04/12/27 社会保障審議会障害者部会(第23回)の議事録             第23回社会保障審議会障害者部会  日時  :平成16年12月27日(月)10:30〜12:30  場所  :厚生労働省6階 第8会議室  出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、江上委員、大濱委員、岡谷委員       君塚委員、小板委員、古畑委員、小林委員、斎藤委員、笹川委員       新保委員、末安委員、高橋(紘)委員、武田委員、丹下委員、堂本委員       徳川委員、永井委員、長尾委員、野中委員、広田委員、福島委員、町野委員       松友委員 ○京極部会長  定刻となりましたので、ただ今から第23回「障害者部会」を開催させていただきま す。委員の皆様におかれましては、特に年末のお忙しい中お集まりいただきまして誠に ありがとうございます。本日は10時半から12時半まで、2時間の予定で進めさせていた だきますので、よろしくお願いします。  それでは事務局から委員の出欠、並びに資料についてご説明をお願いします。 ○間企画課長補佐  まず委員の皆様の出欠状況ですが、本日は猪俣委員、岡田委員、亀井委員、北岡委 員、高橋清久委員から欠席とのご連絡をいただいております。また、長尾委員から15分 ほど遅れるとのご連絡をいただいておりますほか、高橋紘士委員、堂本委員、町野委員 が少し遅れておられるようでございます。  続きまして傍聴の関係でございますが、大変多数のご応募をいただいておりまして、 今回やむなく抽選をさせていただいておりますことをご報告申し上げます。  続きまして資料のご確認をお願いします。まずお手元の配布させていただいておりま す資料は、資料番号1番、「平成17年度厚生労働省予算案の主要事項」、厚生労働省全 体の予算の資料でございます。続きまして、資料2、「平成17年度障害保健福祉関係予 算(案)の概要」というものがございます。これは障害保健福祉部関係の予算をまとめ たものでございます。続きまして、資料3、横の青い色が付いているもの、「費用負担 に関する考え方」という資料がございます。続きまして、枝番が付いてございます。資 料3-2でございますが、「家計調査のうち、自家消費分の取扱いについて」という資 料がございます。前回、斎藤委員からご指摘のあった点の関係の資料でございます。続 きまして、資料4、「障害者自立支援給付法(仮称)について」という表題のやや厚め の資料をご用意させていただいております。それから資料5としまして、「被保険者・ 受給者の範囲の拡大に関する意見」ということで、先般出されました社会保障審議会介 護保険部会の報告書をご用意させていただいているところでございます。  これらの資料と併せまして、前回の議事録を委員の皆様の机の上に配布させていただ いておりますので、ご発言内容に誤り等がございましたら1月10日(月)までに事務局 までお知らせいただきたいと存じます。また、資料の不足等がございましたらご指摘い ただきたいと存じます。以上でございます。 ○京極部会長  それでは議事に入りますが、冒頭、塩田部長から発言を求められておりますので、お 願いしたいと思います。 ○塩田部長  今年最後の審議会ですので、今年1年のこの審議会での議論に対しまして感謝と御礼 の言葉をまず申し上げたいと思います。  この1年間いろいろな懸案がありましたが、特に支援費の財源不足の問題をはじめい ろいろな懸案がありましたが、全体の問題について明るい日差しが見えたわけではあり ませんが、一つ一つ、少しずつ解決の糸口はつかめつつあるのではないかと感じておる 次第でございます。このことについては皆様方のご支援に感謝申し上げたいと思いま す。  後ほど詳しくご説明しますが、まず今年度の支援費の財源不足の問題がありました が、これにつきましては先般の来年度予算編成の一環として、補正予算を組んでいこう ということが閣議決定されました。173億円の補正予算を組むと、居宅サービスについ て組むということが決まりました。残りの部分については昨年と同様、省内の予算の流 用というか、工夫によって対応したいと思っているところでございます。  それから来年度の支援費につきましても、これも後ほどご説明申し上げますが、本年 度の当初予算が602億円に対しまして、930億円を計上してございます。これは8月の概 算要求の時点よりも額としては上乗せしていただいたということでありまして、支援費 の構造的問題でありましたいわゆる在宅サービスについて裁量的経費ということにつき まして、来年度中途からいわゆる義務的経費に改めるということが実現することとなり ました。一方で利用者負担の見直しということを行うことになっておりますが、いろい ろな意見があると思いますが、これから障害者のサービスの質を高める観点とか、量の 確保を図るという観点、そして障害者福祉の裾野を広げていくというか、いろいろな可 能性を広げていくという観点からは避けて通れない選択肢であったと思っております。  いずれにしましても来年度予算、それから後ほどご説明する障害者自立支援給付法案 の審議と併せまして、来年の通常国会で国会の場においていろいろな角度から議論して いただきたいと思っている次第でございます。また、この審議会でも引き続きいろいろ なご意見を頂戴したいと思っているところでございます。  それからもう一つは、グランドデザインを発表しました。いろいろなご意見を各方面 から頂戴しましたが、このグランドデザインの考え方を実現する意味で、後ほどご説明 申し上げますが、これまでは「障害福祉サービス法」という名前で申しておりました が、内閣法制局等々とまだ調整中でありますが、現時点では「障害者自立支援給付法案 」という形でまとめて来年の国会に提案したいと思っております。法案というのは物事 の考え方の骨格を示したものでありまして、具体的な内容につきましては国会での議 論、さらにこの審議会での議論を経まして、何年もかけて肉付けをしていくという性格 のものであると考えているところでございます。今後ともいろいろなご意見を頂戴した いと思っております。  それから介護保険との関係ですが、これも12月にいろいろな動きがございました。後 ほどご説明しますが、社会保障審議会の介護保険部会の意見書が出されておりまして、 最終的には被保険者への拡大については介護保険制度の将来的なあり方として、要介護 となった理由や、年齢の如何にかかわらず介護を必要とするすべての人にサービス給付 を行う。いわゆる、制度の普遍化の方向を目指すべき、という意見が多数を占めたとい う報告になっております。  それから、今後の進め方につきましても、平成17年度と18年度の2年間で社会保障制 度全般について一体的な見直しが行われることになっておりますが、その一体的見直し の中で可否を含め国民的な合意形成、あるいは具体的な制度改革案について、できるか ぎり速やかに検討を進め結論を得ることが求められるとされたところでございます。一 方、与党の中でもいろいろな報道が出されておりますが、精力的な議論がなされまし て、現段階では来年国会に出される介護保険法の本則に、被保険者範囲の拡大を含む、 ということについては大変難しい情勢でございますが、その法案の附則の中で今後の方 向についてどういう形で盛り込むかということが懸案というか、年明けの議論になって いるところでございます。  ということで、介護保険との関係についてはいろいろな議論がございましたが、私自 身は障害者福祉の基盤を強化するという観点、あるいは地域福祉の充実という観点か ら、介護保険制度が普遍化してその制度を障害者サイドからも活用できるという方向が 必要であると考えておりますが、まさにこれからそういうことについて国民的議論がな されるということでありますので、これからの議論が今まで以上に重要になっていると 考えているところでございます。  それから今年1年いろいろな動きがございました。一つは、障害者基本法が改正され るということで、差別をしないということの趣旨が明確にされるとか、あるいは就労の 重要性が書かれるとか、市町村の計画を義務付けるとか、かなり画期的意義のある施行 改正であったと思います。  それから、障害無年金の問題につきましても、与野党で議論がありましたが、議員立 法という形で特別な給付金制度が創設されるということで、かなりの前進を見たところ でございます。また発達障害者といって、制度の谷間になっている方々に対しても、発 達障害者支援法ということで、これも議員立法で制定されたということで、障害者福祉 にとっては福音であると考えております。  そのほか、骨太の方針で初めて障害者の就労支援とか、地域生活支援の法的整備と か、充実強化が謳われたこととか、パラリンピックとかいろいろなことがございまし た。また、国際的にも国連で障害者の権利条約の素案が示されて2度の委員会が開か れ、国内でも日本障害フォーラムがつくられるなど、いろいろな動きがあったところで ございます。そういう意味で非常に障害者福祉にとっては実りある1年であったと思い ますが、残された課題もたくさんございます。所得保障の問題とか、住まいの問題と か、いろいろな課題が山積しておりますので、来年につきましてもよろしくご指導をお 願いしたいと思います。簡単ですが、この1年の御礼の言葉とさせていただきます。 ○京極部会長  ありがとうございました。これまでさまざまな議論を行ってまいりましたが、支援費 制度をはじめ障害者施策の問題点の解決が少しずつ現実化するということだと思いま す。  それでは本日は1年の議論の区切りとしまして、第一に平成17年度予算案、第二に改 革のグランドデザインを具体化するための新たな法律である障害者自立支援給付法、従 来は「障害福祉サービス法」と呼んできたものですが、その骨格について。第三に、そ れとの関連でもありますが、介護保険との関係について介護保険部会の報告書について それぞれ報告をいただきたいと思っております。また、法律レベル以外に政省令レベル や運用レベルでさらに検討していかなければならないことも多いかと思いますが、前回 に引き続きご意見を賜りたいと思います。  それではまず先日、政府案が示されました平成17年度予算案について、それと予算と 関連して、利用者負担の話も含めて事務局よりご報告いただきます。 ○村木企画課長  それではまず17年度予算の政府原案についてご説明を申し上げたいと思います。  お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。資料1は厚生労働省予算案という ことで、省全体の予算でございます。表紙一枚捲っていただきますと、厚生労働省の予 算額、囲みの中に出ております。17年度予算案、20兆8,178億円ということでございま す。対前年度で増加率3.1%、うち社会保障関係費が20兆2,240億ということでございま して、これも前年度に比べまして3.0%という伸びになっております。国全体の一般会 計の伸びが参考ということでその下に出ておりますが、伸び率0.1%、一般歳出に関し ましては伸び率が0.7%減ということになっているところでございます。そういう意味 では大変厳しい国全体の予算の中で、社会保障関係費については一定の伸びがあったと いうことでございます。  それから、次に資料2をごらんいただきたいと思います。資料2が障害保健福祉関係 の予算の原案でございます。表紙の頁を見ていただきますと、全体の予算が載ってござ います。来年度17年度の予算が7,532億円、本年度が6,942億円でございましたので、 590億円の増。対前年度比で8.5%増ということになっております。大変高い伸びにな ってございます。  それで1頁めくっていただきますと、先ほど部長からも申し上げましたように、この 予算案でございますが、これは今度のグランドデザインを中心とした大きな制度改革が 前提になっているところでございます。それで、内容につきましては皆様方ご承知のと おりですので、2頁にごく簡単にまとめたものがございますが、そこをごらんいただき たいと思います。  それで3頁をごらんいただきたいと思います。この制度改革を基本としまして来年度 の予算を組んでおります。特に先ほど部長から申し上げましたように、支援費関係、こ れは支援費全体で3,887億円という数字が一番上に出ておりますが、特にその下にござ いますように、居宅生活支援サービスにつきましては本年度602億円のところを、930億 円の予算でございます。特に制度改革によりまして利用者負担等の見直しを行うことを 前提に、国の財政責任を明確化するということで、年度の途中から義務負担化というこ とで、この930億円の中の161億円が義務的経費という形で計上させていただいておりま す。  また、このことと併せまして本年度につきましても、先ほど部長から申し上げました ように、173億円の補正予算を内示をいただいたところでございます。それで、この予 算額につきましては、先ほど部長から申し上げましたように、障害者自立支援給付法と いうこの制度改革を具体化した法案を、予算関連法案として次期通常国会に提出すると いうことが前提になっているものでございます。  それで、あと具体的な個別の予算につきましては6頁以降にやや詳しめの資料がござ いますので、そこをごらんいただきたいと思います。あとで資料をごらんいただければ と思いますが、特に新規のもの等々かいつまんでご説明申し上げたいと思います。6頁 は支援費の関係でございます。先ほど申し上げましたとおり、特に居宅生活支援費につ いては大幅に増額されたところでございます。また、そこにございますが、この居宅生 活支援費につきましては、今度の利用者負担の見直しだけでなく、一部単価の見直し等 も予定して、それを組み込んだ形でこういう額になっているところでございます。それ と6頁の下に施設訓練等支援費、施設系の予算も2,871億円から2,902億円ということ で、これについても1%強の増額になっております。  それから7頁をごらんいただきたいと思いますが、○新ということで障害児タイムケ ア事業ということで、中高生の放課後の活動の場の確保等の予算も新規で予算案に組み 込まれました。  それから8頁、ここから後が就労関係でございます。主なものを拾いますと、小規模 作業所への支援の予算、これはここ2年間続けて1割カットでございましたが、来年度 については前年と同額を計上するとともに、(1)にありますように、都道府県が中心 になりまして小規模作業所全体のレベルアップを図るための新しい事業を3億5千万ほ どでございますが計上しております。また、ITを使った在宅で仕事をするための訓練 等の事業、バーチャル工房でございますが、これは(2)で計上したところでございま す。それから今後、地域での障害者の就業や生活を支援するための障害者就業・生活支 援センター、非常に重要な事業でございますが、これも来年度までに90ヶ所を整備する ための予算を計上したところでございます。  それから9頁でございます。これは先ほど部長のあいさつにもありましたように、発 達障害者の方の支援法が新たに成立しました。これを踏まえた新しい予算がいくつか付 いております。都道府県、政令指定都市におきまして発達障害の方々の支援をするため の体制整備について2億5千万ほど、(1)でございますが。あとは自閉症・発達障害 支援センターの箇所数の増、それから普及啓発や人材育成のための経費が付いておりま す。  それから10頁でございます。社会参加等の関係の経費でございます。都道府県、市町 村向けのメニュー事業、若干の減になっております。補装具、日常生活用具については 多少増額ができたところでございます。  それから11頁でございますが、精神障害者の関係の施策でございます。(1)のアが 居宅生活支援の経費でございますが、約30億から41億へということで、額はまだ大きく はございませんが、それなりの伸びを計上させていただきました。これにつきましても 7億9千万ほどですが、義務的経費として計上させていただいております。また(イ) ということで下にございますが、社会復帰施設の充実等の経費も増額で計上させていた だいております。  また12頁でございますが、精神科の救急体制の整備等、新しい予算も付けていただい ているところでございます。  それから13頁は医療観察法の関係でございます。来年度からの施行のための経費が新 たに計上されているところでございます。  それから14頁でございます。「その他」ということで、制度改革によりまして17年度 中施行のものがあるということで、施行事務の経費の計上。  それから15頁をごらんいただきたいと思いますが、(4)ということで来年度知的障 害児(者)の基礎調査として予算を計上させていただいております。それから15頁の一 番下のところで、施設整備の関係でございます。三位一体との関係等々で、老人の関係 の経費、児童の関係の経費、交付金化されているものが多いわけでございますが、障害 の関係はこれから大きな施設体系の見直し等々もあるということで、補助負担金の形で これまで通りの一般整備費の形で保護施設と併せてでございますが、およそ100億円を 施設整備のために計上させていただいております。また、(2)にあります地域介護・ 福祉空間整備等交付金、これは老人を中心とした交付金でございますが、この中の一部 も障害者の施設の整備に使わせていただくということになっております。  予算の関係は非常に大雑把でございますが、以上でございます。 ○北川企画官  続きまして予算の関係の追加ということで、資料3の「利用者の費用負担に関する考 え方」という資料についてご説明します。  前回、大半の資料はお出ししておりますので、変更点等を中心にかいつまんでご説明 させていただきたいと思います。  まず資料の前半が福祉関係の利用者負担、後半が公費負担医療関係の利用者負担の関 係でございます。2頁目は福祉関係の利用者負担の見直しの必要性をまとめたものでご ざいまして、これは従来からお示ししているものと同じものでございます。  3頁も一部数字を「平成15年度実績」ということで見直しをしてございますが、基本 的には同じ資料でございます。  4頁も、従来お示ししている資料でございます。  5頁も同じでございますが、今回の福祉関係の利用者負担の見直しということで、ま ず実費負担というものをお求めした上で、さらにサービス量と所得に着目した負担とい う組み合わせで負担の見直しを行うという考え方を取りまとめているものでございま す。  それから6頁目でございます。実費負担、サービス量、所得に応じて負担を求める際 に、負担軽減をする方の範囲ということでまとめているものでございます。これも従来 からお示ししているものをこういう形で提示させていただいているところでございま す。生活保護、低所得1、低所得2ということで3つの類型をつくりまして、それぞれ 負担上限等を下げていくというようなやり方をしていこうというものでございます。  それから次の7頁目の資料は新しい資料でございます。食費等の実費負担ということ で考え方を整理しているものでございます。生活に係る実費については自己負担とする ということを原則としまして、その理由としては2点。一つは障害があっても、なくて も、生活をしていく上で負担する費用である。2点目は、施設を利用する場合でも、利 用しない場合でも等しく負担することが公平である。こういう考え方に基づくものでご ざいます。  ただ一方、今の食費の提供コストというのが適切なのかという観点から見ると、利用 者負担を実費で求めるについても軽減の取組みというのが当然必要になってくるだろう ということを考えております。一つは、食事提供のコストそのものを下げていくという 取り組みが不可欠ではないかということでございます。  具体的には、1点目として食費等の実費につきましては今後施設ごとに額を設定して いただき利用者と契約するという仕組みになっている。今までは支援費という仕組みで あれば、その中で丸ごと契約をしていたということでございますが、食費についてはき ちんと別途契約していただくと。因みに、精神の社会復帰施設については、食費という ことについては既に個別に契約されているということでございます。  それから2点目が、施設が利用者に求めることができる費用の範囲を明確化していく ということが当然必要になってくる。名目もなくいろいろ負担を求めていくということ は避けなければいけませんので、そういう範囲の明確化を図っていこうと。  それから3点目に、入所施設・通所施設における食事提供の規制緩和等を進めてコス トの低下を促していきたいということでございます。  それから4点目に、施設、特に入所施設の中の場合には特に栄養管理等が必要な方も 一部いらっしゃるのではないかと考えておりまして、そういう方につきましては平成18 年度の10月に予定している支援施設事業体系の報酬設定の際には、別途評価法を検討し たいとこのように考えております。  そういうコスト低減の取り組みを進める一方で、施設利用の低所得者への措置という ことで平行して進めていこうということでございます。通所施設の利用の低所得者の方 につきましては、概ね3年間食費の人件費相当分を支給しようということでございま す。従来お示しした資料では、生活保護、低所得1まででございましたが、その後いろ いろな折衝を行いまして低所得2まで範囲を拡大したというところでございます。それ から、入所施設利用の低所得者の方につきましては、食費等に係る補足給付を支給して いこうということでございます。因みに、入所施設に係る食費等の実際の当初の額は ( )内にありますように、48,000円、光熱費10,000円で始めますが、その後実際の契 約額ですとか、各施設ごとの提供コストを調査しましてコストの変化はたぶん低下して いくんだろうと思っていますが、そういう変化の結果を補足給付の基準額に反映してい くということで、利用者負担としても軽減されることになりますし、補足給付も少なく なっていくと、こういうような仕組みをとっていこうというように考えているわけでご ざいます。  次の頁はサービス量と所得に着目した負担の考え方でございまして、利用者の方にご 負担を求める一方で、併せて国・都道府県の財政責任の強化を図るという考え方で対応 し、今回先ほど企画課長から説明させていただきましたように、年度途中から異例では ございますが、義務的経費という取扱というのを財務省との折衝の結果確保したという ことでございます。  9頁でございます。これも前回お示しした資料を改訂したものでございまして、入所 施設からグループホーム双方の個別の3年間の経過措置としての減免措置と、個別の減 免措置というものを整理したものでございます。具体的には費用基準と収入をそれぞれ 比較し、預貯金等を有している場合については預貯金からお支払をいただくという考え 方に基づきまして、費用基準、それから収入認定それぞれの点で一定のルールを設けて 比較をしていきたいということを考えているわけでございます。  因みに、10頁は新しい資料でございまして、そういう定率負担の際のグループホーム /入所施設の個別減免に係る収入認定というのをどういうように行っていこうかという ことでございます。利用者負担の額というのはサービス量と所得に応じて一義的に決ま るわけでございますが、そういう負担をどういう収入の中からどれぐらいの程度でご負 担をいただこうかという問題を整理しているものでございます。  いろいろな収入が障害者の方にはあるんだろうと思っております。一つは工賃や賃金 といったようなもの。それから年金とか仕送りといったようなもの、いろいろと収入が あるのではないかと思っておりますが、それぞれの収入形態に応じて一定の控除を設け たり、全額を収入と認定したりといったようなことで、一定の収入に対して一定割合を どういうような合理的な水準で負担をもっていくことがいいのかということについては 今後施行までに考えていきたいということで、下の絵にございますように、控除がなけ れば実収入と同額の負担を求めていくということになるわけですが、一定の控除という ものを求めていけば収入に対して一定率の負担を求めていくと。税金とかと同じような 仕組みを持っているものもございますし、そういうような考え方で一定の利用者負担の 額を決めた後に、収入に対してどれぐらいそれぞれご負担を求めていくのかという論点 をさらに詰めていこうということでお示ししてございます。ここは年明け以降、我々と して一定の考え方をお示しして、また審議会の場等にもお示ししたいと考えておりま す。  11頁は同じ資料でございます。  12頁目も先ほど申し上げましたような、通所の負担の対象が拡大したところを除け ば、基本的に同じ資料で、今回の経過措置を整理したものでございます。  13〜14頁はこうした経過措置を打った結果、それぞれの平均的な利用者負担がどうな るのかということをお示ししているものでございます。モデル1、モデル2というのは 地域、ないし家族と同居という形で利用されている方。それからモデル3が2つになっ ていますが、これはモデル3の下の方は「4」でございますが、これについては通所の 食費の負担が変わったりというところで一定の変更を示してございます。モデル4のと ころで一点変わっているところは、18歳未満の方の利用者負担、従前はたぶん34,000円 〜35,000円という数字になっていたと思いますが、さらに教育費といったような費用を 特に上乗せするというような調整を交渉しまして、結果的に平均的には3万円のご負担 ということで、さらに4〜5千円負担水準が下がっていると。これはマクロ平均でござ いますが、そういうような経過措置を講じているところでございます。  15頁でございますが、それぞれ各サービスごとに事業全体としてどれぐらいの負担率 になったかということでございます。ホームヘルプサービスでございますが、事業費と して一人当たり平均約6万円で利用されている方がいると。現行の利用者負担は千円で ございますが、今回の改正で約4千円ということで、平均的な負担率を7%程度まで引 き上げさせていただきたいということでございます。  下の方に行きますが、一方、入所施設、20歳以上の方につきましては現在一人当たり 食費の費用も含めますと32万円ぐらいの月額の費用になってございますが、大体現行の 利用者負担を見ますと約1割ぐらいのご負担になっております。それで今回の経過措置 等を設けまして48,000円+定率負担については個別の減免と。預貯金等がなければ減免 をするということになりまして、実質6%ぐらいの引き上げということで、ホームヘル プサービスが1%から7%に上がったものとほぼ均衡がとれているような引き上げ幅と いうような形で整理をさせていただいているところでございます。  さらに右の方に行っていただきまして、入所施設の中でも18歳未満というところ、特 に福祉施設のところでございますが、そこの利用者負担は従来は5%程度であったもの を12%程度ということで、大人の20歳以上とほぼ同じような引き上げ幅と。本来であれ ばもう少し高い額ということでございますが、先ほど申し上げましたような教育費等の 経過措置を少し講じて同じような引き上げ幅の水準ということで整理をさせていただい ております。それから、通所施設でございますが、ここについては先ほど申し上げまし たように、低所得2というところまで人件費相当の費用の補填をさせていただくという ようなことを行いまして、大体児童の入所施設とほぼ同じぐらいの負担率、約13%とい う水準まで抑えているということでございます。  ここの入所・通所のところは先ほど申し上げましたように、食費についてはあくまで 食費が4.8万円、光熱費が1万円だという機械的な数字で置いてございますので、各施 設は先ほど申し上げましたように個別の施設で契約して額を決めていただくことになり ますから、施設によってはより安く提供していただくというところも当然出てくるとい うことで、これはあくまでもモデル上の数字だというように理解していただければ結構 でございます。  それから16頁でございます。先ほど予算の全体のご説明をさせていただきましたが、 特に今般の制度改正、利用者負担に係るところだけを切り取った数字で整理をさせてい ただいております。18年1月以降の在宅関係の数字でございますが、身体・知的の関係 であれば施設(入所・通所)関係では31億円の増でございます。居宅は約328億円の増 になってございます。右側にある改正効果というのは、△が付いてございますが、これ は織り込んだ数字で、例えば31億の増ですが、△33億円を入れて31億円の数字になって いると。居宅については所得とサービス量に応じた負担ということで、10億円の負担が 発生しているわけですが、それを織り込んで328億円の増というそういう数字になって いるところでございます。  それから精神関係については、施設の関係(入所・通所)については24億円の増とい うことで、ここは下の※に書いてございますように、17年度中には新施設・事業体系に は移行しないということで、改正影響は生じないという前提で考えているというところ でございます。居宅については、15億円ということで、ほぼ改正影響自体は1億に満た ない利用者負担の見直しなんですが、額としては15億円という額をしております。  それで、予算上はということで、下の※に書いてございまして、この45億円というの は12ヵ月分に置き換えたものでございます。技術的に少し申し訳ないんですが、予算上 は11ヶ月分で、これは(81億円)というのは41億円の誤りでございますので訂正をお願 いします。予算上は41億という数字が出てくるわけですが、制度が義務的経費に切り替 わるときに1ヵ月分を翌月に請求が遅れるという技術的な事項が起きまして、実質上17 年度予算は11ヵ月分の数字でしか組んでいませんが、実質11ヶ月分に置き換えれば45億 円ということで倍増しているというのが現状でございます。  それから児童の入所施設関係は18年10月施行のため、17年度中の改正影響は生じない と、こういうような形が予算上の関係でございます。それで一定のご負担を求めること になっておりますが、それを上回る相当規模の財政的な額を確保してきているというの が現状の姿だというようにご理解いただきたいと思っております。  それから17頁以降が公費負担医療関係の見直しでございます。17頁はこれまでもお示 ししてきたとおり、現状の認識と医療内容面、制度面での双方での取り組みが必要であ るということを整理しているものでございます。  それから次の18頁も現状の利用者の実態、平均的な医療費の状態、所得の状況を整理 しているものでございます。  それで19頁は公費負担医療の中でも、ほぼ8割ぐらいの額を占めております精神通院 公費に関する一人当たり医療費はどういう分布であるかというものをお示ししているも のでございます。  それから次の頁も既にお示ししている負担軽減措置上の課題ということで、それぞれ 医療費だけに連動しているような場合、所得だけに連動しているような場合のそれぞれ の制度上の課題を整理しているところでございます。  それで次の21頁からが実質的な見直しの内容でございます。医療内容面での見直しと いうことで、まず一点目は精神通院公費制度の医療機関指定制を導入したいということ でございます。今回の法律改正で対応し、14年度で検討会報告に基づいたような適正な 運用というのを進めていくための基盤にしたいということでございます。実質的に適正 に精神医療がなされていると、これはもちろん、てんかんとか、神経内科とか、内科・ 小児科で行われている場合が当然ございますので、特にそういうような医療実態を踏ま えて精神科だけに限定するというようなことは当然予定はしてございませんが、適正な 医療を確保していくという枠組みを整理して進めたいということでございます。  それから2点目に、支給決定の有効期間を1年に統一したいということで考えてござ います。それと併せて、再認定を認める場合や拒否する場合の要件というのを制度施行 後1年以内に明確化していこうということを考えてございます。  3点目に、さらに医療はいろいろ進歩してございます。そういうようなことを踏まえ て、対象者の判断基準や医学進歩に応じた医療内容の明確化といったものを2年以内に きれいにしていきたいというように考えているわけでございます。  22、23頁は利用者負担に係る見直しの資料でございます。22頁はこれまでもお示しし た資料と同じでございまして、医療費と所得に着目した自己負担にしたいということで ございます。その中でも、特に入院時の食費負担、標準負担額ということで医療保険、 一日780円ないし650円、または500円といったご負担を求めているわけでございますが、 そういうものについては医療保険制度との均衡とか、新しい障害者福祉制度との均衡か ら、入院時の食費標準負担額については原則自己負担としていただきたいというような ことを整理したものでございます。  それで24頁が、今回の制度改正案全体の経過措置も含めて整理したものでございま す。変わっている点は一点ございまして、中間層、育成医療のところでございますが、 ここを少し医療費分布とか平均負担率の変化を見直した上で、育成医療の中間層全体に ついて一定の給付がなされるよう経過措置を実施するということで、前回は医療費300 万程度までを念頭に置いていたわけですが、控除の仕組みを少し工夫してできるだけ薄 く広くですが、全体に広がるような仕組みにしたいというような調整を行いたいという ことで、財務省と話をした上でそういう方針で臨むこととなりました。  それで結果としてでございますが、25頁でございます。精神通院ということと、厚生 医療・育成医療まとめて数字でお示ししてございます。精神通院公費、予算上は70億 円、利用者が急激に増えているということで、先ほど省全体で医療の予算は「−0.7% 」という数字をごらんいただいたと思いますが、それと比較すればもう十数%の高い伸 びを示していると。改正影響は当然−12というのを飲み込んでも、+70ということで相 当に金額が伸びてきているという状況でございます。更生医療・育成医療については改 正影響は、一定の高い所得層の方が多いという効果もございますが、26億円の改正効果 があるわけですが、トータルとしては全体としてはやはり伸びがありますので、増減で 見ると−3億円ということで、ほぼ横ばいの予算ということになっているところでござ います。  26頁以降は個別の施設ごと、ないしはモデル的な個々人で見たときの利用者負担の変 更点をお示ししているものでございますので、お時間があるときに後ほどごらんいただ ければと思います。以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございます。ただ今の事務局からの報告について、ご質問等を含めまして ご意見がありましたら順次ご発言ください。 ○君塚委員  前回、発言させていただいたことで、一定程度の改善という方向にはなっているんで すが、18歳未満の児童が入所した場合に特別児童扶養手当は打ち切られるというままは 残るんでしょうか。 ○北川企画官  従来の取扱いを変更する予定はございません。 ○君塚委員  そうしますと、20歳以上では35,000円が大体58,000円になる。それで、18歳未満では 11,000円が58,000円になるという形で、児と者の間の不均衡というのを感じざるを得な いんですが、そのへん今日は文書をお配りしたのでほかの項目も含めて読んでいただく ということにしまして、そのへんはぜひ児と者との均衡という面で新たな対応を求めた いと思います。以上です。 ○京極部会長  ご要望ということでよろしいですか。それで事務局からお答えがあればお答えしてい ただいたほうがいいと思います。 ○北川企画官  まず基本的な考え方としては先ほども申し上げましたように、今の実額から見れば不 均衡というご指摘だと思いますが、全体の事業費から見れば大人よりは低い負担率とい う形にしてございますので、これ以上18歳未満ということに着目して負担軽減するのは 現実的には難しい状況だと思っております。ただ、医療型の入所施設等については前回 お示しした資料にもございますように、18年度予算の中で福祉施設の負担の均衡を図り つつ、具体的な医療費の負担軽減措置というのを考えていこうと思っておりますので、 そういう中でどういう水準にしていくのかというのは18年度予算の中で考えていきたい と考えております。 ○京極部会長  ほかにどうでしょうか。安藤委員、次が大濱委員という順番でお願いします。 ○安藤委員  2つ質問したいんですが。一つは資料2の15頁で、施設整備費に関係して、新しい公 的介護、福祉空間整備交付金の創設がありますが、その中に聴覚障害者に関係する聴覚 障害者の情報提供施設とか言っています。この新設というのは、予算的に良くなるの か、そのところが見えないんですが。私たち聴覚障害者が情報を提供するについては、 まだ全国設定が半数行かないんです。今後積極的に推進していかなければならないんで すが、予算的に、また制度的に良くなっているのかどうかをお伺いしたいということで す。  2つ目が、資料3ですが、費用負担に関する考え方ですが、基本的にはこの方向で進 むと思いますが、その障害者としての公平さという面で、例えば介護給付とか自立支援 給付など聴覚障害者が利用する場合、その申請から認定、またはサービスの提供を受け る契約の中で、障害者の判定をしようとするわけでなんです。この障害者の判定に係る 費用についてはどうなるのか。介護給付とか自立支援給付の中でずっと対応することに なるのか、またその場合、利用する本人の負担はどうなるのか、その点がはっきりしな いということと。  もう一つは、地域生活支援事業でコミュニケーション事業が予定されておりますが、 この地域生活支援事業の予算がどうも地方自治体における市町村の判断によって有料に なるのか、無料になるのかまだ流動的だし、地域生活支援事業の中でのコミュニケーシ ョン事業で、例えば介護支援とか自立生活支援などを対応した場合に、予算的に大きな 制約が出てくるというような問題があるわけです。したがって、この制度全体を聴覚障 害者が障害とか権利保障という面をどう考えているのかお伺いしたいと思いますので、 よろしくお願いします。 ○京極部会長  後でグランドデザイン全体の中で議論することと、先ほどご説明のあった予算の中で お答えできることと2つあると思いますので、できれば後者に限定してお願いしたいと 思います。 ○松嶋障害福祉課長  久しぶりの障害福祉課長、事業課長があまり出ることはないんでございますが、今日 は最後でございますので事業課長としてお答えさせていただきたいと思います。  まず予算の話でございますが、社会福祉施設の整備の中には先ほど来申し上げました ように、従来の一般整備として残した部分と、これは要するに地域介護福祉空間等整備 交付金に行ったほうが対応がしやすいだろうという部分とがございまして、別に向こう に行ったから村八分になるというような扱いではございません。これは、どちらかと言 うと都道府県がほとんど設置主体になったり、県に一ヶ所というような形で動いている 部分について、また現実そういうような施設については、老人の方の交付金の方に乗せ たからこれからはもう自分たちの整備はないのかということではございません。そうい う経緯がございます。  それから、2番目については今後そういう利用料についてはということで、後で資料 でご説明させていただきたいと思っております。以上です。 ○京極部会長  ほかにどうでしょうか。大濱先生、どうぞ。 ○大濱委員  この予算ですが、602から930という数字が出てますが、まずその前に昨年度の15年度 予算なんですが、これが11ヶ月予算で約700億円ぐらいあるわけで、それで今年はこれ は602が足りなくて、それで補正が173組まれて、それプラス大体250ぐらい足りない予 算を組むと聞いていますので、850ですとその伸び率というのは大体21.4%ぐらいなん ですね。それに対して今年度予算は930で、伸び率として7.4%、この930が実質的にそ れで足りるのかどうかという、そこらへんの予算見通しはどうなっているんでしょう か。 ○障害福祉課長  先ほど来、部長の方から16年度の当初予算は602に対して173億円の補正を打ちました と。それから、省内の努力等により残りの100億は何とか調達したいということで、大 濱委員の方からパッパと計算するといくらぐらいになるのかなということで、対16年度 補正予算後に対する17年度の予算、930で一体足りるの、という話だと思います。それ については私どもの方、実際にいくら義務的経費になったからといって湯水のように、 再三言っているようにお金が捻出されるわけではございません。やはり一般会計を使っ ているからにはそれなりの施行に当たっても厳格に、また足らないと言った場合につい てはかなり厳格に内容を精査されます。  したがって、この中には17年度または18年度において、特に17年度において適正な運 営をするということで、運営上の工夫をしていただく。例えば長時間利用に係る部分に ついての姿とか、そのへんも手をつける必要が出てこようかと思います。そういう適正 な運営をした後の予算として930の予算を計上しておるということでございます。以上 です。 ○野中委員  いろいろ施策の中でご苦労されていることに関してはある程度理解する気持ちでござ いますが、前回福島委員が意見書を出されたことに対しては、私どもはやっぱり本来の 社会保障があるべき姿という部分では、福島委員が出された意見は尤もだと思っており ますし、ある程度こういうものを考えておりますとどうしても数学の話になってきて、 数字合わせがどうしても先行していく。本来、本当にやむなく障害とか疾病を抱えられ た方々が、本当に自立支援という部分の中でこういう制度がうまく活用できるかどうか という部分の中身は、私はもうちょっと本来は検討すべきだろうと思いますし、支援費 とかさまざまな部分の中で本来の自立支援に向かったケアマネジメントがどうされるべ きかということが、私もサービスを提供する側の一員としてやはり深く心に止めて今後 の中で活動しなければならないと思いますし、特に医療と障害との関係におきましては 私たちは深くそのへんの中での役割を十分に認識する次第でございます。  そういう中で、まだまだいわゆる自立支援に向かった、また障害を抱えた方に対する 医療の不十分さ、あるいはケアマネジメントの不十分さというものを痛感する次第でご ざいます。そういう中で、やはり入院時の食事負担という部分があまりにも安易に私は 数字合わせのために語られていることが、ある面では入院と在宅療養との差という部分 では、その不均衡を図る観点からと言われますが、それは好き好んで在宅と入所を選ん でいるわけではありませんので、そのへんはやはり食事に関しては安易に考えるべきで はないと深く思いますし、そのへんに関しては今後ご一考いただきたいと言っても、そ のへんはなかなか無理だと思いますが、私は皆さん方と一緒にそういう面では強く訴え ていきたいと思っていますので、一応一つの意見でございますので、よろしくどうぞ。 ○京極部会長  では、まとめて費用負担の問題についてはお話いただければと思います。ほかにどう でしょうか。では笹川委員。 ○笹川委員  この費用負担の問題ですが、今後どういう形で審議されるのか。先ほどちょっと今後 もというお話があったんですが、法律提案が2月ということですから、それまでにこの 費用負担の問題を決めるのか、そのへんをお聞かせいただきたいと思います。  それからもう一点、単価の問題ですが、単価の見直しをするというその時期、この2 点をお訊ねします。 ○障害福祉課長  まず単価の見直しでございますが、単価の見直しについては制度の改正については、 今は18年1月からとこういうようになっております。しかしながら、予算編成過程にお いて17年度からそもそもやらなければいけない部分がありますよね。それは例えば長時 間利用の問題とか、移動介護の問題とか、そういうものが17年度の改正からしていきた い。一部施設についても17年度について、いわゆる単価改訂、昔で言う措置費という か、そこらへんも少し減になっておりますので、そのへんのことも17年の4月からこれ はやっていかなければならないと、このように考えております。 ○北川企画官  今、説明があったのは、現行制度の枠組みの中で報酬の単価をどうしていくかという 話でございます。それで制度改正自体として利用者負担をどのように見直しをしていく のかということにつきましては、予算関連法案ということで2月に法案を提出するとい うことになります。したがいまして、政府として組んだ予算と法律の内容が異なるとい うことについてはあり得ないというように考えてございますので、具体的な考え方や額 については今回の予算で大枠は決まっているというように理解してございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、収入認定をどうしていくかといったような問題 というのは法律事項そのものではなくて、その中でどういうような技術的な運用をして いく部分というのは、施行までに引き続き検討していくべき事項があるというような趣 旨で申し上げたところでございます。 ○京極部会長  では徳川委員。 ○徳川委員  予算とすべて関係しているわけではないんですが、3点だけご質問をしたいと思いま す。  一つは、食費について事業の方で自由に決めなさいということですが、先ほどもご発 言の中にあったようにこの栄養は非常に重要な面でありまして、安ければいいんだろう ということになってしまったら、栄養と食べることの喜びというのが非常に大きいもの ですから、これを一体どういうようなところで歯止めをするのかということをもう少し 詳しく聞かせていただきたいということが一点。  2点目は、新しく自立支援給付法となったんですが、「自立」というのをどういうよ うに考えておられるのか。もしこれが社会参加、または一般雇用への移行ということだ けに自立を考えたら、非常に重い障害を持った方たちの法律としては非常に不備ではな いかと思います。やはりこれは自立支援はあくまでも自己決定ということに含めていく べきであって、全身性の障害者とか、またはALSの非常に重篤な方々に対する法律と してはどういうようにこれを考えていらっしゃるかということが一点。  それから3つ目ですが、この法律が有効に動くためにはケアマネジメントが非常に重 要であるということは言うまでもありません。先ほどのご発言にもありました。それで ケアマネジメントについては支援事業で市町村の方に一般財源化されておりますが、現 実、これはお調べいただきたいんですが、非常に薄いです。本当に私たちも地域で支援 事業を2ヶ所やっておりますが、ほとんど機能できないぐらい苦しい状態であります が、特にそういう問題について国はどうお考えなのか。またはケアマネジメントの養成 ということも非常に緊急な問題でありますが、これについて予算にはほとんどないと思 いますが、このケアマネジメントの問題これは無視できませんので、ご説明をいただき たいと思います。以上でございます。 ○京極部会長  後のグランドデザインで議論すべき自立についての考え方等がございますが、それは 後でまた議論することにして、予算に関連したことについてお答えいただければと思い ます。 ○北川企画官  まず食費の提供の関係でございます。基本的には先ほど申し上げましたように、施設 と利用者の間で契約をしていただくということが基本線だというように考えております ので、具体的にどういう内容のものを提供しろとかそういうところまで行政として細か く規制していくということは考えてございません。ただ、一方では当然のように月何万 円かのご負担をお求めになるということでございますから、それに見合った食事の提供 が利用者側から求められるというのは当然のことだろうと思っておりますので、その中 でどういうような利用者の方のニーズに応じたものを提供していくのかということにな るんではないかと考えてございます。  一方では、先ほど申し上げましたように、利用者の保護という観点もあると思ってお りますので、どういうような利用者のご負担を求めることができるのかという範囲につ いては明確化していくと。ようするに、ルールを明確にした上で、あとはそれぞれ、支 援費というのは契約で成り立っているわけですが、それと同じ思想に基づいて食費は、 これは目で見てわかるわけですから、そういうものについては効果的、効率的に提供す るようにお願いをしたいということでございます。  それと先ほど野中委員からお話があった医療と食費の関係でございます。今回やろう としているのが医療保険でも自己負担とされている部分でございまして、たぶんご指摘 されているのは介護保険全体としてそういう医療の系統も、食費も、全部給付外にして いくという流れについてのご懸念だろうと思いますが、今回公費負担医療の中では今医 療保険の中で行われている部分に限っての対応でございますので、そういうものとは性 格の違うものだというように考えております。 ○企画課長  ケアマネの重要性については本当に委員のご指摘のとおりだと思っております。当 然、これは新規のものだけ先ほど中心に説明をしましたので、従来とおりケアマネの人 材養成の予算は来年度については付いております。それから、さらに新しい体系になっ てからはそういう人材養成の事業の位置付けを法律の中でもしっかりしていきたいと思 っておりますので、そこはさらに強化していきたいというように考えております。 ○徳川委員  すみません、食事について一言だけ追加させてください。これは非常に重要なことな んですね。ですから、出来合いのものでいいという考えになったら大変なので、弁当で いいんじゃないかと、安くあがるからということになったら、食欲も出ないし、栄養の バランスも取れてこないと思います。やはり私たちは本当に手をかけて出汁から全部出 して、美味しいものをつくって、旬のものをつくって食べていただくと。それによって 初めて食欲が湧いて健康が維持できるということでございますので、この食事という問 題は非常に重要なことなので十分に考えていただきたいと思います。これだけです。 ○末安委員  予算に関連して一点お聞きしたい。資料2の8頁に、「就労支援の充実」ということ で小規模作業所のことを中心に予算を説明されているんですが、新規事業ないしは個々 の項目を見ましてマイナスになっているところがなくてホッとしましたことと、それか ら非常に努力されたんだろうなと思いまして、感謝したい気持ちでいっぱいなんです。 5番目の小規模作業所に関してだけ現行維持だということで、十分御承知だと思います が、県、市町村の予算が非常に厳しい、国だけでなく自治体も非常に厳しくて努力され ているところもあるんですが、全体としては減額の中で孤軍奮闘している作業所はたく さんある。それで実際に今回のこの予算も、また新しい法律も目指すところは地域の安 心した生活ということで、それを底支えしているのがこういう地域に自由な意思で直接 障害者を支えるということでつくられたサービスだと思うんですね。それは十分に御承 知だと思いますが。  同時にここでは「就労支援の充実」ということで括られているわけですが、実際には 関係諸団体が厚生労働省の方にも意見を言っていらっしゃると思いますが、生活基盤を ともかく確立した上での労働提供、労働機会を得るチャンス、あるいは教育訓練という ことになっていると思います。もっとはっきり言うと、帰属する場所を得たからそこで 力を蓄えて次のステップに行くということを、非常に苦しい環境の中でやっていらっし ゃる。支援者側も利用者側もそうだと思います。それを考えますと、今後おそらく新法 の中で具体的に説明されると思いますが、作業所の類型化とか、既に検討会で報告が出 されているような線に沿って進むのかもしれませんが、作業所全体としては労働そのも のもそうですが、そこに生活する者を守るということの重要な意義があるということを 念頭に入れられて、今回この予算はこれでもう固まったものとなるんでしょうが、そこ をぜひ譲らないで進んでいただきたいなと思っております。 ○京極部会長  はい、それはご意見として承るということで。では大濱委員、追加でどうぞ。 ○大濱委員  先ほど食事の件等が出ていますが、先ほどの資料3のこの年金、これは障害2級の人 たちまでいろいろかなりの金額を取るわけですね。それで施設の人たちの手元に残るお 金はどれぐらいかと。それでちゃんと生活していけるんですか。それがまず一点です。  それから松島課長が先ほどおっしゃられたように、4月以降改訂ということで、もし 具体的な数値が出ているのであれば今日この場で出していただきたいということが2点 目です。 ○北川企画官  お話のあった点というのは、まずその他生活費がいくらぐらいが妥当かというご指摘 の点でよろしいんですか。食費の額というよりは、その他生活費をどのように考えて設 定しているかということだと理解しております。そういうことでよろしいんですね。 ○大濱委員  というか、今これは2級の年金というのは大体5万円ぐらいですよね。 ○北川企画官  今は66,000円です。 ○大濱委員  そこから食費なんかを取ってしまうと、彼らの生活費はようするに自分自身で使える お金は本当にどれぐらいになると計算しているんですか。 ○北川企画官  入所施設のお話ですね。はい、入所施設をどういうようにやろうかということでござ いますが、まず食費、今日は資料を用意してございませんが、例えば2級の年金だけの 収入しかない人の場合ということになります。そうすると、今の経過措置上、手元にま ず25,000円は残すということを前提にしますと、残りは41,000円がございますので、そ れでは食費・光熱費はすべて払えないということになりますから、やはり補足給付が 17,000円支給されるというような仕組みで、ご自分のご負担が41,000円、それからさら に給付が17,000円なされて、手元に25,000円残るという経過措置を講じているというこ とでございます。毎月。  その金額はどういう金額に相当するかということでございますが、例えば知的障害の 施設の応能負担、例えば今は66,000円のみの収入の方の応能負担ですと、大体40,000円 ぐらいの応能負担をいただいておりますので、手元に残るお金は26,000円程度。精神の 社会復帰施設、例えば食費とかいろいろな経費を除いていきますと、66,000円だけだと 仮にしますと、手元に残っているのは20,000円を切っているような状況でございますの で、そういう数字から見て25,000円というのは遜色のない数字なんではないかというよ うに考えているところでございます。 ○京極部会長  それとあと4月以降ということで。 ○障害福祉課長  まだ細かく決まっているわけではございませんが、例えば身体障害者及び移動介護の 長時間利用者の単価でございますが、これは介護保険並びの単価を予算上セットされて おるということで、このへんは17年の4月に施行しないとこれもまた大蔵省との約束違 反にもなってしまうなということで、ここは実施しようと考えております。  それからもう一つは、知的障害者の長期間利用類型の新設ということで、ここも新し い形で新設しないといけないなと。では具体的に単価はいくらでどうだというのは、今 ここでは検討中ということにさせていただきたいと、こう思っております。以上、2つ は、これはやらなければいけないなと、こういうように考えておる次第でございます。 ○君塚委員  先ほど障害福祉課長から、措置費の一部見直しという話がありましたが、利用契約の 対象の中でどういうものが措置になっていくのかということと、その措置額の見直しの 方向性についてお訊ねしたいと思います。 ○伊原企画官  ちょっと誤解があったかもしれませんが、要は児童の施設なんかの今回の制度改正の 見直しの部分というのは18年10月から予定しておりますので、直ちにどうこうというこ とはございません。先ほどたぶん障害福祉課長が申し上げたのは、17年4月、いわゆる 来年の4月ですが、そこにおいて施設の単価、報酬額について運営上の工夫という形で 見直しをすると、こういうことを申し上げた次第でございます。  それで18年10月の児童施設を今度契約制に変えたり、あるいは利用者負担を見直して いくという作業がございますが、当然のことながら児童施設の中には虐待とかいろいろ な形で入られる方がいらっしゃいますので、そういう方々については引き続き措置制度 というものを維持していくというように考えてございます。そういうことで、17年4月 に児童施設云々という、例えば措置の体系を見直すということではございません。 ○京極部会長  では大変申し訳ないんですが、ご議論はまだあると思いますが、続いて新たな法律で ある障害者自立支援給付法の骨格案について、まだ法律案の作成作業途中と聞いており ますが、中間的な報告を求めたいと思います。それでは事務局から資料の説明をお願い します。 ○伊原企画官  障害保健福祉部の企画官をしております伊原でございます。資料の4をごらんいただ けますでしょうか。この資料4に「障害者自立支援給付法(仮称)について」とござい ますので、これのご説明をさせていただきたいと思います。  現在、グランドデザイン、あるいはその後に皆様方からいただいた意見、あるいは地 方団体等からいただいた意見などを元に法案作成作業を行っているところでございま す。これはまだ省内部、あるいは内閣法制局とディスカッションをしている段階のもの でございまして、今後大きく変わり得るということを前提にお話をお聞きいただければ と、このように思っております。  まず名称でございますが、グランドデザインの段階では「障害福祉サービス法」とい う仮称でお話をしてまいりましたが、「自立支援」という観点が大きなキーワードとい うか、理念でございますので、それを法律上はっきりと名称も明確にした方がいいとい う判断、あるいは今回は福祉サービスだけでなく、従来の公費負担医療などもこの法律 に盛り込むということになりますので、全体として福祉サービスだけでない、自立支援 給付という形で明確にした方がいいということで、現在内閣法制局との間では「障害者 自立支援給付法」とこういう名称にさせていただきたいとこのように思ってございま す。  それで1頁の資料にございますが、障害者自立支援給付法というのは各身体障害者福 祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法とこの縦割りの法律の中で共通 する部分、いわゆる給付の部分に関する部分を法律上明記するというような形で考えて おります。障害種別に関わりのない共通の給付というものについて規定していこうと。  それで構成としましては総則、それから自立支援給付、地域生活支援事業、それから これらを担う事業と施設の規定、それから基盤整備に関する障害福祉計画、それから費 用負担、これを財政的にどう支えるか、こうしたことを中身に盛り込む予定としており ます。  めくっていただきまして2頁でございます。「骨格案」でございます。第一として総 則がございます。法律には必ず総則という規定がございますが、この中に目的、あるい は市町村、都道府県、国などの責務、それから用語の定義などを考えていくということ になっております。法の目的としましては、この法律は障害者及び障害児がその有する 能力を活用し、自立した日常生活、または社会生活が営むことができるよう必要な障害 福祉サービスに係る給付等を行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図ることを 目的とすること、このような趣旨の規定を盛り込めないかとこのように思っておりま す。  それから「市町村等の責務」とございますが、市町村、都道府県、国についてそれぞ れ責務を果たしております。今回は特に市町村の障害福祉に関する施策の一元化を図っ ていくということから市町村の責務が重要なわけですが、この中で障害者が自ら居住す る場所を定め、それから障害者及び障害児がその有する能力を活用し云々という形で規 定しております。特に今回、施設体系、事業体系の見直しの中で、入所の機能を日中と 夜間を区別して、障害者の方が自ら住む場所、あるいは暮らす場所を選んでいくという ことが非常に重要なテーマになっていると思いますので、そうしたことも法律の中に盛 り込めないかと、このように考えております。  それから第2の自立支援給付でありますが、審議会の中でも従来は介護給付、自立支 援給付というように名称が分かれておりましたが、そこについていろいろご意見をいた だいたところでございます。そうした中で、今回この法律で定める給付全体を「自立支 援給付」とこのように定めたいと思っております。  9頁をごらんいただけますでしょうか。9頁に「総合的な自立支援システムの構築」 とございますが、グランドデザインの原案では介護給付、それから訓練等給付の部分を 自立支援給付と呼んでおりましたが、これ全体を自立支援給付と位置付けまして、その 中に介護給付、訓練等給付、それから自立支援医療、これは従来の公費負担医療でござ いますが、補装具、こうしたものを自立支援給付と位置付けて、併せて地域で効率的・ 効果的に地方の創意工夫で行っていただく地域生活支援事業というものを組み合わせて 障害者の方に必要なサービス、あるいは給付をしていくと、こういう構成で考えており ます。  2頁に戻っていただきまして、こうした自立支援給付を給付していくと。それで介護 給付、訓練等給付というものについて定義を行いたいと、このように思っております。  それから3頁にまいりまして、支給決定の手続であります。これは実際に障害者の方 がどのようなプロセスでサービスを利用していくかということを、法律上るる書いてい くわけでありますが、これについては14頁をごらんいただけますでしょうか。  14頁に、「利用の手続」というものを書いてございます。これに関しましては、いく どか審議会でも、障害者部会の方でもご説明をさせていただいておりますが、やや中身 があいまいであるというようなご指摘もいただいておりますので、もう少し詳しく書い ております。まず、利用者の方が相談支援事業者、先ほどケアマネジメントが重要だと いうご指摘もございましたが、ここにまず相談に行って、それで利用申請を行う。それ で利用申請を受けた後、そのときに併せてアセスメントを相談支援事業者、あるいは場 合によっては自治体が直接やる場合もあると思いますが、ここが行いまして、その結果 に基づいて一次判定というものを市町村では実施すると。それで、特に介護給付などの 場合には、給付審査会で二次判定を行って、その結果をまずご本人に通知します。障害 程度区分というのを通知する。それでご本人はそれを受けまして、実際に私は具体的な サービスはこういうように使いたいという内容が明確になったことを市町村が聴取しま して、それでこれに基づいて支給決定の案というものを市町村は作成し、特に典型的な 場合に、それが市町村の支給基準に合致しているような場合はそのまま支給決定します が、非定型的な場合については審査会にこういう支給決定案にしたがどうかということ を諮りまして、それで意見をいただいて支給決定をすると。こういう手続にしてみたい と思っております。  併せて、当然のことながら支給決定に不服があるような場合があろうと思いますが、 これは都道府県に審査会というものを設けまして、そこで不服審査を行うと。こういう 位置付けを考えております。こうした中でケアマネジメントというものにも支給決定の 段階で相談支援事業者が係り、あるいはサービス利用の段階でもさらにケアマネジメン トという形で相談支援事業者が係るということで、今回従来は障害者分野ではケアマネ ジメントというのがあまり制度上は明確でなかったということをきちんと位置付けたい と、このように思っております。  それから同じ14頁にございますが、※で小さく書いておりますが、より専門的な判断 を必要とするような場合には、更生相談所であるとか、精神保健福祉センター、あるい は児童相談所といった県の専門機関にいろいろ意見を紹介するということも盛り込んで まいりたいと、このように思っております。  それから3頁に戻っていただきまして、「介護給付等の支給」というところになりま す。ちょっと技術的な規定なんですが、実際はこの支援費という制度、現在の制度、あ るいは新しい制度でも、障害者のお一人々に費用の支給をするというのがこの法律の基 本的な考え方であります。要は従来の措置制度と違いまして、ご本人の自己決定あるい は自立を支援していくという視点から、ご本人が選択した事業者を選んでいくというの が新しい制度の大きな柱でありますので、ここにございますように障害福祉サービスを 受けたときはその費用について介護給付等をご本人に支給すると。ただ、実務的にはそ うやってまいりますと、一度ご本人が全額立て替えるというような煩わしい事務が発生 しますので、事業者に直接支払うという代理受領、そういう仕組みになってございま す。  それで給付額としては、掛かった費用の90/100、9割相当分を支給すると。逆に言い ますと、利用者負担分は1割ということになります。ただ、当然のことながら先ほど北 川の方からご説明しましたように、所得に応じた上限額を設定し、障害者の方の場合に 低所得の方が非常に多いということもありますので、十分な配慮をしていくと。  それからもう一つ、下に「基準該当障害福祉サービス」と書いてございますが、基本 的には都道府県知事の指定を受けた事業者が支給するわけですが、例えば市町村が小規 模な市町村で、法人格がないようなところがサービスを提供するというような場合もあ ると思います。特に田舎のところなんかでは。特に市町村がそうした事業者が指定事業 者とほぼ同等であるといったような場合について、この基準該当という形で「特例介護 給付」という名前で支給できるという規定を設けてございます。これは介護保険も同様 な扱いとなっているところであります。それから附則におきまして激変緩和措置とい う、いわゆる経過措置を定めることといたしております。  それから4頁にまいりまして、実際に事業者の方々について、誰がやってもいいとい うわけではございませんので、都道府県知事がその実際の基準を満たしているかどうか を判定して指定するという根拠規定を盛り込みたいと、このように思っております。  それから自立支援医療費等の支給認定、それから支給ということになりますが、これ は従来の公費負担医療に相当する規定でございます。実際、市町村、または都道府県の 認定を医療の種類に応じて受けるということになっております。さらに、市町村または 都道府県は心身の状態と所得水準に応じて支給認定を行っていくということになりま す。これらにつきましても90/100に相当する額、いわゆる9割給付をご本人に支給する というような扱いになっております。  それから一番下のところに、「その他医療に係る療養支援を受けた者に対する療養支 援医療費等の支給等について定めること」、ちょっと小難しいことが書いてございます が、これは今回重身施設等において大人の方々が入るような場合に、その方々の医療の 部分について一定の支援をしていく必要があるということでそういう規定を設けていき たいと、このように思っております。  それから、もう一つはこうした医療機関の指定の規定を設けたいということで、指定 自立支援医療機関の指定という形で、医療機関の中で都道府県知事は開設者の同意を得 て指定自立支援医療機関を指定していくということを定めていきたいと思っておりま す。それから補装具の給付についての規定を盛り込むということにしたいと思っており ます。  それから5頁になりますが、「地域生活支援事業」ということで、これは新たにこの 法律にきちんと位置付けるということになりますが、市町村、都道府県それぞれ地域生 活支援事業というものを実施していくということになります。それで、大きく市町村が 必ず実施する基本事業というものと、それからそれ以外の選択事業という形になってお りまして、例えば市町村の基本事業としましては6つ挙がっておりますが、この6つを 考えたいと思っております。  一つは、いわゆる相談支援事業に相当するものでございまして、福祉に関する各般の 問題につき相談に応じ、情報提供その他必要な便宜を提供する事業。それから地域活動 支援センター、そこにおきまして創作的活動、生産活動、社会との交流の促進、その他 の便宜を供与する事業というのを位置付けたいと。これにつきましては従来、デイサー ビス事業とかそうした形で位置付けられておりましたが、今回これを再整理しまして地 域活動支援センターという形に位置付けまして、そうした場所で障害者の方々の生産活 動も含めた事業を実施していくということを明確にしていきたいと、このように思って おります。それから(3)で移動支援。それから(4)でいわゆるコミュニケーション関係の 事業。それから(5)で居住支援という形。それから(6)で日常生活用具の給付貸与事業 と。こうした6つの事業を基本事業に位置付け、それ以外につきましては市町村が必要 に応じて選択し、自ら実施する事業というようにしていきたいということです。  それから都道府県の地域生活支援事業ということで、まず都道府県の重要な役割とし ましては、相談支援の質の向上、いわゆるケアマネジメントの質の向上のために従事者 やその指導者を育成する事業というものを、都道府県の基本事業として位置付けて実施 していただきたいと。そのほか、広域的な対応を必要とする事業があると思います。相 談支援などでもそうした事業が考えられるわけですが、そうした広域的な事業をやって いただくと。併せて都道府県は地域の実情に応じて選択事業を行っていただきたいと思 っております。  それから第4で、「事業及び施設」ということで、これは事業や施設に対する規制、 あるいはその基準などを定めるという規定でございます。  6頁にまいりまして、「障害福祉計画」ということになります。これはこの法律で障 害者福祉サービスのいわゆる基盤整備を計画的に図っていくということが必要であると いうことで、障害福祉計画の策定を市町村・都道府県に義務付けていきたいと、このよ うに思っております。まず、国の基本方針というものを定めまして、具体的な計画のガ イドラインというものをまずお示ししていきたいと。それから市町村の障害福祉計画、 それから都道府県の障害福祉計画というものを定めていく。その際にまず具体的な量の 見込みというものを出していただきたい。現在、支援費制度の見通しがなかなか立たな いということで、正直苦労しているわけですが、このように自治体レベルで見通しとい うものを立てていただくということは、安定的な運営をしていく上でも非常に重要なこ とだと考えております。それから、それを確保するための方策をそれぞれ市町村・都道 府県などでも具体的に考えていただくというように考えております。  それから7頁にまいります。「費用負担」のところでございますが、費用負担につき ましては市町村・都道府県、それから国が実際の費用を負担していくということになり ます。それで特に都道府県・国に関しましては今回は総務省とまだ調整がついておりま せんが、調整交付金という制度を設けたいということを考えておりまして、こうした負 担の部分と調整交付金というものを足し合わせまして、国が50/100、1/2を負担する と。それから都道府県が25/100を実質的に負担するということを規定していきたいと思 っております。  それから、市町村が行う地域生活支援事業に関する補助の規定というものも都道府県 ・国の中に盛り込んでいきたいと、このように思っております。  それから8頁になります。「その他」でございますが、一つは国民健康保険団体連合 会の業務ということでございまして、実は現在支援費制度は市町村が実際には審査・支 払を行うとなっておりますが、全国を見渡しますと10を越える都道府県で国民健康保険 団体連合会に要は電子的な請求を、インターネット等を使って請求を行って、それで支 払も非常に簡素に実施しているところがございます。要は自治体の業務の簡素化を図っ ていく、あるいは実際にデータを正確に把握していくという観点からも、こうした審査 ・支払いの一元化、集約化を図っていくことが重要だろうと思っておりまして、今回こ の法律におきまして国民健康保険団体連合会でこうした審査・支払いができるようなこ ういう仕組みを設けていきたいと、このように思っております。  それから審査請求ということで、先ほど申し上げましたが、当然のことながら支給決 定、あるいは障害程度区分に関して不満があるというような場合があろうかと思います が、これを審査請求する場としての専門機関を都道府県に設けていくということを考え たいと思っております。  それで施行期日でございますが、これは40頁をごらんいただけますでしょうか。ここ に「中長期の制度改正スケジュール案」というのがございます。非常に多岐に亘ります し、非常に壮大な改革スケジュールでございまして、一挙にすべてを一斉に実施すると いうのは非常に困難でございますので、できるところから実施していくというスケジュ ールになっております。  まず17年の10月、来年の10月ですが、公費負担医療の見直しというものを実施してま いりたいと思っております。それから18年の1月、これは一応来年度ですが、もう予算 案の中に盛り込まれておりますが、来年度、18年の1月からこの新支給決定手続の実 施、それから障害程度区分の暫定的なスタート、それから第一期障害福祉計画、それか ら利用者負担の見直し、併せまして国・都道府県の今の負担規定を義務負担化していく と、こういう措置を18年1月から実施していく。それから18年10月、これは平成18年度 になりますが、施設・事業の新しい制度、体系への移行がスタートすると。これは5年 程度かけて徐々に実施していくと。それから児童入所施設の契約制度への移行、あるい は児童入所施設に関する利用者負担の見直しというものも併せまして18年10月に実施し ていきたいと。それから、児童入所施設に関しましては現在は都道府県の事務となって おりますが、これにつきましては3年以内に結論を得て5年以内の施行を目指して議論 を進めていきたいと、このように思っております。  それで併せまして、上の方にございますが、障害程度区分の見直しとか障害福祉計画 というものは逐次見直しが必要だろうと思っておりまして、21年度から18〜20年度まで の実績などを踏まえまして絶えず見直しをしていくという形で施行していきたいと、こ のように思っております。  それで最後にもう一度8頁に戻っていただきまして、「関連法の改正」ということで ございます。精神保健福祉法などで精神分裂病を「統合失調症」という名称の変更など 併せた改正も実施していきたいと思っておりますし、そのために必要な経過措置という ものも定めていきたいと、このように思っております。  以上が現在、事務局において検討中の中身でございます。繰返しになりますが、まだ 関係省庁とすべてセットできたわけではございませんので、今後また1月下旬にも部会 が予定されているということになりましたらお話をしていきたいと思います。以上で す。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。まだ法案の作成中ということで、いろいろ議論があ ると思いますが、審議会の委員の皆様方から発言をいただきまして、一括して事務局で お答えいただくという形をとらせていただきたいと思います。それでは長尾委員からお 願いします。次は松友委員。 ○長尾委員  2点お伺いしたいと思います。一つは、公費医療の部分ですが、これは自立支援医療 になりましたが、これが今度は収入認定が毎年されるわけですね。課税か、非課税かと いう公費医療に係るのはどの部分になるかということがありますが、その収入認定され る時期と、それからいわゆる公費の実際に認定される日、これについて今は随時になっ ているわけですが、例えば何月にこれは一括して始まるというようなことになります と、そのときに申し込みが精神でも診断書等が要るわけですね。それが一括してという ことになると非常に混乱してくる可能性があるので、そのへんがどうなるのかというこ とが一点。  それからもう一つは、先ほどの14頁に障害程度区分の一次判定、二次判定ということ がありますが、一次判定から二次判定に行くところはこれは介護給付の場合だけになっ ているんですね。それ以外は二次判定はないのかということをお聞きしたい。  それと関連して、そうなると17年の間に18年の1月から障害程度区分がされるわけで すから、その障害程度区分というのは実際にどのようになっているのか。それについて 介護給付の場合と介護度だけの現在の部分と一緒になっているのか、そのへんについて お聞きしたいと思います。 ○京極部会長  まとめて後で。では松友委員、それから広田委員、福島委員、野中委員と順番にお願 いします。 ○松友委員  よろしいですか。8頁及び14頁に重なることですが、いわゆるここに14頁の図があり ますが、いわゆる審査会ですが、従来は障害者給付審査会、これは県の役割がもう一つ 明確でなかったんですが、下に障害者給付不服審査会というのがあるんですが、これは 新たにできるということですか。つまり、審査会を分けるということですか。事業とし て。さらには、いわゆる不服について、つまり市町村で行ったことについて不服という ことは、市町村が審査会で決定するがそれに対する不服は都道府県に行うと。つまり、 市町村に対して行うのではなくて都道府県に行うと、このように役割が不服をあげる先 がこのようになっているのか。この不服審査会についてご説明というか、確認をいたし たいと思います。よろしくお願いします。 ○広田委員  伊原企画官の方から先ほど盛んに「都道府県」という言葉が出たんですが、政令指定 都市は入らないんでしょうかということが一点。  それから、前回塩田部長の方が国会に伺いましたので、仲間の声をもう一回読み上げ させていただきます。精神障害者が孤立しないために通院公費医療負担制度負担は不可 欠な唯一の実績国家保障であるということですので、これをもう一度お伝えしたいと思 います。私自身は生活保護制度を使っていまして、これを見ると負担金は全部ゼロです ね。日本の税負担の中で考えますと世界的に評価できる社会保障制度が生活保護かなと いうことで感謝しながら暮らしておりますが、そういう仲間はたくさんいて、ぜひ親が 支出しなければならないというところはぜひこの際、世帯分離をして皆生活保護を取ろ うと。そして社会貢献して返せる分は返そうと。それで私自身は作業所とか行っていま せんが、例えば横浜市などでは作業所に行っていますと、年間一人100万とか80万とか 掛かりますね。それで私が現在生活保護制度以外で使っているのは、ホームヘルプサー ビスで月間に大体24,000円ぐらい使わせていただいております。それと住替え住宅制度 ということで大きな家に住んでいますから、それが月間26,300円でそれに見合うだけ の、ここでずっと話していた、被害妄想をもたれていた高齢者が我が家を半年ぶりにで て不動産屋さんの紹介の下に近所にあるアパートで自立をしました。それで、11頁のこ の図は次回に質問した方がよろしいでしょうか。では次回にさせていただきます。 ○京極部会長  では福島委員、お願いします。 ○福島委員  本日の事務局のお話ですとか、その間の新聞報道などを見ますと、今回の財務省の査 定が新しい法案の提出といわばセットになっている。原則、利用料の1割負担というこ とがあってはじめて今回のような比較的潤沢な予算措置がなされたというように理解し たんですが。まず、そうした場合に本人の所得に応じた応益負担ということだけが前提 となるのか、それとも同一世帯の所得全体を勘案するというところまで既に縛りが掛か っていて、それも前提となっているのかという点がお聞きしたいところなんです。  もし両方とも縛りが掛かっているというか、前提となっていれば、これらの問題につ いてもここで議論する意味がないわけで、私たちは何のためにここにいるのかという感 じがしているんですよね。我々がもとより法案の提出権もなければ、議決権もないし、 予算編成権もないことははじめからわかっているわけですが、そうであればなおさら、 せめてディスカッションだけでも自由にしたいなという希望をもっておりますが、10月 12日にグランドデザイン案が出されて2ヶ月あまりでもう法案のペーパーが出ている。 さらにその傍ら財務省とも既に折衝が行われているというようになってしまうと、私た ちは一体何のためにここで議論するのか、何を求められているのかという、非常に無力 感を感じておりますので、どこまで前提が掛かっているのか、本人負担だけでなく同一 生計者までかというところを確認したいと思います。 ○京極部会長  それでは野中委員。 ○野中委員  この仕組みの中で一番大事なことは、先ほどもありましたが、やっぱりケアマネジメ ントをどうするかであり、市町村の中でこの14頁にありますが、いわゆるケアマネジメ ントがどうされるのか、それから行政の中でそのケアマネジメントを理解している人が どれだけいるのかどうかという部分が今後は特に大事だということを、ぜひ強く受け止 めていただきたいと思います。  もう一つは医療のことですが、専門的な医療が一つは大事なこともあるわけですが、 私は介護保険でも思いますが、やっぱりその人の生活を支える医療というのがいかに大 事かということがあります。そして、この中に自立支援医療という部分ではこういうよ うな書き方しかないのかなと思いますが、やはり生活を支える医療については検討が必 要だと考えます。私が言う言葉ではないかもしれませんが、私の前に岡谷委員がいます が、やっぱり訪問看護がいかに患者さんの生活を支援するという面では大事だという部 分がこの中には欠けていると思います。ただし、費用負担という部分でこの中に入るの がいいのか、医療の中に入っていいのかどうか、ここは迷うところでございますが、や はり医師とともに患者さんの生活を支える訪問看護の重要性をぜひご認識いただき、そ して考えていただきたいということ。その2点だけよろしくお願いします。 ○京極部会長  ありがとうございました。では堂本委員、お時間がないので。 ○堂本委員  申し訳ございません。ちょっと時間がないものですから。  この新しい法律で今まで縦割りだったものがそうではなくて、まず市町村が中心にな ったということ。そして障害者の、先ほどおっしゃいましたように、従来の措置と違っ て本人の自己決定でサービスを選べるようにしたということ。そういうように新しいシ ステムを構築される基本的な考え方については評価をさせていただきたいし、大変な作 業だと思いますが、そういう基本を外さずにこれからもお願いをしたいと思っておりま す。  ここでいくつか心配な点を申し上げたいんですが、一つは今40頁のスケジュールを拝 見しても、国の方でいろいろとこれから決められるということなんですが、こういう市 町村が主体になります場合は、まずは障害者本人の一人々のニーズということ、それに 対して一番身近な地域の住民について詳しい市町村のニーズをまず汲み上げることが必 要で、市町村の裁量権をできるだけ大きくしていただきたい。そして制度設計について も、市町村が決められるその裁量権をできるだけ大きくしていただきたいということで す。  そして先ほどのスケジュールを見せていただくと、とかく国の決定を市町村が待つよ うなことになりますと、やはりそこで市町村が十分に新しい情報に基づいて、法律のシ ステムに基づいて準備するのに時間が足りないのではないかという心配を持っておりま す。そういうことで、できるだけ早く情報を提供して市町村がそういう作業に入れるよ うにしていただきたいと思います。  それともう一つ不安でしたのは、7頁のときに説明された費用負担のことなんです が、調整交付金が50/100、そして25/100という形で決められている。これはどのような 形で国、都道府県、市町村に流れていくのか。これが従来の補助金的なことですと、今 申し上げました市町村の裁量権とまったく違って、市町村の自由裁量並びに個人の自己 決定権と反した形になって、違って意味での縦割りの復活になるのではないかというこ とを大変危惧しております。それで私は出席できなかったんですが、前々回14日の福島 委員のペーパーを見せていただいたんですが、これは予算の応益負担とも関係する問題 ですが、やはり私はこれは一番基本として今回のシステムの中で大事だと思ったのは、 生きる上で最低限必要な身体動作、移動、コミュニケーション等に関する基本的な自由 の保障ということが、言ってみれば自己決定権の基本なのではないかというように思っ ております。そこで所得保障の問題とか、雇用機会の拡大というような問題が出てまい りますが、そうしたところまで幅を広げて市町村から、そして個人々の、先ほど見せて いただきました個人がいろいろ申請をして、その方に対してのいろいろな決定、介護保 険と同じようにケアマネジャーの方がこういうときは活躍されるんだと思いますが、そ こでもってせっかく従来の措置から変えるのであれば、そこで再度違った形の枠や縦割 りや資金の流れというようなものにならないようにぜひしていただきたいということが 一つ。  それからもう一つは、やはり市町村が十分になかなかこの切り替えは、ここにおられ る方たちは皆さんはこのプロセスはわかっておられますが、全国の市町村はなかなかそ このところの理解は難しいと思いますので、このような法律については、先ほど大変グ ランドデザインから法律の骨格まで早いというお話もございましたが、できるだけそう いう方向性でやっているのだということをぜひキャンペーンしていただいて、各市町村 が立ち上がって準備ができて、そして法律が通るような頃には市町村がそれぞれそうい う独自の案が持てるような、そういう平行した形での準備を進めていただかないと混乱 を招くんじゃないかということを心配しております。以上でございます。ありがとうご ざいました。 ○京極部会長  では丹下委員と小林委員。それで時間の関係でこれをずっとやっていると1時になっ てしまいますので、次の議題もありますので。 ○丹下委員  この骨格案は非常にテクニカルに精緻につくられているんだろうと思いますが、この 施設・事業の新しい体制への移行ということの中に、やはり一番大きな問題の一つは、 障害者が就労、あるいは雇用の舞台に出て行くその意欲を喚起するとか、あるいはサポ ートするというような理念的な問題が非常に大きいと思うんですね。それで従来は福祉 確保の中にはそういう理念が謳われていなかったというところが私は欠陥だったと思い ますので、今度のこの法律ではそのことが規定されるのか、されないのか、質問です。 ○小林委員  まずこの法律の総則のことなんですが、これをスッと読みまして一般国民の人から見 ると大変、自分たちはどうでもいいのかと、こう思ってしまう。というのは、国民の責 務とか、国民の援助とか、なにかそういうニュアンスのことが出てこないとこの法律は 地方自治体と障害者だけの話なのかと、こういうように見えてしまうので、私はやっぱ り「国民の責務」とか、なにかほかの言葉でもいいんでしょうが、そういうことは考え られないのか。それは逆に言うと障害者基本法に書いてあると、だからそっちでいいん だとおっしゃるなら、ここでわざわざ後で障害福祉計画なんていうのは入れなくてもい いじゃないかと。なんか後の方の資料で、そこは私も不勉強ですから違っているなら違 っているでいいんですが、なんとなくこの法律が。それで「国民の責務」と書いてほし いと思うのは、実はボランタリーの活動というのでこういう支援給付ではないけど、障 害者自立支援をやってやろうという国民の皆さんにとっては、私はこれはなんとなくち ょっと片手落ちの法律だと思わないだろうかということを気にしております。 ○京極部会長  いろいろご議論をいただきましたが、皆さん方はまだいろいろ質問があると思いま す。特に共通の法律ができますと縦割りとの仕分けがどうなるかということで、例えば 更生相談所なんかはかなり統合してやっている県もございまして、そういう連携的なも のをこういう規定の中に、法律の中に入れなくてもいいのかどうか。それから丹下委員 が先ほどおっしゃいましたように、労働関係機関との関係とか、そういう連携規定を特 段意識して法的に規定しないと、従来の縦割りを横につないだということで給付だけは うまく進むけど、あとの市町村の事業はうまく行くけど、そのほかがギクシャクすると いうことが多々ありますので、そういうこともこれからは工夫していく必要があるんじ ゃないかと思います。  では、一括して事務局で、それぞれお答えになる方は違うと思いますが、もう一つ大 きな議題がございますので、お願いします。 ○北川企画官  それではまず、まとめて私の方からお答えさせていただきます。  まず条文に係る事項でございますが、先ほど伊原の方から冒頭ご説明させていただき ましたように、法制局とか関係省庁、今後いろいろ議論を、省内の協議もまだ始めてい ないようなところもございますので、いろいろな関係がございますので流動的でござい ます。  そういう意味で今いろいろなご質問とか、こうしてほしいというようなご意見がござ いましたが、今ここでこうするとはなかなか我々としても言えない状況でございますの で、次回までにいろいろそれなりに調整をした上で、我々としての考え方をもってご説 明させていただきたいというのがまず全般的なお答えになると思います。  その上で、敢えていくつかかいつまんで申し上げさせていただきますが、一つは施行 の関係でございます。確かに日程的にも相当厳しいというように思ってございますが、 逆に我々としては現に現場でがんばっておられる市町村の方とか、都道府県の声を聞か せていただかないと、我々も現実的な施行を行っていくというのがなかなか難しいとい う認識を持っております。そういう意味ではできるだけ定期的にいろいろな意見交換を する場を設けて、実際的な無駄のない施行ができるように取り組んでいきたいというよ うに考えているところでございます。そういう意味では一方的に情報提供をするという だけでなく、どんどん情報をいただくということが必要になってくるというように考え ているところでございます。  それから、利用者負担と国の義務的経費との関係というお話がございました。端的に 申し上げますと、利用者負担を取るから義務的経費が認められたというだけでなくて、 何回も繰返し申し上げてございますが、数値目標を持った事業計画と。これは障害者基 本計画とは異なり、具体的なニーズや数字が見えるといったような計画をつくっていく ことでございますとか、支給決定の透明化を図っていくということ。さらには国庫負担 についても一定の上限のようなものを設けて効果的に配分を行っていくといったよう な、政策的なパッケージが一つとなって国が財政規律を確保できるだろうという判断の 下に義務的経費がなされたと、こういう経過でございます。  そういう意味では、定率のご負担を求めるということに関して、本人だけの収入でや るということについては、それは基本的には難しいと。生計が同一の場合について、生 計同一者の収入の範囲をみるということはやむを得ないだろうと思っております。た だ、それが一緒の世帯に住んでいるすべての人間なのかどうかという最終的な詰めの部 分については技術的に決めなければいけないと思っておりますが、本人だけの収入で判 断するという道は基本的にはない、というように思っていただくしかないんではないか と思っております。  それから、先ほど堂本委員の方から調整交付金の話が出ましたが、これも一応透明な ルールを持って重篤患者の方が多いとか、急激に対象者が増えてきているといったよう な観点で調整交付金を配布するという、透明なルールの下で行っていくということでご ざいますので、国がルールなきままに一方的な裁量権をもって行っていくという趣旨で はないというものでございます。  それから、大都市特例、政令市の話がございました。福祉サービスについては基本的 に資料の4の38頁等にございますように、大都市特例ということについては基本的には 考えないということで考えてございます。17年度医療については経過もございますの で、大都市特例というのを考えていこうと思っておりますが、福祉サービスについては 現時点においては政令市であっても普通の市と同じような扱いにしたいと、このように 考えていこうというように思っているところでございます。  それから、審査会、障害程度区分の問題でございます。これは先ほど申し上げました ような、いろいろな一連の制度全体の見直しの重要な柱でございます。特に不服の申し 立ての件については、これは前回の資料でもお示ししてございますが、審査会とは別に 市町村に対する決定について不服がある場合に都道府県に不服を申し立てると。これは 介護保険でも同様な仕組みがございますが、そういう実際に決定を行った者と不服を判 断する人間を分けるという思想の下にそういう仕組みをつくりたいと、こういうことを 考えているわけでございます。  それから、公費負担医療の関係でございますが、収入認定が行われるという話であり ます。これは更生医療、育成医療は今は大体自治体は年に一回、定期的に実務をやって いただいておりますが、精神はそういう実務が今までなかったということで、どういう ような実務にするかという問題だと思っております。急にそれを年に一回にしろといっ てもなかなか現場が回らないというご指摘についてはよくわかりますので、どういうよ うに円滑に施行ができるかということについてはよく考えたいというように思っている ところでございます。  あと、いくつかご指摘の点があったと思いますが、それは先ほど申し上げましたよう に、一度少し関係省庁等と整理をさせていただいた上で、もう一度改めてご説明をさせ ていただければと思います。以上でございます。 ○丹下委員  私の質問にも答えられませんか。 ○伊原企画官  先ほどご質問をいただきました就労の位置付けを今回の法律にということですが、特 に考えておりますのは市町村との責務の中にそうしたような就労関係機関との連携、あ るいはそういうことを実質的に諮っていくということを何らかの形で書き込みたいとい うように思っております。 ○徳川委員  自立についてもお答えください。 ○伊原企画官  徳川委員からご指摘がございましたこの自立支援とはなにかということですが、もち ろん就労への移行とか、社会に出るということだけではなくて、当然非常に障害の重い 方もご自身の意向、自分がこうしたいということを踏まえた自己決定というものを反映 できるような形に、それ自体が自立支援の中身だと思っておりますので。例えば今回の 法律でいきますと、ご自身が住む場所、居住する場所を選んでいくとか、あるいはご自 身の意向に沿った支給決定をしていくというところがまさにこの自立支援給付の本質だ ろうと思っておりますので、当然この自立支援の中身はそういう広いものであるという ように我々は認識しております。 ○京極部会長  ありがとうございました。ちょっと皆さんにお諮りしますが、12時半になりました。 予定の時間が。 ○安藤委員  済みません、私の質問に答えてないんですが。 ○京極部会長  最初の質問ですか。では。まず時間をきちんとさせたいと思います。バーッとしゃべ ってどんどん延長するのを避けたいと思いますので、10分間延長するという前提でお願 いします。 ○北川企画官  先ほどの地域生活支援事業で利用者負担がどうなるのかという安藤先生のご指摘だと 思いますが、基本的には各市町村で地域生活支援事業に係るサービスについては利用者 負担をそれぞれ決めていただくということで、国として一律の対応は基本的には考えて いないということでございます。  ただ、行政サービスとして、例えば職員として手話通訳をどうするかといった問題は また別の切り口として議論されるべきものだろうと思います。ここで申し上げているの は、地域で暮らす中でどのように事業者がサービスを提供していくかという観点でのコ ミュニケーション支援だというように考えておりますので、行政の各自治体がどのよう にサービスを提供していくのかということについては、別途の対応があり得るのかとい うことについては少し考えてみたいと思っております。 ○京極部会長  それでは大変恐縮でございますが、10分延長して、続きまして介護保険部会で議論さ れてきました被保険者や受給者の範囲の拡大の議論について報告がまとまっております ので、手短かにお願いしたいと思います。 ○大島企画官  お手元の資料5、「被保険者・受給者の範囲の拡大に関する意見」をご用意いただけ ますでしょうか。下に平成16年12月10日、社会保障審議会介護保険部会と書いてある資 料でございます。  介護保険部会は7月30日に介護保険改革に関する報告書をまとめておりましたが、こ の被保険者・受給者の範囲に関しましては両論併記になっておりまして、以降引き続き 検討するということになっておりました。9月21日以降議論が再開されまして、12月10 日まで計5回に亘りましてこの年齢引き下げの問題のみに特化して議論が行われまし た。その関連の報告書がお手元の資料ということになっております。この間、保険料の 試算とか、あるいは関連のデータ、あるいは障害者部会におけますグランドデザインの 案とか、あるいは障害者団体の意見書、こういうことも適時この部会の中で資料なり説 明をしていきながら議論を進めていくということになってまいりました。  それでお手元の資料、意見書でございますが、全体29頁に亘っておりますが、実質的 な報告書の内容は10頁までになっております。一枚おめくりいただきますと、「はじめ に」というところが出てまいりますが、こちらのところは7月30日の段階での取りまと めの状況を整理したものでございます。これまでの被保険者・受給者の範囲の経緯を書 いたものが一枚目、2枚目でございます。それから3枚目が問題の所在ということで、 これは7月30日段階までのものを再びここで掲載したものでございます。  5頁をおめくりいただきますと、こういうことを踏まえまして9月以降の議論では2 つの論点を。一つは、そもそも普遍的な制度に見直すことについてどう考えるか、介護 保険制度を普遍的な制度とみなすことについてどう考えるかという点と、もう一つは仮 にそういうように普遍化するとした場合に、制度設計上の検討事項としては何がある か、その2つの論点について議論が行われました。  6頁をごらんいただきますと、ここからがこの部会での検討結果ということで、まず 大きな一つ目の点、介護保険制度を普遍的な制度とみなすことについてということでご ざいます。最初の○を見ていただきますと、2段落目ですが、「したがって、現行の制 度は給付面から見れば、65歳以上の介護ニーズと、40歳から64歳までの老化に伴う介護 ニーズに対応するものであり、実質的には高齢者の介護保険であると言える」  その次の○ですが、「こうした現行制度に対し、介護保険制度の将来的な在り方とし ては、要介護となった理由や年齢の如何に関わらず、介護を必要とするすべての人にサ ービスの給付を行い、併せて保険料を負担する層を拡大していくことにより、制度の普 遍化の方向を目指すべきであるという意見が多数であった」ということで、年齢とか介 護の理由、こういうことを問わない制度の普遍化の方向を目指すということでは意見が 多数でありました。その理由は、その下に(1)、(2)、(3)と書いてございます。  7頁をおめくりいただきますと、最初の○でございますが、「一方、被保険者・受給 者の範囲の拡大については、極めて慎重に対処すべきであるという意見があった」とい うことで、先ほどのような普遍化の方向を目指すということについて慎重を期すべきと いう意見があったということで、その理由を(1)、(2)、(3)という形でご紹介をしており ます。  8頁は制度設計の具体的な検討事項ということで、こちらにつきましては16頁以降の 資料に制度設計上の細かい論点を、例えば給付の範囲をどうするのか、何歳にするの か、内容をどうするのか、負担を求める年齢をどうするのか、水準をどうするのか、あ るいは施行の方法・時期をどうするのか、こういう詳細な論点につきましていくつかの 選択肢とそれぞれの考え方を示した資料が付いております。この部会ではこれらにつき まして結論を出すというよりは、それぞれについてどういう意見があったかというのを 列挙した形に止めております。  最後に10頁でございますが、「今後の進め方」というところでございます。2つ目の ○です。先ほどのような結論を踏まえて、「今後、被保険者・受給者の範囲の拡大に関 連した制度改正を実施するとした場合には、相当な準備が必要である」、その次の○で すが、「一方、政府の基本方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004)、い わゆる骨太2004と言われるものでありますが、政府の基本方針におきまして社会保障制 度全般について一体的な見直しを開始し、平成17年度及び平成18年度の2ヵ年を目途に 結論を得るということであり、介護保険制度の普遍化については、こうした動向も十分 に踏まえる必要がある」「したがって、介護保険制度の普遍化に関しては、これらの状 況を踏まえ円滑な制度改革を図ることが重要であり、社会保障制度一体的見直しの中 で、その可否を含め国民的な合意形成や具体的な制度改革案について、できる限り速や かに検討を進め結論を得ることが求められる」ということで、社会保障制度の一体的見 直しが17年度・18年度にございますので、それとの関連での検討・結論が求められると いうことで、この介護保険部会としてはこれをもちまして検討を終えたということにな りました。以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。介護保険部会での報告ということでございますので、それ をまたこの部会で再度検討してということではございませんので、特段のご意見があれ ばいただきまして、終了したいと思いますが。いかがでしょうか。  では、報告を受けたということで、今日は議論の方はまた次回ということにしたいと 思います。そろそろ時間もまいりました。10分過ぎましたことは司会者の不手際という ことでお許しいただきたいと思います。  国においては本部会で出された意見も十分に踏まえながら、法律案の提出に向けてさ らに制度設計の具体化に向けて詰めた議論をしていただきたいと思います。委員の皆様 方には年末の差し迫った中お集まりいただきまして誠にありがとうございました。本年 は3月から度々部会を開催しまして、委員の方々にはご多忙中にもかかわらず日程を繰 り合わせて多数ご出席いただきまして議論が盛り上がったと思います。その甲斐もござ いまして、部会で議論してきました障害者保健福祉政策の基本的な方向についての改革 案も出されて動き出した感じでございます。  夏の中間報告では例の介護保険との統合について現実的な選択肢の一つということを 出しましたが、そのとき私は座長として富士山の登山で例えれば、5合目に来たのでは なく富士山の麓に来たということを表現しましたが、やっと2〜3合目に上がってきた なという感じをいたしております。グランドデザインに対しては確かにこの2ヶ月間で 急速に固まってきた感じもしますが、今日ご出席の委員の中には2年前の平成14年12月 24日に出されました内閣府の新しい障害者基本計画に参画された委員も多数いらっしゃ いまして、実は2年前からこのグランドデザイン案は求められていたことでありまし て、遅いか早いかという議論がありますが、私個人の主観的な感じとしては、やっとこ こまで来たな、ずいぶん時間が掛かったな、という認識をもっておりますので、議論は ずっと続いていきますが、とりあえず来年に向けてもまた積極的なご議論をいただきた いと思います。  では最後に日程調整をお願いします。 ○間企画課長補佐  はい、次回第24回障害者部会は1月下旬以降に開催させていただきたいと考えており ます。日程を調整させていただくために、誠にお手数ですがお手元の日程調整表にご記 入をお願いしたいと存じます。現時点でご予定が不明の場合には後日ファックスにてご 送信くださるようお願いします。なお、詳細につきましてはいつも通りに後日事務局よ りご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いします。以上でございます。 ○京極部会長  以上で本日の部会を終了します。どうもありがとうございました。                                     (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)