04/12/24 第25回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録    第25回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日時  平成16年12月24日(金)10:30〜12:00 2 場所  経済産業省別館825号会議室(8階) 3 出席者 [委員]  奥平委員、勝委員、小山委員、齋藤委員、讃井委員、            下永吉委員、菅井委員、鈴木委員、田村委員、都村委員、            中山委員、成宮委員、山路委員       [事務局] 松井勤労者生活部長、宮本勤労者生活課長 4 議題    付加退職金支給率の算定のための会計基準について 5 議事内容 ○齋藤部会長  ただいまから、第25回の中小企業退職金共済部会を始めたいと思います。勝委員がま だお見えになっていませんが、追っつけお見えになると思いますので、始めたいと思い ます。今日は佐藤委員と堀越委員がご欠席でございます。  議論に入ります前に、委員の交替がありましたのでご報告します。12月22日付で野澤 雄三委員が辞任され、同日付で後任として、菅井義夫委員が任命されております。一 言、菅井委員からご挨拶をお願いします。 ○菅井委員  おはようございます。中央労福協の菅井でございます。9月末まで、いわゆるゼンセ ン同盟で活動してまいりました。前野澤委員同様、どうぞよろしくお願いいたします。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。本日の議題はお手元にお配りしてありますとおり、「付加 退職金支給率の算定のための会計基準について」ということです。事務局からご説明を お願いします。 ○宮本勤労者生活課長  まずお手元の資料の確認をさせていただきます。  本日は資料1としまして、「付加退職金支給率の算定のための会計基準について(案 )」という表紙の付きました資料、それから参考資料として、2つほど用意しておりま す。「平成15年度における厚生労働省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結 果についての意見(抄)」。参考資料2が、「第12回中小企業退職金共済部会の議事録 」となっております。お手元に資料がございませんでしたら、また落丁などございまし たら、事務局にご連絡ください。  資料1の「付加退職金支給率の算定のための会計基準について(案)」につきまして ご説明します。1頁、前回の審議会におきましても、3つほどの課題の中の1つとして 掲げさせていただきました懸案です。前回ご説明しましたように、現在、中小企業退職 金共済法の施行規則によりまして、来年度の付加退職金を計算するときには、今年の利 益の見込額を基に来年度の付加退職金の支給率を決定するという仕組みになっていま す。またその際に、今年の利益の見込額を計算するときに、時価ではなくて、簿価を用 いて計算することになっているということをご説明させていただきました。  今回ご審議をお願いしたいのは、その付加退職金の原資となります今年度の利益の計 算につきまして、簿価ではなくて、通常の会計基準、即ち時価も活用しました会計基準 によりまして、利益を計算する方法に改めてはいかがだろうかということで、議題にさ せていただいています。  そこで、案1ですが、これは時価で計算するという方法ではありますが、もう1つは 案2としまして、従来どおり、引き続き簿価で算定する方法との2つにつきまして、メ リットとデメリットなりにつきまして、1頁に書いています。  まず時価で計算する方法といいますのは、メリットに3つほど掲げていますが、1つ は実際の利益の大きさに基づきまして、付加退職金が配分されることになります。した がって、累積欠損金の拡大を防ぐことができる。つまり、これは案2の簿価のデメリッ トの裏返しの関係にもなりますが、簿価の場合には必ずしも簿価で計算された利益があ るとは限らないということですので、簿価に基づいて利益を見込んだ上で、付加退職金 として給付してしまうということになったときに、実際に決算してみたときには、それ だけの金額がなかったという事態、あるいは見込んだ金額より小さかったという事態な どもあり得るということですが、そうなりますと、累積欠損金が拡大してしまうという ことになりますが、時価で実際の利益の大きさに基づいて計算するということになれ ば、少なくとも、そういった累損が拡大してしまうような形での付加退職金の支給を避 けることができるという点がメリットの1つ目です。  メリットの2つ目ですが、これは独立行政法人退職金共済機構の決算が現在は、基本 的には企業会計、即ち時価を基準としたという形になっていますので、それとの決算の 整合性なり、実態から乖離しない、しかしながら、付加退職金額を計算するときに、簿 価で別の数字を用いて計算して付加退職金額を計算すると、実際に決算書を見ると、そ ういった数字はどこにも上がっていないということにもなりますので、見た目にわかり づらい制度になっていますが、そこを修正しますと、もう少し実態、あるいは決算との 関係が明確な関連が出来るという意味では、わかりやすい制度になるだろうと思われま す。  3番目ですが、機構におきます事務は先ほど申しましたように、決算そのものは企業 会計をベースにしました決算に切り替わっていますので、付加退職金の計算のために簿 価で計算するという特別な作業が必要がなくなるというのがメリットとして挙げられる だろうと思います。  一方、デメリットですが、ご案内のとおり、時価で計算するということになります と、時価は非常に変動しますものですから、今年度の機構の利益の見込額を計算するた めには、そのぶれもなるべく小さくなるように、精度が高くなるように、なるべく可能 な限り3月末の、年度末に近い運用のデータなどの実績を用いて計算することが必要と なる、という意味におきまして、少し利益の見込み方につきまして、工夫が必要になる というのが若干のデメリットとして挙がるのではないかと思います。  一方、案2は、引き続き現行どおり簿価で計算する方法ですが、これは案1の時価で 計算する方法のメリット、デメリットと裏返しの関係になりますが、メリットとしまし ては時価変動を加味しないということですので、利益の見込額につきまして誤差は比較 的小さくなるという点です。  一方、デメリットですが、先ほど申しましたように、簿価会計上は黒字であっても、 必ずしもその黒字の数字が実際にあるかどうかわからないということですので、その時 々の簿価と時価の大きさの関係によりましては、簿価上が黒字で時価上が赤字、あるい はその逆、または簿価で見込んだほど黒字がなかったといった事態が生じるおそれがあ ります。  したがいまして、案1と案2ですが、本日はこのいずれかにつきまして、どちらで計 算するかをご検討いただきまして、今年度の付加退職金の計算に当たりましては、その ご検討いただきました結果に基づきまして、計算をさせていただきたいと思います。な お、案2と案1の折衷案のような形になりますが、案2を基準としまして、補足的に案 1の時価を用いながら、利益を見込むやり方も考えられます。それが1頁の「なお」書 きの所に書いてあるとおりです。  両方計算しまして、簿価でも時価でも、黒字が計上された場合に、従来どおりのやり 方を踏襲するならば、簿価の剰余金を基にして、時価の剰余金の範囲内で付加退職金の 額を支給するというやり方も一案としては、理屈の上では選択肢としてはあるのではな いかとは考えられます。しかし、時価で計算されているのに、あえて簿価を用いること の必要性につきまして、なかなか説明しづらいという点と、やはり2通りの計算をする ということになりますと、年度末を控えました1月から2月の時期に、機構の事務負担 が一気に高まってしまうという問題はちょっと大きな問題としてあるのではないかと思 います。なかなか、こういった折衷案的なやり方は取りづらいのではないかと思いま す。  2頁、これはいま申しました時価、簿価というものにつきまして、簡単にまとめたも のです。私どもがここで時価と申していますのは、企業会計原則と同じですが、公正な 評価額をいい、一般には市場において形成されている取引価格などをいう価格と考えて います。簿価というのは、これは会計上の概念ですので、資産を取得した取得原価が中 心となりますが、一部の資産につきましては減価償却などを加減して得た額のことを指 しています。簿価と時価につきまして、利益を計算する際にどこが違っているかという ことにつきましては、その下の「時価基準による収益の評価」「簿価基準による収益の 評価」の所に簡単にまとめました。  時価基準による収益の評価の場合には、※にありますが、実現収益は持っている資産 から発生します利子、配当、あるいは持っている資産を売却したときの売却損益などを 指していますが、これに持っている資産の価格が変動しますので、その価格が変動した ことに対応して発生する評価損益、この2つを両方とも含めたものが時価基準による収 益の評価となります。  一方、簿価基準による収益の評価ということになりますと、実現収益だけということ になりますので、実際の市場の動向に伴って変動する要素がないという意味で、比較的 安定した値ということになります。ちなみに参考としまして、TOPIXの月次データ の推移(1984年4月から2003年11月まで)を下にグラフ化しました。ここで、仮に簿価 で計算することになりますと、買ったときの値段、例えばTOPIXを1500の所で買っ たとしますと、それを実際に売却するまでは、黒い太い横線がありますが、その価格で ずっと評価していくということになるわけですが、実際にはTOPIX市場の動きとい うのは折線のとおりですので、たまたま市場の価格が買ったときの値段よりも下がって いれば、それは評価損、含み損ということになりますし、仮に市場の価格が買ったとき の値段よりも高くなっていれば、それは含み益ということになろうかと思います。  したがって、時価で評価するということになりますと、これが赤とか青で表された部 分についても決算の損益に反映させることになりますが、簿価の場合にはそういったも のは一切損益に反映されない。実際にはこれだけの損益が発生しているのだけれども、 それを見ないというようなやり方が簿価であるということになろうかと思います。  3頁、これは前回ご説明しました資料の抜粋ですが、平成15年度の決算数値で簿価基 準で計算したときの実績と、時価基準、つまりこれは機構の実際の公表されています決 算数値になりますが、これによりまして2つを比較しますと、これだけずれるというこ とになります。掛金収入、あるいは退職金支出、それらから計算されます責任準備金の 増減につきましては簿価でも時価でも差は発生いたしませんが、やはり運用収入のとこ ろで時価で評価する部分がある時価基準と、時価の評価額の変化を見ない簿価基準で は、昨年の例でいきますと、これだけの差が発生しているということです。  4頁、実際には簿価で計算しましても、時価で計算しましても、ある時点の価格、あ るいは財務状況を基にしまして、年度末の状況を推計するという作業を行いますので、 そこにどうしてもある時点からある時点までの期間の誤差が発生する可能性がありま す。では、過去どのくらい誤差が発生しているのか、少し検証してみました。平成12年 から平成15年まで、収益の要素であります掛金の収入、あるいは運用収入、費用の要素 であります退職金の支出、責任準備金の増減、収益から費用を引き算して得られた利益 につきまして、それぞれ付加退職金の額を計算する際に、審議会にご提出しました推計 値がございます。  それと、実際の決算の数値がございますので、15年度は簿価の基準を別途計算いたし ましたが、14年度までは簿価で計算されていましたので、簿価ベースで計算したとき に、どのくらいそれぞれがぶれているかをまとめたものです。これを結局利益の欄でご 覧いただきますと、決算値と推計値の間に最大で大体103億、最小で41億ほどのぶれが 発生しているということになります。この要因につきましては簿価で計算しましても、 やはり運用収入の見込み方の問題ということになろうかと思っています。実際に収益の うち、掛金収入の金額と退職金支出と責任準備金の純増、つまり(1)と(3)と(4 )、これだけで計算しましたものを参考として掲げていますが、これで見ますと、決算 値と推計値というのは、年々縮小する傾向にもあり、また、運用収入の欄における決算 値と推計値のずれの大きさに比べますと、利益の大きさというのは、それほど大きくな っていないということですので、結局簿価で計算するに当たりましても、見込み方につ きまして、もう少し工夫しないと、精度の高い利益の見込額の計算はできないという点 は、あまり変わっていないということになろうかと思います。  そこで仮に時価を基準としました損益計算による付加退職金原資の算定を今年度から しようとした場合のやり方としまして、1つの案としまして、5頁にありますやり方で 今年度は計算させていただきたいと思っています。○にありますように、17年2月、来 年の2月または3月の中退部会におきまして、ご諮問させていただきたいと思っていま すが、平成17年度の付加退職金の支給率の算定につきましては、下の1〜3にあります ような手順を基にして計算をしたいと思っています。ただ、ある程度の期間どうしても 推計をしなければならないという部分がありますので、それにつきましては、いわゆる ベンチマークを使用してまいりたいと思っています。  ベンチマークについては6頁に簡単にまとめてあります。一言で言ってしまいます と、市場を代表する指数のことです。株式でいきますと、有名なのはTOPIXとか、 日経225といったものもありますが、現在勤退機構を含めまして、一般に公的資金を運 用する機関におきまして使われている市場を代表する指数というのは、資産ごとにそれ ぞれそこにありますように、国内債券であれば、NOMURA−BPI、外国債券であ れば、シティグループ世界国債インデックス、あるいは外国株式ですと、MSCI−K OKUSAIといったものを使っていますので、今回の作業につきましても、市場全体 の変動につきましての推計に用いる際の基準としましては、それぞれの指数をベンチマ ークとして用いたいと思います。  手順ですが、5頁、まず掛金収入、退職金支出の計算ですが、これにつきましては在 籍者の方につきまして、ある時点で確定させていただきまして、その時点で何人ぐらい の方がいらっしゃるということを一旦固めてしまうという作業をまずいたします。その 上で、その方につきまして、確定した時点までに得られました納入していただきます掛 金収入、それから、確定した方につきまして、発生しています退職金給付の額といった ものが計算されますので、それを基にしますと、3月末までに、あと何人ぐらいの方が 加入され、あるいは退職されるというのを、過去3カ年の平均値を用いて延ばすことが できますので、それによって掛金収入や退職金支出につきまして、年度末までの数値を まず推計いたします。  それが計算できますと、今度は責任準備金の額が計算できますので、この責任準備金 の額もある時点での確定させた在職者の方に基づいて計算することができると思ってい ます。実は、これは例年やっているやり方ですが、平成17年度末現在でいらっしゃる方 につきまして、何月ぐらいの方が何人ぐらいいらっしゃるということを、まず人を一旦 仮に確定してしまうという作業をしますと、その方につきましての掛金収入等の計算と いうのが12月ぐらいには、大体機構本部には上がってまいりますので、それを基にしま して、掛金の年度末までの数字の計算を推計いたしますと、2月、3月の部会のご審議 に間に合うようなタイミングで計算できようかと思っています。  一方、運用収入関係ですが、運用収入につきましては3にありますように、大きく分 けますと、自家運用で機構自らが持っている資産、それから信託銀行や投資顧問、ある いは生命保険会社に委託して運用しています市場の変化に曝されている資産の2つがあ りますので、それを2つに分けて考えたいと思っています。  まず運用資産のうち、自家運用の資産につきましては、いわゆる満期保有の資産です し、一部は銀行の預金であるとか、生命保険の一般勘定、つまり私どもが普通に入って います予定利回りが確定している資産ですが、これらの資産につきましては12月末時点 において保有する資産、これが確定すれば、あとは1月から3月の利払日であるとか、 償還日といったものが自動的に計算できてしまいますので、これによりまして、大体ど のくらいの金銭収入が入ってくるか計算できます。  あとは入ってきたお金につきましては、例えば10年国債、あるいは金融債に充てると いうことに仮定いたしまして、その10年国債、金融債、入ってきたお金をまた新しい資 産を購入するわけですので、購入するときには10年国債や金融債を購入するという仮定 をして、その購入する10年国債や金融債につきましての利回りは12月末の数値を使いた いと思っています。  一方、信託銀行であるとか、投資顧問に運用をお願いしまして、市場の価格変化に曝 されている資産につきましては、3の(2)のようなやり方をしたいと思っています。 これは1月末時点の実際の時価ベースの残高に、2月の1カ月間のベンチマークの収益 率を使用しまして、2月末時点の時価額を推計します。それによりまして、その額を3 月末時点の時価とみなしてしまうということです。ただ3月末は、実際には1月末をベ ースにしまして、2月末におそらくこのくらいあるだろうという推計をするということ になるわけですが、3月の1カ月間でも多少の変化の余地もありますので、その部分に つきまして、下落する可能性を過去の統計的なデータから勘案して、多少保険を掛ける というか、安全率を見込むというやり方もあろうかと思っています。  7、8、9頁は説明を割愛いたします。10頁は、いま口頭で申しましたこと、あるい は文章に書いてありましたことをスケジュールとして図示したものです。いちばん上に 中退部会の審議スケジュールです。一応、2月、3月と書いてありますが、2月に速報 値的な計算を1回やりまして、審議会にご報告して、大体の大きな方向性についてご議 論いただいた後、3月にもう少し精度の高いご報告を差し上げまして、それで最終的に 3月の上旬ぐらいに結論をいただきますと、告示作業が3月末の年度末までに間に合い ますので、来年度の付加退職金の支給率決定に間に合うということになります。  2月に至るまでの作業スケジュールですが、先ほど申しましたように在籍者ベースで 掛金収入であるとか、退職金給付、それから計算されます責任準備金の額を計算するた めに、11月末時点で加入していらっしゃる方がどのくらいの数かということを一旦、中 締めしたいと思っています。そこで確定しました在籍者の方につきまして、まず費用ベ ースですが、11月末までにいらっしゃった方から、請求のありました退職金の支出額が 12月の大体中旬ぐらいまでには、どのくらいの額かがはっきりわかってまいります。一 方、11月末までに在籍されていた方につきまして、掛金収入の状況が機構本部に上がっ てきまして、把握できるのがやはり同じように12月の中旬ぐらいになります。  この2つから過去3年間の平均値を使いまして、残りの3月末までの4カ月間、どれ だけ掛金収入であるとか、退職金支出が増えるかという推計が可能になります。その2 つの推計が終わりますと、今度は現在在籍されている方につきまして、あるいは見込み の方を含めまして、在籍されている被共済者につきまして、一人ひとり、過去の脱退 率、脱退の傾向を勘案して、何年先にどのくらいの給付が発生するのかといったことを 計算できますので、それを加入されている方々すべてに計算しますと、責任準備金の推 計が出ます。ここまでの作業が大体1月の下旬ぎりぎりにできるぐらいの状況です。  一方、運用資産ベースのお話ですが、これは11月末の段階でなく、もう少し新しい12 月末の段階で、仮計算の作業をしたいと思っています。12月末日におきます運用資産の データにつきましては、民間の信託銀行などに委託している状況などの報告が大体1月 の上旬には機構にまいりますので、それを資産別にすべてまとめて整理すると、1月末 に12月末の状況がわかるということになります。1月末にひと月前の数字がわかるとい うことですので、1月の1カ月間、それでも市場は動いておりますので、1カ月分をど ういう形で推計するかということですが、これも先ほど申しました市場の平均的な動き を示しているベンチマークで補正いたしますと、2月上旬ぐらいに1月末の状況が大体 推計できますので、運用資産の推計もできるということになります。  ここで計算された運用収入の推計と、先ほど計算しました在籍者ベースの掛金収入で あるとか、退職金の給付額、それと責任準備金の増減等の数値を合わせると、2月の中 旬ぐらいには本年度の剰余金の計算の推計が一旦できますので、それをまず1回、2月 の部会にご報告させていただいて、大まかな方向性についてのご審議をお願いしたいと 思っております。  ただ、もう少し精度を高めるという意味で、運用資産について、もう1回同じことを したらいかがかと思っております。その結果、1月末日における資産の実際の残高に関 するデータが、2月の下旬には運用機関からの報告を整理したものとして出来上がりま すので、2月下旬に、ひと月前の状況がわかりますから、これを2月の1カ月間の変動 分を補正するために、市場の指数を表しておりますベンチマークで補正したもので、再 度その運用資産の状況について修正しまして、それを在籍者ベースで計算された収益と 費用と合わせますと、もう少し精度の高い数値が3月上旬ぐらいには審議会にご報告で きます。その上で、利益と見込額に基づく付加退職金額の支給率の決定をしたいと思っ ております。  なお、これでいきますと、3月上旬ぐらいに、推計しました2月の残高の推計値に基 づいてご審議いただくことになりますが、3月の1カ月間の変動につきまして、どうす るかという問題もあります。1つの案としましては先ほど私が申し上げたのは、もう3 月は変動しないと見てしまう考え方もあろうかと思いますが、一方、次の11頁をご覧い ただきますと、これはベンチマークとなっていますそれぞれの指数につきまして、なる べく過去に遡って年度末の左の欄から、年度末の3カ月間、それから真ん中が1月末か ら3月末までの2カ月間、いちばん右の欄が3月の1カ月間の変動を見たものです。国 内債券でいきますと、過去20年間の3月分のデータで、平均的には0.63%値上りしてい ます。しかし、値下りしている部分もありますので、ばらつきの平均値を表します標準 偏差は1.08%となりますので、即ち3年に2回は0.63%±1.08%、つまり1.71%から- 0.45%までの間で収益率が振れているということです。  しかし、それが国内株式になりますと、もう少し数字が大きくなりまして、平均値が 2.26%に対して、標準偏差が7.12%ですので、3年に2回の割合で9.38%から-4.86% の間に数字が振れるということです。したがいまして、プラスに振れる部分は見込みよ りも大きな収益が上がるという点におきまして、安全率は十分なものかと思いますが、 下がったときには場合によりまして、見込んだ数字よりも数値が小さくなってしまうと いうことにもなりますので、この辺の保険の掛け方をどうしたらいいかということにつ きまして、もう少し検討させていただき、その上で2月の審議会にその方式を含めてご 報告をしたいと思っています。  もちろん、できましたら、この場におきまして、どういうやり方がいいのかというこ とにつきまして、ご検討をお願いできればと思っています。なお、実際には国内債券と か、国内株式、外国債券、外国株式が一斉に全部価格が落ちてしまうということは通常 はありません。過去の数字におきましても、国内債券が上がれば、例えば国内株式は少 し下がるというように、あちらが上がればこちらが下がる、という関係がありますの で、国内債券等、この4つの資産を分散して持っていますと、実際に持っているときの 平均値の収益率はいちばん下の欄にありますように0.94%ほどになります。このときに 標準偏差、ばらつきの平均が2.15%ありますので、若干見込んだ数字よりも数値が小さ くなります。しかも、見込んだ数字よりもさらに下回ってしまうという可能性もありま すので、この0.94、あるいは2.15といったものにつきまして、どういう安全率を見込む のかということが問題になろうかと思っています。  以上が大体本日ご審議をお願いしたい事項です。ただ、少し参考的なデータとしまし て、前回佐藤委員からもご指摘がありましたが、機構における資産運用状況の直近のデ ータにつきましてご報告します。12頁のとおりですが、平成16年3月末、これが逆に言 いますと、今年の4月1日現在の資産の状況です。直近の数字で、平成16年10月末の数 字ですが、それが右の欄にまとめてあります。自家運用で持っております資産の利回り が約1.94%、それから金銭信託、新団体生存保険、いわゆる市場で運用しまして、時価 の変動に振れている資産の収益率が-0.94%ですので、10月末の段階では合計しますと、 0.98%の利回りとなっています。  なお、下のほうには市場で時価で運用しています資産につきまして、資産の種類別に 資産の状況をまとめています。ここで、時間加重収益率が-0.52%となっていまして、 先ほど申しました上の表の中の金銭信託と生命保険資産の小計値-0.94%と数字がちょ っと違っていますが、これは上のほうの数字につきましては、自家運用で持っておりま す時間加重収益率と言われている利回りで計算することが難しい資産につきまして、上 の自家運用収入で計算しています利回りと同じやり方を下の金銭信託と生命保険資産で 計算しますので、若干運用の評価に使われています時間加重収益率と誤差が生じている ということです。  後ろのほうには、標準偏差等につきましてご説明するための資料なども付けています が、必要に応じて、考え方を整理する際のご参考、あるいはご不明な点につきましての ご説明に合わせてご利用いただきたいと思います。とりあえず、説明は一旦ここで終わ らせていただきます。 ○齋藤部会長  ただいまのご説明に関連して何かご質問なりご意見なりありましたら、ご自由にどう ぞお願いします。 ○都村委員  ご説明いただいた中で、5頁の1、2、3は、推計部分も入ってくるわけですが、今 年の推計方法というのは過去と全く同じですか。変わっているわけですか。 ○宮本勤労者生活課長  5頁の1と2と3の(1)は同じです。(2)の委託運用につきましては、過去は簿 価で計算しておりましたので、時価と全く違う計算方式になります。そういう意味で は、3の(2)の委託運用部分の推計の計算の仕方につきましては、全く新しいという ことです。 ○都村委員  そうすると、4頁の乖離の幅がだんだん縮小してきてますよね。それは推計方法によ るわけではないのですか。 ○宮本勤労者生活課長  推計の精度が上がってきたということと、もう1つは、4頁におきまして、先ほど参 考として、だんだん差が縮小していることをご説明しましたときに、そこにあります が、ここは運用収入がないとすればという計算ですので、したがって、対応しますのは 5頁の1と2についての精度がだんだん良くなってきているということだろうと思いま す。 ○都村委員  推計の前に平均と標準偏差を使うというのはわかるのですが、11頁のデータで、外国 株式は14年間、それ以外の3種類は20年間のデータを使うという根拠は何なのですか。 ○宮本勤労者生活課長  これは採用しているベンチマークでとれるものが、遡ってすべて同じように昔までと れるということではありませんので、外国株式のベンチマークだけちょっと短くなって おりますのは、そこまでしか遡れないということでして、特に手法上の問題があってと いうことではありません。もともとデータがないということです。 ○都村委員  資産構成割合はどのくらいの割合で変更されているのですか。 ○宮本勤労者生活課長  これは11頁の欄の全体の平均と、それから標準偏差に影響を及ぼすものですが、ここ のデータにつきましては12頁にある国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、下の表 にありますこの割合を使っております。したがって、実際に2月あるいは3月にご報告 するときには、その際とれます直近の資産の比率にまた数字を置き直して計算します。 そんなに大きくはぶれないと思いますが、大体いまお示ししている近辺の数字になろう かと思いますが、若干そこは変わることはあると思っています。 ○齋藤部会長  ほかに。 ○成宮委員  確認ですが、いまこれから議論しようとしている付加退職金支給率の算定のために会 計基準をどういうやり方でやるかという、そのこと自体については、何らかの法規定の 変更だとか、あるいは正式の諮問、答申ということは必要がないということですね。 ○宮本勤労者生活課長  諮問については現時点では…。 ○成宮委員  それで計算した結果の所が告示マターになるので、それを年度内にやるために、その 計算に当たっての方式を早いうちに決めないと、計算作業に入れないと。今日はこうい うことですね。 ○瀧原課長補佐  時価と簿価に関しては省令事項になっておりますので、それの改正は必要になりま す。 ○成宮委員  やはり必要になるわけですね。 ○松井勤労者生活部長  要ります。それとワンセットで、省令事項を変えることになります。 ○成宮委員  だから、それは計算した後というか、全部セットで3月にやってしまえばいいという ことですね。 ○松井勤労者生活部長  はい。 ○成宮委員  わかりました。それから、5頁の最初の所は、要するに平成17年の2月に諮問すると いうこと。平成16年と書いてあるが。いま平成16年ではなかったっけ。 ○宮本勤労者生活課長  はい。諮問は平成17年です。 ○成宮委員  平成17年の2月でしょう。平成17年2月に諮問。 ○宮本勤労者生活課長  すみません、失礼しました。 ○山路委員  基本的なことでよろしいですか。前の話で忘れてしまっているので確認させていただ きたいのですが、いま議論になっている付加退職金の支給については、前回の運用予定 利率の引き下げのときに、付加退職金の支給についてはどういう形で決まったのでした っけ。細かい話は結構ですが、要するに1%に引き下げたことに伴って付加退職金は支 給すると。要するに結果的に利益を見てというハードルをつけたわけですよね。そのハ ードルは何だったですかね。 ○宮本勤労者生活課長  その来年度、翌年度の付加退職金の支給率の計算につきまして、今年度見込まれる利 益の2分の1を基準に、諸般の事情を勘案して決めるとなっております。さらにそのと きの利益の計算につきましては、原則として企業会計基準によって損益計算書を作るこ とになっておりますが、それはちょっと置いておいて、利益の計算については簿価で計 算するという仕組みになっております。 ○山路委員  そうすると、この前に引き下げた現行の予定運用利率を変えない限り、それはずっと 毎年毎年やっていくと。付加退職金を支給するかどうかというのは、その年度末に計算 してやっていくと。つまり、支給するかどうかを決めるということになるわけですか。 ○宮本勤労者生活課長  予定利率の変更をどうするかという問題とは必ずしもリンクしないかもしれません が、少なくとも仕組みの上では、そこはいまのところ変えておりませんので、同じよう に計算していくということにはなります。 ○山路委員  わかりました。それで、結論としては、私はこの案については会計が原則として時価 になっているのに、なぜ付加退職金だけこの簿価になっていたかを改めていま知ったの ですが、これはもう時価に変えるというのは当然のことだと思うのですね。デメリット で書かれているタイムラグが出てくる可能性があるということは避けられないことです が、しかし、従来どおり簿価にしたことによる実態との乖離より、おそらくはるかに少 ないだろうと考えられますので、その意味では、やはりもう時価にするべきであろう と、これは当然のことだと思います。もう1つ余計なことを申し上げれば、付加退職金 のあり方については、私、前回意見を申し上げましたが、基本的にもう見直すべきだ と、というよりも、もうやめるべきだというふうに考えておりますので、そのことを、 改めてもう一度仕切直しの議論をしていただきたい。今回は無理としても。前回決まっ たことですからね。それを申し上げておきます。 ○齋藤部会長  ほかに何かございますか。 ○成宮委員  いまのご質問に関連して、そこが2分の1になったところの経緯というのは、私、当 時おりませんでしたが、当時の議事録を確認させていただいて、いろいろな議論の末に そうなったという状況を理解しているつもりですが、そのときに、いまの山路委員のご 質問の関連で、機構に今度移行して、全部企業会計になるのですが、ここの部分だけは 簿価で引き続きやりましょうということになった経緯というのは何かありましたか。 ○宮本勤労者生活課長  2分の1のご議論をされました時代は、まだ機構が特殊法人で、簿価会計で動いてい る時代。 ○成宮委員  してなかったですね。 ○宮本勤労者生活課長  ええ。 ○成宮委員  決まっていたんでしたっけ。平成13年に決まっているわけだから、一応どこかすると いうことは。 ○宮本勤労者生活課長  正式にはまだそのころは見えてなかったと思います。ですから、そこでその制度の変 革の話と、それから仕組みですね、それと組織の変革の話の中で、若干乖離が結果的に 生じてしまったということです。 ○成宮委員  前回この仕切りをやった時点では、まだ機構が独法化する前の段階なので、その当時 の会計方法でやっていたと。 ○宮本勤労者生活課長  はい。 ○成宮委員  その後、そこの部分の仕切り変更の議論がないので、このままきているということで すか。 ○宮本勤労者生活課長  はい。 ○山路委員  ただ、当時多少事情を知っている、正確には覚えていませんが、いずれ私は、ずっと 一貫して、簿価はおかしいので時価にするべきだと言い続けてきまして、当時の議論の 中でも、独法化に伴って、もう時価に変えざるを得ないという形での意見表明はなされ たと思うのです。そのときに、当然のことながら、この付加退職金の支給率も、全体の 会計を時価に変えるのだったら、付加退職金の支給率の算定だけ簿価に変える理由はな いわけですから、私なんかは、当然すべてが時価になっていたというふうに理解してい たのですが、なぜかこれだけ置き去りにされていたという話なのですよ。だから、そこ のところは明確な節目節目の、ここの中退部会が開かれてなかったということもありま すが、説明がなかったわけです。 ○勝委員  いま時価か簿価かということで委員が言われたように、実態がわかるという意味で は、時価でやるというのは非常にベストであるし、透明性を確保するという意味でも時 価でやるべきだと思うのです。12頁に「運用資産状況」がありまして、今年の3月末と 10月末の数値が出ておりますが、これは前回、部会でご質問申し上げたところですが、 これを見ると、やはり時価にすると非常にぶれが大きいと。利回りが、例えば平成16年 3月末で、特に金銭信託、インハウスでバイ・アンド・ホールドしている部分はほとん ど変わらないわけですが、それ以外の部分は、12.66%と、それから、-1.02%、非常に ぶれが大きいと。そうすると、その時点の株価の状況ですべて配分してしまうというこ とになってしまうと、むしろその時価にするということから、もちろんその全体の透明 性の確保という意味から、もちろん時価は必要不可欠で、もうすでにそう移行している わけですが、この付加退職金の計算に当たって時価にすることは果たしていいのかとい う問題がやはりあるのではないかと。これは前にも聞いたかもしれないですが、そうす ると、前年度までは特殊法人だったということで、すべて平均運用利回りが簿価で計算 されていたわけですが、これを時価で行った場合にはどうなるのかということを資料と して示す必要があるのではないかというのが第一点です。  もう1つは、会計基準というのは当然重要で、それは配分をするという前提で議論が なされているわけですが、ただし、この付加退職金を支給するかどうかという根本的な 問題、特にこの付加退職金という制度自体は、この制度が黒字のときに導入されたもの であって、いま非常に、10%ぐらいの赤字という大きな問題を抱えている中で、安易に 付加退職金を配分していいのかという問題が1つありますし、それをすることによっ て、実態のいまの1%という利回りを引き上げるときに、さらに難しくなってしまうと いう問題もまだあると思うので、それとのセットで考えるべきなのではないかなと思い ます。  1つ質問ですが、昨年度の付加退職金を計算した場合は、これはちょっと繰り返しに なるのですが、簿価。 ○宮本勤労者生活課長  簿価です。 ○勝委員  簿価ですよね。そうすると、時価でやった場合はどれぐらいになったのでしょうか。 ○宮本勤労者生活課長  それはお手元の資料の3頁をご覧いただきたいのですが、平成15年度決算ですが、こ れは平成16年3月末の数字ですが。 ○勝委員  720億。そうすると、もし時価であった場合は、かなり大きな額がさらに支給されて いたということでよろしいでしょうか。 ○宮本勤労者生活課長  そうです。ただ、いま委員から、時価で実態をすべて表すべきというご指摘ですが、 満期で保有しております債券につきましては、もともと会計上、時価で評価しなくても いいというか、償却原価法と呼ばれています簿価を出発点にして、差額の部分を満期ま で持っているその期間に均等に按分して、だんだん価格が満期のときに償還される金額 に、その差額がだんだん近づいていくというやり方で計算すればいいというやり方にな っておりますので、したがって、そこについて、ちょっと時価で計算するということは 難しいのかなと思っております。 ○勝委員  過去の実績についてはということですね。 ○宮本勤労者生活課長  過去の実績についての計算ですか。 ○勝委員  はい。 ○宮本勤労者生活課長  過去の実績となると、ちょっとデータがないので。昔は簿価でしか計算しておりませ んでしたから、遡って平成14年度あるいは平成13年度につきましての実績ということに なりますと、データがないということですので、ちょっと計算ができないということで す。 ○下永吉委員  仮に時価会計による計算の上で付加退職金を支給するとした場合、いまご説明ありま したように、利益金の見込みというのが非常に難しいのではないかと思います。それ と、評価益の変動が非常に激しいと。評価益が生じたとしても、それは未実現利益であ るのではないかと思うのですね。そうした場合、財産的な基礎を危うくするおそれがあ るのではないかという危惧を持っているのですが、それは大丈夫なのでしょうか。もう 一点、先ほど山路委員がおっしゃいましたように、そもそも累積欠損金がある中で付加 退職金を支給することは、中退制度の安定的運営について考えるとき、どうあるべきか と、これについては先ほどお話がありましたように、大いに今後話し合っていく必要が あるのではないかと。そのことについては賛成でありまして、財政の安定したより良い 制度を目指して、今後とも労使で話していくことについては賛成です。 ○齋藤部会長  付加退職金のあり方そのものをどうするかという話は、次回以降、改めて議論をさせ ていただくということに前からなっていたと思うのですが。だから、その話はちょっと 置いておいて、計算の方法をとりあえず時価でやるか簿価でやるかということを今日ご 議論させていただいて、あと具体的に付加退職金をどうするかというときには、時価を 基にして計算して、どういう要素を入れて計算すればいいかとか、その辺の議論はまた 改めてすればいいのではないかと思うのですが。 ○宮本勤労者生活課長  ただ、いま勝委員あるいは下永吉委員からご指摘がありましたように、時価はやはり 大きくぶれるのではないかというご指摘ですが、それで、先ほど申し上げましたよう に、なるべく年度末に近い、使えるいちばん新しいデータをなるべく使うというやり 方、それでありますと、10頁にありますように、実績として実際にその機構が時価運用 で持っている資産の実際の値というのは、1月末の数字になりますが、ご報告できるの は2月末で、約1カ月そこで差が発生しておりますが、そこの部分の変動につきまし て、この2月ひと月間のベンチマーク、市場変動の動きで推計しますと、そんなに大き なぶれはおそらく発生しないだろうと思います。したがって、2月末から3月末の今度 は1カ月間の変動についてどう見込むかということですが、それがその実績で見ます と、11頁にありますように、0.94%±2.15%ぐらい、過去の統計値ではぶれているとい うことですので、2月末の残高を出発点として、それから0.94%±2.15%という数字の 範囲内での見込みのぶれということですから、実際には4月末と11月末を比べたときの 変動ほどには大きな変動にはならず、もう少し精度の高い分析ができるものと思いま す。 ○成宮委員  それは要するに、年度末の実際に実現するであろう実績値を技術的にちょっと1、2 カ月早めに作業しなければいけないので、そこで見込んだときとの誤差がどれだけ出る かという意味で、それほど大きなあれは出てこないでしょうということですが、たぶん 心配なのは、さっき「未実現利益」という言葉がありましたが、たまたま一昨年は株が 上がったというか、落ちた分をかなり取り戻した部分があったと。したがって、利回り も収益率も十何%とか、もっとうまくやっているところだと30%ぐらい出しているわけ ですよ。今年を見ると、横這いというか、ちょっと落ちている。やり方によってはもっ と落ちている。そういう意味では、ここでそうやって確定した数字というのは、時価が これだけ上がってますから、これだけ収益が出ましたねと言って、これだけ出たのだっ たらこういうふうにやりましょうというふうに言っていますが、だけど、それは今日売 ったらその値段が実現するということだが、この先ずっと保有していたときに、それは 砂上の楼閣のように、あっという間に消えてしまうかもしれない話なのです。だからと 言って簿価でやったら安全かということではないのですが、余計心配が出てくるとい う、そういう議論だと思う。ただ、これをやり出すと、また次回以降の議論とごっちゃ になってしまうのでジレンマなのですが、ある意味でそこは、時価にするか簿価にする かという議論も、そことは完全に切り離して考え切れない所があるという、そこだと思 うのですね。 ○松井勤労者生活部長  議論を整理させていただきますと、付加退職金制度は、勤退機構が特殊法人であっ た、即ち、全面的に簿価会計をやっていたころの、平成3年当時に導入された制度とい うことを押さえてください。その当時は簿価ですから、計算も簡単であろうということ はいまの状況から見るとあったということで、その当時の法律条文は、現行の中退法の 10条にあるのですが、支給率を算定するという考え方の基に、「当該年度以降の運用収 入の見込額その他の事情を勘案して、当該年度の前年度末までに、労働政策審議会の意 見を聴いて定める」ですから、運用収入の見込額と、その他の事情を諸々勘案して、毎 年度末までに審議会でご意見を聴いて、どれぐらいの率を出すかという仕組みになって おりました。これは間違いありません。それが、実は予定運用利回りの下げの議論と大 いに関係してきたのは、この今日お配りしている平成14年の1月の審議会のときの議論 でありまして。 ○瀧原課長補佐  参考資料のほうです。 ○松井勤労者生活部長  参考資料はお渡ししてあります。それの3頁に、整理の内容がありまして、II「具体 的な改正の内容」の1「予定運用利回りの見直し」とあります。「基本退職金の予定運 用利回りについては、確実に累積欠損金の解消を図り、制度の財政の安定化を図る観点 から、現行の3.0%を引き下げ、○%とすることが適当である。なお、予定運用利回り を上回る運用実績を上げ、剰余金が生じた場合、それを累積欠損の解消にも充てるべき である。その際には、被共済者間の公平性等を勘案して、剰余金の2分の1を累積欠損 金の解消に、残りの2分の1を付加退職金の支給に充てることを基本として、各年度ご とに当審議会の意見を聴くこととするべきである」と、労働側委員がおっしゃってい る。この2分の1を決めたときに、すでに累積欠損金の解消ということも視野に置いて 議論したのではないかということを言われているというのを、まず押さえる必要があ る。  その上で、今回ご提案しておりますのは、当時はあくまで簿価を前提に議論してい て、簿価を時価に変えるからというようなことは、ここでは見ていただいたように出て おりません。一般的に特殊法人から独立行政法人に変わるときに、企業会計原則は時価 であろうというようなことは言われていたが、確定しておらず、実際に確定したのは平 成14年12月の独法化してからです。それで、規則で決まりまして、機構の会計について は、省令で別段の定めがなければ、一般の企業会計基準に従うものとするというルール が作られました。そこで、ここでは議論が行われてなかったものですから、この付加退 についての省令の書き直しは、形式修正だけということにとどめまして、この省令上 は、2分の1という条文は残しながら、「前項の損益計算は、一般的な規定にかかわら ず、簿価を基準として行う」という、とりあえずの改正をしてここまできましたという ことです。したがって、いよいよ本格的に独立行政法人として付加退を出すかどうかと いうことが今回のご議論ですので、時価を基準としてやるときの全容をここでご説明さ せていただいている。そういう意味で、やや計算として、詳しい、細かいことまで含め てご説明させていただいている。したがって、当面今回支給する分について、やはりま ず改めるかどうかということをやっていただいて、その上で、もう一度、その当時累積 欠損まで見込んでやった制度だということで、本当に足りていたのかどうか、改めて、 ある意味では事情が変わってきているというふうな言い方になるかもわかりませんが、 そういったものを強く考慮すべきかどうかという議論だと思っております。その、強く 考慮すべきかどうかというのは、今回ではなくて、改めて是非やっていただきたいとい うことで、次回以降になるのですが、そういう意味で、予告として、参考資料1という ものを付けさせていただいております。これが今度出来ました「平成15年度における厚 生労働省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての意見」と出てお りまして、ここにありますように、まずもって、このいわゆる累積欠損の減少、これが 非常に大きく取り上げられまして、これを、確実に明確な目標のもとで削減に努めるこ とが重要と、こういうことを強く言われたと。実際、この平成14年の1月当時に、この 予定運用利回り等、付加退職金のこの制度を議論していた当時は、当然こういったもの もありませんでしたから、ここでいう累積欠損の問題を視野に置いていたということに 加えて、こういったものが出てきたことをどう捉えていただくかということをもう一回 出発点にご議論いただければと思っております。今日はいずれにしても、簿価か時価か ということの確認を改めてさせていただくということでよろしくお願いします。 ○田村委員  付加退の関係についてはそういうことで整理をさせていただきたいと思います。先ほ ど部長からありましたように、3%から1%に下げたときの労働側の意見も、この中に 反映されているわけですから、という具合に思いますので、今日は特に反論はしないで おきたいと思っております。簿価から時価に変えていくということは、そのほうが、よ り実績値に近くなるわけですから、あとは推計がどれぐらい精度を増すかというやり方 の問題ですから、今日は課長からご説明いただいたものが、より精度が高くなればいい なと。しかし、それは単年度の年度末の問題で、簿価を時価に変えても、そのとき売り 買いをするわけではありませんから、例えば数年を見れば、その偏差値ももっともっと 縮まる方向にいけば、それでいいわけなので。そうすると、我々が気にしたいのは、そ の安全率でどれぐらい見るのかというところが、これだって、いいときもあれば、いい ときと悪いときとの誤差が出てくるわけですから、それを見れば、何年か通年的に見れ ば、時価に変えてもそんなに大きなぶれは出てこないのではないかなという気もします ので、そちらに動かすことについて、特に反対はしたくないなと思っています。 ○宮本勤労者生活課長  先ほど成宮委員からご指摘がありました、実際には実現していないというお話があり ますが、ただ、そこでその利益としては、損益計算上、評価の値上り部分が利益として 損益計算書上は評価されますし、それはその当期の利益として上がりますと、今度はそ れが貸借対照表上の資本の所に計上されることに。したがって、常に毎年度ご指摘のよ うに実現しないが、計算上はあります利益に応じて、実は累積欠損金の額の大きさも変 動していく可能性がある部分ですので、そこは田村委員からいまご指摘がありましたよ うに、多少その年度におきまして1年取り上げると、どちらかにぶれてしまうという可 能性がありますが、この制度が別にこれでおしまいという制度ではありませんので、何 年か動く中では、平均値の所辺り、あるいは、今年買ったが来年は反対側にぶれたが、 何年か平均的に見ると、大体平均値に落ちてくるということになるのではないかと思っ ております。 ○齋藤部会長  ほかに何かございますか。 ○田村委員  もう1つ、先ほどご説明いただいた評価の部分で、累損の話が出ているわけですが、 この累損の問題で、黒字が出たときに累損を埋めるという方法も当然あるのでしょう が、累損ではなしに、埋めるための利益を生むために、折角独法に変わったわけです ね。ですから、そこでいくと、むしろ運用の関係についてはいろいろ束縛があるにして も、ここでどれぐらいの利益を上げるかということをもっともっと真剣に考えてもらう ほうが大事であって、安全率を取ることも大事なのですが、その利益をどう上げるかと いうことについて、もう少し独法としての精度を高めることを是非お願いしておきたい と思います。 ○齋藤部会長  またそれも次回以降いろいろあるのではないかと思いますが。それでは、とりあえ ず、ここで若干問題を示させていただいて、支給率の算定のための会計基準につきまし ては、来年度の支給率から時価で行うことが適当だということで、皆さん、そのこと自 身はそれほどご異論はないように思いますので、そういうことにさせていただきたいと 思います。またそれを基準にして計算をしていただいて、それを基にして実際の作業を やっていただくようにしたいと思います。それでは、これで今日の議題自身は終わりで すが、何かほかにご説明するようなことはありますか。 ○奥平委員  最後にちょっと。予め今日の方向は決まったということで、先ほど部長さんがご説明 なさった参考資料1の下から5行目、これを見ていて、すごく気になったのですが、 「これらを解消するための具体的目標設定がなされていない」という、評価委員会の委 員長の通知を受けておりますが、多少半分ずつでも赤字の解消に私たちは入れるという ことでいままではきているのですが、それ以上の、あちらとしてのご希望がここに含ま れているということでしょうか。 ○宮本勤労者生活課長  それにつきまして私からご説明させていただきます。前回は同じような累積欠損金解 消について毎年度きちんとチェックを厳しくするようにという、別の財政等審議会のご 提言、財務大臣に対するご提言につきまして資料を添付させていただきました。そのと きは口頭でしか申し上げられなかったのですが、正式に通知がまいりましたものですか ら、いまご指摘のありました参考資料1という形で、ここにご提出させていただいてお ります。  そこに書いております趣旨ですが、独立行政法人評価委員会というのは独立行政法人 がある一定期間内にこれだけの目標を達成するように、ということを予め中期目標で設 定されて、それを達成したかどうかでその独立行政法人の一種の評価、いい法人であっ たかどうかということの評価をされることになっております。これにつきましては、い ままでその累損については確実に解消するということのみ、一種抽象的にしか目標が掲 げられておりませんでしたが、この親委員会の今回の通知でありましたところでは、そ こをもう少し明確な目標を掲げなさいということです。  ただ、これにつきまして1年ごとにいくら返せということまでも要求するものではな いようには伺っております。当然市場運用ですので、今年いくら返そうとしたところ で、市場側の運用状況が悪ければ返せないということがありますので、その辺は運用の 環境が累損解消に影響を与える、財源獲得のために影響を与えていることとか、あるい は、もともと運用とはそういうものだということについてのご理解は得ているというこ とですが、ただ抽象的に何となく健全化に向けた努力をすることが必要だということで はなくて、もう少し具体的な目標を設定するようにという趣旨だというふうに伺ってお ります。 ○松井勤労者生活部長  端的に申し上げますと、この文章を読みまして我々の制度は十分説明した上で、こう いう意見がきているというのが大前提でありまして、「平成15年度下期に545億円の当 期利益を上げ累積欠損金の削減が図られているが、依然として2,673億円が残っている」 と、こういう事実を言われております。したがって、我々として運用等やって、利益を 上げていって、たまたま前回の支給というのは簿価を使って低めに配る額を予定してい た。ところが、運用率が上がって、相当利益が上がったという中でやって、それだけや ったのに評価されてないわけですね。そこがつらいのです。事実は事実なのですね。そ ういうことですから、これをもって改めてきちっと受け止め直して、こういうものに対 応していかないと、この評価委員会はずっとこの審議会とは別枠でまたチェックをかけ ていますから、それへの対応がいると。  さらにややこしいなと思っていますのは、まさに言われた具体的目標設定となります と、いまあるシステムをどういうふうな序列で運用していくかということを言わない と、目標設定ができないわけですね。ということですので、だから、いままでと状況が 違う中で、改めて課題についての位置づけをご議論いただきたい。当然法律事項ですか ら、この「やります」ということはやります、という問題意識でありまして、まさにも う一度ご議論いただかなければいけないかなということで、お願いしたい。 ○奥平委員  わかりました。 ○齋藤部会長  ほかに。 ○小山委員  もう一度議論をするのはいいのですが、ただ基本的に先ほど田村委員が言ったよう に、1%に下げるというとき、中小企業で働く労働者側からしてみれば、これからの退 職金がどうなるのか、いままでよりもこんなに下がってきたという実態の中で合意形成 をして、そこでまとまってきた案だと。独法になったからといって、では、どこが変わ ったのですかと、退職金をもらう労働者あるいは納める中小企業の側にとってみれば、 そういう所をやはりきちっと押さえておいてもらわないと、ここでの議論をしてきた経 過だとかが、独法化になることによって何か全く変わったかのような誤解をされると、 私はちょっと違うのではないかと思うのですね。ですから、是非そうした論議を踏まえ た上で、皆さんいろいろご意見があるわけだから、議論するのはかまわないわけです が、基本的には部長がおっしゃったとおり、法律事項としてきちっと国会の場で決めて きたことですから、そのことを踏まえた対応を是非当部会としてお願いしたいと思いま す。 ○松井勤労者生活部長  意見は次回以降ですが、もう一点論点だけ。いま申し上げた意見プラス、いま言われ たように、予定運用利回りが1%だったら付加退を発動するかとか、例えば予定運用利 回りが2%、3%になったら付加退を発動しないとか、そんな議論は一切されていない わけですね。つまり1%になるときに、うーんと考えてみたということは事実でありま す。その予定運用利回りは、実は手続的に言いますと、政令で改正できる事項です。付 加退職金制度というのは法律で書いてある事項です。この発動については、はっきり言 ってまた全然違って、運用利益があれば出る、とやってあるだけ。この3つが絡んでい ないのですね。皆さんは1つで議論されているようですが、手続的には法律で、運用は バラバラでやりながら、いま実際にこういう形で運用させていただいていて、そのたび に審議会で諮るとなっているのですね。そうすると、そういったものを前提として目標 を作っても、なかなかできないものですから、改めて整理していただく必要があるな と、そういう認識であるということでお願いをしたい。 ○齋藤部会長  次回の予定については。 ○宮本勤労者生活課長  次回は1月31日午前10時を予定しております。 ○齋藤部会長  1カ月ばかり間が空きますが、その間に必要な資料等は用意していただいて、ちょっ と皆様の所を回って、必要な資料等ご意見があれば、予め伺っておいて、それを出せる ようにして、少し議論を効率的に進めるような準備をしたほうがいいのではないかと思 います。 ○宮本勤労者生活課長  部長からすでにご説明申し上げてしまったのですが、参考資料1と2ですが、参考資 料1はすでにご覧のとおりです。参考資料2は、前回佐藤委員からもご指摘があった所 です。過去のこういうことでということで、非常に膨大な議論がありましたが、その中 で特に核心的と思われる部分につきまして、1%にされたときの諮問、答申と、その際 に労働側の委員の皆様からご意見がご提出されておりますので、その回の議事録を、一 応、総括的な部分として付けさせていただいております。以上です。 ○齋藤部会長  それでは次回は1月31日の午前10時からですね。場所はまたご連絡するということ で。本日の議事録署名委員は鈴木委員と成宮委員にお願いしたいと思いますので、どう かよろしくお願いします。それではどうもありがとうございました。 6 配付資料   資料1 付加退職金支給率の算定のための会計基準について(案)   参考資料1 平成15年度における厚生労働省所管独立行政法人の業務の実績に         関する評価の結果についての意見(抄)   参考資料2 第12回中小企業退職金共済部会の議事録   参考資料3 一般の中小企業退職金共済事業における年齢別被共済者数の試算値         (平成15年度) 照会先:厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課調査係(内線5373)