04/12/21 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会第11回議事録         第11回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 1 日時 平成16年12月21日(火)16:00〜 2 場所 厚生労働省 専用第17会議室(16階) 3 出席者  〔委員〕    公益代表  保原委員(会長)、石岡委員、稲葉委員、岩村委員    労働者代表 佐藤委員、須賀委員、寺田委員、内藤委員、真島委員    使用者代表 川合委員、紀陸委員、杏委員、下永吉委員、早川委員 4 議題  通勤災害保護制度の見直し等について 5 議事 ○保原部会長  定刻になりましたので、ただ今から第11回労災保険部会を開催します。  本日は岸委員、金城委員、高松委員、久保委員が欠席されております。なお、早川委 員はいずれお出でになることかと存じます。  本日の議事に入らせていただきます。本日は、前回までの議論を踏まえて、当部会と しての検討結果のとりまとめについてのご議論をお願いしたいと思います。なお、本日 とりまとめられた報告は、私から労働条件分科会長に報告し、労働条件分科会長から労 働政策審議会会長に報告された後、労働政策審議会会長より厚生労働大臣に対し建議さ れることになります。  「報告(案)」を事務局より読み上げていただきます。 ○労災管理課長補佐  「報告(案)」を読み上げさせていただきます。  「労働者災害補償保険制度の改善について(報告)(案)。  働き方の多様化等の社会経済情勢の変化に適切に対応し、労働者災害補償保険制度が その役割を十全に果たしていくことが重要な課題となっている。このため、労働政策審 議会労働条件分科会労災保険部会においては、学識経験者による検討の結果も踏まえ、 平成16年10月より通勤災害保護制度を中心として労働者災害補償保険制度の見直しにつ いて検討を行ってきたところであるが、その結果、下記のとおり意見の一致をみたので この旨報告する。  この報告を受けて、厚生労働省において、次期通常国会における労働者災害補償保険 法の改正をはじめ所要の措置を講ずることが望まれる。  記。  通勤災害保護制度については、昭和48年に創設されたものであるが、働き方の多様化 等の社会経済情勢の変化の中で、必ずしも制度の創設当時に想定されていなかった問題 への対応の必要性が生じているものと考えられる。特に、複数就業者や単身赴任者が増 加してきている中で、これらの者が行う移動のうち通勤災害保護制度において保護すべ きものと考えられるものについて適切な保護がなされるよう以下の見直しを行うことが 適当である。  (1) 複数就業者の事業場間の移動については、移動先の事業場における労務の提供 に不可欠なものであること、通常一の事業場から他の事業場に直接移動する場合には私 的行為が介在していないこと、事業場間の移動中の災害はある程度不可避的に生ずる社 会的な危険であると評価できること等から、通勤災害保護制度の対象とすること。  (2) 単身赴任者の赴任先住居・帰省先住居間の移動については、単身赴任は、労働 者を自宅からの通勤が困難な場所で就労させなければならないという事業主の業務上の 必要性と、労働者の家庭生活上の事情を両立させるためにやむを得ず行われるものであ ること、労働者が労務を提供するため家族と別居して赴任先住居に居住していることか ら、赴任先住居・帰省先住居間の移動中の災害はある程度不可避的に生ずる社会的な危 険であると評価できること等から、就業に関する赴任先住居・帰省先住居間の移動を通 勤災害保護制度の対象とすること。  なお、複数就業者の係る給付基礎日額の算定方法の在り方については、複数就業者の 賃金等の実態を調査した上で、労災保険制度の在り方に関する研究会中間とりまとめに 示された考え方を参照しつつ、専門的な検討の場において引き続き検討を行うことが適 当である。」  以上でございます。 ○保原部会長  ありがとうございました。この案文についてご意見がありましたらお願いします。 ○須賀委員  このまとめで、私も了解させていただきたいと考えているのですが、最後のなお書き のところに、専門的な検討の場を設置をして検討しますとされている基礎日額の算定方 式の在り方についてですが、私どもは前回の議論の時に、可及的速やかというふうにこ の検討を進めるべきだという考え方を表明させていただいたわけですが、これについ て、どういう見通しをもっておられるのか尋ねておきたいと思います。 ○労災管理課長  前回までのご意見を踏まえて、行政として検討について対応していきたいと考えてお りますが、まず、実態の把握ということで、行政として、複数就業者に係る賃金や就業 形態、通勤災害、業務災害等の状況等について把握することを先行させたいと考えてお り、一定の把握を踏まえて、検討の場については、またご相談させていただきます。 ○真島委員  それは、いつごろまでということは、具体的にはまだ分からないのでしょうか。その 方向性をどのぐらいまでにまとめるというのも、まだ分からないのでしょうか。 ○労災管理課長  ご議論を踏まえて、これから制度化を検討していくわけですので、いま、できる限り 実態の把握につきましては、行政として速やかに対応をしていきたいと思っております が、検討の期間等については、検討の経過にも係ることですので、現段階では予め具体 的にまだ申し上げることはできません。行政の姿勢としては、できる限り早急に調査に かかりたいと考えています。 ○佐藤委員  基本的には賛成の立場で、須賀委員のおっしゃられたとおりですが、ここで検討をす る以前に研究会で検討されたわけです。それで、合算の方向が提起されたわけです。そ れで、この審議会でそこの議論が分かれたということですが、また同じような研究会が もたれても、それは同じような結論が生まれるのではないかと思いますが、それは構成 される方々によって異なるのかも分かりませんが、検討会で検討したら、またこの部会 で両論が並立する状況では、なかなか難しいだろうなと思います。  私は、いっそのこと、この部会でやられたらどうかと、十分な調査という意味合いで は、賃金の実態、就業時間の実態をここで示されれば、本当に複数就業をしなければな らない人の実態は浮かび上がってくると思います。そういうことから考えて、研究会を もたれてもそれは結構ですが、いま申したような理由から言えば、労災保険部会でやら れたらどうかなと思います。 ○労災管理課長  専門的な事項については、「専門的な検討の場において引き続き検討」という文章に なっていると考えていますが、いずれにしても、検討の場のもち方につきましては改め てご議論させていただきたいと考えています。 ○保原部会長  そのほかご意見はありませんか。ご異議ありませんか。それでは、この内容で合意が 得られたということで、当部会として検討結果をとりまとめることとし、この内容を厚 生労働大臣に建議すべきである旨を、労働条件分科会に報告したいと考えますが、よろ しいでしょうか。                  (異議なし) ○保原部会長  ありがとうございました。それではそのようにさせていただきます。  ここで、労災補償部長よりご挨拶がありますので、よろしくお願いします。 ○労災補償部長  この度はお忙しいところ、ご報告をまとめていただきまして、まことにありがとうご ざいます。本日の報告に基づき、改めて法律(案)要綱を作成して、ご意見をいただき たいと思います。よろしくお願いいたします。  なお、いまのご質問に出ました「引き続き検討を行うことが適当」とされました事項 については、今後ともご相談をしながら進めてまいりたいと思っております。 ○労災管理課長  次回の日程についてご案内させていただきます。次回、第12回の労災保険部会は、年 明けの1月17日(月)15時から、厚生労働省17階の専用第21会議室で開催する予定で す。労災保険料率の設定に関する検討会の報告書について議論していただきたいと考え ていますので、よろしくお願い申し上げます。 ○保原部会長  本日はこれで終了させていただきます。なお、本日の議事録の署名委員は、労働者側 委員として須賀委員にお願いします。使用者側委員は、紀陸委員にお願いします。  本日はどうもありがとうございました。                照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係                    電話03-5253-1111(内線5436)