使用の仕方を防ぐ意味も踏まえて添付文書の保管上の注意、使 用上の注意は厳しめな表現を使うことにしております。 ○一般薬等審査部長 先生がおっしゃっている分解するのではないかというお話は、長 期間の安定性試験の結果で幾分含量が低下してくるといったデータのことだと思うので すけれども、普通に使っているような状況で1日当たっている程度の範囲でものが壊れ ていくというようなことまで言っているわけではないと思います。それはただ今言って いるような動物実験なりヒトの実験なりで有効性、安全性の確認をしておりますけれど も、もの自体の安定性の話は、4ページにありますように光をずっと当てて3か月たっ たときに含量が少し下がったといった程度のお話かと思います。よろしいでしょうか ○小澤委員 それは化学物質としての見方をしているわけであって、人間に使ったとき にどうなったかという根拠は何もないわけですよね。ただそう思っただけです。それは 2年間の経過を見ると書いてありますから、それはそれでいいと思うのですが。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。確かに動物実験とか化学の安定の実験と実際 の使用は違うと思いますし、予防効果があるということでスポーツをやるときに塗る方 もいるかと思いますが、もしそれで感作性が出てくるようでしたら今後2年間の安全性 の市販後調査で出てくるのではないかと思います。そういうことでよろしゅうございま すか。神田委員、お願いいたします。 ○神田委員 16ページの顔面使用試験のところです。3名にこういった症状が出たけれ ども、その後ヒトパッチテストを実施して一過性のものであると結論付けていますが、 本製剤及び本製剤から本成分を除いた両方でやったわけですね。その結果ヒトパッチと いうのは顔ではなくてどこで…。私が言いたいのは、要するに顔に出たのにその後違う ところで検査をして何も出なかったからこれではないと結論付けるのは余りにも簡単過 ぎないかと思ったわけです。それで一過性のものであり軽度であるというふうに結論付 けているので、その辺がこの程度でいいものかどうかということをお聞きしたいと思い ます。それから、その上の方に82%の方がアンケートで「肌状態の改善効果があった」 と答えています。これはかなりの数字と受け取るべきだろうと思いますが、その辺の数 字の受け止め方というのはこれまでの例からいくとどうなのでしょうか。その二つをお 願いいたします。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局からお願いいたします。 ○機構 この3名についてのパッチテストをどこでやったかというのは今手元にある資 料では分かりませんが、恐らく上腕部内側だと思います。申し訳ありませんが、後半の 御質問はちょっとよく聞き取れませんでした。 ○神田委員 その上にあるように、アンケートによると81.2%の人が肌状態の改善が見 られたと答えているというその数字の受け止め方です。これはかなりの数字だとは思い ますが、通常物差しとして見るときにこの数字をどういう程度と受け取るべきなのかと 思ったものですから。またそのほかの20%の方はどのような反応があったのかというこ とも分かれば教えていただきたいと思います。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。お願いいたします。 ○機構 効果を見る場合には客観的評価の可能な測色計などを用いた試験を行うという ことが重要でございます。それで効果が認められるということを踏まえて、ではたくさ んの人に使ってみて使用感はどうかということを目的として(4)の試験は実施されており ます。80%程度のもので効果があると認めるかどうかということでございますが、過去 の審査記録を見ておりますと60ないし80%程度で認められておりまして、この81.2% というのは評価してよろしい範囲ではないかというふうに考えております。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。 ○神田委員 最初の方の質問なのですが、ヒトパッチテストをどこでやったかというこ とが聞きたいのではなくて、顔に出た症状をほかのところでやってこの程度でよろしい のかということをお聞きしたいのです。 ○溝口部会長 塩原先生、コメントがおありでしたらお願いいたします。 ○塩原部会長代理 これは私もかねがねそう思っているのです。本当は医学的にその場 所でやらないと出ないものが多分かなり多いのだろうと思うのですが、顔でパッチテス トをするというのは実際にはできないですよね。それで一応背中や腕で代理しています。 実際薬疹の場合もそうなのですが、炎症が起こった場所でやると反応が非常に起こりや すくなるので、その場所の方が陽性が出やすいのです。全く別の場所でやるというのは 多分出にくいだろうと思うのですが、一応それでよしとしてきたので、それをこれから 変えるとなると実際できないことが多くなってしまって、多分擬陽性も増えてしまうの ではないかという気がします。そういうことで、一応ニュートラルな場所ということで 腕などと決めてやっているのが現状だと思います。 ○神田委員 それは多分そうだと思うのですが…。では別のことですが、1か月あるい は1か月半後にやったわけですね。例えば何日間か付けておいてやるというのは妥当な 方法でしょうか。 ○塩原部会長代理 リコール現象というのがありまして、1回炎症を起こすと、しばら くたってからその場所に別のかぶれやすいものをはると、非常にかぶれにくい濃度であ っても反応を起こしてしまうのです。ですからその場所というのは非常にirritableに なっているので、その場所で再使用試験をするというのはとても偽陽性が出やすいとい う欠点もあるのです。ですからそれも果たして本当にいいのかという問題があるので、 結局代用案としては背部や腕などでやっているというのが現状ではないかと思います。 もしこれを覆すとするとかなり大きな問題で、私自身はやはりそれは今のところ妥協し ていかざるを得ないのではないかと思っております。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。日常、皮膚科でかぶれが起こったときに検査 するのは顔に起こっても背中か上腕の内側でやりまして、それのデータが積み重ねられ て今塩原先生がおっしゃったようにほぼ妥当であろうと解釈されていますので、確かに 神田委員がおっしゃったとおりの問題は我々も持っているわけですけれども、今現状で はこういうパッチテストで判断するということで日常診療上はほぼ問題がないと思いま す。 ○神田委員 そこはよく分かりました。ただ本成分が直接の原因ではないというふうに 言い切っている辺りが引っ掛かるわけです。そうではなくて、テストの結果はこうだっ たというのは現実であるとは思うのですけれども、その後にそういうふうに書いてある ものですから、そういう結論を出してもいいのかなとちょっと思ったのです。 ○溝口部会長 分かりました。今の点はいかがですか。 ○塩原部会長代理 極端なことを言いますと、はっきり言って今まで承認されてきた例 えばステロイド剤でも、非常に濃度を薄くして毎日塗っていると炎症が起きてくるので す。いわゆる炎症を抑える薬でさえも、抗炎症効果のない濃度で繰り返し塗布すれば多 少炎症は起きてくるのです。ですから厳密に言えばあらゆるものは繰り返し外用してい ると炎症を起こし得るという前提がありますので、どの辺で線を引くかということにな ると、やはり今まではこうしてきたということを重んじないとあらゆるものが接触皮膚 炎の原因になってしまって使う薬が一切なくなってしまうという気がしますから、妥協 するということだと思います。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。ほかにいかがですか。どうぞ。 ○宗林委員 消費者の立場に立ちますと、実はこのホワイトニング剤は比較的本当に効 いているのかなという商品群になるのではないかと思うのです。その大きな一点目とし ては、先ほど小澤先生がおっしゃっていたように、もういったんできたしみは分解され ないということを誤解して効果があるのではないかという消費者がいることだと思いま す。この申請書を見た中でもう一点思いましたのは、付ける量です。吸収はメラノサイ トまで行っていることを確認されているようなのですが、この量について濃度は0.5% ですけれども、例えば2×2cmのところに大体30mgなどでテストされていますし、長期 試験の場合でもよく見るとしみのあるところに100〜300mgぐらいの量を1日2回塗布 して検査されているのですが、添付文書の方を見ますと顔全体で使用する場合の使用量 の目安が0.4mLとなっています。顔全体だとかなり広いと思うのですが、この「適量を」 というところの適用量が本当に後ろの方で基礎データが出されているような有効性の根 拠になっているものとマッチングしているのかどうかという点でちょっと疑問を持ちま したので、その点について少しクリアにお話を伺いたいと思います。それから、しみ自 体はメラニン色素の分解はないという話が明確に書いてあるのですが、最後の方の長期 試験の中で全体の色が白くなったとか、しみが落ちたというような感想が結構出ていま す。これとの関係はどうなるのかということ。この二点を伺いたいと思います。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。 ○機構 前半の方の御質問につきましては、安全性のお話でございますか。 ○宗林委員 違います。有効性です。後ろの実験では大体2×2cm2のスペースに紫 外線を照射して色素沈着を起こして、そこに対して30mgの塗布量でのテストをされてい ますし、それから長期試験のところでももっと多い100〜300mgの量を使用されていま す。また付ける部位もテストの方ではしみのあるところにと書いてあるようなので。そ れと前に戻って添付文書のところで、顔全体に対して0.4mLと記載されています。テス ト条件と表示で量的に随分差があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○溝口部会長 そうしますと有効性と使用量の二つの御質問ということですね。 ○宗林委員 そうですね。もしずっと後半の有効量を検査されている量で来るのであれ ば、ここはしみの部分に対してこのくらい塗らないと、添付文書の書き方としては顔全 体ではこれはとても足りない量ではないかと思われますので、添付文書が不適切なのか、 あるいはこの量でも大丈夫というデータが別のところにあって見きれていないのかを教 えていただきたいということです。 ○機構 有効性について考えておりますのは、どのくらいの濃度であれば効果があるか という観点で調べております。それにつきましては用量設定根拠の試験を実施しており、 □%以上で有効性が確認されたということですので、製剤は濃度を□%としています。 使用する範囲につきましては特に制限はございません。 ○溝口部会長 ちょっと補足させていただいてよろしいですか。有効性に関しましては、 この製品にかかわらずほとんどの美白剤が人工的な紫外線による色素沈着に対してプラ セボとの二重盲検比較法でデータが出ています。しかも色差計というものを使って行っ た客観的なデータがあるのです。実際に臨床効果のある疾患として「しみ」と書いてあ りますが、この15ページにあるように「肝斑」と「雀卵斑」にしか有効ではないのです。 肝斑で特にひどい方ほど有効ですが、老人性の色素斑に関しまして二重盲検法で有効だ ったというのは一つもないのです。今までの製品は全部そうです。ですからどこの美白 剤も明確に書いていないのですけれども、有効のものと無効のものがあり、そこら辺の 問題はあるかと思います。それから使用量に関しましては、やはりそのしみの大きさに よっていろいろなのですけれども、化粧品などで「くすみに効く」と書いてありますと 全部塗ってしまう方もありますので…。あとは消費者は非常に賢いといいますか、結構 高いものですのでしばらく使って効かないと絶対二度は買いません。 ○宗林委員 今の濃度での□%以上でというお話はよく分かるのですが、これは紫外線 吸収剤などのときもそうだと思うのですけれども、やはり□%濃度のものをどれだけそ の部分に塗布するかで大分違ってくるようなことはないでしょうか。私は添付文書の方 をやはり顔全体に0.4mL延ばすという書き方ではなくて、しみのあるところ、気になる ところにきちんと付けなさいという方がこのデータから見ると適切なのかなと思いまし た。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。 ○機構 説明させていただきます。医薬部外品の効能の表現としては、そばかすを防ぐ としております。しみだけに塗布するという形の効能は局所的という使用方法になりま して、医薬品的なものになってしまいますので、あくまでも用法に関してはこのように 広い範囲に塗布していただくようになっております。また医薬部外品はしみ、そばかす を防ぐという形の予防的な効能になっておりますので、データ的にはしみを薄くするよ うなデータを採ってはいるのですけれども、効能としてはあくまでも予防効果になり、 広い範囲で薄く使っていただくような用法になっております。 ○溝口部会長 最初に御質問になった何回も塗ると、ということに関しては答えがなか ったと思いますが、ちょっと私から答えさせていただきます。恐らくこのものに関する データはないと思いますが、ステロイド軟膏などではびらん面から塗ったら際限なく入 りますけれども、正常な皮膚に塗った場合はある程度飽和に達しますと何回塗ってもそ れ以上入りません。ですから何回も塗ったから皮膚の中に入るというものではないとい うデータがほかの薬品ではございます。 ○宗林委員 そうであれば、実際のテストの方もその部分にだけ塗って長期の試験など をされていますが、全面でやられたらもっといいのかなと思ったものですから。後ろの 135ページの方で長期試験をされていますね。これはそういう意味なのだろうと思って 聞いていたのですけれども、ホ-2-3の「長期使用による」というところで、塗布方法 のところは「沈着部位に行い」と書いてあるのですが…。何となくホワイトニングとい うのはやはり消費者の中では誤解が大きい商品かと思いましたので、付け方…、それか らなるべくならば実際に持つ効果と近づけた形でのメッセージを出せるような添付文書 であってほしいと思います。それから検査自体も実際の使用に即したような形の検査で あるべきかと思います。この塗布方法は沈着部位に付けるということですね。そうする と、検査自体は先ほどの医薬部外品は顔全体に付けてという御説明とはちょっと違う形 になっていると思います。もしここで沈着部位に100〜300mgを塗布されているのであれ ばその辺はどうなのでしょうか。全体に薄く付けても効果があるのかなと素朴に思いま した。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。 ○機構 御説明いたします。そもそも医薬部外品はそういったしみやそばかすのあると ころに塗ってこれらを除去する、あるいは薄くするというものではございませんで、考 え方としてはしみ、そばかすのないところに塗ってこれらを予防するというものです。 今回この申請者が提出してきた実際に肝斑や雀卵斑のあるところに塗って効果を見る試 験というのは、審査側が求めているものではございません。基本的にはこの製剤を塗っ て紫外線を照射、あるいは照射しなかったものと比べてしみ、そばかすをどれくらい防 止したかという効能で十分かとは考えておりますが、今回申請者がこのようなものを提 出してきたということですので、一応審査の中で評価をしたということでございます。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。小澤委員、お願いいたします。 ○小澤委員 また蒸し返してしまうのですが、結局宗林先生のおっしゃったように、や はり読むとこれは正に治すと消費者は皆さん思うわけです。ですからもしここに書かれ るのならば、やはり一番最後の「シミ・ソバカスの特に気になる部分」というのは決し てしみ、そばかすを治すのではなくて、色素をこれから増強するのを防ぐためにお塗り くださいというなら分かるのですけれども、そうではないのではないでしょうか。こう やって書くとだれが読んでも本当に消えてしまうように…。国がそういうふうな誤解を 招くような文章は書かない方がいいのではないでしょうか。これが書いてあるためにそ う感じるわけです。そうでなければ先ほどおっしゃったとおりに、これは予防のためな のだから顔全部に塗るのが当たり前で、しみだけに塗るのはおかしいですよね。しかし これが書いてあるとやはり塗ったら消えてしまうように思いますね。 ○機構 御意見は添付文書(案)の用法・用量の一番最後にある「シミ・ソバカスの特に 気になる部分には、丁寧になじませてください」という表現がしみ、そばかすを消すも のではないかというふうに過大な印象を受けるということでございますね。 ○小澤委員 しょせんこの薬は皆さんこういうふうに受けているのですから…。 ○機構 分かりました。この部分は検討させていただきます。不適切だということであ れば、この場で削除するということでお決めになっても構いません。 ○小澤委員 しかし、それは先ほどのデータから言っているわけですよね。 ○機構 医薬部外品はそういった局所的に塗ってしみ、そばかすを取るというものでは ございませんので、確かにこの用法・用量の一番最後の表現は医薬部外品としては不適 切であったかとは思います。 ○一般薬等審査部長 今の御議論の中で確かにこれはしみ、そばかすを治すようにとら れかねないというお話ですが、私が読んだときはしみとかそばかすができやすいような 辺りは特によく塗るといいよという程度に読んだので、治るというふうに読みかねない ということであれば、その辺りの表現をもうちょっと考えてもらうということでやりた いと思います。 ○溝口部会長 ありがとうございました。今まで添付文書まで審査したことがなかった かと思いますけれども、ほかのこういうホワイトニングの系統の添付文書はどうなって いるのでしょうか。大体このような書き方ですか。それともこれだけ特別に書いてある のか。あるいは今後こういうことを書かない方が消費者の誤解を招かないということで したらある程度統一する必要もあるかと思いますが、そこら辺の見解はいかがでしょう か。 ○機構 部会長がおっしゃるとおり、今までの医薬部外品の審査の中では使用上の注意 を見ていただくということで、ほかの項目については資料として出さずに審議もしてい ただかなかったのですけれども、今後医薬部外品の審査も充実していこうと考えており、 部会においてはとくに市販後に向けての全体的なところを御議論いただきたいというこ ともございまして、今回から添付文書全体を御提出しております。そういうこともあり まして、私どもが今、使用上の注意以外のものが、いわゆるこういうメラニン生成抑制 作用のある品目にどのような記載がされているかというのは今のところまだ承知いない ところでございます。 ○審査管理課長 今機構の方から申し上げたようにこれがいい例になりますので、それ を手本として既存のもの等についても見直しできないか、ちょっと検討させていただき たいと思います。 ○溝口部会長 分かりました。こういう検討をするのは非常にいいことだと思いますの で、これが反映されますと今までの既存の製品にも同じような指導が行く可能性が あるということでございますね。 ○審査管理課長 はい。誤解を招くような部分をもう少し正確に伝えられるようにとい うことで御意見いただきましたので、既存のものも少し見直していく方がいいのではな いかと思います。 ○溝口部会長 あと医薬部外品とか化粧品ですと、薬事法の関係で効いても「効く」と 書いてはいけないというのは確かですよね。 ○審査管理課長 はい。先ほどから先生方に大変御苦労をおかけしているのですけれど も、いわゆる疾患部位に対しての治療効果のようなものをうたうという目的性を持ちま すと医薬品ということになり、薬効的な効果を何もうたわないと化粧品になります。医 薬部外品の場合は中間でありまして、薬用的な効果をうたうのだけれども、正常な部分 に使って防止効果をうたうということになっているわけでございます。ただ、それを証 明するというか裏付ける資料として、ちょっと医薬品側に寄ったようなデータも出して くると。ただ製品の目的性はあくまでも予防、防止効果を言っているわけですので、そ の範囲でしか承認は与えませんし、それ以上のことを言ってはいけないという形になる わけでございます。 ○溝口部会長 なかなか微妙な問題があって、この添付文書もそれが反映してしまうの かもしれません。先生、どうぞ。 ○塩原部会長代理 大体医薬部外品というのは予防を目的としたものというふうに考え ていると、実際に医薬部外品の申請に必要なデータというのは医薬品に近いものを出し てくるわけです。本当の予防的なデータというのは出していないわけです。つまり塗っ ていて長期間見て色素が増強していなかった、あるいはコントロールの方はしていたと いう、本当の意味の予防的なデータを出さずに治療的な効果で予防効果の代用をさせて いながら、発表するときは予防効果をうたうという矛盾点があると思ったのです。これ を見ても使用試験で予防的なデータはないですね。要するに正常部に塗って、例えばコ ントロールの部分が半年後にメラニンが増えていたが、薬を塗った方は増えていなかっ たというデータはないわけですね。ですから、その辺の姿勢が今後どうしていくべきな のかと思ったのですが。 ○審査管理課長 現実問題としましては、予防の効果を実証するような試験ということ になりますとかなり大変な規模が必要になってくるかと思います。したがいまして、こ れまでの運用ではいわゆる治療効果までは行かないのだけれども、こういう薬効成分に よる緩和な作用によって予防とか防止の効果は期待できるといったようなところで認め てきたというのが現状でございます。 ○塩原部会長代理 それは現実路線としてしばらくは続けていかざるを得ないというこ とですね。 ○審査管理課長 もちろん先ほどからいろいろな面で委員の先生方も少しお感じになっ た影響もあるのかもしれませんが、いろいろな御議論はしていただいておりますので、 今後の問題として仮に予防的な試験も本当に必要なのかどうか、そういったものも含め てこの部会で御検討いただくことはよろしいかと思います。ただ直ちにそういうのを求 めるということになりますと、ちょっとなかなか大変な状況にはあるかなと思います。 ○塩原部会長代理 分かりました。 ○溝口部会長 どうぞ。奥田委員、お願いいたします。 ○奥田委員 安定性についてです。光安定性試験で光の強さは記載があるのですけれど も、期間の記載がここにないのです。恐らくもともとの資料の方にはあるのだと思うの ですが、概要に行くところで落ちてしまうことも幾つかあると思いますので、これから それを付けておいていただけますか。評価するときにやはり強さと期間で見るので、よ ろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 それはよろしくお願いします。望月委員、お願いします。 ○望月委員 今の光の試験ですけれども、どういう光を使ってという光の波長の規制は あるのでしょうか。 ○溝口部会長 この紫外線で予防効果を見た試験ですね。 ○望月委員 安定性のところなのですが。 ○溝口部会長 安定性の方は何を使っていますかという御質問ですが、事務局からお願 いいたします。 ○望月委員 「120万Lux/hr」と書いてありますけれども、これは波長がUV−Aの領 域の光、要するに普通の太陽光の光をやっているのか、ただ強くて明るい電球でやって いるのかでは全く違うと思うのですが。その辺りが先ほど奥田先生が言われたような安 定性に非常に大きい影響があるような気がします。 ○機構 安定性試験につきましては苛酷試験という項目がございまして、これで強度な 光を当てるという試験が行われております。ガイドラインが出ておりまして、それによ りますと光苛酷試験につきましては120万Lux/hrという規定がございますけれども、波 長についてはございません。 ○奥田委員 この意味は1時間の試験をしたということですね。ちょっと勘違いしてい ました。 ○機構 ちょっとメーカーの出した報告書を調べさせていただきます。 ○溝口部会長 それではお調べいただいて、後ほど望月委員の方へ御報告するというこ とでよろしゅうございますか。神田委員、どうぞ。 ○神田委員 確認です。一番最初に表示の問題ということで「ホワイトニング」という 言い方なのですが、消費者に正しい中身の情報をきちんと提供しなければいけないとい ったときに、もちろん添付資料の中身をきちんとしなければいけないことは言うまでも ないのですけれども、この「ホワイトニング」という命名についても一つの非常に大き な情報という性格があると思うのです。これについては最初のところで、表示の問題な ので別のところでというようなお答えがあったかと思うのですが、これはそういった場 があるのでしょうか。私はこれは非常に重要な誤解させる点だと思いますので、中身を きちんと表現する名前であるといいと思うのです。やはりこれはもっと積極的に美白効 果があるのではないかとか、もっと色白にするのではないかというような誤解を招くの ではないかと思うので、そういう場があるのでしょうか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。そういう名称を検討する場があるかということです ね。 ○審査管理課長 「ホワイトニング」という言葉が実際に美白効果があるかのような誤 解を招くのではないかということなのですけれども、実情から申し上げますと、この言 葉自体はかなり以前からビタミンCといった色素沈着を防止するような成分を入れたも のに対して使われております。そこら辺についてバランス上どう考えるかということな のですけれども、前提から見るとこういうメラニンの生成を抑えて防止効果があるもの について、現時点で著しく不適当だというふうにはちょっと言えないのかなと判断いた します。ただこういう薬用化粧品の販売名で、例えば「エモリエント」などといろいろ ございますが、英語の横文字の場合にどういうふうに解釈するかというのは、十数年前 にも販売名自身が誤認を与える可能性がないかという御指摘は頂いたのですけれども、 そこら辺の薬用化粧品の販売名について、もしやっていただくとすれば業界団体との間 で内規といいますか、見直しのような検討をしてもらうことになるのかなと思いますが。 ○溝口部会長 そうですね。今のところ公式にはないかもしれませんが、日本香粧品学 会などでも化粧品の機能等を検討しておりますけれども、まだ名称まで変えるという動 きにはなっていないかもしれません。これは外国でもほとんど「スキンホワイトニング エージェント」とか「スキンライトニングエージェント」というような言葉が使われて いるのですけれども、外国には医薬部外品というものがありませんで、化粧品か医薬品 になりますので、化粧品の方にこの言葉が使われているかと思います。 ○宗林委員 以前公正取引委員会あるいは公取協か何かが少し取りまとめて「UV」と か「ホワイトニング」という言葉の整理をされたと思います。日本化粧品工業連合会も 参加されてそのようなことがあったと思うのですが、もしかするとそういう場を使うこ とも可能かと思いました。 ○審査管理課長 ちょっと私「ホワイトニング」の方は記憶がございませんが、確かに 宗林先生がおっしゃったように「UV」についてはそういう報告があったように思いま す。その辺でUV遮断効果のようなものとこのネーミングのところは業界の自主規制と いったもので対応できれば、ちょっと働きかけてみたいと思います。 ○宗林委員 「UV」はそれだけではなくて「UVカット」とか、そういうあとの後半 を付けないと「UV」という言葉だけで使えなくなったのですね。そのとき多少「ホワ イトニング」も入っていたような気がしたのですが記憶があれなので、是非お願いしま す。 ○溝口部会長 小澤委員、お願いします。 ○小澤委員 そういう意味から、法的にもなかなかはっきりと「美白」には分けられな いということはよく分かるのですけれども、それゆえに今回のこれを不適切ならば削除 しますとおっしゃったので、逆にこれは絶対削除しないでこのところを上手に書いてほ しいと思います。 ○審査管理課長 承知いたしました。 ○溝口部会長 ほかによろしいですか。塩原委員、どうぞ。 ○塩原部会長代理 これは成分は確かにメラニン生成抑制なのでしょうけれども、この 効能・効果のところに「皮膚にうるおいを与える」「皮膚を保護する」「皮膚の乾燥を 防ぐ」とあって、要するに保湿作用をうたっているのですが、それは既に認可されてい るほかの成分の作用だからそれについては試験しなくていいということなのですね。そ うすると幾つかの成分を一緒に入れた場合、その効果は全部うたえるということになる わけですか。この効果に関してはもう今まで証明されているので、新たな成分をそれに 加えた場合にはその効果だけをうたって前の効果は自動的に付けていいということなの ですね。 ○審査管理課長 そのとおりでございます。 ○塩原部会長代理 そうすると、その相互関係などというのは特にしないでよろしいの ですか。 ○審査管理課長 冒頭に部会長の方からもお話がございましたように、最初の部分の「メ ラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」、「日やけ・雪やけ後のほてり」といい ますのがこの有効成分での効能で、残りの方はいわゆる化粧品等で一般的に認められて いる効能の範囲ということで、先ほど…。 ○塩原部会長代理 ですからこれは証明はしていなくてもいいのですね。この製剤で実 際こういう効果があるかどうかは分からないですよね。要するにこういう効果のある成 分が含まれているので、全般的なものとして色も取れるし皮膚に潤いは出るしという感 じでこれを顔に使ってしまわれると思うのです。 ○審査管理課長 そこはもちろん医薬部外品の中でも剤型といいますか、製剤によって 少し違えておりますけれども、こういうクリームなどというようなものにつきましては 効能の範囲ということで、これは一般的によろしいという形にしてございます。成分か ら見て明らかに保湿の成分などが入っていなければちょっと問題にはなるかと思います けれども、今度の場合は配合成分等から見てその辺については問題ないだろうというこ とで、一般的な効能の範囲のルールを適用しております。 ○塩原部会長代理 分かりました。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。過去でとられている有効は全部書いていいと いうことで、医薬品だと先ほど塩原先生が言われました併用効果が問題にされますが、 化粧品ではそれが問題にされていませんで、そのまま書いていいというのがルールには なっております。そこら辺をどうするかというのは今後の問題かと思います。よろしゅ うございますか。 ○事務局 事務局ですけれども、御欠席の委員の方からコメントを頂いていますので御 紹介させていただきます。本部会の委員の方から、本製品の新規成分の構造から内分泌 攪乱作用があるのではないかとの御懸念がありました。本日御欠席でございますが、内 分泌攪乱化学物質にお詳しい本部会委員の井上先生にこの点について事務局からお問い 合わせいたしました。そうしましたところ、「経皮吸収ですが、生殖発生毒性が見てあ り、実際上の使用量との関係で問題はないと思われます。本剤の低用量作用についての 問題が検討されている現状にあっても、差し当たり注意を喚起すべき根拠は認められま せん」ということで、問題はないというコメントを頂いております。 ○溝口部会長 ありがとうございました。内分泌攪乱物質としては全然問題にならない という専門家の御意見があったということでございます。よろしければ先ほどの添付文 書のところを少しクリアに整理していただくということで、これも薬事分科会に報告し てよろしゅうございますか。ではそのようにさせていただきますので、よろしくお願い いたします。それでは議題3、「化粧品基準の一部改正について」でございます。事務 局から説明をお願いいたします。 ○事務局 化粧品基準の一部改正につきまして、個々の成分の御審議に入っていただく 前に簡単に化粧品の承認制度について御説明させていただきます。化粧品につきまして は原則としてこれまで御審議いただいていた医薬部外品のように個別品目の申請は行わ れておらず、平成13年4月より化粧品基準の規定に違反しない成分について全成分表示 を行い、企業責任の下に安全性を確認して選択した上で配合することとなっております。 本日配付させていただきました参考資料の化粧品基準をお手元に御用意ください。表紙 中ほどに「化粧品基準」と記載されておりまして、以下1〜4まで基準が記載されてお ります。1が総則、2が防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分の配合禁止の 基準です。3が防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分について配合に制限が あるものの基準です。そして4が防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素の配合の制限で ございます。ページが振っていなくて申し訳ありませんが、防腐剤につきましては5枚 めくっていただいたところの別表第3、紫外線吸収剤につきましては更に2枚めくって いただいたところの別表第4、タール色素につきましては医薬品等に使用することがで きるタール色素を定める省令というものがありまして、ここに掲げられているもののみ 使用することができるとなっております。今回資料3-1〜3-4までを基に御審議いただく 成分は防腐剤あるいは紫外線吸収剤でございまして、本日の審議において御承認いただ けましたら化粧品基準の一部改正を行い、防腐剤につきましては別表第3、紫外線吸収 剤につきましては別表第4に掲載され、医薬品の成分として使用できるようになります。 個別審議の前ではありますが、現在の要請内容にて御承認いただいた場合には本日差し 替えをお願いしております資料3-5の内容を現行の基準の別表に追加することになりま す。個別の審議と併せて改正案についても御審議いただきますよう、よろしくお願いい たします。それでは、個別の成分につきまして医薬品医療機器総合機構の方より御説明 させていただきます。 ○機構 それでは総合機構から御説明させていただきます。その前にお断り申し上げた いのですけれども、本日資料3-5に示しますとおり4成分ございます。上段の二つが防 腐剤で、下段の二つが紫外線吸収剤でございます。御審議の方は紫外線吸収剤2成分を 総合機構から説明いたしまして、これについて御審議いただいた後で次の防腐剤に進む というやり方でまいりたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。 ○溝口部会長 お願いいたします。 ○機構 それでは、まず紫外線吸収剤の方の資料3-1「2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒ ドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル」について、続きまして資料3-4の「ジ メチコジエチルベンザルマロネート」を説明させていただきたいと思います。よろしく お願いいたします。  それでは資料3-1でございます。成分名は2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベ ンゾイル]安息香酸ヘキシルエステルでございます。これについては先ほどのとおり化粧 品基準のポジティブリストに収載を要請するということでございまして、要請者はBA SFジャパン株式会社でございます。要請者が希望する配合量は、化粧品製品100g中 の最大配合量として粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すものに10.0g、 粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものに10.0gでございます。  本成分につきましても専門協議における専門委員の意見を踏まえ、総合機構において 評価を行いました。  申請者の主張する本成分の特徴としては、紫外線吸収剤の中で長波長範囲(紫外線A波 :320〜400nm)に吸収効果のあるものが少ないことから、紫外線A波の領域に吸収効果の ある成分を目的として開発され、特にこれは油溶性で光に安定であるということでござ います。  外国における使用状況についてですが、2004年5月現在では外国において使用販売実 績があるのはまだインドネシアのみでございますが、EUにおいては審議されておりま して、つい先日の2005年1月28日にポジティブリストに配合上限10%で収載されてお ります。また米国においては、2001年12月に国際名称を登録する機関である米国化粧 品工業会(CTFA)にINCI名「Diethylamino Hydroxybenzoyl Hexyl Benzoate」と して収載されております。  次に「ロ.物理的化学的性質等に関する資料」でございますが、本成分の化学構造は、 既存のポジティブリスト収載成分である4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメ タンと類似の基本骨格を持っておりますが、赤外線吸収スペクトル法、元素分析法、核 磁気共鳴スペクトル法により構造が確認されております。規格につきましては性状、溶 解性、定量法(ガスクロマトグラフ法)、比吸光度が設定されております。本成分の光に 対する安定性については紫外線を6時間照射する試験が行われており、97.5%の残存率 を示しております。  「ハ.安全性に関する資料」でございますが、ラット単回経口投与毒性試験、ラット3 か月間反復混餌経口投与毒性試験が実施されております。単回投与毒性試験においては、 概略の致死量は最高投与量で2,000mg/kg以上ということでございます。反復混餌経口投 与毒性試験において無毒性量は15,000ppmと判断されております。これを本成分の摂取 量に換算いたしますと、雄で1,248.8mg/kg/日、雌で1,452.1mg/kg/日でございます。  またラットを用いた生殖発生毒性試験についても検討が行なわれ、ラット出生前及び 出生後の発生並びに母動物の機能に関する試験(40、200、1,000mg/kg/日)において、母 動物の一般毒性学的無毒性量は200mg/kg/日、生殖能に対する無毒性量及び胚・胎児の 無毒性量は1,000mg/kg/日と判断されております。  局所刺激性試験については皮膚一次刺激性試験、連続皮膚刺激性試験、眼刺激性試験 が実施されております。  皮膚一次刺激性試験においては適用した日に非常に軽度な紅斑が3例中2例で観察さ れ、本成分の皮膚刺激性は軽度であると判断されております。  モルモット連続皮膚刺激性試験において、被験物質群及び溶媒対照群ともに8〜9日 目から紅斑あるいは浮腫が確認されておりますが、紅斑及び浮腫の発現傾向(発現数、発 現日)については溶媒対照群と異なるものではないことから、本成分によるものではなく 溶媒によるものと考えられ、本成分の連続皮膚刺激性については安全性上問題ないとい う申請者の判断でございます。これにつきましては総合機構の方も念のためプラス、マ イナスの所見について撮影した写真を取り寄せて専門家に判断させておりますが、これ を見る限りでは写真では判定できないようなマイナスととってもいいような所見でござ いましたので、それほど懸念するものではないということ。それからこの場合溶媒につ いても出ているということで、溶媒の選択について非常に難しいところがあったと思い ますが、濃度依存性がないことを考慮いたしまして安定性上問題ないという判断を受け 入れております。  次に眼刺激性試験でございます。これは原薬が適用された試験でございますが、適用 した日に軽度から中等度の結膜発赤がすべてのウサギで観察されたということでござい ます。さらに1例でわずかな分泌物が認められたという所見でございます。適用量の何 倍ぐらいを投与したらいいかという問題もございますけれども、この場合原薬が適用さ れたということもあって刺激性を見るには少し過度ではあったかと思いますが、適用後 48時間以内にすべてのウサギで症状が消失したことから眼刺激性は安全性上問題のな いものと判断されております。機構もその判断を受け入れております。  抗原性についてはモルモットによる感作性試験が行われておりまして、陰性と判断さ れております。  モルモット皮膚による光毒性及び光感作性試験が実施され、さらに光遺伝毒性試験と して細菌を用いる復帰突然変異試験、チャイニーズハムスターV79細胞を用いた染色体 異常試験が実施されておりますが、いずれにおいても陰性と判断されております。  遺伝毒性試験については細菌を用いる復帰突然変異試験、V79細胞による染色体異常 試験が実施され、いずれも陰性であり、本成分に遺伝毒性はないものと判断されており ます。  次にヒトパッチテストでございます。試料除去後1時間の反応で紅斑が1例認められ ております。除去後24時間の反応はすべて陰性ということで、本成分は刺激反応を惹起 する可能性はあるが、少ないと考えられております。  試作製剤によるパッチテストにおいても本成分を10%配合した試作製剤0.01gを使 用して実施されております。原体の試験と同様の方法で実施されまして、試料除去1時 間及び24時間後の反応はすべて陰性という結果が出ております。  次に吸収・排泄等についての結果でございます。皮膚浸透の可能性を観察する目的で、 本成分10%配合の試作製剤を用いたin vitroでのブタ上皮膜経由皮膚吸収試験が実施 されておりまして、吸収率は24時間後に0.010及び0.336μg/cm2/hと極めて低い値を 示しております。  次にin vitroでのブタ上皮膜経由皮膚吸収試験において、本成分の10%配合製剤に ついて塗布量を2mg/cm2とした場合吸収率が0.01μg/cm2/hということでございますの で、これに基づいてラット経口反復投与毒性試験及びラット生殖発生毒性試験の無毒性 量から全身に塗布した場合の安全係数が算出されておりまして、いずれも2,300〜 16,000倍と数値は大きく、本成分の安全性は高いと判断されております。資料3-1につ きましては以上でございます。  続きまして資料3-4のジメチコジエチルベンザルマロネートについて評価報告書に沿 って御説明いたします。要請者はDSMニュートリションジャパン株式会社、配合量は 先ほどと同じで化粧品100g中10.0gでございます。  外国における使用状況でございますが、これも同じくEUにおいてポジティブリスト に紫外線吸収剤(配合上限10%)として2002年4月に収載されており、また米国におい てもCTFAでINCI名が「Polysilicone 15」として2001年12月に登録されており ます。こちらの方は現在広く使用されているということでございます。  「ロ.物理的化学的性質等に関する資料」は特段の事項はありませんが、光に対する安 定性は紫外線を5時間30分照射する試験が行われており、94%の残存率を示したという 成績が出ております。  「ハ.安全性に関する資料」でございます。単回経口及び経皮投与毒性試験での概略の 致死量は最高投与量である2,000mg/kg以上ということでございます。13週間経皮投与 における無毒性量は1,000mg/kg/日ということでございます。  生殖発生毒性試験、抗原性、遺伝毒性試験、ヒト皮膚感作性試験及びヒト光感作性試 験はいずれも問題はございません。  吸収・排泄等に関する試験も行われましたが、主要排泄経路は糞中ということで72 時間後に92%というデータが示されております。  安全係数につきましては、ブタの皮膚切片の角質層での吸収等のデータを勘案しまし て3%吸収されるという前提で出されております。無毒性量は反復経口投与あるいは生 殖発生毒性試験の結果から得られた無毒性量に対して463倍ということでございます。 以上でございます。 ○溝口部会長 では以上の内容の御討論をお願いいたします。いかがでしょうか。望月 委員、どうぞ。 ○望月委員 この二つの物質とも、光を当てると最初の資料3-1では約2.5%何かに変 化して、もう一つは6%何かに変化するということですね。そのときに変化して出てき たものはどういうものかというのはある程度推定しているのでしょうか。またそのもの 自身には毒性その他はないのかということは気にしないでいいのでしょうか。その点に ついて教えてください。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。「ロ.物理的化学的性質に関する資料」についてだと 思います。光を当てて、残存率が出ていますが…。 ○機構 光を当てましたときに残存率以外にどのようなものが生成しているかについて は確認しておりませんが、安全性試験として提出されました光毒性試験あるいは光感作 性試験といったところで、光を当てた場合も問題がないということを確認しています。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。ありがとうございました。小澤委員、お願い いたします。 ○小澤委員 これは二つとも紫外線の予防のものですけれども、この二つは全く波長が 違いますよね。法的にはこの言葉で解決されてしまうのでしょうが、先ほどのいろいろ なものが混ざったら結局は全部の効能が載ってくるのが医薬部外品とすれば、この段階 でこれはUV−Aに特化したもので、これはUV−Bだということを明記すべきではな いですか。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。 ○機構 こちらの方は医薬部外品ではなく化粧品ということで、化粧品の効能につきま しては一応ある一定の効能というのが通知で定められているのですけれども、その範囲 で製造業者がエビデンスを持っていれば標榜していいということになっております。 ○審査管理課長 先ほど宗林先生の方からも御指摘ありましたように、私ども今ここで はっきり承知していないのですけれども、業界の方でも吸収をカットするUVの種類と か力によって表示の自主規制的なものがあるのではないかと思いますので、そこはちょ っと確認をいたします。これは医薬部外品と違いまして化粧品になりますので、化粧品 につきましては製品についての個別の審査がなくなっております。最初に化粧品の基準 の説明をいたしましたけれども、その製品にこれは入れていいかどうかというルールに なっておりまして、ここの部会におきましてはポジティブリストに入れていいかどうか という安全面でのチェックを頂くことになっております。有効性の部分につきましては 先ほど宗林先生のコメントもございましたように、このものについてはUV関係では確 認をしておきたいと思います。 ○小澤委員 法的なことはもちろんそうなのですけれども、私は有効性のことを言って いるのではなくて、この物質自体の吸収波長がUV−Aにある、UV−Bにあるという のは有効性とは何も関係ない物質の話ですよね。結局今度それをどんどん化粧品に混ぜ たり医薬部外品に混ぜるわけですね。またそれで話がこんがらかっていくわけですから、 この段階で例えば注意事項というか、何かコメントを入れてもよろしいのではないかな と思っただけです。漠然とこれをやるとまたみんな漠然となっていってしまいますから。 これははっきりと違うものです。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。実際に化粧品に入れられたときに例えばUV−Aに 効きます、UV−Bに効きますと書くのは化粧品会社に任されているようなところがあ るわけですか。ここで安全性を確認してポジティブリストに入ったら後はもう化粧品会 社に任せるのですか。 ○審査管理課長 任されている形になります。 ○溝口部会長 任されているのですね。 ○宗林委員 一応SPFのテスト方法のスタンダードが日本化粧品工業連合会から出た ことに対して、比較しながら数値を決めるようになっていませんでしたでしょうか。あ とA波の方はPAしかないのではないでしょうか。 ○溝口部会長 SPFとPAは化粧品でも義務付けられていますか。 ○宗林委員 義務付けではないと思いますが、一応統一したテスト方法に基づいてやる 場合はそういう形での表示方法が自主的に決められているというような現状ではないで しょうか。義務付けはないと思いますけれども、ちょっと詳細は明確には分かりません。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。化粧品のポジティブリストに入ってしまいま すと、そこから先はちょっと…。 ○小澤委員 仕組みはよく分かります。しかしせっかくやるのだったら、既にUV−A、 UV−Bの話は一般論であるので、少なくともまず国がそういうことをきちんと書いて いっても別に悪くはないのではないかと私は思うのです。安全性はもういいのですけれ ども。 ○審査管理課長 先生の御趣旨はこの評価報告書なりにちょっとそれを明記しておいた 方がいいということでございますね。 ○小澤委員 ただこの紫外線遮断剤だけではなくて、どこかに書いた方がいいのではな いかというだけです。 ○審査管理課長 分かりました。ただそういう意味を持つ物質だということを書く分に は構わないのですよね。 ○小澤委員 そういう物質だということを言えばいいと。 ○溝口部会長 これはUV−Aに効いてこれはUV−Bに効きますというのを書いた方 がいいと。 ○小澤委員 効くかどうかは知りませんけれども、吸収波長としてです。 ○溝口部会長 吸収波長がUV−Aである、UV−Bであるという事実を報告書に書く というのは別に問題ないと思いますが、よろしゅうございますか。ではそのようにいた します。どうもありがとうございました。米谷委員、どうぞ。 ○米谷委員 最初の安息香酸ヘキシルエステルのお話なのですが、こういう刺激性のと きに溶けないものの溶媒の影響というのは非常に大事で、3ページのところで御説明が あったようにプロピレングリコールを使ったときには刺激性が出なかったというような こともあるので、ほかに調べられた3種の溶媒というのもきちんと明記されておいた方 が今後いろいろな刺激性が出たときに分かりやすいのではないかと思うのですが。 ── 塩原部会長代理退席 ── ○溝口部会長 いかがでしょうか。 ○機構 おっしゃるとおりでございますので、この評価報告書も見直したいと思います し、今後もそういう考え方でやってまいりたいと思います。 ○溝口部会長 ではそのようにお願いいたします。ほかにございますか。北澤委員、お 願いします。 ○北澤委員 基本的なところで教えていただきたいのですけれども、この資料3-1と3-4 でいろいろな試験の結果が書いてあるのですが、全く同じではないですね。例えば資料 3-4の方には遺伝毒性試験とヒトパッチテストの間に幾つか別の試験も書いてあって、 結果も書いてあります。こういった場合にどれとどれの試験をやらなければならないと いう基準がちょっと分からなかったので、その辺りを確認したいので教えていただきた いと思います。 ○溝口部会長 すみません、関連でもう一つ。どうぞ。 ○神田委員 健常人何名とか年齢とかが非常にまちまちなのですけれども、これも何か 決まりがあるのでしょうか。若い人たちだけのものもありますし、年齢層が非常に幅広 いものもあります。ただ人数だけなので、人数配分がどうなっているのか。細かいこと を聞いて申し訳ないのですが、何か物差しというか基本の考え方があるのでしょうか。 ○溝口部会長 では以上の二つをまとめてお答えお願いいたします。 ○機構 化粧品基準に収載を希望するといった場合に、どのような試験データを出さな ければいけないかということが定められております。この場合にも提出しなければなら ない資料というのは両者ともクリアしておりまして、その件については問題ありません。 ただこれは海外で開発されたものでございますので、海外のデータがあります。そうい ったこともございまして、追加といいますか国として求めている試験のほかに追加して 提出されてきたということです。それからパッチテストのことだと思うのですけれども、 年齢と性別につきましては特に規定はございませんで、健常人40名以上を対象とすると いう取扱いでございます。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。ほかに御意見おありになりませんでしょうか。 それでは以上の二つは御了解いただいたものとして、次の二つに移らせていただきたい と思います。 ○機構 それでは、資料3-2のポリアミノプロピルビグアナイドと資料3-3の銀-銅ゼオ ライトについて、評価報告書に基づいて審査の概要を御説明いたします。この2成分は いずれも防腐剤として収載要請されたものです。  まず資料3-2のポリアミノプロピルビグアナイドから御説明いたします。評価報告書 の2ページをお願いします。要請者は日光ケミカルズ株式会社でございます。こちらは 成分分類に記載のとおり防腐剤として収載が要請されておりまして、要請者が希望する 配合量は、化粧品製品100g中の最大配合量として粘膜に使用されることがない化粧品 のうち洗い流すものに0.1g、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さない ものに0.1g、粘膜に使用されることがある化粧品に0.1gとなっております。これに つきましても専門協議における専門委員の意見を踏まえ、医薬品医療機器総合機構にお いて評価を行いました。  「イ.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」でございます。 本成分は化粧品の防腐剤として汎用されておりますパラペン類とは水溶性という特性を 有している点が異なり、水相側の防腐効果に優れるという利点が考えられております。 外国における使用状況については、化粧品の防腐剤としてはEUにおきまして1986年に ポジティブリストに配合上限0.3%で収載されております。また米国においては1984年 にCTFAにINCI名「Polyaminopropyl biguanide」として収載されています。  次のページの「ロ.物理的化学的性質等に関する資料」でございます。本成分の化学構 造は赤外線吸収スペクトル法、核磁気共鳴スペクトル法等により確認されております。 次に「ハ.安全性に関する資料」でございますが、単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、 生殖発生毒性試験、皮膚一次刺激性試験、連続皮膚刺激性試験、眼刺激性試験、感作性 試験、遺伝毒性試験及びヒトパッチ試験が実施されております。ラット単回投与毒性試 験は概略の致死量が雌雄ともに400mg/kgと判断されております。反復投与毒性試験はイ ヌ及びマウスによって行われ、イヌ1年間反復混餌経口投与試験の無毒性量は雄が 46mg/kg/日、雌が45mg/kg/日となっております。マウス80週間反復経皮投与毒性試験 の無毒性量は雄が13.7mg/kg/日、雌が15.8mg/kg/日と判断されております。  またラットを用いた生殖発生毒性試験についても検討が行われ、ラット2世代混餌投 与毒性試験については、親動物への無毒性量は2,000ppm、成熟動物への無毒性量は 600ppm、出生児への無毒性量は2,000ppmと判断されております。皮膚一次刺激性におい ては10〜20%の濃度で中等度以下の皮膚刺激性が確認されておりますが、連続皮膚刺激 性試験におきましては1%の濃度で皮膚刺激性は認められておりません。感作性試験に つきましてはMaximization法によって実施されており、最低感作濃度は2〜6%の間で あるとされております。光毒性試験及び光感作性試験につきましては、本成分が紫外部 に吸収をもたないことから試験の実施が省略されております。  吸収・分布・代謝・排泄に関する資料につきましては、本成分の大部分は吸収されず に排泄されるとしております。また本成分は平均分子量が大きく、かつポリマーである ことから、経皮吸収は極めて低いと考察されております。その他の安全性試験につきま しては本成分の配合量を踏まえ特段の問題は見受けられておりません。  以上の提出された資料から見て、総合機構では本成分を防腐剤として100g中に0.1 %を配合するものとしてポジティブリストに収載して差し支えないと判断いたしまし た。  続きまして資料3-3の銀-銅ゼオライトについて御説明いたします。評価報告書の2ペ ージをお願いいたします。本製剤は成分分類に記載のとおり防腐剤として収載要請され ておりまして、要請者はカネボウ株式会社でございます。要請者の希望する配合量は化 粧品製品100g中に0.5gとなっております。本成分についても専門協議における専門委 員の意見を踏まえ、医薬品医療機器総合機構において評価を行っております。  「イ.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」でございますが、 本成分は要請者であるカネボウ株式会社によって開発された防腐剤でございます。外国 における化粧品の防腐剤としての使用実績はございません。  続きまして「ロ.物理的化学的性質等に関する資料」でございますが、本成分の組成が 強熱した場合に銀として2.7〜3.7%及び銅として4.9〜6.3%を含有するものとされて います。  「ハ.安全性に関する資料」でございます。本成分につきましては単回投与毒性試験、 反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験、皮膚一次刺激性試験、連続皮膚刺激性試験、眼 刺激性試験、感作性試験、遺伝毒性試験及びヒトパッチ試験が実施されております。安 全性試験に関しては特段の問題はございませんが、遺伝毒性試験につきましてはin vitroでの染色体異常試験の一部が陽性でありました。しかしながらin vivoでの成績 は陰性であり、細菌を用いる復帰突然変異試験の成績も陰性だったため、本成分は変異 原性を有さないとされております。  以上の提出された資料から見て、総合機構は本成分「銀-銅ゼオライト」を成分名の注 記として「強熱した場合において、銀として2.7〜3.7%及び銅として4.9〜6.3%を含有 するものをいう」を追記し、防腐剤として配合することに差し支えないと判断いたしま した。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 ただいまの内容に関して御質問、御意見がございましたらお願いいたし ます。いかがでしょうか。 ○奥田委員 基本的なことを教えていただきたいのですけれども、4成分ともそれぞれ いろいろな細かさの規格が付いているのですが、その規格というのはこの場でそれも含 めて認めるというものなのですか。それとも、ここは単にそういうものですよという例 示と解釈するのでしょうか。 ○溝口部会長 お願いいたします。 ○機構 規格につきましては審査の対象となっておりません。審査報告書あるいは資料 概要の中で例示として掲げているということでございます。そういうこともございまし て、銀-銅ゼオライトの方は強熱したものの含量というものを規定に追加すべきだろうと いうことで、総合機構としてはこれの追加を御提示しております。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。いかがでしょうか。ほかにおありになります か。それでしたら案のとおり御了承いただけますでしょうか。ありがとうございました。 それでは資料3-1〜3-4まで承認して差し支えないとして薬事分科会の方に報告するこ とにいたしますので、よろしくお願いいたします。それではこれで審議事項は1〜3ま で議題が終わりましたので、次に報告事項に移らせていただきます。議題1「医薬部外 品『レニュー マルチプラス』の輸入承認について」を事務局の方からお願いいたします。 ○機構 それでは報告事項の議題1、「レニュー マルチプラス」について報告させてい ただきます。申請者はボシュロム・ジャパン株式会社でございます。このものは塩酸ポ リヘキサニド□□液を有効成分とするソフトコンタクトレンズ用消毒剤です。塩酸ポリ ヘキサニド□□液を有効成分とするソフトコンタクトレンズ消毒剤は既に承認前例がご ざいます。またこのボシュロム・ジャパン株式会社においても販売名「レニュー」とい うもので、100mL中□□mgを配合した製剤を持っているところでございます。今回はこ のレニューの中にタンパク分解剤である□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と いうものを配合したということでございます。これは有効成分ではございませんが、タ ンパクといった汚れを落とす効果を付けたいということが目的でございます。ところが このタンパク分解剤を追加したことから有効成分の力価が少し落ちたということもあり まして、有効成分の量を□□mgに増量したということでございます。新たな添加物を加 えたところから有効成分の増量が必要になった点については決して好ましいものではご ざいませんが、ソフトコンタクトレンズの取扱いとしては専門協議において眼科医の専 門委員の意見も踏まえまして、タンパク質除去効果を有する点についてはメリットがあ り、望ましい製品であろうとの御意見を頂きまして、承認して差し支えないといたしま した。ただ通常既承認の有効成分の増量につきましては市販後調査まで求めないのです が、この製品につきましては消毒剤ということもございますが、装用時に本剤で洗浄し てそのまま人の眼に直接適用されるということもありますので、念のため承認後に2年 間の市販後調査を実施するという指示をし、申請者の了解を得ております。以上でござ います。 ○溝口部会長 ただいまの内容に関しまして御討論お願いいたします。御質問、御意見 いかがでしょうか。これは既に眼科の先生の専門委員としての御意見も入っているよう でございますが、市販後調査2年間が義務付けられております。いかがでしょうか。そ れでは特に御意見がないようでございますので、このまま御了承ということでよろしゅ うございますか。ありがとうございます。それではこれで報告事項は終わらせていただ きます。その他は特にございませんか。 ○審査管理課長 ございません。 ○溝口部会長 それではこれですべての審議が終了いたしました。御討論いただいたと ころは薬事分科会に報告させていただきたいと思います。今後の日程につきましては品 目審議状況を見て事務局の方で調整していただきますので、改めて御連絡するかと思い ます。それではこれで本日の化粧品・医薬部外品部会を終了いたします。ちょっと時間 が延長してしまいまして申し訳ありませんが、活発な御討論をありがとうございました。 ○審査管理課長 どうもありがとうございました。                                                  ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 紀平(内線2738) - 1 -